説明

BACE1のキナゾリン阻害剤および使用方法

ジヒドロキナゾリン化合物、それらを含有する組成物、アルツハイマー病の治療のためのこれら化合物および組成物の使用について述べる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BACE1のキナゾリン阻害剤および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、記憶の喪失、錯乱および見当識障害、ならびに不安などの行動上の問題を生じさせるヒトにおける進行性の精神荒廃である。アルツハイマー病は老人認知症の大部分を占め、成人における死亡の主要原因である。現在使用される治療は、小さな症状面での効果を与えるが、疾患の進行を遅らせるかまたは停止させる治療はまだ利用可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アルツハイマー病の原因と進行は十分には理解されていない。この疾患が脳内の斑およびもつれに関連することは研究で支持されている。組織学的には、アルツハイマー病に罹患した人の脳は、主として脳内のβアミロイドタンパク質(Aβ)の蓄積による、細胞内神経細線維のねじれおよびアミロイドタンパク質コアを伴う顆粒状または線維状の好銀性塊で構成される老人斑の存在を特徴とする。Aβの蓄積は、この疾患の病因と進行において役割を果たし、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のタンパク質分解フラグメントである。APPは、最初にβ−セクレターゼ(BACE1またはメマプシン2とも称される)によって切断され、続いてγ−セクレターゼによって切断されてAβを生成する。理論に拘束されるものではないが、アルツハイマー病の治療への1つの手法はAβの産生を阻害することであると考えられる。
【0004】
本明細書で述べるジヒドロキナロジンなどの、特定のキナゾリン化合物、および前述の医薬的に許容される塩が、アルツハイマー病を治療するために使用し得ることが本明細書において発見された。本発明の1つの例示的実施形態では、アルツハイマー病の軽減を必要とする患者を治療するための化合物およびこの化合物を含有する医薬組成物を本明細書で述べる。他の実施形態では、この化合物および組成物を使用してアルツハイマー病を治療するための方法を本明細書で述べる。他の実施形態では、アルツハイマー病を治療するための薬剤の製造における化合物および組成物の使用を本明細書で述べる。1つの態様では、組成物、方法および薬剤は、本明細書で述べる化合物の1つまたはそれ以上の治療有効量を含む。
【0005】
本明細書で述べる化合物は、単独でまたは、同じかまたは異なる作用機構によって機能し得る化合物を含む、そのような疾患を治療するために有用な他の化合物と組み合わせて使用し得ることが認識される。本明細書で述べる化合物は、認知特性を改善するための化合物ならびに行動を制御するための抗不安薬および抗精神病薬と組み合わせて使用し得ることが認識される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態では、式(I):
【化1】

[式中、
は水素であるか;またはRは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ならびに任意に置換されたアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、カルバモイル、アミド、カルバモイルオキシ、アミノおよびウレイドから成る群より独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基を表すか;またはRは、置換基の2個もしくはそれ以上を表し、この置換基の2個は隣接して、その結合炭素と共に炭素環もしくは複素環を形成し;
は水素であるか、またはRは、そのそれぞれが任意に置換されている、アルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキルであり;
およびRは、そのそれぞれが任意に置換されている、アルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルから成る群よりそれぞれ独立して選択されるか;またはRとその結合窒素はアミノ酸もしくはその誘導体を形成し;
はアルキレンであり;そしてYはN(R)またはOC(O)N(R)であり;
は水素であるか、またはRはX−Z[式中、Xは結合もしくはアルキレン基であり;そしてZは、そのそれぞれが任意に置換されている、アルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリールもしくはヘテロアリールである]であるか;またはRとRは、その結合窒素と共に任意に置換された複素環を形成する]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、異性体、異性体の混合物、結晶形態、非結晶形態、水和物、プロドラッグもしくは溶媒和物を述べる。
【0007】
他の実施形態では、X−Yが−アルキレン−N(R)−である、前述の実施形態の化合物を述べる。他の実施形態では、X−Yが−アルキレン−OC(O)N(R)−である、前述の実施形態の化合物を述べる。
【0008】
他の実施形態では、X−Yが−アルキレン−N(R)−であり、そしてRが水素である、前述の実施形態の化合物を述べる。
【0009】
他の実施形態では、X−Yが−アルキレン−OC(O)N(R)−であり、そしてRが水素である、前述の実施形態の化合物を述べる。
【0010】
他の実施形態では、Rが、そのそれぞれが任意に置換されている、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0011】
他の実施形態では、X−Yが式:
【化2】

[式中、Rは、水素、アルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、このヘテロアリールは、そのそれぞれが任意に置換されている、チアゾール、ピラゾールおよびオキサゾールから成る群より選択される]
を有する、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0012】
他の実施形態では、X−Yが式:
【化3】

[式中、Rは、水素、アルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、このヘテロアリールは、そのそれぞれが任意に置換されている、チアゾールおよびオキサゾールから成る群より選択される]
を有する、実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0013】
他の実施形態では、X−Yが式:
【化4】

[式中、Rは、水素、アルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、このヘテロアリールは、そのそれぞれが任意に置換されている、チアゾールおよびオキサゾールから成る群より選択され、そしてmは0、1、2または3である]
を有する、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0014】
他の実施形態では、X−Yが式:
【化5】

[式中、Rは、水素、アルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、このヘテロアリールは、そのそれぞれが任意に置換されている、チアゾール、オキサゾールおよびピラゾールから成る群より選択され、そしてmは0、1、2または3である]
を有する、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0015】
他の実施形態では、Rが、そのそれぞれが任意にヒドロキシで置換されている、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0016】
他の実施形態では、Rが、そのそれぞれが任意にヒドロキシルで置換されている、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0017】
他の実施形態では、Rがシクロヘキシルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0018】
他の実施形態では、Rがシクロヘキシルであり、そしてRがシクロヘキシルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0019】
他の実施形態では、Rがシクロヘキシルであり、Rがシクロヘキシルであり、そしてRが6−アリールオキシである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0020】
他の実施形態では、Rが、ベンジル、フェネチル、フェネト−1−イル等のような、任意に置換されたアリールアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0021】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたベンジルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0022】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたアリールである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0023】
他の実施形態では、Rがシクロヘキシルメチルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0024】
他の実施形態では、Rがシクロヘキシルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0025】
他の実施形態では、Rがヘテロアリールである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0026】
他の実施形態では、Rが、そのそれぞれが任意に置換されている、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾールおよびイソチアゾールから成る群より選択される、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0027】
他の実施形態では、Rがシクロヘキシルであり、そしてRが6−アリールオキシである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。他の実施形態では、Rがシクロヘキシルであり、Rが6−アリールオキシであり、そしてmが2である、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。他の実施形態では、Rがシクロヘキシルであり、Rが6−アリールオキシであり、そしてRがヘテロアリールアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。他の実施形態では、Rが、任意に置換された4−オキサゾリルメチルまたは任意に置換された2−チアゾリルメチルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0028】
他の実施形態では、Rが、テトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロフラニルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0029】
他の実施形態では、Rがシクロアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0030】
他の実施形態では、Rが6−アリールオキシである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0031】
他の実施形態では、Rがハロアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0032】
他の実施形態では、Rがハロアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0033】
他の実施形態では、Rがハロアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0034】
他の実施形態では、Zがハロアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0035】
他の実施形態では、Rがヘテロシクリルであり、このヘテロシクリルが不飽和である、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0036】
他の実施形態では、Rがヘテロシクリルであり、このヘテロシクリルが不飽和である、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0037】
他の実施形態では、Zがヘテロシクリルであり、このヘテロシクリルが不飽和である、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0038】
他の実施形態では、Rが、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アシル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルバモイルオキシ、アミノ、任意に置換されたウレイド、およびシアノから成る群より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0039】
他の実施形態では、Rが、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アシル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルバモイルオキシ、アミノ、任意に置換されたウレイド、およびシアノから成る群より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0040】
他の実施形態では、Rが、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アシル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルバモイルオキシ、アミノ、任意に置換されたウレイド、およびシアノから成る群より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0041】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたアリールオキシである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0042】
他の実施形態では、Rが6−アリールオキシである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0043】
他の実施形態では、Rが水素である、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0044】
他の実施形態では、Rが、そのそれぞれが任意に置換されている、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0045】
他の実施形態では、Rが、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アシル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルバモイルオキシ、アミノ、任意に置換されたウレイド、およびシアノから成る群より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0046】
他の実施形態では、Rが、そのそれぞれが任意に置換されている、アリールまたはヘテロアリールである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0047】
他の実施形態では、Rが、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アシル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルバモイルオキシ、アミノ、任意に置換されたウレイド、およびシアノから成る群より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0048】
他の実施形態では、Rが、そのそれぞれがヒドロキシで置換されている、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0049】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたシクロヘキシルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0050】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたテトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロフラニルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0051】
他の実施形態では、Rが、ヒドロキシ置換されたシクロアルキルである、この実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0052】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたヘテロアリールである、この実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0053】
他の実施形態では、Rが、そのそれぞれが任意に置換されている、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾールおよびイソチアゾールから成る群より選択される、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0054】
他の実施形態では、Rが、そのそれぞれがヒドロキシルで置換されている、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0055】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたシクロヘキシルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0056】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたフェニル、ベンジルまたはフェネチルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0057】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたシクロヘキシルメチルまたはシクロヘキシルエチルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0058】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0059】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたヘテロアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0060】
他の実施形態では、Rとその結合窒素がアミノ酸またはそのエステルもしくはアミド誘導体を形成する、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0061】
他の実施形態では、Rとその結合窒素がアミノ酸またはそのエステルもしくはアミド誘導体を形成し、そしてRが水素である、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0062】
他の実施形態では、Rとその結合窒素がアミノ酸のエステルまたはアミド誘導体を形成し、このアミノ酸がセリン、トレオニンおよびそれらのアルキル誘導体から成る群より選択される、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0063】
他の実施形態では、X−Yがアルキレン−N(R)である、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0064】
他の実施形態では、アルキレンがC〜Cアルキレンである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0065】
他の実施形態では、アルキレンが(CHまたは(CHである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0066】
他の実施形態では、X−Yがアルキレン−OC(O)N(R)である、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0067】
他の実施形態では、X−Yがメチレン−OC(O)N(R)である、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0068】
他の実施形態では、Rが、水素、アルキルまたはヘテロアリールアルキルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0069】
他の実施形態では、Rがヘテロアリールアルキルであり、このヘテロアリールが、そのそれぞれが任意に置換されている、フラン、ピラゾール、チアゾールおよびオキサゾールから成る群より選択される、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0070】
他の実施形態では、Rがヘテロアリールアルキルであり、このアルキルがCH、(CHおよびCH(CH)から選択される、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0071】
他の実施形態では、Rが、任意に置換されたヘテロシクリルである、前述の実施形態のいずれかの化合物を述べる。
【0072】
本明細書で述べる二価基は、どちらの方向でも本明細書で述べる構造体に含まれてよいことを理解されたい。例示として、YがOC(O)N(R)である場合、Xは酸素または窒素に共有結合して、カルバメートまたは逆カルバメートを形成してもよい。
【0073】
前述の実施形態のすべての組合せも本明細書で記述されることを理解されたい。たとえば、例示的な変形では、X−Yが−アルキレン−OC(O)N(R)であり、Rが水素であり、そしてRとその結合窒素がアミノ酸またはその誘導体を形成する、式(I)の化合物が記述される。他の例示的な変形では、Rがアリールオキシであり、Rが任意に置換されたヘテロアリールアルキルであり、そしてRがシクロアルキルである、式(I)の化合物が記述される。様々な実施形態のすべての他の組合せが、前記を参照して本明細書で明確に記述される。
【0074】
他の実施形態では、以下の例示的化合物を述べる。
【化6】

【0075】
他の実施形態では、化合物を調製するための工程を本明細書で述べる。1つの例示的な工程を以下のスキームに示す。
【化7】

【0076】
他の例示的な工程を以下のスキームに示す。
【化8】

【0077】
本明細書で述べる化合物の調製はこの工程に限定されないこと、および他の従来の工程または特定の段階を追加または代用してもよいことを理解されたい。加えて、本明細書で述べる化合物は、それらおよびそれらの常套的な変更と最適化による他の工程によって、ならびに対応する出発物質の適切な選択によって調製し得ることを理解されたい。従って、ある実施形態では、R、R、Rおよび/またはR基が付加的な官能基を含んでもよいことも理解されたい。たとえば、1つの例示的な実施形態では、Rはヒドロキシル官能基を含んでもよい。上記に示したスキーム中の段階の1つまたはそれ以上における工程において、そのような官能基のための保護基が必要とされ得るおよび/または好都合に含まれ得ることが認識される。保護基の例示的な例は、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,4th Edition,Peter G.M.Wuts and Theodora W.Greene,John Wiley & Sons,Inc.,2006に認められる。
【0078】
他の実施形態では、アルツハイマー病の軽減を必要とする患者を治療するための方法を本明細書で述べる。1つの態様では、この方法は、前述の実施形態のいずれか1つで述べるもののような、本明細書で述べる1つもしくはそれ以上の化合物、または本明細書で述べる1つもしくはそれ以上の化合物を含有する組成物の治療有効量を患者に投与する段階を含む。
【0079】
他の実施形態では、本明細書で述べる化合物および組成物は、経口、非経口、局所および同様の投与形態を含むがこれらに限定されない、多種多様な経路および投与形態で投与され得る。例示的に、本明細書で述べる化合物は注射によって(たとえば静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内または腹腔内経路で)投与され得る。また、本明細書で述べる化合物は吸入によって、たとえば鼻内経路で投与することもできる。加えて、本明細書で述べる化合物は経皮的に投与することができる。従って、本発明はまた、医薬的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤ならびに本発明の1つまたはそれ以上の化合物を含有する医薬組成物を提供する。特定の希釈剤、担体および/または賦形剤の選択は、投与経路を参照して常套的な最適化によって行われるものと認識される。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、治療される疾患または障害の症状の緩和を含む、研究者、獣医、医師または他の臨床家によって求められている組織系、動物またはヒトにおける生物学的または医薬的応答を誘発する活性化合物または薬剤の量を指す。1つの態様では、治療有効量は、任意の医学的治療に適用される妥当な利益/危険比で疾患または疾患の症状を治療または緩和し得る量である。しかし、本明細書で述べる化合物および組成物の総1日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定され得ることを理解されたい。任意の特定患者についての詳細な治療有効用量レベルは、治療される障害および障害の重症度;使用される特定化合物の活性;使用される特定組成物;患者の年齢、体重、全般的健康状態、性別および食事;投与の時間、投与の経路および使用される特定化合物の排泄速度;治療の期間;使用される特定化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬剤;ならびに通常技術を有する研究者、獣医、医師または他の臨床家に周知の同様の因子を含む、様々な因子に依存する。
【0081】
本明細書で使用される、「組成物」という用語は、一般に特定量の特定成分を含有する任意の生成物、ならびに特定量の特定成分の組合せから直接または間接的に生じる任意の生成物を指す。本明細書で述べる組成物は、本明細書で述べる単離された化合物から、または本明細書で述べる化合物の塩、溶液、水和物、溶媒和物および他の形態から調製され得ることを理解されたい。また、組成物は、本明細書で述べる化合物の様々な無定形、非無定形、部分的結晶性、結晶性および/または他の形態学的形態から調製され得ることも理解されたい。また、組成物は、本明細書で述べる化合物の様々な水和物および/または溶媒和物から調製され得ることも理解されたい。従って、本明細書で述べる化合物を含有する(recite)そのような医薬組成物は、本明細書で述べる化合物の様々な形態学的形態および/または溶媒和物もしくは水和物形態のそれぞれまたはそれらの任意の組合せを含むことを理解されたい。例示として、組成物は、1つまたはそれ以上の担体、希釈剤および/または賦形剤を含有し得る。本明細書で述べる化合物は、本明細書で述べる方法のために従来の投与形態で、そのための1つまたはそれ以上の担体、希釈剤および/または賦形剤を含有して、治療有効量で製剤され得る。そのような製剤組成物は、当技術分野で広く認められている生成物を利用して、多種多様な投与形式で、本明細書で述べる方法のために多種多様な従来の経路によって投与され得る。一般に、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,(21st ed.,2005)参照。
【0082】
本明細書で使用される「投与すること」という用語は、経口的、非経口的(皮下、筋肉内、静脈内および髄腔内経路を含む)、吸入スプレー、経鼻、眼、経直腸、舌下もしくは口腔経路によって、または局所的等によって、従来の非毒性の医薬的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する単位投与形態製剤として服用または投与されることを含むが、これらに限定されない、局所および全身的使用の両方を指す。
【0083】
非経口投与のための適切な経路は、静脈内、動脈内、腹腔内、硬膜外、尿道内、胸骨内、筋肉内および皮下、ならびに任意の他の当技術分野で広く認められている非経口投与の経路を含む。非経口投与の適切な手段は、針付き(顕微針を含む)注射器、無針注射器および注入技術、ならびに当技術分野で広く認められている非経口投与の任意の他の手段を含む。非経口製剤は、典型的には、塩、炭水化物および緩衝剤などの賦形剤を含有してもよい水溶液(好ましくは約3〜約9の範囲のpH)であるが、一部の適用に関しては、滅菌非水溶液としてまたは滅菌発熱性物質除去蒸留水などの適切なビヒクルと共に使用される乾燥形態として、より適切に製剤され得る。たとえば凍結乾燥による、無菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技術を用いて容易に達成され得る。
【0084】
本明細書で述べる化合物の医薬組成物を製造する場合、本明細書で述べる様々な形態のいずれかの1つまたはそれ以上の化合物の治療有効量を、1つまたはそれ以上の賦形剤と混合してもよく、1つまたはそれ以上の賦形剤で希釈してもよく、またはカプセル、小袋、紙または他の容器の形態であり得る担体内に封入してもよい。賦形剤は希釈剤としての役割を果たしてもよく、有効成分のためのビヒクル、担体または媒質として働く、固体、半固体または液体材料であり得る。従って、製剤組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル、懸濁液、乳剤、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒質中)、軟膏剤、軟および硬ゼラチンカプセル、坐薬、滅菌注射用溶液、ならびに滅菌包装散剤の形態であり得る。組成物は、選択される用量および投与形態に依存して、約0.1%〜約99.9%までの有効成分を含有し得る。適切な賦形剤の一部の例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカントゴム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、およびメチルセルロースを含む。製剤は、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油などの潤滑剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;メチルおよびプロピルヒドロキシベンゾエートなどの防腐剤;甘味料;ならびに着香剤を付加的に含み得る。組成物は、当技術分野において公知の手順を用いることによって患者への投与後に有効成分の迅速な、持続的なまたは遅延性放出を提供するように製剤され得る。本明細書で述べる組成物を調製するために使用される担体、希釈剤および賦形剤は、好都合にはGRAS(一般に安全と認められた(Generally Regarded as Safe))化合物であるものと認識される。
【0085】
本明細書で述べる製剤中に含まれ得る乳化剤の例は、天然に生じるゴム(たとえばアラビアゴムまたはトラガカントゴム)ならびに天然に生じるホスファチド(たとえばダイズレシチンおよびモノオレイン酸ソルビタン誘導体)である。抗酸化剤の例は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール、ならびにシステインである。防腐剤の例は、メチルまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートなどのパラベン、および塩化ベンザルコニウムである。湿潤剤の例は、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールおよび尿素である。浸透促進剤の例は、プロピレングリコール、DMSO、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ピロリドンおよびその誘導体、テトラヒドロフルフリルアルコール、ならびにAZONEである。キレート化剤の例は、EDTAナトリウム、クエン酸およびリン酸である。ゲル形成剤の例は、CARBOPOL、セルロース誘導体、ベントナイト、アルギネート、ゼラチンおよびポリビニルピロリドンである。軟膏基剤の例は、蜜ろう、パラフィン、パルミチン酸セチル、植物油、脂肪酸のソルビタンエステル(Span)、ポリエチレングリコール、および脂肪酸のソルビタンエステルとエチレンオキシドとの縮合物(たとえばポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン(TWEEN))である。
【0086】
経口使用のための製剤は、非毒性の医薬的に許容される賦形剤との混合物中に有効成分を含有する錠剤を含む。これらの賦形剤は、たとえば、不活性希釈剤または充填剤(たとえばスクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶セルロース、ジャガイモデンプンを含むデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム);造粒剤および崩壊剤(たとえば微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、ジャガイモデンプンを含むデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギネートまたはアルギン酸);結合剤(たとえばスクロース、グルコース、ソルビトール、アラビアゴム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコール);ならびに潤滑剤、流動促進剤および接着防止剤(たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油または滑石)であり得る。他の医薬的に許容される賦形剤は、着色剤、着香剤、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤等であり得る。
【0087】
錠剤は、被覆されなくてもよく、または場合により胃腸管での崩壊と吸収を遅延させ、それによってより長期間にわたる持続的な作用を提供するために公知の技術によって被覆されてもよい。剤皮は、あらかじめ定められたパターンで活性薬剤物質を放出するように適合させ得るか(たとえば制御放出製剤を実現するため)、または胃の通過後まで活性薬剤物質を放出しないように適合させ得る(腸溶剤皮)。剤皮は、糖衣、フィルム被覆(たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレートコポリマー、ポリエチレングリコールおよび/またはポリビニルピロリドンに基づく)、または腸溶剤皮(たとえばメタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、シェラックおよび/またはエチルセルロースに基づく)であり得る。さらに、たとえばモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質を使用してもよい。
【0088】
固形錠剤組成物は、望ましくない化学的変化(たとえば活性薬剤物質が放出される前の化学的分解)から組成物を保護するように適合された剤皮を含んでもよい。剤皮は、Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されているのと同様の方法で固体投与形態に適用され得る。
【0089】
経口使用のための制御放出組成物は、たとえば、活性薬剤物質の溶解および/または拡散を制御することによって活性薬剤を放出するように構築してもよい。例示的な持続放出製剤は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,847,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;同第3,630,200号;同第4,008,719号;同第4,687,610号;同第4,769,027号;同第5,674,533号;同第5,059,595号;同第5,591,767号;同第5,120,548号;同第5,073,543号;同第5,639,476号;同第5,354,566号;および同第5,733,566号に記載されている。このそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本明細書で引用される公表文献のそれぞれの開示の全体も、参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
溶解または拡散制御放出は、化合物の錠剤、カプセル、ペレットもしくは顆粒状製剤の適切な剤皮によって、または化合物を適切なマトリックスに組み込むことによって達成できる。制御放出剤皮は、上記の剤皮物質の1つまたはそれ以上ならびに/または、たとえばシェラック、蜜ろう、グリコワックス(glycowax)、硬化ヒマシ油、カルナウバろう、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、メタクリル酸ヒドロゲル、1,3−ブチレングリコール、メタクリル酸エチレングリコールおよび/もしくはポリエチレングリコールを含み得る。制御放出マトリックス製剤において、マトリックス材料はまた、たとえば水和メチルセルロース、カルナウバろうおよびステアリルアルコール、carbopol 934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリル、メチルアクリレート−メチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、および/またはハロゲン化フルオロカーボンを含み得る。
【0091】
特許請求される組合せの化合物の1つまたはそれ以上を含有する制御放出組成物は、浮遊錠剤(buoyant tablet)または浮遊カプセル剤(すなわち、経口投与したとき、一定期間胃内容物の上に浮遊する錠剤またはカプセル)の形態であり得る。化合物の浮遊錠製剤は、薬剤と、賦形剤およびヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの20〜75重量%の親水コロイドとの混合物を粒状化することによって調製できる。次に、得られた顆粒を錠剤に圧縮することができる。胃液と接触したとき、この錠剤は、その表面付近で実質的に水不透過性のゲルバリアを形成する。このゲルバリアは、1未満の密度を維持する役割を果たし、それによって錠剤が胃液中で浮遊したままであることを可能にする。
【0092】
水の添加によって水性懸濁液を調製するのに適した散剤、分散性散剤または顆粒剤は、経口投与のための好都合な投与形態である。懸濁液としての製剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1つまたはそれ以上の防腐剤との混合物中で有効成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤は、たとえば天然に生じるホスファチド(たとえばレシチンまたは脂肪酸とエチレンオキシドの縮合物、長鎖脂肪族アルコール、または脂肪酸から誘導される部分エステル)およびヘキシトールまたはヘキシトール無水物(たとえばステアリン酸ポリオキシエチレン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)である。適切な懸濁化剤は、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等である。
本明細書で述べる医薬組成物はまた、従来の非毒性の医薬的に許容される担体およびアジュバントを含有する投与形態、製剤として、または適切な送達装置もしくはインプラントを介して、注射、注入または移植(静脈内、筋肉内、皮下経路等)によって非経口投与され得る。そのような組成物の製剤および調製は、医薬製剤の当業者に周知である。製剤法は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、前出に認められる。
【0093】
非経口使用のための組成物は、単位投与形態(たとえば単回用量アンプル)、または数回分の用量を含み、適切な防腐剤が添加されてもよい(以下参照)バイアルで提供され得る。組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、注入装置もしくは移植のための送達装置の形態であり得るか、または使用前に水もしくは別の適切なビヒクルで再構成される乾燥粉末として提供され得る。活性薬剤とは別に、組成物は、適切な非経口的に許容される担体および/または賦形剤を含んでもよい。活性薬剤を、制御放出のためにミクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソーム等に組み込んでもよい。さらに、組成物は、懸濁化剤、可溶化剤、安定剤、pH調整剤、および/または分散剤を含んでもよい。
【0094】
上述したように、本明細書で述べる医薬組成物は、滅菌注射に適した形態であり得る。そのような組成物を調製するには、適切な活性薬剤を、非経口的に許容される液体ビヒクルに溶解または懸濁する。使用してもよい許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、適切な量の塩酸、水酸化ナトリウムまたは適切な緩衝液を添加することによって適切なpHに調整された水、1,3−ブタンジオール、リンガー液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。この水性製剤はまた、1つまたはそれ以上の防腐剤(たとえばメチル、エチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート)を含んでもよい。化合物の1つが水に溶けにくいまたはわずかに可溶性である場合は、溶解促進剤または可溶化剤を添加することができ、または溶媒が10〜60重量%のプロピレングリコール等を含んでもよい。
【0095】
制御放出非経口組成物は、水性懸濁液、ミクロスフェア、マイクロカプセル、磁性ミクロスフェア、油性溶液、油性懸濁液または乳剤の形態であり得る。あるいは、活性薬剤を生体適合性担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラントまたは注入装置に組み込んでもよい。ミクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルの調製における使用のための材料は、たとえば、ポリガラクチン、ポリ−(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)およびポリ乳酸などの生分解性/生腐食性ポリマーである。制御放出非経口製剤を製剤する場合に使用し得る生体適合性担体は、炭水化物(たとえばデキストラン)、タンパク質(たとえばアルブミン)、リポタンパク質または抗体である。インプラントにおける使用のための材料は、非生分解性(たとえばポリジメチルシロキサン)または生分解性(たとえばポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)またはポリ(オルトエステル))であり得る。
【0096】
吸入による投与に関しては、典型的な投与形態は鼻スプレーおよびエアロゾルを含む。典型的な経鼻製剤では、有効成分を適切なビヒクルに溶解または分散させる。医薬的に許容されるビヒクルおよび賦形剤(ならびに希釈剤、増強剤、着香剤および防腐剤などの、組成物中に存在する他の医薬的に許容される物質)は、医薬品製造の当業者によって理解されている方法で従来の製薬慣例に従って選択される。
【0097】
医薬組成物はまた、ミクロスフェアおよびリポソームを含む、従来の非毒性の医薬的に許容される担体および賦形剤を含有する投与形態または製剤として経皮吸収のために皮膚に局所的に投与してもよい。製剤は、クリーム、軟膏剤、ローション、塗布剤、ゲル、ヒドロゲル、溶液、懸濁液、スティック、スプレー、ペースト剤、硬膏剤、および他の種類の経皮薬剤送達システムを含む。医薬的に許容される担体または賦形剤は、乳化剤、抗酸化剤、緩衝剤、防腐剤、湿潤剤、浸透促進剤、キレート化剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、香料および皮膚保護剤を含み得る。
【0098】
本明細書で述べる化合物または組成物のいずれか1つまたは混合物の有効量は、公知の技術の使用によりおよび/または類似の状況下で得られた結果を観察することにより、主診断医または主治医によって容易に決定され得る。有効量または用量を決定する場合、ヒトを含む哺乳動物の種、その大きさ、年齢および全般的健康状態、関与する特定の疾患または障害、疾患または障害の関与の程度または重症度、個々の患者の応答、投与される特定化合物、投与の方式、投与される製剤のバイオアベイラビリティー特性、選択される投与レジメン、併用薬剤の使用、ならびに他の関連状況を含むが、これらに限定されない多くの因子が、主診断医または主治医によって考慮される。
【0099】
本明細書で述べる化合物は、1つまたはそれ以上のキラル中心を含んでもよく、またはさもなければ複数の立体異性体として存在することが可能であってもよい。1つの実施形態では、本明細書で述べる本発明はいかなる特定の立体化学的必要条件にも限定されないこと、ならびに化合物、およびそれらを含む組成物、方法、使用および薬剤は、場合により純粋であってもよく、または鏡像異性体のラセミ混合物および他の混合物、ジアステレオマーの他の混合物等を含む様々な立体異性体混合物のいずれかであってもよいことを理解されたい。また、立体異性体のそのような混合物は、1つまたはそれ以上のキラル中心の単一立体化学的配置を含んでもよいが、1つまたはそれ以上の他のキラル中心の立体化学的配置の混合物を包含することも理解されたい。
【0100】
同様に、本明細書で述べる化合物は、シス、トランス、EおよびZ二重結合などの幾何中心を含んでもよい。他の実施形態では、本明細書で述べる本発明はいかなる特定の幾何異性体必要条件にも限定されないこと、ならびに化合物、およびそれらを含む組成物、方法、使用および薬剤は、純粋であってもよく、または様々な幾何異性体混合物のいずれかであってもよいことを理解されたい。また、幾何異性体のそのような混合物は、1つまたはそれ以上の二重結合での単一立体配置を含んでもよいが、1つまたはそれ以上の他の二重結合での幾何配置の混合物を包含することも理解されたい。
【0101】
本明細書で述べる化合物は、非溶媒和形態ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在し得ることが認識される。溶媒和形態および非溶媒和形態は、化合物および組成物に関して個別にまたは集合的に本明細書で記述されることを理解されたい。また、本明細書で述べる化合物は、無定形、非無定形、部分的結晶性、結晶性および/または他の形態学的形態で存在してもよいことも理解されたい。一般に、すべての物理的形態は、本明細書で述べる本発明に含まれることが企図される用途に関して等価である。また、本明細書で述べる化合物は塩の形態で存在してもよいことも理解されたい。
【0102】
また、前述の実施形態において、化合物の特定の態様は、X、X、Y、Z、R、R、R、R、Rおよびmの任意の1つまたはそれ以上についての選択のような、選択肢として提供されるも認識される。それ故、本発明の様々な選択的実施形態はそれらのリストの個々の成員ならびにそれらのリストの様々なサブセットを包含することを理解されたい。それらの組合せのそれぞれは、リストとして本明細書で記述されることを理解されたい。1つの例示的な例では、X−YはCHCHCHN(R)であり、Rは水素であり、Rはシクロヘキシルであり、Rはシクロヘキシルであり、Rは3−テトラヒドロフリルメチルであり、そしてRは6−フェノキシである。
【0103】
本明細書で述べる化合物はまた、プロドラッグの形態で存在してもよい。本明細書で述べる化合物のプロドラッグは、本明細書で述べる化合物の用途のいずれにおいて使用してもよいことを理解されたい。本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、一般に、生体系に投与した場合、1つまたはそれ以上の自発的化学反応、酵素触媒化学反応および/または代謝化学反応、またはそれらの組合せの結果として生物学的に活性な化合物を生じる任意の化合物を指す。インビボで、プロドラッグは、典型的には、酵素(たとえばエステラーゼ、アミダーゼ、ホスファターゼ等)、単純な生物化学、またはより薬理学的な活性な薬剤を遊離させるかまたは再生するインビボでの他のプロセスによる作用を受ける。この活性化は、宿主の内因性酵素またはプロドラッグの投与前、投与後または投与の間に宿主に投与される非内因性酵素の作用を介して起こり得る。プロドラッグの使用についてのさらなる詳細は、米国特許第5,627,165号;およびPathalk et al.,Enzymic protecting group techniques in organic synthesis,Stereosel.Biocatal.775−797(2000)に記載されている。プロドラッグは、標的送達、安全性、安定性等のような目標が達成されるとすぐにもとの薬剤に好都合に変換され、続いてプロドラッグを形成する基の放出された残りの部分がその後速やかに排出されることが認識される。
【0104】
プロドラッグは、本明細書で述べる化合物から、−OH−、−SH、−COH、−NRなどの、この化合物上に存在する1個またはそれ以上の官能基へと最終的にインビボで開裂される基を結合することによって調製され得る。例示的なプロドラッグは、この基がアルキル、アリール、アラルキル、アシルオキシアルキル、アルコキシカルボニルオキシアルキルであるカルボン酸エステル、ならびに結合される基がアシル基、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、リン酸塩または硫酸塩であるヒドロキシル、チオールおよびアミンのエステルを含むが、これらに限定されない。活性エステルとも称される、例示的なエステルは、1−インダニル、N−オキシスクシンイミド;アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、β−アセトキシエチル、β−ピバロイルオキシエチル、1−(シクロヘキシルカルボニルオキシ)プロプ−1−イル、(1−アミノエチル)カルボニルオキシメチル等のようなアシルオキシアルキル基;エトキシカルボニルオキシメチル、α−エトキシカルボニルオキシエチル、β−エトキシカルボニルオキシエチル等のようなアルコキシカルボニルオキシアルキル基;ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノメチル、ジエチルアミノエチル等のようなジ低級アルキルアミノアルキル基を含む、ジアルキルアミノアルキル基;2−(イソブトキシカルボニル)ペント−2−エニル、2−(エトキシカルボニル)ブト−2−エニル等のような2−(アルコキシカルボニル)−2−アルケニル基;およびフタリジル、ジメトキシフタリジル等のようなラクトン基を含むが、これらに限定されない。
【0105】
さらなる例示的なプロドラッグは、本明細書で述べる化合物の溶解度および/または安定性を高めるように機能するアミドまたはリン基などの化学的部分を含有する。アミノ基についてのさらなる例示的なプロドラッグは、(C〜C20)アルカノイル;ハロ−(C〜C20)アルカノイル;(C〜C20)アルケノイル;(C〜C)シクロアルカノイル;(C〜C)シクロアルキル(C〜C16)アルカノイル;置換されていないアロイルまたは、そのそれぞれが任意に1〜3個のハロゲン原子の1個またはそれ以上でさらに置換されている、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルコキシから成る群より選択される1〜3個の置換基によって置換されたアロイルなどの、任意に置換されたアロイル;置換されていないまたは、そのそれぞれが任意に1〜3個のハロゲン原子でさらに置換されている、ハロゲン、(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルコキシから成る群より選択される1〜3個の置換基によって置換されたアリール基などの、任意に置換されたアリール(C〜C16)アルカノイル;ならびに置換されていないまたは、そのそれぞれが任意に1〜3個のハロゲン原子でさらに置換されている、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルコキシから成る群より選択される1〜3個の置換基によって置換されたヘテロアリール基などの、ヘテロアリール部分にO、SおよびNから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、アルカノイル部分に2〜10個の炭素原子を有する、任意に置換されたヘテロアリールアルカノイルを含むが、これらに限定されない。示した基は例示であり、網羅的ではなく、従来の工程によって調製され得る。
【0106】
プロドラッグ自体は有意の生物活性を有していなくてもよいが、その代わりに、インビボでの投与後に1つまたはそれ以上の自発的化学反応、酵素触媒化学反応および/または代謝化学反応、またはそれらの組合せを受けて、生物学的に活性であるかまたは生物学的に活性な化合物の前駆体である、本明細書で述べる化合物を生成し得ることを理解されたい。しかし、一部の場合には、プロドラッグは生物学的に活性であることが認識される。また、プロドラッグはしばしば、改善された経口バイオアベイラビリティー、薬力学的半減期等を介して薬剤の効果または安全性を改善するのに役立ち得る。プロドラッグはまた、単に望ましくない薬剤特性を隠すかまたは薬剤送達を改善する基を含む本明細書で述べる化合物の誘導体を指す。たとえば、本明細書で述べる1またはそれ以上の化合物は、好都合にブロックされるかまたは最小化される、低い経口薬剤吸収、部位特異性の欠如、化学的不安定性、毒性および患者の受容性不良(嫌な味、臭い、注射部位の痛み等)その他のような臨床的薬剤適用における薬理学的、医薬的または薬物動態的障壁となり得る望ましくない特性を示してもよい。プロドラッグまたは可逆性誘導体を用いた他の方策は、薬剤の臨床適用の最適化において有用であり得ることが本明細書で認識される。
【0107】
本明細書で使用される、「アルキル」という用語は、場合により分枝である、炭素原子の鎖を含む。アルキルは、好都合には、C〜C24、C〜C12、C〜C、C〜CおよびC〜Cを含む、限られた長さであることを理解されたい。より短いアルキル基は、化合物により低い親油性を付加し、従って異なる薬物動態挙動を有することが本明細書で認識される。
【0108】
本明細書で使用される、「シクロアルキル」という用語は、場合により分枝した炭素原子の鎖を含み、鎖の少なくとも一部は1つまたはそれ以上の環を形成する。2つの環を含む例示的な変形では、環は、共通の原子を含まなくてもよく、1個の共通原子、2個の隣接する共通原子または3個以上の共通原子を含んでもよい。シクロアルキルを形成する鎖は、好都合には、C〜C24、C〜C12、C〜C、C〜CおよびC〜Cを含む、限られた長さであることを理解されたい。より短いアルキル基は、化合物により低い親油性を付加し、従って異なる薬物動態挙動を有することが本明細書で認識される。本明細書で使用される、「シクロアルケニル」という用語は、1つまたはそれ以上の不飽和結合を含むシクロルアルキル基である。
【0109】
本明細書で使用される、「ヘテロアルキル」という用語は、炭素と少なくとも1個のヘテロ原子との両方を含み、場合により分枝である、原子の鎖を含む。例示的なヘテロ原子は、窒素、酸素および硫黄を含む。ある変形では、例示的なヘテロ原子はまた、リンおよびセレンを含む。
【0110】
本明細書で使用される、ヘテロ環を含む「ヘテロシクリル」という用語は、炭素と少なくとも1個のヘテロ原子との両方を含む、場合により分枝した原子の鎖を含み、鎖は場合により1つまたはそれ以上の不飽和結合を含み、鎖の少なくとも一部は1つまたはそれ以上の環を形成する。本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」という用語はまた、「ヘテロシクロアルキル」および「シクロヘテロアルキル」を包含する。例示的なヘテロ原子は、窒素、酸素および硫黄を含む。ある変形では、例示的なヘテロ原子はまた、リンおよびセレンを含む。例示的なヘテロシクリルは、テトラヒドロフリル、ビス(テトラヒドロフラニル)、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、キヌクリジニル、ジヒドロフリル、ピロリニル、ジヒドロピラニル等を含むが、これらに限定されない。また、ヘテロシクリルは、縮合二環、スピロ二環等を含む多環式基を包含することも理解されたい。
【0111】
本明細書で使用される、「アリール」という用語は、そのそれぞれが場合により置換されていてもよい、単環式および多環式芳香族炭素環式基および芳香族複素環式基を含む。本明細書で使用される、「ヘテロアリール」という用語は、そのそれぞれが場合により置換されていてもよい、芳香族複素環式基を含む。本明細書で述べる例示的な炭素環式芳香族基は、フェニル、ナフチル等を含むが、これらに限定されない。例示的な複素環式芳香族基は、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、キノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル等を含むが、これらに限定されない。
【0112】
本明細書で使用される、「アミノ」という用語は、NH基、アルキルアミノおよびジアルキルアミノを含み、ジアルキルアミノ中の2個のアルキル基は同じであってもよくまたは異なってもよい、すなわちアルキルアルキルアミノであってもよい。例示的に、アミノは、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ等を含む。加えて、アミノが、アミノアルキルまたはアシルアミノなどの別の用語を修飾するかまたは別の用語によって修飾される場合、アミノという用語の上記の変形はその中に包含されることを理解されたい。例示的に、アミノアルキルは、HN−アルキル、メチルアミノアルキル、エチルアミノアルキル、ジメチルアミノアルキル、メチルエチルアミノアルキル等を含む。例示的に、アシルアミノは、アシルメチルアミノ、アシルエチルアミノ等を含む。
【0113】
本明細書で使用される、「任意に置換されたアミノ」という用語は、アシルアミノ、尿素およびカルバメート等のような、しかしこれらに限定されない、本明細書で述べるアミノの誘導体を含む。
【0114】
本明細書で使用される「任意に置換された」という用語は、場合により置換されているラジカル上の他の官能基による水素原子の置換を含む。そのような他の官能基は、例示的に、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ニトロ、スルホン酸およびその誘導体、カルボン酸およびその誘導体等を含むが、これらに限定されない。
【0115】
本明細書で使用される「任意に置換されたアリール」という用語は、場合により置換されているアリール上の他の官能基による水素原子の置換を含む。そのような他の官能基は、例示的に、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ニトロ、スルホン酸およびその誘導体、カルボン酸およびその誘導体等を含むが、これらに限定されない。
【0116】
本明細書で使用される、「アミノ酸」という用語は、一般式:
−N(R)−(CR’R”)−C(O)−
[式中、Rは、水素、アルキル、アシルまたは適切な窒素保護基であり、R’およびR”は、そのそれぞれが各発生時に独立して選択される、水素または置換基であり、そしてqは、1、2、3、4または5などの整数である]
を含む部分を指す。例示的に、R’および/またはR”は、独立して、水素または、メチル、ベンジル、ヒドロキシメチル、チオメチル、カルボキシル、カルボキシルメチル、グアニジノプロピル等、ならびにそれらの誘導体および保護された誘導体のような、天然に生じるアミノ酸上に存在する側鎖に相当するが、これらに限定されない。上記の式は、すべての立体異性体変形を包含する。たとえば、アミノ酸は、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、リシン、グルタミン、アルギニン、セリン、オルニチン、トレオニン等から選択され得る。本明細書で使用される場合、アルキレンは、分枝炭化水素基であってもよい、任意に置換された二価炭化水素基を意味すると解釈される。非限定的な例示的例は、メチレン、1,2−エチレン、1−メチル−1,2−エチレン、1,4−ブチレン、2,3−ジメチル−1,4−ブチレン、2−メチル−2−エチル−1,5−ペンチレン等を含む。ヘテロアルキレンは、1個またはそれ以上の炭素原子が、酸素、硫黄または任意に置換された窒素から選択されるヘテロ原子で置換されているアルキレン基を意味すると解釈される。
【0117】
本明細書で使用される、ハロアルキルは、1個またはそれ以上の水素原子が、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から成る群よりそれぞれの場合に独立して選択されるハロゲン原子で置換されているアルキル基を意味すると解釈される。非限定的な例示的例は、ジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロブチル、2−クロロ−2−プロピル、1,1,1−トリフルオロ−2−ブチル、トリフルオロメチル、ブロモジフルオロメチル等を含む。
【0118】
本明細書で使用される、医薬的に許容される塩は、酸付加塩、塩素付加塩および半塩を含む。適切な酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から形成されるものを含むが、これらに限定されない。例示的な例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプチン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を含む。
【0119】
適切な塩基塩は、非毒性の塩を形成する塩基から形成されるものを含むが、これらに限定されない。例示的な例は、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オーラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩を含む。
【0120】
本明細書で使用される、酸および塩基の半塩への言及は、たとえば半硫酸塩および半カルシウム塩から形成されるものを含むが、これらに限定されない。
【0121】
本発明のさらなる特徴は、本発明を実施するための例示的な実施形態についての以下の説明を考慮して当業者に明らかになる。
【実施例】
【0122】
方法および実施例
実施例1
化合物0458の合成。以下のスキームの工程に従う。
【化9】

【0123】
無水THF(3mL)中の8(Catalano et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2004,14,275)(220mg、0.9mmol)の撹拌溶液に、p−ニトロフェニルクロロホルメート(206mg、0.99mol)およびピリジン(100μL)を添加し、生じた混合物を23℃で12時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物を短いシリカゲルカラムに通して(ヘキサン中25%酢酸エチルで溶出した)、炭酸塩9を得た。次にこの炭酸塩をEtN(125μL)の存在下に23℃で12時間、N−メチルシクロヘキシルアミン(130μL、1mmol)と反応させた。標準的な後処理とヘキサン中30%酢酸エチルを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーによってウレタン10(391mg)を得た。
【0124】
ウレタン10(391mg)をCHCl(1mL)に溶解し、この混合物を0℃に冷却して、トリフルオロ酢酸(3mL)を添加した。混合物を23℃に温め、2時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、CHCl中1〜5%MeOHを用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによってアミン11を得た。
【0125】
ジクロロエタン(2mL)中のアミン11(87mg、0.31mmol)およびアルデヒド5(75mg、0.31mmol)の撹拌溶液に、NaBH(OAc)(131mg、0.6mmol)を添加し、生じた混合物を23℃で12時間撹拌した。NaHCO水溶液で反応を停止し、標準的な後処理およびそれに続いてCHCl中1%MeOHを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーによってアミン12(121mg)を得た。
【0126】
アミン12(121mg)を酢酸エチル(3mL)に溶解し、10%Pd−C(30mg)をそれに添加した。次に混合物を水素充填バルーン下で4時間水素化した。反応混合物をセライトのパッドでろ過し、残留物を、CHCl中5%MeOHを溶出溶媒として用いて短いシリカゲルカラムに通し、ジアミン13(100mg)を得た。
【0127】
アミン13(100mg、0.2mmol)をエタノール(3mL)に溶解し、BrCN(44mg、0.4mmol)を添加した。生じた混合物を還流下で4時間加熱した。反応物を23℃に冷却し、混合物を減圧下で濃縮して、残留物を得た。この残留物を、CHCl中1〜5%MeOHを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーにかけ、ウレタン0458(60mg)を得た。
【0128】
実施例2
カルバメート0538の合成。以下のスキームの工程に従う。
【化10】

【0129】
フェニルグリシンメチルエステル1(6.28g、23.3mmol)をCHCl(50mL)に溶解し、混合物を−78℃に冷却した。この混合物にCHCl中のDIBAL−H(47mL)を添加し、混合物を−78℃で15分間撹拌して、その後MeOHおよび酒石酸ナトリウム水溶液で反応を停止し、生じた混合物をCHClで抽出して、ブラインで洗浄し、溶媒を蒸発させた。粗アルデヒドを含む残留物を、さらに精製することなく直接使用した。アルデヒドをCHCl(100mL)に溶解し、PhP=CHCOEt(8g)を添加した。生じた混合物を23℃で12時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物を短いシリカゲルカラムに負荷して(ヘキサン中25%酢酸エチルで溶出した)、不飽和エステル2(2.5g)を得た。
【0130】
不飽和エステル2(512mg)を酢酸(10mL)に溶解し、PtO(30mg)を添加した。次にこの混合物を40psi下で16時間水素化した。セライトのパッドに通すことによって触媒をろ過除去した。溶媒を蒸発させ、対応する飽和シクロヘキシル誘導体を定量的収率で得た。THF(3mL)中のこのエステル(480mg、1.5mmol)の撹拌溶液に、固体LiOH(320mg)、続いて水(1mL)およびメタノール(1mL)を添加した。混合物を一晩撹拌した。混合物を0℃に冷却し、希塩酸を用いてpH3に酸性化した。混合物を酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥して、濃縮し、酸を得て、それをさらに精製することなく使用した。酸(390mg)をCHCl(6mL)およびEDC(522mg、2.7mmol)に溶解し、HOBt(369mg、2.7mmol)、N−メチルシクロヘキシルアミン(250μL)およびジイソプロピルエチルアミン(2mL)を添加した。生じた混合物を23℃で12時間撹拌した。飽和NaHCO溶液で反応を停止し、酢酸エチルで抽出して、NaSOで乾燥した。溶媒を蒸発させて残留物を得、それをクロマトグラフィーにかけてアミン3を得た。
【0131】
0℃のEtO(2mL)中のアミン3(126mg、0.33mmol)の撹拌溶液に、LAH(25mg、0.66mmol)を添加した。この混合物を0℃〜23℃で4時間撹拌した。過剰の酢酸エチルで反応を停止し、15分間撹拌した。ブラインを添加し、混合物を酢酸エチルで抽出して、NaSOで乾燥し、濃縮して、アミンを得、それをさらに精製することなく使用した。CHCl(2mL)中のアミン(70mg)の溶液にCFCOH(0.6mL)を添加し、混合物を23℃で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、短いシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによってジアミン4を得た。
【0132】
ジクロロエタン(2mL)中のジアミン4(66mg、0.23mmol)およびアルデヒド5(69mg、0.28mmol)の撹拌溶液にNaBH(OAc)(100mg、 0.47mmol)を添加し、生じた混合物を23℃で12時間撹拌した。NaHCO水溶液で反応を停止し、標準的な後処理およびそれに続いてCHCl中1〜10%MeOHを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーによってアミン6を得た。
【0133】
アミン6(34mg)を酢酸エチル(2mL)に溶解し、10%Pd−C(10mg)をそれに添加した。次に混合物を水素充填バルーン下で4時間水素化した。反応混合物をセライトのパッドでろ過し、残留物を、CHCl中5%MeOHを溶出溶媒として用いる短いシリカゲルカラムに通して、対応するアニリン誘導体を得た。アニリン誘導体(13mg、0.03mmol)をエタノール(3mL)に溶解し、BrCN(5mg、0.04mmol)を添加した。生じた混合物を還流下で4時間加熱した。反応物を23℃に冷却し、混合物を減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物を、CHCl中5%MeOHを用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーにかけ、アミン誘導体0538(8mg)を得た。
【0134】
方法実施例
メマプシン2の阻害。
理論に拘束されるものではないが、本明細書で述べる化合物は、酵素メマプシン2のタンパク質分解活性を阻害することによってアルツハイマー病へのそれらの作用を及ぼすと考えられる。化合物の効力を、化合物による、蛍光基質に対するメマプシン2触媒活性の阻害の測定によって決定した。Ermolieff,et al.(その教示全体が参照により本明細書に組み込まれる、Biochemistry 39:12450−12456(2000))に記載されている手順を用いて動的阻害実験を実施した。簡単に述べると、メマプシン2酵素を化合物と共に20分間プレインキュベートすることにより、アッセイをpH4、37℃で実施した。蛍光基質FS−2(Bachem Americas,Torrance,Calif.)を添加して活性測定を開始した。経時的な蛍光シグナルの増加をペプチド基質の加水分解の速度として測定した。加水分解速度の阻害を非阻害対照と比較して表し、強結合阻害剤についてのモデル(J.Bieth,in「Proteinase Inhibitors,」Bayer Symposium V,463−469,1974)に適合させた。本明細書で述べる化合物の例示的な活性を表1に示す。
【0135】
【表1】







【0136】
方法実施例
メマプシン1、メマプシン2およびカテプシンD触媒活性の阻害。
基質ペプチドHN−ELDLAVEFWHDR−CO(メマプシン1、メマプシン1およびカテプシンDの阻害アッセイのために使用した)を2mg/mlでDMSOに溶解し、アッセイの直前に0.1M酢酸ナトリウム、pH4.0中に1:100希釈する。DMSOに溶解した阻害剤を0.1M酢酸ナトリウム、pH4.0中に希釈する(1:100希釈)。pH4の緩衝液中の阻害剤溶液の50μlアリコートを、メマプシン1、メマプシン2またはカテプシンD 100〜200nMを含む0.1M酢酸ナトリウム150μlと組み合わせる。37℃でプレインキュベートした後、pH4緩衝液に希釈した基質50μlを添加してタンパク質分解アッセイを開始し、37℃でインキュベーションを続ける。時間間隔をおいてアリコートを取り出し、等容量のMALDI−TOFマトリックス(アセトン中のα−ヒドロキシケイ皮酸、20mg/ml)と組み合わせて、2組を直ちにステンレス鋼製MALDI試料プレートにスポットする。MALDI−TOF質量分析を、キャンパス内のMolecular Biology Resource CenterにおいてPE Biosystems Voyager DE装置で実施する。装置は、150ナノ秒の時間遅延で、ポジティブモードにて加速電圧25,000ボルトで操作する。650〜2000原子質量単位の範囲内で質量電荷比(m/z)を有するイオンを検出する。データをVoyager Data Explorerモジュールによって解析し、所与の混合物中の基質および対応する生成物の質量種に関するイオン強度データを得る。相対的生成物形成を、生成物と対応する基質の両方のシグナル強度の合計に対する生成物のシグナル強度の比として計算する。単位時間当たりに形成される相対的生成物を、モデル:
1−e−kT
[式中、kは相対的加水分解速度定数であり、Tは秒で表した時間であった]
を使用して、初期15%の生成物形成を示すデータの非線形回帰分析から得る。あるいは、蛍光切断アッセイ(Ermolieff,J.et al.,Biochemistry,39:12450−12456(2000))を用いて相対的加水分解速度を決定する。いずれかの方法からの初期速度を非阻害対照と比較して表し、競合阻害の強結合モデルへの非線形適合によって阻害定数Kを決定した(Bieth,J.,Bayer−Symposium V.Proteinase Inhibitors,pp 463−469,Spinger−Varlag,Berlin(1994))。結果を表1に示す。
【0137】
方法実施例
細胞内AβのIC50決定。
メマプシン2触媒活性に対する化合物の効力を、Aβ産生の細胞アッセイにおいて測定する。細胞膜を透過することに成功した化合物は、エンドソーム区画内でメマプシン2触媒活性を阻害し、それによってAβの産生をブロックする能力を示す。LondonおよびSwedish変異を有するヒトAPP695を過剰発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞を10%の集密度でマルチウエルプレートに播種する。化合物をDMSOに溶解してほぼ1mMの濃度にし、それを培地で希釈して最終濃度をほぼ4μM(最終的に0.4%DMSO)にする。化合物を連続希釈し、播種48時間後にマルチウエルプレート中の細胞に添加する。5%CO中37℃で24時間インキュベーションを続ける。一部を取り、サンドイッチELISA(BioSource International)を用いてAβ40含量を検定する。化合物の濃度範囲にわたるAβ40の量を、対照インキュベーションと比較して、4パラメータIC50モデルに適合させる。
【0138】
方法実施例
Tg2576トランスジェニックマウスモデル。
本明細書で述べる化合物をTg2576マウス(Hsiao,K.;Chapman,P.;Nilsen,S.;Eckman,C;Harigaya,Y.;Younkin,S.;Yang,F.;Cole,G.Science 1996,274,99)に腹腔内注射し、投与の直前および投与後3時間目に血漿試料を採取する。本明細書で述べる化合物での処理は、単回投与後3時間目のような、血漿中のAβ40の低下を生じさせ得る。用量は、約0.01mg/kg〜約100mg/kg、約0.1mg/kg〜約100mg/kg、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、約1mg/kg〜約100mg/kg、または約1mg/kg〜約10mg/kgにわたる。理論に拘束されるものではないが、若齢Tg2576マウスにおけるAβはほぼ全面的に脳内で産生され(Kawarabayashi,T.;Younkin,L.H.;Saido,T.C;Shoji,M.;Ashe,K.H.;Younkin,S.G.J.Neurosci.2001,21,372)、その後血漿に移行するので、本明細書では、低下の一部はおそらく脳内のAβの低下から生じ得ると思われる。また血漿中のAβは、Tg2576マウスを使用したメマプシン2の阻害において脳内Aβと良好に相関することが示されている(Chang,W.P.;Koelsch,G.;Wong,S.;Downs,D.;Da,H.;Weerasena,V.;Gordon,B.;Devasamudram,T.;Bilcer,G.;Ghosh,A.K.;Tang,J.J.Neurochem.2004,89,1409;Chang,W.P.;Downs,D.;Huang,X.P.;Da,H.;Fung,K.−M.;Tang,J.FASEB J.2007,21,3184)。この公表文献のそれぞれは、本明細書に援用される。
【0139】
本発明の特定の実施形態を上記で説明および/または例示したが、それらの少なからぬ変形および修正が可能であることが企図される。従って、本発明は、本明細書で説明および/または例示する特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0140】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2008年11月20日出願の米国特許仮出願第61/116,438号および2009年5月5日出願の米国特許仮出願第61/175,630号に対する35USC§119(e)の下での優先権を主張する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、
は水素であるか;またはRは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ならびに任意に置換されたアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、カルバモイル、アミド、カルバモイルオキシ、アミノおよびウレイドから成る群より独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基を表すか;またはRは、前記置換基の2個もしくはそれ以上を表し、前記置換基の2個は隣接して、それらの結合炭素と共に炭素環もしくは複素環を形成し;
は水素であるか、またはRは、そのそれぞれが任意に置換されている、アルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキルであり;
およびRは、そのそれぞれが任意に置換されている、アルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルから成る群よりそれぞれ独立して選択されるか;またはRとその結合窒素はアミノ酸もしくはその誘導体を形成し;
はアルキレンであり;そしてYはN(R)またはOC(O)N(R)であり;
は水素であるか、またはRはX−Z[式中、Xは結合もしくはアルキレン基であり;そしてZは、そのそれぞれが任意に置換されている、アルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリルアリールもしくはヘテロアリールである]であるか;またはRとRは、それらの結合窒素と共に任意に置換された複素環を形成する]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
がハロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がハロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Zがハロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが不飽和である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが不飽和である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Zがヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが不飽和である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アシル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルバモイルオキシ、アミノ、任意に置換されたウレイド、およびシアノから成る群より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アシル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルバモイルオキシ、アミノ、任意に置換されたウレイド、およびシアノから成る群より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アシル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルバモイルオキシ、アミノ、任意に置換されたウレイド、およびシアノから成る群より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が、そのそれぞれが任意に置換されている、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アシル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルバモイルオキシ、アミノ、任意に置換されたウレイド、およびシアノから成る群より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が、そのそれぞれが任意に置換されている、アリールまたはヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
が、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アシル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、任意に置換されたカルバモイル、任意に置換されたアミド、任意に置換されたカルバモイルオキシ、アミノ、任意に置換されたウレイド、およびシアノから成る群より選択される1個またはそれ以上の置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
が、そのそれぞれがヒドロキシで置換されている、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
が、任意に置換されたシクロヘキシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
が、任意に置換されたテトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロフラニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
が、ヒドロキシ置換されたシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
が、任意に置換されたヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
が、そのそれぞれが任意に置換されている、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾールおよびイソチアゾールから成る群より選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
が、そのそれぞれがヒドロキシルで置換されている、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
が、任意に置換されたシクロヘキシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
が、任意に置換されたフェニル、ベンジルまたはフェネチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
が、任意に置換されたシクロヘキシルメチルまたはシクロヘキシルエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
が、任意に置換されたアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
が、任意に置換されたヘテロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
とその結合窒素がアミノ酸またはそのエステルもしくはアミド誘導体を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
とその結合窒素がアミノ酸またはそのエステルもしくはアミド誘導体を形成し、そしてRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
とその結合窒素がアミノ酸のエステルまたはアミド誘導体を形成し、前記アミノ酸がセリン、トレオニンおよびそれらのアルキル誘導体から成る群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
−Yがアルキレン−N(R)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
アルキレンがC〜Cアルキレンである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
アルキレンが(CHまたは(CHである、請求項30に記載の化合物。
【請求項33】
−Yがアルキレン−OC(O)N(R)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
−Yがメチレン−OC(O)N(R)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
が、水素、アルキルまたはヘテロアリールアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
がヘテロアリールアルキルであり、前記ヘテロアリールが、そのそれぞれが任意に置換されている、フラン、ピラゾール、チアゾールおよびオキサゾールから成る群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
がヘテロアリールアルキルであり、前記アルキルがCH、(CHおよびCH(CH)から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
が、任意に置換されたヘテロシクリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項39】
がハロアルキルである、請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
が、任意に置換されたアリールオキシである、請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
が6−アリールオキシである、請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
が水素である、請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
アルツハイマー病を治療するための治療有効量の請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物、および1つまたはそれ以上の担体、希釈剤または賦形剤またはそれらの組合せを含有する医薬組成物。
【請求項44】
アルツハイマー病の軽減を必要とする患者を治療するための方法であって、請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬組成物の治療有効量を患者に投与する段階を含み、前記医薬組成物が1つまたはそれ以上の担体、希釈剤または賦形剤またはそれらの組合せを含有する、方法。
【請求項45】
アルツハイマー病を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬組成物の使用であって、前記医薬組成物が1つまたはそれ以上の担体、希釈剤または賦形剤またはそれらの組合せを含有し、そして前記薬剤および医薬組成物がそれぞれ治療有効量の前記化合物を含有する、使用。

【公表番号】特表2012−509352(P2012−509352A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537659(P2011−537659)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/065358
【国際公開番号】WO2010/059953
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(598063203)パーデュー・リサーチ・ファウンデーション (59)
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】