SAWデバイス、通信モジュール及びSAWデバイスの製造方法
【課題】 低背化を実現できるSAWデバイス、通信モジュールの提供を目的とする。また、低背化が可能なSAWデバイスの製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】 圧電基板3の表面(活性面)には、IDT電極4aと反射器電極4bを含む表面弾性波の振動部分4を囲むように、ポリイミド等の樹脂で出来た高さ20μm程度の壁(又は土手)10を設ける。このポリイミド等の樹脂でできた高さ20μm程度の壁10は、SAW圧電体素子3と配線基板9の間に形成された、上記表面弾性波の振動部分4を含む空間を、SAW圧電体素子2の天井高さHを超えないように封止するための封止樹脂11を堰き止める。
【解決手段】 圧電基板3の表面(活性面)には、IDT電極4aと反射器電極4bを含む表面弾性波の振動部分4を囲むように、ポリイミド等の樹脂で出来た高さ20μm程度の壁(又は土手)10を設ける。このポリイミド等の樹脂でできた高さ20μm程度の壁10は、SAW圧電体素子3と配線基板9の間に形成された、上記表面弾性波の振動部分4を含む空間を、SAW圧電体素子2の天井高さHを超えないように封止するための封止樹脂11を堰き止める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミナ,窒化アルミニウム,LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックス、あるいは、液晶ポリマー,SPS(Syndiotactic Polystyrene)の如く、湿度透過性の低い熱可塑性樹脂で出来た配線基板上に、表面弾性波(surface-acoustic-wave:SAW)圧電体素子をフェース・ダウンで、フリップ・チップ実装するSAWデバイスに関する。また、SAWデバイスを有し、さらに他の実装部品(IC,トランジスタ,ダイオード,抵抗器,コンデンサ,コイル,他の受動素子等)から成る通信モジュールに関する。また、SAWデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話,携帯情報端末(personal digital assistant:PDA),ラップトップパーソナルコンピュータ(personal computer:PC),バーコード・リーダー等の多種多様なモバイル端末において、ブルートゥース(Bluetooth),無線LAN(local area network),UWB,GPS(global positioning system),DTV(degital television)等の無線通信回路の組込みの需要が増している。無線通信回路において、通過周波数帯域と阻止周波数帯域を明確に分別できる急峻な濾波特性が要求される場合には、表面弾性波(surface-acoustic-wave:SAW)フィルタのようなSAWデバイスが必要になる。SAWフィルタは、周波数107〜109Hzの範囲の表面弾性波を利用する。
【0003】
しかし、機器への組込みのため小型化が要求されている無線通信回路の中で、パッケージングされたSAWデバイスは、最も背の高い部品の一つである。そこで、SAWデバイスの低背化が必要不可欠になってきている。
【0004】
従来のSAWデバイスのパッケージング形態には、下記特許文献1〜8に記載された次の5種類がある。
【0005】
第1のパッケージング形態は、特許文献1及び特許文献2に記載されているような形態である。これは、SAW圧電体素子のフリップ・チップ実装+樹脂封止という構成である。すなわち、この第1のパッケージング形態は、図20に示すように、SAW圧電体素子100の圧電基板101の活性面である表面弾性波の振動部分102に形成したインターディジタルトランスデューサ(Interdigital Transducer:IDT)電極102a及び反射器電極102bを、配線基板110側に向け、かつIDT電極102aと電気的に接続されたパッド電極103を、配線基板110の表層電極111に突起電極(バンプ)104を介して接続した、いわゆるフリップ・チップ実装という形となっている。また、この形態にあって、SAWデバイスは、IDT電極102aと配線基板110間に形成された振動空間となる部分を除いて、SAW圧電体素子100の外周部及び圧電基板101と配線基板110の間を樹脂被膜112で封止してなる。なお、配線基板110の表層電極111と端子電極113は、配線基板110に形成された貫通穴114に設けられたビア電極115によって接続されている。
【0006】
第2のパッケージング形態は、特許文献3及び特許文献4に記載されている形態である。これは、SAW圧電体素子のフリップ・チップ実装+キャビティ(cavity:窪み)付基板+蓋による封止という構成である。すなわち、この第2のパッケージング形態は、図21に示すように、SAW圧電体素子120を窪み(又は凹部)121付の配線基板122(容器)内にフリップ・チップ実装により収容し、かつ金属蓋123で凹部121を封止した形態である。容器122は、上面に凹部121を備えた絶縁材料からなる容器本体124と、容器本体124の外底部に設けた端子電極125と、凹部121の内底面に設けられかつ端子電極125と導通した表層電極126と、凹部121内にSAW圧電体素子120を収容した状態で凹部121を封止するために凹部の周壁に固定される金属蓋123とを備えている。なお、このパッケージング形態でも、配線基板124の表層電極126と端子電極125は、配線基板124に形成された貫通穴127に設けられたビア電極128によって接続されている。
【0007】
第3のパッケージング形態は、特許文献3、特許文献5及び特許文献6に記載されている形態である。これは、SAW圧電体素子のワイヤ・ボンディング実装+キャビティ付基板+蓋による封止という構成である。すなわち、この第3のパッケージング形態は、図22に示すように、SAW圧電体素子130を窪み(又は凹部)131付の配線基板132(容器)内にワイヤ・ボンディング実装し、かつ金属蓋133で凹部131を封止した形態である。SAW圧電体素子130上に形成した、IDT電極134a及び反射器電極134bからなる表面弾性波の振動部分134を上に向け、これら電極をワイヤ135により配線基板132の内部電極136に接続するように、SAW圧電体素子130を配線基板(容器)132内の凹部131にワイヤ・ボンディング実装する。また、凹部131内にSAW圧電体素子130をワイヤ・ボンディング実装した状態で凹部131を封止するために凹部の周壁に固定される金属蓋133とを備えている。
【0008】
第4のパッケージング形態は、特許文献7に記載されている形態である。これは、上記第1のパッケージング形態であるSAW圧電体素子のフリップ・チップ実装+樹脂封止という構成の変形である。すなわち、この第4のパッケージング形態は、図23に示すように、SAW圧電体素子140の圧電基板141の活性面に形成したIDT電極142a及び反射器電極142bを、配線基板143側に向け、かつIDT電極142aと電気的に接続されたパッド電極を、配線基板の表層電極144にバンプ145を介して接続した、いわゆるフリップ・チップ実装であり、IDT電極142と配線基板143間に形成された振動空間となる部分を除いて、SAW圧電体素子140の圧電基板141と配線基板143の間を樹脂被膜146で封止してなる。第1のパッケージング形態と異なるのは、SAW圧電体素子140の圧電基板141の非活性面を樹脂被膜146で全て封止してはいない点である。
【0009】
第5のパッケージング形態は、特許文献8に記載されている形態である。これも、上記第1のパッケージング形態であるSAW圧電体素子のフリップ・チップ実装+樹脂封止という構成の変形である。すなわち、この第5のパッケージング形態は、図24に示すように、SAW圧電体素子150の圧電基板151の活性面に形成したIDT電極152a及び反射器電極を、配線基板153側に向け、かつIDT電極152aと電気的に接続されたパッド電極154を、配線基板153の表層電極155にバンプ156を介して接続した、いわゆるフリップ・チップ実装ではあるが、IDT電極152aの上方空間を枠体157及び蓋体158で覆うという構成である。そして、上記IDT電極152aの上方空間を覆う枠体157及び蓋体158を、封止樹脂159により封止するという構成である。
【0010】
【特許文献1】国際公開第2002/061943号パンフレット
【特許文献2】特開2004−200776号公報
【特許文献3】特開2003−168954号公報
【特許文献4】特開2004−193879号公報
【特許文献5】特開2002−076831号公報
【特許文献6】特開2000−261278号公報
【特許文献7】特開2002−043889号公報
【特許文献8】特開2002−290183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記第1〜第3のパッケージング形態では、現在進行している無線通信モジュールの薄型化傾向を満足するだけの低背化が達成できないことが予想される。
【0012】
現状において、第3のパッケージング形態から第1のパッケージング形態に向かう順番である程度の低背化は可能である。第3のパッケージング形態におけるボンディング・ワイヤはSAW圧電体素子からの高さが約0.2mmほど必要である。これに対して、第2のパッケージング形態のフリップ・チップ実装の接合厚みは、配線基板がセラミックスならば、基板電極厚みとバンプ高さを足した20μm程度で済む。更に、第2のパッケージング形態の場合、非活性面であるSAW圧電体素子の天井から封止している金属蓋の天井まで約0.4mm程度は必要だが、第1のパッケージング形態における樹脂封止ならば、樹脂乗り上げ厚みはSAW圧電体素子の天井から0.2mm程度で済む。
【0013】
しかし、第1のパッケージング形態においても、配線基板厚み約0.4mm、SAW圧電体素子厚み約0.4mm、樹脂乗り上げ厚み約0.2mmを足すと、1mm程度となってしまい、現在進行している無線通信モジュールの薄型化で用いられる1005サイズや0603サイズのチップ部品の高さ0.15-0.5mmと比較すると、更なる低背化が必要である。
【0014】
また、第4のパッケージング形態にあっては、上記第1のパッケージング形態よりも、低背化が可能ではあるが、封止樹脂のIDT電極への付着防止が、単に樹脂をチクソ性、熱硬化性(あるいは紫外線硬化性)にすることだけでは不完全と思われる。上記樹脂の硬化反応時における、樹脂の低粘度化、とりわけ樹脂中の低分子量成分の低粘度化によって、IDT電極に樹脂が付着してしまうと考えられるためである。
【0015】
また、第5のパッケージング形態にあっては、SAW圧電体素子上のIDT電極を枠と蓋で覆い、封止樹脂のIDT電極への付着を防止しているが、この形態では、蓋の厚みと蓋と配線基板間に入り込む樹脂の厚み分だけ、パッケージの背が高くなり、低背化が達成できない。
【0016】
また、SAWデバイスは、主に無線通信などの高周波回路の一部として使用されたり、あるいは、高周波回路と隣り合った位置で使用されることが多く、高周波雑音がSAWデバイスの電極に飛び込んで、特性を劣化させる心配があった。上記第1〜第5のパッケージング形態にあっては、高周波雑音に対する対策が採られていなかった。
【0017】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、低背化を実現できるSAWデバイス、通信モジュールの提供を目的とする。また、低背化が可能なSAWデバイスの製造方法の提供を目的とする。また、低背化を可能とすると共に、高周波雑音に対する遮蔽性を実現したSAWデバイス、通信モジュールの提供を目的とする。また、低背化を可能とすると共に、高周波雑音に対する遮蔽性を実現したSAWデバイスの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るSAWデバイスは、上記課題を解決するために、熱可塑性樹脂材料よりなる配線基板と、上記配線基板上にフリップ・チップ実装されるSAW(表面弾性波)圧電体素子と、上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止するための封止樹脂と、上記封止樹脂が上記SAW圧電体素子の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるために設ける堰き止め手段とを備える。
【0019】
堰き止め手段は、封止樹脂がSAW圧電体素子の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、封止樹脂の流れをせき止める。
【0020】
本発明に係る通信モジュールは、上記課題を解決するために、絶縁体材料として熱硬化性樹脂を用いた熱硬化性樹脂層と、上記熱硬化性樹脂層よりも吸水率及び水分透過性の低い熱可塑性樹脂材料を用いた熱可塑性樹脂層とを積層した多層構造の通信モジュールであって、上記熱硬化性樹脂層に半導体集積回路のベアチップを内蔵し、かつ上記熱硬化性樹脂層上に積層した上記熱可塑性樹脂層上には、当該熱可塑性樹脂層を配線基板とし、上記配線基板上にフリップ・チップ実装されるSAW(表面弾性波)圧電体素子とを備え、上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止樹脂により封止し、さらに上記封止樹脂が上記SAW圧電体素子の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるための堰き止め手段を有する。
【0021】
堰き止め手段は、封止樹脂がSAW圧電体素子の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、封止樹脂の流れをせき止める。
【0022】
本発明に係るSAWデバイスの製造方法は、上記課題を解決するために、熱可塑性樹脂材料よりなる配線基板と、この配線基板上にフリップ・チップ実装されるSAW(表面弾性波)圧電体素子とを備えるSAWデバイスの製造方法において、上記SAW圧電体素子を形成するために圧電基板上にIDT電極、反射器電極及びパッド電極を活性面を構成するように形成する電極形成工程と、上記SAW圧電体素子と上記配線基板とを接合するときに、上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止するための封止樹脂が、上記電極形成工程により上記各電極が形成された活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるための堰き止め手段を形成する堰き止め手段形成工程とを備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、低背のSAWデバイス、あるいは、SAWデバイス搭載の無線通信モジュールを実現できる。SAWデバイスから蓋を無くし、かつ、実装工程も単純なため、低コストの実装形態を実現できる。また、金属蓋を無くして低背化を可能としながらも、高周波雑音に対する遮蔽性を実現できる。つまり、高周波雑音の遮蔽性と、SAWデバイスの低背化を両立できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。先ず、SAWデバイスの実施例1について説明する。このSAWデバイスの実施例1は、アルミナ,窒化アルミニウム,LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックス、あるいは、液晶ポリマー,SPS(Syndiotactic Polystyrene)の如く、湿度透過性の低い熱可塑性樹脂で出来た配線基板(後述する配線基板9となる)上に、表面弾性波(surface-acoustic-wave:SAW)圧電体素子をフェース・ダウンで、フリップ・チップ実装したSAWデバイスである。
【0025】
図1は実施例1のSAWデバイス1の断面図である。図2はこのSAWデバイス1に搭載されているSAW圧電体素子2の上面図である。
【0026】
SAW圧電体素子2は、表面弾性波を伝搬する圧電基板3と、圧電基板3の表面に設けられて表面弾性波を励振するIDT(Interdigital Transducer)電極4a、このIDT電極4aの外側に配置されて振動エネルギーを封じ込めて共振特性を持たせるための反射器電極4b、及び突起電極(バンプ)5を介してIDT電極4aを配線基板9に電気的に接続するためのパッド電極(入力側パッド電極6、出力側パッド電極7、接地用パッド電極8)からなる。IDT電極4a、反射器電極4bは、表面弾性波を励振し、共振させて伝搬する電極であり、これら電極を備えている圧電基板3の面を活性面と呼ぶ。また、これらの活性面上の上記IDT電極4a、反射器電極4bは、適宜、表面弾性波の振動部分4と呼ぶ。また、圧電基板の活性面上の要部と記すこともある。
【0027】
圧電基板3には、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、水晶、ランガサイトなどの単結晶圧電材料を使う。また、酸化亜鉛、窒化アルミニウム等の圧電性薄膜をガラス基板、シリコン上に形成したものを使用してもよい。圧電基板3の厚みは350〜400μmである。
【0028】
IDT電極4a、反射器電極4b、パッド電極6〜8は、アルミニウムAl又はAl-Cuのようなアルミニウム合金の金属膜で、その上に、耐電力性、エッチング加工精度等の向上のため、Ti,Ta、Cu等の金属膜を積層する。パッド電極6〜8は、バンプ接合強度の向上のため、更にその上に、アルミニウムまたはアルミニウム合金の金属膜を積層する場合もある。各電極の厚みは1μm以下である。
【0029】
更に、圧電基板3の表面(活性面)には、IDT電極4aと反射器電極4bを含む表面弾性波の振動部分4を囲むように、ポリイミド等の樹脂で出来た高さ20μm程度の壁(又は土手)10を設ける。このポリイミド等の樹脂でできた高さ20μm程度の壁10は、本発明の堰き止め手段の具体例である。この壁10は、SAW圧電体素子3と配線基板9の間に形成された、上記表面弾性波の振動部分4を含む空間を、SAW圧電体素子2の天井高さHを超えないように封止するための封止樹脂11を堰き止める。つまり、この壁10は、封止樹脂11が上記SAW圧電体素子2の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないようにするためにSAW圧電体素子2の活性面上に設けられる。
【0030】
配線基板9は、その表面に表層電極12を、裏面に端子電極13を有し、VIA(ビア)ホール14によって表層電極12と端子電極13を接続している。配線基板9は、SAW圧電体素子2を封止した後、圧電基板3上の電極を腐食劣化させないように、水分を通過させ難い性質を持つことが特徴的である。アルミナ、窒化アルミニウム、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックス、あるいは、液晶ポリマー,SPS(Syndiotactic Polystyrene)の如く、湿度透過性の低い熱可塑性樹脂が使用される。
【0031】
SAW圧電体素子2のパッド電極6〜8と、配線基板9の表層電極12はAu等の金属導体でできたバンプ5により接続される。更に、SAW圧電体素子2と配線基板9の間に形成された活性面上の空間は、上述したように、SAW圧電体素子2の側面一周を覆うように例えば熱硬化性樹脂である封止樹脂11により封止される。
【0032】
このとき、上述した堰き止め手段であるポリイミド等の樹脂で出来た高さ20μm程度の壁10は、SAW圧電体素子2の天井高さHを超えないように塗布される封止樹脂11が上記SAW圧電体素子の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、封止樹脂11を堰き止める。
【0033】
次に、図1及び図2に示したSAWデバイスの製造方法について説明する。図3はSAW圧電体素子2を形成する処理手順を示すフローチャートである。図4は、SAW圧電体素子2を配線基板9に接合し、SAWデバイス1を完成するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【0034】
先ず、SAW圧電体素子を形成する処理手順について図3を参照して説明する。ステップS1では、圧電基板3上に、スパッタリングあるいは真空加熱蒸着法などで、電極用の金属膜を形成する。ステップS2では、同様に、スパッタリングあるいは真空加熱蒸着法により、さらにその上に積層する金属膜を形成する。
【0035】
ステップS3にて、フォトリソグラフィ技術により、上記金属膜上に形成する電極と同形状のレジストパターンを形成する。ステップS4では、RIE(Reactive Ion Etching)やリフトオフ法などによって、前記の金属膜のレジストが乗っていない部分を取り去る。そして、ステップS5にて、レジストパターンを酸素プラズマ等でアッシング除去すると、IDT電極、反射器電極、パッド電極が得られる。
【0036】
ステップS1〜ステップS5までは、電極形成工程である。この電極形成工程が終わると、ステップS6にて、フォトリソグラフィ技術を用い、ポリイミド等の絶縁樹脂の薄膜で上記堰き止め手段の具体例である壁を形成する。ステップS7では、圧電基板をダイシングで分割して、SAW圧電体素子2が出来上がる。
【0037】
次に、上記ステップS7にて得られたSAW圧電体素子2を用い、SAWデバイス1を完成するまでの処理手順について図4を参照して説明する。ステップS11では、上記SAW圧電体素子3のパッド電極6〜8上にAuバンプ5を形成する。ステップS12では、上記SAW圧電体素子2のAuバンプ5を超音波溶着で、配線基板9上のAu鍍金された表層電極12に接合する。
【0038】
このとき、表層電極12の厚みが約10〜20μmで接合後のAuバンプ5の高さが約10μm、更に、SAW圧電体素子2のパッド電極6〜8の厚みが1μm以下である。したがって、SAW圧電体素子2と配線基板9の隙間は約20〜30μmとなり、上記堰き止め手段の具体例であるポリイミド等の樹脂で出来た壁10の高さを、上記隙間の約20〜30μmと同程度の高さ、例えば20μmとすれば、上記要部、又は表面弾性波の振動部分として記したIDT電極、反射器電極は上記壁10によってほぼシールされた状態になる。
【0039】
次に、ステップS13では、配線基板9を予熱し、ディスペンサ等を用いて、SAW圧電体素子2と配線基板9の隙間全周を覆うように封止樹脂を塗布する。ステップS14では、上記封止樹脂11を加熱硬化させる。これにより、SAWデバイス1が完成する。
【0040】
このとき、アルミニウム及びアルミニウム合金の上記各電極(IDT電極、反射器電極)が腐食劣化してSAW圧電体素子2の特性が劣化することを防止するため、封止樹脂11にて隙間を完全に封止し、かつ、樹脂被膜からはみ出した電極部分が無いようにする。
【0041】
封止樹脂11がIDT電極、反射器電極を含む表面弾性波の振動部分4に付着すると、SAW圧電体素子2の特性劣化を招くことになる。しかし、本実施の形態のSAWデバイス1では、封止樹脂11をチクソ性を持つ熱硬化性樹脂にすることの他、前述したように、堰き止め手段として、ポリイミド等の樹脂でできた壁10を高さ20μmとして用いる。この壁10は、IDT電極4a、反射器電極4b部分(表面弾性波の振動部分4)への封止樹脂侵入の障壁となる。
【0042】
したがって、SAWデバイス1は、IDT電極4a、反射器電極4b部分への封止樹脂侵入による付着を防止することができる。こうして得られた、SAWデバイス1は、配線基板厚み約0.4mm、SAW圧電体素子の厚み約0.4mmとなるので、厚みの合計を約0.8mm程度に抑えられる。前述した従来の第1〜第3のパッケージング形態によるSAWデバイスのどれよりも低背化が達成できる。
【0043】
また、従来の第4のパッケージング形態のように単にチクソ性熱硬化樹脂を封止樹脂として用いるだけではなく、ポリイミド等の樹脂で出来た壁10を封止樹脂11の堰き止め手段として用いているので、確実に、封止樹脂11のIDT電極4a、反射器電極4bへの侵入を防ぐことができる。
【0044】
また、従来の第5のパッケージング形態のように、IDT電極を枠と蓋で覆い、封止樹脂のIDT電極への付着を防止しているのではなく、ポリイミド等の絶縁樹脂の薄膜で封止樹脂の堰き止め手段(壁10)を形成しているので、従来のように蓋の厚みと蓋と配線基板間に入り込む樹脂の厚みを不要としている。よって、低背化を図ることができる。
【0045】
次に、SAWデバイスの実施例2について説明する。この実施例2も、アルミナ,窒化アルミニウム,LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックス、あるいは、液晶ポリマー,SPS(Syndiotactic Polystyrene)の如く、湿度透過性の低い熱可塑性樹脂で出来た配線基板上に、表面弾性波(surface-acoustic-wave:SAW)圧電体素子をフェース・ダウンで、フリップ・チップ実装したSAWデバイスである。
【0046】
このSAWデバイスは、主に無線通信等の高周波回路の一部として使用される。あるいは、高周波回路と隣り合った位置で使用されることが多い。このため、このSAWデバイスの電極には、高周波雑音が飛び込んで、特性を劣化させる虞がある。
【0047】
そこで、実施例2のSAWデバイスでは、SAW圧電体素子の活性面側を表面とするときの裏面にあたる非活性面に、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽手段を有する。
【0048】
図5は、実施例2のSAWデバイス21の断面図である。実施例1の構成と異なるのは、SAW圧電体素子22の圧電基板3の非活性面23に、金属被膜(或いは磁性体被膜)からなる遮蔽膜24を形成している点である。この金属被膜(或いは磁性体被膜)からなる遮蔽膜24により、SAW圧電体素子22を、高周波雑音から、電気的、磁気的に遮蔽することができる。
【0049】
図6は、実施例2のSAWデバイス21に用いる、SAW圧電体素子22の形成の処理手順を示す。図3に示した処理手順のステップS6とステップS7の間に、ステップS6.5として、圧電基板3の非活性面23に、金属被膜(或いは磁性体被膜)からなる遮蔽膜24を形成する工程を設けている。また、ステップS5とステップS6との間にステップS5.5として、上記工程を設けてもよい。
【0050】
この場合、上記遮蔽膜24としては、無電解Cu鍍金と無電解Ni鍍金から成るシールド鍍金(鍍金下地として、スパッタリングあるいは真空加熱蒸着法などでCu薄膜を形成するようにしてもよい。)、AgあるいはCu等の金属微粒子に樹脂成分と溶剤を加えたシールド塗料のスプレーガンによる吹き付け塗装、ソフトフェライトや金属軟磁性体から成る磁性体微粒子をフィラーとして添加したエポキシ等の樹脂塗料のスクリーン印刷等が使用できる。
【0051】
このようにして実施例2のSAWデバイス21は、SAW圧電体素子22の活性面を表面とするときの裏面にあたる非活性面23に、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽膜24を形成するので、高周波回路の一部として使用されたときにでも、高周波雑音に対する遮蔽性を実現できる。つまり、高周波雑音の遮蔽性と、SAWデバイスの低背化を両立できる。
【0052】
次に、実施例1のパッケージ形態で、SAW圧電体素子2を実装した無線通信回路31の基板32について図7を参照して説明する。無線通信配線基板32に表面実装する部品としては、SAWデバイスは最も背の高い部品の一つで、従来のパッケージ品では通常高さ1mmを超えている。チップ部品の抵抗器、コンデンサ、コイルでは1005サイズ、0603サイズが主流になりつつあり、これらの高さ0.15〜0.5mmと比較するとかなり高い。
【0053】
同様に背の高い部品であった水晶発振器、水晶振動子の高さが0.6mm程度になり、半導体素子もベアダイをフリップ・チップ実装すれば、0.6mm以下になる現状では、SAWデバイスの低背化が無線通信モジュールの厚みを決定すると言っても過言ではない。
【0054】
図7に示した無線通信回路31は、実施例1のSAWデバイス1を構成したSAW圧電体素子2を、配線基板32上に、半導体集積回路(IC)、トランジスタ及びダイオード等の能動素子部品33と、抵抗器、コンデンサ及びコイル等の受動素子34と、水晶発振器(又は水晶振動子)35と共に表面実装し、シールド・キャップ36にて封止している。SAW圧電体素子2は、バンプ5を介して表層電極12と接続しており、表層電極12は基板の各層のビア電極を通して端子電極37に接続している。
【0055】
上述したように、受動素子34は高さ0.15〜0.5mmに、能動素子33は0.6mm以下に、水晶発振器35も高さ0.6mm程度になった。また、SAW圧電体素子2もSAWデバイス1としては上述のように0.8mmほどになったので、この無線通信回路31は表面実装部をシールド・キャップ36にて封止しても、実装部の低背化を図ることができる。
【0056】
このように、無線通信回路31は、実施例1のSAWデバイス1を表面実装することで、無線通信機器の薄型化に大きく寄与できる。
【0057】
また、実施例2のパッケージ形態で、SAW圧電体素子22を実装した無線通信回路41の基板42を図8に示す。この無線通信回路41の基板42でも、低背化が実現できる。さらに、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽膜24を形成するので、高周波雑音に対する遮蔽性を実現できる。つまり、高周波雑音の遮蔽性と、SAWデバイスの低背化を両立できる。
【0058】
次に、実施例1又は実施例2のパッケージ形態でSAW圧電体素子を実装し、かつIC(半導体集積回路)を内蔵した無線通信回路の基板について説明する。電子機器のモバイル化に伴い、無線通信等に使用される高周波回路モジュールには、上述したように、小型化、低背化、軽量化が求められている。高周波回路モジュールの小型化、低背化の方法として、実装部品を基板に内蔵して、実装を高密度化することが考えられている。特に、実装部品の中でも面積、高さ共に大きい、ICとSAWデバイスを基板に内蔵することが有効である。
【0059】
しかし、高周波回路モジュールの小型化・低背化を目的とした、ICの基板内蔵とSAWデバイスの低背実装(ベア実装)の両立は、従来の技術では困難であった。以下に、その理由を説明する。
【0060】
ICについては、特開2002−270712号公報、特開2003−218143号公報に記載されているように、ICベアチップを基板に内蔵する技術が開示されていた。IC内蔵基板50の場合、図9に示すように、内蔵したICベアチップ51の上に他の部品52を実装できるため、実装に要する基板面積を少なくできる。なお、内蔵したICベアチップ51は、基板50を構成する各層の表層電極にバンプにより接続される。表層電極は、ビア電極や端子電極に接続されている。図9では、端子電極がはんだボール53に接続している。
【0061】
しかし、図9に示したようにIC内蔵が出来るのは樹脂基板に限られ、実際には、ガラスエポキシ基板“FR−4”等の熱硬化樹脂の積層基板内にICを埋め込む以外は行われていない。IC内蔵基板50は、図9に示したように、ICをフリップ実装した基板の上に、更に基材(IC部分はくり貫かれている)を積層していく技術であるが、熱硬化樹脂の絶縁基材のプリプレグの融着温度が180℃前後であるのに比較し、熱可塑性樹脂の融着温度は300℃以上であり、埋め込んだICに熱履歴がかかり過ぎるためである。また、セラミックス基板では、基板積層後の焼成温度が高いため(LTCCで800〜900℃、アルミナ等は1000数百℃以上)、この場合もICベアチップを基板に内蔵することはできない。
【0062】
また、特開2004−95767号公報に開示のように、基板にキャビティを形成すれば、熱可塑性樹脂基板でも、セラミックス基板でも、キャビティ部分にICベアチップを内蔵できるが、この場合、キャビティの上には他の部品を実装できないため、実装に要する基板面積は殆ど少なくならない。
【0063】
図10及び図11は、熱可塑性樹脂基板又はセラミックス基板54及び57に、キャビティ部分55及び58を形成し、そのキャビティ部分55及び58に、ICベアチップ56をフリップチップ実装した構成、及びICベアチップ59をワイヤボンディング実装した構成を示す。共に、キャビティ部分55及び58の上には、他の部品を実装できないことが判る。よって、上述のように、実装に要する基板面積は殆ど少なくならない。
【0064】
一方、SAWデバイスの実装スペースを小さくするためには、上記実施例1、実施例2で説明したように基板上にベアのSAWデバイスを実装するのが望ましい。SAWデバイスのパッケージは背が高いため、とりわけ低背化に有効である。しかし、ベアのSAWデバイスは、IDT電極や、反射器電極を含む表面弾性波の振動部分をセラミックス基板側に向け、その空間を封止する必要がある。
【0065】
ガラスエポキシ等の熱硬化樹脂基板は、ポーラスで、吸湿率が高く、水分を透過させてしまう。しかし、表面弾性波圧電基板の表面に形成される上記IDT電極や、反射器電極、さらにはパッド電極は、用いられる電極材料がAl(アルミニウム)もしくはAl合金であるため、水分の影響により腐食劣化しやすい。
【0066】
図12には、SAW圧電体素子91の上面図を示す。このSAW圧電体素子91は、圧電基板92上に、上記IDT電極93aや、反射器電極93b、さらにはパッド電極(入力側パッド電極94、出力側パッド電極95、接地用パッド電極96)をAl(アルミニウム)もしくはAl合金を電極材料として形成している。このように、圧電基板92上に、Al(アルミニウム)もしくはAl合金からなる各電極を剥きだしにし、これら各電極を、上記ガラスエポキシ等の熱硬化樹脂基板に向けて配置すれば、熱硬化樹脂基板がポーラスで、吸湿率が高く、水分を透過させてしまうので、水分の影響により、各電極は腐食劣化してしまうことになる。
【0067】
上記のような例えばAl電極が腐食すると、SAW圧電体素子との接合強度が弱くなり、最終的に上記電極がSAW圧電体素子から剥離してしまう虞がある。このため、ガラスエポキシ等の熱硬化樹脂基板は、SAWデバイスを実装することはできない。
【0068】
そこで、本発明では、図13に示すように、絶縁体材料としてガラスエポキシのような熱硬化性樹脂を用いた層62と、吸水率および水分透過性の低い熱可塑性の樹脂を用いた層63からなる異種材料を積層した基板61を有する高周波通信回路60にあって、熱硬化性樹脂層62に半導体集積回路のベアチップ64を内蔵し、熱可塑性樹脂層63の上に、上記第1実施例のSAWデバイス1をベア実装する。また、熱可塑性樹脂層63の上には、抵抗器、コンデンサ、コイルのような低背化部品65,66等も表面実装する。また、熱可塑性樹脂層63には、インダクタ67を内蔵させてもよい。また、熱硬化性樹脂層62に、コンデンサ68等を内蔵させてもよい。
【0069】
熱硬化性樹脂層62としては、上述したように、ガラスエポキシを用いることができる。また、熱可塑性樹脂層63としては、液晶ポリマー、SPS(シンジオタクチック・ポリスチレン)等の低誘電率で、かつ、低吸水率の樹脂材料を用いる。
【0070】
ガラスエポキシの吸水率が約0.4%であるのに比較し、液晶ポリマーやSPSの吸水率は0.05%程度であり、SAW圧電体基板を実装した封止領域への水分の透過を防ぐことができる。LTCCの吸水率0.1%を基準にし、それ以下の上記液晶ポリマー、SPSが望ましいといえる。なお、その他の樹脂基板材料の吸水率としては、ポリイミドが0.24%、BTレジンが0.15%である。
【0071】
また、液晶ポリマー、SPSは非誘電率が2〜3程度で、ガラスエポキシの4.7よりも低いため、基板の寄生容量による表面弾性波圧電基板のQ値の劣化を少なくするという点からも有利である。
【0072】
したがって、図13に示した高周波回路60は、基板61を構成する熱硬化性樹脂層62に内蔵したICベアチップ64の上に、基板61を構成する熱可塑性樹脂層63を介してSAWデバイス1を実装できるため、実装に要する基板面積を少なくできる。また、SAWデバイス1は、吸水率および水分透過性の低い熱可塑性の樹脂を用いた層(熱可塑性樹脂層)63上にベアチップ実装するのでIDT電極、反射器電極のようなアルミニウム系電極を腐食させることがない。このAl電極の腐食を防止できるので、SAW圧電体素子との接合強度を弱くすることがなく、最終的に上記各電極がSAW圧電体素子から剥離してしまうのを防止できる。また、SAWデバイス1は、実施例1のパッケージ形態を採り、ポリイミド等の樹脂で出来た壁10を封止樹脂11の堰き止め手段として用いているので、確実に、封止樹脂11のIDT電極、反射器電極への侵入を防ぐことができる。もちろん、ポリイミド等の絶縁樹脂の薄膜で封止樹脂の堰き止め手段(壁10)を形成しているので、従来のように蓋の厚みと蓋と配線基板間に入り込む樹脂の厚みを不要としている。よって、低背化を図ることができる。
【0073】
また、図14に示すように、高周波回路70の配線基板61を構成する熱硬化性樹脂層62に半導体集積回路のベアチップ64を内蔵し、熱可塑性樹脂層63の上に、上記第2実施例のSAWデバイス21をベア実装することもできる。
【0074】
このようにすれば、熱硬化性樹脂層62に内蔵したICベアチップ64の上に、熱可塑性樹脂層63を介してSAWデバイス21を実装できるため、実装に要する基板面積を少なくできる。また、SAWデバイス21は、吸水率および水分透過性の低い熱可塑性の樹脂を用いた層(熱可塑性樹脂層)63上にベアチップ実装するのでIDT電極、反射器電極のようなアルミニウム系電極を腐食させることがない。このAl電極の腐食を防止できるので、SAW圧電体素子との接合強度を弱くすることがなく、最終的に上記各電極がSAW圧電体素子から剥離してしまうのを防止できる。また、SAWデバイス21は、実施例2のパッケージ形態であり、ポリイミド等の樹脂でできた壁10を封止樹脂11の堰き止め手段として用いているので、確実に、封止樹脂11のIDT電極、反射器電極への侵入を防ぐことができる。もちろん、ポリイミド等の絶縁樹脂の薄膜で封止樹脂の堰き止め手段を形成しているので、従来のように蓋の厚みと蓋と配線基板間に入り込む樹脂の厚みを不要としている。よって、低背化を図ることができる。さらに、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽手段(遮蔽膜24)を形成するので、高周波雑音に対する遮蔽性を実現できる。つまり、高周波雑音の遮蔽性と、SAWデバイスの低背化を両立できる。
【0075】
なお、変形例として、図15に示すように高周波回路75は、本発明にて挙げた、熱硬化性樹脂62を用いた層と、吸水率および水分透過性の低い熱可塑性の樹脂を用いた層63からなる配線基板61にあって、図15に示すように、熱硬化性樹脂層62には半導体集積回路のベアチップ64を内蔵するが、熱可塑性樹脂層63の表面には、SAW圧電体素子76をワイヤボンディングし、金属蓋77にて封止することもできる。
【0076】
また、他の変形例として、図16に示すように、高周波回路78は、熱硬化性樹脂層62には半導体集積回路のベアチップ64を内蔵するが、熱可塑性樹脂層63にはキャビティ79を形成し、そのキャビティ部分79に、SAW圧電体素子80をワイヤボンディングし、金属蓋81にて封止することもできる。
【0077】
図15及び図16に示した構成でも、共に熱硬化性樹脂層62として用いるガラスエポキシの吸水率が約0.4%であるのに比較し、熱可塑性樹脂層63として用いる液晶ポリマーやSPSの吸水率は0.05%程度であり、SAW圧電体基板を実装した封止領域への水分の透過を防ぐことができる。
【0078】
また、これらの樹脂は非誘電率が2〜3程度で、ガラスエポキシの4.7よりも低いため、基板の寄生容量による表面弾性波圧電基板のQ値の劣化を少なくするという点からも有利である。
【0079】
また、更なる小型化、低背化のために、図13〜図16に示した配線基板に図17〜図19に示すようにインダクタ、コンデンサ、抵抗器を導体パターンとして内蔵することも可能である。このとき、図18(a)及び(b)に示すコンデンサは高誘電率のガラスエポキシ層に内蔵して、小型、高容量にするべきである。一方、図17(a)〜(c)に示すインダクタは、低誘電率、低誘電正接である、液晶ポリマー、SPS等の低吸水率樹脂層に内蔵して高Q値にするべきである。液晶ポリマーのtanδは0.003程度、SPSのtanδは0.001程度で、ガラスエポキシの約0.01よりも一桁少ない。また、図19に示す抵抗器の例は、ポリマー厚膜ペースト(ポリエステル)の両端をCu(銅)に接続してなる。また、基板は全て樹脂基板なので、軽量化という観点からも有利である。
【0080】
以上、図13〜図16を参照して説明した、熱硬化性樹脂層62と熱可塑性樹脂層63からなる配線基板61への、半導体集積回路のベアチップの内蔵と、SAWデバイスのベアチップ実装により、次の効果がある。
【0081】
すなわち、SAWデバイスを液晶ポリマー、SPS等の低吸水率の熱可塑性樹脂材料を用いた層に実装することで、表面弾性波圧電基板のAl電極を犯す水分を透過させない封止を実現できる。これにより、IDT電極、反射器電極のようなアルミニウム系電極を腐食させることがない。このAl電極の腐食を防止できるので、SAW圧電体素子との接合強度を弱くすることがなく、最終的に上記各電極がSAW圧電体素子から剥離してしまうのを防止できる。
【0082】
また、半導体集積回路をガラスエポキシ層に内蔵することで、実績のある安定した工程で、高い信頼性のIC内蔵基板が実現できる。
【0083】
また、液晶ポリマー、SPS等の吸水率の樹脂層とガラスエポキシ層を積層することで、これまで両立不可能だった、SAWデバイスのベア実装とIC内蔵基板の2つの技術を両立した小型、低背の高周波モジュールを実現できる。
【0084】
また、液晶ポリマー、SPS等の低吸水率の樹脂は、低誘電率でもあるので、SAWデバイスのQ値の劣化も防ぐことができる。
【0085】
共に、樹脂基板であるので全体としても軽量である。
【0086】
さらに、インダクタ、コンデンサ、抵抗器等を内蔵して、更なる小型化を実現できる。その場合に、ガラスエポキシの高誘電率と、液晶ポリマー、SPS等の低吸水率の樹脂の低誘電率、低誘電正接を使い分ければ、高性能も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施例1のSAWデバイスの断面図である。
【図2】SAWデバイスに搭載されているSAW圧電体素子の上面図である。
【図3】SAW圧電体素子を形成する処理手順を示すフローチャートである。
【図4】SAW圧電体素子を配線基板に接合し、SAWデバイスを完成するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例2のSAWデバイスの断面図である。
【図6】実施例2のSAWデバイスに用いる、SAW圧電体素子の形成の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例1のSAWデバイスのSAW圧電体素子を実装した無線通信回路の断面図である。
【図8】実施例2のSAWデバイスのSAW圧電体素子を実装した無線通信回路の断面図である。
【図9】半導体集積回路を内蔵した樹脂基板の断面図である。
【図10】基板に形成したキャビティ部分にICベアチップをフリップチップ実装した回路の断面図である。
【図11】基板に形成したキャビティ部分にICベアチップをワイヤボンディング実装した回路の断面図である。
【図12】圧電基板上に、Al(アルミニウム)もしくはAl合金からなる各電極を剥きだしにした構成を示す上面図である。
【図13】異種材料を積層した基板に、ICベアチップを内蔵し、かつ実施例1のSAWデバイスを表面実装した構成の高周波通信回路の断面図である。
【図14】異種材料を積層した基板に、ICベアチップを内蔵し、かつ実施例2のSAWデバイスを表面実装した構成の高周波通信回路の断面図である。
【図15】異種材料を積層した基板に、ICベアチップを内蔵し、かつSAWデバイスをワイヤボンディング実装した構成の高周波通信回路の断面図である。
【図16】異種材料を積層した基板に、ICベアチップを内蔵し、かつキャビティを設けて、キャビティ内にSAWデバイスをワイヤボンディング実装した構成の高周波通信回路の断面図である。
【図17】異種材料を積層した基板に、導体パターンとして内蔵するインダクタを示す図である。
【図18】異種材料を積層した基板に、導体パターンとして内蔵するコンデンサを示す図である。
【図19】異種材料を積層した基板に、導体パターンとして内蔵する抵抗器を示す図である。
【図20】従来の第1のパッケージング形態によるSAWデバイスの断面図である。
【図21】従来の第2のパッケージング形態によるSAWデバイスの断面図である。
【図22】従来の第3のパッケージング形態によるSAWデバイスの断面図である。
【図23】従来の第4のパッケージング形態によるSAWデバイスの断面図である。
【図24】従来の第5のパッケージング形態によるSAWデバイスの断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 SAWデバイス、2 SAW圧電体素子、3 圧電基板、4 表面弾性波の振動部分、4a IDT電極、4b 反射器電極、5 バンプ、9 配線基板、10 壁、11 封止樹脂、12 表層電極、13 端子電極、14 ビア電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミナ,窒化アルミニウム,LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックス、あるいは、液晶ポリマー,SPS(Syndiotactic Polystyrene)の如く、湿度透過性の低い熱可塑性樹脂で出来た配線基板上に、表面弾性波(surface-acoustic-wave:SAW)圧電体素子をフェース・ダウンで、フリップ・チップ実装するSAWデバイスに関する。また、SAWデバイスを有し、さらに他の実装部品(IC,トランジスタ,ダイオード,抵抗器,コンデンサ,コイル,他の受動素子等)から成る通信モジュールに関する。また、SAWデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話,携帯情報端末(personal digital assistant:PDA),ラップトップパーソナルコンピュータ(personal computer:PC),バーコード・リーダー等の多種多様なモバイル端末において、ブルートゥース(Bluetooth),無線LAN(local area network),UWB,GPS(global positioning system),DTV(degital television)等の無線通信回路の組込みの需要が増している。無線通信回路において、通過周波数帯域と阻止周波数帯域を明確に分別できる急峻な濾波特性が要求される場合には、表面弾性波(surface-acoustic-wave:SAW)フィルタのようなSAWデバイスが必要になる。SAWフィルタは、周波数107〜109Hzの範囲の表面弾性波を利用する。
【0003】
しかし、機器への組込みのため小型化が要求されている無線通信回路の中で、パッケージングされたSAWデバイスは、最も背の高い部品の一つである。そこで、SAWデバイスの低背化が必要不可欠になってきている。
【0004】
従来のSAWデバイスのパッケージング形態には、下記特許文献1〜8に記載された次の5種類がある。
【0005】
第1のパッケージング形態は、特許文献1及び特許文献2に記載されているような形態である。これは、SAW圧電体素子のフリップ・チップ実装+樹脂封止という構成である。すなわち、この第1のパッケージング形態は、図20に示すように、SAW圧電体素子100の圧電基板101の活性面である表面弾性波の振動部分102に形成したインターディジタルトランスデューサ(Interdigital Transducer:IDT)電極102a及び反射器電極102bを、配線基板110側に向け、かつIDT電極102aと電気的に接続されたパッド電極103を、配線基板110の表層電極111に突起電極(バンプ)104を介して接続した、いわゆるフリップ・チップ実装という形となっている。また、この形態にあって、SAWデバイスは、IDT電極102aと配線基板110間に形成された振動空間となる部分を除いて、SAW圧電体素子100の外周部及び圧電基板101と配線基板110の間を樹脂被膜112で封止してなる。なお、配線基板110の表層電極111と端子電極113は、配線基板110に形成された貫通穴114に設けられたビア電極115によって接続されている。
【0006】
第2のパッケージング形態は、特許文献3及び特許文献4に記載されている形態である。これは、SAW圧電体素子のフリップ・チップ実装+キャビティ(cavity:窪み)付基板+蓋による封止という構成である。すなわち、この第2のパッケージング形態は、図21に示すように、SAW圧電体素子120を窪み(又は凹部)121付の配線基板122(容器)内にフリップ・チップ実装により収容し、かつ金属蓋123で凹部121を封止した形態である。容器122は、上面に凹部121を備えた絶縁材料からなる容器本体124と、容器本体124の外底部に設けた端子電極125と、凹部121の内底面に設けられかつ端子電極125と導通した表層電極126と、凹部121内にSAW圧電体素子120を収容した状態で凹部121を封止するために凹部の周壁に固定される金属蓋123とを備えている。なお、このパッケージング形態でも、配線基板124の表層電極126と端子電極125は、配線基板124に形成された貫通穴127に設けられたビア電極128によって接続されている。
【0007】
第3のパッケージング形態は、特許文献3、特許文献5及び特許文献6に記載されている形態である。これは、SAW圧電体素子のワイヤ・ボンディング実装+キャビティ付基板+蓋による封止という構成である。すなわち、この第3のパッケージング形態は、図22に示すように、SAW圧電体素子130を窪み(又は凹部)131付の配線基板132(容器)内にワイヤ・ボンディング実装し、かつ金属蓋133で凹部131を封止した形態である。SAW圧電体素子130上に形成した、IDT電極134a及び反射器電極134bからなる表面弾性波の振動部分134を上に向け、これら電極をワイヤ135により配線基板132の内部電極136に接続するように、SAW圧電体素子130を配線基板(容器)132内の凹部131にワイヤ・ボンディング実装する。また、凹部131内にSAW圧電体素子130をワイヤ・ボンディング実装した状態で凹部131を封止するために凹部の周壁に固定される金属蓋133とを備えている。
【0008】
第4のパッケージング形態は、特許文献7に記載されている形態である。これは、上記第1のパッケージング形態であるSAW圧電体素子のフリップ・チップ実装+樹脂封止という構成の変形である。すなわち、この第4のパッケージング形態は、図23に示すように、SAW圧電体素子140の圧電基板141の活性面に形成したIDT電極142a及び反射器電極142bを、配線基板143側に向け、かつIDT電極142aと電気的に接続されたパッド電極を、配線基板の表層電極144にバンプ145を介して接続した、いわゆるフリップ・チップ実装であり、IDT電極142と配線基板143間に形成された振動空間となる部分を除いて、SAW圧電体素子140の圧電基板141と配線基板143の間を樹脂被膜146で封止してなる。第1のパッケージング形態と異なるのは、SAW圧電体素子140の圧電基板141の非活性面を樹脂被膜146で全て封止してはいない点である。
【0009】
第5のパッケージング形態は、特許文献8に記載されている形態である。これも、上記第1のパッケージング形態であるSAW圧電体素子のフリップ・チップ実装+樹脂封止という構成の変形である。すなわち、この第5のパッケージング形態は、図24に示すように、SAW圧電体素子150の圧電基板151の活性面に形成したIDT電極152a及び反射器電極を、配線基板153側に向け、かつIDT電極152aと電気的に接続されたパッド電極154を、配線基板153の表層電極155にバンプ156を介して接続した、いわゆるフリップ・チップ実装ではあるが、IDT電極152aの上方空間を枠体157及び蓋体158で覆うという構成である。そして、上記IDT電極152aの上方空間を覆う枠体157及び蓋体158を、封止樹脂159により封止するという構成である。
【0010】
【特許文献1】国際公開第2002/061943号パンフレット
【特許文献2】特開2004−200776号公報
【特許文献3】特開2003−168954号公報
【特許文献4】特開2004−193879号公報
【特許文献5】特開2002−076831号公報
【特許文献6】特開2000−261278号公報
【特許文献7】特開2002−043889号公報
【特許文献8】特開2002−290183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記第1〜第3のパッケージング形態では、現在進行している無線通信モジュールの薄型化傾向を満足するだけの低背化が達成できないことが予想される。
【0012】
現状において、第3のパッケージング形態から第1のパッケージング形態に向かう順番である程度の低背化は可能である。第3のパッケージング形態におけるボンディング・ワイヤはSAW圧電体素子からの高さが約0.2mmほど必要である。これに対して、第2のパッケージング形態のフリップ・チップ実装の接合厚みは、配線基板がセラミックスならば、基板電極厚みとバンプ高さを足した20μm程度で済む。更に、第2のパッケージング形態の場合、非活性面であるSAW圧電体素子の天井から封止している金属蓋の天井まで約0.4mm程度は必要だが、第1のパッケージング形態における樹脂封止ならば、樹脂乗り上げ厚みはSAW圧電体素子の天井から0.2mm程度で済む。
【0013】
しかし、第1のパッケージング形態においても、配線基板厚み約0.4mm、SAW圧電体素子厚み約0.4mm、樹脂乗り上げ厚み約0.2mmを足すと、1mm程度となってしまい、現在進行している無線通信モジュールの薄型化で用いられる1005サイズや0603サイズのチップ部品の高さ0.15-0.5mmと比較すると、更なる低背化が必要である。
【0014】
また、第4のパッケージング形態にあっては、上記第1のパッケージング形態よりも、低背化が可能ではあるが、封止樹脂のIDT電極への付着防止が、単に樹脂をチクソ性、熱硬化性(あるいは紫外線硬化性)にすることだけでは不完全と思われる。上記樹脂の硬化反応時における、樹脂の低粘度化、とりわけ樹脂中の低分子量成分の低粘度化によって、IDT電極に樹脂が付着してしまうと考えられるためである。
【0015】
また、第5のパッケージング形態にあっては、SAW圧電体素子上のIDT電極を枠と蓋で覆い、封止樹脂のIDT電極への付着を防止しているが、この形態では、蓋の厚みと蓋と配線基板間に入り込む樹脂の厚み分だけ、パッケージの背が高くなり、低背化が達成できない。
【0016】
また、SAWデバイスは、主に無線通信などの高周波回路の一部として使用されたり、あるいは、高周波回路と隣り合った位置で使用されることが多く、高周波雑音がSAWデバイスの電極に飛び込んで、特性を劣化させる心配があった。上記第1〜第5のパッケージング形態にあっては、高周波雑音に対する対策が採られていなかった。
【0017】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、低背化を実現できるSAWデバイス、通信モジュールの提供を目的とする。また、低背化が可能なSAWデバイスの製造方法の提供を目的とする。また、低背化を可能とすると共に、高周波雑音に対する遮蔽性を実現したSAWデバイス、通信モジュールの提供を目的とする。また、低背化を可能とすると共に、高周波雑音に対する遮蔽性を実現したSAWデバイスの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るSAWデバイスは、上記課題を解決するために、熱可塑性樹脂材料よりなる配線基板と、上記配線基板上にフリップ・チップ実装されるSAW(表面弾性波)圧電体素子と、上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止するための封止樹脂と、上記封止樹脂が上記SAW圧電体素子の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるために設ける堰き止め手段とを備える。
【0019】
堰き止め手段は、封止樹脂がSAW圧電体素子の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、封止樹脂の流れをせき止める。
【0020】
本発明に係る通信モジュールは、上記課題を解決するために、絶縁体材料として熱硬化性樹脂を用いた熱硬化性樹脂層と、上記熱硬化性樹脂層よりも吸水率及び水分透過性の低い熱可塑性樹脂材料を用いた熱可塑性樹脂層とを積層した多層構造の通信モジュールであって、上記熱硬化性樹脂層に半導体集積回路のベアチップを内蔵し、かつ上記熱硬化性樹脂層上に積層した上記熱可塑性樹脂層上には、当該熱可塑性樹脂層を配線基板とし、上記配線基板上にフリップ・チップ実装されるSAW(表面弾性波)圧電体素子とを備え、上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止樹脂により封止し、さらに上記封止樹脂が上記SAW圧電体素子の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるための堰き止め手段を有する。
【0021】
堰き止め手段は、封止樹脂がSAW圧電体素子の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、封止樹脂の流れをせき止める。
【0022】
本発明に係るSAWデバイスの製造方法は、上記課題を解決するために、熱可塑性樹脂材料よりなる配線基板と、この配線基板上にフリップ・チップ実装されるSAW(表面弾性波)圧電体素子とを備えるSAWデバイスの製造方法において、上記SAW圧電体素子を形成するために圧電基板上にIDT電極、反射器電極及びパッド電極を活性面を構成するように形成する電極形成工程と、上記SAW圧電体素子と上記配線基板とを接合するときに、上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止するための封止樹脂が、上記電極形成工程により上記各電極が形成された活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるための堰き止め手段を形成する堰き止め手段形成工程とを備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、低背のSAWデバイス、あるいは、SAWデバイス搭載の無線通信モジュールを実現できる。SAWデバイスから蓋を無くし、かつ、実装工程も単純なため、低コストの実装形態を実現できる。また、金属蓋を無くして低背化を可能としながらも、高周波雑音に対する遮蔽性を実現できる。つまり、高周波雑音の遮蔽性と、SAWデバイスの低背化を両立できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。先ず、SAWデバイスの実施例1について説明する。このSAWデバイスの実施例1は、アルミナ,窒化アルミニウム,LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックス、あるいは、液晶ポリマー,SPS(Syndiotactic Polystyrene)の如く、湿度透過性の低い熱可塑性樹脂で出来た配線基板(後述する配線基板9となる)上に、表面弾性波(surface-acoustic-wave:SAW)圧電体素子をフェース・ダウンで、フリップ・チップ実装したSAWデバイスである。
【0025】
図1は実施例1のSAWデバイス1の断面図である。図2はこのSAWデバイス1に搭載されているSAW圧電体素子2の上面図である。
【0026】
SAW圧電体素子2は、表面弾性波を伝搬する圧電基板3と、圧電基板3の表面に設けられて表面弾性波を励振するIDT(Interdigital Transducer)電極4a、このIDT電極4aの外側に配置されて振動エネルギーを封じ込めて共振特性を持たせるための反射器電極4b、及び突起電極(バンプ)5を介してIDT電極4aを配線基板9に電気的に接続するためのパッド電極(入力側パッド電極6、出力側パッド電極7、接地用パッド電極8)からなる。IDT電極4a、反射器電極4bは、表面弾性波を励振し、共振させて伝搬する電極であり、これら電極を備えている圧電基板3の面を活性面と呼ぶ。また、これらの活性面上の上記IDT電極4a、反射器電極4bは、適宜、表面弾性波の振動部分4と呼ぶ。また、圧電基板の活性面上の要部と記すこともある。
【0027】
圧電基板3には、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、水晶、ランガサイトなどの単結晶圧電材料を使う。また、酸化亜鉛、窒化アルミニウム等の圧電性薄膜をガラス基板、シリコン上に形成したものを使用してもよい。圧電基板3の厚みは350〜400μmである。
【0028】
IDT電極4a、反射器電極4b、パッド電極6〜8は、アルミニウムAl又はAl-Cuのようなアルミニウム合金の金属膜で、その上に、耐電力性、エッチング加工精度等の向上のため、Ti,Ta、Cu等の金属膜を積層する。パッド電極6〜8は、バンプ接合強度の向上のため、更にその上に、アルミニウムまたはアルミニウム合金の金属膜を積層する場合もある。各電極の厚みは1μm以下である。
【0029】
更に、圧電基板3の表面(活性面)には、IDT電極4aと反射器電極4bを含む表面弾性波の振動部分4を囲むように、ポリイミド等の樹脂で出来た高さ20μm程度の壁(又は土手)10を設ける。このポリイミド等の樹脂でできた高さ20μm程度の壁10は、本発明の堰き止め手段の具体例である。この壁10は、SAW圧電体素子3と配線基板9の間に形成された、上記表面弾性波の振動部分4を含む空間を、SAW圧電体素子2の天井高さHを超えないように封止するための封止樹脂11を堰き止める。つまり、この壁10は、封止樹脂11が上記SAW圧電体素子2の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないようにするためにSAW圧電体素子2の活性面上に設けられる。
【0030】
配線基板9は、その表面に表層電極12を、裏面に端子電極13を有し、VIA(ビア)ホール14によって表層電極12と端子電極13を接続している。配線基板9は、SAW圧電体素子2を封止した後、圧電基板3上の電極を腐食劣化させないように、水分を通過させ難い性質を持つことが特徴的である。アルミナ、窒化アルミニウム、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックス、あるいは、液晶ポリマー,SPS(Syndiotactic Polystyrene)の如く、湿度透過性の低い熱可塑性樹脂が使用される。
【0031】
SAW圧電体素子2のパッド電極6〜8と、配線基板9の表層電極12はAu等の金属導体でできたバンプ5により接続される。更に、SAW圧電体素子2と配線基板9の間に形成された活性面上の空間は、上述したように、SAW圧電体素子2の側面一周を覆うように例えば熱硬化性樹脂である封止樹脂11により封止される。
【0032】
このとき、上述した堰き止め手段であるポリイミド等の樹脂で出来た高さ20μm程度の壁10は、SAW圧電体素子2の天井高さHを超えないように塗布される封止樹脂11が上記SAW圧電体素子の活性面上の要部(電極:IDT、反射器)に付着しないように、封止樹脂11を堰き止める。
【0033】
次に、図1及び図2に示したSAWデバイスの製造方法について説明する。図3はSAW圧電体素子2を形成する処理手順を示すフローチャートである。図4は、SAW圧電体素子2を配線基板9に接合し、SAWデバイス1を完成するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【0034】
先ず、SAW圧電体素子を形成する処理手順について図3を参照して説明する。ステップS1では、圧電基板3上に、スパッタリングあるいは真空加熱蒸着法などで、電極用の金属膜を形成する。ステップS2では、同様に、スパッタリングあるいは真空加熱蒸着法により、さらにその上に積層する金属膜を形成する。
【0035】
ステップS3にて、フォトリソグラフィ技術により、上記金属膜上に形成する電極と同形状のレジストパターンを形成する。ステップS4では、RIE(Reactive Ion Etching)やリフトオフ法などによって、前記の金属膜のレジストが乗っていない部分を取り去る。そして、ステップS5にて、レジストパターンを酸素プラズマ等でアッシング除去すると、IDT電極、反射器電極、パッド電極が得られる。
【0036】
ステップS1〜ステップS5までは、電極形成工程である。この電極形成工程が終わると、ステップS6にて、フォトリソグラフィ技術を用い、ポリイミド等の絶縁樹脂の薄膜で上記堰き止め手段の具体例である壁を形成する。ステップS7では、圧電基板をダイシングで分割して、SAW圧電体素子2が出来上がる。
【0037】
次に、上記ステップS7にて得られたSAW圧電体素子2を用い、SAWデバイス1を完成するまでの処理手順について図4を参照して説明する。ステップS11では、上記SAW圧電体素子3のパッド電極6〜8上にAuバンプ5を形成する。ステップS12では、上記SAW圧電体素子2のAuバンプ5を超音波溶着で、配線基板9上のAu鍍金された表層電極12に接合する。
【0038】
このとき、表層電極12の厚みが約10〜20μmで接合後のAuバンプ5の高さが約10μm、更に、SAW圧電体素子2のパッド電極6〜8の厚みが1μm以下である。したがって、SAW圧電体素子2と配線基板9の隙間は約20〜30μmとなり、上記堰き止め手段の具体例であるポリイミド等の樹脂で出来た壁10の高さを、上記隙間の約20〜30μmと同程度の高さ、例えば20μmとすれば、上記要部、又は表面弾性波の振動部分として記したIDT電極、反射器電極は上記壁10によってほぼシールされた状態になる。
【0039】
次に、ステップS13では、配線基板9を予熱し、ディスペンサ等を用いて、SAW圧電体素子2と配線基板9の隙間全周を覆うように封止樹脂を塗布する。ステップS14では、上記封止樹脂11を加熱硬化させる。これにより、SAWデバイス1が完成する。
【0040】
このとき、アルミニウム及びアルミニウム合金の上記各電極(IDT電極、反射器電極)が腐食劣化してSAW圧電体素子2の特性が劣化することを防止するため、封止樹脂11にて隙間を完全に封止し、かつ、樹脂被膜からはみ出した電極部分が無いようにする。
【0041】
封止樹脂11がIDT電極、反射器電極を含む表面弾性波の振動部分4に付着すると、SAW圧電体素子2の特性劣化を招くことになる。しかし、本実施の形態のSAWデバイス1では、封止樹脂11をチクソ性を持つ熱硬化性樹脂にすることの他、前述したように、堰き止め手段として、ポリイミド等の樹脂でできた壁10を高さ20μmとして用いる。この壁10は、IDT電極4a、反射器電極4b部分(表面弾性波の振動部分4)への封止樹脂侵入の障壁となる。
【0042】
したがって、SAWデバイス1は、IDT電極4a、反射器電極4b部分への封止樹脂侵入による付着を防止することができる。こうして得られた、SAWデバイス1は、配線基板厚み約0.4mm、SAW圧電体素子の厚み約0.4mmとなるので、厚みの合計を約0.8mm程度に抑えられる。前述した従来の第1〜第3のパッケージング形態によるSAWデバイスのどれよりも低背化が達成できる。
【0043】
また、従来の第4のパッケージング形態のように単にチクソ性熱硬化樹脂を封止樹脂として用いるだけではなく、ポリイミド等の樹脂で出来た壁10を封止樹脂11の堰き止め手段として用いているので、確実に、封止樹脂11のIDT電極4a、反射器電極4bへの侵入を防ぐことができる。
【0044】
また、従来の第5のパッケージング形態のように、IDT電極を枠と蓋で覆い、封止樹脂のIDT電極への付着を防止しているのではなく、ポリイミド等の絶縁樹脂の薄膜で封止樹脂の堰き止め手段(壁10)を形成しているので、従来のように蓋の厚みと蓋と配線基板間に入り込む樹脂の厚みを不要としている。よって、低背化を図ることができる。
【0045】
次に、SAWデバイスの実施例2について説明する。この実施例2も、アルミナ,窒化アルミニウム,LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等のセラミックス、あるいは、液晶ポリマー,SPS(Syndiotactic Polystyrene)の如く、湿度透過性の低い熱可塑性樹脂で出来た配線基板上に、表面弾性波(surface-acoustic-wave:SAW)圧電体素子をフェース・ダウンで、フリップ・チップ実装したSAWデバイスである。
【0046】
このSAWデバイスは、主に無線通信等の高周波回路の一部として使用される。あるいは、高周波回路と隣り合った位置で使用されることが多い。このため、このSAWデバイスの電極には、高周波雑音が飛び込んで、特性を劣化させる虞がある。
【0047】
そこで、実施例2のSAWデバイスでは、SAW圧電体素子の活性面側を表面とするときの裏面にあたる非活性面に、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽手段を有する。
【0048】
図5は、実施例2のSAWデバイス21の断面図である。実施例1の構成と異なるのは、SAW圧電体素子22の圧電基板3の非活性面23に、金属被膜(或いは磁性体被膜)からなる遮蔽膜24を形成している点である。この金属被膜(或いは磁性体被膜)からなる遮蔽膜24により、SAW圧電体素子22を、高周波雑音から、電気的、磁気的に遮蔽することができる。
【0049】
図6は、実施例2のSAWデバイス21に用いる、SAW圧電体素子22の形成の処理手順を示す。図3に示した処理手順のステップS6とステップS7の間に、ステップS6.5として、圧電基板3の非活性面23に、金属被膜(或いは磁性体被膜)からなる遮蔽膜24を形成する工程を設けている。また、ステップS5とステップS6との間にステップS5.5として、上記工程を設けてもよい。
【0050】
この場合、上記遮蔽膜24としては、無電解Cu鍍金と無電解Ni鍍金から成るシールド鍍金(鍍金下地として、スパッタリングあるいは真空加熱蒸着法などでCu薄膜を形成するようにしてもよい。)、AgあるいはCu等の金属微粒子に樹脂成分と溶剤を加えたシールド塗料のスプレーガンによる吹き付け塗装、ソフトフェライトや金属軟磁性体から成る磁性体微粒子をフィラーとして添加したエポキシ等の樹脂塗料のスクリーン印刷等が使用できる。
【0051】
このようにして実施例2のSAWデバイス21は、SAW圧電体素子22の活性面を表面とするときの裏面にあたる非活性面23に、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽膜24を形成するので、高周波回路の一部として使用されたときにでも、高周波雑音に対する遮蔽性を実現できる。つまり、高周波雑音の遮蔽性と、SAWデバイスの低背化を両立できる。
【0052】
次に、実施例1のパッケージ形態で、SAW圧電体素子2を実装した無線通信回路31の基板32について図7を参照して説明する。無線通信配線基板32に表面実装する部品としては、SAWデバイスは最も背の高い部品の一つで、従来のパッケージ品では通常高さ1mmを超えている。チップ部品の抵抗器、コンデンサ、コイルでは1005サイズ、0603サイズが主流になりつつあり、これらの高さ0.15〜0.5mmと比較するとかなり高い。
【0053】
同様に背の高い部品であった水晶発振器、水晶振動子の高さが0.6mm程度になり、半導体素子もベアダイをフリップ・チップ実装すれば、0.6mm以下になる現状では、SAWデバイスの低背化が無線通信モジュールの厚みを決定すると言っても過言ではない。
【0054】
図7に示した無線通信回路31は、実施例1のSAWデバイス1を構成したSAW圧電体素子2を、配線基板32上に、半導体集積回路(IC)、トランジスタ及びダイオード等の能動素子部品33と、抵抗器、コンデンサ及びコイル等の受動素子34と、水晶発振器(又は水晶振動子)35と共に表面実装し、シールド・キャップ36にて封止している。SAW圧電体素子2は、バンプ5を介して表層電極12と接続しており、表層電極12は基板の各層のビア電極を通して端子電極37に接続している。
【0055】
上述したように、受動素子34は高さ0.15〜0.5mmに、能動素子33は0.6mm以下に、水晶発振器35も高さ0.6mm程度になった。また、SAW圧電体素子2もSAWデバイス1としては上述のように0.8mmほどになったので、この無線通信回路31は表面実装部をシールド・キャップ36にて封止しても、実装部の低背化を図ることができる。
【0056】
このように、無線通信回路31は、実施例1のSAWデバイス1を表面実装することで、無線通信機器の薄型化に大きく寄与できる。
【0057】
また、実施例2のパッケージ形態で、SAW圧電体素子22を実装した無線通信回路41の基板42を図8に示す。この無線通信回路41の基板42でも、低背化が実現できる。さらに、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽膜24を形成するので、高周波雑音に対する遮蔽性を実現できる。つまり、高周波雑音の遮蔽性と、SAWデバイスの低背化を両立できる。
【0058】
次に、実施例1又は実施例2のパッケージ形態でSAW圧電体素子を実装し、かつIC(半導体集積回路)を内蔵した無線通信回路の基板について説明する。電子機器のモバイル化に伴い、無線通信等に使用される高周波回路モジュールには、上述したように、小型化、低背化、軽量化が求められている。高周波回路モジュールの小型化、低背化の方法として、実装部品を基板に内蔵して、実装を高密度化することが考えられている。特に、実装部品の中でも面積、高さ共に大きい、ICとSAWデバイスを基板に内蔵することが有効である。
【0059】
しかし、高周波回路モジュールの小型化・低背化を目的とした、ICの基板内蔵とSAWデバイスの低背実装(ベア実装)の両立は、従来の技術では困難であった。以下に、その理由を説明する。
【0060】
ICについては、特開2002−270712号公報、特開2003−218143号公報に記載されているように、ICベアチップを基板に内蔵する技術が開示されていた。IC内蔵基板50の場合、図9に示すように、内蔵したICベアチップ51の上に他の部品52を実装できるため、実装に要する基板面積を少なくできる。なお、内蔵したICベアチップ51は、基板50を構成する各層の表層電極にバンプにより接続される。表層電極は、ビア電極や端子電極に接続されている。図9では、端子電極がはんだボール53に接続している。
【0061】
しかし、図9に示したようにIC内蔵が出来るのは樹脂基板に限られ、実際には、ガラスエポキシ基板“FR−4”等の熱硬化樹脂の積層基板内にICを埋め込む以外は行われていない。IC内蔵基板50は、図9に示したように、ICをフリップ実装した基板の上に、更に基材(IC部分はくり貫かれている)を積層していく技術であるが、熱硬化樹脂の絶縁基材のプリプレグの融着温度が180℃前後であるのに比較し、熱可塑性樹脂の融着温度は300℃以上であり、埋め込んだICに熱履歴がかかり過ぎるためである。また、セラミックス基板では、基板積層後の焼成温度が高いため(LTCCで800〜900℃、アルミナ等は1000数百℃以上)、この場合もICベアチップを基板に内蔵することはできない。
【0062】
また、特開2004−95767号公報に開示のように、基板にキャビティを形成すれば、熱可塑性樹脂基板でも、セラミックス基板でも、キャビティ部分にICベアチップを内蔵できるが、この場合、キャビティの上には他の部品を実装できないため、実装に要する基板面積は殆ど少なくならない。
【0063】
図10及び図11は、熱可塑性樹脂基板又はセラミックス基板54及び57に、キャビティ部分55及び58を形成し、そのキャビティ部分55及び58に、ICベアチップ56をフリップチップ実装した構成、及びICベアチップ59をワイヤボンディング実装した構成を示す。共に、キャビティ部分55及び58の上には、他の部品を実装できないことが判る。よって、上述のように、実装に要する基板面積は殆ど少なくならない。
【0064】
一方、SAWデバイスの実装スペースを小さくするためには、上記実施例1、実施例2で説明したように基板上にベアのSAWデバイスを実装するのが望ましい。SAWデバイスのパッケージは背が高いため、とりわけ低背化に有効である。しかし、ベアのSAWデバイスは、IDT電極や、反射器電極を含む表面弾性波の振動部分をセラミックス基板側に向け、その空間を封止する必要がある。
【0065】
ガラスエポキシ等の熱硬化樹脂基板は、ポーラスで、吸湿率が高く、水分を透過させてしまう。しかし、表面弾性波圧電基板の表面に形成される上記IDT電極や、反射器電極、さらにはパッド電極は、用いられる電極材料がAl(アルミニウム)もしくはAl合金であるため、水分の影響により腐食劣化しやすい。
【0066】
図12には、SAW圧電体素子91の上面図を示す。このSAW圧電体素子91は、圧電基板92上に、上記IDT電極93aや、反射器電極93b、さらにはパッド電極(入力側パッド電極94、出力側パッド電極95、接地用パッド電極96)をAl(アルミニウム)もしくはAl合金を電極材料として形成している。このように、圧電基板92上に、Al(アルミニウム)もしくはAl合金からなる各電極を剥きだしにし、これら各電極を、上記ガラスエポキシ等の熱硬化樹脂基板に向けて配置すれば、熱硬化樹脂基板がポーラスで、吸湿率が高く、水分を透過させてしまうので、水分の影響により、各電極は腐食劣化してしまうことになる。
【0067】
上記のような例えばAl電極が腐食すると、SAW圧電体素子との接合強度が弱くなり、最終的に上記電極がSAW圧電体素子から剥離してしまう虞がある。このため、ガラスエポキシ等の熱硬化樹脂基板は、SAWデバイスを実装することはできない。
【0068】
そこで、本発明では、図13に示すように、絶縁体材料としてガラスエポキシのような熱硬化性樹脂を用いた層62と、吸水率および水分透過性の低い熱可塑性の樹脂を用いた層63からなる異種材料を積層した基板61を有する高周波通信回路60にあって、熱硬化性樹脂層62に半導体集積回路のベアチップ64を内蔵し、熱可塑性樹脂層63の上に、上記第1実施例のSAWデバイス1をベア実装する。また、熱可塑性樹脂層63の上には、抵抗器、コンデンサ、コイルのような低背化部品65,66等も表面実装する。また、熱可塑性樹脂層63には、インダクタ67を内蔵させてもよい。また、熱硬化性樹脂層62に、コンデンサ68等を内蔵させてもよい。
【0069】
熱硬化性樹脂層62としては、上述したように、ガラスエポキシを用いることができる。また、熱可塑性樹脂層63としては、液晶ポリマー、SPS(シンジオタクチック・ポリスチレン)等の低誘電率で、かつ、低吸水率の樹脂材料を用いる。
【0070】
ガラスエポキシの吸水率が約0.4%であるのに比較し、液晶ポリマーやSPSの吸水率は0.05%程度であり、SAW圧電体基板を実装した封止領域への水分の透過を防ぐことができる。LTCCの吸水率0.1%を基準にし、それ以下の上記液晶ポリマー、SPSが望ましいといえる。なお、その他の樹脂基板材料の吸水率としては、ポリイミドが0.24%、BTレジンが0.15%である。
【0071】
また、液晶ポリマー、SPSは非誘電率が2〜3程度で、ガラスエポキシの4.7よりも低いため、基板の寄生容量による表面弾性波圧電基板のQ値の劣化を少なくするという点からも有利である。
【0072】
したがって、図13に示した高周波回路60は、基板61を構成する熱硬化性樹脂層62に内蔵したICベアチップ64の上に、基板61を構成する熱可塑性樹脂層63を介してSAWデバイス1を実装できるため、実装に要する基板面積を少なくできる。また、SAWデバイス1は、吸水率および水分透過性の低い熱可塑性の樹脂を用いた層(熱可塑性樹脂層)63上にベアチップ実装するのでIDT電極、反射器電極のようなアルミニウム系電極を腐食させることがない。このAl電極の腐食を防止できるので、SAW圧電体素子との接合強度を弱くすることがなく、最終的に上記各電極がSAW圧電体素子から剥離してしまうのを防止できる。また、SAWデバイス1は、実施例1のパッケージ形態を採り、ポリイミド等の樹脂で出来た壁10を封止樹脂11の堰き止め手段として用いているので、確実に、封止樹脂11のIDT電極、反射器電極への侵入を防ぐことができる。もちろん、ポリイミド等の絶縁樹脂の薄膜で封止樹脂の堰き止め手段(壁10)を形成しているので、従来のように蓋の厚みと蓋と配線基板間に入り込む樹脂の厚みを不要としている。よって、低背化を図ることができる。
【0073】
また、図14に示すように、高周波回路70の配線基板61を構成する熱硬化性樹脂層62に半導体集積回路のベアチップ64を内蔵し、熱可塑性樹脂層63の上に、上記第2実施例のSAWデバイス21をベア実装することもできる。
【0074】
このようにすれば、熱硬化性樹脂層62に内蔵したICベアチップ64の上に、熱可塑性樹脂層63を介してSAWデバイス21を実装できるため、実装に要する基板面積を少なくできる。また、SAWデバイス21は、吸水率および水分透過性の低い熱可塑性の樹脂を用いた層(熱可塑性樹脂層)63上にベアチップ実装するのでIDT電極、反射器電極のようなアルミニウム系電極を腐食させることがない。このAl電極の腐食を防止できるので、SAW圧電体素子との接合強度を弱くすることがなく、最終的に上記各電極がSAW圧電体素子から剥離してしまうのを防止できる。また、SAWデバイス21は、実施例2のパッケージ形態であり、ポリイミド等の樹脂でできた壁10を封止樹脂11の堰き止め手段として用いているので、確実に、封止樹脂11のIDT電極、反射器電極への侵入を防ぐことができる。もちろん、ポリイミド等の絶縁樹脂の薄膜で封止樹脂の堰き止め手段を形成しているので、従来のように蓋の厚みと蓋と配線基板間に入り込む樹脂の厚みを不要としている。よって、低背化を図ることができる。さらに、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽手段(遮蔽膜24)を形成するので、高周波雑音に対する遮蔽性を実現できる。つまり、高周波雑音の遮蔽性と、SAWデバイスの低背化を両立できる。
【0075】
なお、変形例として、図15に示すように高周波回路75は、本発明にて挙げた、熱硬化性樹脂62を用いた層と、吸水率および水分透過性の低い熱可塑性の樹脂を用いた層63からなる配線基板61にあって、図15に示すように、熱硬化性樹脂層62には半導体集積回路のベアチップ64を内蔵するが、熱可塑性樹脂層63の表面には、SAW圧電体素子76をワイヤボンディングし、金属蓋77にて封止することもできる。
【0076】
また、他の変形例として、図16に示すように、高周波回路78は、熱硬化性樹脂層62には半導体集積回路のベアチップ64を内蔵するが、熱可塑性樹脂層63にはキャビティ79を形成し、そのキャビティ部分79に、SAW圧電体素子80をワイヤボンディングし、金属蓋81にて封止することもできる。
【0077】
図15及び図16に示した構成でも、共に熱硬化性樹脂層62として用いるガラスエポキシの吸水率が約0.4%であるのに比較し、熱可塑性樹脂層63として用いる液晶ポリマーやSPSの吸水率は0.05%程度であり、SAW圧電体基板を実装した封止領域への水分の透過を防ぐことができる。
【0078】
また、これらの樹脂は非誘電率が2〜3程度で、ガラスエポキシの4.7よりも低いため、基板の寄生容量による表面弾性波圧電基板のQ値の劣化を少なくするという点からも有利である。
【0079】
また、更なる小型化、低背化のために、図13〜図16に示した配線基板に図17〜図19に示すようにインダクタ、コンデンサ、抵抗器を導体パターンとして内蔵することも可能である。このとき、図18(a)及び(b)に示すコンデンサは高誘電率のガラスエポキシ層に内蔵して、小型、高容量にするべきである。一方、図17(a)〜(c)に示すインダクタは、低誘電率、低誘電正接である、液晶ポリマー、SPS等の低吸水率樹脂層に内蔵して高Q値にするべきである。液晶ポリマーのtanδは0.003程度、SPSのtanδは0.001程度で、ガラスエポキシの約0.01よりも一桁少ない。また、図19に示す抵抗器の例は、ポリマー厚膜ペースト(ポリエステル)の両端をCu(銅)に接続してなる。また、基板は全て樹脂基板なので、軽量化という観点からも有利である。
【0080】
以上、図13〜図16を参照して説明した、熱硬化性樹脂層62と熱可塑性樹脂層63からなる配線基板61への、半導体集積回路のベアチップの内蔵と、SAWデバイスのベアチップ実装により、次の効果がある。
【0081】
すなわち、SAWデバイスを液晶ポリマー、SPS等の低吸水率の熱可塑性樹脂材料を用いた層に実装することで、表面弾性波圧電基板のAl電極を犯す水分を透過させない封止を実現できる。これにより、IDT電極、反射器電極のようなアルミニウム系電極を腐食させることがない。このAl電極の腐食を防止できるので、SAW圧電体素子との接合強度を弱くすることがなく、最終的に上記各電極がSAW圧電体素子から剥離してしまうのを防止できる。
【0082】
また、半導体集積回路をガラスエポキシ層に内蔵することで、実績のある安定した工程で、高い信頼性のIC内蔵基板が実現できる。
【0083】
また、液晶ポリマー、SPS等の吸水率の樹脂層とガラスエポキシ層を積層することで、これまで両立不可能だった、SAWデバイスのベア実装とIC内蔵基板の2つの技術を両立した小型、低背の高周波モジュールを実現できる。
【0084】
また、液晶ポリマー、SPS等の低吸水率の樹脂は、低誘電率でもあるので、SAWデバイスのQ値の劣化も防ぐことができる。
【0085】
共に、樹脂基板であるので全体としても軽量である。
【0086】
さらに、インダクタ、コンデンサ、抵抗器等を内蔵して、更なる小型化を実現できる。その場合に、ガラスエポキシの高誘電率と、液晶ポリマー、SPS等の低吸水率の樹脂の低誘電率、低誘電正接を使い分ければ、高性能も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施例1のSAWデバイスの断面図である。
【図2】SAWデバイスに搭載されているSAW圧電体素子の上面図である。
【図3】SAW圧電体素子を形成する処理手順を示すフローチャートである。
【図4】SAW圧電体素子を配線基板に接合し、SAWデバイスを完成するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例2のSAWデバイスの断面図である。
【図6】実施例2のSAWデバイスに用いる、SAW圧電体素子の形成の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例1のSAWデバイスのSAW圧電体素子を実装した無線通信回路の断面図である。
【図8】実施例2のSAWデバイスのSAW圧電体素子を実装した無線通信回路の断面図である。
【図9】半導体集積回路を内蔵した樹脂基板の断面図である。
【図10】基板に形成したキャビティ部分にICベアチップをフリップチップ実装した回路の断面図である。
【図11】基板に形成したキャビティ部分にICベアチップをワイヤボンディング実装した回路の断面図である。
【図12】圧電基板上に、Al(アルミニウム)もしくはAl合金からなる各電極を剥きだしにした構成を示す上面図である。
【図13】異種材料を積層した基板に、ICベアチップを内蔵し、かつ実施例1のSAWデバイスを表面実装した構成の高周波通信回路の断面図である。
【図14】異種材料を積層した基板に、ICベアチップを内蔵し、かつ実施例2のSAWデバイスを表面実装した構成の高周波通信回路の断面図である。
【図15】異種材料を積層した基板に、ICベアチップを内蔵し、かつSAWデバイスをワイヤボンディング実装した構成の高周波通信回路の断面図である。
【図16】異種材料を積層した基板に、ICベアチップを内蔵し、かつキャビティを設けて、キャビティ内にSAWデバイスをワイヤボンディング実装した構成の高周波通信回路の断面図である。
【図17】異種材料を積層した基板に、導体パターンとして内蔵するインダクタを示す図である。
【図18】異種材料を積層した基板に、導体パターンとして内蔵するコンデンサを示す図である。
【図19】異種材料を積層した基板に、導体パターンとして内蔵する抵抗器を示す図である。
【図20】従来の第1のパッケージング形態によるSAWデバイスの断面図である。
【図21】従来の第2のパッケージング形態によるSAWデバイスの断面図である。
【図22】従来の第3のパッケージング形態によるSAWデバイスの断面図である。
【図23】従来の第4のパッケージング形態によるSAWデバイスの断面図である。
【図24】従来の第5のパッケージング形態によるSAWデバイスの断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 SAWデバイス、2 SAW圧電体素子、3 圧電基板、4 表面弾性波の振動部分、4a IDT電極、4b 反射器電極、5 バンプ、9 配線基板、10 壁、11 封止樹脂、12 表層電極、13 端子電極、14 ビア電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂材料よりなる配線基板と、
上記配線基板上にフリップ・チップ実装される表面弾性波(SAW)圧電体素子と、
上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された活性面上の空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止するための封止樹脂と、
上記封止樹脂が上記SAW圧電体素子の活性面上の表面弾性波の振動部分に付着するのを防止するため、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるために設ける堰き止め手段と
を備えることを特徴とするSAWデバイス。
【請求項2】
上記SAW圧電体素子の活性面を表面とするときの裏面にあたる非活性面に、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽手段を有することを特徴とする請求項1記載のSAWデバイス。
【請求項3】
絶縁体材料として熱硬化性樹脂を用いた熱硬化性樹脂層と、上記熱硬化性樹脂層よりも吸水率及び水分透過性の低い熱可塑性樹脂材料を用いた熱可塑性樹脂層とを積層した多層構造の配線基板を用いる通信モジュールであって、
上記熱硬化性樹脂層に半導体集積回路のベアチップを内蔵し、かつ上記熱硬化性樹脂層上に積層した上記熱可塑性樹脂層上には、当該熱可塑性樹脂層を配線基板とし、上記配線基板上にフリップ・チップ実装される表面弾性波(SAW)圧電体素子とを実装し、
上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された活性面上の空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止樹脂により封止し、
さらに上記封止樹脂が上記SAW圧電体素子の活性面上の表面弾性波の振動部分に付着するのを防止するため、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるための堰き止め手段を有する
ことを特徴とする通信モジュール。
【請求項4】
上記SAW圧電体素子の活性面を表面とするときの裏面にあたる非活性面に、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽手段を有することを特徴とする請求項3記載の通信モジュール。
【請求項5】
熱可塑性樹脂材料よりなる配線基板と、この配線基板上にフリップ・チップ実装される表面弾性波(SAW)圧電体素子とを備えるSAWデバイスの製造方法において、
上記SAW圧電体素子を形成するために圧電基板上にIDT電極、反射器電極及びパッド電極を活性面を構成するように形成する電極形成工程と、
上記SAW圧電体素子と上記配線基板とを接合するときに、上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された活性面上の空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止するための封止樹脂が、上記電極形成工程により上記各電極が形成された活性面上の表面弾性波の振動部分に付着しないように、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるための堰き止め手段を形成する堰き止め手段形成工程と
を備えることを特徴とするSAWデバイスの製造方法。
【請求項6】
上記SAW圧電体素子の活性面を表面とするときの裏面にあたる非活性面に、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽手段を形成する遮蔽手段形成工程をさらに備えることを特徴とする請求項5記載のSAWデバイスの製造方法。
【請求項1】
熱可塑性樹脂材料よりなる配線基板と、
上記配線基板上にフリップ・チップ実装される表面弾性波(SAW)圧電体素子と、
上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された活性面上の空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止するための封止樹脂と、
上記封止樹脂が上記SAW圧電体素子の活性面上の表面弾性波の振動部分に付着するのを防止するため、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるために設ける堰き止め手段と
を備えることを特徴とするSAWデバイス。
【請求項2】
上記SAW圧電体素子の活性面を表面とするときの裏面にあたる非活性面に、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽手段を有することを特徴とする請求項1記載のSAWデバイス。
【請求項3】
絶縁体材料として熱硬化性樹脂を用いた熱硬化性樹脂層と、上記熱硬化性樹脂層よりも吸水率及び水分透過性の低い熱可塑性樹脂材料を用いた熱可塑性樹脂層とを積層した多層構造の配線基板を用いる通信モジュールであって、
上記熱硬化性樹脂層に半導体集積回路のベアチップを内蔵し、かつ上記熱硬化性樹脂層上に積層した上記熱可塑性樹脂層上には、当該熱可塑性樹脂層を配線基板とし、上記配線基板上にフリップ・チップ実装される表面弾性波(SAW)圧電体素子とを実装し、
上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された活性面上の空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止樹脂により封止し、
さらに上記封止樹脂が上記SAW圧電体素子の活性面上の表面弾性波の振動部分に付着するのを防止するため、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるための堰き止め手段を有する
ことを特徴とする通信モジュール。
【請求項4】
上記SAW圧電体素子の活性面を表面とするときの裏面にあたる非活性面に、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽手段を有することを特徴とする請求項3記載の通信モジュール。
【請求項5】
熱可塑性樹脂材料よりなる配線基板と、この配線基板上にフリップ・チップ実装される表面弾性波(SAW)圧電体素子とを備えるSAWデバイスの製造方法において、
上記SAW圧電体素子を形成するために圧電基板上にIDT電極、反射器電極及びパッド電極を活性面を構成するように形成する電極形成工程と、
上記SAW圧電体素子と上記配線基板とを接合するときに、上記SAW圧電体素子と上記配線基板の間に形成された活性面上の空間を、上記SAW圧電体素子の天井高さを超えないように封止するための封止樹脂が、上記電極形成工程により上記各電極が形成された活性面上の表面弾性波の振動部分に付着しないように、上記SAW圧電体素子の活性面上に上記封止樹脂の流れを堰き止めるための堰き止め手段を形成する堰き止め手段形成工程と
を備えることを特徴とするSAWデバイスの製造方法。
【請求項6】
上記SAW圧電体素子の活性面を表面とするときの裏面にあたる非活性面に、高周波雑音からの電気的・磁気的な遮蔽手段を形成する遮蔽手段形成工程をさらに備えることを特徴とする請求項5記載のSAWデバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2006−211612(P2006−211612A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24523(P2005−24523)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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