説明

5−カルボキシアルデヒド−2−3−ジヒドロベンゾオキセピン調製のための新規な1−メトキシ−2−フェニルエテン

本発明は、一般式(I)の化合物に関し、式中R、R1、R2は請求項1に記載の通りである。式(I)の化合物は、3,3−ジメチル−5−ホルミル−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン誘導体の調製に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−メトキシ−2−フェニル−エテン誘導体およびそれらの3,3−ジメチル−5−ホルミル−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン誘導体の調製ための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
3,3−ジメチル−5−ホルミル−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン誘導体(式II)は、
【0003】
【化1】

【0004】
EP1140893B1およびUS6596758特許に、異脂肪症(dyslipidemias)、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の治療に有用な5−(3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン−5−イル)−2,4−ペンタジエン酸誘導体を調製するための中間生成物として開示されている。
【0005】
これらの特許において、式IIの化合物は、以下のスキームに従って調製される。
【0006】
【化2】

【0007】
スキーム1:ベンゾオキセピノンを、Mが−Mg−hal(ここでhalはハロゲン原子)またはMがLiである、有機金属化合物CH3−Mと反応させる。
【0008】
この合成方法は、ベンゾオキセピノンから開始される4つの化学ステップを含み、報告によれば、その収率は中程度である。
【0009】
さらにこの合成経路は、商用実施のために規模を拡大することが容易にできない。
[発明の概要]
このたび、式(II)の化合物を調製する新規な改良された合成ルートが発見され、これは思いがけなく工業規模に適用可能である。
【0010】
有利なことに、式(II)の化合物を3ステップのみで得ることができ、各段階が高収率であるという特徴を有する。
【0011】
その他の利点は、本発明が式(II)の化合物の調製のための経済的かつ有効なルートを提供することである。
【0012】
本発明によれば、式(II)の化合物は、式(I)の新規な化合物から調製される。
【0013】
したがって、一態様において、本発明は一般式(I)の化合物に関する。
【0014】
【化3】

【0015】
各Rは、ハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;カルボキシ基;場合によってハロゲン化された(C1〜C18)アルコキシカルボニル基;Ra−CO−NH−またはRabN−CO−基[ここで、RaおよびRbは、場合によってハロゲン化された(C1〜C18)アルキル;水素原子;(C6〜C10)アリールまたは(C6〜C10)アリール(C1〜C5)アルキル(ここで、アリール部分は、ハロゲン原子によって、場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルキル基によってまたは場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルコキシ基によって場合によっては置換されている。);ハロゲン原子によって、場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルキル基によってまたは場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルコキシ基によって場合によっては置換されている(C3〜C12)シクロアルキルを独立に表す。];場合によってハロゲン化された(C1〜C18)アルキル基、場合によってハロゲン化された(C1〜C18)アルコキシ;および(C6〜C10)アリール、(C6〜C10)アリール(C1〜C5)アルキル、(C6〜C10)アリールオキシ、(C3〜C12)シクロアルキル、(C3〜C12)シクロアルケニル、(C3〜C12)シクロアルキルオキシ、(C3〜C12)シクロアルケニルオキシ;(C6〜C10)アリールオキシカルボニルまたは(C6〜C10)アリールカルボニルから独立に選択され、
ここで、アリール、シクロアルキルおよびシクロアルケニル部分は、ハロゲン原子によって、場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルキルによって、または場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルコキシによって場合によっては置換されており、
pは、0、1、2、3または4を表し、
1およびR2は、(C1〜C18)アルキル基であるか、または一緒になって−(CH2n−を生成する(ここで、nは2、3または4を表す)。
【0016】
式(I)は、式(I)の化合物の全ての種類の幾何異性体および立体異性体を包含する。
【0017】
上記での使用および本発明の説明を通して、以下の用語は、特段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解しなければならない。
【0018】
「アルキル」は、鎖中に1〜18個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を意味し、直線でも分枝でもよい。鎖中に1〜12個の炭素原子を有するアルキル基が好ましい。
【0019】
「分枝アルキル」は、アルキル直鎖に、メチル、エチル、プロピルなどの低級アルキル基が1つまたは複数結合していることを意味する。
【0020】
「低級アルキル」は、鎖中に1〜約4個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、直線でも分枝でもよい。
【0021】
アルキル基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシルまたはオクタデシルが含まれる。
【0022】
アルキル基は、1つまたは複数のハロゲン原子で置換されて、「ハロゲノアルキル」基を表すこともできる。
【0023】
「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。フッ素、塩素または臭素原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
【0024】
したがって「ハロゲノアルキル」基は、式「−Cn2n+1」(ここで、nは1〜18を表す)に相当する基を意味する「ペルフルオロアルキル」と呼ぶこともできる。
【0025】
ペルフルオロアルキル基の例は、ペンタフルオロエチルまたはトリフルオロメチルである。
【0026】
「アルコキシ」は、アルキル−O基を意味し、ここでアルキル基は本明細書で説明する通りである。アルコキシ基の具体例には、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシおよびヘキシルオキシ基が含まれる。
【0027】
「シクロアルキル」は、約3〜12個の炭素原子を有する、非芳香族の単環式または多重環式環系を意味する。この環系の環の大きさは、約3〜8個の環原子を含むことが好ましく、5〜6個の環原子を含むことがより好ましい。シクロアルキルは、場合によっては、1つまたは複数の「環系置換基」で置換されている。環系置換基は、同じでも異なっていてもよく、本明細書に記載の通りである。具体的な単環式シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロデシルなどが含まれる。
【0028】
具体的な多重環式シクロアルキルには、1−デカリン、ノルボルニルなどが含まれる。
【0029】
「シクロアルケニル」は、約3〜約12個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、非芳香族の単環式または多重環式環系を意味する。この環系の環の好ましい大きさは、約5〜約6個の環原子を含む。シクロアルケニルは、場合によっては、1つまたは複数の「環系置換基」で置換されている。環系置換基は、同じでも異なっていてもよく、本明細書に記載の通りである。具体的な単環式シクロアルケニルには、シクロペンタニル、シクロヘキサニル、シクロヘプタニルなどが含まれる。具体的な多重環式シクロアルケニルは、ノルボルニレニルである。
【0030】
「アリール」は、約6〜10個の炭素原子を有する芳香族の単環式または多環式環系を意味する。アリールは、場合によっては、1つまたは複数の「環系置換基」で置換されている。環系置換基は、同じでも異なっていてもよく、本明細書に記載の通りである。具体的なアリール基には、フェニルまたはナフチル、あるいは置換フェニルまたは置換ナフチルが含まれる。
【0031】
「アルケニル」は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子、好ましくは約2〜約4個の炭素原子を有し、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素を意味し、直線でも分枝でもよい。
【0032】
「分枝アルケニル」は、メチル、エチルまたはプロピルなどの1つまたは複数の低級アルキルまたはアルケニル基が、アルケニル直鎖に結合したことを意味する。「低級アルケニル」は、鎖中に約2〜約4個の炭素原子を有し、直線でも分枝でもよい。アルケニル基は、1つまたは複数のハロゲン原子と置換することもできる。具体的なアルケニル基には、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、i−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、n−ペンタニル、ヘプタニル、オクテニル、シクロヘキシル−ブテニルおよびデセニルが含まれる。
【0033】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基であって、アリール基が本明細書に記載の通りであることを意味する。具体的なこの基には、フェノキシおよび2−ナフチルオキシが含まれる。
【0034】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−CO基であって、アリール基が本明細書に記載の通りであること意味する。具体的なアリールオキシカルボニル基には、フェノキシ−カルボニルおよびナフトキシカルボニルが含まれる。
【0035】
「アリールカルボニル」は、アリール−CO基であって、アリール基が本明細書に記載の通りであること指す。
【0036】
具体的なアリールカルボニル基には、ベンゾイルが含まれる。
【0037】
(C6〜C10)アリール、(C3〜C12)シクロアルキル、(C3〜C12)シクロアルケニルは、場合によっては1つまたは複数の「環系置換基」によって置換されている。
【0038】
「環系置換基」は、ハロゲン原子、場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルキル、または場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルコキシ、ハロゲンアルキルおよびアルコキシを本明細書で定義されたように含む芳香族または非芳香族環系に結合された置換基を意味する。
【0039】
「アリール、シクロアルキルおよびシクロアルケニルの部分は、ハロゲン原子によって、場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルキルまたは場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルコキシによって場合によっては置換されている」という表現は、アリール、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基が、場合によっては、
ハロゲン原子;
場合によっては、1つまたは複数のハロゲン原子によって置換されているアルキル基;および
場合によっては、1つまたは複数のハロゲン原子によって置換されているアルコキシ基
からなる群から選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていることを意味する。
【0040】
「場合によってハロゲン化した」という表現は、説明の状況において、場合によっては1つまたは複数のハロゲン原子によって置換されていることを意味する。
【0041】
各Rは、ハロゲン原子、場合によって置換されたハロゲン化(C6〜C10)アリールカルボニル、場合によってハロゲン化された(C1〜C18)アルキル、場合によってハロゲン化された(C1〜C18)アルコキシ、または場合によってハロゲン化された(C6〜C10)アリールを独立に表すことが好ましい。
【0042】
より好ましくは、Rが(C1〜C18)アルコキシ基を表し、より好ましくは(C1〜C4)アルコキシ基であり、最も好ましくはメトキシ基である。
【0043】
pは、1または2であることが好ましく、より好ましくは1である。
【0044】
Rは、フェニル環上で、メトキシエテニル基に関して、オルト(6)、メタ(3または5)およびパラ(4)の位置を取ることもでき、メタ位であることが好ましく、位置5であることがより好ましい。
【0045】
1およびR2は、独立に(C1〜C4)アルキル基を表すことが好ましく、メチル、エチルまたはイソプロピルを表すことがより好ましい。
【0046】
別の好ましい実施形態において、R1およびR2は一緒になって、−(CH2n−鎖を生成する(ここで、nは、2または3を表す)。
【0047】
本発明によれば、好ましい一実施形態は、式(I)の化合物であり、ここでR1およびR2は共にC25−基を表すか、または一緒になって−CH2−CH2−基を生成する。
【0048】
式(I)の好ましい化合物は、以下の群から選択することができる。
1)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−5−ブロモ−フェニル)−エテン
2)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−3−メトキシ−フェニル)−エテン
3)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−4,5−ジクロロ−フェニル)−エテン
4)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−5−フルオロ−フェニル)−エテン
5)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−5−(パラ−クロロベンゾイル)−フェニル)−エテン
6)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−5−トリフルオロ−メチル−フェニル)−エテン
7)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−5−フルオロ−2−フェニル)−エテン
8)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−5−クロロ−フェニル)−エテン
9)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−4,5−ジメトキシ−フェニル)−エテン
10)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−5−フェニル−フェニル)−エテン
11)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ)−フェニル)−エテン
12)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−5−メトキシ−フェニル)−エテン。
13)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−5−ブロモ−フェニル)−エテン
14)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−3−メトキシ−フェニル)−エテン
15)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−4,5−ジクロロ−フェニル)−エテン
16)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−5−フルオロ−フェニル)−エテン
17)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−5−(パラ−クロロベンゾイル)−フェニル)−エテン
18)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−5−トリフルオロ−メチル−フェニル)−エテン
19)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−5−フルオロ−2−フェニル)−エテン
20)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−5−クロロ−フェニル)−エテン
21)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−4,5−ジメトキシ−フェニル)−エテン
22)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−5−フェニル−フェニル)−エテン
23)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ)−フェニル)−エテン
24)E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−5−メトキシ−フェニル)−エテン。
【0049】
本発明の特に有利な実施形態によれば、好ましい化合物は、R=5−OCH3、p=1であり、R1およびR2が共に−CH2−CH2−基を生成する化合物である(式(IA))。
【0050】
【化4】

【0051】
本発明の特に有利な実施形態によれば、好ましい化合物は、R=7−OCH3、p=1およびR1=R2=−C25である(式(IB))。
【0052】
【化5】

【0053】
式(I)の化合物から出発する式(II)の化合物の調製方法
本発明によれば、式(I)の化合物は、スキーム2に従って、式(II)の化合物の調製に使用される。
【0054】
【化6】

【0055】
したがって、別の態様において、本発明は
a)式(I)の化合物を酸と反応させる;および場合によっては、
b)得られた式(II)の化合物を分離する
ことを含む式(II)化合物の調製方法を対象とする。
【0056】
式(I)の化合物の式(II)の化合物への転換は、酸の存在下で実施される。この酸は、触媒剤として働く。この反応に使用される酸の性質に特別な制限はなく、分子の他の部分に悪影響を及ぼさない限り、この種類の反応に慣習的に使用されているどの酸も同等に使用することができる。
【0057】
この合成反応のステップi)に触媒作用を及ぼす適切な酸には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸が含まれる。
【0058】
無機酸が最も好ましく、とりわけ硫酸が好ましい。
【0059】
酸の量は、式(I)の化合物1モルに対して、例えば、0.2〜2モル、より好ましくは0.5〜1モルである。
【0060】
反応および含まれる試薬に悪影響を及ぼさない限り、使用する溶媒の性質に関して特別な制限はない。
【0061】
ステップa)のための適切な溶媒は、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの極性および非プロトン性溶媒であり、DMFが特に好ましい。
【0062】
反応は、広範囲な温度範囲において行うことができ、正確な反応温度は、本発明にとって重要ではない。一般的に、反応を約室温〜約100℃の温度で、好ましくは約50℃〜から約100℃の温度で行うのが便利であることが判明している。
【0063】
反応に必要な時間も、様々な要因、とりわけ反応温度および反応物の性質により、大きく変化し得る。しかしながら、反応が上記に概説した好ましい条件の下で達成されるならば、反応時間は通常約3時間から20時間で十分である。
【0064】
このようにして調製した化合物は、通常の方法によって反応混合物から回収することもできる。例えば、溶媒を反応混合物から蒸留することで、あるいは必要な場合には、反応混合物から溶媒を蒸留した後、残留物を水に注ぎ、その後水に可溶性の有機溶媒で抽出して、抽出物から溶媒を蒸留することで、化合物を回収することもできる。加えて、生成物は、所望する場合には、再結晶、再沈殿または種々のクロマトグラフィー技法など、様々な良く知られている技法、とりわけカラムクロマトグラフィまたは予備的薄層クロマトグラフィーによって、さらに精製することができる。
【0065】
本発明に従って、式(I)に対応する化合物から出発して便利に調製することもできる式(II)の好ましい化合物は、以下からなる群から選択することができる。
【0066】
3,3−ジメチル−5−ホルミル−7−ブロモ−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン、
3,3−ジメチル−5−ホルミル−9−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン、
3,3−ジメチル−5−ホルミル−7,8−ジクロロ−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン、
3,3−ジメチル−5−ホルミル−7−フルオロ−8−クロロ−2,3−ジ−ヒドロベンゾオキセピン、
3,3−ジメチル−5−ホルミル−7−(パラ−クロロベンゾイル)−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン、
3,3−ジメチル−5−ホルミル−7−トリフルオロメチル−2,3−ジ−ヒドロベンゾオキセピン、
3,3−ジメチル−5−ホルミル−7−フルオロ−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン、
3,3−ジメチル−5−ホルミル−7−クロロ−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン、
3,3−ジメチル−5−ホルミル−7,8−ジメトキシ−2,3−ジヒドロ−ベンゾオキセピン、
3,3−ジメチル−5−ホルミル−7−フェニル−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン、
3,3−ジメチル−5−ホルミル−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン、
3,3−ジメチル−5−ホルミル−7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン。
式(I)の化合物の調製方法
本発明による、有用な化合物は既知の方法の応用または適用によって調製してもよい。既知の方法とは、これはこれまでに使用された、あるいは例えばR.C.Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers、1989年などの文献に記載されている方法を意味する。
【0067】
別の態様において、本発明は以下を含む式(I)の化合物の調製方法に関する。
【0068】
ii)ステップi)で得られたアルデヒド(V)を、ホスホン酸塩(XIIa)またはホスホニウム塩(XIIb)の塩基との反応から調製したリンイリドと反応させる。
【0069】
【化7】

【0070】
1およびT2は、独立に(C1〜C5)アルキルを表し、T3、T4、T5は独立に(C1〜C5)アルキルまたは(C6〜C10)アリールを表し、場合によっては、
iii)得られた式(I)の化合物を分離する。
アルデヒド(V)は、
i)式(III)の化合物を、塩基の存在下で、式(IV)の化合物と反応させることが好ましい。
【0071】
【化8】

【0072】
式中、R、R1、R2およびpは、上記に記載される通りであり、Xはハロゲン原子、(C6〜C10)アリールスルホニルオキシ、(C1〜C6)アルキルスルホニルオキシを表す。
【0073】
「アリールスルホニルオキシ」は、アリール−SO2−基を意味し、ここでアリール基は本明細書に記載される通りである。アリールスルホニルオキシ基の例には、式p−CH3(C65)−SO3−のトシル基が含まれる。
【0074】
「アルキルスルホニルオキシ」は、アルキル−SO2−基を意味し、ここでアルキル基は本明細書に記載される通りである。アルキルスルホニルオキシ基の例には、式CH3−SO3−のメシル基が含まれる。
【0075】
この合成ルートをスキーム3に示す。
【0076】
【化9】

【0077】
ステップi)
ステップi)の反応は、塩基の存在下で行われる。この反応に使用される塩基の性質に特別な制限はなく、分子の他の部分に悪影響を及ぼさない限り、この種類の反応に慣習的に使用されているどの塩基も同等に使用することができる。
【0078】
適切な塩基の例には、水素化ナトリウムおよび水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物、メチルリチウムおよびブチルリチウムなどの(C1〜C10)アルキルリチウム化合物、ナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩が含まれる。これらの中で、アルカリ金属炭酸塩が特に好ましい。
【0079】
塩基の量は、化合物(III)の1モルに対して例えば、2〜10モル、好ましくは2〜3モルである。
【0080】
反応および含まれる試薬に悪影響を及ぼさない限り、使用する溶媒の性質に関して特別な制限はない。
【0081】
適切な溶媒の例には、炭化水素が含まれ、これらはヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族、脂肪族または脂環式炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒であってよい。これらの中で、トルエン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドが特に好ましい。
【0082】
反応は、広範囲な温度範囲において行うことができ、正確な反応温度は、本発明にとって重要ではない。一般的に、反応を約室温(20℃)〜約150℃の温度で、より好ましくは約50℃から約100℃の温度で行うのが便利であることが判明している。
【0083】
化合物(IV)の化合物(III)に対するモル比は、1.0〜1.5当量の間で変えることができ、好ましくは1.05〜1.1である。
ステップii)
ステージii)で実施される反応は、Wittig反応またはHorner−Emmons/Wadsworth−Emmons反応のいずれかである。これらの反応は、当技術分野において良く知られており、一般的に反応性イリドの調製を含む。この主題についてのさらなる情報は、G.Wittig、U.Schollkopf、Ber.87,1318(1954年);G.Wittig、W.Haag、同上、88,1654(1955年);L.Homer他、Ber.91、61(1958年);同上他、同上92,2499(1959年);W.S.Wadsworth,Jr.、W.D.Emmons、J.Am.Chem.Soc.83,1733(1961年)を参照することができる。
【0084】
イリドがホスホニウム塩(化合物XIIb)から調製される場合、実施される反応はWittig反応である。
【0085】
イリドがホスホン酸塩(化合物XIIa)から調製される場合、反応はHorner−EmmonまたはWadsworth−Emmons反応と呼ばれる。
【0086】
ステージii)において、イリドは、塩基を化合物(XIIa)または化合物(XIIb)のいずれかと反応させることで調製される。使用する塩基は、リンのアルファ位の水素原子を除去するために、十分に強力でなければならない。
【0087】
一般的に、塩基は、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アミド、(C1〜C10)アルキルリチウムおよびアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される。
【0088】
本発明の状況において、水素化ナトリウムおよび水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが特に好ましい。
【0089】
塩基の化合物(XIIa)または(XIIb)への反応は、溶液中で、好ましくは非プロトン性溶媒中で、とりわけホスホン酸塩(XIIa)およびホスホニウム塩(XIIb)をそれぞれ溶解できる溶媒中で達成される。
【0090】
適切な溶媒の例は、とりわけ、例えばベンゼンおよびトルエンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジオキサンまたはテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンまたはHMPTおよびこれらの混合物などの非プロトン性極性溶媒である。
【0091】
ステップii)の反応は、化合物(XIIa)、化合物(XIIb)それぞれの酸性度に応じて、広範囲な温度において行うことができ、これはリンに関してアルファ位の水素原子を除去する能力を意味する。使用する塩基の種類は、反応温度の選択に直接影響を及ぼす。したがって、塩基が強くなるほど、反応温度は低くなる。
【0092】
塩基がアルカリ金属アルコキシドの場合、−10°と100℃の間の温度が、一般的に適している。
【0093】
ステップii)において、ホスホン酸塩またはホスホニウム塩を、対応するイリドに変換するために化学量論的量の塩基が一般的に必要である。しかしながら、化合物(XIIa)または(XIIb)のイリドへの全転換を行わせるために、少し過剰の塩基を使用することもできる。したがって、化合物(XIIa)、化合物(XIIb)それぞれに対する塩基のモル比は、1と1.2の間、好ましくは1と1.1の間、より好ましくは1と1.05の間に維持される。本発明によれば、反応混合物中の化合物(XIIa)、化合物(XIIb)それぞれの濃度は重要ではない。濃度は0.01mol/Lと10mol/Lの間で変えることができ、好ましくは0.1mol/Lと1mol/Lの間である。
【0094】
好ましい実施形態によれば、化合物(XIIa)、化合物(XIIb)それぞれと塩基との反応に由来するイリドの生成は、アルデヒド(V)を加える前に行われる。
【0095】
リンイリドは、ホスホニウム塩(XIIb)から調製されることが好ましく、CH3OCH2PPh3Clから調製されることがより好ましい。
【0096】
好ましい実施形態によれば、イリドは、テトラヒドロフラン中でCH3OCH2PPh3Clをカリウムtert−ブトキシドと反応させることで調製される。
式(IV)の化合物
別の態様において、本発明は式(IV)の化合物に関する:
【0097】
【化10】

【0098】
式中、Xはハロゲン原子、(C1〜C6)アルキルスルホニルオキシまたは(C6〜C10)アリールスルホニルオキシを表し、
1、R2は(C1〜C18)アルキル基であるか、または一緒になって−(CH2n−(ここで、nは2、3または4を表す)を生成する。
但し、X=IおよびR1=R2=CH3である式(IV)の化合物は、X=I、BrまたはpCH3−(C65)SO3−であり、R1、R2は一緒になって−(CH23−鎖を形成する。
【0099】
式(IV)の好ましい化合物は、とりわけ、
1、R2が(C2〜C6)アルキル基であるか、または一緒になって−(CH22もしくは−(CH24−鎖を形成し;および/または
XがCl、Br、IまたはCH3SO3−を表す化合物である。
【0100】
最も好ましい化合物は、とりわけ式(IV)の化合物であって、
式中、
XがCl、Br、I、CH3SO3−および/またはR1=R2=C25を表し、あるいはR1およびR2が一緒になって−(CH22−鎖を形成する。
【0101】
式(IV)の化合物は、式(I)の化合物の調製に特に有用であり、その結果、式(II)の化合物を調製するための有利な合成中間体でもある。
ステップiii)
このようにして調製した式(I)の化合物は、通常の方法によって反応混合物から回収することもできる。例えば、溶媒を反応混合物から蒸留することで、あるいは必要な場合には、反応混合物から溶媒を蒸留した後、残留物を水に注ぎ、その後水に可溶性の有機溶媒で抽出して、抽出物から溶媒を蒸留することで、化合物を回収することもできる。加えて、生成物は、所望する場合には、再結晶、再沈殿または種々のクロマトグラフィー技法など、様々な良く知られている技法、とりわけカラムクロマトグラフィまたは予備的薄層クロマトグラフィーによって、さらに精製することができる。
式(IV)の化合物の調製方法
本発明による式(IV)の化合物は、既知の方法の応用または適用によって調製することもできる。既知の方法とは、これまでに使用された、あるいは例えばR.C.Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers、1989年などの文献に記載されている方法を意味する。
【0102】
別の態様において、本発明は、式(IV)の化合物の調製方法を対象とする。
【0103】
式(IV)の化合物は、
b1)アルデヒド(VII)を、酸の存在下で、アルコールR1OHおよびR2OHまたはHO−(CH2)n−OHと反応させるステップと(ここで、n、R1およびR2は、上記に記載の通りである)。
【0104】
【化11】

【0105】
および場合によっては、
c1)得られた化合物(IV)を分離するステップとを含む方法によって調製することもできる。
【0106】
アルデヒド(VII)は、
a1)式(VI)のアルコールを、対応するアルデヒド(VII)へと酸化することにより調製されることが好ましい。
【0107】
【化12】

【0108】
式中、Xは、ハロゲン原子、(C6〜C10)アリールスルホニルオキシ基、(C1〜C6)アルキルスルホニルオキシ基を表す。
ステップa1)
通常の酸化剤を、一次アルコールをアルデヒドに転換する標準的技法に従って使用することもできる。しかしながら、アルデヒドがさらにカルボン酸に酸化されないよう予防策を講じなければならない。この主題に関するさらなる情報は、March’s,Advanced Organic Chemistry、Michael B.SmithおよびJerry Marchを参照することもできる。
【0109】
適切な酸化剤には、DMSO、クロム酸塩、例えば、重クロム酸ピリジウム、Na2Cr27、K2Cr27、Cr3およびNCS/tempoおよびtempo/NaOClが含まれる。
【0110】
反応および含まれる試薬に悪影響を及ぼさない限り、異なる溶媒を使用することもできる。
【0111】
適切な溶媒の例は、とりわけ、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素である。
【0112】
好ましい実施形態によれば、アルコール(VI)は、ジクロロメタン中でtempo/NaOClによって、出版物J.Jurczak他、Tetrahedron(1998年)、54巻、6051〜6064頁において開示されているのと類似の条件において酸化される。
【0113】
化合物(VI)の群Xは、ヨウ素原子を表すことが好ましい。
【0114】
かかる化合物は、X=Cl、Brまたはアルキルスルホニルオキシである、式(IV)の対応する化合物から通常の方法に従って調製することもできる。
【0115】
一例として、X=Clである式(IV)の化合物は、DMF中でNaIの存在下で、X=Iに転換することもできる。
ステップb1)
ステップb1)で使用することのできる酸は、ケタール形態の下でのアルデヒドの保護に使用される通常のどの酸でもよい。
【0116】
適切な酸には、とりわけ、塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などのスルホン酸が含まれる。これらの中でスルホン酸、とりわけパラトルエンスルホン酸が特に好ましい。
【0117】
酸のアルデヒドVIIに対するモル比は、例えば、0.001〜0.5当量、より好ましくは0.01〜0.1当量である。
【0118】
アルコールR1OHおよびR2OH、またはHO−(CH2n−OHのアルデヒドVIIに対するモル比は、1.0〜2.0当量の間で変えることができ、より好ましくは、1.0〜1.1(1.1を含む)である。
【0119】
好ましい実施形態において、アルコールはHO−(CH2n−OHであり、より好ましくはエチレングリコールである。
【0120】
一例として、この調製の好ましい実施形態は、スキーム5による化合物(IVA)の調製によって示される。
【0121】
【化13】

【0122】
式(IV)の化合物は、
a2)式(VIII)のアルデヒドを、塩基および酸の存在下、式(IX)のホルムアルデヒドと反応させるステップと;
【0123】
【化14】

【0124】
b2)化合物(X)のアルコール官能基を、ハロゲン原子または(C1〜C16)アルキルスルホニルオキシ基または(C6〜C10)アリールスルホニルオキシ基へと転換するステップと;
場合によっては、
c2)得られた生成物を分離するステップを含む方法で調製するステップとを含む方法によって調製することもできる。
【0125】
【化15】

【0126】
ステップa2)
ステップa2)における化合物(X)の調製は、Tsuzuki他、Tetrahedron Letters,第19巻、No.11、989〜992頁(1978年)およびMatsuda他、Tetrahedron(46(10)、3469〜3488頁、(1990年))に従って達成することができる。類似のことが、L.Paquette他(JACS 105(25)、7352〜7358頁、(1983年))およびM.H.Seo他による(J.of Korean Chem.Soc.,39(6)、489〜491頁(1995年)において記述されている。
ステップb2)
ステップb2)の反応は、通常の方法によって達成することができる。
【0127】
化合物(X)のヒドロキシル基が、アルキルスルホニルオキシまたはアリールスルホニルオキシ基に転換されるのが好ましい。
【0128】
この転換は、塩基の存在下、化合物(X)をアルキルスルホニルまたはアリールスルホニルハロゲン化物と反応させるなど、通常の方法に従って達成することができる。
【0129】
適切なアルキルスルホニルまたはアリールスルホニルハロゲン化物の例には、とりわけ、塩化メチルスルホニルまたはp−塩化トルエンスルホニルなどの、アルキルまたはアリールスルホニルの塩化物または臭化物が含まれる。
【0130】
適切な塩基の例には、とりわけアミン、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピレンアミンなどの第三級アミンが含まれる。
【0131】
適切な溶媒の例には、非プロトン性溶媒、とりわけ、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素が含まれる。
【0132】
このヒドロキシル基のアルキルまたはアリールスルホニル基への転換は、広範囲な温度、とりわけ−10℃と100℃の間で行うことができる。
【0133】
好ましい実施形態によれば、アルキルまたはアリールスルホニルオキシ基が、ハロゲン原子に転換される。
【0134】
アルキルスルホニルオキシまたはアリールスルホニルオキシ基を、ヨウ化ナトリウム、臭化物ナトリウム、塩化リチウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物と反応させるなど、通常の方法を使用することができる。
【0135】
この反応の適切な溶媒は、とりわけ非プロトン性溶媒、特にN,N−ジメチルホルムアミド、N−ジメチルスルホキシドアセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒である。
【0136】
一例として、この合成ルートを、以下のスキーム6による化合物(IVA)の調製によって例示する。
【0137】
【化16】

【0138】
あるいは、化合物(X)のヒドロキシル官能基を、通常の方法に従って直接ハロゲン原子へと転換することもできる。
【0139】
通常の方法には、とりわけ、アルコール(X)を、DMSO中のMe3SiCl、またはCCl4もしくはCBr4と組み合わせたPPh3と反応させることが含まれる。
【0140】
これら方法のさらなる情報は、M.B.SmithおよびJ.MarchのMarch’s Advanced Organic Chemistry、第5版、Wiley Interscience社を参照することができる。
【0141】
上記で説明した反応において、例えばアミノまたはカルボキシ基などの反応性官能基を最終製品中に存在させたい場合、反応中にこれらが望ましくない沈殿をするのを防ぐために、これらの保護が必要なこともある。通常の保護基を標準的技法に従って使用することもでき、例えば、T.W.GreenおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley and Sons、1991年;J.F.W.McOmieのProtective Groups in Organic Chemistry、Plenum Press,1973年を参照されたい。
【0142】
出発原料は、市販されているか、または既知の方法の応用または適用で調製することができる。
【0143】
本発明の化合物、それらの調製方法は、以下の実施例でより明確に理解されよう。これらは例示の目的のためだけに提供されるもので、本発明の範囲を制限するものと考えてはならない。
実施例
実施例1
3−ヨード−2,2−ジメチル−1−プロパンジオキソラン(式(IVA))
A)スキーム5による調製:
a)3−ヨード−2,2−ジメチル−プロパノール(式(VI):X=I(VIC)):
80g(0.53mol)の乾燥NaIおよび5g(0.03mol)のK2CO3を、アルゴン雰囲気下、DMF75ml中の50g(0.4mol)の3−クロロ−2,2−ジメチル−1−プロパノール(式VIA)の溶液に加える。混合物を、還流状態で8時間撹拌する。次に反応混合物を室温にして、500mlの水を加えて希釈する。有機層を1050mlの酢酸エチルで抽出し、Na2SO3の飽和水溶液で洗浄し、次いで250mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、60gの無水硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発して式(VIC)の粗製化合物を得る。
【0144】
1RMN δppm:0.97(s,6H,CH3);2.48(s,広幅,OH);3.17(s,2H,CH2);3.37(s,2H,CH2)。
【0145】
13C RMN δppm:20.3(CH2I);23.7(2C,CH3);35.5(q,1C);69.7(CH2O)。
【0146】
b)3−ヨード−2,3−ジメチル−1−プロパナール(式(VII):X=I(VIIA))
100mlの水を、アルゴン雰囲気下、塩化メチレン300ml中の式VIの粗製化合物75.25g(0.35mol)の溶液に加える。次いで4.71g(0.035mol)のヨウ化カリウムおよび58.8gの重炭酸ナトリウムを混合物に加える。−5℃で冷却した後、0.546gのTEMPOを加え、混合物を強く30分間撹拌する。次いで275mlの10%〜13%NAOCl溶液を加える(反応は、TLCによって制御する)。混合物を250mlの塩化メチレンで2回抽出し、400mlの0.1N塩酸で洗浄し、次に400mlの飽和Na2SO3溶液で洗浄する。有機層を5gの重炭酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させる。有機物オイルを、30℃、400mbarで蒸留して式(VII)の粗製化合物58gを得る。
【0147】
1RMN:δppm:1.19(s,6H,CH3);3.21(s,2H,CH2I);9.38(s,1H,CHO)。
【0148】
13C RMN δppm:12.5(CH2I);22.1(2C,CH3);45.3(q,1C);201.9(CHO)。
【0149】
c)3−ヨード−2,2−ジメチル−1−プロパンジオキソラン(式(IVA):
58gの式VIの粗製化合物を、155mlトルエン中の61mlのエチレングリコール、0.778gのパラトルエンスルホン酸と混合する。混合物を、還流状態で8時間加熱し、4〜5mlの水を除去する。この溶液を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、有機層を酢酸エチル(400ml)で抽出する。重炭酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を蒸発させて、残留物を、88〜90℃、8〜10mbarで蒸留して式(IVA)の化合物52gを得る。3つのステップの総合収率は50%である。
【0150】
1RMN:δppm:1.01(s,6H,CH3);3.20(s,2H,CH2I);3.81〜3.97(m,4H,CH2 ジオキソラン);4.65(s,1H,アノマー)。
【0151】
13C RMN δppm:18.2(CH2I);22.4(2C,CH3);37.4(q);65.4(2C,CH2O)。
【0152】
IR(膜)cm-1:950;1111.2;1473.4;1681.0;2881.2;2974.9
MS m/z=257[M+H]。
【0153】
B.スキーム6による調製
a):2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−1,3−ジオキソラン(式(X))
100g(1.4mol)のイソブチルアルデヒドおよび37%ホルムアルデヒド(150g、1.9mol)の撹拌混合物に、氷槽中で冷却しながら35g(0.26mol)の炭酸カリウムを少しずつ加えた。この混合物を室温まで温めて、一夜撹拌する。有機層を放置して2相に分離させ、400mlのトルエンで抽出する。有機層を合わせ、20gの無水硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮して152gのオイルを得る。この粗製オイルを、205mlのエチレングリコールおよび3.5gのパラトルエンスルホン酸を含む300mlのトルエン中に溶解する。混合物をディーンスタークトラップ(Dean Stark)を使用し、還流状態で6〜7時間加熱する。室温まで冷却した後、混合物を300mlのトルエンで希釈し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、乾燥および濃縮して、式(X)の粗製化合物152gを得る。
【0154】
b)2−(2−メタンスルホニルオキシ−1,1ジメチルエチル)−1,3−ジオキソラン(式(XI))
式Xの粗製化合物(152g、1.03mol)を、200mlのEt3Nを含む1.3リットルの塩化メチレンに溶解する。この溶液を0℃に冷却し、100mlの塩化メタンスルホニルをゆっくりと加える。次いで混合物を30分間撹拌する。2.5リットルの水を加え、有機層を塩化メチレンで抽出し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液で洗浄し、重炭酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮する。次いで、残留物を110℃、0.1mbarで蒸留して150g(収率66%)の式(XI)の化合物を得る。
【0155】
1RMN:δppm:0.96(s,6H,CH3);2.96(s,3H,CH3O);3.73〜3.83(m,4H,CH2 ジオキソラン);4.03(s,2H,CH2OMs);4.63(s,1H,アノマー)。
【0156】
IR(膜)cm-1:842.2;960;1093;1177(SO2);1343(SO2);1404.1;1470;2974
MS m/z=225[M+H]。
【0157】
c)3−ヨード−2,2−ジメチル−1−プロパンジオキソラン(式(IVA)):
148g(0.6mol)の式(XI)の化合物を、297g(2mol)のNaIを含む700mlのジメチルホルムアミドに溶解する。この混合物を還流状態で8時間撹拌する。1リットルのNaCl飽和溶液を加える。有機層を酢酸エチルで抽出し(800mlで2回)、Na2SO3の飽和溶液および200mlの重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄する。85〜92℃、10mbarにおいて濃縮および蒸留した後、式(IVA)の化合物142gを得る。
収率:84%。
【0158】
実施例2
2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ)−5−メトキシ−ベンズアルデヒド(式(V):p=1;R=5−CH3O;R1、R2=−CH2−CH2−(VA))
70g(0.27mol)の式(IVA)の化合物、67.89g(0.57mol)の炭酸カリウム、100mlの1−メチル−2−ピロリドン、67.89g(0.57mol)、25g(0.16mol)の2−ヒドロキシ−5−メトキシ−ベンズアルデヒド(式(III))の混合物を、132℃において3〜4時間撹拌する。次いで、1−メチル−2−ピロリドンの25mlに溶解した2−ヒドロキシ−5−メトキシ−ベンズアルデヒドの25g(0.16mol)を加え、混合物を132℃で4時間撹拌する。次いで1リットルの飽和NaCl溶液を加え、その後500mlの水を加える。混合物を、1リットルのジイソプロピルエーテルで抽出する。有機層をNaOH15%溶液で洗浄し、重炭酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮して、84gの粗製化合物(VA)を得る。
粗製生成物の収率:100%
収率:重亜硫酸塩で精製後88%。
【0159】
実施例3
E,Z−1−メトキシ−2−(2−(2−メチル−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)プロポキシ−)−5−メトキシ−フェニル)−エテン(式(I):p=1;R=5−CH3O;R1、R2=−CH2−CH2−:(IA))
1.6g(14.28mmol)の3ブチル化カリウムを、−5℃において、20m1THF中の2.9g(8.57mmol)[CH3OCH2P(Ph)3+Cl-溶液に加える。混合物を23℃において2時間撹拌する。次いで、2g(7.14mmol)のアルデヒド(VA)を加える。この混合物を室温でさらに2時間撹拌する。10mlの塩化アンモニウム冷(氷)飽和溶液を加える。有機層を350mlのジエチルエーテルで抽出する。炭酸カルシウムで乾燥し、濃縮した後、残留物をクロマトグラフィーによって精製する。
【0160】
1RMN:δppm:1.06および1.07(s,6H,2CH3);3.67(s,2H,CH2O);3.72および3.74(s,3H,CH3O);3.75(s,3H,CH3O);3.85〜3.94(m,4H,CH2 ジオキソラン);4.85(s,1H,アノマー);5.63(d,0.3H,J=6HZ,CH=);6.03(d,0.7H,J=14HZ,CH=);6.15(d,J=8HZ,CH=);6.58〜6.80(m,2.7H,CH=);7.12(d,0.7H,J=12HZ,CH=);7.64(d,0.3H,J=2HZ,CH=)。
【0161】
IR(膜)cm-1:1049;1111;1222;1464;1497;1641;2966
MS m/z=309[M+H]
収率:94%。
【0162】
実施例4
3,3−ジメチル−5−ホルミル−7−メトキシ−2,3−ジヒドロベンゾオキセピン(式(II):p=1;R=7−CH3O;(IIA))
4リットルのジメチルホルムアミド中の180g(0.58mol)(IA)溶液に、1.7リットルの28%硫酸を加える。温度は70℃に上昇する。混合物を35〜40℃に冷却した後、75℃で16時間加熱する。混合物を室温まで冷却する。3リットルの水を加え、有機層を酢酸エチルで抽出する。重炭酸ナトリウム飽和溶液(pHは6と8の間とする必要がある)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、真空中で溶媒を蒸発させ、残留物をクロマトグラフィーによって精製する。精製後、得られた化合物は、[EP1140893B1、収率:96%]の実施例16i)で得られた化合物と同一である。
収率:100%。
【0163】
実施例5
3−ブロモ−2,2−ジメチル−1−プロパンジオキソラン(式(IV):X=Br、R1およびR2は−CH2−CH2−(IVB))
3−ブロモ−2,2−ジメチル−プロパノール(式(VI):X=Br(VIA))の4g(20mmol)、0℃に冷却した50mlのジクロロメタン中のモレキュラシーブ(4OA)1gに、シーライト(Celite、50/50)上のピリジニウムクロロクロム酸塩(PCC)6g(30mmol)を加える。30分後に溶媒を蒸発させ、粗製残留物(式(VII)のアルデヒド)をジエチルエーテルで抽出する。17℃、75mbarで濃縮した後、残留物を実施例1A)c)に従って処理し、68℃、2.5mbarで蒸留して化合物(IVB)を得る。
【0164】
1RMN:δppm:0.99(s,6H,2CH3);3.35(s,2H,CH2Br);3.78〜3.94(m,4H,CH2O);4.69(s,1H,アノマー)
13C RMN δppm:21.3(2C,CH3);38.5(q);65.8(2C,CH2O);107.8(アノマー)。
【0165】
IR(膜)cm-1:1001;1474;2883;2970。
【0166】
[収率:N]。
【0167】
実施例6
1−クロロ−2,2−ジメチル−3,3−ジエトキシ−プロパン(式(IV):X=Cl、R1=R2=CH3CH2−(IVC))
無水ジクロロメタン220ml中の(COCl)26.76ml(77.5mmol)溶液を、−40℃まで冷却する。次いで、153.8ml(10.9mmol)のジメチルスルホキシドをゆっくりと加える。5分後に、ジクロロメタン61ml中の1−クロロ−2,2−ジメチル−プロパノール(式(VIC):X=Cl)7.5gの溶液を加える。混合物を15分間撹拌し、その後Et3N36ml(264.3mmol)を加えた。30mlのジクロロメタンを加え、混合物を室温まで温める。有機層を水で洗浄し(150mlで3回)、硫酸ナトリウムで乾燥して、真空中で濃縮する(17℃/75mbar)。得られたオイルをエタノール中に溶解し、溶液を触媒量のPTSAを使用して還流状態で120分間加熱し、真空中で濃縮する(19℃/32mbar)。62〜65℃、10mbarで蒸留した後、8gの化合物(IVC)を得る(収率:68%)。
【0168】
1RMN δppm:0.96(s,6H,2CH3);1.25(t,6H,J=8HZ;OCH2CH3);3.44(s,2H,CH2Cl);3.48〜3.57(m,2H,CH2O);3.75〜3.88(m,2H,CH2O);4.25(s,1H,アノマー)
13C RMN δppm:15.4(2C,CH3);20.4(2C,OCH2CH3);41.4(q);53.1(CH2C1);65.8((2C,O2CH3);107.7(アノマー)。
【0169】
IR(膜)cm-1:656;1063;1249;1381;1474;
MS m:z=159。
【0170】
実施例7
1−ブロモ−2,2−ジメチル−3,3−ジエトキシ−プロパン(式(IV):X=Br、R1=R2=CH3CH2−(IVD))
実施例6に従って調製する。沸点:10mbarの下で74〜78℃
1RMN:δppm:0.92(s,6H,2CH3);1.12(t,6H,J=6HZ;OCH2CH3);3.28(s,2H,CH2Cl);3.42〜3.53(m,2H,CH2O);3.65〜3.80(m,2H,CH2O);4.17(s,1H,アノマー)
13C RMN δppm:15.2(2C,CH3);21.0(2C,OCH2CH3);40.3(q);43.4(CH2Br);66.1((2C,O2CH3);107.9(アノマー)。
【0171】
IR(膜)cm-1:656;1063;1249;1381;1474;
MS m:z=159
収率:79%。
【0172】
実施例8
1−メタンスルホニルオキシ−2,2−ジメチル−3,3−ジエトキシ−プロパン(式(IV):X=CH3SO3、R1=R2=CH3CH2−(IVE))
塩化メチレン中の、2,2−ジメチル−プロパンジオール−1,3 0.175molの溶液を−5℃まで冷却する。次いでピリジン1当量を、不活性雰囲気中で加え、その後30分後に塩化メタンスルホニル1当量を加える。混合物を室温まで温めて、1週間撹拌する。溶液を0.1NのHCl250mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させて、粗製2,2−ジメチル−1−メタンスルホニルオキシ−プロパノール30gを得る(収率:68%)。
【0173】
粗製アルコールを、実施例5に従って処理し、98℃、0.1mbarにおける蒸留の後、式(IVE)の化合物を得る。
【0174】
1RMN:δppm:0.89(s,6H,2CH3);1.12(t,6H,J=6HZ;OCH2CH3);2.90(s,3H,C3SO3);3.36〜3.51(m,2H,CH2O);3.65 3.80(m,2H,CH2O);3.95(s,2H,CH3SO32);4.12(s,1H,アノマー)
13C RMN δppm:15.2(2C,CH3);19.2(2C,OCH2CH3);36.5(CH3SO3);40.1(q);66.0((2C,O2CH3);75.7(CH3SO32);107.7(アノマー)。
【0175】
MS m:z=181。
【0176】
実施例9
2−(2−メチル−3,3−ジエトキシ−プロポキシ)−5−メトキシ−ベンズアルデヒド
(式(V):p=1;R=5−CH3O;R1、R2=CH3CH2O−:(VB))
2−ヒドロキシ−5−メトキシ−ベンズアルデヒド((式(III))および実施例6または7または8の化合物から、実施例2に従って調製し、式(VB)の化合物を得る。
【0177】
1RMN:δppm:1.05(s,6H,2CH3);1.17(t,6H,J=6HZ;OCH2CH3);3.47(m,2H,CH2O);3.76〜4.88(m,7H);4.33(s,1H,アノマー);6.93(d,1H,J=10HZ,CH 芳香族);80(m,2H,CH2O);3.95(s,2H,CH3SO32);4.12(s,1H,アノマー);7.10(dd,1H,J=4HZ,10HZ,CH 芳香族);7.29(d,1H,J=4HZ,CH 芳香族);10.50(s,1H,CHO)
13C RMN δppm:15.4(2C,CH3);19.9(2C,OCH2CH3);40.8(q);55.8((1C,OCH3);66.3(2C,CH2O);75.07(CH2O);108.0(アノマー);110.0(CH 芳香族);114.4(CH 芳香族);123.7(CH 芳香族);124.7(q,CH 芳香族);153.5(q,CH 芳香族);156.6(q,CH 芳香族);189.4(CHO)。
【0178】
IR(膜)cm-1:1115;1219;1497;1681;1686;2878;2975。
【0179】
実施例10
E,Z−1−メトキシ−2−((2−メチル−3,3−ジエトキシ)プロポキシ−)−5−メトキシフェニル)−エテン(式(I):p=1;R=5−CH3O;R1、R2=CH3CH2O:(IB))
実施例の化合物から、実施例3に従って調製し、式(IB)の化合物を得る。
【0180】
1RMN:δppm:0.98および0.99(s,6H,2CH3);1.07〜1.15(t,6H,J=6HZ,OCH2CH3);3.43(m,2H,CH2O);3.62〜3.78(m,10H,);4.33(s,1H,アノマー);5.58(d,0.6H,J=8HZ,CH=);5.97(d,0.4H,J=12HZ,CH=);6.10(d,0.6H,J=8HZ,CH=);6.53〜6.74(m,2.4H);7.05(d,0.4H,CH=);7.59(m,0.0.6H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物
【化1】


(各Rは、ハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;カルボキシ基;場合によってハロゲン化された(C1〜C18)アルコキシカルボニル基;Ra−CO−NH−またはRabN−CO−基[ここで、RaおよびRbは、場合によってハロゲン化された(C1〜C18)アルキル;水素原子;(C6〜C10)アリールまたは(C6〜C10)アリール(C1〜C5)アルキル(ここで、アリール部分は、ハロゲン原子によって、場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルキル基によってまたは場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルコキシ基によって場合によっては置換されている。);ハロゲン原子によって、場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルキル基によってまたは場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルコキシ基によって場合によっては置換されている(C3〜C12)シクロアルキルを独立に表す。];場合によってハロゲン化された(C1〜C18)アルキル基、場合によってハロゲン化された(C1〜C18)アルコキシ;および(C6〜C10)アリール、(C6〜C10)アリール(C1〜C5)アルキル、(C6〜C10)アリールオキシ、(C3〜C12)シクロアルキル、(C3〜C12)シクロアルケニル、(C3〜C12)シクロアルキルオキシ、(C3〜C12)シクロアルケニルオキシ;(C6〜C10)アリールオキシカルボニルまたは(C6〜C10)アリールカルボニルから独立に選択され、
ここで、アリール、シクロアルキルおよびシクロアルケニル部分は、ハロゲン原子によって、場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルキルによって、または場合によってハロゲン化された(C1〜C5)アルコキシによって場合によっては置換されており、
pは、0、1、2、3または4を表し、
1およびR2は、(C1〜C18)アルキル基であるか、または一緒になって−(CH2n−を生成する(ここで、nは2、3または4を表す)。
【請求項2】
Rが(C1〜C18)アルコキシを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rがメトキシを表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Rが7−メトキシを表す、請求項1、2または3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
pが1である、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
1およびR2が独立に(C1〜C4)アルキル基を表す、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
1およびR2がエチルを表すか、または一緒になって−CH2−CH2−基を形成する、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
次式から選択される、前記請求項のいずれかに記載の化合物。
【化2】

【請求項9】
式(II)の化合物調製のための、前記請求項のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用
【化3】


(式中、R、R1、R2、pは、前記請求項のいずれかに記載の通りである)。
【請求項10】
請求項9に記載の式IIの化合物の調製方法であって、
a)請求項1から8に記載の式(I)の化合物を酸と反応させるステップと、場合によっては、
b)このようにして得られた式(II)の化合物を分離するステップと
を含む調製方法。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかに記載の式(I)の化合物の調製方法であって、
ii)アルデヒド(V)を、ホスホン酸塩(XIIa)またはホスホニウム塩(XIIb)を塩基と反応させて調製したリンイリドと反応させることと、
【化4】


(式中、T1およびT2は、独立に(C1〜C5)アルキルを表し、T3、T4、T5は独立に(C1〜C5)アルキルまたは(C6〜C10)アリールを表す)
場合によっては
iii)得られた式(I)の化合物を分離することと
を含む調製方法。
【請求項12】
前記アルデヒド(V)が、
i)式(III)の化合物を、塩基の存在下で、式(IV)の化合物と反応させることにより調製される、請求項11に記載の方法
【化5】


(式中、R、R1、R2およびpは請求項1に記載の通りであり、Xはハロゲン原子、(C1〜C6)アルキルスルホニルオキシ基、(C6〜C10)アリールスルホニルオキシ基を表す)。
【請求項13】
ステップii)のリンイリドが、ホスホニウム塩上に塩基を反応させることによって調製される、請求項11または12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ステップii)における塩基が、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属炭酸塩、(C1〜C10)アルキルリチウムおよびアルカリ金属アルコキシドから選択される、請求項11から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ステップii)の溶媒が、芳香族炭化水素、エーテル、極性非プロトン性溶媒およびそれらの混合物から選択される非プロトン性溶媒である、請求項11から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記リンイリドが、−10°と100℃の間の温度において、ホスホニウム塩(XIIb)上のアルカリ金属アルコキシドから調製される、請求項11から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ステップi)における塩基が、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水素化物、(C1〜C10)アルキルリチウム、アルカリ金属アルコキシドから選択される、請求項11から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
ステップi)における溶媒が、極性非プロトン性溶媒、芳香族炭化水素またはそれらの混合物から選択される非プロトン性溶媒である、請求項11から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
ステップi)における式(IV)化合物が、
b1)アルデヒド(VII)を、酸の存在下で、アルコールR1OHおよびR2OHまたはHO−(CH2n−OHと反応させること(ここで、n、R1、R2、は請求項1に記載の通りである)と、
【化6】


場合によっては、
c1)得られた化合物(IV)を分離することと
によって調製される、請求項11から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
式(VII)のアルデヒドが、
a1)式(VI)のアルコールを、対応するアルデヒド(VII)へと酸化することによって調製される、請求項19に記載の方法
【化7】


(式中、Xは、ハロゲン原子、(C1〜C6)アルキルスルホニルオキシ基、(C6〜C10)アリールスルホニルオキシ基を表す)。
【請求項21】
ステップa1)における式(VI)のアルコールが、NaOClと組み合わせてTEMPOによって酸化される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ステップi)における式(VI)の化合物が、
a2)アルデヒド(VIII)を、塩基および酸の存在下、ホルムアルデヒド(IX)と反応させることと、
【化8】


b2)化合物(X)のヒドロキシル官能基を、ハロゲン原子、または(C1〜C6)アルキルスルホニルオキシ基もしくは(C6〜C10)アリールスルホニルオキシ基へと転換させることと、場合によっては、
c2)得られた式(IV)の化合物を分離することと
によって調製される、請求項11から18のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
式(IV)の化合物
【化9】


(式中、Xは、ハロゲン原子、(C1〜C6)アルキルスルホニルオキシまたは(C6〜C10)アリールスルホニルオキシを表し、
1、R2は請求項1に記載の通りであり、
但し、
X=IおよびR1=R2=CH3であり、
X=I、Brまたはp−CH3−(C65)SO3−であり、R1およびR2は一緒になって−(CH23−鎖を形成する式(IV)の化合物を除く)。
【請求項24】
1およびR2が、(C2〜C6)アルキル基であるか、または一緒になって−(CH22−もしくは−(CH24−鎖を形成する、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
Xが、Cl、Br、IまたはCH3SO3−を表す、請求項23または24のいずれかに記載の化合物。
【請求項26】
1=R2=C25であるか、またはR1およびR2が一緒になって−(CH22−鎖を形成する、請求項23から25のいずれかに記載の化合物。

【公表番号】特表2007−534709(P2007−534709A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509908(P2007−509908)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003550
【国際公開番号】WO2005/102977
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】