HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の多形体及びその使用
本発明は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の多形体を提供する。本発明はまた、これらの多形体の調製方法、これらの多形体を含有する医薬製剤及びこのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の多形体を使用する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の新規な形態に関する。本発明はまた、これらの新規な形態の調製方法、これら新規な形態を含有する医薬製剤及びこのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の新規な形態を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
式Iの構造を有する化合物(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩は、国際公開第2004/106299号明細書〔2004年5月28日付けで出願された国際出願PCT/IB2004/001761号明細書(参照することにより本明細書に組み込まれる)〕に記載されている。
【0003】
【化1】
【0004】
式I
式Iの化合物は、コレステロール生成の生合成経路において重要な律速段階の一つを触媒する3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)の阻害において有用性を有する。この酵素の阻害剤は、心臓血管疾患、例えば高コレステロール血症又は高脂血症を治療するのに使用される。
【0005】
式Iの化合物は、重要な特性を有することが知見されている、例えば(a)式Iの化合物は、アトルバスタチンと等しい効力を有すること、(b)式Iの化合物は、生体内ラットモデルでのコレステロール合成の阻害においてアトルバスタチンよりも効力があること、(c)ヒトの肝臓ミクロソームにおける式Iの化合物の固有クリアランスは、アトルバスタチンよりも著しく小さいこと、(d)式Iの化合物は、代謝酵素CYP3A4(シトクロムP450 3A4)の主要な基質ではないこと、(e)式Iの化合物は、肝外細胞/細胞系[例えば、NRK−49F(線維芽細胞)及びL6(筋芽細胞)]におけるコレステロール合成の阻害よりもラットの初代肝細胞におけるコレステロール合成の阻害において、アトルバスタチンよりも大きな効能及び選択性を示すこと、及び(f)式Iの化合物は、アトルバスタチンよりもよい肝選択性を有することが知見されている。
【0006】
式Iの化合物の製造方法の一つが、国際公開第2004/106299号明細書に記載されている。また、国際公開第2007/054790号及び同第WO2007/054896号明細書もまた、それぞれ(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の改良された及び新規な調製方法を記載している。これらの文献に開示された方法に従って得られる生成物は、非晶形であるので、この化合物を含有する医薬調製物の製剤において及び商業的規模での該医薬製剤の製造において使用することがより困難である。また、これらの非晶形の化合物の長期間の保存には問題があり得る。
【0007】
従って、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸のヘミカルシウム塩を、製剤が厳格な医薬要件及び規格を満たすことを可能にさせる再現可能で形、純粋な形及び結晶の形態で製造する必要性がある。さらにまた、この化合物を特殊な保存条件を必要とせずに長時間安定な形で製造することが経済的に望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004/106299号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/054790号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/054896号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤として使用できる(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸のヘミカルシウム塩の多形体を提供する。「I型」、「II型」、「III型」、及び「IV型」と呼ばれる(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤として使用できる。前記多形体は、良好な熱安定性及び溶解特性を有し、またそれらのX線回折パターン(XRD)、赤外線スペクトル(IR)及び示差走査熱量測定(DSC)特性によって特定することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの実施形態は、「I型」と命名され及び約5.43、7.95、9.61、11.29、11.92、18.91、19.25、22.78、及び23.95°2θにピークを有するX線回折パターンによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体である。I型はまた、3301、2964、2871、1902、1646、1314、1225、1157、845、699、618及び522cm−1のIRバンドによって特定することができる。さらに、I型は、約176.43℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約13.55J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0011】
また、本明細書において、「II型」と命名され及び約3.76、6.08、7.19、8.90、12.30、12.86、17.62、20.16、24.41、26.59及び28.77°2θにピークを有するX線回折パターンによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。II型はまた、3398、2929、2364、1738、1703、1656、1596、1561、1511、1314、1225、1117、843、752及び700cm−1のIRバンドによって特定することができる。さらに、II型は、約187℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約21.64J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0012】
また、本明細書において、「III型」と命名され及び約4.72、7.01、9.38、13.59、18.28、19.56、20.48、22.33、22.97、23.51及び27.29°2θにピークを有するX線回折パターンによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。III型はまた、3402、2966、1655、1560、1514、1222、1156、1110、1031、844及び700cm−1のIRバンドによって特定することができる。さらに、III型は、約178.49℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約18.14J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0013】
また、本明細書において、「IV型」と命名され及び約5.72、9.42、10.16、10.42、11.40、18.56、19.48、21.03及び21.83°2θにピークを有するX線回折パターンによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。IV型はまた、3400、2965、2343、1650、1563、1409、1013及び619cm−1のIRバンドによって特定することもできる。さらに、IV型は約179℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約11.23J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0014】
また、本明細書において、式Iの化合物の多形体の複数の調製方法が提供される。これらの方法は、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−l−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸のヘミカルシウム塩の非晶体、又は多形体の溶液、例えば溶媒和物、無水配合物、又は配合物を1種又はそれ以上の溶媒中で調製し、次いで溶媒を除去することによって溶液からこれらの化合物の少なくとも1つの多形体を回収し、場合によって得られた生成物を乾燥することを含む。
【0015】
本発明の関連実施形態は、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の1つ又はそれ以上の多形体を含有してなる医薬組成物である。このような医薬組成物はまた、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る担体、希釈剤、賦形剤又はこれらの混合物を含有することができる。
【0016】
本明細書に記載の(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のこれらの多形体、及びこれらの多形化合物を含有する医薬組成物は、哺乳動物のコレステロール関連疾患、糖尿病及び糖尿病関連疾患、例えば脳血管疾患及び心臓血管疾患を治療するのに使用できる。これら多形化合物の投与によって治療されるべき具体的疾患としては、哺乳動物における動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、高リポ蛋白血症、高トリグリセリド血症、高血圧症、脳卒中、虚血、内皮機能障害、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、脳梗塞、心筋微小血管疾患、認知症、アルツハイマー病、骨粗鬆症、骨減少症、狭心症、再狭窄及びこれらの疾患の組み合わせが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の多形化合物のI型の粉末X線回折(XRD)パターンである。
【図2】本発明の多形化合物のII型の粉末X線回折(XRD)パターンである。
【図3】本発明の多形化合物のIII型の粉末X線回折(XRD)パターンである。
【図4】本発明の多形化合物のIV型の粉末X線回折(XRD)パターンである。
【図5】本発明の多形化合物のI型の示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
【図6】本発明の多形化合物のII型の示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
【図7】本発明の多形化合物のIII型の示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
【図8】本発明の多形化合物のIV型の示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
【図9】本発明の多形化合物のI型の赤外線吸収(IR)スペクトルである。
【図10】本発明の多形化合物のII型の赤外線吸収(IR)スペクトルである。
【図11】本発明の多形化合物のIII型の赤外線吸収(IR)スペクトルである。
【図12】本発明の多形化合物のIV型の赤外線吸収(IR)スペクトルである。
【図13】本発明の多形化合物の製造方法の一工程を示す化学構造を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸のヘミカルシウム塩の種々の形態に関する。このような形態は、特に医薬製剤として調製された場合には、良好な熱安定性及び/又は溶解特性を有することができる。
【0019】
一般に、本発明は、添付の図面に示されるX線回折(XRD)パターン、赤外線スペクトル(IR)及び示差走査熱量測定(DSC)特性によって特定される「I型」、「II型」、「III型」、及び「IV型」と命名される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体を提供する。また、これらの多形体の調製方法、これらの多形体を含有する医薬組成物及びコレステロール関連疾患、糖尿病及び糖尿病関連疾患、脳血管障害又は心臓血管疾患を治療する方法も提供される。
【0020】
一つの態様において、本明細書において、「I型」と命名される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。I型は、図1に示すX線回折パターン、図5に示す示差走査熱量測定曲線、及び図9に示す赤外線スペクトルを有し得る。I型のX線回折パターンの回折角及び相対強度を表1(実施例2)に示す。例えば、I型は、約5.43、7.95、9.61、11.29、11.92、18.91、19.25、22.78、及び23.95°2θにピークを有するX線回折パターン又は約3.99、5.43、5.74、7.95、9.61、11.29、11.92、15.91、18.91、19.25、22.78、23.95、及び28.02°2θ°にピークを有するX線回折パターンによって特定することができる。また、I型は、3301、2964、2871、1902、1646、1314、1225、1157、845、699、618及び522cm−1のIRバンドによって特定することもできる。さらにまた、I型は、約176.43℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約13.55J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0021】
別の態様において、本明細書において、「II型」と命名される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。II型は、図2に示すX線回折パターン、図6に示す示差走査熱量測定曲線、及び図10に示す赤外線スペクトルを有し得る。II型のX線回折パターンの回折角及び相対強度を表2(実施例3)に示す。例えば、II型は、約3.76、6.08、7.19、8.90、12.30、12.86、17.62、20.16、24.41、26.59及び28.77°2θにピークを有するX線回折パターン又は約3.76、5.32、6.08、7.19、8.90、9.34、11.27、12.30、12.86、15.29、16.18、17.62、20.16、21.08、21.51、22.57、24.41、24.63、25.15、26.59、28.77、35.67、37.48°2θ°にピークを有するX線回折パターンによって特定することができる。また、II型は、3398、2929、2364、1738、1703、1656、1596、1561、1511、1314、1225、1117、843、752及び700cm−1のIRバンドによって特定することもできる。さらにまた、II型は、約187℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約21.64J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0022】
別の態様において、本明細書において、「III型」と命名される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。III型は、図3に示すX線回折パターン、図7に示す示差走査熱量測定曲線、及び図11に示す赤外線スペクトルを有し得る。III型のX線回折パターンの回折角及び相対強度を表3(実施例4)に示す。例えば、III型は、約4.72、7.01、9.38、13.59、18.28、19.56、20.48、22.33、22.97、23.51及び27.29°2θにピークを有するX線回折パターン又は約3.71、4.72、7.01、7.35、9.38、10.16、13.06、13.59、14.03、14.57、15.85、17.09、17.64、18.28、19.56、20.48、22.33、22.97、23.51、27.29°2θ°にピークを有するX線回折パターンによって特定することができる。また、III型は、3402、2966、1655、1560、1514、1222、1156、1110、1031、844及び700cm−1のIRバンドによって特定することもできる。さらにまた、III型は、約178.49℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約18.14J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0023】
別の態様において、本明細書において、「IV型」と命名される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。IV型は、図4に示すX線回折パターン、図8に示す示差走査熱量測定曲線、及び図12に示す赤外線スペクトルを有し得る。IV型のX線回折パターンの回折角及び相対強度を表4(実施例5)に示す。例えば、IV型は、約5.72、9.42、10.16、10.42、11.40、18.56、19.48、21.03及び21.83°2θにピークを有するX線回折パターン又は約4.09、5.72、9.42、10.16、10.42、11.40、11.80、14.99、17.39、18.56、19.48、21.03、21.83、22.83°2θ°にピークを有するX線回折パターンによって特定することができる。また、IV型は、3400、2965、2343、1650、1563、1409、1013及び619cm−1のIRバンドによって特定することもできる。さらにまた、IV型は、約179℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約11.23J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0024】
これらのX線回折パターン、赤外線スペクトル帯域及びDSCデータは、本明細書に記載の多形体I型、II型、III型及びIV型が、相互に異なることを示す。
【0025】
本発明の別の態様は、本明細書に記載の(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の多形体の複数の調製方法を提供する。
【0026】
前記の方法は、(i)(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の非晶体又は任意の多形体の溶液、例えば溶媒和物、無水溶液、及び1種又はそれ以上の溶媒を含有する溶液を調製することと、(ii)得られた溶液から溶媒を除去することによって本明細書に記載の多形体を回収することと、(iii)場合によってそのようにして得られた多形生成物を乾燥することとを含む。
【0027】
非晶体及びその水和物は、国際公開第2004/106299号、同第2007/054790号及び同第2007/054896号明細書(参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って調製することができる。
【0028】
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3、5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩(式I)の結晶多形体I型は、図13に示すスキームによって製造することができる。図13を参照して、式IIの化合物は、国際公開第2004/106299号、同第2007/054790号及び同第2007/054896号明細書に記載の方法に従って調製することができる。式IIの化合物は、水酸化ナトリウムを用いて加水分解させてその場でナトリウム塩を形成することができる。その場で生成したナトリウム塩は、例えば、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム又は塩化カルシウムを使用してそのヘミカルシウム塩に転化させることができる。
【0029】
結晶多形体、例えば、I型は、式Iの化合物を1種又はそれ以上の溶媒に溶解することによって得ることができる。I型は、溶液から沈殿又は濾過によって回収することができる。次いで、生成物は乾燥してもよい。
【0030】
使用する溶媒(1種又はそれ以上)は、酢酸エステル(例えば、酢酸エチル又は酢酸イソプロピル)、極性プロトン性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールを含むアルコール又は水)、極性非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド又はジメチルホルムアミド)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸イソプロピル)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン又はテトラヒドロフラン)、ケトン類(例えば、アセトン、2−ブタノン又は4−メチオエンタノン)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル又はプロピオニトリル)、炭化水素(例えば、ヘキサン又はヘプタン)、芳香族炭化水素(例えば、トルエン又はキシレン)、又はこれらの混合物の1つ又はそれ以上から選択し得る。アルコールは、1〜6個の炭素原子を有する第1級、第2級又は第3級アルコール、例えば、メタノール、エタノール、変性アルコール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、又はt−ブタノールの1つ又はそれ以上を包含し得る。
【0031】
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の多形体が溶解しないか又は溶解しにくい別の溶媒(1種又は複数)を、場合により前記溶液に加えて結晶多形体を沈殿させ、その後に溶媒を除去し、多形体を回収することができる。沈殿は、特に初期温度が高められる場合には、溶媒の温度を低下させることによって誘導することができる。沈殿はまた、本明細書に記載の形態の種結晶を加えることによって、溶液の容量を減らすことによって、又は当該技術において公知のその他の手段によって、促進し得る。
【0032】
使用する溶媒の量は、制限されず、また溶媒の種類、バッチ処理及び容器の大きさ、反応の温度、並びに攪拌の有無などの条件に応じて変化するであろう。結晶化温度は制限されないが、良好な結果は、0℃(氷冷水浴の温度)と室温(約25℃)の間で結晶化を行うことによって得ることができる。
【0033】
生成物は、当該技術における任意の方法、例えば蒸留、真空蒸留、蒸発 、濾過、及び真空濾過、デカンテーション、遠心分離又乾燥によって回収することができる。得られた生成物は、適当な溶媒で洗浄してもよく、またさらに又は追加的に所望の水分値を達成するために乾燥してもよい。例えば、生成物は、さらに又は追加的に箱型乾燥機で乾燥してもよいし、真空乾燥してもよく、及び/又は流動層乾燥機で乾燥してもよい。生成物は、生成物の分解を回避する条件下で乾燥してもよく、例えば、40℃よりも低い温度で風乾してもよいし又は減圧で乾燥してもよい。乾燥はまた、高められた温度又は周囲温度で実施することができる。
【0034】
前記方法は、次の実施形態の1つ又はそれ以上を包含し得る。例えば、結晶多形体「I型」は、一般に、有機溶媒、例えば酢酸エステル(例えば、酢酸エチル又は酢酸イソプロピル)あるいは低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール又はイソプロパノール)に、図13に示すスキーム及び前記のスキームによって得られた生成物の非晶体を加えるか又は懸濁することによって調製することができる。有機溶媒は、別の溶媒として若干の水を含有することが好ましい。水の量は、約40%から約75%まで、好ましくは約50%から約67%までの範囲であってもよい。懸濁液又は溶液を、約50℃〜還流温度の間の温度で約1時間〜約20時間加熱し得ることも好ましい。
【0035】
別の実施形態において、結晶多形体II型は、I型、又は非晶体を、有機溶媒、例えばニトリル類(例えば、アセトニトリル又はプロピオニトリル)に懸濁することによって調製することができる。この実施形態において、有機溶媒は、別の溶媒として若干の水を含有することが好ましい。水の量は、約40%から約70%まで、好ましくは約50%から約60%までの範囲であってもよい。懸濁物を、約50℃から還流温度までの温度で約1時間〜約20時間加熱することも好ましい。
【0036】
別の実施形態において、結晶多形体III型は、I型、又は非晶体を、水のような極性プロトン性溶媒に懸濁することによって調製することができる。懸濁物を、約60℃から還流温度までの温度で約1時間〜約10時間加熱することが好ましい。
【0037】
別の実施形態において、結晶多形体IV型は、I型、又は非晶体を、有機溶媒、例えばアセトン類(例えば、アセトン、2−ブタノン又は4−メチルペンタノン)に懸濁することによって製造することができる。有機溶媒は、別の溶媒として若干の水を含有することが好ましい。水の量は、約40%から約75%まで、好ましくは約50%から約68%までの範囲であってもよい。懸濁物を、約40℃から還流温度までの温度で約1時間〜約20時間加熱することが好ましい。
【0038】
本明細書に記載の多形体は、非粘稠性であり、濾過ケーキの掻き取り及び取り扱いを容易にする優れた濾過特性を有する。これらの多形体は、良好な流動性を有し、従って医薬製剤に製剤するのに適している。
【0039】
本発明の別の態様は、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸のヘミカルシウム塩の1つ又はそれ以上の多形体を、場合よっては、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る担体、希釈剤、賦形剤又はこれらの混合物と一緒に含有する医薬組成物を提供する。
【0040】
本発明の医薬組成物、すなわち1つの多形体を含有する医薬組成物及び2つ又はそれ以上の多形体を含有する医薬組成物の両方は、経口、口腔、直腸、吸入、局所、経皮、眼内、非経口(例えば、皮下、筋肉内又は静脈内)投与又はこれらの組み合わせに適したものであり得る。所定の症状において最も適した経路は、治療中の状態の性質及び重症度に依存するであろうが、投与の最も好ましい経路は経口である。
【0041】
組成物は、治療剤化合物の即時放出又は持続放出を提供するために製剤し得る。本明細書に記載の化合物は、単独で投与することができるが、一般的には1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る担体、希釈剤、賦形剤又はこれらの混合物との混合物として投与されるであろう。製剤としては、固形製剤又は液状製剤が挙げられる。
【0042】
経口投与用の固形製剤としては、カプセル、錠剤、丸剤、散剤、顆粒又は坐薬が挙げられ得る。固形製剤について、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な製薬学的に許容し得る賦形剤又は担体、例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム及び/又は充填剤、増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール又はケイ酸;結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン類、ポリビニルピロリドン、スクロース、又はアラビアゴム;崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩又は炭酸ナトリウム;吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物;湿潤剤、例えば、セチルアルコール、グリセロール、又はモノステアリン酸吸収剤、例えばカオリン;潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、又はラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物と混合される。製剤がカプセル、錠剤、又は丸剤として調製される実施形態において、製剤はまた、緩衝剤も含有し得る。
【0043】
錠剤、カプセル、丸剤、又は顆粒の固形調製物は、コーティング及び/又はシェル、例えば、フィルムコーティング、腸溶コーティング及び医薬製剤技術において周知のその他のコーティングを用いて得ることができる。
【0044】
経口投与用の液状調剤としては、製薬学的に許容し得るエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルを挙げることができる。液状製剤について、活性化合物は、水又はその他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(例えば、綿実油、粉砕トウモロコシ油、胚芽油、肝油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール及びソルビタンの脂肪酸エステル及びこれらの混合物と混合することができる。
【0045】
経口組成物は、不活性希釈剤の他に、補助剤、例えば、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤も含有することができる。
【0046】
注射剤、例えば、滅菌注射剤、水性懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用する技術に従って製剤し得る。許容し得るビヒクル及び使用し得る溶媒は、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウムである。
【0047】
口腔投与、直腸投与、吸入投与、局所投与、経皮投与、眼内投与及び非経口投与用の調剤は、製剤技術において公知の方法に従って調製することができる。本明細書に記載の製剤は、当該技術で周知の方法を用いることによって患者に投与した後に活性化合物の迅速放出、持続放出又は遅延放出を提供するように製剤し得る。本明細書で使用する「患者」という用語は、治療、観察又は実験の対象であるヒト又は非ヒト哺乳動物を指す。
【0048】
医薬製剤は、単位剤形であり得、このような剤形において、調製は、適量の活性化合物を含有する単位用量に細分化される。
【0049】
具体的な疾患又は状態の治療に有効である本明細書に記載の化合物の量は、標準的な臨床技術によって決定することができる。また、生体外又は生体内アッセイが、場合によって最適用量範囲を特定するのを促進するために使用し得る。
【0050】
本発明の別の態様は、患者に治療有効量の本明細書に記載の1種又はそれ以上の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、コレステロール関連疾患、糖尿病及び糖尿病関連疾患、脳血管障害又は心臓血管疾患を患う患者を治療する方法を提供する。
【0051】
本明細書に記載の化合物又は医薬組成物は、疾患又は障害、例えば、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、高リポ蛋白血症、高トリグリセリド血症、高血圧症、脳卒中、虚血、内皮機能障害、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、脳梗塞、心筋微小血管疾患、認知症、アルツハイマー病、骨粗鬆症、骨減少症、狭心症又は再狭窄を治療するのに使用できる。
【0052】
以下に示す実施例は、多形体の調製のための一般的な合成方法を実証する。それぞれの場合において、X線回折データは、次の通りに収集した:
XRD:装置:モデルRU−H3R(Riigaku)、
データ収集パラメーター:電圧:50KV;電流:120mA;走査速度:2℃/分;走査段階:0.02℃;走査範囲:3〜40°。XRDデータを、表1〜4に示す。
【0053】
IR:装置:FTIR Paragon 1000PC。
【0054】
データ収集パラメーター:媒体:KBr;走査範囲:440〜4400cm−1
DSC:装置:Thermal Analyser Q100
データ収集パラメーター:走査速度:10℃/分;温度:50℃〜300℃。
【実施例】
【0055】
実施例は、開示の具体的態様を例証するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0056】
結晶多形体I型の製造
図13を参照して、式IIの化合物を、水酸化ナトリウムを使用して加水分解して、その場で水性層に存在するナトリウム塩を形成させた。この水性層を酢酸エチルで抽出して不純物を除去した。ナトリウム塩を含有する水性層を、攪拌下に室温で酢酸カルシウムと反応させて、式Iの化合物の沈殿物を生成させた。反応容器に等量の酢酸エチルを加え、反応混合物を攪拌下で加熱還流させて、沈殿した式Iの化合物を全て溶解させた。得られた熱溶液を濾過し、攪拌下で約25℃〜約30℃に冷却し、約4〜5時間攪拌し続けた。次いで、生成物を濾過し、酢酸エチル及び脱イオン水で洗浄し、乾燥のために取り出した。得られた生成物を、真空箱型乾燥機で、約60℃で約10時間〜約12時間乾燥し、所望の結晶多形体I型を得た。
【実施例2】
【0057】
結晶多形体I型の調整
エタノール(375mL、5倍量)に十分に懸濁した式Iの化合物(75g)の非晶体を、透明溶液が得られるまで約50℃〜約55℃に加熱した。脱イオン水(375mL、5倍量)を加えて、溶液を室温まで冷却し、得られた溶液を約50℃〜約55℃に約1時間加熱した。次いで、得られた乳白色溶液を約25℃〜約30℃の間に冷却し、約2時間半攪拌した。さらに、脱イオン水(375ml、5倍量)を徐々に加え、約1時間半攪拌した。固形物を濾過し、脱イオン水及びヘキサンで洗浄し、約55℃〜約60℃で約10〜約12時間真空乾燥をして、結晶多形体I型を形成した。I型のX線回折パターンについての回折角及び相対強度を、表1に示す。
【0058】
【表1】
【実施例3】
【0059】
結晶多形体II型の製造
非晶体(3.0g)を、50%アセトニトリルの水溶液(36mL、12倍量)に、攪拌下に還流温度で溶解した。得られた溶液を、再度、還流温度で約0.5時間攪拌した。得られた熱溶液を、約25℃〜約30℃の間まで冷却し、8〜10時間攪拌し、濾過し、脱イオン水で洗浄し、約55℃〜約60℃で約10〜約12時間真空乾燥して、結晶多形体II型を形成した。II型のX線回折パターンについての回折角及び相対強度を、表2に示す。
【0060】
【表2】
【実施例4】
【0061】
結晶多形体III型の製造
水(200mL、20倍量)に懸濁した非晶体(10g)を、攪拌下に還流に約2時間供した。得られた懸濁液を、約25℃〜約30℃の間まで冷却し、約2〜約3時間攪拌し、濾過し、脱イオン水で洗浄して、結晶多形体III型を形成した。得られた結晶体を、最後に約55℃〜約60℃で約10〜12時間真空乾燥した。III型のX線回折パターンについての回折角及び相対強度を、表3に示す。
【0062】
【表3】
【実施例5】
【0063】
結晶多形体IV型の製造
式Iの化合物の非晶体(5g)をアセトン(25mL、5倍量)に懸濁し十分に攪拌した懸濁液に、脱イオン水(50mL、10倍量)を還流温度で徐々に加えた。得られた透明溶液を約30分間還流し、次いで攪拌下で約25℃〜約30℃の間まで冷却した。得られた溶液を、室温で約3時間攪拌し、白色固体を濾過し、脱イオン水で洗浄し、約55℃〜約60℃で約8〜約10時間真空乾燥して、結晶多形体IV型を得た。IV型のX線回折パターンについての回折角及び相対強度を、表4に示す。
【0064】
【表4】
【実施例6】
【0065】
結晶多形体I型から非晶体の製造
I型(30g)をメタノール(150mL、5倍量)に溶解した透明溶液を、室温で約1時間攪拌した。得られたメタノール溶液を濃縮乾固して、非晶体を得た。このようにして得られた非晶体を、約60℃で約24時間真空乾燥した。
【実施例7】
【0066】
非晶体から結晶多形体I型の製造
酢酸エチル:水(9L、1:1、10倍量)に溶解した非晶体(900g)を、約2時間還流した。得られた熱溶液を、攪拌下で45℃に冷却し、室温で約2〜約3時間再度攪拌し、濾過し、脱イオン水で洗浄し、約55℃〜約60℃で約8〜10時間乾燥した。
【実施例8】
【0067】
非晶体及び結晶多形体の安定性試験
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の種々の形の一体性を、種々の大気条件下で試験して、異なる保存環境の薬物の非晶体及び多形体の安定性を調べた。
【0068】
逆相−HPLC(RP−HPLC)を使用して、分解生成物に相当する小分子及び酸化された薬物から(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を分離した。
【0069】
薬物の相対量を、UVによる全吸収の%として記録した。全てのUV吸収不純物の全ピーク面積を使用して、薬物の全不純物を定義した。不純物は、その未変性薬物と比べた相対保持時間(RRT)によって定義される。試料を、C18カラムに、標準的な温度、勾配及び操作時間条件を使用して注入した。
【0070】
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の非晶体に関するこの一体性試験の結果を、表5に示す。
【0071】
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の多形体の3つの別々のバッチを調製し、非晶体について記載した条件と同じ条件下で試験した。これらI型の3つのバッチの一体性試験の結果を、表6〜8に示す。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6.1】
【0074】
【表6.2】
【0075】
【表7.1】
【0076】
【表7.2】
【0077】
【表8.1】
【0078】
【表8.2】
【0079】
本発明の上記の記載は、例証及び説明のために示すものである。また、記載は、本発明を本明細書に開示された形態に限定することを意図するものではない。従って、上記の教示、及び関連分野の技術又は知見に相応する変形及び改変は、本発明の範囲内に入る。本明細書において上記した実施形態は、さらに、本発明を実施するために知られている最良の形態を説明することを意図し、また当業者が本発明それ自体、又は他の実施形態を、本発明の具体的な応用又は用途によって必要とされる種々の改変を伴って利用することを可能にすることを意図する。添付の特許請求の範囲は、別の実施形態を従来技術によって認められる程度まで包含すると解釈されることを意図する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の新規な形態に関する。本発明はまた、これらの新規な形態の調製方法、これら新規な形態を含有する医薬製剤及びこのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の新規な形態を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
式Iの構造を有する化合物(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩は、国際公開第2004/106299号明細書〔2004年5月28日付けで出願された国際出願PCT/IB2004/001761号明細書(参照することにより本明細書に組み込まれる)〕に記載されている。
【0003】
【化1】
【0004】
式I
式Iの化合物は、コレステロール生成の生合成経路において重要な律速段階の一つを触媒する3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)の阻害において有用性を有する。この酵素の阻害剤は、心臓血管疾患、例えば高コレステロール血症又は高脂血症を治療するのに使用される。
【0005】
式Iの化合物は、重要な特性を有することが知見されている、例えば(a)式Iの化合物は、アトルバスタチンと等しい効力を有すること、(b)式Iの化合物は、生体内ラットモデルでのコレステロール合成の阻害においてアトルバスタチンよりも効力があること、(c)ヒトの肝臓ミクロソームにおける式Iの化合物の固有クリアランスは、アトルバスタチンよりも著しく小さいこと、(d)式Iの化合物は、代謝酵素CYP3A4(シトクロムP450 3A4)の主要な基質ではないこと、(e)式Iの化合物は、肝外細胞/細胞系[例えば、NRK−49F(線維芽細胞)及びL6(筋芽細胞)]におけるコレステロール合成の阻害よりもラットの初代肝細胞におけるコレステロール合成の阻害において、アトルバスタチンよりも大きな効能及び選択性を示すこと、及び(f)式Iの化合物は、アトルバスタチンよりもよい肝選択性を有することが知見されている。
【0006】
式Iの化合物の製造方法の一つが、国際公開第2004/106299号明細書に記載されている。また、国際公開第2007/054790号及び同第WO2007/054896号明細書もまた、それぞれ(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の改良された及び新規な調製方法を記載している。これらの文献に開示された方法に従って得られる生成物は、非晶形であるので、この化合物を含有する医薬調製物の製剤において及び商業的規模での該医薬製剤の製造において使用することがより困難である。また、これらの非晶形の化合物の長期間の保存には問題があり得る。
【0007】
従って、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸のヘミカルシウム塩を、製剤が厳格な医薬要件及び規格を満たすことを可能にさせる再現可能で形、純粋な形及び結晶の形態で製造する必要性がある。さらにまた、この化合物を特殊な保存条件を必要とせずに長時間安定な形で製造することが経済的に望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004/106299号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/054790号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/054896号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤として使用できる(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸のヘミカルシウム塩の多形体を提供する。「I型」、「II型」、「III型」、及び「IV型」と呼ばれる(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤として使用できる。前記多形体は、良好な熱安定性及び溶解特性を有し、またそれらのX線回折パターン(XRD)、赤外線スペクトル(IR)及び示差走査熱量測定(DSC)特性によって特定することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの実施形態は、「I型」と命名され及び約5.43、7.95、9.61、11.29、11.92、18.91、19.25、22.78、及び23.95°2θにピークを有するX線回折パターンによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体である。I型はまた、3301、2964、2871、1902、1646、1314、1225、1157、845、699、618及び522cm−1のIRバンドによって特定することができる。さらに、I型は、約176.43℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約13.55J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0011】
また、本明細書において、「II型」と命名され及び約3.76、6.08、7.19、8.90、12.30、12.86、17.62、20.16、24.41、26.59及び28.77°2θにピークを有するX線回折パターンによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。II型はまた、3398、2929、2364、1738、1703、1656、1596、1561、1511、1314、1225、1117、843、752及び700cm−1のIRバンドによって特定することができる。さらに、II型は、約187℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約21.64J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0012】
また、本明細書において、「III型」と命名され及び約4.72、7.01、9.38、13.59、18.28、19.56、20.48、22.33、22.97、23.51及び27.29°2θにピークを有するX線回折パターンによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。III型はまた、3402、2966、1655、1560、1514、1222、1156、1110、1031、844及び700cm−1のIRバンドによって特定することができる。さらに、III型は、約178.49℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約18.14J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0013】
また、本明細書において、「IV型」と命名され及び約5.72、9.42、10.16、10.42、11.40、18.56、19.48、21.03及び21.83°2θにピークを有するX線回折パターンによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。IV型はまた、3400、2965、2343、1650、1563、1409、1013及び619cm−1のIRバンドによって特定することもできる。さらに、IV型は約179℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約11.23J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0014】
また、本明細書において、式Iの化合物の多形体の複数の調製方法が提供される。これらの方法は、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−l−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸のヘミカルシウム塩の非晶体、又は多形体の溶液、例えば溶媒和物、無水配合物、又は配合物を1種又はそれ以上の溶媒中で調製し、次いで溶媒を除去することによって溶液からこれらの化合物の少なくとも1つの多形体を回収し、場合によって得られた生成物を乾燥することを含む。
【0015】
本発明の関連実施形態は、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の1つ又はそれ以上の多形体を含有してなる医薬組成物である。このような医薬組成物はまた、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る担体、希釈剤、賦形剤又はこれらの混合物を含有することができる。
【0016】
本明細書に記載の(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のこれらの多形体、及びこれらの多形化合物を含有する医薬組成物は、哺乳動物のコレステロール関連疾患、糖尿病及び糖尿病関連疾患、例えば脳血管疾患及び心臓血管疾患を治療するのに使用できる。これら多形化合物の投与によって治療されるべき具体的疾患としては、哺乳動物における動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、高リポ蛋白血症、高トリグリセリド血症、高血圧症、脳卒中、虚血、内皮機能障害、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、脳梗塞、心筋微小血管疾患、認知症、アルツハイマー病、骨粗鬆症、骨減少症、狭心症、再狭窄及びこれらの疾患の組み合わせが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の多形化合物のI型の粉末X線回折(XRD)パターンである。
【図2】本発明の多形化合物のII型の粉末X線回折(XRD)パターンである。
【図3】本発明の多形化合物のIII型の粉末X線回折(XRD)パターンである。
【図4】本発明の多形化合物のIV型の粉末X線回折(XRD)パターンである。
【図5】本発明の多形化合物のI型の示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
【図6】本発明の多形化合物のII型の示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
【図7】本発明の多形化合物のIII型の示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
【図8】本発明の多形化合物のIV型の示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
【図9】本発明の多形化合物のI型の赤外線吸収(IR)スペクトルである。
【図10】本発明の多形化合物のII型の赤外線吸収(IR)スペクトルである。
【図11】本発明の多形化合物のIII型の赤外線吸収(IR)スペクトルである。
【図12】本発明の多形化合物のIV型の赤外線吸収(IR)スペクトルである。
【図13】本発明の多形化合物の製造方法の一工程を示す化学構造を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸のヘミカルシウム塩の種々の形態に関する。このような形態は、特に医薬製剤として調製された場合には、良好な熱安定性及び/又は溶解特性を有することができる。
【0019】
一般に、本発明は、添付の図面に示されるX線回折(XRD)パターン、赤外線スペクトル(IR)及び示差走査熱量測定(DSC)特性によって特定される「I型」、「II型」、「III型」、及び「IV型」と命名される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体を提供する。また、これらの多形体の調製方法、これらの多形体を含有する医薬組成物及びコレステロール関連疾患、糖尿病及び糖尿病関連疾患、脳血管障害又は心臓血管疾患を治療する方法も提供される。
【0020】
一つの態様において、本明細書において、「I型」と命名される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。I型は、図1に示すX線回折パターン、図5に示す示差走査熱量測定曲線、及び図9に示す赤外線スペクトルを有し得る。I型のX線回折パターンの回折角及び相対強度を表1(実施例2)に示す。例えば、I型は、約5.43、7.95、9.61、11.29、11.92、18.91、19.25、22.78、及び23.95°2θにピークを有するX線回折パターン又は約3.99、5.43、5.74、7.95、9.61、11.29、11.92、15.91、18.91、19.25、22.78、23.95、及び28.02°2θ°にピークを有するX線回折パターンによって特定することができる。また、I型は、3301、2964、2871、1902、1646、1314、1225、1157、845、699、618及び522cm−1のIRバンドによって特定することもできる。さらにまた、I型は、約176.43℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約13.55J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0021】
別の態様において、本明細書において、「II型」と命名される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。II型は、図2に示すX線回折パターン、図6に示す示差走査熱量測定曲線、及び図10に示す赤外線スペクトルを有し得る。II型のX線回折パターンの回折角及び相対強度を表2(実施例3)に示す。例えば、II型は、約3.76、6.08、7.19、8.90、12.30、12.86、17.62、20.16、24.41、26.59及び28.77°2θにピークを有するX線回折パターン又は約3.76、5.32、6.08、7.19、8.90、9.34、11.27、12.30、12.86、15.29、16.18、17.62、20.16、21.08、21.51、22.57、24.41、24.63、25.15、26.59、28.77、35.67、37.48°2θ°にピークを有するX線回折パターンによって特定することができる。また、II型は、3398、2929、2364、1738、1703、1656、1596、1561、1511、1314、1225、1117、843、752及び700cm−1のIRバンドによって特定することもできる。さらにまた、II型は、約187℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約21.64J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0022】
別の態様において、本明細書において、「III型」と命名される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。III型は、図3に示すX線回折パターン、図7に示す示差走査熱量測定曲線、及び図11に示す赤外線スペクトルを有し得る。III型のX線回折パターンの回折角及び相対強度を表3(実施例4)に示す。例えば、III型は、約4.72、7.01、9.38、13.59、18.28、19.56、20.48、22.33、22.97、23.51及び27.29°2θにピークを有するX線回折パターン又は約3.71、4.72、7.01、7.35、9.38、10.16、13.06、13.59、14.03、14.57、15.85、17.09、17.64、18.28、19.56、20.48、22.33、22.97、23.51、27.29°2θ°にピークを有するX線回折パターンによって特定することができる。また、III型は、3402、2966、1655、1560、1514、1222、1156、1110、1031、844及び700cm−1のIRバンドによって特定することもできる。さらにまた、III型は、約178.49℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約18.14J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0023】
別の態様において、本明細書において、「IV型」と命名される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体が提供される。IV型は、図4に示すX線回折パターン、図8に示す示差走査熱量測定曲線、及び図12に示す赤外線スペクトルを有し得る。IV型のX線回折パターンの回折角及び相対強度を表4(実施例5)に示す。例えば、IV型は、約5.72、9.42、10.16、10.42、11.40、18.56、19.48、21.03及び21.83°2θにピークを有するX線回折パターン又は約4.09、5.72、9.42、10.16、10.42、11.40、11.80、14.99、17.39、18.56、19.48、21.03、21.83、22.83°2θ°にピークを有するX線回折パターンによって特定することができる。また、IV型は、3400、2965、2343、1650、1563、1409、1013及び619cm−1のIRバンドによって特定することもできる。さらにまた、IV型は、約179℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約11.23J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定することができる。
【0024】
これらのX線回折パターン、赤外線スペクトル帯域及びDSCデータは、本明細書に記載の多形体I型、II型、III型及びIV型が、相互に異なることを示す。
【0025】
本発明の別の態様は、本明細書に記載の(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の多形体の複数の調製方法を提供する。
【0026】
前記の方法は、(i)(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の非晶体又は任意の多形体の溶液、例えば溶媒和物、無水溶液、及び1種又はそれ以上の溶媒を含有する溶液を調製することと、(ii)得られた溶液から溶媒を除去することによって本明細書に記載の多形体を回収することと、(iii)場合によってそのようにして得られた多形生成物を乾燥することとを含む。
【0027】
非晶体及びその水和物は、国際公開第2004/106299号、同第2007/054790号及び同第2007/054896号明細書(参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って調製することができる。
【0028】
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3、5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩(式I)の結晶多形体I型は、図13に示すスキームによって製造することができる。図13を参照して、式IIの化合物は、国際公開第2004/106299号、同第2007/054790号及び同第2007/054896号明細書に記載の方法に従って調製することができる。式IIの化合物は、水酸化ナトリウムを用いて加水分解させてその場でナトリウム塩を形成することができる。その場で生成したナトリウム塩は、例えば、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム又は塩化カルシウムを使用してそのヘミカルシウム塩に転化させることができる。
【0029】
結晶多形体、例えば、I型は、式Iの化合物を1種又はそれ以上の溶媒に溶解することによって得ることができる。I型は、溶液から沈殿又は濾過によって回収することができる。次いで、生成物は乾燥してもよい。
【0030】
使用する溶媒(1種又はそれ以上)は、酢酸エステル(例えば、酢酸エチル又は酢酸イソプロピル)、極性プロトン性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールを含むアルコール又は水)、極性非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド又はジメチルホルムアミド)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸イソプロピル)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン又はテトラヒドロフラン)、ケトン類(例えば、アセトン、2−ブタノン又は4−メチオエンタノン)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル又はプロピオニトリル)、炭化水素(例えば、ヘキサン又はヘプタン)、芳香族炭化水素(例えば、トルエン又はキシレン)、又はこれらの混合物の1つ又はそれ以上から選択し得る。アルコールは、1〜6個の炭素原子を有する第1級、第2級又は第3級アルコール、例えば、メタノール、エタノール、変性アルコール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、又はt−ブタノールの1つ又はそれ以上を包含し得る。
【0031】
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の多形体が溶解しないか又は溶解しにくい別の溶媒(1種又は複数)を、場合により前記溶液に加えて結晶多形体を沈殿させ、その後に溶媒を除去し、多形体を回収することができる。沈殿は、特に初期温度が高められる場合には、溶媒の温度を低下させることによって誘導することができる。沈殿はまた、本明細書に記載の形態の種結晶を加えることによって、溶液の容量を減らすことによって、又は当該技術において公知のその他の手段によって、促進し得る。
【0032】
使用する溶媒の量は、制限されず、また溶媒の種類、バッチ処理及び容器の大きさ、反応の温度、並びに攪拌の有無などの条件に応じて変化するであろう。結晶化温度は制限されないが、良好な結果は、0℃(氷冷水浴の温度)と室温(約25℃)の間で結晶化を行うことによって得ることができる。
【0033】
生成物は、当該技術における任意の方法、例えば蒸留、真空蒸留、蒸発 、濾過、及び真空濾過、デカンテーション、遠心分離又乾燥によって回収することができる。得られた生成物は、適当な溶媒で洗浄してもよく、またさらに又は追加的に所望の水分値を達成するために乾燥してもよい。例えば、生成物は、さらに又は追加的に箱型乾燥機で乾燥してもよいし、真空乾燥してもよく、及び/又は流動層乾燥機で乾燥してもよい。生成物は、生成物の分解を回避する条件下で乾燥してもよく、例えば、40℃よりも低い温度で風乾してもよいし又は減圧で乾燥してもよい。乾燥はまた、高められた温度又は周囲温度で実施することができる。
【0034】
前記方法は、次の実施形態の1つ又はそれ以上を包含し得る。例えば、結晶多形体「I型」は、一般に、有機溶媒、例えば酢酸エステル(例えば、酢酸エチル又は酢酸イソプロピル)あるいは低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール又はイソプロパノール)に、図13に示すスキーム及び前記のスキームによって得られた生成物の非晶体を加えるか又は懸濁することによって調製することができる。有機溶媒は、別の溶媒として若干の水を含有することが好ましい。水の量は、約40%から約75%まで、好ましくは約50%から約67%までの範囲であってもよい。懸濁液又は溶液を、約50℃〜還流温度の間の温度で約1時間〜約20時間加熱し得ることも好ましい。
【0035】
別の実施形態において、結晶多形体II型は、I型、又は非晶体を、有機溶媒、例えばニトリル類(例えば、アセトニトリル又はプロピオニトリル)に懸濁することによって調製することができる。この実施形態において、有機溶媒は、別の溶媒として若干の水を含有することが好ましい。水の量は、約40%から約70%まで、好ましくは約50%から約60%までの範囲であってもよい。懸濁物を、約50℃から還流温度までの温度で約1時間〜約20時間加熱することも好ましい。
【0036】
別の実施形態において、結晶多形体III型は、I型、又は非晶体を、水のような極性プロトン性溶媒に懸濁することによって調製することができる。懸濁物を、約60℃から還流温度までの温度で約1時間〜約10時間加熱することが好ましい。
【0037】
別の実施形態において、結晶多形体IV型は、I型、又は非晶体を、有機溶媒、例えばアセトン類(例えば、アセトン、2−ブタノン又は4−メチルペンタノン)に懸濁することによって製造することができる。有機溶媒は、別の溶媒として若干の水を含有することが好ましい。水の量は、約40%から約75%まで、好ましくは約50%から約68%までの範囲であってもよい。懸濁物を、約40℃から還流温度までの温度で約1時間〜約20時間加熱することが好ましい。
【0038】
本明細書に記載の多形体は、非粘稠性であり、濾過ケーキの掻き取り及び取り扱いを容易にする優れた濾過特性を有する。これらの多形体は、良好な流動性を有し、従って医薬製剤に製剤するのに適している。
【0039】
本発明の別の態様は、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸のヘミカルシウム塩の1つ又はそれ以上の多形体を、場合よっては、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る担体、希釈剤、賦形剤又はこれらの混合物と一緒に含有する医薬組成物を提供する。
【0040】
本発明の医薬組成物、すなわち1つの多形体を含有する医薬組成物及び2つ又はそれ以上の多形体を含有する医薬組成物の両方は、経口、口腔、直腸、吸入、局所、経皮、眼内、非経口(例えば、皮下、筋肉内又は静脈内)投与又はこれらの組み合わせに適したものであり得る。所定の症状において最も適した経路は、治療中の状態の性質及び重症度に依存するであろうが、投与の最も好ましい経路は経口である。
【0041】
組成物は、治療剤化合物の即時放出又は持続放出を提供するために製剤し得る。本明細書に記載の化合物は、単独で投与することができるが、一般的には1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る担体、希釈剤、賦形剤又はこれらの混合物との混合物として投与されるであろう。製剤としては、固形製剤又は液状製剤が挙げられる。
【0042】
経口投与用の固形製剤としては、カプセル、錠剤、丸剤、散剤、顆粒又は坐薬が挙げられ得る。固形製剤について、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な製薬学的に許容し得る賦形剤又は担体、例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム及び/又は充填剤、増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール又はケイ酸;結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン類、ポリビニルピロリドン、スクロース、又はアラビアゴム;崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩又は炭酸ナトリウム;吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物;湿潤剤、例えば、セチルアルコール、グリセロール、又はモノステアリン酸吸収剤、例えばカオリン;潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、又はラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物と混合される。製剤がカプセル、錠剤、又は丸剤として調製される実施形態において、製剤はまた、緩衝剤も含有し得る。
【0043】
錠剤、カプセル、丸剤、又は顆粒の固形調製物は、コーティング及び/又はシェル、例えば、フィルムコーティング、腸溶コーティング及び医薬製剤技術において周知のその他のコーティングを用いて得ることができる。
【0044】
経口投与用の液状調剤としては、製薬学的に許容し得るエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルを挙げることができる。液状製剤について、活性化合物は、水又はその他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(例えば、綿実油、粉砕トウモロコシ油、胚芽油、肝油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール及びソルビタンの脂肪酸エステル及びこれらの混合物と混合することができる。
【0045】
経口組成物は、不活性希釈剤の他に、補助剤、例えば、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤も含有することができる。
【0046】
注射剤、例えば、滅菌注射剤、水性懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用する技術に従って製剤し得る。許容し得るビヒクル及び使用し得る溶媒は、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウムである。
【0047】
口腔投与、直腸投与、吸入投与、局所投与、経皮投与、眼内投与及び非経口投与用の調剤は、製剤技術において公知の方法に従って調製することができる。本明細書に記載の製剤は、当該技術で周知の方法を用いることによって患者に投与した後に活性化合物の迅速放出、持続放出又は遅延放出を提供するように製剤し得る。本明細書で使用する「患者」という用語は、治療、観察又は実験の対象であるヒト又は非ヒト哺乳動物を指す。
【0048】
医薬製剤は、単位剤形であり得、このような剤形において、調製は、適量の活性化合物を含有する単位用量に細分化される。
【0049】
具体的な疾患又は状態の治療に有効である本明細書に記載の化合物の量は、標準的な臨床技術によって決定することができる。また、生体外又は生体内アッセイが、場合によって最適用量範囲を特定するのを促進するために使用し得る。
【0050】
本発明の別の態様は、患者に治療有効量の本明細書に記載の1種又はそれ以上の化合物又は医薬組成物を投与することを含む、コレステロール関連疾患、糖尿病及び糖尿病関連疾患、脳血管障害又は心臓血管疾患を患う患者を治療する方法を提供する。
【0051】
本明細書に記載の化合物又は医薬組成物は、疾患又は障害、例えば、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、高リポ蛋白血症、高トリグリセリド血症、高血圧症、脳卒中、虚血、内皮機能障害、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、脳梗塞、心筋微小血管疾患、認知症、アルツハイマー病、骨粗鬆症、骨減少症、狭心症又は再狭窄を治療するのに使用できる。
【0052】
以下に示す実施例は、多形体の調製のための一般的な合成方法を実証する。それぞれの場合において、X線回折データは、次の通りに収集した:
XRD:装置:モデルRU−H3R(Riigaku)、
データ収集パラメーター:電圧:50KV;電流:120mA;走査速度:2℃/分;走査段階:0.02℃;走査範囲:3〜40°。XRDデータを、表1〜4に示す。
【0053】
IR:装置:FTIR Paragon 1000PC。
【0054】
データ収集パラメーター:媒体:KBr;走査範囲:440〜4400cm−1
DSC:装置:Thermal Analyser Q100
データ収集パラメーター:走査速度:10℃/分;温度:50℃〜300℃。
【実施例】
【0055】
実施例は、開示の具体的態様を例証するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0056】
結晶多形体I型の製造
図13を参照して、式IIの化合物を、水酸化ナトリウムを使用して加水分解して、その場で水性層に存在するナトリウム塩を形成させた。この水性層を酢酸エチルで抽出して不純物を除去した。ナトリウム塩を含有する水性層を、攪拌下に室温で酢酸カルシウムと反応させて、式Iの化合物の沈殿物を生成させた。反応容器に等量の酢酸エチルを加え、反応混合物を攪拌下で加熱還流させて、沈殿した式Iの化合物を全て溶解させた。得られた熱溶液を濾過し、攪拌下で約25℃〜約30℃に冷却し、約4〜5時間攪拌し続けた。次いで、生成物を濾過し、酢酸エチル及び脱イオン水で洗浄し、乾燥のために取り出した。得られた生成物を、真空箱型乾燥機で、約60℃で約10時間〜約12時間乾燥し、所望の結晶多形体I型を得た。
【実施例2】
【0057】
結晶多形体I型の調整
エタノール(375mL、5倍量)に十分に懸濁した式Iの化合物(75g)の非晶体を、透明溶液が得られるまで約50℃〜約55℃に加熱した。脱イオン水(375mL、5倍量)を加えて、溶液を室温まで冷却し、得られた溶液を約50℃〜約55℃に約1時間加熱した。次いで、得られた乳白色溶液を約25℃〜約30℃の間に冷却し、約2時間半攪拌した。さらに、脱イオン水(375ml、5倍量)を徐々に加え、約1時間半攪拌した。固形物を濾過し、脱イオン水及びヘキサンで洗浄し、約55℃〜約60℃で約10〜約12時間真空乾燥をして、結晶多形体I型を形成した。I型のX線回折パターンについての回折角及び相対強度を、表1に示す。
【0058】
【表1】
【実施例3】
【0059】
結晶多形体II型の製造
非晶体(3.0g)を、50%アセトニトリルの水溶液(36mL、12倍量)に、攪拌下に還流温度で溶解した。得られた溶液を、再度、還流温度で約0.5時間攪拌した。得られた熱溶液を、約25℃〜約30℃の間まで冷却し、8〜10時間攪拌し、濾過し、脱イオン水で洗浄し、約55℃〜約60℃で約10〜約12時間真空乾燥して、結晶多形体II型を形成した。II型のX線回折パターンについての回折角及び相対強度を、表2に示す。
【0060】
【表2】
【実施例4】
【0061】
結晶多形体III型の製造
水(200mL、20倍量)に懸濁した非晶体(10g)を、攪拌下に還流に約2時間供した。得られた懸濁液を、約25℃〜約30℃の間まで冷却し、約2〜約3時間攪拌し、濾過し、脱イオン水で洗浄して、結晶多形体III型を形成した。得られた結晶体を、最後に約55℃〜約60℃で約10〜12時間真空乾燥した。III型のX線回折パターンについての回折角及び相対強度を、表3に示す。
【0062】
【表3】
【実施例5】
【0063】
結晶多形体IV型の製造
式Iの化合物の非晶体(5g)をアセトン(25mL、5倍量)に懸濁し十分に攪拌した懸濁液に、脱イオン水(50mL、10倍量)を還流温度で徐々に加えた。得られた透明溶液を約30分間還流し、次いで攪拌下で約25℃〜約30℃の間まで冷却した。得られた溶液を、室温で約3時間攪拌し、白色固体を濾過し、脱イオン水で洗浄し、約55℃〜約60℃で約8〜約10時間真空乾燥して、結晶多形体IV型を得た。IV型のX線回折パターンについての回折角及び相対強度を、表4に示す。
【0064】
【表4】
【実施例6】
【0065】
結晶多形体I型から非晶体の製造
I型(30g)をメタノール(150mL、5倍量)に溶解した透明溶液を、室温で約1時間攪拌した。得られたメタノール溶液を濃縮乾固して、非晶体を得た。このようにして得られた非晶体を、約60℃で約24時間真空乾燥した。
【実施例7】
【0066】
非晶体から結晶多形体I型の製造
酢酸エチル:水(9L、1:1、10倍量)に溶解した非晶体(900g)を、約2時間還流した。得られた熱溶液を、攪拌下で45℃に冷却し、室温で約2〜約3時間再度攪拌し、濾過し、脱イオン水で洗浄し、約55℃〜約60℃で約8〜10時間乾燥した。
【実施例8】
【0067】
非晶体及び結晶多形体の安定性試験
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の種々の形の一体性を、種々の大気条件下で試験して、異なる保存環境の薬物の非晶体及び多形体の安定性を調べた。
【0068】
逆相−HPLC(RP−HPLC)を使用して、分解生成物に相当する小分子及び酸化された薬物から(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を分離した。
【0069】
薬物の相対量を、UVによる全吸収の%として記録した。全てのUV吸収不純物の全ピーク面積を使用して、薬物の全不純物を定義した。不純物は、その未変性薬物と比べた相対保持時間(RRT)によって定義される。試料を、C18カラムに、標準的な温度、勾配及び操作時間条件を使用して注入した。
【0070】
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の非晶体に関するこの一体性試験の結果を、表5に示す。
【0071】
(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の多形体の3つの別々のバッチを調製し、非晶体について記載した条件と同じ条件下で試験した。これらI型の3つのバッチの一体性試験の結果を、表6〜8に示す。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6.1】
【0074】
【表6.2】
【0075】
【表7.1】
【0076】
【表7.2】
【0077】
【表8.1】
【0078】
【表8.2】
【0079】
本発明の上記の記載は、例証及び説明のために示すものである。また、記載は、本発明を本明細書に開示された形態に限定することを意図するものではない。従って、上記の教示、及び関連分野の技術又は知見に相応する変形及び改変は、本発明の範囲内に入る。本明細書において上記した実施形態は、さらに、本発明を実施するために知られている最良の形態を説明することを意図し、また当業者が本発明それ自体、又は他の実施形態を、本発明の具体的な応用又は用途によって必要とされる種々の改変を伴って利用することを可能にすることを意図する。添付の特許請求の範囲は、別の実施形態を従来技術によって認められる程度まで包含すると解釈されることを意図する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約5.43、7.95、9.61、11.29、11.92、18.91、19.25、22.78、及び23.95 2θ°にX線粉末回折ピークを有する(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項2】
約3.99、5.43、5.74、7.95、9.61、11.29、11.92、15.91、18.91、19.25、22.78、23.95、及び28.02°2θ°にX線粉末回折ピークを有する、請求項1に記載の結晶多形体。
【請求項3】
約176.43℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約13.55J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項4】
3301、2964、2871、1902、1646、1314、1225、1157、845、699、618及び522cm−1にIRバンドを有する赤外線スペクトルによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項5】
前記赤外線スペクトルが実質的に図9に示す通りである、請求項4に記載の結晶多形体。
【請求項6】
約3.76、6.08、7.19、8.90、12.30、12.86、17.62、20.16、24.41、26.59及び28.77 2θ°にX線粉末回折ピークを有する(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項7】
約3.76、5.32、6.08、7.19、8.90、9.34、11.27、12.30、12.86、15.29、16.18、17.62、20.16、21.08、21.51、22.57、24.41、24.63、25.15、26.59、28.77、35.67、37.48°2θ°にX線粉末回折ピークを有する、請求項6に記載の結晶多形体。
【請求項8】
約187℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約21.64J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項9】
3398、2929、2364、1738、1703、1656、1596、1561、1511、1314、1225、1117、843、752及び700cm−1にIRバンドを有する赤外線スペクトルによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項10】
前記赤外線スペクトルが実質的に図10に示す通りである、請求項9に記載の結晶多形体。
【請求項11】
約4.72、7.01、9.38、13.59、18.28、19.56、20.48、22.33、22.97、23.51及び27.29 2θ°にX線粉末回折ピークを有する(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項12】
約3.71、4.72、7.01、7.35、9.38、10.16、13.06、13.59、14.03、14.57、15.85、17.09、17.64、18.28、19.56、20.48、22.33、22.97、23.51、27.29°2θ°にX線粉末回折ピークを有する、請求項11に記載の結晶多形体。
【請求項13】
約178.49℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約18.14J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項14】
3402、2966、1655、1560、1514、1222、1156、1110、1031、844及び700cm−1にIRバンドを有する赤外線スペクトルによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項15】
前記赤外線スペクトルが実質的に図11に示す通りである、請求項14に記載の結晶多形体。
【請求項16】
約5.72、9.42、10.16、10.42、11.40、18.56、19.48、21.03及び21.83 2θ°にX線粉末回折ピークを有する(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項17】
約4.09、5.72、9.42、10.16、10.42、11.40、11.80、14.99、17.39、18.56、19.48、21.03、21.83、22.83°2θにX線粉末回折ピークを有する、請求項16に記載の結晶多形体。
【請求項18】
約179℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約11.23J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項19】
3400、2965、2343、1650、1563、1409、1013及び619cm−1にIRバンドを有する赤外線スペクトルによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項20】
赤外線スペクトルが実質的に図12に示す通りである、請求項19に記載の結晶多形体。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の結晶多形体を含有する医薬組成物。
【請求項22】
製薬学的に許容し得る希釈剤、賦形剤、担体又はこれらの混合物をさらに含有する、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記組成物がフィルムコート錠として製剤される、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
患者のコレステロール関連疾患、糖尿病、糖尿病関連疾患、脳血管疾患及び心臓血管疾患からなる群から選択される疾患を治療する方法であって、このような疾患を有するか又はこのような疾患を発症する恐れのある患者に、治療有効量の請求項21に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項25】
前記疾患が、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、高リポ蛋白血症、高トリグリセリド血症、高血圧症、脳卒中、虚血、内皮機能障害、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、脳梗塞、心筋微小血管疾患、認知症、アルツハイマー病、骨粗鬆症、骨減少症、狭心症、再狭窄及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるコレステロール関連疾患である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
a.(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を、水及び酢酸エチルからなる溶媒に溶解して溶液を形成することと、
b.前記溶液を約30℃よりも低い温度に冷却することと、
c.前記溶液から前記溶媒を除去して、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のI型結晶多形体を回収することと、
を含む、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の結晶多形体の製造方法。
【請求項27】
a.(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を、水及びエタノールからなる溶媒に溶解して溶液を形成することと、
b.前記溶液を約30℃よりも低い温度に冷却することと、
c.前記溶液から前記溶媒を除去して、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のI型結晶多形体を回収することと、
を含む、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の結晶多形体の製造方法。
【請求項28】
a.(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を、水及びアセトニトリルからなる溶媒に溶解して溶液を形成することと、
b.前記溶液を約30℃よりも低い温度に冷却することと、
c.前記溶液から前記溶媒を除去して、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のII型結晶多形体を回収することと、
を含む、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の結晶多形体の製造方法。
【請求項29】
a.(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を、水に溶解して溶液を形成することと、
b.前記溶液を約30℃よりも低い温度に冷却することと、
c.前記溶液から前記水を除去して、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のIII型結晶多形体を回収することと、
を含む、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の結晶多形体の製造方法。
【請求項30】
a.(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を、水及びアセトンからなる溶媒に溶解して溶液を形成することと、
b.前記溶液を約30℃よりも低い温度に冷却することと、
c.前記溶液から前記溶媒を除去して、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のIV型結晶多形体を回収することと、
を含む、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の結晶多形体の製造方法。
【請求項31】
さらに、回収した結晶多形体を乾燥することを含む、請求項26〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
約5.43、7.95、9.61、11.29、11.92、18.91、19.25、22.78、及び23.95 2θ°にX線粉末回折ピークを有する(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項2】
約3.99、5.43、5.74、7.95、9.61、11.29、11.92、15.91、18.91、19.25、22.78、23.95、及び28.02°2θ°にX線粉末回折ピークを有する、請求項1に記載の結晶多形体。
【請求項3】
約176.43℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約13.55J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項4】
3301、2964、2871、1902、1646、1314、1225、1157、845、699、618及び522cm−1にIRバンドを有する赤外線スペクトルによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項5】
前記赤外線スペクトルが実質的に図9に示す通りである、請求項4に記載の結晶多形体。
【請求項6】
約3.76、6.08、7.19、8.90、12.30、12.86、17.62、20.16、24.41、26.59及び28.77 2θ°にX線粉末回折ピークを有する(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項7】
約3.76、5.32、6.08、7.19、8.90、9.34、11.27、12.30、12.86、15.29、16.18、17.62、20.16、21.08、21.51、22.57、24.41、24.63、25.15、26.59、28.77、35.67、37.48°2θ°にX線粉末回折ピークを有する、請求項6に記載の結晶多形体。
【請求項8】
約187℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約21.64J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項9】
3398、2929、2364、1738、1703、1656、1596、1561、1511、1314、1225、1117、843、752及び700cm−1にIRバンドを有する赤外線スペクトルによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項10】
前記赤外線スペクトルが実質的に図10に示す通りである、請求項9に記載の結晶多形体。
【請求項11】
約4.72、7.01、9.38、13.59、18.28、19.56、20.48、22.33、22.97、23.51及び27.29 2θ°にX線粉末回折ピークを有する(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項12】
約3.71、4.72、7.01、7.35、9.38、10.16、13.06、13.59、14.03、14.57、15.85、17.09、17.64、18.28、19.56、20.48、22.33、22.97、23.51、27.29°2θ°にX線粉末回折ピークを有する、請求項11に記載の結晶多形体。
【請求項13】
約178.49℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約18.14J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項14】
3402、2966、1655、1560、1514、1222、1156、1110、1031、844及び700cm−1にIRバンドを有する赤外線スペクトルによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項15】
前記赤外線スペクトルが実質的に図11に示す通りである、請求項14に記載の結晶多形体。
【請求項16】
約5.72、9.42、10.16、10.42、11.40、18.56、19.48、21.03及び21.83 2θ°にX線粉末回折ピークを有する(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項17】
約4.09、5.72、9.42、10.16、10.42、11.40、11.80、14.99、17.39、18.56、19.48、21.03、21.83、22.83°2θにX線粉末回折ピークを有する、請求項16に記載の結晶多形体。
【請求項18】
約179℃の外挿開始温度を有する吸熱及び約11.23J/gの関連する熱を示す示差走査熱量測定曲線によって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項19】
3400、2965、2343、1650、1563、1409、1013及び619cm−1にIRバンドを有する赤外線スペクトルによって特定される(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩の結晶多形体。
【請求項20】
赤外線スペクトルが実質的に図12に示す通りである、請求項19に記載の結晶多形体。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の結晶多形体を含有する医薬組成物。
【請求項22】
製薬学的に許容し得る希釈剤、賦形剤、担体又はこれらの混合物をさらに含有する、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記組成物がフィルムコート錠として製剤される、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
患者のコレステロール関連疾患、糖尿病、糖尿病関連疾患、脳血管疾患及び心臓血管疾患からなる群から選択される疾患を治療する方法であって、このような疾患を有するか又はこのような疾患を発症する恐れのある患者に、治療有効量の請求項21に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項25】
前記疾患が、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、高リポ蛋白血症、高トリグリセリド血症、高血圧症、脳卒中、虚血、内皮機能障害、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、脳梗塞、心筋微小血管疾患、認知症、アルツハイマー病、骨粗鬆症、骨減少症、狭心症、再狭窄及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるコレステロール関連疾患である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
a.(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を、水及び酢酸エチルからなる溶媒に溶解して溶液を形成することと、
b.前記溶液を約30℃よりも低い温度に冷却することと、
c.前記溶液から前記溶媒を除去して、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のI型結晶多形体を回収することと、
を含む、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の結晶多形体の製造方法。
【請求項27】
a.(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を、水及びエタノールからなる溶媒に溶解して溶液を形成することと、
b.前記溶液を約30℃よりも低い温度に冷却することと、
c.前記溶液から前記溶媒を除去して、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のI型結晶多形体を回収することと、
を含む、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の結晶多形体の製造方法。
【請求項28】
a.(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を、水及びアセトニトリルからなる溶媒に溶解して溶液を形成することと、
b.前記溶液を約30℃よりも低い温度に冷却することと、
c.前記溶液から前記溶媒を除去して、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のII型結晶多形体を回収することと、
を含む、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の結晶多形体の製造方法。
【請求項29】
a.(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を、水に溶解して溶液を形成することと、
b.前記溶液を約30℃よりも低い温度に冷却することと、
c.前記溶液から前記水を除去して、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のIII型結晶多形体を回収することと、
を含む、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の結晶多形体の製造方法。
【請求項30】
a.(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩を、水及びアセトンからなる溶媒に溶解して溶液を形成することと、
b.前記溶液を約30℃よりも低い温度に冷却することと、
c.前記溶液から前記溶媒を除去して、(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−[(4−ヒドロキシメチルフェニルアミノ)カルボニル]−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸ヘミカルシウム塩のIV型結晶多形体を回収することと、
を含む、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の結晶多形体の製造方法。
【請求項31】
さらに、回収した結晶多形体を乾燥することを含む、請求項26〜30のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−543773(P2009−543773A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519002(P2009−519002)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002647
【国際公開番号】WO2008/010087
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(597084113)ランバクシー ラボラトリーズ リミテッド (32)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002647
【国際公開番号】WO2008/010087
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(597084113)ランバクシー ラボラトリーズ リミテッド (32)
【Fターム(参考)】
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