説明

DNAチップ装置、携帯端末装置、及び情報連絡システム

【課題】ハイブリダイゼーションにおける反応の時間的変化に関する情報をデジタル信号として生成できるようにすること。
【解決手段】DNAチップ装置は、検出用DNAを保持するための電極12と、検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに電極12に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路110と、基準電圧に基づいて複数の異なる電位を生成するラダー抵抗群120と、積分回路110から出力されたアナログ電圧信号の電圧値と、ラダー抵抗群120から生成された複数の電位との比較結果をそれぞれ2種類のレベルのいずれかで示す複数の信号を出力するコンパレータ130と、コンパレータ130から出力される複数の信号のレベルによって一意に決まるデジタル信号を出力するエンコーダ回路140とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流検出方式によりDNA情報を判定することが可能なDNAチップ装置、携帯端末装置、及び情報連絡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生物学、医学分野での遺伝子解析等において、特定の配列を有するDNAを検出するためのDNAチップが開発されている。この種のDNAチップにおいては、従来から電気化学的にチップ上でDNAを合成させるものがある。基板上でのDNAの合成方法は、例えば、特許文献1に詳しい。
【0003】
従来のDNA配列のハイブリダイゼーション検出にはスキャナーと呼ばれる装置が用いられる。スキャナーでは、DNAに蛍光物質を付けたプローブの写真を撮影し、その色の状態からハイブリダイゼーションを検出している。
【0004】
しかしながら、蛍光物質を写真撮影する方法では、大規模な装置が必要であり、簡単に検出結果を知ることができない。また、蛍光の内部消光のために一定量以上の蛍光物質をプローブとして導入することは困難である、などの欠点も有している。
【0005】
そこで、近年では、DNAのハイブリダイゼーションの状態を、酵素反応等を利用して電流を計測し、電流値から判断する電流検出方式のDNAチップが注目されている。この種のDNAチップで計測される電流は数nA程度の微小電流である。そのため、電流検出方式のDNAチップでは、積分回路等を用い、ある時間積算した電流値を電圧値に変換して計測し、判断時に再度電圧値を逆変換して得られる電流値からハイブリダイゼーションの状態を判断している。
【0006】
このような電流検出型のDNAチップの中には、特許文献2のように、電流値を電圧値に変換後、得られたアナログの電圧信号をデジタル信号に変換することで、DNAチップ装置からデジタル信号を出力する構成とし、情報処理を行いやすくしたものもある。
【特許文献1】特表2000−514802号公報
【特許文献2】特開2006−78265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献2の技術では、DNAチップ装置から出力されるデジタル信号は、検出された電流値に対応する電圧値が所定の範囲内にあるか否かの情報しか含んでいないため、ハイブリダイゼーションにおける反応の時間的変化に関する詳細な情報を得ることができず、病気の進行度や細菌汚染地帯の汚染度を判定したり、あるいは患者や病原菌・ウイルスへの薬の効果を判定したりすることが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、ハイブリダイゼーションにおける反応の時間的変化に関する情報をデジタル信号として生成することが可能なDNAチップ装置、携帯端末装置、及び情報連絡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るDNAチップ装置は、検出用DNAを保持するための電極と、前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、基準電圧に基づいて複数の異なる電位を生成するラダー抵抗群と、前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値と、前記ラダー抵抗群から生成された複数の電位との比較結果をそれぞれ2種類のレベルのいずれかで示す複数の信号を出力するコンパレータと、前記コンパレータから出力される複数の信号のレベルによって一意に決まるデジタル信号を出力するエンコーダ回路とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るDNAチップ装置は、検出用DNAを保持するための電極と、前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値が、2つのしきい値に挟まれた範囲内にある間、一定レベルのデジタル電圧信号を出力するウインドコンパレータと、前記ウインドコンパレータから前記デジタル電圧信号が出力される時間を計測し、その計測時間によって一意に決まるデジタル信号を出力するカウンタとを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る携帯端末装置は、検出用DNAを保持するための電極と、前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、基準電圧に基づいて複数の異なる電位を生成するラダー抵抗群と、前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値と、前記ラダー抵抗群から生成された複数の電位との比較結果をそれぞれ2種類のレベルのいずれかで示す複数の信号を出力するコンパレータと、前記コンパレータから出力される複数の信号のレベルによって一意に決まるデジタル信号を出力するエンコーダ回路とを備えたDNAチップ装置と、前記DNAチップ装置から出力されるデジタル信号の値に対応付けられている情報を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された情報を表示出力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る携帯端末装置は、検出用DNAを保持するための電極と、前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値が、2つのしきい値に挟まれた範囲内にある間、一定レベルのデジタル電圧信号を出力するウインドコンパレータと、前記ウインドコンパレータから前記デジタル電圧信号が出力される時間を計測し、その計測時間によって一意に決まるデジタル信号を出力するカウンタとを備えたDNAチップ装置と、前記DNAチップ装置から出力されるデジタル信号の値に対応付けられている情報を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された情報を表示出力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る情報連絡システムは、検出用DNAを保持するための電極と、前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、基準電圧に基づいて複数の異なる電位を生成するラダー抵抗群と、前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値と、前記ラダー抵抗群から生成された複数の電位との比較結果をそれぞれ2種類のレベルのいずれかで示す複数の信号を出力するコンパレータと、前記コンパレータから出力される複数の信号のレベルによって一意に決まるデジタル信号を出力するエンコーダ回路とを備えたDNAチップ装置と、前記DNAチップ装置から出力されるデジタル信号の値に対応付けられている情報を決定する手段とを具備し、決定した情報が一定以上の危険を示す情報である場合に当該情報を送信する携帯端末装置と、前記携帯端末装置から送信された情報を受信して当該情報とデータベースとの照合を行い、一致する場合に所定の機関に備えられる装置への連絡を行うサーバ装置とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る情報連絡システムは、検出用DNAを保持するための電極と、前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値が、2つのしきい値に挟まれた範囲内にある間、一定レベルのデジタル電圧信号を出力するウインドコンパレータと、前記ウインドコンパレータから前記デジタル電圧信号が出力される時間を計測し、その計測時間によって一意に決まるデジタル信号を出力するカウンタとを備えたDNAチップ装置と、前記DNAチップ装置から出力されるデジタル信号の値に対応付けられている情報を決定する手段とを具備し、決定した情報が一定以上の危険を示す情報である場合に当該情報を送信する携帯端末装置と、前記携帯端末装置から送信された情報を受信して当該情報とデータベースとの照合を行い、一致する場合に所定の機関に備えられる装置への連絡を行うサーバ装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハイブリダイゼーションにおける反応の時間的変化に関する情報をデジタル信号として生成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
本発明の一実施形態に係る携帯端末装置の外観を図1及び図2に示す。
【0018】
図1及び図2に示される携帯端末装置100は、後述するDNAチップ装置の装着が可能なハンディタイプ(例えば手帳サイズで、重さが200g〜300g程度)のDNA情報検出装置であり、検査対象となるDNAの検査結果などを画面表示させたりすることが可能となっている。この携帯端末装置100は、特定の細菌やウイルス(例えば、炭疽菌やSARSウイルスなど)が検出された場合に、所定のサーバへの連絡を行うための有線及び無線の各通信機能(例えば、電子メール機能)や、警報音を発するアラーム機能なども備えている。
【0019】
上記携帯端末装置100は、表示部101、入力部102、チップ装着部103、メモリカード装着部104、バッテリ105、ACアダプタ端子106、RS−232Cインタフェース107、USBインタフェース108などを備えている。
【0020】
表示部101は、DNAのハイブリダイゼーションにおける反応の進み具合いを示す情報や、特定の病原菌やウイルスの検出結果などの情報を表示するほか、装着されるDNAチップ装置から得られる製造日や使用期限日といった情報を表示したり、バッテリ残量、時刻、温度などの各種の情報を表示したりすることができるLCDである。入力部102は、電源投入や入力操作などを行うためのボタン類である。チップ装着部103は、後述するDNAチップ装置を装着する部分である。メモリカード装着部104は、検査結果などの情報を記憶するためのメモリカードを装着する部分である。バッテリ105は、リチャージャブルな電池である。ACアダプタ端子106は、外部より交流電源を取り込むものである。RS−232Cインタフェース107は、RS−232Cの仕様にしたがって他の機器との間で情報通信を行うためのインタフェースである。USBインタフェース108は、USBの仕様にしたがって他の機器との間で情報通信を行うためのインタフェースである。
【0021】
ここで、チップ装着部103に装着されるDNAチップ装置は、いわゆる電流検出方式でDNA検出を行うタイプのものである。すなわち、被検出用DNA(ターゲットDNA)をチップに滴下し、ハイブリダイゼーションを生じさせ、洗浄を行なうと、被検出用DNAに対して完全に相補的な配列を持つ検出用DNA(プローブDNA)のみが2本鎖を形成し、そこに挿入剤を添加すると、2本鎖を形成しているDNAに挿入剤が結合し、電極に電圧を印加すると、挿入剤が電気化学反応を起こし、電流が流れるという仕組みを利用している。
【0022】
図3は、携帯端末装置100のチップ装着部103に装着されるDNAチップ装置の構成の一例を示す図である。また、図4は、同DNAチップ装置におけるユニットセルの構成の一例を示す図である。なお、実際に使用するDNAチップ装置の構成としては、以下に示すものに限定する必要はなく、電流検出方式に基づくものであれば、他の構成のものを採用してもよい。
【0023】
DNAチップ装置10においては、例えば、図3に示されるように、複数のユニットセル11、入力制御部15及び出力制御部16が基板17上に形成されている。
【0024】
ここで、ユニットセル11は、図4に示されるように、電極12、検出用DNA合成部13、ハイブリッドDNA検出部14とそれらを接続する配線層18を備えている。
【0025】
電極12は表面上にあらかじめ核酸を配置しており、検出用DNA合成部13から電流が入力されると、核酸から検出用DNA(プローブDNA)を合成する。また、合成された検出用DNAと被検出用DNA(ターゲットDNA)のハイブリダイゼーションによるハイブリッドDNAを検出可能とするリガンドと酵素との反応による2次電流をハイブリッドDNA検出部14へ出力する。
【0026】
検出用DNA合成部13は、入力制御部15から電流が入力されると、電極12の上にあらかじめ配置された核酸から検出用DNAを合成する。
【0027】
ハイブリッドDNA検出部14は、電極12からリガンドと酵素との反応による2次電流を検出し、出力制御部16へ出力する。
【0028】
入力制御部15は、複数のユニットセル11のうち選択したユニットセルの検出用DNA合成部13に電流を入力する。
【0029】
出力制御部16は、ユニットセル11のハイブリッドDNA検出部14において検出された2次電流を出力制御するものであり、2次電流の値を、後述するデジタル電圧信号に変換(以下、デジタルデータ化ともいう)して出力する。
【0030】
基板17は、DNAチップ装置10を構成する電気回路の基板であり、各電気回路を配線層18で接続している。
【0031】
配線層18は、基板17上の電気・電子部品間を相互に接続する。
【0032】
次に、以上のように構成されたDNAチップ装置10の動作を図5を用いて説明する。
【0033】
図示しない制御部は、基板17の上の複数のユニットセルのうち検出用DNAを合成させるユニットセル11を選択し、その選択情報を入力制御部15に入力する(S1)。入力制御部15は、選択したユニットセル11の検出用DNA合成部13に電流を入力する(S2)。入力された電流により検出用DNA合成部13は、電極12の上にあらかじめ配置された核酸から検出用DNAを合成する(S3)。このDNA合成の方法については、特許文献1の第45〜47頁に記載の「合成工程」に詳しい。
【0034】
次に、この電極12の上の検出用DNAと、あらかじめ特定の酵素と反応するリガンドに浸しておいた被検出用DNAをハイブリダイゼーションさせる。これを洗浄すると、リガンドによりハイブリットDNAだけが電極12の上に残る。これに酵素を反応させると数nA程度の微小な2次電流が生じる。この2次電流をハイブリッドDNA検出部14で検出し(S4)、出力制御部16に出力する(S5)。出力制御部16では、2次電流の時間的変化に応じたデジタル信号を生成して出力する(S6)。
【0035】
次に、図5中に示される出力制御部16の回路構成の例について説明する。ここでは、2つの例を挙げる。
【0036】
図6は、DNAチップ装置10内の出力制御部16の第1の回路構成例を示す図である。
【0037】
図6の回路構成例では、出力制御部16は、スイッチSW_I、積分回路110、ラダー抵抗群120、コンパレータ130、及びエンコーダ回路140を備えている。
【0038】
前述の電極12は、具体的には、検出用DNAが固定された作用極WE(working electrode)とこの作用極に対向して設けられる補助極CE(counter electrode)とで構成される。
【0039】
スイッチSW_Iは、電極12と積分回路110との間に設けられ、電極12から流れる電流の流入に対してオン/オフの切替を行うものである。なお、図6中には示されていないが、ユニットセル毎に存在する複数の電極の中から1つの電極12を選択するための切替も行えるようになっている。
【0040】
積分回路110は、オペアンプ(差動増幅器)111、コンデンサC、リセット用スイッチSW_Rなどを備え、検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに電極12に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力するものである。即ち、積分回路110は、電流電圧変換を行うものである。
【0041】
ラダー抵抗群120は、基準電圧VRに基づいて複数の異なる電位を生成するものである。例えば、基準電圧VRを5Vとし、生成される複数の電位がそれぞれ4.5V、4.0V、3.5V、3.0V、2.5V、2.0V、1.5V、1.0Vとなるように構成される。
【0042】
コンパレータ130は、複数(n個)のオペアンプ(差動増幅器)131〜13nを備え、積分回路110から出力されたアナログ電圧信号の電圧値と、ラダー抵抗群120から生成された複数の電位との比較結果をそれぞれ2種類のレベル(例えば、ロウレベル「0」とハイレベル「1」)のいずれかで示す複数(n個)の信号を出力するものである。
【0043】
エンコーダ回路140は、コンパレータ130から出力される複数(n個)の信号のレベルによって一意に決まるデジタル信号を出力するものである。例えば、8個のオペアンプ131〜138があり、それぞれのレベルが「1」,「1」,「1」,「0」,「0」,「0」,「0」,「0」であるときには、バイナリビットで表現されるデジタル値として例えば「00000111」を出力する。このエンコーダ回路140は、例えば、クロック信号に同期して一定時間毎に上記デジタル信号を出力する。これにより、電圧波形の変化の経緯を把握することが可能となる。
【0044】
検出動作の開始にあたっては、まず、図示しない制御部により、スイッチSW_Iをオフの状態にすると共に、スイッチSW_Rをオンの状態にしてコンデンサCをリセットする。準備が整った後、スイッチSW_Iをオンの状態にすると共に、スイッチSW_Rをオフの状態にし、クロック信号をエンコーダ140に供給し、検出動作を開始する。
【0045】
被検出用DNAと検出用DNAとのハイブリダイゼーション、洗浄によるハイブリットDNAの生成、及び酵素による反応が生じると、電極12から積分回路110側へと電流が流れる。
【0046】
電極12から流れ出した電流は、積分回路110により電圧に変換され、コンパレータ130内のオペアンプ131〜13nの入力端子(+)へそれぞれ送られる。同時に、これらオペアンプ131〜13nの入力端子(−)には、基準電圧VRを分割した複数の電圧(4.5V、4.0V、3.5V、…)がそれぞれ送られている。オペアンプ131〜13nは、入力した2つの電圧を比較し、入力端子(−)から入力した電圧が、入力端子(+)から入力した電圧よりも大きいときはロウレベル「0」を出力し、一方、小さいときはハイレベル「1」を出力する。
【0047】
電極12から流れ出した電流により、積分回路110内のコンデンサCに電荷が蓄積されると、図7に示されるように、積分回路110の出力電圧は時間の経過とともに徐々に下降していく。このため、最初はオペアンプ131〜13nの出力は全てがロウレベル「0」であるが、時間の経過とともに各オペアンプの出力は順番にロウレベル「0」からハイレベル「1」へと順次切り換わっていく。また、エンコーダ回路140から出力されるデジタル信号の値は、最初は「00000000」(8ビットの場合)であるが、時間の経過とともに右側から順に各ビットの値が0から1へと順次切り換わっていく。
【0048】
こうして得られるデジタル信号の値を用いることにより、時間の経過に対する反応の進み具合いや反応の度合いを把握することが可能となるため、特定の細菌やウイルスを精度良く判定することができ、また、病気の進行度や細菌汚染地帯の汚染度を予測したり、患者や病原菌・ウイルスへの薬の効果を予測したりすることが容易となる。
【0049】
図8は、DNAチップ装置10内の出力制御部16の第2の回路構成例を示す図である。なお、図6と共通する要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図8の回路構成例では、出力制御部16は、スイッチSW_I、積分回路110、ウインドコンパレータ150、及びカウンタ160を備えている。
【0051】
ウインドコンパレータ150は、オペアンプ(差動増幅器)151,152、論理回路153を備え、積分回路110から出力されたアナログ電圧信号の電圧値が、予め設定された2つのしきい値に挟まれた範囲内にある間、一定レベルのデジタル電圧信号を出力するものである。例えば、2つのしきい値電圧Vr_H,Vr_Lと、積分回路110からウインドコンパレータ150に入力される電圧Vinとの関係が、「Vr_L<Vin<Vr_H」となっている間は、例えばハイレベル「1」を出力する。すなわち、このウインドコンパレータ150は、電圧Vinが、しきい値電圧Vr_Hからしきい値電圧Vr_Lに達するまでの時間(積分時間)を示すパルス信号を出力する。
【0052】
カウンタ160は、ウインドコンパレータ150から一定レベルのデジタル電圧信号が出力される時間(積分時間)を計測し、その計測した時間によって一意に決まるデジタル信号を出力するものである。すなわち、ウインドコンパレータ150からの信号入力がハイレベル「1」になった時点からクロック信号に同期してクロックのカウントを開始し、ウインドコンパレータ150からの信号入力がロウレベル「0」になった時点でカウントを終了する。例えば、カウントしたクロック数(カウンタ値)が「5」であるときには、バイナリビットで表現されるデジタル値として例えば「0000101」を出力する。あるいは、クロック数(カウンタ値)から得られる上記積分時間を示すデジタル値を出力するようにしてもよい。また、上記カウンタ160は、例えば、クロック信号に同期して一定時間毎に上記デジタル信号を出力するように構成してもよい。これにより、電圧波形の変化の経緯を把握することが可能となる。
【0053】
検出動作の開始にあたっては、まず、図示しない制御部により、スイッチSW_Iをオフの状態にすると共に、スイッチSW_Rをオンの状態にしてコンデンサCをリセットし、カウンタ160もリセットする。準備が整った後、スイッチSW_Iをオンの状態にすると共に、スイッチSW_Rをオフの状態にし、クロック信号をカウンタ160に供給し、検出動作を開始する。
【0054】
電極12において、被検出用DNAと検出用DNAとのハイブリダイゼーション、洗浄によるハイブリットDNAの生成、及び酵素による反応が生じると、電極12から積分回路110側へと電流が流れる。
【0055】
電極12から流れ出した電流は、積分回路110により電圧に変換され、ウインドコンパレータ150内のオペアンプ151の入力端子(−)及びオペアンプ152の入力端子(+)へそれぞれ送られる。同時に、オペアンプ151の入力端子(+)には4.0Vのしきい値電圧Vr_Hが送られており、オペアンプ152の入力端子(−)には、1.5Vのしきい値電圧Vr_Lが送られている。オペアンプ151,152は、入力した2つの電圧を比較し、入力端子(−)から入力した電圧が、入力端子(+)から入力した電圧よりも大きいときはロウレベル「0」を出力し、一方、小さいときはハイレベル「1」を出力する。論理回路153は、オペアンプ151からの信号入力がハイレベル「1」で且つオペアンプ152からの信号入力がハイレベル「1」であるときにのみ、ハイレベル「1」を出力し、それ以外のときにはロウレベル「0」を出力する。
【0056】
電極12から流れ出した電流により、積分回路110内のコンデンサCに電荷が蓄積されると、図9に示されるように、積分回路110の出力電圧は時間の経過とともに徐々に下降していく。このため、最初はウインドコンパレータ150の出力はロウレベル「0」であるが、ウインドコンパレータ150に入力される電圧が4.0Vのしきい値電圧Vr_Hを下回った時点でウインドコンパレータ150の出力はハイレベル「1」となり、ウインドコンパレータ150に入力される電圧が1.5Vのしきい値電圧Vr_Lを下回った時点でウインドコンパレータ150の出力はロウレベル「0」となる。
【0057】
カウンタ160は、ウインドコンパレータ150からの信号入力がハイレベル「1」になった時点でカウントを開始し、ウインドコンパレータ150からの信号入力がロウレベル「0」になった時点でカウントを終了する。カウントしたクロック数(カウンタ値)が例えば「5」であるときには、デジタル値として例えば「0000101」を出力する。あるいは、クロック数(カウンタ値)から得られる上記積分時間を示すデジタル値を出力する。
【0058】
なお、出力されたデジタル値より得られる積分時間:T、積分回路110におけるコンデンサの容量:C、ウインドコンパレータ150におけるしきい値電圧の差:Vに基づき、周知の計算式:CV=ITを利用することにより、電極12より流れる電流Iを算出することも可能である。
【0059】
こうして得られるデジタル信号の値を用いることにより、任意の2点のしきい値電圧間の電圧波形の変化の度合い(傾き)、すなわち反応速度を把握することが可能となり、その後の反応の変化も予測できるため、特定の細菌やウイルスを精度良く判定することができ、また、病気の進行度や細菌汚染地帯の汚染度を予測したり、患者や病原菌・ウイルスへの薬の効果を予測したりすることが容易となる。
【0060】
図10は、携帯端末装置100内で生成されるデジタル値と表示部101に表示される検査結果との対応関係を示すテーブル情報を示す図である。
【0061】
図10に示されるテーブル情報は、携帯端末装置100内の所定の記憶媒体に記憶されており、図示しない判定部もしくは制御部が表示部101に検査結果を表示させる際に使用する。
【0062】
図10中の「デジタル出力」に示されるデジタル値は、表示部101に表示すべき「検査結果」の内容を特定するための値であり、バイナリビットで表現される。図10の例では、病原菌が検出された可能性が最も低いことを示す「0000」から、病原菌が検出された可能性が最も高いことを示す「1111」までが、16段階に分けて表現されている。なお、図10の例では、4桁のデジタル値が示されているが、桁数はこれに限定されるものではない。例えば8桁で表現するようにしてもよい。なお、図10の例では、検査結果が上から危険度の高い順に並べられているが、場合によっては、検査結果が上から危険度の低い順となるように並べておく必要がある。
【0063】
例えば、図6の回路構成例によれば、図7の概念図からわかるように、電圧が低ければ低いほど、病原菌が検出された可能性が高くなる傾向がある。デジタル値が例えば「0000001」のときは病原菌が検出された可能性は低く、デジタル値が例えば「1111111」のときは病原菌が検出された可能性が最も高い。このような場合は、図10の例のように、検査結果が上から危険度の高い順に並べられていて問題はない。
【0064】
一方、図8の回路構成例によれば、図9の概念図からわかるように、カウンタ値が小さければ小さいほど、反応が速いことを示し、病原菌が検出された可能性が高くなる傾向がある。カウンタ値が例えば「15」のとき(即ち、デジタル値が例えば「0001111」のとき)は病原菌が検出された可能性はそれほど高くなく、カウンタ値が「1」のとき(即ち、デジタル値が例えば「0000001」のとき)は病原菌が検出された可能性は最も高い。このような場合は、図10の例に示される検査結果が上から危険度の低い順となるように並べておく。
【0065】
また、検査結果は、図10の例に示されるものに限定されるものではない。例えば、具体的な病原体名(炭疽菌、SARSウイルスなど)に対応した複数段階の検査結果を示す情報がセルユニット毎に用意されていてもよいし、病原体名ではなくて特定の遺伝子や個体に該当する可能性を複数段階で示す情報がセルユニット毎に用意されていてもよい。
【0066】
図11は、携帯端末装置100内のDNAチップ装置10及び周辺の各種要素を含む構成を示すブロック図である。
【0067】
携帯端末装置100は、前述したDNAチップ装置10を着脱可能に搭載し、また、選択部20、取出部30、設定部40、判定部50、出力部60および制御部70を備えている。DNAチップ装置10には、既に説明した複数のユニットセル11、入力制御部15および出力制御部16が備えられる。
【0068】
選択部20は、前述の入力部102を通じて入力されるユーザの選択指示に従って、複数のユニットセルの中から指定されたユニットセル11を選択するものである。
【0069】
取出部30は、ユーザから提供される試料から被検出用DNAを取り出すものである。
【0070】
設定部40は、前述の入力部102を通じて入力されるユーザの選択指示に従って、前述の出力制御部16に備えられるウインドコンパレータ150における2つのしきい値電圧(Vr_H,Vr_L)の値の設定を行うものである。
【0071】
判定部50は、出力制御部16から出力されるデジタル値に基づき、例えば図10に示した情報テーブルを参照して該当する検査結果を判定するものである。
【0072】
出力部60は、前述の表示部101やスピーカ、もしくは所定のサーバへの連絡を行う通信機能に相当するものであり、設定部40により設定された設定情報や判定部50により判定された検査結果を表示出力したり、予め指定された特定の検査結果が得られた場合に警告音やメッセージなどを音声出力したり、もしくは当該検査結果を所定のサーバへ送信出力したりするものである。
【0073】
制御部70は、携帯端末装置100全体を制御し、DNAチップ装置10内のユニットセル11を選択する処理や、出力制御部16内へクロック信号やカウンタリセット信号を供給する処理、出力制御部16内のスイッチ類をオン・オフする処理、判定部50に表示部101へ出力すべき検査結果を決定させる処理などの制御を行うものである。
【0074】
前述の判定部50は、図12に示されるように、データ溜込回路51と最終判定回路52とを備えている。
【0075】
データ溜込回路51は、制御部70から供給されるクロック信号に同期して、一定時間ごとに、DNAチップ装置10から得られる個々のデジタル値を履歴として溜め込むものである。このデータ溜込回路51は必ずしも必要とされる回路ではなく、省略することも可能である。最終判定回路52は、データ溜込回路51に溜め込まれた個々のデジタル値、もしくはDNAチップ装置10から直接得られるデジタル値に基づき、例えば図10の参照テーブルを参照して、最終的に表示部101に表示すべき検査結果を決定するものである。また、上記最終判定回路52は、データ溜込回路51に溜め込まれた個々のデジタル値に基づいて電圧波形の変化の経緯を示すグラフ等を検査結果として生成したり、当該電圧波形の変化のパターンと予め用意されている複数種のパターンとの照合を行うことによって病原体名や個体などを特定する検査結果を生成したりすることもできる。こうして得られる検査結果は、病気の進行度や細菌汚染地帯の汚染度を判定したり、患者や病原菌・ウイルスへの薬の効果を判定したりする上での有効なデータとなる。
【0076】
次に、図13のフローチャートを参照して、携帯端末装置100の動作の一例を説明する。
【0077】
携帯端末装置100には、予め検出用DNAが固定されたDNAチップ装置10が装着されているものとする。
【0078】
検出動作の開始にあたっては、制御部70がDNAチップ装置10内のスイッチ類の初期設定やユニットセル11の選択などの設定処理を行い、クロック信号をDNAチップ装置10内の回路に供給し、検出動作を開始する(ステップS11)。
【0079】
DNAチップ装置10内の検出用DNA(プローブDNA)に対し、被検出用DNA(ターゲットDNA)が滴下され(ステップS12)、被検出用DNAと検出用DNAとのハイブリダイゼーションにより反応が生じると(ステップS13)、電極12から積分回路110側へと電流が流れる。
【0080】
電極12から流れ出した電流は、積分回路110により電圧に変換され(ステップS14)、コンパレータ130及びエンコーダ回路140(図6)を経由して、もしくはウインドコンパレータ150及びカウンタ160(図8)を経由して、DNAチップ装置10からデジタル信号が出力される(ステップS15)。
【0081】
そして、判定部50(図11)が、DNAチップ装置10から出力されたデジタル信号に基づき、該当する検査結果が決定し、その検査結果を表示部101に表示出力したり、あるいは外部へ通知したりする(ステップS16)。
【0082】
このように本実施形態の携帯端末装置100によれば、ハイブリダイゼーションにおける反応の時間的変化に関する詳細な情報を得ることができるため、病気の進行度や細菌汚染地帯の汚染度を判定したり、あるいは患者や病原菌・ウイルスへの薬の効果を判定したりすることが容易となる。
【0083】
図14は、携帯端末装置100を用いて危険な病原菌などが検出された場合の情報連絡を行うための情報連絡システムの構成の一例を示す図である。
【0084】
この情報連絡システムは、検査担当者が携帯する携帯端末装置100やパーソナルコンピュータ(PC)200のほかに、データベース(DB)を備えたサーバ310およびパーソナルコンピュータ(PC)320が設けられた緊急保安機関300や、緊急連絡を受ける省庁400、報道各局500、研究機関600を含む。
【0085】
携帯端末装置100は、例えば現地にて特定の病原菌を検出した場合に、前述の通信機能により、その検出結果に対応するデジタル値を含むデータをネットワークN経由で緊急保安機関300へ送信するか、もしくはパーソナルコンピュータ(PC)200を介してネットワークN経由で緊急保安機関300へ送信する。
【0086】
サーバ310は、携帯端末装置100から送信されたデータを受信した場合に、データベース(DB)に登録されているデジタル値との照合を行うものである。パーソナルコンピュータ(PC)320は、サーバ310に対して各種の処理を要求することができる。緊急保安機関300は、サーバ310での照合の結果から、特定の病原菌が検出されたことの確証が得られた場合、関係する各省庁400へその旨を連絡する。
【0087】
省庁400は、サーバ310から特定の病原菌が検出された旨を連絡を受けた場合に、報道各局500や研究機関600へ必要な連絡を行う。報道各局500は、緊急保安機関300から連絡を受けた場合に、その情報公開を行う。研究機関600は、緊急保安機関300から連絡を受けた場合に、その対処方法を検討する。
【0088】
次に、図15のフローチャートを参照して、情報連絡システムの動作の一例を説明する。
【0089】
ここでは、検査担当者が検査要請を受けて、検出装置である携帯端末装置100を現地に持って行き、検査対象である検査用DNAを検査する場合を想定している。
【0090】
携帯端末装置100においては、検査対象のサンプルを採取し(ステップS21)、DNAチップ装置10にて検査を行い(ステップS22)、特定の病原菌が確認された(もしくは、一定以上の危険レベルが検出された)か否かを調べる(ステップS23)。
【0091】
特定の病原菌が確認されなければ(ステップS23の「異常なし」)、安全が確認され、処理を終了する。一方、特定の病原菌が確認された場合には(ステップS23の「異常あり」)、携帯端末装置100は、その検出結果に対応するデジタル値を含むデータを緊急保安機関300へ転送する(ステップS24)。
【0092】
サーバ310は、携帯端末装置100から転送されたデータに含まれるデジタル値とデータベース(DB)に登録されている情報との照合を行う(ステップS25)。
【0093】
サーバ310での照合結果から、特定の病原菌が確認されなければ(ステップS25の「異常なし」)、安全が確認され、処理を終了する。一方、特定の病原菌が確認された場合には(ステップS25の「異常あり」)、緊急保安機関300は、関係する各省庁400へその旨を連絡する(ステップS26)。
【0094】
省庁400は、サーバ310から特定の病原菌が検出された旨を連絡を受けると、報道各局500や研究機関600へ必要な連絡を行う(ステップS27)。
【0095】
これにより、報道各局500はその情報公開を行い、研究機関600はその対処方法を検討する。
【0096】
このように本実施形態の情報連絡システムによれば、携帯端末装置100及び緊急保安機関300を通じて特定の病原菌が検出されたことの確証が得られた場合には、その旨が関係する各省庁を介して報道各局500や研究機関に連絡されるので、検出された病原菌による被害の拡大を防ぐことができる。また、事故や災害現場での疾病の早期発見、病原体の個体識別のみならず、医療現場での活用も期待でき、利用範囲は広い。
【0097】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯端末装置100の外観を示す斜視図。
【図2】携帯端末装置100の外観を別の方向から示す斜視図。
【図3】携帯端末装置100のチップ装着部103に装着されるDNAチップ装置10の構成の一例を示す図。
【図4】DNAチップ装置10におけるユニットセル11の構成の一例を示す図。
【図5】DNAチップ装置10の構成と動作を説明するための図。
【図6】DNAチップ装置10内の出力制御部16の第1の回路構成例を示す図。
【図7】第1の回路構成例から得られるデジタル値を説明するための図。
【図8】DNAチップ装置10内の出力制御部16の第2の回路構成例を示す図。
【図9】第2の回路構成例から得られるデジタル値を説明するための図。
【図10】携帯端末装置100内で生成されるデジタル値と表示部101に表示される検査結果との対応関係を示すテーブル情報を示す図。
【図11】携帯端末装置100内のDNAチップ装置10及び周辺の各種要素を含む構成を示すブロック図。
【図12】データ溜込回路51と最終判定回路52とを備えた判定部50の一例を示す図。
【図13】携帯端末装置100の動作の一例を示すフローチャート。
【図14】携帯端末装置100を用いて危険な病原菌などが検出された場合の情報連絡を行うための情報連絡システムの構成の一例を示す図。
【図15】情報連絡システムの動作の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0099】
10…DNAチップ装置、11…ユニットセル、12…電極、13…検出用DNA合成部、14…ハイブリッドDNA検出部、15…入力制御部、16…出力制御部、17…基板、18…配線層、20…選択部、30…取出部、40…設定部、50…判定部、60…出力部、70…制御部、101…表示部、102…入力部、103…チップ装着部、104…メモリカード装着部、105…バッテリ、106…ACアダプタ端子、107…RS−232Cインタフェース、108…USBインタフェース、110…積分回路、120…ラダー抵抗群、130…コンパレータ、140…エンコーダ回路、150…ウインドコンパレータ、160…カウンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出用DNAを保持するための電極と、
前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、
基準電圧に基づいて複数の異なる電位を生成するラダー抵抗群と、
前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値と、前記ラダー抵抗群から生成された複数の電位との比較結果をそれぞれ2種類のレベルのいずれかで示す複数の信号を出力するコンパレータと、
前記コンパレータから出力される複数の信号のレベルによって一意に決まるデジタル信号を出力するエンコーダ回路と
を備えたことを特徴とするDNAチップ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のDNAチップ装置において、
前記エンコーダ回路は、クロック信号に同期して一定時間毎に前記デジタル信号を出力することを特徴とするDNAチップ装置。
【請求項3】
検出用DNAを保持するための電極と、
前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、
前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値が、2つのしきい値に挟まれた範囲内にある間、一定レベルのデジタル電圧信号を出力するウインドコンパレータと、
前記ウインドコンパレータから前記デジタル電圧信号が出力される時間を計測し、その計測時間によって一意に決まるデジタル信号を出力するカウンタと
を備えたことを特徴とするDNAチップ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のDNAチップ装置において、
前記カウンタは、所定のクロック信号に同期して一定時間毎に前記デジタル信号を出力するすることを特徴とするDNAチップ装置。
【請求項5】
検出用DNAを保持するための電極と、前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、基準電圧に基づいて複数の異なる電位を生成するラダー抵抗群と、前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値と、前記ラダー抵抗群から生成された複数の電位との比較結果をそれぞれ2種類のレベルのいずれかで示す複数の信号を出力するコンパレータと、前記コンパレータから出力される複数の信号のレベルによって一意に決まるデジタル信号を出力するエンコーダ回路とを備えたDNAチップ装置と、
前記DNAチップ装置から出力されるデジタル信号の値に対応付けられている情報を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された情報を表示出力する出力手段と
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
検出用DNAを保持するための電極と、前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値が、2つのしきい値に挟まれた範囲内にある間、一定レベルのデジタル電圧信号を出力するウインドコンパレータと、前記ウインドコンパレータから前記デジタル電圧信号が出力される時間を計測し、その計測時間によって一意に決まるデジタル信号を出力するカウンタとを備えたDNAチップ装置と、
前記DNAチップ装置から出力されるデジタル信号の値に対応付けられている情報を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された情報を表示出力する出力手段と
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
検出用DNAを保持するための電極と、前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、基準電圧に基づいて複数の異なる電位を生成するラダー抵抗群と、前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値と、前記ラダー抵抗群から生成された複数の電位との比較結果をそれぞれ2種類のレベルのいずれかで示す複数の信号を出力するコンパレータと、前記コンパレータから出力される複数の信号のレベルによって一意に決まるデジタル信号を出力するエンコーダ回路とを備えたDNAチップ装置と、前記DNAチップ装置から出力されるデジタル信号の値に対応付けられている情報を決定する手段とを具備し、決定した情報が一定以上の危険を示す情報である場合に当該情報を送信する携帯端末装置と、
前記携帯端末装置から送信された情報を受信して当該情報とデータベースとの照合を行い、一致する場合に所定の機関に備えられる装置への連絡を行うサーバ装置と
を備えたことを特徴とする情報連絡システム。
【請求項8】
検出用DNAを保持するための電極と、前記検出用DNAと被検出用DNAとによるハイブリダイゼーションが生じるときに前記電極に流れる電流を一定時間積分して電圧に変換し、得られたアナログ電圧信号を出力する積分回路と、前記積分回路から出力されたアナログ電圧信号の電圧値が、2つのしきい値に挟まれた範囲内にある間、一定レベルのデジタル電圧信号を出力するウインドコンパレータと、前記ウインドコンパレータから前記デジタル電圧信号が出力される時間を計測し、その計測時間によって一意に決まるデジタル信号を出力するカウンタとを備えたDNAチップ装置と、前記DNAチップ装置から出力されるデジタル信号の値に対応付けられている情報を決定する手段とを具備し、決定した情報が一定以上の危険を示す情報である場合に当該情報を送信する携帯端末装置と、
前記携帯端末装置から送信された情報を受信して当該情報とデータベースとの照合を行い、一致する場合に所定の機関に備えられる装置への連絡を行うサーバ装置と
を備えたことを特徴とする情報連絡システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−168508(P2009−168508A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4533(P2008−4533)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】