説明

ICタグ

【課題】ICタグの不正使用を防止するため、使用後のICタグを確実に失効化させる。
【解決手段】 基材2と、平面コイル回路部6と、対向電極16、18とからなる表面回路部と、前記対向電極に接続して実装されたICチップ22とを有する非接触ICインレット110の表面回路部を構成する導線に少なくとも1個の前記導線よりも幅広の切り欠き破線形成用端子24、26を形成すると共に、前記切り欠き破線形成用端子と基材と回路部とを貫通して切り欠き破線28を形成してなるICインレット110を用いてICタグを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人認証、商品管理、物流管理等に使用される、非接触ICタグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、管理対象の人や商品(被着体)に取付け、これら管理対象の流通等を管理する非接触ICタグが普及している。このICタグは、内蔵するICチップにデータを記憶させることができ、質問機と非接触で交信することにより、管理するデータを質問機と交換できるものである。
【0003】
ICタグの利用分野としては、例えば各種の交通機関の定期券、企業等における入出管理、商品の在庫管理、物流管理等多岐にわたる。これらの利用分野に応じて各種の形態のICタグがある。
【0004】
使い捨て用のICタグは、例えば商品に取付けられて店頭に並び、商品が販売されたときに質問機でICチップに記憶されたデータが読取られ、それによりICタグの役目は終了する。
【0005】
この使い捨て用のICタグは、そのままではICチップに記憶されたデータが残っているので、ICタグの使用後のICチップに記憶されたデータの管理が重要になっている。例えば、一度商品に取付けられて正当に使用されたICタグを商品から剥がし、ICチップに記憶されたデータを読取り、このデータを不正使用に供する場合が考えられる。また、廃棄したICタグの記憶データを改ざんして不正使用に供することも考えられる。
【0006】
このような不正使用を防止するため、高出力電界を発生させる失効器を用いてICタグを構成する共振回路に誘導電流を発生させることにより失効させる方法が開示されている(特許文献1)。この方法による場合は、失効処理後に共振性能が復活する場合がある。更に、この方法によれば、失効したことが視覚的に確認できない問題がある。
【0007】
また、ICタグの基材に剥離力の異なる部分を形成し、商品に貼着したICタグを商品から剥がして回収する際に、ICタグの電子回路が破壊するように構成することにより、該ICタグを失効させる方法が提案されている(特許文献2)。この提案においては、破壊は剥離力の差により生じることから、剥離力の安定した制御が重要になり、更に剥離層を形成する工程が必要になり、製造工程数が増加する問題がある。
【特許文献1】特開2002−185281号公報(段落番号0002)
【特許文献2】特開2000−57292号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、ICタグを構成する電子回路部に、予め切り欠き破線(ミシン目)を形成しておくことにより、ICタグの使用後、ICタグを失効させる時に、形成した切り欠き破線に沿って確実にICタグの電子回路の破壊が進み、その結果確実にICタグを失効させることができること、このような切り欠き破線の形成は、ICタグの製造時に個々のタグサイズに切断する際の工程に組込むことができ、この場合は何ら特別の工程を追加する必要がないこと等を知得し、特許出願をした(特願2004−195949)。この発明に於いては、失効させる際に何ら特別の装置を必要とすることなく、更に視覚的に失効状態にあることを確認できる利点がある。
【0009】
しかしながら、切り欠き破線を形成する際に、加工精度が低い場合は回路を破壊する可能性があることが考えられる。このような場合は、ICタグの信頼性を損うことになる。
【0010】
本発明者らは、上記問題を解決するために種々検討した結果、切り欠き破線を形成する電子回路の導線に、切り欠き破線形成用端子を形成し、この端子に切り欠き破線を形成することにより、切り欠き破線形成の際に必要とする加工精度を大幅に緩和できると共に、この端子の形成は回路製造時等に同時に形成でき、何ら工程の増加を必要としないことを知得した。
【0011】
本発明は、上記考察の結果完成するに至ったもので、その目的とするところは、製造工程を簡素化でき、又使用に際しては確実に失効できると共に、失効に際しては特別の装置を必要せずに失効できるICタグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明は以下に記載するものである。
【0013】
〔1〕 基材と、前記基材に形成された平面コイル回路部と平面コイル回路部に接続された少なくとも一対の対向電極とからなる表面回路部と、前記表面回路部を構成する導線に形成された少なくとも1個の切り欠き破線形成用端子と、前記基材と表面回路部とを貫通して切り欠き破線形成用端子にこれを通過する少なくとも1個の非切断部を有する切り欠き破線と、からなることを特徴とするアンテナ回路。
【0014】
〔2〕 切り欠き破線形成用端子が形成される導線が、各対向電極と平面コイル回路部とを接続する少なくとも一対のリード部であって、前記リード部に切り欠き破線形成用端子が形成されると共に、前記形成された切り欠き破線形成用端子にこれらを通過する少なくとも1個の非切断部を有する閉じた切り欠き破線が形成されてなる〔1〕に記載のアンテナ回路。
【0015】
〔3〕 切り欠き破線形成用端子が、少なくとも直径1mmの円を包含できる寸法を有する形状に形成されてなる〔1〕又は〔2〕に記載のアンテナ回路。
【0016】
〔4〕 切り欠き破線が、長さ0.08〜1.5mmの非切断部を有する〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載のアンテナ回路。
【0017】
〔5〕 〔1〕乃至〔4〕の何れかに記載のアンテナ回路の対向電極にICチップが接続されて実装されてなることを特徴とするICインレット。
【0018】
〔6〕 〔5〕に記載のICインレットの基材の表面回路部形成面及び/又はその反対面に接着剤層が形成されてなることを特徴とするICタグ。
【0019】
〔7〕 接着剤層が、閉じた切り欠き破線形成領域以外に形成されてなる〔6〕に記載のICタグ。
【0020】
〔8〕 閉じた切り欠き破線形成領域の少なくとも一部に接着剤層が形成されてなる〔7〕に記載のICタグ。
【0021】
〔9〕 基材の少なくとも平面回路部領域に接着剤層が形成されると共に、基材の残りの領域の周縁部の少なくとも一部に接着剤層が形成されてなる〔6〕に記載のICタグ。
【0022】
〔10〕 基材の閉じた切り欠き破線形成領域の少なくとも一部に接着剤層が形成されてなる〔9〕に記載のICタグ。
【0023】
〔11〕 〔6〕乃至〔10〕の何れかに記載のICタグの表面回路部形成面及び/又はその反対面に表面保護層が形成され、前記切り欠き破線が表面保護層を貫通してなるICタグ。
【0024】
〔12〕 表面保護層が、印刷適合性を有する〔11〕に記載のICタグ。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、切り欠き破線形成用端子を回路に形成し、この端子に切り欠き破線を形成するようにしたので、切り欠き破線を形成する際の加工精度を低減できる。その結果、量産性良くICタグを製造でき、得られるICタグは信頼性の高いものである。更に、ICタグの裏面に接着剤層を設ける場合、接着剤層の塗布形態を所定の構成とすることにより、ICタグの使用後は、より確実にICタグを失効させることができる。
【0026】
切り欠き破線の形成は、ICタグを製造する際に個々のタグサイズに切断する工程に組込むことにより、工程数を増やすことが避けられる。
【0027】
本発明のICタグの失効は、切り欠き破線に沿って切断されたICチップの領域の不存在を目視で確認できるので、失効の有無を簡単且つ確実に判断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態につき説明する。
(アンテナ回路)
図1は、本発明のアンテナ回路の一例を示す平面図である。
【0029】
図1中、100はアンテナ回路で、2は基材である。この基材2は後述する平面コイル回路部、ICチップ等を保持する支持体として機能する。
【0030】
基材2としては、上質紙、コート紙等の紙や、合成樹脂フィルム等が好ましい。合成樹脂フィルムを構成する樹脂材料としては、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリブテン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が例示される。
【0031】
基材2の厚みは10〜200μmが好ましく、特に25〜125μmが好ましい。
【0032】
前記基材2の一隅側には外部引出し電極4が形成されている。
【0033】
6は平面コイル回路部で、前記基材2の一面に矩形渦巻状に形成されており、前記外部引出し電極4と平面コイル回路部6とは離間して形成されている。平面コイル回路部6内側の一端は内部引出し電極8に接続されている。
【0034】
前記外部引出し電極4の近傍には、絶縁層10が前記平面コイル回路部6の上面を覆って形成されている。平面コイル回路部6の内側の内部引出し電極8と前記外部引出し電極4とは、前記絶縁層10の上面に形成されたジャンパー12により、電気的に接続されている。しかし、前記ジャンパー12は、絶縁層10によって、平面コイル回路部6と絶縁されている。
【0035】
図2に前記図1に於いて、絶縁層10及びジャンパー12が形成される前の回路パターンの構成を示す。
【0036】
一方のリード部14により、前記外部引出し電極4と一方の対向電極16とが接続されている。
【0037】
他方の対向電極18は、前記一方の対向電極16と所定間隔離間して形成されている。
【0038】
他方の対向電極18と、前記平面コイル回路部6の外側の他端19とは、他方のリード部20で接続されている。
【0039】
前記リード部14,20には、略扇型に形成された一対の切り欠き破線形成用端子24、26が形成されている。これら切り欠き破線形成用端子24、26は、図2に示すように、その幅Pはリード部14、20の線幅よりも大きく、好ましくは1〜20mmの大きさで形成されている。又、その長さQは、加工精度等も考慮すると、1mm以上が好ましく、特に1〜20mmが好ましい。これら切り欠き破線形成用端子24、26は、後述するICチップ22を取囲むようにして、前記一対のリード部14、20と電気的に接続されている。
【0040】
図1に於いて、28は切り欠き破線(ミシン目)で、前記一対の切り欠き破線形成用端子24、26を通過すると共に、後述するICチップを囲む略円形に形成されている。この円形に閉じた切り欠き破線28で形成される閉領域30により、後述するICチップ22はアンテナ回路100の他の領域31と区分されている。
【0041】
なお、前記切り欠き破線28の切り欠きは、両切り欠き破線形成用端子24、26及び基材2を貫通して形成されている。
【0042】
この切り欠き破線28は、大量生産工程においては、多数のアンテナ回路を一括して一体的に製造した後、アンテナ回路100を各タグサイズに切断する工程において、同時にミシン目を入れた抜き刃を用いて形成することが好ましい。
【0043】
図1に示すように、各切り欠き破線形成用端子24、26を通過する切り欠き破線の長さa、bは、それぞれ1mm以上が好ましく、1〜20mmがより好ましい。切り欠き破線の長さa、bが1mm未満の場合は、ICタグの応答感度が低下する場合がある。
【0044】
図3は、前記切り欠き破線28の部分拡大図である。この切り欠き破線28は切り欠き切断部32(切断部長さX)と、非切断部34(非切断部長さY)とからなる。
【0045】
切り欠き破線28の、非切断部長さYと切断部長さXの割合は1:1〜1:20が好ましく、1:2〜1:15がより好ましい。
【0046】
切り欠き破線28の非切断部長さYは、0.08〜1.5mmが好ましく、0.2〜1mmがより好ましく、0.4〜0.8mmが更に好ましい。非切断部長さYが0.08mm未満の場合は、正確に非切断部34を形成することが困難で、非切断部の破壊が起りやすい。非切断部長さYが1.5mmを超える場合は、後述するICタグの失効操作の際に、確実にICタグ回路の破壊が起り難い場合がある。
【0047】
本発明に於いては、上記引出し電極4、8、平面コイル回路部6、一方の対向電極16、他方の対向電極18、ジャンパー12、リード部14、20、切り欠き破線形成用端子24、26は電子回路を構成するもので、以後これらを表面回路部と総称する。
【0048】
前記表面回路部は、基材2の一面に金、銀、銅、アルミニウム等の導体金属、又は銀ペースト等の導電性ペーストや導電性インキで形成されている。上記表面回路部の製造方法としては、導電性ペーストや導電性インキを用いて、スクリーン印刷法により製造する方法、レジスト等を用いて表面回路部パターンをエッチングにより形成する方法等の、通常の電子回路製造用の各種方法が任意に採用できる。
【0049】
レジストを用いる表面回路部の製造方法としては、具体的には、銅箔とポリエチレンテレフタレートフィルムとを貼り合わせたラミネートフィルムの銅箔面に、表面回路部形成用のレジストパターンを印刷した後、前記銅箔部分をエッチングすることにより、不要な銅箔部分を除去して表面回路部を形成する方法が挙げられる。
【0050】
また、表面回路部の一部、例えば切り欠き破線形成用端子24、26もエッチングにより不要な銅箔部分を除去し、その後銀ペーストなどでこれらを別途形成することもできる。なお、表面回路部の厚みは5〜100μmが好ましく、特に10〜50μmが好ましい。
【0051】
本発明に於いては、図1に示されるように、基材2と、前記基材2の少なくとも一面に形成した表面回路部とをアンテナ回路100と総称する。アンテナ回路100は、ICチップ22を実装する前のもので、後述するように、このアンテナ回路100にICチップを実装すると、次に説明するICインレットになる。
【0052】
なお、上記説明に於いては、一対の対向電極を形成する例を用いて説明したが、これに限られず、多数の対向電極を形成し、これら電極と平面コイル回路部の各部分とを連結することによりコイルのインダクタンスを任意に選択できるようにしても良く、またジャンパーを基材に形成したスルーホールを介して基材の反対面に形成するようにしても良く、更には、基材の両面にそれぞれ表面回路を形成しても良い。
【0053】
(ICインレット)
図5は、ICインレット110の一例を示す平面図で、図1に示される前記アンテナ回路100の両対向電極16、18の間にICチップ22が実装されている。このICチップ22と両対向電極16、18とは、電気的に接続されている。
【0054】
ICチップ22の実装は、例えば異方導電性接着剤(ACP)等の接着材料を表面回路部内の対向電極に塗布または貼付し、ICチップにはワイヤバンプ、めっきバンプを設けて表面回路部内の対向電極に装着する。ICチップの固定方法としては、例えば熱圧着が挙げられる。
【0055】
上記説明にかかわらず、アンテナ回路100、ICインレット110の構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても良い。例えば、切り欠き破線形成用端子24、26の形状は特に制限がなく、例えば円形、矩形、三角形、不定形等任意である。
【0056】
切り欠き破線形成用端子24、26の大きさも制限がないが、製造工程における通常の加工精度を考慮すれば、少なくとも直径1mmの円を包含することのできる寸法を有することが好ましい。また、切り欠き破線形成用端子の形成個数も任意で、任意の導線上に少なくとも1個の切り欠き破線形成用端子を形成すればよい。
【0057】
切り欠き破線は必ずしも曲線である必要が無く、図6に示すICインレット120の様に直線で構成されていても良い。図6は、本発明ICインレットの他の例を示すものである。この例にあっては、他方のリード部20だけに1個の長方形の切り欠き破線形成用端子62を形成し、形成した切り欠き破線形成用端子62を2つの領域に分断する閉じた四辺形の切り欠き破線64を形成している。
【0058】
本発明に於いては、上記ICインレットを更に加工したものを、以下に記載するICタグと総称する。
【0059】
(第1の形態のICタグ)
図7は、第1の形態のICタグの一例を示す側面断面図である。図7において、130はいわゆるラベル状に形成されたICタグで、図5に示されるICインレット110の基材2及び前記基材2の一面2Aに形成された表面回路部及びICチップ22を覆って接着剤層52が形成されている。更に接着剤層52の上面には剥離材54が剥離自在に貼着されている。
【0060】
本発明に於いて接着剤とは、通常の接着剤と粘着剤とを含む概念である。
【0061】
接着剤層52に使用する接着剤としては、公知の接着剤が制限無く利用できる。具体的には、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、天然ゴムや合成ゴム系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、ポリエステル系接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤等を例示できる。
【0062】
接着剤層52としては、中間基材(不図示)を中芯とし、前記中間基材の両面に接着剤を設けた両面テープの形態のものを用いることができる。中間基材としては、前記基材2で用いたものを使用することができる。接着剤としては、前記接着剤層52で使用する接着剤を用いることができる。この場合、接着剤層52をICインレットに積層した後に、切り欠き破線28を形成することが好ましい。この切り欠き破線28は、中間基材をも貫通している必要がある。
【0063】
接着剤層52は、接着剤を剥離材54の剥離処理面上に塗布し、この接着剤層52を基材2の表面回路部の形成面(一面2A)に貼り合わせることにより形成する方法が例示される。接着剤の塗布量は、5〜100g/m2が好ましく、5〜50g/m2が特に好ましい。
【0064】
剥離材54としては、何れのものを使用しても良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレートなどの各種樹脂よりなるフィルムや、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、グラシン紙等の各種紙材を基材とし、これらの基材の接着剤層との接合面に必要により剥離処理が施されたものを用いることができる。この場合、剥離処理としては、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等の剥離剤よりなる剥離剤層の形成が例示される。剥離材の厚みは特に制限されず、適宜選定すればよい。
【0065】
接着剤を剥離材54に塗布する方法としては、例えばエアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤバーコーター、キスコーターなどで塗布、乾燥する方法が挙げられる。
【0066】
次に、上記ICタグの使用方法につき、図7に示されるICタグ130を例として用いて、説明する。
【0067】
先ず、ICタグ130の剥離材54を接着剤層52から剥がし、データ管理対象物である不図示の被着体にこのICタグを貼着する。この状態で被着体が流通等をした後、ICチップ22のデータが参照され、所定のデータ管理が行われる。これにより、このICタグ130のデータ管理に関する役割は終了する。
【0068】
その後、被着体から、被着体に貼着されているICタグが剥がされて廃棄される。この場合、ICタグには、切り欠き破線28が予め形成してあるので、ICチップ22を取囲むこの切り欠き破線に沿って基材2、リード部14、20、両切り欠き破線形成用端子24、26が切断され、ICチップを含む閉領域30が被着体に取残される。その結果、基材2上に形成した電子回路は破壊され、ICタグは確実に失効する。
【0069】
前記被着体に取残されているICチップを含む閉領域30は小さいので、再びこの閉領域30を元のICタグに張付けても電子回路を復元することは実質的に不可能である。従って、失効操作は、確実に実行され復元できない。
【0070】
上記使用方法においては、被着体からICチップ以外の部分を剥がし、ICチップを含む閉領域30を被着体に残留させたが、これに限られない。即ち、ICチップを含む閉領域30を切り欠き破線28に沿って切断して被着体から剥がしても良い。この場合は、ICチップが手元に残留するので、ICチップ内のデータを他人により改ざんされる虞は無くなり、安全性が高まる。
【0071】
図6に記載されるICインレット120を用いて製造したICタグの使用方法も上記と同様である。但し、この場合は、切り欠き破線64で形成される閉領域30a内には、ICチップ22が含まれていないので、ICチップ22は基材と共に移動する。
【0072】
図8は、本発明のICタグの更に他の例を示すものである。このICタグ140の例にあっては、一点破線71でその領域が示される接着剤層72は基材2の一面に形成された表面回路部のうち、平面コイル回路部6付近のみに形成されており、ICチップ22周辺には形成されていない。このように平面コイル回路部付近に接着剤層72を形成する構成とすることにより、ICチップ22を容易に回収することができる。なお、74は切り欠き破線で、その他の参照符号は前記と同様の部分を示す。
【0073】
図9は、本発明のICタグの更に他の例を示すものである。この例のICタグ150にあっては、一点破線81でその領域が示される接着剤層82は、平面コイル回路部6付近に形成されており、ICチップ22周辺には少なくとも一部に、即ち部分的(図9に於いては帯状接着剤層84が複数形成されている。)に接着剤層が形成されている。部分的に形成される接着剤層の形状は特に制限が無く、点状、格子状、直線状等の任意の形状を採用できる。接着剤層が形成されている部分と、接着剤層が形成されていない部分との比率も特に制限が無く、任意の比率が採用できる。このように部分的に接着剤層84を形成して、ICチップを他よりも弱い接着力で被着体に仮止した状態に保つことにより、ICチップ22を容易に回収することができる。
【0074】
図10は、本発明のICタグの更に他の例を示すものである。この例のICタグ160にあっては、一点破線101でその領域が示される接着剤層102は平面コイル回路部6付近に形成されており、ICチップ22、リード部14、20、切り欠き破線形成用端子24、26側の基材2には幅方向縁部に沿って縁部接着剤層104、106が形成されている。このように部分的に縁部接着剤層104、106を形成することにより、ICチップを容易に回収することができる。
【0075】
図11は、本発明のICタグの更に他の例を示すものである。この例のICタグ170にあっては、一点破線111でその領域が示される接着剤層112は平面コイル回路部6付近に形成されている。一方、ICチップ近傍に於いては、ICチップ22を挟んで2本の帯状接着剤層184、184が形成されており、さらにICチップ22、リード部14、20、切り欠き破線形成用端子24、26が形成されている近傍には縁部接着剤層114、116及び端部側接着剤層118が形成されている。このように部分的に接着剤層を形成することにより、ICタグを被着体から剥離する際に、ICチップを被着体に仮止めされた状態で残すことができ、後でICチップを容易に回収することができる。
【0076】
図12は、本発明のICタグに形成する接着剤層の更に他の例を示すものである。この例において示されるICタグ180は、ICチップが取付けられている閉領域30内には接着剤層は形成されておらず、ICチップが取付けられている面であって、閉領域30以外の領域に接着剤層122が形成されている。このように部分的に接着剤層を形成することにより、閉領域30内にあるICチップ(不図示)を容易に回収することができる。
【0077】
図13は、本発明のICタグに形成する接着剤層の更に他の例を示すものである。この例のICタグ190にあっては、ICチップが取付けられている閉領域30内には2本の帯状接着剤層284、284が形成されており、さらに閉領域30以外の領域に接着剤層132が形成されている。このように部分的に接着剤層を形成することにより、閉領域30内にあるICチップ(不図示)を被着体に仮止めされた状態で、残すことができ、ICチップを容易に回収することができる。
【0078】
図14は、第1の形態のICタグの更に異なる例を示すものである。この例に於いては、表面回路部6が形成され、ICチップ22が実装されている基材2の一面に対して反対面になる他面2Bに、接着剤層74が形成されている。75は、前記接着剤層74に貼着した剥離材、76は基材2の一面2A側に形成された接着剤層、78は前記接着剤層74に積層された表面保護層である。これらの各接着剤層74、76、剥離材75の材料は前記と同様である。
【0079】
表面保護層78は、基材2と同様の紙、樹脂フィルム、樹脂シート等が使用される。
【0080】
表面保護層は、印字適合性を有する基材が好ましい。或は、表面保護層の表面に印字適合処理が施されたものであってもよい。印字適合処理としては、例えば、インク受容層が形成されたものが挙げられる。インク受容層自体は公知の方法により形成される。
【0081】
切り欠き破線は、前記表面保護層も貫通している必要がある。
【0082】
なお、接着剤層74の形成パターンは、前記図8〜13を参照して説明したパターンでも良い。
【0083】
(第2の形態のICタグ)
本発明のICタグは、更に、以下に述べる構成にすることができる。
【0084】
即ち、第2の形態においては、ICインレットは袋状の表面保護層に収納され、いわゆるカード形状とされる。この形態に於いては、第1の形態と異なり、接着剤層を有さないものでもよい。
【0085】
図15に、第2の形態のICタグを示す。この例に於いては、ICタグはICカードの形態に形成されている。
【0086】
第2の形態のICタグ200は、2枚の表面基材92、94の間に図5に示すICインレット110が封入されている。そして、表面基材92、ICインレット110、表面基材94には、これらを貫通して円形の切り欠き破線98が形成されている。表面基材92、94としては前記基材2と同様のものが使用できる。
【0087】
このICカードを失効させる方法は、ICカードの切り欠き破線98に沿って押圧することにより行うことができる。
【0088】
この形態においても、切り欠き破線の形状その他は、第1の形態と同様であるので、同一部分に同一参照符号を付してその説明を省略する。
【0089】
図16は、第2の形態のICタグの他の例を示す。この例に於いては、図5に示すICインレット110を用いてICカードの形状のICタグ210を構成している。
【0090】
このICインレット110の両面は樹脂層204で包埋されて、カード形状に形成されている。この樹脂層204は、インレット110の表面保護層として機能している。
【0091】
樹脂層204は、射出成型により形成することが好ましい。射出成型条件自体は、公知のものである。樹脂層204に用いる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル−ブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましい。
【0092】
切り欠き破線99は樹脂層204,切り欠き破線形成用端子24、26(不図示)、基材2を貫通して円筒状に形成されている。
【実施例】
【0093】
実施例1
図5に示すICインレットを製造し、更にこのICインレットを用いて図7に示すICタグを以下に記載する方法で製造した。
【0094】
先ず、銅箔とポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)とを貼合わせた商品名ニカフレックス(ニッカン工業製 Cu/PET=35μm/50μm)に、スクリーン印刷法により外部引出し電極4、平面コイル回路部6、内部引出し電極8、対向電極16、18、リード部14、20、切り欠き破線形成用端子24、26の形成用レジストパターンを印刷した。これを、エッチングすることにより、不要な銅箔部分を除去して図2に示す一体配線パターンを製造した。
【0095】
回路の線幅は0.2mmであった。
【0096】
次いで、前記引出し電極4と内部引出し電極8の間に、絶縁レジストインク(日本アチソン社製 ML25089)を用いて、平面コイル回路部6を覆って絶縁層10を形成した。更に、前記引出し電極4と内部引出し電極8とを銀ペースト(東洋紡績社製 DW250L−1)を用いてジャンパー12で接続した。絶縁層10及びジャンパー12の形成は、スクリーン印刷法を用いた。
【0097】
作製した回路へRFIDーICチップ(フィリップス社製、ICode)を実装した。実装はフリップチップ実装機(九州松下製、FB30T−M)を用いた。接着材料には、異方導電性接着剤(京セラケミカル社製、TAP0402E)を使用し、220℃、1.96N(200gf)、7秒の条件で熱圧着し、ICインレットを形成した。
【0098】
その後、アクリル系接着剤(リンテック社製 PA−T1)を剥離材(グラシン紙にシリコーン系樹脂を塗布したリンテック社製 SP−8KX 厚み80μm)の剥離処理面に、乾燥後の塗布量が25g/m2となるようにスクリーンコーターで塗布したものを、回路が形成された基材2の回路形成面全面と貼り合わせてICタグを作製した。なお、上記ICタグの作製は連続した工程で行い、35×75mmの大きさのICタグ500枚からなる20m巻きのロールを作製した。
【0099】
動作の確認方法
作製したICタグの動作確認はフィリップス社製の、I Code評価キットSLEV400を用いたRead/Write試験によった。
【0100】
上記製造した多数の回路をタグサイズにカッティングする際、切り欠き破線形成用ミシン目を入れたゼンマイ刃を使用して、直径17mmの切り欠き破線28をカッティングと同時に形成した。このようにしてICタグを20個作製した。切り欠き破線28を形成する切り欠き破線形成用端子24、26は、長さ4mm(図2に於いてQに相当する)、切り欠き破線形成用端子24、26のそれぞれに形成した切り欠き破線の長さ(図1に於いてa、bに相当する)は各13mmであった。
【0101】
また、切り欠き破線28は、非切断部34長さY:切り欠き切断部32長さX=1:3で、非切断部長さYは0.5mmであった。
【0102】
この切り欠き破線形成用端子24、26は、ミシン目を入れる際に加工精度が低く、ミシン目が任意平面方向に0.5mm移動した場合でも、確実に切り欠き破線がこの切り欠き破線形成用端子内に全て収る大きさである。実際、全てのタグについて端子内に切り欠き破線を形成する事が出来た。基材2に接着剤層52、剥離材54を積層した後、得られたICタグをSLEV400を用いRFID回路としての動作を確認した。
【0103】
このICタグの剥離材を剥がし、接着剤層52をポリプロピレン樹脂板に貼り付けた。24時間後に樹脂板からICタグを剥がしたところ、20個のICタグが切り欠き破線に沿って切断され、回路が物理的に破壊された。
【0104】
実施例2
切り欠き破線形成用端子24、26を銀ペーストを用いて形成した以外は実施例1と同様にしてICタグを20個作製した。この銀ペーストで製造した切り欠き破線形成用端子24、26はジャンパ12作製時に同時にスクリーン印刷法により形成した。ICチップ を実装し、RFID機能を実施例1と同様にして確認した後、ICタグをポリプロピレン樹脂板に貼り付けた。24時間後にICタグを樹脂板から剥がしたところ20個のICタグが切り欠き破線に沿って切断され、回路が物理的に破壊され、RFID機能 が失効された。
【0105】
実施例3
実施例1と同じ方法でICタグを20個作製した。但し、図6に示すように、リード部20に縦10mm、横15mmの四辺形の切り欠き破線形成用端子62を形成し、形成した切り欠き破線形成用端子62を2つに分断する縦15mm、横5mmの閉じた四辺形の切り欠き破線64を形成した。四辺形の切り欠き破線64の各辺を構成する4本の切り欠き破線は、図4に示すように直線状に構成し、非切断部34長さY:切断部32長さX=1:2で、非切断部34長さYは0.5mmであった。
【0106】
実施例1と同じように、剥離材の剥離処理面にアクリル系接着剤をスクリーンコーターで塗布したものを、基材2の回路が形成された全面と貼り合わせた。
【0107】
RF−ID機能を確認した後、このICタグをポリプロピレン樹脂板に貼付けた。24時間後に樹脂板からICタグを剥がしたところ、20個のICタグが切り欠き破線に沿って切断され、回路が物理的に破壊された。
【0108】
実施例4
実施例1と同じ方法でICタグを20個を作製した。実施例1と同じように、アクリル系接着剤、剥離材を用いて、接着剤層72をスクリーンコーターで形成した後、基材2と貼り合わせた。但し、図8に示す様に接着剤層72は平面コイル回路部6形成側のみに形成し、ICチップ22、リード部14、20、切り欠き破線形成用端子24、26側には接着剤層は形成しなかった。
【0109】
RFID機能を確認した後、ICタグをポリプロピレン樹脂板に貼付けた。24時間後にICチップ部分を指で押圧すると切り欠き破線に沿って切断され、ICチップ20個の全てが簡単に回収された。 回路は物理的に破壊され、RFID機能 は失効されていた。
【0110】
実施例5
実施例1と同じ方法でICタグを20個作製した。但し、図9に示すように、平面コイル回路部6形成面の全面に接着剤層82を形成した。更にICチップ22の周辺に、幅5mm、長さ15mmの帯状接着剤層84を2mmの間隔を空けて3本形成した。接着剤層82および帯状接着剤層84は実施例1と同じアクリル系接着剤、剥離材を用いスクリーンコータで同時に形成した。RFID機能を確認した後、このICタグをポリプロピレン樹脂板に貼付けた。24時間後に樹脂板からICタグを剥がしたところ、基材2は切り欠き破線に沿って容易に切断され、ICチップは樹脂板に仮止された状態で残った。仮止状態のICチップは簡単に剥がすことができ、ICチップ20個の全てが簡単に回収された。回路は物理的に破壊され、RFID機能は失効されていた。
【0111】
実施例6
実施例1と同じ方法でICタグを20個作製した。但し、図10に示すように、平面コイル回路部6の全面に接着剤層102を形成した。更にICチップ22、リード部14、20、切り欠き破線形成用端子側の基材2には、基材2の幅方向縁部に沿って2つの長方形(幅5mm、長さ15mm)の縁部接着剤層104、106を形成した。接着剤層102及び縁部接着剤層104、106の形成は、実施例1と同じアクリル系接着剤、剥離材を用い、スクリーンコーターで同時に形成した。
【0112】
RFID機能を確認した後、このICタグをポリプロピレン樹脂板に貼付けた。24時間後にICチップ部分を指で押圧しながら樹脂板からICタグを剥がしたところ、切り欠き破線に沿って容易に切断でき、ICチップ20個の全てが簡単に回収された。回路は物理的に破壊され、RFID機能は失効されていた。
【0113】
実施例7
実施例1と同じ方法でICタグを20個作製した。但し、図11に示すように、平面コイル回路部6の全面に接着剤層112を形成した。更にICチップ22、リード部14、20、切り欠き破線形成用端子側の基材2には、基材2の幅方向縁部に沿って2つの長方形(幅5mm、長さ15mm)の縁部接着剤層114、116を形成した。また、基材2の長さ方向端部側には、長方形(幅5mm、長さ15mm)の端部側接着剤層118を形成した。さらに、ICチップ22を挟んで、幅5mm、長さ15mmの2本の帯状接着剤層184、184を形成した。
【0114】
接着剤層112、縁部接着剤層114、116、端部側接着剤層118、及び2本の帯状接着剤層184、184の形成は、実施例1と同じアクリル系接着剤、剥離材を用い、スクリーンコーターで同時に形成した。
【0115】
RFID機能を確認した後、このICタグをポリプロピレン樹脂板に貼付けた。24時間後にICタグを樹脂板から剥がしたところ、基材2は切り欠き破線に沿って容易に切断され、ICチップは樹脂板に仮止された状態で残った。仮止状態のICチップは簡単に剥がすことができ、ICチップ20個の全てが簡単に回収された。回路は物理的に破壊され、RFID機能は失効されていた。
【0116】
実施例8
実施例1と同じ方法でICタグを20個作製した。実施例1と同じように、アクリル系接着剤、剥離材を用いてスクリーンコーターで接着剤層122を形成した後、基材2と貼り合わせた。図12に、形成した接着剤層122を示した。但し、閉じた切り欠き破線形成領域内(閉領域30)には接着剤層を形成しなかった。
【0117】
RFID機能を確認した後、このICタグをポリプロピレン樹脂板に貼付けた。24時間後にICタグを樹脂板から剥がし、ICチップ部分を指で押圧すると切り欠き破線に沿って切断され、ICチップ20個の全てが簡単に回収された。回路は物理的に破壊され、RFID機能は失効されていた。
【0118】
実施例9
実施例1と同じ方法でICタグを20個作製した。実施例1と同様に、接着剤層132を形成した。但し、図13に示すように、閉じた切り欠き破線形成領域内(閉鎖領域30内)には、ICチップを挟んで幅5mm、長さ15mmの2本の帯状接着剤層284を形成した以外は、接着剤層を形成しなかった。
【0119】
接着剤層132、及び2本の帯状接着剤層284の形成は、実施例1と同じアクリル系接着剤、剥離材を用い、スクリーンコーターでこれらを同時に形成した。
【0120】
RFID機能を確認した後、このICタグをポリプロピレン樹脂板に貼付けた。24時間後にICタグを樹脂板から剥がしたところ、基材2は切り欠き破線に沿って容易に切断され、ICチップは樹脂板に仮止された状態で残った。仮止状態のICチップは簡単に剥がすことができ、ICチップ20個の全てが簡単に回収された。回路は物理的に破壊され、RFID機能は失効されていた。
【0121】
実施例10
接着剤層を形成しない以外は実施例1と同じ方法で、接着剤層を形成していないICタグを20個作製した。ホットメルト剤(熱溶融型接着剤)を用いて、ICタグの両面に、白色のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ125μm)を熱プレス機で貼り合わせてICカードを得た。その後、実施例1と同様に、20個のカードに切断分離する際に、ICチップの近傍に切り欠き破線98を形成して、図15に示すICカードを作製した。形成した切り欠き破線98は、切り欠き破線形成用端子、基材、ポリエチレンテレフタレートフィルム等を貫通するものであった。
【0122】
20個のICカードの動作が正常であることを確認した後、切り欠き破線に沿ってICカードを切断し、回路を破壊した。この破壊したカードの動作を確認したところ、20個のICカード全部に物理的破壊が認められ、ICカードの機能が失効していた。
【0123】
実施例11
実施例1と同様の方法で、図5に示すICインレットを製造した。但し、切り欠き破線は形成していなかった。一方、アクリル系接着剤(リンテック社製 PA−T1)を剥離材(グラシン紙にシリコーン系樹脂を塗布したリンテック社製 SP−8KX 厚み80μm)の剥離処理面に、乾燥後の塗布量が25g/m2となるようにスクリーンコーターで塗布したものを用意した。この用意した粘着剤層をICインレットの基材の回路形成面と反対面全面に貼り合わせた。
【0124】
白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製 クリスパーK2411 厚み50μm)の裏面にアクリル系接着剤(リンテック社製 PA−T1)を乾燥後の塗布量が25g/m2となるように塗布した。次に、このクリスパーK2411を基材の回路形成面全面に貼り合わせて表面保護層を形成した。その後、ICチップを囲んで、実施例と同様の切り欠き破線を表面保護層側から、表面保護層、切り欠き破線形成用端子、基材、剥離材を貫通して形成し、図14に示すICタグを得た。
【0125】
このICタグは、表面保護層に製造番号等の印字ができた。
【0126】
比較例1
切り欠き破線を形成しない以外は、実施例1と同様に操作して、ICタグを20個作製した。SLEV400を用いてRFID回路としての動作を確認した後、ポリプロピレン樹脂板に貼り付けた。24時間後樹脂板から剥がしたところ、19個全ての回路破壊することなく剥離することが出来た。SLEV400にてRFID回路としての動作を確認したところ19個は正常に動作した。一個は回路破壊が起きていたが、この原因は、ポリプロピレン樹脂板に対する接着力が過度に大きかったためと思われた。以上により、比較例1のICタグは失効効果が不十分であることが分った。
【0127】
比較例2
実施例1と同様に操作してICタグを20個作製した。但し、切り欠き破線形成用端子を形成することなく、切り欠き破線を実施例1と同様にして形成した。
【0128】
17個のICタグは、切り欠き破線形成用ミシン目を入れた際に、用いたゼンマイ刃によりリード部が切断されており、ICタグは動作しなかった。残り3個のICタグはICタグのリード部がゼンマイ刃により一部切断されており、交信距離が著しく低下していたが、RFID回路としての使用は可能であった。この3個のICタグをポリプロピレン樹脂板に貼り付け後、剥離すると回路の破壊が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明のアンテナ回路の構成の一例を示す平面図である。
【図2】図1のアンテナ回路の製造過程の説明図である。
【図3】切り欠き破線の一例を示す拡大図である。
【図4】切り欠き破線の他の例を示す説明図である。
【図5】本発明のICインレットの一例を示す平面図である。
【図6】本発明のICインレットの他の例を示す平面図である。
【図7】本発明のICタグの一例を示す側面断面図である。
【図8】本発明のICタグの他の例を示す平面図である。
【図9】本発明のICタグの更に他の例を示す平面図である。
【図10】本発明のICタグのまた更に他の例を示す平面図である。
【図11】本発明のICタグのまた更に他の例を示す平面図である。
【図12】本発明のICタグの接着剤層の形成部分の一例を示す裏面図である。
【図13】本発明のICタグの接着剤層の形成部分の他の例を示す裏面図である。
【図14】本発明のICタグの他の例を示す平面図である。
【図15】本発明のICタグの異なる形態の一例を示す側面図である。
【図16】本発明のICタグの異なる形態の他の例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0130】
2 基材
2A 一面
2B 他面
4 外部引出し電極
6 平面コイル回路部
8 内部引出し電極
10 絶縁層
12 ジャンパー
14 一方のリード部
16 一方の対向電極
18 他方の対向電極
19 外側の他端
20 他方のリード部
22 ICチップ
24、26、62 切り欠き破線形成用端子
P 幅
Q 長さ
28、64、74、98、99 切り欠き破線
30、30a 閉領域
31 他の領域
32 切り欠き切断部
34 非切断部
X 切断部長さ
Y 非切断部長さ
71、81、101、111 一点破線
a、b 切り欠き破線の長さ
54、75 剥離材
78 表面保護層
52、72、74、76、82、102、112、122、132 接着剤層
84、184、284 帯状接着剤層
92、94 表面基材
104、106、114、116 縁部接着剤層
118 端部側接着剤層
100 アンテナ回路
110、120 ICインレット
130、140、150、160、170、180、190、200、210、220 ICタグ
204 樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材に形成された平面コイル回路部と平面コイル回路部に接続された少なくとも一対の対向電極とからなる表面回路部と、前記表面回路部を構成する導線に形成された少なくとも1個の切り欠き破線形成用端子と、前記基材と表面回路部とを貫通して切り欠き破線形成用端子にこれを通過する少なくとも1個の非切断部を有する切り欠き破線と、からなることを特徴とするアンテナ回路。
【請求項2】
切り欠き破線形成用端子が形成される導線が、各対向電極と平面コイル回路部とを接続する少なくとも一対のリード部であって、前記リード部に切り欠き破線形成用端子が形成されると共に、前記形成された切り欠き破線形成用端子にこれらを通過する少なくとも1個の非切断部を有する閉じた切り欠き破線が形成されてなる請求項1に記載のアンテナ回路。
【請求項3】
切り欠き破線形成用端子が、少なくとも直径1mmの円を包含できる寸法を有する形状に形成されてなる請求項1又は2に記載のアンテナ回路。
【請求項4】
切り欠き破線が、長さ0.08〜1.5mmの非切断部を有する請求項1乃至3の何れかに記載のアンテナ回路。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のアンテナ回路の対向電極にICチップが接続されて実装されてなることを特徴とするICインレット。
【請求項6】
請求項5に記載のICインレットの基材の表面回路部形成面及び/又はその反対面に接着剤層が形成されてなることを特徴とするICタグ。
【請求項7】
接着剤層が、閉じた切り欠き破線形成領域以外に形成されてなる請求項6に記載のICタグ。
【請求項8】
閉じた切り欠き破線形成領域の少なくとも一部に接着剤層が形成されてなる請求項7に記載のICタグ。
【請求項9】
基材の少なくとも平面回路部領域に接着剤層が形成されると共に、基材の残りの領域の周縁部の少なくとも一部に接着剤層が形成されてなる請求項6に記載のICタグ。
【請求項10】
基材の閉じた切り欠き破線形成領域の少なくとも一部に接着剤層が形成されてなる請求項9に記載のICタグ。
【請求項11】
請求項6乃至10の何れかに記載のICタグの表面回路部形成面及び/又はその反対面に表面保護層が形成され、前記切り欠き破線が前記表面保護層を貫通してなるICタグ。
【請求項12】
表面保護層が、印刷適合性を有する請求項11に記載のICタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−155571(P2006−155571A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232642(P2005−232642)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】