説明

DC−DCコンバータ

【課題】スイッチングノイズの影響が少なく、短絡時にも確実に電流制限が可能な過電流保護機能を有するDC−DCコンバータを実現する。
【解決手段】集積回路10は、メインスイッチS1および同期整流スイッチS2をパルス幅変調(PWM)制御によって交互に導通・遮断する制御回路を構成する。延長回路21では、同期整流スイッチS2の導通制御時にインダクタLに過電流が流れている間、パルス幅変調制御に優先してメインスイッチS1の遮断時間を延長してインダクタ電流のボトム値が規定値以下となるようにする。その際、第1の電圧制限回路35により誤差増幅回路11の出力電圧Veaをクランプ電圧Vcl以下に制限し、クランプ電圧Vclを過電流発生状況に応じて調整する。これにより、電圧Veaにより定まるスイッチング素子の導通時間を制限して、インダクタ電流のピーク値や平均値が大きくならないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に所定の大きさで直流電圧を供給するDC−DCコンバータに関し、とくにパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)制御方式における過電流保護機能を有するDC−DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノート型のパーソナルコンピュータや携帯電話、その他の携帯用電子機器等では、バッテリ電圧を降圧型スイッチング電源回路からなるDC−DCコンバータによって規定電圧まで降圧してから電子回路に供給している。DC−DCコンバータは、スイッチング周期毎にインダクタ電流を監視するパルスバイパルス(Pulse by pulse)での過電流保護方式により、過電流と判定された場合に即座に過電流に対して応答して電流制限を行うことが可能である。そのため、負荷短絡などにおける過電流を防止する目的で、過電流保護回路が幅広い用途で採用されている。
【0003】
DC−DCコンバータの過電流保護回路では、インダクタ電流を監視するために、インダクタと直列に検出抵抗を入れてインダクタ電流を検出する方式が採用される。しかし、この検出方式は検出抵抗による余分な電力損失が増えることから、高い精度を必要とする用途以外では、出力段スイッチの導通電圧を介してインダクタ電流を検出する方法が好まれている。
【0004】
インダクタ電流を監視してそれを制限するには、ピーク電流を検出して電流制限を実施する方法と、ボトム電流を検出して電流制限する方法とがある。最初に、ピーク電流を検出するやり方について説明する。
【0005】
図9は、インダクタ電流のピーク値に基づいて過電流保護を行う、従来のDC−DCコンバータの一例を示す図である。
この種のDC−DCコンバータは、バッテリなどの入力電源Vinにソース端子が接続されたPチャネル型の電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)からなるスイッチング半導体素子(以下、メインスイッチという。)S1と、ソース端子が接地されたNチャネル型のFETからなる同期整流スイッチS2を備えている。これらのメインスイッチS1と同期整流スイッチS2は、ドレイン端子を互いに接続するとともに、それぞれのゲート端子にスイッチング制御信号として、制御回路1からドライバ回路2,3を介してPWM信号を供給するように構成されている。また、メインスイッチS1と同期整流スイッチS2の接続点には、インダクタLを介して充電・平滑用の出力コンデンサCoutと負荷Rとが、それぞれ他端を接地した状態で接続されている。
【0006】
インダクタLと出力コンデンサCoutは、負荷Rに平滑出力電圧を供給するフィルタ回路を構成している。この負荷Rに対する出力電圧Voutを検出するために、制御回路1には出力電圧Voutが負帰還信号として供給されている。制御回路1では、出力電圧Voutを監視しつつ、この出力電圧Voutが一定値となるように、ドライバ回路2,3を介してメインスイッチS1と同期整流スイッチS2を交互に導通・遮断して、スイッチング端子電圧Vswを制御している。
【0007】
過電流検出回路4は、たとえばカレントトランス、もしくはセンス抵抗と増幅器などにより構成され、メインスイッチS1に流れる電流、すなわちメインスイッチS1からインダクタLに流れ込むインダクタ電流ILを検出し、これを所定の基準値と比較することにより過電流を検知する。この過電流検出回路4では、過電流が検知された場合に、制御回路1がメインスイッチS1を遮断状態に制御するように過電流制限が実施される。
【0008】
制御回路1は、通常のスイッチング動作を実行している間には、その出力電圧Voutの変化に応じてメインスイッチS1と同期整流スイッチS2を導通・遮断制御するパルス信号のパルス幅を変化させて、出力電圧Voutが一定となるように帰還制御を行う。これにより、負荷Rへの供給電流(出力電流)Ioutが大きい重負荷のときにも、メインスイッチS1が遮断状態の間に負荷Rに応じてインダクタLに蓄えられたエネルギーがオン抵抗が小さい同期整流スイッチS2を介して放出されるので、効率の良い同期整流を行うことができる。
【0009】
過電流検出回路4では、インダクタLに流れるインダクタ電流ILのピーク値が所定の値を超えたら、制御回路1のPWM信号に優先してメインスイッチS1を遮断することによりインダクタ電流ILを制限するようにしている。
【0010】
図10には、出力電圧Voutが大きい場合と小さい場合とで、従来のDC−DCコンバータの過電流保護機能が作動している状態で、インダクタ電流値がそれぞれどう変化するかを示している。同図(a)は出力電圧Voutが大きな場合、同図(b)は出力電圧Voutが小さな場合であって、それぞれ縦軸にはインダクタ電流ILを、横軸には時間を示している。
【0011】
DC−DCコンバータは、入力電源Vin側のメインスイッチS1に流れる電流(=IL)が規定値Ipmaxを超えると、過電流検出回路4から検出信号が出力され、制御回路1を介してつぎのスイッチング周期までメインスイッチS1を遮断制御状態とする。こうして、インダクタ電流ILのピーク電流値Ipを規定値Ipmax以下に制限する過電流制限機能が実現される。
【0012】
しかし、実際の過電流検出回路4で規定値Ipmaxを超える電流が検知された後、メインスイッチS1をスイッチングしてオフするまでには、一定の遅延時間Tdが必要である。そのため、制御回路1からのドライブ信号でメインスイッチS1が導通制御状態に移行した瞬間に過電流状態が検知されても、過電流検出回路4を介して実際にメインスイッチS1が遮断状態になるまでの間は、インダクタ電流ILが継続して増加することになる。
【0013】
すなわち、インダクタ電流ILが規定値Ipmaxを超えた場合、インダクタ電流ILの減少率は出力電圧Voutに比例するため(dIL/dt=Vout/L)、図10(b)に示すように、出力電圧Voutが低い場合は、高い場合と比較して、インダクタ電流ILの減少に長い時間が必要となる。逆に、インダクタ電流ILの増加率は出力電圧Voutが低いほど大きい(dIL/dt=(Vin−Vout)/L)。したがって、出力電圧Voutが低い場合は、図10(b)に示すように、インダクタ電流ILが規定値Ipmaxを超えた後も、遅延時間Tdによりインダクタ電流ILが大きな傾斜で上昇し続ける。すると、メインスイッチS1が遮断制御されている時間内ではそれまでに増加したインダクタ電流ILが減少しきれないで、つぎのスイッチング周期でインダクタ電流ILが再び上昇を始める。
【0014】
このため、出力電圧Voutが小さく、かつ制御回路1の動作周波数が高い条件では、この間の電流増加分((Vin−Vout)/L)がつぎにメインスイッチS1が導通するまでのインダクタ電流ILの減少分(Vout/L)を上回り、インダクタ電流ILの制限が効かなくなる恐れがあった。したがって、出力電圧Voutの極端な低下、あるいは過電流状態が連続して検出された場合などには、DC−DCコンバータ自体を停止させるための追加の対策が必要になることもある。
【0015】
また、上述したピーク電流制限では、メインスイッチS1に流れる電流によりインダクタ電流ILの検出を行うが、メインスイッチS1の導通直後は、スイッチング端子電圧Vswが急上昇するハードスイッチング動作となる。そのため、とくに出力段のスイッチング半導体素子を外付けとした場合には、大きなノイズが混入する。このような不都合を回避するには、過電流保護機能の応答を禁止するブランキング時間を設け、かつこのブランキング時間を長くしておく必要がある。
【0016】
つぎに、同期整流スイッチS2側の電流を制限するボトム電流制限方式について説明する。
図11は、インダクタ電流のボトム値に基づいて過電流保護を行う、従来のDC−DCコンバータの一例を示す図である。
【0017】
ピーク電流制限方式とは異なりボトム電流制限方式では、インダクタ電流ILのボトム値が所定の値を下回るまで制御回路1のPWM信号に優先してメインスイッチS1の遮断期間を延長して、インダクタ電流ILを制限している。すなわち、ボトム電流制限はインダクタ電流ILの減少を待つ方式であるから、過電流検出回路5の過電流検出における遅延時間の間にインダクタ電流ILは減り続ける。このため、DC−DCコンバータの出力電圧Voutが低く、PWM信号の動作周波数が高い条件においても、インダクタ電流ILの制限が効かなくなる恐れはない。
【0018】
また、ボトム電流制限方式では図11に示すように、過電流検出回路5が同期整流スイッチS2に流れる電流に基づいてインダクタ電流ILの過電流状態を検出している。そして、同期整流スイッチS2の導通時には、インダクタ電流ILが並列ダイオードを流れているため、スイッチング端子電圧Vswはすでに低下してソフトスイッチング動作となるから、電流検出に対するノイズが少ないという利点も有する。
【0019】
以上からすると、降圧型スイッチング電源回路などにはボトム電流制限の方が利用しやすいように思われる。ところが、インダクタ電流ILの制限方式を選択する際には、DC−DCコンバータの出力電圧制御方式との相性を考慮にいれなくてはならない。
【0020】
たとえば固定オン時間のパルス周波数変調(PFM:Pulse Frequency Modulation)制御では、メインスイッチS1のオン時間(以下、単に「オン時間」という。)を固定して動作周波数を可変することで、出力電圧Voutを制御している。ボトム電流制限では、過電流を検出すると、制御回路動作に割り込んでメインスイッチS1のオフ時間(以下、単に「オフ時間」という。)を延長するが、この際、オン時間は固定のままであるため、固定オン時間のPFM制御とボトム電流制限の相性は良い(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2008−236859号公報(段落番号[0021]〜[0029]および図1,2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
一方、DC−DCコンバータの制御方式では、固定されたスイッチング周波数で動作するPWM制御が多く採用されている。PWM制御回路では、周波数一定のもとで、デューティ比を変更することでオン時間を可変し、出力電圧Voutを制御している。したがって、ボトム電流制限方式では、過電流検出時にオフ時間を延長してインダクタ電流を制限しようとするため、電流制限による出力電圧Voutの低下を防ぐようにオン時間が広がって電流制限動作が妨害されるなど、そもそも相性が良くない。しかしながら、ボトム電流制限方式には前述のような優れた性質があるため、PWM制御回路を備えたDC−DCコンバータに適用可能な電流制御回路が望まれていた。
【0023】
図12は、オン時間に制限がないDC−DCコンバータの動作波形の一例を示す図である。ここでも、縦軸にはインダクタ電流ILを、横軸には時間を示している。
I1は、通常動作時のインダクタ電流ILの平均電流値である。また、過電流検出時には、過電流検出回路5によってインダクタ電流ILのボトム電流が設定値Iblimとなるように、メインスイッチS1のオフ時間がTextdだけ延長される。オフ時間が長くなるだけでは出力電圧Voutが低下するので、制御回路はこれを防ぐためにメインスイッチS1のオン時間を長くする。そのため、インダクタ電流ILの平均電流値は、出力電圧Voutが所望の値を保つときに負荷が消費する電流I2まで増加することになって、電流制限がかからなくなる(インダクタ電流ILの平均値およびピーク値が大きなものになってしまう)という問題があった。
【0024】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、PWM制御とボトム電流制限を同時に適用したときに、過電流検出に際して適切な電流制限が可能なDC−DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明では、上記問題を解決するために、入力電源の高電位側に接続されるメインスイッチ(S1)と、前記入力電源の低電位側に前記メインスイッチと直列に接続される同期整流スイッチ(S2)と、前記メインスイッチと前記同期整流スイッチとの接続点に接続され負荷回路に平滑出力電圧を供給するインダクタおよび平滑容量からなるフィルタ回路と、前記メインスイッチおよび前記同期整流スイッチをパルス幅変調(PWM)制御によって交互に導通・遮断する制御回路(10)と、を備えたDC−DCコンバータが提供される。前記制御回路は、前記同期整流スイッチの導通制御時に前記インダクタに流れるインダクタ電流が第1の設定値(Iblim)を上回っている間、前記制御回路におけるパルス幅変調制御に優先して前記メインスイッチの遮断時間を延長する延長回路(21)と、メインスイッチ(S1)の導通時間について所定の上限値(Ton-max)を設定するデューティ比制限回路(30)を有し、過電流検出時にメインスイッチの導通時間を制限するようにしている。
【0026】
さらに、本発明のDC−DCコンバータでは、デューティ比制限回路(30)がメインスイッチの遮断時間の延長期間(Textd)に応じて上限値(Ton-max)を変更する電圧制限回路を有しており、メインスイッチの遮断時間の延長期間が、ここに設定された第2の設定値(Tdb)より長い場合には、上限値(Ton-max)を低下させ、延長期間が発生しない場合には、上限値(Ton-max)を上昇させるように変更することで、過電流検出時におけるインダクタ電流のピーク値や平均値を確実に低減している。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、スイッチングノイズの影響が少なく、短絡時にも確実に電流制限が可能な過電流保護機能を有するDC−DCコンバータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態に係るDC−DCコンバータを示す回路図である。
【図2】図1のDC−DCコンバータにおける遅延回路の一例を示す回路図である。
【図3】遅延回路の動作波形を示すタイミング図である。
【図4】第3の遅延回路の動作波形を示すタイミング図である。
【図5】図1のDC−DCコンバータにおける電圧制限回路の一例を示す回路図である。
【図6】デューティ比制限回路の動作に関わる各信号波形を示すタイミング図である。
【図7】オン時間の最大値(Ton-max)を設け、その値を固定した場合のDC−DCコンバータの動作波形の一例を示す図である。
【図8】オン時間の最大値(Ton-max)を可変としたDC−DCコンバータの動作波形の一例を示す図である。
【図9】インダクタ電流のピーク値に基づいて過電流保護を行う、従来のDC−DCコンバータの一例を示す図である。
【図10】出力電圧Voutが大きい場合と小さい場合とで、従来のDC−DCコンバータの過電流保護機能が作動している状態で、インダクタ電流値がそれぞれどう変化するかを示す図である。
【図11】インダクタ電流のボトム値に基づいて過電流保護を行う、従来のDC−DCコンバータの一例を示す図である。
【図12】オン時間に制限がないDC−DCコンバータの動作波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態に係るDC−DCコンバータを示す回路図である。
メインスイッチS1と同期整流スイッチS2は入力電源Vinと接地との間で直列に接続され、出力段を構成している。メインスイッチS1のソース端子は入力電源Vinの高電位側に接続され、そのドレイン端子は同期整流スイッチS2のドレイン端子に接続され、同期整流スイッチS2のソース端子は接地されている。
【0030】
インダクタLと出力コンデンサCoutはフィルタ回路を構成しており、このフィルタ回路はメインスイッチS1と同期整流スイッチS2の接続点に接続され、負荷Rに平滑出力電圧を供給している。この負荷Rに対する出力電圧Voutは、分割抵抗R1,R2を直列接続した電圧検出回路を介して、PWM制御回路を構成する集積回路10に負帰還信号Vdとして供給されている。
【0031】
集積回路10は、負帰還信号Vdと第1の基準電圧Vrefとの差電圧を増幅した誤差電圧Veaを出力する誤差増幅回路11、誤差電圧Veaをのこぎり波電圧Vsawと比較するPWMコンパレータ12を備えている。PWMコンパレータ12は、その出力端子がアンド回路13を介してデッドタイム(DT:Dead Time)生成回路14に接続され、メインスイッチS1と同期整流スイッチS2へのオンオフ制御信号を生成している。すなわち、PWMコンパレータ12はレベルシフタ15およびドライバ回路16を介してメインスイッチS1のゲート端子に接続され、さらに信号反転機能を備えたドライバ回路17を介して同期整流スイッチS2のゲート端子に接続されている。なお、本実施の形態では、メインスイッチS1をNチャネル型のFETとしたが、図9の従来のDC−DCコンバータと同様にPチャネル型のFETとしてもよい。その場合、レベルシフタ15は不要となり、DT生成回路14の出力がドライバ回路16に直接入力される。
【0032】
集積回路10は、さらに過電流検出回路(Over Current Detector)18、発振回路20、およびデューティ(Duty)比制限回路30を備え、この過電流検出回路18に対して同期整流スイッチS2のドレイン端子およびソース端子からの電圧信号を入力するように接続されている。過電流検出回路18では、同期整流スイッチS2のドレイン−ソース間電圧から同期整流スイッチS2に流れている電流、すなわちインダクタ電流ILの大きさが検出され、そこに設定されたボトム電流設定値Iblimと比較することによって、インダクタ電流ILの過電流状態を判断している。より具体的には、同期整流スイッチS2のドレイン−ソース間電圧とボトム電流設定値Iblimに相当するボトム基準電圧とを比較することにより、インダクタ電流ILの過電流状態を判断している。過電流検出回路18の出力信号である過電流判定信号Vocは、過電流であればH(High)、そうでなければL(Low)レベルとなる信号であり、インバータ回路IV1を介して発振回路20に出力されている。なお、同期整流スイッチS2が遮断されている間は、過電流判定信号VocはHレベルにセットされている。
【0033】
発振回路20は、延長回路21、第1の遅延回路22、コンパレータ23などを備え、発振用のコンデンサCoscの端子間電圧であるのこぎり波電圧VsawがPWMコンパレータ12の反転入力端子に出力されている。延長回路21は、電源VDDと接地の間で直列接続されたPチャネル型のFET(以下、トランジスタという。)Mp1と2つのNチャネル型のトランジスタMn1,Mn2、およびインバータ回路IV2から構成され、トランジスタMn2のゲート端子がインバータ回路IV1の出力端子に接続されている。トランジスタMp1とMn1のゲート端子は、ともにインバータ回路IV2の出力端子に接続され、それらのドレイン端子は互いに接続されている。また、トランジスタMp1とMn1の接続点からは、アンド回路13の反転入力端子およびデューティ比制限回路30に第1のクロック信号Vckが出力されている。
【0034】
発振回路20は、発振用のコンデンサCoscのほかに、発振用定電流源Iosc、Nチャネル型のトランジスタからなる放電用スイッチMosc、および発振基準電圧Voscなどを備えている。発振用のコンデンサCoscは、その一端が接地されるとともに他端は発振用定電流源Ioscと接続され、その接続点からPWMコンパレータ12の反転入力端子にのこぎり波電圧Vsawが供給されている。電源VDDに接続された発振用定電流源Ioscは、さらに放電用スイッチMoscのドレイン端子と接続されている。放電用スイッチMoscは、ソース端子が発振用のコンデンサCoscの他端とともに接地され、そのゲート端子が延長回路21のトランジスタMp1とMn1の接続点に接続され、第1のクロック信号Vckによってオンオフ制御される。
【0035】
コンパレータ23には、その反転入力端子に発振基準電圧Voscが供給されている。また、コンパレータ23の非反転入力端子は、発振用のコンデンサCoscとともに発振用定電流源Ioscに接続されている。さらに、このコンパレータ23は第1の遅延回路22の入力側と接続され、その出力信号に対して所定の立ち下がり遅延時間Tdaを有する遅延出力が、延長回路21とデューティ比制限回路30に第2のクロック信号Vckrとして出力されている。
【0036】
デューティ比制限回路30は、第2の遅延回路31、第3の遅延回路32、アンド回路33、チャージポンプ(Charge pump)回路34、第1の電圧制限回路(Voltage Limiter)35、および第2の電圧制限回路36などにより構成されている。このデューティ比制限回路30は、発振回路20から入力される2つのクロック信号Vck,Vckrに基づいて、誤差増幅回路11の出力電圧Veaを適正なクランプ電圧Vcl以下にクランプするものである。
【0037】
第2の遅延回路31では、そこに入力される第2のクロック信号Vckrに対し所定の立ち下がり遅延時間Tdbを有する信号Vckr1(第2の遅延出力)が生成され、インバータ回路IV3を介してチャージポンプ回路34に出力されている。第3の遅延回路32には、第1のクロック信号Vckがインバータ回路IV4を介して入力されている。第3の遅延回路32は、入力信号に対し所定の立ち下がり遅延時間Tdcを有する信号を生成・出力する回路である。アンド回路33は、一方の入力信号として第3の遅延回路32の出力が、他方の入力信号として第1のクロック信号Vckが供給されている。このアンド回路33の出力信号Vck1は、チャージポンプ回路34に出力されている。
【0038】
チャージポンプ回路34は、2つのPチャネル型のトランジスタMp2,Mp3と、2つのNチャネル型のトランジスタMn3,Mn4と、充電用電流源Iuおよび放電用電流源Idから構成されている。チャージポンプ回路34は、信号Vckr1および信号Vck1に応じてコンデンサCmの電荷、すなわちコンデンサCmの両端電圧Vclを増減させる回路である。
【0039】
ここでは、トランジスタMp2,Mp3は互いに直列に接続され、トランジスタMp2のソース端子が充電用電流源Iuに接続されている。トランジスタMn3,Mn4も、同様に互いに直列に接続され、トランジスタMn4のソース端子が放電用電流源Idに接続されている。また、トランジスタMp2,Mn4の各ゲート端子は、アンド回路33に接続され、トランジスタMp3,Mn3の各ゲート端子は、インバータ回路IV3に接続されている。
【0040】
これら4つのトランジスタMp2,Mp3,Mn3,Mn4は、トランジスタMp3,Mn3のドレイン端子が互いに接続されることで、電源VDDと接地の間で直列回路を構成している。そして、トランジスタMp3,Mn3の接続点からのチャージポンプ電流Icp(充電用電流源Iuからの充電電流、もしくは放電用電流源Idにシンクされる放電電流である。後者の場合、電流Icpの向きは図1のものと逆になる。)がメモリ容量を構成するコンデンサCmを充放電するとともに、第1の電圧制限回路35のクランプ電圧Vclを供給するように構成されている。第1の電圧制限回路35は、誤差増幅回路11の出力電圧VeaをコンデンサCmの充電電圧であるクランプ電圧Vcl以下に制限しており、さらに第2の電圧制限回路36によってコンデンサCmの充電電圧を制限することにより、クランプ電圧Vclの最大電圧値をVclmax以下に制限するようにしている。
【0041】
なお、こうした電圧制限回路35,36の構成および動作の詳細については、図5とともに後述する。
つぎに、発振回路20、およびデューティ比制限回路30を構成している3つの遅延回路22,31,32について説明する。
【0042】
図2は、図1のDC−DCコンバータにおける遅延回路の一例を示す回路図、図3は、遅延回路の動作波形を示すタイミング図である。
遅延回路22,31,32(以下、31,32を略す。)は、いずれもリセットスイッチとしてのNチャネル型のトランジスタMnrと、遅延時間を決める定電流源IB1およびコンデンサCdlyと、閾値電圧Vthを有するインバータ回路IV5によって構成されている。入力信号VaはトランジスタMnrのゲート端子に供給され、定電流源IB1はコンデンサCdlyに対する充電電流を供給している。コンデンサCdlyは、トランジスタMnrがオン状態になると放電される。インバータ回路IV5は、接続点電圧Vbが閾値電圧Vthを上回ることにより出力信号VcをHからLに反転させる。
【0043】
図3(a)に示すように、入力信号Vaが立ち下がるタイミングでトランジスタMnrはオフ状態となって、コンデンサCdlyは徐々に充電される。すると、同図(b)に示すように、定電流源IB1とコンデンサCdlyとの接続点電圧が上昇する。コンデンサCdlyの充電電圧Vbが閾値電圧Vthを超えた時点で、出力信号VcはLとなる。その後、入力信号Vaが再び立ち上がった時点でトランジスタMnrが導通し、コンデンサCdlyの充電電圧Vbが0になり、出力信号Vcも遅滞なくHに復帰する(図3(c))。
【0044】
図4は、第3の遅延回路32の動作波形を示すタイミング図である。
同図(a)は、発振回路20から出力される第1のクロック信号Vckを示している。このクロック信号Vckは、インバータ回路IV4で反転され、第3の遅延回路32の入力信号として供給されている。いま、遅延回路32に設定された立ち下がり遅延時間を、同図(c)に示すTdcとすると、遅延回路32の入力信号の立ち下がりからTdcだけ遅れて遅延回路32から出力信号が立ち下がる。アンド回路33には、この出力信号と同図(a)のクロック信号Vckが入力しているので、立ち下がり遅延時間TdcだけHとなるアンド回路出力Vck1がアンド回路33からチャージポンプ回路34に供給される。
【0045】
つぎに、第1、第2の電圧制限回路35,36について説明する。
図5は、図1のDC−DCコンバータにおける電圧制限回路の一例を示す回路図である。
【0046】
ここでは、2つのPチャネル型のトランジスタMp11,Mp12と4つのNチャネル型のトランジスタMn11〜Mn14、および定電流源IB2によって構成された第1の電圧制限回路35を示している。定電流源IB2とトランジスタMp11,Mp12,Mn11,Mn12で差動増幅器が構成され、後段の誤差増幅回路11の誤差電圧Veaが、クランプ電圧Vclとして入力されるコンデンサCmの積分電圧でクランプされるものである。
【0047】
ここでは、まずクランプ電圧Vclと誤差電圧Veaが等しい場合には、トランジスタMn11,Mn12には等しい電流が流れるが、トランジスタMn13には電流が流れない。クランプ電圧Vclが誤差電圧Veaより大きい場合でも、トランジスタMn11よりトランジスタMn12に多くの電流を流そうとするので、トランジスタMn13には電流が流れない。クランプ電圧Vclが誤差電圧Veaより小さくなると、差動増幅器としてはトランジスタMn12よりトランジスタMn11に多くの電流を流そうとするが、カレントミラーを構成しているトランジスタMn11とトランジスタMn12は、それらの電流値が等しくなるように動作するから、トランジスタMn12の電流に対するトランジスタMn11の電流の過剰分はトランジスタMn13に流れる。トランジスタMn13に電流が流れると、トランジスタMn13とMn14がカレントミラーを構成しているので、ミラー比(これは大きめに決めておく。)だけ増幅された電流がトランジスタMn14に流れる。こうして、トランジスタMn14に流れる電流と誤差増幅回路11の出力インピーダンスの積だけ誤差電圧Veaがドロップし、誤差電圧Veaはクランプ電圧Vclによって電圧制限される。
【0048】
なお、電圧制限回路の構成としては上述したものに限られるものではなく、別の回路方式で構成することも可能である。
つぎに、過電流検出時におけるデューティ比制限回路30の作用について説明する。
【0049】
図6は、デューティ比制限回路の動作に関わる各信号波形を示すタイミング図である。
最初に、インダクタ電流ILの過電流が過電流検出回路18で検出されていない場合について説明する。
【0050】
このとき、過電流判定信号VocがLとなっているから、これによりインバータ回路IV1を介して延長回路21のトランジスタMn2がオン状態になる。発振回路20では、第2のクロック信号VckrがLとなっていて、この信号を受けたインバータ回路IV2によってトランジスタMn1がオン状態、トランジスタMp1がオフ状態に保持されていれば、第1のクロック信号VckがLとなり、放電用スイッチMoscはオフ状態となる。これによって発振用のコンデンサCoscは、発振用定電流源Ioscからの所定の電流により充電される。そして、コンデンサCoscの充電電圧が発振基準電圧Voscに達したことをコンパレータ23で判定されるとコンパレータ23の出力がHとなる。この変化は立ち上がりなので、第1の遅延回路22で遅延されずに第2のクロック信号Vckrが遅滞なくHとなる。Hとなった信号Vckrがインバータ回路IV2を介してトランジスタMn1をオフ状態、トランジスタMp1をオン状態にそれぞれ反転させることにより、第1のクロック信号VckはHとなる。第1のクロック信号VckがHとなると放電用スイッチMoscが導通し、放電用スイッチMoscが導通するとコンデンサCoscの電荷が放電される。この場合、放電用スイッチMoscの導通直後にコンパレータ23の出力がLとなるが、この変化は立ち下がりなので、第1の遅延回路22で立ち下がり遅延時間Tdaだけ遅延されてインバータ回路IV2に伝達され、これを受けて第1のクロック信号VckはLとなる。以上の動作により、第1のクロック信号VckがHとなる期間は遅延時間Tdaだけ継続する。このような充放電動作を繰り返すことで、図6(b)に示すようなのこぎり波電圧Vsawが発生する。
【0051】
つぎに、第1のクロック信号VckがHとなっている放電用スイッチMoscの導通期間に過電流検出回路18で過電流状態が検出され続ける場合について説明する。
このとき、遅延時間Tdaが終了しても過電流判定信号VocがHになっているから、第1のクロック信号VckのH期間が延長され、これによって放電用スイッチMoscのオン状態が延長される。過電流判定信号VocがHであれば、インバータ回路IV2を介してその反転信号が供給されるトランジスタMn2はオフ状態にされる。一方、第1のクロック信号VckがHになると、コンデンサCoscの電荷が放電されてコンパレータ23の出力はLに立ち下がるが、上記のように、この立ち下がりは遅延回路22により遅延時間Tdaだけ遅延されてインバータIV2に伝達される。遅延時間Tdaが終了して第2のクロック信号VckrがLとなり、トランジスタMn1がオン状態に、トランジスタMp1がオフ状態にそれぞれ反転しても、トランジスタMn2がオフ状態であるため第1のクロック信号VckはLに反転せず、直前の値Hが延長寄生容量によって維持されるからである。したがって、過電流状態が解消されてトランジスタMn2がオンするまでの間、図6(e)に示すように、第1のクロック信号VckはHに保持されてデューティ比制限回路30に供給される。
【0052】
PWMコンパレータ12では、のこぎり波電圧Vsawと誤差増幅回路11の出力電圧Veaを比較して、出力電圧Veaに対応するデューティ比でパルス信号がアンド回路13に出力される。また、誤差増幅回路11の出力電圧Veaは、デューティ比制限回路30の第1の電圧制限回路35によってクランプ電圧Vcl以下にクランプされている。これに基づき、通常動作時にはメインスイッチS1と同期整流スイッチS2が所定のデッドタイムをもって相補的にスイッチングされる。しかし、過電流検出時には上述のように第1のクロック信号VckがHとなる期間が延長され、当該延長期間にはアンド回路13の出力がLになる。したがって、その期間はPWMコンパレータ12によるスイッチング動作に割り込むかたちでメインスイッチS1がオフし、同期整流スイッチS2がオンの状態を保持することになる。
【0053】
このように、通常動作時には第1のクロック信号VckがHとなる時間の延長(すなわち、メインスイッチS1のオフ時間の延長)は起きず、チャージポンプ回路34は、第2の遅延回路31で十分に小さな値に設定された立ち下がり遅延時間Tdbの間だけコンデンサCmを充電用電流源Iuの電流で充電し、クランプ電圧Vclを上昇させる。一方、過電流検出時には、図6(a)に延長期間Textdとして示すように、第1のクロック信号VckのHレベルの期間が立ち下がり遅延時間Tda以上に延長される。そこで、チャージポンプ回路34では、その延長期間TextdにコンデンサCmを放電用電流源Idによって放電し、クランプ電圧Vclを低下させる。なお、信号Vck1と信号Vckr1が両方ともHである期間は、トランジスタMp3とMn3が同時にオフ状態となるので、チャージポンプ電流Icpは流れない。その結果、過電流検出時には、クランプ電圧Vclを低下させることによって、誤差増幅回路11の出力電圧Veaによって定まるメインスイッチS1のオン時間の最大値を低下させることができる。
【0054】
つぎに、過電流検出時にオン時間を制限して、インダクタ電流を制限する方法について説明する。
図7は、メインスイッチS1のオン時間の最大値Ton-maxを設け、その値を固定した場合のDC−DCコンバータの動作波形の一例を示すタイミング図である。
【0055】
この場合、過電流検出時の平均電流Iolimは、
Iolim=Iblim+Ton-max(Vin−Vout)/2L
で制限することができる。ここで、Iblimは過電流検出回路18に設定されたボトム電流設定値、LはインダクタLのインダクタンスである。
【0056】
一般に、オン時間の最大値Ton-maxを決める場合には、DC−DCコンバータの通常動作に影響を与えないようにする必要がある。オン時間の最大値Ton-maxの設定では、通常動作時において、入力電源Vinから出力電圧Voutを得るために必要なオン時比率D(=Vin/Vout)を考慮して、十分に大きな値にする必要がある。DC−DCコンバータの各スイッチS1,S2やインダクタLでの損失を補うに足りる増分、過渡応答時の余裕、入力電源電圧(Vin)や出力電圧Voutの検出誤差、演算誤差などが影響するからである。このとき、スイッチS1,S2やインダクタL以外の外付け部品での損失も発生する。
【0057】
また、出力電圧Voutを電圧設定用の外付分圧抵抗を介して集積回路10として構成された制御回路へとフィードバックする場合、あるいは入力電源Vinとは別に集積回路10の電源VDDを供給する場合などでは、新たな端子を設けない限り入力電源電圧(Vin)や出力電圧Voutを検出できない。したがって、想定される使用範囲の最大条件を見込んで、オン時間の最大値Ton-maxを設定する必要がある。
【0058】
本発明のDC−DCコンバータのボトム電流制限では、過電流状態においてオフ時間の延長期間Textdが生じていることに着目して、制御回路内部で設定されるオフ時間の延長信号によってオン時間の最大値Ton-maxの大きさを調整するようにしている。そのため、入力電源電圧(Vin)や出力電圧Voutの大きさを検出する必要がない。
【0059】
デューティ比制限回路30の第3の遅延回路32は、第1のクロック信号VckのHレベルの延長期間が長い場合に、メモリ容量(コンデンサCm)の放電時間を第3の遅延回路32の立ち下がり遅延時間Tdc(厳密にいえば、Tdc−Tda−Tdb)以下に制限し、クランプ電圧Vclの変化量を制限するために設けられている。場合によっては、過電流状態が発生してから、クランプ電圧Vclが所定値に低下するまでに必要な時間を削減するために、クランプ電圧Vclをクランプ電圧Vdmax以下に制限する第2の電圧制限回路36を設けている。ただし、クランプ電圧Vdmaxは想定される通常動作に影響がないように設定する必要がある。
【0060】
図8は、メインスイッチS1のオン時間の最大値(Ton-max)を可変としたDC−DCコンバータの動作波形の一例を示す図である。
過電流状態となりオフ時間の延長が起きた場合には、つぎの周期でオン時間の最大値Ton-maxを小さくし、最終的にオフ時間の延長期間Textdが概ね0となるようなオン時間まで小さくする。ただし、過電流状態が解消されたことを検出するための微少時間は残される。すなわち、上記のように延長期間Textdが第2の遅延回路31の立ち下がり遅延時間Tdbと重なる時間では最大値Ton-maxの調整(低下)は行われないので、この重なった時間は残されることになる。
【0061】
この結果、PWM信号の周波数は通常時の動作周波数(1/Tsw)と概ね同じになる。この場合、過電流検出時の平均電流Iolimは、
Iolim=Iblim+Tsw・Vin(Vin−Vout)/2Vout・L
で制限される。
【0062】
過電流状態が解消されて延長期間Textdが0となった場合には、第2の遅延回路31の立ち下がり遅延時間TdbにおいてコンデンサCmが充電され、第1の電圧制限回路35のクランプ電圧Vclを大きくする。これによりオン時間の最大値Ton-maxを大きくしていき、やがて誤差増幅回路11からの誤差電圧Veaによってオン時比率Dが制御される通常状態へと復帰する。
【0063】
以上、この発明のDC−DCコンバータによれば、メインスイッチS1の遮断時間の延長期間を適切に制御できるので、必要なオン時比率Dを計算して制限を設定する必要がなく、過電流制限による通常動作への影響を心配する必要がなくなる。
【符号の説明】
【0064】
10 集積回路
11 誤差増幅回路
12 PWMコンパレータ
13,33 アンド回路
14 DT(デッドタイム)生成回路
15 レベルシフタ
16,17 ドライバ回路
18 過電流検出回路
20 発振回路
21 延長回路
22 第1の遅延回路
23 コンパレータ
30 デューティ比制限回路
31 第2の遅延回路
32 第3の遅延回路
34 チャージポンプ回路
35 第1の電圧制限回路
36 第2の電圧制限回路
Cm メモリ容量
Cosc 発振用のコンデンサ
Cout 出力コンデンサ
D オン時比率
L インダクタ、またはそのインダクタンス
I1,I2 平均電流(値)
Iblim ボトム電流設定値
Icp チャージポンプ電流
Id 放電用電流源
L インダクタ電流
Iolim 過電流検出時の平均電流(値)
Iosc 発振用定電流源
Iout 供給電流(出力電流)
Iu 充電用電流源
IV1〜IV4 インバータ回路
Mosc 放電用スイッチ
R1,R2 分割抵抗
R 負荷、またはその負荷抵抗値
S1 メインスイッチ
S2 同期整流スイッチ
Ton-max メインスイッチS1のオン時間の最大値
Tsw 動作周期
Tda,Tdb,Tdc 立ち下がり遅延時間
Textd 延長期間
Vcl クランプ電圧
Vck 第1のクロック信号
Vck1 アンド回路出力
Vckr 第2のクロック信号
Vckr1 第2の遅延出力
Vd 負帰還信号
Vdmax クランプ電圧
Vea 誤差電圧
Vin 入力電源
Vout 出力電圧
Voc 過電流判定信号
Vosc 発振基準電圧
Vref 第1の基準電圧
Vsaw のこぎり波電圧
Vsw スイッチング端子電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源の高電位側に接続されるメインスイッチと、
前記入力電源の低電位側に前記メインスイッチと直列に接続される同期整流スイッチと、
前記メインスイッチと前記同期整流スイッチとの接続点に接続され負荷回路に平滑出力電圧を供給するインダクタおよび平滑容量からなるフィルタ回路と、
前記メインスイッチおよび前記同期整流スイッチをパルス幅変調(PWM)制御によって交互に導通・遮断する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記同期整流スイッチの導通制御時に前記インダクタに流れるインダクタ電流が第1の設定値を上回っている間、前記制御回路におけるパルス幅変調制御に優先して前記メインスイッチの遮断時間を延長する延長回路と、前記メインスイッチの導通時間について所定の上限値(Ton-max)を設定するデューティ比制限回路を有していることを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項2】
前記デューティ比制限回路は、前記メインスイッチの遮断時間の延長期間(Textd)に応じて前記上限値(Ton-max)を変更する電圧制限回路を有し、前記延長期間が第2の設定値(Tdb)より長い場合には、前記上限値(Ton-max)を低下させ、前記延長期間が発生しない場合には、前記上限値(Ton-max)を上昇させることを特徴とする請求項1記載のDC−DCコンバータ。
【請求項3】
前記制御回路は、前記同期整流スイッチでの電圧降下をボトム基準電圧と比較することによって、前記インダクタに流れるインダクタ電流が前記第1の設定値を上回っているかを検出する過電流検出回路を有することを特徴とする請求項1または2に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項4】
前記制御回路は、前記メインスイッチと前記同期整流スイッチを同時に遮断制御するデッドタイムを設定するデッドタイム生成回路を有していることを特徴とする請求項2記載のDC−DCコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−161855(P2010−161855A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1462(P2009−1462)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】