説明

AKTプロテインキナーゼ阻害剤としてのジヒドロフロピリミジン

本発明は、それらの分解エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物および医薬上許容される塩を含む、式(I)を含む化合物を提供する。さらに、本発明の化合物をAKTタンパク質キナーゼ阻害剤として、および例えば癌などの過剰増殖性疾患を治療するために使用する方法もまた提供される。一つの実施形態において、本発明は、哺乳動物におけるAKTタンパク質キナーゼの産生を阻害する方法であって、上記哺乳動物へ式Iの化合物、またはそれらの溶媒和物、代謝産物、もしくは医薬上許容される塩もしくはプロドラッグを、AKTタンパク質キナーゼの産生を阻害するための有効量で投与する工程を含む方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の優先権)
本出願は、2006年7月6日に出願された米国仮出願第60/818,807号の優先権を主張するものであり、この仮出願は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼ(例、AKTキナーゼおよび関連キナーゼ)の新規な阻害剤、前記阻害剤を含有する医薬組成物、およびこれらの阻害剤を調製するための方法に関する。前記阻害剤は、例えば哺乳動物における、例えば癌および炎症などの過剰増殖性疾患を治療するために有用である。
【背景技術】
【0003】
(先行技術の説明)
タンパク質キナーゼ(PK)は、ATPからの末端(γ)リン酸塩の転移によってタンパク質のチロシン、セリンおよびトレオニン残基上のヒドロキシ基のリン酸化を触媒する酵素である。シグナル伝達経路を通して、これらの酵素は細胞の成長、分化および増殖を変調する、即ち細胞の寿命の実質的に全状況は様々な点でPK活性に左右される(Hardie,G.and Hanks,S.(1995)The Protein Kinase Facts Book.I and II,Academic Press,San Diego,CA)。さらに、異常なPK活性は、例えば乾癬などの比較的に生命を脅かさない疾患から例えばグリア芽腫(脳腫瘍)などの極めて悪性の疾患にまで及ぶ多数の障害と関連付けられてきた。タンパク質キナーゼは、治療的調節のための重要な標的クラスである(Cohen,P.(2002)Nature Rev.Drug Discovery 1:309)。
【0004】
重要なことに、非定型のタンパク質のリン酸化および/または発現は、癌における異常な細胞増殖、転移および細胞生存の原因となる作用の1つであるとしばしば報告されている。数ある中で特にAkt、VEGF、ILK、ROCK、p70S6K、Bcl、PKA、PKC、Raf、Src、PDK1、ErbB2、MEK、IKK、Cdk、EGFR、BAD、CHK1、CHK2およびGSK3を含む様々なキナーゼの異常な調節および/または発現は、明確に癌に関係付けられてきた。
【0005】
タンパク質キナーゼには、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)およびセリン−トレオニンキナーゼ(STK)の2つのクラスが含まれる。タンパク質キナーゼB/Akt酵素は、様々なヒト腫瘍において過剰発現する1群のセリン/トレオニンキナーゼである。PI3K脂質生成物の最も明確に特性付けられた標的の1つは、シグナル伝達経路においてPI3Kの下流にある57KDのセリン/トレオニンタンパク質キナーゼAktである(Hemmings,B.A.(1997)Science 275:628;Hay N.(2005)Cancer Cell 8:179−183)。Aktは、急性に形質転換するレトロウイルスAKT8の原腫瘍形成遺伝子v−aktのヒトホモログである。タンパク質キナーゼAおよびCとの高度の配列相同性に起因して、Aktはタンパク質キナーゼB(PKB)ならびにAおよびC関連酵素(RAC)とも呼ばれる。Aktの3つのアイソフォーム、つまり80%の総合相同性を示すAkt1、Akt2およびAkt3が存在することは公知である(Staal,S.P.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.84:5034;Nakatani,K.(1999)Biochem.Biophys.Res.Commun.257:906;Liら、(2002)Current Topics in Med.Chem.2:939−971;国際公開第2005/113762号パンフレット)。Aktアイソフォームは、N末端でのプレクストリン相同ドメイン、キナーゼ触媒ドメイン、およびC末端での短い調節領域からなる共通ドメイン構成を共有している。さらに、Akt2およびAkt3はどちらもスプライス変異体を示す。PtdInd(3,4,5)Pによって細胞膜へ動員されると、AktはアイソフォームAkt1(PKBα)、Akt2(PKBβ)およびAkt3(PKBγ)については各々T308、T309およびT305で、アイソフォームAkt1、Akt2およびAkt3については各々S473、S474およびS472でPDK1によってリン酸化(活性化)される。そのようなリン酸化は、今のところは未知のキナーゼ(推定名称:PDK2)によって発生するが、PDK1(Balendran,A.,(1999)Curr.Biol.9:393)、自己リン酸化(Toker,A.(2000)J.Biol.Chem.275:8271)およびインテグリン結合キナーゼ(ILK)(Delcommenne,M.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:11211)がこのプロセスに関係付けられている。Aktの活性化は、C末端疎水性モチーフ内の残基Ser 473上でのAktのリン酸化を必要とする(Brodbeckら、(1999)J.Biol.Chem.274:9133−9136;Cofferら、(1991)Eur.J.Biochem.201:475−481;Alessiら、(1997)Curr.Biol.7:261−269)。Aktの一リン酸化はこのキナーゼを活性化するが、最高キナーゼ活性のためにはビス(リン酸化)が必要とされる。
【0006】
Aktは、アポトーシスを抑制し、血管形成および増殖の両方を増強することによって癌にその作用を行使すると考えられている(Tokerら、(2006)Cancer Res.66(8):3963−3966)。Aktは、結腸癌(Zindaら、(2001)Clin.Cancer Res.7:2475)、卵巣癌(Chengら、(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:9267)、脳腫瘍(Haas Koganら、(1998)Curr.Biol.8:1195)、肺癌(Brognardら、(2001)Cancer Res.61:3986)、膵臓癌(Bellacosaら、(1995)Int.J.Cancer 64:280−285;Chengら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.93:3636−3641)、前立腺癌(Graffら、(2000)J.Biol.Chem.275:24500)および胃癌(Staalら、(1987)Proc.Natl.Acad.Sci. USA 84:5034−5037)を含むがそれらに限定されない多数の形態のヒト癌において過剰発現する。
【0007】
ラパマイシン(mTOR)経路のPI3K/Akt/哺乳動物標的は、標的小分子阻害剤療法について調査されてきた(Georgakis,G. and Younes, A.(2006)Expert Rev.Anticancer Ther.6(1):131−140;Granvilleら、(2006)Clin.Cancer Res. 12(3):679−689)。PI3K/Aktシグナリングの阻害はアポトーシスを誘導し、Aktレベルを上昇させた腫瘍細胞の増殖を阻害する(Kimら、(2005)Current Opinion in Investig.Drugs 6(12):1250−1258;Luoら、(2005)Molecular Cancer Ther.4(6):977−986)。
【0008】
異常に調節された経路を標的とし、最終的には疾患を生じさせるキナーゼ阻害剤の開発については、医学界や薬学界では極めて大きな倫理的および商業的関心が高い。(1)細胞膜へのAktの動員、(2)PDK1もしくはPDK2による活性化、(3)基質のリン酸化、または(4)Aktの下流標的の1つを阻害する化合物は、単独療法として、または他の認定された手技と組み合わせてのいずれかで、貴重な抗癌剤となるであろう。
【0009】
特許文献1は、特に、AKT阻害剤として作用する様々な化合物について開示している。これらの化合物は、例えば癌などの過剰増殖性疾患の治療において有用であると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0130954号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、AKTタンパク質キナーゼを阻害する新規な化合物を提供する。本発明の化合物は、AKTタンパク質キナーゼの阻害によって治療できる疾患および状態のための治療薬としての有用性を有する。より詳細には、本発明は、一般式I:
【0012】
【化1】

(式中、R、R、RおよびAは、本明細書に規定したとおりである)を有する化合物、ならびにそれらの互変異性体、分解エナンチオマー、分解ジアステレオマー、溶媒和物、代謝産物、塩および医薬上許容されるプロドラッグを含んでいる。
【0013】
本発明は、式Iの化合物、またはそれらの溶媒和物、代謝産物、もしくは医薬上許容される塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0014】
また別の態様では、本発明は、哺乳動物におけるAKTタンパク質キナーゼによって媒介される疾患もしくは医学的状態を治療する方法であって、前記哺乳動物へ式Iの1つまたは複数の化合物、またはそれらの溶媒和物、代謝産物、もしくは医薬上許容される塩もしくはプロドラッグを、前記障害を治療もしくは予防するために有効な量で投与する工程を含む方法を提供する。本発明の方法によって治療できるAKTタンパク質キナーゼ媒介性状態には、炎症性疾患、過剰増殖性疾患、心血管疾患、神経変性疾患、婦人科疾患、ならびに皮膚科疾患および障害が含まれるがそれらに限定されない。
【0015】
また別の態様では、本発明は、哺乳動物におけるAKTタンパク質キナーゼの産生を阻害する方法であって、前記哺乳動物へ式Iの化合物、またはそれらの溶媒和物、代謝産物、もしくは医薬上許容される塩もしくはプロドラッグを、AKTタンパク質キナーゼの産生を阻害するための有効量で投与する工程を含む方法を提供する。
【0016】
さらに別の態様では、本発明は、AKTタンパク質キナーゼの活性を阻害する方法であって、前記キナーゼを式Iの化合物と接触させる工程を含む方法を提供する。
【0017】
本化合物は、有益にも他の公知の治療薬と組み合わせて使用できる。したがって、本発明は、第2治療薬と組み合わせて、式Iの化合物、またはそれらの溶媒和物、代謝産物、もしくは医薬上許容される塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0018】
本発明は、AKTタンパク質キナーゼ媒介性状態の治療における医薬品として使用するための式Iの化合物、ならびにそれらの溶媒和物、代謝産物、そして医薬上許容される塩およびプロドラッグをさらに提供する。
【0019】
本発明の追加の態様は、療法のための式Iの化合物、またはそれらの溶媒和物、代謝産物、もしくは医薬上許容される塩もしくはプロドラッグの使用である。1つの実施形態では、本療法は、AKTタンパク質キナーゼ媒介性状態の治療を含んでいる。
【0020】
本発明は、AKTタンパク質キナーゼ媒介性疾患もしくは障害を治療するためのキットであって、式Iの化合物、またはそれらの溶媒和物、代謝産物、もしくは医薬上許容される塩もしくはプロドラッグ、容器、ならびに任意で治療を指示する添付文書もしくはラベルを含むキットをさらに提供する。本キットは、前記疾患もしくは障害を治療するために有用な第2医薬物質を含む第2化合物もしくは調製物をさらに含むことができる。
【0021】
本発明は、本発明の化合物を調製する方法、分離する方法、および精製する方法をさらに含んでいる。
【0022】
本発明の追加の利点および新規な特徴は、一部には以下の説明において記載されるが、さらに一部には以下の明細書を調査すれば当業者には明白になるであろう、または本発明の実践によって学習できるであろう。本発明の利点は、添付の特許請求項に詳細に指摘した手段、組み合わせ、組成物、および方法によって実現かつ達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
以下では、それらの例が添付の構造および式に例示されている本発明の所定の実施形態を詳細に参照する。本発明は列挙した実施形態と結び付けて説明するが、それらの実施形態に本発明を限定することが意図されていないことは理解されるであろう。これとは反対に、本発明は、請求項によって規定される本発明の範囲内に含まれる可能性があるすべての代替形態、変更形態および同等形態に及ぶことが意図されている。当業者であれば、本発明の実践において使用できる、本明細書に記載したものと類似もしくは同等である多数の方法および材料を認識するであろう。本発明は、決して、本明細書に記載した方法および材料に限定されない。規定された用語、用語の使用、記載した技術などを含むがそれらに限定されない組み込まれた参考文献および類似の方法の1つまたは複数が本出願と相違する、もしくは矛盾する場合は、本出願が優先される。
【0024】
用語の定義
本明細書で使用する用語「アルキル」は、1〜12個の炭素原子の飽和直鎖状もしくは分枝状一価炭化水素ラジカルを意味しており、アルキルラジカルは、任意に以下に記載する1つまたは複数の置換基と独立して置換されてよい。アルキル基の例には、メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CHCH)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH)、2,2−ジメチルプロピル(CHC(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH、1−ヘプチル、1−オクチルなどが含まれるが、それらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用する用語「アルキレン」は、1〜12個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状飽和二価炭化水素ラジカルを意味しており、アルキレンラジカルは、任意に以下に記載する1つまたは複数の置換基と独立して置換されてよい。例には、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ペンチレンなどが含まれるがそれらに限定されない。
【0026】
本明細書で使用する用語「アルケニル」は、少なくとも1部位の不飽和、即ち炭素−炭素、sp二重結合を伴う2〜12個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状一価炭化水素ラジカルを意味しており、アルケニルラジカルは本明細書に記載した1つまたは複数の置換基で必要に応じて独立して置換されてよく、「シス」および「トランス」配置、または「E」および「Z」配置を有するラジカルを含んでいる。例には、エチレニルもしくはビニル(−CH=CH)、アリル(−CHCH=CH)、1−プロペニル、1−ブテン−1−イル、1−ブテン−2−イルなどが含まれるがそれらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用する用語「アルキニル」は、少なくとも1部位の不飽和、即ち炭素−炭素、sp三重結合を伴う2〜12個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状一価炭化水素ラジカルを意味しており、アルキニルラジカルは本明細書に記載した1つまたは複数の置換基で必要に応じて独立して置換されてよい。例には、エチニル(−C≡CH)およびプロピニル(プロパルギル、−CHC≡CH)が含まれるがそれらに限定されない。
【0028】
本明細書で使用する用語「シクロアルキル」、「炭素環」、「カルボシクリル」および「炭素環式環」は、互換的に使用され、3〜12個の炭素原子を有する飽和もしくは部分不飽和環炭化水素ラジカルを意味する。用語「シクロアルキル」は、単環式および多環式(例、二環式および三環式)シクロアルキル構造を含んでおり、多環式構造は、飽和、部分不飽和もしくは芳香族シクロアルキルもしくは複素環式環に縮合した飽和もしくは部分不飽和シクロアルキル環を必要に応じて含んでいる。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが含まれるがそれらに限定されない。二環式炭素環には、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]もしくは[6,6]系として、または例えばビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、およびビシクロ[3.2.2]ノナンなどの架橋系として配列された7〜12個の環原子を有するものが含まれる。シクロアルキルは、本明細書に記載した1つまたは複数の置換基で必要に応じて独立して置換されてよい。
【0029】
本明細書で使用する「アリール」は、親芳香族環系の単一炭素原子からの1つの水素原子の除去によって引き出される6〜20個の炭素原子の一価芳香族炭化水素ラジカルを意味する。アリールは、飽和、部分不飽和環、または芳香族炭素環式もしくは複素環式環に縮合した芳香族環を含む二環式ラジカルを含んでいる。代表的なアリール基には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、インデン、インダン、1,2−ジヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンなどに由来するラジカルが含まれるがそれらに限定されない。アリール基は、本明細書に記載した1つまたは複数の置換基で必要に応じて独立して置換されてよい。
【0030】
本明細書で使用する用語「複素環」、「ヘテロシクリル」および「複素環式環」は互換的に使用され、少なくとも1つの環原子が窒素、酸素および硫黄から独立して選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子はCであり、このとき1つまたは複数の環原子は以下に記載する1つまたは複数の置換基で必要に応じて独立して置換されてよい3〜8個の環原子の飽和もしくは部分不飽和炭素環式ラジカルを意味する。ラジカルは、炭素ラジカルもしくはヘテロ原子ラジカルであってよい。用語「複素環」は、ヘテロシクロアルコキシを含んでいる。「ヘテロシクリル」は、複素環ラジカルが飽和、部分不飽和、または芳香族炭素環式もしくは複素環式環に縮合しているラジカルをさらに含んでいる。複素環式環の例には、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、3H−インドリルキノリジニルおよびN−ピリジルウレアが含まれるがそれらに限定されない。スピロ成分もまた、本定義の範囲内に含まれる。複素環は、そのようなことが可能である場合は、C−結合もしくはN−結合であってよい。例えば、ピロールに由来する基は、ピロール−1−イル(N−結合)もしくはピロール−3−イル(C−結合)であってよい。さらに、イミダゾールに由来する基は、イミダゾール−1−イル(N−結合)もしくはイミダゾール−3−イル(C−結合)であってよい。2個の環炭素原子がオキソ(=O)成分で置換されている複素環式基の例は、イソインドリン−1,3−ジオニルおよび1,1−ジオキソ−チオモルホリニルである。本明細書の複素環基は、本明細書に記載した1つまたは複数の置換基で必要に応じて独立して置換されている。
【0031】
本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」は、5、6、もしくは7員環の一価芳香族ラジカルを意味しており、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5〜10個の原子の縮合環系(そのうちの少なくとも1つは芳香族である)を含んでいる。ヘテロアリール基の例には、ピリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルが含まれるがそれらに限定されない。スピロ成分もまた、本定義の範囲内に含まれる。ヘテロアリール基は、本明細書に記載した1つまたは複数の置換基で必要に応じて独立して置換されてよい。
【0032】
例として、そして制限なく、炭素結合複素環およびヘテロアリールは、ピリジンの2、3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの3、4、5、もしくは6位、ピリミジンの2、4、5、もしくは6位、ピラジンの2、3、5、もしくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールもしくはテトラヒドロピロールの2、3、4、もしくは5位、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2、4、もしくは5位、イソキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3、4、もしくは5位、アジリジンの2もしくは3位、アゼチジンの2、3、もしくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、もしくは8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは8位で結合している。炭素結合複素環のまた別の例には、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、もしくは5−チアゾリルが含まれる。
【0033】
例として、そして制限なく、窒素結合複素環およびヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドールもしくはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、およびカルバゾールもしくはβ−カルボリンの9位で結合している。さらにより典型的には、窒素結合複素環には、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、および1−ピペリジニルが含まれる。
【0034】
本明細書で使用する用語「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨードを意味する。
【0035】
本明細書で使用する用語「1つの」は、1つまたは複数を意味する。
【0036】
本明細書で使用する用語「本発明の化合物」および「式Iの化合物」は、式Iの化合物、ならびにそれらの互変異性体、分解エナンチオマー、分解ジアステレオマー、ラセミ混合物、溶媒和物、代謝産物、塩(医薬上許容される塩)および医薬上許容されるプロドラッグを含んでいる。
【0037】
一般に、式Iの化合物の様々な成分もしくは官能基は、1つまたは複数の置換基によって必要に応じて置換されてよい。本発明のために適合する置換基の例には、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、OR、NO、CN、COR、(C=O)R、O(C=O)R、SR、SOR、SOR、アリール、ヘテロアリール、(C=O)NR、NR、NR(C=O)R、SONR、PO、およびSO(式中、R、RおよびRは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールもしくはヘテロアリールである)が含まれるがそれらに限定されない。
【0038】
2つまたはそれ以上のラジカルが構造に結合した置換基を規定するために連続して使用される場合には、最初に指名されたラジカルは末端にあると見なされ、最後に指名されたラジカルは問題の構造に結合していると見なされると理解されたい。そこで、例えば、アリールアルキルラジカルは、アルキル基によって問題の構造に結合している。
【0039】
AKT阻害剤
本発明の式Iの化合物は、AKTタンパク質キナーゼを阻害するために有用である。式Iの化合物は、さらにまたAKTに加えてチロシンキナーゼならびにセリンおよびトレオニンキナーゼの阻害剤としても有用な可能性がある。そのような化合物は、AKTタンパク質キナーゼシグナリング経路ならびにチロシンおよびセリン/トレオニンキナーゼ受容体経路の阻害によって治療できる疾患のための治療薬としての有用性を有する。
【0040】
一般に、本発明は、式I:
【0041】
【化2】

(式中、
は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、CF、CHFもしくはCHFである;
は、HもしくはMeである;
は、H、Me、Et、もしくはCFである;
Aは、
【0042】
【化3】

である;
Gは、1〜4個のR基で必要に応じて独立して置換されたフェニルである;
およびRは、独立してH、(C−Cシクロアルキル)−(CH)、(C−Cシクロアルキル)−(CHCH)、V−(CH0−1(式中、Vは5〜6員のヘテロアリールである)、W−(CH1−2(式中、Wは、F、Cl、Br、I、OMe、CFもしくはMeで必要に応じて置換されたフェニルである)、C−C−シクロアルキル、ヒドロキシ−(C−C−シクロアルキル)、フルオロ−(C−C−シクロアルキル)、CH(CH)CH(OH)フェニル、F、OH、シクロプロピルメチル、C−CアルキルもしくはC(=O)(C−C−アルキル)で必要に応じて置換された4〜6員の複素環、またはOH、O(C−C−アルキル)、CN、F、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、オキセタニル、ピペリジニル、およびピロリジニルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換されたC−C−アルキルである、
またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒に、OH、ハロゲン、オキソ、CF、CHCF、および(C−C)アルキルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換された4〜6員の複素環式環を形成する;
およびRは、Hである、
またはRはHであり、そしてRおよびRは、それらが結合している原子と一緒に、1または2個の環窒素原子を有する5〜6員の複素環式環を形成する;
およびRは、HもしくはMeである、
またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒にシクロプロピル環を形成する;
は、H、Me、もしくはOHである、
またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒に、1または2個の環窒素原子を有する5〜6員の複素環式環を形成する;
各Rは、独立してハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、O−(C−C−アルキル)、CF、OCF、S(C−C−アルキル)、CN、OCH−フェニル、NH、NH−(C−C−アルキル)、N−(C−C−アルキル)、ピペリジン、ピロリジン、CHF、CHF、OCHF、OCHF、OH、SO(C−C−アルキル)、C(O)NH、C(O)NH(C−C−アルキル)、およびC(O)N(C−C−アルキル)である;および
m、nおよびpは、独立して0もしくは1である)の化合物、ならびにそれらの互変異性体、分解エナンチオマー、分解ジアステレオマー、溶媒和物、代謝産物、塩および医薬上許容されるプロドラッグを含んでいる。
【0043】
また別の実施形態では、RおよびRは、独立してH、(C−Cシクロアルキル)−(CH)、(C−Cシクロアルキル)−(CHCH)、V−(CH0−1(式中、Vは5〜6員のヘテロアリールである)、W−(CH1−2(式中、Wは、F、ClもしくはMeで必要に応じて置換されたフェニルである)、C−C−シクロアルキル、ヒドロキシ−(C−C−シクロアルキル)、フルオロ−(C−C−シクロアルキル)、CH(CH)CH(OH)フェニル、またはOH、O(C−C−アルキル)、CN、F、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、ピペリジニル、およびピロリジニルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換されたC−C−アルキルである、
またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒に、OH、ハロゲン、オキソ、CF、CHCF、および(C−C)アルキルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換された4〜6員の複素環式環を形成する。
【0044】
式IのG基に目を向けると、例には、F、Cl、Br、CN、メチル、エチル、イソプロピル、OCH、OCHCH、CF、OCF、SCH、OCHPhおよびシクロプロピルから独立して選択された1つまたは複数のR基で必要に応じて置換されたフェニルが含まれる。代表的な実施形態には、フェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2−ブロモフェニル、3−ブロモフェニル、4−ブロモフェニル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2−イソプロピルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−シアノフェニル、3−シアノフェニル、4−シアノフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2−チオメチルフェニル、3−チオメチルフェニル、4−チオメチルフェニル、2−トリフルオロメトキシフェニル、3−トリフルオロメトキシフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、2−シクロプロピルフェニル、3−シクロプロピルフェニル、4−シクロプロピルフェニル、4−クロロ−3−フルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、4−ブロモ−3−フルオロフェニル、3−フルオロ−4−メチルフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノ−3−フルオロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−クロロ−5−フルオロフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3−ブロモ−4−フルオロフェニル、3,5−ジフルオロ−4−クロロフェニル、2,3−ジフルオロ−4−クロロフェニル、2,5−ジフルオロ−4−クロロフェニル、3,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、2,3−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニルおよび4−(OCHPh)−フェニルが含まれるがそれらに限定されない。
【0045】
式IのRおよびR基に目を向けると、用語「(C−C−シクロアルキル)−(CH)」には、例えばシクロプロピル−CH、シクロブチル−CH、シクロペンチル−CH、およびシクロヘキシル−CHなどであるがそれらに限定されない基が含まれる。
【0046】
式IのRおよびR基に目を向けると、用語「V−(CH0−1」には、Vは、N、OおよびSから独立して選択される1〜2個の環ヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリールである基が含まれる。代表的な基には、以下の構造:
【0047】
【化4】

が含まれるがそれには限定されない。
【0048】
式IのRおよびR基に目を向けると、用語「ヒドロキシ−(C−C−シクロアルキル)」には、以下の構造:
【0049】
【化5】

が含まれるがそれらに限定されない。
【0050】
式IのRおよびR基に目を向けると、語句「OH、OMe、およびCNから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換されたC−C−アルキル」には、CHOH、CHCHOH、CHCHCHOH、CHCH(OH)CH、CHCHCH(OH)CH、CHC(OH)(CH、CHOMe、CHCHOMe、CHCHCHOMe、CHCH(OMe)CH、CHCHCH(OMe)CH、CHC(OMe)(CH、CHCN、CHCHCN、CHCHCHCN、CHCH(CN)CH、CHCHCH(CN)CH、CHC(CN)(CHなどが含まれるがそれらに限定されない。
【0051】
式IのRおよびR基に目を向けると、所定の実施形態では、用語「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから独立して選択された1〜2個の環ヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリールを意味する。
【0052】
式IもしくはIaのRおよびR基に目を向けると、語句「RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒にOH、ハロゲン、オキソ、CF、CHCF、および(C−C)アルキルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換された4〜6員の複素環式環を形成する」には、以下の構造:
【0053】
【化6】

が含まれるがそれらに限定されない。
【0054】
式IもしくはIaのRおよびR基に目を向けると、語句「F、OH、シクロプロピルメチル、C−CアルキルもしくはC(=O)(C−Cアルキル)で必要に応じて置換された4〜6員の複素環式環」には、以下の構造:
【0055】
【化7】

が含まれるがそれらに限定されない。
【0056】
式Iの1つの実施形態では、Rはメチルであり、Rは、任意で(R)または(S)配置にある。式Iのまた別の実施形態では、RはHである。
【0057】
式Iの1つの実施形態では、RはHである。
【0058】
式Iの1つの実施形態では、RはHもしくはメチルである。また別の実施形態では、Rはメチルであり、Rは任意で(S)配置にある。
【0059】
式Iの1つの実施形態では、Gは、F、Cl、Br、CN、メチル、エチル、イソプロピル、CF、OCF、SMe、OMe、およびOCHPhから独立して選択された1〜3つのR基で必要に応じて置換されたフェニルである。例には、フェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、4−ブロモフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノフェニル、4−メトキシフェニル、4−エトキシフェニル、4−チオメチルフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、4−シクロプロピルフェニル、4−クロロ−3−フルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、4−ブロモ−3−フルオロフェニル、3−フルオロ−4−メチルフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノ−3−フルオロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−クロロ−5−フルオロフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3−ブロモ−4−フルオロフェニル、3,5−ジフルオロ−4−クロロフェニル、2,3−ジフルオロ−4−クロロフェニル、2,5−ジフルオロ−4−クロロフェニル、3,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、2,3−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニルおよび4−(OCHPh)−フェニルが含まれるがそれらに限定されない。
【0060】
特定の実施形態では、Gは、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−クロロ−3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニルもしくは4−(OCHPh)−フェニルである。
【0061】
所定の実施形態では、Gは、9員のヘテロアリールである。特定の実施形態では、Gは、インドールである。
【0062】
特定の実施形態では、RおよびRは、独立してHである。
【0063】
特定の実施形態では、RおよびRは、独立して(C−Cシクロアルキル)−(CH)である。
【0064】
特定の実施形態では、RおよびRは、独立して(C−Cシクロアルキル)−(CHCH)である。
【0065】
特定の実施形態では、RおよびRは、独立してV−(CH0−1(式中、Vは、5〜6員のヘテロアリールである)である。
【0066】
特定の実施形態では、RおよびRは、独立してW−(CH1−2(式中、Wは、F、Cl、Br、I、OMe、CFもしくはMeで必要に応じて置換されたフェニルである)である。また別の実施形態では、RおよびRは、独立してW−(CH1−2(式中、Wは、F、Cl、もしくはMeで必要に応じて置換されたフェニルである)である。
【0067】
特定の実施形態では、RおよびRは、独立してC−Cシクロアルキルである。
【0068】
特定の実施形態では、RおよびRは、独立してヒドロキシ−(C−C−シクロアルキル)である。
【0069】
特定の実施形態では、RおよびRは、独立してフルオロ−(C−C−シクロアルキル)である。
【0070】
特定の実施形態では、RおよびRは、独立してCH(CH)CH(OH)フェニルである。
【0071】
特定の実施形態では、RおよびRは、独立してF、OH、シクロプロピルメチル、C−CアルキルもしくはC(=O)(C−Cアルキル)で必要に応じて置換された4〜6員の複素環である。
【0072】
特定の実施形態では、RおよびRは、独立して、OH、O(C−C−アルキル)、CN、F、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、オキセタニル、ピペリジニル、およびピロリジニルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換されたC−C−アルキルである。また別の実施形態では、RおよびRは、独立して、OH、O(C−C−アルキル)、CN、F、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、ピペリジニル、およびピロリジニルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換されたC−C−アルキルである。
【0073】
特定の実施形態では、RおよびRは独立して、それらが結合している窒素と一緒に、OH、ハロゲン、オキソ、CF、CHCF、および(C−C)アルキルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換された4〜6員の複素環式環を形成する。
【0074】
式Iの1つの実施形態では、Aが式1:
【0075】
【化8】

(式中、G、R、R、R、RおよびRは、本明細書に規定したとおりである)によって表されるように、mは1であり、nは0であり、pは0である。基Aの所定の実施形態では、Rは、HもしくはOHである。所定の実施形態では、Aは、以下の配置:
【0076】
【化9】

を有する。
【0077】
式1を有するA基の所定の実施形態では、RおよびRは、Hである。他の実施形態では、RおよびRは、それらが結合している原子と一緒にシクロプロピル環を形成する。
【0078】
式1を有するA基の所定の実施形態では、RおよびRは、独立して、OH、OMe、およびCNから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換されたH、C−C−シクロアルキル、ヘテロアリール−(CH)、ヒドロキシ−(C−C−シクロアルキル)、もしくは(C1−6)−アルキルである。特定の実施形態では、RおよびRは、独立してH、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、3−ペンチル、CH(イソプロピル)、CHCHOH、CHCHCHOH、CH(CHCHOH)、CHCHOMe、CH(CHCHOMe)、CHCHCHOMe、CHCN、CH−シクロプロピル、CH−シクロブチル、CH−t−ブチルシクロペンチル、シクロヘキシル、CH−フェニル、CH−(ピリド−2−イル)、CH−(ピリド−3−イル)、CH−(ピリド−4−イル)、4−ヒドロキシシクロヘキス−1−イル、またはCH(CH)CH(OH)フェニルである。
【0079】
式1を有するA基の特定の実施形態では、NRは、NH、NHMe、NHEt、NHPr、NHiPr、NHtBu、NH(CH−シクロプロピル)、NH(CH−シクロブチル)、NH(CH−tブチル)、NH(シクロペンチル)、NH(シクロヘキシル)、NH(3−ペンチル)、NHCH(イソプロピル)、NH(CHCHOH)、NH(CHCHCHOH)、NH(CHCHOMe)、NH(CHCHCHOMe)、NH(CHCN)、NMe、NMeEt、NMePr、NMe(iPr)、NMe(CH−シクロプロピル)、NMe(CH−シクロブチル)、NMe(CHCHOH)、NMe(CHCHCHOH)、NMe(CHCHOMe)、NMe(CHCHCHOMe)、NEt、NEtPr、NEt(iPr)、NEt(CH−シクロプロピル)、NEt(CH−シクロブチル)、NEt(CHCHOH)、NEt(CHCHCHOH)、
【0080】
【化10】

ある。
【0081】
式1を有するA基の他の実施形態では、RおよびRは、それらが結合しているNと一緒に、環窒素原子ならびにNおよびOから選択された第2環ヘテロ原子を有する4〜6員の複素環式環を形成するが、前記複素環式環は、OH、F、メチル、CHCF、およびオキソから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換さている。例えば、所定の実施形態では、RおよびRは、それらが結合しているNと一緒に、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼチジニル、モルホリニルもしくはピペリジニル環を形成するが、前記ピロリジニル、ピペリジニル、アゼチジニル、モルホリニルおよびピペラジニル環は、OH、ハロゲン、オキソ、CHCF、および(C−C)アルキルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換さている。式1を有するA基の特定の実施形態では、NRは、構造:
【0082】
【化11】

から選択される。
【0083】
式1を有する基Aの所定の実施形態では、RおよびRは、それらが結合している原子と一緒に、1または2個の環窒素原子を有する5〜6員の複素環式環を形成する。他の実施形態では、RおよびRは、それらが結合している原子と一緒にピロリジニルもしくはピペリジニル環を形成する。
【0084】
特定の実施形態では、式1を有するA基は、式:
【0085】
【化12】

から選択される。
【0086】
所定の実施形態では、本発明の化合物は、式1B:
【0087】
【化13】

(式中、G、RおよびRは、本明細書に規定したとおりである)によって表される。
【0088】
式Iのまた別の実施形態では、Aが式2:
【0089】
【化14】

(式中、G、R、R、R、RおよびRは、本明細書に規定したとおりである)によって表されるように、mは1であり、nは1であり、pは0である。所定の実施形態では、A基は、以下の配置:
【0090】
【化15】

を有する。
【0091】
式2を有する基Aの所定の実施形態では、Rは、Hである。
【0092】
式2を有する基Aの所定の実施形態では、RおよびRは、Hである。他の実施形態では、RおよびRは、メチルである。他の実施形態では、RおよびRは、それらが結合している原子と一緒にシクロプロピル環を形成する。
【0093】
式2を有する基Aの所定の実施形態では、RおよびRは、独立してH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、CH−シクロプロピル、またはCH−シクロブチルである。所定の実施形態では、式2のNRは、NH、NHCH、NHEt、NHPr、NH(iPr)、NH(CH−シクロプロピル)、NH(CH−シクロブチル)、NMe、NMeEt、NMePr、NMe(iPr)、NEt、NEtPr、もしくはNEt(iPr)である。特定の実施形態では、NRは、NHである。
【0094】
式2を有する基Aの所定の実施形態では、RおよびRは、Nと一緒に、環窒素原子および必要に応じて追加の環窒素原子を有する5〜6員の複素環式環を形成する。例えば、所定の実施形態では、RおよびRは、Nと一緒に、構造:
【0095】
【化16】

から選択される複素環式環を形成する。
【0096】
他の実施形態では、RおよびRは、それらが結合している原子と一緒にピペリジニルもしくはピロリジニル環を形成する。
【0097】
式2の基Aの代表的実施形態は、構造:
【0098】
【化17】

を含んでいる。
【0099】
所定の実施形態では、本発明の化合物は、式2B:
【0100】
【化18】

(式中、G、R、R、RおよびRは、本明細書に規定したとおりである)によって表される。
【0101】
式Iの他の実施形態では、Aが式3:
【0102】
【化19】

(式中、G、R、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書に規定したとおりである)によって表されるように、mは1であり、nは0であり、pは1である。所定の実施形態では、基Aは、配置:
【0103】
【化20】

を有する。
【0104】
式3の基Aの所定の実施形態では、Rは、Hである。
【0105】
式3の基Aの所定の実施形態では、RおよびRは、それらが結合している原子と一緒にシクロプロピル環を形成する。
【0106】
式3を有する基Aの所定の実施形態では、RおよびRは、独立してH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、CH−シクロプロピル、またはCH−シクロブチルである。所定の実施形態では、式3のNRは、NH、NHMe、NHEt、NHPr、NH(iPr)、NHtBu、NH(CH−シクロプロピル)、またはNH(CH−シクロブチル)である。
【0107】
式3の基Aの他の実施形態では、RおよびRはHであり、そしてRおよびRは、それらが結合している原子と一緒に5〜6員の複素環式環を形成するが、環原子の1つは窒素である。所定の実施形態では、RおよびRは、それらが結合している原子と一緒にピロリジニル環を形成する。所定の実施形態では、Rは、Hである。
【0108】
特定の実施形態では、式3の基Aは、構造:
【0109】
【化21】

から選択される。
【0110】
所定の実施形態では、本発明の化合物は、式3B:
【0111】
【化22】

(式中、G、RおよびRは、本明細書に規定したとおりである)によって表される。
【0112】
式Iの他の実施形態では、Aが式:
【0113】
【化23】

(式中、G、R、R、およびRは、本明細書に規定したとおりである)によって表されるように、mは0であり、nは0であり、pは1である。所定の実施形態では、Aは、以下の配置:
【0114】
【化24】

を有する。
【0115】
式4の基Aの所定の実施形態では、Rは、Hである。
【0116】
式4の基Aの所定の実施形態では、RおよびRは、独立してHもしくはMeである。
【0117】
特定の実施形態では、Aは、構造:
【0118】
【化25】

から選択される。
【0119】
所定の実施形態では、本発明の化合物は、式4B:
【0120】
【化26】

(式中、GおよびRは、本明細書に規定したとおりである)によって表される。
【0121】
本発明の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を有する可能性がある;そのような化合物は、このため個々の(R)−もしくは(S)−立体異性体として、またはそれらの混合物として生成することができる。他に指示されない限り、本明細書および特許請求項における特定の化合物についての記載もしくは命名は、個別エナンチオマーおよびジアステレオマーの両方、ならびにそれらのラセミもしくはその他の混合物を含むことが意図されている。したがって、本発明は、本発明の化合物のジアステレオマー混合物、純粋ジアステレオマーおよび純粋エナンチオマーを含むすべてのそのような異性体を含んでいる。用語「エナンチオマー」は、相互の重ね合わせることができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を意味する。用語「ジアステレオマー」は、相互の鏡像ではない1対の光学異性体を意味する。ジアステレオマーは、相違する物理的特性、例えば融点、沸点、スペクトル特性、および反応性を有する。
【0122】
本発明の化合物は、相違する互変異性体形で存在することもでき、すべてのそのような形態は本発明の範囲内に包含されている。用語「互変異性体」もしくは「互変異性体形」は、低エネルギー障壁を介して相互交換可能である相違するエネルギーの構造異性体を意味する。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても知られる)には、例えばケト−エノールおよびイミン−エナミン異性体化などのプロトンの移動による相互変換が含まれる。原子価互変異性体には、結合電子の一部の再組織化による相互変換が含まれる。
【0123】
任意の特定キラル原子の立体化学が規定されていない本明細書に示した構造においては、すべての立体異性体が企図されており、本発明の化合物として含まれている。立体化学的配置が特定配置を表す楔形実線もしくは破線によって明記されている場合は、その立体異性体はそのように明記かつ規定されている。
【0124】
式Iの化合物には、そのような化合物の溶媒和物、医薬上許容されるプロドラッグおよび塩(医薬上許容される塩を含む)が含まれる。
【0125】
語句「医薬上許容される」は、その物質もしくは組成物が、調製物を含む他の成分、および/またはそれを用いて治療される哺乳動物と化学的および/または毒物学的に適合することを示している。
【0126】
「溶媒和物」は、1つまたは複数の溶媒分子および本発明の化合物の関連性もしくは錯体を意味する。溶媒和物を形成する溶媒の例には、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、およびエタノールアミンが含まれるがそれらに限定されない。用語「水和物」は、溶媒分子が水である錯体を意味するためにも使用できる。
【0127】
「プロドラッグ」は、規定化合物もしくはそのような化合物の塩へ生理学的条件下または可溶媒分解によって変換させることのできる化合物である。プロドラッグには、アミノ酸残基、または2つまたはそれ以上(例、2、3もしくは4)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が本発明の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシもしくはカルボン酸基へのアミドもしくはエステル結合を通して共有結合されている化合物が含まれる。アミノ酸残基には、3文字記号によって一般に指名される20個の天然型アミノ酸が含まれるがそれらに限定されず、そしてさらにホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デモシン、イソデモシン、γ−カルボキシグルタメート、馬尿酸、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、スタチン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、ペニシラミン、オルニチン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、cirtulline、ホモシステイン、ホモセリン、メチル−アラニン、パラ−ベンゾイルフェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシン、メチオニンスルホンおよびtert−ブチルグリシンが含まれる。
【0128】
追加のタイプのプロドラッグもまた包含されている。例えば、式Iの化合物の遊離カルボキシル基は、アミドもしくはアルキルエステルとして誘導体化できる。また別の例として、遊離ヒドロキシ基を含む本発明の化合物は、ヒドロキシ基をAdvanced Drug Delivery Reviews,1996,19,115に記載されたリン酸エステル、ヘミコハク酸塩、ジメチルアミノアセテート、またはホスホリルオキシメチルオキシカルボニル基などであるがそれらに限定されない基へ変換させることによってプロドラッグとして誘導体化することができる。ヒドロキシおよびアミノ基のカルバメートプロドラッグもまた含まれており、同様にヒドロキシ基の炭酸塩プロドラッグ、スルホン酸エステルおよび硫酸エステルも含まれる。アシル基がエーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含むがそれらに限定されない基で必要に応じて置換されたアルキルエステルであってよい、またはアシル基は上述したアミノ酸エステルである、ヒドロキシ基の(アシルオキシ)メチルおよび(アシルオキシ)エチルエステルとしての誘導体化もまた包含されている。このタイプのプロドラッグは、J.Med.Chem.,1996,39,10に記載されている。より特異的な例には、アルコール基の水素原子と例えば(C−C)アルカノイルオキシメチル、1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、(C−C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C−C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C−C)アルカノイル、α−アミノ(C−C)アルカノイル、アリールアシルおよびα−アミノアシル、もしくはα−アミノアシル−α−アミノアシルなどの基との置換が含まれるが、このとき各α−アミノアシル基は、天然型L−アミノ酸、P(O)(OH)、−P(O)(O(C−C)アルキル)もしくはグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形のヒドロキシル基の除去の結果として生じるラジカル)から独立して選択される。
【0129】
式Iの化合物の遊離アミンは、アミド、スルホンアミドもしくはホスホンアミドとして誘導体化することもできる。これらの成分は全部、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含むがそれらに限定されない基を組み込むことができる。例えば、プロドラッグはアミン基内の水素原子とR−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニルなどの基との置換によって形成できるが、RおよびR’は各々独立して(C−C10)アルキル、(C−C)シクロアルキル、もしくはベンジルである、またはR−カルボニルは天然α−アミノアシルまたは天然α−アミノアシル−天然α−アミノアシル、−C(OH)C(O)OY(式中、YはHである)、(C−C)アルキルもしくはベンジル、−C(OY)Y(式中、Yは(C−C)アルキルであり、Yは(C−C)アルキルである)、カルボキシ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルキルまたはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノアルキル、または−C(Y)Y(式中、YはHもしくはメチルであり、そしてYはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジン−1−イルもしくはピロリジン−1−イルである)である。
【0130】
プロドラッグ誘導体の追加の例については、例えば、それらの各々が詳細に参照して本明細書に組み込まれる、a)Design of Prodrugs,edited by H.Bundgaard,(Elsevier,1985)およびMethods in Enzymology,Vol.42,p.309−396,K. Widderら編、(Academic Press,1985);b)A Textbook of Drug Design and Development,Krogsgaard−LarsenおよびH. Bundgaard編,Chapter 5“Design and Application of Prodrugs,” by H.Bundgaard p.113−191(1991);c)H.Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews,8:1−38(1992);d)H.Bundgaardら、Journal of Pharmaceutical Sciences,77:285(1988);およびe)N.Kakeyaら、Chem.Pharm.Bull,32:692(1984)を参照されたい。
【0131】
または、もしくは追加して、本発明の化合物は十分な酸性基、十分な塩基性基、または両方の官能基を有していてよく、したがって塩を形成するために多数の無機もしくは有機の塩基もしくは酸のいずれかと反応することができる。塩の例には、本発明の化合物と鉱酸もしくは有機酸または無機塩基との反応によって調製される塩が含まれるが、そのような塩には例えば、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、酪酸フェニル、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、およびマンデル酸塩が含まれる。本発明の単一化合物は、2つ以上の酸性もしくは塩基性成分を含むことができるので、本発明の化合物は単一化合物中に一、ニもしくは三塩を含むことができる。
【0132】
本発明の化合物が塩基である場合は、所望の塩は、当分野において利用できる任意の適切な方法、例えば遊離塩基を酸性化合物、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、または例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、例えばグルクロン酸もしくはガラクツロン酸などのピラノシジル酸、例えばクエン酸もしくは酒石酸などのαヒドロキシ酸、例えばアスパラギン酸もしくはグルタミン酸などのアミノ酸、例えば安息香酸もしくは桂皮酸などの芳香族酸、例えばp−トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸などのスルホン酸などの有機酸による処理によって調製することができる。
【0133】
本発明の化合物が酸である場合は、所望の塩は、任意の適切な方法によって、例えば遊離酸と無機もしくは有機塩基との処理によって調製することができる。適切な無機塩の例には、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、バリウムおよびカルシウムなどのアルカリおよびアルカリ土類金属を用いて形成された塩が含まれる。適切な有機塩基塩の例には、例えば、アンモニウム、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、フェニルエチルベンジルアミン、ジベンジルエチレンジアミンなどの塩が含まれる。酸性成分のその他の塩には、例えば、プロカイン、キニンおよびN−メチルグルコサミンを用いて形成された塩に加えて例えばグリシン、オルニチン、ヒスチジン、フェニルグリシン、リシンおよびアルギニンなどの塩基性アミノ酸を用いて形成された塩を含むことができる。
【0134】
所定の実施形態では、塩は、他に規定されない限り、規定された化合物の対応する遊離酸もしくは塩基の生物学的有効性を保持していて生物学的もしくはその他の点で所望ではないことはない塩を含む「医薬上許容される塩」である。
【0135】
式Iの化合物には、さらにまた必ずしも医薬上許容される塩ではない、そして式Iの化合物を調製および/または精製するため、および/または式Iの化合物のエナンチオマーを分離するための中間体として有用な可能性があるそのような化合物の他の塩が含まれる。
【0136】
本発明はさらに、1つ以上の原子が、天然において通常見いだされる原子質量もしくは質量数とは異なる原子質量もしくは質量数を有する原子によって置換されるという事実を除けば、本明細書に言及した化合物と同一である、本発明の同位体標識化合物を含んでいる。規定された任意の特定の原子もしくは元素の全同位体は、本発明の化合物、およびそれらの使用の範囲内に企図されている。本発明の化合物内に組み込むことのできる代表的な同位体には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素およびヨウ素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123Iおよび125Iが含まれる。本発明の所定の同位体標識化合物(例、Hおよび14Cを用いて標識された化合物)は、化合物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(即ち、H)および炭素−14(即ち、14C)同位体は、調製および検出可能性の容易さのために有用である。さらに、例えばジューテリウム(即ち、H)などのより重い同位体との置換は、より大きな代謝的安定性(例、増加したインビボ半減期もしくは減少した用量要件)の結果として生じる所定の治療的利点を付与することができ、そこで一部の状況においては好ましい可能性がある。15O、13N、11Cおよび18Fなどのポジトロン放出同位体は、基質受容体占有度を試験するためのポジトロン放出断層撮影法(PET)のために有用である。本発明の同位体標識化合物は、同位体標識試薬を非同位体標識試薬と置換することによって、一般には本明細書の下記のスキームおよび/または実施例に開示した方法に類似する以下の方法によって調製することができる。
【0137】
式Iの化合物の代謝産物
さらにまた本明細書に記載した式Iの化合物もまたインビボ代謝産物の本発明の範囲内に含まれる。「代謝産物」は、特定化合物もしくはその塩の身体内での代謝を通して生成される薬理学的に活性な生成物である。そのような生成物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的開裂などの結果として生じることがある。したがって、本発明は、式Iの化合物の代謝産物であって、本発明の化合物を、その代謝産物を産生するために十分な期間にわたり哺乳動物と接触させる工程を含むプロセスによって生成される化合物を含む代謝産物が含まれる。
【0138】
代謝産物は、例えば、本発明の化合物の放射標識(例、14CもしくはH)同位体を調製する工程と、それを検出可能な用量(例、約0.5mg/kg超)で、例えばラット、マウス、モルモット、サル、もしくはヒトへ投与する工程と、代謝を十分な時間にわたり発生させ(典型的には30秒間〜30時間)、そしてその変換産物を尿、血液もしくは他の生物学的サンプルから単離する工程とによって同定される。これらの生成物は、標識されているので、容易に単離される(その他の生成物は代謝産物中に残っているエピトープに結合できる抗体の使用によって単離される)。代謝産物の構造は、従来型方法で、例えば、MS、LC/MSもしくはNMR分析によって決定される。一般に、代謝産物の分析は、当業者には周知である従来型薬物代謝試験と同一方法で実施される。代謝産物は、それらがさもなければインビボで見いだされない限り、本発明の化合物の治療投与についての診断アッセイにおいて有用である。
【0139】
式Iの化合物の合成
本発明の化合物は、特別には本明細書に含有された説明を参考にすると、化学技術において周知であるプロセスに類似するプロセスを含む合成経路によって合成できる。出発物質は、一般にはAldrich Chemicals社(ワイオミング州ミルウォーキー)などの市販供給源から入手できる、または当業者には周知の方法を用いて容易に調製される(例えば、一般にLouis F.Fieser and Mary Fieser,‘Reagents for Organic Synthesis’,v.1−19,Wiley,N.Y.(1967−1999 ed.)または補遺を含むBeilsteins Handbuch der organischen Chemie,4,Aufl.ed.Springer−Verlag,Berlinに記載された方法によって調製される)。
【0140】
式Iの化合物は、単独で、または少なくとも2、例えば5〜1,000種の化合物、または10〜100種の化合物を含む化合物ライブラリーとして調製できる。式Iの化合物のライブラリーは、コンビナトリアル「分割および混合」アプローチによって、または当業者には公知の方法によって液相もしくは固相化学のいずれかを用いる多重パラレル合成によって調製することができる。そこで本発明のまた別の態様によると、式Iの少なくとも2つの化合物、またはそれらの医薬上許容される塩を含む化合物ライブラリーが提供される。
【0141】
例示する目的で、スキーム1およびスキームA〜Kは、個別のの化合物ならびに重要な中間体を調製するための一般的方法を示している。本発明の反応工程についてのより詳細な説明については、以下の実施例のセクションを参照されたい。当業者であれば、本発明の化合物を合成するためには他の合成経路を使用できることを理解するであろう。特定の出発物質および試薬についてはスキームに描出して以下で考察するが、様々な誘導体および/または反応条件を提供するために他の出発物質および試薬を容易に置換することができる。さらに、以下に記載する方法によって調製される多数の化合物は、当業者には周知の従来型化学を用いて本開示を参照することでさらに修飾することができる。
【0142】
【化27】

スキーム1は、式I(式中、Rは、Meである)の化合物57を調製する方法を示している。ケトエステル53は、−20℃〜100℃の範囲内の温度で塩基性条件(例、NaH)下でヒドロキシエステル化合物52および不飽和エステル8を使用する1工程で調製できる。ピリミジン化合物54の形成は、ケトエステル53をトルエンもしくはベンゼンなどの溶媒中で(例えば)酢酸ホルムアミジンとともに加熱(例、40℃〜還流まで)することによって実施される。化合物54は、ピリミジン−4−オールを任意の適切な離脱基へ活性化することによってさらに進行させることができる。例えば、化合物55は、任意の数の代替法(例、還流させているジクロロエタン中のPOClなど)を用いることによって調製できる。その後の適切な温度(例、室温〜還流)で適切な溶媒(例えば、NMP)中での塩基(NEtもしくはDIPEAなど)の存在下での55と適切な置換ピペラジン(例えば、N−Bocピペラジン)とのSAr反応は、化合物56の入手を提供する。より不良な離脱基、またはより干渉された試薬を用いる所定の場合には、例えば密閉チューブ装置もしくはマイクロ波化学の使用などの代替条件が必要になることがある。その後の保護基(PG)除去(例、Boc基のジオキサン媒介性除去における4N HCl;または、Greene and Wutsによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Wiley−Interscience、第3版第7章を参照されたい)、さらにその後の塩基(例、NEt、DIPEA、もしくはDBUなど)の存在下における適切な酸塩化物を用いたアシル化、または適切な結合試薬(EDCI、CDIもしくはHATUなど)を用いた塩基(例、NEt、DIPEAもしくはDBUなど)の存在下での酸の結合は、化合物57を提供する。この酸単位内に含有される任意の保護基は、次に標準条件下で除去できる(例えば、Greene and Wutsによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Wiley−Interscience、第3版を参照されたい)。
【0143】
したがって、本発明のまた別の態様は、式Iの化合物を調製する方法であって:
式:
【0144】
【化28】

(式中、R、R、およびRは、本明細書に規定されたとおりである)を有する化合物を式:
【0145】
【化29】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、G、n、mおよびpは本明細書に規定したとおりである)を有する化合物と反応させる工程とを含む方法を提供する。
【0146】
スキーム1に例示した式Iの化合物の合成において使用されるアミノ酸は、市販で入手できる、または本明細書に開示した方法によって調製できる。例えば、所定の実施形態では、式Iの化合物を調製するために使用されるアミノ酸には、式1Aを有するβ−フェニルグリシンアミノ酸、式2Aを有するγ−フェニルグリシンアミノ酸、式3Aを有するβ−フェニルアラニンアミノ酸、および式4Aを有するγ−フェニルアラニンアミノ酸が含まれる。
【0147】
【化30】

式1A〜4Aのアミノ酸を調製する方法は、スキームA〜Kに示されている。
【0148】
【化31】

スキームAは、式1(式中、RはHであり、RおよびRはHであり、そしてR、Rおよびtは本明細書に規定されたとおりであり、RはHもしくはアミン保護基である)の必要に応じて置換されたβ−フェニルグリシンアミノ酸25および26を調製する方法である。スキームAによると、酸20は、触媒量の濃HSOなどの酸またはDCC/DMAPなどの結合剤の存在下で適切なアルコール(例、MeOH)を用いた処理などの標準条件を用いて;または適切な温度(例、−20℃〜100℃)でNEt/DMAPなどの塩基の存在下で適切な求電子剤(例、MeI、EtBr、BnBr)を用いた処理によってエステル21(式中、R’はアルキルである)に変換させられる。エステルの適切な選択は、合成の終了時に酸を再形成するために必要とされる条件によって決定されるが、多数の適切な例および条件はGreene and Wutsによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’, Wiley−Interscience、第3版第5章に列挙されている。化合物22を提供するためのヒドロキシメチル基の導入は、適切な温度(例、−20℃〜室温)でのNaOEtなどの塩基の存在下で適切なアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)を用いた処理によって実行できる。離脱基(例、メシレート、トシレート、ハロゲン化物)を形成するための化合物22のアルコール基の活性化は、例えば、適切な温度(例、−20℃〜室温)でNEt、DIPEA、もしくはDBUなどの過剰な塩基の存在下で塩化メタンスルホニルを用いた処理によって実施できる。多くの場合に、オレフィン24はこの方法から直接的に単離できる、他の場合には加温(30℃〜100℃)または追加の塩基(例、ハロゲン化物の場合にはDBU)は化合物24を提供するために脱離を完了するために必要となることがある。活性化オレフィン24は、アミノエステル中間体を生成するために適切な温度(例、−20℃〜還流)で、THFなどの適切な溶媒中で所望の第1級アミン(例、エチルアミン)を用いて処理することができる。化合物24が電子が豊富な芳香族環または電子の少ない/かさの大きな第1級アミンを有する場合には、加熱(例、密閉チューブ内で30〜240℃)またはマイクロ波化学が必要になることがある。アミン基(例えば、Boc−基として)の保護は、Pgが保護基である化合物23を提供するための標準条件下でBocOを用いて実施できる。また別の保護基を使用することができる、そして多数の適切な例は、Greene and Wutsによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Wiley−Interscience、第3版第7章に列挙されている。保護されたアミノ酸25を形成するためのエステル23の鹸化は、エステルのために適切な条件を用いて実施できる(例、メチルエステルのための水性LiOH、ベンジルエステルのための水素添加、t−ブチルエステルのための酸)。
【0149】
または、活性化オレフィン24は、アミノエステル中間体(図示していない)を生成するために適切な温度(例、−20℃〜還流)で、THFなどの適切な溶媒中で第2級アミン(例、ジエチルアミン)を用いて処理することができる。化合物24が電子の豊富な芳香族環または電子の少ない/かさの大きな第2級アミンを有する場合には、加熱(例、密閉チューブ内で30〜240℃)またはマイクロ波化学が必要になることがある。アミノ酸26を形成するためのエステルの鹸化は、エステルのために適切な条件を用いて実施できる(例、メチルエステルのための水性LiOH、ベンジルエステルのための水素添加、t−ブチルエステルのための酸など)。
【0150】
【化32】

スキームBは、式1(式中、RはOHであり、RおよびRはHであり、そしてR、Rおよびtは本明細書に規定されたとおりであり、Rは本明細書に規定したとおり、もしくはアミン保護基である)の必要に応じて置換されたβ−フェニルグリシンアミノ酸30および31を調製する方法を示している。適切な温度(室温〜還流)でMCPBAなどの標準酸化剤を用いる、不飽和エステル24(式中、tは0〜4であり、R’はアルキルである)(スキームAによって調製される)の酸化は、エポキシド中間体28を提供する。中間体28は、アミノアルコール29もしくは30を得るために、典型的には高温(例、50〜300℃)および高圧(例、密閉チューブもしくはボンベ中)で、適切なアミンを用いて処理できる。第2級アミンが(例えば化合物30の調製において)使用される場合は、Greene and Wutsによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Wiley−Interscience、第3版第5章に列挙された条件(例えば、メチルエステルのためにはLiOH、ベンジルエステルのためには水素添加など)を用いたエステルの脱保護を使用できる。第1級アミンが(化合物29の調製におけるように)使用される場合は、アミンの保護(例、Boc無水物を用いたBoc−基として)の後のエステルの(上記の条件を使用する)脱保護は、ヒドロキシル化アミノ酸31を提供する。
【0151】
【化33】

スキームCは、式1(式中、Rはメチルであり、RはHであり、Rはアミン保護基であり、そしてRおよびtは本明細書に規定したとおりである)の必要に応じて置換されたβ−フェニルグリシンアミノ酸36を調製する方法を示している。エステル32(式中、R’’’はアルキルである)は、アニオンを形成するための適切な温度(例、0℃〜還流)で塩基(例、NaOtBu)を用いて処理することができ、その後に適切な温度(例、78℃〜室温)で求電子剤(例、tert−ブチル2−ブロモアセテート)を添加することでホモログ化エステル33を得ることができる。化合物33のt−ブチルエステルの適切な温度(例、0℃〜還流)でTFAもしくはHClなどの適切な酸を用いた鹸化は、化合物34を提供する。例えば適切な温度(例、0℃〜還流)でのNEtなどの弱塩基の存在下でDPPAを用いて、その後のより高温(例、40〜200℃)での任意でルイス酸(例、SnCl)の存在下でのアルコール(例、tBuOH)を用いた反応中間体の処理を行う化合物34のCurtius転位は、化合物35(式中、Pgはアミン保護基である)を提供する。化合物35を調製するために使用されるアルコールの選択は、アミン保護基(例、tBuOHはBoc−アミンを提供する)を決定する。標準条件(例えば、保護基がメチルエステルである場合はLiOH、ベンジルエステルのためには水素添加などを用いて)を用いた化合物35のエステル基の脱保護は、酸化合物36を生じさせる。
【0152】
【化34】

スキームDは、式2の必要に応じて置換されたγ−フェニルグリシンアミノ酸40(式中、R、R、Rおよびtは、本明細書に規定したとおりであり、RはHであり、そしてRは、Bocなどのアミン保護基である)を調製する方法を示している。スキームAによって調製された出発不飽和エステル24は、ホモログ化付加物37を得るために適切な温度(例、0℃〜室温)でDBUなどの塩基の存在下で置換ニトロメタン誘導体(例、ニトロエタン)を用いて処理することができる。化合物37のニトロ基は、適切な温度(例、室温〜還流)で標準条件(例、水素添加、Zn/酸など)を用いて還元させることができ、そして結果として生じる中間体を環化させるとラクタム中間体38を得ることができる。化合物39を提供するために例えばBoc−基を用いたアミンの保護は、標準条件下でBocOを用いて実施できる。また別の保護基を使用することができ、そして多数の適切な例は、Greene and Wutsによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Wiley−Interscience、第3版第7章に列挙されている。適切な温度(例、0℃〜100℃)でLiOHもしくはKOHなどの水性塩基を用いた化合物39の処理は、適切に置換された保護アミノ酸化合物40を得るためにラクタムの開環を実行する。
【0153】
【化35】

スキームEは、式2(式中、Rはメチルであり、RはHであり、Rはアミン保護基であり、そしてRおよびtは本明細書に規定したとおりである)の必要に応じて置換されたγ−フェニルグリシンアミノ酸44を調製する方法を示している。エステル32(式中、R’’’はアルキルであり、tは0〜4である)は、アニオンを形成するための適切な温度(例、0℃〜還流)でKOtBuなどの適切な塩基を用いて処理することができ、その後に−78℃〜室温の範囲に及ぶ温度でアクリレート単位(例、tert−ブチルアクリレート)を添加することでホモログ化エステル41を得ることができる。適切な温度(例、0℃〜還流)でTFAもしくはHClなどの適切な酸を用いる処理による化合物41のt−ブチルエステルの鹸化は、化合物42を提供する。例えば適切な温度(例、0℃〜還流)でのNEtなどの弱塩基の存在下でDPPAを用いて、その後の任意で高温(例、40〜200℃)での任意でルイス酸(例、SnCl)の存在下での適切なアルコール(例、t−BuOH)を用いた反応中間体の処理による化合物42のCurtius転位は、化合物43を提供する。アルコールの選択は、化合物43のアミン保護基を決定する(例、t−BuOHはBoc−アミンを提供する)。標準条件(例えば、メチルエステルのためにはLiOH、ベンジルエステルのためには水素添加など)を用いた化合物43のエステル基の脱保護は、酸44を生じさせる。
【0154】
スキームEの代替法では、Rは、水素であってよい。
【0155】
【化36】

スキームFは、式3(式中、RはHであり、Rはアミン保護基であり、RおよびRはHであり、そしてRおよびtは本明細書に規定したとおりである)の必要に応じて置換されたβ−フェニルアラニンアミノ酸48、49および50を調製する方法を示している。適切に置換されたアルデヒド45は、式CN−CHCOR’’’(式中、R’’’はアルキル(例、エチル2−シアノアセテート)である)のシアノアセテートを用いて適切な温度(例、室温〜還流)でピペリジンなどの適切な塩基の存在下で処理すると不飽和エステル46が得られる。化合物47を得るための化合物46のオレフィンおよびニトリル基の還元は、多数の方法で実施できる。例えば、オレフィンは、NaBHなどの1,4−還元を実行するために公知の任意の作用物質を用いて還元させることができる。ニトリルは、LiAlHもしくはNaBHなどの作用物質を用いてBFOEtもしくはTFAなどのルイス酸の存在下で還元させることができる。Hudlicky, ACS monograph、第2版第18章による‘Reductions in Organic Chemistry’に列挙された作用物質などの多数の代替還元剤を使用することができる。所望であれば、第1級アミン47は、化合物48および49への中間体(図示していない)を提供するために標準条件(例、適切なアルデヒド、ルイス酸および還元剤を用いた還元的アミノ化)を用いてこの段階でモノアルキル化もしくはビスアルキル化することができる。第1級および第2級アミンを調製するために、保護は、例えば0℃〜室温でBoc無水物を用いてBoc−基として任意の数の保護基(例えば、Greene and Wutsによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Wiley−Interscience、第3版第7章)を用いて実行できる。アミノ酸48、49もしくは50を形成するためのエステル基の開裂は、LiOHもしくはKOHなどの水性塩基、または上記の‘Protecting Groups’の本文に列挙された代替試薬(例えば、ベンジルエステルのための水素添加)のいずれかを用いて実行できる。
【0156】
【化37】

スキームGは、式4(式中、RはHであり、Rはアミン保護基であり、そしてRおよびtは本明細書に規定したとおりである)の必要に応じて置換されたα−フェニルアラニンアミノ酸54を調製する方法を示している。適切に置換された酸51は、室温〜還流までの範囲に及ぶ温度で例えばLiAlHを用いてベンジルアルコール52へ還元させることができる。化合物52のアルコール基は、例えば、PBr、MsCl/NEtなどを用いて離脱基(例、ハロゲン化物、メシレートなど)として活性化できる。LDA、n−BuLiなどの強塩基の存在下でエチル2−(ジフェニルメチレンアミノ)アセテートなどの保護グリシン誘導体を用いたこの離脱基の置換は、アミノエステル中間体53を提供するが、Rはアルキルであり、Pgは保護基である。適切な保護基は、Greene and Wutsによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’, Wiley−Interscienceに列挙されている。アミン保護基は、例えば、Boc−基を導入するためにこの段階で変化させることができる。適切な温度(例、0℃〜還流)でのエステル53(例、ベンジルエステルのためには3N HCl、LiOH、水素添加など)のその後の脱保護は、所望のN−保護アミノ酸54を提供する。
【0157】
【化38】

スキームHは、式2(式中、RおよびRは、それらが結合している原子と一緒にスピロ環式複素環式環を形成し、Rはアミン保護基であり、そしてRおよびtは本明細書に規定したとおりである)の必要に応じて置換されたγ−フェニルグリシンアミノ酸56を調製する方法を示している。スキームHによると、不飽和エステル24を適切な温度(例、室温〜還流)で乾燥条件(例、モレキュラーシーブを添加して)下で適切に保護されたグリシン誘導体(例、ベンジルグリシン)およびホルムアルデヒドを用いて処理すると化合物55が生成される。標準条件(例、水素添加、1−クロロエチルホルメートなどによって)を用いて、その後にBoc−基などのアミン保護基の添加および標準条件(例、メチルエステルのためにはLiOH、t−ブチルエステルのためには酸など、0℃〜還流で)下でのエステルの開裂を行うと、N−保護アミノ酸56が提供される。
【0158】
【化39】

スキームIは、式3(式中、RおよびRはHであり、RおよびRは、それらが結合している原子と一緒に複素環式環を形成し、そしてR、Rおよびtは本明細書に規定したとおりである)の必要に応じて置換されたβ−フェニルアラニンアミノ酸61および62を調製する方法を示している。酸57は、触媒酸(例、濃HSOもしくはTMSCl)または結合剤(例、DCC/DMAP)の存在下で適切なアルコール(例、MeOH)を用いた処理などの標準条件を用いて;または適切な温度(例、−20℃〜100℃)でのNEt/DMAPなどの適切な塩基の存在下で適切な求電子剤(例、MeI、EtBr、BnBr)を用いた処理によってエステル58へ変換させられる。エステルの適切な選択は、合成の終了時に酸を再形成するために必要とされる条件によって決定されるが、多数の適切な例および条件はGreene and Wutsによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’, Wiley−Interscience、第3版第5章に列挙されている。化合物59を提供するための化合物58の環化は、例えば、TFAの存在下でN−(メトキシメチル)(フェニル)−N−((トリメチルシリル)メチル)メタンアミンを用いて達成できる。この特定セットの試薬は、例えば−20℃〜50℃での水素添加などの標準条件下または例えばGreene and Wutsによる‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Wiley−Interscience、第3版第7章に列挙された条件などの他の標準条件下で化合物60を提供するために開裂させることができるベンジルアミンを生成する。化合物60の遊離アミンの上記の本文に列挙した例えばBoc−無水物などの試薬を用いて代替保護基(例、Boc)を用いた保護、その後のエステルのために適切な標準条件(例、メチルエステルのためには水性LiOH、ベンジルエステルのためには水素添加、t−ブチルエステルのための酸)を用いたエステルの開裂は、酸化合物61を提供する。または、遊離アミンはさらに(例、アルキル化、還元的アミノ化、またはアシル化条件を用いて)官能化させて、その後にエステル開裂させることによって、第3級アミノ酸化合物62を生成できる。
【0159】
【化40】

β−アミノ酸のいずれかのエナンチオマーは、スキームJに示したような方法を用いて調製することができる。アミノ酸のβ位置で所望の化学的性質を生成するために適切な立体化学を備える適切なキラル補助基(R)(例えば、Evans補助基もしくはスルタム)と結合した2−フェニルアセテートは、イミンもしくはイミニウムイオンシントン(例、−100℃〜50℃でルイス酸(例、TiCl)および適切に置換されたアルコキシメタンアミンもしくはN−(アルコキシメチル)アミド/カルバメートの存在下でインサイチューで調製される)を用いて処理することができる。不斉付加は、最高レベルの立体化学的誘導を生成するためにルイス酸(例、TiCl)、アミン塩基(例、Hunig塩基)および低温(例、−100℃〜0℃)の存在を必要とすることがある。ジアステレオ選択性が必要とされるより低い場合は、別個のジアステレオマーをこの段階で(例えば)クロマトグラフィーもしくは結晶化によって分離させることができる。選択された補助基(例、Evans補助基のためには−50℃〜50℃でLiOH/H)を開裂するために公知である方法を用いたキラル補助基の開裂は、次にβ位置で所望の立体化学を備える所望のN−保護β−アミノ酸を導く。さらに、Rもまた保護基(例、2,4−ジメトキシベンジル)である場合は、それはBoc−アミノ酸を得るためにBoc−基(例、水素添加もしくはDDQなど)の存在下で除去することができ、Boc−基の除去後には第1級アミンが得られ、これはさらにアルキル化、アシル化もしくは還元的アミノ化(ピリミジン−ピペラジン単位との結合の前または後)によって官能化することができる。
【0160】
【化41】

スキームKは、γアミノ酸の単一エナンチオマーを形成する代表的な方法を示しているが、R、R、およびRは本明細書に規定したとおりであり、tは0〜4であり、RはHであり、そしてRはBocなどのアミン保護基である。1つの可能性のある方法では、ラセミアミノ酸は、キラル固定相を用いるキラルクロマトグラフィー分離にかけられる。または、従来型クロマトグラフィー技術によって分離できようジアステレオマー混合物を調製できる。例えば、−20℃〜50℃での塩基性アミン(例、Hunig塩基)の存在下でラセミアミノ酸(例、COCl、塩基)の活性化およびキラル補助基R(例、Evansのオキサゾリジノン)の導入は、ジアステレオマー混合物を生じさせる。この混合物を標準条件(例、カラムクロマトグラフィー、HPLC、SFCなど)を用いて分離させると個別ジアステレオマーを得ることができる。これらを−15℃〜室温でキラル補助基の開裂(Evans補助基の場合には、例えばLiOH/HOOHを用いる)によって所望の酸へ変換させると、γアミノ酸の単一エナンチオマーが得られる。温度は、新規に分離されたキラル中心のラセミ化を防止できるように低く維持する必要がある。
【0161】
式Iの化合物を調製する際には、中間体の遠隔官能基(例、第1級もしくは第2級アミンなど)の保護が必要になることがある。そのような保護の必要は、遠隔官能基の性質および調製方法の条件に依存して変動するであろう。適切なアミノ保護基(NH−Pg)には、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)および9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。そのような保護に対する必要は、当業者であれば容易に決定される。保護基およびそれらの使用に関する一般的説明については、T.W.Greene,‘Protective Groups in Organic Synthesis’,John Wiley & Sons,New York,1991を参照されたい。
【0162】
分離方法
式Iの化合物を調製する合成方法のいずれかでは、また別の材料、および/または出発材料から反応生成物を分離することが有益な場合がある。各工程もしくは一連の工程の所望の生成物は、当分野において一般的な技術によって所望の均質性まで分離および/または精製される。典型的には、そのような分離は、多相抽出、溶媒もしくは溶媒混合物からの結晶化、蒸留、凝華もしくはクロマトグラフィーを含んでいる。クロマトグラフィーは、例えば:逆相および順相;サイズ排除;イオン交換;高圧、中圧および低圧液体クロマトグラフィー方法および装置;小規模分析;疑似移動床(SMB)および分取的薄層もしくは厚層クロマトグラフィー、ならびに小規模薄層およびフラッシュクロマトグラフィーの技術を含む任意の数の方法を含むことができる。
【0163】
また別のクラスの分離方法には、所望の生成物、未反応出発材料に結合する、またはさもなければそれらを分離可能にさせるための試薬を用いた反応混合物の処理、生成物による反応などを含んでいる。そのような試薬には、例えば活性炭素、モレキュラーシーブ、イオン交換媒体などの吸着剤もしくは吸収剤が含まれる。または、試薬は、塩基性材料の場合には酸、酸性材料の場合には塩基、抗体、結合タンパク質などの結合試薬、クラウン・エーテルなどの選択的キレート剤、液体/液体イオン抽出試薬(LIX)などであってよい。
【0164】
適切な分離方法の選択は、関係する材料の性質に左右される。例えば、蒸留および凝華における沸点および分子量、クロマトグラフィーにおける極性官能基の存在の有無、多相抽出における酸性および塩基性媒体中の材料の安定性など。当業者であれば、所望の分離を達成するために最も可能性のある技術を適用するであろう。
【0165】
ジアステレオマー混合物は、例えばクロマトグラフィーおよび/または分別晶出などの、当業者には周知である方法によってそれらの物理化学的相違に基づいてそれらの個別ジアステレオマーへ分離させることができる。エナンチオマーは、適切な光学的に活性な化合物(例えば、キラルアルコールもしくはMosherの塩化酸などのキラル補助基)との反応によってエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物へ変換させ、ジアステレオマーへ分離させ、そして個別ジアステレオマーを対応する純粋エナンチオマーへ変換させる(例、加水分解する)ことによって分離させることができる。さらに、本発明の一部の化合物はアトロプ異性体(例、置換ビアリール)であってよく、本発明の一部であると見なされる。エナンチオマーは、さらにまたキラルHPLCカラムの使用によって分離させることができる。
【0166】
単一立体異性体、例えばその立体異性体を含んでいないエナンチオマーは、例えば光学的に活性な溶解剤を用いるジアステレオマーの形成などの方法を用いたラセミ混合物の分解によって入手することができる(Eliel,E. and Wilen,S.“Stereochemistry of Organic Compounds,”John Wiley & Sons,Inc.,New York,1994;Lochmuller,C.H.,J.Chromatogr.,(1975)113(3):283−302)。本発明のキラル化合物のラセミ混合物は:(1)キラル化合物を用いたイオン性のジアステレオマー塩の形成および分別晶出もしくはその他の方法による分離、(2)キラル誘導体化試薬を用いたジアステレオマー化合物の形成、ジアステレオマーの分離、および純粋立体異性体への変換、および(3)直接的にキラル条件下での実質的に純粋もしくは濃縮立体異性体の分離を含む任意の適切な方法によって分離および単離することができる。例えば、“Drug Stereochemistry,Analytical Methods and Pharmacology,”Irving W.Wainer,Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York(1993)を参照されたい。
【0167】
方法(1)の下では、ジアステレオマー塩は、例えばブルシン、キニン、エフェドリン、ストリキニーネ、α−メチル−β−フェニルエチルアミン(アンフェタミン)などのエナンチオマー的に純粋なキラル塩基と例えばカルボン酸およびスルホン酸などの酸性官能基を有する不斉化合物との反応によって形成することができる。ジアステレオマー塩は、分別晶出もしくはイオンクロマトグラフィーによって分離させるために導入することができる。アミノ化合物の光学異性体を分離させるためには、カンファースルホン酸、酒石酸、マンデル酸、もしくは乳酸などのキラルカルボン酸もしくはスルホン酸の添加はジアステレオマー塩の形成を生じさせることができる。
【0168】
または、方法(2)によって、分解すべき基質をキラル化合物の1つのエナンチオマーと反応させるとジアステレオマー対を形成する(E.and Wilen,S.“Stereochemistry of Organic Compounds”,John Wiley & Sons,Inc.,1994,p.322)。ジアステレオマー化合物は、不斉化合物を例えばメチル誘導体などのエナンチオマー的に純粋なキラル誘導体化試薬と反応させ、その後にジアステレオマーの分離および純粋もしくは濃縮エナンチオマーを産生するための加水分解によって形成することができる。光学純度を決定する方法は、例えばラセミ混合物のメンチルエステルなどのキラルエステル、例えば(−)メンチルクロロホルメートを塩基の存在下で、またはMosherエステル、α−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニルアセテート(Jacob III. J. Org. Chem.,(1982)47:4165)を作成する工程と、および2種のアトロプ異性体であるエナンチオマーもしくはジアステレオマーの存在についてH NMRを分析する工程とを含んでいる。アトロプ異性体化合物の安定性ジアステレオマーは、順相および逆相クロマトグラフィー、その後のアトロプ異性体ナフチルーイソキノリンを分離させるための方法によって分離および単離することができる(国際公開第96/15111号パンフレット)。方法(3)によって、2種のエナンチオマーのラセミ混合物は、キラル固定相を用いたクロマトグラフィーによって分離させることができる(“Chiral Liquid Chromatography”(1989)W.J. Lough, Ed., Chapman and Hall, New York;Okamoto, J. of Chromatogr.,(1990)513:375−378)。濃縮もしくは精製エナンチオマーは、例えば旋光性および円偏光二色性などの不斉炭素原子を備える他のキラル分子を識別するために使用される方法によって識別できる。
【0169】
式Iの化合物を用いる治療方法
本発明の化合物は、AKTタンパク質キナーゼ、チロシンキナーゼ、追加のセリン/トレオニンキナーゼ、および/または二重特異性キナーゼの変調もしくは調節によって媒介される疾患もしくは障害を治療するための予防薬もしくは治療薬として使用できる。本発明の方法によって治療できるAKTタンパク質キナーゼ媒介性状態には、炎症性疾患、過剰増殖性疾患、心血管疾患、神経変性疾患、婦人科疾患、ならびに皮膚科疾患および障害が含まれるがそれらに限定されない。
【0170】
1つの実施形態では、前記医薬組成物は、以下のカテゴリー(1)心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;(2)肺:気管支原性癌(扁平上皮細胞癌、未分化小細胞癌、未分化大細胞癌、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌;(3)消化管:食道(扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋腫)、膵臓(導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、Karposi肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);(4)尿生殖路:腎臓(腺癌、Wilm腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);(5)肝臓:肝臓癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;(6)骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫、腫瘍脊索腫、osteochronfroma(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;(7)神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多発性神経膠芽腫、乏突起細胞腫、シュワン鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);(8)婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、腫瘍前子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌]、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、Sertoli−Leydig細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(腎臓明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、ファローピウス管(癌);(9)血液学:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];(10)皮膚:進行性黒色腫、悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、Karposi肉腫、形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;(11)副腎:神経芽細胞腫;(12)乳房:転移性乳癌;乳腺腺癌;(13)結腸;(14)口腔;(15)毛様細胞性白血病;(16)頭頸部;(17)ならびに難治性転移性疾患;Kaposi肉腫;Bannayan−Zonana症候群;および特に他の種類の過剰増殖性障害の中でもCowden病もしくはLhermitte−Duclos病を含む難治性転移性疾患の癌を含む過剰増殖性障害を治療するためである。
【0171】
本発明の化合物および方法は、さらにまた関節リウマチ、骨関節症、クローン(Chron)病、血管線維腫、眼疾患(例、網膜血管化、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性、黄斑変性など)、多発性硬化症、肥満症、アルツハイマー病、再狭窄、自己免疫疾患、アレルギー、喘息、子宮内膜症、アテローム硬化症、静脈グラフト狭窄症、perianastomatic人工血管狭窄症、前立腺肥大、慢性閉塞性肺疾患、乾癬、組織修復術、瘢痕組織形成、多発性硬化症、炎症性腸疾患、感染症、特に細菌性、ウイルス性、レトロウイルス性もしくは寄生虫性感染症(アポトーシスを増加させることによって)に起因する神経学的損傷の阻害(および創傷治癒に役立つ可能性がある)、肺疾患、新生物、パーキンソン病、移植片拒絶反応(免疫抑制剤として)、敗血症性ショックなどの疾患および状態を治療するためにも使用できる。
【0172】
したがって、本発明のまた別の態様は、哺乳動物におけるAKTタンパク質キナーゼによって媒介される疾患もしくは医学的状態を治療する方法であって、前記哺乳動物へ式Iの1つまたは複数の化合物、もしくは医薬上許容される塩もしくはプロドラッグを、前記障害を治療もしくは予防するために有効な量で投与する工程を含む方法を提供する。
【0173】
用語「有効量」は、そのような治療を必要とする哺乳動物へ投与された場合に、(i)1つまたは複数のAKTタンパク質キナーゼ、チロシンキナーゼ、追加のセリン/トレオニンキナーゼ、および/または二重特異性キナーゼの活性によって媒介される特定の疾患、状態、もしくは障害を治療もしくは予防するため、(ii)特定の疾患、状態、もしくは障害の1つまたは複数の症状を減退、緩和、もしくは排除するため、または(iii)本明細書に記載した特定の疾患、状態、もしくは障害の1つまたは複数の症状の発生を予防もしくは遅延させるために有効である化合物の量を意味する。癌の場合には、有効量の薬物は癌細胞の数を減少させる;腫瘍のサイズを減少させる;周辺器官内への該細胞浸潤を阻害する(即ち、ある程度まで緩徐化させ、好ましくは停止させる);腫瘍転移を阻害する(即ち、ある程度まで緩徐化させ、好ましくは停止させる);腫瘍増殖をある程度まで阻害する;および/または癌に関連する1つまたは複数の症状をある程度まで緩和することができる。薬物が存在する癌細胞の増殖を防止する、および/または殺滅できる限りは、細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性である可能性がある。抗癌療法のためには、有効性は、例えば無増悪期間(TTP)を評価すること、および/または奏効率(RR)を決定することによって測定できる。
【0174】
そのような量に相当するであろう式Iの化合物の量は、例えば特定の化合物、疾患の状態および重症度、治療を必要とする哺乳動物の識別(例、体重)などの因子に依存して変動するであろうが、それでも当業者であればルーチン的に決定することができる。
【0175】
「治療する工程」は、1つまたは複数のAKTタンパク質キナーゼ、チロシンキナーゼ、追加のセリン/トレオニンキナーゼ、および/または二重特異性キナーゼの活性によって少なくとも一部には冒されている、例えばヒトなどの哺乳動物における疾患状態を少なくとも軽減することを意味することが意図されている。用語「治療する」および「治療」は、治療的処置および予防もしくは防止的手段の両方を意味しており、その目的は望ましくない生理学的変化もしくは障害を防止または緩徐化(低減)することである。本発明のためには、有益もしくは所望の臨床的結果には、検出可能もしくは検出不可能にかかわらず、症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の安定した(即ち、悪化していない)状態、疾患進行の遅延もしくは緩徐化、疾患状態の改善もしくは緩和、および(部分的もしくは完全のいずれであろうと)寛解が含まれるがそれらに限定されない。「治療」は、さらにまたは治療を受けない場合に予想される生存率に比較して生存率を延長させることも意味する場合がある。治療を必要とするものには、既にその状態もしくは障害を備えるものならびにその疾患状態を有するとはまだ診断されていないがそれを有する;その疾患状態を変調および/または阻害する素因があることが見いだされているものが含まれる。
【0176】
用語「治療する工程」、「治療する」、または「治療」は、防止的、即ち予防的、および緩和的処置の両方を含んでいる。
【0177】
本明細書で使用する用語「哺乳動物」は、本明細書に記載した疾患を有する、またはそれを発生するリスク状態にある温血動物を意味しており、モルモット、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ハムスター、およびヒトを含む霊長類を含むがそれらに限定されない。
【0178】
本発明は、AKTタンパク質キナーゼ媒介性状態の治療において使用するための式Iの化合物をさらに提供する。
【0179】
本発明の追加の態様は、例えばAKTタンパク質キナーゼ媒介性状態の治療または予防のためなどの、療法のための医薬品の調製における式Iの化合物の使用である。
【0180】
併用療法
本発明の化合物は、例えば以下に記載するような1つまたは複数の追加の薬物と併用することができる。第2薬物の用量は、臨床的に使用される用量に基づいて適切に選択することができる。本発明の化合物および第2薬物の比率は、投与される被験者、投与経路、標的疾患、臨床状態、組み合わせ、およびその他の因子にしたがって適切に決定することができる。投与被験者がヒトである場合には、例えば、第2薬物は本発明の化合物の重量で0.01〜100重量部の量で使用できる。
【0181】
医薬併用調製物もしくは投与レジメンの第2化合物は、好ましくはそれらが相互に有害な影響を及ぼさないように本発明の化合物への補助的活性を有する。そのような薬物は、適切には、所望の目的のために有効である量で組み合わされて存在する。したがって、本発明のまた別の態様は、例えば本明細書に記載したような第2薬と組み合わせて本発明の化合物を含む組成物を提供する。
【0182】
本発明の化合物および追加の医薬上活性な薬物は、単一の医薬組成物中で一緒に、または別個に投与することができ、そして別個に投与される場合は、これは相互に同時もしくは連続的に行われてよい。そのような連続的投与は、時間的に近くてよい、または時間的に離れていてよい。本発明の化合物および第2薬物の量ならびに投与の相対時機は、所望の結合された治療作用を達成するために選択されるであろう。
【0183】
併用療法は、「相乗作用」を提供し、「相乗作用」、即ち一緒に使用された活性成分が化合物を個別に使用した結果として生じた作用の合計より大きい場合に達成される作用を立証することができる。相乗作用は、有効成分が:(1)組み合わせた単位剤形調製物で共調製および同時に投与もしくは送達される;(2)別個の調製物として交互もしくは並行して;または(3)何らかの他のレジメンによって投与される場合に達成することができる。交互療法で送達される場合は、化合物が連続的に、例えば別個のシリンジ内での相違する注射によって連続的に投与もしくは送達される場合に相乗作用を達成することができる。一般に、交互療法中には、各有効成分の有効量は、連続的に、即ち順次的に投与されるが、他方併用療法では、2種以上の有効成分の有効量が一緒に投与される。
【0184】
「化学療法薬」は、作用機序とは無関係に、癌の治療において有用な化学的化合物である。化学療法薬には、「標的化療法」および従来型化学療法において使用される化合物が含まれる。
【0185】
化学療法薬の例には、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm社)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm社)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca社)、スーテント(SU11248、Pfizer社)、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis社)、イマチニブメシレート(GLEEVEC(登録商標)、Novartis社)、PTK787/ZK 222584(Novartis社)、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標)、Sanofi社)、5−FU(5−フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン、(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth社)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline社)、ロナファルニブ(SCH 66336)、ソラフェニブ(BAY43−9006、Bayer Labs社)、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標)、Pfizer社)およびゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca社)、AG1478、AG1571(SU 5271;Sugen社)、チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、イムプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロメラミンを含むエチレンイミンおよびメチラメラミン;アセトゲニン(詳細にはブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログであるトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシンの合成アナログを含む);クリプトフィシン(特別にはクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログであるKW−2189およびCB1−TM1を含む);エレウゼロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなどのニトロソウレア;エンジイン系抗生物質(例、カリケアマイシン、詳細にはカリケアマイシンγlIおよびカリケアマイシンωI1(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.(1994)33:183−186)などの抗生物質;ダイネミシンAを含むダイネミシン;クロドロネートなどのビスフォスフォネート;エスペラマイシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団および関連クロモタンパク質エンジイン系抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)(ドキソルビシン)、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキセートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)などの抗代謝産物;デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートなどの葉酸アナログ;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジンアナログ;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎薬;フロリン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシンおよびアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントサチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products社、オレゴン州ユージーン);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特別にはT−2トキシン、ベラクリンA、ロリジンAおよびアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(“Ara−C”);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(登録商標)(パクリタキセル;Bristol−Myers Squibb Oncology社、ニュージャージー州プリンストン)、ABRAXANE(商標)(発色団無含有)、パクリタキセルのアルブミン加工ナノ粒子調製物(American Pharmaceutical Partners社、イリノイ州シャウムバーグ)、およびTAXOTERE(登録商標)(ドキセタキセル;Rhone−Poulenc Rorer社、フランス国アントニー);クロラムブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金アナログ;ビンブラスチン;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン);ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;ならびに上記のいずれかの医薬上許容される塩、酸、および誘導体が含まれる。
【0186】
さらにまた「化学療法薬」の定義には:(i)例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標);クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフィン)を含む抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)などの腫瘍上でのホルモン作用を調節もしくは阻害するために作用する抗ホルモン剤;(ii)例えば4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer社)、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis社)、およびARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca社)などの副腎におけるエストロゲン産生を調節する、酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤;(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンなどの抗アンドロゲン薬;ならびにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);(iv)タンパク質キナーゼ阻害剤;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特別には例えばPKC−α、RalfおよびH−Rasなどの異常細胞増殖に関係しているシグナリング経路における遺伝子の発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド;(vii)VEGF発現阻害剤(例、ANGIOZYME(登録商標))およびHER2発現阻害剤などのリボザイム;(viii)例えばALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、およびVAXID(登録商標)のような遺伝子療法用ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)などのトポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech社)などの抗血管形成薬;ならびに(x)上記のいずれかの医薬上許容される塩、酸および誘導体が含まれる。
【0187】
「化学療法薬」の定義には、さらにまたアレムツズマブ(Campath社)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech社);セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone社);パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen社)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec社)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech社)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech社)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia社)、および抗体薬コンジュゲート、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth社)などの治療用抗体が含まれる。
【0188】
本発明のPI3K阻害剤と組み合わせて化学療法薬としての治療可能性を備えるヒト化モノクローナル抗体には:アレムツズマブ、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピネウズマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタシン、セデリズマブ、セルトリズマブペゴール、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクツズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レシビズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、テカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、テフィブラズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、およびビシリズマブが含まれる。
【0189】
投与経路
本発明の化合物は、治療対象の状態に適切な任意の経路によって投与することができる。適切な経路には、経口、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、皮内、クモ膜下および硬膜外)、経皮、直腸、経鼻、局所(経口腔および舌下を含む)、経膣、腹腔内、肺内および鼻腔内が含まれる。好ましい経路は、例えば、レシピエントの状態に伴って変動する可能性があることは理解されるであろう。化合物が経口投与される場合は、医薬上許容される担体もしくは賦形剤を備えるピル剤、カプセル剤、錠剤などとして投与することができる。化合物が非経口投与される場合は、医薬上許容される非経口ビヒクルを用いて、そして以下に詳述するように単位用量注射剤形で調製することができる。
【0190】
医薬調製物
ヒトを含む哺乳動物の治療的治療(予防的治療を含む)のために本発明の化合物を使用するためには、通常は標準の医薬実践にしたがって医薬組成物として調製される。本発明のこの態様によると、本発明の化合物を含む医薬組成物が提供される。所定の実施形態では、本医薬組成物は、医薬上許容される希釈剤もしくは担体と結び付けて式Iの化合物を含んでいる。
【0191】
本発明の医薬組成物は、ある方法、即ち優れた医療実践と一致する投与の量、濃度、スケジュール、コース、ビヒクルおよび経路で調製され、投薬され、そして投与される。この状況における考察の因子には、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、作用物質の送達部位、投与方法、投与のスケジュール策定、および医療技術者には公知の他の因子が含まれる。投与すべき化合物の治療有効量は、そのような考察によって決定され、障害を予防する、緩和する、または治療するために必要な最小量である。本発明の化合物は、典型的には、薬物の容易に制御可能な用量を提供するため、そして患者の処方されたレジメンのコンプライアンスを可能にするために医薬製剤に調製される。
【0192】
この場合に使用するための組成物は、好ましくは無菌である。特別には、インビボ投与のために使用される調製物は無菌でなければならない。そのような滅菌は、例えば無菌濾過膜を通しての濾過によって容易に遂行される。本化合物は、通常は、固体組成物、凍結乾燥調製物もしくは水溶液として保存することができる。
【0193】
本発明の化合物の医薬調製物は、投与の様々な経路およびタイプのために調製できる。例えば、所望の純度を有する本発明の化合物は、任意で医薬上許容される希釈剤、担体、賦形剤もしくは安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980)16th edition,Osol,A.Ed.)と、凍結乾燥調製物、粉砕散剤、もしくは水溶液の形状で混合することができる。調製は、適切なpHでの周囲温度で、および所望の純度で、生理学的に許容される担体、即ち使用される用量および濃度でレシピエントにとって非毒性である担体と混合する工程によって実施できる。調製物のpHは、主として、特定の使用および化合物の濃度に左右されるが、約3〜約8の範囲に及んでよい。pH5にある酢酸バッファ中の調製物は、適切な実施形態である。調製物は、従来型溶解および混合方法を用いて調製することができる。例えば、バルク薬物物質(即ち、本発明の化合物もしくは本化合物の安定化形(例えば、シクロデキストリン誘導体もしくは他の公知の錯体形成剤)は、1つまたは複数の賦形剤の存在下で適切な溶媒中に溶解させられる。
【0194】
使用される特定の担体、希釈剤もしくは賦形剤は、本発明の化合物が適用される手段および目的に依存するであろう。溶媒は、一般に、哺乳動物へ投与するのに安全であると当業者によって認識される溶媒に基づいて選択される。一般に、安全な溶媒は、水および水溶性もしくは水と混和性であるその他の非毒性溶媒などの非毒性水性溶媒である。適切な水性溶媒には、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例、PEG400、PEG300)などおよびそれらの混合物が含まれる。容認できる希釈剤、担体、賦形剤および安定剤は、使用される用量および濃度でレシピエントにとって非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩およびその他の有機酸などのバッファ;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;例えば血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、ならびにグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例、Zn−タンパク質錯体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。本調製物は、さらに1つまたは複数の安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、保存料、抗酸化剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色料、甘味料、芳香剤、フレーバー剤ならびに薬物(即ち、本発明の化合物もしくはその医薬組成物)の洗練された体裁を提供するための他の公知の添加物または本医薬生成物(即ち、医薬品)の製造における助剤をさらに含むことができる。活性医薬成分は、例えば液滴形成技術によって、界面重縮合によって調製されたマイクロカプセル、例えばヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル各々の中に、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中またはマクロエマルジョン中に取り込むこともできる。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)の中に開示されている。「リポソーム」は、哺乳動物へ薬物(式Iの化合物、および任意で追加の治療薬など)を送達するために有用である様々なタイプの脂質、リン脂質および/または界面活性剤から構成される小胞である。リポソームの成分は、生物学的膜の脂質配列に類似する二重層形成で一般に配列されている。
【0195】
本発明の化合物の徐放性調製物を調製できる。徐放性製剤の適切な例には、式Iの化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれるが、そのマトリックスは、例えばフィルムなどの成形品、もしくはマイクロカプセルの形状にある。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシメチル−メタクリレート)、もしくはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号明細書)、L−グルタミン酸およびγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射用ミクロスフェア)およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマーが含まれる。
【0196】
本発明の化合物の医薬組成物は、例えば無菌注射用水性もしくは油性懸濁液などの無菌注射用製剤の形状にあってよい。この懸濁液は、公知技術によると適切な上記に言及した分散剤もしくは湿潤化剤および懸濁化剤を用いて調製することができる。無菌注射用製剤は、例えば1,3−ブタンジオールなどの非毒性非経口で容認できる希釈剤もしくは溶媒中の無菌注射溶液もしくは懸濁液であってよい、または凍結乾燥粉末として調製することができる。使用できる許容できるビヒクルおよび溶媒は、特に水、リンガー液および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌固定油は、便宜的には溶媒もしくは懸濁媒として使用できる。このためには、合成モノグリセリドもしくはジグリセリドを含む任意のブランドの固定油を使用できる。さらに、例えばオレイン酸などの脂肪酸を同様に注射剤の調製において使用できる。
【0197】
非経口投与のために適切な調製物には、抗酸化剤、バッファ、静菌薬および調製物を所定のレシピエントの血液と等張性にさせる溶質を含有していてよい水性および非水性無菌注射溶液;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含んでいてよい水性および非水性無菌懸濁液が含まれる。
【0198】
本発明の組成物は、さらにまた経口使用(例えば、錠剤、ロゼンジ剤、硬質もしくは軟質カプセル、水性もしくは油性懸濁液、エマルジョン、分散性粉末もしくは顆粒剤、シロップ剤もしくはエリキシル剤)、局所使用(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、または水性もしくは油性溶液もしくは懸濁液)、吸入による投与(例えば、細粒もしくは液体エーロゾルとして)、吹送(例えば、細粒として)のために適切な形状にあってよい。
【0199】
錠剤製剤のために適切な医薬上許容される賦形剤には、例えば、ラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウムもしくは炭酸カルシウムなどの不活性希釈剤、例えばコーンスターチもしくはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクなどの潤滑剤;例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはプロピルなどの保存料、ならびに例えばアスコルビン酸などの抗酸化剤が含まれる。錠剤製剤は、コーティングされていない、またはそれらの崩壊およびその後の消化管内での有効成分の吸収を修飾する、またはそれらの安定性および/または外観を改善するいずれかのために、いずれの場合でも従来型コーティング剤および当分野において周知の方法を用いてコーティングされてよい。
【0200】
経口使用するための組成物は、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合されている硬質ゼラチンカプセル、または有効成分が水、もしくは例えばピーナッツ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油などの油と混合されている軟質ゼラチンカプセルの形状にあってよい。
【0201】
水性懸濁液は、一般に、細粒形にある有効成分を、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガントガムおよびアカシアゴムなどの1つまたは複数の懸濁化剤;レシチンもしくは酸化アルキレンと脂肪酸(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)との縮合生成物、もしくは酸化エチレンと例えばヘプタデカエチレンオキセタノールのような長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、もしくは酸化エチレンと脂肪酸に由来する部分エステルもしくはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのヘキシトールとの縮合生成物などの分散剤もしくは湿潤化剤と一緒に含有している。水性懸濁液は、さらにまた1つまたは複数の保存料(例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはプロピル、抗酸化剤(例、アスコルビン酸)、着色料、フレーバー剤、および/または甘味料(例、スクロース、サッカリンもしくはアルパルテーム)も含有することができる。
【0202】
油性懸濁液は、植物油(例、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油)または鉱物油(例、流動パラフィン)中に有効成分を懸濁させる工程によって調製することができる。油性懸濁液は、例えばミツロウ、固形パラフィンもしくはセチルアルコールなどの増粘剤をさらに含有していてよい。味のよい経口製剤を提供するために、上記に列挙したものなどの甘味料、およびフレーバー剤を添加することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存することができる。
【0203】
水の添加によって水性懸濁液の調製のために適切な分散性粉末および顆粒は、一般には有効成分を分散剤もしくは湿潤化剤、懸濁化剤および1つまたは複数の保存料と一緒に含有している。適切な分散剤もしくは湿潤化剤および懸濁化剤は、上記で既に言及したものによって例示される。例えば甘味料、フレーバー剤および着色料などの追加の賦形剤もまた存在してよい。
【0204】
本発明の医薬組成物は、さらにまた水中油エマルジョンの形態にあってもよい。油相は、例えばオリーブ油もしくはラッカセイ油などの植物油、または例えば流動パラフィンなどの鉱物油またはこれらのいずれかの混合物であってよい。適切な乳化剤には、例えば、アカシアゴムもしくはトラガンタゴムなどの天然型ゴム、大豆、レシチン、脂肪酸およびヘキシトール無水物(例えば、ソルビタンモノオレエート)に由来するエステルもしくは部分エステルなどの天然型ホスファチドならびに前記部分エステルと例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどの酸化エチレンとの縮合生成物であってよい。エマルジョンは、甘味料、フレーバー剤および保存料をさらに含有していてよい。
【0205】
シロップ剤およびエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテームもしくはスクロースなどの甘味料を用いて調製することができ、そして粘滑薬、保存料、フレーバー剤および/または着色料をさらに含有していてよい。
【0206】
坐剤調製物は、有効成分を常温では固体であるが直腸温度では液体であり、このために直腸では融解して薬物を遊離させる適切な非刺激性賦形剤と混合する工程によって調製することができる。適切な賦形剤には、例えば、カカオ脂およびポリエチレングリコールが含まれる。膣投与のために適切な調製物は、有効成分に加えて当分野において適切であることが公知であるそのような担体を含有する、ペッサリ、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォームもしくはスプレー調製物として提示されてよい。
【0207】
例えばクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤および水性もしくは油性溶液もしくは懸濁液などの局所調製物は、一般には、当分野において周知である従来方法を使用して、従来型の局所投与に適切なビヒクルもしくは希釈剤とともに有効成分を調製する工程によって入手できる。
【0208】
経皮投与するための組成物は、当業者には周知である経皮パッチの形状にあってよい。
【0209】
肺内もしくは鼻腔投与するために適切な調製剤は、鼻腔を通しての迅速な吸入または肺胞嚢に到達できるように口腔を通しての吸入によって投与される例えば0.1〜500ミクロン(0.5、1、30ミクロン、35ミクロンなどの増分ミクロンで0.1〜500ミクロンの範囲内にある粒径を含む)の範囲内にある粒径を有する。適切な調製物には、有効成分の水性もしくは油性溶液が含まれる。エーロゾルもしくはドライパウダー投与のために適切な調製物は、従来型方法によって調製することができ、例えば以下に記載する障害の治療もしくは予防において従来より使用される化合物などの他の治療薬とともに送達することができる。
【0210】
適用のための医薬組成物(もしくは調製物)は、薬物を投与するために使用される方法に依存して様々な方法で包装することができる。例えば、分布させるための製品は、その中に適切な形状にある医薬調製物が沈着させられている容器を含むことができる。適切な容器は、当業者には周知であり、ボトル(プラスチックおよびガラス)、小袋、アンプル、ポリ袋、金属円筒などの材料を含んでいる。容器は、包装の内容物への軽率な接近を防止するために不正開封防止集合体をさらに含むことができる。さらに、容器には、容器の内容物を記載するラベルがその上に配置されている。ラベルは、適切な警告をさらにまた含むことができる。本調製物は、単位用量もしくは複数回用量容器、例えば密封アンプルおよびバイアル内に包装することもでき、そして例えば使用直前に注射するための例えば水などの無菌液体担体の添加だけを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。即時注射溶液および懸濁液は、以前に記載した種類の無菌散剤、顆粒剤および錠剤から調製される。好ましい単位用量調製物は、有効成分の上記で記載したような1日量もしくは単位1日分割用量、またはその適切な画分を含有する調製物である。
【0211】
本発明は、そのための獣医学用担体と一緒に上記に規定した少なくとも1つの有効成分を含有する獣医学用組成物をさらに提供する。獣医学用担体は、本組成物を投与するために有用な材料であり、他の点では不活性もしくは獣医学分野において容認できる固体、液体もしくは気体材料であってよく、有効成分と適合性である。これらの獣医学用組成物は、非経口、経口または任意の他の所望の経路によって投与することができる。
【0212】
単回用量形を製造するために1つまたは複数の賦形剤と組み合わされる本発明の化合物の量は、必然的に治療される被験者、障害もしくは状態の重症度、投与経路、化合物の性質および処方する医師の裁量に依存して変動するであろう。1つの実施形態では、本発明の化合物の適切な量が、それを必要とする哺乳動物へ投与される。1つの実施形態での投与は、1日当たり約0.001mg/kg(体重)〜約60mg/kg(体重)の量で行われる。また別の実施形態では、投与は、1日当たり約0.5mg/kg(体重)〜約40mg/kg(体重)の量で行われる。一部の例では、上記の範囲の下限未満の用量レベルが十分以上である可能性があるが、他の場合には、1日を通して投与するために高用量が最初に数回の小用量に分割されることを前提に、有害な副作用を惹起せずにより高用量を使用できることがある。投与経路および用法・用量に関する詳細な情報については特別に参照して本明細書に組み込まれるComprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board),Pergamon Press 1990の第5巻第25.3章を参照されたい。
【0213】
製造品
本発明のまた別の実施形態では、上記に規定した障害を治療するために有用な材料を含有する製造品、もしくは「キット」が提供される。1つの実施形態では、本キットは、本発明の化合物を含む容器を含んでいる。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、ブリスターパックなどが含まれる。容器は、例えばガラスもしくはプラスチックなどの様々な材料から形成できる。容器は、状態を治療するために有効である本発明の化合物もしくはその調製物を収納することができ、無菌アクセスポート(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺できるストッパーを有する静脈注射溶液バッグもしくはバイアル)を有することができる。
【0214】
本キットは、容器上もしくは容器に関連付けられたラベルもしくは包装添付文書をさらに含んでいてよい。用語「包装添付文書」は、治療用製品の商業包装に、そのような治療用製品の使用に関する適応、用法、用量、投与、禁忌および/または警告を含有する、習慣的に含まれる取扱説明書を意味するために使用される。1つの実施形態では、ラベルもしくは包装添付文書は、本発明の化合物を含む組成物を例えばAKTキナーゼによって媒介される障害を治療するために使用できることを示している。ラベルもしくは包装添付文書は、本組成物が他の障害を治療するために使用できることもまた示すことがある。
【0215】
所定の実施形態では、キットは、例えば錠剤もしくはカプセル剤などの、本発明の化合物の固体経口形を送達するために適合する。そのようなキットには、好ましくは多数の単位製剤が含まれる。そのようなキットは、それらの所定の使用の順序で方向付けられた用量を有するカードを含むことができる。そのようなキットの例は、「ブリスターパック」である。ブリスターパックは、包装工業において周知であり、医薬単位製剤形を包装するために広く使用されている。所望であれば、例えば数、文字、もしくはその他のマーキングの形状で、または治療スケジュールにおけるその用量を投与できる日にちを指定しているカレンダーインサートを用いて記憶補助を用意することができる。
【0216】
また別の実施形態によると、キットは、(a)本発明の化合物がその中に含有されている第1容器;および(b)第2医薬調製物がその中に含有されている第2容器を含んでいてよく、このとき第2医薬調製物はAKTキナーゼによって媒介される障害を治療するために有用な第2医薬調製物を含んでいる。または、もしくは追加して、本キットは例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩液、リンガー液およびデキストロース液などの医薬上許容されるバッファを含む第3容器をさらに含むことができる。本キットは、他のバッファ、希釈液、フィルタ、ニードル、およびシリンジを含む商業的および使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含むことができる。
【0217】
本キットは、本発明の化合物を投与するための説明書、および存在する場合は、第2医薬調製物をさらに含むことができる。例えば、本キットが本発明の化合物および第2医薬調製物を含む第1組成物を含む場合は、本キットはそれを必要とする患者に第1および第2医薬組成物の同時、連続的もしくは個別に投与するための説明書をさらに含むことができる。
【0218】
キットが本発明の組成物および第2治療薬を含む所定の他の実施形態では、本キットは、分割されたボトルもしくは分割されたホイルパケットなどの個別の組成物を含有するための容器を含むことができるが、しかし個別の組成物は、単一の分割されていない容器内に含有されていてもよい。所定の実施形態では、本キットは、個別の成分を投与するための説明書を含んでいる。キットの形状は、別個の成分が好ましくは相違する剤形(例、経口および非経口)で投与される場合、相違する投与間隔で投与される場合、または処方する医師による組み合わせの個別成分の滴定が所望である場合には特に有益である。
【0219】
したがって、本発明のまた別の態様は、AKTキナーゼによって媒介される障害もしくは疾患を治療するためのキットを提供するが、前記キットは、a)本発明の化合物もしくはそれらの医薬上許容される塩を含む第1医薬組成物、およびb)使用説明書を含んでいる。
【0220】
所定の実施形態では、本キットは、(c)第2医薬組成物をさらに含むが、このとき第2医薬組成物は、AKTキナーゼによって媒介される障害もしくは疾患を治療するために適合する第2化合物を含んでいる。第2医薬組成物を含む所定の実施形態では、本キットは、それを必要とする患者へ前記第1および第2医薬組成物を同時に、連続的もしくは別個に投与するための説明書をさらに含んでいる。所定の実施形態では、前記第1および第2医薬組成物は、別個の容器内に含有されている。他の実施形態では、前記第1および第2医薬組成物は、同一容器内に含有されている。
【0221】
式Iの化合物は主として哺乳動物において使用するための治療薬として価値があるが、それらはAKTタンパク質キナーゼ、チロシンキナーゼ、追加のセリン/トレオニンキナーゼ、および/または二重特異性キナーゼを制御するために必要とされる場合には常に有用である。そこで、それらは新規な生物学的試験の開発において、および新規な生理学的物質についての探索において使用するための薬理学的標準物質として有用である。
【0222】
本発明の化合物の活性は、インビトロ、インビボ、または細胞系において、AKTタンパク質キナーゼ、チロシンキナーゼ、追加のセリン/トレオニンキナーゼ、および/または二重特異性キナーゼについてアッセイすることができる。インビトロアッセイには、キナーゼ活性の阻害を決定するアッセイが含まれる。また別のインビトロアッセイは、阻害剤がキナーゼに結合する能力を定量し、結合する前に阻害剤を放射標識し、阻害剤/キナーゼ複合体を単離し、結合した放射標識の量を決定すること、または新規な阻害剤が公知の放射リガンドとインキュベートされる競合実験を実施することのいずれかによって測定できる。これらやその他の有用なインビトロおよび細胞培養アッセイは、当業者に周知である。
【0223】
本発明を特殊性の所定の程度について記載して例示してきたが、本発明は例示するためにのみ開示されていること、そして当業者であれば、以下で請求するように、本発明の精神および範囲から逸脱せずに部分の組み合わせおよび配列における多数の変化を用いることができることを理解されたい。
【実施例】
【0224】
(生物学的実施例)
AKT−1キナーゼアッセイ
本発明に記載した化合物の活性は、市販で入手できるIMAPキットを用いて全長ヒト組換え活性AKT−1による蛍光標識ペプチドのリン酸化を蛍光偏光によって測定する、下記のキナーゼアッセイによって決定することができた。
【0225】
アッセイ材料は、Molecular Devices社(カリフォルニア州サニーベール)製のIMAP AKTアッセイバルクキット(製品番号#R8059)から入手した。キット材料にはIMAP反応バッファ(5×)が含まれた。希釈1×IMAP反応バッファは、10mM Tris−HCl(pH7.2)、10mM MgCl、0.1% BSA、0.05% NaNを含有していた。DTTは、使用直前に1mMの最終濃度へルーチン的に加えた。さらにIMAP結合バッファ(5×)、およびIMAP結合試薬も含めた。結合溶液は、1×IMAP結合バッファ中へのIMAPカップリング試薬の1:400希釈液として調製した。
【0226】
フルオレセイン標識AKT基質(Crosstide)は、配列(Fl)−GRPRTSSFAEGを有した。20μMのストック溶液は、1×IMAP反応バッファ中で作製した。
【0227】
使用したプレートには、化合物を希釈するためおよび化合物−ATP混合物を調製するために使用したCostar 3657(ポリプロピレンから製造され、白色のv−底部を有する382−ウエル)が含まれた。アッセイプレートは、Packard ProxyPlate(商標)−384Fであった。
【0228】
使用したAKT−1は、PDK1およびMAPキナーゼ2を用いて活性化される全長ヒト組換えAKT−1から作製した。
【0229】
アッセイを実施するために、DMSO中の10mMで化合物のストック溶液を調製した。ストック溶液およびコントロール化合物は、所望の投与範囲にわたって50×希釈液を生じさせるために、DMSO中に1:2で9回にわたりDMSO中へ連続的に希釈した(10μLの化合物+10μLのDMSO)。次に、DMSO中の化合物の2.1μLのアリコートを、1mM DTTを含有する1×IMAP反応バッファ中で50μLの10.4μM ATPを含有するCostar 3657プレートへ移した。完全に混合した後、2.5μLのアリコートをProxyPlate(商標)−384Fプレートへ移した。
【0230】
アッセイは、200nMの蛍光標識下ペプチド基質および4nM AKT−1を含有する2.5−μLのアリコートの添加によって開始した。プレートは1分間にわたり1,000gで遠心し、周囲温度で60分間にわたりインキュベートした。反応を次に15μLの結合溶液の添加によってクエンチし、再び遠心し、さらに30分間にわたり周囲温度でインキュベートし、そして蛍光偏光を測定するように構成されたVictor 1420 Multilabel HTSカウンタ上で読み取った。
【0231】
実施例1〜29の化合物を上記のアッセイで試験すると、10μM未満のIC50を有することが見いだされた。
【0232】
(調製実施例)
本発明を具体的に説明するために、以下の実施例を含めた。しかし、これらの実施例は本発明を限定しないこと、そして本発明を実施する方法を提案することだけが意図されていることを理解されたい。当業者であれば、本明細書に記載した化学反応は本発明の多数の他の化合物を調製するために容易に適合させることができる、および本発明の化合物を調製するための代替方法は本発明の範囲内に含まれると見なされることを認識するであろう。例えば、本発明によって例示されていない化合物の合成は、当業者には明白な変形形態によって、例えば干渉基を適切に保護することによって、本明細書に記載した試薬以外の当分野において公知の他の適切な試薬を利用することによって、および/または反応条件のルーチン的な修飾を行うことによって、良好に実施することができる。または、本明細書に開示した、もしくは当分野において公知の他の反応は、本発明の他の化合物を調製するための適用可能性を有すると認識されるであろう。
【0233】
以下に記載する実施例では、他に特に指示しない限り、全温度は摂氏温度で記載されている。試薬は、例えば、Aldrich Chemical社、Lancaster社、TCI社もしくはMaybridge社から購入し、他に特に指示しない限りそれ以上精製せずに使用した。テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、トルエン、およびジオキサンは、確実な密封ボトル入りでAldrich社から購入し、受領したまま使用した。
【0234】
以下に記載する反応は、一般に窒素もしくはアルゴンの陽圧下または無水溶媒中の乾燥管(他に規定しない限り)を用いて実施し、反応フラスコにはシリンジを介して基質および試薬を導入するために典型的にはゴム隔膜を装備した。ガラス製品はオーブン乾燥および/または加熱乾燥した。
【0235】
H NMRスペクトルは、400MHzで作動させたVarian機器上で記録した。H−NMRスペクトルは、参照標準物質としてテトラメチルシラン(0.00ppm)もしくは残留溶媒(CDCl:7.25ppm;CDOD:3.31ppm;DO:4.79ppm;d−DMSO:2.50ppm)を用いて、CDCl、CDOD、DOもしくはd−DMSO溶液として入手した(単位ppmで報告した)。ピーク多重度が報告される場合は、次の略語を使用した:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、m(多重線)、br(広域)、dd(二重線の二重線)、dt(三重線の二重線)。結合定数は、与えられる場合は、ヘルツ(Hz)で報告した。
【0236】
(実施例1)
【0237】
【化42】

(2R)−2−アミノ−3−(4−クロロフェニル)−1−(4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン二塩酸塩
工程1:無水エチルエーテル(200mL)中の60% NaH(11.6g、291.4mmol)の懸濁液を10分間にわたり攪拌し、次にエチルエーテル(50mL)中のグリコール酸メチル(25.0g、277.0mmol)の溶液を15分間かけて滴下した。この懸濁液をDMSO(200mL)で希釈し、0℃へ冷却した。100mLのDMSO中のmethyl crotanate(33.3g、333.0mmol)の溶液を30分間かけて滴下し、室温まで加温しながら一晩攪拌し続けた。水(200mL)中への反応混合液の注入を緩徐化することによって反応をクエンチさせ、1N HClを添加して酸性度をpH2〜3へ調整した。生じた混合液はエチルエーテル(3×500mL)を用いて抽出し、結合有機相は食塩液で洗浄し、MgSOを用いて乾燥させ、そして濃縮した。粗残留物をカラムクロマトグラフィー(4:1ヘキサン:EtOAc)によって精製すると、透明な液体としてメチル2−メチル−4−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボキシレート(32.3g、73%)が得られた。
【0238】
【化43】

工程2:メチル2−メチル−4−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボキシレート(8.3g、52.8mmol)、ホルムアミジン(7.0g、68.6mmol)およびトルエン(200mL)の混合液をDean−Stark条件下で一晩にわたり還流させながら加熱した。この混合液を室温へ冷却させ、水で希釈し、飽和NaCOの添加によって中和した。有機相を分離し、水相はEtOAc(5×200mL)によって抽出した。結合有機相は食塩液、MgSOを用いて乾燥させ、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(100% EtOAcから5% MeOH:EtOAc)によって精製すると、褐色固体として5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−オールが得られた。
【0239】
【化44】

工程3:アセトニトリル(50mL)中の5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−オール(1.2g、7.9mmol)の懸濁液にシリンジを介してPOCl(3.6g、23.7mmol)を加え、この混合液を還流させながら3時間にわたり加熱した。この混合液を室温へ冷却するに任せ、その後濃縮した。残留物はEtOAcを用いて希釈し、飽和NaHCO中へ注入することによってクエンチさせた。有機相を分離し、水相はEtOAc(3×100mL)によって抽出した。結合有機相を乾燥させて(MgSO)濃縮すると淡褐色油として4−クロロ−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン(1.3g、96%)が得られたので、これをそれ以上精製せずに次の工程において使用した。
【0240】
【化45】

工程4:4−クロロ−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン(0.97g、5.7mmol)、N−Bocピペラジン(1.3g、6.8mmol)、TEA(1.6mL、11.4mmol)およびNMP(3mL)の混合液を4時間にわたり90℃へ加熱した。この反応液を室温へ冷却し、HOおよびEtOAcで希釈した。有機相を分離し、水相はEtOAc(3×20mL)によって抽出した。結合有機相はMgSOを用いて乾燥させ、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc)によって精製すると、オフホワイトの固体としてtert−ブチル4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(1.5g、83%)が得られた。
【0241】
【化46】

工程5:DCM(15mL)中のtert−ブチル4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.28g、0.87mmol)の溶液にジオキサン(5mL)中の4N HClを加えた。この混合液を室温で一晩攪拌し、次に濃縮させると、オフホワイトの固体として5−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン二塩酸塩が得られた。
【0242】
【化47】

工程6:DCM(5mL)中のD−Boc−4−クロロフェニルアニリン(0.033g、0.110mmol)、5−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン二塩酸塩(0.029mg、0.100mmol)およびトリエチルアミン(0.033mL、0.220mmol)の溶液にHATU(0.042g、0.110mmol)を加えた。この反応混合液を室温で一晩攪拌した。混合液を水とDCMとの間に分配させ、有機相を分離した。水相は、DCM(2×10mL)で抽出した。結合有機相は食塩液で洗浄し、MgSOを用いて乾燥させ、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc)によって精製すると、透明な油として結合中間体が得られた。材料をDCM(5mL)中に再溶解させ、これにジオキサン(1mL)中の4N HClを加えた。この混合液を室温で一晩攪拌し、次に濃縮させると、オフホワイトの固体(0.030mg、60%)として(2R)−2−アミノ−3−(4−クロロフェニル)−1−(4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン二塩酸塩が得られた。
【0243】
【化48】

(実施例2)
【0244】
【化49】

4−アミノ−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4−メチル−1−(4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)ペンタン−1−オン二塩酸塩
工程1:メチル2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)アクリレート(1.00g、4.66mmol)および2−ニトロプロパン(502μL、5.59mmol)をMeCN(16mL)中に溶解させ、室温でDBU(835μL、5.59mmol)を用いて処理した。この混合液を完了するまで週末にかけて攪拌し続けた。この混合液を1M HCl溶液中へ注入し、酢酸エチル(2×)を用いて抽出した。結合した有機部分を水(1×)、次に食塩液で洗浄し、分離し、MgSOの上方に通して乾燥させ、濾過し、真空で濃縮するとメチル2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4−メチル−4−ニトロペンタノエート(1.51 g)が産生した。
【0245】
工程2:メチル2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4−メチル−4−ニトロペンタノエート(1.51g、4.97μmol)およびZn粉末(6.50g、99.4mmol)をエタノール(25mL)中に溶解/懸濁させ、40℃で濃HCl(1.37mL、16.4mmol)を用いて処理した。この混合液を数時間にわたり完了するまで還流させながら加熱し、室温へ冷却するに任せた。この混合液を次により多くのエタノールとともにセライトプラグに通して濾過した。濾液を真空で濃縮し、次に半飽和NaHCO溶液中へ注入した。水性部分を酢酸エチルにより数回抽出し、有機相を結合した。有機部分は、水(1×)、次に食塩液で洗浄し、分離し、MgSOの上方に通して乾燥させ、濾過し、そして真空で濃縮すると、固体としてほぼ純粋の生成物が得られた。この材料を最小量の酢酸エチル中に部分的に懸濁/溶解させ、ヘキサンを用いて希釈した。結果として生じた3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−5,5−ジメチルピロリジン−2−オンは、真空濾過によって単離した(826mg、69%)。
【0246】
工程3:3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−5,5−ジメチルピロリジン−2−オン(826mg、3.42mmol)は、THF(20mL)中に溶解させ、窒素雰囲気下で−78℃へ冷却した。LiHMDS(3.76mL、3.76mmol)はシリンジを介して加え、この溶液を30分間にわたり攪拌し続けた。この混合液は、シリンジを介してBocO(942μL、4.10mmol)の添加によりクエンチした。この混合液を2時間かけて室温へ緩徐に加温するに任せた。この反応液を0.5M HCl溶液中へ注入し、酢酸エチル(2×)を用いて抽出した。結合有機層を水(2×)、次に食塩液で洗浄し、分離し、MgSOの上方に通して乾燥させ、濾過し、真空で濃縮すると無色油としてtert−ブチル4−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−2,2−ジメチル−5−オキソピロリジン−1−カルボキシレートが得られた。
【0247】
工程4:tert−ブチル4−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−2,2−ジメチル−5−オキソピロリジン−1−カルボキシレート(1.168g、3.42mmol、理論値)をTHF、MeOH、水の各4mL中に溶解させた。LiOH−HO(574mg、13.7mmol)は攪拌溶液に1回で加えた。反応混合液は一晩かけて完了するまで攪拌し続けた。この反応混合液を濃縮し、残留物をエーテルおよび水の間に分配させた。水性部分はエーテルを用いて再度洗浄し(どちらも廃棄する)、次に約2〜約3のpHに到達するまで3N HCl溶液を用いて処理した。水性部分をエーテルにより数回抽出し、有機相を結合した。有機部分を食塩液で洗浄し、分離し、MgSOの上方に通して乾燥させ、濾過し、真空で濃縮すると白色固体(1.06g、86%)として4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4−メチルペンタン酸が得られた。
【0248】
工程5:DCM(5mL)中の4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4−メチルペンタン酸(0.038g、0.110mmol)、5−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン二塩酸塩(0.029mg、0.100mmol)およびトリエチルアミン(0.033mL、0.220mmol)の溶液にHATU(0.042g、0.110mmol)を加えた。この反応混合液を室温で一晩攪拌した。混合液を水とDCMとの間に分配させ、有機相を分離した。水相は、DCM(2×10mL)で抽出した。結合有機相は食塩液で洗浄し、MgSOを用いて乾燥させ、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc)によって精製すると、透明な油として結合中間体が得られた。材料をDCM(5mL)中に再溶解させ、これにジオキサン(1mL)中の4N HClを加えた。この混合液を室温で一晩攪拌し、次に濃縮させると、オフホワイトの固体(0.033mg、61%)として4−アミノ−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4−メチル−1−(4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)ペンタン−1−オン二塩酸塩が得られた。
【0249】
【化50】

(実施例3)
【0250】
【化51】

2−(4−クロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン二塩酸塩
工程1:メチル2−(4−クロロフェニル)アクリレート(1.00g、5.09mmol)はTHF(2.5mL)中の溶液としてTHF(10mL)中のi−PrNH(650μL、7.63mmol)の攪拌溶液に加えた。この反応液をLCMS分析によって完了するまで一晩にわたり室温で攪拌し続けた。溶媒を減圧下で除去すると、メチル2−(4−クロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)プロパノエート(LCMS(APCI)[M−Boc+H] 256.1、Rt:1.97分間)が得られたので、これを室温でDCM(15mL)中に再溶解させた。BocO(1.29mL、5.59mmol)をピペットを介して攪拌中のアミンに加え、その後に触媒量(1mg)のDMAPを加えた。反応液を混合液のLCMSおよびTLC分析による完了まで一晩にわたり攪拌し続けた。この溶液を真空で濃縮すると油性残留物としてメチル3−(tert−ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)プロパノエートが得られたので(LCMS(APCI)[M−Boc+H] 256.1、Rt:4.13分間)、これをTHF(12.0mL)および水(4.0mL)中に再溶解させた。この溶液をLiOH−HO(1.07g、25.4mmol)で処理し、LCMS分析による完了まで4時間にわたり攪拌し続けた。この溶液を水で希釈し、ジエチルエーテル(廃棄した)で洗浄した。水相は約2〜約3のpHが達成されるまで1M HCl溶液を用いて処理し、酢酸エチルを用いて数回抽出した。有機相を結合し、食塩液で洗浄し、分離し、MgSOの上方に通して乾燥させ、濾過し、真空で濃縮すると油(1.04g、60%)として3−(tert−ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)プロパン酸(1.04g、60%)が得られた。LCMS(APCI)[M−Boc+H] 242.0。
【0251】
工程2:DCM(5mL)中の3−(tert−ブトキシカルボニル(イソプロピル)アミノ)−2−(4−クロロフェニル)プロパン酸(0.037g、0.110mmol)、5−メチル−4−(ピペラジン−1−イル)−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン二塩酸塩(0.029mg、0.100mmol)、およびトリエチルアミン(0.033mL、0.220mmol)の溶液にHATU(0.042g、0.110mmol)を加えた。この反応混合液を室温で一晩攪拌した。混合液を水とDCMとの間に分配させ、有機相を分離した。水相は、DCM(2×10mL)で抽出した。結合有機相は食塩液で洗浄し、MgSOを用いて乾燥させ、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc)によって精製すると、透明な油として結合中間体が得られた。この油をDCM(5mL)中に再溶解させ、これにジオキサン(1mL)中の4N HClを加え、この反応混合液を室温で一晩攪拌した。この反応混合液を濃縮させると、オフホワイトの固体(0.030mg、60%)として2−(4−クロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン二塩酸塩が得られた。
【0252】
【化52】

(実施例4)
【0253】
【化53】

(2R)−2−アミノ−3−(4−クロロフェニル)−1−((3S)−3−メチル−4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン二塩酸塩
工程1:4−クロロ−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン(0.340g、1.99mmol)、(S)−tert−ブチル−3−メチルピペラジン−1−カルボキシレート(0.439、2.19mmol)、TEA(0.56mL、4.0mmol)およびNMP(3mL)の混合液を4時間にわたり90℃へ加熱した。この反応液を室温へ冷却し、HOおよびEtOAcで希釈した。有機相を分離し、水相はEtOAc(3×20mL)によって抽出した。結合有機相はMgSOを用いて乾燥させ、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc)によって精製すると、オフホワイトの固体として(3S)−tert−ブチル−3−メチル−4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−カルボキシレート(0.590g、89%)が得られた。LCMS(APCI+)m/z 235 [M−C+H];Rt=2.71分間。この材料をDCM(5mL)中に再溶解させ、これにジオキサン(2mL)中の過剰の4N HClを加え、この反応液を室温で一晩攪拌し続けた。この反応液を濃縮させると、オフホワイトの固体として5−メチル−4−((S)−2−メチルピペラジン−1−イル)−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン二塩酸塩(0.540g、93%)が得られた。
【0254】
【化54】

工程2:DCM(3mL)中のD−Boc−4−クロロフェニルアラニン(0.033g、0.110mmol)、5−メチル−4−((S)−2−メチルピペラジン−1−イル)−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン二塩酸塩(0.031mg、0.100mmol)およびトリエチルアミン(0.033mL、0.220mmol)の溶液にHATU(0.042g、0.110mmol)を加えた。この反応混合液を室温で一晩攪拌した。混合液を水とDCMとの間に分配させ、有機相を分離した。水相は、DCM(2×10mL)で抽出した。結合有機相は食塩液で洗浄し、MgSOを用いて乾燥させ、そして濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc)によって精製すると、透明な油として結合中間体であるtert−ブチル(2R)−3−(4−クロロフェニル)−1−((3S)−3−メチル−4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(LCMS(APCI+)m/z 516[M+H];Rt=3.18分間)が得られた。この材料をDCM(5mL)中に溶解させ、これにジオキサン(2mL)中の過剰の4N HClを加えた。この混合液を室温で一晩攪拌し、次に蒸発させた。この残留物を最小量のイソプロパノール中に溶解させ、エーテルを用いて滴定すると白色沈降物が形成されたので、これを濾過すると、オフホワイトの固体(0.025mg、51%)として(2R)−2−アミノ−3−(4−クロロフェニル)−1−((3S)−3−メチル−4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン二塩酸塩が得られた。
【0255】
【化55】

以下の化合物もまた、上述した方法を用いて調製した。
【0256】
(実施例5)
【0257】
【化56】

(R)−2−アミノ−3−(4−クロロフェニル)−1−(4−((R)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
【0258】
【化57】

(実施例6)
2−(4−クロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((R)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
【0259】
【化58】

(実施例7)
【0260】
【化59】

2−(4−クロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−((3S)−3−メチル−4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
LCMS:458.1[M+H](APCI+)。
【0261】
(実施例8)
【0262】
【化60】

2−(2,4−ジクロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
LCMS:478.1[M+H](APCI+)。
【0263】
(実施例9)
【0264】
【化61】

2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
【0265】
【化62】

(実施例10)
【0266】
【化63】

2−(4−フルオロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
LCMS:428.2[M+H](APCI+)。
【0267】
(実施例11)
【0268】
【化64】

2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
【0269】
【化65】

(実施例12)
【0270】
【化66】

3−(イソプロピルアミノ)−2−(4−メトキシフェニル)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
LCMS:440.2[M+H](APCI+)。
【0271】
(実施例13)
【0272】
【化67】

3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)−2−p−トリルプロパン−1−オン
【0273】
【化68】

(実施例14)
【0274】
【化69】

2−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
LCMS:460.2[M+H](APCI+)。
【0275】
(実施例15)
【0276】
【化70】

(R)−4−アミノ−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4−メチル−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)ペンタン−1−オン
LCMS:462[M+H](APCI+)。
【0277】
(実施例16)
【0278】
【化71】

4−アミノ−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4−メチル−1−((3S)−3−メチル−4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)ペンタン−1−オン
LCMS:476.1[M+H](APCI+)。
【0279】
(実施例17)
【0280】
【化72】

(R)−2−アミノ−3−(4−クロロフェニル)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
【0281】
【化73】

(実施例18)
【0282】
【化74】

(R)−4−アミノ−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4−メチル−1−(4−((R)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)ペンタン−1−オン
LCMS:462.1[M+H](APCI+)。
【0283】
(実施例19)
【0284】
【化75】

2−(4−クロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
LCMS:444.1[M+H](APCI+)。
【0285】
(実施例20)
【0286】
【化76】

(R)−2−(4−クロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
LCMS:444.1[M+H](APCI+)。
【0287】
(実施例21)
【0288】
【化77】

(S)−2−(4−クロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
LCMS:444.2[M+H](APCI+)。
【0289】
(実施例22)
【0290】
【化78】

(S)−2−(4−クロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((R)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
【0291】
【化79】

(実施例23)
【0292】
【化80】

(R)−2−(4−クロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−((R)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
LCMS:444.2[M+H](APCI+)。
【0293】
(実施例24)
【0294】
【化81】

(3−(4−クロロフェニル)ピロリジン−3−イル)(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)メタノン
LCMS:428.2[M+H](APCI+)。
【0295】
(実施例25)
【0296】
【化82】

(2S)−2−アミノ−3−(4−クロロフェニル)−1−(4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
【0297】
【化83】

(実施例26)
【0298】
【化84】

4−アミノ−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4−メチル−1−(4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)ペンタン−1−オン
【0299】
【化85】

(実施例27)
【0300】
【化86】

2−(4−クロロフェニル)−3−(イソプロピルアミノ)−1−(4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
【0301】
【化87】

(実施例28)
【0302】
【化88】

(2R)−2−アミノ−3−(4−クロロフェニル)−1−((3S)−3−メチル−4−(5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
【0303】
【化89】

(実施例29)
【0304】
【化90】

(S)−3−アミノ−2−(4−クロロフェニル)−1−(4−((S)−5−メチル−5,7−ジヒドロフロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)プロパン−1−オン
LCMS(APCI+)m/z 444.2[M+H]。
【0305】
上記の説明は、本発明の原理のみに関する例示と見なされる。さらに、当業者には多数の変形および変更は容易に明白であるので、上述したように正確な構造およびプロセスへ本発明を限定することは望ましくない。したがって、すべての適切な変形および同等物は、以下の特許請求項によって規定される本発明の範囲内に含まれると考察することができる。
【0306】
用語「含む」、「含んでいる」、「包含する」、および「包含している」は、本明細書および以下の特許請求の範囲において使用する場合には、規定された特徴、整数、成分、もしくは工程の存在を規定することが意図されているが、それらは1つまたは複数の他の特徴、整数、成分、工程、もしくは群の存在もしくは付加を排除しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化91】

(式中、
は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、CF、CHFもしくはCHFである;
は、HもしくはMeである;
は、H、Me、Et、もしくはCFである;
Aは、
【化92】

である;
Gは、1〜4個のR基で必要に応じて独立して置換されたフェニルである;
およびRは、独立してH、(C−Cシクロアルキル)−(CH)、(C−Cシクロアルキル)−(CHCH)、V−(CH0−1(式中、Vは5〜6員のヘテロアリールである)、W−(CH1−2(式中、Wは、F、Cl、Br、I、OMe、CFもしくはMeで必要に応じて置換されたフェニルである)、C−C−シクロアルキル、ヒドロキシ−(C−C−シクロアルキル)、フルオロ−(C−C−シクロアルキル)、CH(CH)CH(OH)フェニル、F、OH、シクロプロピルメチル、C−CアルキルもしくはC(=O)(C−C−アルキル)で必要に応じて置換された4〜6員の複素環、またはOH、O(C−C−アルキル)、CN、F、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、オキセタニル、ピペリジニル、およびピロリジニルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換されたC−C−アルキルである、
またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒に、OH、ハロゲン、オキソ、CF、CHCF、および(C−C)アルキルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換された4〜6員の複素環式環を形成する;
およびRは、Hである、
またはRはHであり、そしてRおよびRは、それらが結合している原子と一緒に、1または2個の環窒素原子を有する5〜6員の複素環式環を形成する;
およびRは、HもしくはMeである、
またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒にシクロプロピル環を形成する;
は、H、Me、もしくはOHである、
またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒に、1個の環窒素原子を有する5〜6員の複素環式環を形成する;
各Rは、独立してハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、O−(C−C−アルキル)、CF、OCF、S(C−C−アルキル)、CN、OCH−フェニル、NH、NH−(C−C−アルキル)、N−(C−C−アルキル)、ピペリジン、ピロリジン、CHF、CHF、OCHF、OCHF、OH、SO(C−C−アルキル)、C(O)NH、C(O)NH(C−C−アルキル)、およびC(O)N(C−C−アルキル)である;および
m、nおよびpは、独立して0もしくは1である)の化合物、ならびにそれらの互変異性体、分解エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、代謝産物および塩。
【請求項2】
式I:
【化93】

(式中、
は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、CF、CHFもしくはCHFである;
は、HもしくはMeである;
は、H、Me、Et、もしくはCFである;
Aは、
【化94】

である;
Gは、1〜4個のR基で必要に応じて独立して置換されたフェニルである;
およびRは、独立してH、(C−Cシクロアルキル)−(CH)、(C−Cシクロアルキル)−(CHCH)、V−(CH0−1(式中、Vは5〜6員のヘテロアリールである)、W−(CH1−2(式中、Wは、F、ClもしくはMeで必要に応じて置換されたフェニルである)、C−C−シクロアルキル、ヒドロキシ−(C−C−シクロアルキル)、フルオロ−(C−C−シクロアルキル)、CH(CH)CH(OH)フェニル、またはOH、O(C−C−アルキル)、CN、F、NH、NH(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル)、ピペリジニル、およびピロリジニルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換されたC−C−アルキルである、
またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒に、OH、ハロゲン、オキソ、CF、CHCF、および(C−C)アルキルから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換された4〜6員の複素環式環を形成する;
およびRは、Hである、
またはRはHであり、そしてRおよびRは、それらが結合している原子と一緒に、1または2個の環窒素原子を有する5〜6員の複素環式環を形成する;
およびRは、HもしくはMeである、
またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒にシクロプロピル環を形成する;
は、H、Me、もしくはOHである、
またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒に、1個の環窒素原子を有する5〜6員の複素環式環を形成する;
各Rは、独立してハロゲン、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、O−(C−C−アルキル)、CF、OCF、S(C−C−アルキル)、CN、OCH−フェニル、NH、NH−(C−C−アルキル)、N−(C−C−アルキル)、ピペリジン、ピロリジン、CHF、CHF、OCHF、OCHF、OH、SO(C−C−アルキル)、C(O)NH、C(O)NH(C−C−アルキル)、およびC(O)N(C−C−アルキル)である;および
m、nおよびpは、独立して0もしくは1である)の化合物、ならびにそれらの互変異性体、分解エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、代謝産物および塩。
【請求項3】
は、Hである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
は、メチルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
は、(R)配置にある、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
は、(S)配置にある、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
は、Hである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
は、Hもしくはメチルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
はメチルであり、前記Rは(S)配置にある、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Gは、F、Cl、Br、CN、メチル、エチル、イソプロピル、OCH、OCHCH、CF、SCH、およびシクロプロピルから独立して選択された1〜3つの基で必要に応じて置換されたフェニルである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Gは、フェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、4−ブロモフェニル、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノフェニル、4−メトキシフェニル、4−エトキシフェニル、4−チオメチルフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、4−シクロプロピルフェニル、4−クロロ−3−フルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、4−ブロモ−3−フルオロフェニル、3−フルオロ−4−メチルフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノ−3−フルオロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−クロロ−5−フルオロフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、3−ブロモ−4−フルオロフェニル、3,5−ジフルオロ−4−クロロフェニル、2,3−ジフルオロ−4−クロロフェニル、2,5−ジフルオロ−4−クロロフェニル、3,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、2,3−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニルもしくは4−(CHOPh)−フェニルである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
Gは、フェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−クロロ−3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニルもしくは4−(CHOPh)−フェニルである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
Aが式:
【化95】

によって表されるように、mが1であり、nが0であり、そしてpが0である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
Aは、配置:
【化96】

を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
は、HもしくはOHである、請求項13または14に記載の化合物。
【請求項16】
およびRは、Hである、請求項13〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
およびRは、それらが結合している原子と一緒にシクロプロピル環を形成する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
およびRは、独立して、H、C−C−シクロアルキル、ヘテロアリール−(CH)、ヒドロキシ−(C−C−シクロアルキル)、あるいはOH、OMe、およびCNから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換された(C1−6)−アルキルである、請求項13〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
およびRは、独立してH、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、3−ペンチル、CH(イソプロピル)、CHCHOH、CHCHCHOH、CH(CHCHOH)、CHCHOMe、CH(CHCHOMe)、CHCHCHOMe、CHCN、CH−シクロプロピル、CH−シクロブチル、CH−t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、CH−フェニル、CH−(ピリド−2−イル)、CH−(ピリド−3−イル)、CH−(ピリド−4−イル)、4−ヒドロキシシクロヘキス−1−イル、またはCH(CH)CH(OH)フェニルである、請求項13〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
NRは、NH、NHMe、NHEt、NHPr、NHiPr、NHtBu、NH(CH−シクロプロピル)、NH(CH−シクロブチル)、NH(CH−tブチル)、NH(シクロペンチル)、NH(シクロヘキシル)、NH(3−ペンチル)、NHCH(イソプロピル)、NH(CHCHOH)、NH(CHCHCHOH)、NH(CHCHOMe)、NH(CHCHCHOMe)、NH(CHCN)、NMe、NMeEt、NMePr、NMe(iPr)、NMe(CH−シクロプロピル)、NMe(CH−シクロブチル)、NMe(CHCHOH)、NMe(CHCHCHOH)、NMe(CHCHOMe)、NMe(CHCHCHOMe)、NEt、NEtPr、NEt(iPr)、NEt(CH−シクロプロピル)、NEt(CH−シクロブチル)、NEt(CHCHOH)、NEt(CHCHCHOH)、
【化97】

である、請求項13〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
およびRは、それらが結合しているNと一緒に、1または2個の環窒素原子を有する4〜6員の複素環式環を形成し、前記複素環式環は、OH、F、メチル、CHCF、およびオキソから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換さている、請求項13〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
およびRは、それらが結合しているNと一緒に、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼチジニル、モルホリニルもしくはピペリジニル環を形成し、前記ピロリジニル、ピペリジニル、アゼチジニル、モルホリニルもしくはピペリジニル環はOH、F、メチル、CHCF、およびオキソから独立して選択された1つまたは複数の基で必要に応じて置換さている、請求項13〜17または請求項21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
NRは、構造:
【化98】

から選択される、請求項21または22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
およびRは、それらが結合している原子と一緒に、1または2個の環窒素原子を有する5〜6員の複素環式環を形成する、請求項13〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
およびRは、それらが結合している原子と一緒にピロリジニルもしくはピペリジニル環を形成する、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
Aは:
【化99】

【化100】

から選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項27】
Aが式:
【化101】

によって表されるように、mが1であり、nが1であり、そしてpが0である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
Aは、配置:
【化102】

を有する、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
は、Hである、請求項27または28に記載の化合物。
【請求項30】
およびRは、Hである、請求項27〜29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
およびRは、メチルである、請求項27〜29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
およびRは、それらが結合している原子と一緒にシクロプロピル環を形成する、請求項27〜29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
およびRは、独立してH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、CH−シクロプロピル、またはCH−シクロブチルである、
またはRおよびRは、Nと一緒にピロリジニル、ピペリジニル、もしくはアゼチジニル環を形成する、
またはRおよびRは、それらが結合している原子と一緒にピペリジニルもしくはピロリジニル環を形成する、請求項27〜32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
NRは、NH、NHMe、NHEt、NHPr、NH(iPr)、NH(CH−シクロプロピル)、NH(CH−シクロブチル)、NMe、NMeEt、NMePr、NMe(iPr)、NEt、NEtPr、もしくはNEt(iPr)である、請求項27〜33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
NRは、構造:
【化103】

から選択される、請求項27〜33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
Aは:
【化104】

から選択される、請求項27に記載の化合物。
【請求項37】
Aが式:
【化105】

によって表されるように、mが1であり、nが0であり、そしてpが1である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
Aは、配置:
【化106】

を有する、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
は、Hである、請求項37または38に記載の化合物。
【請求項40】
およびRは、それらが結合している原子と一緒にシクロプロピル環を形成する、請求項37〜39のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
およびRは、独立してH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、CH−シクロプロピル、またはCH−シクロブチルである、請求項37〜40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
NRは、NH、NHMe、NHEt、NHPr、NH(iPr)、NHtBu、NH(CH−シクロプロピル)、またはNH(CH−シクロブチル)である、請求項37〜41のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
Aは:
【化107】

である、請求項41に記載の化合物。
【請求項44】
およびRはHであり、そしてRおよびRは、それらが結合している原子と一緒に5〜6員の複素環式環を形成し、ここでその環原子の1つは窒素である、請求項37に記載の化合物。
【請求項45】
およびRは、それらが結合している原子と一緒にピロリジニル環を形成する、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
は、Hである、請求項44または45に記載の化合物。
【請求項47】
Aは:
【化108】

から選択される、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
Aが式:
【化109】

によって表されるように、mが0であり、nが0であり、そしてpが1である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項49】
Aは、配置:
【化110】

を有する、請求項48に記載の化合物。
【請求項50】
は、Hである、請求項48または49に記載の化合物。
【請求項51】
およびRは、独立してHまたはMeである、請求項48〜50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項52】
Aは:
【化111】

から選択される、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
請求項1または2に定義され、実施例1〜29で命名された通りの化合物。
【請求項54】
請求項1〜53のいずれか一項に記載の化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項55】
哺乳動物におけるAKT媒介性疾患もしくは障害を治療する方法であって、前記哺乳動物へ治療有効量の請求項1〜53のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む方法。
【請求項56】
前記疾患もしくは障害は、炎症性疾患、過剰増殖性疾患、心血管疾患、神経変性疾患、婦人科疾患および皮膚科疾患である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
哺乳動物におけるAKTタンパク質キナーゼの産生を阻害する方法であって、前記哺乳動物へ有効量の請求項1〜53のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む方法。
【請求項58】
AKTタンパク質キナーゼ媒介性状態の治療における医薬品として使用するための請求項1〜53のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項59】
AKTタンパク質キナーゼ媒介性状態の治療における医薬品の製造における請求項1〜53のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項60】
AKTタンパク質キナーゼ媒介性状態を治療するためのキットであって:
a)請求項1〜53のいずれか一項に記載の化合物を含む第1医薬組成物と;および
b)使用説明書と、を含むキット。
【請求項61】
(c)第2医薬組成物をさらに含み、前記第2医薬組成物は、AKTタンパク質キナーゼ阻害剤である第2化合物を含む、請求項60に記載のキット。
【請求項62】
前記方法は、式:
【化112】

を有する化合物を、式:
【化113】

を有する化合物と反応させる工程を含む、請求項1または2に記載の化合物を調製する方法。

【公表番号】特表2009−542720(P2009−542720A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518629(P2009−518629)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/072863
【国際公開番号】WO2008/006025
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(504344509)アレイ バイオファーマ、インコーポレイテッド (87)
【Fターム(参考)】