説明

5−ピリジニル−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタンの誘導体、この調製方法および治療におけるこの使用

塩基、酸付加塩、水和物または溶媒和物の形態の一般式(I)


(式中、Rは、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリルから選択される基を表し、前記基が、ハロゲン原子、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C〜C)アルキルアミノまたはジ(C〜C)アルキルアミノ基から選択される1つまたは複数の基で場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間に単結合または二重結合の炭素−炭素結合がある。)を有する化合物に関する。また、本発明は、前記化合物を調製する方法および前記化合物の治療における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−ピリジニル−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン誘導体、これらの調製およびこれらの治療上の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
5−ピリジニル−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタンをベースとした化合物は、文献WO03/057697(in vitroにおいてニコチンαβおよびα型受容体に親和性を持つ)において記載されており、すでに知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ニコチン受容体に親和性を持ち、αサブユニットを含むニコチン受容体に対して選択的な生成物を発見および開発する必要が依然としてある。
【0004】
本発明は、ニコチン受容体に良好な親和性を示し、αサブユニットを含むニコチン受容体に対して良好な選択性を示す新規な化合物を提案することによってこの目的を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの主題は、一般式(I)の化合物に相当する化合物である
【0006】
【化9】

(式中、Rは、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基を表し、この基が、ハロゲン原子、ならびに(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、(C〜C)アルキルアミノおよびジ(C〜C)アルキルアミノ基から選択される1つまたは複数の基で場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合である。)。
【0007】
さらに、アザビシクロ[3.2.1]オクタン環の5位の炭素原子は、不斉であり、したがって、本発明の化合物は、2つのエナンチオマーまたはこれらのエナンチオマーの混合物の形態で存在することができる。これらのエナンチオマーおよびこの混合物(ラセミ混合物を含む。)は、本発明の一部を成す。
【0008】
また、式(I)の化合物は、塩基または酸付加塩の形態で存在することができる。そのような付加塩は、本発明の一部を成す。
【0009】
これらの塩は、薬学的に許容される酸によって調製することができるが、例えば、式(I)の化合物を精製または単離するために有用な他の酸の塩も、本発明の一部を成す。
【0010】
また、式(I)の化合物は、水和物または溶媒和物の形態、すなわち1つもしくは複数の水分子または溶媒との会合または組合せの形態で存在することができる。そのような水和物および溶媒和物も、本発明の一部を成す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の文脈では、以下の定義が適用される。
【0012】
ハロゲン原子:フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子、
アルキル基:直鎖または分枝の飽和脂肪族基。挙げることができる例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルなどの基を含む、
アルコキシ基:基−O−アルキル(アルキル基は、上記の定義の通りである。)
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、第1の亜群の化合物は、
Rが、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基を表し、この基は、1つまたは複数の(C〜C)アルキル基、特にメチルで場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合である化合物からなる。
【0013】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、第2の亜群の化合物は、
Rが、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基を表し、この基は、1つまたは複数の(C〜C)アルキル基、特にメチル、イソブチルまたはn−プロピルで場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合である化合物からなる。
【0014】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、第3の亜群の化合物は、
Rが、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基を表し、この基は、ハロゲン原子、ならびに(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、(C〜C)アルキルアミノおよびジ(C〜C)アルキルアミノ基から選択される1つまたは複数の基によって場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合である化合物からなる。
【0015】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、第4の亜群の化合物は、
Rが、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基を表し、この基は、1つまたは複数の(C〜C)アルキル基、特にメチルで場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合である化合物からなる。
【0016】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、第5の亜群の化合物は、
Rが、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基を表し、この基は、1つまたは複数の(C〜C)アルキル基、特にメチル、イソブチルまたはn−プロピルで場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合である化合物からなる。
【0017】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、第6の亜群の化合物は、
Rが、1つまたは複数の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、(C〜C)アルキルアミノまたはジ(C〜C)アルキルアミノ基で場合によって置換されているピラゾリル基を表し、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合である化合物からなる。
【0018】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、第7の亜群の化合物は、
Rが、1つまたは複数の(C〜C)アルキル基、特にメチル、イソブチルまたはn−プロピルで場合によって置換されているピラゾリル基を表し、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合である化合物からなる。
【0019】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、第8の亜群の化合物は、
Rが、1つまたは複数の(C〜C)アルキル基、特にメチル、イソブチルまたはn−プロピルで場合によって置換されているピラゾリル基を表し、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合である化合物からなる。
【0020】
本発明の主題である式(I)の化合物の中で、塩基または酸付加塩の形態、さらに水和物または溶媒和物の形態、純粋なエナンチオマーまたはエナンチオマーの混合物の形態の次の式の化合物を挙げることができる。
− 5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン;
− 5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−エン;
− 5−[2−(1H−イミダゾール−1−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン
− 5−[2−(1H−イミダゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン
− 5−[2−(1H−イミダゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(1H−イミダゾール−1−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(1H−イミダゾール−2−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1,3−オキサゾール−2−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(チアゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(ピラゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(2−メチルチアゾール−5−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(テトラゾール−5−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1−イソブチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1−n−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
以下の文章において、「保護基」という用語は、第1に、合成中にヒドロキシルまたはアミンなどの反応性官能基(reactive function)を保護し、第2に、合成の終了時に無傷の反応性官能基を再生させることを可能にする基を意味する。保護基、ならびに保護および脱保護の方法の例は、「Protective Groups in Organic Synthesis」Greenら、第2版(John Wiley&Sons,Inc.、New York)、1991に示されている。
【0021】
下文の文章において、「脱離基」という用語は、電子対が失われて不均一結合(heterolytic bond)を開裂することによって、分子から容易に切断することができる基を意味する。したがって、この基を、例えば、置換反応中に他の基と容易に置換することができる。そのような脱離基は、例えば、ハロゲンまたはメタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、トリフレート、アセテートなどの活性化ヒドロキシル基である。脱離基の例およびこの調製に関する参照は、「Advances in Organic Chemistry」J.March、第3版、Wiley Interscience、1985、310〜316頁に示されている。
【0022】
一般式(I)の化合物を、下記のスキーム1によって例示される工程を通して調製することができる。
【0023】
付加反応を、式(II)の3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタンの存在下において、一般式(III)の複素環式化合物(式中、Zは、臭素原子を表し、Wは、ハロゲン原子を表す。)のリチウム化されたアニオンで実施する。
【0024】
一般式(III)の複素環式化合物のリチウム化されたアニオンを、アルキルリチウム誘導体とのハロゲン−金属交換によって得る。
【0025】
式(IV)の化合物を得て、高温の酸性媒質中で処理すると、式(V)の化合物が得られる。
【0026】
二重結合の接触水素化により、式(VI)の化合物を得る。
【0027】
一般式(I)の化合物(式中、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、二重結合で、Rが、場合によって置換されているピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリルまたはテトラゾリル基を表す。)を、式(V)の化合物(式中、Zは、臭素原子を表す。)から得る。
【0028】
【化10】

【0029】
一般式(I)の化合物(式中、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が単結合であり、Rが、場合によって置換されているピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリルまたはテトラゾリル基を表す。)を、式(VI)の化合物(式中、Zは、臭素原子を表す。)から得る。
【0030】
したがって、置換基Rを、式(V)または式(VI)の化合物(式中、Zは、臭素原子を表す。)に、当業者に公知のあらゆる方法により導入することができる。例えば、
パラジウム触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)の存在下、式R−B(OH)のボロン酸(式中、Rは、一般式(I)の定義の通りである。)により、
溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド)中の強塩基(例えば、水素化ナトリウム)の存在下、式R−Hの化合物(Rは、一般式(I)の定義の通りである。)により、
パラジウム触媒(例えば、ビス(トリフェニルホスフィノ)ジクロロパラジウム)の存在下、式R−Sn[(CHCH)]の第一スズ誘導体(Rは、一般式(I)の定義の通りである。)により、
n−ブチルリチウム、塩化亜鉛およびパラジウム触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)の存在下、式R−Hの化合物(Rは、一般式(I)の定義の通りである。)により導入することができる。
【0031】
また、一般式(I)の化合物(式中、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が単結合であり、Rが、場合によって置換されているトリアゾリル、オキサジアゾリルまたはテトラゾリル基を表す。)を、式(VII)の化合物から調製することもできる。
【0032】
【化11】

【0033】
例えば、
Rが、トリアゾリル基を表す場合、式(I)の化合物を、メタノールなどの溶媒中のナトリウムメトキシドおよびギ酸ヒドラジドの溶液などの強塩基の存在下、式(VII)の化合物から得ることができ、
Rが、オキサジアゾリル基を表す場合、式(I)の化合物を、式(VII)の化合物から2つのステップで得ることができ、
(例えば、塩基性媒質中の塩酸ヒドロキシルアミンの存在下、式(VIII)のN−ヒドロキシカルボキサミジンにまず変換し、
【0034】
【化12】

次いで、このようにして得られた式(VIII)の化合物を、ピリジンなどの溶媒中で無水酢酸と反応させて、予期した式(I)の化合物を得る。)、
Rが、テトラゾリル基を表す場合、式(I)の化合物を、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中のアジ化ナトリウムおよび塩化アンモニウムの存在下、式(VII)の化合物から得ることができる。
【0035】
式(VII)の化合物は、例えば、ジメチルホルムアミドなどの溶媒中のシアン化カリウムおよびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下、式(VI)の化合物(式中、Zは、臭素原子を表す。)から得ることができる。
【0036】
式(V)の化合物(式中、Rは、臭素原子を表す。)の調製は、WO03/057697に記載される。
【0037】
式(II)の3−オキソ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタンは、市販されている。
【0038】
一般式(III)の化合物は、市販されているか、または文献に記載されている方法によって入手可能である。
【0039】
スキーム1において、出発化合物および試薬は、これらの調製方法が記載されていない場合、市販されているか、もしくは文献に記載されているか、またはこの中に記載されている方法もしくは当業者に公知の方法によって調製することができる。
【0040】
また、別の態様によれば、本発明の主題は、式(IV)、(V)、(VI)、(VII)および(VIII)の化合物である。これらの化合物は、一般式(I)の化合物の合成中間体として有用である。
【0041】
以下の実施例では、本発明による特定の化合物の調製法について述べる。これらの実施例は、本発明を制限するものではなく、単に本発明を例示するものである。表題のカッコ内に示した化合物の番号は、以下の表の最初の欄に示した番号を指しており、本表では、少数の本発明による化合物の化学構造および物理的性質を例示している。
【0042】
実施例
【実施例1】
【0043】
(化合物1)
5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(−)−臭化水素酸塩(1:2)
1.1 5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン臭化水素酸塩(1:1)
5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン(WO03/057697)1.95g(7.354mmol)を、水素添加フラスコ(hydrogenation flask)内のメタノール40mlに添加し、次に酸化白金195mgを懸濁液に入れる。媒質を、26psiの水素圧下、室温で45分間撹拌する。反応媒質を、珪藻土を通してろ過し、溶媒を減圧下で蒸発により除去する。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(95/5/0.5の比率のクロロホルム、メタノールおよびアンモニア水の混合物で溶離する。)により精製する。5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン1.4gを、ワックス質オイル(waxy oil)の形で得る。
【0044】
次に、5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタンの臭化水素酸塩(1:1)を、5.7Nの臭化水素酸の酢酸溶液1当量を加えることにより得る。予期した生成物1.82gを得る。
【0045】
1.2 5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(+)および(−)−臭化水素酸塩(1:1)
ステップ1.1で得た5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン臭化水素酸塩(1:1)のラセミ混合物を、キラル支持体(chiral support)の液体クロマトグラフィーにより分割して、右旋性エナンチオマーの5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(+)−臭化水素酸塩(1:1)および左旋性エナンチオマーの5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(−)−臭化水素酸塩(1:1)を得る。
5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(+)−臭化水素酸塩(1:1):
【0046】
【数1】

5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(−)−臭化水素酸塩(1:1):
【0047】
【数2】

【0048】
1.3 5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(−)−臭化水素酸塩(1:2)
1−メチル−4−ピラゾリルボロン酸0.162g(0.78mmol)、(−)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン0.160g(0.6mmol)(ステップ1.2で調製した5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(−)−臭化水素酸塩(1:1)を、飽和炭酸ナトリウム水溶液と反応させることにより得た。)を、トルエン3mlおよびエタノール0.3mlの溶液として、10mlの三口丸底フラスコに連続して添加する。次に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.035g(0.03mmol)および2M炭酸ナトリウム水溶液0.6mlを加え、混合物を105℃で18時間加熱する。これを室温まで冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をクロロホルム10mlに溶解し、珪藻土を通してろ過する。溶媒を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(95/5/0.5の比率のクロロホルム、メタノールおよびアンモニア水の混合物で溶離する。)により精製する。(−)−5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン0.15gを得て、イソプロピルアルコール2mlに溶解し、5.7Nの臭化水素酸の酢酸溶液0.196mlに加える。得られた結晶を、ろ過により集め、真空下で乾燥させる。生成物0.163mgを得る。
融点:259〜261℃。
H NMR(DMSO)δ(ppm):8.50(1H,s);8.45(1H,s);8.15(1H,s);8.10(1H,d);7.95(1H,d);4.00(3H,s);3.85〜3.10(6H,m);2.50〜1.80(6H,m)。
【0049】
【数3】

【0050】
化合物2は、実施例1に記載の方法により調製した。
【0051】
化合物3および4は、5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン(WO03/057697)から開始する実施例1に記載の方法により調製した。
【0052】
化合物12、13および15は、(+)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(ステップ1.2により得た。)から開始する実施例1に記載の方法により調製した。
【実施例2】
【0053】
(化合物24)
5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(+)−(S,S)−酒石酸ジベンゾイル(1:1)
2.1 (+/−)−5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(化合物28)
1−メチル−4−ピラゾリルボロン酸7.08g(34.06mmol)、(±)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン7.0g(26.20mmol)(実施例1のステップ1.1により得た。)を、トルエン140mlおよびエタノール14mlの溶液として、250mlの三口丸底フラスコに連続して添加する。次に、1.82g(1.57mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムおよび26.20ml(52.40mmol)の2M炭酸ナトリウム水溶液を加え、混合物を90℃で12時間加熱する。
【0054】
反応媒質を室温まで冷却し、水50mlに注ぎ、クロロホルムで2回抽出し、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させる。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(95/5/0.5の比率のクロロホルム、メタノールおよびアンモニア水の混合物で溶離する。)により精製する。予期した生成物5.30gを、淡黄色の粉末の形で得る。
融点:138〜140℃。
H NMR(DMSO)δ(ppm):8.37(1H,d);8.19(1H,s);7.90(1H,s);7.58(1H,dd);7.50(1H,dd);3.87(3H,s);3.09〜2.60(6H,m);2.21〜1.31(6H,m)。
【0055】
2.2 5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(+)−(S,S)−酒石酸ジベンゾイル(1:1)
(±)−5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン9.70g(36.15mmol)(ステップ2.1で得た。)を、250mlの丸底フラスコ内のエタノール100mlに溶解し、(S,S)−ジベンゾイル酒石酸13.08g(36.51mmol)を加え、反応媒質を、室温で5分間撹拌し、減圧下で濃縮する。
【0056】
得られた固体を、エタノール50mlに溶解し、次に、溶解が完了するまで還流させる。媒質を室温までゆっくりと冷却する。得られた結晶をろ過し、次に真空下で乾燥させ、95.4%の光学純度の所望の化合物7.10gを得る。これらの結晶を、エタノール25ml中で上記の条件下、再結晶化させて、光学純度が98.8%の白色結晶の形で5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(+)−(S,S)−ジベンゾイル酒石酸(1:1)5.54gを得る。
融点:156〜158℃。
【0057】
【数4】

【0058】
H NMR(DMSO)δ(ppm):8.39(s,1H);8.22(s,1H);7.92(s,1H);7.90〜7.78(m,4H);7.65〜7.35(m,8H);5.60(s,2H);3.86(s,3H);3.62〜2.96(m,8H);2.54〜1.65(m,6H)。
【実施例3】
【0059】
(化合物5)
5−[2−(−1H−イミダゾール−1−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン臭化水素酸塩(1:1)
ジメチルホルムアミド3mlに溶解したイミダゾール0.64g(9.42mmol)を、10mlの三口丸底フラスコに添加する。次に、60%油中分散液として水素化ナトリウム0.415g(10.4mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌する。次に、この混合物を、5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン(WO03/057697)(0.5g、1.89mmol)のジメチルホルムアミド溶液に加え、反応媒質を85℃で15時間、次に110℃で24時間加熱し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣をクロロホルム10mlおよび飽和炭酸ナトリウム水溶液10mlに溶解する。水相をクロロホルム10mlで再度抽出し、混合した有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(95/5/0.5の比率のクロロホルム、メタノールおよびアンモニア水の混合物で溶離する。)により精製する。5−[2−(−1H−イミダゾール−1−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン0.235gを得て、イソプロピルアルコール3mlに溶解し、5.7Nの臭化水素酸の酢酸溶液0.327mlに加える。形成された結晶を、ろ過により集め、真空下で乾燥させる。
融点:233〜235℃
H NMR(DMSO)δ(ppm):8.55(1H,s);8.50(1H,s);8.05(1H,d);7.95(1H,s);7.85(1H,d);7.15(1H,s);6.15(1H,d);5.75(1H,dt);4.20〜4.10(1H,d);4.00〜3.40(5H,m);2.80〜2.60(1H,t);2.45〜2.30(1H,t)。
【0060】
化合物8は、(−)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例1のステップ1.2により得た。)から開始する実施例3に記載の方法により調製した。
【0061】
化合物11は、(+)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例1のステップ1.2により得た。)から開始する実施例3に記載の方法により調製した。
【実施例4】
【0062】
(化合物6)
5−[2−(−1H−イミダゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン塩酸塩(1:3)
4.1 5−[2−(−1−トリフェニルメチルイミダゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン
テトラヒドロフラン3mlに溶解した5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン0.25g(0.94mmol)(WO03/057697)、1−トリフェニルメチル−4−トリブチルスタンニルイミダゾール1.24g(2.07mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム0.06g(0.08mmol)を、10mlの三口丸底フラスコに連続して添加する。次に、混合物を85℃で15時間加熱し、次にクロロホルム10mlおよび飽和炭酸ナトリウム水溶液10mlに希釈する。
【0063】
水相をクロロホルム10mlで再度抽出し、混合した有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(97/3/0.3の比率のクロロホルム、メタノールおよびアンモニア水の混合物で溶離する。)により精製する。予期した生成物0.36gを、非晶質固体の形で得る。
【0064】
4.2 5−[2−(−1H−イミダゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン塩酸塩(1:3)
メタノール4mlに溶解した5−[2−(−1−トリフェニルメチルイミダゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン0.36g(0.733mmol)(ステップ4.1により得た。)を、10mlの三口丸底フラスコに添加する。次に、6Nの塩酸のイソプロピルアルコール溶液0.8mlを加え、反応媒質を80℃で3時間加熱する。溶媒を減圧下で濃縮し、残渣をジエチルエーテルから摩砕する。得られた結晶をろ過によって集め、真空下で乾燥させる。
融点:306〜308℃
H NMR(DMSO)δ(ppm):11.95(1H,s);9.20(1H,s);8.65(1H,s);8.40(1H,s);8.10(1H,d);8.00(1H,d);6.20(1H,d);5.75(1H,dt);4.15(1H,d);3.95〜3.35(5H,m);2.80〜2.60(1H,t);2.45〜2.30(1H,t)。
【0065】
化合物7は、(−)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例1のステップ1.2により得た。)から開始する実施例4に記載の方法により調製した。
【0066】
化合物9は、(+)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例1のステップ1.2により得た。)から開始する実施例4に記載の方法により調製した。
【実施例5】
【0067】
(化合物10)
5−[2−(−1H−イミダゾール−2−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(−)−塩酸塩(1:2)
5.1 (−)−5−[2−(−1H−イミダゾール−2−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
テトラヒドロフラン9mlに溶解した1−(ジメチルアミノスルホニル)イミダゾール1g(5.7mmol)を、25mlの三口フラスコに添加する。反応媒質を−78℃まで冷却し、1.6Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液4mlを、20分かけて1滴ずつ加える。次にテトラヒドロフラン4mlに溶解した塩化亜鉛0.73g(5.4mmol)を加える。温度が20℃までもどる間に混合物を撹拌し、次に1.5g(11.1mmol)の塩化亜鉛、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.1g(0.09mmol)およびテトラヒドロフラン5mlに溶解した(−)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン0.56g(2.1mmol)(実施例1のステップ1.2に記載の方法により調製した。)を、連続して加える。次に、混合物を24時間還流させ、次に室温まで冷却する。30%水酸化ナトリウム水溶液30mlおよびクロロホルム50mlを加える。水相をクロロホルムで抽出し、次に混合した有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(95/5/0.5の比率のクロロホルム、メタノールおよびアンモニア水の混合物で溶離する。)により精製し、さらなる精製なしに以下のステップで使用する。
【0068】
5.2 5−[2−(−1H−イミダゾール−2−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(−)−塩酸塩(1:2)
ステップ5.1において得た生成物を、ジオキサン10mlおよび2N塩酸水溶液1.5mlに溶解する。媒質を室温で2時間撹拌し、次に溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣をクロロホルム30mlおよび飽和炭酸ナトリウム水溶液30mlに溶解する。水相をクロロホルムで抽出し、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をイソプロピルアルコール5mlに溶解し、イソプロピルアルコールに溶解した過剰量の塩酸で処理する。得られた結晶をろ過によって集め、真空下で乾燥させる。生成物0.23gを得る。
融点:231〜233℃
H NMR(DMSO)δ(ppm):11.45(1H,s);8.75(1H,s);8.55(1H,d);8.05(1H,d);7.80(2H,s);3.75(1H,d);3.60〜3.10(5H,m);2.55〜1.75(6H,m)。
【0069】
【数5】

【0070】
化合物19は、実施例5に記載の方法により調製した。
【0071】
化合物20は、実施例5のステップ5.1に記載の方法、続いて室温で35%水酸化ナトリウム水溶液およびジオキサンの等容量の溶液の存在下、塩基性媒質中での脱保護のステップによって調製した。
【0072】
化合物18および21は、実施例5のステップ5.1に記載の方法により調製した。
【0073】
化合物14は、(+)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例1のステップ1.2により得た。)から開始する実施例5に記載の方法により調製した。
【実施例6】
【0074】
(化合物16)
5−[2−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(−)−臭化水素酸塩(1:2)
6.1 (−)−(1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)ピリジン−2−カルボニトリル
ジメチルホルムアミド12mlに溶解した(−)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン臭化水素酸塩1.5g(4.3mmol)(実施例1のステップ1.2に記載の方法により調製した。)、シアン化カリウム0.42g(6.46mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム5g(4.3mmol)を、25mlの反応器に連続して添加する。混合物を、90℃で3時間加熱し、次に飽和炭酸ナトリウム水溶液で中和する。水相をクロロホルムで抽出し、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(95/5/0.5の比率のクロロホルム、メタノールおよびアンモニア水の混合物で溶離する。)により精製する。このようにして、予期した生成物0.705gを、非晶質固体の形で得る。
【0075】
6.2 5−[2−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ−[3.2.1]オクタン(−)−臭化水素酸塩(1:2)
メタノール3mlに溶解した(−)−(1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)ピリジン−2−カルボニトリル0.22g(1.03mmol)(ステップ6.1により得た。)を、10mlの反応器に添加する。反応器にアルゴンを流し、次に5.25Nのナトリウムメトキシドのメタノール溶液0.04ml(0.26mmol)を加え、続いて室温で15分間撹拌した後、ギ酸ヒドラジド0.065g(1.08mmol)を加える。次に媒質を85℃で24時間加熱し、溶媒を蒸発させる。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(85/15/1.5の比率のクロロホルム、メタノールおよびアンモニア水の混合物で溶離する。)により精製する。このようにして、(−)−5−[2−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン0.155gを得て、5.7Nの臭化水素酸の酢酸溶液0.19mlで処理する。得られた結晶をろ過によって集め、真空下で乾燥させる。
融点:215〜217℃
H NMR(DMSO)δ(ppm):10.15(1H,s);8.65(1H,s);8.40(1H,s);8.10(1H,d);7.95(1H,d);3.80〜3.10(6H,m);2.30〜1.75(6H,m)。
【0076】
【数6】

【0077】
化合物22は、(+)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例1のステップ1.2に記載の方法により調製した。)から得た(+)−(1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)ピリジン−2−カルボニトリルから開始する実施例6に記載の方法により調製した。
【実施例7】
【0078】
(化合物17)
5−[2−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ−[3.2.1]オクタン(−)−臭化水素酸塩(1:1)
7.1 (−)−5−(1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−N−ヒドロキシピリジン−2−カルボキサミジン
(−)−(1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)ピリジン−2−カルボニトリル0.3g(1.4mmol)(実施例5のステップ6.1に記載の方法により調製した。)、塩酸ヒドロキシルアミン0.39g(5.63mmol)、炭酸カリウム0.78g(5.65mmol)およびエチルアルコール5mlを、10mlの反応器に連続して添加する。混合物を3時間還流させ、次にろ過する。ろ液を減圧下で濃縮し、残渣を水10mlに溶解する。水相をクロロホルムで抽出し、混合した有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させる。このようにして、生成物0.29gを、非晶質固体の形で得る。
【0079】
7.2 5−[2−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(−)−臭化水素酸塩(1:1)
ピリジン10mlに溶解した(−)−5−(アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−N−ヒドロキシピリジン−2−カルボキシミドアミド0.28g(1.14mmol)(ステップ7.1により調製した。)を、10mlの反応器に添加する。次に無水酢酸0.1ml(1.13mmol)を加え、媒質を室温で15時間撹拌し、次に110℃で5時間加熱する。溶媒を減圧下で濃縮し、残渣を飽和炭酸ナトリウム水溶液に溶解する。水相をクロロホルムで抽出し、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下で蒸発させる。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(96/4/0.4の比率のクロロホルム、メタノールおよびアンモニア水の混合物で溶離する。)により精製する。このようにして、(−)−5−[2−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン0.077gを得て、イソプロピルアルコール1mlに溶解し、5.7Nの臭化水素酸の酢酸溶液0.05mlに加える。得られた結晶をろ過によって集め、減圧下で乾燥させる。
融点:321〜323℃
H NMR(DMSO)δ(ppm):8.70(1H,s);8.05(1H,d);7.95(1H,d);3.80〜3.20(6H,m);3.70(3H,s);2.35〜1.75(6H,m)。
【0080】
【数7】

【実施例8】
【0081】
(化合物23)
(+)−5−[2−(2H−テトラゾール−5−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(+)−(1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)ピリジン−2−カルボニトリル0.350g(4.64mmol)(実施例1のステップ1.2により得た(+)−5−(2−ブロモピリド−5−イル)−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタンから開始する実施例6のステップ6.1に記載の方法と類似した方法により調製した。)、アジ化ナトリウム0.117g(1.80mmol)および塩化アンモニウム0.022g(0.4mmol)、ジメチルホルムアミド2mlを、10mlの反応器に連続して加える。次に混合物を80℃で15時間加熱し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残渣を室温でメタノールに溶解する。得られた不溶性物質をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(80/20/2の比率のクロロホルム、メタノールおよびアンモニア水の混合物で溶離する。)にかける。このようにして、生成物0.368gを、結晶の形で得る。
融点:319〜321℃
H NMR(DMSO)δ(ppm):8.45(1H,s);7.95(1H,d);7.70(1H,d);3.60〜3.10(6H,m);2.45〜1.70(6H,m)。
【0082】
【数8】

【0083】
以下の表1は、本発明による化合物の少数の例の化学構造および物理的性質を例示する。この表において、
「DB」欄において、「=」は、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が二重結合であることを意味し、「−」は、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が単結合であることを意味する。
【0084】
「塩」欄において、「−」は、塩基型の化合物を意味し、「HBr」は、臭化水素酸塩を意味し、「HCl」は、塩酸塩を意味する。酸:塩基のモル比率は、隣に示す、
【0085】
【数9】

【0086】
欄において、示される値が、化合物の旋光度を表し、この計測がなされた時のg/メタノール100mlによる濃度をカッコ内に示す。この欄に表示がない化合物は、ラセミ体である。
【0087】
【化13】

【0088】
【表1】

【0089】
本発明の化合物を、薬物の作用物質としてのこれらの価値を実証する薬理試験にかけた。
【0090】
したがって、本発明の化合物を、Mark and Collins,J.Pharmacol.Exp.Ther.(1982),22,564およびMarksら、Mol.Pharmacol.(1986),30,427に記載の方法により、αサブユニットを含むニコチン受容体に対するこれらの親和性について検査した。
【0091】
体重が150〜200gのオスのOFA系ラットを断頭し、全脳を迅速に摘出し、4℃で15倍体積の0.32Mショ糖溶液中においてPolytron(商標)ミルを用いてホモジナイズし、続いて1000×gで10分間遠心する。沈殿物を捨て、上清を4℃で8000×gで20分間遠心する。沈殿物を回収し、4℃で15倍体積の再蒸留水中においてPolytron(商標)ミルを用いてホモジナイズし、続いて8000×gで20分間遠心する。沈殿物を捨て、上清およびバフィコートを、40000×gで20分間遠心する。沈殿物を回収し、4℃で15倍体積の再蒸留水で再懸濁し、再度40000×gで20分間遠心した後、−80℃で保存する。
【0092】
実験の日に、組織をゆっくりと解凍し、5倍体積の緩衝液で懸濁する。150μlのこの膜懸濁液を、試験化合物の存在下または非存在下で、遮光下において37℃で30分間プレインキュベートする。次に、この膜を、最終体積250μlの20mM HEPES緩衝液中の50μlの1nM [H]−α−ブンガロトキシンの存在下、遮光下において37℃で60分間インキュベートする。反応を、0.05%ポリエチレンイミンで3時間前処理したWhatman GF/C(商標)フィルターを通したろ過により中止させる。フィルターを4℃で2×5mlの緩衝液ですすぎ、各フィルターに残留した放射能を液体シンチグラフィで測定する。最終1μMのα−ブンガロトキシンの存在下、非特意的結合について測定し、非特意的結合は、フィルターで回収された総結合の約60%に相当する。試験化合物の濃度ごとに、[H]−α−ブンガロトキシンの特異的結合の阻害率を測定し、続いてIC50値(特異的結合を50%阻害する化合物の濃度)を算出する。
【0093】
本発明の最も親和性のある化合物のIC50値は、0.001と1μMの間である。
【0094】
また、本発明の化合物を、Anderson and Arneric,Eur.J.Pharmacol(1994),253,261およびHallら、Brain Res.(1993),600,127に記載の方法により、αβサブユニットを含むニコチン受容体に対するこれらの親和性について検査した。
【0095】
体重が150〜200gのオスのSprague Dawley系ラットを断頭し、全脳を迅速に摘出し、4℃で15倍体積の0.32Mショ糖溶液中においてホモジナイズし、次に1000×gで10分間遠心する。沈殿物を捨て、上清を、4℃で20000×gで20分間遠心する。沈殿物を回収し、4℃で15倍体積の再蒸留水中においてPolytron(商標)ミルを用いてホモジナイズし、続いて8000×gで20分間遠心する。沈殿物を捨て、上清およびバフィコートを、40000×gで20分間遠心し、沈殿物を回収し、15mlの再蒸留水に再懸濁し、再度40000×gで遠心した後、−80℃で保存する。
【0096】
実験の日に、組織をゆっくりと解凍し、3倍体積の緩衝液で懸濁する。150μlのこの膜懸濁液を、試験化合物の存在下または非存在下で、最終体積500μlの緩衝液中の1nM [H]シチシン100μlの存在下、4℃で120分間インキュベートする。反応を、ポリエチレンイミンで前処理したWhatman GF/B(商標)フィルターでのろ過により中止させ、フィルターを4℃で2×5mlの緩衝液ですすぎ、フィルターに残留した放射能を液体シンチグラフィで測定する。非特異的結合を、10μM (−)−ニコチンの存在下において測定すると、非特異的結合は、フィルターで回収された総結合の75〜85%に相当する。試験化合物の濃度ごとに、1μMおよび10μMの用量で[H]−シチシンの特異的結合の阻害率を測定する。本発明の最も親和性のある化合物で、IC50値(特異的結合を50%阻害する化合物の濃度)を算出する。
【0097】
本発明の最も親和性のある化合物のIC50値は、0.2と10μMの間である。
【0098】
少数の特定の化合物の実験データを、以下の表2に示す。
【0099】
【表2】

【0100】
また、本発明の化合物を、Houghtlingら、Mol.Pharmacol. 1995,48,280に記載の方法により、神経節型末梢(ganglion−type peripheral)ニコチン受容体に対するこれらの親和性について検査した。
【0101】
−80℃で保存されたウシの副腎を解凍し、4℃でpH7.4の20倍体積の50mM Tris−HCl中においてPolytron(商標)ミルを用いてホモジナイズし、次に35000×gで10分間遠心する。上清を捨て、沈殿物を4℃で30倍体積の50mM Tris−HCl緩衝液に再懸濁し、再ホモジナイズし、続いて35000×gで10分間再遠心する。最終沈殿物を、4℃で10倍体積のTris−HCl緩衝液に溶解する。100μlの膜(すなわち、10mgの新鮮組織)を、試験化合物の存在下または非存在下で、最終体積250μlの緩衝液中の0.66最終nM [H]−エピバチジン50μlの存在下、24℃で3時間インキュベートする。反応を、4℃の50μM pH7.4 Tris−HCl緩衝液で試料を希釈し、続いて0.5%ポリエチレンイミンで3時間前処理したWhatman GF/C(商標)フィルターを通したろ過により中止させる。フィルターを5mlの緩衝液で2回すすぎ、フィルターに残留した放射能を液体シンチグラフィで測定する。2mM最終(−)−ニコチンの存在下、非特異的結合を測定し、非特異的結合は、フィルターで回収された総結合の30%〜40%に相当する。試験生成物の濃度ごとに、[H]−エピバチジンの特異的結合の阻害率を測定し、続いてIC50値(特異的結合の50%を阻害する化合物の濃度)を算出する。
【0102】
本発明の化合物のIC50値は、1と10μMの間である。
【0103】
得られた結果は、本発明の特定の化合物がニコチン受容体のαサブユニットに対する選択的リガンドであり、別の化合物では、αβおよびαリガンドが混在していることを示している。
【0104】
これらの結果は、特に、中枢神経系におけるニコチン受容体の機能不全に伴う障害の治療または予防における本化合物の使用を示唆するものである。
【0105】
これらの障害は、認知障害、より具体的には記憶障害(習得、固定および想起)を含むが、さらに注意障害、ならびにアルツハイマー病、病理学的老化(加齢に伴う記憶障害、Age Associated Memory Impairment;AAMI)または正常な老化(老年性認知症)、パーキンソン病、21トリソミー症候群(ダウン症候群)、精神病理学的病態(特に精神分裂病に伴う認知障害)、コルサコフのアルコール症候群、血管性認知症(多発脳梗塞性認知症、MID)および頭部外傷に伴う実行機能障害を含む。
【0106】
また、本発明の化合物は、パーキンソン病、またはハンチントン舞踏病、トゥレット症候群、遅発性ジスキネジアおよび運動亢進症などの他の神経疾患で観察される運動障害の治療に有用である可能性がある。
【0107】
また、これらは、上述の神経変性疾患に伴う解剖組織病理学的(anatomohistopathological)愁訴に関する神経保護治療活性を有する可能性がある。
【0108】
また、本発明の化合物は、脳卒中および脳の低酸素エピソードに対する治癒的治療または対症療法の構成要素となり得る。これらは精神病理学的病態[神経分裂症(陽性および/または陰性症状)、双極性障害、うつ病、不安、パニック発作、活動亢進による注意障害および強迫性および強迫観念的行動]の症例に使用できる可能性がある。
【0109】
これらは、タバコ、アルコールまたは依存を誘発する様々な物質(コカイン、LSD、大麻およびベンゾジアゼピンなど)からの離脱により引き起こされる症状を予防することができる。
【0110】
これらは、様々な起源の疼痛(慢性、神経障害性または炎症関連疼痛)の治療に有用である可能性がある。
【0111】
さらに、本発明の化合物を、下肢の虚血、下肢の閉塞性動脈炎(PAD:末梢動脈疾患)、心虚血(安定狭心症)、心筋梗塞、心不全、糖尿病患者の皮膚瘢痕形成の欠如、および静脈血流不全症の静脈瘤性潰瘍を治療するために使用できる可能性がある。
【0112】
また、本発明の化合物を、様々な起源の炎症過程(特に、中枢神経系に関する炎症)を治療するために使用できる可能性がある。
【0113】
したがって、本発明の化合物を、薬物の、特にニコチン受容体の機能不全に伴う障害(特に、上述の障害)の治療または予防に有用な薬物の調製に使用できる可能性がある。
【0114】
したがって、別の態様によれば、本発明は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される酸との付加塩、または式(I)の化合物の水和物もしくは溶媒和物、を含む薬物に関する。
【0115】
これらの薬物は、特に、ニコチン受容体の機能不全に伴う障害(特に、上述の障害)の治療または予防におけるこれらの治療的な使用が見出される。
【0116】
別の態様によれば、本発明は、有効成分として、本発明による化合物を含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、本発明による少なくとも1種の化合物、または薬学的に許容される塩、または前記化合物の水和物もしくは溶媒和物の有効量、並びにさらに少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0117】
前記賦形剤は、当業者に公知の通常の賦形剤から、薬剤形状および所望の投与方法に従って選択される。
【0118】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、表皮、局所、気管内、鼻腔内、経皮または直腸内投与のための本発明の医薬組成物において、上記の障害または疾患の予防または治療のために、上記の式(I)の有効成分、または可能なこの塩、溶媒和物もしくは水和物を、標準的な医薬品賦形剤と混合して単位投与形態で、ヒトおよび動物に投与することができる。
【0119】
適切な単位投与形態は、経口投与形態(錠剤、軟または硬ゼラチンカプセル、粉末、顆粒および経口液剤または懸濁剤など)、舌下、口腔、気管内、眼内および鼻腔内の投与形態、吸入形態、表皮、経皮、皮下、筋肉内または静脈内投与形態、直腸内投与形態、ならびにインプラントを含む。表皮塗布では、本発明による化合物を、クリーム、ゲル、軟膏またはローションとして使用することができる。
【0120】
例として、錠剤形態における本発明による化合物の単位投与形態は、以下の成分を含み得る。
本発明による化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
ナトリウムクロスカルメロース 6.0mg
コーンスターチ 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
【0121】
前記単位形態を、製剤形態(galenical form)に従って、毎日の投与がkg体重あたり有効成分が0.01から20mgまでとなるように調薬する。
【0122】
より高量または低量が適切である特殊な症例が存在する可能性があり、そのような用量は、本発明の範囲を逸脱しない。一般の慣例に従い、各患者に適した用量は、投与方法、ならびに前記患者の体重および反応に従って医師により決定される。
【0123】
また、別の態様によれば、本発明は、上記の病態の治療法に関し、この治療法は、本発明による化合物、あるいは薬学的に許容されるこの塩または水和物もしくは溶媒和物の有効量の患者への投与を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基または酸付加塩の形態、さらに水和物または溶媒和物の形態で、式(I)に相当する化合物
【化1】

(式中、Rは、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基を表し、この基は、ハロゲン原子、ならびに(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、(C〜C)アルキルアミノおよびジ(C〜C)アルキルアミノ基から選択される1つまたは複数の基で場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合は、単結合または二重結合である。)。
【請求項2】
Rが、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基を表し、この基は、1つまたは複数の(C〜C)アルキル基で場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合であり、塩基または酸付加塩の形態、さらに水和物または溶媒和物の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Rが、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基を表し、この基は、ハロゲン原子、ならびに(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、(C〜C)アルキルアミノおよびジ(C〜C)アルキルアミノ基から選択される1つまたは複数の基で場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合であり、塩基または酸付加塩の形態、さらに水和物または溶媒和物の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Rが、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基を表し、この基は、1つまたは複数の(C〜C)アルキル基で場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合であり、塩基または酸付加塩の形態、さらに水和物または溶媒和物の形態であることを特徴とする、請求項1または3に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
Rが、1つまたは複数の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、(C〜C)アルキルアミノまたはジ(C〜C)アルキルアミノ基で場合によって置換されているピラゾリル基を表し、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合であり、塩基または酸付加塩の形態、さらに水和物または溶媒和物の形態であることを特徴とする、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
Rが、1つまたは複数の(C〜C)アルキル基で場合によって置換されているピラゾリル基を表し、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合または二重結合であり、塩基または酸付加塩の形態、さらに水和物または溶媒和物の形態であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
Rが、1つまたは複数の(C〜C)アルキル基で場合によって置換されているピラゾリル基を表し、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合が、単結合であり、塩基または酸付加塩の形態、さらに水和物または溶媒和物の形態であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
下記の化合物から選択され、
− 5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン;
− 5−[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−エン;
− 5−[2−(1H−イミダゾール−1−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン
− 5−[2−(1H−イミダゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン
− 5−[2−(1H−イミダゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(1H−イミダゾール−1−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(1H−イミダゾール−2−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1,3−オキサゾール−2−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(チアゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(ピラゾール−3−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(2−メチルチアゾール−5−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
− 5−[2−(テトラゾール−5−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1−イソブチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
− 5−[2−(1−n−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリド−5−イル]−1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
塩基または酸付加塩の形態、さらに水和物または溶媒和物の形態で、純粋なエナンチオマーまたはエナンチオマーの混合物の形態であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
式(V)または式(VI)の化合物
【化2】

(式中、Zは、臭素原子を表す。)を、パラジウム触媒の存在下、式R−B(OH)のボロン酸(式中、Rは、一般式(I)の定義の通りである。)、
または溶媒中の強塩基の存在下、式R−Hの化合物(式中、Rは、一般式(I)の定義の通りである。)、
またはパラジウム触媒の存在下、式R−Sn[(CHCH)]の第一スズ誘導体(式中、Rは、一般式(I)の定義の通りである。)、
またはn−ブチルリチウム、塩化亜鉛およびパラジウム触媒の存在下、式R−Hの化合物(式中、Rは、一般式(I)の定義の通りである。)のいずれかと反応させることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を調製するための方法。
【請求項10】
式(I)の化合物を調製するための方法であって、
【化3】

(式中、Rは、トリアゾリル、オキサジアゾリルおよびテトラゾリルから選択される基を表し、この基は、ハロゲン原子、ならびに(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、(C〜C)アルキルアミノおよびジ(C〜C)アルキルアミノ基から選択される1つまたは複数の基で場合によって置換されており、アザビシクロオクタン環の3位と4位の間の炭素−炭素結合は単結合である。)
式(VI)の化合物
【化4】

(式中、Zは、臭素原子を表す。)を、溶媒中のシアン化カリウムおよびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下において反応させて式(VII)の化合物を得て、
【化5】

次に、
Rが、トリアゾリル基を表す場合、式(VII)の化合物を、強塩基の存在下、溶媒中のギ酸ヒドラジドと反応させ、
Rが、オキサジアゾリル基を表す場合、式(VII)の化合物を、塩基性媒質中の塩酸ヒドロキシルアミンの存在下、式(VIII)のN−ヒドロキシカルボキサミジンに変換し、
【化6】

次に、式(VIII)の化合物を、溶媒中の無水酢酸と反応させ、
Rが、テトラゾリル基を表す場合、式(VII)の化合物を、溶媒中の塩化アンモニウムの存在下、アジ化ナトリウムと反応させることを特徴とする、式(I)の化合物を調製するための方法。
【請求項11】
式(VII)の化合物。
【化7】

【請求項12】
式(VIII)の化合物。
【化8】

【請求項13】
請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの化合物の薬学的に許容される酸との付加塩、または水和物もしくは溶媒和物を含むことを特徴とする薬物。
【請求項14】
請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの化合物の薬学的に許容される塩、または水和物もしくは溶媒和物、さらに少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項15】
認知障害;注意障害;アルツハイマー病、病理学的または正常な老化、パーキンソン病、21トリソミー症候群、精神病理学的病態、コルサコフのアルコール性の症候群、血管性認知症または頭部外傷を伴う実行機能障害;パーキンソン病または上述の神経変性疾患に伴う他の神経疾患もしくは解剖組織病理学的愁訴で観察される運動障害を治療および予防するための薬物調製のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項16】
脳卒中、脳の低酸素エピソードおよび精神病理学的病態を治療および予防するための薬物調製のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項17】
タバコ、アルコール、依存を誘発する様々な物質からの離脱により引き起こされる症状を予防するための薬物調製のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項18】
疼痛を治療するための薬物調製のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項19】
下肢の虚血、下肢の閉塞性動脈炎、心虚血、心筋梗塞、心不全、糖尿病患者の皮膚瘢痕形成の欠如、および静脈血流不全症の静脈瘤性潰瘍を治療するための薬物調製のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項20】
炎症過程を治療するための薬物調製のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−505971(P2009−505971A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525599(P2008−525599)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001912
【国際公開番号】WO2007/020344
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】