説明

AC1パケットフォーマットおよび緊急警報放送復調装置

【課題】ワンセグ対応のOFDM受信装置において、消費電力を低減させながら、1セグメント内にあるAC1信号を検出する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】チューナー12により受信されたOFDM信号は、キャリアデロテーター26において周波数ずれが補正された後、AC1復調器30に入力される。時間領域のOFDM信号101は、8系統に分配され、それぞれ第1位相信号111〜第8位相信号118が乗算される。第1位相〜第8位相は、AC1信号が挿入されるサブキャリアの位相である。OFDM信号101と第1位相信号111〜第8位相信号118との乗算値は、1シンボルにわたって積算され、8個のAC1信号が出力される。タイミングカウント回路34は、AC1信号の所定ビットを参照し、EWSフラグを検出する。さらに、ACデコード回路35は、AC1パケットに含まれるEWS情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM信号によって発信される緊急警報放送を再生するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本の地上波デジタルテレビ放送では、伝送方式としてOFDM(直交周波数分割多重;Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が採用されている。
【0003】
日本規格のOFDM方式では、6MHzの帯域幅をもつOFDM信号のスペクトラムを複数のセグメントに分割して伝送する「階層伝送」が可能である。OFDM受信装置においては、これら複数の階層の中から一部の階層のみを部分的に抽出して受信する「部分受信」という受信形態が可能となっている。そして、移動通信端末や携帯通信端末においては、これら複数の階層の中で1セグメントのみからなる階層を受信する「1セグメント方式(ワンセグ受信)」の受信形態も行われている。
【0004】
地上波デジタルテレビ放送においても、地震や津波などの災害の発生予告を緊急で行うための緊急警報放送(EWS:Emergency Warning System)が発信されている。EWSは、待機状態にあるテレビやラジオの受信機のスイッチを自動的にONすることで行われる放送である。
【0005】
OFDM受信装置は、テレビのスイッチが切られている状態で、定期的にOFDM信号を受信し、OFDM受信信号に含まれているTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)信号中のEWSフラグを検出する。そして、OFDM受信装置は、EWSフラグを検出したときには、テレビのスイッチをONにし、自動的にEWSを再生するのである。
【0006】
【特許文献1】特開2005−295053号公報
【特許文献2】特開2005−333512号公報
【特許文献3】特開2006−319771号公報
【特許文献4】特開2007−104221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、地上波デジタルテレビにおいてEWSを受信するためには、テレビのスイッチがOFFされて待機状態になっている場合であっても、OFDM受信装置に電力が供給されている必要がある。つまり、テレビスイッチはOFFにされているが、主電源がONされていることにより、待機電力によってOFDM受信装置が動作可能となっていることが条件となる。
【0008】
OFDM受信装置は、定期的に、OFDM信号を受信し、FFT(Fast Fourier Transform)演算を含む受信信号の復調処理を実行し、TMCC信号内に含まれているEWSフラグを検出するのである。
【0009】
据え置きテレビであれば、待機状態においてもOFDM受信装置が駆動し、演算処理を実行することには大きな問題にはならない。据え置きテレビであれば、コンセントを介して常時電源が供給されているからである。また、FFT演算を実行するときに消費電力が大きくなるが、これも据え置きテレビであれば大きな問題にはならない。
【0010】
しかし、ワンセグ受信を行う携帯電話端末を含め携帯通信端末においては、バッテリを使用しているため、消費電力を極力小さくする必要がある。もし、待機状態において、携帯電話端末に搭載されたOFDM受信装置が定期的にOFDM信号を受信し、FFT演算処理を実行すれば、バッテリの消費が多大となり、実用に耐えない。
【0011】
そこで、上記特許文献1〜特許文献4では、FFT演算を行うことなく、OFDM受信信号からEWSフラグを検出する試みがなされている。特許文献1、特許文献2では、フィルタによりTMCC信号が挿入されるキャリア信号を取得するようにしている。特許文献3、特許文献4では、特別な配置にある2本のTMCC信号を検出する方法を開示している。
【0012】
しかし、OFDM信号は、もともとサブキャリア間の間隔が狭く、密に配置されているのが特徴であり、特許文献1、特許文献2のようにフィルタを用いてTMCC信号を取得する方法は非常に高い精度のフィルタを準備する必要が生じる。また、フィルタのタップ数が非常に大きくなるため、消費電力の削減効果があまり得られないという問題もある。また、特許文献3、特許文献4の方法であれば、1セグメントにある4本のTMCC信号のうち2本しか検出できないという問題がある。
【0013】
図9は、TMCC信号のパケット構成を示す図である。TMCC信号は、1シンボルに対して1ビットの情報として埋め込まれるため、1フレーム(204シンボル)で、204ビットのパケットとして構成される。EWSフラグは、図にも示すように、第26ビットに挿入される。緊急警報放送の放送が開始すると、第26ビットにEWSフラグとして「1」が記録される。
【0014】
このように、TMCC信号パケット中には、EWSフラグが1ビットしか含まれないため、信号の検出精度を上げるためには、たとえば数フレーム分のデータを取得する必要がある。緊急警報放送の緊急性を考えると、EWSフラグの検出までの時間が遅延することは好ましくない。
【0015】
さらには、TMCC信号パケットにはEWSフラグのみが含まれるため、EWSフラグを検出した後、ワンセグテレビ受信装置を起動して緊急警報放送を受信する必要がある。ワンセグテレビ受信装置で緊急警報放送を復調するためには、時間デインタリービング処理、MPEGデコード処理などを実行する必要があるので、遅延時間はさらに大きくなる。
【0016】
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、消費電力を低減させながら、OFDM信号に含まれる緊急警報放送フラグを精度よく検出する技術、さらには、消費電力を低減させながら緊急警報放送を迅速に再生する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、OFDM方式の信号に含まれるAC1パケットのフォーマットであって、所定ビット長のAC1ヘッダと、前記AC1ヘッダの後続に記録されるAC1情報記録部と、を含み、前記AC1ヘッダに緊急警報放送フラグが挿入されることを特徴とする。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のAC1パケットフォーマットであって、前記AC1ヘッダには、緊急警報放送フラグが複数ビットに亘って重複して挿入されることを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載のAC1パケットフォーマットであって、前記AC1ヘッダには、16ビットの同期信号に続き緊急警報放送フラグが3ビット分重複して挿入されることを特徴とする。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項2に記載のAC1パケットフォーマットであって、前記AC1ヘッダには、8ビットの同期信号に続き緊急警報放送フラグが3ビット分重複して挿入されることを特徴とする。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のAC1パケットフォーマットであって、前記AC1情報記録部には、緊急警報情報が記録されることを特徴とする。
【0022】
請求項6記載の発明は、OFDM方式の受信信号からAC1信号に含まれる緊急警報放送フラグを検出する緊急警報放送フラグ復調装置であって、AC1信号が格納されるキャリアの位相情報を記憶するAC1情報記憶部と、時間領域のOFDM受信信号に、AC1信号が格納されるキャリアの位相信号を乗算する乗算器と、前記乗算器における乗算値を1シンボル期間にわたって積算し、AC1信号を出力する積算回路と、前記積算回路から出力されたAC1信号から緊急警報放送フラグを検出する検出回路と、を備えることを特徴とする。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項6に記載の緊急警報放送フラグ復調装置において、前記AC1情報記憶部には、N本のAC1信号に対応したN個のキャリア位相情報が格納されており、前記緊急警報放送フラグ復調装置は、さらに、時間領域のOFDM信号を第1から第Nの系統に分配する分配回路、を備え、前記乗算器は、第1から第Nの系統に分配されたOFDM信号に、それぞれ第1から第Nのキャリアの位相信号を乗算するN個のキャリア別乗算器、を含み、前記積算回路は、N個のキャリア別乗算器の乗算値をそれぞれ1シンボル期間にわたって積算するN個のキャリア別積算回路、を含むことを特徴とする。
【0024】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の緊急警報放送フラグ復調装置において、前記キャリア別乗算器および前記キャリア別積算回路のセットが、1セグメントのOFDM信号に含まれる8本のAC1信号に対応して8セット用意されていることを特徴とする。
【0025】
請求項9記載の発明は、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の緊急警報放送フラグ復調装置において、さらに、前記検出回路により緊急警報放送フラグが検出された場合、FFT演算回路を含むデジタルテレビ放送復調回路への電力供給を指示する信号を送出する指示回路、を備えることを特徴とする。
【0026】
請求項10記載の発明は、OFDM方式の受信信号を復調するOFDM受信装置であって、OFDM信号を受信するチューナーと、FFT演算回路を含む処理ブロックによりOFDM受信信号を復調するデジタルテレビ放送復調回路と、OFDM受信信号からAC1信号に含まれる緊急警報放送フラグを検出する緊急警報放送フラグ復調回路と、を備え、前記緊急警報放送フラグ復調回路は、AC1信号が格納されるキャリアの位相情報を記憶するAC1情報記憶部と、時間領域のOFDM受信信号に、AC1信号が格納されるキャリアの位相信号を乗算する乗算器と、前記乗算器における乗算値を1シンボル期間にわたって積算し、AC1信号を出力する積算回路と、前記積算回路から出力されたAC1信号から緊急警告放送フラグを検出する検出回路と、前記検出回路により緊急警報放送フラグが検出された場合、前記デジタルテレビ放送復調回路への電力供給を指示する信号を送出する指示回路と、を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項11記載の発明は、請求項10に記載のOFDM受信装置において、前記チューナーおよび前記緊急警報放送フラグ復調回路には、所定フレーム間隔で電力が供給されることを特徴とする。
【0028】
請求項12記載の発明は、OFDM方式の受信信号からAC1信号に含まれる緊急警報放送を復調する緊急警報放送復調装置であって、AC1信号が格納されるキャリアの位相情報を記憶するAC1情報記憶部と、時間領域のOFDM受信信号に、AC1信号が格納されるキャリアの位相信号を乗算する乗算器と、前記乗算器における乗算値を1シンボル期間にわたって積算し、AC1信号を出力する積算回路と、前記積算回路から出力されたAC1信号から緊急警報情報を抽出する抽出回路と、前記抽出回路において抽出した緊急警報情報に基づいて緊急警報放送を再生する再生装置と、を備えることを特徴とする。
【0029】
請求項13記載の発明は、請求項12に記載の緊急警報放送復調装置において、前記AC1情報記憶部には、N本のAC1信号に対応したN個のキャリア位相情報が格納されており、前記緊急警報放送復調装置は、さらに、時間領域のOFDM信号を第1から第Nの系統に分配する分配回路、を備え、前記乗算器は、第1から第Nの系統に分配されたOFDM信号に、それぞれ第1から第Nのキャリアの位相信号を乗算するN個のキャリア別乗算器、を含み、前記積算回路は、N個のキャリア別乗算器の乗算値をそれぞれ1シンボル期間にわたって積算するN個のキャリア別積算回路、を含むことを特徴とする。
【0030】
請求項14記載の発明は、請求項13に記載の緊急警報放送復調装置において、前記キャリア別乗算器および前記キャリア別積算回路のセットが、1セグメントのOFDM信号に含まれる8本のAC1信号に対応して8セット用意されていることを特徴とする。
【0031】
請求項15記載の発明は、請求項12ないし請求項14のいずれかに記載の緊急警報放送復調装置において、OFDM信号を受信するチューナーおよび前記緊急警報放送復調装置には、所定フレーム間隔で電力が供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明のAC1パケットフォーマットでは、AC1ヘッダにEWSフラグが挿入される。1フレーム中の早い時間帯でEWSフラグを検出することができるので、緊急警報放送の受信までの遅延時間を短くすることができる。
【0033】
また、AC1ヘッダには、EWSフラグが重複して複数ビット挿入されるので、EWSフラグの検出精度を向上させることができる。
【0034】
さらには、本発明においては、AC1信号に緊急警報情報が埋め込まれる。これにより、低消費電力を実現しながら、緊急警報放送を再生することが可能である。
【0035】
本発明の緊急警報放送フラグの復調装置は、時間領域のOFDM受信信号に、AC1信号の挿入されるサブキャリアの位相信号を乗算する。そして、乗算値を1シンボル期間にわたって積算することでAC1信号を取得する。
【0036】
これにより、FFT演算を実行することなく、少ない消費電力でAC1信号を取得することができる。
【0037】
本発明においては、少ない数の乗算器、積算回路を用いてAC1信号を取得することができるので、EWSフラグの検出回路の回路規模を小さくすることができ、低消費電力化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
{第1の実施の形態}
図1は、第1の実施の形態にかかる携帯電話端末10のブロック図である。携帯電話端末10は、ワンセグの地上波デジタルテレビ放送の受信機能を備えた携帯電話端末である。本実施の形態においては、ワンセグ放送受信機能を備えた携帯端末として携帯電話端末を例に説明するが、他にも携帯情報端末(PDA)や、携帯ゲーム機などに適用させることができる。
【0039】
携帯電話端末10は、OFDM方式の地上波デジタルテレビ放送を受信するアンテナ11およびチューナー12を備えている。チューナー12から出力されたアナログのOFDM受信信号はA/D変換回路13においてデジタル変換される。
【0040】
A/D変換回路13においてデジタル変換されたOFDM受信信号は、2系統に分配されて、一方は、地上波デジタルテレビ復調器14に入力される。
【0041】
地上波デジタルテレビ復調器14は、周波数補正回路、FFT演算回路、等化回路、誤り訂正回路、MPEG復号回路などを備え、受信したOFDM信号から、ワンセグの地上波デジタルテレビ放送信号を復調する。そして、復調された放送信号は、モニタ15およびスピーカ16から出力される。このようにして、ユーザは、携帯電話端末10を利用して、ワンセグの地上波デジタルテレビ放送を視聴することができる。
【0042】
A/D変換回路13においてデジタル変換されたOFDM受信信号は、また、緊急警報放送フラグを復調するためのEWSフラグ復調器20に入力される。EWSフラグ復調器20は、受信したOFDM信号からAC1(Auxiliary Channel 1)信号を復調し、AC1信号に含まれるEWSフラグを検出する。
【0043】
携帯電話端末10は、電源スイッチ19を備え、電源スイッチ19のON/OFF操作により、電源18から本体部への電力の供給、停止が行われる。本体部とは、モニタ15やスピーカ16などの入出力部であり、携帯電話端末10の基本機能を実行するための処理部である。ユーザは、電源スイッチ19がONにされている状態で、図示せぬ操作ボタンを操作してダイヤル操作や入力操作を行うことで通話機能やメール機能など携帯電話端末10が備える基本機能を利用することができる。
【0044】
しかし、電源スイッチ19がON操作されただけでは、チューナー12、A/D変換回路13、地上波デジタルテレビ復調器14、EWSフラグ復調器20への電力供給は行われない。ユーザが、図示せぬ操作ボタンを操作して、地上波デジタルテレビ放送の視聴機能をONにしたとき、はじめてチューナー12、A/D変換回路13、地上波デジタルテレビ復調器14への電力が供給され、地上波デジタルテレビの放送の視聴が可能となる。これは、ユーザが、能動的に地上波デジタルテレビ放送の視聴機能をONにした場合である。
【0045】
これに対して、本実施の形態の携帯電話端末10は、ユーザ操作に無関係に、自動的に、緊急警報放送の視聴が可能となる機能を備えている。図2は、携帯電話端末10の各構成部の起動・停止のタイミングを示す図である。
【0046】
電源スイッチ19がON操作されると、通話機能、メール機能など携帯電話端末10の基本的な機能が使用可能となる。また、電源スイッチ19がON操作されると、後述するタイミングカウント回路34への電力が供給される。電源スイッチ19がON操作されると、EWSフラグ復調器20全体には電力は供給されないが、EWSフラグ復調器20内のタイミングカウント回路34だけに電力が供給される。
【0047】
タイミングカウント回路34は、タイマーを備え、OFDM受信信号の受信タイミングをカウントし、定期的に、電力供給信号RS1を出力する。この電力供給信号RS1に応答して、チューナー12、A/D変換回路13、EWSフラグ復調器20への電力供給が行われる。たとえば、タイミングカウント回路34は、5フレームや10フレームに一度のタイミングで電力供給信号RS1を生成する。
【0048】
また、タイミングカウント回路34は、EWSフラグ復調器20がEWSフラグを検出すると、電力供給信号RS2を出力する。この電力供給信号RS2に応答して、チューナー12、A/D変換回路13、地上波デジタルテレビ復調器14への電力供給が行われる。
【0049】
図3は、EWSフラグ復調器20の機能ブロック図である。EWSフラグ復調器20は、AGC(Automatic Gain Control)回路21、乗算器22、乗算器23、LPF(Low Pass Filter)24、リサンプラー25、キャリアデロテーター26を備えている。
【0050】
まず、上述したように、タイミングカウント回路34から電力供給信号RS1が出力されることにより、電源18からの電力が、チューナー12、A/D変換回路13、EWSフラグ復調器20へ供給される。そして、アンテナ11、チューナー12を介して受信したOFDM信号が、A/D変換回路13においてデジタル変換される。
【0051】
A/D変換回路13から出力されたデジタルのOFDM受信信号は、AGC回路21においてゲインが調整される。ゲインが調整されたOFDM受信信号は、乗算器22においてcos波が乗算された後、LPF24を通すことによって、同相成分(I成分)が抽出される。また、ゲインが調整されたOFDM受信信号は、乗算器23においてsin波が乗算された後、LPF24を通すことによって直交成分(Q成分)が抽出される。
【0052】
I成分、Q成分に分離されたOFDM信号は、リサンプラー25において、サンプリングレートが調整され、キャリアデロテーター26において、位相信号が乗算されて周波数ずれの補正が行われる。
【0053】
EWSフラグ復調器20は、さらに、時間領域相関回路27、シンボル同期回路28、狭帯域周波数同期回路29、AC1復調器30、DBPSKデコード回路31、AC1同期回路32、広帯域周波数同期回路33、タイミングカウント回路34、AC1デコード回路35を備えている。
【0054】
キャリアデロテーター26から出力されたOFDM受信信号は、時間領域相関回路27に入力される。時間領域相関回路27は、ガードインターバル信号の相関を演算することで、時間領域の相関値を演算する。
【0055】
シンボル同期回路28は、時間領域相関回路27における相関値の演算結果に基づいてシンボル同期信号を生成し、AC1復調器30に出力する。AC1復調器30は、入力したシンボル同期信号に基づいてシンボル単位での処理を実行する。
【0056】
また、狭帯域周波数同期回路29は、時間領域相関回路27における相関値の演算結果に基づいて狭帯域の周波数ずれを検出する。そして、狭帯域周波数同期回路29は、周波数ずれの位相情報をキャリアデロテーター26に出力する。狭帯域の周波数ずれとは、サブキャリア間隔を越えない周波数ずれである。キャリアデロテーター26は、周波数ずれの位相情報に基づいて、OFDM受信信号の狭帯域の周波数ずれを補正する。
【0057】
また、広帯域周波数同期回路33は、サブキャリア間隔を越える周波数ずれを検出し、周波数ずれの位相情報をキャリアデロテーター26に出力する。キャリアデロテーター26は、周波数ずれの位相情報に基づいて、OFDM受信信号の広帯域の周波数ずれを補正する。
【0058】
キャリアデロテーター26において周波数ずれが補正されたOFDM信号は、AC1復調器30に入力される。AC1復調器30は、AC1情報記憶回路310、8個の乗算器311,312・・・317,318と、8個の加算器321,322・・・327,328と、8個の遅延回路331,332・・・337,338等から構成される。
【0059】
AC1情報記憶回路310には、AC1信号が挿入されるサブキャリアの位相情報が記憶されている。モード3の規格では、1セグメントに8本のAC1信号が挿入される。本実施の形態においては、モード3に対応して、AC1情報記憶回路310には、8本のAC1信号に対応した第1位相から第8位相までの8つのサブキャリア位相情報(ψ〜ψ)が記憶されている。
【0060】
キャリアデロテーター26から出力されAC1復調器30に入力される時間領域のOFDM受信信号101は、8系統に分配され、それぞれ乗算器311,312・・・317,318に入力される。なお、OFDM受信信号101は、キャリアデロテーター26から出力されたI成分、Q成分の2つの信号からなる複素信号である。
【0061】
乗算器311に入力された時間領域のOFDM受信信号101には、AC1情報記憶回路310から出力された第1位相信号111が乗算される。図中、ψは、第1番目のAC1信号が挿入されるサブキャリアの位相(第1位相)を示している。
【0062】
任意のポイントのOFDM信号101と第1位相信号111との乗算値は、加算器321において、遅延回路331からの出力信号と加算される。さらに、次のポイントのOFDM信号101と第1位相信号111とが乗算され、加算器321において、遅延回路331からの出力信号と加算される。このような処理を繰り返し、乗算値が1シンボルにわたって積算される。つまり、1シンボルに含まれる各サンプリング点のOFDM信号101が、順次乗算器311において第1位相信号111と乗算され、その乗算値が1シンボル期間にわたって積算されるのである。AC1復調器30は、シンボル同期回路28から入力する同期信号に基づいて1シンボル単位の積算値を出力する。
【0063】
ここで、第1位相信号111は、ワンセグのOFDM信号に含まれる8本のAC1信号の中で、第1番目のAC1信号が挿入されるサブキャリアの位相(第1位相ψ)に対応した搬送波信号(ejψ1)である。したがって、OFDM受信信号の直交性により、乗算値を1シンボルにわたって積算した積算結果は、第1番目のAC1信号となる。このようにして加算器321より第1番目のAC1信号が出力される。
【0064】
乗算器312〜318には、第2〜第8番目のAC1信号が挿入されるサブキャリアの位相に対応した第2〜第8位相信号112〜118が入力される。第2〜第8位相信号112〜118は、8本のAC1信号の中で、第2〜第8番目のAC1信号が挿入されるサブキャリアの位相に対応した搬送波信号(ejψ2,ejψ3,・・・,ejψ8)である。そして、乗算器312〜318において、OFDM受信信号101には、それぞれ第2〜第8位相信号112〜118が乗算される。
【0065】
加算器322〜328においては、それぞれ、OFDM信号101と、第2〜第8位相信号112〜118との乗算値が1シンボル期間にわたって積算される。これにより、加算器322からは、第2番目のAC1信号が出力され、加算器323からは、第3番目のAC1信号が出力され、以下同様に、加算器324〜328からは、第4〜第8番目のAC1信号が出力される。
【0066】
AC1復調器30から出力されたAC1信号は、DBPSKデコード回路31に入力される。AC1信号は、差動位相変調された信号であり、DBPSKデコードすることにより、AC1信号が復調される。
【0067】
復調されたAC1信号は、AC1同期回路32に入力される。AC1同期回路32は、AC1信号からフレーム同期信号を生成し、広帯域周波数同期回路33に出力する。広帯域周波数同期回路33は、フレーム同期信号に基づいて広帯域の周波数ずれを検出する。
【0068】
図4は、AC1信号のパケット構成を示す図である。AC1信号は、1シンボルに対して1ビットの情報として埋め込まれるため、1フレーム(204シンボル)で、204ビットのパケットとして構成される。
【0069】
図に示すように、AC1パケットの第0ビットは差動復調基準ビットである。第1ビットから第16ビットは、同期信号が挿入される。AC1同期回路32は、この同期信号を利用してフレーム同期信号を生成する。
【0070】
第17ビットから第19ビットには、EWSフラグが挿入される。緊急警報放送の放送が開始すると、第17ビットから第19ビットまでの3ビット全てにEWSフラグとして「1」が記録される。
【0071】
第20ビットから第121ビットまでにAC1情報が挿入される。最後の第122ビットから第203ビットはパリティが挿入される。
【0072】
図4の例では、AC1ヘッダは第1ビット〜第19ビットまでの19ビットで構成され、その前半16ビットを同期信号として利用し、後半の3ビットをEWSフラグの挿入ビットとして利用している。別の例として、図5に示すように、AC1ヘッダのサイズを小さくしてもよい。図5の例では、AC1ヘッダは第1ビット〜第11ビットまでの11ビットで構成され、その前半8ビットを同期信号として利用し、後半の3ビットをEWSフラグの挿入ビットとして利用している。
【0073】
AC1同期回路32は、復調されたAC1信号をタイミングカウント回路34に出力する。タイミングカウント回路34は、AC1信号からEWSフラグを検出する。タイミングカウント回路34は、AC1信号からEWSフラグを検出した場合には、電源制御回路17に対して電力供給信号RS2を出力する。
【0074】
電源制御回路17は、タイミングカウント回路34から電力供給信号RS2を入力すると、電源18を制御し、チューナー12、A/D変換回路13、地上波デジタルテレビ復調器14に対して電力を供給する。
【0075】
これにより、アンテナ11、チューナー12を介して受信されたOFDM受信信号は、A/D変換回路13を介して地上波デジタルテレビ復調器14に入力される。そして、地上波デジタルテレビ復調器14において、FFT演算、等化処理、誤り符号訂正、MPEG復号などが行われ、緊急警報放送が復調される。そして、緊急警報放送が、モニタ15、スピーカ16から出力される。このようにして、本実施の形態の携帯電話端末10は、地上波デジタルテレビの受信機能がOFFされている状態であっても、EWSフラグを検出し、地上波デジタルテレビ受信機能を自動的にONして緊急警報放送を開始することができる。
【0076】
一方、タイミングカウント回路34は、AC1信号からEWSフラグが検出されなかった場合には、電力供給信号RS2を出力しない。これにより、次の電力供給信号RS1の発生タイミングまで、チューナー12、A/D変換回路13、EWSフラグ復調器20への電力供給が停止される。
【0077】
AC1デコード回路35は、AC1パケットに含まれるAC1情報をデコードする処理回路であるが、第1の実施の形態においては、特にAC1情報を利用しないので、必須の構成要素ではない。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態においては、FFT演算を行うことなく低消費電力化を実現しつつ、8本全てのAC1信号を復調することができる。携帯電話端末10の電源スイッチ19がONとなっている場合には、電源18からの電力は常にタイミングカウント回路34に供給されている。タイミングカウント回路34は、EWSフラグの検出タイミングをカウントし、定期的に、電力供給信号RS1を生成する。たとえば、5フレーム間隔、10フレーム間隔などをあけて電力供給信号RS1を生成し、電源制御回路17に出力する。
【0079】
電力供給信号RS1を入力した場合、EWSフラグ復調器20が受信する必要のあるOFDM信号は1フレーム以下である。図4に示したパケット構成であれば、EWSフラグは第17ビットから第19ビットに挿入されているので、先頭から19シンボル目の信号を受信するまで電力を供給すればよい。さらに、図5の例であれば、先頭から11シンボル目の信号を受信するまで電力を供給すればよい。
【0080】
上述したように、TMCCパケットにおいては、EWSフラグは、第26ビットに挿入されている。フレームの先頭から数えて26シンボル目のOFDM信号を受信することで、EWSフラグを検出できることになる。したがって、本実施の形態においては、AC1パケットにEWSフラグを挿入することによって、さらなる消費電力の低減を図ることができる。
【0081】
また、TMCC信号では、1パケット中にEWSフラグが1ビットしか存在しないため、ロバストな検出を行うためには、数フレームの信号を取得するなどの必要が生じ、遅延を生じることになる。しかし、図4、図5で示したAC1パケットでは、EWSフラグが3ビット用意されている。これにより、1フレームのAC1信号からEWSフラグを検出するだけでも、検出精度を高くすることができる。
【0082】
電源制御回路17は、電力供給信号RS1を入力すると、チューナー12、A/D変換回路13、EWSフラグ復調器20へ電力を供給する。これにより、アンテナ11、チューナー12を介して受信されたOFDM信号が、A/D変換回路13を介してEWSフラグ復調器20に入力され、EWSフラグ復調器20においてEWSフラグの検出処理が行われる。そして、EWSフラグが検出された場合には、上述したように、タイミングカウント回路34から電力供給信号RS2が生成され、地上波デジタルテレビの受信が行われるのである。
【0083】
本実施の形態においては、AC1復調器20において、8本のAC1信号を全て復調するようにしたが、たとえば、8本全てのAC1信号を復調するのではなく、一部のAC1信号を復調してEWSフラグを検出するようにしてもよい。
【0084】
{第2の実施の形態}
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は、第2の実施の形態に係る携帯電話端末50を示すブロック図である。携帯電話端末50が備える構成要素のうち、アンテナ11、チューナー12、A/D変換回路13、モニタ15、スピーカ16、電源制御回路17、電源18、電源スイッチ19、EWSフラグ復調器20の機能は、第1の実施の形態と略同様である。
【0085】
第1の実施の形態と異なる点は、携帯電話端末50が、地上波デジタルテレビ復調器14を備えていない点である。つまり、携帯電話端末50は、FFT演算処理によりOFDM信号を復調し、地上波デジタルテレビを再生するための機能を備えていない。また、第2の実施の形態におけるEWSフラグ復調器20は、緊急警報放送フラグの検出機能に加えて緊急警報情報を復調する機能も備える。
【0086】
図7は、第2の実施の形態に係るAC1パケットのパケット構成を示す図である。第20ビットから第121ビットまでのAC1情報格納部には、EWS情報が記録されている。第20ビットから第121ビットまでの102ビット全てあるいはその一部に緊急警報放送の内容が埋め込まれるのである。あるいは、図8で示すAC1パケット構成であれば、第12ビットから第121ビットまでのAC1情報格納部に、EWS情報が記録されている。第12ビットから第121ビットまでの110ビット全てあるいはその一部に緊急警報放送の内容が埋め込まれるのである。
【0087】
AC1情報格納部に埋め込まれるEWS情報は、文字データや音声データが考えられるが、特に情報の形態は限定されるものではない。
【0088】
図3で示したAC1デコード回路35は、復調されたAC1信号のAC1情報格納部からEWS情報をデコードする。そして、EWS情報から緊急警報放送データのTS(Transport Stream)を生成し、画像音声処理回路40に出力する。画像音声処理回路40は、緊急警報放送データのTSを再生し、モニタ15およびスピーカ16に出力する。これにより、モニタ15およびスピーカ16を通して緊急警報放送が再生される。たとえば、モニタ15に、地震発生の予告メッセージが表示される。あるいは、スピーカ16から地震発生を警告する音声が再生されるのである。
【0089】
上述したように、1セグメント中には8本のAC1信号が挿入される。したがって、8本全てのAC1情報格納部を利用することで、たとえば図7のパケット構成であれば、最大で102ビット×8=816ビットの情報を格納することができる。また、図8のパケット構成であれば、最大で110ビット×8=880ビットの情報を格納することができる。これにより、1フレームのデータを取得するだけでも、緊急警報放送に必要な最低限の警報文字メッセージや、警報音声メッセージを格納することができる。
【0090】
このように、第2の実施の形態の携帯電話端末50は、FFT演算処理を含む地上波デジタルテレビの復調器を備えていなくても、AC1信号の復調器を備えることで、緊急警報放送を再生することができる。これにより、低消費電力で、緊急警報放送の視聴が可能となる。
【0091】
さらには、携帯電話端末50は、FFT演算を行うことなく、緊急警報放送を再生できるので、EWSフラグを検出してから非常に短時間で緊急警報放送を再生できるという効果が生じる。上述したように、デジタルテレビにおいてはアナログテレビに比べて放送の再生に遅れを生じるが、本実施の形態であれば、FFT演算を行わないので、非常に短時間で緊急警報を人々に通知することができる。また、時間デインタリービングやMPEG復号化処理が実行されないので、迅速に緊急警報放送を再生することができる。地震、津波などの警報は、1秒でも早く人々に通知する必要があり、この時間差は非常に重要である。そもそも、デジタルテレビはアナログテレビに比べて、信号の復調に時間が掛かるため、EWS信号の受信に約2秒程度の遅れを生じる。その意味でも、なるべく短時間でEWS信号を検出できる効果は大きい。
【0092】
この実施の形態では、AC1パケットにEWS情報として緊急警報放送の文字や音声メッセージを記録する場合を説明したが、文字メッセージや音声メッセージは予め定型的なデータを携帯電話端末50内に格納しておいてもよい。そして、AC1パケットのAC1情報格納部には、定型メッセージを指定するためのコードのみを記録するのである。これにより、AC1情報を利用した多様なメッセージの再生を行うことができる。
【0093】
この実施の形態のEWSフラグ復調器20を備える装置として携帯電話端末を例に説明したが、他にも腕時計型の携帯端末に本発明を適用させてもよい。たとえば、携帯電話端末を利用しない老人などにも使いやすいものとなる。あるいは、オフィスなどに設置される据え置き型の端末に本発明を適用させてもよい。
【0094】
{第3の実施の形態}
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態と第2の実施の形態を融合させた実施の形態である。つまり、携帯電話端末は、第1の実施の形態と同様、地上波デジタルテレビ復調器14とEWSフラグ復調器20の両方の回路を備えるとともに、第2の実施の形態のように、EWSフラグ復調器20が、緊急警報放送フラグの検出機能に加えて緊急警報情報を復調する機能も備える。そして、AC1パケットには、図7、図8で示したように、EWSフラグとあわせてEWS情報が格納される。
【0095】
EWSフラグ復調器20は、第2の実施の形態と同様の処理を実行することで、AC1フラグを検出すると、AC1パケットからEWS情報をデコードする。そして、携帯電話端末は、地上波デジタルテレビ復調器14の全体に電力を供給するのではなく、バックエンド処理部だけに電力を供給し、緊急警報放送を再生するのである。つまり、地上波デジタルテレビ復調器14は、FFT演算回路などの復調回路は起動させることなく、AC1パケットから取得されたEWS情報の再生を行うのである。
【0096】
このような処理を実行することで、第1の実施の形態に比べて消費電力を低減させることができる。また、FFT演算処理、時間デインタリービング処理を実行することなく緊急警報放送を再生できるので、放送開始までの遅延時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】第1の実施の形態に係る携帯電話端末のブロック図である。
【図2】携帯電話端末の各構成部の起動・停止タイミングを示す図である。
【図3】EWSフラグ復調器の回路ブロック図である。
【図4】第1の実施の形態におけるAC1パケットのパケット構成図である。
【図5】第1の実施の形態におけるAC1パケットのパケット構成図である。
【図6】第2の実施の形態に係る携帯電話端末のブロック図である。
【図7】第2の実施の形態におけるAC1パケットのパケット構成図である。
【図8】第2の実施の形態におけるAC1パケットのパケット構成図である。
【図9】TMCCパケットのパケット構成図である。
【符号の説明】
【0098】
10 携帯電話端末
12 チューナー
14 地上波デジタルテレビ復調器
17 電源制御回路
18 電源
19 スイッチ
20 EWSフラグ復調器
30 AC1復調器
34 タイミングカウント回路
50 携帯電話端末
310 AC1情報記憶部
311〜318 乗算器
321〜328 加算器
331〜338 遅延回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OFDM方式の信号に含まれるAC1パケットのフォーマットであって、
所定ビット長のAC1ヘッダと、
前記AC1ヘッダの後続に記録されるAC1情報記録部と、
を含み、
前記AC1ヘッダに緊急警報放送フラグが挿入されることを特徴とするAC1パケットフォーマット。
【請求項2】
請求項1に記載のAC1パケットフォーマットであって、
前記AC1ヘッダには、緊急警報放送フラグが複数ビットに亘って重複して挿入されることを特徴とするAC1パケットフォーマット。
【請求項3】
請求項2に記載のAC1パケットフォーマットであって、
前記AC1ヘッダには、16ビットの同期信号に続き緊急警報放送フラグが3ビット分重複して挿入されることを特徴とするAC1パケットフォーマット。
【請求項4】
請求項2に記載のAC1パケットフォーマットであって、
前記AC1ヘッダには、8ビットの同期信号に続き緊急警報放送フラグが3ビット分重複して挿入されることを特徴とするAC1パケットフォーマット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のAC1パケットフォーマットであって、
前記AC1情報記録部には、緊急警報情報が記録されることを特徴とするAC1パケットフォーマット。
【請求項6】
OFDM方式の受信信号からAC1信号に含まれる緊急警報放送フラグを検出する緊急警報放送フラグ復調装置であって、
AC1信号が格納されるキャリアの位相情報を記憶するAC1情報記憶部と、
時間領域のOFDM受信信号に、AC1信号が格納されるキャリアの位相信号を乗算する乗算器と、
前記乗算器における乗算値を1シンボル期間にわたって積算し、AC1信号を出力する積算回路と、
前記積算回路から出力されたAC1信号から緊急警報放送フラグを検出する検出回路と、
を備えることを特徴とする緊急警報放送フラグ復調装置。
【請求項7】
請求項6に記載の緊急警報放送フラグ復調装置において、
前記AC1情報記憶部には、N本のAC1信号に対応したN個のキャリア位相情報が格納されており、
前記緊急警報放送フラグ復調装置は、さらに、
時間領域のOFDM信号を第1から第Nの系統に分配する分配回路、
を備え、
前記乗算器は、
第1から第Nの系統に分配されたOFDM信号に、それぞれ第1から第Nのキャリアの位相信号を乗算するN個のキャリア別乗算器、
を含み、
前記積算回路は、
N個のキャリア別乗算器の乗算値をそれぞれ1シンボル期間にわたって積算するN個のキャリア別積算回路、
を含むことを特徴とする緊急警報放送フラグ復調装置。
【請求項8】
請求項7に記載の緊急警報放送フラグ復調装置において、
前記キャリア別乗算器および前記キャリア別積算回路のセットが、1セグメントのOFDM信号に含まれる8本のAC1信号に対応して8セット用意されていることを特徴とする緊急警報放送フラグ復調装置。
【請求項9】
請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の緊急警報放送フラグ復調装置において、さらに、
前記検出回路により緊急警報放送フラグが検出された場合、FFT演算回路を含むデジタルテレビ放送復調回路への電力供給を指示する信号を送出する指示回路、
を備えることを特徴とする緊急警報放送フラグ復調装置。
【請求項10】
OFDM方式の受信信号を復調するOFDM受信装置であって、
OFDM信号を受信するチューナーと、
FFT演算回路を含む処理ブロックによりOFDM受信信号を復調するデジタルテレビ放送復調回路と、
OFDM受信信号からAC1信号に含まれる緊急警報放送フラグを検出する緊急警報放送フラグ復調回路と、
を備え、
前記緊急警報放送フラグ復調回路は、
AC1信号が格納されるキャリアの位相情報を記憶するAC1情報記憶部と、
時間領域のOFDM受信信号に、AC1信号が格納されるキャリアの位相信号を乗算する乗算器と、
前記乗算器における乗算値を1シンボル期間にわたって積算し、AC1信号を出力する積算回路と、
前記積算回路から出力されたAC1信号から緊急警告放送フラグを検出する検出回路と、
前記検出回路により緊急警報放送フラグが検出された場合、前記デジタルテレビ放送復調回路への電力供給を指示する信号を送出する指示回路と、
を備えることを特徴とするOFDM受信装置。
【請求項11】
請求項10に記載のOFDM受信装置において、
前記チューナーおよび前記緊急警報放送フラグ復調回路には、所定フレーム間隔で電力が供給されることを特徴とするOFDM受信装置。
【請求項12】
OFDM方式の受信信号からAC1信号に含まれる緊急警報放送を復調する緊急警報放送復調装置であって、
AC1信号が格納されるキャリアの位相情報を記憶するAC1情報記憶部と、
時間領域のOFDM受信信号に、AC1信号が格納されるキャリアの位相信号を乗算する乗算器と、
前記乗算器における乗算値を1シンボル期間にわたって積算し、AC1信号を出力する積算回路と、
前記積算回路から出力されたAC1信号から緊急警報情報を抽出する抽出回路と、
前記抽出回路において抽出した緊急警報情報に基づいて緊急警報放送を再生する再生装置と、
を備えることを特徴とする緊急警報放送復調装置。
【請求項13】
請求項12に記載の緊急警報放送復調装置において、
前記AC1情報記憶部には、N本のAC1信号に対応したN個のキャリア位相情報が格納されており、
前記緊急警報放送復調装置は、さらに、
時間領域のOFDM信号を第1から第Nの系統に分配する分配回路、
を備え、
前記乗算器は、
第1から第Nの系統に分配されたOFDM信号に、それぞれ第1から第Nのキャリアの位相信号を乗算するN個のキャリア別乗算器、
を含み、
前記積算回路は、
N個のキャリア別乗算器の乗算値をそれぞれ1シンボル期間にわたって積算するN個のキャリア別積算回路、
を含むことを特徴とする緊急警報放送復調装置。
【請求項14】
請求項13に記載の緊急警報放送復調装置において、
前記キャリア別乗算器および前記キャリア別積算回路のセットが、1セグメントのOFDM信号に含まれる8本のAC1信号に対応して8セット用意されていることを特徴とする緊急警報放送復調装置。
【請求項15】
請求項12ないし請求項14のいずれかに記載の緊急警報放送復調装置において、
OFDM信号を受信するチューナーおよび前記緊急警報放送復調装置には、所定フレーム間隔で電力が供給されることを特徴とする緊急警報放送復調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−147629(P2010−147629A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320548(P2008−320548)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】