説明

N−ピペリジン−4−イルメチルアミド誘導体及びモノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬としてのその使用

本発明は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬として有用な、新規なN−ピペリジン−4−イルメチルアミド誘導体に関する。別の態様において、本発明は、治療法におけるこれらの化合物の使用、及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬として有用な、新規なN−ピペリジン−4−イルメチルアミド誘導体に関する。
【0002】
別の態様において、本発明は、治療法におけるこれらの化合物の使用、及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
セロトニン選択的再取り込み阻害薬(SSRI)は、現在、うつ病及びパニック障害を含むいくつかのCNS障害の治療において効力を提供している。SSRIは、一般に、精神科医及び一次診療医により、有効で耐用性が良く、容易に投与できると考えられている。しかし、それにはいくつかの望ましくない特徴も伴う。
【0004】
したがって、ノルアドレナリン及びドーパミン再取り込み活性に対するセロトニン再取り込みの比などの、モノアミン神経伝達物質セロトニン、ドーパミン及びノルアドレナリンの再取り込みに対する活性に関して最適化された薬理学特性を有する化合物に対する強い必要性がなお存在する。
【0005】
米国特許第5,885,999号明細書には、中間体N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド(中間体8)の合成が記載されている。しかし、この化合物の薬剤への使用については記載されていない。
【0006】
国際公開第2007/093603号パンフレットには、その実施例10において、すべてN−ピペリジン−4−イルメチル−アミド誘導体である8個の中間体の合成が記載されている。これらの化合物の薬剤への使用については記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、モノアミン神経伝達物質再取り込み阻害薬としての活性を示す新規な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
別の態様において、本発明は、式Iの化合物、
【化1】


その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。ここで、n、R、R及びRは以下に定義される通りである。
【0009】
別の態様において、本発明は、治療有効量の式Iの化合物、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物、又はその薬学的に許容される塩を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と共に含む、医薬組成物を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明は、ヒトを含む哺乳動物の、疾患又は障害又は状態の治療、予防又は軽減のための医薬組成物を製造するための、式Iの化合物、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物、又はその薬学的に許容される塩の使用であって、前記疾患、障害又は状態が、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である、上記使用を提供する。
【0011】
別の態様において、本発明は、ヒトを含む動物生体の、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である疾患又は障害又は状態の治療、予防又は軽減のための方法であって、その必要のある動物生体に、治療有効量の式Iの化合物、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物、又はその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、上記方法に関する。
【0012】
本発明の他の目的は、当業者には、以下の詳細な説明及び実施例から明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一態様において、本発明は、式Iの化合物
【化2】


(式中、
は、水素又はアルキルを表し;該アルキルは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニルからなる群から独立に選択される1つ又は複数の置換基で任意選択で置換されており;
は、アリール基又はヘテロアリール基を表し;該アリール基又はヘテロアリール基は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、スルファニル、チオアルコキシ、−NR’R’’、−(C=O)NR’R’’又は−NR’(C=O)R’’からなる群から独立に選択される1つ又は複数の置換基で任意選択で置換されており;ここで、R’、R’’は、互いに独立に、水素又はアルキルであり;
は、水素又はアルキルを表す)、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物、又はその薬学的に許容される塩、
但し、
N−(4−クロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンジル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(3−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−フルオロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;又は
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミド
ではない化合物を提供する。
【0014】
本発明の一実施形態では、Rは、アルキルを表す。別の実施形態では、Rは、メチル又はエチルを表す。別の実施形態では、Rは、アルコキシで置換されたアルキルを表す。
【0015】
本発明の別の実施形態では、Rは、任意に置換されているフェニルなどの、任意に置換されているアリール基を表す。別の実施形態では、Rは、フェニルを表す。別の実施形態では、Rは、例えば、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル、又は3−フルオロフェニルのような、フルオロフェニル、クロロフェニル、4−ハロフェニル又は3−ハロフェニルなどのハロフェニルを表す。別の実施形態では、Rは、例えば、3,4−ジクロロフェニル、4−クロロ−3−フルオロフェニル又は3−クロロ−4−フルオロフェニルのような、ジクロロフェニル又はクロロフルオロフェニルなどのジハロフェニルを表す。別の実施形態では、Rは、例えば、4−メトキシフェニル又は3−メトキシフェニルのような、4−アルコキシフェニル、3−アルコキシフェニル又はメトキシフェニルなどのアルコキシフェニルを表す。別の実施形態では、Rは、ベンゾ[1,3]ジオキソ−5−イルなどのメチレンジオキシで置換されたフェニルを表す。
【0016】
本発明の別の実施形態では、Rは、任意に置換されているナフチルを表す。別の実施形態では、Rは、例えば、6−メトキシナフタレン−2−イルのような、ヒドロキシナフタレン−2−イルなどのヒドロキシナフチルを表す。別の実施形態では、Rは、例えば、6−メトキシナフタレン−2−イルのような、メトキシナフタレン−2−イルなどのメトキシナフチルなどのアルコキシナフチルを表す。別の実施形態では、Rは、例えば、6−ベンジルオキシナフタレン−2−イルのような、ベンジルオキシナフタレン−2−イルなどのベンジルオキシナフチルを表す。
【0017】
本発明の別の実施形態では、Rは、任意に置換されているピリジルを表す。別の実施形態では、Rは、ピリジルを表す。別の実施形態では、Rは、例えば、5−クロロピリジン−2−イルのような、クロロ−ピリジン−2−イルなどのハロピリジル、クロロピリジルを表す。
【0018】
本発明の別の実施形態では、Rは、水素を表す。別の実施形態では、Rは、メチルなどのアルキルを表す。
【0019】
別の実施形態では、本発明の化合物は、
N−(3−クロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ピペリジン−4−イルメチル−N−ピリジン−2−イル−プロピオンアミド;
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(6−ベンジルオキシ−ナフタレン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド
又はそれらの薬学的に許容される塩である。
【0020】
別の実施形態では、本発明の化合物は、
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミド;
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メトキシ−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミド;
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−プロピオンアミド
又はそれらの薬学的に許容される塩である。
【0021】
別の実施形態では、本発明に従う使用のための化合物は、
N−(4−クロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンジル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(3−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−フルオロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミド
又はそれらの薬学的に許容される塩である。
【0022】
本明細書に記載されている実施形態の2つ以上のいかなる組合せも本発明の範囲内であると考えられている。
【0023】
置換基の定義
本発明の文脈において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを表す。
【0024】
本発明の文脈において、アルキル基は、1価で飽和の直鎖又は分岐の炭化水素鎖を示す。炭化水素鎖は、好ましくは1〜6個の炭素原子を含んでもよく(C1〜6アルキル)、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを含む。別の実施形態では、アルキルは、ブチル、イソブチル、二級ブチル、及びtert−ブチルを含み、C1〜4アルキル基を表す。本発明の別の実施形態では、アルキルは、C1〜3アルキル基を表し、特に、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってもよい。
【0025】
本発明の文脈において、アルケニル基は1つ又は複数の二重結合を含む炭素鎖を示し、ジエン、トリエン及びポリエンを含む。別の実施形態において、本発明のアルケニル基は、2〜6個の炭素原子を含み(C2〜6アルケニル)、少なくとも1つの二重結合を含む。別の実施形態において、本発明のアルケニル基は、エテニル;1−若しくは2−プロペニル;1−、2−若しくは3−ブテニル、又は1,3−ブタジエニル;1−、2−、3−、4−若しくは5−ヘキセニル、又は1,3−ヘキサジエニル、又は1,3,5−ヘキサトリエニルである。
【0026】
本発明の文脈において、アルキニル基は1つ又は複数の三重結合を含む炭素鎖を示し、ジイン、トリイン及びポリインを含む。好ましい実施形態において、本発明のアルキニル基は、2〜6個の炭素原子を含み(C2〜6アルキニル)、少なくとも1つの三重結合を含む。別の実施形態において、本発明のアルキニル基は、エチニル;1−、若しくは2−プロピニル;1−、2−、若しくは3−ブチニル、又は1,3−ブタジイニル;1−、2−、3−、4−ペンチニル、又は1,3−ペンタジイニル;1−、2−、3−、4−、若しくは5−ヘキシニル、又は1,3−ヘキサジイニル、又は1,3,5−ヘキサトリイニルである。
【0027】
本発明の文脈において、シクロアルキル基は、環状のアルキル基を示し、例えば3〜7個の炭素原子を含み(C3〜7シクロアルキル)、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを含む。
【0028】
アルコキシは、−O−アルキルであり、アルキルは上記で定義される通りである。
【0029】
シクロアルコキシは、−O−シクロアルキルを意味し、シクロアルキルは上記で定義される通りである。
【0030】
シクロアルキルアルキルは、上記のシクロアルキル及び上記のアルキルを意味し、例えば、シクロプロピルメチルを意味する。
【0031】
チオアルコキシは、−S−アルキルであり、アルキルは上記で定義される通りである。
【0032】
アミノは、NH又はNH−アルキル又はN−(アルキル)であり、アルキルは上記で定義される通りである。
【0033】
本発明の文脈において、アリール基は、フェニル、ナフチル(1−ナフチル若しくは2−ナフチル)又はフルオレニルなどの、炭素環式芳香族環系を示す。
【0034】
本発明の単環ヘテロアリール基の例としては、芳香族5及び6員の複素環式単環基を含み、例えば、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、テトラゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、イミダゾリル、ピロリル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、又はピリダジニルを含むが、これらに限られるわけではない。
【0035】
本発明の二環ヘテロアリール基の例としては、例えば、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾ[d]イソチアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニル、及びインデニルを含むが、これらに限られるわけではない。
【0036】
薬学的に許容される塩
本発明の化合物は、目的とする投与に対して適切な形態ならばどのような形態で提供されてもよい。適切な形態としては、薬学的(すなわち、生理学的)に許容される塩、及び本発明の化合物のプレ又はプロドラッグ形態を含む。
【0037】
薬学的に許容される付加塩の例としては、限定されることなく、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、アコニット酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、パモ酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩などの非毒性の無機及び有機酸付加塩を含む。このような塩は、当技術分野で公知で記載されている手順により形成し得る。
【0038】
本発明の化合物の薬学的に許容される陽イオン塩の例としては、限定されることなく、陰イオン性基を含む本発明の化合物の、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、塩素、リシニウム、及びアンモニウム塩などを含む。このような陽イオン塩は当技術分野で公知で記載されている手順により形成し得る。
【0039】
本発明の文脈において、N−含有化合物の「オニウム塩」もまた、薬学的に許容される塩として認識されている。好ましい「オニウム塩」としては、アルキルオニウム塩、シクロアルキルオニウム塩、及びシクロアルキルアルキルオニウム塩を含む。
【0040】
本発明の化合物のプレ又はプロドラッグの例としては、本発明による物質の適切なプロドラッグの例を含んで、親化合物の1つ又は複数の反応性基又は誘導体化可能基の位置で修飾されている化合物を含む。特に興味がもたれるのは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、又はアミノ基の位置で修飾されている化合物である。適切な誘導体の例は、エステル又はアミドである。
【0041】
本発明の化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒と共に溶解可能の形態又は溶解不可能の形態で提供されてもよい。溶解可能の形態は、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などの水和物形態をも含み得る。一般に、溶解可能の形態は、本発明の目的に対しては、溶解不可能の形態と同等であると考えられる。
【0042】
立体的異性体
本発明の化合物は、エナンチオマー、ジアステレオ異性体又はシス−トランス異性体を含む異なる立体異性体の形態で存在し得ることは、当業者には理解されよう。
【0043】
本発明は、そのような立体異性体すべて及びラセミ混合物も含んでそれらのいかなる混合物も包含する。
【0044】
ラセミ体は、公知の方法や技法により光学対掌体に分割し得る。エナンチオマー化合物(エナンチオマー中間体を含み)を分割する一方法は、−キラルな酸である化合物の場合−光学活性なアミンを用い、さらに酸で処理することによりジアステレオ的に分割された塩を遊離させることによる。ラセミ体を光学対掌体に分割する別の方法は、光学活性マトリックスによるクロマトグラフィーに基づいている。このようにして本発明のラセミ化合物は、例えば、D−又はL−塩(酒石酸塩、マンデル酸塩、若しくは樟脳スルホン酸塩)の分別結晶化により、その光学対掌体に分割し得る。
【0045】
本発明の化合物は、また、本発明の化合物と、(+)若しくは(−)フェニルアラニン、(+)若しくは(−)フェニルグリシン、(+)若しくは(−)カンファン酸から誘導されるものなどの、光学活性活性化カルボン酸との反応により、ジアステレオマーアミドを形成させることにより、又は本発明の化合物と光学活性クロロ蟻酸エステルなどとの反応によりジアステレオマーカルバミン酸エステルを形成させることにより分割することもできる。
【0046】
光学異性体の分割の別の方法は、当技術分野で公知である。そのような方法としては、Jaques J、Collet A、及びWilen S、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」、John Wiley and Sons社、New York(1981年)に記載されているものを含む。
【0047】
光学活性化合物は、また、光学活性な出発物質又は中間体から調製し得る。
【0048】
標識化合物
本発明の化合物は、標識形態又は非標識形態で使用し得る。本発明の文脈において、標識化合物は、天然に通常見出される原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する原子で置換された、1個又は複数個の原子を有する。標識化は、前記化合物を容易に定量的に検出可能にする。
【0049】
本発明の標識化合物は、様々な診断法における、診断ツール、放射性トレーサー又はモニタリング剤として、及び生体内許容体画像用に有用であり得る。
【0050】
本発明の標識異性体は、好ましくは、ラベルとして少なくとも1個の放射性核種を含む。ポジトロン放出放射性核種はすべて使用の候補である。本発明の文脈において、放射性核種は、好ましくは、H(重水素)、H(トリチウム)、11C、13C、14C、131I、125I、123I、及び13Fから選択される。
【0051】
本発明の標識異性体の物理的な検出法は、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、単一光子画像コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)、磁気共鳴画像法(MRI)、X線コンピュータ体軸断層撮影法(CAT)又はそれらの組合せから選択され得る。
【0052】
調製法
本発明の化合物は、例えば、実施例に記載の方法などの、通常の化学合成法により調製し得る。本出願に記載の方法の出発物質は、公知であり又は市販の化学薬品から通常の方法で容易に調製し得る。
【0053】
また、本発明のある化合物は、通常の方法を用いて、本発明の別の化合物に変換し得る。
【0054】
本明細書に記載の反応の最終生成物は、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどの通常の技法により、単離し得る。
【0055】
生物学的な活性
本発明の化合物は、例えば、国際公開第97/30997号パンフレット(NeuroSearch A/S)に記載されているように、シナプトソームにおけるモノアミンドーパミン、ノルアドレナリン、及びセロトニンの再取り込みを阻害する能力について試験され得る。これらの試験で観察されるバランスのとれた活性に基づいて、本発明の化合物は、ヒトを含む哺乳動物の、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答する疾患又は障害又は状態の治療、予防又は軽減に対して有用であると考えられる。
【0056】
特別な実施形態において、本発明の化合物は、気分障害、うつ病、非定型うつ病、疼痛に続発するうつ病、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、全身の医学的状態による気分障害、物質誘発性気分障害、仮性認知症、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、広場恐怖症を伴わないパニック障害、広場恐怖症を伴うパニック障害、パニック障害歴のない広場恐怖症、パニック発作、記憶欠損、記憶喪失、注意欠陥多動性障害、肥満、不安、全般性不安障害、摂食障害、パーキンソン病、パーキンソニズム、認知症、加齢認知症、老人性認知症、アルツハイマー病、ダウン症候群、後天性免疫不全症候群認知症複合、加齢記憶機能障害、特定恐怖症、社会恐怖症、社会不安障害、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、薬物乱用、薬物乱用傾向、コカイン乱用、ニコチン乱用、タバコ乱用、アルコール嗜癖、アルコール依存症、窃盗癖、中毒物質使用停止起因の離脱症状、疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、偏頭痛、緊張型頭痛、慢性緊張型頭痛、うつ病に伴う疼痛、線維筋痛症、関節炎、変形性関節炎、リウマチ様関節炎、背部痛、癌性疼痛、過敏性腸痛、過敏性腸症候群、術後痛、乳房切除術後痛症候群(PMPS)、脳卒中後痛、薬物誘発性神経障害、糖尿病性神経障害、交感神経性維持疼痛、三叉神経痛、歯痛、筋膜痛、幻肢痛、過食症、月経前症候群、月経前気分不快障害、後期黄体期症候群、外傷後症候群、慢性疲労症候群、持続的植物状態、尿失禁、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、夜間尿失禁、性機能障害、早漏症、勃起困難、勃起不全、早発性女性オルガズム、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、摂食障害、神経性食欲不振症、睡眠障害、広汎性発達障害、自閉症、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、学習障害、運動能力障害、無言症、抜毛癖、ナルコレプシー、脳卒中後うつ病、脳卒中誘発性脳損傷、脳卒中誘発性神経損傷、ジルドゥラトウレット症候群、耳鳴り、チック障害、身体醜形障害、反抗挑戦性障害、脳卒中後能力障害の治療、予防又は軽減に対して有用であると考えられる。好ましい実施形態において、該化合物はうつ病の治療、予防又は軽減に対して有用であると考えられる。
【0057】
現時点では、原薬(API)の適切な用量は、1日当たり約0.1〜約1000mgAPI、例えば、1日当たり約10〜約500mgAPI、例えば、1日当たり約30〜約100mgAPIの範囲内であるが、投与の正確な様式、投与される形態、考慮されている症状、対象及び特に関係する対象の体重、さらに主治医又は主治獣医師の好みや経験に依存すると想定されている。
【0058】
本発明の化合物は、ミクロモル未満とミクロモルの範囲、すなわち、1未満から約100μMの範囲で生物学的活性を示す。
【0059】
医薬組成物
別の態様では、本発明は、治療有効量の本発明の化合物を含む新規な医薬組成物を提供する。
【0060】
治療における使用のための本発明の化合物は、未加工化合物形態で投与され得るが、1種又は複数の佐剤、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤及び/又は他の通常の薬学的補助剤と共に医薬組成物中に、任意選択で生理学的に許容される塩の形態で、活性成分を導入するのが好ましい。
【0061】
一実施形態では、本発明は、本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を、当技術分野に公知で使用されている、1種又は複数の薬学的に許容される担体、及び任意選択で、他の治療及び/又は予防のための成分と共に含む医薬組成物を提供する。担体(単数又は複数)は、製剤の他の成分と相性が良く且つその許容者に対して有害でないという点で「許容可能」でなければならない。
【0062】
本発明の医薬組成物は、所望の治療に適した通常経路のいかなる経路でも投与され得る。投与経路の例としては、経口投与、特に、錠剤、カプセル、糖衣錠、粉末又は液体形態、及び非経口投与、特に、皮膚適用、皮下、筋肉内、又は血管内注射が含まれる。本発明の医薬組成物は、当業者ならば、所望の製剤に適当な標準的方法及び通常手法を用いて製造し得る。所望ならば、活性成分を徐放するようにした組成物も使用し得る。
【0063】
製剤及び投与手法に関するさらなる詳細は、「Reminqton’s Pharmaceutical Sciences」(Maack Publishing Co.社、Easton,PA)の最新版中に見つけられよう。
【0064】
実際の用量は、治療中の疾患の性質や重篤度に依存し、医師の裁量の範囲内であり、所望の治療効果を得るために本発明の特定の状況に対して用量の増減により変化し得る。しかし、個々の投与当たり約0.1〜約500mg、好ましくは、約1〜100mg、最も好ましくは、約1〜10mgの活性成分を含む医薬組成物が、治療処置のために適当であると現在想定されている。
【0065】
活性成分は、1日当たり、1回又は数回の投与で投与され得る。特定の例では、0.1μg/kg i.v.及び1μg/kg p.o.の低い用量で満足できる結果を得ることができる。用量範囲の上限は、現時点では、約10mg/kg i.v.及び100mg/kg p.o.と考えられている。好ましい範囲は、約0.1μg/kg〜約10mg/kg/日i.v.及び約1μg/kg〜約100mg/kg/日p.o.である。
【0066】
治療法
別の態様では、本発明は、ヒトを含む動物生体の、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である疾患又は障害又は状態の治療、予防又は軽減のための方法であって、その必要のある、ヒトを含む動物生体に、有効量の本発明の化合物を投与するステップを含む上記方法を提供する。
【0067】
現時点では、適切な用量範囲は、毎日0.1〜1000mg、毎日10〜500mg、及び例えば、毎日30〜100mgであるが、通常通り、投与の正確な様式、投与される形態、投与が対象としている症状、関係する対象及び関係する対象の体重、さらに主治医又は主治獣医師の好みや経験に依存すると想定されている。
【実施例】
【0068】
本発明は以下の実施例を参照することによりさらに例示されるが、これらは請求されている本発明の範囲を決して制限することを意図したものではない。
【0069】
調製例
(例1)
2−ベンジルオキシ−6−ブロモ−ナフタレン(1a)
6−ブロモナフトール(25.2g、113mmol)及び塩化ベンジル(39.0mL、339mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(125mL)に溶解した。炭酸カリウム(46.9g、399mmol)及びヨウ化ナトリウム(1.69g、11.3mmol)を加え、混合物を80℃で終夜撹拌した。反応混合物を真空濃縮した。水及び酢酸エチルを加え、相を分離した。水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空濃縮した。エタノールからの再結晶によって、2−ベンジルオキシ−6−ブロモ−ナフタレン(27.8g、78%)を白色の結晶性化合物として得た。
【0070】
(例2)
4−[(3−クロロ−フェニルアミノ)−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2a)
4−アミノメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.0g、14.0mmol)、3−ブロモクロロベンゼン(2.0mL、16.8mmol)及びナトリウムtert−ブトキシド(2.06g、21.0mmol)をトルエン(150mL)に溶解し、アルゴンを気泡として通した。4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(キサントホス)(251mg、0.42mmol)及びトリス(ジベンジリジンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba))(128mg、0.14mmol)を加え、混合物を110℃で3時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合物を濾過した。有機層をブラインで洗浄し、活性炭と組み合わせた硫酸ナトリウムで乾燥した。セライトパッドを通して混合物を濾過し、真空濃縮して、橙色の粘着性の油として粗生成物を得た。4−[(3−クロロ−フェニルアミノ)−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.95g、65%)を酢酸エチル/ヘプタンから結晶化させて、白色の固体を得た。
【0071】
以下の表に示すように、4−アミノ−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル及び様々なアリールハライドから、化合物2aと同時に、化合物2b〜2fを調製した。
【化3】


【表1】

【0072】
(例3)
4−(ピリジン−2−イルアミノメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3a)
4−アミノメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.69g、12.53mmol)及びピリジン(0.61mL、7.52mmol)を混合した。2−ブロモピリジン(0.60mL、6.27mmol)を加え、反応混合物を125℃で終夜撹拌した。ジクロロメタン及び炭酸水素ナトリウムを加え、相を分離した。水相をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液として酢酸エチル/ヘプタン)で精製して、白色の固体として4−(ピリジン−2−イルアミノメチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.82g、45%)を得た。
【0073】
(例4)
4−{[(3−クロロ−フェニル)−プロピオニル−アミノ]−メチル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(4a)
4−[(3−クロロ−フェニルアミノ)−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.92g、9.0mmol)及びトリエチルアミン(1.91mL、13.5mmol)をジクロロメタン(80mL)に溶解し、0℃に冷却した。塩化プロピオニル(0.88mL、9.89mmol)を滴下し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。水を加え、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、水及びブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空濃縮し、黄色の油として4−{[(3−クロロ−フェニル)−プロピオニル−アミノ]−メチル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.0g、88%)を得た。
【0074】
以下の表に示すように、化合物4aと同時に、化合物4b〜4gを調製した。
【化4】


【表2】

【0075】
(例5)
N−(3−クロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド(5a)
4−{[(3−クロロ−フェニル)−プロピオニル−アミノ]−メチル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(4a)(3.0g、7.88mmol)をジクロロメタン(80mL)に溶解し、0℃に冷却した。ジクロロメタン(20mL)中のトリフルオロ酢酸(8.0mL、107mmol)を滴下し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、トルエン、酢酸エチル及びジエチルエーテルで磨砕した。得られた固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、トリフルオロ酢酸塩としてN−(3−クロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド(3.1g、100%)を得た。融点=94〜96℃。
LC−ESI−HRMS:[M+H]は281.1431Daを示す。計算値281.142066Da、差3.7ppm
【0076】
以下の表に示すように、化合物5aと同時に、化合物5b〜5gを調製した。
【化5】


【表3】

【0077】
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミドトリフルオロ酢酸塩(5b)
融点=98〜100℃
LC−ESI−HRMS:[M+H]は247.1802Daを示す。計算値247.181038Da、差−3.4ppm
【0078】
N−ピペリジン−4−イルメチル−N−ピリジン−2−イル−プロピオンアミドトリフルオロ酢酸塩(5d)
融点=108〜110℃
LC−ESI−HRMS:[M+H]は248.1762Daを示す。計算値248.176287Da、差−0.4
【0079】
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミドトリフルオロ酢酸塩(5c)
融点=123〜125℃
LC−ESI−HRMS:[M+H]は315.1015Daを示す。計算値315.103094Da、差−5.1ppm
【0080】
N−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミドトリフルオロ酢酸塩(5f)
融点=168〜170℃
LC−ESI−HRMS:[M+H]は327.2077Daを示す。計算値327.207253Da、差1.4ppm
【0081】
N−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミドトリフルオロ酢酸塩(5e)
融点=134〜136℃
LC−ESI−HRMS:[M+H]は282.137Daを示す。計算値282.137315Da、差−1.1ppm
【0082】
N−(6−ベンジルオキシ−ナフタレン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミドトリフルオロ酢酸塩(5g)
融点=151〜153℃
LC−ESI−HRMS:[M+H]は403.2369Daを示す。計算値403.238553Da、差−4.1ppm
【0083】
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミドトリフルオロ酢酸塩(5h)
融点=172〜174℃
LC−ESI−HRMS:[M+H]は301.0887Daを示す。計算値301.087444Da、差4.2ppm
【0084】
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メトキシ−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミドトリフルオロ酢酸塩(5i)
融点=115〜117℃
LC−ESI−HRMS:[M+H]は331.0987Daを示す。計算値331.098009Da、差2.1ppm
【0085】
(例6)
N−(6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミドトリフルオロ酢酸塩(6a)
N−(6−ベンジルオキシ−ナフタレン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド(312mg、0.60mmol)をメタノール(5mL)に溶解し、パラジウム炭素を加え、反応混合物を水素雰囲気下で3時間撹拌した。反応混合物を濾過し、真空濃縮して、トリフルオロ酢酸塩としての白色の固体としてN−(6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド(177mg、69%)を得た。
融点=101〜103℃。
LC−ESI−HRMS:[M+H]は313.1932Daを示す。計算値313.191603Da、差5.1ppm
【0086】
(例7)
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−プロピオンアミドフマル酸塩(7a)
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド(500mg、1.16mmol)を、ジクロロメタン(5mL)に溶解し、パラホルムアルデヒド(0.13mL、1.51mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(509mg、2.33mmol)を少しずつ加え、反応混合物を終夜撹拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、次いでジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空濃縮した。橙色の油をジクロロメタン/メタノールに溶解し、フマル酸を加えた。混合物を真空濃縮し、ジエチルエーテルで共蒸発させた。白色の固体を酢酸エチルとヘプタンの混合物中に懸濁させ、濾収して、N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−プロピオンアミドフマル酸塩(343mg、66%)を得た。
LC−ESI−HRMS:[M+H]は329.1172Daを示す。計算値329.118744Da、差−4.7ppm
【0087】
試験例
生体外阻害活性
いくつかの化合物について、国際公開第97/16451号パンフレットに記載されているように、シナプトソームにおけるモノアミン神経伝達物質ドーパミン(DA)、ノルアドレナリン(NA)及びセロトニン(5−HT)の再取り込み阻害能力について試験した。
【0088】
試験値は、IC50H−DA、H−NA、又はH−5−HTの特異的結合を50%阻害する試験物質の濃度(μM))で与えてある。
【0089】
選択された本発明の化合物による試験により得た試験結果は、次の表から明らかである。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】


(式中、
は、水素又はアルキルを表し;該アルキルは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニルからなる群から独立に選択される1つ又は複数の置換基で任意選択で置換されており;
は、アリール基又はヘテロアリール基を表し;該アリール基又はヘテロアリール基は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、スルファニル、チオアルコキシ、−NR’R’’、−(C=O)NR’R’’又は−NR’(C=O)R’’からなる群から独立に選択される1つ又は複数の置換基で任意選択で置換されており;ここで、R’、R’’は、互いに独立に、水素又はアルキルであり;
は、水素又はアルキルを表す)、その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物、又はその薬学的に許容される塩であって、
但し、該化合物は、
N−(4−クロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンジル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(3−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−フルオロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;又は
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミド
ではない、上記化合物。
【請求項2】
がアルキルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、任意選択で置換されているフェニルを表す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が、任意選択で置換されているナフチルを表す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
が任意に置換されているピリジルを表す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
が水素を表す、請求項1から5までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
N−(3−クロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ピペリジン−4−イルメチル−N−ピリジン−2−イル−プロピオンアミド;
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(6−ベンジルオキシ−ナフタレン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミド;
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メトキシ−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミド;
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−プロピオンアミド
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の化合物若しくは以下の化合物:
N−(4−クロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンジル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(3−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−フルオロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミド
又はその立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物、又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の化合物若しくは以下の化合物:
N−(4−クロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンジル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(3−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−フルオロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;又は
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミド、
その立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物、又はその薬学的に許容される塩の、薬剤製造のための使用。
【請求項11】
ヒトを含む哺乳動物の、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である疾患又は障害又は状態の治療、予防又は軽減のための医薬組成物を製造するための、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記疾患、障害又は状態が、気分障害、うつ病、非定型うつ病、疼痛に続発するうつ病、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、全身の医学的状態による気分障害、物質誘発性気分障害、仮性認知症、ガンザー症候群、強迫性障害、パニック障害、広場恐怖症を伴わないパニック障害、広場恐怖症を伴うパニック障害、パニック障害歴のない広場恐怖症、パニック発作、記憶欠損、記憶喪失、注意欠陥多動性障害、肥満、不安、全般性不安障害、摂食障害、パーキンソン病、パーキンソニズム、認知症、加齢認知症、老人性認知症、アルツハイマー病、ダウン症候群、後天性免疫不全症候群認知症複合、加齢記憶機能障害、特定恐怖症、社会恐怖症、社会不安障害、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、薬物嗜癖、薬物乱用、薬物乱用傾向、コカイン乱用、ニコチン乱用、タバコ乱用、アルコール嗜癖、アルコール依存症、窃盗癖、中毒物質使用停止起因の離脱症状、疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、偏頭痛、緊張型頭痛、慢性緊張型頭痛、うつ病に伴う疼痛、線維筋痛症、関節炎、変形性関節炎、リウマチ様関節炎、背部痛、癌性疼痛、過敏性腸痛、過敏性腸症候群、術後痛、乳房切除術後痛症候群(PMPS)、脳卒中後痛、薬物誘発性神経障害、糖尿病性神経障害、交感神経性維持疼痛、三叉神経痛、歯痛、筋膜痛、幻肢痛、過食症、月経前症候群、月経前気分不快障害、後期黄体期症候群、外傷後症候群、慢性疲労症候群、持続的植物状態、尿失禁、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、夜間尿失禁、性機能障害、早漏症、勃起困難、勃起不全、早発性女性オルガズム、下肢静止不能症候群、周期性四肢運動障害、摂食障害、神経性食欲不振症、睡眠障害、広汎性発達障害、自閉症、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害、学習障害、運動能力障害、無言症、抜毛癖、ナルコレプシー、脳卒中後うつ病、脳卒中誘発性脳損傷、脳卒中誘発性神経損傷、ジルドゥラトウレット症候群、耳鳴り、チック障害、身体醜形障害、反抗挑戦性障害、脳卒中後能力障害である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
ヒトを含む動物生体の、中枢神経系におけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に応答性である疾患又は障害又は状態の治療、予防又は軽減のための方法であって、その必要のある動物生体に、治療有効量の請求項1から8までのいずれか一項に記載の化合物若しくは以下の化合物:
N−(4−クロロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンジル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(3−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−メトキシ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;
N−(4−フルオロ−フェニル)−N−ピペリジン−4−イルメチル−プロピオンアミド;又は
N−フェニル−N−ピペリジン−4−イルメチル−アセトアミド、
又はその立体異性体のいずれか若しくはその立体異性体のいずれかの混合物、又はその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、上記方法。

【公表番号】特表2010−535174(P2010−535174A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518669(P2010−518669)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060033
【国際公開番号】WO2009/016214
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】