説明

RFIDタグ

【課題】 通信距離を短縮することなく導電性物体や非導電性物体に関わらずに平面や曲面状の設置面に設置可能であって、RFIDタグの表面にICチップの破損のおそれが少ない新規なRFIDタグを提供する。
【解決手段】 所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、一主面の中央部に穴部を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の誘電体基板と、この誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、前記誘電体基板上に設けられ、前記誘電体基板の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、RFID(Radio Frequency Identification)タグに関し、RFIDタグはリーダライタから送信されるコマンド信号を受信し、そのコマンド信号の情報に応じてメモリに格納しているタグ情報を更新し、追記し、又はそのタグ情報をRFIDリーダライタに読み出し信号として送信するものであり、生体・物品の入退室管理や物流管理などに利用されるものである。
【背景技術】
【0002】
RFIDシステムは、ICチップを備えたRFIDタグとRFIDリーダライタとの間で無線通信を行なうものである。RFIDタグは、バッテリーを搭載してその電力で駆動するいわゆるアクティブ型タグと、リーダライタからの電力を受けてこれを電源として駆動するいわゆるパッシブ型タグとがある。アクティブ型タグは、パッシブ型に比べてバッテリーを搭載しているため、通信距離や通信の安定度等の点でメリットがある一方、構造が複雑で、サイズの大型化や高コスト化等のデメリットもある。そして、近年の半導体技術の向上により、パッシブ型タグ用としてICチップの小型化、高性能化が進み、通信距離の拡張や通信の安定度の向上などにより、パッシブ型タグの幅広い分野における使用が期待されている状況である。
【0003】
パッシブ型タグにおいて、周波数帯が長波帯、短波帯のRFIDタグで適用されている電磁誘導方式では、リーダライタの送信アンテナコイルとRFIDタグのアンテナコイルとの間の電磁誘導作用でRFIDタグに電圧が誘起され、この電圧によりICチップを起動して通信を可能としている。したがって、RFIDリーダライタによる誘導電磁界内でしかRFIDタグが動作せず、通信距離は数十cm程度となってしまう。また、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯のRFIDタグでは、電波通信方式が適用されており、電波によりRFIDタグのICチップに電力を供給しているため、通信距離は1〜8m程度と大幅に向上している。したがって、UHF帯及びマイクロ波帯などの高い周波数帯のRFIDタグは、通信距離の短い長波帯、短波帯のRFIDシステムでは実現が困難であった複数枚のRFIDタグの一括読み取りや移動しているRFIDタグの読み取りなども可能となり、その利用範囲は、今後大幅に広がるものと考えられる。そこで、UHF帯又はマイクロ波帯などの高い周波数のパッシブ型タグとしては、例えば、特許文献1〜5に記載されたものがあった。
【0004】
従来のRFIDタグに関し、特許文献1の第3図には、1/2波長マイクロストリップ線路共振器13、誘電体基板14、接地導体板15を備え、1/2波長マイクロストリップ線路共振器13と接地導体板15との間にICチップを接続することにより、接地導体板15側に金属物体(導体)があっても、アンテナの放射特性には殆んど影響せずに金属物体(導体)に設置・貼り付けが可能なRFIDタグが開示されている。なお、ICチップの詳細に関し、特許文献1の第17図には、ワイヤーボンディングなどの技術により、IC106がアンテナ導体100の中心部分につながる接地線路104の裏面で接地導体側の誘電体材料の中に埋没させるように配置されたものが開示され、同様に特許文献1の第18図〜第21図には、IC121が接地導体側の誘電体材料の中に埋没させるように配置されたものが開示されており、特許文献1の段落番号0028には、IC121の接続パッドが形成される面と反対側に接地面が形成できるIC構成であれば、ボンデングワイヤ122、12、2のうち、片方のボンデングワイヤ122が不要である旨の記載がある。
【0005】
特許文献2の第1図には、基材1の表面に形成された端子部3、基材1の一部に形成されたICチップ配置領域9に配置され、端子部3に接続されたICチップ6を備えたRFIDタグが開示されている。そして、それには、ICチップ6を基材1の内部に埋め込む必要はなく、アンテナ上面に実装できるため、基材1の表面に対する加工だけで簡便な構造のRFIDタグを製造でき、歩留りの低減・製造コストダウンが可能になるというものが開示されている。
【0006】
特許文献3の第19図には、誘電体部材10、ICチップ用凹部10b、フィルム基材20、アンテナパターン30、ICチップ40を備えたRFIDタグ5であって、誘電体部材10にICチップ40を埋設可能なICチップ用凹部10bを設け、このICチップ用凹部10bにICチップ40を埋設させ、フィルム基材20の内面側に形成したアンテナパターン30とICチップ40とが電気的に接続するようにフィルム基材20を誘電体部材10に巻き付けてアンテナパターン30により構成したループアンテナにより、電波吸収体の近傍でも通信距離の低下を抑制したものが開示されている。
【0007】
特許文献4の第4図には、アンテナ面30に誘電体20の一部を露出させる開口31が形成され、開口は、互いに対向するように平行に延びる一対の第1スリット31aと、該一対のスリット31aと、該一対のスリット31aを連通する第2スリット31bとを有し、前記第2スリット31bを前記一対の第1スリット31aの中間部に位置させたRFIDタグが開示されている。なお、送受信素子(ICチップ)は、第1及び第2給電点は41、42に接続されている。
【0008】
特許文献5の第1図及び第2図には、長方形の導体板11の中央長手方向にスロット12が設けられて構成されたスロットアンテナ10にICチップ13が搭載されたRFIDタグが開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2000−332523号公報(第3図、第17図〜第21図)
【0010】
【特許文献2】特開2002−197434号(第1図)
【0011】
【特許文献3】特開2006−53833号(第19図)
【0012】
【特許文献4】特開2006−237674号公報(第4図)
【0013】
【特許文献5】特開2002−358494号公報(第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献1に記載のRFIDタグは、金属物体(導体)に設置することは可能であっても、1/2波長マイクロストリップ線路共振器と接地導体板との間にICチップを接続する構成であるために誘電体基板の内部にICチップを埋め込む必要がある。このため、構成が複雑で製造が困難となるという課題がある。
【0015】
特許文献2に記載のRFIDタグは、ICチップの小型化が進んでいたとしても、ICチップの厚みはアンテナパターンや端子部の導体厚と比較すると厚く、しかもICチップが基材の表面に実装されるためにRFIDタグの表面に突起ができてしまう。したがって、特許文献2の段落番号0023に記載されるように、ICチップの実装部全体あるいは一部を被覆保護してRFIDタグの表面を平坦にする必要がある。すなわち、基材にアンテナパターン及びICチップを実装する場合には、衝撃等によりICチップが破損するおそれがあり、RFIDタグの表面(上面)にラベルプリンタを使用して直接印刷することが難しくなるという課題がある。また、基材にアンテナパターンとICチップとを実装したフィルムを接着する場合には、ICチップによるフィルムの膨らみ(突起)が生じるため、やはり前記のような課題がある。
【0016】
特許文献3に記載のRFIDタグは、ICチップによるフィルム(フィルム基材)の膨らみ(突起)は殆んど生じないものの、金属物体などの導電性物体(導体)に貼り付けたりその近傍に設置した場合には、導電性物体の影響によりループアンテナが動作しなくなったり、通信距離が極端に低下してしまうという課題がある。
【0017】
特許文献4に記載のRFIDタグは、特許文献1に記載のRFIDタグと同様に金属物体(導体)に設置することは可能である。しかし、ICチップが誘電体20外に設けられているので、ICチップの小型化が進んでいたとしても、ICチップの厚みはアンテナパターンや端子部の導体厚と比較すると厚く、しかもICチップが基材の表面に実装されるためにRFIDタグの表面に突起ができてしまう。このために、特許文献2に記載のRFIDタグと同じく、衝撃等によりICチップが破損するおそれがあり、RFIDタグの表面(上面)にラベルプリンタを使用して直接印刷することが難しくなるという課題がある。また、基材にアンテナパターンとICチップとを実装したフィルムを接着する場合には、ICチップによるフィルムの膨らみ(突起)が生じるため、やはり前記のような課題がある。このことに加えて、開口が互いに対向するように平行に延びる一対の第1スリット31aと、該一対のスリット31aと、該一対のスリット31aを連通する第2スリット31bとを有し、該開口31は、アンテナ面30のうち該開口31を介して露出する誘電体20によって画される領域36、37が送受信素子に対する整合回路を形成するように構成されているので、給電方向が横方向に対し一対のスリット31aが横長形状となり第2スリット31bにおける横方向の正偏波の電界と併せて一対のスリット31aに縦方向の交差偏波成分の電界も発生するので、正偏波成分の利得が低下するという課題がある。
【0018】
また、発生した交差偏波が、本来正偏波で意図した方向とは異なる方向に放射されるため、リーダライタと通信する時に通信したくない場所にタグがいるのに通信してしまう場合があり、タグの設置方法や運用方法が困難になるという課題もある。さらに、特許文献5に記載のRFIDタグのパッチアンテナは、給電点41、42はアンテナ面30の中央周辺にあるが、スリットをアンテナ面30の中央からずらした位置に配置することを基本としているので、正偏波のパターンも非対称になり、アンテナの放射パターンの対称性に影響を与えるという課題もある。なお、これらの課題から特許文献5のパッチアンテナは、領域36、37と送受信素子(ICチップ)との整合をとることを中心に考えてことが分かる。
【0019】
特許文献5の第1図及び第2図に記載されたRFIDタグは、導体パターン内部にスロットを設けたスロットアンテナを適用しており、特許文献3と同様に金属物体などの導電性物体(導体)に貼り付けたりその近傍に設置した場合には、導電性物体の影響によりループアンテナやダイポールアンテナが動作しなくなったり、通信距離が極端に低下してしまうという課題がある。さらに、特許文献5の第1図に示すスロットの長方向に磁界が発生し、この長さで共振させ放射しているため、高効率で放射するためにはスロット長さはλ/2程度必要となりRFIDタグの小型化にも課題がある。
【0020】
そこで、この発明は、前記のような課題を解消するためになされたもので、通信距離を短縮することなく導電性物体や非導電性物体に関わらずに平面や曲面状の設置面に設置可能であって、RFIDタグの表面にICチップによる突起が生じることもないため、衝撃等によるICチップの破損のおそれが少ない新規なRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1に係るRFIDタグは、所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、一主面の中央部に穴部を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の誘電体基板と、この誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、前記誘電体基板上に設けられ、前記誘電体基板の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするものである。
【0022】
請求項2に係るRFIDタグは、所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、一主面の中央部に穴部を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の誘電体基板と、この誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、フィルム基材と、このフィルム基材上に設けられ、前記フィルム基材の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするものである。
【0023】
請求項3に係るRFIDタグは、前記誘電体基板が、前記ICチップ周辺の硬度が前記ICチップ周辺以外の場所の硬度よりも高い請求項1又は請求項2に記載のものである。
【0024】
請求項4に係るRFIDタグは、所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、一主面の中央部に凹部を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記凹部の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、前記前記第1の誘電体基板及び前記第2の誘電体基板上に設けられ、前記前記第1の誘電体基板の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするものである。
【0025】
請求項5に係るRFIDタグは、所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、一主面の中央部に凹部を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記凹部の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、フィルム基材と、このフィルム基材上に設けられ、前記フィルム基材の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするものである。
【0026】
請求項6に係るRFIDタグは、所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、中央部に一主面から他主面まで貫通した貫通孔を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記貫通孔の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、前記前記第1の誘電体基板及び前記第2の誘電体基板上に設けられ、前記前記第1の誘電体基板の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするものである。
【0027】
請求項7に係るRFIDタグは、所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、中央部に一主面から他主面まで貫通した貫通孔を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記貫通孔の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、フィルム基材と、このフィルム基材上に設けられ、前記フィルム基材の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするものである。
【0028】
請求項8に係るRFIDタグは、所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、中央部に一主面から他主面まで貫通した貫通孔を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記貫通孔の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面及び前記第2誘電体基板における前記第1の誘電体基板の他主面側に設けられた接地導体パターンと、前記前記第1の誘電体基板及び前記第2の誘電体基板上に設けられ、前記前記第1の誘電体基板の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするものである。
【0029】
請求項9に係るRFIDタグは、所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、中央部に一主面から他主面まで貫通した貫通孔を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記貫通孔の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面及び前記第2誘電体基板における前記第1の誘電体基板の他主面側に設けられた接地導体パターンと、フィルム基材と、このフィルム基材上に設けられ、前記フィルム基材の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするものである。
【0030】
請求項10に係るRFIDタグは、前記フィルム基材に形成された前記導体パターンと前記誘電体基板の一主面とを固定する固定手段とを備えた請求項2、請求項5、請求項7、請求項9のいずれかに記載のものである。
【0031】
請求項11に係るRFIDタグは、前記凹部又は前記貫通孔は、円形又は多角形である請求項4〜10のいずれかに記載のものである。
【0032】
請求項12に係るRFIDタグは、前記第2の誘電体基板が、モールド材が固化したものである請求項4〜11のいずれかに記載のものである。
【0033】
請求項13に係るRFIDタグは、前記導体パターン及び前記接地導体パターンのうち少なくとも一方が、金属繊維シートで構成される請求項1〜12のいずれかに記載のものである。
【0034】
請求項14に係るRFIDタグは、前記接地導体パターンが、その一部が切り欠かれた切り欠き部を有する請求項1〜13のいずれかに記載のものである。
【0035】
請求項15に係るRFIDタグは、前記接地導体パターンが、格子状パターン又はメアンダパターンである請求項1〜13のいずれかに記載のものである。
【0036】
請求項16に係るRFIDタグは、前記ICチップが、前記スロットを構成する前記導体パターンの幅方向の両側から前記スロットの内側にそれぞれ延びた電気接続部と電気的に接続された請求項1〜15のいずれかに記載のものである。
【発明の効果】
【0037】
以上のように、この発明に係るRFIDタグは、スロットに発生する電界方向とパッチアンテナの電界方向が一致しているため、交差偏波成分はかなり低く抑えられ、スロットを構成した導体パターンがパッチアンテナの放射部として作用するため、非導電性のみならず導電性の設置物に設置した場合であっても、アンテナ放射特性に殆んど影響を受けることがなく、スロットを介してICチップを導体パターンに電気的に接続する構成であるから、給電損失を低減することができ、そのために通信可能な距離が短縮することもないという効果を奏するほか、ICチップを誘電体基板の穴部に挿入する構成、つまり、誘電体基板内に内蔵されることにより、ICチップによる膨らみが生じないため、衝撃等によるICチップの破損やラベルプリンタにより印刷する場合に、ICチップがローラやドラムに引っ掛かりこれによるICチップの破損が少なくなるという効果を奏する。また、RFIDタグの基材に所定の曲率に曲がる硬度の誘電体基板を使用し、ICチップがRFIDタグの中央周辺に設置されているので、平面だけでなく所定の曲率である曲面状の設置面にも設置可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
実施の形態1.
図1は、この実施の形態1に係るRFIDタグの構成図である。図1(a)は、RFIDタグの平面図、図1(b)は、図1(a)でA−A’線により切断したときの断面図(導体パターン及び接地導体パターンにフィルム基材がない状態)、図1(c)は、図1(a)でA−A’線により切断したときの断面図である。これらの図1において、1は、例えば低硬度(例えば、JIS−A55)のオレフィン系熱可塑性エラストマーにより構成している誘電体基板であるが、溶融した流体樹脂としては、プラスチック等の溶融した有機物である必要性は無く、マグネシウム合金等の持つチクソ性を利用した無機流体物や反応性流体物等であればよいが、但し、RFIDタグを設置する曲面の曲率に対応して曲げることができる程度の低硬度の材質を選択する。もちろん、設置できる曲面の曲率には限界がある。つまり、それは使用する低硬度の材料が曲げることが可能である曲率の限界値(所定の曲率)に依存する。2は、誘電体基板1の一主面(表面)に設けた導体パターン3上及び後述の誘電体基板1の他主面(裏面)に設けた接地導体パターン8上に設けられるフィルム基材である。
【0039】
このフィルム基材2は、フィルムポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニルなどを使用することができ、導体パタ−ン3または接地導体パタ−ン8が真空蒸着法、めっき法、あるいは印刷法等で形成されている。また、フィルム基材2は、その他の柔軟性のあるものでも、そうでない基板といえるものでもよく、また、透明でも有色半透明性のものであってもよい。また、図1(b)のように、フィルム基材2に導体パターン3及び接地導体パタ−ン8を形成せずに、直接、誘電体基板1に印刷などで導体パターン3及び接地導体パタ−ン8を形成してもよい。なお、図1(a)では、フィルム基材2が透明性の場合において、フィルム基材2を通して誘電体基板1が見える状態を示している。以下、導体パターン3にのみフィルム基材2を使用した図面を用いて説明を行っていくが、本発明(実施の形態1及び実施の形態2)は、フィルム基材2を有しない導体パターン3及び接地導体パタ−ン8のRFIDタグや接地導体パタ−ン8のみにフィルム基材2を設けたRFIDタグでも適用できる。
【0040】
ここでは、フィルム基材2と誘電体基板1とは平面において同一寸法としている。3は、フィルム基材2上に設けられた導体パターンである。導体パターン3は、図1(a)に示すように、フィルム基材2の縦及び横の端部から距離dだけ隔ててその内側に形成している。この場合、導体パターン3は、誘電体基板1の縦及び横の端部から距離dだけ隔てて形成しているともいえる。一方、フィルム基材2を誘電体基板1の縦及び横の端部から距離dだけ隔てて、誘電体基板の一主面上に配置することもできる。この場合、導体パターン3はフィルム基材2上の全面に設けることもできる。導体パターン3の中央部には、図1(a)に示すように、長細形状のスロット4を形成している。このスロット4は、導体パターン3をエッチング処理・ミリング処理により形成することができる。もちろん、エッチング処理、真空蒸着法、めっき法、あるいは印刷法等による導体パターン3の形成と同時にスロット4を形成してもよい。そして、このスロット4の長さ及び幅は使用周波数によって決定することができる。5は、誘電体基板1の一主面に形成した穴部である。6は、ICチップで、後述するようなメモリ等から構成している。このICチップ6は、スロット4を介して導体パターン3に電気的に接続している。
【0041】
ここで、ICチップ6と導体パターン3との接続構成について説明する。7、7は、図1(a)及び(b)に示すように、スロット4を構成する幅方向における対向する導体パターン3、3の両側からスロット4の内側にそれぞれ延びる突起状の電気接続部で、それぞれスロット4の両側における導体パターン3、3に連続的に繋がって電気的に接続している。これらの電気接続部7及び7は、エッチングにより導体パターン3の形成と同時に形成すればよい。ICチップ6の端子(図示せず)は、それらの電気接続部7、7に接続することとなる。ICチップ6のサイズがスロット4の幅と同程度又はこれより小さい場合には、スロット4の幅内に入ることになるが、このときに、ICチップ6の端子(図示せず)は電気接続部7、7と接続する。ところが、ICチップ6のサイズがスロット4の幅よりも大きい場合には、ICチップの端子(図示せず)はスロットを介する導体パターン3のスロット4に近い部分に電気的に接続すればよい。したがって、この場合には、前記したような電気接続部7、7を設ける必要はないことになる。
【0042】
また、図1(a)においては、ICチップ6は、スロット4の長さ方向において中央部に配置しているが、その中央部ではなく図1(a)のスロット4に付させた矢印に沿って移動したスロット4の長さ方向の端部に配置しても、RFIDタグをスロット4の長さ方向に沿った線上を基点として谷折り若しく山折りした場合は、誘電体基板1が曲がることにより生じる導体パターン3(ICチップ6)への引張応力がスロット4の長さ方向に沿った線上からRFIDタグの端部に向かって大きくなる、つまり、ICチップ6に掛る引張応力が小さいので問題はない。しかし、RFIDタグをスロット4の幅方向に沿った線上又は長さ方向以外の任意の線上を基点として谷折り若しく山折りした場合は、誘電体基板1が曲がることにより生じる導体パターン3(ICチップ6)への引張応力がスロット4の幅方向に沿った線上又は長さ方向以外の任意の線上からRFIDタグの端部に向かって大きくなるので、ICチップ6がRFIDタグの中央部から離れるにつれて、ICチップ6と導体パターン3との接続の信頼性が引張応力により低下するおそれがある。
【0043】
誘電体基板1の穴部5は、ICチップ6を挿入するために形成したので、その深さやその幅はICチップの大きさに対応したものとなる。もちろん、ICチップ6の周りにモールド材を配している場合は、必然的にICチップ6の外形よりも穴部5が大きくなる。そして、その穴部5を形成する位置については、スロット4のどの位置にICチップ6を配置するかに応じて決定されるのは当然である。いずれにしても、スロット4の形状と寸法は、実装するICチップ6の電気接続部7の数と特性インピーダンスに合わせる必要がある。例えば、インピーダンス整合をとるために、スロット4の形状の微調整に加えて、ICチップ6の接続端子の足が2つの場合には、インピーダンス整合がとれる幅の2本の電気接続部7を形成すればよい。次に、8は、誘電体基板1の他主面(裏面)に設けた接地導体パターンである。9は、誘電体基板1と導体パターン3又は接地導体パターン8が形成されたフィルム基材2とを接着する接着シートである。接着シート9は、導体パターン3を形成する誘電体基板1の面(一主面)では、ICチップ6(穴部5)以外の部分に対応する部分に設け、誘電体基板1とフィルム基材2とを接着、固定することができる。なお、接着シート9以外の接着方法を採用してもよい。
【0044】
図2(a)は、RFIDタグとRFIDリーダライタとの間で送受信を行なう様子を模式的に示した概念図である。図2(b)は、RFIDタグの構成図であり、特に、ICチップ6の内部構成を機能的に示したブロック構成図である。図2(a)(b)において、10は、図1に示した構成のRFIDタグである。11は、RFIDタグ10に設けられたアンテナ部で、図1においてスロット4を形成した導体パターン3に相当するものである。RFIDタグ10のアンテナ部11は、前述した図1(a)及び(b)に示すように、誘電体基板1の一主面(表面)にスロット4を有する導体パターン3を設け、誘電体基板1の他主面(裏面)に接地導体パターン8を設けているので、RFIDタグ10はパッチアンテナとして機能するものである。すなわち、スロット4を有する導体パターン3がアンテナパターン(放射部)として機能する。そして、導体パターン3とスロット4とは、励振するようにRFIDシステムの使用周波数とICチップ6とのインピーダンス整合をとるように調整している。この調整は、誘電体基板1の厚みや比誘電率にも大きく関係するので、これらの条件もあわせて調整、設計することにより、所望の放射パターンや利得を得ることができる。また、スロット4は、導体パターン3の放射パターンが良好となるように導体パターン3の中央部に形成しているのは前記のとおりである。このような条件をあわせて調整して設計することにより、RFIDタグ10における所望の放射パターンや利得が得られ、RFIDタグ10、すなわち、誘電体基板1を大型化することなく、例えば、1〜8m程度の通信距離を得ることが可能となる。
【0045】
また、12は、RFIDリーダライタ、13は、RFIDリーダライタ12に設けられたアンテナ部で、RFIDタグ10のアンテナ部11と無線通信を行なうものである。6は、図1において説明したICチップであり、その具体的構成については、図2(b)に示すような構成としている。14は、RFIDリーダライタ12からの送信波をRFIDタグ10のアンテナ部11により受信し、後段のディジタル回路21に出力するアナログ部である。15は、送信波をA/D変換するA/D変換部、16は、アンテナ部11が受信した送信波を整流回路で平滑化して電力を生成し、RFIDタグ10の各回路に給電及び電源制御を行なう電源制御部である。17は、RFIDタグ10に搭載され、固体識別情報等のタグ情報が格納されたメモリ部である。18は、送信波を復調する復調部、19は、復調部18で復調された送信波によりメモリ部17を含むICチップ6内の回路を制御する制御部である。20は、制御部19によりメモリ部17から引き出された情報を変調する変調部である。21は、復調部15、制御部16及び変調部17により構成されるディジタル部、22は、変調部20から送信されてきた信号をD/A変換し、アナログ部14に出力するD/A変換部である。
【0046】
ここで、このようなRFIDシステムについて、その基本的な動作について説明する。このようなRFIDシステムを利用する用途(生体・物品の入退室管理や物流管理)に合わせて、それらのタグ情報がRFIDタグ10のメモリ部17に格納されており、RFIDリーダライタ12は、自身の送受信エリア内にRFIDタグ10が(入退室管理や物流管理の対象である生体・物品に貼り付けられて)存在又は移動しているときにタグ情報の更新・書き込み、又は読み出しを行なうことができる。RFIDリーダライタ12は、更新・書き込み、又は読み出し等をRFIDタグ10に命令するコマンド信号を送信波としてRFIDリーダライタ12のアンテナ部13からRFIDタグ10のアンテナ部11へ送信する。RFIDタグ10のアンテナ部11が送信波を受信し、送信波は電源制御部16により検波・蓄電(平滑化)され、RFIDタグ10の動作電源を生成し、RFIDタグ10の各回路に動作電源を供給する。また、送信波は復調部18によりコマンド信号が復調される。復調されたコマンド信号の命令内容から制御部19がデータ処理し、メモリ部17へタグ情報の更新・書き込みと読み出しとのいずれか一方、又は両方の指示を行ない、この制御部19の指示によりメモリ部17が出力した読み出し信号が変調部20により変調された返信波がアナログ部14を経由してアンテナ部11からRFIDリーダライタ12のアンテナ部13に送信され、RFIDリーダライタ12が読み出し信号を受信して、所望の情報を得る。
【0047】
さらに、実施の形態1に係るRFIDタグを使用したRFIDシステムの動作について、詳細に説明すると、RFIDリーダライタ12は、更新・書き込み、又は読み出し等をRFIDタグ10に命令するコマンド信号を送信波としてRFIDリーダライタ12のアンテナ部13からRFIDタグ10のアンテナ部11へ送信する。RFIDタグ10を構成する誘電体基板1の電波の放射部である導体パターン3が送信波を受信して、スロット4の対向部分間に電位差が生じ、送信波がICチップ6に供給され、上述のように、ICチップ6に供給された送信波は、電源制御部16により検波・蓄電(平滑化)され、RFIDタグ10の動作電源を生成し、RFIDタグ10の各回路(ICチップ6)に動作電源を供給し、送信波からコマンド信号が復調され、復調されたコマンド信号の命令内容からメモリ部17へタグ情報の更新・書き込みと読み出しとのいずれか一方、又は両方を行ない、メモリ部17が出力した読み出し信号が返信波としてICチップ6に送信波が供給された経路と同じ経路を遡り、放射部である導体パターン3からRFIDリーダライタ12に返信波が送信され、RFIDリーダライタ12のアンテナ部13が返信波を受信して、所望の情報を得るということになる。なお、RFIDシステムが行なう無線通信のデータの中身は、従来からものでもよいし、新規なものでもよく、誘電体基板1の裏面に接地導体パターン8を形成しているので、誘電体基板1の裏面側を設置対象の面に向けることで、設置対象が導体や非導体に関わらず設置が可能な簡易構造のRFIDタグを安価で製造できるため、大量のRFIDタグを必要とする物流管理、倉庫管理、機材管理、自動車の入退場管理など幅広い分野で利用でき、設置対象や設置対象の面が導電性物体などの導体であっても設置することが可能である。
【0048】
次に、図3(a)〜(d)は、実施の形態に係るRFIDタグの製造方法のうち、導体パターン3の形成方法とICチップ6の実装方法について、その断面図を元に各製造工程を説明する。図3(a)においては、フィルム基材2上(フィルム基材2の裏面側)に導体層23を形成する導体層形成工程を示したものである。そして、図3(b)に示すように、導体パターン3を形成すべき領域及びスロット4の内側に電気接続部7、7を形成すべき領域をマスクし、エッチング等により導体パターン3及び電気接続部7、7を同時に形成する導体パターン形成工程を示したものである。なお、フィルム基材2に導体層形成工程を行なわずに、導体パターンをフィルム基材に形成してもよい。そして、図3(c)及び図3(d)に示すように、ICチップ接続工程では、ICチップ6の接続端子24、24を電気接続部7、7に半田付けにより電気的に接続する。この電気的な接続方法としては、リフローによる熱圧着が一般的であるが、その他の方法により接続してもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0049】
また、図4は、フィルム基材の全面に導体層を形成した平面図である。図5(a)は、導体パターン3及びスロット4を形成した後のフィルム基材2の裏面図である。図4に示すように、フィルム基材2の裏面側に全面的に導体層23を形成したものにおいて、フィルム基材2(誘電体基板1)の端部から所定距離dだけ隔てた周囲部分と電気接続部7、7を除いたスロット4部分の導体層を、例えばエッチング処理等により除去した導体パターン3の構成を示している。このときのフィルム基材2の表面から見たときのフィルム基材2の構成を図5(b)に示している。フィルム基材2が透明又は半透明の場合である。また、図6(a)は、フィルム基材2上のスロット4の内側にICチップ6を取り付けた状態の裏面図である。図6(b)は、ICチップをフィルム基材2に取り付けた状態をフィルム基材2の表側から見たときの状態図であり、電気接続部7、7とICチップ6が透明又は半透明なフィルム基材2を通して見えている。このように製作したフィルム基材2を図7に示すように、穴部5をエッチングやミリング等により形成した誘電体基板1(射出成形時に、射出成形金型に穴部5に対応する突起部を設けて穴部5を作成してもよい。)に貼り付けてRFIDタグを製造していた。図7は、穴部を有する誘電体基板の表面図(上面図)であり、誘電体基板1の一主面にICチップ6を挿入するための穴部5を形成した誘電体基板1である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0050】
なお、フィルム基材2を使用せず導体パターン3を誘電体基板1に形成するには、誘電体基板1の穴部5にICチップ6を載置してから誘電体基板1の一主面に印刷・蒸着などにより導体パターン3を設けてもよい。また、銅箔などの導電性薄膜にICチップ6を実装してから、誘電体基板1の一主面に導電性薄膜を固定して、その導電性薄膜をエッチングして導体パターン3を形成してもよい。この場合、ICチップ6は、導電性薄膜がエッチング等で最終的にスロット4(電気接続部7)となる位置に実装する必要があることはいうまでもない。なお、RFIDタグの完成後に、フィルム基材2をRFIDタグから除去する工程を設ければ、上記の方法を使用しなくてもフィルム基材2がないRFIDタグを製造できる。
【0051】
図8は、実施の形態に係るRFIDタグの電界(矢印で記入)を示した電界図である。図8には、ICチップ6周辺の部分拡大図も併せて示すとともに、その部分拡大図において矢印で電界の様子を示している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図8に示した矢印は、接地導体パターン8と導体パターン3との間の電界を示しており、このような電界が導体間で形成されるため、スロット4の対向部分の間に電界が走り、電位差が生じる。誘電体基板1の厚さ方向における電界の強さが零の位置をICチップの給電点としている。図8に示すように、誘電体基板1の内部において、左右の電界が相互に打ち消しあうため、スロット4の長手方向(図8では、奥行き方向)の軸に沿った位置では、電界の強さは零となる。したがって、この位置にICチップ6の電気接続部7を配置すれば、給電損失を大幅に低減することができる。したがって、このように構成すると、導体パターン3の放射パターンの対称性に悪影響を与えることも少なく、通信可能な距離も大きく延ばすこともでき、また、構成が簡単であっても、性能が大幅に向上したRFIDタグが得られるという効果を奏する。
【0052】
図9は、実施の形態に係るRFIDタグにおける特性インピーダンスの変化の様子を示した特性図である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。前記したところでは、フィルム基材2の端部から所定距離dだけ隔てて導体パターン3を形成する旨を記載したが、このことは、誘電体基板1の他主面の全面に接地導体パターン8を形成しているため、所定距離dは、図8に示すように、導体パターン3と接地導体パターン8との四隅における寸法差であるということができる。このようにすれば、所定距離dは、接地導体パターン8が誘電体基板1の他主面の全面に形成していない場合であっても、同じく導体パターン3と接地導体パターン8との四隅における寸法差として考えることができる。そこで、図9において、横軸は所定距離又は前記した寸法差dをRIFDタグの使用周波数の波長比を表したもので、縦軸R[Ω]及びX[Ω]はそれぞれ特性インピーダンスの実部及び虚部を表したものである。ただし、横軸のλは使用周波数の波長である。図9の特性図によれば、所定距離dが0.13λ以上の場合には、RFIDタグ10の特性インピーダンスがほぼ一定となっている。したがって、所定距離dを0.13λ以上とすることにより、RFIDタグの設置対象が導体又は非導体の物体に関わらず、また、空中に浮かしたような状態であっても、RFIDタグの特性インピーダンスがほぼ一定であるから、RFIDの性能が劣化することがなく、RFIDリーダライタ12との無線通信を可能とすることができる。なお、誘電体基板1の穴部5の位置における電界の強さが零の位置であるから、穴部5がない場合におけるRFIDタグの特性インピーダンス変化とほぼ同様であるといえる。
【0053】
図10は、実施の形態1に係るRFIDタグ構成を示した平面図であり、図11は、図10に示したスロット周辺を拡大した平面図である。図11(a)はICチップが未実装の場合の、また、図11(b)はICチップが実装済みの場合の平面図である。これまでは、接続端子24が2つ、すなわち、足が2つのICチップを用いた場合について説明したが、接続端子24が4つのICチップを実装する場合には、電気接続部7,7のほかに、2つのダミーパッド25、25をスロット4に内側であって、接続端子の近傍に設けている。これらのダミーパッド25、25の形成方法は、電気接続部7、7を形成すると同時に、形成する。また、図10,図11からフィルム基材2を通して見えるダミーパッド25、25は、導体パターン3及び電気接続部7、7とは電気的に接続されていない単なるダミーとしてのパッドである。このように、RFIDに実装するICチップ6の仕様の変更に柔軟に対応できるので、簡易構造のRFIDタグを安価で製造することができる。なお、ダミーパッド25の数は、2つに限定されたものではない。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0054】
このように、実施の形態1に係るRFIDタグは、ICチップ6による膨らみが生じない、平面だけでなく所定の曲率である曲面状の設置面にも設置可能、などの効果があるが、さらに、性能を向上する構成を図12〜14により説明する。図12は、実施の形態1に係るRFIDタグの接地導体パターンの形状図、図12(a)は、格子状パターンの接地導体パターンの形状図、図12(a)は、メアンダ状パターンの接地導体パターンの形状図、図13は、実施の形態1に係るRFIDタグの接地導体パターン用金属繊維シートの形状図、図13(a)は、金属繊維シートの表面図、図13(b)は、図13(a)でA−A’線により切断したときの断面図、図13(c)は、図13(b)の金属繊維シートに外力を加えた模式図、図14は、実施の形態1に係るRFIDタグの接地導体パターン用金属繊維シートの形状図、図14(a)は、格子状パターンの接地導体パターンの形状図、図14(a)は、メアンダ状パターンの接地導体パターンの形状図であり、26は、導体が格子状に切り欠かれ、格子状パターンを有する接地導体パターン、27は、接地導体パターン26の切り欠き部、28は、導体がメアンダ状に切り欠かれ、メアンダ状パターンを有する接地導体パターン、29は、接地導体パターン28の切り欠き部、30は、数μm厚が代表的なステンレス鋼繊維シートなどの電磁シールドや静電防止シートに使用される金属繊維シート、31は、金属繊維シート30が格子状に切り欠かれ、格子状パターンを有する接地導体パターン、32は、接地導体パターン31の切り欠き部、33は、金属繊維シート30がメアンダ状に切り欠かれ、メアンダ状パターンを有する接地導体パターン、34は、接地導体パターン33の切り欠き部である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
【0055】
これまでは、RFIDタグ10を曲げた際のアンテナパターンである導体パターン3(電気接続部7)とICチップ6との電気的な接続の信頼性に関して説明してきたが、RFIDタグ10を曲げることにより、影響を受けるのは、導体パターン3(電気接続部7、7)とICチップ6との電気的な接続だけはなく、導体パターン3と誘電体基板1及び接地導体パターン8と誘電体基板1との接着も、誘電体基板1(RFIDタグ)の曲げることにより生じる引張応力が悪影響を及ぼす。特に、誘電体基板1の他主面(裏面)全体に設けることが多い接地導体パターン8に悪影響を及ぼす。例えば、接地導体パターン8側(誘電体基板1の他主面側)が谷となるようにRFIDタグを曲げると、誘電体基板1の端部から誘電体基板1の外側に向けて接地導体パターン8に大きな引張応力が掛り、誘電体基板1の端部の接地導体パターン8が破断や、誘電体基板1からの剥離する可能性がある。
【0056】
また、接地導体パターン8側(誘電体基板1の他主面側)が山となるようにRFIDタグを曲げると、誘電体基板1の端部から誘電体基板1の中央に向けて接地導体パターン8に大きな引張応力が掛り、誘電体基板1の中央の接地導体パターン8が弛み、誘電体基板1からの剥離する可能性や接地導体パターン8の基板との接着状況によっては、接地導体パターン8側が谷となるようにRFIDタグを曲げるときと同様に、誘電体基板1の端部の接地導体パターン8が破断や、誘電体基板1からの剥離する可能性がある。以下、このような接地導体パターン8に代わり、RFIDタグの接地導体として接地導体パターン26及び28、金属繊維シート30、金属繊維シート30による接地導体パターン31及び33を使用することにより、RFIDタグを曲げた際にRFIDタグの接地導体に生じる諸問題の発生を低減させることができること説明する。
【0057】
図12(a)及び(b)に示す格子状パターンが形成された接地導体パターン26やメアンダ状パターンが形成された接地導体パターン28は、接地導体パターン8の一部が切り欠かれた切り欠き部27及び29を有するものである。これらの切り欠き部27及び29により、接地導体の全面に掛っていた引張応力が切り欠き部27及び29により逃がされて、破断や弛みによる誘電体基板1からの接地導体が剥離する可能性が大幅に低減される。また、切り欠き部の形状は図12(a)及び(b)に示すものに限らず、引張応力による悪影響から接地導体を守り、かつ、RFIDタグのパッチアンテナの接地導体として十分動作する、つまり、電気的に接地導体パターン8と等価になるものであればよい。また、複数の切り欠き部の形状が同じである必要はなく、「引張応力が大きく掛る箇所に面積の大きい切り欠き部を配置する。」、「引張応力が大きくなる箇所に向かって徐々に切り欠き部の面積を大きくしていく」、「矩形以外の円形などの丸みが付いた形状」など誘電体基板1の硬度、ICチップ6の位置や大きさ、RFIDタグを設置する(貼り付ける)面の曲率などの要素からトレードオフして、接地導体パターンの導体の間引き量や間引き形状を選択すればよい。なお、「切り欠き」、「切り欠き部」などの表現は、形状を指すために使用しており、接地導体パターンの形成後に導体パターンを実際に切り欠いて形成するものに限定するものではなく、前述した導体パターン3のスロット4などのパターンを形成する手法のように色々な手法が考えられる。
【0058】
また、切り欠き部を形成せずに図13(a)〜(c)に示す金属繊維シート30を接地導体パターン8の代わり使用してもよい。金属繊維シート30は、金属繊維を編みこんだシート状の導体で、厚み(断面長)が薄く、RFIDタグの接地導体として使用することが可能である上に、図13(c)に示すように、外力による変形に対して十分な可撓性を有しており、切り欠き部に代わって引張応力の緩衝材にすることができる。さらに、シート状であるので型抜きなどにより形状が自由に変更できるので、図12に示すような、切り欠き部を金属繊維シートへ施すことができ、引張応力の緩衝材としての性能の向上や金属繊維シートの軽量化を図ることができる。また、図14に示す格子状パターンが形成された金属繊維シート31及びメアンダ状パターンが金属繊維シート33の説明は、金属繊維シート以外の特長は、図12に示す格子状パターンが形成された接地導体パターン26及びメアンダ状パターンが形成された接地導体パターン28や前段落の段落番号「0051」の記載と同様であるので省略する。また、この金属繊維シート30は、前述のように型抜きなどにより形状が自由に変更できるので、接地導体パターン8だけでなく、導体パターン3にも使用できる。なお、金属繊維は、製造(編み込み)時に所望の位置に穴を設けることが容易であるので、この特長を利用し、製造時に引張応力の緩衝材になるような形状や数の穴を設け、これらを切り欠き部の代用としてもよい。
【0059】
図15〜17を用いて本実施の形態1に係るRFIDタグを実際に曲面に貼り付ける工程を説明する。図15は、この実施の形態1に係るRFIDタグの構成図である。図15(a)は、図1(a)でA−A’線により切断したときの断面図、図15(b)は、接地導体パターンに両面テープが形成された図1(b)で示すRFIDタグであり、図15において、8xは、接地導体パターン8、接地導体パターン(格子状)26、接地導体パターン(メアンダ状)28、金属繊維シート30、接地導体パターン(格子状)31、接地導体パターン(メアンダ状)33のうちのいずれかの接地導体パターン(接地導体層)、35は、接地導体パターン8xの下部に設けられた両面テープである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。本実施の形態1に係るRFIDタグを管理対象の物体に貼り付ける際には、アンテナパターンである導体パターン3が形成された誘電体基板1の一主面側をRFIDリーダライタからの電波を受信しやすいように外側に向けるため、接地導体パターン8xが形成された誘電体基板1の他主面側に管理対象の物体の設置面との固定する部材(接着層)を設ける必要がある。この固定する部材は、設置面の材質によるが市販の両面テープを使用すれば事足りことが多い。また、両面テープ以外も接着シートのようなものでも、流動性の接着樹脂でもよい。さらに、接着層に導電性を有するものを使用すれば、導体パターン8xに切り欠き部がある場合において、切り欠き部の面積が大きくても、設置後に十分な性能で動作するRFIDタグが得られ、場合によっては、導体パターン8xを誘電体基板1に設けなくともRFIDタグを動作させることができる。但し、この場合は、設置する前のRFIDタグの動作は保証されない。
【0060】
図16は、この実施の形態1に係るRFIDタグ及びRFIDタグ設置対象物の構成図、図16(a)は、図15(b)に示されたRFIDタグである。また、図16(b)は、RFIDタグ設置対象物(設置面凸型)、図16(c)は、RFIDタグ設置対象物(設置面凹型)であり、それぞれ36、37と符号が付されている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。なお、本発明に係るRFIDタグの性質上、RFIDタグ設置対象物36及び37は、導体であってもよいし、そうでなくてもよい。図16(a)に示すRFIDタグの両面テープ35のRFIDタグと接着している面と反対側の面をRFIDタグ設置対象物36又は37の面に当てて設置を行なう。
【0061】
次に、RFIDタグ設置対象物36及び37にRFIDを設置した状態を、図17を用いて説明する。図17は、この実施の形態1に係るRFIDタグ及びRFIDタグ設置対象物の構成図、図17(a)は、RFIDタグ設置対象物(設置面凸型)に設置されたRFIDタグ、図17(b)は、RFIDタグ設置対象物(設置面凹型)に設置されたである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図17に示すように、本実施の形態1に係るRFIDタグは、設置面が凸状であっても凹状であっても、平面と同様に設置することが容易であり、導体パターン3が曲がっていても、電気長は変化しないなので、放射パターンは多少変形するが導体パターン3は、RFIDタグの電波放射部としての動作には支障がない。また、図17(a)及び(b)の以外に設置面に凹凸の起伏(うねり)が両方存在するRFIDタグ設置対象物でも、ある程度の凹凸の起伏(うねり)であれば設置することができる。
【0062】
以上説明したように本発明の実施の形態1おいては、低硬度(例えば、JIS−A55)のオレフィン系熱可塑性エラストマーなどを用いて、誘電体基板1を製造することで、フレキシブル性を持った誘電体基板によるフレキシブルなRFIDタグが製造可能なので、ドラム缶などの曲面を持つ物体の曲面に沿って設置可能なRFIDタグを得ることができる。また、樹脂成形の基板は、プリント基板数枚を貼り合せて多層化した誘電体基板に対し、樹脂(熱可塑性樹脂)を用いて射出成形した誘電体基板を使用した方が基板コスト(製造コスト)が大幅に下げることができるだけでなく、RFIDタグに用いられる誘電体基板の誘電体(材質)が、一般的なプリント基板で使用されるポリテトラフルオロエチレン(フッ素樹脂系)、セラミック、ガラスエポキシなどの誘電体では、任意の厚さの基板製作が難しく、RFIDタグの設置位置による要求寸法の変化には柔軟に対応できないことに対して、樹脂成形の基板では、金型を変更するだけで容易に厚みや形状の変更が可能であるため、様々なバリエーションのRFIDタグを容易に製作可能である。また、樹脂(熱可塑性樹脂)のなかでも誘電正接が低い特性をもつオレフィン系ポリマーの樹脂をRFIDタグの誘電体基板として使用することで、放射効率が向上し、高利得なRFIDタグを製造可能である。
【0063】
さらに、オレフィン系ポリマーの樹脂の比重は一般的なプリント基板の半分程度であり、RFIDタグの軽量化が可能になる。さらに、ICチップ6は、一般的なプリント基板で使用されるポリテトラフルオロエチレン(フッ素樹脂系),セラミック,ガラスエポキシなどで構成される誘電体基板のように硬くて厚みのある材質に実装する場合、実装する専用設備がなく、一つ一つ実装しなければならず時間がかかることに対して、樹脂成形基板は、フィルム基材2にICチップ6を実装する設備は市場に数多く出回っており、一度に大量生産が可能であり、穴部5の形成を含めて製造時間及びコストを大幅に削減できる。特長点は以下の実施形態2でも同様のことがいえる。
【0064】
実施の形態2.
実施の形態1では、ICチップ6の位置や接地導体パターンの形状や材質により、曲面への貼り付けが可能となったRFIDタグに関して説明したが、この実施の形態2では、さらに、ICチップと導体パターン(スロット、電気接続部)との電気的な接続の信頼性を高めた曲面への貼り付けが可能なRFIDタグについて、図18〜図25を用いて説明する。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。実施の形態2は、ICチップ6の周辺をICチップ6周辺以外(実施の形態1で示した低硬度の誘電体基板1)よりも硬度が高い基板を構成し、ICチップと導体パターンとの電気的な接続の信頼性を向上させつつ、RFIDタグを曲げることによる引張応力の接地導体パターン等の悪影響が大きい基板部分(RFIDタグの端部)は、実施の形態1で示した対策を用いた、より曲げに強いRFIDタグに関するものである。言い換えると、RFIDタグの曲げにより影響が強い部分には低硬度の基板、RFIDタグの曲げにより影響が弱い部分には高硬度の基板を使用し、高硬度の基板に、比較的、曲げに対する耐性が弱いICチップと導体パターンとの電気的な接続箇所を配置したともいえる。
【0065】
具体的な構造に関しては以下で説明するが、実施の形態2に係るRFIDタグは、図面上の見た目の寸法(RFIDタグの外形やスロットの寸法)が実施の形態1に係るRFIDタグと同じになっているが、これは比較して説明する上で分かりやすさを優先したためであり、実際は、実施の形態1における誘電体基板1の材料定数(誘電率・誘電正接など)と実施の形態2における複合された誘電体基板(誘電体基板1と別の誘電体基板との2種の基板を使用)の実効的な材料定数は同じではないので、RFIDタグとして、実施の形態2に係るRFIDタグが実施の形態1に係るRFIDタグと等価な性能を得るためには、RFIDタグ(導体や基板)の各寸法を再調整する必要がある。もちろん、所定距離dも変わる。したがって、実施の形態1と実施の形態2とでは、必ずといっていいほど、RFIDタグの各寸法が異なる。これらのことは、本実施の形態2において、何種類か説明するRFIDタグ同士においても同じことがいえる。
【0066】
図18は、この実施の形態2に係るRFIDタグの構成図、図18(a)は、RFIDタグの平面図、図18(b)は、図18(a)でA−A’線により切断したときの断面図、図19は、この実施の形態2に係るRFIDタグの構成図、図19(a)は、RFIDタグの平面図、図19(b)は、図19(a)でA−A’線により切断したときの断面図であり、図18及び図19において、38はRFIDタグ、39は誘電体基板1と同様の材料で構成された第1の誘電体基板、40は第1の誘電体基板39の一主面に設けられた円形の凹部、41は凹部40(又は後述の凹部44、凹部46、凹部48、貫通孔50貫通孔52、段差部54、)に挿入され、第1の誘電体基板39よりも高硬度である第2の誘電体基板、42は第1の誘電体基板39の一主面側において第2の誘電体基板41に形成した穴部で、実施の形態1の穴部5と同等のものである。43はRFIDタグ、44は第1の誘電体基板39の一主面に設けられた矩形の凹部である。
【0067】
図18や図19のように、ICチップ6が載置された穴部42が形成された第2の誘電体基板41が第1の誘電体基板39よりも高硬度の基板を使用しているので、ICチップ6と導体パターン3(電気接続部7、7)との電気的な接続に対するRFIDタグ38又はRFIDタグ43の曲げによる影響を減ずることができる。また、凹部40、44や第2の誘電体基板の断面形状は、円形や矩形に限られたものではなく、楕円、十字型、星型及び多角形でもよい。樹脂成形で第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41を製造すれば任意の形状にそれぞれの基板を製造することができるので、RFIDタグの曲げ方や曲げる方向に応じて形状を選択すればよい。さらに、凹部40、44や第2の誘電体基板の頭頂部から底部まで同じ断面形状である必要はない。例えば、図18に示すような、円柱の凹部40、44や第2の誘電体基板でなく、頭頂部から底部にかけてテーパ状に細くなる円錐でもよい。なお、RFIDタグ38及び44の製造方法は、第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41の製造後、第2の誘電体基板41を第1の誘電体基板39に嵌合又は接着を行なう以外は、実施の形態1で説明したRFIDタグ10と同様であるので省略する。なお、実施の形態1において、ICチップ6を載置する穴部5を拡張して、凹部40又は44として、この凹部40又は44に第2の誘電体基板の代わりにモールド材を注入して、図18や図19のような構成を実現してもよい。
【0068】
図20は、この実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。図20(a)は、RFIDタグの平面図、図20(b)は、図1(a)でA−A’線により切断したときの断面図、図21は、この実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。図21(a)は、RFIDタグの平面図、図21(b)は、図21(a)でA−A’線により切断したときの断面図であり、図20及び図21において、45はRFIDタグ、46はスロット4の長さ方向の長さよりも直径が大きい円形の凹部、47はRFIDタグ、48はスロット4の長さ方向の長さよりも一辺の長さが大きい矩形の凹部である。図18や図19に示すRFIDタグとは基本構成やRFIDタグとして機能は同じであるが、図20や図21に示すRFIDタグは、スロット4が第2の誘電体41上のみにパターンを有することになるので、RFIDタグを曲げた際に第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との接触面(嵌合面・接着面)に掛る負荷がスロット4の沿端に掛ることがなく、負荷がフィルム基材2だけでなく、導体パターン3とフィルム基材2とで抑えられ、スロット4のパターンの破断や弛みによるパターンの基板からの剥離を防ぐ効果がより高いという点で異なる。
【0069】
また、凹部46、48や第2の誘電体基板の断面形状は、円形や矩形に限られたものではなく、楕円、十字型、星型及び多角形でもよい。樹脂成形で第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41を製造すれば任意の形状にそれぞれの基板を製造することができるので、RFIDタグの曲げ方や曲げる方向に応じて形状を選択すればよい。さらに、凹部46、48や第2の誘電体基板の頭頂部から底部まで同じ断面形状である必要はない。例えば、図20に示すような、円柱の凹部46、48や第2の誘電体基板でなく、頭頂部から底部にかけてテーパ状に細くなる円錐でもよい。なお、RFIDタグ45及び47の製造方法は、第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41の製造後、第2の誘電体基板41を第1の誘電体基板39に嵌合又は接着を行なう以外は、実施の形態1で説明したRFIDタグ10と同様であるので省略する。
【0070】
図22は、この実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。図22(a)は、RFIDタグの平面図、図22(b)は、図22(a)でA−A’線により切断したときの断面図、図23は、この実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。図23(a)は、RFIDタグの平面図、図23(b)は、図23(a)でA−A’線により切断したときの断面図であり、図22及び図23において、49はRFIDタグ、50はスロット4の長さ方向の長さよりも直径が大きい円形の貫通孔、51はRFIDタグ、52はスロット4の長さ方向の長さよりも一辺の長さが大きい矩形の貫通孔である。図20や図21に示すRFIDタグとは基本構成やRFIDタグとして機能は同じであるが、図20や図21に示すRFIDタグの第2の誘電体基板41は、図18や図19に示すRFIDタグの第2の誘電体基板41と比して容積や面積が大きいので、RFIDタグを曲げた際に第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との接触面(嵌合面・接着面)がRFIDタグの端部に近いために、その接触面に掛る負荷が大きくなり、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41とが分離してしまう可能性があるが、図22や図23に示すRFIDタグでは、第1の誘電体基板39に貫通孔50又は貫通孔52を設け、第2の誘電体基板41をそこに挿入・固定させるので、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との接触面が多くなり、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41とが分離してしまう可能性を減じることができる。もちろん、図18や図19に示すRFIDタグの第1の誘電体基板39にも貫通孔を設けて、その貫通孔の形状に対応した第2の誘電体基板41を挿入・固定してもよい。
【0071】
また、貫通孔50、52や第2の誘電体基板の断面形状は、円形や矩形に限られたものではなく、楕円、十字型、星型及び多角形でもよい。樹脂成形で第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41を製造すれば任意の形状にそれぞれの基板を製造することができるので、RFIDタグの曲げ方や曲げる方向に応じて形状を選択すればよい。さらに、貫通孔50、52や第2の誘電体基板の頭頂部から底部まで同じ断面形状である必要はない。例えば、図22に示すような、円柱の貫通孔50、52や第2の誘電体基板でなく、頭頂部から底部にかけてテーパ状に細くなる円錐でもよい。なお、RFIDタグ49及び51の製造方法は、第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41の製造後、第2の誘電体基板41を第1の誘電体基板39に嵌合又は接着を行なう以外は、実施の形態1で説明したRFIDタグ10と同様であるので省略する。さらに、前述の通りICチップ6周辺の電界は、スロット4の近傍に集中するので(図8)、その電界が集中する箇所の真下である第1の誘電体基板39の他主面側における第2の誘電体基板41には、接地導体パターン8xを設けなくてもよい。つまり、これは第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41とを固定(嵌合・接着)する前に接地導体パターン8xを設ける必要がないことを指し、結果として選択できる製造方法のバリエーションが増えるという効果がある。
【0072】
図24は、この実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。図24(a)は、RFIDタグの平面図、図24(b)は、図24(a)でA−A’線により切断したときの断面図であり、図24においては、53はRFIDタグ、54は第1の誘電体基板39の中央、かつ、第1の誘電体基板39の対向する辺から辺に設けられた段差部である。RFIDタグ53は、図18〜23に示すRFIDタグとは異なり、第1の誘電体基板39に凹部や貫通孔などの開口を第1の誘電体基板39の一主面に設ける代わりに、開口を第1の誘電体基板39の一主面及び側面に設けた凹部状の段差部54に第2の誘電体基板41を嵌合又は接着させた構造を採っているので、第1の誘電体基板39の一主面側から第2の誘電体基板41を挿入するにしろ、第1の誘電体基板39の側面から第2の誘電体基板41を挿入するにしろ、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との位置合わせが容易になるという効果を奏する。
【0073】
また、段差部54や第2の誘電体基板41の表面は平らにする必要はなく、波状のうねりや嵌合用の凹凸を表面に設けて第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との結合の強さを高めてもよいし、段差部54は、スロット4に対して平行に形成する必要はなく、RFIDタグの曲げ方や曲げる方向に応じて方向を選択すればよい。さらに、段差部54や第2の誘電体基板の頭頂部から底部まで同じ断面形状である必要はない。例えば、図24に示すような、立方体の段差部54や第2の誘電体基板でなく、頭頂部から底部にかけてテーパ状に細くなる台形錐でもよい。なお、RFIDタグ53の製造方法は、第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41の製造後、第2の誘電体基板41を第1の誘電体基板39に嵌合又は接着を行なう以外は、実施の形態1で説明したRFIDタグ10と同様であるので省略する。
【0074】
図25は、この実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。図25(a)は、RFIDタグの平面図、図25(b)は、図25(a)でA−A’線により切断したときの断面図であり、55はRFIDタグ、56は第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板39との連接面である。RFIDタグ55は、図24に示すRFIDタグ53の段差部54を廃して、第2の誘電体基板41の側面に連接面56を介して第1の誘電体基板39が配置され、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41と結合してもので、まず、第2の誘電体基板41を作成して後に、射出成形の金型に第2の誘電体基板41を入れて、代の誘電体基板39となる樹脂を入れることにより製造される。単に、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41とを別々に製造して連接面56で張り合わせてもよい。
【0075】
また、連接面56における第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41は平らにする必要はなく、波状のうねりや嵌合用の凹凸を表面に設けて第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との結合の強さを高めてもよいし連接面56は、スロット4に対して平行に形成する必要はなく、RFIDタグの曲げ方や曲げる方向に応じて方向を選択すればよい。さらに、連接面56における第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41は、頭頂部から底部まで(一主面から他主面まで)同じ断面形状である必要はない。例えば、図25示すような、垂直な連接面56でなく、一主面から他主面にかけてテーパ状に細くなる連接面でもよい。なお、RFIDタグ55の製造方法は、第2の誘電体基板41と第1の誘電体基板39との結合後は、実施の形態1で説明したRFIDタグ10と同様であるので省略する。
【0076】
以上説明したように本発明の実施の形態2おいては、RFIDタグの記誘電体基板において、ICチップ6周辺の硬度がICチップ6周辺以外の場所の硬度も高くなるようにしたので、本発明の実施の形態1に係るRFIDタグの効果に加えて、RFIDタグを曲面に張った際のICチップ6と導体パターン3(電気接続部7、7)との電気的な接続の信頼性がより高いRFIDタグが得れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの構成図である。
【図2】RFIDシステムの基本構成図である。
【図3】この発明に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグ製造工程図である。
【図4】この発明に係るフィルム基材の構成図図である。
【図5】この発明に係るフィルム基材に形成された導体パターン図である。
【図6】この発明に係るフィルム基材に形成された導体パターン図(ICチップ接続済み)である。
【図7】この発明に係る穴部が形成された誘電体基板構成図である。
【図8】この発明に係るRFIDタグの電界図である。
【図9】この発明に係るRFIDタグの特性インピーダンス図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの製造方法により製造されたRFIDタグ構成図(ダミーパッド付き)である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグのスロット周辺拡大図(ダミーパッド付き)である。
【図12】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの接地導体パターンの形状図である。
【図13】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの接地導体パターン用金属繊維シートの形状図である。
【図14】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの接地導体パターン用金属繊維シートの形状図である。
【図15】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグの構成図である。
【図16】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグ及びRFIDタグ設置対象物の構成図である。
【図17】この発明の実施の形態1に係るRFIDタグ及びRFIDタグ設置対象物の構成図である。
【図18】この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。
【図19】この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。
【図20】この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。
【図21】この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。
【図22】この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。
【図23】この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。
【図24】この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。
【図25】この発明の実施の形態2に係るRFIDタグの構成図である。
【符号の説明】
【0078】
1…誘電体基板、2…フィルム基材、
201…導体付きフィルム基材(導体層(接地導体パターン8)付き)、
202…導体付きフィルム基材(導体パターン3付き)、3…導体パターン、
4…スロット、5…穴部、6…ICチップ、7…電気接続部、8…接地導体パターン、
9…接着シート、10…RFIDタグ、11…アンテナ部(タグ)、
12…RFIDリーダライタ、13…アンテナ部(リーダライタ)、14…アナログ部、
15…A/D変換部、16…電源制御部、17…メモリ部、18…復調部、
19…制御部、20…変調部、21…ディジタル部、22…D/A変換部、
23…導体層、24…接続端子、25…ダミーパッド、
26…接地導体パターン(格子状)、27…切り欠き部、
28…接地導体パターン(メアンダ状)、29…切り欠き部、30…金属繊維シート、
31…接地導体パターン(格子状)、32…切り欠き部、
33…接地導体パターン(メアンダ状)、34…切り欠き部、35…両面テープ、
36…RFIDタグ設置対象物(設置面凸型)、
37…RFIDタグ設置対象物(設置面凹型)、38…RFIDタグ、
39…第1の誘電体基板、40…凹部(円形)、41…第2の誘電体基板、42…穴部、
43…RFIDタグ、44…凹部(矩形)、45…RFIDタグ、46…凹部(円形)、
47…RFIDタグ、48…凹部(矩形)、49…RFIDタグ、
50…貫通孔(円形)、51…RFIDタグ、52…貫通孔(矩形)、
53…RFIDタグ、54…段差部、55…RFIDタグ、56…連接面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、一主面の中央部に穴部を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の誘電体基板と、この誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、前記誘電体基板上に設けられ、前記誘電体基板の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、一主面の中央部に穴部を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の誘電体基板と、この誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、フィルム基材と、このフィルム基材上に設けられ、前記フィルム基材の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項3】
前記誘電体基板は、前記ICチップ周辺の硬度が前記ICチップ周辺以外の場所の硬度よりも高い請求項1又は請求項2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、一主面の中央部に凹部を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記凹部の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、前記前記第1の誘電体基板及び前記第2の誘電体基板上に設けられ、前記前記第1の誘電体基板の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項5】
所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、一主面の中央部に凹部を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記凹部の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、フィルム基材と、このフィルム基材上に設けられ、前記フィルム基材の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項6】
所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、中央部に一主面から他主面まで貫通した貫通孔を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記貫通孔の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、前記前記第1の誘電体基板及び前記第2の誘電体基板上に設けられ、前記前記第1の誘電体基板の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項7】
所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、中央部に一主面から他主面まで貫通した貫通孔を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記貫通孔の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面に設けられた接地導体パターンと、フィルム基材と、このフィルム基材上に設けられ、前記フィルム基材の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項8】
所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、中央部に一主面から他主面まで貫通した貫通孔を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記貫通孔の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面及び前記第2誘電体基板における前記第1の誘電体基板の他主面側に設けられた接地導体パターンと、前記前記第1の誘電体基板及び前記第2の誘電体基板上に設けられ、前記前記第1の誘電体基板の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項9】
所定の曲率の曲面に設置可能なRFIDタグであって、中央部に一主面から他主面まで貫通した貫通孔を有する少なくとも前記所定の曲率に曲がる硬度の第1の誘電体基板と、前記貫通孔の内部に設けられ、前記第1の誘電体基板の一主面側に穴部を有し、前記第1の誘電体基板よりも硬度が高い第2の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の他主面及び前記第2誘電体基板における前記第1の誘電体基板の他主面側に設けられた接地導体パターンと、フィルム基材と、このフィルム基材上に設けられ、前記フィルム基材の端部から所定距離だけ隔ててその内側に設けられた導体パターンと、この導体パターンの内部に長細形状のスロットを構成し、このスロットを介して前記導体パターンに電気的に接続され、前記第2の誘電体基板の前記穴部に挿入されたICチップとを備えたことを特徴とするRFIDタグ。
【請求項10】
前記フィルム基材に形成された前記導体パターンと前記誘電体基板の一主面とを固定する固定手段とを備えた請求項2、請求項5、請求項7、請求項9のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項11】
前記凹部又は前記貫通孔は、円形又は多角形である請求項4〜10のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項12】
前記第2の誘電体基板は、モールド材が固化したものである請求項4〜11のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項13】
前記導体パターン及び前記接地導体パターンのうち少なくとも一方は、金属繊維シートで構成される請求項1〜12のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項14】
前記接地導体パターンは、その一部が切り欠かれた切り欠き部を有する請求項1〜13のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項15】
前記接地導体パターンは、格子状パターン又はメアンダパターンである請求項1〜13のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項16】
前記ICチップは、前記スロットを構成する前記導体パターンの幅方向の両側から前記スロットの内側にそれぞれ延びた電気接続部と電気的に接続された請求項1〜15のいずれかに記載のRFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−64145(P2009−64145A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230037(P2007−230037)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】