説明

5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン塩の結晶形態

本発明は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン塩の結晶形態;その製造法;その医薬組成物;およびそれによる腫瘍成長の阻害方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2006年5月19日に出願した米国特許出願番号第11/437,291号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン塩の結晶形態;その製造方法;その医薬組成物;およびそれによる腫瘍成長の阻害方法に関する。
【背景技術】
【0003】
5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンは下記構造を有する。
【0004】
これは、タキサンまたは他の微小管−活性化合物に耐性のあるモデルを含む、ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸癌、乳癌、メラノーマ、および膠芽腫のインビボ異種移植片モデルにおいて広範な抗腫瘍活性を有するトリアゾロピリミジン微小管−活性化合物である。
【0005】
このトリアゾロピリミジン化合物の群は、Zhangら、US2005/0090508(出典明示により本明細書に組み入れる)に記載されている。トリアゾロピリミジン化合物の医薬処方は、2005年12月16日出願の同時係属の特許出願番号第60/751,131号(出典明示により本明細書に組み入れる)に一般的に記載されている。トリアゾロピリミジン化合物は、ベータ−チュブリンのビンカサイトで結合するが、タキサンと同様であり、ビンカサイト剤とは異なる多くの特性を有する。特に、これらの化合物は、パクリタキセルおよびドセタキセルと同様の方法で、GTP存在下、低化合物:チュブリンモル比で微小管−関連蛋白質(MAP)−チュブリンリッチ重合を増強する。トリアゾロピリミジン化合物は、また、タキサンの特質である活性、GTPの非存在下、適当な実験条件下での高純度チュブリンの重合を誘発する。これらの化合物は、膜輸送MDR(P−グリコプロテイン)、MRP、およびMXRを過剰に発現する株を含む多くのヒト癌細胞株に対して培養下で強細胞毒性であり、かくして、パクリタキセルおよびビンクリスチンに耐性のある細胞株に対して活性である。特に、このトリアゾロピリミジン化合物の群の代表的なものは、高水溶性であり、水溶液に処方することができる。このトリアゾロピリミジン化合物の群の代表的なものは、静脈内または経口投与した場合、肺および結腸癌、メラノーマおよび膠芽腫のヒト腫瘍異種移植片を有する胸腺欠損マウスにおいて抗腫瘍剤として活性である。
【0006】
経口および液体剤形に処方することに対する問題を生じさせる5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン物理的および化学的特性は、水溶性に乏しいこと、およびいくつかのメカニズムのために化学的に不安定であることを含む。特に、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンは室温で不安定であり、スキーム1に示されるように二量化を受ける(以後、この得られた生成物を「二量体」と称する)。
【0007】
二量体および関連付加化合物は、2005年12月16日出願の出願番号第60/751,166号(出典明示により本明細書に組み入れる)に記載されている。特に、二量体、付加化合物、製造方法および同様の使用は、出典明示により本明細書に組み入れる。
【0008】
加えて、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル)}−N−[(1S)−2,2,2−−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンの塩酸塩は、優れた水への溶解度を有することが見出されたが、この物質は、アモルファスであった。かくして、水溶性であり、種々の貯蔵条件下で優れた安定性を有する5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンの結晶形態を同定することが求められている。
【0009】
本発明により、コハク酸塩(無水物および二水和物)、フマル酸塩(二水和物)およびマンデル酸塩を含む5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン塩を結晶形態で提供し、さらに以下に詳細に記載する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、コハク酸塩(無水物および二水和物)、フマル酸塩(二水和物)およびマンデル酸塩を含む5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン塩の結晶形態;その製造方法;その医薬組成物;およびそれを用いる腫瘍成長の阻害方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、コハク酸塩(無水物および二水和物)、フマル酸塩(二水和物)およびマンデル酸塩を含む5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン塩の結晶形態を提供する。本発明はまた、実質的に純粋な、すなわち約90%以上の純度の5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン塩の結晶形態を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物の粉末X線回折パターンである。
【0013】
【図2】図2は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物のDSCサーモグラムである。
【0014】
【図3】図3は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物のTGAサーモグラムである。
【0015】
【図4】図4は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート無水物の粉末X線回折パターンである。
【0016】
【図5】図5は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマレート二水和物の粉末X線回折パターンである。
【0017】
【図6】図6は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマレート二水和物のDSCサーモグラムである。
【0018】
【図7】図7は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンマンデレートの粉末X線回折パターンである。
【0019】
【図8】図8は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンマンデレートのDSCサーモグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の結晶形態は、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、および熱重量分析(TGA)を用いて特徴付けることができる。本願明細書に記載されたおよび特許請求の範囲に記載された数値は概算値であることは理解されなければならない。値のバリエーションは、装置較正、装置エラー、物質の純度、結晶サイズおよび試料サイズ、他の因子に起因しうる。加えて、同じ結果を得るまでバリエーションは可能でありうる。例えば、X線回折値は、一般に、±0.2°内で正確であり、X線粉回折パターンの強度(相対強度)は、適用される測定条件に応じて変動する。同様に、DSCの結果は、典型的には、約2°内で正確である。したがって、本発明の結晶形態は、本明細書の図に記載の特徴パターンと完全に同一である特徴パターンを与える結晶形態に限定されるものではないことは理解できるだろう(すなわち、1またはそれ以上のXRPD、DSCおよびTGA)。本明細書の図に記載のパターンと実質的に同じ特徴パターンを与えるいずれもの結晶形態が本発明の範囲内に含まれる。実質的に同じ特徴パターンを確認することは、当業者の技術範囲に含まれる。
【0021】
本発明の一の態様において、図1に記載のものと実質的に同時のXRPDパターンを示し、5.1±0.2、9.8±0.2、11.1±0.2、15.8±0.2、17.1±0.2、21.5±0.2、22.4±0.2、23.3±0.2、23.9±0.2、25.3±0.2、25.8±0.2、27.6±0.2および29.8±0.2から選択される1つまたはそれ以上の2シータ値を含む5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S−)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物の結晶形態を提供する。また、本発明は、ほぼ以下の表1(カラム2)に示される値の2シータ°に示される特徴回折ピークを有するXRPDパターンを示す5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物の結晶形態を提供する。
【0022】
他の態様において、本発明は、約68℃に吸熱開始点を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物の結晶形態を提供する。また、本発明は、図2に示されるものと実質的に同時のDSCサーモグラムを示す5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物の結晶形態を提供する。
【0023】
他の態様において、本発明は、約5.4〜6.0%重量喪失が観察される、二水和形態に関して最小限の重量喪失を有する熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物の結晶形態を提供する。本発明はまた、図3に示されるものと実質的に同じTGAサーモグラムを示す5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2−,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物の結晶形態を提供する。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、図4に記載のものと実質的に同じであるXRPDパターンを示し、5.4±0.2、10.4±0.2、10.8±0.2、15.6±0.2、16.8±0.2、18.2±0.2、22.1±0.2、および23.6±0.2から選択される1つまたはそれ以上の2シータ値を含む、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート無水物の結晶形態を提供する。また、本発明は、ほぼ以下の表1(カラム1)に示される値で2シータ°に示される特徴回折ピークを有するXRPDパターンを示す5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート無水物の結晶形態を提供する。
【0025】
他の態様において、本発明は、図5に記載のものと実質的に同一のXRPDパターンを示し、5.4±0.2、10.1±0.2、17.4±0.2、21.8±0.2、22.8±0.2、23.6±0.2、24.2±0.2、25.4±0.2、27.9±0.2、および29.7±0.2から選択される1つまたはそれ以上の2シータ値を含む5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマル酸二水和物の結晶形態を提供する。また、本発明は、ほぼ以下の表1(カラム3)に示される値で特徴回折ピークを有するXRPDパターンを示す、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマル酸二水和物の結晶形態を提供する。
【0026】
他の態様において、本発明は、53℃および119℃で2つの吸収開始点を含む、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマレート二水和物の結晶形態を提供する。また、本発明は、図6に示されるものと実質的に同一であるDSCサーモグラムを示す、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマラート二水和物を提供する。
【0027】
さらなる態様において、本発明は、図7に記載のものと実質的に同一のXRPDパターンを示し、7.3±0.2、9.6±0.2、11.7±0.2、13.2±0.2、14.3±0.2、15.1±0.2、17.2±0.2、18.3±0.2、19.0±0.2、19.8±0.2、21.9±0.2、22.6±0.2、23.8±0.2、28.0±0.2、および29.2±0.2から選択される1つまたはそれ以上の2シータ値を含む、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンマンデレートの結晶形態を提供する。また、本発明は、ほぼ以下の表1(カラム4)に示される値で2シータ°の特徴回折ピークを有するXRPDパターンを示す、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンマンデレートの結晶形態を提供する。表−US−00001、表1 コハク酸塩無水物(カラム1)、コハク酸塩二水和物塩(カラム2)、メンデル酸塩(カラム4)、およびフマル酸塩二水和物(カラム3)のピーク位置 2−シータアングル(°) カラム1 カラム2 カラム3 コハク酸塩 コハク酸塩、フマル産塩 カラム4 無水物 二水和物 二水和物 マンデル酸塩 5.4 5.1 5.4 7.3 10.4 9.8 10.1 9.6 10.8 11.1 17.4 11.7 15.6 15.8 21.8 13.2 16.8 17.1 22.8 14.3 18.2 21.5 23.6 15.1 22.1 22.4 24.2 17.2 23.6 23.3 25.4 18.3 23.9 27.9 19.0 25.3 29.7 19.8 25.8 21.9 27.6 22.6 29.8 23.8 28.0 29.2
【0028】
他の態様において、本発明は、約146℃に吸熱開始点を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンマンデレートの結晶形態を提供する。また、本発明は、図8に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを示す、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンマンデレートの結晶形態を提供する。
【0029】
本発明は、すべての5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよびその医薬上許容される塩の結晶形態および水和形態を包含することは理解されるだろう。「医薬上許容される」なる用語は、本明細書において、適切な医学的判断の範囲内において、ヒトおよび動物の組織と接触させるのに用いるのに適し、過剰毒性、照射、アレルギー応答または他の問題または合併症がなく、合理的な利益/危険比に対応した、その化合物、物質、組成物および/または剤形を意味するのに用いられる。「医薬上許容される塩」なる用語は、本明細書で用いられる場合、酸および本発明の化合物の塩基性窒素原子の塩を意味する。「医薬上許容される塩」なる用語はまた、本発明の化合物の水和物、または本発明の化合物の医薬上許容される塩の水和物を含む。代表的な塩は、限定するものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クロライド、塩酸塩、ブロマイド、臭化水素酸塩、ヨウダイド、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、過クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、ペントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、リンゴ酸塩、フタル酸酸塩、パモ酸塩、水和物または上記塩の水和物を含む。さらに、塩は、トリフルオロ酢酸(TFA)塩である。特に、フマル酸塩、コハク酸塩およびマンデル酸塩が好ましい。
【0030】
さらなる態様において、本発明は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物の結晶形態の製造方法であって、水から5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよびコハク酸の混合物を結晶化することを含む方法を提供する。
【0031】
他の態様において、本発明は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート無水物の結晶形態の製造方法であって、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよびコハク酸の混合物を結晶化し、ついで乾燥することを含む方法を提供する。
【0032】
他の態様において、本発明は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマレート二水和物の結晶形態の製造方法であって、水から5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよびフマル酸の混合物を結晶化することを含む方法を提供する。
【0033】
他の態様において、本発明は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンマンデレートの結晶形態の製造方法であって、水から5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよびマンデル酸の混合物を結晶化することを含む方法を提供する。
【0034】
本発明の化合物の医薬上許容される塩は、本発明に包含される。医薬上許容される塩形成の代表的な例として、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンの塩酸塩は、水性水酸化アルカリ金属または水性アルカリ土類金属炭酸塩を中和し、さらに、適当な溶媒中、上記に記載した適当な医薬上許容される塩形成酸と反応させる。用いることができる適当な溶媒は、水、酸、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはその組合せ等である。好ましい溶媒は水である。
【0035】
好ましくは、医薬上許容される塩は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよび適当な医薬上許容される酸を、適当な溶媒中、約30〜100℃で、好ましくは約65〜75℃で、透明な液体が形成されるまで加熱することにより形成されうる。冷却して、化合物を回収し、乾燥することができる。
【0036】
上記に記載の条件を用いて、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2−,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンコハク酸塩(無水物および水和物)、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンギ酸塩(無水物および水和物)、および5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンマンデレート塩の結晶形態を製造することができる。特に、二水和物は、さらに水または水のアモルファスと、室温で約80〜100%の相対湿度にて接触させることにより形成することができる。
【0037】
さらなる態様において、本発明は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物の結晶形態および少なくとも1つの医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0038】
他の態様において、本発明は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート無水物の結晶形態および少なくとも1つの医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0039】
他の態様において、本発明は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマレート二水和物の結晶形態および少なくとも1つの医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0040】
他の態様において、本発明は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマレート無水物の結晶形態および少なくとも1つの医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0041】
他の態様において、本発明は、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンマンデレートの結晶形態および少なくとも1つの医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0042】
「医薬上許容される担体または賦形剤」なる用語は、本明細書で用いられる場合、対象薬剤を一の臓器または体の一部から他の臓器または体の一部に運ぶまたは移動させることに関連する、医薬上許容される物質、組成物またはビヒクル、例えば液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質を意味する。個々の担体は、処方の他の成分と適合するという意味で「許容」されなければならない。医薬上許容される担体として提供されうる物質の例としては、(1)糖、例えばラクトース、グルコースおよびシュークロース;(2)スターチ、例えばコーンスターチおよびジャガイモデンプン;(3)セルロースおよびその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばココアバターおよび坐剤ワックス;(9)油、例えばピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)ピロゲン不含水;(17)等張食塩水、(18)リンゲル溶液、(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;および(21)医薬処方に用いられる他の非毒性相溶性物質が挙げられる。
【0043】
医薬上許容される担体または賦形剤は、限定するものではないが、ポリエーテルグリコール、飽和または不飽和ポリグリコール化グリセライド、固体両親媒性界面活性剤、該固体両親媒性界面活性剤以外の界面活性剤、ポリエーテルグリコール以外のアルコール類、多価アルコールの脂肪酸エステル誘導体、植物油および有効量の薬剤の安定性を増強するための医薬上許容される酸を含む。本発明の結晶形態、例えばコハク酸塩(無水物および二水和物)、フマル酸塩(無水物および二水和物)、およびマンデル酸塩の結晶形態は、ある場合において、少なくとも1つの医薬上許容される担体または賦形剤と混合して、他の形態(例えば、アモルファス)に変化する、あるいは溶解することができることは理解される。
【0044】
静脈内注射に適した医薬上許容される担体または賦形剤は、例えば、水、少なくとも1つの増量剤、および有効量の少なくとも1つの薬物の安定性を増強する医薬上許容される酸を含む。適当な増量剤は、炭水化物、例えばマンニトール、デキストロース、デキストランまたはシュークロースを含む。任意に、さらなる増量剤、例えばポリビニルピロリドン、スターチ、ラクトース、トレハロースまたはヒドロキシエチルスターチまたはグリセロールを用いることができる。上記増量剤の組み合わせもまた用いることができる。
【0045】
さらなる態様において、本発明は、治療または阻害を必要とする哺乳動物における、癌性腫瘍細胞の成長および関連疾患の治療または阻害方法であって、該哺乳動物に、有効量の5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物、もしくはスクシナート無水物、またはフマレート二水和物、またはマンデレートの結晶形態、あるいはかかる5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物の結晶形態、またはスクシナート無水物、またはフマレート二水和物、またはマンデレートを含有する医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0046】
他の態様において、本発明は、チュブリン含有系におけるチュブリン重合の促進方法であって、該チュブリン含有系を有効量の5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物、もしくはスクシナート無水物、またはフマレート二水和物、またはマンデレートの結晶形態、あるいはかかる5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S−)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物、またはスクシナート無水物、またはフマレート二水和物、またはマンデレートの結晶形態を含む医薬組成物と接触させることを含む方法を提供する。
【0047】
他の態様において、本発明は、チュブリン含有系における微小管を安定化する方法であって、該チュブリン含有系を有効量の5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物、もしくはスクシナート無水物、またはフマレート二水和物、またはマンデレートの結晶形態、あるいはかかる5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物、またはスクシナート無水物、またはフマレート二水和物、またはマンデレートの結晶形態を含む医薬組成物を接触させることを含む方法を提供する。
【0048】
他の態様において、本発明は、治療または予防を必要とする哺乳動物における、多剤耐性(MDR)を示す、またはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防方法であって、該哺乳動物に、有効量の5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物、もしくはスクシナート無水物、またはフマレート二水和物、またはマンデレートマンデレートの結晶形態、あるいはかかる5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物、またはスクシナート無水物、またはフマレート二水和物、またはマンデレートの結晶形態を含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0049】
本明細書に記載される標準的薬理試験の結果に基づくと、本発明の化合物は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療、阻害または制御を必要とする哺乳動物において、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療、阻害または制御するための薬剤として有用である。本発明の化合物は、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患の治療、阻害または制御を必要とする哺乳動物において、チュブリンおよび微小管と相互作用し、微小管重合を促進することにより、癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療、阻害または制御するための薬剤として有用である。本発明の化合物は、多剤耐性(MDR)を発現するか、またはMDRのために耐性である癌性腫瘍の治療または予防にも有用である。
【0050】
特に、チュブリン含有系を本発明の化合物の有効量と接触させることにより、微小管重合が促進され、微小管がさらに安定化される。また微小管重合を促進し、微小管を安定化させることにより、本発明の化合物は癌性腫瘍細胞の増殖および関連疾患を治療、阻害または制御するための医薬として有用である。チュブリン含有系は腫瘍細胞中にあり、本発明に記載された化合物の有効量の投与により腫瘍性疾患を阻害する。哺乳動物、特にヒトを治療することができる。さらに、前記チュブリン含有系は患者に存在し得る。
【0051】
癌の治療の場合において、多くの新生組織形成、例えば白血病、肺癌、結腸癌、甲状腺癌、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌および乳癌は、効率的に本発明の化合物の有効量を投与することにより治療することができる。さらに、本発明の化合物は、多剤耐性(MDR)を発現するか、またはMDRのために耐性である癌性腫瘍の治療または予防に有用である。本明細書において用いられる場合、癌とはあらゆる種類の癌、または新生物あるいは良性または悪性腫瘍を意味する。本発明において提供される方法を用いた治療に好ましい癌は、癌腫、肉腫、リンパ腫、または白血病である。癌腫とは、良性または悪性上皮腫瘍を意味し、これらに限定されないが、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、結腸癌、黒色腫、卵巣癌、あるいは腎臓癌が挙げられる。好ましい宿主はヒトである。
【0052】
用いられる活性成分の有効用量は、用いられる特定の化合物、投与様式および治療される状態の重篤度に応じて変化し得る。しかしながら、一般に、本発明の化合物が一日につき体重1kgあたり約0.10〜約50mgの範囲の量で投与される場合に満足できる結果が得られる。最適の結果を得るために好ましい用量は、一日につき体重1kgあたり約1mg〜約15mgであり、このような投与単位は、体重約70kgの対象について合計4.5mg/mの活性化合物が24時間で投与されるように用いられる。
【0053】
哺乳動物を治療するための用量は、最適の治療応答を提供するように調節することができる。例えば、いくつかの分割用量を毎日投与してもよいし、あるいは治療状況の緊急性により必要とされるのに比例して減少させることもできる。明らかな実用上の利点は、これらの活性化合物を、例えば経口、静脈内、筋肉内または皮下経路によるなど任意の都合良い方法で投与することができることである。実際の効果的な量は、当該分野で公知の標準的な方法(Johnsonetal.,Diabetes.42:1179,(1993))を用いる投与量/応答アッセイにより決定されるだろうことは理解される。かくして、当業者に知られているように、有効量は、化合物の生物学的利用能、生物活性および生分解性に依存するだろう。
【0054】
本発明の活性化合物は、例えば、不活性希釈剤または同化可能な食用担体を用いて経口投与してもよいし、あるいはハードまたはソフトシェルゼラチンカプセル中に封入してもよいし、あるいは圧縮して錠剤にしてもよいし、あるいは飲食物の食品に直接配合してもよい。経口治療用投与に関して、これらの活性化合物は賦形剤と混合し、摂取可能な錠剤、バッカル錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェファー剤などの形態で用いられる。かかる組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有するべきである。組成物および製剤の割合は、もちろん、変化し、単位の重量の約2%〜約60%であるのが都合良い。このような治療的に有用な組成物中の活性化合物の量は、適当な用量が得られるようなものである。本発明による好ましい組成物または製剤は、経口投与単位形態が10から1000mgの間の活性化合物を含有するように調製される。
【0055】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは、1種またはそれ以上の以下のものを含有していてもよい:トラガカント、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、アルギン酸などのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;シュークロース、ラクトースまたはサッカリンのような甘味剤を添加するか、あるいはペパーミント、ウィンターグリーン油またはチェリーフレーバーのような矯味矯臭剤を含有していてもよい。投与単位形態がカプセルの場合、上記タイプの材料に加えて、液状担体を含有することができる。様々な他の材料がコーティングとして、あるいは、他の方法で投与単位の物理的形態を変更するために存在することができる。例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤は、シェラック、砂糖または両方でコーティングしてもよい。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてのシュークロース、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素およびチェリーまたはオレンジフレーバーのような矯味矯臭剤を含有することができる。もちろん、任意の投与単位形態の調製に用いられる材料は、医薬的に純粋であり、用いられる量においては実質的に非毒性であるべきである。さらに、これらの活性化合物は、徐放性製剤および処方に配合することができる。
【0056】
これらの活性化合物は、非経口または腹腔内投与することもできる。遊離塩基または医薬的に許容される塩としてのこれらの活性化合物の液剤または懸濁剤は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適当に混合された水中で調製することができる。分散剤は、油中のグリセロール、液状ポリエチレングリコールまたはその混合物中で調製することもできる。保存および使用の通常条件下では、これらの製剤は微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する。
【0057】
注射剤用途に好適な医薬形態としては、無菌の水性溶液または分散液および無菌の注射可能な液剤または分散剤の即時調製用の無菌散剤が挙げられる。いずれの場合も、その形態は無菌でなければならず、容易に注射可能である程度に流動性でなければならない。これは製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対抗するように調製しなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液状ポリエチレングリコール)、その適当な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であり得る。
【0058】
静脈内投与が本発明の化合物の好ましい投与方法である。静脈内投与に関して、非制限的で好適な担体の例としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF、ニュージャージー州パーシッパニー)、またはリン酸塩緩衝塩溶液(PBS)が挙げられる。組成物は無菌でなければならず、また容易に注入可能である程度に流動性でなければならない。製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対抗して保存されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液状ポリエチレングリコールなど)、その好適な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であり得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成できる。多くの場合において、等張剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物中に含めるのが好ましい。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、吸収を遅らせる薬物、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含めることによりもたらすことができる。
【0059】
本発明に関して用いられる場合、有効量の化合物を提供するとは、このような化合物を直接投与するか、あるいは体内で有効量の化合物を形成するプロドラッグ、誘導体または類似体を投与するかのいずれかを意味する。本明細書で用いられる場合、「有効量」なる用語は、動物に所望の効果を与えるのに有効な、本発明の1つまたはそれ以上の薬剤、物質または1つまたはそれ以上の薬剤を含む組成物の量を意味する。Itisrecognizedthatwhen薬剤が治療効果を得るために用いられる場合、「有効量」を含む実際の投与量は、特定の治療条件、疾患の重症度、患者の体重および健康状態、投与経路等を含む多くの条件に依存するだろうことは理解されるだろう。医師は、容易に、医薬分野でよく知られた方法を用いて適当な投与量を決定することができる。
【0060】
ある種の具体例において、本発明の活性化合物は、さならる薬剤と組み合わせて投与することができる。例えば、化合物の投与は、特定の症状を治療するための治療計画の一部または他の薬剤との組み合わせ療法の一部であってもよい。組み合わせ療法は、2つまたはそれ以上の異なる治療化合物を組み合わせて投与するいずれもの形態を意味し、以前に投与した治療化合物が依然として体内で効果がある間に第2の化合物を投与する(例えば、2つの化合物は、患者において同時に効果的であり、2つの化合物の相乗効果を含みうる)。例えば、異なる治療化合物は、同一の処方で、または別個の処方で、同時にまたは連続して投与することができる。かくして、かかる治療を受ける個体は、異なる治療化合物の組み合わせ(共同)効果を有する。
【0061】
前記の有用性に加えて、本発明の化合物は、本発明の他の化合物の調製にも有用である。
【0062】
本発明の数例を、いくつかの標準的な薬理学的試験法で評価し、これにより本発明の化合物が微小管重合の促進剤として重要な活性を有し、抗新生物薬であることが示された。標準的薬理学的試験法で示される活性に基づいて、本発明の化合物は抗癌薬として有用である。関連する癌は、乳房、結腸、肺、前立腺、黒色腫、表皮、白血病、腎臓、膀胱、口腔、喉頭、食道、胃、卵巣、膵臓、肝臓、皮膚および脳からなる群から選択される。特に、本発明の化合物は、パクリタキセルに類似した作用を有する。用いた試験法および得られた結果を以下に示す。
【0063】
以下の実施例においてさらに本発明を説明する。本発明は、以下に記載のパーセンテージ、成分および技法に限定されるものではない。
【0064】
実施例
粉末X線回折(PXRD)
ScintagX線回折計を、回折データを得るために用いる。回折強度は、2シータ角度30および40°の間で1分あたり2.4°の走査速度で測定する。表1は、ピーク位置または対応するPXRDパターンの2シータ角度を示す。
【0065】
粉末XRDの測定結果は、得られた無水および水和状態の5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート塩(実施例2c)および無水および水和状態の5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマレート塩(実施例2b)が結晶性であり、異なる結晶構造であることを示す。ScintagX線回折計を、回折データを回収するために用いる。回折強度は、2シータ角度3および40°の間で1分あたり2.4°の走査速度で測定する。表1は、ピーク位置または対応するPXRDパターンの2シータ角度を示す。
【0066】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)実験を、ShimadzuDSC−50で行った。試料(約2mg)を、アルミニウムパンで計量し、100ミリグラムで俗差異に記録し、DSCに移した。装置を窒素ガスで20mL/分でパージした。データを室温および350℃の間で、10℃/分の加熱速度で集めた。プロットを吸熱ピークを下方にして行った。
【0067】
熱重量分析(TGA)
熱重量分析(TGA)実験は、Shimadzu TGA−50で行った、試料(約2〜5mg)を、予備処理したプラチナパンに置いた。試料の重量を正確に測定し、装置により1000ミリグラムで記録した。加熱炉を窒素ガスで30mL/分でパージした。データを室温および350℃間で、10℃/分の加熱速度で記録した。
【0068】
調製方法
実施例1
5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン
20mLのジメチルスルホキシド中の水素化ナトリウム(鉱油中60%、2.3g、57.6mmol)に、室温にて、3−(メチルアミノ)プロパン−1−オール(5.14g、57.6mmol)の10mLのジメチルスルホキシド中溶液を加えた。溶液を室温にて1時間撹拌し、5−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(5.7g、14.4mmol)を加えた。混合物を60℃で3時間加熱し、室温に冷却した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水および飽和塩化ナトリウムで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して残渣を得た。残渣を少量のアセトン、ついで、ヘキサンでトリチュレートし、100%酢酸エチル〜100%メチルアルコールの勾配で溶出するシリカゲルのクロマトグラフィーに付した。濃縮して、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンを白色固体として得た(2.7g)。MS:m/z465.1(M+H)
【0069】
実施例2a
5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン塩化水素
実施例1の生成物を、塩化メチレン(150mL)中10%メチルアルコールに溶解し、濾過した。濾液を塩化水素ガスでバブリングした。濃縮して、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン塩化水素塩を明黄色固体として得た(2.92g)。
【0070】
実施例2b
5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンギ酸塩
5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン塩酸塩(7.50g、15.0mmol)および水(100mL)のスラリーに、水酸化ナトリウム溶液(10N、2.0mL、20mmol)を滴下した。ついで、フマル酸(3.48g、30mmol)を加えた。混合物を約15〜20分撹拌し、ついで、約65〜75℃に加熱し、すべての固体が溶解するまで撹拌した。溶液を濾過し、濾液を約0〜5℃に、約1時間にわたって冷却した。混合物を1時間撹拌し、ついで濾過し、回収した固体を冷水およびイソプロパノールで洗浄した。固体を減圧下、約60℃/10mmHgで約20時間乾燥して、白色固体を無水形態で得た(6.54g、75%)。化合物の一部を、乾燥した皿に、80〜100%の相対湿度(RH)および室温で約24時間置いた。化合物は5.8%水を吸収し、二水和物を形成し、これは室温5〜100%の相対湿度(RH)で安定であった。
【0071】
HNMR(CDCl):δ8.43(s,1H),6.86(d,2H,J=10.2Hz),6.51(s,2H),5.84(m,1H),4.15(t,2H,J=7.9Hz),3.04(t,2H,J=7.2Hz),2.57(s,3H),2.08(m,2H),1.33(d,J=6.7,3H)
【0072】
この化合物は、5%〜100%RHで2モルの水を吸収して、その二水和物、5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマル酸塩二水和物になった。
【0073】
実施例2c
5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンコハク酸塩
5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(9.00g、19.4mmol)およびコハク酸(2.75g、23.3mmol)の水(90mL)中混合物を、約15〜20分間撹拌し、ついで、約65〜75℃に加熱する。この溶液を濾過し、濾液を約0〜5℃に1時間にわたって冷却する。混合物を約1時間撹拌し、ついで濾過し、回収した固体を冷水(2回、9mL)および冷イソプロパノール(9mL)で洗浄する。固体を減圧下約40℃/10mmHgで約20時間乾燥して、固体無水形態の無水形態を得る(6.6g、73%)。化合物の一部を、80〜100%の相対湿度(RH)および室温で約24時間、乾燥した皿に置いた。化合物は5.8%水を吸収し、二水和物を形成し、これは室温および5〜100%相対湿度で安定であった(RH)。
HNMR(CDCl):δ10.2(bs,1H),8.26(s,1H),6.80(d,2H,J=10.5Hz),5.79(m,1H),4.13(t,2H,J=6.3Hz),3.03(t,2H,J=7.2Hz),2.57(s,3H),2.35(s,4H),2.07(m,2H),1.27(d,J=6.0,3H)
この化合物は、5%〜100%RHで2モルの水を吸収して、その二水和物,5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンコハク酸塩二水和物になった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート二水和物の結晶形態
【請求項2】
図1に示されるものと実質的に同じ粉末X線回折パターンを示す、請求項1記載の結晶形態。
【請求項3】
5.1±0.2、9.8±0.2、11.1±0.2、15.8±0.2、17.1±0.2、21.5±0.2、22.4±0.2、23.3±0.2、23.9±0.2、25.3±0.2、25.8±0.2、27.6±0.2および29.8±0.2から選択される2シータ値を含む粉末X線回折パターンを示す、請求項1記載の結晶形態。
【請求項4】
図2に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを示す、請求項1記載の結晶形態。
【請求項5】
図2に示されるものと実質的に同じTGAサーモグラムを示す、請求項1記載の結晶形態。
【請求項6】
請求項1記載の結晶形態および少なくとも1種の医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項7】
水から5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよびコハク酸の混合物を結晶化することを含む、請求項1記載の結晶形態の製造方法。
【請求項8】
癌性腫瘍細胞の成長および関連疾患の治療または予防を必要とする哺乳動物の該治療または予防方法であって、有効量の請求項1記載の結晶形態またはかかる結晶形態を含有する医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項9】
チュブリン含有系でのチュブリン重合を促進する方法であって、該チュブリン含有系と、有効量の請求項1記載の結晶形態またはかかる結晶形態を含有する医薬組成物とを接触させることを含む方法。
【請求項10】
チュブリン含有系における微小管を安定化する方法であって、該チュブリン含有系と、有効量の請求項1記載の結晶形態またはかかる結晶形態を含有する医薬組成物を接触させることを含む方法。
【請求項11】
哺乳動物における、多剤耐性(MDR)を示す、またはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防方法であって、該治療または予防を必要とする哺乳動物に、有効量の請求項1記載の結晶形態またはかかる結晶形態を含有する医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項12】
5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンスクシナート無水物の結晶形態。
【請求項13】
図4に示されるものと実質的に同じ粉末X線回折パターンを示す、請求項12記載の結晶形態。
【請求項14】
5.4±0.2、10.4±0.2、10.8±0.2、15.6±0.2、16.8±0.2、18.2±0.2、22.1±0.2、および23.6±0.2から選択される2シータ値を含む粉末X線回折パターンを示す、請求項12記載の結晶形態。
【請求項15】
5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンフマレート二水和物の結晶形態。
【請求項16】
図5に示されるものと実質的に同じ粉末X線回折パターンを示す、請求項15記載の結晶形態。
【請求項17】
5.4±0.2、10.1±0.2、17.4±0.2、21.8±0.2、22.8±0.2、23.6±0.2、24.2±0.2、25.4±0.2、27.9±0.2、および29.7±0.2から選択される2シータ値を含む粉末X線回折パターンを示す、請求項15記載の結晶形態。
【請求項18】
図6に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを示す、請求項15記載の結晶形態。
【請求項19】
5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンマンデレートの結晶形態。
【請求項20】
図7に示されるものと実質的に同じ粉末X線回折パターンを示す、請求項19記載の結晶形態。
【請求項21】
7.3±0.2、9.6±0.2、11.7±0.2、13.2±0.2、14.3±0.2、15.1±0.2、17.2±0.2、18.3±0.2、19.0±0.2、19.8±0.2、21.9±0.2、22.6±0.2、23.8±0.2、28.0±0.2、および29.2±0.2から選択される2シータ値を含む粉末X線回折パターンを示す、請求項19記載の結晶形態。
【請求項22】
図8に示されるものと実質的に同じDSCサーモグラムを示す、請求項19記載の結晶形態。
【請求項23】
請求項12記載の結晶形態および少なくとも1種の医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項24】
水から5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよびコハク酸の混合物を結晶化し、ついで、乾燥することを含む、請求項12の結晶形態の製造方法。
【請求項25】
癌性腫瘍細胞の成長および関連疾患の治療または予防を必要とする哺乳動物における該治療または予防方法であって、該哺乳動物に有効量の請求項12に記載の結晶形態を投与することを含む方法。
【請求項26】
チュブリン含有系でのチュブリン重合を促進する方法であって、該チュブリン含有系と、有効量の請求項12記載の結晶形態またはかかる結晶形態を含有する医薬組成物とを接触させることを含む方法。
【請求項27】
チュブリン含有系における微小管を安定化する方法であって、該チュブリン含有系と、有効量の請求項12記載の結晶形態またはかかる結晶形態を含有する医薬組成物を接触させることを含む方法。
【請求項28】
哺乳動物における、多剤耐性(MDR)を示す、またはMDRのために耐性である腫瘍の治療または予防方法であって、該治療または予防を必要とする哺乳動物に、有効量の請求項12記載の結晶形態またはかかる結晶形態を含有する医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項29】
請求項15記載の結晶形態および少なくとも1種の医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項30】
請求項15記載の結晶形態の製造方法であって、水から5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよびフマル酸の混合物を結晶化させることを含む方法。
【請求項31】
癌性腫瘍細胞の成長および関連疾患の治療または予防を必要とする哺乳動物の該治療または予防方法であって、有効量の請求項15記載の結晶形態またはかかる結晶形態を含有する医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項32】
請求項19記載の結晶形態および少なくとも1種の医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項33】
請求項19記載の結晶形態の製造方法であって、水から5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよびマンデル酸の混合物を結晶化させることを含む方法。
【請求項34】
癌性腫瘍細胞の成長および関連疾患の治療または阻害を必要とする哺乳動物の該治療または予防方法であって、有効量の請求項19記載の結晶形態またはかかる結晶形態を含有する医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項35】
請求項1記載の結晶形態を製造する方法であって、(a)水から5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよびコハク酸の混合物を結晶化させて、水和物形態の固体を得ること;(b)水和物形態の固体を乾燥して、無水物形態の固体を得ること;および(c)無水物形態の固体に水を再び吸収させて請求項1記載の結晶形態を得ること、を含む方法。
【請求項36】
請求項15記載の結晶形態を製造する方法であって、(a)水から5−クロロ−6−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミンおよびフマル酸の混合物を結晶化させて、水和物形態の固体を得ること;(b)水和物形態の固体を乾燥して、無水物形態の固体を得ること;および(c)無水物形態の固体に水を再び吸収させて請求項15記載の結晶形態を得ること、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−537631(P2009−537631A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512050(P2009−512050)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/011817
【国際公開番号】WO2007/136692
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(591000791)ワイス・ホールディングズ・コーポレイション (43)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth Holdings Corporation
【Fターム(参考)】