説明

LED照明装置および液晶表示装置

【課題】 LEDベアチップからの放熱性を高めるとともに、色温度の変化を抑制することが可能なLED照明装置および液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】 LED照明装置A1は、複数のLEDベアチップ2と、複数のLEDベアチップ2が直接搭載された基板1と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば蛍光灯または冷陰極管などの代替手段として用いるLED照明装置、およびこれを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来のLED照明装置の一例を示している(たとえば、特許文献1)。同図に示されたLED照明装置Xは、基板91、放熱部材92、複数のLEDモジュール93、および拡散カバー94を備えており、たとえば蛍光灯の代替手段として用いられる。基板91は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる長矩形状であり、放熱部材92に取り付けられている。放熱部材92は、中空の断面半円形状であり、たとえばAlからなる。
【0003】
複数のLEDモジュール93は、基板91の長手方向にそって直列に配置されている。各LEDモジュール93は、LED基板93a、LEDベアチップ93b、リフレクタ93c、および封止樹脂93dを備えている。LEDベアチップ93bは、LED基板93aに搭載されており、たとえばボンディングワイヤ(図示略)によってLED基板93aに形成された配線パターン(図示略)に導通している。リフレクタ93cは、LEDベアチップ93bからの光を上方に向けて反射するためのものであり、LEDベアチップ93bを囲んでいる。封止樹脂93dは、LEDベアチップ93bを覆っている。LEDベアチップ93bからは、たとえば青色光が発せられる。封止樹脂93dには、青色光によって励起されることにより黄色光を発する蛍光材料が混入されている。LEDベアチップ93bが発光すると、LEDモジュール93からは青色光と黄色光とが混色することにより生成された白色光Lwが出射される。
【0004】
拡散カバー94は、LEDモジュール93からの光を透過させつつ、あらゆる方向に拡散させるものである。このような構成により、LED照明装置Xは、白色光を発する蛍光灯の代替手段として用いることができる。
【0005】
しかしながら、LED照明装置Xを点灯させると、LEDベアチップ93bから熱が発する。この熱は、LED基板93aおよび基板91を介して放熱部材92へと伝えられる。たとえばガラスエポキシ樹脂からなるLED基板93aおよび基板91は、いずれも熱抵抗が比較的大きい。このため、LEDベアチップ93bが過度に昇温してしまうおそれがある。このようなことでは、LEDモジュール93ひいてはLED照明装置Xの発光効率を低下させてしまう。
【0006】
また、封止樹脂93dがLEDベアチップ93bを直接覆っているため、LEDベアチプ93bの熱が封止樹脂93dへと直ちに伝わってしまう。封止樹脂93dに含まれる上記蛍光材料は、青色光から黄色光への変換効率が温度に依存する。このため、LEDベアチップ93bの昇温によって上記蛍光材料が昇温すると、青色光と黄色光との割合が変化する。これにより、LED照明装置Xを点灯させた直後と、ある程度時間が経過した後とでは、白色光Lwの色温度が変わってしまうという問題があった。
【0007】
さらに、封止樹脂93dは、たとえば透明な液体樹脂材料に上記蛍光材料を混入したものをリフレクタ93c内に滴下し、これを硬化させることによって形成される。滴下される液体樹脂材料の量は、その粘度や滴下状態によって大きく左右される。また、液体樹脂材料が硬化する過程や、LED照明装置Xが使用されている間に、封止樹脂93dが膨張または収縮するおそれがある。これらの理由により、個々のLEDモジュール93によって封止樹脂93dの厚さが異なってしまうことがある。このようなことでは、個々のLEDモジュール93によって色温度が異なってしまい、LED照明装置Xの色温度が不均一となることが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3148721号公報
【特許文献2】特開2000−223749号公報
【特許文献3】再公表2006−064930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、LEDベアチップからの放熱性を高めるとともに、色温度の変化を抑制することが可能なLED照明装置および液晶表示装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面によって提供されるLED照明装置は、複数のLEDベアチップと、上記複数のLEDベアチップが直接搭載された導通支持部材と、を備えることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、上記LEDベアチップからの熱は、上記導通支持部材に対して直接伝えられる。したがって、上記LEDベアチップからの放熱を促進することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導通支持部材は、金属からなる本体、上記本体の少なくとも一部を覆う絶縁膜、および上記絶縁膜上に形成された配線パターンからなる。このような構成によれは、上記LEDベアチップからの放熱を促進するのに適している。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数のLEDベアチップは、上記本体のうち上記絶縁膜から露出した部分に搭載されている。このような構成によれは、上記LEDベアチップからの放熱を促進するのに好適である。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数のLEDベアチップに対して離間した位置において上記複数のLEDベアチップを覆っており、かつ上記LEDベアチップからの光によって励起されることにより上記LEDベアチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光材料を含む、蛍光層をさらに備える。このような構成によれば、上記LEDベアチップに発生した熱は、上記蛍光層へと伝わりにくい。したがって、上記蛍光層の昇温を抑制することが可能であり、たとえば上記LED照明装置を点灯した直後と、点灯後にしばらく時間が経過したときとで、出射する光の色温度が変化することを抑制することができる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数のLEDベアチップに対して離間した位置において上記複数のLEDベアチップを覆うカバーをさらに備えている。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記蛍光層は、上記カバーに接合されている。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記蛍光層は、上記カバーに対して離間しており、かつ上記カバーよりも上記複数のLEDベアチップに近い位置に設けられている。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記カバーは、透明である。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記蛍光層は、透明な樹脂、およびこの樹脂に混入された上記蛍光材料からなる。
【0020】
本発明の第2の側面によって提供される液晶表示装置は、本発明の第1の側面によって提供されるLED照明装置と、上記LED照明装置からの光を画素単位で透過させまたは遮蔽することが可能な液晶パネルと、を備えることを特徴としている。
【0021】
このような構成によれば、上記液晶表示装置によって表示される画像の色合いを適切に保つことが可能である。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、金属からなる筐体をさらに備えており、上記導通支持部材が上記筐体に接している。このような構成によれば、上記LED照明装置の上記LEDベアチップからの熱を上記筐体へと逃がすことが可能であり、上記LEDベアチップの放熱をさらに促進できる。
【0023】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に基づくLED照明装置およびこれを用いた液晶表示装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1に示すLED照明装置を示す要部拡大平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に基づくLED照明装置を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に基づくLED照明装置を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に基づくLED照明装置を示す断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態に基づくLED照明装置を示す断面図である。
【図9】従来のLED照明装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0026】
図1および図2は、本発明に係る液晶表示装置の一例を示している。本実施形態の液晶表示装置Bは、LED照明装置A1、筐体5、拡散板6、および液晶パネル7を備えており、たとえば家庭で用いられるいわゆる薄型テレビとして構成されている。
【0027】
筐体5は、浅底箱状であり、LED照明装置A1、筐体5、拡散板6、および液晶パネル7を収容している。好ましくは、筐体5は、少なくともその底部がたとえばAlなどの金属からなる。
【0028】
LED照明装置A1は、本発明の第1実施形態に基づくLED照明装置であり、液晶表示装置Bのいわゆるバックライトとして用いられている。本実施形態においては、LED照明装置A1は、U字状とされており、白色光Lwを発する。
【0029】
拡散板6は、LED照明装置A1からの光を透過させつつ、拡散させるためのものであり、LED照明装置A1と液晶パネル7との間に配置されている。拡散板6は、たとえば乳白色を呈した半透明の樹脂からなり、たとえば、その片面あるいは両面が凹凸状とされている。
【0030】
液晶パネル7は、たとえば隙間を隔てて互いに対向する1対の透明基板と、これらの透明基板に挟まれた液晶層とを備えている。上記透明基板には、パッシブマトリクス方式、あるいはアクティブマトリクス方式の複数の画素電極(図示略)が作りこまれている。これらの画素電極に電圧を印加すると、上記液晶層の配向特性が変化する。これにより、液晶パネル7は、画素ごとに光を透過させ、あるいは遮蔽することが可能に構成されている。
【0031】
図3および図4に示すように、LED照明装置A1は、基板1、複数のLEDベアチップ2、蛍光層3、およびカバー4を備えており、封止樹脂を用いることなく蛍光層3およびカバー4によって複数のLEDベアチップ2を覆っている。なお、図3においては、蛍光層3およびカバー4を省略している。
【0032】
基板1は、平面視U字状とされており、本体11、絶縁膜12、および配線パターン13を有している。本体11は、たとえばAl製である。絶縁膜12は、本体11の一部を覆っており、たとえばAl23またはSiO2からなる。本実施形態においては、絶縁膜12は、本体11の幅方向中央領域を露出させるように形成されている。配線パターン13は、Au,Cu,Ni、またはそれらの合金からなり、絶縁膜12上にパターン形成されている。本実施形態においては、配線パターン13は、本体11のうち絶縁膜12から露出した帯状部分を挟む1対の帯状部分を有している。また、配線パターン13は、図3に示すように、基板1の長手方向中央線を跨ぐ部分を有している。この部分を有することにより、配線パターン13は、複数のLEDベアチップ2を、それぞれが直列に接続された複数のLEDベアチップ2を含む複数の組が、互いに並列に接続されるように導通させる。本実施形態においては、図2および図4から理解されるように、基板1の本体11が、筐体5に対して直接接合されている。
【0033】
図3に示すように、複数のLEDベアチップ2は、基板1の長手方向に沿ってほぼ等間隔で配置されている。LEDベアチップ2は、たとえばGaN基板と、これに積層されたn型半導体層、活性層、p型半導体層、p側電極、およびn側電極(いずれも図示略)を有している。上記n型半導体層および上記p型半導体層は、たとえばGaN系半導体からなる。上記活性層は、上記n型半導体層および上記p型半導体層によって挟まれており、多重量子井戸(MQW)構造を有する。このようなLEDベアチップ2は、たとえば青色光Lbを発する。上記p側電極は、上記p型半導体層に導通しており、上記n側電極は、上記n型半導体層に導通している。上記p側電極および上記n側電極には、それぞれボンディングワイヤ21の一端が接合されている。これらのボンディングワイヤ21の他端は、配線パターン13に接合されている。このように、LEDベアチップ2は、2本のボンディングワイヤ21を介して電力が供給される、いわゆる2ワイヤ型のLEDベアチップとして構成されている。LEDベアチップ2は、その平面視寸法がたとえば0.3mm各程度、厚さがたとえば0.1〜0.2mmである。
【0034】
蛍光層3は、たとえばYAG蛍光体に代表される、青色光Lbによって励起されることにより黄色光Lyを発する蛍光物質を含む層である。本実施形態においては、蛍光層3はフィルム状に形成されており、カバー4の内面に貼り付けられている。フィルム状の蛍光層3は、たとえば図示しない基台上のフィルム基材に上記蛍光材料あるいはこの蛍光材料が混入された液体樹脂材料を印刷することによって形成できる。このような手法によれば、蛍光層3の厚さを比較的正確に調整することができる。上記蛍光材料は、その粒径がたとえば10μm程度であり、たとえば一般的な蛍光灯に用いられる蛍光物質よりも粒径が大きい。蛍光層3の厚さの均一度が、出射光の色温度などの特性に与える影響は、一般的な蛍光灯の場合は比較的小さい。なぜなら、可視光ではない紫外線を蛍光材料によってか指向である白色光に変換する原理であるため、変換量の大小は色温度に影響を及ぼさないからである。これに対し、LEDベアチップ2と蛍光材料とを組み合わせることによって白色光を発する構成の場合、蛍光層3の厚さによって青色光Lbと黄色光Lyとの割合が大きく変化するため、厚さの均一度が色温度などの特性に与える影響が比較的大きい。
【0035】
カバー4は、複数のLEDベアチップ2を保護するためのものであり、基板1と同様に平面視U字状であり、断面半円弧形状とされている。本実施形態においては、カバー4は、たとえば無色透明なポリカーボネート樹脂によって形成されている。
【0036】
次に、LED照明装置A1および液晶表示装置Bの作用について説明する。
【0037】
本実施形態によれば、LEDベアチップ2からの熱は、基板1に対して直接伝えられる。このため、図9に示す例のようにLEDモジュール93の形態で基板91に搭載される構成と比較して、LEDベアチップ2からの放熱を促進することができる。特に、本実施形態においては、本体11のうち絶縁膜12から露出した部分にLEDベアチップ2が搭載されている。これは、LEDベアチップ2から基板1への放熱を促進するのに好適である。本体11の材質としてAlを採用することは、LEDベアチップ2からの放熱促進に有利である。さらに、基板1は、Alからなる筐体5に直接接合されている。このため、LEDベアチップ2から本体11へと伝わった熱を、速やかに筐体5へと逃がすことが可能である。
【0038】
蛍光層3は、LEDベアチップ2から離間した位置に設けられている。このため、LEDベアチップ2に発生した熱は、蛍光層3へと伝わりにくい。このため、蛍光層3の昇温を抑制することが可能であり、たとえばLED照明装置A1を点灯した直後と、点灯後にしばらく時間が経過したときとで、青色光Lbと黄色光Lyとの比率が大きく変わることを回避することができる。したがって、LED照明装置A1から発せられる白色光Lwの色温度を常に一定に保つことが可能であり、液晶表示装置Bによって表示される画像の色合いを適切なものとすることができる。また、図9に示したLEDモジュール93と比較して特性をそろえやすい複数のLEDベアチップ2と、正確に厚みを調整した蛍光層3とを用いるため、所望の特性(色温度)を低コストで容易に実現することができる。従来技術による例のように、LEDモジュール93を用いる場合、所望の特性(色温度)のLEDモジュール93を十分に良好な歩留まりで生産することが困難であり、高コストとなった。
【0039】
蛍光層3に含まれる蛍光物質は、比較的その粒径が大きいため、青色光Lbから黄色光Lyへの変換と併せて、蛍光物質が青色光Lbおよび黄色光Lyを拡散させる効果が期待できる。これを考慮して、本実施形態においては、カバー4が無色透明とされている。このため、カバー4によっては、青色光Lbおよび黄色光Lyが混色されることによって得得られる白色光Lwが減衰されることを抑制可能である。したがって、LED照明装置A1の光量を増加することが可能であり、液晶表示装置Bの高輝度化を図ることができる。
【0040】
図5〜図8は、本発明に係るLED照明装置の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0041】
図5は、本発明の第2実施形態に基づくLED照明装置を示している。本実施形態のLED照明装置A2は、蛍光層3の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、蛍光層3は、カバー4から離間しており、カバー4に対して内側に設けられている。蛍光層3は、たとえば上述した蛍光物質が混入された樹脂からなり、カバー4を小径化したような、断面半円弧形状とされている。
【0042】
このような実施形態によっても、LEDベアチップ2からの放熱促進や、白色光Lwの色温度の変化抑制を図ることが可能である。さらに、本実施形態によれば、上述した第1実施形態よりも、蛍光層3の体積を縮小することが可能である。これにより、蛍光物質の使用量を抑えることが可能であり、コスト抑制に有利である。
【0043】
図6は、本発明の第3実施形態に基づくLED照明装置を示している。本実施形態のLED照明装置A3は、蛍光層3の構成が上述したいずれの実施形態とも異なっている。本実施形態においては、蛍光層3は、蛍光材料が混入された透明な樹脂材料からなり、上述した第1および第2実施形態においてカバー4が置かれていた位置に配置されている。そして、上述した実施形態のカバー4が省略されている。すなわち、蛍光層3が青色光Lbから黄色光Lyへの光変換機能と、LEDベアチップ2の保護機能とを兼ねる構成とされている。
【0044】
このような実施形態によれば、LEDベアチップ2からの放熱促進や、白色光Lwの色温度の変化抑制を図ることが可能であることに加え、LED照明装置A3の構成部品点数を削減可能であり、コスト抑制に有利である。
【0045】
図7および図8は、それぞれ本発明の第4実施形態および第5実施形態に基づくLED照明装置を示している。これらの実施形態は、LEDベアチップ2の構成が、上述したいずれの実施形態とも異なっており、蛍光層3の構成が上述した第1実施形態と同様とされている。なお、これらの実施形態においても上述した第2および第3実施形態と同様の構成の蛍光層3を採用してもよい。
【0046】
図7に示されたLED照明装置A4においては、LEDベアチップ2がいわゆる1ワイヤ型のLEDベアチップとして構成されている。具体的には、互いに積層されたn型半導体層、活性層、p型半導体層(いずれも図示略)のうち、上記n型半導体層が配線パターン13に対して導電性接着材を介して接合されている。上記n型半導体層は、導電性基板を含んでもよい。一方、上記p型半導体層に導通するp側電極(図示略)と配線パターン13とが、ボンディングワイヤ21によって導通している。このような実施形態によっても、LEDベアチップ2からの放熱促進や、白色光Lwの色温度の変化抑制を図ることが可能である。
【0047】
図8に示されたLED照明装置A5においては、LEDベアチップ2がいわゆるフリップチップ型のLEDベアチップとして構成されている。具体的には、上述した第1実施形態に用いられた2ワイヤ型のLEDベアチップ2が天地逆となった構造を有しており、上述したn側電極およびp側電極に導通するn側バンプおよびp側バンプ(いずれも図示略)を有している。これらのn側バンプおよびp側バンプが、たとえばハンダを介して配線パターン13に接合されている。このようなLEDベアチップ2は、たとえばリフローの手法によって基板1に搭載することができる。このような実施形態によっても、LEDベアチップ2からの放熱促進や、白色光Lwの色温度の変化抑制を図ることが可能である。さらに、ボンディングワイヤ21を備えていないことにより、LED照明装置A5の製造工程においては、ボンディングワイヤ21を断線させるおそれがない。
【0048】
本発明に係るLED照明装置および液晶表示装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るLED照明装置および液晶表示装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0049】
LEDベアチップ2を封止樹脂によって覆わない構成について説明したが、これに限るものではない。たとえば、樹脂による影響を小さなものとするように、LEDベアチップ2のごく周辺のみをポッティングなどにより形成した封止樹脂によって覆ってもよい。LEDベアチップ2としては、青色光Lbを発するものに限定されず、青色光〜紫外光に含まれる波長領域の光を発するものであれば、蛍光材料を励起することにより白色光を生成する源光として用いることができる。蛍光材料としては、青色光によって励起されることにより黄色光を発するものに限定されず、たとえば青色光によって励起されることにより緑色光を発する蛍光材料と赤色光を発する蛍光材料とを混合して用いてもよい。
【0050】
複数のLEDベアチップ2として、単色を発するもののみを用いることに限定されない。たとえば、複数のLEDベアチップ2として、赤色光、緑色光、青色光を発するものを用意し、図3に示した配置において、これらの色を発するものを順に設けてもよい。このような構成においては、3色の光が混色することにより白色光が得られるため、蛍光層3を省略してもよい。
【0051】
本発明でいう導通支持部材は、複数のLEDベアチップ2を支持しつつこれに電力供給可能な形態を有するものを指す概念である。すなわち、導通支持部材としては、広く基板として分類されるものを含み、さらに基板として分類されるもの以外に、たとえば図9に示す放熱部材92上に絶縁膜を介して配線パターンを形成したものなどを含む。
【0052】
本発明にかかるLED照明装置は、液晶表示装置のバックライトとして用いられるのに適しているが、その用途はこれに限定されず、様々な電化製品の光源、さらには蛍光灯の代替手段として広く用いることができる。本発明にかかるLED照明装置は、その用途に応じて、U字状のもの以外に、直棒状やリング状など、様々な形状とすることができるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0053】
A1〜A5 LED照明装置
B 液晶表示装置
1 基板(導通支持部材)
2 LEDベアチップ
3 蛍光層
4 カバー
5 筐体
6 拡散板
7 液晶パネル
11 本体
12 絶縁膜
13 配線パターン
21 ボンディングワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDベアチップと、
上記複数のLEDベアチップが直接搭載された導通支持部材と、
を備えることを特徴とする、LED照明装置。
【請求項2】
上記導通支持部材は、金属からなる本体、上記本体の少なくとも一部を覆う絶縁膜、および上記絶縁膜上に形成された配線パターンからなる、請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
上記複数のLEDベアチップは、上記本体のうち上記絶縁膜から露出した部分に搭載されている、請求項2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
上記複数のLEDベアチップに対して離間した位置において上記複数のLEDベアチップを覆っており、かつ上記LEDベアチップからの光によって励起されることにより上記LEDベアチップからの光とは異なる波長の光を発する蛍光材料を含む、蛍光層をさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項5】
上記複数のLEDベアチップに対して離間した位置において上記複数のLEDベアチップを覆うカバーをさらに備えている、請求項4に記載のLED照明装置。
【請求項6】
上記蛍光層は、上記カバーに接合されている、請求項5に記載のLED照明装置。
【請求項7】
上記蛍光層は、上記カバーに対して離間しており、かつ上記カバーよりも上記複数のLEDベアチップに近い位置に設けられている、請求項5に記載のLED照明装置。
【請求項8】
上記カバーは、透明である、請求項5ないし7のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項9】
上記蛍光層は、透明な樹脂、およびこの樹脂に混入された上記蛍光材料からなる、請求項4に記載のLED照明装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のLED照明装置と、
上記LED照明装置からの光を画素単位で透過させまたは遮蔽することが可能な液晶パネルと、
を備えることを特徴とする、液晶表示装置。
【請求項11】
金属からなる筐体をさらに備えており、
上記導通支持部材が上記筐体に接している、請求項10に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−267826(P2010−267826A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118145(P2009−118145)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】