説明

III型コラーゲンを含有する海洋生物由来コラーゲンおよびその誘導体

【課題】BSE等の安全性に問題がなく、かつ化粧料に使用して保湿作用等の優れた効果を奏する、コラーゲンを提供する。
【解決手段】エビ等の海洋性生物より調製したIII型コラーゲンを含有するコラーゲンと、それをサクシニル化等アテロ化したコラーゲン誘導体、およびその製造方法。また、該コラーゲンおよびその誘導体を配合した、化粧料、保湿剤、さらに線維芽細胞増殖剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III型コラーゲンを含有する海洋性生物由来のコラーゲン及びその誘導体並びにそれらの製造方法に関し、さらにこれらコラーゲン及びその誘導体を配合した安定的で相溶性に優れた化粧料及びこれらコラーゲン及びその誘導体を配合した保湿剤、線維芽細胞増殖促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、高い保湿性を有することから化粧品原料として広く利用されている。また、近年では医薬品の他に食品素材としての利用も拡大している。通常利用されているコラーゲンの原料由来の多くは主に哺乳類である牛や豚、特に牛皮や豚皮由来であったが、狂牛病や口蹄疫などの感染症が頻繁に発生して以降、安全性と新しい機能を求めて海洋生物由来のコラーゲンについて研究されてきた。哺乳類以外を原料とするコラーゲンは、魚類を中心に様々な海洋生物由来コラーゲンが知られているが、いずれも満足なものではない。
【0003】
コラーゲンは哺乳動物にもっとも多量に存在するタンパク質であり、体の全タンパク質の30%を占めている主要タンパク質である。コラーゲンは細胞と細胞をつなぎ、細胞同士の結びつきを高めている。また、分子量約30万の三重螺旋構造をもつタンパク質であり、そのアミノ酸組成などから複数の型に分類される。ヒトでは異なるポリペプチド鎖からなる27種類の型に分類されており、発見順にI型、II型、III型、・・・と命名されている。人の皮膚ではI型を中心に、III型やV型が存在している事が知られている。一方魚類の皮膚では、ヒトのI型やV型に相当するコラーゲンは確認されているが、III型に相当するものは確認されていない。コラーゲンの特徴として、I型コラーゲンは太い繊維を作り機械的な強さを持ち、III型コラーゲンは別名胎性コラーゲンと言われ、細い繊維を作り肌の柔軟性と関係している。III型コラーゲンの構造の特徴は、三重螺旋が同一分子から構成されていること、及びジスルフィド結合を有することである。海洋生物由来のコラーゲンで、III型コラーゲンの特徴を有する海洋生物由来のコラーゲンは未だ知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コラーゲンは、高い保湿性を有することから化粧料の原料として広く利用されている。しかし、これらコラーゲンの原料由来の多くは主に哺乳類である牛や豚、特に牛皮や豚皮由来であるため、狂牛病や口蹄疫などの感染症が発生して以降、安全性に疑問が持たれている。そこで、化粧料に使用して安全性に問題がなくかつ保湿作用、および線維芽細胞増殖促進作用において優れた効果を奏するコラーゲンの開発が重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、海洋性生物のなかで、エビより精製されたエビ筋肉が意外にもIII型コラーゲンの特徴を有するコラーゲンを含有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)III型コラーゲンを含有する海洋性生物由来コラーゲン及びその誘導体。
(2)海洋性生物がエビである上記(1)記載の海洋性生物由来コラーゲン及びその誘導体。
(3)コラーゲン誘導体が、III型コラーゲンをアテロ化して得られるアテロ化コラーゲンである上記(1)記載の海洋性生物由来コラーゲン誘導体。
(4)コラーゲン誘導体が、アテロ化コラーゲンをアシル化することにより得られるアシル化コラーゲンである上記(1)記載の海洋性生物由来コラーゲン誘導体。
(5)アシル化がサクシニル化であり、得られるコラーゲン誘導体がサクシニル化コラーゲン誘導体であることを特徴とする上記(4)記載の海洋性生物由来コラーゲン誘導体。
【0007】
(6)上記(4)記載のアシル化コラーゲン誘導体又は上記(5)記載のサクシニル化コラーゲン誘導体を配合することを特徴とする化粧料。
(7)上記(4)記載のアシル化コラーゲン誘導体又は上記(5)記載のサクシニル化コラーゲン誘導体を配合することを特徴とする保湿剤。
(8)上記(4)記載のアシル化コラーゲン誘導体又は上記(5)記載のサクシニル化コラーゲン誘導体を配合することを特徴とする線維芽細胞増殖促進剤。
(9)海洋性生物を原料としてIII型コラーゲンを含有する海洋性生物由来コラーゲン及びその誘導体を製造することを特徴とするIII型コラーゲンを含有する海洋性生物由来コラーゲン及びその誘導体の製造方法。
【0008】
(10)海洋性生物がエビである上記(9)記載のIII型コラーゲンを含有する海洋性生物由来コラーゲン及びその誘導体の製造方法。
(11)海洋性生物由来コラーゲンをアテロ化した後、アシル化剤を用いてアシル化することによりアシル化コラーゲン誘導体を製造することを特徴とするアシル化コラーゲン誘導体の製造方法。
(12)アシル化がサクシニル化であり、得られるコラーゲン誘導体がサクシニル化コラーゲン誘導体であることを特徴とする上記(11)記載のアシル化コラーゲン誘導体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、III型コラーゲンを含有する海洋性生物由来のコラーゲンおよびそのアテロ化コラーゲン誘導体、アシル化コラーゲン誘導体、サクシニル化コラーゲン誘導体を提供し、さらに、これらコラーゲン及びその誘導体の製造方法、これらコラーゲン及びその誘導体を配合した安全性、相溶性、溶解性、保湿性、維芽細胞増殖促進作用に優れた化粧料を提供することができた。また、これらコラーゲン及びその誘導体を配合した保湿剤、維芽細胞増殖促進剤を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】製造例1で得られるアテロコラーゲンの電気泳動図である。左が非還元、右が還元処理をした電気泳動結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のIII型の特徴を有するコラーゲンを含有する海洋性生物由来コラーゲンの調製は、エビの筋肉を原料とすることで得られる。エビは根鰓亜目または抱卵亜目に属するものであればよく、根鰓亜目はクルマエビ上科、サクラエビ上科を含み、また抱卵亜目はオトヒメエビ下目、コエビ下目、イセエビ下目、ザリガニ下目、アナジャコ下目を含むものである。但し、抱卵亜目は異尾下目および短尾下目を除く。
【0012】
III型コラーゲンの特徴の一つとして挙げたジスルフィド結合の存在の確認は、公知技術である電気泳動法により確認を行う。即ち、コラーゲン濃度を0.2%(重量%濃度)に調整し、グリセリン、Tris-塩酸緩衝液、SDS、ブロモフェノールブルーを含む等量のサンプルバッファーを添加し、加熱水中で加温して電気泳動用試料とする。還元処理を施す場合は、加熱時に0.5Mジチオトレイトールを添加する。試料を、ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGE法で分離し、還元処理の有無によるバンドの違いを観察する。バンドが還元処理により影響を受ける部分があればジスルフィド結合が存在するとする。
【0013】
本発明のコラーゲン誘導体の調製は、プロテアーゼ処理によるアテロ化とアシル化剤によるアシル化により達成される。アテロ化はエビ筋肉由来コラーゲンをプロテアーゼ処理することによりコラーゲン分子末端のテロペプタイドを除去しアテロコラーゲンとする。テロペプタイド部位が除去されることにより、アレルギー反応が低下するという効果も得られる。アシル化はアテロコラーゲンの分子側鎖に存在するεアミノ基を、アシル化剤を用いてカルボキシル化する事により、等電点をより酸性側に変化させる。これにより、エビ筋肉由来コラーゲン誘導体は化粧料の適正pHである弱酸性から中性付近で溶解し、各種化粧品との相溶性も向上する。
【0014】
アテロ化するためのプロテアーゼとしてはペプチド結合の加水分解を触媒する酵素であればいずれの酵素でも良く、好ましくは酸性プロテアーゼであり、さらに好ましくはペプシンである。その添加量はエビ筋肉由来コラーゲンに対して、0.01〜30%添加することができるが、好ましくは0.1〜10%であり、特に好ましくは1〜5%である。
【0015】
アシル化剤はコラーゲンのεアミノ基をカルボキシル化できるものであればいずれでも良く、好ましくは無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸などの酸無水物であり、特に好ましくは無水コハク酸である。このときのアシル化剤の添加量はコラーゲンに対して0.01mmol/g〜50mmol/g添加することが出来るが、好ましくは0.1mmol/g20mmol/gであり、特に好ましくは0.5mmol/g〜5mmol/gである。
【0016】
本発明のエビ筋肉由来コラーゲン誘導体は、最初にエビ筋肉から不純タンパク質、色素、脂質等のコラーゲン以外の成分を物理的方法または化学的方法で完全にまたは一部除去する。物理的方法としてはナイフ等の刃物を用いて除去する方法、ホモジナイザー、ミキサーなどの機器を利用する方法、水圧を利用する方法などがあげられ、化学的方法としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等の塩溶液を用いる方法、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水等の塩基性溶液を使用する方法、エチレンジアミン四酢酸塩等のキレート剤を使用する方法があげられる。これらの不純物除去の工程は、物理的方法または化学的方法単独でも良いが、両方を組み合わせて行うことが望ましい。続いて、得られたエビ筋肉をメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などの有機ハロゲン化合物、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類、アセトニトリル、ピリジンなどの含窒素有機溶媒、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどグリコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系有機化合物、その他N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、N,N-ジメチルアセトアミドなどの有機溶媒を単独または混合した溶液か、または、これら有機溶媒と水の混合溶液を用いて有機溶媒処理をした後に、遠心分離処理する。必要であれば再度物理的方法または化学的方法にてコラーゲン以外の成分を除去する。
【0017】
得られたエビ筋肉は約pH3に調整した酢酸、クエン酸、乳酸などの希有機酸や、塩酸、リン酸などの希無機酸を用いた溶液に分散し、酸性プロテアーゼによるプロテアーゼ処理することによりアテロコラーゲンが得られる。すなわち、0.01〜2mol/lの濃度の希酢酸溶液、0.001〜2mol/lの濃度の希乳酸溶液、0.001〜2mol/lの濃度の希クエン酸溶液、0.001〜0.2mol/lの濃度の希塩酸溶液、0.001〜0.5mol/lの濃度の希リン酸溶液等の酸溶液に不純物を除いたエビ筋肉を加え、さらに、酸性プロテアーゼを加え、15℃以下、好ましくは2〜10℃で、1〜120時間、好ましくは24〜96時間撹拌することによりアテロコラーゲンが抽出される。抽出されたアテロコラーゲン溶液に不溶解分が残存している場合には、公知技術である濾過法、遠心分離法により不溶解分を除去することが好ましい。酸性プロテアーゼの不活化はDEAEセルロースクロマトなどを使用して除去することも可能であるが、経済性からアルカリ調整法が好ましい。すなわち、アルカリ調整法とは、得られたアテロコラーゲン溶液を塩基性溶液によりpH10〜12に調整し、15℃以下、好ましくは2〜10℃の温度条件で、1〜48時間、好ましくは2〜24時間撹拌することにより酸性プロテアーゼを失活させる。アルカリ調整に使用する塩基は水溶性であればいかなる塩基であっても使用可能であるが、経済性と安全性から水酸化ナトリウムなどの水酸化物、モノエタノールアミン等の有機アミン、アンモニアなどを用いることができ、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液である。
【0018】
アテロコラーゲンのアシル化反応は得られたアテロコラーゲン溶液に無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸などの酸無水物を加え、反応系のpHが低下するのを防ぐためにアルカリを添加してpHを9〜12に調整しながら反応させる。反応温度は、コラーゲンの変性を防ぐために15℃以下、好ましくは5〜10℃である。反応終了後、得られたアシル化アテロコラーゲンは従来利用されている定法によって精製することが可能である。すなわち、アシル化アテロコラーゲン液に塩を添加して沈殿させる塩析法、有機溶媒を添加する有機溶媒沈殿法、酸を添加する等電点沈殿法等によりアシル化アテロコラーゲンを沈殿させ、生成した沈殿を洗浄することによりアシル化アテロコラーゲンが得られる。アシル化アテロコラーゲンの洗浄は、アシル化アテロコラーゲンの等電点付近の水溶液、例えば等電点がpH4.5の場合にはpH4.0〜5.0の酸性水、含水有機溶媒などを使用することが可能である。酸性水はいずれの酸を使用しても調製可能であるが、希塩酸、希酢酸、希クエン酸、希乳酸などを使用して調製するのが好ましい。また、それらの酸の緩衝液を利用することも可能である。含水有機溶媒に使用する有機溶媒は水と混合可能な溶媒であればいかなる有機溶媒でも使用することが出来るが、アルコール類を用いることができ、好ましくはエタノールである。
【0019】
本発明のエビ筋肉由来コラーゲン誘導体は中性で水に溶解する性質を有するため、純水に溶解させることが可能であるが、必要によってはリン酸緩衝液等の緩衝液に溶解させることも可能である。また乾燥させた状態でも使用可能である。本発明のエビ筋肉由来コラーゲン誘導体は、医薬品、医療用具、化粧料、食品などの多方面に利用することが可能である。エビ筋肉由来コラーゲン誘導体が配合される化粧品としては、化粧水、乳液、美容液、一般クリーム、クレンジングクリーム等の洗顔料、パック、髭剃り用クリーム、日焼けクリーム、日焼け止めクリーム、日焼け止めローション、日焼けローション、化粧石鹸、ファンデーション、おしろい、パウダー、口紅、リップクリーム、アイライナー、アイクリーム、アイシャドウ、マスカラ、浴用化粧品、シャンプー、リンス、染毛料、頭髪用化粧品等、各種化粧品が挙げられる。その配合量は化粧品組成物中、0.01〜5%、好ましくは0.1〜1%配合することが好ましい。浴用剤の場合では200〜300Lの浴湯に投じて同程度の濃度になるように処方を考慮すればよい。
【0020】
本発明の化粧料には、以下に示すような通常、化粧品など化粧料において使用されている各種成分や添加剤の中から用途に適したものを任意に選択、併用して製造することができる。
【0021】
例えば、アボガド油、アーモンド油、エゴマ油、オリブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、カカオ脂、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂などの油脂類またはこれら油脂類の水素添加物(硬化油等)。
【0022】
ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、セラックロウなどのロウ類。流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、マイクロクリスタンワックス、スクワレン、スクワラン、プリスタンなどの鉱物油類。ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、ラノリン脂肪酸などの天然脂肪酸。イソノナン酸、カプロン酸、2−エチルブタン酸、イソペンタン酸、イソペンタン酸などの合成脂肪酸。
【0023】
エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの天然アルコール。2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなどの合成アルコール。酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトールなどの多価アルコール。
【0024】
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコールなどのエステル。
【0025】
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛などの金属セッケン。
【0026】
アラビアゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖及びそのエステル、トレハロース及びその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、サクシニルキトサンまたはキトサン、エチレンオキサイドなどのアルキレン(C2〜C4)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C2〜C4)キチンまたはキトサン、低分子キチンまたはキトサン、キトサン塩、硫酸化キチンまたはキトサン、リン酸化キチンまたはキトサン、アルギン酸及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイドまたはその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミンなどのガム質、糖類及び水溶性高分子化合物。
【0027】
アニオン界面活性剤(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤:カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)などの界面活性剤。
【0028】
レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、アスコルビン酸及びその誘導体、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類、フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ-オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンUなどのビタミン類。バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジンなどや、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩などのアミノ酸或いはピロリドンカルボン酸などのアミノ酸誘導体。
【0029】
酵母代謝物、酵母菌抽出エキス、米発酵エキス、米糠発酵エキス、ユーグレナ抽出物やトレハロースまたはその誘導体などの微生物培養代謝物。グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などのα-ヒドロキシ酸。無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、カラミンなどの無機顔料。
【0030】
p-アミノ安息香酸誘導体、サルチル酸誘導体、アントラニル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体、カンファー誘導体、フラン誘導体、ピロン誘導体、核酸誘導体、アラントイン誘導体、ニコチン酸誘導体、ビタミンB6誘導体、ベンゾフェノン類、オキシベンゾン、アルブチン、グアイアズレン、シコニン、バイカリン、バイカレイン、ベルベリン、ネオヘリオパン、ウロカニン酸誘導体、エスカロール、酸化亜鉛、タルク、カオリンなどの紫外線吸収・遮断剤。
【0031】
p-アミノ安息香酸誘導体、サルチル酸誘導体、アントラニル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体、カンファー誘導体、フラン誘導体、ピロン誘導体、核酸誘導体、アラントイン誘導体、ニコチン酸誘導体、ビタミンB6誘導体、オキシベンゾン、ベンゾフェノン、アルブチン、グアイアズレン、シコニン、バイカリン、バイカレイン、ベルベリンなどの美白剤。アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン及びその配糖体、コウジ酸及びその誘導体、胎盤エキス、シルクペプチド、植物エキス(クワ、トウキ、ワレモコウ、ヨモギ、スイカズラ、キハダ、ドクダミ、マツホド、ハトムギ、オドリコソウ、サンザシ、ユーカリ、セイヨウノコギリソウ、アルテア、ケイヒ、マンケイシ、ハマメリス、ヤマグワ、延命草、桔梗、トシシ、続随子、射干、麻黄、センキュウ、ドッカツ、サイコ、ボウフウ、ハマボウフウ、オウゴン、シャクヤク、ゲンノショウコ、甘草、五倍子、アロエ、ショウマ、紅花、阿仙薬など)などチロシナーゼ活性阻害剤。
【0032】
ハイドロキノンモノベンジルエーテル、フェニル水銀ヘキサクロロフェン、酸化第二水銀、塩化第一水銀、過酸化水素水、過酸化亜鉛などのメラニン色素還元・分解剤。ハイドロキノン、乳酸菌エキス、胎盤エキス、霊芝エキス、ビタミンA、ビタミンE、アラントイン、脾臓エキス、胸腺エキス、酵母エキス、発酵乳エキス、植物エキス(アロエ、オウゴン、スギナ、ゲンチアナ、ゴボウ、シコン、ニンジン、ハマメリス、ホップ、ヨクイニン、オドリコソウ、センブリ、トウキ、トウキンセンカ、アマチャ、オトギリソウ、キュウリ、タチジャコウソウ、ローズマリー、パセリなど)などのターンオーバーの促進作用・細胞賦活剤。コハク酸、アラントイン、塩化亜鉛、酸化亜鉛、カラミン、硫酸アルミニウムカリウム、レゾルシン、塩化第二鉄、タンニン酸(カテキン化合物を含む)などの収斂剤。
【0033】
SOD、カタラーゼ、グルタチオンパーオキシダーゼなどの活性酸素消去剤。アスコルビン酸及びその塩、ステアリン酸エステル、トコフェロール及びそのエステル誘導体、ノルジヒドログアセレテン酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ヒドロキシチロソール、パラヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポールなどの抗酸化剤。
【0034】
β−カロチン、植物エキス(ゴマ培養細胞、アマチャ、オトギリソウ、ハマメリス、チョウジ、メリッサ、エンメイソウ、シラカバ、セージ、ローズマリー、南天実、キナ、エイジツ、イチョウなど)などの過酸化脂質生成抑制剤。イクタモール、インドメタシン、カオリン、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、アセチルサリチル酸、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその塩、甘草エキス成分、シコンエキス、エイジツエキスなどの抗炎症剤。
【0035】
アクリノール、イオウ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルロザニリン、クレゾール、グルコン酸クロルヘキシジン、スルファミン、マーキュロクロム、ラクトフェリンまたはその加水分解物、塩化アルキルジアミノエチルグリシン液、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、クジンなどの殺菌・消毒薬。
【0036】
グリセリン、プロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、ヒアルロン酸及びその塩、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸及びその塩、水溶性キチン或いはキトサン誘導体、ピロリドンカルボン酸及びその塩、乳酸ナトリウム、ミニササニシキエキスなどの保湿剤。二硫化セレン、臭化アルキルイソキノリニウム液、ジンクピリチオン、ビフェナミン、トウガラシチンキ、塩酸キニーネ、強アンモニア水、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、チオグリコール酸などの頭髪用剤。卵胞ホルモン(エストロン、エストラジオール、エチニルエストラジオールなど)、イソフラボン、オキセンドロンなどの抗アンドロゲン剤。
【0037】
ビタミンE及びその誘導体、センブリエキス、ニンニクエキス、人参エキス、アロエエキス、ゲンチアナエキス、トウキエキス、セファランチン、塩化カルプロニウム、ミノキシジルなどの末梢血管血流促進剤。トウガラシチンキ、ノニル酸バニルアミド、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ、ハッカ油、l−メントール、カンフル、ニコチン酸ベンジルなどの局所刺激剤。
【0038】
感光素301号、ヒノキチオール、パントテン酸及びその誘導体、アラントイン、胎盤エキス、ビオチン、ペンタデカン酸グリセリドなどの代謝活性剤。ピリドキシン及びその誘導体、イオウ、ビタミンB6などの抗脂漏剤。レゾルシン、サリチル酸、乳酸などの角質溶解剤。
【0039】
過酸化水素水、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム、過酸化トリポリリン酸ナトリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、過酸化ピロリン酸ナトリウム、過酸化オルソリン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム過酸化水素付加体、硫酸ナトリウム塩化ナトリウム過酸化水素付加体、β−チロシナーゼ酵素液、マッシュルーム抽出液などの酸化剤。
【0040】
硫酸ストロンチウム、硫化ナトリウム、硫化バリウム、硫化カルシウムなどの無機系還元剤、チオグリコール酸またはその塩類(チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸リチウム、チオグリコール酸マグネシウム、チオグリコール酸ストロンチウムなど)などの除毛剤。エタノールアミン、尿素、グアニジンなどの毛髪膨潤剤。
【0041】
5−アミノオルトクレゾール、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、1−アミノ−4−メチルアミノアントラキノン、3,3'−イミノジフェノール、塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、塩酸2,4−ジアミノフェノール、塩酸トルエン−2,5−ジアミン、塩酸ニトロパラフェニレンジアミン、塩酸パラフェニレンジアミン、塩酸N−フェニルパラフェニレンジアミン、塩酸メタフェニレンジアミン、オルトアミノフェノール、酢酸N−フェニルパラフェニレンジアミン、1,4−ジアミノアントラキノン、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、トルエン−2,5−ジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、ニトロパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラニトロオルトフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラメチルアミノフェノール、ピクラミン酸、ピクラミン酸ナトリウム、N、N'−ビス(4−アミノフェニル)−2,5−ジアミノ−1,4−4−キノンジイミン、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、N−フェニルパラフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、硫酸2−アミノ−5−ニトロフェノール、硫酸オルトアミノフェノール、硫酸オルトクロルパラフェニレンジアミン、硫酸4,4'−ジアミノジフェニルアミン、硫酸2,4−ジアミノフェノール、硫酸トルエン−2,5−ジアミン、硫酸ニトロパラフェニレンジアミン、硫酸パラフェニレンジアミン、硫酸パラメチルアミノフェノール、硫酸メタアミノフェノール、硫酸メタフェニレンジアミン、カテコール、ジフェニルアミン、α−ナフトール、ヒドロキノン、ピロガロール、フロロログルシン、没食子酸、レゾルシン、タンニン酸、2−ヒドロキシ−5−ニトロ−2',4'−ジアミノアゾベンゾゼン−5'−スルホン酸ナトリウム、ヘマテインなどの染料剤。
【0042】
ジャコウ、シベット、カストリウム、アンバーグリスなどの天然動物性香料、アニス精油、アンゲリカ精油、イランイラン精油、イリス精油、ウイキョウ精油、オレンジ精油、カナンガ精油、カラウェー精油、カルダモン精油、グアヤクウッド精油、クミン精油、黒文字精油、ケイ皮精油、シンナモン精油、ゲラニウム精油、コパイババルサム精油、コリアンデル精油、ジャスミン精油、ジンジャーグラス精油、杉精油、スペアミント精油、西洋ハッカ精油、大茴香精油、チュベローズ精油、丁字精油、橙花精油、冬緑精油、トルーバルサム精油、バラ精油、パルマローザ精油、檜精油、ヒバ精油、白檀精油、プチグレン精油、ベイ精油、ベチバ精油、ベルガモット精油、ペルーバルサム精油、ボアドローズ精油、芳樟精油、マンダリン精油、ユーカリ精油、レモングラス精油、レモン精油、ローズマリー精油、和種ハッカ精油などの植物性香料、その他合成香料などの香料。
【0043】
赤キャベツ色素、赤米色素、アカネ色素、アナトー色素、イカスミ色素、ウコン色素、エンジュ色素、オキアミ色素、柿色素、カラメル、金、銀、クチナシ色素、コーン色素、タマネギ色素、タマリンド色素、スピルリナ色素、ソバ全草色素、チェリー色素、海苔色素、ハイビスカス色素、ブドウ果汁色素、マリーゴールド色素、紫イモ色素、紫ヤマイモ色素、ラック色素、ルチンなどの色素・着色剤。
【0044】
また植物やクロレラ・ブルガリスなどの緑藻、及びコンブ(マコンブ、リシリコンブ、ホソメコンブ、ミツイシコンブ)などの褐藻、及びヒジリメン、マクサ(テングサ)、ヒラクサなどの紅藻に代表される海藻やクラミドモナスなどの緑藻類やスイゼンジノリなどの藍藻類やピラエラ、ナガミシオミドロなどの褐藻類やウシケノリなどの紅藻類や、シャジクモ車軸藻類や、ヒカリモなどの黄色藻類などに代表されるその他の藻類や鶏冠抽出物。
【0045】
牛・人の胎盤抽出物、豚・牛の胃や十二指腸或いは腸の抽出物若しくはその分解物、豚・牛の脾臓の抽出物若しくはその分解物、豚・牛の脳組織の抽出物、エラスチン、エラスチン加水分解物、水溶性エラスチン誘導体、ケラチン及びその分解物またはそれらの誘導体、シルク蛋白及びその分解物またはそれらの誘導体、豚・牛血球蛋白分解物(グロビンペプチド)、豚・牛ヘモグロビン分解物(ヘミン、ヘマチン、ヘム、プロトヘム、ヘム鉄など)、牛乳、カゼイン及びその分解物またはそれらの誘導体、脱脂粉乳及びその分解物またはそれらの誘導体、ラクトフェリンまたはその分解物、鶏卵成分、魚肉分解物など。
【0046】
上記添加物を使用する場合には、添加しようとする製品種別、形態に応じて常法的に行われる加工(例えば、粉砕、製粉、洗浄、加水分解、醗酵、精製などを任意に選択、組合わせた処理)を行い、各種の素材から任意に選択して供すればよい。尚、抽出に用いる溶媒については、後に行う加工処理等を考慮した上で選択すれば良いが、通常では、水、水溶性有機溶媒(例えば、エタノール、プロピレングリコールなど)の中から選ばれる1種もしくは2種以上の混液を用いるのが望ましい。
【0047】
但し、用途により有機溶媒の含有が好ましくない場合においては、水のみを使用したり、あるいは抽出後に除去しやすいエタノールを採用し、単独または水との任意の混液で用いたりすれば良い。
【0048】
その他、保湿剤、ホルモン類、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、キレート剤、防腐・防バイ剤、清涼剤、安定化剤、乳化剤、動・植物性蛋白質及びその分解物、動・植物性多糖類及びその分解物、動・植物性糖蛋白質及びその分解物、血流促進剤、消炎剤・抗アレルギー剤、細胞賦活剤、角質溶解剤、創傷治療剤、増泡剤、増粘剤、口腔用剤、消臭・脱臭剤、苦味料、酵素などが上げられ、これらとの併用によって、相加的及び相乗的な各種の効果が期待できる。
【0049】
(製造例)
製造例1 エビ由来アテロコラーゲンの調製
使用するエビはクルマエビ科クルマエビ属(Penaeus Vannami)を使用した。殻を除去しミンサーで粉砕したエビ50gと濃度0.5mol/Lの4℃に冷却した塩化ナトリウム溶液1000mLを攪拌し、沈殿物を遠心機を用いて、遠心分離法(10,000G、10分)により回収した。この操作をさらに4回繰り返した。得られた沈殿物をエタノール1000mLに加え5℃で一晩撹拌し、沈殿物を遠心分離法(10,000G、10分)で回収し、再度、エタノール処理を加えた後、水洗し、エビ精製沈殿を得た。このエビ精製沈殿30gを0.03mol/Lの濃度のクエン酸水溶液3000mLに加え、5℃で1時間撹拌した後、ペプシン0.9gを加えさらに72時間攪拌抽出した。上澄みを遠心分離法(10,000G,10分)により回収し、1mol/L水酸化ナトリウムを用いてpH12に調整し、5℃で3時間攪拌しペプシンを失活させた。クエン酸を用いてpHを3とし、クエン酸濃度が0.03 mol/Lとなるよう、またコラーゲン濃度が0.3%となるように調整し、アテロコラーゲンを得た。
【0050】
製造例2 エビ由来サクシニルアテロコラーゲンの調製
製造例1で得られたアテロコラーゲン溶液に無水コハク酸30mmolを加え、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを10〜12に調整しながら5℃で反応させた。反応終了後、溶液のpHを塩酸によりpH3.5に調整して、サクシニル化アテロコラーゲンを沈殿させ、遠心分離法(10,000G、10分)により回収した後、50%エタノールを用いて洗浄した。0.3%の濃度となるように0.05mol/Lのリン酸緩衝溶液(pH6.0)に溶解し、サクシニル化アテロコラーゲン溶液を得た。
【0051】
(試験例)
試験例1 エビ由来III型コラーゲンの確認
製造例1で得られたアテロコラーゲンを用いて、III型コラーゲンの特徴であるジスルフィド結合の確認を以下の手順で行った。すなわち、製造例1で得られたコラーゲンを0.2%に調整し、等量のサンプルバッファー(グリセリン、Tris-塩酸緩衝液、SDS、ブロモフェノールブルーを含む)を添加して加熱して試料とした。還元処理を施す場合は、加熱時に0.5 mol/Lジチオトレイトールを添加した。試料を、ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGE法で分離し、還元処理によりバンドの位置が移動する事が確認できればジスルフィド結合を持つことが確認できる為、還元処理の有無によるバンドの違いを確認した。電気泳動の結果を図1示した。
【0052】
図1で示した電気泳動の結果より、左の処理前ではメジャーコラーゲンとしてα2(I)がDとして、α1(I)がCとして表れているが、マイナーコラーゲンであるAおよびBなどのバンド位置が還元処理によって消失し、右の還元処理後のEなどの位置に新たなバンドとして現れていることが確認できた。この試験によって、製造例1で得られたアテロコラーゲンはジスルフィド結合を有することが確認できた。
【0053】
試験例2 III型コラーゲンを含むエビ由来アテロコラーゲンの細胞増殖試験
製造例1で得られたアテロコラーゲンを用いて、線維芽細胞(WI38)に対する増殖作用を評価した。試験法は以下のとおりである。すなわち、製造例1で得られたアテロコラーゲンを透析処理により保存料などを取り除いた後、凍結乾燥した。比較として、タイウロココラーゲンを同様に処理した。鯛や硬骨魚類の鱗に含まれるコラーゲンの形はI型であることが知られている。これらを0.5mg/mLとなるよう溶解して試料とした。試料を6wellプレートにウェルあたり1.0mL添加して1時間室温で静置してコラーゲンをプレコーティングした。上澄みを除去し、PBS(-)1.5mLでウェルを洗浄した。洗浄は3回行った。DMEM培地(10%FBS)中で培養した線維芽細胞(WI38)を、同培地で5×104cells/mLとなるよう希釈し、ウェルあたり1.5mLずつ添加して37℃、5%CO2下で72時間培養した。培養後の細胞数を計測し、[式1]により細胞増殖率を算出した。対照は、試料の替わりにPBS(-)を用いたものである。
[式1]
細胞増殖率(%)=(試料プレートの細胞数/対照プレートの細胞数)×100
対照を100とする細胞増殖率を表1に示した。
【0054】
【表1】

表1より、製造例1のアテロコラーゲンは比較として用いたタイウロココラーゲンより高い線維芽細胞増殖率が確認できた。これによって、製造例1のアテロコラーゲンが線維芽細胞増殖作用を有することを確認できた。
【実施例】
【0055】
[実施例1]〈化粧水の製造〉
表2に示す処方に従い、(1)〜(10)を攪拌、溶解し、化粧水を得た。
【0056】
【表2】

【0057】
得られた化粧水について、専門パネラー10名(25歳から40歳までの男女)による官能試験を行った。すなわち実施例1で製造した化粧水を1日2回づつ連続2週間使用した時の肌の状態について、官能で下記のように判定し、10名の平均値を求め、肌のしっとり差と肌のべたつきについて評価した。評価は下記の項目について5段階の評点評価を実施した。
(1)肌のしっとりさ
1.かさつく
2.ややかさつく
3.普通
4.ややしっとりする
5.しっとりする
(2)肌の滑らかさ
1.ざらつく
2.ややざらつく
3.普通
4.やや滑らか
5.滑らか
(3)肌のべたつき
1.べたつく
2.ややべたつく
3.普通
4.ややさっぱり
5.さっぱり
パネラー10名の評点の平均を表3に示した。
【0058】
【表3】

【0059】
表3から明らかなように、製造例2のコラーゲンを配合した実施例1の化粧水は、比較例1のコラーゲン無配合のものより優れた保湿性と皮膚平滑性を示した。
【0060】
また、このことから、製造例2のコラーゲンが肌を滑らかにする保湿剤として有用であることを示している。
【0061】
[実施例2]<シャンプーの製造>
表4に示す処方に従い、(1)〜(4)、(6)〜(8)を70℃で混合攪拌し、30℃まで冷却させた後、(5)を加え混合攪拌し、シャンプー剤を得た。得られた製品を用いて洗髪したところ、髪の感触が滑らかで、髪に潤いを与えるものであった。
【0062】
【表4】

【0063】
[実施例3]<クリームの製造>
表5に示す処方に従い、(1)〜(7)を80℃で混合攪拌したものに別途(8)、(10)、(11)、(12)を80℃で混合攪拌したものを加え、ホモジナイズし、攪拌しながら30℃まで冷却し、(9)をさらに添加し混合攪拌してクリーム剤を得た。得られた製品は使用中にべたつかず、肌をしっとりとさせるものであった。
【0064】
【表5】

【0065】
[実施例4]<ボディジェルの製造>
表6に示す処方に従い、(1)〜(8)を80℃で混合攪拌し、ボディジェル剤を得た。得られた製品は使用中にべたつかず、肌をしっとりとさせるものであった。
【0066】
【表6】

【0067】
[実施例5]<ヘアパックの製造>
表7に示す処方に従い、(1)〜(2)を80℃で混合攪拌したものに、別途(3)〜(13)を80℃で混合攪拌したものを加え、80℃にて混合攪拌しながら、(14)、(15)をさらに添加し混合攪拌してヘアパック剤を得た。得られた製品を用いて髪のトリートメントをしたところ、髪の感触が滑らかで、髪に潤いを与えるものであった。
【0068】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
III型コラーゲンを含有する海洋性生物由来コラーゲン及びその誘導体。
【請求項2】
海洋性生物がエビである請求項1記載の海洋性生物由来コラーゲン及びその誘導体。
【請求項3】
コラーゲン誘導体が、III型コラーゲンをアテロ化して得られるアテロ化コラーゲンである請求項1記載の海洋性生物由来コラーゲン誘導体。
【請求項4】
コラーゲン誘導体が、アテロ化コラーゲンをアシル化することにより得られるアシル化コラーゲンである請求項1記載の海洋性生物由来コラーゲン誘導体。
【請求項5】
アシル化がサクシニル化であり、得られるコラーゲン誘導体がサクシニル化コラーゲン誘導体であることを特徴とする請求項4記載の海洋性生物由来コラーゲン誘導体。
【請求項6】
請求項4記載のアシル化コラーゲン誘導体又は請求項5記載のサクシニル化コラーゲン誘導体を配合することを特徴とする化粧料。
【請求項7】
請求項4記載のアシル化コラーゲン誘導体又は請求項5記載のサクシニル化コラーゲン誘導体を配合することを特徴とする保湿剤。
【請求項8】
請求項4記載のアシル化コラーゲン誘導体又は請求項5記載のサクシニル化コラーゲン誘導体を配合することを特徴とする線維芽細胞増殖剤。
【請求項9】
海洋性生物を原料としてIII型コラーゲンを含有する海洋性生物由来コラーゲン及びその誘導体を製造することを特徴とするIII型コラーゲンを含有する海洋性生物由来コラーゲン及びその誘導体の製造方法。
【請求項10】
海洋性生物がエビである請求項9記載のIII型コラーゲンを含有する海洋性生物由来コラーゲン及びその誘導体の製造方法。
【請求項11】
海洋性生物由来コラーゲンをアテロ化した後、アシル化剤を用いてアシル化することによりアシル化コラーゲン誘導体を製造することを特徴とするアシル化コラーゲン誘導体の製造方法。
【請求項12】
アシル化がサクシニル化であり、得られるコラーゲン誘導体がサクシニル化コラーゲン誘導体であることを特徴とする請求項11記載のアシル化コラーゲン誘導体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−206966(P2012−206966A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72689(P2011−72689)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000240950)片倉チッカリン株式会社 (24)
【Fターム(参考)】