説明

PDE10阻害剤としての三環式ヘテロアリール化合物

本発明は、有効なホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤として役立つ式(I)の三環式ヘテロアリール化合物に関する。本発明はまた、PDE10の選択的阻害剤である化合物に関する。本発明はさらに、そのような化合物を含む医薬組成物、およびある種の中枢神経系(CNS)障害または他の障害を治療する方法におけるそのような化合物の使用に関する。本発明は、神経変性障害および精神障害、たとえば精神病および症状として認知不全を含む障害を治療する方法にも関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効なホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤として役立つ三環式ヘテロアリール化合物に関する。本発明はまた、PDE10の選択的阻害剤である化合物に関する。本発明はさらに、そのような化合物を含む医薬組成物、およびある種の中枢神経系(CNS)障害または他の障害を治療する方法におけるそのような化合物の使用に関する。本発明は、神経変性障害および精神障害、たとえば精神病および症状として認知不全を含む障害を治療する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、ヌクレオチド環状アデノシン一リン酸(cAMP)および環状グアノシン一リン酸(cGMP)のそれぞれのヌクレオチド一リン酸への加水分解に関与する細胞内酵素の一種類である。環状ヌクレオチドcAMPおよびcGMPは、それぞれアデニリルシクラーゼおよびグアニリルシクラーゼによって合成され、様々な細胞経路において二次メッセンジャーとして役立つ。
【0003】
cAMPおよびcGMPは、特に中枢神経系のニューロンにおいて、多くの細胞内プロセスを調節する細胞内二次メッセンジャーとして機能する。ニューロンにおいて、これにはcAMPおよびcGMP依存性キナーゼの活性化、ならびにシナプス伝達の急性調節とニューロン分化および生存に関与するその後のタンパク質のリン酸化が包含される。環状ヌクレオチドシグナル伝達の複雑性は、cAMPおよびcGMPの合成および分解に関与する酵素の分子多様性によって示唆される。少なくとも10種のアデニリルシクラーゼファミリー、2種のグアニリルシクラーゼ、および11種のホスホジエステラーゼが存在する。さらに、種々の異なる種類のニューロンが、これらの各クラスの複数のアイソザイムを発現することが知られており、所与のニューロン内の種々の異なるアイソザイムのコンパートメント化および機能特異性に関する充分な証拠がある。
【0004】
環状ヌクレオチドシグナル伝達を調節する主要な機序は、ホスホジエステラーゼ触媒環状ヌクレオチド異化作用によるものである。21種の異なる遺伝子でコードされる11種の既知のPDEファミリーがある。それぞれの遺伝子は典型的に、さらにアイソザイムの多様性の一因となる複数のスプライスバリアントを生じる。PDEファミリーは、環状ヌクレオチド基質特異性、調節機序、および阻害剤に対する感受性に基づいて、機能的に区別される。さらにPDEは、中枢神経系を包含する生体全体にわたって特異的に発現する。これらの特異な酵素活性および局在化の結果として、種々の異なるPDEアイソザイムは、特異な生理的機能を果たし得る。さらに、特異なPDEファミリーまたはアイソザイムを選択的に阻害できる化合物は、特定の治療効果、より少ない副作用、またはその両方を提供することができる。
【0005】
PDE10は、一次アミノ酸配列および特異な酵素活性に基づいて、ユニークなファミリーとして同定される。ESTデータベースの相同性スクリーニングにより、PDEのPDE10ファミリーの最初のメンバーとして、マウスPDE10Aが明らかとなった(Fujishigeら、J.Biol.Chem.274:18438〜18445、1999;Loughney,K.ら、Gene 234:109〜117、1999)。このマウスホモログはクローン化もされており(Soderling,S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:7071〜7076、1999)、ラットおよびヒト遺伝子両方のN末端スプライスバリアントが同定されている(Kotera,J.ら、Biochem.Biophys.Res.Comm.261:551〜557、1999;Fujishige,K.ら、Eur.J.Biochem.266:1118〜1127、1999)。種を超えて高度の相同性が存在する。マウスPDE10A1は、cAMPおよびcGMPの両方をそれぞれAMPおよびGMPに加水分解する779アミノ酸のタンパク質である。PDE10のcAMPに対する親和性(Km=0.05μM)は、cGMPに対する親和性(Km=3μM)より高い。しかしながら、VmaxはcAMPよりcGMPで約5倍大きいことから、PDE10がユニークなcAMP阻害cGMPアーゼであることが示唆されている(Fujishigeら、J.Biol.Chem.274:18438〜18445、1999)。
【0006】
PDE10ファミリーのポリペプチドは、以前に同定されているPDEファミリーと比べて低い配列相同性を示し、他のPDEファミリーに特異的であることが知られているある種の阻害剤に非感受性であることが示されている。参照により本明細書の一部とする米国特許第6350603号。
【0007】
PDE10はまた、他のPDEファミリーと比べて、哺乳動物で独特に局在する。PDE10のmRNAは、精巣および脳だけで高度に発現する(Fujishige,K.ら、Eur J Biochem.266:1118〜1127、1999;Soderling,S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.96:7071〜7076、1999;Loughney,K.ら、Gene 234:109〜117、1999)。これらの初期の研究は、脳内では、PDE10の発現が線条体(尾状核および被殻)、側坐核、および嗅結節でもっとも高いことを示している。より最近、PDE10mRNA(Seeger,T.F.ら、Abst.Soc.Neurosci.26:345.10、2000)、およびPDE10タンパク質(Menniti,F.S.、Stick,C.A.、Seeger,T.F.、およびRyan,A.M.、Immunohistochemical localization of PDE10 in the rat brain、William Harvey Research Conference「Phosphodiesterase in Health and Disease」、Porto、Portugal、2001年12月5日〜7日)の齧歯類脳における発現パターンの詳細な分析が行われた。
【0008】
PDE阻害剤の様々な治療的使用が報告されており、これには顕性肺疾患、アレルギー、高血圧、狭心症、うっ血性心不全、うつ病、および勃起不全が包含される(参照により本明細書の一部とするWO01/41807A2)。
【0009】
虚血性心臓状態の治療での選択されたベンゾイミダゾールおよび関連する複素環式化合物の使用が、cGMP活性に関連するPDE阻害に基づいて開示されている。参照により本明細書の一部とする米国特許第5693652号。
【0010】
米国特許出願公開第2003/0032579号は、選択的PDE10阻害剤パパベリンで、ある種の神経障害および精神障害を治療する方法を開示している。特にこの方法は、統合失調症、妄想性障害、および薬物誘発性精神病などの精神病性障害;恐慌性障害および強迫性障害などの不安障害;ならびにパーキンソン病およびハンチントン病を包含する運動障害に関する。
【0011】
WO2005/120514は、PDE10阻害剤を投与することによって、肥満関連およびメタボリック症候群関連状態を治療する方法を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
【課題を解決するための手段】
【0013】
式Iの化合物、または薬学的に許容できるその塩であり、
【0014】
【化1】

式中、環2は、単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり、前記環2は、少なくとも1つのRで置換されていてもよく、
HETは、8、9、または10員二環式ヘテロアリールであり、前記HETは、少なくとも1つのRで置換されていてもよく、
はそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、CからCアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、CからCアルコキシ、CからCハロアルキル、CからCシクロアルキル、CからCヘテロシクロアルキル、CからCアルキルチオ、−NR、CからCハロアルキル、−S(O)−R、−C(O)−NR、およびヘテロ原子で置換されたCからCアルキルからなる群から独立して選択され、ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択され、ヘテロ原子は、水素、CからCアルキル、CからCシクロアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、およびCからCハロアルキルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよく、
はそれぞれ、水素、CからCアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、CからCハロアルキル、CからCシクロアルキルからなる群から独立して選択され、
はそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、−NR、CからCアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、CからCアルコキシ、CからCシクロアルキル、CからCアルキルチオ、およびCからCハロアルキルからなる群から独立して選択され、
およびBは、Hetの隣接する原子であり、Bは炭素であり、Bは窒素であり、
XおよびXは、酸素、硫黄、C(R、およびNRからなる群からそれぞれ独立して選択され、ただしXまたはXの少なくとも1つはC(Rであり、
はそれぞれ、水素、CからCアルキル、−CからCシクロアルキル−CからCアルキル、CからCアルキニル、CからCアルケニル、CからCハロアルキル、およびCからCシクロアルキルからなる群から独立して選択され、
AおよびAは、酸素、S(O)、C(R、およびNRからなる群からそれぞれ独立して選択され、ただしAまたはAの少なくとも1つはC(Rであり、
はそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、CからCアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、CからCアルコキシ、CからCハロアルキル、CからCアルキルチオ、CからCシクロアルキル、−NR、CからCハロアルキル、−S(O)−R、−C(O)−NR、ヘテロ原子で置換されたCからCアルキルからなる群から独立して選択され、ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択され、ヘテロ原子は、水素、CからCアルキル、CからCシクロアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、およびCからCハロアルキルからなる群から選択される置換基でさらに置換されていてもよいか、
または2つのRは、それらが結合している原子と共に、CからC10シクロアルキル、CからC10シクロアルケニル、(4〜10員)ヘテロシクロアルキル、または(4〜10員)ヘテロシクロアルケニル環を形成してもよく、
はそれぞれ、水素およびCからCアルキルからなる群から独立して選択され、
はそれぞれ、水素、CからCアルキル、CからCアルケニル、およびCからCアルキニルからなる群から独立して選択され、
はそれぞれ、水素、CからCアルキル、−CからCシクロアルキル−CからCアルキル、CからCアルキニル、CからCアルケニル、CからCハロアルキル、およびCからCシクロアルキルからなる群から独立して選択され、
n=0または1であり、m=1または2であり、p=0、1、2、または3であり、r=0、1、または2である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、上記の式Iの化合物、または薬学的に許容できるその塩を提供する。
【0016】
本発明の一実施形態において、HETは、以下からなる群から選択され、
【0017】
【化2】

式中、Yはそれぞれ、CH、CR、または窒素からなる群から独立して選択され、Zは、酸素または硫黄である。
【0018】
他の実施形態において、上記HET基のYはすべて、それぞれ独立してCHまたはCRである。
【0019】
他の実施形態において、HETは、以下からなる群から選択される。
【0020】
【化3】

【0021】
他の実施形態において、環2は、フェニル、4−ピリジル、4−ピリダジニル、およびイソオキサゾリルからなる群から選択される。
【0022】
他の実施形態において、環2は4−ピリジルである。
【0023】
他の実施形態において、XはC(Rであり、Xは酸素である。
【0024】
他の実施形態において、mおよびnは両方とも1である。
【0025】
他の実施形態において、AおよびAは、それぞれ酸素およびC(Rである。
【0026】
式Iの化合物は光学中心を有することができ、したがって種々のエナンチオマーおよびジアステレオマー配置で生じる可能性がある。本発明は、式Iのそのような化合物のすべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、他の立体異性体、ならびにラセミ化合物およびラセミ混合物、ならびにそれらの立体異性体の他の混合物を包含する。
【0027】
式Iの化合物の薬学的に許容できる塩には、その酸付加塩および塩基塩が包含される。
【0028】
適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例には、これに限定されるものではないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素/リン酸二水素、ピログルタミン酸塩、サリチル酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、スズ酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、およびキシノホ酸塩(xinofoate)が包含される。
【0029】
適切な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例には、これに限定されるものではないが、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、および亜鉛塩が包含される。
【0030】
酸および塩基のヘミ塩、たとえばヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩を形成することもできる。
【0031】
これらの塩および他の適切な塩に関する総説は、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use、StahlおよびWermuth(Wiley−VCH、2002)を参照されたい。
【0032】
式Iの化合物の薬学的に許容できる塩は、以下の3つの方法の1つまたは複数によって調製することができる。
(i)式Iの化合物を所望の酸または塩基と反応させることによる、
(ii)式Iの化合物の適切な前駆体から酸もしくは塩基不安定保護基を除去することによるか、または所望の酸もしくは塩基を用いて、適切な環前駆体、たとえばラクトンもしくはラクタムを開環することによる、または
(iii)式Iの化合物のある塩を、適切な酸もしくは塩基との反応によって、または適切なイオン交換カラムによって、別の塩に変換することによる。
【0033】
3つの反応はすべて、典型的には溶液で実行される。得られる塩は析出され、濾過によって収集するか、または溶媒を蒸発して回収することができる。得られる塩のイオン化度は、完全イオン化からほぼ非イオン化まで多様であってよい。
【0034】
本発明の化合物は、完全非晶質から完全結晶性まで連続の固体状態で存在することができる。「非晶質」という用語は、その材料が分子レベルにおいて長距離秩序を欠き、温度に応じて、固体または液体の物理的特性を示すことのできる状態を指す。典型的にそのような材料は特有のX線解析パターンを示さず、固体の特性を示しながら、より形式的には液体とみなされる。加熱により、固体から液体特性への変化が起こり、これは典型的には2次である状態変化を特徴とする(「ガラス転移」)。「結晶性」という用語は、材料が分子レベルで規則的な秩序内部構造を有し、明確なピークを有する特有のX線解析パターンを示す固相を指す。そのような材料も、充分に加熱されると液体の特性を示すが、固体から液体への変化は、典型的には1次である相変化を特徴とする(「融点」)。
【0035】
本発明の化合物は、非溶媒和形態および溶媒和形態でも存在することができる。本明細書では、「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物と1種または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、たとえばエタノールとを含む分子複合体を記載するために用いられる。前記溶媒が水であるとき、「水和物」という用語が用いられる。
【0036】
有機水和物に関して現在許容されている分類体系は、単離部位、チャネル、または金属イオン配位水和物を定義するものであり、K.R.MorrisのPolymorphism in Pharmaceutical Solids(H.G.Brittain編、Marcel Dekker、1995)を参照されたい。単離部位水和物は、有機分子の介在によって水分子がそれぞれ互いの直接接触から単離されているものである。チャネル水和物では、水分子は格子チャネルに存在し、ここで水分子は互いに隣接している。金属イオン配位水和物では、水分子は金属イオンに結合している。
【0037】
溶媒または水が強く結合しているとき、複合体は湿度と無関係に明確な化学量論を有することになる。しかしながら、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物のように、溶媒または水の結合が弱いとき、水/溶媒含量は、湿度および乾燥条件に依存する。そのような場合、非化学量論が標準となる。
【0038】
本発明の化合物は、適切な条件に供したとき、中間状態(中間相または液晶)で存在することもできる。中間状態は、真の結晶状態と真の液体状態(溶融または溶液)の中間である。温度変化の結果として生じる中間形態は「サーモトロピック」と呼ばれ、水または他の溶媒など第2成分の添加によるものは「リオトロピック」と呼ばれる。リオトロピック中間相を形成する潜在能力を有する化合物は「両親媒性」と呼ばれ、イオン(−COONa、−COO、もしくは−SONaなど)または非イオン(−N(CHなど)極性頭部基を有する分子からなる。さらなる情報は、Crystals and the Polarizing Microscope、N.H.HartshorneおよびA.Stuart、第4版(Edward Arnold、1970)を参照されたい。
【0039】
以下、式Iの化合物への言及はすべて、その塩、溶媒和物、多成分複合体、および液晶、ならびにその塩の溶媒和物、多成分複合体、および液晶への言及を包含する。
【0040】
本発明の化合物は、そのすべての多形および晶癖を含む上に定義された式Iの化合物、以下に定義するそのプロドラッグおよび異性体(光学、幾何、および互変異性体を包含する)、ならびに同位体標識された式Iの化合物を包含する。
【0041】
記載のとおり、式Iの化合物のいわゆる「プロドラッグ」も本発明の範囲内である。たとえば、それ自体ほとんどまたはまったく薬理活性を持たない可能性のある式Iの化合物のある種の誘導体は、身体内または身体上に投与されたとき、たとえば加水分解によって、所望の活性を有する式Iの化合物に変換され得る。そのような誘導体を「プロドラッグ」と称する。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、Pro−drugs as Novel Delivery Systems、Vol.14、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)、ならびにBioreversible Carriers in Drug Design、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)に見出すことができる。
【0042】
本発明によるプロドラッグは、たとえば、式Iの化合物に存在する適切な官能基を、たとえばDesign of Prodrugs、H.Bundgaard(Elsevier、1985)に記載されている、当業者に「プロ部分」として知られているある種の部分で置き換えることによって生成することができる。
【0043】
本発明によるプロドラッグのいくつかの例には、これに限定されるものではないが、以下のものが包含される。
(i)式Iの化合物がカルボン酸官能基(−COOH)を含有する場合、そのエステル、たとえば、式Iの化合物のカルボン酸官能基の水素が(C〜C)アルキルで置換されている化合物、
(ii)式Iの化合物がアルコール官能基(−OH)を含有する場合、そのエーテル、たとえば、式Iの化合物のアルコール官能基の水素が(C〜C)アルカノイルオキシメチルで置換されている化合物、および
(iii)式Iの化合物が第一級または第二級アミノ官能基(−NHまたは−NHR(式中、R≠H))を含有する場合、そのアミド、たとえば、場合によって式Iの化合物のアミノ官能基の一方または両方の水素が(C〜C10)アルカノイルで置換されている化合物。
【0044】
前述の例および他の型のプロドラッグの例による置換基のさらなる例は、前述の参考文献に見出すことができる。
【0045】
さらに、式Iのある種の化合物は、式Iの他の化合物のプロドラッグとしてそれ自体作用することができる。
【0046】
さらに式Iの化合物の代謝産物、すなわちその薬物の投与によってin vivoで形成される化合物も本発明の範囲に包含される。本発明による代謝産物のいくつかの例には、これに限定されるものではないが、以下のものが包含される。
(i)式Iの化合物がメチル基を含有する場合、そのヒドロキシメチル誘導体(−CH−>−CHOH)、
(ii)式Iの化合物がアルコキシ基を含有する場合、そのヒドロキシ誘導体(−OR−>−OH)、
(iii)式Iの化合物が第三級アミノ基を含有する場合、その第二級アミノ誘導体(−NR−>−NHRまたは−NHR)、
(iv)式Iの化合物が第二級アミノ基を含有する場合、その第一級誘導体(−NHR−>−NH)、
(v)式Iの化合物がフェニル部分を含有する場合、そのフェノール誘導体(−Ph−>−PhOH)、および
(vi)式Iの化合物がアミド基を含有する場合、そのカルボン酸誘導体(−CONH−>COOH)。
【0047】
1つまたは複数の不斉炭素原子を含有する式Iの化合物は、2種以上の立体異性体として存在できる。式Iの化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体が可能である。構造異性体が低いエネルギー障壁により相互変換可能である場合、互変異性(tautomeric isomerism)(「互変異性(tautomerism)」)が生じ得る。これは、たとえばイミノ、ケト、もしくはオキシム基を含有する式Iの化合物においてプロトン互変異性の形態、または芳香族部分を含有する化合物においていわゆる原子価互変異性の形態をとることができる。その結果として、単一の化合物は、複数の型の異性を示す可能性がある。
【0048】
複数の型の異性を示す化合物を包含する、式Iの化合物のすべての立体異性体、幾何異性体、および互変異性型、ならびにそれらの1つまたは複数の混合物が本発明の範囲に包含される。さらに、対イオンが光学活性である(たとえばd−乳酸塩またはl−リシン)、またはラセミ体である(たとえばdl−酒石酸塩またはdl−アルギニン)酸付加塩または塩基塩も包含される。
【0049】
シス/トランス異性体は、当業者によく知られている通常の技法、たとえばクロマトグラフィーおよび分別結晶によって分離することができる。
【0050】
個々のエナンチオマーを調製/単離するための通常の技法には、光学的に純粋な適切な前駆体からのキラル合成、または、たとえばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が包含される。
【0051】
別法として、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、適切な光学活性化合物、たとえばアルコール、または式Iの化合物が酸性もしくは塩基性部分を含有する場合、1−フェニルエチルアミンまたは酒石酸などの塩基または酸と反応させることができる。得られたジアステレオマー混合物を、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶によって分離し、当業者によく知られている手段によって、ジアステレオマーの一方または両方を、対応する純粋なエナンチオマーに変換することができる。
【0052】
本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、クロマトグラフィー、典型的にはHPLCを用いて、0から50容量%のイソプロパノール、典型的には2%から20%、および0から5容量%のアルキルアミン、典型的には0.1%のジエチルアミンを含有する炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を用い、非対称樹脂においてエナンチオマーに富む形態で得ることができる。溶離液の濃縮によって富化混合物を得る。
【0053】
任意のラセミ化合物が結晶化するとき、2種の異なる型の結晶が可能である。第1の型は、等モル量で両方のエナンチオマーを含有する1つの均質な形態の結晶が生成される上述のラセミ化合物(真のラセミ化合物)である。第2の型は、それぞれ単一のエナンチオマーを含む2種の形態の結晶が等モル量で生成されるラセミ混合物またはコングロメレートである。
【0054】
ラセミ混合物に存在する両方の結晶形態は同じ物理的特性を有するが、真のラセミ化合物と比較して異なる物理的特性を有する可能性がある。ラセミ混合物は当業者に知られている通常の技法によって分離することができ、たとえばStereochemistry of Organic Compounds、E.L.ElielおよびS.H.Wilen(Wiley、1994)を参照されたい。
【0055】
本発明は、1つまたは複数の原子が、同じ原子番号を有するが、自然界で主に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子で置き換えられている、すべての薬学的に許容できる同位標識された式Iの化合物を包含する。
【0056】
本発明の化合物に包含されるのに適した同位体の例には、水素の同位体、HおよびHなど、炭素の同位体、11C、13C、および14Cなど、塩素の同位体、36Clなど、フッ素の同位体、18Fなど、ヨウ素の同位体、123Iおよび125Iなど、窒素の同位体、13Nおよび15Nなど、酸素の同位体、15O、17O、および18Oなど、リンの同位体、32Pなど、ならびに硫黄の同位体、35Sなどが包含される。
【0057】
ある種の同位体標識された式Iの化合物、たとえば放射性同位体を取り込んだ化合物は、薬物および/または基質の組織分布研究において有用である。放射性同位体トリチウム、すなわちH、および炭素14、すなわち14Cは、それらの取り込みが容易であり、検出手段が容易である点から、この目的のために特に有用である。
【0058】
重水素、すなわちHなどの重い同位体で置換することによって、より高い代謝安定性、たとえばin vivo半減期の増大、または必要用量の低減に起因するある種の治療上の利点がもたらされる可能性があり、したがってある状況では好ましい可能性がある。
【0059】
11C、18F、15O、および13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、基質受容体占有率を調べるための陽電子放出トポグラフィー(Positron Emission Topography)(PET)試験に有用であり得る。
【0060】
同位体標識された式Iの化合物は、当業者に知られている通常の技法によって、または下記の実施例および調製に記載するものと類似の方法によって、前に用いられた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用いて、一般に調製することができる。
【0061】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、たとえばDO、d−アセトン、d−DMSOなど、結晶化の溶媒が同位体置換されていてもよい溶媒和物が包含される。
【0062】
本発明の特定の実施形態は、以下の実施例に例示される化合物、ならびにそれらの薬学的に許容できる塩、複合体、溶媒和物、多形、立体異性体、代謝産物、プロドラッグ、およびそれらの他の誘導体を包含する。
【0063】
本発明はまた、統合失調症、妄想性障害、および薬物誘発性精神病などのある種の精神病性障害および状態;恐慌性障害および強迫性障害などの不安障害;ならびにパーキンソン病およびハンチントン病を包含する運動障害を治療するための医薬組成物であって、PDE10を阻害するのに有効なある量の式Iの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0064】
他の実施形態において、本発明はまた、統合失調症、妄想性障害、および薬物誘発性精神病などの精神病性障害および状態;恐慌性障害および強迫性障害などの不安障害;ならびにパーキンソン病およびハンチントン病を包含する運動障害を治療するための医薬組成物であって、前記障害または状態を治療するのに有効なある量の式Iの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0065】
本発明に従って治療することのできる精神病性障害の例には、これに限定されるものではないが、たとえば妄想型、解体型、緊張型、鑑別不能型、または残遺型の統合失調症;統合失調症様障害;たとえば妄想型または抑うつ型の統合失調感情障害;妄想性障害;物質誘導性精神病性障害、たとえばアルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、またはフェンシクリジンによって誘発された精神病;妄想型の人格障害;および統合失調型の人格障害が包含される。
【0066】
本発明に従って治療することのできる運動障害の例には、これに限定されるものではないが、ハンチントン病、およびドパミンアゴニスト療法に関連する異常運動症、パーキンソン病、不穏下肢症候群、ならびに本態性振せんが包含される。
【0067】
本発明に従って治療することのできる他の障害は、強迫性障害、ツレット症候群、および他のチック障害である。
【0068】
他の実施形態において、本発明は、哺乳動物において不安障害または状態を治療する方法であって、前記哺乳動物に、PDE10を阻害するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法に関する。
【0069】
本発明はまた、哺乳動物において不安障害または状態を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記障害または状態を治療するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0070】
本発明に従って治療することのできる不安障害の例には、これに限定されるものではないが、恐慌性障害;広場恐怖症;特定恐怖症;社会恐怖症;強迫性障害;心的外傷後ストレス障害;急性ストレス障害;および全般性不安障害が包含される。
【0071】
本発明はさらに、ヒトを包含する哺乳動物において、薬物嗜癖、たとえばアルコール、アンフェタミン、コカイン、またはアヘン嗜癖を治療する方法であって、前記哺乳動物に、薬物嗜癖を治療するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0072】
本発明はまた、ヒトを包含する哺乳動物において、薬物嗜癖、たとえばアルコール、アンフェタミン、コカイン、またはアヘン嗜癖を治療する方法であって、前記哺乳動物に、PDE10を阻害するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0073】
本明細書では、「薬物嗜癖」は薬物に対する異常な欲望を意味し、一般に所望の薬物を摂取しようとする衝動強迫のような動機的障害、および強度の薬物切望のエピソードを特徴とする。
【0074】
本発明はさらに、ヒトを包含する哺乳動物において、症状として注意および/または認知の欠如を含む障害を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記障害を治療するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0075】
本発明はまた、ヒトを包含する哺乳動物において、症状として注意および/または認知の欠如を含む障害または状態を治療する方法であって、前記哺乳動物に、PDE10を阻害するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0076】
本発明はまた、ヒトを包含する哺乳動物において、症状として注意および/または認知の欠如を含む障害または状態を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記障害または状態を治療するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0077】
本明細書で「症状として注意および/または認知の欠如を含む障害」に用いられる「注意および/または認知の欠如」という語句は、同じ年齢の人口集団の他の個体と比較して特定の個体において、記憶、知力、または学習および論理能力などの1種または複数の認知的局面の機能が正常以下であることを指す。「注意および/または認知の欠如」はまた、たとえば加齢性認知低下で起こるような1種または複数の認知的局面の任意の特定の個体における機能の低下を指す。
【0078】
本発明に従って治療することのできる注意および/または認知の欠如を症状として含む障害の例は、認知症、たとえばアルツハイマー病、多発脳梗塞、アルコール性認知症もしくは他の薬物関連認知症、頭蓋内腫瘍もしくは脳外傷に関連する認知症、ハンチントン病もしくはパーキンソン病に関連する認知症、またはAIDS関連認知症;せん妄;健忘障害;心的外傷後ストレス障害;精神遅滞;学習障害、たとえば読字障害、算数障害、または書字表出障害;注意欠陥/過活動性障害;および加齢性認知低下である。
【0079】
本発明はまた、ヒトを包含する哺乳動物において、気分障害または気分エピソードを治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記障害またはエピソードを治療するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0080】
本発明はまた、ヒトを包含する哺乳動物において、気分障害または気分エピソードを治療する方法であって、前記哺乳動物に、PDE10を阻害するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0081】
本発明に従って治療することのできる気分障害および気分エピソードの例には、これに限定されるものではないが、軽度、中等度、または重度型の大うつ病エピソード、躁病または混合気分エピソード、軽躁気分エピソード;非定型の特徴を伴ううつ病エピソード;メランコリー型の特徴を伴ううつ病エピソード;緊張型の特徴を伴ううつ病エピソード;分娩後の発症を伴う気分エピソード;脳卒中後うつ病;大うつ病性障害;気分変調性障害;小うつ病性障害;月経前不快気分障害;統合失調症の精神病後うつ病性障害;妄想性障害または統合失調症などの精神病性障害に併発する大うつ病性障害;双極性障害、たとえば双極I型障害、双極II型障害、および気分循環性障害が包含される。
【0082】
本発明はさらに、ヒトを包含する哺乳動物において、神経変性障害または状態を治療する方法であって、前記哺乳動物に、前記障害または状態を治療するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0083】
本発明はさらに、ヒトを包含する哺乳動物において、神経変性障害または状態を治療する方法であって、前記哺乳動物に、PDE10を阻害するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0084】
本明細書では、別に指示のない限り、「神経変性障害または状態」は、中枢神経系でのニューロンの機能不全および/または死に起因する障害または状態を指す。これらの障害および状態の治療は、これらの障害または状態において危険な状態にあるニューロンの機能不全または死を防ぐか、かつ/または危険な状態にあるニューロンの機能不全または死に起因する機能喪失を補うように、損傷または正常ニューロンの機能を高めることのできる薬剤の投与によって促進することができる。本明細書では、「神経栄養剤」という用語は、これらの特性の一部またはすべてを有する物質または薬剤を指す。
【0085】
本発明に従って治療することのできる神経変性障害および状態の例には、これに限定されるものではないが、パーキンソン病;ハンチントン病;認知症、たとえばアルツハイマー病、多発脳梗塞性認知症、AIDS関連認知症、および前頭側頭型認知症;脳外傷に関連する神経変性;脳卒中に関連する神経変性、脳梗塞に関連する神経変性;低血糖誘発性神経変性;てんかん発作に関連する神経変性;神経毒中毒に関連する神経変性;および多系統委縮症が包含される。
【0086】
本発明の一実施形態において、神経変性障害または状態は、ヒトを包含する哺乳動物の線条体中型有棘ニューロンの神経変性を含む。
【0087】
本発明のさらなる実施形態において、神経変性障害または状態は、ハンチントン病である。
【0088】
本発明はまた、精神病性障害、妄想性障害、および薬物誘発性精神病;不安障害、運動障害、気分障害、神経変性障害、および薬物嗜癖を治療するための医薬組成物であって、前記障害または状態を治療するのに有効なある量の式Iの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0089】
本発明はまた、精神病性障害、妄想性障害、および薬物誘発性精神病;不安障害、運動障害、気分障害、および神経変性障害から選択される障害を治療する方法であって、前記障害を治療するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0090】
本発明はまた、認知症、アルツハイマー病、多発脳梗塞性認知症、アルコール性認知症もしくは他の薬物関連認知症、頭蓋内腫瘍もしくは脳外傷に関連する認知症、ハンチントン病もしくはパーキンソン病に関連する認知症、またはAIDS関連認知症;せん妄;健忘障害;心的外傷後ストレス障害;精神遅滞;学習障害、たとえば読字障害、算数障害、または書字表出障害;注意欠陥/過活動性障害;加齢性認知低下、軽度、中等度、または重度型の大うつ病エピソード;躁病または混合気分エピソード;軽躁気分エピソード;非定型の特徴を伴ううつ病エピソード;メランコリー型の特徴を伴ううつ病エピソード;緊張型の特徴を伴ううつ病エピソード;分娩後の発症を伴う気分エピソード;脳卒中後うつ病;大うつ病性障害;気分変調性障害;小うつ病性障害;月経前不快気分障害;統合失調症の精神病後うつ病性障害;妄想性障害または統合失調症を含む精神病性障害に併発する大うつ病性障害;双極I型障害、双極II型障害、気分循環性障害を含む双極性障害、パーキンソン病;ハンチントン病;認知症、アルツハイマー病、多発脳梗塞性認知症、AIDS関連認知症、前頭側頭型認知症;脳外傷に関連する神経変性;脳卒中に関連する神経変性;脳梗塞に関連する神経変性;低血糖誘発性神経変性;てんかん発作に関連する神経変性;神経毒中毒に関連する神経変性;多系統委縮症、妄想型、解体型、緊張型、鑑別不能型、または残遺型;統合失調症様障害;妄想型または抑うつ型の統合失調感情障害;妄想性障害;物質誘導性精神病性障害、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、またはフェンシクリジンによって誘発された精神病;妄想型の人格障害;および統合失調型の人格障害からなる群から選択される障害を治療する方法を提供する。
【0091】
本発明はまた、精神病性障害、妄想性障害、および薬物誘発性精神病;不安障害、運動障害、気分障害、神経変性障害、および薬物嗜癖を治療する方法であって、PDE10を阻害するのに有効なある量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0092】
本明細書では別に指示のない限り、「アルキル」という用語は、直鎖または分岐鎖部分を有する飽和一価炭化水素基を包含する。アルキル基の例には、これに限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびt−ブチルが包含される。
【0093】
本明細書では別に指示のない限り、「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有するアルキル部分を包含し、ここでアルキルは上に定義されたとおりである。アルケニルの例には、これに限定されるものではないが、エテニルおよびプロペニルが包含される。
【0094】
本明細書では別に指示のない限り、「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有するアルキル部分を包含し、ここでアルキルは上に定義されたとおりである。アルキニル基の例には、これに限定されるものではないが、エチニルおよび2−プロピニルが包含される。
【0095】
本明細書では別に指示のない限り、単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる「アルコキシ」という用語は、酸素原子に結合したアルキル基を指す。
【0096】
本明細書では別に指示のない限り、単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる「アルキルチオ」という用語は、硫黄原子を介して結合した任意の上記アルキル基を包含する。
【0097】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素を指す。
【0098】
本明細書では別に指示のない限り、「ハロアルキル」という用語は、アルキル基に結合した少なくとも1つのハロ基を指す。ハロアルキル基の例には、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、およびフルオロメチル基が包含される。
【0099】
本明細書では別に指示のない限り、「シクロアルキル」という用語は、非芳香族飽和環式アルキル部分を包含し、ここでアルキルは上に定義されたとおりである。シクロアルキルの例には、これに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが包含される。
【0100】
本明細書では別に指示のない限り、「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、インデニル、およびフルオレニルなどの、1つの水素を除去することによって芳香族炭化水素から誘導される有機基を包含する。「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族である縮合環基を包含する。
【0101】
本明細書では、用語「複素環」、「ヘテロシクロアルキル」、および同様の用語は、それぞれ好ましくは酸素、硫黄、および窒素から選択される、1つまたは複数のヘテロ原子、好ましくは1から4個のヘテロ原子を含有する非芳香族環式基を指す。本発明の複素環基は、1つまたは複数のオキソ部分で置換された環系を包含することもできる。非芳香族複素環基の例は、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼピニル、ピペラジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、キノリジニル、キヌクリジニル、1,4−ジオキサスピロ[4.5]デシル、1,4−ジオキサスピロ[4.4]ノニル、1,4−ジオキサスピロ[4.3]オクチル、および1,4−ジオキサスピロ[4.2]ヘプチルである。
【0102】
本明細書では、「ヘテロアリール」という用語は、1つまたは複数のヘテロ原子(好ましくは酸素、硫黄、および窒素)、好ましくは1から4個のヘテロ原子を含有する芳香族基を指す。基の少なくとも1つの環が芳香族である、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する多環式基は、「ヘテロアリール」基である。本発明のヘテロアリール基は、1つまたは複数のオキソ部分で置換された環系を包含することもできる。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、トリアジニル、イソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、およびアザインドリルである。
【0103】
本明細書では別に指示のない限り、「1つまたは複数の」置換基または「少なくとも1つの」置換基という用語は、利用できる結合部位の数に基づいて、1から最大数の可能な置換基を指す。
【0104】
別に指示のない限り、炭化水素に由来する前述のすべての基は、約1から約20個までの炭素原子(たとえば、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20シクロアルキル、3〜20員ヘテロシクロアルキル、C〜C20アリール、5〜20員ヘテロアリールなど)、または1から約15個までの炭素原子(たとえば、C〜C15アルキル、C〜C15アルケニル、C〜C15シクロアルキル、3〜15員ヘテロシクロアルキル、C〜C15アリール、5〜15員ヘテロアリールなど)、または1から約12個までの炭素原子、または1から約8個までの炭素原子、または1から約6個までの炭素原子を有することができる。
【0105】
「神経毒中毒」は、神経毒による中毒を指す。神経毒は、神経死、したがって神経学的損傷を引き起こし得る任意の化学物質または物質である。神経毒の例はアルコールであり、これは妊婦によって乱用されたとき、新生児において胎児性アルコール症候群として知られるアルコール中毒および神経学的損傷を生じ得る。他の神経毒の例には、これに限定されるものではないが、カイニン酸、ドウモイ酸、およびアクロメリン酸;ある種の農薬、たとえばDDTなど;ある種の殺虫剤、たとえば有機リン酸類など;揮発性有機溶媒、たとえばヘキサカーボン(たとえば、トルエン)など;重金属(たとえば、鉛、水銀、ヒ素、およびリン);アルミニウム;兵器として用いられるある種の化学物質、たとえばエージェントオレンジまたは神経ガスなど;ならびに神経毒性抗腫瘍剤が包含される。
【0106】
本明細書では、式Iの化合物は、薬学的に許容できるそのすべての塩を包含する。
【0107】
本明細書では、「選択的PDE10阻害剤」という用語は、PDE1〜9ファミリーまたはPDE11ファミリーの酵素より大幅にPDE10ファミリーの酵素を有効に阻害する物質、たとえば有機分子を指す。一実施形態において、選択的PDE10阻害剤は、他の任意のPDE酵素の阻害に関してその物質が有するKの約1/10以下である、PDE10の阻害に関するKを有する物質、たとえば有機分子である。換言すると、その物質は、他の任意のPDE酵素の場合に必要とする濃度の約1/10以下の濃度でPDE10活性を同程度阻害する。
【0108】
一般に、ある物質は、約10μM以下、好ましくは約0.1μM以下のKを有する場合、PDE10活性を有効に阻害するとみなされる。
【0109】
「選択的PDE10阻害剤」は、たとえば物質がPDE10活性を阻害する能力を、他のPDEファミリーのPDE酵素を阻害する能力と比較することによって同定できる。たとえば、物質は、PDE1A、PDE1B、PDE1C、PDE2、PDE3A、PDE3B、PDE4A、PDE4B、PDE4C、PDE4D、PDE5、PDE6、PDE7、PDE8、PDE9、およびPDE11に加えて、PDE10活性を阻害する能力に関して分析することができる。
【0110】
「障害を治療する方法」にあるような「治療する」という用語は、そのような用語が適用される障害の進行、または1つもしくは複数のその障害の症状を回復させる、緩和する、または抑制することを指す。本明細書では、この用語はまた、患者の状態に応じて、障害の発症またはその障害に関連する任意の症状の発症を予防することを包含する障害の予防、ならびに発症前に障害またはその任意の症状の重症度を低減することも包含する。本明細書では、「治療する」はある障害の再発を予防することも指す。
【0111】
たとえば、本明細書では「統合失調症、または統合失調症様障害もしくは統合失調感情障害を治療する」は、前記障害の1つまたは複数の症状(陽性、陰性、および他の関連する特徴)を治療すること、たとえばそれに関連する妄想および/または幻覚を治療することも包含する。統合失調症、ならびに統合失調症様障害および統合失調感情障害の症状の他の例には、解体した会話、感情の平坦化、アロギー、快感消失、不相応な情動、不快気分(たとえば、抑うつ、不安、または怒りの形態)、および認知機能障害の一部の徴候が包含される。
【0112】
本明細書では、「哺乳動物」という用語は「哺乳網」の任意のメンバーを指し、これに限定されるものではないが、ヒト、イヌ、およびネコが包含される。
【0113】
本発明の化合物は、単回または多回投与のいずれかで、単独でまたは薬学的に許容できる担体と組み合わせて投与することができる。適切な医薬担体には、不活性固体希釈剤または充填剤、滅菌水溶液、および種々の有機溶媒が包含される。それにより形成される医薬組成物は次いで、錠剤、粉剤、ロゼンジ、液体調剤、シロップ剤、注射液などの様々な投与形態で容易に投与することができる。これらの医薬組成物は、香味剤、結合剤、賦形剤などの追加成分を場合により含有できる。したがって、本発明の化合物は、経口、口腔、鼻腔、非経口(たとえば、静脈内、筋内、または皮下)、経皮(たとえば、パッチ)、もしくは直腸投与用に、または吸入もしくは注入(insufflation)による投与に適した形態で製剤化することができる。
【0114】
経口投与の場合、医薬組成物は、結合剤(たとえば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(たとえば、ラクトース、微結晶性セルロース、またはリン酸カルシウム);潤滑剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ);崩壊剤(たとえば、ジャガイモデンプン、またはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容できる賦形剤を用いて通常の手段によって調製された、たとえば錠剤またはカプセル剤の形態をとることができる。錠剤は、当分野でよく知られている方法によって被覆することができる。経口投与用の液体調剤は、たとえば液剤、シロップ剤、もしくは懸濁剤の形態をとることができ、または使用前に水もしくは他の適切なビヒクルで構成する乾燥製品として提供することもできる。そのような液体調剤は、懸濁化剤(たとえば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、または水素添加食用脂);乳化剤(たとえば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(たとえば、アーモンド油、油性エステル、またはエチルアルコール);および保存剤(たとえば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、またはソルビン酸)などの薬学的に許容できる添加剤を用いて通常の手段で調製することができる。
【0115】
口腔投与の場合、組成物は、通常の様式で製剤化された錠剤またはロゼンジの形態をとることができる。
【0116】
本発明の化合物は、通常のカテーテル技法または注入(infusion)を用いることを含む、注射による非経口投与用に製剤化することができる。注射用製剤は、保存剤を添加して、たとえばアンプルまたは多回投与容器で、単位投与形態として提供することができる。これらの製剤は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、またはエマルションなどの形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの製剤化剤を含有することができる。あるいは活性成分は、使用前に、適切なビヒクル、たとえば滅菌発熱物質除去水で再構成するための粉末形態であることもできる。
【0117】
製品溶液が必要とされる場合、製品溶液は患者への経口または非経口投与に必要とされる強度の溶液を生じるのに充分な量で、水(または他の水性媒質)に単離包接複合体を溶解することによって製造できる。これらの化合物は、口腔内で活性成分が放出されるように設計されている、迅速分散投与形態(fddf)に製剤化することができる。これらの製剤は多くの場合、急速溶解性ゼラチンをベースとしたマトリクスを用いて製剤化されている。これらの投与形態はよく知られており、広範な薬物を送達するために用いることができる。ほとんどの迅速分散投与形態は、担体または構造形成剤としてゼラチンを利用する。典型的に、ゼラチンは、包装から取り出すときに破損を防ぐ充分な強度を投与形態に付与するために用いられるが、ひとたび口に入れると、ゼラチンはその投与形態が即時分解することを可能にする。あるいは、同じ効果を得るために、種々のデンプンが用いられる。
【0118】
本発明の化合物はまた、たとえば通常の坐剤基剤、たとえばカカオバターまたは他のグリセリドなどを含有する、坐剤または停留浣腸などの直腸組成物に製剤化することもできる。
【0119】
鼻腔内投与または吸入による投与の場合、本発明の化合物は、患者によって圧搾されるか、もしくはポンプで送り出されるポンプスプレー容器から溶液または懸濁液の形態で、または適切な噴射剤、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、もしくは他の適切なガスを用いて、加圧式容器もしくはネブライザからエアロゾルスプレー形(aerosol spray presentation)として、好都合に送達される。加圧式エアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達する弁を提供することによって決定することができる。加圧式容器またはネブライザは、活性化合物の溶液または懸濁液を含有することができる。吸入器または注入器で用いるカプセル剤およびカートリッジ剤(たとえば、ゼラチンから製造される)は、本発明の化合物とラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤との混合粉末を含有させて製剤化することができる。
【0120】
平均的成人において上述の状態(たとえば、片頭痛)を治療するためのエアロゾル製剤は、好ましくはエアロゾルの各計量用量または「1吹き(puff)」が本発明の化合物約20mgから約1000mgを含有するように設定される。エアロゾルによる総日用量は、約100mgから約10mgの範囲内となる。投与は1日数回、たとえば2、3、4、または8回、たとえば各回1、2、または3用量の投与であることができる。
【0121】
上述の状態を治療するために、平均的成人に経口、非経口、直腸、または口腔投与される本発明の化合物の提案される日用量は、たとえば1日1から4回投与することのできる単位用量当たり、式Iの活性成分約0.01mgから約2000mg、好ましくは約0.1mgから約200mgである。
【0122】
PDE10および他の遺伝子ファミリーのPDEによる環状ヌクレオチド加水分解の阻害に関して物質をスクリーニングするために、アッセイ方法を利用できる。このアッセイで用いられる環状ヌクレオチド基質濃度はK濃度の1/3であり、異なる酵素間のIC50値の比較を可能にする。PDE活性は、以前に記載された(Fawcettら、2000)シンチレーション近接アッセイ(SPA)に基づく方法を用いて測定される。PDE阻害剤の効果は、IC50がKに近似するような様々な物質濃度および低基質の存在下で、固定量の酵素(PDE1〜11)をアッセイすることによって求められる(1/3Kmの濃度で非標識と[H]標識の比3:1のcGMPまたはcAMP)。最終アッセイ容量は、アッセイ緩衝液[20mM Tris−HCl pH7.4、5mM MgCl、1mg/mlウシ血清アルブミン]で100μlまでとする。反応を酵素で開始し、30℃で30〜60分間インキュベートして<30%の基質代謝回転を得て、ケイ酸イットリウムSPAビーズ50μl(Amersham)(PDE9および11に対してそれぞれの非標識環状ヌクレオチド3mMを含有する)で停止する。プレートを再び密封し、20分間振とうし、その後ビーズを暗所で30分間沈降させ、次いでTopCountプレートリーダー(Packard、Meriden、CT)でカウントする。放射能単位は非阻害対照(100%)に対する活性のパーセントに変換し、阻害剤濃度に対してプロットすることができ、阻害剤IC50値は、Microsoft Excelの拡張機能「Fit Curve」を用いて得ることができる。
【0123】
そのようなアッセイを用いて、本発明の化合物は、PDE10活性の阻害に関して約10マイクロモル未満のIC50を有することが求められた。
【0124】
本発明はまた、式Iの化合物の調製に関する。
【0125】
下記のスキームは、本発明の化合物を調製する種々の方法を示すものである。スキームに例示した種々の置換基(たとえば、R、X、Aなど)は、例示の目的に限られることに留意されるべきであり、上記および請求の範囲の列挙されたものと混同されるべきではなく、それらから独立している可能性がある。
【0126】
スキーム1は、本発明の化合物のピラゾール三環系類の調製を示すものである。酸を塩化チオニルで処理して、所望の酸クロリドを得る。O,N−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩を添加して、カップリングのWeinrebアミドを得る(Weinrebら、Tet Lett.、1981、22(39)3815)。4−ピコリンなどのヘテロアリールメチルとLDA、または置換トルエンとn−ブチルリチウムからアニオンを生成し、その後Weinrebアミドを添加して、ケトンを得る。次いで、ケトンをジメトキシメチル−ジメチルアミンを用いて還流で処理して、エナミノン中間体を形成する。2−ヒドラジニルエタノールで処理して、ピラゾール化合物を得る。カリウムt−ブトキシドなどの種々の塩基で加熱しながら環化して、7員環系を得る。8員環は、ヒドラジニルプロパノールを用いて形成できる。置換アリールフェノールを2−メチルクロロキノリンでアルキル化して、所望のエーテルを得る。このキノリンは、スキーム3およびスキーム4に示す化学を用いて置き換えることができる。
【0127】
【化4】

【0128】
スキーム2は、すべての炭素7および8員環を合成する方法を示すものである。出発ハロゲン化物が臭素またはヨウ素であることを除いて、化学はスキーム1に示したものと同じである。用いるヒドラジンは、1−アリルヒドラジン(7員)または1−(ブト−3−エニル)ヒドラジン(8員)である。次いで、ハロゲンを、ビニルスタンナンを用いパラジウム触媒スティルカップリングによってカップリングする。閉環メタセシス(Grubbsら、Tetrahedron、2004、7117〜7140頁参照)によって、7または8員三環式核を得る。水素化でオレフィンを還元し、ベンジル保護基を除去する。ハロゲン化ヘテロアリールでアルキル化して、最終化合物を得る。
【0129】
【化5】

【0130】
多くの8〜9員ヘテロアリールベンジルハロゲン化物またはアルコールは市販されているか、または文献から知られている。当業者がこれらの中間体を製造する一般的な方法は、アルコールを形成するためのエステル、酸、またはアルデヒドの還元である。一般的な手順の1つは、ベニル位(benylic site)を二酸化セレンで酸化して、アルデヒドを得て、続いてそれを水素化ホウ素ナトリウムで還元するものである。ハロゲン化ベンジルは、ハロゲン化によって形成できる(Syn.Comm.1995、25(21)3427〜3434参照)。これらの類似体は、その後アルキル化または光延反応によって、フェノールとカップリングできる。
【0131】
【化6】

【0132】
多くの10員ヘテロアリールハロゲン化物またはアルコールは市販されているか、または文献から知られている。当業者がこれらの中間体を製造する一般的な方法は、アルコールを形成するためのエステル、酸、またはアルデヒドの還元である。一般的な手順の1つは、ベニル位(benylic site)を二酸化セレンで酸化して、アルデヒドを得て、続いてそれを水素化ホウ素ナトリウムで還元するものである。ハロゲン化ベンジルは、ハロゲン化によって形成できる(Syn.Comm.1995、25(21)3427〜3434参照)。これらの類似体は、その後アルキル化または光延反応によって、フェノールとカップリングできる。
【0133】
【化7】

【実施例】
【0134】
実験手順
一般実験
別に指定がない場合、有機溶媒は、硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムで乾燥した。室温はRTと略す。HPLC−MSシステム1は、Zorbax Bonus−RP(商標)4.6×150mmカラム、1.0mL/分、溶媒A=MeCN、溶媒B=0.1%ギ酸水溶液、10分間でA:B1:9からA:B95:5の直線勾配で構成され、ダイオードアレイおよび質量検出器を備えたHewlett−Packard1100HPLCシステムを用いた。HPLCシステム2は、15分間でA:B3:7からA:B95:5の直線勾配を用いた。RP−HPLCによる精製が示されている場合、X−Terra(商標)50×50mmカラムを備えたShimadzu分取HPLC装置、溶媒A=アセトニトリル、溶媒B=水、それぞれ0.1%のトリフルオロ酢酸(「酸性条件」)または0.1%濃水酸化アンモニウム(「塩基性条件」)を含有、10分間でA:B25%〜85%の直線勾配。
【0135】
(調製1)
4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド
【0136】
【化8】

4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロ安息香酸(3.15g)のジオキサン(32mL)/アセトニトリル(32mL)溶液に、カルボニルジイミダゾール(2.69g)を添加した。窒素雰囲気下で1時間攪拌した後、トリエチルアミン(4.08mL)およびN−メトキシメタンアミン塩酸塩(1.61g)を添加した。一晩攪拌した後、反応混合物を濃縮し、1N NaOHとクロロホルムに分配し、分離し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、濃縮した。10〜30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、biotage MPLCで精製して、表題化合物を得た(3.33g、90%)。
【0137】
(調製2)
1−(4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロフェニル)−2−(ピリジン−4−イル)エタノン
【0138】
【化9】

4−ピコリン(3.35mL)の溶液をTHF(33mL)に溶解し、1当量のLDAを0℃で添加した。別のフラスコに、4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド(3.33g)を添加し、これをTHF55mLに溶解し、−78℃に冷却した。4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド溶液に、1当量の4−ピコリンアニオン溶液を添加し、反応物を1時間攪拌した。1時間後、さらに1当量の4−ピコリンアニオン溶液を添加した。さらに1時間後、反応混合物を酢酸5mLでクエンチし、反応混合物を室温に温めた。飽和重炭酸塩溶液でpHを8に調節し、酢酸エチルで2回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、濃縮して、固体を得た。その固体をエチルエーテルで摩砕し、濾過し、乾燥して、表題化合物2.19gを得た(62%)。
【0139】
(調製3)
2−(5−(4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロフェニル)−4−(ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)エタノール
【0140】
【化10】

1−(4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロフェニル)−2−(ピリジン−4−イル)エタノン(400mg)の溶液に、ジエトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン5mLを添加した。反応物を110℃で2時間加熱し、濃縮した。反応混合物にエタノール4mL、水2mL、酢酸0.45mL、および2−ヒドラジニルエタノール0.11mLを添加し、反応混合物を90℃で4時間加熱した。反応混合物を1N NaOHに注ぎ入れ、クロロホルムで3回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、濃縮した。メチレン中2〜5%MeOHで溶出し、Biotage MPLCで精製。
【0141】
(調製4)
1−ピリジン−4−イル−8−(ベンジルオキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン
【0142】
【化11】

2−(5−(4−(ベンジルオキシ)−2−フルオロフェニル)−4−(ピリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)エタノール(480mg)の溶液に、DMF(8mL)およびカリウムt−ブトキシド(301mg)を添加し、反応混合物を115℃で8時間加熱した。反応混合物を1N NaOHに注ぎ入れ、クロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、濃縮した。0.5〜2%MeOH/塩化メチレンで溶出し、Biotage MPLCで精製して、表題化合物を得た(75mg)。
【0143】
(調製5)
1−ピリジン−4−イル−8−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン
【0144】
【化12】

1−ピリジン−4−イル−8−(ベンジルオキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン(75mg)の溶液に、エタノール10mLおよび酢酸エチル10mL、水酸化パラジウム(75mg)を添加し、Hガス30psi下で4時間、Parrシェーカーに置いた。反応混合物をセライトで濾過し、濃縮した。0.5〜2%MeOH/塩化メチレンで溶出し、biotage MPLCで精製して、表題化合物を得た(45mg、80%)。
【0145】
(実施例1)
1−ピリジン−4−イル−8−(キノリン−2−イルメトキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン
【0146】
【化13】

1−ピリジン−4−イル−8−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレンのDMF(1mL)溶液に、炭酸セシウム(157mg)および2−(クロロメチル)キノリン塩酸塩(42mg)を添加し、反応混合物を60℃で6時間加熱し、1N NaOHに注ぎ入れ、エチルエーテルで3回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過し、濃縮した。0.5〜2%MeOH/0.5%NHOH/80%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、Biotage MPLCで精製して、表題化合物を得た(25mg)。IC50=0.8nM。
【0147】
以下の化合物は、上記のスキームおよび手順によって製造することができる。
1−ピリジン−4−イル−8−(キノリン−2−イルメトキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン
【0148】
【化14】

1−ピリジン−4−イル−8−((1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メタノキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン
【0149】
【化15】

1−ピリジン−4−イル−8−((H−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メタノキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン
【0150】
【化16】

1−ピリジン−4−イル−8−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルメタノキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン
【0151】
【化17】

1−ピリジン−4−イル−8−(キナゾリン−2−イルメタノキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン
【0152】
【化18】

1−ピリジン−4−イル−8−(イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イルメタノキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン、
【0153】
【化19】

および1−ピリジン−4−イル−8−(キノリン−2−イルメトキシ)−4,5,6−ジヒドロ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン。
【0154】
【化20】

【0155】
本明細書に開示される特定の実施形態は本発明のいくつかの態様を例示するためのものであるため、本明細書に記載および請求される本発明は、それらの実施形態の範囲に限定されるものではない。任意の等価の実施形態は、本発明の範囲内であることが意図される。実際、本明細書に示され記載されたものに加えて、本発明の様々な変更が前述の説明から当業者には明らかとなるである。そのような変更も、添付の請求の範囲内であることが意図される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、または薬学的に許容できるその塩
【化1】

[式中、環2は、単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり、前記環2は、少なくとも1つのRで置換されていてもよく、
HETは、8、9、または10員二環式ヘテロアリールであり、前記HETは、少なくとも1つのRで置換されていてもよく、
はそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、CからCアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、CからCアルコキシ、CからCハロアルキル、CからCシクロアルキル、CからCヘテロシクロアルキル、CからCアルキルチオ、−NR、CからCハロアルキルオキシ、−S(O)−R、−C(O)−NR、およびヘテロ原子で置換されたCからCアルキルからなる群から独立して選択され、ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択され、ヘテロ原子は、水素、CからCアルキル、CからCシクロアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、およびCからCハロアルキルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよく、
はそれぞれ、水素、CからCアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、CからCハロアルキル、CからCシクロアルキルからなる群から独立して選択され、
はそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、−NR、CからCアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、CからCアルコキシ、CからCシクロアルキル、CからCアルキルチオ、およびCからCハロアルキルからなる群から独立して選択され、
およびBは、Hetの隣接する原子であり、Bは炭素であり、Bは窒素であり、
XおよびXは、酸素、硫黄、C(R、およびNRからなる群からそれぞれ独立して選択され、ただしXまたはXの少なくとも1つはC(Rであり、
AおよびAは、酸素、S(O)、C(R、およびNRからなる群からそれぞれ独立して選択され、ただしAまたはAの少なくとも1つはC(Rであり、
はそれぞれ、水素、CからCアルキル、CからCシクロアルキル−CからCアルキル、CからCアルキニル、CからCアルケニル、CからCハロアルキル、およびCからCシクロアルキルからなる群から独立して選択され、
はそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、CからCアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、CからCアルコキシ、CからCハロアルキル、CからCアルキルチオ、CからCシクロアルキル、−NR、CからCハロアルキルオキシ、−S(O)−R、−C(O)−NR、ヘテロ原子で置換されたCからCアルキルからなる群から独立して選択され、ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択され、ヘテロ原子は、水素、CからCアルキル、CからCシクロアルキル、CからCアルケニル、CからCアルキニル、およびCからCハロアルキルからなる群から選択される置換基でさらに置換されていてもよいか、
または2つのRは、それらが結合している原子と共に、CからC10シクロアルキル、CからC10シクロアルケニル、(4〜10員)ヘテロシクロアルキル、または(4〜10員)ヘテロシクロアルケニル環を形成してもよく、
はそれぞれ、水素およびCからCアルキルからなる群から独立して選択され、
はそれぞれ、水素、CからCアルキル、CからCアルケニル、およびCからCアルキニルからなる群から独立して選択され、
はそれぞれ、水素、CからCアルキル、CからCシクロアルキル−CからCアルキル、CからCアルキニル、CからCアルケニル、CからCハロアルキル、およびCからCシクロアルキルからなる群から独立して選択され、
n=0または1であり、m=1または2であり、p=0、1、2、または3であり、r=0、1、または2である]。
【請求項2】
前記HETが、以下からなる群から選択される
【化2】

[式中、Yはそれぞれ、CH、CR、または窒素からなる群から独立して選択され、Zは、酸素または硫黄である]、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yがすべて、独立してCHまたはCRである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記HETが、以下からなる群から選択される、
【化3】

請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
環2が、フェニル、4−ピリジル、4−ピリダジニル、およびイソオキサゾリルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
環2が4−ピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がC(Rであり、Xが酸素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
mおよびnが両方とも1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
AおよびAが、それぞれ酸素およびC(Rである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、
1−ピリジン−4−イル−8−(キノリン−2−イルメトキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン;
1−ピリジン−4−イル−8−((1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)メタノキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン;
1−ピリジン−4−イル−8−((H−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル)メタノキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン;
1−ピリジン−4−イル−8−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イルメタノキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン;
1−ピリジン−4−イル−8−(キナゾリン−2−イルメタノキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン;
1−ピリジン−4−イル−8−(イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イルメタノキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン;
1−フェニル−4−イル−8−(キノリン−2−イルメトキシ)−4,5−ジヒドロ−6−オキサ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン;
1−ピリジン−4−イル−8−(キノリン−2−イルメトキシ)−4,5,6−ジヒドロ−3,3a−ジアザ−ベンゾ−アズレン;
および薬学的に許容できるその塩からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
精神病性障害、妄想性障害、および薬物誘発性精神病;不安障害、運動障害、気分障害、神経変性障害、肥満、および薬物嗜癖を治療するための医薬組成物であって、前記障害または状態を治療するのに有効なある量の請求項1に記載の式Iの化合物を含む医薬組成物。
【請求項12】
精神病性障害、妄想性障害、および薬物誘発性精神病;不安障害、運動障害、気分障害、肥満、および神経変性障害から選択される障害を治療する方法であって、前記障害を治療するのに有効なある量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項13】
前記障害が、認知症、アルツハイマー病、多発脳梗塞性認知症、アルコール性認知症もしくは他の薬物関連認知症、頭蓋内腫瘍もしくは脳外傷に関連する認知症、ハンチントン病もしくはパーキンソン病に関連する認知症、またはAIDS関連認知症;せん妄;健忘障害;心的外傷後ストレス障害;精神遅滞;学習障害、たとえば読字障害、算数障害、または書字表出障害;注意欠陥/過活動性障害;加齢性認知低下、軽度、中等度、または重度型の大うつ病エピソード;躁病または混合気分エピソード;軽躁気分エピソード;非定型の特徴を伴ううつ病エピソード;メランコリー型の特徴を伴ううつ病エピソード;緊張型の特徴を伴ううつ病エピソード;分娩後の発症を伴う気分エピソード;脳卒中後うつ病;大うつ病性障害;気分変調性障害;小うつ病性障害;月経前不快気分障害;統合失調症の精神病後うつ病性障害;妄想性障害または統合失調症を含む精神病性障害に併発する大うつ病性障害;双極I型障害、双極II型障害、気分循環性障害を含む双極性障害、パーキンソン病;ハンチントン病;認知症、アルツハイマー病、多発脳梗塞性認知症、AIDS関連認知症、前頭側頭型認知症;脳外傷に関連する神経変性;脳卒中に関連する神経変性;脳梗塞に関連する神経変性;低血糖誘発性神経変性;てんかん発作に関連する神経変性;神経毒中毒に関連する神経変性;多系統委縮症、妄想型、解体型、緊張型、鑑別不能型、または残遺型;統合失調症様障害;妄想型または抑うつ型の統合失調感情障害;妄想性障害;物質誘導性精神病性障害、アルコール、アンフェタミン、大麻、コカイン、幻覚剤、肥満、吸入剤、オピオイド、またはフェンシクリジンによって誘発された精神病;妄想型の人格障害;および統合失調型の人格障害からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
精神病性障害、妄想性障害、および薬物誘発性精神病;不安障害、運動障害、気分障害、神経変性障害、肥満、および薬物嗜癖を治療する方法であって、PDE10を阻害するのに有効なある量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。


【公表番号】特表2009−541481(P2009−541481A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517466(P2009−517466)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/IB2007/001696
【国際公開番号】WO2008/001182
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】