説明

CB1アンタゴニスト活性を有する(5R)−1,5−ジアリール−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキシアミジン誘導体

本発明はカンナビノイドCB受容体アゴニストとしての(5R)−1,5−ジアリール−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキシアミジン誘導体、これらの化合物の製造方法、該ジヒドロピラゾール誘導体の合成に有用な新規中間体、これらの中間体の製造方法、有効成分としてこれらのジヒドロピラゾール誘導体の1種もしくはそれ以上を含有する製薬学的組成物、ならびにカンナビノイド受容体が関係する精神および神経障害の処置のためのこれらの製薬学的組成物の使用に関する。これらの化合物は式(I):
【化1】


[式中、記号は明細書において示した意味を有する]
を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製薬および有機化学の分野に関し、そして(5R)−1,5−ジアリール−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキシアミジン、中間体、製剤および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
リモナバントとして現在知られているSR141716A、およびCB/CB受容体サブタイプ選択的受容体アンタゴニストを包含する他のCB受容体モジュレーターは、精神病、不安、鬱病、注意欠陥、記憶障害、認知障害、食欲障害、肥満、依存症、薬物依存、神経変性疾患、認知症、ジストニア、筋痙性、振戦、癲癇、多発性硬化症、外傷性脳損傷、発作(stroke)、パーキンソン病、アルツハイマー病、癲癇、ハンチントン病、トゥーレット症候群、脳虚血、脳卒中、頭蓋大脳外傷、発作、脊髄損傷、神経炎症性疾患、プラーク硬化症、ウイルス性脳炎、脱髄関連疾患、疼痛障害、神経障害性疼痛障害、敗血症性ショック、緑内障、糖尿病、癌、嘔吐、悪心、胃腸障害、胃潰瘍、下痢、性的障害、衝動調節障害および心血管障害を処置するための薬剤のようないくつかの潜在的治療用途を有する(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4および非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10および11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。
【0003】
特許文献1(最初はWO 2005/074920として公開された)は、N−[(ピペリジン−1−イル)−スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン:
【0004】
【化1】

【0005】
を包含する、CB受容体アンタゴニストとしてのラセミ化合物1,3,5−トリ置換された4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール誘導体を開示した。しかしながら、この化合物ならびに開示される他の化合物は、経口投与後にインビボCB媒介性(CP−55,940誘発性)低血圧試験において不活性であると判明した(ID50>30mg/kg)(以下参照)。本発明は、経口投与後に改善されたインビボ活性を有する1,3,5−トリ置換された4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール由来のCB受容体アンタゴニストもしくは逆アゴニストの開発を目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 1 713 475明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Boyd,S.T.and Fremming,B.A.Ann.Pharmacother.2005,39,684−690
【非特許文献2】Sorbera,L.A.et al.Drugs Fut.2005,30,128−137
【非特許文献3】Carai,M.A.M.et al.,Life Sc.2005,77,2339−2350
【非特許文献4】Lange,J.H.M.and Kruse,C.G.,C.Curr.Opin.Drug Discovery Dev,7,498−506,2004
【非特許文献5】Lange,J.H.M.and Kruse,C.G.DrugDiscov.Today,10,693−702,2005
【非特許文献6】Hertzog,D.L.Expert Opin.Ther.Patents,14,1435−1452,2004
【非特許文献7】Smith,R.A.and Fathi,Z.Idrugs,8,53−66,2005.
【非特許文献8】Thakur,G.A.et al.,Mini−Rev.Med.Chem.,5,631−640,2005.
【非特許文献9】Padgett,L.W.Life Sc.,77,1767−1798,2005.
【非特許文献10】Muccioli,G.G.et al.,Curr.Med.Chem.,12,1361−1394,2005
【非特許文献11】Muccioli,G.G.and Lambert,D.M..,Expert Opin.Ther.Patents,16,1405−1423,2006
【非特許文献12】Reggio,P.H.Curr.Pharm.Des.2003,9,1607−1633
【非特許文献13】Adam,J.et al.,Progress in Med.Chem.2006,44,207−329;Eds.King and Lawton,Elsevier,Amsterdam
【非特許文献14】Hoegenauer,E.K.Expert Opin.Ther.Patents 2007,17,1457.
【発明の概要】
【0008】
開示
カンナビノイド−CB受容体の強力なそして選択的な拮抗作用もしくは逆活性化作用(inverse agonism)が、式(I):
【0009】
【化2】

【0010】
[式中:
−Rは水素もしくはフルオロ原子であり、
−Rはピペリジニルもしくはピロリジニル基を表し、場合により基は1もしくは2個のフルオロ原子またはトリフルオロメチル基で置換されていてもよく、
−Rはメチルもしくはエチル基である]
の(5R)−1,5−ジアリール−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキシアミジン誘導体もしくは互変異性体、立体異性体、N−オキシド、または前述のいずれかの薬理学的に許容しうる塩において見出された。
【0011】
さらなる態様は、Rが1もしくは2個のフルオロ原子またはトリフルオロメチル基でその4位で置換されたピペリジン−1−イル基であり、そしてRがメチル基である式(I)の化合物の1つもしくはそれ以上の(5R)−鏡像異性体を提供する。
【0012】
本発明はまた、ある態様において、
N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−(2−フルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(4−フルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(3−フルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(3,3−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−エチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(4−フルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−エチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
から選択される、式(I):
【0013】
【化3】

【0014】
[式中、記号は上記に示した通りの意味を有する]
の化合物にも関し、そのような化合物は式(I)の化合物の製造において有用である。
【0015】
式(I)の本発明の化合物ならびにその薬理学的に許容しうる塩は、カンナビノイドCB受容体調節活性を有する。それらは、カンナビノイド受容体が関係するかもしくはこれらの受容体の操作によって処置できる障害の処置において有用である。本発明の化合物は、それらの対応する(5S)−対応物よりかなり高いCB受容体親和性および高いCBアンタゴニスト効能を有する。さらに、本発明の化合物のあるものは、経口投与後にCB受容体媒介性インビボモデルにおいて活性である。本発明の化合物は、補助物質および/または液体もしくは固体担体材料を用いて常法によって投与に適当な形態にすることができる。
【0016】
本発明の他の態様には:
例えば、カンナビノイドCB受容体を調節することにより処置することができる障害もしくは症状を処置するための製薬学的組成物、該組成物は式(I)の化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩、および製薬学的に許容しうる担体を含んでなる;
カンナビノイドCB受容体を調節することにより処置することができる障害もしくは症状の処置の方法、該方法は式(I)の化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩をそのような処置を必要とする患者に投与することを含んでなる;
例えば、精神病、不安、鬱病、注意欠陥、記憶障害、認知障害、食欲障害、肥満、依存症、薬物依存、神経変性疾患、認知症、ジストニア、筋痙性、振戦、多発性硬化症、外傷性脳損傷、発作、パーキンソン病、アルツハイマー病、癲癇、ハンチントン病、トゥーレット症候群、脳虚血、脳卒中、頭蓋大脳外傷、発作、脊髄損傷、神経炎症性疾患、プラーク硬化症、ウイルス性脳炎、脱髄関連疾患、疼痛障害、慢性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛および炎症性疼痛、骨粗鬆症、敗血症性ショック、緑内障、糖尿病、嘔吐、悪心、胃腸障害、胃潰瘍、下痢、性的障害、衝動調節障害ならびに心血管障害から選択される障害もしくは症状を処置するための製薬学的組成物;
本明細書に記載される障害から選択される障害もしくは症状の処置の方法、該方法は式(I)の化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩をそのような処置を必要とする患者
に投与することを含んでなる;
本明細書に記載される障害から選択される障害もしくは症状の処置のための製薬学的組成物、該組成物は式(I)の化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩、および製薬学的に許容しうる担体を含んでなる;
が包含される。
【0017】
本発明はまた、薬剤の製造のための式(I)の化合物もしくは塩の使用も提供する。
【0018】
本発明はさらに、記載される症状の1つもしくはそれ以上の処置のために、本発明の化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩、または本発明の化合物を含んでなる製薬学的組成物もしくは製剤を別の治療薬もしくは複数の治療薬と同時にもしくは逐次または組み合わせた製剤として投与する併用療法に関する。そのような他の治療薬(1種もしくは複数)は、本発明の化合物の投与の前に、それと同時に、もしくはその後に投与することができる。
【0019】
本発明はまた、カンナビノイドCB受容体を調節することにより処置することができる障害もしくは症状の処置のための化合物、製薬学的組成物、キットおよび方法も提供し、該方法は式(I)の化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩をそのような処置を必要とする患者に投与することを含んでなる。
【0020】
本発明はまた、本発明の化合物を製造する方法およびそれらの方法において使用する中間体も提供する。
【0021】
本明細書に記述される化合物および中間体の単離および精製は、所望に応じて、例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、厚層クロマトグラフィー(thick−layer chromatography)、分取低圧もしくは高圧液体クロマトグラフィー、またはこれらの方法の組み合わせのような任意の適当な分離もしくは精製方法によりもたらすことができる。適当な分離および単離方法の特定の説明は、製造および実施例から得ることができる。しかしながら、もちろん他の同等な分離もしくは単離方法もまた用いることができる。
【0022】
化合物の結晶形態のあるものは多形体として存在することができ、そしてそのようなものとして本発明に包含されるものとする。さらに、化合物のあるものは水(すなわち、水和物)もしくは一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成することができ、そしてそのような溶媒和物もまた本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0023】
PETもしくはSPECTにより検出可能であるように同位体で標識された式(I)の化合物を包含する、式(I)の同位体標識化合物もしくはその製薬学的に許容しうる塩もまた本発明の範囲内に包含され、そして同じことが、受容体結合もしくは代謝研究に適当な、[13C]−、[14C]−、[H]−、[18F]−、[125I]−もしくは他の同位体濃縮原子で標識された式(I)の化合物に当てはまる。
【0024】
定義
本明細書に開示される化合物の記述において使用する一般用語は、それらの通常の意味を有する。「置換された」という用語は、特定の基もしくは部分が1個もしくはそれ以上の置換基を有することを意味する。任意の基が多数の置換基を保有することができ、そして様々な可能な置換基が提供される場合、これらの置換基は独立して選択され、そして同じである必要はない。「非置換の」という用語は、特定の基が置換基を有さないことを意味する。より簡潔な記述を提供するために、「化合物」もしくは「複数の化合物」という用語には、明白に記載されない場合にも、互変異性体、立体異性体、N−オキシド、同位
体標識アナログまたは薬理学的に許容しうる塩、水和物もしくは溶媒和物が包含される。
【0025】
上記の化合物のN−オキシドは本発明に属する。第三級アミンは、N−オキシド代謝物を生じさせるかもしくはそうでない可能性がある。N−酸化が起こる程度は、微量からほぼ定量的転化まで異なる。N−オキシドはそれらの対応する第三級アミンより活性であるか、もしくは活性が低い可能性がある。N−オキシドは化学的手段によりそれらの対応する第三級アミンに容易に還元することができるが、人体においてこれは様々な程度に起こる。あるN−オキシドは対応する第三級アミンへのほぼ定量的な還元的転化を受け、別の場合には転化はほんの微量の反応であるか、もしくは完全にないことさえある(Bickel,1969)。
【0026】
「結晶形態」は同じ化合物の様々な固体形態、例えば多形体、溶媒和物および非晶形をさす。「多形体」は、全て同じ元素組成を有する、異なる結晶充填配置において化合物が結晶化することができる結晶構造である。多形は温度、過飽和のレベル、不純物の存在、溶媒の極性、冷却の速度のようないくつかの結晶化条件により影響を受ける頻繁に起こる現象である。異なる多形体は、通常、異なるX線回折パターン、固体状態NMRスペクトル、赤外もしくはラマンスペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学および電気特性、安定性および溶解性を有する。再結晶化溶媒、結晶化の速度、貯蔵温度および他の因子は、1つの結晶形態を優位にさせ得る。「溶媒和物」は、一般に化学量論もしくは非化学量論量のいずれかの溶媒を含有する結晶形態である。しばしば、結晶化の過程である化合物は結晶固体状態において一定モル比の溶媒分子を捕捉する傾向を有し、このようにして溶媒和物を形成する。溶媒が水である場合、「水和物」を形成することができる。式(I)の化合物およびその製薬学的に許容しうる塩は、水和物もしくは溶媒和物の形態で存在することができ、そしてそのような水和物および溶媒和物もまた本発明に包含される。その例には、1/4水和物、2塩酸塩2水和物などが包含される。「非晶形」は長距離秩序を有さない非結晶物質であり、そして一般に特徴的な粉末X線回折パターンを与えない。結晶形態は一般にByrn(1995)およびMartin(1995)により記述されている。
【0027】
より簡潔な記述を提供するために、本明細書に示される量的表現のあるものは「約」という用語で修飾されない。「約」という用語が明白に用いられるかもしくはそうでないにしても、本明細書に示されるあらゆる量は実際の既定値をさすものとし、そしてまたそれはそのような既定値の実験もしくは測定条件による近似を包含する、当該技術分野における通常の技量に基づいて合理的に推定されるそのような既定値への近似もさすものとすることが理解される。
【0028】
本明細書の記述および請求項の全体にわたって、「含んでなる(comprise)」という用語ならびに「含んでなる(comprising)」および「含んでなる(comprises)」のような該用語のバリエーションは、他の添加剤、成分、整数もしくは段階を排除するものではない。
【0029】
式(I)の化合物を純化学物質(raw chemical)として投与することは可能であり得るが、「製薬学的組成物」としてそれらを与えることが好ましい。さらなる態様によれば、本発明は、その1種もしくはそれ以上の製薬学的に許容しうる担体、および場合により1種もしくはそれ以上の他の治療成分と一緒に、式(I)の少なくとも1種の化合物、その少なくとも1種の製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物、または前述のいずれかの混合物を含んでなる製薬学的組成物を提供する。担体(1種もしくは複数)は、製剤の他の成分と適合しそしてそのレシピエントに有害でないという意味において「許容可能」でなければならない。「組成物」という用語には、本明細書において用いる場合、既定の量もしくは割合の特定成分を含んでなる製品、ならびに特定量の特定成分を合わ
せることにより直接的にもしくは間接的にもたらされる任意の製品が包含される。製薬学的組成物に関連して、この用語には、1種もしくはそれ以上の有効成分、および不活性成分を含んでなる任意の担体を含んでなる製品、ならびに成分の任意の2種もしくはそれ以上の組み合わせ、複合体形成もしくは凝集によって、または成分の1つもしくはそれ以上の解離によって、または成分の1つもしくはそれ以上の他のタイプの反応もしくは相互作用によって直接的にもしくは間接的にもたらされる任意の製品が包含される。一般に、製薬学的組成物は、有効成分を液状担体もしくは微粉化固形担体もしくは両方と均一にそして密接に会合させ、そして次に、必要に応じて、生成物を所望の製剤に成形することにより製造される。製薬学的組成物は、疾患の進行もしくは症状への所望の効果をもたらすために活性目的化合物の十分な量を含む。従って、本発明の製薬学的組成物には、本発明の化合物および製薬学的に許容しうる担体を混合することにより製造される任意の組成物が包含される。「製薬学的に許容しうる」により、担体、希釈剤もしくは賦形剤は製剤の他の成分と適合しなければならずそしてそのレシピエントに有害であってはならないものとする。
【0030】
本願の文脈内で、「組み合わせ製剤」という用語は、錠剤もしくは注入液のような1つの製剤において物理的に組み合わされた式(I)の化合物および他の薬剤を意味する真の組み合わせ、ならびに使用説明書と一緒に、場合により成分化合物の投与の順守を容易にするためのさらなる手段、例えばラベルもしくは図面と共に、別個の投与形態物において式(I)の化合物および別の薬剤を含んでなる「部品キット(kit−of−parts)」の両方を含んでなる。真の組み合わせでは、薬物療法は本質的に同時である。「部品キット」の中身は、同時にもしくは異なる時間間隔のいずれかで投与することができる。同時もしくは逐次のいずれかである治療は、使用する他の薬剤の特徴、作用の発現および期間のような特徴、血漿レベル、クリアランスなどにより、ならびに個々の患者の疾患、その段階および特徴により決まる。
【0031】
カンナビノイドCB受容体に対する本発明の化合物の親和性は、下記の通り決定した。式(I)の既定化合物について測定される結合親和性から、理論的最小有効用量を概算することができる。測定されるK値の2倍に等しい化合物の濃度で、ほぼ100%のカンナビノイドCB受容体は化合物により占められると思われる。理想的な生物学的利用能を仮定して、その濃度を患者のkg当たりの化合物のmgに転化することにより、理論的最小有効用量が得られる。薬物動態学、薬力学および他の考慮事項により、実際に投与される用量をより高いもしくはより低い値に改変することができる。投与される化合物の用量は、関連適応症、患者の年齢、体重および性別により決まり、そして医師により決定され得る。投薬量は、好ましくは0.01mg/kg〜10mg/kgの範囲においてである。有効成分の典型的な毎日用量は広い範囲内で異なり、そして関連適応量、投与の経路、患者の年齢、体重および性別のような様々な因子により決まり、そして医師により決定され得る。一般に、単回もしくは個々の投与における患者への総毎日用量投与は、例えば毎日0.001〜10mg/kg体重、そしてより通常には1日当たり0.01〜1,000mgの量の総有効成分においてであることができる。そのような投薬量は、処置を必要とする患者に毎日1〜3回、もしくは効能に必要とされる頻度で、そして少なくとも2カ月の期間にわたって、より典型的には少なくとも6カ月間、もしくは慢性的に投与される。
【0032】
「治療的に有効な量」という用語は、本明細書において用いる場合、本発明の組成物を投与することにより処置できる症状を処置するための治療薬の量をさす。その量は組織系、動物もしくはヒトにおいて検出可能な治療もしくは改善反応を示すために十分な量である。効果には、例えば、本明細書に記載される症状を処置することを包含することができる。患者の正確な有効量は、患者のサイズおよび健康、処置する症状の性質および程度、処置する医師の推奨、ならびに投与に選択される治療もしくは治療の組み合わせにより決
まる。従って、前もって正確な有効量を特定することは有用でない。「製薬学的に許容しうる塩」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしに適切な医学的判断の範囲内でヒトの組織と接触した使用に適当でありそして妥当な利益/危険比に相応する塩をさす。製薬学的に許容しうる塩は、当該技術分野において周知である。それらは、本発明の化合物を最終的に単離しそして精製する場合にインサイチューで、または無機もしくは有機塩基および無機もしくは有機酸を包含する製薬学的に許容しうる無毒の塩基もしくは酸とそれらを反応させることにより別個に製造することができる(Berge,1977)。「遊離塩基」形態は、塩を塩基もしくは酸と接触させ、そして常法(conventional matter)において親化合物を単離することにより再生することができる。化合物の親形態は極性溶媒における溶解性のようなある種の物理的性質において様々な塩形態と異なるが、その他の点では塩は本発明の目的のための化合物の親形態と同等である。「処置」という用語はヒト症状もしくは疾患の任意の処置をさし、そして:(1)疾患もしくは症状を抑制すること、すなわち、その発症を止めること、(2)疾患もしくは症状を軽減すること、すなわち、症状を後退させること、または(3)疾患の症候を止めることが包含される。「抑制する」という用語には、進行、重症度もしくは結果として起こる症候を抑えること、軽減すること、改善すること、および遅らせること、止めることもしくは逆行させることを包含するその一般に認められる意味が包含される。本明細書において用いる場合、「医学的治療」という用語には、ヒトに対してインビボでもしくはエクスビボで実施される診断および治療処方計画が包含されるものとする。
【0033】
本明細書において用いる場合、「肥満」は、ヒトが少なくとも25.9の、身長の2乗当たりの体重(km/m)として計算される、ボディマス指数(BMI)を有する症状をさす。通常、標準体重を有するヒトは19.9〜25.9未満のBMIを有する。本明細書における肥満は、遺伝であろうと環境であろうと、任意の原因に起因し得る。肥満をもたらすかもしくは肥満の原因であり得る障害の例には、過食および過食症、多嚢胞卵巣、頭蓋咽頭腫、プラダーウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、II型糖尿病、GH欠損患者、正常変異低身長、ターナー症候群、および総除脂肪体重のパーセンテージとして減少した代謝活性もしくは安静時エネルギー消費量の減少を示す他の病状、例えば急性リンパ芽球性白血病にかかっている子供が包含される。
【実施例1】
【0034】
合成の一般的態様
式(I)を有する化合物の合成をスキーム1において概説する:
【0035】
【化4】

【0036】
式(IV)の塩化カルボニルをNaHもしくはNaOHのような塩基の存在下で式RSONHの化合物と反応させて、RおよびRが上記の意味を有する式(V)の化合物を生成せしめることができる。式(V)の化合物をハロゲン化剤、例えばPOClのような塩素化剤と反応させて式(VI)の化合物を生成せしめることができる。そのような反応は、好ましくは4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で実施される。化合物(VI)を式NHのアミンと反応させて、R、RおよびRが上記に示した通りの意味を有する式(VII)の化合物を生成せしめることができる。化合物(VII)をキラル分取HPLCによって分離して、R、RおよびRが上記に示した通りの意味を有しそしてその4,5−ジヒドロピラゾール部分のCがR立体配置を有する化合物(I)を生成せしめることができる。
【0037】
【化5】

【0038】
式(II)、(III)もしくは(IV)を有する中間体は、公開された方法(EP 1 713 475、WO 2005/077911、EP 1 743 892、Srivastava,2007)に従って得られた。
【0039】
下記の化合物は、これらの方法に従って製造した。それらは本発明をより詳細にさらに説明するものであり、本発明の範囲を決して限定するものではない。本発明の他の態様は、本明細書の考察および本明細書に開示される本発明の実施から当業者に明らかである。本明細書および実施例は、例としてのみ考えられなければならない。
【0040】
特定の合成方法の選択は、使用する試薬と官能基との適合性、保護基、触媒、活性化およびカップリング試薬を使用する可能性ならびに製造される最終化合物に存在する最終的な構造特徴のような当業者に既知である因子により決まる。
【0041】
製薬学的に許容しうる塩は、当該技術分野において周知である方法を用いて、例えば本発明の化合物を適当な酸、例えば無機酸もしくは有機酸と混合することにより得ることができる。
【実施例2】
【0042】
特定の化合物の合成
(5R)−(+)−N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(化合物1)および(5S)−(−)−N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(化合物2)
【0043】
【化6】

【0044】
段階1:酢酸ブチル(200ml)中の4,4−ジフルオロピペリジン塩酸塩(15.0g;95.2mmol)にスルファミド(9.15g;95.2mmol)を加えた。DIPEA(17.9ml;104.7mmol)を加え、そして磁気的に撹拌した反応混合物を還流温度で一晩加熱した。反応混合物を室温に到達させた。揮発性物質を真空中で除いた。酢酸エチルおよび1N HClを連続的に加えた。有機層を分離し、そしてNaSO上で乾燥させた。濾過後に、濾液を集め、そして揮発性物質を真空中で除いた。生成物をジイソプロピルエーテルで2回洗浄して4,4−ジフルオロピペリジン−1イルスルホンアミド(15.96g;83.8%)を生成せしめた。H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ2.02−2.14(m,4H);3.10−3.16(m,4H),6.90(br s,2H)。本明細書に開示される全てのH NMRスペクトルは、テトラメチルシランを内部標準として溶媒としてCDClもしくはDMSO−dを用いてBruker 400 MHz装置上で記録した。化学シフトは、テトラメチルシランからのppm(δスケール)ダウンフィールド単位で(in ppm(δ scale)downfield)示される。カップリング定数(J)はHz単位で表される。
【0045】
段階2:トルエン(200ml)中の1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボン酸(18.77g;62.4mmol、EP 1 713 475に記載の通り製造した)に塩化チオニル(18.00ml;246.8mmol)を加えた。反応混合物を80℃で1時間撹拌した。揮発性物質を真空中で除いた。50mlのトルエンを加え、そして再び揮発性物質を真空中で除いた。
生じた1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボン酸クロリドを250mlのアセトニトリルに溶解した:溶液A。500mlのアセトニトリル中の4,4−ジフルオロピペリジン−1−スルホンアミド(12.50g;62.4mmol)の溶液に水性NaOH(8.25ml;157.79mmol)を加えた。10分後に溶液Aをゆっくりと加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。揮発性物質を真空中で除いて粗N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキサミド(39.01g)を生成せしめた。この粗残留物をCHCl/1N HClで抽出した。層を分離した。ジクロロメタン層をNaSOで連続的に乾燥させ、濾過し、そして蒸発させてN−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキサミド(30.41g、定量的収量)を生成せしめた。H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ1.93−2.10(m,4H);2.75(dd,J=18および6Hz,1H),3.12−3.21(m,4H),3.36(br s,おそらくNHおよびHOを含有する),3.62(dd,J=18および13Hz,1H),5.42(dd,J=13および6Hz,1H),6.93(br d,J=8,2H),7.14−7.36(m,7H)。
【0046】
段階3:N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキサミド(30.14g;62.4mmol)をジクロロメタン(500ml)に溶解した。DMAP(33.80g;276.7mmol)を加えた。ジクロロメタン(50.00ml)中のPOCl(オキシ塩化リン)(7.35ml;80.3mmol)を滴下して加えた。反応混合物を4時間還流させた。6℃に至るまで冷却した後に、メチルアミン塩酸塩(19.0g;281.4mmol)を加え、続いてDIPEA(72.0ml;420.6mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。水(100ml)を加え、続いて1Nの塩酸で酸性化した。層を分離した。ジクロロメタン層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによる精製(シリカゲル60(0.040−0.063mm、Merck,本明細書に開示する全てのフラッシュクロマトグラフィーに使用した)(ジエチルエーテル/石油エーテル(40/60)=1/1(v/v))によりN−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(27.1g;87.6%、ラセミ化合物1)を生成せしめた。H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ2.00−2.15(m,4H);2.85(br
d,J〜5,3H),3.09−3.21(m,5H),3.94(dd,J=18および13Hz,1H),5.61(dd,J=13および6Hz,1H),7.04(br d,J=8,2H),7.20−7.38(m,7H),8.80−8.85(m,1H)。
【0047】
同様にして下記のものを製造した:
N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−(2−フルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(ラセミ化合物2).融点:166−167℃(本明細書に開示する全ての融点がそうであるように、Buechi B−545融点装置上で記録した)。
【0048】
N−[(4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(ラセミ化合物3).H−NMR(400MHz,D
MSO−d):δ1.43−1.60(m,2H),1.83−1.92(m,2H),2.39−2.48(m,1H),2.57−2.69(m,2H),2.88(br
s,3H),3.14(dd,J=17.8,6.6Hz,1H),3.60(t,J=9.2Hz,2H),3.94(dd,J=18.1,12.9Hz,1H),5.60(dd,J=12.6,6.6Hz,1H),7.03(d,J=9.0Hz,2H),7.23(d,J=9.0Hz,2H),7.26−7.39(m,5H),8.86(br s,1H)。融点:172−173℃。
【0049】
N−[(4−フルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(ラセミ化合物4).H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ1.73−2.02(m,4H),2.86(s,3H),3.00−3.23(m,5H),3.94(dd,J=17.9,12.8Hz,1H),4.80(dd,J=48.2,2.7Hz,1H),5.59(dd,J=12.8,6.5Hz,1H),7.03(br d,J=8.7Hz,2H),7.20−7.38(m,7H),8.86(br s,1H)。
【0050】
N−[(3−フルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(ラセミ化合物5).H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ1.49−1.84(m,4H),2.87(d,J=4.5Hz,3H),3.04−3.26(m,4H),3.35−3.41(m,1H),3.88−4.01(m,1H),4.67−4.91(m,1H),5.60(dd,J=12.8,6.5Hz,1H),7.03(br d,J=9.0Hz,2H),7.22(br d,J=9.0Hz,2H),7.25−7.38(m,5H),8.86(d,J=4.8Hz,1H)。
【0051】
N−[(3,3−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(ラセミ化合物6).H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ1.68−1.78(m,2H),1.90−2.07(m,2H),2.89(s,3H),3.05(t,J=5.0Hz,2H),3.13(dd,J=17.8,6.6Hz,1H),3.24(t,J=11.8Hz,2H),3.93(dd,J=17.9,12.8Hz,1H),5.62(dd,J=12.8,6.5Hz,1H),7.04(br d,J=9.0Hz,2H),7.22(br d,J=8.7Hz,2H),7.26−7.39(m,5H),8.94(br s,1H)。
【0052】
N−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(ラセミ化合物7).H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ2.36−2.47(m,2H),2.87(s,3H),3.13(dd,J=17.9,6.5Hz,1H),3.37(t,J=7.2Hz,2H),3.54(t,J=13.7Hz,2H),3.92(dd,J=17.8,12.9Hz,1H),5.62(dd,J=12.8,6.5Hz,1H),7.04(br d,J=8.7Hz,2H),7.23(br d,J=9.0Hz,2H),7.25−7.38(m,5H),8.95(br s,1H)。
【0053】
N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−エチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(ラセミ化合物8).H−NMR(400MHz,CDCl
):δ1.28−1.43(m,3H),1.98−2.20(m,4H),3.09(dd,J=18,7.2Hz)および3.40(dd,J=18.5,7.7Hz)(両方のシグナルは一緒に1Hに統合される(integrate for)),3.23−3.37(m,4H),3.47−3.59(m)および3.84−3.99(m)(両方のシグナルは一緒に2Hに統合される),3.75(dd,J=18,13.2Hz)および4.19(dd,J=18.2,13.4Hz)(両方のシグナルは一緒に1Hに統合される),5.23−5.45(m,1H),6.67(br s)および7.77(br s)(両方のシグナルは一緒に1Hに統合される),6.82−7.00(m,2H),7.14(d,J=8.7Hz,2H),7.19(d,J=7.5Hz,2H),7.27−7.42(m,3H)。
【0054】
N−[(4−フルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−エチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(ラセミ化合物9).H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.28−1.42(m,3H),1.83−2.07(m,4H),3.05−3.46(m,5H),3.48−3.64(m)および3.84−3.95(m)(両方のシグナルは一緒に2Hに統合される),3.78(dd,J=18.2,13.1Hz)および4.20(dd,J=18.1,13.2Hz,1H)(両方のシグナルは一緒に1Hに統合される),4.67−4.90(m,1H),5.22−5.44(m,1H),6.64(br s)および7.82(br s)(両方のシグナルは一緒に1Hに統合される),6.87−6.98(m,2H),7.14(d,J=8.7Hz,2H),7.19(d,J=7.2Hz,2H),7.27−7.40(m,3H)。
【0055】
これらのラセミ化合物は、以下の段階4で記述される方法と同様の分取キラルHPLCによる対応する(5R)−鏡像異性体の製造に有用である。
【0056】
段階4:ラセミ化合物N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(26.71g)を分取キラルHPLCにより両方の鏡像異性体に分離した。これは(5R)−(+)−N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(12.82g;37.27%)(最初に溶出する鏡像異性体)および(5S)−(−)−N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(12.11g;35.21%)(2番目に溶出する鏡像異性体)をもたらした。残留する脂肪族微量不純物を除くために、得られた(5R)−(+)−N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジンをDCMに溶解し、1N HClで2回洗浄し、そしてジイソプロピルエーテルの存在下で共蒸発させ、(5R)−(+)−N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(化合物1)(10.5g;30.5%)を生成せしめた。[α25]=165°,c=1,メタノール。このおよび本明細書に開示される全ての他の旋光度は、Bellingham/Stanley ADP410偏光計上で測定した。比旋光度([α25])はdeg/dmとして示され、濃度値はg/100mlの特定溶媒として報告される。
【0057】
融点:158℃(無水エタノールから2回再結晶化した)。H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ2.00−2.15(m,4H);2.85(br d,J〜
5,3H),3.09−3.21(m,5H),3.94(dd,J=18および13Hz,1H),5.61(dd,J=13および6Hz,1H),7.04(br d,J=8,2H),7.20−7.38(m,7H),8.80−8.85(m,1H)。
【0058】
残留する脂肪族微量不純物を除くために、得られた(5S)−(−)−N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジンをDCMに溶解し、1N HClで洗浄し、そしてジイソプロピルエーテルの存在下で共蒸発させ、(5S)−(−)−N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(化合物2)(9.7g;29.7%)を生成せしめた。[α25]=−176°,c=1,メタノール。H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ2.00−2.15(m,4H);2.85(br d,J〜5,3H),3.09−3.21(m,5H),3.94(dd,J=18および13Hz,1H),5.61(dd,J=13および6Hz,1H),7.04(br d,J=8,2H),7.20−7.38(m,7H),8.80−8.85(m,1H).
【0059】
(5R)−(+)−N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(化合物1)のX線測定
分析は、化合物1の結晶の塊から切り取ったブロック形状の結晶に対して実施した。X線データは、150Kの温度で回転陽極上でNonius KappaCCD回折計で収集した。PLATONプログラム(Spek,2003)を配置の解析、図解および結果の検証に使用した。C5での絶対配置は、Bijvoet対解析を用いることによりRと決定した。「Flack xパラメーター」値は−0.06±0.04になった。
【0060】
分取キラルHPLC方法:250x76mm CHIRALPAK(登録商標) T101カラムを使用した。メタノール/アセトニトリル/ジエチルアミン=85/15/0.1(v/v)を移動相として使用した。流速:250ml/分。温度:25℃。検出 UV 220nm。
【0061】
分析キラルHPLC方法:250x4.6mm CHIRALPAK(登録商標) IBカラムを使用した。n−ヘプタン/エタノール/ジエチルアミン=80/20/0.1(v/v)を移動相として使用した。流速:1ml/分。温度:25℃。検出 UV 360nm。
【0062】
【化7】

【0063】
分取カラム上での最初に溶出する鏡像異性体のデータ:化学的純度>99%(360nmでの面積%)。鏡像異性体過剰率>99.5%。分取カラム上での2番目に溶出する鏡像異性体のデータ:化学的純度>99%(360nmでの面積%)。鏡像異性体過剰率>99.5%。
【0064】
5R−(+)−N−[(4−フルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(化合物3)
【0065】
【化8】

【0066】
化合物3は、4,4−ジフルオロピペリジンの代わりに4−フルオロピペリジンを用いて、化合物1と同様にして製造した。[α25]=174°,c=1,メタノール。H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ1.73−2.02(m,4H),2.86(s,3H),3.00−3.23(m,5H),3.94(dd,J=17.9,12.8Hz,1H),4.80(dd,J=48.2,2.7Hz,1H),5.59(dd,J=12.8,6.5Hz,1H),7.03(br d,J=8.7Hz,2H),7.20−7.38(m,7H),8.86(br s,1H)。
【0067】
分取キラルHPLC方法:250x30mm CHIRALPAK(登録商標) AD−H 5μmカラムを使用した。70/30 二酸化炭素/エタノール+1%ジエチルアミンを移動相として使用した。流速:120ml/分。温度:25℃。検出 UV 300nm。出口圧力:130バール。
【0068】
分析キラルHPLC方法:250x4.6mm CHIRALPAK(登録商標) IC 5μmカラムを使用した。n−ヘプタン/エタノール/ジエチルアミン=70/30/0.1(v/v)を移動相として使用した。流速:1ml/分。温度:25℃。検出:ダイオードアレイ検出(DAD)230nm。
【0069】
分取カラム上での化合物3のデータ:化学的純度>99%(230nmでの面積%)。鏡像異性体過剰率>98%。保持時間:8.07分。
【0070】
5R−(+)−N−[(4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン(化合物4)
【0071】
【化9】

【0072】
化合物4は、4,4−ジフルオロピペリジンの代わりに4−(トリフルオロメチル)ピペリジンを用いて化合物1と同様にして製造した。[α25]=167°,c=1,メタノール。1H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ1.43−1.60(m,2H),1.83−1.92(m,2H),2.39−2.48(m,1H),2.57−2.69(m,2H),2.88(br s,3H),3.14(dd,J=17.8,6.6Hz,1H),3.60(t,J=9.2Hz,2H),3.94(dd,J=18.1,12.9Hz,1H),5.60(dd,J=12.6,6.6Hz,1H),7.03(d,J=9.0Hz,2H),7.23(d,J=9.0Hz,2H),7.26−7.39(m,5H),8.86(br s,1H)。
【0073】
分取キラルHPLC方法:250x30mm CHIRALPAK(登録商標) AD−H 5μmカラムを使用した。70/30 二酸化炭素/エタノール+1%ジエチルアミンを移動相として使用した。流速:120ml/分。温度:25℃。検出:UV 250nm。出口圧力:130バール。
【0074】
分析キラルHPLC方法:250x4.6mm CHIRALPAK(登録商標) IA 5μmカラムを使用した。n−ヘプタン/エタノール/ジエチルアミン=70/30/0.1(v/v)を移動相として使用した。流速:1ml/分。温度:25℃。検出 DAD 250nm。
【0075】
分取カラム上での化合物4のデータ:化学的純度>98%(250nmでの面積%)。
鏡像異性体過剰率>98%。保持時間:7.22分。
【実施例3】
【0076】
薬理学的方法
カンナビノイド−CB受容体に対するインビトロ親和性は、放射性リガンドとしての[H]CP−55,940と併せてヒトカンナビノイドCB受容体を安定にトランスフェクションしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の膜調製物を用いて決定した。本発明の化合物を加えたもしくは加えない、[H]−リガンドと新たに調製した細胞膜調製物とのインキュベーションの後に、結合したおよび遊離のリガンドの分離をガラス繊維フィルター上での濾過により行った。フィルター上の放射活性を液体シンチレーション計数により測定した。結合データは、CEREP(128,rue Danton,92500 Rueil−Malmaison,France)によりもしくはSolvay Pharmaceuticals B.V.(C.J.van Houtenlaan 36,1381 CP Weesp,The Netherlands)で得られた。
【0077】
インビトロカンナビノイド−CB受容体拮抗作用は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞においてクローン化したヒトCB受容体で評価した。10%熱不活性化ウシ胎仔血清を補足したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)培養培地においてCHO細胞を培養した。培地を吸引し、そしてウシ胎仔血清を含有しないが[H]−アラキドン酸を含有するDMEMで置き換え、そして細胞培養ストーブ(5%CO/95%空気;37℃;水飽和雰囲気)において一晩インキュベーションした。この期間中に[H]−アラキドン酸は膜リン脂質に取り込まれた。試験日に、培地を吸引し、そして0.2%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する0.5mLのDMEMを用いて細胞を3回洗浄した。WIN55,212−2によるCB受容体の刺激はPLAの活性化、続いて培地への[H]−アラキドン酸の遊離をもたらす。このWIN55,212−2により誘導される遊離は、CB受容体アンタゴニストにより濃度依存的に遮断される。
【0078】
インビボカンナビノイド−CB受容体拮抗作用は、ラットにおけるCP−55,940誘発性低血圧試験で評価した。オス正常血圧ラット(225〜300g;Harlan,Horst,The Netherlands)をペントバルビタール(80mg/kg ip)で麻酔した。Spectramed DTX−plus圧力トランスデューサー(Spectramed B.V.,Bilthoven,The Netherlands)を用いて、左頸動脈に挿入したカニューレによって、血圧を測定した。Nihon Kohden Carrier増幅器(タイプAP−621G;Nihon Kohden B.V.,Amsterdam,The Netherlands)による増幅後に、Po−Ne−Mahデータ収集プログラム(Po−Ne−Mah Inc.,Storrs,USA)を用いて、パーソナルコンピューター(Compaq Deskpro 386s)上で血圧シグナルを登録した。心拍数は脈動圧力シグナルから得られた。全ての化合物は、麻酔の誘導の30分前、CB受容体アゴニストCP−55,940の投与の60分前に、1%メチルセルロースにおけるミクロ懸濁液として経口投与した。注射容量は10ml/kgであった。血行動態安定化後に、CB受容体アゴニストCP−55,940(0.1mg/kg i.v.)を投与し、そして低血圧効果を確立した(Wagner,2001)。
【実施例4】
【0079】
薬理学的試験結果
以下の表において、上記に示したプロトコルにより得られたインビトロおよびインビボ薬理学的データをまとめる。本発明の化合物の結果をEP 1 713 475に開示される化合物のものと比較する。
【0080】
【表1】

【0081】
ヒトCB受容体に対する親和性は、その(5S)−鏡像異性体(化合物2)についてよりも化合物1(5R)について25倍高いことが見出された。アンタゴニスト(pA)として、化合物1は化合物2より40倍強力であることが見出された。さらに、化合物1はインビボCB媒介性(CP−55,940誘発性)低血圧試験において経口投与後に活性であることが見出され、一方、化合物2は不活性と判明した。
【0082】
EP 1 713 475において例示される1,3,5−トリ置換された4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール誘導体(化合物1〜11)は、経口投与後にCB機構的(mechanistic)薬理学的モデルにおいてインビボで乏しい活性を示すことが見出された。対照的に、本発明の代表である化合物1およびそのラセミ化合物1は両方ともこのモデルにおいて経口投与後にビンビボで強力な活性を有する。
【実施例5】
【0083】
製薬学的製剤
臨床用途のために、式(I)の化合物は製薬学的組成物に調合され、それらは化合物、さらに特に本明細書に開示される特定の化合物を含有するので本発明の重要なそして新規の態様である。使用することができる製薬学的組成物のタイプには、錠剤、チュアブル錠、カプセル剤(マイクロカプセルを包含する)、液剤、非経口液剤、軟膏(クリームおよ
びゲル)、座薬、懸濁剤、ならびに本明細書に開示されるか、もしくは本明細書および当該技術分野における一般知識から当業者に明らかである他のタイプが包含される。例えば、有効成分はまたシクロデキストリン、それらのエーテルもしくはそれらのエステルにおける包接錯体の形態であることもできる。組成物は経口、静脈内、皮下、気管、気管支、鼻腔内、肺、経皮、口腔、直腸、非経口もしくは他の投与方法に使用される。製薬学的製剤は、少なくとも1つの製薬学的に許容しうる添加剤、希釈剤および/もしくは担体と混合した式(I)の少なくとも1つの化合物を含有する。有効成分の総量は好適には製剤の約0.1%(w/w)〜約95%(w/w)、好適には0.5%〜50%(w/w)、そして好ましくは1%〜25%(w/w)の範囲においてである。ある態様において、有効成分の量は約95%(w/w)より多いかもしくは約0.1%(w/w)より少ない。
【0084】
本発明の化合物は、製薬学的に慣例の液体もしくは固体充填剤および増量剤、溶媒、乳化剤、潤滑剤、香料、着色剤および/もしくは緩衝物質のような液体もしくは固体、粉末成分のような補助物質を用いて常法によって投与に適当な形態にすることができる。よく使用される補助物質には、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトールおよび他の糖もしくは糖アルコール、タルク、乳タンパク質、ゼラチン、澱粉、アミロペクチン、セルロースおよびその誘導体、動物および植物油、例えば魚肝油、ヒマワリ、ラッカセイもしくはゴマ油、ポリエチレングリコールならびに例えば滅菌水および1価もしくは多価アルコール、例えばグリセロールのような溶媒、ならびに崩壊剤および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールワックスが包含される。次に、混合物を顆粒に加工するかもしくは錠剤に圧縮することができる。錠剤は、以下の成分を用いて製造される:
【0085】
【表2】

【0086】
成分を混合し、そして圧縮して各々230mgの重さの錠剤を生成せしめる。
【0087】
有効成分を他の非有効成分と別個に前もって混合し、その後で混合して製剤を生成せしめることができる。有効成分はまた相互に混合し、その後で非有効成分と混合して製剤を生成せしめることもできる。
【0088】
ソフトゼラチンカプセル剤は、本発明の有効成分、植物油、脂肪、もしくはソフトゼラチンカプセル剤用の他の適当な賦形剤の混合物を含有するカプセルで製造することができる。ハードゼラチンカプセル剤は、有効成分の顆粒を含有することができる。ハードゼラチンカプセル剤はまた、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモ澱粉、コーンスターチ、アミロペクチン、セルロース誘導体もしくはゼラチンのような固形粉末成分と一緒に有効成分を含有することもできる。
【0089】
直腸投与用の投与単位は、(i)中性脂肪ベースと混合した活性物質を含有する座薬の形態において;(ii)植物油、パラフィン油もしくはゼラチン直腸カプセル剤用の他の適当な賦形剤との混合物において活性物質を含有するゼラチン直腸カプセル剤の形態にお
いて;(iii)既製の微小浣腸剤(micro enema)の形態において;または(vi)投与の直前に適当な溶媒において再構成される乾燥微小浣腸製剤の形態において製造することができる。
【0090】
液状製剤はシロップ剤、エリキシル剤、濃縮ドロップもしくは懸濁剤、例えば有効成分ならびに例えば糖もしくは糖アルコールならびにエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの混合物からなる残りを含有する液剤もしくは懸濁剤の形態において製造することができる。所望に応じて、そのような液状製剤は着色剤、香料、防腐剤、サッカリンおよびカルボキシメチルセルロースもしくは他の増粘剤を含有することができる。液状製剤はまた、使用前に適当な溶媒で再構成される乾燥粉末の形態において製造することもできる。非経口投与用の液剤は、製薬学的に許容しうる溶媒における本発明の製剤の液剤として製造することができる。これらの液剤はまた安定化成分、防腐剤および/もしくは緩衝成分を含有することもできる。非経口投与用の液剤はまた、使用前に適当な溶媒で再構成される乾燥製剤として製造することもできる。
【0091】
また、本発明に従って提供されるのは、医学的治療における使用のための、本発明の製薬学的組成物の成分の1つもしくはそれ以上を詰めた1つもしくはそれ以上の容器を含んでなる製剤および「部品キット」である。そのような容器(1つもしくは複数)に付随するのは、使用説明書、または製薬学的製品の製造、使用もしくは販売を規制する政府機関により指示される形態の通知のような様々な資料であることができ、通知はヒト投与のための製造、使用もしくは販売の機関による承認を示す。カンナビノイドCB受容体の調節が必要とされるかもしくは所望される症状の処置における使用のための薬剤の製造における本発明の製剤の使用、および医学的処置のまたはカンナビノイドCB受容体の調節が必要とされるかもしくは所望される症状を患っているかもしくは起こしやすい患者へのそのようなものとしてのもしくはプロドラッグの場合には投与後の式(I)の少なくとも1つの化合物の治療的に有効な総量の投与を含んでなる方法。
【0092】
例としてそして限定としてではなく、全身使用もしくは局所適用のための好ましい活性化合物を含んでなる、いくつかの製薬学的組成物が示される。本発明の他の化合物もしくはその組み合わせを該化合物の代わりに(もしくはそれに加えて)使用することができる。有効成分の濃度は、本明細書において説明した通り広範囲にわたって変えることができる。含むことができる成分の量およびタイプは、当該技術分野において周知である。
【0093】
参考文献一覧
Adam,J.et al.,Progress in Med.Chem.2006,44,207−329;Eds.King and Lawton,Elsevier,Amsterdam
Berge,S.M.:“Pharmaceutical salts”,J.Pharmaceutical Science,66,1−19(1977).
Bickel,M.H.,“The pharmacology and Biochemistry of N−oxides”,Pharmacological Reviews21(4),325−355,1969.
Boyd,S.T.and Fremming,B.A.Ann.Pharmacother.2005,39,684−690
Byrn et al.,Pharmaceutical Research,12(7),945−954,1995.
Carai,M.A.M.et al.,Life Sc.2005,77,2339−2350
Dwyer & Meilor,:“Chelating agents and Metal Chelates”,Academic Press,chapter7,19
64.
Hertzog,D.L.Expert Opin.Ther.Patents,14,1435−1452,2004
Hogenauer,E.K.Expert Opin.Ther.Patents 2007,17,1457.
Lange,J.H.M.and Kruse,C.G.,C.Curr.Opin.Drug Discovery Dev,7,498−506,2004
Lange,J.H.M.and Kruse,C.G.Drug Discov.Today,10,693−702,2005
Martin,E.W.(Editor),“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,Mack Publishing Company,19th Edition,Easton,Pa,Vol2.,Chapter 83,1447−1462,1995.
Muccioli,G.G.et al.,Curr.Med.Chem.,12,1361−1394,2005
Muccioli,G.G.and Lambert,D.M..,Expert Opin.Ther.Patents,16,1405−1423,2006
Padgett,L.W.Life Sc.,77,1767−1798,2005.
Reggio,P.H.Curr.Pharm.Des.2003,9,1607−1633
Smith,R.A.and Fathi,Z.Idrugs,8,53−66,2005.
Sorbera,L.A.et al.Drugs Fut.2005,30,128−137
Spek,A.L.,J.Appl.Cryst.36(2003)7−13
Srivastava et al.(J.Med.Chem.2007,50,5951−5966
Thakur,G.A.et al.,Mini−Rev.Med.Chem.,5,631−640,2005.
Wagner,J.A.,et al.,Hemodynamic effects of cannabinoids:coronary and cerebral vasodilation mediated by cannabinoid CB receptors.Eur.J.Pharmacol.2001,423,203−10).
【0094】
引用特許および特許出願
EP 1 713 475 (WO 2005/074920として公開された)
EP 1 743 892
WO 2005/077911

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
−Rは水素もしくはフルオロ原子であり、
−Rはピペリジニルもしくはピロリジニル基を表し、場合により基は1もしくは2個のフルオロ原子またはトリフルオロメチル基で置換されていてもよく、
−Rはメチルもしくはエチル基である]
の化合物の(5R)−鏡像異性体もしくは互変異性体、立体異性体、N−オキシド、または前述のいずれかの薬理学的に許容しうる塩。
【請求項2】
が1もしくは2個のフルオロ原子またはトリフルオロメチル基でその4位で置換されたピペリジン−1−イル基であり、そしてRがメチル基である、式(I)の請求項1に記載の化合物の(5R)−鏡像異性体もしくは互変異性体、立体異性体、N−オキシド、または前述のいずれかの薬理学的に許容しうる塩。
【請求項3】
(5R)−N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
(5R)−N−[(4−フルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル)−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
(5R)−N−[(4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
から選択される請求項1に記載の化合物もしくは互変異性体、立体異性体、N−オキシド、または前述のいずれかの薬理学的に許容しうる塩。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物もしくはその薬理学的に許容しうる塩を含んでなる薬剤。
【請求項5】
精神病、不安、鬱病、注意欠陥、記憶障害、認知障害、食欲障害、肥満、若年性肥満、薬物誘導性肥満、依存症、薬物依存、神経障害、神経変性疾患、認知症、外傷性脳損傷、発作、パーキンソン病、アルツハイマー病、神経炎症性疾患、敗血症性ショック、癌、糖尿病、喘息、呼吸器系疾患、胃腸障害、肝硬変、関節炎、胃潰瘍、下痢および心血管障害の処置における使用のための請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
精神病、不安、鬱病、注意欠陥、記憶障害、認知障害、食欲障害、肥満、若年性肥満、
薬物誘導性肥満、依存症、薬物依存、神経障害、神経変性疾患、認知症、外傷性脳損傷、発作、パーキンソン病、アルツハイマー病、神経炎症性疾患、敗血症性ショック、癌、糖尿病、喘息、呼吸器系疾患、胃腸障害、肝硬変、関節炎、胃潰瘍、下痢および心血管障害の処置用の製薬学的組成物の製造のための請求項1〜3に記載の化合物の使用。
【請求項7】
少なくとも1種の製薬学的に許容しうる担体、もしくは少なくとも1種の製薬学的に許容しうる補助物質、またはその2種もしくはそれ以上の組み合わせ;および請求項1〜6のいずれか1項の少なくとも1種の化合物もしくはその薬理学的に許容しうる塩の薬理学的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の追加の治療薬をさらに含んでなる請求項7に記載の製薬学的組成物。
【請求項9】
(i)式(IV):
【化2】

を有する塩化カルボニルを塩基の存在下で式RSONHを有する化合物と反応させて式(V):
【化3】

の化合物を生成せしめる段階
(ii)好ましくは4−ジメチルアミノピリジンの存在下で、式(V)の化合物をPOClのような塩素化剤と反応させ、式(VI):
【化4】

の化合物を生成せしめる段階、
(iii)式(VI)の化合物を式NHのアミンと反応させて式(VII):
【化5】

の化合物を生成せしめる段階、
(iv)分取HPLCにより式(VII)のラセミ化合物をその2つの鏡像異性体に分離する段階、
(v)その4,5−ジヒドロピラゾール部分のCがR立体配置を有する式(I):
【化6】

[式中、記号は請求項1に示した通りの意味を有する]
の化合物を決定する段階
を含んでなる請求項1に記載の化合物の製造方法。
【請求項10】
式(I)の化合物の製造において有用である、
N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1
−(4−クロロフェニル)−5−(2−フルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(4−(トリフルオロメチル)ピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(4−フルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(3−フルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(3,3−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)スルホニル]−N’−メチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−エチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
N−[(4−フルオロピペリジン−1−イル)スルホニル]−N’−エチル−1−(4−クロロフェニル)−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−(1H)−ピラゾール−3−カルボキシアミジン
から選択される、式(I):
【化7】

[式中、記号は請求項1に示した通りの意味を有する]
の化合物。

【公表番号】特表2011−518800(P2011−518800A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505495(P2011−505495)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054788
【国際公開番号】WO2009/130234
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(501439149)アボツト・ヘルスケア・プロダクツ・ベー・ブイ (71)
【氏名又は名称原語表記】Abbott Healthcare Products B.V.
【Fターム(参考)】