説明

BGA半導体部品およびBGA半導体部品実装用プリント基板

【課題】外側から5列に配列されたピンを有するBGA半導体部品を実装することができ、しかも、製造コストの安いBGA半導体部品実装用プリント基板を提供する。
【解決手段】各格子点に夫々BGA接続用パッド1aを形成したBGA半導体部品実装用プリント基板において、基板の表面側に内層導体パターン2、単層貫通バイアホール13とBGA接続用パッドと表層導体パターン1とが順次積層されており、内側に全層貫通バイアホール18が形成されており、第1列および第2列のBGA接続用パッドは表層導体パターンを介して領域外に接続され、第3列および第4列のBGA接続用パッドは表層導体パターン、単層貫通バイアホールおよび内層導体パターンを介して領域外に接続され、第5列のBGA接続用パッドは表層導体パターン、全層貫通バイアホールにより下層の内層導体パターンまたは裏層導体パターンを介して領域外に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はBGA半導体部品実装用プリント基板に係わり、特に、5列に形成された端子を有するBGA半導体部品が実装可能であり、しかも製造コストの安いBGA半導体部品実装用プリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
BGA(ボールグリッドアレイ)半導体部品はパッケージの裏面に格子状に配列されたボール状半田(BGA)が回路接続用に設けられている。プリント基板のBGA接続用パッドにクリーム半田が塗られてその上にBGA半導体部品のボール状半田を合わせてリフロー炉を通すことによりBGA接続用パッドがBGA半導体部品の端子と電気的に接続される。
【0003】
図3にBGA半導体部品実装用プリント基板のBGA接続用パッドの例を示す。このプリント基板には内側正方形と外側正方形とで囲まれたロ字型領域の表面に外側から内側に向けて5列に形成された各格子点に夫々BGA接続用パッド1aが形成されている。BGA接続用パッド1a、1a…のピッチは500μmである。
【0004】
ところで、プリント基板の配線パターンの間隔(ピッチ)は250μmより小さくすることは困難である。そこで、BGA半導体部品のICで図3に示すようにピンピッチが500μmと狭く、外側から内側に向けて5列に配列されたピン数の多いものを実装するプリント基板には図4に示すうな2段のビルドアップ基板が用いられていた。
【0005】
図4に示す2段のビルドアップ基板の製造方法を説明する。図4に示す絶縁層7はコア層を構成している。この絶縁層7の表面(上面)および裏面(下面)に導体膜を施し、感光・エッチングにより配線パターン3および4が形成される。さらに、その両面に感光性樹脂を積層して、ビルドバイアホール(VIA)15、16(単層貫通バイアホール)を形成する位置に感光・エッチングにより孔を形成する。
【0006】
この感光性樹脂は硬化することにより絶縁層8および10となる。この絶縁層8および10の上に導体膜を施し、感光・エッチングにより配線パターン2、ビルドバイアホール15および配線パターン5、ビルドバイアホール16が夫々形成される。
【0007】
さらに、この絶縁層8および10の上に感光性樹脂を積層してビルドバイアホール13、14を形成する位置に感光・エッチングにより孔を形成する。この感光性樹脂は硬化することにより絶縁層9および11となる。この絶縁層9および11の上に導体膜を施し、感光・エッチングにより配線パターン1、BGA接続用パッド1a、ビルドバイアホール13および配線パターン6、ビルドバイアホール14が夫々形成される。
【0008】
このように積層された基板にドリルにより孔が開けられ全層貫通ホール(スルーホール)18が形成される。上記したプリント基板はビルドバイアホール(単層貫通バイアホール)が表裏各2段に形成されているので、2段ビルドアップ基板と呼ばれている。
【0009】
この2段ビルドアップ基板を上記した外側から5列に配列されたピンを有するBGA半導体部品を実装する場合、外側2列のBGA接続用パッド1aは表面の配線パターン1により外側に接続される。この配線パターンのピッチは250μとなる。
【0010】
外側から3列目および4列目のBGA接続用パッド1aは配線パターン1、ビルドバイアホール13を介して配線パターン2に接続され、表面から2層目の配線パターン2により外側に接続される。この配線パターンのピッチは250μとなる。
【0011】
外側から5列目のBGA接続用パッド1aは配線パターン1、ビルドバイアホール13、配線パターン2、ビルドバイアホール15を介して表面から3層目の配線パターン3により外側に接続される。この配線パターンのピッチは500μとなる。
【0012】
このように、従来の外側から5列に形成された端子を有するBGA半導体部品は2段のビルドアップ基板により実装されていたが、2段のビルドアップ基板はビルドバイアホールを2段に形成するために、絶縁層に2回に亙り孔を形成しなければならず製造コストが高くなるという問題があった。
【0013】
特開平10−284846号公報に提案されたボールグリッドアレイパッケージ型半導体部品の実装構造では、1段ビルドアップ基板が用いられている。しかしながらこのボールグリッドアレイパッケージ型半導体部品の実装構造は外側から4列に配列されたピンを有するBGA半導体部品を実装するものであり、外側から5列に配列されたピンを有するBGA半導体部品を実装することができない。
【特許文献1】特開平10−284846号公報、段落0018〜段落0023、図1〜図3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、外側から5列に配列されたピンを有するBGA半導体部品を実装することができ、しかも、製造コストの安いBGA半導体部品実装用プリント基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明のBGA(ボールグリッドアレイ)半導体部品は、底面の内側正方形と外側正方形とで囲まれたロ字型領域の表面に前記外側正方形の夫々の辺に近接する第1列から内側に向けて第5列まで5列に形成された各格子点に夫々BGA接続端子を形成したBGA半導体部品において、前記外側正方形の夫々の辺に近接する外側から内側に向かって第5列の前記各格子点のBGA接続端子にはGND端子、電源端子またはNC端子のいずれかが配置されるものである。
【0016】
また、この発明のBGA半導体部品実装用プリント基板は、内側正方形と外側正方形とで囲まれたロ字型領域の表面に前記外側正方形の夫々の辺に近接する第1列から内側に向けて第5列まで5列に形成された各格子点に夫々BGA接続用パッドを形成したBGA半導体部品実装用プリント基板において、ベース基板の表面側に内層導体パターン、表面側絶縁層、単層貫通バイアホールとBGA接続用パッドと表層導体パターンとが順次積層されており、さらに、前記内側正方形の内部に全層貫通バイアホールが形成されており、第1列および第2列のBGA接続用パッドは表層導体パターンを介して前記ロ字型領域外に接続され、第3列および第4列のBGA接続用パッドは表層導体パターン、単層貫通バイアホールおよび内層導体パターンを介して前記ロ字型領域外に接続され、第5列のBGA接続用パッドは表層導体パターン、全層貫通バイアホールおよび前記内層導体パターンより下層の内層導体パターンまたは裏層導体パターンを介して前記ロ字型領域外に接続されているものである。
【0017】
また、前記BGA半導体部品実装用プリント基板において、前記第5列のBGA接続用パッドにはBGA半導体部品のGND端子、電源端子またはNC端子のいずれかが接続されるものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明のBGA半導体部品およびBGA半導体部品実装用プリント基板によれば、外側から5列に配列されたピンを有するBGA半導体部品を実装することができる。しかも、1段ビルドアップ基板であるため、プリント基板の製造コストが安い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下この発明を実施するための最良の形態を実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0020】
図1はこの発明の実施例であるBGA半導体部品実装用プリント基板を示す部分平面図、図2は同BGA半導体部品実装用プリント基板を示す部分断面図である。なお、図2の断面図の断面は階段状であり、図2は各部材の高さ方向位置を示すのみで、平面方向位置は示していない。
【0021】
図1に示すBGA接続用パッド1a、1a…は、内側正方形と外側正方形とで囲まれたロ字型領域に外側から内側に向け5列に形成された各格子点に設けられている。すなわち、図1に示すプリント基板のBGA接続用パッド1aの直径は275μm、間隙は225μm、ピッチは500μmである。
【0022】
このプリント基板の製造方法および構造を図2を参照して説明する。図2に示す絶縁層7の表面(上面)および裏面(下面)に導体膜を施し、感光・エッチングにより配線パターン3および配線パターン4が形成される。さらに、その両面に感光性樹脂を積層して硬化することにより絶縁層8および絶縁層10となる。
【0023】
この絶縁層7、8および10と配線パターン3および4はコア層12を形成しており、その表面および裏面に配線パターン2および配線パターン5、絶縁層9および絶縁層11、BGA接続用パッド1a、ビルドバイアホール13および配線パターン1およびビルドバイアホール14おび配線パターン6を順次積層形成することにより、1段ビルドのバイアホールにより接続された夫々2層の配線パターンが表面側および裏面側に得られる。
【0024】
すなわち、絶縁層8および10の上に導体膜を施し、感光・エッチングにより配線パターン2および配線パターン5が形成される。さらに、この絶縁層8および10の上に感光性樹脂を積層してビルドバイアホール13、14を形成する位置に感光・エッチングにより孔を形成する。
【0025】
この感光性樹脂は硬化することにより絶縁層9および11となる。この絶縁層9および11の上に導体膜を施し、感光・エッチングにより配線パターン1、BGA接続用パッド1a、ビルドバイアホール13および配線パターン6、ビルドバイアホール14が形成される。
【0026】
このように積層された基板にドリルにより孔が開けられ全層貫通ホール(スルーホール)18が形成される。上記したプリント基板はビルドバイアホール(単層貫通バイアホール)が表裏各1段に形成されているので、1段ビルドアップ基板と呼ばれている。
【0027】
この1段ビルドアップ基板を上記した外側から5列に配列されたピンを有するBGA半導体部品を実装する場合、BGA接続用パッド1a、1a…にBGA半導体部品の端子が半田着けされる。そのBGA接続用パッド1a、1a…が外側に接続される状態を図1により説明する。
【0028】
外側2列のBGA接続用パッド1aとしてA列おびB列を示しているが、このA列おびB列のBGA接続用パッド1aは表面の黒線で示す配線パターン1により外側に接続される。この配線パターン1の幅は75μm、BGA接続用パッド1aの直径は275μm、配線パターン1とBGA接続用パッド1aとの最小間隙は75μmとなる。
【0029】
外側から3列目および4列目のBGA接続用パッド1aとしてC列おびD列を示しているが、このC列おびD列のBGA接続用パッド1aは配線パターン1、ビルドバイアホール13を介して配線パターン2(内層導体パターン)に接続される。この配線パターン2の幅は75μm、ピッチは250μmとなる。
【0030】
外側から5列目のBGA接続用パッド1a(E列)は配線パターン1および全層貫通ホール18を介して裏面の配線パターン6により外側に接続される。外側から5列目の端子はGNDおよびNCであり、共通の配線パターンで接続することができる。このように1段のビルドアップ基板が用いられるので製造コストが安くなる。
【0031】
上記実施例のBGA半導体部品実装用プリント基板に本発明のBGA半導体部品が実装される。すなわち、外側から5列にピンが配列されており、外側から5列目のピンはGND端子およびNC端子のみとなっているBGA半導体部品が実装される。
【0032】
実施例は以上のように構成されているが発明はこれに限られず、例えば、外側から5列にピンが配列されており、外側から5列目のピンはGND端子、+電源端子およびNC端子のみとなっているBGA半導体部品を、外側から5列目のBGA接続用パッドがGND端子、+電源端子およびNC端子のみ用のBGA接続用パッドとなっており、NC端子、GND端子および電源+端子として2本の配線パターンにより外側に接続したBGA半導体部品実装用プリント基板に実装してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施例であるBGA半導体部品実装用プリント基板を示す部分平面図である。
【図2】同BGA半導体部品実装用プリント基板を階段状断面で示す部分断面図である。
【図3】BGA半導体部品用BGA接続用パッドの例を示す平面図である。
【図4】従来のBGA半導体部品実装用プリント基板を階段状断面で示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 配線パターン、1a BGA接続用パッド
2、3、4、5、6 配線パターン
7、8、9、10、11 絶縁層
12 コア層
13、14、15、16 ビルドバイアホール(VIA)
18 全層貫通ホール(スルーホール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面の内側正方形と外側正方形とで囲まれたロ字型領域の表面に前記外側正方形の夫々の辺に近接する第1列から内側に向けて第5列まで5列に形成された各格子点に夫々BGA接続端子を形成したBGA半導体部品において、前記外側正方形の夫々の辺に近接する外側から内側に向かって第5列目の前記各格子点のBGA接続端子にはGND端子、電源端子またはNC端子のいずれかが配置されることを特徴とするBGA半導体部品。
【請求項2】
内側正方形と外側正方形とで囲まれたロ字型領域の表面に前記外側正方形の夫々の辺に近接する第1列から内側に向けて第5列まで5列に形成された各格子点に夫々BGA接続用パッドを形成したBGA半導体部品実装用プリント基板において、ベース基板の表面側に内層導体パターン、表面側絶縁層、単層貫通バイアホールとBGA接続用パッドと表層導体パターンとが順次積層されており、さらに、前記内側正方形の内部に全層貫通バイアホールが形成されており、第1列および第2列のBGA接続用パッドは表層導体パターンを介して前記ロ字型領域外に接続され、第3列および第4列のBGA接続用パッドは表層導体パターン、単層貫通バイアホールおよび内層導体パターンを介して前記ロ字型領域外に接続され、第5列のBGA接続用パッドは表層導体パターン、全層貫通バイアホールおよび前記内層導体パターンより下層の内層導体パターンまたは裏層導体パターンを介して前記ロ字型領域外に接続されていることを特徴とするBGA半導体部品実装用プリント基板。
【請求項3】
前記第5列のBGA接続用パッドにはBGA半導体部品のGND端子、電源端子またはNC端子のいずれかが接続される請求項2のBGA半導体部品実装用プリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−235627(P2008−235627A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74027(P2007−74027)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】