説明

APO−Bレベルの減少のためのスタチンおよびオメガ−3脂肪酸

アポリポタンパク質Bレベルを減少するためのHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の併用投与またはそれらの組み合わせの単位投与量を利用する方法。該方法は、特に、高トリグリセリド血症または高コレステロール血症または混合型脂肪異常症、冠状動脈性心臓病(CHD)、血管疾患、アテローム性動脈硬化症および関連した病態の治療において、および心臓血管、心臓および血管事象の予防または減少に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国出願第11/742,292号(出願日2007年4月30日)の一部継続出願であり、仮特許出願第60/850,280号(出願日2006年10月10日)を優先権主張する(その開示は、出典明示により本明細書の一部とされる)。
【0002】
発明の分野
本発明は、アポリポタンパク質B(Apo−B)レベルの減少のための、HMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の併用投与またはこれらの組み合わせの単位投与量を利用する方法に関する。該方法は、特に、高トリグリセリド血症または高コレステロール血症または混合型脂肪異常症、冠状動脈性心臓病(CHD)、血管疾患、アテローム性動脈硬化症および関連した病態の治療において、および心臓血管、心臓および血管事象の予防または減少に特に有用である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ヒトにおいて、コレステロールおよびトリグリセリドは、血流中のリポタンパク質複合体の一部であり、超遠心分離によって、高密度リポタンパク質(HDL)、中密度リポタンパク質(IDL)、低密度リポタンパク質(LDL)および超低密度リポタンパク質(VLDL)フラクションに分離することができる。コレステロールおよびトリグリセリドは、肝臓で合成され、VLDL中に組み込まれ、次いで、血漿中に放出される。高レベルの総コレステロール(total−C)、LDL−Cおよびアポリポタンパク質−B(Apo−B,LDL−CおよびVLDL−Cの膜複合体)は、ヒトのアテローム性動脈硬化症、およびアテローム性動脈硬化症の発症に関連した低レベルのHDL−Cおよびその輸送複合体、アポリポタンパク質−A(Apo−A)を促進する。さらに、ヒトにおける心臓血管病罹患率および死亡率は、TCおよびLDL−Cのレベルに正比例し、HDL−Cのレベルに反比例する。さらに、研究者らは、TCからHDL−Cを減じることによって決定されるnon−HDLコレステロール(non−HDL−C)が高トリグリセリド血症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症および関連病態の重要なインジケーターであることを見出した。non−HDL−C粒子は、Apo−Bを膜複合体化アポリポタンパク質として含有する。non−HDL−Cは、アテローム発生性Apo−B−含有粒子に存在する総コレステロール量の良好な尺度であるが、Apo−Bの直接的な測定は、血清単位あたりのアテローム発生性粒子の量のより良好な尺度を提供しうる。
【0004】
LDL−Cは、心臓血管のリスクを評価するために一般に使用される脂質値であるが、Apo−Bは脂質リスクをより良好に反映しうる。Sniderman,Am.J.Cardiol.90(suppl):48i−54i(2002)は、冠状動脈疾患リスクの予測におけるApo−B値、およびLDL−Cレベル計算値を超えるその優秀性を支持する証拠を概説する。
【0005】
心臓血管疾患(CVD)は、種々の疾患および病態を包含する幅広い用語である。それは、心臓および全身に見られる全ての血管からなる心臓血管系の種々の部分のいずれかにおけるいずれかの障害を示す。心臓の疾患は、冠状動脈疾患、CHD、心筋症、弁膜心疾患、心膜疾患、先天性心疾患(例えば、収縮、心房または心室欠損症)、および心不全を包含しうる。血管の疾患は、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、卒中、血管性認知症、動脈瘤、末梢動脈疾患、間欠性跛行、血管炎、静脈不全、静脈血栓症、静脈瘤、およびリンパ浮腫を包含しうる。CVD、例えば、血管または冠動脈再建術(ステント留置を用いる、または用いない血管形成術、または血管移植)のための治療を受ける患者もいる。心血管疾患のいくつかのタイプは、先天性であるが、多くは後天的であり、座りがちな生活スタイルおよび喫煙などの不健康な習慣に起因する。CVDのいくつかのタイプは、狭心症、主要有害心臓血管事象(MACEs)および/または主冠状動脈事象(MCEs)、例えば、心筋梗塞(MI)または冠状動脈インターベンションなどのさらなる心臓の問題を導くこともあり、または死(心臓性または心血管性)さえも導くことがあり、このことは、CVDを治療および予防する努力の重要性を強調する。
【0006】
一次予防の努力は、CVD、MACEsまたはMCEsの発症を遅延または予防する目的で、CVDの既知の危険因子を減少させること、またはそれらの発現を予防することに集中している。二次予防の努力は、再発性CVDを減少させること、および確立されたCVDの患者における死亡率、MACEsまたはMCEsを減少させることに集中している。
【0007】
MACEsは、心臓性死、他の心血管性死、MCEs(心筋梗塞(MI)および冠状動脈インターベンション、例えば、冠状動脈血管再生、血管形成術、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)、経皮冠動脈インターベンション(PCI)および冠動脈バイパス移植(CABG)を包含する)、不安定狭心症、卒中、一過性虚血発作(TIA)のための入院、および末梢動脈疾患(PAD)のための入院および/またはインターベンションを包含する。
【0008】
The Third Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults, NIH Publication No.02−5215(September 2002)(「NCEP ATP III」としても知られる)(出典明示により、本明細書の一部とされる)は、CHDのリスクを減少させるための努力において、コレステロール低下療法を推奨する。ATP IIIにおいて、CHDは、症候性虚血性心臓疾患として定義され、MI、安定または不安定狭心症、非侵襲的検査によって証明された心筋虚血、および冠状動脈手術歴を包含する。ATP IIIは、トリグリセリド(TG)、non−HDL−CおよびHDL−Cを包含する調節されるべき他の脂質と共に、LDL−Cが脂質治療法の第1の標的であることを示す。Apo−Bは、新生の危険因子として挙げられる。ATP IIIは、脂質治療法の第1の標的としてLDL−Cを置き換えるつもりはなかったが、一方で、限定された疫学的および臨床的試験の証拠がリスク予測におけるLDL−Cを超えるApo−Bの優秀性を支持することに注目した。
【0009】
ATP IIIの指導原理は、LDL−C低下療法の強度をCHDに対する個々の絶対的リスクに応じて調整することである。リスク評価は、CHDに対する短期(10年以下)および長期(10年を超える)のリスクに分解し、それに応じて目標LDL−Cを調整する。さらに、ATP IIIは、目標LDL−Cを修飾するCHDに対するリスクの3つのカテゴリー、すなわち、確立されたCHDおよびCHD危険群(equivalents)、複数(2+)危険因子、および0−1危険因子を同定する。確立されたCHDおよびCHD危険群は、CHD、他の臨床的アテローム性動脈硬化症、真性糖尿病、および複数の危険因子およびCHD>20パーセントの10年間のリスクを包含する。危険因子カウンティングにおいて同定される主要な独立した危険因子は、喫煙、高血圧、低HDL−C、早発性CHDの家族歴および年齢を包含する。
【0010】
危険因子の3つのカテゴリーの目標LDL−Cは、下記の通りである。
【表1】

* 10年間のリスク>20パーセントで複数の危険因子を有する人の目標LDL−Cは<100mg/dlである。
【0011】
ATP IIIはまた、CHDに対する10年間のリスクのパーセンテージに基づいて、患者の目標LDL−Cを概説する。
【表2】

【0012】
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤(HMG−CoA阻害剤、または「スタチン」として知られる)は、例えば、高脂血症およびアテローム性動脈硬化症の治療に用いられる。典型的には、スタチン単独療法は、特に患者が許容可能なLDL−Cレベルではない場合に、コレステロールレベルを治療するのに用いられている。スタチンは、体内のコレステロール産生速度を調節する酵素HMG−CoAレダクターゼを阻害する。スタチンは、コレステロールの産生を減速させることによって、およびすでに血中にあるLDL−Cを除去するための肝臓の能力を増加させることによって、コレステロールを低下させる。したがって、スタチンの主要な効果は、LDL−Cレベルを低下させることである。スタチンは、CHDリスクを約3分の1に減少させることが知られている。しかしながら、スタチンは、TG−HDL軸に対して適度な効果のみを有するようである。
【0013】
魚油は、脂質代謝を調節することが見出された2種類のオメガ−3脂肪酸、すなわち、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の良好な供給源である。オメガ−3脂肪酸は、心血管疾患、特に軽い高血圧、高トリグリセリド血症の危険因子に対し、および凝固因子VIIリン脂質複合体活性に対して有益な効果を有することが見出された。オメガ−3脂肪酸は、血清トリグリセリドを低下させ、血清HDL−コレステロールを増加させ、収縮期圧および拡張期圧ならびに脈拍数を低下させ、血液凝固因子VIIリン脂質複合体の活性を低下させる。さらに、オメガ−3脂肪酸は、いずれの厳しい副作用ももたらすことなく、よく許容されるようである。
【0014】
1のかかる形態のオメガ−3脂肪酸は、DHAおよびEPAを含有する魚油由来のオメガ−3長鎖ポリ不飽和脂肪酸であり、登録商標Omacorの下に販売されたものであり、現在、LovazaTM(登録商標)として知られている。かかる形態のオメガ−3脂肪酸は、例えば、米国特許第5,502,077号、第5,656,667号および第5,698,594号(各々、出典明示により、本明細書の一部とされる)において記載されている。
【0015】
混合型脂質異常症、高トリグリセリド血症および/または高コレステロール血症の患者は、しばしば、190mg/dlより高いLDL−Cの血液レベル、200mg/dl以上のトリグリセリドレベル、および/または0.9g/lより高いApo−Bレベルを示す。高トリグリセリド血症、高コレステロール血症および/または混合型脂質異常症の多くの患者において、食餌および単一薬物療法の使用は、常に、LDL−C、トリグリセリドおよび/またはApo−Bレベルを目標とする値に達するよう十分に減少させるわけではない。これらの患者において、スタチンおよびオメガ−3脂肪酸の補完併用療法が望ましい場合がある。
【0016】
多くの研究は、オメガ−3脂肪酸およびスタチン療法のApo−Bレベルに対する組み合わせの効果を試験した。これらの研究の大部分は、スタチンがApo−Bレベルを有意に減少させることを確認するものであるが、多くの研究は、また、オメガ−3脂肪酸処理を加えても、Apo−Bレベルのさらなる有意な減少がないことを報告する。
【0017】
Hongらは、冠状動脈性心臓疾患および混合型脂質異常症の患者における魚油およびシンバスタチンの影響を研究した。292.8mg/dlまたは269.5mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する患者を最初に、10−20mg/日のシンバスタチンで6−12週間処理した。その後、患者をシンバスタチンおよびプラセボまたはシンバスタチンおよび3g/日の魚油(MeilekangTM)で処理した。併用治療は、ベースラインおよびプラセボと比べて、トリグリセリドレベルを有意に減少させた。さらに、併用治療は、ベースラインと比べて、HDL−Cレベルを数値的に増加させ、LDL−Cレベルを数値的に減少させた。しかしながら、HDL−CレベルおよびLDL−Cレベルにおける変化は、統計学的に有意ではなかった。Apo−Bのレベルは、併用治療群において上昇したが、Apo−Bレベルはプラセボ群において数値的に減少した。Hongら、Chin.Med.Sci.J.19:145−49(2004)。
【0018】
Contacosらは、混合型高脂血症患者に対する魚油およびプラバスタチンの影響を研究した。4.6〜5.5mmol/l(404〜483mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を最初、40mg/日のプラバスタチン、6g/日の魚油(HimegaTM,3gのオメガ−3脂肪酸をEPA/DHA比2:1で含有する)、またはプラセボで6週間処理した。その後、全患者をプラバスタチンおよび魚油でさらに12週間処理した。プラバスタチンでの最初の処理は、LDL−Cレベルを有意に減少させた。プラバスタチンおよび魚油の併用治療は、また、トリグリセリドおよびLDL−Cレベルを有意に減少させた。しかしながら、魚油をプラバスタチン単独療法に加えた結果は、LDL−Cレベルの数値的増加をもたらすだけであり、統計学的には有意ではなかった。魚油での単独治療は、トリグリセリドレベルを有意に減少させたが、LDL−Cレベルを増加させた。該群に対する併用治療は、魚油単独と比べて(ベースラインとの比較ではなく)、LDL−Cレベルを有意に減少させた。Apo−Bレベルは、プラバスタチン治療で有意に減少した。魚油との併用治療でさらに、Apo−Bレベルは数値的に減少した。しかしながら、このさらなる減少はプラバスタチン単独療法と比べて有意ではなかったことが報告された。Contacosら、Arterioscl.Thromb.13:1755−62(1993)。
【0019】
Grekasらは、腎移植後の脂質異常症における低投与量プラバスタチンおよび魚油の併用治療について報告した。持続性高コレステロール血症(総コレステロール>200mg/dl)を伴い、免疫抑制療法中の腎移植患者30人に、標準的な食餌を4週間与え、その後、20mgプラバスタチンで8週間治療した。食餌段階でのベースライントリグリセリドレベルは、184mg/dlであった。この期間の後、さらに4週間の標準食餌を与え、次いで、20mgのプラバスタチンおよび1gの魚油(Prolipid)で8週間治療した。食餌段階でのベースライントリグリセリドレベルは、169mg/dlであった。Apo−Bレベルは、食餌+スタチン療法では有意に減少しなかった。しかしながら、食餌+スタチン+魚油では、Apo−Bレベルを有意に減少させたことが報告された。Grekasら、Nephron(2001)88:329−333。Grekasらの研究は、プラバスタチン単独療法でApo−Bレベルにおける有意な減少を示さなかったことから考えれば、結果が疑わしいようである。PRAVACHOL(登録商標)(プラバスタチン)は、一次性高コレステロール血症および混合型脂質異常症の患者において上昇したApo−Bレベルを減少させるために、食餌に加える添加物として示される。かくして、Grekasらの研究がプラバスタチンによる有意なApo−B減少を示さなかったという事実は、該研究結果を疑うべき対象とする。
【0020】
Huffらは、ミニブタにおいて、食用魚油およびロバスタチンの組み合わせが超低密度リポタンパク質(VLDL)および低密度リポタンパク質(LDL)フラクションの両方におけるApo−Bレベルを減少させることを見出した。しかしながら、該研究は、併用治療と魚油単独療法のみを比較しただけであり、併用療法とスタチン単独療法を比較しなかった。Huffら、Arteroscl.Thromb.,12(8):901−910(August 1992)。
【0021】
Julaらは、高コレステロール血症の男性における種々の血清脂質に対する食餌およびシンバスタチンの影響を研究した。非盲検プラセボ期間後、対象を「習慣性食餌」または「食餌治療」群に分けた。食餌治療は、10%以下のエネルギーが飽和およびトランス−不飽和脂肪酸から由来し、コレステロール摂取量が250mg/日以下であり、植物および魚貝類起源のオメガ−3脂肪酸摂取量が少なくとも4g/日であり、オメガ−6脂肪酸のオメガ−3脂肪酸に対する比率が4未満であり、かつ、果物、野菜および可溶性繊維の摂取量が増加した地中海型食餌から構成された。次いで、対象はまた、二重盲検交差様式で20mg/日のシンバスタチンまたはプラセボを12週間投与されるよう配分された。食餌治療群およびシンバスタチン群における対象は、Apo−Bレベルにおける有意な減少があった。2つの変数間の相互作用は、有意であると報告された。Julaら、JAMA 287(5):598−605(2002)。
【0022】
米国特許出願公開第2003/0170643号は、Apo−Bおよび/またはApo−B−含有リポタンパク質の血漿濃度を低下させる治療剤および/またはER後分泌前タンパク質分解(PERPP)を刺激することによるアテローム生成性リポタンパク質の成分を投与することによって、患者を治療する方法を示す。
【0023】
研究により、スタチンおよびOmacor(登録商標)オメガ−3脂肪酸の影響が調べられている。例えば、Hansenらは、高コレステロール血症患者において、6g/日のOmacorオメガ−3脂肪酸との組み合わせにおけるロバスタチン(40mg/日)の影響を調べた。1.66mmol/l(約146mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を6g/日のOmacorで6週間治療し、次いで、40mg/日のロバスタチンでさらに6週間治療し、Omacorおよびロバスタチンの組み合わせで最後に6週間治療した。ロバスタチン単独療法は、HDL−Cレベルの有意な増加、およびトリグリセリドおよびLDL−Cレベルにおける有意な減少をもたらした。併用治療後、トリグリセリドおよびLDL−Cレベルがさらに有意に減少した。Apo−Bレベルは、ロバスタチン単独療法で有意に減少し、さらに、オメガ−3脂肪酸の添加によって数値的に減少したが、かかるさらなる減少は、ロバスタチン単独療法と比べて有意性を示さなかった。Hansenら、Arterioscl.Thromb.14(2):223−229(February 1994)。
【0024】
Nordoyらは、高脂血症患者におけるアトルバスタチンおよびオメガ−3脂肪酸の影響を調べた。3.84mmol/l(約337mg/dl)または4.22mmol/l(約371mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を10mg/日のアトルバスタチンで5週間治療した。その後、さらに5週間、アトルバスタチン治療に2g/日のOmacorまたはプラセボを補足した。アトルバスタチン単独療法は、ベースラインと比べて、HDL−Cレベルを有意に増加し、トリグリセリド、LDL−CおよびApo−Bレベルを有意に減少した。併用治療は、アトルバスタチン単独と比べて、さらにHDL−Cレベルを増加した。トリグリセリド、LDL−CおよびApo−Bレベルは、アトルバスタチン単独療法と比べて、併用治療でさらに数値的にわずかに減少したが、該減少は有意ではなかった。Nordoyら、Nutr.Metab.Cardiovasc.Dis.(2001)11:7−16。
【0025】
Chanらは、絶食状態に付された肥満のインスリン耐性の脂質異常症男性において、アトルバスタチン(40mg/日)および4g/日の4Omacorの併用治療を研究した。1.7〜2.0mmol/l(約150〜170mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を6週間、40mg/日のアトルバスタチンおよびプラセボ、4g/日のOmacorおよびプラセボ、アトルバスタチンおよびOmacorの併用またはプラセボとの併用で治療した。アトルバスタチン単独療法は、Apo−Bレベルを有意に減少させた。併用治療は、また、プラセボ群と比べて、Apo−Bレベルを有意に減少させた。しかしながら、Omacorに起因する効果は、有意ではなかった。Chanら、Diabetes,51:2377−2386(Aug.2002)。
【0026】
Nordoyらは、心臓血管疾患を患っていない家族性高コレステロール血症患者における40mg/日のロバスタチンおよび6g/日のOmacor(「K−85」とされる)の併用治療の有効性を調べた。該研究は、6週間の洗浄期間が介在する各々、長さ6週間の3つのインターベンション期間を含んだ。最終的な試験は、最後のインターベンション期間後12週間で実施した。Apo−Bレベルは、オメガ−3脂肪酸単独療法で数値的にわずかに減少し、ロバスタチン単独療法で有意に減少した。併用治療もまた、ベースラインと比べて、Apo−Bレベルを有意に減少させた。しかしながら、該減少は、ロバスタチン単独療法と比べて有意であることは示されなかった。Nordoyら、Essent.Fatty Acids Eicosanoids,Invited Pap.Int’l Congr.4th,256−61(1998)。
【0027】
Nordoyらは、また、高脂血症患者において、シンバスタチンおよびオメガ−3脂肪酸での治療の効力および安全性を調べた。2.76mmol/l(約243mg/dl)または3.03mmol/l(約266mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を5週間、20mg/日のシンバスタチンまたはプラセボで処理し、次いで、全患者をさらに5週間、20mg/日のシンバスタチンで処理した。その後、患者をさらに4g/日のOmacorまたはプラセボでさらに5週間処理した。シンバスタチンを伴うオメガ−3脂肪酸の投与は、血清総コレステロールの中程度の減少およびトリグリセロールレベルの減少、およびApo−Bレベルにおける数値的に小さな減少をもたらした。しかしながら、オメガ−3脂肪酸に起因する効果は有意ではなかった。Nordoyら、J. of Internal Medicine,243:163−170(1998)。
【0028】
Durringtonらは、確立された冠動脈性心臓疾患および持続性高トリグリセリド血症を有する患者において、Omacorオメガ−3酸およびシンバスタチンの組み合わせの有効性、安全性および許容性を調べた。平均ベースライントリグリセリドレベル>2.3mmol/l(平均患者血清トリグリセリドレベルは4.6mmol/lであった)を有する患者を10−40mg/日のシンバスタチンおよび2g/日のOmacorまたはプラセボで24週間、二重盲検試験で処理し、その後、両群にOmacorをさらに24週間、非盲検試験で与えた。併用治療は、ベースライン単独療法と比べて、12週間以内でトリグリセリドレベルを有意に減少させた。さらに、これらの患者におけるVLDLコレステロールレベルは、30−40%減少した。LDL−Cレベルは、ベースライン単独療法と比べて、48週間後にだけ有意に減少したが、数値的な(統計学的に有意でない)減少が12および24週目にあった。Apo−Bレベルは、シンバスタチン単独療法に対するオメガ−3脂肪酸の添加で、わずかな数値的(統計学的に有意でない)減少を示した。Durringtonら、Heart,85:544−548(2001)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】米国特許第5,502,077号
【特許文献2】米国特許第5,656,667号
【特許文献3】米国特許第5,698,594号
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0170643号
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】Sniderman,Am.J.Cardiol.90(suppl):48i−54i(2002)
【非特許文献2】Hongら、Chin.Med.Sci.J.19:145−49(2004)
【非特許文献3】Contacosら、Arterioscl.Thromb.13:1755−62(1993)
【非特許文献4】Grekasら、Nephron(2001)88:329−333
【非特許文献5】Huffら、Arteroscl.Thromb.,12(8):901−910(August 1992)
【非特許文献6】Julaら、JAMA 287(5):598−605(2002)
【非特許文献7】Hansenら、Arterioscl.Thromb.14(2):223−229(February 1994)
【非特許文献8】Nordoyら、Nutr.Metab.Cardiovasc.Dis.(2001)11:7−16
【非特許文献9】Chanら、Diabetes,51:2377−2386(Aug.2002)
【非特許文献10】Nordoyら、Essent.Fatty Acids Eicosanoids,Invited Pap.Int’l Congr.4th,256−61(1998)
【非特許文献11】Nordoyら、J. of Internal Medicine,243:163−170(1998)
【非特許文献12】Durringtonら、Heart,85:544−548(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
発明の概要
当該分野には、単独のHMG−CoA阻害剤を用いた単独療法を超えるApo−Bレベルの減少を促進するための方法について、まだ対処されていない要望がある。該方法は、ヒトなどの対象において、1以上の下記の疾患、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型脂肪異常症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症および関連した病態の治療、および/または心臓血管および/または血管事象の予防または減少に特に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明のいくつかの具体例は、1以上の下記の疾患、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型脂肪異常症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症および関連した病態の治療、および/または心臓血管および/または血管事象の予防または減少に適当な、Apo−Bレベルの減少のためのHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせを利用する方法を提供する。
【0033】
本発明のいくつかの具体例は、対象に、有効量のHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸を投与することを特徴とする、対象におけるApo−Bレベルが単独のHMG−CoA阻害剤での治療と比べて減少する脂質治療の方法を包含する。
【0034】
他の具体例において、本発明は、対象群においてApo−Bレベルを減少させる方法であって、対象群を提供し、次いで、該対象群に、HMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせを、対象群のApo−Bレベルを単独のHMG−CoA阻害剤での治療と比べて減少させるのに有効な量で対象群に投与することによって、該対象群のApo−Bレベルを減少させることを特徴とする方法を包含する。好ましい具体例において、対象群は、下記の疾患、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型脂肪異常症、血管疾患、および/またはアテローム性動脈硬化症および関連した病態の少なくとも1つを有する。
【0035】
さらなる具体例において、HMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸は、HMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸を含んでなる単一の医薬組成物として、組み合わせ生産物、例えば、単位投与量として投与される。
【0036】
本発明の別法において、HMG−CoA阻害剤は、ピタバスタチン(pitavastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、ロバスタチン(lovastatin)、プラバスタチン(pravastatin)およびシンバスタチン(simvastatin)からなる群から選択される。
【0037】
好ましい具体例において、医薬組成物は、米国特許第5,502,077号、第5,656,667号および第5,698,594号に記載のように、LovazaTM(登録商標)オメガ−3脂肪酸を含む。他の好ましい具体例において、医薬組成物は、組成物の全脂肪酸含量の少なくとも40重量%の濃度でオメガ−3脂肪酸を含む。
【0038】
また他の好ましい具体例において、オメガ−3脂肪酸は、組成物の全脂肪酸含量に基づいて少なくとも50重量%のEPAおよびDHAを含み、該EPAおよびDHAは、99:1〜1:99、好ましくは1:2〜2:1のEPA:DHA重量比にある。
【0039】
好ましい具体例において、オメガ−3脂肪酸との組み合わせに使用されるHMG−CoA阻害剤は、シンバスタチンである。
【0040】
本発明の一の態様において、組み合わせ生産物は、一次性高トリグリセリド血症または高コレステロール血症または混合型脂肪異常症を有する対象の治療に用いられる。
【0041】
本発明のまださらに好ましい具体例において、HMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせ療法の最初の投与前の対象(または対象群)の血清中のトリグリセリドレベル、すなわち、ベースラインでのレベルは、約200〜約499mg/dlである。
【0042】
本発明は、また、本明細書中に示される治療法のいずれかに有用な医薬の製造のためのHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の有効量の使用を包含する。
【0043】
本発明の他の特徴および利益は、下記の検討または本発明の実施による習得時に、当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0044】
好ましい具体例の記載
本発明は、好ましくは、単独のHMG−CoA阻害剤で治療した場合に得られるレベルを超えるApo−Bレベルの減少のためのHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の利用に向けられる。本発明の方法は、1以上の下記の疾患、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型脂肪異常症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症および関連した病態の治療、および/または心臓血管および/または血管事象の予防または減少に特に有用である。
【0045】
本発明の好ましい具体例において、対象は、0.9g/lより大きなベースラインApo−Bレベルを有し、本発明の使用は、Apo−Bレベルを0.9g/l未満に減少させる。
【0046】
いくつかの具体例において、対象は、少なくとも130mg/dl、より好ましくは少なくとも160mg/dlのnon−HDL−Cレベルを有し、本発明の使用は、Apo−Bレベルをベースラインと比べて好ましくは少なくとも2%減少させ、および/または単独のHMG−CoA阻害剤で治療するよりもさらに減少させる。
【0047】
いくつかの具体例において、対象は、上昇したLDL−Cレベル(例えば、少なくとも100mg/dl、少なくとも100mg/dlおよび130mg/dl未満、少なくとも130mg/dl、または少なくとも160mg/dl)および/または上昇したトリグリセリドレベル(例えば、少なくとも150mg/dl、少なくとも200mg/dl、200−499mg/dl、または少なくとも500mg/dl)を有し、両方が上昇した場合、混合型脂肪異常症を有する対象と認める。
【0048】
いくつかの具体例において、本発明は、新規な組み合わせを提供する。好ましい具体例において、組み合わせは、オメガ−3脂肪酸およびHMG−CoA阻害剤を含み、ここに、オメガ−3脂肪酸は、HMG−CoA阻害剤の投与と同時に、例えば、単一固定投与量の医薬組成物として、または同時に投与される別々の組成物として、投与される。
【0049】
他の好ましい具体例において、投与は、オメガ−3脂肪酸およびHMG−CoA阻害剤を含み、ここに、オメガ−3脂肪酸は、併用治療計画においてではあるが、HMG−CoA阻害剤の投与から時間を隔てて投与される。例えば、HMG−CoA阻害剤は、1日1回投与してもよく、同時に、オメガ−3脂肪酸を1日2回投与する。本開示の利益によって、当業者は、多くの因子、例えば、投与経路、病態の重篤度、他の併存疾患、および他の医薬の使用に依存して、正確な投与量およびオメガ−3脂肪酸およびHMG−CoA阻害剤の投与計画を変更することを理解するであろう。
【0050】
いくつかの具体例において、本発明の投与方法は、一次療法であり、病態または疾患に施される療法の第一の型であることを意味する。他の具体例において、本発明の投与方法は、二次療法であり、最初の治療(一次療法、例えば、単独のHMG−CoA阻害剤またはオメガ−3脂肪酸治療)が治療目標に関して十分に作用しない、または例えば、患者における生理学的変化またはCHD危険因子の変化のために、最初の治療が適切ではなくなる場合に施される治療を意味する。
【0051】
いくつかの具体例において、本発明は、一次予防に適当である。他の具体例において、本発明は、二次予防に適当である。
【0052】
好ましい具体例において、選択された対象群は、HMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせ療法の前にHMG−CoA阻害剤療法を受けていた。他の活性な薬剤(オメガ−3脂肪酸以外)もまた、HMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせ療法の前に用いられていてもよい。
【0053】
好ましい具体例において、本発明は、有効量のHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸を対象群に投与することを特徴とする、対象群における脂質治療法であって、ここに、対象群に投与後、対象群のトリグルセリドレベルおよびApo−Bレベルが、単独のHMG−CoA阻害剤で処理した対照群と比べて減少し、好ましくは、対象群のHDL−Cレベルが単独のHMG−CoA阻害剤で処理した対照群と比べて、および/またはベースラインと比べて増加する方法を包含する。好ましくは、対象群は、200〜499mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する。
【0054】
他の好ましい具体例において、本発明は、有効量のHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸を対象群に投与することを特徴とする対象群における脂質治療法であって、ここに、対象群への投与後、対象群のトリグルセリドレベルおよびApo−Bレベルが、好ましくはベースラインと比べてLDL−Cが1%以上増加することなく、単独のHMG−CoA阻害剤で処理した対照群と比べて減少する方法を包含する。好ましくは、対象群は200〜499mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する。
【0055】
他の好ましい具体例において、本発明は、有効量のHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸を対象群に投与することを特徴とする対象群における脂質治療法であって、ここに、対象群への投与後、対象群の(a)non−HDL−Cレベル、(b)総コレステロールレベル、(c)トリグリセリドレベル、および(d)Apo−Bレベルのうち少なくとも1つが単独のHMG−CoA阻害剤で処理した対照群と比べて減少し、好ましくはベースラインと比べてLDL−Cが1%以上増加することなく、好ましくは、対象群のHDL−Cレベルが単独のHMG−CoA阻害剤で処理した対照群と比べて増加する方法を包含する。
【0056】
他の好ましい具体例において、本発明は、有効量のHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸を対象群に投与することを特徴とする対象群における脂質治療法であって、ここに、対象群への投与後、対象群のnon−HDL−Cレベルが単独のHMG−CoA阻害剤で処理した対照群と比べて減少する方法を包含する。好ましくは、対象群は、200〜499mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する。
【0057】
他の好ましい具体例において、本発明は、対象群におけるLDL−Cレベルを増加することなく対象群においてトリグリセリドレベルおよびApo−Bレベルを減少する方法であって、対象群を提供し、次いで、対象群にHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせを、単独のHMG−CoA阻害剤での処理と比べて対象群のトリグリセリドレベルおよびApo−Bレベルを減少させるのに有効な量で投与することによって、LDL−Cレベルを増加することなく、対象群のトリグリセリドレベルおよびApo−Bレベルを減少させることを特徴とする方法を包含する。
【0058】
「単独のHMG−CoA阻害剤での処理と比べて」なる語は、同じ対象または対象群の処理、または比較可能な対象または対象群(すなわち、特定の血液タンパク質、脂質、またはマーカー、例えば、コレステロールまたはトリグリセリドレベルに関して、同じクラス内にある対象)の処理をいう。具体的な方法に関して、「減少」および「増加」なる語は、その一般的かつ習慣的な意味にしたがって、統計学的に有意な減少または増加、すなわち、5%以下(p=0.05以下)、好ましくは2.5%以下(p=0.025以下)の期待確率を意味することを意図する。本発明の具体例において、単独のHMG−CoA阻害剤は、ある特定のレベルを統計学的に有意に減少または増加させ(例えば、Apo−Bレベルを減少させる)、HMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせ療法は、該レベルをさらに統計学的に有意に減少またが増加させる。
【0059】
Apo−Bレベルの減少のほかに、本発明の方法および組成物は、また、処理対象または対象群における下記の血液タンパク質、脂質またはマーカーレベル、すなわち、non−HDL−Cレベル、トリグリセリドレベル、VLDL−Cレベル、total−Cレベル、RLP−Cレベル、Lp−PLA2レベルおよび/またはApo−C3レベルの1以上を、単独のHMG−CoA阻害剤での処理と比べて減少させるために使用してもよい。本発明の方法および組成物は、また、単独のHMG−CoA阻害剤での処理と比べて、HDL−Cレベルを増加させるために使用してもよい。好ましくは、本発明の方法および組成物は、ベースラインと比べて、LDL−Cレベルを増加することなく利用される。
【0060】
好ましくは、non−HDL−Cレベルをベースラインから少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約7%減少し、および/または単独のHMG−CoA阻害剤での処理よりもさらに、少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約7%減少しうる。
【0061】
好ましくは、トリグリセリドレベルは、ベースラインと比べて、少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約25%減少し、および/または単独のHMG−CoA阻害剤での処理よりもさらに、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約20%減少しうる。
【0062】
好ましくは、VLDL−Cレベルは、ベースラインと比べて、少なくとも約15%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約25%減少し、および/または単独のHMG−CoA阻害剤での処理よりもさらに、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約20%減少しうる。
【0063】
好ましくは、total−Cレベルは、ベースラインと比べて、少なくとも約3%、好ましくは少なくとも約5%減少し、および/または単独のHMG−CoA阻害剤での処理よりもさらに、少なくとも約2%、好ましくは少なくとも約3%減少しうる。
【0064】
好ましくは、RLP−Cレベルは、ベースラインと比べて、少なくとも約15%、好ましくは少なくとも約20%減少し、および/または単独のHMG−CoA阻害剤での処理よりもさらに、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約15%減少しうる。
【0065】
好ましくは、Lp−PLA2レベルは、ベースラインと比べて、少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約7%、より好ましくは少なくとも約10%減少し、および/または単独のHMG−CoA阻害剤での処理よりもさらに、少なくとも約3%、好ましくは少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約7%減少しうる。
【0066】
好ましくは、Apo−Bレベルは、ベースラインと比べて、少なくとも約3%、好ましくは少なくとも約4%減少し、および/または単独のHMG−CoA阻害剤での処理よりもさらに、少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約2%減少しうる。
【0067】
好ましくは、Apo−C3レベルは、ベースラインと比べて、少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約7%減少し、および/または単独のHMG−CoA阻害剤での処理よりもさらに、少なくとも約8%、好ましくは少なくとも約10%減少しうる。
【0068】
好ましくは、HDL−Cレベルは、ベースラインおよび/または単独のHMG−CoA阻害剤での処理と比べて、少なくとも約2%、好ましくは少なくとも約3%増加しうる。
【0069】
好ましくは、本発明は、また、HDL−Cに対する総コレステロールの比率を、ベースラインと比べて、少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約10%減少させ、および/または単独のHMG−CoA阻害剤での処理よりもさらに、少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%減少させる。
【0070】
一般に、HMG−CoA阻害剤の影響は、用量依存的である。すなわち、投与量が多ければ多いほど、治療効果が大きい。しかしながら、各HMG−CoA阻害剤の効果は異なり、したがって、1のHMG−CoA阻害剤の治療効果のレベルが必ずしも、他のHMG−CoA阻害剤の治療効果のレベルに直接相関することはできない。しかしながら、当業者は、経験および病態の重篤度に基づいて、特定の対象に与えられるべき正確な投与量を理解するであろう。
【0071】
本明細書で使用される場合、「オメガ−3脂肪酸」なる語は、天然または合成オメガ−3脂肪酸、またはその医薬上許容されるエステル、誘導体、コンジュゲート(例えば、Zalogaら、米国特許出願公開第2004/0254357号およびHorrobinら、米国特許出願第6,245,811号を参照のこと(各々、出典明示により、本明細書の一部とする)、前駆体または塩およびその混合物を包含する。オメガ−3脂肪酸油の例は、限定するものではないが、オメガ−3ポリ不飽和長鎖脂肪酸、例えば、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、およびα−リノレン酸、オメガ−3脂肪酸とグリセロールとのエステル、例えば、モノ−、ジ−およびトリグリセリド、オメガ−3脂肪酸と第一級、第二級または第三級アルコールとのエステル、例えば、脂肪酸メチルエステルおよび脂肪酸エチルエステルを包含する。好ましいオメガ−3脂肪酸油は、長鎖脂肪酸、例えば、EPAまたはDHA、そのトリグリセリド、そのエチルエステルおよびその混合物である。オメガ−3脂肪酸またはそのエステル、誘導体、コンジュゲート、前駆体、塩およびその混合物は、純粋な形態で使用することができ、または魚油、好ましくは精製魚油濃縮物などの油の成分として使用することができる。本発明における使用に適当なオメガ−3脂肪酸の市販の例は、Incromega F2250、F2628、E2251、F2573、TG2162、TG2779、TG2928、TG3525およびE5015(Croda International PLC,Yorkshire,England)、およびEPAX6000FA、EPAX5000TG、EPAX4510TG、EPAX2050TG、K85TG、K85EE、K80EEおよびEPAX7010EE(Pronova Biocare a.s.,1327 Lysaker,Norway)を包含する。
【0072】
好ましい組成物は、米国特許第5,502,077号、5,656,667号および5,698,694号(出典明示により全体として本明細書の一部とする)に列挙されるようなオメガ−3脂肪酸を包含する。
【0073】
別の好ましい組成物は、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50%重量、より好ましくは少なくとも60重量%、またさらに好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%の濃度で存在するオメガ−3脂肪酸を包含する。好ましくは、オメガ−3脂肪酸は、少なくとも50重量%のEPAおよびDHA、より好ましくは少なくとも60重量%、まだより好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80%、例えば、約84重量%のEPAおよびDHA含む。好ましくは、オメガ−3脂肪酸は、約5〜約100重量%、より好ましくは約25〜約75重量%、まだより好ましくは約40〜約55重量%、最も好ましくは約46重量%のEPAを含む。好ましくは、オメガ−3脂肪酸は、約5〜約100重量%、より好ましくは約25〜約75重量%、まだより好ましくは約30〜約60重量%、最も好ましくは約38重量%のDHAを含む。上記の全パーセンテージは、別記しないかぎり、組成物中の全脂肪酸含量と比較した重量によるものである。重量パーセンテージは、遊離酸またはエステル形態に基づいていてもよいが、好ましくは、本発明にしたがって他の形態が使用されても、エチルエステル形態のオメガ−3脂肪酸に基づく。
【0074】
EPA:DHA比は、99:1〜1:99、好ましくは4:1〜1:4、より好ましくは3:1〜1:3、最も好ましくは2:1〜1:2であってもよい。オメガ−3脂肪酸は、純粋なEPAまたは純粋なDHAを含んでいてもよい。
【0075】
オメガ−3脂肪酸組成物は、化学抗酸化剤、例えば、アルファトコフェロール、油、例えば、大豆油および部分水素添加植物油、および滑沢剤、例えば、分別ココヤシ油、レシチンおよびその混合物を含んでいてもよい。
【0076】
オメガ−3脂肪酸の最も好ましい形態は、LovazaTM オメガ−3酸(K85EE,Pronova Biocare a.s.,Lysaker,Norway)であり、好ましくは、下記の特徴(投与形態あたり)を含む。
【0077】
【表3】

【0078】
HMG−CoA阻害剤および濃縮オメガ−3脂肪酸の組み合わせ生産物は、カプセル、錠剤、飲料中に分散させることのできる粉末、または固形経口投与形態、液体、ソフトゲルカプセル、被覆ソフトゲルカプセル(米国特許出願第11/716,020号参照,出典明示により本明細書の一部とする)、または当該分野で既知の他の好都合な投与形態、例えばカプセル中の経口液体で投与してもよい。いくつかの具体例において、カプセルはハードゼラチンを含む。該組み合わせ生産物は、また、注射または点滴に適当な液体中に含有されうる。
【0079】
本発明の活性成分は、また、1以上の非活性医薬成分(本明細書中、一般に「賦形剤」としても知られる)と組み合わせて投与されうる。非活性成分は、例えば、活性成分を可溶化、懸濁、濃化、希釈、乳化、安定化、保存、保護、着色、および風味付けして、安全で好都合な、その他使用が許容される適用可能で効果のある調製物を形成させるのに役立つ。
【0080】
賦形剤は、界面活性剤、例えば、プロピレングリコールモノカプリレート、長鎖脂肪酸のグリセロールおよびポリエチレングリコールエステルの混合物、ポリエトキシ化ひまし油、グリセロールエステル、オレオイルマクロゴールグリセリド、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ポリエチレン−ポリプロピレングリコールコポリマー、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、共溶媒、例えば、エタノール、グリセロール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール、および油、例えば、ココヤシ油、オリーブ油またはサフラワー油を包含する。界面活性剤、共溶媒、油またはその組み合わせの使用は、製薬分野において一般に知られており、いずれの適当な界面活性剤を本願発明およびその具体例に関して使用してもよいことは、当業者に理解されるであろう。
【0081】
オメガ−3脂肪酸は、約0.1g〜約10g、より好ましくは約1g〜約8g、最も好ましくは約2g〜約6gの一日量で投与することができる。一の具体例において、オメガ−3脂肪酸は、4g/日までの量で投与される。
【0082】
HMG−CoA阻害剤は、単一投与生産物としての通常の全強度用量よりも多い、等しい、または少ない量で投与してもよい。例えば、HMG−CoA阻害剤は、単一投与生産物としての通常の全強度用量の10−100%、好ましくは約25−100%、最も好ましくは約50−80%の量で投与してもよい。本発明の一の具体例において、HMG−CoA阻害剤は、一般に、オメガ−3脂肪酸1gあたり、約0.5mg〜80mg、より好ましくは約1mg〜約40mg、最も好ましくは約2.5mg〜約20mgの量で存在することができる。一日量は、約2mg〜約320mg、好ましくは約4mg〜約160mgの範囲であってもよい。
【0083】
本発明のいくつかのバリエーションにおいて、HMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせは、単一の投与または単位投与量に処方される。
【0084】
プラバスタチン(Bristol−Myers Squibb,Princeton,NJによって製造されたPravacholとして市場で知られる)は、親水性である。プラバスタチンは、食物無しで、すなわち、空の胃に、最良に吸収される。濃縮したオメガ−3脂肪酸の組み合わせ投与において、プラバスタチンの投与量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の投与量あたり、好ましくは2.5〜80mg、好ましくは5〜60、より好ましくは10〜40mgである。一のバリエーションにおいて、プラバスタチンを用いる組み合わせ生産物は、就寝時刻、例えば、午後10時に、またはその辺りに服用する。
【0085】
ロバスタチン(Mevacorの名の下にMerck,Whitehouse Station,NJによって市販されている)は、疎水性である。プラバスタチンとは異なり、ロバスタチンは、食事と一緒に服用すべきであり、したがって、いくつかの具体例において、濃縮オメガ−3脂肪酸およびロバスタチンの組み合わせ生産物は、食物と共に服用されるべきである。濃縮オメガ−3脂肪酸の組み合わせ投与において、ロバスタチンの投与量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の投与量あたり、好ましくは2.5〜100mg、好ましくは5〜80mg、より好ましくは10〜40mgである。
【0086】
シンバスタチン(Zocorの名の下にMerck,Whitehouse Station,NJによって市販されている)は、疎水性である。濃縮オメガ−3脂肪酸の組み合わせ投与において、シンバスタチンの投与量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の投与量あたり、好ましくは1〜80mg/日、好ましくは2〜60mg、より好ましくは5〜40mgである。
【0087】
アトルバスタチン(Lipitorの名の下にPfizer,New York,NYによって市販されている)は、疎水性であり、合成スタチンとして知られている。濃縮オメガ−3脂肪酸の組み合わせ投与において、アトルバスタチンの投与量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の投与量あたり、好ましくは2.5〜100mg、好ましくは5〜80mg、より好ましくは10〜40mgである。
【0088】
フルバスタチン(Lescolの名の下にNovartis,New York,NYによって市販されている)は、親水性であり、合成スタチンとして知られている。濃縮オメガ−3脂肪酸の組み合わせ投与において、フルバスタチンの投与量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の投与量あたり、5〜160mg、好ましくは10〜120mg、より好ましくは20〜80mgである。
【0089】
ロスバスタチンは、Crestorの名の下にAstra Zeneca,Wilmington,DEによって市販されている。濃縮オメガ−3脂肪酸の組み合わせ投与において、ロスバスタチンの投与量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の投与量あたり、1〜80mg、好ましくは2〜60mg、より好ましくは5〜40mgである。
【0090】
ピタバスタチンは、現在日本で市販されている。オメガ−3脂肪酸の組み合わせ投与において、ピタバスタチンの投与量は、オメガ−3脂肪酸の投与量あたり、0.25〜20mg、好ましくは0.5〜10mg、より好ましくは1〜7.5mgである。
【0091】
HMG−CoA阻害剤および濃縮オメガ−3脂肪酸の一日量は、1〜10投与量で好ましくは1日に1〜4回、最も好ましくは1日に1〜2回一緒に投与することができる。投与は、好ましくは経口投与であるが、HMG−CoA阻害剤および濃縮オメガ−3脂肪酸の単位投与量を提供する他の投与形態を用いてもよい。
【0092】
いくつかの具体例において、本発明の処方は、活性成分の1または両方を通常の全強度用量で投与して、先行技術の処方と比べて、各活性成分の改善された効力を可能にする。他の具体例において、本発明の処方は、先行技術の処方と比べて、HMG−CoA阻害剤および/またはオメガ−3脂肪酸の投与量の減少を可能にし、一方で、各活性成分の効力を維持するか、または改善しさえする。
【0093】
本発明のHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせは、該2つの単独の薬剤の予測される組み合わせ効果または相加効果よりも大きい効果を可能にしうる。さらに、該2つの薬剤の組み合わせ効果または相加効果は、対象の血中トリグリセリドの最初のレベルに依存しうる。例えば、対象のトリグリセリドレベルは、一般に、150mg/dL未満で正常、約150−199mg/dLでボーダーラインないし高い、約200−499mg/dLで高い、500mg/dL以上で非常に高いとされる。本発明は、「非常に高い」トリグリセリドレベルを、48週未満で、好ましくは24週以内に、より好ましくは12週以内に、最も好ましくは8週以内に「高い」または「ボーダーラインないし高い」レベルに減少させるために使用されうる。本発明は、また、「高い」トリグリセリドレベルを、48週未満で、好ましくは24週以内に、より好ましくは12週以内に、最も好ましくは8週以内に「ボーダーラインないし高い」または「正常」レベルに減少させるために使用されうる。
【実施例】
【0094】
臨床研究:LovazaTMおよびシンバスタチン組み合わせ療法の効力および安全性を評価するための高トリグリセリド血症対象における無作為化二重盲検プラセボ対照研究
【0095】
無作為化二重盲検プラセボ対照臨床研究は、高トリグリセリド血症対象において、LovazaTM オメガ−3脂肪酸およびシンバスタチン(Zocor)の組み合わせ治療の効力および安全性を評価するために行われた。患者は最初、40mg/日のシンバスタチンで少なくとも8週間処理され、その際、ベースラインが測定された。患者は、ベースライントリグリセリドレベルが正常値より高く(150mg/dl)、LDL−CがNCEP ATP III目標の最大で10%を超える場合に、登録および無作為化の資格があった。全部で259人の患者が無作為化され、LovazaTM オメガ−3脂肪酸またはプラセボを少なくとも1回投与され、これらの患者のうち229人が200〜499mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有した。その後、二重盲様式において、最初の処理、次いで、4g/日のLovazaTM オメガ−3脂肪酸またはプラセボのいずれかでさらに8週間の処理を行い、その間、スタチン治療を続けた。243人の患者が研究を完了した。
【0096】
下記の表1は、種々の脂質および炎症パラメーターおよびマーカーにおける変化に対して得られた結果を示す。
【0097】
【表4】

【0098】
下記の表2および3は、LovazaTM処理およびプラセボの各々による研究において経験された目標LDL−C達成を示す。
【0099】
【表5】

【0100】
【表6】

【0101】
ベースラインLDL−CおよびNon−HDL−Cレベルに応じたApo−B減少のより詳細な分析は、LDL−CおよびNon−HDL−Cべースラインレベルの増加時の、LovazaTM処理のApo−Bレベル減少能の有意な増加を明らかにする。一方、プラセボ処理はApo−Bレベルにおける無作為な、有意でない変化をもたらす。
【0102】
表4A、4Bおよび5は、特定のLDL−CおよびNon−HDL−C患者サブ群に対するLovazaTMまたはプラセボ処理でのApo−B減少および他の脂質パラメーター変化を示す。より高いLDL−C(100mg/dL)およびNon−HDL−C(130mg/dL)ベースラインレベルにて、LovazaTMは、Apo−Bを減少させ、一方、より低いベースラインレベルにて、LovazaTM対プラセボによるApo−B変化はわずかである。表4Bは、Apo−B減少効果が、より高いLDL−Cベースラインレベルでさらに著しいことを示し、また、LDL−Cレベルの減少によって達成されるようであることを示す。
【0103】
【表7】

【0104】
【表8】

典型的には正規分布しない変数。したがって、統計学的分析は、別記しないかぎり、中央値を基礎とした。
* サブ群内の変数の正規分布による平均値に基づく統計学的分析
【0105】
【表9】

典型的には、正規分布しない変数。したがって、統計学的分析は、別記しないかぎり、中央値を基礎とした。
* サブ群内の変数の正規分布による平均値に基づく統計学的分析
【0106】
表6は、200mg/dLのトリグリセリドベースラインレベル以上 対 該レベル以下に対するLovazaTMまたはプラセボ処理でのApo−Bおよび他の脂質パラメーター変化を示す。より高いトリグリセリドベースラインレベル(200mg/dL)にて、LovazaTMはApo−Bを減少させるが、より低いベースライントリグリセリドレベルにて、LovazaTM対プラセボによるApo−B変化はわずかである。
【0107】
【表10】

典型的には、正規分布しない変数。したがって、統計学的分析は、別記しないかぎり、中央値を基礎とした。
* サブ群内の変数の正規分布による平均値に基づく統計学的分析
【0108】
表7および8は、特定のLDL−C/トリグリセリドおよびNon−HDL−C/トリグリセリド患者サブ群に対するLovazaTMまたはプラセボ処理でのApo−B減少および他の脂質パラメーター変化を示す。より高いLDL−C(100mg/dL)およびトリグリセリド(200mg/dL)ベースラインレベルの組み合わせ、およびNon−HDL−C(130mg/dL)およびトリグリセリド(200mg/dL)ベースラインレベルの組み合わせにて、LovazaTMはApo−Bを減少させ、一方、より低いベースラインレベルにて、LovazaTM対プラセボによるApo−B変化はわずかである。
【0109】
【表11】

典型的には、正規分布しない変数。したがって、統計学的分析は、別記しないかぎり、中央値を基礎とした。
* サブ群内の変数の正規分布による平均値に基づく統計学的分析
【0110】
【表12】

典型的には、正規分布しない変数。したがって、統計学的分析は、別記しないかぎり、中央値を基礎とした。
* サブ群内の変数の正規分布による平均値に基づく統計学的分析
【0111】
本明細書中に挙げられた全ての参考文献は、出典明示により、全体として本明細書の一部とされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象群を提供し、次いで、対象群にHMG−CoA阻害剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせをHMG−CoA阻害剤の単独治療と比べて対象群のApo−Bレベルを減少させるのに有効な量で投与することによって、対象群のApo−Bレベルを減少させることを特徴とする、対象群においてApo−Bレベルを減少させる方法。
【請求項2】
対象群が下記の病態:高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型脂肪異常症、血管疾患およびアテローム性動脈硬化症の少なくとも1つを有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
対象群が少なくとも100mg/dLのLDL−コレステロールレベルを有する請求項1記載の方法。
【請求項4】
対象群が少なくとも100mg/dLであって130mg/dL未満のLDL−コレステロールレベルを有する請求項1記載の方法。
【請求項5】
対象群が少なくとも130mg/dLのLDL−コレステロールレベルを有する請求項1記載の方法。
【請求項6】
対象群が少なくとも130mg/dLのnon−HDL−コレステロールレベルを有する請求項1記載の方法。
【請求項7】
対象群が少なくとも100mg/dLのLDL−コレステロールレベルおよび少なくとも200mg/dLのトリグリセリドレベルを有する請求項1記載の方法。
【請求項8】
対象群が少なくとも130mg/dLのnon−HDL−コレステロールレベルおよび少なくとも200mg/dLのトリグリセリドレベルを有する請求項1記載の方法。
【請求項9】
HMG−CoA阻害剤がピタバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンおよびシンバスタチンからなる群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項10】
HMG−CoA阻害剤がシンバスタチンを含む請求項1記載の方法。
【請求項11】
オメガ−3脂肪酸が組成物の全脂肪酸含量と比べて少なくとも40重量%の濃度で存在する請求項1記載の方法。
【請求項12】
オメガ−3脂肪酸が組成物の全脂肪酸含量と比べて少なくとも80重量%の濃度で存在する請求項1記載の方法。
【請求項13】
オメガ−3脂肪酸が組成物の全脂肪酸含量と比べて少なくとも80重量%のEPAおよびDHAを含む請求項1記載の方法。
【請求項14】
オメガ−3脂肪酸が組成物の全脂肪酸含量と比べて約40〜約55重量%のEPAを含む請求項1記載の方法。
【請求項15】
オメガ−3脂肪酸が組成物の全脂肪酸含量と比べて約30〜約60重量%のDHAを含む請求項1記載の方法。
【請求項16】
オメガ−3脂肪酸が、オメガ−3脂肪酸とグリセロールとのオメガ−3ポリ不飽和長鎖脂肪酸エステル、オメガ−3脂肪酸および第一級、第二級または第三級アルコールのエステル、またはその混合物を含む請求項1記載の方法。
【請求項17】
オメガ−3脂肪酸が2:1〜1:2のEPA:DHA比でEPAおよびDHAを含む請求項1記載の方法。
【請求項18】
オメガ−3脂肪酸およびHMG−CoA阻害剤が単位投与形態で一緒に投与される請求項1記載の方法。
【請求項19】
対象群が200〜499mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する請求項1記載の方法。
【請求項20】
LDL−Cレベルの増加が回避される請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2010−505951(P2010−505951A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532343(P2009−532343)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/019539
【国際公開番号】WO2008/045170
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(506219731)リライアント・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】RELIANT PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】