説明

EA材

【課題】取付部の補強体が抜けにくいEA材を提供する。
【解決手段】EA材20は、それぞれ硬質ウレタンフォームなどの発泡樹脂よりなる盤状の本体部21と、該本体部21の側面から張り出す取付部22とを有する。この取付部22内に埋設ピース30が埋設されている。この埋設ピース30の補強体34,35は、取付部22から本体部21内にまで延在している。補強体34,35に開口36,37が設けられている。補強体34,35に凸部34a,34b,35a,35bが設けられている。補強体34,35は先端側ほど互いに接近するようにフランジ部32,33から延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EA材(衝撃エネルギー吸収材)に係り、特に自動車のトリム等に適用するのに好適なEA材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドアトリムには、側面衝突(側突)時の衝撃エネルギー吸収(Energy Absorption:EA)のために、硬質ウレタンフォームよりなるEA材を取り付けている。このドアトリムに対し、硬質ウレタンフォーム製EA材を取り付ける方法として、特開2005−207524号には、第14図に示す構造が記載されている。第14図は同号公報の図7に記載されたEA材の取付構造を示す断面図である。
【0003】
この従来例では、硬質ウレタンフォームよりなるEA材1は、本体部1bと、該本体部1bの側面から突設された取付部としての張出部1aとを有する。この張出部1aにクリップ2が一体に設けられている。このクリップ2は、筒部3と、該筒部3の両端に設けられたフランジ部4とを有する。このEA材1をトリム5に取り付けるには、トリム5から突設された円柱状の突起6が該クリップ2の筒部3に内挿されるようにしてEA材1をトリム5に重ね合わせる。この突起6は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂よりなる。次いで、突起6の先端に溶着治具(図示略)を押し当て、突起6の先端を略円盤状に拡径させてフランジ状押え部6aを形成する。これにより、EA材1がトリム5に固定される。
【0004】
張出部1aの代わりに取付プレートを設けたEA材が特開2006−22898号に記載されている。
【0005】
第15図(a)は同号公報の図1に示されるEA材の斜視図であり、第15図(b)は第15図(a)のB−B線断面図である。
【0006】
硬質ウレタンフォーム等よりなるEA材本体12の側面から取付部として3枚の取付プレート13が突出するように設けられている。この取付プレート13は、EA材本体12の発泡成形時に金型に取り付けておくことにより、EA材本体12と一体化される。取付プレート13は、ウレタン樹脂、ナイロン、フェルトプレス、鉄などよりなる。各取付プレート13の先端側には開口14が板厚み方向に貫設されている。
【0007】
このEA材11も前記第14図と同様にしてトリムに取り付けられる、即ち、このEA材1をトリム5に取り付けるには、第14図と同様に、トリムから突設された円柱状の突起が該開口14に内挿されるようにしてEA材本体12の後面をトリムに重ね合わせる。次いで、突起の先端に溶着治具(図示略)を押し当て、突起の先端を略円盤状に拡径させてフランジ状押え部を形成する。これにより、EA材11がトリムに固定される。
【特許文献1】特開2005−207524
【特許文献2】特開2006−22898
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記第14図のEA材にあっては、張出部1aの付け根付近に応力が集中し易い。
【0009】
上記第15図のEA材にあっては、取付プレート13が抜け易い。
【0010】
なお、このような従来技術の短所を克服するために、第14図のクリップ2のフランジ3,4から本体部1b内にまで延出片を突設し、この延出片同士をリブで連結することが考えられているが、このリブはEA材の圧縮変形量を小さくするように作用する。
【0011】
本発明は、このような問題点を解決し、取付部の補強体が抜けにくく、また衝撃エネルギーの吸収量を増大させることも可能なEA材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明(請求項1)のEA材は、一体に成形された樹脂発泡体よりなる本体部及び該本体部の側面から突出する取付部を有するEA材であって、該取付部に取付孔が貫通しており、該取付孔の内周面の少なくとも一部を構成するように筒体が該取付部に設置されているEA材において、該筒体に連なり、前記本体部内にまで延在した複数の補強体が設けられており、各補強体は、少なくとも一部が互いに離隔していることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2のEA材は、請求項1において、各補強体の互いに離隔した部分同士の間隔は3〜100mmであることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3のEA材は、請求項1又は2において、各補強体は、全体が互いに離隔していることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4のEA材は、請求項1又は2において、各補強体は、各々の前記筒体と反対側の端部同士が接しているか又は連なっていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5のEA材は、請求項1ないし4のいずれか1項において、補強体の外面に、該補強体の前記本体部からの抜け出しを阻止する抜け止め形状が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項6のEA材は、請求項5において、該抜け止め形状は、補強体の外面から該補強体の前記延在方向と略直交方向か又はそれよりも前記筒体に接近する方向へ突出した凸部を有することを特徴とするものである。
【0018】
請求項7のEA材は、請求項5又は6において、該抜け止め形状は、補強体の外面から該補強体の前記延在方向と略直交方向か又はそれよりも前記筒体から離反する方向へ凹陥した凹部を有することを特徴とするものである。
【0019】
請求項8のEA材は、請求項1ないし7のいずれか1項において、各補強体は、少なくとも一部が互いに非平行方向に延在していることを特徴とするものである。
【0020】
請求項9のEA材は、請求項8において、各補強体は、少なくとも一部が前記筒体から離隔するほど互いに離反するように延在していることを特徴とするものである。
【0021】
請求項10のEA材は、請求項8において、各補強体は、少なくとも一部が、前記筒体から離隔するほど互いに接近するように延在していることを特徴とするものである。
【0022】
請求項11のEA材は、請求項1ないし10のいずれか1項において、前記筒体は、その筒軸心線方向の両端側にそれぞれフランジ部が設けられており、前記補強体は該フランジ部に連なっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明(請求項1)のEA材にあっては、取付部内に設けられた補強体が本体部内にまで延在しているので、取付部の付け根付近の強度が高い。このEA材は、補強体が取付部に埋設されるように設けられるため、補強体が本体部から抜けにくく、且つ成形も容易である。
【0024】
本発明では、複数の補強体が共通の取付部内から本体部内にまで延在している。これにより、取付部内から本体部内に1枚の補強体のみが埋設された場合に比べて取付部の付け根付近の強度が高い。また、これらの補強体は、共通の筒体に連なっており、これらが一体的にウレタンフォームと結合しているので、各補強体が単独で本体部内に埋設された場合に比べて補強体が本体部内から抜けにくい。
【0025】
本発明では、補強体同士は、少なくとも各々の一部が互いに離隔している。即ち、少なくともこの離隔した部分においては、補強体同士の間にリブが存在しない。このため、EA材に人体などが衝突してEA材が押し潰されるときに、補強体同士は両者の間の樹脂発泡体を押し潰すようにして接近移動し易く、EA材が十分に潰れるようになる。これにより、衝撃エネルギーの吸収量が増大する。
【0026】
請求項2の通り、各補強体の互いに離隔した部分同士の間隔を3〜100mmとすることにより、上記の衝撃エネルギー吸収量が十分に高くなる。
【0027】
本発明では、請求項3の通り、各補強体は、全体が互いに離隔していることが好ましい。このように構成することにより、EA材が押し潰されるときに、補強体同士が全体的に接近移動するため、上記の衝撃エネルギー吸収量が高くなる。
【0028】
本発明では、請求項4の通り、各補強体は、各々の筒体と反対側の端部同士が接しているか又は連なっていてもよい。このように構成することにより、補強体の本体部からの抜け止め効果が向上する。
【0029】
請求項5のように、補強体の外面に、該補強体の本体部からの抜け出しを阻止する抜け止め形状を設けることにより、補強体が本体部から抜けにくくなる。
【0030】
この抜け止め形状は、本体部の外面から該補強体の延在方向と略直交方向か又はそれよりも筒体に接近する方向へ突出した凸部(請求項6)や、補強体の外面から該補強体の延在方向と略直交方向か又はそれよりも筒体から離反する方向へ凹陥した凹部(請求項7)により容易に形成することができる。
【0031】
請求項8のように、各補強体の少なくとも一部を互いに非平行方向へ延在させることによっても、補強体を本体部から抜けにくくすることができる。
【0032】
この場合、補強体同士は、請求項9のように、筒体から離隔するほど互いに離反するように延在していてもよく、請求項10のように、筒体から離隔するほど互いに接近するように延在していてもよい。
【0033】
なお、請求項10のように、補強体同士が筒体から離隔するほど互いに接近するように構成すると、補強体と樹脂発泡体表面との距離が大きくなり、両者の一体性が向上する。
【0034】
請求項11の通り、筒体にフランジ部を設けてもよい。この場合、補強体がフランジ部に連なるようにするのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、第1図〜第4図を参照して実施の形態について説明する。
【0036】
第1図は実施の形態に係るEA材の厚み方向の断面図、第2図は、このEA材の埋設ピースの斜視図、第3図は埋設ピースの平面図、第4図は第3図のIV−IV線断面図である。
【0037】
第1図に示すEA材20は、それぞれ硬質ウレタンフォームなどの発泡樹脂よりなる盤状の本体部21と、該本体部21の側面から張り出す取付部22とを有する。取付部22には、このEA材20をトリム等に取り付けるための取付孔23が設けられている。この取付部22内に埋設ピース30が埋設されている。
【0038】
この埋設ピース30は、取付孔23の内周面を構成する筒体31と、筒体31の筒軸方向両端に設けられたフランジ部32,33と、フランジ部32,33に連なる補強体34,35とを有する。各補強体34,35は、好ましくは厚さが0.1〜5mm程度である。補強体34,35は、それぞれ取付部22から本体部21内にまで延在している。
【0039】
この実施の形態では、該補強体34,35同士は、各々の筒体31側の末端(以下、基端という。)から本体部21側の末端(以下、先端という。)まで全体が互いに離隔している。
【0040】
各補強体34,35は、筒体31から離隔するほど相互に接近するようにフランジ部32,33に対し若干屈曲するように連なっている。フランジ部32,33と補強体34,35との交差角度aは0〜45°程度が好適である。補強体34,35の先端同士の間隔bは、ウレタンフォームと補強体34,35との一体性を高めるために、3mm以上であることが好ましい。ただし、補強体34,35の先端同士の間隔bは3mm以下であってもよく、該補強体34,35の先端同士が接していてもよい。一般的に、トリムに取り付けられるEA材の厚みは100mm程度なので、補強体34,35の先端同士の間隔は100mm以下であることが好ましい。また、フランジ部32,33の間隔cは100mm以下特に5〜20mm程度が好ましい。
【0041】
この実施の形態では、補強体34,35は、板状のものであり、各々の板面を対面させるように設けられている。各補強体34,35には開口36,37が設けられている。この実施の形態では、開口36,37は、補強体34,35の延在方向に延在した長孔となっている。また、この実施の形態では、抜け止め形状として補強体34,35の外縁から凸部34a,35aが突設されると共に、補強体34,35の内縁から凸部34b,35bが突設されている。各凸部34a,34b,35a,35bは、補強体34,35の長手辺に沿って複数個設けられている。
【0042】
フランジ部32,33には、開口36,37に臨む箇所に凹部32a,33aが設けられている。
【0043】
このEA材20は、埋設ピース30を金型(図示略)にセットしておき、キャビティ内にてウレタン原液を発泡させることにより成形される。この場合、補強体34,35の全体が金型内に配置され、補強体34,35を被包するようにウレタンの発泡成形が行われる。
【0044】
このように構成されたEA材20は、前記第14図と同様にしてトリム等に取り付けられる。即ち、トリム(第1図では図示略)から突設された円柱状の突起が該取付孔23に内挿されるようにしてEA材20をトリムに重ね合わせる。この突起は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂よりなる。次いで、突起の先端に溶着治具(図示略)を押し当て、突起の先端を略円盤状に拡径させてフランジ状押え部を形成する。これにより、EA材20がトリムに固定される。ただし、スタッドボルト等によってEA材20をトリムに取り付けることも可能である。
【0045】
このEA材20にあっては、補強体34,35が取付部22から本体部21内にまで連続して延在しているので、取付部22の付け根付近(基端側)に応力が集中しても、該付け根付近に亀裂や断裂等は生じない。なお、補強体34,35のうち本体部21内に配置された部分の長さL(第1図)は、該補強体34,35の全長の○○〜○○%程度とされることが望ましい。
【0046】
このEA材20にあっては、2枚の補強体34,35が共通の取付部22内から本体部21内にまで延在している。これにより、取付部22内から本体部21内に1枚の補強体のみが埋設された場合に比べて取付部22の付け根付近の強度が高い。また、これらの補強体34,35は、共通の筒体31に連なっており、これらが一体的にウレタンフォームと結合しているので、各補強体が単独で本体部21内に埋設された場合に比べて補強体34,35が本体部21内から抜けにくい。
【0047】
この実施の形態では、補強体34,35の基端側には開口36,37が設けられている。この開口36,37を設けたことにより、補強体34,35よりも上側のウレタンフォームと下側のウレタンフォームとが開口36,37を介して一体化する。これにより、補強体34,35とウレタンフォームとの一体性が向上し、ウレタンフォームからの抜け出しが防止される。
【0048】
この実施の形態では、補強体34,35は筒体31を介してのみ連なっており、筒体31以外の箇所では補強体34,35間にはウレタンフォームのみが存在する。そのため、人体等がEA材20に衝突したときに、補強体34,35同士が接近するように補強体34,35間のウレタンフォームもスムーズに圧縮変形する。この結果、衝撃エネルギーの吸収量が多い。
【0049】
この実施の形態では、各補強体34,35は互いに非平行方向に延在しているので、補強体34,35に本体部21からの抜け出し方向に力が加えられた場合には、少なくとも一方の補強体34又は35は必ずこの抜け出し方向と交差方向に延在している。これにより、補強体34,35が本体部21から抜け出しにくいものとなっている。
【0050】
また、この実施の形態では、該補強体34,35は、筒体31から離隔するほど相互に接近しているので、補強体34,35がウレタンフォームの内部の深い位置に配置されることになり、ウレタンフォームの被り厚さが大きい。従って、補強体34,35とウレタンフォームとの一体性が高い。
【0051】
この実施の形態では、補強体34,35に抜け止め形状として凸部34a,35aを設けているので、補強体34,35とウレタンフォームとの一体性が高い。
【0052】
なお、フランジ部32,33の凹部32a,33aは、埋設ピース30の回り止めの機能を有する。
【0053】
また、この実施の形態では、補強体34,35は、開口36,37の外周囲を取り巻く略U字形の細幅プレート状となっており、剛性が低い。そのため、EA材20が圧縮変形するときにそれに追随して容易に変形する。なお、この実施の形態のように開口36,37をフランジ部32,33の直近まで設けることにより、フランジ部32,33の裏側にもウレタンが回り込み易いものとなる。
【0054】
[補強体の別の構成]
第5〜13図を参照して補強体の別の構成例について説明する。第5〜10図はそれぞれ別の構成例に係る補強体を備えた埋設ピース30A〜30Fの斜視図、第11図は第10図のXI−XI線に沿う縦断面図、第12,13図はさらに別の構成例に係る埋設ピース30G,30Hの縦断面図である。
【0055】
第5図の埋設ピース30Aにおいては、筒体31の両端のフランジ部32,33にそれぞれ錨形の補強体40,41が連なっている。
【0056】
即ち、この実施の形態では、補強体40,41は、それぞれ、フランジ部32,33から放射方向、即ち取付部22内から本体部21内へ向う方向(第5〜13図では取付部22及び本体部21は図示略)へ一直線状に延在した細幅帯状の補強体本体40a,41aと、各補強体本体40a,41aの先端部からそれぞれ側方へ突出した抜け止め形状としての凸部40b,41bとを有している。この実施の形態では、各補強体本体40a,41aの先端部から互いに反対方向へ1対の凸部40b,40b及び41b,41bが突出している。各凸部40b,41bは、補強体本体40a,41aの延在方向と略直交方向であって且つ筒体31の筒軸方向と略直交方向となる方向へ突出している。この実施の形態では、各凸部40b,41bは、それぞれ、先端側ほど筒体31側となるように湾曲しており、且つ該先端側が尖った鉤状のものとなっている。
【0057】
この埋設ピース30Aのその他の構成は第1〜4図の埋設ピース30と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0058】
この実施の形態では、補強体40,41は錨形となっており、補強体本体40a,41aの先端部から両側に突出した鉤状の凸部40b,40b及び41b,41bが本体部21の内部に食い込んでいるため、補強体40,41の抜け止め効果が高い。
【0059】
上記の各実施の形態では、埋設ピース30,30Aにそれぞれ2個の補強体34,35又は40,41が設けられているが、本発明においては、補強体が3個以上設けられてもよい。
【0060】
第6図の埋設ピース30Bにおいては、計4個の補強体40A,40B,41A,41Bが設けられている。これらの補強体40A,40B,41A,41Bは、それぞれ、第5図の埋設ピース30Aの補強体40,41と同様の錨形となっている。補強体40A,40Bは、それぞれ、補強体本体40aの基端がフランジ部32に連なり、補強体41A,41Bは、それぞれ、補強体本体41aの基端がフランジ部33に連なっている。補強体40A,40B同士及び41A,41B同士は、それぞれ、フランジ部32,33の周方向に間隔をおいて配置されている。また、これらの補強体本体40A,40B同士及び41A,41B同士は、各々の補強体本体40a,41aが互いに略平行方向に延在している。
【0061】
この実施の形態では、隣り合う補強体40A,40B同士及び41A,41B同士の間で凸部40b,40b同士及び41b,41b同士が重ならないように、一方の補強体40A,41Aの補強体本体40a,41aの長さを他方の補強体40B,41Bの補強体本体40a,41aよりも短くしている。
【0062】
この埋設ピース30Bのその他の構成は、第5図の埋設ピース30Aと同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0063】
このように補強体の数を増やすことにより、取付部22の付け根付近の強度を高めることができると共に、補強体の本体部21からの抜け止め効果も高めることができる。
【0064】
第7図の埋設ピース30Cにおいては、第1〜4図の埋設ピース30と同様、開口36,37の外周囲を取り巻く略U字形の細幅プレート状の補強体34,35が設けられている。この実施の形態では、抜け止め形状として、該補強体34,35の延在方向の途中部に略円盤状の膨出部42が設けられている。
【0065】
膨出部42は、補強体34,35のうち取付部22内から本体部21内へ向って延在する各直線状延在部34c,35cに沿ってそれぞれ間隔をおいて複数個(この実施の形態では3個ずつ。ただし、膨出部42の個数はこれに限定されない。)設けられている。各膨出部42は、その軸心線方向を各直線状延在部34c,35cの延在方向と同方向として配置されている。各膨出部42は、直径が各直線状延在部34a,35aの幅及び厚さよりも大きなものとなっており、各膨出部42が各直線状延在部34c,35cの外周囲から全周にわたって放射状に張り出している。
【0066】
なお、膨出部42は円盤形状に限定されるものではなく、その他の形状、例えば三角形や四角形等の多角形状であってもよい。
【0067】
この埋設ピース30Cのその他の構成は、第1〜4図の埋設ピース30と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0068】
この埋設ピース30Cにあっては、膨出部42が補強体34,35の各直線状延在部34c,35cの外周囲から全周にわたって張り出しているので、各直線状延在部34c,35cの幅方向にのみ凸部が張り出したものに比べて補強体34,35の本体部21からの抜け止め効果が高い。
【0069】
上記の各実施の形態では、フランジ部32に連なる補強体とフランジ部33に連なる補強体とは、全体が互いに離隔したものとなっているが、本発明においては、これらの補強体が部分的に接しているか又は連なっていてもよい。
【0070】
第8図の埋設ピース30Dにおいては、フランジ部32に2個の補強体43A,43Bが連なっていると共に、フランジ部33にも2個の補強体44A,44Bが連なっている。補強体43A,43B同士及び44A,44B同士は、それぞれフランジ部32,33の周方向に間隔をおいて配置されている。また、これらの補強体43A,43B,44A,44Bは、互いに略平行方向に延在している。
【0071】
この実施の形態では、筒部31の軸心線方向に対向する補強体43A,44Aの先端部同士並びに補強体43B,44Bの先端部同士がそれぞれ連結片45によって連結されている。この実施の形態では、該連結片45は薄膜状のものとなっている。この連結片45は、各補強体43A,44B,44A,44Bと一体に形成されている。この連結片45の厚みは0.05〜0.5mm特に○○〜○○mmであることが好ましい。
【0072】
この埋設ピース30Dのその他の構成は、第1〜4図の埋設ピース30と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0073】
この埋設ピース30Dにあっては、補強体43A,44Aの先端部同士並びに補強体43B,44Bの先端部同士がそれぞれ連結片45によって連結されている。そのため、補強体43A,43B,44A,44Bに本体部21からの抜け出し方向に力が加えられても、これらの補強体43A,44A同士の間並びに補強体43B,44B同士の間のウレタンフォームによって連結片45の該抜け出し方向への移動が阻止されるので、補強体43A,43B,44A,44Bの本体部21からの抜け止め効果が高い。
【0074】
第9図の埋設ピース30Eは、第1〜4図の埋設ピース30から抜け止め形状としての凸部34a,34b,35a,35bを省略したものである。
【0075】
この埋設ピース30Eのその他の構成は第1〜4図の埋設ピース30と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0076】
この埋設ピース30Eにあっては、凸部34a,34b,35a,35bによる抜け止め効果以外は、第1〜4図の埋設ピース30と同様の作用効果が奏される。
【0077】
第10,11図の埋設ピース30Fにおいては、一方の補強体34の先端側が他方の補強体35の開口37内に入り込んでいる。
【0078】
なお、この埋設ピース30Fにおいても、抜け止め形状としての凸部34a,34b,35a,35bは省略されている。
【0079】
この埋設ピース30Fのその他の構成は第1〜4図の埋設ピース30と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0080】
この埋設ピース30Fにあっては、補強体34の先端側が補強体35の開口37内に入り込んでいるので、補強体34,35同士の間のウレタンフォームが該補強体34,35の先端部同士の間を通って該補強体34,35同士の間から抜け出しにくい。そのため、補強体34,35に本体部21からの抜け出し方向に力が加えられても、該補強体34,35同士の間のウレタンフォームによってこれらの該抜け出し方向への移動が阻止されるので、補強体34,35の本体部21からの抜け止め効果が高い。
【0081】
また、このように一方の補強体34を他方の補強体35の開口37に入り込ませることにより、本体部21の厚みに比して補強体34,35の厚みが大きい場合でも、補強体34,35を本体部21の内部の深い位置に配置することができる。
【0082】
前述の第1〜4図の埋設ピース30においては、補強体34,35の先端部同士が離隔しているが、本発明においては、第12図の埋設ピース30Gのように、補強体34,35の先端部同士が接していてもよい。
【0083】
この埋設ピース30Fのその他の構成は第1〜4図の埋設ピース30と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0084】
このように補強体34,35の先端部同士が接していることにより、補強体34,35同士の間のウレタンフォームが該補強体34,35の先端部同士の間を通って該補強体34,35同士の間から抜け出しにくいため、補強体34,35に本体部21からの抜け出し方向に力が加えられても、該補強体34,35同士の間のウレタンフォームによってこれらの該抜け出し方向への移動が阻止されるので、補強体34,35の本体部21からの抜け止め効果が高い。
【0085】
上記の第1〜4図の実施の形態では、補強体34,35は、筒体31から離隔するほど互いに接近するように延在しているが、本発明においては、第13図の埋設ピース30Hのように、補強体34,35は、筒体31から離隔するほど互いに離反するように延在していてもよい。
【0086】
この埋設ピース30Hのその他の構成は第1〜4図の埋設ピース30と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
【0087】
このように補強体34,35を筒体31から離隔するほど互いに離反するように延在させた場合にも、補強体34,35に本体部21からの抜け出し方向に力が加えられたときに、少なくとも一方の補強体34又は35は必ずこの抜け出し方向と交差方向に延在しているので、補強体34,35が本体部21から抜け出しにくい。
【0088】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。例えば、補強体34,35は細幅板状である代わりに紐状などの線状とされてもよい。
【0089】
上記実施の形態では、補強体34,35は全体として互いに接近する構成又は互いに離反する構成となっているが、補強体34,35の延在方向の先端側は略平行となっていてもよい。
【0090】
上記実施の形態では、補強体34,35に抜け止め形状として凸部34a,34b,35a,35bを設けているが、凹部を設けてもよい。凸部や凹部は、補強体の内周縁及び外周縁の一方にのみ設けられてもよい。補強体34,35の開口36,37を省略してもよい。
【0091】
本発明のEA材は、ウレタン以外の樹脂にて成形されてもよい。本発明のEA材は、トリム以外の部材に取り付けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】実施の形態に係るEA材の厚み方向の断面図である。
【図2】埋設ピースの斜視図である。
【図3】埋設ピースの平面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】補強体の別の構成例を示す斜視図である。
【図6】補強体の別の構成例を示す斜視図である。
【図7】補強体の別の構成例を示す斜視図である。
【図8】補強体の別の構成例を示す斜視図である。
【図9】補強体の別の構成例を示す斜視図である。
【図10】補強体の別の構成例を示す斜視図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】補強体の別の構成例を示す断面図である。
【図13】補強体の別の構成例を示す断面図である。
【図14】従来例を示す断面図である。
【図15】(a)は別の従来例を示す斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1,20 EA材
21,31 本体部
22,32 取付部
23 取付孔
30,30A〜30H 埋設ピース
31 筒体
32,33 フランジ部
34,35,40,40A,40B,41,41A,41B,43A,43B,44A,44B 補強体
34a,34b,35a,35b,40b,41b 凸部
36,37 開口
42 膨出部
45 連結片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体に成形された樹脂発泡体よりなる本体部及び該本体部の側面から突出する取付部を有するEA材であって、
該取付部に取付孔が貫通しており、
該取付孔の内周面の少なくとも一部を構成するように筒体が該取付部に設置されているEA材において、
該筒体に連なり、前記本体部内にまで延在した複数の補強体が設けられており、
各補強体は、少なくとも一部が互いに離隔していることを特徴とするEA材。
【請求項2】
請求項1において、各補強体の互いに離隔した部分同士の間隔は3〜100mmであることを特徴とするEA材。
【請求項3】
請求項1又は2において、各補強体は、全体が互いに離隔していることを特徴とするEA材。
【請求項4】
請求項1又は2において、各補強体は、各々の前記筒体と反対側の端部同士が接しているか又は連なっていることを特徴とするEA材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、補強体の外面に、該補強体の前記本体部からの抜け出しを阻止する抜け止め形状が設けられていることを特徴とするEA材。
【請求項6】
請求項5において、該抜け止め形状は、補強体の外面から該補強体の前記延在方向と略直交方向か又はそれよりも前記筒体に接近する方向へ突出した凸部を有することを特徴とするEA材。
【請求項7】
請求項5又は6において、該抜け止め形状は、補強体の外面から該補強体の前記延在方向と略直交方向か又はそれよりも前記筒体から離反する方向へ凹陥した凹部を有することを特徴とするEA材。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、各補強体は、少なくとも一部が互いに非平行方向に延在していることを特徴とするEA材。
【請求項9】
請求項8において、各補強体は、少なくとも一部が前記筒体から離隔するほど互いに離反するように延在していることを特徴とするEA材。
【請求項10】
請求項8において、各補強体は、少なくとも一部が、前記筒体から離隔するほど互いに接近するように延在していることを特徴とするEA材。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項において、前記筒体は、その筒軸心線方向の両端側にそれぞれフランジ部が設けられており、前記補強体は該フランジ部に連なっていることを特徴とするEA材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−14252(P2010−14252A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177008(P2008−177008)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】