説明

FAXサーバおよびプログラム

【課題】FAX送信において不適切な内容を含む文書の送信を防ぐためのFAXサーバおよびプログラムを提供する。
【解決手段】FAXサーバ100は、FAX用送信文書を送信側FAX装置30から受け取ると、FAX送付状に印刷されたバーコードから承認者に関連する情報を読み取る。さらに、送信文書の全ページを承認者に提示して送信可否の判断を依頼する。送信が承認された場合には送信文書を受信側FAX装置40に送信し、送信が棄却された場合には送信を行わずにエラー情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置間で送受信されるFAX文書を仲介するFAXサーバおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ(以下「FAX」と略記)装置によるデータ送信において、誤送信を防ぐための技術として様々なものが知られている。たとえば特許文献1は、送信者が宛先のFAX装置の番号を間違えたことによる誤発信を防ぐ技術の例を開示している。この技術は、2次元コードに宛先のFAX番号をコード化しておき、FAX装置がこれを読み取って用いるというものである。
【0003】
【特許文献1】特開2007−110421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムでは、番号違いによる誤送信を防ぐことはできても、それ以外の誤送信を防ぐことができなかった。たとえば、宛先番号は送信者が意図したとおりに正しく指定されているが、送信すべき文書そのものの内容が不適切であるという誤送信である。このような誤送信には、送信すべき文書そのものを取り違えてしまった場合や、機密上の理由等で社外に送信すべきでない内容を含む文書を送信してしまった場合などが含まれる。
【0005】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、FAX送信において不適切な内容を含む文書の送信を防ぐためのFAXサーバおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の問題点を解決するため、この発明に係るFAXサーバは、送信側FAX装置から受信側FAX装置へと送信されるFAX文書を仲介する、FAXサーバであって、送信側FAX装置から送信されるFAX文書を受信する機能と、FAX文書に印刷されたバーコードを読み取って、承認者に関する情報を取得する機能と、承認者に関する情報に基づいて、FAX文書を承認者に送信する機能と、承認者からの入力に基づいて、FAX文書を受信側FAX装置へと送信するか否かを決定する機能と、送信すると決定した場合にFAX文書を受信側FAX装置に送信する機能とを備える。
【0007】
承認者に関する情報は、承認者の電子メールアドレスと、承認者を認証するための承認コードとを含んでもよい。
承認者に関する情報は、承認者を識別するための承認者IDを含み、FAXサーバは、承認者IDと、承認者に対応する承認コードとを関連付けて記憶する機能を有してもよい。
FAXサーバは、バーコードを読み取って、送信文書の送信先に関する情報をさらに取得してもよい。
バーコードはQRコード(登録商標)であってもよい。
承認者に関する情報は暗号化されており、FAXサーバは、バーコードを読み取って、暗号化された承認者に関する情報を取得し、これを復号して承認者に関する情報を取得してもよい。
また、この発明に係るプログラムは、コンピュータを、上述のFAXサーバとして機能させる。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るFAXサーバおよびプログラムによれば、送信用FAX文書に印刷されたバーコードの内容に応じて、そのFAX文書に関する情報を承認者に提示し、送信の承認または棄却の入力を承認者に促し、この入力に応じて送信を行うか否かを決定する。このため、承認者は文書の送信前に、そのFAX文書の内容を確認して承認の判断をすることができ、不適切な内容を含む文書の送信を防ぐことができる。たとえば、送信すべき文書の取り違えや、機密情報を誤って送信してしまうことを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、本発明に係るFAXサーバ100を含む構成を示す。FAXサーバ100は、送信側FAX装置から受信側FAX装置へと送信されるFAX文書を仲介する装置である。なお、送信される対象は実際にはFAX文書そのものではなくFAX文書を表すデータであるが、本明細書では簡明のためこれを単にFAX文書と表記する場合がある。
FAXサーバ100は周知のコンピュータとしての構成を有する。すなわち、図示しないが、演算を行う演算手段と、情報を格納する記憶手段とを備える。演算手段はCPU(中央処理装置)を含み、記憶手段は半導体メモリおよびHDD(ハードディスクドライブ)を含む。記憶手段はプログラムを格納し、演算手段がこのプログラムを実行することによって、FAXサーバ100は本明細書に記載される機能を実現する。
【0010】
FAXサーバ100は、LAN51を介して、承認用端末10およびプリンタ20と通信可能に接続されている。承認用端末10は周知の構成を有するコンピュータであり、FAX文書の送信を承認するかどうかという承認権限を持つ使用者によって操作される。また、プリンタ20は周知の構成を有する印刷装置であり、承認用端末10またはFAXサーバ100から送信されるデータを受信して印刷する機能を有する。
また、FAXサーバ100は、内線ネットワーク52を介して、1台以上のFAX装置とFAX文書を送受信可能に接続されている。内線ネットワーク52はたとえば周知の内線電話回線網である。内線ネットワーク52に接続されているFAX装置のうち一台を、以下では送信側FAX装置30として参照する。
さらに、FAXサーバ100は、外線ネットワーク53を介して、1台以上のFAX装置とFAX文書を送受信可能に接続されている。外線ネットワーク53はたとえば周知の公衆電話回線網である。外線ネットワーク53に接続されているFAX装置のうち一台を、以下では受信側FAX装置40として参照する。
送信側FAX装置30および受信側FAX装置40と、FAXサーバ100との間のFAX通信は、たとえばG3ファクシミリ規格に従ってなされるが、これは他のFAX規格に従うものであってもよい。
【0011】
FAXサーバ100は、その記憶手段に、FAX文書の送信を管理するための情報として、顧客マスタ110および送信待ちリスト120を記憶し格納する。
図2は、FAX文書の送信宛先となる顧客に関連する情報を含む、顧客マスタ110の構成を示す。顧客マスタ110は、複数の顧客のそれぞれを識別するための情報である顧客コードを含む。顧客コードのそれぞれには、顧客FAX番号、顧客名、および顧客部署名が関連付けられている。顧客FAX番号はその顧客のFAX装置を宛先としてFAX文書を送信する際に指定すべき電話番号(すなわちFAX番号)であり、顧客名はその顧客の名称であり、顧客部署名はその顧客においてFAX文書を受け取るべき部署の名称である。
【0012】
図3は、FAX文書の送信状況を表す情報を含む、送信待ちリスト120の構成を示す。送信待ちリスト120は、複数のFAX送信文書のそれぞれを識別するための送信文書通番を含む。送信文書通番のそれぞれには、受付日時、送信先顧客コード、送信先顧客FAX番号、および送信状況が関連付けられている。受付日時は、そのFAX文書が送信側FAX装置30からFAXサーバ100に受信された日時を表す。送信先顧客コードおよび送信先顧客FAX番号は、それぞれ図2と同様に、そのFAX文書が送信されるべき宛先となる顧客および顧客FAX番号を表す。
送信状況は、そのFAX文書の送信の進捗状況を表す。たとえば、送信側FAX装置30から送信されたFAX文書がFAXサーバ100によって受信された後、受信側FAX装置40への送信が承認される前は、送信状況は「承認待ち」となる。また、受信側FAX装置40への送信が承認された後、送信が完了する前は「送信中」となり、送信が完了した後は「送信完了」となる。
【0013】
図4は、FAX文書の送信の際に用いられるFAX送付状200の例を示す。FAX送付状200には、バーコード210が印刷されている。ここで、バーコード210はたとえば図示のように、2次元コードの一種であるQRコードである。ただし、バーコード210はその他の2次元コードであってもよく、1次元のバーコードであってもよく、また情報がコード化できるものであればどのようなコードであってもよい。バーコード210は、FAX送付状200に、所定の大きさおよび所定の向きをもって印刷されている。また、FAXサーバ100は、バーコード210を認識する機能を有する。すなわち、バーコード210を読み取って、バーコード210にコード化されている情報を取得することができる。
また、FAX送付状200は、従来のFAX装置による送信に用いられるFAX送付状と同様に、送付先、発信人、送付年月日、送付枚数、送信に関するメッセージ等を含む。
【0014】
実施の形態1において、バーコード210は、顧客コードと、暗号化された電子メールアドレスと、暗号化された承認コードとを表す情報を含む。ここで、この顧客コードは、そのFAX送付状200を用いたFAX送信の送信先となる顧客に対応するものであり、電子メールアドレスはそのFAX送付状200を用いたFAX送信を承認する権限を有する承認者の電子メールアドレスであり、承認コードは承認者の認証に用いられるパスワードである。承認コードおよび電子メールアドレスの暗号化は、たとえばハッシュ関数を用いた方法によってなされるが、これはFAXサーバ100が暗号化または復号を行える方法であれば他の周知の暗号化技術によってなされてもよい。
【0015】
以上のように構成されるFAXサーバ100の動作を、以下に説明する。
図5は、FAXサーバ100がFAX文書の送信を行う際の処理の流れを表すフローチャートである。この処理は、FAXサーバ100が送信側FAX装置30からFAX文書を受信することによって開始される(ステップS1)。ここで受信したFAX文書を、以下では「送信文書」として参照する。FAXサーバ100は、送信文書の第1ページをスキャンし、バーコード210が含まれているか否かを判定する(ステップS2)。バーコード210が含まれていないと判定された場合、FAXサーバ100はプリンタ20にエラー情報の印刷を指示する(ステップS12)。すなわち、その送信文書を特定する情報、たとえば送信文書通番およびFAX送付状の画像と、バーコードが含まれていない旨を知らせるメッセージとを印刷用のデータとしてプリンタ20に送信する。
【0016】
ステップS2においてバーコード210が含まれていると判定された場合、FAXサーバ100はバーコード210を認識して読み取る(ステップS3)。ここで、バーコード210は上述のように顧客コードと、暗号化された電子メールアドレスと、暗号化された承認コードとを含むものであり、FAXサーバ100はこれらの情報を読み取ることになる。さらに、FAXサーバ100は、暗号化されている情報を復号する(ステップS4)。これによって、FAXサーバ100は電子メールアドレスおよび承認コードを取得する。
次に、FAXサーバ100は、バーコード210の整合性の有無を判定する(ステップS5)。ここで、バーコード210を認識できなかった場合、および、電子メールアドレスおよび承認コードを復号できなかった場合には、整合性がないと判定される。さらに、このステップS5において、FAXサーバ100は読み取った顧客コードに基づいて顧客マスタ110を検索し、該当するデータが存在しない場合には整合性がないと判定する。このようにして、バーコード210が認識され、情報が読み取られ、暗号化されていたデータが復号され、かつ顧客コードが顧客マスタ110に存在する場合のみ、整合性があると判定する。
バーコード210に整合性がないと判定された場合、FAXサーバ100はプリンタ20にエラー情報の印刷を指示する(ステップS12)。すなわち、その送信文書を特定する情報、たとえば送信文書通番およびFAX送付状の画像と、バーコード210に整合性がない旨を知らせるメッセージとを印刷用のデータとしてプリンタ20に送信する。
【0017】
ステップS5においてバーコード210に整合性があると判定された場合、FAXサーバ100は送信文書に関連する情報を送信待ちリスト120に追加する(ステップS6)。ここで、送信文書通番はFAXサーバ100が管理する通番であり、たとえばステップS6が実行されるたびにFAXサーバ100はこれを1増加する。受付日時はたとえばステップS6実行時点においてFAXサーバ100が保持する現在時刻である。送信先顧客コードはステップS3で取得された顧客コードである。送信先顧客FAX番号は、取得された顧客コードを用いて顧客マスタ110を検索して取得される。送信状況は、ステップS6では「承認待ち」とされる。
【0018】
次に、FAXサーバ100は、送信承認受付処理を行う(ステップS7)。この処理は、送信文書の送信を承認するか否かの入力を承認者に促し、その入力を受け付ける処理である。
図6は、ステップS7すなわち送信承認受付処理の詳細の一例を示すフローチャートである。ステップS7はステップS71〜S74を含む。
まずFAXサーバ100は承認者宛に承認操作を依頼するための電子メールを送信する(ステップS71)。宛先となる電子メールアドレスは、バーコード210に含まれたものであり、すなわち上述のステップS4において復号されたものである。この電子メールには、送信文書の全ページに対応する画像データと、承認者が送信先の顧客を特定するための顧客情報とが含まれる。この顧客情報は、たとえば顧客コード、顧客FAX番号、顧客名、および顧客部署名からなり、FAXサーバ100は上述のステップS3で取得された顧客コードを用いて顧客マスタ110を検索することによってこれらの情報を取得する。
また、この電子メールにはFAXサーバ100が管理する承認操作用Webページを表すURLが含まれており、承認者に対してこのWebページへのアクセスを促す内容となっている。
【0019】
続くステップS72〜S74の処理は、HTTPSプロトコルに従って行われる。
FAXサーバ100は承認操作用Webページへのアクセスを受け付ける(ステップS72)。FAXサーバ100はこのアクセスに応じて承認操作用Webページを作成し、これを表示させるために送信する(ステップS73)。この承認操作用WebページはHTML言語を使用して記述され、周知のWebブラウザを使用して表示することを想定したものである。また、このWebページは、そのWebページが表示された画面に対する操作内容をFAXサーバ100に送信するように、たとえばINPUTタグを用いて構成されている。INPUTタグの内容は、承認コードの入力欄および送信承認を表すボタンと、送信棄却を表すボタンとを含む。
その後、FAXサーバ100はこのWebページに対する操作を受けつける(ステップS74)。この操作は、承認コードの入力および送信承認ボタンのクリックの組合せか、送信棄却ボタンのクリックである。
【0020】
次に、FAXサーバ100は、送信文書の送信が承認されたか否かを判定する(図5のステップS8)。この際、ステップS74において送信承認ボタンがクリックされており、かつ、ステップS74において入力された承認コードとステップS4において復号された承認コードとが一致する場合は、承認されたと判定する。ステップS74において送信棄却ボタンがクリックされた場合は、承認されなかった、すなわち棄却されたと判定する。また、送信承認ボタンはクリックされたが承認コードが一致しない場合は、一例として承認されなかったと判定するが、異なる例として承認コードの再入力を求める処理が実行されてもよい。
【0021】
ステップS8において送信が承認された場合、FAXサーバ100は送信文書を送信する(ステップS9)。この際、まず送信待ちリスト120(図3)においてその送信文書の送信状況を「送信中」に変更し、次に送信先顧客FAX番号に宛ててその送信文書を送信する。たとえば送信先顧客FAX番号には図1の受信側FAX装置40が対応する。この送信が完了した時点で送信状況を「送信完了」に変更する。ここで図5の処理が終了する。
【0022】
ステップS8において送信が承認されなかった場合、FAXサーバ100はプリンタ20にエラー情報の印刷を指示する(ステップS10)。すなわち、その送信文書を特定する情報、たとえば送信文書通番およびFAX送付状の画像と、送信が承認されなかった旨を知らせるメッセージとを印刷用のデータとしてプリンタ20に送信する。その後、FAXサーバ100は送信待ちリスト120(図3)からその送信文書に関連する情報を削除し(ステップS11)、ここで図5の処理が終了する。
このように、FAXサーバ100は、ステップS74における承認者からの入力に基づいて、送信文書を受信側FAX装置40へと送信するか否かを決定する。
【0023】
以上のように動作するFAXサーバ100を用いたFAX送信作業の流れの例を、以下に説明する。
あらかじめ、FAX文書の承認者はバーコード210を作成し、これを印刷したFAX送付状200を多数作成し、送信者が自由に使えるようにしておく。バーコード210は、周知の技術を用いて作成され、送信先の顧客コードと、承認者が入力した電子メールアドレスを暗号化したものと、承認者が入力した承認コードを暗号化したものを含む。電子メールアドレスおよび承認コードの暗号化は、周知の暗号化技術を用いて、FAXサーバ100によって復号可能な方法でなされる。なお、ここで、FAX送付状200は送信先の顧客コードを含むため、承認者はFAX送付状200を送信先ごとに作成しておく必要がある。
【0024】
FAX文書の送信者は、送信したい文書の第1ページにFAX送付状200を付け加え、これを送信文書とする。送信者はこれを送信側FAX装置30からFAXサーバ100宛に送信する。この送信処理は周知のFAX装置による送信と同一であり、たとえばFAXサーバ100に対応するFAX番号を入力したり、一般的な短縮ダイヤル機能を使用してFAXサーバ100を選択することによって送信される。
【0025】
FAXサーバ100は図5のステップS1においてこの送信文書を受信し、図5および図6の処理を実行する。
ここで、送信者がFAX送付状200を添付し忘れた場合等にはエラー情報が出力され処理が終了する(ステップS2、S12)。続いてFAXサーバ100によってバーコード210が認識され、暗号化されている情報は復号され、整合性が判定される(ステップS3〜S5)。ここで、送信先のFAX番号が、バーコード210に含まれる顧客コードに基づいて自動的に取得されるので、番号の入力間違いを回避することができ、誤送信を防止できる。
【0026】
その後、承認依頼の電子メールが送信され(ステップS6、S71)、承認者は承認操作用に準備された承認用端末10を使用してこの電子メールを閲覧する。この電子メールには、上述のように送信先の顧客情報と送信文書の全ページの画像とが含まれており、承認者はこれらを参照して送信可否を決定する。ここで、たとえば送信文書に本来送信すべきでない機密情報等が含まれている場合には、承認者は送信を棄却すると決定することができる。また、送信先と送信内容とが整合していない場合、すなわち送信者が誤った送信先のFAX送付状200を添付してしまった場合等にも、承認者は送信を棄却すると決定することができる。
【0027】
送信可否を決定した後、承認者は電子メールに含まれるWebページのアドレスにアクセスして承認ページを表示させる(ステップS72〜S73)。承認者は、送信を承認する場合には承認コードを入力して送信承認ボタンをクリックし、そうでない場合には送信棄却ボタンをクリックする(ステップS74)。
送信が承認された場合には、FAXサーバ100は送信文書を送信し(ステップS9)、送信された文書は送信先である受信側FAX装置40において受信される。送信が棄却された場合にはエラー情報が出力され処理が終了する(ステップS10〜S11)。
【0028】
以上説明されるように、本発明の実施の形態1に係るFAXサーバ100、すなわちプログラムを実行してFAXサーバ100として機能するコンピュータは、送信用FAX文書のFAX送付状200に印刷されたバーコード210の内容に応じてそのFAX文書に関する情報を承認者に提示し、送信の承認または棄却の入力を承認者に促し、入力に応じて送信を行うか否かを決定する。このため、承認者は文書の送信前に、そのFAX文書の内容を確認して承認の判断をすることができ、不適切な内容を含む文書の送信を防ぐことができる。たとえば、送信すべき文書の取り違えや、機密情報を誤って送信してしまうことを防ぐことができる。
【0029】
また、送信先のFAX番号は顧客マスタ110に記憶されているので、送信者は送信先の番号に関わらず常にFAXサーバ100に向けてFAX送信作業を行えばよい。このため、常に同一の単純な操作、たとえば同一の短縮ダイヤルの選択操作によって送信作業を行うことができ、送信者の番号入力ミスによる誤送信を防止することができる。また、FAX番号をFAX送付状200に記入したり印刷したりする必要がない。
さらに、バーコード210には顧客マスタ110を検索するための顧客コードのみが含まれ、FAX番号自体は含まれない。このため、顧客FAX番号の管理が容易になる。たとえば、顧客のFAX番号が変更になった場合であっても、FAX送付状200を作成しなおす必要はなく、送信側FAX装置それぞれの設定を変更する必要もなく、顧客マスタ110の定義内容のみを変更すればよい。
【0030】
また、バーコード210は承認者に関する情報、すなわち承認者の電子メールアドレスおよび承認コードを含む。このため、承認者に関する情報をFAXサーバ100や承認用端末10で管理する必要がなく、管理の手間を省くことができる。
なお、QRコード等の著名な方式のバーコードについては、読取装置を持っていれば、内容を読み取ることは容易である。しかし、バーコード210では、承認コードは暗号化されているので、バーコード210を読み取っても承認コード自体を復号することはできず、安全性が保たれる。さらに、承認者の電子メールアドレスも暗号化されているので、承認者の個人情報がFAX送信先や部外者に漏れることがない。また、FAX送付状200を入手した部外者による不正操作を防ぐことができる。たとえば、部外者がバーコード210から承認者のメールアドレスを読み取って承認者を推測し、承認用端末10から不正な操作を行うことを防ぐことができる。
さらに、バーコード210はQRコードであるので、一般のバーコードに比べて認識率を高くすることができる。
【0031】
また、バーコード210は、承認者に関する情報、すなわち承認者の電子メールアドレスを含むので、同一の送信先に対して異なる承認者を個別に割り当てて印刷することができ、管理の自由度が高まる。たとえば、ある会社Aから別の会社BにFAX文書を送信する場合に、会社Aから会社Bへ送付するという組み合わせは同じでも(また、送付先の部署が同じであっても)、送信元である会社Aの中で部署が異なれば、承認者が異なる構成としたい場合が考えられる。このような場合であっても、たとえば、建物のフロアごとに承認者を設定したり、送信側FAX装置ごとに承認者を設定したりすることで、部署ごとに承認者が異なる構成とすることができ、対応することができる。
【0032】
また、FAXサーバ100は、送信側FAX装置30および受信側FAX装置40との間のデータの送受信を通常のFAX規格に従って行う。このため、FAXサーバ100を設置する際、送信側FAX装置30では送信先のFAX番号をFAXサーバ100に指定するだけでよく、その他の設定変更作業は不要であり、既存の設備を有効活用することができる。また、受信側FAX装置40では一切の設定変更作業が不要である。
【0033】
上述の実施の形態1では、バーコード210は、所定の大きさおよび所定の向きをもって印刷されている。変形例として、FAXサーバ100がコード化された情報を認識できる状態であれば、バーコード210はどのように印刷されてもよく、異なる大きさおよび向きで印刷されてもよい。
また、FAXサーバ100は、上述の機能以外に複合機として様々な機能を有してもよく、たとえば周知のOCR(Optical Character Reader)機能を有するFAXOCRサーバであってもよい。
【0034】
また、実施の形態1のステップS7では、FAXサーバ100は承認者宛に電子メールを送信することによって送信文書を送信する。また、FAXサーバ100は承認操作用Webページを介して承認者からの入力を受け付ける。変形例として、ステップS7における承認者に対する情報の送受信は他の処理によってもよい。
たとえば、承認者宛の電子メールには承認操作用Webページを表すURLのみが記載され、送信文書は添付されなくともよい。この場合、FAXサーバ100は、承認者からのアクセスに応じて送信文書を承認者に送信してもよい。
また、承認作業用の専用プログラムが承認用端末10にインストールされていてもよい。この場合、承認用端末10はこの専用プログラムを実行して送信文書のデータをFAXサーバ100から受信してもよく、専用プログラムを実行して承認者の入力を受け付けるとともにFAXサーバ100に送信してもよい。
また、バーコード210は複数の承認者に関する情報を含んでもよい。このような場合、送信承認受付処理(ステップS7)は承認者それぞれに対して並列的に実行されてもよい。また、承認の判定(ステップS8)では、承認者全員が承認した場合のみ送信が承認されたと判定し、そうでない場合には送信が却下されたと判定してもよく、また、少なくとも一人の承認者が承認した場合には送信が承認されたと判定し、承認者全員が却下した場合のみ送信が却下されたと判定してもよい。このような承認の判定方法は、あらかじめFAXサーバ100に対して設定できるものであってもよく、またこの設定は変更可能であってもよい。
【0035】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1において、承認者に関する情報をFAXサーバが記憶し、バーコードは顧客コードと承認者IDのみを含む構成としたものである。以下、実施の形態1と異なる部分のみ説明する。
図7は、実施の形態2に係るFAXサーバ101の構成を示す。FAXサーバ101は、顧客マスタ110、送信待ちリスト120、および承認キーマスタ130を含む。顧客マスタ110および送信待ちリスト120の構成は実施の形態1と同様であり、それぞれ図2および図3に示される。
【0036】
図8は、承認者に関連する情報を含む、承認キーマスタ130の構成を示す。承認キーマスタ130は、複数の承認者のそれぞれを識別するための情報である承認者IDを含む。承認者IDのそれぞれには、その承認者に対応する承認コードと、電子メールアドレスとが関連付けられている。ここで、承認キーマスタ130に記憶される承認コードは暗号化されている。
FAX送付状200は、実施の形態1と同様にバーコード210を含む。ただし、実施の形態1と異なり、バーコード210にコード化される情報は、顧客コードおよび暗号化された承認者IDのみである。すなわち、承認者の電子メールアドレスおよび承認コードは含まれない。
【0037】
実施の形態2では、実施の形態1と同様に、FAX文書の承認者があらかじめバーコード210を作成し、これを印刷したFAX送付状200を多数作成し、送信者が自由に使えるようにしておく。
実施の形態2に係るFAXサーバ101は、実施の形態1と同様に、図5のフローチャートに沿って動作する。ただし、FAXサーバ101は、ステップS3においてバーコード210を認識して顧客コードおよび暗号化された承認者IDを読み取り、ステップS4において承認者IDを復号する。
また、ステップS5において、FAXサーバ101は、実施の形態1と同様にして顧客コードを検索するとともに、復号した承認者IDに基づいて承認キーマスタ130を検索する。顧客コードおよび承認者IDの両方が存在する場合のみバーコード210に整合性があると判定し、いずれか一方でも存在しない場合には整合性がないと判定する。
さらに、取得した承認者IDに関連する承認コードおよび承認者メールアドレスを、承認キーマスタ130から取得する。
その他の動作は実施の形態1と同様である。
【0038】
以上説明されるように、本発明の実施の形態2に係るFAXサーバ101、すなわちプログラムを実行してFAXサーバ101として機能するコンピュータは、実施の形態1と同様に、送信用FAX文書のFAX送付状200に印刷されたバーコード210の内容に応じてそのFAX文書に関する情報を承認者に提示し、送信の承認または棄却の入力を承認者に促し、入力に応じて送信を行うか否かを決定する。このため、承認者は文書の送信前に、そのFAX文書の内容を確認して承認の判断をすることができ、不適切な内容を含む文書の送信を防ぐことができる。たとえば、送信すべき文書の取り違えや、機密情報を誤って送信してしまうことを防ぐことができる。
【0039】
また、実施の形態2では、バーコード210が承認コードを含まないため、承認者でなくとも、承認者IDを知っていればバーコード210を作成することができる。このため、送信者が適宜FAX送付状200を作成することができ、利便性が向上する。また、バーコード210が承認コードを含まないため、万一承認コードの復号方法が漏洩した場合であっても、承認コード自体は安全に保たれる。
さらに、バーコード210に含まれる情報は顧客コードおよび承認者IDのみであり、実施の形態1と比較して情報量が少ないため、バーコード210をより小型化することができる。または、同一のサイズで冗長度を上げてより確実に認識できるようにすることができる。
なお、実施の形態2では、バーコード210に含まれる承認者IDは暗号化されているが、これは暗号化されずにコード化されていてもよい。すなわち、FAXサーバ101は、ステップS3において承認者IDを直接読み取ってもよい。この場合、ステップS4は省略される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1に係るFAXサーバおよびその周辺の構成を示す図である。
【図2】図1の顧客マスタの構成を示す図である。
【図3】図1の送信待ちリストの構成を示す図である。
【図4】図1のFAXサーバによるFAX文書の送信の際に用いられるFAX送付状の例である。
【図5】図1のFAXサーバ100の処理の流れを表すフローチャートである。
【図6】図5のステップS7の詳細を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2に係るFAXサーバの構成を示す図である。
【図8】図7の承認キーマスタの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10 承認用端末、20 プリンタ、30 送信側FAX装置、40 受信側FAX装置、51 LAN、52 内線ネットワーク、53 外線ネットワーク、100、101 FAXサーバ、110 顧客マスタ、120 送信待ちリスト、130 承認キーマスタ、200 FAX送付状、210 バーコード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側FAX装置から受信側FAX装置へと送信されるFAX文書を仲介する、FAXサーバであって、
前記送信側FAX装置から送信されるFAX文書を受信する機能と、
前記FAX文書に印刷されたバーコードを読み取って、承認者に関する情報を取得する機能と、
前記承認者に関する情報に基づいて、前記FAX文書を前記承認者に送信する機能と、
前記承認者からの入力に基づいて、前記FAX文書を前記受信側FAX装置へと送信するか否かを決定する機能と、
送信すると決定した場合に前記FAX文書を前記受信側FAX装置に送信する機能と
を備えたFAXサーバ。
【請求項2】
前記承認者に関する情報は、前記承認者の電子メールアドレスと、前記承認者を認証するための承認コードとを含む、請求項1に記載のFAXサーバ。
【請求項3】
前記承認者に関する情報は、前記承認者を識別するための承認者IDを含み、
前記FAXサーバは、前記承認者IDと、前記承認者に対応する承認コードとを関連付けて記憶する機能を有する
請求項1または2に記載のFAXサーバ。
【請求項4】
前記FAXサーバは、前記バーコードを読み取って、前記送信文書の送信先に関する情報をさらに取得する
請求項1〜3のいずれか一項に記載のFAXサーバ。
【請求項5】
前記バーコードはQRコードである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のFAXサーバ。
【請求項6】
前記承認者に関する情報は暗号化されており、
前記FAXサーバは、前記バーコードを読み取って、前記暗号化された前記承認者に関する情報を取得し、これを復号して前記承認者に関する情報を取得する
請求項1〜5のいずれか一項に記載のFAXサーバ。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1〜6のいずれか一項に記載のFAXサーバとして機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−188618(P2009−188618A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25150(P2008−25150)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(394013002)三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】