説明

HDACインヒビター

本発明は、ヒドロキサム酸化合物、および該化合物の調製方法を提供する。また、本発明は、ヒドロキサム酸化合物を含む医薬組成物に関する。本発明は、処置を必要とする被験体に治療有効量の本発明の化合物を投与することによる癌などの細胞増殖性障害の処置方法を提供する。本発明の化合物によって処置される疾患としては、前癌性状態、ならびに腺癌、扁平上皮癌、肉腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、または白血病を含む癌が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2007年8月21日に出願された米国仮出願第60/965,584号(この内容は、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
癌は、米国で第2位の死亡原因であり、心臓疾患がわずかに上回っている(Cancer Facts and Figures 2004,American Cancer Society,Inc.)。最近の癌の診断および処置の進歩にもかかわらず、手術や放射線療法は、癌が早期に発見されれば治癒的であり得るが、転移性疾患に現在使用されている薬物療法は、ほとんどが待機的であり、長期使用による治癒はほとんどもたらされない。新たに市場に参入している化学療法剤を用いた場合でさえ、難治性の腫瘍の処置において、単独療法に有効な、またはファーストライン治療薬として、またセカンドライン治療薬およびサードライン治療薬としての既存薬剤との併用に有効な新たな薬物必要性が継続して存在する。
【0003】
癌細胞は、定義によると異質性である。例えば、単一の組織型または細胞型において、多様な変異性「機構」により、癌の発生がもたらされ得る。そのため、異なる個体に由来する同じ組織および同じ型の腫瘍から採取した癌細胞間には、異質性が高頻度に存在する。一部の癌に関連する高頻度に観察される変異性「機構」は、ある組織型と別の組織型で異なっていることがあり得る(例えば、結腸癌をもたらす高頻度に観察される変異性「機構」は、白血病をもたらす高頻度に観察される「機構」と異なっていることがあり得る)。したがって、多くの場合、具体的なある癌が具体的なある化学療法剤に応答するかどうかを予測することは困難である(Cancer Medicine,第5版,Bastら編,B.C.Decker Inc.,Hamilton,Ontario)。
【0004】
例えば、乳癌は、女性において皮膚癌以外の癌で最も診断される頻度が高い癌であり、女性の癌による死亡例で肺癌に次いで第2位にランクされている(Cancer Facts and Figures 2004,American Cancer Society,Inc.)。乳癌に対する現行の処置選択肢としては、手術、放射線療法、および化学療法/ホルモン療法が挙げられ、タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、TAXOL(登録商標)(パクリタキセル)、シクロホスファミド、メトトレキサート、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、および5−フルオロウラシルなどの薬剤を使用する。癌の診断剤および治療剤が改善されているにもかかわらず、乳癌の罹患率は、1980年以来上昇し続けている。2004年には、女性では、新たに約215,000例の乳癌が予測され、男性では、新たに約1,450例の乳癌が予測されている。したがって、乳癌処置のための新規な化合物および方法が必要である。
【0005】
癌の処置に使用される薬剤の特異性の改善は、該薬剤の投与に関連する副作用が低減されれば治療有益性が実現され得るため、非常に重要である。癌処置のためのアプローチの一例は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の標的化である。
【0006】
転写の調節は、DNAが細胞内に封入されている様式によって影響される。DNAとヒストンからなる基本構成単位であるヌクレオソームは、メチル化、リン酸化およびアセチル化などの翻訳後修飾に供される。ヒストンのアセチル化レベルが上昇する過剰アセチル化は、遺伝子発現の増大をもたらすが、該アセチル化レベルが低下する低アセチル化は遺伝子発現を抑制する。ヒストンのアセチル化レベルは、2つの酵素ファミリー:ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)によって調節される(非特許文献1)。
【0007】
現在、HDACスーパーファミリーの18のメンバーが同定されており、構造的および機能的に多様な3つの類型に及ぶ(非特許文献2)。これらの酵素は、細胞および組織の一生の多くの側面に関与しており、その多くは、腫瘍学および細胞周期に関与している。ヒストンに加え、HDACは、HSP90、p53、E2Fなどのタンパク質および細胞増殖の種々の側面に関与している他のタンパク質もまた脱アセチル化し得る(非特許文献1)。HDACを阻害すると、ヒストンの過剰アセチル化と転写調節が誘導され、インビトロおよびインビボの両方において癌細胞の増殖停止、分化およびアポトーシスが誘導されることが示されている(非特許文献1)。
【0008】
いくつかのHDACインヒビター、例えば、トリコスタチンA(TSA)およびスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)などは、既に抗癌剤として臨床試験中であり、マウスモデルでは、インビトロで分化および/またはアポトーシスが誘導され、腫瘍増殖が抑制されることが示されている(非特許文献1)。
【0009】
癌の処置のためのさらなるHDACインヒビターを開発する必要性が存在する。
【0010】
本明細書に引用した参考文献は、特許請求の範囲に記載の発明に対する先行技術であることを是認するものではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Cell Cycle,2004,3(6),779
【非特許文献2】Diabetes Metab.Res.Rev.,2005,21,416
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の他の特徴および利点は、種々の実施例を含む本明細書に示したさらなる記載から自明であろう。示した実施例は本発明の実施に有用な種々の成分および方法論を例示するものである。実施例は、特許請求の範囲に記載の発明を制限するものではない。本開示に基づき、当業者は、本発明の実施に有用な他の成分および方法論を特定し、使用することができよう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
1.ヒドロキサム酸化合物
本発明は、式I:
【0014】
【化1】

(式中、
Rは
【0015】
【化2】

であり、
、R、およびRは、各々独立して、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、アリール、ハロゲン、−C(=O)NHR、および−C(=O)ORからなる群より選択され;
は、HまたはC〜Cアルキル、アリール、ヘテロアリールであり;
pおよびqは、各々独立して、0、1、2および3からなる群より選択され;
Xは、結合、NR、またはSもしくはOであり;
は、H、アルキル、置換アルキル、アリール、−CH−アリール、ヘテロアリール、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−S(=O)2R、−(CHOH、および−CHCHOHRからなる群より選択され;
は、アルキル、アリール、−CH−アリール、ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、HまたはC〜Cアルキルであり;RとRは、5〜7員飽和環を形成していてもよく;
sは、0、1、2、3、4および5からなる群より選択され;
Yは、結合、C(=O)、またはNRであり;
は、HまたはC〜Cアルキルであり;
VおよびWは、各々独立して、OまたはSであり;
は、H、C〜Cアルキル、アリール、および−CH−アリールからなる群より選択されるか;またはRはR10とともに5員または6員飽和環を形成していてもよく;
rは、0、1、2、3、4および5からなる群より選択され;
Zは、結合、−CHR10、アリール、およびアルキレンからなる群より選択され;
10は、HまたはC〜Cアルキルであり;
11は、−NR1213、またはC〜Cアルキルであり;
12およびR13は、各々独立して、H、ヒドロキシル、置換アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択される)
の化合物を提供する。
【0016】
一実施形態において、Rは
【0017】
【化3】

である。
【0018】
さらなる一実施形態において、R、R、およびRはすべてHである。
【0019】
さらなる一実施形態において、Xは結合であり、pは1である。別の実施形態では、XがNRである。
【0020】
択一的な実施形態において、Rは、
【0021】
【化4】

である。
【0022】
さらなる一実施形態において、RはHである。
【0023】
一実施形態において、VとWの両方がOである。
【0024】
一実施形態において、RはHである。別の実施形態では、Rが−CH−アリールである。別の実施形態では、RがR10とともに6員飽和環を形成している。
【0025】
一実施形態において、Zはアリールである。別の実施形態では、Zがフェニルである。別の実施形態では、Zが結合であり、qが1であり、rが、1、2、3、4、または5である。
【0026】
一実施形態において、R11は、−NR1213である。さらなる一実施形態において、R12はHである。なおさらなる一実施形態において、R13はヒドロキシルである。択一的な実施形態では、R13が置換アリールである。
【0027】
一実施形態において、R11は、C〜Cアルキルである。
【0028】
一実施形態において、R11はメチルであり。
【0029】
代表的な式Iの化合物の一部を以下に示す。
【0030】
該化合物は、N−[6−(ヒドロキシアミノ)−6−オキソヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−[8−(ヒドロキシアミノ)−8−オキソオクチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−[5−(ヒドロキシアミノ)−5−オキソペンチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−{4−[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]ベンジル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;6−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシプロパンアミド、6−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシヘキサンアミド;4−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシブタンアミド;4−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシペンタンアミド;7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルバモイル)アミノ]−N−ヒドロキシヘプタンアミド;7−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシヘプタンアミド;6−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルバモイル)アミノ]−N−ヒドロキシヘキサンアミド;N−ベンジル−N−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;7−{[4−(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル]カルバモイル}−3,4−ジヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2(1H)−カルボン酸tert−ブチル;N−{4−[2−(ヒドロキシアミノ)−2−オキソエチル]フェニル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−(6−オキソヘプチル)−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;3−[1−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]−N−ヒドロキシプロパンアミド;4−[1−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]ブタン−2−オン;N−{7−[(2−アミノフェニル)アミノ]−7−オキソヘプチル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−{7−[(2−アミノ−4,5−ジクロロフェニル)アミノ]−7−オキソヘプチル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−カルボキサミド;およびN−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボキサミドからなる群より選択されるものであり得る。
【0031】
代表的な本発明の化合物は、本実施例にも示している。
【0032】
特に規定のない限り、本明細書で用いる科学技術用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。専門用語に矛盾がある場合は、本発明の明細書に支配される。下記の用語は、一般的に下記の意味を有する。
【0033】
本明細書で用いる場合、用語「アルキル」には、飽和脂肪族基、例えば、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル)、分枝鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル)が包含される。さらに、「アルキル」には、炭化水素主鎖の1個以上の炭素原子と置き換えられた酸素、窒素または硫黄原子を有するアルキル基が包含される。特定の実施形態において、直鎖または分枝鎖アルキルはその主鎖内に6個以下(例えば、直鎖ではC〜C、分枝鎖ではC〜C)、より好ましくは4個以下の炭素原子を有するものである。
【0034】
また、用語「アルキル」には、「非置換」および「置換アルキル」の両方が包含され、後者は、炭化水素主鎖の1個以上の炭素上の水素原子と置き換えられた置換基を有するアルキル部分をいう。かかる置換基としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸基、カルボキシ酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、シアノ、アミノ(例えば、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、アシルアミノ(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸基、硫酸基、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル(S(O)NH)、アミンスルホキシド(NHS(O)もしくはS(O)NH)、スルホンアミド(NHS(O)もしくはS(O)NH)、ニトロ、−CF、ハロゲン、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられ得る。「アルキルアリール」またはアラルキル部分は、アリール(例えば、メチルフェニル(ベンジル))で置換されたアルキル部分である。また、「アルキル」には、天然および非天然アミノ酸の側鎖も包含される。
【0035】
アリールとしては、芳香族性を有する基、例えば、5員および6員の「非共役」すなわち単環芳香族基(1〜4個のヘテロ原子を含むものであってもよい)ならびに「共役」すなわち少なくとも1つの芳香族環を有する多環式系が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが挙げられる。さらに、用語「アリール」には、多環式基、例えば、三環式、二環式、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフトリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプレイン(deazapureine)、またはインドリジンが包含される。環構造内にヘテロ原子を有するアリール基(例えば、ピリジン、ピラゾール、ピリミジン、フラン、イソオキサゾール、イミダゾール[2,1,b]チアゾール、トリアゾール、ピラジン、ベンゾチオフェン、イミダゾール、またはチオフェン)もまた、「アリール複素環」、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」と称することがあり得る。
【0036】
芳香族環は、環内の1つ以上の位置が、上記のような、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸基、カルボン酸、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、カルボキシアルキル、シアノ、アミノ(例えば、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、アシルアミノ(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸基、硫酸基、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分などの置換基で置換されたものであってもよい。また、アリール基は、脂環式の環または複素環(これらは、多環系が形成されるように芳香族ではない)と縮合または橋絡したもの(例えば、テトラリン、メチレンジオキシフェニル)であってもよい。
【0037】
「アルケニル」には、鎖長および可能な置換が上記のアルキルと類似しているが、少なくとも1つの二重結合を含む不飽和脂肪族基が包含される。例えば、用語「アルケニル」には、直鎖アルケニル基(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル)、分枝鎖アルケニル基、シクロアルケニル(例えば、脂環式)基(例えば、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキルまたはアルケニル置換シクロアルケニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基が包含される。さらに、用語「アルケニル」には、炭化水素主鎖の1個以上の炭素と置き換えられた酸素、窒素または硫黄を含むアルケニル基が包含される。特定の実施形態において、直鎖または分枝鎖アルケニル基はその主鎖内に6個以下の炭素原子を有するもの(例えば、直鎖ではC〜C、分枝鎖ではC〜C)である。同様に、シクロアルケニル基は、その環構造内に3〜8個の炭素原子を有するもの、より好ましくは、環構造内に5個または6個の炭素原子を有するものであり得る。用語「C〜C」には、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基が包含される。
【0038】
また、用語「アルケニル」には、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方が包含され、後者は、炭化水素主鎖の1個以上の炭素上の水素原子と置き換えられた置換基を有するアルケニル部分をいう。かかる置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸基、カルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、シアノ、アミノ(例えば、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、アシルアミノ(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸基、硫酸基、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、フェニル、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられ得る。
【0039】
「アルキニル」には、鎖長および可能な置換が上記のアルキルと類似しているが、少なくとも1つの三重結合を含む不飽和脂肪族基が包含される。例えば、「アルキニル」には、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル)、分枝鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルキニル基が包含される。さらに、用語「アルキニル」には、炭化水素主鎖の1個以上の炭素と置き換えられた酸素、窒素、硫黄またはリン原子を有するアルキニル基が包含される。特定の実施形態において、直鎖または分枝鎖アルキニル基はその主鎖内に6個以下の炭素原子を有するもの(例えば、直鎖ではC〜C、分枝鎖ではC〜C)である。用語「C〜C」には、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基が包含される。
【0040】
また、用語「アルキニル」には、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」の両方が包含され、後者は、炭化水素主鎖の1個以上の炭素上の水素原子と置き換えられた置換基を有するアルキニル部分をいう。かかる置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸基、カルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、シアノ、アミノ(例えば、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、アシルアミノ(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸基、硫酸基、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられ得る。
【0041】
炭素原子の数が特に指定されていない限り、「低級アルキル」には、その主鎖構造内に1〜10個、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する上記規定のアルキル基が包含される。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、例えば、2〜5個の炭素原子の鎖長を有するものである。
【0042】
本明細書で用いる場合、「アミン」または「アミノ」には、窒素原子が少なくとも1つの炭素原子またはヘテロ原子に共有結合された化合物が包含される。「アルキルアミノ」には、窒素原子が少なくとも1つのさらなるアルキル基に結合された化合物の基が包含される。アルキルアミノ基の例としては、ベンジルアミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、およびフェネチルアミノが挙げられる。「ジアルキルアミノ」には、窒素原子が少なくとも2つのさらなるアルキル基に結合された基が包含される。ジアルキルアミノ基の例としては、ジメチルアミノおよびジエチルアミノが挙げられる。「アリールアミノ」および「ジアリールアミノ」には、それぞれ、窒素原子が少なくとも1つのアリール基または2つのアリール基に結合された基が包含される。「アルキルアリールアミノ」、「アルキルアミノアリール」または「アリールアミノアルキル」は、少なくとも1つのアルキル基と少なくとも1つのアリール基に結合されたアミノ基をいう。「アルカミノアルキル」には、窒素原子に結合されたアルキル、アルケニルまたはアルキニル基であって、該窒素原子がさらにアルキル基に結合された基をいう。
【0043】
用語「アミド」または「アミノカルボキシ」には、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合された窒素原子を含む化合物または部分が包含される。該用語には、カルボキシ基に結合されたアミノ基に結合されたアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含む「アルカミノカルボキシ」基も包含される。該用語には、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合されたアミノ基に結合されたアリールまたはヘテロアリール部分を含むアリールアミノカルボキシ基も包含される。用語「アルキルアミノカルボキシ」、「アルケニルアミノカルボキシ」、「アルキニルアミノカルボキシ」および「アリールアミノカルボキシ」には、それぞれ、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール部分が窒素原子に結合された部分であって、該窒素原子がカルボニル基の炭素に結合された部分が包含される。アミドは、直鎖アルキル、分枝鎖アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環などの置換基で置換されたものであってもよい。アミド基上の置換基がさらに置換されていてもよい。
【0044】
「アシル」には、アシル基(CHCO−)またはカルボニル基を含む化合物および部分が包含される。「置換アシル」には、水素原子の1個以上が、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸基、カルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、シアノ、アミノ(例えば、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、アシルアミノ(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸基、硫酸基、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分で置き換えられたアシル基が包含される。
【0045】
「アシルアミノ」には、アシル部分がアミノ基に結合された部分が包含される。例えば、該用語には、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド基も包含される。
【0046】
用語「アルコキシ」または「アルコキシル」には、酸素原子に共有結合された置換および非置換アルキル、アルケニルおよびアルキニル基が包含される。アルコキシ基(またはアルコキシル基)の例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびペントキシ基が挙げられる。置換アルコキシ基の例としては、ハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸基、カルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、シアノ、アミノ(例えば、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、アシルアミノ(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸基、硫酸基、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分などの基で置換されたものであってもよい。ハロゲン置換アルコキシ基の例としては、限定されないが、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、およびトリクロロメトキシが挙げられる。
【0047】
用語「シクロアルキル」には、飽和非環式基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)が包含される。好ましいシクロアルキルは、その環構造内に3〜8個の炭素原子を有するもの、より好ましくは、環構造内に5個または6個の炭素原子を有するものである。シクロアルキルには、「非置換シクロアルキル」および「置換シクロアルキル」の両方が包含され、後者は、環構造内の1個以上の炭素の水素原子が置き換えらているものをいう。かかる置換基としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸基、カルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、シアノ、アミノ(例えば、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、アシルアミノ(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸基、硫酸基、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられ得る。
【0048】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環式基」には、1個以上のヘテロ原子を含む閉環構造、例えば、3〜10員または4〜7員の環が包含される。「ヘテロ原子」には、炭素または水素以外の任意の元素の原子が包含される。ヘテロ原子の例としては、窒素、酸素、または硫黄が挙げられる。
【0049】
ヘテロシクリル基は飽和または不飽和であり得、ピロリジン、ピラジン、ピリミジン、オキソラン、1,3−ジオキソラン、チオラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム(アゼチジノンおよびピロリジノンなど)、スルタム、ならびにスルトンが挙げられる。ピロールおよびフランなどの複素環式基は、芳香族の特質を有するものであり得る。複素環式基としては、キノリンおよびイソキノリンなどの縮合環構造が挙げられる。複素環式基の他の例としては、ピリジンおよびプリンが挙げられる。複素環は、1つ以上の位置が、上記のような、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸基、カルボン酸、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、シアノ、アミノ(例えば、アルキル アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、アシルアミノ(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸基、硫酸基、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分などの置換基で置換されたものであってもよい。また、複素環式基は、1個以上の構成原子が、例えば、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、または−CNなどで置換されたものであってもよい。
【0050】
用語「チオアルキル」には、硫黄原子に結合されたアルキル基を含む化合物または部分が包含される。チオアルキル基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸基、カルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、シアノ、アミノ(例えば、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、アシルアミノ(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイド)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸基、硫酸基、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分などの基で置換されたものであってもよい。
【0051】
用語「カルボニル」または「カルボキシ」には、二重結合で酸素原子に結合された炭素原子を含む化合物および部分が包含される。カルボニルを含む部分の例としては、限定されないが、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物などが挙げられる。
【0052】
用語「チオカルボニル」または「チオカルボキシ」には、二重結合で硫黄原子に結合された炭素原子を含む化合物および部分が包含される。
【0053】
用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」には、−OHまたは−Oを有する基が包含される。
【0054】
用語「ハロゲン」には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などが包含される。用語「ペルハロゲン化」は、一般的に、すべての水素原子がハロゲン原子で置き換えられた部分をいう。
【0055】
用語「C1〜C6」には、1〜6個の炭素原子(C1、C2、C3、C4、C5またはC6)が包含される。用語「C2〜C6」には、2〜6個の炭素原子(C2、C3、C4、C5またはC6)が包含される。用語「C3〜C6」には、3〜6個の炭素原子(C3、C4、C5またはC6)が包含される。用語「C3〜C8」には、2〜8個の炭素原子(C3、C4、C5、C6、C7またはC8)が包含される。用語「C5〜C8」には、5〜8個の炭素原子(C5、C6、C7またはC8)が包含される。
【0056】
原子価を満たさないヘテロ原子または炭素原子はいずれも、原子価が満たされるように水素原子を有すると仮定することに注意されたい。
【0057】
本明細書に記載の化合物は、不斉中心を有するものであってもよい。非対称置換原子を含む本発明の化合物は、光学活性形態またはラセミ形態で単離され得る。光学活性形態をどのように作製するかは当該技術分野でよく知られている(例えば、ラセミ形態の分割または光学活性出発物質からの合成など)。また、オレフィンの多くの幾何異性体、C=N二重結合などが本明細書に記載の化合物に存在していてもよく、かかる安定な異性体はすべて、本発明において想定される。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体を記載しており、異性体の混合物として、または分離された異性体形態として単離されたものであり得る。特定の立体化学構造または異性体形態を特に示していない限り、構造のあらゆるキラル形態、ジアステレオマー形態、ラセミ形態、および幾何異性体の形態が意図される。また、図示および記載した化合物のすべての互変異性体も、本発明の一部とみなす。
【0058】
したがって、特に記載のない限り、かかる不斉性により生じる異性体(例えば、すべてのエナンチオマーおよびジアステレオマー)が本発明の範囲に包含されることは理解されよう。かかる異性体は、古典的な分離手法および立体化学的に制御された合成によって実質的に純粋な形態で得られ得る。さらに、本出願書類において論考した構造および他の化合物および部分には、そのあらゆる互変異性体も包含される。アルケンには、適宜、E−またはZ−配置が包含され得る。
【0059】
用語「置換された」は、本明細書で用いる場合、指定した原子上の任意の1つ以上の水素原子が、記載した群からの選択肢で置き換えられていることを意味するが、指定した原子の通常の原子価を超えないものとし、該置換によって安定な化合物がもたらされるものとする。置換基がケト(すなわち、=O)である場合、該原子上の2つの水素原子が置き換えられる。ケト置換基は芳香族部分上には存在しない。環内二重結合は、本明細書で用いる場合、2つの隣接する環内原子間に形成された二重結合である(例えば、C=C、C=NまたはN=N)。「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物からの有用な程度の純度までの単離、および有効な治療用薬剤への製剤化に耐える充分に頑強である化合物を示すことが意図される。
【0060】
置換基に対する結合が、環内の2つの原子を連結する結合と交差するように図示されている場合、かかる置換基は、その環内の任意の原子に結合されたものであり得る。置換基が、所与の式の化合物の残部と結合するために介在する原子が示されずに記載されている場合、かかる置換基は、該置換基内の任意の原子を介して結合され得る。置換基および/または可変部の組合せも許容され得るが、かかる組合せによって安定な化合物がもたらされる場合に限る。
【0061】
本明細書において、本文中にそうでないとの明白な記載がない限り、単数形は複数形も包含する。
【0062】
2.ヒドロキサム酸化合物の合成
本発明はまた、式Iの化合物の合成方法を提供する。一実施形態において、本発明は、下記のスキーム、および本実施例に示すプロトコルに従う化合物の合成方法を提供する。
【0063】
本記載全体を通して、組成物が指定の成分を有する、含む、含有すると記載されている場合、該組成物はまた、記載の該成分から本質的になる、または記載の該成分からなることも想定される。同様に、方法またはプロセスが指定のプロセス工程を有する、含む、含有すると記載されている場合、該方法はまた、記載の該プロセス工程から本質的になる、または記載の該プロセス工程からなることも想定される。さらに、工程の順序または特定の作業が行なわれる順序は、本発明が実施可能である限り重要でないことを理解されたい。さらに、2つ以上の工程または作業が同時に実施されることがあり得る。
【0064】
本発明の合成プロセスは、多種多様な官能基に対して許容可能であり、したがって、置換を有する種々の出発物質が使用され得る。該プロセスは、一般的に、プロセス全体の最後またはほぼ最後に所望の最終化合物を得るものであるが、場合によっては、該化合物を、さらにその薬学的に許容され得る塩、エステルまたはプロドラッグに変換することが望ましい場合もあり得る。
【0065】
本発明の化合物はさまざまな様式で調製され得、その一部は当該技術分野で知られている。一般に、本発明の化合物は、市販の出発物質、文献で知られた化合物、または容易に調製される中間体から、当業者には公知の標準的な合成方法および手順、または本明細書の教示に鑑みると当業者に自明の合成方法および手順を用いることにより調製され得る。有機分子の調製ならびに官能基の変換および操作のための標準的な合成方法および手順は、関連する科学文献または当該技術分野の標準的な教科書から入手可能である。なんら1つまたはいくつかの情報源に限定されないが、Smith,M.B.;March,J.March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,第5版;John Wiley & Sons:New York,2001;およびGreene,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,第3版;John Wiley & Sons:New York,1999(引用により本明細書に組み込まれる)などの古典的な教科書が有用であり、当業者に知られた有機合成の認知された参考教科書である。以下の合成方法の記載は、本発明の化合物の調製のための一般手順を例示するために設計したものであって、限定するためのものではない。
【0066】
一般式Iを有する本発明の化合物は、市販の出発物質または文献の手順を用いて調製され得る出発物質から、下記のスキームに従って調製され得る。これらのスキームは、代表的な本発明の化合物の調製を示すものである。
【0067】
【化5】

式中、Rは
【0068】
【化6】

であり得る。
【0069】
本発明における式Iの化合物であって、式中、WがOであり、R11がNHOHまたはNHArであるものは、カルボン酸II(式中、Rは、IIa、IIb、IIcおよびIIdである)の反応により調製され得る(スキーム1)。
【0070】
スキーム1
【0071】
【化7】

【0072】
【化8】

スキーム2
【0073】
【化9】

式Iの化合物は、当業者が熟知しているさまざまな方法によって簡便に調製され得る。一般的な経路の一例をスキーム1に示す。式中のRがIIaである三環式の酸IIは、文献(WO2006086484、EP386628、DE3907389)に記載された方法および当業者には公知の方法によって容易に調製される。式中のRがIIbである三環式の酸IIは、文献(WO2003076442、WO2001044247、Engler,Thomasら J.Med.Chem.,2006,47(16),3934)に記載された方法および当業者には公知の方法によって、ならびにスキーム2に示した方法に従って容易に調製される。
【0074】
スキーム3
【0075】
【化10】

式中のRが三環式のケトIIcである三環式の酸IIは、文献に記載された方法および当業者には公知の方法(WO2006086484、Diana,P.ら Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2007,17(8),2342)ならびにスキーム3によって調製される。
【0076】
式中のRがイミダゾチアゾールIIdである酸IIは、文献に記載された方法および当業者には公知の方法(Rubin Zhaoら Tetrahedron Letters,2001,2101およびWO2004110990)によって調製される。
【0077】
スキーム4
【0078】
【化11】

エステルV(式中、R14は、メチル、エチルであり得る)は、t−BOC保護アミノ酸XIIIを、メタノール中にて塩化チオニルで処理することにより調製される(スキーム4、Salauen Aら,Journal of Organic Chemistry,2006,71(1),150;Charvat T.ら Bioorganic Medicinal Chemistry,2006,14(13),4552)。多くのアミノ酸は、市販されているか、または文献に記載された方法および当業者には公知の方法によって容易に調製される。
【0079】
スキーム5
【0080】
【化12】

スキーム5に示すように、カルボン酸IIをエステルVで、塩基(トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなど)とHBTU(O−(ベンゾトリアゾ−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)の存在下、溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中で、室温にて処理する(Kadzimirzis D.ら,WO2007059921;Boeglin D.ら,Journal of the Medicinal Chemistry,2007,50(6),1401;Johnson e.ら,Tetrahedron Letters,2007,48(10),1795)。
【0081】
スキーム6
【0082】
【化13】

カルボン酸IIを用いて式VIIの保護ヒドロキサミドが調製される。これは、当業者が熟知している方法(スキーム6)によって簡便に調製され得る。式IVのカルボン酸化合物には、エステルIIIを使用する。これは、当業者が熟知しているさまざまな方法によって簡便に調製され得る。エステルIIIを、塩基(水酸化リチウムまたは水酸化カリウムなど)の水溶液で、溶媒混合物(例えば、テトラヒドロフラン/メタノール)中、室温で0.5〜4時間処理し、酸IVを得る(Nicolaou,K.C.ら,Angewandte Chemie,国際版,2006,45(46),7786;Organic Letters,2006,8(18),4165)。カルボン酸IVを、保護ヒドロキシルアミンVI、カップリング剤(HBTUなど)、塩基(トリエチルアミンなど)および溶媒(N,N−ジメチルホルムアミドなど)で0.5〜16時間、周囲温度で処理すると、式VIIを有する保護ヒドロキサミドが得られる。あるいはまた、第3級アミン塩基(N,N−ジイソプロピルエチルアミンなど)と溶媒(テトラヒドロフランなど)を使用することもできる。
【0083】
スキーム7
【0084】
【化14】

あるいはまた、本発明における化合物VIIは、IIと保護ヒドロキサミドXVIからスキーム7に示すようにして調製され得、当業者には公知である。
【0085】
スキーム8
【0086】
【化15】

また、本発明における化合物Vは、スキーム7に示すようにして調製され得、当業者には公知である。
【0087】
スキーム9
【0088】
【化16】

O−保護ヒドロキサミドVIIを用いて、式Iを有するヒドロキサム酸化合物が調製される。これは、当業者が熟知している方法によって簡便に調製され得る。式中のR15がベンジルである式VIIを有する保護ヒドロキサミドを、Pd(0)担持炭素で、水素雰囲気中、溶媒(メタノールなど)を用いて周囲温度で4〜24時間処理する(Bioorganic Medicinal Chemistry,2006,14(21),7241;2006,14(18),6383;Journal of Medicinal Chemistry,2005,48(17),5530)。一般的な経路の一例をスキーム9に示す。
【0089】
スキーム10
【0090】
【化17】

あるいはまた、式VIIaの化合物のようにR15がテトラヒドロピラニル基である場合、保護ヒドロキサミドを、酢酸などの酸と溶媒(テトラヒドロフランおよび水など)で、開放大気中60℃で6〜12時間処理する。あるいはまた、10−カンファースルホン酸、トリフルオロ酢酸などの酸も使用され得る(Bioorganic Medicinal Chemistry,2004,12(16),4351および2006,14(22),7625)。一般的な経路の一例をスキーム10に示す。
【0091】
スキーム11
【0092】
【化18−1】

本発明における式Iの化合物であって、式中、R11がNHArであるものは、式中のRがIIaであり、文献に記載された方法および当業者には公知の方法によって調製されるカルボン酸IIの反応により調製され得る。一般的な経路の一例をスキーム11に示す。この場合、酸IVを種々の置換ジアミノベンゼンと反応させてアニリンアミド誘導体VIIIを得る。
【0093】
【化18−2】

スキーム12
【0094】
【化19】

式中のRがイソシアナト三環XVである三環式の酸IIは、文献(WO2006086484;Nicolaou,K.C.ら,Angewandte Chemie,国際版,2006,45(46),7786;Organic Letters,2006,8(18),4165)に記載された方法および当業者には公知の方法ならびにスキーム12によって調製される。三環式複素環XVIは、当業者が熟知している方法によって調製され得る。一般的な経路の一例をスキーム12に示す。
【0095】
スキーム13
【0096】
【化20】

本発明における式Iの化合物であって、式中、R11がアルキル基であるものは、カルボン酸IVとMeNHOMeの反応により、文献(Fuwa H.ら Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2006,16(16),4184;Albrecht S.,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2006,14(21),7241)に記載された方法および当業者には公知の方法によって調製され得る。一般的な経路の一例をスキーム13に示す。
【0097】
本発明に包含される化合物は、本合成プロセスに従って、または本発明の精神もしくは本質的な特徴から逸脱することなく他の合成プロセスに従って作製され得る。本化合物の意味および均等範囲に含まれるあらゆる変更が本明細書に包含されるものとする。したがって、当業者には、化合物において所望の置換パターンを得るため、生成物の収率の増加もしくは減少をもたらすため、反応副生成物を最小限に抑えるため、危険な、もしくは毒性の化学反応体の使用を排除するため、および/または所望の量の生成物を作製する(例えば、商業的製造のための反応規模の拡大)などのために、本明細書に示した合成スキームをどのようにして変更するかがわかるであろうと予測される。
【0098】
さらに、本発明は、本明細書に開示した合成プロセスの1つ(例えば、実施例に開示したもの)によって調製される化合物を提供する。
【0099】
3.処置方法
本発明はまた、処置を必要とする哺乳動物に治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む、哺乳動物の細胞増殖性障害の処置方法を提供する。さらに、本発明は、細胞増殖性障害の処置に有用な医薬の調製のための式Iの化合物の使用を提供する。一実施形態において、本発明は、処置を必要とする哺乳動物に治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む、哺乳動物の癌または前癌性状態の処置を提供する。哺乳動物は、例えば、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタであり得る。例えば、哺乳動物はヒトである。
【0100】
有効量の式Iの化合物は、哺乳動物の細胞増殖性障害を処置するための方法において、該哺乳動物の正常細胞に影響を及ぼすことなく使用される。例えば、治療有効量の式Iの化合物は、哺乳動物の癌を処置するための方法において、該哺乳動物の正常細胞に影響を及ぼすことなく癌細胞の細胞死を誘導することにより使用される。細胞死は、アポトーシスまたは壊死いずれかの機構によって起こり得る。別の例では、治療有効量の式Iの化合物の投与により、正常細胞に細胞死を誘導することなく、異常増殖細胞に細胞死が誘導される。
【0101】
また、本発明は、治療有効量の式Iの化合物を哺乳動物に投与することにより、哺乳動物において細胞増殖性障害を防御する方法を提供する。また、本発明は、細胞増殖性障害の予防に有用な医薬の調製のための式Iの化合物の使用を提供する。一実施形態において、本発明は、処置を必要とする哺乳動物に治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む、哺乳動物において癌を予防する提供する。
【0102】
本発明の化合物は、例えば、本明細書に記載のもののような医薬組成物の形態で投与される。
【0103】
本明細書で用いる場合、「被験体」は、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダであり得る。好ましい一態様では、被験体はヒトである。
【0104】
本明細書で用いる場合、「(処置)を必要とする被験体」は、細胞増殖性障害を有する被験体、または一般的な集団と比べて細胞増殖性障害の発症のリスクが高い被験体である。一態様において、(処置)を必要とする被験体は、前癌性状態を有する患者である。好ましい一態様では、(処置)を必要とする被験体は癌を有する患者である。
【0105】
本明細書で用いる場合、用語「細胞増殖性障害」は、無秩序および/または異常な細胞増殖によって望ましくない状態または疾患(これは、癌性または非癌性(例えば、乾癬の状態)であり得る)の発症がもたらされ得る状態をいう。本明細書で用いる場合、用語「乾癬の状態」は、ケラチノサイトの過剰増殖、炎症細胞の浸潤、およびサイトカインの変化を伴う障害をいう。
【0106】
一実施形態において、細胞増殖障害は癌である。本明細書で用いる場合、用語「癌」には、充実性腫瘍(肺癌、乳癌、結腸癌、卵巣癌、前立腺癌、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌など)、ならびに血液系腫瘍および/または悪性腫瘍、例えば、小児白血病およびリンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキン病、リンパ球および皮膚起源のリンパ腫、急性および慢性白血病(急性リンパ芽球性、急性骨髄性または慢性骨髄性白血病など)、形質細胞腫、リンパ系の腫瘍およびAIDSに関連する癌が包含される。
【0107】
乾癬の状態に加え、本発明の組成物を用いて処置され得る増殖性疾患の型は、表皮嚢腫および類皮嚢腫、脂肪腫、腺腫、毛細血管腫および皮膚血管腫、リンパ管腫、母斑病変、奇形腫、腎腫、筋線維腫症、骨形成性腫瘍、ならびに他の異形成塊などである。一実施形態において、増殖性疾患には、異形成および同様の疾患が包含される。
【0108】
本明細書で用いる場合、「単独療法」は、単独の活性化合物または治療用化合物を、それを必要とする被験体に投与することをいう。好ましくは、単独療法は、治療有効量の活性化合物の投与を伴うものである。例えば、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグ、代謝産物、類縁化合物もしくは誘導体のうちの1種類を、癌の処置を必要とする被験体に用いる癌の単独療法。単独療法は、多種類の活性化合物の組合せが投与される(好ましくは、該組合せの各成分を治療有効量で存在させる)併用療法とは対照的であり得る。一態様において、本発明の化合物を用いる単独療法は、所望の生物学的効果の誘導において、併用療法よりも有効である。
【0109】
本明細書で用いる場合、「処置すること」とは、疾患、病状または障害に対処する目的で患者を管理およびケアすることを示し、症状もしくは合併症の発症の予防、症状もしくは合併症の緩和、または疾患、病状もしくは障害の解消のための本発明の化合物の投与が包含される。
【0110】
一態様において、癌の処置により腫瘍サイズの縮小がもたらされる。別の態様では、癌の処置により腫瘍体積の減少がもたらされる。別の態様では、癌の処置により腫瘍の数の減少がもたらされる。別の態様では、癌の処置により、原発腫瘍部位から遠位の他の組織または器官における転移性病変部の数の減少がもたらされる。別の態様では、癌の処置により、担体単独を受けた集団と比べて、処置された被験体集団の平均生存期間の増大がもたらされる。別の態様では、癌の処置により、非処置被験体集団と比べて、処置された被験体集団の平均生存期間の増大がもたらされる。別の態様では、癌の処置により、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグ、代謝産物、類縁化合物もしくは誘導体ではない薬物での単独療法を受けた集団と比べて、処置された被験体集団の平均生存期間の増大がもたらされる。別の態様では、癌の処置により、担体単独を受けた集団と比べて、処置された被験体集団の死亡率の低下がもたらされる。別の態様では、癌の処置により、非処置集団と比べて、処置された被験体集団の死亡率の低下がもたらされる。さらなる態様において、癌の処置により、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、プロドラッグ、代謝産物、類縁化合物もしくは誘導体ではない薬物での単独療法を受けた集団と比べて、処置された被験体集団の死亡率の低下がもたらされる。別の態様では、癌の処置により腫瘍増殖速度の低下がもたらされる。別の態様では、癌の処置により腫瘍再発の低減がもたらされる。
【0111】
別の態様において、細胞増殖性障害の処置または予防により、細胞増殖速度の低下がもたらされる。別の態様では、細胞増殖性障害の処置または予防により、増殖性細胞の割合の減少がもたらされる。別の態様では、細胞増殖性障害の処置または予防により、細胞増殖面積または領域の大きさの低減がもたらされる。別の態様では、細胞増殖性障害の処置または予防により、異常な外観または形態構造を有する細胞の数または割合の減少がもたらされる。
【0112】
さらなる態様において、本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、代謝産物、類縁化合物もしくは誘導体は、化学療法剤と併用して投与され得る。細胞増殖性障害に対して活性を有する例示的な化学療法剤は、当業者には公知であり、Physician’s Desk Reference、第59版,Thomson PDR(2005)などの参考教科書を見るとよい。例えば、化学療法剤は、タキサン、アロマターゼ阻害薬、アントラサイクリン、微小管標的化薬、トポイソメラーゼ毒薬物、被標的化モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、分子標的もしくは酵素の阻害薬(例えば、キナーゼ阻害薬)、またはシチジン類縁体薬物であり得る。好ましい態様において、化学療法剤は、限定されないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール(letrozole)、シスプラチン、カルボプラチン、TAXOL(登録商標)(パクリタキセル)、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン(minosine)、GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビンHCl)、araC、5−フルオロウラシル(5−FU)、メトトレキサート(MTX)、TAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル)、ZOLADEX(登録商標)(ゴセレリン)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド(teniposide)、エトポシド、エポチロン(epothilone)、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノニビシン(daunonibicin)、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン(amsacrine)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン(epirubicin)、イダルビシン、もしくはGLEEVEC(登録商標)(イマタニブ)、IRESSA(登録商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(登録商標)(エルロチニブ)、NEXAVAR(登録商標)(ソラフェニブ)、SUTENT(登録商標)(リンゴ酸スニチニブ)、HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、RITUXAN(登録商標)(リツキシマブ)、ERBITUX(登録商標)(セツキシマブ)、AVASTIN(登録商標)(ベバシツマブ)、またはhttp://www.cancer.org/docroot/cdg/cdg_0.aspに示された薬剤であり得る。別の態様において、化学療法剤はサイトカイン、例えば、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)などであり得る。別の態様において、本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、代謝産物、類縁化合物もしくは誘導体は、放射線療法剤と併用して投与され得る。また別の態様において、本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、代謝産物、類縁化合物もしくは誘導体は、標準的な併用化学療法剤、例えば、限定されないが、CMF(シクロホスファミド、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル)、CAF(シクロホスファミド、アドリアマイシンおよび5−フルオロウラシル)、AC(アドリアマイシンとシクロホスファミド)、FEC(5−フルオロウラシル、エピルビシン、およびシクロホスファミド)、ACTもしくはATC(アドリアマイシン、シクロホスファミド、およびパクリタキセル)、またはCMFP(シクロホスファミド、メトトレキサート、5−フルオロウラシルおよびプレドニゾン)と併用して投与され得る。
【0113】
当該技術分野におけるクロマチンリモデリングの理解の進展により、遺伝子が調節される様式の理解が変わってきた。ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)とヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)間の相互作用により、神経組織特異的遺伝子の発現の調節におけるこれらの奏効因子としての関与が次第に明らかになっている。HDAC結合タンパク質をコードする遺伝子の変異により、レット症候群および精神遅滞関連ルービンスタイン−テービ症候群などの神経系障害が引き起こされることが示されている。最近、HDACインヒビターにより、マウスモデルの脊髄性筋萎縮症(SMA)、運動ニューロン疾患およびハンティングトン病の進行が改善されることがわかった(Gray & Dangond F,Epigenetics,1(2):67−75(2006))。HDACインヒビターは、ハンティングトン病に関連する認知上および運動上の影響を低下させることが示されているため、該症候群においてHDACモジュレーションに治療的役割が存在する可能性があると思われる(Bates,Nature,413:691−694(2001))。研究により、HDACインヒビターはまた、α−シヌクレインの細胞質への隔離によって、パーキンソン病(PD)に関連する進行性の神経変性を減退させることが示されている(Kontopoulosら,Human Molecular Genetics,15:3012−3023(2006))。アルツハイマー病でさえ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)を修飾するタンパク質の転写調節不全が対処されることにより、HDACインヒビターによって緩和され得ることをを示す証拠がある(Cao & Sudhof,Science,293:115−120(2001))。総体的に、ヒトの中枢神経系(CNS)障害の処置においてHDACインヒビターのニューロン保護的要素を利用することが実現可能な理論的根拠が存在する。
【0114】
本発明はまた、処置を必要とする哺乳動物に治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む、哺乳動物の中枢神経系(CNS)障害の処置方法を提供する。さらに、本発明は、ヒトの中枢神経系(CNS)障害の処置に有用な医薬の調製のための式Iの化合物の使用を提供する。哺乳動物は、例えば、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタであり得る。例えば、哺乳動物はヒトである。一実施形態において、ヒトの中枢神経系(CNS)障害は、レット症候群、精神遅滞関連ルービンスタイン−テービ症候群、脊髄性筋萎縮症(SMA)、運動ニューロン疾患、ハンティングトン病、パーキンソン病(PD)、およびアルツハイマー病からなる群から選択されるものである。
【0115】
4.医薬組成物および製剤
開示した化合物の「薬学的に許容され得る塩」または「塩」は、イオン結合を含む開示した化合物の生成物であり、典型的には、開示した化合物を酸または塩基のいずれかと反応させることにより作製され、被験体への投与に適したものである。薬学的に許容され得る塩としては、限定されないが、酸付加塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキル硫酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、および酒石酸塩);アルカリ金属カチオン(Na、K、Liなど)、アルカリ土類金属塩(MgもしくはCaなど)、または有機アミン塩が挙げられ得る。
【0116】
「医薬組成物」は、開示した化合物を被験体への投与に適した形態で含む製剤である。一実施形態において、医薬組成物は、バルク状態または単位投薬形態である。単位投薬形態は任意のさまざまな形態であり、例えば、カプセル剤、IVバッグ、錠剤、エーロゾル剤吸入器の単回用量ポンプ、またはバイアルが挙げられる。該組成物の単位用量における活性成分(例えば、開示した化合物またはその塩の製剤)の量は有効量であるが、関与する具体的な処置により異なる。当業者には、患者の年齢および状態に応じて投薬量の常套的な変更を行なうことが、場合によっては必要であることが認識されよう。また、投薬量は投与経路に依存する。さまざまな経路が想定され、経口、肺経由、経直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内などが挙げられる。本発明の化合物の経表面投与または経皮投与のための投薬形態としては、粉末剤、スプレー剤、軟膏、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、貼付剤および吸入剤が挙げられる。一実施形態において、活性化合物は、滅菌条件下で、薬学的に許容され得る担体、および必要とされる任意の保存剤、緩衝剤または噴射剤と混合される。
【0117】
また、本発明は、式Iの化合物を少なくとも1種類の薬学的に許容され得る賦形剤または担体とともに含む医薬製剤を提供する。本明細書で用いる場合、「薬学的に許容され得る賦形剤」または「薬学的に許容され得る担体」は、医薬の投与に適合性の任意あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを包含することが意図される。好適な担体は、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第20版,”Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PA(これは、引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。かかる担体または希釈剤の例としては、限定されないが、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられる。リポソームおよび非水性ビヒクル(固定油など)もまた使用され得る。医薬活性物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は、当該技術分野でよく知られている。活性化合物と非適合性でない限り、該組成物において任意の慣用的な媒体または薬剤の使用が想定される。また、補助活性化合物を該組成物中に組み込んでもよい。
【0118】
製剤化のための方法は、PCT国際特許出願PCT/US02/24262(WO03/011224)、米国特許公開公報第2003/0091639号および米国特許公開公報第2004/0071775号(これらは各々、引用により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0119】
式Iの化合物は、治療有効量(例えば、腫瘍増殖の抑制、腫瘍細胞の死滅、細胞増殖性障害の処置または予防などによって所望の治療効果が得られるのに充分有効なレベル)の式Iの化合物(活性成分として)を、標準的な医薬用担体または希釈剤を用いて、慣用的な手順に従って合わせることにより(すなわち、本発明の医薬組成物を作製することにより)作製される適当な投薬形態で投与される。このような手順は、所望の調製物を得るために、適宜、成分の混合、造粒および圧縮または溶解を伴うことがあり得る。別の実施形態では、治療有効量の式Iの化合物は、標準的な医薬用担体または希釈剤なしで、適当な投薬形態で投与される。
【0120】
薬学的に許容され得る担体としては、固形担体、例えば、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などが挙げられる。例示的な液状担体としては、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、水などが挙げられる。同様に、担体または希釈剤として、当該技術分野で知られた次元的遅延物質、例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリン(単独またはワックスとともに)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチルなどが挙げられ得る。また、他の充填剤、賦形剤、フレーバー剤、および当該技術分野で知られたものなどの他の添加剤を、本発明による医薬組成物に含めてもよい。
【0121】
本発明の活性化合物を含む医薬組成物は、一般的に知られた様式で、例えば、慣用的な混合、溶解、造粒、糖衣作製、研和、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥プロセスによって製造され得る。医薬組成物は、慣用的な様式で、活性化合物を調製物に加工処理するのを助長し、医薬として使用され得る1種類以上の生理学的に許容され得る担体(賦形剤および/または補助剤を含む)を用いて製剤化され得る。もちろん、適切な製剤化は、選択される投与経路に依存する。
【0122】
本発明の化合物または医薬組成物は被験体に、化学療法による処置に現在使用されているよく知られた方法うちの多くの方法で投与され得る。例えば、癌の処置では、本発明の化合物は、腫瘍内に直接注射され得るか、血流中もしくは体腔内に注射され得るか、または経口摂取され得るか、または貼付剤により皮膚を経由して適用され得る。乾癬の状態の処置では、全身投与(例えば、経口投与)、または皮膚の罹患領域への経表面的投与が好ましい投与経路である。選択される用量は、有効な処置を構築するのに充分であるが、許容され得ない副作用を引き起こすほど多くないのがよい。患者の病状(例えば、癌、乾癬など)の状態および健康は、処置中および処置後適当な期間、密に監視すべきである。
【0123】
代表的な本発明の化合物は、本実施例にも示している。
【実施例】
【0124】
以下、本発明の種々の特徴をさらに例示するために実施例を示す。また、実施例には、本発明を実施するための有用な方法論も示す。これらの実施例は、特許請求の範囲に示す発明を限定するものではない。
【0125】
実施例1:5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)酢酸メチルの合成
【0126】
【化21】

5,6,9a,9b−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン(5.0g、34.0mmol)の無水THF溶液(0℃)に、塩化オキサリル(17.0mL、34.0mmol、ジクロロメタン中2.0M)を滴下した。混合物を30分間攪拌し、次いで−78℃まで冷却した。ナトリウムメトキシド(75mL、150mmol、メタノール中0.5M)をゆっくりと添加し、混合物を2時間かけて室温まで昇温させた。反応混合物を酢酸エチル(300mL)で希釈し、水(250mL)とブライン(250mL)で洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。残渣を5インチ厚のシリカゲル栓(50%EtOAc含有ヘキサン)に通して濾過し、87%(7.19g)を黄色固形物として得た。融点=105〜108℃;400 MHz H NMR (CDCl)δ:8.31 (s,1H),8.14 (d,J = 7.8 Hz,1H),7.22 (t,J = 7.4 Hz,1H),7.04 (d,J = 7.0 Hz,1H),4.2 (t,J = 5.4 Hz,2H),3.94 (s,3H),3.0 (t,J = 5.8 Hz,2H),2.3 (t,J = 5.8 Hz,2H);LCMS:244 [M+H].
実施例2:5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)酢酸の合成
【0127】
【化22】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)酢酸メチル(1.0g、4.1mmol)のTHF(20mL)と水(1mL)溶液に、水酸化リチウム(98mg、4.1mmol)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次いで蒸発乾固した。残渣をEtOAc:HO(1:1)に溶解させ、1M HCl(10mL)で酸性化し、ジクロロメタン(5×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、87%(820mg)を明黄色固形物として得た。融点=152〜155℃;400 MHz H NMR (DMSO−d)11.80 (brs,1H),8.42 (s,1H),7.90 (d,J = 7.4 Hz,1H),7.21 (t,J = 7.4 Hz,1H),7.04 (d,J = 8.2 Hz,1H),4.29 (t,J = 5.8 Hz,2H),2.95 (t,J = 5.8 Hz,2H),2.15 (t,J = 5.8 Hz,2H);LCMS:230 [M+H].
実施例3:6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−カルボン酸の合成
【0128】
【化23】

6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−カルボン酸は、6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−カルボン酸エチル(0.500g、1.65mmol)を含むTHF(10mL)およびメタノール(3mL)と、LiOH(0.077g、1.83mmol)の水(3mL)溶液を室温で撹拌して合成した。反応が終了したら(LCMSにより観察時)、濃HClでpH4にしてクエンチし、ジクロロメタン(3×50mL)で抽出し、無水NaSO上で乾燥させた。この乾燥剤を濾別し、溶媒を真空除去し、得られた残渣をそのまま次の工程に使用した。LCMS:275 (M+H]
実施例4:エチル−7−N−ベンジルアミノヘプタンノエートの合成
【0129】
【化24】

7−ブロモヘプタン酸エチル(1.0g、4.22mmol)のTHF(10mL)溶液に、ベンジルアミン(2.3mL、21.08mmol)を添加した反応液を室温で5時間攪拌した。溶媒を減圧除去した。20mLのEtOAcを残渣に添加した。固形物を濾過して除去し、濾液を濃縮乾固した。粗製生成物は次の工程ですぐ使用できる状態であった。LCMS:264 [M+H].
実施例5:一般スキーム1
【0130】
【化25】

実施例5.1:一般手順A:工程1
【0131】
【化26】

実施例5.1.1:{4−[(ベンジルオキシ)アミノ]−4−オキソブチル}カルバミン酸tert−ブチルの合成
【0132】
【化27】

4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ブタン酸(5.602g、27.6mmol)のDMF(40mL)溶液に、HBTU(11.0g、29.0mmol)、トリエチルアミン(5.81mL、41.45mmol)およびジメチルアミノピリジン(0.845g、6.9mmol)を添加した後、O−ベンジルヒドロキシルアミン(4.19g、26.2mmol)を添加した。反応混合物を16時間攪拌した。水(200mL)を添加することにより反応液をクエンチした。水層をEtOAc(4×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和1.0N HCl(2×100mL)、重炭酸ナトリウム(2×100mL)、水(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、70%EtOAc含有ヘキサン)、5.41gの純粋な最終生成物が淡黄色固形物として得られた。H NMR (CDCl)400 MHz δ 9.35 (s,1H),7.46−7.3 (m,5H),5.0−4.62 (m,3H),3.2−3.03 (m,2H),2.15−2.05 (m,2H),1.8−1.7 (m,2H),1.41 (s,9H);LCMS = 309 [M+H].
実施例5.1.2:{5−[(ベンジルオキシ)アミノ]−5−オキソペンチル}カルバミン酸tert−ブチルの合成
【0133】
【化28】

化合物{5−[(ベンジルオキシ)アミノ]−5−オキソペンチル}カルバミン酸tert−ブチルは、5−[(tertブトキシカルボニル)アミノ]ペンタン酸、および手順Aに概要を示した条件を用いて合成した。融点=92〜94℃;H NMR (CDCl)400 MHz δ 8.31 (s,1H),7.46−7.3 (m,5H),5.0−4.80 (m,2H),4.65−4.55 (m,1H),3.2−3.03 (m,2H),2.15−2.00 (m,2H),1.7−1.58 (m,2H),1.55−1.40 (m,2H),1.42 (s,9H);LCMS = 323 [M+H].
実施例5.1.3:{6−[(ベンジルオキシ)アミノ]−6−オキソヘキシル}カルバミン酸tert−ブチルの合成
【0134】
【化29】

化合物{6−[(ベンジルオキシ)アミノ]−6−オキソヘキシル}カルバミン酸tert−ブチルは、6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサン酸、および手順Aに概要を示した条件を用いて合成した。融点=52〜54℃;H NMR (CDCl)400 MHz δ 8.12 (s,1H),7.44−7.35 (m,5H),5.0−4.80 (m,2H),4.60−4.50 (m,1H),3.15−3.03 (m,2H),2.15−2.00 (m,2H),1.7−1.58 (m,2H),1.55−1.40 (m,2H),1.43 (s,9H),1.38−1.22 (m,2H);LCMS = 337 [M+H].
実施例5.1.4:{7−[(ベンジルオキシ)アミノ]−7−オキソヘプチル}カルバミン酸tert−ブチルの合成
【0135】
【化30】

化合物{7−[(ベンジルオキシ)アミノ]−7−オキソヘプチル}カルバミン酸tert−ブチルは、7−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ヘプタン酸、および手順Aに概要を示した条件を用いて合成した。融点=55〜57℃;H NMR (CDCl)400 MHz δ 8.29 (s,1H),7.44−7.35 (m,5H),5.0−4.80 (m,2H),4.60−4.55 (m,1H),3.15−3.03 (m,2H),2.15−2.00 (m,2H),1.65−1.58 (m,2H),1.55−1.40 (m,2H),1.43 (s,9H),1.38−1.22 (m,4H);LCMS = 351 [M+H].
実施例5.1.5:{8−[(ベンジルオキシ)アミノ]−8−オキソオクチル}カルバミン酸tert−ブチルの合成
【0136】
【化31】

化合物{8−[(ベンジルオキシ)アミノ]−8−オキソオクチル}カルバミン酸tert−ブチルは、8−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]オクタン酸、および手順Aに概要を示した条件を用いて合成した。融点=55〜57℃;H NMR (CDCl)400 MHz δ 8.19 (s,1H),7.44−7.35 (m,5H),5.0−4.80 (m,2H),4.60−4.50 (m,1H),3.15−3.03 (m,2H),2.15−2.00 (m,2H),1.65−1.58 (m,2H),1.55−1.40 (m,2H),1.43 (s,9H),1.38−1.22 (m,6H);LCMS = 365 [M+H].
実施例5.2:一般手順B:工程2
【0137】
【化32】

実施例5.2.1:4−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ブタンアミド塩酸塩の合成
【0138】
【化33】

{4−[(ベンジルオキシ)アミノ]−4−オキソブチル}カルバミン酸tert−ブチル(5.41g、17.6mmol)のEtOAc(100mL)溶液に、1,4−ジオキサン(20mL)中4.0MのHCl(気体)の溶液を添加した。反応液を室温で16時間撹拌した。所望の生成物を白色固形物として分離し、これを濾過し、減圧下で乾燥させた。融点=77〜78℃;H NMR (DMSO−d)400 MHz δ 11.18 (s,1H),8.02 (s,3H),7.43−7.3 (m,5H),4.79 (s,2H),2.8−2.7 (m,2H),2.15−2.05 (m,2H),1.82−1.7 (m,2H);LCMS = 209 [M+H].
実施例5.2.2:5−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ペンタンアミド塩酸塩の合成
【0139】
【化34】

化合物5−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ペンタンアミド塩酸塩は、{5−[(ベンジルオキシ)アミノ]−5−オキソペンチル}カルバミン酸tert−ブチル、および手順Bに概要を示した条件を用いて合成した。融点=129〜132℃;H NMR (DMSO−d)400 MHz δ 11.18 (s,1H),8.08 (s,3H),7.43−7.3 (m,5H),4.79 (s,2H),2.8−2.55 (m,2H),2.05−1.95 (m,2H),1.8−1.6 (m,4H);LCMS = 223 [M+H].
実施例5.2.3:6−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ヘキサンアミド塩酸塩の合成
【0140】
【化35】

化合物6−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ヘキサンアミド塩酸塩は、{6−[(ベンジルオキシ)アミノ]−6−オキソヘキシル}カルバミン酸tert−ブチル、および手順Bに概要を示した条件を用いて合成した。融点=86〜88℃;H NMR (DMSO−d)400 MHz δ 11.08 (s,1H),8.01 (s,3H),7.43−7.3 (m,5H),4.79 (s,2H),2.8−2.6 (m,2H),2.0−1.95 (m,2H),1.6−1.4 (m,4H),1.35−1.2 (m,2H);LCMS = 237 [M+H].
実施例5.2.4:7−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ヘプタンアミド塩酸塩の合成
【0141】
【化36】

化合物7−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ヘプタンアミド塩酸塩は、{7−[(ベンジルオキシ)アミノ]−7−オキソヘプチル}カルバミン酸tert−ブチル、および手順Bに概要を示した条件を用いて合成した。融点=110〜113℃;H NMR (DMSO−d)400 MHz δ 11.05 (s,1H),7.97 (s,3H),7.43−7.3 (m,5H),4.78 (s,2H),2.8−2.6 (m,2H),2.0−1.95 (m,2H),1.6−1.4 (m,4H),1.38−1.2 (m,4H);LCMS = 251 [M+H].
実施例5.2.5:8−アミノ−N−(ベンジルオキシ)オクタンアミド塩酸塩の合成
【0142】
【化37】

化合物8−アミノ−N−(ベンジルオキシ)オクタンアミド塩酸塩は、{8−[(ベンジルオキシ)アミノ]−8−オキソオクチル}カルバミン酸tert−ブチル、および手順Bに概要を示した条件を用いて合成した。融点=112〜114℃;H NMR (DMSO−d)400 MHz δ 11.05 (s,1H),7.97 (s,3H),7.43−7.3 (m,5H),4.78 (s,2H),2.8−2.6 (m,2H),2.0−1.95 (m,2H),1.6−1.4 (m,4H),1.38−1.2 (m,6H);LCMS = 265 [M+H].
実施例6:一般スキーム2
【0143】
【化38】

実施例6.1:工程1:6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサン酸の合成
【0144】
【化39】

6−アミノヘプタン酸(2.0g、15.3mmol)のジクロロメタン(30mL)溶液に、二炭酸ジ−tert−ブチル(3.67g、16.8mmol)を添加した。反応液を室温で16時間攪拌し、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗製生成物を高真空下で乾燥させると、4.08g(115%)の所望の生成物が得られた。400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:2.85 (q,J= 13.2、6.8 Hz,2H),2.15 (t,J= 7.2 Hz,2H),1.47−1.43 (m,4H),1.34 (s,9H),1.22−1.18 (m,2H)。LCMS=232 [M+H].
実施例6.2:一般手順C−工程2
実施例6.2.1:{6−[メトキシ(メチル)アミノ]−6−オキソヘキシル}カルバミン酸tert−ブチルの合成
【0145】
【化40】

6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサン酸(3.53g、15.27mmol)のDMF(30mL)溶液に、ヒューニッヒ塩基(8.03mL、47.34mmol)、HBTU(6.37g、16.8mmol)を添加した後、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン(2.96g、30.54mmol)を添加した。反応混合物を2時間攪拌した。反応混合物をジエチルエーテル(100mL)と水(100mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をジエチルエーテル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、50%EtOAc含有ヘキサン)、3.84g(97%)の純粋な最終生成物が得られた。400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:3.67 (s,3H),3.06 (s,3H),2.88 (q,J= 12.8,7.2 Hz,2H),2.34 (t,J= 7.6 Hz,2H),1.49−1.42 (m,4H),1.37 (s,9H),1.24−1.18 (m,2H)。LCMS= 275[M+H].
実施例6.2.2:4−{3−[メトキシ(メチル)アミノ]−3−オキソプロピル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの合成
【0146】
【化41】

4−(2−カルボキシ−エチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、手順Cを用いてO,N−ジメチルヒドロキシルアミンと反応させた。収率=97%。この粗製物質を、そのまま次の工程に使用した。LCMS:301 [M+H].
実施例6.3:工程3:(6−オキソヘプチル)カルバミン酸tert−ブチルの合成
【0147】
【化42】

−78℃まで冷却しておいた{6−[メトキシ(メチル)アミノ]−6−オキソヘキシル}カルバミン酸tert−ブチル(0.497g、1.8mmol)のTHF(8mL)溶液に、臭化メチルマグネシウム(1.2g、16.5mmol)を滴下様式で添加した。反応液を−78℃で5分間攪拌し、次いで室温まで昇温させた。反応混合物を室温で1時間攪拌し、次いで、飽和塩化アンモニウム(4mL)と水(30mL)を添加することによりクエンチした。水層をジクロロメタン(3×25mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。所望の生成物0.225g(55%)を淡黄色油状物として単離し、なんら精製せずに次の反応に使用した。400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:2.87 (q,J= 13.2、6.8 Hz,2H),2.39 (t,J= 7.2 Hz,3H),2.06 (s,3H),1.46−1.30 (m,13H),1.21−1.14 (m,2H).
実施例6.4:工程4
実施例6.4.1:7−アミノヘプタン−2−オンの合成
【0148】
【化43】

(6−オキソヘプチル)カルバミン酸tert−ブチル(0.225g)の1,4−ジオキサン(4mL)溶液に、1,4−ジオキサン(2mL)中4MのHClの溶液を添加した。反応混合物を16時間攪拌した。溶媒を減圧除去し、所望の生成物0.209g(124%)を黄色固形物として単離した。この粗製生成物を、なんらさらに精製せずに、次の反応にを使用した。LCMS= 130 [M+H].
実施例6.4.2:4−ピペリジン−4−イルブタン−2−オンの合成
【0149】
【化44】

4−[メトキシ−メチル−カルバモイル)−エチル]ピペリジン−1−カルボン酸tertブチルエステル(1.14g、3.38mmol)を無水THF(10ml)に溶解させ、0℃まで冷却し、0℃になったら塩化メチルマグネシウム(THF中3M、6.76ml、20.3mmol)を添加し、室温で4時間攪拌した。反応が終了したら、飽和塩化アンモニウム(5ml)を添加した後、水(20ml)を添加し、10分間攪拌した。さらに水(10ml)を添加し、ジクロロメタン(3×80ml)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空濃縮すると、透明な油状物(0.9g、定量的)が得られた。この粗製物質を次の工程に使用した。LCMS:256[M+H]。4−(3−オキソ−ブチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.900g、3.53mmol)を1,4−ジオキサン(4ml)に溶解させ、1,4−ジオキサン(2.0ml、20.3mmol)中4Mの塩化水素の溶液を添加し、室温で5時間攪拌した。反応が終了したら、反応混合物を真空濃縮し、塩酸塩の4−ピペリジン−4−イル−ブタン−2−オン(0.74g、定量的)を得た。400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:3.87 (d,J=16.8 Hz,2H),2.60 (br s,2H),2.41 (t,J=5、9.6Hz,2H),2.04 (s,3H),1.56 (d,J= 16.8 Hz,2H),1.26−1.38 (m,5H),0.86−0.94 (m,2H)。LCMS:156 [M+H].
実施例6.5:一般手順D−工程5
実施例6.5.1:N−(6−オキソヘプチル)−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0150】
【化45】

5,6−ジヒドロ−4−H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸(0.201g、1mmol)のDMF(8ml)溶液に、ヒューニッヒ塩基(0.526mL、3.1mmol)およびHBTU(0.417g、1.1mmol)を添加した後、7−アミノヘプタン−2−オン塩酸塩(0.209g、1mmol)を添加した。反応混合物を室温で4時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタン(100mL)と水(100mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、100%EtOAcから2%メタノール含有ジクロロメタン)、0.0368g(12%)の純粋な最終生成物が得られた。400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:7.93 (s,1H),7.82 (d,J= 7.6 Hz,1H),7.76− 7.74 (m,1H),7.015 (t,J= 7.6 Hz,1H),6.90 (d,J= 6.4 Hz,1H),4.18 (t,J= 5.6 Hz,2H),3.24−3.21 (m,2H),2.92 (t,J= 5.6 Hz,2H),2.42 (t,J= 7.6 Hz,2H),2.14−2.13 (m,2H),2.06 (s,3H),1.51−1.46 (m,4H),1.28−1.25 9m、2H)。LCMS:313[M+H].
実施例6.5.2:4−[1−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]ブタン−2−オンの合成
【0151】
【化46】

5,6−ジヒドロ−4−H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸を、手順Dを用いて4−ピペリジン−4−イルブタン−2−オンと反応させた。400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:7.66 (s,1H),7.40 (d,J= 8Hz,1H),7.01 (t,J= 7.2 Hz,1H),6.90 (d,J= 6.8 Hz,1H),4.26 (d,J= 13.2 Hz,2H),4.19 (t,J= 5.8 Hz,2H),2.89 (m,4H),2.46 (d,J= 7.2 Hz,2H),2.14 (t,J= 5.6 Hz,2H),1.67 (d,J= 13.2 Hz,2H),1.45−1.41 (m,2H),1.085−1.049 (m,2H)。LCMS:339[M+H].
実施例7:一般スキーム3
【0152】
【化47】

実施例7.1:一般手順E−工程1
実施例7.1.1:4−{[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]メチル}安息香酸メチルの合成
【0153】
【化48】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸(0.5g、2.48mmol)を含むDMF(30ml)をHBTU(0.95g、2.48mmol)で処理した。混合物を室温で30分間維持し、次いで、4−アミノメチル安息香酸メチル(0.552g、2.73mmol)を添加した後、DMAP(0.335g、2.73mmol)およびトリエチルアミン(770μl、5.47mmol)を添加した。反応混合物を室温で4時間攪拌し、次いで水(300ml)に注入した。この物質を酢酸エチル(3×200ml)で抽出した。合わせた抽出物を水(100ml)と飽和塩化ナトリウム水溶液(100ml)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空濃縮すると、黄色固形物が得られた。この粗製物質をEtO中で摩砕した。4−{[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]メチル}安息香酸メチルが薄黄色固形物(0.616g、71%)として得られた。融点=197〜198℃.400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:8.48 (t,J = 6.0 Hz,1H),8.03 (s,1H),7.92 (d,J = 8.7 Hz,2H),7.86 (d,J = 8.1 Hz,1H),7.47 (d,J = 8.4 Hz,2H),7.04 (t,J = 7.5 Hz,1H),6.92 (d,J = 7.3 Hz,1H),4.55 (d,J = 5.9 Hz,2H),4.21 (t,J = 5.9 Hz,2H),3.84 (s,3H),2.94 (t,J = 5.9 Hz,2H),2.14 (五重項、J = 5.7 Hz,2H)。LCMS:349 [M+H].
実施例7.1.2:{4−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]フェニル}酢酸エチルの合成
【0154】
【化49】

4−アミノフェニル酢酸エチルを、手順Eを用いて5,6−ジヒドロ−4−H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸と反応させた。収率=55%.400 MHz H NMR (CDCl)δ:8.03 (s,1H),7.76 (d,J = 8.4Hz,1H),7.69 (s,1H),7.63 (d,J = 8.4Hz,2H),7.22 (d,J = 8Hz,2H),7.15 (t,J = 7.6Hz,1H),6.95 (d,J = 6.8Hz,1H),4.13 (q,J = 7.2Hz,2H),3.98 (t,J = 5.6Hz,2H),3.56 (s,2H),2.92 (t,J = 6Hz,2H),2.16−2.09 (m,2H),1.24 (t,J = 7.2Hz,3H);LCMS:363 [M+H]
実施例7.1.3:N−{5−[(ベンジルオキシ)アミノ]−5−オキソペンチル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0155】
【化50】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸を、手順Eを用いて5−アミノ−ペンタン酸ベンジルオキシ−アミド塩酸塩と反応させた。収率=38%;融点154〜155℃、400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.97 (s,1H),7.94 (s,1H),7.78 (m,2H),7.37−7.34 (m,5H),7.02 (t,J= 7.6 Hz,1H),6.90 (d,J= 6.80 Hz,1H),4.77 (s,2H),4.19 (t,J= 5.60 Hz,2H),3.23 (m,2H),2.93 (t,J= 5.80 Hz,2H),2.13 (m,2H),1.99 (t,J= 7.0 Hz,2H),1.55− 1.47 (m,4H)。LCMS:406 [M+H].
実施例7.1.4:6−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]ヘキサン酸メチルの合成
【0156】
【化51】

6−ジヒドロ−4−H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸とメチル−7−アミノヘキサン酸塩酸塩を、手順Eを用いて反応させた。収率=40%.400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:7.72 (s,1H),7.61 (d,J= 8 Hz,1H),7.16 (d,J= 7.2 Hz,1H),6.99 (d,J= 6.82 Hz,1H),6.00 (m,1H),4.17 (t,J= 5.47 Hz,2H),3.50 (q,J= 12、7.2 Hz,2H),3.00 (t,J= 6 Hz,2H),2.33 (t,J= 7.2 Hz,2H),2.26−2.20 (m,2H),1.73−1.63 (m,4H),1.48−1.41 (m,2H)。LCMS:329[M+H].
実施例7.1.5:7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]ヘプタン酸メチルの合成
【0157】
【化52】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸を、手順Eを用いて7−アミノヘプタン酸メチル塩酸塩と反応させた。収率=48% 融点=66〜67℃;400 MHz H NMR (CDCl)δ:7.71 (s,1H),7.59 (d,J = 8.0 Hz,1H),7.17−7.14 (m,1H),6.98 (d,J = 6.8 Hz,1H),5.96 (bs,1H),4.17 (t,J = 6.0 Hz,2H),3.66 (s,3H),3.50−3.46 (m,2H),3.00 (t,J = 5.6 Hz,2H),2.31 (t,J = 7.2 Hz,2H),2.23 (t,J = 5.2 Hz,2H),1.71−1.63 (m,4H),1.50−1.38 (m,4 H);LCMS:343 [M+H].
実施例7.1.6:7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イルカルボニル)アミノ]ヘプタン酸メチルの合成
【0158】
【化53】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸を、手順Eを用いて7−アミノヘプタン酸メチル塩酸塩と反応させた。LCMS:343 [M+H].
実施例7.1.7:7−({[6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾル−2−イル]カルボニル}アミノ)ヘプタン酸メチルの合成
【0159】
【化54】

6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−カルボン酸を、手順Eに従って7−アミノヘプタン酸塩酸塩と反応させた。LCMS:416 [M+H].
実施例7.1.8:N−{8−[(ベンジルオキシ)アミノ]−8−オキソオクチル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0160】
【化55】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸を、手順Eを用いて8−アミノ−N−(ベンジルオキシ)オクタンアミド塩酸塩と反応させた。収率=82%.LCMS:448 [M+H].
実施例7.1.9:3−[1−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]プロピオン酸メチルの合成
【0161】
【化56】

5,6−ジヒドロ−4−H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸を、手順Eに従って3−ピペリジン−4−イルプロピオン酸メチル塩酸塩と反応させた。収率=38%.400 MHz H NMR (DMSOd6)δ:7.66 (s,1H),7.40 (d,J = 8 Hz,1H),7.02 (td,J = 7.2、1.2 Hz,1H),6.91 (dd,J = 6.8,0.8 Hz,1H),4.27 (d,J = 12.8 Hz,2H),4.19 (t,J = 5.6 Hz,2H),3.59 9s、3H),2.96 − 2.83 (m,4H),2.35 (t,J = 7.2 Hz,2H),2.14 (五重項,J = 5.6 Hz,2H),1.69 (d,J = 11.6 Hz,2H),1.51 (t,J = 6.0 Hz,3H),1.16 − 1.04 (m,2H);LCMS:355 [M+H].
実施例7.1.10:N−(ベンジルオキシ)−4−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}ブタンアミドの合成
【0162】
【化57】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)酢酸を、手順Eを用いて4−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ブタンアミド塩酸塩と反応させた。収率=73%.融点=88〜90℃;300 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.98 (s,1H),8.73 (s,2H),7.95 (d,J = 7.9 Hz,1H),7.38 (bs,5H),7.18 (t,J = 6.8 Hz,1H),7.05 (d,J = 6.9 Hz,1H),4.78 (s,2H),4.29 (t,J = 5.7 Hz,2H),3.20−3.17 (m,2H),2.95−2.92 (m,2H),2.18−2.11 (m,2H),2.01 (t,J = 6.0 Hz,2H),1.74−1.71 (m,2H);LCMS:420 [M+H].
実施例7.1.11:N−(ベンジルオキシ)−5−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}ペンタンアミドの合成
【0163】
【化58】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)酢酸を、手順Eを用いて5−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ペンタンアミド塩酸塩と反応させた。収率=69%.融点=62〜64℃;3MHz H NMR (CDCl)δ:10.97 (s,1H),8.73 (s,2H),7.95 (d,J = 7.5 Hz,1H),7.37 (bs,5H),7.21 (t,J = 7.5 Hz,1H),7.06 (d,J = 6.9 Hz,1H),4.78 (s,2H),4.28 (t,J = 5.4 Hz,2H),3.21−3.17 (m,2H),2.98−2.92 (m,2H),2.18−2.11 (m,2H),2.01 (t,J = 6.0 Hz,2H),1.50 (bs,4H);LCMS:434 [M+H].
実施例7.1.12:N−(ベンジルオキシ)−6−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}ヘキサンアミドの合成
【0164】
【化59】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−オキソ−酢酸を、手順Eを用いて6−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ヘキサンアミド塩酸塩と反応させた。融点=119〜121℃;400 MHz H NMR (CDCl)δ:8.92 (s,1H),8.21 (bs,1H),8.12 (d,J = 8.0 Hz,1H),7.57 (bs,1H),7.36 (bs,3H),7.26 −7.23 (m,1H),7.05 (d,J = 6.8 Hz,1H),4.91 (bs,2H),4.19 (bs,2H),3.38−3.33 (m,2H),3.00 (t,J = 6.0 Hz,2H),2.35 (bs,1H),2.25 (t,J = 5.2 Hz,2H),2.05 (bs,1H),1.367−1.57 (m. 4H),1.40−1.36 (m,2 H);LCMS:448 [M+H].
実施例7.1.13:7−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}ヘプタン酸メチルの合成
【0165】
【化60】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルオキソ酢酸を、手順Eに従って7−アミノヘプタン酸メチル塩酸塩と反応させた。収率=80% 400 MHz H NMR (CDCl)δ:8.94 (s,1H),8.14 (d,J = 7.8 Hz,1H),7.55 (brs,1H),7.27 (t,J = 8.4 Hz,1H),7.07 (d,J = 8.4 Hz,1H),4.23 (t,J = 5.8 Hz,2H),3.67 (s,3H),3.4(m、2H),2.3 (t,J = 5.8 Hz,2H),2.31 (m,4H),1.61 (m,4H),1.38 (m,4H);LCMS:371 [M+H].
実施例7.1.14:7−[ベンジル(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]ヘプタン酸エチルの合成
【0166】
【化61】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸を、手順Eを用いて7−(ベンジルアミノ)ヘプタン酸エチル塩酸塩と反応させた。収率=61%.300 MHz H NMR (CDCl)δ:7.58 (s,J = 8.1 Hz,1H),7.34−7.25 (m,6H),7.11 (t,J = 7.2 Hz,1H),7.95 (d,J = 6.9 Hz,1H),4.82 (s,2H),4.14−4.09 (m,4H),3.47 (t,J = 7.2 Hz,2H),2.99 (t,J = 6.3 Hz,2H),2.26−2.20 (m,4H),1.67−1.57 (m,4H),1.26−1.21 (m,6H);LCMS:447 [M+H].
実施例7.1.15:N−{7−[メトキシ(メチル)アミノ]−7−オキソヘプチル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0167】
【化62】

7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−アミノ]−ヘプタン酸を、手順Eを用いてN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させた。収率=83% 融点=61〜62℃;400 MHz H NMR (CDCl)δ:7.72 (s,1H),7.59 (d,J = 8.0 Hz,1H),7.16 (t,J = 8.0 Hz,1H),6.98 (d,J = 6.8 Hz,1H),5.97 (bs,1H),4.18 (t,J = 6.0 Hz,2H),3.65 (s,3H),3.52−3.46 (m,2H),3.17 (s,3H),3.00 (t,J = 5.6 Hz,2H),2.42 (t,J = 5.6 Hz,2H),2.27−2.21 (m,2H),1.70−1.63 (m,4H),1.47−1.41 (m,4 H);LCMS:372 [M+H].
実施例7.2:一般手順F−工程2
実施例7.2.1:7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]ヘプタン酸の合成
【0168】
【化63】

7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]ヘプタン酸メチル(0.70g、2.05mmol)を含むテトラヒドロフラン(THF)(3mL)とメタノール(1mL)の混合物の溶液に、水酸化リチウム一水和物(0.094g、2.25mmol)の水(1mL)溶液を添加した。混合物を室温で3時間攪拌し、次いで、5mLの0.5N HCl溶液を添加し、20mLの水で希釈した。生成物を酢酸エチル(200mL)で抽出し、濃縮し、高真空下、45℃で一晩乾燥させると、0.70g(100%)の標題化合物が褐色固形物として得られた。これを、さらに精製せずに使用した。LCMS:329 [M+H].
実施例7.2.2:7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イルカルボニル)アミノ]ヘプタン酸の合成
【0169】
【化64】

7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イルカルボニル)アミノ]ヘプタン酸メチルを、手順Fを用いて加水分解し、7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イルカルボニル)アミノ]ヘプタン酸を得た。LCMS:329 [M+H].
実施例7.2.3:6−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]ヘキサン酸の合成
【0170】
【化65】

6−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]ヘキサン酸メチルを、手順Fを用いて加水分解し、6−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)アミノ]−ヘキサン酸を白色固形物(75%)として得た。融点158〜161℃.LCMS:315 [M+H].400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:11.97 (s,1H),7.93 (s,1H),7.83 (d,J= 8.0 Hz,1H),7.75 (t,J= 6 Hz,1H),7.01 (m,1H),6.90 (d,J= 6.0 Hz,1H),4.19 (t,J= 5.8 Hz,2H),3.22 (m,2H),2.93 (t,J= 5.80 Hz,2H),2.21 (t,J= 7.2 Hz,2H),2.13 (t,J= 5.8 Hz,2H),1.53 (m,4H),1.34−1.30 (m,2H)。LCMS:316[M+H].
実施例7.2.4:7−({[6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾル−2−イル]カルボニル}アミノ)ヘプタン酸の合成
【0171】
【化66】

7−({[6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾル−2−イル]カルボニル}アミノ)ヘプタン酸メチルを、手順Fを用いて加水分解し、7−({[6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾル−2−イル]カルボニル}アミノ)ヘプタン酸を褐色固形物として得た。LCMS:403 [M+H].
実施例7.2.5:7−[ベンジル(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]ヘプタン酸の合成
【0172】
【化67】

7−[ベンジル(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]ヘプタン酸エチルを手順Fに従って加水分解した。収率=89%、融点=45〜47℃;400 MHz H NMR (CDCl)δ:7.58 (d,J = 8.1 Hz,1H),7.32 (m,6H),7.1 (t,J = 7.6 Hz,1H),6.94 (d,J = 7.0 Hz,1H),4.82 (s,2H),4.11(t、J = 5.7 Hz,2H),3.47 (t,J = 7.8 Hz,2H),2.97 (t,J = 6.0 Hz,2H),2.25 (m,4H),1.59 (m,4H),1.28 (m,4H);LCMC:419 [M+H].
実施例7.2.6:{4−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]フェニル}酢酸の合成
【0173】
【化68】

{4−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]フェニル}酢酸エチルを、手順Fを用いて加水分解した。収率=74%.400 MHz H NMR (d6−DMSO)δ:12.27 (s,1H),9.67 (s,1H),8.25 (s,1H),7.90 (d,J = 8Hz,1H),7.69 (d,J = 8.4Hz,2H),7.2 (d,J = 8.8Hz,2H),7.07 (t,J = 7.6Hz,1H),6.95 (d,J = 6Hz,1H),4.26 (t,J = 5.6Hz,2H),3.52 (s,2H),2.96 (t,J = 6Hz,2H),2.2−2.14 (m,2H).
実施例7.2.7:3−[1−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]プロパン酸の合成
【0174】
【化69】

3−[1−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]プロピオン酸メチルを、手順Fを用いて加水分解した。収率=90%.LCMS:341 [M+H].
実施例7.2.8:7−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}ヘプタン酸の合成
【0175】
【化70】

7−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}ヘプタン酸メチルを、手順Fを用いて加水分解した。収率=79%.400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:11.98 (brs,1H),8.71 (m,2H),8.14 (d,J = 7.8 Hz,1H),7.22 (t,J = 7.8 Hz,1H),7.05 (d,J = 7.0 Hz,1H),4.29 (m,2H),3.20 (m,2H),2.95 (m,2H),2.19 (m,4H),1.49 (m,4H),1.28 (m,4H);LCMS:357 [M+H].
実施例7.2.9:4−{[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]メチル}安息香酸の合成
【0176】
【化71】

4−{[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]メチル}安息香酸メチル(0.616g、1.77mmol)を含むEtOH(16ml)/THF(8ml)を、KOH(2.0g、35mmol)で処理した。反応混合物を45℃で2時間攪拌し、次いで水(40ml)に注入した。濃HClを用いてpHを2に調整した。この物質を酢酸エチル(2×50ml)で抽出した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空濃縮すると、褐色固形物が得られた。この粗製物質をEtO中で摩砕した。4−{[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]メチル}安息香酸が薄黄色固形物(0.507g、86%)として得られた。融点=255〜256℃.400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:8.46 (t,J = 5.9 Hz,1H),8.03 (s,1H),7.90 (d,J = 8.1 Hz,2H),7.86 (d,J = 8.1 Hz,1H),7.44 (d,J = 8.4 Hz,2H),7.04 (t,J = 7.5 Hz,1H),6.92 (d,J = 7.0 Hz,1H),4.54 (d,J = 6.2 Hz,2H),4.21 (t,J = 5.5 Hz,2H),2.94 (t,J = 5.9 Hz,2H),2.14 (五重項、J = 5.9 Hz,2H)。LCMS:335 [M+H].
実施例7.3:一般手順G−工程3
実施例7.3.1:7−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ヘプタンアミドの合成
【0177】
【化72】

7−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}ヘプタン酸(773mg、2.17mmol)の無水DMF(30mL)溶液に、トリエチルアミン(0.6mL、4.34mmol)、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(305mg、2.6mmol)、およびHBTU(986mg、2.6mmol)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(200mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)で洗浄した。水層をDCM(3×100mL)で抽出し、ブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、1%EtOAc含有ヘキサンから40%EtOAc含有ヘキサン)、80%(1.04g)が黄色固形物として得られた。融点=140〜142℃;400 MHz H NMR (CDCl)δ:8.95 (s,1H),8.63 (brs,1H),8.14 (d,J = 8.2 Hz,1H),7.59 (brs,1H),7.22 (t,J = 8.2 Hz,1H),7.07 (d,J = 7.0 Hz,1H),5.30 (brs,1H),4.26 (t,J = 5.8 Hz,2H),3.96 (brs,1H),3.62 (m,1H),3.39 (m,2H),3.04 (t,J = 5.8 Hz,2H)、2.29 (t,J = 5.8 Hz,2H)、2.26 (brs,2H),1.81 (m,3H),1.68 (m,7H),1.39 (m,4H);LCMS:456 [M+H].
実施例7.3.2:5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸[6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシカルバモイル)−ヘキシル]−アミドの合成
【0178】
【化73】

7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イルカルボニル)アミノ]ヘプタン酸を、手順Gを用いてO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミンと反応させた。LCMS:429 [M+H].
実施例7.3.3:N−(4−{2−オキソ−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]エチル}フェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0179】
【化74】

{4−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−酢酸(275mg、0.82mmol)を、手順Gを用いてO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミンと反応させた。収率=85%.400 MHz H NMR (d6−DMSO)δ:11.22 (s,1H),9.66 (s,1H),8.25 (s,1H),7.90 (d,J = 8.4Hz,1H),7.68 (d,J = 8.8Hz,2H),7.2 (d,J = 8.8Hz,2H),7.07 (t,J = 7.2Hz,1H),6.95 (d,J = 6.8Hz,1H),4.83 (s,1H),4.25 (t,J = 5.6Hz,2H),3.97−3.91 (m,1H),3.56−3.51 (m,1H),3.29 (s,2H),2.96 (t,J = 6Hz,2H),2.2−2.14 (m,2H),1.7−1.46 (m,6H);LCMS:434 [M+H].
実施例7.3.4:6−(3−メトキシフェニル)−N−{7−オキソ−7−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]ヘプチル}イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−カルボキサミドの合成
【0180】
【化75】

7−({[6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾル−2−イル]カルボニル}アミノ)ヘプタン酸を、手順Gを用いてO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミンと反応させた。LCMS:501 [M+H].
実施例7.3.5:N−{4−[(ベンジルオキシ)カルバモイル]ベンジル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0181】
【化76】

4−{[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]メチル}安息香酸を、手順Gを用いてO−ベンジルヒドロキシルアミンと反応させた。N−(4−{[(ベンジルオキシ)アミノ]カルボニル}ベンジル)−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドが薄黄色固形物として得られた。収率=92%.融点=234〜235℃.400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:11.73 (s,1H),8.44 (t,J = 6.0 Hz,1H),8.02 (s,1H),7.85 (d,J = 8.1 Hz,1H),7.70 (d,J = 8.1 Hz,2H),7.50−7.30 (m,7H),7.03 (t,J = 7.5 Hz,1H),6.92 (d,J = 7.0 Hz,1H),4.91 (s,2H),4.51 (d,J = 5.9 Hz,2H),4.21 (t,J = 5.7 Hz,2H),2.94 (t,J = 5.9 Hz,2H),2.14 (五重項、J = 5.3 Hz,2H)。LCMS:440 [M+H].
実施例7.4:一般手順H−工程4
実施例7.4.1:N−{4−[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]ベンジル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0182】
【化77】

N−(4−{[(ベンジルオキシ)アミノ]カルボニル}ベンジル)−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド(0.570g、1.30mmol)を含むMeOH(40ml)(Pd/C10%(0.4gの含水物質、0.13mmol)含有)を、大気圧で4時間、Hに供した。触媒を濾別した。混合物を真空濃縮すると、褐色固形物が得られた。この粗製物質を酢酸エチル中で摩砕した。N−{4−[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]ベンジル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドがベージュ色固形物(0.372g、82%)として得られた。融点=191〜192℃.400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:11.17 (s,1H),8.99 (s,1H),8.44 (t,J = 6.0 Hz,1H),8.02 (s,1H),7.86 (d,J = 8.1 Hz,1H),7.70 (d,J = 8.1 Hz,2H),7.39 (d,J = 8.1 Hz,2H),7.03 (t,J = 7.7 Hz,1H),6.92 (d,J = 7.0 Hz,1H),4.50 (d,J = 5.9 Hz,2H),4.21 (t,J = 5.5 Hz,2H),2.94 (t,J = 5.9 Hz,2H),2.14 (五重項、J = 5.3 Hz,2H)。LCMS:350 [M+H].
実施例7.4.2:N−[5−(ヒドロキシアミノ)−5−オキソペンチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0183】
【化78】

N−{5−[(ベンジルオキシ)アミノ]−5−オキソペンチル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドを手順Hの条件に供し、5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸(4−ヒドロキシカルバモイル−ブチル)−アミドを得た。融点179〜181℃、400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.35 (s,1H),8.67 (d,J= 1.60 Hz,1H),7.94 (s,1H),7.83 (d,J= 7.83 Hz,1H),7.79 (t,J= 5.6 Hz,1H),(dd、J= 7.2、0.8 Hz,1H),6.90 (d,J= 6.80 Hz,1H),4.19 (t,J= 5.60 Hz,2H),3.23 (m,2H),2.93 (t,J= 6.0 Hz,2H),2.13 (t,J= 5.6 Hz,2H),1.98 (t,J= 7.20 Hz,2H),1.54− 1.48 (m,4H)。LCMS:316 [M+H].
実施例7.4.3:N−[8−(ヒドロキシアミノ)−8−オキソオクチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0184】
【化79】

N−{8−[(ベンジルオキシ)アミノ]オクチル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドを水素化手順Hの条件に供し、5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸(7−ヒドロキシカルバモイル−ヘプチル)−アミドを得た。収率=42%.融点=174〜176℃.400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.3 (s,1H),8.6 (d,J= 1.60 Hz 1H),7.94 (s,1H),7.83 (d,J= 7.60 Hz,1H),7.76 (m,1H),7.00 (dd,J= 7.6、6.8 Hz,1H),6.90 (d,J= 6.80 Hz,1H),4.19 (t,J= 5.60 Hz,2H),3.23 (m,2H),2.93 (t,J= 5.80 Hz,2H),2.13 (m,2H),1.93 (t,J= 7.20 Hz,2H),1.49− 1.46 (m,4H),1.29 (m,6H)。LCMS:358 [M+H].
実施例7.4.4:4−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシブタンアミドの合成
【0185】
【化80】

N−(ベンジルオキシ)−4−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}ブタンアミドを、手順Hを用いて水素化した。収率=78%.融点=95〜97℃;300 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.39 (s,1H),8.73 (bs,3H),7.95 (d,J = 7.5 Hz,1H),7.18 (t,J = 7.2 Hz,1H),7.05 (d,J = 6.9,1H),4.29 (t,J = 5.1 Hz,2H),3.23−3.17 (m,2H),2.96 (t,J = 5.4 Hz,2H),2.16−2.12 (m,2H),2.00 (t,J = 6.9 Hz,2H),1.77−1.71 (m,2H);LCMS:330 [M+H].
実施例7.4.5:4−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシペンタンアミドの合成
【0186】
【化81】

N−(ベンジルオキシ)−4−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}ペンタンアミドを、手順Hの条件下で水素化した。収率=80%.融点=135〜137℃;300 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.35 (s,1H),8.72 (bs,2H),8.68 (s,1H),7.95 (d,J = 8.1 Hz,1H),7.18 (t,J = 7.5 Hz,1H),7.05 (d,J = 6.9 、1H),4.32−4.27 (m,2H),3.23−3.17 (m,2H),2.96 (t,J = 5.7 Hz,2H),2.16−2.12 (m,2H),1.96 (t,J = 6.3 Hz,2H),1.50−1.48 (m,2H)。LCMS:344 [M+H].
実施例7.4.6:6−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシヘキサンアミドの合成
【0187】
【化82】

6−[2−オキソ−2−(2a,3,4,5−テトラヒドロ−アセナフチレン−1−イル)−アセチルアミノ]−ヘキサン酸ベンジルオキシを、手順Hを用いて水素化条件に供した。融点=150〜155℃;400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.33 (s,1H),8.72−8.66 (m,3H),7.94 (d,J = 8.0 Hz,1H),7.18 (t,J = 7.6 Hz,1H),7.04 (d,J = 7.2 Hz,1H),4.29 (t,J = 5.6 Hz,2H),3.09 (d,J = 7.2 Hz,2H),2.95 (t,J = 6.0 Hz,2H),2.17−2.11 (m,2H),1.94 (t,J = 7.2 H、2H),1.54−1.46 (m,4H),1.25−1.23 (m,2 H);LCMS:358 [M+H].
実施例7.5:一般手順I−工程4
実施例7.5.1:7−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシヘプタンアミドの合成
【0188】
【化83】

7−[2−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−2−オキソ−アセチルアミノ]−ヘプタン酸(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−アミド(740mg、1.62mmol)をTHF:メタノール混合物(3:1v/v)(250mL)に溶解させ、カンファースルホン酸(415mg、1.78mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)、DCM(200mL)で希釈し、層分離させた。水層をDCM(4×100mL)で抽出し、ブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。粗製生成物を5%MeOH含有DCMに溶解させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、0%MeOH含有DCMから8%%MeOH含有DCM)、49%(301mg)が白色固形物として得られた。融点=158〜159℃;400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.19 (brs,1H),8.69 (s,1H),8.49 (m,2H),7.95 (d,J = 8.2 Hz,1H),7.18 (t,J = 8.2 Hz,1H),7.04 (d,J = 8.2 Hz,1H);4.29 (t,J = 5.8 Hz,2H)、3.20 (m,2H),2.95 (t,J = 8.2 Hz,2H)、2.15 (m,2H),1.95 (m,2H),1.52 (m,4H),1.30 (m,4h);LCMS:372 [M+H].
実施例7.5.2:N−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボキサミドの合成
【0189】
【化84】

5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボン酸[6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシカルバモイル)−ヘキシル]−アミドを、手順Iを用いて10−カンファースルホン酸と反応させた。融点=160〜161℃;400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.33 (s,1H),8.66 (s,1H),8.42−8.39 (t,J = 5.86 Hz,1H),7.42− 7.39 (d,J = 7.44 Hz,1H),7.02 (s,1H),6.99− 6.92 (m,2H),4.47 (t,J = 5.86 Hz,2H),3.25−3.2 (m,2H),2.92 (t,J = 5.86 Hz,2H),2.12−2.07 (m,2H),1.94 (t,J = 7.43 Hz,2H),1.53−1.25 (m,8 H);LCMS:344 [M+H].
実施例7.5.3:N−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−カルボキサミドの合成
【0190】
【化85】

N−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−カルボキサミドは、手順Iに従って6−(3−メトキシフェニル)−N−{7−オキソ−7−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]ヘプチル}イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−カルボキサミドを用いて合成した。融点=209〜211℃;400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.31 (brs,1H),8.64− 8.68 (m,2H),8.55 (s,1H),8.36 (s,1H),7.39− 7.41 (m,2H),7.27− 7.31 (m,1H),6.81−6.84 (m,1H);3.78 (s,3H)、3.19− 3.26 (m,2H),1.90− 1.95 (t,J = 7.43 Hz,2H),1.24−1.52 (m,8H);LCMS:417 [M+H].
実施例7.6:一般手順J−工程4
N−{4−[2−(ヒドロキシアミノ)−2−オキソエチル]フェニル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0191】
【化86】

N−(4−{2−オキソ−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]エチル}フェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド(300mg、0.69mmol)を含むテトラヒドロフラン(5ml)酢酸(10ml)と水(3ml)の溶液を、60℃まで6時間加熱した。混合物を蒸発乾固し、得られた薄褐色固形物を、メタノール/水から再結晶させると、オフホワイト色の固形物(114mg、47%)が得られた。融点=199〜202℃、400 MHz H NMR (d6−DMSO)δ:10.64 (s,1H),9.66 (s,1H),8.82 (s,1H),8.25 (s,1H),7.90 (d,J = 7.6Hz,1H),7.68 (d,J = 8.8Hz,2H),7.2 (d,J = 8.8Hz,2H),7.07 (t,J = 7.2Hz,1H),6.95 (d,J = 6.4Hz,1H),4.25 (t,J = 5.2Hz,2H),3.24 (s,2H),2.96 (t,J = 6Hz,2H),2.2−2.14 (m,2H);LCMS:350 [M+H].
実施例7.7:一般手順K
3−[1−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]−N−ヒドロキシプロパンアミドの合成
【0192】
【化87】

3−[1−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]プロパン酸を、手順Gを用いてO−(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミンと反応させ、所望の生成物3−[1−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−N−ヒドロキシ−プロピオンアミドを得た。融点=110〜113℃;400 MHz H NMR (DMSOd6)δ 10.34 (s,1H),8.66 (s,1H),7.64 (s,1H),7.38 (d,J = 10.8 Hz,1H),6.99 (t,J = 9.6 Hz,1H),6.88 (d,J = 10.8 Hz,1H),4.24 (d,J = 12.4 Hz,2H),4.17 (t,t,J = 5.6 Hz,2H),2.95 − 2.66 (m,4H),2.11 (五重項,J = 5.6 Hz,2H),1.96 (t,J = 6.0 Hz,3H),1.66 (d,J = 11.6 Hz,2H),1.44 (t,J = 6.0 Hz,3H),1.26 − 0.94 (m,2H);LCMS:356 [M+H].
実施例7.8:一般手順L
実施例7.8.1:N−[6−(ヒドロキシアミノ)−6−オキソヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0193】
【化88】

6−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)アミノ]ヘキサン酸(0.9g、2.86mmol)を無水THF(20mL)中に懸濁し、窒素下で1分間撹拌した後、エチルクロロホルメート(0.33ml、4.28mmol)およびトリエチルアミン(0.6ml、4.29mmol)を添加し、濁った混合物を5分間攪拌した。ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.394g、5.72mmol)を含むトリエチルアミン(0.6ml、4.29mmol)とメタノール(4ml)の混合物を添加し、窒素下で一晩撹拌した。反応が終了したら、THF(40ml)を添加し、遠心分離した。溶媒をデカンテーションし、このプロセスを2回繰り返した。得られた白色固形物を、希HClを用いて超音波処理し、HCl層をデカンテーションした。このプロセスを2回繰り返して未反応ヒドロキシルアミンを除去し、(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸(5−ヒドロキシカルバモイル−ペンチル)−アミドを白色固形物(0.50g、50%)として得た。400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.3 (s,1H),8.6 (s,1H),7.93 (s,1H),7.83 (d,J= 7.82 Hz,1H),7.59 (t,J= 6 Hz,1H),7.01 (t,J= 7.6 Hz,1H),6.89 (d,J= 6.65 Hz,1H),4.18 (t,J= 5.47 Hz,2H),3.22 (q,J= 12.91、7.04 Hz,2H),2.92 (t,J= 5.86 Hz,2H),2.13 (m,2H),1.95 (t,J= 7.43 Hz,2H),1.55− 1.46 (m,4H),1.32−1.24 (m,2H)。LCMS:331[M+H].
実施例7.8.2:N−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0194】
【化89】

7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−アミノ]−ヘプタン酸を、手順Lを用いてヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させた。収率=40%.融点=205〜206℃;400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.33 (s,1H),8.66 (s,1H),7.94 (s,1H),7.83 (d,J = 8.0 Hz,1H),7.75 (t,J = 5.6 Hz,1H),7.01 (t,J = 7.2 Hz,1H),6.89 (d,J = 6.8 Hz,1H),4.18 (t,J = 5.2 Hz,2H),3.24−3.2 (m,2H),2.92 (t,J = 5.6 Hz,2H),2.12 (t,J = 5.6 Hz,2H),1.94 (t,J = 7.6 Hz,2H),1.51−1.48 (m,4H),1.28 (bs,4 H);LCMS:344 [M+H].
実施例7.8.3:N−ベンジル−N−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0195】
【化90】

7−[ベンジル−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−アミノ]−ヘプタン酸を、手順Lを用いてヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させた。収率=32%.融点=71〜73℃;400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:10.29 (brs,1H),8.62 (brs,1H),7.59 (s,1H),7.48 (d,J = 8.0 Hz,1H),7.32 (d,J = 7.3 Hz,1H),7.25 (d,J = 7.3 Hz,3H),6.99 (t,J = 7.7 Hz,1H),6.89 (d,J = 7.3 Hz,1H),4.73 (s,2H),4.15 (t,J = 5.8 Hz,2H),2.92 (t,J = 5.8 Hz,2H),2.10 (m,2H),1.85 (t,J = 7.7 Hz,2H),1.52 (m,3H),1.39 (m,3H),1.15 (m,6H)。LCMS:434 [M+H].
実施例7.8.4:N−{7−[(2−アミノフェニル)アミノ]−7−オキソヘプチル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0196】
【化91】

7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−アミノ]−ヘプタン酸の溶液を、手順Lを用いてベンゼン−1,2−ジアミンと反応させた。収率=53%.融点=144〜145℃;400 MHz H NMR (CDCl)δ:7.69 (s,1H),7.68 (s,1H),7.62 (d,J = 8.4 Hz,1H),7.21 (d,J = 7.6 Hz,1H),7.16 (t,J = 7.2 Hz,1H),7.05−7.02 (m 1H),6.98 (d,J = 7.6 Hz,1H),6.78−6.75 (m,2H),6.04 (t,J = 5.2 Hz,1H),4.14 (t,J = 5.2 Hz,2H),3.53−3.49 (m,2H),3.00 (t,J = 6.0 Hz,2H),2.40 (t,J = 7.6 Hz,2H),2.25−2.21 (m,2H),1.77 (t,J = 8.0 Hz,2H),1.68−1.64 (m,4H),1.48−1.45 (m,4 H)。LCMS:419 [M+H].
実施例7.8.5:N−{7−[(2−アミノ−4,5−ジクロロフェニル)アミノ]−7−オキソヘプチル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミドの合成
【0197】
【化92】

7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボニル)−アミノ]−ヘプタン酸の溶液を、手順Lを用いて4,5−ジクロロ−ベンゼン−1,2−ジアミンと反応させた。収率=34%.融点=124〜125℃;400 MHz H NMR (DMSO−d)δ:9.11 (s,1H),7.93 (s,1H),7.82 (d,J = 8.0 Hz,1H),7.77 (d,J = 5.2 Hz,1H),7.54 (s,1H),7.01 (t,J = 8.0 Hz,1H),6.90−6.89 (m 2H),5.33 (s,2H),4.18 (t,J = 5.6 Hz,2H),3.26−3.21 (m,2H),2.92 (t,J = 6.0 Hz,2H),2.32 (t,J = 7.6 Hz,2H),2.14−2.11 (m,2H),1.59 (bs,2H),1.52 (bs,2H),1.34(bs、4 H)。LCMS:487 [M+H].
実施例8:一般スキーム4
【0198】
【化93】

実施例8.1:工程1
1−イソシアナト−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリンの合成
【0199】
【化94】

5,6−ジヒドロ−4−H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボン酸(1.0g、5.0mmol)とトリエチルアミン(1.07ml、5.0mmol)の無水トルエン溶液に、ジフェニルホスホン酸アジド(1.44g、5.25mmol)を添加した。反応液を90℃で2時間加熱した。溶媒を減圧除去した。粗製生成物は、次の工程ですぐ使用できる状態であった。
【0200】
実施例8.2:一般手順M−工程2
実施例8.2.1:N−(ベンジルオキシ)−6−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルバモイル)アミノ]ヘキサンアミドの合成
【0201】
【化95】

1−イソシアナト−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン(0.139mg、0.70mmol)とトリエチルアミン(0.192ml、1.38mmol)の無水DMF(6ml)溶液に、N−(ベンジルオキシ)−6−(クロロアミノ)ヘキサンアミド(0.263g、0.966mmol)を添加した。反応液を60℃で4時間攪拌した。溶媒を減圧除去した。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、5%DCM含有メタノール)、所望の生成物が薄黄色固形物(0.20g、67%)として得られた。LCMS:435 [M+H].
実施例8.2.2:N−(ベンジルオキシ)−7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルバモイル)アミノ]ヘプタンアミドの合成
【0202】
【化96】

1−イソシアナト−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリンを、同じ手順Mを用いて7−アミノ−N−(ベンジルオキシ)ヘプタンアミドと反応させた。収率=96%.LCMS:449 [M+H].
実施例8.3:一般手順N−工程3
実施例8.3.1:6−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルバモイル)アミノ]−N−ヒドロキシヘキサンアミドの合成
【0203】
【化97】

SM(0.20g、0.433mmol)のメタノール溶液に、Pd/C(10%)(0.16g)を添加した。反応混合物を室温で2〜3時間攪拌した。Pd/Cを濾過して除去し、溶媒を減圧除去した。粗製生成物を、メタノールとジクロロメタンを用いて再結晶させると、所望の生成物がオフホワイト色固形物(0.047mg、30%)として得られた。融点=161〜163℃;H NMR (DMSO−d)δ:10.3 (s,1H),8.66 (s,1H),7.93 (s,1H),7.82 (d,J= 10.4 Hz,1H),7.75 (m,1H),7.01 (t,J= 10.4 Hz,1H),6.89 (d,J= 9.6 Hz,1H),4.18 (t,J= 7.6 Hz,2H),3.22 (m,2H),2.92 (m,2H),2.12 (t,J= 8Hz,2H),1.95 (t,J= 9.6 Hz,2H),1.52 (m,2H),1.28 (m,2H);LCMS:345 [M+H].
実施例8.3.2:7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルバモイル)アミノ]−N−ヒドロキシヘプタンアミドの合成
【0204】
【化98】

N−(ベンジルオキシ)−7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルバモイル)アミノ]ヘプタンアミドを、手順Nと同じ水素化条件に供した。収率=75%.融点=185〜187℃;H NMR (DMSO−d)δ:10.3 (s,1H),8.66 (s,1H),7.93 (s,1H),7.82 (d,J= 10.4 Hz,1H),7.75 (m,1H),7.01 (t,J= 10 Hz,1H),6.89 (d,J= 9.6 Hz,1H),4.18 (t,J= 8 Hz,2H),3.22 (m,2H),2.92 (t,J= 8 Hz,2H),2.12 (m,2H),1.93 (t,J= 10 Hz,2H),1.49 (m,2H),1.28 (m,2H);LCMS:359 [M+H].
実施例9:一般スキーム5
【0205】
【化99】

実施例9.1:工程1
2−[(1H−インドール−7−イルメチル)アミノ]エタノールの合成
【0206】
【化100】

7−ホルミルインドール(5.0g、34.5mmol)の1,2−ジクロロエタン(60mL)溶液に、アミノエタノール(2.5mL、41.3mmol)を添加した後、氷酢酸(4.0mL)とナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(8.03g、37.9mmol)を添加した。反応液を室温で16時間撹拌した。HO(10mL)と1.0N NaOH(10mL)の添加によって反応液をクエンチした。有機層を分離し、水層をもう一度1,2−ジクロロエタン(80mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO(2×60mL)、水(2×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固した。所望の粗製生成物(4.65g)が油状物として得られ、なんらさらに精製せずに次の工程で使用した。LCMS = 189 [M+H].
実施例9.2:工程2
(2−ヒドロキシエチル)(1H−インドール−7−イルメチル)カルバミン酸tert−ブチルの合成
【0207】
【化101】

2−[(1H−インドール−7−イルメチル)アミノ]エタノール(4.65g、23.9mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、BOC無水物(5.73g、26.3mmol)を添加した。反応液を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣を酢酸エチル(100mL)に溶解させた。有機層を飽和重炭酸ナトリウム(100mL)、水(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、20%EtOAc含有ヘキサンから40%EtOAc含有ヘキサン)、5.98gの純粋な最終生成物が油状物として得られた。H NMR (CDCl)400 MHz δ 10.18 (br s,1H),7.64−7.60 (m,1H),7.2−7.25 (m,1H),7.08−7.0 (m,2H),4.71 (s,2H),3.73−3.65 (m,2H),3.38−3.30 (m,2H),1.50 (s,9H);LCMS = 291 [M+H].
実施例9.3:工程3
メタンスルホン酸2−[(tert−ブトキシカルボニル)(1H−インドール−7−イルメチル)アミノ]エチルの合成
【0208】
【化102】

(2−ヒドロキシエチル)(1H−インドール−7−イルメチル)カルバミン酸tert−ブチル(6.71g、23.13mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液に、トリエチルアミン(3.89mL、27.77mmol)を添加した。反応混合物を0℃まで冷却し、塩化メシル(2.0mL、25.45mmol)を反応混合物に滴下様式で添加した。反応液を室温まで昇温させ、2時間撹拌した。水(50mL)と1.0N NaOH(10mL)を添加することにより反応液をクエンチした。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(40mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を1.0N HCl(40mL)、水(70mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。粗製生成物(8.76g)を油状物として単離し、なんらさらに精製せずに次の工程で使用した。LCMS = 370 [M+H].
実施例9.4:工程4
3,4−ジヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2(1H)−カルボン酸tert−ブチルの合成
【0209】
【化103】

水素化ナトリウム(油中60%の分散液、1.823g、47.6mmol)と無水DMF(60mL)の0℃の冷却混合物に、2−[(tert−ブトキシカルボニル)(1H−インドール−7−イルメチル)アミノ]エチルメタンスルホン酸(8.76g、23.8mmol)のDMF(10mL)溶液を添加した。反応混合物を室温まで昇温させ、1時間反応させた。水(200mL)を添加することにより反応液をクエンチした。水層をEtOAc(4×40mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(3×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、100%ジクロロメタン)、5.29g(2工程で84%)の純粋な最終生成物が油状物として得られた。H NMR (CDCl)400 MHz δ 7.58−7.5 (m,1H),7.1−6.92 (m,3H),6.53 (d,J = 1.6 Hz,1H),4.89 (s,1H),4.81 (s,1H),4.3−4.21 (m,2H),4.0−3.9 (m,2H),1.5−1.4 (m,9H);LCMS = 273 [M+H].
実施例9.5:工程5
7−ホルミル−3,4−ジヒドロ−1H−[1,4]−ジアゼピノ[6,7,1−hi]−インドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【0210】
【化104】

塩化ホスホリル(0.336mL、3.68mmol)を入れた0℃の冷却丸底フラスコに、無水DMF(1.0mL、18.4mmol)を滴下様式で添加した。混合物を0℃で15分間反応させた。この溶液に、3,4−ジヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2(1H)−カルボン酸tert−ブチル(0.5g、1.84mmol)の無水DMF(5mL)溶液を添加した。反応液を室温まで昇温させ、30分間攪拌した。飽和重炭酸ナトリウム(40mL)を添加することにより反応液をクエンチした。水層をEtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(3×40mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。粗製生成物(0.14g)を油状物として単離し、なんらさらに精製せずに次の工程で使用した。LCMS = 302 [M+H].
実施例9.6:工程6
2−(tert−ブトキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−7−カルボン酸の合成
【0211】
【化105】

7−ホルミル−3,4−ジヒドロ−1H−[1,4]−ジアゼピノ[6,7,1−hi]−インドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.21g、0.70mmol)の1,4−ジオキサン(6.0mL)溶液に、次亜塩素酸ナトリウム(1.899g、20.99mmol)、リン酸二水素カリウム(1.905g、13.99mmol)の水(6.0mL)溶液を添加した後、2−メチル−2−ブテン(4.0mL)を添加した。反応混合物を16時間攪拌した後、EtOAc(20mL)と水(20mL)を添加した。有機層を分離し、水層をEtOAc(20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、50%EtOAc含有ヘキサンから100%EtOAc)、0.035gの純粋な最終生成物が黄色粉末として得られた。LCMS = 318 [M+H].
実施例9.7:工程7
7−{[4−(メトキシカルボニル)ベンジル]カルバモイル}−3,4−ジヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2(1H)−カルボン酸tert−ブチルの合成
【0212】
【化106】

2−(tert−ブトキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−7−カルボン酸(0.22g.6.98mmol)のDMF(6.0mL)溶液に、HBTU(0.291g、7.68mmol)、およびジメチルアミノピリジン(0.128g、10.5mmol)を添加した後、4−アミノメチル安息香酸メチル塩酸塩(0.155g、7.68mmol)を添加した。反応液を室温で24時間撹拌した。水(50mL)を添加することにより反応液をクエンチした。水層をEtOAc(3×25mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和重炭酸ナトリウム(2×50mL)、1.0N HCl(2×50mL)、水(2×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、50%EtOAc含有ヘキサンから75%EtOAc含有ヘキサン)、0.18gの純粋な最終生成物が黄色固形物として得られた。H NMR (CDCl)400 MHz δ:8.20 (d,J = 4.3 Hz,2H),7.92−7.8 (m,1H),7.7−7.62 (m,1H),7.45 (d,J = 4.3 Hz,2H),7.2−7.03 (m,2H),6.28−6.2 (m,1H),4.93 (s,1H),4.83 (s,1H),4.78−4.72 (m,2H),4.4−4.34 (m,2H),4.0−3.92 (m,2H),3.91 (s,3H),1.48−1.40 (m,9H);LCMS = 464 [M+H].
実施例9.8:工程8
4−[({[2−(tert−ブトキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)メチル]安息香酸の合成
【0213】
【化107】

7−{[4−(メトキシカルボニル)ベンジル]カルバモイル}−3,4−ジヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2(1H)−カルボン酸tert−ブチル(0.18g、0.4mmol)のメタノール(4.0mL)溶液に、水酸化リチウム(0.015g、0.8mmol)の水(4.0mL)溶液を添加した。反応混合物を40℃で16時間加熱した。溶媒を減圧除去し、残渣に、水(10mL)、ジクロロメタン(30mL)および1.0N HCl(10mL)を添加した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。粗製生成物(0.24g)を固形物として単離し、なんらさらに精製せずに次の工程で使用した。LCMS = 450 [M+H].
実施例9.9:工程9
7−({4−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)カルバモイル]ベンジル}カルバモイル)−3,4−ジヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2(1H)−カルボン酸tert−ブチルの合成
【0214】
【化108】

4−[({[2−(tert−ブトキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−7−イル]カルボニル}アミノ)メチル]安息香酸(0.24g、0.53mmol)のDMF(10mL)溶液に、HBTU(0.222g、0.58mmol)およびジメチルアミノピリジン(0.071g、0.58mmol)を添加した後、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン2−(アミノオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(0.094g、0.80mmol)を添加した。反応混合物を18時間攪拌した。水(50mL)を添加することにより反応液をクエンチした。水層をEtOAc(3×25mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和重炭酸ナトリウム(2×20mL)、1.0N HCl(2×20mL)、水(2×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧除去した。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、100%EtOAc)、0.151gの純粋な最終生成物が淡黄色固形物として得られた。H NMR (CDCl)400 MHz δ 9.16 (s,1H),8.0−7.8 (m,1H),7.7−7.62 (m,3H),7.4−7.33 (m,2H),7.2−7.0 (m,2H),6.6−6.43 (m,1H),5.08 (s,1H),4.91 (s,1H),4.82 (s,1H),4.68−4.61 (m,2H),4.38−4.23 (m,2H),4.07−4.0 (m,1H),3.97−3.91 (m,2H),3.68−3.6 (m,1H),1.97−1.8 (m,3H),1.75−1.56 (m,3H),1.5−1.38 (m,9H);LCMS = 465 [M+H].
実施例9.10:工程10
7−{[4−(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル]カルバモイル}−3,4−ジヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2(1H)−カルボン酸tert−ブチルの合成
【0215】
【化109】

7−({4−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)カルバモイル]ベンジル}カルバモイル)−3,4−ジヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2(1H)−カルボン酸tert−ブチル(0.151g、0.28mmol)のTHF(1.5mL)溶液に、水(5.0mL)と氷酢酸(2.0mL)を添加した。反応混合物を60℃で16時間攪拌した。次いで溶媒を減圧除去した。粗製生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると(SiO、5%メタノール含有ジクロロメタンから10%メタノール含有ジクロロメタン)、0.031gの純粋な最終生成物が淡黄色固形物として得られた。H NMR (アセトン−d)400 MHz δ 10.76 (br s,1H),8.22−8.18 (m,2H),7.92 (s,1H),7.82−7.72 (m,3H),7.5−7.4 (m,2H),7.15−7.0 (m,2H),4.95−4.83 (m,2H),4.64 (s,1H),4.48 (s,1H),3.98 (s,1H),1.45−1.30 (m,9H);LCMS = 465 [M+H].
実施例10:HDACアッセイ
HDACのインヒビターを評価するための蛍光生化学的アッセイを開発した。このアッセイは、小分子が基質の脱アセチル化を阻害する能力を測定するものである。アクチベータ試薬は、リシンが脱アセチル化された場合のみ基質を認識する。切断されるとアミノ−クマリンが放出され、これが440〜460nmで蛍光により検出され得る(350〜380nmで励起した場合)(図1)。
【0216】
この均一系アッセイは同じウェル内で、洗浄工程なしで行なわれる。HDAC供給源であるHeLa核抽出物を、インヒビター化合物の存在下で基質とともにインキュベートする。反応時間の終了時、トリプシンとTSAを含有するアクチベータ溶液を添加して脱アセチル化反応を停止させ、アミノ−クマリンを脱アセチル化基質から切断する。次いで、Umbilliferoneフィルターセットを使用し、Perkin Elmer VictorまたはEnvisionシステムのいずれかでプレートの読み取りを行なう。HDACがペプチドを脱アセチル化するのを抑制する化合物は、蛍光シグナルの低下をもたらす。シグナルはHDACの活性に正比例し、化合物のHDAC阻害はシグナルの減少によってモニタリングされる。
【0217】
手順:
1.試薬および実験器具
96ウェルの2分の1の領域が平底白色のポリスチレン製プレートはCorning(カタログ番号3693)から購入したものであった。トリプシンはSigma(カタログ番号T−8802)から購入したものであり、10mg/mLでDPBS中に再懸濁させた。トリコスタチンA(TSA)は、Upstate(カタログ番号19−138)から購入したものであり、DMSO中にストック濃度30mMまで再懸濁させた。
【0218】
基質は内部で合成した。ストックはDMSO(10mM)で調製した。
【0219】
アッセイバッファー組成:25mM Tris(pH8.0)、137mM NaCl、2.7mM KCl、1mM MgCl
2.作業溶液の調製
HeLa抽出物作業溶液:22.5μg/mL(1μg/ウェル)
基質作業溶液:24.5μg/mL(アッセイでは100μM)
化合物作業溶液:化合物をアッセイバッファーに4×スクリーニング濃度で溶解
アクチベータ溶液:トリプシン(10mg/mL)を、4μM TSAを含有するアッセイバッファー中で1:1600に希釈
3.アッセイ条件
全反応用量:40μL
反応は37℃で60分間行なった
4.アッセイ手順
1.解凍アッセイバッファー、基質およびTSA(すべて−20℃にしておく)、氷上に維持。
【0220】
2.2分の1の領域が白色のウェルプレート内で合わせる:10μlの4×化合物(またはバッファー)、15μlの基質および15μlのHeLa抽出物。充分に混合
3.37℃で60分間インキュベート。
【0221】
4.アクチベータ溶液を調製。トリプシンをアッセイバッファー+4μM TSA中で1:1600に希釈。アッセイ点あたり20μlが必要である。
【0222】
5.20μlの調製したアクチベータ溶液を添加し、充分に混合。
【0223】
6.プレートの読み取りを行なう。励起=350〜380nm、発光=440〜460nm。
【0224】
本発明のヒドロキサム酸系化合物を、生化学的アッセイで、そのpan−HDAC阻害活性について試験した。アッセイの結果を表に示した?
実施例11:HDACアイソフォームアッセイ
終了したpan−HDAC評価に加え、対象のいくつかの化合物も、パラレルプラットホームHDACアイソフォームアッセイにて評価した。アッセイ手順はPan HDACと同一である;アッセイ組成物は以下のとおりである。
【0225】
【数1】

KI 177、KI−178およびKI179は、BPS biosciencesから購入したものであった。
【0226】
HDAC−1アッセイは、新規な免疫捕捉アッセイ手順である。
【0227】
HDAC1のインヒビターを評価するための蛍光生化学的アッセイを開発した。このアッセイは、小分子がHDAC1酵素による基質の脱アセチル化を阻害する能力を測定するものである。HDAC1特異的抗体を用いてHDAC1をプロテインAコートプレート上に捕捉し、次いで基質と反応させる。アクチベータ試薬は、リシンが脱アセチル化された場合のみ基質を認識する。切断されるとアミノ−クマリンが放出され、これが440〜460nmで蛍光により検出され得る(350〜380nmで励起した場合)。
【0228】
このアッセイは、4つの一般的な工程で行なわれる。第1工程(図1A)では、HDACを含有する細胞抽出物(本実験ではHeLa)を、ウサギポリクローナルHDAC1抗体(バックグラウンド対照にはウサギIgG抗体を使用する)とともにインキュベートし(細胞シグナル伝達)、酵素を抗体に結合させる。第2工程では、複合体形成混合物を、該抗体が捕捉されるプロテインA被覆プレートに添加する。第3工程では、非結合タンパク質を洗い流した後、基質とインヒビターを添加し、脱アセチル化を行なわせる。反応時間の終了時、トリプシンとTSAを含有するアクチベータ溶液を添加して脱アセチル化反応を停止させ、アミノ−クマリンを脱アセチル化基質から切断する。次いで、Umbilliferoneフィルターセットを使用し、VictorまたはPerkin Elmer Envisionシステムのいずれかでプレートの読み取りを行なう。HDACがペプチドを脱アセチル化するのを抑制する化合物は、蛍光シグナルの低下をもたらす。シグナルはHDACの活性に正比例し、化合物のHDAC阻害はシグナルの減少によってモニタリングされる。
【0229】
1.試薬および実験器具
96ウェルの2分の1の領域が平底白色のポリスチレン製プレートはCorning(カタログ番号3693)から購入したものであった。
【0230】
96ウェルプロテインAコートプレートはPIERCE(カタログ番号15130)から購入したものであった。
【0231】
抗HDAC1抗体はCell Signaling(カタログ番号2062)から購入したものであった。
【0232】
トリプシンはSigma(カタログ番号T−8802)から購入したものであり、10mg/mL含有DPBS中に再懸濁させた。
【0233】
トリコスタチンA(TSA)はUpstate(カタログ番号19−138)から購入したものであり、DMSO中にストック濃度30mMまで再懸濁させた。
【0234】
基質は内部で合成した。ストックはDMSO(10mM)で調製した。
【0235】
アッセイバッファー組成:25mM Tris(pH8.0)、137mM NaCl、2.7mM KCl、1mM MgCl
2.作業溶液の調製
A.HeLa抽出物をHDAC1抗体作業溶液(DPBS中)を用いて複合体形成させる:
200μg/mL(10μg/ウェル)のHeLa抽出物および6.7μg/mL(0.335μg/ウェル)の抗HDAC1
B.基質作業溶液(HDACバッファー中):
15μg/mL(アッセイでは25μM;最終濃度は12.5μM)である
C.化合物作業溶液(HDACバッファー中):
化合物をアッセイバッファー中で2×スクリーニング濃度に希釈
D.アクチベータ溶液:
トリプシン(10mg/mL)を4μM TSA含有アッセイバッファー中で1:1600に希釈
3.アッセイ条件
抽出物と抗体との複合体形成は、振とうさせながら室温で60分間行なった。プロテインAプレート上への複合体の結合は、50μLで室温で60分間行なった。反応は50μLで、プロテインAプレート内で60分間37℃にて行なった。40μLの反応液を、活性化および読み取りのためにプレートの白色の2分の1の領域に移動させた。
【0236】
4.アッセイ手順(1つのプレートに対して)
1.150μlの5%BSA含有TBSTで60分間室温にてブロックするためにPIERCE プロテインAプレートを設定。
【0237】
2.プレートごとに合わせる:1000μgの抽出物を33.3μgの抗体とともに1500μlの最終容量(PBS中)でインキュベートし、インキュベーションは、静かに振とうさせながら(振とう機で)室温で60分間行なった。
【0238】
3.複合体を、3.5mLのPBS(最終総容量5mL)を添加することによりさらに(2.3倍)希釈。
【0239】
4.複合体にTBSTを添加する前にブロックされたプロテインAプレートを洗浄。
【0240】
5.50μlの希釈複合体をプロテインAプレートに添加し、室温で60分間インキュベート。
【0241】
6.プレートをTBSTで洗浄。
【0242】
7.25μlの希釈化合物(HDACバッファー中)を各ウェルに添加し、室温で10分間インキュベート。
【0243】
8.25μlの25μM基質(最終濃度は12.5μMである)含有HDACバッファーをプレートに添加し、37℃で60分間インキュベート。
【0244】
9.40μlの反応液を白色プレートに移動させ、20μlもアクチベータ/顕色剤溶液を添加し、充分に混合。
【0245】
10.プレートの読み取りを行なう。励起=350〜380nm、発光=440〜460nm。
【0246】
実施例12.MTSアッセイ
MTS細胞バイアビリティアッセイを使用し、増殖インヒビターが有する効力を調べた。MTSは、ミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性を測定するものであり、生細胞の数の代替的(surrogate)読み出し値として有用である。下記のプロトコルは、Promegaから販売されている“CellTiter 96 Aqueous Non−Radioactive Cell Proliferation Assay”に基づくものである(技術告示番号169)。
【0247】
1.材料
【0248】
【数2】

2.細胞増殖インヒビターのIC50を測定するためのMTSアッセイ
MTSアッセイのため、細胞を96ウェルプレート内に2000細胞/ウェルで平板培養し、該化合物の存在下で72時間インキュベートした。MTSは、各ウェルに製造業者(Promega)の指示通りに添加し、プレートを37℃で4時間インキュベートした。各ウェルの吸光度を、マイクロプレートリーダーを用いて490nmで測定した。
【0249】
実施例13.p21およびヒストンH4のアッセイ
HCT−116細胞を、1ml/培地/ウェルにて、ほぼ60%密集度で平板培養した。細胞を、インキュベータ内で、37℃で8時間または24時間、所望の濃度の該化合物で処理した。
【0250】
培地を細胞から除去し、150μLの1×E−page Loading Buffer(Invitrogen)をウェル上に添加することにより細胞溶解産物を得た。ウェルの擦過物をマイクロ遠心チューブ内に入れ、10〜15秒間3回超音波処理した。次いで、試料を70℃まで10分間加熱し、Invitrogen E−pageゲル上に負荷して分離させ、ニトロセルロース膜に移した。抗p21または抗アセチルヒストンH4抗体を用いてウエスタンブロッティングを行ない、また、試料の標準化には抗アクチン抗体を使用した。この後、AlexaFluor 680(Molecular Probes)またはIRDYE800(Rockland)二次抗体を用いて検出を行なった。ブロットの読み取りはLICOR Odyssey IRスキャナーで行なった。
【0251】
実験11〜13のデータの一部を表1にまとめる。
【0252】
他の実施形態も添付の特許請求の範囲に含まれる。いくつかの実施形態を図示および記載したが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の変形が行なわれ得る。
【0253】
【表1−1】

【0254】
【表1−2】

【0255】
【表1−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化110】

の化合物であって、式中、
Rは
【化111】

であり、
、R、およびRは、各々独立して、H、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、アリール、ハロゲン、−C(=O)NHR、および−C(=O)ORからなる群より選択され;
は、HまたはC〜Cアルキル、アリール、ヘテロアリールであり;
pおよびqは、各々独立して、0、1、2および3からなる群より選択され;
Xは結合、NR、またはSもしくはOであり;
は、H、アルキル、置換アルキル、アリール、−CH−アリール、ヘテロアリール、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−S(=O)2R、−(CHOH、および−CHCHOHRからなる群より選択され;
は、アルキル、アリール、−CH−アリール、ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、HまたはC〜Cアルキルであり;RとRは、5〜7員飽和環を形成していてもよく;
sは、0、1、2、3、4および5からなる群より選択され;
Yは、結合、C(=O)、またはNRであり;
は、HまたはC〜Cアルキルであり;
VおよびWは、各々独立して、OまたはSであり;
は、H、C〜Cアルキル、アリール、および−CH−アリールからなる群より選択されるか;またはRはR10とともに5員または6員飽和環を形成していてもよく;
rは、0、1、2、3、4および5からなる群より選択され;
Zは、結合、−CHR10、アリール、およびアルキレンからなる群より選択され;
10は、HまたはC〜Cアルキルであり;
11は、−NR1213、またはC〜Cアルキルであり;
12およびR13は、各々独立して、H、ヒドロキシル、置換アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択される、
化合物。
【請求項2】
Rが
【化112】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、およびRがすべてHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Xが結合であり、pが1である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
XがNRである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
Rが
【化113】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がHである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
VとWの両方がOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が−CH−アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
がR10とともに6員飽和環を形成していてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Zがアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Zがフェニルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Zが結合であり、qが1であり、rが、1、2、3、4または5である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
11が−NR1213である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
12がHである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
13がヒドロキシルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
13が置換アリールである、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
11がC〜Cアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
11がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
N−[6−(ヒドロキシアミノ)−6−オキソヘキシル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−[8−(ヒドロキシアミノ)−8−オキソオクチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−[5−(ヒドロキシアミノ)−5−オキソペンチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−{4−[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]ベンジル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;6−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシプロパンアミド、6−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシヘキサンアミド;4−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシブタンアミド;4−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシペンタンアミド;7−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルバモイル)アミノ]−N−ヒドロキシヘプタンアミド;7−{[5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル(オキソ)アセチル]アミノ}−N−ヒドロキシヘプタンアミド;6−[(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルバモイル)アミノ]−N−ヒドロキシヘキサンアミド;N−ベンジル−N−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;7−{[4−(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル]カルバモイル}−3,4−ジヒドロ[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2(1H)−カルボン酸tert−ブチル;N−{4−[2−(ヒドロキシアミノ)−2−オキソエチル]フェニル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−(6−オキソヘプチル)−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;3−[1−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]−N−ヒドロキシプロパンアミド;4−[1−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イルカルボニル)ピペリジン−4−イル]ブタン−2−オン;N−{7−[(2−アミノフェニル)アミノ]−7−オキソヘプチル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−{7−[(2−アミノ−4,5−ジクロロフェニル)アミノ]−7−オキソヘプチル}−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−カルボキサミド;N−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−6−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−2−カルボキサミド;およびN−[7−(ヒドロキシアミノ)−7−オキソヘプチル]−5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−カルボキサミドからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
請求項1に記載の化合物を、薬学的に許容され得る担体または賦形剤とともに含む医薬組成物。
【請求項23】
さらに、第2の化学療法剤を含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記第2の化学療法剤が、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、ゲムシタビン、araC、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、エポシロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノニビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン イマタニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、リンゴ酸スニチニブ、トラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブ、およびベバシズマブからなる群より選択される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
処置を必要とする被験体に、治療有効量の請求項1に記載の式Iの化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、またはそのプロドラッグもしくは代謝産物を、薬学的に許容され得る担体とともに投与し、細胞増殖性障害を処置することを含む、細胞増殖性障害の処置方法。
【請求項26】
前記細胞増殖性障害が前癌性状態である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞増殖性障害が癌である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記癌が、腺癌、扁平上皮癌、肉腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、または白血病である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記癌が、肺癌、結腸癌、乳癌、膵臓癌、前立腺癌、急性白血病、慢性白血病、多発性黒色腫、卵巣癌、悪性神経膠腫、平滑筋肉腫、肝細胞癌、または頭頸部癌である、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記式Iの化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、またはそのプロドラッグもしくは代謝産物が、第2の化学療法剤とともに投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の化学療法剤が、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、ゲムシタビン、araC、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、エポシロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノニビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン イマタニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、リンゴ酸スニチニブ、トラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブ、およびベバシズマブからなる群より選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記癌の処置が、腫瘍サイズの縮小、腫瘍増殖の遅延、患者の生存における改善、または患者の生活の質の改善を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記癌が原発性癌または転移性癌である、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
処置を必要とする被験体に、治療有効量の請求項1に記載の式Iの化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、またはそのプロドラッグもしくは代謝産物を、薬学的に許容され得る担体とともに投与し、中枢神経系(CNS)障害を処置することを含む、中枢神経系障害の処置方法。
【請求項35】
前記中枢神経系障害が、レット症候群、精神遅滞関連ルービンスタイン−テービ症候群、脊髄性筋萎縮症(SMA)、運動ニューロン疾患、ハンティングトン病、パーキンソン病(PD)、およびアルツハイマー病からなる群より選択される、請求項34に記載の方法。

【公表番号】特表2010−536876(P2010−536876A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522030(P2010−522030)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/073873
【国際公開番号】WO2009/026446
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(501054229)アークル インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】