説明

LEDモジュール

【課題】発光素子からの熱を確実に放熱するとともに、絶縁層などを除去した部位に熱伝導部材を配置する工程を不要として、製造工程を減らすことが可能なLEDモジュールを提供する。
【解決手段】LEDモジュール1は、LEDチップ3が搭載されたパッケージ2と、パッケージ2が配列される基板10とを備える。パッケージ本体20の前後の側壁には、電極パッド4a、4bが設けられ、各電極パッド4a、4bと基板10の配線パターンはハンダにより接合される。基板10は、銅系金属からなるベース部材11に絶縁層12と配線パターン13とが積層される。絶縁層12は、パッケージ2が配置される部位の一部を取り除いて貫通部15が形成され、この貫通部15を介して対向するパッケージ2の裏面とベース部材11との間にハンダ16が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ内にLEDチップが搭載されたLEDモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、放電ランプやレーザ発振器などを光源として用いた光源装置が提供されているが、近年、低消費電力化や長寿命化などを目的として、LED(発光ダイオード)モジュールを光源とする光源装置が種々提案されている。例えば、塗料や接着剤や顔料などの紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して、樹脂を硬化・乾燥させる紫外線照射装置の紫外線照射源として、発光波長を紫外線領域に設定されたLEDモジュールが用いられている。
【0003】
この種の光源装置に用いられるLEDモジュールでは、パッケージ内にLEDチップを搭載し、このパッケージを所望の光量が得られるように、複数個並べてLEDモジュールを構成している。また各LEDチップとしては、出力の大きなLEDチップが用いられ、所望の光量が得られるよう設定されている。
【0004】
このLEDモジュールに通電し、LEDチップを発光させるとLEDチップが発熱する。上述のように、この種のLEDモジュールでは、出力の大きなLEDチップを複数使用しており、LEDモジュールが発する熱も大きい。また、LEDチップの発光効率は負の温度係数を有しているので、LEDチップによる発熱量が増大するとLEDモジュールの発光効率が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1に記載された発光ダイオードの実装構造のように、放熱効果を高めたLEDモジュール及びその実装構造が提案されている。この特許文献1に記載された発光ダイオードの実装構造では、熱伝導率の高い金属製のベース部材の上面に絶縁層、配線パターン、レジストをそれぞれ積層して基板を形成し、LEDチップを配置したパッケージをその基板の表面に実装している。このとき、パッケージの裏面側に位置する基板の絶縁層やレジストを除去し、パッケージとベース部材との間にシリコンゴムなどの熱伝導部材を配置している。これにより、LEDチップから発した熱は、熱伝導部材及びベース部材を介して放熱され、放熱効果を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−100687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に記載されたLEDモジュールを製造するには、まず、ベース部材上に絶縁層、配線パターン、レジストをそれぞれ積層し、その後、パッケージが実装される部位の絶縁層、配線パターン、レジストをそれぞれ除去する。この除去した部位に熱伝導部材を配置し、その上からLEDチップを配置したパッケージを配置し、パッケージに設けられた電極と配線パターンとをハンダ付けする。このようにして、上記特許文献1に記載されたLEDモジュールが製造されるのであるが、製造工程が多く複雑であった。
【0008】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、LEDチップからの放熱を確実に行うとともに、その製造工程を低減することが可能なLEDモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願のLEDモジュールは、対向する側壁の外周面に電極を有し、電極と接続する発光素子が搭載されるパッケージと、銅系金属からなるベース部材と、絶縁材料からなりベース部材の表面に積層される絶縁層と、絶縁層の表面に形成され電極とハンダにより接続される導電性の配線パターンとを備え、絶縁層は、パッケージが配置される部位の一部を取り除いた貫通部を有し、貫通部を介して対向するパッケージの裏面とベース部材との間にハンダからなる放熱部を配置したことを特徴とする。
【0010】
このLEDモジュールにおいて、パッケージの裏面に金属製の放熱層を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本願のLEDモジュールによれば、絶縁層などを除去した部位に熱伝導部材を配置する工程が不要となり、発光素子からの熱を確実に放熱するとともに、製造にかかる工程を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態にかかるLEDモジュールの要部を示す概略断面図である。
【図2】同LEDモジュールを構成する基板を示し、(a)は基板全体、(b)は配線パターン、(c)はレジスト層、(d)は貫通孔をそれぞれ説明する為の平面図である。
【図3】同LEDモジュールを構成するパッケージを示し、(a)は平面図、(b)は下面図、(c)は側面図、(d)は(a)におけるA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
本実施形態のLEDモジュール1は、例えば塗料や接着剤や顔料などの紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して、樹脂を硬化・乾燥させる紫外線照射装置に、紫外線の照射源として使用されるものである。なお、以下の説明では特に断りが無い限り、図2(a)における上下をLEDモジュール1の前後、図2(a)における左右をLEDモジュール1の左右、図1における上下をLEDモジュール1の上下として説明を行う。
【0015】
このLEDモジュール1は、図1及び図2(a)に示すように、左右方向を長手方向とする矩形平板状に形成された基板10の上面に、複数のパッケージ2が左右方向に並べられて構成される。この紫外線照射装置では、このLEDモジュール1を左右方向に複数個並べ、さらに前後方向に複数列並べて配置することで、所定の領域に対して所望の光量が得られるよう設定されている。
【0016】
パッケージ2は、図3(a)〜(b)に示すように、LEDチップ3と、このLEDチップ3に印加される電圧を制限する過電圧保護用のツェナーダイオードチップ6とを、パッケージ本体20の表面に設けた凹部21内に収納して構成される。
【0017】
パッケージ本体20は、例えばアルミナ、窒化アルミニウムなどの高放熱性セラミック材料により、前後方向を長手方向とする略直方体状に形成された射出成形品で構成される。このパッケージ本体20の表面には、例えばMID(三次元射出成形回路部品)技術を用いて、導電パターン26、27や電極パッド4a、4bがパターニングされている。
【0018】
また、パッケージ本体20の表面(図3(d)の上面)には、上側から見た形状が左右方向を長辺方向とする長穴状に形成された凹部21が設けられている。この凹部21の底部には、パッケージ本体20の左右方向および前後方向における中央位置にLEDチップ3が配置されている。また凹部21の底部には、LEDチップ3に対して左右方向の一端側(例えば右側)にツェナーダイオードチップ6が配置され、左右方向の他端側(左側)に後述するスルーホール22が設けられている。
【0019】
ここで、凹部21の底部には、LEDチップ3とツェナーダイオードチップ6の間の部位、及び、LEDチップ3とスルーホール22の間の部位から、それぞれ凹部21の開口側(上側)に向かって突出するリブ23a、23bが設けられている。すなわち、パッケージ本体20の凹部21内部では、LEDチップ3とツェナーダイオードチップ6とスルーホール22とが、リブ23a、23bによって分離された状態で前後方向に並べて設けられている。なお、リブ23a、23bの上面は、凹部21aに実装されたLEDチップ3の上面よりも上側に位置している。
【0020】
また、パッケージ本体20の表面には、凹部21の周縁に全周にわたって枠状の導電パターン26が形成されている。この導電パターン26は、凹部21a、21cに形成されたダイパッド部(図示せず)と連続して設けられ、LEDチップ3及びツェナーダイオードチップ6の下面側の電極(図示せず)と電気的に接続される。また、パッケージ本体20の長手方向における一方側の端面(例えば、前方側の端面)には、導電パターン26からパッケージ本体20の裏面へと延長する電極パッド4bが形成されている。
【0021】
また、パッケージ本体20の裏面(図2(d)における下面)には、パッケージ本体20の後端からスルーホール22を越えた辺りまで凹所24が設けられている。パッケージ本体20の裏面において凹所24と他の部位との間には段差が設けられ、凹所24の底面は、凹所24を除くパッケージ本体20の裏面よりも上側に位置している。この凹所24に開口するスルーホール22は、内周面はめっき加工が施されており、電極パッド4bが形成された側と逆側の端面(例えば、後方側の端面)に形成された電極パッド4aと電気的に接続されている。
【0022】
また、パッケージ本体20の凹部21bの略全体には、スルーホール22に電気的に接続された導電パターン27が形成されている。この導電パターン27には、リブ23a、23bに形成されたボンディングパッド28a、28bが連続して設けられている。ボンディングパッド28aは、LEDチップ3の上面側の電極と、ツェナーダイオードチップ6の上面側の電極にそれぞれボンディングワイヤ(金属細線)25a、25bを介して接続されている。同様に、ボンディングパッド28b、LEDチップ3の上面電極(カソード電極)がボンディングワイヤ(金属細線)25cを介して接続されている。
【0023】
またパッケージ本体20の裏面において、左右方向の中央部には、矩形板状にめっき加工された接合用パッド5が設けられている。
【0024】
上述のように、パッケージ2は、パッケージ本体20の前後の側壁に設けられた電極パッド4a、4bと、LEDチップ3及びツェナーダイオードチップ6とが電気的に接続される。これにより、電極パッド4a、4b間に電力を供給することで、LEDチップ3が発光して紫外線を照射する。
【0025】
基板10は、熱伝導性の高い銅系金属からなるベース部材11の上方側の表面に、絶縁層12、配線パターン13、レジスト層14を積層して構成されている。また基板10の四隅には、基板10を紫外線照射装置に取り付ける為のネジ孔10aが設けられている。
【0026】
さらに基板10の表面の前後方向の両縁には、左右方向を長手方向とする矩形板状に形成され、銅などの導電性の高い金属からなる電流補強バー18、18が基板10の上面側に取り付けられている。電流補強バー18、18は、後述するリフロー処理によって、パッケージ2とともに基板10に取り付けられる。この電流補強バー18は、基板10の配線パターン13に電気的に接続され、紫外線照射装置から供給される電力を配線パターン13を介して各パッケージ2に供給する。ここで、紫外線照射装置からは電流値の大きな電力が供給されるが、この電流補強バー18を基板10に取り付けることにより、供給される電流に対する抵抗値を低減して、各パッケージ2に電流値の大きな電力を供給することができる。
【0027】
基板10の絶縁層12は、耐熱性及び絶縁性を有するポリイミドを薄膜状(例えば、約14μm程度の厚み)に成形したものであり接着剤などによってベース部材11の表面全体を覆うようにして、ベース部材11の表面に形成される。
【0028】
また基板10の配線パターン13は、導電性能の高い金属を薄膜状(例えば、約18μm程度の厚み)に形成した銅箔などからなる。この配線パターン13は、図2(b)の斜線部に示すように、絶縁層12の上面のうち、前後方向の中央部及びネジ孔10aの周囲を除いた部位に設けている。また配線パターン13は、基板10の上面側に配置されたパッケージ2の電極パッド4a、4bがハンダ17によって接続される(図1参照)。
【0029】
また基板10のレジスト層14は、ハンダの付着を抑止するソルダーレジストであり、図2(c)の斜線部に示すように、基板10の前後方向の中央部及び周縁部の必要箇所に形成されている。またレジスト層14は、パッケージ2の配列方向である左右方向に沿って、前後方向の中央側に凹んだ溝部14a、14bが、パッケージ2を配置する間隔に応じた所定の間隔で形成されている。ここで、各溝部14a、14bの幅は、パッケージ2を配置する際において、パッケージ2に設けられた電極パッド4a、4bの配置位置や大きさに基づいて設定されている。本実施の形態では、電極パッド4bが配置される側の溝部14aは、パッケージ2の左右方向の中央位置に溝部14bよりも狭い幅に設定されている。また電極パッド4aが配置される側の溝部14aは、パッケージ2の左右方向の寸法とほぼ等しい寸法に設定されている。これにより、隣り合うパッケージ2の電極パッド4a、4bのそれぞれの間にハンダが付着することを防いでいる。
【0030】
また、基板10の絶縁層12及びレジスト層14の各層は、図2(d)に示すように、パッケージ2が配置される部位(基板10の前後方向の略中央)が除去され、貫通部15が形成されている。この貫通部15は、少なくとも前後方向の大きさが、パッケージ2の外周よりも小さな形状に設定されている(図1参照)。
【0031】
また、基板10の貫通部15の中央部には、パッケージ2で発生した熱を放熱するためのハンダ16が設けられ、パッケージ2の背面に配置された接合用パッド5とベース部材11とを熱的に接続している(図1参照)。
【0032】
ここで、本実施例のLEDパッケージ1の製造方法を説明する。まず、銅系金属からなるベース部材11の上面全体に絶縁層12を形成し、絶縁層12をくり貫いて貫通部15を設ける。次に、この絶縁層12の上面に配線パターン13を形成し、絶縁層12及び配線パターン13を覆うようにしてレジスト層14を形成する。次に、配線パターン13表面の基板10における前後方向の中央側の縁部、配線パターン13表面の電流補強バー18と当接する部位、及び、ベース部材11表面の貫通部15の略中央部の各部位にクリームハンダをスクリーン印刷などによって形成する。その後、電流補強バー18、18及び複数のパッケージ2を基板10に配置し、リフロー処理によって上述のクリームハンダを溶融する。これによりパッケージ2が基板10に実装され、パッケージ2の電極パッド4a、4bと基板10の配線パターン13とが電気的に接続され、パッケージ2の接合用パッド5と基板10のベース部材11とが熱的に接続される。また同時に、電流補強バー18、18が基板10に実装され、電流補強バー18、18と配線パターン13とが電気的に接続される。
【0033】
このようにして、パッケージ2のLEDチップ3で発生した熱は、ハンダ16及びベース部材11を介して放熱され、LEDチップ3からの熱を確実に放熱することができる。また、パッケージ2の電極パッド4a、4bを配線パターン13と電気的に接続する際に、接合用パッド5とベース部材11とを熱的に結合するハンダ16を同時に形成できるので、熱伝導部材を配置する工程が不要となり、製造工程を減らすことができる。
【0034】
また、パッケージ2の背面には接合用パッド5を設けているので、パッケージ2のLEDチップ3で発生した熱を、より確実に放熱することができる。
【0035】
また、レジスト層14には、パッケージ2の電極パッド4b、4aの配置位置にあわせて幅が設定された溝部14a、14bが設けられており、隣り合うパッケージ2の電極パッド4a、4bの間にハンダが付着するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 LEDモジュール
2 パッケージ
3 LEDチップ
4a、4b 電極パッド(電極)
5 接合用パッド(放熱層)
10 基板
11 ベース部材
12 絶縁層
13 配線パターン
14 レジスト層
15 貫通部
16 ハンダ(放熱部)
17 ハンダ
20 パッケージ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する側壁の外周面に電極を有し、前記電極と接続する発光素子が搭載されるパッケージと、銅系金属からなるベース部材と、絶縁材料からなり前記ベース部材の表面に積層される絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成され前記電極とハンダにより接続される導電性の配線パターンとを備え、
前記絶縁層は、前記パッケージが配置される部位の一部を取り除いた貫通部を有し、
前記貫通部を介して対向する前記パッケージの裏面と前記ベース部材との間にハンダからなる放熱部を配置したことを特徴とするLEDモジュール。
【請求項2】
前記パッケージの裏面に金属製の放熱層を設けたことを特徴とする請求項1記載のLEDモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−74423(P2012−74423A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216213(P2010−216213)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】