LANテスタ
【課題】 一方端だけでケーブル導通試験や逆接続確認試験ができ、さらに、HUBを含めた簡易動作試験も可能なLANテスタを提供する。
【解決手段】 LAN配線の導通試験,極性試験及び動作試験を行うLANテスタ1であって、試験すべきペア信号線の一方端に於いて一方の信号線路に電源電流を供給する電源部2と、他方の信号線路に流れる電流を検出する電流検出部3と、正極側信号線路及び負極側信号線路からの正及び負パルスを検出する順極性検出部4と、負及び正パルスを検出する逆極性検出部5と、導通試験モード時に、電源部2及び電流検出部3を動作させ、極性試験モード時に順極性検出部4及び逆極性検出部5を動作させる第一切替スイッチ6と、極性試験モード時に送信用信号線の接続端子と受信用信号線の接続端子とをそれぞれ接続して折り返すことにより動作試験モードを実現する第二切替スイッチ7とを備えるようにする。
【解決手段】 LAN配線の導通試験,極性試験及び動作試験を行うLANテスタ1であって、試験すべきペア信号線の一方端に於いて一方の信号線路に電源電流を供給する電源部2と、他方の信号線路に流れる電流を検出する電流検出部3と、正極側信号線路及び負極側信号線路からの正及び負パルスを検出する順極性検出部4と、負及び正パルスを検出する逆極性検出部5と、導通試験モード時に、電源部2及び電流検出部3を動作させ、極性試験モード時に順極性検出部4及び逆極性検出部5を動作させる第一切替スイッチ6と、極性試験モード時に送信用信号線の接続端子と受信用信号線の接続端子とをそれぞれ接続して折り返すことにより動作試験モードを実現する第二切替スイッチ7とを備えるようにする。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LAN(Local Area Network)における断線,短絡,極性チェック,接続試験,逆接続試験等を簡易に行う試験装置に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、パーソナルコンピュータ等の比較的小規模なデータ処理装置は、単独で使用されることが多かったが、近時におけるデータ処理能力の向上と、ダウンサイジング化の流れの中にあって、蓄積されたデータの有効利用を図るために、例えば、会社内や部内等の特定範囲内における複数のデータ処理装置をそれぞれネットワークで接続して分散処理システムを構成したり、分散処理までは行わないが簡易なネットワークを構築するということが良く行われている。
【0003】このようなネットワークは、一般に、LANと呼ばれており、最も簡単なLANの構築の一つに、ネットワーク用OS(Operating System)と、ピア・ツー・ピアによる10BASE2や10BASE−T等とを組み合わせたものがある。このうち10BASE−TによるLAN結線は比較的簡単であり、わざわざ専門家に依頼して結線してもらわなくてもユーザサイドで行うことが可能である。このため、10BASE−TによるLAN構築の際には、その配線はユーザが独自に行う場合が多かった。
【0004】しかし、10BASE−Tの配線がいくら簡単であるとはいえ、配線ミスがあるとネットワークとして機能せず、また、LANの規模が大きくなってくるにつれてケーブル数も増え、配線も煩雑になってくる。このような状態で、例えば、ケーブル断線や誤配線等の障害が発生した場合、どのケーブルについて障害が発生しているのかを見つけるための手順としては、まず、各ケーブルの両端に折り返し用コネクタを接続するとともに、ループ抵抗等を含む専用のケーブル試験器を接続し、各ケーブルに対して導通試験を行うことによって、ケーブル毎に断線や誤配線の有無を確認し、障害の発生したケーブルを探すという方法が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の断線ケーブルの探索方法では、試験するケーブルの両端に折り返し用コネクタを接続する必要があることから、一方端に折り返し用コネクタを接続した後に他方端にも折り返し用コネクタを接続するためには、一方端に折り返し用コネクタを接続したケーブルを辿っていくという作業が必要になってくる。すなわち、どのケーブルに対して折り返し用コネクタを接続するかを見つける作業は、煩雑な配線の中においては大変な作業であり、従来の導通試験では、障害の発見には極めて多くの労力を要することとなる。
【0006】また、導通試験を行うための折り返し用コネクタの接続作業には、つなぎ間違いや接触不良等の新たな障害の要因にもなるといった問題点があり、さらに、従来の導通試験では、ケーブルの試験だけしか行うことができず、HUB等を含めた接続確認試験はできないという問題点があった。
【0007】本発明の課題は、上記問題点を解消し、一方端だけでケーブル導通試験や誤配線確認試験ができるとともに、HUB等を含めた簡易動作試験も可能なLANテスタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明のLANテスタは、LAN配線用のペア信号線が接続される一対の送信用端子(SA,SB)と一対の受信用端子(RA、RB)とからなる試験用端子と、入力された信号を折り返して出力可能な回路を含むLANと前記試験用端子とがペア信号線で接続されたときにこのペア信号線によって閉回路を形成するとともに当該閉回路の導通の有無を検出する第1の試験回路、及び、前記一対の送信回路から入力される信号の極性を検出する第2の試験回路を含む電子回路(1)と、この電子回路(1)に直流電力を供給する電源部(E)と、前記電子回路(1)を前記第1の試験回路又は前記第2の試験回路として動作させるためにオン状態とオフ状態とを選択的に形成する切替回路(1a,Q3)とを有し、前記第1の試験回路は、前記一対の受信用端子(RA、RB)が前記LAN及びペア信号線を通じて導通し且つ前記切替回路(1a,Q3)がオン状態のときに通電してその通電状態を明示する第1の単向性素子(LY1)と、前記一対の送信用端子(SA、SB)が前記LAN及びペア信号線を通じて導通し且つ前記切替回路(1a,Q3)がオン状態のときに通電してその通電状態を明示する第2の単向性素子(LY2)とを有し、前記第2の試験回路は、それぞれ前記切替回路(1a,Q3)がオン状態のときにオフ状態、オフ状態のときにオン状態となる第1トランジスタ(Q2)及び第2トランジスタ(Q4)が互いに並列に接続されており、第1トランジスタ(Q2)は、一方の送信用端子(SA)に負パルス、他方の送信用端子(SB)に正パルスが印加されているときにオン状態となるものであり、第2トランジスタ(Q4)は、一方の送信用端子(SA)に正パルス、他方の送信用端子(SB)に負パルスが印加されているときにオン状態となるものであり、さらに、前記第2トランジスタ(Q4)がオン状態のときに通電してその通電状態を明示する第3の単向性素子(LG)と、前記第1トランジスタ(Q2)がオン状態のときに通電してその通電状態を明示する第4の単向性素子(LR)とを有することを特徴とする。
【0009】正パルス又は負パルスの極性状態を正しく認識できるようにするため、前記第1トランジスタ(Q2)の出力端子と前記第4の単向性素子(LR)との間、及び、前記第2トランジスタ(Q4)の出力端子と前記第3の単向性素子(LG)との間に、それぞれ前記一対の送信用端子(SA,SB)に印加される正パルス又は負パルスの極性状態を一定時間維持する平滑化回路(C1,R4,R5,Q1,C2,R15,R16,Q5)が介在するようにしてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明のLANテスタの実施形態を図1〜図10を参照して説明する。図1は、このLANテスタを実施する場合の形態例を示す回路構成図であり、大別して、電源部2と、電流検出部3と、順極性検出部4と、逆極性検出部5と、第一切替スイッチ(切替スイッチ)6と、折り返し接続部の機能を有する第二切替スイッチ7とから成る。なお、図中、RA,RBは受信用端子であり、SA,SBは送信用端子である。
【0011】電源部2は、電源スイッチSWP、内蔵電池Eから構成され、電流検出部3は、バイポーラトランジスタQ3、黄色に点灯する発光ダイオードLY1,LY2、及び複数の抵抗R1,R7,R8,R14から構成される。なお、抵抗R7,R8は、バイポーラトランジスタQ3をオンにし、バイポーラトランジスタQ2をオフにするとともに、送信端子SAに対して電源電流を供給するために設けられている。R1,R14は560Ω、R7,R8は10kΩ程度が適当である。順極性検出部4は、バイポーラトランジスタQ4及び電界効果形トランジスタQ5、緑色に点灯する発光ダイオードLG、抵抗R12,R13,R15,R16、及びコンデンサC2から構成されており、逆極性検出部5は、バイポーラトランジスタQ2、電界効果形トランジスタQ1、赤色に点灯する発光ダイオードLR、及び抵抗R4,R5,R6,R9、コンデンサC1から構成されている。なお、抵抗R10,R11は、バイポーラトランジスタQ2,Q4にバイアスをかけるために設けられており、また、コンデンサC1及び抵抗R5、コンデンサC2及び抵抗R15により平滑回路が構成されている。抵抗R6,R9,R12,R13は1kΩ、R10は270Ω、,R11は4.7kΩ、抵抗R4,R16は500kΩ、抵抗R5,R15は5MΩ、コンデンサC1,C2は0.1μF程度が適当である。第一切替スイッチ6は、図3に示すように、接続端子1aのオン・オフを行うとともに、送信用端子SBを接続端子2aまたは2bのいずれかに接続するスイッチSW1からなり、第二切替スイッチ7は、図10(b)に示すように、送信用端子SAと受信用端子RA、また、送信用端子SBと受信用端子RBをそれぞれ接続するスイッチSW2から構成されている。
【0012】次に本発明のLANテスタによる各試験について説明する。図2は、本発明のLANテスタにより導通試験を行う場合のHUB(又はAUI)20との接続関係を示す図であり、図3は、導通試験での動作例を説明するために図1の要部を抽出した回路構成図である。すなわち、導通試験時には、バイポーラトランジスタQ3がオンすることによってバイポーラトランジスタQ2はオフし、パイロットデータの監視は停止する。また、スイッチSW1(2b部分)が離れることによってバイポーラトランジスタQ4には信号電流が流れなくなり、動作しないため、図1に示すLANテスタ1は、図3R>3に示すような回路と等価なものとなる。
【0013】まず、受信線の導通試験を行う場合、図2に示すように、LANテスタ1の受信用端子RA,RBにHUB20を接続し、電源スイッチSWPをオンにする。この状態で、スイッチSW1を押すと、受信線又はHUB20が正常であれば、図3に示すように、電源電流が受信用端子RA,RB間を通して、発光ダイオードLY1→ダイオードD1→抵抗R1→スイッチSW1(1a部分)→グランドGNDの経路で流れるので、発光ダイオードLY1が黄色に点灯し、受信線が正常である旨が外部に報知される。また、受信線又はHUB20に断線等の障害がある場合、前述の電流経路が遮断されることになるため、発光ダイオードLY1は点灯せず、受信線又はHUB20に異常があることがわかる。
【0014】一方、送信線の導通試験を行う場合、図2に示すように、LANテスタ1の送信用端子SA,SBにHUB20を接続し、電源スイッチSWPをオンにする。この状態で、スイッチSW1を押すと、バイポーラトランジスタQ3のベース電流が抵抗R8を介してスイッチSW1(1a部分)からグランドGNDに流れるため、バイポーラトランジスタQ3はオンとなる。バイポーラトランジスタQ3がオンすると、送信線又はHUB20が正常であれば、図3に示すように、電源電流が送信用端子SA,SB間を通して、スイッチSW1(2a部分)→抵抗R14→発光ダイオードLY2→グランドGNDの経路で流れるので、発光ダイオードLY2が黄色に点灯し、送信線又はHUB20が正常である旨が外部に報知される。また、送信線又はHUB20に断線等の障害がある場合、前述の電流経路が遮断されることになるため、発光ダイオードLY2は点灯せず、送信線又はHUB20に異常があることがわかる。このように、配線ケーブルの導通試験は、折り返し器具を使用せずにHUBまたはAUI内のコイルを通じて行う。すなわち、折り返し器具を使わないために、従来のように、配線ケーブルを辿るといった作業は不要となり、探索作業にかける労力を大幅に軽減することができる。
【0015】図4は、本発明のLANテスタ1により極性試験を行う場合のHUB40との接続関係を示す図、図5は、本発明のLANテスタ1により通信モニタを行う場合のHUB40、AUI50との接続関係を示す図であり、図6は、極性試験及び通信モニタでの動作例を説明するために図1の要部を抽出した回路構成図である。すなわち、極性試験及び通信モニタ時には、バイポーラトランジスタQ3がオフしているのでバイポーラトランジスタQ2,Q4は能動状態となり、また、スイッチSW1(2b部分)が端子SBと接続されることによってパイロットデータの監視機能が働くため、図1に示すLANテスタ1は、図6に示すような回路と等価なものとなる。
【0016】HUB40の極性試験を行う場合、図4に示すように、LANテスタ1の端子SA,SBにHUBを接続し、電源スイッチSWPをオンにする。この状態で、スイッチSW1は押されていないため、バイポーラトランジスタQ3にはベース電流が流れず、バイポーラトランジスタQ3はオフとなり、抵抗R10,R11により設定される電源電圧の分圧比に基づいてバイポーラトランジスタQ2及びバイポーラトランジスタQ4に若干のバイアスが与えられる。この状態において、図7に示すようなパルス信号がトリガパルスとなって、端子SAに正パルス、端子SBに負パルスが連続して印加されると、パルス印加に対応してバイポーラトランジスタQ4に断続的にベース電流が流れ、これによって、バイポーラトランジスタQ4は、断続的にオンすることになる。
【0017】バイポーラトランジスタQ4が断続的にオンすると、断続的なパルス状の電圧が抵抗R16を介して電界効果形トランジスタQ5に印加されることになるが、このパルス状の電圧は、抵抗R15及びコンデンサC2により構成される時定数回路によって平滑化されるため、電界効果形トランジスタQ5はオンして発光ダイオードLGが緑色に点灯し、正しい極性(順極性)で接続されている旨が外部に報知される。
【0018】一方、端子SAに負パルス、端子SBに正パルスが連続して印加されると、パルス印加に対応してバイポーラトランジスタQ2に断続的にベース電流が流れ、これによって、バイポーラトランジスタQ2は、断続的にオンすることになる。バイポーラトランジスタQ2が断続的にオンすると、断続的なパルス状の電圧が抵抗R4を介して電界効果形トランジスタQ1に印加されることになるが、このパルス状の電圧は、抵抗R5及びコンデンサC1により構成される時定数回路によって平滑化されるため、電界効果形トランジスタQ1はオンして発光ダイオードLRが赤色に点灯し、誤った極性(逆極性)で接続されている旨が外部に報知される。このように、発光ダイオードLGまたは発光ダイオードLRの点灯により、信号の有無及び極性の確認を容易に行うことができる。
【0019】また、通信モニタを行う場合、本発明のLANテスタ1を通信ケーブル間に挿入し、図5に示すようにHUB40,AUI50を接続することにより、図8R>8に示すような通信波形が印加されると、前述した極性試験時における動作により、通信状態をモニタすることができる。すなわち、端子SAに正パルス、端子SBに負パルスが連続して印加されるような波形が印加されるときには発光ダイオードLGが緑色に点灯し、端子SAに負パルス、端子SBに正パルスが連続して印加されるような波形が印加されるときには、発光ダイオードLRが赤色に点灯するので、各発光ダイオードLG,LRの点滅により簡易的に信号のモニタを行うことができる。なお、トランジスタQ1,Q5をオンさせるためのケーブルに流れる信号電圧は、図7に示すように非常に短いパルスのため、このパルスに基づいて発光ダイオードLG,LRを駆動・点灯させても肉眼では認識することはむずかしい。このため、コンデンサC1,C2によって点灯時間の幅をとり、点灯状態を見易くしている。このように、極性の判断は、信号パルスの方向を検知することにより2個の発光ダイオードLG,LRの点滅により容易に判断することができる。
【0020】次に、本発明のLANテスタを用いて配線の接続方向の確認試験を行う場合について説明する。図9R>9は、例えばLAN配線に用いられる汎用の8ピンのモジュラージャックの誤配線の有無の確認試験を行う場合の構成例を示す図である。図9に示すように、LANテスタには、例えばモジュラージャックの該当受け端子に導通接続される複数の逆接続確認回路12a,12b・・・を設けておく。各逆接続確認回路12a,12bは、ダイオードD11(D12)と発光ダイオードLD1a(LD2a)とを逆接続したものである。
【0021】試験対象となるモジュラージャック(MJ)10の1番と2番にはペア信号線11a,11bの一方端が接続されており、このペア信号線の1つの信号線路、例えばMJ10の1番ピンに接続された信号線路11aには、上述の電源部2から直流電圧Eaに基づく電流が供給されるようになっている。また、MJ10の2番ピンに接続された信号線路11bと接地線との間には、通電時に点灯する発光ダイオードLD1bが挿入接続されている。これらの信号線11a,11bの他方端には、上述の逆接続確認回路12aが接続される。
【0022】MJ10には、図示のように、その3番ピンと6番ピンにもペア信号線11c,11dが接続される。そのため、上記ペア信号線11a,11bの場合と同様に、3番ピンに直流電流Ebに基づく電流を供給し、6番ピンと接地線との間に発光ダイオードLD2bを挿入接続するとともに、ペア信号線11c,11dの他方端に逆接続確認回路12bを接続する。
【0023】なお、試験実施時には、直流電圧Ea,Ebに基づく電流は、各々電源部2から異なるタイミングで別々に供給する。給電タイミングの切換自体は公知の技術を採用できるため、ここでは敢えて図示しない。また、発光ダイオードLD1b,LD2bは、上述の電流検出部3の回路をそのまま使用することができる。
【0024】次に、上記構成のLANテスタによる接続方向の確認試験の具体例を図10及び図11を参照して説明する。図10(a)はMJ10の配線が正常の場合、すなわちペア信号線11a,11bが順方向に接続されている場合の状態を示す図である。この場合は、MJ10の1番ピンから供給される電流が逆接続確認回路12aのダイオードD11を通ってMJ10の2番ピンに到達するため、発光ダイオードLD1aが点灯する。これによりMJ10の配線が正常であることを視認することができる。
【0025】図10(b)はMJ10の配線が異常の場合、すなわちペア信号線11a,11bが逆接続されている場合の状態を示す図である。この場合は、MJ10の1番ピンに供給される電流が他方の信号線11bの方から逆接続確認回路12aに到達するため、発光ダイオードLD1aが点灯する。また、発光ダイオードLD1aを通った電流は、MJ10の6番ピンに到達するので、発光ダイオードLD1bも点灯する。したがって、この場合は、MJ10の1番ピンと2番ピンとが逆に接続されていることが視認により判る。
【0026】また、MJ10における他の信号線路間の誤配線の有無もこのLANテスタにより視認することができる。例えば図11(a)は、MJ10の3番ピンに電流を供給すると、正常配線時には発光ダイオードLD2a,LD2bが点灯すべきところ、他の発光ダイオードLD1a,LD1bが点灯している。この状態は、図示のように、MJ10における配線が順次上方へずれていることを意味しているので誤配線であることを視認することができる。また、図11(b)に示すように、MJ10の1番ピンに電流を流したときに、本来点灯すべきでない発光ダイオードLD2a,LD2bが点灯する場合も、MJ10の配線が正常でないことを表している。このように、MJ10への給電タイミングと発光ダイオードLD1a,LD1b,LD2a,LD2bの点灯パターンとの組合せにより、MJ10の接続方向の確認試験を容易に実施することができる。
【0027】以上、複数の実施の形態を示して本発明を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものでないことはいうまでもない。例えば電流検出部3、あるいは逆接続確認回路12a,12bにおいて発光ダイオードを使用することにより、通電状態を検出するように構成されているが、他にも流れる電流値をメータ表示するものや、音(音色や音量)によって外部に報知するように構成してもよい。
【0028】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、電流検出部による電流検出の有無により、信号線路に断線等の障害があるか否かを判断することができ、順極性検出部及び逆極性検出部によるパルス検出の有無により信号線が正しい極性となっているか逆極性となっているかを確認することができる。また、送信用信号線のパルスを受信用信号線に折り返すことにより擬似信号を発生させることができ、接続されるHUBまたはAUIの動作状態を確認することができる。さらに、配線の誤接続等も容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるLANテスタの一実施形態を示す回路図。
【図2】本発明のLANテスタにより導通試験を行う場合のHUB,AUIとの接続関係を示す図。
【図3】本発明のLANテスタによる導通試験での動作例を説明するための図1の要部抽出図。
【図4】本発明のLANテスタにより極性試験を行う場合のHUBとの接続関係を示す図。
【図5】本発明のLANテスタにより通信モニタを行う場合のHUB,AUIとの接続関係を示す図。
【図6】本発明のLANテスタによる極性試験及び通信モニタでの動作例を説明するための図1の要部抽出図。
【図7】図4におけるトリガパルス(キャリア成分)の波形例を示す図。
【図8】図5における通信中の波形例を示す図。
【図9】LAN配線に用いられる汎用の8ピンのモジュラージャックの誤配線の有無の確認試験を行う場合の構成例を示す図。
【図10】(a)はペア信号線が順方向に接続されている場合の状態を示す図,(b)は(b)はペア信号線が逆接続されている場合の状態を示す図。
【図11】(a),(b)は、共に他の信号線路間が誤接続されている状態を示す図。
【符号の説明】
1LANテスタ
2 電源部
3 電流検出部
4 順極性検出部
5 逆極性検出部
6 第一切替スイッチ(切替スイッチ)
7 第二切替スイッチ(折り返し接続部)
10 モジュラージャック(MJ)
11,11a〜11d 信号線路
12a,12b 逆接続確認回路
20,40 HUB
50 AUI
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LAN(Local Area Network)における断線,短絡,極性チェック,接続試験,逆接続試験等を簡易に行う試験装置に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、パーソナルコンピュータ等の比較的小規模なデータ処理装置は、単独で使用されることが多かったが、近時におけるデータ処理能力の向上と、ダウンサイジング化の流れの中にあって、蓄積されたデータの有効利用を図るために、例えば、会社内や部内等の特定範囲内における複数のデータ処理装置をそれぞれネットワークで接続して分散処理システムを構成したり、分散処理までは行わないが簡易なネットワークを構築するということが良く行われている。
【0003】このようなネットワークは、一般に、LANと呼ばれており、最も簡単なLANの構築の一つに、ネットワーク用OS(Operating System)と、ピア・ツー・ピアによる10BASE2や10BASE−T等とを組み合わせたものがある。このうち10BASE−TによるLAN結線は比較的簡単であり、わざわざ専門家に依頼して結線してもらわなくてもユーザサイドで行うことが可能である。このため、10BASE−TによるLAN構築の際には、その配線はユーザが独自に行う場合が多かった。
【0004】しかし、10BASE−Tの配線がいくら簡単であるとはいえ、配線ミスがあるとネットワークとして機能せず、また、LANの規模が大きくなってくるにつれてケーブル数も増え、配線も煩雑になってくる。このような状態で、例えば、ケーブル断線や誤配線等の障害が発生した場合、どのケーブルについて障害が発生しているのかを見つけるための手順としては、まず、各ケーブルの両端に折り返し用コネクタを接続するとともに、ループ抵抗等を含む専用のケーブル試験器を接続し、各ケーブルに対して導通試験を行うことによって、ケーブル毎に断線や誤配線の有無を確認し、障害の発生したケーブルを探すという方法が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の断線ケーブルの探索方法では、試験するケーブルの両端に折り返し用コネクタを接続する必要があることから、一方端に折り返し用コネクタを接続した後に他方端にも折り返し用コネクタを接続するためには、一方端に折り返し用コネクタを接続したケーブルを辿っていくという作業が必要になってくる。すなわち、どのケーブルに対して折り返し用コネクタを接続するかを見つける作業は、煩雑な配線の中においては大変な作業であり、従来の導通試験では、障害の発見には極めて多くの労力を要することとなる。
【0006】また、導通試験を行うための折り返し用コネクタの接続作業には、つなぎ間違いや接触不良等の新たな障害の要因にもなるといった問題点があり、さらに、従来の導通試験では、ケーブルの試験だけしか行うことができず、HUB等を含めた接続確認試験はできないという問題点があった。
【0007】本発明の課題は、上記問題点を解消し、一方端だけでケーブル導通試験や誤配線確認試験ができるとともに、HUB等を含めた簡易動作試験も可能なLANテスタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明のLANテスタは、LAN配線用のペア信号線が接続される一対の送信用端子(SA,SB)と一対の受信用端子(RA、RB)とからなる試験用端子と、入力された信号を折り返して出力可能な回路を含むLANと前記試験用端子とがペア信号線で接続されたときにこのペア信号線によって閉回路を形成するとともに当該閉回路の導通の有無を検出する第1の試験回路、及び、前記一対の送信回路から入力される信号の極性を検出する第2の試験回路を含む電子回路(1)と、この電子回路(1)に直流電力を供給する電源部(E)と、前記電子回路(1)を前記第1の試験回路又は前記第2の試験回路として動作させるためにオン状態とオフ状態とを選択的に形成する切替回路(1a,Q3)とを有し、前記第1の試験回路は、前記一対の受信用端子(RA、RB)が前記LAN及びペア信号線を通じて導通し且つ前記切替回路(1a,Q3)がオン状態のときに通電してその通電状態を明示する第1の単向性素子(LY1)と、前記一対の送信用端子(SA、SB)が前記LAN及びペア信号線を通じて導通し且つ前記切替回路(1a,Q3)がオン状態のときに通電してその通電状態を明示する第2の単向性素子(LY2)とを有し、前記第2の試験回路は、それぞれ前記切替回路(1a,Q3)がオン状態のときにオフ状態、オフ状態のときにオン状態となる第1トランジスタ(Q2)及び第2トランジスタ(Q4)が互いに並列に接続されており、第1トランジスタ(Q2)は、一方の送信用端子(SA)に負パルス、他方の送信用端子(SB)に正パルスが印加されているときにオン状態となるものであり、第2トランジスタ(Q4)は、一方の送信用端子(SA)に正パルス、他方の送信用端子(SB)に負パルスが印加されているときにオン状態となるものであり、さらに、前記第2トランジスタ(Q4)がオン状態のときに通電してその通電状態を明示する第3の単向性素子(LG)と、前記第1トランジスタ(Q2)がオン状態のときに通電してその通電状態を明示する第4の単向性素子(LR)とを有することを特徴とする。
【0009】正パルス又は負パルスの極性状態を正しく認識できるようにするため、前記第1トランジスタ(Q2)の出力端子と前記第4の単向性素子(LR)との間、及び、前記第2トランジスタ(Q4)の出力端子と前記第3の単向性素子(LG)との間に、それぞれ前記一対の送信用端子(SA,SB)に印加される正パルス又は負パルスの極性状態を一定時間維持する平滑化回路(C1,R4,R5,Q1,C2,R15,R16,Q5)が介在するようにしてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明のLANテスタの実施形態を図1〜図10を参照して説明する。図1は、このLANテスタを実施する場合の形態例を示す回路構成図であり、大別して、電源部2と、電流検出部3と、順極性検出部4と、逆極性検出部5と、第一切替スイッチ(切替スイッチ)6と、折り返し接続部の機能を有する第二切替スイッチ7とから成る。なお、図中、RA,RBは受信用端子であり、SA,SBは送信用端子である。
【0011】電源部2は、電源スイッチSWP、内蔵電池Eから構成され、電流検出部3は、バイポーラトランジスタQ3、黄色に点灯する発光ダイオードLY1,LY2、及び複数の抵抗R1,R7,R8,R14から構成される。なお、抵抗R7,R8は、バイポーラトランジスタQ3をオンにし、バイポーラトランジスタQ2をオフにするとともに、送信端子SAに対して電源電流を供給するために設けられている。R1,R14は560Ω、R7,R8は10kΩ程度が適当である。順極性検出部4は、バイポーラトランジスタQ4及び電界効果形トランジスタQ5、緑色に点灯する発光ダイオードLG、抵抗R12,R13,R15,R16、及びコンデンサC2から構成されており、逆極性検出部5は、バイポーラトランジスタQ2、電界効果形トランジスタQ1、赤色に点灯する発光ダイオードLR、及び抵抗R4,R5,R6,R9、コンデンサC1から構成されている。なお、抵抗R10,R11は、バイポーラトランジスタQ2,Q4にバイアスをかけるために設けられており、また、コンデンサC1及び抵抗R5、コンデンサC2及び抵抗R15により平滑回路が構成されている。抵抗R6,R9,R12,R13は1kΩ、R10は270Ω、,R11は4.7kΩ、抵抗R4,R16は500kΩ、抵抗R5,R15は5MΩ、コンデンサC1,C2は0.1μF程度が適当である。第一切替スイッチ6は、図3に示すように、接続端子1aのオン・オフを行うとともに、送信用端子SBを接続端子2aまたは2bのいずれかに接続するスイッチSW1からなり、第二切替スイッチ7は、図10(b)に示すように、送信用端子SAと受信用端子RA、また、送信用端子SBと受信用端子RBをそれぞれ接続するスイッチSW2から構成されている。
【0012】次に本発明のLANテスタによる各試験について説明する。図2は、本発明のLANテスタにより導通試験を行う場合のHUB(又はAUI)20との接続関係を示す図であり、図3は、導通試験での動作例を説明するために図1の要部を抽出した回路構成図である。すなわち、導通試験時には、バイポーラトランジスタQ3がオンすることによってバイポーラトランジスタQ2はオフし、パイロットデータの監視は停止する。また、スイッチSW1(2b部分)が離れることによってバイポーラトランジスタQ4には信号電流が流れなくなり、動作しないため、図1に示すLANテスタ1は、図3R>3に示すような回路と等価なものとなる。
【0013】まず、受信線の導通試験を行う場合、図2に示すように、LANテスタ1の受信用端子RA,RBにHUB20を接続し、電源スイッチSWPをオンにする。この状態で、スイッチSW1を押すと、受信線又はHUB20が正常であれば、図3に示すように、電源電流が受信用端子RA,RB間を通して、発光ダイオードLY1→ダイオードD1→抵抗R1→スイッチSW1(1a部分)→グランドGNDの経路で流れるので、発光ダイオードLY1が黄色に点灯し、受信線が正常である旨が外部に報知される。また、受信線又はHUB20に断線等の障害がある場合、前述の電流経路が遮断されることになるため、発光ダイオードLY1は点灯せず、受信線又はHUB20に異常があることがわかる。
【0014】一方、送信線の導通試験を行う場合、図2に示すように、LANテスタ1の送信用端子SA,SBにHUB20を接続し、電源スイッチSWPをオンにする。この状態で、スイッチSW1を押すと、バイポーラトランジスタQ3のベース電流が抵抗R8を介してスイッチSW1(1a部分)からグランドGNDに流れるため、バイポーラトランジスタQ3はオンとなる。バイポーラトランジスタQ3がオンすると、送信線又はHUB20が正常であれば、図3に示すように、電源電流が送信用端子SA,SB間を通して、スイッチSW1(2a部分)→抵抗R14→発光ダイオードLY2→グランドGNDの経路で流れるので、発光ダイオードLY2が黄色に点灯し、送信線又はHUB20が正常である旨が外部に報知される。また、送信線又はHUB20に断線等の障害がある場合、前述の電流経路が遮断されることになるため、発光ダイオードLY2は点灯せず、送信線又はHUB20に異常があることがわかる。このように、配線ケーブルの導通試験は、折り返し器具を使用せずにHUBまたはAUI内のコイルを通じて行う。すなわち、折り返し器具を使わないために、従来のように、配線ケーブルを辿るといった作業は不要となり、探索作業にかける労力を大幅に軽減することができる。
【0015】図4は、本発明のLANテスタ1により極性試験を行う場合のHUB40との接続関係を示す図、図5は、本発明のLANテスタ1により通信モニタを行う場合のHUB40、AUI50との接続関係を示す図であり、図6は、極性試験及び通信モニタでの動作例を説明するために図1の要部を抽出した回路構成図である。すなわち、極性試験及び通信モニタ時には、バイポーラトランジスタQ3がオフしているのでバイポーラトランジスタQ2,Q4は能動状態となり、また、スイッチSW1(2b部分)が端子SBと接続されることによってパイロットデータの監視機能が働くため、図1に示すLANテスタ1は、図6に示すような回路と等価なものとなる。
【0016】HUB40の極性試験を行う場合、図4に示すように、LANテスタ1の端子SA,SBにHUBを接続し、電源スイッチSWPをオンにする。この状態で、スイッチSW1は押されていないため、バイポーラトランジスタQ3にはベース電流が流れず、バイポーラトランジスタQ3はオフとなり、抵抗R10,R11により設定される電源電圧の分圧比に基づいてバイポーラトランジスタQ2及びバイポーラトランジスタQ4に若干のバイアスが与えられる。この状態において、図7に示すようなパルス信号がトリガパルスとなって、端子SAに正パルス、端子SBに負パルスが連続して印加されると、パルス印加に対応してバイポーラトランジスタQ4に断続的にベース電流が流れ、これによって、バイポーラトランジスタQ4は、断続的にオンすることになる。
【0017】バイポーラトランジスタQ4が断続的にオンすると、断続的なパルス状の電圧が抵抗R16を介して電界効果形トランジスタQ5に印加されることになるが、このパルス状の電圧は、抵抗R15及びコンデンサC2により構成される時定数回路によって平滑化されるため、電界効果形トランジスタQ5はオンして発光ダイオードLGが緑色に点灯し、正しい極性(順極性)で接続されている旨が外部に報知される。
【0018】一方、端子SAに負パルス、端子SBに正パルスが連続して印加されると、パルス印加に対応してバイポーラトランジスタQ2に断続的にベース電流が流れ、これによって、バイポーラトランジスタQ2は、断続的にオンすることになる。バイポーラトランジスタQ2が断続的にオンすると、断続的なパルス状の電圧が抵抗R4を介して電界効果形トランジスタQ1に印加されることになるが、このパルス状の電圧は、抵抗R5及びコンデンサC1により構成される時定数回路によって平滑化されるため、電界効果形トランジスタQ1はオンして発光ダイオードLRが赤色に点灯し、誤った極性(逆極性)で接続されている旨が外部に報知される。このように、発光ダイオードLGまたは発光ダイオードLRの点灯により、信号の有無及び極性の確認を容易に行うことができる。
【0019】また、通信モニタを行う場合、本発明のLANテスタ1を通信ケーブル間に挿入し、図5に示すようにHUB40,AUI50を接続することにより、図8R>8に示すような通信波形が印加されると、前述した極性試験時における動作により、通信状態をモニタすることができる。すなわち、端子SAに正パルス、端子SBに負パルスが連続して印加されるような波形が印加されるときには発光ダイオードLGが緑色に点灯し、端子SAに負パルス、端子SBに正パルスが連続して印加されるような波形が印加されるときには、発光ダイオードLRが赤色に点灯するので、各発光ダイオードLG,LRの点滅により簡易的に信号のモニタを行うことができる。なお、トランジスタQ1,Q5をオンさせるためのケーブルに流れる信号電圧は、図7に示すように非常に短いパルスのため、このパルスに基づいて発光ダイオードLG,LRを駆動・点灯させても肉眼では認識することはむずかしい。このため、コンデンサC1,C2によって点灯時間の幅をとり、点灯状態を見易くしている。このように、極性の判断は、信号パルスの方向を検知することにより2個の発光ダイオードLG,LRの点滅により容易に判断することができる。
【0020】次に、本発明のLANテスタを用いて配線の接続方向の確認試験を行う場合について説明する。図9R>9は、例えばLAN配線に用いられる汎用の8ピンのモジュラージャックの誤配線の有無の確認試験を行う場合の構成例を示す図である。図9に示すように、LANテスタには、例えばモジュラージャックの該当受け端子に導通接続される複数の逆接続確認回路12a,12b・・・を設けておく。各逆接続確認回路12a,12bは、ダイオードD11(D12)と発光ダイオードLD1a(LD2a)とを逆接続したものである。
【0021】試験対象となるモジュラージャック(MJ)10の1番と2番にはペア信号線11a,11bの一方端が接続されており、このペア信号線の1つの信号線路、例えばMJ10の1番ピンに接続された信号線路11aには、上述の電源部2から直流電圧Eaに基づく電流が供給されるようになっている。また、MJ10の2番ピンに接続された信号線路11bと接地線との間には、通電時に点灯する発光ダイオードLD1bが挿入接続されている。これらの信号線11a,11bの他方端には、上述の逆接続確認回路12aが接続される。
【0022】MJ10には、図示のように、その3番ピンと6番ピンにもペア信号線11c,11dが接続される。そのため、上記ペア信号線11a,11bの場合と同様に、3番ピンに直流電流Ebに基づく電流を供給し、6番ピンと接地線との間に発光ダイオードLD2bを挿入接続するとともに、ペア信号線11c,11dの他方端に逆接続確認回路12bを接続する。
【0023】なお、試験実施時には、直流電圧Ea,Ebに基づく電流は、各々電源部2から異なるタイミングで別々に供給する。給電タイミングの切換自体は公知の技術を採用できるため、ここでは敢えて図示しない。また、発光ダイオードLD1b,LD2bは、上述の電流検出部3の回路をそのまま使用することができる。
【0024】次に、上記構成のLANテスタによる接続方向の確認試験の具体例を図10及び図11を参照して説明する。図10(a)はMJ10の配線が正常の場合、すなわちペア信号線11a,11bが順方向に接続されている場合の状態を示す図である。この場合は、MJ10の1番ピンから供給される電流が逆接続確認回路12aのダイオードD11を通ってMJ10の2番ピンに到達するため、発光ダイオードLD1aが点灯する。これによりMJ10の配線が正常であることを視認することができる。
【0025】図10(b)はMJ10の配線が異常の場合、すなわちペア信号線11a,11bが逆接続されている場合の状態を示す図である。この場合は、MJ10の1番ピンに供給される電流が他方の信号線11bの方から逆接続確認回路12aに到達するため、発光ダイオードLD1aが点灯する。また、発光ダイオードLD1aを通った電流は、MJ10の6番ピンに到達するので、発光ダイオードLD1bも点灯する。したがって、この場合は、MJ10の1番ピンと2番ピンとが逆に接続されていることが視認により判る。
【0026】また、MJ10における他の信号線路間の誤配線の有無もこのLANテスタにより視認することができる。例えば図11(a)は、MJ10の3番ピンに電流を供給すると、正常配線時には発光ダイオードLD2a,LD2bが点灯すべきところ、他の発光ダイオードLD1a,LD1bが点灯している。この状態は、図示のように、MJ10における配線が順次上方へずれていることを意味しているので誤配線であることを視認することができる。また、図11(b)に示すように、MJ10の1番ピンに電流を流したときに、本来点灯すべきでない発光ダイオードLD2a,LD2bが点灯する場合も、MJ10の配線が正常でないことを表している。このように、MJ10への給電タイミングと発光ダイオードLD1a,LD1b,LD2a,LD2bの点灯パターンとの組合せにより、MJ10の接続方向の確認試験を容易に実施することができる。
【0027】以上、複数の実施の形態を示して本発明を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものでないことはいうまでもない。例えば電流検出部3、あるいは逆接続確認回路12a,12bにおいて発光ダイオードを使用することにより、通電状態を検出するように構成されているが、他にも流れる電流値をメータ表示するものや、音(音色や音量)によって外部に報知するように構成してもよい。
【0028】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、電流検出部による電流検出の有無により、信号線路に断線等の障害があるか否かを判断することができ、順極性検出部及び逆極性検出部によるパルス検出の有無により信号線が正しい極性となっているか逆極性となっているかを確認することができる。また、送信用信号線のパルスを受信用信号線に折り返すことにより擬似信号を発生させることができ、接続されるHUBまたはAUIの動作状態を確認することができる。さらに、配線の誤接続等も容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるLANテスタの一実施形態を示す回路図。
【図2】本発明のLANテスタにより導通試験を行う場合のHUB,AUIとの接続関係を示す図。
【図3】本発明のLANテスタによる導通試験での動作例を説明するための図1の要部抽出図。
【図4】本発明のLANテスタにより極性試験を行う場合のHUBとの接続関係を示す図。
【図5】本発明のLANテスタにより通信モニタを行う場合のHUB,AUIとの接続関係を示す図。
【図6】本発明のLANテスタによる極性試験及び通信モニタでの動作例を説明するための図1の要部抽出図。
【図7】図4におけるトリガパルス(キャリア成分)の波形例を示す図。
【図8】図5における通信中の波形例を示す図。
【図9】LAN配線に用いられる汎用の8ピンのモジュラージャックの誤配線の有無の確認試験を行う場合の構成例を示す図。
【図10】(a)はペア信号線が順方向に接続されている場合の状態を示す図,(b)は(b)はペア信号線が逆接続されている場合の状態を示す図。
【図11】(a),(b)は、共に他の信号線路間が誤接続されている状態を示す図。
【符号の説明】
1LANテスタ
2 電源部
3 電流検出部
4 順極性検出部
5 逆極性検出部
6 第一切替スイッチ(切替スイッチ)
7 第二切替スイッチ(折り返し接続部)
10 モジュラージャック(MJ)
11,11a〜11d 信号線路
12a,12b 逆接続確認回路
20,40 HUB
50 AUI
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のペア信号線が接続されるモジュラージャック内のペア信号線単位に異なるタイミングで直流電力を供給する電源部と、前記モジュラージャック内の各ペア信号線の終端に当該ペア信号線と対応付けられて導通接続される逆極性接続確認回路とを有し、各逆極性接続確認回路は、通電時にその状態を明示する一対の単向性素子を逆並列接続して成り、すべてのペア信号線の配線が正常の場合は前記電源部から供給される直流電力によって各ペア信号線に対応するすべての逆極性接続確認回路の一方の単向性素子がその通電状態を明示し、少なくとも一つのペア信号線の配線に極性接続の誤りがある場合は、前記電源部から供給される直流電力によって少なくとも一つの逆極性接続確認回路の他方の単向性発光素子がその通電状態を明示し、他のペア信号線路の一部の信号線との間の誤配線がある場合は前記電源部から供給される直流電力によって当該ペア信号線に対応付けられているもの以外の逆極性接続確認回路の単向性素子がその通電状態を明示するように構成されている、LANテスタ。
【請求項1】 複数のペア信号線が接続されるモジュラージャック内のペア信号線単位に異なるタイミングで直流電力を供給する電源部と、前記モジュラージャック内の各ペア信号線の終端に当該ペア信号線と対応付けられて導通接続される逆極性接続確認回路とを有し、各逆極性接続確認回路は、通電時にその状態を明示する一対の単向性素子を逆並列接続して成り、すべてのペア信号線の配線が正常の場合は前記電源部から供給される直流電力によって各ペア信号線に対応するすべての逆極性接続確認回路の一方の単向性素子がその通電状態を明示し、少なくとも一つのペア信号線の配線に極性接続の誤りがある場合は、前記電源部から供給される直流電力によって少なくとも一つの逆極性接続確認回路の他方の単向性発光素子がその通電状態を明示し、他のペア信号線路の一部の信号線との間の誤配線がある場合は前記電源部から供給される直流電力によって当該ペア信号線に対応付けられているもの以外の逆極性接続確認回路の単向性素子がその通電状態を明示するように構成されている、LANテスタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2002−223224(P2002−223224A)
【公開日】平成14年8月9日(2002.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−346555(P2001−346555)
【分割の表示】特願平8−132164の分割
【出願日】平成8年5月27日(1996.5.27)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成14年8月9日(2002.8.9)
【国際特許分類】
【分割の表示】特願平8−132164の分割
【出願日】平成8年5月27日(1996.5.27)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】
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