説明

4−アミノ−3−(イミダゾリル)−ピラゾロ[3,4−D]ピリミジン

インビボ(in vivo)における抗炎症活性を有する、CCR1受容体の強力なアンタゴニストとして機能する化合物が供される。当該化合物は、4−アミノ−3−イミダゾイル−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン誘導体であり、CCR1介在疾患の治療のための医薬組成物、方法において、並びに競合CCR1アンタゴニストの同定のためのアッセイにおけるコントロールとして有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本願は、2008年9月11日出願の米国特許出願第61/096,191号の利益を主張し、その内容は本明細書に参照により組み込まれている。
【0002】
連邦政府支援の研究及び開発の下でなされた発明に対する権利の宣言
該当なし。
【0003】
本発明は、様々なケモカイン、例えばMIP−1α、ロイコタクチン(leukotactin)、MPIF−1及びランテスの、CCR1受容体への結合を抑制することに効果的である化合物、1又は複数のこれらの化合物を含有する医薬組成物或いは医薬として許容されるこれらの塩を供する。CCR1受容体のアンタゴニスト又は修飾因子として、化合物及び組成物は炎症性及び免疫異常症状及び疾患の治療において有用性を有する。
【背景技術】
【0004】
ヒトの健康は、ヒトから重要なリソースを奪い且つ/又は疾患を誘発することになりかねない外来性の病原体を検出及び破壊する身体能力に依存する。白血球(白血球細胞(WBC):T及びBリンパ球、単球、マクロファージ顆粒球、ナチュラルキラー細胞、マスト細胞、樹状細胞、及び免疫由来細胞(例えば、破骨細胞))、リンパ組織及びリンパ管を含んでなる免疫システムは、生体防御システムである。感染と闘うために、白血球は病原体を検出するために体中を循環する。一度病原体を検出すると、特に自然免疫細胞及び細胞傷害性T細胞は病原体を破壊するために感染部位に補充される。ケモカインは免疫細胞、例えばリンパ球,単球及び顆粒球の補充及び活性化のための分子指標として作用し、病原体が存在する部位を特定する。
【0005】
病原体の免疫システムの制御にもかかわらず、一定の不適当なケモカインシグナル伝達は発生する可能性があり、炎症性疾患、例えば関節リウマチ,多発性硬化症等の誘発又は持続に起因する。例えば、関節リウマチでは、骨結合部における未制御のケモカインの蓄積は浸潤性のマクロファージ及びT細胞を誘引及び活性化する。これらの細胞の活性化は滑膜細胞の増殖を誘発し、少なくとも一部分において、炎症及び結果として生じる骨及び軟骨減少に繋がる(DeVries, M.E.,et al., Semin Immunol ll(2):95-104 (1999)を参照されたい)。一部の脱髄性疾患、例えば多発性硬化症等の特徴は、中枢神経系へのケモカイン介在の単球/マクロファージ及びT細胞の補充である(Kennedy, et al., J. Clin. Immunol. 19(5):273-279 (1999)を参照された)。破壊性のWBCのケモカインの移植片への補充は、その後の拒絶反応に関係している。DeVries, M. E.,等の上記のものを参照されたい。ケモカインは炎症及びリンパ球の分化に極めて重要な役割を果たすので、これらの活性を特異的に操作する能力は、現在満足のいく治療のない疾患を改善及び食い止めることに大きな影響を与える。さらに、移植片の拒絶反応は、高価な免疫抑制薬の全身性且つ複雑な効果なしに最小限に抑えられるかもしれない。
【0006】
骨代謝は、骨吸収を制御する骨形成及び破骨細胞をコントロールする骨芽細胞の全体的な活性に依存的である。骨代謝異常は、骨形成及び骨吸収の不均衡によって生じると考えられる。骨粗しょう症(及び閉経後骨粗しょう症)、高カルシウム血症、パジェット病、腎性骨ジストロフィー、関節リウマチ、変形性関節症、溶解性骨転移、多発性骨髄腫等は、骨代謝異常を付随する疾患として知られる。骨粗しょう症は、このような骨代謝異常によって生じる典型的な疾患である。この疾患は、破骨細胞による骨吸収が骨芽細胞による骨形成を超える場合に生じる。当該疾患は、骨石灰化物質及び骨基質両方の減少を特徴とする。CCR1は、破骨細胞前駆物質の補充及びこれらの成熟に関与すると考えられており、このプロセスの抑制は疾患を改善する(Vallet et al., Blood, 110:3744-3752 (2007))。さらに、骨髄における多発性骨髄腫細胞の隔離(sequestration)は、骨髄腫増殖へのフィードバックループを供し、そして脱灰を刺激しながら、破骨細胞のこれらの部位への補充に繋がる(Menu et al., Clin Exp Metastases, 23 :291 -300 (2006))。
【0007】
40個以上の低分子ペプチド(7〜10 kD)のグループであるケモカインは、主としてWBC又は免疫由来細胞に発現される受容体及びシグナルを結合し、Gタンパク質共役シグナルカスケードを介して、これらの化学誘引物質及び化学刺激物質の機能を介在する。受容体は、1つ以上のリガンドを結合し、例えば受容体CCR1は、ランテス(regulated on activation normal T cell expressed)、MIP−1α(マクロファージ炎症性タンパク質)、MPIF−1/CKβ8、及び(結合性が低い他のものの間の)ロイコタクチンケモカインを結合する。今日まで、24個のケモカイン受容体が知られている。非常に多くのケモカイン、多数のリガンド結合受容体、及び免疫細胞上の異なる受容体特性により、堅固に制御された特定の免疫応答が可能である。Rossi等の、Ann.Rev.Immunol.18(l):217−242(2000)を参照されたい。ケモカイン活性は、これらの対応する受容体の調節を介して制御することができ、関連した炎症性及び免疫疾患を治療し、器官及び組織移植を可能にする。
【0008】
例えば、MIP−1α、MPIF−1/CKβ8、ロイコタクチン及びランテスを含む受容体CCR1及びそのケモカインリガンドは、関節リウマチ、移植拒絶反応(DeVries, M. E., et al.,の上記のものを参照されたい)、及び多発性硬化症(Fischer, et al., J Neuroimmunol. 110(1-2): 195-208 (2000); Izikson, et al., J. Exp. Med. 192(7): 1075-1080 (2000); 及びRottman, et al., Eur. J. Immunol. 30(8):2372- 2377 (2000)を参照されたい)に関係しているので、重要な治療標的を示す(Saeki, et al., Current Pharmaceutical Design 9: 1201-1208 (2003)を参照されたい)。実際、機能阻害抗体、修飾ケモカイン受容体リガンド及び低分子有機化合物が発見されており、これらの一部はケモカイン介在疾患の一部を予防又は治療することが十分に実証されている(Rossi, et al.の上記のものを参照されたい)。特に、関節リウマチの実験モデルにおいて、シグナル伝達阻害、修飾ランテスリガンドが投与される場合に、疾患の発生は減少される(Plater- Zyberk, et al., Immunol Lett. 57(1-3): 117-120 (1997)を参照されたい)。機能阻害抗体及び低分子ペプチド治療が有望であるが、これらは大抵のタンパク質に特有の、分解、一旦投与さた場合の極端に短い半減期、並びに開発及び製造するために必要な非常に高額な費用に悩まされる。低分子有機化合物は、インビボ(in vivo)において大抵長い半減期を有し、必要な有効用量が少なく、大抵経口で投与することができ、それ故高価でないので好適である。一部のCCR1の有機アンタゴニストは、今日までに開示されている(Hesselgesser, et al., J. Biol. Chem. 273(25): 15687- 15692 (1998); Ng, et al., J. Med. Chem. 42(22):4680-4694 (1999); Liang, et al., J. Biol. Chem. 275(25): 19000-19008 (2000); 及びLiang, et al., Eur. J. Pharmacol. 389(l):41-49 (2000)を参照されたい)。疾患の治療に関して動物モデルで実証される有効性を考慮して(Liang, et al., J. Biol. Chem. 275(25): 19000-19008 (2000)を参照されたい)、CCR1シグナル伝達によって介在される疾患の治療で使用することができるさらなる化合物を同定するためのサーチが続けられている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、式I
【化1】

を有する化合物或いは医薬として許容されるこの塩、水和物又はN−酸化物に関する。式Iにおいて、R1a及びR1bは、それぞれ独立してH及びCHから選択され;R2aはH及びFから選択され;そしてR2dは、H、C1−4アルコキシ及びC1−4ハロアルコキシから選択される。
【0010】
本明細書で供される化合物に加え、本発明はさらに、1又は複数のこれらの化合物を含んでなる医薬組成物、並びに主にCCR1、CCR2及び/又はCCR3シグナル伝達活性と関係がある疾患を治療するための、これらの化合物の使用方法を供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
なし
【0012】
本発明の詳細な説明
【0013】
I.略語及び定義
単独又は他の置換基の一部としての用語「アルキル」は、他に言及しない限り、指定された炭素原子数を有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する(すなわち、C1−8は1〜8個の炭素を意味する)。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等が含まれる。
【0014】
用語「アルコキシ」は、従来の意味で使用され、酸素原子を介して分子の残部に結合されたこれらのアルキル基を意味する。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等が含まれる。
【0015】
単独で又は他の置換基の一部としての用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、他に言及しない限り、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を意味する。さらに、用語、例えば「ハロアルキル」は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、用語「C1−4ハロアルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピル等を含むことを意味する。同様に、用語「ハロアルコキシ」は、モノハロアルコキシ及びポリハロアルコキシ、例えばトリフルオロメトキシ(CFO−)及び2−フルオロエトキシ(FCHCHO−)を含むことを意味する。
【0016】
「保護基」は、分子マスク(molecule mask)の反応基に結合された場合に、その反応性を減少又は阻害する、アルキル基を除いた部分を意味する。保護基の例としては、T.W.Greene及びP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition、John Wiley & Sons, New York,1999、並びにHarrison及びHarrison等のCompendium ofSynthesis Organic Methods,Vols.1〜8で確認することができる(John Wiley 及びSons, 1971〜1996)。代表的なヒドロキシ保護基は、アシル基、ベンジル及びトリチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル並びにアリルエーテルを含む。代表的なアミノ保護基は、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、トリメチルシリル(TMS)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(SES)、トリチル及び置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ−ベラチルオキシカルボニル(NVOC)等を含む。
【0017】
「アミノ酸カップリング試薬」は、試薬、例えばHBTU(O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェイト)等を意味し、これは多種多様な求核試薬、例えば、アミン、アルコール及びチオールで濃縮するために使用することができる活性化中間体を形成するために、アミノ酸のカルボキシリル酸基と反応し、他のエステル、チオエステル又はアミド基を生成する。
【0018】
用語「医薬として許容される塩」は、本明細書に記載の化合物に見られる特定の置換基に応じた、比較的無毒の酸又は塩基で調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本発明の化合物が比較的酸官能性を含有する場合には、このような化合物の中性形態を十分な量の目的の塩基と、適切に又は適切な不活性溶媒中で接触させることによって、塩基付加塩を得ることができる。医薬的に許容される無機塩基に由来する塩の例としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(manganic)、マンガン(manganous)、カリウム、ナトリウム、亜鉛塩等が含まれる。医薬的に許容される有機塩基に由来する塩には、一級、二級及び三級アミンの塩が含まれ、置換アミン、環状アミン、天然に生じるアミン等、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペラジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等が含まれる。本発明の化合物に塩基官能性が比較的含まれる場合には、このような化合物の中性形態を十分な量の目的の酸と、適切に又は適切な不活性溶媒中で接触することによって酸付加塩を得ることができる。医薬的に許容される酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、窒素酸、炭酸、炭素一水素(monohydrogencarbonic)酸、リン酸、リン酸一水素(monohydrogenphosphoric)酸、リン酸二水素(dihydrogenphosphoric)酸、硫酸、硫酸一水素(monohydrogensulfuric)酸、ヨウ化水素酸、又は亜リン酸等の無機酸に由来するもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の比較的無毒の有機酸に由来する塩が含まれる。また、アミノ酸、例えばアルギン酸等、及びグルクロン酸又はガラクツロン酸等の有機酸の塩が含まれる(例えば、Berge, S. M., et al.の「pharmaceutical Salts」, Journal of pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照されたい)。一定の本発明の特定化合物は、化合物を塩基又は酸付加塩いずれにも変換することができる塩基及び酸のどちらの官能性も含む。
【0019】
本化合物の中性形態は、従来の方法で塩を塩基又は酸と接触し親化合物を分離することによって再生してよい。化合物の親の形態は、一定の物理的特性、例えば極性溶媒中の溶解度で、様々な塩形態とは異なるが、しかしながら本発明の目的に関して塩は化合物の親の形態と同等である。
【0020】
塩形態に加えて、本発明はプロドラッグ形態の化合物を供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理的条件下で化学変化を容易に受け本発明の化合物を供する化合物である。さらに、プロドラッグは、エクスビボ(ex vivo)環境で化学的又は生化学的方法によって本発明の化合物に変換することができる。例えば、プロドラッグは、適切な酵素又は化学試薬と共に経皮パッチリザーバー(reservoir)に置いた場合に、ゆっくりと本発明の化合物に変換することができる。
【0021】
特定の本発明の化合物は、非溶媒和の形態並びに水和形態を含む溶媒和の形態で存在し得る。一般的に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であり、本発明の範囲に含まれることを目的とする。本発明の一定の化合物は、複数の結晶又はアモルファス形態で存在してよい。一般的に、あらゆる物理的形態は、本発明によって意図される使用に関して等価であり、本発明の範囲内であることを目的とする。
【0022】
本発明の一定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を有し;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体及び個々の異性体(例えば, 個々のエナンチオマー)は全て本発明の範囲に含まれることを目的とする。本発明の化合物はまた、このような化合物を構成する1又は複数の原子に、非自然な割合の原子同位元素を含んでよい。例えば、化合物は、放射性同位元素、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素−125(125I)又は炭素−14(14C)で放射標識されてよい。放射性であろうとなかろうと、本発明の化合物のあらゆる同位体バリエーションは、本発明の範囲に含まれることを目的とする。
【0023】
II.概要
本発明は、式Iの化合物がCCR1受容体の強力なアンタゴニストとして機能するという発見に由来する。化合物はインビボ(in vivo)において抗炎症活性を有し、優れた薬物動態特性を有する。従って、本明細書で供する化合物は、CCR1介在疾患の治療のための医薬組成物、方法、及び競合的CCR1アンタゴニストの同定のためのアッセイにおけるコントロールとして有用である。
【0024】
III .化合物
一態様において、本発明は式I:
【化2】

の化合物、或いは医薬として許容されるこの塩、水和物又はN−酸化物を供する。式Iにおいて、R1a及びR1bは、H及びCHから成る群から各々独立して選択され;R2aは、H及びFから成る群から選択され;そしてR2dは、H、C1−4アルコキシ及びC1−4ハロアルコキシから成る群から選択される。一実施形態において、R2aは、水素である。他の実施形態において、R1a及びR1bは、それぞれHである。他の実施形態において、R1bはメチルであり、R1aはHである。さらに他の実施形態において、R1a及びR1bは、それぞれメチルである。さらに他の実施形態において、R2aは水素であり、R2dはメトキシ、エトキシ及びトリフルオロメトキシから成る群から選択される。
【0025】
好適な一実施形態において、本発明の化合物は、式Ia又はIb:
【化3】

であり、式中R2aは、H及びFから成る群から選択され;R2dは、メトキシ、エトキシ及びトリフルオロメトキシから成る群から選択される。
【0026】
特定の実施形態において、本発明の化合物は:
【化4】

から成る群から選択される。
【0027】
他の特定の実施形態において、本発明の化合物は:
【化5】

から成る群から選択される。
【0028】
さらに他の実施形態では、本発明の化合物は式:
【化6】

を有する。
【0029】
さらに他の実施形態では、本発明の式Iの化合物は、表1で説明する化合物から成る群から選択される。
表1
(S)−2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル)エタノン
(S)−2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル)エタノン
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン
(S)−2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル)エタノン
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−エトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン
(S)−2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル)エタノン
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルピペラジン−1−イル)エタノン
(S)−2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−エトキシフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル)エタノン
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン
【0030】
化合物の調製
以下のスキーム1及び実施例中のスキームは、本発明の一定の化合物を利用することにつながり得る一定の合成ルートを供する。他のルート又は以下に示すルートの変更は当業者が容易に理解できるものであり、本発明の範囲内である。
【0031】
スキーム1は、本発明の化合物を形成するための置換ピペラジンとのカップリング反応で使用される、4−アミノ−3−イミダゾリル置換ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンの合成を説明する。スキーム1に示されるように、ヒドラジンカルボキシリル酸tert−ブチルエステル及び2,3−ジシアノ−ブタ−2−エンジニトリルを結合させ、置換ピラゾール化合物B(5−アミノ−1H−ピラゾール−3,4−ジカルボニトリル)を形成することができる。例えば、オルトギ酸エステル(例えば、トリメチルオルトギ酸エステル)で処理中の化合物Bは、((E)−メチルN−3,4−ジシアノールH−ピラゾール−5−イルホルムイミダートとして示される)中間体Cを供する。化合物A(4−アミノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−カルボニトリル)として示される、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンを形成するための環の閉環は、中間体Cのアンモニアでの処理によって達成することができる。
【0032】
さらに、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンの同化は、化合物Aの、例えば炭酸カリウムの存在下でのtert−ブチルクロロアセテートでの処理によって達成され、(4−アミノ−3−シアノ−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−酢酸tert−ブチルエステルが得られ、続いてエタノール及び酢酸の存在下においてエチレンジアミンで還流し、tert−ブチル2−(4−アミノ−3−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アセテートを生成することができる。
【0033】
示されるように、tert−ブチル2−(4−アミノ−3−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アセテートを、溶媒DMSOの存在下のDMPで酸化し、tert−ブチル2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アセテートを得ることができる。
【0034】
最終的に、tert−ブチル2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アセテートをジオキサン中でHClで処理し、4−アミノ−3−イミダゾリル置換ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン塩である(2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)酢酸2HCl)を得ることができる。
【化7】

【0035】
III.医薬組成物
さらに、上記で供される化合物、ヒト及び動物でCCR1、CCR2及びCCR3活性を調節するための組成物は、典型的には医薬担体又は希釈剤を含む。
【0036】
本明細書で使用される用語「組成物」は、特定の量で特定の成分を含んでなる生成物、及び特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的又は間接的に生じる任意の生成物を含むことを目的とする。「医薬的に許容される」は、担体、希釈剤又は賦形剤が製剤の他の成分と混合可能であり、これらのレシピエントに有害でないことを意味する。
【0037】
本発明の化合物の投与のための医薬組成物は、単位用量形態で好都合に示され、薬学及び薬物送達の当業者に周知の任意の方法によって調製されてよい。全ての方法には、活性成分を1又は複数のアクセサリー成分を構成する担体との結合に導く段階が含まれる。一般的に、医薬組成物は活性成分を液体担体又は細かく分かれた固体担体或いは両方との結合に均一及び本質的に導くことによって調製され、その後必要ならば、生成物を目的の製剤に成形する。医薬組成物において、活性化した目的の化合物は疾患のプロセス又は状態に目的の効果を生じるのに十分な量で含まれる。
【0038】
活性成分を含む医薬組成物は、経口使用に適切な形態、例えば、タブレット、トローチ、薬用キャンディー、水性又は油性の懸濁液、分散性の粉末又は顆粒、エマルション並びに米国特許第6,451,339号に記載のセルフ乳化(self emulsification)、ハード又はソフトのカプセル、シロップ、エリキシル剤、溶液、頬のパッチ、経口ゲル、チューイングガム、咀嚼タブレット、発泡性粉末及び発泡性タブレットとしてよい。経口使用を対象とした組成物は、医薬組成物の製造のために当業者に周知の方法に従って調製されてよく、これらの組成物は、医薬的に上質且つ口当たりの良い調製剤を供するために甘味剤、香味剤、着色料、抗酸化剤及び保存剤から成る群から選択される1又は複数の剤を含んでよい。タブレットは、タブレットの製造に適切である無毒の医薬的に許容される賦形剤と混合され、活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えばセルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸カルシウム又はナトリウムホスフェイト;造粒及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ、又はアルギン酸;結合剤、例えば、PVP、セルロース、PEG、デンプン、ゼラチン又はアラビアゴム、並びに平滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってよい。タブレットは、コーティングされていなくてよく、或いはこれらは腸溶的に、又は消化管での崩壊及び吸収を遅延させるための周知の技術によってコーティングされてよく、従って長期にわたって持続した作用を供する。例えば、時間遅延物質、例えばグリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートを使用してよい。これらはまた、遊離を制御するための浸透圧性治療タブレットを形成するための米国特許第4,256,108;4,166,452;及び4,265,874号に記載の技術によってコーティングされる。
【0039】
経口使用のための製剤はまた、その中において活性成分が不活性固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合されるハードゼラチンカプセルとして、或いはその中で活性成分が水又は油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン、又はオリーブ油と混合されるソフトゼラチンカプセルとして提示されてよい。従って、エマルションを非水混和性成分、例えば油で調製することができ、界面活性剤、例えばモノジグリセリド、PEGエステル等で安定化することができる。
【0040】
水性懸濁液には、水性懸濁液の製造に適切な賦形剤と混合された活性物質が含まれる。このような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガムであってよく;分散又は湿潤剤は、天然のホスファチド、例えば、レシチン、或いは脂肪酸との酸化アルキレンの縮合物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、若しくは長鎖脂肪族アルコールとの酸化エチレンの縮合物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又は脂肪酸とヘキシトールに由来する部分エステルとの酸化エチレンの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエール、又は脂肪酸とヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの酸化エチレンの縮合物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエールであってよい。水性懸濁液はまた、1又は複数の保存剤、例えば、エチル、又はn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエート、1又は複数の着色料、1又は複数の香味剤、並びに1又は複数の甘味剤、例えばスクロース又はサッカリンを含んでよい。
【0041】
油性懸濁液は、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、セサミオイル若しくはやし油中で、又はミネラル油、例えば流動パラフィン中で活性成分を懸濁することによって製剤されてよい。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールを含んでよい。当たりの良い経口調製物を供するために、甘味剤、例えば上述のもの、及び香味剤を添加してよい。これらの組成物は、抗酸化物、例えばアスコルビン酸の添加によって添加してよい。
【0042】
水の添加による水性懸濁液の調製に適切な分散性粉末及び顆粒は、分散又は湿潤剤、懸濁化剤及び1又は複数の保存剤との混合において活性成分を供する。適切な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤は、既に上述されたものによって例示される。さらなる賦形剤、例えば、甘味料、香味料及び着色料もまた存在してよい。
【0043】
本発明の医薬組成物はまた、水中油性エマルションの形態で存在してよい。油相は、植物油、例えば、オリーブ油若しくはラッカセイ油、或いはミネラル油、例えば、流動パラフィン或いはこれらの混合物であってよい。適切な乳化剤は、天然ガム、例えば、アカシアガム又はトラガカントガム、天然のホスファチド、例えば、大豆、レシチン、及び脂肪酸とヘキシトランヒドリドに由来するエステル又は部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエール、並びに酸化エチレンとの当該部分エステルの縮合物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエールであってよい。エマルションはまた、甘味剤と香味剤を含んでよい。
【0044】
シロップ及びエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースで製剤されてよい。このような製剤はまた、粘滑剤、防腐剤及び香味剤並びに着色料を含んでよい。経口溶液は、例えば、シクロデキストリン、PEG及び界面活性剤との組み合わせで調製することができる。
【0045】
医薬組成物は、無菌で注射可能な水性又は油性の懸濁液の形態であってよい。この懸濁液は、上述の適切な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して周知の技術に従って製剤されてよい。無菌の注射可能な調製物はまた、無毒の非経口で許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な溶液又は懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液であってよい。この中で、使用してよい許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンガー溶液及び等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の固定油は、従来から溶媒又は懸濁媒体として使用される。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む任意の無菌性の固定油を使用してよい。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸等は、注射可能物の調製における利用が見出されている。
【0046】
本発明の化合物はまた、薬剤の直腸投与のために坐薬の形態で投与されてよい。これらの組成物は、薬剤を適切な非刺激性の賦形剤と混合することによって調製することができ、当該賦形剤は常温で固体であるが直腸温度で液体であり、よって直腸内で溶解し薬剤を放出する。このような物質には、ココアバター及びポリエチレングリコールが含まれる。さらに、化合物は液剤又は軟膏によって眼性送達を介して投与されてよい。さらに詳細には、対象化合物の経皮送達は、イオン泳動的パッチ等によって達成することができる。局所使用に関して、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液等が使用される。本明細書で使用されるように、局所適用はまた、マウスウォッシュ及びうがい薬の使用も含むことを意味する。
【0047】
本発明の化合物は、体腔内に配置又は永続的に移植することができる、任意の様々な従来の移植片、ステント移植片を含むステント、カテーテル、バルーン、バスケット又は他の装置を含む医療用装置中にディポジットするために製剤されてよい。一定の実施例としては、本発明の化合物をインターベンショナル技術によって治療された人体部分へ送達することができる装置及び方法を有することが望ましい。
【0048】
好例の実施形態において、本発明の阻害剤は、医療デバイス、例えばステント内にディポジットされ、体の一部の治療のために治療部位に送達されてよい。
【0049】
ステントは、治療剤(すなわち、薬剤)のための送達ビヒクルとして使用されている。血管内ステントは、一般的に冠血管又は末梢血管中に永続的に移植される。ステントデザインは、米国特許第4,733,655号(Palmaz)、4,800,882号(Gianturco)、又は4,886,062号(Wiktor)のものを含む。このようなデザインは、金属及び重合体ステント、並びに自己展開性及びバルーン拡張可能なステントのいずれも含む。ステントはまた、例えば、米国特許第5,102,417号(Palmaz)並びに国際特許出願第91/12779号(Medtronic, Inc.)及び90/13332号(Cedars-Sanai Medical Center)、米国特許第5,419,760号(Narciso, Jr.)及び米国特許第5,429,634号(Narciso, Jr.)に記載される脈管構造との接触部位において、薬剤を送達するために使用されてよい。ステントはまた、米国特許出願第5,833,651号(Donovan 等)に開示されるように、遺伝子送達のために管腔壁へウイルスを送達するために使用されてよい。
【0050】
用語「ディポジットされ(deposited)」は、阻害剤は、技術的に周知の方法によってコーティングされ、吸収され、配置され、又は装置内に組み込まれることを意味する。例えば、阻害剤は、医療デバイスをコーティング又は橋渡しする(span)(「マトリックスタイプ」の)ポリマー物質の中に包埋されこの中から放出され、又はこれらの(「リザーバー型」の)ポリマー物質によって囲まれこれらを介して放出されてよい。後述の実施例において、本技術分野で周知のこのような物質を生成するための1又は複数の技術を使用して、阻害剤をポリマー物質内に捕捉またはポリマー物質に結合させてよい。他の製剤においては、阻害剤は医療デバイスの表面に結合され、脱離可能な結合によるコーティングや経時的な放出は必要なく、活性メカニカル又は化学的方法によって除去することができる、或いは埋め込み部位において阻害剤を呈する永続的に固定化された形態である。
【0051】
一実施形態において、阻害剤は、医療デバイス、例えばステントのための生体適合性コーティングの形成中にポリマー組成物とともに組み込まれてよい。これらの成分から生成されたコーティングは、典型的には均一であり、埋め込みのためにデザインされた多数の装置をコーティングするために有用である。
【0052】
ポリマーは、生体安定又は所望の放出速度又は所望のポリマー安定度に依存的な生体吸収可能なポリマーであってよいが、本実施形態には生体吸収可能なポリマーが好適であり、これは、生体安定ポリマーと異なり、埋め込み後長期間存在せず、有害且つ慢性の局所反応を生じないからである。使用することができる生体吸収可能なポリマーに、ポリ(L−乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(ヒドロキシブチラート−co−バレラート)、ポリジオキサノン、ポリオルソエステル、ポリ酸無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)(PLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(炭酸グリコール酸−co−トリメチレン)(PGA/PTMC)、酸化ポリエチレン(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポリ(炭酸トリメチレン)、ポリ(炭酸イミノ)、コポリ(エーテル−エステル)(例えば, PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサラート、ポリホスファゼン並びに生体分子、例えばフィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン及びヒアルロン酸、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルソエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、架橋結合された又は両親媒性のハイドロゲルのブロックコポリマー、並びに当技術分野で周知の他の適切な生体吸収可能なポポリマー(poplymer)が含まれるが、これらに限定されない。また、比較的慢性の低い組織応答を有する生体安定ポリマー、例えばポリウレタン、シリコン、及びポリエステルは使用することができ、ポリマーを医療デバイス上で溶解及び硬化又は重合することができる場合には、他のポリマー、例えばポリオレフィン、ポリイソブチレン及びエチレン−アルファオレフィンコポリマー;アクリルポリマー及びコポリマー、ビニルハライドポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルクロライド;ポリビニルピロリドン;ポリビニルエーテル、例えばポリビニルメチルエーテル;ポリビニリデンハライド、例えばポリビニリデンフルオライド及びポリビニリデンクロライド;ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン;ポリビニル芳香族化合物、例えばポリスチレン、ポリビニルエステル、例えばポリビニルアセテート;互いにビニルモノマーのコポリマー及びオレフィン、例えばエチレン−メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、及びエチレン−ビニルアセテートコポリマー;ピランコポリマー;ポリヒドロキシ−プロピル−メタクリルアミド−フェノール;ポリヒドロキシエチル−アスパルトアミド−フェノール;パルミトイル残基で置換されたポリエチレン酸化−ポリリジン;ポリアミド、例えば66ナイロン及びポリカプロラクタム;アルキド樹脂、ポリ炭酸塩;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;エポキシ樹脂、ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;セルロース、セルロースアセテート、セルロースブチラート;セルロースアセテートブチラート;セロファン;セルロースナイトレート;セルロースプロピオネート;セルロースエーテル;並びにカルボキシメチルセルロースもまた使用することができる。
【0053】
ポリマー及び半透性ポリマーマトリックスは、造形物、例えばバルブ、ステント、チューブ、装具等の中に形成されてよい。
【0054】
本発明の一実施形態において、本発明の阻害剤は、ステント又はステント移植片装置として形成される、ポリマー又は半透性ポリマーマトリックスに結合されてよい。
【0055】
典型的には、ポリマーは、埋め込み型装置の表面に、スピンコーティング、ディッピング、又はスプレーすることにより適用される。当技術分野で周知の更なる方法もまた、本目的のために利用できる。スプレー方法には、従来の方法及びインクジェット方式のディスペンサーを使用したマイクロディポジション(microdeposition)技術が含まれる。さらに、ポリマーは、ポリマーを装置の特定の部分にのみ置くためにフォトパターニングを使用して、埋め込み型装置上にディポジットすることができる。装置のこのコーティングは、装置周囲に均一な層を供し、これにより装置コーティングを通して様々な分析物の拡散を改善することができる。
【0056】
本発明の好適な実施形態において、阻害剤は、ポリマーコーティングから医療デバイスが置かれる環境中に放出するために製剤される。好適には、阻害剤は、溶出を制御するためのポリマー担体又は層を含む周知技術の少なくとも1つを使用して、広範な期間(例えば、数ヶ月間)にわたって制御の下で放出される。これらの技術の一部は、米国特許出願公開第20040243225号(A1)に以前に記載されている。
【0057】
さらに、例えば、米国特許第6,770,729号に記載されるように、ポリマー組成物の試薬及び反応条件は操作することができ、これにより阻害剤のポリマーコーティングからの放出を制御することができる。例えば、1又は複数のポリマーコーティングの拡散率は、阻害剤のポリマーコーティングからの放出を制御するために調節することができる。このテーマにおけるバリエーションにおいて、1又は複数のポリマーコーティングの拡散率は、ポリマー組成物内の1又は複数の成分を利用する(及び、例えば、これによって阻害剤のポリマーコーティングからの放出を調節する)ために、医療デバイスが置かれる環境中に存在する分析物(例えば、ポリマーの一部の崩壊又は加水分解を促進する分析物)の能力を調節するために制御することができる。さらにもう一つの本発明の実施形態には、各々複数の拡散率を有する複数のポリマーコーティングを有する装置が含まれる。本発明のこのような実施形態において、ポリマーコーティングからの阻害剤の放出は、複数のポリマーコーティングによって調節することができる。
【0058】
さらにもう一つの本発明の実施形態において、1又は複数のポリマー組成物の特性、例えば1又は複数の内因性又は外因性化合物の存在、或いは、ポリマー組成物のpHの調節によって、ポリマーコーティングからの阻害剤の放出は制御される。例えば、一定のポリマー組成物は、ポリマー組成物のpHの低下に応じて阻害剤を放出するようにデザインすることができる。あるいは、一定のポリマー組成物は、過酸化水素の存在に応じて阻害剤を放出するようにデザインすることができる。
【0059】
IV.CCR1によって調節される疾患の治療方法
他の態様において、本発明は、このような疾患又は症状を有する対象に、上記式Iの化合物の治療上有効量を投与することによって、CCR1−、CCR2−及び/又はCCR3−介在症状又は疾患を治療する方法を供する。「対象」は、本明細書中において、例えば哺乳類、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等が含まれるがこれに限定されない動物を含むものと定義する。
【0060】
CCR1は、免疫細胞機能の特定の態様を妨げる又は促進する、或いはより一般的には、哺乳類、例えばヒト中の広範囲の細胞タイプ上のCCR1発現と関係がある機能を妨げるターゲットを供する。CCR1を抑制する化合物は、治療目的のために、単球、マクロファージ、リンパ球、顆粒球、ナチュラルキラー細胞、マスト細胞、樹状細胞、及び一定の免疫由来細胞(例えば、破骨細胞)機能を調節するために特に有用である。従って、本発明は、多種多様な炎症性及び免疫調節性の障害及び疾患の予防及び/又は治療において有用である化合物を対象とする(Saeki, et al., Current Pharmaceutical Design 9: 1201-1208 (2003)を参照されたい)。
【0061】
例えば、CCR1の1又は複数の機能を抑制する即時化合物(instant compound)は、免疫異常と関係がある炎症又は細胞浸潤を抑制する(すなわち、軽減又は予防する)ために、投与されてよい。結果として、1又は複数の炎症性プロセス、例えば白血球の遊出又は浸潤、走化性、(例えば、酵素、ヒスタミンの)エキソサイトーシス或いは炎症性メディエーターの放出を、抑制することができる。例えば、炎症性部位(例えば、関節炎における患部関節, 若しくはMSにおけるCNSの中)への単球の浸潤は、本発明の方法に従って抑制することができる。
【0062】
同様に、CCR1の1又は複数の機能を促進する即時化合物は、炎症性応答、例えば白血球の遊出、走化性、(例えば、酵素、ヒスタミンの)エキソサイトーシス又は炎症性メディエーター放出を刺激する(誘発する又は増強する)ために投与され、その結果、炎症性プロセスの有益な刺激をもたらす。例えば、単球は、細菌性感染と闘うために補充することができる。
【0063】
炎症、免疫異常、骨疾患、癌及び感染症と関係がある疾患及び症状は、本発明の方法を使用して治療することができる。好適な実施形態において、疾患又は症状は、炎症性又は自己免疫応答を調節するために、免疫細胞、例えば単球、マクロファージ、リンパ球、顆粒球、ナチュラルキラー細胞、マスト細胞、樹状細胞、又は一定の免疫由来の細胞(例えば、破骨細胞)の作用が抑制又は促進され得るものの1つである。
【0064】
実施形態の一グループにおいて、ヒト又は他の種の慢性疾患を含む疾患又は症状は、CCR1、CCR2又はCCR3の機能の修飾因子で治療することができる。これらの疾患又は症状は:(1)アレルギー疾患、例えば全身性アナフィラキシー又は過敏性反応、薬剤アレルギー、虫刺されアレルギー及び食物アレルギー、(2)炎症性腸疾患、例えばクローン病、潰瘍性大腸炎、回腸炎及び小腸炎、(3)膣炎、(4)乾癬及び炎症性皮膚疾患、例えば皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー接触皮膚炎、じん麻疹及び掻痒症、(5)血管炎、(6)脊椎関節症、(7)強皮症、(8)喘息及び呼吸器アレルギー疾患、例えば喘息、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患等、(9)自己免疫疾患、例えば線維筋痛症、強皮症、強直性脊椎炎、若年性RA、スチル病、多発関節炎若年性RA、小関節若年性RA、多発性筋痛リウマチ、高安動脈炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、骨関節炎、多発性関節炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、2型糖尿病、(最近始まった)1型糖尿病、視神経炎、糸球体腎炎等、(10)同種移植片拒絶を含む移植片拒絶反応、及び急性且つ慢性の移植片対宿主病、(11)線維症(例えば、肺線維症(すなわち、特発性肺線維症、間質性肺線維症)、末期の腎疾患と関係がある線維症、放射線によって生じる線維症、尿細管間質性線維症、上皮下線維症、強皮症(進行性全身性強皮症)、(アルコール又はウイルス性肝炎)、一級及び二級肝硬変によって生じるものを含む)肝臓線維症、(12)急性及び慢性肺炎症(慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、成人呼吸窮迫症候群、乳児呼吸窮迫症候群、免疫複合体肺胞炎)、並びに(13)不要な炎症性応答又は免疫異常が抑制され得る他の疾患、例えばアテローム性動脈硬化症を含む心臓血管系疾患、組織移植片に起因する若しくは(血管形成及び/又はステント挿入後の再狭窄が含まれるがこれに限定されない)再狭窄中の血管炎症、他の急性及び慢性炎症性疾患、例えば筋炎、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー疾患)、脳炎、髄膜炎、肝炎、腎炎、敗血症、サルコイドーシス、アレルギー結膜炎、耳炎、副鼻腔炎、関節鏡検査によって生じる滑膜炎、高尿酸血症、外傷、虚血再灌流障害、鼻ポリープ、子癇前症、経口扁平苔癬、ギランバレー症候群、肉芽腫性疾患、レプチン産生と関係がある症状、ベーチェット症候群及び痛風並びに創傷治癒の適用における疾患、(14)免疫介在の食物アレルギー、例えばセリアック病、を含む。
【0065】
実施形態の他のグループにおいて、疾患又は症状は、CCR1機能の修飾因子で治療することができる。CCR1機能の修飾因子で治療することができる疾患の例には、(原発性及び転移性のいずれもの)癌(例えば、多発性骨髄腫;Hata, H., Leukemia & Lymphoma, 2005, 46(7); 967-972)、心臓血管疾患、骨粗しょう症(及び閉経後の骨粗しょう症)を含む溶骨性疾患、高カルシウム血症、パジェット病、腎性骨ジストロフィー、関節リウマチ、変形性関節症、溶解性骨転移、並びに多発性骨髄腫、血管新生又は新血管新生が関与する疾患(腫瘍性疾患, 網膜症及び黄斑変性症)、感染性疾患(ウイルス性感染症、例えば、HIV感染症、及び細菌性感染症)並びに免疫抑制疾患、例えば器官移植片疾患及び皮膚移植片疾患が含まれる。用語「器官移植片疾患」は、骨髄移植片疾患及び固形臓器(例えば、腎臓、肝臓、肺、心臓、すい臓又はこれらの組み合わせの)移植片疾患を含むことを意味する。
【0066】
本発明の医薬組成物はまた、炎症性部位におけるタロプロテイナーゼ及びサイトカインの生成を、直接的に若しくは(細胞浸潤の減少の結果として)間接的に抑制することができ、これによってこれらのサイトカインに関連する疾患又は症状に利益を供する。
【0067】
本発明の化合物は、従って多種多様な炎症性及び免疫調節性の障害及び疾患の予防及び治療において有用である。
【0068】
治療される疾患及び対象の症状によって、本発明の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射若しくは点滴、皮下注射、又はインプラント)で、吸入スプレー、経鼻、膣、直腸、舌下、又は局所的ルートによって投与されてよく、単独で又は共に、従来の無毒の医薬的に許容される担体、アジュバント及び各投与ルートに適当であるビヒクルを含む適切な用量単位の製剤として製剤されてよい。
【0069】
ケモカイン受容体調節を必要とする症状の治療又は予防において、適当な用量レベルは、一般的に一日あたり患者の体重1kgあたり約0.001〜100mgであり、単回投与又は複数回投与で投与することができる。好適には、投与量レベルは、一日あたり約0.01〜約25mg/kg;より好適には一日あたり約0.05〜約10mg/kgである。適切な投与量レベルは、一日あたり約0.01〜25mg/kg、一日あたり約0.05〜10mg/kg、又は一日あたり約0.1〜5mg/kgであってよい。この範囲内で、投与量は一日あたり0.005〜0.05、0.05〜0.5又は0.5〜5.0mg/kgであってよい。経口投与に関して、組成物は、好適には1.0〜1000mgの活性成分、特に1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgの活性成分を含むタブレットの形態で、治療を受ける患者への投与量の対症調整(symptomatic adjustment)のために供される。化合物は、1日に1〜4回、好適には1日に1又は2度のレジメンで投与してよい。
【0070】
しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベル及び投与頻度は変動してよく、使用される特定化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、対象の年齢、体重、遺伝形質、全般的な健康状態、性別及び食事、並びに投与モード及び時間、排出速度、薬剤の組合せ、並びに治療を受けている対象に関する特定の症状の重症度を含む様々な要因によって決まるものと理解される。
【0071】
炎症、免疫異常、感染及び癌と関係がある疾患及び症状は、本発明の化合物、組成物、及び方法で治療又は予防することができる。
【0072】
本発明の化合物及び組成物は、注目の症状又は疾患、例えば炎症性又は自己免疫異常、炎症性腸疾患、関節リウマチ、骨関節炎、乾癬性関節炎、多発性関節炎、多発性硬化症、アレルギー疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎及び喘息、並びに上述の病態を含む症状及び疾患を予防及び治療するための関連したユーティリティを有する他の化合物及び組成物と組合せることができる。
【0073】
例えば、炎症又は自己免疫、或いは例えば、骨量減少と関連する関節炎の治療又は予防において、本発明の化合物及び組成物は、抗炎症又は鎮痛薬、例えばアヘンアゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤、例えば5−リポキシゲナーゼの阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えばシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、インターロイキン阻害剤、例えばインターロイキン−1阻害剤、NMDAアンタゴニスト、酸化窒素の阻害剤又は酸化窒素合成の阻害剤、非ステロイド抗炎症剤、又はサイトカイン抑制抗炎症剤、例えば化合物、例えばアセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、モルヒネ、ネプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド系鎮痛剤、スフェンタニル、スリンダク、テニダップ等、と組み合わせて使用してよい。同様に、即時化合物及び組成物は、上記の鎮痛剤;増強物質、例えばカフェイン、H2アンタゴニスト(例えば、ラニチジン)、シメチコン、水酸化アルミニウム又はマグネシウム;うっ血除去薬、例えばフェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、又は左旋体デスオキシエフェドリン;鎮咳薬、例えばコデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、又はデキストロメトルファン;利尿薬;並びに鎮静型又は非鎮静型抗ヒスタミンと共に投与してよい。
【0074】
同様に、本発明の化合物及び組成物は、本発明の化合物及び組成物が有用である疾患又は症状の治療、予防、鎮静又は回復において使用される他の薬剤と組合わせて使用してよい。このような他の薬剤は、一般的に使用されるルート及び量で、同時に又は連続して、本発明の化合物又は組成物と共に投与されてよい。本発明の化合物又は組成物が1又は複数の他の薬剤と共に同時に使用される場合には、本発明の化合物又は組成物に加えてこのような他の薬剤を含む医薬組成物が好適である。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物又は組成物に加えて、1又は複数の他の活性成分又は治療剤もまた含むものを含む。本発明の化合物又は組成物と結合されてよい、独立して又は同一の医薬組成物で投与される他の治療剤の例としては:(a)VLA−4アンタゴニスト、(b)コルチコステロイド、例えばベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、ベータメタゾン、プレドニゾン、プレニゾロン、デキサメタゾン、フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、サルメテロール、サルメテロール、サルブタモール、ホルメテロール(formeterol);(c)免疫抑制剤、例えばシクロスポリン(シクロスポリンA、サンディミュン(Sandimmune(登録商標))ネオーラル(Neoral(登録商標)))、タクロリムス(tacrolirnus)(FK−506、プログラフ(Prograf(登録商標))、ラパマイシン(シロリムス、ラパミューン(Rapamune(登録商標)))及び他のFK−506タイプの免疫抑制剤、及びミコフェノール酸(mycophenolate)、例えばミコフェノール酸モフェチル(セルセプト(CellCept(登録商標)));(d)抗ヒスタミン(H1ヒスタミンアンタゴニスト)例えば、ブロモフェニルアミン、クロルフェニルアミン、デクスクロルフェニラミン(dexchloipheniramine)、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミンピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスカルボエトキシロラタジン(descarboethoxyloratadine)等;(e)非ステロイド抗喘息剤(例えば、テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール、ビトルテロール及びピルブテロール)、テオフィリン、クロモリンナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、ザフムルカスト(zafmlukast)、モンテルカスト、プランルカスト、イラルカスト(iralukast)、ポビルカスト(pobilukast)及びSKB106,203)、ロイコトルエン生合成阻害剤(ジロートン、BAY 1005);(f)非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、例えばプロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸(bucloxic acid)、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸及びチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(例えば、インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク(fenclofenac)、フェンクロジン酸(fenclozic acid)、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパク(isoxepac)、オキスピナク(oxpinac)、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン(zidometacin)及びゾメピラク)、フェナミン酸誘導体(例えば、フルフェナミン酸、メクロフェナミン酸、メフェナミン酸、ニフルミン酸及びトルフェナミン酸)、ビフェニルカルボキシル酸誘導体(例えば、ジフルニサル及びフルフェニサル)、オキシカム(例えば、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム及びテノキシカム)、サリチル酸塩(例えば、アセチルサリチル酸及びスルファサラジン)及びピラゾロン(例えば、アパゾン、ベズピペリロン(bezpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン及びフェニルブタゾン);(g)シクロオキシゲナーゼ2(COX−2)阻害剤、例えばセレコキシブ(セレブレックス(Celebrex(登録商標)))、及びロフェコキシブ(バイオックス(Vioxx(登録商標)));(h)IV型ホスホジエステラーゼ(PDE IV)の阻害剤;(i)金化合物、例えば、アウラノフィン及びアウロチオグルコース(aurothioglucose)等、(j)エタネルセプト(エンブレル(Enbrel(登録商標)))、(k)抗体療法、例えばオルソクローン(OKT3)、ダクリズマブ(ゼナパックス(Zenapax(登録商標)))、バシリキシマブ(シムレクト(Simulect(登録商標)))及びインフリキシマブ(レミケード(Remicade(登録商標)))、(l)他のケモカイン受容体のアンタゴニスト、特にCCR5、CXCR2、CXCR3、CCR2、CCR3、CCR4、CCR7、CXCR1及びCXCR6;(m)潤滑剤又は軟化剤、例えば、ワセリン及びラノリン、(n)角質溶解剤(例えば、タザロテン)、(o)ビタミンD誘導体、例えばカルシポトリエン又はカルシポトリオール(ドボネックス(Dovonex(登録商標)))、(p)PUVA、(q)アントラリン(ドリトロクレメ(Drithrocreme(登録商標)))、(r)エトレチナート(テギソン(Tegison(登録商標)))、及びイソトレチノイン及び(s)多発性硬化症治療剤、例えばインターフェロンβ−1β(ベタセロン(Betaseron(登録商標)))、インターフェロン(β−1α(アボネックス(Avonex(登録商標)))、アザチオプリン(イムレク(Imurek(登録商標))、イムラン(Imuran(登録商標)))、グラチラマーアセテート(カパクソン(Capoxone(登録商標)))、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾロン)及びシクロホスファミド(t)DMARDS、例えばメトトレキサート、(u)他の化合物、例えば、5−アミノサリチル酸及びそのプロドラッグ;ヒドロキシクロロキン;D−ペニシラミン;代謝拮抗剤、例えばアザチオプリン、6−メルカプトプリン及びメトトレキサート;DNA合成阻害剤、例えばヒドロキシウレア及び微小管崩壊剤、例えばコルヒチン、が含まれるがこれらに限定されない。本発明の化合物の第二活性成分に対する重量比は変動してもよく、各成分の有効用量に依存的であろう。一般的に、各々の有効用量が使用される。従って、例えば、本発明の化合物がNSAIDと組み合わされる場合には、本発明の化合物のNSAIDに対する重量比は、一般的に約1000:1〜約1:1000、好適には約200:1〜約1:200の範囲である。本発明の化合物と他の活性成分との組み合わせはまた、一般的には既に記載の範囲内であるが、いずれの場合にも、各活性成分の有効用量を使用すべきである。
【実施例】
【0075】
V.実施例
以下の実施例は、特許請求される発明を説明するために提供されるが、特許請求される発明を限定するものではない。
【0076】
以下で使用した試薬及び溶媒は、市販業者、例えばAldrich Chemical Co.(Milwaukee, Wisconsin, USA)から入手することができる。1H−NMRをVarian Mercury 400 MHz NMR 分光計上で記録した。重要なピークをTMSと比較して示し:多重度(s、シングレット;d、ダブレット;t、トリプレット;q、カルテット;m、マルチプレット)及びプロトン数の順で表にした。質量分析の結果は、質量電荷比として報告され、続いて各イオンの相対存在量を(括弧内に)示す。表では、それぞれのm/e値は、最も一般的な原子同位元素を含むM+H(又は、M-H)イオンに関して報告される。同位元素パターンは、全ての場合において期待される式に相当する。Hewlett Packard MSD エレクトロスプレー質量分光計上で、サンプル送達のためのAgilent Zorbax SB−C18,2.1X50mm,5μカラムを具備するHP1100 HPLCを使用して、エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析を行った。通常、分析物をメタノール中に0.1mg/mLで溶解し、1μlを送達(delivery)溶媒で質量分光計中に注入し、100〜1500ダルトンまでスキャンされた。全化合物はポジティブESIモードで、送達溶媒として1%ギ酸を有するアセトニトリル/水を使用して分析することができる。以下に供する化合物はまた、ネガティブESIモードで、送達システムとしてアセトニトリル/水の中で2mM NHOAcを使用して、分析することができた。
【0077】
以下の略語は、実施例において及び本発明の説明にわたって使用される:
DMF、ジメチルホルムアミド;
TFA、トリフルオロ酢酸;
THF、テトラヒドロフラン;
EtOAc、酢酸エチル;
BOCO、ジ−tertブチルジカーボネート又はBOC酸無水物;
HPLC、高圧液体クロマトグラフィー;
DIPEA、ジイソプロピルエチルアミン;
HCTU、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−5−クロロ−1H−ベンゾトリアゾリウム−3−酸化ヘキサフルオロホスフェイト(1−);
HBTU、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェイト;
dppf、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン;
Pd(dba)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(O);
DIPEA、ジイソプロピルエチルアミン;
DMP、ジメチルフタル酸エステル;
Me、メチル;
Et、エチル;
DCM、ジクロロメタン。
【0078】
本発明の範囲内の化合物は、当業者に周知の様々な反応を使用して下述のように合成することができる。当業者はまた、目的の本発明の化合物を合成するために別の方法を使用してよく、そしてこの明細書の本文中で記載されるアプローチは包括的でなく、広範囲に応用でき且つ実用的なルートを注目の化合物に供することが可能であることを理解することができる。
【0079】
本明細書において特許請求される一定の分子は、異なるエナンチオマー及びジアステレオ異性型で存在することができ、このような様々な化合物を全て特許請求する。
【0080】
明細書中においてキー化合物を合成するために使用される実験手順の詳細な説明によって、分子を特定する物理データ、並びに分子と関係がある構造上の描写によって記載される当該分子につながる。
【0081】
当業者はまた、標準的な精密検査手順中に、有機化学、酸及び塩基を頻繁に使用することが可能であるということを理解することができる。親化合物の塩は、必須の内因性の酸性度又は塩基性度を有する場合には、本明細書に記載の実験手順中に時折生成される。
【0082】
実施例1
この実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【0083】
段階1:4−アミノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−カルボニトリル
【化8】

【0084】
内部温度を16℃以下に保持している間に、氷浴中に置いたエタノール(700 mL)中でヒドラジンカルボキシリル酸tert−ブチルエステル(129 g, 0.976 mol)溶液に、2,3−ジシアノ−ブタ−2−エンジニトリル(125g, 0.976 mol)を分割して添加した。添加が完了した後に、反応混合物を4時間還流するために加熱し、真空下で濃縮し乾燥し、5−アミノ−1H−ピラゾール−3,4−ジカルボニトリルを供した。MS(ES)m/z134.1(M+ H+)。
【0085】
上記で得られた5−アミノ−1H−ピラゾール−3,4−ジカルボニトリルをトリメチルオルトギ酸エステル(1L)中で8時間還流した。続いて混合物を真空下で濃縮し乾燥し、N−(4,5−ジシアノ−2H−ピラゾール−3−イル)−ホルムイミド酸メチルエステルを供し、これをメタノール(400mL)中に溶解し0℃まで冷却し、そしてメタノール(1L)中で7N NΗで処理した。生じた混合物をオーバーナイトで室温までの加温に供しそして濾過した。この固体をMeOH−HOの2:1混合物(100mL)、アセトン(100mL)及びエーテル(100mL)で洗浄し、続いて真空下で乾燥し、4−アミノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−カルボニトリルを得た(79g, 収率50%)。MS(ES)m/z161.0(M+ H+)。
【0086】
段階2:tert−ブチル2−(4−アミノ−3−シアノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アセテート
【化9】

【0087】
内部温度を20℃以下に保持しながら、0℃のDMF(680mL)中で4−アミノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3−カルボニトリル(76.6g, 0.476mol)及び炭酸カリウム(197g, 1.427mmol)の混合物に、tert−ブチルクロロアセテート(68.1mL, 0.476mol)を液滴で添加した。生じた混合物を22時間攪拌し、濾過し、EtOAc(100mL x 2)で洗浄した。得られた固体を氷水(1.5L)中で懸濁し、濾過し、氷水(500mL)及びエーテル(100mL x 2)で洗浄し、続いて真空内で乾燥し、tert−ブチル2−(4−アミノ−3−シアノ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アセテートを供した(81.6g, 収率62.3%)。MS(ES)m/z275.0(M+ H+)。
【0088】
段階3:tert−ブチル2−(4−アミノ−3−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アセテート
【化10】

【0089】
氷水浴中で(4−アミノ−3−シアノ−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−酢酸tert−ブチルエステル(80g, 0.291mol)及びEtOH(800mL)の混合物に、酢酸(67mL)、続いてエチレンジアミン(195mL)を添加した。得られた混合物を90分間還流し、室温まで冷却し、濾過した。固体を水(1L)中で懸濁し、濾過し、そして真空内で乾燥し、tert−ブチル2−(4−アミノ−3−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アセテートを得た(84.6g, 収率90%)。MS(ES)m/z 318.1 (M+ H+)。
【0090】
段階4:(2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)酢酸ジヒドロクロライド
【化11】

【0091】
内部温度を25℃以下に保持しながら、氷水浴中でtert−ブチル2−(4−アミノ−3−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)アセテート(84g, 0.265mol)及びDMSO(900mL)の混合物に、デスマーチンペルヨージナン(169.6g, 0.4mol)を分割して添加した。混合物を2時間室温で攪拌し、続いて84gのNaを含んだ氷水(2L)中に注いだ。混合物を3N NaOHでpΗ12〜14に調整し、濾過し固体を得た。そしてこれを水で洗浄し、氷水(2L)中で再懸濁し、濾過し、水(500mL)、EtOAc(100mL x 2)及びEtO(100mL x 2)で洗浄し、そして真空内で乾燥し、(2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)酢酸tert−ブチルエステルを得た(66.2g, 収率80%)。MS(ES)m/z 316.1(M+ H+)。
【0092】
(2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)酢酸tert−ブチルエステル(61g, 193mmol)をジオキサン(700mL)中で4N HClで還流しながら2時間処理した。室温まで冷却後、固体を濾過によって回収し、EtOAc(80mL x 2)及びEtO(100mL)で洗浄し、そして真空内で乾燥し(2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)酢酸をジヒドロクロライド塩として得た(66g, 定量)。MS(ES)m/z 260.1(M+ H+)。
【0093】
段階5:2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]エタノン
【化12】

【0094】
[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]酢酸ジヒドロクロライド(79g, 0.238mol)及び1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)ピペラジンジヒドロクロライド(71.3g, 0.238mol)を無水DMF(793mL)中で懸濁し、氷浴中で冷却した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(290mL, 1.67mol)を添加し、全固体が溶解し茶色溶液を形成するまで混合物を室温で攪拌した。内部温度を20℃以下に保持しながら、ΗCTU(113.23g, 0.273mol)を10分にわたって分割して添加した。3時間後、反応混合物をフラスコの勢いよく攪拌した氷水(6L)中にゆっくりと注ぎ、懸濁液を得た後、1時間攪拌し、濾過し、そして飽和NaHCO(500mL x 2)及び水(500mL x 2)で洗浄した。固体を粉砕(trituration)によってMeCN(2 x 500 mL)を還流しながら精製し、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]エタノンを得た(90.5g, 収率81%, LC-MSによって純度>98%)。
【化13】

【0095】
段階6:2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]エタノンジヒドロクロライド塩
【化14】

【0096】
2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]エタノン(50g, 0.1068mol)、HO(250mL)、及びアセトン(750mL)の混合物に、60℃で濃縮HCl(22.3mL, 0.267mol, 2.50当量)を液滴で添加し、茶色溶液を得た。90分後に、濃黄褐色懸濁液が形成された。内部温度を58℃〜62℃に保持しながら、懸濁液を最終濃度0.03Mまでアセトン(2.1L)を液滴によって添加し希釈した。得られた混合物を60℃でさらに90分間攪拌し、室温まで冷却し、濾過した。固体をアセトン(60mL x 2)で洗浄し、真空内で乾燥し、微細な黄褐色プリズム(prism)として2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]エタノンジヒドロクロライド塩を供した(49.2g, 収率80%, LC-MSによって純度>99%)。
【化15】

【0097】
実施例2
本実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【0098】
段階1:4−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−3,3−ジメチルピペラジンジヒドロクロライド
【化16】

【0099】
トルエン(35mL)中で5−ブロモ−2−クロロアニソール(3.70g, 16.7mmol, 1当量)、2,2−ジメチル−ピペラジン(2.2g, 1.2当量)及びrac−BINAP(1.04g, 0.1当量)の混合物を圧縮窒素で5分間脱泡した。混合物に、NaOt−Bu(2.3g, 1.4当量)及びPd(dba)(54mg, 0.005当量)を添加した。得られた混合物を60℃でオーバーナイトで加熱し、室温まで冷却した。EtOAc(〜200mL)を添加し、そして混合物をセライトを通して濾過した。濾液を飽和水性KCO(200mL)、飽和水性NaHCO(200mL)、及びブライン(200mL)で連続して洗浄し、続いて硫酸マグネシウムを通して乾燥した。蒸発後に得られた残基をEtOAc(100mL)中で溶解し、EtO(100mL)中で2N HClで室温において2時間処理した。固体を濾過で回収し、真空内で乾燥し、4−(4−クロロ−3−メトキシ−フェニル)−3,3−ジメチルピペラジンジヒドロクロライド(4.0g)を供した。MS(ES)m/z 255.1(M+ H+)。
【0100】
段階2:2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルピペラジン−1−イル]エタノン
【化17】

【0101】
[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]酢酸ジヒドロクロライド(100mg, 0.2mmol)及び1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−3,3−ジメチルピペラジン ジヒドロクロライド(100mg, 0.3mmol)を無水DMF(2.5mL)中で懸濁した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.32mL, 1mmol)を0℃で添加し、全固体が溶解し茶色溶液が得られるまで混合物を室温で攪拌した。HBTU(114mg, 0.3mmol)を添加した。2時間後、反応混合物をフラスコの勢いよく攪拌した氷水(100mL)中にゆっくりと注いだ。得られた懸濁液をジクロロメタン(100mL)で抽出し、そして飽和NaHCO(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し蒸発した。残基をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、蒸発及び真空内での乾燥後に、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルピペラジン−1−イル]エタノンを淡黄褐色固体(45mg)として供した。
【化18】

【0102】
実施例3
本実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【化19】

【0103】
DMF(0.5mL)中で1−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)−ピペラジンジヒドロクロライド塩(65.2mg, 0.206mmol, 1当量)、[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]酢酸(50 mg, 1当量)、BOP試薬(109mg, 1.7当量)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.165mL, 5当量)の混合物を、室温でオーバーナイトで攪拌した。逆相HPLC(溶出剤として0.1%TFAを有するアセトニトリル−H2O)精製によって、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]エタノンが得られた。MS(ES)m/z 486.5(M+ H+)。
【0104】
実施例4
本実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)−2−メチル−ピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【化20】

【0105】
表題の化合物を実施例3に記載のものに類似の手順で、1−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)−3−メチルピペラジンジヒドロクロライドを使用して調製した。
【化21】

【0106】
実施例5
本実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−2−メチル−ピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【化22】

【0107】
段階1:1−(4−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−3−メチルピペラジン
【0108】
1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロベンゼン(5g, 23.9 mmol, 1当量)、2−メチルピペラジン(2.8g, 1.15当量)、トリス−ベンジリデンアセトンジパラジウム(O)(0.43g, 0,05当量)、rac−BINAP(0.89g, 0.15当量)、ナトリウムtert−ブトキシド(3.2g, 1.4当量)をトルエン(60mL)中でスラリーにし、続いて混合物を65℃でオーバーナイトで加熱した。室温まで冷却後、酢酸エチル(100mL)を添加した。黒色の沈殿物を濾過で除去した。濾液を3N炭酸カリウム溶液で2度洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム中で乾燥し、2N HCl−エーテルで中和した固体を濾過によって回収し、エーテルで洗浄し、真空内で乾燥し1−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペラジンをジヒドロクロライド塩として得た。
【0109】
段階2:表題の化合物を実施例3に記載のものと類似の手順によって、1−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペラジンを使用して調製した。
【化23】

【0110】
実施例6
本実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−エトキシフェニル)−ピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【0111】
【化24】

表題の化合物を実施例3に記載のものと類似の手順によって、1−(4−クロロ−3−エトキシフェニル)ピペラジンジヒドロクロライドを使用して調製した。
【化25】

【0112】
実施例7
本実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−2−メチル−ピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【化26】

【0113】
表題の化合物を実施例3に記載のものと類似の手順によって、1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−3−メチルピペラジンジヒドロクロライドを使用して調製した。
【化27】

【0114】
実施例8
本実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【化28】

【0115】
表題の化合物は、実施例3に記載のものに類似の手順によって、1−(4−クロロフェニル)−3−メチルピペラジンジヒドロクロライドを使用して調製した。
【化29】

【0116】
実施例9
本実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【化30】

【0117】
表題の化合物を、実施例3に記載のものと類似の手順によって、1−(4−クロロフェニル)ピペラジンジヒドロクロライドを使用して調製した。MS(ES)m/z 438.1(M+ H+)。
【0118】
実施例10
本実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−エトキシフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【化31】

【0119】
表題の化合物を、実施例3に記載のものと類似の手順によって、1−(4−クロロ−3−エトキシフェニル)−3−メチルピペラジンジヒドロクロライドを使用して調製した。
【化32】

【0120】
実施例11
本実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【化33】

【0121】
DMF(0.5mL)中で1−(4−クロロ−3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペラジンジヒドロクロライド塩(70mg, 0.198mmol, 1当量)、[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]酢酸(96mg, 1当量)、ΗATU(98mg, 1.3当量)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.276mL, 8当量)の混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和水性炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウム中で乾燥し、TLCで精製し、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]エタノンを得た。H NMR(400MHz,CD3OD)δ8.18(s,1H),7.39(s,1H),7.18(d,2H,J=8.8Hz),6.95(s,2H),5.40(s,2H),3.85(m,4H),3.25(m,4H)。溶媒としてのCDODを使用したので、3つの残存するプロトン(アミノ基〜イミダゾール環)は、確認されなかった。MS(ES)m/z 522.1(M+ H+)。
【0122】
実施例12
本実施例は、2−[4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−[4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)ピペラジン−1−イル]エタノンの調製を説明する。
【化34】

【0123】
段階1:1−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)ピペラジン
【0124】
1−ブロモ−4−クロロ−2−フルオロベンゼン(5g, 23.9mmol, 1当量)、ピペラジン−1−カルボキシリル酸tert−ブチルエステル(5.3g, 1.15当量)、トリスベンジリデンアセトンジパラジウム(O)(0.43g, 0.05当量)、rac−BINAP(0.89g, 0.15当量)、ナトリウムtert−ブトキシド(3.2g, 1.4当量)をトルエン(60mL)中でスラリーにし、混合物を65℃でオーバーナイトで加熱した。室温に冷却後、酢酸エチル(100mL)を添加した。黒色の沈殿物を濾過によって除去した。濾液を3N 炭酸カリウム溶液で2度洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム中で乾燥し、濃縮し、ジオキサン中で4N HClで処理した。固体を濾過によって回収し、エーテルで洗浄し、そして高真空下で乾燥し1−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)ピペラジンをジヒドロクロライド塩として得た。
【0125】
段階2:表題の化合物を実施例11に記載のものと類似の手順によって、1−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)ピペラジンジヒドロクロライドを使用して調製した。H NMR(400MHz, CD3OD)δ8.16(s, 1H),7.19(s, 1H),7.1〜7.17(m, 3H),7.05(m, 1H),5.40(s, 2H),3.85(m, 2H),3.75(m, 2H),3.18(m, 2H),3.07(m, 2H)。CDODを溶媒として使用したので、(アミノ基〜イミダゾール環)の3つの残存するプロトンは観察されなかった。MS(ES)m/z 456.1(M+ H+)。
【0126】
実施例13
本実施例は、本発明の注目の化合物と関係がある生物活性の評価を説明する。
材料及び方法
A.細胞
1.CCR1発現細胞
a)THP−1細胞
【0127】
THP−1細胞を、ATCC(TIB-202)から得て、これを懸濁物として、2mMのL−グルタミン、1.5g/L炭酸水素ナトリウム、4.5g/Lグルコース、10mM HEPES、1mMピルビン酸ナトリウム、0.05%2−メルカプトエタノール及び10%FBSを追加したRPMI−1640培地中で培養した。5%CO/95%エアー、湿度100%下で37℃で細胞を成長させ、週に2度1:5で継代培養し(細胞を密度範囲2 x 105〜2 x 106細胞/mLで培養し)、1x10細胞/mLで回収した。THP−1細胞はCCR1を発現し、CCR1結合及び機能アッセイに使用することができる。
【0128】
2.走化性アッセイ
CCR1阻害剤の同定
【0129】
ケモカインの主要な機能の1つは、ケモカイン受容体発現細胞、例えば白血球の遊走を媒介するこれらの能力である。注目の化合物がCCR1の特異的な結合及び(少なくともカルシウム動員アッセイによって測定されるような)シグナル伝達だけでなく、CCR1介在の遊走も抑制したことを確認するために、走化性アッセイを使用した。単球、並びに新鮮分離した単球に類似のTHP−1骨髄単球性白血病細胞を、CCR1ケモカインリガンド(すなわち、MIP-1α, CCL15/ロイコタクチン)による化学誘引に関するターゲットとして使用した。細胞を、96ウェル走化性チャンバー(Neuroprobe; Gaithersburg, MD)中で、マイクロウェル遊走チャンバーの、5μmのポアポリカーボネートの、ポリビニルピロリドンコーティングしたフィルターのトップコンパートメント中で、走化性バッファー(ハンクス液(HBSS))及び1%FBSを使用しながら置いた。CCR1介在の遊走の化合物介在抑制を評価するために、CCR1ケモカインリガンド(すなわち, MIP-1a, CCL15/ロイコタクチン; R&D Systems; Minneapolis, MN)を使用する。他のケモカイン(すなわち, SDF-1α; R&D Systems; Minneapolis, MN)を特異性コントロールとして使用する。低部チャンバーに29μlのケモカイン(すなわち, 0.1nM CCL15/ロイコタクチン)及び各種量の化合物を負荷し;トップチャンバーは20μl中に100,000THP−1又は単球細胞を含んだ。阻害剤がない場合には、ケモカインアゴニストに応答して細胞は低部チャンバーへ遊走し;化合物がCCR1機能を抑制する場合には、細胞の大部分は上部チャンバーに残存する。CCR1に対する注目の親和性の化合物を確認、並びにCCR1介在性細胞遊走を抑制するそのの能力を確認するために、この走化性アッセイにおいて阻害活性を、1x10−10〜1x10−4Mの範囲の化合物濃度で力価測定(titered)した。このアッセイにおいて、化合物量は多様であり、一方で細胞数及びケモカインアゴニスト濃度は一定に保持した。走化性チャンバーを37℃で1〜2時間インキュベートした後に、低部チャンバー内の応答細胞を、CyQuantアッセイ(Molecular Probes)で標識化すること、核酸含有量を測定する蛍光染料方法、及びスペクトラフルオロプラス(Spectrafluor Plus)(Tecan)で測定することによって定量化した。GraphPad,Inc.(San Diego, Ca)が市販するコンピュータープログラムプリズムをIC50値を測定するために使用した。IC50値は、CCR1アゴニストに応答している細胞数を50%まで抑制するために必要なこれらの化合物濃度である。
【0130】
3.インビボ(In Vivo)における有効性
【0131】
a)破壊性関節炎症のウサギモデル
Podolin等の上記のものに記載されるウサギLPS試験を本質的に実施することができる。メスのニュージーランドウサギ(約2キログラム)の両膝の関節内にLPS(10ng)を処置した。(例えば、1%メトセル中に製剤された)注目の化合物又はビヒクル(1%メトセル)を、5ml/kg用量で2回(関節内のLPS注射の2時間前及び関節内LPS注射の4時間後に)経口投与した。LPS注射の16時間後に、膝を灌流し、細胞カウントを行った。処理の有益な効果を、膝関節の炎症性関節液へ補充された炎症性細胞数における減少によって測定する。注目の化合物での処理は、結果として補充された炎症性細胞において顕著な減少を生じる。
【0132】
b)コラーゲン誘発性関節炎ラットモデルにおける注目の化合物の評価
関節炎が誘発された臨床上のくるぶし腫脹に対する注目の化合物の効果を評価するために、17日間進行させたII型コラーゲン関節炎試験を実施することができる。ラットコラーゲン関節炎は、多数の抗関節炎剤の前臨床試験に広く使用されている多発性関節炎の実験モデルである(Trentham, et al., J. Exp. Med.146(3):857-868 (1977), Bendele, et al., Toxicologic Pathol. 27: 134-142 (1999), Bendele, et al., Arthritis Rheum. 42:498-506 (1999)を参照されたい)。このモデルの特徴は、活発であり且つ容易に測定できる多発関節炎炎症、パンヌス形成並びに軽度から中等度の骨吸収及び骨膜骨増殖と関係する顕著な軟骨破壊の安定した発現及び進行である。
【0133】
メスのルイスラット(約0.2キログラム)をイソフルランで麻酔し、2mg/mLのウシII型コラーゲンを含むフロイント不完全アジュバントを尾の基部及び背中の2部位に、この17日間の試験の0及び6日目に注射する。注目の化合物を毎日皮下に0〜17日目まで有効用量で投与する。くるぶし関節の直径のノギス測定を行い、効果の尺度として減少した関節腫脹を使用した。
【0134】
c)卵巣摘出誘発性骨粗しょう症のラットモデル
卵巣摘出誘発性骨粗しょう症のラットモデルを、Dunstan等(1999)のJ.Bone及びMin Res.14:953として本質的に実施することができる。幼齢のメスSDラット(180〜200g)を偽手術又は卵巣摘出(OVX)する。術後7日内に、CCR1アンタゴニスト又はビヒクル単独(セサミオイル)の毎日の経口投与を開始する。投薬の2週間後に、ラットを安楽死させ、破骨細胞及び骨芽細胞バイオマーカー(それぞれ、C-テロペプチド及びMIDオステオカルシン)の血清レベルを分析する。さらに、大腿骨及び脛骨を、H&E及び/又はTRAP染色法での組織病理学試験のために除去する。
【0135】
d)骨髄腫による骨疾患の調整されたRadlの5TGM1モデル
骨髄腫による骨疾患は、さらにOyajobi等の、MoI Cancer Ther、2007,6:1701−1708に記載される通り試験してよい。動物試験を6〜9週齢のメスC57BL/KaLwRijHsdマウス(Harlan)を使用して実施する。骨髄腫病変は、マウスにおいて、尾静脈を介した10個の生存5TGM1−eGFP H1.1+細胞又は親の5TGM1細胞の静脈内接種によって誘発される。(例えば、100%セサミオイル中に製剤された)注目の化合物又は(100%セサミオイルである)ビヒクルを、2.5ml/kg用量体積で1日に2度を4週間経口で投与する。動物の体重をベースライン時、その後は週に一度測定する。4週間の最終日に、全マウスを撮像し、屠殺直後に、骨格及び内臓(脾臓, 肝臓, 腎臓, 生殖腺, 脳, 肺, 及び心臓)を解剖し、全身腫瘍組織量を評価するために蛍光腫瘍病巣に関して撮像する。
【0136】
(以下の)表2では、本明細書に記載の代表的な化合物に関する構造及び活性度が供される。活性度は、上記の走化性アッセイに関して次の通り供される:+,10nM<IC50150nM; ++,1nM<IC5010nM; 及び+++,IC501nM。
【0137】
【表1】

【0138】
直接比較において、本発明の化合物1.001、1.003、1.004、1.006、1.007、1.010及び1.011は、試験した関連化合物によって示された活性よりも少なくとも一桁大きい活性を供した(関連する米国特許出願第12/124,894号に記載のイミダゾール置換ピリド[4,3-b]ピラゾール)。例えば、走化性アッセイにおいて、
【化35】

は、
【化36】

よりも一桁低いIC50を供した。
【0139】
本発明は上述の記載及び実施例を通じて記載されているので、当業者は本発明が様々な実施形態において行うことができ、前述の記載及び実施例は説明を目的とするものであって以下の請求項を制限するものでないということを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、R1a及びR1bは、H及びCHから成る群から各々独立して選択され;
2aは、H及びFから成る群から選択され;そして
2dは、H、C1−4アルコキシ及びC1−4ハロアルコキシから成る群から選択される)、
の化合物、或いは医薬として許容されるこの塩、水和物又はN−酸化物。
【請求項2】
前記式中、R2aがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記式中、R1a及びR1bがそれぞれHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記式中、R1bがメチルであり、R1aがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記式中、R1a及びR1bがそれぞれCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記式中、R2aが水素であり、R2dがメトキシ、エトキシ及びトリフルオロメトキシから成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が式Ia又はIb
【化2】

(式中、R2aは、H及びFから成る群から選択され;
2dは、メトキシ、エトキシ及びトリフルオロメトキシから成る群から選択される)、
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、
【化3】

から成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、
【化4】

から成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、式:
【化5】

を有する、請求項1に記載の化合物、或いは医薬として許容されるこの塩又はN−酸化物。
【請求項11】
式:
【化6】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
医薬として許容される塩形態において、式:
【化7】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
前記塩形態が塩酸塩の形態である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
(S)−2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル)エタノン;
(S)−2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル)エタノン;
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン;
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン;
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン;
(S)−2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル)エタノン;
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−エトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン;
(S)−2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル)エタノン;
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン;
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルピペラジン−1−イル)エタノン;
(S)−2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−エトキシフェニル)−2−メチルピペラジン−1−イル)エタノン;
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン;及び、
2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノンから成る群から選択される、化合物。
【請求項15】
化合物2−(4−アミノ−3−(1H−イミダゾール−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)−1−(4−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル)エタノン。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物、及び医薬的に許容される賦形剤又は担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項17】
疾患又は症状の治療のための医薬の製造における、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
CCR1介在疾患又は症状の治療のための医薬の製造における、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
前記CCR1介在疾患又は症状が炎症性症状である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記CCR1介在疾患又は症状が免疫調節性疾患である、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
前記CCR1介在疾患又は症状が、骨関節炎疾患、多発性骨髄腫、関節リウマチ、多発性硬化症、移植片拒絶反応、再狭窄、皮膚炎、湿疹、じん麻疹、血管炎、炎症性腸疾患、食物アレルギー、喘息、アルツハイマー病、パーキンソン病、乾癬、紅斑性狼瘡、骨関節炎、脳卒中、再狭窄及び脳脊髄炎から成る群から選択される、請求項18に記載の使用。
【請求項22】
前記CCR1介在疾患又は症状が、骨関節炎疾患、多発性骨髄腫、関節リウマチ及び移植片拒絶反応から成る群から選択される、請求項18に記載の使用。
【請求項23】
前記医薬が、経口、非経口、直腸、経皮、舌下、経鼻又は局所投与のために製造される、請求項18に記載の使用。
【請求項24】
前記医薬が、抗炎症剤、鎮痛薬、抗増殖剤、代謝抑制剤、白血球遊走阻害剤又は免疫調節剤との組合せにおける投与のために製造される、請求項18に記載の使用。

【公表番号】特表2012−502107(P2012−502107A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526976(P2011−526976)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/056560
【国際公開番号】WO2010/030815
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(507416218)ケモセントリックス,インコーポレイティド (6)
【Fターム(参考)】