説明

MDM2の小分子阻害剤およびその使用

【課題】p53腫瘍抑制因子とタンパク質MDM2との間の相互作用のアンタゴニストとして機能する小分子、ならびに癌および他の疾患の処置のための治療剤の提供。
【解決手段】下記一般式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。


[式I中、XはCH、O、N、またはSであり、YはO、SまたはNR'である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、医薬品化学の分野にある。特に、本発明は、p53とMDM2との間の相互作用のアンタゴニストとして機能する小分子、ならびに癌および他の疾患の処置のための新規なクラスの治療剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
攻撃的な癌細胞表現型は、細胞内シグナル伝達経路の調節不全につながる種々の遺伝的および後成的な変化の結果である(Ponder, Nature 411:336 (2001)(非特許文献1))。しかし、すべての癌細胞の共通点は、アポトーシスプログラムを実行することのそれらの失敗であり、そして正常なアポトーシス機構の欠損に起因する適切なアポトーシスの欠損は癌の特質である(Lowe et al, Carcinogenesis 21:485 (2000)(非特許文献2))。従って、正常のアポトーシス機構の欠損に起因する、癌細胞がアポトーシスプログラムを実行することができないのは、しばしば、化学療法、放射線、または免疫療法誘導性のアポトーシスへの抵抗性の増加に関連する。アポトーシスの欠損に起因する、現在の処置プロトコールに対する異なる起源のヒト癌の原発性または後天性の抵抗性は、現在の癌治療における主要な問題である(Lowe et al, Carcinogenesis 21:485 (2000)(非特許文献2); Nicholson, Nature 407:810 (2000)(非特許文献3))。従って、癌患者の生存および生活の質を改善するための、新たな分子標的特異的抗癌治療を設計および開発することに向けた現在および将来の努力は、アポトーシスに対する癌細胞の抵抗性を特異的に標的化するストラテジーを含まなくてはならない。この点に関して、癌細胞においてアポトーシスを直接的に阻害する際の中心的な役割を果たす決定的な負の調節因子を標的化することは、新たな抗癌薬物設計のための高度に前途有望な治療ストラテジーを表す。
【0003】
p53腫瘍抑制因子は、細胞周期の進行およびアポトーシスを制御する際に中心的な役割を果たす(Vogelstein et al, Nature 408:307 (2000)(非特許文献4))。その腫瘍抑制因子活性は腫瘍細胞を根絶するように刺激され得るので、これは抗癌薬物設計のための魅力的な治療標的である(Vogelstein et al, Nature 408:307 (2000)(非特許文献4); Chene, Nat. Rev. Cancer 3:102 (2003)(非特許文献5))。p53の活性を刺激することに対する新規なアプローチは、非ペプチド性小分子阻害因子を使用して、タンパク質MDM2とのその相互作用の阻害を通してである(Chene, Nat. Rev. Cancer 3:102 (2003)(非特許文献5); Vassilev et al, Science 303:844 (2004)(非特許文献6))。MDM2およびp53は、自己調節フィードバックループの一部である(Wu et al, Genes Dev. 7:1126 (1993)(非特許文献7))。MDM2は、p53およびMDM2によって転写が活性化され、次には、少なくとも3つのメカニズムによってp53活性を阻害する(Wu et al, Genes Dev. 7:1126 (1993)(非特許文献7)。第1に、MDM2タンパク質は、p53トランス活性化ドメインに直接的に結合し、それによって、p53-媒介性トランス活性化を阻害する。第2に、MDM2タンパク質は、核搬出シグナル配列を含み、そしてp53への結合に際して、p53の核搬出を誘導して、標的化されたDNAにp53が結合することを妨害する。第3に、MDM2タンパク質はE3ユビキチンリガーゼであり、p53への結合に際して、p53の分解を促進することが可能である。それゆえに、p53活性の強力な内因性細胞阻害剤として機能することによって、MDM2は、p53-媒介性アポトーシス、細胞周期停止、およびDNA修復を効率的に阻害する。それゆえに、MDM2に結合し、かつMDM2とp53との間の相互作用を遮断する小分子阻害剤は、機能的p53を有する細胞中でのp53の活性を促進し、そして細胞周期停止、アポトーシス、またはDNA修復などのp53媒介性細胞効果を刺激することができる(Chene, Nat. Rev. Cancer 3:102 (2003)(非特許文献5); Vassilev et al, Science 303:844 (2004)(非特許文献6))。
【0004】
高親和性ペプチドを用いた阻害剤は、過去においてうまく設計されてきたが(Garcia-Echeverria et al, Med. Chem 43:3205 (2000)(非特許文献8))、これらの阻害剤は、それらの乏しい細胞透過性およびインビボ生物学的利用能ゆえに、薬物様分子ではない。製薬業界による集中的な取り組みにも関わらず、高スループットスクリーニングストラテジーは、強力な非ペプチド小分子阻害剤を同定する際に非常に不十分な効果しか有さなかった。従って、p53-MDM2相互作用の非ペプチド性、薬物様、小分子阻害剤についての必要性が存在する。
【0005】
p53-MDM2相互作用を標的とする非ペプチド性小分子阻害剤の設計は、現在、抗癌薬物設計のための魅力的なストラテジーとして追求されてきた(Chene, Nat. Rev. Cancer 3:102 (2003)(非特許文献5); Vassilev et at, Science 303:844 (2004)(非特許文献6))。この相互作用の構造的基礎は、x線結晶学によって確立されてきた(Kussie et al, Science 274:948 (1996)(非特許文献9))。結晶構造は、p53とMDM2との間の相互作用が、p53からの3つの疎水性残基(Phe19、Trp23およびLeu26)、およびMDM2における小さな深い疎水性間隙によって主として媒介されることを示す。この疎水性間隙は、p53-MDM2相互作用を破壊することができる小分子阻害剤を設計するための理想的な部位である(Chene, Nat. Rev. Cancer 3:102 (2003)(非特許文献5))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ponder, Nature 411:336 (2001)
【非特許文献2】Lowe et al, Carcinogenesis 21:485 (2000)
【非特許文献3】Nicholson, Nature 407:810 (2000)
【非特許文献4】Vogelstein et al, Nature 408:307 (2000)
【非特許文献5】Chene, Nat. Rev. Cancer 3:102 (2003)
【非特許文献6】Vassilev et al, Science 303:844 (2004)
【非特許文献7】Wu et al, Genes Dev. 7:1126 (1993)
【非特許文献8】Garcia-Echeverria et al, Med. Chem 43:3205 (2000)
【非特許文献9】Kussie et al, Science 274:948 (1996)
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
遺伝子の損傷またはアポトーシスの誘導因子(抗癌剤および放射線など)への曝露に応答して、癌細胞またはそれらの支持細胞がアポトーシスを受けることができないことは、癌の発生および進行の主要な要因であることが一般的に受け入れられている。癌細胞またはそれらの支持細胞(例えば、腫瘍血管系における新生血管細胞)におけるアポトーシスの誘導は、市販されまたは現在実施されている、有効な癌治療薬または放射線治療の実質的にすべてについての作用の普遍的なメカニズムであると考えられている。細胞がアポトーシスを受けることができないことの1つの理由は、多くの場合において、機能的p53を含む腫瘍細胞におけるp53に対するMDM2の阻害作用に起因する、p53の腫瘍抑制活性の減少である。p53活性の阻害は、アポトーシス経路の変化ならびに細胞周期の調節を生じる。
【0008】
本発明は、p53またはp53関連タンパク質とMDM2またはMDM2関連タンパク質(例えば、MDMX)との間の相互作用を阻害することによる、p53およびp53関連タンパク質(例えば、p63、p73)の機能を増加させる薬物(例えば、小分子)の有効量への、癌に罹患している動物の曝露が、癌細胞もしくは支持細胞の増殖を阻害し、および/またはこのような集団を、癌治療薬もしくは放射線治療の細胞死誘導活性に対してより感受性にすることを意図する。特に、本発明の阻害剤は、通常はp53の分解を促進するp53-MDM2相互作用を干渉することによって、p53の半減期を延長する可能性がある。本発明は、p53またはp53関連タンパク質とMDM2またはMDM2関連タンパク質との間の相互作用の阻害剤が、細胞増殖、アポトーシス、および/または細胞周期停止を誘導するための単独療法として投与された場合に、あるいは、癌治療薬または放射線治療単独のみを用いて処置された動物における細胞の対応する割合と比較して、より大きな割合の癌細胞または支持細胞を、アポトーシスを実行することに対して感受性にするために、他の細胞死誘導性もしくは細胞周期を破壊する癌治療薬、または放射線治療などのさらなる作用因子との時間的関係の中で投与される場合に(組み合わせ治療)、複数の癌の種類の処置のための満たされていない必要性を満たすことを意図する。
【0009】
本発明の特定の態様において、治療上有効量の本発明の化合物、および抗癌剤または放射線の治療単位を用いた、動物の組み合わせ処置は、本発明の化合物または抗癌薬物/放射線単独で処置したものと比較して、このような動物において、より大きな腫瘍応答および臨床的利益を生じる。言い換えれば、本発明の化合物は、すべての細胞のアポトーシスの閾値を低下させるので、抗癌薬物/放射線のアポトーシス誘導活性に応答するアポトーシスプログラムを首尾よく実行する。または、本発明の化合物は、より低い、それゆえにより毒性が低くかつ耐容性である、抗癌薬物および/または放射線の用量の投与を許容して、従来の用量の抗癌薬物/放射線単独と同じ腫瘍応答/臨床的利益を生じるために使用される。すべての認可された抗癌薬物および放射線治療についての用量は公知であるので、本発明は、本発明の化合物とこれらの種々の組み合わせを意図する。また、本発明の化合物は、少なくとも部分的に、p53およびp53関連タンパク質のアポトーシス誘発活性および/または細胞周期阻害活性を刺激することによって作用する可能性があるので、治療上有効量の化合物への癌細胞および支持細胞の曝露は、抗癌剤または放射線治療に応答してアポトーシスプログラムを実行するための細胞の試みと一致させるために時間的に関連付けるべきである。従って、ある態様において、特定の時間的な関連物と結び付けて本発明の組成物を投与することは、とりわけ有効な治療的手法を提供する。
【0010】
本発明の他の態様において、p53またはp53関連タンパク質とMDM2またはMDM2関連タンパク質との間の相互作用の阻害剤は、おそらく、細胞周期停止を誘導する阻害剤の能力を通して、正常(例えば、過剰増殖性でない)細胞を特定の化学療法剤および放射線の毒性効果から保護する可能性がある。特に、本発明の阻害剤は、変異型または欠失型のp53を含む癌細胞に対しては効果を有さないままで、野生型p53を含む細胞中で細胞周期停止を引き起こす可能性がある。このディファレンシャルな保護効果は、化学療法剤のより高用量の使用もしくはより長い処置、またはこのような処置の毒性副作用を増加させることのない処置を可能にすることによって、癌のより有効な処置を可能にし得る。
【0011】
本発明は、p53またはp53関連タンパク質とMDM2またはMDM2関連タンパク質との間の相互作用を阻害するため、ならびにアポトーシスおよび/または細胞周期停止の誘導因子に対する細胞の感受性を増加させるのに有用な化合物に関する。1つの特定の態様において、この化合物は、下記式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグである:

式中、
XはCH、O、N、またはSであり、ここで、XがOまたはSである場合、R8が存在せず、YはO、SまたはNR'であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、独立して、H、もしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、もしくはNR'R''であり;または
R7は、R5またはR6の1つとともに、アリール、シクロアルキル、または複素環基を形成し;
R8は、Hまたは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、SO2NR'R''、または(C=NR')NR''R'''であり、
R9は、H、F、Cl、Br、I、OH、NO2、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、OR'、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、またはNR'R''から独立して選択される1〜4個の基であり;ならびに
各R'、R''、およびR'''は、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、もしくは複素環であり;または、
R'およびR''、もしくはR''およびR'''は環を形成し;または、
R3とR4の1つがCONRR'である場合、RとR'の1つはさらに

であり得;ならびに
n、m、およびpは各々独立して1〜6である。
【0012】
本発明は、p53またはp53関連タンパク質とMDM2またはMDM2関連タンパク質との間の相互作用の阻害剤である、式Iによって表される化合物に関する。本発明は、機能的p53またはp53関連タンパク質を含む細胞中で細胞周期停止および/またはアポトーシスを誘導するための本発明の化合物の使用に関する。本発明はまた、アポトーシスおよび/または細胞周期停止の誘導因子などのさらなる作用因子に対して細胞を感作させるため、ならびに化学療法剤を用いる処置の前に細胞周期停止の誘導を通しての正常細胞の化学防御のための本発明の化合物の使用に関する。1つの態様において、本発明は、本発明の化合物と細胞を接触させる工程を含む、正常細胞を化学療法剤または処置に抵抗性にする方法に関する。1つの態様において、本発明は、過剰増殖性疾患を有する動物に本発明の化合物を投与する工程を含む、化学療法剤または処置の毒性副作用から、該動物における正常細胞を保護する方法に関する。特定の態様において、本発明は、本発明の化合物を化学療法を受けている動物に投与することによって、正常非癌性細胞への化学療法剤の投与によって引き起こされる障害、副作用、または状態の処置、寛解、または予防に向けられる。化学療法によって引き起こされるこのような障害および状態の例には、粘膜炎、口内炎、口腔乾燥症、胃腸障害、または脱毛症が含まれるがこれらに限定されない。
【0013】
本発明の化合物は、アポトーシス性細胞死の誘導に対して応答性であるものなどの障害、例えば、癌などの過剰増殖性疾患を含む、アポトーシスの調節不全によって特徴付けられる障害の処置、寛解、または予防のために有用である。特定の態様において、これらの化合物は、癌治療に対する抵抗性によって特徴付けられる癌(例えば、化学療法剤抵抗性、放射線抵抗性、ホルモン抵抗性などである癌細胞)を処置、寛解、または予防するために使用することができる。他の態様において、これらの化合物は、機能的p53またはp53関連タンパク質の発現によって特徴付けられる過剰増殖性疾患を処置するために使用することができる。他の態様において、本発明は、これらの細胞における化学療法剤および細胞周期停止の誘導による処置の毒性副作用から、正常(例えば、過剰増殖性でない)細胞を保護するための本発明の化合物の使用に関する。
【0014】
本発明は、細胞中でアポトーシスを誘導するために、またはアポトーシスの誘導因子に対して細胞を感作させるために、治療上有効量の式Iの化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0015】
本発明はさらに、式Iの化合物、および動物にこの化合物を投与するための説明書を含むキットを提供する。これらのキットは、他の治療剤、例えば、抗癌剤またはアポトーシス調節剤を任意に含んでもよい。
【0016】
本発明はまた、式Iの化合物を作製する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】スピロトリプロスタチンAに基づく新規なクラスのMDM2阻害剤の設計を示す。
【図2】図2Aおよび2Bは、MDM2への化合物1aおよび1dの予想結合モデルを示す。
【図3】(1''R,2''S,2'R,3'R,3S,4'R) 6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-2'-(3-メチル-ブチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミドのX線構造を示す。
【図4】図4Aは、MDM2タンパク質へのPMDM6-Fの結合の飽和曲線を示す。図4Bは、MDM2タンパク質への非標識蛍光プローブPMDM6およびネイティブp53ペプチドの競合的結合曲線を示す。
【図5】FPに基づく結合アッセイを使用して決定されるような、競合的結合曲線およびMDMの阻害剤のKi値を示す。
【図6】WST細胞増殖アッセイによって決定されるような、野生型p53を用いてのLNCaP前立腺癌細胞の細胞増殖の阻害を示す。
【図7】WST細胞増殖アッセイによって決定されるような、変異型p53を用いてのPC3前立腺癌細胞の細胞増殖の阻害を示す。
【図8】WST細胞増殖アッセイによって決定されるような、野生型p53を用いてのPrEC正常ヒト前立腺上皮細胞の細胞増殖の阻害を示す。
【図9】p53-MDM2相互作用の数種の阻害剤の競合的結合曲線を示す。
【図10】Ke-43によるp53-MDM2相互作用の破壊を示す。
【図11】野生型p53を有するかまたは有さない結腸癌細胞、および正常細胞におけるKe-43の細胞増殖阻害活性を示す。
【図12】Ke-43に応答した癌細胞におけるp53、およびその標的遺伝子産物MDM2、およびp21の発現のウェスタンブロット分析を示す。
【図13】図13Aおよび14Bは、癌細胞および正常細胞におけるKe-43およびKe-61によって誘導される細胞死およびアポトーシスを示す。
【図14】Ke-43およびナットリン-3を用いる処理後に、野生型p53または変異型p53を発現する結腸細胞株および正常結腸細胞の細胞周期進行を示す。
【図15】Ke-63によるタキソール処理からの正常細胞の保護を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、式Iによって表される化合物に関し、これは、p53またはp53関連タンパク質とMDM2またはMDM2関連タンパク質との間の相互作用の阻害剤として機能する。p53またはp53関連タンパク質に対するMDM2またはMDM2関連タンパク質の負の効果を阻害することによって、これらの化合物は、アポトーシスおよび/または細胞周期停止の誘導因子に対して細胞を感作させ、そしてある例においては、それ自体がアポトーシスを誘導し、および/または細胞周期停止を誘導する。それゆえに、本発明は、単独で、またはさらなる作用因子、例えば、アポトーシスの誘導因子または細胞周期の破壊因子との組み合わせて、化合物Iの化合物と細胞を接触させる工程を含む、アポトーシスおよび/または細胞周期停止の誘導因子に対して細胞を感作させる方法、ならびに細胞においてアポトーシスおよび/または細胞周期停止を誘導する方法に関する。本発明はさらに、式Iの化合物およびさらなる作用因子、例えば、アポトーシスの誘導因子を動物に投与する工程を含む、アポトーシスの誘導に対して応答性であるものなどの動物における障害を処置、寛解、または予防する方法に関する。このような障害には、アポトーシス調節不全によって特徴付けられるもの、および機能的p53またはp53関連タンパク質を発現する細胞の増殖によって特徴付けられるものが含まれる。他の態様において、本発明は、式Iの化合物を動物に投与する工程を含む、化学療法剤および処置の毒性副作用から動物における正常(例えば、過剰増殖性でない細胞)を保護する方法に関する。
【0019】
「抗癌剤」および「抗癌薬物」という用語は、本明細書で使用される場合、癌などの過剰増殖性疾患の処置において(例えば、哺乳動物において)使用される、任意の治療剤(例えば、化学療法化合物および/または分子治療化合物)、アンチセンス治療、放射線治療、または外科的処置をいう。
【0020】
「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用される場合、プロドラッグを活性な薬物に遊離または転換するために(例えば、酵素的に、生理学的に、機械的に、電磁的に)、標的に生理学的系の中で生物転換(例えば、自発的または酵素的のいずれか)を必要とする親の「薬物」分子の薬理学的に不活性な誘導体をいう。プロドラッグは、安定性、毒性、特異性の欠如、または生物学的利用能の制限に関連する問題を克服するように設計される。例示的なプロドラッグは、活性な薬物分子それ自体および化学マスキング基(例えば、薬物の活性を可逆的に抑制する基)を含む。ある好ましいプロドラッグは、代謝条件下で切断可能な基を有する化合物のバリエーションまたは誘導体である。例示的なプロドラッグは、これらが生理学的条件下で加溶媒分解を受けるか、または酵素的分解もしくは他の生化学的転換(例えば、リン酸化、水素化、脱水素化、グリコシル化)を受ける場合、インビボまたはインビトロで薬学的に活性になる。プロドラッグは、しばしば、溶解性、組織適合性、または哺乳動物生物体における遅延放出を提供する(例えば、Bundgard, Design of Prodrugs, pp. 7-9, 21-24, Elsevier, Amsterdam (1985);およびSilverman, The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, pp. 352-401, Academic Press, San Diego, CA (1992)を参照されたい)。一般的なプロドラッグは、適切なアルコール(例えば、低級アルカノール)との親の酸の反応によって調製されたエステルなどの酸誘導体、アミンとの親の酸化合物の反応によって調製されたアミド、または反応してアシル化塩基誘導体を形成するための塩基性基(例えば、低級アルキルアミド)が含まれる。
【0021】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で使用される場合、標的動物(例えば、哺乳動物)において生理学的に許容される本発明の化合物の任意の塩(例えば、酸または塩基との反応によって得られる)をいう。本発明の化合物の塩は、無機または有機の酸および塩基から誘導されてもよい。酸の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸など。シュウ酸などの他の酸は、それ自体薬学的に許容されないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において利用されてもよい。
【0022】
塩基の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、および式NW4+の化合物、ここで、WはC1-4アルキルである、など。
【0023】
塩の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩など。塩の他の例には、Na+、NH4+、およびNW4+(ここで、WはC1-4アルキル基である)などのような適切なカチオンと化合物を形成する本発明の化合物のアニオンを含む。治療用途のために、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されるものとして意図される。しかし、薬学的に許容されない酸および塩基の塩もまた、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製において用途を見い出す可能性がある。
【0024】
「治療上有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、障害の1つまたは複数の徴候の寛解を生じ、または障害の進行を予防し、または障害の後退を引き起こすために十分な治療剤の量をいう。例えば、癌の処置に関しては、治療上有効量は、好ましくは、腫瘍増殖の速度を減少させ、腫瘍塊を減少させ、転移の数を減少させ、腫瘍の進行までの時間を増加させ、または生存時間を少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%増加させる治療剤の量をいう。
【0025】
「感作する」および「感作すること」は、本明細書で使用される場合、第1の作用因子(例えば、式Iの化合物)の投与を通して、第2の作用因子の生物学的効果(例えば、細胞分裂、細胞増殖、拡散、侵襲、血管形成、壊死、またはアポトーシスを含むがこれに限定されない細胞機能の1つの局面の促進または遅延)に対して、動物または動物の中の細胞をより感受性に、またはより応答性にすることをいう。標的細胞に対する第1の作用因子の感作効果は、第1の作用因子の投与ありおよび投与なしでの第2の作用因子の投与に際して観察される意図される生物学的効果(例えば、細胞増殖、拡散、侵襲、血管形成、またはアポトーシスを含むがこれに限定されない細胞機能の1つの局面の促進または遅延)の違いとして測定することができる。感作された細胞の応答は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも350%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、または少なくとも500%、第1の作用因子の非存在下における応答を超えて増加することができる。
【0026】
「アポトーシスの調節不全」という用語は、本明細書で使用される場合、アポトーシスを介して細胞が細胞死を受ける能力の任意の異常(例えば、素因)をいう。アポトーシスの調節不全は、種々の状態と関連するか、またはそれによって誘導され、その非限定的な例には、自己免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、対宿主性移植片病、重症筋無力症、またはシェーグレン病)、慢性炎症状態(例えば、乾癬、喘息、またはクローン病)、過剰増殖性疾患(例えば、腫瘍、B細胞リンパ種、またはT細胞リンパ腫)、ウイルス感染(例えば、ヘルペス、パピローマ、またはHIV)、ならびに変形性関節症およびアテローム性動脈硬化症などの他の状態が含まれる。この調節不全はウイルス感染によって誘導されるか、またはそれに関連し、このウイルス感染は、調節不全が起こるかまたはそれが観察される時点で検出されてもよく、または検出されなくてもよいことに注目するべきである。すなわち、ウイルス誘導性の調節不全は、ウイルス感染の徴候の消失後でさえ起こり得る。
【0027】
「機能的p53」という用語は、本明細書で使用される場合、野生型のp53の活性の少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以上の野生型活性を保持している、正常レベル、高レベル、または低レベルで発現された野生型p53および変異型p53をいう。
【0028】
「p53関連タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、p53と少なくとも25%の配列相同性を有し、抑制因子活性を有し、およびMDM2またはMDM2関連タンパク質との相互作用によって阻害されるタンパク質をいう。p53関連タンパク質の例には、p63およびp73が含まれるがこれらに限定されない。
【0029】
「MDM2関連タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、MDM2と少なくとも25%の配列相同性を有し、p53またはp53関連タンパク質と相互作用しかつこれを阻害するタンパク質をいう。MDM2関連タンパク質の例には、MDMXおよびHDM2が含まれるがこれらに限定されない。
【0030】
「過剰増殖性疾患」という用語は、本明細書で使用される場合、動物における増殖している細胞の集団の局在が、正常の増殖の通常の制限によっては支配されない任意の状態をいう。過剰増殖性障害の例には、腫瘍、新生物、リンパ腫などが含まれる。新生物は、それが侵襲または転移を受けない場合に良性といわれ、これらのいずれかを受ける場合に悪性であるといわれる。「転移性」細胞とは、細胞が、隣接している身体構造に侵襲し、かつこれを破壊し得ることを意味する。過形成は、構造または機能の有意な変化を伴うことなく、組織または器官中の細胞数の増加を含む細胞増殖の種類である。化生は、ある種類の完全に分化した細胞が別の種類の分化した細胞に取って代わる、制御された細胞増殖の種類である。
【0031】
活性化リンパ細胞の病理学的増殖は、しばしば、自己免疫障害または慢性炎症状態を生じる。本明細書で使用される場合、「自己免疫障害」という用語は、生物体自体の分子、細胞、または組織を認識する抗体または免疫細胞を、その生物体が産生する任意の状態をいう。自己免疫障害の非限定的な例には以下が含まれる:自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、バージャー病またはIgA腎症、セリアックスプルー、慢性疲労症候群、クローン病、皮膚筋炎、線維筋痛、対宿主性移植片病、グレーヴズ病、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、扁平苔癬、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、リウマチ熱、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン病、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、白斑など。
【0032】
「新生物疾患」という用語は、本明細書で使用される場合、良性(非癌性)または悪性(癌性)のいずれかである、細胞の任意の異常な増殖をいう。
【0033】
「正常細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、異常な増殖または分裂を受けていない細胞をいう。正常細胞は非癌性であり、任意の過剰増殖性疾患または障害の一部ではない。
【0034】
「抗新生物剤」という用語は、本明細書で使用される場合、標的とされる(例えば、悪性の)新生物の増殖、成長、または伝播を遅延する任意の化合物をいう。
【0035】
「予防する」「予防すること」および「予防」という用語は、本明細書で使用される場合、動物における病理学的細胞(例えば、過剰増殖性または新生物細胞)の発生の減少をいう。予防は、被験体における病理学的細胞の完全な、例えば、全体的な非存在であってもよい。予防はまた、被験体における病理学的細胞の発生が、本発明なしで発生するものよりも少ないように、部分的であってもよい。
【0036】
「アポトーシス調節因子」という用語は、本明細書で使用される場合、アポトーシスを調節する(例えば、阻害、減少、増加、促進する)ことに関与する因子をいう。アポトーシス調節因子の例には、Fas/CD95、TRAMP、TNF RI、DR1、DR2、DR3、DR4、DR5、DR6、FADD、およびRIPなどであるがこれらに限定されない、デスドメインを含むタンパク質が含まれる。アポトーシス調節因子の他の例には、TNFα、Fasリガンド、Fas/CD95および他のTNFファミリー受容体に対する抗体、TRAIL(Apo2リガンドまたはApo2L/TRAILとしてもまた知られる)、TRAIL-R1またはTRAIL-R2に対する抗体、Bcl-2、p53、BAX、BAD、Akt、CAD、PI3キナーゼ、PP1、およびカスパーゼタンパク質が含まれるがこれらに限定されない。調節因子は、TNFファミリー受容体およびTNFファミリーリガンドのアゴニストおよびアンタゴニストを広範に含む。アポトーシス調節因子は、可溶性または膜結合性(例えば、リガンドまたは受容体)であってもよい。好ましいアポトーシス調節因子は、TNFまたはTNF関連リガンド、特にTRAMPリガンド、Fas/CD95リガンド、TNFR-1リガンド、またはTRAILなどのアポトーシスの誘導因子である。
【0037】
本発明のp52とMDM2との間の相互作用の阻害剤は下記式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグである:

式中、
XはCH、O、N、またはSであり、ここで、XがOまたはSである場合、R8が存在せず;
YはO、SまたはNR'であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、独立して、H、もしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、もしくはNR'R''であり;または
R7は、R5またはR6の1つとともに、アリール、シクロアルキル、または複素環基を形成し;
R8は、Hまたは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、SO2NR'R''、または(C=NR')NR''R'''であり、
R9は、H、F、Cl、Br、I、OH、NO2、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、OR'、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、またはNR'R''から独立して選択される1〜4個の基であり;ならびに
各R'、R''、およびR'''は、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、もしくは複素環であり;または、
R'およびR''、もしくはR''およびR'''は環を形成し;または、
R3とR4の1つがCONRR'である場合、RとR'の1つはさらに

であり得;ならびに
n、m、およびpは各々独立して1〜6である。
【0038】
より特定の態様において、R1およびR2の1つは、置換または非置換アリール(例えば、フェニル)、置換または非置換ヘテロアリール、シクロアルキル、直鎖または分枝アルキル、アミドまたはエステルである。
【0039】
別の態様において、R5およびR6の1つがC3-18アルキル基、例えば、プロピル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ノルボルニル基、またはアダマンチル基、または5員もしくは6員アリール基もしくはヘテロアリール基である。
【0040】
別の態様において、式Iの化合物は、式IIまたは式IIIに示されるような立体化学構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグである。

【0041】
1つの態様において、式Iの化合物は下記式IVを有し:

式中、R1〜R9、およびYは、上記に定義した通りである。
【0042】
別の態様において、式IVの化合物は、式Vまたは式VIに示されるような立体化学構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグである。

【0043】
1つの態様において、式Iの化合物は下記式VIIを有し:

式中、R1〜R9は上記に定義した通りである。
【0044】
別の態様において、式VIIの化合物は、式VIIIまたは式IXに示されるような立体化学構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグである。

【0045】
1つの態様において、式Iの化合物は下記式Xを有し:

式中、
R1、R5、R7、およびR9は上記に定義した通りであり;
R10およびR11は、独立してH、OH、または置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、

であり;ならびに
n、m、およびpは、各々独立して、1〜6である。
【0046】
さらなる態様において、式Iの化合物は下記式XI〜XXVIの1つを有し:

式中、
R1、R5、R7、R9、R10、およびR11は上記に定義した通りである。
【0047】
別の態様において、式Iの化合物は、下記式XXVIIおよびXXVIIIの1つを有し:

式中、R1、R5、R7、R9、R10、およびR11は上記に定義した通りである。
【0048】
別の態様において、式Iの化合物は、下記式XXIXを有し:

式中、
ZはO、NH、NR'、CH2、CHR'、またはCR'R''であり;ならびに
R1、R5、R7、R9、およびR10は上記に定義した通りである。
【0049】
さらなる態様において、式Iの化合物は下記式XXX〜XLVの1つを有し:

式中、
Z、R1、R5、R7、R9、およびR10は上記に定義した通りである。
【0050】
さらなる態様において、式Iの化合物は下記式XLVIを有し:

式中、
R1、R5、R7、およびR9は上記に定義した通りである。
【0051】
別の態様において、式Iの化合物は、下記式XLVIIを有し:

式中、
R1、R3、R9、およびR9は上記に定義した通りであり;
R12は、H、F、Cl、Br、I、OH、NO2、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、OR'、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、またはNR'R''から独立して選択される1〜4個の基であり;ならびに
nはO、1、または2である。
【0052】
別の態様において、式Iの化合物は、下記式XLVIIIを有し:

式中、
R1、R3、R4、R5およびR9は上記に定義した通りである。
【0053】
さらなる態様において、式Iの化合物は下記式XLIX〜LXIVの1つを有し:

式中、
R1、R3、R4、R5およびR9は上記に定義した通りである。
【0054】
さらなる態様において、式Iの化合物は下記式LXVの1つを有し:

式中、
R1、R4、R5、R9、R10、およびR11は上記に定義した通りである。
【0055】
さらなる態様において、式Iの化合物は下記式LXVIおよびLXVIIの1つを有し:

式中、
R1、R4、R5、R9、R10、およびR11は上記に定義した通りである。
【0056】
さらなる態様において、式Iの化合物は下記式LXVIIIおよびLXVIXの1つを有し:

式中、
R1、R4、R5、R9、R11、およびZは上記に定義した通りである。
【0057】
有用なアルキル基には、直鎖または分枝鎖のC1-18アルキル基、とりわけ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、3-ペンチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、および3-ヘキシル基が含まれる。
【0058】
有用なアルケニル基には、直鎖または分枝鎖のC2-18アルキル基、とりわけ、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、およびヘキセニルが含まれる。
【0059】
有用なアルキニル基には、C2-18アルキニル基、とりわけ、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、および2-ブチニル基が含まれる。
【0060】
有用なシクロアルキル基はC3-8シクロアルキル基である。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが含まれる。
【0061】
有用なアリール基には、C6-14アリール、とりわけ、フェニル基、ナチフル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、インデニル基、アズレニル基、ビフェニル基、ビフェニレニル基、およびフルオレニル基が含まれる。
【0062】
有用なヘテロアリール基には、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサントレニル、フェノキサンテニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタルジニル、ナフチリジニル、キノザニリル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、1,4-ジヒドロキノキサリン-2,3-ジオン、7-アミノイソクマリン、ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン、1,2-ベンゾイソキサゾール-3-イル、ベンゾイミダゾリル、2-オキシインドリル、および2-オキソベンズイミダゾリルが含まれる。ヘテロアリール基が環に窒素原子を含む場合、そのような窒素原子は、N-オキシド、例えば、ピリジルN-オキシド、ピラジニルN-オキシド、ピリミジニルN-オキシドなどの種類であってもよい。
【0063】
有用な複素環基には、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピペリジニル(piperidinyl基)、ピペリジニル(piperizinyl)基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、テトロノイル基、テトラモイル基、またはテトラヒドロイソキノリニル基、ならびにテトラアリール環と縮合された複素環基、例えば、置換されていてもよい5,6-ジヒドロ-8H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-A]ピラジニルが含まれる。
【0064】
任意の置換基には以下が含まれる:1つまたは複数のアルキル;ハロ;ハロアルキル;シクロアルキル;1つまたは複数の低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、ハロ基、ハロアルキル基、アミノスルホニル基、アリール基、またはヘテロアリール基で置換されていてもよいアリール;1つまたは複数の低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、ハロ基、ハロアルキル基、アミノスルホニル基、アリール基、またはヘテロアリール基で置換されていてもよいアリールオキシ;1つまたは複数の低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、ハロ基、ハロアルキル基、アミノスルホニル基、アリール基、またはヘテロアリール基で置換されていてもよいヘテロアリール;1つまたは複数の低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、ハロ基、ハロアルキル基、アミノスルホニル基、アリール基、またはヘテロアリール基で置換されていてもよいヘテロアリール;アルコキシ;アルキルチオ;アミド;アミノ;アミノアルキル;アルキルアミノ;アシルオキシ;1つまたは複数の低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、ハロ基、ハロアルキル基、アミノスルホニル基、アリール基、またはヘテロアリール基で置換されていてもよいアリールアシルオキシ;1つまたは複数の低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、ハロ基、ハロアルキル基、アミノスルホニル基、アリール基、またはヘテロアリール基で置換されていてもよいジフェニルホスフィニルオキシ;1つまたは複数の低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、ハロ基、ハロアルキル基、アミノスルホニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ酸置換スルホニル基、またはアミノ酸誘導体置換スルホニル基で置換されていてもよい複素環;1つまたは複数の低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、ハロ基、ハロアルキル基、アミノスルホニル基、アリール基、またはヘテロアリール基で置換されていてもよいヘテロシクロアシル;1つまたは複数の低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、ハロ基、ハロアルキル基、アミノスルホニル基、アリール基、またはヘテロアリール基で置換されていてもよいヘテロシクロアルコキシ;1つまたは複数の低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、ハロ基、ハロアルキル基、アミノスルホニル基、アリール基、またはヘテロアリール基で置換されていてもよい部分的に不飽和のヘテロシクロアルキル;あるいは1つまたは複数の低級アルキル基、低級アルコキシ基、メチレンジオキシ基、ハロ基、ハロアルキル基、アミノスルホニル基、アリール基、またはヘテロアリール基で置換されていてもよい部分的に不飽和のヘテロシクロアルキルオキシ。
【0065】
本発明の特定の化合物は、光学異性体を含む立体異性体として存在してもよい。本発明は、純粋な個々の立体異性体調製物と各々の濃縮調製物の両方、および、このような立体異性体のラセミ混合物と当業者に周知の方法に従って分離され得る個々のエナンチオマーの両方のすべての立体異性体を含む。
【0066】
本発明の化合物およびプロセスは、本発明がそれによって調製された方法を例証する以下の合成スキームと結び付けるとより良好に理解される。出発物質は、商業的な供給源から入手するか、または当業者に公知である十分に確立されている文献の方法によって合成することができる。上記に定義した化合物は、以下に示される合成における適切な試薬および作用因子の置換によって合成することができることは当業者によって容易に理解される。
【0067】
式Xの一般構造を有する化合物は、重要段階として不斉1,3-双極子環状付加を使用することによって合成される(スキーム1)。
スキーム1

【0068】
試薬および条件:a)CH2Cl2-CH3CN、KF-Al2O3、マイクロ波、またはメタノール、ピペリジン還流;b)4Åモレキュラーシーブ、トルエン、70℃;c)アミン、室温;d)Pb(OAc)4、CH2Cl2-MeOH (1:1)、0℃、または硝酸アンモニウムセリウム(IV)(CAN)、CH3CN、K2CO3、室温。
【0069】
式XXIXを有する化合物は、スキーム2に示される手順によって調製される。
スキーム2

【0070】
試薬および条件:a)4Åモレキュラーシーブ、トルエン、70℃;b)エタノール/HCl、還流;c)NaBH4、エタノール還流;d)TBDMSCl、イミダゾール、DMF;e)i)塩化トリメチルアセチル、ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2;ii)HCl/酢酸エチル、室温;f)CBr4、Ph3P、CH2Cl2;g)R10ONa(Z=Oの場合)またはR10NH2(Z=NHの場合)または他の標準的な手順;h)Pb(OAc)4、CH2Cl2-MeOH(1:1)、0℃またはCAN、CH3CN、K2CO3、室温;i)HCHO、NaBH3CN、CH3CN(R7=Meの場合)または他の標準的な手順。
【0071】
式XLVIを有する化合物は、スキーム3に示されるような公開された1,3-双極子環状付加反応によって調製されてもよい(Fejes et al, Tetrahedron 57:1129 (2000))。
スキーム3

【0072】
式XLVIIを有する化合物は、スキーム4に示されるような別の公開された1,3-双極子環状付加反応によって調製されてもよい(Fejes et al, Tetrahedron 57:1129 (2000))。
スキーム4

【0073】
式LXVを有する化合物は、式Xの調製と同様の方法(スキーム5)によって調製される。
スキーム5

【0074】
試薬および条件:a)CH2Cl2-CH3CN、KF-Al2O3、マイクロ波、またはメタノール、ピペリジン還流;b)4Åモレキュラーシーブ、トルエン、70℃;c)アミン、室温;d)Pb(OAc)4、CH2Cl2-MeOH (1:1)、0℃、または硝酸アンモニウムセリウム(IV)(CAN)、CH3CN、K2CO3、室温。
【0075】
本発明の1つの局面は、MDM2阻害剤化合物を調製する方法に関する。1つの態様において、本発明は、式Xを有する化合物を調製する方法に関し、この方法は以下の工程を含む:
a)式1の化合物を式2の化合物と、例えば、溶媒または溶媒の混合物(例えば、CH2Cl2およびCH3CN)中で、触媒(例えば、KF-Al2O3)の存在下で、または適切な溶媒中の塩基の存在下で縮合させて、式3の化合物を形成する工程;

b)式3の化合物を式4の化合物および式5の化合物と、例えば、非極性溶媒(例えば、トルエン)中で、脱水剤(例えば、4Åモレキュラーシーブ)の存在下で、上昇温度(例えば、約70℃)において縮合させて、式6の化合物を形成する工程;ならびに

c)式6の化合物を酸化剤(例えば、Pb(OAc)4、硝酸アンモニウムセリウム)とともに、溶媒または溶媒の混合物(例えば、CH2Cl2およびMeOH、CH3CN)中で、適切な温度(例えば、約0℃または室温)で処理して、式Xの化合物を形成する工程;

式中、
R1およびR5は、独立して、H、もしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、もしくはNR'R''であり;
R9は、H、F、Cl、Br、I、OH、NO2、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、OR'、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、またはNR'R''から独立して選択される1〜4個の基であり;
R10およびR11は、独立して、H、OH、または置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、

であり;ならびに
n、m、およびpは、各々独立して、1〜6であり;ならびに
各R'、R''、およびR'''は、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、もしくは複素環であり;または、R'およびR''、もしくはR''およびR'''は環を形成する。
【0076】
別の態様において、本発明は、式LXVを有する化合物を調製する方法に関し、この方法は以下の工程を含む:
a)式16の化合物を式2の化合物と、例えば、溶媒または溶媒の混合物(例えば、CH2Cl2およびCH3CN)中で、マイクロ波下で、触媒(例えば、KF-Al2O3)の存在下で、または適切な溶媒中の塩基の存在下で縮合させて、式17の化合物を形成する工程;

b)式17の化合物を式4の化合物および式5の化合物と、例えば、非極性溶媒(例えば、トルエン)中で、脱水剤(例えば、4Åモレキュラーシーブ)の存在下で、上昇温度(例えば、約70℃)において縮合させて、式18の化合物を形成する工程;ならびに

c)式18の化合物を酸化剤(例えば、Pb(OAc)4、硝酸アンモニウムセリウム)とともに、溶媒または溶媒の混合物(例えば、CH2Cl2およびMeOH、CH3CN)中で、適切な温度(例えば、約0℃または室温)で処理して、式LXVの化合物を形成する工程;

式中、
R1、R5、R9、R10、およびR11は上記に定義した通りである。
【0077】
別の態様において、本発明は、式XXIXを有する化合物を調製する方法に関し、この方法は以下の工程を含む:
a)式3の化合物を式4の化合物および式5の化合物と、例えば、非極性溶媒(例えば、トルエン)中で、脱水剤(例えば、4Åモレキュラーシーブ)の存在下で、または共沸蒸留によって、上昇温度(例えば、約70℃)において縮合させて、式7の化合物を形成する工程;

b)式7の化合物を酸(例えば、HCl)の存在下で加熱し、次いで還元剤(例えば、NaBH4)を加えて式8の化合物を形成する工程;

c)式8の化合物を、極性溶媒(例えば、DMF)中の遮断剤(例えば、TBDMSClなどのトリアルキルシリルハライド)、続いて溶媒または溶媒の混合物(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、CH2Cl2)中の塩化トリメチルアセチルまたは他の保護剤、次いで酸(例えば、HCl)で処理して、式10の化合物を形成する工程;

d)式10の化合物を、溶媒(例えば、CH2Cl2)中で、ハロゲン化剤(例えば、CBr4およびPh3P)で処理して、式11のハロ化合物を形成する工程;

e)式11の化合物のハロ基を、R10ONaまたはR10NH2で置き換えて、式12の化合物を形成する工程;

f)式12の化合物を、溶媒または溶媒の混合物(例えば、CH2Cl2およびMeOHまたはCH3CN)中で、適切な温度(例えば、約0℃または室温)で酸化剤(例えば、Pb(OAc)4、または硝酸アンモニウムセリウム)で処理して、式13の化合物を形成する工程;

g)式13の化合物をアルキル化剤(例えば、HCHO、NaBH3CN、およびCH3CN)でアルキル化して、式XXIXの化合物を形成する工程;

式中、
R1、R5、R7、R9、R10、およびZは上記に定義した通りである。
【0078】
本発明の重要な局面は、式Iの化合物が細胞周期停止および/またはアポトーシスを誘導し、ならびにまた、単独でもしくはさらなるアポトーシス誘導シグナルに応答してのいずれかで、細胞周期停止および/またはアポトーシスの誘導を増強することである。それゆえに、これらの化合物は、細胞周期停止および/またはアポトーシスの誘導に対して、このような誘導刺激に抵抗性である細胞を含む細胞を感作することが意図される。p53またはp53関連タンパク質とMDM2またはMDM2関連タンパク質との間の相互作用の本発明の阻害剤は、アポトーシスの誘導によって処置、寛解、または予防することができる任意の障害においてアポトーシスを誘導するために使用することができる。1つの態様において、これらの阻害剤は、機能的p53またはp53関連タンパク質を含む細胞においてアポトーシスを誘導するために使用することができる。
【0079】
別の態様において、本発明は、1つまたは複数のアポトーシス調節因子と関連付けられるアポトーシス関連状態を調節することに関する。アポトーシス調節因子の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:Fas/CD95、TRAMP、TNF RI、DRl、DR2、DR3、DR4、DR5、DR6、FADD、RIP、TNFα、Fasリガンド、TRAIL、TRAIL-R1またはTRAIL-R2に対する抗体、Bcl-2、p53、BAX、BAD、Akt、CAD、PI3キナーゼ、PP1、およびカスパーゼタンパク質。アポトーシスの開始、決定、および分解段階に関与する他の因子もまた含まれる。アポトーシス調節因子の例には、その活性、存在、または濃度の変化により、被験体におけるアポトーシスが調節され得る因子が含まれる。好ましいアポトーシス調節因子の例は、TNFまたはTNF関連リガンド、特にTRAMPリガンド、Fas/CD95リガンド、TNFR-1リガンド、またはTRAILなどのアポトーシスの誘導因子である。
【0080】
ある態様において、本発明の組成物および方法は、動物(例えば、ヒトおよび獣医学的動物を含むがこれに限定されない哺乳動物被験体)において、疾患を有する細胞、組織、器官、または病理学的状態および/もしくは疾患状態を処置するために使用される。その際、種々の疾患および病理を、本発明の方法および組成物を使用する処置および予防に適用できる。これらの疾患および状態の非限定的なリストには以下が含まれるがこれらに限定されない:乳癌、前立腺癌、リンパ腫、皮膚癌、膵臓癌、結腸癌、メラノーマ、悪性メラノーマ、卵巣癌、脳腫瘍、原発性脳腫瘍、頭頸部癌、神経膠腫、膠芽細胞腫、肝臓癌、膀胱癌、非小細胞癌、頭頸部癌腫、乳房癌腫、卵巣癌腫、肺癌、小細胞癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸部癌、精巣癌、膀胱癌、膵臓癌、胃癌、結腸癌、前立腺癌、泌尿生殖器癌、甲状腺癌、食道癌、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎癌、腎細胞癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、悪性膵島細胞腺腫、悪性カルチノイド癌、絨毛癌、真菌性筋炎(mycosis fungoides)、悪性高カルシウム血症、頸部過形成、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、ヘアリー細胞白血病、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、ホジキン病、非ホジキン病、軟部組織肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症、および網膜芽細胞腫など、T細胞およびB細胞媒介性自己免疫疾患;炎症性疾患;感染;過剰増殖性疾患;AIDS;変性状態;血管疾患など。ある態様において、処置される癌細胞は転移性である。他の態様において、処置される癌細胞は抗癌剤に対して抵抗性である。
【0081】
ある態様において、本発明の組成物および方法を用いる処置のために適切な感染には、ウイルス、細菌、真菌、マイコプラズマ、プリオンなどによって引き起こされる感染が含まれるがこれらに限定されない。
【0082】
本発明のある態様は、有効量の式Iの化合物および少なくとも1つのさらなる治療剤(化学療法抗新生物剤、アポトーシス調節因子、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および抗炎症剤)および/または治療技術(例えば、外科的処置、放射線治療)を施すための方法を提供する。
【0083】
多数の適切な抗癌剤が本発明の方法における使用のために意図される。確かに、本発明は、以下のような多数の抗癌薬物の投与を意図するがこれらに限定されない:アポトーシスを誘導する作用因子;ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス、リボザイム、siRNA);ポリペプチド(例えば、酵素および抗体);生物学的模倣物(例えば、ゴシポールまたはBH3模倣物);BaxなどのBcl-2ファミリータンパク質と結合する(例えば、重合または複合体形成する)作用因子;アルカロイド;アルキル化剤;抗腫瘍抗生物質;代謝拮抗物質;ホルモン;白金化合物;モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体(例えば、抗癌薬物、毒素、デフェンシンと結合体化された抗生物質)、毒素;放射性核種;生物学的反応修飾物質(例えば、インターフェロン(例えば、IFN-α)およびインターロイキン(例えば、IL-2));養子免疫療法作用因子;造血増殖因子;腫瘍細胞分化を誘導する作用因子;(例えば、すべてトランスであるレチノイン酸);遺伝子治療試薬(例えば、アンチセンス治療試薬およびヌクレオチド);腫瘍ワクチン;血管形成阻害剤;プロテオソーム阻害剤;NF-κB調節因子;抗CDK化合物;HDAC阻害剤など。化学療法剤化合物および開示される化合物との同時投与のために適切である抗癌治療の多数の他の例は、当業者に公知である。
【0084】
好ましい態様において、抗癌剤にはアポトーシスを誘導または刺激する作用因子が含まれる。アポトーシスを誘導する作用因子には以下が含まれるがこれらに限定されない:放射線(例えば、X線、γ線、UV);腫瘍壊死因子(TNF)-関連因子(例えば、TNFファミリータンパク質、TNFファミリーリガンド、TRAIL、TRAIL-R1またはTRAIL-R2に対する抗体);キナーゼ阻害剤(例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤、血管増殖因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGFR)キナーゼ阻害剤、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤、およびBcr-Ablキナーゼ阻害剤(グリーベック(GLEEVEC)など));アンチセンス分子;抗体(例えば、ハーセプチン(HERCEPTIN)、リツキサン((RITUXAN)、ゼバルビン(ZEVALIN)、およびアバスチン(AVASTIN));抗エストロゲン(例えば、ラロキシフェンおよびタモキシフェン);抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテタミド、ケトコナゾール、およびコルチコステロイド);シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤(例えば、セレコキシブ、メロキシカム、NS-398、および非ステロイド性抗炎症薬物(NSAID));抗炎症性薬物(例えば、ブタゾリジン、デカドロン(DECADRON)、デルタゾン(DELTASONE)、デキサメタゾン、デキサメタゾン インテンソール、デキソン(DEXONE)、ヘキサドロール(HEXADROL)、ヒドロキシクロロキン、メチコルテン(METICORTEN)、オラデキソン(ORADEXON)、オラゾン(ORASONE)、オキシフェンブタゾン、ペジアプレド(PEDIAPRED)、フェニルブタゾン、プラクエニール(PLAQUENIL)、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレロン(PRELONE)、およびタンデアリル(TANDEARIL));および癌化学療法剤(例えば、イリノテカン(カンプロサール(CAMPTOSAR))、CPT-11、フルダラビン(フルダラ(FLUDARA))、デカルバジン(DTIC)、デキサメタゾン、ミトキサントロン、ミロターグ(MYLOTARG)、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、タキソテレ(TAXOTERE))またはタキソール(TAXOL);細胞シグナル伝達分子;セラミドおよびサイトカイン;スタウロスポリンなど。
【0085】
なお他の態様において、本発明の組成物および方法は、式Iの化合物、ならびにアルキル化剤、代謝拮抗物質、および天然物(例えば、ハーブならびに他の植物および/または動物由来の化合物)から選択される少なくとも1つの抗過剰増殖性または抗新生物剤を提供する。
【0086】
本発明の化合物および方法における使用のために適切なアルキル化剤には以下が含まれるがこれらに限定されない:1)ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン);およびクロラムブシル);2)エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ);3)アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン);4)ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチル-CCNU);およびストレプトゾシン(ストレプトゾトシン));5)トリアゼン(例えば、デカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミド-アゾレカルボキサミド))。
【0087】
ある実施形態において、本発明の組成物および方法における使用のために適切な代謝拮抗物質には以下が含まれるがこれらに限定されない:1)葉酸アナログ(例えば、メトトレキサート(アメトプテリン));2)ピリミジンアナログ(例えば、フルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロクスウリジン(フルオロド-オキシウリジン;FudR)、およびシタラビン(シトシンアラビノシド));および3)プリンアナログ(例えば、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン;TG)、およびペントスタチン(2'-デオキシコルホマイシン))。
【0088】
なおさらなる実施形態において、本発明の組成物および方法における使用のために適切な化学療法剤には以下が含まれるがこれらに限定されない:1)ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン);2)エピポドフィロキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド);3)抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン(マイトマイシンC));4)酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ);5)生物学的反応修飾物質(例えば、インターフェロンα);6)白金配位錯体(例えば、シスプラチン(シス-DDP)およびカルボプラチン);7)アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン);8)置換ウレア(例えば、ヒドロキシウレア);9)メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン(N-メチルヒドラジン;MIH));10)副腎皮質抑制因子(例えば、ミトタン(o,p'-DDD)およびアミノグルテチミド);11)副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン);12)プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール);13)エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール);14)抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン);15)アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン);16)抗アンドロゲン(例えば、フルタミド);および17)ゴナドトロピン放出ホルモンアナログ(ロイプロリド)。
【0089】
癌治療の状況において日常的に使用される任意の腫瘍崩壊性作用因子が、本発明の組成物および方法における使用を見い出す。例えば、米国食品医薬品局(the U.S. Food and Drug Administration)は、米国における使用のために認可された腫瘍崩壊性作用因子の処方を維持している。U.S.F.D.A.に対応する国際的な機関が同様の処方を維持している。表1は、米国における使用のために認可された例示的な抗新生物剤のリストを提供する。当業者は、すべての米国で認可された化学療法剤に対して必要とされる「製品ラベル」が、例示的な作用因子についての認可された適応症、投薬情報、毒性データなどを記載することを認識している。
【0090】
【表1】








【0091】
抗癌剤には、抗癌活性を有することが同定されているが、米国食品医薬品局もしくは他の対応する機関によって現在認可されていないか、または新規な用途のための評価を受けている化合物がさらに含まれる。例としては以下が含まれるがこれらに限定されない:3-AP、12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセテート、17AAG、852A、ABI-007、ABR-217620、ABT-751、ADI-PEG 20、AE-941、AG-013736、AGROl00、アラノシン、AMG 706、抗体 G250、アンチネオプラストン、AP23573、アパジキオン、APC8015、アチプリモッド、ATN-161、アトラセンテン、アザシチジン、BB-10901、BCX-1777、ベバシズマブ、BG00001、ビカルタミド、BMS 247550、ボルテゾミブ、ブリオスタチン-1、ブセレリン、カルシトリオール、CCI-779、CDB-2914、セフィキシム、セツキシマブ、CG0070、シレンジチド、クロファラビン、コンブレスタチンA4ホスフェート、CP-675,206、CP-724,714、CpG 7909、クルクミン、デシタビン、DENSPM、ドキセルカルシフェロール、E7070、E7389、エクテイナシジン 743、エファプロキシラール、エフロニチン、EKB-569、エンザスタウリン、エーロチニブ、エキシスリンド、フェンレチニド、フラボピリドール、フルダラビン、フルタミド、フォテムスチン、FR901228、G17DT、ガリキシマブ、ゲフィチニブ、ゲニステイン、グルフォスタミド、GTI-2040、ヒストレリン、HKI-272、ホモハリングトニン、HSPPC-96、hul4.18-インターロイキン-2融合タンパク質、HuMax-CD4、イロプロスト、イミキモッド、インフリキシマブ、インターロイキン-12、IPI-504、イロフルベン、イキサベピロン、ラパチニブ、レナリドミド、レスタウルチニブ、ロイプロリド、LMB-9 イムノトキシン、ロラファルニブ、ルニリキシマブ、マフォスファミド、MB07133、MDX-010、MLN2704、モノクローナル抗体 3F8、モノクローナル抗体 J591、モテキサフィン、MS-275、MVA-MUC1-IL2、ニルタミド、ニトロカンプトテシン、ノラトレキセド二塩酸塩、ノルバデックス、NS-9、O6-ベンジルグアニン、オブリメルセンナトリウム、ONYX-015、オレゴボマブ、OSI-774、パニツムマブ、パラプラチン、PD-0325901、ペメトレキセド、PHY906、ピオグリタゾン、ピルフェニドン、ピキサントロン、PS-341、PSC 833、PXD101、ピラゾロアクリジン、R115777、RAD001、ランピルナーゼ、レベッカマイシンアナログ、rhuアンジオスタチンタンパク質、rhuMab 2C4、ロシグリタゾン、ルビテカン、S-1、S-8184、サトラプラチン、SB-,15992、SGN-0010、SGN-40、ソラフェニブ、SR31747A、ST1571、SU011248、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、スラミン、タラボスタット、タラムパネル、タリクイダール、テムシロリムス、TGFa-PE38 イムノトキシン、サリドマイド、タイマルファシン、チピファニブ、チラパザミン、TLK286、トラベクテジン、グルクロン酸トリメトレキサート、TroVax、UCN-1、バルプロ酸、ビンフルニン、VNP40101M、ボロシキシマブ、ボリノスタット、VX-680、ZD1839、ZD6474、ジロイトン、およびゾスクイダール三塩酸塩。
【0092】
抗癌剤および他の治療剤のより詳細な説明のために、当業者は、米国医薬品便覧およびGoodman and Gilman's「Pharmaceutical Basis of Therapeutics」 tenth edition, Eds. Hardman et al, 2002が含まれるがこれらに限定されない、任意の数の指示マニュアルを参照する。
【0093】
本発明は、放射線治療とともに式Iの化合物を投与するための方法を提供する。本発明は、動物への照射の治療線量を送達するために使用される、種類、量、または送達および投与の系によって制限されない。例えば、動物は、光子照射療法、粒子ビーム照射療法、他の種類の照射療法、およびこれらの組み合わせを受けることができる。ある態様において、照射は、線形加速器を使用して動物に送達される。なお他の態様において、照射はガンマナイフを使用して送達される。
【0094】
照射線源は、動物に対して外部または内部であってもよい。外部放射線源は最も一般的であり、例えば線形加速器を使用して、皮膚を通して腫瘍部位に高エネルギー照射のビームを向けることを含む。照射のビームが腫瘍部位に集中する場合、正常な健常組織への曝露を回避することはほぼ不可能である。しかし、外部線源は、通常、動物によって十分に許容される。内部照射線源は、腫瘍部位においてまたはその近傍で、身体の内部にビーズ、ワイヤ、ペレット、カプセル、粒子などの放射線放出線源を移植することを含み、これには、癌細胞を特異的に標的とする送達系の使用が含まれる(例えば、癌細胞結合リガンドに結合された粒子を使用する)。このような移植物は、処置後に取り出され、または身体中で不活性状態で放置することができる。内部放射線治療の種類には、近接照射療法、組織内照射、腔内照射、放射免疫療法などが含まれるがこれらに限定されない。
【0095】
動物は任意で、放射線増感剤(例えば、メトロニダゾール、ミソミダゾール、動脈内Budr、静脈内ヨードデオキシウリジン(IudR)、ニトロイミダゾール、5-置換-4-ニトロイミダゾール、2H-イソインドレジオン、[[(2-ブロモエチル)-アミノ]メチル]-ニトロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、ニトロアニリン誘導体、DNA-アフィニック(affinic)低酸素症細胞毒、ハロゲン化DNAリガンド、1,2,4ベンゾトリアジンオキシド、2-ニトロイミダゾール誘導体、フッ素含有ニトロアゾール誘導体、ベンズアミド、ニコチンアミド、アクリジン-インターカレーター、5-チオトレトラゾール、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジニトロイミダゾール誘導体、ヒドロキシル化テキサフィリン、シスプラチン、マイトマイシン、チリパザミン、ニトロソウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、カルボプラチン、エピルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、エトポシド、パクリタキセル、熱(温熱療法)など)、放射線防御剤(例えば、システアミン、アミノアルキル二水素ホスホロチオエート、アミフォスチン(WR 2721)、IL-1、IL-6など)を受けてもよい。放射線増感剤は、腫瘍細胞の殺傷を増強する。放射線防御剤は、照射の有害な効果から健常組織を保護する。
【0096】
照射の線量が、受け入れがたい負の副作用なしで動物によって許容される限り、任意の種類の照射を動物に投与することができる。適切な種類の放射線治療には、例えば、電離(電磁)放射線治療(例えば、X線またはγ線)または粒子ビーム放射線治療(例えば、高直線エネルギー照射)が含まれる。電離照射は、電離、すなわち、電子の獲得または消失を生じるために十分なエネルギーを有する粒子または光子を含む照射として定義される(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,770,581号に記載されるように)。照射の効果は、臨床医によって少なくとも部分的に制御することができる。照射の線量は、好ましくは、最大の標的細胞曝露および毒性の減少のために分割される。
【0097】
動物に投与される照射の全体の線量は、好ましくは、約.01グレイ(Gy)〜約100Gyである。より好ましくは、約10Gy〜約65Gy(例えば、約15Gy、20Gy、25Gy、30Gy、35Gy、40Gy、45Gy、50Gy、55Gy、または60Gy)が治療単位にわたって投与される。ある態様において、照射の完全線量は1日の治療単位にわたって投与することができるが、全体の線量は、理想的には、分割され、かつ数日間にわたって投与される。望ましくは、放射線治療は、少なくとも約3日間の治療単位にわたって、例えば、少なくとも5、7、10、14、17、21、25、28、32、35、38、42、46、52、または56日間(約1〜8週間)にわたって投与される。従って、照射の1日の線量は、約1〜5Gy(約1Gy、1.5Gy、1.8Gy、2Gy、2.5Gy、2.8Gy、3Gy、3.2Gy、3.5Gy、3.8Gy、4Gy、4.2Gy、または4.5Gy)、好ましくは1〜2Gy(例えば、1.5〜2Gy)を含む。照射の1日の線量は、標的とされた細胞の破壊を誘導するために十分であるべきである。治療単位にわたって引き延ばされた場合、照射は、好ましくは、毎日は投与されず、それによって動物が休養することができ、治療の効果が実現する。例えば、照射は、望ましくは、処置の各週について連続して5日間投与され、2日間投与されず、それによって、1週間あたり2日間の休養を可能にする。しかし、照射は、動物の応答性および任意の潜在的な副作用に依存して、1日/週、2日/週、3日/週、4日/週、5日/週、6日/週、または全7日/週投与することができる。放射線治療は、治療期間の任意の時点で、開始することができる。好ましくは、照射は、1週目または2週目に開始され、治療期間の残りの期間に投与される。例えば、照射は、例えば、固形腫瘍を処置するための6週間を含む治療期間のうち1週目〜6週目、または2週目〜6週目に投与される。または、照射は、5週間を含む治療期間のうち1週目〜5週目、または2週目〜5週目に投与される。しかし、これらの例示的な放射線療法投与スケジュールは、本発明を限定することを意図しない。
【0098】
抗微生物治療剤もまた、本発明における治療剤として使用されてもよい。微生物を殺傷し、その機能を阻害し、またはさもなくば弱めることができる任意の作用因子が、このような活性を有することが意図される任意の作用因子と同様に使用されてもよい。抗微生物剤には、単独でまたは組み合わせて使用される、天然および合成の抗生物質、阻害タンパク質(例えば、デフェンシン)、アンチセンス核酸、膜破壊剤などが含まれるがこれらに限定されない。確かに、任意の種類の抗生物質が使用されてもよく、これには、抗微生物剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤などが含まれるがこれらに限定されない。
【0099】
本発明のある態様において、式Iの化合物および1つまたは複数の治療剤または抗癌剤が、以下の1つまたは複数の条件下で動物に投与される:異なる周期で、異なる期間に、異なる濃度で、異なる投与経路によってなど。ある態様において、化合物は、治療剤または抗癌剤の前に、例えば、治療剤または抗癌剤の投与の、0.5、1、2、3、4、5、10、12、または18時間前、1、2、3、4、5、または6日前、または1、2、3、または4週間前に投与される。ある態様において、化合物は、治療剤または抗癌剤の後に、例えば、治療剤または抗癌剤の投与の、0.5、1、2、3、4、5、10、12、または18時間後、1、2、3、4、5、または6日後、または1、2、3、または4週間後に投与される。ある態様において、化合物および治療剤または抗癌剤は同時であるが異なるスケジュールで投与され、例えば、化合物は毎日投与されるのに対して、治療剤または抗癌剤は、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、または4週間毎に1回投与される。他の態様において、化合物は1週間に1回投与されるのに対して、治療剤または抗癌剤は、毎日、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、または4週間毎に1回投与される。
【0100】
本発明の範囲にある組成物はすべての組成物を含み、ここで、本発明の化合物は、その意図される目的を達成するために有効な量で含まれる。個々の必要性は変化するが、各成分の有効量の最適範囲の決定は当業者の範囲内である。典型的には、化合物は、哺乳動物、例えば、ヒトに、1日あたり、アポトーシスの誘導に応答性の障害のために処置される哺乳動物の体重の0.0025〜50mg/kgの用量で、またはその薬学的に許容される塩の等価な量で経口投与されてもよい。好ましくは、約0.01〜約25mg/kgが、このような障害を処置、寛解、または予防するために経口投与される。筋肉内注射のために、用量は、一般的には経口用量の約半分である。例えば、適切な筋肉内用量は約0.0025〜約25mg/kg、最も好ましくは約0.01〜約5mg/kgである。
【0101】
単位経口用量は約0.01〜約1000mg、好ましくは約0.1〜約100mgの化合物を含んでもよい。単位用量は、約0.1〜約10mg、好都合には約0.25〜50mgの化合物またはその溶媒和物を各々含む1つまたは複数の錠剤またはカプセルとして、1日に1回以上投与されてもよい。
【0102】
局所的投与のために、化合物は、担体の約0.01〜100mgの濃度で存在してもよい。好ましい態様において、化合物は、約0.07〜1.0mg/ml、より好ましくは、約0.1〜0.5mg/ml、最も好ましくは、約0.4mg/mlの濃度で存在する。
【0103】
未加工の化学物質としての化合物を投与することに加えて、本発明の化合物は、薬学的に使用することができる調製物への本発明の化合物の加工を容易にする、賦形剤および補助剤を含む、薬学的に許容される適切な担体を含む薬学的調製物の一部として投与されてもよい。好ましくは、この調製物、特に、経口的または局所的に投与することができる調製物、ならびに錠剤、糖衣錠、遅延放出ロゼンジおよびカプセル、マウスリンスおよびマウスウォッシュ、ゲル、液体懸濁液、ヘアリンス、ヘアゲル、シャンプーなどの好ましい種類の投与のために使用することができる調製物、ならびにまた、坐剤などの直腸へ投与することができる調製物、ならびに静脈内注入による、注射、局所的、または経口的な投与のための適切な溶液は、約0.01〜99%、好ましくは約0.25〜75%の活性化合物を、賦形剤とともに含む。
【0104】
本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物の有益な効果を経験する可能性がある任意の動物に投与されてもよい。このような動物で真っ先に挙げられるものは、哺乳動物、例えば、ヒトであるが、本発明は、そのように限定されることを意図しない。他の動物には、獣医学的な動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコなど)が含まれる。
【0105】
本発明の化合物およびその薬学的組成物は、意図される目的を達成する任意の手段によって投与されてもよい。例えば、投与は、非経口的、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、口腔、くも膜下腔内、頭蓋内、鼻内、または局所的の経路によってであり得る。交互にまたは同時に、投与は、経口経路によってであり得る。投与される投薬量は、レシピエントの年齢、健康状態、および体重、もしあれば、同時処置の種類、処置の頻度、および所望される効果の性質に依存する。
【0106】
本発明の薬学的組成物は、それ自体公知である様式で、例えば、従来の混合、顆粒化、糖衣作製、溶解、または凍結乾燥のプロセスによって製造される。従って、経口使用のための薬学的組成物は、固体賦形剤と活性化合物を合わせること、任意に得られる混合物を粉砕すること、および、所望されるかまたは必要である場合、錠剤または糖衣錠のコアを得るために、適切な補助剤を加えた後、顆粒の混合物を加工することによって得ることができる。
【0107】
適切な賦形剤は、特に、サッカリドなどの増量剤、例えば、ラクトースまたはスクロース、マンニトールまたはソルビトール、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム、、ならびに、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドンを使用する、デンプンペーストなどの結合剤である。所望される場合、上述のデンプン、およびまた、カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤が加えられてもよい。補助剤は、中でも、流動調節剤、および滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸もしくはその塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングルコールである。糖衣錠コアは適切なコーティングを提供し、消耗される場合、胃液に対して抵抗性である。この目的のために、濃縮サッカリド溶液が使用されてもよく、これには任意に以下が含まれてもよい:アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングルコール糖および/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合物。胃液に対して抵抗性であるコーティングを製造するために、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの適切なセルロース調製物の溶液が使用される。染料および色素が、例えば、同定のため、または活性化合物用量の組み合わせを特徴付けするために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えられてもよい。
【0108】
経口的に使用することができる他の薬学的組成物には、ゼラチン製の押し込み型カプセル、ならびにゼラチンおよび、グリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤製のソフト密封カプセルが含まれる。押し込み式カプセルは、顆粒の型で活性化合物を含むことができ、この顆粒は、ラクトースなどの増量剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および任意に、安定剤とともに混合されてもよい。ソフトカプセル中では、活性化合物は、好ましくは、脂肪油または流動パラフィンなどの適切な液体中に溶解または懸濁される。さらに、安定剤が加えられてもよい。
【0109】
直腸へと使用することができる可能な薬学的組成物には、例えば、坐剤基剤と1つまたは複数の活性化合物の組み合わせからなる坐剤が含まれる。適切な坐剤基剤は、例えば、天然または合成のトリグリセリド、またはパラフィン炭化水素である。加えて、基剤と活性化合物の組み合わせからなるゼラチン直腸カプセルを使用することもまた可能である。可能な基剤材料には、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素が含まれる。
【0110】
非経口投与のための適切な製剤には、水溶性型、例えば、水溶性塩およびアルカリ溶液である活性化合物の水溶液が含まれる。加えて、適切な油性注射懸濁液としての活性化合物の懸濁液が投与されてもよい。適切な親油性溶媒または媒体には、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドまたはポリエチレングルコール-400が含まれる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘性を増加させる物質を含んでもよく、これには、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランが含まれる。任意に、懸濁液はまた、安定剤を含んでもよい。
【0111】
本発明の局所的組成物は、好ましくは、適切な担体の選択により、オイル、クリーム、ローション、軟膏などとして製剤化されてもよい。適切な担体には、植物油または鉱油、白色ワセリン(白色ソフトパラフィン)、分枝鎖脂肪またはオイル、動物脂肪および高分子量アルコール(C12より大きい)が含まれる。好ましい担体は、活性成分が可溶性であるものである。所望される場合、乳化剤、安定剤、保湿剤、および抗酸化剤もまた、色または香りを付与する物質と同様に含まれてもよい。加えて、経皮浸透増強剤もまた、これらの局所的製剤において利用することができる。このような増強剤の例は、米国特許第3,989,816号および同第4,444,762号において見い出すことができる。
【0112】
クリームは、好ましくは、鉱油、自己乳化蜜ろうおよび水の混合液から製剤化され、この混合液中で、アーモンド油などの少量の油に溶解された活性成分が混合される。このようなクリームの典型的な例は、水を約40、蜜ろうを約20、鉱油を約40、およびアーモンド油を約1含むものである。
【0113】
軟膏は、アーモンド油などの植物油中の活性成分の溶液を、温めたソフトパラフィンと混合すること、およびこの混液を冷却することによって製剤化されてもよい。このような軟膏の典型的な例は、重量で約30%のアーモンド油および約70%の白色ソフトパラフィンを含むものである。
【0114】
ローションは、プロピレングリコールまたはポリエチレングルコールなどの適切な高分子量アルコール中に活性成分を溶解することによって便利に調製されてもよい。
【0115】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の例示であって、限定ではない。臨床的治療において通常見い出され、かつ当業者に明白である種々の条件およびパラメーターの他の適切な改変および適合は、本発明の技術思想および範囲内にある。
【実施例】
【0116】
実施例1
MDM2阻害剤の設計
多くの抗癌薬物は天然物であるか、または天然物から誘導されたコアファーマコホアを含むので、探索は、p53とMDM2との間の相互作用を阻害することが可能である化合物の設計のための新規な骨格を提供することができる天然物について行った。
【0117】
コンピュータドッキング研究は、ChemScoreフィットネス関数を用いてGOLDプログラム(バージョン2.1)を使用して実行した。リガンドの構造は、SYBYL 6.9において構築し、エネルギーはTripos力場によって最小化した。MDM2構造は、p53と結合したMDM2の結晶構造から抽出した(PDBコード:1YCR)。SYBYL 6.9を使用して水素をタンパク質に加えた。活性部位は、12Å半径の球の内部のすべての原子を含むように定義し、その起点はp53ペプチドのTrp23の中心に位置した。標準的なGenetic Algorithmプロトコールをドッキングのために選択した。各化合物について、20個の個々のドッキングの実行を行った。各リガンドについての生成した20個の解を、ChemScoreのスコアに従って順位付けした。各リガンドの最高順位の解を、X-Scoreによって再度点数付けし、結合モードのさらなる分析において使用した。
【0118】
スピロトリプロスタチンAは、アスペルギルス フミガーツス(Aspergillus fumigatus)の発酵ブロスから単離された天然アルカロイドのクラスである(Usui et al, Biochem. J. 33:543 (1998))(図1)。コンピュータドッキング研究は、スピロトリプロスタチンAがMDM2の疎水性間隙中で結合することはできないが、スピロ(オキシインドール-3,3'-ピロリジン)コア構造が、p53-MDM2相互作用の新規なクラスの阻害剤の設計のための堅固な骨格として使用される可能性があることを示した。このオキシインドール単位は、MDM2との水素結合形成と疎水性相互作用の両方でTrp23を密接に模倣する。ピロリジニル環は、2つの疎水性基をPhe19およびLeu26を模倣するように結合させることができる堅固な骨格を提供する(図2A)。多数の鋳型化合物を、異なる配置を有する異なる置換基を使用してモデル化した。これらの中で、化合物1aは、そのMDM2との水素結合および鍵となる疎水性相互作用いおいてp53を良好に模倣することが示された(図2A)。オキシインドール環上の6-クロロ置換基は、MDM2における小さな疎水性ポケットを占め、相互作用は、MDM2のp53ベースのペプチド阻害剤の結合親和性を増強する際に有効であることが示された(Garcia-Echeverria et al, Med. Chem 43:3205 (2000))。

【0119】
実施例2
蛍光偏光結合アッセイ
化合物1aを、重要段階として、不斉1,3-双極子反応を使用して、スキーム1に示されるように合成した(Sebehar et al, J. Am. Chem. Soc. 122:5666 (2000))。1aの絶対立体化学および他の設計したアナログは、重要な中間体の1つ、(1''R,2''S,2'R,3'R,3S,4'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-2'-(3-メチル-ブチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミドのX線結晶学的分析によって決定した(図3)。
【0120】
MDM2とp53との間の相互作用を破壊する1aの能力を決定するために、蛍光偏光(FP)ベースの結合アッセイを、組換えヒトMDM2タンパク質および蛍光タグで標識したp53ベースのペプチド(Garcia-Echeverria et al, J Med Chem 43:3205 (2000))を使用して確立した。PMDM6-Fと名付けられた蛍光プローブは、配列(5-Fam-βAla-βAla-Phe-Met-Aib-pTyr-(6-Cl-l-Trp)-Glu-Ac3c-Leu-Asn-NH2)(SEQ ID NO:1)を有し、ここで、Famはカルボキシフルオロセインであり、Aibはβ-アミノイソ酪酸であり、そしてAc3cは1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸である。この設計したプローブのMDM2タンパク質に対する結合のKd値は、0.001μM(1nM±0.09)であると決定され、このペプチドが非常に高い親和性でMDM2タンパク質の表面ポケットに結合することを示す(図4A)。アッセイの特異性は、同一の配列を有する非標識ペプチドによるMDM2タンパク質へのPMDM6-F結合の競合的置き換えによって確証した。対応する未標識PMDM6ペプチド(Ki=0.7nM±0.1)は、野生型p53ペプチド(PLSQETFSDLWKLLPEN-NH2)(SEQ ID NO:2)(Ki = 6.7μM±1.2)よりも有意に高い結合親和性を有したことが決定された(図4B)。N末端においてHisタグに融合した組換えMDM2ヒトタンパク質(残基1〜118)は安定かつ可溶性であり、FPベースの結合アッセイのために使用した。
【0121】
用量依存性結合実験は、DMSO中での試験化合物の段階希釈を用いて実行した。5μlの試験試料ならびに、アッセイ緩衝液(100mM リン酸カリウム、pH 7.5; 100μg/ml ウシガンマグロブリン; 0.02%アジ化ナトリウム、Invitrogen Life Technologyより購入)中のプレインキュベートしたMDM2タンパク質(0.010μM)およびPMDM6-Fペプチド(0.001μM)を、Dynex 96-ウェル、黒色、丸底プレート(Fisher Scientific)中で混合して、125μlの最終量を生じた。各アッセイについて、MDM2タンパク質およびPMDM6-Fを含む結合ペプチド対照(0%阻害と等価)および遊離のPMDM6-Fのみを含む遊離ペプチド対照(100%阻害と等価)を含めた。偏光の値は、ULTRA READER (Tecan U.S. Inc., Research Triangle Park, NC)を使用して、結合が平衡に達したときである3時間のインキュベーションの後に測定した。結合ペプチドの50%が置き換わる阻害濃度であるIC50値は、非線形最小二乗分析を使用してプロットから決定した。曲線のフィットは、GRAPHPAD PRISMソフトウェア(GraphPad Software, Inc., San Diego, CA)を使用して実施した。
【0122】
阻害剤の結合親和性定数(Ki)を計算するために、FPベースの結合アッセイにおいてKi値を計算するために作成された以下の方程式を使用した:
Ki=[I]50/([L]50/Kd+[P]0/Kd+1)
ここで、[I]50は50%阻害における遊離の阻害剤の濃度、[L]50は50%阻害における遊離の標識されたリガンドの濃度、[P]0は0%阻害における遊離のタンパク質の濃度、およびKdはタンパク質-リガンド複合体の解離定数を示す。提示された方程式を使用して、阻害剤のKi値を正確に計算するために、計算手順が開発され、方程式の中で必要とされるパラメーターのすべての正確な値を計算した(Nikolovska-Coleska et al, Anal. Biochem. 332:261 (2004))。ウェブベースのコンピュータプログラムもまた、同じ方程式に基づいてFPベースの結合アッセイにおける阻害剤についてのKi値を計算するために開発された。
【0123】
蛍光標識p53ベースのペプチドは、MDM2と1nMのKd値を有した。これは、MDM2に対するその以前に報告された高親和性と一致している(Garcia-Echeverria et al, Med. Chem 43:3205 (2000))。この結合アッセイにおいて、天然のp53ペプチド(残基13〜29)は、陽性対照として使用され、1aはそれぞれ6.7μMおよび8.5μMのKi値を有することが決定された。それゆえに、1aは、p53-MDM2相互作用の極めて強力な阻害剤である。
【0124】
MDM2に結合した1aのモデルの分析(図2)は、1aがMDM2とのより良好な相互作用のためにさらに最適化可能であったことを示唆した。例えば、1aのフェニル環は、Phe19の側鎖によって占められる疎水性結合ポケットに結合するが、このポケット中にはさらに空間が存在する。同様に、1aのイソブチル基は、Leu26によって占められる疎水性結合ポケットを満たすが、より大きな疎水性基が適合可能である。1aの新たなアナログを、これらの2つの疎水性結合部位における相互作用をさらに最適化する試みにおいて設計した。
【0125】
モデリング研究は、1aにおけるフェニル環のメタ位における塩素原子の導入が、この結合部位において使用可能であるさらなる空間を利用可能であり、かつ疎水性相互作用を改善することを示した。これらの研究はまた、1aにおけるフェニル環のパラ位またはオルト位のいずれかにおける塩素原子の導入が、MDM2への結合を損なう可能性があることを示した。m-Clを有する化合物1bを合成し、300nMのKi値を有することを決定した。従って、これは、1aよりも28倍より強力であった(図5)。モデリング予測をさらに確証するために、p-Cl置換基(1c)を有する化合物を合成し、1bよりも26倍強力でないことを見い出した(Ki=7.7μM)。

【0126】
上記に示したように、1aにおけるイソブチル基は最適ではなく、そしてこの部位における疎水性相互作用は、1bを鋳型として使用してさらに最適化された。モデリング研究は、2,2-ジメチルプロピル基が疎水性相互作用を増強し(図2)、得られる化合物1dが合成されたことを示した。これは86nMのKi値を有することが見い出され、従って、これはp53-MDM2相互作用の高度に強力な阻害剤であり、天然のp53ペプチドよりも78倍より強力である。
【0127】
この部位における疎水性相互作用の重要性を確証するために、化合物1eおよび1fを設計および合成し、これらは、1dよりも、より小さい疎水性基およびより大きい疎水性基をそれぞれ有する。モデリング研究は、1eと1fの両方が1dよりも強力でないはずであることを示唆し、実際、FPベースの結合実験は、650および390nMのKi値をそれぞれ有する1eおよび1fが、1dよりも実質的に強力でなかったことを決定した(図5)。
【0128】
実施例3
細胞増殖阻害
ペプチドベースの阻害剤を上回る、非ペプチド小分子阻害剤の1つの主要な利点は、それらの優れた細胞への浸透性である。1dのような強力な非ペプチド性のp53-MDM2相互作用の阻害剤は、p53の活性の刺激を通して、野生型のp53を用いる癌細胞中の細胞増殖および分裂の阻害において有効であることが予測される。さらに、これらは、p53の損失、または変異型の非機能的型のp53のいずれかを有する癌細胞における選択性を有することが予測される。これらの予測を試験するために、細胞増殖アッセイを、ヒト前立腺癌LNCaP(p53野生型)細胞株およびPC-3(p53ヌル)細胞株を使用して開発した。正常細胞に対する化合物の毒性効果もまた、正常前立腺上皮細胞株に対して試験した。
【0129】
細胞を、3〜4×103細胞/ウェルの密度で,96ウェル平底細胞培養プレートにまき、化合物の非存在下で4日間インキュベートした。増加濃度の化合物で処理した後、細胞増殖阻害の速度を、WST-8(2-(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-(2,4ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム一ナトリウム塩(Dojindo Molecular Technologies Inc., Gaithersburg, Maryland)を使用して決定した。WST-8を10%の最終濃度で各ウェルに加え、プレートを37℃で2〜3時間インキュベートした。試料の吸光度をプレートリーダー(Molecular Device-TECAN ULTRA)中で450nmにて測定した。細胞増殖を50%阻害した化合物の濃度(IC50)を、未処理の細胞の吸光度と、化合物で処理した細胞の吸光度を比較することによって計算した。化合物は、用量依存的な様式で細胞増殖阻害を誘導した。
【0130】
予測されるように、化合物1dは、野生型p53を含むLNCaP細胞の細胞増殖の阻害において高度に有効であり、0.83μMのIC50値であった(図6)。化合物1b、1e、および1fもまた、細胞増殖を有効に阻害し、それぞれ、2.1、2.7、および1.9μMのIC50値であった(図6)。LNCaP細胞の細胞増殖の阻害におけるそれらの活性は、MDM2に対するそれらの結合親和性を完全に相関する。細胞選択性は、p53の損失を有するPC-3細胞において評価した。予想されたとおり、これらのMDM2阻害剤は、LNCaP細胞におけるよりも、PC-3細胞においてはるかに強力ではなかった(図7)。例えば、PC-3細胞において22.5μMのIC50値を有する1dは、LNCaP細胞におけるよりも27倍活性が低かった。
【0131】
正常細胞もまた野生型p53を有するので、新規な抗癌薬物としてのp53-MDM2相互作用の阻害剤の開発における潜在的な関心は、これらが非特異性であり、癌細胞を殺傷する際に正常細胞を殺傷することにおいても等しく活性であり得ることである。化合物1dは、野生型p53を有する正常ヒト前立腺上皮細胞において評価し、1dは、PrEC細胞において6.0μMのIC50値を有したことが決定された(図8)。それゆえに、1dは、LNCaP細胞よりもPrEC細胞において13倍強力でなく、そして正常細胞にとって良好な選択性を示す。
【0132】
実施例4
3-E-ベンジリデン-6-クロロ-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン

一般的技術:元素分析はthe Department of Chemistry of the University of Michigan, Ann Arbor, MIによって実施された。分子式が示される場合、元素組成は、他に注記されない限り、理論値の0.3%以内に見い出された。旋光度は、Perkin-Elmer 241旋光計(CHCl3中)上で25℃、589nmにおいて決定した。単結晶X線分析は、the Naval Research Laboratory, Washington, DCにおいて実施された。1H NMRスペクトルは、Bruker AVANCE300スペクトロメーター上で、300 MHzで記録し、13C NMRスペクトル75 MHz上で記録した。すべてのNMRスペクトルはCDCl3中で得て、結果はテトラメチルシラン(TMS)から低磁場の100万分の(ppm)として記録した。以下の略号を、NMRシグナルの多重度について使用した:s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=クアルテット、m=マルチプレット、dd=ダブルダブレット、dt=ダブルトリプレット、dq=ダブルカルテット、br=ブロード。
【0133】
方法A:60mL CH2C12:CH3CN (1:1)中の6-クロロ-オキシインドール(1.67g、10.0mmol)に、ベンズアルデヒド(10.0mmol)およびKF-Al2O3 (10g)を加えた。室温にて10分後、溶媒を真空中で除去し、残渣をフラスコとともに電子レンジ中に配置し、5分間加熱した(60〜80W)。抽出を150mL CH3CNを用いて実行し、固体を濾過し、そして溶媒を真空中で除去し、粗生成物を得て、これをさらなる精製のために使用した。
【0134】
方法B:60mL メタノール中の6-クロロ-オキシインドール(1.67g、10.0mmol)に、ベンズアルデヒド(10.0mmol)およびピペリジン(10g)を加え、得られた混液を4時間還流した。沈殿を濾過して除き、冷メタノールで洗浄して、純粋な生成物を得た。

【0135】
実施例5
同様の手順において以下の化合物を調製した。
a)3-E-6-クロロ-3-(3-クロロ-ベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン

b)3-E-ベンジリデン-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン

c)3-E-6-クロロ-3-(4-クロロ-ベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
d)3-E-ベンジリデン-6-ブロモ-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
e)3-E-ベンジリデン-6-フルオロ-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
f)3-E-ベンジリデン-6-トリフルオロメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
g)3-E-6-クロロ-3-(4-ブロモ-ベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
h)3-E-6-クロロ-3-(4-メチル-ベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
i)3-E-6-クロロ-3-(4-メトキシ-ベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
j)3-E-6-クロロ-3-(4-トリフルオロメトキシベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
k)3-E-6-クロロ-3-(3,4-ジクロロ-ベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
l)3-E-6-クロロ-3-(3,5-ジクロロ-ベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
m)3-E-6-ブロモ-3-(3-ブロモ-ベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
n)3-E-6-クロロ-3-(3,3-ジメチル-ベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
o)3-E-6-クロロ-3-(3-メチル-ブチリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
p)3-E-6-クロロ-3-(2-シクロヘキシル-エチリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
q)3-E-6-クロロ-3-シクロヘキシルメチレン-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
r)3-E-6-クロロ-3-シクロペンチルメチレン-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
s)3-E-6-クロロ-3-チオフェン-2-イルメチレン-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
t)3-E-6-クロロ-3-ピリジン-2-イルメチレン-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
u)3-E-3-(6-クロロ-ピリジン-2-イルメチレン)-6-クロロ-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
v)3-E-3-(3-クロロ-2-フルオロ-ベンジリデン)-6-クロロ-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
w)3-E-3-(3-クロロ-4-フルオロ-ベンジリデン)-6-クロロ-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
x)3-E-6-クロロ-3-(3-クロロ-5-フルオロ-ベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
y)3-E-3-(3-ブロモ-ベンジリデン)-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
z)3-E-3-(3-ブロモ-ベンジリデン)-6-トリフルオロメチル-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン
【0136】
実施例6
(2'R,3S,4'R,5'R)6-ブロモ-4'-(3-ブロモ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 ジメチルアミド(KE-29)

アルゴン下で、攪拌子を備えた100mLフラスコに、(2S,3R)-2,3,5,6-テトラヒドロ-2,3-ジフェニル-1,4-オキサジン-6-オン(1.0g、3.96 mmol)、3-E-(3-ブロモ)-ベンジリデン-6-ブロモ-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン (4.75 mmol)、2gの新鮮に活性化した4 A モレキュラーシーブ、3,3-ジメチル-ブチルアルデヒド(4.75 mmol)およびトルエン(50 mL)を加えた。この混液を70℃まで加熱し、5時間その温度に維持した。この混液を室温まで冷却し、モレキュラーシーブを濾過して除いた。溶媒を真空中で除去し、残渣をクロマトグラフィーによって精製して、1,3-双極子生成物を得た。
【0137】
得られた1,3-双極子生成物(2.0mmol)を、THF-ジメチルアミン(4M、5mL)中に溶解し、そして得られる溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をクロマトグラフィーによって精製して、(1''R,2''S,2'R,3'R,3S,4'R)6-ブロモ-4'-(3-ブロモ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミドを得た。
【0138】
0℃において、CH2Cl2-MeOH(10mL、1:1)中の(1''R,2''S,2'R,3'R,3S,4'R)6-ブロモ-4'-(3-ブロモ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(2.0mmol)の溶液に、Pb(OAc)4(1.34g、3.0mmol)を加えた。反応は0℃で約5〜10分間攪拌し、溶液を短いシリカゲルカラムを通して濾過した。溶媒を真空中で除去し、残渣をクロマトグラフィーによって精製して、生成物を得た。

【0139】
実施例7
(1''R,2''S,2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-フェニル-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-2'-イソブチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド


【0140】
実施例8
(1''R,2''S,2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-2'-イソブチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド


【0141】
実施例9
(1''R,2''S,2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(4-クロロ-フェニル)-l'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-2'-イソブチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド


【0142】
実施例10
(1''R,2''S,2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド


【0143】
実施例11
(1''R,2''S,2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-2'-プロピル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド


【0144】
実施例12
(1''R,2''S,2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-2'-(3-メチル-ブチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド


【0145】
実施例13
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3,4-ジクロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3 ,3 '-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-32)

実施例6におけるものと同様の方法を使用してこの化合物を合成した。

【0146】
実施例14
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-4'-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 ジメチルアミド(KE-21)

実施例6におけるものと同様の方法を使用してこの化合物を合成した。

HRMS C26H30ClF3N3O2 ([M+H]+)理論値508.1979、実測値508.1965。
【0147】
実施例15
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(4-クロロ-フェニル)-2'-イソブチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-10)

実施例6におけるものと同様の方法を使用してこの化合物を合成した。

HRMS C24H28Cl2N3O2 ([M+H]+)理論値460.1559、実測値460.1552。
【0148】
実施例16
(2'S,3R,4'S,5'S)6-クロロ-4'-(4-クロロ-フェニル)-2'-イソブチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 ジメチルアミド(KE-38)


HRMS C24H28Cl2N3O2 ([M+H]+)理論値460.1559、実測値460.1552。
【0149】
実施例17
(2'S,3R,4'S,5'S)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-イソブチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-34)


HRMS C24H28Cl2N3O2 ([M+H]+)理論値460.1559、実測値460.1551。
【0150】
実施例18
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-イソブチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 ジメチルアミド(KE-9)


HRMS C24H28Cl2N3O2 ([M+H]+)理論値460.1559、実測値460.1551。
【0151】
実施例19
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-イソブチル-2-オキソ-4'-フェニル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-5)


HRMS C24H29ClN3O2 ([M+H]+)理論値426.1948、実測値426.1937。
【0152】
実施例20
(2'S,3R,4'S,5'S)6-クロロ-2'-イソブチル-2-オキソ-4'-フェニル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-4)


HRMS C24H29ClN3O2 ([M+H]+)理論値426.1948、実測値426.1937。
【0153】
実施例21
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(3-メチル-ブチル)-2-オキ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 ジメチルアミド(KE-16)


HRMS C25H30Cl2N3O2 ([M+H]+)理論値474.1715、実測値474.1714。
【0154】
実施例22
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-4'-(3-ヨード-フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-22)


HRMS C25H30ClIN3O2 ([M+H]+)理論値566.1071、実測値566.1063。
【0155】
実施例23
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-4'-フェニル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-7)


HRMS C25H30ClN3O2 ([M+H]+)理論値440.2105、実測値440.2102。
【0156】
実施例24
(2'S,3R,4'S,5'S)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-4'-フェニル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-14)


HRMS C25H30ClN3O2 ([M+H]+)理論値440.2105、実測値440.2102。
【0157】
実施例25
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3,5-ジクロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-20)


【0158】
実施例26
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5'-(4-メチル-ピペラジン-1-カルボニル)-1H-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン-2-オン(KE-27)


【0159】
実施例27
(2'S,3S,4'S,5'S)6-クロロ-2'-(4-クロロ-フェニル)-4'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジエチルアミド(KE-39)


【0160】
実施例28
(2'R,3S,4'R,5'R)4'-(3-ブロモ-フェニル)-6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5'-(モルホリン-4-カルボニル)-1H-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-2-オン(KE-28)


【0161】
実施例29
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5'-(モルホリン-4-カルボニル)-1H-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-2-オン(KE-26)


【0162】
実施例30
(2'R,3S,4'R,5'R)4'-(3-ブロモ-フェニル)-6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-23)


HRMS C25H39BrClN3O2 ([M+H]+)理論値518.1210、実測値518.1177。
【0163】
実施例31
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2-オキソ-2'-プロピル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-30)


HRMS C23H26Cl2N3O2 ([M+H]+)理論値446.1402、実測値446.1408。
【0164】
実施例32
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-4'-(3-メトキシ-フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-25)


HRMS C26H33ClN3O3 ([M+H]+)理論値470.2210、実測値470.2222。
【0165】
実施例33
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2-オキソ-2'-ペンチル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-19)


【0166】
実施例34
(2'R,3S,4'R,5'R)-ブチル-6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-18)


【0167】
実施例35
(2'R,3S,4'R,5'R)6,7-ジクロロ-2'-イソブチル-2-オキソ-4'-フェニル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-11)


【0168】
実施例36
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2-オキソ-2'-(2,2-ジメチルプロピル)-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-17)


HRMS C25H30Cl2N3O2 ([M+H]+)理論値474.1715、実測値474.1713。
【0169】
実施例37
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(4-クロロ-フェニル)-2-オキソ-2'-(2,2-ジメチルプロピル)-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジエチルアミド(KE-31)

EI/MS, 474 (M++1); HRMS C25H30Cl2N3O2 ([M+H]+)理論値474.1715、実測値474.1703。
【0170】
実施例38
(2'R,3S,4'R,5'R)2'-イソブチル-2-オキソ-4'-フェニル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-8)


【0171】
実施例39
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-ブロモ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド(KE-40)


【0172】
実施例40
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-シクロヘキシルメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-41)


【0173】
実施例41
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-ブロモ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-モルホリン-4-イル-エチル)-アミド(KE-43)


【0174】
実施例42
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-5-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 ジメチルアミド(KE-47)


C25H28Cl2FN3O2 理論値 C, 60.98; H, 5.73; N, 8.53; 実測値 C, 61.12; H, 6.14; N, 8.00。
【0175】
実施例43
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3 '-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-46)


C25H28Cl2FN3O2+H2O 理論値 C, 58.83; H, 5.92; N, 8.23; 実測値 C, 59.09; H, 5058; N, 8.16。
【0176】
実施例44
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-45)


C25H28Cl2FN3O2 理論値 C, 60.98; H, 5.73; N, 8.53; 実測値 C, 61.05; H, 6.26; N, 7.97。
【0177】
実施例45
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-ブチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-48)


【0178】
実施例46
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(6-ブロモ-ピリジン-2-イル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(KE-50)


【0179】
実施例47
1'-メチル-2'-(2-メチル-プロペニル)-4'-フェニル-1H-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-2-オン(KE-13)

100mLトルエン中の3-E-3-ベンジリデン-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン(10.0mmol)、N-メチル-グリシン(14mmol)および3-メチル-ブト-2-エナール(14mmol)の混液を6時間還流した。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルカラム上で精製して生成物を得た。

【0180】
実施例48
6-クロロ-1'-メチル-2'-(2-メチル-プロペニル)-4'-フェニル-1H-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-2-オン(KE-2)

実施例47におけるものと同様の方法を使用してこの化合物を合成した。

【0181】
実施例49
1'-メチル-2'-(2-メチル-プロペニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-4'-カルボン酸 TERT-ブチルエステル(KE-3)

実施例47におけるものと同様の方法を使用してこの化合物を合成した。

【0182】
実施例50

CH2Cl2中の(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-インドール-3-イリデン)-酢酸エチルエステルならびに 2-ブロモ-1-フェニル-エタノンおよび3,4-ジヒドロ-イソキノリン(塩)によって形成された複合体の溶液に、Et3Nを加えた。得られる溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルカラム上で精製して、生成物を得た。

【0183】
実施例51

実施例50におけるものと同様の方法を使用してこの化合物を合成した。

【0184】
実施例52

この化合物は、実施例50の化合物の水素化によって調製した。

【0185】
実施例53
KE-6

この化合物は、実施例51の化合物の水素化によって調製した。

【0186】
実施例54
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-シクロヘキシル-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(G-51)


【0187】
実施例55
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'シクロペンチル-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(G-52)


【0188】
実施例56
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-シクロヘキシルメチル-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(G-53)


【0189】
実施例57
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-4'-ピリジン-2-イル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(G-56)


【0190】
実施例58
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-4'-チオフェン-2-イル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(G-57)


【0191】
実施例59
(2'R,3S,4'R,5'R)4'-(3-ブロモ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(G-58)


【0192】
実施例60
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-4'-(1-メチル-1H-ピロール-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(G-84)


【0193】
実施例61
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-4'-ピリジン-4-イル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(G-83)


【0194】
実施例62
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-4'-ピリジン-3-イル-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸ジメチルアミド(G-82)


【0195】
実施例63
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-4'-フラン-3-イル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸メチルアミド(G-81)


【0196】
実施例64
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-4'-フラン-2-イル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸メチルアミド(G-80)


【0197】
実施例65
(2'R,3S,4'R,5'R)4'-(3-ブロモ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-6-メトキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 ジメチルアミド(KE-61)


【0198】
実施例66
(2'R,3S,4'R,5'R)6-(クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-モルホリン-4-イル-エチル)-アミド(KE-79)


C29H30Cl2N4O3+0.5 H2O 理論値 C, 61.26; H, 6.56; N, 9.85; 実測値 C, 61.38; H, 7.08; N, 9.50。
【0199】
実施例67
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド(KE-78)


【0200】
実施例68
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-4-(3-フルオロ-フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3-ピロリジン]-5-カルボン酸ジメチルアミド(KE-75)


【0201】
実施例69
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-4-(2,3-ジフルオロ-フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3-ピロリジン]-5-カルボン酸ジメチルアミド(KE-74)


【0202】
実施例70
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3-ピロリジン]-5-カルボン酸(2-ジエチルアミノ-エチル)-アミド(KE-73)


【0203】
実施例71
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-4-(3-クロロ-フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3-ピロリジン]-5-カルボン酸メチルアミド(KE-71)


【0204】
実施例72
(2'R,3S,4'S,5'R)6-(クロロ-4'-(3-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-モルホリン-4-イル-エチル)-アミド(KE-90)


【0205】
実施例73
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-4-(3-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3-ピロリジン]-5-カルボン酸 ジメチルアミド(KE-91)


【0206】
実施例74
(2'R,3S,4'S,5'R)6-メチル-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド(KE-92)


【0207】
実施例75
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-2,2-ジメチル-プロピル-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド(KE-93)


【0208】
実施例76
(2'R,3S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-2,2-ジメチル-プロピル-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸メチルアミド(KE-94)


【0209】
実施例77
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-ブチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド(GM-29)


【0210】
実施例78
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-ペンチル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド(KE-101)


【0211】
実施例79
(2'R,3S,4S,5'R)6-メトキシ-4'-(3-ブロモ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド(KE-102)


【0212】
実施例80
(2'R,3S,4R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-5-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド(KE-103)


【0213】
実施例81
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ, 7-フルオロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド(KE-104)


【0214】
実施例82
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ, 7-フルオロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド(KE-109)


【0215】
実施例83
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ, 7-フルオロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-ピロリジン-1-イル-エチル)-アミド(KE-110)


【0216】
実施例84
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ, 7-フルオロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ [インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-ピペリジン-1-イル-エチル)-アミド(KE-111)


【0217】
実施例85
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ, 7-フルオロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸[2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-エチル]-アミド(KE-112)


【0218】
実施例86
(2'R,3S,4R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-5-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (2-モルホリン-4-イル-エチル)-アミド(KE-115)


【0219】
実施例87
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 [2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-エチル]-アミド(KE-MDM2-108)


【0220】
実施例88
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-モルホリン-4-イル-エチル)-アミド(KE-63)


C29H35Cl2FN4O3+H2O 理論値 C, 58.49; H, 6.26; N, 9.41; 実測値 C, 58.70; H, 6.44; N, 9.23。
【0221】
実施例89
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド(KE-64)


【0222】
実施例90
(ラセミ)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 TERT-ブチルエステル


【0223】
実施例91
(2'S,3R,4'R,5'S)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (2-モルホリン-4-イル-エチル)-アミド(KE-98 (63B、KE-63の鏡像体))


【0224】
実施例92
(2'R,3S,4R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5'-メチルカルバモイル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-1'-カルボン酸メチルエステル(KE-66)


【0225】
実施例93
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-ジメチルアミノ-エチル)-メチル-アミド(KE-62)


【0226】
実施例94
KE-68


【0227】
実施例95
(2'R,3S,4R,5'R)4'-(3-ブロモ-フェニル)-6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 [2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-エチル]-アミド(KE-67)


【0228】
実施例96
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-ピロリジン-1-イル-エチル)-アミド(MDM2-DQ-120)


【0229】
実施例97
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-ピペリジン-1-イル-エチル)-アミド(MDM2-DQ-121)


【0230】
実施例98
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸[2-(l-メチル-ピペリジン-4-イル)-エチル]-アミド(MDM2-DQ-122)


【0231】
実施例99
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-ピペリジン-4-イル-エチル)-アミド(MDM2-DQ-123)


【0232】
実施例100
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (4-モルホリン-4-イル-ブチル)-アミド(MDM2-119)


【0233】
実施例101
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-シクロヘキシル-エチル)-アミド(MDM2-DQ-125)


【0234】
実施例102
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 [2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-エチル]-アミド(MDM2-DQ-126)


【0235】
実施例103
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 [2-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-エチル]-アミド(MDM2-DQ-129)


【0236】
実施例104
(2'R,3S,4S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸[2-(4-イソプロピル-ピペラジン-1-イル)-エチル]-アミド(MDM2-DQ-130)


【0237】
実施例105
(ラセミ)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-メチル-2-オキソ-1 ,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-モルホリン-4-イル-エチル)-アミド(KE-100)


【0238】
実施例106
(ラセミ)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド


【0239】
実施例107
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 [3-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-プロピル]-アミド


【0240】
実施例108
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸{2-[3-(2,2,2-トリフルオロ-エチル)-5,6-ジヒドロ-8H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-A]ピラジン-7-イル]-エチル}-アミド


【0241】
実施例109
(2'R,3''S,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3,4-ジヒドロキシ-ブチル)-アミド


【0242】
実施例110
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エチル]-アミド


【0243】
実施例111
(2'R,3S,4'S,5'R)4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド


【0244】
実施例112
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エチル]-アミド

アルゴン下で、実施例110の化合物(1mmol)の溶液20mL CH3CN、0.5mLの37%ホルマリン、および1.1mmolのNaBH3CNに、2滴のOHAcを添加した。生じた溶液を室温で2時間撹拌し、50mLの酢酸エチルを添加した。生じた混合物をNaHCO3溶液およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。溶媒を除去し、残渣をカラムにより精製した(収率、約90%)。

【0245】
実施例113
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド

【0246】
実施例113の化合物は、実施例112と同じ手順を経由して調製した。

【0247】
実施例114
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(2-モルホリン-4-イル-エチル)-アミド

【0248】
実施例114の化合物は、実施例112と同じ手順を経由して調製した。

【0249】
実施例115
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5'-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エチルカルバモイル]-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-1'-カルボン酸メチルエステル

【0250】
実施例115の化合物は、実施例112と同じ手順を経由して調製した。

【0251】
実施例116
(1''R,2''S,2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-5'-ヒドロキシメチル-1H-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-2-オン

【0252】
アルゴン下で、攪拌子を備えた100mLフラスコに、(2S,3R)-2,3,5,6-テトラヒドロ-2,3-ジフェニル-1,4-オキサジン-6-オン(1.0g、3.96 mmol)、3-E-(2-フルオロ-3-クロロ)-ベンジリデン-6-クロロ-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン(4.75 mmol)、2gの新鮮に活性化した4Åモレキュラーシーブ、3,3-ジメチル-ブチルアルデヒド(4.75 mmol)およびトルエン(50 mL)を加えた。この混液を70℃まで加熱し、5時間その温度に維持した。この混液を室温まで冷却し、モレキュラーシーブを濾過して除いた。溶媒を真空中で除去し、残渣をクロマトグラフィーによって精製して、1,3-双極子生成物を得た。
【0253】
得られた1,3-双極子生成物(2.0mmol)を、エタノール/HCl(10 ml)中に溶解し、そして得られる溶液を室温で一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をNaHCO3/H2Oで中和し、酢酸エチルで抽出した。有機相をNa2SO4上で乾燥した。溶媒を真空中で除去し、残渣を20 mLエタノールに溶解し、10 mmol NaBH4を非常に注意深く加えた。得られる混液を一晩還流した。溶媒を真空中で除去し、残渣をNaOH/H2Oで処理し、酢酸エチルで抽出した。有機相をNa2SO4上で乾燥した。溶媒を真空中で除去し、残渣をクロマトグラフィーによって精製して生成物を得た。

【0254】
実施例117
(1''R,2''S,2'R,3S,4'S,5'R)5'-(TERT-ブチル-ジメチル-シラニルオキシメチル)-6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-1H-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-2-オン

10 mL DMF中の化合物116(1.0 mmol)に、TBDMSCl(1.1 mmol)およびイミダゾール(1.1 mmol)を加えた。得られる溶液を室温で2時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣を酢酸エチルで溶解し、この溶液をブラインで洗浄した。有機相をNa2SO4上で乾燥した。溶媒を真空中で除去し、残渣をクロマトグラフィーによって精製して生成物を得た。

【0255】
実施例118
(1''R,2''S,2'R,3S,4'S,5'R)2,2-ジメチル-プロピオン酸 2-[6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5'-ヒドロキシメチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-1'-イル]-1,2-ジフェニル-エチルエステル

10 mL CH2Cl2中の化合物116(1.0 mmol)に、トリメチルアセチルクロライド(1.5 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.0 mmol)を加え、得られる溶液を室温で攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣を酢酸エチルで溶解した。HCl(1 mL)を有機相に加え、得られる混液を室温で2時間攪拌した。次いで、5 mL NaHCO3/H2Oを加え、2つの相を分離させた。有機相をNa2SO4上で乾燥した。溶媒を真空中で除去し、残渣をクロマトグラフィーによって精製して生成物を得た。

【0256】
実施例119
(1''R,2''S,2'R,3S,4'S,5'R)2,2-ジメチル-プロピオン酸 2-[5'-ブロモメチル-6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-1'-イル]-1,2-ジフェニル-エチルエステル

10 mL CH2Cl2中の化合物118(1.0 mmol)に、CBr4(1.5 mmol)およびPh3P (1.5 mmol)を加え、得られる溶液を室温で6時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をクロマトグラフィーによって精製して生成物を得た。

【0257】
実施例120
(1''R,2''S,2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-(2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニル-エチル)-5'-(2-モルホリン-4-イル-エトキシメチル)-1H-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-2-オン

10 mL 乾燥THF中の2-モルホリン-4-イル-エタノール(10 mmol)に、NaH(10 mmol)を加え、得られる溶液を室温で2時間攪拌した。次いで、化合物119(1 mmol)を加え、得られる混液を室温で一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣を酢酸エチルで溶解し、この溶液をブラインで洗浄した。有機相をNa2SO4上で乾燥した。溶媒を真空中で除去し、残渣をクロマトグラフィーによって精製して生成物を得た。

【0258】
実施例121
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5'-(2-モルホリン-4-イル-エトキシメチル)-1H-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-2-オン

0℃において、CH2Cl2-MeOH(10 mL、1:1)中の化合物120(2.0 mmol)の溶液に、Pb(OAc)4(1.34 g、3.0 mmol)を加えた。反応を0℃で約5〜10分間攪拌し、この溶液を短いシリカゲルカラムを通して濾過した。溶媒を真空中で除去し、残渣をクロマトグラフィーによって精製して生成物を得た。

【0259】
実施例122
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-1'-メチル-5'-(2-モルホリン-4-イル-エトキシメチル)-1H-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-2-オン

化合物122は、実施例122と同じ手順によって得た。

【0260】
実施例123
(2'R,3S,3''S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3,4-ジヒドロキシ-ブチル)-アミド塩酸塩


【0261】
実施例124
(2'R,3S,3''S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (3,4-ジヒドロキシ-ブチル)-アミド


【0262】
実施例125
(2'R,3S,3''S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3-ヒドロキシ-4-トリチルオキシ-ブチル)-アミド


【0263】
実施例126
(2'R,3S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5'-(モルホリン-4-カルボニル)-1H-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-2-オン


【0264】
実施例127
(2'R,3S,3''S,4'S,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3,4-ジヒドロキシル)-アミド塩酸塩


【0265】
実施例128
(2'R,3S,3''S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸 (3,4-ジヒドロキシ-ブチル)-アミド


【0266】
実施例129
(2'R,3S,3''S,4'R,5'R)4'-(3-ブロモ-フェニル)-6-クロロ-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3,4-ジヒドロキシ-ブチル)-アミド


【0267】
実施例130
(2'R,3S,3''S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(4-ヒドロキシ-ブチル)-アミド


【0268】
実施例131
(2'R,3S,3''S,4'R,5'R)6-クロロ-4'-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-2'-(2,2-ジメチル-プロピル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-スピロ[インドール-3,3'-ピロリジン]-5'-カルボン酸(3,4-ジヒドロキシ-ブチル)-アミド


【0269】
実施例132
p53-MDM2相互作用の競合的阻害
実施例2に記載されたFP結合アッセイを使用して、MDM2とp53との間の相互作用を阻害するいくつかの合成した化合物の能力を試験した。化合物Ke-43(実施例41)、Ke-61(実施例65)、PMDM6(実施例2)、およびKe-63(実施例88)を、天然のp53ペプチドに対して試験した(実施例2)。化合物Ke-43、PMDM6、およびKe-63は、天然のp53ペプチドよりも強力であることが示され、低nMからnM以下の範囲におけるKi値を有した(図9)。
【0270】
実施例133
MDM2阻害剤によるp53-MDM2相互作用の破壊
同時免疫沈殿(Co-IP)/ウェスタンブロッティングアッセイを、p53-MDM2相互作用に対するKe-43の効果を評価するために実施した。収集および冷PBSで1回の洗浄後、HCT116結腸癌細胞を、1 mM フェニルメチルスルホニルフルオリドおよびプロテアーゼインヒビターカクテルを含む冷Co-IP緩衝液(50 mM Tris (pH 7.5)、150 mM NaCl、1 mM EDTA (pH 8.0)、0.5% NP-40)中での超音波処理によって溶解した。次いで、超音波処理溶解物を、4℃にて、12,000×gで15分間遠心分離した。2 mgタンパク質を含む上清を、Ke-43の存在下または非存在下で、4℃にて1時間インキュベートし、続いて、アガロースビーズの付加を行い、抗p53抗体(FL-393, Santa Cruz)または非特異的抗体のいずれかと結合体化した。4℃で2時間の混合後、アガロースビーズを冷Co-IP緩衝液で3回洗浄し、試料緩衝液中で煮沸し、続いてSDS-PAGEを行い、p53およびMDM2の存在を、p53およびMDM-2タンパク質に対するマウスモノクローナル抗体を用いてウェスタンブロッティングによって検出した。増加濃度のKe-43は、抗p53抗体によるMDM2の免疫沈殿の減少を生じた。このことは、Ke-43がp53とMDM2との間の相互作用を破壊することを示す(図10)。
【0271】
実施例134
MDM2阻害剤による細胞増殖阻害
RKO(野生型p53)、HCT116(野生型p53)、およびHT-29(変異型p53)結腸癌細胞株を、96ウェル平底細胞培養プレートに、3〜4×103細胞の密度でまき、化合物の存在下で4日間インキュベートした。増加濃度の化合物と用いる処理後の細胞増殖阻害の速度を、WST-8(2-(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-(2,4ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム一ナトリウム塩(Dojindo Molecular Technologies Inc., Gaithersburg, Maryland)を使用して決定した。WST-8を10%の最終濃度で各ウェルに加え、プレートを2〜3時間37℃でインキュベートした。試料の吸光度を、プレートリーダー(Molecular Device-TECAN ULTRA)中で450nmにて測定した。細胞増殖を50%阻害した化合物の濃度(IC50)は、化合物で処理した細胞の吸光度を、未処理細胞と比較することによって計算した。化合物Ke-43(実施例41)は、野生型p53を発現する癌細胞についての強力な増殖阻害活性を示した(図11)。顕著には、野生型p53を発現する癌細胞は、変異型p53を発現する癌細胞(HT-29)を超えて、18倍(HCT116)および13倍(RKO)高い特異性を示した(図11)。
【0272】
実施例135
p53およびその標的遺伝子産物MDM2およびp21の発現に対するMDM2阻害剤の効果
癌細胞を、試験化合物または0.1% DMSOで24時間処理した。細胞をトリプシン処理によって収集し、冷リン酸緩衝化生理食塩水、pH 7.5(Invitrogen, Carlsbad, CA)で洗浄した。細胞を、2 mM オルトバナジウム酸ナトリウム、1 mM フェニルメチルスルホニルフルオリドおよびプロテアーゼインヒビターカクテル(Roche Applied Science, Indianapolis, IN)を含む氷冷溶解緩衝液(50 mM Tris (pH 7.5)、150 mM NaCl、1 mM EDTA (pH 8.0)、25 mM フッ化ナトリウム、1% NP-40および0.1% SDS)中で30分間溶解した。次に、細胞抽出物を、4℃にて、12,000×gで10分間遠心分離して、清澄化した溶解物を得た。タンパク質はBio-Rad色素によって見積もった。35μgタンパク質を含む細胞溶解物を、 4〜20% tris-グリシンゲル(Invitrogen, Carlsbad, CA)上で分離し、ポリ(ビニリデン ジフルオリド)メンブレンに転写した。転写膜上のタンパク質の免疫検出は、抗p53(Ab-6、Oncogene Research Products, Boston, MA)、抗MDM2(SMP14、Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)および抗p21(BD Biosciences, San Diego, CA)マウスモノクローナル抗体を使用して実施した。β-アクチンに対する抗体(Sigma, St Louis, MO)はタンパク質負荷を評価するために使用した。RKO(野生型p53)およびHT-29(変異型p53)結腸癌細胞株がKe-43(実施例41)で24時間処理されたとき、Ke-43は、p53およびその標的遺伝子産物の蓄積を、野生型p53を発現するRKO細胞においてのみ誘導した(図12)。
【0273】
実施例136
MDM2阻害剤によって誘導される細胞死およびアポトーシス
RKO(野生型p53)およびHT-29(変異型p53)結腸癌細胞株ならびにCCD-18Co正常結腸線維芽細胞を、6ウェルペトリディッシュ中で4日間、増加用量のKe-43またはKe-61で処理した。トリパンブルー色素排除アッセイを実施して、細胞死を誘導する阻害剤の能力を決定した。処理の4日後、浮遊細胞および接着細胞を収集し、0.2%のトリパンブルー溶液(Sigma, St Louis, MO)で染色した。各処理を三連で実施し、少なくとも100個の細胞を計数した。青色に染色されたか、または形態学的に健常でない細胞は死滅細胞として点数付けした。アポトーシスを評価するために、試験阻害剤ありまたはなしで処理した細胞中の二倍体下(sub-diploid)DNA含量を、ヨウ化プロピジウム(PI)染色によって分析した。冷PBSでの1回の洗浄後、細胞を、1日間、-20℃で70%エタノール中で固定した。次いで、エタノール固定細胞をPBSで2回洗浄し、PBS中に50μg/mlのヨウ化プロピジウム(PI)および100μg/mlのRNAアーゼAを含む染色溶液で、暗所にて室温で20分間染色した。細胞の獲得および二倍体下DNA含量の分析は、CellQuestソフトウェアを使用するフローサイトメトリーによって実施した。野生型p53を発現する癌細胞のみが、Ke-43の投与に応答してアポトーシスを受けた(図13)。
【0274】
実施例137
結腸癌細胞の細胞周期進行に対するMDM2阻害剤の効果
細胞周期進行は、RKO(野生型p53)およびHT-29(変異型p53)結腸癌細胞株ならびにCCD-18Co正常結腸線維芽細胞において、ブロモデオキシウリジン(BrdU)の取り込み、続いて、FITC標識抗BrdU抗体を用いる染色によってS期の細胞を決定することによって、および製造業者の指示書に従う(BD Biosciences, San Jose, CA)、7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD)を用いる染色によってDNA含量を決定することによって評価した。手短に述べると、癌細胞および正常細胞を、一晩のインキュベーション後に、試験化合物のあるなしで22時間処理し、続いて、10μMのBrdUとのさらに2時間のインキュベーションを行った。細胞を収集し、固定し、そしてFITC標識抗BrdUおよび7-AADで染色した。細胞周期の分布はフローサイトメトリーによって分析した。CellQuestソフトウェア(BD Biosciences)を使用することによって、細胞を獲得し、およびデータを分析した。Ke-43は、両方とも野生型p53を発現する、RKO癌細胞およびCCD-18Co正常結腸線維芽細胞におけるS期の用量依存的な欠失を誘導した(図14)。しかし、Ke-43は、変異型p53を発現するHT-29細胞の細胞周期進行に対しては感知可能な効果を有さなかった(図14)。不活性対照阻害剤Ke-61は、すべての試験した細胞において有意な効果を有さなかった。
【0275】
実施例138
MDM2阻害剤を用いる、化学療法からの正常細胞の保護
PrEC正常前立腺上皮細胞を6ウェルプレートにまき、Ke-63(1μMおよび2.5μM)とともに24時間インキュベートし、次いで、1μM タキソール(パクリタキセル)を2日間加えた。トリパンブルーを使用して、細胞の生存度を決定した。データは、正常前立腺上皮細胞がKe-63で前処理されたときに、細胞はタキソールから保護されたことを示した(図15)。
【0276】
ここで本発明を十分に説明してきたが、本発明は、広範かつ等価な範囲の条件、処方、および他のパラメーターの中で、本発明またはその任意の態様の範囲に影響を与えることなく実施可能であることが当業者によって理解される。本明細書に引用されるすべての特許、特許出願、および刊行物は、それらの全体が参照により完全に本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ:

式中、
XはCH、O、N、またはSであり、ここで、XがOまたはSである場合、R8が存在せず;
YはO、SまたはNR'であり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、独立して、H、もしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、もしくはNR'R''であり;または
R7は、R5またはR6の1つとともに、アリール、シクロアルキル、または複素環基を形成し;
R8は、Hまたは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、SO2NR'R''、または(C=NR')NR''R'''であり;
R9は、H、F、Cl、Br、I、OH、NO2、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、OR'、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、またはNR'R''から独立して選択される1〜4個の置換基であり;ならびに
各R'、R''、およびR'''は、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、もしくは複素環であり;または、
R'およびR''、もしくはR''およびR'''は環を形成し;または、
R3とR4の1つがCONRR'である場合、RとR'の1つはさらに

であり得;ならびに
n、m、およびpは各々独立して1〜6である。
【請求項2】
下記式IIまたは下記式IIIを有する請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。

【請求項3】
下記式IVを有する請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。

【請求項4】
下記式Vまたは下記式VIを有する請求項3記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。

【請求項5】
下記式VIIを有する請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。

【請求項6】
下記式VIIIまたは下記式IXを有する請求項5記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。

【請求項7】
R1およびR2の1つが、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R1およびR2の1つが、置換されていてもよいシクロアルキル、直鎖状もしくは分枝状アルキル、アミドまたはエステルである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R5およびR6の1つがC3-18アルキル、アリール、またはヘテロアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
下記式Xを有する請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ:

式中、
R10およびR11は、独立して、H、OH、または置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、

であり;ならびに
n、m、およびpは、各々独立して、1〜6である。
【請求項11】
下記式XI〜XXVIの1つを有する請求項10記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。

【請求項12】
下記式XXIXを有する請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ:

式中、
ZはO、NH、NR'、CH2、CHR'、またはCR'R''であり;
R10は、H、OH、または置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、

であり;ならびに
n、m、およびpは、各々独立して、1〜6である。
【請求項13】
下記式XXX〜XLVの1つを有する請求項12記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。

【請求項14】
下記式XXVIIまたは下記式XXVIIIを有する請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ:

式中、
R10およびR11は、独立して、H、OH、または置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、

であり;ならびに
n、m、およびpは、各々独立して、1〜6である。
【請求項15】
下記式XLVIを有する請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。

【請求項16】
下記式XLVIIを有する請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ:

式中、
R12は、H、F、Cl、Br、I、OH、NO2、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、OR'、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、またはNR'R''から独立して選択される1〜4個の基であり;ならびに
nはO、1、または2である。
【請求項17】
下記式XLVIIIを有する請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。

【請求項18】
下記式XLIX〜LXIVを有する請求項17記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。

【請求項19】
下記式LXVを有する請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ:

式中、
R10およびR11は、独立して、H、OH、または置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、

であり;ならびに
n、m、およびpは、各々独立して、1〜6である。
【請求項20】
下記式LXVIおよびLXVIIの1つを有する請求項19記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ。

【請求項21】
下記式LXVIIIおよびLXIXの1つを有する請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグ:

式中、
ZはO、NH、NR'、CH2、CHR'、またはCR'R''であり;
R11は、H、OH、または置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、

であり;ならびに
n、m、およびpは、各々独立して、1〜6である。
【請求項22】
以下の工程を含む、式Xの化合物を調製する方法:
a)式1の化合物を式2の化合物と縮合させて、式3の化合物を形成する工程;

b)式3の化合物を式4の化合物および式5の化合物と縮合させて、式6の化合物を形成する工程;ならびに

c)式6の化合物を酸化剤で処理して、式Xの化合物を形成する工程;

式中、
R1およびR5は、独立して、H、もしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、もしくはNR'R''であり;
R7はHであり;
R9は、H、F、Cl、Br、I、OH、NO2、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、OR'、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、またはNR'R''から独立して選択される1〜4個の基であり;
R10およびR11は、独立して、H、OH、または置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、

であり;ならびに
n、m、およびpは、各々独立して、1〜6であり;ならびに
各R'、R''、およびR'''は、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、もしくは複素環であり;または、
R'およびR''、もしくはR''およびR'''は環を形成する。
【請求項23】
以下の工程を含む、式LXVの化合物を調製する方法:
a)式16の化合物を式2の化合物と縮合させて、式17の化合物を形成する工程;

b)式17の化合物を式4の化合物および式5の化合物と縮合させて、式18の化合物を形成する工程;ならびに

c)式18の化合物を酸化剤で処理して、式LXVの化合物を形成する工程;

式中、
R1およびR5は、独立して、H、もしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、もしくはNR'R''であり;
R4はHであり;
R9は、H、F、Cl、Br、I、OH、NO2、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、OR'、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、またはNR'R''から独立して選択される1〜4個の基であり;
R10およびR11は、独立して、H、OH、または置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、

であり;
n、m、およびpは、各々独立して、1〜6であり;ならびに
各R'、R''、およびR'''は、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、もしくは複素環であり;または、
R'およびR''、もしくはR''およびR'''は環を形成する。
【請求項24】
以下の工程を含む、式XXIXの化合物を調製する方法:
a)式3の化合物を式4の化合物および式5の化合物と縮合させて、式7の化合物を形成する工程;

b)式7の化合物を酸の存在下で加熱し、次いで還元剤を加えて式8の化合物を形成する工程;

c)式8の化合物を遮断剤、続いて塩化トリメチルアセチル、次いで酸と縮合させて、式10の化合物を形成する工程;

d)式10の化合物をハロゲン化剤で処理して、式11のハロ化合物を形成する工程;

e)式11の化合物のハロ基を、R10ONaまたはR10NH2で置き換えて、式12の化合物を形成する工程;

f)式12の化合物を酸化剤で処理して、式13の化合物を形成する工程;ならびに

g)式13の化合物をアルキル化剤でアルキル化して、式XXIXの化合物を形成する工程;

式中、
R1およびR5は、独立して、H、もしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、もしくはNR'R''であり;
R7は、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、SO2NR'R''、もしくは(C=NR')NR''R'''であり;
R9は、H、F、Cl、Br、I、OH、NO2、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、OR'、CO2R'、OCOR'、CONR'R''、NR''COR'、NR'SO2R''、SO2NR'R''、(C=NR')NR''R'''、またはNR'R''から独立して選択される1〜4個の基であり;
各R'、R''、およびR'''は、独立して、Hもしくは置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、もしくは複素環であり;または
R'およびR''、もしくはR'およびR'''は環を形成し;
R10は、H、OH、または置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、複素環、

であり;
ZはO、NH、NR'、CH2、CHR'、またはCR'R''であり;ならびに
n、m、およびpは、各々独立して、1〜6である。
【請求項25】
請求項1記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項26】
細胞を請求項1記載の化合物と接触させる工程を含む、細胞において、細胞の増殖および/もしくは分裂を阻害する、アポトーシスを誘導する、ならびに/または細胞周期停止を誘導する方法。
【請求項27】
細胞を請求項1記載の化合物と接触させる工程を含む、細胞をさらなる作用因子に対して感受性にする方法。
【請求項28】
細胞をさらなる作用因子と接触させる工程をさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
さらなる作用因子が化学療法剤である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
さらなる作用因子が放射線である、請求項28記載の方法。
【請求項31】
請求項1記載の化合物の治療上有効量を動物に投与する工程を含む、動物における障害を処置、寛解、または予防する方法。
【請求項32】
さらなる作用因子を投与する工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
さらなる作用因子が化学療法剤である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
さらなる作用因子が放射線である、請求項32記載の方法。
【請求項35】
障害が過剰増殖性疾患である、請求項31記載の方法。
【請求項36】
過剰増殖性疾患が癌である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
請求項1記載の化合物がさらなる作用因子の前に投与される、請求項32記載の方法。
【請求項38】
請求項1記載の化合物がさらなる作用因子の後で投与される、請求項32記載の方法。
【請求項39】
請求項1記載の化合物がさらなる作用因子と同時に投与される、請求項32記載の方法。
【請求項40】
請求項1記載の化合物に細胞を曝露する工程を含む、細胞中でp53またはp53関連タンパク質とMDM2またはMDM2関連タンパク質との間の相互作用を阻害する方法。
【請求項41】
請求項1記載の化合物に細胞を曝露する工程を含む、機能的p53またはp53関連タンパク質を含む過剰増殖性細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項42】
請求項1記載の化合物の治療上有効量を動物に投与する工程を含む、動物において機能的p53またはp53関連タンパク質の発現によって特徴付けられる過剰増殖性疾患を処置、寛解、または予防する方法。
【請求項43】
請求項1記載の化合物に細胞を曝露する工程を含む、正常細胞を化学療法剤または処置に対して抵抗性にする方法。
【請求項44】
正常細胞が野生型p53を含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
動物に請求項1記載の化合物を投与する工程を含む、過剰増殖性疾患を有する動物において、化学療法剤または処置の毒性副作用から正常細胞を保護する方法。
【請求項46】
正常細胞が野生型p53を含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
過剰増殖性疾患が癌である、請求項45記載の方法。
【請求項48】
癌がp53の変異または欠失を含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
化学療法剤を用いる処置、または処置を受けている動物に、請求項1記載の化合物を同時投与する工程を含む、化学療法剤または処置の投与によって引き起こされる障害または状態の処置、寛解、または予防のための方法。
【請求項50】
障害または状態が、粘膜炎、口内炎、口内乾燥症、胃腸障害、または脱毛症である、請求項49記載の方法。
【請求項51】
請求項1記載の化合物が、化学療法剤または処置の投与の前に動物に投与される、請求項49記載の方法。
【請求項52】
請求項1記載の化合物を含むキット。
【請求項53】
化合物を動物に投与するための説明書をさらに含む、請求項52記載のキット。
【請求項54】
さらなる作用因子をさらに含む、請求項52記載のキット。
【請求項55】
さらなる作用因子が化学療法剤である、請求項54記載のキット。
【請求項56】
説明書が過剰増殖性疾患を有する動物に化合物を投与するためである、請求項53記載のキット。
【請求項57】
過剰増殖性疾患が癌である、請求項56記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−162550(P2012−162550A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86927(P2012−86927)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2007−556414(P2007−556414)の分割
【原出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(506277410)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (19)
【Fターム(参考)】