C型肝炎抗ウイルス組成物および方法
本発明は、抗ウイルス活性を有する新規組成物に関し、特に本発明はC型肝炎ウイルス(HCV)に対して活性のある相乗組成物に関する。本発明はまた、HCVの増殖および/または機能的活性を遅延させるか、低下させるか、またはさもなければ阻害するための方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はC型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有する新規組成物に関する。本発明はまた、HCVの増殖および/もしくは機能的活性を遅延させるか、低下させるか、またはさもなければ阻害するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書の全体を通じた先行技術の考察はいずれも、そのような先行技術が広く公知であるかまたは当技術分野における共通の一般的知識の一部を形成するという承認と決して考えられるべきではない。
【0003】
現在、ウイルス感染に対して、特に、高い罹患率および死亡率と関連し、かなり大きな人口に影響を与えるウイルス感染、例えば、C型肝炎(HCV)に対して有効である新しい治療の開発が大いに必要とされている。現在利用可能な治療は、HCVに感染した患者の大部分において不十分であるかまたは効果がない。
【0004】
C型肝炎は、HCVと呼ばれる肝指向性ウイルスによって引き起こされる血行性で感染性のウイルス疾患である。この感染は、しばしば無症状である肝炎を引き起こし得るが、結果として生じる慢性肝炎は後に、肝硬変(肝臓の線維性瘢痕化)および肝癌をもたらし得る。HCVは、6つの公知の肝炎ウイルス:A型、B型、C型、D型、E型、G型のうちの1つであり、感染者の血液との血液と血液の接触によって広まる。症状は、医学的に管理することができ、患者の一部は、長期間の抗ウイルス薬によって、ウイルスを排除することができる。早期の医学的介入が役に立つものの、HCV感染を有する人々は、しばしば軽度の症状を経験し、したがって治療を求めない。世界中で推定1億5000万〜2億人がHCVに感染している。静脈内薬物使用、吸入薬物使用、タトゥーの経験がある者、または安全でない性交渉によって血液に曝露した者は、この疾患に罹る増大した危険性にさらされている。C型肝炎は、米国における肝移植の主要な原因である。
【0005】
C型肝炎は、2つの明確に区別できる臨床段階として現れる。第1に、C型肝炎は、HCV感染後の最初の6か月を指す急性C型肝炎として現れる。感染した人の60%〜70%は、急性期に何の症状も発症しない。急性期症状を経験する少数の患者において、症状は通常軽度かつ非特異的であり、C型肝炎の特異的診断にまで至ることは滅多にない。急性C型肝炎感染の症状としては、食欲の減退、疲労、腹痛、黄疸、痒み、およびインフルエンザ様症状が挙げられる。
【0006】
HCVは、通常、感染後1〜3週以内に血液中で検出可能であり、このウイルスに対する抗体は、通常、3〜12週以内に検出可能である。HCVに感染した人の約20〜30%は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)正常化などの肝機能検査(LFT)における正常化、ならびに血漿HCV-RNA排除によって示されるように、急性期の間に自分の体からこのウイルスを排除する(これは、自然発生的ウイルス排除として知られる)。残り70〜80%のHCV感染患者は慢性肝炎を発症する。
【0007】
慢性C型肝炎は、6か月を越えて持続するHCVの感染と定義される。臨床的に、それはしばしば無症状であり(黄疸がなく)、多くは偶然に発見される。
【0008】
慢性C型肝炎の自然経過は、人によってかなり異なる。HCVに感染したほとんど全ての人には、肝生検で炎症の徴候が見られる。しかしながら、肝臓の瘢痕化(線維化)の進行速度は、個体間で著しい変動を示す。最近のデータにより、未治療の患者のうち、およそ3分の1が20年未満で肝硬変に進行することが示唆されている。もう3分の1は、30年以内に肝硬変に進行する。残りの患者については、非常にゆっくりと進行するように見えるので、彼らが生きている間に肝硬変を発症する可能性は低い。HCV疾患進行の速度に影響することが報告されている要因としては、年齢、性別、アルコール消費量、HIV重感染、および脂肪肝が挙げられる。
【0009】
特に肝疾患を示唆する症状は、肝臓の実質的瘢痕化が生じるまでは、典型的には存在しない。しかしながら、C型肝炎は全身性疾患であり、患者は、進行性肝疾患を発症する前に、無症状からより症候性の疾病に至るまでの広範囲の臨床症状を経験する。慢性C型肝炎と関連する全身性の兆候および症状としては、疲労、顕著な体重減少、インフルエンザ様症状、筋肉痛、関節痛、間欠的な微熱、痒み、睡眠障害、腹痛、食欲の変化、吐き気、下痢、消化不良、認知変化、意気消沈、頭痛、および気分の揺れが挙げられる。
【0010】
ひとたび慢性C型肝炎が肝硬変に進行すれば、肝機能の低下かまたは門脈圧亢進症として知られる状態である肝循環の圧力の増大のいずれかによって通常引き起こされる兆候および症状が現れる可能性がある。肝硬変のあり得る兆候および症状としては、腹水症、挫傷および出血の傾向、骨痛、動脈瘤、脂肪便(脂肪便症)、黄疸、ならびに肝性脳症として知られる認知障害の症候群が挙げられる。
【0011】
大多数の感染者はこの期間中に何の症状も経験しないので、C型肝炎の診断が疾患の急性期の間に行なわれることは滅多にない。急性期の症状を実際に経験する人が、医学的配慮を求めるのに十分なほどの病気であることは滅多にない。また、進行性肝疾患が発症するまで具体的症状が存在しないかまたは欠如しているために、慢性C型肝炎の診断は困難な作業であり、その具体的症状は、何十年も経ってやっと、進行性肝疾患として現れる場合もある。
【0012】
現在の治療(「標準治療」)は、ウイルスの遺伝子型に応じた、24週間または48週間のペグ化インターフェロンαと抗ウイルス薬物リバビリンの組み合わせである。さらに、様々な形態でのこの組み合わせ療法の効力も、ウイルスの遺伝子型に左右され、14%から82%までの幅がある。
【0013】
ウイルス感染を治療および予防する見込みを改善するために、ならびに進行中のウイルス進化に対処するために、ウイルス生活環の様々な局面を阻害することができる分子を同定することが継続的に必要である。したがって、抗ウイルス活性を有するさらなる新規の組成物および薬剤が必要である。
【0014】
先行技術の不利な点のうちの少なくとも1つを克服もしくは改良すること、または有用な代替案を提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、置換アシルグアニジンの分類に入る、HCV感染の治療で有用な、新規の抗ウイルス化合物を含む、ある種の組成物、好ましくは相乗組成物に関する。より特に、本発明は、1つまたは複数の置換アシルグアニジンおよび1つまたは複数の公知の抗ウイルス化合物を含む相乗組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様によれば、本発明は、HCVの治療のための組成物であって、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤と組み合わせた、
式I:
【化1】
[式中、R1は、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチルであるか、またはR1は、
【化2】
【化3】
、
【化4】
、
もしくは
【化5】
より選択され;
nは、1、2、3、または4であり;
【化6】
は、
【化7】
または
【化8】
であり;
Fは独立して、
【化9】
ハロゲン、アルキル、ハロ、またはポリハロアルキルであり;
Qは独立して、水素、アルコキシ(特にメトキシ)、アルキル(特にメチル)、シクロアルキル、チエニル、フリル、ピラゾリル、置換ピラゾリル、ピリジル、置換ピリジル、フェニル、置換フェニル、ハロ(特に、クロロもしくはブロモ)、ヘテロ環(「het」)であるか、またはQは独立して、
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
もしくは
【化16】
(式中、R2は、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
(式中、R3は、
【化21】
もしくは
【化22】
である)である)より選択され;かつ
Xは、水素またはアルコキシである]
の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩を含む、組成物を提供する。
【0017】
有利なことに、本発明による組成物は、化合物および少なくとも1つの追加の抗ウイルス剤の効果が、化合物および少なくとも1つの追加の抗ウイルス剤単独の効果の総和よりも大きい相乗組成物である。
【0018】
第2の態様によれば、本発明は、HCVの治療のための薬学的組成物であって、第1の態様による組成物および1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0019】
第3の態様によれば、HCVの増殖および/もしくは複製を低下させるか、遅延させるか、またはさもなければ阻害するための方法であって、該HCVに感染したかまたはHCVに曝露した細胞を第1の態様による組成物と接触させる工程を含む方法が提供される。
【0020】
第4の態様によれば、HCVに曝露した細胞の感染を予防する方法であって、該細胞を第1の態様による組成物と接触させる工程を含む方法が提供される。
【0021】
細胞を完全な組み合わせ組成物と(すなわち、同時に組成物の全ての成分と)接触させてもよく、またはそれを連続的な方法で組成物の個々の成分と接触させることができる。
【0022】
本発明の第5の態様によれば、HCVに曝露したかまたは感染した対象の治療的または予防的治療のための方法であって、該対象への第1の態様による組成物の投与を含む方法が提供される。
【0023】
組成物の個々の成分を、別々に連続的な形でかつ任意の順序で投与してもよい。
【0024】
本発明の組成物および製剤を、静脈内(iv)、腹腔内、皮下、頭蓋内、皮内、筋肉内、眼球内、髄腔内、脳内、鼻腔内、経粘膜、または口、直腸からの注入によるもの、iv点滴、パッチ、もしくはインプラントによるものを含むが、これらに限定されない、任意の方法で投与してもよい。組成物は、粉末、錠剤、カプセル、液体、懸濁液、またはその他の同様の投薬形態の形態であってもよい。
【0025】
本発明の第6の態様によれば、C型肝炎を治療する方法であって、有効量の本発明による組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法が提供される。
【0026】
本発明の第7の態様によれば、C型肝炎を治療する方法であって、該組成物がHCV p7タンパク質を阻害する、有効量の本発明による組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法が提供される。
【0027】
本発明の第8の態様によれば、本発明による組成物の、C型肝炎の治療のための医薬の調製または製造での使用が提供される。
【0028】
本発明の第9の態様によれば、該組成物がHCV p7タンパク質を阻害する、本発明による組成物の、C型肝炎の治療のための医薬の調製または製造での使用が提供される。
【0029】
文脈上特に明確に要求されない限り、本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などの語は、排他的とは対照的に包括的な意味でまたは網羅的な意味で;すなわち、「〜を含むが、これらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】BIT 225およびBIT100によるGBV-B複製の阻害を図示する。
【図2】BVDVに対する様々な濃度のBIT 225の用量応答曲線を図示する。
【図3】BVDVに対する様々な濃度のIFNの用量応答曲線を図示する。
【図4】BVDVに対する様々な濃度のリバビリンの用量応答曲線を図示する。
【図5】IFNαの存在下または非存在下における31nM BIT225および/または1.25μgリバビリンで見られるウイルス阻害のレベルを図示する。
【図6】5IU/mlおよび10IU/ml IFNαの存在下におけるBIT225についての全範囲用量応答曲線を示し、1.25μg/mlの添加による増強された抗ウイルス効果を示す。挿入図は、5IU/mlおよび10IU/mlIFNαの存在下におけるリバビリンについての全範囲用量応答曲線を示す。
【図7】BVDVに対する2'-C-メチルアデノシンおよび2'-C-メチルシチジンの個々の用量応答曲線を示す。
【図8】様々な濃度の2'-C-メチルアデノシンの存在下におけるBIT225についての用量応答曲線の変化を示す。
【図9】様々な濃度の2'-C-メチルシチジンの存在下におけるBIT225についての用量応答曲線の変化を示す。
【図10】様々な濃度のrIFNα-2bの存在下におけるBIT314についての全範囲用量応答曲線を示す。
【図11】5IU/ml IFNα+1.25μg/mlリバビリンおよび5IU/ml IFNα+2.5μg/mlリバビリンの添加による増強された抗ウイルス効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の詳細な説明
本発明は、HCVの治療のための組成物であって、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤と組み合わせた、式I:
【化23】
[式中、R1は、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチルであるか、またはR1は、
【化24】
【化25】
【化26】
もしくは
【化27】
より選択され;
nは、1、2、3、または4であり;
【化28】
は、
【化29】
または
【化30】
であり;
Fは独立して、
【化31】
ハロゲン、アルキル、ハロ、またはポリハロアルキルであり;
Qは独立して、水素、アルコキシ(特にメトキシ)、アルキル(特にメチル)、シクロアルキル、チエニル、フリル、ピラゾリル、置換ピラゾリル、ピリジル、置換ピリジル、フェニル、置換フェニル、ハロ(特に、クロロもしくはブロモ)、ヘテロ環(「het」)であるか、またはQは独立して、
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
もしくは
【化38】
(式中、R2は、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
(式中、R3は、
【化43】
もしくは
【化44】
である)である)より選択され;かつ
Xは、水素またはアルコキシである]
の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩を含む、組成物に関する。
【0032】
本発明の組成物で使用するのに特に有用な化合物は、以下のもの:
下記構造を含む(3-ベンゾイル)シンナモイルグアニジン
【化45】
下記構造を含む2,3-メチレンジオキシシンナモイルグアニジン
【化46】
下記構造を含む5-メチル-2-ナフトイルグアニジン
【化47】
下記構造を含む3(インダン-4-イル)-プロペノイルグアニジン
【化48】
下記構造を含む5-ブロモ-6-メトキシ-2-ナフトイルグアニジン
【化49】
下記構造を含む5-チオフェン-3-イル-2-ナフトイルグアニジン
【化50】
下記構造を含む5-(1-メチルピラゾル-4-イル)2-ナフトイルグアニジン
【化51】
下記構造を含む(1-メトキシ-2-ナフトイル)グアニジン
【化52】
下記構造を含む(3-メトキシ-2-ナフトイル)グアニジン
【化53】
下記構造を含む(5-ブロモ-2-ナフトイル)グアニジン
【化54】
下記構造を含む(1,4-ジメトキシ--2-ナフトイル)グアニジン
【化55】
下記構造を含む(6-(3-チエニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化56】
下記構造を含む(6-メチル-2-ナフトイル)グアニジン
【化57】
下記構造を含む(5-フェニル-2-ナフトイル)グアニジン
【化58】
下記構造を含む(5-(チエン-2-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化59】
下記構造を含む(5-(1-イソブチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化60】
下記構造を含む(5-(3-フリル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化61】
(5-シクロプロピル-2-ナフトイル)グアニジン
【化62】
(5-クロロ-2-ナフトイル)グアニジン
【化63】
(6-(1-メチルピラゾル-4-イル)-2-ナフトイル)酢酸グアニジン
【化64】
(5-(2,6-ジメトキシピリジン-3-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化65】
(5-(2-クロロフェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化66】
(5-(4-(アセチルアミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化67】
(5-(3-(アセチルアミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化68】
(5-(4-((メチルスルホニル)アミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化69】
および薬学的に許容されるその塩より選択されてもよい。式Iの化合物のグアニジル部分のアミン基またはイミン基は、そのような化合物の提供に使用される任意の従来形態で存在することができる。例えば、それらは、フリーベース、水和物、有機塩もしくは無機塩、またはその組み合わせとして存在してもよい。
【0033】
本発明の化合物の抗ウイルス活性をスクリーニングするために開発された方法は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT/AU2004/000866に詳しく記載されている。
【0034】
「HCV」への言及は、ホモログおよび突然変異体を含む、任意のC型肝炎ウイルス株への言及と理解されるべきである。
【0035】
HCV の「機能的活性」への言及は、HCVが実施するまたは関与する任意の1つまたは複数の機能への言及と理解されるべきである。
【0036】
「ウイルス複製」への言及は、ビリオンの組み立てまたは放出を阻害することなどの、HCV生活環の任意の1つもしくは複数の段階または局面を含むよう理解されるべきである。したがって、本発明の方法は、HCV生活環の任意の1つもしくは複数の局面または段階の仲介をもたらす一連の工程の誘導を通じたHCV複製の仲介を包含する。
【0037】
HCVに感染した「細胞」への言及は、HCVに感染している、任意の原核性または真核性の細胞への言及と理解されるべきである。これには、例えば、不死細胞株または初代細胞株、細菌培養、およびインサイチューの細胞が含まれる。
【0038】
本発明の化合物を、薬学的に許容される担体および/もしくは賦形剤を含む組成物または製剤の形態で投与し得るということが当業者によって理解されるであろう。
【0039】
本発明の化合物を含む本明細書に記載された組成物は、任意の種類の1つまたは複数の追加の抗ウイルス剤、例えば、非ヌクレオシドHCV RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)阻害剤、ヌクレオシドHCV RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)阻害剤、非ヌクレオシドHCV RNAプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシドHCV RNAプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、ウイルス侵入阻害剤、インターフェロン、PEG-インターフェロン、リバビリン、およびその組み合わせを組み合わせて含んでもよい。ヌクレオシドおよび非ヌクレオシド阻害剤は、ヌクレオシドおよび非ヌクレオシド分子の類似体を含むということが理解されよう。ポリメラーゼ阻害剤は、HCV NS5BおよびNS5Aを標的にすることができ;プロテアーゼ阻害剤は、HCV NS3およびNS4を標的にすることができる。
【0040】
組み合わせ治療および本発明の組成物で使用し得るNS5Bのヌクレオシド類似体阻害剤の非限定的な例としては、バロピシタビン(ヌクレオシド類似体2'-C-メチルシトシンのプロドラッグ);JTK103;R04048;R-1479/R-1626(4'-アジドシトシンのヌクレオシド類似体およびそのプロドラッグ);ならびにR-7128が挙げられる。本発明の組成物で使用し得る非ヌクレオシド類似体阻害剤(NNRTI)の非限定的な例としては、HCV-796(アベンゾフランHCVポリメラーゼ阻害剤);GL60667または「667」;およびXTL-2125が挙げられる。本発明の組成物で使用し得るHCVのNS3/4Aのセリンプロテアーゼ阻害剤の非限定的な例としては、VX-950;SCH-503034;ACH-806/GS-9132;ならびにBILN-2061およびITMN-191が挙げられる。
【0041】
好ましくは、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、インターフェロン(IFN)である。さらにより好ましくは、インターフェロンは、I型IFNおよびII型IFNからなる群より選択される。さらにより好ましくは、IFNは、IFNα、IFNβ、およびIFNγからなる群より選択される。さらにより好ましくは、IFNは、IFNα-2a、IFNα-2b、IFNα-n3、IFNαコン-1、IFNβ-1a、IFN-β1、IFN-γ1b、ペグインターフェロンα-2b、およびペグインターフェロンα-2aからなる群より選択される。あるいは、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、IFNα-2bおよびリバビリン;IFNα-2aおよびリバビリン;ペグ化IFNα-2aおよびリバビリン、またはペグ化IFNα-2aおよびリバビリンのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0042】
抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、またはHCVセリンプロテアーゼ阻害剤より選択される1つまたは複数の化合物を含んでもよい。あるいは、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、モノクローナル抗体、植物抽出物、NS5A阻害剤、免疫調整因子、チアゾリド、抗リン脂質治療薬、アンチセンス化合物、イサトリビン、広範囲の免疫刺激因子、炎症/線維症阻害剤、レプリカーゼ阻害剤、シクロフィリン阻害剤、イミノ糖阻害剤、汎カスパーゼ阻害剤、またはポリクローナル抗体より選択される1つまたは複数の化合物を含んでもよい。
【0043】
さらに、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、例えば、2'-C-メチルヌクレオシド類似体などの1つまたは複数の抗ウイルスヌクレオシド類似体を含んでもよい。これらは、例えば、2'-C-メチルアデノシンまたは2'-C-メチルシチジンより選択されてもよい。
【0044】
また、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、治療ワクチンまたはDNAベースのワクチンより選択されるワクチンを含んでもよい。
【0045】
本発明の化合物を1つもしくは複数の従来の抗ウイルス化合物またはHCVアンタゴニスト薬剤と併用して使用する組み合わせ治療のために、1つもしくは複数の従来の抗ウイルス化合物または抗ウイルス剤の前に、それらの後に、またはそれらと同時に、化合物を対象に与えてもよい。
【0046】
好ましくは、本発明の組成物は、化合物および抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤の効果が、化合物および抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤単独の効果の総和よりも大きい、相乗組成物である。もちろん、新規化合物および既存の抗ウイルス剤の単純で、相加的な組み合わせも企図されるということが理解されよう。
【0047】
ウイルス阻害の対象は、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ウシ、ウマ、ロバ、もしくはブタ);コンパニオン動物(例えば、イヌもしくはネコ);実験室での試験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、もしくはハムスター);または捕獲野生動物(例えば、キツネもしくはシカ)などの、しかしこれらに限定されない、哺乳動物である。好ましくは、対象は霊長類である。最も好ましくは、対象はヒトである。
【0048】
本発明の方法は、HCV感染の治療および予防に特に有用である。例えば、HCVに感染した対象において、HCVの複製を防ぎ、それにより急性または慢性のC型肝炎の発病を防ぐために、抗ウイルス活性に影響を及ぼし得る。あるいは、本発明の方法を用いて、血清HCV量を低下させるかまたはHCV感染の症状を緩和し得る。
【0049】
本発明の方法は、罹患細胞におけるHCV保有の定着を防ぐためにHCV感染の初期段階でまたはHCVの源と考えられるものへの曝露の直前もしくは曝露後の期間に適用されるべき予防的治療としてのいずれかで特に有用であり得る。
【0050】
本明細書における「治療的」および「予防的」への言及は、それらの最も幅広い文脈で考えられるべきである。用語「治療的」は、哺乳動物を完全回復まで治療することを必ずしも意味するものではない。同様に、「予防的」は、対象がいずれは疾患状態を縮小することを必ずしも意味するものではない。したがって、治療および予防には、特定の状態の症状を改善することまたは特定の状態を発症するリスクを予防するかもしくはさもなければ低下させることが含まれる。用語「予防」を、特定の状態の発病の重症度を低下させることと考えてもよい。治療はまた、既存の状態の重症度または急性発作の頻度を低下させてもよい。
【0051】
本発明の方法に従って、2つ以上の組成物を、1つまたは複数のその他の治療剤と共投与してもよい。「共投与された」によって、同じもしくは異なる経路を介した同じ製剤もしくは2つの異なる製剤での同時投与または同じもしくは異なる経路による連続投与が意味される。「連続」投与によって、ある化合物の投与から次の化合物の投与までの秒、分、時間、または日の時間差が意味される。組成物および追加の治療剤を任意の順序で投与してもよい。
【0052】
投与の経路には、静脈内(iv)、腹腔内、皮下、頭蓋内、皮内、筋肉内、眼球内、髄腔内、脳内、鼻腔内、経粘膜、または口、直腸への注入、iv点滴、パッチ、およびインプラントによるものが含まれるが、これらに限定されない。静脈内経路が特に好ましい。
【0053】
本発明はまた、クリーム、ローション、およびジェルなどの局所適用に好適な形態にまで及ぶ。
【0054】
さらなる態様において、本発明は、本発明の第1の態様による組成物を含むHCVの治療のための肺また鼻投与用の製剤を提供する。
【0055】
投与の容易さおよび投薬の均一性のために非経口組成物を投薬単位形態で製剤化することは特に有利である。本明細書で使用するとき、投薬単位形態とは、治療すべき哺乳動物対象のための単位投薬として適した物理的に別個の単位を指し;各々の単位は、必要とされる薬学的担体と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定の分量の活性材料を含む。本発明の新規投薬単位形態の規格は、(a)活性材料の独特の特徴および達成されるべき特定の治療効果ならびに(b)配合の分野に固有の限界によって決定され、それらに直接的に左右される。
【0056】
投薬単位形態および局所調製物の調製のための手順については、Pharmaceutical
Handbook. A Martindale Companion Volume、Ainley Wade編、第19版、The Pharmaceutical Press London、CRC Handbook of Chemistry and Physics、Robert C. Weast Ph D編、CRC Press Inc.;Goodman and Gilman's;The Pharmacological basis of Therapeutics.第9版.McGraw Hill;Remington;およびThe Science and Practice of Pharmacy、第19版、Alfonso R. Gennaro編、Mack Publishing Co. Easton Pennsylvaniaなどの教科書から当業者が容易に利用できる。
【0057】
本発明によって企図される有効量は、状態の重症度ならびにレシピエントの健康および年齢によって様々である。一般論として、有効量は、0.01ng/kg体重から約100mg/kg体重まで様々であり得る。
【0058】
これから、本発明を、本発明の化合物の合成プロトコル、ウイルス阻害、およびその他の抗ウイルス特性を記載する具体的ではあるが、非限定的な実施例を参照してより詳細に記載する。抗ウイルス活性を有する化合物の合成およびスクリーニングについては、本明細書に記載されているかまたはその全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT/AU2004/000866により詳細に記載されている様々な手法によって達成することができる。
【0059】
しかしながら、具体的な手順、化合物、および方法の詳細な記載は、単に本発明を例示する目的のために含まれるということが理解されるべきである。それは、決して、上記に示したような本発明の広範な記載に対する制限として理解されるべきではない。
【0060】
実施例
本発明の全ての化合物の抗ウイルス活性については、本明細書に記載されているかもしくはその全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT/AU2004/000866により詳細に記載されている方法を用いて確認することができるし、かつ確認されている。さらに、本明細書に記載されているか、参照した刊行物に記載されているか、またはさもなければ当業者に公知の、一般と特定の両方の、本発明の化合物の合成のための方法を用いて、本発明の全ての化合物を調製することができる。有用な合成プロトコルは、その全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT/AU2006/000880にも提供されている。
【0061】
より具体的には、グアニジン(通常その塩酸塩からインサイチューで生成される)を好適に活性化されたカルボン酸の誘導体と反応させる工程を含む様々な方法によって、アシルグアニジンを合成することができる。例としては以下のものが挙げられる。
i)Yamamoto et al., Chem. Pharm. Bull., 1997, 45, 1282によって例示された、酸塩化物からの合成
ii)米国特許第2,734,904号によって例示された、単純エステルからの合成
iii)米国特許第5,883,133号によって例示された、カルボニルジイミダゾールによるインサイチューでの活性化を介した、カルボン酸からの合成。
【0062】
本明細書に記載されたアシルグアニジンの調製に必要とされるカルボン酸前駆体を種々様々な方法で得た。数多くの置換ケイ皮酸が市販されている。さらに、置換ケイ皮酸およびそれらの単純エステルの合成のための数々の手順は、十分に記載されており、以下のものを含む:
i)Chemical Reviews, 1944, 35, 156、およびその中に含まれる参考文献に記載されている、マロン酸と芳香族アルデヒドおよび塩基との反応(ドブナー縮合)。
ii)Organic Reactions, 1942, 1, 210、およびその中に含まれる参考文献に記載されている、無水酢酸と芳香族アルデヒドおよび塩基との反応(パーキン反応)。
iii)Organic Reactions, 1982, 28, 345、およびその中に含まれる参考文献に記載されている、パラジウム触媒を用いたアクリル酸およびその単純エステルと芳香族ハライドまたは芳香族トリフラートとの反応(ヘック反応)。
iv)Organic Reactions, 1977, 25, 73、およびその中に含まれる参考文献に記載されている、ホスホノ酢酸トリアルキルと芳香族アルデヒドおよび塩基との反応(ホルナー・エモンズ反応)。
【0063】
多くの単純なハロ、ヒドロキシ、およびアルコキシ置換ナフトエ酸は、市販されているかまたは当技術分野で公知であるかのいずれかであり、これらは置換ナフトイルグアニジンの出発材料を提供した。
【0064】
多くの場合、遷移金属触媒を用いてハロナフトエ酸を好適な有機金属試薬と反応させることによって、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および複素環基で置換されているナフトエ酸を調製することができる。本明細書に記載されたナフトイルグアニジンの前駆体として使用される多くの置換ナフトエ酸を調製するのに使用されるこの手法の1つのそのような変形は、ブロモナフトエ酸と、好適に置換されたボロン酸(またはボロン酸エステル)との間のパラジウムを触媒とする炭素-炭素結合形成反応であった。この反応は、鈴木カップリング(Chemical Reviews, 1995, 95, 2457およびその中の参考文献に記載)として当技術分野で広く知られている。この反応は、幅広い適用性を有しており、様々な置換ハロナフタレンに対して使用することができる。その後、この置換ハロナフタレンを、必要なカルボン酸を導入するかまたはそれを脱マスキングするようにさらに作り上げていくことができる。
【0065】
1.一般的な合成手法
1.1 一般的手順A - アリールトリフラートの調製
0℃のフェノール(10mmol)のピリジン溶液(7mL)に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(11mmol、1.1eq)をゆっくりと添加した。得られた混合物を0℃でさらに5分間撹拌した後、室温まで加温し、TLC分析によって出発フェノールが消費されてしまったことが示されるまで撹拌した。その後、この混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで(3回)抽出した。合わせた抽出物を、水、1M塩酸水溶液、水、およびブラインで連続的に洗浄し、その後、乾燥させ(MgSO4)、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物で溶出することにより、所望のアリールトリフラートが、通常は無色オイルとして得られた。
【0066】
1.2 一般的手順B - トリフラートのヘック反応を経由したケイ皮酸エステル
ジメチルホルムアミド(30mL)中のフェニルトリフラート(10mmol)、アクリル酸メチル(14mmol、1.4eq)、トリエチルアミン(40mmol、4eq)、およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.3mmol、0.03eq)の混合物を90℃で加熱した。この反応をGC/MSでモニタリングし、反応を完了させるべく、新しいバッチのアクリル酸メチル(1eq)、トリエチルアミン(2eq)、およびパラジウム触媒(0.03eq)を必要に応じて添加した。その後、この混合物を水に注ぎ、ジエチルエーテル/ヘキサンの1:1混合物で(3回)抽出した。合わせた抽出物を、水、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、シリカゲルのパッドに通して濾過し、濾過物を真空中で濃縮して、粗生成物をオイルとして得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物で溶出することにより、所望のケイ皮酸メチルが、通常は無色オイルとして得られた。
【0067】
1.3 一般的手順C - 臭化物のヘック反応を経由したケイ皮酸エステル
臭化アリール(10mmol)、酢酸パラジウム(0.1mmol, 0.01eq)、およびトリ-o-トリルホスフィン(0.4mmol, 0.04eq)を反応フラスコに添加し、窒素でパージした。その後、これに、アクリル酸メチル(12.5mmol, 1.25eq)、トリエチルアミン(12.5mmol, 1.25eq)、およびジメチルホルムアミド(1mL)を添加し、混合物を100℃で加熱した。この反応をGC/MSでモニタリングし、反応を完了させるべく、新しいバッチの酢酸パラジウム(0.01eq)、トリ-o-トリルホスフィン(0.04eq)、アクリル酸メチル(1.25eq)、およびトリエチルアミン(1.25eq)を必要に応じて添加した。この混合物を水に注ぎ、ジエチルエーテル/ヘキサンの1:1混合物で(4回)抽出した。合わせた抽出物を、水、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、シリカゲルのパッドに通して濾過し、濾過物を真空中で濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物で溶出することにより、所望のケイ皮酸メチルが、通常は無色オイルとして得られた。
【0068】
1.4 一般的手順D - ホルナー・エモンズ反応を経由したケイ皮酸エステル
トリエチルホスホノ酢酸(13mmol, 1.3eq)の無水テトラヒドロフラン溶液(10mL)を、0℃窒素下で、5分間かけて、水素化ナトリウム(14.3mmol, 1.4eq)の無水テトラヒドロフラン懸濁液(10mL)に添加した。その後、この混合物を0℃で20分間撹拌した。その後、ベンズアルデヒド(10mmol)のテトラヒドロフラン溶液(15mL)を0℃で10分間かけて添加した。この混合物を0℃でさらに30分間撹拌した後、GC/MSまたはTLC分析によってベンズアルデヒド出発材料が消費されてしまったことが示されるまで室温で撹拌した。典型的には、出発アルデヒドの完全な消費を確実にするために、反応物を室温で一晩撹拌した。この混合物を水に注ぎ、その有機層を分離し、その水層を酢酸エチルで(3回)抽出した。その後、合わせた有機抽出物を、水、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物で溶出することにより、所望のケイ皮酸エチルが、通常は無色オイルとして得られた。
【0069】
1.5 一般的手順E - 5-フェニルペンタ-2,4-ジエンエステルの調製
トリエチル4-ホスホノクロトネート(26mmol、1.3eq)の無水テトラヒドロフラン溶液(10mL)を、0℃窒素下で、5分間かけて、水素化ナトリウム(28mmol、1.4eq、60%油中懸濁)の無水テトラヒドロフラン懸濁液(15mL)に添加した。その後、この混合物を0℃で20分間撹拌した。その後、ベンズアルデヒド(20mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)を0℃で10分間かけて添加した。この混合物を0℃でさらに30分間撹拌し、その後、GC/MS分析によって出発アルデヒドが消費されてしまったことが示されるまで室温で撹拌させた。この反応混合物を水に注ぎ、その有機層を分離し、その水層を酢酸エチルで(3回)抽出した。その後、合わせた有機抽出物を、水、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で濃縮して、粗エチルエステルをオイルとして得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物で溶出することにより、所望のエチルエステルが無色オイルとして得られた。
【0070】
1.6 一般的手順F - エステルの加水分解
エステル(10mmol)のメタノール(50mL)および水(5mL)溶液を、6M水酸化カリウム(20mmol、2eq)の水溶液で処理し、混合物を、TLC分析によって出発材料がもはや存在しないことが示されるまで(通常2〜3時間)還流下で加熱した。その後、この混合物を水(50〜200mL)に注ぎ、濃塩酸で約pH2まで酸性化した。得られたカルボン酸を濾過で回収し、水で洗浄し、高真空下で一晩乾燥させた。
【0071】
1.7 一般的手順G - ブロモナフトエ酸の鈴木反応
ブロモ-2-ナフトエ酸(2mmol)、適当なボロン酸(またはボロン酸エステル)(2.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1mmol)、および固形炭酸ナトリウム(6.8mmol)を反応フラスコに添加し、その後これを窒素でパージした。アセトニトリル(6mL)および水(2.5mL)を添加し、混合物を、出発ブロモ-2-ナフトエ酸が消費されてしまうまで激しく撹拌しながら還流下で加熱した。その後、この反応混合物を、トルエン(50mL)と0.5M水酸化ナトリウム溶液(100mL)の間に分配した。この水層を(トリフェニルホスフィンを全て取り除くために)トルエン(3×20mL)で洗浄し、その後、濃塩酸でpH1まで酸性化した。このナフトエ酸誘導体を酢酸エチル(4×20mL)中に抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を、水(3×20mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、その後、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮した。この残渣を1H NMRで分析し、(必要な場合には)シリカゲルクロマトグラフィーにかけた。
【0072】
1.8 一般的手順H - アシルグアニジンの調製
1滴のジメチルホルムアミドを含むカルボン酸(10mmol、1.0eq)のジクロロメタン懸濁液/溶液(30mL)に、この溶液を発泡させる塩化オキサリル(12mmol、1.2eq)を添加した。2時間撹拌した後、得られた溶液を、減圧下で乾燥するまで蒸発させた。この残渣を乾燥テトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、塩酸グアニジン(50mmol、5.0eq)の2M水酸化ナトリウム水溶液(30mL)に添加した。この反応物を室温で1時間撹拌し、その後、テトラヒドロフラン層を分離した。この水層をクロロホルム(100mL)、次いで酢酸エチル(100mL)で抽出し、合わせた有機層を減圧下で蒸発させた。得られた残渣をクロロホルム(200mL)と2M水酸化ナトリウム水溶液(100mL)の間で分配し、その有機層を分離し、乾燥させた(Na2SO4)。この溶液を濾過し、固体が沈殿し始める時点まで減圧下で蒸発させた。この時点で、ヘキサンを添加して、濾過により回収しかつ高真空下で乾燥させた生成物を沈殿させた。
【0073】
2.具体的な実験による合成の実施例
実施例1:4-ヒドロキシインダン
4-アミノインダン(3.0g)を濃硫酸(2.4mL)の水溶液(15mL)に添加した。さらに水(15mL)を添加し、混合物を5℃まで冷却した。5℃未満の温度を維持しながら、亜硝酸ナトリウム(1.71g)の水溶液(4.5mL)をこの混合物に少しずつ添加した。添加し終わった後、混合物を室温まで加温し、尿素(0.29g)を添加した。この混合物をさらに5分間撹拌した後、45℃で30分間加熱した。その後、混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を、2M水酸化ナトリウム水溶液(2×100mL)で洗浄し、その後、これらの水性抽出物を塩酸で酸性化し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。その後、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)後、真空中で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサン(1:7)で溶出することにより、4-ヒドロキシインダンがオレンジ色オイル(1.0g)として得られた。
【0074】
実施例2:4-インダニルトリフレート
0℃の4-ヒドロキシインダン(1.2g,
8.9mmol)のピリジン溶液に、トリフルオロメタンスルホン無水物(1.6mL、9.8mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を0℃で5分間撹拌した後、室温まで加温し、その後、45分間撹拌した。その後、この混合物を水に注ぎ、酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。合わせた抽出物を、水、1M塩酸水溶液、水、およびブラインで連続的に洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮して、粗トリフレートをオレンジ色オイル(2.13g、89%)として得た。
【0075】
実施例3:メチル3-(インダン-4-イル)アクリレート
ジメチルホルムアミド(15mL)中の粗4-インダニルトリフレート(2.13g、8.0mmol9、アクリル酸メチル(1.01mL、11.2mmol)、トリエチルアミン(4.4mL、32mmol、4eq)、およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(170mg、0.24mmol)の混合物を85℃で71時間加熱した。少量のアリコートを取り出し、GC/MS分析で調べ、それによりかなりの量の出発材料がまだ存在することが明らかになった。追加のアクリル酸メチル(0.7mL)、トリエチルアミン(2mL)、およびパラジウム触媒(170mg)を添加し、混合物をさらに24時間加熱した。その後、この混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、その有機抽出物を、水、次にブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮して、粗生成物を油(2.4g)として得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサン(1:19)で溶出することにより、出発トリフレート(812mg、38%)が無色オイルとして得られ、その後、所望のメチル3-(インダン-4-イル)アクリレートが茶色オイル(880mg、54%)として得られた。
【0076】
実施例4:メチル3-ベンゾイルシンナメート
3-ブロモベンゾフェノン(5.0g、19mmol)、酢酸パラジウム(215mg、0.958mmol)、およびトリ-o-トリルホスフィン(290mg、0.953mmol)の混合物に、トリエチルアミン(3.3mL、45mmol)、トルエン(4mL)、およびアクリル酸メチル(2.2mL、27mmol)を添加した。この混合物を100℃で18時間加熱した。この時点でTLC分析により、反応がまだ不完全であることが示された。さらなる部分の酢酸パラジウム(215mg、0.958mmol)、トリ-o-トリルホスフィン(290mg、0.953mmol)、トリエチルアミン(3.3mL、45mmol)、およびアクリル酸メチル(2.2mL、27mmol)を添加し、混合物を110℃でさらに18時間加熱した。室温まで冷却した後、この混合物を水に注ぎ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水およびブラインで連続的に洗浄し、その後、乾燥させ(MgSO4)、茶色オイル(5.3g)になるまで濃縮した。このオイルをシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサン(1:9)で溶出することにより、メチル3-ベンゾイルシンナメート(4.6g、91%)が黄色固体として得られた。
【0077】
実施例5:3-ベンゾイルケイ皮酸
5M水酸化カリウム水溶液(10mL、50mmol)を、メチル3-ベンゾイルシンナメート(2.5g、9.4mmol)のメタノール溶液(20mL)に添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。この混合物を濃縮し、1M塩酸水溶液を用いてpH1まで酸性化した。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥させて、3-ベンゾイルケイ皮酸(2.2 g、93%)を黄色固体として得た。
【0078】
実施例6:5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトエ酸
250mLの丸底フラスコ中の5-ブロモ-2-ナフトエ酸(2.12g、8.44mmol)、1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾル(1.84g、8.86mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(502mg、0.435mmol)の混合物を蒸発させ、窒素でパージした(3サイクル)。この混合物にアセトニトリル(40mL)および2M炭酸ナトリウム水溶液(10mL)をシリンジで添加し、その混合物を窒素下で22時間還流下に加熱した。この反応混合物を冷却した後、1M塩酸水溶液(30mL)を添加し、その後、それを酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮して、粗生成物(風乾後2.98g)を得た。この粗材料を熱いエタノール(150mL)に溶解し、熱いうちに濾過して、黄色不純物(120mg)を除去した。この濾過物を真空中で濃縮し、その残渣をジクロロメタン(30mL)から再結晶化し、5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトエ酸を白色固体(724mg、34%)として得た。ジクロロメタン(20mL)からの再結晶化により、5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトエ酸(527mg、25%)の第二収穫物が濃縮母液から得られた。
【0079】
実施例7:5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトイルグアニジン
塩化オキサリル(1.1mL、13mmol)を、ジメチルホルムアミド(2滴)を含む5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトエ酸(1.19g、4.71mmol)の無水ジクロロメタン溶液(200mL(反応の間に少しずつ添加して溶解させる))に窒素下で添加し、その混合物を室温で4.25時間撹拌した。その後、この反応混合物を40℃で1時間加熱した後、減圧下で濃縮した。得られた粗酸塩化物を無水テトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、この混合物を塩酸グアニジン(2.09g、21.9mmol)の2M水酸化ナトリウム溶液(15mL、30mmol)に滴下し、その後、この反応混合物を30分間撹拌した。この有機層を分離し、その水層をクロロホルム(3×30mL)、次いで酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、1M水酸化ナトリウム水溶液(60mL)および水(40mL)で連続的に洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮して、ガラス状固体(高真空下で乾燥させた後に1.45g)を得た。この固体をジクロロメタンに溶解し、その後、それをゆっくり蒸発させて、5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトイルグアニジンを黄色固体(1.15g、83%)として得た。
【0080】
実施例8:エチル2,3-メチレンジオキシシンナメート
ホスホノ酢酸トリエチル(4.05mL、20.2mmol)を0℃窒素下で、撹拌した水素化ナトリウム(0.80g、20mmol)の無水テトラヒドロフラン(20 mL)懸濁液に滴下した。この混合物を0℃で20分間撹拌した。2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒド(2.50g、16.7mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)を0℃で滴下した。この混合物を2時間撹拌し、その間にそれを室温まで加温した。この混合物を水(250mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。その後、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で濃縮した。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサン(1:10)で溶出することにより、エチル2,3-メチレンジオキシシンナメートが無色固体(3.50g、92%)として得られた。
【0081】
実施例9:2,3-メチレンジオキシケイ皮酸
エチル2,3-メチレンジオキシシンナメート(3.40g)のメタノール(25mL)および水(5mL)溶液を、水酸化カリウム(4.3g)の水溶液(25mL)で処理した。この混合物を室温で一晩撹拌した後、真空中で濃縮し、もとの体積の半分にした。その後、この濃縮物を濃HClで酸性化し、濾過により回収し、真空下で一晩乾燥させて、2,3-メチレンジオキシケイ皮酸を無色固体(2.81g、95%)として得た。
【0082】
実施例10:2,3-メチレンジオキシシンナモイルグアニジン
塩化オキサリル(0.68mL、7.8mmol)を、1滴のジメチルホルムアミドを含む2,3-メチレンジオキシケイ皮酸(500mg、2.6mmol)のジクロロメタン懸濁液(5mL)に添加した。この混合物を2.5時間撹拌し、得られた溶液を減圧下で乾燥するまで蒸発させた。この残渣を乾燥テトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、塩酸グアニジン(1.24g、13mmol)の2M水酸化ナトリウム水溶液(8mL)に添加した。この反応物を室温で1時間撹拌し、その後、クロロホルムを添加した。得られた粗生成物の沈殿(100mg)を濾過により回収した。この濾過物をクロロホルム(3×30mL)および酢酸エチル(20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、2M水酸化ナトリウム水溶液(20mL)、水(20mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減圧下で濃縮して、さらなる分量の粗生成物(400mg)を得た。粗生成物の2つの収穫物を合わせて、クロロホルム(10mL)に懸濁し、20分間激しく撹拌した。得られた2,3-メチレンジオキシシンナモイルグアニジン(420mg)を濾過により回収し、真空下で乾燥させた。
【0083】
実施例11:細菌バイオアッセイ法を用いた化合物の抗ウイルス活性
異なるウイルス標的に対する化合物の抗ウイルス活性を試験するために本実施例で使用される細菌バイオアッセイ法は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるPCT/2004/000866に詳しく記載された。このアッセイを下記のGBV-BおよびBVDVアッセイと併用して用いて、全ての活性化合物が同定されることを確保した。この化合物の中には、どちらか一方のアッセイで活性があるものがある一方、両方のアッセイで活性があり得るものもある。
【0084】
簡潔に述べると、潜在的な抗HCV化合物をスクリーニングするための細菌バイオアッセイは、HCV p7イオンチャネルタンパク質に基づく。p7は、HCVによってコードされる小さい膜タンパク質であり、ウイルスの増殖および/または複製を支える機能的活性を有する。
【0085】
大腸菌でのp7タンパク質の発現用にコドンが最適化されている、p7をコードする合成cDNA断片cDp7.coliを、発現プラスミドpPL451にクローニングし、ベクターpPLp7を作製した。このベクターは、PCT/2004/000866に詳しく記載されたように、p7発現が温度誘導性である。37℃でp7を発現する大腸菌細胞の増殖の阻害を、細菌細胞によって維持される正常なNa+勾配を消散させるp7イオンチャネル機能の指標として観察した。特定の化合物の適用部位周辺の増殖のハローは、この化合物が、その化合物が存在しないときには増殖を妨げるp7イオンチャネル活性の発現を阻害することを示している。
【0086】
ある期間にわたって取得し、平均化した細菌バイオアッセイ試験の累積結果を下記の表1にまとめた。
【表1】
【0087】
化合物の相対活性を比較するためではなく、アッセイがうまく行っていることを保証するために、陽性対照をこのアッセイで使用した。ゼロを上回る結果は、化合物が潜在的な抗ウイルス活性を有することを示す。
【0088】
実施例12 - C型肝炎ウイルスに対するp7阻害剤の試験
新しい潜在的HCV薬物の抗ウイルス効力の試験は、一般的に利用しやすいHCV用の細胞培養モデル系がないために難しくなっている。代替的なフラビウイルス系、特にGBV-BおよびBVDV(ウシウイルス性下痢ウイルス)系を用いて、提案されたp7阻害剤を試験した。
【0089】
GBV-Bは、HCVに最も密接に関連するフラビウイルスであり、27〜33%のヌクレオチド配列同一性および完全なポリペプチド配列に対する28%のアミノ酸類似性を共有する。このウイルスは、小型の新世界霊長類に感染し、初代マーモセット肝細胞(PMH)培養においてインビトロで効率的に複製するので、HCV用の優れた代替系を代表する。HCV p7のGBV-Bホモログは、p13と呼ばれている。(p7と最も大きい相同性を共有する)p13の2つのC末端膜貫通ヘリックスに対応する合成ペプチドが、p7チャネルのように、アマンタジンで遮断される陽イオン選択的なイオンチャネル(Premkumar et al., 2006)を形成することが本明細書で示されている。他方、p7とは異なり、HMAはp13チャネルを阻害しない。これらの観察によって、2つの相同なチャネルは、よく似ているが、同一ではない、構造的特色を共有することが確認される。
【0090】
選択されたBIT化合物(HCV
p7の阻害剤の細菌アッセイスクリーニングで同定したもの)を、初代マーモセット肝細胞でのGBV-B複製を阻害する能力について試験した(図1参照)。10×TCID50のGBV-B陽性マーモセット血清と共にプレーティングした3日後、肝細胞を播種した。HCVを2時間吸着させ、その後、細胞を3回洗浄し、ホルモンおよび増殖因子が補充された新鮮な無血清培地(SFM)中で2日間培養した。培養上清に放出されたウイルスを、リアルタイムRT-PCRで決定するように、ウイルスRNAコピー数として測定した。化合物(DMSOに溶解したもの)を、ウイルス接種の30分前(「前処置」)、または接種および洗浄工程の直後(「後処置」)のいずれかに、この培地に添加した。未処置対照、陰性対照(DMSOのみ)、および陽性対照(10μg/mlポリI:C)を実験に含めた。肝細胞に対する化合物の細胞毒性を標準的なMTTアッセイで試験した。
【0091】
最も特筆すべき結果は、20μM BIT225で前処置した細胞で見られ、この細胞では培養上清中にウイルスが検出されなかった。20μM BIT100は、1.0 logよりも大きくウイルス複製を低下させ、ポリI:C陽性対照よりも強くウイルスを阻害した。BIT225とBIT100の効力はともに、これらの化合物を接種後に添加した場合に若干低下し、これらの化合物がウイルス生活環の非常に早い段階で作用し得ることが示唆された。図1の化合物はどれも、20μMで肝細胞への細胞毒性を示さなかった。
【0092】
BVDVは、フラビウイルス科のペスチウイルス属に属しており、それらのゲノム構造、遺伝子産物、および複製周期に多くの類似性があるために、潜在的なHCV抗ウイルス剤を同定するための代替モデル系として広く用いられている。加えて、初代肝細胞でしか培養することができないGBV-Bとは異なり、BVDVは組織培養で容易に増殖し、よく使用される株は細胞変性性であり、抗ウイルス薬物の簡単な試験に役立つ。BVDVのHCV p7ホモログは、イオンチャネルを形成することおよび感染性ウイルス粒子の生成に不可欠であることが知られている(Harada et al., 2000およびGriffin et al., 2005)。
【0093】
選択されたBIT化合物のBVDVに対する抗ウイルス評価を、Southern Research Institute (SRI), Fredrick MD USAに外部委託した。簡単な細胞保護フォーマットを使用した。このフォーマットでは、化合物の抗ウイルス効力を、それら化合物がMadin-Darby ウシ腎臓細胞におけるBVDV感染の細胞変性効果を低下させる能力によって評価する(Buckwold et al., 2003)。
【0094】
ウイルスによって誘導される細胞病原性効果(CPE)の阻害アッセイ法を利用して、T-75フラスコで継代されたMadin-Darby ウシ腎臓(MDBK)細胞における、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)株NADLに対する化合物の抗ウイルス活性を評価した(1, 2)。6つの半ログ濃度の各化合物を攻撃ウイルスに対して3通りで試験するように、抗ウイルスアッセイを設計した。培地のみを含む細胞対照(CC)、培地およびウイルスを含むウイルス感染細胞対照(VC)、培地および各々の薬物濃度を含む薬物細胞毒性対照、培養培地のみ(細胞なし)を含む試薬対照、ならびに薬物および培地(細胞なし)を含む薬物比色対照を、試験試料と同時に行なう。ヒトインターフェロン-α 2bを陽性対照化合物として使用した。アッセイの前日、細胞をトリプシン処理し、ペレット化し、計数し、ウェル当たり100μlの容量ずつ、96ウェル平底組織培養プレート中の組織培養培地に1×104/ウェルで再懸濁した。細胞をプレーティングした1日後、ウェルを洗浄し、培地を、半ログ系列で培地に希釈された様々な濃度の試験化合物を含む完全培地(2%血清)と交換した。事前に力価測定した(pre-titered)ウイルスのアリコートを、各実験の直前に冷凍庫(-80℃)から取り出した。各ウェルに添加されるウイルスの量が、感染後6〜7日で完全な細胞殺傷をもたらすように、ウイルスを組織培養培地に希釈した。最大CPEが未処置のウイルス対照培養で観察されるまで(約7日)、5%CO2を含む加湿雰囲気中、37℃で、プレートをインキュベートした。Cell Titer 96(Promega)を用いて、化合物によるCPEの阻害を決定した。生存細胞の数を決定するための比色法を用いた。コンピュータプログラムを利用して、ウイルス感染したウェルのCPE低下のパーセントおよび感染していない薬物対照ウェルの細胞生存率を算出した。片対数曲線フィッティングを用いる回帰分析を用いて、CPEを50%低下させる最小阻害薬物濃度(IC50)および生存細胞の50%低下をもたらす最小毒性薬物濃度(TC50)を算出した。TC50をIC50で割ることにより、各々の活性化合物の治療(選択性)指標(TI50)を決定した。
【0095】
薬物細胞毒性を感染していない細胞で別々に測定した。第一の実験で11個のBIT化合物を試験した。この実験では、化合物を感染の直前に細胞に添加し、実験全体を通じてずっと維持した。それらのうちの2つ、BIT225およびBIT314は、サブマイクロモルのIC50値をもたらした(下記の表2参照)。
【表2】
【0096】
その後のBIT225を用いた反復アッセイにより、0.33μM という同様のIC50値がもたらされた。下記の表2aに示すように、本発明の追加の化合物も試験した。
【表2a】
【0097】
実施例13 - BIT225とIFNまたはリバビリンとの組み合わせを用いたHCVの阻害
BIT225/IFNおよびBIT225/リバビリンの組み合わせをウイルスに対して試験した。図2、3、および4は、各々の薬物が個々に以下のEC50値をもたらしたことを示す。すなわち、BIT225については314nM;rIFNα-2bについては21.7IU/ml;しかし、リバビリンについては、それ単独では、20μg/mlまでの範囲でほんの少しの抗ウイルス活性しか検出されなかった。
【0098】
単独で試験したときの各化合物の活性をもとに薬物の組み合わせの効果を算出した。予想される相加的な抗ウイルス防御を、実験的に決定された各組み合わせ濃度での抗ウイルス活性から差し引き、陽性値(相乗作用)、陰性値(拮抗作用)、またはゼロ(相加作用)を結果として得た。相乗作用量(synergy volume)(濃度×濃度×パーセント、例えば、μM2%、nM2%、nMμM%などの単位)を95%信頼区間で算出した。これらの検討のために、相乗作用を50よりも大きい相乗作用量をもたらす薬物の組み合わせと定義した。わずかに相乗的な活性および極めて相乗的な活性を、それぞれ、50〜100および>100の相乗作用量をもたらすものと操作的に定義する。相加的な薬物相互作用が、-50〜50の範囲の相乗作用量を有する一方、-50〜-100の相乗作用量は、わずかに拮抗性であると考えられ、<-100の相乗作用量は、極めて拮抗的である。
【0099】
表3に組み合わせ研究の結果をまとめる。BIT225およびIFNは、わずかな相乗作用を示す87IU/mlμM%という平均相乗作用量を有していたが、この値は「極めて相乗的」のカットオフに近く、3回の実験のうちの1回で、この相互作用が極めて相乗的であることが分かったことに留意されたい。興味深いことに、BIT225/リバビリンの組み合わせは、わずかに拮抗的であった。リバビリンがそれ単独で抗ウイルス活性を有さなかったこれらの実験では、リバビリンがBIT225の強い抗ウイルス活性に拮抗していたことを、この結果は示す。
【0100】
異なる組み合わせの抗ウイルス化合物の間の相乗作用の程度を「等級分けする」試みも本明細書でなされたが、用語「相乗作用」はその絶対的な意味でも一般に用いられ、したがって、任意のレベルの相乗作用が本発明の組み合わせに関して有意義かつ重要であると考えられるということが理解されよう。
【表3】
【0101】
実施例14 - BIT225、IFN、およびリバビリンの組み合わせを用いたHCVの阻害
上記の組み合わせ研究の結果によって、BIT225とIFNαの抗ウイルス活性の間の相乗効果が明らかにされた。リバビリンはそれ単独でBVDVに対する非常にわずかな活性を有するが(図4参照)、この化合物はIFNαの抗ウイルス活性を増強させるということも文献から周知である。興味深いことに、わずかな拮抗作用がリバビリンとBIT225の間に報告されたが(表3参照)、これはもっぱら、より高い濃度で両薬物を試験したときに見られた。
【0102】
BIT225、IFNα、およびリバビリンの組み合わせの効果を試験した。2つの固定された、サブEC50濃度のIFNα(5および10IU/ml)を選び、様々な濃度のBIT225およびリバビリンに対して試験した:4μMの高試験濃度からの8つの2倍希釈のBIT225および20μg/mlの高試験濃度からの5つの2倍希釈のリバビリンを試験した。表4に提示した結果は、試験した両方の固定濃度のIFNαでのBIT225とリバビリンの間の極めて相乗的な抗ウイルス活性を示す。
【表4】
【0103】
データのさらなる解析によって、5IU/ml IFNα+試験した最低濃度のBIT225(31nM)+試験した最低濃度のリバビリン(1.25μg/ml)の組み合わせについて、ウイルスCPEの70%阻害が明らかになっている。10IU IFNαの存在下における同じ低濃度のBIT225およびリバビリンは、90%ウイルス阻害をもたらした。比較のために、より初期の研究によると、5IU/ml IFNα単独では約8%阻害が得られ;31nM BIT225単独では約5%阻害が得られ;1.25μg/mlリバビリン単独では抗ウイルス活性が示されない。明らかに、3種類の組み合わせがBVDVに対して極めて有効である。
【0104】
図5は、IFNαの存在下または非存在下における31nM BIT225および/または1.25μgリバビリンで見られるウイルス阻害のレベルを示す。
【0105】
図6は、5および10IU/m IFNαの存在下におけるBIT225についての全範囲用量応答曲線を示し、かつ1.25μg/mlの添加による抗ウイルス効果の増強を示す。挿入図は、5および10IU/m IFNαの存在下におけるリバビリンについての全範囲用量応答曲線を示す。
【0106】
Prismソフトウェアを用いて傾き(Hill slope)を制約して行なわれた標準的なS字型曲線フィッティングによって、5または10IU/m IFNαの存在下におけるBIT225のEC50値を、それぞれ、92(95%CI:22〜385)nMおよび71(95%CI:41〜1240)nMと決定した。可変の傾きを許す同様の曲線フィッティングによって、以前の実験で決定された値とよく一致する、同等のEC50値、すなわち、149および125nMが得られた。
【0107】
試験した全ての薬物の組み合わせが、ウイルスCPEの>70%阻害をもたらしたので、リバビリンを添加した実験からのデータについてEC50値を決定するのは不可能であった。
【0108】
まとめ
化合物BIT225を用いた組み合わせ研究により、以下のことが示される:
・BIT225単独で、314nM(95%CI:295〜333)のEC50値を有する良好な抗ウイルス活性を有する。
・BIT225は、IFNαとの組み合わせで相乗効果を示し;5IU/ml IFNαの存在下におけるBIT225のEC50値は、約92nM(95%CI:22〜385)まで下落する。
・BIT225、IFNα、およびリバビリンの3種類の組み合わせは、強く相乗的であり、31nM BIT225、5IU/m IFNα、および1.25μg/mlリバビリンで、ウイルスCPEの70%阻害をもたらす。
・3つの化合物の様々な組み合わせ:例えば、5IU/ml IFNα+500nM BIT225+2.5μg/mlリバビリン、または;10IU/ml IFNα+31nM BIT225+2.5μg/mlリバビリンで、完全なウイルス阻害を達成することができる。
【0109】
実施例15 - BIT225とヌクレオシド類似体2'-C-メチルアデノシンまたは2'-C-メチルシチジンとの組み合わせを用いたHCVの阻害
本発明のヌクレオシド類似体を、(2'-C-メチルアデノシンについて)Hecker SJ et al (2007) J. Med Chem. 50(16), 3891-6および(2'-C-メチルシチジンについて)Antiviral Research (2007) 73(3), 161-8に記載されたプロトコルを用いて合成してもよい。ヌクレオシド類似体を、NANJING BAIFULI TECHNOLOGY CO., LTD.(NAN JING BAI FU LI KE JI YOU XIAN ZE REN GONG SI), RM 701 , BLDG 15, High-Tech Zone, Nanjing, 210061, P.R.CHINAなどの商業源から入手することもできる。
【表5】
【0110】
上記の表5に、化合物BIT225およびヌクレオシド類似体、ならびにIFNおよび/またはリバビリンと化合物BIT314の組み合わせを用いた組み合わせ研究の結果をまとめる。
【0111】
本明細書で示すように、BIT225/2'-C-メチルアデノシンおよびBIT225/2'-C-メチルシチジンの組み合わせをウイルスに対して試験した。図7は、各ヌクレオシド類似体に活性があり、個々に以下のEC50値を有していたことを示す:2'-C-メチルアデノシン EC50=2.16μM(95%CI:1.54〜3.03μM);2'-C-メチルシチジン EC50=2.75μM(95%CI:0.86〜8.7μM)。
【0112】
先と同様に、単独で試験したときの各化合物の活性をもとに薬物組み合わせの効果を算出した。予想される相加的な抗ウイルス防御を、実験的に決定された各組み合わせ濃度での抗ウイルス活性から差し引き、陽性値(相乗作用)、陰性値(拮抗作用)、またはゼロ(相加作用)を結果として得た。相乗作用量(濃度×濃度×パーセント、例えば、μM2%、nM2%、nMμM%などの単位で)を95%信頼区間で算出した。これらの検討のために、相乗作用を50よりも大きい相乗作用量をもたらす薬物の組み合わせと定義した。わずかに相乗的な活性および極めて相乗的な活性を、それぞれ、50〜100および>100の相乗作用量をもたらすものと操作的に定義する。相加的な薬物相互作用が、-50〜50の範囲の相乗作用量を有する一方、-50〜-100の相乗作用量は、わずかに拮抗性であると考えられ、<-100の相乗作用量は、極めて拮抗的である。
【0113】
表5に、組み合わせ研究の結果をまとめる:BIT225と2'-C-メチルアデノシンは、「高い」相乗作用を示す106μM2%の平均相乗作用量を有した。BIT225と2'-C-メチルシチジンは、「わずかな」相乗作用を示す71μM2%の平均相乗作用量を有した。
【0114】
図8および9は、それぞれ、様々な濃度の2'-C-メチルアデノシンまたは2'-C-メチルシチジンの存在下におけるBIT225についての用量応答曲線に対する変化を示す。
【0115】
実施例16 - BIT314とIFNとの組み合わせを用いたHCVの阻害
BIT314/IFNの組み合わせをウイルスに対して試験した。BIT314を個別にBVDVに対して試験した2つの以前の実験から、210nMおよび390nM(平均=300nM)というEC50値が得られた。同様に、本発明者らは以前に、rIFNα-2bについて21.7IU/mlというEC50値を決定した。図10は、これらの組み合わせ研究の一部であった第3の実験で決定したときの、BIT314についての用量応答曲線を含む。その実験では、BIT314のEC50は540nMであった。
【0116】
先と同様に、実施例15に記載したように単独で試験したときの各化合物の活性をもとに薬物組み合わせの効果を算出した。表5に、組み合わせ研究の結果をまとめる:BIT314とIFNは、「高い」相乗作用を示す311μMIU/ml%の平均相乗作用量を有した。
【0117】
実施例17 - BIT314、IFN、およびリバビリンの3種類の組み合わせを用いたHCVの阻害
上記の組み合わせ研究の結果によって、BIT314とIFNαの抗ウイルス活性の間の強い相乗効果が明らかになった。リバビリンはそれ単独でBVDVに対する非常にわずかな活性を有するが(図4参照)、この化合物はIFNαの抗ウイルス活性を増強させるということも文献から周知である。
【0118】
BIT314、IFNα、およびリバビリンの組み合わせの効果を試験した。1つの固定された(サブEC50濃度の)IFNα(5IU/ml)を選び、様々な濃度のBIT314およびリバビリンに対して試験した:4μMの高試験濃度からの8つの2倍希釈のBIT314および20μg/mlの高試験濃度からの5つの2倍希釈のリバビリンを試験した。表Xにまとめた結果は、IFNαの存在下におけるBIT314とリバビリンの間の極めて相乗的な抗ウイルス活性:すなわち、361μMμg/ml%という相乗作用/拮抗作用量を示す。
【0119】
図10は、様々な濃度のrIFNα-2bの存在下におけるBIT314についての全範囲用量応答曲線を示し、図11は、5IU/m IFNα+1.25μg/mlリバビリンおよび5IU/m
IFNα+2.5μg/mlリバビリンの添加による抗ウイルス効果の増強を例証する。この実験では、Prismソフトウェアを用いて行なわれた標準的なS字型曲線フィッティングによって決定したとき、BIT314単独でのEC50値は、540nM(95%CI:389〜739nM)であり;5IU/ml
IFNα+1.25μg/mlリバビリンの存在下では、183nM(95%CI:148〜226nM)であった。
【0120】
まとめ
化合物BIT314を用いた組み合わせ研究により、以下のことが示される:
・BIT314単独で、380nM(SEM 95.4、n=3)の平均EC50値を有する良好な抗ウイルス活性を有する。
・BIT314は、IFNαとの組み合わせで相乗効果を示し;40IU/ml IFNαの存在下におけるBIT314のEC50値は、約60nMまで下落する。
・BIT314、IFNα、およびリバビリンの3種類の組み合わせは、強く相乗的であり、62nM BIT314、5IU/m IFNα、および2.5μg/mlリバビリンで、ウイルスCPEの70%阻害をもたらす。
・3つの化合物の様々な組み合わせ:例えば、5IU/ml IFNα+250nM BIT314+2.5μg/mlリバビリン、または;5IU/ml IFNα+500nM BIT314+1.25μg/mlリバビリンで、完全なウイルス阻害を達成することができる。
【0121】
本発明は具体的な実施形態に関して記載されているが、記載された本発明の原理および精神に即した変形および修正も包含されるということが理解されよう。
【0122】
参考文献
・VanCott TC, Mascola JR, Loomis-Price LD, Sinangil F, Zitomersky N, McNeil J, Robb ML, Birx DL, Barnett S. (1999) J. Virol. 73(6):4640-50
・Pauwels R, Balzarini J, Baba M, Snoeck R, Schols D, Herdewijn P, Desmyter J and De Clercq E. (1988) J. Virolog. Methods. 20:309-321
・D’Cruz OJ, Shih M-J, Yiv SH, Chen C-L, Uckun FM. (1999) Mol. Hum. Reprod. 5(5):421-432
・Joo, Hong-Gu. (2003) J. Vet. Sci. 4(3):229-234
・Ewart, G.D., T. Sutherland, P.W. Gage, and G.B. Cox, The Vpu protein of human immunodeficiency virus type 1 forms cation-selective ion channels. J Virol, 1996. 70(10): p. 7108-15.
・Ewart, G.D., K. Mills, G.B. Cox, and P.W. Gage, Amiloride derivatives block ion channel activity and enhancement of virus-like particle budding caused by HIV-1 protein Vpu. Eur Biophys J, 2002. 31(1): p. 26-35.
・Ewart, G.D., N. Nasr, H. Naif, G.B. Cox, A.L. Cunningham, and P.W. Gage, Potential new anti-human immunodeficiency virus type 1 compounds depress virus replication in cultured human macrophages. Antimicrob Agents Chemother, 2004. 48(6): p. 2325-30.
・Gage, P., G. Ewart, J. Melton, and A. Premkumar, Virus Ion Channels Formed by Vpu of HIV-1, the 6K Protein of Alphaviruses and NB of Influenza B Virus., in Viral Membrane Proteins: Structure, Function and Drug Design, W. Fischer, Editor. 2005, Kluwer Academic / Plenum Publishers: New York. p. Chapter 15.
・Melton, J.V., G.D. Ewart, R.C. Weir, P.G. Board, E. Lee, and P.W. Gage, Alphavirus 6K proteins form ion channels. J Biol Chem, 2002. 277(49): p. 46923-31.
・Premkumar, A., X. Dong, G. Haqshenas, P.W. Gage, and E.J. Gowans, Amantadine inhibits the function of an ion channel encoded by GB virus B, but fails to inhibit virus replication. Antivir Ther, 2006. 11(3): p. 289-95.
・Premkumar, A., C.R. Horan, and P.W. Gage, Dengue virus M protein C-terminal peptide (DVM-C) forms ion channels. J Membr Biol, 2005. 204(1): p. 33-8.
・Premkumar, A., L. Wilson, G.D. Ewart, and P.W. Gage, Cation-selective ion channels formed by p7 of hepatitis C virus are blocked by hexamethylene amiloride. FEBS Lett, 2004. 557(1-3): p. 99-103.
・Wilson, L., P. Gage, and G. Ewart, Validation of coronavirus E proteins ion channels as targets for antiviral drugs. Adv Exp Med Biol, 2006. 581: p. 573-8.
・Wilson, L., P. Gage, and G. Ewart, Hexamethylene amiloride blocks E protein ion channels and inhibits coronavirus replication. Virology, 2006. 353(2): p. 294-306.
・Wilson, L., C. McKinlay, P. Gage, and G. Ewart, SARS coronavirus E protein forms cation-selective ion channels. Virology, 2004. 330(1): p. 322-31.
・Sakai, A., M.S. Claire, K. Faulk, S. Govindarajan, S.U. Emerson, R.H. Purcell, and J. Bukh, The p7 polypeptide of hepatitis C virus is critical for infectivity and contains functionally important genotype-specific sequences. Proc Natl Acad Sci U S A, 2003. 100(20): p. 11646-51.
・Griffin, S.D., L.P. Beales, D.S. Clarke, O. Worsfold, S.D. Evans, J. Jaeger, M.P. Harris, and D.J. Rowlands, The p7 protein of hepatitis C virus forms an ion channel that is blocked by the antiviral drug, Amantadine. FEBS Lett, 2003. 535(1-3): p. 34-8.
・Pavlovic, D., D.C. Neville, O. Argaud, B. Blumberg, R.A. Dwek, W.B. Fischer, and N. Zitzmann, The hepatitis C virus p7 protein forms an ion channel that is inhibited by long-alkyl-chain iminosugar derivatives. Proc Natl Acad Sci U S A, 2003. 100(10): p. 6104-8.
・Hay, A.J., A.J. Wolstenholme, J.J. Skehel, and M.H. Smith, The molecular basis of the specific anti-influenza action of amantadine. Embo J, 1985. 4(11): p. 3021-4.
・Duff, K.C. and R.H. Ashley, The transmembrane domain of influenza A M2 protein forms amantadine-sensitive proton channels in planar lipid bilayers. Virology, 1992. 190(1): p. 485-9.
・De Clercq, E., Antiviral agents active against influenza A viruses. Nat Rev Drug Discov, 2006. 5(12): p. 1015-25.
・Miller, C., Ion channel reconstitution. 1986, New York and London: Plenum Press.
・Buckwold, V.E., B.E. Beer, and R.O. Donis, Bovine viral diarrhea virus as a surrogate model of hepatitis C virus for the evaluation of antiviral agents. Antiviral Res, 2003. 60(1): p. 1-15.
・Harada, T., N. Tautz, and H.J. Thiel, E2-p7 region of the bovine viral diarrhea virus polyprotein: processing and functional studies. J Virol, 2000. 74(20): p. 9498-506.
・Griffin, S., D. Clarke, C. McCormick, D. Rowlands, and M. Harris, Signal peptide cleavage and internal targeting signals direct the hepatitis C virus p7 protein to distinct intracellular membranes. J Virol, 2005. 79(24): p. 15525-36.
・Buckwold, V.E., J. Wei, M. Wenzel-Mathers, and J. Russell, Synergistic in vitro interactions between alpha interferon and Ribavirin against bovine viral diarrhea virus and yellow fever virus as surrogate models of hepatitis C virus replication. Antimicrob Agents Chemother, 2003. 47(7): p. 2293-8.
・Haqshenas, G., X. Dong, G. Ewart, S. Bowden, and E.J. Gowans, A 2a/1b full-length p7 inter-genotypic chimeric genome of hepatitis C virus is infectious in vitro. Virology, 2007. 360(1): p. 17-26.
・Buckwold, V.E., J. Wei, M. Wenzel-Mathers, and J. Russell. 2003. Synergistic in vitro interactions between alpha interferon and Ribavirin against bovine viral diarrhea virus and yellow fever virus as surrogate models of hepatitis C virus replication. Antimicrob. Agents Chemother. 47:2293-2298.
・Buckwold, V.E., B.E. Beer, and R.O. Donis. 2003. Bovine viral diarrhea virus as a surrogate model of hepatitis C virus for the evaluation of antiviral agents. Antiviral Res. 60:1-15.
【技術分野】
【0001】
本発明はC型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有する新規組成物に関する。本発明はまた、HCVの増殖および/もしくは機能的活性を遅延させるか、低下させるか、またはさもなければ阻害するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書の全体を通じた先行技術の考察はいずれも、そのような先行技術が広く公知であるかまたは当技術分野における共通の一般的知識の一部を形成するという承認と決して考えられるべきではない。
【0003】
現在、ウイルス感染に対して、特に、高い罹患率および死亡率と関連し、かなり大きな人口に影響を与えるウイルス感染、例えば、C型肝炎(HCV)に対して有効である新しい治療の開発が大いに必要とされている。現在利用可能な治療は、HCVに感染した患者の大部分において不十分であるかまたは効果がない。
【0004】
C型肝炎は、HCVと呼ばれる肝指向性ウイルスによって引き起こされる血行性で感染性のウイルス疾患である。この感染は、しばしば無症状である肝炎を引き起こし得るが、結果として生じる慢性肝炎は後に、肝硬変(肝臓の線維性瘢痕化)および肝癌をもたらし得る。HCVは、6つの公知の肝炎ウイルス:A型、B型、C型、D型、E型、G型のうちの1つであり、感染者の血液との血液と血液の接触によって広まる。症状は、医学的に管理することができ、患者の一部は、長期間の抗ウイルス薬によって、ウイルスを排除することができる。早期の医学的介入が役に立つものの、HCV感染を有する人々は、しばしば軽度の症状を経験し、したがって治療を求めない。世界中で推定1億5000万〜2億人がHCVに感染している。静脈内薬物使用、吸入薬物使用、タトゥーの経験がある者、または安全でない性交渉によって血液に曝露した者は、この疾患に罹る増大した危険性にさらされている。C型肝炎は、米国における肝移植の主要な原因である。
【0005】
C型肝炎は、2つの明確に区別できる臨床段階として現れる。第1に、C型肝炎は、HCV感染後の最初の6か月を指す急性C型肝炎として現れる。感染した人の60%〜70%は、急性期に何の症状も発症しない。急性期症状を経験する少数の患者において、症状は通常軽度かつ非特異的であり、C型肝炎の特異的診断にまで至ることは滅多にない。急性C型肝炎感染の症状としては、食欲の減退、疲労、腹痛、黄疸、痒み、およびインフルエンザ様症状が挙げられる。
【0006】
HCVは、通常、感染後1〜3週以内に血液中で検出可能であり、このウイルスに対する抗体は、通常、3〜12週以内に検出可能である。HCVに感染した人の約20〜30%は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)正常化などの肝機能検査(LFT)における正常化、ならびに血漿HCV-RNA排除によって示されるように、急性期の間に自分の体からこのウイルスを排除する(これは、自然発生的ウイルス排除として知られる)。残り70〜80%のHCV感染患者は慢性肝炎を発症する。
【0007】
慢性C型肝炎は、6か月を越えて持続するHCVの感染と定義される。臨床的に、それはしばしば無症状であり(黄疸がなく)、多くは偶然に発見される。
【0008】
慢性C型肝炎の自然経過は、人によってかなり異なる。HCVに感染したほとんど全ての人には、肝生検で炎症の徴候が見られる。しかしながら、肝臓の瘢痕化(線維化)の進行速度は、個体間で著しい変動を示す。最近のデータにより、未治療の患者のうち、およそ3分の1が20年未満で肝硬変に進行することが示唆されている。もう3分の1は、30年以内に肝硬変に進行する。残りの患者については、非常にゆっくりと進行するように見えるので、彼らが生きている間に肝硬変を発症する可能性は低い。HCV疾患進行の速度に影響することが報告されている要因としては、年齢、性別、アルコール消費量、HIV重感染、および脂肪肝が挙げられる。
【0009】
特に肝疾患を示唆する症状は、肝臓の実質的瘢痕化が生じるまでは、典型的には存在しない。しかしながら、C型肝炎は全身性疾患であり、患者は、進行性肝疾患を発症する前に、無症状からより症候性の疾病に至るまでの広範囲の臨床症状を経験する。慢性C型肝炎と関連する全身性の兆候および症状としては、疲労、顕著な体重減少、インフルエンザ様症状、筋肉痛、関節痛、間欠的な微熱、痒み、睡眠障害、腹痛、食欲の変化、吐き気、下痢、消化不良、認知変化、意気消沈、頭痛、および気分の揺れが挙げられる。
【0010】
ひとたび慢性C型肝炎が肝硬変に進行すれば、肝機能の低下かまたは門脈圧亢進症として知られる状態である肝循環の圧力の増大のいずれかによって通常引き起こされる兆候および症状が現れる可能性がある。肝硬変のあり得る兆候および症状としては、腹水症、挫傷および出血の傾向、骨痛、動脈瘤、脂肪便(脂肪便症)、黄疸、ならびに肝性脳症として知られる認知障害の症候群が挙げられる。
【0011】
大多数の感染者はこの期間中に何の症状も経験しないので、C型肝炎の診断が疾患の急性期の間に行なわれることは滅多にない。急性期の症状を実際に経験する人が、医学的配慮を求めるのに十分なほどの病気であることは滅多にない。また、進行性肝疾患が発症するまで具体的症状が存在しないかまたは欠如しているために、慢性C型肝炎の診断は困難な作業であり、その具体的症状は、何十年も経ってやっと、進行性肝疾患として現れる場合もある。
【0012】
現在の治療(「標準治療」)は、ウイルスの遺伝子型に応じた、24週間または48週間のペグ化インターフェロンαと抗ウイルス薬物リバビリンの組み合わせである。さらに、様々な形態でのこの組み合わせ療法の効力も、ウイルスの遺伝子型に左右され、14%から82%までの幅がある。
【0013】
ウイルス感染を治療および予防する見込みを改善するために、ならびに進行中のウイルス進化に対処するために、ウイルス生活環の様々な局面を阻害することができる分子を同定することが継続的に必要である。したがって、抗ウイルス活性を有するさらなる新規の組成物および薬剤が必要である。
【0014】
先行技術の不利な点のうちの少なくとも1つを克服もしくは改良すること、または有用な代替案を提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、置換アシルグアニジンの分類に入る、HCV感染の治療で有用な、新規の抗ウイルス化合物を含む、ある種の組成物、好ましくは相乗組成物に関する。より特に、本発明は、1つまたは複数の置換アシルグアニジンおよび1つまたは複数の公知の抗ウイルス化合物を含む相乗組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様によれば、本発明は、HCVの治療のための組成物であって、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤と組み合わせた、
式I:
【化1】
[式中、R1は、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチルであるか、またはR1は、
【化2】
【化3】
、
【化4】
、
もしくは
【化5】
より選択され;
nは、1、2、3、または4であり;
【化6】
は、
【化7】
または
【化8】
であり;
Fは独立して、
【化9】
ハロゲン、アルキル、ハロ、またはポリハロアルキルであり;
Qは独立して、水素、アルコキシ(特にメトキシ)、アルキル(特にメチル)、シクロアルキル、チエニル、フリル、ピラゾリル、置換ピラゾリル、ピリジル、置換ピリジル、フェニル、置換フェニル、ハロ(特に、クロロもしくはブロモ)、ヘテロ環(「het」)であるか、またはQは独立して、
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
もしくは
【化16】
(式中、R2は、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
(式中、R3は、
【化21】
もしくは
【化22】
である)である)より選択され;かつ
Xは、水素またはアルコキシである]
の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩を含む、組成物を提供する。
【0017】
有利なことに、本発明による組成物は、化合物および少なくとも1つの追加の抗ウイルス剤の効果が、化合物および少なくとも1つの追加の抗ウイルス剤単独の効果の総和よりも大きい相乗組成物である。
【0018】
第2の態様によれば、本発明は、HCVの治療のための薬学的組成物であって、第1の態様による組成物および1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
【0019】
第3の態様によれば、HCVの増殖および/もしくは複製を低下させるか、遅延させるか、またはさもなければ阻害するための方法であって、該HCVに感染したかまたはHCVに曝露した細胞を第1の態様による組成物と接触させる工程を含む方法が提供される。
【0020】
第4の態様によれば、HCVに曝露した細胞の感染を予防する方法であって、該細胞を第1の態様による組成物と接触させる工程を含む方法が提供される。
【0021】
細胞を完全な組み合わせ組成物と(すなわち、同時に組成物の全ての成分と)接触させてもよく、またはそれを連続的な方法で組成物の個々の成分と接触させることができる。
【0022】
本発明の第5の態様によれば、HCVに曝露したかまたは感染した対象の治療的または予防的治療のための方法であって、該対象への第1の態様による組成物の投与を含む方法が提供される。
【0023】
組成物の個々の成分を、別々に連続的な形でかつ任意の順序で投与してもよい。
【0024】
本発明の組成物および製剤を、静脈内(iv)、腹腔内、皮下、頭蓋内、皮内、筋肉内、眼球内、髄腔内、脳内、鼻腔内、経粘膜、または口、直腸からの注入によるもの、iv点滴、パッチ、もしくはインプラントによるものを含むが、これらに限定されない、任意の方法で投与してもよい。組成物は、粉末、錠剤、カプセル、液体、懸濁液、またはその他の同様の投薬形態の形態であってもよい。
【0025】
本発明の第6の態様によれば、C型肝炎を治療する方法であって、有効量の本発明による組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法が提供される。
【0026】
本発明の第7の態様によれば、C型肝炎を治療する方法であって、該組成物がHCV p7タンパク質を阻害する、有効量の本発明による組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法が提供される。
【0027】
本発明の第8の態様によれば、本発明による組成物の、C型肝炎の治療のための医薬の調製または製造での使用が提供される。
【0028】
本発明の第9の態様によれば、該組成物がHCV p7タンパク質を阻害する、本発明による組成物の、C型肝炎の治療のための医薬の調製または製造での使用が提供される。
【0029】
文脈上特に明確に要求されない限り、本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などの語は、排他的とは対照的に包括的な意味でまたは網羅的な意味で;すなわち、「〜を含むが、これらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】BIT 225およびBIT100によるGBV-B複製の阻害を図示する。
【図2】BVDVに対する様々な濃度のBIT 225の用量応答曲線を図示する。
【図3】BVDVに対する様々な濃度のIFNの用量応答曲線を図示する。
【図4】BVDVに対する様々な濃度のリバビリンの用量応答曲線を図示する。
【図5】IFNαの存在下または非存在下における31nM BIT225および/または1.25μgリバビリンで見られるウイルス阻害のレベルを図示する。
【図6】5IU/mlおよび10IU/ml IFNαの存在下におけるBIT225についての全範囲用量応答曲線を示し、1.25μg/mlの添加による増強された抗ウイルス効果を示す。挿入図は、5IU/mlおよび10IU/mlIFNαの存在下におけるリバビリンについての全範囲用量応答曲線を示す。
【図7】BVDVに対する2'-C-メチルアデノシンおよび2'-C-メチルシチジンの個々の用量応答曲線を示す。
【図8】様々な濃度の2'-C-メチルアデノシンの存在下におけるBIT225についての用量応答曲線の変化を示す。
【図9】様々な濃度の2'-C-メチルシチジンの存在下におけるBIT225についての用量応答曲線の変化を示す。
【図10】様々な濃度のrIFNα-2bの存在下におけるBIT314についての全範囲用量応答曲線を示す。
【図11】5IU/ml IFNα+1.25μg/mlリバビリンおよび5IU/ml IFNα+2.5μg/mlリバビリンの添加による増強された抗ウイルス効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の詳細な説明
本発明は、HCVの治療のための組成物であって、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤と組み合わせた、式I:
【化23】
[式中、R1は、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチルであるか、またはR1は、
【化24】
【化25】
【化26】
もしくは
【化27】
より選択され;
nは、1、2、3、または4であり;
【化28】
は、
【化29】
または
【化30】
であり;
Fは独立して、
【化31】
ハロゲン、アルキル、ハロ、またはポリハロアルキルであり;
Qは独立して、水素、アルコキシ(特にメトキシ)、アルキル(特にメチル)、シクロアルキル、チエニル、フリル、ピラゾリル、置換ピラゾリル、ピリジル、置換ピリジル、フェニル、置換フェニル、ハロ(特に、クロロもしくはブロモ)、ヘテロ環(「het」)であるか、またはQは独立して、
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
もしくは
【化38】
(式中、R2は、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
(式中、R3は、
【化43】
もしくは
【化44】
である)である)より選択され;かつ
Xは、水素またはアルコキシである]
の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩を含む、組成物に関する。
【0032】
本発明の組成物で使用するのに特に有用な化合物は、以下のもの:
下記構造を含む(3-ベンゾイル)シンナモイルグアニジン
【化45】
下記構造を含む2,3-メチレンジオキシシンナモイルグアニジン
【化46】
下記構造を含む5-メチル-2-ナフトイルグアニジン
【化47】
下記構造を含む3(インダン-4-イル)-プロペノイルグアニジン
【化48】
下記構造を含む5-ブロモ-6-メトキシ-2-ナフトイルグアニジン
【化49】
下記構造を含む5-チオフェン-3-イル-2-ナフトイルグアニジン
【化50】
下記構造を含む5-(1-メチルピラゾル-4-イル)2-ナフトイルグアニジン
【化51】
下記構造を含む(1-メトキシ-2-ナフトイル)グアニジン
【化52】
下記構造を含む(3-メトキシ-2-ナフトイル)グアニジン
【化53】
下記構造を含む(5-ブロモ-2-ナフトイル)グアニジン
【化54】
下記構造を含む(1,4-ジメトキシ--2-ナフトイル)グアニジン
【化55】
下記構造を含む(6-(3-チエニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化56】
下記構造を含む(6-メチル-2-ナフトイル)グアニジン
【化57】
下記構造を含む(5-フェニル-2-ナフトイル)グアニジン
【化58】
下記構造を含む(5-(チエン-2-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化59】
下記構造を含む(5-(1-イソブチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化60】
下記構造を含む(5-(3-フリル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化61】
(5-シクロプロピル-2-ナフトイル)グアニジン
【化62】
(5-クロロ-2-ナフトイル)グアニジン
【化63】
(6-(1-メチルピラゾル-4-イル)-2-ナフトイル)酢酸グアニジン
【化64】
(5-(2,6-ジメトキシピリジン-3-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化65】
(5-(2-クロロフェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化66】
(5-(4-(アセチルアミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化67】
(5-(3-(アセチルアミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化68】
(5-(4-((メチルスルホニル)アミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化69】
および薬学的に許容されるその塩より選択されてもよい。式Iの化合物のグアニジル部分のアミン基またはイミン基は、そのような化合物の提供に使用される任意の従来形態で存在することができる。例えば、それらは、フリーベース、水和物、有機塩もしくは無機塩、またはその組み合わせとして存在してもよい。
【0033】
本発明の化合物の抗ウイルス活性をスクリーニングするために開発された方法は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT/AU2004/000866に詳しく記載されている。
【0034】
「HCV」への言及は、ホモログおよび突然変異体を含む、任意のC型肝炎ウイルス株への言及と理解されるべきである。
【0035】
HCV の「機能的活性」への言及は、HCVが実施するまたは関与する任意の1つまたは複数の機能への言及と理解されるべきである。
【0036】
「ウイルス複製」への言及は、ビリオンの組み立てまたは放出を阻害することなどの、HCV生活環の任意の1つもしくは複数の段階または局面を含むよう理解されるべきである。したがって、本発明の方法は、HCV生活環の任意の1つもしくは複数の局面または段階の仲介をもたらす一連の工程の誘導を通じたHCV複製の仲介を包含する。
【0037】
HCVに感染した「細胞」への言及は、HCVに感染している、任意の原核性または真核性の細胞への言及と理解されるべきである。これには、例えば、不死細胞株または初代細胞株、細菌培養、およびインサイチューの細胞が含まれる。
【0038】
本発明の化合物を、薬学的に許容される担体および/もしくは賦形剤を含む組成物または製剤の形態で投与し得るということが当業者によって理解されるであろう。
【0039】
本発明の化合物を含む本明細書に記載された組成物は、任意の種類の1つまたは複数の追加の抗ウイルス剤、例えば、非ヌクレオシドHCV RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)阻害剤、ヌクレオシドHCV RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)阻害剤、非ヌクレオシドHCV RNAプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシドHCV RNAプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、ウイルス侵入阻害剤、インターフェロン、PEG-インターフェロン、リバビリン、およびその組み合わせを組み合わせて含んでもよい。ヌクレオシドおよび非ヌクレオシド阻害剤は、ヌクレオシドおよび非ヌクレオシド分子の類似体を含むということが理解されよう。ポリメラーゼ阻害剤は、HCV NS5BおよびNS5Aを標的にすることができ;プロテアーゼ阻害剤は、HCV NS3およびNS4を標的にすることができる。
【0040】
組み合わせ治療および本発明の組成物で使用し得るNS5Bのヌクレオシド類似体阻害剤の非限定的な例としては、バロピシタビン(ヌクレオシド類似体2'-C-メチルシトシンのプロドラッグ);JTK103;R04048;R-1479/R-1626(4'-アジドシトシンのヌクレオシド類似体およびそのプロドラッグ);ならびにR-7128が挙げられる。本発明の組成物で使用し得る非ヌクレオシド類似体阻害剤(NNRTI)の非限定的な例としては、HCV-796(アベンゾフランHCVポリメラーゼ阻害剤);GL60667または「667」;およびXTL-2125が挙げられる。本発明の組成物で使用し得るHCVのNS3/4Aのセリンプロテアーゼ阻害剤の非限定的な例としては、VX-950;SCH-503034;ACH-806/GS-9132;ならびにBILN-2061およびITMN-191が挙げられる。
【0041】
好ましくは、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、インターフェロン(IFN)である。さらにより好ましくは、インターフェロンは、I型IFNおよびII型IFNからなる群より選択される。さらにより好ましくは、IFNは、IFNα、IFNβ、およびIFNγからなる群より選択される。さらにより好ましくは、IFNは、IFNα-2a、IFNα-2b、IFNα-n3、IFNαコン-1、IFNβ-1a、IFN-β1、IFN-γ1b、ペグインターフェロンα-2b、およびペグインターフェロンα-2aからなる群より選択される。あるいは、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、IFNα-2bおよびリバビリン;IFNα-2aおよびリバビリン;ペグ化IFNα-2aおよびリバビリン、またはペグ化IFNα-2aおよびリバビリンのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0042】
抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、またはHCVセリンプロテアーゼ阻害剤より選択される1つまたは複数の化合物を含んでもよい。あるいは、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、モノクローナル抗体、植物抽出物、NS5A阻害剤、免疫調整因子、チアゾリド、抗リン脂質治療薬、アンチセンス化合物、イサトリビン、広範囲の免疫刺激因子、炎症/線維症阻害剤、レプリカーゼ阻害剤、シクロフィリン阻害剤、イミノ糖阻害剤、汎カスパーゼ阻害剤、またはポリクローナル抗体より選択される1つまたは複数の化合物を含んでもよい。
【0043】
さらに、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、例えば、2'-C-メチルヌクレオシド類似体などの1つまたは複数の抗ウイルスヌクレオシド類似体を含んでもよい。これらは、例えば、2'-C-メチルアデノシンまたは2'-C-メチルシチジンより選択されてもよい。
【0044】
また、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤は、治療ワクチンまたはDNAベースのワクチンより選択されるワクチンを含んでもよい。
【0045】
本発明の化合物を1つもしくは複数の従来の抗ウイルス化合物またはHCVアンタゴニスト薬剤と併用して使用する組み合わせ治療のために、1つもしくは複数の従来の抗ウイルス化合物または抗ウイルス剤の前に、それらの後に、またはそれらと同時に、化合物を対象に与えてもよい。
【0046】
好ましくは、本発明の組成物は、化合物および抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤の効果が、化合物および抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤単独の効果の総和よりも大きい、相乗組成物である。もちろん、新規化合物および既存の抗ウイルス剤の単純で、相加的な組み合わせも企図されるということが理解されよう。
【0047】
ウイルス阻害の対象は、ヒト、霊長類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ウシ、ウマ、ロバ、もしくはブタ);コンパニオン動物(例えば、イヌもしくはネコ);実験室での試験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、もしくはハムスター);または捕獲野生動物(例えば、キツネもしくはシカ)などの、しかしこれらに限定されない、哺乳動物である。好ましくは、対象は霊長類である。最も好ましくは、対象はヒトである。
【0048】
本発明の方法は、HCV感染の治療および予防に特に有用である。例えば、HCVに感染した対象において、HCVの複製を防ぎ、それにより急性または慢性のC型肝炎の発病を防ぐために、抗ウイルス活性に影響を及ぼし得る。あるいは、本発明の方法を用いて、血清HCV量を低下させるかまたはHCV感染の症状を緩和し得る。
【0049】
本発明の方法は、罹患細胞におけるHCV保有の定着を防ぐためにHCV感染の初期段階でまたはHCVの源と考えられるものへの曝露の直前もしくは曝露後の期間に適用されるべき予防的治療としてのいずれかで特に有用であり得る。
【0050】
本明細書における「治療的」および「予防的」への言及は、それらの最も幅広い文脈で考えられるべきである。用語「治療的」は、哺乳動物を完全回復まで治療することを必ずしも意味するものではない。同様に、「予防的」は、対象がいずれは疾患状態を縮小することを必ずしも意味するものではない。したがって、治療および予防には、特定の状態の症状を改善することまたは特定の状態を発症するリスクを予防するかもしくはさもなければ低下させることが含まれる。用語「予防」を、特定の状態の発病の重症度を低下させることと考えてもよい。治療はまた、既存の状態の重症度または急性発作の頻度を低下させてもよい。
【0051】
本発明の方法に従って、2つ以上の組成物を、1つまたは複数のその他の治療剤と共投与してもよい。「共投与された」によって、同じもしくは異なる経路を介した同じ製剤もしくは2つの異なる製剤での同時投与または同じもしくは異なる経路による連続投与が意味される。「連続」投与によって、ある化合物の投与から次の化合物の投与までの秒、分、時間、または日の時間差が意味される。組成物および追加の治療剤を任意の順序で投与してもよい。
【0052】
投与の経路には、静脈内(iv)、腹腔内、皮下、頭蓋内、皮内、筋肉内、眼球内、髄腔内、脳内、鼻腔内、経粘膜、または口、直腸への注入、iv点滴、パッチ、およびインプラントによるものが含まれるが、これらに限定されない。静脈内経路が特に好ましい。
【0053】
本発明はまた、クリーム、ローション、およびジェルなどの局所適用に好適な形態にまで及ぶ。
【0054】
さらなる態様において、本発明は、本発明の第1の態様による組成物を含むHCVの治療のための肺また鼻投与用の製剤を提供する。
【0055】
投与の容易さおよび投薬の均一性のために非経口組成物を投薬単位形態で製剤化することは特に有利である。本明細書で使用するとき、投薬単位形態とは、治療すべき哺乳動物対象のための単位投薬として適した物理的に別個の単位を指し;各々の単位は、必要とされる薬学的担体と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定の分量の活性材料を含む。本発明の新規投薬単位形態の規格は、(a)活性材料の独特の特徴および達成されるべき特定の治療効果ならびに(b)配合の分野に固有の限界によって決定され、それらに直接的に左右される。
【0056】
投薬単位形態および局所調製物の調製のための手順については、Pharmaceutical
Handbook. A Martindale Companion Volume、Ainley Wade編、第19版、The Pharmaceutical Press London、CRC Handbook of Chemistry and Physics、Robert C. Weast Ph D編、CRC Press Inc.;Goodman and Gilman's;The Pharmacological basis of Therapeutics.第9版.McGraw Hill;Remington;およびThe Science and Practice of Pharmacy、第19版、Alfonso R. Gennaro編、Mack Publishing Co. Easton Pennsylvaniaなどの教科書から当業者が容易に利用できる。
【0057】
本発明によって企図される有効量は、状態の重症度ならびにレシピエントの健康および年齢によって様々である。一般論として、有効量は、0.01ng/kg体重から約100mg/kg体重まで様々であり得る。
【0058】
これから、本発明を、本発明の化合物の合成プロトコル、ウイルス阻害、およびその他の抗ウイルス特性を記載する具体的ではあるが、非限定的な実施例を参照してより詳細に記載する。抗ウイルス活性を有する化合物の合成およびスクリーニングについては、本明細書に記載されているかまたはその全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT/AU2004/000866により詳細に記載されている様々な手法によって達成することができる。
【0059】
しかしながら、具体的な手順、化合物、および方法の詳細な記載は、単に本発明を例示する目的のために含まれるということが理解されるべきである。それは、決して、上記に示したような本発明の広範な記載に対する制限として理解されるべきではない。
【0060】
実施例
本発明の全ての化合物の抗ウイルス活性については、本明細書に記載されているかもしくはその全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT/AU2004/000866により詳細に記載されている方法を用いて確認することができるし、かつ確認されている。さらに、本明細書に記載されているか、参照した刊行物に記載されているか、またはさもなければ当業者に公知の、一般と特定の両方の、本発明の化合物の合成のための方法を用いて、本発明の全ての化合物を調製することができる。有用な合成プロトコルは、その全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT/AU2006/000880にも提供されている。
【0061】
より具体的には、グアニジン(通常その塩酸塩からインサイチューで生成される)を好適に活性化されたカルボン酸の誘導体と反応させる工程を含む様々な方法によって、アシルグアニジンを合成することができる。例としては以下のものが挙げられる。
i)Yamamoto et al., Chem. Pharm. Bull., 1997, 45, 1282によって例示された、酸塩化物からの合成
ii)米国特許第2,734,904号によって例示された、単純エステルからの合成
iii)米国特許第5,883,133号によって例示された、カルボニルジイミダゾールによるインサイチューでの活性化を介した、カルボン酸からの合成。
【0062】
本明細書に記載されたアシルグアニジンの調製に必要とされるカルボン酸前駆体を種々様々な方法で得た。数多くの置換ケイ皮酸が市販されている。さらに、置換ケイ皮酸およびそれらの単純エステルの合成のための数々の手順は、十分に記載されており、以下のものを含む:
i)Chemical Reviews, 1944, 35, 156、およびその中に含まれる参考文献に記載されている、マロン酸と芳香族アルデヒドおよび塩基との反応(ドブナー縮合)。
ii)Organic Reactions, 1942, 1, 210、およびその中に含まれる参考文献に記載されている、無水酢酸と芳香族アルデヒドおよび塩基との反応(パーキン反応)。
iii)Organic Reactions, 1982, 28, 345、およびその中に含まれる参考文献に記載されている、パラジウム触媒を用いたアクリル酸およびその単純エステルと芳香族ハライドまたは芳香族トリフラートとの反応(ヘック反応)。
iv)Organic Reactions, 1977, 25, 73、およびその中に含まれる参考文献に記載されている、ホスホノ酢酸トリアルキルと芳香族アルデヒドおよび塩基との反応(ホルナー・エモンズ反応)。
【0063】
多くの単純なハロ、ヒドロキシ、およびアルコキシ置換ナフトエ酸は、市販されているかまたは当技術分野で公知であるかのいずれかであり、これらは置換ナフトイルグアニジンの出発材料を提供した。
【0064】
多くの場合、遷移金属触媒を用いてハロナフトエ酸を好適な有機金属試薬と反応させることによって、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および複素環基で置換されているナフトエ酸を調製することができる。本明細書に記載されたナフトイルグアニジンの前駆体として使用される多くの置換ナフトエ酸を調製するのに使用されるこの手法の1つのそのような変形は、ブロモナフトエ酸と、好適に置換されたボロン酸(またはボロン酸エステル)との間のパラジウムを触媒とする炭素-炭素結合形成反応であった。この反応は、鈴木カップリング(Chemical Reviews, 1995, 95, 2457およびその中の参考文献に記載)として当技術分野で広く知られている。この反応は、幅広い適用性を有しており、様々な置換ハロナフタレンに対して使用することができる。その後、この置換ハロナフタレンを、必要なカルボン酸を導入するかまたはそれを脱マスキングするようにさらに作り上げていくことができる。
【0065】
1.一般的な合成手法
1.1 一般的手順A - アリールトリフラートの調製
0℃のフェノール(10mmol)のピリジン溶液(7mL)に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(11mmol、1.1eq)をゆっくりと添加した。得られた混合物を0℃でさらに5分間撹拌した後、室温まで加温し、TLC分析によって出発フェノールが消費されてしまったことが示されるまで撹拌した。その後、この混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで(3回)抽出した。合わせた抽出物を、水、1M塩酸水溶液、水、およびブラインで連続的に洗浄し、その後、乾燥させ(MgSO4)、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物で溶出することにより、所望のアリールトリフラートが、通常は無色オイルとして得られた。
【0066】
1.2 一般的手順B - トリフラートのヘック反応を経由したケイ皮酸エステル
ジメチルホルムアミド(30mL)中のフェニルトリフラート(10mmol)、アクリル酸メチル(14mmol、1.4eq)、トリエチルアミン(40mmol、4eq)、およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.3mmol、0.03eq)の混合物を90℃で加熱した。この反応をGC/MSでモニタリングし、反応を完了させるべく、新しいバッチのアクリル酸メチル(1eq)、トリエチルアミン(2eq)、およびパラジウム触媒(0.03eq)を必要に応じて添加した。その後、この混合物を水に注ぎ、ジエチルエーテル/ヘキサンの1:1混合物で(3回)抽出した。合わせた抽出物を、水、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、シリカゲルのパッドに通して濾過し、濾過物を真空中で濃縮して、粗生成物をオイルとして得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物で溶出することにより、所望のケイ皮酸メチルが、通常は無色オイルとして得られた。
【0067】
1.3 一般的手順C - 臭化物のヘック反応を経由したケイ皮酸エステル
臭化アリール(10mmol)、酢酸パラジウム(0.1mmol, 0.01eq)、およびトリ-o-トリルホスフィン(0.4mmol, 0.04eq)を反応フラスコに添加し、窒素でパージした。その後、これに、アクリル酸メチル(12.5mmol, 1.25eq)、トリエチルアミン(12.5mmol, 1.25eq)、およびジメチルホルムアミド(1mL)を添加し、混合物を100℃で加熱した。この反応をGC/MSでモニタリングし、反応を完了させるべく、新しいバッチの酢酸パラジウム(0.01eq)、トリ-o-トリルホスフィン(0.04eq)、アクリル酸メチル(1.25eq)、およびトリエチルアミン(1.25eq)を必要に応じて添加した。この混合物を水に注ぎ、ジエチルエーテル/ヘキサンの1:1混合物で(4回)抽出した。合わせた抽出物を、水、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、シリカゲルのパッドに通して濾過し、濾過物を真空中で濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物で溶出することにより、所望のケイ皮酸メチルが、通常は無色オイルとして得られた。
【0068】
1.4 一般的手順D - ホルナー・エモンズ反応を経由したケイ皮酸エステル
トリエチルホスホノ酢酸(13mmol, 1.3eq)の無水テトラヒドロフラン溶液(10mL)を、0℃窒素下で、5分間かけて、水素化ナトリウム(14.3mmol, 1.4eq)の無水テトラヒドロフラン懸濁液(10mL)に添加した。その後、この混合物を0℃で20分間撹拌した。その後、ベンズアルデヒド(10mmol)のテトラヒドロフラン溶液(15mL)を0℃で10分間かけて添加した。この混合物を0℃でさらに30分間撹拌した後、GC/MSまたはTLC分析によってベンズアルデヒド出発材料が消費されてしまったことが示されるまで室温で撹拌した。典型的には、出発アルデヒドの完全な消費を確実にするために、反応物を室温で一晩撹拌した。この混合物を水に注ぎ、その有機層を分離し、その水層を酢酸エチルで(3回)抽出した。その後、合わせた有機抽出物を、水、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物で溶出することにより、所望のケイ皮酸エチルが、通常は無色オイルとして得られた。
【0069】
1.5 一般的手順E - 5-フェニルペンタ-2,4-ジエンエステルの調製
トリエチル4-ホスホノクロトネート(26mmol、1.3eq)の無水テトラヒドロフラン溶液(10mL)を、0℃窒素下で、5分間かけて、水素化ナトリウム(28mmol、1.4eq、60%油中懸濁)の無水テトラヒドロフラン懸濁液(15mL)に添加した。その後、この混合物を0℃で20分間撹拌した。その後、ベンズアルデヒド(20mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)を0℃で10分間かけて添加した。この混合物を0℃でさらに30分間撹拌し、その後、GC/MS分析によって出発アルデヒドが消費されてしまったことが示されるまで室温で撹拌させた。この反応混合物を水に注ぎ、その有機層を分離し、その水層を酢酸エチルで(3回)抽出した。その後、合わせた有機抽出物を、水、次いでブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で濃縮して、粗エチルエステルをオイルとして得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物で溶出することにより、所望のエチルエステルが無色オイルとして得られた。
【0070】
1.6 一般的手順F - エステルの加水分解
エステル(10mmol)のメタノール(50mL)および水(5mL)溶液を、6M水酸化カリウム(20mmol、2eq)の水溶液で処理し、混合物を、TLC分析によって出発材料がもはや存在しないことが示されるまで(通常2〜3時間)還流下で加熱した。その後、この混合物を水(50〜200mL)に注ぎ、濃塩酸で約pH2まで酸性化した。得られたカルボン酸を濾過で回収し、水で洗浄し、高真空下で一晩乾燥させた。
【0071】
1.7 一般的手順G - ブロモナフトエ酸の鈴木反応
ブロモ-2-ナフトエ酸(2mmol)、適当なボロン酸(またはボロン酸エステル)(2.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1mmol)、および固形炭酸ナトリウム(6.8mmol)を反応フラスコに添加し、その後これを窒素でパージした。アセトニトリル(6mL)および水(2.5mL)を添加し、混合物を、出発ブロモ-2-ナフトエ酸が消費されてしまうまで激しく撹拌しながら還流下で加熱した。その後、この反応混合物を、トルエン(50mL)と0.5M水酸化ナトリウム溶液(100mL)の間に分配した。この水層を(トリフェニルホスフィンを全て取り除くために)トルエン(3×20mL)で洗浄し、その後、濃塩酸でpH1まで酸性化した。このナフトエ酸誘導体を酢酸エチル(4×20mL)中に抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を、水(3×20mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、その後、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮した。この残渣を1H NMRで分析し、(必要な場合には)シリカゲルクロマトグラフィーにかけた。
【0072】
1.8 一般的手順H - アシルグアニジンの調製
1滴のジメチルホルムアミドを含むカルボン酸(10mmol、1.0eq)のジクロロメタン懸濁液/溶液(30mL)に、この溶液を発泡させる塩化オキサリル(12mmol、1.2eq)を添加した。2時間撹拌した後、得られた溶液を、減圧下で乾燥するまで蒸発させた。この残渣を乾燥テトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、塩酸グアニジン(50mmol、5.0eq)の2M水酸化ナトリウム水溶液(30mL)に添加した。この反応物を室温で1時間撹拌し、その後、テトラヒドロフラン層を分離した。この水層をクロロホルム(100mL)、次いで酢酸エチル(100mL)で抽出し、合わせた有機層を減圧下で蒸発させた。得られた残渣をクロロホルム(200mL)と2M水酸化ナトリウム水溶液(100mL)の間で分配し、その有機層を分離し、乾燥させた(Na2SO4)。この溶液を濾過し、固体が沈殿し始める時点まで減圧下で蒸発させた。この時点で、ヘキサンを添加して、濾過により回収しかつ高真空下で乾燥させた生成物を沈殿させた。
【0073】
2.具体的な実験による合成の実施例
実施例1:4-ヒドロキシインダン
4-アミノインダン(3.0g)を濃硫酸(2.4mL)の水溶液(15mL)に添加した。さらに水(15mL)を添加し、混合物を5℃まで冷却した。5℃未満の温度を維持しながら、亜硝酸ナトリウム(1.71g)の水溶液(4.5mL)をこの混合物に少しずつ添加した。添加し終わった後、混合物を室温まで加温し、尿素(0.29g)を添加した。この混合物をさらに5分間撹拌した後、45℃で30分間加熱した。その後、混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を、2M水酸化ナトリウム水溶液(2×100mL)で洗浄し、その後、これらの水性抽出物を塩酸で酸性化し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。その後、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)後、真空中で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサン(1:7)で溶出することにより、4-ヒドロキシインダンがオレンジ色オイル(1.0g)として得られた。
【0074】
実施例2:4-インダニルトリフレート
0℃の4-ヒドロキシインダン(1.2g,
8.9mmol)のピリジン溶液に、トリフルオロメタンスルホン無水物(1.6mL、9.8mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を0℃で5分間撹拌した後、室温まで加温し、その後、45分間撹拌した。その後、この混合物を水に注ぎ、酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。合わせた抽出物を、水、1M塩酸水溶液、水、およびブラインで連続的に洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮して、粗トリフレートをオレンジ色オイル(2.13g、89%)として得た。
【0075】
実施例3:メチル3-(インダン-4-イル)アクリレート
ジメチルホルムアミド(15mL)中の粗4-インダニルトリフレート(2.13g、8.0mmol9、アクリル酸メチル(1.01mL、11.2mmol)、トリエチルアミン(4.4mL、32mmol、4eq)、およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(170mg、0.24mmol)の混合物を85℃で71時間加熱した。少量のアリコートを取り出し、GC/MS分析で調べ、それによりかなりの量の出発材料がまだ存在することが明らかになった。追加のアクリル酸メチル(0.7mL)、トリエチルアミン(2mL)、およびパラジウム触媒(170mg)を添加し、混合物をさらに24時間加熱した。その後、この混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、その有機抽出物を、水、次にブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮して、粗生成物を油(2.4g)として得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサン(1:19)で溶出することにより、出発トリフレート(812mg、38%)が無色オイルとして得られ、その後、所望のメチル3-(インダン-4-イル)アクリレートが茶色オイル(880mg、54%)として得られた。
【0076】
実施例4:メチル3-ベンゾイルシンナメート
3-ブロモベンゾフェノン(5.0g、19mmol)、酢酸パラジウム(215mg、0.958mmol)、およびトリ-o-トリルホスフィン(290mg、0.953mmol)の混合物に、トリエチルアミン(3.3mL、45mmol)、トルエン(4mL)、およびアクリル酸メチル(2.2mL、27mmol)を添加した。この混合物を100℃で18時間加熱した。この時点でTLC分析により、反応がまだ不完全であることが示された。さらなる部分の酢酸パラジウム(215mg、0.958mmol)、トリ-o-トリルホスフィン(290mg、0.953mmol)、トリエチルアミン(3.3mL、45mmol)、およびアクリル酸メチル(2.2mL、27mmol)を添加し、混合物を110℃でさらに18時間加熱した。室温まで冷却した後、この混合物を水に注ぎ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水およびブラインで連続的に洗浄し、その後、乾燥させ(MgSO4)、茶色オイル(5.3g)になるまで濃縮した。このオイルをシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサン(1:9)で溶出することにより、メチル3-ベンゾイルシンナメート(4.6g、91%)が黄色固体として得られた。
【0077】
実施例5:3-ベンゾイルケイ皮酸
5M水酸化カリウム水溶液(10mL、50mmol)を、メチル3-ベンゾイルシンナメート(2.5g、9.4mmol)のメタノール溶液(20mL)に添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。この混合物を濃縮し、1M塩酸水溶液を用いてpH1まで酸性化した。得られた沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥させて、3-ベンゾイルケイ皮酸(2.2 g、93%)を黄色固体として得た。
【0078】
実施例6:5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトエ酸
250mLの丸底フラスコ中の5-ブロモ-2-ナフトエ酸(2.12g、8.44mmol)、1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾル(1.84g、8.86mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(502mg、0.435mmol)の混合物を蒸発させ、窒素でパージした(3サイクル)。この混合物にアセトニトリル(40mL)および2M炭酸ナトリウム水溶液(10mL)をシリンジで添加し、その混合物を窒素下で22時間還流下に加熱した。この反応混合物を冷却した後、1M塩酸水溶液(30mL)を添加し、その後、それを酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空中で濃縮して、粗生成物(風乾後2.98g)を得た。この粗材料を熱いエタノール(150mL)に溶解し、熱いうちに濾過して、黄色不純物(120mg)を除去した。この濾過物を真空中で濃縮し、その残渣をジクロロメタン(30mL)から再結晶化し、5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトエ酸を白色固体(724mg、34%)として得た。ジクロロメタン(20mL)からの再結晶化により、5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトエ酸(527mg、25%)の第二収穫物が濃縮母液から得られた。
【0079】
実施例7:5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトイルグアニジン
塩化オキサリル(1.1mL、13mmol)を、ジメチルホルムアミド(2滴)を含む5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトエ酸(1.19g、4.71mmol)の無水ジクロロメタン溶液(200mL(反応の間に少しずつ添加して溶解させる))に窒素下で添加し、その混合物を室温で4.25時間撹拌した。その後、この反応混合物を40℃で1時間加熱した後、減圧下で濃縮した。得られた粗酸塩化物を無水テトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、この混合物を塩酸グアニジン(2.09g、21.9mmol)の2M水酸化ナトリウム溶液(15mL、30mmol)に滴下し、その後、この反応混合物を30分間撹拌した。この有機層を分離し、その水層をクロロホルム(3×30mL)、次いで酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、1M水酸化ナトリウム水溶液(60mL)および水(40mL)で連続的に洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、真空中で濃縮して、ガラス状固体(高真空下で乾燥させた後に1.45g)を得た。この固体をジクロロメタンに溶解し、その後、それをゆっくり蒸発させて、5-(1-メチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトイルグアニジンを黄色固体(1.15g、83%)として得た。
【0080】
実施例8:エチル2,3-メチレンジオキシシンナメート
ホスホノ酢酸トリエチル(4.05mL、20.2mmol)を0℃窒素下で、撹拌した水素化ナトリウム(0.80g、20mmol)の無水テトラヒドロフラン(20 mL)懸濁液に滴下した。この混合物を0℃で20分間撹拌した。2,3-メチレンジオキシベンズアルデヒド(2.50g、16.7mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10mL)を0℃で滴下した。この混合物を2時間撹拌し、その間にそれを室温まで加温した。この混合物を水(250mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。その後、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中で濃縮した。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。酢酸エチル/ヘキサン(1:10)で溶出することにより、エチル2,3-メチレンジオキシシンナメートが無色固体(3.50g、92%)として得られた。
【0081】
実施例9:2,3-メチレンジオキシケイ皮酸
エチル2,3-メチレンジオキシシンナメート(3.40g)のメタノール(25mL)および水(5mL)溶液を、水酸化カリウム(4.3g)の水溶液(25mL)で処理した。この混合物を室温で一晩撹拌した後、真空中で濃縮し、もとの体積の半分にした。その後、この濃縮物を濃HClで酸性化し、濾過により回収し、真空下で一晩乾燥させて、2,3-メチレンジオキシケイ皮酸を無色固体(2.81g、95%)として得た。
【0082】
実施例10:2,3-メチレンジオキシシンナモイルグアニジン
塩化オキサリル(0.68mL、7.8mmol)を、1滴のジメチルホルムアミドを含む2,3-メチレンジオキシケイ皮酸(500mg、2.6mmol)のジクロロメタン懸濁液(5mL)に添加した。この混合物を2.5時間撹拌し、得られた溶液を減圧下で乾燥するまで蒸発させた。この残渣を乾燥テトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、塩酸グアニジン(1.24g、13mmol)の2M水酸化ナトリウム水溶液(8mL)に添加した。この反応物を室温で1時間撹拌し、その後、クロロホルムを添加した。得られた粗生成物の沈殿(100mg)を濾過により回収した。この濾過物をクロロホルム(3×30mL)および酢酸エチル(20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、2M水酸化ナトリウム水溶液(20mL)、水(20mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減圧下で濃縮して、さらなる分量の粗生成物(400mg)を得た。粗生成物の2つの収穫物を合わせて、クロロホルム(10mL)に懸濁し、20分間激しく撹拌した。得られた2,3-メチレンジオキシシンナモイルグアニジン(420mg)を濾過により回収し、真空下で乾燥させた。
【0083】
実施例11:細菌バイオアッセイ法を用いた化合物の抗ウイルス活性
異なるウイルス標的に対する化合物の抗ウイルス活性を試験するために本実施例で使用される細菌バイオアッセイ法は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるPCT/2004/000866に詳しく記載された。このアッセイを下記のGBV-BおよびBVDVアッセイと併用して用いて、全ての活性化合物が同定されることを確保した。この化合物の中には、どちらか一方のアッセイで活性があるものがある一方、両方のアッセイで活性があり得るものもある。
【0084】
簡潔に述べると、潜在的な抗HCV化合物をスクリーニングするための細菌バイオアッセイは、HCV p7イオンチャネルタンパク質に基づく。p7は、HCVによってコードされる小さい膜タンパク質であり、ウイルスの増殖および/または複製を支える機能的活性を有する。
【0085】
大腸菌でのp7タンパク質の発現用にコドンが最適化されている、p7をコードする合成cDNA断片cDp7.coliを、発現プラスミドpPL451にクローニングし、ベクターpPLp7を作製した。このベクターは、PCT/2004/000866に詳しく記載されたように、p7発現が温度誘導性である。37℃でp7を発現する大腸菌細胞の増殖の阻害を、細菌細胞によって維持される正常なNa+勾配を消散させるp7イオンチャネル機能の指標として観察した。特定の化合物の適用部位周辺の増殖のハローは、この化合物が、その化合物が存在しないときには増殖を妨げるp7イオンチャネル活性の発現を阻害することを示している。
【0086】
ある期間にわたって取得し、平均化した細菌バイオアッセイ試験の累積結果を下記の表1にまとめた。
【表1】
【0087】
化合物の相対活性を比較するためではなく、アッセイがうまく行っていることを保証するために、陽性対照をこのアッセイで使用した。ゼロを上回る結果は、化合物が潜在的な抗ウイルス活性を有することを示す。
【0088】
実施例12 - C型肝炎ウイルスに対するp7阻害剤の試験
新しい潜在的HCV薬物の抗ウイルス効力の試験は、一般的に利用しやすいHCV用の細胞培養モデル系がないために難しくなっている。代替的なフラビウイルス系、特にGBV-BおよびBVDV(ウシウイルス性下痢ウイルス)系を用いて、提案されたp7阻害剤を試験した。
【0089】
GBV-Bは、HCVに最も密接に関連するフラビウイルスであり、27〜33%のヌクレオチド配列同一性および完全なポリペプチド配列に対する28%のアミノ酸類似性を共有する。このウイルスは、小型の新世界霊長類に感染し、初代マーモセット肝細胞(PMH)培養においてインビトロで効率的に複製するので、HCV用の優れた代替系を代表する。HCV p7のGBV-Bホモログは、p13と呼ばれている。(p7と最も大きい相同性を共有する)p13の2つのC末端膜貫通ヘリックスに対応する合成ペプチドが、p7チャネルのように、アマンタジンで遮断される陽イオン選択的なイオンチャネル(Premkumar et al., 2006)を形成することが本明細書で示されている。他方、p7とは異なり、HMAはp13チャネルを阻害しない。これらの観察によって、2つの相同なチャネルは、よく似ているが、同一ではない、構造的特色を共有することが確認される。
【0090】
選択されたBIT化合物(HCV
p7の阻害剤の細菌アッセイスクリーニングで同定したもの)を、初代マーモセット肝細胞でのGBV-B複製を阻害する能力について試験した(図1参照)。10×TCID50のGBV-B陽性マーモセット血清と共にプレーティングした3日後、肝細胞を播種した。HCVを2時間吸着させ、その後、細胞を3回洗浄し、ホルモンおよび増殖因子が補充された新鮮な無血清培地(SFM)中で2日間培養した。培養上清に放出されたウイルスを、リアルタイムRT-PCRで決定するように、ウイルスRNAコピー数として測定した。化合物(DMSOに溶解したもの)を、ウイルス接種の30分前(「前処置」)、または接種および洗浄工程の直後(「後処置」)のいずれかに、この培地に添加した。未処置対照、陰性対照(DMSOのみ)、および陽性対照(10μg/mlポリI:C)を実験に含めた。肝細胞に対する化合物の細胞毒性を標準的なMTTアッセイで試験した。
【0091】
最も特筆すべき結果は、20μM BIT225で前処置した細胞で見られ、この細胞では培養上清中にウイルスが検出されなかった。20μM BIT100は、1.0 logよりも大きくウイルス複製を低下させ、ポリI:C陽性対照よりも強くウイルスを阻害した。BIT225とBIT100の効力はともに、これらの化合物を接種後に添加した場合に若干低下し、これらの化合物がウイルス生活環の非常に早い段階で作用し得ることが示唆された。図1の化合物はどれも、20μMで肝細胞への細胞毒性を示さなかった。
【0092】
BVDVは、フラビウイルス科のペスチウイルス属に属しており、それらのゲノム構造、遺伝子産物、および複製周期に多くの類似性があるために、潜在的なHCV抗ウイルス剤を同定するための代替モデル系として広く用いられている。加えて、初代肝細胞でしか培養することができないGBV-Bとは異なり、BVDVは組織培養で容易に増殖し、よく使用される株は細胞変性性であり、抗ウイルス薬物の簡単な試験に役立つ。BVDVのHCV p7ホモログは、イオンチャネルを形成することおよび感染性ウイルス粒子の生成に不可欠であることが知られている(Harada et al., 2000およびGriffin et al., 2005)。
【0093】
選択されたBIT化合物のBVDVに対する抗ウイルス評価を、Southern Research Institute (SRI), Fredrick MD USAに外部委託した。簡単な細胞保護フォーマットを使用した。このフォーマットでは、化合物の抗ウイルス効力を、それら化合物がMadin-Darby ウシ腎臓細胞におけるBVDV感染の細胞変性効果を低下させる能力によって評価する(Buckwold et al., 2003)。
【0094】
ウイルスによって誘導される細胞病原性効果(CPE)の阻害アッセイ法を利用して、T-75フラスコで継代されたMadin-Darby ウシ腎臓(MDBK)細胞における、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)株NADLに対する化合物の抗ウイルス活性を評価した(1, 2)。6つの半ログ濃度の各化合物を攻撃ウイルスに対して3通りで試験するように、抗ウイルスアッセイを設計した。培地のみを含む細胞対照(CC)、培地およびウイルスを含むウイルス感染細胞対照(VC)、培地および各々の薬物濃度を含む薬物細胞毒性対照、培養培地のみ(細胞なし)を含む試薬対照、ならびに薬物および培地(細胞なし)を含む薬物比色対照を、試験試料と同時に行なう。ヒトインターフェロン-α 2bを陽性対照化合物として使用した。アッセイの前日、細胞をトリプシン処理し、ペレット化し、計数し、ウェル当たり100μlの容量ずつ、96ウェル平底組織培養プレート中の組織培養培地に1×104/ウェルで再懸濁した。細胞をプレーティングした1日後、ウェルを洗浄し、培地を、半ログ系列で培地に希釈された様々な濃度の試験化合物を含む完全培地(2%血清)と交換した。事前に力価測定した(pre-titered)ウイルスのアリコートを、各実験の直前に冷凍庫(-80℃)から取り出した。各ウェルに添加されるウイルスの量が、感染後6〜7日で完全な細胞殺傷をもたらすように、ウイルスを組織培養培地に希釈した。最大CPEが未処置のウイルス対照培養で観察されるまで(約7日)、5%CO2を含む加湿雰囲気中、37℃で、プレートをインキュベートした。Cell Titer 96(Promega)を用いて、化合物によるCPEの阻害を決定した。生存細胞の数を決定するための比色法を用いた。コンピュータプログラムを利用して、ウイルス感染したウェルのCPE低下のパーセントおよび感染していない薬物対照ウェルの細胞生存率を算出した。片対数曲線フィッティングを用いる回帰分析を用いて、CPEを50%低下させる最小阻害薬物濃度(IC50)および生存細胞の50%低下をもたらす最小毒性薬物濃度(TC50)を算出した。TC50をIC50で割ることにより、各々の活性化合物の治療(選択性)指標(TI50)を決定した。
【0095】
薬物細胞毒性を感染していない細胞で別々に測定した。第一の実験で11個のBIT化合物を試験した。この実験では、化合物を感染の直前に細胞に添加し、実験全体を通じてずっと維持した。それらのうちの2つ、BIT225およびBIT314は、サブマイクロモルのIC50値をもたらした(下記の表2参照)。
【表2】
【0096】
その後のBIT225を用いた反復アッセイにより、0.33μM という同様のIC50値がもたらされた。下記の表2aに示すように、本発明の追加の化合物も試験した。
【表2a】
【0097】
実施例13 - BIT225とIFNまたはリバビリンとの組み合わせを用いたHCVの阻害
BIT225/IFNおよびBIT225/リバビリンの組み合わせをウイルスに対して試験した。図2、3、および4は、各々の薬物が個々に以下のEC50値をもたらしたことを示す。すなわち、BIT225については314nM;rIFNα-2bについては21.7IU/ml;しかし、リバビリンについては、それ単独では、20μg/mlまでの範囲でほんの少しの抗ウイルス活性しか検出されなかった。
【0098】
単独で試験したときの各化合物の活性をもとに薬物の組み合わせの効果を算出した。予想される相加的な抗ウイルス防御を、実験的に決定された各組み合わせ濃度での抗ウイルス活性から差し引き、陽性値(相乗作用)、陰性値(拮抗作用)、またはゼロ(相加作用)を結果として得た。相乗作用量(synergy volume)(濃度×濃度×パーセント、例えば、μM2%、nM2%、nMμM%などの単位)を95%信頼区間で算出した。これらの検討のために、相乗作用を50よりも大きい相乗作用量をもたらす薬物の組み合わせと定義した。わずかに相乗的な活性および極めて相乗的な活性を、それぞれ、50〜100および>100の相乗作用量をもたらすものと操作的に定義する。相加的な薬物相互作用が、-50〜50の範囲の相乗作用量を有する一方、-50〜-100の相乗作用量は、わずかに拮抗性であると考えられ、<-100の相乗作用量は、極めて拮抗的である。
【0099】
表3に組み合わせ研究の結果をまとめる。BIT225およびIFNは、わずかな相乗作用を示す87IU/mlμM%という平均相乗作用量を有していたが、この値は「極めて相乗的」のカットオフに近く、3回の実験のうちの1回で、この相互作用が極めて相乗的であることが分かったことに留意されたい。興味深いことに、BIT225/リバビリンの組み合わせは、わずかに拮抗的であった。リバビリンがそれ単独で抗ウイルス活性を有さなかったこれらの実験では、リバビリンがBIT225の強い抗ウイルス活性に拮抗していたことを、この結果は示す。
【0100】
異なる組み合わせの抗ウイルス化合物の間の相乗作用の程度を「等級分けする」試みも本明細書でなされたが、用語「相乗作用」はその絶対的な意味でも一般に用いられ、したがって、任意のレベルの相乗作用が本発明の組み合わせに関して有意義かつ重要であると考えられるということが理解されよう。
【表3】
【0101】
実施例14 - BIT225、IFN、およびリバビリンの組み合わせを用いたHCVの阻害
上記の組み合わせ研究の結果によって、BIT225とIFNαの抗ウイルス活性の間の相乗効果が明らかにされた。リバビリンはそれ単独でBVDVに対する非常にわずかな活性を有するが(図4参照)、この化合物はIFNαの抗ウイルス活性を増強させるということも文献から周知である。興味深いことに、わずかな拮抗作用がリバビリンとBIT225の間に報告されたが(表3参照)、これはもっぱら、より高い濃度で両薬物を試験したときに見られた。
【0102】
BIT225、IFNα、およびリバビリンの組み合わせの効果を試験した。2つの固定された、サブEC50濃度のIFNα(5および10IU/ml)を選び、様々な濃度のBIT225およびリバビリンに対して試験した:4μMの高試験濃度からの8つの2倍希釈のBIT225および20μg/mlの高試験濃度からの5つの2倍希釈のリバビリンを試験した。表4に提示した結果は、試験した両方の固定濃度のIFNαでのBIT225とリバビリンの間の極めて相乗的な抗ウイルス活性を示す。
【表4】
【0103】
データのさらなる解析によって、5IU/ml IFNα+試験した最低濃度のBIT225(31nM)+試験した最低濃度のリバビリン(1.25μg/ml)の組み合わせについて、ウイルスCPEの70%阻害が明らかになっている。10IU IFNαの存在下における同じ低濃度のBIT225およびリバビリンは、90%ウイルス阻害をもたらした。比較のために、より初期の研究によると、5IU/ml IFNα単独では約8%阻害が得られ;31nM BIT225単独では約5%阻害が得られ;1.25μg/mlリバビリン単独では抗ウイルス活性が示されない。明らかに、3種類の組み合わせがBVDVに対して極めて有効である。
【0104】
図5は、IFNαの存在下または非存在下における31nM BIT225および/または1.25μgリバビリンで見られるウイルス阻害のレベルを示す。
【0105】
図6は、5および10IU/m IFNαの存在下におけるBIT225についての全範囲用量応答曲線を示し、かつ1.25μg/mlの添加による抗ウイルス効果の増強を示す。挿入図は、5および10IU/m IFNαの存在下におけるリバビリンについての全範囲用量応答曲線を示す。
【0106】
Prismソフトウェアを用いて傾き(Hill slope)を制約して行なわれた標準的なS字型曲線フィッティングによって、5または10IU/m IFNαの存在下におけるBIT225のEC50値を、それぞれ、92(95%CI:22〜385)nMおよび71(95%CI:41〜1240)nMと決定した。可変の傾きを許す同様の曲線フィッティングによって、以前の実験で決定された値とよく一致する、同等のEC50値、すなわち、149および125nMが得られた。
【0107】
試験した全ての薬物の組み合わせが、ウイルスCPEの>70%阻害をもたらしたので、リバビリンを添加した実験からのデータについてEC50値を決定するのは不可能であった。
【0108】
まとめ
化合物BIT225を用いた組み合わせ研究により、以下のことが示される:
・BIT225単独で、314nM(95%CI:295〜333)のEC50値を有する良好な抗ウイルス活性を有する。
・BIT225は、IFNαとの組み合わせで相乗効果を示し;5IU/ml IFNαの存在下におけるBIT225のEC50値は、約92nM(95%CI:22〜385)まで下落する。
・BIT225、IFNα、およびリバビリンの3種類の組み合わせは、強く相乗的であり、31nM BIT225、5IU/m IFNα、および1.25μg/mlリバビリンで、ウイルスCPEの70%阻害をもたらす。
・3つの化合物の様々な組み合わせ:例えば、5IU/ml IFNα+500nM BIT225+2.5μg/mlリバビリン、または;10IU/ml IFNα+31nM BIT225+2.5μg/mlリバビリンで、完全なウイルス阻害を達成することができる。
【0109】
実施例15 - BIT225とヌクレオシド類似体2'-C-メチルアデノシンまたは2'-C-メチルシチジンとの組み合わせを用いたHCVの阻害
本発明のヌクレオシド類似体を、(2'-C-メチルアデノシンについて)Hecker SJ et al (2007) J. Med Chem. 50(16), 3891-6および(2'-C-メチルシチジンについて)Antiviral Research (2007) 73(3), 161-8に記載されたプロトコルを用いて合成してもよい。ヌクレオシド類似体を、NANJING BAIFULI TECHNOLOGY CO., LTD.(NAN JING BAI FU LI KE JI YOU XIAN ZE REN GONG SI), RM 701 , BLDG 15, High-Tech Zone, Nanjing, 210061, P.R.CHINAなどの商業源から入手することもできる。
【表5】
【0110】
上記の表5に、化合物BIT225およびヌクレオシド類似体、ならびにIFNおよび/またはリバビリンと化合物BIT314の組み合わせを用いた組み合わせ研究の結果をまとめる。
【0111】
本明細書で示すように、BIT225/2'-C-メチルアデノシンおよびBIT225/2'-C-メチルシチジンの組み合わせをウイルスに対して試験した。図7は、各ヌクレオシド類似体に活性があり、個々に以下のEC50値を有していたことを示す:2'-C-メチルアデノシン EC50=2.16μM(95%CI:1.54〜3.03μM);2'-C-メチルシチジン EC50=2.75μM(95%CI:0.86〜8.7μM)。
【0112】
先と同様に、単独で試験したときの各化合物の活性をもとに薬物組み合わせの効果を算出した。予想される相加的な抗ウイルス防御を、実験的に決定された各組み合わせ濃度での抗ウイルス活性から差し引き、陽性値(相乗作用)、陰性値(拮抗作用)、またはゼロ(相加作用)を結果として得た。相乗作用量(濃度×濃度×パーセント、例えば、μM2%、nM2%、nMμM%などの単位で)を95%信頼区間で算出した。これらの検討のために、相乗作用を50よりも大きい相乗作用量をもたらす薬物の組み合わせと定義した。わずかに相乗的な活性および極めて相乗的な活性を、それぞれ、50〜100および>100の相乗作用量をもたらすものと操作的に定義する。相加的な薬物相互作用が、-50〜50の範囲の相乗作用量を有する一方、-50〜-100の相乗作用量は、わずかに拮抗性であると考えられ、<-100の相乗作用量は、極めて拮抗的である。
【0113】
表5に、組み合わせ研究の結果をまとめる:BIT225と2'-C-メチルアデノシンは、「高い」相乗作用を示す106μM2%の平均相乗作用量を有した。BIT225と2'-C-メチルシチジンは、「わずかな」相乗作用を示す71μM2%の平均相乗作用量を有した。
【0114】
図8および9は、それぞれ、様々な濃度の2'-C-メチルアデノシンまたは2'-C-メチルシチジンの存在下におけるBIT225についての用量応答曲線に対する変化を示す。
【0115】
実施例16 - BIT314とIFNとの組み合わせを用いたHCVの阻害
BIT314/IFNの組み合わせをウイルスに対して試験した。BIT314を個別にBVDVに対して試験した2つの以前の実験から、210nMおよび390nM(平均=300nM)というEC50値が得られた。同様に、本発明者らは以前に、rIFNα-2bについて21.7IU/mlというEC50値を決定した。図10は、これらの組み合わせ研究の一部であった第3の実験で決定したときの、BIT314についての用量応答曲線を含む。その実験では、BIT314のEC50は540nMであった。
【0116】
先と同様に、実施例15に記載したように単独で試験したときの各化合物の活性をもとに薬物組み合わせの効果を算出した。表5に、組み合わせ研究の結果をまとめる:BIT314とIFNは、「高い」相乗作用を示す311μMIU/ml%の平均相乗作用量を有した。
【0117】
実施例17 - BIT314、IFN、およびリバビリンの3種類の組み合わせを用いたHCVの阻害
上記の組み合わせ研究の結果によって、BIT314とIFNαの抗ウイルス活性の間の強い相乗効果が明らかになった。リバビリンはそれ単独でBVDVに対する非常にわずかな活性を有するが(図4参照)、この化合物はIFNαの抗ウイルス活性を増強させるということも文献から周知である。
【0118】
BIT314、IFNα、およびリバビリンの組み合わせの効果を試験した。1つの固定された(サブEC50濃度の)IFNα(5IU/ml)を選び、様々な濃度のBIT314およびリバビリンに対して試験した:4μMの高試験濃度からの8つの2倍希釈のBIT314および20μg/mlの高試験濃度からの5つの2倍希釈のリバビリンを試験した。表Xにまとめた結果は、IFNαの存在下におけるBIT314とリバビリンの間の極めて相乗的な抗ウイルス活性:すなわち、361μMμg/ml%という相乗作用/拮抗作用量を示す。
【0119】
図10は、様々な濃度のrIFNα-2bの存在下におけるBIT314についての全範囲用量応答曲線を示し、図11は、5IU/m IFNα+1.25μg/mlリバビリンおよび5IU/m
IFNα+2.5μg/mlリバビリンの添加による抗ウイルス効果の増強を例証する。この実験では、Prismソフトウェアを用いて行なわれた標準的なS字型曲線フィッティングによって決定したとき、BIT314単独でのEC50値は、540nM(95%CI:389〜739nM)であり;5IU/ml
IFNα+1.25μg/mlリバビリンの存在下では、183nM(95%CI:148〜226nM)であった。
【0120】
まとめ
化合物BIT314を用いた組み合わせ研究により、以下のことが示される:
・BIT314単独で、380nM(SEM 95.4、n=3)の平均EC50値を有する良好な抗ウイルス活性を有する。
・BIT314は、IFNαとの組み合わせで相乗効果を示し;40IU/ml IFNαの存在下におけるBIT314のEC50値は、約60nMまで下落する。
・BIT314、IFNα、およびリバビリンの3種類の組み合わせは、強く相乗的であり、62nM BIT314、5IU/m IFNα、および2.5μg/mlリバビリンで、ウイルスCPEの70%阻害をもたらす。
・3つの化合物の様々な組み合わせ:例えば、5IU/ml IFNα+250nM BIT314+2.5μg/mlリバビリン、または;5IU/ml IFNα+500nM BIT314+1.25μg/mlリバビリンで、完全なウイルス阻害を達成することができる。
【0121】
本発明は具体的な実施形態に関して記載されているが、記載された本発明の原理および精神に即した変形および修正も包含されるということが理解されよう。
【0122】
参考文献
・VanCott TC, Mascola JR, Loomis-Price LD, Sinangil F, Zitomersky N, McNeil J, Robb ML, Birx DL, Barnett S. (1999) J. Virol. 73(6):4640-50
・Pauwels R, Balzarini J, Baba M, Snoeck R, Schols D, Herdewijn P, Desmyter J and De Clercq E. (1988) J. Virolog. Methods. 20:309-321
・D’Cruz OJ, Shih M-J, Yiv SH, Chen C-L, Uckun FM. (1999) Mol. Hum. Reprod. 5(5):421-432
・Joo, Hong-Gu. (2003) J. Vet. Sci. 4(3):229-234
・Ewart, G.D., T. Sutherland, P.W. Gage, and G.B. Cox, The Vpu protein of human immunodeficiency virus type 1 forms cation-selective ion channels. J Virol, 1996. 70(10): p. 7108-15.
・Ewart, G.D., K. Mills, G.B. Cox, and P.W. Gage, Amiloride derivatives block ion channel activity and enhancement of virus-like particle budding caused by HIV-1 protein Vpu. Eur Biophys J, 2002. 31(1): p. 26-35.
・Ewart, G.D., N. Nasr, H. Naif, G.B. Cox, A.L. Cunningham, and P.W. Gage, Potential new anti-human immunodeficiency virus type 1 compounds depress virus replication in cultured human macrophages. Antimicrob Agents Chemother, 2004. 48(6): p. 2325-30.
・Gage, P., G. Ewart, J. Melton, and A. Premkumar, Virus Ion Channels Formed by Vpu of HIV-1, the 6K Protein of Alphaviruses and NB of Influenza B Virus., in Viral Membrane Proteins: Structure, Function and Drug Design, W. Fischer, Editor. 2005, Kluwer Academic / Plenum Publishers: New York. p. Chapter 15.
・Melton, J.V., G.D. Ewart, R.C. Weir, P.G. Board, E. Lee, and P.W. Gage, Alphavirus 6K proteins form ion channels. J Biol Chem, 2002. 277(49): p. 46923-31.
・Premkumar, A., X. Dong, G. Haqshenas, P.W. Gage, and E.J. Gowans, Amantadine inhibits the function of an ion channel encoded by GB virus B, but fails to inhibit virus replication. Antivir Ther, 2006. 11(3): p. 289-95.
・Premkumar, A., C.R. Horan, and P.W. Gage, Dengue virus M protein C-terminal peptide (DVM-C) forms ion channels. J Membr Biol, 2005. 204(1): p. 33-8.
・Premkumar, A., L. Wilson, G.D. Ewart, and P.W. Gage, Cation-selective ion channels formed by p7 of hepatitis C virus are blocked by hexamethylene amiloride. FEBS Lett, 2004. 557(1-3): p. 99-103.
・Wilson, L., P. Gage, and G. Ewart, Validation of coronavirus E proteins ion channels as targets for antiviral drugs. Adv Exp Med Biol, 2006. 581: p. 573-8.
・Wilson, L., P. Gage, and G. Ewart, Hexamethylene amiloride blocks E protein ion channels and inhibits coronavirus replication. Virology, 2006. 353(2): p. 294-306.
・Wilson, L., C. McKinlay, P. Gage, and G. Ewart, SARS coronavirus E protein forms cation-selective ion channels. Virology, 2004. 330(1): p. 322-31.
・Sakai, A., M.S. Claire, K. Faulk, S. Govindarajan, S.U. Emerson, R.H. Purcell, and J. Bukh, The p7 polypeptide of hepatitis C virus is critical for infectivity and contains functionally important genotype-specific sequences. Proc Natl Acad Sci U S A, 2003. 100(20): p. 11646-51.
・Griffin, S.D., L.P. Beales, D.S. Clarke, O. Worsfold, S.D. Evans, J. Jaeger, M.P. Harris, and D.J. Rowlands, The p7 protein of hepatitis C virus forms an ion channel that is blocked by the antiviral drug, Amantadine. FEBS Lett, 2003. 535(1-3): p. 34-8.
・Pavlovic, D., D.C. Neville, O. Argaud, B. Blumberg, R.A. Dwek, W.B. Fischer, and N. Zitzmann, The hepatitis C virus p7 protein forms an ion channel that is inhibited by long-alkyl-chain iminosugar derivatives. Proc Natl Acad Sci U S A, 2003. 100(10): p. 6104-8.
・Hay, A.J., A.J. Wolstenholme, J.J. Skehel, and M.H. Smith, The molecular basis of the specific anti-influenza action of amantadine. Embo J, 1985. 4(11): p. 3021-4.
・Duff, K.C. and R.H. Ashley, The transmembrane domain of influenza A M2 protein forms amantadine-sensitive proton channels in planar lipid bilayers. Virology, 1992. 190(1): p. 485-9.
・De Clercq, E., Antiviral agents active against influenza A viruses. Nat Rev Drug Discov, 2006. 5(12): p. 1015-25.
・Miller, C., Ion channel reconstitution. 1986, New York and London: Plenum Press.
・Buckwold, V.E., B.E. Beer, and R.O. Donis, Bovine viral diarrhea virus as a surrogate model of hepatitis C virus for the evaluation of antiviral agents. Antiviral Res, 2003. 60(1): p. 1-15.
・Harada, T., N. Tautz, and H.J. Thiel, E2-p7 region of the bovine viral diarrhea virus polyprotein: processing and functional studies. J Virol, 2000. 74(20): p. 9498-506.
・Griffin, S., D. Clarke, C. McCormick, D. Rowlands, and M. Harris, Signal peptide cleavage and internal targeting signals direct the hepatitis C virus p7 protein to distinct intracellular membranes. J Virol, 2005. 79(24): p. 15525-36.
・Buckwold, V.E., J. Wei, M. Wenzel-Mathers, and J. Russell, Synergistic in vitro interactions between alpha interferon and Ribavirin against bovine viral diarrhea virus and yellow fever virus as surrogate models of hepatitis C virus replication. Antimicrob Agents Chemother, 2003. 47(7): p. 2293-8.
・Haqshenas, G., X. Dong, G. Ewart, S. Bowden, and E.J. Gowans, A 2a/1b full-length p7 inter-genotypic chimeric genome of hepatitis C virus is infectious in vitro. Virology, 2007. 360(1): p. 17-26.
・Buckwold, V.E., J. Wei, M. Wenzel-Mathers, and J. Russell. 2003. Synergistic in vitro interactions between alpha interferon and Ribavirin against bovine viral diarrhea virus and yellow fever virus as surrogate models of hepatitis C virus replication. Antimicrob. Agents Chemother. 47:2293-2298.
・Buckwold, V.E., B.E. Beer, and R.O. Donis. 2003. Bovine viral diarrhea virus as a surrogate model of hepatitis C virus for the evaluation of antiviral agents. Antiviral Res. 60:1-15.
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HCVの治療のための組成物であって、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤と組み合わせた、式I:
【化70】
[式中、R1は、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチルであるか、またはR1は、
【化71】
、
【化72】
、
【化73】
もしくは
【化74】
より選択され;
nは、1、2、3、または4であり;
【化75】
は、
【化76】
または
【化77】
であり;
Fは独立して、
【化78】
、ハロゲン、アルキル、ハロ、またはポリハロアルキルであり;
Qは独立して、水素、アルコキシ(特にメトキシ)、アルキル(特にメチル)、シクロアルキル、チエニル、フリル、ピラゾリル、置換ピラゾリル、ピリジル、置換ピリジル、フェニル、置換フェニル、ハロ(特に、クロロもしくはブロモ)、ヘテロ環(「het」)であるか、またはQは独立して、
【化79】
【化80】
【化81】
【化82】
【化83】
、
【化84】
もしくは
【化85】
(式中、R2は、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、
【化86】
【化87】
【化88】
【化89】
(式中、R3は、
【化90】
もしくは
【化91】
である)である)より選択され;かつ
Xは、水素またはアルコキシである]
の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩を含む、組成物。
【請求項2】
式Iの前記化合物が、以下のもの:
下記構造を含む(3-ベンゾイル)シンナモイルグアニジン
【化92】
下記構造を含む2,3-メチレンジオキシシンナモイルグアニジン
【化93】
下記構造を含む5-メチル-2-ナフトイルグアニジン
【化94】
下記構造を含む3(インダン-4-イル)-プロペノイルグアニジン
【化95】
下記構造を含む5-ブロモ-6-メトキシ-2-ナフトイルグアニジン
【化96】
下記構造を含む5-チオフェン-3-イル-2-ナフトイルグアニジン
【化97】
下記構造を含む5-(1-メチルピラゾル-4-イル)2-ナフトイルグアニジン
【化98】
下記構造を含む(1-メトキシ-2-ナフトイル)グアニジン
【化99】
下記構造を含む(3-メトキシ-2-ナフトイル)グアニジン
【化100】
下記構造を含む(5-ブロモ-2-ナフトイル)グアニジン
【化101】
下記構造を含む(1,4-ジメトキシ--2-ナフトイル)グアニジン
【化102】
下記構造を含む(6-(3-チエニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化103】
下記構造を含む(6-メチル-2-ナフトイル)グアニジン
【化104】
下記構造を含む(5-フェニル-2-ナフトイル)グアニジン
【化105】
下記構造を含む(5-(チエン-2-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化106】
下記構造を含む(5-(1-イソブチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化107】
下記構造を含む(5-(3-フリル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化108】
(5-シクロプロピル-2-ナフトイル)グアニジン
【化109】
(5-クロロ-2-ナフトイル)グアニジン
【化110】
(6-(1-メチルピラゾル-4-イル)-2-ナフトイル)酢酸グアニジン
【化111】
(5-(2,6-ジメトキシピリジン-3-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化112】
(5-(2-クロロフェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化113】
(5-(4-(アセチルアミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化114】
(5-(3-(アセチルアミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化115】
(5-(4-((メチルスルホニル)アミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化116】
および薬学的に許容されるその塩より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
式Iの前記化合物のグアニジル部分のアミン基またはイミン基が、フリーベース、水和物、有機塩もしくは無機塩、またはその組み合わせとして存在する、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
抗ウイルス活性を有する前記少なくとも1つの追加の薬剤が、ヌクレオシド類似体阻害剤、非ヌクレオシド類似体阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、またはセリンプロテアーゼ阻害剤より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
抗ウイルス活性を有する前記少なくとも1つの追加の薬剤が、インターフェロン(IFN)である、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記インターフェロンが、I型IFNおよびII型IFNからなる群より選択される、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記IFNが、IFNα、IFNβ、およびIFNγからなる群より選択される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記IFNが、IFNα-2a、IFNα-2b、IFNα-n3、IFNα-コン1、IFNβ-1a、IFNβ1、IFN-γ1b、ペグインターフェロンα-2b、およびペグインターフェロンα-2aからなる群より選択される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
抗ウイルス活性を有する前記少なくとも1つの追加の薬剤が、1つまたは複数のIFNα-2bおよびリバビリン;IFNα-2aおよびリバビリン;ペグ化IFNα-2aおよびリバビリンまたはペグ化IFNα-2aおよびリバビリンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
抗ウイルス活性を有する前記少なくとも1つの追加の薬剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、またはHCVセリンプロテアーゼ阻害剤より選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
抗ウイルス活性を有する前記少なくとも1つの追加の薬剤が、1つまたは複数のヌクレオシド類似体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ヌクレオシド類似体が、2'-C-メチルアデノシンおよびBIT225/2'-C-メチルシチジン、4'-アジドシトシン、2'-デオキシ-2'-フルオロシチジン、ならびに2'-O-メチルシチジンより選択される、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が相乗組成物である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物の個々の成分を同時に投与し得る、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物の個々の成分を、別々に連続的な形でかつ任意の順序で投与し得る、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
HCVの治療のための薬学的組成物であって、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または誘導体と一緒に請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物を含む薬学的組成物。
【請求項17】
HCVの増殖および/もしくは複製を低下させるか、遅延させるか、またはさもなければ阻害するための方法であって、前記HCVに感染したかまたはHCVに曝露した細胞を請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物と接触させる工程を含む方法。
【請求項18】
HCVに曝露した細胞の感染を予防する方法であって、前記細胞を請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物と接触させる工程を含む方法。
【請求項19】
HCVに曝露したかまたは感染した対象の治療的または予防的治療のための方法であって、前記対象への請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物の投与を含む方法。
【請求項20】
C型肝炎を治療する方法であって、有効量の請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法。
【請求項21】
C型肝炎を治療する方法であって、前記組成物がHCV p7タンパク質を阻害する、有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法。
【請求項22】
前記組成物を、静脈内(iv)に、腹腔内に、皮下に、頭蓋内に、皮内に、筋肉内に、眼球内に、髄腔内に、脳内に、鼻腔内に、経粘膜で、または口、直腸からの注入によって、iv点滴、パッチ、またはインプラントによって投与する、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
それを必要とする対象が、哺乳動物、家畜動物、コンパニオン動物、実験室での試験動物、または捕獲野生動物である、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記哺乳動物が霊長類である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記霊長類がヒトである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
C型肝炎の治療のための医薬の調製または製造における請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項27】
前記組成物がHCV p7タンパク質を阻害する、C型肝炎の治療のための医薬の調製または製造における請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項1】
HCVの治療のための組成物であって、抗ウイルス活性を有する少なくとも1つの追加の薬剤と組み合わせた、式I:
【化70】
[式中、R1は、フェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチルであるか、またはR1は、
【化71】
、
【化72】
、
【化73】
もしくは
【化74】
より選択され;
nは、1、2、3、または4であり;
【化75】
は、
【化76】
または
【化77】
であり;
Fは独立して、
【化78】
、ハロゲン、アルキル、ハロ、またはポリハロアルキルであり;
Qは独立して、水素、アルコキシ(特にメトキシ)、アルキル(特にメチル)、シクロアルキル、チエニル、フリル、ピラゾリル、置換ピラゾリル、ピリジル、置換ピリジル、フェニル、置換フェニル、ハロ(特に、クロロもしくはブロモ)、ヘテロ環(「het」)であるか、またはQは独立して、
【化79】
【化80】
【化81】
【化82】
【化83】
、
【化84】
もしくは
【化85】
(式中、R2は、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、
【化86】
【化87】
【化88】
【化89】
(式中、R3は、
【化90】
もしくは
【化91】
である)である)より選択され;かつ
Xは、水素またはアルコキシである]
の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩を含む、組成物。
【請求項2】
式Iの前記化合物が、以下のもの:
下記構造を含む(3-ベンゾイル)シンナモイルグアニジン
【化92】
下記構造を含む2,3-メチレンジオキシシンナモイルグアニジン
【化93】
下記構造を含む5-メチル-2-ナフトイルグアニジン
【化94】
下記構造を含む3(インダン-4-イル)-プロペノイルグアニジン
【化95】
下記構造を含む5-ブロモ-6-メトキシ-2-ナフトイルグアニジン
【化96】
下記構造を含む5-チオフェン-3-イル-2-ナフトイルグアニジン
【化97】
下記構造を含む5-(1-メチルピラゾル-4-イル)2-ナフトイルグアニジン
【化98】
下記構造を含む(1-メトキシ-2-ナフトイル)グアニジン
【化99】
下記構造を含む(3-メトキシ-2-ナフトイル)グアニジン
【化100】
下記構造を含む(5-ブロモ-2-ナフトイル)グアニジン
【化101】
下記構造を含む(1,4-ジメトキシ--2-ナフトイル)グアニジン
【化102】
下記構造を含む(6-(3-チエニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化103】
下記構造を含む(6-メチル-2-ナフトイル)グアニジン
【化104】
下記構造を含む(5-フェニル-2-ナフトイル)グアニジン
【化105】
下記構造を含む(5-(チエン-2-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化106】
下記構造を含む(5-(1-イソブチル-1H-ピラゾル-4-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化107】
下記構造を含む(5-(3-フリル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化108】
(5-シクロプロピル-2-ナフトイル)グアニジン
【化109】
(5-クロロ-2-ナフトイル)グアニジン
【化110】
(6-(1-メチルピラゾル-4-イル)-2-ナフトイル)酢酸グアニジン
【化111】
(5-(2,6-ジメトキシピリジン-3-イル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化112】
(5-(2-クロロフェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化113】
(5-(4-(アセチルアミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化114】
(5-(3-(アセチルアミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化115】
(5-(4-((メチルスルホニル)アミノ)フェニル)-2-ナフトイル)グアニジン
【化116】
および薬学的に許容されるその塩より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
式Iの前記化合物のグアニジル部分のアミン基またはイミン基が、フリーベース、水和物、有機塩もしくは無機塩、またはその組み合わせとして存在する、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
抗ウイルス活性を有する前記少なくとも1つの追加の薬剤が、ヌクレオシド類似体阻害剤、非ヌクレオシド類似体阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、またはセリンプロテアーゼ阻害剤より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
抗ウイルス活性を有する前記少なくとも1つの追加の薬剤が、インターフェロン(IFN)である、前述の請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記インターフェロンが、I型IFNおよびII型IFNからなる群より選択される、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記IFNが、IFNα、IFNβ、およびIFNγからなる群より選択される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記IFNが、IFNα-2a、IFNα-2b、IFNα-n3、IFNα-コン1、IFNβ-1a、IFNβ1、IFN-γ1b、ペグインターフェロンα-2b、およびペグインターフェロンα-2aからなる群より選択される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
抗ウイルス活性を有する前記少なくとも1つの追加の薬剤が、1つまたは複数のIFNα-2bおよびリバビリン;IFNα-2aおよびリバビリン;ペグ化IFNα-2aおよびリバビリンまたはペグ化IFNα-2aおよびリバビリンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
抗ウイルス活性を有する前記少なくとも1つの追加の薬剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、またはHCVセリンプロテアーゼ阻害剤より選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
抗ウイルス活性を有する前記少なくとも1つの追加の薬剤が、1つまたは複数のヌクレオシド類似体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ヌクレオシド類似体が、2'-C-メチルアデノシンおよびBIT225/2'-C-メチルシチジン、4'-アジドシトシン、2'-デオキシ-2'-フルオロシチジン、ならびに2'-O-メチルシチジンより選択される、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が相乗組成物である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物の個々の成分を同時に投与し得る、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物の個々の成分を、別々に連続的な形でかつ任意の順序で投与し得る、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
HCVの治療のための薬学的組成物であって、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または誘導体と一緒に請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物を含む薬学的組成物。
【請求項17】
HCVの増殖および/もしくは複製を低下させるか、遅延させるか、またはさもなければ阻害するための方法であって、前記HCVに感染したかまたはHCVに曝露した細胞を請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物と接触させる工程を含む方法。
【請求項18】
HCVに曝露した細胞の感染を予防する方法であって、前記細胞を請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物と接触させる工程を含む方法。
【請求項19】
HCVに曝露したかまたは感染した対象の治療的または予防的治療のための方法であって、前記対象への請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物の投与を含む方法。
【請求項20】
C型肝炎を治療する方法であって、有効量の請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法。
【請求項21】
C型肝炎を治療する方法であって、前記組成物がHCV p7タンパク質を阻害する、有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法。
【請求項22】
前記組成物を、静脈内(iv)に、腹腔内に、皮下に、頭蓋内に、皮内に、筋肉内に、眼球内に、髄腔内に、脳内に、鼻腔内に、経粘膜で、または口、直腸からの注入によって、iv点滴、パッチ、またはインプラントによって投与する、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
それを必要とする対象が、哺乳動物、家畜動物、コンパニオン動物、実験室での試験動物、または捕獲野生動物である、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記哺乳動物が霊長類である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記霊長類がヒトである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
C型肝炎の治療のための医薬の調製または製造における請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項27】
前記組成物がHCV p7タンパク質を阻害する、C型肝炎の治療のための医薬の調製または製造における請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−535154(P2010−535154A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518462(P2010−518462)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001130
【国際公開番号】WO2009/018609
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(510019288)バイオトロン リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001130
【国際公開番号】WO2009/018609
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(510019288)バイオトロン リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]