説明

MEMSベースの多極静電チャック

本発明は、半導体基板をクランプしかつこれに関連した熱伝達を制御するための半導体処理装置及び方法を提供する。本発明の1つの構成によれば、多極静電チャック及びその方法は、チャック表面間に、制御されかつ均一の熱伝達係数を与えるように構成されている。この多極静電チャックは、ギャップを形成する複数の突起を有する半導体プラットフォームを含み、前記ギャップの距離または深さは、均一であって、冷却ガスの平均自由行路に関係する。静電チャックは、複数のギャップ内における冷却ガスの背面圧力を調整して、冷却ガスの熱伝達係数を制御する。複数の突起は、さらに、均一な接触表面を有し、複数の突起と基板との間の接触伝導率は、基板間で制御可能でかつ均一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、半導体処理システムに関し、より特定すると、基板を固定し、更に、これに関連した熱エネルギーを伝達するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハの処理は、現代のマイクロエレクトロニクス素子の製造において、日常のことである。このような処理は、低圧力で実行されるプラズマ処理及びイオン注入を含んでおり、ここで、RF波またはマイクロ波のプラズマがウエハに供給され、処理中ウエハは高温度となる。しかし、このような高温度(たとえば、400℃を越える温度)は、ウエハに有害な影響を与える。
【0003】
多くの処理に対して、ウエハの温度を400℃またはそれ以下の所定の温度以下に維持する限り、正確な温度制御は必要とされない。しかし、イオン注入における現在の趨勢は、高出力の直列注入機に向けられており、ここでは、熱伝達係数(HTC)がHTC>200mW/cm2Cを満足する冷却が一般的に必要とされる。これらの或いは他のいくつかの注入動作において、正確な温度制御が、一般的に必要とされ、HTCは、300mmウエハにわたり均一であり、たとえば、1%以内に維持する必要がある。このような処理は、たとえば、500mW/cm2Cと同程度に高いHTC値を有する。本発明が指向する要求もこのように高い性能に合致している。
【0004】
半導体処理におけるウエハの温度制御は、ある時間の間、利用される静電チャック(ESC)を有する。一般的な単一極のESCは、図1に示されており、ここで、ESC10は、静電気によってウエハ20を保持する。ウエハ20は、絶縁層40によって電極30から分離される。電圧(たとえば、a+として図示される。)は、電源50によって電極30に印加される。電極に印加された電圧は、静電界(たとえば、a"-")ウエハ20に生じ、このウエハ20上に等しくかつ反対の電荷を誘導する。ウエハ20上に作用する静電界は、ウエハとESC10との間に静電力を生じる。その結果、静電力は、絶縁層40に対してウエハ20を保持する。
【0005】
複数のESCを用いるときのウエハ20の冷却は、ウエハと絶縁層40の接触表面60との間の接触導電率によって与えることができる。ここで、絶縁層は、水冷により冷却することができる。従来、ウエハ20の冷却は、一般的に、ESCに印加される電圧に応じて増加する。しかし、かなり高い電圧は、ウエハ上に有害な影響(たとえば、粒子発生原因となる)を与え、故障率の増加とともに、高価な電源及び電力消費をもたらすことになる。
【0006】
従来の他のESCは、ウエハ20と絶縁層40との間に冷却ガスを用いる。この場合、絶縁層40の接触面60は、複数の突出部(図示略)を有して、冷却ガスを残す領域を形成する。セラミック層は、一般的に機械加工により突出部が形成され、この突出部は、ビードブラスト処理により形成される。しかし、セラミックからなる絶縁層40を加工することは、いくつかの欠点として、精度と、ウエハ処理中にセラミック層によって起こる帯電微粒子の問題を生じさせる。
【0007】
さらに、従来の機械加工方法を用いてチャック表面の平坦度(即ち、表面のうねりを制御すること)を300mmの加工物にわたって5ミクロン以下にすることは、一般的に非常に難しい。たとえば、ウエハを従来のチャック表面に接触させると、チャックとウエハ表面との間のギャップ幅は、一般的に、チャック表面のうねりにより5ミクロンの範囲内にある。しかし、このギャップは、ウエハ全体にわたり均一ではなく、クランプ状態によって変化する。従来のモデル及び測定において、平均的なギャップ幅は、チャック表面及びクランプ条件により2.2〜5ミクロンの範囲で変化する。この比較的大きくかつ制御できないギャップ幅は、ウエハ全体にわたり、より低い冷却能力と、温度の不均一性をもたらす。
【0008】
更に、従来のESCの電極への電気接続を形成することは一般的に難しいことがわかっている。従来、導線は、電力の中心部分より下側に半田付けされる。このような半田付けは、ウエハ間の熱伝導の均一性を乱す欠点となる。
【0009】
それゆえ、処理中容易に調整可能となる均一な熱伝達係数を与えるとともに、ウエハの冷却と加熱の両方において、より高い熱の伝達を与える、改良された静電チャックが必要とされている。
【0010】
さらに、ウエハ処理中に粒子の汚染をかなり抑えるように動作可能なクランプ表面を与える静電チャックを必要としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の基本的な構成を理解するために、単純化した本発明の要約を以下に示す。この要約は、本発明の拡張する概要ではない。これは、本発明の重要な要素を識別しかつ正確に概説するものでもない。この目的は、後に記載する詳細な説明の序文として、本発明のいくつかの概念を単純化した形で示すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、一般的に、半導体基板を冷却するための、多極静電チャック及びその方法を指向している。多極静電チャックは、たとえば、基板を有効にクランプしかつほぼ均一に基板を冷却または加熱するためのクランププレートを含んでいる。これにより、処理制御を改善する。1つの例によれば、クランププレートは、半導体プラットフォームを含み、第1の電気伝導層が、このプラットフォームの頂部表面上に形成されている。第1の電気伝導層は、更に、互いに電気的に絶縁された複数の部分を有し、静電チャックの複数の極、即ち電極を形成する。
【0013】
別の例では、クランププレートは、第1電気伝導層上に形成される電気絶縁性の複数の突起を含んでいる。複数の突起は、その間に谷部を形成し、クランププレートの頂部表面から第1の距離だけ延びており、前記基板と前記頂部表面の間にギャップを形成する。
【0014】
第1実施形態において、静電チャックは、基板とクランププレートの頂部表面との間のチャック内で冷却ガスの裏面側の圧力制御を示すように動作可能である。基板またはウエハと頂部表面との間のギャップは、非常に小さく作られ(たとえば、約1ミクロン以下)、ギャップ内のガスの容積は、小さい。この小さいガス容積は、迅速な応答時間を与え(たとえば、約10ms程度)、これによって、ウエハの冷却を迅速に実施させたり、しなかったりすることができる。たとえば、ギャップ内のガス圧力を約1トルから約100トルに変化させることによって、熱伝達係数(HTC)は、2mW/cm2C以下の値から約400mW/cm2Cよりも大きい値まで制御することができる。さらに、小さいギャップを形成することにより、ガスの伝導は、自由分子領域にあいる、熱伝導は、ギャップとは無関係で、主として冷却ガスの圧力に依存し、この冷却ガスは、ウエハ間でほぼ均一にすることができる。
【0015】
従って、第1実施形態において、本発明は、背面側の自由分子領域にガスを導いて、熱いまたは冷たいチャック表面に急速にターンオンさせることを特徴とし、このウエハの加熱または冷却は、主として冷却ガス圧力によって指示される。
【0016】
別の実施形態では、本発明の静電チャックは、基板とチャックとの間の熱接触伝導によって基板の加熱または冷却を効率良く作動することができる。ここで、熱伝導は、基板と複数の突起との間の接触圧力による。複数の突起は、たとえば、基板からクランププレートに熱を伝達するように作動でき、また、複数の突起の均一性は、従来のESCに対して、ウエハ間に、より高効率な熱伝達係数の均一性を与える。さらに、静電チャックを十分に機能させるのに必要とされる電圧は、約150V以下に維持することができる。
【0017】
本発明の別の例示的な構成によれば、多極静電チャックは、更に、クランピングプレートを介して基板から熱エネルギーを移動させるように作動できる。たとえば、ベースプレートは、複数の部分から構成され、これらの部分は、第1の電気伝導層の複数の部分に電気接続される。第2の電気伝導層は、第1の電気伝導層の複数の部分にベースプレートの複数の部分を電気接続する。複数の電極は、第1の電気伝導層の複数の部分とそれぞれ電気接続される。ここで、複数の電極は、さらに、静電チャック用の電源に接続するように作動させることができる。たとえば、複数の電極は、第2の電気伝導層および/またはベースプレートを介して第1の電気伝導層に電気接続される。
【0018】
本発明の別の例示的な構成によれば、第2の電気伝導層は、半導体プラットフォームの底部表面を半導体プラットフォームのの頂部表面上に形成される第1の電気伝導層に電気接続した複数の垂直連結部を含んでいる。この複数の垂直連結部は、たとえば、半導体プラットフォームを介して伸びる複数の通路(vias)を含む。代わりに、複数の垂直連結部は、半導体プラットフォームの側壁上に形成される。ここで、複数の電極は、ばね付勢された複数の側壁接触電極を介して垂直連結部に電気接続される。
【0019】
本発明のさらに別の例示的な構成によれば、クランププレートは、1つ以上のガス分配溝を含み、これらのガス分配溝は、複数の谷部に相互接続され、冷却ガスが複数の谷部を通ってより迅速に流れるように使用できる。基板とクランププレートを分離する距離は、たとえば、クランププレートと基板との間の熱伝達が自由分子領域内で許される寸法である。しかし、ガス分配溝は、ギャップよりも大きく、かつ粘性領域内でのガスの流れを可能する。これにより、冷却状態への迅速な移行を容易にする。静電チャックは、さらに、基板に関連した温度を検出する温度センサを含んでいる。
【0020】
本発明の別の構成によれば、半導体処理システムにおける基板の冷却方法が開示されている。ここで、半導体処理システムは、多極静電チャックを含む。この方法は、複数の電気絶縁性の突起を有する表面上に基板を配置する工程を含んでいる。複数の突起は、たとえば、クランププレートの頂部表面から伸び、そこに複数のギャップを形成する。クランププレートは、半導体プラットフォーム上に形成される第1の電気伝導層を含み、複数の突起は、その上に形成される。たとえば、第1の電気伝導層の2つ以上の部分に電圧を印加することによって、頂部表面の2つ以上の領域間に電圧が印加される。ここで、基板は、この電圧によって誘導される静電力を介してクランププレートにクランプされる。複数の突起間に存在する冷却ガスの圧力は、更に制御される。ここで、冷却ガスの熱伝達係数は、冷却ガスの圧力に主として依存する。
【0021】
本発明の更に別の例示的構成によれば、基板に関連した温度が測定され、そして、冷却ガスの圧力が、少なくとも部分的に測定温度に基づいて制御される。これにより、基板とクランププレートとの間の分子領域における熱伝導が増大する。別の例によれば、基板が存在する表面には、不空のギャップと流体連通する1つ以上のガス分配溝があり、ここで、冷却ガスは、粘性領域における1つ以上のガス分配溝内を流れるように使用できる。そして、冷却ガスの圧力は、1つ以上のガス分配溝を介して迅速に制御される。
【0022】
前述の及びこれに関連した目的を達成するために、本発明は、以下に詳細に記載されかつ特許請求の範囲に特に示された特徴を含んでいる。以下の記載及び添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を詳細に示している。しかし、これらの実施形態は、本発明の原理を用いる種々の方法の一部を示しているにすぎない。本発明の他の目的、利点及び新規な特徴は、図面を参照して、本発明の詳細な記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、いくつかの革新的な特徴を有する多極静電チャック(ESC)およびこれに関連するシステムとその方法を指向する。特に、本発明の静電チャックは、ウエハ基板を、たとえば、イオン注入処理中に、急速にかつ均一に冷却及び加熱する能力を増大させることを可能にする。したがって、本発明は、図面に関連して以下で説明され、ここで同一の参照符号は、全体を通して同一の部材に対して使用される。これらの構成の記載は、単に説明的なもので、これらの構成によって限定されるものではない。当業者であれば、本発明は、これらの特定物でなくても実施できることが明らかであろう。
【0024】
本発明は、多極静電チャック(ESC)を介して従来例の問題点を克服するものであり、この静電チャックは、基板(たとえば、シリコンウエハ)及び多極静電チャック(ESC)に関連する半導体クランププレートとの間で非常に均一な熱伝達係数を示す。
【0025】
この高い均一性(HTC)を得るための1つの方法は、背面ガスの導通を用いることであり、このウエハとESCとの間のガスの導通が分子の自由領域内に維持される。たとえば、ESCとウエハとの間のギャップは、(たとえば、冷却ガスの平均自由径路)λmfpよりもかなり小さくなっている。このような場合、ギャップがλmfpよりもかなり小さいならば、冷却ガスのHTCは、ギャップに無関係である。これは、できる限り小さいギャップを作ることが望ましい。
【0026】
しかし、ギャップの深さよりも大きい粒子がギャップ内に変動を生じさせることにより、クランプの均一性の信頼を損なうので、ギャップ寸法に対する実際的な制限は、背面側にある粒子によって決まる。一般的なESCにみられる多くの粒子は、1ミクロンより小さいので、一例としてのギャップの下側限界は、ほぼ1ミクロンである。しかし、システムがより小さい粒子の汚染物質を有する場合、より小さいギャップを用いることができ、さらに、このような選択は、本発明においても考えられる。しかし、一般的なESCのクランプ力によって許容される圧力範囲(数100トルにまで上げることができる)では、ガスの平均自由行程は、1ミクロンのオーダーである。これは、ガスの導電が、全体的に分子自由領域内だけではなくて、分子自由領域と粘性領域との間の転移領域において作動することを意味する。この結果、ギャップに関してHTCが適度に変動することがある。たとえば、200トルで、例示的な冷却ガスのHTCは、約500mW/cm2Cであり、ギャップが100%変動(たとえば、ギャップの範囲が1ミクロンから2ミクロン)すると、HTCは、約20%の変動を生じする。それゆえ、ウエハ間に1%の所望の温度均一を保つために、本発明の1つの構成に従って、ギャップ幅の均一性は、5%に等しいかそれ以下とすべきである。
【0027】
ギャップの均一性に加えて、HTCの均一性は、一般的に圧力の均一性に従属する。一般的にウエハの周辺部での冷却ガスの漏れによって、ガスが流れ、底に圧力勾配を生じさせる。この問題は、ガスの流れ領域をウエハ周辺部とその近く及びガス分配溝の部分に制限することによって改善される。ここで、ガスは、以下で説明するように、粘性領域内を流れて作動する。表面構造に沿ってガス分配溝を設けようとする企ては、放電の可能性を避けるとともに、製造を容易にかつ信頼性を与えるような均一なギャップを与えることができる。
【0028】
もう1つの企ては、この表面の制御が行えるようにすることであり、ここで、均一なギャップと分配溝を得ることにより、多極のESCを可能にし、単一極のクランプ(たとえば、ESC全体を1つの電極とする)は、ウエハがプラズマに晒されかつ導電路がウエハとアースとの間で作られるような応用に用いることができる。しかし、ウエハは、プラズマに対して一定に接触しているわけではない場合、少なくとも2つの電極が必要となり、各電極は、反対の極性を有し、これにより、ウエハは、ウエハを介して電気接続することなく仮想的なアースに接続された状態となる。こうして、多極静電チャックが形成され、このチャックは、正確な表面制御とともに、電源に接続された多極電極を包含することになる。
【0029】
図面を参照すると、本発明の図2は、本発明の1つの構成に従う多極ESC100の断面図を示す。このESCは、そこに存在する基板を支持しかつ冷却するように作動可能である。基板105は、たとえば、直径Dと底部表面107によって特徴付けられ、この底部表面は、第1表面領域(図示略)を有する。図1の静電チャック100は、巨視的に単純化して図示されていることに注目すべきである。しかし、続く図5,6及び他の図には、より詳細に静電チャック100の例示的な拡大図が提供されている。さらに、ウエハまたは基板を冷却することが示されていることに注目してほしい。また、基板の加熱が、代わりに実行され、このような加熱は、さらに、本発明の範囲内に入るものと考えられる。
【0030】
本発明の図2に示す静電チャック100は、基板105の底部表面107に関連しかつ底部表面の反対側に配置された頂部表面115を有するほぼ平坦なクランププレート110を含む。クランププレート110は、たとえば、半導体プラットフォーム120を含み、このプラットフォーム内に、第1の電気伝導層125が半導体プラットフォームの頂部表面127上に形成されている。第1の電気伝導層125は、複数の部分から構成され、この部分は、後述するように、互いに電気的に絶縁された多極ESC100の複数の極131を形成する。半導体プラットフォーム120は、たとえば、シリコンウエハ等の半導体基板132を含み、この上に第1の電気伝導層125の複数の部分が形成され、複数の部分130との間に絶縁領域134を形成している。絶縁領域134は、第1の電気伝導層125の複数の部分130と互いに電気的に絶縁されている。複数の部分130に印加される電圧により、クランププレート110と基板105との間に静電力を発生させることができる。
【0031】
本発明の例示的な構成によれば、クランププレート110は、以下で説明するように、半導体リソグラフィック技術を用いて形成される。ここで、絶縁領域134は、たとえば、第1の電気伝導層125の形成中、一般的にマスクされる。半導体プラットフォーム120は、たとえば、単一の半導体基板132を構成することもでき、代わりに半導体プラットフォームは、分離した半導体基板132(たとえば、破線133で示された)のモザイクを含んでいる。ここで、第1の電気伝導層125が半導体基板のモザイク上に形成される。分離した半導体基板132のモザイクは、たとえば、分離した半導体基板を統合して半導体プラットフォーム120を形成し、連続した半導体プラットフォームを形成する。このようなモザイクは、標準シリコンウエハよりも大きい径を必要とする静電チャックとして利点がある。ここで、いくつかの半導体基板は、より大きな半導体プラットフォーム120を形成するために、一体に統合することができる。
【0032】
本発明の別の構成が図12に示されており、この半導体プラットフォーム120は、いくつかの半導体基板132から形成された複数の別個のセグメント135を構成することができる。第1の電気伝導層125の複数の部分は、個々のセグメント135上に個別に形成される。たとえば、複数のセグメント135は、セラミックスペーサ137等の絶縁性材料によって互いに分離されている。ここで、第1の電気伝導層125の複数の部分は、互いに電気絶縁されている。
【0033】
図3は、図2のクランププレート110の部分を示す一部断面図を示し、本発明のいくつかの例示的構成では、より詳細に説明される。この図は、必ずしも寸法割合が正確ではなく、説明の目的のために与えられていることに注目してほしい。本発明の1つの例示的な構成によれば、クランププレート110は、図2に示す第1の電気伝導層の頂部表面から外側に伸びる複数の電気絶縁性突起140(ここで、クランププレート110の頂部表面117から外側に伸びる)を含んでいる。
図3を再び見ると、複数の突起140は、第1の電気伝導層125上に形成され、そして、クランププレート110の頂部表面117から第1距離D1だけ伸びている。従って、複数の突起140は、その間に複数のギャップ145を形成し、たとえば、複数の突起は、第2距離D2だけ互いから離れている。これにより、複数のギャップの幅を形成する。第2距離D2は、クランプされるべき基板(図示略)の厚さよりも短い。これにより、クランプ中の基板の機械的変形が、後で詳細に論じられるように、かなりの減少する。たとえば、第2距離D2は、約100ミクロン未満である。
【0034】
本発明の別の例示的な構成によれば、複数の突起140が超小型電子機械部品の構造(MEMS)に含まれる。たとえば、半導体プラットフォーム120は、MEMS(microelectromechanical structure)微細構造を形成するのに利用されるシリコン等の材料から構成され、複数の突起140は、プラットフォーム上に形成される二酸化珪素(SiO2)からなる。MEMS微細構造は、堅固に制御されかつクランププレート110の頂部表面117に安定した寸法の保全性がある。また、複数の突起140は、クランププレート間の頂部表面から一定の第1距離D1だけ伸びている。たとえば、図4は、円筒または矩形状の複数のアイランド147を含み、このアイランドは、クランププレート110の頂部表面117上に形成される。複数の突起140は、基板105の底部表面107に接触するように使用でき、これにより、突起接触領域を形成する。好ましくは、突起接触領域(図示略)は、ガス伝導を行うために基板の底部表面領域の全体の約5%以下である。たとえば、図3の複数のアイランド147は、約10ミクロンまたはそれ以下の直径を有し、アイランドを介して直接基板105に熱を伝達する比率は小さい。
【0035】
クランププレート110の頂部表面117から伸びる複数の突起140は、図示するように均一の形状で整列配置されているが、複数の突起の配列、及び形状または突起の順序は、どのような形式でもよく、このような変更は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0036】
再び図2に戻ると、半導体プラットフォームの頂部表面127及び複数の突起は、更に、窒化珪素(Si34)層等の保護被膜148をプラットフォーム上に形成することもできる。図3に示すように、この保護被膜148は、低い放射率を有し、クランププレート115の方の基板(図示略)から放射される熱は、基板の加熱中、保護被膜から反射される。これにより、以下で詳細に論じられるように、ギャップ内のガス伝導を通して起こる熱伝達を高める。別の例によれば、保護被膜148は、クランププレート110と基板(図示略)との間に、硬くかつ不活性の中間界面を与える。この保護被膜は、クランププレートの劣化による汚染物質の可能性を減少させる。また別の例によれば、保護被膜148は、基板(図示略)がクランププレート110と基板との間の中間界面149上を横方向にスライドさせることができる。ここで、保護被膜は、複数の突起140に適合し、これにより、1つ以上の鋭いエッジ146Aを丸くする。
【0037】
図5は、例示的な突起140を示し、ほぼ被膜148が1つ以上の鋭いエッジ146Aを丸くし、これにより、突起が丸くなった、1つ以上のエッジ146Bを形成する。リソグラフィーにより明らかになるように、このような丸みは、図示するよりもより強調される。1つ以上の丸いエッジは、146Bは、たとえば、熱の動き(熱の膨張または圧縮)の間、クランププレート110に対して有利なスライド特性を与える。たとえば、突起に対して基板105の熱の動き158は、突起140によって基板105上に力Fを作り出すことができる。この力Fは、少なくとも部分的に、突起140の形状によって変化する。たとえば、図3に示すように、鋭いエッジ156は、より大きな力Fを作り出すように見え、基板105は、突起140の鋭いエッジで横方向への動きhs拘束される。力Fが基板の降伏強さを超えると、基板105にストレスによる破裂が現れる。これにより、基板に対して電位の変動と基板の損傷の1つまたは両方を生じさせることになる。
【0038】
一方、図5の丸いエッジ146Bは、丸いエッジを越えて力Fが広がることにより、基板105上の力Fを制限する。基板105上の力Fを制限することによって、基板105がクランププレート110に対してより自由に膨張または圧縮することができる。これにより、突起140で横方向の動きを拘束する。
【0039】
上記現象は、接触HTCのグラフと種々の接触領域比率に対するウエハストレスを図示する図6に関連してより理解できる。たとえば、低領域の接触比率(たとえば、約0.05またはそれ以下のAR)で、接触HTC(グラフ159A)は、突起及びウエハ間の小さな接触領域によって小さくなる。1つの例では、低接触HTCは、熱伝達が、(図2のクランププレート110と基盤105との間の)熱伝達またはガス残留によって行われることが望ましい。このように小さな領域比率は、基板上のストレス(図6のグラフ159B)が望ましくない程度高くなる。別の例では、図2の基板と複数の突起140との間の機械的圧力が、少なくとも部分的に基板とクランププレート110との間の熱接触HTCを決定する。ここで、熱接触HTCは、低機械的圧力で減少する。
【0040】
再び図6において、この小さな領域接触比率(たとえば、全ての突起の突起接触領域は、全体のウエハの大きな比率を占めている)が増加するに従い、接触HTCが増加し始め、最大に達してから再び減少する。これは、突起上の単位面積当たりの接触圧力が増加したり減少したりするトレードオフに影響する。この範囲(約0.1〜約0.3のARの間)では、接触HTCは、比較的高く、これにより、基板との間に残留するガスの圧力制御を介してESCの冷却を切換えて制御する。一方、接触HTCは、基板と突起との間の接触圧力によってより制御可能になる。より高い接触領域比率、たとえば、約0.4またはそれ以上のARで、ストレスが、無視でき、また接触HTCは、冷却操作の活性化/不活性化が冷却ガスの背面側圧力によって行われるように再び低くなる。
【0041】
本発明の別の例示的な構成に従う図3を再び参照すると、複数の突起140は、クランププレートの頂部表面117から図2の基板105の底部表面107までの第1距離D1を維持するように使用できる。また、複数のギャップ145内の冷却ガス(図示略)の流れを可能にする。ここで、静電チャック100は、冷却ガスの自由分子行程における熱伝達を介して基板からクランププレートに熱を移動するように操作可能である。たとえば、自由分子領域内で熱伝導が可能にするために、第1距離D1は、5ミクロン以下である。好ましくは、クランププレート110の頂部表面117から基板105の底部表面107までの第1距離D1は、約1ミクロンまたはそれ以下である。
【0042】
一般的に、2つの本体間の距離を横切る、冷却ガスの熱伝達係数(HTC)の振る舞いは、3つの動作領域の1つ、即ち、粘性領域、自由分子領域、および転移領域のいずれかに適合する。粘性領域では、熱伝達係数(HTC)は、ギャップ距離及び冷却ガスの熱伝導率に依存するが、冷却ガス圧力(以降において、背面側ガス圧力ともいう。)には無関係である。自由分子領域では、HTCは、平面側ガス圧力及び冷却ガスの分子重量に依存するが、ギャップ距離には無関係である。この自由分子領域は、数ミクロン(たとえば、約3〜5ミクロン)以下の距離(たとえば、第1距離D1)に確定する。更に、変移領域は、粘性領域と分子領域との間のスムーズな補間によって特徴づけられる。
【0043】
自由分子領域内のガスを介する熱の伝導は、本発明によって規定するように、いくつかのユニークな利点を提供する。たとえば、冷却ガスの平均自由行程におけるギャップ(第1距離D1)を維持することにより、ウエハを横切る冷却操作は、ギャップ距離に無関係であり、その代わり、反面側圧力に依存する。これにより、ギャップ(ウエハの変形または微粒子)内の僅かな変動にもかかわらず、ウエハ間の空間を均一に冷却することを導く。さらに、ギャップ距離が小さいので、これに関連した容積もまた小さい。これにより、ウエハの冷却操作が非常に早く背面側圧力を変更することによって効果を発揮できる。このようにして、本発明は、一旦スパイクアニール(spike anneal)温度に到達すると、ウエハを迅速に冷却することが可能になる。
【0044】
図7は、1及び2ミクロンの第1距離D1で、窒素に対するHTC対平面側ガス圧力の振る舞いを示すグラフである。HTCが背面側ガス圧力によく依存する自由分子領域では、第1距離D1が、1ミクロンかあるいは冷却ガスの平均自由行程(MFP)以下であるとき、0トル〜約250トルの範囲における本発明の実施形態でのガス圧力を見ることができる。また、HTCが、主として第1距離D1に依存する粘性領域では、約250トルより高い背面側ガスに対して、あるいは第1距離D1が冷却ガス(現在の図面では図示されていない)の平均自由行程(MFP)より大きい場合に見ることができる。これらの2つの領域間で、変移領域を見ることができる。
【0045】
図7は、さらに、自由分子領域において、冷却ガスHTCは、背面側ガス圧力を調整することによって主として制御され得ることが示されているが、第1距離D1がより高い圧力でHTCの役割を果たす。たとえば、2ミクロンと1ミクロンの第1距離D1が比較され、冷却ガスの熱伝導率は、約250〜270トルで、自由分子領域から粘性領域に移動し始める。それゆえ、大気圧力からほぼ真空圧力(たとえば、20トル以下)まで圧力が変化するとき、第1距離D1の均一性が関係する。しかし、ほぼ真空及び約250トルの範囲の圧力を制御することによりHTCは、ギャップ距離におけるわずかな変動に無関係に背面側圧力によって主として制御することができる。
【0046】
本発明の別の例示的な構成によれば、図8に示すように、クランププレート110は、1つ以上のガス分配溝150を含んでいる。このガス分配溝は、冷却ガス(図示略)が溝を通って流れることができるように適合しており、冷却ガス(背面側圧力)の圧力調整は、迅速に達成することができる。図9に示すように、ガス分配150は、クランププレート110内に第3距離D3だけ伸びている。各ガス分配溝は、クランププレートに関連した図2の複数のギャップ145の少なくとも1つと交差する。第3距離D3は、たとえば、約100ミクロン以下であり、このガス分配溝150内の冷却ガスの流れは、粘性領域に適合する。さらに、ガス分配溝(ギャップに比較して)のかなり大きい第3距離D3は、一般的にクランププレート110から冷却ガスを送り出すために非常に早い応答を可能にしている。
【0047】
ガス分配溝150は、更に、クランププレート110の頂部表面117とほぼ同一平面上に幅Wを有する。ガス分配溝150の幅Wは、好ましくは100ミクロン以下であり、また、クランププレート110上にある基板105の厚さ(図示略)の熱伝導が、上述したと同様の理由で、基板の底部表面107を横切ってほぼ均一となる。別の例示的な構成によれば、各ガス分配溝105の各幅は、第3距離D3にほぼ等しい。
【0048】
かなり大きなガス分配溝(たとえば、突起140間のギャップ145に比較して)を有することによって、与えられた圧力に対する自由分子領域における流速よりも約50倍大きい粘性領域の内において、ガスの流れが起こる。ガス分配溝150を通って流れる冷却ガスの早い流速は、基板の冷却に対して早いターンオン動作を容易にする。それにも拘らず、分配溝の全表面積は、複数のギャップ145において、ウエハに対する冷却ガスの接触面積に比較して非常に小さい。この点において、図9は、分配溝150間のギャップの数は、ほぼ適合しているが、寸法(説明の目的に適合する。)を一致させたものではない。たとえば、分配溝の距離151は、約1cm以下であり、また突起140は、約10ミクロンまたは約90個以上の突起が分配溝間に存在させることができる。
【0049】
従って、複数のガス分配溝150が設けられ、複数のガス分配溝は、クランププレート110から冷却ガスを送り出すための応答時間をかなり減少できるように作動可能である。たとえば、図8に示すように、複数のガス分配溝150は、クランププレート110の中央152外側に放射状に配置されており、この複数のガス分配溝は、パターン化され、その結果、複数のガス分配溝は、クランププレートの頂部表面117上に、複数のガス分配溝の少なくとも1つから約5mm以内に配置されている。好ましくは、分配溝間の距離151は、約1cm以下である。複数のガス分配溝150は、放射状に延びる溝として図示されているが、これらの分配溝は、多数の仕方で形作ることができることを理解すべきである。数を変更したり、またこのような変更は、本発明の範囲の範囲内にあると考えられる。さらに、図10の例に示すように、分配溝150の深さD4は、種々の突起140間の距離D2とほぼ同一である。
【0050】
冷却ガスは、たとえば、酸素、水素、ヘリウム、アルゴン、窒素等の熱伝導性ガスの1つまたは複数を含んでいる。この冷却ガスは、図2の静電チャック100を含む処理室(図示略)等の環境(図示略)に供給される。それゆえ、冷却ガスは、静電チャック100を介して、環境(たとえば、処理室(図示略)内から)から送り出される。また、適当なポンプ(図示略)を用いて吐き出される。本発明の他の例示的な構成によれば、図8を参照して、複数の突起の1つは、基板105と同軸配置されているリング153を含んでいるリング153の直径DRは、たとえば、図2に示した基板105の直径Dよりも僅かに小さい。このリングは、基板の内側部分154とクランププレート115を取り囲むように作動できる。内側部分と環境155との間にシールを形成する。再び図8に戻ると、別の例に従って、周辺ガス分配溝156がリング153内にあり、この周辺ガス分配溝156は、複数の分配溝150に連結される。
【0051】
本発明の別の例によれば、図2に示すような例示の静電チャック100は、ベースプレートオ160を更に含み、基板105とクランププレート110から熱エネルギーを移動するために使用できる。このベースプレート160は、たとえば、クランププレート110の底部表面117に関連した頂部表面162によって特徴つけられる。ベースプレート160の頂部表面162は、たとえば、クランププレート110の底部表面117に対面し、このベースプレートとクランププレートは、互いに熱的に連結される。ベースプレート160は、たとえば、金属等の良好な熱伝導率を与える材料で構成される。例示的なベースプレート160の金属は、良好な熱伝導率を有するアルミニウム、銅、あるいは他の金属合金であり、代わりに、ベースプレート160は、たとえば、アモルファスシリコン(a-Si)または炭化けい素(SiC)等のクランププレート110の熱伝導率と同様な熱伝導率を有する材料から構成される。
【0052】
本発明の他の例示的な構成によれば、クランププレート110は、更に第2の電気伝導層165を含み、この第2の電気伝導層は、更に、互いに電気的に分離された複数の部分167を有する。この複数の部分167は、第1の電気伝導層125の複数の部分130のぞれぞれと電気的に接続されている。複数の部分167は、たとえば、半導体プラットフォーム120の底部表面168とベースプレート160の頂部表面162との間に存在する。1つの実施形態では、半導体アプラットフォーム120の頂部表面127上の第1の電気伝導層125の形成中に、第2の電気伝導層165の複数の部分167が、半導体プラットフォーム120の零部表面168上に形成される。
【0053】
本発明の別の更に例示的な構成によれば、第2の電気伝導層165は、更に、電気伝導性の複数の垂直連結部170を含む。この垂直連結部170は、たとえば、第1の電気伝導層125及び第2の電気伝導層145を電気的に接続する。複数の電極175が、更に、第2の電気伝導層165に電気接続され、複数の垂直連結部170を介して複数の電極に第1の電気伝導層125を電気接続する。複数の垂直連結部170は、たとえば、半導体プラットフォーム120に関連した複数の通路180を含んでいる。複数の通路は、半導体プラットフォームの頂部表面127から底部表面168に伸びている。それゆえ、複数の通路180は、第1の電気伝導層125の各部分130を第2の電気伝導層165のそれぞれの部分167に電気接続する。第1の電気伝導層125および第2の電気伝導層165の各部分130及び167は、たとえば、1つ以上の通路180(たとえば、部分130Aは、1つ以上の通路180Aを介して部分167Aに電気接続される。)によってそれぞれ電気接続される。図11に示すように、たとえば、複数の通路180は、クランププレート110h、熱的にかつ電気的にバランスされるように、半導体プラットフォーム120の回りに向けられる。
【0054】
別の実施形態に従って、図12は、別のESC100を示し、複数の垂直連結部170が半導体プラットフォーム120の側壁185に連結され、そこに複数の側壁連結部188を形成している。第1の電気伝導層125の各部分130は、たとえば、各々の側壁連結部188に電気接続され、各側壁連結部は、各々の電極175に電気接続される。たとえば、各電極175の各々は、ばね付勢された側壁接触電極190を含み、これらの接触電極は、ばね力(図示略)によってそれぞれの側壁連結部188に機械的に押圧されている。さらに、側壁連結部への接触電極の物理的結合(たとえば、ろう付けまたはエポキシ結合)は、必要ではない。
【0055】
本発明の別の例示的な構成によれば、図13に示すように、ベースプレート160は、その上に形成される第1の電気絶縁層192及び第3の電気伝導層194を含んでいる。第1の電気絶縁層192(たとえば、酸化物)がベースプレート160と第3の電気伝導層194との間にある。第3の電気伝導層194は、たとえば、更に、第1の電気伝導層125および第2の電気伝導層165のそれぞれの複数の部分130及び167に連結される複数の部分195を含む。第3の電気導電層194の各部分195は、第2の電気伝導層の各部分167と電気接続される。第3の電気伝導層194の複数の部分195は、互いに電気的に絶縁され、ESC100の複数の極を電気的に絶縁させる。たとえば、第3の電気伝導層194は、ベースプレート160(第1の電気絶縁層192上に)の側壁196及び頂部表面197に沿って設けられ、複数の電極175は、ベースプレートの側壁において、第3の電気伝導層に電気接続される。代わりに、第3の電気伝導層194は、ベースプレート160の底部表面198上に形成することもできる。複数の電極175は、ベースプレートの底部表面(図示略)で、第3の電気伝導層に電気接続することができる。
【0056】
第3の電気伝導層194は、たとえば、ベースプレート160をクランププレート110に結合でき、ベースプレートは、クランププレートに熱的に結合され、そして、第2の電気伝導層165に電気接続することができる。ベースプレート160をクランププレート110の底部表面117に結合する1つの例示的な方法は、ろう付けによって達成され、クランププレートの底部表面117を金属で覆い(たとえば、第2の電気導電層165によって)、そして、ベースプレートの頂部表面162に真空ろう付けされる。たとえば、第3の電気伝導層194は、ベースプレート160の頂部表面162上に形成され、第2、第3の電気伝導層165,194は、一緒に真空ろう付けされる。第2、第3の電気伝導層165,194は、たとえば、タングステンシリサイド、タングステン、またはチタン、の1つまたは複数から構成される。しかし、いずれの電気伝導材料も、本発明の範囲内に入ると考えられる。
【0057】
本発明の別の例示的な構成によれば、再び図12を参照すると、電気絶縁性の中間プレート199が、ベースプレート160とクランププレート110の間にある。この中間プレート199は、たとえば、アルミニウム窒化物の絶縁体ウエハを含んでいる。この中間プレートは、ベースプレート160からクランププレート110を電気的に絶縁し、適切な温度コンダクタンスを与える。さらに、中間プレート199は、ベースプレート160とクランププレート110に真空ろう付けすることができる。
【0058】
図2に戻ると、ベースプレート160は、たとえば、更に、1つ以上の第1流体導管200を含み、この第1流体導管は、水等の冷却流体(図示略)をこの導管内に流すことができ、ベースプレートは、冷却流体によって冷却される。図16Uに図示去れるように、ベースプレート450は、電気的伝導性を有し、差Rに、複数の電極448を含む。これらの電極は、後述するように、第2の電気伝導層430の複数の部分の各々に電気接続される。
【0059】
再び、図8において、本発明の別の例示的な構成によれば、複数のリフトピン210は、クランププレート110に連結されて作動する。複数のリフトピン210は、クランププレート110に近接する処理位置(図示略)とクランププレート上の載置位置(図示略)(たとえばクランププレートから約1〜2mm上方の)との間で基板105を垂直に転換するように作動できる。リフトピン210は、たとえば、水晶、炭化けい素、またはセラミック材料から構成され、処理中にリフトピンからの基板105への汚染を最小化する。更に、リフトピン210は、小さい直径(たとえば、1mmまたは2mm)を有し、リフトピンが処理位置にあるとき、静電チャック100内のリフトピンによって占有される容積をかなり制限する。リフトピン210によって占有される容積を最小化することは、処理位置にとって有利であり、背面側圧力を急速に変化させることができる。
【0060】
本発明のさらに別の例示的な構成によれば、静電チャック100は、更に、温度センサ215を含み、この温度センサは、図2の基板に関連した1つ以上の温度Tを測定するために使用することができる。たとえば、図8の温度センサは、パイロメータをからなり、このパイロメータは、基板(図示略)の温度Tを測定し、クランププレート110の頂部表面117に設けた開口220を介して基板(図示略)の温度Tを測定する。温度センサ215は、たとえば、最小容積のキャビティを有するパイロメータを構成し、その開口220を介してパイロメータが基板105の温度Tを測定するが、その開口は、小さい。開口の容積を小さくすることは、有益であり、これにより背面側圧力を迅速に変更することができる。代わりに、温度センサ215は、光学式パイロメータからなり、クランププレート110に挿入される光ファイバーロッド(図示略)を用いる。この結果、光ファイバーロッドは、最小容積のキャビティを占有する。
【0061】
図14において、静電チャック100及びこれに関連するシステム230のブロック図が図示されている。静電チャックは、更に1つ以上のバルブ235を含んでいる。1つ以上のバルブ235は、種々のモードにおける静電チャック100を通って冷却ガス245を送り出すために1つ以上の真空ポンプ240を選択的に使用される。これらのバルブ235は、たとえば、高速作動のソレノイド弁またはポペット弁等の自動バルブ(たとえば、バルブ235A)を含み、一例として、1つ以上の自動弁は、約20msより短い応答時間を有する。静電チャック100に加えられる真空は、迅速に供給することができるので、このような高速応答時間は有益である。
【0062】
本発明の別の例示的な構成によれば、静電チャックを制御するためのシステム230は、1つ以上の真空ポンプ240A−240B、ガス供給源255、電源260、及び1つ以上のバルブ235A−235Cに連結された駆動可能なコントローラ250を含んでいる。静電チャック100に加えられる真空を有効に制御して、冷却ガスを介した熱伝導量を制御する。たとえば、約250トル以下の低い圧力で、かつ5ミクロン以下の図3に示すギャップ距離D1で、HTCは、圧力によって主として指示される。それゆえ、背面側圧力を制御するバルブ235Aは、静電チャックを迅速に状態を変化させることができる(たとえば、加熱状態から冷却状態に)。コントローラ250は、1つ以上の自動弁235を制御して、基板105と静電チャック100との間の圧力を制御するのに使用することができる。
【0063】
さらに、コントローラ250は、電源260によって供給される電圧Vを制御するのに使用でき、この電圧は、電圧によって誘導される静電力による基板105によって見られるクランプ力の大きさに比例する。コントローラ250は、たとえば、電圧Vの上昇または減少により、静電力及びクランプ力をそれぞれ上げ下げして、ESC100の接触HTCの量をさらに制御することができる。それゆえ、コントローラは、電圧Vおよび/または背面側ガス圧力を制御することにより静電チャックのHTCを制御するために作動可能である。更に、図3に示すように、約1ミクロンの第1距離D1を用いて、電圧Vは、半導体プラットフォームに関連したブレークダウン電圧(たとえば、約100V〜150V以下の電圧)以下に維持することができる。
【0064】
本発明は、半導体仕様の多極静電チャックを形成するための方法に向けられている。例示的な方法は、ここで一連の動作または事象として、説明かつ記載されているように、本発明は、このような動作または事象の説明される順序によって制限される物ではなく、いくつかのステップは、本発明に従って、ここで記載されたかつ示されたものと異なる順序および/または他のステップを同時に実行することができる。さらに、図示されたステップでなくても、本発明に従う方法論に含まれるようにすることもできる。更に、この方法は、ここで記載しかつ説明したシステムと関連させることができるとともに、ここで説明されていない他のシステムと関連させることも可能である。
【0065】
図15に示すように、多極ESCを形成する方法は、図16A−図15Sを観光して論じることができる。図15の動作305から初めると、半導体基板上に酸化物が形成される。図16Aに図示するように、酸化物層402は、半導体基板410(たとえば、両面仕上げされた300mmシリコンウエハ上に成長された2ミクロンのSiO2層)の前面404、背面406、および側壁408上に形成される。図15の動作310では、ポリフィルムが、基板上に形成される。たとえば、図16Bに図示するように、ポリフィルム412は、約1ミクロンのドープしたポリシリコンフィルムからなり、基板の前面404、背面404及び側壁408上に形成される。図15の動作315において、酸化物層は、図16Cに図示するように、基板の背面に形成される。酸化物414は、たとえば、SiO2層の2ミクロン蒸着を含み、この酸化物414は、基板の側壁408を部分的に覆うとともに、基板410の背面を覆う。
【0066】
図15を参照すると、動作320は、複数の接触穴とガス穴を形成するためにれじすと層をパターン化する。図16Dは、レジスト416を示し、このレジストは、基板410の背面406上にパターン化される。また、このレジストは、接触穴418とガス穴420を形成する。接触穴418とガス穴420の数は、単純化して図中に示されているが、多数の接触穴およびガス穴を形成することもできる。後述するように、接触穴418は、たとえば、前面接触部(図示略)に形成して使用することができる。図15の動作325において、パターン化されたレジストをマスクとして用いて、接触穴及びガス穴がエッチングされる。そして、この結果を図16Eに図示しており酸化物層402,414及びポリフィルム412が、エッチングされ、底に更に、接触穴418及びガス穴420が形成される。レジストは、その後取り除かれ、そして、図15の動作330において、接触穴とガス穴が、更に、たとえば、ハードマスクとして酸化物層414を用いて、基板にエッチングされる。図16Fは、動作330の結果を示し、基板410がエッチングされ、そして、酸化物層402,414が更にエッチングされ、エッチング停止としてポロフィルム412を用いる。酸化物層402,414は、たとえば、湿式エッチングまたは反応性イオンエッチング(RIE)処理を用いてエッチングすることができる。
【0067】
図15の動作335は、基板上の導電層の蒸着を示す。図16Gは、動作335の結果を示し、導電層422が、基板410上に蒸着される(たとえば、化学蒸着法「CVD」でWSi2を1ミクロン)。接触穴418及びガス穴420の内部と同様に、基板の前面404、背面406、側壁408にも導電層が蒸着される。この導電層422は、図2、図12及び図13に図示するように、たとえば、第1の電気伝導層125、第2の電気伝導層165、または第3の電気伝導層194の1つまたは複数を含むこともできる。
【0068】
図15の動作340において、フォトレジストは、導電層の前面エッジを取り除くために、基板の前面上にパターン化される。図16Hは、基板410の前面404上に形成されるフォトレジスト424を図示する。この前面エッジ426は、フォトレジストによって覆われない。図15の動作345において、マスクとしてパターン化されたレジスト424を用いて伝導層及びポリフィルムがエッチングされる。図16Iは、動作345を実行した結果を示し、前面エッジ426がエッチングされ、伝導層422及びポリフィルム412が前面エッジ426に沿って取り除かれ、第2の電気伝導層430から第1の電気伝導層を電気的に絶縁する。図16Jは、フォトレジストが取り除かれた後の第1の電気伝導層428と第2の電気導電層430を図示する。
【0069】
図15の動作350は、基板の前面上に前面酸化物を形成する動作を図示する。図16Kは、基板410の前面404上に形成される酸化物層432を図示する。ここで、前面酸化物432は、第1の電気伝導層428を覆い、さらに、前面エッジ426を多く。図15の動作355において、複数の突起が前面酸化物層に形成される。図16L−図16Mは、複数の突起の形成を図示する。図16Lにおいて、フォトレジスト434が、前面酸化物層432上に蒸着されかつパターン化される。そして、前面酸化物層は、その後エッチングされ、図16Mの複数の突起436が、フォトレジスト434を取り除いた後形成される。図15に再び戻ると、動作360は、基板上への保護層の蒸着を図示している。図16Nにおいて、保護層438は、基板410上に形成され、この基板の前面404、背面406、及び側壁408は、領域418,420内で保護層によって覆われる。保護層438は、たとえば、約0.1ミクロンの窒化物(たとえば、窒化けい素Si34)からなる。
【0070】
図15の動作365において、1つ以上のガス分配溝が、マスクされ、そして基板内にエッチングされる。図16Oは、基板410の前面404上に形成されたマスク440のパターン化を図示している。ここで、ガス分配溝442は、基板内に形成される。たとえば、BSG等の比較的厚いハードマスク440が、基板の前面404上に形成される。ここでハードマスクは容易にエッチングされ、さらに、このエッチングは、保護層438とガス分配溝442内の酸化物層に選択される。図16Pは、動作365を実行する結果を図示しており、ガス分配溝442は、基板410にエッチングされる(たとえば、基板は、僅かにエッチングされる。)。図15の動作370において、別の保護層は、基板上に形成される。図16Qは、動作370を実行する結果を図示しており、この保護層444は、頂部面404、底部面406、側壁408、接触穴418、ガス穴420及びガス分配溝442を覆う。保護層444は、たとえば、0.2ミクロンの厚い窒化けい素からなる。
【0071】
図15の動作375は、基板の背面上に保護層のエッチングを説明する。図16Rは、動作375を実行した結果を図示し、保護層444は、基板410の背面406から取り除かれる。図15の動作380において、第2の電気伝導層430は、マスクされ、そして静電チャックの電極を形成する複数の電極を電気的に絶縁するためにエッチングされる。図16Sは、基板の背面上にマスク446を形成することを図示する。図16Tは、第2の電気伝導層430及びポリフィルム412のエッチングによる結果を図示する。複数の電極448は、互いに電気的絶縁されている。図15の動作385では、ベースプレートは基板の背面上に形成され、このベースプレートは、静電チャックから熱の伝達を行うために使用できる。図16Uは、動作385の結果を示し、ベースプレート450は、基板410の背面406上に形成される。たとえば、ベースプレートは、アルミニウムからなり、ポリフィルム412を保護するためにリングマスク(図示略)を介して背面406上で脱水される。
【0072】
本発明は、半導体基板をクランプし、かつこの基板に関連した熱伝達を制御するための方法を指向している。最初に、本発明の図17に示す方法500は、図18の例示的なシステム600に関連して論じることができる。システム600は、ここに記載されるものと同様に、静電チャック604上に選択的に存在する基板602を含む。基板602は、また、熱源606に対して局所的である。チャック604に関連した、基板602とクランププレート610との間の距離は、小さく(たとえば、約1μm)、適当な圧力(たとえば、0.1トル<P<100トル)の自由分子領域内でガス伝導を可能にしている。熱源606と基板602との間の距離612は、比較的大きく(たとえば、約1mmまたはそれ以上)、基板の加熱は、比較的高い圧力(たとえば、約1気圧)で行われる。こうして、基板を静電クランプし、さらに、背面圧力(図9及び図10に関連して上述したように)を制御することによって、システム600は、有益な方法で加熱及び冷却の間を迅速に変移することができる。
【0073】
半導体基板を冷却する例示的な方法は、動作505で開始され、リフトピンが載置位置にあるとき、基板が複数のリフトピン上に配置される。たとえば、複数のピンが載置位置にある時、複数のピンは、図18に示すクランププレート610の表面614から伸びている。本発明の例示的な構成によれば、複数のピンは、ホルダーが載置位置にある時、クランププレートの頂部表面614から最小距離(たとえば、1mm未満)だけ伸びている。ピンは、図17の動作510において、下方にあり、基板は、クランププレートの頂部兵衛mンから伸びる複数の突起上に存在することが可能になる。そして、複数の突起の1つは、リングからなり、このリングは、クランププレート上の基板(たとえば、図8に図示するように)の周辺部に設けられる。本発明の1つの例示的な構成によれば、複数の突起は、クランププレートの表面から10ミクロン以下(たとえば、1ミクロン)の第1距離だけ伸びている。
【0074】
電圧(たとえば、約100ボルト)は、動作515において、クランププレートに印加され、基板は、クランププレートに静電的にクランプされる。一例によれば、クランププレートは、たとえば、クランププレートと関連しかつ熱的に連結されるベースプレートを介して冷却流体を流すことによって冷却される。真空または非常に低い背面圧力(たとえば約0.1トル)が、動作520においてクランププレートに加えられ、基板間の背面圧力は、複数の突起によって形成される複数のギャップ内に冷却ガスを導く。この冷却ガスは、第1圧力に維持される。背面圧力が非常に低いので、冷却ガスのHTCも、図7で説明したように、非常に低い。図17の動作525において、基板が加熱される。この基板からの熱は、第1圧力での冷却ガスを介してほとんど移送されない。クランププレートは、クランププレートに関連し且つ熱的に連結されるベースプレートを介して冷却流体を流すことによって冷却される。動作530において、ポンプは、第2の背面圧力(たとえば約100トル)を与え、この第2の圧力は、分子領域における冷却ガスを維持する。このような圧力は、たとえば、図14のバルブ235Aを閉鎖することによって得ることができる。動作535において、基板は、ガスを介して分子領域内のクランププレートに熱を伝達することによって冷却される。
【0075】
本発明の1つの例示的な構成によれば、動作540において、基板上の1つまたは複数の地点に関連した温度が測定される。動作545において、処理が所望の時間フレームにおいて、冷却されていないという決定がなされると、測定された温度に従って、第2圧力を修正することができる。この処理は、動作550まで続けられ、真空が停止され、または減少される。この真空が解除されると、基板の冷却が実質的に停止する。動作555では、クランププレートからの電圧が除去され、これにより、基板が静電力から解放される。この方法は、動作560によって終了し、リフトピンが載置位置に上昇し、基板は、クランププレートの第3表面から持ち上げられる。
【0076】
本発明を或る用途及び実施に対して図示して説明してきたが、この明細書と添付された図面とを読んで理解すると他の同業者にも同等の変更や修正ができるものと認識することができる。特に上述の構成要素(アセンブリ、装置、回路、システム等)によって実行される種々の機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用される用語(「手段」に対する参照を含めて)は、他に表示されていなければ、たとえ開示された構成に構造的に同等でなくても本発明のここで図示された例示的実施形態においてその機能を果たすものであれば、説明された構成要素の特定された機能を実行する(即ち、機能的に同等である)いずれかの構成要素に相当するものと意図されている。
【0077】
更に、本発明の特定の特徴が幾つかの実施形態のただ一つに対して開示されてきたが、そのような特徴は、いずれかの或る又は特定の用途にとって望ましくかつ有利な他の実施形態における一つ以上の特徴と組み合わされ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】従来例の静電チャックの一部断面図である。
【図2】本発明の例示的な構成の1つである静電チャックの一部断面図である。
【図3】本発明の構成に従う複数の突起を有する例示的なクランププレートの一部断面図である。
【図4】本発明の構成に従う複数の突起を含む例示的なクランププレートの平面図である。
【図5】本発明の構成に従う例示的な突起の部分断面図である。
【図6】本発明の構成に従う面積比に対する例示的なクランププレート上の接触熱伝達係数及びストレスを説明するためのグラフである。
【図7】本発明の構成に従う分子及び粘性の状態におけるガスの熱伝達係数を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施形態に従う複数のガス分配溝を含む例示的なクランププレートの平面図である。
【図9】複数のガス分配溝を示す例示的なクランププレートの一部断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に従う溝深さと突起距離との間の関係を説明する例示的なクランププレートの単純化した部分断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に従う複数の通路を有するクランププレートの平面図である。
【図12】本発明の別の実施形態に従う静電クランプの一部断面図である。
【図13】本発明の更に別の実施形態に従う静電クランプの一部断面図である。
【図14】本発明の構成に従う例示的な静電チャックのシステム構成のブロック図である。
【図15】本発明に従う半導体仕様の静電チャックを形成するための例示的な方法を示すフローチャート図である。
【図16】本発明に従う図15の方法によって図16A〜16Uの工程で形成される単純化した静電チャックの各一部断面図である。
【図17】本発明に従う半導体基板を温度処理するための例示的な方法を示すフローチャート図である。
【図18】本発明に従う静電チャックを仕様する単純化した半導体処理システムを示すシステム構成のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をチャックしかつチャックに関連した熱伝達を制御するための多極静電チャックであって、
半導体プラットフォームと、
この半導体プラットフォームの頂部表面上に形成され、複数の部分を含み、この部分が、互いに電気的に絶縁されかつ内部に前記静電チャックと関連した複数の磁極を形成している、第1の電気伝導層と、
前記第1電気伝導層上に形成され、前記第1の電気伝導層の頂部表面から第1距離だけ伸びて前記基板に接触するように使用できる複数の電気絶縁性の突起であって、接触した部分が突起接触領域を形成し、前記突起の間に第2距離を有するそれぞれのギャップを形成しているものと、
前記基板から前記クランププレートに熱エネルギーを伝達するように作動可能なベースプレートと、
前記第1の電気伝導層の各突起に接続され、更に、電源に接続されて動作可能な複数の電極とを有していることを特徴とする静電チャック。
【請求項2】
前記クランププレートは、更に、第2の電気伝導層を有し、この電気伝導層は、複数の垂直連結部と、前記半導体プラットフォームの底部表面上に形成される複数の部分とを含み、前記第2の電気伝導層の複数の部分は、互いに電気的に絶縁され、前記第2の電気伝導層は、前記複数の垂直連結部を介して前記第1の電気伝導層に電気接続され、前記複数の電極は、前記第2の電気伝導層の複数の部分の各々に電気接続されていることを特徴
とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項3】
前記複数の垂直連結部は、半導体プラットフォームの頂部表面から半導体プラットフォーム底部表面に前記半導体プラットフォームを介して伸びている複数の通路を含んでいることを特徴とする請求項2記載の静電チャック。
【請求項4】
前記複数の垂直連結部は、前記半導体プラットフォームの側壁に形成され、かつ複数の電極の各々に電気接続されていることを特徴とする請求項2記載の静電チャック。
【請求項5】
前記複数の電極は、それぞれ前記複数のばね付勢された側壁の接触電極を含み、この接触電極は、それぞれ前記垂直連結部に電気接続可能であることを特徴とする請求項4記載の静電チャック。
【請求項6】
前記ベースプレートは、第1電気絶縁層、この層上に形成される第3の電気伝導層を含み、前記第1電気絶縁層は、前記ベースプレートと前記第3の電気伝導層との間にあり、前記第3の電気伝導層は、さらに、互いに電気的に絶縁された複数の部分を含み、前記第3の電気伝導層の前記複数の部分は、前記第2の電気伝導層の複数の部分の各々に電気接続されていることを特徴とする請求項2記載の静電チャック。
【請求項7】
前記第3の電気伝導層は、前記ベースプレートの頂部表面と側壁に沿って設けられ、前記複数の電極は、前記ベースプレートの側壁に、前記第3の電気伝導層の複数の部分の各々に電気接続されていることを特徴とする請求項6記載の静電チャック。
【請求項8】
前記ベースプレートは、アモルファス、シリコン、アルミニウム、または銅からなる特徴とする請求項6記載の静電チャック。
【請求項9】
前記第3の電気伝導層は、タングステンケイ化物、タングステン、またはチタンの1つ以上を含むことを特徴とする請求項6記載の静電チャック。
【請求項10】
前記第1電気絶縁層は、二酸化珪素からなることを特徴とする請求項6記載の静電チャック。
【請求項11】
前記ベースプレートは、電気伝導性を有し、かつ互いに電気的絶縁性を有する複数のセグメントからなり、前記第2の電気伝導層の複数の部分は、前記ベースプレートの複数のセグメントの各々に電気接続され、前記複数の電極は、前記ベースプレートの複数のセグメントの各々に電気接続されていることを特徴とする請求項2記載の静電チャック。
【請求項12】
前記ベースプレートは、アルミニウム、銅、金属合金、またはアモルファスシリコンからなることを特徴とする請求項11記載の静電チャック。
【請求項13】
前記第2の電気伝導層は、タングステンケイ化物、タングステン、またはチタンの1つ以上からなることを特徴とする請求項2記載の静電チャック。
【請求項14】
前記第1の電気伝導層は、さらに、前記半導体プラットフォームの側壁上に形成された複数の側壁連結部を含み、前記複数の電極は、前記複数の側壁連結部の各々に電気接続されることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項15】
前記複数の電極は、それぞれ前記ばね付勢された側壁接触電極を含み、この側壁接触電極は、それぞれ前記複数の側壁連結部に電気接続されることを特徴とする請求項14記載の静電チャック。
【請求項16】
前記ベースプレートは、更に、1つ以上の流体導管を有し、冷却流体が前記流体導管を通じて流れることにより、前記複数のベースプレートを冷却することを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項17】
前記ベースプレートは、前記クランププレートに真空ろう付けされることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項18】
第1の電気導電層は、タングステンケイ化物、タングステン、またはチタンの1つ以上からなることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項19】
前記ベースプレートは、電気伝導材料からなり、前記クランププレートは、前記ベースプレートから電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項20】
前記ベースプレートは、アルミニウム、銅、金属合金、またはアモルファスシリコンからなることを特徴とする請求項19記載の静電チャック。
【請求項21】
中間プレートを更に含み、この中間プレートは、前記ベースプレートからクランププレートを電気的に絶縁することを特徴とする請求項19記載の静電チャック。
【請求項22】
前記中間プレートは、頂部表面と底部表面上を金属で覆っているアルミニウム窒化物のウエハから構成されることを特徴とする請求項21記載の静電チャック。
【請求項23】
クランププレートは、前記中間プレートに真空ろう付けされ、前記中間プレートは、前記ベースプレートに真空ろう付けされていることを特徴とする請求項21記載の静電チャック。
【請求項24】
前記半導体プラットフォームは、シリコンからなることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項25】
前記複数の突起は、二酸化珪素からなることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項26】
前記第1の電気伝導層の複数の突起は、二酸化珪素によって互いに電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項27】
前記第1の電気伝導層の複数の突起は、前記絶縁性のインサート材によって互いに電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項28】
前記複数の突起の各々は、その上に形成された保護層を有することを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項29】
前記保護層は、窒化珪素からなることを特徴とする請求項28記載の静電チャック。
【請求項30】
前記複数の突起は、マイクロエレクトロメカニカル構造のアレイからなることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項31】
前記複数のマイクロエレクトロメカニカル構造の各々は、概略0.1ミクロンまたはそれ以下の表面あらさを有することを特徴とする請求項30記載の静電チャック。
【請求項32】
前記電源から複数の電極への電圧を制御するために使用できる電圧制御システムをさらに含み、前記電圧は、前記クランププレートと前記基板との間に静電力を導くことができ、これにより、前記基板を前記クランププレートに選択的にクランプすることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項33】
第1圧力と第2圧力の間で、前記複数のギャップ内にある冷却ガスの背面側圧力を制御できる圧力制御システムを更に含み、前記冷却ガスの熱伝達係数が、前記背面側圧力と相対関係にあることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項34】
前記第1距離は、前記冷却ガスの平均自由行程よりも小さいかまたは等しいことを特徴とする請求項33記載の静電チャック。
【請求項35】
前記第1圧力及び第2圧力は、前記基板と前記クランププレートとの間の前記冷却ガスを介しての熱伝導が、自由分子領域にあり、前記冷却ガスの熱伝達係数が、前記背面側圧力と相対関係にあり、前記第1距離に無関係であることを特徴とする請求項33記載の静電チャック。
【請求項36】
前記クランププレートは、さらに、このプレートの頂部表面に関連した1つ以上のガス分配溝を含み、このガス分配溝は、前記クランププレート内に第3距離だけ伸びており、この第3距離は、前記第1距離よりも長く、前記1つ以上のガス分配溝の各々は、前記複数のギャップの1つ以上に交差し、粘性領域において、冷却ガスが前記ガス分配溝内に流れることにより、前記基板の冷却を迅速に開始できることを特徴とする請求項33記載の静電チャック。
【請求項37】
前記圧力制御システムと少なくとも1つの前記ガス分配溝との間に流体連結されたガス導管をさらに含み、このガス導管は、前記圧力制御システムに応答して、前記複数のギャップ内に前記冷却ガスの背面側圧力を所定の範囲で可能にすることを特徴とする請求項36記載の静電チャック。
【請求項38】
前記複数の突起の1つは、所定の直径を有するリングからなり、このリングの直径は、前記基盤の直径よりも僅かに小さく、前記リングは、前記基板に同軸配置され、前記区卵黄プレートと前記基盤との間をシールできる形状とされ、前記クランププレートの内部領域を形成し、前記クランププレートの内部領域にある前記冷却ガスは、外部環境から分離されていることを特徴とする請求項33記載の静電チャック。
【請求項39】
前記基板の表面積に対する前記突起接触面積の割合は、約0.1またはそれ以上であることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項40】
前記ベースプレートは、前記クランププレートに熱的に連結されていることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項41】
前記第1距離は、約1ミクロンであることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
【請求項42】
基板をチャックしかつチャックに関連した熱伝達を制御するための方法であって、
基板から伸びる複数の突起を有する表面上に前記基板を配置し、
前記複数の突起が、その突起間にそれぞれギャップを形成しかつ前記基板と前記表面の間に、前記ギャップ内における冷却ガスの平均自由行程に関係している第1距離を有しており、
静電力により前記基板を前記表面に引き付けるように、前記表面の少なくとも2つの領域間に電圧を印加し、
前記ギャップ内における前記冷却ガスの圧力を制御する、各工程を含み、
前記ギャップ内の前記冷却ガスの熱伝達係数が、圧力に対して相関関係を有し、前記ギャップ距離に関係しないことを特徴とする方法。
【請求項43】
前記圧力を制御する工程は、第1の熱伝達係数を達成するために、前記ギャップ内に冷却ガスの第1圧力を達成し、
前記第1の熱伝達係数よりも大きい第2の熱伝達係数を達成するために、前記ギャップ内に前記第1圧力より大きい前記冷却ガスの第2圧力を達成する、各ステップを有することを特徴とする請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記第1圧力は、ほぼゼロトルであり、前記第1の熱伝達係数は、ほぼゼロであり、前記第2圧力は、約100トル〜約250トルの間であることを特徴とする請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記基板は、さらに、1つ以上のガス分配溝を含み、このガス分配溝は、それぞれ1つ以上のギャップと交差し、粘性領域において、冷却ガスが前記ガス分配溝内に流れるように前記ガス分配溝が前記ギャップよりも大きくなり、これにより、前記基板の冷却を迅速に開始できるようにしたことを特徴とする請求項42記載の方法。
【請求項46】
前記ギャップ内の圧力を制御する工程は、1つ以上のガス分配溝を介して、前記冷却ガスが前記ギャップを通って流れるステップを含んでいることを特徴とする請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記電圧は、300V以下であることを特徴とする請求項42記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【図16G】
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【図16H】
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【図16I】
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【図16J】
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【図16K】
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【図16L】
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【図16M】
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【図16N】
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【図16O】
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【図16P】
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【図16Q】
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【図16R】
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【図16S】
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【図16T】
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【図16U】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2007−503123(P2007−503123A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524032(P2006−524032)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/026896
【国際公開番号】WO2005/020316
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(500266634)アクセリス テクノロジーズ インコーポレーテッド (101)
【Fターム(参考)】