説明

BIBW2992、その塩及びこの活性成分を含む固体医薬製剤の乾燥方法

本発明は、BIBW2992又はその塩、好ましくはその二マレイン酸塩だけでなく、BIBW2992又はその塩を含む固体医薬製剤の乾燥方法、及び0.20以下の製剤の水分活性又は4.2%以下の含水量(カール-フィッシャー)を特徴とする、活性製品成分としてBIBW2992又はその塩を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はBIBW2992又はその塩、好ましくは二マレイン酸塩(以下、BIBW2992MA2と略記)だけでなく、BIBW2992又はその塩を含む固体医薬製剤の乾燥方法、及び0.20以下の製剤の水分活性又は4.2%以下の製剤の含水量(カール-フィッシャー)を特徴とする、BIBW2992又はその塩を活性製品成分(API)として含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
BIBW 2992 (また、TOMTOVOK(登録商標)と命名される) は化合物4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンとして知られている。
【0003】
【化1】

(1).
【0004】
BIBW2992はerbb1 受容体(EGFR) 及びerbB2 (Her2/neu) 受容体チロシンキナーゼの強力かつ選択的二重インヒビターである。更に、BIBW2992はEGFR及びHER2に共有結合し、それによりそれが結合した受容体分子を不可逆的に失活するように設計された。この化合物、その塩、例えば、二マレイン酸塩BIBW 2992 MA2 及びその結晶性変異、それらの調製だけでなく、BIBW2992又はその塩を含む医薬製剤がWO 02/50043 及びWO 2005/037824に開示されている。これらの書類がこれらの局面に関する参考として含まれる。
BIBW299は腫瘍疾患、肺及び呼吸道の高分泌性疾患、胃腸道、胆管及び胆嚢の疾患の治療に適している。BIBW2992で治療すべき指示及び組み合わせ治療がWO 2007/054550 及びWO 2007/054551に開示されている。
活性医薬成分 (API)の薬理学的活性の他に、経口粉末、顆粒、ペレット、錠剤、カプセル、噛み砕き可能な錠剤、分散性錠剤、又はロゼンジとしての、固体経口投薬形態の調製に妥当な活性物質の種々の化学的、物理的又は物理化学的特性がある。正確なアッセイ、含量及び質量一様性、薬物製品の化学的安定性及び物理的安定性並びに適当な溶解速度として、適切な製剤特性を得るために、製品中間体の特性がまた荒々しく、迅速かつコスト有効な加工に適切である必要がある。
限定ではないが、活性成分(薬物物質)の加工に妥当なこれらのパラメーターの例は最終医薬製剤(薬物製品)の安定性に強く影響し得る種々の環境条件下の薬物物質の安定性、及び薬物物質の物理的特性、例えば、嵩密度(即ち、注入され、軽くたたかれた密度)、粒子形態、形状、ニードルについての長さ対幅の比、サイズ分布、静電気帯電及び表面接着性であり、これらは薬物物質の沈澱及び乾燥条件のために変化し得る。これらの特性は最終製剤への薬物物質加工に主要な特徴、例えば、流動性及び圧縮性にかなり影響し得る。
加水分解に敏感な活性のために、包装までの薬物製品の製造中の水分の接近を最小にするだけでなく、製品の適当な貯蔵寿命を得るために最終包装への水の浸入を防止するのに有効な手段をとることが基本的である。
BIBW2992は水分に敏感な化合物であり、湿った条件で、例えば、水、湿気又は薬物製品中の更なる賦形剤により放出される湿気の存在下で迅速に加水分解して、キナゾリンの6位に結合された側鎖からのジメチルアミンの放出による主なAPI 分解生成物をもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の対象は乾燥条件でBIBW2992に対して不活性であり、かつ15%以下の相対湿度(rh)、好ましくは12%以下のrhを有するガスで40℃以下、好ましくは30℃以下の温度で乾燥させることを特徴とする、BIBW2992又はその塩、好ましくはBIBW 2992 MA2 の乾燥方法に関する。
本発明の第二の対象は乾燥条件で上記医薬製剤の成分に対して不活性であり、かつ15%以下の相対湿度、好ましくは12%以下のrhを有するガス、例えば、空気で40℃以下、好ましくは30℃以下の温度で乾燥させることを特徴とする、活性成分としてのBIBW2992又はその塩、好ましくはBIBW 2992 MA2 及び少なくとも一種の更なる賦形剤を含む医薬製剤の乾燥方法に関する。
本発明の第三の対象は0.20以下、好ましくは0.17以下、又は、最も好ましくは、0.15以下の水分活性を特徴とする、活性成分としてのBIBW2992又はその塩、好ましくはBIBW 2992 MA2 及び少なくとも一種の更なる賦形剤を含む医薬組成物、例えば、経口、医薬投薬形態、例えば、錠剤である。
本発明の第四の対象は4.2%以下、好ましくは4.0%以下、特に3.8%以下、又は、最も好ましくは、3.7%以下の含水量(カール-フィッシャー)を特徴とする、活性成分としてのBIBW2992又はその塩、好ましくはBIBW 2992 MA2 及び少なくとも一種の更なる賦形剤を含む医薬組成物、例えば、経口、医薬投薬形態、例えば、錠剤である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ガスの供給及び除去のための入口ライン及び出口開口部、入口ラインと連結された2層底部(上の底部及び下の底部)を含む本発明の方法に適した容器を図示する。この場合、上の底部が乾燥ガスをサンプルを含む容器の内部空間に通すために孔をあけられている。
【図2】ムンターズ(Munters)(登録商標)装置ガス供給による本発明の方法に適した容器を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の方法に従って乾燥され、又は本発明の状況内で本明細書に言及されるBIBW2992はあらゆる形態、例えば、遊離塩基それ自体の形態、溶媒和物の形態及び塩、好ましくは医薬上許される塩の形態のAPI を含む。
医薬上許される塩は、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸水素塩、リン酸水素塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸水素塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸水素塩、フマル酸水素塩、酒石酸水素塩、乳酸水素塩、シュウ酸水素塩、コハク酸水素塩、安息香酸塩及びp-トルエンスルホン酸塩、好ましくは塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸水素塩、リン酸水素塩、マレイン酸水素塩、フマル酸水素塩及びメタンスルホン酸塩からなる群から選ばれる。本発明のあらゆる局面に関して特に好ましい実施態様において、BIBW2992はそのマレイン酸水素塩として、好ましくは下記の式 (1a) で示されるような1:2のBIBW2992:マレイン酸の比で適用される(また、本明細書中、“二マレイン酸塩”又はBIBW 2992 MA2として表される)。
【0008】
【化2】

(1a)
【0009】
BIBW2992はまた少なくとも一種の医薬賦形剤との組み合わせ、例えば、活性成分として、更なる加工のための中間体として、又は直ぐの摂取のための最終投薬形態としての遊離塩基の形態、溶媒和物の形態又は塩の形態のBIBW2992を含む医薬組成物を含む。
更なる加工のための中間体として好ましい医薬組成物は組み合わされた圧密(ロール圧密、ブリケッティング又はスラッギング)又は乾式造粒及びその嵩特性を調節し、平衡にし、ひいては完成投薬形態への更なる加工のためのその適性を確実にするためのその後の圧密活性物質(必要により滑剤と混合して)の篩分けにより得られる粉末の形態のBIBW 2992 MA2を含む圧密中間体又は乾式造粒中間体、固体経口投薬形態の調製における更なる加工に適した、前記圧密(又は乾式造粒)中間体から調製された中間ブレンド及び最終ブレンドを含む。
特に好ましい医薬組成物は粉末形態、圧密形態、造粒形態又は圧縮形態の、前記圧密中間体、前記中間ブレンド又は前記最終ブレンドからつくられた固体経口製剤、例えば、
乾燥粉末製剤、
未被覆又は被覆顆粒、
未被覆又は被覆ペレット、及び
未被覆又はフィルム被覆錠剤(例えば、直接圧縮により調製された)、
必要によりカプセル、例えば、硬質ゼラチンカプセル又はHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)カプセルに充填されていてもよいこれらのいずれか
を含む、直ぐの摂取のための最終投薬形態のBIBW 2992 MA2を含むものである。
【0010】
本発明の方法はBIBW2992(又はその医薬上許される塩)又は前記BIBW2992(又はその医薬上許される塩)を含む医薬組成物のいずれかを含むサンプル(これは湿度、例えば、製剤化操作、例えば、水性フィルム被覆からの水湿気又は本来の非結晶性水を含む更なる賦形剤から吸着された水湿気或いは環境空気から吸着された湿気を含む)と流れているガス(これは乾燥条件でBIBW2992に対して不活性であり、かつ15%以下の相対湿度、好ましくは12%以下のrhを有する)の連続接触を40℃以下、好ましくは30℃以下の温度で、そのサンプル中の目標水分活性(平衡湿気含量)が得られるまで、使用してそのサンプルを乾燥させることにより行なわれてもよい。水分活性はサンプル中で自由に入手でき、かつ雰囲気との交換に利用できる水の目安である。所望の水分活性は自由に存在してもよく、又は薬物製品中の賦形剤中で結合された溶媒和物として存在してもよい水を減少し、BIBW2992が乾燥の完結後に存在する形態の湿気を含み、例えば、0.20以下の水分活性、又は4.2%以下のカール-フィッシャー含水量である。
本発明の状況下で記載される水分活性は米国薬局方(USP) <921>に記載されたように測定されることが意味される。更に、本発明の状況下で記載されるカール-フィッシャー含水量は米国薬局方(USP) <1112> に明記された滴定方法(即ち、複電流カール-フィッシャー滴定)であることが意味される。使用される方法の例が以下に示される。
使用されるガス、例えば、不活性ガス、乾燥され、圧縮され、もしくは絶えず供給される乾燥空気、窒素、又は二酸化炭素は、製品と乾燥ガスの間の充分に高い湿度勾配を保証するために、15%以下、好ましくは12%の相対湿度rhを有することが必須である。その結果、永久ガス流がその湿度勾配を維持し、BIBW2992の目標湿度を得るために保証される必要がある。このようなことは乾燥圧縮空気の連続流又はベンチレーターにより生成される連続流(例えば、ムンターズ(登録商標)装置を使用する)により達成し得る。
【0011】
本発明の方法はガスの供給及び除去のための入口及び出口開口部を有する容器にサンプルを入れることにより行なわれる。
本発明の一実施態様において、ガス流が約0.5〜3バール、好ましくは0.8〜1.5バール、最も好ましくは約1バールの出口における圧力で乾燥圧縮空気の連続流として容器及びサンプル中にパージされる。特にこの目的のために、2層底を有する容器が使用され、その上層はガスを通すために孔をあけられる。ガスが二つの底の間の空間に導入され、孔をあけられた上の底中を流れ、次いで製品中に流れる。最後に、製品からの湿気を含むガスが出口により排出される。
本発明の第二の実施態様において、ガス流が20-1000ncm/時間、好ましくは30-500ncm/時間、最も好ましくは40-150ncm/時間の空気流量を与えるベンチレーター(例えば、ムンターズ(登録商標)装置を使用する)により生成された連続流として容器及びサンプル中にパージされる。“ncm”という表現は標準条件、ここでは1013ミリバール、0%の相対湿度(rh)及び0℃の温度下のガスの容積を特定する“標準立方メートル”(また、文献では“m3(i.N.)”と略記される)を表す。
本発明のいずれかの実施態様によれば、乾燥温度が20-40℃の範囲、好ましくは20-30℃の範囲、例えば、室温に設定される。乾燥中、二水和物としてBIBW2992中に、又は一水和物としてラクトース中に結合された溶媒和物として存在し得る水が実質的に除去されない。
所定の条件で、乾燥が0.20以下の製剤の目標水分活性又は4.2%以下の製剤のカール-フィッシャー含水量を得るために少なくとも8時間、好ましくは少なくとも12時間、最も好ましくは少なくとも24時間にわたって行なわれる必要があることがわかった。
対照的に、室温よりも明らかに高い温度、例えば、50℃におけるフィルム-コーター中のBIBW2992を含むフィルム被覆錠剤の通常の乾燥としての湿気含量を減少するための別のアプローチは乾燥方法それ自体中の低レベルの湿気にほんの直ぐにもたらした。最後に製品(フィルム被覆錠剤)が湿気再吸収と関連する室温に冷却される必要がある。何とならば、冷却空気の相対湿度が15%rhより上であるからである。
湿気含量を減少するための更に別の通常のアプローチは乾燥剤と密に接触してのBIBW2992本体の貯蔵であり得る。乾燥剤が結合されていない水を水の物理吸着により製品から除去する。例えば、フィルム被覆錠剤としての本体製品の乾燥のために、このような方法は目標湿気含量を得るために提供された方法よりも極めて長い乾燥時間を必要とし、こうして製造規模で使用されるには不適である。
下記の非限定実施例が本発明を説明するのに利用できる。
【実施例】
【0012】
実施例1:
夫々、BIBW2992塩基20mgを含むフィルム被覆錠剤50kgを乾燥容器(これは二重底部、空気入口及び空気出口を備えている)に充填する。錠剤を容器中で12%以下の相対湿度及び約20℃の温度を有する圧縮乾燥空気で製剤の水分活性が0.15未満であり、又は製剤の含水量(カール・フィッシャー)が4.0%以下であるまでフラッシする。最後に乾燥後の3.7%の含水量(カール・フィッシャー)を得た。
40℃/75%rhにおけるAlu/Alu-ブリスター中の6ヶ月の貯蔵後に、主なAPI 分解生成物の1.6%の増加が観察された。
例2(比較例):
初期乾燥しないと、BIBW2992塩基20mgを含むフィルム被覆錠剤は4.3%の製剤の含水量を示した。40℃/75%rhにおけるAlu/Alu-ブリスター中の6ヶ月の貯蔵後に、主なAPI 分解生成物の2.6%の増加が検出された。
【0013】
実施例3:本発明の方法を使用して乾燥されるBIBW 2992 MA2 (1a)を含む投薬形態:
以下の節に、1aの投薬形態の製造方法を記載する。
1aを含む圧密中間体の調製方法
粉末形態の1aを含む圧密中間体を必要により滑剤と混合して、リボン又はブリケットの分断に追加の少なくとも一つの篩分け工程と組み合わされた、材料の高密度化のためのロール圧密工程により調製する。
ロール圧密は
−API 1a単独を用いて、又は、必要により下記のことを用いて行なわれてもよい。
−圧密ロール上の重大な粘着を防止するための自由落下又は混転ブレンダー中のAPI と0〜1.0%の滑剤との予備ブレンド
−滑剤の添加は撹拌API が使用され、ロールコンパクターへの装填時に撹拌下に保たれる場合に回避し得る。
API 又はAPI の予備ブレンドを通常のロールコンパクターで圧密する。
−必要により圧密ロール(これらはそれらの表面が平滑であり、又は成形されていてもよい)の水平、垂直又は45°の角度の配置を用いてもよい。
【0014】
その圧密力は
−1rpm〜30rpm、
−好ましくは1rpm〜10rpm
の圧密ロールの圧密速度で、かつ
−1mm〜10mm、
−好ましくは1〜5mm
の圧密ロール間のギャップ幅で
−1kN/cm〜20kN/cm、
−好ましくは2kN/cm〜10kN/cm
の間で変化してもよい。
圧密中間体をリボンの形態で圧密ロールから受け取り、これらを0.5mm〜1.6mmのメッシュサイズを有する造粒ユニットにより顆粒に直接分解し、顆粒の形態の圧密中間体を得る。続いて第二の工程で、顆粒を、例えば、0.5〜2.0mm、好ましくは約1.0mmのメッシュサイズを有する、往復式又は円錐形の篩分け機又はハンマーミルとしての、篩分け機により篩分けて、粉末の形態の圧密中間体を得る。必要により第二の篩分け工程を行なってもよいが、この工程は0.3〜0.5mm、好ましくは約0.5mmのメッシュサイズで行なわれるべきである。
【0015】
中間ブレンド及び最終ブレンドの調製方法
中間ブレンド:
粉末の形態の1aを含む中間ブレンドを自由落下式又は混転ブレンダー中でAPI を担体、バインダー又はこれらの組み合わせ、滑剤、着色剤及び固形風味料と混合することにより調製する。
最終ブレンド:
経口粉末:
粉末の形態の1aを含む中間ブレンドを自由落下式又は混転ブレンダー中で担体、バインダー、滑剤、着色剤及び固形風味料と混合する。
経口顆粒:
粉末の形態の1aを含む中間ブレンドを自由落下式又は混転ブレンダー中で充填剤、担体、バインダー、固形バインダー、着色剤及び固形風味料と混合する。そのブレンドをロールコンパクターで圧密し、約2mmのメッシュサイズを有する造粒ユニットにより分解する。
カプセル中のペレット:
粉末形態の1aを含む中間ブレンドを固形ポリエチレングリコール及び微結晶性セルロースと混合し、加熱押出機により押し出す。ペレットを球形にする。球形化後に、得られるペレットをカプセル、例えば、硬質ゼラチンカプセル又はHPMCカプセルに充填する。
錠剤及びフィルム被覆錠剤:
粉末の形態の1aを含む中間ブレンドを自由落下式又は混転ブレンダー中で充填剤、担体、バインダー、滑剤及び崩壊剤と混合する。最後に滑剤を主ブレンドに添加し、更なる混合を行なう。
【0016】
固体経口製剤の調製方法
経口粉末:
最終粉末ブレンドをサッシェに充填する。
経口顆粒:
顆粒をサッシェに充填する。
カプセル中のペレット:
球形化後に、得られるペレットをカプセル、例えば、硬質ゼラチンカプセル又はHPMCカプセルに充填する。
錠剤及び被覆錠剤:
最終ブレンドを好適な錠剤プレスで適当な圧縮力により圧縮して錠剤を製造して圧潰に対する耐性、錠剤高さ及び崩壊に関する品質パラメーターを得る。
必要により、錠剤コアーをドラムコーター中で、例えば、グラットGC 550/750 又はGC 1250 コーターを使用して被覆懸濁液により被覆してもよい。
表1:1aを含む固形錠剤の例示の組成物
【0017】
【表1】

【0018】
製剤A、B及びC、D並びにEは表2記載のフィルム被覆物で被覆し得る錠剤である。
表2:製剤A-E のためのフィルム被覆物の例示の組成
【0019】
【表2】

【0020】
実施例4:含水量/複電流カール・フィッシャー滴定
溶媒及び試薬
・溶媒:無水メタノール
・滴定剤:ヒドラナール(登録商標)複合物1(*)
操作
装置:カール・フィッシャー装置
シリンジ5.0 mL (ハミルトン)
【0021】
【表3】

【0022】
測定:
4個のフィルム被覆錠剤を50 mL 注入バイアルに正確に計量して入れ、直ちに無水メタノール25 mL を添加し、そのバイアルを栓及びクリンプキャップで直接にしっかり閉じる。振とう(自動化装置)3時間及び沈降時間約20時間後に、アリコート4.0 mL をシリンジで除去し、滴定容器(これは予備滴定メタノール約30 mL を含む)に移す。
抽出バイアルのブランク滴定:
無水メタノール25 mL を50 mL の注入バイアル (n=2) に添加し、そのバイアルを栓及びクリンプキャップで直接にしっかり閉じる。振とう(自動化装置)3時間及び沈降時間約20時間後に、アリコート4.0 mL をシリンジで除去し、滴定容器(これは予備滴定メタノール約30 mL を含む)に移す。
【0023】
【表4】

【0024】
フィルム被覆錠剤はできるだけ短く開けて取り扱われるべきである。
含水量 [% ] を以下のように計算する。
(a-b)xFx25x100
WtTSx4
a=試験サンプルを滴定するのに必要とされたカール・フィッシャー溶液の容積 [mL]
b=ブランク滴定に必要とされたカール・フィッシャー溶液の平均容積 [mL]
F=滴定剤のファクター [mg 水/mL]
WtTS=試験サンプルの質量 [mg]
(*) ヒドラナール(登録商標)はシグマ-アルドリッチ・バイオテクノロジーLP及びシグマ-アルドリッチ社の登録トレードマークである。
ヒドラナール(登録商標)複合物1は単一成分のピリジンを含まないカール・フィッシャー試薬、シグマ-アルドリッチ(登録商標)製品ID 34827である。
【0025】
実施例5:含水量/水分活性の測定
操作
装置:例えば、ノバシナ・ラブマスター(Novasina Labmaster)aw
【0026】
【表5】

【0027】
測定:
20のフィルム被覆錠剤 (20 mg, 30 mg, もしくは40 mg) 又は15のフィルム被覆錠剤 (50 mg) をサンプルカップに充填する。直ちにサンプルを測定チャンバーに入れる。装置を密閉し、測定を開始/停止ボタンで開始する。aw-値が“安定”になる時に、緑色のLEDがライトアップし、aw-値を示す。
【0028】
【表6】

【0029】
フィルム被覆錠剤はできるだけ短く開けて取り扱われるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥条件でBIBW2992又はその塩に対して不活性であり、かつ15%以下の相対湿度(rh)を有するガスを用いて、40℃以下の温度で乾燥させることを特徴とする、BIBW2992又はその塩の乾燥方法。
【請求項2】
活性製品成分(API) としてのBIBW2992又はその塩及び少なくとも一種の更なる賦形剤を含む医薬製剤の乾燥方法であって、
乾燥条件で前記医薬製剤の成分に対して不活性であり、かつ15%以下の相対湿度を有するガスを用いて、40℃以下の温度で乾燥させることを特徴とする、前記方法。
【請求項3】
BIBW2992塩が塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸水素塩、リン酸水素塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸水素塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸水素塩、フマル酸水素塩、酒石酸水素塩、乳酸水素塩、シュウ酸水素塩、コハク酸水素塩、安息香酸塩及びp-トルエンスルホン酸塩、好ましくは塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸水素塩、リン酸水素塩、マレイン酸水素塩、フマル酸水素塩及びメタンスルホン酸塩から選ばれる、請求項1又は2の一項記載の方法。
【請求項4】
BIBW2992塩が二マレイン酸塩(BIBW 2992 MA2)である、請求項1又は2の一項記載の方法。
【請求項5】
ガスが12%以下の相対湿度(rh)及び20〜40℃の範囲、好ましくは30℃以下の温度を有する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ガスが不活性ガス、圧縮乾燥空気もしくは絶えず供給される乾燥空気、窒素又は二酸化炭素である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
BIBW2992又はその塩をガスの供給及び除去のための入口及び出口開口部を有する容器に入れ、ガスを圧縮乾燥空気の連続流として、又はベンチレーターにより生成された連続流により供給する、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ガスを約0.5〜3バールの出口における圧力で圧縮乾燥空気の連続流として供給する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ガスを20-1000ncm/時間の空気流量を与えるベンチレーター(例えば、ムンターズ(登録商標)装置を使用する)により生成された連続流として供給する、請求項7記載の方法。
【請求項10】
少なくとも8時間にわたって行なわれる、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
0.20以下、好ましくは0.17以下、又は、最も好ましくは、0.15以下の製剤の水分活性を特徴とする、活性製品成分(API) としてのBIBW2992又はその塩及び少なくとも一種の更なる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項12】
4.2%以下、好ましくは4.0%以下、特に3.8%以下、又は、最も好ましくは、3.7%以下の含水量(カール-フィッシャー)を特徴とする、活性製品成分(API) としてのBIBW2992又はその塩及び少なくとも一種の更なる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項13】
更なる加工のための中間ブレンド、経口粉末、経口顆粒、ペレット、未被覆錠剤及びフィルム被覆錠剤から選ばれる、請求項11又は12記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−532180(P2012−532180A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518940(P2012−518940)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059546
【国際公開番号】WO2011/003853
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】