説明

NK3受容体アンタゴニストとしてのピペリジン誘導体

本発明は、一般式(I)[式中、Ar/Arは、互いに独立に、フェニル又はピリジニル(これらは場合により、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルコキシ、アルコキシにより置換されている低級アルキル、シアノにより置換されている低級アルキル、低級ジアルキルアミノ、ピリジニル又はシアノからなる群より選択される1又は2個の置換基により置換されている)であり;Rは、水素、低級アルキル、−(CHO−低級アルキル又はシクロアルキルであり;Rは、−S(O)−低級アルキル又は−C(O)−低級アルキルであるか;あるいは、RとRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、ピロリジン−2−オン又はピペリジン−2−オン基を形成し;Rは、水素、ハロゲン、低級アルキルであり;Rは、水素又は低級アルキルであり;R/R5’は、互いに独立に、水素、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、ヒドロキシにより置換されている低級アルキル又はシクロアルキルであるか;あるいは、RとR5’は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキル基を形成する]で示される化合物又は薬学的に活性なその塩に関する。本発明の化合物は、鬱病、疼痛、精神病、パーキンソン病、統合失調症、不安症及び注意欠陥多動障害(ADHD)の処置のための非常に有望なNK−3受容体アンタゴニストであることが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I):
【0002】
【化1】


[式中、
Ar/Arは、互いに独立に、フェニル又はピリジニル(これらは場合により、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルコキシ、アルコキシにより置換されている低級アルキル、シアノにより置換されている低級アルキル、低級ジアルキルアミノ、ピリジニル又はシアノからなる群より選択される1又は2個の置換基により置換されている)であり;
は、水素、低級アルキル、−(CHO−低級アルキル又はシクロアルキルであり;
は、−S(O)−低級アルキル又は−C(O)−低級アルキルであるか;あるいは、
とRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、ピロリジン−2−オン又はピペリジン−2−オン基を形成し;
は、水素、ハロゲン、低級アルキルであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
/R5’は、互いに独立に、水素、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、ヒドロキシにより置換されている低級アルキル又はシクロアルキルであるか;あるいは、
とR5’は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキル基を形成する]
で示される化合物又は薬学的に活性なその塩に関する。
【0003】
本発明は、式(I)の化合物の個々のジアステレオ異性体及びエナンチオマー、ならびにそのラセミ及び非ラセミ混合物を包含する、全ての立体異性体形を包含する。
【0004】
本発明の化合物は、鬱病、疼痛、精神病、パーキンソン病、統合失調症、不安症及び注意欠陥多動障害(ADHD)の処置のための非常に有望なNK−3受容体アンタゴニストであることが見出された。
【背景技術】
【0005】
3種の主要な哺乳動物のタキキニンである、サブスタンスP(SP)、ニューロキニンA(NKA)及びニューロキニンB(NKB)は、Phe−X−Gly−Leu−Met−NHの共通のCOOH末端ペンタペプチド配列を共有する神経ペプチドのファミリーに属する。神経伝達物質として、これらのペプチドは、NK−1、NK−2及びNK−3と称される3種の別個のニューロキニン(NK)受容体を介してその生物学的活性を発揮する。SPはNK−1受容体に、NKAはNK−2に、そしてNKBはNK−3受容体に優先的に結合する。
【0006】
NK−3受容体は、CNSにおける優勢発現を特徴とし、そして中枢モノアミン作動系の調節におけるその関与が証明されている。これらの性質により、NK−3受容体は、不安症、鬱病、双極性障害、パーキンソン病、統合失調症及び疼痛のような、中枢神経系障害の可能性ある標的となっている(Neurosci. Letters, 2000, 283, 185-188; Exp. Opin. Ther. Patents 2000, 10, 939-960; Neuroscience, 1996, 74, 403-414; Neuropeptides, 1998, 32, 481-488)。
【0007】
統合失調症は、重篤かつ慢性の精神的損傷を特徴とする、主要な神経精神障害の一つである。この深刻な疾患には、世界人口の約1%が罹患している。症状は、成人早期に始まり、次には対人及び社会的機能不全の時期が続く。統合失調症は、幻聴及び幻視、偏執症、妄想(陽性症状)、感情鈍麻、鬱病、快感消失、会話の貧困、記憶及び注意欠陥、並びに社会的離脱(陰性症状)として現れる。
【0008】
数十年間、科学者や臨床医は、統合失調症の薬理学的処置用の理想的な薬剤の発見を目指して努力してきた。しかし、多様な症状によるこの障害の複雑さのため、このような努力は阻まれてきた。統合失調症の診断には特異的で重要な特徴がなく、単一の症状が全ての患者に一貫して存在することもない。したがって、単一障害としての、又は種々の異なる障害としての統合失調症の診断は、検討はされているが、未だ解決していない。統合失調症用の新しい薬物の開発における主要な問題は、この疾患の原因及び性質に関する知識の欠如である。対応する治療法の開発を理論的に説明するための薬理学的研究に基づいて、幾つかの神経化学的仮説が提唱されている:ドーパミン、セロトニン及びグルタミン酸仮説。しかし統合失調症の複雑さを考慮すると、陽性及び陰性の兆候及び症状に対する有効性には、適切な多重受容体親和性プロフィールが必要となろう。更には、統合失調症に対する理想的薬物は、統合失調症患者のアドヒアランスが低いため、好ましくは1日1回の投与が可能な低用量であろう。
【0009】
近年、選択的NK1及びNK2受容体アンタゴニストによる臨床試験が文献中に出現し、嘔吐、鬱病、不安症、疼痛及び片頭痛(NK1)並びに喘息(NK2及びNK1)の処置に関する結果が示された。最も刺激的なデータは、NK1受容体アンタゴニストによる化学療法誘導性嘔吐、吐き気及び鬱病の処置、並びにNK2受容体アンタゴニストによる喘息の処置において生み出された。対照的に、NK3受容体アンタゴニストに関する臨床データは、2000年までの文献に出現しなかった。Sanofi-SynthelaboのOsanetant(SR 142,801)は、統合失調症の見込みある処置用の、NK3タキキニン受容体について記述された最初に同定され強力かつ選択的な非ペプチドアンタゴニストであり、これは下記の文献に報告された(Current Opinion in Investigational Drugs, 2001, 2(7), 950-956及びPsychiatric Disorders Study 4, Schizophrenia, June 2003, Decision Recources, Inc., Waltham, Massachusetts)。提案された薬物のSR 142,801は、第II相試験において、行動変化、妄想、幻覚、極端な感情、興奮した運動活動及び思考散乱性言語などの統合失調症の陽性症状に対して活性であるが、しかし陰性症状(これらは、鬱病、快感消失、社会的孤立又は記憶及び注意欠陥である)の処置には不活性であることが示されている。
【0010】
ニューロキニン−3受容体アンタゴニストは、疼痛又は炎症、並びに統合失調症において有用であると記述されている(Exp. Opinion. Ther. Patents (2000), 10(6), 939-960及びCurrent Opinion in Investigational Drugs, 2001, 2(7), 950-956及びPsychiatric Disorders Study 4, Schizophrenia, June 2003, Decision Recources, Inc., Waltham, Massachusetts)。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、式(I)の新規な化合物、その製造法、本発明の化合物に基づく医薬及びその製造、並びに鬱病、疼痛、双極性障害、精神病、パーキンソン病、統合失調症、不安症及び注意欠陥多動障害(ADHD)のような病気の抑制又は予防における式(I)の化合物の使用である。
【0012】
本発明の化合物を使用する好ましい適応症は、鬱病、精神病、パーキンソン病、統合失調症、不安症及び注意欠陥多動障害(ADHD)である。
【0013】
本明細書において使用される一般用語の下記の定義は、問題の用語が、単独で出現するか、又は組合せて出現するかにかかわらず適用される。
【0014】
本明細書において使用されるとき、用語「低級アルキル」とは、1〜8個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル等を表す。好ましい低級アルキル基は、1〜4個の炭素原子を持つ基である。
【0015】
用語「ハロゲンにより置換されている低級アルキル」とは、少なくとも1個の水素原子がハロゲンにより置き換えられている上記と同義のアルキル基、例えば、−CF、−CHF、−CHF、−CHCF、−CHCHCF、−CHCFCF等を表す。好ましい、ハロゲンにより置き換えられている低級アルキル基は、1〜4個の炭素原子を持つ基である。
【0016】
用語「ヒドロキシにより置換されている低級アルキル」とは、少なくとも1個の水素原子がヒドロキシにより置き換えられている上記と同義のアルキル基、例えば、−CHOH、−CHCHOH等を表す。
【0017】
用語「低級アルコキシ」とは、アルキル残基が上記と同義でありそしてこの基が酸素原子を介して結合している基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシ等を表す。好ましいアルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を持つ基である。
【0018】
用語「ハロゲンにより置換されている低級アルコキシ」とは、アルキル残基が上記「ハロゲンにより置換されている低級アルキル」と同義であり、そしてこの基が酸素原子を介して結合している基を表す。好ましい、ハロゲンにより置換されている低級アルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を持つ基である。
【0019】
用語「ハロゲン」とは、塩素、ヨウ素、フッ素及び臭素を表す。
【0020】
用語「薬学的に許容しうる酸付加塩」とは、例えば塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の、無機及び有機酸との塩を包含する。
【0021】
下記の式(I)の化合物群が、好ましい:
【0022】
Ar/Arが、いずれもフェニルである、式(I)の化合物が好ましい。
【0023】
この群から特に好ましいものは、下記化合物である。
が、メチルであり、そしてRが、S(O)CHである化合物、例えば下記:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド又は
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−ブチルアミド;ジアステレオ異性体1。
【0024】
が、シクロプロピルであり、そしてRが、S(O)CHである化合物、例えば下記:
4−[4−(シクロプロピル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−4−[4−(シクロプロピル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(シクロプロピル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド又は
4−[4−(シクロプロピル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド。
【0025】
が、エチルであり、そしてRが、S(O)CHである化合物、例えば下記:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−ブチルアミド
N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(3−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−N−(4−メチル−ベンジル)−ブチルアミド
N−(2−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド又は
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−ブチルアミド;ジアステレオ異性体1。
【0026】
とRが、それらが結合しているN原子と一緒になって、ピロリジン−2−オン基を形成する化合物、例えば下記:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(3−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−N−(4−メチル−ベンジル)−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(2−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[−1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド;ジアステレオ異性体1
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エチル)−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−N−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−ブチルアミド
N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
(R又はS)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
(R又はS)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(S又はR)−1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−N−((S)−1−フェニル−プロピル)−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(R)−1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−(R又はS)メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド又は
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド。
【0027】
が、低級アルキルであり、そしてRが、C(O)CHである化合物、例えば下記:
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(3−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド;ジアステレオ異性体1
(R又はS)−4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−[1−(4−クロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−ブチルアミド(ジアステレオ異性体1)
4−[4−(アセチル−プロピル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(R)−1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド(エピマー1)
4−[4−(アセチル−プロピル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(R)−1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド(エピマー2)
4−[4−(アセチル−プロピル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−N−((S)−1−フェニル−プロピル)−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−エチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(R)−1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド(エピマー1)又は
4−[4−(アセチル−エチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−N−((S)−1−フェニル−プロピル)−ブチルアミド。
【0028】
が、−(CHOCHであり、そしてRが、C(O)CHである化合物、例えば下記:
4−{4−[アセチル−(2−メトキシ−エチル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド(ジアステレオ異性体1)
4−{4−[アセチル−(2−メトキシ−エチル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド(ジアステレオ異性体1)
4−{4−[アセチル−(2−メトキシ−エチル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(R)−1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−(R又はS)メチル−ブチルアミド又は
4−{4−[アセチル−(2−メトキシ−エチル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−N−((S)−1−フェニル−プロピル)−ブチルアミド。
【0029】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次又は収束合成経路で実施することができる。本発明の化合物の合成は、下記スキーム1に示される。本反応及び生じる生成物の精製を実施するのに必要な技能は、当業者には知られている。下記の製造法の説明において使用される置換基及び指数は、特に断りない限り、本明細書に前記の意味を有する。
【0030】
より詳細には、式(I)の化合物は、後述の方法により、実施例に与えられた方法により、又は類似の方法により製造することができる。個々の反応工程に適切な反応条件は、当業者には知られている。しかし、反応シークエンスは、スキーム1に示されるものに限定されるわけではなく、出発物質及びそのそれぞれの反応性に応じて、反応工程のシークエンスは自由に変更することができる。出発物質は、市販されているか、あるいは後述の方法と類似の方法により、明細書中に引用された参考文献若しくは実施例中に記載された方法により、又は当該分野において既知の方法により調製することができる。
【0031】
本発明の式(I)の化合物及びその薬学的に許容しうる塩は、下記の製造法により調製することができ、この製造法は、
a) 式(IV):
【0032】
【化2】


で示される化合物から、水性塩基条件下でO−保護基を切断して、そして式(IV)で示される化合物を、下記式:
【0033】
【化3】


で示されるアミンと、カップリング条件下で反応させて、式(I):
【0034】
【化4】


[式中、定義は、上記と同じ意味を有する]で示される化合物とすること、そして
所望であれば、得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換することを含む。
【0035】
この方法は、スキーム1により詳細に記載されている。
【0036】
一般実験の部
【0037】
【化5】

【0038】
、R、R、R、R、R5’、Ar及びArは、上記のとおりであり、そしてR’は、ベンジルなどのO−保護基である。
【0039】
工程a)
フェニル酢酸エステル誘導体IIは、市販されているか又は文献に記載されている方法により入手可能である。エステル誘導体IIと保護ブロモアルキルアルデヒド(市販されているか又は当技術分野において公知の方法により合成的に入手可能のいずれか)との塩基条件下での反応は、文献(そのような反応に影響を及ぼす、文献に記載されている反応条件に関しては、例えば:Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition, Richard C. Larock. John Wiley & Sons, New York, NY. 1999を参照のこと)に同様に記載されているようにアルデヒド誘導体IIIへと導く。しかしエステル誘導体IIを、塩基又は溶媒の存在下で、それぞれの保護ブロモアルキルアルデヒド(市販されているか又は公知の方法により入手可能である)と反応させることは好都合である。用いられる溶媒の性質は、反応又は係わる試薬に悪影響を与えず、かつ試薬を少なくともある程度は溶解することができるのであれば、特に制限されることはない。適切な溶媒の例には、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。この段階で使用される塩基の性質は特に制限されることはなく、この種類の反応で慣用的に使用される任意の塩基を、ここで同様に用いてもよい。そのような塩基の例には、NaH等が挙げられる。反応は広範囲の温度に亘って実施することができ、正確な反応温度は、本発明にとって重要ではない。周囲温度から還流まで加熱して反応を実施することは好都合である。反応に必要な時間も、数多くの要因、とりわけ反応温度及び試薬の性質に依存して幅広く変わりうる。しかし、0.5時間から数日の期間が、通常、アルデヒド保護中間体(これは、溶媒の存在下で、保護基の酸性の切断に供することができる)を得るために十分である。用いられる溶媒の性質は、反応又は係わる試薬に悪影響を与えず、かつ試薬を少なくともある程度は溶解することができるのであれば、特に制限されることはない。適切な溶媒の例には、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。この段階で使用される酸の性質は特に制限されることはなく、この種類の反応で慣用的に使用される任意の酸を、ここで同様に用いてもよい。そのような酸の例には、HCl等が挙げられる。反応は広範囲の温度に亘って実施することができ、正確な反応温度は、本発明にとって重要ではない。周囲温度から還流まで加熱して反応を実施することは好都合である。反応に必要な時間も、数多くの要因、とりわけ反応温度及び試薬の性質に依存して幅広く変わりうる。しかし、0.5時間から数日の期間が、通常、アルデヒド誘導体IIIを得るために十分である。
【0040】
工程b)
還元的アミノ化は、文献(そのような反応に影響を及ぼす、文献に記載されている反応条件に関しては、例えば:Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition, Richard C. Larock. John Wiley & Sons, New York, NY. 1999)に広く記載されている。しかし、本発明者らは、アルデヒド誘導体IIIを、溶媒の存在下、還元的条件下でピペリジン誘導体(Journal of Medicinal Chemistry (2006), 49(16), 4801-4804)を用いて変換してエステル誘導体IVを得ることが、好都合であることを見出している。用いられる溶媒の性質は、反応又は係わる試薬に悪影響を与えず、かつ試薬を少なくともある程度は溶解することができるのであれば、特に制限されることはない。適切な溶媒の例には、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。この段階で使用される還元剤の性質は特に制限されることはなく、この種類の反応で慣用的に使用される任意の還元剤を、ここで同様に用いてもよい。そのような還元剤の例には、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド等が挙げられる。反応は広範囲の温度に亘って実施することができ、正確な反応温度は、本発明とって重要ではない。周囲温度から還流まで加熱して反応を実施することは好都合である。反応に必要な時間も、数多くの要因、とりわけ反応温度及び試薬の性質に依存して幅広く変わりうる。しかし、0.5時間から数日の期間が、通常、エステル誘導体IVを得るために十分である。
【0041】
工程c)
エステル誘導体IIのヒドロキシ保護アルキルハロゲン化物(市販されているか又は当技術分野で公知の方法により合成的に入手可能である)との塩基条件下での反応は、文献(そのような反応に影響を及ぼす、文献に記載されている反応条件に関しては、例えば:Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition, Richard C. Larock. John Wiley & Sons, New York, NY. 1999)に記載されているように、ヒドロキシル保護基が切断されると、ラクトンVへと導く。しかし、エステル誘導体IIを、塩基及び溶媒の存在下で2−(2−ブロモエトキシ)テトラヒドロ−2−H−ピラン(市販されている)と反応させることは好都合である。用いられる溶媒の性質は、反応又は係わる試薬に悪影響を与えず、かつ試薬を少なくともある程度は溶解することができるのであれば、特に制限されることはない。適切な溶媒の例には、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。この段階で使用される塩基の性質は特に制限されることはなく、この種類の反応で慣用的に使用される任意の塩基を、ここで同様に用いてもよい。そのような塩基の例には、NaH等が挙げられる。反応は広範囲の温度に亘って実施することができ、正確な反応温度は、本発明において重要ではない。周囲温度から還流まで加熱して反応を実施することは好都合である。反応に必要な時間も、数多くの要因、とりわけ反応温度及び試薬の性質に依存して幅広く変わりうる。しかし、0.5時間から数日の期間が、通常、ヒドロキシ保護中間体を得るために十分であり、それを溶媒の存在下で、保護基の酸性の切断に供することができる。用いられる溶媒の性質は、反応又は係わる試薬に悪影響を与えず、かつ試薬を少なくともある程度は溶解することができるのであれば、特に制限されることはない。適切な溶媒の例には、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。この段階で使用される酸の性質は特に制限されることはなく、この種類の反応で慣用的に使用される任意の酸を、ここで同様に用いてもよい。そのような酸の例には、HCl等が挙げられる。反応は広範囲の温度に亘って実施することができ、正確な反応温度は、本発明において重要ではない。周囲温度から還流まで加熱して反応を実施することは好都合である。反応に必要な時間も、数多くの要因、とりわけ反応温度及び試薬の性質に依存して幅広く変わりうる。しかし、0.5時間から数日の期間が、通常、ラクトン誘導体Vを得るために十分である。
【0042】
工程d)
ラクトン誘導体Vは、溶媒の存在下、塩基の存在下、ラクトンVと求電子試薬との反応によりそれぞれの置換されたラクトン誘導体VIに都合よく変換することができる。用いられる溶媒の性質は、反応又は係わる試薬に悪影響を与えず、かつ試薬を少なくともある程度は溶解することができるのであれば、特に制限されることはない。適切な溶媒の例には、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。この段階で使用される塩基の性質は特に制限されることはなく、この種類の反応で慣用的に使用される任意の塩基を、ここで同様に用いてもよい。そのような塩基の例には、NaH等が挙げられる。反応は広範囲の温度に亘って実施することができ、正確な反応温度は、本発明において重要ではない。周囲温度から還流まで加熱して反応を実施することは好都合である。反応に必要な時間も、数多くの要因、とりわけ反応温度及び試薬の性質に依存して幅広く変わりうる。しかし、0.5時間から数日の期間が、通常、ラクトン誘導体VIを得るために十分である。
【0043】
工程e)
ラクトン誘導体VIは、2工程反応シーケンスによりそれぞれのエステル誘導体VIIに都合よく変換することができる。慣用的に使用されている任意の合成シーケンスが適用されるが、しかし、本発明者らは、酸の存在下でHBrを用いてラクトン誘導体VIを開くことが好都合であることを見出している。HBrと組み合わせてそのような反応に作用する慣用的に使用されている任意の酸を使用することができる。そのような酸の例には、酢酸等が挙げられる。反応は広範囲の温度に亘って実施することができ、正確な反応温度は、本発明において重要ではない。周囲温度から還流まで加熱して反応を実施することは好都合である。反応に必要な時間も、数多くの要因、とりわけ反応温度及び試薬の性質に依存して幅広く変わりうる。しかし、0.5時間から数日の期間が通常、エステル化条件に供する、中間的に構築された酸誘導体を得るのに十分である。慣用的な手順が文献に記載されているが、しかし、本発明者らは、中間的に構築された酸をメタノール中でSOClと反応させることによりそれぞれのエステル誘導体VIIに変換することが好都合であることを見出している。反応は広範囲の温度に亘って実施することができ、正確な反応温度は、本発明において重要ではない。周囲温度から還流まで加熱して反応を実施することは好都合である。反応に必要な時間も、数多くの要因、とりわけ反応温度及び試薬の性質に依存して幅広く変わりうる。しかし、0.5時間から数日の期間が、通常、エステル誘導体VIIを得るために十分である。
【0044】
工程f)
エステル誘導体VIIの、ピペリジン誘導体を用いてピペリジン誘導体IVに到達する変換は、任意の慣用的に使用される手順により行うことができる。しかし、本発明者らは、エステル誘導体VIIを溶媒及び塩基の存在下でピペリジン誘導体と反応させることが好都合であることを見出している。用いられる溶媒の性質は、反応又は係わる試薬に悪影響を与えず、かつ試薬を少なくともある程度は溶解することができるのであれば、特に制限されることはない。適切な溶媒の例には、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。この段階で使用される塩基の性質は特に制限されることはなく、この種類の反応で慣用的に使用される任意の塩基を、ここで同様に用いてもよい。そのような塩基の例には、DIPEA、NEt等が挙げられる。反応は広範囲の温度に亘って実施することができ、正確な反応温度は、本発明において重要ではない。周囲温度から還流まで加熱して反応を実施することは好都合である。反応に必要な時間も、数多くの要因、とりわけ反応温度及び試薬の性質に依存して幅広く変わりうる。しかし、0.5時間から数日の期間が、通常、ピペリジン誘導体IVを得るために十分である。
【0045】
工程g)
ピペリジン誘導体IVの最終アミド誘導体への変換は、文献に記載された手順に従って実施できる。しかし、本発明者らは、2工程反応シーケンスを用いることが好都合であることを見出しており、そのシーケンスは、IV中のエステル官能基を水性塩基条件下で開裂し、そして遊離した酸官能基をカップリング条件下でそれぞれのアミンを用いてピペリジン誘導体Iに変換する。用いられる水性塩基の性質は、反応又は係わる試薬に悪影響を与えず、かつ試薬を少なくともある程度は溶解することができるのであれば、特に制限されることはない。適切な水性塩基の例には、NaOH、LiOH等が挙げられる。慣用的に使用される任意の共溶媒を用いることができる。例にはTHF等が挙げられる。カルボン酸とアミンとのカップリングは、広く文献に記載されており、手順は当技術分野において公知である(そのような反応に影響を及ぼす、文献に記載されている反応条件に関しては、例えば:Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition, Richard C. Larock. John Wiley & Sons, New York, NY. 1999を参照のこと)。中間的に構築された酸を、カップリング試薬の使用を用いることにより、アミン(必要に応じて、市販されているか、又は参考文献に記載されている方法により若しくは当技術分野において公知である方法により得られるかのいずれか)とのカップリングを介して、都合よくそれぞれのアミドに変換することができる。例えばN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム−3−オキシドへキサフルオロホスファート(HATU)、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(HOBT)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)等のようなカップリング剤は、同様に良好に用いてそのような変換に影響を及ぼすことができる。本発明者らは、ジメチルホルムアミド(DMF)のような溶媒中で及び塩基の存在下で反応を実施することが好都合であると見出している。用いられる溶媒の性質は、反応又は係わる試薬に悪影響を与えず、かつ試薬を少なくともある程度は溶解することができるのであれば、特に制限されることはない。適切な溶媒の例には、DMF、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、THF等が挙げられる。この段階で使用される塩基の性質は特に制限されることはなく、この種類の反応で慣用的に使用される任意の塩基を、ここで同様に用いてもよい。そのような塩基の例には、トリエチルアミン及びジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。反応は広範囲の温度に亘って実施することができ、正確な反応温度は、本発明において重要ではない。本発明者らは、周囲温度から還流まで加熱して反応を実施することが好都合であることを見出している。反応に必要な時間も、数多くの要因、とりわけ反応温度及び試薬の性質に依存して幅広く変わりうる。しかし、0.5時間から数日の期間が、通常、ピペリジン誘導体Iを得るために十分である。
【実施例】
【0046】
実施例
中間体1
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸
【0047】
【化6】

【0048】
a) 工程1:
3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ジヒドロ−フラン−2−オン(市販)
【0049】
【化7】

【0050】
DMF 100ml中の(3,4−ジクロロ−フェニル)−酢酸メチルエステル(市販)30.00g(137mmol)、NaH(55%)6.47g(151mmol)及び2−(2−ブロモ−エトキシ)−テトラヒドロ−ピラン35.80g(171mmol)の混合物を、室温で17時間撹拌した。混合物を蒸発乾固し、水と酢酸エチルに分配した。合わせた有機相をNaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発させた。残留物をジオキサン中の4N HCl 400mlで処理し、室温で16時間撹拌した。混合物を蒸発乾固し、酢酸エチル及びヘプタンから形成した勾配で溶離するシリカカラムクロマトグラフィーに付した。合わせた生成物画分を蒸発させて、標記化合物18.5g(58%)を黄色の油状物として得た。
【0051】
b) 工程2:
3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−メチル−ジヒドロ−フラン−2−オン
【0052】
【化8】

【0053】
THF 300ml中の3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ジヒドロ−フラン−2−オン18.50g(80mmol)、NaH(55%懸濁)3.84g(88mmol)及びヨードメタン14.20g(100mmol)の混合物を、室温で64時間撹拌した。飽和NHCl水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残留物を、酢酸エチル及びヘプタンから形成された勾配で溶離するシリカフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物16g(82%)を黄色の油状物として得た。MS(m/e):246.0(MH)。
【0054】
c) 工程3:
4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステル
【0055】
【化9】

【0056】
酢酸15ml中の3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−メチル−ジヒドロ−フラン−2−オン3.30g(13.5mmol)の混合物に、酢酸中のHBr(33%)48mlを加え、63時間後、酢酸中のHBr(33%)20mlを再び加え、室温で更に21時間撹拌した。混合物を氷−水に注ぎ、エチルエーテルで抽出した。合わせた有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残留物をトルエン150mlに取り、塩化チオニル6.50ml(89.0mmol)を加えた。混合物を75℃に4時間加熱し、0℃に冷却し、メタノール20mlで処理し、室温で16時間放置した。混合物を蒸発乾固し、酢酸エチル及びヘプタンから形成された勾配で溶離するシリカカラムクロマトグラフィーに付した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物4.32g(94%)を明黄色の油状物として得た。MS(m/e):341.9(MH)。
【0057】
d) 工程4:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸メチルエステル
【0058】
【化10】

【0059】
N,N−ジメチルアセトアミド30ml中の4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステル0.70g(2.05mmol)とN−ピペリジン−4−イル−メタンスルホンアミド(市販)1.83g(10.30mmol)の混合物を、60℃で89時間撹拌した。混合物を蒸発乾固し、メタノール、DCM及びisoluteを加え、蒸発乾固した。残留物を、DCM、メタノール及びNH水溶液から形成された勾配で溶離するシリカカラムクロマトグラフィーに付した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物0.76g(84%)を明褐色のロウ状の固体として得た。MS(m/e):437.3(MH)。
【0060】
e) 工程5:
水15ml及びTHF 15ml中の2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸メチルエステル0.76g(1.7mmol)とLiOH・HO 0.23g(5.4mmol)の混合物を、室温で18時間撹拌した。混合物を蒸発させ、4N HCl水溶液で処理し、蒸発乾固した。残留物を、更に精製しないで続く工程で使用した。MS(m/e):423.1(MH)。
【0061】
中間体2
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−酪酸
【0062】
【化11】

【0063】
a) 工程1:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸メチルエステル
【0064】
【化12】

【0065】
DMF 80ml中の(3,4−ジクロロ−フェニル)−酢酸メチルエステル(市販)25.0g(114mmol)、NaH(55%)5.7g(131mmol)及びブロモアセトアルデヒドジメチルアセタール23.1g(137mmol)の混合物を、室温で3時間撹拌した。混合物を氷/水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をNaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発乾固した。残留物をTHF 250mlに溶解し、1N HCl 300mlで室温にて20時間処理した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をNaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発乾固し、そしてヘプタン及び酢酸エチルから形成した勾配で溶離するシリカカラムクロマトグラフィーに付して、標記化合物9.7g(32%)を明黄色の油状物として得た。MS(m/e):260.1/262.2(MH)。
【0066】
b) 工程2:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−酪酸メチルエステル
【0067】
【化13】

【0068】
THF 40ml中の2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸メチルエステル0.89g(3.4mmol)、N−ピペリジン−4−イル−メタンスルホンアミド(市販)0.67g(3.7mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド1.08g(5.0mmol)及び酢酸0.30g(5.0mmol)の混合物を、室温で64時間撹拌した。水及びNaCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機画分を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残留物を、DCM、メタノール及びNH水溶液から形成した勾配で溶離するシリカフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物1.21g(84%)をオフホワイトの固体として得た。MS(m/e):423.1(MH)。
【0069】
c) 工程3:
水20ml及びTHF 20ml中の2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−酪酸メチルエステル1.16g(2.7mmol)とLiOH・HO 0.35g(8.2mmol)の混合物を、室温で69時間撹拌し、蒸発させた。残留物を4N HCl水溶液で処理し、蒸発乾固し、減圧下で乾燥させた。残留物を更に精製しないで続く工程で使用した。MS(m/e):409.4(MH)。
【0070】
中間体3
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−酪酸
【0071】
【化14】

【0072】
a) 工程1:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−酪酸メチルエステル
【0073】
【化15】

【0074】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸メチルエステル(中間体1、工程4)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステル及びN−メチル−N−ピペリジン−4−イル−メタンスルホンアミド(DE 2824064)から、明黄色の粘性油状物として調製した。MS(m/e):451.2(MH)。
【0075】
b) 工程2:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸(中間体1、工程5)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−酪酸メチルエステルから、LiOH・HOを用いてけん化により、オフホワイトの泡状物として調製した。MS(m/e):437.1(MH)。
【0076】
中間体4
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−フルオロ−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−酪酸
【0077】
【化16】

【0078】
a) 工程1:
3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−フルオロ−ジヒドロ−フラン−2−オン
【0079】
【化17】

【0080】
THF 100ml中の3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ジヒドロ−フラン−2−オン(市販)4.00g(18.7mmol)、NaH(油中55%懸濁)0.83g(19.0mmol)及びN−フルオロベンゼンスルホンイミド(市販)6.00g(19.0mmol)の混合物を、室温で1時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を蒸発乾固した。DCM及びisoluteを加え、混合物を蒸発乾固した。残留物を、ヘプタン及びトルエンで形成した勾配で溶離するシリカカラムクロマトグラフィーに付した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物3.8g(88%)を無色の油状物として得た。MS(m/e):248.1/250.1/251.1(MH)。
【0081】
b) 工程2:
4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−フルオロ−酪酸メチルエステル
【0082】
【化18】

【0083】
4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステル(中間体1、工程3)の調製について記載された手順と同様にして、標記化合物を、3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−フルオロ−ジヒドロ−フラン−2−オンから、酢酸及びHBrを用いて酸性臭素付加により、そしてSOCl及びメタノールを用いてそれに続くエステル化により合成した。標記化合物を無色の油状物として得た。MS(m/e):342/346/348(MH)。
【0084】
c) 工程3:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−フルオロ−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−酪酸メチルエステル
【0085】
【化19】

【0086】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸メチルエステル(中間体1、工程4)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−フルオロ−酪酸メチルエステル及びN−メチル−N−ピペリジン−4−イル−メタンスルホンアミド(DE 2824064)から明褐色のロウ状の固体として調製した。MS(m/e):455.1(MH)。
【0087】
d) 工程4:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸(中間体1、工程5)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−フルオロ−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−酪酸メチルエステルから、LiOH・HOを用いてけん化により、オフホワイトの固体として調製した。MS(m/e):441.1(MH)。
【0088】
中間体5
N−シクロプロピル−N−ピペリジン−4−イル−メタンスルホンアミド
【0089】
【化20】

【0090】
a) 工程1:
N−(1−ベンジル−ピペリジン−4−イル)−N−シクロプロピル−メタンスルホンアミド
【0091】
【化21】

【0092】
DCM 150ml中の1−ベンジル−シクロプロピルピペリジン−4−アミン(市販)9.40g(40.8mmol)、メタンスルホニルクロリド5.14g(44.8mmol)及びNEt 4.95g(49.0mmol)の混合物を、室温で17時間撹拌した。混合物を蒸発乾固し、DCM、メタノール及びNH水溶液から形成された勾配で溶離するシリカカラムクロマトグラフィーに付した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物11.40g(90%)を明黄色の固体として得た。MS(m/e):309.3(MH)。
【0093】
b) 工程2:
THF 150ml、メタノール300ml及びギ酸31.7ml中のN−(1−ベンジル−ピペリジン−4−イル)−N−シクロプロピルメタンスルホンアミド11.3g(36.6mmol)とPd/C(10%)5.1gの混合物を、室温で水素化した。混合物を濾過し、蒸発乾固した。水及びNaCO水溶液を加え、混合物をTHF/酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残留物を、DCMに取り、DCM、メタノール及びNH水溶液から形成した勾配で溶離するシリカフラッシュカラムクロマトグラフィーに付した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物5g(62%)を白色の固体として得た。MS(m/e):219.1(MH)。
【0094】
中間体6
4−[4−(シクロプロピル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸
【0095】
【化22】

【0096】
a) 工程1:
4−[4−(シクロプロピル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステル
【0097】
【化23】

【0098】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸メチルエステル(中間体1、工程4)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステル及びN−シクロプロピル−N−ピペリジン−4−イル−メタンスルホンアミドから、粘性で無色の油状物として調製した。MS(m/e):476.9(MH)。
【0099】
b) 工程2:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸(中間体1、工程5)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、4−[4−シクロプロピル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステルから、LiOH・HOを用いてけん化により白色の泡状物として調製した。MS(m/e):446.1(MH)。
【0100】
中間体7
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−フルオロ−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−酪酸
【0101】
【化24】

【0102】
a) 工程1:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−フルオロ−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−酪酸メチルエステル
【0103】
【化25】

【0104】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸メチルエステル(中間体1、工程4)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−フルオロ−酪酸メチルエステル及びN−ピペリジン−4−イル−メタンスルホンアミド(市販)から、明褐色のロウ状の固体として調製した。MS(m/e):441.1(MH)。
【0105】
b) 工程2:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸(中間体1、工程5)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−フルオロ−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−酪酸メチルエステルから、LiOH・HOを用いてけん化し、そしてHClを用いてそれぞれの塩に変換して、オフホワイトの固体として調製した。MS(m/e):427.1(MH)。
【0106】
中間体8
N−エチル−N−ピペリジン−4−イル−メタンスルホンアミド
【0107】
【化26】

【0108】
a) 工程1:
4−エチルアミノ−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
【0109】
【化27】

【0110】
THF 300ml中の1−(ベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジノン(市販)28.93g(124mmol)、エチルアミン(THF中2N)8.30g(186mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド39.42g(186mmol)及び酢酸11.10g(186mmol)の混合物を、室温で68時間撹拌した。水及びNaCO水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。粗標記化合物を続く工程で使用した。MS(m/e):263.0(MH)。
【0111】
b) 工程2:
4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
【0112】
【化28】

【0113】
DCM 300ml中の4−エチルアミノ−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル32.68g(125mmol)、メタンスルホニルクロリド16.00g(140mmol)及びDIPEA 19.30(149mmol)の混合物を、室温で80分間撹拌した。混合物を濃縮し、isoluteを加え、蒸発乾固した。残留物を、DCM、メタノール及びNH水溶液から形成された勾配で溶離するシリカフラッシュカラムクロマトグラフィーに付した。画分を含有する生成物を蒸発させて、残留物をヘプタン及びジエチルエーテルから形成された混合物でトリチュレートした。沈殿物を濾過し、乾燥させて、標記化合物32.4g(76%)を白色の固体として得た。MS(m/e):341.1(MH)。
【0114】
c) 工程3:
THF 400ml及びメタノール300ml中の4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル32.4g(95mmol)の溶液を、Pd/C(10%)3.5gにより室温で水素化した。混合物を濾過し、蒸発乾固して、粗標記化合物を得て、それを更に精製しないで続く工程で使用した。MS(m/e):207.1(MH)。
【0115】
中間体9
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−酪酸
【0116】
【化29】

【0117】
a) 工程1:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−酪酸メチルエステル
【0118】
【化30】

【0119】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸メチルエステル(中間体1、工程4)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステル及びN−エチル−N−ピペリジン−4−イル−メタンスルホンアミド(中間体8)から、明黄色の粘性油状物として調製した。MS(m/e):467.0(MH)。
【0120】
b) 工程2:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸(中間体1、工程5)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−酪酸メチルエステルから、LiOH・HOを用いたけん化により、そしてHClを用いたそれぞれの塩への変換により、白色の泡状物として調製した。MS(m/e):451.0(MH)。
【0121】
中間体10
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−酪酸
【0122】
【化31】

【0123】
a) 工程1:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−酪酸メチルエステル
【0124】
【化32】

【0125】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸メチルエステル(中間体1、工程4)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステル及び1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−オン(市販)から、明黄色の粘性油状物として調製した。MS(m/e):427.1(MH)。
【0126】
b) 工程2:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸(中間体1、工程5)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−酪酸メチルエステルから、LiOH・HOを用いたけん化により、そしてHClを用いたそれぞれの塩への変換により、白色の泡状物として調製した。MS(m/e):415.2(MH)。
【0127】
中間体11
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸
【0128】
【化33】

【0129】
a) 工程1:
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステル
【0130】
【化34】

【0131】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸メチルエステル(中間体1、工程4)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、4−ブロモ−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステル及びN−メチル−N−ピペリジン−4−イル−アセトアミド(WO2005019194)から、黄色の粘性油状物として調製した。MS(m/e):415.3(MH)。
【0132】
b) 工程2:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸(中間体1、工程5)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸メチルエステルから、LiOH・HOを用いたけん化により、そしてHClを用いたそれぞれの塩への変換により、白色の泡状物として調製した。MS(m/e):401.1(MH)。
【0133】
中間体12
(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−メチル−アミン、塩酸塩
【0134】
【化35】

【0135】
THF 200ml中の3−フルオロ−4−トリフルオロ−ベンズアルデヒド7.65g(39.8mmol)、メチルアミン(THF中2M)24.39ml(49.0mmol)、酢酸3.60ml及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリド12.46g(59.0mmol)の混合物を、室温で22時間撹拌した。水およびNaCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相をNaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残留物を、DCM、メタノール及びNH水溶液から形成された勾配で溶離するシリカフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。画分を含有する合わせた生成物を蒸発させ、ジエチルエーテル中のHClで処理した。沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、標記化合物4.00g(42%)を白色の固体として得た。MS(m/e):208.1(MH)。
【0136】
中間体13
(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−メチル−アミン、塩酸塩
【0137】
【化36】

【0138】
(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−メチル−アミン、塩酸塩(中間体12)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、4−フルオロ−3−トリフルオロ−ベンズアルデヒド及びメチルアミンから還元的条件下で、白色の固体として調製した。MS(m/e):208.3(MH)。
【0139】
中間体14
4−[4−(アセチル−シクロプロピル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸
【0140】
【化37】

【0141】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(中間体2)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸メチルエステル、N−シクロプロピル−N−ピペリジン−4−イル−アセトアミド(中間体22)から、そして中間体2、c)工程3の合成において例示したように、それに続くけん化により調製した。MS(m/e):427.2(MH)。
【0142】
中間体15
4−{4−[アセチル−(2−メトキシ−エチル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸
【0143】
【化38】

【0144】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(中間体2)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸メチルエステル、N−(2−メトキシ−エチル)−N−ピペリジン−4−イル−アセトアミド、塩酸塩(中間体23)から、そして中間体2、c)工程3の合成において例示したように、それに続くけん化により調製した。MS(m/e):445.1(MH)。
【0145】
中間体16
4−(4−アセチルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル酪酸
【0146】
【化39】

【0147】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(中間体2)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸メチルエステル、4−アセチルアミノ−ピペリジン(市販)から、そして中間体2、c)工程3の合成において例示したように、それに続くけん化により調製した。MS(m/e):387.2(MH)。
【0148】
中間体17
4−[4−(アセチル−プロピル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸
【0149】
【化40】

【0150】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(中間体2)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸メチルエステル、N−ピペリジン−4−イル−N−プロピル−アセトアミド(WO9410146)から、そして中間体2、c)工程3の合成において例示したように、それに続くけん化により調製した。MS(m/e):429.2(MH)。
【0151】
中間体18
4−[4−(アセチル−エチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−酪酸
【0152】
【化41】

【0153】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−酪酸(中間体2)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−オキソ−酪酸メチルエステル、N−エチル−N−ピペリジン−4−イル−アセトアミド(EP 457686)から、そして中間体2、c)工程3の合成において例示したように、それに続くけん化により調製した。MS(m/e):415.2(MH)。
【0154】
中間体19
1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミン;塩酸塩
【0155】
【化42】

【0156】
0℃で、MeOH中の4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アセトフェノン(acetopheneone)(市販)10g(49mmol)、チタンテトライソプロポキシド27.5g(97mmol)及び7N アンモニア34ml(243mmol)の混合物を、週末にかけて20℃で撹拌した。その後、水素化ホウ素ナトリウム5.5g(146mmol)を加え、混合物を一晩かけて0℃から室温にした。水及びアンモニアを加え、混合物をデカライト(decalit)を通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。水相を分離し、酢酸エチルで洗浄し、合わせた有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発乾固した。残留物を、DCM、メタノール及びアンモニアから形成した勾配で溶離するカラムクロマトグラフィーにより精製した。画分を含有する生成物を蒸発乾固し、ジエチルエーテル中のHClを用いてそれぞれの塩酸塩に変換した。収量(収率):4.4g(37%)。MS(m/e):207.9(MH)。
【0157】
中間体20
1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル−メチルアミン;塩酸塩
【0158】
【化43】

【0159】
中間体20、1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミン;塩酸塩の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アセトフェノン(acetopheneone)(市販)及びメチルアミンから調製した。MS(m/e):191.2/222.1(MH)。
【0160】
中間体21
N−シクロプロピル−N−ピペリジン−4−イル−アセトアミド
【0161】
【化44】

【0162】
1−(ベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジノン(市販)6.25g(27mmol)、シクロプロピルアミン1.83g(32mmol)、酢酸2.3ml及びナトリウムトリアセトキシボロヒドリド8.51g(40mmol)の混合物を、0℃から室温に一晩かけて撹拌した。水及びNaCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発乾固した。残留物をDCM 100mlに取り、NEt 4.48ml(32mmol)及びアセチルクロリド2.09mlを加え、0℃で2時間撹拌した。混合物を蒸発させ、isoluteを加え、残留物を、DCM、メタノール及びアンモニアから形成された勾配で溶離するシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。画分を含有する生成物を蒸発させて、残留物をメタノールに取り、Pd/Cにより、Hを用いて、水素化した。濾過し、蒸発させて、標記化合物4.5g(92%)を明黄色の固体として得た。MS(m/e):183.2(MH)。
【0163】
中間体22
N−(2−メトキシ−エチル)−N−ピペリジン−4−イル−アセトアミド、塩酸塩
【0164】
【化45】

【0165】
N−シクロプロピル−N−ピペリジン−4−イル−アセトアミド(中間体22)の合成について記載された手順と同様にして、標記化合物を、1−(ベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジノン(市販)及び2−メトキシエチルオアミンから調製した。標記化合物を、遊離塩基のHClを用いる処理によって塩酸塩として得た。MS(m/e):201.1(MH)。
【0166】
実施例1
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(3−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
【0167】
【化46】

【0168】
DMF 1.2ml中の粗2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2−メチル−酪酸30mg、(3−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−メチル−アミン、塩酸塩14mg(0.068mmol)、TBTU/DMF(0.2N)0.33ml及びDIPEA 50μLの混合物を、室温で16時間撹拌した。混合物を、アセトニトリル、水およびNEtから形成した勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製に付した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物6.5mgを得た。MS(m/e):574.3(MH)。
【0169】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(3−フルオロ−4−メトキシ−ベンジル)−4−(4−メタンスルホニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド(実施例1)の合成について記載された手順と同様にして、更なるピペリジン誘導体を、表1に記載された出発物質から調製した。場合により、ジアステレオ異性体混合物は、カラムクロマトグラフィーにより分離されている。表1は、実施例2〜実施例110を含む。
【0170】
【表1】















































【0171】
実施例111
N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(4−フルオロ−フェニル)−N−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
【0172】
【化47】

【0173】
a) 工程1:
N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(4−フルオロ−フェニル)−N−メチル−アセトアミド
【0174】
【化48】

【0175】
DMF 50ml中の4−フルオロフェニル酢酸1.09g(7mmol)、(4−クロロ−ベンジル)−メチル−アミン1.37g(9mmol)、TBTU 2.84g(9mmol)及びDIPEA 6ml(35mmol)の混合物を、室温で16時間撹拌した。全ての揮発物を蒸発させた後、NaCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をNaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固した。残留物を、酢酸エチル及びヘプタンから形成された勾配で溶離するシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物1.35g(65%)を黄色の油状物として得た。MS(m/e):292.2(MH)。
【0176】
b) 工程2:
N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(4−フルオロ−フェニル)−N−メチル−4−オキソ−ブチルアミド
【0177】
【化49】

【0178】
0℃で、DMF 10ml中のN−(4−クロロ−ベンジル)−2−(4−フルオロ−フェニル)−N−メチル−アセトアミド1.10g(3.78mmol)の溶液を、NaH(油中55%)0.18g(4mmol)で処理し、40〜50℃で3時間撹拌した。0℃に冷却した後、混合物を、DMF 10ml中のブロモアエトアルデヒドジメチルアセタール0.80g(5mmol)で処理し、混合物を室温で16時間撹拌した。全ての揮発物を蒸発させた後、残留物を水及びTHFで処理し、1N HCl水溶液を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、tert.−ブチルメチルエーテル及びヘプタンから形成された勾配で溶離するシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物0.90gを得て、それを続く工程で更に精製しないで使用した。MS(m/e):332.4(MH)。
【0179】
c) 工程3:
THF 10ml中のN−(4−クロロ−ベンジル)−2−(4−フルオロ−フェニル)−N−メチル−4−オキソ−ブチルアミド237mg(0.71mmol)、1−ピペリジン−4−イル−ピロリジン−2−オン131mg(0.77mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド0.226(10.7mmol)及び酢酸64mgの混合物を、室温で17時間撹拌した。水およびNaCO水溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残留物を、DCM、メタノール及びNH水溶液から形成された勾配で溶離するシリカカラムクロマトグラフィーにより精製した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物277mg(0.57mmol)を白色の泡状物として得た。MS(m/e):486.4(MH)。
【0180】
N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(4−フルオロ−フェニル)−N−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド(実施例111)の合成について記載された手順と同様にして、更なるピペリジン誘導体を、表2に記載された出発物質から合成した。表2は、実施例112〜117を含む。
【0181】
【表2】



【0182】
鏡像異性体は、それぞれの出発物質(表3に記載のように)から、適切なキラル相上のカラムクロマトグラフィーにより得ることができた。単離された化合物を、場合により、酸を用いた処理によりそれぞれの塩に変換した。表3は、実施例118〜124を含む。
【0183】
【表3】



【0184】
実施例125
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
【0185】
【化50】

【0186】
DMF 1.5ml中の2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−酪酸(中間体10)0.1g(0.22mmol)、1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミン;塩酸塩(中間体20)0.068g(0.027mmol)、HATU 0.016g(0.027mmol)及びDIPEA 0.23mlの混合物を、室温で一晩撹拌した。混合物を、アセトニトリル、水およびNEtから形成された勾配で溶離する逆相HPLCによる精製に付した。画分を含有する生成物を蒸発させて、標記化合物0.079g(59%)を明黄色の粘性油状物として得た。MS(m/e):601.9(MH)。
【0187】
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド(実施例125)の合成について記載された手順と同様にして、更なるピペリジン誘導体を表4に記載された出発物質から調製した。場合により、ジアステレオ異性体/エピマー混合物を、カラムクロマトグラフィーにより分離した。表4は、実施例125〜実施例169を含む。
【0188】
【表4】



















【0189】
塩形成は、それ自体公知であり、かつ当業者が精通している方法により、室温で遂行する。無機酸との塩だけでなく、有機酸との塩も考慮される。塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタン−スルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などは、このような塩の例である。
【0190】
前述のとおり、式(I)の化合物及びその薬学的に利用しうる付加塩は、有用な薬理学的特性を有する。本発明の化合物は、ニューロキニン3(NK−3)受容体のアンタゴニストであることが見出された。本化合物は、本明細書に後述の試験法により詳しく調べた。
【0191】
H]SR142801競合結合アッセイ
hNK3受容体結合実験は、[H]SR142801(カタログ番号TRK1035、比活性:74.0 Ci/mmol, Amersham, GE Healthcare UK limited, Buckinghamshire, UK)、及び組換えヒトNK3受容体を一時的に発現するHEK293細胞から単離した膜を用いて実行した。解凍後、膜ホモジネートを、4℃で10分間48,000×gで遠心分離して、ペレットを、50mM トリス−HCl、4mM MnCl、1μMホスホラミドン、0.1% BSA結合緩衝液(pH7.4)に再懸濁して、5μgタンパク質/ウェルの最終アッセイ濃度とした。阻害実験には、膜を、[H]SR142801(放射性リガンドのK値に等しい濃度)及び10倍濃度の阻害化合物(0.0003〜10μM)と共に(500μlの総反応容量として)室温(RT)で75分間インキュベートした。インキュベーションの最後に、膜をユニフィルター(0.3% PEI+0.3% BSA中で1時間プレインキュベートしたGF/Cフィルターを内蔵した96ウェルの白色マイクロプレート、Packard BioScience, Meriden, CT)上でFiltermate 196ハーベスター(Packard BioScience)により濾過して、氷冷50mM トリス−HCl(pH7.4)緩衝液で4回洗浄した。非特異結合は、両方の放射性リガンドについて10μM SB222200の存在下で測定した。フィルター上の放射活性は、45μlのmicroscint 40(Canberra Packard S.A., Zuerich, Switzerland)の添加及び1時間の振盪後、クエンチング補正してPackard Top-countマイクロプレートシンチレーションカウンターで計数を行った(5分間)。阻害曲線は、Excel-fit 4ソフトウェア(Microsoft)を用いて、Hillの式:y=100/(1+(x/IC50nH)(ここで、n=傾きである)により当てはめた。IC50値は、阻害曲線から導き出し、そして親和定数(K)値は、Cheng-Prussoff式:K=IC50/(1+[L]/K)(ここで、[L]は、放射性リガンドの濃度であり、そしてKは、飽和等温線から導き出された受容体でのその解離定数である)を用いて算出した。全ての実験は、二重反復で実行し、そして個々のK値の平均±標準誤差(SEM)を算出した。
【0192】
hNK−3受容体親和性を持つ好ましい化合物の結果のいくつかを、下記表に示す。
【0193】
【表5】

【0194】
式(I)の化合物及び薬学的に使用されうるその酸付加塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし投与はまた、例えば坐剤の剤形で直腸内に、又は例えば注射液の剤形で非経口的に行うこともできる。
【0195】
式(I)の化合物及び薬学的に使用されうるその酸付加塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬ゼラチンカプセル剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機の賦形剤と一緒に加工することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等は、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用のそのような賦形剤として使用することができる。
【0196】
軟ゼラチンカプセル剤に適切な賦形剤は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール等である。
【0197】
液剤及びシロップ剤の製造に適切な賦形剤は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、グルコース等である。
【0198】
注射液に適切な賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセリン、植物油等である。
【0199】
坐剤に適切な賦形剤は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体ポリオール等である。
【0200】
更に、医薬製剤は、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、着香剤、浸透圧を変えるための塩類、緩衝液、マスキング剤又は抗酸化剤を含有することができる。それらは、その他の治療上価値のある物質も更に含有することができる。
【0201】
投与量は、広い限度内で変更することができ、当然、それぞれの特定の症例ごとに個々の要件に適合されるであろう。一般的に、経口投与の場合、一般式(I)の化合物の、1人当たり約10〜1000mgの1日投与量が適切であるが、必要であれば上記の上限を超えることもできる。
【0202】
実施例A
通常の方法で、以下の組成の錠剤を製造する:
mg/錠剤
活性物質 5
乳糖 45
トウモロコシデンプン 15
微晶質セルロース 34
ステアリン酸マグネシウム 1
錠剤重量 100
【0203】
実施例B
以下の組成のカプセル剤を製造する:
mg/カプセル
活性物質 10
乳糖 155
トウモロコシデンプン 30
タルク 5
カプセル充填重量 200
【0204】
活性物質、乳糖及びトウモロコシデンプンを、最初にミキサーで、次に、微粉砕機で混合する。混合物をミキサーに戻し、タルクを加えて、十分に混合する。混合物を機械により硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0205】
実施例C
以下の組成の坐剤を製造する:
mg/坐剤
活性物質 15
坐剤用錬剤 1285
合計 1300
【0206】
坐薬用錬剤をガラス又はスチール容器で溶解し、十分に混合し、45℃に冷却する。その後、そこに微粉砕した活性物質を加え、それが完全に分散するまで撹拌する。混合物を適切な大きさの坐剤成形型に注ぎ、放置して冷却し、次に坐剤を成形型から取り外し、パラフィン紙又は金属箔で個別に包む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化51】


[式中、
Ar/Arは、互いに独立に、フェニル又はピリジニル(これらは場合により、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルコキシ、アルコキシにより置換されている低級アルキル、シアノにより置換されている低級アルキル、低級ジアルキルアミノ、ピリジニル又はシアノからなる群より選択される1又は2個の置換基により置換されている)であり;
は、水素、低級アルキル、−(CHO−低級アルキル又はシクロアルキルであり;
は、−S(O)−低級アルキル又は−C(O)−低級アルキルであるか;あるいは、
とRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、ピロリジン−2−オン又はピペリジン−2−オン基を形成し;
は、水素、ハロゲン、低級アルキルであり;
は、水素又は低級アルキルであり;
/R5’は、互いに独立に、水素、低級アルキル、ハロゲンにより置換されている低級アルキル、ヒドロキシにより置換されている低級アルキル又はシクロアルキルであるか;あるいは、
とR5’は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキル基を形成する]
で示される化合物又は薬学的に活性なその塩。
【請求項2】
Ar/Arが、いずれもフェニルである、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
が、メチルであり、そしてRが、S(O)CHである、請求項2記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
化合物が、下記:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド又は
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−4−[4−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−ブチルアミド;ジアステレオ異性体1である、
請求項3記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
が、シクロプロピルであり、そしてRが、S(O)CHである、請求項2記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
化合物が、下記:
4−[4−(シクロプロピル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−4−[4−(シクロプロピル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(シクロプロピル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド又は
4−[4−(シクロプロピル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミドである、
請求項5記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
が、エチルであり、そしてRが、S(O)CHである、請求項2記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
化合物が、下記:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−ブチルアミド
N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
N−(3−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−N−(4−メチル−ベンジル)−ブチルアミド
N−(2−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2,N−ジメチル−ブチルアミド又は
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−4−[4−(エチル−メタンスルホニル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−メチル−ブチルアミド;ジアステレオ異性体1である、
請求項7記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
とRが、それらが結合しているN原子と一緒になって、ピロリジン−2−オン基を形成する、請求項2記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
化合物が、下記:
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(3−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−N−(4−メチル−ベンジル)−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
N−(2−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[−1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド;ジアステレオ異性体1
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エチル)−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−N−[2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−ブチルアミド
N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
(R又はS)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
(R又はS)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(S又はR)−1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−N−((S)−1−フェニル−プロピル)−ブチルアミド
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(R)−1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−(R又はS)メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミド又は
2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−4−[4−(2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブチルアミドである、
請求項9記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
が、低級アルキルであり、そしてRが、C(O)CHである、請求項2記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
化合物が、下記:
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−メチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(4−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−(3−クロロ−ベンジル)−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,N−ジメチル−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド;ジアステレオ異性体1
(R又はS)−4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−2,N−ジメチル−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−メチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−N−[1−(4−クロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−ブチルアミド(ジアステレオ異性体1)
4−[4−(アセチル−プロピル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(R)−1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド(エピマー1)
4−[4−(アセチル−プロピル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(R)−1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド(エピマー2)
4−[4−(アセチル−プロピル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−N−((S)−1−フェニル−プロピル)−ブチルアミド
4−[4−(アセチル−エチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(R)−1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド(エピマー1)又は
4−[4−(アセチル−エチル−アミノ)−ピペリジン−1−イル]−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−N−((S)−1−フェニル−プロピル)−ブチルアミドである、
請求項11記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
が、−(CHOCHであり、そしてRが、C(O)CHである、請求項2記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
化合物が、下記:
4−{4−[アセチル−(2−メトキシ−エチル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド(ジアステレオ異性体1)
4−{4−[アセチル−(2−メトキシ−エチル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−メチル−ブチルアミド(ジアステレオ異性体1)
4−{4−[アセチル−(2−メトキシ−エチル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−N−[(R)−1−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−2−(R又はS)メチル−ブチルアミド又は
4−{4−[アセチル−(2−メトキシ−エチル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−N−((S)−1−フェニル−プロピル)−ブチルアミドである、
請求項13記載の式(I)の化合物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項記載の化合物の製造方法であって、
a) 式(IV):
【化52】


で示される化合物から、水性塩基条件下でO−保護基を切断して、そして式(IV)で示される化合物を、下記式:
【化53】


で示されるアミンと、カップリング条件下で反応させて、式(I):
【化54】


[式中、定義は、請求項1記載と同じ意味を有する]で示される化合物とすること、
そして所望であれば、得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換することを含む、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法によるか又は同等の方法により製造される、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか一項記載の一つ以上の化合物及び薬学的に許容しうる賦形剤を含有する、医薬。
【請求項18】
鬱病、疼痛、精神病、パーキンソン病、統合失調症、不安症又は注意欠陥多動障害(ADHD)の処置のための、請求項17記載の医薬。
【請求項19】
鬱病、疼痛、精神病、パーキンソン病、統合失調症、不安症又は注意欠陥多動障害(ADHD)の処置用の医薬の製造のための、請求項1〜14のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項20】
本明細書に記載の発明。

【公表番号】特表2010−539126(P2010−539126A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524459(P2010−524459)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061649
【国際公開番号】WO2009/033995
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】