説明

GABA−A受容体修飾物質としての重水素修飾されたトリアゾロピリダジン誘導体

本発明は、重水素化置換トリアゾロピリダジンおよびその薬学的に許容される塩に関する。本発明は、本発明の化合物を含む組成物およびα1−GABA受容体拮抗薬またはα2−またはα3−GABA受容体部分作動薬を投与することによって有益に治療される疾患および病気の治療方法におけるそのような組成物の使用も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年6月23日に出願された米国仮特許出願第61/269,332号の優先権を主張するものである。上記出願の全技術内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多くの現代薬の欠点は、特定の適応症におけるそれらのより広範囲にわたる使用を妨げるかそれらの使用を制限する不十分な吸収、分布、代謝および/または排泄(ADME)特性である。不十分なADME特性は、臨床試験での薬物候補の失敗の主な理由でもある。特定のADME特性を向上させるために製剤技術やプロドラッグ戦略を用いることもできるが、これらの手法では、多くの薬物および薬物候補に存在する根本的なADME問題への対処ができない場合が多い。1つのそのような問題は急速な代謝であり、それにより、急速に代謝されなければ疾患の治療に非常に有効であると思われる複数の薬物が体内からあまり急速に排出されてしまう。急速な薬物クリアランスに対する可能な解決法は、十分に高い血漿中薬物濃度を達成するために頻繁に投与するか高用量を投与することである。しかし、これにより、対象の投与計画への服薬遵守の低下、高用量によってより急性となる副作用および治療費の上昇などの複数の生じ得る治療上の問題が引き起こされる。急速に代謝される薬物によって、対象を望ましくない毒性もしくは反応性代謝物に曝す場合もある。
【0003】
多くの薬に影響を与える別のADMEによる制限は、毒性もしくは生物反応性代謝物の生成である。その結果、薬物を投与されている対象の中に毒性を経験するものがいたり、あるいはそのような薬物の安全な投与が制限されることにより対象に最適量以下の活性薬剤が投与されたりする場合がある。特定の場合には、投与間隔または製剤法の修正によって臨床的有害作用を減少させることができるが、そのような望ましくない代謝物の生成は化合物の代謝に固有である場合が多い。
【0004】
いくつかの選択された場合には、あまりに急速に排出される薬物と共に代謝阻害剤が同時投与される。これは、HIV感染症を治療するために使用されるプロテアーゼ阻害剤クラスの薬物にも当てはまる。FDAは、このような薬物を、シトクロムP450酵素3A4(CYP3A4)(この酵素は典型的にそれらの代謝に関与する)阻害剤であるリトナビルと同時投与することを推奨している(Kempf, D.J. et al., Antimicrobial agents and chemotherapy, 1997,
41(3): 654-60を参照)。しかし、リトナビルによって有害作用が引き起こされ、異なる薬物の組み合わせを既に摂取しているはずであるHIV対象に対して錠剤の負荷(pill burden)を加える。同様に、制御不能情動の治療におけるデキストロメトルファンの急速なCYP2D6の代謝を減少させるために、デキストロメトルファンにCYP2D6阻害剤であるキニジンが添加される。しかし、キニジンは、可能な併用療法でのその使用を大きく制限する好ましくない副作用を有する(Wang, L et al., Clinical Pharmacology and Therapeutics, 1994, 56(6
Pt 1): 659-67およびwww.accessdata.fda.govに記載されているキニジンのFDAラベルを参照)。
【0005】
一般に、薬物をシトクロムP450阻害剤と組み合わせることは、薬物クリアランスを減少させる十分な戦略ではない。CYP酵素の活性の阻害は、同じ酵素によって代謝される他の薬物の代謝およびクリアランスに影響を与える可能性がある。CYP阻害によって、他の薬物が毒性レベルまで体内に蓄積される可能性がある。
【0006】
薬物の代謝特性を向上させる可能性のある魅力的な戦略は重水素修飾である。この手法では、薬物のCYP媒介性代謝を遅くするか、あるいは1つまたは複数の水素原子を重水素原子で置換して望ましくない代謝物の生成を減少させることを試みる。重水素は、水素の安全で安定な非放射性同位体である。水素と比較して、重水素は、炭素とのより強い結合を形成する。いくつかの選択された場合には、重水素によって与えられる結合強度の上昇によって、薬物のADME特性にプラスの影響を与え、それにより、薬効、安全性および/または耐容性を向上させる可能性を引き起こすことができる。同時に、重水素の大きさおよび形状が水素と本質的に同じであるため、重水素による水素の置換によって、水素のみを含む元の化学物質と比較して、薬物の生化学的効力および選択性に影響を与えることは予期されていない。
【0007】
過去35年にわたって、代謝率に対する重水素の置換の影響は、非常に低い割合の承認薬に対して報告されている(例えば、Blake, MI et al, J Pharm Sci, 1975, 64:367-91; Foster, AB, Adv Drug
Res 1985, 14:1-40 ("Foster"); Kushner, DJ et al, Can J Physiol
Pharmacol 1999, 79-88; Fisher, MB et al, Curr Opin Drug Discov Devel, 2006,
9:101-09 ("Fisher")を参照)。その結果は変動的であり、予測不可能であった。いくつかの化合物では、重水素化によって生体内での代謝クリアランスが減少した。他の化合物では、代謝における変化は全く認められなかった。さらに他の化合物は、代謝クリアランスの上昇を示した。また、重水素のばらつきの影響によって、専門家は、有害な代謝を阻害するための実行可能な薬物設計戦略としての重水素修飾を疑問視し、却下している(Fosterの35頁および101頁を参照)。
【0008】
重水素原子が公知の代謝部位に組み込まれている場合でさえ、薬物の代謝特性に対する重水素修飾の影響は予測不可能である。重水素化薬物を実際に調製および試験することによってのみ、代謝率が非重水素化対照物の代謝率と異なるか否かおよびどのように異なるのかを判断することができる。例えば、Fukuto et al. (J. Med. Chem. 1991, 34, 2871-76)を参照されたい。多くの薬物は代謝可能な複数の部位を有する。重水素置換が必要とされる部位(1つまたは複数)および代謝に対する影響を認めるのに必要な重水素化の程度は、存在する場合、薬物ごとに異なる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、新規な置換トリアゾロピリダジンおよびその薬学的に許容される塩に関する。GABA受容体は、CNSにおけるγ−アミノ酪酸(GABA)の阻害作用を媒介するリガンド開口型塩素イオンチャネルである。GABA受容体は、2:2:1の化学量論でα、βおよびγサブユニットを含む受容体として最初に発見された5つのサブユニットからなるヘテロメリックタンパク質である。α1、α2、α3またはα5サブユニットを含むGABA受容体は、ベンゾジアゼピン結合部位を含み、それは、ベンゾジアゼピンの薬理活性の基礎となる。本発明は、本発明の化合物を含む組成物、ならびにα1サブユニットからなるベンゾジアゼピン部位におけるGABA受容体に対する拮抗薬またはα2またはα3サブユニットを含むベンゾジアゼピン部位におけるGABA受容体に対する部分作動薬を投与することによって有効に治療される疾患および病気の治療方法におけるそのような組成物の使用も提供する。
【0010】
7−tert−ブチル−6−(1−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イルメトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−1,2,4−トリアゾロ[4,3−b]ピリダジンおよび7−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−エチル−2H−1,2,4−トリアゾール−3−イルメトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−1,2,4−トリアゾロ[4,3−b]ピリダジンとしても知られているTPA−023は、α1サブユニットに拮抗するGABA受容体の選択的リガンドであり、α2およびα3サブユニットの部分作動薬である。
【0011】
TPA−023は、第1相臨床試験においてヒトで分析されている(de Haas SL, et al, J Psychopharmacol, 2007, 21(4):374-83)。TPA−023は、敏捷性、筋弛緩または記憶に影響を与えずに抗不安作用を示した。TPA−023は、特定の試験用量で鎮静作用も示した。TPA−023に類似したGABA受容体プロファイルを示す化合物は、炎症性および神経因性疼痛の両方の薬理学的モデルにおいても活性を示した。
【0012】
TPA−023の支持されている有益な活性にも関わらず、鎮静作用を同時に生じさせない抗不安薬となる新しい化合物がなお必要とされている。さらに、炎症性疼痛および/または神経因性疼痛において活性を有する新しい抗侵害受容剤が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ヒト肝ミクロソームとのインキュベーション中の本発明の特定の化合物の消失の時間経過を示す。
【図2】ヒト肝ミクロソームとのインキュベーション中の本発明の特定の他の化合物の消失の時間経過を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「治療する」という用語は、疾患(例えば、本明細書に詳述されている疾患または障害)の発症または進行を低下、抑制、軽減、減少、停止または安定化させることを意味する。
【0015】
「疾患」とは、細胞、組織または臓器の正常な機能を損傷または妨害する任意の病気または障害を意味する。
【0016】
「アルキル」という用語は、一価の飽和炭化水素基を指す。C〜Cアルキルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキルである。アルキルは、直鎖状または分岐鎖状であってもよい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルなどのプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルなどのブチル、例えば、n−ペンチル、イソペンチルおよびネオペンチルなどのペンチル、例えば、n−ヘキシルおよび2−メチルペンチルなどのヘキシルが挙げられる。
【0017】
合成で使用される化学物質の由来に応じて、合成された化合物において天然の同位体存在度に若干のばらつきが生じることが分かるであろう。従って、TPA−023の調製は、少量の重水素化同位体置換体(isotopologue)を本質的に含む。このばらつきにも関わらず、天然存在度の安定な水素および炭素同位体の濃度は、本発明の化合物の安定な同位体置換の程度と比較して少なく、取るに足らない。例えば、Wada E et al., Seikagaku 1994, 66:15; Gannes LZ et al., Comp Biochem
Physiol Mol Integr Physiol 1998, 119:725を参照されたい。
【0018】
本発明の化合物では、特定の同位体として具体的に指定されていない任意の原子は、その原子の任意の安定な同位体を表わすことが意図されている。特に明記しない限り、位置が「H」または「水素」のように具体的に指定されている場合、その位置がその天然存在度の同位体組成で水素を有することが理解される。また、特に明記しない限り、位置が「D」または「重水素」のように具体的に指定されている場合、その位置は、重水素の天然の存在度(0.015%)よりも少なくとも3340倍多い存在度で重水素を有すること(すなわち、少なくとも50.1%の重水素の取り込み)が理解される。
【0019】
本明細書中で使用される「同位体濃縮係数」という用語は、同位体存在度と具体的な同位体の天然存在度との比を意味する。
【0020】
他の実施形態では、本発明の化合物は、指定されている各重水素原子について、少なくとも3500(各指定の重水素原子において52.5%の重水素の取り込み)、少なくとも4000(60%の重水素の取り込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素の取り込み)、少なくとも5000(75%の重水素)、少なくとも5500(82.5%の重水素の取り込み)、少なくとも6000(90%の重水素の取り込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素の取り込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素の取り込み)、少なくとも6600(99%の重水素の取り込み)または少なくとも6633.3(99.5%の重水素の取り込み)の同位体濃縮係数を有する。
【0021】
「同位体置換体」という用語は、その同位体組成においてのみ化学構造が本発明の具体的な化合物とは異なる化学種を指す。
【0022】
「化合物」という用語は、本発明の化合物について述べる場合、分子の構成原子中に同位体の変形形態が存在し得ること以外は、同一の化学構造を有する分子の集合体を指す。従って、指示されている重水素を含む特定の化学構造によって表わされる化合物が、その構造中の指定された1つまたは複数の重水素位置に水素原子を有するより少量の同位体置換体も含むことが当業者には明らかであろう。本発明の化合物中のそのような同位体置換体の相対量は、本化合物を調製するために使用される重水素化試薬の同位体純度および本化合物を調製するために使用される様々な合成工程における重水素の取り込み効率などの複数の要因によって決まる。但し、上述したように、そのような同位体置換体の相対量は全体として、本化合物の49.9%よりも少ない。他の実施形態では、そのような同位体置換体の相対量は全体として、本化合物の47.5%未満、40%未満、32.5%未満、25%未満、17.5%未満、10%未満、5%未満、3%未満、1%未満または0.5%未満である。
【0023】
本発明は、本発明の化合物の塩も提供する。
【0024】
本発明の化合物の塩は、酸とアミノ官能基などの本化合物の塩基性基との間、塩基とカルボキシル官能基などの本化合物の酸性基との間で形成される。別の実施形態によれば、本化合物は、薬学的に許容される酸付加塩である。
【0025】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、過度の毒性、刺激およびアレルギー反応などを引き起こすことなく、適切な医学的な判断の範囲内でヒトおよび他の哺乳類の組織と接触させて使用するのに適し、かつ妥当な利益/リスク比に見合った成分を指す。「薬学的に許容される塩」とは、被投与者に投与されると、直接または間接的に本発明の化合物を提供することができる任意の毒性のない塩を意味する。「薬学的に許容される対イオン」とは、被投与者に投与されると塩から放出される際に毒性でない塩のイオン部分である。
【0026】
薬学的に許容される塩を形成するために一般に用いられる酸としては、二硫化水素、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、酒石酸、重酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ギ酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、乳酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸などの有機酸、ならびに関連する無機および有機酸が挙げられる。従って、そのような薬学的に許容される塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩および他の塩が挙げられる。一実施形態では、薬学的に許容される酸付加塩としては、塩酸および臭化水素酸などの鉱酸と共に形成された塩、特に、マレイン酸などの有機酸と共に形成された塩が挙げられる。
【0027】
例えば、重水素置換の結果として、あるいは他の方法によって、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、不斉炭素原子を含んでいてもよい。従って、本発明の化合物は、個々の鏡像異性体またはその2つの鏡像異性体の混合物として存在することができる。従って、本発明の化合物は、ラセミ混合物または非ラセミ(scalemic)混合物として、あるいは別の可能な立体異性体を実質的に含まない個々の各立体異性体として存在していてもよい。本明細書で使用される「他の立体異性体を実質的に含まない」という用語は、25%未満の他の立体異性体、好ましくは10%未満の他の立体異性体、より好ましくは5%未満の他の立体異性体、最も好ましくは2%未満の他の立体異性体が存在することを意味する。所与の化合物の個々の鏡像異性体を得るまたは合成する方法が当該技術分野で知られており、その方法を、最終的な化合物あるいは出発物質または中間体に対して実施可能なものとして適用してもよい。
【0028】
特に明記しない限り、開示されている化合物は、立体化学を明示せずに記載または構造によって図示され、かつ1つまたは複数のキラル中心を有する場合、本化合物の全ての可能な立体異性体を表わすことが理解される。
【0029】
本明細書で使用される「安定な化合物」という用語は、それらの製造を可能にするのに十分な安定性を有し、かつ本明細書に詳述されている目的(例えば、治療薬への製剤化、治療化合物の製造に使用される中間体、単離可能または貯蔵可能な中間化合物、治療薬に反応する疾患または病気の治療)にとって有用となるように十分な期間にわたって本化合物の完全性を維持する化合物を指す。
【0030】
「D」とは重水素を指す。「立体異性体」とは、鏡像異性体およびジアステレオマーを指す。「Tert」、「」および「t−」はそれぞれ、第三級を指す。「US」は米国を指す。
【0031】
「重水素で置換された」という用語は、指示されている部分の1つまたは複数の水素原子が対応する数の重水素によって置換されていることを意味する。
【0032】
本明細書全体にわたって、可変部分は、一般に参照されていても(例えば「各R」)、具体的に参照されていてもよい(例えば、R、R、Rなど)。特に明記しない限り、可変部分が一般に参照されている場合、それはその特定の可変部分の全ての具体的な実施形態を含むことが意図されている。
【0033】
治療化合物
本発明は、式Iの化合物:
【化1】

またはその薬学的に許容される塩を提供し、
式中、
は、−CHまたは−CHCHであり、ここで、Rは重水素で任意に置換されており、
は、
(a)1つまたは2つのZ(ここで、Zは重水素で任意に置換された−CH、ハロゲンおよび−OHから選択される)で任意に置換された−C〜Cアルキル、
(b)−OC〜Cアルキル、
(c)−C(O)H、
(d)−C(O)C〜Cアルキル、
(e)−C(O)OC〜Cアルキル、または
(f)−CR=NOR
であり、ここで、R中の各アルキルは1つまたは複数の重水素で任意に置換されており、
は、水素、重水素および1つまたは複数の重水素で任意に置換されたC〜Cアルキルから選択され、
は、ヒドロキシルまたは−N(C〜Cアルキル)で任意に置換されたC〜Cアルキルであり、ここで、R中の各アルキルは重水素で任意に置換されており、
各Yは独立して水素または重水素から選択され、
は、水素または重水素であるが、
但し、Rが未置換−CHまたは未置換−CHCHであり、Zが未置換−CHであり、Rが重水素で置換されておらず、Rが水素または重水素で置換されていないC〜Cアルキルであり、かつRが重水素で置換されていない場合、YおよびYのうちの少なくとも1つは重水素である。
【0034】
一実施形態では、Rは、メチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ジフルオロエチル、フルオロプロピル、ヒドロキシプロピル、t−ブチル、O−メチル、−C(O)H、−C(O)メチル、−カルボニルオキシメチルおよび−CR=NORであり、ここで、Rの各アルキルは1つまたは複数の重水素で任意に置換されている。本実施形態の一例では、Rは、−CH、−CD、−CFCH、−CFCD、−CF(CH、−CF(CD、−C(OH)(CH、−C(OH)(CD、−C(CHおよび−C(CDから選択される。
【0035】
一実施形態では、Rは、水素、重水素、CHおよびCDから選択される。
【0036】
一実施形態では、Rは、メチル、エチル、ヒドロキシエチルおよびジメチルアミノエチルから選択され、ここで、R中の各アルキルは重水素で任意に置換されている。
【0037】
一実施形態では、Rは、メチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ジフルオロエチル、フルオロプロピル、ヒドロキシプロピル、t−ブチル、O−メチル、−C(O)H、−C(O)メチル、−カルボニルオキシメチルおよび−CR=NORであり、ここで、R中の各アルキルは1つまたは複数の重水素で任意に置換されており、
は、水素、重水素、CHおよびCDから選択され、
は、メチル、エチル、ヒドロキシエチルおよびジメチルアミノエチルから選択され、ここで、R中の各アルキルは重水素で任意に置換されている。本実施形態の一例では、Rは、−CH、−CD、−CFCH、−CFCD、−CF(CH、−CF(CD、−C(OH)(CH、−C(OH)(CD、−C(CHおよび−C(CDから選択される。
【0038】
本発明の一実施形態は、式Iaの化合物:
【化2】

またはその薬学的に許容される塩を提供し、
式中、
は−CHまたは−CHCHであり、ここで、Rは重水素で任意に置換されており、
Zは、−OHまたは−CHであり、ここで、Zの−CHは重水素で任意に置換されており、
各Rは−CHであり、ここで、各Rは重水素で任意に置換されており、
各Yは、独立して水素または重水素であり、
は、水素または重水素であるが、
但し、Rが未置換−CHまたは未置換−CHCHであり、各Rが未置換−CHであり、かつZが未置換−CHである場合、YおよびYのうちの少なくとも1つは重水素である。
【0039】
本発明の一実施形態は、式Iaの化合物を提供し、ここで、−CZ(Rは、−C(CHまたは−C(CDであり、Y1aおよびY1bは同一である。本実施形態の一態様では、Y1aおよびY1bは水素である。別の態様では、Y1aおよびY1bは重水素である。別の態様では、Yは水素である。別の態様では、Yは重水素である。
【0040】
本発明の一実施形態は、式Iaの化合物を提供し、ここで、Rは、−CH、−CD、−CHCH、−CDCH、−CHCDまたは−CDCDである。本実施形態の一態様では、Rは、−CHCH、−CDCH、−CHCDまたは−CDCDである。別の態様では、Y1aおよびY1bは水素である。別の態様では、Y1aおよびY1bは重水素である。別の態様では、Yは水素である。別の態様では、−CZ(Rは、−C(CHまたは−C(CDである。さらに別の態様では、−CZ(Rは−C(CDである。さらに別の態様では、Rは、−CHCH、−CDCH、−CHCDまたは−CDCDであり1aおよびY1bは同一であり、Yは水素であり、−CZ(Rは、−C(CHまたは−C(CDである。
【0041】
一実施形態は、−CZ(Rが−C(CHまたは−C(CDである式Iaの化合物を提供する。
【0042】
一実施形態は、−CZ(Rが−C(OH)(CDである式Iaの化合物を提供する。
【0043】
一実施形態は、−CZ(Rが−C(OH)(CHである式Iaの化合物を提供する。
【0044】
一実施形態は、Y1aおよびY1bが同一であり、かつYが水素である式Iaの化合物を提供する。本実施形態の一態様では、−CZ(Rは−C(CDである。本実施形態の別の態様では、Y1aおよびY1bは重水素である。さらに別の態様では、−CZ(Rは−C(CDであり、Y1aおよびY1bは重水素である。
【0045】
式の化合物の一実施形態では、Yは水素であり、−CZ(Rは−C(CDであり、本化合物は、以下の表1に記載されている化合物のうちのいずれか1つから選択される。
表1:式Iaの化合物の例
【表1】

または上記のいずれかの薬学的に許容される塩。
【0046】
式Iaの化合物の一実施形態では、Yは水素であり、−CZ(Rは−C(CDであり、Rは−CDであり、Y1aおよびY1bはそれぞれ水素であり、従って、以下の化合物:
【化3】

または上記の薬学的に許容される塩が提供される。
【0047】
式Iaの化合物の一実施形態では、Yは水素であり、−CZ(Rは−C(CDであり、RはCDであり、Y1aおよびY1bはそれぞれ重水素であり、従って、以下の化合物:
【化4】


または上記の薬学的に許容される塩が提供される。
【0048】
式Iaの化合物の一実施形態では、Yは水素であり、−CZ(Rは、
【化5】

であり、本化合物は、以下の表2に記載されている化合物のうちのいずれか1つから選択される。
表2:式Iaの化合物の例
【表2】

または上記のいずれかの薬学的に許容される塩。
【0049】
本発明は、式IIの化合物:
【化6】

またはその薬学的に許容される塩などのその塩も提供し、
式中、
、各YおよびYは式Iについて上に定義したとおりであるが、
但し、Rが未置換−CHまたは未置換−CHCHであり、かつ各Yが水素である場合、Yは重水素である。
【0050】
一実施形態では、Yは水素であり、RはCDであり、Y1aおよびY1bはそれぞれ重水素であり、従って、以下の化合物:
【化7】

またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0051】
一実施形態では、Yは水素であり、RはCDCDであり、Y1aおよびY1bはそれぞれ重水素であり、従って、以下の化合物:
【化8】

またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0052】
別の組の実施形態では、上記実施形態のいずれかにおいて重水素として指定されていない任意の原子は、その天然の同位体存在度で存在する。
【0053】
式Iの化合物の合成は、本明細書に開示されている例示的な合成および実施例を参照しながら通常の技術を有する合成化学者によって容易に達成することができる。
【0054】
例示的な合成
式Iの化合物は、以下に示すスキームに従って調製することができる。
スキーム1:Rが重水素で任意に置換された−C(CHである式Iの化合物の一般的な経路
【化9】

【0055】
が重水素で任意に置換された−C(CHである式I
が重水素で任意に置換された−C(CHである式Iの化合物の合成は、一般にスキーム1に示すように達成することができる。適切に重水素化されたピバル酸10を用いる3,6−ジクロロピリダジン11のラジカルアルキル化によって中間体(12)を調製する。Rが−C(CDである化合物の調製のためのD9−ピバル酸は市販されている。次いで、適切に重水素化された3,6−ジクロロ−4−t−ブチルピリダジン(12)を市販の2−フルオロベンゾヒドラジド(13)で濃縮して(14)を得る。この塩化物を式IIおよびNaHから生成されたアニオンで置換して、Rが重水素で任意に置換された−C(CHである式Iの化合物を得る。
【0056】
スキーム2:式IIの化合物の合成
【化10】

スキーム2は、式IIの重水素化類似体の調製を示す。Dallacker F et al, Chemiker-Zeitung 1986, 110:101-108およびDallacker F et al, Chemiker-Zeitung 1986, 110, p. 275-281に一般に記載されているように、市販の1,2,4−トリアゾール(16)(または市販の1,2,4−トリアゾール−d3)をR−I(17)と反応させて、適切に重水素化されたメチルトリアゾール(18)を得、次いで、これをホルホルムアルデヒドまたは重水素化ホルムアルデヒド(19)で処理して、式IIの化合物を得る。CD−I、CHCD−I、CDCH−IおよびCDCD−Iは全て市販されている。
【0057】
スキーム3:Rが以下である式Iの化合物の一般的な経路
【化11】

【化12】

スキーム3は、Rが、
【化13】

である式Iの化合物の調製を示す。Collins, et al.; Tet. Lett. 2000, 41, 781-784に記載されている一般的な方法に従って、市販の3,6−ジクロロピリダジン11を、リチウムテトラメチルピペリジド(LiTMP)および塩化トリメチルシリル(TMSCl)で処理して、化合物20を得る。無水ヒドラジンで処理してアミン21を得、市販の2−フルオロベンゾイルクロリドでアシル化して、22を得る。トリフェニルホスフィンおよび1,2−ジブロモテトラクロロエタンからその場生成されたトリフェニルホスホニウム二臭化物での処理による環化によって、二環23を得る。ジフルオロトリメチルケイ酸トリス(ジメチルアミノ)スルホニウム(TAS−F)およびシアノギ酸メチルでの処理によってエステル24を得る。適当なアルキルリチウム試薬またはグリニャール試薬(ここで、Xは、塩化物、臭化物またはヨウ化物である)での処理によって、アルコール25を得る。あるいは、国際公開第1999037644号に開示されている一般的な方法に従って、ジフルオロトリフェニルスズ酸テトラブチルアンモニウムおよび適切に重水素化されたアセトンでの処理によって化合物23を化合物25に直接変換してもよい。化合物25の塩化物を式IIの化合物のアニオンで置換して、Rが、
【化14】

である式Iの化合物を得る。
【0058】
一例では、市販のメチル−d3−リチウムまたはメチル−d3−ヨウ化マグネシウムをスキーム3で使用して、最終的にRがCDである式Iの化合物を得てもよい。
【0059】
上に示す具体的な手法および化合物は限定的なものではない。本明細書におけるスキーム中の化学構造は、同じ可変部分名(すなわち、R、R、Rなど)によって識別されている否かに関わらず、本明細書中の化合物式中の対応する位置の化学基の定義(部分、原子など)に合わせてそれらにより定義される可変部分を示す。別の化合物の合成で使用される化合物構造中の化学基の適合性は、当業者の知識の範囲内である。
【0060】
本発明によって想定される置換基および可変部分の組み合わせは、安定な化合物の形成が得られる組み合わせのみである。
【0061】
組成物
本発明は、有効量の式Iの化合物(例えば、本明細書中の式のいずれかを含む)または前記化合物の薬学的に許容される塩および許容される担体を含む発熱物質非含有組成物も提供する。好ましくは、本発明の組成物は、医薬用途(「医薬組成物」)のために製剤化され、ここで、担体は薬学的に許容される担体である。担体(1種または複数)は、製剤の他の成分と相溶性を有し、薬学的に許容される担体の場合、薬に使用される量でその被投与者に有害でないという意味において「許容」されるものである。
【0062】
本発明の医薬組成物に使用し得る薬学的に許容される担体、佐剤および媒体としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒトの血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩もしくは電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよびラノリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
必要であれば、医薬組成物における本発明の化合物の溶解度および生物学的利用能を、当該技術分野でよく知られている方法によって向上させてもよい。1つの方法としては、製剤に脂質賦形剤を用いることが挙げられる。"Oral Lipid-Based Formulations: Enhancing the Bioavailability
of Poorly Water-Soluble Drugs (Drugs and the Pharmaceutical Sciences),"
David J. Hauss, ed. Informa Healthcare, 2007および"Role
of Lipid Excipients in Modifying Oral and Parenteral Drug Delivery: Basic
Principles and Biological Examples," Kishor M. Wasan, ed.
Wiley-Interscience, 2006を参照されたい。
【0064】
生物学的利用能を向上させる別の公知の方法は、場合により、LUTROL(商標)およびプルロニック(PLURONIC)(商標)(BASF社)などのポロキサマーまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーと共に製剤化された非晶質形態の本発明の化合物の使用である。米国特許第7,014,866号および米国特許出願公開第20060094744号および第20060079502号を参照されたい。
【0065】
本発明の医薬組成物としては、経口、直腸内、経鼻、局所(口内および舌下など)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内など)投与に適したものが挙げられる。特定の実施形態では、本明細書中の式の化合物は、(例えば、経皮パッチまたはイオン泳動法を用いて)経皮投与される。他の製剤を、単位剤形、例えば、錠剤、徐放カプセルおよびリポソームで好都合に提供してもよく、薬学の技術分野でよく知られている任意の方法で調製してもよい。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams
& Wilkins, Baltimore, MD (20th ed. 2000)を参照されたい。
【0066】
そのような調製方法は、1種または複数の副成分を構成する担体などの成分を、投与される分子に結合させる工程を含む。一般に、本組成物は、有効成分を液体担体、リポソームもしくは微粉固体担体、またはその両方と均一かつ密接に結合し、次いで、必要であればその生成物を成形することによって調製する。
【0067】
特定の実施形態では、本化合物は経口投与される。経口投与に適した本発明の組成物を、それぞれが所定量の有効成分を含むカプセル、小袋または錠剤などの分離単位として、粉末もしくは顆粒、水性液体もしくは非水性液体の溶液もしくは懸濁液、水中油型液体乳濁液、油中水型液体乳濁液、リポソームに包理したものまたは巨丸剤などとして提供してもよい。軟ゼラチンカプセルはそのような懸濁液を入れるために有用となり得、化合物の吸収率を有利に増加させることができる。
【0068】
経口的使用のための錠剤の場合、一般に使用される担体としては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も典型的に添加される。カプセル形態での経口投与に有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液を経口投与する場合、有効成分を乳化剤および懸濁化剤と組み合わせる。必要に応じて、特定の甘味料および/または着香料および/または着色剤を添加してもよい。
【0069】
経口投与に適した組成物としては、風味づけした基剤、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガント中に成分を含むトローチ剤、および、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤中に有効成分を含む香錠が挙げられる。
【0070】
非経口投与に適した組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および、製剤を対象の被投与者の血液に等張させる溶質を含み得る水性および非水性無菌注射溶液ならびに懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性無菌懸濁液を含む。本製剤を、単位用量または複数回用量容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルで提供してもよく、使用直前に無菌液体担体(例えば注射用水)の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件で貯蔵してもよい。即席の注射溶液および懸濁液を、無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製してもよい。
【0071】
そのような注射溶液は、例えば、水性もしくは油性の注射用無菌懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤(例えば、トゥイーン(Tween)80)および懸濁化剤を用いて、当該技術分野で知られている技術に従って製剤化してもよい。また、注射用無菌製剤は、例えば、1,3−ブタンジオール溶液のような、毒性のない非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒を用いた無菌注射溶液もしくは懸濁液であってもよい。用い得る許容される媒体および溶媒としては、マンニトール、水、リンガー液および等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらに、無菌固定油は、従来通りに溶媒または懸濁媒として用いられる。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドなどの任意の無刺激性固定油を用いてもよい。オレイン酸などの脂肪酸およびそのグリセリド誘導体は、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油、特にそれらのポリオキシエチル化形態と同様に、注射剤の調製に有用である。また、これらの油溶液もしくは懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤を含んでいてもよい。
【0072】
本発明の医薬組成物を、直腸内投与用の坐薬の形態で投与してもよい。このような組成物は、本発明の化合物を、室温で固体であるが直腸温で液体となるため直腸内で溶けて有効成分を放出する好適な非刺激性賦形剤と混合して調製することができる。そのような材料としては、カカオ脂、密蝋およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本発明の医薬組成物を、経鼻エアロゾルまたは吸入によって投与してもよい。そのような組成物は、医薬製剤の技術分野でよく知られている技術に従って調製し、ベンジルアルコールまたは他の好適な防腐剤、生物学的利用能を向上させる吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または当該技術分野で知られている他の可溶化剤または分散剤を用いて生理食塩水溶液として調製してもよい。例えば、Alexza Molecular Delivery社に譲渡されたRabinowitz
JDおよびZaffaroni ACの米国特許第6,803,031号を参照されたい。
【0074】
所望の治療が局所塗布によって容易にアクセス可能な領域または臓器に関わる場合、本発明の医薬組成物の局所投与は特に有用である。皮膚への局所塗布のために、本医薬組成物を、担体に懸濁もしくは溶解した有効成分を含む好適な軟膏と共に製剤化しなければならない。本発明の化合物の局所投与用担体としては、鉱油、液体石油、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、本医薬組成物は、担体に懸濁もしくは溶解した活性化合物を含む好適なローションまたはクリームと共に製剤化することができる。好適な担体としては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明の医薬組成物を、直腸坐剤製剤によって、あるいは好適な浣腸製剤の形態で下部腸管に局所塗布してもよい。局所経皮パッチおよびイオン導入投与も本発明に含まれる。
【0075】
目的部位に投与されるように、対象治療薬の塗布は局所的であってもよい。対象組成物を目的部位に投与するために、注射、カテーテル、外套針、噴出装置(projectile)、プルロニックゲル、ステント、薬物徐放ポリマーまたは内部アクセスを提供する他の装置などの様々な技術を使用することができる。
【0076】
従って、さらに別の実施形態によれば、本発明の化合物を、人工器官、人工弁、代用血管、ステントまたはカテーテルなどの埋め込み型医療装置をコーティングするための組成物に組み込んでもよい。好適なコーティングおよびコーティングされる埋め込み型装置の一般的な調製は当該技術分野で知られており、米国特許第6,099,562号、第5,886,026号および第5,304,121号に例示されている。コーティングは典型的に、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニルおよびそれらの混合物などの生体適合性ポリマー材料である。コーティングは、組成物に制御放出特性を与えるために、場合により、フルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質類またはそれらの組み合わせからなる好適なトップコートでさらに覆われていてもよい。侵襲的装置のコーティングは、本明細書で使用されている薬学的に許容される担体、佐剤または媒体の定義の範囲に含まれるものとする。
【0077】
別の実施形態によれば、本発明は、前記装置を上記コーティング組成物に接触させる工程を含む埋め込み型医療装置のコーティング方法を提供する。哺乳類への埋め込み前に本装置のコーティングを行うことは当業者に明らかであろう。
【0078】
別の実施形態によれば、本発明は、前記薬剤放出装置を本発明の化合物もしくは組成物に接触させる工程を含む埋め込み型薬剤放出装置の含浸方法を提供する。埋め込み型薬剤放出装置としては、生分解性ポリマーカプセル(capsule or bullet)、非分解性拡散性ポリマーカプセルおよび生分解性ポリマーウエハが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
別の実施形態によれば、本発明は、前記化合物が治療的に活性となるように本発明の化合物またはそれを含む組成物でコーティングされた埋め込み型医療装置を提供する。
【0080】
別の実施形態によれば、本発明は、前記化合物が前記装置から放出され、治療的に活性となるように本発明の化合物または本発明の化合物を含む組成物で含浸されたかそれらを含む埋め込み型薬剤放出装置を提供する。
【0081】
対象から取り出されるために臓器または組織にアクセス可能な場合、そのような臓器または組織を、本発明の組成物を含む培養液に浸してもよく、本発明の組成物を臓器の表面に塗ってもよく、あるいは、本発明の組成物を任意の他の好都合な方法で塗布してもよい。
【0082】
別の実施形態では、本発明の組成物は第2の治療薬をさらに含む。第2の治療薬は、GABA受容体のα1サブユニットに拮抗するか、GABA受容体のα2および/またはα3サブユニットの部分作動薬である化合物と共に投与された場合に有利な特性を有するか有利な特性を示すことが知られている任意の化合物または治療薬から選択してもよい。
【0083】
好ましくは、第2の治療薬は、不安症、痙攣、骨格筋痙攣、痙縮、アテトーシス、てんかん、全身強直症候群、中枢神経系の他の障害および疼痛から選択される疾患または病気の治療または予防に有用な薬剤である。
【0084】
疼痛の例としては、急性、慢性、神経因性もしくは炎症性疼痛、関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹神経痛、一般的な神経痛、内臓痛、骨関節炎痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、神経根痛、座骨神経痛、背痛、頭部痛または頸部痛、激痛または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後疼痛および癌性疼痛が挙げられる。より特定の例としては、大腿骨癌性疼痛;非悪性慢性骨痛;関節リウマチ;骨関節炎;脊髄狭窄;神経因性腰痛;筋筋膜疼痛症候群;線維筋痛;顎関節痛;腹痛、膵臓痛およびIBS痛などの慢性内臓痛;慢性および急性頭痛;片頭痛;群発頭痛などの緊張性頭痛;帯状疱疹後神経痛などの慢性および急性神経因性疼痛;糖尿病性神経障害;HIV関連神経障害;三叉神経痛;シャルコー・マリー・トゥース神経障害;遺伝性運動感覚性ニューロパチー;末梢神経損傷;有痛性神経腫;異所性近位および遠位放電;神経根障害;化学療法誘発性神経因性疼痛;放射線療法誘発性神経因性疼痛;乳房切除後疼痛;中枢性疼痛;脊髄損傷疼痛;脳卒中後疼痛;視床痛;複合性局所疼痛症候群;幻痛;難治性疼痛;急性疼痛、急性術後痛;急性筋骨格痛;関節痛;機械的な腰痛;頸部痛;腱炎;損傷/運動痛;腹痛、腎盂腎炎、虫垂炎、胆嚢炎、腸閉塞およびヘルニアなどの急性内臓痛;心臓痛などの胸痛;骨盤痛;腎疝痛;陣痛などの急性の産科的疼痛;帝王切開の痛み;急性の炎症性火傷および外傷痛;子宮内膜症などの急性間欠痛;急性帯状疱疹痛;鎌状赤血球貧血;急性膵炎;突出痛;副鼻腔炎疼痛および歯痛などの口腔顔面痛;多発性硬化症(MS)疼痛;鬱病における疼痛;ハンセン病疼痛;ベーチェット病疼痛;有痛脂肪症;静脈炎疼痛;ギラン・バレー疼痛;痛む脚と動く足趾(painful legs and moving toes);ハグルンド症候群;肢端紅痛症疼痛;ファブリー病疼痛;膀胱疼痛症候群;間質性膀胱炎(IC):前立腺炎;複合性局所疼痛症候群(CRPS)(タイプIおよびタイプII);および狭心症誘発性疼痛が挙げられる。例えば、疼痛は、線維筋痛、急性帯状疱疹痛、HIV関連神経障害、神経因性腰痛、化学療法誘発性神経因性疼痛、放射線療法誘発性神経因性疼痛、末梢神経損傷、脊髄損傷疼痛および多発性硬化症(MS)疼痛からなる群から選択される疼痛であってもよい。
【0085】
一実施形態では、本発明は、互いに関連づけられた本発明の化合物および1種または複数の任意の第2の治療薬の別々の剤形を提供する。本明細書で使用される「互いに関連づけられた」という用語は、別々の剤形が一緒に販売され、かつ(互いの24時間未満以内に連続的または同時に)投与されることが意図されていることが容易に明らかになるように、別々の剤形が一緒に梱包されているか、他の方法で互いに取り付けられていることを意味する。
【0086】
本発明の医薬組成物では、本発明の化合物は有効量で存在する。本明細書で使用される「有効量」という用語は、適切な投与計画で投与される場合、治療中の疾患の重症度、期間または進行を低下させるか、治療中の疾患の進行を防止するか、治療中の疾患の緩解を引き起こすか、あるいは、別の療法の予防的効果または1つまたは複数の治療効果を向上または改善させるのに十分な量を指す。
【0087】
動物およびヒトに関する投与量の相互関係(体表のミリグラム/平方メートルに基づく)は、Freireich et al., (1966) Cancer Chemother Rep 50: 219に記載されている。体表面積は、対象の身長および体重から概算してもよい。例えば、Scientific Tables, Geigy Pharmaceuticals, Ardley, N.Y., 1970, 537を参照されたい。
【0088】
一実施形態では、本発明の化合物の有効量は、1回の治療につき約0.01〜約5000mgの範囲とすることができる。より具体的な実施形態では、この範囲は、約0.1〜2500mgまたは0.2〜1000mg、最も具体的には約1〜500mgである。治療薬は典型的には、1日1〜3回投与される。
【0089】
また、有効量は、当業者によって理解されているように、治療される疾患、疾患の重症度、投与経路、対象の性別、年齢および全体的な健康状態、賦形剤の使用、他の薬剤の使用などの他の治療法の同時使用の可能性、ならびに治療している医師の判断に応じて異なるであろう。
【0090】
第2の治療薬を含む医薬組成物では、第2の治療薬の有効量は、その薬剤のみを使用する単剤療法計画で通常利用される投与量の約20%〜100%である。好ましくは、有効量は、通常の単剤療法の投与量の約70%〜100%である。これらの第2の治療薬の通常の単剤療法の投与量は、当該技術分野でよく知られている。例えば、Wells et al., eds., Pharmacotherapy Handbook, 2nd Edition,
Appleton and Lange, Stamford, Conn. (2000); PDR Pharmacopoeia, Tarascon Pocket
Pharmacopoeia 2000, Deluxe Edition, Tarascon Publishing, Loma Linda, Calif.
(2000)を参照されたく、これらの各参考文献の内容全体が参考により本明細書に組み込まれる。
【0091】
上で参照した第2の治療薬のいくつかは、本発明の化合物と相乗的に作用することが予期されている。相乗作用が生じる場合、第2の治療薬および/または本発明の化合物の有効な投与量を単剤療法で必要とされる投与量よりも減少させることができる。これは、本発明の化合物のいずれかの第2の治療薬の有毒な副作用を最小にし、効力を相乗的に向上させ、投与または使用の容易性を向上させ、かつ/または化合物の調製または製剤化の総費用を低下させるという利点を有する。
【0092】
治療方法
別の実施形態によれば、本発明は、1−GABA受容体拮抗薬またはα2−および/またはα3−GABA受容体部分作動薬によって有益に治療される疾患に罹患しているか罹患しやすい対象の治療方法であって、有効量の本発明の化合物または前記化合物の薬学的に許容される塩または本発明の組成物を前記対象に投与する工程を含む方法を提供する。一例として、対象はヒトの患者であってもよい。
【0093】
そのような疾患は当該技術分野でよく知られており、限定されるものではないが、以下の特許および公開特許出願:国際公開第1998004559号、第2000044752号、第2006061428号および米国特許第6,630,471号に開示されている。そのような疾患としては、不安症、痙攣、骨格筋痙攣、痙縮、アテトーシス、てんかん、全身強直症候群、中枢神経系の他の障害および疼痛(例えば、神経因性疼痛、炎症性疼痛および片頭痛関連疼痛)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、疾患は、不安症および痙攣から選択される。
【0094】
一実施形態では、疾患は、急性、慢性、神経因性または炎症性疼痛、関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹神経痛、一般的な神経痛、内臓痛、骨関節炎痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、神経根痛、座骨神経痛、背痛、頭部痛、頸部痛、激痛または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後疼痛および癌性疼痛からなる群から選択される疼痛である。
【0095】
別の実施形態では、疼痛は、大腿骨癌性疼痛;非悪性慢性骨痛;関節リウマチ;骨関節炎;脊髄狭窄;神経因性腰痛;筋筋膜疼痛症候群;線維筋痛;顎関節痛;腹痛、膵臓痛およびIBS痛などの慢性内臓痛;慢性および急性頭痛;片頭痛;群発頭痛などの緊張性頭痛;帯状疱疹後神経痛などの慢性および急性神経因性疼痛;糖尿病性神経障害;HIV関連神経障害;三叉神経痛;シャルコー・マリー・トゥース神経障害;遺伝性運動感覚性ニューロパチー;末梢神経損傷;有痛性神経腫;異所性近位および遠位放電;神経根障害;化学療法誘発性神経因性疼痛;放射線療法誘発性神経因性疼痛;乳房切除後疼痛;中枢性疼痛;脊髄損傷疼痛;脳卒中後疼痛;視床痛;複合性局所疼痛症候群;幻痛;難治性疼痛;急性疼痛、急性術後痛;急性筋骨格痛;関節痛;機械的な腰痛;頸部痛;腱炎;損傷/運動痛;腹痛、腎盂腎炎、虫垂炎、胆嚢炎、腸閉塞およびヘルニアなどの急性内臓痛;心臓痛などの胸痛;骨盤痛;腎疝痛;陣痛などの急性の産科的疼痛;帝王切開の痛み;急性炎症性火傷および外傷痛;子宮内膜症などの急性間欠痛;急性帯状疱疹痛;鎌状赤血球貧血;急性膵炎;突出痛;副鼻腔炎疼痛および歯痛などの口腔顔面痛;多発性硬化症(MS)疼痛;鬱病における疼痛;ハンセン病疼痛;ベーチェット病疼痛;有痛脂肪症;静脈炎疼痛;ギラン・バレー疼痛;痛む脚と動く足趾(painful legs and moving toes);ハグルンド症候群;肢端紅痛症疼痛;ファブリー病疼痛;膀胱疼痛症候群;間質性膀胱炎(IC):前立腺炎;複合性局所疼痛症候群(CRPS)(タイプIおよびタイプII);および狭心症誘発性疼痛からなる群から選択される。
【0096】
さらに別の実施形態では、疼痛は、線維筋痛、急性帯状疱疹痛、HIV関連神経障害、神経因性腰痛、化学療法誘発性神経因性疼痛、放射線療法誘発性神経因性疼痛、末梢神経損傷、脊髄損傷疼痛および多発性硬化症(MS)疼痛からなる群から選択される。
【0097】
本明細書に詳述されている方法は、対象を特定の定められた治療を必要としているものとして特定する方法も含む。対象をそのような治療を必要としているものとして特定することは、対象または医療の専門家の判断であってもよく、主観的(例えば、所見)または客観的(例えば、試験または診断法によって測定可能)であってもよい。
【0098】
別の実施形態では、上記治療方法のいずれかは、対象に1種または複数の第2の治療薬を同時投与するさらなる工程を含む。第2の治療薬は、GABA受容体のα1に拮抗するか、GABA受容体のα2および/またはα3サブユニットの部分作動薬である化合物との同時投与にとって有用であると知られている任意の第2の治療薬から選択されてもよい。第2の治療薬の選択は、治療される特定の疾患または病気にも依存している。本発明の方法で用いられ得る第2の治療薬の例は、本発明の化合物および第2の治療薬を含む組み合わせ組成物での使用について上に記載されている治療薬である。
【0099】
本明細書で使用される「同時投与」という用語は、第2の治療薬を、単一の剤形(本発明の化合物および上記第2の治療薬を含む本発明の組成物)の一部として、あるいは別々の複数の剤形として、本発明の化合物と一緒に投与し得ることを意味する。あるいは、さらなる薬剤を、本発明の化合物の投与前、その投与と連続的に、あるいはその投与後に投与してもよい。そのような併用療法では、本発明の化合物および第2の治療薬(1種または複数)の両方が従来の方法で投与される。本発明の化合物および第2の治療薬の両方を含む本発明の組成物の対象への投与は、治療過程中の別の時間に、その同じ治療薬、任意の他の第2の治療薬または本発明の任意の化合物を前記対象に別々に投与することを除外するものではない。
【0100】
有効量のこれらの第2の治療薬は当業者によく知られており、投与のための手引きは、本明細書で参照されている特許および公開特許出願、ならびにWells et al., eds., Pharmacotherapy Handbook, 2nd Edition,
Appleton and Lange, Stamford, Conn. (2000); PDR Pharmacopoeia, Tarascon Pocket
Pharmacopoeia 2000, Deluxe Edition, Tarascon Publishing, Loma Linda, Calif.
(2000)および他の医学書から入手してもよい。但し、第2の治療薬の最適な有効量の範囲を決定することは当業者の範囲に十分に含まれている。
【0101】
第2の治療薬が対象に投与される本発明の一実施形態では、本発明の化合物の有効量は、第2の治療薬が投与されない場合の有効量よりも少ない。別の実施形態では、第2の治療薬の有効量は、本発明の化合物が投与されない場合の有効量よりも少ない。このようにして、どちらか一方の薬剤の高用量に伴う望ましくない副作用を最小にすることができる。他の可能性のある利点(投与計画の改善および/または薬剤費の低下が挙げられるが、これらに限定されない)は当業者には明らかであろう。
【0102】
さらに別の態様では、本発明は、対象における上記疾患、障害または症状の治療または予防のために、薬剤の製造において、単一の組成物または別々の剤形として、式Iの化合物または前記化合物の薬学的に許容される塩の単独での使用あるいは1種または複数の上記第2の治療薬との併用を提供する。本発明の別の態様は、対象における本明細書に詳述されている疾患、障害またはその症状の治療または予防に使用される式Iの化合物である。
【実施例】
【0103】
実施例1:7−d−tert−ブチル−6−((1−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−[1,2,4−トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(化合物102)の合成
スキーム4:化合物102の調製
【化15】

【0104】
工程1:3,6−ジクロロ−4−(1,1−ジメチルエチル−d)ピリダジン(12a)
濃硫酸(5.1mL、97mmol)を、新しく精製した3,6−ジクロロ−ピリダジン(11)(4.5g、30mmol)の蒸留水(125mL)懸濁液に添加した。混合物を65℃に温め、トリメチル酢酸−d(10a)(5.0g、454mmol;CDN社製同位体、98原子%D)、次いで硝酸銀(1.0g、6mmol)を添加した。反応温度を65〜75℃に維持しながら、ペルオキシ二硫酸アンモニウム(10.2g、45mmol)の蒸留水(35mL)溶液を10〜15分かけて添加した。混合物を30分間撹拌した後、室温まで冷却した。混合物を氷(100g)上に注ぎ、この溶液を濃水酸化アンモニウムでpH9〜10に調整した。水性混合物をジクロロメタンで抽出した(2×30mL)。一緒にした有機溶液を1NのNaOH(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(Analogix自動カラムクロマトグラフィーシステム)(40gカラム、0〜15%EtOAc/ヘプタン)で精製して、5.8g(90%)の12aを無色の油として得た。
注釈:新しく精製した3,6−ジクロロ−ピリダジンの使用は、上述の反応で高収率を達成するために必須ではない。3,6−ジクロロ−ピリダジン(100g)を、EtOAc(500mL)に溶解し、全ての不溶解固体および黄色が除去されるまで水性NaHCOで洗浄(2×50mL)して精製した。次いで、回収した材料をシリカプラグ(250g、2:1EtOAc/ヘプタン)に通して、95gの白色の固体を得た。
【0105】
工程2:7−(tert−ブチル−d)−6−クロロ−3−(2−フルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(14a)
12a(5.8g、27.1mmol)、13(6.26g、40.6mmol;以下のスキーム5に記載されているように調製)およびトリエチルアミン塩酸塩(5.6g、40.6mmol)のキシレン(60mL)混合物を、TLC(2:1のEtOAc/ヘプタン)が出発物質を使い果たしたことを示すまで3〜4日間撹拌しながら穏やかに加熱還流した。室温まで冷却した後、混合物を部分的に減圧濃縮した。残留物をジクロロメタン(40mL)で粉砕し、濾過し、濾液を減圧濃縮した。粗製生成物をクロマトグラフィー(Analogix自動カラムクロマトグラフィーシステム)(SF25〜80gカラム、10〜60%EtOAc/ヘプタンで溶離)で精製して、5.35g(63%)の14aを黄色がかった白色の固体として得た。
【0106】
工程3:7−d−tert−ブチル−6−((1−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(102)
26a(400mg、3.14mmol;以下のスキーム6に記載されているように調製)のNMP(10mL)溶液に、鉱油(138mg、3.46mmol)に入れた60%水素化ナトリウムを添加した。濃い暗色の混合物を15分間撹拌した後、14a(890mg、2.86mmol)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した後、HO(50mL)で希釈した。沈殿物を濾過によって回収し、水で数回洗浄した。生成物をEtOAc/ヘプタン(1:1)からの再結晶化によって精製した後、乾燥して、778mg(71%)の化合物102を黄色がかった白色の固体として得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ
1.42 (t, J= 7.2, 3H), 4.13 (q, J= 7.2, 2H), 5.52 (s, 2H), 7.27 (app ddd, J =
1.0, 8.3, 10.0, 1H), 7.35 (dt, J= 1.2, 7.5, 1H), 7.52-7.60 (m, 1H), 7.87 (app
dt, J = 1.8, 7.2, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.97 (s, 1H). 13C-NMR (75 MHz,
CDCl3): δ 15.21, 43.72, 59.02, 114.37, 114.56, 116.13, 116.41,
121.64, 124.51, 124.56, 131.67, 131.70, 132.25, 132.36, 137.65, 144.61, 144.90,
148.80, 151.21, 158.57, 158.67, 162.04. HPLC(方法:Waters
Atlantis T3(50mm)−勾配方法:5〜95%ACN+0.1%ギ酸で14分間、95%ACN+0.1%ギ酸で4分間ホールド;波長:305nm):保持時間:5.78分;純度98.9%、MS(M+H):405.3。元素分析(C2013FNO):理論値:C=59.40、H=5.48、F=4.70、N=24.24。実測値:C=59.24、H=5.47、F=4.64、N=24.01。
【0107】
実施例2:2−フルオロベンゾヒドラジド(13)の合成
スキーム5:中間体13の調製
【化16】

【0108】
2−フルオロベンゾヒドラジド(13)
2−フルオロ安息香酸メチル(27)(25g、160mmol)をエタノール(200mL)に溶解し、ヒドラジン一水和物(11.8mL、240mmol)を添加した。混合物を4時間加熱還流した後、室温まで一晩冷却させた。反応は不完全であった。さらに2時間加熱した後、出発物質がまだ残っていた。さらなるヒドラジン一水和物(4mL)を添加した。2〜3時間加熱した後、反応はほぼ終了した。混合物を冷却し、減圧濃縮した。水(50mL)を残留物に添加し、水層を固体のNaClで飽和させた。生成物をEtOAc(3×100mL)で抽出した。一緒にした有機溶液をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。残留物をヘプタン(100mL)で粉砕し、濾過し、乾燥して、23.8g(95%)の13をピンク色がかった固体として得た。
【0109】
実施例3:1−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール(26a)の合成
スキーム6:中間体26aの調製
【化17】

【0110】
工程1:1−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール(18a)
1,2,4−トリアゾール(5g、72.4mmol)の無水TΗF(50mL)氷冷溶液に、ヨウ化エチル(7mL、86.9mmol)を添加した。DBU(10.8mL、72.4mmol)を10〜20分かけて混濁系に滴下した。反応物を室温までゆっくり温め、一晩撹拌した。混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を減圧濃縮して、10gの粗製材料を黄色の液体として得た。粗製材料をクーゲルロール蒸留(約300mtorr、35〜40℃)して、4.9g(70%)の18aを透明の液体として得た。
【0111】
工程2:(1−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メタノール(26a)
18a(0.5g、5.1mmol)およびパラホルムアルデヒド(0.8g)の混合物を、10mLの管中で、マイクロ波照射下170℃で2時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、ジクロロメタン(10mL)で希釈した。固体を濾過によって除去し、濾液を減圧濃縮した。2つの系(計10.3mmol)を一緒にし、粗製生成物をAnalogix自動カラムクロマトグラフィーシステム(24gカラム、0〜4%MeOH/ジクロロメタン)で精製して、410mgの26aを白色の固体として得た。
【0112】
実施例4:(1−d−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メタノール(26b)の合成
スキーム7:中間体26bの調製
【化18】

【0113】
工程1:1−エチル−d−1H−1,2,4−トリアゾール(18b)
ヨードエタン−d(Aldrich社製、99.5原子%D)を用いたこと以外、18aについて上述したように本化合物を調製した。
【0114】
工程2:(1−d−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メタノール(26b)
18bを用いたこと以外、26aについて上述したように本化合物を調製した。
【0115】
実施例5:(1−d−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メタン−d−オール(化合物302)の合成
スキーム8:化合物302の調製
【化19】

【0116】
(1−d−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メタン−d−オール(化合物302)
18bを用いたこと以外、26aについて上述したように本化合物を調製した。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ
5.81 (s, 1H), 7.77 (s, 1H). 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ
149.64, 153.85. HPLC(方法:Waters Atlantis T3(2.1×50mm)−勾配方法:5〜95%ACN+0.1%ギ酸で14分間、95%ACN+0.1%ギ酸で4分間ホールド;波長:305nm):保持時間:0.246分。純度>95%(NMR)。MS(M+H):135.0。
【0117】
実施例6:7−d−tert−ブチル−6−((1−d−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)−メトキシ−d)−3−(2−フルオロフェニル)−[12,4−トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(化合物106)の合成
スキーム9:化合物106の調製
【化20】

【0118】
7−d−tert−ブチル−6−(1−d−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メトキシ−d)−3−(2−フルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(化合物106)
302(300mg、2.24mmol;スキーム6に記載されているように調製)のNMP(8mL)溶液に、鉱油(98mg、2.46mmol)に入れた60%水素化ナトリウムを添加した。濃い暗色の混合物を15分間撹拌した後、14a(638mg、2.03mmol;スキーム4に記載されているように調製)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した後、最初にDO(5mL)、次いでHO(40mL)で希釈した。沈殿物を濾過によって回収し、水で数回洗浄した。生成物をEtOAc/ヘプタン(1:1)からの再結晶化によって精製した後、乾燥して、607mg(73%)の106を白色の固体として得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ
7.27 (app dddd, J = 0.4, 1.2, 8.3, 10.4, 1H), 7.35 (dt, J = 1.2, 7.5, 1H),
7.52-7.60 (m, 1H), 7.87 (app ddt, J = 0.3, 1.8, 6.2, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.97
(s, 1H). 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ 114.42, 114.61,
116.15, 116.42, 121.67, 124.53, 124.57, 131.70, 131.74, 132.27, 132.38, 137.65,
144.60, 144.93, 148.76, 151.26, 158.59, 158.69, 162.06. HPLC(方法:Waters Atlantis T3(50mm)−勾配方法:5〜95%ACN+0.1%ギ酸で14分間、95%ACN+0.1%ギ酸で4分間のホールド;波長:305nm):保持時間:5.73分;純度99.1%。MS(M+H):412.2。元素分析(C2016FNO):理論値:C=58.38、H=5.39、F=4.62、N=23.83。実測値:C=58.21、H=5.37、F=4.61、N=23.82。
【0119】
実施例7:7−d−tert−ブチル−6−(1−d−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−[1,2,4]−トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(化合物105)の合成
スキーム10:化合物105の調製
【化21】

【0120】
7−d−tert−ブチル−6−((1−d−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(105)
26b(278mg、2.1mmol;スキーム7に記載されているように調製)のNMP(4mL)溶液に、鉱油(93mg、2.3mmol)に入れた60%水素化ナトリウムを添加した。濃い暗色の混合物を15分間撹拌した後、14a(600mg、1.9mmol;スキーム4に記載されているように調製)を添加した。混合物を室温で1〜2時間撹拌した後、水(40mL)で希釈した。沈殿物を濾過によって回収し、水で数回洗浄した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(Analogix自動カラムクロマトグラフィーシステム)(12gカラム、0〜100%EtOAc/ヘプタンで溶離)で精製して、530mg(68%)の105を白色の固体として得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ
5.50 (s, 2H), 7.27 (app dd, J = 1.0, 8.2, 10.2, 1H), 7.34 (dt, J = 1.0, 7.6,
1H), 7.51-7.60 (m, 1H), 7.86 (app dt, J= 1.8, 7.3, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.96 (s,
1H). 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ 59.02, 114.38, 114.57,
116.11, 116.40, 121.64, 124.49, 124.54, 131.66, 131.70, 132.23, 132.34, 137.61,
144.60, 144.90, 148.79, 151.22, 158.55, 158.65, 162.03. HPLC(方法:Waters Atlantis T3 2.1カラム(2.1×50mm)−勾配方法:5〜95%ACN+0.1%ギ酸で14分間、95%ACN+0.1%ギ酸で4分間のホールド;波長:305nm):保持時間:5.73分;純度98.4%。MS(M+H):410.1。元素分析(C2014FNO):理論値:C=58.67、H=5.42、F=4.64、N=23.95。実測値:C=58.69、H=5.24、F=4.64、N=24.05。
【0121】
実施例8:7−d−tert−ブチル−3−(2−フルオロフェニル)−6−((1−d−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メトキシ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(化合物109)の合成
スキーム11:化合物109の調製
【化22】

【0122】
7−d−tert−ブチル−3−(2−フルオロフェニル)−6−((1−d−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メトキシ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(109)
28a(400mg、3.44mmol;スキーム12に記載されているように調製)のNMP(10mL)溶液に、鉱油(151mg、3.79mmol)に入れた60%水素化ナトリウムを添加した。濃い暗色の混合物を15分間撹拌した後、14a(980mg、3.13mmol;スキーム4に記載されているように調製)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した後、水(50mL)で希釈した。沈殿物を濾過によって回収し、水で数回洗浄した。粗製生成物をEtOAc/ヘプタン(1:1)からの再結晶化によって精製した後、乾燥して、948mg(77%)の109を白色の固体として得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ
5.51 (s, 2H), 7.27 (app ddd, J = 0.7, 8.3, 10.2, 1H), 7.35 (dt, J = 1.1, 7.6,
1H), 7.51-7.60 (m, 1H), 7.85 (app dt, J = 1.9, 7.2, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.97 (s,
1H). 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ 60.34, 115.54, 117.32,
117.60, 122.86, 125.71, 125.76, 132.87, 132.90, 133.48, 133.59, 138.81, 145.75,
146.08, 150.82, 152.30, 159.73, 159.87, 163.23. HPLC(方法:Waters Atlantis T3(50mm)−勾配方法:5〜95%ACN+0.1%ギ酸で14分間、95%ACN+0.1%ギ酸で4分間のホールド;波長:305nm):保持時間:5.18分;純度99.2%。MS(M+H):394.2。元素分析(C1912FNO・0.2HO):理論値:C=57.48、H=5.23、F=4.79、N=24.70。実測値:C=57.25、H=5.23、F=4.66、N=24.48。
【0123】
実施例9:(1−メチル−d−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メタノール(28a)の合成
スキーム12:中間体28aの調製
【化23】

【0124】
工程1:1−メチル−d−1H−1,2,4−トリアゾール(18c)
1,2,4−トリアゾール(6.0g、87mmol)の無水THF(60mL)氷冷溶液に、ヨードメタン−d(6.5mL、1.05mol;Cambridge社製同位体、99.5原子%D)を添加した。この混濁系に、20〜30分かけてDBU(13.2mL、87mmol)を添加した。反応物を室温までゆっくり温め、一晩撹拌した。混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を減圧濃縮して、5.3gの粗製生成物を黄色の油として得た。試料をクーゲルロール蒸留(約350mtorr、25〜30℃)して、2.67gの18cを透明の液体として得た。
【0125】
工程2:(1−メチル−d−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メタノール(28a)
18c(5g、58mmol)およびパラホルムアルデヒド(10g、333mmol)の混合物を、封管中170℃で5時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、ジクロロメタン(20mL)で希釈した。固体を濾過によって除去し、濾液を減圧濃縮した。粗製生成物を5%メタノール/ジクロロメタンを溶離液とするシリカゲル短カラムを用いたクロマトグラフィーで精製して、5.0g(75%)の28aを黄色がかった白色の固体として得た。
【0126】
実施例10:(1−d−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メタン−d−オール(化合物301)の合成
スキーム13:化合物301の調製
【化24】

【0127】
(1−メチル−d−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メタン−d−オール(301)
18c(0.5g、5.8mmol)およびパラホルムアルデヒド−d(0.9g;Cambridge同位体、99原子%D)の混合物を、マイクロ波照射下(10mL管)170℃で2時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、ジクロロメタン(10mL)で希釈した。固体を濾過によって除去し、濾液を減圧濃縮した。5つの系(計29mmol)を一緒にし、粗製生成物を、Analogix自動カラムクロマトグラフィーシステム(24gカラム、0〜5%MeOH/ジクロロメタン)で精製して、1.2gの純粋な301を白色の固体として、1.68gのより純度の低い材料を油として得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ
5.62 (s, 1H), 7.76 (s, 1H). 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ
149.65, 154.50. HPLC(方法:Waters Atlantis T3(2.1×50mm)−勾配方法:5〜95%ACN+0.1%ギ酸で14分間、95%ACN+0.1%ギ酸で4分間のホールド;波長:305nm):保持時間:0.24分。純度>95%(NMR)。MS(M+H):119.1。
【0128】
実施例11:7−d−tert−ブチル−3−(2−フルオロフェニル)−6−((1−d−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)−メトキシ−d)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(化合物110)の合成
スキーム14:化合物110の調製
【化25】

【0129】
7−d−tert−ブチル−3−(2−フルオロフェニル)−6−((1−d−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)−メトキシ−d)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(化合物110)
化合物301(250mg、2.12mmol;スキーム13に記載されているように調製)のNMP(5mL)溶液に、鉱油(93mg、2.33mmol)に入れた60%水素化ナトリウムを添加した。濃い暗色の混合物を15分間撹拌した後、14a(603mg、1.92mmol)を添加した。混合物を室温で1〜2時間撹拌した後、水(50mL)で希釈した。沈殿物を濾過によって回収し、水で数回洗浄した。粗製生成物を、EtOAc/ヘプタン(1:1)からの再結晶化によって精製した後、乾燥して、560mg(74%)の110を白色の固体として得た。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ
7.27 (app dddd, J = 0.3, 1.2, 8.3, 10.1, 1H), 7.35 (dt, J = 1.1, 7.6, 1H),
7.52-7.60 (m, 1H), 7.85 (app ddt, J = 0.3, 1.8, 7.2, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.97
(s, 1H). 13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ 114.36, 114.55,
116.12, 116.41, 121.67, 124.51, 124.56, 131.68, 131.72, 132.28, 132.39, 137.62,
144.89, 151.13, 158.54, 158.68, 162.04. HPLC(方法:Waters
Atlantis T3(50mm)−勾配方法:5〜95%ACN+0.1%ギ酸で14分間、95%ACN+0.1%ギ酸で4分間のホールド;波長:305nm):保持時間:5.12分;純度98.7%。MS(M+H):396.3。元素分析(C1914FNO):理論値:C=57.71、H=5.10、F=4.80、N=24.80。実測値:C=57.57、H=5.02、F=4.81、N=24.87。
【0130】
実施例12:2−(6−((1−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−7−イル)プロパン−1,1,1,3,3,3−d−2−オール(化合物202)の合成
スキーム15:化合物202の調製
【化26】

【0131】
工程1:3,6−ジクロロ−4−(トリメチルシリル)ピリダジン(20)
機械的撹拌器、サーモウェルおよび滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(25.1mL、147.7mmol)および無水THF(200mL)を入れた。この溶液を−10℃〜0℃に冷却し、n−BuLi(2.5Mのヘキサン溶液、59mL、147.7mmol)を10分かけて添加した。この溶液を15〜20分間撹拌した後、さらに−78℃に冷却した。新しく精製した3,6−ジクロロ−ピリダジン(10g、67.1mmol)および塩化トリメチルシリル(9.3mL、73.8mmol)のTHF(100mL)混合物を、滴下ロートで滴下した。暗赤色の溶液を−78℃で1時間撹拌し、この時点で反応が完了した。冷却しながら塩化アンモニウム飽和溶液(100mL)で反応を止め、すぐにMTBE(200mL)で希釈した。まだ冷たい間に(全ての固体が溶解するまで必要であればさらなる水を添加した)、相を分離し、水相をMTBE(100mL)で洗浄した。水性洗浄液のpHが6〜7になるまで、一緒にした有機溶液を希クエン酸溶液(30mL部分)で洗浄した。次いで、有機溶液を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、残留物を得た。粗製材料をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100g、2:1ヘプタン:EtOAc)で精製して、13.6gの20を赤みがかった油として得た。
注釈:最大の収率のために即時精製が必要である。粗製および精製材料は、5℃での長期間の貯蔵で劣化した。
【0132】
工程2:3−クロロ−6−ヒドラジニル−4−(トリメチルシリル)ピリダジン(21)
丸底フラスコにN下で20(13.6g、61.4mmol)および無水ヒドラジン(1MのTHF溶液、184mL、184mmol)、次いでジイソプロピルエチルアミン(11mL、61.4mmol)を入れた。反応物を穏やかに還流加熱し(70〜75℃、外部温度)、LCMSによってその反応を監視した。4日後、暗色の混合物を冷却し、シリカゲル(20g)を添加し、混合物を濃縮した。粗製混合物を第2の反応物(16mmol)からの粗製材料と一緒にし、シリカカラム(120g、0〜5%MeOH/ジクロロメタン)で精製して、7.5g(45%)の21を赤みがかった油/固体混合物として得た。若干の微量不純物および残留ジイソプロピルエチルアミンが残った。生成物を次の工程で「そのまま」使用した。
【0133】
工程3:N’−(6−クロロ−5−(トリメチルシリル)ピリダジン−3−イル)−2−フルオロベンゾヒドラジド(22)
21(6.45g、30mmol)およびトリエチルアミン(5mL、36mmol)のジエチルエーテル(120mL)溶液を、氷浴で0〜5℃に冷却した。温度を5℃未満に維持しながら塩化2−フルオロベンゾイル(4.8g、30mmol)を滴下した。反応物を30分間撹拌した後、無水MeOH(0.4mL)を添加して失活させた。混合物をヘキサン(100mL)で希釈し、濾過した。固体をエーテル(2×15mL)、次いで水(30mL)で洗浄した。溶解を促進するための少量のMeOHを用いて固体をジクロロメタン(100mL)に溶解した後、塩水で洗浄した。有機溶液をNaSOで乾燥し、濃縮して、51.7%の収率の22を茶色がかった固体として得た。
【0134】
工程4:6−クロロ−3−(2−フルオロフェニル)−7−(トリメチルシリル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(23)
化合物22(4.1g、12.1mmol)および1,2−ジブロモテトラクロロエタン(7.9g、24.2mmol)をアセトニトリル(80mL)に懸濁し、5℃未満に冷却した。トリフェニルホスフィン(11g、30.2mmol)をごく一部添加し、反応物を僅かに発熱させるが、温度は約5〜7℃に維持した。固体が溶解し始めた後、新しい沈殿物が形成し始めた。濃い混合物を冷却しながら15分間撹拌した。トリエチルアミン(10mL、72.6mmol)を滴下し、再び発熱させたが、温度は約5〜7℃に維持した。反応物を氷水浴中で1時間撹拌した。混合物をジクロロメタン(200mL)で希釈し、水で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、茶色の液体になるまで濃縮した。この材料を別の反応物(2.9mmol)からの粗製材料と一緒にし、Analogix自動カラムクロマトグラフィーシステム(SF25〜80gカラム、10〜40%EtOAc/ヘプタン)で精製して、3.8g(79%)の23を僅かに粘着性の褐色の固体として得た。
【0135】
工程5:2−(6−クロロ−3−(2−フルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−7−イル)プロパン−1,1,1,3,3,3−d−2−オール(25a)
ジフルオロトリフェニルスズ酸テトラブチルアンモニウム(400mg)を、23(500mg、1.56mmol)のアセトン−d(5mL;Aldrich社製99.9原子%D)溶液に室温で全量添加した。反応物を1時間撹拌した。5つの系(計7.8mmol)を一緒にし、減圧濃縮した。粗製材料を、カラムクロマトグラフィー(Analogix自動カラムクロマトグラフィーシステム)(60gカラム、0〜5%MeOH/ジクロロメタン)で精製して、1.24g(43%)の25aを非晶質泡状物として得た。LCMSは、この材料が約90%の純度であることを示した。
【0136】
工程6:2−(6−((1−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メトキシ)−3−(2−フルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−7−イル)プロパン−1,1,1,3,3,3−d−2−オール(化合物202)
26a(134mg、1.06mmol;スキーム6に記載されているように調製)のNMP(2mL)溶液に、鉱油(46mg、1.15mmol)に入れた60%水素化ナトリウムを数回に分けて添加した。濃い暗色の混合物を15分間撹拌した後、25a(300mg、0.96mmol)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した後、水(20mL)で希釈した。混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出した。水層を希クエン酸溶液で中和し、EtOAcで抽出(2×20mL)して、若干の残留生成物を回収した。一緒にした有機溶液をNaSOで乾燥し、濃縮した。粗製生成物を別(0.64mmol)の反応物からの粗製生成物と一緒にし、クロマトグラフィー(Analogix自動カラムクロマトグラフィーシステム)(24gカラム、0〜5%MeOH/ジクロロメタン)で精製して、780mgの化合物202を茶色がかった固体として得た。この材料をヘプタンで粉砕して、若干の残留NMPを除去し、560mgの材料を回収した。次いで、生成物をEtOAc/ヘプタンから再結晶化して、226mgの202を淡褐色の固体として得た。濾液を再処理して別の20mgの材料を回収した。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ
1.38 (t, J = 7.7, 3H), 3.53 (s, 1H), 4.10 (q, J = 7.7, 2H), 5.53 (s, 2H), 7.27
(app ddd, J = 1.0, 8.3, 10.0, 1H), 7.34 (dt, J = 1.1, 7.8, 1H), 7.51-7.60 (m,
1H), 7.83 (app dt, J = 1.8, 7.2, 1H), 7.89 (s, 1H), 8.31 (s, 1H). 13C-NMR
(75 MHz, CDCl3): δ 15.21, 43.74, 59.35, 70.94, 114.25, 114.44,
116.11, 116.39, 121.88, 124.57, 124.62, 131.78, 131.81, 132.39, 132.50, 135.82,
144.75, 144.85, 144.83, 148.67, 151.22, 157.43, 158.66, 162.03. HPLC(方法:Waters Atlantis T3 2.1カラム(2.1×50mm)−勾配方法:5〜95%ACN+0.1%ギ酸で14分間、95%ACN+0.1%ギ酸で4分間のホールド;波長:305nm):保持時間:4.27分;純度98.0%。MS(M+H):404.4。元素分析(C1914FN):理論値:C=56.57、H=5.00、F=4.71、N=24.30。実測値:C=56.60、H=4.59、F=4.61、N=23.57。
【0137】
実施例13:2−(6−((1−d−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メトキシ−d)−3−(2−フルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−7−イル)プロパン−1,1,1,3,3,3−d−2−オール(化合物206)の合成
スキーム16:化合物206の調製
【化27】

【0138】
2−(6−((1−d−エチル−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メトキシ−d)−3−(2−フルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−7−イル)プロパン−1,1,1,3,3,3−d−2−オール(206)
化合物302(236mg、1.76mmol;スキーム8に記載されているように調製)のNMP(2mL)溶液に、鉱油(77mg、1.92mmol)に入れた60%水素化ナトリウムを数回に分けて添加した。濃い暗色の混合物を15分間撹拌した後、25a(500mg、1.6mmol)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した後、水(20mL)で希釈した。生成物をEtOAc(3×30mL)で抽出した。水層を希クエン酸溶液で中和し、EtOAcで抽出(2×20mL)して、若干の残留生成物を回収した。一緒にした有機溶液をNaSOで乾燥し、濃縮した。粗製生成物を、クロマトグラフィー(Analogix自動カラムクロマトグラフィーシステム(24gカラム、0〜5%MeOH/ジクロロメタン)で精製して、850mgの206を褐色の固体として得た。この材料をヘプタンで粉砕して、若干の残留NMPを除去した。次いで、生成物をEtOAc/ヘプタンから再結晶化して、290mgの206を淡褐色の固体として得た。濾液を再処理して、別の40mgの材料を回収した。1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ
3.38 (s, 1H), 4.10 (q, J = 7.7, 2H), 5.53 (s, 2H), 7.27 (app ddd, J = 1.0, 8.3,
10.5, 1H), 7.35 (dt, J = 1.2, 7.4, 1H), 7.53-7.61 (m, 1H), 7.85 (app dt, J =
1.8, 7.2, 1H), 7.90 (s, 1H), 8.31 (s, 1H). 13C-NMR (75 MHz, CDCl3):
δ 114.29, 114.48, 116.12, 116.40, 121.91, 124.60, 124.65, 131.81, 131.85,
132.41, 132.52, 135.71, 144.77, 151.27, 157.44, 158.68, 162.05. HPLC(方法:Waters Atlantis T3 2.1カラム(2.1×50mm)−勾配方法:5〜95%ACN+0.1%ギ酸で14分間、95%ACN+0.1%ギ酸で4分間のホールド;波長:305nm):保持時間:4.24分;純度98.0%。MS(M+H):411.3。元素分析(C1913FN):理論値:C=55.60、H=4.91、F=4.63、N=23.89。実測値:C=55.43、H=4.81、F=4.63、N=23.31。
【0139】
実施例14:ヒト肝ミクロソームにおける代謝的安定性の評価
【0140】
ミクロソームアッセイ
ヒト肝ミクロソーム(20mg/mL)をXenotech社(カンザス州レネクサ)から入手した。β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(還元型)(NADPH)、塩化マグネシウム(MgCl)およびジメチルスルホキシド(DMSO)をSigma−Aldrich社から購入した。
【0141】
代謝的安定性の測定
試験化合物の7.5mM原液をDMSOで調製した。7.5mM原液を希釈して、12.5μMのアセトニトリル(ACN)溶液にした。20mg/mLのヒト肝ミクロソームを希釈して、3mMのMgClを含む2.5mg/mLの0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)にした。希釈したミクロソームを、三つ組で96−ウェルディープウェルポリプロピレンプレートのウェルに添加した。12.5μMの試験化合物の10μLの分割量をミクロソームに添加し、混合物を予め10分間温めた。予め温めたNADPH溶液の添加によって反応を開始させた。最終反応体積は0.5mLであり、2.0mg/mLのヒト肝ミクロソーム、0.25μMの試験化合物および2mMのNADPHの0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)および3mMのMgClを含む。反応混合物を37℃でインキュベートし、50μLの分割量を0、5、10、20および30分後に取り出し、内部標準と共に50μLの氷冷ACNを含む浅いウェルの96ウェルプレートに添加して、反応を止めた。これらのプレートを4℃で20分間保存した後、沈殿させたタンパク質をペレット化するための遠心分離前に、100μLの水をプレートのウェルに添加した。上澄みを別の96ウェルプレートに移し、Applied Bio-systems API 4000質量分析計を用いるLC−MS/MSによって親残留(parent remaining)量を分析した。TPA−023および陽性対照の7−エトキシクマリン(1μM)についても同じ手順に従った。試験は三つ組で行い、個々の化合物を2つまたは4つの異なる系で試験した。
【0142】
親残留率(ln)対インキュベーション時間の関係の線形回帰の傾きから試験化合物の生体外t1/2を計算した:
生体外t1/2=0.693/k
k=−[親残留率(ln)対インキュベーション時間の線形回帰の傾き]。
マイクロソフトのエクセルソフトウェアを用いてデータ分析を行った。
【0143】
これらの実験の結果を、以下の表3および図1および図2に示す。表およびこの2つの図では、「親残留率」とは、規定の時点に残っている出発物質の割合を指す。
表3:ヒト肝ミクロソームにおける本発明の化合物の安定性
【表3】

:HLMにおける代謝が20%未満であり、親残留率対時間プロファイルが平らであったため、t1/2の測定不可能
【0144】
さらなる説明がなくとも、当業者であれば、上記説明および例示的な実施例を用いて、本発明の化合物を調製および利用し、特許請求されている方法を実施することができると考えられる。上記考察および実施例が単に特定の好ましい実施形態の詳細な説明を与えるものであることを理解されたい。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および均等物を調製できることは当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

またはその薬学的に許容される塩
(式中、
は、−CHまたは−CHCHであり、ここで、Rは重水素で任意に置換されており、
は、
(a)1つまたは2つのZ(ここで、Zは重水素で任意に置換された−CH、ハロゲンおよび−OHから選択される)で任意に置換された−C〜Cアルキル、
(b)−OC〜Cアルキル、
(c)−C(O)H、
(d)−C(O)C〜Cアルキル、
(e)−C(O)OC〜Cアルキル、または
(f)−CR=NOR
であり、ここで、R中の各アルキルは、1つまたは複数の重水素で任意に置換されており、
は、水素、重水素および1つまたは複数の重水素で任意に置換されたC〜Cアルキルから選択され、
は、ヒドロキシルまたは−N(C〜Cアルキル)で任意に置換されたC〜Cアルキルであり、ここで、R中の各アルキルは、重水素で任意に置換されており、
各Yは独立して、水素または重水素であり、
は、水素または重水素であるが、
但し、Rが未置換−CHまたは未置換−CHCHでありZが未置換−CHであり、Rが重水素で置換されておらず、Rが水素または重水素で置換されていないC〜Cアルキルであり、Rが重水素で置換されていない場合、YおよびYのうちの少なくとも1つは重水素である)。
【請求項2】
は、メチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ジフルオロエチル、フルオロプロピル、ヒドロキシプロピル、t−ブチル、O−メチル、−C(O)H、−C(O)メチル、−カルボニルオキシメチルおよび−CR=NORであり、R中の各アルキルは1つまたは複数の重水素で任意に置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、−CH、−CD、−CFCH、−CFCD、−CF(CH、−CF(CD、−C(OH)(CH、−C(OH)(CD、−C(CHおよび−C(CDから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
は、水素、重水素、CHおよびCDから選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
は、メチル、エチル、ヒドロキシエチルおよびジメチルアミノエチルから選択され、Rの各アルキルは、重水素で任意に置換されている、請求項1、2または4に記載の化合物。
【請求項6】
は、メチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ジフルオロエチル、フルオロプロピル、ヒドロキシプロピル、t−ブチル、O−メチル、−C(O)H、−C(O)メチル、−カルボニルオキシメチルおよび−CR=NORであり、ここで、R中の各アルキルは、1つまたは複数の重水素で任意に置換されており、
は、水素、重水素、CHおよびCDから選択され、
は、メチル、エチル、ヒドロキシエチルおよびジメチルアミノエチルから選択され、ここで、R中の各アルキルは重水素で任意に置換されている、
請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
は、−CH、−CD、−CFCH、−CFCD、−CF(CH、−CF(CD、−C(OH)(CH、−C(OH)(CD、−C(CHおよび−C(CDから選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式Iaによって表わされる請求項1に記載の化合物:
【化2】

またはその薬学的に許容される塩
(式中、
は、−CHまたは−CHCHであり、ここで、Rは重水素で任意に置換されており、
Zは、−OHまたは−CHであり、ここで、Zの−CHは重水素で任意に置換されており、
各Rは−CHであり、ここで、各Rは重水素で任意に置換されており、
各Yは独立して、水素または重水素であり、
は、水素または重水素である)。
【請求項9】
は、−CH、−CD、−CHCH、−CDCH、−CHCDまたは−CDCDである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
は、−CHCH、−CDCH、−CHCDまたは−CDCDである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
1aおよびY1bは水素である、請求項8、9または10に記載の化合物。
【請求項12】
1aおよびY1bは重水素である、請求項8、9または10に記載の化合物。
【請求項13】
は水素である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
−CZ(Rは、−C(CHまたは−C(CDである、請求項8〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
−CZ(Rは−C(CDである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
−CZ(Rは−C(CDOHである、請求項8〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
−CZ(Rは−C(CHOHである、請求項8〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
1aおよびY1bは同一であり、Yは水素であり、−CZ(Rは−C(CHまたは−C(CDである、請求項9に記載の化合物。
【請求項19】
は水素であり、−CZ(Rは−C(CDであり、前記化合物は、以下の表に記載されている化合物のうちのいずれか1つ:
【表1】

または上記のいずれかの薬学的に許容される塩から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項20】
Yは水素であり、−CZ(R)は、
【化3】

であり、前記化合物は、以下の表に記載されている化合物のうちのいずれか1つ:
【表2】

または上記のいずれかの薬学的に許容される塩から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項21】
化合物109および110:
【化4】


または上記の薬学的に許容される塩から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項22】
上記実施形態のいずれかにおいて重水素として指定されていない任意の原子は、その天然の同位体存在度で存在している、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物または前記化合物の薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む発熱物質非含有医薬組成物。
【請求項24】
不安症、痙攣、骨格筋痙攣、痙縮、アテトーシス、てんかん、全身強直症候群、中枢神経系の他の障害および疼痛から選択される疾患または病気の治療または予防に有用な第2の治療薬をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
不安症、痙攣、骨格筋痙攣、痙縮、アテトーシス、てんかん、全身強直症候群、中枢神経系の他の障害および疼痛から選択される疾患または病気に罹患しているか罹患しやすい対象の治療方法であって、有効量の請求項23に記載の組成物をそれを必要としている対象に投与する工程を含む方法。
【請求項26】
前記対象は、不安症または痙攣に罹患しているか罹患しやすい、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
骨格筋攣縮、痙縮、アテトーシス、全身強直症候群、中枢神経系の他の障害および疼痛の治療において有用な第2の治療薬を、それを必要としている対象に同時投与するさらなる工程を含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記疼痛は、急性、慢性、神経因性または炎症性疼痛、関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹神経痛、一般的な神経痛、内臓痛、骨関節炎痛、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、神経根痛、座骨神経痛、背痛、頭部痛、頸部痛、激痛または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後疼痛および癌性疼痛からなる群から選択される、請求項25、26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記疼痛は、大腿骨癌性疼痛;非悪性慢性骨痛;関節リウマチ;骨関節炎;脊髄狭窄;神経因性腰痛;筋筋膜疼痛症候群;線維筋痛;顎関節痛;腹痛、膵臓痛およびIBS痛などの慢性内臓痛;慢性および急性頭痛;片頭痛;群発頭痛などの緊張性頭痛;帯状疱疹後神経痛などの慢性および急性神経因性疼痛;糖尿病性神経障害;HIV関連神経障害;三叉神経痛;シャルコー・マリー・トゥース神経障害;遺伝性運動感覚性ニューロパチー;末梢神経損傷;有痛性神経腫;異所性近位および遠位放電;神経根障害;化学療法誘発性神経因性疼痛;放射線療法誘発性神経因性疼痛;乳房切除後疼痛;中枢性疼痛;脊髄損傷疼痛;脳卒中後疼痛;視床痛;複合性局所疼痛症候群;幻痛;難治性疼痛;急性疼痛、急性術後痛;急性筋骨格痛;関節痛;機械的な腰痛;頸部痛;腱炎;損傷/運動痛;腹痛、腎盂腎炎、虫垂炎、胆嚢炎、腸閉塞およびヘルニアなどの急性内臓痛;心臓痛などの胸痛;骨盤痛;腎疝痛;陣痛などの急性の産科的疼痛;帝王切開の痛み;急性炎症性火傷および外傷痛;子宮内膜症などの急性間欠痛;急性帯状疱疹痛;鎌状赤血球貧血;急性膵炎;突出痛;副鼻腔炎疼痛および歯痛などの口腔顔面痛;多発性硬化症(MS)疼痛;鬱病における疼痛;ハンセン病疼痛;ベーチェット病疼痛;有痛脂肪症;静脈炎疼痛;ギラン・バレー疼痛;痛む脚と動く足趾;ハグルンド症候群;肢端紅痛症疼痛;ファブリー病疼痛;膀胱疼痛症候群;間質性膀胱炎(IC):前立腺炎;複合性局所疼痛症候群(CRPS)(タイプIおよびタイプII);および狭心症誘発性疼痛からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記疼痛は、線維筋痛、急性帯状疱疹痛、HIV関連神経障害、神経因性腰痛、化学療法誘発性神経因性疼痛、放射線療法誘発性神経因性疼痛、末梢神経損傷、脊髄損傷疼痛および多発性硬化症(MS)疼痛からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−531419(P2012−531419A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517653(P2012−517653)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/039497
【国際公開番号】WO2011/005520
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(509049012)コンサート ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (24)
【Fターム(参考)】