説明

CCR受容体アンタゴニストとしてのN−複素環ビアリールカルボキサミド類

本発明は、式(I)[式中、式(A)、m、R、R、R、X、X及びXは、明細書及び請求の範囲中と同義である]の新規なビアリール誘導体、更には生理学的に許容しうるその塩に関する。これらの化合物は、CCR−2受容体、CCR−5受容体及び/又はCCR−3受容体のアンタゴニストであり、そして医薬として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I):
【0002】
【化1】


[式中、
は、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C1−6アルキルスルファニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル、C3−7シクロアルキル又はC3−7シクロアルキルC1−6アルキルであり;
は、水素、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、トリメチルシラニルC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、トリメチルシラニルC2−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、場合により置換されているC3−7シクロアルキル、場合により置換されているC3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロシクリル又は場合により置換されているフェニルメトキシC1−6アルコキシであり(ただし、場合により置換されているフェニルは、置換基としてニトロを持たない);
は、環炭素原子に結合しているとき、独立に水素、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているC3−7シクロアルキル、場合により置換されているC3−7シクロアルキルC1−6アルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロシクリル、場合により置換されているフェニル−C1−6アルキル、場合により置換されているヘテロアリール−C1−6アルキル、場合により置換されているヘテロシクリル−C1−6アルキル、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−若しくはジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル若しくはC1−6アルキルスルホニル、又はアミノ(場合により、C1−6アルキル、ヘテロアルキル、場合により置換されているC3−7シクロアルキル及び場合により置換されているヘテロシクリルよりなる群から独立に選択される、1個又は2個の置換基により置換されている)であり;
環窒素原子に結合しているとき、独立に水素、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、場合により置換されているC3−7シクロアルキル又は場合により置換されているC3−7シクロアルキルC1−6アルキル、場合により置換されているヘテロシクリル、又は場合により置換されているヘテロシクリルC1−6アルキルであり;
mは、0、1、2、3又は4であり;
下記式:
【0003】
【化2】


で示される基は、4〜8個の環原子の非芳香族単環ラジカルであるヘテロシクリル(ここで、1個又は2個の環原子は、窒素原子であり、残りの環原子は炭素原子である)であり;
、X及びXのうち1つは、C−Rであり、他は、独立にN又はC−Rであり;
は、フェニル又は6個の環原子の芳香族単環ラジカルであるヘテロアリール(ここで、1個又は2個の環原子は、窒素原子であり、残りの環原子は炭素原子である)であり、そして該フェニル及び該ヘテロアリールは、C1−8アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ハロゲン及びシアノよりなる群から独立に選択される、1個、2個又は3個の置換基により置換されており;
は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル又はハロゲンである(ただし、
下記式:
【0004】
【化3】


で示される基は、カルボニル基又はヘテロ原子に直接結合していない、少なくとも1個の窒素原子を含有し;かつ下記式:
【0005】
【化4】


で示される基は、ヘテロ原子に直接結合している、窒素原子を含有せず;そして
下記式:
【0006】
【化5】


で示される基は、2−(場合により置換されているピロリジン−1−イルC1−6アルキル)−ピロリジン−1−イルではない)]で示される新規なビアリール誘導体、又はそのプロドラッグ若しくは薬学的に許容しうる塩に関する。
【0007】
更に、本発明は、上記化合物の製造方法、このような化合物を含有する製剤、製剤の製造のためのこれらの化合物の使用に関する。
【0008】
式(I)の化合物は、CCR2受容体(ケモカイン受容体2(Chemokine Receptor 2)/単球走化性タンパク質1受容体(Monocyte Chemotactic Protein 1 Receptor))アンタゴニストであり、またCCR−5受容体(ケモカイン受容体5)及び/又はCCR−3受容体(ケモカイン受容体3)アンタゴニストでもある。ケモカイン類は、白血球の化学誘引物質として機能する低分子の分泌炎症誘発性サイトカイン類のファミリーである。これらは、炎症シグナルに応答して血管床から周辺組織への白血球の輸送を促進する。走化性は、Ca流量の増大、cAMP産生の阻害、細胞骨格の再構成、インテグリンの及び細胞運動プロセスの活性化並びに接着性タンパク質の発現の増加を伴う、シグナル伝達経路を開始させることにより、受容体(GPCR)へのケモカインの結合を開始する。
【0009】
炎症誘発性ケモカイン類は、アテローム動脈硬化症及び炎症性成分を持つ他の重要疾患(慢性関節リウマチ、喘息、多発性硬化症、移植片拒絶、並びに腎症及び末梢血管疾患に特異的な顕著な影響を持つ虚血再灌流障害など)の発症に関与すると考えられている。単球走化性タンパク質1は、単球上の及びある種のTリンパ球上のCCR2受容体を介してこれらの疾患における炎症過程に介在する、主要な刺激されたケモカインと考えられている。更に、MCP−1/CCR2は、より重篤な段階の肥満症及び糖尿病へのメタボリック症候群の進行に関連するという論考がされている。
【0010】
CCR2はまた、宿主細胞へのウイルスの侵入のコレセプターとしての役割を有するCCR5とのそのヘテロ二量体化を介して、HIV感染症にも、そしてその結果として自己免疫疾患にも関係している。
【0011】
よってCCR2は、末梢血管疾患の処置用、そして更に特定して重症肢虚血の患者の処置用の新しい医薬の標的となりうる。更には、本適応症用の新しいCCR2医薬の開発からの研究結果及び経験は、アテローム動脈硬化症の処置のための後続の開発を促進するかもしれない。MCP−1/CCR2経路が、単球/マクロファージの動員に必須であること、そしてまた内膜過形成並びにアテローム動脈硬化病変部の形成及び安定性に必須であることを示す、wt又はapoE-/-若しくはLDL−R-/-バックグラウンドのMCP−1及びCCR2 koマウスの動物モデルからの大量の情報が存在する。更に、多くの報告は、ヒトの傷害後の及び種々の炎症過程(血管床における過程を包含する)へのMCP−1/CCR2経路の関与を記述している。
【0012】
本発明は、CCR2受容体アンタゴニストである(CCR−3及びCCR−5でも幾分のアンタゴニスト活性を持つ)、式(I)の新規な化合物を提供する。
【0013】
特に断りない限り、以下の定義は、本明細書において本発明を記述するために使用される種々の用語の意味及び範囲を例示及び規定するために述べられる。
【0014】
「ヘテロ原子」という用語は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を意味する。
【0015】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味するが、塩素及びフッ素が好ましい。
【0016】
「C1−6アルキル」という用語は、単独で、又は他の基との組合せで、1〜6個の炭素原子を有する、分岐鎖又は直鎖の1価アルキルラジカルを意味する。この用語は、更にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルのようなラジカルを典型例とする。C1−4アルキル又はC1−3アルキルが更に好ましい。
【0017】
「ヒドロキシC1−6アルキル」という用語は、1個以上の、好ましくは1個のヒドロキシ基により置換されたC1−6アルキルを意味する。
【0018】
「ハロC1−6アルキル」という用語は、1個以上の同じか又は異なるハロゲン原子により置換されたC1−6アルキルを意味する。
【0019】
「C1−6アルキレン」という用語は、単独で、又は他の基との組合せで、メチレン、エチレン、テトラメチルエチレンのような、1〜6個の炭素原子の分岐鎖又は直鎖の飽和2価炭化水素ラジカルを意味する。
【0020】
「C3−7シクロアルキル」という用語は、単独で、又は他の基との組合せで、3〜7個の環炭素の飽和1価単環式炭化水素ラジカル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシルを意味する。
【0021】
「C1−6アルコキシ」という用語は、単独で、又は他の基との組合せで、R’−O−基(ここで、R’は、C1−6アルキルである)を意味する。
【0022】
「ハロC1−6アルコキシ」という用語は、単独で、又は他の基との組合せで、1個以上の、好ましくは1〜3個のハロゲンにより置換されたC1−6アルコキシを意味する。
【0023】
「C2−6アルケニル」という用語は、単独で、又は他の基との組合せで、2〜6個の炭素原子を有する、炭素−炭素二重結合を含む直鎖又は分岐の炭化水素残基を意味する。この用語は更に、エテニル、2−プロペニルのようなラジカルを典型例とする。
【0024】
「ヒドロキシC3−6アルケニル」又は「C1−6アルコキシC3−6アルケニル」という用語は、それぞれ1個以上の、好ましくは1個又は2個のヒドロキシ基又はC1−6アルコキシ基により置換されたC3−6アルケニルを意味する。
【0025】
「C2−6アルキニル」という用語は、単独で、又は他の基との組合せで、2〜6個の炭素原子を有する、炭素−炭素三重結合を含む直鎖又は分岐の炭化水素残基を意味する。この用語は更に、エチニル、2−プロピニルのようなラジカルを典型例とする。
【0026】
「ヒドロキシC3−6アルキニル」又は「C1−6アルコキシC3−6アルキニル」という用語は、それぞれ1個以上の、好ましくは1個又は2個のヒドロキシ基又はC1−6アルコキシ基により置換されたC3−6アルキニルを意味する。
【0027】
「アシル」という用語は、R−C(O)−(ここで、Rは、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル又はC3−7シクロアルキルC1−6アルキルである)を意味する。
【0028】
「ヘテロアルキル」という用語は、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルコキシ、ホルミル、アシル、カルボキシル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル、カルバモイル、アミノ及びモノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノよりなる群から独立に選択される、1個以上の置換基により置換されたC1−6アルキルを意味する。
【0029】
「ヘテロアルコキシ」という用語は、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルコキシ、ホルミル、アシル、カルボキシル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル、カルバモイル、アミノ及びモノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノよりなる群から独立に選択される、1個以上の置換基により置換されたC1−6アルコキシを意味する。
【0030】
「ヘテロシクリル」という用語は、4〜7個の環原子[ここで、1〜3個の環原子は、N、O及びS(O)(ここで、nは、0〜2の整数である)から独立に選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子はCである]の非芳香族単環ラジカルを意味する。
【0031】
「ヘテロアリール」という用語は、N、O、及びSから独立に選択される1〜3個の環ヘテロ原子を有しており、残りの環原子がCである、5個又は6個の環原子の芳香族単環ラジカルを意味する。
【0032】
「場合により置換されているC3−7シクロアルキル」という用語は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル及びアシルアミノよりなる群から独立に選択される、1〜3個の置換基によって場合により置換されているC3−7シクロアルキルを意味する。
【0033】
「場合により置換されているフェニル」という用語は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル及びアシルアミノよりなる群から独立に選択される、1〜3個の置換基によって場合により置換されているフェニルを意味する。
【0034】
「場合により置換されているヘテロシクリル」という用語は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル及びアシルアミノよりなる群から独立に選択される、1〜3個の置換基によって場合により置換されているヘテロシクリルを意味する。
【0035】
「場合により置換されているヘテロアリール」という用語は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル及びアシルアミノよりなる群から独立に選択される、1〜3個の置換基によって場合により置換されているヘテロアリールを意味する。
【0036】
「場合により置換されているピロリジン−1−イル」という用語は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル及びアシルアミノよりなる群から独立に選択される、1〜3個の置換基によって場合により置換されているピロリジン−1−イルを意味する。
【0037】
「C1−6アルキルスルホニル」、「C1−6アルキルスルフィニル」及び「C1−6アルキルチオ」という用語は、単独で、又は他の基との組合せで、それぞれC1−6アルキル−SO−、C1−6アルキル−SO−及びC1−6アルキル−S−を意味する。
【0038】
定義が上に与えられた化学基の好ましいラジカルは、実施例に具体的に例示されているラジカルである。
【0039】
式(I)の化合物は、薬学的に許容しうる酸付加塩を形成することができる。このような薬学的に許容しうる塩の例は、式(I)の化合物と、塩酸、臭化水素酸、硫酸、亜硫酸若しくはリン酸のような生理学的に適合性の鉱酸との;又はメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸若しくはサリチル酸のような有機酸との塩である。「薬学的に許容しうる塩」という用語は、このような塩のことをいう。
【0040】
「オプションの」又は「場合により」とは、続いて記述される事象又は状況が必ずしも起こらなくともよいこと、そしてその記述が、その事象又は状況が起こる場合と起こらない場合とを包含することを意味する。例えば、「場合によりアルキル基で置換されたアリール基」は、そのアルキルが必ずしも存在しなくともよいこと、そしてその記述が、アリール基がアルキル基で置換されている状況と、アリール基がアルキル基で置換されていない状況とを包含することを意味する。
【0041】
「薬学的に許容しうる賦形剤」は、一般に安全で非毒性であり、生物学的にも他の点でも不適切でない薬剤組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味し、そして獣医学的使用にもヒトの薬学的使用にも許容しうる賦形剤を包含する。本明細書及び請求の範囲において使用されるとき「薬学的に許容しうる賦形剤」は、1種及び2種以上のこのような賦形剤の両方を包含する。
【0042】
同じ分子式を有するが、その原子の結合の性質若しくは配列又はその原子の空間配置が異なる化合物は、「異性体」と呼ばれる。その原子の空間配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。相互に鏡像でない立体異性体は、「ジアステレオマー」と呼ばれ、そして相互に重ね合わせできない鏡像であるものは、「エナンチオマー」と呼ばれる。ある化合物が不斉中心を有するとき、例えば、1個の炭素原子が4個の異なる基に結合しているならば、一対のエナンチオマーが考えられる。1個のエナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置により特性決定することができ、Cahn、Ingold及びPrelogのR−及びS−順位則により、又は分子が偏光面を回転させる様式により記述され、そして右旋性又は左旋性として(即ち、それぞれ(+)又は(−)−異性体として)指定される。1つのキラル化合物は、個々のエナンチオマーとして、又はその混合物として存在することができる。均等な割合のエナンチオマーを含有する混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0043】
式(I)の化合物は、1個以上の不斉中心を有することができる。特に断りない限り、明細書及び請求の範囲における特定化合物の記述又は命名は、個々のエナンチオマー及びその混合物(ラセミ又は他の混合物)の両方、更には個々のエピマー及びその混合物を包含するものである。立体化学の決定及び立体異性体の分離のための方法は、当該分野において周知である("Advanced Organic Chemistry", 4th edition J. March, John Wiley and Sons, New York, 1992のChapter 4における考察を参照のこと)。
【0044】
本発明の最も広い定義は前述されているが、式(I)の幾つかの化合物が好ましい。
i) 式(I)の化合物において、下記式:
【0045】
【化6】


で示される基は、好ましくはピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル又は[1,4]ジアゼパン−1−イルであり、更に好ましくはピペリジン−1−イルである。
ii) 式(I)の化合物において、mは、好ましくは1である。
iii) 式(I)の化合物において、Rは、好ましくは場合により置換されているヘテロシクリル又はヘテロアルキルであり、更に好ましくはヒドロキシC1−6アルキル、場合により置換されているピロリジン−1−イル又は場合により置換されているピペリジン−1−イルであり、また更に好ましくはRは、ピペリジン−1−イル又はピロリジン−1−イルであって、該ピペリジン−1−イル及びピロリジン−1−イルは、場合によりヒドロキシルC1−6アルキル又はヒドロキシにより置換されている。Rは、特にピロリジン−1−イル、2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル又は4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルである。
iv) 式(I)の化合物において、下記式:
【0046】
【化7】


で示される基は、好ましくは4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル、4−(2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル又は4−ヒドロキシ[1,4’]ビピペリジニル−1’−イルである。
v) 式(I)の化合物において、Rは、好ましくはハロゲン又はC1−6アルキルであり、そしてRは、好ましくは水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキル、場合により置換されているヘテロアリール、ヘテロアルコキシ又はシクロプロピルである。Rは、更に好ましくはフッ素又はメチルであり、そしてRは、更に好ましくは水素、ヒドロキシ、フッ素、メチル、ピリミジニル、ピリジニル、ヒドロキシエトキシ又はシクロプロピルである。
vi) 式(I)の化合物において、Rは、好ましくはC1−6アルキルであり、そしてRは、水素、C1−6アルキル又はシクロプロピルであり、更に好ましくはRは、メチルであり、そしてRは、メチル又はシクロプロピルである。
vii) 式(I)の化合物において、好ましくはXは、C−Rであり、そしてX及びXは、C−Rである(ここで、Rは、好ましくはハロC1−6アルキル又はハロC1−6アルコキシにより置換されているフェニルであり、そしてRは、好ましくは水素である)。
viii) 式(I)の化合物において、好ましくはXは、C−Rであり、そしてX及びXの両方は、N又はC−Rである(ここで、Rは、好ましくはフェニル又はピリジルであって、該フェニル及びピリジルは、ハロC1−6アルキル又はハロC1−6アルコキシにより置換されており、そしてRは、好ましくは水素である)。
ix) 本発明の好ましい化合物は、以下:
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン、
[2,6−ジメチル−4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−フェニル]−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン、
[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノン、
[2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(3,5−ジフルオロ−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(5−メチル−3−ピリミジン−5−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(5−メチル−3−ピリジン−3−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[2−ヒドロキシ−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン;4−メチル−3−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−カルボニル)−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1H−ピリジン−2−オン、又は
[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
である、式(I)の化合物である。
【0047】
一般合成法
式(I)の化合物は、当該分野において既知の方法によるか、後述の方法によるか、実施例に与えられた方法によるか、又は類似の方法により製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者には知られている。出発物質は、市販されているか又は既知であるかのいずれかであるか、あるいは後述の方法によるか又は実施例に記載される方法によるか、又は当該分野において既知の方法により調製することができる。
【0048】
一般式(I)の化合物の合成法は、スキーム1〜スキーム9に記載される。
【0049】
【化8】


(スキーム1において、下記式:
【0050】
【化9】


で示される基、X、X、X、R、R、R及びmは、前記と同義である。Y、Y及びYのうち1つは、C−Br、C−I、又はC−Clであり、他は、独立にN又はC−Rである。Z、Z及びZのうち1つは、C−Hであり、他は、独立にN又はC−Rである。)
【0051】
一般式(I)の化合物は、アニリン(1)若しくは(2)、又は酸若しくはエステル(5)から、幾つかの合成経路により調製することができる(スキーム1)。構築に必要とされる大部分の反応は、広い範囲の官能基に耐えるため、反応工程の多くの順序は交換可能である。場合により適切な保護官能基を導入することができるか、又は合成の任意の工程で脱離することができる。アニリン(1)若しくは(2)、ニトリル(3)若しくは(4)、又は酸/エステル(R=H又はC1−6アルキル)(5)、(6)若しくは(7)は、既知であるか、又は当該分野において既知の方法により調製することができる。Suzukiカップリング、即ち、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウムのような触媒の存在下で、かつリン酸カリウムのような塩基の存在下での、トルエン又はN,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中での、そしてアルゴン又は窒素のような不活性雰囲気での、好ましくは室温〜約130℃の間の温度範囲での、アリール又はヘテロアリールボロン酸又はエステルとの反応を、アニリン(1)をアニリン(2)に変換するために、ニトリル(3)をニトリル(4)に変換するために、酸又はエステル(6)を酸又はエステル(7)に変換するために、及びハロ−アミド(8)を一般式(I)の化合物に変換するために適用することができる(工程a)。Sandmeyer反応、即ち、塩酸又は硫酸のような強酸の存在下での亜硝酸ナトリウムでのジアゾ化と、これに続く好ましくは0℃〜5℃の間の温度範囲での場合によりトルエン又はベンゼンのような共溶媒を伴うシアン化第一銅との反応によって、アニリン(1)又は(2)をニトリル(3)又は(4)に変換することができる(工程b)。ニトリル(3)又は(4)の加水分解は、エタノール又は2−エトキシ−エタノールのような溶媒中での、約80℃〜約170℃の間の温度範囲での(場合によりオートクレーブ中での)水酸化カリウムでの処理、140℃〜180℃の間の温度範囲での硫酸での処理(Lamm, G. Ger. Offen. (1977), DE 2538950に記載のとおり)又は150℃前後の温度での硫酸及び水での処理と、これに続く水での更なる希釈及び100℃前後の温度での亜硝酸ナトリウム溶液の添加(Fuson, R.C.; Scott, S.L.; Lindsey, R.V.,Jr. Journal of the American Chemical Society (1941), 63, 1679-82に記載のとおり)によって実行される(工程c)。適切な場合には、酢酸中での求電子芳香族ハロゲン化、例えば、臭素化を用いることにより、酸又はエステル化合物(5)にハロゲン原子を導入することができる(工程d)。酸(6)又は(7)(場合によりC1−6アルキルエステル(6)又は(7)から、好ましくはエタノール又は2−エトキシ−エタノールのような溶媒中で室温〜約150℃の間の温度範囲での水酸化カリウムでの処理によって調製される)から出発するアミン(III)とのアミド形成は、好ましくは、例えば、塩化オキサリル/N,N−ジメチルホルムアミドを好ましくは室温で用いる、そして場合によりジクロロメタンを共溶媒として用いる酸塩化物形成と、これに続く溶媒の留去、及びジクロロメタン又はN,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中でのトリエチルアミンのような塩基の存在下での好ましくは0℃〜室温の間での酸塩化物とアミン(III)との反応を介して実行される(工程e)か;あるいは適切なアミドカップリング試薬、例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、及びトリエチルアミンを、N,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中で好ましくは0℃〜室温の間で使用することにより、酸(6)又は(7)をアミン(III)と結合させることができる(工程e)。
【0052】
【化10】


(スキーム2において、下記式:
【0053】
【化11】


で示される基、X、X、X、Y、Y、Y、R、R、R及びmは、前記と同義である。)
【0054】
2−ハロ−ビアリールアミド(16)(スキーム2)は、3、4、又は5−ハロ−アニリン(11)から、スキーム1に記載された連続反応と厳密に類似した一連の反応により調製することができる。ハロ−アニリン(11)は、スキーム1の工程aについて記載されたようにSuzuki反応によりビアリールアニリン(12)に変換することができる(工程a)。次にオルトハロゲン化は、当該分野において周知の方法により、例えば、好ましくは還流させながらアセトニトリル又はベンゼンのような溶媒中でN−ハロスクシンイミドを用いるか、酢酸中の臭素又はエタノール中のヨウ素及び硫酸銀を室温前後で用いて実行することができる(工程b)。次に、ハロアニリン(13)は、スキーム1[(2)→(4)→(7)→(I)]に記載された連続反応と類似した反応において、Sandmeyer反応、ニトリル加水分解及びアミド形成(R=H;Hal=Cl、Br又はI)によって、ハロアミド(16)に変換することができる(工程c、d、e)。置換ビアリール(I)、(19)、(20)、及び(21)(スキーム2)は、ハロビアリールアミド(16)から、当該分野において周知の方法により調製することができる。ボロン酸又はエステル(17)との、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウムのような触媒の存在下での、かつリン酸カリウムのような塩基の存在下での、トルエン又はN,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中での、好ましくは約70℃〜約130℃の間の温度範囲でのSuzukiカップリングにより、ビ−アリール化合物(I)(Rは、独立に水素、C1−6アルキルであるか、あるいは両方のRが一緒にC1−6アルキレン基を形成する)が得られる(工程f)。シアン化亜鉛との、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウムの存在下での、N,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中での、好ましくは130℃〜150℃の間の温度範囲でのカップリングにより、シアノ化合物(19)が得られる(工程g)。末端アセチレン官能基を含有する試薬(18)との、ヨウ化銅(I)、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム及びトリエチルアミンの存在下での、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中での、好ましくは50℃〜80℃の間の温度範囲でのSonogashiraカップリングにより、アセチレン置換基を持つアリールアミド(20)が得られる(工程h)。アセチレン置換基の三重結合は、場合により、例えば、PtOを触媒として用いる水素化により単結合に還元することができる(工程i)。(下記式:
【0055】
【化12】


で示される基は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、トリメチルシラニルC1−6アルキル、ヘテロアルキル又は場合により置換されているC3−7シクロアルキルC1−6アルキルである)。場合により、Riiは、更に修飾することができる:例えば、ヒドロキシ官能基を持つRii残基は、ハロゲン化C1−6アルキル、メタンスルホン酸C1−6アルキル又はC1−6アルキルトシラートと、水素化ナトリウムのような塩基の存在下で、N,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中で、好ましくは0℃〜50℃の間の温度範囲で反応させることによって、エーテル官能基を結合させることができる。アルキルエーテル化合物(23)(Riiiは、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル又はヘテロアルキルである)は、ハロビアリールエステル(15)(Rは、メチル又はエチルである;R=Hである類似体(15)から当該分野において周知の方法によって調製)の反応により合成することができるが、ビス(ピナコラト)ジボロンと、ジオキサンのような溶媒中で、かつ酢酸カリウム及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)塩化物の存在下で、好ましくは室温〜約100℃の間で反応させることによりピナコラト−ボロン種が得られ、これを次に水中の30%過酸化水素で酢酸の存在下で酸化することによってフェノール化合物(22)が得られる(工程k)。フェノール(22)は次に、ハロゲン化アルキル、メタンスルホン酸アルキル又はアルキルトシラートで、炭酸ナトリウム又はカリウムのような塩基の存在下で、N,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中でアルキル化することにより、対応するアルキルエーテル化合物を得ることができる;続いてスキーム1の工程eについて記載されたように加水分解及びカップリングを実行して、化合物(23)が得られる(Riiiは、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル又はヘテロアルキルである;工程l、e)。化合物(23)(RiiiはMeである)は最後に、ジクロロメタン中の三臭化ホウ素との好ましくは0℃〜室温の間での反応によってオルトヒドロキシ化合物(24)に変換することができる(工程m)。場合により、ヒドロキシ化合物(24)へのハロアミド(16)の直接変換は、エステル(22)へのエステル(15)の変換(工程k)について記載された条件と同様の条件下でボロン中間体を介して実行することができ、そしてヒドロキシ化合物(24)を、工程lについて記載されたような条件下で選択的にアルキル化することにより、エーテル化合物(23)を得ることができる。
【0056】
【化13】


(スキーム3において、下記式:
【0057】
【化14】


で示される基、X、X、X、Y、Y、Y、R、R、R及びmは、前記と同義である。Rは、独立に水素又はC1−6アルキルであるか、あるいは両方のRが一緒にC1−6アルキレン基を形成する。)
【0058】
2−ヒドロキシ−ビアリールアミド(24)(スキーム3)は、3、4、又は5−ハロ−2−メトキシ−アニリン(25)から調製することができる。スキーム1の工程aについて記載されたようなSuzuki反応と、これに続く塩酸又は硫酸のような強酸の存在下での亜硝酸ナトリウムでのジアゾ化と、続いての場合によりトルエン又はベンゼンのような共溶媒を伴う好ましくは0℃〜室温の間の温度範囲でのヨウ化カリウムとの反応によって、3、4、又は5−ハロ−2−メトキシ−アニリン(25)をビアリール−ヨウ化物(26)に変換することができる(工程a、b)。n−ブチルリチウムのような塩基での、テトラヒドロフランのような溶媒中での好ましくは−75℃前後の温度でのヨウ化物(26)の処理と、これに続くドライCOガスとの反応によって、o−メトキシ−ビアリールカルボン酸(27)が得られる(工程c)。o−メトキシ−ビアリールカルボン酸(27)は、スキーム1の工程eについて記載されたのと同様の手順を用いてアミン(III)と結合させることにより、o−メトキシ−ビアリールカルボン酸アミド(28)を得ることができる(工程d)。好ましくは0℃〜室温の間でジクロロメタン中の三臭化ホウ素を用いて、オルト−メトキシアミド(28)をオルト−ヒドロキシアミド(24)に変換することができる(工程e)。o−メトキシ−ビアリールカルボン酸(27)は、最初にジクロロメタン中の三臭化ホウ素での同様の処理と、これに続く再エステル化(メタノール、硫酸、還流)及びトリフルオロメタンスルホナート形成(ジクロロメタンのような溶媒中で好ましくは−50℃〜0℃の間の温度範囲でのトリフルオロメタンスルホン酸無水物及びN−エチルジイソプロピルアミン)によって、o−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−ビフェニル−カルボン酸メチルエステル(29)に変換させる(工程f、g、h)。o−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−ビフェニル−カルボン酸メチルエステル(29)に、ボロン酸又はエステル(17)とのSuzukiカップリングを、スキーム1の工程aに記載されたものに匹敵する条件下で行う;続くけん化(エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン又は2−エトキシ−エタノール及びこれらの混合物のような溶媒中で室温〜約150℃の間の温度範囲での水酸化リチウム又はカリウムでの処理)によって酸(II)が得られるが、これはスキーム1の工程eについて記載されたのと同様の手順を用いて、アミン(III)と結合させることにより化合物(I)にすることができる(工程i、k、d)。
【0059】
【化15】


(スキーム4において、下記式:
【0060】
【化16】


で示される基、R、R、R、R、R及びmは、前記と同義である。Rは、C1−6アルキルである。Rは、独立に水素又はC1−6−アルキルであるか、あるいは両方のRが一緒にC1−6−アルキレン基を形成する。)
【0061】
オルトヒドロキシ安息香酸誘導体(33)は、好ましくはジクロロメタンのような溶媒中での−78℃〜室温の間の温度範囲でのシリル化ジエン(32)とシリル化エノン(31)の間の四塩化チタン触媒[3+3]付加環化反応によって調製することができる[Reim, S.; Lau, M.; Langer, P. Tetrahedron Letters (2006), 47(38), 6903-6905](スキーム4、工程a)。ヒドロキシ誘導体(33)は、例えば、ピリジン中のトリフルオロメタンスルホン酸無水物を−78℃〜室温の間の温度範囲で用いて、トリフラート(34)に変換することができる(工程b)。次にスキーム1の工程aについて記載されたようなSuzuki反応を利用することにより、トリフラート(34)を置換安息香酸誘導体(36)に変換することができる(工程c)。次いで化合物(I)への化合物(7)の変換(スキーム1)について記載されたような、けん化及びアミドカップリングによって、ビアリールアミド(38)が得られる(工程d、e)。
【0062】
【化17】


(スキーム5において、下記式:
【0063】
【化18】


で示される基、R、R、R、R及びmは、前記と同義である。)
【0064】
アシル化β−ケトエステル(43)(R=C1−6アルキル)は、既知であるか、又はβ−ケトエステル(41)から酸塩化物(42)とのジクロロメタンのような溶媒中での無水塩化マグネシウム及びピリジンの存在下での好ましくは室温での反応によって調製することができる(スキーム5、工程a)。好ましくはアセトニトリルのような溶媒中での、そして炭酸セシウムのような塩基の存在下での室温前後でのトリフルオロメタンスルホン酸メチルエステルによるアシル化β−ケトエステル(43)のメチル化によって、エノールメチルエーテル(45)が異性体の混合物として得られる(工程b)。この異性体混合物(45)は、好ましくはエタノールのような溶媒中で室温と溶媒の還流温度の間の温度範囲でアミジン(44)(より容易に入手できるアミジン塩酸塩から遊離アミジンを放出させるためにナトリウムtert−ブトキシドを使用する)と縮合させることによって、ピリミジン化合物(46)を得ることができる[McCombie, S.W.; Tagat, J.R.; Vice, S.F.; Lin, S.-I; Steensma, R.; Palani, A.; Neustadt, B.R.; Baroudy, B.M.; Strizki, J.M.; Endres, M.; Cox, K.; Dan, N.; Chou, C.-C. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (2003), 13(3), 567-571](工程c)。ピリミジン化合物(46)は、スキーム1(化合物(I)への化合物(7)の変換)に記載されたのと全体に類似した一連の反応で最終化合物(48)に変換することができる。
【0065】
【化19】


(スキーム6において、下記式:
【0066】
【化20】


で示される基、R、R、R、R及びmは、前記と同義である。)
【0067】
ピリジンN−オキシド(52)は、ピリジン(51)(Rは、C1−6アルキルである)から、例えば、ジクロロメタンのような溶媒中でのメタ−クロロ過安息香酸との反応によって調製することができる(スキーム6、工程a)。ピリドン(55)は、β−ケトアミド(53)及びβ−ケトエステル(54)(R=C1−6アルキル)から、Kato, T.; Sato, M.; Noda, M.; Itoh, T. Chemical & Pharmaceutical Bulletin (1980), 28(7), 2244-7に記載されるように高温でのポリリン酸による処理によって調製することができる(工程b)。ピリジンN−オキシド(52)及びピリドン(55)は、約100℃とPOClの還流温度の間の温度でのPOCl又はPOClとPClとの混合物での処理によってクロロピリジン(56)に変換することができる(工程c)。例えば、スキーム1の工程aについて記載されたようにボロン酸及びエステルとのSuzukiカップリングを利用することにより、クロロピリジン(56)をアリール又はヘテロアリール置換ピリジン(57)に変換することができる(工程d)。ピリジンアミド(59)への置換ピリジン(57)の変換に続いて、スキーム1において化合物(I)への化合物(7)の変換について記載されたような一連の反応が行われる(工程e、f)。
【0068】
【化21】


(スキーム7において、下記式:
【0069】
【化22】


で示される基、m、X、X、X、R、R、及びRは、前記と同義である。下記式:
【0070】
【化23】


で示される基は、4〜8個の環原子の非芳香族単環ラジカルであるヘテロシクリル(ここで、1個の環原子は、窒素原子であり、残りの環原子は炭素原子であり;これらの炭素原子のうち1個はカルボニル基を持ち、該炭素原子は窒素原子に直接結合していない)である。下記式:
【0071】
【化24】


で示される基は、4〜8個の環原子の非芳香族単環ラジカルであるヘテロシクリル(ここで、2個の環原子は、窒素原子であり、残りの環原子は炭素原子である)である。Riv及びRは、独立に水素、C1−6アルキル、ヘテロアルキル、場合により置換されているC3−7シクロアルキル又は場合により置換されているヘテロシクリルであるか、あるいは下記式:
【0072】
【化25】


で示される基は、場合により置換されているヘテロシクリルである。下記式:
【0073】
【化26】


で示される基は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、場合により置換されているC3−7シクロアルキル、場合により置換されているC3−7シクロアルキルC1−6アルキル、場合により置換されているフェニルC1−6アルキル、場合により置換されているヘテロアリールC1−6アルキル、場合により置換されているヘテロシクリル又は場合により置換されているヘテロシクリルC1−6アルキルである。)
【0074】
第2級アミン(III)(スキーム7)は、既知であるか、当該分野において既知の方法又は実施例に記載される方法により調製することができるか、あるいは例えば、試薬としてトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム又はボラン−ピリジン錯体を使用して、酢酸及び(もしかすると)トリエチルアミンのような塩基の存在下で、1,2−ジクロロエタンのような溶媒中で、室温前後の温度で、例えば、第2級アミン(62)によるケトン(61)の還元的アミノ化によるか、又はケトン(65)による第2級アミン(64)の還元的アミノ化によって調製することができる(工程a)。このような還元的アミノ化によって、Boc保護付加物(63)又は(66)が得られるが、次にこれを例えば、更なる溶媒を伴うか伴わないトリフルオロ酢酸又はアルコール性塩化水素のような確立した手順により脱保護することによって、第2級アミン(III)が得られる(工程b)。次にビアリールカルボン酸(II)を第2級アミン(III)とカップリングさせることによりアミド(I)を得ることができるが、これはi)対応する酸塩化物へのビアリールカルボン酸(II)の変換による[好ましくは塩化オキサリル及び触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドとの、場合により共溶媒としてジクロロメタンを使用する反応と、これに続く溶媒の留去及び酸塩化物と第2級アミン(III)とのジクロロメタン又はN,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中でのトリエチルアミンのような塩基の存在下での好ましくは0℃〜室温の間での反応による]か;あるいはii)O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、トリエチルアミンのN,N−ジメチルホルムアミド中での好ましくは0℃〜室温の間での使用のような、適切なアミドカップリング反応による(工程c)。これらのカップリング反応中、第2級アミン(III)に存在する可能性のあるOH官能基は、適切な保護基により保護することができるが、この保護基はカップリング反応後又は合成の更に後の段階で脱離する。
【0075】
【化27】


(スキーム8において、下記式:
【0076】
【化28】


で示される基、R、R、R、R、R及びmは、前記と同義である。Rは、独立に水素又はC1−6アルキルであるか、あるいは両方のRが一緒にC1−6アルキレン基を形成する。)
【0077】
アリール−ピリジンアミド(74)、(75)及び(77)は、ジクロロピリジンカルボン酸(71)(スキーム8)から幾つかの合成経路により調製することができる。ジクロロピリジンカルボン酸(71)は、エステル化(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド中で好ましくは室温でヨードメタン、炭酸カリウムを用いる)することができ、そして次にジクロロメタン中で好ましくは0℃〜室温の間でナトリウムメトキシドと反応させることにより、6−クロロ−2−メトキシ−ニコチン酸メチルエステル(72)が得られる(工程a、b)。スキーム1の工程aについて記載されたようなSuzuki反応により、6−クロロ−2−メトキシ−ニコチン酸メチルエステル(72)をメトキシ−ビアリールエステル(73)に変換する(工程c)。次のけん化(エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン又は2−エトキシ−エタノール及びこれらの混合物のような溶媒中で室温〜約150℃の間の温度範囲での水酸化リチウム又はカリウムでの処理)及びアミン(III)とのカップリングにより、スキーム1の工程eについて記載されたのと同様の手順を用いてメトキシ−ピリジンアミド(74)が得られる(工程d、e)。三臭化ホウ素によるジクロロメタン中での好ましくは0℃〜室温の間でのメトキシ−ピリジンアミド(74)の処理によって、ヒドロキシ−ピリジンアミド(75)が得られる(工程f);メトキシ−ビアリールエステル(73)の同様の処理と、これに続くエステル化(例えば、還流させながらメタノール、硫酸を用いる)によってエステル(78)が得られる(工程f、i)。ヒドロキシ−ピリジン−アミド(75)又はエステル(78)は、トリフルオロメタンスルホン酸エステル(76)又は(79)に変換することができる(工程g、スキーム3の工程hを参照のこと);適切なハロゲン化アルキルによる、炭酸セシウム又はカリウムのような塩基の存在下での、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド又はテトラヒドロフランのような溶媒中でのヒドロキシ−ピリジン−エステル(78)のアルキル化によって、RがO−アルキル官能基であるエステル(80)が得られる(工程k)。スキーム1の工程aについて記載されたようなSuzuki反応を用いることにより、トリフラート(76)又は(79)を置換ビアリール−アミド又はエステル(77)又は(80)に変換することができる(工程h)。エステル(80)のけん化(エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン又は2−エトキシ−エタノール及びこれらの混合物のような溶媒中で、室温〜約150℃の間の温度範囲での水酸化リチウム又はカリウムによる処理)及びスキーム1の工程eについて記載されたのと同様の手順を用いたアミン(III)とのカップリングによって、アリール−ピリジンアミド(77)が得られる(工程d、e)。
【0078】
【化29】


(スキーム9において、下記式:
【0079】
【化30】


で示される基、R、R、R、R、R及びmは、前記と同義である。Rは、独立に水素又はC1−6アルキルであるか、あるいは両方のRが一緒にC1−6アルキレン基を形成する。Rは、C1−6アルキルである。)
【0080】
ジクロロピリジンカルボン酸アルキル(81)(スキーム9)は、テトラヒドロフランのような溶媒中で好ましくは室温前後でナトリウムメチラートにより処理すると、エステル官能基に対してオルトのクロロ原子の選択的置換を受ける[Hutchison, A.; Y., Jun; L., K.; Maynard, G.; Chenard, B.L.; Liu, N.; Guo, Q.; Guo, Z.; Hrnciar, P. PCT Int. Appl. (2004), WO2004043925A2](工程a)。スキーム1の工程aについて記載されたようなSuzuki反応によって、クロロ−メトキシ−ピリジンカルボン酸エステル(82)をメトキシ−ビアリールエステル(83)に変換する(工程b)。続いてのけん化(エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン又は2−エトキシ−エタノール及びこれらの混合物のような溶媒中で、室温〜約150℃の間の温度範囲での水酸化リチウム又はカリウムによる処理)及びスキーム1の工程eについて記載されたのと同様の手順を用いたアミン(III)とのカップリングによって、メトキシ−ピリジンアミド(84)が得られる(工程c、d)。好ましくは80℃前後の温度でのオキシ塩化リン及びN,N−ジメチルホルムアミドによるメトキシ−ビアリールエステル(83)の処理によって、クロロ−ビアリールエステル(85)が得られる[Hutchison, A.; Y., Jun; L., K.; Maynard, G.; Chenard, B.L.; Liu, N.; Guo, Q.; Guo, Z.; Hrnciar, P. PCT Int. Appl. (2004), WO2004043925A2](工程e)。クロロ−ビアリールエステル(85)を、上述(工程c、d)のようにけん化及びアミン(III)とのカップリングをさせることにより、クロロ−ビアリール−アミド(86)が得られるか、又はスキーム1の工程aについて記載されたようにボロン酸若しくはエステル(87)とのSuzuki反応を受けることにより置換ビアリールエステル(88)が得られる(工程f)。置換ビアリールエステル(88)は、上述のようにけん化及びアミン(III)とのカップリングをさせることにより、ビアリールアミド(77)が得られる(工程c、d)。好ましくはジクロロメタン中での室温でのメタ−クロロ過安息香酸によるオルト位での非置換ピリジンエステル(89)の酸化によって、N−オキシド(90)が得られる(工程g)。好ましくは約50℃〜約100℃の間でオキシ塩化リンによりN−オキシド(90)を処理することにより、クロロ−ピリジンエステル(91)が得られる(工程h)。クロロピリジンエステル(91)は、上述(工程c、d)のようにけん化及びアミン(III)とのカップリングをさせることにより、クロロ−ピリジンアミド(92)が得られる。好ましくは室温〜還流温度の間でのメタノール中のナトリウムメトキシドによるクロロ−ピリジンアミド(92)の処理によって、クロロ−ピリジンアミド(92)をメトキシ−ピリジンアミド(74)に変換する(工程i)。好ましくは0℃〜室温の間でのジクロロメタン中の三臭化ホウ素によるメトキシ−ピリジンアミド(74)の処理によって、ヒドロキシ−ピリジンアミド(75)が得られる(工程k)。Suzuki反応、即ち、スキーム1の工程aについて記載されたような条件下でのボロン酸又はエステル(93)によるクロロ−ピリジンアミド(92)の処理によって、ビアリールアミド(77)が得られる(工程f)。
【0081】
スキーム1〜9に明記された反応工程の他に、場合により、例えば、保護基の導入及び脱離のような、更なる確立した合成の構造修飾を、記載された合成の任意の段階で任意の置換基に適用することができる。
【0082】
上述のとおり、式(I)の化合物は、CCR−2受容体アンタゴニストであり、またCCR−3及びCCR−5でも幾らかのアンタゴニスト活性を持つ。結果としてこれらの化合物は、CCR−2刺激の阻止により種々の白血球集団の遊走を防ぐ。よってこれらは、末梢動脈閉塞性疾患、重症肢虚血、脆弱なアテローム硬化性プラーク患者、不安定狭心症、鬱血性心不全、左心室肥大、虚血再灌流障害、卒中、心筋症、再狭窄、慢性関節リウマチ、糖尿病性腎症、過敏性腸疾患、クローン病、多発性硬化症、神経因性疼痛、アテローム血栓症及び/又は火傷/糖尿病性潰瘍/CLI、並びに喘息のような、炎症性及び/又はアレルギー性疾患の処置及び/又は予防に使用することができる。
【0083】
炎症性疾患、特に末梢動脈閉塞性疾患又はアテローム血栓症の予防及び/又は処置は、好ましい適応症である。
【0084】
よって本発明はまた、上記と同義の化合物及び薬学的に許容しうる賦形剤を含む、薬剤組成物に関する。
【0085】
同様に本発明は、治療活性物質として、特に炎症性及び/又はアレルギー性疾患の処置及び/又は予防用の治療活性物質として、具体的には末梢動脈閉塞性疾患、重症肢虚血、脆弱なアテローム硬化性プラーク患者、不安定狭心症、鬱血性心不全、左心室肥大、虚血再灌流障害、卒中、心筋症、再狭窄、慢性関節リウマチ、糖尿病性腎症、過敏性腸疾患、クローン病、多発性硬化症、神経因性疼痛、アテローム血栓症、火傷/糖尿病性潰瘍/CLI、及びアレルギー、喘息の処置及び/又は予防用の治療活性物質として使用するための上述の化合物を包含する。
【0086】
本発明はまた、炎症性及び/又はアレルギー性疾患の治療及び/又は予防処置用、具体的には末梢動脈閉塞性疾患、重症肢虚血、脆弱なアテローム硬化性プラーク患者、不安定狭心症、鬱血性心不全、左心室肥大、虚血再灌流障害、卒中、心筋症、再狭窄、慢性関節リウマチ、糖尿病性腎症、過敏性腸疾患、クローン病、多発性硬化症、神経因性疼痛、アテローム血栓症、火傷/糖尿病性潰瘍/CLI、及び喘息の治療及び/又は予防処置用の医薬の製造のための上述の化合物の使用に関する。このような医薬は、上述の化合物を含む。
【0087】
本発明はまた、式(I)の化合物の製造のための方法及び中間体、更には中間体の製造方法に関する。
【0088】
本発明の化合物によるCCR−2受容体拮抗活性は、以下のアッセイによって証明することができる。
【0089】
受容体結合アッセイ
結合アッセイは、ヒトCCR2Bを安定に過剰発現するCHOK1−CCR2B−A5細胞(Euroscreen)からの膜で行った。
【0090】
10mMトリス(pH7.4)、1mM EDTA、0.05Mベンズアミジン、ロイペプチン6mg/L中で細胞をホモジネートし、破砕物を1000gで分離することにより膜を調製した。次にこの膜を、50mMトリス(pH7.4)、MgCl 10mM、EGTA 1mM、グリセロール10%、ベンズアミジン0.05mM、ロイペプチン6mg/l中で100000gで単離した。
【0091】
結合のために、CCR2アンタゴニスト化合物を、50mM HEPES(pH7.2)、1mM CaCl、5mM MgCl、0.5% BSA、0.01% NaN中の種々の濃度で、100pM 125I−MCP−1(PerkinElmer、2200Ci/mmol)と一緒に、約5fMol CCR2膜に加えて、室温で1時間インキュベートした。非特異対照のために、57.7nM MCP−1(R&D Systems又はRocheで調製)を加えた。膜をGF/B(ガラス繊維フィルター;PerkinElmer)プレートにより回収し、0.3%ポリエチレンイミン、0.2% BSAで平衡化し、空気乾燥して、トップカウンター(NXT Packard)で計数することにより結合を求めた。特異結合は、全結合から非特異結合を差し引いたものとして定義されたが、典型的には全結合の約90〜95%に相当する。アンタゴニスト活性は、特異結合の50%阻害に必要なインヒビター濃度(IC50)として示す。
【0092】
カルシウム動員アッセイ
ヒトケモカイン受容体2アイソホームBを安定に過剰発現するCHOK1−CCR2B−A5細胞(Euroscreenから)は、5% FBS、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、400μg/ml G418及び5μg/mlピューロマイシンを補足したNutrient Hams F12培地で培養した。
【0093】
アッセイのために、細胞は、37℃で5% COで384ウェルの黒色透明な平底ポリスチレンプレート(Costar)で一晩増殖させた。DMEM、20mM HEPES、2.5mMプロベネシド、0.1% BSA(DMEMアッセイ緩衝液)で洗浄後、細胞に同じDMEMアッセイ緩衝液中の4μM Fluo-4を30℃で2時間加えた。過剰の色素を除去して、細胞をDMEMアッセイ緩衝液で洗浄した。384ウェル化合物プレートは、種々の濃度の試験化合物を伴うか又は伴わないDMEMアッセイ緩衝液/0.5% DMSOで調製した。通常化合物は、アゴニスト及びアンタゴニスト活性について試験した。
【0094】
試験化合物を、アッセイプレートに加え、FLIPR(488nm励起;510〜570nm発光;Molecular Devices)により80秒間蛍光としてアゴニスト活性をモニターした。30℃で20〜30分間インキュベーション後、20nM MCP−1(R&D;Roche)を加えて、蛍光を80秒間再びモニターした。アゴニスト曝露後の最大蛍光から曝露前の基線蛍光を差し引いたものとして、細胞内カルシウムの上昇を報告する。アンタゴニスト活性は、特異的カルシウム上昇の50%阻害に必要なインヒビター濃度として示す。
【0095】
一般式(I)の化合物は、Ca動員アッセイにおいて、又は受容体結合アッセイにおいて、CCR2に対して0.1nM〜10μM、好ましくは1nM〜1.5μMのIC50値を示す。以下の表は、本発明の幾つかの選択化合物についてのカルシウム動員アッセイにおける測定値を示す。
【0096】
【表1】

【0097】
式Iの化合物及び/又はそれらの薬学的に許容される塩は、医薬として、例えば、経腸、非経口又は局所投与の医薬製剤の形態で使用することができる。これらは、例えば、経口的に、例としては錠剤、コーティング剤、糖衣剤、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経腸的に、例としては坐剤の剤形で、非経口的に、例としては注射用液剤又は懸濁剤又は輸液の剤形で、或いは局所的に、例としては軟膏剤、クリーム剤又は油剤の剤形で投与することができる。経口投与が好ましい。
【0098】
医薬製剤の製造は、記載された式Iの化合物及び/又はそれらの薬学的に許容されうる塩を、場合により他の治療上価値のある物質と組み合わせて、適切な非毒性で不活性な治療上適合性のある固体又は液体担体材料、及び所望であれば通常の医薬佐剤と一緒にガレヌス製剤の投与形態にする、当業者に周知である方法により実施できる。
【0099】
適切な担体材料は、無機担体材料のみならず、有機担体材料でもある。したがって、例えば、乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩を、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の担体材料として使用できる。軟ゼラチンカプセル剤に適切な担体材料は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、ならびに半固形及び液状ポリオールである(しかし活性物質の性質によっては、軟ゼラチンカプセル剤の場合には、担体を必要としないこともある)。液剤及びシロップ剤の製造に適切な担体材料は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖である。注射剤に適切な担体材料は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール及び植物油である。坐剤に適切な担体材料は、例えば、天然油又は硬化油、ロウ、脂肪、及び半液体又は液体ポリオールである。局所用製剤に適切な担体材料は、グリセリド、半合成及び合成グリセリド、硬化油、液体ロウ、流動パラフィン、液体脂肪アルコール、ステロール、ポリエチレングリコール及びセルロース誘導体である。
【0100】
通常の安定剤、防腐剤、湿潤剤及び乳化剤、稠度向上剤、風味向上剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝物質、可溶化剤、着色剤及びマスキング剤、ならびに酸化防止剤が医薬佐剤として考慮される。
【0101】
式Iの化合物の用量は、制御されるべき疾患、患者の年齢及び個別の状態、ならびに投与形態に応じて広範囲に変更でき、当然それぞれの特定の症例における個別の要件に適合されるであろう。成人患者では、約1〜約1000mg、特に約1〜約300mgの1日量が考慮される。疾患の重篤度および正確な薬物動態学的プロフィールに応じて、化合物を、単回または複数回の一日投与量、例えば、1〜3の投与単位で投与することができる。
【0102】
医薬製剤は、好都合には、式Iの化合物を約1〜500mg、好ましくは1〜100mg含有する。
【0103】
下記の実施例は、本発明を更に詳細に説明するために役立つ。しかし、これらは本発明の範囲をどのようにも制限することを意図しない。
【0104】
実施例
略語:
AcOH=酢酸、BOC=t−ブチルオキシカルボニル、BuLi=ブチルリチウム、CDI=1,1−カルボニルジイミダゾール、CHCl=ジクロロメタン、DCE=1,2−ジクロロエタン、DIBALH=ジ−i−ブチルアルミニウムヒドリド、DCC=N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、DMA=N,N−ジメチルアセトアミド、DMAP=4−ジメチルアミノピリジン、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、EDCI=N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩、EtOAc=エチルアセテート、EtOH=エタノール、EtO=ジエチルエーテル、EtN=トリエチルアミン、eq=当量、HATU=O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロリン酸塩、HOBT=1−ヒドロキシベンゾ−トリアゾール、Huenig’s塩基=iPrNEt=N−エチルジイソプロピルアミン、LAH=水素化アルミニウムリチウム、LDA=リチウムジイソプロピルアミド、LiBH=ホウ水素化リチウム、MeOH=メタノール、NaI=ヨウ化ナトリウム、Red−Al=水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、RT=室温、TBDMSCl=t−ブチルジメチルシリルクロリド、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、quant=定量。
【0105】
概説
全ての反応はアルゴン下で実施された。
【0106】
中間体1
(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
CHCl 5ml中の4−ブロモ−2,6−ジメチル−安息香酸0.344g(1.5mmol)[Fuson, R. C.; Scott, S. L.; Lindsey, R. V., Jr. Journal of the American Chemical Society (1941), 63, 1679-82]の懸濁液を、室温にてDMF 2滴で処理した;次に、CHCl 3ml中の塩化オキサリル0.14ml=0.21g(1.6mmol)の溶液を25℃未満で一滴ずつ加え、反応混合物を1時間撹拌した。高真空下で蒸発により溶媒を除去した後、残留物をCHCl 10mlに再び溶解し、溶液を0℃に冷却した;次に、EtN 0.42ml=0.30g(3.0mmol)を撹拌しながら加え、続いて4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン0.23g(1.5mmol)を加えた。その後、反応混合物を室温に温めた。60時間後、それを砕氷に注ぎ、CHClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜95:5)により精製して、標記化合物0.42g(76%)を明黄色の油状物として得た。MS:365.0(MH,1Br)。
【0107】
中間体2
(3−ブロモ−2−メチル−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
3−ブロモ−2−メチル−安息香酸0.22g(1.0mmol)を、DMF 10mlに溶解し、溶液をHATU 0.38g(1.0mmol)で処理した。次に、EtN 0.42ml=0.30g(3.0mmol)を加え、30分後、DMF 5ml中の4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン0.16g(1.0mmol)の溶液を加えた。3時間後、反応混合物を砕氷に注ぎ、CHClで3回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜9:1)により精製して、標記化合物0.33g(95%)を明赤色の固体として得た。MS:351.2(MH,1Br)。
【0108】
中間体3
安息香酸(S)−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−イルメチルエステル
A) 4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
EtOH 100.0ml中の4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル10.0g(50.2mmol)及び(S)−(−)−ピロリジン−2−イル−メタノール6.00ml=6.15g(60.2mmol)の溶液を、1,2−ジクロロエタン100.0mlで処理し、続いてボラン−ピリジン錯体(8モル)7.53ml(60.2mmol)で処理した。次に、酢酸7.46ml=7.84g(130.5mmol)をこの溶液に加えた。室温で16時間撹拌した後、反応混合物を砕氷に注いだ;次に、pHを炭酸ナトリウム溶液で9〜10に調整し、混合物をEtOAcで2回抽出した;合わせた有機相を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜9:1)により精製して、標記化合物10.4g(73%)を明黄色の油状物として得た。MS:285.1(MH)。
【0109】
B) 4−((S)−2−ベンゾイルオキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル3.35g(11.8mmol)を、THF 55mlに室温で溶解し、水素化ナトリウム(鉱油中55%)0.57g(13.0mmol)で処理した。ベンゾイルクロリド1.68ml=2.03g(14.1mmol)を一滴ずつ加え、撹拌を2時間続けた。次に、反応混合物を砕氷に注ぎ、EtOAcで3回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜95:5)により精製して、標記化合物2.80g(61%)を黄色の油状物として得た。MS:389.3(MH)。
【0110】
C) 安息香酸(S)−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−イルメチルエステル
CHCl 80ml中の4−((S)−2−ベンゾイルオキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル2.78g(7.2mmol)の溶液に、TFA(水中90%)5.83mlを一滴ずつ加えた。16時間後、反応混合物を砕氷に注いだ;次に、pHを炭酸ナトリウム溶液で9〜10に調整し、混合物をCHClで3回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー[CHCl(NHで飽和した)及びMeOH 1:0〜9:1]により精製して、黄色の油状物として標記化合物1.96g(95%)を得た。MS:289.1(MH)。
【0111】
中間体4
(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
A) 安息香酸(S)−1−[1−(4−ブロモ−2,6−ジメチル−ベンゾイル)−ピペリジン−4−イル]−ピロリジン−2−イルメチルエステル
中間体1に関して記載された手順と同様にして、4−ブロモ−2,6−ジメチル−安息香酸[Fuson, R. C.; Scott, S. L.; Lindsey, R. V., Jr. Journal of the American Chemical Society (1941), 63, 1679-82]を、その酸塩化物に変換し、その後、安息香酸(S)−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−イルメチルエステル(中間体3)を反応させて、標記化合物を黄色の油状物として得た。MS:=499.1(MH,1Br)。
【0112】
B) (4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
THF/MeOH(1:1)120ml中の安息香酸(S)−1−[1−(4−ブロモ−2,6−ジメチル−ベンゾイル)−ピペリジン−4−イル]−ピロリジン−2−イルメチルエステル2.20g(4.4mmol)の溶液に、水酸化リチウム溶液(水中1モル)11.0ml(11.0mmol)を一滴ずつ加え、次に、反応混合物を50℃に加熱した。2時間後、溶媒を蒸発させ、残留物を砕氷に注ぎ、CHClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜9:1)により精製して、標記化合物1.19g(68%)を明黄色の油状物として得た。MS:395.2(MH,1Br)。
【0113】
中間体5
4,6−ジメチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸
A) 4,6−ジメチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステル
EtOH 60ml中の3−トリフルオロメチル−ベンズアミジンHCl 5.31g(23.6mmol)の溶液を、ナトリウムtert−ブトキシド2.34g(23.6mmol)で処理した。4分後、EtOH 40ml中の粗(E,Z)−2−アセチル−3−メトキシ−ブタ−2−エン酸エチルエステル[McCombie, S. W.; Tagat, J. R.; Vice, S. F.; Lin, S.-I.; Steensma, R.; Palani, A.; Neustadt, B. R.; Baroudy, B. M.; Strizki, J. M.; Endres, M.; Cox, K.; Dan, N.; Chou, C.-C. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (2003), 13(3), 567-571]4.40g(23.6mmol)を加えた。次に、反応混合物を室温で65時間撹拌した。その後、溶媒を蒸発させ、残留物を砕氷に注ぎ、HCl(水中25%)で酸性化し、EtOで3回抽出した;有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 99:1)により精製して、標記化合物4.95g(65%)を無色の油状物として得た。MS:=325.2(MH)。
【0114】
B) 4,6−ジメチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸
2−エトキシエタノール/HO(9:1)165ml中の4,6−ジメチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステル5.21g(16.1mmol)の溶液に、水酸化カリウム(86%)2.62g=40.2mmolを加えた;次に、反応混合物を150℃の油浴中で加熱還流した。4時間後、それを砕氷に注ぎ、HCl(水中25%)で酸性化して、CHClで3回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗標記化合物4.29g(90%)をオフホワイトの固体として得た。MS:295.3([M−H])。
【0115】
中間体6
3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−5−トリフルオロメチル−ピリジン
ジオキサン75ml中の3−ブロモ−5−トリフルオロメチル−ピリジン3.50g(15.50mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド0.54g(0.8mmol)及び酢酸カリウム4.55g(46.5mmol)の懸濁液を、15分間撹拌した;次に、4,4,5,5,4’,4’,5’,5’−オクタメチル−[2,2’]ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル](ビス−ピナコラトジボロン)6.42g(24.8mmol)を加え、混合物を100℃に加熱した。20時間後、それを砕氷に注ぎ、pHを炭酸ナトリウム溶液で9〜10に調整し、次に、混合物をEtOAcで3回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜9:1)により精製して、標記化合物3.48g(82%)を無色の固体として得た。MS:273.1(M)。
【0116】
中間体7
4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸
A) 4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステル
2−シクロプロパンカルボニル−3−オキソ−酪酸エチルエステル[Jung, J.-C.; Watkins, E. B.; Avery, M. A. Tetrahedron (2002), 58(18), 3639-3646](4.7g、24mmol)を、アセトニトリル(40ml)に溶解し、0℃に冷却した。炭酸セシウム(7.8g、24mmol)を加え、反応物を0.5時間撹拌した後、トリフルオロ−メタンスルホン酸メチルエステル(2.6ml、24mmol)を添加して、反応物を更に2時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、(E,Z)−2−シクロプロパンカルボニル−3−メトキシ−ブタ−2−エン酸エチルエステル及び/又は2−[1−シクロプロピル−1−メトキシ−メタ−(E,Z)−イリデン]−3−オキソ−酪酸エチルエステル(6.3g、定量)の粗混合物を得た。この物質(2.1g、8mmol)の三分の一を、エタノール(10ml)に溶解し、3−トリフルオロメチル−ベンズアミジン塩酸塩(1.8g、8mmol)及びナトリウムtert−ブトキシド(0.8g、8mmol)の溶液に滴下し、混合物を一晩撹拌した。反応物を濃縮し、EtOAcに再溶解し、1N 塩酸溶液で洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン 1:9)により精製して、標記生成物(1.2g、42%)を清澄な油状物として得た。MS:351.2(MH)。
【0117】
B) 4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸
中間体7A(1.2g、3mmol)を、EtOHに溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(1.1ml、水中6M溶液、7mmol)を加え、反応物を4時間加熱還流し、その後、反応物を濃縮し、水に再溶解し、pHを25%塩酸の添加によりpH1に調整した。得られた沈殿物を濾過により単離して、標記生成物(0.7g、62%)を白色の粉末として得た。MS:321.1(M−H)。
【0118】
中間体8
N−((3R,5S)−5−ヒドロキシメチル−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−3−イル)−アセトアミド二塩酸塩
A) N−((3R,5S)−5−ヒドロキシメチル−ピロリジン−3−イル)−アセトアミド塩酸塩
THF(5ml)中の(2S,4R)−4−アジド−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル[Marusawa, H.; Setoi, H.; Sawada, A.; Kuroda, A.; Seki, J.; Motoyama, Y.; Tanaka, H. Bioorganic & Medicinal Chemistry (2002), 10(5), 1399-1415](1.0g、4mmol)の溶液を、アルゴン下、THF(5ml)中のLAH(0.6g、15mmol)の氷冷された懸濁液に加えた。反応物を1時間撹拌し、その後、それを水を注意深く添加することによりクエンチした。得られた沈殿物を濾過し、EtOAcですすぎ、有機物を濃縮した。次に、このようにして得た粗(2S,4R)−4−アミノ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.7g、3mmol)を、CHCl(15ml)に溶解し、飽和NaHCO(15ml)を加え、続いて無水酢酸(0.3ml、3mmol)を加えて、混合物を2時間撹拌した。次に、反応混合物を分離し、有機相を乾燥させ(NaSO)、濃縮して、粗(2S,4R)−4−アセチルアミノ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.62g、79%)を得た。これをジオキサン中の4N 塩酸溶液で処理し、標記生成物(0.5g、定量)を黄色の粉末として得た。MS:159.1(MH)。
【0119】
B) 4−((2S,4R)−4−アセチルアミノ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体8A(0.36g、2mmol)を、CHCl(10ml)中のN−tert−ブトキシカルボニル−4−ピペリドン(0.44g、2mmol)、酢酸(0.25ml、4mmol)及びトリエチルアミン(0.60ml、2mmol)の溶液に加え、最後に、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(0.22g、3mmol)を加えた。混合物を2時間撹拌し、その後、反応物を飽和NaHCOで洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 9:1)により精製して、標記化合物(0.24g、32%)をガム状物として得た。MS:342.5(MH)。
【0120】
C) N−((3R,5S)−5−ヒドロキシメチル−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−3−イル)−アセトアミド二塩酸塩
中間体8B(0.24g、1mmol)を、ジオキサン(5ml)中の4N 塩酸で1時間処理した;濃縮して、標記化合物(0.24g、定量)を白色の粉末として得た。MS:242.2(MH)。
【0121】
中間体9
((S)−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−イル)−メタノール二塩酸塩
EtOH 70ml中の4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体3A)3.00g(10.5mmol)の溶液を、1,4−ジオキサン(4モル)中の塩酸5.27ml(21.1mmol)で室温にて処理し、混合物を100℃に加熱した。2時間後、溶媒を蒸発させ、残留物をMeOH/MeCN及びEtOから再結晶化して、標記化合物2.21g(82%)を無色の固体として得た。MS:185.2(MH)。
【0122】
中間体10
3−メトキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸
A) 3−メトキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルアミン
実施例1に記載された手順と同様にして、4−ブロモ−2−メトキシ−6−メチル−フェニルアミン[Chan, J. H.; Hong, J. S.; Hunter, R. N., III; Orr, G. F.; Cowan, J. R.; Sherman, D. B.; Sparks, St. M.; Reitter, B. E.; Andrews, C. W., III; Hazen, R. J.; St. Clair, M.; Boone, L. R.; Ferris, R. G.; Creech, K. L.; Roberts, G. B.; Short, St. A.; Weaver, K.; Ott, R. J.; Ren, J.; Hopkins, A.; Stuart, D. I.; Stammers, D. K. Journal of Medicinal Chemistry (2001), 44(12), 1866-1882]を、DMF中の3−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸と、リン酸カリウム溶液及びテトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウムの存在下、80℃で反応させ、標記化合物を褐色の油状物として得た。MS:282.1(MH)。
【0123】
B) 4−ヨード−3−メトキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル
O 20ml中の亜硝酸ナトリウム3.10g(45.0mmol)の溶液を、HCl(25%)35.0ml及びHO 190ml中の3−メトキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルアミン11.50g(40.90mmol)の懸濁液に2℃で加えた;30分後、形成された明褐色の溶液を、HO 40ml中のヨウ化カリウム6.95g(433.4mmol)の溶液に0℃で加え、反応混合物を室温に温めた。4時間後、次に、それを砕氷に注ぎ、EtOAcで2回抽出した;有機相を重炭酸ナトリウム溶液で、そして水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 1:0〜4:1)により精製して、標記化合物7.79g(49%)を黄色の油状物として得た。MS:392.0(M)。
【0124】
C) 3−メトキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸
THF 190ml中の4−ヨード−3−メトキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル7.70g(19.6mmol)の溶液を、−75℃に冷却した;次に、n−ブチルリチウム溶液(n−ヘキサン中1.6モル)13.5ml(21.6mmol)を、−70℃未満でゆっくりと加えた。1時間後、暗褐色の反応混合物を、過剰量の二酸化炭素ガス(ガス洗浄装置中で濃HSO中に泡立て入れることにより乾燥させた)で2時間の間処理し、次に、0℃に温めた。その後、それを砕氷に注ぎ、次に、pHをHCl/HO(1N)で3〜4に調整し、混合物をEtOAcで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、EtOAc/ヘプタンから再結晶化により精製して、標記化合物2.90g(48%)を無色の固体として得た。MS:309.3(M−H)。
【0125】
中間体11
5−メチル−3−ピリミジン−5−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸
A) 3−ヒドロキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸
CHCl 130ml中の3−メトキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸(中間体10C)4.05g(13.1mmol)の懸濁液を、2℃に冷却し、次に、三臭化ホウ素(CHCl中1モル)の溶液26.1ml(26.1mmol)を5℃未満で加えた。反応混合物の色が明黄色から暗黄色に変わった。室温で2時間撹拌した後、反応混合物を砕氷に注ぎ、CHClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、EtOAc/ヘプタンから再結晶化により精製して、標記化合物3.70g(96%)をオフホワイトの固体として得た。MS:295.1(M−H)。
【0126】
B) 3−ヒドロキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル
MeOH 70ml中の3−ヒドロキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸2.20g(7.40mmol)の溶液を、硫酸(95%)0.84ml=1.53g(14.9mmol)及びモレキュラーシーブ(0.4nm)0.5gで室温にて処理し、反応混合物を72時間加熱還流した。次に、それを室温に冷まし、濾過して、残留物をMeOHで洗浄した。濾液を蒸発させ、この残留物をCHClに溶解し、砕氷に注いで、CHClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 4:1)により精製して、標記化合物1.04g(45%)を無色の固体として得た。MS:310.0(M)。
【0127】
C) 5−メチル−3−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル
N−エチルジイソプロピルアミン1.12ml=0.848g(6.40mmol)を、CHCl 25ml中の3−ヒドロキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル1.33g(4.30mmol)の溶液に室温で加え、次に、反応混合物を−50℃に冷却した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物1.08ml=1.851g(6.40mmol)を一滴ずつ加え、次に、反応混合物を0℃に温めた。その後、それを砕氷に注ぎ、CHClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 1:0〜19:1)により精製して、標記化合物1.70g(90%)を無色の油状物として得た。MS:442.0(M)。
【0128】
D) 5−メチル−3−ピリミジン−5−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル
実施例1に記載された手順と同様にして、5−メチル−3−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステルを、DMF中のピリミジン−5−イル−ボロン酸と、リン酸カリウム溶液及びテトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウムの存在下、80℃で反応させ、標記化合物を無色の油状物として得た。MS:372.0(M)。
【0129】
E) 5−メチル−3−ピリミジン−5−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸
THF/MeOH(1:1)12ml中の5−メチル−3−ピリミジン−5−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル0.43g(1.20mmol)の溶液に、水酸化リチウム溶液(水中1モル)2.89ml(2.90mmol)を一滴ずつ加え、次に、反応混合物を50℃に加熱した。40時間後、反応混合物を砕氷に注ぎ、HCl/HO(1N)でpH3.0に酸性化し、次に、EtOAcで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜3:2)により精製して、標記化合物0.410g(99%)を無色の固体として得た。MS:357.0(M−H)。
【0130】
中間体12
2−メトキシ−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸
A) 2,6−ジクロロ−4−メチル−ニコチン酸メチルエステル
DMF 100ml中の2,6−ジクロロ−4−メチル−ニコチン酸[Lamm, G. Ger. Offen. (1977), DE 2538950]8.05g(39.1mmol)の溶液に、炭酸カリウム8.10g(58.6mmol)を加えた。撹拌しながら、ヨードメタン12.16ml=27.7g(195.4mmol)を一滴ずつ加え、反応混合物を室温で6時間撹拌した。次に、それを砕氷に注ぎ、EtOAcで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させ、標記化合物8.47g(99%)を明黄色の固体として得た。MS:219.0(M,2Cl)。
【0131】
B) 6−クロロ−2−メトキシ−4−メチル−ニコチン酸メチルエステル
CHCl 75ml中の2,6−ジクロロ−4−メチル−ニコチン酸メチルエステル6.50g(29.5mmol)の溶液に、ナトリウムメトキシド溶液(MeOH中5.4モル)6.56ml(35.4mmol)を0℃で加えた。16時間後、反応混合物を室温に温め、この温度で16時間再び撹拌し、続いて、砕氷に注いだ;次に、pHを2N 酢酸で4〜5に調整し、反応混合物をCHClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 1.0〜98:2)により精製して、標記化合物5.79g(91%)を無色の固体として得た。MS:216.1(MH,1Cl)。
【0132】
C) 2−メトキシ−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル
DMF 250ml中の6−クロロ−2−メトキシ−4−メチル−ニコチン酸メチルエステル5.75g(26.7mmol)の溶液に、3−トリフルオロメチル−フェニル−ボロン酸10.13g(53.3mmol)を加え、続いて、三塩基リン酸カリウムの溶液(水中2M)50.0mlを加えた。最後に、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム1.54g(1.3mmol)を加え、その後、反応混合物を80℃に温めた。5時間後、それを室温に冷まし、砕氷に注いで、CHClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 1:0〜9:1)により精製して、標記化合物8.54g(98%)を明黄色の油状物として得た。MS:326.1(MH)。
【0133】
D) 2−メトキシ−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸
THF/MeOH(1:1) 20ml中の2−メトキシ−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル0.325g(1.00mmol)の溶液に、水酸化リチウム溶液(水中1モル)2.50ml(2.50mmol)を一滴ずつ加え、次に、反応混合物を加熱還流した。8時間後、それを砕氷に注ぎ、HCl/HO(1N)でpH3.0に酸性化し、次に、EtOAcで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜4:1)により精製して、標記化合物0.24g(77%)を明黄色の固体として得た。MS:310.0(M−H)。
【0134】
中間体13
2−(2−ベンジルオキシ−エトキシ)−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸
A) 4−メチル−2−オキソ−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸
CHCl 10ml中の2−メトキシ−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル(中間体12C)0.325g(1.0mmol)の溶液を0℃に冷却し、三臭化ホウ素の溶液(CHCl中1モル)2.0ml(2.0mmol)を一滴ずつ加え、その後、反応混合物を室温に温めた。2時間後、MeOH 1.0mlを加え、90分後、反応混合物を蒸発させた。形成された粗中間体を次の工程で精製せずに使用した。
【0135】
B) 4−メチル−2−オキソ−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルエステル
MeOH 15ml中の4−メチル−2−オキソ−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸0.30g(1.0mmol)の溶液を、HSO(98%)0.06ml=0.01g(0.1mmol)で処理し、反応混合物を加熱還流した。4時間後、それを室温に冷まし、砕氷に注いで、CHClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜9:1)により精製して、標記化合物0.24g(77%)をオフホワイトの固体として得た。MS:312.0(MH)。
【0136】
C) 2−(2−ベンジルオキシ−エトキシ)−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル
DMSO 10ml中の4−メチル−2−オキソ−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチルエステル0.62g(2.0mmol)の溶液を、炭酸セシウム1.947g(6.0mmol)及びヨウ化カリウム0.066g(0.4mmol)で室温にて処理した。(2−ブロモ−エトキシメチル)−ベンゼン0.38ml=0.514g(2.4mmol)を一滴ずつ加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。次に、それを砕氷に注ぎ、CHClで3回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 1:0〜1:1)により精製して、標記化合物0.73g(82%)を明黄色の油状物として得た。MS:446.2(MH)。
【0137】
C) 2−(2−ベンジルオキシ−エトキシ)−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸
中間体4Bの調製に関して記載された手順と同様にして、2−(2−ベンジルオキシ−エトキシ)−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステルをけん化して、標記化合物を無色の固体として得た。MS:430.2(M−H)。
【0138】
実施例1
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0139】
【化31】

【0140】
DMF 5ml中の(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(中間体1)0.130g(0.35mmol)及び3−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸0.147g(0.70mmol)の脱ガスした溶液に、三塩基性リン酸カリウム溶液(水中2M)2.50mlを一滴ずつ加え、続いて、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム0.022g(0.019mmol)を加えた。反応混合物を80℃で2時間撹拌し、その後室温に冷まし、次に砕氷に注いで、CHClで3回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜95:5)により精製して、標記化合物0.12g(77%)を明黄色の無定形の固体として得た。MS:447.2(MH)。
【0141】
実施例2
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0142】
【化32】

【0143】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(中間体1)を、3−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物をオフホワイトの無定形の固体として得た。MS:431.4(MH)。
【0144】
実施例3
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イル)−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−メタノン
【0145】
【化33】

【0146】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−メタノン(中間体1の調製に関して記載された手順と同様にして、4−ブロモ−2,6−ジメチル−安息香酸及び2−[1,4]ジアゼパン−1−イル−エタノールから調製した)を、3−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物を明黄色の無定形の固体として得た。MS:437.3(MH)。
【0147】
実施例4
(2−メチル−3’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0148】
【化34】

【0149】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(3−ブロモ−2−メチル−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(中間体2)を、3−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物を暗褐色の無定形の固体として得た。MS:433.3(MH)。
【0150】
実施例5
(2−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0151】
【化35】

【0152】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(3−ブロモ−2−メチル−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(中間体2)を、3−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物を暗褐色の無定形の固体として得た。MS:417.3(MH)。
【0153】
実施例6
(3−メチル−3’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0154】
【化36】

【0155】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(中間体2の調製に関して記載された手順と同様にして、4−ブロモ−2−メチル−安息香酸及び4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンから調製した)を、3−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物を明黄色の固体として得た。MS:433.3(MH)。
【0156】
実施例7
(3−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0157】
【化37】

【0158】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2−メチル−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(中間体2の調製に関して記載された手順と同様にして、4−ブロモ−2−メチル−安息香酸及び4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンから調製した)を、3−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物をオフホワイトの無定形の固体として得た。MS:417.4(MH)。
【0159】
実施例8
(2,4−ジメチル−3’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0160】
【化38】

【0161】
中間体1に関して記載された手順と同様にして、2,4−ジメチル−3’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(実施例1の調製に関して記載された手順と同様にして、3−ブロモ−2,6−ジメチル−安息香酸[Lee, J.; et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2003),13(11),1879-1882]及び3−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸から調製した)を、その酸塩化物に変換し、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させて、標記化合物を明黄色の固体として得た。MS:447.3(MH)。
【0162】
実施例9
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0163】
【化39】

【0164】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン(中間体4)を、3−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物を無色の無定形の固体として得た。MS:461.3(MH)。
【0165】
実施例10
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0166】
【化40】

【0167】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン(中間体4)を、3−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物をオフホワイトの固体として得た。MS:477.2(MH)。
【0168】
実施例11
(3,5−ジメチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0169】
【化41】

【0170】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン(中間体4)を、4−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物をオフホワイトの固体として得た。MS:461.3(MH)。
【0171】
実施例12
(3,5−ジメチル−3’,5’−ビス−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0172】
【化42】

【0173】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン(中間体4)を、3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物を無色の固体として得た。MS:529.2(MH)。
【0174】
実施例13
[4,6−ジメチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0175】
【化43】

【0176】
中間体1に関して記載された手順と同様にして、4,6−ジメチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体5)を、その酸塩化物に変換し、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させて、標記化合物をオフホワイトの固体として得た。MS:433.3(MH)。
【0177】
実施例14
[2,6−ジメチル−4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−フェニル]−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0178】
【化44】

【0179】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン(中間体4)を、3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−5−トリフルオロメチル−ピリジン(中間体6)と反応させて、標記化合物を明黄色の固体として得た。MS:462.4(MH)。
【0180】
実施例15
[2−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4,6−ジメチル−ピリミジン−5−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0181】
【化45】

【0182】
中間体1に関して記載された手順と同様にして、2−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボン酸[3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンズアミジン塩酸塩を、(E,Z)−2−アセチル−3−メトキシ−ブタ−2−エン酸エチルエステルと反応させて、2−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボン酸エチルエステルを得、続いて中間体5の調製に関して記載された手順と同様にしてけん化により調製した]を、その酸塩化物に変換し、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させて、標記化合物を無色の固体として得た。MS:501.1(MH)。
【0183】
実施例16
[4,6−ジメチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0184】
【化46】

【0185】
中間体1に関して及び中間体4B)に関して記載された手順と同様にして、4,6−ジメチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体5)を、その酸塩化物に変換し、その後、安息香酸(S)−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−イルメチルエステル(中間体3)と反応させて、安息香酸(S)−1−{1−[4,6−ジメチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボニル]−ピペリジン−4−イル}−ピロリジン−2−イルメチルエステルを得て、それをその後、けん化して、標記化合物を無色の固体として得た。MS:463.2(MH)。
【0186】
実施例17
[2−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4,6−ジメチル−ピリミジン−5−イル]−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0187】
【化47】

【0188】
中間体1に関して及び中間体4B)に関して記載された手順と同様にして、2−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボン酸(実施例15)を、その酸塩化物に変換し、その後、安息香酸(S)−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−イルメチルエステル(中間体3)と反応させて、安息香酸(S)−1−{1−[2−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボニル]−ピペリジン−4−イル}−ピロリジン−2−イルメチルエステルを得て、それをその後、けん化して、標記化合物を無色の固体として得た。MS:531.2(MH)。
【0189】
実施例18
[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0190】
【化48】

【0191】
中間体2に関して記載された手順と同様にして、4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体7)を、DMF中のHATU、トリエチルアミン及び4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させた。その後、分取HPLCにより精製して、標記化合物をガム状物として得た。MS:459.5(MH)。
【0192】
実施例19
[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0193】
【化49】

【0194】
中間体2に関して記載の手順と同様にして、4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体7)を、DMF中のHATU、トリエチルアミン及び((S)−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−イル)−メタノール二塩酸塩(中間体9)と反応させた。その後、分取HPLCにより精製して、標記化合物をガム状物として得た。MS:489.6(MH)。
【0195】
実施例20
N−((3R,5S)−1−{1−[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボニル]−ピペリジン−4−イル}−5−ヒドロキシメチル−ピロリジン−3−イル)−アセトアミド
【0196】
【化50】

【0197】
中間体2に関して記載された手順と同様にして、4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体7)を、DMF中のHATU、トリエチルアミン及びN−((3R,5S)−5−ヒドロキシメチル−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−3−イル)−アセトアミド二塩酸塩(中間体8)と反応させた。その後、分取HPLCにより精製して、標記化合物をガム状物として得た。MS:546.6(MH)。
【0198】
実施例21
(3,5−ジメチル−4’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0199】
【化51】

【0200】
実施例1に関して記載の手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン(中間体4)を、4−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物を明黄色の固体として得た。MS:477.1(MH)。
【0201】
実施例22
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノン
【0202】
【化52】

【0203】
中間体3B、3C、1、4Bに関して及び実施例1に関して記載の手順と同様にして、標記化合物を下記の反応シーケンスにより調製した:i)4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステル[Lawrence, L.; Rigby, A.; Sanganee, H.; Springthorpe, B. PCT Int. Appl. (2001), WO 2001077101 A1]を、ベンゾイルクロリドと反応させて、4−ベンゾイルオキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルを得た;ii)4−ベンゾイルオキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルを、トリフルオロ酢酸と反応させて、安息香酸[1,4’]ビピペリジニル−4−イルエステルを得た;iii)4−ブロモ−2,6−ジメチル−安息香酸を、その酸塩化物に変換し、安息香酸[1,4’]ビピペリジニル−4−イルエステルと反応させて、安息香酸1’−(4−ブロモ−2,6−ジメチル−ベンゾイル)−[1,4’]ビピペリジニル−4−イルエステルを得た;iv)安息香酸1’−(4−ブロモ−2,6−ジメチル−ベンゾイル)−[1,4’]ビピペリジニル−4−イルエステルを、けん化して、(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノンを得た;v)(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノンと、3−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸とのSuzuki反応により、標記化合物を明褐色の固体として得た。MS:461.3(MH)。
【0204】
実施例23
(3,5−ジメチル−4’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イル)−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノン
【0205】
【化53】

【0206】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノン(実施例22)を、4−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物を明黄色の固体として得た。MS:477.2(MH)。
【0207】
実施例24
[2,6−ジメチル−4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−フェニル]−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノン
【0208】
【化54】

【0209】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジメチル−フェニル)−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノン(実施例22)を、3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−5−トリフルオロメチル−ピリジン(中間体6)と反応させて、標記化合物を明黄色の油状物として得た。MS:462.2(MH)。
【0210】
実施例25
[4,6−ジメチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノン
【0211】
【化55】

【0212】
中間体1に関して及び中間体4Bに関して記載された手順と同様にして、4,6−ジメチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体5)を、その酸塩化物に変換し、安息香酸[1,4’]ビピペリジニル−4−イルエステル(実施例22)と反応させて、その後、けん化して、標記化合物を無色の固体として得た。MS:463.3(MH)。
【0213】
実施例26
[2−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4,6−ジメチル−ピリミジン−5−イル]−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノン
【0214】
【化56】

【0215】
中間体1に関して及び中間体4Bに関して記載された手順と同様にして、2−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−4,6−ジメチル−ピリミジン−5−カルボン酸(実施例15)を、その酸塩化物に変換し、安息香酸[1,4’]ビピペリジニル−4−イルエステル(実施例22)と反応させて、その後、けん化して、標記化合物を無色の固体として得た。MS:531.1(MH)。
【0216】
実施例27
[2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0217】
【化57】

【0218】
実施例1に関して、中間体5Bに関して及び中間体1に関して記載された手順と同様にして、標記化合物を下記の反応シーケンスにより調製した:i)6−クロロ−2,4−ジメチル−ニコチン酸エチルエステル[Zhou, Y.; Bridger, G. J.; Skerlj, R. T.; Bogucki, D.; Yang, W.; Bourque, E.; Langille, J.; Li, T.-S.; Metz, M. U.S. Pat. Appl. Publ. (2005), US 2005277668 A1]を、3−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸と反応させて、2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルを得た;ii)2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルをけん化して、2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸を得た;iii)2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸を、その酸塩化物に変換し、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させて、標記化合物を無色の固体として得た。MS:432.3(MH)。
【0219】
実施例28
[2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0220】
【化58】

【0221】
実施例1に関して、中間体5Bに関して及び中間体1に関して記載された手順と同様にして、標記化合物を下記の反応シーケンスにより調製した:i)6−クロロ−2,4−ジメチル−ニコチン酸エチルエステル[Zhou, Y.; Bridger, G. J.; Skerlj, R. T.; Bogucki, D.; Yang, W.; Bourque, E.; Langille, J.; Li, T.-S.; Metz, M. U.S. Pat. Appl. Publ. (2005), US 2005277668 A1]を、3−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸と反応させて、2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルを得た;ii)2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルをけん化して、2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ニコチン酸を得た;iii)2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ニコチン酸を、その酸塩化物に変換し、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させて、標記化合物を明黄色の油状物として得た。MS:448.2(MH)。
【0222】
実施例29
[2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−イル]−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0223】
【化59】

【0224】
中間体1に関して及び中間体4Bに関して記載された手順と同様にして、2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ニコチン酸(実施例28)を、その酸塩化物に変換し、安息香酸(S)−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−イルメチルエステル(中間体3)と反応させて、安息香酸(S)−1−{1−[2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリジン−3−カルボニル]−ピペリジン−4−イル}−ピロリジン−2−イルメチルエステルを得て、それをその後、けん化して、標記化合物を無色の無定形の固体として得た。MS:478.2(MH)。
【0225】
実施例30
[2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0226】
【化60】

【0227】
中間体1に関して及び中間体4Bに関して記載された手順と同様にして、2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸(実施例27)を、その酸塩化物に変換し、安息香酸(S)−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−イルメチルエステル(中間体3)と反応させて、安息香酸(S)−1−{1−[2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−カルボニル]−ピペリジン−4−イル}−ピロリジン−2−イルメチルエステルを得て、その後、けん化して、標記化合物を無色の油状物として得た。MS:462.2(MH)。
【0228】
実施例31
[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0229】
【化61】

【0230】
中間体2に関して記載された手順と同様にして、4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体7)を、DMF中のHATU、トリエチルアミン及び4−ピペリジン−4−イル−モルホリンと反応させた。その後、分取HPLCにより精製して、標記化合物をガム状物として得た。MS:475.3(MH)。
【0231】
実施例32
[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル−[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−メタノン
【0232】
【化62】

【0233】
中間体2に関して記載された手順と同様にして、4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体7)を、DMF中のHATU、トリエチルアミン及び[1,4’]ビピペリジニルと反応させた。その後、分取HPLCにより精製して、標記化合物をガム状物として得た。MS:473.3(MH)。
【0234】
実施例33
[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノン
【0235】
【化63】

【0236】
中間体2に関して記載された手順と同様にして、4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体7)を、DMF中のHATU、トリエチルアミン及び[1,4’]ビピペリジニル−4−オールと反応させた。その後、分取HPLCにより精製して、標記化合物をガム状物として得た。MS:489.3(MH)。
【0237】
実施例34
(rac)−[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−(3−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノン
【0238】
【化64】

【0239】
中間体2に関して記載の手順と同様にして、4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体7)を、DMF中のHATU、トリエチルアミン及び(rac)−[1,4’]ビピペリジニル−3−オールと反応させた。その後、分取HPLCにより精製して、標記化合物をガム状物として得た。MS:489.3(MH)。
【0240】
実施例35
(rac)−[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−(3−ジエチルアミノ−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【0241】
【化65】

【0242】
中間体2に関して記載の手順と同様にして、4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体7)を、DMF中のHATU、トリエチルアミン及び(rac)−ジエチル−ピロリジン−3−イル−アミンと反応させた。その後、分取HPLCにより精製して、標記化合物をガム状物として得た。MS:447.3(MH)。
【0243】
実施例36
[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0244】
【化66】

【0245】
中間体2に記載された手順と同様にして、4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(中間体7)の調製と同様にして、中間体7Aの調製と同様な反応工程において3−トリフルオロメチル−ベンズアミジン塩酸塩の代わりに3−トリフルオロメトキシ−ベンズアミジン塩酸塩を使用することにより調整した]を、DMF中のHATU、トリエチルアミン及び4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させた。その後、分取HPLCにより精製して、標記化合物をガム状物として得た。MS:475.3(MH)。
【0246】
実施例37
[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0247】
【化67】

【0248】
中間体2に関して記載された手順と同様にして、4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(実施例36)を、DMF中のHATU、トリエチルアミン及び((S)−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−イル)−メタノール二塩酸塩(中間体9)と反応させた。その後、分取HPLCにより精製して、標記化合物をガム状物として得た。MS:505.3(MH)。
【0249】
実施例38
N−((3R,5S)−1−{1−[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリミジン−5−カルボニル]−ピペリジン−4−イル}−5−ヒドロキシメチル−ピロリジン−3−イル)−アセトアミド
【0250】
【化68】

【0251】
中間体2に関して記載された手順と同様にして、4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピリミジン−5−カルボン酸(実施例36)を、DMF中のHATU、トリエチルアミン及びN−((3R,5S)−5−ヒドロキシメチル−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−3−イル)−アセトアミド二塩酸塩(中間体8)と反応させた。その後、分取HPLCにより精製して、標記化合物をガム状物として得た。MS:562.3(MH)。
【0252】
実施例39
(3,5−ジフルオロ−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0253】
【化69】

【0254】
中間体1に関して及び実施例1に関して記載された手順と同様にして、4−ブロモ−2,6−ジフルオロ−ベンゾイルクロリドを、CHCl中の4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン及びEtNと反応させて、(4−ブロモ−2,6−ジフルオロ−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノンを得て、それを次に、3−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物を無色の油状物として得た。MS:439.2(MH)。
【0255】
実施例40
(3,5−ジフルオロ−3’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0256】
【化70】

【0257】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジフルオロ−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(実施例39)を、3−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物を無色の油状物として得た。MS:455.5(MH)。
【0258】
実施例41
(3,5−ジフルオロ−4’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0259】
【化71】

【0260】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2,6−ジフルオロ−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(実施例39)を、4−トリフルオロメトキシ−フェニルボロン酸と反応させて、標記化合物を明黄色の無定形の固体として得た。MS:455.5(MH)。
【0261】
実施例42
(4,6−ジメチル−5’−トリフルオロメチル−[2,3’]ビピリジニル−5−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0262】
【化72】

【0263】
実施例1に関して、中間体5Bに関して及び中間体1に関して記載された手順と同様にして、標記化合物を下記の反応シーケンスにより調製した:i)6−クロロ−2,4−ジメチル−ニコチン酸エチルエステル[Zhou, Y.; Bridger, G. J.; Skerlj, R. T.; Bogucki, D.; Yang, W.; Bourque, E.; Langille, J.; Li, T.-S.; Metz, M. U.S. Pat. Appl. Publ. (2005), US 2005277668 A1]を、3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−5−トリフルオロメチル−ピリジン(中間体6)と反応させて、4,6−ジメチル−5’−トリフルオロメチル−[2,3’]ビピリジニル−5−カルボン酸エチルエステルを得た;ii)4,6−ジメチル−5’−トリフルオロメチル−[2,3’]ビピリジニル−5−カルボン酸エチルエステルをけん化して、4,6−ジメチル−5’−トリフルオロメチル−[2,3’]ビピリジニル−5−カルボン酸を得た。;iii)4,6−ジメチル−5’−トリフルオロメチル−[2,3’]ビピリジニル−5−カルボン酸を、その酸塩化物に変換し、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させて、標記化合物を無色の無定形の固体として得た。MS:433.3(MH)。
【0264】
実施例43
(4,6−ジメチル−5’−トリフルオロメチル−[2,3’]ビピリジニル−5−イル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0265】
【化73】

【0266】
中間体1に関して及び中間体4Bに関して記載の手順と同様にして、4,6−ジメチル−5’−トリフルオロメチル−[2,3’]ビピリジニル−5−カルボン酸(実施例42)を、その酸塩化物に変換して、安息香酸(S)−1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−イルメチルエステル(中間体3)と反応させて、安息香酸(S)−1−[1−(4,6−ジメチル−5’−トリフルオロメチル−[2,3’]ビピリジニル−5−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−ピロリジン−2−イルメチルエステルを得て、その後、けん化して、標記化合物を無色の無定形の固体として得た。MS:463.2(MH)。
【0267】
実施例44
(3−メトキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0268】
【化74】

【0269】
中間体1に関して記載の手順と同様にして、3−メトキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸(中間体10)を、その酸塩化物に変換し、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させて、標記化合物を無色の無定形の固体として得た。MS:447.1(MH)。
【0270】
実施例45
(3−ヒドロキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0271】
【化75】

【0272】
CHCl 15ml中の(3−メトキシ−5−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(実施例44)0.51g(1.1mmol)の溶液に、三臭化ホウ素溶液(CHCl中1.0モル)0.39ml=0.57g(2.3mmol)を0℃で一滴ずつ加え、反応混合物を室温に温めた。4時間後、それを砕氷に注ぎ、炭酸水素ナトリウム溶液で中和し、CHClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜4:1)により精製して、標記化合物0.18g(36%)を無色の無定形の固体として得た。MS:433.2(MH)。
【0273】
実施例46
(3−クロロ−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0274】
【化76】

【0275】
実施例1に記載の手順と同様にして、(4−ブロモ−2−クロロ−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(中間体2の調整に関する記載の手順と同様にして、4−ブロモ−2−クロロ−安息香酸及び4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンから調製した)を、DMF中の3−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸、リン酸カリウム溶液及びテトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウムと、温度を80℃の代わりに室温に保ちながら反応させて、標記化合物を明褐色の油状物として得た。MS:437.2(MH,1Cl)。
【0276】
実施例47
(5−メチル−3−ピリミジン−5−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0277】
【化77】

【0278】
塩化オキサリル(11.7mmol)1.0ml中の、5−メチル−3−ピリミジン−5−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸(中間体11)0.05g(0.1mmol)を、室温で撹拌しながらDMF一滴で処理した;30分後、過剰量の塩化オキサリルを、高真空下、室温で蒸発により除去した。残留物をCHCl 2.0mlに溶解し、0℃に冷却した;次に、EtN 0.08ml=0.056g(0.6mmol)を撹拌しながら加え、続いて、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン0.022g(0.1mmol)を加えた。その後、反応混合物を室温に温めた。2時間後、それを砕氷に注ぎ、CHClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 1:0〜4:1)により精製して、標記化合物0.049g(71%)を黄色の固体として得た。MS:495.3(MH)。
【0279】
実施例48
(5−メチル−3−ピリジン−3−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0280】
【化78】

【0281】
実施例1に、中間体11Eに及び実施例47に記載された手順と同様にして、標記化合物を下記の反応シーケンスにより調製した:i)5−メチル−3−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル(中間体11C)を、DMF中のピリジン−3−イル−ボロン酸と、リン酸カリウム溶液及びテトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウムの存在下、80℃で反応させて、5−メチル−3−ピリジン−3−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステルを得た;ii)5−メチル−3−ピリジン−3−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステルを、けん化して、5−メチル−3−ピリジン−3−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸を得た;iii)5−メチル−3−ピリジン−3−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−カルボン酸を、その酸塩化物に変換し、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させて、標記化合物をオフホワイトの無定形の固体として得た。MS:494.3(MH)。
【0282】
実施例49
(3−メトキシ−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0283】
【化79】

【0284】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2−メトキシ−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(中間体2の調製に関して記載された手順と同様にして、4−ブロモ−2−メトキシ安息香酸及び4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンから調製した)を、DMF中の3−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸、リン酸カリウム溶液及びテトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウムと80℃で反応させて、標記化合物を無色の油状物として得た。MS:433.2(MH)。
【0285】
実施例50
[2−メトキシ−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0286】
【化80】

【0287】
中間体1に関して記載された手順と同様にして、2−メトキシ−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸(中間体12)を、その酸塩化物に変換し、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させて、標記化合物を黄色の無定形の固体として得た。MS:448.1(MH)。
【0288】
実施例51
[2−ヒドロキシ−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン;4−メチル−3−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−カルボニル)−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1H−ピリジン−2−オン(互変異性体)
【0289】
【化81】

【0290】
CHCl 180ml中の[2−メトキシ−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(実施例50)5.25g(11.7mmol)の溶液を、0℃に冷却し、三臭化ホウ素溶液(CHCl中1モル)23.5ml(23.5mmol)を一滴ずつ加えた。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を、NaHCO(水中で飽和させた)冷溶液に一滴ずつ加え、次に、MeClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 98:2〜4:1)により精製して、標記化合物4.96g(98%)を明黄色の固体として得た。MS:434.3(MH)。
【0291】
実施例52
[2−(2−ベンジルオキシ−エトキシ)−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0292】
【化82】

【0293】
中間体1に関して記載された手順と同様にして、2−(2−ベンジルオキシ−エトキシ)−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸(中間体13)を、その酸塩化物に変換し、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンと反応させて、標記化合物を明黄色の油状物として得た。MS:468.4(MH)。
【0294】
実施例53
[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0295】
【化83】

【0296】
MeOH 10ml中の[2−(2−ベンジルオキシ−エトキシ)−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(実施例52)0.22g(0.4mmol)の溶液を、Pd−C(10%)0.04g(0.04mmol)及びHCl/MeOH(1モル)0.5mlで処理した。Hの吸着が停止するまで、反応混合物を室温及び大気圧で水素化した(1時間)。Dicaliteを用いて濾過した後、濾液を砕氷に注ぎ、炭酸ナトリウム溶液を用いてpHを8〜9に調整し、反応混合物をCHClで2回抽出した;有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー[CHCl(NHで飽和)/MeOH 98:2〜4:1]により精製して、標記化合物0.16g(86%)を無色の油状物として得た。MS:478.2(MH)。
【0297】
実施例54
(3−メタンスルホニル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
【0298】
【化84】

【0299】
実施例1に関して記載された手順と同様にして、(4−ブロモ−2−メタンスルホニル−フェニル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(中間体2の調製に関して記載された手順と同様にして、4−ブロモ−2−メタンスルホニル−安息香酸及び4−ピロリジン−1−イル−ピペリジンから調製した)を、DMF中の3−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸、リン酸カリウム溶液及びテトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウムと80℃で反応させて、標記化合物を明黄色の油状物として得た。MS:481.2(MH)。
【0300】
実施例A
下記の成分を含有するフィルムコーティング錠を常法により製造することができる:
【0301】
【表2】

【0302】
活性成分を篩にかけ、微晶質セルロースと混合し、そして混合物をポリビニルピロリドンの水溶液と共に造粒する。顆粒をデンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムと混合し、圧縮して、それぞれ120又は350mgの核を得る。上記のフィルムコートの水性溶液/懸濁液を核に塗布する。
【0303】
実施例B
下記の成分を含有するカプセル剤を、常法により製造することができる:
【0304】
【表3】

【0305】
成分を篩にかけ、混合し、そしてサイズ2のカプセルに充填する。
【0306】
実施例C
注射液は下記の組成を有することができる:
【0307】
【表4】

【0308】
活性成分を、ポリエチレングリコール400と注射用水(一部)の混合物に溶解する。酢酸を加えることによりpHを5.0に調整する。水の残量を加えて、容量を1.0mlに調整する。溶液を濾過し、適切な過剰量を使用してバイアルに充填し、滅菌する。
【0309】
実施例D
下記の成分を含有する軟ゼラチンカプセル剤を常法により製造することができる:
【0310】
【表5】

【0311】
活性成分を、他の成分の加温溶融物に溶解し、そして混合物を適切な大きさの軟ゼラチンカプセルに充填する。充填された軟ゼラチンカプセル剤を、通常の手順に従って処理する。
【0312】
実施例E
下記の成分を含有するサッシェを常法により製造することができる:
【0313】
【表6】

【0314】
活性成分を、乳糖、微晶質セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムと混合し、そして水中のポリビニルピロリドンの混合物と共に造粒する。顆粒をステアリン酸マグネシウム及び調味添加剤と混合し、そしてサッシェに充填する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化85】


[式中、
は、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C1−6アルキルスルファニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル、C3−7シクロアルキル又はC3−7シクロアルキルC1−6アルキルであり;
は、水素、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、トリメチルシラニルC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、トリメチルシラニルC2−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、場合により置換されているC3−7シクロアルキル、場合により置換されているC3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロシクリル又は場合により置換されているフェニルメトキシC1−6アルコキシであり(ただし、場合により置換されているフェニルは、置換基としてニトロを持たない);
は、環炭素原子に結合しているとき、独立に水素、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているC3−7シクロアルキル、場合により置換されているC3−7シクロアルキルC1−6アルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロシクリル、場合により置換されているフェニル−C1−6アルキル、場合により置換されているヘテロアリール−C1−6アルキル、場合により置換されているヘテロシクリル−C1−6アルキル、ニトロ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−若しくはジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル若しくはC1−6アルキルスルホニル、又はアミノ(場合により、C1−6アルキル、ヘテロアルキル、場合により置換されているC3−7シクロアルキル及び場合により置換されているヘテロシクリルよりなる群から独立に選択される、1個又は2個の置換基により置換されている)であり;
環窒素原子に結合しているとき、独立に水素、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、場合により置換されているC3−7シクロアルキル若しくは場合により置換されているC3−7シクロアルキルC1−6アルキル、場合により置換されているヘテロシクリル、又は場合により置換されているヘテロシクリルC1−6アルキルであり;
mは、0、1、2、3又は4であり;
下記式:
【化86】


で示される基は、4〜8個の環原子の非芳香族単環ラジカルであるヘテロシクリル(ここで、1個又は2個の環原子は、窒素原子であり、残りの環原子は炭素原子である)であり;
、X及びXのうち1つは、C−Rであり、他は、独立にN又はC−Rであり;
は、フェニル又は6個の環原子の芳香族単環ラジカルであるヘテロアリール(ここで、1個又は2個の環原子は、窒素原子であり、残りの環原子は炭素原子である)であり、そして該フェニル及び該ヘテロアリールは、C1−8アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ハロゲン及びシアノよりなる群から独立に選択される、1個、2個又は3個の置換基により置換されており;
は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル又はハロゲンである(ただし、
下記式:
【化87】


で示される基は、カルボニル基又はヘテロ原子に直接結合していない、少なくとも1個の窒素原子を含有し;そして下記式:
【化88】


で示される基は、ヘテロ原子に直接結合している、窒素原子を含有せず;そして
ただし、下記式:
【化89】


で示される基は、2−(場合により置換されているピロリジン−1−イルC1−6アルキル)−ピロリジン−1−イルではない)]
で示される化合物、又はそのプロドラッグ若しくは薬学的に許容しうる塩
(ここで、特に断りない限り、
「ヘテロシクリル」という用語は、4〜7個の環原子[ここで、1〜3個の環原子は、N、O及びS(O)(ここで、nは、0〜2の整数である)から独立に選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子はCである]の非芳香族単環ラジカルを意味し;
「ヘテロアリール」という用語は、N、O、及びSから独立に選択される1〜3個の環ヘテロ原子を有しており、残りの環原子がCである、5個又は6個の環原子の芳香族単環ラジカルを意味し;
「場合により置換されているC3−7シクロアルキル」という用語は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル及びアシルアミノよりなる群から独立に選択される、1〜3個の置換基によって場合により置換されているC3−7シクロアルキルを意味し;
「場合により置換されているフェニル」という用語は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル及びアシルアミノよりなる群から独立に選択される、1〜3個の置換基によって場合により置換されているフェニルを意味し;
「場合により置換されているヘテロシクリル」という用語は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル及びアシルアミノよりなる群から独立に選択される、1〜3個の置換基によって場合により置換されているヘテロシクリルを意味し;
「場合により置換されているヘテロアリール」という用語は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル及びアシルアミノよりなる群から独立に選択される、1〜3個の置換基によって場合により置換されているヘテロアリールを意味し;
「ヘテロアルキル」という用語は、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルコキシ、ホルミル、アシル、カルボキシル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル、カルバモイル、アミノ及びモノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノよりなる群から独立に選択される、1個以上の置換基により置換されたC1−6アルキルを意味し;
「ヘテロアルコキシ」という用語は、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルコキシ、ホルミル、アシル、カルボキシル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル、カルバモイル、アミノ及びモノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノよりなる群から独立に選択される、1個以上の置換基により置換されたC1−6アルコキシを意味し;
「アシル」という用語は、R−C(O)−(ここで、Rは、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C3−7シクロアルキル又はC3−7シクロアルキルC1−6アルキルである)を意味し;
「場合により置換されているピロリジン−1−イル」という用語は、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヘテロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC3−6アルケニル、ヒドロキシC3−6アルキニル、C1−6アルコキシC3−6アルケニル、C1−6アルコキシC3−6アルキニル、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルコキシ、ヘテロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−6アルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノ、カルボキシ、ホルミル、アシル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ−又はジ−C1−6アルキル置換アミノカルボニル、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル及びアシルアミノよりなる群から独立に選択される、1〜3個の置換基によって場合により置換されているピロリジン−1−イルを意味する)。
【請求項2】
下記式:
【化90】


で示される基が、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル又は[1,4]ジアゼパン−1−イルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
下記式:
【化91】


で示される基が、ピペリジン−1−イルである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
mが、1である、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
が、場合により置換されているヘテロシクリル又はヘテロアルキルである、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
が、ヒドロキシC1−6アルキル、場合により置換されているピロリジン−1−イル又は場合により置換されているピペリジン−1−イルである、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
が、ピペリジン−1−イル又はピロリジン−1−イルであって、該ピペリジン−1−イル及びピロリジン−1−イルは、場合によりヒドロキシルC1−6アルキル又はヒドロキシにより置換されている、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
が、ピロリジン−1−イル、2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル又は4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルである、請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
下記式:
【化92】


で示される基が、4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル、4−(2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル又は4−ヒドロキシ[1,4’]ビピペリジニル−1’−イルである、請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物。
【請求項10】
が、ハロゲン又はC1−6アルキルであり、そしてRが、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−6アルキル、場合により置換されているヘテロアリール、ヘテロアルコキシ又はシクロプロピルである、請求項1〜9のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
が、フッ素又はメチルであり、そしてRが、水素、ヒドロキシ、フッ素、メチル、ピリミジニル、ピリジニル、ヒドロキシエトキシ又はシクロプロピルである、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
が、C1−6アルキルであり、そしてRが、水素、C1−6アルキル又はシクロプロピルである、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項13】
が、メチルであり、そしてRが、メチル又はシクロプロピルである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
が、C−Rであり、そしてX及びXが、C−Rである、請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物。
【請求項15】
が、C−Rであり、そしてX及びXが、C−Rである(ここで、Rは、ハロC1−6アルキル又はハロC1−6アルコキシにより置換されているフェニルであり、そしてRは、水素である)、請求項1〜14のいずれか一項記載の化合物。
【請求項16】
が、C−Rであり、そしてX及びXの両方は、N又はC−Rである、請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物。
【請求項17】
が、C−Rであり、そしてX及びXの両方が、N又はC−Rである(ここで、Rは、フェニル又はピリジルであって、該フェニル及びピリジルは、ハロC1−6アルキル又はハロC1−6アルコキシにより置換されており、そしてRは、水素である)、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項18】
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン、
[2,6−ジメチル−4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−フェニル]−[4−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン、
[4−シクロプロピル−6−メチル−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリミジン−5−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(3,5−ジメチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ヒドロキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−メタノン、
[2,4−ジメチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(3,5−ジフルオロ−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(5−メチル−3−ピリミジン−5−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
(5−メチル−3−ピリジン−3−イル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[2−ヒドロキシ−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノン;4−メチル−3−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−カルボニル)−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1H−ピリジン−2−オン、又は
[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−4−メチル−6−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピリジン−3−イル]−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−メタノンである、
請求項1記載の化合物。
【請求項19】
式(I):
【化93】


で示される化合物の製造方法であって、式(II):
【化94】


で示される化合物を、式(III):
【化95】


[式中、下記式:
【化96】


で示される基、m、R、R,R、X、X及びXは、請求項1と同義である]で示される化合物と反応させる工程を含む、方法。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか記載の化合物及び薬学的に許容しうる賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項21】
治療上活性な物質として使用するための、請求項1〜18のいずれか記載の化合物。
【請求項22】
CCR−2受容体アンタゴニスト、CCR−3受容体アンタゴニスト又はCCR−5受容体アンタゴニストによって処置可能な疾患の治療及び/又は予防用の治療上活性な物質として使用するための、請求項1〜18のいずれか記載の化合物。
【請求項23】
CCR−2受容体アンタゴニスト、CCR−3受容体アンタゴニスト又はCCR−5受容体アンタゴニストによって処置可能な疾患の治療及び/又は予防用の医薬の製造ための、請求項1〜18のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項24】
疾患が、末梢動脈閉塞性疾患、重症肢虚血、脆弱なアテローム硬化性プラーク患者、不安定狭心症、鬱血性心不全、左心室肥大、虚血再灌流障害、卒中、心筋症、再狭窄、慢性関節リウマチ、糖尿病性腎症、過敏性腸疾患、クローン病、多発性硬化症、神経因性疼痛、アテローム血栓症及び/又は火傷/糖尿病性潰瘍/CLI、又は喘息である、請求項23記載の使用。
【請求項25】
特に新規な化合物、中間体、医薬、使用及び方法に関連する、前記記載の発明。

【公表番号】特表2010−540584(P2010−540584A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527401(P2010−527401)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062599
【国際公開番号】WO2009/043747
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】