説明

HIVを処置するための組成物および方法

HIV複製を阻止するために有用な化合物および/または組成物を含有する医薬組成物が開示される。HIVに感染している個体を処置する方法が開示される。ハイリスク個体においてHIV感染を防ぐ方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)複製を阻止または妨げる医薬組成物、HIVに感染している個体を処置する方法、HIVに暴露されている個体においてHIV感染を防ぐ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HIVは、ゲノムが約9〜11kbの遺伝物質および10未満のオープンリーディングフレームしか含有しないレンチウイルスである。HIVは、小さい、正鎖オープンリーディングフレームの集まりを有し、それらは1〜2のエキソン遺伝子をコードし、それらの蛋白質産物はウイルスライフサイクルの種々の側面を調節する。これらの遺伝子のいくつかは、すべての許容細胞型におけるウイルス複製に必要な、遺伝的転写促進因子である。
【0003】
HIV感染からAIDSへの進行は、大部分CD4Tリンパ球およびマクロファージを含む、HIVが感染する細胞へのその作用によって決定される。細胞活性化、分化および増殖は順に、T細胞およびマクロファージにおけるHIV感染および複製を調節する。Gallo,R.C.et al.(1984)Science 224:500;Levy,J.A.et al.,(1984)Science 225:840;Zack,J.A.et al.(1988)Science 240:1026;Griffin,G.E.et al.,(1988)Nature 339:70;Valentin,A.et al.(1991)J.AIDS 4:751;Rich,E.A.et al.,(1992)J.Clin.Invest.89:176;およびSchuitemaker,H.et al.,(1992)J.Virol.66:1354。HIVおよび他のレンチウイルスは、非増殖、最終分化マクロファージおよび成長停止Tリンパ球内で増殖することができるため、細胞分裂自体は必要でないであろう。Rose,R.M.et al.(1986)Am.Rev.Respir.Dis.143:850;Salahuddin,S.Z.et al.(1986)Blood 68:281;およびLi,G.et al.(1993)J.Virol.67:3969。骨髄細胞系へのHIV感染は、より分化した表現型を生じ、HIV感染に必須の、NF−KBのような因子の発現を増加させることが可能である。Roulston、A.et al.(1992)J.Exp.Med.175:751;およびChantal Petit,A.J.et al.(1987)J.Clin.Invet.79:1883。
【0004】
Rと呼ばれるHIV−1内の小オープンリーディングフレームは15KD蛋白質をコードするという1987年の証明(Wong−Staal,F.,et al.,(1987)AIDS Res.Hum.Retroviruses 3:33−39)以来、ウイルス蛋白質R(Vpr)の機能に関係した文献が増大し続けている。非増殖細胞、とりわけマクロファージにおいて複製するHIVを含むレンチウイルスの能力は、レトロウイルスの中で特有であると考えられている。いくつかのレンチウイルスがvpr−様遺伝子を含有することは重大な意味がある。Myers,G.et al.(1992)AIDS Res.Hum.Retrovir.8:373。vprオープンリーディングフレームは、HIV−1およびHIV−2のすべてのゲノム内、およびサル免疫不全症ウイルス(SIV)ゲノムのすべての病原分離物内に保存されている。設計における経済性のための進化的要件は、HIVゲノムにおけるvprの存在が、ウイルスライフサイクルにおいて特有で、必要不可欠な機能に関連することを必要とすることである、と考えられている。
【0005】
vpr遺伝子の突然変異が、初代CD4Tリンパ球および形質転換T細胞系統におけるHIV−1、HIV−2、およびSIVの複製および細胞病原性の減少という結果になることが報告されている。たとえば、Ogawa,K.et al.,(1989)J.Viol.63:4110−4114;Shibata,R.,et al.,(1990a)J.Med.Primatol.19:217−225;Shibata,R.,et al.,(1990b)J.Viol.64:742−747およびWestervelt,P.et al.,(1992)J.Virol.66:3925を参照されたい。しかしながら、他の研究者らは、変異したvpr遺伝子は複製に効果がなかったと報告している(Dedera,D.,et al.(1989)Virol.63:3205−3208)。重要なことには、vprに関して変異したHIV−2は初代単球/マクロファージに感染することができないと報告されている(Hattori,N.,et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8080−8084)。さらに、マクロファージにおけるウイルス複製は、vprオープンリーディングフレームを標的とするアンチセンスリボヌクレオチドによってほとんど完全に阻止される可能性がある。このことは、横紋筋肉腫細胞分化の誘導と一緒に、HIV病因におけるVprの重要な機能を規定すると考えられている。
【0006】
Vpr蛋白質は、ビリオンに組み込まれることが示されているただ1つのHIV−1調節遺伝子産物である。このことは通常、Vprの構造的役割を示唆することになるが、vpr欠失ウイルスが通常のビリオンを産生することができるため、このことはこの分子の調節的役割の付加的な証拠であると考えられる。ビリオンにおけるVprの存在は、Tリンパ球における亢進された複製速度論、ならびに単球およびマクロファージにおける増殖感染を確立するためのHIVの能力と関連付けて考えられている。ウイルス粒子におけるVpr蛋白質の存在は、ウイルス侵入および脱外被後の、感染過程中のVprの初期機能を意味する。この役割は細胞調節機序とVpr相互作用を伴い、結果としてウイルス複製過程を維持するために細胞許容性の増大を生じると考えられている。たとえば、Cohen,E.A.,et al.,1990a J.Virol.64:3097−3099;Yu,X.F.,et al.,(1990)J.Virol.64:5688−5693.;およびYuan,X.,et al.,(1990)AIDS Res.Hum.Retroviruses 6:1265−1271を参照されたい。
【0007】
米国特許第5,874,225号(参照として本明細書に援用される)は、細胞増殖を阻止する能力、およびgag遺伝子によってコードされる蛋白質産物と会合する能力を含む、Vprのいくつかの活性および特性を開示する。Vpr作用には、ウイルス遺伝子発現を促進する細胞エレメントのアップレギュレーション、またはそのようなウイルス過程に影響を与える細胞の阻害経路のダウンモジュレーションを挙げることができる。そのような細胞の調節逸脱は、Vprが横紋筋肉腫および骨肉腫細胞系統の分化および細胞増殖の停止に十分であるという報告(Levy,D.N.et al.(1993)Cell 72:541)と一致する。Vprのようなウイルス関連蛋白質が停止された発生プログラムを再開する能力は、明白に他の細胞蛋白質との相互作用に基づいていて、Vpr蛋白質はウイルス粒子内から生じるため、Vprは増殖感染の樹立に役割をはたさなければならないと考えられている。
【0008】
米国特許第5,780,238号(参照として本明細書に援用される)は、約41KDのVprサイトソル結合または相互作用蛋白質の単離を記載し、その蛋白質は以後Rip−1と呼ばれている。本明細書で使用する“Rip−1”という用語は、40〜43KDの見かけの分子量を有するヒト蛋白質を表すことを意図し、その蛋白質はヒト細胞の細胞質に存在し、Vprに結合し、そして単独で、またはステロイド受容体と会合してのいずれかでVprに結合すると、細胞質から核に輸送される。
【0009】
Rip−1はT−細胞およびB−細胞転写因子NfκBと共に共局在してもよい。VprおよびRip−1はイムノアフィニティー系において共溶離し、特に58KD複合体に架橋されてもよい。ペプチドと抗体の競合を使用することにより、それらの相互作用部位はVprアミノ酸配列上のアミノ酸38〜60であると解明されている。Rip−1は種々の細胞系統に検出されている。Rip−1は、可溶型において、または野生型ウイルスによる感染を介してのいずれかでVprに細胞が暴露されると、サイトソルから核に選択的に移動するが、PMAに反応して移動せず、それらの調節機能におけるカップリングを示唆する。結果として、本発明はRip−1がヒト宿主細胞においてVpr活性の媒介に部分的に関与する可能性があるという発見を伴う。
【0010】
米国特許第5,639,598号(参照として本明細書に援用される)は、ヒト細胞において、HIV Vpr蛋白質が、1以上のステロイド受容体、とりわけグルココルチコイド受容体(GR)と会合している、すなわちその一部であるか、またはそれらと機能的に結合している、Rip−1を含む蛋白質と複合体を形成するという発見に言及している。Vprとステロイド受容体、とりわけGR−型受容体、もしくは潜在的に別の成分、または1以上のステロイド受容体だけを含む複合体に結合するか、またはさもなくばその形成を全体的に、または部分的に妨げる、抑制性またはアンタゴニスト化合物は、HIV複製を妨げるか、または妨害する。
【0011】
Rip−1は、1以上のステロイドホルモン受容体スーパーファミリーメンバー、およびとりわけ、1以上のグルココルチコイド受容体(GR)ファミリーのメンバー、そしてさらにとりわけ、1以上のGR−II型ファミリーのメンバーと会合して機能する。“会合して”という句により、Rip−1が1以上の上記ステロイド受容体の一部である、それらと別個の複合体を形成する、またはそれらと機能的に相互作用するか、もしくはそれらと一体になることを意図する。したがって、Vpr、Rip−1、およびステロイド受容体または別の成分は化学的および/または物理的に一緒に結合し、複数部分複合体を形成する。
【0012】
Rip−1に認められている細胞輸送特性は、ステロイドホルモン受容体スーパーファミリーと会合して機能するか、または実際にそのメンバーであるRip−1と一致する。グルココルチコイドおよび鉱質コルチコイド受容体はこれらの蛋白質ファミリーのメンバーの例であり、それらはそれらのリガンドに暴露されると細胞質から核に移動することが公知である。2種の型のグルココルチコイド受容体が記載されている。I型受容体はリガンドが存在しない場合でも核に濃縮される。II型受容体は、リガンドの非存在下では細胞質に特に濃縮され、それらの適切な刺激ホルモンの存在下においてだけ核に移動する。2種のグルココルチコイド受容体は、それらの具体的なリガンドに対して高い親和性を有し、そして同じ形質導入経路を介して機能すると考えられている。これらの2種のクラスの受容体間の主な機能的違いは、II型受容体はそれらがある種の、しかしすべてではない細胞において、それらの標的細胞プロトオンコジーンをもっぱら転写促進するように、それらのリガンドにより活性化されることである。そのような細胞特異性はI型受容体では認められない。これらの観察は、Rip−1がGR−II型分子と機能的に密接に関連するか、または実際にそのようなGR−II型分子であることと一致する。
【0013】
グルココルチコイド受容体は、多数の役割を有する。グルココルチコイド受容体は、強力な転写促進因子として作用することが示されている。グルココルチコイド受容体はさらに、具体的なオープンリーディングフレームの遺伝子発現の抑制を介して働いていることが示されている。グルココルチコイド受容体媒介抑制は、他の場合なら転写促進因子が結合することになるDNA分子上の部位に対する競合によって達成される。後者の例としては、グルココルチコイド受容体とc−Junに関して記載されている具体的な両側関係が挙げられる。この場合、グルココルチコイド受容体はc−Jun活性を抑制し、そして逆も認められる。ホルボールエステルPMAは、AP−1/c−Junプロモーターの転写を活性化することが報告されている。さらに、グルココルチコイドは、多様な細胞系統の増殖阻害によって認められるようにリンホカイン活性に逆らうことが示されている。この機序は、部分的にJun/AP−1活性によって媒介されるT細胞活性化およびその結果生じるリンホカインのような領域における免疫調節機序に影響を及ぼすと考えられている。Vprによりトランスフェクトされた異なる細胞系統における増殖の停止の観察は、グルココルチコイド受容体媒介経路によって説明され、そこではRip−1は単独で、または1以上のステロイド受容体もしくは別の成分、または1以上のステロイド受容体と会合して、ウイルスと細胞活性の橋渡しをするように作用する。
【0014】
グルココルチコイド受容体がより大きな多量複合体の一部として機能することに注目することも重要である。これらの330KD蛋白質クラスターは、具体的なグルココルチコイド受容体分子に加え、熱ショック蛋白質90ダイマー、熱ショック蛋白質56ユニット、および時折熱ショック蛋白質70ユニット(HSP70)を含有し、;そしてこのHSP70と会合したRip−1が認められている。グルココルチコイド受容体ポリペプチド自体は通常、線状の形に配置された3種の機能的ドメイン;ホルモン結合ドメイン、DNA結合ドメイン、および付加的な細胞蛋白質と相互作用することが示されている第3のドメインから構成され、この遺伝子産物の輸送特性を明確にしている。Rip−1、Vpr、およびステロイド受容体または別の成分を含有する複合は、別の成分の例として、先に記載の熱ショック蛋白質ユニットを包含してもよいことが企図される。
【0015】
ヒト細胞においてRip−1はステロイドホルモン受容体スーパーファミリー、とりわけグルココルチコイド受容体ファミリーのメンバーと一緒に作用するように見えるため、このことはVprのRip−1への結合がHIV複製、したがって病因に関与する様式を説明するかもしれない。したがってRip−1またはRip−1を含有する複合体を相互作用的に遮断することはVprを不活性化し、それが細胞をよりよいHIV複製宿主に変換するのを妨げる。HIV感染細胞において、Vprの効果を阻止し、それによってHIV複製を阻止することができる化合物の同定は、Vprの作用の多くがグルココルチコイドのそれらに類似するという発見に基づいている。Vprの作用機序により、その機序を積極的な介入の標的とならしめ、そして、それによる抗‐HIV化合物の合理的な設計および選択を可能とさせうる。
【0016】
Rip−1は、本発明に従って同定されている最初のVpr会合蛋白質であるが、別の遺伝子産物が直接的に、またはRip−1媒介会合を介して間接的に、のいずれかで、Vprと相互作用することは可能である。また、本発明に従って、1以上のステロイド受容体、とりわけグルココルチコイド、およびGR−II型受容体が、Rip−1およびVprと多重複合体を形成するか、またはさもなければ機能的に相互作用するか、もしくは結合し、それによってVprがヒト宿主細胞の細胞質から核に移動し、そこでHIV複製に重要な役割を果たすことが発見されている。
【0017】
米国特許第5,780,220号(参照として本明細書に援用される)は、HIVに暴露されているか、または感染している個体に、ステロイドホルモン受容体アンタゴニスト、とりわけグルココルチコイド受容体アンタゴニスト、そしてより具体的にはGR−II型受容体アンタゴニストである化合物を投与することによる、そのような個体の処置を記載する。そのような受容体アンタゴニストは、ヒト細胞におけるVpr標的を相互作用的に遮断することにより、Vprの複製および他の重要な機能を阻止するか、または妨げる。HIV感染個体の処置におけるグルココルチコイド受容体アンタゴニスト、ミフェプリストンの使用が以下に示される。
【発明の開示】
【0018】
HIV感染を患う個体を処置する方法を明らかにする必要性が依然として存在する。感染細胞においてHIV複製を妨げるか、または阻止し、その結果HIV感染を患う個体を処置するために有用である化合物を明らかにする必要性が依然として存在する。HIVに暴露されている個体がHIV感染になるのを妨げるために、それらを処置する方法を明らかにする必要性が依然として存在する。そのような方法に有用な医薬組成物を明らかにする必要性が依然として存在する。
【0019】
発明の概要
本発明はHIV感染を阻止するために有用な医薬組成物に関する。医薬組成物は、ミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、化合物D1〜D20、および薬剤的に受容できるその塩からなる群から選択される構造を有する1以上の化合物を含有する。化合物は、個体においてHIVを阻止するために有効な量で存在する。本発明に従って、組成物は経皮パッチとして製剤される組成物、真皮下送達系として製剤される組成物、または制御/持続性放出製剤である。
【0020】
また、本発明はHIVに感染している個体に、ミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、化合物D1〜D20、および薬剤的に受容できるその塩からなる群から選択される構造を有する1以上の化合物を含有する治療的有効量の組成物を投与する段階を含む、上記個体を処置する方法に関する。本発明に従って、組成物は経皮パッチとして製剤される組成物、真皮下送達系として製剤される組成物、または制御/持続性放出製剤である。
【0021】
本発明はさらに、HIVに暴露されている個体に、ミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、化合物D1〜D20、および薬剤的に受容できるその塩からなる群から選択される構造を有する1以上の化合物を含有する予防的有効量の組成物を投与する段階を含む、上記個体におけるHIV感染を妨げる方法に関する。本発明に従って、組成物は経皮パッチとして製剤される組成物、真皮下送達系として製剤される組成物、または制御/持続性放出製剤である。
【0022】
また、本発明は10〜120mgのミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、またはそれらの組み合わせを含有する医薬組成物に関する。
【0023】
また、本発明はHIVに感染している個体に、10〜120mgのミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、またはそれらの組み合わせを含有する医薬組成物を投与する段階を含む、上記個体を処置する方法に関する。
【0024】
また、本発明はHIVに暴露されている個体に、10〜120mgのミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、またはそれらの組み合わせを含有する医薬組成物を投与する段階を含む、上記個体におけるHIV感染を妨げる方法に関する。
【0025】
また、本発明はHIVに感染している個体に、17〜430ng/mlの定常状態血清中濃度を達成するための投与量レベルでミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、またはそれらの組み合わせを含有する医薬組成物を投与する段階を含む、上記個体を処置する方法に関する。
【0026】
また、本発明はHIVに暴露されている個体に、17〜430ng/mlの定常状態血清中濃度を達成するための投与量レベルでミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、またはそれらの組み合わせを含有する医薬組成物を投与する段階を含む、上記個体におけるHIV感染を妨げる方法に関する。
【0027】
本発明は、薬剤的に受容できるキャリアまたは希釈剤;および式D1〜D20、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、薬剤的に受容できるその塩およびそれらの組み合わせからなる群から選択される構造を有する1以上の化合物を含有する医薬組成物に関し;ここで上記化合物は個体においてHIVを阻止するために有効な量で存在する。
【0028】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、ウイルス力価を排除する、減らす、もしくは安定化する、および/またはCD4+細胞数を増加させる、または安定化するために、HIVに感染していると確認された個体を治療的に処置するために有用である。本発明は、ハイリスク個体をHIV感染になることから予防的に処置するために有用である。
【0029】
本発明の化合物は相互作用的にRip−1だけ、または1以上のステロイド受容体もしくは、別の成分と一緒に、または1以上のステロイド受容体だけを遮断するステロイドホルモン受容体アンタゴニストとして作用し、Vpr/Rip−1および/またはステロイド受容体または別の成分の複合体の形成および移動を妨げるか、または阻止する。
【0030】
本明細書で使用する“ハイリスク個体”という用語は、HCVウイルスに暴露されていると推測される個体を表すことを意図する。そのような個体には、たとえば偶然の注射針、救急医療、救助または逮捕中に発生する傷害、および無防護性的接触を介してHIV‐感染個体と偶然に血液を交換している可能性がある医療従事者またはその他の個体が挙げられる。ハイリスク個体は、少しでもウイルス感染が検出される前に予防的に処置されてもよい。
【0031】
本明細書で使用する“治療的有効量”という用語は、HCVに感染している個体に治療的有効量の化合物が投与される場合、ウイルス力価の減少または後退および/またはCD4+細胞数の増加または安定化として認められる薬用効果を生じる化合物の量を表すことを意図する。治療的有効量は、一般に、活性成分を全く含まない組成物が同じような状態におかれた個体に投与される場合に認められる効果に比べた、それらが有する効果によって決定される。
【0032】
本明細書で使用される“予防的有効量”という用語は、予防的有効量の化合物がハイリスク個体に投与される場合、個体におけるHCV感染の防止として認められる薬用効果を生じる化合物の量を表すことを意図する。予防的有効量は一般に、活性成分を全く含まない組成物が同じような状態におかれた個体に投与される場合に認められる効果に比べた、それらが有する効果によって決定される。
【0033】
本発明は、HIV複製の阻害剤である抗ウイルス化合物を含有する新規医薬組成物を提供し、かかる医薬組成物は特定の投与量または特定の薬物送達型で提供される、抗ウイルス化合物を含有する、新規医薬組成物を包含する。本発明の医薬組成物に含まれる抗ウイルス化合物には以下のものが挙げられる:先に抗‐HIV活性を有すると記載されているミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、以下に示す式D1〜D15からなる群から選択される式を有する化合物、薬剤的に受容できるその塩またはそれらの組み合わせ。本発明のある種の側面に従って、経皮パッチ、真皮下送達系のために製剤された組成物および制御/持続性放出製剤が提供され、それらは1以上の以下のものを含む:先に抗‐HIV活性を有すると記載されているミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、以下に示す式D1〜D15からなる群から選択される式を有する化合物、薬剤的に受容できるその塩またはそれらの組み合わせ。本発明のある種の側面に従って医薬組成物が提供され、それらは10〜120mgの投与量において、1以上のミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、以下に示す式D1〜D15からなる群から選択される式を有する化合物、薬剤的に受容できるその塩またはそれらの組み合わせを含む。本発明のある種の側面に従って医薬組成物が提供され、それらは17〜430ng/mlの定常状態血清中濃度を達成するために適合した投与量において、1以上のミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、以下に示す式D1〜D15からなる群から選択される式を有する化合物、薬剤的に受容できるその塩またはそれらの組み合わせを含む。本発明のある種の側面に従って医薬組成物が提供され、それらは1以上のヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、以下に示す式D1〜D15からなる群から選択される式を有する化合物、薬剤的に受容できるその塩またはそれらの組み合わせを含む。そのような組成物の側面にしたがって、HIVに感染している個体を処置すること、およびウイルスに暴露されている個体においてHIV感染を妨げることは有益である。
【0034】
ある種の態様において、本発明の医薬組成物は、ミフェプリストン、ジドブジン(AZT)、アバカビル、3TC、d4T、ddl、ddC、エファビレンズ、ネビラピン、デラビジン、アンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サンキナビル、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、インターフェロンアルファ‐2a、およびインターフェロンアルファ‐2bのうち1以上のような、1以上の付加的な抗‐HIV抗ウイルス組成物を含む。
【0035】
ある種の態様において、本発明の方法は別の抗‐HIV治療または予防方法と一緒に使用される。ある種の側面において、本発明の方法はさらに、ジドブジン(AZT)、アバカビル、3TC、d4T、ddl、ddC、エファビレンズ、ネビラピン、デラビジン、アンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サンキナビル、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、インターフェロンアルファ‐2a、およびインターフェロンアルファ‐2bのような、別の抗ウイルス薬の投与を含む。
【0036】
一般に、本発明に記載の抗‐HIV化合物は、活性薬物が個体の身体における薬物の作用部位に到達することを可能にするいずれかの方法によって投与されてもよい。薬剤的投与の慣用の経路には、非経口的、すなわち、静脈内、皮下、筋肉内、経口、経皮、および真皮下が挙げられる。医薬組成物は、ウイルス力価を排除、減少または安定化させるか、またはCD4+細胞数を増加または安定化させるために有効な期間、個体に投与される。予防的に使用される場合、医薬組成物は感染の形跡のモニタリングが継続する期間、個体に投与される。
【0037】
本発明の医薬組成物は、別個の治療薬として、または別の治療薬と組み合わせて、のいずれかで投与されてもよい。それらは単独で投与されてもよいが、一般に、選択された投与経路および標準薬剤業務に基づいて選択される薬剤的キャリアと一緒に投与される。
【0038】
投与量は、公知の因子、たとえば具体的な薬物の薬物動態学的特徴、およびその投与様式および経路;受容者の年齢、健康度および体重;症状の性質および程度、共存する処置の種類、処置の頻度、ならびに所望する効果に依存して変化する。通常、活性成分の1日投与量は体重1キログラムにつき約0.001〜1グラム、ある種の態様では体重1キログラムにつき0.1〜100ミリグラムであってもよい。通常の投与量は、体重1キログラムにつき0.5〜50ミリグラム、そして好ましくは1日、1キログラムにつき1〜10ミリグラムの範囲にある。ある種の態様では、医薬組成物は所望する結果を得るために効果的な、1日1〜6回の分割投与量または持続放出型で投与される。
【0039】
内部投与に適切な剤形(組成物)は一般に、1ユニットにつき約1ミリグラム〜約500ミリグラムの活性成分を含有する。これらの医薬組成物では、活性成分は通常組成物の総重量に基づいた重量で約0.5〜95の量で存在することになる。一般に、複数回投与が行われる。
【0040】
本発明の好ましい態様に従って、抗ウイルス化合物は、治療的有効量の化合物が、ウイルス力価を本質的に検出不可能なレベルまで、または無症候性の個体が症状を発生しないか、もしくはそのような症状の開始が遅延することになるように、本質的に検出不可能なレベルまで低下させるために個体の体内に存在する期間提供される。そのような好ましい態様に従って、薬物力価は、ウイルスに感染していると確認されているか、またはウイルスに暴露されているという高い可能性を有する個体において、抗ウイルスレベルで長期間、たとえば1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日以上、48日以上、60日以上、または75日以上残っている。
【0041】
医薬組成物は、選択された投与様式に依存して選ばれた組成物により、当業者によって製剤されてもよい。適切な薬剤的キャリアはこの分野における標準的な参照テキストであるRemington′s Pharmaceutical Sciences,A.Osolに記載され、そしてそれは参照として本明細書に援用される。
【0042】
非経口的投与の場合、化合物は薬剤的に受容できる非経口的ベヒクルと一緒に、溶液、懸濁液、乳濁液、または凍結乾燥粉末として製剤されてもよい。そのようなベヒクルの例としては、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられる。リポソームおよび非水性ベヒクル、たとえば不揮発性油も使用してよい。ベヒクルまたは凍結乾燥粉末は等張性(たとえば、塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性(たとえばバッファーおよび保存剤)を維持する添加物を含有してもよい。製剤は一般に使用される技術により滅菌される。ある種の態様では、注射による投与に適切な非経口組成物は、0.9%塩化ナトリウム溶液中に、重量で1.5%の活性成分を溶解することにより調製される。
【0043】
本発明のある種の態様に従って、組成物は局所的に、または洗浄により個体の組織に投与される。化合物は、局所投与または潅注(irrigation)のためのクリーム剤、軟膏剤、塗布剤(salve)、膣内洗浄剤(douche)、坐剤または溶液として製剤されてよい。医薬組成物のそのような経路による投与のための製剤は公知である。一般に、等張性のための添加物には塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを挙げることができる。
【0044】
ある場合には、等張性溶液、たとえばリン酸緩衝生理食塩水が使用される。安定化剤には、ゼラチンおよびアルブミンが挙げられる。ある種の態様では、血管収縮剤が製剤に添加される。本発明に記載の医薬組成物は、好ましくは滅菌した、無発熱物質として提供される。注射用として使用されることになる本発明に記載の医薬組成物は、滅菌した、無発熱物質および無粒状物として提供される。
【0045】
薬剤的に受容できる製剤は、製剤環境および薬物送達系において、剤形の性質および組成、ならびに薬物成分(複数の成分)の特性に適切であるような賦形剤、希釈剤、安定化剤、保存剤および他の成分と一緒に、適切な物理的形状において活性成分(複数の成分)を提供することになる。
【0046】
ある種の態様では、本発明はHCV感染を患う患者を処置する方法に関する。ある種の態様では、本発明はハイリスク個体におけるHCV感染を防ぐ方法に関する。
本発明のある種の態様に従って、患者は本発明に記載の医薬組成物の投与と一緒に別の抗ウイルス療法で処置される。多様な治療方法の使用は、患者により広く基礎づけられた介入を提供する。本発明のある種の側面に従って、個体はさらに別の薬物を投与される。ある種の態様では、組成物の投与と組み合わせて、個体は付加的にミフェプリストン、ジドブジン(AZT)、アバカビル、3TC、d4T、ddl、ddC、エファビレンズ、ネビラピン、デラビジン、アンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サンキナビル、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、インターフェロンアルファ‐2a、およびインターフェロンアルファ‐2bを含有する組成物を投与される。また、標準薬物、投与量および処方計画を使用した標準プロトコルに従って送達される別の抗ウイルス剤が使用されてもよい。
【0047】
本発明に記載の医薬組成物は、単回投与量として、または複数回投与量で投与されてもよい。本発明の医薬組成物は、別個の治療薬として、または別の治療薬との組み合わせのいずれかで投与されてもよい。本発明の処置は慣用の治療と組み合わせてもよく、そしてそれらは逐次的に、または同時に投与されてもよい。
【0048】
HIVに感染している個体を処置することに加え、本発明は、たとえばウイルスに暴露されていると推測されるハイリスク個体においてHIV感染を防ぐ方法に関する。
さらに、本発明は、HCVに陽性であると以前に診断されているが、感染の徴候を示さない患者における感染の再発を防ぐためにとりわけ有用である。
【0049】
当業者はハイリスク個体を容易に確認することができる。医療従事者は感染した血液と接触し、ウイルスに感染している個体に使用されたシリンジの注射針に直面する。外科医は手術中に自分自身を傷つける。実験室作業者、歯科医および歯科技工士は、救急医療および救助従事者ならびに法執行担当官と同じように、感染した血液と接触する。運動競技に関わる個体および性的に活発な個体もウイルスに暴露される可能性がある。どんな人も一旦感染した血液に接触すると、その個体は高い感染リスクの状態である。
【0050】
本発明はいずれか特定の理論または作用機序に限定されず、そして現在、本明細書で同定された化合物はRip−1を含有するステロイド受容体複合体を遮断することにより作用すると考えられているが、そのような作用機序の説明は本発明を限定することを意図しない。本発明は以下の実施例によってさらに説明され、それらはいかなる様式においても限定することを意図しない。
【実施例】
【0051】
実施例1 経皮薬物送達
皮膚はヒト身体の最も大きく、そして最も接近可能な器官である。皮膚の透過性および血液循環に薬物を送達するその能力がそれを理想的な薬物送達経路にする。経皮薬物送達は、重要性が増している薬物投与方法である。経皮薬物送達装置は一般に、送達されることになる薬物が包含されるキャリア(たとえば液体、ゲル、もしくは個体マトリクス、または圧感受性接着剤)を含む。したがって、薬物含有キャリアは任意のアジュバントおよび賦形剤と一緒に皮膚に置かれ、皮膚に送達される。
【0052】
一般に、皮膚と接触しないキャリアの部分は、バッキング(backing)により覆われる。バッキングは環境からキャリア(および薬物を含む、キャリアに含有される成分)を保護することに役立ち、環境への薬物送達装置成分の損失を妨げる。経皮薬物送達装置に用途を見出しているバッキング材料には、金属ホイル、金属を被覆したプラスチックフィルム、ならびに単層および複層ポリマーフィルムが挙げられる。
【0053】
経皮薬物送達は、皮膚の表面からその層を通って、循環系に薬物分子を送達するために皮膚を利用する。経皮薬物送達技術は、皮膚への薬物送達速度を調節する制御系、および吸収速度を制御するために皮膚を使用する別のものからなる。
【0054】
経皮薬物送達は:受動的および能動的経皮送達の2種の様式で存在する。受動系は、駆動力として単純な濃度勾配を使用し、皮膚を介して薬物を血流に拡散させる。能動的送達系は、皮膚を横切る薬物分子の動きを促進するために物理力を必要とする。
【0055】
初めの経皮パッチは1981年に導入された。その後、経皮薬物送達の適用が拡大され、多様な治療領域においてより多くの製品を包含してきた。非常に多くの種類の薬剤、とりわけ乗り物酔いを防ぐためのスコポラミン、習慣性喫煙者から喫煙習慣の継続をやめさせることを意図したニコチン誘導体、およびエストロゲンホルモンがパッチの使用により投与されてきた。
【0056】
先行技術は経皮経路を介して薬物を負荷し、送達するための方法を教示する。米国特許第5,223,261号はエストラジオール送達のための経皮送達系の負荷および使用を記載する。米国特許第5,380,760号はプロスタグランジンを送達するための経皮送達系を記載する。米国特許第5,702,720号はフルルビプロフェン(flurbiprofen)を送達するための経皮送達系を記載する。米国特許第6,132,760号はテストステロンを送達するための経皮送達系を記載する。
【0057】
治療的有効量を構成する薬物の量は、処置されることになる状態、該薬物と共投与されるいずれかの薬物、所望する処置期間、装置が配置されることになる皮膚の表面積および位置、ならびに経皮送達装置のアジュバントおよび他の成分の選択に従って変化する。したがって、特定の好ましい量を列挙することは実用的ではないが、そのようなものは、これらおよび他の適切な因子を十分に考慮することにより、当業者は容易に決定することができる。しかし、一般に、薬物は接着層の総重量に基づいた重量で、約2〜約9パーセント、好ましくは約2.5〜6.5パーセントの量で接着層に存在する。本発明の装置は、好ましくは接着層に溶解した治療的有効量の薬物を含有する。
【0058】
また、本発明の装置の接着層は1以上のポリマー、一般には1以上のコポリマーを含有する。本発明の実施において利用されるポリマー(複数のポリマー)は、実質的に薬物に対して化学的に不活性のはずであり、そして好ましくは圧感受性皮膚接着剤である。適切な型の接着剤の例としては、単独、または組み合わせのいずれかでのアクリレート、天然および合成ゴム、ポリシロキサン、ポリウレタン、および他の当該技術分野で公知の圧感受性皮膚接着剤が挙げられる。好ましくは、接着剤はアクリレートコポリマーである。
【0059】
実施例2 経皮パッチを介したミフェプリストン/GRIIアンタゴニストの送達
HIV薬物抵抗性の出現の一因となる問題点の1種は、患者のコンプライアンスである。抗レトロウイルス治療(ART)を受けているHIV+個体は、平均して1日に数ダースの丸剤を摂取する。薬物処方における95%もの高いコンプライアンスでさえ、結果として>25%の薬物抵抗性が患者に生じる可能性があると推測されている。
【0060】
本発明はミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、組成物D1〜D20または他のGRIIアンタゴニスト(薬物)を含有する経皮送達装置を提供する。薬物は治療的有効量、すなわち状態の処置において所望する治療結果を得るために十分な量の薬物を装置が送達するために有効な量で、接着層に存在する。
【0061】
経皮パッチを介したミフェプリストンの送達は、患者が経口的に摂取しなければならない薬物の数を減らし、コンプライアンスを改善することになる。経皮薬物送達は、低い全身および定常状態薬物濃度が好ましい場合に、最も適切であろう。図2に示すように、40〜1000nM(17〜430ng/ml)のミフェプリストン濃度は首尾一貫してHIV複製を阻害した。この送達方法は患者のコンプライアンスを高め、潜在的な薬物毒性効果を低下させることができる。
【0062】
経皮送達系を介した抗ウイルス剤の送達には、いくつかの利点がある。経皮薬物送達は初回通過効果を受けず、経口経路によって送達される薬物に比較して頻繁な薬物濃度変更を引き起こさない。このことは経口薬物送達に比較して、必要とされる投与量を減少させる。皮膚パッチを介して送達される薬物治療は肝代謝を回避し、したがってより低い投与量の薬物治療が見込まれる。また、それは肝臓に対する潜在的な薬物毒性を回避する。さらに、経皮薬物送達は、単に皮膚からパッチを取り除くことにより薬物投与を停止する、という融通性を提供する。この送達系は長期間にわたり制御された量の薬物を放出する。経皮パッチ系は遅く、制御された薬物放出および吸収を提示し、血漿中薬物濃度は時間経過に従って著しく変化しない。この送達方法は患者のコンプライアンス、およびそれによる薬物抵抗性ウイルスの削減を促し、同時に潜在的な薬物毒性の効果を減少させるであろう。
【0063】
実施例3 真皮下薬物送達(埋め込み型装置)
持続放出組成物を使用する主な利点は、それを使用しなければ、多くの治療薬が患者の系から速やかに代謝されるか、または取り除かれ、治療的有効濃度を維持するために薬物の頻繁な投与を必要とすることである。
【0064】
したがって、多様な持続放出装置が経口、直腸内および皮下投与のために設計されている。“マトリクス”型装置は一般に、多孔性または非多孔性、固体または半固体、および活性化合物に対して透過性または半透過性のいずれであってもよいキャリア材料のマトリクス中に分散された活性化合物から構成される。これらの装置はかなり容易に製造される;しかし、それらはある種の薬理学的に活性な化合物の投与に適切でない。さらに、活性化合物の放出速度は時間と共に減少する。“貯蔵所(reservoir)”型装置は速度制御膜(rcm)によって囲まれた活性化合物の中心貯蔵所から構成される。rcmは一般に生体内分解性ではない、多孔性または非多孔性材料である。この型の経皮装置の場合、活性化合物の効果的な濃度を維持するために、速度制御膜は大きな表面積を持たなければならない。したがって、これらの装置の共通の不都合な点は、それらの大きなサイズが投与をかなり不便にしていることである。別の持続放出装置はハイブリッド型装置であり、それらはrcmに囲まれたマトリクスコアを含有する。さらに別の装置は事実上機械仕掛けであり、活性化合物を満たした電気または浸透圧ポンプを包含する。
【0065】
本発明の真皮植え込み型装置は、具体的な植え込み部位および所望する薬物の放出速度のような因子に適応するように、多様なサイズおよび形で製造されてもよい。薬物が避妊薬である好ましい態様では、装置は実質的に約4.2cm〜約4.6cmの好ましい全長、および約2.3mm〜約2.7mmの好ましい全直径を有する形の円柱状である。そのような場合、中心部は棒状であり、約3.8cm〜約4.2cmの好ましい長さ、および約2.0mm〜約2.2mmの好ましい直径を有する。これらの大きさは植え込み部位および植え込み方法、対象、処置されることになる状態、薬物、ならびに所望する薬物の放出速度などのような因子に依存して改変されてもよい。たとえば、植え込み型装置の長さは異なる量の薬物を送達するために変更されてもよい。
【0066】
先行技術は真皮下経路によって薬物を負荷し、そして送達するための方法を教示する。本発明に記載の真皮下植え込み型装置は、標準技術に従って容易に製作することができる。実質的に均一な分散物を得るために、一旦薬物がマトリクス材料と混合されると、結果として生じる所望する形の分散物は、造型、押出し成型、または他の適切な工程によって得られる。マトリクス材料がシリコンエラストマーのようなポリマーを含有する場合、付加的な硬化段階が必要であってもよい。次に中間層は、たとえば公知の技術に従って水中でポリマーチューブを膨潤させるか、被覆するか、またはラミネートし、その後それをマトリクス上に置き、その場で乾燥させることによるか、または機械的ラッピングにより、そのように造型されたマトリクスに適用される。外層は、同様に、機械的伸長、膨潤または浸漬のような多様な方法により適用することができる。たとえば、米国特許第3,832,252号、3,854,480号および4,957,119号を参照されたい。米国特許第5,756,115号は避妊薬を送達するための真皮下送達系の負荷、および使用を記載する。また、植え込み物の大きさは植え込み方法に基づいて決定される。本発明の装置は標準手順に従って対象に植え込まれてもよい。
【0067】
本発明はミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、組成物D1〜D5または別のGRIIアンタゴニスト(薬物)を含有する真皮下薬物送達装置を提供する。薬物は治療的有効量、すなわち、状態の処置において、装置が所望する治療結果を得るために十分な量の薬物を送達するために有効な量で、植え込み型装置に存在する。
【0068】
実施例4 持続および制御放出性薬物送達
薬物治療の有効性を改善し、可能性のある全身的副作用を軽減するために、多くの試みが行われ、制御された特性でヒト患者に薬物を送達してきた。制御放出性剤形の好都合な点は、薬学および医学の両方において公知である。制御放出性剤形の治療的利点には、比較的長期間にわたり、予め計画された投与薬物の血中レベルを維持するための薬物動態学的能力が挙げられる。また、治療的利点には同時に起こる患者コンプライアンスの増大および患者に投与される薬物の服用数の減少が挙げられる。
【0069】
先行技術は、治療に必要とされる血液の生理的および時間薬理学的要求性に適合した薬物放出速度特性を提供しようとする制御放出性剤形の利用を可能にした。たとえば、使用する患者環境に種々の薬物を送達するための浸透圧剤形は、特許所有者Theeuwes and Higuchiによって発行された米国特許第3,845,770号、および同じ特許所有者により発行された米国特許第3,916,899号に提示される。これらの特許に開示された剤形は、薬物を含有するコンパートメントを囲み、患者に薬物を送達するために出口を有する側壁を含有するように製造される。米国特許第4,008,719号;4,014,334号;4,058,122号;4,116,241号;および4,160,452号において、特許所有者Theeuwes and Ayerは、ある量の薬物の送達が必要な患者に、それを送達するための、ポリ(セルロースアシレート)からなる内および外壁を含有する剤形を利用可能にした。
【0070】
付加的な半透過性ポリマーには、アセトアルデヒドジメチルセルロースアセテート;セルロースアセテートエチルカルバメート;セルロースアセテートメチルカルバメート;セルロースジアセテートプロピルカルバメート;セルロースアセテートジエチルアミノアセテート;エチルアクリレートメチルメタクリレート、半透過性ポリアミド;半透過性ポリウレタン;半透過性スルホン化ポリスチレン;米国特許第3,173,876号;3,276,586号;3,541,005号;3,541,006号および3,546,876号に開示された、ポリアニオンとポリカチオンの共沈降により形成された半透過性架橋選択的ポリマー;米国特許第3,133,132号にLoeb and Sourirajanにより開示された半透過性ポリマー;半透過性で、わずかに架橋されたポリスチレン;半透過性架橋ポリ(スチレンスルホネートナトリウム);半透過性架橋ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド);および半透過性外壁12を通過する、静水圧、または浸透圧差の気圧毎に表された、2.5x10−8〜5x10−2(cm/時間 multidot atm)の範囲における流体透過性を有する、半透過性ポリマーが挙げられる。ポリマーは、米国特許第3,845,770号;3,916,899号および4,160,020号;ならびにHandbook of Common Polymers,by Scott,J.R.and Roff,W.J.1971,CRC Press,Cleveland,Ohioにおけるポリマー技術分野に公知である。本製品においてWall 12は実質的に単一溶媒系、たとえば溶液からコートされる場合はアセトン、または分散物としてコートされる場合は水からコートされてよい。
【0071】
本発明は、持続放出または制御放出性送達技術による、ミフェプリストン、ヒドロキシル化されているミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルされているミフェプリストン代謝産物、組成物D1〜D20または他のGRIIアンタゴニスト(薬物)の送達を提供する。
【0072】
実施例5 ミフェプリストンの効果的臨床投与量
ミフェプリストン[11β―(4ジメチルアミノフェニル)−17β−ヒドロキシ−17−α−(プロピル−1イニル)−4,9−ジエン−3−オン]は、分子量429.6(C29H35NO2)を有するグルココルチコイド受容体アンタゴニストである。いくつかの研究は、ミフェプリストンの1日経口投与(複数回投与)に関して報告している[1〜7]。これらの研究で報告された、患者血清中のミフェプリストンの定常状態濃度は図1に示される。これらの臨床研究において、35〜2300ng/mlの定常状態薬物濃度は1〜200mg(4〜30日間)の1日投与量により得られた。
【0073】
ミフェプリストンは40nM〜1000nMの範囲のin vitro投与量範囲でHIV複製阻止に効果的であることが示されていて、ミフェプリストンのIC50は8nMであると決定された(図2)。いくつかの実験室適応および臨床分離ウイルスにおいて、ミフェプリストン濃度40〜1000nM(17〜430ng/ml)は首尾一貫して>90%のウイルス複製阻害を示した(表1)。
【0074】
これらの結果は、細胞培養試験において17〜430ng/mlの濃度で認められたミフェプリストンの抗ウイルス活性は、ヒトにおいて1日1〜100mgのミフェプリストン投与により獲得できることを示す。
【0075】
【表1】

【0076】
実施例4 ミフェプリストン代謝産物
非結合ミフェプリストンは、2段階脱メチル、またはヒドロキシル化によって代謝され、初期の代謝段階はシトクロムP450(CYP)酵素CYP3A4により触媒される(Jang et al.,1996 Biochem.Pharmacol.52:753−761およびReilly et al.,1999,これらは参照として本明細書に援用される)。ミフェプリストンの3種の代謝産物が同定されている(Sarkar,2002 Eur.J.of Obstetrics&Gynecol and Reprod.Biol.101:113−120)。この化合物は脱メチルを受け、モノ‐脱メチルおよびジ‐脱メチル誘導体を生じ、同じくプロピニル基をヒドロキシル化され、ヒドロキシル化代謝産物を生じる。モノ‐脱メチルおよびヒドロキシル化代謝産物へのミフェプリストンの代謝は速やかであったが、ジ‐脱メチル誘導体の形成を導く第2メチル基の除去は、第1のものの除去より、ずっと遅く、そしてずっと低い程度に起こった。モノ脱メチル代謝産物の血清中レベルは常にミフェプリストンのそれを超えていた(Sarkar,2002)。ジ脱メチルおよびヒドロキシル化代謝産物の濃度は、摂取された投与量が400mg以上であった場合、ミフェプリストンのそれらに等しいか、上回った。モノ脱メチルおよびヒドロキシル化は速やかな高処理能力反応であるが、ジ‐脱メチルは低処理能力反応であった(Sarkar,2002)。
【0077】
異なる投薬量のそれぞれの群において、6hで測定されたミフェプリストンのプラトー濃度に比較して、個々の平均アルファ1−酸性糖蛋白質(AAG)濃度と1〜2hで測定されたピークミフェプリストン濃度間に正相関が見出された。in−vitro研究は、AAGが2.5マイクロMを超えるミフェプリストン濃度によって飽和されることを示した。血清中では、40nMおよび2.5マイクロMミフェプリストン濃度において、それぞれミフェプリストンの2.7%および2.4%は蛋白質に結合していなかった。これらの結果は、AAGが部分的にミフェプリストンの血清中濃度を調節し、そして特定の血清輸送能力を超過するミフェプリストンは効果的に代謝されることを示唆する。
【0078】
ミフェプリストンのように、これらの代謝産物は免疫学的および生物学的に活性であり、抗−プロゲステロンおよび抗−グルココルチコイド特性を保持する。ヒトグルココルチコイド受容体に対する代謝産物の相対的結合親和性は、モノ‐脱メチル、ヒドロキシル化、およびジ脱メチル代謝産物に対して、それぞれ61、48および45%であり;それぞれはデキサメタゾンまたはコルチゾールのそれ(23%)より高かった。
【0079】
表2のデータはミフェプリストン代謝産物D6、D7およびD8に関する相対的抗‐プロゲステロン、および抗−グルココルチコイド活性ならびにそのような活性の相対的関連(ration)を示す。低い流産誘発活性を示すミフェプリストン誘導体は、安全性および副作用の排除に関してミフェプリストンに勝る利点を提供する。
【0080】
【表2】

【0081】
構造
ミフェプリストンは以下の構造を有する:
【0082】
【化1】

【0083】
モノ‐脱メチルミフェプリストン代謝産物は以下の構造を有する:
【0084】
【化2】

【0085】
ジ−脱メチルミフェプリストン代謝産物は以下の構造を有する:
【0086】
【化3】

【0087】
ヒドロキシル化ミフェプリストン代謝産物は以下の構造を有する:
【0088】
【化4】

【0089】
D1、プレグナ−4,6−ジエン−3,20−ジオンは以下の構造を有する:
【0090】
【化5】

【0091】
D1はSigma製品番号:R19,725−4およびMDL番号:MFCD00199858として入手可能であり、GB929271および米国特許第3,362,968号に記載され、それらは参照としてそれぞれ本明細書に援用される。ある種の態様では、GB929271および米国特許第3,362,968号に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0092】
D2、17−α−エチニル−17−β−ヒドロキシエストラ−5(10)−エン−3−オンは以下の構造を有する:
【0093】
【化6】

【0094】
D2はSigma製品番号:R18,841−1およびMDL番号:MFCD00199015として入手可能であり、米国特許第3,024,256号に記載され、それは参照として本明細書に援用される。ある種の態様では、米国特許第3,024,256号に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0095】
D3、エポキシアザジラジオンは以下の構造を有する:
【0096】
【化7】

【0097】
D3はインド特許、IN33649およびIN67932ならびにPCT公開公報WO92/19616に記載され、それらはそれぞれ参照として本明細書に援用される。ある種の態様では、IN33649およびIN67932ならびにPCT公開公報WO92/19616に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0098】
D4、NSC641295、アストラガロシドIIは以下の構造を有する:
【0099】
【化8】

【0100】
D4はJP62012791およびWO01/01996に記載され、それらはそれぞれ参照として本明細書に援用される。ある種の態様では、JP62012791およびWO01/01996に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0101】
D5、3′アジド−3′デオキシ−5′−O−[(11−ベータ−ヒドロキシ−3−オキソ17−ベータ−アンドロスト−4−エニル)カルボニル]チミジン(ハイドロコーチゾンアセテートおよびジドブジンの組み合わせ)は以下の構造を有する:
【0102】
【化9】

【0103】
D5はハイドロコーチゾンアセテートおよびジドブジンの組み合わせである。ハイドロコーチゾンアセテートはSigma製品番号:H4126として入手可能であり;ジドブジンはSigma製品番号:11546として入手可能である。
【0104】
化合物D6はCell 1998,92:73および米国特許出願公開公報No.2002/0085995(それぞれ参照として本明細書に援用される)に開示された、プレグネノロン16−アルファ−カルボニトリルを表す。ある種の態様では、米国特許出願公開公報No.2002/0085995に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0105】
化合物D7は米国特許第4,911,916号(参照として本明細書に援用される)に開示された、プロメゲストロンを表す。ある種の態様では、米国特許第4,911,916号に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0106】
化合物D8はJ.Steriod.Biochem.1988,29:600、Endocrinol.1980,107:118および米国特許第2,142,170号(それぞれ参照として本明細書に援用される)に開示された、プロゲステロンを表す。ある種の態様では、米国特許第2,142,170号に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0107】
化合物D9はEndocrinology 1980,107:117および米国特許第3,651,049号(それぞれ参照として本明細書に援用される)に開示された、コルテキソロンを表す。ある種の態様では、米国特許第3,651,049号に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0108】
化合物D10はEndocrinology 1980,107:119(参照として本明細書に援用される)に開示された、6−ベータ−ブロモゲステロンを表す。
化合物D11はPNAS 1992,89:3571および米国特許出願公開公報No.2002/069152(それぞれ参照として本明細書に援用される)に開示された、RU43044を表す。ある種の態様では、米国特許出願公開公報No.2002/069152に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0109】
化合物D12はJ.Endocrinol.2001,169:309およびPCT公開出願No.WO00/21509(それぞれ参照として本明細書に援用される)に開示された、RU40555を表す。ある種の態様では、PCT公開出願No.WO00/21509に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0110】
化合物D13はLaryngoscope 2002,112:298および米国特許第3,143,288号(それぞれ参照として本明細書に援用される)に開示された、スピロノラクトンを表す。ある種の態様では、米国特許第3,143,288号に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0111】
化合物D14はBiol Pharm Bull 2002,25:1223、J Biolog.Chem 2000,275:17771および米国特許第5,719,136号(それぞれ参照として本明細書に援用される)に開示された、オナプリストンを表す。ある種の態様では、米国特許第5,719,136号に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0112】
化合物D15はMol Pharm 2003,63:1012および米国特許出願公開公報No.2004/0087563(それぞれ参照として本明細書に援用される)に開示された、酢酸シプロテロンを表す。ある種の態様では、米国特許出願公開公報No.2004/0087563に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0113】
化合物D16はJ Biolog.Chem 2000,275:177711および米国特許第4,973,755号(それぞれ参照として本明細書に援用される)に開示された、トランス4−ヒドロキシタモキシフェンを表す。ある種の態様では、米国特許第4,973,755号に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0114】
化合物D17はEndocrinology 1999,140:1449(参照として本明細書に援用される)に開示された、RTI−3021−012を表す。
化合物D18はEndocrinology 1999,140:1450(参照として本明細書に援用される)に開示された、RTI−3021−022を表す。
【0115】
化合物D19はJ.Pharmacol.Exp.Ther.1980,212:225および米国特許第3,954,970号(それぞれ参照として本明細書に援用される)に開示された、アクチノマイシンDを表す。ある種の態様では、米国特許第3,954,970号に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0116】
化合物D20はJ.Pharmacol.Exp.Ther.1980,212:226および米国特許第3,214,431号(それぞれ参照として本明細書に援用される)に開示された、シクロヘキシミドを表す。ある種の態様では、米国特許第3,214,431号に記載された別の化合物が本発明に従って使用されてもよい。
【0117】
参考文献
本明細書に引用された参考文献(以下に示すものを含む)は参照として本明細書に援用される。
【0118】
【表3】

【0119】
関連する出願への相互参照
本出願は、2003年6月20日に出願された、米国仮出願番号60/480,500および米国仮出願番号60/480,393の利益を主張する。これらの出願それぞれの全開示は参照として本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】公開された研究において報告された、患者血清中のミフェプリストンの定常状態血清中濃度を示す。これらの臨床研究では、35〜2300ng/mlの定常状態血清中濃度は1〜200mgの1日投与量により達成された。
【図2】ミフェプリストンによるウイルス複製阻害に関するデータを示す。U937細胞は、異なる濃度のミフェプリストンを補足された野生型HIV−1 NL43ウイルスに感染された。ミフェプリストンによるウイルス複製の阻害は、用量依存的であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤的に受容できるキャリアまたは希釈剤;および
ミフェプリストン、式D1〜D20、および薬剤的に受容できるその塩、からなる群から選択される構造を有する1以上の化合物
を含有する医薬組成物であって;
ここで前記化合物は個体においてHIVを阻止するために有効な量で存在し、前記組成物は、
経皮パッチとして製剤された組成物;
真皮下送達系として製剤された組成物;および
制御/持続放出性製剤、からなる群から選択される形状をとる、前記医薬組成物。
【請求項2】
ジドブジン(AZT)、アバカビル、3TC、d4T、ddl、ddC、エファビレンズ、ネビラピン、デラビジン、アンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サンキナビル、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、インターフェロンアルファ‐2a、およびインターフェロンアルファ‐2b、からなる群から選択される構造を有する1以上の化合物をさらに含有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物が経皮パッチとして製剤された組成物の形状をとる、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記組成物が皮下送達系として製剤された組成物の形状をとる、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記組成物が制御/持続放出性製剤の形状をとる、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記組成物がミフェプリストンを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記組成物が10〜120mgミフェプリストンを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記組成物が60mgミフェプリストンを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記組成物が30mgミフェプリストンを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の組成物の治療的有効量を、HIVに感染している個体に投与する段階を含む、前記個体を処置する方法。
【請求項11】
前記個体が17〜430ng/mlの定常状態血清中薬物濃度を達成するための投与量レベルでミフェプリストンを投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ハイリスク個体であると確認された個体においてHIV感染を防ぐ方法であって、予防的有効量の請求項1〜9に記載の組成物を前記個体に投与する段階を含む、前記方法。
【請求項13】
前記個体が17〜430ng/mlの定常状態血清中薬物濃度を達成するための投与量レベルでミフェプリストンを投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
10〜120mgミフェプリストン、薬剤的に受容できるその塩またはそれらの組み合わせを含有する医薬組成物。
【請求項15】
前記組成物が60mgミフェプリストンを含有する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組成物が30mgミフェプリストンを含有する、請求項14〜15のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項17】
治療的有効量の請求項14〜16のいずれか1つに記載の組成物を、HIVに感染している個体に投与する段階を含む、前記個体を処置する方法。
【請求項18】
前記個体が17〜430ng/mlの定常状態血清中薬物濃度を達成する投与量レベルでミフェプリストンを投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ハイリスク個体として同定された個体において、HIV感染を防ぐ方法であって、請求項14〜16のいずれか1つに記載の組成物の予防的有効量を前記個体に投与する段階を含む、前記方法。
【請求項20】
前記個体が17〜430ng/mlの定常状態血清中薬物濃度を達成する投与量レベルでミフェプリストンを投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
薬剤的に受容できるキャリアまたは希釈剤;および
ヒドロキシル化ミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルミフェプリストン代謝産物、化合物D1〜D20、および薬剤的に受容できるその塩、からなる群から選択される構造を有する1以上の化合物
を含有する医薬組成物であって;ここで前記化合物は個体においてHIVを阻止するために有効な量で存在する、前記医薬組成物。
【請求項22】
ミフェプリストン、ジドブジン(AZT)、アバカビル、3TC、d4T、ddl、ddC、エファビレンズ、ネビラピン、デラビジン、アンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サンキナビル、アシクロビル、ガンシクロビル、ホスカルネット、インターフェロンアルファ‐2a、およびインターフェロンアルファ‐2bからなる群から選択される構造を有する1以上の化合物をさらに含有する、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
10〜120mgのヒドロキシル化ミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルミフェプリストン代謝産物、薬剤的に受容できるその塩、またはそれらの組み合わせ、を含有する、請求項21〜22のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項24】
60mgのヒドロキシル化ミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルミフェプリストン代謝産物、薬剤的に受容できるその塩、またはそれらの組み合わせを含有する、請求項21〜23のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項25】
30mgのヒドロキシル化ミフェプリストン代謝産物、モノ脱メチルミフェプリストン代謝産物、ジ脱メチルミフェプリストン代謝産物、薬剤的に受容できるその塩、またはそれらの組み合わせを含有する、請求項21〜24のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項26】
請求項21〜25のいずれか1つに記載の組成物の治療的有効量をHIVに感染している個体に投与する段階を含む、前記個体を処置する方法。
【請求項27】
ハイリスク個体であると確認された個体においてHIV感染を防ぐ方法であって、予防的有効量の請求項21〜26のいずれか1つに記載の組成物を前記個体に投与する段階を含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−524616(P2007−524616A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517491(P2006−517491)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/019820
【国際公開番号】WO2004/112724
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505469528)ヴァイラル・ジェノミックス・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】