説明

ICタグホルダー着脱装置、ICタグホルダーの装着方法ならびにICタグホルダーの取り外し方法

【課題】ICタグを装着したICタグホルダーを管体に着脱するICタグホルダー着脱装置を提供する。
【解決手段】複数の支持脚4を有し、該複数の支持脚4が開脚しようとする弾性力により管体内部に定着されるICタグホルダー3を固定可能な保持具8を先端に有するアーム7と、該保持具8によるICタグホルダー3の固定および固定の解除を操作する保持具操作手段と、前記アーム7に対して摺動可能、かつ、前記管体に挿入可能に設けられた筒状体5とを有し、該筒状体5のアーム7に対する摺動により、前記保持具8で固定したICタグホルダー3の支持脚4を前記筒状体5へ出し入れして、該支持脚4の開閉を可能としたことを特徴とするICタグホルダー3の着脱装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグホルダー着脱装置、ICタグホルダーの装着方法ならびにICタグホルダーの取り外し方法に関し、特に、鋼管等の管体の製造工程で、その規格や寸法を識別し、管体に施すべき加工処理を管理する上で必要な情報を記憶させたICタグを管体内に定着させるあるいは取外す装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼管には様々な規格や寸法が規定されており、鋼管の製造工程で施す加工処理を細かく管理する必要がある。たとえば外径は同じであっても肉厚の異なる鋼管は、端面に面取り加工を施す際に、切削工具の設定を調整する必要がある。ところが、このような同一外径で肉厚の異なる鋼管を、外観のみで識別することは困難である。さらに、同一外径かつ同一肉厚の鋼管であっても、材質や用途に応じて施すべき加工処理はそれぞれ異なる。
【0003】
そのため鋼管の規格や寸法を識別するために、所定の項目を鋼管の外面に印字する、あるいは所定の項目を印字したラベルを貼り付ける等の方法で、その鋼管に施すべき加工処理を管理している。
しかし鋼管の外面に印字する場合、搬送中に他の鋼管と接触することによって文字が消える、あるいは加工中に潤滑油や異物が付着することによって文字が判読できなくなる等の問題がある。また鋼管は搬送中に回転するので、文字は鮮明であっても、回転中に判読することは困難である。さらに停止したときに、作業員や読み取り装置から見えない位置に文字があれば、判読することは困難である。
【0004】
ラベルを貼り付ける場合も同様に、文字が消える,判読できない等の問題が生じる。さらに、ラベルが剥離して脱落するという問題もある。
そこで、ICタグを用いて鋼管を識別する技術が検討されている(たとえば特許文献1参照)。ICタグは、鋼管を識別するための所定の項目(たとえば規格,寸法等)を記憶したICチップと、その記憶した内容を送信するための小型アンテナを組み合わせたものである。
【0005】
特許文献1に開示された技術は、ICタグを化学樹脂の板材に貼り付け、その板材に接着された永久磁石を介して鋼管の内面に磁着するものである。ところが鋼管は、その製造工程で様々な衝撃を受けるので、磁着した永久磁石がICタグとともに鋼管から脱落するという問題がある。たとえば、スキッドと呼ばれる傾斜面を転がりストッパーに衝突して停止する際の衝撃、あるいは結束するためにクレードルと呼ばれる架台に落下する際の衝撃によって、永久磁石では容易に脱落する。
【0006】
また、発明者が強い磁力を有するネオジウム磁石を鋼管に磁着させて行なった実験によれば、鋼管がストッパーに衝突する、あるいはクレードルに落下する際に、ネオジウム磁石の脱落が認められた。ネオジウム磁石と鋼管はともに硬い材質であるから、ネオジウム磁石が鋼管に磁着した状態で衝撃を受けたときに、その衝撃のエネルギーを吸収できない。その結果、ネオジウム磁石が強い磁力を有するにも関わらず、衝撃によって鋼管から脱落するのである。
【0007】
つまり、ICタグを装着したホルダー(以下、ICタグホルダーという)を強力な磁石で鋼管に磁着させても、ICタグホルダーの脱落は避けられないので、鋼管を識別する精度が低下する。
また、接着剤を用いてICタグホルダーを鋼管の内面に貼り付けることは可能であるが、ICタグホルダーを取り外した後、鋼管の内面に接着剤の一部が残留する。そして、その残留した接着剤に金属片等の異物が付着し、検査工程で欠陥と判定されるという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-230717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ICタグホルダーを鋼管等の管体に装着した後に、管体への衝撃によりICタグホルダーが外れることがなく、また、管体に接着剤を残留させることもないICタグホルダーの管体への装着方法、および、この方法で装着されたICタグホルダーの管体からの取り外し方法、さらには、これら装着方法、取り外し方法を行うためのICタグホルダーの着脱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、図3に示すような線状の弾性体(例えばバネ材等)からなる支持脚を2本以上取り付けたICタグホルダーを用いて、鋼管等の管体の内面にICタグホルダーを定着させる技術を検討した。つまり、線状の支持脚4の一端をICタグ2を保持するICタグ装着部3aに固定する一方で他端を自由端とし、さらに2本以上の支持脚の自由端で形成される円形の直径を管体の内径より大きく設定する。そしてICタグホルダーを管体内に挿入するときには支持脚4を外側から拘束して閉脚することで、自由端で形成される円形を小さく絞り、管体内で支持脚4の拘束を開放すれば、支持脚が開脚しようとする弾性力により、すなわち、自由端が管体の内径より大きく広がろうとする復元力によって、ICタグホルダー3を管体内に定着できる。
【0011】
そして、さらに、図3に示すようなICタグホルダー3を管体内に定着させる、あるいは管体内から取外すための有効な自動機器や、ICタグホルダー3の管体内への装着方法取り外し方法について検討を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)複数の支持脚を有し、該複数の支持脚が開脚しようとする弾性力により管体内部に定着されるICタグホルダーを、管体の内部に着脱するためのICタグホルダーの着脱装置であって、前記ICタグホルダーを固定可能な保持具を先端に有するアームと、該保持具によるICタグホルダーの固定および固定の解除を操作する保持具操作手段と、前記アームに対して摺動可能、かつ、前記管体に挿入可能に設けられた筒状体とを有し、該筒状体のアームに対する摺動により、前記保持具で固定したICタグホルダーの支持脚を前記筒状体へ出し入れして、該支持脚の開閉を可能としたことを特徴とするICタグホルダーの着脱装置。
【0012】
(2)複数の支持脚を有し、該複数の支持脚が開脚しようとする弾性力により管体内部に定着されるICタグホルダーを、管体の内部に装着するICタグホルダーの装着方法であって、前記ICタグホルダーを管体内に挿入可能な保持具により固定し、該保持具により固定した前記ICタグホルダーの前記支持脚を、前記管体内に挿入可能な筒状体によって閉脚し、該筒状体の軸方向と前記管体の軸方向とを略一致させて、前記保持具と前記筒状体とを共に管端より管体内へと挿入して、ICタグホルダーの支持脚を閉脚したまま該ICタグホルダーを管体内へと挿入し、次いで、前記保持具および前記ICタグホルダーを管体内へ挿入したまま、前記筒状体を前記管体に対して前記軸方向に摺動させ、筒状体から前記ICタグホルダーの支持脚を抜き出して、前記支持脚を開脚させ、その後に、前記保持具によるICタグホルダーの固定を解除し、該保持具を管端より管体外へ引き出すことを特徴とするICタグホルダーの装着方法。
【0013】
(3)複数の支持脚を有し、該複数の支持脚が開脚しようとする弾性力により管体内部に定着されているICタグホルダーを、管体の内部から取り外すICタグホルダーの取り外し方法であって、前記ICタグホルダーの保持具を、管端より前記管体内に挿入して該保持具により前記ICタグホルダーを固定し、次いで、前記管体内に挿入可能な筒状体を、該筒状体の軸方向と前記管体の軸方向とを略一致させて管端より前記管体内に挿入して、該筒状体により前記ICタグホルダーの支持脚を閉脚し、その後に、前記保持具および筒状体を共に管端より管体外へと引き出して、ICタグホルダーの支持脚を閉脚したまま該ICタグホルダーを管体外へと引き出すことを特徴とするICタグホルダーの取り外し方
法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ICタグホルダーは、支持脚の弾性力により管体の内部に定着させるので、管体に衝撃が加わって一瞬ICタグホルダーがはずれそうになったとしても、支持脚が開脚しようとする復元力により、直ちにICタグホルダーが管体内に定着されるので、ICタグホルダーは外れることはない。また、管体の内面に定着するにあたって接着剤等を用いる必要もないので、管体内面に異物が付着することもない。
【0015】
また、ICタグホルダーを保持具で固定した状態で、筒状体により支持脚を閉脚させ、この状態で筒状体とともにICタグホルダーを管体内へ出し入れするので、ICタグホルダーを管体へ挿入する、あるいは管体から引き出す際に、支持脚の先端により管体内面に疵を付けることもなく、ICタグホルダーを着脱可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のICタグホルダー着脱装置を示す斜視図であり、(a)はICタグホルダーの支持脚を開脚状態としてICタグホルダーを保持した状態を、(b)はICタグホルダーの支持脚を閉脚状態としてICタグホルダーを保持した状態を示す。
【図2】本発明のICタグホルダーの着脱要領を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明のICタグホルダー着脱装置により、管体内へ装着されるICタグホルダーを示す斜視図である。
【図4】比較のために把持具のみを用いてICタグホルダーを管体内に定着させた例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、管体が鋼管である場合を例にして、本発明の実施形態を説明する。
図3は、ICタグホルダーとICタグとの配置の例を模式的に拡大して示す斜視図である。図3に示すように、ICタグ2は鋼管を識別するための所定の項目(たとえば規格,寸法等)を保存したICチップ2aと、その保存した内容を送信するための小型アンテナ2bを組み合わせたものである。ここでは、ICチップ2aと小型アンテナ2bを総称してICタグ2と記す。
【0018】
図3に示すように、ICチップ2aと小型アンテナ2bからなるICタグ2をICタグホルダー3に装着する。ICタグホルダー3は、ICタグ装着部3aを有し、このICタグ装着部3aに対し、ICタグ2を装着する。ICタグ2をICタグ装着部3aに装着する手段は、特に限定しない。たとえば、接着剤を用いてICタグ装着部3aにICタグ2を貼り付ける,粘着テープを用いてICタグ装着部3aにICタグ2を固定する,ICタグ装着部3a内にICタグ2を埋め込む等の、従来から知られている様々な技術が使用できる。
【0019】
ICタグ装着部3aは、電気的絶縁性を有する軽量の固体であれば良く、その材質は限定しない。たとえば、合成樹脂,合成ゴム,木材,ダンボール等が使用できる。ただし、繰り返し使用するための耐用性,所定の形状に成形する際の加工性,装着されたICタグ2の安定性等を考慮すると、ICタグ装着部3aとして合成樹脂(たとえばポリプロピレン等)または合成ゴム(たとえばウレタンゴム等)を使用することが好ましい。
【0020】
管体1が鋼管である場合は、管体1は導電体であるから、ICタグ2と管体1が電気的に接触すると、小型アンテナ2bから送信できない。そこで電気的絶縁性を有するICタグ装着部3aを用いて、ICタグ2を管体1から電気的に絶縁する。
このICタグを装着したICタグ装着部3aに支持脚4を取付ける。支持脚4は線状の弾性体(たとえばバネ材等)からなり、支持脚4がICタグ装着部3aから脱落しないように、支持脚4の一端をICタグ装着部3aに固定する。なお、図3には4本の支持脚4を取付ける例を示したが、本発明では支持脚4の本数は特定の値に限定しない。ただし、後述するようにICタグホルダー3を管体1の内面に定着させるためには、複数のすなわち2本以上の支持脚4を取付ける必要がある。
【0021】
支持脚4の他端は拘束を受けない自由端4aとし、2本以上の支持脚4の自由端4aで形成される仮想円形の直径が、ICタグホルダー3を取り付ける管体1の内径より大きくなるように設定する。
支持脚4は弾性体であるため、その自由端4aに対して円形Cの外側より矢印Aの方向に力を加えて円形Cの内側へ自由端を移動させ、図中破線で示したように支持脚4を閉脚させると、支持脚4は矢印Aと反対向きの弾性力を発生させる。したがって、一端、支持脚4が閉脚するよう拘束して、全ての自由端4aを一度に管体1へ管端より挿入できるようにし、この状態で管体1の内部にICタグホルダー3を挿入し、その後に支持脚4の拘束を解除すれば、支持脚がもとに戻ろうとする復元力、すなわち、支持脚4の弾性力が鋼管1の内画に加わるので、支持脚4によりICタグホルダー3を管体1内部に定着させることができる。
【0022】
図1は、本発明のICタグホルダー着脱装置を示す斜視図であり、(a)はICタグホルダーの支持脚4を開脚させて、ICタグホルダー3を着脱装置に装着した状態を示し、(b)はICタグホルダー3を着脱装置により支持脚4を閉脚させた状態を示す。図2は、本発明のICタグホルダー着脱装置を用いて、管体1にICタグホルダーを着脱する要領を示す図である。本実施形態に係るICタグホルダー着脱装置は、ICタグホルダー3を固定可能な保持具8を先端に有するアーム7、アーム7を挿入可能に、かつ、このアーム7に対して摺動可能に設けられた、管体1に挿入可能な筒状体5、保持具8によるICタグホルダー3の固定および固定の解除をアーム7の基端側から操作可能な保持具操作手段10を有する。
【0023】
図1、図2の例では保持具8は開閉可能な把持アーム8aを有し、この把持アーム8aを閉じることによりICタグホルダーのICタグ装着部3aを把持することができるようになっている。すなわち、保持具8の把持アーム8aによるICタグ装着部3aの把持により、保持具8がICタグホルダーを固定するようにしている。把持アーム8aの開閉の操作は、保持具操作手段10により行う。保持具操作手段10と把持アーム8aとはアーム7の内部に貫通させて設けたワイヤ等の連結部材(図示せず)と接続されており、この保持具操作手段10は連結部材を操作することで、把持アーム8aの開閉を操作できる。このような構成とすることで、後述するように保持具8を管体内へ挿入した状態で、保持具8によるICタグホルダーの固定および固定の解除を行うことができるようにしている。
【0024】
筒状体5は、その軸方向がアーム7の軸方向と略一致しており、また、筒状体5は回動アーム6を介してアーム7に支持されている。回動アーム6を回動させることで、筒状体5をアーム7に対して摺動させることが可能である。回動アーム6の回動の操作手段は図示はしないが、例えば、回動アーム6とアーム7とを油圧シリンダ、空気圧シリンダで接続する等、公知の回動操作手段が適用できる。筒状体5は、アーム7の先端に設けた保持具8により固定されたICタグホルダー3の支持脚4が筒状体5外へと出ている位置(図2(a)参照)から、保持具8により固定されたICタグホルダー3の支持脚4の自由端4aを完全に筒状体5内へ収容できる位置(図2(b)参照)までを摺動できるようにしてある。すなわち、アーム7に対して筒状体5を摺動させることにより、保持具8により固定されたICタグホルダー8の支持脚4の筒状体5への出し入れを可能としている。
【0025】
筒状体5の内径は、複数の支持脚4の自由端4aを結ぶことで得られる仮想円形C(図3参照〉の直径よりも小さく設定されている。また、筒状体5の軸方向とICタグホルダーを取り付ける管体1の軸方向とを略一致させた状態で管体1内へ筒状体5を挿入することができるように、筒状体5の外径は管体1の内径よりも小さく設定してある。
管体1へICタグホルダー3を取り付ける際は、まず、図1(a)、図2(a)に示すように、筒状体5ヘアーム7が挿入された状態とし、把持アーム8aの先端を筒状体5の先端開口部5aより突出させ、この状態で把持アーム8aによりICタグ装着部3aを把持する。これにより、保持具8にICタグホルダー3を固定できる。把持アーム8aによるICタグ装着部3aの把持の操作は前述の保持具操作手段10により行う。このとき、ICタグホルダーの支持脚4は筒状体5には挿入しない状態としておく。
【0026】
次いで、図1(b)、図2(b)に示すように、アーム7に対して筒状体5を摺動させ、ICタグホルダー3を筒状体5の先端開口部5aより筒状体5内へと導入し、ICタグホルダーの支持脚4の自由端4aを筒状体内へと収容することで、支持脚4が閉脚する。
この状態で、図2(c)に示すよう、に管体1の管端から、筒状体5の軸方向と管体1の軸方向とを略一致させて、保持具8と筒状体5とを共に管体1内へと挿入して、支持脚4を閉脚したままICタグホルダー3を管体内へと挿入する。
【0027】
そして、図2(d)に示すように、保持具8およびICタグホルダー3を管体1内へ挿入したまま、筒状体5をアーム7に対して摺動させ、筒状体5の先端開口部5aからICタグホルダー3を抜き出して、支持脚4を開脚させる。支持脚4は閉脚のための拘束がされていない状態では、その自由端4aがなす仮想円形Cの直径が管体1の内径よりも大きくなるよう設定されているので、筒状体5の内面による拘束が解除されるとある程度開脚し、その後は、管体1の内面で開脚が拘束されるようになる。すなわち、支持脚4の弾性力が管体1の内面に加わるので、支持脚4によりICタグホルダー3を管体1内部に定着させることができる。
【0028】
最後に、図2(e)に示すように、保持具操作手段10を操作して、保持具8によるICタグホルダー3の固定を解除して、アーム7を筒状体5とともに管端より管体1外へ引き出すことで、ICタグホルダーの管体1への装着は完了する。
管体1の内部に装着されているICタグホルダーを、取り外す際には、図2(a)〜図2(e)の工程を逆に行えばよい。
【0029】
すなわち、図2(e)の状態から図2(d)の状態となるよう、保持具8を、管端より管体1内に掃入してこの保持具8によりICタグホルダー3を固定する。この際、筒状体5の先端開口部5aより保持具8は突出させておき、筒状体5と支持脚4とが干渉しないようにしておく。
次いで、図2(d)から図2(c)に示す状態となるように、筒状体5を筒状体5の軸方向と管体1の軸方向とを略一致させて管端より管体1内に挿入して、前記ICタグホルダーを、筒状体5に収容して支持脚4を閉脚する。
【0030】
その後に保持具8および筒状体3を共に管端より管体1外へと引き出して、ICタグホルダー3の支持脚4を閉脚したままICタグホルダー3を管体外へと引き出すことで、ICタグホルダー3の管体1からの取り外しは完了する。
以上説明したように、本発明のICタグホルダー着脱装置、着脱方法を用いることで、ICタグ2が装着されたICタグホルダー3を管体1内に容易に着脱できる。しかも、ICタグホルダー3を管体1内に挿入するとき、あるいは管体1から取り外すときに、支持脚4は筒状体5に収納されており、支持脚4の自由端4aが管体1の内面を擦らないので、管体1内面のスリ疵の発生を防止できる。
【実施例】
【0031】
図2に示すように、支持脚4を外側から拘束する筒状体5にICタグホルダー3を収納した。そして、筒状体5を回動アーム6によってアーム7で支持するとともに、ICタグホルダー3を把持具8で把持し、さらにアーム7を伸ばして、筒状体5を管体1内に挿入した。次に、図2に示すように、回動アーム6を操作して筒状体5を摺動させて、ICタグホルダー3を管体1の内面に定着させた。これを発明例とする。
【0032】
一方、比較例として、図4に示すように、アーム7の先端に設けた把持具8のみを用いて、ICタグホルダー3を管体1の内面に定着させた。つまり、筒状体5を使用せず、支持脚4の自由端が管体1内面を擦る状態でICタグホルダー3をその背後から鋼管1内に押込んだ。
次に、発明例と比較例についてICタグホルダー3を管体1から取外して、管体1の内面を検査したところ、発明例ではスリ疵は皆無であったのに対して、比較例ではスリ疵が認められた。また、比較例では、管体の内表面の微小凹凸にICタグホルダーの支持脚が引っ掛かり、円滑にICタグホルダーの取り外しが出来ない場合もあった。
【符号の説明】
【0033】
1 管体
2 ICタグ
2a ICチップ
2b 小型アンテナ
3 ICタグホルダー
3a ICタグ装着部
4 支持脚
4a 支持脚の自由端
5 筒状体
6 回動アーム
7 アーム
8 保持具
8a 把持アーム
10 保持具操作手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持脚を有し、該複数の支持脚が開脚しようとする弾性力により管体内部に定着されるICタグホルダーを、管体の内部に着脱するためのICタグホルダーの着脱装置であって、
前記ICタグホルダーを固定可能な保持具を先端に有するアームと、
該保持具によるICタグホルダーの固定および固定の解除を操作する保持具操作手段と、
前記アームに対して摺動可能、かつ、前記管体に挿入可能に設けられた筒状体とを有し、
該筒状体のアームに対する摺動により、前記保持具で固定したICタグホルダーの支持脚を前記筒状体へ出し入れして、該支持脚の開閉を可能としたことを特徴とするICタグホルダーの着脱装置。
【請求項2】
複数の支持脚を有し、該複数の支持脚が開脚しようとする弾性力により管体内部に定着されるICタグホルダーを、管体の内部に装着するICタグホルダーの装着方法であって、
前記ICタグホルダーを管体内に挿入可能な保持具により固定し、
該保持具により固定した前記ICタグホルダーの前記支持脚を、前記管体内に挿入可能な筒状体によって閉脚し、
該筒状体の軸方向と前記管体の軸方向とを略一致させて、前記保持具と前記筒状体とを共に管端より管体内へと挿入して、ICタグホルダーの支持脚を閉脚したまま該ICタグホルダーを管体内へと挿入し、
次いで、前記保持具および前記ICタグホルダーを管体内へ挿入したまま、前記筒状体を前記管体に対して前記軸方向に摺動させ、筒状体から前記ICタグホルダーの支持脚を抜き出して、前記支持脚を開脚させ、
その後に、前記保持具によるICタグホルダーの固定を解除し、該保持具を管端より管体外へ引き出すことを特徴とするICタグホルダーの装着方法。
【請求項3】
複数の支持脚を有し、該複数の支持脚が開脚しようとする弾性力により管体内部に定着されているICタグホルダーを、管体の内部から取り外すICタグホルダーの取り外し方法であって、
前記ICタグホルダーの保持具を、管端より前記管体内に挿入して該保持具により前記ICタグホルダーを固定し、
次いで、前記管体内に挿入可能な筒状体を、該筒状体の軸方向と前記管体の軸方向とを略一致させて管端より前記管体内に挿入して、該筒状体により前記ICタグホルダーの支持脚を閉脚し、
その後に、前記保持具および筒状体を共に管端より管体外へと引き出して、ICタグホルダーの支持脚を閉脚したまま該ICタグホルダーを管体外へと引き出すことを特徴とするICタグホルダーの取り外し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−11517(P2012−11517A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151908(P2010−151908)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(500216466)住重試験検査株式会社 (11)
【Fターム(参考)】