説明

CRF−1受容体アンタゴニストとしてのピラゾロ[5,1b]オキサゾール誘導体

副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体アンタゴニストとして有用な4−ジフルオロメトキシフェニルピラゾロ[5.1−b]オキサゾール誘導体が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、4−ジフルオロメトキシフェニルピラゾロ[5.1−b]オキサゾール誘導体、その製造、医薬としてのそれらの使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。より具体的に、本発明は、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体アンタゴニストとしてのそれらの使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
発明の要約
本発明の第一の局面において、我々は遊離形または薬学的に許容される塩としての、式I;
【化1】

〔式中、
およびRは、同一でも異なってもよく、各々水素、アルキルC1−6またはハロアルキルC1−6であり;
はジフルオロメトキシフェニルであり、ここで、フェニルが場合により1個以上のアルキルC1−6、アルコキシC1−6、ハロ、ハロアルキルC1−6、チオアルキルC1−6、−NR、−CN、ハロアルコキシC1−6、アリールまたは−Hetで置換されていてよいか、または2個の隣接する炭素は−O(CH)O(CH)−で置換されており;
Hetは5員もしくは6員ヘテロアリールまたは4員、5員もしくは6員ヘテロ環であり;
はアルキレンC2−10、ヒドロキシアルキルC1−10であり、各々、場合によりアリールで置換されていてよく、または−OR、−(CH)NR、−COR10、5員もしくは6員ヘテロアリールまたは5員もしくは6員ヘテロ環であり、5員もしくは6員ヘテロアリールまたは5員もしくは6員ヘテロ環は、場合によりアルキルC1−10、ハロアルキルC1−10、ヒドロキシアルキルC1−10、アルコキシ(C1−3)アルキル(C1−3)、ハロ、−CO19、−CONR2021、アリールまたは5員もしくは6員ヘテロ環またはヘテロアリールからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてよく;
およびRは、同一でも異なってもよく、各々水素またはアルキルC1−6であるか、または、RおよびRはそれらが結合している窒素と一体となって、場合により置換されていてよい飽和または不飽和環基を形成し;
はアルキルC1−10、場合によりアリールに縮合していてよいシクロアルキルC3−10、アルキル(C1−6)−シクロアルキル(C3−6)−、ヒドロキシアルキルC1−10、ヒドロキシアルキル(C1−6)−(ハロアルキルC1−6)、アルキル(C1−6)−オキシ−アルキル(C1−6)、−(CH)COOR22または5員もしくは6員ヘテロ環であり;各々、場合により1個以上のアルキルC1−10、アルコキシC1−10、ヒドロキシアルキルC1−10、アリールまたは5員もしくは6員ヘテロアリールで置換されていてよく、アリールまたは5員もしくは6員ヘテロアリールは場合によりアルキルC1−10で置換されていてよく;
およびRは、同一でも異なってもよく、各々水素、アルキルC1−10、ハロアルキルC1−10、アルキル(C1−6)−オキシ−アルキル(C1−6)、−COOR11、−COR12またはアリールアルキルC1−6であるか、またはそれらが結合している窒素と一体となって、RおよびRは場合により1個以上のアルキルC1−6で置換されていてよい5員もしくは6員ヘテロ環を形成し;
mは整数0または1であり;
qは1〜6の整数であり;
xおよびyは、同一でも異なってもよく、各々1〜6の整数であり;
10は水素、アルキルC1−6、−NR1314、ヒドロキシまたはアルコキシC1−6であり;
12はアルキルC1−10、アリールまたは5員もしくは6員不飽和ヘテロ環であり;
13およびR14は、同一でも異なってもよく、各々アルキルC1−10、シクロアルキルC3−10、シクロアルキル(C3−6)アルキル(C1−6)−、アルコキシC1−10、ハロアルキルC1−10、アリール、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員ヘテロ環またはヘテロアリールであり;その各々は、場合によりアリールまたはヘテロアリールでよく、またはR13およびR14は、それらが結合している窒素と一体となって、場合によりフェニル基と縮合してよい1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員ヘテロ環を形成し、該ヘテロ環および場合により縮合していてよいフェニル基は、場合により1個以上のアルコキシC1−10で置換されていてよく;
22は水素またはアルキルC1−6であり;
11はアルキルC1−6またはアリールであり;
19は水素またはアルキルC1−10であり;
20およびR21は、同一でも異なってもよく、各々アルキルC1−10である。〕
の化合物、およびその異性体を提供する。
【0003】
本明細書を解釈する目的で、次の定義を適用し、適切であるならば、単数表現で使用されている用語はまた複数も含み、逆もそうである。
【0004】
ここで使用する用語“アルキル”は、完全に飽和された、分枝または非分枝炭化水素基、すなわち第1級、第2級または第3級アルキルであるか、適切であるならば、シクロアルキルまたはシクロアルキルで置換されたアルキルを意味し、それらはまた飽和または不飽和アルキル基であり得る。特にことわらない限り、好ましくはアルキルは1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜16個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜7個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を含む。アルキルの代表例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどを含むが、これらに限定されない。
【0005】
ここで使用する用語“ハロアルキル”は、ここで定義する1個以上のハロ基で置換されている、ここに定義するアルキルを意味する。好ましくはハロアルキルはモノハロアルキル、ジハロアルキルまたはペルハロアルキルを含むポリハロアルキルであり得る。モノハロアルキルは、アルキル基上に1個のヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロを有し得る。ジハロアルキルおよびポリハロアルキル基は、アルキル上に2個以上の同じハロ原子または異なるハロ基の組合せを有し得る。好ましくは、ポリハロアルキルは最大12個、または10個、または8個、または6個、または4個、または3個、または2個のハロ基を含む。ハロアルキルの非限定例はフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルを含む。ペルハロアルキルは、全水素原子がハロ原子で置き換えられたアルキルを意味する。
【0006】
ここで使用する用語“アルコキシ”はアルキル−O−(ここで、アルキルは上に定義した通りである)を意味する。アルコキシの代表例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ−、シクロヘキシルオキシ−などを含むが、これらに限定されない。好ましくは、アルコキシ基は約1〜7個、より好ましくは約1〜4個の炭素を有する。
【0007】
ここで使用する用語“ヘテロ環”または“ヘテロシクロ”は、場合により置換されていてよい、飽和または不飽和非芳香環または環系を意味し、例えば、それは、4員、5員、6員、または7員単環式、7員、8員、9員、10員、11員、または12員二環式または10員、11員、12員、13員、14員または15員三環式環系であり、少なくとも1個のO、SおよびNから選択されるヘテロ原子を含み、ここで、NおよびSはまた場合により種々の酸化状態に酸化されていてもよい。ヘテロ環基はヘテロ原子または炭素原子で結合できる。ヘテロシクリルは、縮合もしくは架橋環ならびにスピロ環を含み得る。ヘテロ環の例は、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリンなどを含む。
【0008】
用語“置換ヘテロ環”は、さらに、次のものから成る群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されているヘテロ環基を含む:
(a)アルキル;
(b)ヒドロキシ(または保護されたヒドロキシ);
(c)ハロ;
(d)ハロアルキル;
(e)オキソ、すなわち、=O;
(f)アミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ;
(g)アルコキシ;
(h)シクロアルキル;
(i)カルボキシル;
(j)ヘテロシクロオキシ(ここで、ヘテロシクロオキシは、酸素架橋を介して結合しているヘテロ環基を意味する);
(k)アルキル−O−C(O)−;
(l)メルカプト;
(m)ニトロ;
(n)シアノ;
(o)スルファモイルまたはスルホンアミド;
(p)アリール;
(q)アルキル−C(O)−O−;
(r)アリール−C(O)−O−;
(s)アリール−S−;
(t)アリールオキシ;
(u)アルキル−S−;
(v)ホルミル、すなわち、HC(O)−;
(w)カルバモイル;
(y)アリール−アルキル−;および
(z)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル−C(O)−NH−、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはハロゲンで置換されているアリール。
【0009】
ここで使用する用語“アリール”は、定義する通り置換されていなくても置換されていてもよい、6〜14個の環炭素原子を含む芳香族性炭素環式環系を意味する。
【0010】
ここで使用する用語“アリールオキシ”は−O−アリールおよび−O−ヘテロアリール基の両方を意味し、ここで、アリールおよびヘテロアリールはここに定義されている。
【0011】
ここで使用する用語“ヘテロアリール”は、1〜8個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を有する5〜14員単環式または二環式または多環式芳香環系を意味する。好ましくは、ヘテロアリールは5〜10または5〜7員環系である。典型的ヘテロアリール基は2−または3−チエニル、2−または3−フリル、2−または3−ピロリル、2−、4−、または5−イミダゾリル、3−、4−、または5−ピラゾリル、2−、4−、または5−チアゾリル、3−、4−、または5−イソチアゾリル、2−、4−、または5−オキサゾリル、3−、4−、または5−イソオキサゾリル、3−または5−1,2,4−トリアゾリル、4−または5−1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、2−、3−、または4−ピリジル、3−または4−ピリダジニル、3−、4−、または5−ピラジニル、2−ピラジニル、2−、4−、または5−ピリミジニルを含む。
【0012】
用語“ヘテロアリール”はまた、ヘテロ芳香環が1個以上のアリール、シクロ脂肪族、またはヘテロシクリル環に縮合し、ヘテロ芳香環に結合基または結合点がある基も意味する。非限定的例は、1−、2−、3−、5−、6−、7−、または8−インドーリジニル、1−、3−、4−、5−、6−、または7−イソインドリル、2−、3−、4−、5−、6−、または7−インドリル、2−、3−、4−、5−、6−、または7−インダゾリル、2−、4−、5−、6−、7−、または8−プリニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、または9−キノリジニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−、または8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−、または8−イソキノリニル、1−、4−、5−、6−、7−、または8−フタラジニル、2−、3−、4−、5−、または6−ナフチリジニル、2−、3−、5−、6−、7−、または8−キナゾリニル、3−、4−、5−、6−、7−、または8−シンノリニル、2−、4−、6−、または7−プテリジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、または8−4aHカルバゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、または8−カルバゾリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、または9−カルボリニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−、または10−フェナントリジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、または9−アクリジニル、1−、2−、4−、5−、6−、7−、8−、または9−ペリミジニル、2−、3−、4−、5−、6−、8−、9−、または10−フェナントロリニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、または9−フェナジニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−、または10−フェノチアジニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−、または10−フェノキサジニル、2−、3−、4−、5−、6−、または1−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、または10−ベンズイソキノリニル、2−、3−、4−、またはチエノ[2,3−b]フラニル、2−、3−、5−、6−、7−、8−、9−、10−、または11−7H−ピラジノ[2,3−c]カルバゾリル、2−、3−、5−、6−、または7−2H−フロ[3,2−b]−ピラニル、2−、3−、4−、5−、7−、または8−5H−ピリド[2,3−d]−o−オキサジニル、1−、3−、または5−1H−ピラゾロ[4,3−d]−オキサゾリル、2−、4−、または54H−イミダゾ[4,5−d]チアゾリル、3−、5−、または8−ピラジノ[2,3−d]ピリダジニル、2−、3−、5−、または6−イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、1−、3−、6−、7−、8−、または9−フロ[3,4−c]シンノリニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、8−、9−、10、または11−4H−ピリド[2,3−c]カルバゾリル、2−、3−、6−、または7−イミダゾ[1,2−b][1,2,4]トリアジニル、7−ベンゾ[b]チエニル、2−、4−、5−、6−、または7−ベンゾオキサゾリル、2−、4−、5−、6−、または7−ベンゾイミダゾリル、2−、4−、4−、5−、6−、または7−ベンゾチアゾリル、1−、2−、4−、5−、6−、7−、8−、または9−ベンズオキサピニル、2−、4−、5−、6−、7−、または8−ベンゾオキサジニル、1−、2−、3−、5−、6−、7−、8−、9−、10−、または11−1H−ピロロ[1,2−b][2]ベンズアザピニルを含むが、これらに限定されない。典型的縮合ヘテロアリール基は、2−、3−、4−、5−、6−、7−、または8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−、または8−イソキノリニル、2−、3−、4−、5−、6−、または7−インドリル、2−、3−、4−、5−、6−、または7−ベンゾ[b]チエニル、2−、4−、5−、6−、または7−ベンゾオキサゾリル、2−、4−、5−、6−、または7−ベンゾイミダゾリル、2−、4−、5−、6−、または7−ベンゾチアゾリルを含むが、これらに限定されない。
【0013】
ヘテロアリール基は単環、二環、三環、または多環、好ましくは単環、二環、または三環、より好ましくは単環または二環であり得る。
ここで使用する用語“ハロゲン”または“ハロ”はフルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
【0014】
ハロアルキルはモノ−およびポリ−ハロゲン化アルキル、例えばモノ−、ジ−またはトリ−置換アルキルを含む。1個を超えるハロ原子が存在するとき、それらは同一でも異なってもよい。
【0015】
およびRは各々好ましくはメチルである。
は好ましくは4−ジフルオロメトキシフェニルであり、ここで、フェニルは上に記載した通り置換されている。Rはより好ましくは4−ジフルオロメトキシ−2−メチルフェニル:
【化2】

である。
【0016】
は好ましくはアルキル(C1−6)−オキシ−アルキル(C1−6)、ヘテロアリール、−(CH)NRまたは−COR10である。それ故、Rは好ましくはアミド、例えば−CON−アミドまたは−NCO−アミド、エーテルまたはヘテロアリールである。Rがヘテロアリールであるとき、それはピラゾール、イミダゾールまたはトリアゾールであってよく、その各々は上に記載した通り場合により置換されていてよい。本発明の一つの局面において、Rは場合により置換されていてよいピラゾールである。本発明の他の局面において、Rは場合により置換されていてよいトリアゾールである。Rは最も好ましくは3,5−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル:
【化3】

である。
【0017】
およびRが一体となって場合により置換されていてよい飽和または不飽和環基を形成するとき、それは5員もしくは6員環であり得る。RおよびRが一体となって場合により置換されていてよい飽和環基を形成するとき、該環基はピペリジン、モルホリン、ピペラジンまたはアゼチジンであり得る。
【0018】
特記し得る特定の式Iの化合物は、遊離形または薬学的に許容される塩としての:
3−(4−(ジフルオロメトキシ)−2−メチルフェニル)−7−(3,5−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−2,6−ジメチルピラゾロ[5,1−b]オキサゾール;
およびその異性体を含む。
【0019】
本発明のさらなる局面は、式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩が有益な薬理学的活性を有し、それ故に医薬として有用であるとの事実に関する。
【0020】
従って、本発明のさらなる面によって、我々は、医薬としての上に記載した式Iの化合物を提供する。より具体的に、我々は、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体アンタゴニストとしての上に記載した式Iの化合物を提供する。
【0021】
本発明のさらなる面によって、我々は、医薬の製造における上に記載した式Iの化合物の使用を提供する。より具体的に、我々は、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体アンタゴニストとしての医薬の製造における、上に記載した使用を提供する。
【0022】
さらに、本発明により、式Iの化合物、またはその塩がCRF受容体アンタゴニストとして行動することが判明した。
【0023】
本発明の薬剤のCRF−1またはCRF−2a受容体活性は、インビトロで次の方法で決定されている:
ヒト組み換えCRF−1またはCRF−2a受容体のいずれかを発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Chen et al., Proc Natl Acad Sci USA 90, 8967-8971, 1993; Liaw et al., Endocrinology 137, 72-77, 1996)を、10%ウシ胎児血清、非必須アミノ酸類、100U/ml ペニシリン、100mg/l ストレプトマイシンおよび1g/l ジェネティシン(G418)添加ダルベッコ改変イーグル培地で増殖させる。サイクリックAMP測定のために、均一時間分解蛍光(HTRF)cAMPダイナミック2キット(Cishbio International, France)を製造者の指示に従い使用した。凍結保存しておいたCHO細胞を融解し、7分間、1200rpmで遠心分離し、無血清培地に再懸濁し、透明底黒色組織培養処置384ウェルマイクロタイタープレート(Corning Inc, US)に、2,000細胞/ウェルとなるようにピペットで添加した。DMSO中に調製し、アッセイ緩衝液(1×ハンクス平衡塩類溶液、0.2%(w/v)ウシ血清アルブミン、1.7mM イソブチルメチルキサンチンおよび10mM Hepes、pH7.4)で50倍希釈した本発明の化合物を、細胞含有プレートに添加し、そこでさらに2倍希釈され、15分間インキュベートする。インキュベーション後、最終濃度の5倍濃度のアゴニストを含む緩衝液をプレートに添加し、30分間インキュベートする。最後に、溶解緩衝液中に調製したd2色素標識cAMPおよびクリプテート標識抗cAMP抗体をプレートに添加し、1時間沈降させた。沈降時間中、細胞により産生されたcAMPが抗cAMPクリプテートについて、d2標識cAMPと競合する。プレートをPherastar(BMG, Germany)で読む。細胞により産生された内因性cAMPのレベル増加を蛍光シグナルの減少により追跡でき、その逆もそうである。任意の蛍光単位の変化により定まる値を、キットに含まれる各試薬の標準曲線を使用してcAMP濃度に変換する。アンタゴニスト用量反応曲線(1nM−30μM)を1nM CRFの存在下に構築した。アンタゴニストのIC50値を、CRFの阻害効果をアンタゴニストの濃度上昇に適用させることにより計算する。この適用を、Activitybaseソフトウェアパッケージv 5.4.5.27(IDBS, UK)の非線形ロジスティック関数を使用して行う。
【0024】
本試験において、本発明の薬剤は、CRFに対するIC50値約1nM〜30μM、好ましくは1nM〜10μMで、CRFアンタゴニスト活性を示す。
【0025】
本発明の化合物は、CRF(副腎皮質刺激ホルモン放出因子)の内因性レベルが増加している、またはHPA(視床下部・下垂体系)が脱制御されているあらゆる状態の処置に、またはCRFにより誘発されるまたは促進される種々の疾患の処置に有用である。
【0026】
本発明の化合物は、特に下痢を伴うもしくは伴わない過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、術後イレウス、逆流性疾患および感染性下痢を含む消化器障害の処置に有用である。
【0027】
本発明の化合物はまた、特に双極性鬱病、単極性鬱病、精神症状的特徴、緊張性特徴、憂鬱性特徴、非定型特徴または産後発症を伴うまたは伴わない単発または再発性大鬱性エピソードを含む大鬱性障害の処置または予防に、不安の処置におよびパニック障害の処置に有用である。用語“大鬱性障害”に包含される他の気分障害は、早期または後期発症のおよび非定型特徴を伴うまたは伴わない疲労症候群および気分変調性障害、神経症性鬱病、外傷後ストレス障害、術後ストレスおよび社会恐怖症;早期または後期発症の、抑鬱気分を伴うアルツハイマー型認知症;抑鬱気分を伴う血管性認知症;アルコール、アンフェタミン類、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静剤、睡眠剤、抗不安剤および他の物質により誘発される気分障害;抑鬱型の統合失調感情性障害;および抑鬱気分を伴う適応障害を含む。大鬱性障害はまた心筋梗塞、糖尿病、流産または中絶などを含むが、これらに限定されない一般的医学的状態にも起因し得る。
【0028】
本発明の化合物は、妄想型統合失調症、破瓜型統合失調症、緊張型統合失調症、鑑別不能型統合失調症、残遺型統合失調症を含む統合失調性障害の処置または予防にも有用である。
【0029】
本発明の化合物はまた神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー型の老人性認知症、および多発脳梗塞性認知症の処置または予防にも有用である。
【0030】
本発明の化合物は鎮痛剤として有用である。特にそれらは外傷性疼痛、例えば術後疼痛;外傷性裂離性疼痛、例えば腕神経叢疼痛;慢性疼痛、例えば骨関節炎、関節リウマチまたは乾癬性関節炎で起こるような、例えば関節炎疼痛;神経障害性疼痛、例えばヘルペス後神経痛、三叉神経痛、分節型または肋間神経痛、線維筋痛症、灼熱痛、末梢ニューロパシー、糖尿病性ニューロパシー、化学療法誘発ニューロパシー、AIDS関連ニューロパシー、後頭部神経痛、膝状節神経痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、幻肢痛;多様な形態の頭痛、例えば偏頭痛、急性または慢性緊張型頭痛、側頭下顎疼痛、上顎洞疼痛、群発頭痛;歯痛;癌疼痛;内臓起源の疼痛;消化器疼痛;神経絞扼疼痛;スポーツ傷害疼痛;月経困難症(dysmennorrhoea);月経性疼痛;髄膜炎;クモ膜炎;筋骨格疼痛;背下部疼痛、例えば脊髄狭窄;椎間板ヘルニア(prolapsed disc);坐骨神経痛;アンギナ;強直性脊椎炎;痛風;熱傷;瘢痕疼痛;掻痒;および視床疼痛、例えば卒中後視床疼痛の処置に有用である。
【0031】
本発明の化合物はまた食欲の障害および摂食障害および摂食障害の処置および神経性食欲不振症、過食症、肥満およびメタボリック症候群のような状況においても有用である。
【0032】
本発明の化合物はまた睡眠異常、不眠症、睡眠時無呼吸、ナルコレプシー、および日内リズム障害を含む睡眠障害の処置にも有用である。
【0033】
本発明の化合物はまた認知障害の処置にも有用である。認知障害は、認知症、健忘性障害および他に特定されない認知障害を含む。
【0034】
さらに、本発明の化合物はまた認知および/または記憶欠損がない健常者における記憶および/または認知賦活剤としても有用である。
【0035】
本発明の化合物はまた多くの物質に対する耐容性および依存性の処置にも有用である。例えば、それらはニコチン、アルコール、カフェイン、フェンシクリジン(フェンシクリジン様化合物)に対する依存性の処置に、またはオピエート(例えば大麻、ヘロイン、モルヒネ)またはベンゾジアゼピンに対する耐性および依存性の処置に;コカイン、催眠鎮静剤、アンフェタミンまたはアンフェタミン関連薬物(例えばデキストロアンフェタミン、メチルアンフェタミン)耽溺またはそれらの組合せの処置に有用である。
【0036】
本発明の化合物はまた抗炎症剤として有用である。特にそれらは特に喘息、インフルエンザ、慢性気管支炎およびリウマチ性関節炎における炎症の処置に;胃腸管の炎症性疾患、例えばクローン病、潰瘍性大腸炎、術後胃イレウス(POI)、炎症性腸疾患(IBD)および非ステロイド性抗炎症剤誘発損傷;皮膚の炎症性疾患、例えばヘルペスおよび湿疹;膀胱の炎症性疾患、例えば膀胱炎および切迫性尿失禁;および眼および歯の炎症の処置に有用である。
【0037】
本発明の化合物はまた不妊、性機能不全および早産および非炎症性泌尿生殖器障害、例えば過活動膀胱および関連尿失禁の処置にも有用である。
【0038】
本発明の化合物はまたアレルギー性障害、特に皮膚のアレルギー性障害、例えば蕁麻疹、および気道のアレルギー性障害、例えば鼻炎の処置にも有用である。
【0039】
本発明の化合物はまた肥満細胞活性化障害、例えば肥満細胞症の処置にも有用である。
本発明の化合物はまた薬物、例えばステロイドまたは癌、例えば下垂体腺腫により誘発されるクッシング症候群の処置にも有用である。
【0040】
本発明の化合物は嘔吐、すなわち悪心、むかつきおよび嘔吐症状の処置にも有用である。嘔吐は、急性嘔吐、遅延型嘔吐および予期嘔吐を含む。本発明の化合物は、いかにして誘発されたものであっても、嘔吐の処置に有用である。例えば、嘔吐は薬物、例えば癌化学療法剤、例えばアルキル化剤、例えばシクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチンおよびクロラムブシル;細胞毒性抗生物質、例えばダクチノマイシン、ドキソルビシン、マイトマイシンCおよびブレオマイシン;代謝拮抗剤、例えばシタラビン、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル;ビンカアルカロイド、例えばエトポシド、ビンブラスチンおよびビンクリスチン;およびその他、例えばシスプラチン、ダカルバジン、プロカルバジンおよびヒドロキシウレア;およびそれらの組合せ;放射線宿酔;放射線療法、例えば、癌の処置におけるような、例えば、胸部または腹部の照射;毒物;毒素、例えば代謝性障害が原因の感染による、例えば胃炎による、細菌またはウイルス消化器感染中に有利される毒素;妊娠;前庭障害、例えば動揺病、回転性めまい、めまいおよびメニエール病;術後不調;消化器閉塞;消化器運動性低下;内臓痛、例えば心筋梗塞または腹膜炎;偏頭痛;頭蓋内圧上昇;頭蓋内圧低下(例えば高山病);オピオイド鎮痛剤、例えばモルヒネ;および胃食道逆流性疾患、酸消化障害、食べ過ぎまたは飲み過ぎ、胃酸過多(acid stomach)、胸やけ(sour stomach)、逆流、胸やけ、例えば一過性(episodic)胸やけ、夜間胸やけ、および食事誘発胸やけおよび消化不良により誘発され得る。
【0041】
本発明の化合物は、消化器障害、例えば過敏性腸症候群;皮膚障害、例えば乾癬、掻痒症(pruritus)および日焼け;血管攣縮性疾患、例えばアンギナ、血管性頭痛およびレイノー病;脳虚血、例えばくも膜下出血後の脳血管攣縮;線維化およびコラーゲン疾患、例えば強皮症および好酸球性肝蛭症;免疫亢進または抑制に関連する障害、例えば全身性エリテマトーデスおよびリウマチ性疾患、例えば結合織炎;および咳の処置に特に有用である。
【0042】
本発明の化合物は、脳卒中、血栓塞栓性卒中、出血性卒中、脳虚血、脳血管攣縮、低血糖、低酸素症、無酸素、周産期心肺停止、心停止後の神経毒性傷害の処置に有用である。
【0043】
上に示した疾患における本発明の薬剤の有用性は、広範な標準試験により確認される。(1)本発明の薬剤の抗不安活性は、マウス高架+迷路において確認できる[例えば高架+迷路の関連性が486頁に記載されているRodgers R. J., Behavioural Pharmacology 8: 477-496 (1997)参照;方法については、Rodgers R. J. et al. Ethology and Psychopharmacology (Eds SJ Cooper and CA Hendrie), pp 9-44 (1994), J. Wiley, Chichester参照]。(2)本発明の薬剤の鎮痛剤活性は、結腸直腸拡張後のラット内臓痛覚過敏モデルにおいて確認できる[例えばSchwetz I, Am J Physiology 286: G683-G691 (2004)参照;方法については、Ness T. J., Brain Research 450: 153-169 (1988)参照]。(3)本発明の薬剤の抗下痢活性は、ストレスまたはCRF攻撃中のラット排便モデルにおいて確認できる[例えばMaillot C., Gastroenterology 119: 1569-1579 (2002)参照]。
【0044】
これらの試験において、本発明の薬剤は0.1〜30mg/kgの経口投与後に抗不安様、内臓鎮痛および抗下痢作用を示す。
【0045】
上記適応症について、適当な投与量は当然、例えば、用いる化合物、宿主、投与方式および処置する状態の性質および重症度により変わる。しかしながら、一般に、動物における満足のいく結果が、約0.1〜約100mg/kg、好ましくは約1〜約30mg/kg 動物体重の投与量で得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおいて、示される1日投与量は約1〜約500mg、好ましくは約1〜約100mgの本発明の薬剤の範囲であり、好都合には、例えば、1日3回までの分割量でまたは持続性放出形態で投与する。
【0046】
本発明の薬剤は任意の慣用の経路で、特に経腸的に、好ましくは経口的に、例えば錠剤またはカプセル剤の形で、または非経腸的に、例えば注射用溶液または懸濁液の形で投与してよい。
【0047】
前記によって、本発明はまた、例えばCRFにより誘発または亢進される疾患、例えば上に記載のものを処置するための、医薬として使用するための本発明の薬剤も提供する。
【0048】
従って、本発明のさらなる面によって、我々は、CRFの内因性レベル上昇を伴う、またはHPA(視床下部・下垂体系)が脱制御されているあらゆる状態の、またはCRFにより誘発または亢進される種々の疾患の処置または軽減処置のための、式Iの化合物、またはその塩を提供する。
【0049】
本発明の薬剤は、インビボで単独でまたは他の薬剤、例えばCRFの内因性レベル増加が役割を有するまたは関係しているとされる疾患および状態の処置に有効な薬剤と組み合わせて投与できる。適当な組合せは、本発明の化合物とドーパミンD2受容体アンタゴニスト、セロトニン5−HT4受容体アゴニスト、セロトニン5−HT3受容体アゴニスト、セロトニン5−HT3受容体アンタゴニスト、CCK1受容体アンタゴニスト、モチリン受容体アゴニスト、μ−オピオイド受容体アンタゴニスト、オピオイド受容体アゴニストおよびオピエート、他のCRF−1受容体アンタゴニスト、グルタミン酸受容体アンタゴニスト、ニューロキニン受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH4受容体アンタゴニスト、プロトンポンプ阻害剤、クロライドチャネルアクティベーター、グアニル酸シクラーゼ−cアクティベーター、ムスカリン受容体アンタゴニスト、鎮痙剤、刺激性下剤、浸透圧下剤、糞軟下剤、吸収剤および繊維サプリメント、制酸剤、GI弛緩剤、ビスマス化合物、バニロイド受容体アンタゴニスト、抗痙攣剤、NSAIDS、COX−2阻害剤、GABAb受容体モジュレーター、CB受容体リガンド、カルシウムチャネルブロッカー、ナトリウムチャネルブロッカー、三環系抗鬱剤、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤、ベンゾジアゼピン、アルファ−2受容体アゴニストおよびグレリン受容体アゴニストから成る群から選択される1種以上の化合物から成る。
【0050】
より具体的に、本発明の化合物は、ドーパミンD2受容体アンタゴニスト、例えば、クロルプロマジン、プロクロルペラジン、ハロペリドール、アリザプリド、ドンペリドン、メトクロプラミドおよびイトプリド;セロトニン5−HT4受容体アゴニスト、例えば、シサプリド、シニタプリド、モサプリド、レンザプリド、プルカロプリド、テガセロド、ベルセトラグ、ATI−7505およびWO2005068461、US2005228014、WO2005080389、US2006100426、US2006100236、US2006135764、US2005277671、WO2005092882、WO2005073222、JP2005104896、JP2005082508、WO2005021539、JP2004277319、JP2004277318、WO2004026869、EP1362857、WO2006108127、US20060183901、WO2006127815、US20060276482、WO2007005951、WO2007010390、WO2007005951、WO2007048643、WO2007096352、WO2007068739およびWO20070117796に開示されている化合物;セロトニン5−HT3受容体アゴニスト、例えば、プモセトラグ(pumesotrag)およびWO2007004041に開示されている化合物;セロトニン5−HT3受容体アンタゴニスト、例えば、アロセトロン、シランセトロン(cilansetron)、ラモセトロン、アザセトロン、オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、DDP225およびWO2006183769、WO2006105117およびWO2007004041に開示されている化合物;CCK1受容体アンタゴニスト、例えば、JNJ−17156516、デバゼピド、ロキシグルミドおよびデクスロキシグルミド;モチリン受容体アゴニスト、例えば、モチリン、アチルモチン、エリスロマイシン、アレムシナル、ミテムシナル、KOS−2187、1−[4−(3−フルオロ−フェニルアミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−[4−((S)−3−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル]−エタノンおよびWO2005060693、WO2006127252、WO2007007018、WO2007012479およびWO2008000729に記載の化合物;m−オピオイド受容体アンタゴニスト、例えば、ナロキソン、アルビモパン、メチルナルトレキソンおよびUS20050203123、US2006063792、WO2007050802、US2007103187、WO2009029252、WO2009029256、WO2009029257およびWO2009029253に開示されている化合物;
【0051】
オピオイド受容体アゴニストおよびオピエート、例えば、モルヒネ、ブプレノルフィン、ジアモルヒネ、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ペチジン、アシマドリン、ロペラミドおよびコデイン;CRF−1受容体アンタゴニスト、例えば、GSK876008、ペキサセルフォントおよびWO2004069257、WO9940089、US6844351、WO2005013997、WO2005014557、WO2005023806、WO2005026126、WO2005028480、WO005044793、WO2005051954、WO2005051954、WO2005115399、WO2005028480、WO2005023806、WO2006044958、WO2006044821およびUS20060211710に開示されている化合物;グルタミン酸受容体アンタゴニスト、例えば、AZD9272、AZD2066、AFQ056、ADX−48621およびWO9902497、WO2000020001、WO200304758およびWO2005030723、WO2005077345、US2006009443、EP1716152、WO2005080397、US2006019997、WO2005066155、WO2005082884、WO2005044266、WO2005077373、EP1713791、EP1720860、WO2005080379、EP1716130、US2006235024、WO2005080363WO2006114264、WO2006114260、WO2006089700、WO2006114262、WO2006123257、US2005272779、WO2006048771、WO2006123249、US2006009477、WO2006014185、EP1723144、US2006025414、US2006004021、US2006160857、WO2006074884、WO2006129199、WO2006123244、WO2006123255、WO2007040982、WO2007023290、WO2007023242、WO2007050050、WO2007039781、WO2007039782およびWO2007023245に開示されている化合物;ニューロキニン受容体アンタゴニスト、例えば、タルネタント(taletant)、オサネタント、カソピタント、ネパズタント(nepadutrent)、サレズタント、DNK−333、SLV−317、SLV321、SLV317およびEP96−810237、WO2006137790、WO2006137791、WO2006094934、WO2007037742およびWO2007037743に開示されている化合物;ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト、例えば、ファモチジン、シメチジン、ラニチジンおよびニザチジン;ヒスタミンH4受容体アンタゴニスト、例えば、JNJ7777120、JNJ10191584およびUS2006111416、WO2006050965、WO2005092066、WO2005054239、US2005070550、US2005070527、EP1505064、WO2007090852、WO2007090853、WO2007090854、US20070232616、US20070238771、WO2007117399、WO2007031529およびWO2007072163に記載されている化合物;
【0052】
プロトンポンプ阻害剤、例えば、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、テナトプラゾール(tentoprazole)、パントプラゾール、エソメプラゾール、レバプラザン、ソラプラザンおよびAGN201904;クロライドチャネルアクティベーター、例えば、ルビプロストン;グアニル酸シクラーゼ−2cアクティベーター、例えば、リナクロチド、グアニリブ(guanilib)、グアニリン、ウログアニリンおよびWO2005087797、WO2005016244、WO2007022531、WO2007101158、WO2007101161およびUS7041786に記載されている化合物;ムスカリン受容体アンタゴニスト、例えば、ダリフェナシン、ソリフェナシン、アトロピン、ジシクロベリン、ハイコシン(hycosine)ブチルブロマイド、プロパンテリン、オキシブチニン(oxybutinin)、臭化シメトロピウムおよび臭化ピナベリウム;鎮痙剤、例えば、メベベリン、臭化オクチロニウム、トリメブチン、チロプラミド、アルベリンおよびペパーミント油;刺激性下剤、例えば、ビサコジル;浸透圧下剤、例えば、活性炭とソルビトール、ラクツロース、水酸化マグネシウムおよびリン酸緩衝化食塩水;糞軟下剤、例えば、センナ濃縮物、液体パラフィンおよび落花生油;吸収剤および繊維サプリメント;膨張性物質下剤(bulk fibre laxatives)、例えば糠、メチルセルロース、イスパキュラハスクおよびステルキュリア;制酸剤、例えば、アルミニウム、マグネシウムおよびカルシウム制酸剤、シメチコン(simeticone)およびアルギネート含有製剤;GI弛緩剤、例えば、コレスチラミン樹脂;ビスマス化合物、例えば、次サリチル酸ビスマス;バニロイド受容体アンタゴニスト、例えば、SB−705498、ABT−102、AZD1386、GRC−6211、MK−2295およびWO2002076946、WO2004033435、WO2005121116、WO2005120510、WO2006006740、WO2006006741、WO2006010445、WO2006016218、US2006058308、WO2006033620、WO2006038871、US2006084640、US2006089360、WO2006058338、WO2006063178、US2006128689、WO2006062981、WO2006065646、WO2006068618、WO2006068592、WO2006068593、WO2006076646、US2006160872、WO200608082、US2006183745、WO2006095263、WO2006102645、WO2006100520、US2006241296、WO2006122200、WO2006120481、WO2006122250、DE102005044814、WO2006122772、WO2006122777、WO2006124753、WO2006122799、WO2006122770、WO2006122769、WO2006136245、WO2007030761、US20070088072、US20070088073、US20070105920、WO2007042906、WO2007045462、WO2007050732に開示されている化合物;
【0053】
抗痙攣剤、例えば、カルバマゼピン(carbemazepine)、オキシカルバマゼピン(oxcarbemazepine)、ラモトリジン、ギャバペンチンおよびプレガバリン;NSAIDS、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン(acetometaphen)、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ピロキシカム、ケトプロフェン、スリンダクおよびジフルニサル;COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ルミラコキシブ、バルデコキシブ、エトリコキシブおよびWO2004048314に記載されている化合物;GABAb受容体モジュレーター、例えば、ラセミ体および(R)−バクロフェン、AZD3355、XP19986およびWO2006001750およびWO2004000856に記載されている化合物;CB受容体リガンド、例えば、ドロナビノール、ナビロン、カンナビジオール、リモナバンおよびWO2002042248およびWO2003066603に記載されている化合物;カルシウムチャネルブロッカー、例えば、ジコノチド、AGI0−003、PD−217014およびWO2006038594、WO2006030211およびWO2005068448に記載されている化合物;ナトリウムチャネルブロッカー、例えば、ラモトリジンおよびWO2006023757、WO2005097136、JP2005206590およびWO2005047270に記載されている化合物;三環系抗鬱剤、例えば、クロミプラミン、アモキサピン、ノルトリプチリン(nortripyline)、アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、トリミプラミンおよびプロトリプチリン(protripyline);セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤、例えば、ミルナシプラン、デスベンラフェキシン、シブトラミン、デュロキセチン、フルオキセチン、パロキセチン、シタロプラム、セルトラリンおよびフルボキサミン;ベンゾジアゼピン、例えば、レボトフィソパム、ジアゼパム、ロラゼパム、クロナゼパムおよびアルプラゾラム;アルファ−2受容体アゴニスト、例えば、クロニジン、チザニジンおよびグアンファシン;グレリン受容体アゴニスト、例えば、グレリン、イブタモレン、カプロモレリン、タビモレリン、イパモレリン、2−メチルアラニル−N−[1(R)−ホルムアミド−2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−D−トリプトファンアミド、TZP−101、TZP−102、LY−444711、EX−1314およびUS6525203、US20050154043、WO2005097788、WO2006036932、WO2006135860、US20060079562、WO2006010629、WO2006009674、WO2006009645、US20070021331、WO2007020013、US20070037857、WO2007014258、WO2007113202、WO2007118852、US20080194672、US20080051383およびUS20080051383に開示されている化合物;
【0054】
コルチコステロイド、例えば、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デキサメサゾン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、プレドニゾロン、6−メチルプレドニゾロン、ブデソニド、フロ酸モメタゾン、シクレソニド、プロピオン酸フルチカゾンおよびフロ酸フルチカゾン;アミノサリチレート、例えば、メサラジン、イプサラジド、オルサラジンおよびバルサラジド;免疫調節剤、例えば、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、シクロスポリンおよびタクロリムス;PDE4阻害剤、例えば、テトミラスト、シロミラスト、ロフルミラストおよびアロフィリン;抗生物質、例えば、メトロニダゾール、オルニダゾールおよびシプロフロキサシン;抗接着分子剤、例えば、ナタリズマブおよびMLN02;抗IL−2剤、例えば、ダクリズマブおよびバシリキシマブ(basilixumab);抗CD−3剤、例えば、ビジリズマブ;および抗TNF剤、例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、フォントリズマブおよびセルトリズマブペゴール;アゴメラチン、アザピロン系、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アニラセタム、アセチル−L−カルニチン、アリピプラゾール、アセトフェナジン、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、ブスピロン、ブプロピオン、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸(chlorazepate)、クロナゼパム、クロルプロマジン、クロザピン、CX614、CX516、クロルプロチキセン、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、デモキセパム、ジアゼパム、ドロペリドール、デュロキセチン、ドネゼピル、ドキセピン、デシプラミン、フルラゼパム、フルフェナジン、フルオキセチン、フルペンチキソール、ギャバペンチン、メラトニン、銀杏由来化合物、ガランタミン、ハロペリドール、ヒデルギン(メシル酸エルゴロイド)、ヒューペルジン、イソカルボキサジド、イミプラミン、ロラゼパム、ロキサピン、メプロバメート、メダゼパム、モクロベミド、モリンドン、マプロチリン、モダフィニル、メマンチン、メチルフェニデート(methylphenicate)、メソリダジン、メトトリメプラジン、ノルトリプチリン、ナプロキセン、オキサゼパム、オキシラセタム、オランザピン、プラゼパム、パロキセチン、フェネルジン、ピポチアジン、ペルフェナジン、プロマジン、ピモジド、PDE4阻害剤、クアゼパム、クエチアピン、レボキセチン、リバスチグミン、プロクロルペラジン、リスペリドン、セルトラリン、セルチンドール、テマゼパム、トリアゾラム、トラニルシプロミン、トモキセチン、チオチキセン(thiotixene)、トリフロペラジン、チオリダジン、ゾルピデムおよびジプラシドンから成る群から選択される化合物を含む精神病薬から成る群から選択される1種以上の化合物と組合せて投与してよい。
【0055】
特に記載し得る好ましい化合物群は、遊離形または薬学的に許容される塩としての式II;
【化4】

〔式中、
、RおよびRは上で定義した通りであり;
IIはアルキルC1−6、アルコキシC1−6、ハロ、ハロアルキルC1−6、チオアルキルC1−6、−NR、−CN、ハロアルコキシC1−6、アリールまたは−Hetであるかまたは2個の隣接する炭素は−O(CH)O(CH)−で置換されており;
Hetは5員もしくは6員ヘテロアリールまたは4員、5員もしくは6員ヘテロ環であり;
、R、xおよびyは上で定義した通りである。〕
の化合物およびその異性体である。
【0056】
特に記載し得る別の好ましい化合物群は、遊離形または薬学的に許容される塩としての式III;
【化5】

〔式中、
、RおよびRは上で定義した通りである。〕
の化合物およびその異性体である。
【0057】
特に記載し得る別の好ましい化合物群は、遊離形または薬学的に許容される塩としての式IV;
【化6】

〔式中、R、RおよびRは上で定義した通りである。〕
の化合物およびその異性体である。
【0058】
特に記載し得る別の好ましい化合物群は、遊離形または薬学的に許容される塩としての式V;
【化7】

〔式中、
およびRは上で定義した通りである。〕
の化合物およびその異性体である。
【0059】
別の好ましい化合物群は、遊離形または薬学的に許容される塩としての式I;
【化8】

〔式中、
は、場合によりアルキルC1−10、ハロアルキルC1−10、ヒドロキシアルキルC1−10、アルコキシ(C1−3)アルキル(C1−3)、−CO19、−CONR2021、または5員もしくは6員ヘテロ環またはヘテロアリールから成る群から選択される1個以上の置換基で置換されていてよい5員もしくは6員ヘテロアリールであり;
、R、R、R19、R20およびR21は各々上に定義した通りである。〕
の化合物およびその異性体である。
【0060】
本発明のこの局面によって、好ましい化合物群は、遊離形または薬学的に許容される塩としての式VI;
【化9】

〔式中、
、RおよびR3は上で定義した通りであり;
VIaおよびRVIbは、同一でも異なってもよく、各々水素またはアルキルC1−6である。〕
の化合物およびその異性体である。
【0061】
酸付加塩類を既知方法で遊離塩基から製造でき、そして逆も可能である。
本発明の化合物は遊離形、その塩、またはそのプロドラッグ誘導体として得られる。
【0062】
ここで使用する用語“薬学的に許容される塩”は、本発明の化合物の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない、塩類を意味する。多くの場合、本発明の化合物は、アミノおよび/またはカルボキシル基またはそれに類する基の存在により、酸および/または塩基と塩類を形成できる。薬学的に許容される酸付加塩類は、無機酸類および有機酸類と形成でき、例えば、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、ビカーボネート/カーボネート、ビスルフェート/スルフェート、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、ヒドロクロライド/クロライド、ヒドロブロマイド/ブロマイド、ヒドロアイオダイド/アイオダイド、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシレート、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ホスフェート/ハイドロジェン:ホスフェート/ジハイドロジェン:ホスフェート、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩類である。塩類を形成できる無機酸類は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。塩類を形成できる有機酸類は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。薬学的に許容される塩基付加塩類は無機および有機塩基類と形成できる。塩類を形成できる無機塩基類は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどを含む;特に好ましいのはアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウムおよびマグネシウム塩である。塩類を形成できる有機塩基類は、例えば、第1級、第2級、および第3級アミン類、天然に存在する置換アミン類を含む置換アミン類、環状アミン類、塩基性イオン交換樹脂など、特に、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンを含む。本発明の薬学的に許容される塩類は、親化合物から、塩基性または酸性基から、慣用の化学法により合成できる。一般に、かかる塩類は、遊離酸形態のこれらの化合物と化学量論量の適当な塩基(例えばNa、Ca、Mg、またはKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)を反応させることにより、または遊離塩基形態のこれらの化合物と化学量論量の適当な酸を反応させることにより製造できる。かかる反応は、典型的に水中でまたは有機溶媒中で、またはこれら2種の混合物中で行う。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が、実際的であるとき、好ましい。さらに適当な塩類の一覧は、例えば、“Remington's Pharmaceutical Sciences”, 20th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., (1985);および“Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use” by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002)に見ることができる。
【0063】
プロドラッグは、投与後に治療活性化合物に変換される化合物である。例えば、変換は、エステル基またはいくつかの他の生物学的に不安定な基の加水分解により起こり得る。プロドラッグ製剤は当分野で周知である。例えばRichard B. Silverman, Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 2d Ed., Elsevier Academic Press: Amsterdam, 2004, pp. 496-557の一章である“Prodrugs and Drug Delivery Systems”は、この主題のさらなる詳細を提供する。
【0064】
ここで使用する用語“異性体”は、同じ分子式を有するが、原子の配列および配置が異なる、別の化合物を意味する。またここで使用する用語“光学異性体”または“立体異性体”は、ある本発明の化合物で存在し得、幾何異性体を含む多様な立体異性配置のいずれかを意味する。置換基がキラル中心の炭素原子に結合し得ることは当然である。従って、本発明は、本化合物のエナンチオマー、ジアステレオマーまたはラセミ体を含む。“エナンチオマー”は、互いに重なり合わない鏡像である一対の立体異性体である。一対のエナンチオマーの1:1混合物は“ラセミ”混合物である。本用語は、適切であるならばラセミ混合物を指定するために使用する。“ジアステレオ異性体”は、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。絶対的立体化学は、カーン・インゴールド・プレローグR−Sシステムにしたがい特定する。化合物が純粋エナンチオマーであるとき、各キラル炭素での立体化学はRまたはSにより特定され得る。絶対配置が未知である分割された化合物は、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性または左旋性)により(+)または(−)に指定できる。ここに記載する化合物のいくつかは、1個以上の不斉中心を有し、それ故に、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学の点で、(R)−または(S)−と定義し得る他の立体異性形態を生じ得る。本発明は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態および中間的な混合物を含む、全てのかかる可能な異性体を含むことを意図する。光学活性(R)−および(S)−異性体は、キラルシントンまたはキラル反応材を使用して、または慣用法による分割により製造できる。化合物が二重結合を含むとき、置換基はEまたはZ配置であり得る。化合物が二置換シクロアルキルを含むとき、シクロアルキル置換基はcis−またはtrans−配置を有し得る。全ての互変異性体形態も包含することが意図される。
【0065】
光学的に純粋な形態の式Iの化合物は、適切であるならば、対応するラセミ体から、周知の方法、例えば、キラルマトリクスを有するHPLCにしたがい得ることができる。あるいは、光学的に純粋な出発物質を使用できる。
【0066】
立体異性混合物、例えば、ジアステレオマーの混合物を、その対応する異性体に、それ自体既知の方法により、適当な分割法の手段により分割できる。ジアステレオマー混合物は、例えば、その個々のジアステレオマーに、分別結晶、クロマトグラフィー、溶媒分配および類似の方法で分割し得る。この分割は、出発化合物のレベルでまたは式Iの化合物自体で行い得る。エナンチオマーは、例えば、エナンチオマー純粋キラル酸との塩形成によるジアステレオマー塩類の形成を介して、またはキラルリガンドを伴うクロマトグラフ基材を使用するクロマトグラフィー、例えば、HPLCにより分割し得る。
【0067】
ここで使用する用語“異性体”は、同じ分子式を有するが、原子の配列および配置が異なる、別の化合物を意味する。またここで使用する用語“光学異性体”または“立体異性体”は、ある本発明の化合物で存在し得、幾何異性体を含む多様な立体異性配置のいずれかを意味する。置換基がキラル中心の炭素原子に結合し得ることは当然である。従って、本発明は、本化合物のエナンチオマー、ジアステレオマーまたはラセミ体を含む。“エナンチオマー”は、互いに重なり合わない鏡像である一対の立体異性体である。一対のエナンチオマーの1:1混合物は“ラセミ”混合物である。本用語は、適切であるならばラセミ混合物を指定するために使用する。“ジアステレオ異性体”は、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。絶対的立体化学は、カーン・インゴールド・プレローグR−Sシステムにしたがい特定する。化合物が純粋エナンチオマーであるとき、各キラル炭素での立体化学はRまたはSにより特定され得る。絶対配置が未知である分割された化合物は、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性または左旋性)により(+)または(−)に指定できる。ここに記載する化合物のいくつかは、1個以上の不斉中心を有し、それ故に、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学の点で、(R)−または(S)−と定義し得る他の立体異性形態を生じ得る。本発明は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態および中間的な混合物を含む、全てのかかる可能な異性体を含むことを意図する。光学活性(R)−および(S)−異性体は、キラルシントンまたはキラル反応材を使用して、または慣用法による分割により製造できる。化合物が二重結合を含むとき、置換基はEまたはZ配置であり得る。化合物が二置換シクロアルキルを含むとき、シクロアルキル置換基はcis−またはtrans−配置を有し得る。全ての互変異性体形態も包含することが意図される。
【0068】
本発明の化合物の任意の不斉原子(例えば、炭素など)は、ラセミ体またはエナンチオマー的に富化された、例えば(R)−、(S)−または(R,S)−配置で存在し得る。ある態様において、各不斉原子は(R)−または(S)−配置で少なくとも50%エナンチオマー過剰、少なくとも60%エナンチオマー過剰、少なくとも70%エナンチオマー過剰、少なくとも80%エナンチオマー過剰、少なくとも90%エナンチオマー過剰、少なくとも95%エナンチオマー過剰、または少なくとも99%エナンチオマー過剰を有する。不飽和結合を有する原子での置換基は、可能であれば、cis−(Z)−またはtrans−(E)−形態で存在する。
【0069】
従って、ここで使用する本発明の化合物は、可能な異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体またはその混合物の一つの形態、例えば、実質的に純粋な幾何(cisまたはtrans)異性体、ジアステレオマー、光学異性体(アンチポード)、ラセミ体またはその混合物の形態であり得る。
【0070】
得られる何らかの異性体混合物は、その構成要素の物理化学的差異に基づき、純粋なまたは実質的に純粋な幾何または光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体に、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶により分割できる。
【0071】
最終産物または中間体の得られる何らかのラセミ体は、既知方法により、例えば、光学活性酸または塩基と得たそのジアステレオマー塩類を分割し、光学活性酸性または塩基性化合物を遊離させることにより、光学アンチポードに分割できる。特に、塩基性部分をこのように用いて、例えば、光学活性酸、例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ−O,O’−p−トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸またはカンファー−10−スルホン酸と形成された塩の分別結晶により本発明の化合物をその光学アンチポードに分割し得る。ラセミ体生成物を、キラル吸着剤を使用したキラルクロマトグラフィー、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によっても分割できる。
【0072】
本発明のさらなる面によって、我々は、CRFの内因性レベル上昇を伴う、またはHPA(視床下部・下垂体系)が脱制御されている任意の状態、またはCRFにより誘発または亢進される種々の疾患を処置または軽減する方法であって、哺乳動物に治療有効量の上に記載する式Iの化合物、またはその塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0073】
我々は、さらに、遊離形または薬学的に許容される塩形態の上に記載した式Iの化合物を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物を提供する。
【0074】
医薬組成物は、特定の投与経路、例えば経口投与、非経腸投与、および直腸投与などのために製剤できる。加えて、本発明の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤または坐薬を含む固体形態、または溶液、懸濁液またはエマルジョンを含む液体形態に整形できる。医薬組成物を慣用の薬務、例えば滅菌に付してよくおよび/または慣用の不活性希釈剤、滑剤、または緩衝化剤、ならびにアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤および緩衝剤などを含んでよい。
【0075】
典型的に、医薬組成物は、有効成分を
a) 希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b) 滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまた
c) 結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン;所望により
d) 崩壊剤、例えば、デンプン類、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または起沸性混合物;および/または
e) 吸収剤、着色剤、風味剤および甘味剤
と共に含む錠剤およびゼラチンカプセルである。
【0076】
錠剤は当分野で既知の方法に従い、フィルムコートされていても、腸溶性コートされていてもよい。
【0077】
経口投与用の適当な組成物は、錠剤、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、硬または軟カプセル、またはシロップまたはエリキシルの形で有効量の本発明の化合物を含む。経口使用が意図される組成物は医薬組成物の製造の分野で既知の任意の方法に従い製造し、かかる組成物は、薬学的に洗練され、のみやすい製剤を提供するために甘味剤、風味剤、着色剤および防腐剤から成る群から選択される1種以上の薬剤を含み得る。錠剤は、有効成分を、錠剤の製造に適する非毒性の薬学的に許容される添加物と共に含む。これらの添加物は、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒および崩壊剤、例えば、コーンデンプン、またはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア;および滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。錠剤は、コーティングされていないかまたは胃腸管での消化および吸収を遅延し、それにより長期間にわたる持続作用を提供するための既知方法でコーティングされている。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたは二ステアリン酸グリセリルのような時間遅延物質を用い得る。経口使用用製剤は、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、または有効成分が水または油媒体、例えば、ピーナツ油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提示できる。
【0078】
ある種の注射用組成物は、水性等張溶液または懸濁液であり、坐薬は有利には脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造される。該組成物は滅菌してよくおよび/またはアジュバント、例えば防腐、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩類および/または緩衝剤を含んでよい。加えて、それらはまた他の治療的に価値ある物質も含み得る。該組成物は、それぞれ慣用の混合、造粒またはコーティング法により製造し、約0.1〜75%、または約1〜50%の有効成分を含む。
【0079】
経皮適用のための適当な組成物は、有効量の本発明の化合物と担体を含む。担体は、宿主の皮膚を通過するのを助けるための吸収性の薬理学的に許容される溶媒を含む。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、場合により化合物を宿主皮膚へ制御され、かつ予定された速度で長時間にわたり送達するための速度制御バリア、および該デバイスを皮膚に固定するための手段を含む、バンデージの形態である。
【0080】
例えば、皮膚および眼への局所適用に適当な組成物は、水溶液、懸濁液、軟膏、クリーム、ゲルまたは、例えばエアロゾルなどによる送達のための噴霧可能製剤を含む。かかる局所送達システムは、例えば、皮膚癌の処置のための、例えば、日焼け止めクリーム、ローション、スプレーなどにおける予防的使用のための経皮適用に特に適する。それ故に、それらは特に当分野で既知の、化粧用を含む局所製剤における使用に特に適する。それらは可溶化剤、安定化剤、張性増加剤、緩衝剤および防腐剤を含んでよい。
【0081】
ここで使用する局所適用は、吸入または鼻腔内適用にも関連し得る。それらは、好都合には、乾燥粉末の形で(単独で、混合物として、例えばラクトースとの乾燥混合物で、または、例えばリン脂質との混合成分粒子として)乾燥粉末吸入器から、または適当な噴射剤を含み、または含まずに、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザーまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形で送達される。
【0082】
本発明の医薬組成物または組合せは、約50〜70kgの対象のための約1〜1000mgの有効成分(複数も可)、または約1〜500mgまたは約1〜250mgまたは約1〜150mgまたは約0.5〜100mg、または約1〜50mgの有効成分の単位投与量であり得る。化合物、医薬組成物、またはそれらの組合せの治療有効投与量は対象の種、体重、年齢および個々の状態、処置する障害または疾患またはその重症度による。通常の技術の医師、臨床医または獣医は、障害または疾患の予防、処置または進行の阻止に必要な各有効成分の有効量を容易に決定できる。
【0083】
上記投与量特性は、有利には哺乳動物、例えば、マウス、ラット、イヌ、サルまたは単離臓器、組織およびその調製物を使用してインビトロおよびインビボ試験で証明できる。本発明の化合物は、インビトロで、溶液、例えば、好ましくは水溶液の形で、そしてインビボで、経腸的に、非経腸的に、有利には静脈内に、例えば、懸濁液または水溶液として適用する。インビトロでの投与量は約10−3〜10−9モル濃度の範囲であり得る。インビボでの治療有効量は投与経路により、約0.1〜500mg/kg、または約1〜100mg/kgの範囲であり得る。
本発明の化合物の活性は、次のインビトロおよびインビボ方法で評価できる。
【0084】
ここで使用する用語“薬学的に許容される担体”は、当業者には既知のとおり、任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗細菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩類、防腐剤、薬物、薬物安定化剤、結合剤、添加物、崩壊剤、滑剤、甘味剤、風味剤、色素、そのような物質およびそれらの組合せを含む(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990, pp. 1289- 1329参照)。何らかの慣用の担体が有効成分と不適合ではない限り、治療組成物または医薬組成物におけるその使用が意図される。
【0085】
用語“治療有効量”の本発明の化合物は、対象に生物学的または医学的応答、例えば、酵素またはタンパク質活性の低下または阻害、または症状の改善、状態の軽減、疾患進行減速または遅延、または疾患予防などを惹起させる本発明の化合物の量を意味する。一つの非限定的態様において、用語“治療有効量”は、対象に投与したとき、(1)(i)CRFが仲介する、または(ii)CRF活性が関連する、または(iii)CRFの異常活性により特徴付けられる状態、または障害または疾患を少なくとも一部軽減、阻害、予防および/または改善する;または(2)CRFの活性を低下または阻害する;または(3)CRFの発現を減少または阻害する、本発明の化合物の量を意味する。他の非限定的態様において、用語“治療有効量”は、細胞、または組織、または非細胞性生物学的材料、または培地に投与したとき、CRFの活性を少なくとも一部低下または阻害する;またはCRFの発現を少なくとも一部減少または阻害するのに有効な本発明の化合物の量を意味する。CRFについて上の態様で説明する用語“治療有効量”はまた同じ意味で他の関連タンパク質/ペプチド/酵素にも適用される。
【0086】
ここで使用する用語“対象”は動物を意味する。好ましくは、動物は哺乳動物である。対象はまた例えば、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類なども意味する。好ましい態様において、対象はヒトである。
【0087】
ここで使用する用語“阻害”または“阻害する”は、ある状態、症状、または障害、または疾患の軽減または抑制、または生物学的活性または過程のベースライン活性の顕著な減少を意味する。
【0088】
ここで使用する任意の疾患または障害を“処置”または“処置する”なる用語は、一つの態様において、疾患または障害の改善(すなわち、疾患またはその症状の少なくとも一つの進行の遅延または停止または減少)を意味する。他の態様において、“処置”または“処置する”は、患者が自覚できない可能性のあるものを含む身体パラメータの少なくとも一つの軽減または改善を意味する。さらに他の態様において、“処置”または“処置する”は、疾患または障害を身体的に(例えば、自覚症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体パラメータの安定化)、またはその両方で調節することを意味する。さらに他の態様において、“処置”または“処置する”は、疾患または障害の予防または発病または発症または進行の遅延を意味する。
【0089】
ここで使用する単数表現および本発明の文脈(特に特許請求の範囲において使用する)で使用する類似の表現は、本明細書で特記しない限りまたは明らかに文脈に反しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈すべきである。
【0090】
ここに記載する全ての方法は、本明細書で特記しない限りまたは明らかに文脈に反しない限り適当な順番で行い得る。ここに提供する任意のおよび全ての例、または例示的用語(例えば“のような”)の使用は、単に本発明の説明を良くすることを意図し、他に請求しない限り本発明をその範囲に限定すると解釈してはならない。
【0091】
本発明の化合物は遊離形で、その塩として、またはそのプロドラッグ誘導体として得られる。
塩基性基および酸基の両方が同じ分子内に存在するとき、本発明の化合物は分子内塩、例えば、双性イオン性分子も形成し得る。
【0092】
本発明はまたインビボで本発明の化合物に変換する本発明の化合物のプロドラッグも抵抗する。プロドラッグは、対象へのプロドラッグの投与後、インビボで生理学的作用、例えば加水分解、代謝などを介して、本発明の化合物への化学的に修飾される活性または不活性化合物である。プロドラッグの適性および製造および使用に関与する方法は当業者に既知である。プロドラッグは、概念的に二つの非排他的カテゴリー、バイオプレカーサープロドラッグおよび担体プロドラッグに分けることができる。The Practice of Medicinal Chemistry, Ch. 31-32 (Ed. Wermuth, Academic Press, San Diego, Calif., 2001)参照。一般に、バイオプレカーサープロドラッグは、不活性であるか、対応する活性医薬化合物と比べて低活性であり、1個以上の保護基を含み、代謝または加溶媒分解により活性化合物に変換される化合物である。活性医薬形態および全ての放出された代謝性生成物は許容可能な低毒性を有しなければならない。
【0093】
担体プロドラッグは、例えば、作用部位への取り込みおよび/または局在化を改善する輸送部分を含む医薬化合物である。かかる担体プロドラッグに望ましいのは、医薬部分と輸送部分の間の架橋が共有結合であり、プロドラッグは、不活性であるか、医薬化合物と比べて低活性であり、全ての放出される輸送部分は許容可能に非毒性である。輸送部分が取り込みを促進することが意図されるプロドラッグは、典型的に輸送部分の放出が速くなければならない。他の場合において、遅い放出を提供する部分、例えば、ある種のポリマー類または他の部分、例えばシクロデキストリン類の使用が望ましい。担体プロドラッグは、例えば、次の特性の1つ以上を改善するために使用できる:親油性増加、薬理学的作用時間延長、部位特異性増加、毒性および有害応答減少、および/または医薬製剤の改善(例えば、安定性、水溶解性、望ましくない感覚受容性または生理化学的特性抑制)。例えば、親油性は、(a)親油性カルボン酸類(例えば、少なくとも1個の親油性部分を有するカルボン酸)でのヒドロキシル基の、または(b)親油性アルコール類(例えば、少なくとも1個の親油性部分を有するアルコール、例えば脂肪族アルコール類)でのカルボン酸基のエステル化により増加できる。
【0094】
例示的プロドラッグは、例えば、遊離カルボン酸類のエステル類およびチオール類のS−アシル誘導体およびアルコール類またはフェノール類のO−アシル誘導体であり、ここで、アシルは本明細書に定義した意味を有する。好ましいのは、当分野で慣用的に使用される生理学的条件下に親カルボン酸に加溶媒分解により変換可能な薬学的に許容されるエステル誘導体、例えば、低級アルキルエステル類、シクロアルキルエステル類、低級アルケニルエステル類、ベンジルエステル類、モノ−またはジ−置換低級アルキルエステル類、例えばα−(アミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル)−低級アルキルエステル類、α−(低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニルまたはジ−低級アルキルアミノカルボニル)−低級アルキルエステル類、例えばピバロイルオキシメチルエステルなどである。加えて、アミン類は、インビボでエステラーゼ類により開裂され、薬物およびホルムアルデヒドを放出するアリールカルボニルオキシメチル置換誘導体としてマスクされている(Bundgaard, J. Med. Chem. 2503 (1989))。さらに、酸性NH基、例えばイミダゾール、イミド、インドールなどを有する薬物は、N−アシルオキシメチル基でマスクされている(Bundgaard, Design of Prodrugs, Elsevier (1985))。ヒドロキシ基は、エステル類およびエーテル類でマスクされている。EP039,051(Sloan and Little)は、マンニッヒ塩基ヒドロキサム酸プロドラッグ、その製造および使用を記載する。
【0095】
さらに、本発明の化合物は、その塩類を含み、その水和物の形でも得ることができ、またはそれらの結晶化に使用した他の溶媒を含み得る。
【0096】
本発明は、全ての薬学的に許容される同位体標識した本発明の化合物、すなわち(1)1個以上の原子が、同じ原子番号を有するが、原子質量または質量数が通常天然に見られる原子質量または質量数と異なる原子で置換されている、および/または(2)1個以上の原子の同位体比が天然で起こる比と異なる式Iの化合物を含む。
【0097】
本発明の化合物に導入するのに適当な同位体の例は、水素の同位体、例えばHおよびH、炭素の同位体、例えば11C、13Cおよび14C、塩素の同位体、例えば36Cl、フッ素の同位体、例えば18F、ヨウ素の同位体、例えば123Iおよび125I、窒素の同位体、例えば13Nおよび15N、酸素の同位体、例えば15O、17Oおよび18O、リンの同位体、例えば32P、および硫黄の同位体、例えば35Sを含む。
【0098】
ある種の同位体標識した式Iの化合物、例えば、放射性同位体を含むものは、薬物および/または基質組織分布試験に有用である。放射活性同位体トリチウム、すなわちH、および炭素−14、すなわち14Cは、その取り込みの容易さおよび検出手段の容易さの点から、これらの目的に特に有用である。
【0099】
重い同位体、例えば重水素、すなわちHは、大きな代謝性安定性に起因するある種の治療利益、例えば、インビボ半減期延長または必要投与量減少を提供し得て、故に、ある状況下では好ましいことがある。
【0100】
陽電子放出同位体、例えば11C、18F、15Oおよび13Nは、基質受容体占拠を試験するためのポジトロン放出断層撮影(Positron Emission Topography)(PET)試験に有用であり得る。
【0101】
同位体標識した式Iの化合物は、一般に当業者に既知の慣用の方法を使用して、または添付する実施例および製造に記載した方法に準じて、適当な同位体標識した反応材を先に用いた非標識反応材に代えて使用することにより製造できる。
【0102】
本発明に従う薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化溶媒が同位体置換されていてよい、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOであるものを含む。
【0103】
水素結合のドナーおよび/またはアクセプターとして作用できる基を含む本発明の化合物、すなわち式Iの化合物は、適当な共結晶形成剤と共結晶を形成できる。これらの共結晶は、式Iの化合物から、既知共結晶形成法により製造できる。かかる方法は粉砕、加熱、共昇華、共融解、または溶液中での式Iの化合物と共結晶形成剤の結晶化条件下での接触とそれにより形成された共結晶の単離を含む。適当な共結晶形成剤はWO2004/078163に開示されたものを含む。それ故に、本発明はさらに式Iの化合物を含む共結晶を提供する。
【0104】
本発明による、複数組合せパートナーを別々に投与するための医薬組成物および固定された組合せで投与するための医薬組成物、すなわち、少なくとも2個の組合せパートナーを含む一ガレヌス組成物はそれ自体既知の方法で製造でき、治療有効量の少なくとも1個の薬理学的に活性な組合せパートナーを単独ででまたは、特に経腸または非経腸適用に適する1種以上の薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、ヒトを含む哺乳動物に経腸、例えば経口または直腸投与、および非経腸投与するものである。
【0105】
医薬組成物は、例えば、約0.1%〜約99.9%、好ましくは約20%〜約60%の有効成分を含む。経腸または非経腸投与用の組合せ治療のための医薬製剤は、例えば、単位投与量形態、例えば糖衣錠を含む錠剤、カプセル剤、坐薬およびアンプル剤のものである。これらは、それ自体既知の方法で、例えば、慣用の混合、造粒、糖コーティング、溶解または凍結乾燥過程の手段により製造される。各投与量形態の個々の用量に包含される各組合せパートナーの単位含量は、複数の投与量単位の投与により必要な有効量に到達できるため、それ自体有効量を構成する必要はないことは当然である。
【0106】
本発明は、1個以上の原子が、同じ原子番号を有するが、原子質量または質量数が通常天然に見られる原子質量または質量数と異なる原子で置換されている、全ての薬学的に許容される同位体標識した式Iの化合物を含む。
【0107】
本発明の化合物に導入するのに適当な同位体の例は、水素の同位体、例えばHおよびH、炭素の同位体、例えば11C、13Cおよび14C、塩素の同位体、例えば36Cl、フッ素の同位体、例えば18F、ヨウ素の同位体、例えば123Iおよび125I、窒素の同位体、例えば13Nおよび15N、酸素の同位体、例えば15O、17Oおよび18O、リンの同位体、例えば32P、および硫黄の同位体、例えば35Sを含む。
【0108】
重い同位体、例えば重水素、すなわちHは、大きな代謝性安定性に起因するある種の治療利益、例えば、インビボ半減期延長または必要投与量減少を提供し得て、故に、ある状況下では好ましいことがある。
【0109】
同位体標識した式Iの化合物は、一般に当業者に既知の慣用の方法を使用して、または添付する実施例および製造に記載した方法に準じて、適当な同位体標識した反応材を先に用いた非標識反応材に代えて使用することにより製造できる。
【0110】
本発明のさらなる局面に従い、我々は、次の工程の1個以上を含む、上に記載した式Iの化合物の製造方法を提供する;
A:
(i)式VIa
【化10】

〔式中、R、R、RおよびRは上で定義した通りである。〕
の化合物の縮合;
(ii)式VII;
【化11】

〔式中、R、RおよびRは上で定義した通りである。〕
の化合物と式VIII
NHR1314 VIII
〔式中、R13およびR14は上で定義した通りである。〕
の化合物の反応;
(iii)式IX;
【化12】

〔式中、R、RおよびRは上で定義した通りである。〕
の化合物と式X
OH X
〔式中、Rは上で定義した通りである。〕
の化合物の反応;
(iv)式XI;
【化13】

〔式中、R、RおよびRは上で定義した通りであり;
はアルキルC1〜5である。〕
の化合物の還元;
(v)式XII;
【化14】

〔式中、R、RおよびRは上で定義した通りである。〕
の化合物と式XIIIまたはXIV;
12CHO XIII
17COR18 XIV
〔式中、R12は上で定義した通りであり;
17およびR18は、同一でも異なってもよく、各々アルキルC1−6である。〕
の化合物の反応;または
(vi)式XV;
【化15】

〔式中、R、RおよびRは上で定義した通りである。〕
の化合物と式XVI;
NH XVI
〔式中、RおよびRは上で定義した通りである。〕
の化合物の反応;および
【0111】
B:式IV;
【化16】

〔式中、R、RおよびRは上で定義した通りであり;
2bは、上に記載した通りに場合により置換されていてよいフェノール性基である。〕
の化合物と、2−クロロ−2,2−ジフルオロアセテートの反応。
【0112】
所望により行う任意の付加的反応工程において、反応に参加すべきではない出発化合物の官能基は保護されていない形態で存在しても、例えば、下に記載する保護基の1個以上で保護されていてもよい。保護基は、その後ここに記載する方法の一つに従い、完全にまたは一部除去される。
【0113】
保護基は前駆体に既に存在していてよく、意図する官能基を望まない二次反応から保護しなければならない。それ自体容易に、すなわち望まない二次反応無しに、典型的に加溶媒分解、還元、光分解または、例えば、生理学的条件に準ずる条件下での酵素活性により除去され、最終生成物に存在しないのが保護基の特徴である。当業者は、どの保護基が上におよび下に記載する反応に適するか知っているか、または容易に確立できる。
【0114】
かかる官能基の保護基による保護、保護基それら自体、およびそれらの除去は、例えば、標準参考書、例えばJ.F.W. McOmie, Protective Groups in Organic Chemistry, Plenum Press, London and NY (1973); T.W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, NY (1981); The Peptides; Volume 3, E. Gross and J Meienhofer, Eds., Academic Press, London and NY (1981); Methoden der organischen Chemie (Methods of organic chemistry), Houben Weyl, 4th Edition, Volume 15/1, Georg Thieme Verlag, Stuttgart (1974); H.D. Jakubke and H. Jescheit, Aminosauren, Peptide, Proteine (Amino acids, peptides, proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel (1982); and Jochen Lehmann, Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate (Chemistry of carbohydrates monosaccharides and derivates) Georg Thieme Verlag., Stuttgart (1974)に記載されている。
【0115】
ここに記載する全ての方法工程は既知反応条件下、好ましくは具体的に記載した条件下、溶媒または希釈剤、好ましくは例えば使用する反応材に不活性であり、それらを溶解できるものの非存在下または通常存在下、触媒、縮合剤または中和剤、例えば、イオン交換体、典型的に、例えば、H形態のカチオン交換体の非存在下または存在下、反応のタイプおよび/または反応体によって、低温、常温または高温で、例えば、−100℃〜約190℃、好ましくは約−80℃〜約150℃、例えば、−80℃〜60℃、室温、−20℃〜40℃または使用する溶媒の沸点で、大気圧下または密閉容器中、適切であるならば加圧下および/または不活性雰囲気中、例えば、アルゴンまたは窒素下に行うことができる。
【0116】
本発明はさらに、任意の段階で得られる中間生成物を出発物質として使用して、残りの工程を行うか、または出発物質が本反応条件下にインサイチュで形成されるか、または反応要素をその塩類または光学的に純粋なアンチポードの形で使用する本方法の任意の変法もさらに含む。
【0117】
本発明の化合物の製造に有用な中間体は、同時係属国際特許出願PCT/EP2009/060094に記載されている。
【0118】
式Iの化合物は一般的な反応により製造し得る(下の反応図においてRと記載する基は説明のみを目的し、上に定義したR基と厳密に対応していないことは注意すべきである)。
【0119】
次の実施例に関して、好ましい態様の化合物をここに記載の方法を使用して、または当分野で既知の他の方法を使用して合成する。
【0120】
好ましい態様による有機化合物が互変異性の現象を示し得ることは理解すべきである。本明細書中の化学構造は可能な互変異性体形態の一つしか記載していないが、好ましい態様は、その記載した構造の任意の互変異性体形態を包含することは理解すべきである。
【0121】
本発明は説明のためにここに明示する態様に限定されず、上記記載の範囲内に入るかかるその全ての形態を包含すると解釈すべきである。
【実施例】
【0122】
実験の詳細:
一般法。
H NMR:Bruker UltrashieldTM 400 (400 MHz)分光計またはオープンアクセスBruker AVANCE 400 NMR分光計のいずれかで、ICON-NMRを使用して行う。スペクトルを298Kで測定し、溶媒ピークを使用して参照し、化学シフト(δ値)をppmで記載し、カップリング定数(J)をHzで記載し、スペクトル分裂パターンを一重項(s)、二重項(d)、三重項(t)、四重項(q)、多重項またはより重複したシグナル(m)、幅広シグナル(br)として記載し、溶媒を括弧内に示す。
【0123】
MS:これらはAgilent 1100 HPLC/Micromass Platform Mass分光計組合せまたはWaters Acquity UPLCとSQD Mass分光計またはMS検出器Waters MicromassZQもしくはWaters Micromass Platform LCZシステムを備えたWaters Alliance HT HPLCシステムである。マススペクトルをエレクトロスプレーイオン化を使用してLCMSシステムで行う。[M+H]+はモノアイソトピック分子量を意味する。
【0124】
HPLC:Waters Alliance HPLCシステム、システムA(Ret)についての保持時間を分で記載し、直線勾配5−100%CHCNおよびHO(0.1%TFA)を4分間+0.5分間100%CHCN、PDA MaxPlot検出(210.0nm〜400.0nm)、35℃で流速3ml/分、カラムはSunfireTM C18, 4.6 x 20 mm, 3.5μm。
【0125】
分取HPLC:Waters HPLC分取システム、UV検出器Waters 2487 Dual λ 吸光度検出器またはMS検出器Waters micromassZQ、逆相カラムSunFireTM Prep, C18 OBD, 100 x 30 mm, 5μm、または100 x 19 mm, 5μm、勾配溶出(CHCN/水と0.1%TFA)、一般に生成物は凍結乾燥後TFA塩として得られる。
【0126】
TLC:プレコートされたシリカゲル60 F254ガラスプレート(Merck)、UV光(254nm)で可視化。
【0127】
好ましい態様の種々の出発物質、中間体、および化合物を、適切であるならば、慣用法、例えば沈降、濾過、結晶化、蒸発、蒸留、およびクロマトグラフィーを使用して単離および精製してよい。特記しない限り、全ての出発物質は商業的供給源から入手し、さらに精製せずに使用する。塩類を、既知塩形成法により化合物から製造し得る。
【0128】
次の実施例は本発明を説明することを意図し、それに限定されると解釈してはならない。温度は摂氏度で示す。特にことわらない限り、全ての蒸発は減圧下、好ましくは約15mmHg〜100mmHg(=20〜133mbar)で行う。最終産物、中間体および出発物質の構造は標準分析法、例えば、微量分析および分光特徴付け、例えば、MS、IR、NMRにより確認する。使用する略語は当分野で慣用のものである。
【0129】
本発明の化合物の合成に使用する全ての出発物質、構成要素、反応材、酸類、塩基類、脱水剤、溶媒、および触媒は市販されているか、または当業者に既知の有機合成法により製造できる(Houben-Weyl 4th Ed. 1952, Methods of Organic Synthesis, Thieme, Volume 21)。さらに、本発明の化合物は次の実施例に示す通り、当業者に既知の有機合成法により製造できる。
【0130】
一般的条件:
H NMR:スペクトルはBruker UltrashieldTM 400 (400 MHz)分光計またはBruker AVANCE 400 NMR分光計のいずれかで、ICON-NMRを使用して行う。スペクトルを298Kで測定し、溶媒ピークを使用して参照し、化学シフト(δ値)をppmで記載し、カップリング定数(J)をHzで記載し、スペクトル分裂パターンを一重項(s)、二重項(d)、三重項(t)、四重項(q)、多重項またはより重複したシグナル(m)、幅広シグナル(br)として指定し、溶媒を括弧内に示す。
【0131】
MS:これらはAgilent 1100 HPLC/Micromass Platform Mass分光計組合せまたはWaters Acquity UPLCとSQD Mass分光計またはMS検出器Waters MicromassZQもしくはWaters Micromass Platform LCZシステムを備えたWaters Alliance HT HPLCシステムである。マススペクトルをエレクトロスプレーイオン化を使用してLCMSシステムで行う。[M+H]+はモノアイソトピック分子量を意味する。
【0132】
好ましい態様の種々の出発物質、中間体、および化合物を、適切であるならば、慣用法、例えば沈降、濾過、結晶化、蒸発、蒸留、キャッチ・アンド・リリースおよびクロマトグラフィーを使用して単離および精製してよい。特記しない限り、全ての出発物質は商業的供給源から入手し、さらに精製せずに使用する。塩類を、既知塩形成法により化合物から製造し得る。
【0133】
加えて、入手可能な種々の上市されている反応材および物質が利用可能である。かかる反応材および物質はIST PE−AX/SCX−2およびSCX−2カートリッジを含み、示す供給源から容易に入手できる。
【0134】
下の実施例ならびに本明細書を通して、次の略語は次の意味を有する。特に定義しない限り、その用語は、その一般に受け入れられている意味を有する。
略語:
【表1】

【0135】
特記しない限り、分析的HPLC条件は次の通りである:
【表2】

【0136】
【表3】

【0137】
【表4】

【0138】
【表5】

【0139】
実施例化合物の製造
実施例1
3−(4−(ジフルオロメトキシ)−2−メチルフェニル)−7−(3,5−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−2,6−ジメチルピラゾロ[5,1−b]オキサゾール
【化17】

工程1:4−(7−(3,5−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−2,6−ジメチルピラゾロ[5,1−b]オキサゾール−3−イル)−3−メチルフェノール
7−(3,5−ジメチル−[1,2,4]トリアゾール−1−イル)−3−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−2,6−ジメチル−ピラゾロ[5,1−b]オキサゾール(中間体C)(100mg、0.285mmol)を乾燥DCM(5ml)に溶解した。混合物をNフラッシュした後N雰囲気下に保ち、三臭化ホウ素(1.423ml、1.423mmol)の滴下によりRTで処理した。約30分間後、HOを注意深く添加して反応を停止させた。混合物を分液漏斗に移し、DCM(50ml)で抽出した。有機部分を分離し、1M HCl、1M NaOH、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空で蒸発させて、褐色固体を得た。EtOAcで摩砕して、表題化合物を灰白色固体として得た。LC-MS Rt 1.02分; MS m/z 338.2 [M+H]+; 方法 = 2minLC_30_v002. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.25 (d, 1H), 6.8 (s, 1H), 6.75 (d, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.30 (s, 6H), 2.2 (s, 3H), 2.15 (s, 3H)。
【0140】
工程2:3−(4−(ジフルオロメトキシ)−2−メチルフェニル)−7−(3,5−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−2,6−ジメチルピラゾロ[5,1−b]オキサゾール
4−(7−(3,5−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−2,6−ジメチルピラゾロ[5,1−b]オキサゾール−3−イル)−3−メチルフェノール(工程1)(100mg、0.296mmol)の乾燥DMF(4ml)溶液を炭酸カリウム(205mg、1.482mmol)で処理し、N下に30分間、50℃で撹拌した。2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸メチル(428mg、2.96mmol)を添加し、反応物を90℃で1.5時間撹拌した。RTに冷却後、混合物 をEtOAcおよび水に分配した。有機部分を塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空で濃縮して、褐色油状物を得た。粗生成物を逆相クロマトグラフィー[分取HPLC(Watersシステム)]で精製して、表題化合物(TFA塩)を無色油状物として得た。塩をDCM(2ml)に溶解し、MP−カーボネート樹脂(マクロ多孔性ポリスチレンアニオン交換樹脂)(500mg、2.8mmol/g、Argonaut)を添加し、内容物をRTで30分間撹拌した。樹脂を濾過し、DCMで洗浄し、濾液を真空で濃縮して、表題化合物を遊離塩基として得た。LC-MS Rt 4.86分; MS m/z 388.2 [M+H]+; 方法 = 10minLC_v002. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.4 (1H, d), 7.15 (1H, s), 7.10 (1H, d), 6.6 (1H, t), 2.40 (6H, m), 2.35 (6H, m), 2.20 (3H, s)。
【0141】
中間体の製造
中間体A
4−(3,5−ジメチル−[1,2,4]トリアゾール−1−イル)−5−メチル−2H−ピラゾール−3−オール
【化18】

工程1:2−ブロモ−3−オキソ−酪酸ベンジルエステル
撹拌中のアセト酢酸ベンジル(20ml、116mmol)およびNBS(21.64g、122mmol)のEtO(1000ml)中の懸濁液に、酢酸アンモニウム(0.893g、11.58mmol)を添加した。反応物をRTで4時間撹拌し、濾過し、水(400ml)、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空で濃縮して、表題化合物を黄色油状物として得た;1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.37-7.42 (5H, m, 5xArH), 5.27 (2H, s, ArCH2OR), 4.82 (1H, s, CHBr), 2.42 (3H, s, RCOCH3)。
【0142】
工程2:2−(3,5−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−3−オキソ酪酸ベンジル
撹拌中の3,5−ジメチル−1−H−[1,2,4]−トリアゾール(0.502g、5.16mmol)のTHF(36.9ml)溶液に、NaH(0.199g、4.98mmol)を添加した。RTで10分間撹拌後、2−ブロモ−3−オキソ−酪酸ベンジルエステル(工程1)(1.0g、3.69mmol)を添加した。混合物を40℃で30分間撹拌し、RTに冷却した。混合物をシリカに吸着させ、0〜10%DCM/MeOHで溶出するシリカクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を橙色油状物として得た;LC-MS Rt 1.95分; MS m/z 288.3 [M+H]+; 方法LowpH_v001。
【0143】
工程3:4−(3,5−ジメチル−[1,2,4]トリアゾール−1−イル)−5−メチル−2H−ピラゾール−3−オール
2−(3,5−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−3−オキソ酪酸ベンジル(工程2)(7.1g、24.71mmol)およびヒドラジン(2.327ml、74.1mmol)を含むEtOH(124ml)中の混合物を50℃で3時間撹拌した。反応物を一夜かけてRTに冷却した。得られた固体を濾過により回収し、少量の冷EtOHで洗浄して、表題化合物を薄黄色固体として得た;LC-MS Rt 0.61分; MS m/z 193.9 [M+H]+; 方法 = 方法LowpH_v001。
【0144】
中間体B
2−ブロモ−1−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−プロパン−1−オン
撹拌中のCuBr(11.91g、53.3mmol)のEtOAc(40.0ml)およびクロロホルム(40ml)中の懸濁液に、60℃で1−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)プロパン−1−オン(4.753g、26.7mmol)を添加し、混合物を3.5時間撹拌した。反応物をRTに冷却し、セライト(登録商標)で濾過し、フィルターケーキをEtOAcで洗浄した。濾液を真空下に減容して、暗褐色油状物を得た。油状物を10%EtOAc/イソヘキサンで溶出するシリカクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を薄黄色油状物として得た;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.77 (d, 1H), 6.80 (m, 2H), 5.25 (q, 1H), 3.89 (s, 3H), 2.58 (s, 3H), 1.90 (d, 3H)。
【0145】
中間体C
7−(3,5−ジメチル−[1,2,4]トリアゾール−1−イル)−3−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−2,6−ジメチル−ピラゾロ[5,1−b]オキサゾール
工程1:2−[4−(3,5−ジメチル−[1,2,4]トリアゾール−1−イル)−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルオキシ]−1−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−プロパン−1−オン:
撹拌中の4−(3,5−ジメチル−[1,2,4]トリアゾール−1−イル)−5−メチル−2H−ピラゾール−3−オール(1g、5.18mmol)(中間体A)のDMF(25ml)溶液に、CsCO(1.771g、5.43mmol)を添加した。混合物を50℃で30分間撹拌し、2−ブロモ−1−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−プロパン−1−オン(中間体B)(1.397g、5.43mmol)のDMF(10ml)溶液で処理した。混合物を50℃で1時間撹拌し、真空で濃縮した。残留物を水(300ml)に溶解し、EtOAc(3×150ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaHCO、水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空で濃縮して、薄黄色固体を得た。固体を20〜100%EtOAcのイソヘキサン溶液で溶出するシリカクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色固体として得た;LC-MS Rt 1.03分; MS m/z 370.3 [M+H]+; 方法2minLC_30_v002。
【0146】
工程2:7−(3,5−ジメチル−[1,2,4]トリアゾール−1−イル)−3−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−2,6−ジメチル−ピラゾロ[5,1−b]オキサゾール
2−[4−(3,5−ジメチル−[1,2,4]トリアゾール−1−イル)−5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルオキシ]−1−(4−メトキシ−2−メチル−フェニル)−プロパン−1−オン(工程1)(0.905g、2.45mmol)の1,2−ジクロロエタン(20ml)中の分散体に、四塩化チタン(0.675ml、6.12mmol)を添加した。反応混合物を85℃で2.5時間加熱し、RTで一夜静置した。混合物を飽和NHCl(50ml)で注意深く反応停止させ、EtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaHCO(50ml)、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空で濃縮して、暗褐色油状物を得た。粗油状物を10%EtO/イソヘキサン(50ml)に溶解し、褐色溶液を超音波処理した。得られた固体を回収し、イソヘキサンで洗浄して、クリーム色固体を得た。この固体を熱EtO(〜40ml)からの再結晶により精製して、表題化合物を黄褐色結晶として得た;LC-MS Rt 3.7分; MS m/z 352.1 [M+H]+; 方法 = 10minLC_v001. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.39 (1H, d), 7.01 (1H, d), 6.94 (1H, dd), 3.83 (3H, s), 2.30 (6H, s), 2.26 (6H, s), 2.11 (3H, s)。
【0147】
生物学的データ
実施例1の化合物は0.071μm(hCRF1ANTAG/IC50[μmol l−1])である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または薬学的に許容される塩としての、式I;
【化1】

〔式中、
およびRは、同一でも異なってもよく、各々水素、アルキルC1−6またはハロアルキルC1−6であり;
はジフルオロメトキシフェニルであり、ここで、フェニルが場合により1個以上のアルキルC1−6、アルコキシC1−6、ハロ、ハロアルキルC1−6、チオアルキルC1−6、−NR、−CN、ハロアルコキシC1−6、アリールまたは−Hetで置換されていてよいか、または2個の隣接する炭素は−O(CH)O(CH)−で置換されており;
Hetは5員もしくは6員ヘテロアリールまたは4員、5員もしくは6員ヘテロ環であり;
はアルキレンC2−10、ヒドロキシアルキルC1−10であり、各々、場合によりアリールで置換されていてよく、または−OR、−(CH)NR、−COR10、5員もしくは6員ヘテロアリールまたは5員もしくは6員ヘテロ環であり、5員もしくは6員ヘテロアリールまたは5員もしくは6員ヘテロ環は、場合によりアルキルC1−10、ハロアルキルC1−10、ヒドロキシアルキルC1−10、アルコキシ(C1−3)アルキル(C1−3)、ハロ、−CO19、−CONR2021、アリールまたは5員もしくは6員ヘテロ環またはヘテロアリールからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてよく;
およびRは、同一でも異なってもよく、各々水素またはアルキルC1−6であるか、または、RおよびRはそれらが結合している窒素と一体となって、場合により置換されていてよい飽和または不飽和環基を形成し;
はアルキルC1−10、場合によりアリールに縮合していてよいシクロアルキルC3−10、アルキル(C1−6)−シクロアルキル(C3−6)−、ヒドロキシアルキルC1−10、ヒドロキシアルキル(C1−6)−(ハロアルキルC1−6)、アルキル(C1−6)−オキシ−アルキル(C1−6)、−(CH)COOR22または5員もしくは6員ヘテロ環であり;各々、場合により1個以上のアルキルC1−10、アルコキシC1−10、ヒドロキシアルキルC1−10、アリールまたは5員もしくは6員ヘテロアリールで置換されていてよく、アリールまたは5員もしくは6員ヘテロアリールは場合によりアルキルC1−10で置換されていてよく;
およびRは、同一でも異なってもよく、各々水素、アルキルC1−10、ハロアルキルC1−10、アルキル(C1−6)−オキシ−アルキル(C1−6)、−COOR11、−COR12またはアリールアルキルC1−6であるか、またはそれらが結合している窒素と一体となって、RおよびRは場合により1個以上のアルキルC1−6で置換されていてよい5員もしくは6員ヘテロ環を形成し;
mは整数0または1であり;
qは1〜6の整数であり;
xおよびyは、同一でも異なってもよく、各々1〜6の整数であり;
10は水素、アルキルC1−6、−NR1314、ヒドロキシまたはアルコキシC1−6であり;
12はアルキルC1−10、アリールまたは5員もしくは6員不飽和ヘテロ環であり;
13およびR14は、同一でも異なってもよく、各々アルキルC1−10、シクロアルキルC3−10、シクロアルキル(C3−6)アルキル(C1−6)−、アルコキシC1−10、ハロアルキルC1−10、アリール、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員ヘテロ環またはヘテロアリール;その各々は、場合によりアリールまたはヘテロアリールでよく、またはR13およびR14は、それらが結合している窒素と一体となって、場合によりフェニル基と縮合してよい1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員ヘテロ環を形成し、該ヘテロ環および場合により縮合していてよいフェニル基は、場合により1個以上のアルコキシC1−10で置換されていてよく;
22は水素またはアルキルC1−6であり;
11はアルキルC1−6またはアリールであり;
19は水素またはアルキルC1−10であり;
20およびR21は、同一でも異なってもよく、各々アルキルC1−10である。〕
の化合物およびその異性体。
【請求項2】
遊離形または薬学的に許容される塩としての式II;
【化2】

〔式中、
、RおよびRは各々請求項1に定義した通りであり;
IIはアルキルC1−6、アルコキシC1−6、ハロ、ハロアルキルC1−6、チオアルキルC1−6、−NR、−CN、ハロアルコキシC1−6、アリールまたは−Hetであるかまたは2個の隣接する炭素は−O(CH)O(CH)−で置換されており;
Hetは5員もしくは6員ヘテロアリールまたは4員、5員もしくは6員ヘテロ環であり;
、R、xおよびyは各々請求項1に定義した通りである。〕
の化合物およびその異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
遊離形または薬学的に許容される塩としての式III;
【化3】

〔式中、R、RおよびRは各々請求項1に定義した通りである。〕
の化合物およびその異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
遊離形または薬学的に許容される塩としての式IV;
【化4】

〔式中、R、RおよびRは各々請求項1に定義した通りである。〕
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
遊離形または薬学的に許容される塩としての式V;
【化5】

〔式中、RおよびRは各々請求項1に定義した通りである。〕
の化合物およびその異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
遊離形または薬学的に許容される塩としての式I;
【化6】

〔式中、
は、アルキルC1−10、ハロアルキルC1−10、ヒドロキシアルキルC1−10、アルコキシ(C1−3)アルキル(C1−3)、−CO19、−CONR2021、または5員もしくは6員ヘテロ環またはヘテロアリールから成る群から選択される1個以上の置換基で置換されていてよい5員もしくは6員ヘテロアリールであり;
、R、R、R19、R20およびR21は各々請求項1に定義した通りである。〕
の化合物およびその異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
遊離形または薬学的に許容される塩としての式VI;
【化7】

〔式中、R、RおよびRは各々請求項6に定義した通りであり;
VIaおよびRVIbは、同一でも異なってもよく、各々水素またはアルキルC1−6である。〕
の化合物およびその異性体である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
遊離形または薬学的に許容される塩としての3−(4−(ジフルオロメトキシ)−2−メチルフェニル)−7−(3,5−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−2,6−ジメチルピラゾロ[5,1−b]オキサゾールである、請求項1に記載の化合物およびその異性体。
【請求項9】
医薬として使用するための式Iの化合物。
【請求項10】
副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体アンタゴニストとして使用するための式Iの化合物。
【請求項11】
医薬の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項12】
副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体アンタゴニスト用医薬の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項13】
CRFの内因性レベル上昇を伴う、またはHPA(視床下部・下垂体系)が脱制御されている任意の状態、またはCRFにより誘発または亢進される種々の疾患の処置または軽減方法であって、哺乳動物に治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその塩を投与することを含む、方法。
【請求項14】
遊離形または薬学的に許容される塩形態の請求項1に記載の化合物を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項15】
遊離形または薬学的に許容される塩形態の請求項1に記載の化合物を、他の治療的有効成分と組み合わせて、場合により薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2013−518085(P2013−518085A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550462(P2012−550462)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051221
【国際公開番号】WO2011/092290
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】