説明

SUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法及びそのシステム

【課題】従来のフェムトセル基地局の初期位置算出時間が長くなりすぎたり、受信信号の不良により、測位不能となったりする問題点を解決するSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】SUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システム1は、複数の移動通信ネットワーク基地局13、SUPLプラットフォーム12、測位ユーザプレーン14及び小型基地局11を備える。SUPLプラットフォーム12には、複数の移動通信ネットワーク基地局13の位置情報を取得するために用いるSUPL位置センター122と、通信を構築するために用いるSUPL測位センター121とが配置される。測位ユーザプレーン14は、SUPLプラットフォーム12に接続される。小型基地局11には、SUPLプラットフォーム12と通信を構築するために用いるSUPLプログラムが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信分野における測位技術に関し、特に、SUPL(Secure User Plane Location)プラットフォームと、SUPLプラットフォームをサポートするネットワークシステムと、を応用することにより、例えば、フェムトセル(femtocell)基地局などの小型基地局の測位を行うシステム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク通信の発展過程において、カバレッジ(coverage)は、インターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider:ISP)がネットワークを構築する上で常に重視され続けている。また、カバレッジは、ユーザがインターネットサービスプロバイダを選択する際にも参考にされる。現在すでに広域ネットワークのカバレッジは、非常に安定している。例えば、カバレッジの大きなマクロセル(macro cell)基地局は、人口が少ない上、移動速度が速いユーザフローに応用することができる。これにより、都市部から離れた農村であっても、広域ネットワーク内に含めることができる。
【0003】
しかし、人口が密集する都市部の場合、高層ビルの密集度が高まり、建築物内を移動するユーザが増加するに従い、室内領域は、マクロセル基地局からの電波が届きにくい領域となっている。そこで、フェムトセルと呼ばれる基地局が運用されている。このフェムトセル基地局は、移動通信ネットワークのカバレッジを延展させることにより、室内領域に電波が届きにくいという問題を解決している。
【0004】
マクロセル基地局の作動原理と同様に、フェルトセル基地局は、移動通信コアネットワーク(core network)に登録するとき、移動通信コアネットワークに自身の地理的位置情報を提供する必要がある。これにより、移動通信ネットワークは、基地局の配置管理を適切に行うことができる。また、フェムトセル基地局は、カバレッジ内に地理的位置情報を発信し続ける必要がある。これにより、携帯電話などの移動通信端末は、フェムトセル基地局のカバレッジに進入したとき、地理的位置情報を受信して無線ネットワーク接続が構築され、無線通信を行うことができる。このため、フェムトセル基地局は、ネットワーク通信サービスに加入するとき、測位処理を行う必要がある。
【0005】
従来技術において、フェムトセル基地局の測位には、従来のGNSS(Global Navigation Satellite System)チップ/受信装置が使用される。例えば、フェムトセル基地局中にGNSSチップ/受信装置が設けられる。これにより、フェムトセル基地局は、測位を行う際、所在地の測位データ(例えば、差分補正データ、衛星運行状況など)を自ら計算し、GNSS信号を捕捉して測位を行う。しかし、この測位方式の場合、GNSSチップ/受信装置の感度及び信号強度の悪影響を受けるため、初期位置の算出時間が長くなりすぎたり、測位不能となったりする問題が発生する虞がある。また、フェムトセル基地局にA−GNSS(Assisted Global Navigation Satellite System)チップ/受信装置を設けることにより、インターネット(internet)を介して通信し、A−GNSSサーバから測位補助情報を受信する。これにより、フェムトセル基地局は、迅速にGNSS信号を捕捉し、初期位置の算出時間を短縮することができる。しかし、天気、雲の状態、建築物などによる遮蔽又は妨害を受けてGNSS信号の強度が弱くなる環境の場合、測位不能となる問題が発生する虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来のフェムトセル基地局の初期位置算出時間が長くなりすぎたり、受信信号の不良により、測位不能となったりする問題点を解決するSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法及びそのシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、小型基地局が、SUPLプラットフォームと、SUPLプラットフォームをサポートするネットワークシステムと、を応用して行う小型基地局の測位方法であって、前記測位方法は、前記小型基地局のカバレッジ内に、測位後に取得した位置情報を発信したり、前記小型基地局が移動通信コアネットワークに登録するとき、位置情報を提供したりするために用いられ、前記小型基地局中に設けられた前記SUPLプラットフォームと通信を構築するために用いるSUPLプログラムを起動し、前記SUPLプラットフォームを介し、測位補助情報及び概略位置情報を取得し、前記測位補助情報により衛星信号を捕捉するステップ(1)と、捕捉した前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断し、捕捉した前記衛星信号によって測位計算を行うことができると判断した場合、前記衛星信号に基づいて測位計算を行い、正確な位置情報を取得し、前記小型基地局が移動通信コアネットワークに登録するとき、前記正確な位置情報を提供したり、或いは、カバレッジ内に、前記正確な位置情報を発信したりし、反対に、捕捉した衛星信号が測位計算を行うのに不足すると判断した場合、前記小型基地局が移動通信コアネットワークに登録するとき、概略位置情報を提供したり、或いは、カバレッジ内に前記概略位置情報を発信したりするステップ(2)と、を含むことを特徴とするSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法が提供される。
【0008】
また、前記小型基地局中に前記SUPLプログラムを予め設けるステップをさらに含むことが好ましい。
【0009】
また、前記SUPLプラットフォームをサポートするネットワークシステムは、GNSS衛星、WWRN及び移動通信ネットワーク基地局を有し、前記SUPLプラットフォームは、SUPL測位センターと、SUPL位置センターと、前記SUPLプラットフォームと前記小型基地局との間で通信を行うために用いる測位ユーザプレーンと、を有することが好ましい。
【0010】
また、前記ステップ(1)は、前記小型基地局が、前記SUPLプラットフォームをサポートするネットワークシステムと、前記測位ユーザプレーンと、を介し、端末識別子を有する測位接続要求メッセージを発信するサブステップ(1−1)と、前記SUPLプラットフォームが前記測位接続要求メッセージを受信した後、前記SUPL測位センターを起動し、前記小型基地局の測位権限を検証し、前記小型基地局が測位権限を有することを確認した後、前記小型基地局と前記SUPLプラットフォームとの間で通信が構築され、通信が構築された後、前記SUPL位置センターが前記小型基地局に測位補助情報及び概略位置情報を発信するサブステップ(1−2)と、前記小型基地局が前記測位補助情報に基づき、衛星信号を捕捉し、測位情報を取得するサブステップ(1−3)と、を含むことが好ましい。
【0011】
また、前記ステップ(2)は、前記測位情報に基づき、前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断するステップを含むことが好ましい。
【0012】
また、前記端末識別子は、前記小型基地局が前記SUPLプラットフォーム上において身分を識別することが可能な情報であることが好ましい。
【0013】
また、前記小型基地局は、前記測位情報に基づいて前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断し、足りると判断した場合、前記衛星信号に基づいて測位計算を行い、正確な位置情報を取得することが好ましい。
【0014】
また、前記SUPLプラットフォームは、前記測位情報に基づいて前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断し、足りると判断した場合、前記衛星信号に基づいて測位計算を行い、正確な位置情報を算出した後、前記小型基地局に前記正確な位置情報を送信することが好ましい。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第2の形態によれば、複数の移動通信ネットワーク基地局、SUPLプラットフォーム、測位ユーザプレーン及び小型基地局を備えるSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システムであって、前記SUPLプラットフォームには、前記複数の移動通信ネットワーク基地局の位置情報を取得するために用いるSUPL位置センターと、通信を構築するために用いるSUPL測位センターと、が配置され、前記測位ユーザプレーンは、前記SUPLプラットフォームに接続され、前記小型基地局には、前記SUPLプラットフォームと通信を構築するために用いるSUPLプログラムが設けられ、前記SUPLプログラムが起動されたとき、前記測位ユーザプレーンを介して前記SUPLプラットフォームと通信が構築され、前記小型基地局は、通信が構築された後、前記SUPL位置センターに隣接した移動通信ネットワーク基地局の位置情報を提供することにより、前記SUPL位置センターから前記小型基地局の概略位置情報及び測位補助情報を取得し、前記小型基地局は、前記測位補助情報を利用することにより衛星信号を捕捉し、前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断し、もし捕捉した前記衛星信号によって測位計算を行うことができると判断した場合、前記衛星信号を計算し、前記小型基地局の正確な位置情報を取得し、前記正確な位置情報を測位情報として利用し、捕捉した衛星信号が測位計算を行うのに不足すると判断した場合、前記小型基地局は、取得した概略位置情報を測位情報として利用することを特徴とするSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システムが提供される。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第3の形態によれば、複数の移動通信ネットワーク基地局、SUPLプラットフォーム、測位ユーザプレーン及び小型基地局を備えるSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システムであって、前記SUPLプラットフォームには、前記複数の移動通信ネットワーク基地局の位置情報を取得するために用いるSUPL位置センターと、通信を構築するために用いるSUPL測位センターと、が配置され、前記測位ユーザプレーンは、前記SUPLプラットフォームに接続され、前記小型基地局には、前記SUPLプラットフォームと通信を構築するために用いるSUPLプログラムが設けられ、前記SUPLプログラムが起動されるとき、前記測位ユーザプレーンを介して前記SUPLプラットフォームとの通信が構築され、前記小型基地局は、通信が構築された後、前記SUPL位置センターに隣接した移動通信ネットワーク基地局の位置情報を提供することにより、前記SUPL位置センターから前記小型基地局の概略位置情報及び測位補助情報を取得し、前記小型基地局は、前記測位補助情報を利用して衛星信号を捕捉し、前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断し、もし捕捉した前記衛星信号によって測位計算を行うことができると判断した場合、前記小型基地局は、前記衛星信号を前記SUPLプラットフォームに伝送して測位計算を行い、前記小型基地局の正確な位置情報を取得し、前記正確な位置情報を測位情報として前記小型基地局に送信し、もし捕捉した衛星信号内容が測位計算を行うのに不足すると判断した場合、前記小型基地局は、取得した概略位置情報を測位情報として利用することを特徴とするSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法及びそのシステムは、小型基地局中に設けられたSUPLプログラムを起動してSUPLプラットフォームと通信を行うことにより、測位補助情報及び概略位置情報を取得する。次に、測位補助情報により、測位衛星信号を捕捉する。次に、計算を行った後、正確な位置情報を取得する。これにより、フェムトセル基地局の初期位置の算出時間が長くなりすぎるという従来技術の問題点を解決することができる上、測位衛星信号の内容が測位計算するのに不足する場合、フェムトセル基地局は、概略位置情報を取得することができるため、移動通信コアネットワークに概略位置情報を提供したり、或いは、カバレッジ内の移動通信ユーザに、概略位置情報を発信したりすることができる。これにより、測位衛星信号の内容が不足する場合、測位不能となる従来技術の問題点を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態によるSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法を示す流れ図である。
【図2】本発明の一実施形態によるSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システムの基本アーキテクチャ及びその応用アーキテクチャを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0020】
本発明は、SUPLプラットフォームを応用し、フェムトセル基地局などの小型基地局に対して測位を行う方法を提供するものである。本方法は、SUPLプラットフォームと、SUPLプラットフォームをサポートするネットワークシステムと、を応用することにより、小型基地局が移動通信コアネットワークに登録されるとき、位置情報を提供したり、或いは、小型基地局のカバレッジ内に位置情報を発信したりするものである。SUPLプラットフォームをサポートするネットワークシステムのアーキテクチャは、GNSS衛星、WWRN(World Wide Reference Network)及び移動通信ネットワーク基地局を含む。
【0021】
ここで、GNSS衛星は、全世界をカバーし、地上の受信装置に衛星信号を発信することにより、測位情報を能動的に提供する。WWRNは、GNSS信号受信装置及びGNSSデータサービス装置を含み、各地のGNSS信号受信装置を利用して各衛星の天体位置情報を継続的に収集し、各衛星のデータを記憶する。GNSS信号受信装置は、衛星から発信され続ける信号により、自身の所在地の経緯度及び高度を数メートルの誤差で取得することができる。移動通信ネットワーク基地局は、カバレッジ内の移動通信ネットワークユーザに、必要な情報(位置情報を含む)を発信する。SUPLプラットフォームは、移動通信ネットワーク基地局の位置を取得したり、WWRNと通信して各移動通信ネットワーク基地局上空の測位衛星の情報を取得したり、小型基地局と情報を通信して測位サービスを提供したりするために用いられる。
【0022】
図1を参照する。図1に示すように、本発明の一実施形態によるSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法は、以下のステップS1〜S9を含む。
【0023】
S1:小型基地局中にSUPLプログラムを設ける。本実施形態では、小型基地局内に、測位の補助を行うことができるアシスト型GNSSチップを設ける。A−GNSSチップは、SUPLプラットフォームから提供された測位補助情報と、受信した測位衛星信号とを処理するために用いられる。続いてS2に進む。
【0024】
S2:小型基地局がSUPLプログラムを起動し、SUPLプラットフォームを介して小型基地局の所在地の測位補助情報及び概略位置情報を取得する。測位補助情報は、小型基地局の所在地上空に存在する可能性が最も高い測位衛星に導くために用いられる。これにより、小型基地局は、測位衛星信号を検索するときの指針を有することができる。概略位置情報は、移動通信ネットワーク情報から算出することができ、小型基地局の所在地の概略地理範囲情報である。具体的に述べると、移動通信ネットワーク業者は、複数の所定の移動通信範囲内に、移動通信ネットワーク基地局をそれぞれ配置しているため、小型基地局に隣接した移動通信ネットワーク基地局の配置位置及び各基地局の信号強度を演算することにより、概略位置情報を構築することができる。概略位置情報の距離誤差は、10m〜10kmである。この距離誤差は、移動通信ネットワーク基地局の配置密度に応じて増減する。次にS3に進む。
【0025】
S3:小型基地局が測位補助情報を利用することにより、所在地上空に出現する可能性が最も高い測位衛星から、測位に必要な衛星信号の捕捉を試みる。次にS4に進む。
【0026】
S4:小型基地局が衛星信号の捕捉を終了し、小型基地局が捕捉した衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断する。捕捉した衛星信号内容によって測位計算を行うことができると判断した場合、S5に進む。反対に、小型基地局が捕捉した衛星信号内容は、測位計算を行うのに不足すると判断した場合、S9に進む。ここで、小型基地局が捕捉した衛星信号内容が測位計算を行うことが可能であると判断される条件とは、例えば、小型基地局が解読可能である上、衛星信号が少なくとも3つの衛星から提供されるということである。
【0027】
S5:小型基地局自らが正確な位置を計算するか否かを判断する。小型基地局が測位計算を自ら行う場合、S7に進む。反対に、小型基地局が測位計算を自ら行わない場合、S6に進む。
【0028】
S6:小型基地局が捕捉した測位衛星信号内容をSUPLプラットフォームに伝送し、小型基地局の位置を計算した後、この位置情報を小型基地局に送信する。次にS8に進む。
【0029】
S7:小型基地局が捕捉した測位衛星信号内容に基づき、小型基地局が自身の位置情報を自ら計算する。次にS8に進む。
【0030】
S8:小型基地局が正確な位置情報を取得し、SUPLプログラムを終了する。これにより、小型基地局の測位処理ステップを終了する。
【0031】
S9:小型基地局が概略位置情報を取得し、SUPLプログラムを終了する。これにより、小型基地局の測位処理ステップを終了する。
【0032】
前述のステップS2において、小型基地局が所在地の測位補助情報及び概略位置情報を取得する前に、小型基地局は、測位ユーザプレーンを介してSUPLプラットフォームに端末識別子を有する測位接続要求メッセージを発信し、測位権限の認証ステップを行わせる。小型基地局が測位権限を有するとSUPLプラットフォームが判断すると、小型基地局は、SUPLプラットフォームと通信し、所在地の測位補助情報及び概略位置情報を取得する。反対に、小型基地局が測位権限を有さない場合、SUPLプラットフォームは、測位要求を拒絶し、小型基地局の測位処理ステップを終了する。前述の端末識別子とは、小型基地局がSUPLプラットフォーム上において身分を識別することができる情報である。
【0033】
上述のステップS8及びステップS9を行った後、小型基地局は、取得した正確な位置情報又は概略位置情報を使用して移動通信コアネットワークに登録したり、或いは、取得した正確な位置情報又は概略位置情報を信号カバレッジ内の移動通信ネットワークユーザに発信してもよい。
【0034】
上述のステップS3〜S8から分かるように、小型基地局は、測位補助情報により、衛星信号を捕捉するときの指針を有することができるため、正確な位置情報を迅速に取得することができる。これにより、フェムトセル基地局の初期位置算出時間が長くなりすぎるという従来の問題点を解決することができる。
【0035】
図1及び図2を参照する。図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態によるSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システム1は、小型基地局11の測位を行う。これにより、小型基地局11が移動通信コアネットワークに登録するときに、位置情報を提供したり、或いは、小型基地局11のカバレッジ内に位置情報を発信したりすることができる。本実施形態によるSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システム1は、複数の移動通信ネットワーク基地局13と、SUPLプラットフォーム12と、小型基地局11と、インターネット接続されて測位ステップを行う際にデータ交換を行う測位ユーザプレーン14と、を含む。
【0036】
SUPLプラットフォーム12には、複数の移動通信ネットワーク基地局13の位置情報を取得するために用いられるSUPL位置センター122と、安全なデータ通信を構築するために用いるSUPL測位センター121と、が配置される。
【0037】
小型基地局11には、SUPLプラットフォーム12と通信経路を構築するために用いるSUPLプログラムが設けられる。SUPLプログラムが起動されたとき、測位ユーザプレーン14を介し、測位接続要求メッセージが発信される。具体的な実施形態において、小型基地局11内に配置され、測位の補助を行うことができるA−GNSSチップにより、SUPLプラットフォーム12のSUPL位置センター122が提供する測位補助情報の処理と、受信した測位衛星信号の処理と、を行う。前述の測位要求メッセージは、端末識別子を有する。この端末識別子は、小型基地局がSUPLプラットフォーム上において身分を識別することができる情報である。
【0038】
SUPLプラットフォーム12は、SUPL位置センター122及びSUPL測位センター121を含む。SUPL位置センター122は、WWRN3に接続し、WWRNが収集したGNSS衛星4の天体位置情報を取得し、測位補助情報を提供することができる。さらに、必要な各GNSS衛星4に対し、長期軌道データの予測を行うことにより、測位補助情報をリアルタイムに提供することができる。SUPL測位センター121は、測位接続要求メッセージを発信した小型基地局11が測位権限を有するか否かを検証するために用いられる。WWRNとは、測位処理に必要な従来のシステムであるため、ここでは詳しく述べない。
【0039】
SUPLプラットフォーム12は、測位接続要求メッセージを受信した後、SUPL測位センター121を起動し、小型基地局11の測位権限を検証して小型基地局11が測位ステップを構築可能か否かを判断する。小型基地局11が測位権限を有さない場合、測位処理を拒絶する。小型基地局11が測位権限を有すると判断した場合、小型基地局11とSUPLプラットフォーム12との間で通信を行い、通信が構築された後、SUPL位置センター122は、小型基地局11に隣接した移動通信ネットワーク基地局13の位置情報を取得する。これにより、SUPL位置センター122は、小型基地局11に測位補助情報及び概略位置情報を送信する。
【0040】
本発明の具体的な実施形態において、SUPL位置センター122から測位補助情報及び概略位置情報を小型基地局11が受信した後、小型基地局11は、測位補助情報に基づき、所在地上空のGNSS衛星4信号の捕捉を開始する。捕捉したGNSS衛星4信号の内容が測位計算を行うのに不足する場合、小型基地局11は、移動通信コアネットワークに登録するとき、概略位置情報を提供したり、カバレッジ内に概略位置情報を発信したりし、これにより正常に動作する。
【0041】
また、小型基地局11が捕捉したGNSS衛星4の信号内容により、測位計算を行うことが可能な場合、取得した衛星信号に基づいて計算を行い、正確な位置情報を取得する。また、小型基地局11は、移動通信コアネットワークに登録するとき、正確な位置情報を提供したり、或いは、カバレッジ内に正確な位置情報を送信したりする。
【0042】
また、前述の小型基地局11は、取得した測位情報に基づいて計算を行い、正確な位置情報を取得するが、この態様だけに限定されるわけではなく、他の実施形態では、小型基地局11が取得した測位情報をSUPLプラットフォーム12に送信し、SUPLプラットフォーム12が測位情報に基づき、正確な位置情報を計算した後、この位置情報を小型基地局11に送信してもよい。即ち、本発明は、小型基地局11により計算を行うだけの態様に限定されるわけではない。
【0043】
本発明のSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法及びそのシステムは、小型基地局の初期位置の算出時間が長くなりすぎるという従来の問題点を解決することができる上、測位衛星信号の内容が測位計算するのに不足する場合でも、小型基地局が概略位置情報を取得することができるため、移動通信コアネットワークに概略位置情報を提供したり、或いは、カバレッジ内の移動通信ユーザに、概略位置情報を発信したりすることができる。これにより、測位衛星信号の内容が不足する場合に測位不能となる従来技術の問題点を解決することができる。
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0044】
1 SUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システム
3 WWRN
4 GNSS衛星
11 小型基地局
12 SUPLプラットフォーム
13 移動通信ネットワーク基地局
14 測位ユーザプレーン
121 SUPL測位センター
122 SUPL位置センター


【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型基地局が、SUPLプラットフォームと、SUPLプラットフォームをサポートするネットワークシステムと、を応用して行う小型基地局の測位方法であって、
前記測位方法は、前記小型基地局のカバレッジ内に、測位後に取得した位置情報を発信したり、前記小型基地局が移動通信コアネットワークに登録するとき、位置情報を提供したりするために用いられ、
前記小型基地局中に設けられた前記SUPLプラットフォームと通信を構築するために用いるSUPLプログラムを起動し、前記SUPLプラットフォームを介し、測位補助情報及び概略位置情報を取得し、前記測位補助情報により衛星信号を捕捉するステップ(1)と、
捕捉した前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断し、捕捉した前記衛星信号によって測位計算を行うことができると判断した場合、前記衛星信号に基づいて測位計算を行い、正確な位置情報を取得し、前記小型基地局が移動通信コアネットワークに登録するとき、前記正確な位置情報を提供したり、或いは、カバレッジ内に、前記正確な位置情報を発信したりし、反対に、捕捉した衛星信号が測位計算を行うのに不足すると判断した場合、前記小型基地局が移動通信コアネットワークに登録するとき、概略位置情報を提供したり、或いは、カバレッジ内に前記概略位置情報を発信したりするステップ(2)と、を含むことを特徴とするSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法。
【請求項2】
前記小型基地局中に前記SUPLプログラムを予め設けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法。
【請求項3】
前記SUPLプラットフォームをサポートするネットワークシステムは、GNSS衛星、WWRN及び移動通信ネットワーク基地局を有し、
前記SUPLプラットフォームは、SUPL測位センターと、SUPL位置センターと、前記SUPLプラットフォームと前記小型基地局との間で通信を行うために用いる測位ユーザプレーンと、を有することを特徴とする請求項1に記載のSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法。
【請求項4】
前記ステップ(1)は、
前記小型基地局が、前記SUPLプラットフォームをサポートするネットワークシステムと、前記測位ユーザプレーンと、を介し、端末識別子を有する測位接続要求メッセージを発信するサブステップ(1−1)と、
前記SUPLプラットフォームが前記測位接続要求メッセージを受信した後、前記SUPL測位センターを起動し、前記小型基地局の測位権限を検証し、前記小型基地局が測位権限を有することを確認した後、前記小型基地局と前記SUPLプラットフォームとの間で通信が構築され、通信が構築された後、前記SUPL位置センターが前記小型基地局に測位補助情報及び概略位置情報を発信するサブステップ(1−2)と、
前記小型基地局が前記測位補助情報に基づき、衛星信号を捕捉し、測位情報を取得するサブステップ(1−3)と、を含むことを特徴とする請求項3に記載のSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法。
【請求項5】
前記ステップ(2)は、前記測位情報に基づき、前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断するステップを含むことを特徴とする請求項4に記載のSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法。
【請求項6】
前記端末識別子は、前記小型基地局が前記SUPLプラットフォーム上において身分を識別することが可能な情報であることを特徴とする請求項4に記載のSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法。
【請求項7】
前記小型基地局は、前記測位情報に基づいて前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断し、足りると判断した場合、前記衛星信号に基づいて測位計算を行い、正確な位置情報を取得することを特徴とする請求項5に記載のSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法。
【請求項8】
前記SUPLプラットフォームは、前記測位情報に基づいて前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断し、足りると判断した場合、前記衛星信号に基づいて測位計算を行い、正確な位置情報を算出した後、前記小型基地局に前記正確な位置情報を送信することを特徴とする請求項5に記載のSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位方法。
【請求項9】
複数の移動通信ネットワーク基地局、SUPLプラットフォーム、測位ユーザプレーン及び小型基地局を備えるSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システムであって、
前記SUPLプラットフォームには、前記複数の移動通信ネットワーク基地局の位置情報を取得するために用いるSUPL位置センターと、通信を構築するために用いるSUPL測位センターと、が配置され、
前記測位ユーザプレーンは、前記SUPLプラットフォームに接続され、
前記小型基地局には、前記SUPLプラットフォームと通信を構築するために用いるSUPLプログラムが設けられ、前記SUPLプログラムが起動されたとき、前記測位ユーザプレーンを介して前記SUPLプラットフォームと通信が構築され、前記小型基地局は、通信が構築された後、前記SUPL位置センターに隣接した移動通信ネットワーク基地局の位置情報を提供することにより、前記SUPL位置センターから前記小型基地局の概略位置情報及び測位補助情報を取得し、前記小型基地局は、前記測位補助情報を利用することにより衛星信号を捕捉し、前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断し、もし捕捉した前記衛星信号によって測位計算を行うことができると判断した場合、前記衛星信号を計算し、前記小型基地局の正確な位置情報を取得し、前記正確な位置情報を測位情報として利用し、捕捉した衛星信号が測位計算を行うのに不足すると判断した場合、前記小型基地局は、取得した概略位置情報を測位情報として利用することを特徴とするSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システム。
【請求項10】
複数の移動通信ネットワーク基地局、SUPLプラットフォーム、測位ユーザプレーン及び小型基地局を備えるSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システムであって、
前記SUPLプラットフォームには、前記複数の移動通信ネットワーク基地局の位置情報を取得するために用いるSUPL位置センターと、通信を構築するために用いるSUPL測位センターと、が配置され、
前記測位ユーザプレーンは、前記SUPLプラットフォームに接続され、
前記小型基地局には、前記SUPLプラットフォームと通信を構築するために用いるSUPLプログラムが設けられ、前記SUPLプログラムが起動されるとき、前記測位ユーザプレーンを介して前記SUPLプラットフォームとの通信が構築され、前記小型基地局は、通信が構築された後、前記SUPL位置センターに隣接した移動通信ネットワーク基地局の位置情報を提供することにより、前記SUPL位置センターから前記小型基地局の概略位置情報及び測位補助情報を取得し、前記小型基地局は、前記測位補助情報を利用して衛星信号を捕捉し、前記衛星信号が測位計算を行うのに足りるか否かを判断し、もし捕捉した前記衛星信号によって測位計算を行うことができると判断した場合、前記小型基地局は、前記衛星信号を前記SUPLプラットフォームに伝送して測位計算を行い、前記小型基地局の正確な位置情報を取得し、前記正確な位置情報を測位情報として前記小型基地局に送信し、もし捕捉した衛星信号内容が測位計算を行うのに不足すると判断した場合、前記小型基地局は、取得した概略位置情報を測位情報として利用することを特徴とするSUPLプラットフォームを応用した小型基地局の測位システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−98269(P2012−98269A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130097(P2011−130097)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(507028952)亞旭電腦股▲ふん▼有限公司 (44)
【Fターム(参考)】