説明

EP4受容体アゴニストとしての新規イソインドール誘導体

式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体(ここで、R1、R2、R3、R4およびR5、XおよびYは明細書に定義されている);かかる化合物の製造方法;かかる化合物を含む医薬組成物;および医薬におけるかかる化合物の使用。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドール誘導体、それらの製造方法、それらを含有する医薬組成物、および医薬におけるそれらの使用に関する。
【0002】
本発明の化合物は、EP4受容体アゴニストである。
【背景技術】
【0003】
プロスタノイド受容体の特徴付けおよび治療関連性ならびに最も一般的に用いられる選択的アゴニストおよびアンタゴニストを記載している総説が多数ある:非特許文献1および非特許文献2および非特許文献3。
【0004】
EP4受容体は、7回膜貫通型受容体であり、その天然リガンドは、プロスタグランジンPGE2である。PGE2はまた、他のEP受容体(EP1型、EP2型およびEP3型)に対して親和性を有する。プロスタノイドEP4受容体は、細胞内環状アデノシン一リン酸(cAMP)濃度の上昇に通常関連する一群の受容体に分類される。EP4受容体は、平滑筋弛緩、眼内圧、疼痛(特に、炎症性疼痛、神経因性疼痛および内臓痛)、炎症、神経保護、リンパ球分化、骨代謝プロセス、アレルギー活性、睡眠の促進、腎調節、胃または腸の粘液分泌および十二指腸の重炭酸塩分泌に関連する。EP4受容体は、非特許文献4においてNarumiyaよって検討されているように、動脈管の閉鎖、血管抑制、炎症および骨リモデリングにおいて重要な役割を果たす。
【0005】
EP4受容体サブタイプを介して作用するPGE2、および単独のEP4アゴニストが、炎症性刺激後の炎症性サイトカインを調節し得ることを立証している刊行物が多数ある。非特許文献5において、Takayamaらは、PGE2がEP4受容体を介してマクロファージ由来ケモカイン産生を抑制することによって炎症性疾患の間じゅう炎症を調節することを示した。非特許文献6において、Maruyamaらは、選択的EP4受容体アゴニスト(ONO−AE1−437)がヒト全血中のLPS誘導性TNF−αを抑制するが、一方、IL−10のレベルを増加させることを立証した。非特許文献7における論文は、選択的EP4受容体アゴニスト(ONO−AE1−329)が、急性および慢性の単関節炎における機械的および熱的痛覚過敏症ならびに炎症反応を有効に阻害したことを示唆している。
【0006】
非特許文献8および非特許文献9からの2つの独立した論文は、EP4受容体ノックアウトマウスから培養された細胞における破骨細胞形成障害を報告している。非特許文献10において、Yoshidaらは、各PGE2受容体EPサブタイプを欠いているマウスの使用により、EP4を、PGE2投与に応答して骨形成を媒介する受容体であるとして同定した。それらはまた、選択的EP4受容体アゴニスト(ONO−4819)が、野生型マウスにおいて骨形成を一貫して誘発することを立証した。加えて、非特許文献11において、Teraiらは、選択的EP4受容体アゴニスト(ONO−4819)の存在が、骨形成を誘発することができる治療用サイトカインであるrhBMP−2の骨誘発能を増強したことを示している。
【0007】
Larsenらによるさらなる研究は、ヒト十二指腸の第二部における分泌に対するPGE2の効果がEP4受容体を介してもたらされることを示している(非特許文献12)。また、ラットにおいて選択的EP4受容体アゴニスト(ONO−AE1−329)が大腸炎から保護することができることが示されている(非特許文献13)。
【0008】
非特許文献14において、Doreらは、PGE2がEP2受容体およびEP4受容体に対して作用することによってアミロイドβペプチド毒性からニューロンを保護することができることを示している。さらにまた、非特許文献15において、Doreは、EP4受容体アゴニスト(ONO−AE1−329)が脳における興奮毒性の急性モデルにおいて神経毒性から保護することを立証した。
【0009】
非特許文献16において、Woodwardらは、選択的プロスタノイドアゴニストを使用して眼内圧を低下させることができることを見出した。Investigative Ophthalmology & Visual Scienceにおける2つの論文は、プロスタノイドEP4受容体がヒトのレンズ上皮細胞において発現されることを示し(非特許文献17)、眼の小柱網における流れの調節におけるプロスタノイドEP4受容体の生理学的役割を示唆している(非特許文献18)。
【0010】
EP4受容体結合活性を示している化合物は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24および特許文献25に記載されている。
【0011】
[4−(1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾ[f]イソインドール−2−イル)フェニル]−2−プロピオン酸ナトリウム塩のようなインドプロフェンの誘導体は、非特許文献19においてRuferらによって記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO98/55468
【特許文献2】WO00/18744
【特許文献3】WO00/03980
【特許文献4】WO00/15608
【特許文献5】WO00/16760
【特許文献6】WO00/21532
【特許文献7】EP0855389
【特許文献8】EP0985663
【特許文献9】WO02/50031
【特許文献10】WO02/50032
【特許文献11】WO02/50033
【特許文献12】WO02/064564
【特許文献13】WO03/103604
【特許文献14】WO03/077910
【特許文献15】WO03/086371
【特許文献16】WO04/037813
【特許文献17】WO04/067524
【特許文献18】WO04/085430
【特許文献19】US04/142969
【特許文献20】WO05/021508
【特許文献21】WO05/105733
【特許文献22】WO05/105732
【特許文献23】WO05/080367
【特許文献24】WO05/037812
【特許文献25】WO05/116010
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Eicosanoids; From Biotechnology to Therapeutic Applications, Folco, Samuelsson, Maclouf, and Velo eds, Plenum Press, New York, 1996, chap. 14, 137-154
【非特許文献2】Journal of Lipid Mediators and Cell Signalling, 1996, 14, 83-87
【非特許文献3】Prostanoid Receptors, Structure, Properties and Function, S Narumiya et al., Physiological Reviews 1999, 79(4), 1193-126
【非特許文献4】Narumiya, Prostaglandins & Other Lipid Mediators 2002, 68-69 557-73
【非特許文献5】Takayama et al., Journal of Biological Chemistry 2002, 277(46), 44147-54
【非特許文献6】Maruyama et al, Bioorganic & Medicinal Chemistry 2002, 10(7), 2103-2110
【非特許文献7】Anesthesiology, 2002, 97, 170-176
【非特許文献8】Sakuma et al., Journal of Bone and Mineral Research 2000, 15(2), 218-227
【非特許文献9】Miyaura et al., Journal of Biological Chemistry 2000, 275(26), 19819-23
【非特許文献10】Yoshida et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2002, 99(7), 4580-4585
【非特許文献11】Terai et al., Bone 2005, 37(4), 555-562
【非特許文献12】Larsen et al., Acta. Physiol. Scand. 2005, 185, 133-140
【非特許文献13】Nitta et al., Scandinavian Journal of Immunology 2002, 56(1), 66-75
【非特許文献14】Dore et al., The European Journal of Neuroscience 2005, 22(9), 2199-206
【非特許文献15】Dore, Brain Research 2005, 1066(1-2), 71-77
【非特許文献16】Woodward et al., Journal of Lipid Mediators 1993, 6(1-3), 545-53
【非特許文献17】Mukhopadhyay et al., Investigative Ophthalmology & Visual Science, 1999, 40(1), 105-12
【非特許文献18】Hoyng et al., Investigative Ophthalmology & Visual Science, 1999, 40(11), 2622-6
【非特許文献19】Rufer et. al., Eur. J. Med. Chem. - Chimica Therapeutica, 1978, 13, 193
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
1は、C4-7アルキル、C2-7ハロアルキル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチルまたはベンジルを表し(ここで、該ベンジル基は、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2、OCF3によって一置換されていてもよいか、またはハロによって一置換もしくは二置換されていてもよい);
2、R3、R4およびR5は、独立して、H、ハロ、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2またはOCF3を表し(ただし、R2およびR3のうち少なくとも1つはHを表し、R4およびR5のうち少なくとも1つはHを表す);
XおよびYは、独立して、C=OまたはCH2を表す(ただし、XおよびYのうち少なくとも1つはC=Oを表す)]
で示される化合物(ただし、該化合物は、(3−クロロ−4−{4−クロロ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸または[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸ではない)またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一の実施態様では、R1は、C4-7アルキル、C2-7ハロアルキル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチルまたはベンジルを表し(ここで、該ベンジル基は、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2、OCF3によって一置換されていてもよいか、またはハロによって一置換または二置換されていてもよい);
2、R3、R4およびR5は、独立して、H、ハロ、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2またはOCF3を表し(ただし、R2およびR3のうち少なくとも1つはHを表し、R4およびR5のうち少なくとも1つがHを表す);そして、
XおよびYは、独立して、C=OまたはCH2を表す(ただし、XおよびYのうち少なくとも1つはC=Oを表す);ただし、YがC=Oである場合には、R2はHである。
【0016】
さらなる実施態様では、R1は、C4-7アルキル、C2-7ハロアルキル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチルまたはベンジルを表し(ここで、該ベンジル基は、ハロ、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2またはOCF3によって一置換されていてもよい);
2、R3、R4およびR5は、独立して、H、ハロ、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2またはOCF3を表し(ただし、R2およびR3のうち少なくとも1つはHを表し、R4およびR5のうち少なくとも1つはHを表す)、そして、
XおよびYは、独立して、C=OまたはCH2を表す(ただし、XおよびYのうち少なくとも1つはC=Oを表す)。
【0017】
さらなる実施態様では、R1は、C4-7アルキル、C2-7ハロアルキル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチルまたはベンジルを表し(ここで、該ベンジル基は、ハロ、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2またはOCF3によって一置換されていてもよい);
2、R3、R4およびR5は、独立して、H、ハロ、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2またはOCF3を表し(ただし、R2およびR3のうち少なくとも1つはHを表し、R4およびR5のうち少なくとも1つはHを表す);そして
XおよびYは、独立して、C=OまたはCH2を表す(ただし、XおよびYのうち少なくとも1つはC=Oを表す);ただし、該化合物は、(3−クロロ−4−{4−クロロ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸または[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸ではない。
【0018】
さらなる実施態様では、R1は、C4-7アルキル、C2-7ハロアルキル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチルまたはベンジルを表し(ここで、該ベンジル基は、ハロ、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2またはOCF3によって一置換されていてもよい);
2、R3、R4およびR5は、独立して、H、ハロ、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2またはOCF3を表し(ただし、R2およびR3のうち少なくとも1つはHを表し、R4およびR5のうち少なくとも1つはHを表す);そして、
XおよびYは、独立して、C=OまたはCH2を表す(ただし、XおよびYのうち少なくとも1つはC=Oを表す);ただし、YがC=Oである場合には、R2はHである。
【0019】
本発明の一の実施態様では、R1は、C4-7アルキルを表し、特に、イソブチルを表す。本発明の別の実施態様では、R1は、C2-7ハロアルキルを表し、特に、トリフルオロエチルを表す。本発明の別の実施態様では、R1は、シクロヘキシルメチルを表す。本発明の別の実施態様では、R1は、シクロプロピルメチルを表す。本発明の別の実施態様では、R1は、ベンジルを表す。
【0020】
本発明の別の実施態様では、R1は、ハロ、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2、OCF3で一置換されていてもよいベンジルを表す。本発明の別の実施態様では、R1は、ハロゲン基(特に、FまたはCl)で一置換されているベンジルを表す。本発明の別の実施態様では、R1は、FまたはClによって一置換されていてもよいベンジルを表す。さらなる実施態様では、R1は、2個のハロゲン基(特に、FおよびCl)によって二置換されているベンジルを表す。さらなる実施態様では、R1は、FおよびClによって二置換されているベンジルを表す。
【0021】
本発明の一の実施態様では、R2、R3、R4およびR5は、Hを表す。本発明の別の実施態様では、R2は、ハロ、特に、FまたはClを表し、R3、R4およびR5は、Hを表す。
【0022】
本発明の一の実施態様では、Xは、CH2を表し、Yは、C=Oを表す。本発明の別の実施態様では、Xは、C=Oを表し、Yは、CH2を表す。本発明の別の実施態様では、XおよびYはともにC=Oを表す。
【0023】
本発明の別の実施態様では、以下の化合物からなる群から選択される式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する:
(4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(3−クロロ−4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(2−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(4−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
(3−クロロ−4−{4−クロロ−7−[(2−メチルプロピル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(3−クロロ−4−{4−クロロ−7−[(シクロヘキシルメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
[4−(4−クロロ−7−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−3−フルオロフェニル]酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(3−フルオロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(4−フルオロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
(3−クロロ−4−{4−クロロ−7−[(シクロプロピルメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4−クロロ−7−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(2,2,2−トリフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4−クロロ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{7−クロロ−1−オキソ−4−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(4−クロロ−2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
(3−クロロ−4−{7−クロロ−1−オキソ−4−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;および
[3−クロロ−4−(7−クロロ−4−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸。
【0024】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施態様および好ましい実施態様の組合せの全てを含む。
【0025】
本明細書で用いる場合、「C4-7アルキル」は、ブチルおよびイソブチルのような、炭素原子4〜7個を含有する、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基およびシクロアルキル基を包含する。「C2-7ハロアルキル」は、それに沿って解釈され得る。
【0026】
本明細書で用いる場合、「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。本明細書で用いる場合、Fはフルオロを意味し、Clはクロロを意味する。
【0027】
医薬上許容される誘導体とは、式(I)で示される化合物の医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはエステル、またはかかるエステルの塩もしくは溶媒和物、または受容者へ投与されると式(I)で示される化合物またはその活性代謝物もしくは残留物を(直接または間接的に)提供することができる他の化合物を意味する。
【0028】
当然のことながら、医薬用途については、上記の塩は、医薬上許容される塩であるが、他の塩は、例えば、式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される塩の製造における使用を見出すことができる。
【0029】
医薬上許容される塩としては、Berge, Bighley and Monkhouse, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19に記載されるものがあげられる。用語「医薬上許容される塩」とは、無機塩基または有機塩基を包含する医薬上許容される塩基から調製された塩をいう。無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛および同類ものものが挙げられる。医薬上許容される有機塩基から誘導される塩としては、第一、第二および第三アミン;天然の置換アミンを包含する置換アミン;ならびに環状アミンの塩が挙げられる。特定の医薬上許容される有機塩基としては、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび同類のものが挙げられる。塩はまた、塩基性イオン交換樹脂、例えばポリアミン樹脂から形成することもできる。
【0030】
当然のことながら、式(I)で示される化合物は、適当なプロドラッグの代謝によりインビボで生産され得る。かかるプロドラッグは、例えば一般式(I)で示される化合物の生理学的に許容される代謝的に不安定なエステルであり得る。これらは、適当な場合には分子中に存在する他の反応性基の前保護(必要に応じて後に脱保護される)と共に、一般式(I)で示される親化合物におけるカルボン酸基のエステルにより形成することができる。かかる代謝的に不安定なエステルの例としては、C1-4アルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステルまたはt−ブチルエステル、C3-6アルケニルエステル、例えば、アリル置換または非置換アミノアルキルエステル(例えば、アミノエチルエステル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルエステル、または2−(4−モルホリノ)エチルエステルまたはアシルオキシアルキルエステル、例えば、アシルオキシメチルまたは1−アシルオキシエチル、例えば、ピバロイルオキシメチル、1−ピバロイルオキシエチル、アセトキシメチル、1−アセトキシエチル、1−(1−メトキシ−1−メチル)エチルカルボニルオキシエチル、1−ベンゾイルオキシエチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、1−イソプロポキシカルボニルオキシエチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチルエステル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−シクロヘキシルオキシカルボニルオキシエチル、1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチルまたは1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチルが挙げられる。
【0031】
本発明は、全ての幾何異性体、互変異性体および光学異性体ならびにその混合物(例えば、ラセミ混合物)を包含する、式(I)で示される化合物およびそれらの医薬上許容される誘導体の全ての異性体を包含すると解されるべきである。
【0032】
本発明の化合物、特に、式(I)で示される化合物は、医薬組成物における使用を意図されているので、それらは、実質的に純粋な形態で、例えば少なくとも純度50%、より好適には少なくとも純度75%、そして、好ましくは少なくとも純度95%で提供される(%はwt/wtベースである)と解されるであろう。式(I)で示される化合物の不純物を含む調製物は、医薬組成物において用いられる、より純粋な形態を調製するために使用され得る。本発明の中間化合物の純度はあまり重要ではないが、式(I)で示される化合物に関しては、実質的に純粋な形態が好ましいことは容易に理解されるであろう。好ましくは、可能ならいつでも、本発明の化合物は、結晶形態で得られる。
【0033】
本発明の化合物のいくつかが有機溶媒から結晶化できるかまたは再結晶される場合には、結晶化の溶媒は、結晶性生成物中に存在し得る。本発明は、その範囲内にかかる溶媒和物を包含する。同様に、本発明の化合物のいくかは、水を含有する溶媒から結晶化または再結晶され得る。かかる場合には、水和化の水が形成され得る。本発明は、その範囲内に、化学量論的水和物、および凍結乾燥のようなプロセスによって生産され得る可変量の水を含有する化合物を包含する。加えて、異なる結晶化条件は、結晶性生成物の異なる多形体の形成をもたらし得る。本発明は、その範囲内に、式(I)で示される化合物の全ての多形体を包含する。
【0034】
本発明はまた、その範囲内に、全ての同位体標識された式(I)で示される化合物を包含する。かかる化合物は、1個またはそれ以上の原子が、自然界にて通常見られる原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子と置き換えられたこと以外は式(I)で示される化合物と同一である。式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体に取り込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素および塩素の同位体が挙げられ、例えば2H、3H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、18Fおよび36Clが挙げられる。
【0035】
本発明の同位体標識化合物、例えば、3H、14Cのような放射性同位体が取り込まれているものは、薬物および/または基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム同位体、すなわち3H、炭素−14同位体、すなわち14Cは、それらの製造の容易さおよび検出能のために特に好ましい。11Cおよび18F同位体は、PET(陽電子放射型断層撮影)に有用であり、脳画像診断に有用である。また、ジューテリウム、すなわち2Hのようなより重い同位体での置換は、大きい代謝安定性によりもたらされるある種の治療的利点、例えば、インビボ半減期の増加または必要用量の減少をもたらすことができ、故に、状況によっては有用であり得る。同位体標識された式(I)で示される化合物は、同位体標識されていない試薬の代わりに容易に入手できる同位体標識試薬を用いることによって、下記スキームおよび/または下記実施例に記載されている合成方法を行うことにより製造され得る。
【0036】
本発明の化合物は、EP4受容体アゴニストであり、したがって、EP4受容体介在疾患の治療に有用であり得る。
【0037】
特に、本発明の化合物は、疼痛、例えば、疾患変容および関節構造保存の性質を包含する慢性関節痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、リウマチ性脊椎炎、通風性関節炎および若年性関節炎);筋骨格痛;腰部頸部痛;捻挫および筋挫傷;神経因性疼痛;交感神経依存性疼痛;筋炎;癌および線維筋痛症に伴う疼痛;片頭痛に伴う疼痛;インフルエンザまたは他のウイルス感染症(例えば、感冒)に伴う疼痛;リウマチ熱;腸機能障害(例えば、非潰瘍性ディスペプシア、非心臓性胸痛および過敏性腸症候群)に伴う疼痛;心筋虚血に伴う疼痛;術後痛;頭痛;歯痛;および月経困難症の治療に有用であり得る。
【0038】
本発明の化合物は、神経因性疼痛およびそれに伴う症状の治療に特に有用であり得る。神経因性疼痛症候群としては、糖尿病性神経障害;坐骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症痛;線維筋痛症;HIV関連神経障害;ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;および身体的外傷、切断、癌、トキシンまたは慢性炎症状態に起因する疼痛が挙げられる。神経因性疼痛の症状としては、突発性のうずくような痛みおよび電撃痛、または進行中の灼熱痛が挙げられる。加えて、「しびれてピリピリとする感覚(pins and needles)」のような通常は無痛の感覚に伴う疼痛(知覚異常および異常感覚)、接触に対する感受性の増大(知覚過敏)、非侵害性刺激後の痛みの感覚(動的異痛症、静的異痛症または温熱性異痛症)、侵害性刺激に対する感受性の増大(温熱性痛覚過敏、冷感痛覚過敏、機械的痛覚過敏)、刺激除去後の断続的な痛みの感覚(痛感過敏)、または選択的感覚経路の欠如もしくは消失(痛覚鈍麻)が挙げられる。
【0039】
本発明の化合物はまた、炎症の治療、例えば、皮膚状態(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、乾癬);眼病、例えば、緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎および眼組織への急性損傷(例えば、結膜炎);肺障害(例えば、喘息、気管支炎、肺気腫、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、ハト愛好家病、農夫肺、COPD);胃腸管障害(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎、疣状胃炎(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、胃腸逆流症、下痢、便秘);臓器移植;血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症、重症無筋力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性紅斑性狼瘡、多発性筋炎、腱炎、滑液包炎およびシェーグレン症候群のような炎症性要素を有する他の症状の治療に有用であり得る。
【0040】
本発明の化合物はまた、自己免疫疾患、免疫不全疾患または臓器移植のような免疫疾患の治療に有用であり得る。式(I)で示される化合物はまた、HIV感染症の潜伏期を延長するのに効果的であり得る。
【0041】
本発明の化合物はまた、間欠性跛行、不安定狭心症、脳卒中および急性冠動脈症候群(例えば、閉塞性血管疾患)のような過剰なまたは望ましくない血小板活性化の疾患の治療に有用であり得る。
【0042】
本発明の化合物はまた、利尿作用を有する薬物として有用であり得るか、または、過活動膀胱症候群を治療するのに有用であり得る。
【0043】
本発明の化合物はまた、インポテンスまたは勃起機能不全の治療に有用であり得る。
【0044】
本発明の化合物はまた、異常な骨代謝または骨吸収を特徴とする骨疾患、例えば、骨粗鬆症(特に、閉経後骨粗鬆症)、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進、骨パジェット病、骨溶解症、骨転移を伴うか伴わない悪性高カルシウム血症、関節リウマチ、歯周炎、変形性関節症、骨痛、骨減少症、結石症(calculosis)、結石症(lithiasis)(特に、尿路結石症)、痛風および強直性脊椎炎、腱炎および滑液包炎の治療に有用であり得る。
【0045】
本発明の化合物はまた、骨リモデリングおよび/または骨発生の促進および/または骨折治癒の促進に有用であり得る。
【0046】
本発明の化合物はまた、NSAIDおよびCOX−2阻害剤の血行動態的副作用を弱めるのに有用であり得る。
【0047】
本発明の化合物はまた、高血圧または心筋虚血;機能性または器質性静脈不全;静脈瘤療法;痔;および動脈圧の著しい低下に伴うショック状態(例えば、敗血症性ショック)のような心血管疾患の治療に有用であり得る。
【0048】
本発明の化合物はまた、神経変性性疾患および神経変性、例えば、認知症、特に、変性認知症(老人性認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病およびクロイツフェルト・ヤコブ病、ALS、運動ニューロン疾患を含む);血管性認知症(多発脳梗塞性認知症を含む);ならびに、頭蓋内占拠性病変、外傷、感染症および関連状態(HIV感染症を含む)、代謝、トキシン、無酸素症およびビタミン欠乏症に伴う認知症;ならびに加齢に伴う軽度認知機能障害、特に加齢に伴う記憶障害の治療に有用であり得る。
【0049】
本発明の化合物はまた、神経障害の治療に有用であり得、神経保護薬として有用であり得る。本発明の化合物はまた、脳卒中、心停止、肺バイパス、外傷性脳障害、脊髄損傷または同類のものの後の神経変性の治療に有用であり得る。
【0050】
本発明の化合物はまた、1型糖尿病の合併症(例えば、糖尿病性微小血管症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、黄斑変性症、緑内障)、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、ブドウ膜炎、川崎病およびサルコイドーシスの治療に有用であり得る。
【0051】
本発明の化合物はまた、腎機能障害(腎炎、特に、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、腎炎症候群)、肝機能障害(肝炎、肝硬変)および胃腸機能障害(下痢)の治療に有用であり得る。
【0052】
治療への言及は、確立された症状の治療および予防的治療の両方を包含すると解されるべきである。
【0053】
本発明のさらなる実施態様によると、ヒトまたは獣医学において使用するための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体が提供される。
【0054】
本発明の別の実施態様によると、EP4受容体でのPGE2の作用または該作用の喪失によって媒介される状態の治療に使用するための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体が提供される。
【0055】
本発明のさらなる実施態様によると、EP4受容体でのPGE2の作用または該作用の喪失によって媒介される状態に苦しんでいるヒトまたは動物対象体を治療する方法であって、該対象体に式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の有効量を投与することを含む方法が提供される。
【0056】
本発明のさらなる実施態様によると、疼痛、炎症障害、免疫障害、骨障害、神経変性性障害または腎障害に罹患しているヒトまたは動物対象体を治療する方法であって、該対象体に式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の有効量を投与することを含む方法が提供される。
【0057】
本発明の別の実施態様によると、EP4受容体でのPGE2の作用によって媒介される状態の治療のための薬剤の製造のための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用が提供される。
【0058】
本発明の別の実施態様によると、疼痛、炎症性障害、免疫障害、骨障害、神経変性性障害または腎障害のような状態の治療または予防のための薬剤の製造のための式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用が提供される。
【0059】
式(I)で示される化合物およびそれらの医薬上許容される誘導体は、好都合には、医薬組成物の形態で投与される。かかる組成物は、好都合には、1種類またはそれ以上の生理学的に許容される担体または賦形剤と混合して慣用の方法で使用するために提供され得る。
【0060】
かくして、本発明の別の態様では、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む、ヒトまたは獣医学における使用に適した医薬組成物が提供される。
【0061】
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体は未加工の化合物として投与されることは可能であるが、それを医薬製剤として提供するのが好ましい。本発明の製剤は、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を、1種類またはそれ以上の担体または希釈剤および所望により他の治療成分と一緒に含む。担体は、該製剤の他の成分と適合し、その受容者に有害ではないという意味で「許容され」なければならない。
【0062】
該製剤としては、経口投与、非経口投与(皮下投与(例えば、注射によるかまたはデポー錠剤による)、皮内投与、クモ膜下腔内投与、筋肉内投与(例えば、デポーによる)および静脈内投与を包含)、直腸投与および局所投与(皮膚投与、頬側投与および舌下投与を包含)に適するものが挙げられるが、最も適した経路は、例えば、受容者の状態および障害に依存し得る。該製剤は、好都合には、単位投与形態で提供され得、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって製造され得る。全ての方法は、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される酸付加塩(「活性成分」)を1種類またはそれ以上のアクセサリー成分を構成する担体と合わせる工程を含む。一般に、該製剤は、活性成分を液体担体または微細な固体担体またはその両方と均一かつ密接に合わせ、次いで、必要な場合には、該生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。
【0063】
経口投与に適している本発明の製剤は、カプセル剤、カシェ剤または錠剤(例えば、チュアブル剤(特に小児科投与用))のような各々が所定量の活性成分を含有する分離したユニットとして;散剤または顆粒剤として;水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液として;または水中油滴型液体エマルションまたは油中水滴型液体エマルションとして提供され得る。該活性成分はまた、ボーラス剤、舐剤またはペースト剤として提供され得る。
【0064】
錠剤は、所望により1種類またはそれ以上のアクセサリー成分と一緒に、圧縮または成型によって調製され得る。圧縮錠剤は、所望により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、潤滑剤、界面活性剤または分散剤と混合した、活性成分を粉末または顆粒のような自由流動形態で適当な機械にて圧縮することによって調製され得る。成型錠剤は、不活性液体希釈剤を用いて湿らせた粉末化合物の混合物を適当な機械にて成形することによって調製され得る。錠剤は、所望により被覆されていてもよく、または刻み目が付けられてもよく、また、活性成分の遅延または制御放出をもたらすように製剤化され得る。
【0065】
非経口投与用製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および予定の受容者の血液と等張性の製剤にする溶質を含有することができる水性および非水性滅菌注射液;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含むことができる水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。該製剤は、単位投与用または反復投与用容器、例えば、密封アンプルおよびバイアル中にて提供することができ、また、使用直前に滅菌液体担体(例えば、注射用蒸留水)の添加を必要とするだけである凍結乾燥条件下で貯蔵することができる。即席注射溶液および懸濁液は、上記したような滅菌散剤、顆粒剤および錠剤から調製され得る。
【0066】
直腸投与用製剤は、カカオ脂、固い脂肪またはポリエチレングリコールのような通常の担体を用いて坐剤として提供され得る。
【0067】
口中の局所投与用、例えば、頬側または舌下投与用の製剤としては、シュークロースおよびアカシアまたはトラガカントのような香味付基剤中に活性成分を含むロゼンジ剤、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはシュークロースおよびアカシアのような基剤中に活性成分を含むトローチ剤が挙げられる。
【0068】
本発明の化合物はまた、デポー製剤として製剤化され得る。かかる長時間作用性製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉注射によって、投与され得る。かくして、例えば、本発明の化合物は、適当な高分子物質または疎水性物質(例えば、許容される油中エマルションとして)またはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化され得る。
【0069】
上記にて特に記載した成分に加えて、該製剤は、当該製剤のタイプを考慮して、当該技術分野で慣用的な他の薬剤を含むことができ、例えば、経口投与に適したものは、香味剤を含むことができる。
【0070】
本発明に用いるためのEP4受容体化合物は、以下のような他の治療薬と組み合わせて使用してもよい:例えば、COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブまたはパレコキシブ;5−リポキシゲナーゼ阻害剤;鎮痛剤、例えば、パラセタモール;NSAID、例えば、ジクロフェナク、インドメタシン、ナブメトン、ナプロキセンまたはイブプロフェン;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;DMARD、例えば、メトトレキサート;ナトリウムチャネル遮断剤、例えば、ラモトリジン;N型カルシウムチャネルアンタゴニスト;NMDA受容体モジュレーター、例えば、グリシン受容体アンタゴニスト;ガバペンチン、プレガバリンおよび関連化合物;三環系抗うつ剤、例えば、アミトリプチリン;ニューロン安定化抗癲癇薬;モノアミン作動性取り込み阻害剤、例えば、ベンラファキシン;オピオイド鎮痛剤;局所麻酔薬;5HT1アゴニスト、例えば、トリプタン、例えば、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタンまたはリザトリプタン;EP1受容体リガンド;EP2受容体リガンド;EP3受容体リガンド;EP1アンタゴニスト;EP2アンタゴニストおよびEP3アンタゴニスト;カンナビノイド受容体アゴニスト;VR1アンタゴニスト。該化合物を他の治療薬と組み合わせて使用する場合、化合物は、好都合な経路によって連続的または同時に投与すればよい。
【0071】
かくして、本発明は、さらなる実施態様では、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体をさらなる治療剤と一緒に含む組合せを提供する。
【0072】
上記の組合せは、好都合には、医薬製剤の形態で使用するために提供され得、かくして、上記定義の組合せを医薬上許容される担体または賦形剤と一緒に含む製剤は、本発明のさらなる態様を構成する。かかる組合せの個々の成分は、これらの医薬製剤を別々にまたは合わせて連続的にまたは同時に投与することができる。
【0073】
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体が同一疾患に対して活性な別の治療剤と組み合わせて使用される場合、各化合物の投与量は、該化合物を単独で使用した場合の量と異なってよい。適当な投与量は、当業者には容易に理解されるであろう。
【0074】
ヒトの治療のための式(I)で示される化合物またはそれらの医薬上許容される塩の提案される一日量は、遊離酸として計算して、1日あたり体重1kgにつき0.001〜30mg、特に、1日あたり体重1kgにつき0.1〜3mgであり、単回投与量または分割投与量として、例えば、1日1〜4回、投与することができる。成人に対する投与範囲は、遊離酸として計算して、一般に、0.1〜1000mg/日、例えば、10〜800mg/日、好ましくは、10〜200mg/日である。
【0075】
宿主(特に、ヒト患者)へ投与される式(I)で示される化合物の正確な量は、主治医の責任である。しかしながら、使用される投与量は、患者の年齢および性別、治療される正確な状態およびその重篤度、投与経路、ならびに行うことができる併用療法を含む多数のファクターに依存するであろう。
【0076】
本発明はまた、式(I)で示される化合物およびその医薬上許容される誘導体の製造方法を提供する。
【0077】
かくして、本発明の実施態様では、XおよびYがC=Oを表し、R1、R2、R3、R4およびR5が式(I)に関して上記にて定義したとおりである式(I)で示される化合物の製造方法であって、塩酸のような適当な酸の存在下で氷酢酸の溶液に式(II):
【化2】

[式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、式(I)に関する上記定義と同じであり、R6は、C1-6アルキルを表す]
で示される化合物を添加すること、および、所望により、その後、このようにして形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成することを含む方法が提供される。
【0078】
一の実施態様では、式(II)で示される化合物を含む上記反応は、還流下で行われる。本発明の別の実施態様では、反応混合物中に存在する氷酢酸対酸(例えば、塩酸)のモル比は、1:1である。
【0079】
本発明の別の実施態様では、XおよびYの一方がC=Oを表し、他方がCH2を表し、R1、R2、R3、R4およびR5が式(I)に関する上記定義と同じである式(I)で示される化合物の製造方法であって、式(III):
【化3】

[式中、XおよびYの一方がC=Oを表し、他方がCH2を表し;R1、R2、R3、R4およびR5が式(I)に関する上記定義と同じであり;R6がC1-6アルキルを表す]
で示される化合物を適当な塩基(例えば、水酸化ナトリウム)と反応させること、および、所望により、その後、このようにして形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成することを含む方法が提供される。
【0080】
一の実施態様では、式(III)で示される化合物を含む上記反応は、還流下にて適当な溶媒(例えば、エタノール)中で行われる。
【0081】
式(II)および(III)で示される化合物は、スキーム1に従って製造され得る:
【化4】

(i)TMEDA、s−ブチルリチウム、CO2(s)THF;(ii)CH3CO2H;(iii)BBr3、DCM;(iv)(CH3)2CO、R1Br、K2CO3またはR1OTf、Na2CO3、DMF;(v)2N HCl、CH3CO2H(1:1);(vi)EtOH/THF、NaBH4;(vii)TFA、Et3SiH;(viii)2N NaOH:EtOH(1:1);(ここで、R1、R2およびR3は、式(I)に関する上記定義と同じである。)
【0082】
化合物(1)、5−クロロ−2−(メチルオキシ)安息香酸は、Aldrichから商業的に入手可能であるか、または、当該技術分野で公知の方法に従って製造することができる。
【0083】
2がFである化合物(2)は、スキーム2および3に従って製造することができる:
【化5】

(i)NaH、乾燥DMF;(ii)NH4CO2H、EtOH、Pd/C。
【0084】
【化6】

(i)NaOH、乾燥DMF;(ii)NH4CO2H、EtOH、Pd/C;(iii)NaOH、H2O、EtOH。
【0085】
2がClである化合物(2)は、スキーム4に従って製造することができる:
【化7】

(i)N−クロロスクシンアミド。
【0086】
式(A)で示される化合物は、商業的に入手可能であるか、または、当該技術分野で公知の方法に従って製造することができる(例えば、2,4−ジフルオロニトロベンゼンは、Sigma-Aldrich Co. Ltd.から購入することができる)。
【0087】
式(B)で示される化合物は、商業的に入手可能であるか、または、当該技術分野で公知の方法に従って製造することができる(例えば、マロン酸ベンジル,エチルは、Sigma-Aldrich Co. Ltd.から購入することができる)。
【0088】
式(C)で示される化合物は、商業的に入手可能であるか、または、当該技術分野で公知の方法に従って製造することができる(例えば、クロロマロン酸ジエチルは、Sigma-Aldrich Co. Ltd.から購入することができる)。
【0089】
式(D)で示される化合物は、商業的に入手可能であるか、または、当該技術分野で公知の方法に従って製造することができる(例えば、4−アミノフェニル酢酸エチルは、Avocado Researchから購入することができる)。
【0090】
3がHである化合物(2)、すなわち、(4−アミノフェニル)酢酸エチルは、Avocadoから商業的に入手可能であるか、または当該技術分野で公知の方法に従って製造することができる。
【実施例】
【0091】
以下の記載例および実施例は、本発明の化合物の製造方法を例示する。記載例は、中間化合物に言及する。
【0092】
略語
DCM ジクロロメタン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
EtOH エタノール
2N HCl 2規定の塩酸
LC/MS 液体クロマトグラフィー/質量分析
MDAP 質量指向型自動調製
MeOH メタノール
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
TMEDA N,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミン
【0093】
分析法
LC/MS
カラム
Waters Atlantis(4.6mm×50mm)。固定相粒径、3μm。
溶媒
A: 水性溶液 = 水 + 0.05%ギ酸
B: 有機溶媒 = アセトニトリル + 0.05%ギ酸
方法
【表1】

流速、3ml/分。
注入量、5μl。
カラム温度、30℃。
UV検出範囲、220〜330nm。
保持時間は全て、分で測定した。
精製技術
実施例の精製は、クロマトグラフィーおよび/または適当な溶媒を用いる再結晶のような慣用の方法によって行うことができる。クロマトグラフ法としては、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、SFC(超臨界流体クロマトグラフィー)、およびMDAP(質量指向型自動調製)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「Biotage」なる用語は、商業的に入手可能なシリカゲル充填カラムをいう。
【0094】
質量指向型自動調製(MDAP)
カラム
Waters Atlantis:19mm×100mm(小規模);および30mm×100mm(大規模)。
固定相粒径、5μm。
溶媒
A: 水性溶液 = 水 + 0.1%ギ酸
B: 有機溶媒 = アセトニトリル + 0.1%ギ酸
調製用溶媒 = メタノール:水 80:20
針洗浄溶媒 = メタノール
方法
目的化合物の分析的保持時間に依存して5つの方法を使用した:
(1)大規模/小規模 1.0−1.5 = 5−30% B
(2)大規模/小規模 1.5−2.2 = 15−55%B
(3)大規模/小規模 2.2−2.9 = 30−85%B
(4)大規模/小規模 2.9−3.6 = 50−99%B
実行時間、13.5分間;10分間の勾配、次いで、3.5分間のカラムフラッシュおよび再平衡工程を含む。
(5)大規模/小規模 3.6−5.0 = 80−99%B
実行時間、13.5分間;6分間の勾配、次いで、7.5分間のカラムフラッシュおよび再平衡工程を含む。
流速
20ml/分(小規模)または40ml/分(大規模)。
【0095】
超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)
Chiralcel OD−H S.F.C.(250mm×21.2mm ID;5ミクロン)
A = 二酸化炭素、B = メタノール
Isocratic @ A:B(70:30 w/w);総合流速=39.4g/分;40℃;100bar
実行時間 = 45分;
検出 215nmでのUV吸光度による
注入量:VARIABLE(0.2mLで最適化)
ID = 内径
HPLC精製
固定相: Chiralcel AD
(長さ250mm×i.d. 21.2mm;粒度10ミクロン)
移動相: ヘプタン:エタノール
(A:B 50:50 v/v ポンピング混合)
流速: 17mL/分
温度: 周囲温度
検出: 215nmでのU.V.吸光度
注入量: 0.2〜0.3mL
試料濃度: ジメチルホルムアミド:MeOHの1mL中50〜100mg
【0096】
記載例1
3−クロロ−6−(メチルオキシ)−1,2−ベンゼンジカルボン酸
【化8】

アルゴン下での5−クロロ−2−(メチルオキシ)安息香酸(6.0g、32.17mmol)のTHF中溶液にTMEDA(10.66ml、70.78mmol)を添加した。これを−78℃に冷却し、次いで、温度を−70℃以上に上昇させずにs−ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.4m)(50ml、70.78mmol)を滴下した。該反応混合物を−78℃で2.25時間撹拌し、次いで、撹拌しながらエーテル中の固体二酸化炭素上に注いだ。撹拌を30分間続けた。これを蒸発乾固させ、次いで、水を添加した。水性層(pH11)をエーテルで2回洗浄して、非酸性不純物を除去した。次いで、水性層を2N HClでpH7に酸性化した。これをDCMで2回洗浄して、出発物質を除去した。次いで、水性層を2N HClでpH3に酸性化し、DCMで2回洗浄した。水性層を2N HClでpH0に酸性化し、酢酸エチルで2回抽出した。これを硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、標記化合物を白色固体として得た(4.60g、19.9mmol)。LC/MS:Rt=1.50、[MH]229。
【0097】
記載例2
(4−アミノ−3−クロロフェニル)酢酸エチル
【化9】

4−アミノフェニル酢酸エチル(20g、112mmol)をクロロホルム(300ml)に溶解し、N−クロロスクシンイミド(14.92g、112mmol)で処理し、アルゴン下にて室温で15分間撹拌した。反応混合物を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。茶色の油状物に蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィー処理し、ヘキサン中酢酸エチル(0〜45%)で溶離することにより精製して、標記化合物を橙色の油状体として得た(10.12g、47.4mmol)。LC/MS:Rt=2.59、[MH]+ 214。
【0098】
記載例3
(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパン二酸エチル,フェニルメチル
【化10】

マロン酸ベンジル,エチル(98.9、445mmol)の乾燥DMF(280ml)中溶液に水素化ナトリウム(17.8g、445mmol)を滴下し、10分間撹拌した。30分間にわたって10℃に冷却した。2,4−ジフルオロ−1−ニトロベンゼン(48.9ml、445mmol)を添加し、室温で16時間撹拌した。反応混合物をHCl(2N)(150ml)でpH3〜4にクエンチし、次いで、エーテルで2回抽出した。合わせた有機物を水およびブラインで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、黄色油状物に蒸発させた。シリカゲルクロマトグラフィー処理し、ヘキサン中5%酢酸エチルで溶離することにより精製して、標記化合物を黄色油状体として得た(11.66、32.3mmol)。LC/MS:Rt=3.39、[MH]360。
【0099】
記載例4
(4−アミノ−3−フルオロフェニル)酢酸エチル
【化11】

(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパン二酸エチル,フェニルメチル(11.66g、32.3mmol)、ギ酸アンモニウム(10.2g、161.5mmol)および10%パラジウム−炭素湿ペースト(1.7g、0.8mmol)をアルゴン下に置き、エタノール(300ml)を導入した。反応混合物を3時間60℃に加熱し、冷却し、アルゴン雰囲気下にてセライトで濾過した。蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィー処理し、ヘキサン中2〜30%酢酸エチルで溶離することにより精製して、標記化合物を黄色油状体として得た(5.22g、26.5mmol)。LC/MS:Rt=2.14、[MH]+ 198。
【0100】
記載例5
クロロ(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパン二酸ジエチルおよび(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパン二酸ジエチル
【化12】

乾燥DMF(300ml)に溶解した2,4−ジフルオロニトロベンゼン(31.5ml、287mmol)およびクロロマロン酸ジエチル(46.4ml、287mmol)を氷浴中にて冷却した。破砕水酸化ナトリウムを20分間にわたって滴下した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。反応物を氷浴中にて再冷却し、2N HCl(約400ml)で酸性化した。酢酸エチル(2×400ml、1×200ml)で抽出し、有機物を水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。蒸発させて、橙色の油状物を得た(約89g)。物質を1.5Kg Siカートリッジ上に負荷し、CombiFlash(登録商標)CompanionTM XL上にて10カラム容量のヘキサン中0〜20%酢酸エチルで溶離することにより精製した。フラクションを蒸発させて、クロロ(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパン二酸ジエチルを黄色油状体として(9.09g)、(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパン二酸ジエチルを黄色油状体として(24.7g)、そして、放置して結晶化した2つの混合物を黄色油状体として(1.7g)得た。
クロロ(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパン二酸ジエチル
LCMS rt=3.18;
1H NMR(CDCl3)δ ppm:1.32(6H,t,J=7.8Hz)、4.35(4H,m)、7.64(1H,dd,J=11.9,2.1Hz)、7.56(1H,ddd,J=8.9,2.1,1.1Hz)、8.08(1H,dd,J=8.7,7.6Hz)。
(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパン二酸ジエチル
LCMS rt=2.96、MH+=300;
1H NMR(CDCl3)δ ppm:1.29(6H,t,J=7.1Hz)、4.25(4H,m)、4.67(1H,s)、7.45(1H,dd,J=11.5,1.8Hz)、7.35(1H,ddd,J=8.6,1.5,0.8Hz)、8.06(1H,dd,J=8.4,7.9Hz)。
【0101】
記載例6
(4−アミノ−3−フルオロフェニル)プロパン二酸ジエチル
【化13】

エタノールに懸濁したクロロ(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパン二酸ジエチルおよび(3−フルオロ−4−ニトロフェニル)プロパン二酸ジエチルの混合物(1.7g、約5.7mmol)を、溶液になるまで酢酸エチル5〜10mlで処理した。これをアルゴン下にて10%Pd/C(湿ペースト)(170mg)で処理し、次いで、ギ酸アンモニウム(1.8g、5当量)を添加した。アルゴン下にて還流させながら1時間撹拌した。室温に冷却し、アルゴン下にてセライトで濾過してPdを除去した。茶色の油状物約1.7gに蒸発せさた。フラッシュクロマトグラフィー、40+TMM Siカートリッジで処理し、10カラム容量のヘキサン中5〜40%酢酸エチルで溶離することによって精製した。フラクションを蒸発させて、標記化合物を黄色油状体として得た(722mg)。
LCMS rt=2.65、MH+=270。
【0102】
記載例7
(4−アミノ−3−フルオロフェニル)酢酸エチル
【化14】

(4−アミノ−3−フルオロフェニル)プロパン二酸ジエチル(11.85g、44.1mmol)をエタノール(80ml)に溶解し、水18mlに溶解したNaOH(2.6g、1.5当量)で処理して、ピンク色の溶液を得た。これを、完了するまで1時間90℃に加熱した。加熱をさらに1時間続け、次いで、室温に冷却した。溶媒を蒸発させ、2N HClで酸性化した。酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。蒸発させて、標記化合物を黄色油状体として得、放置すると徐々に結晶化した(6.6g)。
LCMS rt=2.28、MH+=198。
【0103】
記載例8
{4−[4−クロロ−7−(メチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル
【化15】

3−クロロ−6−(メチルオキシ)−1,2−ベンゼンジカルボン酸(2.50g、10.85mmol)および(4−アミノフェニル)酢酸エチル(5.82g、32.54mmol)の混合物を酢酸(100ml)中にて18時間120℃に加熱した。反応混合物を水と一緒に粉砕し、得られたクリーム色の固体を濾過により回収し、水で洗浄し、真空オーブン中にて乾燥させて、標記化合物を得た(2.46g、6.59mmol)。LC/MS:Rt=2.94、[MH]+ 374。
【0104】
適当な出発物質およびDMAPを用いて、{4−[4−クロロ−7−(メチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチルと同様の方法で、以下の化合物を製造した。
【表2】

【0105】
記載例9
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチル
【化16】

アルゴン下、−78℃での{3−クロロ−4−[4−クロロ−7−(メチルオキシ)−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル]フェニル}酢酸エチル(1.40g、3.44mmol)のDCM(75ml)中溶液に三臭化ホウ素(0.98ml、10.32mmol)を滴下した。これを−78℃で3時間10分撹拌した。水(100ml)を添加し、反応物を室温に加温した。層を分取し、水性層をDCM(50ml)で抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、橙色の油状物に蒸発させた。これをヘキサンとエーテルとの混合液と一緒に粉砕して、黄褐色の固体を得、濾過により回収した。次いで、これをエーテルと一緒に粉砕した;得られたクリーム色の固体を濾過により回収し、エーテルで洗浄して、標記化合物を得た(0.908g、2.31mmol)。LC/MS:Rt=2.83、[MH]+ 394。
【0106】
適当な出発物質を用いて、[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチルと同様の方法で、以下の化合物を製造した。
【表3】

【0107】
記載例10
(4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化17】

[4−(4−クロロ−7−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチル(0.85g、2.36mmol)のアセトン(25ml)中溶液に臭化ベンジル(0.45ml、3.78mmol)および炭酸カリウム(0.522g、3.78mmol)を添加した。これを2.5時間加熱還流した。アセトンを蒸発させ、水を添加した。得られたクリーム色の固体を濾過により回収し、水で洗浄し、真空オーブン中にて乾燥させた。これをクロマトグラフィー処理し、ヘキサン中酢酸エチル(5〜100%)で溶離することにより精製した。所望のフラクションを蒸発させて、標記化合物を得た(全回収量0.678g、1.50mmol)。LC/MS:Rt=3.40、[MH]+ 450。
【0108】
適当な出発物質を用い、(4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチルと同様の方法で、以下の化合物を製造した。加熱時間およびアルキル化剤の量は変化した。いくつかのケース(アステリスク*でマークした)でDMFおよびNaIを添加した。
【0109】
【表4−1】

【表4−2】

【表4−3】

【0110】
記載例11
(4−{4−クロロ−7−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化18】

[4−(4−クロロ−7−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチル(0.25g、0.70mmol)およびNa2CO3のDMF中懸濁液に2,2−ジフルオロエチルトリフラートを添加し、反応物を室温にて5時間撹拌した。水を添加し、沈殿した固体を濾過し、水(×2)で洗浄し、一夜、真空乾燥させて、標記化合物を得た(240mg)。LC/MS:Rt=3.08、[MH]+ 424/426。
【0111】
適当な出発物質を用い、(4−{4−クロロ−7−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチルと同様の方法で、以下の化合物を製造した。
【0112】
【表5】

【0113】
実施例1
(4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸
【化19】

(4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(0.075g、0.17mmol)を2N HCl(3ml)および酢酸(3ml)に懸濁した。これを1時間加熱還流した。該混合物を室温に冷却し、水を添加した。得られた固体を濾過により回収し、水で洗浄した。これを真空オーブン中にて乾燥させて、標記化合物を得た(0.048g、0.11mmol)。LC/MS:Rt=2.95、[MH]+ 422。
【0114】
適当な出発物質を用い、(4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸と同様の方法で、以下の化合物を製造した。MDAPを用いてこれらを精製した。
【0115】
【表6−1】

【表6−2】

【表6−3】

【0116】
実施例15
(4−{4−クロロ−7−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸
【化20】

(4−{4−クロロ−7−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(0.24g、0.57mmol)およびLiOH(36mg、0.85mmol)をジオキサン(5ml)および水(2.5ml)に懸濁し、室温で一夜撹拌した。さらなるLiOH(36mg、0.85mmol)を添加し、反応物を週末にかけて(約60時間)室温で撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を水に溶解し、Et2Oで洗浄した。水性層をpH約1に酸性化し(5M HCl)、Et2O(×2)で抽出した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を蒸発させて、茶色のガラスを得た。これを石油エーテルと一緒に粉砕して、イミド開環化合物の混合物として淡い茶色の固体(172mg)を得た。これを酢酸(4ml)に懸濁し、2時間100℃に加熱した。冷却後、水を添加し、濁った懸濁液を得、放置すると固化した。これを濾過により回収し、水(×2)で洗浄し、真空乾燥させて、標記化合物を淡い茶色の固体として得た(0.126g)。LC/MS:Rt=2.58、[MH]+ 396/398。
【0117】
適当な出発物質を用い、(4−{4−クロロ−7−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸と同様の方法で、以下の化合物を製造した。
【表7】

【0118】
記載例12
(4−{4−クロロ−3−ヒドロキシ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル − (4−{4−クロロ−1−ヒドロキシ−3−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化21】

(4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(0.600g、1.33mmol)のエタノール(10ml)およびテトラヒドロフラン(20ml)中溶液に水素化ホウ素ナトリウム(0.127g、3.34mmol)を添加した。これを室温で1時間撹拌して、反応を完了に向けて駆動させた。混合物を蒸発させ、次いで、混合物がpH7になるまで塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチした。これを酢酸エチルで2回抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて、粗生成物を得た(0.605g、1.34mmol)。LC/MS:Rt=3.12、3.17、[MH]+452。
【0119】
記載例13:(3−クロロ−4−{4−クロロ−3−ヒドロキシ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチルおよび(3−クロロ−4−{4−クロロ−1−ヒドロキシ−3−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル、ならびに記載例14:[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−3−ヒドロキシ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチルおよび[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1−ヒドロキシ−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチルを記載例12の化合物について記載した方法と同様の方法で製造した。
【表8】

【0120】
記載例15
(4−{4−クロロ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル − (4−{7−クロロ−1−オキソ−4−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化22】

(4−{4−クロロ−3−ヒドロキシ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル − (4−{4−クロロ−1−ヒドロキシ−3−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(0.600g、1.33mmol)の0℃に冷却したトリフルオロ酢酸(5ml)中溶液にトリエチルシラン(0.32ml、1.99mmol)を添加した。撹拌を0℃で5分間続け、次いで、混合物を蒸発させた。これをシリカゲルクロマトグラフィー処理し、ヘキサン中酢酸エチル(5〜60%)で溶離することにより精製した。次いで、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を用いて異性体を分取した。
(4−{4−クロロ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化23】

(0.101g、0.23mmol)。LC/MS:Rt=3.58、[MH]+436。
(4−{7−クロロ−1−オキソ−4−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル
【化24】

(0.030g、0.07mmol)。LC/MS:Rt=3.65、[MH]+436。
【0121】
記載例16:(3−クロロ−4−{7−クロロ−1−オキソ−4−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチルおよび記載例17:[3−クロロ−4−(7−クロロ−4−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸エチルを、HPLCを用いて異性体を分取したこと以外は、記載例15と同様の方法で製造した。
【表9】

【0122】
実施例17
(4−{4−クロロ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸
【化25】

(4−{4−クロロ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸エチル(0.101g、0.23mmol)を2N水酸化ナトリウム:エタノールの1:1混合液(10ml)中にて1.5時間加熱還流した。反応物を室温に冷却した。エタノールを蒸発させ、混合物をHCl(2N)で酸性化した。得られた固体を濾過により回収し、水(20ml)で洗浄し、真空乾燥させて、標記化合物を得た(0.091g、0.22mmol)。LC/MS:Rt=3.03、[MH]+ 408。
【0123】
適当な出発物質を用い、{(4−{4−クロロ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸と同様の方法で、実施例18〜20を製造した。実施例19および20は、さらに、MDAPにより精製した。
【0124】
【表10】

【0125】
生物学的データ
組換えヒトプロスタノイドEP4受容体を発現するHEK−293(T)細胞(HEK−EP4細胞)を用いて研究を行った。細胞を、glutamax II(Gibco)を含有し、10%ウシ胎仔血清および0.4mg/mlのG418を補充したDMEM−F12/F12中にて単層培養物として増殖させた。HEK−EP4細胞を、実験の24時間30分前に10μMインドメタシンで前処理し、10μMインドメタシンを含有するヴェルセン(Versene)を用いて回収した。細胞を、1×106細胞/mlにてアッセイ緩衝液(DMEM:F12、10μMインドメタシンおよび200μM IBMX)で再懸濁し、37℃で20分間インキュベートした。その後、50μlの細胞を50ulアゴニスト(式(I)で示される化合物)に加え、37℃で4分間培養した後、100μlの1%トリトンX−100で反応を停止させた。細胞溶解物中のcAMP濃度を、競合結合アッセイを用いて測定した。該アッセイにおいて、プロテインキナーゼAの結合サブユニットに結合する3H−cAMP(Amersham)を抑制する細胞溶解物の能力を測定し、cAMP濃度を標準曲線から計算した。各化合物のデータは、標準アゴニストPGE2の最大濃度10nMに対する反応の%として表された。各化合物について、最大応答およびその最大応答の50%をもたらす化合物の濃度を計算した。内因活性は、PGE2に対する最大応答に対して表される。明記しない限り、試薬は、Sigmaから商業的に購入した。
【0126】
本発明の実施例化合物は、上記のアッセイで試験し、6.2以上のpEC50値を示した。6.5以上のpEC50値を示した実施例化合物もあった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、R1は、C4-7アルキル、C2-7ハロアルキル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチルまたはベンジルを表し(ここで、該ベンジル基は、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2、OCF3によって一置換されていてもよいか、またはハロによって一置換または二置換されていてもよい);
2、R3、R4およびR5は、独立して、H、ハロ、シアノ、メチル、メトキシ、CH2F、CHF2、CF3、OCH2F、OCHF2またはOCF3を表す(ただし、R2およびR3のうち少なくとも1つはHを表し、R4およびR5のうち少なくとも1つはHを表す);
XおよびYは、独立して、C=OまたはCH2を表す(ただし、XおよびYのうち少なくとも1つは、C=Oを表す)]
で示される化合物(ただし、該化合物は、(3−クロロ−4−{4−クロロ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸または[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸ではない)またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項2】
1がC4-7アルキルを表す、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項3】
1がC2-7ハロアルキルを表す、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項4】
1がシクロヘキシルメチルを表す、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項5】
1がシクロプロピルメチルを表す、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項6】
1が、FまたはClによって一置換されているベンジルを表す、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項7】
2、R3、R4およびR5がHを表す、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項8】
2がハロを表し、R3、R4およびR5がHを表す、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項9】
XがCH2を表し、YがC=Oを表す、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項10】
XがC=Oを表し、YがCH2を表す、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項11】
XおよびYがともにC=Oを表す、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項12】
以下の化合物からなる群から選択される請求項1記載の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体:
(4−{4−クロロクロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(3−クロロ−4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(2−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(4−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
(3−クロロ−4−{4−クロロ−7−[(2−メチルプロピル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(3−クロロ−4−{4−クロロ−7−[(シクロヘキシルメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}−3−フルオロフェニル)酢酸;
[4−(4−クロロ−7−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−3−フルオロフェニル]酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(3−フルオロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(4−フルオロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
(3−クロロ−4−{4−クロロ−7−[(シクロプロピルメチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4−クロロ−7−[(2,2−ジフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4−クロロ−1,3−ジオキソ−7−[(2,2,2−トリフルオロエチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{4−クロロ−1−オキソ−7−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
(4−{7−クロロ−1−オキソ−4−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;
[3−クロロ−4−(4−クロロ−7−{[(4−クロロ−2−フルオロフェニル)メチル]オキシ}−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸;
(3−クロロ−4−{7−クロロ−1−オキソ−4−[(フェニルメチル)オキシ]−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル}フェニル)酢酸;および
[3−クロロ−4−(7−クロロ−4−{[(3−クロロフェニル)メチル]オキシ}−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)フェニル]酢酸。
【請求項13】
XおよびYがC=Oを表し、R1、R2、R3、R4およびR5が式(I)に関する上記定義と同じである請求項1記載の式(I)で示される化合物の製造方法であって、適当な酸の存在下にて氷酢酸の溶液に式(II):
【化2】

[式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、式(I)に関する上記定義と同じであり、R6は、C1-6アルキルを表す]で示される化合物を添加すること、および、所望により、その後、このようにして形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成することを含む、方法。
【請求項14】
XおよびYの一方がC=Oを表し、他方がCH2を表し、R1、R2、R3、R4およびR5が式(I)に関する上記定義と同じである請求項1記載の式(I)で示される化合物の製造方法であって、式(III):
【化3】

[式中、XおよびYの一方は、C=Oを表し、他方は、CH2を表し;R1、R2、R3、R4およびR5は、式(I)に関する上記定義と同じであり;R6は、C1-6アルキルを表す]で示される化合物を水酸化ナトリウムのような適当な塩基と反応させること、および、所望により、その後、このようにして形成された化合物の医薬上許容される誘導体を形成することを含む、方法。
【請求項15】
ヒトまたは獣医学で用いるための、請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項16】
EP4受容体でのPGE2の作用または該作用の喪失によって媒介される状態の治療において用いるための請求項1記載の式(I)で示される化合物。
【請求項17】
EP4受容体でのPGE2の作用または該作用の喪失によって媒介される状態に苦しんでいるヒトまたは動物対象体の治療方法であって、該対象体に請求項1記載の式(I)で示される化合物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項18】
EP4受容体でのPGE2の作用によって媒介される状態の治療のための薬剤の製造のための請求項1記載の式(I)で示される化合物の使用。
【請求項19】
請求項1記載の式(I)で示される化合物および1種類またはそれ以上の許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項20】
さらに1種類またはそれ以上のさらなる治療剤を含む、請求項19記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2010−501020(P2010−501020A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525028(P2009−525028)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058514
【国際公開番号】WO2008/020055
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】