説明

EGRベンチュリディーゼル噴射

【課題】排出ガス再循環(EGR)ベンチュリディーゼル噴射のための優れたシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】第1及び第2ガス流れを混合するための装置は、例えば排出ガスを伴った流入流れがディーゼルエンジン内に戻るように流れる。空気導管は、混合を達成するために、第1流れのための入り口と第2流れのための入り口とを備えている。バルブ本体は、ベンチュリ効果の変化および吸気の変化を達成するために、第2流れのための入り口において空気導管の長手方向に変位される。1つ以上の燃料噴射器は燃料を空気導管内に噴射して第1ガス流れおよび第2ガス流れと燃料を予備混合し、予備混合は燃焼のためにエンジンへと流れる前に実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この教示は全体的に内燃エンジンにおける排出ガス再循環に関し、より具体的には、ディーゼル燃料噴射の排出ガス再循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既知のとおり、内燃エンジンは燃焼シリンダ内への燃料の導入によって作動する。エネルギは、燃料の急速な燃焼のために、膨張ガスの形式によって解放され、それはピストンに作用し、燃料の化学的エネルギを機械的エネルギへと変換する。ピストンはクランクシャフトに接続されており、ピストンの直線的な上下運動は、自動車のホイールを回転するために必要とされる回転運動へと変換される。急速な燃焼を生成するために、燃料は、空気が圧縮される前もしくは後のいずれかにおいて吸入空気と混合され、次いで燃焼を生じるために点火される。この燃焼が生じた後、残存した排出ガスはシリンダの外部に強制的に排出され、それに続いて周囲環境に放出されるか、または、最近では、エンジン内に処理および/もしくは再循環され、これは排出ガス再循環(EGR)として知られている。
【0003】
例えば、ディーゼルのターボチャージの際、それに限定されるものではないが、大部分の場合における排出ガスの圧力は吸入空気よりも低く、したがって、排出ガスは、排出ガスの十分な供給に到達するために実行される手段無しに十分な再循環を行うことが可能ではない。そのような手段は、例えばベンチュリ、排出絞り、または吸入絞りによって解決されてもよい。
【0004】
流入流れ内にベンチュリを配置することによって、排気チャネル側と空気吸入口の入り口チャネル側との間の有利な圧力差がベンチュリ内において局所的に達成され、ターボの上流から除去された排出ガスはエンジンの入り口パイプ内に供給されることが可能となる。燃焼温度の低下の結果として、NOxレベルの低下が得られる。しかしながら、従来のベンチュリによる解決策は、たとえば高い圧力損失を通じたエンジン出力の減少、それに伴う燃料消費の増大と煙の増大の形式の不利益に関係していた。
【0005】
全体が参照されることによって本願に含められた特許文献1(Berggren他)は、EGRシステムを設けることによる先行技術に関連した問題を未然に防ぎ、そのシステムにはEGR入口近傍のラインの長手方向に変位されて配置された流線型の本体を含んでいる。本体はベンチュリ効果の変化を達成することを可能にし、吸入効果および混合した流れの混合を変化させる。そのシステムは、ライン内において本体を前方および後方に変位させるためのアクチュエータを含んでいる。
【0006】
次いで、吸入空気およびEGRはエンジンに流れる。燃料は慣習的にディーゼルエンジンのシリンダ内に直接噴射され、その結果、不均一な充填となり、炎を拡散させ、噴射された燃料の量はそこで出力を制御するために測定される。しかしながら、シリンダ内への燃料の直接噴射は、燃焼のための燃料/空気の混合を最適化することを可能としない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,036,529号明細書
【特許文献2】米国特許第7,721,530号明細書
【特許文献3】米国特許第6,886,545号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、排出ガス再循環(EGR)ベンチュリディーゼル噴射のための優れたシステムおよび方法を備えることが有益である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで説明する必要性ならびにさらなるおよび他の必要性ならびに利点は、いかに記載する解決策および利点を示した本実施形態によって述べられている。
【0010】
本実施形態のシステムは、限定されるものではないが、第1ガス流れのための吸入口を備え、この吸入口を通じて空気がエンジンへと流れる空気導管であって、狭窄部を備えた空気導管を含んでいる。バルブ本体はベンチュリ効果の変化および吸気の変化を達成するために、空気導管の長手方向に変位されるように組み込まれている。1つ以上の燃料噴射器は、空気導管内に燃料を噴射するために、バルブ本体にもしくはそれよりも上流に配置されている。このようにして、空気導管内に噴射された燃料はガス流れと混合して混合気流れを生成し、当該混合は混合気が燃焼のためにエンジンへと流れる前に実行される。
【0011】
本実施形態の方法は、限定されるものではないが、狭窄部を備えた空気導管を通じて第1ガス流れをエンジンに供給するステップと、可変のベンチュリ効果を達成し、これによって可変の吸気を達成するために、バルブ本体を空気導管内の長手方向に配置するステップと、燃料を空気導管内のバルブ本体にもしくはそれよりも上流に噴射するステップと、を含んでいる。空気導管内に噴射された燃料はガス流れと混合して混合気流れを生成し、当該混合は前記混合気が燃焼のためにエンジンへと流れる前に実行される。
【0012】
システムおよび方法の他の実施形態は以下に詳細に記載されており、それらもこの教示の一部である。
【0013】
本実施形態の良好な理解のために、その他のおよびさらなる態様とともに、添付図を参照して詳細が記載されており、その範囲は添付の請求項に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この教示による、エンジンの流入空気を制御するためのシステムの一実施形態を示した概略図である。
【図2】一実施形態中のセンサのための圧力変換器を使用した、図1のシステムを示した概略図である。
【図3A】図1のシステムを使用した流入空気の絞りおよび遮断を示した側方部分断面図である。
【図3B】図1のシステムを使用した流入空気の絞りおよび遮断を示した側方部分断面図である。
【図3C】図1のシステムを使用した流入空気の絞りおよび遮断を示した側方部分断面図である。
【図4】再循環排出ガスのための供給部を使用していない、図3Bの空気導管を示した部分断面図である。
【図5】流入空気内への燃料噴射器の実施形態を示した側方部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この教示は、添付図を参照するとともにこれ以降より完全に記載されており、添付図には本実施形態が示されている。これ以降の記載は説明に役立つ提案のみを示したものであり、この教示はこれらの実施形態に限定されるべきではない。
【0016】
この教示によるエンジン吸気制御システム10の一実施形態の基本構成が、図1に示されている。明細書内に使用された「上部」、「底部」、「上」、「下」、「上に」、「下に」、「真上に」、「真下に」、「上部」、「下部」、「上向き」、「下向き」、「上側」、「下側」、「前部」、「後部」、「後方」、「前向き」、および「後ろ向き」の用語は、図内に示された方向において参照された目的物を参照しており、この教示の目的を達成するために必要なものではない。
【0017】
この教示は、ディーゼルおよびガソリンエンジンを含んだ、しかし、それらに限定されるものではないが、内燃エンジンのためのEGR(排出ガス再循環)内への燃料の噴射を含んでいる。一般的に、可変ベンチュリはエンジンの上流に配置され、外部空気吸気口のための主吸気口、およびエンジン排出口からの再循環排出ガスを導入するための別の吸気口を含んでいる。ベンチュリの傾斜した構造は、排出ガスをライン内に「圧送」することに寄与し、バルブ本体は、排出ガスが吸入された空気と混合される範囲を制御するために使用されてもよい。
【0018】
一般的に、ディーゼル燃料がディーゼルエンジンのシリンダ内に直接噴射される。しかしながら、シリンダ内への直接の燃料噴射は、燃焼のための良好な燃料/空気混合を可能としていない。より完璧な混合がEGRシステム内に燃料噴射器を設けることによって達成され、シリンダに到達する前に、ディーゼル燃料を空気と予備混合する。このことはシリンダ内への直接の燃料噴射の必要性を排除し、優れた燃料/空気混合を提供して、シリンダ内に噴射される燃料の量を減少し、シリンダ内により素早く燃料が噴射されることを可能にして、燃料噴射システムより簡素にすることを可能にしている。さらに、システムは燃料消費および汚染を減少することを補助する。
【0019】
図1を参照すると、この教示による、吸入空気流を制御するためのシステムの一実施形態の概略図が図示されている。システム10はエンジン22に空気を供給する空気導管20を含んでいる。空気は導管20を通じて流れるので、空気は空気を圧縮する1つ以上のコンプレッサ(例えば、スーパーチャージャ、ターボチャージャ等:図示略)を通じて、もしくは通じることなく流れ、続いて吸気マニホールド28(矢印Aによって指示)を介してエンジン22のシリンダ26内に導入される。
【0020】
シリンダ26内において、燃料は噴射され、燃焼のために空気と混合される。燃焼のための燃料リッチの空気を点火した後、排出ガスがシリンダ26から放出され、排気マニホールド32((矢印Bによって指示)を介して排出ガス導管30に導かれる。排出ガスは排出ガス導管30を通じて流れるので、排出ガスは前述のコンプレッサ/ターボチャージャを通じて流れてその内部のタービンを回転するか、もしくは通じることなく流れ、その回転はコンプレッサを回転させ、これによって空気導管20を通じた流入空気流れを圧縮する。
【0021】
一般的に、すべてのガスが排気ガスマニホールド32を介して排出されるものではない。これは、エンジン22がシリンダ26内のガスの圧縮および膨張を介して圧縮および燃焼ストロークを発生して、その内部のピストンを移動させ、この工程の間にいくらかのガスはピストンリングを通ってクランクケース内に漏れるためである。したがって、ある場合には、これらのクランクケースのガスを処理するための機器も排出ガスシステム内に組み込まれており、それはHolmの特許文献2に記載されたようなものであり、その全体は参照することによって本願に組み込まれている。
【0022】
排出ガスは排出ガス導管30を通じて排出ガス後処理デバイス40へと続いてもよく、そこでは、排出ガスは大気中に排出される前にフィルタを通され、および/またはシステムを通じて再循環するために吸気導管20に戻されてもよい。排出ガス後処理デバイス40は、例えばディーゼル微粒子フィルタまたは壁面流微粒子フィルタのような微粒子フィルタを具備していてもよく、それらは酸化および/または還元触媒ならびに微粒子フィルタを含んでいる。
【0023】
EGRシステムが再循環される前に排出ガスをろ過する場合、これは「低圧」または「長経路」システムとして知られている。「高圧」または「短経路」EGRシステムにおいて、再循環のための排出ガスは排気マニホールドから、これらの排出ガスがタービンもしくは後処理システムに導入される前に、直接吸気口内に戻るように進められる。
【0024】
少なくとも1つのセンサ42が後処理デバイス40内に配置され、その内部の温度および/または圧力降下を反映するパラメータを測定してもよい。ある実施形態において、温度センサ42が後処理デバイス40の内部の温度を測定するために使用されてもよい。しかしながら、他の実施形態においては、少なくとも1つのセンサが他のパラメータを直接測定し、そこから温度が導き出されるか、または予測されてもよい。例えば、図2に示されたように、センサは圧力降下を測定するための圧力変換器48を具備していてもよい。
【0025】
センサ42は、センサ42と通信状態にあるプロセッサ44に伝達するセンサ信号を発生することができる。次いで、プロセッサ44は、センサ42から受信したセンサ信号の少なくとも一部に基づいた制御信号を発生し、この制御信号をアクチュエータ50に伝達し、アクチュエータ50は空気導管20内のバルブ本体52を作動させる。このことは以下にさらに詳細に記載されている。
【0026】
プロセッサ44はデジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、またはそれらの両方のハイブリッドプロセッサを具備することが可能であり、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア等に統合されてもよい。プロセッサ44の精密な構成は、プロセッサ44がここに議論された動作を実行することが可能である限り、重要ではないことが理解される。単一の通信リンクがセンサ42およびアクチュエータ50のために設けられ、2つの別々の通信リンクが(たとえば1つはセンサをプロセッサに接続するため、およびもう1つはアクチュエータをプロセッサ44に接続するために)設けられてもよく、または複数の通信リンクが設けられてもよい。ある環境において、通信リンクを制御領域ネットワーク(CAN)バスとして、またはCANバスの一部として構成することが望まれる。
【0027】
プロセッサ44は制御信号を発生するための任意の多数の手段、を使用することが可能であり、例えば数式もしくはアルゴリズムを使用した図示された方式(しかし限定されない)、または参照テーブルのようなものを採用したものである。ある場合において、プロセッサ44をあるタイプのメモリ46とともに設け、数式、アルゴリズム、テーブル等がその内部に蓄積されえるようにすることが望まれる。プロセッサ44は、後処理デバイスの正確な動作のために適切な設定された特定の温度よりも高いまたは低い温度差の少なくとも一部に基づいて制御信号を発生することができ、したがって、メモリ46内に温度の数値を格納することが望まれてもよい。ある場合において、この温度は固定値であり、一方で別の場合においては、動作状態に依存して変動してもよく、数式、アルゴリズム、もしくは参照テーブルからの検索に基づいて計算されてもよい。
【0028】
図3A〜3Cを参照すると、図1のシステムを利用した吸入空気流を絞りおよび遮断するための実施形態の側面を図示した部分断面図が示されている。バルブ本体52は空気導管20内に配置され、その内部にホルダ54によって保持され、その内部において長手方向に移動可能とされている。空気導管20は、導管20の流れの方向に減少した断面積を有する狭窄部60を備えていてもよい。結果的に、狭窄部60はテーパ状とされており、空気導管20の最小径を示した小さい喉部62を形成している。図3Aに示されたように、バルブ本体52は、通過する空気流を絞るために、この狭窄部60内に配置されることが可能な第1端部64を備えていてもよい。
【0029】
ある有利な実施形態において、供給部70は再循環された排出ガスを空気導管20内に導入するために採用されてもよく、バルブ本体52は流入空気と再循環された排出ガスとの混合を制御するために使用されてもよい。これはBerggen他の特許文献1に開示されており、その全体は参照されることによって本願に組み込まれている。したがって、参照の範囲に対して空気導管を通じたここに空気または空気流が形成され、これは外部吸入空気、再循環された排出ガス、および/またはそれら両方の混合気を含むことを意味していると理解されるべきである。
【0030】
現行システムにおけるEGRシステムの1つの利点は、冷間始動の際に、SCR(選択触媒還元)システムを作動することなく(NOx)排出レベルに応じるために、通常値を超えてEGR比率を増大させるために絞りが使用されることが可能なことであり、これらの非常に高いEGR比率は燃焼温度も増大し、燃焼状態を改善して、多大な排出熱エネルギがEGR冷却器を介して冷却システムに伝達されるため、エンジン暖機を早めることにある。
【0031】
(図1および2に示された)少なくとも1つのセンサ42は温度を監視するために採用されることができ、温度があるしきい値の温度よりも低く下降した場合に、プロセッサ44が適切な信号をバルブ本体52のピストンを制御するアクチュエータ50に伝達するようにしてもよい。多様な機器がバルブ本体52を保持し且つ作動するために採用されてもよいことが記されておくべきであり、それらはBerggren他の特許文献1に開示されたようなものである。
【0032】
図3Bに示されたように、アクチュエータ50が制御信号を受信したとき、アクチュエータはバルブ本体52を下流に移動させ、バルブ本体52の端部64は狭窄部60を通じて移動し、これによって空気流が絞られる範囲を変化させる。その結果として、より少ない空気がエンジン22内に流れ、次いで、より小さい質量が燃焼によって生成された熱を吸収するために、より少量の排出ガスは高温となる。
【0033】
測定されたもしくは予測された温度は制御信号を発生するために使用された制御変数のみを含んでいてもよく、または制御信号を発生するために使用された複数の制御変数の1つのみを含んでいてもよい。たとえば、システムは少なくとも1つの追加のセンサを含み、このセンサは多様な追加のパラメータを感知してセンサ信号を発生し、そのような追加のパラメータを示したセンサ信号をプロセッサ44に伝達してもよい。これらのことはHolmの特許文献3に開示されており、その全体は参照することによって本願に組み込まれている。
【0034】
バルブ本体52は第2端部66を備えている。ある有利な実施形態において、バルブ本体は流線型本体とされており、この第2端部66は全体的に卵形形状とされているが、しかしながら、バルブ本体はベンチュリを変化するために任意の適切な形状とされ得る。図3Cに示されたように、バルブ本体は、喉部62の最小径と少なくとも同じ大きさ(ある場合においてはそれよりも大きい)最大径68を備えている。したがって、バルブ本体は十分に離れた下流の位置へと移動することが可能であり、そこで空気導管20の断面領域が完全に閉鎖される。ある実施形態において、このことは、プロセッサ44(または離れたプロセッサ)によって受信された緊急遮断信号に対応し得る。このように空気の供給を制限することによって、エンジン遮断の工程はより素早く且つ少ない騒音となり得る。
【0035】
図3A〜3Cに示された絞り機構は、供給部70を採用したアセンブリを参照するとともに図示されており、供給部は再循環排出ガスを空気導管20の狭窄部60のベンチュリ効果を利用して導入するものであるが、前述したエンジンの吸入空気流の絞りは供給部70を省いても同様に達成されることが可能である。図4を参照すると、排出ガスを再循環するための供給部を使用していない、図3Bの空気導管の部分断面図がしめされている。以下にさらに議論されているように、燃料噴射部80はシリンダに到達する前に燃料を空気と混合するために使用されてもよい。
【0036】
図5を参照すると、吸入空気流内への燃料噴射の実施形態を図示した部分断面図が示されている。例えばディーゼルエンジンは、それに限定されないが、伝統的にシリンダ内において燃料と空気とを混合し、結果的に不均一な充填および炎の拡散が発生し、噴射された燃料の量が出力を制御するために測定されなければならない。この教示による一実施形態において、1つ以上の燃料噴射部80が、(たとえば伝統的な直噴等を介して)燃焼のためにシリンダ内に燃料を導入する前に、吸入空気およびEGRと燃料とを予備混合するために使用されてもよい。したがって、シリンダ内に入る混合気は、限定されるものではないが、空気、EGR、および好適に燃焼できない量の燃料を含んでいる。
【0037】
ベンチュリは、EGRと空気との混合を制御するために、燃料噴射器とともに使用されてもよい。すでに議論されたように、バルブ本体52はエンジン内への空気流を制御するために使用されてもよい。ここで、空気の流速は非常に高く、エンジンに到達する前に燃料を空気流と予備混合する機会が提供されている。燃料噴射は1つ以上のセンサ40によって監視および制御されるが、それに限定されない。予備混合された燃料に伴う1つの問題は、(空気のみが圧縮された後に燃料が噴射される従来のディーゼルエンジンと比較して)燃料がエンジンの圧縮の際に燃焼しやすいことである。ガスを圧縮したとき、温度は上昇し、燃料が存在しているために、均一な充填は自動点火を起こし、(例えばノッキング等の)非制御燃焼に帰結して、エンジンを損傷する。したがって、空気導管20内において、燃焼が容易とならない段階に燃料を予備混合することが望まれる。次いで、混合気がシリンダ26内に入り、圧縮が開始されたとき、少量の追加の燃料が(例えば伝統的な直噴等によって)導入され、燃焼しやすい混合気に到達してもよい。シリンダに到達する前の燃料の予備混合は燃料消費を改良する。なぜならば、未燃焼燃料の残存が少なく、シリンダ内への追加の燃料の直接噴射は、少量の燃料であるため、より良好な混合となるためである。
【0038】
燃料が空気導管20に沿った任意の位置において空気流内に噴射されることは有用なことであるが、この教示はここに記載された特定の実施形態に限定されるものではない。しかしながら、バルブ本体52によって形成された混合ゾーン82内に燃料を導入することは好ましいことである。供給部70はバルブ本体52にまたはその上流に配置された空気導管20に隣接した吸入口を備えていてもよい。したがって、燃料はバルブ本体52にまたはその上流に導入されてもよい。ここで、吸入空気と(供給部70を通じて流入した)EGRとの混合は、一部において高い気流の速度であるために、燃料との効果的な混合を確実にする。暖められたEGRは正確な燃料の蒸発も提供することができる。
【0039】
一実施形態において、限定されるものではないが、燃料は1つ以上の燃料噴射部80によって導入されてもよい。図5においてバルブ本体52の上下の燃料噴射部80によって示されたように、1つ以上の燃料噴射部80が空気導管20に隣接し且つそこから伸びていてもよい。このように、燃料を空気と正確に混合することを確実にするために、燃料は導管に沿った好適な位置において空気の流れに導入されることが可能である。吸入空気およびEGR空気の混合によって形成された混合ゾーン82内に導入された場合、高い気流の速度とEGRの熱とは燃料を蒸発させ混合することを補助する。
【0040】
別の実施形態において、1つ以上の燃料噴射部80の少なくとも1つは、バルブ本体52から伸びていてもよい。この実施形態において、燃料はホルダ54を通じて入るが、それに限定されるものではなく、バルブ本体52の配置のために空気の流速が上昇する混合ゾーン82の中間において分散されてもよい。バルブ本体52内の小さいオリフィスを介した燃料噴射部は、シリンダに到達する前に空気、EGR、および燃料の適当な混合を提供する。1つまたは複数の燃料噴射部80を含む燃料噴射部80が空気導管20の長さに沿ったあらゆる位置に配置されてもよいことは有用であるが、この教示はここに記載された例示的な実施形態に限定されるものではない。
【0041】
この教示は特定の実施形態に関して記載されたが、一方でそれらは開示された実施形態に限定されるものではないことが理解される。多数の変更および他の実施形態がこれに付随して当業者によって想到され、意図され、それらは開示および添付の請求項の両方にカバーされている。この教示の範囲は添付された請求項並びに法的な均等の正確な解釈および構成によって確定されるべきであることを意図しており、この明細書および添付図内の開示を信頼した当業者によって理解されるものである。
【符号の説明】
【0042】
10 ・・・システム、 20 ・・・空気導管、 22 ・・・エンジン、 26 ・・・シリンダ、 28 ・・・吸気マニホールド、 30 ・・・排出ガス導管、 32 ・・・排気マニホールド、 40 ・・・排出ガス後処理デバイス、 42 ・・・センサ、 44 ・・・プロセッサ、 46 ・・・メモリ、 48 ・・・圧力変換器、 50 ・・・アクチュエータ、 52 ・・・バルブ本体、 54 ・・・ホルダ、 60 ・・・狭窄部、 62 ・・・喉部、 70 ・・・供給部、 80 ・・・燃料噴射部、 82 ・・・混合ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備混合ガス流れおよび燃料のための機器であって、該機器は、
第1ガス流れのための吸入口を備え、該吸入口を通じて空気がエンジンへと流れる空気導管であって、狭窄部を備えた空気導管と、
可変のベンチュリ効果および可変の吸気化を達成するために、前記空気導管の長手方向に変位されるように組み込まれたバルブ本体と、
前記空気導管内に燃料を噴射するための1つ以上の燃料噴射器であって、前記バルブ本体にもしくはそれよりも上流に配置された1つ以上の燃料噴射器と、を具備し、
前記空気導管内に噴射された燃料は前記ガス流れと混合して混合気流れを生成し、当該混合は前記混合気が燃焼のためにエンジンへと流れる前に実行されることを特徴とする機器。
【請求項2】
前記燃料はディーゼル燃料であることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記1つ以上の燃料噴射器の少なくとも1つは、前記空気導管に隣接していることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記1つ以上の燃料噴射器の少なくとも1つは、前記バルブ本体に隣接していることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記混合気は前記空気導管内では燃焼し難いことを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項6】
1つ以上のシリンダをさらに具備し、前記混合気は前記1つ以上のシリンダ内に流れ、追加の燃料が前記混合気の燃焼のために前記1つ以上のシリンダ内に噴射されることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項7】
第2ガス流れを前記空気導管内に導入するための、前記空気導管に隣接した吸入口を備えた供給部をさらに具備し、
前記吸入口は前記バルブ本体にもしくはそれよりも上流にあり、前記第1および第2ガス流れは前記燃料と混合されて混合気を生成することを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項8】
前記第1ガス流れと第2ガス流れとは、流入流れと排出ガス再循環流れとを含んでいることを特徴とする請求項7に記載の機器。
【請求項9】
混合ソーンが前記第1ガス流れと第2ガス流れとの混合によって形成されることを特徴とする請求項7に記載の機器。
【請求項10】
前記燃料は前記混合ゾーン内に噴射されることを特徴とする請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記バルブ本体は、前記吸入口において前記供給部の長手軸に直交した面を貫通していることを特徴とする請求項7に記載の機器。
【請求項12】
前記空気導管内において前記バルブ本体を前方および後方に変位させるアクチュエータをさらに具備し、
前記バルブ本体と供給部とはそれらの間でベンチュリを形成することを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項13】
前記空気導管の狭窄部はテーパ状となっていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記空気導管の狭窄部内に位置することが可能な前記バルブ本体の端部は、テーパ状となっていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記バルブ本体は前記テーパ状の端部の上流に第2端部を備えており、該第2端部は卵形であることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記空気導管の狭窄部は最小径を有し、
前記バルブ本体は最大径を有し、
前記バルブ本体の最大径は前記空気導管の最小径と少なくとも同じ大きさであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記バルブ本体は、前記狭窄部の断面領域が完全に閉塞される範囲まで、前記空気導管の狭窄部を通じて移動可能であることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
予備混合ガス流れおよび燃料のための機器であって、該機器は、
第1ガス流れのための吸入口を備え、該吸入口を通じて空気がエンジンへと流れる空気導管であって、狭窄部を備えた空気導管と、
可変のベンチュリ効果化および可変の吸気を達成するために、前記空気導管の長手方向に配置されるように組み込まれたバルブ本体と、
第2ガス流れを前記空気導管内に導入するための、前記空気導管に隣接した吸入口を備えた供給部であって、前記バルブ本体にもしくはそれよりも上流に配置された供給部と、
前記空気導管内に燃料を噴射するための1つ以上の燃料噴射器であって、前記バルブ本体にもしくはそれよりも上流に配置された1つ以上の燃料噴射器と、を具備し、
前記空気導管内に噴射された燃料は前記ガス流れと混合して混合気流れを生成し、当該混合は前記混合気が燃焼のためにエンジンへと流れる前に実行されることを特徴とする機器。
【請求項19】
前記燃料はディーゼル燃料であることを特徴とする請求項18に記載の機器。
【請求項20】
前記1つ以上の燃料噴射器の少なくとも1つは、前記空気導管に隣接していることを特徴とする請求項18に記載の機器。
【請求項21】
前記1つ以上の燃料噴射器の少なくとも1つは、前記バルブ本体に隣接していることを特徴とする請求項18に記載の機器。
【請求項22】
前記混合気は前記空気導管内では燃焼し難いことを特徴とする請求項18に記載の機器。
【請求項23】
1つ以上のシリンダをさらに具備し、前記混合気は前記1つ以上のシリンダ内に流れ、追加の燃料が前記混合気の燃焼のために前記1つ以上のシリンダ内に噴射されることを特徴とする請求項18に記載の機器。
【請求項24】
前記第1ガス流れと第2ガス流れとは、流入流れと排出ガス再循環流れとを含んでいることを特徴とする請求項18に記載の機器。
【請求項25】
前記空気導管内において前記バルブ本体を前方および後方に変位させるアクチュエータをさらに具備し、
前記バルブ本体と供給部とはそれらの間でベンチュリを形成することを特徴とする請求項18に記載の機器。
【請求項26】
予備混合ガス流れおよび燃料のための方法であって、
狭窄部を備えた空気導管を通じてエンジンに第1ガス流れを供給するステップと、
可変のベンチュリ効果および可変の吸気を達成するために、前記空気導管の長手方向にバルブ本体を配置するステップと、
前記バルブ本体においてもしくはそれよりも上流から前記空気導管内に燃料を噴射するステップと、を含み、
前記空気導管内に噴射された燃料は前記ガス流れと混合して混合気流れを生成し、当該混合は前記混合気が燃焼のためにエンジンへと流れる前に実行されることを特徴とする方法。
【請求項27】
前記空気導管に隣接した吸気口を備えた供給部から前記空気導管へと第2ガス流れを供給するステップをさらに含み、
前記吸入口は前記バルブ本体にもしくはそれよりも上流にあり、前記第1および第2ガス流れは前記燃料と混合されて混合気を生成することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1ガス流れと第2ガス流れとは、流入流れと排出ガス再循環流れとを含んでいることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記混合気は前記空気導管内では燃焼し難いことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記燃料は1つ以上の燃料噴射器によって噴射され、前記1つ以上の燃料噴射器の少なくとも1つは、前記空気導管に隣接していることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記燃料は1つ以上の燃料噴射器によって噴射され、前記1つ以上の燃料噴射器の少なくとも1つは、前記バルブ本体に隣接していることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記混合気は前記空気導管内では燃焼し難いことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記混合気は前記1つ以上のシリンダ内に流れ、追加の燃料を前記混合気の燃焼のために前記1つ以上のシリンダ内に噴射煤ステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−44331(P2013−44331A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−185070(P2012−185070)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【出願人】(512221212)コンセントリック・スコーネス・ファーゲルフルト・アーベー (1)
【Fターム(参考)】