説明

IPアンタゴニストとしてのイミダゾリン−2−イルアミノ−フェニルアミド類

式I(式中、A、R1およびR2は、本明細書に定義する通りである)で示される、IP受容体モジュレーター、特にIP受容体アンタゴニストとして有効な化合物;ならびにその個々の異性体、異性体のラセミまたは非ラセミ混合物、および薬学的に許容され得る塩または溶媒化合物。そのような化合物を含有する医薬組成物、および治療剤としてのそれらの使用方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロスタグランジンI2(IP)受容体アンタゴニスト、およびそれらを含有する関連の医薬組成物、および治療薬としてのそれらの使用方法に関する。
【0002】
プロスタグランジンまたはプロスタノイド(PG)類は、膜リン脂質由来の生物活性化合物群であり、二重結合を3、4または5個含む炭素数20個の必須脂肪酸およびシクロペンタン環から形成される。それらは、文字D、E、F、G、HまたはIで示される複数の主分類に分けられ、シクロペンタン環への置換によって識別される。主分類は、脂肪酸前駆体を表す下付き文字1、2または3によって更に細分される。つまりPGI2は、二環構造を有し、下付き文字2は、それがアラキドン酸に関連していることを示す。
【0003】
PGI2(プロスタサイクリンとしても知られている)は、血小板および血管において凝集を阻止する作用、および血管拡張を引き起こす作用があり、血管の恒常性にとって重要であると考えられている。PGI2は、無傷の血管壁の抗血栓性に寄与し得ることが示唆されてきた。PGI2は、血管緊張の生理学的モジュレーターで、血管収縮物質の作用に対抗する働きがあるとも考えられている。敗血症性ショックに関連する低血圧にPGI2が関与することにより、これらの血管作用の重要性が強調されている。プロスタグランジン類が、血管透過性に直接影響を及ぼすようには思われないが、PGI2は、炎症部分の血流を促すことによって浮腫形成および白血球浸潤を著しく高める。それゆえIP受容体アンタゴニストは、敗血症性ショックに関連する低血圧を緩和することができ、浮腫形成を減少させることができ、そして非限定的に血友病および血管からの出血(hemorrhage)(これらに限定しない)のような過剰な出血に関連する症状を防ぐことができる。
【0004】
げっ歯類における複数のインビボでの無痛覚研究によって、PGI2が、痛覚過敏の誘導において重要な役割を担うことが示唆される。同様に、インビトロ研究は、「PGI2嗜好性(PGI2-preferring)」(IP)受容体が、感覚ニューロン機能の重要なモジュレーターとして作用することを示唆する実質的な証拠をもたらす[Bley et el., Trends in Pharmacological Sciences 19(4):141-147(1998)]。感覚ニューロンにおけるIP受容体は、アデニリルシクラーゼおよびホスホリパーゼC、つまりcAMP依存性プロテインキナーゼおよびプロテインキナーゼCの両方の活性化につながれるので、これらの受容体は、イオンチャネル活性、これより神経伝達物質の放出において強大な効果を発揮することができる。IP受容体が欠如したトランスジェニックマウスにおける近年の研究から、炎症痛におけるIP受容体についての顕著な役割を示す証拠が得られた[Murata et al., Nature 388:678-682 (1997)]。
【0005】
プロスタグランジンは、痛覚過敏の仲介物質であることに加えて、生理学的刺激、例えば排尿平滑筋の緊張、膀胱粘膜の傷害および神経刺激などに応答して膀胱で局部的に発生されることが知られている[Anderson, Pharmacological Reviews 45(3):253-308 (1993)]。PGI2は、ヒトの膀胱から放出される主なプロスタグランジンである。プロスタグランジンが、膀胱の充満によって生じた排尿筋の緊張と、膀胱の膨満によるC繊維求心の活性化との間の結合になり得るとする示唆がある。プロスタグランジンが、膀胱障害の病理生理学に関与され得ることが提案された。それゆえ、プロスタグランジンIP受容体のアンタゴニストは、そのような症状の処置に有用であると予測される。
【0006】
IP受容体のアンタゴニストは、アレルゲンに応答するPGI2生成が存在する呼吸器性アレルギーにおいて、または喘息などの呼吸器の症状において実用性が見出されることも予測される。
【0007】
IP受容体アンタゴニストは、他の様々な薬物と同じく、心臓血管への副作用に関連する増加する精査を受けてきた。臨床的評価の間に、心室性不整脈、特に「トルサード・ド・ポアンツ」(TdP)が臨床試験の被験者において起こる可能性があることから、IP受容体アンタゴニストの成功の見込みは失敗した。これらの薬物が心室不整脈に至る機構は、「ヒトエーテル・ア・ゴーゴー(human-ether-a-go-go)」またはhERGイオンチャネルの調整によって同定された。hERGチャネルは、電圧活性化される内向き整流性カリウムチャネルであり、心室活動電位の再分極への重要な寄与物質である。hERGチャネルのブロックによって、心臓の活動電位の持続時間が増加して、心室再分極の延長に至る。そのようなhERGチャネル調整には潜在的な致死性があるため、最終的に薬物として有用となるIP受容体アンタゴニストは、hERGチャネルが引き起こす阻害を最小限にすべきか、または無くすべきである。
【0008】
プロスタグランジンおよびそれらの受容体に関する更なる情報が、Goodman & Gillman's, The Pharmacological Basis of Therapeutics, ninth edition, McGraw-Hill, New York, 1996, Chapter 26, page 601-616に記載されている。
【0009】
本明細書に引用した全ての刊行物、特許および特許出願を、これ以前または以降のいずれのものも、各々が全体として本明細書中に援用する。
【0010】
本発明は、IP受容体アンタゴニストとして有用な化合物を提供する。主題の化合物は式I:
【化7】


(式中、
1は、アリールまたはヘテロアリールであり;
2は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロゲンであり;
Aは、−C(O)−NRa−(CRbcn−または−NRa−C(O)−(CRbcn−であり;
nは、1〜6であり;
a、RbおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルである)で示される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒化合物もしくはプロドラッグである。
【0011】
本発明は、更に、治療的に有効な量の式Iで示される少なくとも1種の化合物、またはその個々の異性体、異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物、または薬学的に許容され得るその塩もしくは溶媒化合物を、少なくとも1種の適切な担体と混和して含む医薬組成物に関する。好ましい実施態様では、医薬組成物は、IP受容体アンタゴニストによる処置によって緩和される疾患状態を有する患者に投与するのに適している。
【0012】
本発明は更に、式Iで示される化合物の製造方法に関する。そのような方法の一つは、式:
【0013】
【化8】

【0014】
(式中、R1、R2およびAは、本明細書中で定義するとおりである)で示される化合物をクロロイミダゾリンと反応させて、式Iで示される化合物を形成させることを含む。
【0015】
本発明は更に、IP受容体アンタゴニストによって介される疾患の処置方法であって、治療的に有効な量の式Iで示される少なくとも1種の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒化合物もしくはプロドラッグを、そのような処置を必要とする被験者に投与することを含む方法に関する。
【0016】
本発明は更に、式Iで示される少なくとも1種の化合物、その各異性体、異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物、または薬学的に許容され得るその塩もしくは溶媒化合物の治療的に有効な量を、そのような処置を必要とする被験者に投与することを含む処置方法に関する。
【0017】
本発明の一つの実施態様では、そのような処置を必要とする被験者は、疼痛、炎症、尿路疾患状態、アレルギーもしくは喘息から起こる呼吸器状態、浮腫形成、または低血圧血管疾患に関連する疾患状態を有する被験者である。本発明の別の実施態様では、そのような処置を必要とする被験者は、疼痛に関連する疾患状態を有する被験者である。
【0018】
好ましい実施態様では、そのような処置を必要とする被験者は、IP受容体を介した疼痛に関連する疾患状態、例えば炎症痛、神経障害性疼痛、癌性疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、手術痛、歯痛、月経痛、内臓痛、熱傷から生じる疼痛、片頭痛、群発性頭痛、神経痛、外傷後傷害(post traumatic injuries)、機能性腸疾患に関連する疼痛、例えば過敏性腸症候群、痛覚過敏、または複合性局所疼痛性症候群(complex regional syndromes)などを有する。
【0019】
別の好ましい実施態様では、そのような処置を必要とする被験者は、IP受容体を介した炎症に関連する疾患状態、例えば細菌感染、真菌感染、ウイルス感染、特発性膀胱炎、過用、加齢、栄養欠乏、前立腺症または結膜炎の疼痛などを有する。
【0020】
別の好ましい実施態様では、そのような処置を必要とする被験者は、IP受容体を介した尿路疾患状態に関連する疾患状態、例えば膀胱出口部狭窄、尿失禁、膀胱容量の減少、尿意頻数、切迫尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱の反応性亢進、前立腺肥大(BPH)、前立腺症、排尿筋反射亢進、頻尿、夜間多尿症、尿急、過活動膀胱、骨盤過敏症(pelvic hypersensitivity)、切迫尿失禁、尿道炎、前立腺症、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎、または特発性膀胱過敏症などを有する。
【0021】
別の好ましい実施態様では、そのような処置を必要とする被験者は、IP受容体を介した呼吸器疾患に関連する疾患状態、例えばアレルギーまたは喘息を有する。
【0022】
別の好ましい実施態様では、そのような処置を必要とする被験者は、IP受容体を介した浮腫形成または低血圧性血管疾患に関連する疾患状態を有する。
【0023】
明細書および特許請求の範囲を含む本願において用いる以下の用語は、他に記述しない場合には、以下に挙げる定義を有する。明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数形「a」、「an」および「the」が、その内容が明確に別のことを指図しない場合には、複数の対象を含むことに留意しなければならない。
【0024】
「アシル」(またはアルカノイル)は、基:−C(O)−R(式中、Rは、本明細書中に定義する通りの低級アルキルである)を意味する。アシル基の例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリルなどを含み、これらに限定しない。
【0025】
「アルキル」は、他に示さない場合には、単に炭素および水素原子からなり、炭素原子1〜12個(それぞれの数値を含む)有する一価の直鎖状または分枝状飽和炭化水素基を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、オクチル、ドデシルなどを含み、これらに限定しない。
【0026】
「低級アルキル」は、他に示さない場合には、単に炭素および水素原子からなり、炭素原子1〜6個を有する一価の直鎖状または分枝状飽和炭化水素基を意味する。低級アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを含み、これらに限定しない。
【0027】
「アルキレン」は、炭素原子1〜6個の直鎖状飽和二価炭化水素基、または炭素原子3〜6個の分枝状飽和二価炭化水素基、例えばメチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレンなどを意味する。
【0028】
「アルコキシ」は、基:−O−R(式中、Rは、本明細書中に定義する通りの低級アルキル基である)を意味する、アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどを含み、これらに限定しない。
【0029】
「アルコキシアルキル」は、式:Ra−O−Rb−(式中、Raは、アルキルであり、Rbは、アルキレンであり、それぞれ本明細書中に定義する通りのものである)で示される部分を意味する。具体的なアルコキシアルキル基は、例として、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、1−メチル−2−メトキシエチル、1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピル、および1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピルを含む。
【0030】
「アルキルカルボニル」は、式:−R'−R''(式中、R'は、オキソであり、R''は、アルキルであり、それぞれ本明細書中に定義する通りのものである)で示される部分を意味する。
【0031】
「アルキルアミノ」は、基:−NHRd(式中、Rdは、本明細書中に定義する通りの低級アルキル基である)を意味する。アルキルアミノ基の例は、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノなどを含み、これらに限定しない。
【0032】
「アルキルスルホニル」は、基:−SO2f(式中、Rfは、本明細書中に定義する通りの低級アルキル基である)を意味する。アルキルスルホニル基の例は、メタンスルホニル、エタンスルホニル、プロパンスルホニルなどを含み、これらに限定しない。
【0033】
「アルキルスルホニルアルキル」は、式:−R'−R''−R'''(式中、R'は、アルキルであり、R''は、−SO2−であり、R'''は、アルキルであり、本明細書中に定義する通りのものである)で示される部分を意味する。
【0034】
「アルキルスルファモイル」は、式:−SO2−NHR'(式中、R'は、本明細書中に定義する通りのアルキルである)で示される部分を意味する。
【0035】
「ジアルキルスルファモイル」は、式:−SO2−NHR'R''(式中、R'およびR''は、本明細書中に定義する通りのアルキルである)で示される部分を意味する。
【0036】
「アリール」は、単環式、二環式または三環式芳香族環からなる一価の環状芳香族炭化水素部分を意味する。アリール基は、場合により本明細書に定義する通りに置換されることができる。アリール部分の例は、場合により置換されるフェニル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、インデニル、ペンタレニル、アズレニル、オキシジフェニル、ビフェニル、メチレンジフェニル、アミノジフェニル、ジフェニルスルフィジル、ジフェニルスルホニル、ジフェニルイソプロピリデニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキシリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサジノニル、ベンゾピペリジニル、ベンゾピペラジニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾモルホリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニルなどを含み、およびそれらの部分水素化された誘導体を含み、それらに限定されない。
【0037】
「アリールオキシ」は、基:−O−R'(式中、R'は、本明細書中に定義する通りのアリール基である)を意味する。アリールオキシ基の例は、フェノキシなどを含み、それらに限定されない。
【0038】
「アラルキル」は、基:−R'R''(式中、R'は、本明細書中に定義する通りのアルキレン基であり、R''は、本明細書中に定義する通りの低級アリール基である)を意味する。アラルキル基の例は、ベンジル、フェニルエチル、3−フェニルプロピルなどを含み、それらに限定されない。
【0039】
「アラルキルオキシ」は、基:−O−R'(式中、R'は、本明細書中に定義する通りのアラルキル基である)を意味する。アラルキルオキシ基の例は、ベンジルオキシ、フェニルエチルオキシなどを含み、それらに限定されない。
【0040】
「シクロアルキル」は、他に示さない場合は、1個以上の環からなり、場合により、ヒドロキシ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、チオアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、カルボニルアミノ、アミノスルホニル、スルホニルアミノおよび/またはトリフルオロメチルから独立して選択される1個以上の置換基で置換されることができる一価の飽和炭素環基を意味する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、3−エチルシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘプチルなどを含み、それらに限定されない。
【0041】
「シクロアルキルオキシ」は、基:−OR'(式中、R''は、本明細書中に定義する通りのシクロアルキルである)を意味する。
【0042】
「シクロアルキルアルキル」は、式:−R'R''(式中、R'は、本明細書中に定義する通りのアルキレンであり、R''は、本明細書中に定義する通りのシクロアルキルである)で示される基を意味する。
【0043】
「シクロアルキルアルコキシ」は、式:−OR'R''(式中、R'は、本明細書中に定義する通りのアルキレンであり、R'は、本明細書中に定義する通りのシクロアルキルである)で示される基を意味する。
【0044】
「ジアルキルアミノ」は、基:−NR'R''(式中、R'およびR''は、各々独立して、本明細書中に定義する通りの低級アルキル基である)を意味する。ジアルキルアミノ基の例は、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルプロピルアミノなどを含み、それらに限定されない。
【0045】
「エチレンジオキシ」は、基:−OCH2CH2O−を意味する。
【0046】
「ハロゲン」または「ハロ」は、基フルオロ、ブロモ、クロロおよび/またはヨードを意味する。
【0047】
「ハロアルキル」は、いずれかの位置が本明細書中に定義する通りのハロゲン原子1個以上で置換される、本明細書中に定義する通りのアルキルを意味する。ハロアルキル基の例は、1,2−ジフルオロプロピル、1,2−ジクロロプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチルなどを含み、それらに限定されない。
【0048】
「ヘテロアリール」は、N、O、またはSから選択される環ヘテロ原子を1、2または3個含有し、残りの環原子がCである芳香族環を少なくとも1個有する、環原子5〜12個の単環または二環基を意味するが、ヘテロアリール基の結合点は、芳香族環上にあると理解されたい。ヘテロアリール環は、場合により本明細書に定義する通りに置換されていてもよい。ヘテロアリール部分の例は、場合により置換されるイミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、チエニル、ベンゾチエニル、チオフェニル、フラニル、ピラニル、ピリジル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾピラニル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、インダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、キノキサリニル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アゼピニル、ジアゼピニル、アクリジニルなどを含み、それらの部分水素化された誘導体を含み、それらに限定されない。
【0049】
「ヘテロシクリル」は、環1〜3個からなり、ヘテロ原子(窒素、酸素または硫黄から選択される)1、2、3または4個を組み込む一価の飽和部分を意味する。ヘテロシクリル環は、場合により本明細書に定義する通りに置換されていてもよい。ヘテロシクリル部分の例は、場合により置換されるピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チオアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キヌクリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリルジニル、ベンゾチアゾリジニル、ベンゾアゾリリジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどを含み、それらに限定されない。
【0050】
「ヘテロシクリルオキシ」は、基:−O−R(式中、Rは、本明細書中に定義する通りのヘテロシクリルである)を意味する。
【0051】
「ヘテロシクリルアルキルオキシ」は、基:−O−R'−R''(式中、R'は、本明細書中に定義する通りのアルキレンであり、R''は、本明細書中に定義する通りのヘテロシクリルである)を意味する。
【0052】
「ヘテロシクリルスルホニル」は、基:−SO2−R'(式中、R'は、本明細書中に定義する通りのアルキルである)を意味する。
【0053】
「ヒドロキシアルキル」は、ヒドロキシル基1個以上で置換される、本明細書中に定義する通りのアルキルを意味する。ヒドロキシアルキル基の例は、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチルおよび2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルなどを含み、それらに限定されない。
【0054】
「メチレンジオキシ」は、基:−OCH2O−を意味する。
【0055】
「スルファモイル」は、式:−SO2NR'R''(式中、R'およびR''は、各々独立して、水素またはアルキルであってもよい)で示される基を意味する。
【0056】
「スルホニルアミノ」は、式:−NHR'−SO2−R''(式中、R'およびR''は、各々独立して、水素または本明細書中に定義する通りのアルキルであってもよい)で示される基を意味する。
【0057】
「随意の」または「場合により」は、引き続き記載する事象または事情が起きてよいが起きる必要がないこと、およびその説明がその事象または事情が起きる例および起きない例を含むことを意味する。例えば「随意の結合」は、結合が存在してもしなくてもよいこと、およびその説明が単結合、二重結合または三重結合を含むことを意味する。
【0058】
「場合により置換される」は、「アリール」、「フェニル」、「ヘテロアリール」または「ヘテロシクリル」に関連して用いる場合には、場合により、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アシルアミノ、モノ−アルキルアミノ、ジ−アルキルアミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、−COR(式中、Rは、水素、アルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)、(CR'R'')n−COOR(式中、nは、0〜5の整数であり、R'およびR''は、独立して水素またはアルキルであり、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)、または−(CR'R'')n−CONRab(式中、nは、0〜5の整数であり、R'およびR''は、独立して水素またはアルキルであり、RaおよびRbは、互いに独立して水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである)から選択される置換基1〜4個、好ましくは1または2個によって独立して置換されるアリール、フェニル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルを意味する。
【0059】
「異性体」は、同じ分子式を有するが、それらの原子の結合の性質もしくは順序、またはそれらの原子の空間における配置が異なる種々の化合物を意味する。それらの原子の空間における配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。互いの鏡像でありかつ光学活性な立体異性体は、「鏡像異性体」と呼ばれ、互いの鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオ異性体」と呼ばれる。
【0060】
「アトロプ(atropic)異性体」は、それらの存在により、中央の結合の回りの大きな基の回転障害によって、回転制限が引き起こされる異性体を意味する。
【0061】
「キラル異性体」は、1つのキラル中心を含む化合物を意味する。それは、反対のキラリティーの鏡像異性形態を2つ有し、個々の鏡像異性体、または鏡像異性体の混合物のどちらかとして存在することができる。反対のキラリティーの個々の鏡像異性形態を等量で含有する混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。1つを超えるキラル中心を有する化合物が、個々のジアステレオマー、またはジアステレオマーの混合物(「ジアステレオマー混合物」と呼ばれる)のどちらかとして存在することができる。一つのキラル中心が存在する場合、立体異性体は、そのキラル中心の絶対配置(RまたはS)によって特徴づけられることができる。絶対配置は、キラル中心に結合した置換基の空間における配置を言う。検討中のキラル中心に結合される置換基は、Sequence Rule of Cahn, Ingold and Prelog [Cahn et al., Angew. Chem. Inter. Edit. 5:385; errata 511 (1966); Cahn et al., Angew. Chem. 78:413 (1966); Cahn and Ingold, J. Chem. Soc. (London) 612 (1951); Cahn et al., Experientia 12:81 (1956); Cahn, J. Chem. Educ. 41: 116 (1964)]に従ってランク付けされている。
【0062】
「幾何異性体」は、存在することによって二重結合の回りの回転が障害を受けるジアステレオマーを意味する。これらの配置は、接頭辞cis−およびtrans−、またはZおよびEによって名称が識別されるが、それらは、基がCahn-Ingold-Prelog則により分子内の二重結合と同じ側または反対側にあることを示す。
【0063】
「脱離基」は、合成有機化学において従来からそれに関連する意味を有する基、即ちアルキル化条件下で置換可能な原子または基を意味する。脱離基の例は、ハロゲン、アルカンスルホニル、アリーレンスルホニルオキシ、例えばメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、チオメチル、ベンゼンスルホニルオキシ、トシルオキシ、およびチエニルオキシ、ジハロホスフィノイルオキシ、場合により置換されるベンジルオキシ、イソプロピルオキシ、アシルオキシなどを含み、それらに限定されない。
【0064】
「保護基」は、合成有機化学において従来からそれに関連する意味を有し、即ち多官能性化合物内の一つの反応部位を選択的に封鎖し、それで化学反応を別の非保護反応部位で選択的に実施し得るようにする基を意味する。本発明の所定の方法は、反応体中に存在する反応性酸素原子を封鎖するための保護基に依存する。逐次的にそして選択的に除去することができるアルコール性またはフェノール性ヒドロキシル基用の許容され得る保護基は、アセタート類、ハロアルキルカルボナート類、ベンジルエーテル類、アルキルシリルエーテル類、ヘテリシクリルエーテル類、メチルまたは他のアルキルエーテル類などとして保護する基を含む。カルボキシル基のための保護基または封鎖基は、ヒドロキシル基に関して記載したものと同様であり、好ましくはtert−ブチル、ベンジルまたはメチルエステル類である。保護基の例は、Greene et al., Protective Groups in Organic Chemistry, 1999, J. Wiley, 2nd ed.,およびHarrison et al., Compendium of Synthetic Organic Methods, 1971-1996, Vols. 1-8, J. Wiley and Sonsに見出すことができる。
【0065】
「アミノ−保護基」または「N−保護基」は、窒素原子を合成手順の間の望ましくない反応から保護する意図の有機基を言う保護基を意味し、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、トリフルオロアセチルなどを含み、それらに限定しない。
【0066】
「脱保護」は、選択的反応が完了した後に保護基を除去する工程である。利便性または除去の相対的容易さによって、所定の保護基が他より好適になり得る。保護されたヒドロキシル基またはカルボキシル基のための脱保護試薬は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、アルコール性溶液中の水酸化リチウム、メタノール中の亜鉛、酢酸、トリフルオロ酢酸、パラジウム触媒または三臭化ホウ素などを含む。
【0067】
「不活性有機溶剤」または「不活性溶剤」は、関連して記載された反応の条件下で不活性の溶剤を意味し、例えばベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレンまたはジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジンなどを含む。本発明の反応において用いる溶剤は、それと反対に明記しない場合には、不活性溶剤である。
【0068】
「薬学的に許容され得る」は、一般に安全であり、非毒性であり、生物学的にも他の点でも望ましくないものでない医薬組成物を製造するのに有用であることを意味し、家畜およびヒトの薬学的使用に許容され得るものを包含する。
【0069】
「薬学的に許容され得る担体」は、組成物の他の成分と一般に適合性があり、レシピエントに悪影響がなく、生物学的にもその他の点でも望ましくないものでない、薬剤組成物を製造するのに有用な担体を意味し、家畜使用またはヒトの医薬学的使用に許容され得る担体を含む。本明細書および特許請求の範囲で用いる通りの「薬学的に許容され得る担体」は、そのような担体の1種およびそれ以上の両方を含む。
【0070】
化合物の「薬学的に許容され得る塩」は、薬学的に許容され得、親化合物の所望の薬理学的活性を所有する塩を意味する。そのような塩は、例えば下記を含む:
(1)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを用いて形成される酸付加塩;または有機酸、例えば酢酸、ピロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などを用いて形成される酸付加物;
(2)親化合物中に存在する酸性プロトンを、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンもしくはアルミニウムイオンによって置き換えた場合;または有機塩基と配位する場合に形成される塩。許容され得る有機塩基は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどを含む。許容され得る無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどを含む。
【0071】
薬学的に許容され得る塩への言及が、溶剤付加形態またはその結晶形態、特に溶媒化合物または多型を含むことは理解されるべきである。溶媒化合物は、溶媒の理論量または非理論量のいずれかを含有し、結晶化の過程の間に形成されるのがしばしばである。溶媒が水である場合には、水和物が形成され、または溶媒がアルコールの場合には、アルコラートが形成される。多型は、化合物の元素組成が同じで結晶パッキングの配列が異なるものを含む。多型は通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学的および電気的性質、安定性ならびに溶解度を有する。様々な因子、例えば再結晶化溶媒、結晶化の速度、および保存温度が、単一結晶形態を支配させることができる。
【0072】
本明細書で用いる通りの「薬理学的影響」は、治療の意図する目的を達成する被験者において生成される影響を包含する。一つの好ましい実施態様では、薬理学的影響は、そのような処置を必要とする被験者の処置を意味する。例えば薬理学的影響は、そのような処置を必要とする被験者において、疼痛、炎症、尿路疾患状態または喘息に関連する疾患状態の予防、軽減または低下に帰するものである。好ましい実施態様では、薬理学的影響は、IP受容体の活性化が、IP受容体モジュレーター、特にIP受容体アンタゴニストの投与によって処置され得る疾患状態を有する被験者での治療利益に関連することを意味する。
【0073】
「被験者」は、哺乳類および非哺乳類を意味する。哺乳類の例は、哺乳類クラスのメンバー:ヒト、非ヒトの霊長類、例えばチンパンジーおよび他の類人猿およびサル種;家畜、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;ペット、例えばウサギ、イヌおよびネコ;げっ歯類、例えばラット、マウス、モルモットを含む実験動物などを含み、それらに限定しない。非哺乳類の例は、トリなどを含み、これらに限定しない。その用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。
【0074】
「治療的に有効な量」は、疾患状態を処置するために被験者に投与する場合に、疾患状態のためにそのような処置を実行するのに十分な化合物の量を意味する。「治療的に有効な量」は、化合物、処置する疾患の状態、処置される疾患の重症度、被験者の年齢および相対的健康度、投与経路および形態、担当する医療または獣医実施者の判断、ならびに他の因子に応じて変わることになる。
【0075】
疾患状態の「処置」は、下記を含む:
(1)疾患状態を予防する、即ち疾患状態に暴露されてもよいか、もしくはかかり易くされてもよいが、まだ疾患状態の症状を体感していないか、もしくはその症状を示していない被験者に、疾患状態の臨床症状を発症させないこと;
(2)疾患状態を阻害すること、即ち疾患状態もしくはその臨床症状の発症を抑止すること;または
(3)疾患状態を緩和すること、即ち疾患状態もしくはその臨床症状の一時的もしくは永久的後退を引き起こすこと。
【0076】
「疾患状態」は、いずれかの疾患、障害、状態、症状または適応症を意味する。
【0077】
「尿路に関連する疾患状態」または「尿路疾患状態」または「尿路疾患」または「尿路の症状」は、交換可能に用いられ、尿貯蔵または排泄の障害を引き起こす尿路の病理学的変化、または膀胱平滑筋もしくはその神経支配の機能不全を意味する。尿路の症状は(排尿筋過活動としても知られる)、出口部狭窄、出口部の不全(outlet insufficiency)および骨盤過敏症を含む。
【0078】
「出口部の不全」は、過動尿道、内因性尿道括約筋不全、または混合型尿失禁を含み、それらに限定されない。それは通常、腹圧性尿失禁として症状発現される。
【0079】
「出口部狭窄」は、前立腺肥大(BPH)、尿道狭窄疾患、腫瘍などを含み、それらに限定されない。それは通常、狭窄性(低流速、排尿開始困難など)および刺激性(尿意促迫、恥骨上の疼痛など)として症状発現される。
【0080】
「過活動膀胱」または「排尿筋過活動」は、尿意促迫、頻尿、膀胱容量の減少、尿失禁エピソードなどとして症状発現される変化;膀胱容量の変化、排尿閾値の変化、不安定な膀胱収縮、括約筋の痙性などとして尿力学的に発現される変化;排尿筋反射亢進(神経因性膀胱)で、出口部狭窄、出口部の不全、骨盤過敏症などの状態で、または排尿筋不安定のような特発性状態で、通常、発現される症状等を含み、それらに限定されない。
【0081】
「骨盤過敏症」は、間質性(細胞)膀胱炎、プロスタダイニア(prostadynia)、前立腺症、会陰部痛、尿道炎、睾丸痛などを含み、それらに限定されない。それは、骨盤部に属する疼痛、炎症または不快感として症状発現され、通常、過活動膀胱の症状を含む。
【0082】
「疼痛」は、特定の神経末端を刺激することから生じる不快感、窮迫またはアゴニーの若干の限局的感覚を意味する。電撃痛、幻肢痛、乱切痛、急性疼痛、炎症痛、神経障害性疼痛、複合性局所疼痛、神経痛、ニューロパシーなどを含み、それらに限定されない多種の疼痛がある(Dorland's Illustrated Medical Dictionary, 28th Edition, W. B. Saunders Company, Philadelphia, PA)。疼痛の処置の目的は、処置被験者が受ける疼痛の重症度を低下させることである。
【0083】
「神経障害性疼痛」は、末梢神経系の機能障害および/または病理的変化、ならびに非炎症性病変から生じる疼痛を意味する。神経障害性疼痛の例は、熱性または機械的知覚過敏、熱性または機械誘発性異痛、糖尿病性疼痛、エントラップメントから生じる疼痛(entrapment pain)などを含み、それらに限定されない。
【0084】
「モジュレーター」は、標的と相互作用する化合物のような分子を意味する。その相互作用は、本明細書中に定義する通りのアゴニスト、アンタゴニストを含み、それらに限定されない。
【0085】
「アゴニスト」は、別の分子または受容体部位の活性を高める分子、例えば化合物、薬物、酵素活性化物質またはホルモンを意味する。
【0086】
「アンタゴニスト」は、別の分子または受容体部位の作用を低下または妨害する分子、例えば化合物、薬物、酵素阻害物質またはホルモンを意味する。
【0087】
一般に、本願において用いる命名法は、現代のIUPAC系統的命名を発生するためのAutoNom(登録商標)というBeilstein Instituteのコンピュータシステムに基づいている。本明細書中に示す化学構造は、ISIS(登録商標)バージョン2.2を用いて作製した。本明細書中の構造内の炭素、窒素または酸素上に示される原子価の空白部分はいずれも、水素の存在を示している。
【0088】
当分野で良く知られているように、式Iで示される化合物のような化合物内のイミダゾリン−2−イルアミノ基は、イミダゾリン−2−イリデンアミノ基との互変異性平衡にある:
【0089】
【化9】

【0090】
便宜上、式Iで示される化合物は全て、イミダゾリン−2−イルアミノ構造を有すると示しているが、両方の互変異性形態の化合物が、本発明の範囲内にあることを意図していることを理解すべきである。
【0091】
本発明は、式I:
【0092】
【化10】

【0093】
(式中、
1は、アリールまたはヘテロアリールであり;
2は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロゲンであり;
Aは、−C(O)−NRa−(CRbcn−または−NRa−C(O)−(CRbcn−であり;
nは、1〜6であり;
a、RbおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルである)で示される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒化合物もしくはプロドラッグを提供する。
【0094】
2が、アルキルであるか、またはアルキル部分を含み、そしてR1が、アルキル部分を含む場合、そのようなアルキルは、好ましくは低級アルキル、即ちC1〜C6アルキル、より好ましくはC1〜C4アルキルである。
【0095】
限定するのではなく例として、アリールまたはヘテロアリールR1は、場合により、アルキル、アルケニル、アルコキシ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メチレンンジオキシ、エチレンジオキシ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルスルホニル、場合により置換されるヘテロシクリルアルキルオキシ、場合により置換されるヘテロアリール、スルファモイル、アルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイルまたはスルホニルアミノから独立して選択される置換基1、2または3個によって置換されてもよい。所定の実施態様では、R1は、場合により、アルキル、アルコキシ、アルケニル、場合により置換されるフェニル、場合により置換されるヘテロアリール、場合により置換されるヘテロシクリル、ハロアルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノまたはハロゲンによって場合により置換されるフェニルである。
【0096】
所定の実施態様では、R1は、場合により、アルキル、アルケニル、アルコキシ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メチレンンジオキシ、エチレンジオキシ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルスルホニル、場合により置換されるヘテロシクリルアルキルオキシ、場合により置換されるヘテロアリール、スルファモイル、アルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイルまたはスルホニルアミノから独立して選択される置換基1、2または3個によって置換されるフェニルである。
【0097】
所定の実施態様では、R1は、4−アルコキシフェニルである。4−アルコキシフェニルは、4−メトキシ−フェニル、4−エトキシフェニル、4−プロポキシフェニル、4−イソプロポキシフェニル、4−ブトキシフェニルまたは4−イソブトキシフェニルであってよい。
【0098】
所定の実施態様では、R1は、4−アルキルフェニルである。4−アルキルフェニルは、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−プロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニルまたは4−イソブチルフェニルであってよい。
【0099】
所定の実施態様では、R1は、アリールオキシフェニル、例えば4−フェノキシフェニル、またはフェノキシ部分が場合により置換される4−フェノキシフェニルである。
【0100】
所定の実施態様では、R1は、4−シクロアルキルオキシフェニルである。化合物4−シクロアルキルオキシフェニルは、4−シクロペンチルオキシフェニルまたは4−シクロヘプチルオキシフェニルであってよい。
【0101】
所定の実施態様では、R1は、4−シクロアルキルアルコキシフェニル、例えばシクロプロピルメトキシ−フェニルである。
【0102】
所定の実施態様では、R1は、4−アルコキシアルキルオキシフェニル、例えば4−(2−メトキシエチルオキシ)−フェニルである。
【0103】
所定の実施態様では、R1は、4−ヒドロキシアルキルオキシフェニルである。4−ヒドロキシアルキルオキシフェニルは、4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)−フェニル、4−(2,3−ジヒドロキシプロピルオキシ)−フェニル、または4−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−プロピルオキシ)−フェニルであってよい。
【0104】
所定の実施態様では、R1は、4−ジアルキルアミノ−フェニル、例えば4−(N,N−ジエチルアミノ)−フェニルである。
【0105】
所定の実施態様では、R1は、4−ハロフェニル、例えば4−フルオロフェニル、4−クロロフェニルまたは4−ブロモフェニルである。
【0106】
所定の実施態様では、R1は、場合により置換される4−ビフェニルである。場合により置換される4−ビフェニルは、4'−フルオロ−4−ビフェニル、4'−メトキシ−4−ビフェニル、4'−メチル−4−ビフェニル、4'−クロロ−4−ビフェニルまたは4−ビフェニルであってよい。
【0107】
所定の実施態様では、R1は、4−シアノフェニルである。
【0108】
所定の実施態様では、R1は、4−アルケニルフェニル、例えば4−ビニル−フェニルである。
【0109】
所定の実施態様では、R1は、4−シクロアルキルフェニル、例えば4−シクロヘキシルフェニルである。
【0110】
所定の実施態様では、R1は、場合により置換される4−ベンジルオキシフェニルである。
【0111】
所定の実施態様では、R1は、4−ジアルキルスルファモイル−フェニル、例えば4−ジエチルスルファモイル−フェニルまたは4−ジメチルスルファモイル−フェニルである。
【0112】
所定の実施態様では、R1は、4−アルキルスルファモイル−フェニル、例えば4−エチルスルファモイル−フェニルである。
【0113】
所定の実施態様では、R1は、ヘテロアリール部分が場合により置換される4−ヘテロアリールフェニルである。4−ヘテロアリールフェニルは、例えば場合により置換されるピラゾリル、場合により置換されるピリミジニル、または場合により置換されるチオフェニルであってよい。具体的な実施態様では、4−ヘテロアリールフェニルは、場合により置換される4−(4−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル、4−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−フェニル、4−ピラゾール−1−イル−フェニル、4−チオフェン−3−イル−フェニル、4−ピリミジン−2−イル−フェニルまたは4−(2−クロロ−チオフェン−3−イル)−フェニルであってよい。
【0114】
所定の実施態様では、R1は、ヘテロシクリル部分が場合により置換される4−ヘテロシクリルフェニルである。4−ヘテロシクリルフェニルは、モルホリニルフェニル、チオモルホリニルフェニル、1,1−ジオキシチオモルホリニルフェニル、場合により置換されるピペラジニルフェニルまたは場合により置換されるピペリジニルフェニルであってよい。具体的な実施態様では、4−ヘテロシクリルフェニルは、4−モルホリン−4−イル−フェニル、4−(4−カルボキシエチルエステル、ピペラジン−1−イル)−フェニル、4−(4−エタンスルホニル−ピペラジン−1−イル)−フェニル、4−(4−プロパン−2−スルホニル−ピペラジン−1−イル)−フェニル、4−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イル)−フェニル、4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル、4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル、4−(4−メトキシピペリジン−1−イル、4−(8−アザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−フェニル、4−ピペラジン−1−イル−フェニル、4−メチル−ピペラジン−1−イル−フェニル、4−ピロリジン−1−イル−フェニル、4−ヒドロキシピペリジン−1−イル−フェニルまたは4−ピペリジン−1−イル−フェニルであってよい。
【0115】
所定の実施態様では、R1は、ヘテロシクリル部分が場合により置換される4−ヘテロシクリルオキシフェニルである。4−ヘテロシクリルオキシフェニルは、テトラヒドロピラニルオキシフェニルまたは場合により置換されるピペリジン−4−イルオキシ−フェニルであってよい。具体的な実施態様では、4−ヘテロシクリルオキシフェニルは、4−(テトラヒドロピラン−4−イルオキシ)−フェニル、4−(ピペリジン−4−イルオキシ)−フェニル、4−(1−エチル−ピペラジン−4−イルオキシ)−フェニルまたは4−(1−カルボキシラートエチルエステル−ピペリジン−4−イルオキシ)−フェニルであってよい。
【0116】
所定の実施態様では、R1は、ヘテロシクリル部分が場合により置換される4−ヘテロシクリルアルキルオキシフェニルである。4−ヘテロシクリルアルキルオキシフェニルは、テトラヒドロピラニルメトキシ−フェニルまたは場合により置換されるピペリジニルメチルオキシフェニルであってよい。具体的な実施態様では、4−ヘテロシクリルアルキルオキシフェニルは、4−(テトラヒドロピラン−2−イルメトキシ)−フェニル、4−(ピペリジン−4−イルメトキシ)−フェニル、4−(1−[エチルカルバモイル]−ピペリジン−4−イルメトキシ)−フェニル、4−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−フェニル、4−(1−カルボキシラートエチルエステル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−フェニル、4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−フェニルまたは4−(1−エチル−ピペラジン−4−イルメトキシ)−フェニルであってよい。
【0117】
所定の実施態様では、R1は、ヘテロシクリル部分が場合により置換される4−ヘテロシクリルスルホニルフェニルである。4−ヘテロシクリルスルホニルフェニルは、モルホリニルスルホニルフェニル、チオモルホリニルスルホニルフェニル、1,1−ジオキシチオモルホリニルスルホニルフェニル、場合により置換されるピペラジニルスルホニルフェニル、または場合により置換されるピペリジニルスルホニルフェニルであってよい。具体的な実施態様では、4−ヘテロシクリルスルホニルフェニルは、4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル、4−(4−メチル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル、4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル、または4−(4−メチル−ピペリジン−1−スルホニル)−フェニルであってよい。
【0118】
所定の実施態様では、Aは、−C(O)−NRa−(CRbcn−である。具体的な実施態様では、nは、1である。具体的な実施態様では、RbおよびRcは、水素である。
【0119】
所定の実施態様では、Aは、−NRa−C(O)−(CRbcn−である。具体的な実施態様では、nは、1である。具体的な実施態様では、Raは、水素であり、RbおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルである。
【0120】
本発明の所定の実施態様では、化合物は、式II:
【0121】
【化11】

【0122】
(式中、
1は、場合により置換されるアリール、または場合により置換されるヘテロアリールであり;
2は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロゲンであり;
3およびR4は、各々独立して、水素またはアルコキシカルボニルであり;
Aは、−C(O)−NRa−(CRbcn−または−NRa−C(O)−(CRbcn−であり;
nは、1〜6であり;
aは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり;
bおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルである)で示される実施態様、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒化合物もしくはプロドラッグであってよい。
【0123】
3もしくはR4、またはそれらの両方がアルコキシカルボニルである本発明の実施態様では、R3およびR4は、エトキシカルボニルであってよい。
【0124】
1が場合により置換されるフェニルである本発明の実施態様では、本発明の化合物は、より具体的には式III:
【0125】
【化12】

【0126】
(式中、
pは、0〜4であり;
4は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メチレンンジオキシ、エチレンジオキシ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルスルホニル、場合により置換されるヘテロシクリルアルキルオキシ、場合により置換されるヘテロアリール、スルファモイル、アルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイルまたはスルホニルアミノであり;
a、RbおよびRcは、各々独立しては、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり;好ましくはRbおよびRcは、水素であり;および
nおよびR2は、先に定義したとおりである。より好ましくはpは、0または1である)の範囲内」に入る。
【0127】
4、Ra、RbおよびRcのいずれかがアルキルであり、またはアルキル部分を含有する場合には、アルキルは、好ましくは低級アルキル、すなわちC1〜C6アルキル、好ましくはC1〜C4アルキルである。
【0128】
他の実施態様では、主題の化合物は、式IV:
【0129】
【化13】

【0130】
(式中、n、p、R2、R4、Ra、RbおよびRcは、先に定義したとおりである)で示されるものであってよい。
【0131】
所定の実施態様では、本発明の化合物は、式V:
【0132】
【化14】

【0133】
(式中、R4およびRaは、先に定義したとおりである)で示されるものであってよい。
【0134】
式Vで示される所定の実施態様では、Raは、水素、アルキルまたはシクロプロピルであってよい。
【0135】
式Vで示される所定の実施態様では、R4は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メチレンンジオキシ、エチレンジオキシ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルスルホニル、場合により置換されるヘテロシクリルアルキルオキシ、場合により置換されるヘテロアリール、スルファモイル、アルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイルまたはスルホニルアミノであってよい。
【0136】
4がアルコキシである実施態様では、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシまたはイソブトキシであってよい。
【0137】
4がアルキルである実施態様では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはイソブチルであってよい。
【0138】
4がアリールオキシである実施態様では、R4は、フェノキシであってよい。
【0139】
4がシクロアルキルオキシである実施態様では、化合物シクロアルキルオキシは、シクロペンチルオキシまたはシクロヘプチルオキシであってよい。
【0140】
4がシクロアルキルアルコキシである実施態様では、R4は、シクロプロピルメトキシであってよい。
【0141】
4がアルコキシアルキルオキシである実施態様では、R4は、2−メトキシエチルオキシであってよい。
【0142】
4がヒドロキシアルキルオキシである実施態様では、R4は、2−ヒドロキシエチルオキシ、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシまたは3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−プロピルオキシであってよい。
【0143】
4がジアルキルアミノである実施態様では、R4は、N,N−ジエチルアミノであってよい。
【0144】
4がハロである実施態様では、R4は、フルオロ、クロロまたはブロモであってよい。
【0145】
4が場合により置換されるフェニルである実施態様では、場合により置換されるフェニルは、4−フルオロ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、4−メチルフェニル、4−クロロフェニルまたはフェニルであってよい。
【0146】
所定の実施態様では、R4は、シアノであってよい。
【0147】
所定の実施態様では、R4は、アルケニル、例えばビニルであってよい。
【0148】
所定の実施態様では、R4は、シクロアルキル、例えばシクロヘキシルであってよい。
【0149】
4が場合により置換されるアリールオキシである実施態様では、R4は、ベンジルオキシであってよい。
【0150】
所定の実施態様では、R4は、ジアルキルスルファモイル、例えばジエチルスルファモイルまたはジメチルスルファモイルであってよい。
【0151】
所定の実施態様では、R4は、アルキルスルファモイル、例えばエチルスルファモイルであってよい。
【0152】
所定の実施態様では、R4は、ヘテロアリール部分が場合により置換されるヘテロアリール、例えば場合により置換されるピラゾイル、場合により置換されるピリミジニル、または場合により置換されるチオフェニルである。具体的な実施態様では、R4は、場合により置換されるメチル−ピラゾール−1−イル、3−メチル−ピラゾール−1−イル、ピラゾール−1−イル、チオフェン−3−イル、ピリミジン−2−イルまたは2−クロロ−チオフェン−3−イルであってよい。
【0153】
所定の実施態様では、R4は、ヘテロシクリル部分が場合により置換されるヘテロシクリル、例えばモルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシチオモルホリニル、場合により置換されるピペラジニル、または場合により置換されるピペリジニルである。具体的な実施態様では、R4は、モルホリニル、カルボキシラートエステルピペラジン−1−イル、エタンスルホニル−ピペラジン−1−イル、プロパン−2−スルホニル−ピペラジン−1−イル、メタンスルホニル−ピペラジン−1−イル、メチル−ピペラジン−1−イル、エチル−ピペラジン−1−イル、メトキシピペリジン−1−イル、8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イル、ピペラジン−1−イル、メチル−ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルまたはピペリジン−1−イルであってよい。
【0154】
所定の実施態様では、R4は、ヘテロシクリル部分が場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、例えば場合により置換されるテトラヒドロピラニルオキシ、または場合により置換されるピペリジン−イルオキシである。具体的な実施態様では、R4は、テトラヒドロピラニルオキシ、ピペリジン−イルオキシ、1−エチル−ピペリジン−イルオキシまたは1−カルボキシラートエチルエステル−ピペリジン−イルオキシであってよい。
【0155】
所定の実施態様では、R4は、ヘテロシクリル部分が場合により置換されるヘテロシクリルアルキルオキシ、例えば場合により置換されるテトラヒドロピラニルメトキシ、または場合により置換されるピペリジニルメチルオキシである。具体的な実施態様では、R4は、テトラヒドロピラン−2−イルメトキシ、ピペリジン−イルメトキシ、1−[エチルカルバモイル]−ピペリジン−イルオキシ、1−メタンスルホニル−ピペリジン−イルオキシ、1−カルボキシラートエチルエステル−ピペリジン−イルオキシ、1−メチル−ピペリジン−イルオキシ、または1−エチルピペリジン−イルオキシであってよい。
【0156】
所定の実施態様では、R4は、ヘテロシクリル部分が場合により置換されるヘテロシクリルスルホニル、例えば場合により置換されるモルホリニルスルホニル、場合により置換されるチオモルホリニル、場合により置換される1,1−ジオキシチオモルホリニル、場合により置換されるピペラジニルスルホニル、または場合により置換されるピペリジニルスルホニルである。具体的な実施態様では、R4は、モルホリン−スルホニル、メチル−ピペラジン−1−スルホニル、ピペリジン−1−スルホニルまたはメチル−ピペリジン−1−スルホニルであってよい。
【0157】
所定の実施態様では、本発明は、下記から選択する化合物を提供する。
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル−アミノ)ベンジル]−4−メトキシベンズアミド;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−{4−[(4−メトキシベンゾイルアミノ)メチル]−フェニル}−カルバミン酸エチルエステル;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−2,4−ジフルオロ−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−フルオロ−ベンズアミド;
4−クロロ−N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−チオフェン−3−イル−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−(2−メトキシ−エトキシ)−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ベンズアミド;
4−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジルカルバモイル]−フェノキシ}−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−ピラゾール−1−イル−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド;
4−(4−ベンゼンスルホニル−ピペラジン−1−イル)−N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−ベンズアミド;
4−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジルカルバモイル]−フェニル}−ピペラジン−1−カルボン酸エチルエステル;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
およびN−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−ピリミジン−2−イル−ベンズアミド。
【0158】
本発明に従う代表的な化合物を、表1に示す。
【0159】
【表1】









【0160】
本発明の化合物は、以下に示しかつ説明する例示的な合成反応スキームで表わす方法によって製造することができる。
【0161】
これらの化合物を製造するのに一般的に用いられる出発原料および試薬は、商業的供給業者、例えばAldrich Chemical Co.から入手し得るか、または参考文献、例えばFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-20; Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volume 1-5 and Supplementals;およびOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volume 1-40に記載される手順に従って、当業者に知られている方法によって製造する。以下の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成することができる幾つかの方法を単に例示するものであり、これらの合成反応スキームへの様々な変更は、本願に含まれる開示を参照した当業者にとり、なすことができかつ示唆されよう。
【0162】
合成反応スキームの出発原料および中間体は、所望ならばろ過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含み、これらに限定しない従来の技術を用いて単離および精製してもよい。そのような物質は、物理学的定数およびスペクトルデータを含むなど従来の手段を用いて、特性表示することができる。
【0163】
本明細書に記載する反応は、反対に明記しない場合には、反する説明がない限り、大気圧で温度範囲約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0〜約125℃にわたり、最も好ましくそして簡便にはほぼ室温(または周囲温度)、例えば約20℃で行うのが好ましい。。
【0164】
スキームAおよびBは、本発明の化合物を生成させる別の方法について記載する。スキームAは、式II(式中、Xは、ハロまたは他の脱離基であり、n、p、R2、Ra、RbおよびRcは、本明細書に記載する通りである)で示される実施態様の化合物を製造するための好ましい手順を例示している。スキームAの手順は例であり、本発明の化合物への別の合成経路は、当業者に予想されよう。
【0165】
【化15】

【0166】
スキームA
スキームAのステップ1において、アミノアルキルアリールアミンaを、ハロゲン化アロイルbと反応させて、アリールアミド化合物cを、もたらす。ステップ1は、種々のアミノアルキルアリールアミン、例えば4−アミノ−メチルフェニルアミンを種々のハロゲン化アロイルと用いて、温和な条件下で多量または実質的に多量の収量をもたらす直接的な縮合反応である。ハロゲン化アロイルbは、場合により置換されるハロゲン化ベンゾイルとして示す。多数の置換された安息香酸化合物が市販されており、そのような化合物の酸塩化物化合物を、このステップで用いてもよい。ハロゲン化アロイルbは、代わりに、例えば場合により置換されてもよいハロゲン化ナフタレン−1−カルボニルおよびハロゲン化ナフタレン−2−カルボニルのような、ハロゲン化ナフタレンカルボニルを含む、他のタイプのハロゲン化アロイルを含んでいてもよい。本発明の他の実施態様では、ハロゲン化アロイルbを、種々のハロゲン化ヘテロアロイル、例えば再び場合により置換されてもよいハロゲン化キノリン−5−カルボニル、ハロゲン化キノリン−6−カルボニル、ハロゲン化イソキノリン−5−カルボニル、ハロゲン化イソキノリン−6−カルボニル、ハロゲン化イソニコチノイル、ハロゲン化ピリミジン−4−カルボニル、ハロゲン化フラン−3−カルボニル、ハロゲン化チオフェン−3−カルボニルなどに置き換えてもよい。置換された無水安息香酸および複素環式芳香族無水カルボン酸も、ハロゲン化アロイルbの代わりに用いることができる。
【0167】
次いで、ステップ1のアリールアミド化合物cを、ステップ2において極性プロトン性溶媒条件下で2−クロロイミダゾリンスルファートと一緒に加熱して、式IIで示されるイミダゾリニルアミノで置換されたアリールアミドにしてもよい。
【0168】
スキームAで示される手順では多数の変形が可能である。置換基R2および/またはR4が不適合であるか、さもなくばステップ1もしくはステップ2の化学に感受性がある場合には、適切な保護基方策を用いてもよい。多数の周知の保護基スキームを、これに関連して用いてもよい。例示的な保護基方策は、例えばGreene et al.によるProtecting Groups in Organic synthesis, 3rd. Ed., Wiley & Sons, 1999に記載されている。所定の実施態様では、一般には好ましいと言えないが、アミノ基の適切な保護を行い、望まない反応を防ぐことを条件に、クロロイミダゾリンを初めにアミノアルキルアニリンaと反応させてもよい。次いで、得られた生成物を脱保護または一部脱保護し、ハロゲン化アロイルbと反応させて、イミダゾリニルアミノで置換されたアリールアミドIIを生じることができる。
【0169】
スキームBは、式III(式中、n、p、R2、Ra、RbおよびRcは、本明細書中に記載する通りある)で示される実施態様の化合物の好ましい製造手順を例示する。
【0170】
【化16】

【0171】
スキームB
スキームBのステップ1において、アリールアミンeを、カルボジイミド、例えばEDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸)の存在下で、ニトロアリールアルキルカルボン酸と反応させて、ニトロで置換されるアリールアミド化合物gを生じる。このステップで用いるアリールアミンeは、場合により置換されるフェニルアミン(それの多くは市販されている)または場合により置換されるナフタレニルアミン、例えばナフタレン−1−イルアミンまたはナフタレン−2−イルアミンを含んでもよい。代わりに、化合物eは、場合により置換されるヘテロアリールアミン、例えばピリジン−4−イルアミン、ピリミジン−5−イルアミン、キノリン−5−イルアミン、キノリン−6−イルアミン、イソキノリン−5−イルアミン、イソキノリン−6−イルアミン、チオフェン−3−イルアミン、フラン−3−イルアミンなどを含んでもよい。
【0172】
ステップ1のニトロで置換されたアリールアミドgをステップ2で還元して、アミノアリールアルキルカルボン酸hにする。ステップ2の還元は、温和な条件下、水素の存在下で活性炭上の白金またはパラジウム触媒を用いて実施してもよい。
【0173】
次いで、ステップ2のアミノアリールアルキルカルボン酸化合物hを、ステップ3において極性プロトン性溶媒条件下で2−クロロイミダゾリンスルファートと一緒に加熱して、式IIIで示されるイミダゾリニルアミノで置換されたアリールアミドにしてもよい。
【0174】
スキームAと同様に、スキームBの手順は例示に過ぎず、多くの別の手順および変法が、当業者に明らかであろう。例えば、ステップ1のニトロで置換されたアリールアミド化合物gを、アミノ基が保護されたアミノアリールアルキルカルボン酸化合物に置き換えてもよい。この場合、ステップ2は、ニトロ基を還元する代わりに、遊離アミノ基にするための脱保護を含む。スキームBの手順の別の変法では、アミノで置換されたアリールアミド化合物を、初めにクロロイミダゾリンと反応させ、次いで、得られた生成物を適切な保護方策を用いてアリールアミンeと反応させて、アリールアミドIIIにすることができよう。
【0175】
本発明の化合物は、IP受容体モジュレーター、特にIP受容体アンタゴニストであり、それでIP受容体において選択的アンタゴニストを所有する。これらの化合物(およびそれらを含有する組成物)は、哺乳類、特にヒトにおける種々の疾患の予防および治療に有用であると期待される。本発明の化合物は、また、hERGチャネル阻害をほとんど、または全く示さず、これより望まない心臓血管副作用を誘発しないと予測される。
【0176】
特に、本発明の化合物は、インビボで抗炎症性および/または鎮痛性を所有し、よって炎症痛、手術痛、内臓痛、歯痛、月経痛、中枢痛、熱傷から生じる疼痛、偏頭痛、群発性頭痛、神経障害、神経炎、神経痛、中毒、虚血性傷害、間質性膀胱炎、癌性疼痛、ウイルス感染、寄生虫感染、細菌感染、外傷後傷害(骨折およびスポーツ傷害を含む)および機能性腸疾患、例えば過敏性腸症候群を含みこれらに限定しない種々の原因から来る疼痛症状に関連する疼痛に関連する疾患状態の処置において使用効果を見出すことが期待される。
【0177】
本発明の化合物は、また細菌感染、真菌感染、ウイルス感染、リュウマチ性関節炎、骨関節炎、手術、膀胱感染、特発性膀胱炎、過用、加齢、もしくは栄養欠乏、前立腺症、および結膜炎を含み、これらに限定しない種々の原因からくる炎症状態の処置にも有用である。
【0178】
本発明の化合物は、また、膀胱出口部狭窄に関連する尿路疾患、および尿失禁状態に関する疾患状態、例えば膀胱出口部狭窄、尿失禁、膀胱容量の減少、尿意頻数、切迫尿失禁、腹圧性尿失禁、膀胱の反応性亢進、前立腺肥大(BPH)、前立腺症、排尿筋反射亢進、頻尿、夜間多尿症、尿急、過活動膀胱、骨盤過敏症、切迫尿失禁、尿道炎、前立腺症、骨盤痛症候群、前立腺痛、膀胱炎および特発性膀胱過敏症、ならびに過活動膀胱に関連の他の症状を処置するのにも有用である。
【0179】
本発明の化合物は、また、低血圧性血管疾患、例えば敗血症性ショックに関連する低血圧などの処置に用途を見出すこともできる。
【0180】
加えて、本発明の化合物は、呼吸器系疾患、例えばアレルギーおよび喘息の処置に有用である。
【0181】
これらやその治療的使用は、例えばGoodman & Gilman's, The Pharmacological Basis of Therapeutics, tenth edition, McGraw-Hill, New York, 2001, Chapter 26;およびColeman, Pharmacological Reviews, 1994, 46:205-229に記載されている。
【0182】
本発明の化合物の抗炎症/鎮痛活性を、インビボアッセイ、例えば以下の実施例に詳細に記載する通りの「ラットカラゲナン誘発機械的知覚過敏足アッセイ」および「ラット完全Freundのアジュバント誘発機械的知覚過敏のアッセイ」によってアッセイしてもよい。膀胱収縮の阻害における活性は、インビボアッセイ、例えば以下の実施例により詳細に記載するとおりの「等容性の膀胱膨満による膀胱収縮の阻害アッセイ」および「ラットにおける容量誘発収縮の阻害アッセイ」によってアッセイしてもよい。敗血症性ショックの阻害における活性は、インビボアッセイ、例えば以下の実施例に詳細に記載する通りの「ラットにおけるエンドトキシン誘発低血圧のラット回復のアッセイ」によってアッセイしてもよい。本発明の化合物のhERGチャネル阻害のレベルは、実施例に記載する手順に従ってアッセイした。
【0183】
本発明は、本発明の少なくとも1種の化合物、または個々の異性体、異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物、またはそれらの薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容され得る担体および場合により他の治療的および/または予防的成分と一緒に含む医薬組成物を包含する。
【0184】
一般に本発明の化合物は、同様の使用効果を満たす薬剤の認可された投与様式のいずれかによって治療的に有効な量で投与することになる。適切な投与量の範囲は、処置する疾患の重症度、被験者の年齢および相対的健康度、用いられる化合物の能力、投与を向ける経路および形態、投与の適応症、ならびに担当する医療従事者の好みおよび経験に応じて、典型的には1日あたり1〜500mg、好ましくは1日あたり1〜100mg、最も好ましくは1日あたり1〜30mgである。そのような疾患を処置する当業者は、過度の実験を行わなくても、個人の知識および本願の開示を頼りに、所定の疾患のために本発明の化合物の治療的に有効な量を確定することができよう。
【0185】
一般に、本発明の化合物は、経口(頬側および舌下を含む)、経直腸、経鼻、局所、経肺、経膣もしくは非経口(筋肉内、動脈内、鞘内、皮下および静脈内を含む)投与に適したものを含む医薬品配合物として、または吸入もしくは通気による投与に適した形態で投与することになる。投与の好ましい手法は、一般に、病気の程度によって調整することができる従来の日用量レジメンを用いた経口である。
【0186】
本発明の化合物は、1種以上の従来のアジュバント、担体または希釈剤と一緒に、医薬品組成物および単位用量の形態にしてもよい。医薬組成物および単位用量の形態は、追加の有効化合物または成分を有してもまたは有しないでも、従来の成分で従来の割合で構成されてよく、単位用量形態は、有効成分を意図する日用量の使用範囲に比例させて任意の適切な有効量で含有してよい。医薬組成物は、固形、例えば錠剤もしく充填カプセル、半固形、粉末、持効性配合剤、または液体、例えば溶液、懸濁剤、エマルション、万能薬もしくは経口用充填カプセルとして;または経直腸もしくは経膣投与用の坐薬の形態で;または非経口用の滅菌注射可能溶液の形態で用いてもよい。よって、錠剤あたり有効成分約1ミリグラム、より広範には約0.01〜約100ミリグラムを含有する配合剤が、適切な代表的単位用量形態である。
【0187】
本発明の化合物は、広範囲の経口投与用量形態で配合してよい。医薬組成物および投与形態は、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を、有効成分として含んでもよい。薬学的に許容され得る担体は、固体または液体のいずれかであってよい。固形形態製剤は、粉末、錠剤、ピル、カプセル、カシェ剤、坐薬および分散性顆粒を含む。固形担体は、希釈剤、香料、可溶化剤、滑剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、または封入化材料としても作用し得る1種以上の物質であってよい。粉末において担体は、一般に微細な有効成分との混合物である微細な固体である。錠剤において有効成分を、一般に必要な結合能を有する担体と適切な割合で混合し、所望の形状および寸法に圧縮する。粉末および錠剤は、好ましくは活性化合物を約1〜約70%有する。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどを含み、それらに限定しない。用語「製剤」は、活性化合物と担体としての封入材料との配合剤を含むことを意図し、それによって複数の担体を有するまたは有しない有効成分が1種の担体に囲まれ、担体と会合した状態のカプセルを提供する。同様に、カシェ剤およびロゼンジも含まれる。錠剤、粉末、カプセル、ピル、カシェ剤およびロゼンジは、固形形態として経口投与に適したものとなり得る。
【0188】
経口投与に適した別の形態は、エマルション、シロップ、万能薬、水溶液、水性懸濁液を含む液体形態の製剤、または使用前に短時間で液体形態の製剤に変換される意図の固形形態の製剤を含む。エマルションは、溶液、例えば水性プロピレングリコール溶液中で調製してもよく、または乳化剤、例えばレクチン、モノオレイン酸ソルビタンもしくはアカシアなどを含有してもよい。水溶液は、有効成分を水に溶解し、適切な着色剤、香料、安定化剤および増粘剤を添加することによって調製することができる。水性懸濁液は、微細な有効成分を、粘性材料、例えば天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の良く知られた懸濁剤と一緒に水に分散させることによって調製することができる。固形形態の製剤は、溶液、懸濁剤およびエマルションを含み、有効成分に加えて、着色剤、香料、安定化剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを有してもよい。
【0189】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば注射、例えばボーラス注射または持続注入によって)用に配合してもよく、アンプル、充填済み注射器、少量注入容器またはマルチドーズ用容器内に追加の保存剤と一緒に単位用量形態で存在してもよい。組成物は、油性または水性賦形剤中の懸濁剤、溶液またはエマルション、例えば水性ポリエチレングリコール中の溶液のような形態をとってもよい。油性または非水性担体、希釈剤、溶剤、または賦形剤の例は、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えばオリーブ油)および注射可能な有機エステル(例えばオレイン酸エチル)を含み、配合薬(formulatory agents)、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などを含有してもよい。代わりに、有効成分は、滅菌固形物を無菌分離することによって、または適切な賦形剤、例えば滅菌パイロジェンフリー水と一緒に使用する前に構成用溶液から凍結乾燥することによって得られる粉末形態であってよい。
【0190】
本発明の化合物は、軟膏、クリームもしくはローションとして、または経皮パッチとして上皮への局所投与用に配合してもよい。軟膏およびクリームは、例えば水性または油性ベースと一緒に適切な増粘剤および/またはゲル化剤を加えて配合してもよい。ローションは、水性または油性ベースと一緒に配合してよく、また一般に1種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤または着色剤を有することになる。口内に局所投与するのに適した配合剤は、香料ベース、通常サッカロースおよびアカシアまたはトラガカント中に有効成分を含むロゼンジ;不活性ベース、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの中に有効成分を含む香錠;ならびに適切な液体担体中に有効成分を含有するうがい薬を含む。
【0191】
本発明の化合物は、坐薬としての投与用に配合してもよい。低融点ワックス、例えば脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物などを初めに溶融して、有効成分を、例えば撹拌することによって均質に分散させる。次いで、溶融された均質な混合物を簡便なサイズの鋳型に注入し、冷却して固化させる。
【0192】
本発明の化合物は、経膣投与用に配合してもよい。有効成分に加えてそのような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレーが適切であることが、当該技術分野で知られている。
【0193】
本発明の化合物は、経鼻投与用に配合してもよい。溶液または懸濁剤を、従来の手段、例えばスポイト、ピペットまたはスプレーによって鼻腔に直接適用する。配合剤は、単一またはマルチドーズ形態で提供してもよい。スポイトまたはピペットの後者の例は、これは、患者が溶液または懸濁剤を適切な所定の容量で投与することによって達成することができる。スプレーの場合には、これは、例えば計量噴霧スプレーポンプによって、達成することができる。
【0194】
本発明の化合物は、特に鼻腔内投与を含む呼吸管へのエアロゾル投与用に配合してもよい。化合物は、一般に小さな粒度、例えば約5ミクロン以下のオーダーの粒度を有する。そのような粒度は、当該技術分野で知られている手段、例えば微粉化によって得てもよい。有効な成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフオロメタン、トリクロロフルオロメタン、もしくはジクロロテトラフルオロエタンなど、または二酸化炭素または他の適切な気体のような適切な噴射剤と一緒に加圧パックで提供する。エアロゾルは、簡便には、またレシチンのような界面活性剤を含んでもよい。薬物の用量は、計量弁によって制御してもよい。代わりに、有効成分は、乾燥粉末、例えば適切な粉末ベース、例えば乳酸、デンプン、デンプン誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドン(PVP)などの中の化合物の粉末混合物の形態で提供してもよい。粉末担体が、鼻腔内でゲルを形成することになる。粉末組成物は、単位用量形態、例えば粉末を吸入器によって投与することができるものの中でゼラチンまたはブリスタパックのカプセルまたはカートリッジであって、それらから単位用量形態で与えてもよい。
【0195】
所望なら、有効成分の持効性投与または徐放性投与に適応させた腸溶性コーティングを有する配合物を調製することができる。
【0196】
医薬製剤は、好ましくは単位用量形態である。そのような形態では、製剤は、適切な量の有効成分を含有する単位用量に細分割する。単位用量形態は、包装した製剤にすることができ、その包装は、別々の量の製剤、例えば包装された錠剤、カプセル、およびバイアルまたはアンプル中の粉末を含有する。また、単位用量形態は、それ自体、カプセル、錠剤、カシェ剤またはロゼンジであることができ、または包装形態であるこれらの適切な数にすることができる。
【0197】
他の適切な医薬担体およびそれらの配合剤は、Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaによる編集のRemington: The Science and Practice of Pharmacy 1995に記載されている。本発明の化合物を含有する代表的な医薬配合剤を、実施例11〜17に記載する。
【0198】
下記の製剤および実施例は、本発明を当業者がより明確に理解しかつ実施することができるために挙げている。それらは、本発明の範囲を限定すると考えるべきではなく、単にその例示および代表例と考えるべきである。
【0199】
用いる数字(例えば量、温度など)に関しては正確さを確実にするように努力したが、もちろん若干の実験誤差および偏差は、例えば較正、数の丸めなどにおける差によると同様に許容されるべきである。
【0200】
実施例
以下の調製および実施例は、本発明を当業者がより明確に理解しかつ実施することができるために挙げている。それらは、本発明の範囲を限定すると考えるべきではなく、単にその例示および代表例と考えるべきである。
【0201】
実施例1:N−[4−(イミダゾリジン−2−イリデンアミノ)−ベンジル]−4−メトキシ−ベンズアミド
【0202】
ステップ1:N−(4−アミノベンジル)−4−メトキシベンズアミド:
【0203】
【化17】

【0204】
窒素下、0℃でジクロロメタン(120mL)中の4−アミノベンジルアミン(7.14g、58.4mmol)の溶液に、トリエチルアミン(16.4mL、118mmol)およびジクロロメタン(20mL)中の塩化p−アニソイル(10g、58.4mmol)の溶液を添加した。混合物を25℃に達しさせ、16時間撹拌し、水/氷(約200mL)中に注いだ。得られた懸濁液を15分間撹拌し、白色固体をろ別して乾燥させた。重量:15g(収率100%)
【0205】
ステップ2:N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)ベンジル]−4−メトキシベンズアミド:
【0206】
【化18】

【0207】
N−(4−アミノベンジル)−4−メトキシベンズアミド(15g、58.4mmol)と、2−クロロイミダゾリンスルファート(15.2g、74mmol)と、2−プロパノール(380mL)との混合物をN2下で2.5時間還流において加熱した。混合物を0℃に冷却してろ過し、ろ液を濃縮して乾燥させた。得られた残渣に10%水性水酸化ナトリウムを添加してpH13〜14にした。得られた懸濁液をろ過して、固体N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−メトキシベンズアミドをジクロロメタンから結晶化させた。重量11.9g(収率61.4%)。融点160.3〜160.6℃。
【0208】
上記手順によって製造した付加の化合物を、表1に示す。
【0209】
実施例2:2−[4−(イミダゾリン−2−イリデンアミノ)−フェニル]−N−(4−メトキシ−フェニル)−アセトアミド
【0210】
ステップ1:N−(4−アミノベンジル)−4−メトキシゼンズアミド
【0211】
【化19】

【0212】
ピリジン(40mL)中のp−アニシジン(4.92g、40mmol)と、4−ニトロ−フェニル酢酸(7.25g、40mmol)と、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(11.5g、60mmol)との混合物を、室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させて、HCl(1M、50mL)を添加した。得られた生成物をろ過して、水およびエーテルで洗浄し、エタノールから再結晶化させて、N−(4−メトキシ−フェニル)−2−(4−ニトロ−フェニル)−アセトアミド(9.6g、84%)を得た。
【0213】
ステップ2:2−(4−アミノ−フェニル)−N−(4−メトキシ−フェニル)−アセトアミド
【0214】
【化20】

【0215】
N−(4−メトキシ−フェニル)−2−(4−ニトロ−フェニル)−アセトアミド(859mg、3mmol)とC担持5%Pd(16mg)とEtOH(20mL)との混合物を、水素雰囲気下(1気圧)で5時間撹拌した。触媒をろ過しかつ溶媒を蒸発させて、2−(4−アミノ−フェニル)−N−(4−メトキシ−フェニル)−アセトアミド(732mg、95%)を得た。
【0216】
ステップ3:2−[4−(イミダゾリジン−2−イリデンアミノ)−フェニル]−N−(4−メトキシ−フェニル)−アセトアミド塩酸塩
【0217】
【化21】

【0218】
上記の実施例1の手順を利用して、2−(4−アミノ−フェニル)−N−(4−メトキシ−フェニル)−アセトアミド(732mg)を、2−クロロイミダゾリンスルファートで処理して、2−[4−(イミダゾリジン−2−イリデンアミノ)−フェニル]−N−(4−メトキシ−フェニル)−アセトアミド塩酸塩(10%)を生成させた。質量スペクトル M+H:314
【0219】
上記の手順によって製造した追加の化合物を、表1に示す。
【0220】
実施例3:配合剤
種々の経路によって送達するための医薬製剤を、以下の表に示す通りに配合する。表で用いる通りの「有効成分」または「活性化合物」は、式Iで示される1種以上の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒化合物、もしくはプロドラッグを意味する。
【0221】
【表2】

【0222】
成分を混合して、各々約100mgを含有するカプセル中に分配する;1カプセルは合計1日の用量に近くなろう。
【0223】
【表3】

【0224】
成分を一緒にして、溶媒、例えばメタノールを用いて造粒する。次いで、配合剤を乾燥させて、適切な打錠機を用いて錠剤(活性化合物を約20mg含有する)に成形する。
【0225】
【表4】

【0226】
成分を混合して、経口投与用の懸濁剤を形成する。
【0227】
【表5】

【0228】
有効成分を注射用水の一部に溶解する。次いで、撹拌しながら十分な量の塩化ナトリウムを添加して、溶液を等張にする。残りの注射用水を用いて溶液を重量に近付け、0.2ミクロン膜フィルターを通してろ過して、滅菌条件下で包装する。
【0229】
【表6】

【0230】
成分を一緒に溶融して、スチームバス上で混合し、総重量2.5gを含有する鋳型に注ぐ。
【0231】
【表7】

【0232】
水を除く成分全てを一緒にして、撹拌しながら約60℃に加熱する。次いで、激しく撹拌しながら約60℃の十分な量の水を添加して、成分を乳化させ、次いで、約100gになる程の量の水を添加する。
【0233】
鼻孔スプレー配合剤
活性化合物を約0.025〜0.5%含有する複数の水性懸濁剤を、鼻孔スプレー配合剤として調製する。場合により、配合剤は、不有効成分、例えば微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロースなどを含有する。塩酸を添加して、pHを調整してもよい。鼻孔スプレー配合剤を、典型的には約50〜100マイクロリットル配合剤/作動を送達する鼻孔スプレー計量ポンプを通して送達させてもよい。典型的な投与スケジュールは、4〜12時間毎に2〜4スプレーである。
【0234】
実施例4:インビトロ・ヒト血小板IP受容体放射線リガンド結合アッセイ
この実施例のアッセイを利用して、その意図するターゲットへの潜在的薬物の結合親和力の強度を測定した。試験した各々の薬物について、反復曲線あてはめ技法を用いて、結合の50%阻害を生じる濃度(IC50)およびHill勾配を求めた。放射性リガンドのKdが分かっているなら、Cheng & Prusoff (1973)の方法に従って、各々の各薬物の阻害解離定数(Ki)を求めた。この受容体については、この例の条件下での典型的なKdは、1E−8Mであった。通常、Kiの負の対数(pK)を呈した。
【0235】
下記の緩衝液を、精製水を用いて調製した:
【0236】
【表8】

【0237】
1.膜の調製
多血小板血漿250mLを250mL遠沈管に移して、20℃、6000gで10分間回転させた。次いで、ペレットをIP溶解緩衝液に再懸濁させて、ポリトロン(設定7、1×20秒バースト)を用いて均質化させ、最終容量180mLにもたらして、4℃、40000gで15分間遠心分離した。次いで、ペレットをIPアッセイ緩衝液に再懸濁させて、蛋白質密度をBCA法(Pierce)で求めて、後のアッセイで使用するために2.0mLバイアル中で−80℃で保存した。少なくとも80%の特異的結合を得るために、競合実験で50μg蛋白質/アッセイ管を用いた。最終的な放射性リガンド濃度は、1〜3E−8Mであった。
【0238】
2.競合アッセイ
膜を室温で解凍し、次いで、アッセイ緩衝液で適切な濃度に希釈した。初めに緩衝液、薬物、放射性リガンドを、そして最後に膜をアッセイ管に添加した。アッセイ管を25℃で60分間インキュベートした。Packard Top Count96ウェル 細胞収穫器を用いて、アッセイ管を0.3%PEI前処理したガラス繊維フィルターマット(GF/B)でろ過した。氷冷した20mM Tis−HCl、5mM MgCl2、pH=7.4を用いて管を3回すすいだ(3×0.5mL/試料)。結合した放射能を、液体シンチレーションカウントを利用して求めた。上記手順を利用して、本発明の化合物が、IP受容体への親和性を有することが見出された。例えば、化合物4−(2−クロロ−チオフェン−3−イル)−N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)ベンジル]−ベンズアミドは、pKi値(10μg)およそ9.73を示した。
【0239】
実施例5:カラゲナン誘発機械的知覚過敏アッセイ
Randall and Selitto [Archives of International Pharmacodynamics 11:409-419 (1957)]およびVinegar et al. [Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 166:96-103 (1969)]に記載される方法の変法を利用して、ラットにおけるカラゲナン誘発足知覚過敏の阻害を測定することによるカラゲナン誘発機械的知覚過敏のアッセイによって、本発明の化合物の抗炎症/鎮痛活性を求めた。雄Sprague-Dawley系ラット(130〜150g)を評量し、無作為に処置群(n=10)に割り付けた。機械的知覚過敏を誘発するために、ラットをハロタンで軽く麻酔して、左後足の足底表面に1%カラゲナンまたは賦形剤1(100μL)を投与した。試験する1時間前に、賦形剤(10mL/kg経口または1mL/kg静脈内)または本発明の化合物(1、3、10、30および100mg/kg経口)もしくは(0.3、1.0、3.0および10mg/kg静脈内)をラットに投与した。Analgesyメーター(UGO BASILE, Biological Research Apparatus, Comerio, Italy)を用いて、機械的知覚過敏を測定した。賦形剤処置またはカラゲナン処置を行った後足を、足底面を下に向けて装置のドーム上に置いた。次いで、足の上面に力を一定に増加させながら加えた。ラットが後足を引抜いた時、もがいた時、または鳴いた時の力を、エンドポイントと判定した。足の引抜力(RESP)に関する分散の分析を利用して、処置群を比較した。賦形剤群に対する薬物処置群の対比較を、FisherのLSD法およびDunnの手順を利用して行った。機械的知覚過敏の阻害率%を各々の動物について計算し、以下のS字状モデル:
【0240】
【数1】

【0241】
(式中、ID50は、最大反応(即ちこのモデルでは100%)の半量を阻害するのに必要な化合物の用量であり、Nは、曲率パラメータである)を利用して平均ID50値を推定した。本発明の化合物は、このアッセイにおいて活性であった。
【0242】
実施例6:完全Freundのアジュバント誘発機械的知覚過敏のアッセイ
ラットにおけるアジュバント誘発関節炎痛モデルを利用して、本発明の化合物の抗炎症/沈痛活性を測定し、そこでHylden et al.[Pain 37:229-243 (1989)]に記載される方法の変法を利用して、炎症した足の圧迫への動物の反応によって疼痛を評価してもよい。変法は、脊髄神経細胞の活性の変化の代わりに過敏の評価を含む。簡単に説明すると、ラットを評量して、無作為に処置群に割り付けた。機械的知覚過敏を誘発するために、ラットをハロタンで軽く麻酔して、左後足の足底表面に完全Freundのアジュバントまたはサリン100μLを投与した。24時間後に、水(賦形剤)または本発明の化合物をラットに経口投与して、その1時間後に試験した。Analgesy−メーター(UGO BASILE, Biological Research Apparatus, Comerio, Italy)を用いて、機械的知覚過敏を測定した。サリンまたはカラゲナン処置した後足を、足底面を下に向けて装置のドーム上に置いた。次いで、足の上面に力を一定増加させながら加え、ラットが後足を引抜いた時、もがいた時、または鳴いた時の力を、エンドポイントと判定した。足の引抜力に関する分散の一元分析を利用して、処置群を比較した。式:
【0243】
【数2】

【0244】
(式中、c/dは、薬物を投与した動物でのカラゲナン処置した足についての足引抜力であり;c/vは、賦形剤を投与した動物でのカラゲナン処置した足についての足引抜力であり;s/vは、賦形剤を投与した動物でのサリン処置した足についての足引抜力である)で各々の動物について阻害率%を計算した。有意性は、Student's t検定を利用して求めた。本発明の化合物は、このアッセイにおいて活性であった。
【0245】
実施例7:ラットにおける等容性の膀胱膨満による膀胱収縮の阻害
Maggi et al. [J. Pharm. and Exper. Therapeutics 230:500-513 (1984)]に記載される方法の変法を利用したアッセイによって、膀胱収縮の阻害を求めた。簡単に説明すると、雄Sprague-Dawley系ラット(200〜250g)を評量して、無作為に処置群に割り付けた。カテーテルを尿道を通して膀胱に挿入し膀胱収縮を誘導して、加温したサリン溶液(5mL)を満たした。動物の約30%に律動性収縮が引き起こされた。本発明の化合物(0.1、0.3または1mg/kg)を、規則的律動性収縮の開始時に静脈投与した。次いで、律動性収縮に対する影響を測定した。本発明の化合物は、このアッセイにおいて活性であった。
【0246】
実施例8:ラットにおける容量誘発収縮の阻害
Hegde et al., Proceedings of the 26th Annual Meeting of the International Continence Society (August 27th-30th) 1996, Abstract 126に記載される方法の変法を利用したアッセイによって、膀胱収縮の阻害を求めた。雌Sprague-Dawley系ラットをウレタンで麻酔して、薬物の静脈内投与用と、場合により動脈の血圧、心拍数および膀胱内圧の測定用の装置とを取り付けた。容量誘発膀胱収縮に対する試験化合物の影響を、別個の動物群において求めた。サリンを膀胱に充填することによって、容量誘発反射膀胱収縮を誘導した。試験化合物を10分間隔で累積的に静脈内投与した。陽性対照として、研究の終了時にアトロピン(0.3mg/kg,iv)を投与した。本発明の化合物は、このアッセイにおいて活性であった。
【0247】
実施例9:ラットにおけるエンドトキシン誘発低血圧の回復
敗血症性ショックは、時にはエンドトキシンショックと呼ばれることもあり、血流における感染物質、特に細菌性エンドトキシンの存在によって引き起こされ、低血圧および臓器不全を特徴とする。敗血症性ショックの多くの症状、特に低血圧は、細菌性エンドトキシンの投与によってラットに誘導される。従って、エンドトキシン誘発低血圧を阻害する化合物の能力は、敗血症性またはエンドトキシン性ショックの処置における化合物の実用性の前兆となる。Giral et al. [British Journal of Pharmacology 118:1223-1231 (1969)]に記載される方法の変法を利用して、ラットにおけるエンドトキシン誘発低血圧の回復を測定することによって、敗血症性またはエンドトキシン性ショックの処置における本発明の化合物の活性を求めた。簡単に説明すると、成体ラット(>200g)を吸入麻酔で麻酔して、大腿動脈および静脈に、それぞれ血圧変換器および薬物投与ラインを入れるためにカニューレを挿入した。麻酔の影響下で動かない間に、ラットをMayo拘束器(Mayo restrainer)に入れた。麻酔から覚醒して心拍数および血圧が安定した後(通常は約30分間必要)、エンドトキシン(50mg/kg E.coli.および25mg/kg Salmonella)を静脈内投与した。血圧および心拍数の変動をモニターした。1時間後に、本発明の化合物または賦形剤も静脈内投与し、心臓血管パラメータをその後3時間継続してモニターした。反応は、最初の弛緩期血圧への回復率(%)として表す。有意性は、Student's t試験を利用して求めた。本発明の化合物は、このアッセイにおいて活性であった。
【0248】
実施例10:hERGカリウムチャネル薬理学的スクリーニング
Hamill et al. [Pflugers Arch. 391:85-100 (1981)]によって報告された手順に従って、CHO−K1細胞に発現された組換えhERGカリウムチャネル(recombinant hERG potassium channels)に対する主題化合物の影響を求めた。以下の溶液を用いて、培養細胞ラインでのカリウム電流を分離した:細胞外(mM) NaCl(150)、KCl(4)、HEPES(10)、CaCl2(1.2)、MgCl2(1)、NaOHでpH7.4に調整した;細胞内(mM) KCl(140)、HEPES(10)、EGTA(5)、MgCl2(6)、ATP−Na2(5)、KOHでpH7.2に調整した。ホール−セルパッチ−クランプ法を利用して、ヒトhERGチャネルを発現するCHO.K1細胞からのカリウム電流を記録した。各々の細胞を、負の保持電位−80mVに保持した。各々の実験の開始時に、電流−電圧関係を得ることによって、電流を特徴づけた。細胞を1秒間で−80mVから+40mVに脱分極させ、その後300ミリ秒間で−120〜+20mVの電位に(20mVずつ増加)再分極させた。刺激周波数は、0.1Hzである。異なる試験電位でのピーク末尾電流振幅を測定して、電流−電圧関係を得た。
【0249】
第2のプロトコルを利用して、hERG電流に対する化合物の影響を調査した。細胞を500ミリ秒間で−80mVから+20mVに脱分極させ、次いで500ミリ秒間で−40mVに再分極させ、その後、200ミリ秒間で−120mVまで過分極パルスを与えた。過分極パルスの終了時に、細胞を保持電位−80mVに戻した。Clampex様式のAxon InstrumentsからのpClamp 8.0ソフトウェアを使用して、データポイントを周波数0.1Hz(10秒毎に1回刺激)で収集した。安定したベースラインが5分間記録されたら、薬物を適用した。5または10分ブロックする間にデータを収集した。所定の薬物濃度についての刺激回数と、それによるデータのブロックは、薬物がいかに急速に平衡に達するかに依存する。化合物が電流振幅に対する影響を有していれば、緩衝液を対照溶液に戻すことによって、影響の可逆性を検査した。電流に影響を与える化合物を洗い去り、完全に回復した後により高い濃度の化合物を同じ細胞に適用した。パッチ−クランプ技法のホール−セル配置を利用して、単一細胞からの電圧依存性カリウム電流を室温(20〜22℃)で記録した。Digidata 1200 Interface(Axon Instruments)を経由したコンピュータによって制御されるパッチ−クランプ増幅器(例えばAxopatch 200;Axon Instruments)を用いて、細胞を電圧固定した。この実施例で用いた電圧固定プロトコルは、PClampソフトウェア(バージョン7以降;Axon Instrments)を用いて作成した。ホールセル電流をローパスフィルターにかけて(1〜2kHz、4ポール・ベッセル)、デジタル化して(10kHz)、PClampソフトウェアのMicrocal Origin and Prismを用いてオフライン解析するための磁気媒体に保存した。ピーク振幅を見出すためにClampfitソフトウエアを利用して、外向き電流のピーク振幅を測定する。引き起こされた内方向末尾電流のピーク振幅を、単一指数関数:
【0250】
【数3】

【0251】
(式中、Aは、ピーク電流を示し、Cは、プラトーまたはアンチピーク(anti-peak)であり、τは、時定数である。)を用いてあてはめる。4点平滑関数を用いたChebyshev検査法を適用した。末尾電流をあてはめてピーク振幅を測定したら、化合物の影響を対照ピークのピーク振幅と比較した変化率%として求めた。Microcal Origin and Prismソフトウェアを用いて、統計値を算出し、結果を平均+/-平均の標準誤差として報告した。各々の化合物を試験するために、最低で3セル/濃度の化合物を必要とした。
【0252】
hERGカリウムチャネルを阻害することで知られている化合物シサプリドを標準化合物として用い、被験者化合物との比較を行うために、シサプリドの完全な濃度−反応曲線を作成した。本発明の化合物は、上記アッセイを用いたhERGカリウムチャネルを有意に阻害しなかった。取り分け、代表的な化合物N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−メトキシ−ベンズアミドについてのhERG外向き電流阻害率%は、1μMで4.3±4.4%、10μMで10.8±7.2%であった。
【0253】
本発明をその具体的な実施態様を参照して説明したが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更をなし得ること、および均等物と置換し得ることを当業者は理解すべきである。加えて、多くの改良を、特定の状態、材料、物質の組成、プロセス、プロセスステップを、本発明の目的の精神および範囲に適合させるようになしてもよい。そのような改良は全て、添付の特許請求の範囲内に入ることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


(式中、
1は、アリールまたはヘテロアリールであり;
2は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロゲンであり;
Aは、−C(O)−NRa−(CRbcn−または−NRa−C(O)−(CRbcn−であり;
nは、1〜6であり;
a、RbおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルである)
で示される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒化合物もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
式II:
【化2】


(式中、
1は、場合により置換されるアリール、または場合により置換されるヘテロアリールであり;
2は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロゲンであり;
3およびR4は、各々独立して、水素またはアルコキシカルボニルであり;
Aは、−C(O)−NRa−(CRbcn−または−NRa−C(O)−(CRbcn−であり;
nは、1〜6であり;
aは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり;および
bおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルである)
で示される化合物、またはその薬学的に許容され得るその塩、溶媒化合物もしくはプロドラッグ。
【請求項3】
Aが、−C(O)−NRa−(CRbcn−である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Aが、−NRa−C(O)−(CRbcn−である、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
1が、アルキル、アルケニル、アルコキシ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メチレンンジオキシ、エチレンジオキシ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルスルホニル、場合により置換されるヘテロシクリルアルキルオキシ、場合により置換されるヘテロアリール、スルファモイル、アルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイルまたはスルホニルアミノから独立して選択される置換基1、2または3個によって場合により置換されるフェニルである、請求項3または4記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、式III:
【化3】


(式中、
pは、0〜4であり;
4は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メチレンンジオキシ、エチレンジオキシ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルスルホニル、場合により置換されるヘテロシクリルアルキルオキシ、場合により置換されるヘテロアリール、スルファモイル、アルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイルまたはスルホニルアミノであり;
aは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり;
bおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルであり;および
nおよびR2は、請求項1に定義したとおりである)
で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、式IV:
【化4】


(式中、
pは、0〜4であり;
4は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メチレンンジオキシ、エチレンジオキシ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルスルホニル、場合により置換されるヘテロシクリルアルキルオキシ、場合により置換されるヘテロアリール、スルファモイル、アルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイルまたはスルホニルアミノであり;
aは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり;
bおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルであり;および
nおよびR2は、請求項1に定義したとおりである)
で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、式V:
【化5】


(式中、R4およびRaは、請求項5に定義したとおりである)で示される、請求項5記載に化合物。
【請求項9】
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル−アミノ)−ベンジル]−4−メトキシ−ベンズアミド;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−{4−[(4−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−メチル]−フェニル}−カルバミン酸エチルエステル;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−2,4−ジフルオロ−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−フルオロ−ベンズアミド;
4−クロロ−N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−チオフェン−3−イル−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−(2−メトキシ−エトキシ)−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ベンズアミド;
4−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジルカルバモイル]−フェノキシ}−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−ピラゾール−1−イル−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド;
4−(4−ベンゼンスルホニル−ピペラジン−1−イル)−N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−ベンズアミド;
4−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジルカルバモイル]−フェニル}−ピペラジン−1−カルボン酸エチルエステル;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
およびN−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−ピリミジン−2−イル−ベンズアミド
から選択される、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項10】
治療的活性物質として使用するための、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
治療的に有効な量の請求項1記載の式Iで示される少なくとも1種の化合物を、薬学的に許容され得る少なくとも1種の担体との混和物で含む医薬組成物。
【請求項12】
IP受容体アンタゴニストによって介される疾患の処置方法であって、治療的に有効な量の請求項1記載の式Iで示される少なくとも1種の化合物を、そのような処置を必要とする被験者に投与することを含む方法。
【請求項13】
IP受容体アンタゴニストによって介される疾患を制御する薬剤を製造するための、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項14】
請求項1記載の式Iで示される化合物の製造方法であって、式:
【化6】


で示される化合物をクロロイミダゾリンと反応させて、式Iで示される化合物を形成させる方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法によって製造される化合物。
【請求項16】
本明細書に記載の発明。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


(式中、
1は、アリールまたはヘテロアリールであり;
2は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロゲンであり;
Aは、−C(O)−NRa−(CRbcn−または−NRa−C(O)−(CRbcn−であり;
nは、1〜6であり;
a、RbおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルである)
で示される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒化合物もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
式II:
【化2】


(式中、
1は、場合により置換されるアリール、または場合により置換されるヘテロアリールであり;
2は、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキルまたはハロゲンであり;
3およびR4は、各々独立して、水素またはアルコキシカルボニルであり;
Aは、−C(O)−NRa−(CRbcn−または−NRa−C(O)−(CRbcn−であり;
nは、1〜6であり;
aは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり;および
bおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルである)
で示される化合物、またはその薬学的に許容され得るその塩、溶媒化合物もしくはプロドラッグ。
【請求項3】
Aが、−C(O)−NRa−(CRbcn−である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Aが、−NRa−C(O)−(CRbcn−である、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
1が、アルキル、アルケニル、アルコキシ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メチレンンジオキシ、エチレンジオキシ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルスルホニル、場合により置換されるヘテロシクリルアルキルオキシ、場合により置換されるヘテロアリール、スルファモイル、アルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイルまたはスルホニルアミノから独立して選択される置換基1、2または3個によって場合により置換されるフェニルである、請求項3または4記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、式III:
【化3】


(式中、
pは、0〜4であり;
4は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メチレンンジオキシ、エチレンジオキシ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルスルホニル、場合により置換されるヘテロシクリルアルキルオキシ、場合により置換されるヘテロアリール、スルファモイル、アルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイルまたはスルホニルアミノであり;
aは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり;
bおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルであり;および
nおよびR2は、請求項1に定義したとおりである)
で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、式IV:
【化4】


(式中、
pは、0〜4であり;
4は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキルオキシ、ヒドロキシアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メチレンンジオキシ、エチレンジオキシ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルスルホニル、場合により置換されるヘテロシクリルアルキルオキシ、場合により置換されるヘテロアリール、スルファモイル、アルキルスルファモイル、ジアルキルスルファモイルまたはスルホニルアミノであり;
aは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり;
bおよびRcは、各々独立して、水素またはアルキルであり;および
nおよびR2は、請求項1に定義したとおりである)
で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、式V:
【化5】


(式中、R4およびRaは、請求項5に定義したとおりである)で示される、請求項5記載に化合物。
【請求項9】
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル−アミノ)−ベンジル]−4−メトキシ−ベンズアミド;
(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−{4−[(4−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−メチル]−フェニル}−カルバミン酸エチルエステル;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−2,4−ジフルオロ−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−フルオロ−ベンズアミド;
4−クロロ−N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−チオフェン−3−イル−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−(2−メトキシ−エトキシ)−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルオキシ)−ベンズアミド;
4−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジルカルバモイル]−フェノキシ}−ピペリジン−1−カルボン酸エチルエステル;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−ピラゾール−1−イル−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−(3−メチル−ピラゾール−1−イル)−ベンズアミド;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−メトキシ−N−メチル−ベンズアミド;
4−(4−ベンゼンスルホニル−ピペラジン−1−イル)−N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−ベンズアミド;
4−{4−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジルカルバモイル]−フェニル}−ピペラジン−1−カルボン酸エチルエステル;
N−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド;
およびN−[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)−ベンジル]−4−ピリミジン−2−イル−ベンズアミド
から選択される、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項10】
治療的活性物質として使用するための、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
治療的に有効な量の請求項1記載の式Iで示される少なくとも1種の化合物を、薬学的に許容され得る少なくとも1種の担体との混和物で含む医薬組成物。
【請求項12】
IP受容体アンタゴニストによって介される疾患の処置方法であって、治療的に有効な量の請求項1記載の式Iで示される少なくとも1種の化合物を、そのような処置を必要とする被験者に投与することを含む方法。
【請求項13】
IP受容体アンタゴニストによって介される疾患を制御する薬剤を製造するための、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項14】
請求項1記載の式Iで示される化合物の製造方法であって、式:
【化6】


で示される化合物をクロロイミダゾリンと反応させて、式Iで示される化合物を形成させる方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法によって製造される化合物。

【公表番号】特表2006−525254(P2006−525254A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505216(P2006−505216)
【出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004221
【国際公開番号】WO2004/096213
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】