説明

GNSS受信装置及び測位方法

【課題】測位精度を向上させること。
【解決手段】GNSS衛星により送信された測位信号に基づいて測位演算を行うGNSS受信装置は、山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択するGNSS衛星選択手段と、GNSS衛星選択手段により選択されたGNSS衛星をマスクして測位演算を行う第1の測位演算手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GNSS用周回衛星からの信号を受信して位置や速度を測定するGNSS受信装置及び測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星航法(GNSS: Global Navigation Satellite System)とは、航空機から3つの航法衛星(GNSS用周回衛星)(以下、GNSS衛星と呼ぶ)を捕捉することで各GNSS衛星からの距離を得るとともに、4つ目の航法衛星からの信号で時刻合わせを行い、航空機の3次元での飛行位置を得ることができる航法システムである。この衛星航法には、全地球的測位システム(GPS: Global Positioning System)、ガリレオ(GALILEO)などが含まれる。
【0003】
例えば、GNSS受信装置は移動体に搭載され、該移動体の位置及び速度を測定する。例えば、GNSS受信装置は、複数のGNSS衛星からの電波を受信することによって、該複数のGNSS衛星から自GNSS受信装置までの距離をそれぞれ測定し、これらの測定値に基づいて該GNSS受信装置が搭載された移動体の測位を行う。GNSS衛星により発射された信号は、該GNSS衛星とGNSS受信装置との間の距離を電波が伝搬する時間だけ遅れてGNSS受信装置に到達する。従って、複数のGNSS衛星について電波伝搬に要する時間を求めれば、測位演算によってGNSS受信装置の位置を求めることができる。例えば、複数のGNSS衛星により発射された電波は、GNSS受信装置の測距部において、各GNSS衛星からGNSS受信装置までの距離が求められる。そして、測位演算部において、測距部において求められた距離に基づいて、GNSS受信装置の位置が求められる。
【特許文献1】特開2000−75010号公報
【特許文献2】特開2006−242911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した背景技術には以下の問題がある。
【0005】
低仰角の領域に位置するGNSS衛星により発射された信号はノイズが大きいことが知られている。この低仰角の領域に位置するGNSS衛星により発射された信号を測位に使用しないようにするため、以下の方法がある。
【0006】
例えば、図1に示すように、マスクアングルの閾値を予め決定する。そして、このマスクアングルの閾値以下の領域に位置するGNSS衛星は使用しない(マスクする)。例えば、宇宙と地上間の見通し範囲を効率的に決定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、GNSS受信装置において、GNSS衛星により発射された信号のC/Nを推定し、該C/NのよいGNSS衛星により送信された信号を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
しかし、以上の方法では、不要なGNSS衛星が採用される場合がある。また、マスクする必要のないGNSS衛星をマスクする場合がある。その結果、FIX率が低下する場合がある。ここで、FIX率とは、高精度に位置の特定ができたことを示す。FIX率は、高精度解と呼ばれてもよい。
【0009】
また、GNSS受信装置が搭載された車両がビルの間を通過する場合には、その通過時間が短いため、低仰角の領域に位置するGNSS衛星により発射された信号に基づいて測位を行っても、その影響は限定的である。しかし、該車両が山の近傍を通過する場合には、その通過時間が長時間に及ぶため、その影響が大きくなる。
【0010】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、測位精度を向上させることができるGNSS受信装置及び測位方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本GNSS受信装置は、
GNSS衛星により送信された測位信号に基づいて測位演算を行うGNSS受信装置であって、 山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択するGNSS衛星選択手段と、
前記GNSS衛星選択手段により選択されたGNSS衛星をマスクして測位演算を行う第1の測位演算手段と
を有する。
【0012】
このように構成することにより、山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星をマスクして測位演算を行うことができる。
【0013】
本GNSS受信装置は、
GNSS衛星により送信された測位信号に基づいて測位演算を行うGNSS受信装置であって、 山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択するGNSS衛星選択手段と、
前記GNSS衛星選択手段により選択されたGNSS衛星に対する重み付けを、該選択されたGNSS衛星以外のGNSS衛星に対する重み付けと異なるようにして測位演算を行う第2の測位演算手段と
を有する。
【0014】
このように構成することにより、山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星に対する重み付けを、該GNSS衛星以外のGNSS衛星に対する重み付けと異なるようにして測位演算を行うことができる。
【0015】
さらに、他の例では、
前記第2の測位演算手段は、前記選択されたGNSS衛星のうち、一部のGNSS衛星をマスクして測位演算を行う。
【0016】
このように構成することにより、選択されたGNSS衛星のうち、一方のGNSS衛星をマスクして、他方のGNSS衛星に対する重み付けを該選択されなかったGNSS衛星に対する重み付けと異なるようにして測位演算を行うことができる。
【0017】
また、他の例では、
前記GNSS衛星選択手段は、選択したGNSS衛星を監視し、該GNSS衛星から送信された測位信号が山により影響を受けないと判断された場合、該GNSS衛星の選択を解除する。
【0018】
このように構成することにより、該GNSS衛星から送信された測位信号が山により影響を受けないと判断された場合、該GNSS衛星により送信された測位信号を測位演算に加えることができる。
【0019】
また、他の例では、
測位信号の受信品質を測定する受信品質測定手段
を有し、
前記GNSS衛星選択手段は、前記受信品質測定手段において測定された受信品質に基づいて、所定の時間における受信品質の変化量、所定の時間における受信品質の変動回数及び所定の時間における遮断回数の少なくとも1つに基づいて、山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択する。
【0020】
このように構成することにより、測位信号が山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択できる。
【0021】
また、他の例では、
測位信号の受信品質を測定する受信品質測定手段
を有し、
前記GNSS衛星選択手段は、前記受信品質測定手段において測定された受信品質と該衛星に対応する仰角とに基づいて、該衛星をマスクするか該衛星に対する重み付けを変更するかを判断する。
【0022】
このように構成することにより、測定された受信品質と該衛星に対応する仰角とに基づいて、該衛星をマスクするか該衛星に対する重み付けを変更するかを判断することができる。例えば、仰角と受信品質との関係において、仰角毎にマスクする衛星の受信品質の範囲及び重み付けを変更する衛星の受信品質の範囲が予め決定される。
【0023】
また、他の例では、
前記受信品質測定手段は、基準局から送信される補正信号の受信品質を測定し、
前記GNSS衛星選択手段は、前記受信品質測定手段において測定された測位信号及び補正信号の受信品質と、該衛星に対応する仰角とに基づいて、該衛星をマスクするか該衛星に対する重み付けを変更するかを判断する。
【0024】
このように構成することにより、測定された受信品質及び補正信号と該衛星に対応する仰角とに基づいて、該衛星をマスクするか該衛星に対する重み付けを変更するかを判断することができる。
【0025】
また、他の例では、
仰角に応じて、該衛星をマスクするか該衛星に対する重み付けを変更するかを判断するための受信品質の条件が異なる。
【0026】
また、他の例では、
測位信号の受信品質を測定する受信品質測定手段
を有し、
前記GNSS衛星選択手段は、各衛星に対して演算された測位信号の受信品質と該測位信号により算出された測位解が高精度解であるか否かの相関に基づいて、該衛星をマスクするか否かを判断する。
【0027】
このように構成することにより、各衛星に対して演算された測位信号の受信品質と該測位信号により算出された測位解が高精度解であるか否かの相関値が求められ、その相関値に基づいて、該衛星をマスクするか否かを判断することができる。
【0028】
また、他の例では、
測位信号の受信品質を測定する受信品質測定手段
を有し、
前記第1の測位演算手段は、使用できる測位信号が測位演算に必要な数未満である場合に、マスクすると判断された衛星に対応する測位信号を使用すると判断し、該マスクすると判断された衛星に対応する測位信号を含めた測位信号を用いて測位演算を行い、高精度解が得られた場合の測位値に基づいて、該マスクすると判断された衛星に対応する測位信号を修正する。
【0029】
このように構成することにより、使用できる測位信号が測位演算に必要な数未満である場合においても、測位演算を行うことができる。
【0030】
また、他の例では、
前記受信品質は、搬送波対雑音比である。
【0031】
このように構成することにより、搬送波対雑音比に基づいて、測位演算を行うことができる。
【0032】
また、他の例では、
前記所定の時間は、1エポック以上であり、基線解析を行う時間間隔以下である。
【0033】
このように構成することにより、1エポック以上であり、基線解析を行う時間間隔以下である所定の時間における受信品質の変化量、受信品質の変動回数及び遮断回数を求めることができる。
【0034】
本測位方法は、
GNSS衛星により送信された測位信号に基づいて測位演算を行うGNSS受信装置における測位方法であって、
山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択するGNSS衛星選択ステップと、
前記GNSS衛星選択ステップにより選択されたGNSS衛星をマスクして測位演算を行う測位演算ステップと
を有する。
【0035】
このようにすることにより、山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星をマスクして測位演算を行うことができる。
【0036】
本測位方法は、
GNSS衛星により送信された測位信号に基づいて測位演算を行うGNSS受信装置における測位方法であって、
山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択するGNSS衛星選択ステップと、
前記GNSS衛星選択ステップにより選択されたGNSS衛星に対する重み付けを、該選択されたGNSS衛星以外のGNSS衛星に対する重み付けと異なるようにして測位演算を行う測位演算ステップと
を有する。
【0037】
このように構成することにより、山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星に対する重み付けを、該GNSS衛星以外のGNSS衛星に対する重み付けと異なるようにして測位演算を行うことができる。
【0038】
さらに、他の例では、
前記測位演算ステップは、前記選択されたGNSS衛星のうち、一部のGNSS衛星をマスクして測位演算を行う。
【0039】
このように構成することにより、選択されたGNSS衛星のうち、一方のGNSS衛星をマスクして、他方のGNSS衛星に対する重み付けを該選択されなかったGNSS衛星に対する重み付けと異なるようにして測位演算を行うことができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の実施例によれば、測位精度を向上させることができるGNSS受信装置及び測位方法を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
【0042】
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0043】
(第1の実施例)
本実施例に係るGNSS(Global Navigation Satellite System 全世界航法衛星システム)について、図2を参照して説明する。
【0044】
本実施例に係るGNSSは、GNSS受信装置100を備える。
【0045】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、受信部102を有する。受信部102は、GNSS衛星200により送信された測位信号を受信し、測位処理部104に入力する。GNSS衛星200には、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星、グロナス(GLONASS)、ガリレオ(GALILEO)などが含まれる。本実施例では、一例として、GPS衛星を適用した場合について説明するが、他の衛星を適用するようにしてもよい。
【0046】
本実施例では、GNSS受信装置100に適用される測位技術の例として、相対測位が適用される場合について説明するが、単独測位にも適用できる。例えば、相対測位の例としてはRTK-GPS(realtime kinematic GPS)が適用される。RTK-GPSでは、基準点と測位点の両者に精密測定用のGNSS受信装置が設置される。そして、RTK-GPSでは、基準点及び測位点における観測データが解析され、基準点及び測位点の相対的な位置関係、すなわち基線ベクトルが高精度に決定される。
【0047】
RTK-GPSでは、固定された位置に基準局300が設置される。この基準局300は基地局と呼ばれてもよい。RTK-GPSでは、基準局300及びGNSS受信装置100における搬送波位相積算値を使用して、基線解を求める相対測位の技術が適用される。基準局300は、GNSS衛星200により送信された測位信号を受信し、該測位信号に基づいて、搬送波位相積算値を算出する。そして、基準局300は、算出した搬送波位相信号を含む補正信号を送信する。
【0048】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、測位処理部104を有する。測位処理部104は、基準局300により送信された補正信号を受信する。また、測位処理部104は、受信部102により入力された測位信号の受信品質を求める。そして、測位処理部104は、求められた受信品質に基づいて、衛星を選択する。そして、測位処理部104は、選択された衛星から受信した測位信号と、基準局300から受信した補正情報に基づいて、GNSS受信装置100の測位解を求める。
【0049】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、受信品質測定部1042を有する。受信品質測定部1042は、受信部102により入力された測位信号に基づいて、該測位信号の受信品質を測定する。例えば、受信品質測定部1042は、測位信号の搬送波対雑音比(Carrier to Noise ratio)を求めるようにしてもよい。搬送波対雑音比は、C/N、CNRとも呼ばれる。受信品質測定部1042は、測定した受信品質情報を後述する衛星選択部1046に入力する。
【0050】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、衛星選択部1046を有する。衛星選択部1046は、受信品質測定部1042により入力された受信品質に基づいて、衛星を選択する。例えば、衛星選択部1046は、山により受ける影響が大きい測位信号を送信するGNSS衛星を選択する。本実施例では、山により受ける影響が大きい測位信号を送信するGNSS衛星はマスクされる場合について説明する。例えば、衛星選択部1046は、受信品質測定部1042により入力された受信品質に基づいて、マスクする衛星を選択する。例えば、衛星選択部1046には、受信品質測定部1042により、エポック毎に受信品質が入力される。ここで、エポック(EPOCH)とは、観測の行われる測定の間隔又はデータの周期である。衛星選択部1046は、入力された受信品質に基づいて、マスクする衛星を選択するようにしてもよい。衛星選択部1046は、所定の時間Tに対して、C/Nの変化量ΔC/Nが所定の閾値以上である衛星をマスクすると判断する。衛星選択部1046は、マスクすると判断した衛星を示す情報を後述する測位演算部1044に入力する。ここで、所定の時間Tは、C/Nの変化量ΔC/Nを観測することができる時間以上、好ましくは1エポック以上であり、基線解析を行う時間間隔以下であるのが好ましい。また、ΔC/Nは、悪い測位結果となる場合のC/Nの変化量以上であることが好ましい。例えば、衛星選択部1046には、図3に示すように、エポックに対するC/Nが入力される。
【0051】
また、衛星選択部104は、マスクする衛星を監視するようにしてもよい。例えば、衛星選択部104は、選択された衛星を、所定の時間はマスクしたままとし、マスクする衛星として選択し続ける。言い換えれば、衛星選択部104は、所定の周期で、マスクする衛星を選択する処理を行う。ここで、所定の周期は、衛星選択部104において行われる衛星を選択する処理に対する負荷に基づいて決定される。また、所定の周期は、選択された衛星を確認できる程度の時間であることが好ましい。例えば、数秒間程度であることが好ましい。
【0052】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、測位演算部1044を有する。測位演算部1044は、衛星選択部1046により入力されたマスクすると判断された衛星を示す情報に基づいて、該マスクすると判断された衛星以外の衛星により送信された測位信号と、基準局300により受信した補正情報に基づいて、GNSS受信装置100の測位解を求める。例えば、測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号のうち、衛星選択部1046によりマスクすると選択された衛星以外の衛星に対応する測位信号に基づいて、位置情報を求める。そして、測位演算部1044は、該位置情報に含まれる誤差を、受信した補正情報に基づいて補正する。その結果、測位解が得られる。
【0053】
より具体的には、測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号のうち、衛星選択部1046によりマスクすると選択された衛星以外の衛星に対応する測位信号に基づいて、位置情報を求める。例えば、図4に示すように、マスクすると判断された衛星をマスクするようにマスク線を形成する。測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号のうち、衛星選択部1046によりマスクすると選択された衛星以外の衛星に対応する測位信号に基づいて、各測位信号の搬送波位相積算値を算出する。そして、測位処理部104は、各測位信号の搬送波位相積算値と受信した補正情報との二重位相差を算出する。例えば、OTF(on-the-fly)法により、整数バイアス決定を行うようにしてもよい。OTF法では、位相差の整数部分(整数値バイアス)が決定される。そして、測位演算部1044は、算出した二重位相差に基づいて、求めた位置情報に含まれる誤差を補正する。基準局300の正確な位置、例えば緯度、経度、高度は既知である。また、各衛星の正確な軌道も既知である。例えば、各衛星の軌道は、アルマナックやエフェメリスなどの衛星軌道情報により知ることができる。このため、各測位信号の搬送波位相積算値と、基準局300により求められた搬送波位相積算値との二重位相差を算出することにより、測位信号から検出された位置情報に含まれる誤差を補正することができる。
【0054】
また、測位演算部1044は、残差の変動、FIXの変動、ノイズの少なくとも1つを監視する。そして、測位演算部1044は、該監視結果に応じて、衛星選択部1046に対して所定の周期でマスクする衛星を選択する処理をやめさせるようにしてもよい。例えば、測位演算部1044は、残差の変動が、悪い測位結果となる場合の残差以下となった場合に、マスクする衛星を選択する処理をやめさせるようにしてもよい。また、例えば、衛星選択部1046は、時間に対するC/Nを回帰分析し、測定されたC/Nと、該回帰分析の結果予測された値との差を残差として求める。また、例えば、測位演算部1044は、FIXの変動が悪い測位結果となる場合のFIXの変動以下となった場合に、衛星選択部1046に対してマスクする衛星を選択する処理をやめさせるようにしてもよい。また、例えば、衛星選択部1046は、ノイズが悪い測位結果となる場合のノイズ以下となった場合に、マスクする衛星を選択する処理をやめるようにしてもよい。測位演算部1044は、マスクする衛星を選択する処理をやめさせると判断した場合、衛星選択部1046に対して、マスクする衛星を選択する処理をやめさせる命令を行う。
【0055】
一般的に、C/Nはシグナルとノイズとの比であるので、C/Nの値が大きいほど通信品質が良好であることを示し、C/Nの値が小さいほどノイズの影響を大きく受けているといわれる。しかし、測位結果に関しては、C/Nが大きくても、測位結果が悪くなる場合がある。従って、C/Nの絶対値に着目しただけでは、使用すべきでない衛星を判定するには不十分である。そこで、本実施例では、C/Nの変動量に基づいて、対応する衛星をマスクするか否かを判断する。このようにすることにより、測位精度を向上させることができ、FIX率を向上させることができる。
【0056】
(第2の実施例)
本実施例に係るGNSSの構成及び受信装置100構成は、上述した実施例と同様である。
【0057】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、衛星選択部1046の機能が上述した実施例と異なる。
【0058】
衛星選択部1046は、受信品質測定部1042により入力された受信品質に基づいて、衛星を選択する。例えば、衛星選択部1046は、山により受ける影響が大きい測位信号を送信するGNSS衛星を選択する。本実施例では、山により受ける影響が大きい測位信号を送信するGNSS衛星はマスクされる場合について説明する。例えば、衛星選択部1046は、受信品質測定部1042により入力された受信品質に基づいて、マスクする衛星を選択する。例えば、衛星選択部1046には、受信品質測定部1042により、エポック毎に受信品質が入力される。ここで、エポックとは、観測の行われる測定の間隔またはデータの周期である。衛星選択部1046は、入力された受信品質に基づいて、マスクする衛星を選択する。衛星選択部1046は、所定の時間Tに対して、C/Nの変動回数が所定の閾値以上である衛星をマスクすると判断する。衛星選択部1046は、マスクすると判断した衛星を示す情報を測位演算部1044に入力する。ここで、所定の時間Tは、C/Nの変化量ΔC/Nを観測することができる時間以上、好ましくは1エポック以上であり、基線解析を行う時間間隔以下であるのが好ましい。また、C/Nの変動回数は、悪い測位結果となる場合のC/Nの変動回数以上であることが好ましい。例えば、衛星選択部1046には、図5に示すように、エポックに対するC/Nが入力される。
【0059】
また、衛星選択部104は、マスクする衛星を監視するようにしてもよい。例えば、衛星選択部104は、選択された衛星を、所定の時間はマスクしたままとし、マスクする衛星として選択し続ける。言い換えれば、衛星選択部104は、所定の周期で、マスクする衛星を選択する処理を行う。ここで、所定の周期は、衛星選択部104において行われる衛星を選択する処理に対する負荷に基づいて決定される。また、所定の周期は、選択された衛星を確認できる程度の時間であることが好ましい。例えば、数秒間程度であることが好ましい。
【0060】
本実施例によれば、C/Nの変動回数に基づいて、対応する衛星をマスクするか否かを判断する。このようにすることにより、測位精度を向上させることができ、FIX率を向上させることができる。
【0061】
(第3の実施例)
本実施例に係るGNSSの構成及び受信装置100構成は、上述した実施例と同様である。
【0062】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、衛星選択部1046の機能が上述した実施例と異なる。
【0063】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、衛星選択部1046を有する。衛星選択部1046は、受信品質測定部1042により入力された受信品質に基づいて、衛星を選択する。例えば、衛星選択部1046は、山により受ける影響が大きい測位信号を送信するGNSS衛星を選択する。本実施例では、山により受ける影響が大きい測位信号を送信するGNSS衛星はマスクされる場合について説明する。例えば、衛星選択部1046は、受信品質測定部1042により入力された受信品質に基づいて、マスクする衛星を選択する。例えば、衛星選択部1046には、受信品質測定部1042により、エポック毎に受信品質が入力される。ここで、エポックとは、観測の行われる測定の間隔またはデータの周期である。衛星選択部1046は、入力された受信品質に基づいて、マスクする衛星を選択する。衛星選択部1046は、所定の時間Tに対して、該所定の時間Tにおいて生じた遮断回数が所定の閾値以上である衛星をマスクすると判断する。衛星選択部1046は、マスクすると判断した衛星を示す情報を後述する測位演算部1044に入力する。ここで、所定の時間Tは、C/Nの変化量ΔC/Nを観測することができる時間以上、好ましくは1エポック以上であり、基線解析を行う時間間隔以下であるのが好ましい。また、遮断回数は、悪い測位結果となる場合の遮断回数以上であることが好ましい。例えば、衛星選択部1046には、図6に示すように、エポックに対するC/Nが入力される。
【0064】
また、衛星選択部104は、マスクする衛星を監視するようにしてもよい。例えば、衛星選択部104は、選択された衛星を、所定の時間はマスクしたままとし、マスクする衛星として選択し続ける。言い換えれば、衛星選択部104は、所定の周期で、マスクする衛星を選択する処理を行う。ここで、所定の周期は、衛星選択部104において行われる衛星を選択する処理に対する負荷に基づいて決定される。また、所定の周期は、選択された衛星を確認できる程度の時間であることが好ましい。例えば、数秒間程度であることが好ましい。
【0065】
本実施例によれば、所定の時間における遮断回数に基づいて、対応する衛星をマスクするか否かを判断する。このようにすることにより、測位精度を向上させることができ、FIX率を向上させることができる。
【0066】
(第4の実施例)
本実施例に係るGNSSの構成及び受信装置100構成は、上述した実施例と同様である。
【0067】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、衛星選択部1046及び測位演算部1044の機能が上述した実施例と異なる。
【0068】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、衛星選択部1046を有する。衛星選択部1046は、受信品質測定部1042により入力された受信品質に基づいて、衛星を選択する。例えば、衛星選択部1046は、山により受ける影響が大きい測位信号を送信するGNSS衛星を選択する。本実施例では、山により受ける影響が大きい測位信号を送信するGNSS衛星はマスクされる場合について説明する。例えば、衛星選択部1046には、受信品質測定部1042により、エポック毎に受信品質が入力される。ここで、エポックとは、観測の行われる測定の間隔またはデータの周期である。衛星選択部1046は、所定の時間Tに対して、C/Nの変化量ΔC/Nが所定の閾値以上である衛星を選択するようにしてもよい。また、衛星選択部1046は、所定の時間Tに対して、C/Nの変動回数が所定の閾値以上である衛星を選択するようにしてもよい。衛星選択部1046は、所定の時間Tに対して、該所定の時間Tにおいて生じた遮断回数が所定の閾値以上である衛星を選択するようにしてもよい。衛星選択部1046は、選択した衛星を示す情報を後述する測位演算部1044に入力する。ここで、所定の時間Tは、C/Nの変化量ΔC/Nを観測することができる時間以上、好ましくは1エポック以上であり、基線解析を行う時間間隔以下であるのが好ましい。また、C/Nの変化量ΔC/N、C/Nの変動回数、遮断回数は、上述した実施例と同様である。例えば、衛星選択部1046には、図3、図5及び図6に示すように、エポックに対するC/Nが入力される。
【0069】
測位演算部1044は、衛星選択部1046により入力された衛星を示す情報に基づいて、該選択された衛星及び該選択された衛星以外の衛星により送信された測位信号と、基準局300により受信した補正情報に基づいて、GNSS受信装置100の測位解を求める。この測位解を求める場合に、選択された衛星と、該選択された衛星以外の衛星に対する重みを変化させる。
【0070】
例えば、測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号に基づいて、位置情報を求める。そして、測位演算部1044は、該位置情報に含まれる誤差を、受信した補正情報に基づいて補正する。その結果、測位解が得られる。
【0071】
より具体的には、測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号に基づいて、位置情報を求める。測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号に基づいて、各測位信号の搬送波位相積算値を算出する。そして、測位演算部1044は、各測位信号の搬送波位相積算値と受信した補正情報との二重位相差を算出する。例えば、OTF(on-the-fly)法により、整数バイアス決定を行うようにしてもよい。OTF法では、位相差の整数部分(整数値バイアス)が決定される。そして、測位処理部104は、算出した二重位相差に基づいて、求めた位置情報に含まれる誤差を補正する。この場合、選択された衛星から受信した測位信号の搬送波位相積算値と受信した補正情報との二重位相差と、該選択された衛星以外の衛星から受信した測位信号の搬送波位相積算値と受信した補正情報との二重位相差との間で重み付けを変化させるようにしてもよい。例えば、選択された衛星に対応する二重位相差を、選択された衛星以外の衛星に対応する二重位相差より低くするようにしてもよい。
【0072】
本実施例によれば、所定の時間におけるC/Nの変動量、C/Nの変動回数、遮断回数のすくなくとも1つに基づいて、衛星を選択し、該選択された衛星に対応する重み付けと、該選択された衛星以外の衛星に対応する重み付けとを異なるようにする。このようにすることにより、測位精度を向上させることができ、FIX率を向上させることができる。本実施例において、所定の時間におけるC/Nの変動量、C/Nの変動回数、遮断回数の少なくとも1つに基づいて、衛星を複数に分類し、該複数に分類された衛星に対する重み付けを異なるようにしてもよい。例えば、該複数に分類された衛星に対する重み付けを段階的に変化させるようにしてもよい。
【0073】
(第5の実施例)
本実施例に係るGNSSの構成及び受信装置100構成は、上述した実施例と同様である。
【0074】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、衛星選択部1046及び測位演算部1044の機能が上述した実施例とは異なる。
【0075】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、衛星選択部1046を有する。衛星選択部1046は、受信品質測定部1042により入力された受信品質に基づいて、衛星を選択する。例えば、衛星選択部1046は、山により受ける影響が大きい測位信号を送信するGNSS衛星を選択する。本実施例では、山により受ける影響が大きい測位信号を送信するGNSS衛星はマスクされる場合について説明する。例えば、衛星選択部1046には、受信品質測定部1042により、エポック毎に受信品質が入力される。
【0076】
一般的に、仰角が高くなるに従って、C/Nも増加する傾向がある。例えば、各仰角において測定されたC/Nの平均を求めると、図7の基準ラインが得られる。仰角が低い場合には、「衛星1の分布範囲」に示されるように、該仰角において得られるC/Nのバラツキは大きくなる。また、仰角が高い場合には、「衛星3」に示されるように、該仰角において得られるC/Nのバラツキは小さくなる。本実施例では、仰角に対するC/Nの平均を示す基準ラインが予め設定される。そして、基準ラインから大きく外れる、言い換えれば、基準ラインとの差が大きいC/Nが得られた場合、そのC/Nに対応する衛星は完全にマスクすると判断する。図7における「完全マスク領域」に該当すると判断する。また、基準ラインから大きく外れないが、基準ラインとの差があるC/Nが得られた場合、そのC/Nに対応する衛星は重み付けを異ならせると判断する。図7における「重みで対応する領域」に該当すると判断する。「完全マスク領域」及び「重みで対応する領域」は、仰角におけるバラツキに基づいて予め決定されるようにしてもよい。言い換えれば、仰角に応じて、該衛星をマスクするか該衛星に対する重み付けを変更するかを判断するための受信品質の条件が異なるようにしてもよい。
【0077】
衛星選択部1046は、入力された受信品質に基づいて、該受信品質に対応する衛星の仰角を求める。そして、該求めた仰角における基準ラインにおける値と、入力された受信品質とを比較する。入力された受信品質が、基準ラインから大きく外れると判断した場合、衛星選択部1046は、該受信品質に対応する衛星をマスクすると判断する。また、入力された受信品質が、基準ラインから大きく外れないが、基準ラインとの差があると判断した場合、衛星選択部1046は、該受信品質に対応する衛星に対する重み付けを、他の衛星に対する重み付けとは異なるようにすると判断する。
【0078】
測位演算部1044は、衛星選択部1046により入力された衛星を示す情報に基づいて、該選択された衛星及び該選択された衛星以外の衛星により送信された測位信号と、基準局300により受信した補正情報に基づいて、GNSS受信装置100の測位解を求める。ここで、衛星を示す情報には、マスクすると判断された衛星の情報、重みで対応すると判断された衛星の情報が含まれるようにしてもよい。この測位解を求める場合に、重みで対応すると判断された衛星と、マスクすると判断された衛星及び重みで対応すると判断された衛星以外の衛星に対する重みを変化させる。
【0079】
例えば、測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号に基づいて、位置情報を求める。そして、測位演算部1044は、該位置情報に含まれる誤差を、受信した補正情報に基づいて補正する。その結果、測位解が得られる。
【0080】
より具体的には、測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号に基づいて、位置情報を求める。測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号に基づいて、各測位信号の搬送波位相積算値を算出する。そして、測位演算部1044は、各測位信号の搬送波位相積算値と受信した補正情報との二重位相差を算出する。例えば、OTF(on-the-fly)法により、整数バイアス決定を行うようにしてもよい。OTF法では、位相差の整数部分(整数値バイアス)が決定される。そして、測位演算部1044は、算出した二重位相差に基づいて、求めた位置情報に含まれる誤差を補正する。この場合、重みで対応すると判断された衛星から受信した測位信号の搬送波位相積算値と受信した補正情報との二重位相差と、マスクすると判断された衛星及び重みで対応すると判断された衛星以外の衛星から受信した測位信号の搬送波位相積算値と受信した補正情報との二重位相差との間で重み付けを変化させるようにしてもよい。例えば、重みで対応すると判断された衛星に対応する二重位相差を、マスクすると判断された衛星及び重みで対応すると判断された衛星以外の衛星に対応する二重位相差より軽くするようにしてもよい。
【0081】
また、測位演算部1044は、残差の変動、FIXの変動、ノイズの少なくとも1つを監視する。そして、測位演算部1044は、該監視結果に応じて、衛星選択部1046に対して所定の周期でマスクする衛星を選択する処理をやめさせるようにしてもよい。例えば、測位演算部1044は、残差の変動が、悪い測位結果となる場合の残差以下となった場合に、マスクする衛星を選択する処理をやめさせるようにしてもよい。また、例えば、衛星選択部1046は、時間に対するC/Nを回帰分析し、測定されたC/Nと、該回帰分析の結果予測された値との差を残差として求める。また、例えば、測位演算部1044は、FIXの変動が悪い測位結果となる場合のFIXの変動以下となった場合に、衛星選択部1046に対してマスクする衛星を選択する処理をやめさせるようにしてもよい。また、例えば、衛星選択部1046は、ノイズが悪い測位結果となる場合のノイズ以下となった場合に、マスクする衛星を選択する処理をやめるようにしてもよい。測位演算部1044は、マスクする衛星を選択する処理をやめさせると判断した場合、衛星選択部1046に対して、マスクする衛星を選択する処理をやめさせる命令を行う。
【0082】
また、測位演算部1044は、残差の変動、FIXの変動、ノイズの少なくとも1つの監視結果に基づいて、前回の判断と異なる判断がされた衛星に対して、マスクするかを判断するようにしてもよい。例えば、前回「重みで対応する領域」に該当すると判断された衛星が、「完全マスク領域」に該当すると判断された場合が該当する。
【0083】
ここでは、基準ラインを各仰角において測定されたC/Nの平均として説明した。基準ラインは、各衛星により得られた受信品質の過去の平均としてもよいし、各仰角に対して得られた受信品質の最低値により決定される関数としてもよいし、周辺に設置された基準局において得られた仰角に対するC/Nの関係を近似した関数としてもよい。また、関数は指数関数であってもよい。
【0084】
本実施例によれば、重み付けで対応する衛星とマスクする衛星とを分類でき、該重み付けで対応する衛星に対応する重み付けと、重み付けで対応する衛星及びマスクする衛星以外の衛星に対応する重み付けとを異なるようにする。このようにすることにより、測位精度を向上させることができ、FIX率を向上させることができる。本実施例において、マスクすると判断される衛星を複数に分類し、該複数に分類された衛星に対する重み付けを異なるようにしてもよい。例えば、該複数に分類された衛星に対する重み付けを段階的に変化させるようにしてもよい。
【0085】
(第6の実施例)
本実施例に係るGNSSの構成は、上述した実施例と同様である。
【0086】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、図8に示すように、図2を参照して説明したGNSS受信装置100において、基準局300により送信される補正信号が受信品質測定部1042に入力されるようにしたものである。
【0087】
受信品質測定部1042は、受信部102により入力された測位信号に基づいて、該測位信号の受信品質を測定する。また、受信品質測定部1042は、基準局300により送信された補正信号に基づいて、該補正信号の受信品質を測定する。例えば、受信品質測定部1042は、測位信号及び補正信号の搬送波対雑音比を求めるようにしてもよい。受信品質測定部1042は、測定した受信品質情報を後述する衛星選択部1046に入力する。
【0088】
衛星選択部1046は、受信品質測定部1042により入力された受信品質に基づいて、衛星を選択する。例えば、衛星選択部1046には、受信品質測定部1042により、エポック毎に受信品質が入力される。
【0089】
例えば、各仰角において、測位信号に基づいて測定されたC/Nと補正情報に基づいて測定されたC/Nとの差(以下、測位信号C/N−補正信号C/Nと呼ぶ)の平均を求めると、図9の基準ラインが得られる。仰角が低い場合には、「衛星1の分布範囲」に示されるように、該仰角において得られる測位信号C/N−補正信号C/Nのバラツキは大きくなる。また、仰角が高い場合には、「衛星3」に示されるように、該仰角において得られる測位信号C/N−補正信号C/Nのバラツキは小さくなる。本実施例では、仰角に対する測位信号C/N−補正信号C/Nの平均を示す基準ラインが予め設定される。そして、基準ラインから大きく外れる、言い換えれば、基準ラインとの差が大きい測位信号C/N−補正信号C/Nが得られた場合、その測位信号C/N−補正信号C/Nに対応する衛星は完全にマスクすると判断する。図9における「完全マスク領域」に該当すると判断する。また、基準ラインから大きく外れないが、基準ラインとの差がある測位信号C/N−補正信号C/Nが得られた場合、その測位信号C/N−補正信号C/Nに対応する衛星は重み付けを異ならせると判断する。図8における「重みで対応する領域」に該当すると判断する。「完全マスク領域」及び「重みで対応する領域」は、仰角におけるバラツキに基づいて予め決定されるようにしてもよい。
【0090】
衛星選択部1046は、入力された受信品質に基づいて、該受信品質に対応する衛星の仰角を求める。そして、該求めた仰角における基準ラインにおける値と、入力された受信品質と補正信号の受信品質との差を比較する。入力された受信品質と補正信号の受信品質との差が、基準ラインから大きく外れると判断した場合、衛星選択部1046は、該受信品質に対応する衛星をマスクすると判断する。また、入力された受信品質と補正信号の受信品質との差が、基準ラインから大きく外れないが、基準ラインとの差があると判断した場合、衛星選択部1046は、該受信品質に対応する衛星に対する重み付けを、他の衛星に対する重み付けとは異なるようにすると判断する。
【0091】
測位演算部1044は、衛星選択部1046により入力された衛星を示す情報に基づいて、該選択された衛星及び該選択された衛星以外の衛星により送信された測位信号と、基準局300により受信した補正情報に基づいて、GNSS受信装置100の測位解を求める。ここで、衛星を示す情報には、マスクすると判断された衛星の情報、重みで対応すると判断された衛星の情報が含まれるようにしてもよい。この測位解を求める場合に、重みで対応すると判断された衛星と、マスクすると判断された衛星及び重みで対応すると判断された衛星以外の衛星に対する重みを変化させる。
【0092】
例えば、測位処理部104は、受信部102により入力された測位信号に基づいて、位置情報を求める。そして、測位処理部104は、該位置情報に含まれる誤差を、受信した補正情報に基づいて補正する。その結果、測位解が得られる。
【0093】
より具体的には、測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号に基づいて、位置情報を求める。測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号に基づいて、各測位信号の搬送波位相積算値を算出する。そして、測位演算部1044は、各測位信号の搬送波位相積算値と受信した補正情報との二重位相差を算出する。例えば、OTF(on-the-fly)法により、整数バイアス決定を行うようにしてもよい。OTF法では、位相差の整数部分(整数値バイアス)が決定される。そして、測位演算部1044は、算出した二重位相差に基づいて、求めた位置情報に含まれる誤差を補正する。この場合、重みで対応すると判断された衛星から受信した測位信号の搬送波位相積算値と受信した補正情報との二重位相差と、マスクすると判断された衛星及び重みで対応すると判断された衛星以外の衛星から受信した測位信号の搬送波位相積算値と受信した補正情報との二重位相差との間で重み付けを変化させるようにしてもよい。例えば、重みで対応すると判断された衛星に対応する二重位相差を、マスクすると判断された衛星及び重みで対応すると判断された衛星以外の衛星に対応する二重位相差より軽くするようにしてもよい。
【0094】
また、測位演算部1044は、残差の変動、FIXの変動、ノイズの少なくとも1つを監視する。そして、測位演算部1044は、該監視結果に応じて、所定の周期でマスクする衛星を選択する処理をやめさせるようにしてもよい。例えば、測位演算部1044は、残差の変動が、悪い測位結果となる場合の残差以下となった場合に、マスクする衛星を選択する処理をやめさせるようにしてもよい。衛星選択部1044は、マスクする衛星を選択する処理をやめさせると判断した場合、衛星選択部1046に対して、マスクする衛星を選択する処理をやめさせる命令を行う。
【0095】
また、測位演算部1044は、残差の変動、FIXの変動、ノイズの少なくとも1つの監視結果に基づいて、前回の判断と異なる判断がされた衛星に対して、マスクするかを判断するようにしてもよい。例えば、前回「重みで対応する領域」に該当すると判断された衛星が、「完全マスク領域」に該当すると判断された場合が該当する。
【0096】
ここでは、基準ラインを各仰角において測定されたC/Nの平均として説明した。基準ラインは、各衛星により得られた受信品質の過去の平均としてもよいし、各仰角に対して得られた受信品質の最低値により決定される関数としてもよいし、周辺に設置された基準局300において得られた仰角に対するC/Nの関係を近似した関数としてもよい。また、関数は指数関数であってもよい。
【0097】
本実施例によれば、重み付けで対応する衛星とマスクする衛星とを分類でき、該重み付けで対応する衛星に対応する重み付けと、重み付けで対応する衛星及びマスクする衛星以外の衛星に対応する重み付けとを異なるようにする。このようにすることにより、測位精度を向上させることができ、FIX率を向上させることができる。本実施例において、マスクすると判断される衛星を複数に分類し、該複数に分類された衛星に対する重み付けを異なるようにしても例えば、該複数に分類された衛星に対する重み付けを段階的に変化させるようにしてもよい。
【0098】
(第7の実施例)
本実施例に係るGNSSの構成及び受信装置100構成は、上述した実施例と同様である。
【0099】
測位信号の受信品質はFIX解と相関があるといわれている。本実施例では、FIX解が得られた場合と、そのFIX解が得られた場合に使用された衛星の情報を蓄積する。このようにすることにより、山により受ける影響が大きい測位信号を送信するGNSS衛星を選択する。例えば、ノイズの高い衛星を識別することができる。例えば、ある衛星から受信した測位信号を用いた測位解がFIX解ではなく、該ある衛星から受信した測位信号を用いない測位解がFIX解である場合、該ある衛星はマスクされる。
【0100】
測位演算部1044では、基準局300から受信した補正信号に対応する衛星と、受信部102により入力された測位信号に対応する衛星のうち、共通する衛星に対応する補正信号及び測位信号に基づいて測位解が求められる。測位演算部1044は、その測位解がFIX解であるか否かを蓄積する。基準局300は、電波の受信環境が良好な位置に設置されるので、多くの衛星からの測位信号を受信することができると想定される。一方、GNSS受信装置100は、移動体に搭載されるため、電波環境の影響を受ける。例えば、GNSS受信装置100が搭載された移動体が、ビルのそばを通過したことにより、ある衛星から送信された測位信号を受信できなかったためFIX解が得られた場合、その衛星からの測位信号はノイズが高い信号であったと判定できる。
【0101】
すなわち、図10に示すように、ある衛星(高ノイズ衛星S)から送信される測位信号のノイズが高い場合、その測位信号を受信するとFIX解が得られず、受信しないとFIX解を得ることができる。
【0102】
測位演算部1044は、受信部102により入力された測位信号に対応する衛星と、該測位信号により求められた測位解がFIX解であったか否かの相関を求める。そして、測位演算部1044は、各衛星に対する測位解がFIX解であったかの相関値αs(sは、衛星の識別子)を求める。測位演算部1044は、該相関値αsに基づいて、マスクする衛星の判断を行う。
【0103】
本実施例に係るGNSS受信装置100の動作について、図11を参照して説明する。
【0104】
測位演算部1044は、相関値αs=0に設定する(ステップS1002)。ここで、sは上述したように衛星の識別子である。例えば、衛星番号であってもよい。また、衛星のマスクフラグは0である。マスクフラグは、該衛星がマスクされるか否かを示すフラグである。例えば、マスクする場合には1、しない場合には0としてもよい。
【0105】
ある衛星sに対応する相関値αsが相関係数の閾値であるγ超であるかを判断する(ステップS1004)。または、ある衛星sのマスクフラグが1であるかを判断するようにしてもよい。ここで、γは、FIX解が得られない確率が高くなる場合における相関値である。言い換えれば、FIX解が得られる確率として最低限許容できる場合の相関値である。
【0106】
相関値αsが閾値γ超である場合(ステップS1004:YES)、測位演算部1044は、その衛星sをマスクする。ここで、ある衛星sのマスクフラグが1である場合に、その衛星sをマスクするようにしてもよい。
【0107】
相関値αsが閾値γ超でない場合(ステップ1004:NO)及びステップS1006の後、測位演算部1044は、測位演算を行う(ステップS1008)。
【0108】
測位演算部1044は、測位解がFIX解であるかを判断する(ステップS1010)。
【0109】
FIX解であると判断された場合(ステップS1010:YES)、測位演算部1044は、該測位解を得るために使用された衛星sのマスクフラグを0にする(ステップS1012)。例えば、所定の時間β秒後に0に戻すようにしてもよい。そして、各衛星からの受信された情報を0にする。例えば、受信された情報には、測位信号が含まれる。一方、FIX解であると判断されない場合(ステップS1010:NO)、測位演算部1044は、衛星マスクフラグを初期化するかを判定する(ステップS1014)。例えば、測位演算部1044は、衛星マスクフラグを初期化するか否かを、衛星の仰角に基づいて判断するようにしてもよい。また、例えば、測位演算部1044は、衛星マスクフラグを初期化するか否かを、該衛星に対応するC/Nに基づいて判断するようにしてもよい。
【0110】
測位演算部1044は、衛星毎に、受信/非受信の情報を格納する(ステップS1016)。例えば、測位演算部1044は、受信/非受信の情報をデータベースに格納するようにしてもよい。また、例えば、過去数秒分のデータを格納するようにしてもよい。
【0111】
測位演算部1044は、過去のFIX成功/失敗の情報を格納する(ステップS1018)。例えば、測位演算部1044は、FIX成功/失敗の情報をデータベースに格納するようにしてもよい。また、例えば、数秒分のデータを格納するようにしてもよい。
【0112】
測位演算部1044は、衛星毎に、相関係数αsを演算し、該相関係数αsを格納する(ステップS1020)。その後、ステップS1004に戻る。
【0113】
衛星から送信される測位信号に含まれるノイズが多い場合、その測位信号の受信状況は不安定になる傾向がある。例えば、短時間の間に、受信/非受信が繰り返される場合もある。また、そのような測位信号が受信され、測位解が求められても、その測位解はFIX解とはならずFIX失敗となる傾向がある。本実施例では、衛星毎に受信/非受信の情報と、FIX成功/失敗の相関係数を求め、その相関係数に基づいて、衛星をマスクするか否かの判断を行う。
【0114】
本実施例によれば、測位精度を向上させることができ、FIX率を向上させることができる。
【0115】
(第8の実施例)
本実施例に係るGNSSの構成及び受信装置100構成は、上述した実施例と同様である。
【0116】
上述した実施例では、マスクする衛星を選択する場合について説明した。例えば、C/Nに基づいて、マスクする衛星を選択することにより、測位精度を向上させることができる。しかし、測位演算部1044では、最低4−5の衛星により送信された測位信号に基づいて、測位解が求められるのが好ましい。特に、RTK-GPSが適用される場合には、5以上の衛星により送信された測位信号が得られないと測位自体ができなくなる場合がある。
【0117】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、受信できた測位信号が5衛星未満である場合に、その測位信号に含まれているノイズを低減して測位を行う。測位信号に含まれるノイズが多い場合でもFIX解が得られる場合がある。本実施例では、FIX解が得られた場合の測位信号に基づいて、受信した測位信号を修正する。
【0118】
測位演算部1044は、衛星選択部1046により入力されたマスクすると判断された衛星を示す情報に基づいて、該マスクすると判断された衛星以外の衛星の数を求める。そして、測位演算部は、該マスクすると判断された衛星以外の衛星の数が測位解を求めるのに必要な数であるかを判断する。例えば、測位解を求めるのに必要な数は5であってもよい。測位演算部1044は、衛星の数が測位解を求めるのに必要な数でない場合、マスク候補の衛星から送信された測位信号から、FIX解が得られた測位点を外挿し、測位点を推定する。そして、測位演算部1044は、入力された測位点を推定された測位点との残差を修正観測量として求める。例えば、図12に示すように、マスク候補の衛星からの測位信号は、修正観測量に基づいて補正される。FIX解が得られた場合には、そのFIX解が得られた測位点を含めて外挿される。そして、測位演算部1044は、マスク候補の衛星からの測位信号に対して、求めた修正観測量に基づいて補正した測位解を求める。
【0119】
本実施例に係るGNSS受信装置100の動作について、図13を参照して説明する。
【0120】
測位演算部1044は、マスクする衛星の候補があるかを判断する(ステップS1302)。
【0121】
マスクする衛星の候補がある場合(ステップS1302:YES)、測位演算部1044は、該マスクする衛星の候補を除いた測位解を得るのに使用できる衛星の数が5以上であるかを判断する(ステップS1304)。
【0122】
測位解を得るのに使用できる衛星の数が5以上であると判断された場合(ステップS1304:YES)、測位演算部1044は、マスクする衛星の候補に基づいて、衛星マスク線を演算し、該マスクする衛星の候補をマスクする(ステップS1306)。一方、測位解を得るのに使用できる衛星の数が5以上でないと判断された場合(ステップS1304:NO)、測位演算部1044は、修正観測量を求め、該修正観測量に基づいて、マスクする衛星の候補からの測位信号を修正する(ステップS1308)。ここで、測位解を得るのに必要な衛星の数となるように、マスクする衛星の候補から選択もよいし、その測位解を得るのに必要な衛星の数以上となるように、マスクする衛星の候補から選択されてもよい。
【0123】
測位演算部1044は、測位演算を行う(ステップS1310)。
【0124】
測位演算部1044は、測位解がFIX解であるかの判断を行う(ステップS1312)。
【0125】
測位解がFIX解であると判断された場合(ステップS1312:YES)、測位演算部1044は、この測位解が得られたマスク線及び修正観測量を維持する(ステップS1314)。一方、測位解がFIX解であると判断されない場合(ステップS1312:NO)、ステップS1302に戻る。
【0126】
本実施例によれば、マスクする衛星が選択された場合に、該衛星を選択すると測位演算ができなくなる場合においても、測位演算を行うことができる。このため、測位率を確保することができる。本実施例では、5以上の衛星により送信された測位信号が得られないと測位自体ができなくなる場合について説明したが、5未満の衛星により送信された測位信号で測位ができる場合には、その測位ができる数の衛星により送信された測位信号で測位を行うようにしてもよい。この場合、測位ができない衛星数となった場合に、残差により観測量の修正を行うようにしてもよい。
【0127】
(第9の実施例)
本実施例に係るGNSSの構成及び受信装置100構成は、上述した実施例と同様である。
【0128】
本実施例係るGNSS受信装置100では、地形図に基づいて、走行方向に山が存在する場合、その山により測位信号が遮られる衛星を判定する。そして、GNSS受信装置100は、その山により測位信号が遮られる衛星の重みを他の衛星の重みと異なるようにする。
【0129】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、図14に示すように、図2を参照して説明したGNSS受信装置に、記憶部106を有するようにしたものである。記憶部106には、地形図が格納される。
【0130】
測位演算部1044は、測位結果に基づいて、現在位置の周辺の地形図を記憶部106から取得する。そして、測位演算部1044は、取得した地形図に基づいて、該地形図に山が含まれるかを判断する。測位演算部1044は、地形図に山が含まれる場合、図15に示すように、その山の高さが衛星からの測位信号が遮られると判定される高さ(H)以上の山を抽出する。図15では、高さがH1とH2の山が抽出される。ここで、H1及びH2はH以上である。そして、測位演算部1044は、走行方向とその山の方向とのなす角をθとする。例えば、θは時計周りの角度としてもよい。また、測位演算部1044は、現在位置において、その水平面とその山の頂上とのなす仰角βを求める。そして、測位演算部1044は、α´+βを新たな仰角として設定する。ここで、α´は、測定誤差に基づいて決定されてもよい。そして、図16に示すように、測位演算部1044は、α´+β以上の仰角γに相当する衛星は重みを変更することにより対応する。例えば、仰角γに相当する衛星の重みを下げることにより対応する。例えば、測位演算部1044は、衛星の上昇/下降に応じて、重みを可変としてもよい。例えば、衛星の上昇に応じて重みを上げ、衛星の下降に応じて重みを下げる。
【0131】
本実施例に係るGNSS受信装置100の動作について、図17を参照して説明する。
【0132】
測位演算部1044は、現在位置から周辺の地形図を取得する(ステップS1702)。
【0133】
測位演算部1044は、地形図に基づいて、高さがH以上の山があるか否かを判定する(ステップS1704)。
【0134】
高さがH以上の山がある場合(ステップS1704:YES)、測位演算部1044は、衛星マスク線の演算を行う。そして、衛星をマスクする(ステップS1706)。
【0135】
一方。高さがH以上の山がない場合(ステップS1704:NO)及びステップS1706の処理が行われた場合、測位演算部1044は、γに基づいて、各衛星に対応する重みを算出する(ステップS1708)。
【0136】
測位演算部1044は、測位を行う(ステップS1710)。
【0137】
本実施例において、仰角βは、現在位置において、その水平面とその山の頂上とのなす仰角に限られない。例えば、図18に示すように、山の連続度、傾斜角の情報に基づいて、現在位置において、その水平面とその山の接線とのなす角(接線仰角)としてもよい。
【0138】
また、図19に示すように、車両センサやGNSS衛星により得られる測位信号に基づいて算出された傾斜角情報に基づいて、仰角を求めるようにしてもよい。この場合、測位演算部1044には、車両センサからの情報が入力されるようにしてもよい。
【0139】
また、測位演算部1044は、取得した地形図に基づいて、基準局300を選択するようにしてもよい。基準局が変わると、整数値バイアスの引き継ぎ演算ができない。このようにすることにより、基準局が変わることを最小限にできる。
【0140】
また、測位演算部1044は、取得した地形図に基づいて、ノイズが増加する又は減少すると予想される衛星を使用しないようにしてもよい。また、測位演算部1044は、取得した地形図に基づいて、ノイズが増加する又は減少すると予想される衛星の重みを変化させるようにしてもよい。また、ナビゲーションにおいて、案内する経路を変えるようにしてもよい。
【0141】
(第10の実施例)
本実施例に係るGNSSの構成は、上述した実施例と同様である。
【0142】
本実施例に係るGNSS受信装置100は、図20に示すように複数のアンテナを有する。測位演算部1044は、複数のアンテナにより入力された測位信号に基づいて、車両の状態を測定する。車両の状態には、車両の傾き、ロールピッチ、ヨー角が含まれる。そして、測位演算部1044は、車両の状態に基づいて、上述した方法と同様の方法により測位解を求める。
【0143】
本実施例によれば、車両の状態に基づいて、測位演算を行うことができるので、測位精度を向上させることができる。図20には、3本のアンテナを有するGNSS受信装置が示されているが複数であればよく、2本でも、4本以上でもよい。
【0144】
説明の便宜上、発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明されるが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてよい。
【0145】
以上、本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、各実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が包含される。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】仰角マスクの一例を示す説明図である。
【図2】一実施例に係るGNSS(Global Navigation Satellite System 全世界航法衛星システム)を示す部分ブロック図である。
【図3】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図4】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図5】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図6】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図7】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図8】一実施例に係るGNSS受信装置を示す部分ブロック図である。
【図9】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図10】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図11】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示すフロー図である。
【図12】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図13】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示すフロー図である。
【図14】一実施例に係るGNSSを示す部分ブロック図である。
【図15】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図16】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図17】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示すフロー図である。
【図18】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図19】一実施例に係るGNSS受信装置の動作を示す説明図である。
【図20】一実施例に係るGNSSを示す部分ブロック図である。
【符号の説明】
【0147】
100 GNSS受信装置
102(102、102、102) 受信部
104 測位処理部
1042 受信品質測定部
1044 測位演算部
1046 衛星選択部
106 記憶部
200 GNSS衛星
300 基準局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GNSS衛星により送信された測位信号に基づいて測位演算を行うGNSS受信装置であって、 山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択するGNSS衛星選択手段と、
前記GNSS衛星選択手段により選択されたGNSS衛星をマスクして測位演算を行う第1の測位演算手段と
を有することを特徴とするGNSS受信装置。
【請求項2】
GNSS衛星により送信された測位信号に基づいて測位演算を行うGNSS受信装置であって、 山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択するGNSS衛星選択手段と、
前記GNSS衛星選択手段により選択されたGNSS衛星に対する重み付けを、該選択されたGNSS衛星以外のGNSS衛星に対する重み付けと異なるようにして測位演算を行う第2の測位演算手段と
を有するGNSS受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載のGNSS受信装置において、
前記第2の測位演算手段は、前記選択されたGNSS衛星のうち、一部のGNSS衛星をマスクして測位演算を行うことを特徴とするGNSS受信装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のGNSS受信装置において、
前記GNSS衛星選択手段は、選択したGNSS衛星を監視し、該GNSS衛星から送信された測位信号が山により影響を受けないと判断された場合、該GNSS衛星の選択を解除することを特徴とするGNSS受信装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のGNSS受信装置において、
測位信号の受信品質を測定する受信品質測定手段
を有し、
前記GNSS衛星選択手段は、前記受信品質測定手段において測定された受信品質に基づいて、所定の時間における受信品質の変化量、所定の時間における受信品質の変動回数及び所定の時間における遮断回数の少なくとも1つに基づいて、山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択することを特徴とするGNSS受信装置。
【請求項6】
請求項3に記載のGNSS受信装置において、
測位信号の受信品質を測定する受信品質測定手段
を有し、
前記GNSS衛星選択手段は、前記受信品質測定手段において測定された受信品質と該衛星に対応する仰角とに基づいて、該衛星をマスクするか該衛星に対する重み付けを変更するかを判断することを特徴とするGNSS受信装置。
【請求項7】
請求項6に記載のGNSS受信装置において、
前記受信品質測定手段は、基準局から送信される補正信号の受信品質を測定し、
前記GNSS衛星選択手段は、前記受信品質測定手段において測定された測位信号及び補正信号の受信品質と、該衛星に対応する仰角とに基づいて、該衛星をマスクするか該衛星に対する重み付けを変更するかを判断することを特徴とするGNSS受信装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のGNSS受信装置において、
仰角に応じて、該衛星をマスクするか該衛星に対する重み付けを変更するかを判断するための受信品質の条件が異なることを特徴とするGNSS受信装置。
【請求項9】
請求項1に記載のGNSS受信装置において、
測位信号の受信品質を測定する受信品質測定手段
を有し、
前記GNSS衛星選択手段は、各衛星に対して演算された測位信号の受信品質と該測位信号により算出された測位解が高精度解であるか否かの相関に基づいて、該衛星をマスクするか否かを判断することを特徴とするGNSS受信装置。
【請求項10】
請求項1に記載のGNSS受信装置において、
測位信号の受信品質を測定する受信品質測定手段
を有し、
前記第1の測位演算手段は、使用できる測位信号が測位演算に必要な数未満である場合に、マスクすると判断された衛星に対応する測位信号を使用すると判断し、該マスクすると判断された衛星に対応する測位信号を含めた測位信号を用いて測位演算を行い、高精度解が得られた場合の測位値に基づいて、該マスクすると判断された衛星に対応する測位信号を修正することを特徴とするGNSS受信装置。
【請求項11】
請求項5ないし10のいずれか1項に記載のGNSS受信装置において、
前記受信品質は、搬送波対雑音比であることを特徴とするGNSS受信装置。
【請求項12】
請求項5ないし11のいずれか1項に記載のGNSS受信装置において、
前記所定の時間は、1エポック以上であり、基線解析を行う時間間隔以下であることを特徴とするGNSS受信装置。
【請求項13】
GNSS衛星により送信された測位信号に基づいて測位演算を行うGNSS受信装置における測位方法であって、
山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択するGNSS衛星選択ステップと、
前記GNSS衛星選択ステップにより選択されたGNSS衛星をマスクして測位演算を行う測位演算ステップと
を有することを特徴とする測位方法。
【請求項14】
GNSS衛星により送信された測位信号に基づいて測位演算を行うGNSS受信装置における測位方法であって、
山により影響を受ける測位信号を送信するGNSS衛星を選択するGNSS衛星選択ステップと、
前記GNSS衛星選択ステップにより選択されたGNSS衛星に対する重み付けを、該選択されたGNSS衛星以外のGNSS衛星に対する重み付けと異なるようにして測位演算を行う測位演算ステップと
を有する測位方法。
【請求項15】
請求項14に記載の測位方法において、
前記測位演算ステップは、前記選択されたGNSS衛星のうち、一部のGNSS衛星をマスクして測位演算を行うことを特徴とする測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−243940(P2009−243940A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87969(P2008−87969)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】