説明

S−アデノシルメチオニン製剤の改善された薬物動態

改善された薬物動態プロファイルを示すSAMe製剤を用いて種々の疾患を治療する方法として、S‐アデノシルメチオニン(SAMe)の薬物動態プロファイルを改善する組成物および方法を提供する。より詳細には、本発明は外因性SAMeの改善された薬物動態プロファイルを示す製剤の投与により、被験者の疾患あるいは障害を治療および/または被験者の栄養状態を改善する方法に関する。また、この方法は本発明の組成物を一晩絶食した後、つまり、朝食事を摂取する前に1日1回被験者に経口投与するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年7月28日に出願された米国特許仮出願番号61/229,186、その全体を参照として本明細書に組み込む、に対する優先権を主張する。
本発明は、S−アデノシル−L−メチオニン(「SAM−e」または「SAMe」)の薬物動態プロファイルを改善するための、組成物および方法に関連する。より詳細には、本発明は、従来のSAMe製剤の同程度のまたはより高い用量と比較して、増加したSAMe血漿濃度およびAUC値を生じさせる製剤に関連する。本発明は、外因性SAMeの改善された薬物動態プロファイルを示す製剤を投与することによって、被験者の疾患あるいは障害を治療することについての、および/または、被験者の栄養状態を改善することについての方法に方向づけられる。本方法は、被験者に経口で1日1回本発明の組成物を、ひと晩の絶食後にそして朝での食品摂取の前に、投与することも含み、このことは、従来の1日2回(またはそれ以上)の投薬レジメンに関連した副作用(例えば不眠症および胃腸関連)をある程度軽減し得る。本発明の組成物は、従来の経口の剤形と比較して、外因性SAMeの発現の速い速度も提供し得る、このことは、有効性の改善を生じさせる可能性がある。
【背景技術】
【0002】
S−アデノシル−L−メチオニン(「SAMe」)は、身体全体の組織に存在する自然に発生する化合物である。分子レベルでは、SAMeは、メチル基転移、硫酸化転移、およびとアミノプロピル化(aminopropylation)を含む様々な代謝経路に関与する。
【化1】

S−アデノシル−L−メチオニン(SAM−e)
【0003】
体内では、SAMeは、アミノ酸、メチオニン、およびヌクレオチド三リン酸であるATPから合成される。SAMeは、関節炎、肝臓病、およびうつ病を含む様々な病気の治療に関する多数の臨床試験においてテストされてきた。
【0004】
SAMeのサプリメントは、製造、輸送と保管におけるSAMeイオンの不安定性のために、初めは非実用的と考えられた。最終的に、SAMeの安定性の塩が開発された(例えば、SAMeトシレート二硫酸塩(SAMe tosylate disulfate)、SAMeのブタンジスルホン酸塩、SAMeのジ−パラ−トルエンスルホン酸塩二硫酸塩(di−para−toluene sulfonate disulfate)、SAMeのトリ−パラートルエンスルホン酸塩(tri−para−toluene sulfonic acid salt)など)。これらの塩は、錠剤、カプセル、および顆粒剤を含むがこれらに限定されない非経口的ではない投与、のために使用される標準的で既知の技術を使用して、形成され得る。これらのような製剤は、コーティングも含み得、コーティングは、例えば、胃の刺激の減少、味や飲み込むことの容易さの改善、例えば湿気といった要素からカプセル化SAMeを安定させることなどの多数の目的を満たし得る。SAMeの安定性塩は、例えば、米国特許第3,954,726号および第4,057,686号で記述され、それらの全体を参照として本明細書に組み込む。従来のSAMeのAPIは、いくつかの対イオンとともにイオンを含む分子的実体、として供給される。例えば、SAMeイオンにトシラートおよび二硫酸の対イオンが添加されたものは、商業的に入手可能なアデノシルメチオニン二硫酸塩−p−トルエンスルホン酸(また、SAMeトシレート二硫酸塩とも呼ばれる)を形成する。SAMeの投薬を参照すると、数値用量(通常ミリグラムで)は、投与されるSAMeイオンの量を意味することが、当該技術で現在受け入れられている。例えば、SAMeトシラート二硫酸塩の「400mgのSAMe錠剤」に関しては、400mgのSAMeイオン、他の370mgの対イオン、および200〜300mgのさらなる賦形剤を含み得る、そして1.0〜1.1グラムの最終的な錠剤重量を形成する。したがって、例えば、通常、当該技術で報告される、SAMeの1600mgの経口用量は、典型的に、一回に摂取される4つのそのような1.0〜1.1グラム錠剤の用量であろう。代わりに、SAMeイオンの同じ1600mg用量は、例えば、一回に摂取される16個の100mgのSAMeイオンの錠剤または8個の200mgのSAMeイオンの錠剤といった、複数の錠剤の他の組み合わせの投与によっても達成され得る。従来のSAMeの経口剤形は、約400のmgのSAMeイオンを使用して最も一般に生産されている;それ以上では、400mgのSAMeイオンでさえ、1.0〜1.1グラムで非常に大きな錠剤であることを考えると、より大きな剤形は飲み込むことを困難にする。
【0005】
外因性SAMe曝露は、複数の薬物動態パラメーター、最も一般的なものはCmax、Tmax、およびAUC、を見ることによって、測定され得る。非経口的ではないSAMe投与の後では、血液中のその濃度はピーク濃度に達するまで増加し、血漿中でのこの測定がCmaxであり、Cmaxに達するまでにかかった時間がTmaxと呼ばれる。(血漿濃度)曲線下の面積、すなわちAUCは、もう1つの有用な測定であり、ある期間にわたる体循環での薬曝露を示す。
【0006】
ヒトにおいてこれらの薬物動態パラメーターを調べたいくつかの研究は、SAMeに関して記録された。SAMeの静脈内投与(IV)に対しての経口投与の役割は、小さな範囲で調査され、また長期間にわたる反復投与の効果も調査された。Giulidoriらは、IVで投与された単一用量後に、SAMeの血漿中の薬剤濃度および半減期を報告する(Giulidori, P. et al., (1984) Eur. J. Clin. Pharmacol. 27:119.)。他の群は、経口で投与された単一用量後に、SAMeの血漿中濃度を調べた(Stramentinoli, G. (1987) Am. J. Med. 83:35.)。最近の研究は、経口およびIVで投与されたSAMeトシレート二硫酸塩の投与1日後および投与5日間後に、SAMe薬物動態パラメーターを調べている(Yang, J. et al (2009) Clin. Therapeutics, 31 (2): 311.)。従来の技術は、経口でのSAMeの半減期が短いこと、また経口製剤のAUC値が低いことを示す。
【0007】
従来の先行する技術のSAMe剤形と比較して、改善された薬物動態プロファイルを有する非経口ではないSAMe製剤を生み出す技術の必要性が存在する。例えば、Cmax値および/またはAUC値の増加を有するもの、またより強力なものでありSAMeの低用量において類似のCmax値およびAUC値を示すもの、である。高いCmaxまたはAUC製剤は、SAMeサプリメントに対して増加した生物学的応答を引き起こし得る、また「高い効力」を有する製剤は、錠剤数が少ないという有益性を、そして望ましいCmax値および/またはAUC値に関して増加した忍容性の可能性を、有するであろう。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、外因性SAMeの薬物動態的(PK)プロフィールが、溶解の特定の「方法」内においてSAMeのかなりの量を放出するよう剤形をデザインすることによって、顕著に改善され得ることを発見した。SAMeの大部分を極めて早く放出する製剤(すなわち薬剤の初期での「爆発」を示すもの)は、また薬剤放出が遅い製剤は、SAMeのin vivoでのPKプロフィールの改善はされ得ない。本明細書の研究者らは、好ましい薬剤放出レベルのこの予想外の「方法」内においてSAMeを放出するようデザインされる組成物および方法について明らかにする。したがって、いくつかの実証された実施形態では、改善されたSAMeのPKプロフィールを示す組成物は、定義された溶解「方法」内において薬剤放出の量を標的とし、この「方法」は、in vitroでは好ましい薬剤放出のための特定の時間間隔に関連し、in vivoでは消化管の特定の領域にかけての変化に関連する。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、改善されたin vivoのPKプロフィールは、外因性SAMeと、適当な賦形剤および/または、例えば、厚さ、含水量、もろさ、硬度、崩壊、または溶解の特性といった特定の製品特徴を与える加工パラメーターとを組み合わせて生じる。したがって、本発明の例示された実施形態は,従来の先行する技術のSAMe剤形と比較して、改善された薬物動態プロファイル、特にin vivoでの高いSAMe Cmax値および/または増加したAUC値、を示す、非経口ではない組成物および方法に関連する。いくつかの例示的な実施形態では、絶食する個人の消化管内の部位の望ましい範囲にわたる薬剤放出の標的量を示す、改善されたPKのSAMe組成物を特徴とする。特定の実施形態では、機能的なコーティングがin vitroにおける正確な時間間隔での組成物の広範囲な溶解を可能にするように、標的の薬剤放出は、1つまたはそれ以上の機能的なコーティングの使用によって達成される。いくつかの実施形態では、標的の薬剤放出製剤は、低pH溶解プロファイル使用してin vitroで同定される。低pH溶解の研究は、標準のpH6.8未満で行なわれる。したがって、本発明は、in vivoで改善された薬物動態的価値を与える製品を同定するための、剤形候補の特定の溶解プロファイルを利用した、in vitroでのスクリーニング方法も提供する。標準的な溶解方法は、これらの改善されたPK剤形を他のものから、効果的に区別しない。低pH値(本発明の剤形の放出の標的である、十二指腸または小腸上部内の特定の部位のpHを模倣した)で溶解プロファイルを得ることは、pH6.8(末端小腸のpHを最も良く表す)での溶解プロファイルと比較して、in vivoでの改善された薬物動態パラメーターを生じさせる、迅速だが標的とする溶解剤形を同定する。
【0010】
他の例証的な実施形態では、改善されたSAMeのPKプロフィールを示す組成物は、非常に低い相対湿度の条件下で生じる。SAMeは、機能的な硬さの製品を作製するために、低湿度の条件(約35%未満)下で生産されることが、一般に知られている。しかし、本明細書の研究者らは、湿気が非常に低い条件、約10%未満、に維持された場合に生産されるSAMe剤形が、例えばコーティング厚さといったさらなるパラメーターでの変化によって影響を受けることが少ない改善されたPKプロフィール、といったさらなる有益性を示すことを、見出した。
【0011】
本明細書で提供されるのは、SAMeの生理的に効果的な用量を含む組成物であり、そこで、選択された被験者群への該組成物の非経口的ではない投与は、該選択された被験者群において以下の内1つを含む効果を生じさせる:a.SAMeイオンの1600mg用量に関して、少なくとも約1800ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax);b.SAMeイオンの1600mg用量に関して、少なくとも約7500ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、c.SAMeイオンの800mg用量に関して、少なくとも約850ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および/もしくは少なくとも約4000ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、d.SAMeイオンの400mg用量に関して、少なくとも約400ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および/もしくは少なくとも約1800ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、e.SAMeイオンの200mg用量に関して、少なくとも約200ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および/または少なくとも約900ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、f.SAMeイオンの100mg用量に関して、少なくとも約100ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および/または少なくとも約450ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC)。いくつかの実施形態では、組成物は、該平均SAMe Cmaxおよび該平均SAMe AUCの1つを調節する物理的なまたは化学的な剤形特徴、を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、10%未満の相対湿度において生産される剤形である。いくつかの実施形態では、組成物は、単位剤形の全重量の約5%またはそれ以下を構成する機能的コーティングを含む剤形である。いくつかの実施形態では、組成物は、機能的コーティングを含む剤形であり、機能的コーティングは、単位剤形の全重量の1〜5%を構成する。いくつかの実施形態では、機能的コーティングは、1つまたはそれ以上の個々のコーティングまたは層を含む。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の個々のコーティングまたは層は、腸溶コーティング、徐放性コーティング、pH依存性コーティング、またはその他、そしてこれらの組み合わせ、であり得る。いくつかの実施形態では、剤形特徴は、硬さ、厚さ、もろさ、崩壊の速度、溶解の速度、形、サイズ、密度、コーティング、およびそれらの組み合わせの内1つを含む。いくつかの実施形態では、剤形特徴は、該組成物の生産中または製造中において、物理的混合仕様、乾燥時間、圧縮条件、環境パラメーター、およびそれらの組み合わせ、の1つを、制御可能に操作することによって調節される。いくつかの実施形態では、剤形特徴は、pH6.0での標的の溶解プロファイルを含む。いくつかの実施形態では、用量は、2、3、4、またはそれ以上の用量単位に分けられる。いくつかの実施形態では、選択された被験者群は、選択されたヒト被験者群である。いくつかの実施形態では、選択された被験者群に組成物が投与される場合、以下のことによって該選択された被験者群において改善された薬物動態プロファイルを提供する:1日1回の投薬によって、Tmaxの変動の減少、1日2回の投与と同等のAUC、および/または副作用の減少。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、該選択された被験者群において、SAMeイオン100mg当たり約100ng/mL〜約500ng/mLの範囲内、またはSAMeイオン100mg当たり約110ng/mL〜約500ng/mLの範囲内の平均Cmaxを提供する;またはSAMeイオン100mg当たり約120ng/mL〜約500ng/mLの範囲内を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、該選択された被験者群において、SAMeイオン100mgに関して約450ng・h/mL〜約800ng・h/mLの範囲内の平均AUCを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、被験者に投与される場合、その被験者において、SAMe参照データセットと比較して、減少した変動を有する平均Tmaxもしくは平均Cmax、または減少した有効量を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、経口の送達系、または経粘膜送達系を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、錠剤、ペースト、カプセル、顆粒剤、カプレット、トローチ剤、ペースト、および坐薬の内1つを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、経口の送達系を含む。いくつかの実施形態では、経口の送達系または剤形の溶解は、初期pH約6を有する水性緩衝液中に存在してから60分後において、SAMeの約20〜90%の放出を提供する。いくつかの実施形態では、経口の送達系または剤形の溶解は、初期pH約6を有する水性緩衝液中に存在してから60分後において、SAMeの約25〜80%の放出を提供する。いくつかの実施形態では、初期pH約6を有する水性緩衝液中におけるUSP II溶解装置での経口の送達系または剤形の溶解は、緩衝液相中に存在してから60分後において、SAMeの約30〜70%の放出を提供する。腸溶コーティング剤形の溶解プロファイリングのためのUSP基準に従うと、酸性/液体相中での2時間のインキュベーションは、水相緩衝液中でのインキュベーションに先行する。いくつかの実施形態では、経口の送達系または剤形の溶解は、初期pH約6を有する水性緩衝液中に存在してから60分後において、SAMeの約20〜90%の放出を提供する、そこで、経口の送達系または剤形は、該水性緩衝液中でのインキュベーションの前に、酸性溶液中で2時間にわたりインキュベーションされる。いくつかの実施形態では、経口の送達系または剤形の溶解は、初期pH約6を有する水性緩衝液中に存在してから60分後において、SAMeの約25〜80%の放出を提供する、そこで、経口の送達系または剤形は、該水性緩衝液中でのインキュベーションの前に、酸性溶液中で2時間にわたりインキュベーションされる。いくつかの実施形態では、初期pH約6を有する水性緩衝液中におけるUSP II溶解装置での経口の送達系または剤形の溶解は、緩衝液相中に存在してから60分後において、SAMeの約30〜70%の放出を提供し、そこで、経口の送達系または剤形は、該水性緩衝液相中でのインキュベーションの前に、酸性溶液中で2時間にわたりインキュベーションされる。いくつかの実施形態では、組成物は、栄養サプリメントを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、病人向けの特別食を含む。いくつかの実施形態では、疾患状態または障害を治療することについての方法を提供し、方法は、そのような治療を必要とする被験者に、本明細書に記述される組成物の有効量を投与することを含む。いくつかの実施形態では、被験者はヒトである。
【0012】
本明細書で同様に提供されるのは、少なくとも1つの賦形剤と組合せたSAMeの生理的に効果的な用量を含む経口用量の組成物であり、そこで、選択された被験者群への該組成物の投与は、該選択された被験者群において以下の内1つを含む効果を生じさせる:a.SAMeイオンの1600mg用量に関して、少なくとも約1800ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax);または、b.SAMeイオンの1600mg用量に関して、少なくとも約7500ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、c.SAMeイオンの800mg用量に関して、少なくとも約850ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および少なくとも約4000ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、d.SAMeイオンの400mg用量に関して、少なくとも約400ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および/もしくは少なくとも約1800ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、e.SAMeイオンの200mg用量に関して、少なくとも約200ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および/または少なくとも約900ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、f.SAMeイオンの100mg用量に関して、少なくとも約100ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および/または少なくとも約450ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC)。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの賦形剤は、基質材料;結合剤;潤滑剤、流動促進剤、コーティング、崩壊剤、超崩壊剤(super−disintegrants)、多糖類、オリゴ糖類、ポリペプチド、蛋白質、合成オリゴマー、合成高分子、単量体の有機分子、疎水性有機分子、親水性有機分子、両性有機分子、無機塩類、無機金属、およびそれらの組み合わせ、の1つである。いくつかの実施形態では、組成物は、該平均SAMe Cmaxおよび該平均SAMe AUCの1つを調節する物理的なまたは化学的な剤形特徴、を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、10%未満の相対湿度において生産される剤形である。いくつかの実施形態では、組成物は、機能的コーティングを含む剤形であり、機能的コーティングは、単位剤形の全重量の5%未満を構成する。いくつかの実施形態では、組成物は、機能的コーティングを含む剤形であり、機能的コーティングは、単位剤形の全重量の1〜5%を構成する。いくつかの実施形態では、機能的コーティングは、1つまたはそれ以上の個々のコーティングまたは層を含む。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の個々のコーティングまたは層はそれぞれ、腸溶コーティング、徐放性コーティング、pH依存性コーティング、またはその他、そしてこれらの組み合わせ、である。いくつかの実施形態では、剤形特徴は、硬さ、厚さ、もろさ、崩壊の速度、溶解の速度、形、サイズ、密度、コーティング、およびそれらの組み合わせの内1つを含む。いくつかの実施形態では、剤形特徴は、該組成物の生産中または製造中において、物理的混合仕様、乾燥時間、圧縮条件、環境パラメーター、およびそれらの組み合わせ、の1つを、制御可能に操作することによって調節される。いくつかの実施形態では、組成物は混合方法(篩サイズ、rpm、および粉砕を含む)、乾燥時間、圧縮条件、環境パラメーター、およびそれらの組み合わせ、の1つを含む特定条件下で生産される。いくつかの実施形態では、用量は、2、3、4、またはそれ以上の用量単位に分けられる。いくつかの実施形態では、選択された被験者群は、選択されたヒト被験者群である。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、該選択された被験者群において、SAMeイオン100mg当たり約100ng/mL〜約500ng/mLの範囲内の平均Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、該選択された被験者群において、SAMeイオン100mgに関して約450ng・h/mL〜約800ng・h/mLの範囲内の平均AUCを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、被験者に投与される場合、その被験者において、SAMe参照データセットと比較して、減少した変動を有する平均Tmaxもしくは平均Cmax、または減少した有効量を提供する。いくつかの実施形態では、疾患状態または障害を治療することについての方法をさらに提供し、方法は、そのような治療を必要とする被験者に、本明細書に記述される組成物の有効量を投与することを含む。いくつかの実施形態では、被験者はヒトである。
【0013】
本明細書で同様に提供されるのは、少なくとも1つの賦形剤と組合せたSAMeの生理的に効果的な用量を含む栄養サプリメント製剤であり、そこで、選択された被験者群への該組成物の投与は、該選択された被験者群において以下の内1つを含む効果を生じさせる:a.SAMeイオンの1600mg用量に関して、少なくとも約1800ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax);または、b.SAMeイオンの1600mg用量に関して、少なくとも約7500ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、c.SAMeイオンの800mg用量に関して、少なくとも約850ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および少なくとも約4000ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、d.SAMeイオンの400mg用量に関して、少なくとも約400ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および/または少なくとも約1800ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、e.SAMeイオンの200mg用量に関して、少なくとも約200ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および/または少なくとも約900ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC);または、f.SAMeイオンの100mg用量に関して、少なくとも約100ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)、および/または少なくとも約450ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC)。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの賦形剤は、基質材料;結合剤;潤滑剤;流動促進剤;コーティング;崩壊剤、超崩壊剤;多糖類、オリゴ糖類;ポリペプチド、蛋白質、合成オリゴマー、合成高分子、単量体の有機分子、疎水性有機分子、親水性有機分子、両性有機分子、無機塩類、無機金属、およびそれらの組み合わせ、の1つである。いくつかの実施形態では、組成物は、該平均SAMe Cmaxおよび該平均SAMe AUCの1つを調節する物理的なまたは化学的な剤形特徴、を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、10%未満の相対湿度において生産される剤形である。いくつかの実施形態では、組成物は、機能的コーティングを含む剤形であり、機能的コーティングは、単位剤形の全重量の5%未満を構成する。いくつかの実施形態では、組成物は、機能的コーティングを含む剤形であり、機能的コーティングは、単位剤形の全重量の1〜5%を構成する。いくつかの実施形態では、機能的コーティングは、1つまたはそれ以上の個々のコーティングまたは層を含む。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の個々のコーティングまたは層はそれぞれ、腸溶コーティング、徐放性コーティング、pH依存性コーティング、またはその他、そしてこれらの組み合わせ、である。いくつかの実施形態では、剤形特徴は、硬さ、厚さ、もろさ、崩壊の速度、溶解の速度、形、サイズ、密度、コーティング、およびそれらの組み合わせの内1つを含む。いくつかの実施形態では、剤形特徴は、該組成物の生産中または製造中において、物理的混合仕様、乾燥時間、圧縮条件、環境パラメーター、およびそれらの組み合わせ、の1つを、制御可能に操作することによって調節される。いくつかの実施形態では、組成物は、混合方法(篩サイズ、rpm、および粉砕を含む)、乾燥時間、圧縮条件、環境パラメーター、およびそれらの組み合わせ、の1つを含む特定条件下で生産される。いくつかの実施形態では、選択された被験者群は、選択されたヒト被験者群である。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、該選択された被験者群において、SAMeイオン100mg当たり約100ng/mL〜約500ng/mLの範囲内の平均Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、該選択された被験者群において、SAMeイオン100mgに関して約450ng・h/mL〜約800ng・h/mLの範囲内の平均AUCを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、被験者に投与される場合、その被験者において、SAMe参照データセットと比較して、減少した変動を有する平均Tmaxもしくは平均Cmax、または減少した有効量を提供する。いくつかの実施形態では、疾患状態または障害を治療することについての方法を提供し、方法は、そのような治療を必要とする被験者に、本明細書に記述される組成物の有効量を投与することを含む。いくつかの実施形態では、被験者はヒトである。
【0014】
本明細書で同様に提供されるのは、SAMe参照データセットと比較して、被験者に投与される外因性SAMeの薬物動態学パラメーターを改善することについての方法であり、該方法は、非経口的ではない組成物を被験者に投与することを含み、その組成物は、少なくとも1つの賦形剤と組合せたSAMeの少なくとも1つの生理的に効果的な用量を含み、その賦形剤は、被験者において該SAMeの薬物動態パラメーターを改善するよう選ばれ、被験者における該薬物動態パラメーターは、Cmax、AUC、およびそれらの組合せによって測定され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの賦形剤は、基質材料;結合剤;潤滑剤;流動促進剤;コーティング;崩壊剤、超崩壊剤;多糖類、オリゴ糖類;ポリペプチド、蛋白質、合成オリゴマー、合成高分子、単量体の有機分子、疎水性有機分子、親水性有機分子、両性有機分子、無機塩類、無機金属、およびそれらの組み合わせ、の1つである。いくつかの実施形態では、該SAMeの薬物動態パラメーターの改善は、組成物の物理的なまたは化学的な剤形の関数である。いくつかの実施形態では、組成物は、10%未満の相対湿度において生産される。いくつかの実施形態では、組成物は、剤形であり、それは機能的コーティングを含む、機能的コーティングは、単位剤形の全重量の5%未満を占める。いくつかの実施形態では、機能的コーティングは、単位剤形の全重量の1〜5%を構成する。いくつかの実施形態では、剤形の物理的なおよび化学的な特徴は、硬さ、厚さ、もろさ、崩壊の速度、溶解の速度、形、サイズ、コーティング、密度、およびそれらの組み合わせの内1つを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、選択された被験者群において、SAMeイオンの1600mg用量に関して、少なくとも約1800ng/mLの平均Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、選択された被験者群において、SAMeイオンの800mg用量に関して、少なくとも約850ng/mLの平均Cmax、および少なくとも約4000ng・h/mLの平均のSAMe血漿曲線下面積(平均AUC)を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、選択された被験者群において、生理的に有効な用量でのSAMeイオンの100mg用量当たり少なくとも約100ng/mLの平均Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、選択された被験者群において、生理的に有効な用量でのSAMeイオン100mg当たり約110ng/mL〜約500ng/mLの範囲内の平均Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、選択された被験者群において、SAMe参照データセットと比較して、減少した変動を有する平均Tmaxまたは減少した有効量の内1つを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、選択された被験者群において、SAMeイオンの1600mg用量に関して、少なくとも約7500ng・h/mLの平均のAUCを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、選択された被験者群において、SAMeイオンの800mg用量に関して、少なくとも約4000ng・h/mLの平均のAUCを提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、選択された被験者群に投与される場合、選択された被験者群において、SAMeイオン100mg用量に関して、約500ng・h/mL〜約800ng・h/mLの範囲内の平均のAUCを提供する。いくつかの実施形態では、選択された被験者群を含む被験者はヒト、家畜動物、珍しい動物、鳥類種、実験動物、イヌ、ネコ、および霊長類の内1つである。
【0015】
いくつかの実施形態では、精神障害および精神疾患、神経系疾患および神経系障害、神経疾患および神経障害、中枢神経系の傷害と関連した状態、肝臓疾患および肝臓障害、癌、関節疾患および関節障害、炎症性疾患および炎症性障害、自己免疫疾患および自己免疫障害、変性疾患および変性障害、軟部組織疾患および軟部組織障害、痛みを伴う疾患および痛みを伴う障害、高ホモシステイン血症および低ホモシステイン血症(hypo−homocysteinemia)に関連した循環器疾患、過剰メチル化および低メチル化に関連した遺伝性疾患、消化器疾患および消化器障害、ならびに酸化的損傷またはフリーラジカル損傷によって完全にまたは部分的に誘発された疾患、を含む群から選択される患者の疾患または障害を治療することについての方法を提供する、方法は、本明細書に記述されるように、それを必要とする患者に組成物を投与することを含む。
【0016】
本明細書では、SAMeを含む製剤も提供する、そこで製剤は、SAMeと少なくとも1つの賦形剤との混合物を含み、混合物は、該SAMeと該賦形剤とを、約10%未満の相対湿度において組合せることによってされる。
【0017】
本明細書では、SAMeを含む製剤も提供する、そこで製剤は、SAMeと少なくとも1つの賦形剤との混合物を含み、混合物は、近位小腸への標的送達に適した、pH6.0での溶解プロファイルを示す。
【0018】
本明細書では、SAMe製剤の薬物動態プロファイルを改善することについてのプロセスを提供し、プロセスは、該SAMe製剤を、約10%未満の相対湿度において製造することを含む。
【0019】
本明細書では、経口投与のための組成物を提供し、組成物は、SAMeおよび少なくとも1つの賦形剤を含み、そこで、製剤は、pH6.0の水相溶液中での30〜90分のインキュベーションによって組成物中の全SAMeの20%超90%未満が溶解するような、該pH6.0の水相溶液中でのin vitro溶解プロファイルを示す。いくつかの実施形態では、製剤は、pH6.0の水相溶液中での45〜75分のインキュベーションによって組成物中の全SAMeの25%超80%未満が溶解するような、該pH6.0の水相溶液中でのin vitro溶解プロファイルを示す。該pH6.0水相溶液中でのインキュベーション前に、製剤は、腸溶性剤形の溶解試験のためのUSP基準に従う酸性相中で約2時間にわたりインキュベートされる。いくつかの実施形態では、組成物は、10%未満の相対湿度において製造される剤形である。いくつかの実施形態では、組成物は、機能的コーティングを含む剤形であり、機能的コーティングは、単位剤形の全重量の5%未満を構成する。若干の実施形態で、組成物は1から剤形の全体の重量の5%まで機能的なコーティングと機能的なコーティング構成から構成される剤形にある。いくつかの実施形態では、機能的コーティングは、1つまたはそれ以上の個々のコーティングまたは層を含み、そして単位剤形の全重量の5%未満を構成する。
【0020】
本明細書では、SAMeの取り込みを改善するための方法を提供し、pH6.0でのin vitro溶解プロファイルを示す剤形中のSAMeを患者に投与することを含み、そこで、pH6.0の水相緩衝液中での30〜90分間によって全SAMeの20%超90%未満が溶解する。いくつかの実施形態では、製剤は、pH6.0の水相緩衝液中での45〜75分のインキュベーションによって組成物中の全SAMeの25%超80%未満が溶解するような、pH6.0の水相溶液中でのin vitro溶解プロファイルを示す。いくつかの実施形態では、組成物は、10%未満の相対湿度において製造される剤形である。いくつかの実施形態では、組成物は、腸溶コーティングを含む剤形であり、腸溶コーティングは、単位剤形の全重量の5%未満を構成する。いくつかの実施形態では、組成物は、腸溶コーティングを含む剤形であり、腸溶コーティングは、単位剤形の全重量の1〜5%未満を構成する。
【0021】
よりいっそう明確にするために、本特許内の用量へのすべての参照は、SAMeイオンの用量としての用量を言う。例えばSAMeの平均の最大の血漿濃度(Cmax)といった薬物動態学パラメーターは、適切な感度、特異性、堅牢性、安定性、および反復性を有する生物学的分析方法を使用して定量される(例えば、血漿から分析物を分離するための適当な抽出方法と組合せた、条件付きの液体クロマトグラフィー・トリプル四重極質量分析)。AUC値は、台形公式方法を使用して0〜24時間から計算され、そしてベースラインの内生のSAMeレベルのために補正されない。適当な「選択された被験者群」は、絶食で投与を受ける、6例またはそれ以上の被験者を有する。「選択された被験者群」のすべてのメンバーは、統計学的に正常範囲(すなわち外れ値がない)内にある、SAMeのための薬物動態パラメーター持ち、そして非標準のまたは異常なSAMe吸収または代謝をベースとして有するメンバーは含まれないであろう。平均のCmax値は、被験者群のすべてのメンバーの各時点での濃度を平均することによって得られる。in vivoでの本発明の方法の使用は、SAMeの従来の剤形と比較して、高いCmax値および/またはAUC値を提供する。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態は、従来の非経口的ではないSAMe剤形と比較して、より低い有効量および/またはより変動が少ない薬物動態パラメーター(例えば減少した変動を有するTmax値といった)を生じさせる組成物および方法、に関連する。「より低い有効量」または「減少した有効量」は、生理的に受容できる外因性SAMe用量と定義することを意図され、その外因性SAMe用量は、現在商業的に入手可能な1つまたはそれ以上のSAMe剤形のより高い用量の投与によって得られるような、他の非経口的ではないSAMe剤形の顕著に高い用量と同程度の薬物動態パラメーターが生じる。このようなより低いSAMe用量で同様のCmax値およびAUC値を示す剤形は、より低い錠剤負担および増加した認容性の可能性を含む数多くの有益性を持つであろう。
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、従来の非経口的ではないSAMe剤形と比較して、改善された副作用プロフィールを生じさせる組成物および方法、にも関連する。「改善された副作用」または「減少した副作用」または「有益な副作用」プロフィールは、SAMeサプリメントに関連した副作用のより少ない頻度および/または減少した強度のような、外因性SAMeの投与に対する改善された忍容性と定義することを意図される。
【0024】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、1日1回投与またはQD投与のSAMe投与計画にも関連し、この投与は、従来の1日2回またはより頻繁の投与と比較して、改善された薬物動態プロファイルを生じさせるが、被験者への同様またはより大きなAUCレベルの送達を生じさせる。特定の実施形態では、1日1回投与の効果は、最も一貫した薬物動態的パラメーター測定、特にCmaxおよびTmaxといったもの、を生じさせると考えられている。これらの剤形の1日1回投与から生じる、変動性の少ない薬物動態プロファイルは、医師によるより確実な投与および曝露を可能にし、また被験者に関する副作用プロフィールの改善を可能にする。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、従来の非経口的ではないSAMe剤形と比較して、優れた薬物動態プロファイルを示す剤形は、SAMeの発現の速度の改善を提供し、この改善は、高められた治療結果を生じさせ得る。
【0026】
本発明の他の例示的な実施形態は、被験者において疾患または障害を治療するための、および/または、被験者において栄養状態を改善するための、方法に関連し、該方法は、該被験者に、SAMeの生理的に効果的な用量を含みしたがってSAMeの薬物動態プロファイルを改善する本発明の組成物、を投与することを含む。改善された薬物動態プロファイルは、例えば、Cmax値および/またはAUC値の増加;または、代わりに、減少した有効用量;または、減少した変動を有する薬物動態パラメーター、で同定される。1つまたはそれ以上のこれらの基準を達成することは、SAMeの薬物動態プロファイルでの改善を構成するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】平均のSAMe血漿濃度のグラフであり平均値の標準誤差を有し、そしてS−アデノシルメチオニントシラート二硫酸塩の商業的に入手可能な経口剤形からの単回の1600mgSAMeイオン用量(白抜き四角)を、または本発明のMSI−43の単回の1600mg経口用量(黒塗り円)を投与した場合での、被験者における平均の最大の血漿濃度(Cmax)を示す。
【図2A】pH6.8での本発明の様々なSAMe錠剤剤形の溶解プロファイルのグラフであり、長時間(数時間)にわたる放出薬剤の割合を表す;および、
【図2B】図2Aで見られるものと同じ本発明のSAMe錠剤剤形のpH6.0溶解プロファイルのグラフであり、長時間(数時間)にわたる放出薬剤の割合を表す。
【図3】2つの商業的に入手可能なSAMe錠剤と比較した、本発明のさらなるSAMe剤形のpH6.0での溶解プロフィールのグラフである。
【図4】相対湿度(RH)の関数としてのSAMeのガラス転移温度(Tg)を示すグラフである。
【図5A】平均のSAMe血漿濃度のグラフであり平均値の標準誤差を有し、そして本発明のSAMe剤形の1600mg(SAMeイオン)経口用量(MSI−72;白抜き四角)またはSAMeの商業的に入手可能な経口剤形の1600mg(SAMeイオン)経口用量(黒塗り円)を投与された7例の被験者からの平均の最大の血漿濃度(Cmax)を示す。
【図5B】平均のSAMe血漿濃度のグラフであり平均値の標準誤差を有し、そして図5Aで報告した本発明のSAMe剤形の800mg(SAMeイオン)経口用量(白抜き四角)、または図5Aでも詳述したSAMeの商業的に入手可能な経口剤形の1600mg(SAMeイオン)経口用量(黒塗り円)を投与された7例の被験者からの平均の最大の血漿濃度(Cmax)を示す。
【図5C】平均のSAMe血漿濃度のグラフであり平均値の標準誤差を有し、そして本発明の異なるSAMe剤形であるMSI−69の800mg(SAMeイオン)経口用量(白抜き四角)、または図5Aでも詳述したSAMeの商業的に入手可能な経口剤形の1600mg(SAMeイオン)経口用量(黒塗り円)を投与された7例の被験者からの平均の最大の血漿濃度(Cmax)を示す。
【図6】平均のSAMe血漿濃度のグラフであり平均値の標準誤差を有し、そしてS−アデノシルメチオニントシラート二硫酸塩の商業的に入手可能な経口剤形の800mg(SAMeイオン)を投与された被験者の薬物動態を示し、そこで、被験者は800mg用量の投与の前に摂食した(白抜き円)または絶食した(黒塗り四角)。
【図7】2つの薬物動態プロファイルを有するグラフであり、両方は平均のSAMe血漿濃度である。このグラフは、図6に示されるデータに基づいて、8時間で分割される800mgBID(1日2回)投与のシミュレーションである。被験者は、絶食条件下(黒塗り円)または摂食条件下(白抜き円)で、S−アデノシルメチオニントシラート二硫酸塩の商業的に入手可能な経口剤形の800mg(SAMeイオン)を投与された。午後4時00分の投与をシミュレートするために摂食データセットの各時点に、8時間が加えられた。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明者らは、血漿での外因性SAMeの薬物動態的(PK)プロフィールが、溶解の経路に沿った特定の「方法」内において薬剤のかなりの量を放出するように剤形をデザイン:することによって、顕著に改善され得ることを発見した。驚くべきことに、SAMeの大部分を極めて早く放出する製剤(すなわち薬剤の初期での「爆発」を示すもの)は、また薬剤放出が遅い製剤は、SAMeのin vivoでのPKプロフィールの改善は達成され得ない。本明細書の研究者らは、好ましい薬剤の放出レベルのこの予想外の「方法」内でSAMeを放出することをデザインされた組成物および方法を同定する。したがって、いくつかの例示的な実施形態では、改善されたSAMeのPKプロフィールを示す組成物は、特定の溶解「方法」内で薬剤放出の標的量を有する。この標的溶解は、in vitroでの低pH溶解研究を使用して観察されるように、決められた期間において広範囲の薬剤放出が急速に生じるようなものである。本発明のいくつかの例示的な実施形態は、したがって、in vivoでの改善されたPKプロフィールを示す剤形を同定することについての方法のin vitroでのスクリーニング方法にも関連する。スクリーニングは、pH6.8の基準よりも低いpH値で溶解研究を行なうことによって、なされる。
【0029】
他の実施形態では、改善されたSAMePKプロフィールを示す組成物は、非常に低い相対湿度の条件下で生じる。本発明のさらなる実施形態は、外因性SAMeのPKプロフィールを改善する非経口的ではない組成物および方法に関連し、組成物および方法を使用する方法、例えば被験者における様々な疾患または障害の治療および/または被験者における栄養状態の改善のためのもの、に関連する。特定の実施形態では、本発明の組成物は、1日1回被験者に投与される。いくつかの実施形態では、被験者への本発明の組成物の投与は、該被験者の改善された副作用を生じさせる。他の実施形態では、本発明の組成物は、従来の非経口的ではないSAMe剤形と比較して、外因性SAMeの急速な発現を提供する。
【0030】
本発明のさらなる実施形態は、被験者における様々な疾患または障害の治療および/または予防のために使用される一般に処方される1つまたはそれ以上の活性成分と、SAMeとの組み合せに関連する。本発明のいくつかの他の実施形態は、単独でまたは1つまたはそれ以上のさらなる物質と共に、外因性SAMeのPKプロフィールを改善する非経口的ではない組成物および方法に関連し、そしてSAMeおよび/または1つまたはそれ以上のさらなる物質に関連する副作用プロフィールをさらに改善する。
【0031】
本明細書で使用されるように、「改善された薬物動態プロファイル」または「高められた薬物動態プロファイル」は、従来の経口のSAMe治療と比較して、1つまたはそれ以上の以下の規準を意味する:1)高い平均Cmax(1600のmg(SAMeイオン)用量でテストされる場合、約1800ng/mLを超える);および/または2)増加したAUC(1600mg(SAMeイオン)用量でテストされる場合、約7500ng・h/mLを超える、または800mg用量でテストされる場合、約4000ng・h/mLを超える);および/または3)減少した変動を有する薬物動態パラメーター;および/または4)減少した有効量(例えば、SAMeイオンの100mg用量当たり、少なくとも約100ng/mLのCmax、および/またはSAMeイオンの100mg用量当たり、約450ng・h/mLのAUC)。いくつかの実施形態では、1600mg(SAMeイオン)用量でテストされる場合、約2000ng/mLを超える、約3000ng/mLを超える、または約3500ng/mLを超える血漿SAMe Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、SAMeイオンの100mg用量当たり少なくとも約110ng/mL、SAMeイオンの100mg用量当たり少なくとも約130ng/mL、SAMeイオンの100mg用量当たり少なくとも約150ng/mL、SAMeイオンの100mg用量当たり少なくとも約180ng/mL、SAMeイオンの100mg用量当たり少なくとも約210ng/mL、またはSAMeイオンの100mg用量当たり少なくとも約240ng/mLのCmaxを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、1600mg(SAMeイオン)用量でテストされる場合、約8000ng・h/mLを超える、約10000ng・h/mLを超える、約11000ng・h/mLを超える、または約12000ng・h/mLを超えるAUCを提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、SAMe投与100mg当たり少なくとも500ng・h/mL、SAMe投与100mg当たり少なくとも600ng・h/mL、SAMe投与100mg当たり少なくとも700ng・h/mL、またはSAMe投与100mg当たり少なくとも800ng・h/mLを提供する。
【0032】
本明細書で使用されるように、「SAMe」という用語は、はS−アデノシル−L−メチオニン(または、より簡単には、「S−アデノシルメチオニン」)を意味する。用量について述べる場合、量(一般的にmgで)は投与されるSAMeイオンの用量を意味する。以前に述べた構造式で示されるように、SAMeは荷電種として出現し、そしてその電離状態はpHで変化する。その固体形では、SAMeは、安定した塩の形で最も一般に入手可能であり、例えば、p−トルエンスルホン酸単独で、または例えばミネラルや有機酸および/またはアミノ酸といった1つまたはそれ以上のさらなる塩形成物質の組合せと共に塩を形成する。(参照としてUS 3,893,999、その全体を参照として本明細書に組み込む)。他の安定性のSAMe塩は、例えば、US 5,128,249に記述され、そこでSAMeの特定の安定性の塩を記述する。SAMeの様々な形態は、本発明での使用に適している。したがって、本明細書で使用されるように、「SAMe」は、SAMeの安定性の塩、無定形の形、半結晶形、および結晶形、そしてin vivoで存在する場合はSAMeのイオン形、を意味する。本明細書で使用されるように、SAMeの「生理的な有効量」は、臨床的目的、医薬品目的、薬剤目的、獣医目的、食事目的、または栄養目的のための決められた投与計画、において投与されるSAMeの量を含むことを意図する。したがって、SAMeの「生理的な有効量」または「生理的に許容でき得る用量」は、SAMeの治療的な有効量、医薬的に許容され得る用量、獣医的に許容され得る用量、栄養補助食品的に許容され得る用量、食事的に許容され得る用量、および栄養的に許容され得る用量、そして病人向けの特別食としてのもの、を含み、それらすべては本発明での使用に含まれる。「薬剤の」調製について述べる場合、それらが意図する目的または治療は「病人向けの特別食」を含む。病人向けの特別食は、医師の監督の下で経腸的に消費されるまたは投与されるように形成される食品であり、疾患または状態の特定の食事管理のために意図されている食品であり、疾患または状態のために、特有な栄養必要量は、認識される科学的指針に基づいて、医学的な評価によって確立される、と米国食品医薬品局によって定義される。
【0033】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、被験者での病人向けの特別食または食事サプリメントまたは栄養サプリメントとして利用されるSAMeの生理的な有効量の有効性を高めるための使用についての、非経口的ではない組成物および方法に関連する。
【0034】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、精神障害および精神疾患(例えば、うつ病および物質関連障害によってそれぞれ例示される、精神病性/気分または非精神病性精神疾患)、神経系疾患および神経系障害(例えば、アルツハイマー病によって例示される中枢神経系疾患)、他の神経疾患および神経障害(例えば、頭痛および睡眠障害)、中枢神経系の傷害と関連した状態、肝臓疾患および肝臓障害(例えば、アルコールによる肝臓疾患)、癌(例えば、固形癌および血液由来癌)、関節疾患および関節障害(例えば関節炎)、炎症性疾患および炎症性障害(例えば潰瘍性大腸炎)、自己免疫疾患および自己免疫障害(例えば、全身性エリテマトーデスおよび関節リウマチ)、変性疾患および変性障害(例えば筋萎縮性側索硬化症)、軟部組織疾患および軟部組織障害(例えば線維筋痛障害)、痛みを伴う疾患および痛みを伴う障害、過剰メチル化および低メチル化に関連した遺伝性疾患、消化器疾患および消化器障害、循環器疾患および循環器障害、ならびに酸化的損傷またはフリーラジカル損傷によって完全にまたは部分的に誘発された疾患、から成る群から選択されるが、これに限定されない、被験者における疾患または障害を治療するおよび/または予防するための方法に関連し、方法は、該被験者に本発明の例示的な組成物を投与することを含み、この投与は、改善されたPKプロフィールを有する外因性SAMeの生理的に有効な量を提供する。
【0035】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、外因性SAMeの生理的な有効量に関連する副作用プロファイルを改善させる非経口的ではない組成物および方法に関する。
【0036】
本発明の他の例示的な実施形態は、限定されるものではないが、上記記載を含む群から選択される疾患あるいは障害のおける治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される1つ以上の活性成分とSAMeの組み合せに関する。いくつかの実施形態では、上記に記載の群から選択される疾患あるいは障害における治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される1つ以上の活性成分と併せた本発明の改善されたPKのSAMe剤形の投与は被験者の改善された副作用プロファイルをもたらす。特定の実施形態では、上記に記載の群から選択される被験者の障害あるいは疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される1つ以上の前記活性成分の使用による副作用プロファイルは改善する。
【0037】
非経口的ではない投与のSAMe剤形
薬剤/治療剤の非経口的ではない投与の剤形は、錠剤、カプセル、またはペレットなどによって例示される固体あるいは半固体の生成物または剤形として典型的に提供され、一般的には薬剤ならびに1つ以上の保護コーティングをカプセル化したコア「基質材料」からなる。「生成物」または「剤形」という用語は本明細書中で使用される場合、非経口的ではない投与に使用される固体または半固体の剤形または調製をいう。本願に記載するような非経口的ではない剤形または調製は、錠剤、ペースト、カプセル、顆粒、カプレット、トローチ剤等に例示される経口送達システムおよびエアロゾル、洗浄剤、外用クリーム、ペースト、トローチ剤、パッチ等で例示される経粘膜的または吸入送達システムを含む。これらは当事者に周知であり文書で十分に立証されている。これらの剤形は臨床用、医薬用または獣医科用の投与レジメンを用いて投与してもよい。さらに、非経口的ではない剤形は医療食または栄養補助食品または栄養剤として提供してもよい。非経口的ではない投与のSAMe製剤は製剤されたSAMeの持続放出ができるように構成してもよい。共有の、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願番号第2009/0088404号は持続放出SAMe製剤の新規の製剤法を提供している。
【0038】
投与されると、非経口的ではない生成物からの活性部分の放出速度は賦形剤および/または生成物を作っている生成物特性によって大きく影響を受ける。例えば、錠剤上の腸溶コーティングは例えば、胃腸不快感または損傷を引き起こすかもしれない胃の分解を防止するために胃内容物から錠剤の内容物を分離するようにデザインされている。一般的に、当該分野で記載されているSAMeおよび他の錠剤は腸溶コーティングされている。他の剤形が胃から十二指腸へと移れば、続いてpHの変化により腸溶コーティングは除去され、かつ、固有の性質および適用された剤形技術に従い錠剤は分解/溶解する。現在受け入れられている従来の理解では、活性部分の全身曝露は小さな製剤の変化に比較的非感受性である。例えば、従来の理解に従えば、推奨される塗布の厚さの通常の範囲で腸溶コーティングを適用した製剤は同じか、ほぼ同じPK挙動であると考えられる。同様に、従来の理解に従えば、製剤工程の段階において活性部分を効率的で効果的に処理できる湿度の範囲で調製された剤形ついては同程度の挙動であると考えられる。活性部分のSAMeについて、これらの加工パラメーターの影響は当該分野で教示に照らして特に鈍化すると考えられ、SAMeが広範な初回通過代謝により低い生物学的利用能の可能性が有る。従って、活性部分が小腸の吸収部位にそのまま送達される限り、オペレーティングパラメーターの通常の範囲では腸溶コーティングの剤形が異なっても薬物動態により計測される一定した全身暴露が予測される。しかしながら、従来の理解を異なり、特異的な生成物特性を生じる1つ以上の賦形剤および/または加工パラメーターと外因性SAMeとの組み合せは、SAMeの薬物動態プロファイルに劇的に影響してin vivoで高いCmax値およびAUC値を生じることを研究者は見出した。
【0039】
好ましくは、SAMeの改善した薬物動態プロファイルを生じる好適な賦形剤は本発明の非経口的ではない製剤に含まれる。より詳細には、製剤は、SAMe、および、投与された外因性SAMeのPKプロファイルの制御を助ける基質材料、結合剤、潤滑剤、流動促進剤または崩壊剤に例示される1つ以上の好適な賦形剤を含むことが望ましい。本発明の他の実施形態はSAMeと1つ以上の好適な賦形剤との組み合せおよびin vivoでSAMeの改善した薬物動態プロファイルを生じる1つ以上の特異的な生成物特性(溶解または含水量など)を含む組成物に関する。従って、本願明細書の非経口的ではないSAMe剤形/生成物のin vivo性能は製造段階で添加された賦形剤の組成物および/または特異的加工パラメーターおよび方法により生成された最終生成物特性に基づく。
【0040】
生成物または剤形特性
錠剤などの非経口的ではない製剤を生成するための加工方法および/またはパラメーターから生ずる生成物あるいは剤形特性は、限定されるものではないが、硬さ、厚さ、水分量、もろさ、崩壊、溶解プロファイル、形、サイズ、重さ、均一性および組成を含む。この生成物特性は数多くの方法で制御でき、製剤としての最終のin vitroおよび/またはin vivo性能に影響する。例としては、圧縮成形または成型加工により生成される錠剤は生成された加工パラメーターにより厚さまたは硬さの程度が様々である。生成物または剤形特性は賦形剤の選択、賦形剤の組成、適用された製造方法またはこれらの任意の組み合せの結果である。賦形剤ならびに最終の剤形の生成物特性(加工方法または加工パラメーターを含有して)の組み合せが最終的にはin vivoでの活性成分の薬物動態プロファイルを決定する。本発明の非経口的ではない投与のSAMe製剤はin vivoでSAMeの薬物動態プロファイル(つまり、平均Cmax値またはAUC値)を制御する、例えば、混合方法(篩サイズ、rpm、および粉砕を含む)、乾燥時間、圧縮条件、環境パラメーター(例えば、温度および湿度)、あるいはそれらの組み合わせなどの特異的な条件下で加工または製造してもよい。1つの錠剤を他と定量的に比較するためには、いくつかの生成物または剤形特性を測定するのが通例となっている。また、このことは複数のバッチを複製するときに必要とされる。
【0041】
驚くべきことに、本発明の研究者は溶解の特異的な「窓」(つまり、ある時間枠での特定の薬剤放出量である)はin vivoでの改善されたSAMe PKプロファイルを示した本発明のこれらの製剤と相関していることを見出した。一般的に、溶解研究は非経口的ではない製剤を特徴づけるために使用するのであるが、試験は遠位小腸のpHを最も良く表すpH6.8での緩衝液相を使う標準的なものである。加えて、一般的に、当該分野では溶解プロファイルは「急速」または「緩慢」のいずれかで言うが、しかしながら、本研究者は実際に急速な溶解の特異的な「窓」が当該分野で従来報告がない血漿中でのSAMe値であることを同定した。
【0042】
製剤からの溶解および薬剤放出は活性成分の溶解性および濃度、賦形剤の性質および組成、含量均一性、含水量、生成物の形とサイズ、空隙率、崩壊時間および他の要因を含めた多くの要因に依存している。典型的には、in vitroでの最終の剤形からの薬剤または活性成分の放出は標準化された条件下(参照で、米国薬局方(USP)または同様の受け入れられている方法を使用)ならびに上記のpH6.8での溶解プロファイルで特徴づけられている。溶解プロファイルは特定の条件下で、時間の経過を見ながら試験水へ放出された薬剤の量を示す。標準的条件では遠位小腸のpHを最もよく模倣するためにpH6.8での緩衝液を使用する。腸溶の剤形の溶解試験方法は、第1の酸性相における剤形を2時間インキュベートすることを含み、続けて、水性緩衝液相(pH6.8)に移す。薬剤放出を計測する時点は、この2時間のときに開始する(つまり、水性緩衝液相へ最初に移った時点)。研究者はpH6.8の条件下で本発明の複数のSAMe製剤の溶解プロファイルを分析したときに、すべての製剤が「急速」溶解を示し、かつ、溶解プロファイルを製剤として区別することができないことを見出した。しかしながら、溶解試験はSAMeが吸収される小腸上部の特異的な領域のpHを模倣するpH6.0緩衝液を使用して行われたときには、溶解および薬剤放出を「急速」に行う製剤に有意な差異がでる。さらに、in vivoでの製剤の薬物動態分析は特異的な「窓」の中で急速に溶解する本発明の製剤を示し、pH6.0の溶解プロファイルで示されたように高いCmax値およびAUC値を示すこれらの製剤と相関する。(実施例2および実施例3を参照)
【0043】
従って、本発明のいくつかの実施形態は、pH6.0の緩衝液相で目標としている溶解を示す改善した薬物動態的SAMe組成物に関する。好ましくは、緩衝液相で1時間のインキュベーション後に25〜80%のSAMeを放出する、より好ましくは、緩衝液相で1時間以内のインキュベーションをおこない約30〜70%のSAMeを放出する、および更に好ましくは、緩衝液相で1時間以内のインキュベーションをおこない約30〜60%のSAMeを放出する。
【0044】
本発明の使用に好適な賦形剤および加工パラメーター
通常、賦形剤は崩壊剤、希釈剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、コーティング、着色剤、芳香剤などのその機能で群に分けられるが、同じ賦形剤を所与の経口製剤で1つ以上の機能を目的として使用してもよい。一般的に使用する薬理学的に許容される賦形剤は水、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、微結晶セルロース、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化ケイ素、ゼラチン、アカシアおよび二塩基性りん酸カルシウムを含む(Baldrick,P.(2000)Regul.Toxicol.Pharmacol.Oct.2(2):210.)。賦形剤には例えば、外観の改善、安定性の向上、加工の補助または投与後の崩壊を補助する活性成分を混合するが、SAMeの経口剤形に塗布できる他の多くの賦形剤の機能は当該分野では周知である。本発明にしばしば使われ、かつ、使用に好適な賦形剤のクラスとしては、限定されるものではないが、オリゴおよび多糖は物理的または化学的に架橋されても、されていなくてもよい天然、改質天然または合成の単糖、オリゴ糖、または多糖、オリゴおよびポリペプチドおよびタンパク質は物理的または化学的に架橋されても、されていなくてもよい天然、改質天然または合成のモノペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質、物理的または化学的に架橋されても、されていなくてもよい合成モノマーおよびポリマー、モノマー型、疎水性、親水性または両性の有機分子、無機塩または金属、およびこれらの組み合せを含む。したがって、SAMeは製造中の性能ならびにin vitroおよびin vivoの性能を調製することができる当該分野で周知の賦形剤と混合してもよい。SAMeの製剤の溶解プロファイルを調製するのにこれら多くの賦形剤を使用してもよい。
【0045】
崩壊剤
薬剤の放出を支援するために水性流体と接触したときに生成物または剤形(つまり、錠剤またはカプセル)のブレークアップを誘起するに崩壊剤を非経口的ではない製剤に添加する。崩壊剤を添加する目的は生成物のフラグメントの表面積を増加させ、製剤における粒子結合の凝集力を克服することである。このためには剤形の湿潤と膨潤を盛んにさせて消化管でブレークアップする。デンプンやセルロースなどの一部の結合剤も崩壊剤として働く。他の崩壊剤は粘土、セルロース誘導体、アルギン、ゴムおよび架橋ポリマーである。「超崩壊剤」と呼ばれる崩壊剤の他の群もしばしば使用される。これらの物質は低濃度(2〜5%)で効率的である。本発明での使用に好適である「超崩壊剤」としては、限定されるものではないが、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)、クロスカルメロースナトリウムまたはクロスポビドンが含まれる。
【0046】
従って、本発明はSAMeおよびin vivoでSAMeの薬物動態プロファイルを改善する1つ以上の崩壊剤または「超崩壊剤」を含む組成物に関する。
【0047】
結合剤
生成物の大部分を結合させ、さらに生成物を所望の形に維持すること支える結合物質は「結合剤」または「造粒剤」として知られている。本発明の使用に好適の結合剤は、限定されるものではないが、砂糖、ゼラチン、ゴム、微結晶セルロース、改質セルロース、ワックスあるいはポリエチレングリコールまたはポリビニルピロリドンのような合成ポリマーで例示される。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態は、SAMeおよび1つ以上の結合剤を含有する改善した薬物動態的組成物を含んでもよい。
【0049】
潤滑剤
生成物の製剤にしばしば使用される追加の賦形剤は潤滑剤である。これらは生成物の凝集を最小限にしながら製造プロセスを支援する物質であり、さらには製造機からの放出を支援する。経口製剤に使用する最も一般的な「潤滑剤」はステアリン酸マグネシウムであるが、しかしながら他の一般的に使用される生成物潤滑剤はタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸(ステアリン)、水素を添加した植物油、安息香酸ナトリウム、ロイシン、カーボワックス4000およびフマル酸ステアリルナトリウムを含み、これらすべては本発明における使用に好適である。
【0050】
また、本発明の更なる例示的な実施様態はSAMeおよび1つ以上の潤滑剤を含む改善した薬物動態的組成物に関する。
【0051】
流動促進剤
流動促進剤は「流動助剤」ともいわれ、生成物が製剤される時に生成物を作る粉末を流動させ、塊が形成されるのを防止する。本発明の使用する好適な一般的に使用される流動促進剤の例はコロイド性二酸化ケイ素、タルク、ケイ酸カルシウムおよびマグネシウムシリケートを含む。
【0052】
本発明の追加的な実施形態はSAMeおよび1つ以上の流動促進剤を含む改善した薬物動態的組成物に関する。
【0053】
コーティング
典型的には、経口剤形は味、匂いまたは色をマスキングするため、活性成分/薬剤を物理的にまたは化学的に保護するため、製剤からの活性成分を放出を制御するため、胃(つまり、腸溶コーティング)の厳しい環境から活性成分を保護するため、または望ましくない胃腸の副作用から被験者を保護するめに外側コーティングが塗布される。外側コーティング塗布前に、初めにシールコーティングを塗布する。シールコーティングは生成物の表面を滑らかにし、最終的な外側コーティングの貼り付きを強め、および/または早過ぎる分解から活性成分を保護する働きをする。溶解などの生成物特性を変えるために、シールコーティングまたは最終的なコーティングのタイプおよび/または厚さを変えてもよい。典型的には、外側または機能性コーティングは重さの約4〜10%を目標値とし、シールコーティングは重さの約1〜5%、好ましくは約2%を目標値とする。一般的に、シールコーティングは活性成分の放出のタイミングまたは配置を制御するのに使用していないということで「非機能性」と考えられるが、しかしながら、ある特定のコーティングは「機能性」コーティングと考えられる。本発明の目的上、「機能性コーティング」は腸溶コーティング、時間放出コーティング、pH依存コーティングまたは活性成分の放出のタイミングまたは配置を制御する他のものを含むことを意味する。本発明の例示された実施形態では、機能性コーティングの1つ以上のセパレートコーティングまたは相の合計が標的とされた剤形の全体の重さの5%またはそれ以下を構成する。好ましい実施形態では、機能性コーティングは腸溶コーティングであり、更により好ましくは、腸溶コーティングは重さの約3〜4%を目標値とする。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態は、SAMeおよび外因性SAMeの薬物動態パラメーターを変える1つ以上のコーティングを含有する改善した薬物動態的組成物を含んでもよい。本発明の他の実施形態はSAMeおよびSAMeのin vitro溶解プロファイルを変える1つ以上のコーティングを含有する改善した薬物動態的組成物を含んでもよい。本発明の特異的な例示された実施形態は、SAMeおよび緩衝液相における1時間のインキュベーション後に放出された約25〜80%SAMe、より好ましくは緩衝液相における1時間以内のインキュベーションで放出された約30〜70%SAMe、ならびに、更により好ましくは、緩衝液相における1時間以内のインキュベーションで放出された約30〜60%SAMeを示す溶解プロファイルを生ずる1つ以上のコーティングを含有する改善した薬物動態的組成物を含む。
【0055】
例えば、「基質材料」、「崩壊剤」、「超崩壊剤」、「結合剤」、「潤滑剤」、「流動促進剤」、または「コーティング」などの特定の賦形剤の適性は賦形剤およびSAMeを含有する製剤のin vivo薬物動態を分析することで同定してもよい。または、賦形剤をプレスクリーニングし、最終的にはin vivoの薬物動態プロファイルを予測する手段を提供するために当該分野で周知の一連の標準的in vitro技術を使用する1つ以上の賦形剤のin vitro分析を用いてもよい。さらに、当該分野での参照を使用することで、本発明で使用する潜在的に好適な薬理学的または栄養的に許容される賦形剤(「基質材料」、「崩壊剤」、「結合剤」、「潤滑剤」、「流動促進剤」、または「コーティング」など)についての洞察を得ることも可能である。好ましくは、6.8以下の緩衝液pHで実施された溶解研究を用いた1つ以上の賦形剤のin vitro分析を賦形剤のプレスクリーニングに使用してもよく、かつ、最終的にはin vivoの薬物動態プロファイルを予測する手段を提供する。
【0056】
加工法およびパラメーター
薬物動態プロファイルの改善および/またはSAMe製剤の溶解プロファイルの変更のための加工方法および/またはパラメーターは、限定されるものではないが、相対湿度、温度、乾燥時間および他の環境的パラメーターを含む。
【0057】
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、典型的には約35%またはそれ以下で、好ましくは約15〜25%またはそれ以下で、より好ましくは約10%またはそれ以下の湿度が低い条件で生成される。本発明の他の例示的な実施形態は、温度が15℃から35℃の間で維持されている製造条件下で生成される。本発明の他の例示的な実施形態は、約4時間から24時間の乾燥時間を使って製造される。本発明の追加的な実施形態は水分を少量含むSAMe組成物を使用する。好ましくは、「水分を少量」とは約5%またはそれ以下の水、より好ましくは、約3.5%またはそれ以下の水、更により好ましくは、約1.5%またはそれ以下の水を含む製剤であるが、このようにして、水分量は製造工程中の相対湿度を制御することで変更する。
【0058】
本発明の例示的な実施形態は、外因性SAMeおよびin vivoでSAMeの薬物動態プロファイルを改善する1つ以上の好適な賦形剤および/または加工パラメーターを含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、改善された薬物動態プロファイルをSAMeイオン1600mg投与で試験を実施したときは少なくとも約1800ng/mL、少なくとも約1900ng/mLまたは少なくとも約2000ng/mLのSAMeの平均Cmaxで同定し、SAMeイオン1600mg投与で試験を実施したときは少なくとも約7500ng・h/mL、8000ng・h/mL、8500ng・h/mL、または9000ng・h/mLのAUCで同定し、変動が低減したTmaxまたはCmax、減少した有効投与量、またはこれらの組み合せで同定する。いくつかの好ましい実施形態では、改善された薬物動態プロファイルはSAMeイオン1600mg投与では少なくとも1800ng/mLのSAMeの平均Cmaxである。いくつかの実施形態では、改善された薬物動態プロファイルをSAMeイオン800mg投与で試験を実施したときは少なくとも約800ng/mL、825ng/mL、850ng/mL、875ng/mL、900ng/mL、少なくとも約950ng/mLまたは少なくとも約1000ng/mLのSAMeの平均Cmaxで同定し、SAMeイオン800mg投与で試験を実施したときは少なくとも約3000ng・h/mL、3250ng・h/mL、3500ng・h/mL、または3750ng・h/mLのAUCで同定し、変動が低減したTmaxまたはCmax、減少した有効投与量、またはこれらの組み合せで同定する。いくつかの実施形態では、改善された薬物動態プロファイルをSAMeイオン400mg投与で試験を実施したときは少なくとも約400ng/mL、425ng/mL、450ng/mL、少なくとも約475ng/mLまたは少なくとも約500ng/mLでのSAMeの平均Cmax同定し、SAMeイオン400mg投与で試験を実施したときは少なくとも約1500ng・h/mL、1550ng・h/mL、1600ng・h/mL、1650ng・h/mLのAUCで同定し、変動が低減したTmaxまたはCmax、減少した有効投与量、またはこれらの組み合せで同定する。いくつかの実施形態では、改善された薬物動態プロファイルをSAMeイオン400mg投与で試験を実施したときは少なくとも約400ng/mL、少なくとも約450ng/mLまたは少なくとも約500ng/mLのSAMeの平均Cmaxで同定し、SAMeイオン400mg投与で試験を実施したときは少なくとも約1500ng・h/mL、1550ng・h/mL、1600ng・h/mL、または1650ng・h/mLのAUCで同定し、変動が低減したTmaxまたはCmax、減少した有効投与量、またはこれらの組み合せ同定する。また、改善された薬物動態プロファイルをSAMeイオン100mg投与では少なくとも約100ng/mLのSAMeの平均Cmaxで同定する。同様に、さらに、改善された薬物動態プロファイルをSAMeイオン100mg投与では約450ng・h/mLのAUCで同定してもよい。
【0059】
SAMeの改善された薬物動態プロファイルを示す製剤を用いる投与
いくつかの実施形態では、本発明の改善された薬物動態的SAMe製剤は、限定されるものではないが、気分改善、関節の健康および肝機能を含む栄養補給または栄養補助健康改善の提供に利用されることが期待される。いくつかの例示的な実施形態では、疾患は食事(つまり、医療食)からでは達成できないSAMeの追加的な補給による疾患の食事管理に関する。
【0060】
本発明の改善された薬物動態的SAMe製剤は精神もしくは精神医学の疾患(例えば、うつ病および物質乱用障害により例示される神経病性または非精神病性精神障害)、神経系の疾病/疾患(例えば、アルツハイマー病に例示される中枢神経系疾患)、他の神経学的疾病/疾患(例えば、頭痛および睡眠障害)、中枢神経系の損傷に関連する状態、肝臓病/肝障害(例えば、アルコール性肝疾患)、癌(例えば、固型癌および血液で運ばれる疾病)、関節疾病/疾患(例えば、関節炎)、炎症性疾病/疾患(例えば、潰瘍性大腸炎)、自己免疫疾病/疾患(全身性エリテマトーデスおよび節リウマチ)、変性疾病/疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症)、軟組織疾病/疾患(例えば、線維筋痛症)、疼痛疾病/疾患、高−または低−メチル化に関連する遺伝疾患、胃腸疾病/疾患、心血管疾病/疾患、および酸化またはフリーラジカルによる損傷により全身または部分的に誘導される障害で例示される様々な生理疾患および障害状態に関連した治療投与に好適である。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態は不安障害、うつ病性障害、摂食障害、双極性障害、乱用障害、依存障害、第2軸障害、および精神病からなる群から選択された精神もしくは精神医学の疾患の治療について本明細書に開示された例示の組成物の治療的使用に関する。いくつかの実施形態では、精神もしくは精神医学の疾患は全般性不安障害、心的外傷後ストレス障害、社会的不安障害、パニック障害、統合失調症および統合失調症からなる群から選択された不安障害である。いくつかの例示的な実施形態では、精神もしくは精神医学の疾患は大うつ病性障害、多発性梗塞痴呆、軽度のうつ病、産後うつ病または老年期うつ病(等)、パーキンソン病に随伴するうつ症、HIVに随伴するうつ症、短期再発性うつ病、気分変調、または非特定のうつ病(非特定)からなる群から選択されたうつ病性障害である。いくつかの例示的な実施形態では、精神もしくは精神医学の疾患は神経性過食症、拒食症、むちゃ食い障害、肥満、または非特定の摂食障害からなる群から選択された摂食障害である。いくつかの例示的な実施形態では、精神もしくは精神医学の疾患はアルコール、ニコチン、コカイン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドンまたは他のオピエートの乱用または依存を含む双極性障害、乱用障害または依存障害である。いくつかの例示的な実施形態では、精神もしくは精神医学の疾患は境界性人格障害から選択される第2軸障害である。
【0062】
いくつかの例示的な実施形態では、疾患は、限定されるものではないが、癌、パーキンソン病およびHIVなどの1つ以上の障害または疾患を治療している患者に起こる合併うつ病などの共存症である。特定の実施形態では、共存症は前記の1つ以上の障害または疾患の治療に使用されている1つ以上の治療で起こる。
【0063】
いくつかの例示的な実施形態では、疾患はパーキンソン病(およびパーキンソン病に随伴するうつ症)、アルツハイマー病、アンゲルマン症候群(遺伝病)、多発性硬化症(MS)ならびに前痴呆および/または認知障害などの中枢神経系(CNS)疾患を含めた神経系障害である。
【0064】
いくつかの例示的な実施形態では、疾患は脊髄傷害あるいは脳障害、記憶障害、認知障害および/または学習障害などでCNSが損傷した結果である。
【0065】
いくつかの例示的な実施形態では、疾患はアルコール性肝疾患、脂肪肝(非アルコール性)肝炎(ウイルス性および非ウイルス性)、肝臓癌、酸化的肝臓病、HISS依存的インスリン抵抗性、胆汁うっ滞および硬変病からなる群から選択される肝疾患である。
【0066】
いくつかの例示的な実施形態では、肝臓、結腸、直腸、卵巣、尿道、精巣、膀胱、乳腺、胃、食道、膵臓、頭頸部、肺、血液、皮膚(日光角化症、基底細胞癌、表在型基底細胞癌、扁平上皮癌、およびメラノーマ)の1つ以上で起こる癌および腺癌からなる群から選択される癌である。
【0067】
いくつかの例示的な実施形態では、例えば、疾患は関節炎および変形性関節症などの関節疾患である。
【0068】
いくつかの例示的な実施形態では、疾患は全身性エリテマトーデス、ライ症候群、リウマチ熱、アレルギー性鼻炎、重症筋無力症、側頭動脈炎、血管炎、乾癬症、アトピー性皮膚炎、酒さ、湿疹、全身性脱毛症、強皮症、天疱瘡、接触性皮膚炎、強直性脊椎炎、皮膚筋炎、多発性筋炎、セリアックスプルー、ギラン−バレー症候群、多発(脳)梗塞性認知症、脳梗塞後における血管系の偶発的障害からの再潅流障害、アジソン病、橋本甲状腺炎、喘息、上気道の炎症、慢性気管支炎、動脈硬化、悪性貧血、自己免疫性肝炎、前立腺炎、骨盤内炎症性疾患、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、慢性腎炎症、シェーグレン症候群、またはアレルギー性結膜炎からなる群から選択される炎症性疾患である。
【0069】
いくつかの例示的な実施形態では、疾患は炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、または潰瘍性大腸炎(UC)などの胃腸障害である。
【0070】
いくつかの例示的な実施形態では、疾患は線維筋痛症などの軟組織疾患である。
【0071】
いくつかの例示的な実施形態では、疾患は線維性筋痛、慢性頭痛、帯状疱疹、反射性交感神経性ジストロフィ、および多発性神経障害などの疼痛障害である。
【0072】
いくつかの例示的な実施形態では、疾患は冠動脈心疾患、脳卒中、末梢血管疾患および動脈硬化性疾患などの高−または低−ホモシステイン血症に関連する心血管疾患である。
【0073】
いくつかの例示的な実施形態では、疾患はメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素欠失などのメチル化経路の欠乏に関連する遺伝的または医学的状態に関する。
【0074】
いくつかの例示的な実施形態では、疾患の病因は酸化またはフリーラジカル障害を含んでもよく、慢性疲労症候群、側頭動脈炎、血管炎、多発性梗塞痴呆、慢性肺気腫、虚血再灌流傷害、慢性腎炎または血管性うつ病からなる群から選択される。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明の改善された薬物動態的SAMe製剤は栄養補給または栄養補助健康改善の提供に利用される場合、または上記の種々の生理疾患および障害に関連する治療的な投与に対して改善された副作用プロファイルを示すことが期待される。改善が見込まれる副作用は、限定されるものではないが、消化管(例えば、吐き気、軟便または便秘)、不眠症、不穏状態、性機能不全、ホモシステイン値低下、心血管系疾患の副作用(例えば、動悸)、神経過敏、食欲不振、口内乾燥、めまいおよび頭痛を含む。
【0076】
本発明の改善されたPK SAMe製剤は従来の非経口的ではないSAMe剤形と比較して有意に改善されたSAMe血漿のレベルを上げる。上記の1つ以上の疾患/障害に対する臨床効用の達成および/または改善に必要であるSAMeの治療有効量により近づくことを含めてSAMeの身体に対する暴露上昇での多くの潜在的利益がある。従って、本発明のいくつかの実施形態では、上記の1つ以上の疾患/障害に対する治療を急速に開始を示すSAMe製剤を提供している。
【0077】
いくつかの実施形態では、本発明の改善された薬物動態的SAMe製剤は1日当たり少なくとも約7500ng・h/mLの平均SAMe AUC値および/または1日当たり約1800ng/mLの平均Cmaxを示す。他の実施形態では、1日当たり少なくとも約7500ng・h/mLの平均SAMe AUC値および/または1日当たり約1800ng/mLの平均Cmaxは従来の外因性SAMe製剤による治療と比較して改善された有効性をもたらす。これらの改善されたCmaxおよび/またはAUC値は多くの投与レジメンを用いて達成でき、したがって、1600mg以下のSAMeイオン投与から生じることもあり、24時間に1回または複数回のSAMe経口剤形を投与を原因とする場合が有る。
【0078】
本発明の方法および組成物による投与に対する好適な被験体は、ヒト、家畜または外来動物または家畜類などの温血哺乳類、鶏およびカモなどの家畜化された鳥類被験体、および研究使用に好適な実験動物を含む。被験体の疾患または障害の治療に使用する場合、特異的な生理疾患および障害の種々の症状は本発明の提示および以下に提示した詳細の範囲で治療可能と予想される。しかしながら、種々の障害状態を当事者が理解する場合は静的ではなく、かつ、このことは栄養補給に関連した機能変数についても同様であることを認識するべきである。従って、上記の記載は本発明による改善された薬物動態的SAMe製剤を用いて治療することができる種々の疾患、障害状態、症状または機能変数を例示することを意図しているが、当事者はそのような知識を応用すると期待されている。
【0079】
複数の投与単位による投与
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、1つ以上の障害および/または疾患の治療および/または予防は被験者へのin vivoで改善された薬物動態プロファイルを示すS‐アデノシルメチオニン(SAMe)、もしくはそれらの独自の塩を含有する生理的な有効投与量を含む被験者の治療および/または予防に関する。
【0080】
いくつかの実施形態では、投与レジメンを複数の1日用量に分けてもよい。複数投与は同一である必要はなく、1つまたはそれ以上を組み合わせた剤形を含んでもよい。いくつかの例示的な実施形態では、改善された薬物動態的SAMeは2回以上の1日用量に分けてもよい。各投与は1錠の錠剤、カプセル、カプレットで例示される1錠の投与単位として投与してもよく、または別法として複数の投与単位に分けてもよい。いくつかの実施形態では、投与当たり約100mgから約1600mgのSAMeイオンの1日2回投与を、単位当たり約100mgから約800mgのSAMeイオンまでの1つから4つの投与単位に分けてもよい。いずれの場合も、投与単位の剤形はカプセル、錠剤、カプレットまたは持続放出の投与単位等であってもよい。先に述べたように、SAMeのAPIはいくつかの対イオンと併せてイオンを含む分子物質として供給され、SAMe投与の場合は、現在、数値化した投与量(通常、ミリグラム単位)が投与されたSAMeイオンの量であることは当該分野で受け入れられている。従って、「400mgSAMe錠剤」は400mgのSAMeイオンを含む錠剤をいう。
【0081】
一般的に、従来のSAM投与は1日当たり最高で1600mg(800mg、1日2回)のSAMeイオンを投与する。最も市販品として入手可能なのは被験者が1日4〜8錠剤を摂取することを必要とする200mgおよび400mg(SAMeイオン)投与の錠剤である。これは、必要とする時間と潜在的な間違い(つまり、投与を忘れる)を考えると不便である。本発明はSAMeの有効投与量を減少および/または投与を1日2回以上する必要性を排除する新規の組成物および方法を同定した。薬物動態プロファイルを改善させることにより、平均CmaxまたはAUCを増加するか、または薬物動態パラメーターの変動を低減させるかのいずれかを行う1つ以上の好適な賦形剤または最終の剤形特性を含む組成物を提供することで効率的な応答を誘発するために必要とされるSAMe投与量を潜在的に低下させるSAMe治療の新規の方法が得られる。これら例示的な「低用量」製剤は時間、費用および大量の服用を自身でする場合の不便を減少させるのでSAMeを服用する場合に有益で、1日に取るより少ない薬剤数を提供できる。同じPKプロファイルを示す他のSAMe生成物投与と比較した場合、低用量であることにより改善された副作用プロファイルを生ずるものと期待される。従って、いくつかの実施形態では、外因性SAMe製剤の副作用プロファイルを改善するSAMe組成物を提供する。
【0082】
追加的な例示的な実施形態では、有効投与量を1日1回投与する。いくつかの実施形態では、1日1回投与量を1錠の錠剤、カプセル、またはカプレットで例示される1錠の投与単位で投与してもよい。他の例示的な実施形態では、1錠の投与量を1回で服用する複数の錠剤、カプセル、またはカプレットで投与してもい。いくつかの実施形態では、例えば、1日当たり約400mgから3200mgのSAMe投与を投与当たり約100mgから1600mgにしたSAMeの2錠、3錠、4錠またはそれ以上の錠剤、カプセル、またはカプレットに分けてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、1日の投与は投与当たり約100mgから800mgのSAMeにしておいた2錠、3錠、4錠の錠剤、カプセル、またはカプレットを含んでもよい。好適な投与レジメンは単位当たり約200mgまたは400mgの4単位、単位当たり約100mg、150mg、200mg、300mg、400mg、600mg、800mgまたは1,000mgのSAMeの3単位、単位当たり約200mg、400mg、800mgまたは1600mgの2単位を含む。
【0083】
本発明の特定の実施形態では、1日1回投与の効果が特にCmaxおよびTmaxで最も一定した薬物動態パラメーター測定になると考えられている。この製剤の1日1回投与から生じる「より信頼性のある」薬物動態プロファイルにより、医療従事者の投与に関する改善された知識ならびに被験者が最も高いSAMe(Cmax)の全身的暴露を経験するときの時間に関する改善された薬物動態プロファイルを可能にし、被験者の副作用プロファイルの改善を生むものと期待されている。伝統的に、SAMe投与は初回の投与の場合は絶食時の胃に1日に2回投与する。被験者は絶食しているので、第1回の投与は一般的に食事摂取前の朝の早い時間(つまり、8:00AM)に投与する。第1回目の投与は8時間後(つまり、4:00PM)に、典型的には絶食していない胃に投与する。Tmaxの遅延により特徴づけられる強い「食事の影響」が日常的に観測されるのでCmaxは通常の睡眠時間(しばしば11:00PMから2:00AM)まで到達しない。不眠症および他の睡眠に関連する事象は多くの従来のSAMe製剤についてしばしば報告されており、このことは、第2回目の投与およびSAMeに対応して起こる刺激効果が原因の夜間Cmaxが理由である。対照的に、本発明の製剤を使用した朝1日1回投与では等量またはより多い1日総量のSAMe(つまり、同様のAUC値)が送達され、TmaxおよびCmaxが通常の昼間に達成されるので不眠症副作用の可能性が低下する。
【0084】
従って、本発明のいくつかの例示的な実施形態は1日1回投与レジメンを用いて組成物を投与する、少なくとも1つの好適な賦形剤または生成物特性と組み合わせたSAMeを含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、SAMe組成物は食事前の時間での投与、例えば、朝食前であるので絶食時の胃に投与する。また、特定の実施形態は、組成物がSAMeの生理的な有効投与の有効投与量減少を示す、少なくとも1つの好適な賦形剤または生成物特性との組み合せたSAMeを含む組成物に関する。好ましくは、そのような組成物は例えば、in vivoで投与された場合SAMeイオン100mgでは少なくとも約100ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)などの高められた薬物動態プロファイルを達成する。
【0085】
SAMeと他の活性成分との組み合せ
本発明のいくつかの例示的な実施形態は、外因性SAMeの生理的に有効量の薬物動態プロファイルを改善する本発明の例示的な組成物を被験者に投与することを含む、限定するものではないが、精神もしくは精神医学の疾患(例えば、うつ病および物質乱用障害などの神経病性または非精神病性精神障害)、神経系の疾病/疾患(例えば、アルツハイマー病などの中枢神経系疾患)、他の神経学的疾病/疾患(例えば、頭痛および睡眠障害)、中枢神経系の損傷に関連する状態、肝臓病/肝障害(例えば、アルコール性肝疾患)、癌(例えば、固型癌および血液で運ばれる疾病)、関節疾病/疾患(例えば、関節炎)、炎症性疾病/疾患(例えば、潰瘍性大腸炎)、自己免疫疾病/疾患(全身性エリテマトーデスおよび節リウマチ)、変性疾病/疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症)、軟組織疾病/疾患(例えば、線維筋痛症)、疼痛疾病/疾患、高−または低−メチル化に関連する遺伝疾患、胃腸疾病/疾患、心血管疾病/疾患、および酸化またはフリーラジカルによる損傷により全身または部分的に誘導される障害からなる群から選択される被験者の障害あるいは疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0086】
さらに、上記のSAMeの1つ以上の活性成分との組み合せは1つ以上の活性成分に関連する副作用を緩和する。SAMeとの組み合せは同時投与でもよく、または別途に投与でもよく、同時である必要はない。
【0087】
本発明の他の実施形態は、限定するものではないが、被験者の精神もしくは精神医学の疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、3環系抗うつ薬(TCA)、四環系抗うつ薬、アミノケトン類、フェニルピペラジン、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、ノルエピネフリン‐セロトニン再取り込み阻害薬(NDRI)、ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、選択的セロトニン再取り込み亢進薬、ノルアドレナリンおよびセロトニン特異的抗うつ薬、サブスタンスP受容体拮抗剤、サレズタントなどのニューロキニン受容体拮抗剤、ミフェプリストンなどのコルチコトロピン放出因子拮抗剤、アリピパラゾールなどの非定型抗精神病薬、リチウムなどの一般的に使用される抗鬱剤増量剤、三重再取り込み阻害剤などを含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、被験者のメンタルあるいは精神障害の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、ECT(電気けいれん療法)および電撃療法を含む1つ以上のデバイス療法とSAMeとの組み合せに関する。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、神経系の疾病/疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、プレガバリンなどの抗痙攣剤、アルファ−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体拮抗剤、メチルホスホネート(NMPA)受容体拮抗剤、ヒスタミン受容体拮抗剤、酸化窒素(NO)調節薬、グルタミン酸受容体拮抗剤、アセチルコリンステラーゼ阻害剤、ドーパミン作動薬、メマンチンなどのN−メチル−d−アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗剤、ドネペジルなどのコリンエステラーゼ阻害剤、神経保護薬、向知性薬、CNS調節薬、抗アミロイド形成剤を含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、被験者の肝疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、アルファインターフェロンなどの抗ウイルス剤、リバビリン、ラミブジン、ステロイド、抗生物質および酢酸亜鉛を含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、被験者の癌の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、化学療法薬、薬物耐性調節剤、モノクローナル抗体、サイトカイン(つまり、インターフェロンおよびインターロイキン)、免疫サイトカイン、増殖因子、化学保護剤、ワクチンおよび他の生物学的反応修飾薬を含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、被験者の関節または炎症性疾病/疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、鎮痛薬、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)ステロイド薬、アナキンラ(インターロイキン−1受容体拮抗剤)、COX‐2阻害剤、バクロフェンなどのガンマ‐アミノ酪酸B(GABAB)受容体作動薬、ベンゾジアゼピン腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬などのGABAA賦活剤、および免疫反応を修飾する他の薬剤(免疫抑制剤)を含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、被験者の自己免疫疾病/疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、DMARD、コルチコステロイド薬、アナキンラ(インターロイキン−1受容体拮抗剤)、TNF阻害薬、および免疫反応を修飾する他の薬剤(免疫抑制剤)を含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、被験者の変性疾病/疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、NSAID、COX−2阻害剤、バクロフェンなどGABAB受容体作動薬、およびベンゾジアゼピンなどのGABAA賦活剤を含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、被験者の軟組織疾病/疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、ミルナシプラン、プレガバリン、SMRI、NSRI、筋弛緩薬、鎮静薬、痛み止め、およびNSAIDを含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、被験者の高−または低−メチル化に関連する遺伝疾患/疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、メチオニン、MTA(5’−デオキシ−5’−(メチルチオ)アデノシン)、および他のSAMe代謝物質を含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、被験者の胃腸疾病/疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、5−アミノサリチル酸(5‐ASA)薬剤、コルチコステロイド(プレドニゾン)、アザチオプリン(イムラン)などの免疫調節薬、6−メルカプトプリン(6‐MP)、メソトレキセートおよびシクロスポリン(サンディミュン)、メトロニダゾール(フラジル)およびシプロフロキサシン(Cipro)などの一般に使用されている抗生物質およびインフリキシマブ(Remicade)などの生物学的製剤を含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、被験者の心血管疾病/疾患の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、スタチン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、ASA、メチオニンなどのSAMe分解生成物、MTAおよび葉酸、心臓保護剤、血管保護剤、凝固阻害剤を含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、酸化またはフリーラジカルによる損傷により全身または部分的に誘導される障害の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、フラボノイド、セレン、カロテノイドなどの抗酸化剤を含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態は、限定するものではないが、脳損傷または脊髄損傷などの中枢神経系の損傷で全体または一部で誘起させられた障害の治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される、神経保護薬、向知性薬、CNS調節薬、鎮痛薬、筋弛緩薬、アポトーシス抑制剤、骨調整剤、抗酸化剤を含む1つ以上の活性成分とSAMeとの組み合せに関する。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態は、ホモシステイン産生の減少と相関するメチオニン、MTA、葉酸、ビタミンB6および/またはB12とSAMeとの組み合せに関する。従って、改善された薬物動態プロファイルを示す外因性SAMeでSAMeを同時に補給している一方で、SAMeを生成する身体の自然力を高めることでメチオニン、MTA、葉酸、メチル葉酸、ビタミンB6および/またはB12とSAMeとの組み合せがSAMeのさらなる補給を生じさせているものと考えられる。
【0102】
いくつかの実施形態では、限定するものではないが、本発明に基く例示的な改善されたSAMe剤形は、外因性SAMeの生理的に有効量の薬物動態プロファイルを改善する本発明の例示的な組成物を被験者に投与することを含む、精神もしくは精神医学の疾患(例えば、うつ病および物質乱用障害などの神経病性または非精神病性精神障害)、神経系の疾病/疾患(例えば、アルツハイマー病などの中枢神経系疾患)、他の神経学的疾病/疾患(例えば、頭痛および睡眠障害)、中枢神経系の損傷に関連する状態、肝臓病/肝障害(例えば、アルコール性肝疾患)、癌(例えば、固型癌および血液で運ばれる疾病)、関節疾病/疾患(例えば、関節炎)、炎症性疾病/疾患(例えば、潰瘍性大腸炎)、自己免疫疾病/疾患(全身性エリテマトーデスおよび節リウマチ)、変性疾病/疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症)、軟組織疾病/疾患(例えば、線維筋痛症)、疼痛疾病/疾患、高−または低−メチル化に関連する遺伝疾患、胃腸疾病/疾患、心血管疾病/疾患、および酸化またはフリーラジカルによる損傷により全身または部分的に誘導される障害からなる群から選択される被験者の障害あるいは疾患の治療に好適なあるいは治療および/または予防のために一般に処方されるまたは使用される1つ以上の化合物で例示される、少なくとも1つの他の活性成分を含有する別の剤形を用いるキットに含めてよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明に基く例示的な改善された薬物動態的SAMe剤形は診断検査の一部として使用に好適な1つ以上の薬剤/ツールで例示される別の診断薬またはツールを用いるキットを含めてもよい。特定の実施形態では、診断薬またはツールは1つ以上のバイオマーカーのレベルを測定する試験の一部として使用する。
【0104】
上記に例示した1つ以上の追加的な成分、メチオニン、MTA、葉酸、ビタミンB6および/またはB12とSAMeとの組み合せに加えて本発明の例示的な改善された薬物動態的SAMe製剤は、被験者が服用した他の薬剤または栄養補助食品の効果をも高める。従って、本発明のいくつかの例示的な実施形態は、薬剤または栄養補助食品の活性を増加させるために他の疾患を治療する目的ですでに用いられた薬剤または栄養補助食品とSAMeとの組み合せに関する。
【0105】
本発明は、以下の実施例によってさらに記述する。これらの実施例は、本発明のいくつかの態様を説明する目的で記載したものであって開示された本発明の範囲を限定または狭めるものと解してはならない。
【0106】
実施例
実施例1
本発明のSAMe製剤は市販品として入手可能なSAMeと比べて有意に大きなCmax値を生成する。
加工要素、方法および改善された薬物動態プロファイルを生みだす生成物特性を付与するパラメーターを同定し最適なものとするために、種々の賦形剤を含有し、かつ、特定の最終の剤形特性で調製されたSAMe製剤を市販品として入手可能なSAMe製剤と比較した。この例では、市販品として入手可能なS‐アデノシルメチオニントシレート二硫酸塩製剤を対照SAMe剤形として使用した。
【0107】
本発明のSAMe製剤は錠剤を作る標準的手順を用いて生成し、以下が含まれる。
【表1】

【0108】
SAMeの圧縮性を改善するために、乾式造粒法(“スラギング”)を使用した。上述の成分を混合しメッシュスクリーンで押しだした。スラグを2kPaから4kPaの硬度にする16/32ツーリングを備えるマネスティSPプレスで作った。次に、スラグをErweka乾燥造粒剤で粉砕しメッシュスクリーンで押しだした。続けて、最終の混合物を細長い楕円形型打ちを使いStokes DS3半自動プレスで12kPaから17kPaの硬度に圧縮した。製造の全期間中は、湿度を30%以下に維持し、温度を20℃から25℃に維持した。圧縮の間、顆粒は流動特性が良く、付着またはピッキングがないことを示した。
【0109】
錠剤に腸溶コーティングを塗布する前に錠剤の表面特性を改善するためにシールコーティングを初めに塗布した。純水の中で市販品として入手可能なシールコーティングの撹拌12%懸濁液を重さが2%増えるまで55℃の注入空気温度および4−6g/分の噴霧率で芳香コーティングカラムの中でコーティングされていないSAMe錠剤に塗布した。
【0110】
次に、胃のなかに留まるようにするためにpH5.5で溶解するようにデザインした可塑化した80%固体(w/w)の市販品として入手可能な腸溶コーティングを錠剤製剤に塗布した。腸溶コーティングを撹拌した30%の水性懸濁物(上塗り分散液の重量56%)、可塑性20%の水性懸濁物(上塗り分散液の重量7%)、くえん酸トリエチル(上塗り分散液の重量2%)および純水(上塗り分散液の重量35%)を用いて生成した。これらの要素を混合し、次に、55℃の注入空気温度および4−6g/分の噴霧率で芳香コーティングカラムの中でシールコーティングしたSAMe錠剤に塗布した。
【0111】
SAMeおよび賦形剤の特異的な組み合せと混合した場合の剤形特性を生産する製造プロセスが例示的なSAMe製剤を生み出す。錠剤は以下の基準を含めたいくつかのin vitro試験基準に従って検査する。
硬度:3の分散(SDEV2乗)で16の平均範囲
錠剤の平均重量:1100mg(標準の薬学的分散で標的400mg SAMeイオン)
平均サイズ:9.2mm × 19.1mm
外側コーティングの厚さ:6.4%の重量増加
含水量:2.2% w/w
【0112】
本発明の最終の錠剤が生成されて特徴づけされると、in vivoの薬物動態プロファイルを日常的に市販品として入手可能なSAMeトシレート二硫酸塩製剤を使用する場合と比較するために健康志願者に投与する。
【0113】
対照群として、7人の健康で絶食した男性志願者に市販品として入手可能なS‐アデノシルメチオニントシレート二硫酸塩製剤1600mgを1回投与した。同様に、被験物質投与群につては、9人の健康で絶食してきた男性志願者に本発明のSAMe製剤(「MSI‐43」)1600mgを1回投与した。得られた薬物動態プロファイルを投与後の様々な時間における血漿中のSAMeの存在を測定して評価した。
【0114】
図1のグラフは上記の被験者の平均SAMe血漿濃度曲線を示しているが、それぞれが1回投与の市販品として入手可能なS‐アデノシルメチオニントシレート二硫酸塩製剤1600mgか、本発明の新規のSAMe製剤(MSI‐43)1600mgかのいずれかを投与されている。市販品として入手可能なSAMe製剤については、投与から約3時間から4時間以内に約900ng/mLの平均Cmaxに到達した。グラフに認められるように、ここで注意しなければならないのは本発明のSAMe製剤を1回投与された被験者については投与から約3時間を経ずに約4000ng/mLの平均Cmaxに到達したことである。この結果は、本発明のSAMe製剤がSAMeの薬物動態プロファイルを有意に改善することを明確に示し、注射可能形態以外では当該分野では開示されたことが無いSAMe Cmaxおよび/またはAUC値の上昇を起こした。
【0115】
実施例2
In Vivoで高い薬物動態プロファイルになる目標としている溶解「窓」
この例では、追加のSAMe製剤が異なる量の崩壊剤、コーティングの厚さで製剤され、さらにin vivoの成績とin vitroの溶解プロファイルを比較するために種々のプロセスパラメーター条件で生成された。各製剤は以下を含む。
【表2】

使用された崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、またはクロスプロビドンである。微結晶セルロースの比率は製剤の最終%(w/w)が100%になるのであれば崩壊剤の量に基づいて変えてもよい。錠剤は実施例1に記載したプロセスに従って製造した。また、実施例1に記載したin vitro属性を測定した。in vivoのヒトでの試験を実施例1記載のように実施した。以下の表は錠剤特性および対応する薬物動態的属性をまとめたものであり、改善した薬物動態プロファイルを示す製剤に焦点を置いている。
【表3】

【0116】
実施例2a
異なる賦形剤を用いた目標としている溶解
この例では、異なる量の崩壊剤およびコーティングの厚さ、および異なる潤滑剤である追加のSAMe製剤を作る。in vivoの成績とin vitroの溶解プロファイルを比較するために種々のプロセスパラメーターの条件で製剤を生成する。各製剤は以下を含む。
【表4】

使用された崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、クロスプロビドンまたは他の何らかの好適な崩壊剤である。微結晶セルロースの比率は製剤の最終%(w/w)が100%になるのであれば崩壊剤の量に基づいて変えてもよい。
【0117】
錠剤は実施例1および実施例2に記載したプロセスに従って製造する。また、実施例1に記載したin vitro属性を測定する。in vivoのヒトでの試験を実施例1および実施例2に記載したように実施する。以下の表は本発明に基く錠剤に用いられた潤滑剤をまとめたものである。
【表5】

【0118】
実施例3
in vivo成績の予測標識としてのin vitro溶解プロファイル
溶解プロファイルは最終生成物および/または錠剤特性を確認するためにin vitroマーカーとして日常的に使用する。典型的にはこのプロファイリングはUSP標準に基づき、かつ、生理学的pH(pH6.8)再現の条件下で行う。
【0119】
典型的に、使用される溶解試験法は以下である。
100RPMで運転するUSP Apparatus II
液相:酵素を含まない1L USP人工胃液、pH1.2、37℃
水性緩衝相‐酵素を含まない1L USP人工腸液、pH6.8、37℃
錠剤を酸性相に2時間曝露して、次に、緩衝相に移す。
酸性相に2時間曝露した後アリコートを取り出し、次に、所定の間隔をおいて、緩衝相におく。
サンプルをn/10 HCLを用いて1から10に希釈する。
薬物の濃度を258mmで分光光度的に測定する。
【0120】
先に述べたように、同じ市販品として入手可能なSAMe生成物に対して8つの異なるSAMe製剤を比較し、得られた溶解プロファイルを図2Aに示した。グラフに示したように、本発明の8つのSAMe製剤のすべてが市販品として入手可能なSAMeと比べて水性緩衝相においてインキュベーションを始めて30分以内に急速な溶解を示した(このことはX軸上の2時間から2.5時間の間である。なぜなら全てのサンプルは緩衝相に移され分析する前2時間酸性相に曝露されるからである)。さらに、本発明の8つのSAMe製剤の溶解プロファイルは重なり合うので、これらの製剤を区別するのが困難であり、すべてが等しく「急速」に見える。
【0121】
本発明のSAMe製剤は胃がある領域で溶解するようにデザインされた腸溶コーティングで被覆されており、従って、担当した研究者は小腸の状態を良く再現する新規のプロファイリング法をデザインした。この方法を用いて、緩衝相をpH6.8ではなくpH6.0に調整した。
【0122】
驚くべきことに、これらの条件で生成されたin vitro溶解プロファイルは本発明の8つの製剤について、早期段階でどの薬物放出がより急速かより緩慢であるかの明確な区別を同定した。図2Bのグラフはこれらのプロファイルを示し、MSI−111、MSI−90およびMSI−104が「急速放出」の製剤であると明確に示した。実施例2の表に認められるように、これらの製剤のすべてのin vivoプロファイリングが示したことは、急速放出製剤は際立って高いCmaxおよびAUC値を有し、かつ、本発明の製剤はSAMeの改善された薬物動態プロファイルを示すということである。
【0123】
また、市販品として入手可能な急速溶解SAMe生成物である「市販品生成物1」を本発明の種々の製剤と比較した場合、際立って急速に溶解する製剤はin vivo SAMeでの際立って高いCmaxおよび/またはAUC値を示さないことが認められたが、これらは本発明で例示して述べてきたことである。同様に、上記の実施例ならびに下記の実施例で使用している別の市販品として入手可能なSAMeの生成物(「市販品生成物2」)は本発明の改善されたPK SAMe製剤と比較してpH6.0ではこの生成物の溶解は「緩慢」であることを示した(この溶解プロファイルのサマリーを図3に示す)。従って、驚くべきことに、急速でもなく緩慢でもない溶解の「窓」が存在し、血漿中で非常に高いレベルのSAMeを達成する。かくして、in vivoで改善された薬物動態プロファイルを示すSAMe製剤を同定する新規のin vitro法を本明細書で提示する。
【0124】
実施例4
SAMeの薬物動態パラメーターに与えるコーティングの厚さ、温度および相対湿度の作用
異なる賦形剤および/または剤形特性を含む本発明の複数のSAMe製剤のin vivoプロファイルを比較した。下記の表2に認められるように、「薄膜コーティング」製剤は高いCmaxおよびAUC値を出した。「薄膜」コーティングとは約6%以下、より好ましくは約4%を目標としているコーティングである。表に認められるように、相対湿度は30%以下に維持した。実行可能な「薄膜」コーティングの製剤を生成するにはこの低湿度を維持することが必要であった。温度は35℃以下で維持した。
【表6】

【0125】
機能性(または腸溶)コーティングの厚さが4%近辺まで減少する場合、湿度が35%にまで達する条件下で本発明の改善されたPK SAMe製剤が生成される。しかしながら、驚くべきことに、担当した研究者は際立って低い湿度の条件下(10%以下)で生成した本発明の改善されたPK SAMe製剤が外側コーティングの厚さに対して感受性が低くなること、そして、本発明の改善されたPK SAMe製剤は9〜10%の厚さの機能性コーティングで生成することができることも発見した。従って、また、本発明は相対湿度が約10%以下の条件下で当該製剤を製造することにより改善されたPKパラメーターを用いてSAMe製剤を作る方法に関する。
【0126】
図4のグラフはSAMeのガラス転移温度(Tg)に与える相対湿度と温度の効果を示す。グラフに認められるように、本発明のSAMe製剤を調製する場合、室温よりも高いTgを得るために、これらのプロセスパラメーターの好ましい運転範囲がある。コーティングの厚さを約4%を維持し、最も低い湿度(10%以下)がこれらの製剤により好ましい。
【0127】
実施例5
本発明のSAMe製剤による有効量減少
比較用量にした場合および半量にした場合における異なる賦形剤および/または剤形特性を含む本発明のSAMe製剤を市販品として入手可能なSAMe製剤と比較した。この例では、前に述べたものと同じ市販品として入手可能なS−アデノシルメチオニントシレート二硫酸塩製剤を対照SAMe剤形として使用した。
【0128】
デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)、コロイド性二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを含む本発明の第1のSAMe製剤(「MSI−72」と呼ぶ)を実施例1に記載の類似の賦形剤および手順を用いて生成した。特異的なMSI−72製剤は以下のとおりである。
【表7】

【0129】
実施例1に記載されるように、同じシールコーティングと、それに続く、pH5.5で溶解するようにデザインした腸溶コーティングを錠剤に塗布した。
【0130】
上記の本発明のMSI−72 SAMe製剤を市販品として入手可能なSAMe製剤と比較するために、市販品として入手可能なS‐アデノシルメチオニントシレート二硫酸塩製剤かMSI−72SAMe製剤かのいずれかを健康で絶食した男性志願者の2群(各郡当たり7人)に投与した。第3の被験群で独自のSAMe製剤800mgの1回投与を市販品として入手可能なSAMeの同じ1600mg投与と比較した。得られた薬物動態プロファイルを投与後の様々な時間における血漿中のSAMeの存在を測定して評価した。
【0131】
図5Aのグラフは、本発明のSAMe製剤(MSI‐72)1600mgを1回投与された7人の被験者に関する平均血漿SAMe濃度曲線と比較する市販品として入手可能なS‐アデノシルメチオニントシレート二硫酸塩製剤1600mgを1回投与された7人の被験者に関する平均血漿SAMe濃度曲線を示す。グラフに認められるように、独自のSAMe製剤の平均Cmaxは従来のSAMe治療と比べて有意に増加した。
【0132】
さらに、図5Bに提示したデータは上で概説した従来の市販品として入手可能なSAMe治療の同じ1600mg投与を表しているが、しかしながらMSI−72SAMe製剤の場合は半量投与したのみである。7人の健康で絶食した男性志願者に800mgのMSI‐72を1回投与し、血漿中のSAMeの存在を投与後の提供した時点で測定した。グラフに認められるように、半量のみを使用した場合の本発明の製剤の平均Cmaxは市販品として入手可能なSAMe製剤1600mgの標準用量と同等である。
【0133】
微結晶セルロース、クロスカルメロース、コロイド性二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを含む本発明の別のSAMe製剤(「MSI−69」と呼ぶ)をもまた、実施例1に記載の類似の賦形剤および手順を用いて生成した。投与量が半量(800mg)のこの製剤を上述の市販品として入手可能なS‐アデノシルメチオニントシレート二硫酸塩製剤1600mgの投与と直接比較した。7人の健康で絶食した男性志願者に800mgのMSI−69を1回投与し、血漿中のSAMeの存在を投与後の提供した時点で測定した。
【0134】
図5Cのグラフに認められるように、半量のみを使用した場合の本発明の第2の製剤(MSI−69)の平均Cmaxは市販品として入手可能なSAMe製剤1600mgの標準用量と同等である。
【0135】
これらの結果は、本発明のSAMe製剤が有意に減少した有効投与量であり、従って、ここで用いた市販品として入手可能なSAMe製剤の約2倍の投与量と比較した場合に改善した薬物動態プロファイルの提供であることを明らかにしている。
【0136】
2つの市販品として入手可能なSAMe生成物と比較しながら、上述したMSI−69またはMSI−72および2つの異なるMSI製剤(MSI−90およびMSI−105)を使用した場合の800mgのSAMe投与について取得したAUCおよびCmaxの値のサマリーを下記の表4に示した。
【0137】
800mg投与のCmaxおよび特に、AUC測定により2つの市販品として入手可能なSAMe生成物と比較した場合、本発明の組成物は有意に大きな曝露を提供する。
【表8】

【0138】
実施例6
本発明のSAMe製剤による減少した食物作用プロファイル
提供された製剤を用いる1日1回投与を、日常的に使用する市販品として入手可能なSAMe生成物の1日2回の投与に関するシミュレーションに対して比較した。前述したように、典型的には、従来のSAMe製剤は1日2回投与(BID)であり、午後の遅い時間の第2回目投与は絶食時の胃に投与されないので「食事の影響」による不眠症および/または他の睡眠に関係する副作用(例えば、不穏状態)をもたらしかねない。
【0139】
個々の胃または消化管にある食物の量および/またはタイプにより錠剤(または他の剤形)内のAPIが溶解し血流に吸収される時間の遅延がでる可能性が有る。SAMeのBID投与では、食事をした個人に投与された場合には第2のSAMeのCmaxが達成される時間の遅延(つまり、第2のTmaxの遅延)を起しやすい。従って、第2回目投与のCmax(および関係する潜在的な刺激効果)が通常の睡眠時間内に生じる不眠症および他の睡眠に関係する副作用が従来のSAMe治療では一般的である理由を説明できる。1日の合計では従来の1日2回投与と等量のSAMeを送達する本発明のSAMe製剤を用いた1日1回投与は、そのような副作用を軽減する可能性があり、このことは特に1回のCmaxが1日に1度、つまり昼間の時間に達成されるので絶食した個人に早朝に投与した場合に顕著である。
【0140】
図6は、1日2回800mg投与で市販品として入手可能なSAMeトシレート二硫酸塩製剤を投与し、食事をした場合と絶食した場合とを比べて「食事の影響」を示す。強い食事の影響は、「食事をした場合」の投与のTmax遅延において800mgを1回投与した後の8時間後に認められる。これとは対照的に、絶食した条件では約4時間後に平均Tmaxが認められる。明らかに、「食事をした」被験者における摂取した食物によってCmaxに到達するまでの時間が有意に遅延した。
【0141】
図7は、服用した市販品として入手可能な生成物について、絶食の場合の時間0時点(8:00AM)、および絶食していない、つまり「食事した」場合の時間8時点(4:00PM)での1日に2回(BID)、1600mg投与のシミュレーションを表している。グラフに認められるように、個人が絶食した場合は初回の投与から約3時間から4時間以内に第1のTmaxに到達する。しかしながら、「食事した」個人に第2回の投与をすると約8時間かけて第2のTmaxに到達する。絶食していない条件下での第2回投与で経験した延長された遅延の場合には最初の投与後の15時間から18時間の間にCmaxに到達するので、これは11:00PMから2:00AMの時間帯に相当する。このことは第2回目の投与が通常の睡眠時間にSAMeのCmaxを生じさせることを意味しており、SAMeについて現在の型にはめられたBID投与の不眠症および/または他の睡眠に関係する副作用の理由を説明できる。
【0142】
本発明で例示した製剤によりTmaxの変動を低下させ、かつ、睡眠時間中に高いSAMe値を出すことが無い1日1回SAMe投与により、同等かより高いAUCが提供されることを示した。1日1回投与の製剤の改善された薬物動態プロファイルによりSAMe投与に関しては低下した副作用プロファイルになるはずである。
【0143】
従来の1日2回の投与レジメンのシミュレーションと本発明で具現化された製剤との比較を下記の表4に示した。
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択された被験者群への組成物の非経口的ではない投与が、
a)SAMeイオン1600mg投与では少なくとも約1800ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax
b)SAMeイオン1600mg投与では少なくとも約7500ng・h/mLの平均SAMe曲線下血漿面積(平均AUC)
c)SAMeイオン800mg投与では少なくとも約850ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)および/または少なくとも約4000ng・h/mLの平均SAMe曲線下血漿面積(平均AUC)
d)SAMeイオン400mg投与では少なくとも約400ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)および/または少なくとも約1800ng・h/mLの平均SAMe曲線下血漿面積(平均AUC)
e)SAMeイオン200mg投与では少なくとも約200ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)および/または少なくとも約900ng・h/mLの平均SAMe曲線下血漿面積(平均AUC)、または
f)SAMeイオン100mg投与では少なくとも約100ng/mLの平均最大SAMe血漿濃度(平均Cmax)および/または少なくとも約450ng・h/mLの平均SAMe曲線下血漿面積(平均AUC)
の少なくとも1つを含む効果を前記選択された被験者群にもたらす、S‐アデノシルメチオニン(SAMe)の生理的な有効量を含む組成物。
【請求項2】
該組成物が経口投与用に製剤され、かつ、該組成物が好適な賦形剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該組成物が栄養補助食品を含む、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
該組成物が医療食を含む、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
該組成物が該平均SAMeCmaxおよび該平均SAMeAUCの1つを調節する物理的なまたは化学的な剤形特性を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
該組成物が10%未満の相対湿度で製造される剤形である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
該組成物が機能性コーティングを含む剤形であり、かつ、該機能性コーティングが該単位剤形の全重量の5%またはそれ以下を構成する、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
該組成物が機能性コーティングを含む単位剤形であり、かつ該機能性コーティングが該単位剤形の全重量の1〜5%を構成する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
該剤形特性が硬さ、厚さ、もろさ、崩壊の速度、溶解の速度、形、サイズ、密度、コーティングおよびそれらの組み合わせの1つを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
該剤形特性が物理的混合の仕様、乾燥時間、圧縮条件、環境パラメーター、およびそれらの組み合わせの1つを該組成物を生産または製造中に制御可能に操作することによって調節される、請求項5に記載の組成物。
【請求項11】
該剤形特性がpH6.0での目標としている溶解プロファイルを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
該投与を2、3、4、5、6またはそれ以上の投与単位に分割した、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
該選択された被験体群が選択されたヒト被験者の群である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
選択された被験者群に投与された場合に該組成物が該選択された被験者群において改善された薬物動態プロファイル、つまり1日1回投与による変動が低減したTmax、1日2回の投与と同等のAUC、および/または減少した副作用を提供する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
選択された被験者群に投与された場合に該組成物が該選択された被験者群においてSAMeイオン100mgでは約100ng/mLから約500ng/mLまでの範囲内の平均Cmaxを提供する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
選択された被験者群に投与された場合に該組成物が該選択された被験者群においてSAMeイオン100mg投与当たり約400ng・h/mLから約800ng・h/mLの範囲内の平均AUCを提供する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
被験者に投与された場合に該組成物が該被験者においてSAMe参照データセットと比較して変動の低減した平均TmaxまたはCmaxまたは低減した有効投与量を提供する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
被験者に投与された該組成物が該被験者においてSAMe参照データセットと比較して低下した副作用プロファイルを提供する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
該組成物が経口送達システム、または経粘膜的送達システムを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
該組成物が錠剤、ペースト、カプセル、顆粒、カプレット、トローチ剤、ペースト、坐薬の1つを含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
該組成物が経口送達システムを含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
該経口送達システムまたは剤形の溶解が、約6の初期pHである水性緩衝液中に60分間存在した後、SAMeの約25〜80%放出を提供する、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
約6の初期pHである水性緩衝液中に存在する該経口送達システムまたはUSP II溶解装置での投与の溶解が、緩衝液相中に60分間存在した後、SAMeの約30〜70%放出を提供する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
治療を必要とする被験者に請求項1または請求項2のいずれか1つの該組成物の有効量を投与することを含む疾患状態または障害を治療する方法。
【請求項25】
該被験体がヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの賦形剤を含む該組成物が、基質材料、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、コーティング、崩壊剤、超崩壊剤、多糖類、オリゴ糖類、ポリペプチド、蛋白質、合成オリゴマー、合成高分子、単量体の有機分子、疎水性有機分子、親水性有機分子、両性有機分子、無機塩類、無機金属、およびそれらの組み合わせの1つである請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
被験者に投与される外因性SAMeの薬物動態パラメーターを改善する方法であって、被験者のSAMeの薬物動態パラメーターを改善するように選択された少なくとも1つの賦形剤と組合せたSAMeの少なくとも1つの生理的に効果的な投与を含有する非経口的でない組成物を該被験者に投与することを含み、該薬物動態パラメーターが、選択されたSAMe参照データセットと比較して被験者においてCmax、AUC、およびそれらの組合せの1つによって測定できる、方法。
【請求項28】
該少なくとも1つの賦形剤が基質材料、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、コーティング、崩壊剤、超崩壊剤、多糖類、オリゴ糖類、ポリペプチド、蛋白質、合成オリゴマー、合成高分子、単量体の有機分子、疎水性有機分子、親水性有機分子、両性有機分子、無機塩類、無機金属、およびそれらの組み合わせの1つである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
該SAMeの薬物動態パラメーターの改善が該組成物の物理的または化学的剤形特性の関数である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
該組成物が10%未満の相対湿度で製造される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
該組成物が機能性コーティングを含む剤形であり、かつ、該機能性コーティングが該単位剤形の全重量の5%以下を構成する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
選択された被験者群に投与された場合の該組成物がSAMeイオン1600mg投与では該選択された被験者群において少なくとも約1800ng/mLの平均Cmaxを提供する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
選択された被験者群に投与された場合の該組成物がSAMeイオン800mg投与では該選択された被験者群において少なくとも約850ng/mLの平均Cmaxおよび少なくとも約4000ng・h/mLの平均SAMe曲線下血漿面積(平均AUC)を提供する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
選択された被験者群に投与された場合の該組成物が該生理的に効果的な投与のSAMeイオン100mgでは少なくとも約100ng/mLの平均Cmaxを該選択された被験者群において提供する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
選択された被験者群に投与された場合の該組成物が該生理的に効果的な投与のSAMeイオン100mgでは約100ng/mLから約500ng/mLの範囲内の平均Cmaxを該選択された被験者群において提供する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
選択された被験者群に投与された場合の該組成物が該選択された被験者群においてSAMe参照データセットと比較して変動の低減した平均Tmaxまたは低減した有効投与量の内の1つを提供する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
選択された被験者群に投与された場合の該組成物が該選択された被験者群においてSAMe参照データセットと比較して低下した副作用プロファイルを提供する、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
選択された被験者群に投与された場合の該組成物が該選択された被験者群においてSAMeイオン1600mg投与では少なくとも約7500ng・h/mLの平均AUCを提供する、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
選択された被験者群に投与された場合の該組成物が該選択された被験者群においてSAMeイオン800mg投与では少なくとも約4000ng・h/mLの平均AUCを提供する、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
選択された被験者群に投与された場合の該組成物が該選択された被験者群においてSAMeイオン100mg投与では約500ng・h/mLから約800ng・h/mLの範囲内で平均AUCを提供する、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
製剤がSAMeおよび少なくとも1つの賦形剤の混合物を含有し、かつ、該混合物が約10%未満の相対湿度で該SAMeおよび該賦形剤を混合して生産される、SAMeを含む製剤。
【請求項42】
製剤がSAMeおよび少なくとも1つの賦形剤の混合物を含有し、かつ、該混合物が近位小腸への標的送達に好適なpH6.0での溶解プロファイルを示すSAMeを含む製剤。
【請求項43】
約10%未満の相対湿度でSAMe製剤を製造することを含む、SAMe製剤の薬物動態プロファイルを改善するプロセス。
【請求項44】
pH6.0の水溶液中での30〜90分間のインキュベーションにより組成物内の全SAMeのうち20%超90%未満が放出されるpH6.0水溶液中でのin vitro溶解プロファイルを示す、SAMeおよび少なくとも1つの賦形剤を含む経口投与用の組成物。
【請求項45】
該pH6.0水溶液中での45〜75分間のインキュベーションにより該組成物内の全SAMeの25%超80%未満が放出されるようなpH6.0水溶液中でのin vitro溶解プロファイルを該製剤が示す、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
該組成物が10%未満の相対湿度で製造される剤形である、請求項44に記載の組成物。
【請求項47】
該組成物が機能性コーティングを含む剤形であり、かつ、該機能性コーティングが該単位剤形の全重量の5%以下を構成する、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
pH6.0でin vitro溶解プロファイルを示す剤形内のSAMeを患者に投与することを含み、該pH6.0の水溶液で30〜90分間のインキュベーションにより全SAMeの20%超90%未満が溶解する、SAMeの取り込みを改善する方法。
【請求項49】
該pH6.0水溶液中で45〜75分間のインキュベーションの間に組成物内の全SAMeの25%超80%未満が溶解するように該製剤がpH6.0水溶液中でin vitro溶解プロファイルを示す、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
該組成物が10%未満の相対湿度で製造される単位剤形である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
該組成物が機能性コーティングを含む単位剤形であり、かつ、該機能性コーティングが該単位剤形の全重量の5%以下を構成する、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
該組成物が機能性コーティングを含む単位剤形であり、かつ、該機能性コーティングが該単位剤形の全重量の1〜5%を構成する、請求項48に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−505897(P2013−505897A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522273(P2012−522273)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001879
【国際公開番号】WO2011/012990
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(512022756)メチレーション・サイエンシーズ・インターナショナル・ソサイアティーズ・ウィズ・リストリクティッド・ライアビリティ (1)
【氏名又は名称原語表記】METHYLATION SCIENCES INTERNATIONAL SRL
【Fターム(参考)】