説明

N,N’−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルに基づく化粧用及び/又は皮膚科用組成物

【課題】紫外線による皮膚の老化の防止に有用なN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルを特定の溶媒に溶解し、その溶解が長期間にわたって維持される組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1の油を含有する生理学的に許容される媒体中に、(a)N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルに基づいた少なくとも1の化合物ならびに(b)有効な量の少なくとも1の溶媒であって、(i)イソノニルイソノナノエート、(ii)ジメチルイソソルビド、(iii)式(II)のアミノ酸エステル、


および(iv)これらの混合物から選択された溶媒を含んでいる化粧用及び/又は皮膚科用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルおよび少なくとも1の特定の溶媒を含んでいる化粧用及び/又は皮膚科用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に従う組成物は特に、ケラチン物質、およびとりわけ皮膚をケアするならびに/またはメークアップすることを目的としている。
【0003】
N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルは、ヒドロキシフリーラジカルの生成に抗する鉄キレート剤および捕捉剤として特許文献1に記載されており、このことは、これらの化合物をとりわけ紫外線によって引き起こされる酸化的ストレスからケラチン物質、およびとりわけ皮膚を保護するために好都合なものにする。これらの誘導体は、このように紫外線による皮膚の老化の防止に有用である。
【0004】
しかし、これらの化合物は室温において固形であるという、かつ化粧料および/または皮膚科学において普通に使用される液状原料中に難溶性または不溶性であるという特有の性質を有する。特に、これらの化合物は水に不溶性であり、またポリオール、たとえばグリセロールまたはプロピレングリコール中に難溶性であり、同様に非極性油、たとえばイソドデカン、水添ポリイソブテン(日油社からのパールリーム(Parleam))またはシクロペンタシロキサン中にも難溶性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第94/11338号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、これらの化合物の活性を十分に引き出すためには、これらの化合物が可溶化された形態をした剤型にされることが必要であり、またこのような化合物を含んでいる組成物を貯蔵している間の何らかの結晶化を避けるために、これらの可溶化が長期間にわたって維持されることが好ましい。
【0007】
本発明の目的は、まさに、上述の欠点を克服し、したがってN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルが長期間持続性の溶解された形態で取り込まれることを可能にするこれらの化合物の新規な剤型(galenical formulation)を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的には、本発明者らは思いがけなく、特定のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルと少なくとも1の特定の溶媒との組み合わせが、これらの化合物がその再結晶化を回避しながら溶解されることを、とりわけ室温(25℃)において2月間の貯蔵後に可能にすることを発見した。
【0009】
かくして、本発明の態様の1に従うと、本発明は、少なくとも1の油を含有する生理学的に許容される媒体中に、
(a)一般式(I)の少なくとも1の化合物


(該式中、
−各基RおよびR''は独立に、水素原子または1〜6の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜6の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表し、但し該2の基RおよびR''は同時には水素原子を表さず、
−R、RおよびRは、互いに独立に水素原子または基−ORを表し、および
−Rは、水素原子または1〜5の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜5の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表す。)、
またはその塩、ならびに
(b)有効な量の少なくとも1の溶媒であって、
(i)イソノニルイソノナノエート、
(ii)ジメチルイソソルビド、
(iii)式(II)のアミノ酸エステル

(該式中、
−nは0、1または2に等しい整数であり、
−R'は、直鎖状もしくは分枝状のC〜C21アルキルまたはアルケニル基を表し、
−R'は、水素原子またはC〜Cアルキル基を表し、
−R'は、水素原子、メチル基、エチル基および直鎖状もしくは分枝状のCまたはCアルキル基によって構成された群から選択された基を表し、および
−R'は、直鎖状もしくは分枝状のC〜C10アルキル基、直鎖状もしくは分枝状のC〜C10アルケニル基またはステロール残基を表す。)、および
(iv)これらの混合物
から選択された溶媒
を含んでいる化粧用及び/又は皮膚科用組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
以下に具体的に述べられるように、一般式(I)の当該化合物は好都合にも、本発明に従う組成物中に溶解された形態で存在する。
【0011】
本発明に従う組成物は、ケラチン物質、およびとりわけ皮膚をケアするならびに/またはメークアップするために好都合に使用される。
【0012】
本発明に従うN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルとこのような溶媒との組み合わせは、上述の用途に著しく有効である化粧料組成物または皮膚科学的組成物を得ることを可能にする。
【0013】
本発明に従う組成物は、とりわけ太陽光(紫外線)への曝露によって引き起こされる老化に対して人のケラチン物質、とりわけ皮膚を手当てしおよび/または保護することをとりわけ目的とすることができる。
【0014】
かくして、本発明の態様のもう一つに従うと、本発明は、ケラチン物質に、およびとりわけ皮膚に上記の少なくとも1の組成物を施与する段階を少なくとも含む、ケラチン物質、とりわけ皮膚をケアするならびに/またはメークアップするための非治療的処理方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステル
【0016】
本発明に従って検討されているN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルは、一般式(I)の化合物であり、

該式中、
−各基RおよびR''は独立に、水素原子または1〜6の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜6の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表し、但し該2の基RおよびR''は同時には水素原子を表さず、
−R、RおよびRは、互いに独立に水素原子または基−ORを表し、および
−Rは、水素原子または1〜5の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜5の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表す。
【0017】
これらの化合物は当業者に知られた任意の方法を経て、たとえば特許文献1に記載された調製方法に従って得られることができる。
【0018】
第一の実施態様に従うと、これらの化合物はより特には一般式(Ia)のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルであり、

該式中、
−Rは、1〜6の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基または3〜6の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表し、
−R、RおよびRは、互いに独立に水素原子または基−ORを表し、および
−Rは、水素原子または1〜5の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜5の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表す。
【0019】
1の実施態様に従うと、R、RおよびRは水素原子を表す。
【0020】
他の実施態様に従うと、Rはイソプロピル基を示す。
【0021】
この化合物はとりわけ一般式(Ia)の化合物であることができ、該一般式中、R、RおよびRは水素原子を表し、かつRはイソプロピル基を示す。すなわち、下式のN,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルである。

【0022】
この化合物は特許文献1の実施例16にもっと詳細に記載されている。
【0023】
第二の実施態様に従うと、これらの化合物は一般式(Ib)のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルであることもでき、

該式中、
−Rは、1〜6の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基または3〜6の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表し、
−R、RおよびRは、互いに独立に水素原子または基−ORを表し、および
−Rは、水素原子または1〜5の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜5の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表す。
【0024】
式(Ib)の化合物は、従来技術で記載されていない新規な化合物である。本発明はこのような化合物にも関する。
【0025】
挙げられることができる式(Ib)の化合物は、N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のイソプロピルエステルである。
【0026】
式(Ib)の化合物は、合成式Iに従って、ジベンジル化エチレンジアミン(A)を1モル当量の3級ブチルブロモアセテートと、塩基、たとえば炭酸カリウムの存在下において極性溶媒、たとえばジメチルホルムアミド中で反応させ、そして次にアルコールROHから誘導されたブロモアセテートの1モル当量と反応させることによって得られることができる。得られた中間体ジエステル(B)は、次にその3級ブチル部分が酸性媒体(たとえば、塩酸またはトリフルオロ酢酸)中で選択的に加水分解されて、式(Ib)の半エステルを与える。

【0027】
上記の化合物(I)、(Ia)および(Ib)の塩は、当該化合物の慣用の非毒性塩、たとえば有機酸または鉱酸から生成されたものを含む。挙げられることができる例は、鉱酸、たとえば硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸またはホウ酸の塩を含む。有機酸の塩も挙げられることができ、該有機酸はカルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸の1以上の基を含んでいることができる。これらは直鎖状、分枝状もしくは環式の脂肪族酸、あるいは芳香族酸であることができる。これらの酸は、OおよびNから選択された1以上のヘテロ原子、たとえばヒドロキシル基の形をしたものを含むこともできる。とりわけ、プロピオン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、テレフタル酸、クエン酸および酒石酸が挙げられることができる。
【0028】
好まれる塩は、塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸およびクエン酸から得られたものである。
【0029】
本発明に従う組成物は、当該組成物の総重量当たり0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜2.5重量%、とりわけ0.5重量%〜1重量%の一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物、特に式(Ia)の化合物を含んでいることができる。
【0030】
溶媒
【0031】
本発明に従う組成物は、
(i)イソノニルイソノナノエート、
(ii)ジメチルイソソルビド、
(iii)式(II)のアミノ酸エステル

(該式中、
−nは0、1または2に等しい整数であり、
−R'は、直鎖状もしくは分枝状のC〜C21アルキルまたはアルケニル基を表し、
−R'は、水素原子またはC〜Cアルキル基を表し、
−R'は、水素原子、メチル基、エチル基および直鎖状もしくは分枝状のCまたはCアルキル基によって構成された群から選択された基を表し、および
−R'は、直鎖状もしくは分枝状のC〜C10アルキル基、直鎖状もしくは分枝状のC〜C10アルケニル基またはステロール残基を表す。)、および
(iv)これらの混合物
から選択された、十分な量の少なくとも1の溶媒を含んでいる。
【0032】
本発明の第一の実施態様に従うと、溶媒はイソノニルイソノナノエートである。
【0033】
本発明の第二の実施態様に従うと、溶媒はジメチルイソソルビドである。
【0034】
第三の実施態様に従うと、溶媒は上記の式(II)のアミノ酸エステルである。
【0035】
本発明に使用するのに適しているアミノ酸エステル、およびこれらを合成する方法は、とりわけ、味の素社から出願された欧州特許出願公開第1044676号および欧州特許出願公開第0928608号に記載されている。
【0036】
式(II)のアミノ酸エステルでは、基R'(CO)−は、好ましくはカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、ヤシ油脂肪酸およびパーム核油脂肪酸によって構成された群から好ましくは選択された酸のアシル基である。これらの脂肪酸はヒドロキシル基を有していてもよい。さらにより好ましくは、これはラウリン酸である。
【0037】
アミノ酸エステルの−N(R')CH(R')(CH(CO)−部分は、好ましくは以下のアミノ酸、すなわちグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、β−アラニン、アミノ酪酸、アミノカプロン酸、サルコシン、N−メチル−β−アラニンから選択される。
【0038】
さらにより好ましくは、これはサルコシンである。
【0039】
アミノ酸エステルの基OR'に対応する部分は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、3級ブタノール、イソブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、フーゼル油、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、2−ヘキサデシルアルコール、2−オクチルドデカノールおよびイソステアリルアルコールによって構成された群から選択されたアルコールから得られることができる。
【0040】
これらのアミノ酸エステルは、特に天然源のアミノ酸から得られることができる。この場合、該アミノ酸は、天然植物タンパク質(オート麦、小麦、大豆、ヤシまたはココナッツ)の加水分解から生じ、そうすると必然的にアミノ酸の混合物になり、これはその後エステル化されかつ次にN−アシル化される必要がある。このようなアミノ酸の調製は仏国特許出願公開第2796550号により詳細に記載されており、この内容は引用によって本明細書に取り込まれる。
【0041】
本発明へのその使用がより特に好まれるアミノ酸エステルは、式CH−(CH10CO−N(CH)−CH−COO−CH(CHのイソプロピルN−ラウロイルサルコシネートである。
【0042】
挙げられることができるイソプロピルN−ラウロイルサルコシネートの例は、Eldew SL−205(商標)の参照名下に味の素社によって販売されている製品である。
【0043】
本発明の文脈では、本発明に従う「有効な量の溶媒または溶媒混合物」の表現は、式(I)、(Ia)または(Ib)のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルを溶解するのに、およびこのようにして何らかの再結晶化をとりわけ貯蔵の間に防止するのに、十分な量のこの溶媒または溶媒混合物を意味する。
【0044】
理由は明らかなように、N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルを溶解するのに十分である本発明に従う溶媒の量は、溶解されるべき当該N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルのとりわけ化学的性質および/または量の関数として、ならびに/使用される溶媒もしくは溶媒混合物の性質の関数として広い範囲内で変動しやすいものである。本発明に従う溶媒の量を調整することは、当業者の能力の一部を構成する。
【0045】
この溶媒が上述の三つの溶媒またはこれらの混合物の中の一つとして主要な役割を果たしている実施態様では、他の溶媒を一緒に存在させることを目論むことができることは明らかである。但し、もちろん、この追加の化合物が、本発明に従って要求される溶媒によって与えられる溶解性を損なわないことが条件である。
【0046】
例示として、本発明に従う溶媒は、組成物の総重量当たり0.05重量%〜25重量%、より優先的には0.5重量%〜12.5重量%、より特には2.5重量%〜5重量%の範囲にある量で存在することができる。
【0047】
1の実施態様に従うと、本発明に従う溶媒および一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物は、少なくとも1.5に等しい、とりわけ1.5〜15の範囲にある、好ましくは1.5〜10の範囲にある[溶媒/一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物]の質量比で存在することができる。
【0048】
1の実施態様に従うと、本発明に従う溶媒および一般式(Ia)の化合物は、少なくとも1.5に等しい、とりわけ1.5〜15の範囲にある、好ましくは1.5〜10の範囲にある[溶媒/一般式(Ia)の化合物]の質量比で存在することができる。
【0049】
溶媒がイソノニルイソノナノエートであるときは、[イソノニルイソノナノエート/一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物]の質量比は、とりわけ少なくとも5.25に等しい、たとえば5.25〜8の範囲にある、好ましくは5.25〜6.5の範囲にあることができる。
【0050】
特に、[イソノニルイソノナノエート/一般式(Ia)の化合物]の質量比は、とりわけ少なくとも5.25に等しい、たとえば5.25〜8の範囲にある、好ましくは5.25〜6.5の範囲にあることができる。
【0051】
溶媒がジメチルイソソルビドであるときは、[ジメチルイソソルビド/一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物]の質量比は、とりわけ少なくとも1.6に等しい、たとえば1.6〜10の範囲にある、好ましくは1.6〜6の範囲にあることができる。
【0052】
特に、[ジメチルイソソルビド/一般式(Ia)の化合物]の質量比は、とりわけ少なくとも1.6に等しい、たとえば1.6〜10の範囲にある、好ましくは1.6〜6の範囲にあることができる。
【0053】
溶媒が式(II)のアミノ酸エステルであるときは、[式(II)のアミノ酸エステル/一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物]の質量比は、とりわけ少なくとも4.5に等しい、たとえば4.5〜10の範囲にある、好ましくは4.5〜6の範囲にあることができる。
【0054】
特に、[式(II)のアミノ酸エステル/一般式(Ia)の化合物]の質量比は、とりわけ少なくとも4.5に等しい、たとえば4.5〜10の範囲にある、好ましくは4.5〜6の範囲にあることができる。
【0055】
特に、[イソプロピルN−ラウロイルサルコシネート/N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステル]の質量比は、とりわけ少なくとも4.5に等しい、たとえば4.5〜10の範囲にある、好ましくは4.5〜6の範囲にあることができる。
【0056】
生理学的に許容される媒体
【0057】
本発明に従って使用される組成物は、生理学的に許容される媒体、すなわち皮膚組織、たとえば皮膚および頭皮と相容性である媒体を含有する。
【0058】
前述の本発明に従う溶媒に加えて、この生理学的に許容される媒体は上記の溶媒の他に少なくとも1の油を含んでいる。
【0059】
本発明の組成物中に使用されることができる油として挙げられることができる例は、以下を含む。すなわち、
−動物由来の炭化水素に基づいた油、たとえばパーヒドロスクアレン、
−植物由来の炭化水素に基づいた油、たとえば4〜10の炭素原子を有する脂肪酸の液状トリグリセリド、たとえばヘプタン酸もしくはオクタン酸のトリグリセリド、あるいは、たとえばヒマワリ油、コーン油、大豆油、マロー油、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマシ油、アボガド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、たとえばStearineries Dubois社によって販売されているもの、もしくはDynamit Nobel社によってMaglyol 810、812および818の名称下に販売されているもの、ホホバ油ならびにシアバター油、
−合成エステルおよびエーテル、とりわけ脂肪酸のもの、たとえば式RCOORおよびROR(これらの式中、Rは8〜29の炭素原子を有する脂肪酸残基を表し、Rは3〜30の炭素原子を有する分枝状または非分枝状の炭化水素に基づいた鎖を表す。)の油、たとえばピュアセリンオイル、イソプロピルミリステート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルステアレート、2−オクチルドデシルエルケートまたはイソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル、たとえばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレートまたはトリイソセチルシトレート;脂肪族アルコールヘプタノエート、オクタノエートまたはデカノエート;ポリオールエステル、たとえばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエートおよびジエチレングリコールジイソノナノエート;ならびにペンタエリスリトールエステル、たとえばペンタエリスリチルテトライソステアレート、
−直鎖状または分枝状炭化水素、鉱物または合成由来のもの、たとえば揮発性または非揮発性液状パラフィン、およびこれらの誘導体、ペトロラタム、ポリデセン、ならびに水添ポリイソブテン、たとえばパールリーム油、
−8〜26の炭素原子を有する脂肪族アルコール、たとえばセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびこれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコールまたはリノレイルアルコール、
−シリコーン油、たとえば直鎖状もしくは環式シリコーン鎖を有する揮発性または非揮発性ポリメチルシロキサン(PDMS)(これらは室温で液状またはペースト状である。)、とりわけシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン)、たとえばシクロヘキサシロキサン;アルキル、アルコキシもしくはフェニル基を含んでいるポリジメチルシロキサンであって、これらの基がシリコーン鎖にペンダントまたはその末端にあり、これらの基が2〜24の炭素原子を有するもの;フェニルシリコーン、たとえばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンまたは2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、およびポリメチルフェニルシロキサン;ならびに
−これらの混合物。
【0060】
上述の油のリストにおいて、「炭化水素に基づいた油」の語は、主に炭素および水素原子、ならびに可能性があるものとしてエステル、エーテル、カルボン酸および/またはアルコールの基を含んでいる任意の油を意味する。
【0061】
本発明に従う組成物は、室温(25℃)で固形である物質、たとえば8〜30の炭素原子を有する脂肪酸、たとえばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸;ワックス、たとえばラノリン、蜜ろう、カルナバワックスまたはカンデリラワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックス、セレシンまたはオゾケライト、および合成ワックス、たとえばポリエチレンワックスおよびフィッシャー・トロプシュワックスを含んでいることができる。
【0062】
所望の特性、たとえば稠度(consistency)およびテクスチャーの点で所望の特性を有する組成物を調製するために、これらの脂肪質物質は当業者によって多様な様式で選択されることができる。
【0063】
本発明に従う組成物は、水および生理学的に許容される任意的な有機溶媒であって、たとえば1〜8の炭素原子、特に1〜6の炭素原子を有する低級アルコール、たとえばエタノール、イソプロパノール、プロパノール、またはブタノール;6〜80のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール、およびポリオール、たとえばプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセロールおよびソルビトールから選択されたものを含んでいることができる。
【0064】
好都合には本発明に従う組成物は、エマルション、とりわけ水中油エマルション、油中水エマルション、W/O/WもしくはO/W/Oの三重エマルション、小球の助けを借りた水性相中の脂肪相の分散物、の形態をしていることができ、これらの小球は可能性としてポリマーナノ粒子、たとえばナノスフェアまたはナノカプセル、またはイオン性もしくは非イオン性のタイプの脂質小胞(リポソーム、ニオソームまたはオレオソーム)である。これらの組成物は通常の方法に従って調製される。
【0065】
加えて、本発明に従う組成物は多かれ少なかれ流動性であることができ、白色もしくは着色クリーム、軟膏、乳液、ローション、セラム、ペーストまたはムースの外観を有することができる。該組成物は任意的にエアロゾルの形態で皮膚に施与されてもよい。該組成物は固形、たとえばスティックの形状をしていることもできる。
【0066】
本発明の1の特定の実施態様に従うと、本発明に従う組成物は油中水(W/O)または水中油(O/W)エマルションであり、好ましくは水中油エマルションである。エマルションの油性相の割合は組成物の総重量当たり5重量%〜80重量%、好ましくは5重量%〜50重量%の範囲にあることができる。
【0067】
エマルションは一般に、単独または混合物として使用される両性、アニオン性、カチオン性および非イオン性乳化剤から選択された少なくとも1の乳化剤、および任意的な共乳化剤を含有する。乳化剤は、得られるべきエマルション、すなわち(W/OまたはO/W)エマルションに従って適切な様式で選択される。乳化剤および共乳化剤は組成物の総重量当たり、一般に0.3重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%の割合で組成物中に存在する。
【0068】
W/Oエマルションの場合、挙げられることができる乳化剤の例は、ジメチコーンコポリオール、たとえばDow Corning社によってDC 5225 Cの名称下に販売されているシクロメチコーンとジメチコーンコポリオールとの混合物、ならびにアルキルジメチコーンコポリオール、たとえばDow Corning社によってDow Corning 5200 Formulation Aidの名称下に販売されているラウリルメチコーンコポリオールおよびGoldschmidt社によってAbil EM 90(商標)の名称下に販売されているセチルジメチコーンコポリオールを含む。
【0069】
W/Oエマルションのための同様に使用されることができる界面活性剤は、少なくとも1のオキシアルキレン基を含んでいる、架橋されたエラストマー性固形オルガノポリシロキサン、たとえば米国特許第5412004号文献の実施例3、4および8ならびに米国特許第5811487号文献の実施例の手順に従って得られたもの、とりわけ米国特許第5412004号の実施例3(合成例)の生成物、およびたとえば信越化学社によってKGS 21の参照名下に販売されているものを含む。
【0070】
O/Wエマルションの場合、挙げられることができる乳化剤の例は、非イオン性乳化剤、たとえばグリセロールのオキシアルキレン化(より詳細にはポリオキシエチレン化)脂肪酸エステル;ソルビタンのオキシアルキレン化脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)脂肪族アルキルエーテル;糖エステル、たとえばスクロースステアレート;ならびにこれらの混合物、たとえばグリセリルステアレートとPEG−40ステアレートとの混合物を含む。
【0071】
本発明に従って使用される化粧料組成物または皮膚科学的組成物は公知の様式で、化粧料または皮膚科学において一般的である補助剤、たとえばゲル化剤、被膜形成性ポリマー、保存剤、香料、フィラー、紫外線遮蔽剤、殺菌剤、臭気吸収剤、染料、植物エキス、化粧料活性剤および皮膚科学的活性剤、ならびに塩を含有することもできる。これらの様々な補助剤の量は、検討の対象となっている分野で慣用されている量、たとえば組成物の総重量の0.01%〜20%である。これらの補助剤は、その性質に応じて脂肪相中および/または水性相中に導入されることができる。
【0072】
本発明に従う組成物は、紫外線A波および/または紫外線B波の領域において活性である少なくとも1の有機光保護剤および/または少なくとも1の鉱物光保護剤(吸収剤)を含んでいることもでき、これらは水溶性または脂溶性、あるいは普通に使用される化粧料溶媒中に不溶性であることができる。
【0073】
好ましくは、紫外線A波および紫外線B波の放射の双方を遮蔽する系が使用される。
【0074】
サンスクリーンは紫外線放射を吸収し、このようにしてこの放射が皮膚細胞に達するのを防ぐ分子である。サンスクリーンはその性質に応じて、主として紫外線B波または主として紫外線A波のいずれかを吸収することができる。サンスクリーンの二つの主要な範疇があり、有機質か、あるいは鉱物質(酸化亜鉛または酸化チタン)である。化粧料組成物中にこれらを組み合わせておよび十分な量で使用することによって、サンスクリーンは紫外線放射の大部分を遮断する。
【0075】
しかし、これらの配合物が効率的であるためには、良好な施与条件(十分な量、頻繁な塗り直し、均一な伸ばし)下に使用されなければならないことが一般に認められている。使用者は必ずしも常にこれらの施与条件に従うとは限らず、このことはかなりの量の紫外線放射が皮膚細胞に達し、このようにして上述の生物学的効果を生じる危険を増加させる。さらにその上、紫外線B波+紫外線A波の太陽光紫外線スペクトルの全波長領域について吸収を達成するためには、補色主波長領域において吸収するいくつかの分子が組み合わされる必要がある。
【0076】
さらなる有機遮蔽剤が、とりわけアントラニレート;桂皮酸誘導体;サリチル酸誘導体;ショウノウ誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β−ジフェニルアクリレート誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体、とりわけ米国特許第5624663号に挙げられたもの;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;欧州特許出願公開第0669323号および米国特許第2463264号に記載されたビスベンズアゾリル誘導体;p−アミノ安息香酸(PABA)誘導体;米国特許第5237071号、米国特許第5166355号、英国特許出願公開第2303549号、独国特許出願公開第19726184号および欧州特許出願公開第893119号に記載されたメチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;欧州特許出願公開第0832642号、欧州特許出願公開第1027883号、欧州特許出願公開第1300137号および独国特許出願公開第10162844号に記載されたベンズオキサゾール誘導体;遮蔽性ポリマーおよび遮蔽性シリコーン、たとえばとりわけ国際公開第93/04665号に記載されたもの;α−アルキルスチレンに基づいた2量体、たとえば独国特許出願公開第19855649号に記載されたもの;4,4−ジアリールブタジエン、たとえば欧州特許出願公開第0967200号、独国特許出願公開第19746654号、独国特許出願公開第19755649号、欧州特許出願公開第1008586号、欧州特許出願公開第1133980号および欧州特許出願公開第133981号に記載されたもの;メロシアニン誘導体、たとえば国際公開第04/006878号、国際公開第05/058269号および国際公開第06/032741号に記載されたもの;ならびにこれらの混合物から選択される。
【0077】
さらなる有機光保護剤の例として、INCI名称下に以下に表示されるものが挙げられることができる。
桂皮酸誘導体
DSM Nutritional Products社によってとりわけParsol MCXの商品名下に販売されているエチルヘキシルメトキシシンナメート、
イソプロピルメトキシシンナメート、
Symrise社によってNeo Heliopan E 1000の商品名下に販売されているイソアミルメトキシシンナメート、
DEAメトキシシンナメート、
ジイソプロピルメトキシシンナメート、
グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート。
パラアミノ安息香酸誘導体
PABA、
エチルPABA、
エチルジヒドロキシプロピルPABA、
ISP社によってとりわけEscalol 507の名称下に販売されているエチルヘキシルジメチルPABA、
グリセリルPABA、
BASF社によってUvinul P25の名称下に販売されているPEG−25PABA。
サリチル酸誘導体
Rona/EM Industries社によってEusolex HMSの名称下に販売されているホモサレート、
Symrise社によってNeo Heliopan OSの名称下に販売されているエチルヘキシルサリチレート、
Scher社によってDipsalの名称下に販売されているジプロピレングリコールサリチレート、
Symrise社によってNeo Heliopan TSの名称下に販売されているTEAサリチレート。
β,β−ジフェニルアクリレート誘導体
BASF社によってとりわけUvinul N539の商品名下に販売されているオクトクリレン、
BASF社によってとりわけUvinul N35の商品名下に販売されているエトクリレン、
ベンゾフェノン誘導体
BASF社によってUvinul 400の商品名下に販売されているベンゾフェノン−1、
BASF社によってUvinul D50の商品名下に販売されているベンゾフェノン−2、
BASF社によってUvinul M40の商品名下に販売されているベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、
BASF社によってUvinul MS40の商品名下に販売されているベンゾフェノン−4、
ベンゾフェノン−5、
Norquay社によってHelisorb 11の商品名下に販売されているベンゾフェノン−6、
American Cyanamid社によってSpectra−Sorb UV−24の商品名下に販売されているベンゾフェノン−8、
BASF社によってUvinul DS−49の商品名下に販売されているベンゾフェノン−9、
ベンゾフェノン−12、
BASF社によってUvinul A+の商品名下に販売されているn−ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート。
ベンジリデンショウノウ誘導体
Chimex社によってMexoryl SDの名称下に製造されている3−ベンジリデンショウノウ、
Merck社によってEusolex 6300の名称下に販売されている4−メチルベンジリデンショウノウ、
Chimex社によってMexoryl SLの名称下に製造されているベンジリデンショウノウスルホン酸、
Chimex社によってMexoryl SOの名称下に製造されているショウノウベンズアルコニウムメトサルフェート、
Chimex社によってMexoryl SXの名称下に製造されているテレフタリリデンジショウノウスルホン酸、
Chimex社によってMexoryl SWの名称下に製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ。
フェニルベンズイミダゾール誘導体
Merck社によってとりわけEusolex 232の商品名下に販売されているフェニルベンズイミダゾールスルホン酸、
Symrise社によってNeo Heliopan APの商品名下に販売されているジナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート。
フェニルベンゾトリアゾール誘導体
Rhodia Chimie社によってSilatrizoleの名称下に販売されているドロメトリゾールトリシロキサン、
Fairmount Chemical社によってMIXXIM BB/100の商品名下に固形態で、またはCiba Specialty Chemicals社によってTinosorb Mの商品名下に水性分散物としての微粉化形態で販売されているメチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール。
トリアジン誘導体
Ciba Geigy社によってTinosorb Sの商品名下に販売されているビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、
BASF社によってとりわけUvinul T150の商品名下に販売されているエチルヘキシルトリアゾン、
Sigma 3V社によってUvasorb HEBの商品名下に販売されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6−トリス(ジネオペンチル4'−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン、
2,4,6−トリス(ジイソブチル4'−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン、
2,4−ビス(n−ブチル4'−アミノベンゾエート)−6−(アミノプロピルトリシロキサン)−s−トリアジン、
2,4−ビス(ジネオペンチル4'−アミノベンザルマロネート)−6−(n−ブチル4'−アミノベンゾエート)−s−トリアジン、
米国特許第6225467号、特許出願である国際公開第2004/085412号(化合物6および9を参照せよ。)または文献「対称形トリアジン誘導体」、IP.COM Journal、米国、ニューヨーク州、Henrietta、IP.COM社(2004年9月20日)に記載された対称形トリアジン遮蔽剤、とりわけ2,4,6−トリス(ビフェニル)−1,3,5−トリアジン(特に、2,4,6−トリス(ビフェニル)−4−イル−1,3,5−トリアジン)および2,4,6−トリス(ターフェニル)−1,3,5−トリアジン、最後のものはBeiersdorf社の特許出願である国際公開第06/035000号、国際公開第06/034982号、国際公開第06/034991号、国際公開第06/035007号、国際公開第2006/034992号および国際公開第2006/034985号にも挙げられている。
アントラニル酸誘導体
Haarmann & Reimer社によってNeo Heliopan MAの商品名下に販売されているメンチルアントラニレート。
イミダゾリン誘導体
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
ベンザルマロネート誘導体
ベンザルマロネート官能基を有するポリオルガノシロキサン、たとえばDSM Nutritional Products社によってParsol SLXの商品名下に販売されているポリシリコーン−15。
4,4−ジアリールブタジエン誘導体
1,1−ジカルボキシ(2,2'−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン。
ベンズオキサゾール誘導体
Sigma 3V社によってUvasorb K2Aの名称下に販売されている2,4−ビス[5−(1−ジメチルプロピル)ベンズオキサゾール−2−イル(4−フェニル)イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)イミノ−1,3,5−トリアジン。
メロシアニン誘導体
オクチル5−N,N−ジエチルアミノ−2−フェニルスルフォニル−2,4−ペンタジエノエート。
およびこれらの混合物。
【0078】
好まれる有機光保護剤は以下のものから選択される。すなわち、
エチルヘキシルメトキシシンナメート、
エチルヘキシルサリチレート、
ホモサレート、
オクトクリレン、
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、
ベンゾフェノン−3、
ベンゾフェノン−4、
ベンゾフェノン−5、
n−ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
4−メチルベンジリデンショウノウ、
テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、
ジナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6−トリス(ジネオペンチル4'−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン、
2,4,6−トリス(ジイソブチル4'−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン、
2,4−ビス(n−ブチル4'−アミノベンゾエート)−6−(アミノプロピルトリシロキサン)−s−トリアジン、
2,4−ビス(ジネオペンチル4'−アミノベンザルマロネート)−6−(n−ブチル4'−アミノベンゾエート)−s−トリアジン、
2,4,6−トリス(ビフェニル−4−イル)−1,3,5−トリアジン、
2,4,6−トリス(ターフェニル)−1,3,5−トリアジン、
ドロメトリゾールトリシロキサン、
ポリシリコーン−15、
1,1−ジカルボキシ(2,2'−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン、
2,4−ビス[5−1(ジメチルプロピル)ベンズオキサゾール−2−イル(4−フェニル)イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)イミノ−1,3,5−トリアジン、
オクチル5−N,N−ジエチルアミノ−2−フェニルスルホニル−2,4−ペンタジエノエート、
およびこれらの混合物。
【0079】
本発明に従う有機遮蔽剤は、組成物の総重量の0.1%〜30%、好ましくは1%〜25%を占めることができる。
【0080】
本発明に従って使用される付加的な鉱物紫外線遮蔽剤は金属酸化物顔料である。より優先的には、本発明の鉱物紫外線遮蔽剤は500nm以下、より優先的には5nm〜500nm、さらにより優先的には10nm〜100nm、優先的には15〜50nmの平均基本粒子サイズを有する金属酸化物顔料である。
【0081】
これらの鉱物紫外線遮蔽剤は、とりわけ酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウムおよび酸化セリウム、またはこれらの混合物から選択されることができ、より特には酸化チタンである。
【0082】
このような被覆されたまたは被覆されていない金属酸化物顔料は、特に欧州特許出願公開第0518773号に記載されている。挙げられることができる工業用顔料は、Kemira、Tayca、MerckおよびDegussaの各社によって販売されている製品を含む。
【0083】
金属酸化物顔料は、被覆されていても被覆されていなくてもよい。
【0084】
被覆された顔料は、アミノ酸、蜜ろう、脂肪酸、脂肪族アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄もしくはアルミニウムの塩、ポリエチレンの(チタンもしくはアルミニウムの)金属アルコキシド、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物またはナトリウムヘキサメタホスフェートのような化合物を用いて化学的、電子的、機械化学的および/または機械的性質の1以上の表面処理を施されている顔料である。
【0085】
被覆された顔料は、より特には、
−シリカ、たとえば池田物産社からの製品Sunveilで、
−シリカおよび酸化鉄、たとえば池田物産社からの製品Sunveil Fで、
−シリカおよびアルミナ、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT 500 SAおよびMicrotitanium Dioxide MT 100 SAならびにTioxide社からの製品Tioveilで、
−アルミナ、たとえば石原薬品社からの製品Tipaque TTO−55(B)およびTipaque TTO−55(A)ならびにKemira社からの製品UVT 14/4で、
−アルミナおよびステアリン酸アルミニウム、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 ZおよびMT−01、Uniqema社からの製品Solaveil CT 10 WおよびSolaveil CT 100ならびにMerck社からの製品Eusolex T−AVOで、
−シリカ、アルミナおよびアルギン酸、たとえばTayca社からの製品MT−100 AQで、
−アルミナおよびラウリン酸アルミニウム、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT−100 Sで、
−酸化鉄およびステアリン酸鉄、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT−100 Fで、もしくは
−酸化亜鉛およびステアリン酸亜鉛、たとえばTayca社からの製品BR351で、
被覆された酸化チタン、もしくは
−シリカおよびアルミナで被覆され、そしてシリコーンで処理された酸化チタン、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT 600 SAS、Microtitanium Dioxide MT 500 SASまたはMicrotitanium Dioxide MT 100 SAS、
−シリカ、アルミナおよびステアリン酸アルミニウムで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、たとえばチタン工業社からの製品STT−30−DS、
−シリカで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、たとえばKemira社からの製品UV−Titan X 195、
−アルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、たとえば石原薬品社からの製品Tipaque TTO−55(S)またはKemira社からの製品UV Titan M 262、
−トリエタノールアミンで被覆された酸化チタン、たとえばチタン工業社からの製品STT−65−S、
−ステアリン酸で被覆された酸化チタン、たとえば石原薬品社からの製品Tipaque TTO−55(C)、
−ナトリウムヘキサメタホスフェートで被覆された酸化チタン、たとえばTayca社からの製品Microtitanium Dioxide MT 150 W、
−オクチルトリメチルシランで処理された、Degussa Silices社によってT 805の商品名下に販売されているTiO
−ポリジメチルシロキサンで処理された、Cardre社によって70250 Cardre UF TiO2SI3の商品名下に販売されているTiO、または
−ポリジメチルハイドロジェノシロキサンで処理された、Color Techniques社によってMicrotitanium Dioxide USP疎水性級の商品名下に販売されているアナターゼ/ルチル型TiO
である。
【0086】
被覆されていない酸化チタン顔料は、たとえばTayca社によってMicrotitanium Dioxide MT 500 BまたはMicrotitanium Dioxide MT 600 Bの商品名下に、Degussa社によってP 25の名称下に、Wackher社によって透明酸化チタンPWの名称下に、三好化成社によってUFTRの名称下に、トーメン社によってITSの名称下に、およびTioxide社によってTioveil AQの名称下に販売されている。
【0087】
被覆されていない酸化亜鉛顔料は、たとえばSunsmart社によってZ−Coteの名称下に販売されているものである。
【0088】
被覆された酸化亜鉛顔料は、たとえば以下のものである。すなわち、
−Toshibi社によってZink Oxide CS−5の名称下に販売されているもの(ポリメチルハイドロジェノシロキサンで被覆されたZnO)、
−大東化学社によってDaitopersion ZN−30およびDaitopersion ZN−50の名称下に販売されているもの(シリカおよびポリメチルハイドロジェノシロキサンで被覆されたナノ酸化亜鉛30%または50%を含有する、シクロポリメチルシロキサン/オキシエチレン化ポリジメチルシロキサン中の分散物)、
−ダイキン工業社によってNFD Ultrafine ZnOの名称下に販売されているもの(シクロペンタシロキサン中の分散物としての、パーフルオロアルキルホスフェート、およびパーフルオロアルキルエチルに基づいたコポリマーで被覆されたZnO)、
−信越化学社によってSPD−Z1の名称下に販売されているもの(シクロジメチルシロキサン中に分散された、シリコーングラフトアクリルポリマーで被覆されたZnO)、
−ISP社によってEscalol Z100の名称下に販売されているもの(エチルヘキシルメトキシシンナメート/PVP−ヘキサデセン/メチコーンコポリマーの混合物中に分散された、アルミナで処理されたZnO)、および
−不二化成(Fuji Pigment)社によってFuji ZnO−SMS−10の名称下に販売されているもの(シリカおよびポリメチルシルセスキオキサンで被覆されたZnO)。
【0089】
被覆されていない酸化セリウム顔料は、Rhone−Poulenc社によってColloidal Cerium Oxideの名称下に販売されている。
【0090】
被覆されていない酸化鉄ナノ顔料は、たとえば三菱マテリアル社によってTY−220の名称下に販売されている。
【0091】
被覆された酸化鉄顔料は、たとえばBASF社によってTransparent Iron Oxideの名称下に販売されている。
【0092】
金属酸化物の混合物、とりわけ二酸化チタンと二酸化セリウムとのもの、たとえば池田物産社によってSunveil Aの名称下に販売されている、シリカで被覆された二酸化チタンと二酸化セリウムとの等重量混合物、およびまたアルミナ、シリカおよびシリコーンで被覆された二酸化チタンと二酸化亜鉛との混合物、たとえばKemira社によって販売されている製品M 261、またはアルミナ、シリカおよびグリセロールで被覆された二酸化チタンと二酸化亜鉛との混合物、たとえばKemira社によって販売されている製品M 211が挙げられることもできる。
【0093】
本発明に従うと、被覆されたまたは被覆されていない酸化チタン顔料が特に好まれる。
【0094】
本発明に従う鉱物遮蔽剤は、組成物の総重量の0.5%〜40%、好ましくは1%〜30%を占めることができる。
【0095】
本発明の態様の第二に従うと、本発明は少なくとも1のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルおよび少なくとも1の特定の界面活性剤を含んでいる水中油エマルションの形態をした化粧用及び/又は皮膚科用組成物に関する。
【0096】
本発明のこの第二の態様に従う組成物は特に、ケラチン物質、およびとりわけ皮膚をケアするならびに/またはメークアップすることを目的としている。
【0097】
上記のように、N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルは、室温において固形であるという、ならびに化粧料および/または皮膚科学において普通に使用される液状原料に不溶性もしくは難溶性であるという特有の性質を有する。
【0098】
そのような理由から、これらの化合物の活性を十分に引き出すためには、これらを溶解することに特に充てられた特定の溶媒をこれらの化合物に配合することが一般に必要である。
【0099】
その上、水中油エマルションの形態をした剤型は、これらが一般に皮膚上で非常に十分な許容度を示し、かつ需要者にとって満足のいく知覚的および/または官能的特性を(とりわけ、感触の点で)有するという意味において、化粧料および皮膚科学に好都合である。
【0100】
今、本発明者らは、アニオン性界面活性剤、たとえばステアリン酸のような脂肪酸を用いた水中油エマルションの調製が、該エステル化合物の化学的分解を起こし、エマルション中に存在するこれらのエステル化合物の量の低下をもたらし、したがって該化粧料製品の効能の損失をもたらすことを発見した。
【0101】
これらの理由から、N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルをより有効な水中油エマルションの形態をした剤型にするのに適した組成物であって、当該エステルの化学的安定性を損なわず、かつこれらのすべてを達成しそれでいて同時に十分な皮膚の許容度を維持する組成物の必要性が依然として存在する。
【0102】
本発明の第二の態様に従うと、本発明の目的は、まさに上述の欠点を克服することができかつこれらの化合物の化学的安定性を長期間にわたって永続的に維持することができるN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルの新規な剤型を提案することである。
【0103】
具体的には、本発明者らは思いがけず、特定のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルとある特定の界面活性剤との組み合わせがこれらの点において満足のいくものであることができ、とりわけ水中油エマルションの形態をした剤型にされた当該エステルの化学的安定性を維持することができることを発見した。
【0104】
本発明のこの第二の態様の文脈では、本発明はかくしてその態様の1に従って、
(a)一般式(I)のすくなくとも1の化合物、

(該式中、
− 各基RおよびR''は独立に、水素原子または1〜6の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜6の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表し、但し該2の基RおよびR''は同時には水素原子を表さず、
− R、RおよびRは、互いに独立に水素原子または基−ORを表し、および
− Rは、水素原子または1〜5の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜5の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表す。)、
またはその塩、
(b)当該一般式(I)の化合物のための、有効な量の少なくとも1の溶媒、および
(c)(C10〜C22の)アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩およびパルミトイルサルコシネートのアルカリ金属塩ならびにこれらの混合物から選択された少なくとも1のイオン性界面活性剤
を含んでいる水中油エマルションの形態をした化粧用及び/又は皮膚科用組成物に関する。
【0105】
一般式(I)の化合物は、好都合にも、その溶媒の少なくとも1が有効な量で存在することによって溶解された形態で、本発明のこの第二の態様に従う組成物中に存在する。その化学的安定性は、上記の少なくとも1の特定のイオン性界面活性剤の存在によって維持される。
【0106】
水中油エマルション中の、本発明に従うN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルとこのようなイオン性界面活性剤との組み合わせは、上述の用途に著しく有効である化粧用及び/又は皮膚科用組成物を得ることを可能にする。
【0107】
本発明のこの第二の態様に従う組成物は、とりわけ太陽光(紫外線)への曝露によって引き起こされる老化に対して、人のケラチン物質、特に皮膚を処理するおよび/または保護することをとりわけ目的とすることができる。
【0108】
したがって、本発明の態様のもう一つに従うと、本発明はケラチン物質に、およびとりわけ皮膚に上記の少なくとも1の組成物を施与する段階を少なくとも含む、当該ケラチン物質、とりわけ皮膚をケアするならびに/またはメークアップするための非治療的処理方法に関する。
【0109】
本発明のこの第二の態様に従って検討されているN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルは、本発明の第一の態様についてすでに定義された一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物である。
【0110】
本発明のこの第二の態様に従う組成物中に使用されるべきN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルの量は、所望の化粧的効果に依存し、したがって広い範囲内で様々であることができる。
【0111】
当業者は、その一般知識に基づいて適切な量を容易に決定することができる。
【0112】
本発明のこの第二の態様に従う組成物は、当該組成物の総重量当たり0.2重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%、とりわけ0.8重量%〜3重量%、たとえば少なくとも1重量%の一般式(I)、(Ia)または(Ib)、特に式(Ia)の化合物を含んでいることができる。
【0113】
N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルのための溶媒
【0114】
本発明のこの第二の態様に従う組成物は、式(I)、(Ia)または(Ib)の少なくとも1のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルを、この化合物のための有効な量の溶媒との組み合わせで含んでいる。
【0115】
とりわけ挙げられることができる好適な溶媒は、エタノール、水素化イソパラフィン、スクアレン、イソプロピルパルミテート、2−オクチルドデカノール、2−エチルヘキシルサリチレート、ジプロピレングリコール、イソプロピルミリステート、ヘキシレングリコール、フェニルトリメチコーン、アプリコット油、イソノニルイソノナノエート、ジメチルイソソルビド、および式(II)のアミノ酸エステル

(該式中、
−nは0、1または2に等しい整数であり、
−R'は、直鎖状もしくは分枝状のC〜C21アルキルまたはアルケニル基を表し、
−R'は、水素原子またはC〜Cアルキル基を表し、
−R'は、水素原子、メチル基、エチル基および直鎖状もしくは分枝状のCまたはCアルキル基によって構成された群から選択された基を表し、および
−R'は、直鎖状もしくは分枝状のC〜C10アルキル基、直鎖状もしくは分枝状のC〜C10アルケニル基またはステロール残基を表す。)、ならびに
これらの混合物を含む。
【0116】
好適な溶媒は、好ましくはイソノニルイソノナノエート、ジメチルイソソルビドおよび上記の式(II)のアミノ酸エステルならびにこれらの混合物から選択された溶媒である。
【0117】
本発明のこの第二の態様に従って検討の対象となる溶媒は、とりわけ本発明の第一の態様についてすでに定義された溶媒であることができる。
【0118】
イオン性界面活性剤
【0119】
本発明のこの第二の態様に従う組成物は、(C10〜C22の)アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩およびパルミトイルサルコシネートのアルカリ金属塩、ならびにこれらの混合物から選択された少なくとも1のイオン性界面活性剤も含んでいる。
【0120】
挙げられることができるアルカリ金属塩の例は、ナトリウム塩、カリウム塩およびリチウム塩を含み、好ましくはナトリウム塩である。
【0121】
1の実施態様に従うと、本発明のこの第二の態様に従う組成物は、少なくとも1の(C10〜C22の)アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩、好ましくは(C12〜C20の)アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩、たとえば(C16〜C18の)アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩を含んでいる。
【0122】
このような塩は、とりわけステアロイルグルタミン酸の、ラウロイルグルタミン酸の、C16アシルグルタミン酸の、ミリストイルグルタミン酸の、ココイルグルタミン酸の、または水素化牛脂アシルグルタミン酸の、アルカリ金属塩であることができる。
【0123】
好ましくは、このような界面活性剤は、ナトリウムステアロイルグルタメート、ジナトリウムステアロイルグルタメート、カリウムステアロイルグルタメート、ナトリウムラウロイルグルタメート、ジナトリウムラウロイルグルタメート、カリウムラウロイルグルタメート、ナトリウムココイルグルタメート、および水素化牛脂ナトリウムアシルグルタメート、ならびにこれらの混合物から選択されたイオン性界面活性剤であり、好ましくはナトリウムステアロイルグルタメートである。
【0124】
例示の目的として、挙げられることができる例は味の素社によってAmisoft HS 11 PF(商標)の参照名下に販売されているナトリウムステアロイルグルタメートである。
【0125】
他の実施態様に従うと、本発明のこの第二の態様に従う組成物は、少なくとも1のパルミトイルサルコシネートのアルカリ金属塩を含んでいる。
【0126】
これは、好ましくはナトリウムパルミトイルサルコシネートである。
【0127】
理由は明らかなように、本発明のこの第二の態様に従うイオン性界面活性剤の量は、とりわけ当該N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルの化学的性質および/またはその量ならびに使用されるイオン性界面活性剤の性質の関数として広い範囲内で変動しやすいものである。本発明のこの第二の態様に従うイオン性界面活性剤の量を調整することは、当業者の能力の一部を構成する。
【0128】
例示の目的として、本発明のこの第二の態様に従うイオン性界面活性剤は、組成物の総重量当たり0.01重量%〜20重量%、より優先的には0.1重量%〜10重量%、さらにより優先的には0.2重量%〜5重量%、さらにより特には0.25重量%〜2重量%の範囲にある活性物質の量で存在することができる。
【0129】
エマルション
【0130】
本発明のこの第二の態様に従う組成物は、水中油エマルションの形態をしている。
【0131】
本発明のこの第二の態様に従うイオン性界面活性剤の他に、これらのエマルションは、両性、アニオン性、カチオン性および非イオン性乳化剤から選択された、単独でまたは混合物として使用される少なくとも1の付加的な乳化剤を含有することができる。付加的な乳化剤は、いうまでもなく水中油エマルションを得るための適切な様式で選択される。
【0132】
使用されることができる付加的な乳化剤として、挙げられることができる例は、非イオン性乳化剤、たとえばオキシアルキレン化(より詳細にはポリオキシエチレン化)ポリオールの脂肪酸エステル、たとえばポリエチレングリコールステアレート、例としてPEG−100ステアレート、PEG−50ステアレートおよびPEG−40ステアレート;およびこれらの混合物、たとえばSEPPIC社によってSimulsol 165の名称下に販売されているグリセリルモノステアレートとポリエチレングリコールステアレート(100のEO)との混合物;たとえば、20〜100のEOを含んでいるオキシアルキレン化ソルビタンの脂肪酸エステル、たとえばUniqema社によってTween 20およびTween 60の商品名下に販売されているもの;オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)脂肪族アルコールエーテル;糖エステル、たとえばスクロースステアレート;ならびにこれらの混合物、たとえばUniqema社によってArlacel 165の名称下に販売されているグリセリルステアレートとPEG−100ステアレートとの混合物、またはグリセリルステアレートとPEG−40ステアレートとの混合物を含む。
【0133】
付加的な乳化性界面活性剤を含んでいない、または組成物の総重量当たり0.5%未満のこれらの付加的な乳化性界面活性剤を含有するエマルションが、適当な化合物、たとえば乳化特性を有するポリマー、例としてアクリル酸/ステアリルメタクリレートポリマー、たとえばNoveon社によってCarbopol 1342およびPemulenの名称下に販売されているもの;または任意的に架橋されておよび/もしくは中和されていてもよい2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ポリマーおよびコポリマー、たとえばClariant社によってHostacerin AMPS(CTFA名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)の名称下に販売されているポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、もしくはアクリルアミド/ナトリウム2−アクリルアミドメチルプロパンスルホネートポリマー、たとえばSEPPIC社によってSepigel 305の名称下に販売されている製品(INCI名:ポリアクリルアミド/C13〜C14イソパラフィン/ラウレス−7)、(AMPS/エトキシル化C12/C14アルコールメタクリレート)コポリマー(8モルのEO)(80/20)(Clariant社からのAristoflex LNC(商標));イオン性または非イオン性ポリマー粒子、より詳細にはアニオン性ポリマー粒子、とりわけたとえばイソフタル酸もしくはスルホイソフタル酸ポリマーのもの、および特にフタレート/スルホイソフタレート/グリコールコポリマー(たとえば、Eastman Chemical社によってEastman AQ Polymer(AQ35S、AQ38S、AQ55SまたはAQ48 Ultra)の名称下に販売されているジエチレングリコール/フタレート/イソフタレート/1,4−シクロヘキサンジメタノール(INCI名:ジグリコール/CHDM/イソフタレート/SIPコポリマー))を使用することによって調製されることもできる。
【0134】
本発明のこの第二の態様に従う組成物は、紫外線A波および/または紫外線B波の領域において活性である少なくとも1の有機光保護剤および/または少なくとも1の鉱物光保護剤(吸収剤)を含んでいることもでき、これらは、水溶性または脂溶性、あるいは本発明の第一の態様についてすでに定義された普通に使用される化粧料溶媒中に不溶性であることができる。
【0135】
本発明の第二の態様は、実施例7および8によってより詳細に例示される。
【0136】
本発明の態様の第三に従うと、本発明は少なくとも1のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルおよび少なくとも1の特定の乳化性ポリマーを含んでいる化粧用及び/又は皮膚科用組成物に関する。
【0137】
本発明のこの第三の態様に従う組成物は特に、ケラチン物質、およびとりわけ皮膚をケアするならびに/またはメークアップすることを目的としている。
【0138】
上記のように、N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルは、室温において固形であるという、ならびに化粧料および/または皮膚科学において普通に使用される液状原料に不溶性もしくは難溶性であるという特有の性質を有する。
【0139】
そこで、これらの化合物の活性を十分に引き出すためには、これらが溶解されたまたは分散された形態をした剤型にされることが必要であり、またこのような化合物を含んでいる組成物の貯蔵の間の何らかの再結晶化を回避するように、この状態が長期間にわたって維持されることが好ましい。
【0140】
本発明の態様の第三に従うと、本発明は水中油または水中油中水エマルションの油性相中にN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルを配合することに関する。
【0141】
具体的には、本発明者らは思いがけず、特定のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルと少なくとも1の特定の乳化性ポリマーとの組み合わせが、これらのエステル化合物の再結晶化を、とりわけ室温(25℃)で2月間の貯蔵の後にも回避しながら、これらのエステル化合物がこのタイプのエマルションの油性相中に導入されることを許すことを発見した。
【0142】
本発明のこの第三の態様の文脈では、本発明はしたがってその態様のうちの1に従って水中油エマルションまたは水中油中水エマルションの形態をしており、その油性相中に
(a)一般式(I)の少なくとも1の化合物

(該式中、
− 各基RおよびR''は独立に、水素原子または1〜6の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜6の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表し、但し該2の基RおよびR''は同時には水素原子を表さず、
− R、RおよびRは、互いに独立に水素原子または基−ORを表し、および
− Rは、水素原子または1〜5の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜5の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表す。)、
またはその塩、ならびに
(b)少なくとも1のアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)単位を含む、有効な量の少なくとも1の両親媒性ポリマー
を含有する化粧用及び/又は皮膚科用組成物に関する。
【0143】
以下の実施例9〜12で明らかになるように、本発明のこの第三の態様に従う両親媒性ポリマーの存在は、エマルションの油性相中に一般式(I)の化合物が存在することを有効に確保する。
【0144】
この目的のためのこのような両親媒性ポリマーの使用は、したがって好都合にも、溶解させる溶媒を使用しないで済ますことを可能にし、それによって該エステル化合物を含有するエマルションの配合を簡略化する。
【0145】
本発明のこの第三の態様に従う組成物は、ケラチン物質、およびとりわけ皮膚をケアするならびに/またはメークアップするために好都合に使用される。
【0146】
本発明に従うN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルとこのような両親媒性ポリマーとの組み合わせは、前述の用途に著しく有効である化粧用及び/又は皮膚科用組成物を得ることを可能にする。
【0147】
本発明のこの第三の態様に従う組成物は、とりわけ太陽光(紫外線)への曝露によって引き起こされる老化に対して、人のケラチン物質、特に皮膚を処理するおよび/または保護することをとりわけ目的とすることができる。
【0148】
このようにして、本発明の態様のうちのもう一つに従うと、本発明は、ケラチン物質、およびとりわけ皮膚に上記の少なくとも1の組成物を施与する段階を少なくとも含む、当該ケラチン物質、とりわけ皮膚をケアするならびに/またはメークアップするための非治療的処理方法に関する。
【0149】
本発明のこの第三の態様に従って検討されているN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルは、本発明の第一の態様についてすでに定義された一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物である。
【0150】
本発明のこの第三の態様に従う組成物中に使用されるべきN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルの量は所望の化粧的効果に依存し、したがって広い範囲内で様々であることができる。
【0151】
当業者はその一般知識に基づいて、適切な量を容易に決定することができる。
【0152】
本発明のこの第三の態様に従う組成物は、当該組成物の総重量当たり、とりわけ0.2重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%、とりわけ0.8重量%〜3重量%、たとえば少なくとも1重量%の一般式(I)、(Ia)または(Ib)、特に式(Ia)の化合物を含んでいることができる。
【0153】
乳化性ポリマー
【0154】
本発明の目的のためには「乳化性ポリマー」および「両親媒性ポリマー」の語は、両親媒特性を有する、すなわち少なくとも1の親水性部分および少なくとも1の疎水性部分を有するポリマーを表すことが意図される。親水性基および疎水性基は当業者には周知である。
【0155】
本発明の目的のためには「ポリマー」の語は、少なくとも2の繰返し単位、とりわけ少なくとも5の繰返し単位を含んでいる化合物を表すことが意図される。
【0156】
本発明のこの第三の態様に従って検討されている両親媒性ポリマーは、少なくとも1のアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)単位を含んでいる両親媒性ポリマーである。
【0157】
本発明のこの第三の態様に使用されることができる、少なくとも1のアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)単位を含んでいる両親媒性ポリマーは、以下に用いられるようにより簡単に「両親媒性AMPSポリマー」としても知られており、親水性部分と少なくとも1の脂肪族鎖を含んでいる疎水性部分との双方を含んでいる。
【0158】
本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーは、とりわけ、少なくとも1の2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)モノマーと、7〜30の炭素原子、特に7〜22の炭素原子、またはさらに12〜22の炭素原子を有する少なくとも1の疎水性部分を含んでいる少なくとも1のエチレン性不飽和コモノマーとの両親媒性ポリマーから選択される。
【0159】
本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーは、一般に50000〜10000000g/モル、特に100000〜8000000g/モル、さらにより特に100000〜7000000g/モルの範囲にある重量平均分子量を有する。
【0160】
これらのポリマーは架橋されていてもよいし架橋されていなくてもよい。
【0161】
本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーが架橋されるときは、架橋剤はフリーラジカル重合によって得られるポリマーの架橋に普通に使用されるポリオレフィン性不飽和化合物から選択されることができる。
【0162】
挙げられることができる架橋剤の例は、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビス(アクリルアミド)、メチレンビス(メタクリルアミド)、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖系列のアルコールのアリルエーテル、もしくは多官能性アルコールの他のアリルもしくはビニルエーテル、また同様にリン酸および/もしくはビニルホスホン酸のアリル性エステル、またはこれらの化合物の混合物を含む。
【0163】
架橋剤は、とりわけメチレンビス(アクリルアミド)、アリルメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から選択されることができる。
【0164】
架橋度はポリマー当たり、たとえば0.01モル%〜10モル%、好ましくは0.2モル%〜2モル%の範囲にあることができる。
【0165】
本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーは、とりわけC〜C22のn−モノアルキルアミンまたはジ−n−アルキルアミンとの反応によって変性された統計分布的両親媒性のAMPSポリマーから選択されることができ、たとえば国際公開第00/31154号に記載されたものである。
【0166】
本発明のこの第三の態様に使用するのに適している両親媒性ポリマーは、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、もしくはこれらのアルキル置換誘導体、またはモノアルキレンもしくはポリアルキレングリコールを用いて得られたこれらのエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、無水マレイン酸、イタコン酸、もしくはマレイン酸、またはこれらの混合物から選択された少なくとも1のエチレン性不飽和親水性モノマーを含んでいることができる。
【0167】
本発明のこの第三の態様に従う両親媒性ポリマーは、少なくとも1のエチレン性不飽和疎水性コモノマーを含んでいることができる。
【0168】
本発明のこの第三の態様に使用するのに適している両親媒性ポリマーは、飽和もしくは不飽和の直鎖状アルキル基、たとえばn−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、n−ドデシルおよびオレイル、分枝状アルキル基、たとえばイソステアリル、または環式アルキル基、たとえばシクロドデカンもしくはアダマンタンから選択された少なくとも1の疎水性部分を含んでいることができる。
【0169】
両親媒性AMPSポリマーは、たとえば
−フルオロもしくはC〜C18フルオロアルキル基(たとえば、式−(CH−(CF−CFの基)、
−コレステリル基もしくはコレステロールに基づいた基(たとえば、コレステリルヘキサノエート)、
−多環芳香族基、たとえばナフタレンもしくはピレン、または
−シリコーン、アルキルシリコーンもしくはアルキルフルオロシリコーン基
を含んでいる少なくとも1のエチレン性不飽和疎水性コモノマーを有することもできる。
【0170】
これらのコポリマーは、とりわけ欧州特許出願公開第0750899号の文献、米国特許第5089578号、ならびに森島洋太郎による以下の刊行物
−「自己組織化両親媒性高分子電解質およびそのナノ構造体」、Chinese Journal of Polymer Science、2000年、第18巻、第40号、323〜336ページ、
−「蛍光発光および動的光散乱によって検討されたナトリウム2−(アクリルアミド)−2−メチルプロパンスルホネートと非イオン性界面活性マクロモノマーとのランダムコポリマーの水中ミセル形成」、Macromolecules、2000年、第33巻、第10号、3694〜3704ページ、
−「高分子電解質に共有結合された非イオン性部分によって形成されたミセル網状組織の溶液特性:レオロジー挙動への塩の効果」、Langmuir、2000年、第16巻、第12号、5324〜5332ページ、および
−「ナトリウム2−(アクリルアミド)−2−メチルプロパンスルホネートと会合性マクロモノマーとの刺激応答性両親媒性コポリマー」、Polymer Preprint,Div.Polym.Chem.、1999年、第40巻、第2号、220〜221ページ
に記載されている。
【0171】
これらのコポリマーは、Clariant社の名による欧州特許出願公開第1069142号、国際公開第02/44224号、国際公開第02/44225号、国際公開第02/44227号、国際公開第02/44229号、国際公開第02/44230号、国際公開第02/44231号、国際公開第02/44267号、国際公開第02/44268号、国際公開第02/44269号、国際公開第02/44270号、国際公開第02/44271号、国際公開第02/43677号、国際公開第02/43686号、国際公開第02/43687号、国際公開第02/43688号および国際公開第02/43689号の文献にも記載されている。
【0172】
本発明のエチレン性不飽和疎水性コモノマーは、好ましくは以下の式(1)

のアクリレートまたはアクリルアミドから選択されることができ、
該式中、
−Rは、水素原子または直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル基、好ましくはメチルを表し、
−YはOまたはNHを表し、および
−Rは、7〜30の炭素原子、好ましくは7〜22の炭素原子、より特に12〜22の炭素原子を有する脂肪族鎖を含んでいる疎水性基を表す。
【0173】
疎水性基Rは、飽和または不飽和の直鎖状C〜C22アルキル基(たとえば、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、n−ドデシルもしくはオレイル)、分枝状アルキル基(たとえば、イソステアリル)、または環式アルキル基(たとえば、シクロドデカンもしくはアダマンタン);C〜C18アルキルパーフルオロ基(たとえば、式−(CH−(CF−CFの基);コレステリル基またはコレステロールエステル、たとえばコレステリルヘキサノエート;芳香族多環基、たとえばナフタレンまたはピレンから選択される。
【0174】
これらの基の中で、直鎖状および分枝状アルキル基がより特に好まれる。
【0175】
本発明の1の好まれる形態に従うと、疎水性基Rは、少なくとも1のアルキレンオキシド単位および好ましくはポリオキシアルキレン鎖を含んでいることもできる。
【0176】
ポリオキシアルキレン鎖は、優先的にはエチレンオキシド単位および/またはプロピレンオキシド単位から成ることができ、さらにより特にはエチレンオキシド単位のみから成る。
【0177】
オキシアルキレン単位のモル数は、一般に1〜30モル、より好ましくは1〜25モル、さらにより好ましくは3〜20モルの範囲にあることができる。
【0178】
挙げられることができるこれらのポリマーの中には、
−ポリマー当たり15重量%〜60重量%のAMPS単位および40重量%〜85重量%の(C〜C16)アルキル(メタ)アクリルアミド単位または(C〜C16)アルキル(メタ)アクリレート単位を含んでいる、架橋もしくは非架橋の、中和もしくは非中和のコポリマー、たとえば欧州特許出願公開第0750899号に記載されたもの、
−ポリマー当たり10モル%〜90モル%のアクリルアミド単位、0.1モル%〜10モル%のAMPS単位および5モル%〜80モル%のn−(C〜C18)アルキルアクリルアミド単位を含んでいるターポリマー、たとえば米国特許第5089578号に記載されたもの、
−AMPSとn−ドデシル、n−ヘキサデシルもしくはn−オクタデシルメタクリレートとの、部分的または完全中和の非架橋コポリマー、たとえば上述の森島論文に記載されたもの、および
−部分的または完全中和のAMPSとn−ドデシルメタクリルアミドとの、非架橋および架橋コポリマー、たとえば上述の森島論文に記載されたもの
がある。
【0179】
同様に挙げられることができる両親媒性AMPSポリマーは、完全中和AMPSとn−ドデシル、n−ヘキサデシルおよび/またはn−オクタデシルメタクリレートとのコポリマー、ならびにまたAMPSとn−ドデシルメタクリルアミドとの、非架橋および架橋コポリマーをも含む。
【0180】
より特には、
(a)以下の式(2)

の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)単位(該式中、Xはプロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンである。)、および
(b)以下の式(3)

の単位(該式中、nおよびpは互いに独立にモル数を表し、0〜30、好ましくは1〜25、より好ましくは3〜20の範囲にあり、但しn+pは30以下、好ましくは25未満、さらにより良くは20未満であり、Rは水素原子または直鎖状もしくは分枝状C〜Cアルキル基、好ましくはメチルを表し、ならびにRは7〜22、好ましくは12〜22の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキルを表す。)
から成る、架橋または非架橋の両親媒性AMPSコポリマーが挙げられる。
【0181】
式(2)において、カチオンXはより特にはナトリウムまたはアンモニウムを表す。
【0182】
挙げられることができる式(3)のモノマーの中には、
−(メタ)アクリル酸と、8のEOでポリオキシエチレン化されたC10〜C18脂肪族アルコールとのエステル、たとえばClariant社によって販売されている製品Genapol C−080(商標)、
−(メタ)アクリル酸と、8のEOでポリオキシエチレン化されたC11脂肪族オキソアルコールとのエステル、たとえばClariant社によって販売されている製品Genapol UD−080(商標)、
−(メタ)アクリル酸と、7のEOでC12〜C14にポリオキシエチレン化された脂肪族アルコールとのエステル、たとえばClariant社によって販売されている製品Genapol LA−070(商標)、
−(メタ)アクリル酸と、11のEOでC12〜C14にポリオキシエチレン化された脂肪族アルコールとのエステル、たとえばClariant社によって販売されている製品Genapol LA−110(商標)、
−(メタ)アクリル酸と、8のEOでC16〜C18にポリオキシエチレン化された脂肪族アルコールとのエステル、たとえばClariant社によって販売されている製品Genapol T−080(商標)、
−(メタ)アクリル酸と、15のEOでC16〜C18にポリオキシエチレン化された脂肪族アルコールとのエステル、たとえばClariant社によって販売されている製品Genapol T−150(商標)、
−(メタ)アクリル酸と、11のEOでC16〜C18にポリオキシエチレン化された脂肪族アルコールとのエステル、たとえばClariant社によって販売されている製品Genapol T−110(商標)、
−(メタ)アクリル酸と、20のEOでC16〜C18にポリオキシエチレン化された脂肪族アルコールとのエステル、たとえばClariant社によって販売されている製品Genapol T−200(商標)、
−(メタ)アクリル酸と、25のEOでC16〜C18にポリオキシエチレン化された脂肪族アルコールとのエステル、たとえばClariant社によって販売されている製品Genapol T−250(商標)、および
−(メタ)アクリル酸と、25のEOでC18〜C22にポリオキシエチレン化された脂肪族アルコールおよび/または25のEOでC16〜C18にポリオキシエチレン化された脂肪族イソアルコールとのエステル
がある。
【0183】
より特に選択される製品は、
(i)p=0、n=7または25、Rがメチルを表し、RがC12〜C14またはC16〜C18のアルキル混合を表す場合の非架橋製品、および
(ii)p=0、n=8または25、Rがメチルを表し、RがC16〜C18のアルキル混合を表す場合の架橋製品
である。
【0184】
これらのポリマーは、欧州特許出願公開第1069142号に記載されかつ合成されている。
【0185】
これらの特定の両親媒性AMPSポリマーは、1以上の開始剤、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスジメチルバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド(ABAH)、有機過酸化物、たとえばジラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、3級ブチルヒドロペルオキシド等、金属パーオキシド化合物、たとえばカリウムもしくはアンモニウムパーサルフェート、または任意的に還元剤が存在してもよいHの存在下におけるフリーラジカル重合の標準的な方法に従って得られることができる。
【0186】
これらの両親媒性AMPSポリマーは、とりわけ3級ブタノール媒体中のフリーラジカル重合によって得られることができ、この中で該ポリマーは沈殿する。3級ブタノール中の沈殿重合を使用することによって、該ポリマーを使用する上で特に好都合であるポリマー粒子のサイズ分布を得ることが可能である。
【0187】
重合反応は0〜150℃、好ましくは10〜100℃の温度において、大気圧かあるいは減圧下に実施されることができる。
【0188】
重合反応は、不活性雰囲気下に、好ましくは窒素下に実施されることもできる。
【0189】
本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーは好ましくは、金属塩基、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水性アンモニア、または有機塩基、たとえばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N−メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、たとえばアルギニンおよびリシン、ならびにこれらの化合物の混合物を用いて部分的にまたは完全に中和されることができる。該ポリマーは、とりわけ完全にまたはほとんど完全に、すなわち少なくとも80%中和されることができる。
【0190】
本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマー中の式(2)の単位および式(3)の単位のモルパーセント濃度は、所望の化粧料用途、エマルションの性質(水中油または油中水エマルション)および所望の剤型のレオロジー特性の関数として様々であることができる。これはたとえば0.1〜99.9モル%の範囲にあることができる。
【0191】
本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマー中のモノマーの分布は、たとえば交互、ブロック(マルチブロックを含む。)またはランダムであることができる。
【0192】
参考のために、かつこれは限定的なものではないが、とりわけClariant社によってAristoflex LNCの名称下に販売されている、AMPSとエトキシル化C12〜C14アルコールメタクリレートとのコポリマー(Genapol LA−070とAMPSとから得られた非架橋コポリマー)(CTFA名:アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/Laureth−7メタクリレートコポリマー)、Clariant社によってAristoflex HMSの名称下に販売されている、AMPSとエトキシル化(25のEO)ステアリルメタクリレートとのコポリマー(Genapol T−250とAMPSとから得られ、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋されたコポリマー)(CTFA名:アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/Steareth−25メタクリレートコポリマー)、Aristoflex SNC(AMPS/エトキシル化(8モルのEO)C16〜C18アルコールメタクリレートの80/20コポリマー;CTFA名:アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/Steareth−8メタクリレートクロスポリマー)およびAristoflex HMB(AMPS/エトキシル化(25のEO)ベヘニルメタクリレートのコポリマーであって、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)で架橋されたもの)が挙げられることができる。
【0193】
本発明のこの第三の態様の文脈では、本発明に従う「有効な量の両親媒性AMPSポリマー」の語は、式(I)、(Ia)または(Ib)のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルをエマルションの油性相中に長期間持続する形態で形成し、かくして何らかの再結晶化をとりわけ貯蔵の間に防止するのに十分な量のこのポリマーを意味する。
【0194】
理由は明らかなように、本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーの量は、N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルをエマルションの油性相中に配合するのに十分なものであり、とりわけ当該配合されるべきN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルの化学的性質および/または量ならびに使用されるポリマーの構造の関数として広い範囲内で変動しやすいものである。本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーの量を調整することは、当業者の能力の一部を構成する。
【0195】
例示として、本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーは、組成物の総重量当たり0.05重量%〜10重量%、より優先的には0.1重量%〜5重量%、さらにより特には0.5重量%〜3重量%の範囲にある活性物質の量で存在することができる。
【0196】
1の実施態様に従うと、本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーおよび一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物は、0.1〜3、とりわけ0.5〜2、たとえば0.5〜1.5の範囲にある、または1に等しくさえある[両親媒性AMPSポリマー/一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物]の質量比で存在することができる。
【0197】
1の実施態様に従うと、本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーおよび一般式(Ia)の化合物は、0.1〜3、とりわけ0.5〜2、たとえば0.5〜1.5の範囲にある、または1に等しくさえある[両親媒性AMPSポリマー/一般式(Ia)の化合物]の質量比で存在することができる。
【0198】
生理学的に許容される媒体
【0199】
本発明のこの第三の態様に従って使用される組成物は、生理学的に許容される媒体、すなわち皮膚組織、たとえば皮膚および頭皮と相容性である媒体を含有する。
【0200】
この生理学的に許容される媒体は、少なくとも1の油性相および少なくとも1の水性相を含んでいる。
【0201】
本発明のこの第三の態様の組成物の油性相に使用されることができる油として、挙げられることができる例は以下を含む。すなわち、
−動物由来の炭化水素に基づいた油、たとえばパーヒドロスクアレン、
−植物由来の炭化水素に基づいた油、たとえば4〜10の炭素原子を有する脂肪酸の液状トリグリセリド、たとえばヘプタン酸もしくはオクタン酸トリグリセリド、あるいはたとえばヒマワリ油、コーン油、大豆油、マロー油、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマシ油、アボガド油、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、たとえばStearineries Dubois社によって販売されているもの、またはDynamit Nobel社によってMiglyol 810、812および818の名称下に販売されているもの、ホホバ油ならびにシアバター油、
−合成エステルおよびエーテル、とりわけ脂肪酸のもの、たとえば式RCOORおよびRORの油(該式中、Rは8〜29の炭素原子を有する脂肪酸残基を表し、Rは3〜30の炭素原子を有する分枝状または非分枝状炭化水素に基づいた鎖を表す。)、たとえばピュアセリン油、イソプロピルミリステート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルステアレート、2−オクチルドデシルエルケートまたはイソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル、たとえばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレートまたはトリイソセチルシトレート;脂肪族アルコールヘプタノエート、オクタノエートまたはデカノエート;ポリオールエステル、たとえばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエートおよびジエチレングリコールジイソノナノエート;ならびにペンタエリスリトールエステル、たとえばペンタエリスリチルテトライソステアレート、
−直鎖状または分枝状炭化水素、鉱物または合成由来のもの、たとえば揮発性または非揮発性液状パラフィン、およびこれらの誘導体、ペトロラタム、ポリデセン、ならびに水添ポリイソブテン、たとえばパールリーム油、
−8〜26の炭素原子を有する脂肪族アルコール、たとえばセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびこれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコールまたはリノレイルアルコール、
−シリコーン油、たとえば直鎖状または環式シリコーン鎖を有する揮発性もしくは非揮発性ポリメチルシロキサン(PDMS)であって、室温で液状またはペースト状であるもの、とりわけシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン)、たとえばシクロヘキサシロキサン;アルキル、アルコキシまたはフェニル基であって、シリコーン鎖にペンダントまたはその末端にあり、これらの基が2〜24の炭素原子を有するものを含んでいるポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、たとえばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンまたは2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、およびポリメチルフェニルシロキサン、ならびに
−これらの混合物。
【0202】
上述の油のリストでは、「炭化水素に基づいた油」の語は、主に炭素および水素原子、ならびに可能性があるものとしてエステル、エーテル、カルボン酸および/またはアルコールの基を含んでいる任意の油を意味する。
【0203】
本発明のこの第三の態様に従う組成物の油性相は、室温(25℃)で固形である物質、たとえば8〜30の炭素原子を有する脂肪酸、たとえばステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸;ワックス、たとえばラノリン、蜜ろう、カノバワックスまたはカンデリラワックス、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックス、セレシンまたはオゾケライト、ならびに合成ワックス、たとえばポリエチレンワックスおよびフィッシャー・トロプシュワックスを含んでいることもできる。
【0204】
所望の特性、たとえば稠度またはテクスチャーの点で所望の特性を有する組成物を調製するために、これらの脂肪質物質は当業者によって多様な様式で選択されることができる。
【0205】
本発明のこの第三の態様に従う組成物は少なくとも1の水性相を含んでおり、該水性相は水および生理学的に許容される任意的な有機溶媒を含んでいることができ、該生理学的に許容される任意的な有機溶媒は、たとえば1〜8の炭素原子、特に1〜6の炭素原子を有する低級アルコール、たとえばエタノール、イソプロパノール、プロパノールまたはブタノール;6〜80のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール、およびポリオール、たとえばプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセロールおよびソルビトールから選択される。
【0206】
前述したとおり、本発明のこの第三の態様に従う組成物は、水中油(O/W)エマルションまたは水中油中水(W/O/W)三重エマルションの形態をしている。これらの組成物は通常の方法に従って調製される。
【0207】
加えて、本発明のこの第三の態様に従う組成物は、多かれ少なかれ流動性であることができ、白色もしくは着色クリーム、軟膏、乳液、ローション、セラム、ペーストまたはムースの外観を有することができる。該組成物は皮膚に、任意的にエアロゾルの形態で施与されることもできる。該組成物は固形態をしている、たとえばスティックの形状をしていることもできる。
【0208】
本発明の1の特定の実施態様に従うと、本発明のこの第三の態様に従う組成物は水中油(O/W)エマルションである。
【0209】
該エマルションの油性相の割合は、エマルションの総重量当たり5重量%〜80重量%、好ましくは5重量%〜50重量%の範囲にあることができる。
【0210】
本発明のこの第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーの他に、エマルションは少なくとも1の他の乳化剤(付加的な乳化剤)を含有することができ、該付加的な乳化剤は両性、アニオン性、カチオン性および非イオン性乳化剤から選択され、単独でまたは混合物として使用される。乳化剤は、得られるべきエマルション(W/O/WまたはO/W)に従って適切な様式で選択される。付加的な乳化剤は一般に、組成物の総重量当たり0.3重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲にある割合で組成物中に存在する。
【0211】
W/O/Wエマルションの場合、挙げられることができる乳化剤の例は、ジメチコーンコポリオール、たとえばDow Corning社によってDC 5225 Cの名称下に販売されているシクロメチコーンとジメチコーンコポリオールとの混合物、ならびにアルキルジメチコーンコポリオール、たとえばDow Corning社によってDow Corning 5200 Formulation Aidの名称下に販売されているラウリルメチコーンコポリオールおよびGoldschmidt社によってAbil EM 90(商標)の名称下に販売されているセチルジメチコーンコポリオールを含む。少なくとも1のオキシアルキレン基を含んでいる、架橋されたエラストマー性固形オルガノシロキサン、たとえば米国特許第5412004号文献の実施例3、4および8ならびに米国特許第5811487号文献の実施例の手順に従って得られたもの、とりわけ米国特許第5412004号の実施例(合成例)の製品、たとえば信越化学社によってKSG 21の参照名下に販売されている製品が、W/O/Wエマルションのための界面活性剤として使用されることもできる。
【0212】
O/Wエマルションの場合、挙げられることができる乳化剤の例は、非イオン性乳化剤、たとえばオキシアルキレン化(より詳細にはポリオキシエチレン化)グリセロールの脂肪酸エステル;オキシアルキレン化ソルビタンの脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)脂肪族アルコールエーテル;糖エステル、たとえばスクロースステアレート;ならびにこれらの混合物、たとえばグリセリルステアレートとPEG−40ステアレートとの混合物を含む。
【0213】
公知の様式で、本発明のこの第三の態様の化粧用及び/又は皮膚科用組成物は、化粧料および/または皮膚科学において普通である補助剤、たとえばゲル化剤、被膜形成ポリマー、保存剤、香料、フィラー、紫外線遮蔽剤、殺菌剤、臭気吸収剤、染料、植物エキス、および化粧料活性剤および/または皮膚科学的活性剤、ならびにこれらの塩を含有することもできる。これらの種々の補助剤の量は、検討の対象となっている分野で慣用されているものであり、たとえば組成物の総重量の0.01重量%〜20%である。これらの補助剤の性質に応じて、これらは脂肪相中におよび/または水性相中に導入されることができる。
【0214】
本発明のこの第三の態様に従う組成物は、紫外線A波および/または紫外線B波の領域において活性である少なくとも1の有機光保護剤および/または少なくとも1の鉱物光保護剤(吸収剤)を含んでいることもでき、これらは水溶性または脂溶性、あるいは本発明の第一の態様についてすでに定義された普通に使用される化粧料溶媒中に不溶性であることができる。
【0215】
本発明のこの第三の態様は、実施例9〜12によってより詳細に例示される。
【0216】
本発明の態様の第四に従うと、本発明は、水中油エマルションの形態をした化粧用及び/又は皮膚科用組成物に関し、該水中油エマルションはオレオソームの形態をしており、かつ少なくとも1のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルおよび少なくとも1の特定の界面活性剤系を含んでいる。
【0217】
本発明のこの第四の態様に従う組成物は特に、ケラチン物質、およびとりわけ皮膚をケアするならびに/またはメークアップすることを目的としている。
【0218】
上記のように、N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルは、室温において固形であるという、ならびに化粧料および/または皮膚科学において普通に使用される液状原料に不溶性もしくは難溶性であるという特有の性質を有する。
【0219】
そのような理由から、これらの化合物の活性を十分に引き出すためには、これらを溶解することに特に充てられた特定の溶媒をこれらの化合物に配合することが一般に必要である。
【0220】
その上、水中油エマルションの形態をした剤型は、これらが一般に皮膚上での非常に良好な許容度、ならびに需要者にとって満足のいく知覚的および/または官能的特性を(とりわけ、感触の点で)有するので、化粧料および/または皮膚科学において好都合である。
【0221】
今、本発明者らは、アニオン性界面活性剤、たとえばステアリン酸のような脂肪酸を用いた水中油エマルションの製造が、該エステル化合物の化学的分解を起こし、エマルション中に存在するこれらのエステル化合物の量の低下をもたらし、したがって該化粧料製品の効能の損失をもたらすことを発見した。
【0222】
これらの理由から、N,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルをより有効な水中油エマルションの形態をした剤型にするのに適している組成物であって、当該エステルのための特定の溶媒を追加して存在させることを要求せず、かつ当該エステルの化学的安定性を損なわない組成物の必要性が依然として存在する。
【0223】
本発明の態様の第四に従うと、本発明の目的は、まさに上述の欠点を克服することができかつこれらの化合物の化学的安定性をとりわけ長期間にわたって永続的に維持することができるN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルの新規な剤型を提案することである。
【0224】
具体的には、本発明者らは思いがけず、特定のN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルの水中油エマルションと特定の界面活性剤系との組み合わせがこれらの点において満足のいくものであることができることを発見した。
【0225】
このような剤型は、水中油エマルション中に存在する当該エステルの化学的安定性をとりわけ維持することができる。
【0226】
これは、これらのエステル化合物のための特定の溶媒を使用することなしで済ますことも可能にする。
【0227】
本発明のこの第四の態様の文脈では、本発明はかくしてその態様のうちの1に従って、0.8マイクロメータ未満の平均直径を有し水性相中に分散された油性小球から形成された水中油エマルションの形態をした化粧用及び/又は皮膚科用組成物において、各油性小球が、
−一般式(I)のすくなくとも1の化合物、

(該式中、
−各基RおよびR''は独立に、水素原子または1〜6の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜6の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表し、但し該2の基RおよびR''は同時には水素原子を表さず、
−R、RおよびRは、互いに独立に水素原子または基−ORを表し、および
−Rは、水素原子または1〜5の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜5の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表す。)、または
−その塩
を含んでおり、かつ
−少なくとも1の親油性非イオン性界面活性剤から、少なくとも1の親水性非イオン性界面活性剤から、および(C10〜C22の)アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩、セチルホスフェートのアルカリ金属塩、およびパルミトイルサルコシネートのアルカリ金属塩、ならびにこれらの混合物から選択された少なくとも1のイオン性界面活性剤から得られたモノラメラまたはマルチラメラ液晶層で個々に被覆されている
ことを特徴とする化粧用及び/又は皮膚科用組成物に関する。
【0228】
化合物(I)の化学的安定性はとりわけ、上記の少なくとも1の特定のイオン性界面活性剤の存在によって保持される。
【0229】
オレオソームの形態をした水中油エマルション中の本発明に従うN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルとこのような界面活性剤系との組み合わせは、前述の用途に著しく有効である化粧用及び/又は皮膚科用組成物を得ることを可能にする。このような剤型にされたエステルは長期間にわたって再結晶化せず、したがってエマルションは均一のままである。
【0230】
本発明のこの第四の態様に従う組成物は、とりわけ太陽光(紫外線)への曝露によって引き起こされる老化に対して、人のケラチン物質、特に皮膚を処理するおよび/または保護することをとりわけ目的とすることができる。
【0231】
このようにして、本発明の態様のもう一つに従うと、本発明はケラチン物質、およびとりわけ皮膚に上記の少なくとも1の組成物を施与する段階を少なくとも含む、当該ケラチン物質、とりわけ皮膚をケアするならびに/またはメークアップするための非治療的処理方法に関する。
【0232】
本発明のこの第四の態様に従って検討されているN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルは、本発明の第一の態様についてすでに定義された一般式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物である。
【0233】
本発明のこの第四の態様に従う組成物中に使用されるべきN,N'−ジアリールメチレンエチレンジアミン二酢酸エステルの量は、所望の化粧料効果に依存し、したがって広い範囲内で様々であることができる。
【0234】
当業者は、その一般知識に基づいて適切な量を容易に決定することができる。
【0235】
本発明のこの第四の態様に従う組成物は、当該組成物の総重量当たり0.2重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%、とりわけ0.8重量%〜3重量%、たとえば少なくとも1重量%の一般式(I)、(Ia)または(Ib)、特に式(Ia)の化合物を含んでいることができる。
【0236】
オレオソームの形態をした水中油エマルション
【0237】
本発明のこの第四の態様に従う組成物は、オレオソームの形態をしている。
【0238】
オレオソームは、ラメラ液晶のコーティングを付与され水性相中に分散された油性小球によって形成された水中油エマルションから成る。
【0239】
本発明のこの第四の態様の文脈では、本発明はより特には、それぞれがラメラ液晶のコーティングを付与され水性相中に分散された油性小球から形成された水中油型のエマルションであって、各油性小球が、少なくとも1の親油性非イオン性界面活性剤から、少なくとも1の親水性非イオン性界面活性剤から、および上記の少なくとも1のイオン性界面活性剤から、得られたモノラメラまたはマルチラメラ液晶層で個々に被覆され、該被覆された油性小球が0.8マイクロメータ未満の平均直径を有していることを特徴とする水中油型のエマルションである。
【0240】
被覆された油性小球の平均サイズは0.8マイクロメータ未満、好ましくは0.6マイクロメータ未満、およびとりわけ0.150マイクロメータ超である。
【0241】
被覆された油性小球の平均サイズは、とりわけBrookhaven BI90Plus(商標)タイプの粒度分析計を使用して測定された数平均サイズとして表されることができ、その測定原理は準弾性光散乱法(QELS)に基づいている。
【0242】
上記のように、界面活性剤系は、(C10〜C22の)アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩、セチルホスフェートのアルカリ金属塩、およびパルミトイルサルコシネートのアルカリ金属塩、ならびにこれらの混合物から選択された少なくとも1のイオン性界面活性剤を含んでいる。
【0243】
挙げられることができるアルカリ金属塩の例は、これらのナトリウム塩、カリウム塩およびリチウム塩を含み、好ましくはナトリウム塩である。
【0244】
1の実施態様に従うと、本発明のこの第四の態様に従う組成物は、少なくとも1の、(C10〜C22の)アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩、好ましくは(C12〜C20の)アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩、たとえば(C16〜C18の)アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩を含んでいる。
【0245】
このような塩は、とりわけステアロイルグルタミン酸の、ラウロイルグルタミン酸の、C16アシルグルタミン酸の、ミリストイルグルタミン酸の、ココイルグルタミン酸のまたは水素化牛脂アシルグルタミン酸のアルカリ金属塩のうちの1であることができる。
【0246】
このような界面活性剤は、好ましくはナトリウムステアロイルグルタメート、ジナトリウムステアロイルグルタメート、カリウムステアロイルグルタメート、ナトリウムラウロイルグルタメート、ジナトリウムラウロイルグルタメート、カリウムラウロイルグルタメート、ナトリウムココイルグルタメートおよび水素化牛脂ナトリウムアシルグルタメート、およびこれらの混合物から選択されたイオン性界面活性剤であり、好ましくはナトリウムステアロイルグルタメートである。
【0247】
例示として、挙げられることができる例は、味の素社によってAmisoft HS 11 PF(商標)の参照名下に販売されているナトリウムステアロイルグルタメートである。
【0248】
他の実施態様に従うと、本発明のこの第四の態様に従う組成物は、セチルホスフェートの少なくとも1のアルカリ金属塩を含んでいる。
【0249】
これは好ましくはカリウムセチルホスフェートである。
【0250】
例示として、挙げられることができる例は、DSM Nutritional Products社によってAmphisol K(商標)の参照名下に販売されているカリウムセチルホスフェートである。
【0251】
他の実施態様に従うと、本発明のこの第四の態様に従う組成物は、パルミトイルサルコシネートの少なくとも1のアルカリ金属塩を含んでいる。
【0252】
これは好ましくはナトリウムパルミトイルサルコシネートである。
【0253】
理由は明らかなように、本発明のこの第四の態様に従うイオン性界面活性剤の量は、とりわけ、使用されたイオン性界面活性剤の性質の関数として広い範囲内で変動しやすいものである。本発明のこの第四の態様に従うイオン性界面活性剤の量を調整することは、当業者の能力の一部を構成する。
【0254】
例示として、本発明のこの第四の態様に従うイオン性界面活性剤は、組成物の総重量当たり0.1重量%〜20重量%、より優先的には0.15重量%〜10重量%、さらにより優先的には0.2重量%〜5重量%、さらにより特には0.25重量%〜2重量%の範囲にある活性物質の量で存在することができる。
【0255】
本発明のこの第四の態様の1の優先的な実施態様に従うと、親油性非イオン性界面活性剤および親水性非イオン性界面活性剤は、約12〜22の炭素原子を有する少なくとも1の飽和脂肪族鎖をそれぞれ含んでいる。さらにより優先的には、この脂肪族鎖は16〜22の炭素原子を有する。
【0256】
本発明のこの第四の態様の他の優先的な実施態様に従うと、親油性非イオン性界面活性剤は約2〜約5のHLBを有する。周知のように、「HLB(親水性−親油性バランス)」の語は、界面活性剤の親水性基の大きさおよび力と親油性基の大きさおよび力との間の平衡を意味する。
【0257】
このような非イオン性親油性界面活性剤の例は、スクロースジステアレート、ジグリセリルジステアレート、スクローストリステアレート、テトラグリセリルトリステアレート、デカグリセリルデカステアレート、ジグリセリルモノステアレート、ヘキサグリセリルトリステアレート、デカグリセリルペンタステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ジエチレングリコールモノステアレート、パルミチン酸およびステアリン酸のグリセロールエステル、2のEOでポリオキシエチレン化された(2のオキシエチレン単位を含んでいる)モノステアレート、グリセリルモノおよびジベヘネート、ならびにペンタエリスリチルテトラステアレートである。
【0258】
本発明のこの第四の態様の他の優先的な実施態様に従うと、親水性非イオン性界面活性剤は好ましくは約8〜約12のHLBを有する。
【0259】
挙げられることができるこのような親水性非イオン性界面活性剤の例は、以下の化合物、すなわち、4のEOでポリオキシエチレン化されたソルビタンモノステアレート、20のEOでポリオキシエチレン化されたソルビタントリステアレート、8のEOでポリオキシエチレン化された該モノステアレート、ヘキサグリセリルモノステアレート、10のEOでポリオキシエチレン化された該モノステアレート、12のEOでポリオキシエチレン化された該ジステアレート、および20のEOでポリオキシエチレン化されたメチルグルコースジステアレートを含む。
【0260】
油性小球の本発明のこの第四の態様に従うコーティングは、組成物の総量当たり好ましくは約2重量%〜約6重量%の親水性非イオン性界面活性剤、親油性非イオン性界面活性剤および本発明に従うイオン性界面活性剤の合計量を使用することを要求する。さらにより優先的には、この量は3%〜4%である。親油性界面活性剤、親水性界面活性剤および本発明に従うイオン性界面活性剤の相対量は、これらの合計重量当たり好ましくは以下のそれぞれの範囲内、すなわち35〜55重量%/25〜40重量%/15〜35重量%で変動する。
【0261】
脂肪相、すなわち被覆された油性小滴は、組成物の総量当たり好ましくは5重量%〜50重量%を占める。さらにより優先的には、このパーセントは10%〜40%である。好ましくは、油/水の重量比は1以下である。
【0262】
油性小球とコーティングの構成要素との重量比は好ましくは2〜13であり、さらにより優先的には、この比は6〜8であり、とりわけ約7に等しい。
【0263】
1の実施態様に従うと、エマルションは5.5〜7.5の範囲にあるpHを有する。
【0264】
これらの組成物は、少なくとも1の付加的な親油性化粧料活性剤または親油性皮膚科学的活性剤を含んでいることもできる。
【0265】
本発明のこの第四の態様の目的のためには、「親油性活性化合物」の語は、それ自体が油であるときは活性化合物そのものを、またはそうでないときは油中に溶解された活性化合物を意味する。使用されることができる油は、慣用的に化粧料組成物中の支持体の役割をする油、たとえば短鎖脂肪酸トリグリセリド、シリコーン等である。
【0266】
このような組成物は、たとえば欧州特許出願公開第0705593号に記載された調製方法に従って得られることができる。
【0267】
本発明のこの第四の態様に従う組成物は、紫外線A波および/または紫外線B波の領域において活性である少なくとも1の有機光保護剤および/または少なくとも1の鉱物光保護剤(吸収剤)を含んでいることもでき、これらは水溶性または脂溶性、あるいは本発明の第一の態様についてすでに定義された普通に使用される化粧料溶媒中に不溶性である。
【0268】
本発明のこの第四の態様は、実施例13および14によってより詳細に例示される。
【0269】
以下の実施例は本発明の例示として示され、その範囲を限定するものと解釈されてはならない。
[実施例1]N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のイソプロピルモノエステルのトリフルオロ酢酸塩の調製

【0270】
300mlのジメチルホルムアミド中のベンザチン(A)(36.19g、150ミリモル)および炭酸カリウム(20.81g、150ミリモル)が、機械式撹拌機を備えた2リットルの反応器中に入れられた。該反応媒体は0℃に維持され、500mlのジメチルホルムアミド中に予め希釈された3級ブチルブロモアセテート(27.26g、150ミリモル)が次に5時間にわたって滴下された。この混合物が30分間撹拌され、それからイソプロピルブロモアセテート(29.37g、150ミリモル)が一括で添加された。該反応媒体が室温まで温められ、そして17時間撹拌された。ろ過後、反応から得られたろ液が濃縮された。得られた生成物が150mlのジクロロメタン中に溶解された。生成された塩がろ別され、ろ液が減圧下に濃縮された。
【0271】
この中間体が50mlのジクロロメタン中に溶解され、そしてジクロロメタン中トリフルオロ酢酸の75%溶液が添加された。6時間後、混合されたジエステルのすべてが消失した後(全体を監視)、反応媒体は減圧下に濃縮され、そしてトルエンを加えて2回共沸留去された。
【0272】
この粗生成物は、ジクロロメタン/メタノール溶離液系を使用してシリカ焼結物上で精製された。メタノールの割合が0%から8%まで変えられた。第一の段階において、最も純度の高い画分が溜められ、そして乾燥された。粘着性の茶色の油が得られ、これはヘプタン中に一晩にわたって溶解され、そして得られた固体がろ別された。この固体が最小量の水から再結晶化され、3.1gの白色粉体の第一の画分(収量1)が得られた。
【0273】
第二の段階において、他方の画分が溜められた。オレンジ色〜黄色の油が得られ、これはイソプロピルエーテルおよび数ミリリットルのヘプタンから再結晶化された。沈殿がろ別されて白色粉体が得られ、これは水で洗われた。3gの白色粉体の第二の画分(収量2)が得られた。全収率は10%である。生成物はトリフルオロ酢酸塩(モノ塩)の形で得られる。
【0274】
元素分析
計算値:C:58.6%、H:6.1%、N:5.5%、O:18.7%、F:11.1%
測定値(収量1):C:58.32%、H:6.10%、N:5.39%、F:10.94%
測定値(収量2):C:58.42%、H:6.12%、N:5.45%、F:11.09%
[実施例2]溶解度試験
【0275】
N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルを用いて、溶解度試験が実施された。
【0276】
試験溶媒がビーカー中に注がれ、それをマグネチックスターラーで撹拌しながらある量のエステル化合物が加えられ、そして混合物が1時間〜24時間放置された。混合物は次に50℃まで加熱され、それから室温(25℃)まで24時間かけて冷却された。この系が観察されて、導入されたその量のエステル化合物が再結晶化されたかまたは溶解されたままであるかが確認された。
【0277】
試験溶媒中に溶解されることができるエステル化合物の量が、このようにして測定された。最大値は、エステル化合物が被評価溶媒中にそれ以上溶解するのを止める時点における量に相当する。
【0278】
いくつかの被評価溶媒中における以下の結果が得られた。

【0279】
この化合物は、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルN−ラウロイルサルコシネートおよびジメチルイソソルビド中に相対的によく溶解されることがこのようにして発見された。
[実施例3]フェースケアクリーム
【0280】
組成物α
相A
グリセロール 5g
保存剤(パラベンの混合物−Clariant社からのPhenonip) 1g
水 100gへの残余
相B1
ソルビタントリステアレート(Croda社からのSpan 65 V) 0.9g
グリセリルモノ/ジステアレート(36/64)/カリウムステアレート
混合物(Goldschmidt社からのTegin Pellets) 3g
ポリエチレングリコールステアレート(40のEO) 2g
セチルアルコール 4g
ステアリルアルコール 1.20g
相B2
ジブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート
(Ciba社からのTinogard TT) 0.20g
水添ポリイソブテン(日油社からのパールリーム) 5g
シクロペンタシロキサン 10g
イソプロピルN−ラウロイルサルコシネート 5g
N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸の
ジイソプロピルエステル 1g
【0281】
相B1は75℃まで加熱され、相B2は50℃まで加熱された。相B2が相B1中に注がれた。相Aが65まで加熱された。相Aを撹拌しながらその中に相(B1+B2)が注がれ、そして65℃で乳化された。得られたエマルションはワックス状のクリームであり、これは顔に施与されると、紫外線によって引き起こされる酸化ストレスから皮膚を保護することができる。
【0282】
組成物αに類似しているがイソプロピルN−ラウロイルサルコシネートを何ら含有していない(5gの水で置き換えられた)比較組成物(組成物β)も、この同じ手順に従って調製された。
【0283】
組成物αおよびβを4℃、室温および45℃で2月間貯蔵した後、Sony CCD−IRISカメラを備えたLeica DMLBタイプの光学顕微鏡を使用して10倍の倍率および偏光中で、これらは顕微鏡によって観察された。
【0284】
本発明に従う組成物αは均一であるが、他方、N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの不十分な溶解の故に組成物βは結晶を含有することが発見された。
【0285】
このようにして、イソプロピルN−ラウロイルサルコシネートの存在は、N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの長期間にわたって維持される十分な溶解を許す。
[実施例4]フェースケアクリーム
【0286】
相A
プロピレングリコール 3g
保存剤(パラベンの混合物−Clariant社からのNipastat) 0.3g
2−フェノキシエタノール 0.7g
水 63.7g
相B1
ソルビタントリステアレート(Croda社からのSpan 65 V) 0.9g
グリセリルモノ/ジステアレート(36/64)/カリウムステアレート
混合物(Goldschmidt社からのTegin Pellets) 3g
ポリエチレングリコールステアレート(40のEO) 2g
セチルアルコール 4g
ステアリン酸 1.20g
水添ポリイソブテン(日油社からのパールリーム) 5g
相B2
シクロペンタシロキサン 10g
相B3
ジブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート
(Ciba社からのTinogard TT) 0.20g
ジメチルイソソルビド 5g
N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸の
ジイソプロピルエステル 1g
【0287】
相B1は75℃まで加熱され、相B2は相B3とともに50℃まで加熱された。相B2が相B1中に注がれ、B3が次に添加された。相Aが65まで加熱された。相Aを撹拌しながらその中に相(B1+B2)が注がれ、そして65℃で乳化された。得られたエマルションはワックス状のクリームであり、これは顔に施与されると、紫外線によって引き起こされる酸化ストレスから皮膚を保護することができる。
【0288】
2月間(4℃、室温および45℃)の貯蔵後、この組成物中のN,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの再結晶化は観察されなかった。
[実施例5]フェースケアクリーム
【0289】
相A
架橋アクリル酸ポリマー(Noveon社からのCarbopol 931) 0.3g
トリエタノールアミン 0.3g
保存剤(パラベンの混合物−Clariant社からのNipastat) 0.3g
水 67.9g
相B1
グリセリルステアレートとPEG−100ステアレートとの混合物
(Uniqema社からのArlacel(商標)165 FL) 2.5g
ポリエチレングリコールステアレート(50のEO) 2.5g
ステアリルアルコール 1g
セチルアルコール 1g
水添ポリイソブテン(日油社からのパールリーム) 5g
相B2
シクロペンタシロキサン 12g
相B3
ジブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート
(Ciba社からのTinogard TT) 0.20g
イソノニルイソノナノエート 6g
N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸の
ジイソプロピルエステル 1g
【0290】
実施例2の組成物についてと同じように、組成物が調製された。
【0291】
2月間(4℃、室温および45℃)の貯蔵後、この組成物中のN,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの再結晶化は観察されなかった。
【0292】
顔に施与されると、この組成物は紫外線によって引き起こされる酸化ストレスから皮膚を保護する。
[実施例6]
【0293】
以下の成分を含有する日焼け止め組成物が調製される。すなわち、
プロピレングリコール 6g
グリセロール 6g
エチレンジアミン四酢酸の五ナトリウム塩 0.1g
水 100gへの残余
2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート 10g
水中33%の4−3級ブチルー4'−メトキシジベンゾイルメタン 2.5g
ドロメトリゾールトリシロキサン(Rhodia社からのSilatrizole) 4g
エチルヘキシルトリアゾール(BASF社からのUvinul T150) 2g
イソプロピルN−ラウロイルサルコシネート 5g
ジブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート
(Ciba社からのTinogard TT) 0.20g
N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸の
ジイソプロピルエステル 1g
大豆油中のトコフェロール混合物(50/50)
(Cognis社からのCOVI−OX T 50 C) 0.2g
ジメチコーンコポリオール、シクロペンタシロキサンおよび水の混合物
(10/88/2)(Dow Corning社からのDC 5225C) 1g
α,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン/シクロペンタジメチル
シロキサン混合物(14.7/85.3)(Dow Corning社からの
Dow Corning 1501 FL) 2g
グリセリル2−エチルヘキシルエーテル 0.5g
アルミニウムステアレート/アルミナ処理二酸化チタン(15nm)
(Tayca社からのMT−100 T V) 1g
エチルアセテート/シクロヘキサン混合物中で重合された
アクリル酸/ステアリルメタクリレートコポリマー
(Noveon社からのPemulen TR−1 Polymer) 0.4g
シクロヘキサシロキサン 3g
トリエタノールアミン 0.4g
エタノール 6g
[実施例7]比較例
【0294】
以下の油中水エマルションが調製された。

【0295】
4℃、室温および45℃において2月間貯蔵後のN,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの含有量が次に測定された。
【0296】
該ジエステル化合物の含有量は、逆相高速液体クロマトグラフィーによって、Waters/X−Terra RP18(5μm)−150nmカラムを使用して、溶離液としてアセトニトリル/0.02モルナトリウムアセテート緩衝液の60/40〜95/5勾配液を使用して測定される。
【0297】
クロマトグラフの条件は以下の通りである。
流量:1ml/ml
注入量:20μl
検出波長:210nm
保持時間:約6.7分間
【0298】
使用された2の較正溶液は以下の通りである。すなわち、アセトニトリル中N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステル12μg/mlのものおよび120μg/mlのもの。
【0299】
測定されるべきサンプルの調製(試験溶液):
較正範囲内である濃度のジエステル化合物を得るように、質量mの貯蔵された組成物が体積Vのアセトニトリル中に分散される。
【0300】
較正溶液のクロマトグラム上で得られた面積値をy軸上に置き、較正溶液中のジエステル化合物の濃度をx軸上に置いて、較正曲線がプロットされる。
【0301】
貯蔵された組成物中の濃度が、較正曲線から以下の式:C=(S−A)/Bを使用することによって推定され、ここで
−Cは、試験溶液中のジエステル化合物の濃度(mg/ml単位)であり、
−Sは、試験クロマトグラム中のジエステル化合物のピークの面積であり、
−Aは、ジエステル化合物の較正曲線の原点におけるy軸値であり、および
−Bは、ジエステル化合物の較正曲線の傾きである。
【0302】
貯蔵された溶液中のジエステル化合物の含有量T(%単位)は、以下の式:T=100×(C×V)/mによって測定され、ここで
−Cは、試験溶液中のジエステル化合物の濃度(mg/ml単位)であり、
−Vは、サンプルを分散させた後の最終体積(ml単位)であり、および
−mは、貯蔵された組成物のサンプルの量である。
【0303】
結果は以下の通りである。

【0304】
本発明のこの第二の態様に従う、ナトリウムステアロイルグルタメートタイプのイオン性界面活性剤の使用は、水中油エマルション中のN,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの化学的安定性を、高められた温度において維持することを可能にする。
[実施例8]
【0305】
以下の成分を含有する、水中油エマルションの形態をした日焼け止め組成物が調製される。すなわち、
−トリエタノールアミン 0.88g
−エチレンジアミン四酢酸の二ナトリウム塩 0.1g
−ジブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート
(Ciba社からのTinogard TT) 0.20g
−イソプロピルN−ラウロイルサルコシネート 8g
−N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸の
ジイソプロピルエステル 1g
−ステアリルアルコール 1g
−保存剤(パラベンとフェノキシエタノールとの混合物−Clariant社からの
Phenonip) 1g
−保存剤(パラベンの混合物−Clariant社からのNipastat)0.25g
−2−エチルヘキシルサリチレート 5g
−水中33%の4−3級ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン 3g
−テレフタリリデンジショウノウスルホン酸 5g
−2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート 7g
−ドロメトリゾールトリシロキサン(Rhodia社からのSilatrizole) 1.5g
−イソヘキサデカン/水中の40%逆エマルションとしての
アクリルアミド/ナトリウムアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート
(SEPPIC社からのSimulgel 600) 2g
−スチレン/アクリレートコポリマー粒子
(Rohm&Haas社からのSunspheres Powder) 2g
−シクロペンタシロキサン 3g
−グリセロール 5g
−グリセリルステアレートとPEG−100ステアレートとの混合物
(Uniqema社からのArlacel(商標)165 FL) 2g
−ナトリウムステアロイルグルタメート
(味の素社からのAmisoft HS 11 PF) 1.3g
−水 100gへの残余
[実施例9]本発明の第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーで安定化された水中油(O/W)エマルション
【0306】
相A:
−グリセロール 5%
−(AMPS/エトキシル化C12/C14アルコールメタクリレート)コポリマー
(8モルEO)(80/20)(Clariant社からのAristoflex LNC(商標)) 1%
−トリエタノールアミン 0.0060%
−保存剤 1%
−N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸の
ジイソプロピルエステル 1%
−水 100.00%への残余
相B:
−ジブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート
(Ciba社からのTinogard TT) 0.20%
−水添イソパラフィン(日油社からのパールリーム) 7%
−シクロペンタシロキサン 8%
−グリセリルモノイソステアレート 0.50%
【0307】
相Aが60℃にされ、そして解膠機(deflocculator)を使用して450rpmで1時間撹拌される。相Bが、固形成分が溶解されるように60℃にされる。それから相Bは約60℃で相A中に注がれる。
【0308】
得られたエマルションは保湿性乳液であり、顔へのその施与は、紫外線によって引き起こされる酸化ストレスから皮膚を保護する。
【0309】
この組成物を4℃、室温および45℃で2月間貯蔵した後、Sony CCD−IRISカメラを備えたLeica DMLBタイプの光学顕微鏡を使用して10倍の倍率および偏光中で、顕微鏡による観察が実施された。
【0310】
この組成物中のN,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの再結晶化は観察されなかった。
【0311】
このようにして、本発明の第三の態様に従うAMPSポリマーの有効な量の存在は、エマルションの油中へのN,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの長期間にわたって維持される良好な取り込みを許す。
[実施例10]比較例:アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレート架橋ポリマータイプの乳化性ポリマーで安定化された水中油(O/W)エマルション
【0312】
相A:
−グリセロール 5%
−アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレート架橋ポリマー
(Noveon社からのCarbopol(商標)Ultrez 20 Polymer) 1%
−トリエタノールアミン 0.98%
−保存剤 1%
−N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸の
ジイソプロピルエステル 1%
−水 100.00%への残余
相B:
−ジブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート
(Ciba社からのTinogard TT) 0.20%
−水添イソパラフィン(日油社からのパールリーム) 7%
−シクロペンタシロキサン 8%
−グリセリルモノイソステアレート 0.50%
【0313】
実施例9について示されたのと同じ実験手順を追行することによって、この組成物は得られた。
【0314】
わずか24時間の後に、N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの再結晶化が観察される。
[実施例11]比較例:疎水性に変性されたセルロースタイプの乳化性ポリマーで安定化された水中油(O/W)エマルション
【0315】
相A:
−グリセロール 5%
−セチルヒドロキシエチルセルロース
(Hercules社からのNatrosol(商標)Plus CS 330) 1%
−保存剤 1%
−N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸の
ジイソプロピルエステル 1%
−水 100.00%への残余
相B:
−ジブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート
(Ciba社からのTinogard TT) 0.20%
−水添イソパラフィン(日油社からのパールリーム) 7%
−シクロペンタシロキサン 8%
−グリセリルモノイソステアレート 0.50%
【0316】
実施例9について示されたのと同じ実験手順を追行することによって、この組成物は得られた。
【0317】
わずか24時間の後に、N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの再結晶化が観察される。
[実施例12]本発明の第三の態様に従う両親媒性AMPSポリマーで安定化された水中油(O/W)エマルション
【0318】
相A:
−グリセロール 5%
−(AMPS/エトキシル化C12/C14アルコールメタクリレート)コポリマー
(8モルEO)(80/20)(Clariant社からのAristoflex LNC(商標)) 1%
−トリエタノールアミン 0.006%
−保存剤 1%
−N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸の
ジイソプロピルエステル 1%
−水 100.00%への残余
相B:
−ジブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート
(Ciba社からのTinogard TT) 0.20%
−2−エチルヘキシルシアノ−3,3−ジフェニルアクリレート 3%
−水添イソパラフィン(日油社からのパールリーム) 7%
−シクロペンタシロキサン 8%
−グリセリルモノイソステアレート 0.50%
【0319】
実施例9について示されたのと同じ実験手順を追行することによって、この組成物は得られた。
【0320】
この組成物中のN,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの再結晶化は観察されない。
【0321】
顔に施与されると、該組成物は紫外線から皮膚を保護することができる。
[実施例13]オレオソームの形態をした水中油(O/W)エマルション
【0322】
以下の組成αを有するフェースケアクリームが調製された。
【0323】
相A:
−ポリオキシエチレン化ソルビタンモノステアレート(4のEO)
(Croda社からのTween 61 V) 1.76g
−スクローストリステアレート
(三菱化学フーズ社からのリョートーシュガーエステルS 370) 2.64g
−ステアリルアルコール 1.21g
−コレステロール 0.05g
−イソステアリルステアレート 5g
−水添イソパラフィン(日油社からのパールリーム) 7g
−シクロペンタシロキサン 3g
−ナトリウムステアリルグルタメート
(味の素社からのAmisoft HS 11 PF) 0.25g
−N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸の
ジイソプロピルエステル 1g
−ジブチルペンタエリスリチルテトラヒドロキシシンナメート
(Ciba社からのTinogard TT) 0.20g
−トコフェロール 0.20g
相B:
−エチレンジアミン四酢酸の2ナトリウム塩 0.1g
−2−フェノキシエタノール 0.50g
−ブチルパラベン 0.10g
−メチルパラベン 0.25g
−クロルフェネシン 0.25g
−水 100gへの残余
相C:
−水 13g
−カルボキシビニルポリマー(3V社からのSynthalen K) 0.40g
相D:
−トリエタノールアミン 0.40%
【0324】
すべての脂肪質物質が完全に溶融してしまうまで、相Aは加熱された(約85℃)。
【0325】
相Bは80℃〜85℃まで加熱された。相Aを非常に激しく撹拌しながら、その中に相Bが添加された。このエマルションは次に高圧ホモジナイザー処理に付された。相CおよびDが最後に添加された。
【0326】
オレオソームの形態をした得られたエマルションは、6.10に等しいpHを有する。
【0327】
ナトリウムステアロイルグルタメートをカリウムセチルホスフェート(DSM Nutritional Products社からのAmphisol K(商標))(0.25g)で置き換えることによって、類似した組成物βが調製され、またナトリウムステアロイルグルタメートをステアリン酸(1.32g。水の量を対応して減少させた。)で置き換えることによって、もう一つの組成物γ(対照)が調製された。
【0328】
4℃および45℃で2月間の貯蔵後のN,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの含有量が、次に測定された。
【0329】
該ジエステル化合物の含有量は、逆相高速液体クロマトグラフィーによって、Waters/X−Terra RP18(5μm)−150nmカラムを使用して、溶離液としてアセトニトリル/0.02モルナトリウムアセテート緩衝液の60/40〜95/5勾配液を使用して測定される。
【0330】
クロマトグラフの条件は以下の通りである。すなわち、
流量:1ml/ml
注入量:20μl
検出波長:210nm
保持時間:約6.7分間
【0331】
使用された2の較正溶液は以下の通りである。すなわち、アセトニトリル中N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステル12μg/mlのものおよび120μg/mlのもの。
【0332】
測定されるべきサンプルの調製(試験溶液):
較正範囲内である濃度のジエステル化合物を得るように、質量mの貯蔵された組成物が体積Vのアセトニトリル中に分散される。
【0333】
較正溶液のクロマトグラム上で得られた面積値をy軸上に置き、較正溶液中のジエステル化合物の濃度をx軸上に置いて、較正曲線がプロットされる。
【0334】
貯蔵された組成物中の濃度が、較正曲線から以下の式:C=(S−A)/Bを使用することによって推定され、ここで
−Cは、試験溶液中のジエステル化合物の濃度(mg/ml単位)であり、
−Sは、試験クロマトグラム中のジエステル化合物のピークの面積であり、
−Aは、ジエステル化合物の較正曲線の原点におけるy軸値であり、および
−Bは、ジエステル化合物の較正曲線の傾きである。
【0335】
貯蔵された溶液中のジエステル化合物の含有量T(%単位)は、以下の式:T=100×(C×V)/mによって測定され、ここで
−Cは、試験溶液中のジエステル化合物の濃度(mg/ml単位)であり、
−Vは、サンプルを分散させた後の最終体積(ml単位)であり、および
−mは、貯蔵された組成物のサンプルの量である。
【0336】
結果は以下の通りである。

【0337】
本発明の第四の態様に従う、とりわけナトリウムステアロイルグルタメートまたはカリウムセチルホスフェートタイプのイオン性界面活性剤の使用は、オレオソームの形態をしている水中油エマルション中のN,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルの化学的安定性を、高められた温度において維持することを可能にすることが発見される。
[実施例14]オレオソームの形態をした水中油(O/W)エマルション
【0338】
以下の組成を有するフェースケアクリームが調製される。
相A:
−水 39.25g
−メチルパラベン 0.25g
−グリセロール 5g
−2−フェノキシエタノール 0.7g
−エチレンジアミン四酢酸の2ナトリウム塩 0.2g
−1,2−オクタンジオール 0.4g
相B:
−ポリオキシエチレン化ソルビタンモノステアレート(4のEO)
(Croda社からのTween 61 V) 1g
−スクローストリステアレート
(三菱化学フーズ社からのリョートーシュガーエステルS 370) 2g
−ナトリウムステアロイルグルタメート
(味の素社からのAmisoft HS 11 PF) 0.75g
−ブチルパラベン 0.15g
−シクロヘキサシロキサン 1.7g
−ジイソプロピルセバケート 2.7g
−イソノニルイソノナノエート 5.6g
−N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸の
ジイソプロピルエステル 1g
−2−エチルヘキシルシアノ−3,3−ジフェニルアクリレート 7g
−4−3級ブチルー4'−メトキシジベンゾイルメタン 3g
−2−エチルヘキシルサリチレート 5g
相C:
−水 100gへの残余
−カルボキシビニルポリマー(3V社からのSynthalen K) 0.30g
−トリエタノールアミン 0.3g
相D:
−水 6g
−キサンタンガム 0.2g
相E:
−無水オクテニルコハク酸アルミニウム塩でエステル化されたコーンデンプン
(National Starch社からのDry Flo Plus) 3g
相F:
−PEG−12ジメチコーン
(General Electric社からのSilsoft(商標)880) 0.5g
【0339】
相Aが約60〜65℃まで、相Bが約80℃まで加熱される。相Aが、相B中にブレンド撹拌を続けながら非常に迅速に注がれ(相反転)、そして60〜65℃に保たれながら混合物は15分間乳化される。室温において相C、D、EおよびFが逐次的に添加される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の油を含有する生理学的に許容される媒体中に、
(a)一般式(Ia)の少なくとも1の化合物

(該式中、
−Rは、1〜6の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基または3〜6の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表し、
−R、RおよびRは、互いに独立に水素原子または基−ORを表し、および
−Rは、水素原子または1〜5の炭素原子を有する飽和直鎖状アルキル基もしくは3〜5の炭素原子を有する飽和分枝状アルキル基を表す。)、
またはその塩、ならびに
(b)有効な量の少なくとも1の溶媒であって、
(i)イソノニルイソノナノエート、
(ii)ジメチルイソソルビド、
(iii)式(II)のアミノ酸エステル

(該式中、
− nは0、1または2に等しい整数であり、
− R'は、直鎖状もしくは分枝状のC〜C21アルキルまたはアルケニル基を表し、
− R'は、水素原子またはC〜Cアルキル基を表し、
− R'は、水素原子、メチル基、エチル基および直鎖状もしくは分枝状のCまたはCアルキル基によって構成された群から選択された基を表し、および
− R'は、直鎖状もしくは分枝状のC〜C10アルキル基、直鎖状もしくは分枝状のC〜C10アルケニル基またはステロール残基を表す。)、および
(iv)これらの混合物
から選択された溶媒
を含んでいる化粧用及び/又は皮膚科用組成物。
【請求項2】
一般式(Ia)の化合物が、N,N'−ビス(ベンジル)エチレンジアミン−N,N'−二酢酸のジイソプロピルエステルである、請求項1に従う組成物。
【請求項3】
当該組成物の総重量当たり0.01重量%〜5重量%の一般式(Ia)の化合物を含んでいる、請求項1または請求項2に従う組成物。
【請求項4】
当該アミノ酸エステルが、式CH−(CH10CO−N(CH)−CH−COO−CH(CHのイソプロピルN−ラウロイルサルコシネートである、請求項1〜3のいずれか1項に従う組成物。
【請求項5】
組成物の総重量当たり0.05重量%〜25重量%の当該溶媒を含んでいる、請求項1〜4のいずれか1項に従う組成物。
【請求項6】
当該溶媒および当該一般式(Ia)の化合物が、1.5〜10の範囲にある[溶媒/一般式(Ia)の化合物]の質量比で存在している、請求項1〜5のいずれか1項に従う組成物。
【請求項7】
当該溶媒がイソノニルイソノナノエートであり、かつ[イソノニルイソノナノエート/一般式(Ia)の化合物]の質量比が5.25〜8の範囲にある、請求項1〜6のいずれか1項に従う組成物。
【請求項8】
当該溶媒がジメチルイソソルビドであり、かつ[ジメチルイソソルビド/一般式(Ia)の化合物]の質量比が1.6〜10の範囲にある、請求項1〜6のいずれか1項に従う組成物。
【請求項9】
溶媒が式(II)のアミノ酸エステルであり、かつ[式(II)のアミノ酸エステル/一般式(Ia)の化合物]の質量比が4.5〜10の範囲にある、請求項1〜6のいずれか1項に従う組成物。
【請求項10】
油中水または水中油エマルションの形態をしていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に従う組成物。
【請求項11】
請求項1〜10に定義された少なくとも1の組成物をケラチン物質に、およびとりわけ皮膚に施与する段階を少なくとも含む、当該ケラチン物質、とりわけ皮膚をケアするならびに/またはメークアップするための非治療的処理方法。

【公開番号】特開2010−150256(P2010−150256A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−283254(P2009−283254)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】