説明

HIVを阻害する5−アミド置換されたピリミジン

【化1】


本発明は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)複製阻害特性を有する式(I)のピリミジン誘導体、その製造およびこれらの化合物を含んでなる製薬学的組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)複製阻害特性を有する5−アミド置換されたピリミジン、その製造およびこれらの化合物を含んでなる製薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在利用可能なHIV薬に対するHIVウイルスの耐性は、治療の失敗の主要原因であり続ける。これは、通常は異なる活性プロフィールを有する2つもしくはそれ以上の抗HIV薬の併用療法の導入につながっている。HAART療法(高活性抗レトロウイルス療法)の導入により著しい進展がもたらされ、それはそれで処置したHIV患者集団における罹患率および死亡率の顕著な減少をもたらしている。HAARTは、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)およびプロテアーゼ阻害剤(PI)の様々な組み合わせを伴う。しかしこれらの多剤療法でさえHIVを完全に除くわけではなく、そして長期の処置は多剤耐性をもたらすことが多い。多くの場合において、耐性ウイルスは新たに感染した個体に持ち越され、そのような薬剤陰性患者の限られた治療選択肢をもたらす。
【0003】
従って、HIVに対して有効である有効成分の新規組み合わせの継続的必要性がある。化学構造および活性プロフィールの異なる新タイプの抗HIV薬は、新タイプの併用療法において必要とされる。従って、そのような有効成分を見出すことは非常に望ましい達成すべき目標である。
【0004】
本発明は、HIV複製阻害特性を有する特定の新規な一連のピリミジン誘導体を提供することを目的としている。特許文献1、特許文献2および特許文献3は、HIV複製阻害特性を有するある種の置換されたアミノピリミジンを開示する。
【0005】
本発明の化合物は、それらの構造ならびにそれらの薬理学的プロフィールに関して先行技術化合物と異なる。特に置換されたピリミジンの5位におけるある種の置換基の導入は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の複製を阻害するそれらの能力に関してだけでなく、突然変異体株、特に1つもしくはそれ以上の既知のNNRTI薬に耐性になっている株(これらの株は薬剤もしくは多剤耐性HIV株と呼ばれる)の複製を阻害するそれらの向上した能力によっても好ましく作用する化合物をもたらすことが見出された。
【0006】
【特許文献1】WO 99/50250明細書
【特許文献2】WO 00/27825明細書
【特許文献3】WO 01/85700明細書
【発明の開示】
【0007】
従って、1つの態様において、本発明は式
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
各Rは独立して水素;アリール;ホルミル;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニルであり;
、R、RおよびRは独立して水素;ヒドロキシ;ハロ;C3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;カルボキシル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;シアノ;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ;ポリハロC1〜6アルキル;ポリハロC1〜6アルキルオキシ;−C(=O)R10;場合によりハロ、シアノもしくは−C(=O)R10で置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりハロ、シアノもしくは−C(=O)R10で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合によりハロ、シアノもしくは−C(=O)R10で置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;
およびRは独立してヒドロキシ;ハロ;C3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;カルボキシル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;ホルミル;シアノ;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ;ポリハロC1〜6アルキル;ポリハロC1〜6アルキルオキシ;−C(=O)R10;−S(=O)10;−NH−S(=O)10;−NHC(=O)H;−C(=O)NHNH;−NHC(=O)R10;Het;−Y−Het;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、HetでまたはC1〜6アルキルオキシで置換されていてもよいC1〜12アルキル;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、HetでまたはC1〜6アルキルオキシで置換されていてもよいC2〜12アルケニル;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、HetでまたはC1〜6アルキルオキシで置換されていてもよいC2〜12アルキニルであり;
はC3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;アリール;Het;ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、モノ−およびジ−C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、アリール、Het、場合により1もしくは2個のC1〜6アルキル基で置換されていてもよいジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、場合によりC1〜6アルキルもしくはC1〜6アルキルカルボニルで置換されていてもよいピペラジニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アリールC1〜6アルキルオキシカルボニルおよびC3〜7シクロアルキルから選択される基で置換されたC1〜6アルキルであるか;またはRは2個のC1〜6アルキルオキシ基で置換されたC1〜6アルキルであり;
は水素もしくはC1〜6アルキルであり;あるいは
とRはそれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジニル;ピペリジニル;モルホリニル;ピペラジニル;場合によりC1〜6アルキルもしくはC1〜6アルキルカルボニルで置換されていてもよいピペラジニルを形成し;
各R10は独立してC1〜6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、またはポリハロ−C1〜6アルキルであり;
Xは−NR−、−O−、−C(=O)−、−CH−、−CHOH−、−S−、−S(=O)−であり;
各Yは独立して−NR−、−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−であり;
各rは独立して1もしくは2であり;
各Hetは独立してピリジル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、キノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリルであり;これらは各々場合によりC1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1〜6アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシでもしくはシアノで置換されたC2〜12アルケニルから各々独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよく;
各アリールは独立してフェニルもしくはハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノおよびジ(C1〜6アルキル)−アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、フェニルC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノスルホニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、フェニル、Hetおよび−Y−Hetから各々独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されたフェニルである]
の化合物、立体化学的異性体、その製薬学的に許容しうる付加塩、その製薬学的に許容しうる水和物もしくは溶媒和物、そのN−オキシドに関する。
【0010】
上記もしくは下記に用いる場合、基もしくは基の一部としてのC1〜4アルキルは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピル、t.ブチルのような1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;基もしくは基の一部としてのC1〜6アルキルは、C1〜4アルキルについて定義した基および1−ペンチル、2−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチルブチル、3−メチルペンチルなどのような1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;C1〜2アルキルはメチルもしくはエチルを定義し;C3〜7シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルの総称である。C1〜6アルキルの中で好ましいのは、C1〜4アルキルもしくはC1〜2アルキルである。C3〜7シクロアルキルの中で好ましいのは、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0011】
基もしくは基の一部としての「C2〜6アルケニル」という用語は、例えば、エテニル(もしくはビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(もしくはアリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、2−メチル−1−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−メチル−2−ペンテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニルなどのような、飽和した炭素−炭素結合および少なくとも1個の二重結合を有しそして2〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義する。好ましいのは、1個の二重結合を有するC2〜6アルケニルである。C2〜6アルケニル基の中で興味深いのは、C2〜4アルキル基である。「C3〜6アルケニル」という用語はC2〜6アルケニルのとおりであるが、3〜6個の炭素原子を有する不飽和炭化水素基に限定される。C3〜6アルケニルがヘテロ原子に連結される場合において、ヘテロ原子に連結される炭素原子は好ましくは飽和している。「C2〜12アルケニル」という用語はC2〜6アルケニルのとおりであるが、2〜12個の炭素原子を有し、そしてC2〜
アルケニル基および1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−メチル−1−ヘキセニル、1,2−ジメチル1−ペンテニル、2−メチル−1−ヘキセニル、2−エチル−2−ペンテニル、3−プロピル−2−ヘキセニル、1−オクテニル、2−オクテニル、1−ノネニル、1−デセニル、1−ウンデセニル、1−ドデセニルなどのような高級同族体が包含される。C2〜12アルケニルの中で好ましいのは、C2〜6アルケニル基である。
【0012】
基もしくは基の一部としての「C2〜6アルキニル」という用語は、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、2−メチル−2−ブチニル、2−メチル−2−ペンチニルなどのような、飽和した炭素−炭素結合および少なくとも1個の三重結合を有しそして2〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義する。好ましいのは、1個の三重結合を有するC2〜6アルキニルである。C2〜6アルキニル基の中で興味深いのは、C2〜4アルキル基である。「C3〜6アルキニル」という用語はC2〜6アルキニルのとおりであるが、3〜6個の炭素原子を有する不飽和炭化水素基に限定される。C3〜6アルキニルがヘテロ原子に連結される場合において、ヘテロ原子に連結される炭素原子は好ましくは飽和している。「C2〜12アルキニル」という用語はC2〜6アルキニルのとおりであるが、2〜12個の炭素原子を有し、そしてC2〜6アルキニル基および1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、1−ノニニル、1−デシニル、1−ウンデシニル、1−ドデシニルなどのような高級同族体が包含される。C2〜12アルキニルの中で好ましいのは、C2〜6アルキニル基である。
【0013】
上記に本明細書において用いる場合、(=O)という用語は、炭素原子に結合している場合にはカルボニル部分、硫黄原子に結合している場合にはスルホキシド部分、そして該用語の2つが硫黄原子に結合している場合にはスルホニル部分を形成する。
【0014】
カルボキシル、カルボキシもしくはヒドロキシカルボニルという用語は、基−COOHをさす。
【0015】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨードの総称である。
【0016】
基もしくは基の一部としての、例えばポリハロC1〜6アルコキシにおける、「ポリハロC1〜6アルキル」という用語は、モノ−もしくはポリハロ置換されたC1〜6アルキル、特に1個もしくはそれ以上のフルオロ原子を有するメチルもしくはエチル、例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルのような、1、2、3、4、5、6個までもしくはそれ以上のハロ原子で置換されたC1〜6アルキルとして定義される。好ましいのは、トリフルオロメチルである。また包含されるのは、全ての水素原子がフルオロ原子で置換されるC1〜6アルキル基、例えばペンタフルオロエチルである、ペルフルオロC1〜6アルキル基である。1個より多くのハロゲン原子がポリハロC1〜6アルキルの定義内でアルキル基に結合している場合、これらのハロゲン原子は同じもしくは異なることができる。
【0017】
Hetの定義において記載される複素環のいずれも、例えば、オキサジアゾールは1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾールもしくは1,2,3−オキサジアゾールであることができ;同様に、チアジアゾールについてそれは1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールもしくは1,2,3−チアジアゾールであることができ;同様に、イミダゾールは1H−イミダゾールもしくは3H−イミダゾールであることができるような任意の異性体を含んでなるものとする。
【0018】
式(I)の化合物の定義においてもしくは本明細書に特定される亜群のいずれかにおいて基が存在する場合はいつでも、該基は独立して式(I)の化合物の定義において上記にもしくは以下に特定されるようなより限定された定義において特定したとおりである。
【0019】
また、定義において用いられる任意の分子部分上の基の位置は、それが化学的に安定である限りそのような部分上の任意の場所であり得ることにも留意すべきである。例えば、ピリジンには2−ピリジン、3−ピリジンおよび4−ピリジンが包含され;ペンチルには1−ペンチル、2−ペンチルおよび3−ペンチルが包含される。
【0020】
任意の可変記号(例えば、ハロゲン、C1〜6アルキル、アリール、Hetなど)が任意の部分において1回より多く存在する場合、各定義は独立している。
【0021】
本明細書に特定される基の任意の限定された定義は、式(I)の化合物の群にならびに本明細書に定義されるかもしくは記載される任意の亜群に適用可能であるものとする。
【0022】
置換基から環系に引かれた線は、該結合が適当な環原子のいずれかに結合し得ることを示す。
【0023】
「式(I)の化合物」という用語もしくは「本発明の化合物」などのような任意の同様の用語は、また、1もしくは数個の窒素原子がN−オキシド形態に酸化される式(I)の化合物である、式(I)の化合物の任意のN−オキシド形態も含んでなるものとする。
【0024】
本発明の化合物が形成することができる製薬学的に許容しうる付加塩は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、ヘミ硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸;または例えば酢酸、アスパラギン酸、ドデシル硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ニコチン酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノ−サリチル酸、パモン酸などのような有機酸のような適切な酸を用いて都合よく製造することができる。逆に、該酸付加塩形態を適切な塩基での処理により遊離塩基形態に転化することができる。
【0025】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物は、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの製薬学的に許容しうる金属もしくはアミン付加塩形態に転化することができる。適切な塩基塩形態は、例えばアンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基、例えば第一級、第二級および第三級脂肪族および芳香族アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4つのブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリンとの塩、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ヒドラバミン(hydrabamine)塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。逆に、該塩形態を酸での処理により遊離酸形態に転化することができる。
【0026】
本発明はまた、式(I)の化合物が形成することのできる水和物および溶媒付加形態も含んでなる。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0027】
式(I)の化合物およびその付加塩のいくつかは、1個もしくはそれ以上のキラリティ
ー中心を含有し、そして立体化学的異性体として存在し得ることが理解される。特に興味深いのは、立体化学的に純粋である式(I)の化合物である。
【0028】
「立体化学的異性体」という用語は、上記に用いる場合、式(I)の化合物およびその付加塩が有することのできる可能な立体異性体の全てを定義する。他に記載されないかもしくは示されない限り、化合物の化学表示は全ての可能な立体化学的異性体の混合物を意味し、該混合物は、基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび鏡像異性体、ならびに他の異性体を実質的に含まない、すなわち、その10%未満、好ましくは5%未満、特に2%未満そして最も好ましくは1%未満と関連する式(I)の個々の異性体およびそれらの塩もしくは溶媒和物の各々を含有する。従って、式(I)の化合物が例えば(E)と特定される場合、これは該化合物が(Z)異性体を実質的に含まないことを意味する。特に、ステレオジェン中心はR−もしくはS−立体配置を有することができ;2価の環式の(部分的に)飽和した基上の置換基は、シス−もしくはトランス−立体配置のいずれかを有することができる。
【0029】
二重結合を有する化合物は、該二重結合でE(反対側(entgegen))もしくはZ(同じ側(zusammen))−立体化学を有することができる。シス、トランス、R、S、EおよびZという用語は、当業者に周知である。
【0030】
式(I)の化合物のいくつかはまた、それらの互変異性形態で存在することもできる。そのような形態は、上記の式において明白に示されないが本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0031】
本発明はまた、本発明の化合物に存在する原子の任意の同位体も包含するものとする。例えば、水素の同位体にはトリチウムおよび重水素が包含され、そして炭素の同位体にはC−13およびC−14が包含される。
【0032】
上記もしくは下記に用いる場合はいつでも、「式(I)の化合物」、「本発明の化合物(the present compounds)」、「本発明の化合物(the compounds of the present invention)」という用語もしくは任意の同等な用語、および同様に「式(I)の化合物の亜群」、「本発明の化合物の亜群(subgroups of the present compounds)」、「本発明の化合物の亜群(subgroups of the compounds of the present invention)」もしくは任意の同等な用語には、一般式(I)の化合物もしくは一般式(I)の化合物の亜群ならびにそれらの塩および立体異性体が包含されるものとする。
【0033】
置換基が、例えばRおよびRについてのような、定義のリストから各々独立して選択できることを上記にもしくは下記に言及する場合はいつでも、化学的に可能であるかもしくは標準的な製薬学的方法においてそれらを処理することができるような化学的安定性の分子をもたらす任意の可能な組み合わせが包含されるものとする。
【0034】
本発明の態様Aは、Rが水素である式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0035】
本発明の態様Bは、
(a)R、R、RおよびRが独立して水素;ヒドロキシ;ハロ;C1〜6アルキル;C3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;カルボキシル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;シアノ;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ;ポリハロC1〜6アルキル;ポリハロC1〜6アルキルオキシ;−C(=O)
10である;
(b)R、R、RおよびRが独立して水素;ヒドロキシ;ハロ;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシ;カルボキシル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;シアノ;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ;ポリハロC1〜6アルキル;−C(=O)R10である;
(c)R、R、RおよびRが独立して水素;ヒドロキシ;ハロ;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシ;シアノ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ;ポリハロC1〜6アルキルである;
(d)R、R、RおよびRが独立して水素;ハロ;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシ;シアノである;
(e)R、R、RおよびRが独立して水素;ハロ;C1〜6アルキル;シアノである;
(f)RおよびRが水素であり、そしてRおよびRが独立して水素;ハロ;シアノである
態様Aのもののような、式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0036】
本発明の態様Cは、
(a)RおよびRが独立してヒドロキシ;ハロ;C1〜6アルキルオキシ;カルボキシル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;ホルミル;シアノ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ;ポリハロC1〜6アルキル;−C(=O)R10;Het;−Y−Het;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−およびジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC1〜12アルキル;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−およびジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC2〜12アルケニル;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC2〜12アルキニルである;
(b)RおよびRが独立してヒドロキシ;ハロ;C1〜6アルキルオキシ;カルボキシル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;ホルミル;シアノ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ;ポリハロC1〜6アルキル;−C(=O)R10;Het;−Y−Het;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC1〜12アルキル;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC2〜12アルケニル;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC2〜12アルキニルであり;そしてここで、各Hetが特に、場合によりハロ、C1〜6アルキル、シアノ、カルボキシル、−C(=O)−R10で置換されていてもよい、チエニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリルから独立して選択される;
(c)RおよびRが独立してヒドロキシ;ハロ;C1〜6アルキルオキシ;カルボキシル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;シアノ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ;−C(=O)R10;Het;−Y−Het;場合によりシアノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりシアノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合によりシアノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;そしてここで、各Hetが特に、場合によりハロ、C1〜6アルキル、シアノ、カルボキシル、−C(=O)−R10で置換されていてもよい、チエニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリルから独立して選択される;
(d)RおよびRが独立してハロ;カルボキシル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;シアノ;C(=O)−R10;Het;−Y−Het;場合によりシアノ、−C(
=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりシアノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC2〜12アルケニルであり;そしてここで、各Hetが特に、場合によりハロ、C1〜6アルキル、シアノ、カルボキシル、−C(=O)−R10で置換されていてもよい、チエニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリルから独立して選択される;
(e)RおよびRが独立してシアノ;−C(=O)R10;Het;場合によりシアノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりシアノ、−C(=O)−R10、Hetで置換されていてもよいC2〜6アルケニルであり;そしてここで、各Hetが特に独立して、各々場合によりシアノ、−C(=O)−R10で置換されていてもよい、チエニルもしくはフラニルである;
(f)RおよびRが独立してシアノ;シアノで置換されたC1〜6アルキル;シアノで置換されたC2〜6アルケニルである
態様AもしくはBのもののような、式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0037】
本発明の態様Dは、
(a)RがC3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;アリール;Het;ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、モノ−およびジ−C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、アリール、Het、場合により1もしくは2個のC1〜6アルキル基で置換されていてもよいジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいピペラジニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アリールC1〜6アルキルオキシカルボニルおよびC3〜7シクロアルキルから選択される基で置換されたC1〜6アルキルであり;
が水素もしくはC1〜6アルキルであるか;または
とRがそれらが置換される窒素原子と一緒になってピロリジニル;ピペリジニル;モルホリニル;場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいピペラジニルを形成する;
(b)RがC3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;アリール;Het;ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ジ−C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、アリール、Het、2個のC1〜6アルキル基で置換されたジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、C1〜6アルキルオキシカルボニルおよびC3〜7シクロアルキルから選択される基で置換されたC1〜6アルキルであり;
が水素もしくはC1〜6アルキルであるか;または
とRがそれらが置換される窒素原子と一緒になってモルホリニル;C1〜6アルキルで置換されたピペラジニルを形成する;
(c)RがC3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、アリール、Het、C1〜6アルキルオキシカルボニルから選択される基で置換されたC1〜6アルキルであり;
が水素である;
(d)Rがシアノ、Hetから選択される基で置換されたC1〜6アルキルである
ここで、(a)、(b)、(c)もしくは(d)においてアリールおよびHetが式(I)もしくは(I’)の化合物またはこれらの化合物の亜群の定義におけるとおりであり;あるいはここで、(a)、(b)、(c)もしくは(d)においてアリールが場合によりC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、ハロ、アミノスルホニル、ジC1〜6アルキルアミノで置換されていてもよいフェニルであり;そして/もしくはHetが各々場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいピリジル、チエニル、フラニルであり;あるいはここで、(a)、(b)、(c)もしくは(d)においてHetが好ましくは
ピリジルであり;あるいはここで、(a)、(b)、(c)もしくは(d)においてC3〜7シクロアルキルがシクロプロピルである
態様A、BもしくはCのもののような、式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0038】
本発明の態様Eは、各アリールが独立して本明細書に定義したとおりであることができるかまたは特に各アリールが独立して場合によりC1〜6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジC1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルオキシ、アミノスルホニル、Het(後者はさらに特にチアジアゾリルである)で置換されていてもよいフェニルであることができる、態様A、B、CもしくはDのもののような、式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0039】
本発明の態様Fは、各Hetが独立して本明細書に定義したとおりであることができるかまたは特に各Hetが独立してピリジル、チエニル、チアゾリル、フラニルであることができ、これらの各々が場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよく;またはさらに特に各Hetが独立して場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいピリジル、チエニル、チアゾリル、場合によりC1〜6アルキルで置換されていてもよいフラニルであることができる、態様A、B、C、DもしくはEのもののような、式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0040】
本発明の態様Gは、各R10が独立してC1〜6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノである、態様A、B、C、D、EもしくはFのもののような、式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0041】
本発明の態様Hは、
Xが−NR−、−O−、−S−、−S(=O)−である;
Xが−NR−、−O−である;
Xが−NR−である;
Xが−NH−である
態様A、B、C、D、E、FおよびGのもののような、式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0042】
本発明の態様Iは、各Yが独立して−NR−、−O−、−S−、−S(=O)−であるか;もしくは各Yが独立して−NR−である、態様A、B、C、D、E、F、GおよびHのもののような、式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0043】
本発明の態様Jは、各rが独立して2である、態様A、B、C、D、E、F、G、HおよびIのもののような、式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0044】
本発明の態様Kは、各Hetが独立してピリジル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、キノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニルであり;これらが各々場合によりC1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1〜6アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシでもしくはシアノで置換されたC2〜12アルケニルから各々独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよい、態様A、B、C、D、E、F、G、H、IおよびJのもののような、式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0045】
本発明の態様Lは、各アリールが独立してフェニルあるいは上記のものからまたは特に
(a)ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノおよびジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、フェニルC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノスルホニル、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、フェニル、Hetおよび−Y−Hetから;もしくは
(b)ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノおよびジ(C1〜6アルキル)−アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、フェニルC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、シアノ、ポリハロC1〜6アルキル、アミノカルボニルから
各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである、態様A、B、C、D、E、F、G、H、I、JおよびKのもののような、式(I)の化合物もしくは式(I)の化合物の亜群のいずれかを含んでなる。
【0046】
本発明の1つの態様は、式
【0047】
【化2】

【0048】
[式中、X、R、R、R、R、R、RおよびRは上記に定義したとおりである]の化合物、その製薬学的に許容しうる付加塩もしくは立体化学的異性体に関する。
【0049】
特定の態様において、式(I)もしくは(I’)の化合物またはその任意の亜群におけるRは−CH−CH−CN、−CH=CH−CNもしくは−C≡C−CNである。特に興味深いのは、Rが−CH=CH−CNの(E)−異性体である化合物である。
【0050】
別の態様は、以下の制限:
(i)各Rは独立して水素、アリール、ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルである;
(ii)Rはヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、カルボキシル、シアノ、−C(=O)R10、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、ポリハロメチルである;
(iii)Xは−NR−、−O−、−S−、−S(=O)−である;
(iv)RはH、C1〜6アルキル、ハロである;
(v)RはH、C1〜6アルキル、ハロである;
(vi)RはC3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;アリール;Het
;ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ジ−C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、アリール、Het、2個のC1〜6アルキル基で置換されたジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、C1〜6アルキルオキシカルボニルおよびC3〜7シクロアルキルから選択される基で置換されたC1〜6アルキルであり;
は水素もしくはC1〜6アルキルであるか;または
とRはそれらが置換される窒素原子と一緒になってモルホリニル;C1〜6アルキルで置換されたピペラジニルを形成する;
(vii)Rは水素もしくはC1〜6アルキルであるか;または特にRは水素である;
(viii)各アリールはフェニルもしくはハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノおよびジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニルから各々独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されたフェニルである
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)もしくは(I’)の化合物またはその任意の亜群に関する。
【0051】
別の態様は、以下の制限:
(i)Rは−CH−CH−CNもしくは−CH=CH−CNであるか;または特にここで、Rは−C=CH−CNである;
(ii)Rは水素、ホルミル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシカルボニルである;
(ii−a)Rは水素、C1〜6アルキルである;
(ii−b)Rは水素、メチルである;
(ii−c)Rは水素である;
(iii)Rはシアノ、アミノカルボニルであるか;もしくはここで(iii−a)Rはシアノである;
(iv)Xは−NR−、−O−である;
(iv−a)Xは−NR−である;
(iv−b)Xは−NH−、−N(C1〜4アルキル)−、−O−である;
(iv−c)Xは−NH−である;
(v)RはH、C1〜6アルキル、ハロである;
(v−a)RはH、C1〜4アルキル、ハロである;
(v−b)RはC1〜4アルキルである;
(vi)RはH、C1〜6アルキル、ハロである;
(vi−a)RはH、C1〜4アルキル、ハロである;
(vi−b)RはC1〜4アルキルである;
(vii)RはC3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;アリール;Het;ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ジC1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、アリール、Het、2個のC1〜6アルキル基で置換されたジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、C1〜6アルキルオキシカルボニルおよびC3〜7シクロアルキルから選択される基で置換されたC1〜6アルキルであり;
は水素もしくはC1〜6アルキルであるか;または
とRはそれらが置換される窒素原子と一緒になってモルホリニル;C1〜6アルキルで置換されたピペラジニルを形成する;
(viii)Rは水素もしくはC1〜6アルキルであるか;または特にRは水素で
ある
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)もしくは(I’)の化合物またはその任意の亜群に関する。
【0052】
式(I)もしくは(I’)の化合物のさらに別の亜群は、
(a)R10が水素、C1〜4アルキルであるか;または(b)R10が水素もしくはC1〜2アルキルである
式(I)もしくは(I’)の化合物またはその任意の亜群である。
【0053】
式(I)の化合物の別の亜群は、
(a)アリールがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノおよびジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである
(b)アリールがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノおよびジ(C1〜6アルキル)アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである
(c)アリールがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノおよびジ(C1〜6アルキル)アミノ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである
(d)アリールがフェニルまたはハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルから各々独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されたフェニルである
式(I)もしくは(I’)の化合物またはこれらの化合物の任意の亜群である。
【0054】
特に興味深いのは、実験部分の表に記載される、化合物番号9、10、12、14、15、19、21、23、33、37、45、46、47、49、53、54ならびに特に化合物番号15および46である。
【0055】
式(I)の化合物は、アミド結合形成反応において、カルボン酸もしくはその活性型(II)をアミン(III)と反応させることにより製造することができる。
【0056】
【化3】

【0057】
アミド結合形成反応は、カップリング剤の存在下で出発物質(II)をアミン(III)と反応させることによりあるいは(II)におけるカルボキシル官能基を活性エステルもしくはカルボン酸ハロゲン化物、特に酸塩化物もしくは臭化物、アジド、混合炭酸−カルボン酸無水物(例えば、クロロギ酸イソブチルとの反応による)、または活性エステル(例えば、p−ニトロフェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミド(N−hydroxysuccinic imido)エステル)のような活性型に転化することにより行うことができる。アミン(III)はまた、カルボン酸低級アルキルエステル、(III)の誘導体、特にメチルもしくはエチルエステルと反応させることもできる。カップリング剤の例には、カルボジイミド(ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、もしくはN−エチル−N’−[(3−ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドのような水溶性カルボジイミド)もしくはカルボニルジイミダゾールが包含される。適当な触媒の添加は、例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールもしくは4−DMAPを加えることによりカルボジイミド法において、反応速度を高めるために推奨され得る。
【0058】
アミド結合形成反応は、好ましくは、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、双極性非プロトン性溶媒、例えばアセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エーテル、例えばテトラヒドロフランのような反応不活性溶媒において行われる。多くの場合において、カップリング反応は第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジンもしくは4−DMAPのような適当な塩基の存在下で行われる。
【0059】
中間体(II)は、WO 03/016306に記載のとおり製造することができる、式(IV)の出発物質を最初にハロゲン化することにより製造することができる。他の脱離基は、適当な試薬を用いてハロ基を置換することにより導入することができる。このようにして得られる中間体(V)をピリミジン部分の5位に基−COORを有する対応する中間体(VI)に転化する。この基におけるRはC1〜6アルキル基、特にC1〜2アルキル基であることができる。次の段階において、中間体(VI)をC1〜6アルカノール、特にメタノールもしくはエタノールおよび適当な触媒、例えばジクロロビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)の存在下で加圧COガスと反応させる。中間体(VI)は次に、塩基性もしくは酸性条件下で当該技術分野で既知の酸へのエステル転化反応により対応する酸(II)に転化される。
【0060】
【化4】

【0061】
上記の反応スキームにおける中間体(IV)はWO 99/50250に記述されており、もしくはこの参考文献に記述される合成方法に従って製造することができる。
【0062】
式(II)の中間体はまた、式(VII)(式中、Wは上記に特定したとおり適当な脱離基を表し、そしてAは基
【0063】
【化5】

【0064】
のような保護されたカルボキシル基を表す)の中間体を式(VIII)の中間体と反応させることにより製造することもできる。
【0065】
【化6】

【0066】
(VIII)と(VII)との反応は、典型的には適当な溶媒の存在下で行われる。例えば、適当な溶媒は例えばエタノール、2−プロパノールのようなアルコール;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノンのような双極性非プロトン性溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンもしくはプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテルである。カルボキシル保護基の除去の条件は、使用する基の性質により決まる。例えば、上記のジヒドロオキサゾール基では、除去は酸での処理によってである。
【0067】
XがOである式(VI)の中間体(該中間体は式(VI−a)により表される)は、ミツノブタイプの反応において式(IX)の中間体を式(X)の中間体と反応させることにより、すなわち、メタノールもしくはTHFのような溶媒において、出発物質をアゾジカルボキシレート/トリフェニルホスフィン試薬、例えばジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)と反応させることにより製造することができる。
【0068】
【化7】

【0069】
式(I)の化合物は、第三級窒素をそのN−オキシド形態に転化するための当該技術分野で既知の方法に従って対応するN−オキシド形態に転化することができる。該N−酸化反応は、一般に、式(I)の出発物質を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより実施することができる。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適切な有機過酸化物は、例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸もしくはハロ置換されたベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸のようなペルオキシ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペ
ルオキシド、例えばtert.ブチルヒドロペルオキシドを含んでなることができる。適当な溶媒は、例えば、水、低級アルコール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、およびそのような溶媒の混合物である。
【0070】
式(I)の化合物はさらに、当該技術分野で既知の官能基転化反応を用いて相互に転化することができる。RもしくはRが水素である式(I)の化合物は、適当な溶媒、例えば酢酸の存在下で、適当なハロ導入剤、例えばN−クロロスクシンイミドもしくはN−ブロモスクシンイミドとの反応により、R、R、RもしくはRの1つもしくはそれ以上がハロを表す式(I)の化合物に転化することができる。RがC1〜6アルキルオキシカルボニルを表す式(I)の化合物は、例えば水酸化ナトリウムもしくはメトキシドのような適当な塩基との反応により、Rが水素を表す式(I)の化合物に転化することができる。Rがt.ブチルオキシカルボニルである場合、Rが水素である対応する化合物はトリフルオロ酢酸での処理により製造される。
【0071】
本発明における式(I)の化合物のいくつかおよび中間体のいくつかは、不斉炭素原子を含有し得る。該化合物および該中間体の純粋な立体化学的異性体は、当該技術分野で既知の方法の適用により得ることができる。例えば、ジアステレオ異性体は、選択的結晶化もしくはクロマトグラフィー技術、例えば向流分配、液体クロマトグラフィーおよび同様の方法のような物理的方法により分離することができる。鏡像異性体は、ラセミ混合物から最初に該ラセミ混合物を例えばキラル酸のような適当な分割剤でジアステレオマー塩もしくは化合物の混合物に転化し;次にジアステレオマー塩もしくは化合物の該混合物を例えば選択的結晶化もしくはクロマトグラフィー技術、例えば液体クロマトグラフィーおよび同様の方法により物理的に分離し;そして最後に該分離したジアステレオマー塩もしくは化合物を対応する鏡像異性体に転化することにより得ることができる。純粋な立体化学的異性体はまた、介在反応が立体特異的に起こるならば、適切な中間体および出発物質の純粋な立体化学的異性体から得ることもできる。
【0072】
式(I)の化合物および中間体の鏡像異性体を分離する代わりの方法は、液体クロマトグラフィー、特にキラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。
【0073】
中間体および出発物質のいくつかは既知の化合物であり、そして市販され得るかもしくは当該技術分野で既知の方法に従って製造することができる。
【0074】
式(VII)の中間体は、適当な溶媒、例えばテトラヒドロフランの存在下で、そして場合により適当な塩基、例えばNaCOの存在下で、式(XI)(式中、Wは上記に特定したとおりである)の中間体を式(XII)の中間体と反応させることにより製造することができる。以下の反応スキームにおける基「A」は上記に定義したとおりであるが、上記のとおりであることができる、保護されたカルボキシル基に転化される、カルボン酸エステル(−COOR、ここで、Rは上記のとおりである)を表すこともできる。
【0075】
【化8】

【0076】
中間体(X)は、下記のとおり製造することができる:
【0077】
【化9】

【0078】
上記のスキームにおける棒Rは、上記に特定したとおりである。
【0079】
式(I)の化合物は、特にヒトにおける後天性免疫不全症候群(エイズ)の病因因子であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対して、抗レトロウイルス特性(逆転写酵素阻害特性)を有する。HIVウイルスはヒトT−4細胞に優先的に感染し、そしてそれらを破壊するかもしくはそれらの正常な機能、特に免疫系の調整を改変する。結果として、感染患者は絶えず減少する数のT−4細胞を有し、それらはさらに異常にふるまう。従って、免疫防御系は感染および新生物と闘うことができず、そしてHIVに感染した患者は、通常、肺炎のような日和見感染症により、もしくは癌により死亡する。HIV感染と関連する他の症状には、血小板減少症、カポジ肉腫および進行性脱髄を特徴とする中枢神経系の感染(認知症ならびに進行性構音障害、運動失調および失見当識のような症状をもたらす)が包含される。HIV感染はさらにまた、末梢神経障害、進行性全身性リンパ節腫(PGL)およびエイズ関連複合体(ARC)とも関連している。
【0080】
本発明の化合物はまた(多)薬剤耐性HIV株、特に(多)薬剤耐性HIV−1株に対する活性も示し、さらに特に本発明の化合物は1つもしくはそれ以上の当該技術分野で既知の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤に対する耐性を獲得しているHIV株、特にHIV−1株に対する活性を示す。当該技術分野で既知の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤は、本発明の化合物以外のそして当業者に既知である非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、特に市販の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤である。本発明の化合物はまた、ヒトα−1酸性糖タンパク質にほとんどもしくは全く結合親和性を有さず;ヒトα−1酸性糖タンパク質は本発明の化合物の抗HIV活性に影響を及ぼさないかもしくは弱く影響するだけである。
【0081】
式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体は、それ
らの抗レトロウイルス特性、特にそれらの抗HIV特性、特にそれらの抗HIV−1活性のために、HIVに感染した個体の処置においてそしてこれらの感染の予防のために有用である。一般に、本発明の化合物は、その存在が酵素逆転写酵素により媒介されるかもしくは依存するウイルスに感染した温血動物の処置において有用であることができる。本発明の化合物で防ぐかもしくは処置することができる症状、特にHIVおよび他の病原性レトロウイルスと関連する症状には、エイズ、エイズ関連複合体(ARC)、進行性全身性リンパ節腫(PGL)ならびに例えばHIV媒介認知症および多発性硬化症のようなレトロウイルスにより引き起こされる慢性中枢神経系疾患が包含される。
【0082】
従って、本発明の化合物は上記の症状に対する薬剤として使用することができる。薬剤としての該使用もしくは処置の方法は、HIVおよび他の病原性レトロウイルス、特にHIV−1と関連する症状と闘うために有効な量のHIV感染患者への投与を含んでなる。特に、式(I)の化合物は、HIV感染の処置もしくは予防のための薬剤の製造において使用することができる。
【0083】
本発明のさらなる態様において、ウイルス感染、特にHIV感染と関連する症状を患っているヒトを包含する温血動物を処置する方法が提供され、該方法は、本明細書に特定したとおりの式(I)の化合物の抗ウイルス的に有効な量のヒトを包含する該温血動物への投与を含んでなる。さらに、ヒトを包含する温血動物におけるウイルス感染、特にHIV感染と関連する症状の発症を防ぐ方法が提供され、該方法は、本明細書に特定したとおりの式(I)の化合物の抗ウイルス的に有効な量のヒトを包含する該温血動物への投与を含んでなる。
【0084】
本発明はまた、式(I)の化合物の治療的に有効な量および製薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤を含んでなるウイルス感染を処置するための組成物も提供する。
【0085】
本発明の化合物は、投与目的のための様々な製薬学的形態に調合することができる。適切な組成物として、薬剤を全身投与するために通常用いられる全ての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分として、場合により付加塩形態の、特定の化合物の有効量を製薬学的に許容しうる担体とよく混合して合わせ、この担体は、投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に経口、直腸、経皮もしくは非経口注射による投与に適当な単位投与形態物が望ましい。例えば、経口用投与形態物の組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、エマルジョンおよび液剤のような経口用液状製剤の場合には例えば水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれかを:または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には澱粉、糖、カオリン、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのために、最も都合のよい経口用投与単位形態物に相当し、この場合、固形の製薬学的担体が明らかに用いられる。非経口組成物では、例えば溶解性を促進するために、他の成分を含むことができるが、通常、担体は少なくとも大部分において滅菌水を含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、ここで、担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合、適切な液状担体、沈殿防止剤などを用いることができる。また包含されるのは、使用直前に液状製剤に転化することが意図される固形製剤である。経皮投与に適当な組成物において、担体は、場合によりわずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と組み合わせて、場合により浸透促進剤および/もしくは適当な湿潤剤を含んでなってもよく、これらの添加剤は皮膚に重大な悪影響をもたらさない。該添加剤は、皮膚への投与を容易にすることができ、そして/もしくは所望の組成物を製造するのに役立つことができる。これらの組成物は様々な方法で、例えば経皮パッチとして、スポットオンとして、軟膏として投与することができる。
【0086】
本発明の化合物はまた、吸入もしくは吹送によって、この方法による投与のために当該技術分野において用いられる方法および製剤を使用して投与することもできる。従って、一般に本発明の化合物は溶液、懸濁液もしくは乾燥粉末の形態で肺に投与することができる。経口もしくは鼻吸入もしくは吹送による溶液、懸濁液もしくは乾燥粉末の送達のために開発された任意の系は、本発明の化合物の投与に適当である。
【0087】
式(I)の化合物の溶解性を促進するために、適当な成分、例えばシクロデキストリンを組成物に含むことができる。適切なシクロデキストリンは、α−、β−、γ−シクロデキストリンもしくはそのエーテルおよび混合エーテル(ここで、シクロデキストリンのアンヒドログルコース単位のヒドロキシ基の1つもしくはそれ以上は、C1〜6アルキル、特にメチル、エチルもしくはイソプロピル(例えばランダムにメチル化されたβ−CD);ヒドロキシC1〜6アルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルもしくはヒドロキシブチル;カルボキシC1〜6アルキル、特にカルボキシメチルもしくはカルボキシエチル;C1〜6アルキルカルボニル、特にアセチルで置換される)である。錯形成剤(complexant)および/もしくは可溶化剤として特に特筆すべきは、β−CD、ランダムにメチル化されたβ−CD、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシプロピル−β−CDおよび(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−CD、そして特に2−ヒドロキシプロピル−β−CD(2−HP−β−CD)である。
【0088】
混合エーテルという用語は、少なくとも2個のシクロデキストリンヒドロキシ基が例えばヒドロキシプロピルおよびヒドロキシエチルのような異なる基でエーテル化されるシクロデキストリン誘導体を意味する。
【0089】
平均モル置換(M.S.)は、アンヒドログルコースのモル当たりのアルコキシ単位の平均モル数の尺度として用いる。平均置換度(D.S.)は、アンヒドログルコース単位当たりの置換されたヒドロキシルの平均数をさす。M.S.およびD.S.値は、核磁気共鳴(NMR)、質量分析法(MS)および赤外分光法(IR)のような様々な分析技術により決定することができる。使用する技術により、わずかに異なる値が1つの既定のシクロデキストリン誘導体に対して得られ得る。好ましくは、質量分析法により測定した場合に、M.S.は0.125〜10の間であり、そしてD.S.は0.125〜3の間である。
【0090】
経口もしくは直腸投与のための他の適当な組成物は、式(I)の化合物および1つもしくはそれ以上の適切な製薬学的に許容しうる水溶性ポリマーを含んでなる固体分散体からなる粒子を含んでなる。
【0091】
下記に使用する「固体分散体」という用語は、一方の成分が他の成分もしくは複数の成分(可塑剤、防腐剤などのような、当該技術分野において一般に既知である追加の製薬学的に許容しうる調合剤が含まれる場合)の全体にわたって大体均一に分散している、少なくとも2つの成分、この場合には(in casu)式(I)の化合物および水溶性ポリマーを含んでなる固体状態(液体もしくは気体状態とは対照的に)の系を定義する。該系が全体にわたって化学的にそして物理的に均一もしくは均質であるかまたは熱力学において定義されるとおり1相からなるように成分の該分散体が存在する場合、そのような固体分散体は「固溶体」と呼ばれる。固溶体は、その中の成分が、それらを投与する生物体に通常は容易に生物学的に利用可能であるので、好ましい物理系である。この利点は、おそらく、該固溶体が胃腸液のような液状媒質と接触した場合に液状溶液を形成することができる容易さにより説明することができる。溶解の容易さは、固溶体からの成分の溶解に必要とされるエネルギーが、結晶質もしくは微晶質固相からの成分の溶解に必要とされるも
のより少ないことに少なくとも部分的に起因し得る。
【0092】
「固体分散体」という用語はまた、固溶体より全体にわたって均質さが低い分散体も含んでなる。そのような分散体は、全体にわたって化学的にそして物理的に均一ではないかもしくは1つより多くの相を含んでなる。例えば、「固体分散体」という用語はまた、式(I)の非結晶質、微晶質もしくは結晶質化合物、または非結晶質、微晶質もしくは結晶質水溶性ポリマー、または両方が、水溶性ポリマー、もしくは式(I)の化合物を含んでなる別の相、または式(I)の化合物および水溶性ポリマーを含んでなる固溶体に大体均一に分散しているドメインもしくは小領域を有する系にも関する。該ドメインは、ある物理的特性を顕著に特徴とし、サイズが小さく、そして固体分散体の全体にわたって均一に且つランダムに分散している固体分散体内の領域である。
【0093】
溶融押し出し、噴霧乾燥および溶液蒸発を包含する様々な技術が、固体分散体を製造するために存在する。
【0094】
溶液蒸発方法は、以下の段階を含んでなる:
a)場合により高温で、式(I)の化合物および水溶性ポリマーを適切な溶媒に溶解する段階;
b)溶媒が蒸発されるまで、場合により真空下で、a)時点下で得られる溶液を加熱する段階。該溶液はまた、薄膜を形成するように大きな表面上に注ぐこともでき、そしてそれから溶媒を蒸発させる段階。
【0095】
噴霧乾燥技術において、2つの成分を同様に適切な溶媒に溶解し、そして得られる溶液を次に噴霧乾燥機のノズルを通して噴霧し、続いて得られる液滴から溶媒を高温で蒸発させる。
【0096】
固体分散体を製造するための好ましい技術は、以下の段階を含んでなる溶融押し出し方法である:
a)式(I)の化合物および適切な水溶性ポリマーを混合する段階、
b)場合によりこのようにして得られる混合物と添加剤を混ぜ合わせる段階、
c)均質な融解物が得られるまでこのようにして得られる混合物を加熱しそして混ぜ合わせる段階、
d)このようにして得られる融解物を1つもしくはそれ以上のノズルを通して押し進める段階;そして
e)融解物が凝固するまでそれを冷却する段階。
【0097】
「融解物」および「融解すること」という用語は、固体状態から液体状態への移行をさすだけでなく、ガラス状態もしくはゴム状態への移行もさすものとし、ここで、混合物の一方の成分がもう一方に大体均質に包埋されるようになることが可能である。特定の場合において、一方の成分は融解し、そしてもう一方の成分(1つもしくは複数)は該融解物に溶解し、このようにして溶液を形成し、それは冷却すると都合のよい溶解特性を有する固溶体を形成することができる。
【0098】
上記のように固体分散体を製造した後に、得られる生成物を場合により粉砕しそしてふるいにかけることができる。固体分散体生成物は、600μm未満、好ましくは400μm未満、そして最も好ましくは125μm未満の粒径を有する粒子に粉砕するかもしくは砕くことができる。
【0099】
次に、上記のように製造した粒子を錠剤およびカプセル剤のような製薬学的投与形態物に通常の技術により調合することができる。
【0100】
粒子における水溶性ポリマーは、2%(w/v)で水溶液に20℃で溶解した場合に、1〜5000mPa.sの、より好ましくは1〜700mPa.sの、そして最も好ましくは1〜100mPa.sの見掛け粘度を有するポリマーである。例えば、適当な水溶性ポリマーには、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、澱粉、ペクチン、キチン誘導体、二糖、オリゴ糖および多糖、例えばトレハロース、そのアルギン酸もしくはアルカリ金属およびアンモニウム塩、カラギーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天−寒天、アラビアゴム、グアルゴムおよびキサンタンゴム、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンとのコポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンの組み合わせ、ポリアルキレンオキシドならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマーが包含される。好ましい水溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0101】
また、1つもしくはそれ以上のシクロデキストリンをWO 97/18839に開示されているように上記の粒子の製造において水溶性ポリマーとして用いることもできる。該シクロデキストリンには、当該技術分野において既知である製薬学的に許容しうる非置換のおよび置換されたシクロデキストリン、さらに特にα、βもしくはγシクロデキストリンまたはその製薬学的に許容しうる誘導体が包含される。
【0102】
上記の粒子を製造するために用いることができる置換されたシクロデキストリンには、米国特許3,459,731に記述されるポリエーテルが包含される。さらなる置換されたシクロデキストリンは、1つもしくはそれ以上のシクロデキストリンヒドロキシ基の水素がC1〜6アルキル、ヒドロキシC1〜6アルキル、カルボキシ−C1〜6アルキルもしくはC1〜6アルキルオキシカルボニルC1〜6アルキルで置換されるエーテルまたはその混合エーテルである。特にそのような置換されたシクロデキストリンは、1つもしくはそれ以上のシクロデキストリンヒドロキシ基の水素がC1〜3アルキル、ヒドロキシC2〜4アルキルもしくはカルボキシC1〜2アルキルでまたはさらに特にメチル、エチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、カルボキシメチルもしくはカルボキシエチルで置換されるエーテルである。
【0103】
特に有用であるのはβ−シクロデキストリンエーテル、例えば、M.Nogradi(1984)によりDrugs of the Future、Vol.9、No.8、p.577−578に記述されるようなジメチル−β−シクロデキストリンおよびポリエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンおよびヒドロキシエチルβ−シクロデキストリンなどである。そのようなアルキルエーテルは、約0.125〜3、例えば約0.3〜2の置換度を有するメチルエーテルであることができる。そのようなヒドロキシプロピルシクロデキストリンは、例えば、β−シクロデキストリンとプロピレンオキシドとの間の反応から形成することができ、そして約0.125〜10、例えば約0.3〜3のM.S.値を有することができる。使用することができる置換されたシクロデキストリンの別のタイプは、スルホブチルシクロデキストリンである。
【0104】
水溶性ポリマーに対する式(I)の化合物の比率は、広く異なり得る。例えば、1/100〜100/1の比率を適用することができる。シクロデキストリンに対する式(I)の化合物の興味深い比率は、約1/10〜10/1の間である。さらに興味深い比率は、約1/5〜5/1の間である。
【0105】
1000nm未満の有効平均粒径を維持するために十分な量のその表面上に吸着した表面改質剤(surface modifier)を有するナノ粒子の形態の式(I)の化合物を調合することはさらに好都合であり得る。有用な表面改質剤には、式(I)の化合物の表面に物理的に接着するが該化合物に化学的に結合しないものが包含されると考えられる。適当な表面改質剤は、好ましくは、既知の有機および無機製薬学的賦形剤から選択することができる。そのような賦形剤には様々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然物および界面活性剤が包含される。好ましい表面改質剤には、非イオンおよび陰イオン界面活性剤が包含される。
【0106】
式(I)の化合物を調合するさらに別の方法は製薬学的組成物を含み、それにより式(I)の化合物は親水性ポリマーに導入され、そしてこの混合物を多数の小ビーズ上にコートフィルムとして適用し、このようにして都合よく製造することができそして経口投与用の製薬学的投与形態物を製造するのに適している組成物を生成せしめる。これらのビーズは、中心の丸いもしくは球状のコア、親水性ポリマーと式(I)の化合物のコーティングフィルムおよび場合により密封コーティングポリマー層を含んでなる。ビーズにおけるコアとしての使用に適当な物質はマニホールドであり、ただし、該物質は製薬学的に許容でき、そして適切な大きさおよび硬度を有する。そのような物質の例はポリマー、無機物質、有機物質、ならびに糖およびその誘導体である。
【0107】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位投与形態物における上記の製薬学的組成物を調合することは特に好都合である。単位投与形態物は、本明細書において用いる場合、単位投薬量として適当な物理的に別個の単位をさし、各単位は、必要な製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の所定の量を含有する。そのような単位投与形態物の例は、錠剤(分割錠もしくはコート錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤パケット、カシェ剤、座薬、注入可能な液剤もしくは懸濁剤など、およびその分離した倍量である。
【0108】
HIV感染の処置における当業者は、本明細書に提示する試験結果から有効毎日量を決定することができる。一般に、有効毎日量は0.01mg/kg〜50mg/kg体重、より好ましくは0.1mg/kg〜10mg/kg体重であると考えられる。1日を通して適切な間隔で2、3、4もしくはそれ以上のサブ用量として必要な用量を投与することは適切であり得る。該サブ用量は、例えば、単位投与形態物当たり1〜1000mg、そして特に5〜200mgの有効成分を含有する単位投与形態物として調合することができる。
【0109】
正確な投薬量および投与の頻度は、当業者に周知であるように、使用する式(I)の特定の化合物、処置する特定の症状、処置する症状の重症度、特定の患者の年齢、体重および一般的な身体状態ならびに個体が服用している可能性がある他の薬剤により決まる。さらに、該有効毎日量は処置した患者の応答によりそして/もしくは本発明の化合物を処方する医師の評価により減らすかもしくは増やすことができることは明らかである。従って、上記の有効毎日量範囲は指針であるだけであり、そしていかなる程度にも本発明の範囲もしくは使用を限定するものではない。
【0110】
式(I)の化合物は、ウイルス感染の処置のために単独でもしくは抗ウイルス薬、抗生物質、免疫モジュレーターもしくはワクチンのような他の治療薬と組み合わせて使用することができる。それらはまた、ウイルス感染の予防のために単独でもしくは他の予防薬と組み合わせて用いることもできる。本発明の化合物は、ワクチンおよび長期間にわたってウイルス感染から個体を守るための方法において用いることができる。これらの化合物は、ワクチンにおける逆転写酵素阻害剤の通常の利用と一致する方法で単独でもしくは本発明の他の化合物と一緒にもしくは他の抗ウイルス薬と一緒にそのようなワクチンにおいて
用いることができる。
従って、本発明の化合物は、ワクチンにおいて通常用いられる製薬学的に許容しうる添加剤と組み合わせ、そしてHIV感染に対して長期間にわたって個体を守るために予防的に有効な量で投与することができる。
【0111】
また、1つもしくはそれ以上の追加の抗レトロウイルス化合物および式(I)の化合物の組み合わせを薬剤として用いることができる。従って、本発明はまた、抗HIV処置における同時、別個もしくは逐次使用のための組み合わされた製剤として、(a)式(I)の化合物、および(b)1つもしくはそれ以上の追加の抗レトロウイルス化合物を含有する製品にも関する。異なる薬剤は、製薬学的に許容しうる担体と一緒に単一の製剤において組み合わせることができる。該他の抗レトロウイルス化合物は任意の既知の抗レトロウイルス化合物、例えばスラミン、ペンタミジン、チモペンチン、カスタノスペルミン、デキストラン(デキストラン硫酸)、フォスカルネット−ナトリウム(ホスホノギ酸三ナトリウム);ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、例えばジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddI)、ザルシタビン(ddC)、ラミブジン(3TC)、スタブジン(d4T)、エムトリシタビン(FTC)、アバカビル(ABC)、アムドキソビル(DAPD)、エルブシタビン(ACH−126,443)、AVX 754((−)−dOTC)、フォジブジンチドキシル(FZT)、ホスファジド(phosphazide)、HDP−990003、KP−1461、MIV−210、ラシビル(PSI−5004)、UC−781など;非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、例えばデラビルジン(DLV)、エファビレンズ(EFV)、ネビラピン(NVP)、ダピビリン(TMC120)、エトラビリン(TMC125)、リルピビリン(TMC278)、DPC−082、(+)−カラノリドA、BILR−355など;ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NtRTI)、例えばテノフォビル((R)−PMPA)およびフマル酸テノフォビルジソプロキシル(TDF)など;WO2004/046143に記述される化合物のようなヌクレオチド競合逆転写酵素阻害剤(NcRTI);TAT阻害剤、例えばRO−5−3335、BI−201などのようなトランス活性化タンパク質の阻害剤;REV阻害剤;プロテアーゼ阻害剤、例えばリトナビル(RTV)、サキナビル(SQV)、ロピナビル(ABT−378もしくはLPV)、インジナビル(IDV)、アンプレナビル(VX−478)、TMC126、ネルフィナビル(AG−1343)、アタザナビル(BMS 232,632)、ダルナビル(TMC114)、ホスアンプレナビル(GW433908もしくはVX−175)、ブレカナビル(brecanavir)(GW−640385、VX−385)、P−1946、PL−337、PL−100、チプラナビル(PNU−140690)、AG−1859、AG−1776、Ro−0334649など;融合阻害剤(例えばエンフビルチド(T−20))、付着阻害剤および共受容体阻害剤(後者はCCR5アンタゴニスト(例えばアンクリビロック、CCR5mAb004、マラビロック(UK−427,857)、PRO−140、TAK−220、TAK−652、ビクリビロック(SCH−D、SCH−417,690))およびCXR4アンタゴニスト(例えばAMD−070、KRH−27315)を含んでなる)を含んでなる進入阻害剤、侵入阻害剤の例はPRO−542、TNX−355、BMS−488,043、BlockAide/CRTM、FP21399、hNM01、ノナカイン(nonakine)、VGV−1である;成熟阻害剤は例えばPA−457である;ウイルスインテグラーゼの阻害剤、例えばMK−0518、JTK−303(GS−9137)、BMS−538,158;リボサイム;免疫モジュレーター;モノクローナル抗体;遺伝子治療;ワクチン;siRNA;アンチセンスRNA;殺微生物剤;ジンクフィンガー阻害剤であることができる。
【0112】
本発明の化合物はまた、HIV感染およびその症状を改善するか、それと闘うかもしくは除くために免疫モジュレーター(例えばブロピリミン、抗ヒトアルファインターフェロン抗体、IL−2、メチオニンエンケファリン、インターフェロンアルファおよびナルト
レキソン)と、抗生物質(例えばイセチオン酸(isothiorate)ペンタミジン)、サイトカイン(例えばTh2)、サイトカインのモジュレーター、ケモカインもしくはケモカインのモジュレーター、ケモカイン受容体(例えばCCR5、CXCR4)、ケモカイン受容体のモジュレーター、またはホルモン(例えば成長ホルモン)と組み合わせて投与することもできる。異なる製剤におけるそのような併用療法は、同時に、逐次もしくは相互から独立して施すことができる。あるいはまた、そのような組み合わせは単一の製剤として投与することができ、それにより有効成分は同時にもしくは別個に製剤から放出される。
【0113】
本発明の化合物はまた、個体への薬剤の適用に従って代謝のモジュレーターと組み合わせて投与することもできる。これらのモジュレーターには、シトクロムP450のようなシトクロムでの代謝を妨げる化合物が包含される。シトクロムP450のいくつかのアイソザイムが存在することが既知であり、その1つはシトクロムP450 3A4である。リトナビルは、シトクロムP450による代謝のモジュレーターの例である。異なる製剤におけるそのような併用療法は、同時に、逐次もしくは相互から独立して施すことができる。あるいはまた、そのような組み合わせは単一の製剤として投与することができ、それにより有効成分は同時にもしくは別個に製剤から放出される。そのようなモジュレーターは、本発明の化合物と同じもしくは異なる比率で投与することができる。好ましくは、そのようなモジュレーター:本発明の化合物の重量比(モジュレーター:本発明の化合物)は1:1以下であり、より好ましくは該比率は1:3以下であり、好適には該比率は1:10以下であり、より好適には該比率は1:30以下である。
【0114】
本発明は、HIV感染を防ぐかもしくは処置するための本発明の化合物の使用に焦点を当てるが、本発明の化合物はまた、それらの生活環における必須の事象のために同様の逆転写酵素に依存する他のウイルスの阻害剤として用いることもできる。
【0115】
以下の実施例は本発明を説明するものであり、そしてその範囲をそれに限定するものではない。
【実施例】
【0116】
実施例1:中間体2の製造
【0117】
【化10】

【0118】
CHCN(100ml)中の中間体(0.0327mol)(その製造はWO−03/016306に記述される)にN−ブロモスクシンイミド(0.0393mol)を室温で少しずつ加えた。混合物を室温で4時間攪拌した。沈殿物を濾過して分離し、CHCNで洗浄し、そして乾燥させて、10.08gの所望の最終生成物を生成せしめた。
濾液を蒸発させ、そしてカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl 100;35〜70μm)。純粋な画分を集め、溶媒を蒸発させ、そして残留物をCHCNから結晶化させた。収量:2.4gの中間体。2つの画分を集めた。総収量:12.48gの中間体(86%、融点:>250℃)。
【0119】
実施例2:中間体3の製造
【0120】
【化11】

【0121】
エタノール(100ml)中の中間体(0.0247mol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.00494mol)およびトリエチルアミン(0.107mol)の混合物を一酸化炭素の15barの圧力下で100℃で72時間攪拌した。混合物を水に注ぎ込み、そして沈殿物を濾過して分離し、6gの中間体を生成せしめた。濾液をCHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/MeOH 99.5/0.5;15〜40μm)。純粋な画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:1.9g。2つの画分を合わせ、7.9gの中間体を生成せしめた(73%、融点:>250℃)。
【0122】
実施例3:中間体4の製造
【0123】
【化12】

【0124】
THF(20ml)中の中間体(0.00456mol)、水酸化リチウム、1水和物(0.0137mol)の混合物および水(7ml)を50℃で一晩攪拌した。THFを蒸発させた。残留物を水に希釈し、そしてHCl 3NをpH2〜3まで加えた。沈殿物を濾過して分離し、水で洗浄し、そして乾燥させた。収量:1.78gの中間体(95%、融点:>250℃)。
【0125】
実施例4:アミド合成
方法A:
【0126】
【化13】

【0127】
THF(3ml)中の中間体(0.00122mmol,1.5eq)の混合物に1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.000183mmol、1.5eq)を加えた。ジクロロメタン(3ml)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.00183mmol、1.5eq)を混合物に連続して加えた。この溶液に、モルホリン(0.00183mmol、1.5eq)を加えた。混合物を室温で24h攪拌し、次に水およびKCO 10%に注ぎ込み、そしてCHClおよびメタノールの90/10混合物で抽出した。有機層をブラインの溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/MeOH 99/1;SiO 70〜200)。収量:0.055gの化合物(94%、融点:>250℃)。
【0128】
実施例5
方法B
【0129】
【化14】

【0130】
塩化チオニル(7ml)を中間体(0.000734mmol)に加えた。混合物を1.5時間加熱還流させ、次に蒸発乾固させた。残留物をジエチルエーテルにおける研和により精製した。収量:0.3gの中間体(95%)。
【0131】
THF(5ml)およびCHCl(5ml)中の中間体(0.000233mol)、2−アミノアニソール(0.00035mol、1.5eq)およびトリエチルアミン(0.00035mol、1.5eq)の混合物を室温で24時間攪拌し、次に水およびKCO 10%に注ぎ込み、そしてAcOEtで抽出した。有機層をブラインの溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl 100%〜CHCl/MeOH 98/2;クロマシル3.5μm 15030)。収量:0.052gの化合物56(53%、融点:>250℃)。
【0132】
以下の表は、上記の実施例において記述される方法に従って製造したもしくは製造することができる化合物を記載する。
【0133】
【表1】

【0134】
【表2】

【0135】
【表3】

【0136】
【表4】

【0137】
【表5】

【0138】
【表6】

【0139】
実施例6:中間体11の製造:
【0140】
【化15】

【0141】
ジオキサン(50ml)中の2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド(0.033mol、1.1eq)の攪拌溶液に水素化ナトリウム(油中60%、0.036mol、1.1eq)を加えた。攪拌を10分間続け、その後に1−メチル−2−ピロリジノン(50ml)を加えた。さらに10分後に、中間体(0.033mol)を加え、そして全混合物を還流で18時間加熱した。冷却した後に、水および氷を加えた。純粋な生成物が濾過により得られた。収量:11.2g(98%)の中間体
【0142】
窒素下で5℃でTHF(60ml)中のジエチル−ホスホノアセトニトリル(0.026mol、1.5eq)の溶液にカリウムtertブトキシド(0.026mol、1.5eq)を加えた。攪拌を60分続け、その後に中間体(0.017mol)を加え、そして全混合物を室温で12時間攪拌した。冷却した後に、水を加え、そして抽出をジクロロメタンで行った。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。粗生成物(crude)のエーテルにおける結晶化により純粋な生成物が得られた。収量:3.6g(56%)の中間体
【0143】
中間体10および11は、実施例1〜4における前記のものと同じ方法に従って製造した。
【0144】
実施例7
実施例5もしくは6の方法に従って以下の化合物を製造した:
【0145】
【表7】

【0146】
製剤実施例
カプセル剤
式(I)の化合物をエタノール、メタノールもしくは塩化メチレンのような有機溶媒、好ましくはエタノールと塩化メチレンの混合物に溶解する。酢酸ビニルとのポリビニルピロリドンコポリマー(PVP−VA)もしくはヒドロキシル−プロピルメチルセルロース(HPMC)のようなポリマー、典型的に5mPa.sをエタノール、メタノール、塩化メチレンのような有機溶媒に溶解する。好適には、ポリマーをエタノールに溶解する。ポリマーおよび化合物溶液を混合し、そして次に噴霧乾燥させる。化合物/ポリマーの比率は、1/1〜1/6から選択する。中間の範囲は、1/1.5および1/3であることができる。適当な比率は、1/6であることができる。次に、噴霧乾燥した粉末、固体分散体を投与用のカプセルに詰める。1個のカプセルにおける薬剤装填量は、使用するカプセルサイズにより50〜100mgの間である。
【0147】
フィルムコート錠
錠剤コアの製造
100gの式(I)の化合物、570gのラクトースおよび200gの澱粉の混合物をよく混合し、そしてその後に約200mlの水中5gのドデシル硫酸ナトリウムおよび10gのポリビニルピロリドンの溶液で湿らせる。湿った粉末混合物をふるいにかけ、乾燥させ、そして再びふるいにかける。次に、100gの微晶質セルロースおよび15gの水素化植物油を加える。全体をよく混合し、そして錠剤に圧縮し、各々10mgの有効成分を含んでなる10.000個の錠剤を生成せしめる。
【0148】
コーティング
75mlの変性エタノール中10gのメチルセルロースの溶液に150mlのジクロロメタン中5gのエチルセルロースの溶液を加える。次に、75mlのジクロロメタンおよび2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを加える。10gのポリエチレングリコールを融解し、そして75mlのジクロロメタンに溶解する。後者の溶液を前者に加え、そして次に2.5gのオクタデカン酸マグネシウム、5gのポリビニルピロリドンおよび30mlの濃縮色懸濁液を加え、そして全体を均質化する。このようにして得られる混合物で錠剤コアをコーティング装置においてコーティングする。
【0149】
抗ウイルススペクトル:
薬剤耐性HIV株の増加する出現のために、本発明の化合物をいくつかの突然変異を保有する臨床的に単離されたHIV株に対するそれらの効能に関して試験した。これらの突然変異は逆転写酵素阻害剤に対する耐性と関連し、そして例えばAZTおよびデラビルジンのような現在市販されている薬剤に対して様々な程度の表現型交差耐性を示すウイルスをもたらす。
【0150】
本発明の化合物の抗ウイルス活性は、野生型HIVおよび逆転写酵素遺伝子に突然変異を保有するHIV突然変異体の存在下で評価されている。化合物の活性は、以下の方法に従って行われた細胞アッセイを用いて評価される。
【0151】
ヒトT細胞系MT4は、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびHIV特異的プロモーター、HIV−1の長い末端反復(LTR)で設計される。この細胞系はMT4 LTR−EGFPと呼ばれ、そして試験化合物の抗HIV活性のインビトロ評価のために用いることができる。HIV−1感染細胞において、Tatタンパク質が生産され、それはLTRプロモーターをアップレギュレーションし、そして最終的にGFPレポーター生産の刺激をもたらし、進行中のHIV感染を蛍光分析で測定することを可能にする。同様に、MT4細胞をGFPおよび構成的サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターで設計する。この細胞系はMT4 CMV−EGFPと呼ばれ、そして試験化合物の細胞毒性のインビトロ評価のために用いることができる。この細胞系において、GFPレベルは感染したMT4 LTR−EGFP細胞のものと同等である。細胞毒性試験化合物は、模擬感染したMT4 CMV−EGFP細胞のGFPレベルを減少する。
【0152】
50%有効濃度(EC50)のような有効濃度値を決定することができ、そして通常はμM単位で表される。EC50値は、HIV感染細胞の蛍光を50%減少する試験化合物の濃度として定義される。50%細胞毒性濃度(μM単位のCC50)は、模擬感染細胞の蛍光を50%減少する試験化合物の濃度として定義される。EC50に対するCC50の比率は選択性指数(SI)として定義され、そして阻害剤の抗HIV活性の選択性の指標である。HIV−1感染および細胞毒性の最終的モニタリングは、走査型顕微鏡を用いて行われる。画像分析は、ウイルス感染の非常に高感度の検出を可能にする。測定は、通常は感染後約5日で起こる細胞壊死の前に行われ、特に測定は感染後3日で行われる。
【0153】
表における縦列IIIB、L100Iなどは、様々な株IIIB、L100Iなどに対するpEC50値を記載する。
【0154】
株IIIBは野生型HIV株である。
【0155】
MDRは、HIV逆転写酵素において突然変異L100I、K103N、Y181C、E138G、V179I、L2214F、V278V/IおよびA327A/Vを含有する株をさす。
【0156】
【表8】

【0157】
【表9】

【0158】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
各Rは独立して水素;アリール;ホルミル;C1〜6アルキルカルボニル;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシカルボニルであり;
、R、RおよびRは独立して水素;ヒドロキシ;ハロ;C3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;カルボキシル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;シアノ;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ;ポリハロC1〜6アルキル;ポリハロC1〜6アルキルオキシ;−C(=O)R10;場合によりハロ、シアノもしくは−C(=O)R10で置換されていてもよいC1〜6アルキル;場合によりハロ、シアノもしくは−C(=O)R10で置換されていてもよいC2〜6アルケニル;場合によりハロ、シアノもしくは−C(=O)R10で置換されていてもよいC2〜6アルキニルであり;
およびRは独立してヒドロキシ;ハロ;C3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;カルボキシル;C1〜6アルキルオキシカルボニル;ホルミル;シアノ;ニトロ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ;ポリハロC1〜6アルキル;ポリハロC1〜6アルキルオキシ;−C(=O)R10;−S(=O)10;−NH−S(=O)10;−NHC(=O)H;−C(=O)NHNH;−NHC(=O)R10;Het;−Y−Het;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、HetでまたはC1〜6アルキルオキシで置換されていてもよいC1〜12アルキル;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、HetでまたはC1〜6アルキルオキシで置換されていてもよいC2〜12アルケニル;場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、−C(=O)−R10、HetでまたはC1〜6アルキルオキシで置換されていてもよいC2〜12アルキニルであり;
はC3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;アリール;Het;ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、モノ−およびジ−C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、アリール、Het、場合により1もしくは2個のC1〜6アルキル基で置換されていてもよいジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、場合によりC1〜6アルキルもしくはC1〜6アルキルカルボニルで置換されていてもよいピペラジニル、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アリールC1〜6アルキルオキシカルボニルおよびC3〜7シクロアルキルから選択される基で置換されたC1〜6アルキルであるか;またはRは2個のC1〜6アルキルオキシ基で置換されたC1〜6アルキルであり;
は水素もしくはC1〜6アルキルであり;あるいは
とRはそれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジニル;ピペリジニ
ル;モルホリニル;ピペラジニル;場合によりC1〜6アルキルもしくはC1〜6アルキルカルボニルで置換されていてもよいピペラジニルを形成し;
各R10は独立してC1〜6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミノ、またはポリハロ−C1〜6アルキルであり;
Xは−NR−、−O−、−C(=O)−、−CH−、−CHOH−、−S−、−S(=O)−であり;
各Yは独立して−NR−、−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−であり;
各rは独立して1もしくは2であり;
各Hetは独立してピリジル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、キノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリルであり;これらは各々場合によりC1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1〜6アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシでもしくはシアノで置換されたC2〜12アルケニルから各々独立して選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよく;
各アリールは独立してフェニルもしくはハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヒドロキシC1〜6アルキル、アミノC1〜6アルキル、モノおよびジ(C1〜6アルキル)−アミノC1〜6アルキル、C1〜6アルキルカルボニル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルキルオキシ、フェニルC1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルオキシカルボニル、アミノスルホニル、C1〜6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1〜6アルキル、ポリハロC1〜6アルキルオキシ、アミノカルボニル、フェニル、Hetおよび−Y−Hetから各々独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されたフェニルである]
の化合物、またはその立体化学的異性体、またはその製薬学的に許容しうる付加塩、またはその製薬学的に許容しうる水和物もしくは溶媒和物、またはそのN−オキシド。
【請求項2】
化合物が式
【化2】

[式中、X、R、R、R、R、R、RおよびRは請求項1において定義したとおりである]
のものである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素である請求項1もしくは2に記載の化合物。
【請求項4】
、R、RおよびRが独立して水素;ヒドロキシ;ハロ;C1〜6アルキル;C1〜6アルキルオキシ;シアノ;アミノ;モノ−もしくはジ(C1〜6アルキル)アミ
ノ;ポリハロC1〜6アルキルである請求項1もしくは3に記載の化合物。
【請求項5】
およびRが独立してシアノ;シアノで置換されたC1〜6アルキル;シアノで置換されたC2〜6アルケニルである請求項1〜4に記載の化合物。
【請求項6】
がC3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;アリール;Het;ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、ジ−C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、アリール、Het、2個のC1〜6アルキル基で置換されたジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、C1〜6アルキルオキシカルボニルおよびC3〜7シクロアルキルから選択される基で置換されたC1〜6アルキルであり;
が水素もしくはC1〜6アルキルであるか;または
とRがそれらが置換される窒素原子と一緒になってモルホリニル;C1〜6アルキルで置換されたピペラジニルを形成する請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
がC3〜7シクロアルキル;C1〜6アルキルオキシ;ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、シアノ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、アリール、Het、C1〜6アルキルオキシカルボニルから選択される基で置換されたC1〜6アルキルであり;
が水素である請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
各Hetが独立してピリジル、チエニル、チアゾリル、フラニルであり、これらの各々が場合によりC1〜6アルキルから選択される基で置換されていてもよい請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
各アリールが独立して場合によりC1〜6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジC1〜6アルキル−アミノ、C1〜6アルキルオキシ、アミノスルホニル、Het(後者はさらに特にチアジアゾリルである)で置換されていてもよいフェニルであることができる請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
製薬学的に許容しうる担体および有効成分として請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物。

【公表番号】特表2009−531394(P2009−531394A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502113(P2009−502113)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053111
【国際公開番号】WO2007/113254
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ・リミテツド (94)
【Fターム(参考)】