説明

4−トリフルオロメトキシフェノキシベンゾール−4’−スルホン酸、その製造法および薬剤としての使用

本発明は次の式(I)
【化1】


の化合物、それぞれのスルホン酸塩化物、スルホン酸、スルホンアミドのような誘導体、並びにそれらの製造法および薬剤としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は4−トリフルオロメトキシフェノキシベンゼンの新規な誘導体、例えば4−トリフルオロメトキシフェノキシベンゼン−4'−スルホン酸、それぞれの塩化スルホニル、スルホンアミドのような誘導体、それらの製造法および薬剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
薬理学的に活性な物質は1種またはそれ以上の環系で構成されることが多い。これらは飽和または不飽和の炭素環または複素環である。生物活性を発揮するためには特定の空間的配置が必要である。さらに、結合親和性に寄与する多種多様の非常に重要な相互作用が存在する。例として、タンパク質および阻害剤の芳香族系pi−pi相互作用、イオン相互作用または酸−塩基相互作用が挙げられる。特に後者に対して官能基が関与する。これらは大抵、上記環系に“結合”している。しかしながら、生物活性は薬剤として開発される可能性のある活性物質が満たす必要のある特徴の1つに過ぎない。これまで過小評価されることが多かった他の重要な領域が活性物質の吸収、分布、代謝および排泄で注目されている。大抵は、生物活性と全く同様に分子の単一部分がこの領域での分子の作用の違いに特に関与している。さらに、環系でもそれらの特定の性質および官能基が関与する。しかしながら、多くの場合、生物活性の領域とは対照的に、例えばこれらの基の特定の物理化学的性質との相関関係は十分ではない、すなわち今までのところ計算機化学(computational chemistry)の方法により示唆的な予測ができるに過ぎない。これらの官能基が少し変更され、非常に強力な効果が生じると特有の複雑さが現われる。このことは例えば吸収、分布(体内動態に相当する)、代謝および排泄で有意な変化が起きることを意味する。したがって、不十分な性質を有するリード構造を開発の候補化合物にすることが上手くできる。
【0003】
今般、驚くべきことに、本発明の基を含有する化合物が単純なアルキルエーテルまたはフッ化アルキル側鎖を持つ非常に密接に関連する化合物よりも明らかに良い薬物動態特性を有することを見い出した。これに関して、改善された薬物動態特性とは観察される達成可能な最大血漿中濃度がより高く、半減期がより長いことを意味する。このことは有益な影響が特に吸収、代謝および排泄で起きることを意味する。同時に、例えば活性物質中に存在することが多く、今まで知られていなかった本発明の塩化スルホニルから製造される本発明のスルホンアミドは新規である。相当するスルホン酸も同様である。
【0004】
本発明の化合物は幅広く使用することができる。例えば、マトリックスメタロプロテナーゼ阻害剤(MMP)は本発明のタイプと似た側鎖を持つことが多い。環式、特に二環式の基本構造が幅広く開示されている。例えば、WO 97/18194はテトラヒドロイソキノリン誘導体、またWO 03/016248は別の複素環を開示している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は式I
【化1】

[式中、Xは−OHまたは−NH−OHであり、
Aは式II
【化2】

の基であり、前記R4は式IのS原子との共有結合を意味し、
R1、R2およびR3は同一または異なって互いに独立して
1)水素原子、
2)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、
3)−C(O)−O−R8であり、前記R8は
3)1)水素原子、
3)2)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、またはフッ素により1〜5回置換され、
3)3)−(C6−C14)−アリール、または
3)4)Het環であり、
4)−O−R8であり、前記R8は上記の意味を有し、
5)−(C3−C6)−シクロアルキル、
6)−ハロゲン、
7)−NO2、または
8)−CNであり、あるいは
9)R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって−(C6−C14)−アリール環を形成し、前記環は未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、あるいは
10)R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって−(C5−C7)−シクロアルキル環を形成し、前記環は未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、あるいは
11)R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって5−、6−または7−員のHet環を形成し、前記環は未置換であるか、Gにより1回置換され、あるいは
12)R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になってインドリルを形成し、前記インドリルは未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、
Gは1)水素原子、
2)ハロゲン、
3)=O、
4)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、ハロゲン、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回、2回または3回置換され、
5)−(C6−C14)−アリール、
6)Het環、
7)−C(O)−O−R10であり、前記R10は
a)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、
b)−(C6−C14)−アリール、または
c)Het環であり、
8)−C(S)−O−R10であり、前記R10は上記で定義された通りであり、
9)−C(O)−NH−R11であり、前記R11は
a)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、または
b)−(C6−C14)−アリール、または
c)Het環であり、
10)−C(S)−NH−R11であり、前記R11は上記で定義された通りであり、
11)−O−R12であり、前記R12は
a)水素原子、
b)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、ハロゲン、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回、2回または3回置換され、
c)−(C6−C14)−アリール、
d)Het環、
e)−C(O)−O−R13であり、前記R13は
e)1)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、または
e)2)−(C6−C14)−アリール、または
e)3)Het環であり、
f)−C(S)−O−R13であり、前記R13は上記で定義された通りであり、
g)−C(O)−NH−R14であり、前記R14は
g)1)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、または
g)2)−(C6−C14)−アリール、または
g)3)Het環であり、または
h)−C(S)−NH−R14であり、前記R14は上記で定義された通りであり、
12)−C(O)−R10であり、前記R10は上記で定義された通りであり、
13)−S(O)p−R12であり、前記R12は上記で定義された通りであり、そしてpは整数0、1または2であり、
14)−NO2
15)−CN、
16)−N(R15)−R12であり、前記R15は
16)1)水素原子、
16)2)−(C1−C6)−アルキル、または
16)3)−SO2−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、そしてR12は上記で定義された通りであり、または
17)−SO2−N(R12)−R16であり、前記R12は上記で定義された通りであり、そしてR16は
17)1)水素原子、
17)2)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−
シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、
17)3)−C(O)−O−R8であり、前記R8は上記の意味を有し、
17)4)−O−R8であり、前記R8は上記の意味を有し、または
17)5)−(C3−C6)−シクロアルキルであり、そして
mおよびnは同一または異なって0、1、2または3であるが、但しmおよびnの総数は0、1、2または3である]
の化合物、および/または式Iの化合物のすべての立体異性体、および/または任意の比率のこれらの異性体の混合物、および/または式Iの化合物の生理学的に許容される塩に関する。
【0006】
本発明はさらに、
Xは−OHまたは−NH−OHであり、
Aは式IIの基であり、
R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって
a)−(C6−C14)−アリール環であり、前記アリールはフェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリルまたはフルオレニルから選択される基であり、未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、または
b)5−、6−または7−員のHet環であり、前記Het環はフラン、イミダゾール、イソキサゾール、オキサゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、チアゾールまたはチオフェンから選択される基であり、未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、または
c)インドリルであり、前記インドリルは未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、
【0007】
Gは1)水素原子、
2)フッ素、塩素、臭素または沃素、
3)=O、
4)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、ハロゲン、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回、2回または3回置換され、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、前記Het環はアクリジニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダザリニル(benzimidazalinyl)、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカ−ヒドロキノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ジヒドロフラン[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ジオキソリル、ジオキサニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル(ベンゾイミダゾリル)、イソチアゾリジニル、2−イソチアゾリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、オキソチオラニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピロアゾリジニル、ピラゾ
リニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリドチオフェニル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロピリジニル、6H−1,2,5−チアダジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオモルホリニル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリルおよびキサンテニルから選択される基であり、
【0008】
5)−(C6−C14)−アリールであり、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、
6)Het環であり、前記Hetは上記で定義された通りであり、
7)−C(O)−O−R10であり、前記R10は
a)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、
b)−(C6−C14)−アリールであり、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、または
c)Het環であり、前記Hetは上記で定義された通りであり、
8)−C(S)−O−R10であり、前記R10は上記で定義された通りであり、
9)−C(O)−NH−R11であり、前記R11は
a)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、または
b)−(C6−C14)−アリールであり、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、または
c)Het環であり、前記Hetは上記で定義された通りであり、
【0009】
10)−C(S)−NH−R11であり、前記R11は上記で定義された通りであり、
11)−O−R12であり、前記R12は
a)水素原子、
b)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、ハロゲン、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回、2回または3回置換され、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、
c)−(C6−C14)−アリールであり、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、
d)Het環であり、前記Hetは上記で定義された通りであり、
e)−C(O)−O−R13であり、前記R13は
e)1)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、
e)2)−(C6−C14)−アリールであり、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、または
e)3)Het環であり、前記Hetは上記で定義された通りであり、
f)−C(S)−O−R13であり、前記R13は上記で定義された通りであり、
g)−C(O)−NH−R14であり、前記R14は
g)1)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−
シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、
g)2)−(C6−C14)−アリールであり、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、または
g)3)Het環であり、前記Hetは上記で定義された通りであり、または
h)−C(S)−NH−R14 であり、前記R14は上記で定義された通りであり、
【0010】
12)−C(O)−R10であり、前記R10は上記で定義された通りであり、
13)−S(O)p−R12であり、前記R12は上記で定義された通りであり、そしてpは整数0、1または2であり、
14)−NO2
15)−CN、
16)−N(R15)−R12であり、前記R15は
16)1)水素原子、
16)2)−(C1−C6)−アルキル、または
16)3)−SO2−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、前記Hetは上記で定義された通りであり、そしてR12は上記で定義された通りであり、あるいは
【0011】
17)−SO2−N(R12)−R16であり、前記R12は上記で定義された通りであり、そして前記R16は
17)1)水素原子、
17)2)−(C1−C6)−アルキルであり、前記アルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、前記アリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、
17)3)−C(O)−O−R8であり、前記R8は上記の意味を有し、
17)4)−O−R8であり、前記R8は上記の意味を有し、または
17)5)−(C3−C6)−シクロアルキルであり、そして
mは1または2であり、そしてnは0であり、
mは1であり、そしてnは2であり、または
mおよびnは同一であり、それぞれ1である式Iの化合物に関する。
【0012】
本発明はさらに、
Xは−OHまたは−NH−OHであり、
Aは式IIの基であり、
mは1であり、そしてnは2であり、または
mおよびnは同一であり、それぞれ1であり、そして
R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になってフェニル、テトラヒドロフラニルまたはシクロヘキシルを形成する式Iの化合物に関する。
【0013】
本発明はさらに、
2−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−ヒドロキシカルボキサミド、
2−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]デカヒドロイソキノリン−1−(N−ヒドロキシ)カルボキサミド、
5−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]オクタヒドロフロ[3,2−c]ピリジン−4−カルボン酸、
5−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]オクタヒドロフロ[3,2−c]ピリジン−4−(N−ヒドロキシ)カルボキサミド、または
2−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]デカヒドロ−ベンゾ[c]アゼピン−1−(N−ヒドロキシ)カルボキサミド
から選択される式Iの化合物に関する。
【0014】
「(C1−C6)−アルキル」なる用語はその炭素鎖が直鎖状または分枝鎖状であり、1〜6個の炭素原子を含有する炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2,3−ジメチルブタンまたはネオヘキシルを意味する。
「−(CH2)n−(ここでnは0、1、2 または 3である)」なる用語はnが0の時は共有結合、nが1の時はメチレン基、nが2の時はエチレン基、そしてnが3の時はプロピレンを意味する。「(CH2)m−(ここでmは0、1、2または3である)」なる用語の意味は−(CH2)n−と同じである。
【0015】
「−(C2−C4)−アルケニレン」なる用語はその炭素鎖が直鎖状または分枝鎖状であり、2〜4個の炭素原子を含有し、鎖長に応じて1個または2個の二重結合を有する炭化水素基、例えばエテニレン、プロピレン、イソプロピレン、イソブテニレンまたはブテニレンを意味し;原理的に可能ならば、二重結合における置換基はEまたはZ配置を有する。
「−(C2−C6)−アルキニレン」なる用語は その炭素鎖が直鎖状または分枝鎖状であり、2〜6個の炭素原子を含有し、鎖長に応じて1個または2個の三重結合を有する炭化水素基、例えばエチニレン、プロピレン、イソプロピニレン、イソブチリニレン、ブチニレン、ペンチニレンまたはペンチニレンの異性体、ヘキシニレンまたはヘキシニレンの異性体を意味する。
【0016】
「(C3−C6)−シクロアルキル」なる用語は3−〜6−員の単環から誘導される化合物のような基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを意味する。「(C5−C7)−シクロアルキル」なる用語は5−〜7−員の単環から誘導される化合物のような基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロセプチルを意味する。
「−(C6−C14)−アリール」なる用語は環に6〜14個の炭素原子を有する芳香族炭素基を意味する。−(C6−C14)−アリール基の例はフェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリルまたはフルオレニルである。ナフチル基そして、特に、フェニル基が好ましいアリール基である。
【0017】
「Het環」なる用語は互いに結合し、酸素、窒素または硫黄から選択される1個、2個、3個または4個の同一または異なるヘテロ原子を含有する1個、2個または3個の環系に存在する4〜15個の炭素原子を有する環系を意味する。これらの環系の例はアクリジニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダザリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ジヒドロフラン[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ジオキソリル、ジオキサニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル(ベンゾイミダゾリル)、イソチアゾリジニル、2−イソチアゾリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、オキソチオラニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピロアゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリドチオフェニル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロピリジニル、6H−1,2,5−チアダジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオモルホリニル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリルおよびキサンテニル基である。
【0018】
好ましいHet環はベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、1,3−ベンゾジオキソリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、クロマニル、シンノリニル;フラニル、例えば2−フラニルおよび3−フラニル;イミダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソキノリニル、イソクロマニル、イソインドリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、フタラジニル、プテリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドイミダゾリル、ピリドピリジニル、ピリドピリミジニル;ピリジル、例えば2−ピリジル、3−ピリジルまたは4−ピリジル;ピリミジニル;ピロリル、例えば2−ピロリルおよび3−ピロリル;プリニル、チアゾリル、テトラゾリルまたはチエニル、例えば2−チエニルおよび3−チエニル基である。
【0019】
「R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって5−、6−または7−員のHet環を形成する」なる表現は次の化合物、例えばジオキサン、フラン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリジン、イソチアゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、2−イソオキサゾリン、モルホリン、ピペラジン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、オキサゾール、オキサゾリジン、オキサゾリドン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、ピロリジノン、ピロリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロピリジン、テトラジン、テトラゾール、チアジアジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,3−チアゾール、チアゾール、チアゾリジン、チアゾリン、チオフェン、チエタン、チオモルホリン、チオピラン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−トリアゾールまたは1,2,4−トリアゾールから誘導される化合物を意味する。
「ハロゲン」なる用語はフッ素、塩素、臭素または沃素を意味する。
【0020】
本発明はさらに、a)式III
【化3】

(式中、R5は水素原子、NH2、Li、Mg、SH、S−CH3、Cl、Br、IまたはSi−(CH3)3である)
の化合物を式IV
【化4】

の化合物に変換し、次に式V
【化5】

(式中、R1、R2、R3、mおよびnは式Iで定義された通りであり、そしてReは水素原子またはエステル保護基である)の化合物と塩基の存在下で、または適当なシリル化剤でシリル化した後に反応させて式VI
【化6】

(式中、R1、R2、R3、mおよびnは上記で定義された通りである)の化合物を得、そして
b)Re=エステルの場合、a)で生成した式VIの化合物をNaOHまたはLiOHのようなアルカリ金属水酸化物溶液と反応させ、次に酸で処理して式Iの化合物を得るか、または前記エステルを塩酸のような鉱酸で処理することにより反応させて式VII
【化7】

のカルボン酸を得、次にこれをX=NH−OHである式Iのヒドロキサム酸に変換し、
【0021】
c)その化学構造のためエナンチオマー形態で存在する工程a)またはb)で生成した式Iの化合物をエナンチオピュアな酸または塩基との塩形成、キラル固定相におけるクロマトグラフィー、アミノ酸のようなエナンチオピュアなキラル化合物を使用する誘導体化、このようにして得られたジアステレオマーの分離、またはキラルな補助基の除去により純粋なエナンチオマーに分離し、あるいは
d)工程b)またはc)で生成した式Iの化合物を遊離形態で単離するか、酸性または塩基性の基が存在する場合は生理学的に許容される塩に変換することからなる式Iの化合物および/または式Iの化合物の立体異性体および/または式Iの化合物の生理学的に許容される塩の製造法に関する。
【0022】
式VI〜VII型の化合物は本化合物の1例に過ぎない;式Iに相当する6−員環の代わりに4−員環、5−員環および7−員環を挙げることもできる。
【0023】
式V型の化合物は知られている方法により製造することができる。
例えば、nが1であり、mが0である化合物(メタノプロリン)は幾つかの知られている方法により製造することができる。最近の合成法は例えばTetrahedron 53,14773〜92(1997年)に記載されている。
【0024】
例えば、式Iに従ってn=1およびm=1である式Vの二環式基本構造はイソキノリン−1−カルボン酸またはイソキノリン−1−カルボン酸の適当な誘導体、例えばメチルまたはエチルエステルを水素化することにより製造することができる。この水素化は例えばUS 5430023、US 5726159およびEP 643073に記載されている。
【0025】
同様に、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸およびその誘導体を水素化によるこれらの化合物の製造に使用することができる。この方法は1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸の幅広い合成法を使用することができるという利点を有する。特に、例えばUS 4902695に記載されているようなPictet−Spengler型環化反応がよく知られており、幅広く応用できる。このような方法により、例えば使用する出発物質の性質に応じて置換された化合物、すなわち置換基R1、R2およびR3がH原子ではない化合物を得ることができる。環−置換化合物の新しい例はWO 2003/041641に記載されている。
【0026】
環式基本構造を製造するための他の方法は例えばフリー・ラジカル環化反応により可能であり、Tetrahedron 48, 4659〜76(1992年)に記載されている。
nが1であり、mが0であるV型化合物を合成するために他の方法を使用することができる。合成法は例えばTetrahedron 55, 8025(1999年)、Tetrahedron Lett. 24, 5339(1983年)、並びに特許公報DE 3322530およびDE 3211676に記載されている。特定の条件下ではN−保護形態のV型化合物を使用することが有意義である。例えば、このように保護された化合物は遊離イミノ酸よりも良く精製することができ、また状況次第でエナンチオマー的またはジアステレオマー的に純粋な化合物を製造するためにより良く使用することができる。イミノ基の保護基として使用することができる基は「Protective Groups in Organic Synthesis」, T.H. Greene, P.G.M. Wuts, Wiley−Interscience(1999年)に記載されている。好ましいアミノまたはイミノ保護基は例えばZ、Boc、Fmoc、Aloc、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、ベンジルなどである。
【0027】
反応は例えばWO 97/18194に記載のようにして行なわれる。工程段階a)の反応はKOH、NaOH、LiOH、N−メチルモルホリン(NMM)、N−エチルモルホリン(NEM)、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピリジン、コリジン、イミダゾールまたは炭酸ナトリウムのような塩基の存在下、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、クロロホルムまたは塩化メチレンのような溶媒中で、または水の存在下で行なわれる。反応がシリル化剤を使用して行なわれる場合、例えばN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)またはN,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)を使用してイミノ酸をシリル化してスルホンアミド生成が行なわれる。
【0028】
側鎖Fの変更とは本発明の式Iの化合物の前駆体を得るために、例えばニトロ基を金属触媒Pd/Cで水素化し、あるいは標準条件下でSnCl2またはZnと反応させ、その後得られるアミノ基をさらに例えば塩化カルボニル、塩化スルホニル、クロロ蟻酸エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、または他の反応性または活性化試薬と反応させて変更することを意味する。この場合、非保護カルボン酸だと副反応が起こりうるため、大抵は化合物IIIのReはエステルであることが有利である。
【0029】
工程段階c)において、式Iの化合物はジアステレオマーまたはエナンチオマーの混合物
として存在する場合、あるいは選択された合成法でその混合物が得られる場合、任意のキラル支持材におけるクロマトグラフィーにより、あるいは式Iのラセミ化合物の塩形成が可能な場合は補助物質として光学的に活性な塩基または酸を使用して生成したジアステレオマー塩の分別結晶により純粋な立体異性体に分離される。エナンチオマーの薄層またはカラムクロマトグラフィーによる分離に適したキラル固定相の例は改質シリカゲル支持体(Pirkle相と呼ばれる)および高分子量の炭水化物、例えばトリアセチルセルロースである。分析の目的で、当業者に知られている適当な誘導体化の後にキラル固定相におけるガスクロマトグラフィー法を使用することもできる。ラセミ体のカルボン酸のエナンチオマーを分離するために、光学的に活性な、通常は商業的に入手できる塩基、例えば(−)−ニコチン、(+)−および(−)−フェニルエチルアミン、キニン塩基、L−リシンまたはL−およびD−アルギニンを使用して溶解度が異なるジアステレオマー塩を生成し、溶解度が低い成分を固体として単離し、溶解度が高いジアステレオマーを母液から沈殿させ、このようにして得られたジアステレオマー塩から純粋なエナンチオマーを得る。原則として同様に、アミノ基のような塩基性基を含有する式Iのラセミ化合物を光学的に活性な酸、例えば(+)−カンファー−10−スルホン酸、D−およびL−酒石酸、D−およびL−乳酸、並びに(+)−および(−)−マンデル酸で純粋なエナンチオマーに変換することができる。アルコールまたはアミン官能基を含有するキラル化合物を適当に活性化した、または必要に応じてN−保護されたエナンチオピュアなアミノ酸で相当するエステルまたはアミドに変換することもでき、逆にキラルなカルボン酸をカルボキシルが保護されたエナンチオピュアなアミノ酸でアミドに、または乳酸のようなエナンチオピュアなヒドロキシカルボン酸で相当するキラルなエステルに変換することができる。次に、エナンチオピュアな形態に導入されたアミノ酸またはアルコール基のキラリティーを利用して存在するジアステレオマーの分離を結晶化または適当な固定相におけるクロマトグラフィーにより行ない、含まれるキラル部分を適当な方法で除去することにより異性体を分離することができる。
【0030】
幾つかの本発明の化合物に関する他の可能性は本構造を製造するためにジアステレオマー的またはエナンチオマー的に純粋な出発物質を使用することである。したがって、必要に応じて最終生成物を精製するために他のまたは簡易化された方法を使用することもできる。これらの出発物質は文献で知られている方法によりエナンチオマー的またはジアステレオマー的に純粋なものとして予め製造されている。例えば、上記で述べられ、引用されたように、デカヒドロイソキノリン−1−カルボン酸の製造工程でイソキノリン−1−カルボン酸を直接使用することができる。3個の立体中心が存在する場合、最大8個の立体異性体(4対のエナンチオマーのジアステレオマー)が生成する。しかしながら、製造の方法に応じて、例えば水素化では特定の立体異性体が非常に好ましい。したがって、文献に記載のように、例えば水素化条件(触媒、圧力、溶媒、温度)を適当に選択することにより環の接合部位への水素付加に関して強力な優先性を達成できるであろう。このように、ある条件下でシス接合を有する環の生成を達成することができる。カルボン酸の位置はまだ決定していない;可能な立体異性体の数はすでに4個に限定されている。水素化機構の性質のため、特に橋頭水素と同じ側に水素を容易に付加することができる。すなわち、それにより異性体生成の可能性について他の制限が予想される。したがって、最も好ましい場合、1対のエナンチオマーだけが生成すると考えられる。その後、これは上記の方法により各エナンチオマーに分割される。しかしながら、これらの推測では完全な立体選択が起こらないと想定する必要もある;それどころか、より多いまたはより少ない量の他の異性体もまた大抵いつも生成し、僅かな量でも適当な方法により検出することができる。エナンチオピュアな1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸誘導体を使用する場合、イソキノリン−1−カルボン酸の水素化と同じであるか、または類似した反応条件で同様の推測があてはまり、また好ましい立体異性体だけが多量に生成するということが予想される;この場合、イソキノリン−1−カルボン酸の水素化でシス環接合をもたらす類似条件下の水素化法において、同様に片側からのH原子の付加だけが可能であり、類似生成物が生成するため単独のエナンチオマーが強力に優先する。構造の同一性は適当な2D NMR実験、X線法、例えば共結晶化など、並びに比較分析または化学誘導体化および適当な分析または知られている異性体をもたらす化学誘導体化により確認することができる。
エナンチオマー的またはジアステレオマー的に純粋な化合物を合成するための他の可能性はキラル置換基を通して他のキラリティー中心でキラリティーの誘発を達成するために適当なキラルに置換された出発物質を使用することである。例えば、すでに上記で説明したようにキラルなTic誘導体を得、これを水素化するPictet−Spengler環化反応ではキラルなグリオキシル酸エステルを使用することができる。
【0031】
式Iの化合物の酸性または塩基性生成物はそれらの塩形態または遊離形態で存在する。好ましくは、薬理学的に許容しうる塩、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、あるいは塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヘミ硫酸塩、すべての考えられるリン酸塩、およびアミノ酸、天然塩基または カルボン酸の塩である。
【0032】
工程段階d)において塩形成が可能な式Iの化合物(それらの立体異性体を含む)からの生理学的に許容される塩の製造はそれ自体知られている方法で行なわれる。式Iの化合物は塩基性試薬、例えば水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、アルコラート、およびアンモニアまたは有機塩基、例えばトリメチルアミンまたはトリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン、トロメタモールまたは塩基性アミノ酸、例えばリシン、オルニチンまたはアルギニンと安定なアルカリ金属、アルカリ土類金属、または適当ならば置換アンモニウム塩を生成する。式Iの化合物が塩基性基を有する場合、安定な酸付加塩を強酸で製造することもできる。このためには塩酸、臭化水素酸、硫酸、ヘミ硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、4−ブロモベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルアミドスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、グリセロールリン酸、乳酸、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、グルコン酸、グルクロン酸、パルミチン酸、またはトリフルオロ酢酸のような無機酸および有機酸が共に適している。
【0033】
本発明はまた、式III
【化8】

[式中、R5は水素原子、NH2、Li、Mg、SH、S−CH3、Cl、Br、I、Si−(CH3)3、SO2−Cl、SO2−Br、SO2−Yであり、前記Yは容易に除去できる基、例えば活性エステルO−Ryであり、前記Ryはオルト−またはパラ−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、またはペンタフルオロフェニルであり、あるいはYは複素環、例えばイミダゾール、ベンゾイミダゾールまたはベンゾトリアゾールであり、その結合は複素環の窒素を通して行なわれる]の新規中間体に関する。
【0034】
活性エステル法は例えばJ. Org. Chem. 45, 547(1980年)、Indian J. Chem. 25, 1273(1986年)、J. Org. Chem. 57, 190(1992年)、Nippon Kagaku Kaishi 4, 631〜6(1976年)およびTetrahedron Lett. 28, 2115(1987年)に記載されている。
式III(式中、R5はSO2−Cl、SO2−BrまたはSO3Hである)の化合物を製造するための好ましい変異体は適当に置換されたジアリールエーテルから出発する。これらの塩化アリールスルホニルおよびアリールスルホン酸の製造は文献に開示されており、様々な方法により行なうことができる。
【0035】
頻繁に使用される合成法は式VIII
【化9】

の化合物から出発し、それをクロロスルホン酸との反応によりアリールスルホン酸に変換することができ、または過剰のクロロスルホン酸を使用して直接塩化アリールスルホニルにすることもできる。この場合、導入される基の位置は他の置換基の配向性効果に依存する。この場合、フェノキシ置換基はスルホン酸基のような侵入する置換基を望ましいパラ位に配置する。しかしながら、状況次第で多重のスルホン化または他の望ましくない副反応が起こりうるため反応条件を維持することに注意を払う必要がある。前記方法によりスルホン酸が最初に製造される場合、塩化スルホニルへの変換は多くの異なる方法により可能である。首尾よく使用されるものは塩化オキサリル、オキシ塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、さらに他の塩素化法である。クロロスルホン酸による合成法は多くの文献、例えばOrg. Synth. I, 8および85(1941年)に記載されている。他の知られている方法を使用してスルホン酸基を式VIIIの化合物に導入することができる。使用される例は濃硫酸(Recl. Trav. Chim. Pays−Bas 107, 418 (1988年))、シリル化硫酸(Bull. Soc. Chim. Fr., 第195頁(1980年))、J. Am. Chem. Soc. 71, 1593(1949年))、三酸化硫黄(Recl. Trav. Chim. Pays−Bas 111, 215(1992年))、三酸化硫黄および二酸化硫黄の混合物(J. Prakt. Chem. 22, 290(1963年))、三酸化硫黄および濃硫酸の混合物(J. Prakt. Chem. 93, 183(1916年))である。
【0036】
他の頻繁に使用される方法はアリールアミンから出発する。これらは最初にジアゾ化反応で、例えば濃塩酸水溶液中で亜硝酸ナトリウムにより反応させてジアゾ化合物に変換され、次に銅触媒、例えばCuClまたはCuCl2を使用して好ましくは酢酸中のSO2で塩化スルホニルに変換される。例えばBioorg. Med. Chem. Lett. 9, 1251(1999年)、J. Med. Chem. 27, 1740(1984年)、Org. Synth. 60, 121(1981年)、Chem. Ber. 90, 841(1957年)、Org. Synth. VII, 508(1990年)を参照。
【0037】
他の方法は式IXの化合物
【化10】

(式中、ハロゲンはCl、BrまたはIである)から出発する。これらはアルキルリチウム、例えばn−BuLi(Buはブチルを意味する)でリチウム化アリールに変換される。その後、これらはSO3−アミン付加物(例えばトリメチルアミン)と反応させてスルホン酸に変換される。直接に塩素化誘導体をもたらすSO2およびNCSまたはSO2およびSOCl2 との反応もまた開示されている。これらの反応は例えばJ. Org. Chem. 61, 1530(1996年)、J.Chem. Soc., Perkin I, 13, 1583(1996年)およびSynthesis 第852頁(1986年)に記載されている。同様に、グリニャール型反応もまた開示されている:Chem. Ber. 128, 575(1995年)。
さらに、塩化スルホニルはアリールチオールで酸化し、その後塩素化することにより製造することができる:Chem. Lett. 8, 1483(1992年)。
シリル化フェノキシフェニルは相転移条件下でシリル化クロロスルホン酸によりスルホン酸に変換することができる(Synthesis 11, 1593(1998年))。
【0038】
R5がSO3である式IIIの化合物の製造は特に2つの異なる方法により行なうことができる。
これに関して好ましい方法はすでにトリフルオロメトキシ基を有する部分構造を使用す
るジアリールエーテル合成法である。これは好ましくは例えば4−トリフルオロメトキシベンゼンまたはその関連する誘導体、さもなければ置換可能なF、Cl、Br、Iを含有する4−置換された4−トリフルオロメトキシフェニルである。前者の場合、使用される反応物質は例えばハロベンゼンであり、または後者の場合はフェノールである。使用される合成法に応じて、例えば最近の合成法に記載のような他の置換可能な置換基もまた可能である。この出発物質は知られている方法により製造することができ、または購入することができる。ジアリールエーテル合成法は幅広く最近の合成法、例えばOrg. Lett. 6, 913(2004年)に記載されている。例えばTetrahedron 56, 5045(2000年);J. Heterocycl. Chem. 36, 1453(99);Org. Lett. 5, 3799(2003年);Synlett 11, 1734(2003年);Organic Chemistry, 第1〜8頁(2002年);J. Am. Chem. Soc. 119, 10539(1997年)において、総説は多数
の方法を提示している。
【0039】
同様に、適当に4−置換されたベンゼンスルホン酸誘導体、例えば塩化4−ブロモベンゼンスルホニルを使用することもできる。これをアリールエーテル合成について記載されている条件下で少なくとも2当量の4−トリフルオロメトキシフェノールと反応させてジアリールエーテルの相当するスルホン酸アリールエステルを得る。その後、塩素化により式IVの酸塩化物を得るために好ましくはスルホン酸エステルとスルホン酸の塩基性開裂を行なう必要がある。
【0040】
使用することができる他の方法は相当する4−フェノキシフェノールからトリフルオロメトキシ側鎖を構成すると考えられる。しかしながら、トリフルオロメトキシ基の特定の性質により、一時的にすぎないが単純なアルキルエーテルとの類推からごく少数の特定の方法だけが知られている。4−フェノキシフェノールは種々の強塩基で脱プロトン化することができる。その後、求核置換反応はジブロモジフルオロメタンを使用して行なわれる。得られるブロモジフルオロメトキシフェノキシフェノールは穏やかなフッ素化法を使用して、例えばピリジン−HF(US 4782094およびEP 0257415)でフッ素化することができる。さらに式IIIの化合物を得るための反応は上記のようにして行なうことができる。
【0041】
式IIIの化合物を使用して薬理学的に活性な化合物を合成することができる。これらは類似の非フッ素化誘導体と同様の活性を有することが多い。しかしながら、薬剤を開発する過程で様々な性質の化合物を調整し、最適化する必要がある。薬剤を開発する過程ではこれらの性質を早期に試験することが非常に重要であり、ここでマイナスの性質は活性物質プロファイリングの早期の終了をもたらすため、生物活性の他に吸収、分布、代謝および排泄が決定的に重要である。
【0042】
今般、驚くべきことに寄与する構造式として式IVの化合物を含む化合物は側鎖として未置換アルキルエーテルまたはフッ化アルキルを持つ構造的に類似した化合物よりも明らかに一層良好な薬物動態特性を有することを見い出した。
【0043】
本発明はまた、有効含有量の少なくとも1種の式Iの化合物および/または式Iの化合物の生理学的に許容される塩および/または式Iの化合物の任意の立体異性体を薬学的に適した生理学的に許容される担体、添加剤および/または他の活性物質および賦形剤と一緒に含有する薬剤に関する。
【0044】
薬理学的特性のため、 本発明の化合物はメタロプロテナーゼの増大した活性が関与する進行中のすべての疾患の選択的な予防および治療に適している。これらには変形性関節症、例えば骨関節症、脊椎症、関節損傷後の軟骨融解、あるいは半月板損傷または膝蓋損傷または靱帯裂傷後の長期の関節固定がある。これらにはまた、結合組織障害、例えば膠原病、歯周病、創傷治癒障害および運動系の慢性疾患、例えば炎症性、免疫学的に、または代謝が関連する急性および慢性の関節炎、関節症、筋肉痛および骨代謝障害が含まれる
。式Iの化合物はまた、潰瘍、アテローム性動脈硬化症および狭窄症の治療に適している。さらに式Iの化合物は炎症、ガン、腫瘍転移、悪液質、拒食症、心不全および敗血症性ショックの治療に適している。本化合物はまた、心筋梗塞および脳梗塞の予防にも適している。
【0045】
本発明の薬剤は経口、吸入、経腸または経皮投与により、あるいは皮下、関節内、腹腔内または静脈注射により投与することができる。経口投与が好ましい。
本発明はまた、少なくとも1種の式Iの化合物を薬学的に適した生理学的に許容される担体、さらに場合により適当な活性物質、添加剤または賦形剤と一緒に適当な投与形態に変換することからなる薬剤の製造法に関する。
【0046】
適当な固体または医薬製剤の例は顆粒剤、粉末剤、被覆錠剤、錠剤、(マイクロ)カプセル剤、坐剤、シロップ剤、経口液剤、懸濁剤、乳剤、滴剤または注射剤、および活性物質が持続的に放出される製剤であり、その製造において慣用の補助剤、例えば担体、崩壊剤、結合剤、コーチング剤、膨張剤 、滑剤または滑沢剤、芳香剤、甘味剤および可溶化剤が使用される。頻繁に使用される賦形剤の例は炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトールおよび他の糖類、タルク、乳タンパク質、ゼラチン、スターチ、セルロースおよびその誘導体、動物および植物油、例えば魚肝油、ひまわり油、落花生油または胡麻油、ポリエチレングリコールおよび溶剤、例えば滅菌水および一価または多価アルコール、例えばグリセロールである。
【0047】
医薬製剤は好ましくは、それぞれ活性成分として所定用量の本発明の式Iの化合物を含有する投与単位で製造および投与される。錠剤、カプセル剤、被覆錠剤または坐剤のような固体投与単位の場合、この用量は約1000mg以下であるが、好ましくは約50〜300mgであり、またアンプル中の注射液の場合は約300mgであるが、好ましくは約10〜100mgである。
【0048】
体重が約70kgの成人患者の治療に適応される1日量は式Iの化合物の活性に応じて約2mg〜1000mg、 好ましくは約50mg〜500mgの活性物質である。しかしながら、状況次第で適当ならば1日量を増やしたり、減らしたりしてもよい。1日量は単独の投与単位または多数のより小さい投与単位の形態で1日に1回の投与により、また所定の間隔で1日2回以上の分割投与により投与することができる。
【0049】
最終製品は通常、質量分光法(FAB−, ESI−MS)および1H NMR(400 MHz, DMSO−D6中)により測定され、何れの場合にもその主ピークまたは2個の主ピークが表示される。温度はセ氏温度で表され、RTは室温(21℃〜24℃)を意味する。使用される略語は説明してあるか、または通常の慣習と一致する。
【0050】
本発明を下記の実施例により詳細に説明する。一般法を使用して式Iの化合物を合成することができる。
一般法1:塩化スルホニルおよびカルボン酸からのスルホンアミド
カルボン酸(6.45ミリモル)を20mlのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、0℃で3当量の3N NaOH溶液(6.45ml)を加えた。10分後、10〜15mlのDMF中における塩化アリールスルホニル(1.1当量、7.1ミリモル)の溶液をゆっくりと滴加し、室温(RT)に達した後、混合物を20℃〜80℃の温度で最大12時間攪拌した。正確な時間は起こった変換に従って確認され、それは質量分析により測定した。次に、溶媒を減圧下で除去した。水性の後処理を行なった(1N HClおよび飽和NaCl溶液で抽出し、有機相、例えば酢酸エチル、塩化メチレンまたはクロロホルムを硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した)。粗生成物を直接さらに反応させるか、またはクロマトグラフィーにより精製した。
【0051】
一般法2:塩化スルホニルおよびカルボン酸からのスルホンアミド
カルボン酸を0.5〜2モルのNaOH中で場合により10〜50%テトラヒドロフラン(THF)またはDMFを加えて溶解した。酸塩化物(1〜1.2当量、好ましくは1.1当量)をTHF(0.05〜1M濃度)に溶解し、ゆっくりと滴加した。自動滴定装置において2N NaOHをRTで自動的に加えてpHを一定に維持した。pHを8〜12、好ましくは9〜11に調整した。NaOH消費がもうないことから反応完了を確認した後、回転蒸発器で有機共溶媒を除去し、水溶液または懸濁液を酢酸エチルと混合し、1N HClで酸性にした。有機相を除去し、水相を酢酸エチルで新たに抽出した後、有機相を合一し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を直接さらに反応させるか、またはクロマトグラフィーにより精製した。
【0052】
一般法3:塩化スルホニルおよびカルボン酸からのスルホンアミド
8ミリモルのイミノ酸を30mlのアセトニトリル中で溶解または懸濁した。不活性気体(N2)下、RTで2.3g(9ミリモル)のBSTFA(ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド)を加え、混合物を2時間加熱還流した。30mlのアセトニトリルに溶解した2.84g(9ミリモル)の塩化スルホニルをこの溶液に加え、混合物を再び3時間加熱還流した。反応混合物を冷却した後、1N HCl水溶液を加え、1時間攪拌し、溶媒を回転蒸発器により減圧下で除去し、次に酢酸エチルまたはクロロホルムを加え、有機相を分離し、飽和NaCl溶液で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。反応生成物の純度に応じて、それを直接さらに反応させることができ、さもなければシリカゲル上のクロマトグラフィーによる処理を先に必要とする。
【0053】
一般法4:クロロホルメート活性化によるカルボン酸からのヒドロキサム酸の製造
スルホン化カルボン酸を10mlのDMFに溶解し、0℃で1.1当量のエチルクロロホルメート、2.2当量のN−エチルモルホリン、さらに30分〜1時間の前活性化時間の後に3当量のトリメチルシリルヒドロキシルアミンを加えた。混合物を80℃で少なくとも4時間加熱した後、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をクロマトグラフィー法により精製した。
【0054】
一般法5:相当する塩化カルボニルを経たヒドロキサム酸の製造
スルホン化カルボン酸を乾燥クロロホルム(エタノールを含まない)(0.5ミリモルに対して約5ml)に入れ、RTで3当量の塩化オキサリルを加えた。その混合物を45℃で約30分間加熱した。塩化物の生成をチェックするために少量の試料を反応フラスコから採取し、THF中で少量のベンジルアミンと混合した。ベンジルアミドが定量的に生成し、カルボン酸がもう検出できないことから反応完了を確認した(HPLC−MSによりチェックした)。場合により、長時間加熱したり、還流条件下で加熱したりする必要がある。次に、溶媒を減圧下で蒸留により除去し、残留物を乾燥トルエンに取り、再び数回蒸発乾固した。酸塩化物をクロロホルム(0.5ミリモルに対して10ml)に取り、RTで3当量のO−トリメチルシリルヒドロキシルアミンを加えた。少なくとも30分の反応時間(HPLC−MSにより反応チェックした)後、反応混合物を減圧下で蒸発させ、残留物を直接クロマトグラフィーにより精製した。
【0055】
〔実施例1〕4−トリフルオロメトキシフェノキシベンゼン
4−トリフルオロメトキシブロモベンゼン(10g、41.5ミリモル)、フェノール(3.9g、41.5ミリモル)、炭酸カリウム(8.03g、58ミリモル)および塩化銅(103mg、1.04ミリモル)を乾燥DMF中で混合した。混合物をアルゴン下、150℃で28時間攪拌した。次に、反応混合物を回転蒸発器で濃縮し、残留物を酢酸エチルに取り、10%濃度の炭酸ナトリウム溶液およびチオ硫酸ナトリウム固体と混合した。珪藻土フリットを通過させて両方の相を分離することにより微細な固体成分を除去し、水相を酢酸エチルでさらに2回抽出した。合一した有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(溶離剤:n−ヘプタン/酢酸エチル10:1)を行なって前駆体成分および副生成物を除去した。生成物フラクションを合一した。収量:2.5g、理論量の24%;1HNMR:7.09 (m, 4 H);7.20 (m, 1 H);7.42 (m, 4 H)。MS:255.2 (ES++)。
【0056】
〔実施例2〕塩化4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル
実施例1の生成物(2.4g、9.44ミリモル)を25mlのジクロロメタンに溶解し;氷水で冷却しながら5mlのジクロロメタン中におけるクロロスルホン酸(0.84g、7.2ミリモル)の溶液をゆっくりと滴加し、その混合物をRTで2.5時間攪拌した。さらにジクロロメタンを加え、混合物を少量の水で抽出した。珪藻土を通して微細な固体をろ過して除去した。有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過により乾燥剤を除去した後、蒸発させた。25mlのジクロロメタンに溶解し、ゆっくりと塩化オキサリル(0.823ml、1.2g、9.44ミリモル)を滴加し、0.5mlのDMFを加え、40℃で1時間攪拌し、4℃で一晩放置し、次の日にLC−MSにより反応チェックした後、さらに0.5mlの塩化オキサリルを加え、新たに40℃で2時間撹拌することにより直接反応を行なった。反応混合物を氷に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。ろ過により乾燥剤を除去し、次にトルエンを加え、減圧下で蒸発させた。
収量:4.56g(>100%、塩を含む)。1H−NMR (CDCl3中):6.82;6.91;7.12;7.57 (4m, 8H)。MS:352.0 (ES+)。
加水分解(アセトニトリル中の水)により純粋なスルホン酸が得られる。
1H NMR (DMSO−D6中): 6.99; 7.13;7.40;7.54 (4 m (“d”), 8 H)。MS: 333.2 (ES−)。
【0057】
〔実施例3〕2−[4−[4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−(N−ヒドロキシ)カルボキサミド
工程1:スルホンアミド生成
テトラヒドロキノリン−1−カルボン酸(502mg、2.84ミリモル)を60mlのアセトニトリル中で溶解または懸濁した。不活性気体(N2)下、RTで1.85g(9.07ミリモル)のBSA(ビス(トリメチルシリル)アセトアミド)を加え、その混合物を0.5時間加熱還流した。10mlのアセトニトリルに溶解した1.0g(2.84ミリモル)の実施例2からの化合物をこの溶液に加え、その混合物を再び還流条件下で2時間加熱した。反応混合物を冷却した後、1N HCl水溶液を加え、混合物を1時間攪拌し、溶媒を回転蒸発器により減圧下で除去し、次に酢酸エチルを加え、有機相を分離し、飽和NaCl溶液で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮した。生成物の純度をLC−MSによりチェックし、得られた粗生成物 を直接さらに反応させた。
【0058】
工程2:ヒドロキサメート合成
工程1からの化合物を40mlのクロロホルムに溶解した。次に塩化オキサリル(1.585g、4.99ミリモル、1.093ml)を20分間にわたって滴加し、得られた反応混合物を40〜45℃で2時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸留して除去し、残留する油状物をトルエンで同伴させて塩化オキサリル残留物またはHClを除去し、減圧下で15分間放置した。次に、それを再びクロロホルム(40ml)に取り、RTでO−トリメチルシリルヒドロキシルアミン(0.41g、3.9ミリモル)を加えた。2時間後、溶媒を減圧下で除去し、残留物を少量のアセトニトリル−水−0.01%トリフルオロ酢酸混合物に溶解して分取用RP−HPLCに付した。生成物フラクションを合一し、アセトニトリルを減圧下で除去し、水相を凍結乾燥した。収量:580mg(理論量の39%)。1H−NMR:2.7, 2.9 (2m, 2H);3.6, 4.0 (2m, 2H) 5.21 (s, 1H);7.2 (m, 8H);7.45, 7.81 (dd, 4H);9.0 (s, br, 1H);11.1 (s, 1H)。MS:508.09 (ES+)。
【0059】
上記の方法と同様にして実施例4 〜7の化合物を合成した。
〔実施例4〕2−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]デカヒドロイソキノリン−1−(N−ヒドロキシ)カルボキサミド
1H NMR:1.1−1.95 (4 m, 12 H);3.6 (水とオーバーラップしている;2 m, 2 H); 4.1 (d, 1 H);7.12;7.27;7.48;7.77 (2 dd, 8 H);8.9 (s, br., 1 H);10.9
(s, 1 H)。MS (ES+):515.21。
【0060】
〔実施例5〕5−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]オクタヒドロフロ[3,2−c]ピリジン−4−カルボン酸
1H NMR:1.5−2.1 (4 m, 4 H);2.55 (m, 1 H);3.25−3.85 (4 m, 4−5 H, 水とオーバーラップしている);4.28 (d, 1 H);7.1 (d, 2 H);7.18;7.27;7.48;7.80 (2 dd, 8 H);12.8 (s, 1 H)。MS (ES+):488.07。
【0061】
〔実施例6〕5−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]オクタヒドロフロ[3,2−c]ピリジン−4−(N−ヒドロキシ)カルボキサミド
MS (ES+):503.10 (保持時間1.442分; YMC J'sphere ODS H80 20×2, 4μ;30℃、0分:96%水、0.05%TFA、2.0分:95%アセトニトリル、2.4分〜2.45分:95%アセトニト
リル〜4%アセトニトリル;1ml/分、注入量 0.4μl) 。
【0062】
〔実施例7〕2−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]デカヒドロ−ベンゾ[c]アゼピン−1−(N−ヒドロキシ)カルボキサミド
1HNMR:1.1−2.3 (m, 14 H); 3.6 (水とオーバーラップしている; 2 m, 2 H); 4.4 (d, 1 H); 7.12; 7.25; 7.48; 7.79 (2 dd, 8 H); 8.7 (s, br., 1 H);10.5 (s, 1
H)。MS (ES+):529.25。
【0063】
比較化合物の製造
上記の方法と同様にして表2の比較化合物を合成した。
メトキシおよびトリフルオロメチル側鎖を有する類似の塩化スルホニルは商業的に入手できる。スルホンアミド生成およびヒドロキサム酸生成は上記と同様にして行なった。エトキシ化合物は4−フェノキシフェノールから出発して製造した。最初に、エチルエーテルを当業者に知られているトリフレート活性化によるエーテル生成の標準法により導入し、次に塩化スルホニルを得る反応を上記と同様にして行なった。スルホンアミド生成およびヒドロキサム酸の製造もまた上記と同様にして行なった。
【0064】
〔実施例8〕2−[4−(4−メトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸
1H NMR:2.5-2.9 (m, 2 H);3.5-3.8 (m, 2 H);3.8 (s, スプリット, 3 H);5.38 (s,
1 H);6.95−7.8 (mm, 12 H)。MS (ES+):439,11。
【0065】
〔実施例9〕2−[4−(4−メトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−N−ヒドロキシカルボキサミド
1H NMR:2.68, 2.90, 3.50, 3.98 (4 m, 4 H); 3.8 (s, 3 H); 5.20 (s, 1 H); 6.90−7.25 (m, 10 H);7.70 (d, 2 H);11.0 (s, 1 H)。MS (ES+):454.12。
【0066】
〔実施例10〕2−[4−(4−トリフルオロフェノキシ)ベンゼンスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸
1H NMR:2.45−2.9 (m, 2 H);3.6−4.1 (2m, 2 H);5.45 (s, 1 H);6.1−7.9 (mm, 12 H);9.0, 11.1 (2 s, 2 H)。MS (ES+):493.06。
【0067】
薬物動態測定−一般法
各場合において、14または16匹の平均体重が20〜28gの雄のC57/BLマウスを実験のために使用し、2つのグループに分けた。動物に餌と水を自由に与えた。各物質を1:1のPEG400/水に溶解し、約7.5mg/kg(動物1匹あたり約0.2gに相当する)の濃度で強制経口投与した。各場合において、2種の新規化合物および1種の比較化合物を前もって別々に溶解し、混合し、同時に投与した(n-in-one study)。血液試料を0.25、0.5、1、2、4、6、8および24時間後に採取し、その物質濃度を下記のような標準条件下でHPLC−MSにより定量的に測定した。それぞれの結果を最初に2つのグループ内で集め、それらの平均を求めた。非コンパートメントモデル(血管外入力)を使用して薬物動態パラメーターを計算した。
【0068】
定量化はHPLC−MS−MSにより行なった。PE−Sciex API 4000(三連四重極質量分析計)と接続したAgilent(1100)のHPLCシステムを使用した。使用したカラムはProdigyR 5μ ODSであり、流量0.32ml/ml、注入量16μlである。溶離剤:アセトニトリル−0.002%ギ酸アンモニウム。検出はQ1で焦点を合わせ、Q3でフィルターにより質量(フラグメント)を選別するMS/MSモード(多重反応モニタリング)で行なった。
予め血漿試料は次のようにして調製した:25μlのアセトニトリル/0.1%ギ酸塩(60/40)、同じ溶媒中の25μlの内部標準(5μg/ml)、25μlのブランク用血漿または試料用血漿、200μlのアセトニトリルを混合した。5分間混合し、遠心(3分間、5000g)し、次にピペットで200μlを測定容器に移した。
【0069】
薬理実施例
ヒトのストロメリシン(MMP−3)および好中球コラゲナーゼ(MMP−8)の触媒ドメインの調製およびその酵素活性の定量
2種の酵素ストロメリシン(MMP−3)および好中球コラゲナーゼ(MMP−8)をYeらの方法(Biochemistry;31, 第11231〜11235頁(1992年))により調製した。酵素活性または酵素阻害剤の効果は10μlの酵素溶液を酵素阻害剤を含有する10μlの3%濃度(v/v)の緩衝化ジメチルスルホキシド溶液と一緒に適当ならば15分間インキュベートすることにより測定した。1ミリモル/lの基質を含有する10μlの3%濃度(v/v)のジメチルスルホキシド水溶液を加えた後、その酵素反応を蛍光分光法(328nm(吸光)/393nm(発光))により追跡した。酵素活性は吸光量増加/分として表した。表1に記載したIC50値は各場合において酵素を50%阻害する阻害剤の濃度として定量した。
緩衝液は0.05%Brij(Sigma社, ダイゼンホッフェン, ドイツ)および0.1モル/lのトリス/HCl、0.1モル/lのNaCl、0.01モル/lのCaCl2および0.1モル/lのピペラジン−N,N'−ビス[2−エタンスルホン酸]を含有した(pH=7.5)。
Yeらの方法により調製した酵素ドメインの一方をMMP−3酵素溶液は2.3μ/ml、またMMP−8酵素溶液は0.6μg/ml含有した。基質溶液は1ミリモル/lの蛍光発生基質(7−メトキシクマリン−4−イル)アセチル−Pro−Leu−Gly−Leu−3−(2',4'−ジニトロフェニル)−L−2,3−ジアミノプロピオニル−Ala−Arg−NH2(Bachem社, ハイデルベルグ, ドイツ)を含有した。
【0070】
ヒトのコラゲナーゼ−3(MMP−13)の触媒ドメインの酵素活性の定量
このたんぱく質はベルリンのINVITEK社から不活性なプロ酵素(カタログNo.30 100 803)として入手した。プロ酵素の活性化:
2容量部のプロ酵素を1容量部のAPMA溶液と一緒に37℃で1.5時間インキュベートした。APMA 溶液は0.1ミリモル/lのNaOH中における10ミリモル/lのp−アミノフェニル酢酸第二水銀の溶液を3容量部のトリス/HCl緩衝剤(pH7.5)で希釈して調製した(下記参照)。1ミリモル/lのHClを加えてpHを7.0〜7.5に調整した。酵素を活性化した後、それをトリス/HCl緩衝剤で希釈して1.67μg/mlの濃度にした。
酵素活性は10μlの酵素溶液を10μlの3%濃度(v/v)の緩衝化ジメチルスルホキシド溶液と一緒に15分間インキュベート(反応1)することにより測定した。酵素阻害剤の活性は10μlの酵素溶液を酵素阻害剤を含有する10μlの3%濃度(v/v)の緩衝化ジメチルスルホキシド溶液と一緒にインキュベートする(反応2)ことにより測定した。
【0071】
0.075ミリモル/lの基質を含有する10μlの3%濃度(v/v)のジメチルスルホキシド水溶液を加えた後、反応1および反応2の両方の酵素反応を蛍光分光法(328nm(吸光)/393nm(発光))により追跡した。
酵素活性は吸光量増加/分として表した。阻害剤の効果は次の式により阻害率として計算した:
阻害率(%)=100−[(反応2の吸光量増加/分)/( 反応1の吸光量増加/分)×100]。
【0072】
酵素活性を50%阻害するのに必要な阻害剤濃度であるIC50は様々な阻害剤濃度でその阻害率をプロットすることによりグラフから定量した。
緩衝液は0.05%Brij(Sigma社, ダイゼンホッフェン, ドイツ)および0.1モル/lのトリス/HCl、0.1モル/lのNaCl、0.01モル/lのCaCl2を含有した(pH=7.5)。酵素溶液は1.67μg/mlの酵素ドメインを含有した。基質溶液は0.075ミリモル/lの蛍光発生基質(7−メトキシクマリン−4−イル)アセチル−Pro−Leu−Gly−Leu−3−(2',4'−ジニトロフェニル)−L−2,3−ジアミノプロピオニル−Ala−Arg−NH2(Bachem社, ハイデルベルグ, ドイツ)を含有した。
【0073】
驚くほど特に好ましい特性を持ち、記載した側鎖を有するMMP阻害剤の例:アルキル側鎖だけが異なる。
【0074】
【表1】

【0075】
Cmaxは何れかの試料採取時間で達した最大血漿濃度である。AUC“血中濃度曲線下面積”、すなわち濃度減少の経時変化およびCmaxがその値の大きさを決定する。
その相違は特に関連した血中濃度曲線下面積AUCを比較すると明らかになる。この値は本発明のトリフルオロメトキシ化合物の方がメトキシ側鎖を有する化合物よりも約5倍高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

の化合物、および/または式Iの化合物のすべての立体異性体、および/または任意の比率のこれらの異性体の混合物、および/または式Iの化合物の生理学的に許容される塩。
上記式中、Xは−OHまたは−NH−OHであり、
Aは式II
【化2】

の基であり、ここでR4は式IのS原子との共有結合を意味し、
R1、R2およびR3は同一または異なって互いに独立して
1)水素原子、
2)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、
3)−C(O)−O−R8であり、ここでR8は
3)1)水素原子、
3)2)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、またはフッ素により1〜5回置換され、
3)3)−(C6−C14)−アリール、または
3)4)Het環であり、
4)−O−R8であり、ここでR8は上記の意味を有し、
5)−(C3−C6)−シクロアルキル、
6)−ハロゲン、
7)−NO2、または
8)−CNであり、あるいは
9)R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって−(C6−C14)−アリール環を形成し、ここで該環は未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、あるいは
10)R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって−(C5−C7)−シクロアルキル環を形成し、ここで該環は未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、あるいは
11)R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって5−、6−または7−員のHet環を形成し、ここで該環は未置換であるか、Gにより1回置換され、あるいは
12)R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になってインドリルを形成し、ここで該インドリルは未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、
Gは1)水素原子、
2)ハロゲン、
3)=O、
4)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、ハロゲン、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回、2回または3回置換され、
5)−(C6−C14)−アリール、
6)Het環、
7)−C(O)−O−R10であり、ここでR10は
a)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、
b)−(C6−C14)−アリール、または
c)Het環であり、
8)−C(S)−O−R10であり、ここでR10は上記で定義された通りであり、
9)−C(O)−NH−R11であり、ここでR11は
a)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、または
b)−(C6−C14)−アリール、または
c)Het環であり、
10)−C(S)−NH−R11であり、ここでR11は上記で定義された通りであり、
11)−O−R12であり、ここでR12は
a)水素原子、
b)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、ハロゲン、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回、2回または3回置換され、
c)−(C6−C14)−アリール、
d)Het環、
e)−C(O)−O−R13であり、ここでR13は
e)1)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、または
e)2)−(C6−C14)−アリール、または
e)3)Het環であり、
f)−C(S)−O−R13であり、ここでR13は上記で定義された通りであり、
g)−C(O)−NH−R14であり、ここでR14は
g)1)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、または
g)2)−(C6−C14)−アリール、または
g)3)Het環であり、または
h)−C(S)−NH−R14であり、ここでR14は上記で定義された通りであり、
12)−C(O)−R10であり、ここでR10は上記で定義された通りであり、
13)−S(O)p−R12であり、ここでR12は上記で定義された通りであり、そしてpは整数0、1または2であり、
14)−NO2
15)−CN、
16)−N(R15)−R12であり、ここでR15は
16)1)水素原子、
16)2)−(C1−C6)−アルキル、または
16)3)−SO2−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、そしてR12は上記で定義された通りであり、または
17)−SO2−N(R12)−R16であり、ここでR12は上記で定義された通りであり、そしてR16は
17)1)水素原子、
17)2)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C4)−アルケニレン、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、
17)3)−C(O)−O−R8であり、ここでR8は上記の意味を有し、
17)4)−O−R8であり、ここでR8は上記の意味を有し、または
17)5)−(C3−C6)−シクロアルキルであり、そして
mおよびnは同一または異なって0、1、2または3であるが、但しmおよびnの総数は0、1、2または3である。
【請求項2】
Xは−OHまたは−NH−OHであり、
Aは式IIの基であり、
R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって
a)−(C6−C14)−アリール環であり、ここでアリールはフェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリルまたはフルオレニルの系から選択される基であり、未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、または
b)5−、6−または7−員のHet環であり、ここでHet環はフラン、イミダゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、チアゾールまたはチオフェンの系から選択される基であり、未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、または
c)インドリルであり、ここでインドリルは未置換であるか、Gにより1回または2回置換され、
Gは1)水素原子、
2)フッ素、塩素、臭素または沃素、
3)=O、
4)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、ハロゲン、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回、2回または3回置換され、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、ここでHet環はアクリジニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダザリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカ−ヒドロキノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ジヒドロフラン[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ジオキソリル、ジオキサニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル(ベンゾイミダゾリル)、イソチアゾリジニル、2−イソチアゾリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、オキソチオラニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピロアゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリドチオフェニル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロピリジニル、6H−1,2,5−チアダジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオモルホリニル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリルおよびキサンテニルの系から選択される基であり、
5)−(C6−C14)−アリールであり、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、
6)Het環であり、ここでHetは上記で定義された通りであり、
7)−C(O)−O−R10であり、ここでR10は
a)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、
b)−(C6−C14)−アリールであり、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、または
c)Het環であり、ここでHetは上記で定義された通りであり、
8)−C(S)−O−R10であり、ここでR10は上記で定義された通りであり、
9)−C(O)−NH−R11であり、ここでR11は
a)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、または
b)−(C6−C14)−アリールであり、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、または
c)Het環であり、ここでHetは上記で定義された通りであり、
10)−C(S)−NH−R11であり、ここでR11は上記で定義された通りであり、
11)−O−R12であり、ここでR12は
a)水素原子、
b)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、ハロゲン、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回、2回または3回置換され、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、
c)−(C6−C14)−アリールであり、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、
d)Het環であり、ここでHetは上記で定義された通りであり、
e)−C(O)−O−R13であり、ここでR13は
e)1)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−
(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、
e)2)−(C6−C14)−アリールであり、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、または
e)3)Het環であり、ここでHetは上記で定義された通りであり、
f)−C(S)−O−R13であり、ここでR13は上記で定義された通りであり、
g)−C(O)−NH−R14であり、ここでR14は
g)1)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、
g)2)−(C6−C14)−アリールであり、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、または
g)3)Het環であり、ここでHetは上記で定義された通りであり、または
h)−C(S)−NH−R14であり、ここでR14は上記で定義された通りであり、
12)−C(O)−R10であり、ここでR10は上記で定義された通りであり、
13)−S(O)p−R12であり、ここでR12は上記で定義された通りであり、そしてpは整数0、1または2であり、
14)−NO2
15)−CN、または
16)−N(R15)−R12であり、ここでR15は
16)1)水素原子、
16)2)−(C1−C6)−アルキル、または
16)3)−SO2−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、ここでHetは上記で定義された通りであり、そしてR12は上記で定義された通りであり、あるいは
17)−SO2−N(R12)−R16であり、ここでR12は上記で定義された通りであり、そしてここでR16は
17)1)水素原子、
17)2)−(C1−C6)−アルキルであり、ここでアルキルは未置換であるか、−(C3−C6)−シクロアルキル、−(C2−C6)−アルキニル、−(C6−C14)−アリールまたはHet環により1回または2回置換され、ここでアリールはフェニルまたはナフチルであり、そしてHetは上記で定義された通りであり、
17)3)−C(O)−O−R8であり、ここでR8は上記の意味を有し、
17)4)−O−R8であり、ここでR8は上記の意味を有し、または
17)5)−(C3−C6)−シクロアルキルであり、そして
mは1または2であり、そしてnは0であり、
mは1であり、そしてnは2であり、または
mおよびnは同一であり、それぞれ1である、
請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
Xは−OHまたは−NH−OHであり、
Aは式IIの基であり、
mは1であり、そしてnは2であり、または
mおよびnは同一であり、それぞれ1であり、そして
R1およびR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になってフェニル、テトラヒドロフラニルまたはシクロヘキシルを形成する、
請求項1または2記載の式Iの化合物。
【請求項4】
化合物は、
2−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−ヒドロキシカルボキサミド、
2−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]デカヒドロイソキノリン−1−(N−ヒドロキシ)カルボキサミド、
5−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]オクタヒドロフロ[3,2−c]ピリジン−4−カルボン酸、
5−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]オクタヒドロフロ[3,2−c]ピリジン−4−(N−ヒドロキシ)カルボキサミド、または
2−[4−(4−トリフルオロメトキシフェノキシ)ベンゼンスルホニル]デカヒドロ−ベンゾ[c]アゼピン−1−(N−ヒドロキシ)カルボキサミド、
である請求項1〜3の何れかの項記載の式Iの化合物。
【請求項5】
a)式III
【化3】

(式中、R5は水素原子、NH2、Li、Mg、SH、S−CH3、Cl、Br、IまたはSi−(CH3)3である)の化合物を式IV
【化4】

の化合物に変換し、次に式V
【化5】

(式中、R1、R2、R3、mおよびnは式Iで定義された通りであり、そしてReは水素原子またはエステル保護基である)の化合物と塩基の存在下で、または適当なシリル化剤でシリル化した後に反応させて、式VI
【化6】

(式中、R1、R2、R3、mおよびnは上記で定義された通りである)の化合物を得、そして
b)Reがエステルの場合、a)で生成した式VIの化合物をNaOHまたはLiOHの
ようなアルカリ金属水酸化物溶液と反応させ、次に酸で処理して式Iの化合物を得るか、または該エステルを塩酸のような鉱酸で処理することにより反応させて式VII
【化7】

のカルボン酸を得、次にこれをX=NH−OHである式Iのヒドロキサム酸に変換し、
c)その化学構造のためエナンチオマー形態で存在する工程a)またはb)で生成した式Iの化合物をエナンチオピュアな酸または塩基との塩形成、キラル固定相におけるクロマトグラフィー、アミノ酸のようなエナンチオピュアなキラル化合物を使用する誘導体化、このようにして得られたジアステレオマーの分離、およびキラルな補助基の除去により純粋なエナンチオマーに分離し、あるいは
d)工程b)またはc)で生成した式Iの化合物を遊離形態で単離するか、酸性または塩基性基が存在する場合は生理学的に許容される塩に変換する
ことからなる請求項1〜4の何れかの項記載の式Iの化合物の製造法。
【請求項6】
式III
【化8】

[式中、R5は水素原子、NH2、Li、Mg、SH、S−CH3、Cl、Br、I、Si−(CH3)3、SO2−Cl、SO2−Br、SO2−Yであり、ここでYは容易に除去できる基、例えば活性エステルO−Ryであり、ここでRyはオルト−またはパラ−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニルまたはペンタフルオロフェニルであり、またはYはイミダゾール、ベンゾイミダゾールまたはベンゾトリアゾールのような複素環であり、その場合の結合は複素環の窒素を介して行なわれる]の化合物。
【請求項7】
a)式VIII
【化9】

の化合物をクロロスルホン酸と反応させて相当するアリールスルホン酸に、または過剰のクロロスルホン酸を使用して直接塩化アリールスルホニルに変換するか、あるいは
b)式IX
【化10】

(式中、ハロゲンはCl、BrまたはIである)の化合物をn−BuLiのようなアルキルリチウムでリチウム化アリールに変換し、次にこれを適当ならばトリメチルアミンのようなSO3−アミン付加化合物と反応させることにより相当するスルホン酸に変換する
ことからなる請求項6記載の式IIIの化合物の製造法。
【請求項8】
請求項1〜4の何れかの項記載の少なくとも1種の式Iの化合物の有効含有量を、薬学的に適した生理学的に許容される担体、添加剤および/または他の活性物質および賦形剤と一緒に含有する薬剤。
【請求項9】
メタロプロテナーゼの増大した活性が関与する進行中のすべての疾患、例えば変形性関節症、例えば骨関節症、脊椎症、関節損傷後の軟骨融解、あるいは半月板損傷または膝蓋損傷または靱帯裂傷後の長期の関節固定、あるいは結合組織障害、例えば膠原病、歯周病、創傷治癒障害および運動系の慢性疾患、例えば炎症性、免疫学的に、または代謝が関連する急性および慢性の関節炎、関節症、筋肉痛および骨代謝障害の選択的な予防および治療、あるいは潰瘍、アテローム性動脈硬化症および狭窄症の治療、あるいは炎症、ガン、腫瘍転移、悪液質、拒食症、心不全および敗血症性ショックの治療、あるいは心筋梗塞および脳梗塞の予防のための薬剤の製造における請求項1〜4の何れかの項記載の式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2008−504316(P2008−504316A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518485(P2007−518485)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006416
【国際公開番号】WO2006/002764
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】