TDIセンサ、撮像装置、部品実装装置、部品試験装置および基板検査装置
【課題】カメラに対して部品を相対的に一度移動させることで、複数種類の部品画像をより良好にかつ高速で取得することを可能にする。
【解決手段】所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光されたライン画像を出力するTDIセンサ26。このTDIセンサ26は、第1方向に並びかつそれぞれ露光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子42を有する画素列41と、この画素列41と同等の画素列であって撮像素子42に遮光フィルタ43が形成された画素列41(電荷保持列)とを含み、これら画素列41が交互に配列された受光部40Aと、前記画素列41の電荷を列単位で隣接する列に順次転送するとともに、ライン画像の信号として、前記転送により最終的に蓄積された電荷に対応する信号を出力する転送部40Bとを備える。
【解決手段】所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光されたライン画像を出力するTDIセンサ26。このTDIセンサ26は、第1方向に並びかつそれぞれ露光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子42を有する画素列41と、この画素列41と同等の画素列であって撮像素子42に遮光フィルタ43が形成された画素列41(電荷保持列)とを含み、これら画素列41が交互に配列された受光部40Aと、前記画素列41の電荷を列単位で隣接する列に順次転送するとともに、ライン画像の信号として、前記転送により最終的に蓄積された電荷に対応する信号を出力する転送部40Bとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TDIセンサ、当該センサを備えた撮像装置、当該撮像装置を備えた部品実装装置、部品試験装置および基板検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、実装ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上の搭載点に実装する部品実装装置が知られている。部品実装装置は、部品撮像装置を備えている。これは、基板上への部品の実装に先立ち実装ヘッドに保持された部品を撮像することで、当該実装ヘッドによる部品の保持状態を認識して部品の搭載姿勢等の補正を行うためである。
【0003】
この種の部品実装装置に関して、例えば特許文献1が開示されている。この特許文献1に開示される部品実装装置は、ラインセンサが内蔵された部品認識用のカメラと、複数の照明部を備えた部品撮像装置とを含み、カメラに対して所定速度で部品を相対移動させながら当該部品を何れかの照明部で照射することで部品を撮像する。その際、特定の部品ついては、部品を移動させながら照明条件(照明方向)の異なる2つの照明部を交互に切り換えて画像を取り込むことで、照明条件が互いに異なるライン画像が交互に並ぶ2倍分のライン画像を取得する。そして、その画像から同一照明条件のライン画像を抽出して合成することにより、カメラに対して部品を一度通過させるだけで、互いに照明条件が異なる2つの部品画像を同時に取得することを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4381764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の部品認識装置では、カメラに対する部品の相対移動速度を速めることで、部品認識の高速化を図ることが考えられる。しかしながら、部品認識の高速化を図ると、撮像ライン毎の露光時間が短縮される結果、ラインセンサから出力されるライン画像毎の電荷量が少なくなり、画像が暗く不鮮明なものになる結果、部品の認識精度に支障が生じてしまうおそれがある。その場合、照明強度を高めて露光不足を補うことも考えられるが、これでは、大型かつ高価な高輝度照明装置が必要となり、装置の大型化およびコスト高をもたらすこととなり必ずしも得策とは言えない。
【0006】
なお、上記のように、カメラに対して部品を一度通過させる間に照明条件の異なる複数の画像を取得する以外に、例えば、一定の照明条件下で、波長が互いに異なる光を受光して複数種類の部品画像を取得したい場合もあるが、上記従来の部品認識装置では、このような部品画像を取得することは困難であった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、カメラに対して部品を相対的に一度移動させることで、複数種類の部品画像を良好にかつ高速で取得することを可能とする技術を提供することを目的とする。また、この技術を用いた撮像装置、およびこの撮像装置を備えた、部品実装基板生産のための関連装置、すなわち基板上に部品を実装する部品実装装置、部品を検査台上に載置して検査する部品試験装置、および基板にペースト状のハンダが塗布された基板や部品が実装された基板を検査する基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、出願人は、いわゆるTDIセンサに着目した。すなわち、TDIセンサは、所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光(積分露光)されたライン画像を出力するものである。従って、TDIセンサを備えた部品認識用カメラを用いることで、部品を高速で相対移動させながら部品画像を取得することを考えた。しかし、TDIセンサは、撮像ライン毎に積分露光されたライン画像を出力するため、単に部品の相対移動中に照明条件を切り替えるだけでは、撮像ライン毎に照明条件の異なるライン画像を得ることは困難である。
【0009】
そこで、出願人は、TDIセンサを改良し、さらにこのTDIセンサを用いた撮像装置を考えた。すなわち、本発明にかかるTDIセンサは、所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光されたライン画像を出力するTDIセンサであり、第1方向に並びかつそれぞれ露光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子を有する画素列と、前記電荷を保持する機能のみを有しかつ前記画素列の各撮像素子に対応するように前記第1方向に並ぶ複数の電荷保持部を有する電荷保持列とを含み、一つの前記画素列と一乃至複数の前記電荷保持列とが前記第1方向と直交する第2方向に交互に配列される受光部と、前記画素列の撮像素子および前記電荷保持列の電荷保持部が保持する電荷を列単位で隣接する列に順次転送するとともに、前記ライン画像の信号として、前記転送により最終的に蓄積された電荷に対応する信号を出力する転送部と、を備えるものである。
【0010】
そして、本発明にかかる撮像装置は、特定数かつ複数の照明条件で対象物を撮像するための撮像装置であって、上記のTDIセンサであって前記受光部として一つの前記画素列と前記特定数から一を減算した数の前記電荷保持列とが交互に配列された受光部を備えるTDIセンサと、前記TDIセンサに対して前記対象物を前記第2方向に相対移動させる移動手段と、前記移動手段により移動させられる対象物を照明するとともにその照明条件を前記複数の照明条件に変更することが可能な照明手段と、前記TDIセンサに対する前記対象物の相対移動中に、前記照明手段の照明条件が前記複数の照明条件に順番に切り換えられながら前記照明条件毎の対象物のライン画像が前記画素列の撮像素子により取り込まれるように前記TDIセンサの撮像タイミングおよび前記照明手段の照明条件の切り替えタイミングを制御するとともに、前記撮像タイミングに同期して前記電荷の転送が行われるように前記TDIセンサにおける前記電荷の転送タイミングを制御する撮像制御手段と、前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち照明条件が互いに共通するライン画像に基づいて対象物の画像を生成することにより前記特定数の対象物の画像を生成する画像処理手段と、を備えるものである。
【0011】
この撮像装置では、例えば2つの照明条件(第1照明条件、第2照明条件とする)の画像を取得する場合には、TDIセンサとして、画素列と電荷保持列とが交互に並んだものが備えられ、撮像手段として2つの照明条件に変更可能なものが備えられる。
【0012】
そして、対象物の相対移動中に照明条件が交互に切り替えられながら撮像動作が行われることにより、対象物がTDIセンサに対して相対移動する間に当該対象物の画像として照明条件の異なる2つの画像が取得される。具体的には、対象物の移動に伴い、ます第1照明条件の下で各画素列の撮像素子が露光されることにより、各画素列によりライン画像(第1照明画像という)が取り込まれる。これら画素列のライン画像(つまり電荷)は、次の露光前に隣接する電荷保持列に転送されて保持される。そして、第2照明条件の下、各画素列の撮像素子が露光されることにより、各画素列によりライン画像(第2照明画像という)が取り込まれる。この際、第1照明画像は電荷保持部に保持されているため照明光の影響を受けない。その後、各画素列の第2照明画像が隣接する電荷保持部に、各電荷保持部の第1照明画像が隣接する画素列にそれぞれ転送された後、第1照明条件の下、各画素列の撮像素子が露光されることにより、各画素列において第1照明画像が再露光される(電荷が加算される)。すなわち、TDIセンサからは、対象物の特定の一撮像ラインのライン画像であって第1照明条件で複数回露光されたライン画像と、後続の一撮像ラインのライン画像であって第2照明条件で複数回露光されたライン画像とが交互に出力される。そして、画像処理手段において、TDIセンサから出力されるライン画像のうち照明条件が共通するライン画像に基づいて対象物の画像が生成されることにより、第1照明条件での部品画像と第2照明条件での部品画像とが生成される。
【0013】
なお、上記TDIセンサにおいて、前記電荷保持列は、照明光の影響を受けることがない状態でライン画像(電荷)を保持することができればよい。従って、前記電荷保持列は、前記電荷保持部としてキャパシタが並んだものであってもよいし、また、前記画素列と同等の画素列であって各撮像素子の表面に光の入射を阻止する遮光部が形成されたものであってもよい。この場合、前者の構成によれば、既存の半導体プロセスに沿ってTDIセンサを比較的容易にかつ安価に製造することが可能である。加えて、電荷保持部の形状的な自由度が高いため、例えば、電荷保持列を、前記第2方向における前記画像列の幅寸法よりも小さい幅寸法のものにすれば、前記第2方向における分解能を保持しつつTDIセンサを同方向にコンパクト化することが可能となる。他方、後者の構成によれば、例えば既存のTDIセンサの特定の画素列に遮光部を追加工することで上記TDIセンサを容易に得ることができる。
【0014】
また、上記撮像装置において、前記照明手段は、前記照明条件として三原色それぞれの照明光を択一的に前記対象物に照射可能に構成されており、前記画像処理手段は、対象物の前記複数の画像として三原色それぞれの画像を生成するとともに、これら三原色の画像を合成することによりカラー画像を生成するものであってもよい。
【0015】
この構成によれば、TDRセンサに対して部品を相対的に一度移動させるだけで、対象物のカラー画像を取得することが可能となる。
【0016】
また、本発明にかかる他のTDIセンサは、所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光されたライン画像を出力するTDIセンサであって、第1方向に並びかつそれぞれ露光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子を有する画素列を含み、これら画素列が前記第1方向と直交する第2方向に配列された受光部と、前記画素列が保持する電荷を列単位で隣接する画素列に順次転送するとともに、前記ライン画像の信号として、前記転送により最終的に蓄積された電荷に対応する信号を出力する転送部と、を備え、前記受光部は、前記第2方向に所定の順序で連続して並びかつ受光可能な波長域が互いに異なる複数の前記画素列からなる画素列群を一単位として、当該画素列群が前記第2方向に複数配列された構成を有するものである。
【0017】
そして、本発明にかかる他の撮像装置は、対象物を撮像して複数種類の画像を取得するための撮像装置であって、上記TDIセンサと、前記TDIセンサに対して前記対象物を前記第2方向に相対移動させる移動手段と、前記移動手段により移動させられる対象物を照明する照明手段と、前記TDIセンサに対する前記対象物の相対移動中に、対象物のライン画像が前記画素列の撮像素子により取り込まれるように前記TDIセンサの撮像タイミングを制御するとともに、TDIセンサの撮像動作後、次の撮像動作前に、各画素列群に属する各画素列の電荷が隣接する画素列群の対応する画素列にそれぞれ転送されるように前記電荷の転送タイミングを制御する撮像制御手段と、前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち受光波長域が共通するライン画像に基づいて対象物の画像を生成することにより、前記画素列群が含む画素列の数に対応する数の対象物の画像を生成する画像処理手段と、を備えるものである。
【0018】
この撮像装置では、対象物がTDIセンサに対して相対移動する間に、当該対象物の画像として、受光した光の波長域が互いに異なる複数の画像が取得される。すなわち、対象物の移動に伴い、画素列群に含まれる各画素列の撮像素子が露光されることにより、各画像列により互いに波長域が異なるライン画像がそれぞれ取り込まれる。これら画素列のライン画像(電荷)は、次の露光前に隣接する画素列群の対応する画素列にそれぞれ転送されて保持される。つまり、TDIセンサからは、受光した光の波長域が互いに異なる複数のライン画像であってそれぞれ複数回露光されたライン画像が順次出力される。そして、画像処理手段において、前記TDIセンサから出力されるライン画像のうち受光した光の波長域が共通するライン画像に基づいて対象物の画像が生成されることにより、画素列群が含む画素列の数に対応する数の対象物の画像が生成される。
【0019】
なお、この撮像装置において、前記TDIセンサは、前記画素列群として三原色それぞれの光のみを受光可能な3つの画素列を含む画素列群を有し、前記画像処理手段は、前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち共通する色のライン画像に基づいて三原色それぞれの対象物の画像を生成するとともに、これら三原色の画像を合成することにより対象物のカラー画像を生成するものである。
【0020】
この構成によれば、TDRセンサに対して部品を相対的に一度移動させるだけで、対象物のカラー画像を取得することが可能となる。
【0021】
そして、本発明にかかる部品実装装置は、部品を保持可能なヘッドと、対象物として部品を撮像するための上記の撮像装置と、前記ヘッドに保持されかつ前記撮像装置により撮像された前記部品の画像データに基づき前記ヘッドによる部品の保持状態を認識した上で当該部品を前記ヘッドにより基板上に移載する移載手段と、を含み、前記撮像装置の前記移動手段は、前記ヘッドと前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものであり、前記移載手段は、前記ヘッドを前記基板に対して相対的に移動させることにより前記部品を前記基板上に搭載するものである。
【0022】
この部品実装装置によれば、ヘッドに保持された部品が、TDRセンサに対して一度だけ相対移動させられることにより、当該部品の部品画像として複数の部品画像が取得される。そして、当該部品画像に基づきヘッドによる部品の保持状態が認識された上で、当該部品が基板上に搭載される。
【0023】
また、本発明の部品試験装置は、対象物として部品を撮像するための上記の撮像装置と、前記ヘッドに保持されかつ前記撮像装置により撮像された前記部品の画像データに基づき前記ヘッドによる部品の保持状態を認識した上で当該部品を前記ヘッドにより所定の検査部上に移載する移載手段と、を含み、前記撮像装置の前記移動手段は、前記ヘッドと前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものであり、前記移載手段は、前記ヘッドを前記検査部に対して相対的に移動させることにより前記部品を前記検査部に載置するものである。
【0024】
この部品試験装置によれば、ヘッドに保持された部品が、TDRセンサに対して一度だけ相対移動させられることにより、当該部品の部品画像として複数の部品画像が取得される。そして、当該部品画像に基づきヘッドによる部品の保持状態が認識された上で、当該部品が基板上に搭載される。
【0025】
また、本発明の基板検査装置は、対象物として印刷処理又は部品実装された基板を撮像するための上記の撮像装置と、この撮像装置により撮像される検査対象箇所の画像に基づき印刷状態又は部品実装状態を認識する認識手段と、を含み、前記撮像装置の前記移動手段は、前記基板と前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものである。
【0026】
この基板検査装置によれば、基板がTDRセンサに対して一度だけ相対移動させられることにより、当該基板の検査対象箇所の部品画像として複数の画像が取得され、この複数の画像に基づき印刷状態又は部品実装状態が認識される。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明のTDIセンサおよび撮像装置によれば、TDIセンサに対して対象物を一度通過させるだけで複数の部品画像を良好にかつ高速で取得することができる。また、この撮像装置を備える本発明の部品実装装置および部品検査装置によれば、ヘッドに保持された部品を効率良く認識しながら当該部品を目標位置、すなわち基板上の部品搭載位置や検査部に移載することができる。また、この撮像装置を備える本発明の基板検査装置によれば、基板上の検査対象箇所を効率良く認識、検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかる部品実装装置(本発明にかかる撮像装置を備えた部品実装装置)を概略的に示す平面図である。
【図2】図1に示す部品実装装置を概略的に示す正面図である。
【図3】図1に示す部品実装装置に搭載される撮像ユニットを概略的に示すヘッドユニットの側面図である。
【図4】(a)は、TDIセンサの構成を模式的に示した図であり、(b)は、撮像時の各画素列における電荷の蓄積状態を説明する図である。
【図5】カメラの電気的構成図である。
【図6】図1に示す部品実装装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【図7】撮像ユニットによる照明、露光(撮像)および画像(電荷)転送の各タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】2つの部品画像が撮像されるプロセスを説明するためのTDIセンサの模式図である((a)は1回目の露光(撮像)時、(b)は2回目の露光時、(c)は3回目の露光時のTDIセンサの状態を示す)。
【図9】3つの部品画像が撮像されるプロセスを説明するためのTDIセンサの模式図である((a)は1回目の露光(撮像)時、(b)は2回目の露光時、(c)は3回目の露光時、(d)は4回目の露光時のTDIセンサの状態を示す)。
【図10】撮像ユニットによる照明、露光(撮像)および画像(電荷)転送の各タイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】TDIセンサの他の構成を模式的に示す図である。
【図12】TDIセンサの他の構成を模式的に示す図である。
【図13】本発明にかかる部品試験装置(本発明にかかる撮像装置を備えた部品試験装置)を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0030】
< 第1実施形態 >
図1及び図2は、本発明に係る部品実装装置(本発明にかかる撮像装置が適用される部品実装装置)を概略的に示しており、図1は平面図で、図2は正面図で、それぞれ部品実装装置を概略的に示している。なお、図1、図2及び後に説明する図面には、各図の方向関係を明確にするためにXYZ直角座標が示されている。
【0031】
部品実装装置は、基台1と、この基台1上に配置されてプリント配線板(PWB;Printed wiring board)等の基板3をX方向に搬送する基板搬送機構2と、部品供給部4と、部品実装用のヘッドユニット5と、このヘッドユニット5を駆動するヘッドユニット駆動機構と、部品認識のための撮像ユニット6等とを備える。
【0032】
前記基板搬送機構2は、基台1上において基板3を搬送する一対のコンベア2a、2aを含む。これらコンベア2a、2aは、同図の右側から基板3を受け入れて所定の実装作業位置(同図に示す位置)に搬送し、図略の保持装置により当該基板3を保持する。そして、実装作業後、この基板3を同図の左側に搬出する。
【0033】
前記部品供給部4は、前記基板搬送機構2の両側(Y方向両側)に配置されている。これら部品供給部4には、基板搬送機構2に沿ってX方向に並ぶ複数のテープフィーダ4aが配置されている。これらテープフィーダ4aは、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を収納、保持したテープが巻回されたリールを備え、このリールから間欠的にテープを繰り出しながら基板搬送機構2近傍の所定の部品供給位置に部品を供給する。なお、これら部品供給部4のうち一方又は双方は、テープフィーダ4aの代わりに、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)等のパッケージ型の部品が整列して載置されたトレイがセットされるものでもよい。
【0034】
前記ヘッドユニット5は、部品供給部4から部品を取り出して基板3上に実装するものであり、基板搬送機構2および部品供給部4等の上方に配置されている。
【0035】
前記ヘッドユニット5は、前記ヘッドユニット駆動機構により一定の領域内でX方向およびY方向に移動可能とされている。このヘッドユニット駆動機構は、Y軸サーボモータ10と、基台1上に設けられる一対の高架フレーム7にそれぞれ固定され、Y方向に互いに平行に延びる一対の固定レール8と、これら固定レール8に支持されてX方向に延びるユニット支持部材11と、このユニット支持部材11に螺合挿入されてY軸サーボモータ10により駆動されるボールねじ軸9とを含む。また、X軸サーボモータ15と、ユニット支持部材11に固定され、ヘッドユニット5をX方向に移動可能に支持する固定レール13と、ヘッドユニット5に螺合挿入されてX軸サーボモータ15を駆動源として駆動されるボールねじ軸14とを含む。つまり、ヘッドユニット駆動機構は、X軸サーボモータ15の駆動によりボールねじ軸14を介してヘッドユニット5をX方向に移動させる共に、Y軸サーボモータ10の駆動によりボールねじ軸9を介してユニット支持部材11をY方向に移動させ、その結果、ヘッドユニット5を一定の領域内でX方向およびY方向に移動させる。
【0036】
前記ヘッドユニット5は、先端にそれぞれ部品吸着用のノズル16aを備える複数本の実装ヘッド16と、これら実装ヘッド16をヘッドユニット5に対して昇降(Z方向の移動)およびノズル中心軸回りに回転(図2、図3中のR方向の回転)させるためのサーボモータを駆動源とするヘッド駆動機構等とを備える。
【0037】
前記実装ヘッド16は合計6個であり、X方向に一列に配列された状態でヘッドユニット5に搭載されている。各実装ヘッド16のノズル16aは、それぞれ電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置および大気の何れかに連通可能とされている。つまり、前記ノズル16aに負圧が供給されることで当該ノズル16aによる部品の吸着保持が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。
【0038】
前記ヘッドユニット5には、各実装ヘッド16に吸着保持された部品Cを認識するための上記撮像ユニット6、この撮像ユニット6を駆動するユニット駆動機構および基板3を認識するための基板認識カメラ17等が搭載されている。
【0039】
前記基板認識カメラ17は、ヘッドユニット5のX方向一端(図1、図2の例では左端)に固定されている。この基板認識カメラ17は、実装作業位置に位置決めされた基板3の位置や実装作業内容を特定するために当該基板3上に記される各種マークを撮像するものである。この基板認識カメラ17は、エリアセンサおよび集光レンズを備えるカメラ本体と照明装置とを一体に備え、基板3に対してその上から照明光を照射してその反射光をエリアセンサで受光することにより前記マークを撮像する。
【0040】
前記撮像ユニット6は、図3に示すように、部品Cを撮像するカメラ21と、部品Cに対して撮像用照明を与える照明装置22(本発明の照明手段に相当する)と、前記カメラ21が撮像可能となるように部品Cの像を反射する反射ミラー29と、これらを一体に保持するケーシング20等を含む。
【0041】
前記カメラ21は、TDI(Time Delay Integration)センサ26と集光レンズ28とを備えており、ほぼ横向きに配置されている。このカメラ21は、前記撮像用照明による部品Cからの反射光を集光レンズ28でTDIセンサ26の受光部40Aに結像させることで部品Cを撮像する。なお、TDIセンサ26を含むカメラ21の詳細については後述する。
【0042】
前記照明装置22は、所定の部品認識高さ位置に配置された実装ヘッド16の下方に配置されることが可能となるように前記ケーシング20に組み付けされている。
【0043】
この照明装置22は、部品Cを下方から照明する第1照明部22aと、部品Cを側方から照明する第2照明部22bとを備えている。第1照明部22aは、上向きに並ぶ複数のLED23を備え、これらLED23を点灯させることで、実装ヘッド16に吸着保持された部品Cに対してその下側から照明光を照射する。一方、第2照明部22bは、第1照明部22aの上方に配置されている。この第2照明部22bは、Y方向に内向きに対向する複数のLED24を備えており、これらLED24を点灯させることで、部品Cに対してその側方かつやや斜め下側から照明光を照射する。
【0044】
なお、実装ヘッド16に対向する位置には前記反射ミラー29が配置されている。これにより、部品Cからの反射光の方向を当該反射ミラー29によって水平に近い方向に変更して前記カメラ21に入射させるようになっている。なお、第1照明部22aの前記LED23はこの反射ミラー29を囲むように配置されている。
【0045】
前記撮像ユニット6を駆動する前記ユニット駆動機構は、ヘッドユニット5のボトムフレーム5aに固定され、前記ケーシング20をX軸方向に移動可能に支持する固定レール32、32と、駆動源としてのリニアモータ34と、リニアエンコーダ36とを含む。
【0046】
リニアモータ34は、X方向に沿ってボトムフレーム5aに固定される固定子としての永久磁石35aと、当該永久磁石35aに所定隙間を隔てて対向するように前記ケーシング20に固定される可動子としてのコイル部35bとを含み、当該コイル部35bへの通電により前記ケーシング20にX方向の推進力を与える。この構成により、撮像ユニット6が固定レール32、32に沿ってX方向に移動する。
【0047】
前記リニアエンコーダ36は、X方向に沿ってボトムフレーム5aに固定される磁気スケール37aと、この磁気スケール37aに対向するようにケーシング20に固定されるMRセンサやホールセンサ等の磁気センサ37bとを含む。磁気スケール37aは、磁気的に目盛りが記録されたもので、前記磁気センサ37bは、前記目盛りを検出し当該目盛りに対応した信号を後記制御装置60に出力する。
【0048】
すなわち、撮像ユニット6は、上記リニアモータ34の駆動によりX方向に移動ながら、各実装ヘッド16に吸着保持されている部品Cを前記カメラ21により順次撮像することが可能に構成されており、この際、撮像ユニット6の位置や移動速度が前記リニアエンコーダ36からの出力信号に基づき後記制御装置60により制御される。
【0049】
図4(a)は、前記カメラ21に備えられるTDIセンサ26の構成を模式的に示している。同図に示すように、TDIセンサ26は、受光部40Aと転送部40Bとを含む。
【0050】
受光部40Aは、受光光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子42が第1方向に一列に並ぶ複数の画素列41を含み、これら画素列41が第1方向と直交する第2方向に配列されたものである。図示の例では画素列41の数は便宜上7列であるが、実際には、この画素列41の数や各画素列41の画素数(撮像素子42の数)は所望の分解能が得られるように定められ、例えば画素列の数は150列前後に設定される。
【0051】
前記転送部40Bは、前記各画素列41にそれぞれ対応する複数のレジスタ列45を含む。各レジスタ列45は、それぞれ対応する画素列41の各撮像素子42と対をなす複数のレジスタ44を含む。各レジスタ44は、対をなす撮像素子42の電荷を読み出し、読み出した電荷を隣接する画素列41の撮像素子42に順次転送する機能を有する。電荷の転送方向は切り替えが可能であり、同図は、読み出した電荷を第2方向(+)側に隣接する画素列41の撮像素子42に転送するイメージを白抜き矢印で示している。
【0052】
なお、前記受光部40Aにおける複数の画素列41のうち、その並び方向の一端側から数えて奇数番目(奇数列)のものは、各撮像素子42による受光が可能な画素列41であり、偶数番目(偶数列)のものは、撮像素子42の表面に遮光フィルタ43(本発明の遮光部に相当する)が形成されることにより各撮像素子42が受光不能とされた画素列41である。これにより、当該偶数列の画素列41に属する各撮像素子42では、受光による電荷の生成は行われず、隣接する画素列41の撮像素子42から転送されてくる電荷を保持する機能のみを有する。当例では、この偶数列に属する画素列41が本発明の電荷保持列であり、遮光フィルタ43が形成された撮像素子42が本発明の電荷保持部に相当する。一方、奇数列の画素列41に属する各撮像素子42は、隣接する画素列41の撮像素子42から転送されてくる電荷に、受光により生成される電荷を加えて保持する機能を有する。
【0053】
なお、前記受光部40Aに含まれる画素列41の数は奇数であり、その並び方向の一端側から数えて偶数列の画素列41に属する撮像素子42には、その表面に遮光フィルタ43(本発明の遮光部に相当する)が形成されている。これにより、当該偶数列の画素列41に属する各撮像素子42では、受光による電荷の生成は行われず、隣接する画素列41の撮像素子42から転送されてくる電荷を保持する機能のみを有する。当例では、この偶数列に属する画素列41が本発明の電荷保持列であり、遮光フィルタ43が形成された撮像素子42が本発明の電荷保持部に相当する。
【0054】
前記カメラ21は、TDIセンサ26の画素列41の並び方向(第2方向)がX方向と平行となるように撮像ユニット6に搭載されている。これにより、撮像ユニット6がX方向に移動すると、受光部40Aの画素列41のうち奇数列の画素列41の撮像素子42において部品Cからの反射光に応じた電荷が生成される。つまり、奇数列の画素列41の撮像素子42により部品Cの一撮像ライン毎のライン画像が順次取り込まれる。
【0055】
ここで、カメラ21による部品Cの撮像動作について撮像ユニット6がX方向の(+)側から(−)側に移動しながら部品Cを撮像する場合を例に説明する。
【0056】
部品Cの撮像は、制御装置60の制御により前記撮像ユニット6の移動速度が一定に保たれた状態で、照明装置22の照明の下、前記撮像ユニット6の移動に同期した一定の撮像タイミングで各画素列41の撮像素子42が露光されることにより行われる。この場合、第1照明部22aと第2照明部22bとが交互に点灯される。
【0057】
具体的には、撮像ユニット6が画素列41の配列ピッチp分だけ移動するタイミング(部品Cが撮像ユニット6に対して相対的に配列ピッチpだけ移動するタイミング)で露光が行われる。この露光により、画素列41のうち遮光フィルタ43が形成されていない奇数列の画素列41により部品Cの一撮像ライン分のライン画像が取り込まれる。すなわち、露光により、部品Cからの反射光が各画素列41の撮像素子42に入射することにより当該各撮像素子42において受光光量に応じた電荷が生成される。
【0058】
例えば最初に第1照明部22aが点灯するものとし、この際、撮像ユニット6に対して相対移動する部品Cの相対移動方向の先端部から距離L(L<=p)の部位(以下単に部品の距離Lの部位と言う)が、反射ミラー29を介して第1列の画素列41に相対する位置に到達して、最初に露光が行われるタイミングを第1タイミングとする。
【0059】
ここで、受光部40Aの画素列41のうち先頭(第1列目)の画素列41で生成された電荷(部品Cの距離Lの部位のライン画像)は、当該画素列41に対応するレジスタ列45のレジスタ44に読み出され、さらに隣接する第2列目の画素列41の各撮像素子42に転送される。そして、撮像ユニット6が前記配列ピッチp分だけ移動すると、部品の距離(L+p)の部位が反射ミラー29を介して第1列の画素列41に相対する位置に到達し、そのタイミング(第2タイミングとする)で各画素列41の撮像素子42が第2照明部22bの点灯により露光される。但し、第2列目の画素列41の各撮像素子42には、上記の通り遮光フィルタ43が形成されているため、当該画素列41では電荷は生成されない。そのため、第2列目の画素列41の各撮像素子42には、第1タイミングでの露光による電荷(部品Cの距離Lの部位の第1タイミングのライン画像)が転送保持され、第1列目の画素列41の各撮像素子42には、第2タイミングでの露光による電荷(部品Cの距離(L+p)の部位のライン画像)が保持されることになる。
【0060】
撮像ユニット6がさらに移動すると、これに同期して、当該第2列目の画素列41の電荷(ライン画像)が当該画素列41に対応するレジスタ列45のレジスタ44に読み出されて隣接する第3列目の画素列41の各撮像素子42に転送される。そして、撮像ユニット6が前記配列ピッチp分だけ移動すると、部品Cの距離(L+2p)の部位が反射ミラー29を介して第1列の画素列41に相対する位置に到達する一方、部品Cの距離Lの部位が反射ミラー29を介して第3列の画素列41に相対する位置に到達し、そのタイミング(第3タイミング)で第1照明部22aの点灯による撮像動作が実行され、これにより第3列目の画素列41の各撮像素子42において受光光量に応じた電荷(部品Cの距離Lの部位の第3タイミングのライン画像)が生成される。つまり、第2列目の画素列41から第3列目の画素列41に転送された電荷(部品Cの距離Lの部位の第1タイミングのライン画像)に、当該第3列目の画素列41の撮像素子42で新たに生成された電荷(部品Cの距離Lの部位の第3タイミングのライン画像)が加算されることとなる。すなわち、第3列目の画素列41には部品Cの距離Lの部位に対する第1タイミングでの露光(第1照明部22aによる露光)による電荷と第3タイミングでの露光(第1照明部22aによる露光)による電荷が加算された形で保持される。一方、第2列目の画素列41の撮像素子42には部品Cの距離(L+p)の部位に対する第2タイミングでの露光(第2照明部22aによる露光)による電荷が保持され、第1列目の画素列41の撮像素子42には部品Cの距離(L+2p)の部位に対する第3タイミングでの露光による電荷が保持される。
【0061】
以後、撮像ユニット6の移動に伴い、同様の動作が画素列41、41……において繰り返し行われることにより、図4(b)に示すように、部品Cの同一撮像ラインについて奇数列の画素列41で順次電荷が加算、蓄積される。換言すれば、部品Cの同一撮像ラインのライン画像が奇数列の画素列41で繰り返し露光される。そして、このようにして蓄積された、奇数番目の撮像のタイミングで第1照明部22aの点灯により露光された一撮像ライン分の電荷と、偶数番目の撮像のタイミングで第2照明部22aの点灯により露光された一撮像ライン分の電荷とが、交互にX方向(+)側端の画素列41から対応するレジスタ列45に読み出され、部品Cの各部位の一撮像ライン分の蓄積された電荷にそれぞれ応じた信号が、交互にTDIセンサ26から順次出力される。こうして、撮像ユニット6の移動に伴い、部品Cにおけるピッチp(画素列41の配列ピッチpと同じ距離)毎の一撮像ラインについて、奇数番目の一撮像ラインと偶数番目の一撮像ラインとで、異なるタイミングおよび異なる照明条件で撮像したことによる電荷が、順次蓄積されながらTDIセンサ26から交互に出力される。つまり、部品Cのピッチp毎の一撮像ライン分のライン画像であって隣接する一撮像ライン間で異なるタイミングおよび異なる照明条件で多重露光されたライン画像が、TDIセンサ26から部品Cの全長に渡って順次出力される。これにより、部品Cの2ピッチ(2p)毎の一撮像ラインのライン画像群からなる照明条件の異なる2種の部品画像が得られる。この点については、図8等を用いて後にさらに詳述することにする。
【0062】
なお、ここでは、撮像ユニット6がX方向の(+)側から(−)側に移動する場合について説明したが、撮像ユニット6がX方向の(−)側から(+)側に移動する場合も基本的には同様である。この場合には、X方向の(+)側端部の画素列41を先頭(第1列目)の画素列41として電荷の蓄積、転送が行われ、部品Cの一撮像ラインのライン画像に相当する電荷がX方向(−)側端部の画素列41に対応するレジスタ列45から出力される。従って、TDIセンサ26は、前記信号の出力部として電荷の転送方向に対応した2つの出力部26a、26b(図5参照)を備えている。
【0063】
図5は、カメラ21の主な電気的構成を示す図である。同図に示すように、カメラ21は、前記TDIセンサ26の他に、カメラ制御部50、アナログフロントエンド(AFE)52、データトランスミッタ53、クロックドライバ54等を含む。
【0064】
前記カメラ制御部50は、後記する制御装置60から画像取込装置68を介して受信する制御信号に基づいて当該カメラ21の動作を統括的に制御するものである。例えば、TDIセンサ26は、スキャニング方向(部品Cに対する撮像ユニット6の移動方向)に応じて画像データを出力するための2つの出力部26a、26bを備えているが、カメラ制御部50は、後述するようにクロックドライバ54からのクロック信号を変化させることにより、TDIセンサ26における電荷の転送方向を前記スキャニング方向に応じて切り替え、2つの出力部26a、26bのうち一方から画像データを出力させる。
【0065】
アナログフロントエンド52は、カメラ制御部50からの制御信号によりカメラゲインを設定し、そのカメラゲインに基づいて画像データの出力値を調整した上で、この画像データ(アナログデータ)をデジタルの画像データに変換するもので、相関2乗サンプラ(CDS;Correlated Double Sampler)、可変ゲインアンプ(VGA;Variable Gain Amp)及びADコンバータ(ADC;Analog to Digital Converter)等を含む。
【0066】
データトランスミッタ53は、外部機器との間で信号の送受信を行うものである。例えばデータトランスミッタ53は、アナログフロントエンド52から受信した画像データを、画像取込装置68を介して後記制御装置60に送信するとともに、当該制御装置60からの信号を、画像取込装置68を介して受信し前記カメラ制御部50に送信する。つまり、画像取込装置68は、カメラ21と制御装置60との間で送信される信号を相互に読み取り可能な信号に変換するインターフェースとしての機能を有する。
【0067】
クロックドライバ54は、カメラ制御部50から入力されるスキャニング方向に対応した制御信号に基づき、TDIセンサ26にクロック信号を出力し、TDIセンサ26による撮像(露光)タイミングおよび各画素列41の電荷(ライン画像)の転送タイミングおよび転送方向を制御するものである。なお、このクロック信号には、スキャニング方向に対応した情報が含まれており、TDIセンサ26は、この情報に基づき電荷の蓄積、転送方向を切り替える。
【0068】
この部品実装装置は、さらに、その動作を制御するための、図6に示すような制御装置60を備えている。この制御装置60は、部品実装装置の全体の動作を統括的にコントロールする主制御部61と、各種処理プログラムや各種データを記憶する記憶部62と、ヘッドユニット5や撮像ユニット6等の駆動を制御する駆動制御部64と、画像処理部65および照明制御部66とを備え、これらがバス63を介して互いに信号のやり取りが可能となるように接続された構成を有する。
【0069】
主制御部61は、記憶部62に記憶されている実装プログラムに従って駆動制御部64、画像処理部65、照明制御部66およびカメラ21などを制御するとともに、実装ヘッド16に吸着される部品Cの画像認識やそのための各種画像処理および演算処理等を行い、画像データを記憶部62に記憶させるものである。特に、部品認識の際には、実装ヘッド16に吸着されている部品Cに対して撮像ユニット6を一度だけスキャン(相対移動)させる間に、照明条件の異なる2種類の画像、具体的には、前記第1照明部22aだけを点灯させた第1部品画像および第2照明部22bだけを点灯させた第2部品画像を取得し、これら第1部品画像および第2部品画像に基づき実装ヘッド16による部品Cの保持状態を認識すべく、前記撮像ユニット6の移動速度を制御するとともに、前記記憶部62に記憶されているタイミングチャート(図7)に基づき部品Cの撮像タイミングや照明装置22の点灯タイミングなどを制御する。
【0070】
なお、この実施形態では、撮像ユニット6、ユニット駆動機構および制御装置60等が本発明の撮像装置に相当し、そのうちユニット駆動機構が撮像装置の移動手段に相当し、主制御部61、照明制御部66及びカメラ制御部50等が本発明の撮像制御手段に相当する。また、ヘッドユニット駆動機構および制御装置60等が本発明の移載手段に相当する。
【0071】
以下、前記制御装置60の制御に基づく部品実装装置の一連の実装動作について説明した上で、図7のタイミングチャートに基づく部品Cの撮像、認識処理の制御について説明する。
【0072】
この部品実装装置では、まず、ヘッドユニット5が部品供給部4上に移動し、各実装ヘッド16(ノズル16a)により部品が吸着保持される。この際、撮像ユニット6は、図2に示すように、実装ヘッド16の配列領域よりも外側の所定の待機位置に配置されおり、これにより実装ヘッド16による部品の吸着動作が支障なく行われる。なお、当実施形態では、X方向において実装ヘッド16の配列領域を挟んだ両外側の位置が待機位置(X方向の(+)側を第1待機位置、(−)側を第2待機位置とする)とされており、図2の例では、撮像ユニット6は、第1待機位置に配置されている。
【0073】
部品吸着が完了すると、ヘッドユニット5が基板3上への移動を開始する。そして、このヘッドユニット5の移動中、実装ヘッド16に吸着保持されている部品Cの真下の位置を撮像ユニット6が第1待機位置から第2待機位置に向かってX方向に一定速度で移動することにより各部品Cが撮像され、その画像データに基づき、各実装ヘッド16に保持されている部品Cの吸着状態が認識される。この際、各実装ヘッド16は、図2及び図3に示すように、撮像ユニット6が通過する領域上方の前記部品認識高さ位置に配置されることで、撮像ユニット6の移動および部品Cの撮像が支障なく行われる。
【0074】
そして、各実装ヘッド16に保持された部品Cのなかに不良部品や補正不可能な吸着状態のものがある場合には、当該部品Cが廃棄対象として登録された上で、ヘッドユニット5が基板3上に移動し、前記廃棄対象以外の部品Cが順次基板3上に実装される。このとき、部品Cの認識結果に応じてヘッドユニット5の位置および実装ヘッド16の回転角度等が制御されることで、基板3上の各搭載位置に部品が適切に実装される。
【0075】
こうして基板3上に部品Cが実装されると、ヘッドユニット5が図外の部品廃棄ボックス上へ移動し、上記廃棄対象の部品Cを廃棄する。これにより実装動作の一サイクルが終了し、必要に応じてこの動作が繰り返されることで所要部品Cが基板3上に実装される。
【0076】
図7は、カメラ21および照明装置22の制御を示すタイミングチャートである。
【0077】
撮像ユニット6が移動を開始すると、主制御部61は、前記リニアエンコーダ36からの出力信号に基づき、所定のタイミングでカメラ21(カメラ制御部50)および照明制御部66に撮像信号を出力する。具体的には、撮像ユニット6はTDIセンサ26の画素列41の配列ピッチpだけ移動するタイミングで繰り返し撮像信号を出力する。
【0078】
この撮像信号の入力により、前記照明装置22は、前記撮像信号の入力に基づき照明装置22を一定時間だけ点灯させる。他方、カメラ制御部50は、クロックドライバ54に制御信号を出力し、このクロックドライバ54からTDIセンサ26にクロック信号を出力させることで、前記TDIセンサ26に撮像動作を実行される。具体的には、各画素列41の撮像素子42を一定時間だけ露光させ、露光終了後、各画素列41で生成された電荷を隣接する画素列41に転送させる。
【0079】
ここで、前記照明装置22は、主制御部61から前記撮像信号が入力される毎に、第1照明部22aと第2照明部22bとを切り替える。このように前記撮像信号の入力毎に第1照明部22aと第2照明部22bとが切り替えられることで、部品Cに対して撮像ユニット6が一度スキャンする間に前記第1部品画像と第2部品画像とが取得される。
【0080】
詳しく説明すると、撮像ユニット6が移動を開始し、最初の撮像信号が出力されると、まず第1照明部22aが点灯し、これにより図8(a)に示すように、TDIセンサ26の受光部40Aの各画素列41のうち、遮光フィルタ43が形成されていない奇数列の各画素列41の撮像素子42が露光され、各撮像素子42において受光光量に応じた電荷が生成される。これら画素列41で生成された電荷は、一定タイミングで隣接する画素列41(偶数列の画素列41)に転送される。つまり、奇数列の各画素列41によって第1照明部22aの照明によるライン画像が取り込まれ、当該ライン画像が隣接する偶数列の画素列41に転送される。なお、図8中の丸付き数字は、撮像されるライン画像と照明の種類との関係を示しており、丸付き数字1は、第1照明部22aの照明によるライン画像を、丸付き数字2は、第2照明部22aの照明によるライン画像をそれぞれ示す(図8(b)、(c)については、便宜上、TDIセンサ26の各部の符号を省略している)。
【0081】
撮像ユニット6の移動に伴い、次の撮像信号が出力されると、第2照明部22bが点灯し、図8(b)に示すように、奇数列の画素列41の撮像素子42が露光されることで、各撮像素子42において受光光量に応じた電荷が生成される。つまり、第2照明部22bの照明によるライン画像が取り込まれる。この場合、偶数列の画素列41には遮光フィルタ43が形成されており、当該画素列41の撮像素子42では電荷が生成されないため、第1照明部22aの照明により先に撮像されているライン画像の電荷は、当該第2照明部22bの照明による影響を受けることなくそのまま保持される。当該露光が終了すると、一定のタイミングで、各画素列41の電荷が順次隣接する画素列41に転送される。
【0082】
そして、さらに撮像ユニット6が移動し、次の撮像信号が出力されると、第1照明部22aが点灯し、図8(c)に示すように、奇数列に位置する画素列41の撮像素子42が露光されることで、第1照明部22aの照明により先に撮像されたライン画像の電荷に、新たに生成された電荷が加算、蓄積される。この場合も、偶数列に位置する画素列41の撮像素子42については、上記の通り電荷が生成されないため、第2照明部22bの照明により先に撮像されているライン画像の電荷は、当該第1照明部22aの照明による影響を受けることなくそのまま保持される。
【0083】
このように、撮像ユニット6の移動に伴い、第1照明部22aと第2照明部22bとが交互に点灯されながら、部品Cの一撮像ライン分のライン画像であって第1照明部22aの照明により4回分の電荷が加算、蓄積されたライン画像(換言すれば4回分多重露光されたライン画像)の画像データと、第2照明部22aの照明により4回分の電荷が加算、蓄積されたライン画像の画像データとが、部品Cの相対移動方向の先端から後端への全長に亘って交互にTDIセンサ26から出力され、これら画像データがカメラ21から画像取込装置68を介して前記画像処理部65に順次出力される。
【0084】
前記画像処理部65では、カメラ21から入力されるライン画像の画像データ群のうち、第1照明部22aの照明によるライン画像の画像データ群から部品Cの前記第1部品画像を生成するとともに、第2照明部22bの照明によるライン画像の画像データ群から部品Cの前記第2部品画像を生成する。これにより、前記主制御部61は、画像処理部65で生成されたこれら第1部品画像および第2部品画像に基づき各実装ヘッド16による部品Cの保持状態を認識する。
【0085】
すなわち、上述したように、撮像ユニット6に対する相対移動方向における部品Cの先端部から距離Lの部位(部品の距離Lの部位)が、反射ミラー29を介してTDIセンサ26の第1列の画素列41に相対する位置に到達し、最初に照明装置22の点灯による露光が行われるタイミングを第1タイミング、以降の露光タイミングを第2タイミング、第3タイミング……とした場合、各タイミングでの露光により、反射ミラー29を介してTDIセンサ26の各奇数列の画素列41と対面する部品Cの各部位が同時に撮像される。この際、第1照明部22aと第1照明部22aとが切り替えられながら部品Cの相対移動(ピッチp)に同期した上記タイミングで露光が行われる。
【0086】
詳しくは、部品Cの距離(L+2ap)(a=0,1,2,3…)の部位に対しては、当該それぞれの部位が前記反射ミラー29を介して第1列の画素列41、第3列の画素列41、…奇数列の画素列41に対面する毎の奇数番目のタイミングで第1照明部22aが点灯されることにより、部品Cの相対移動に伴い、第1列、第3列…奇数列の各画素列41において電荷が順次加算蓄積される。
【0087】
一方、部品Cの距離(L+(2a+1)p)(a=0,1,2,3…)の部位に対しては、当該それぞれの部位が前記反射ミラー29を介して第1列の画素列41、第3列の画素列41、…奇数列の画素列41に対面する毎の偶数番目のタイミングで第2照明部22bが点灯されることにより、部品Cの相対移動に伴い、第1列、第3列…奇数列の各画素列41において電荷が順次加算蓄積される。
【0088】
このようにして蓄積された、奇数番目の撮像のタイミングと関係付けられた部品Cの距離(L+2ap)(a=0,1,2,3,…)の部位の一撮像ライン分の第1照明部22aが点灯しての電荷と、偶数番目の撮像のタイミングと関係付けられた部品Cの距離(L+(2a+1)p)(a=0,1,2,3,…)の部位の一撮像ライン分の第2照明部22bが点灯しての電荷とが、交互にTDIセンサ26のX方向一端側の画素列41から対応するレジスタ列45に読み出され、部品Cの各部位の一撮像ライン分の蓄積された電荷にそれぞれ応じた信号が、交互にTDIセンサ26から順次出力される。こうして、撮像ユニット6の移動に伴い、部品Cにおけるピッチp(画素列41の配列ピッチpと同じ距離)毎の一撮像ラインについて、奇数番目の一撮像ラインと偶数番目の一撮像ラインとで、異なるタイミングおよび異なる照明条件で撮像したことによる電荷が、順次蓄積されながらTDIセンサ26から交互に出力される。つまり、部品Cのピッチp毎の一撮像ライン分のライン画像であって隣接する一撮像ライン間で異なるタイミングおよび異なる照明条件で多重露光されたライン画像が、TDIセンサ26から部品Cの全長に渡って順次出力される。これにより、部品Cの2ピッチ(2p)毎の一撮像ラインのライン画像群からなる照明条件の異なる2種の部品画像が得られ、前記主制御部61は、これら2種の部品画像に基づき各実装ヘッド16による部品Cの保持状態を認識する。
【0089】
以上説明したように、この部品実装装置では、各実装ヘッド16に保持されている部品Cに対して撮像ユニット6を一度スキャンさせる間に、第1照明部22aの照明による第1部品画像と第2照明部22bの照明による第2部品画像とを取得することができる。
【0090】
しかも、この撮像ユニット6では、部品撮像用のカメラとして、上記のように偶数列の画素列41に遮光フィルタ43を形成したTDIセンサ26を備えたカメラ21を用い、部品Cの一撮像ライン分のライン画像であって第1照明部22aの照明により4回分多重露光されたライン画像と、第2照明部22aの照明により4回分多重露光されたライン画像とを交互に取得することで、部品Cの第1部品画像と第2部品画像とを取得する。そのため、撮像ユニット6を比較的早い速度でスキャンさせながらも、第1部品画像および第2部品画像の何れについて明度の良好な部品画像を取得することが可能となる。
【0091】
従って、上記の部品実装装置によれば、高輝度な照明装置を搭載することによる部品実装装置の大型化やコスト高を伴うことなく、互いに照明条件の異なる第1部品画像および第2部品画像を良好かつ効率良く取得して部品認識を行うことができる。
【0092】
特に、カメラ21に搭載されるTDIセンサ26は、上記のように偶数列の画素列41(撮像素子42)に遮光フィルタ43が形成されたものであり、このようなTDIセンサ26は、既存のTDIセンサの追加工、例えば偶数列の画素列41の撮像素子42に塗装を施して遮光フィルタ43とすることで比較的安価に製造することができる。従って、この部品実装装置によれば、比較的安価な構成で上記の作用効果を享受することができる。
【0093】
なお、上記実施形態では、撮像ユニット6に2種類の照明部22a、22bを有する照明装置22を搭載することで、第1部品画像および第2部品画像を取得する例について説明したが、照明装置22としてさらに第3照明部22c(図10に示す)を有するものを搭載し、これにより第1、第2部品画像に加えて、第3照明部22cだけを点灯させた第3部品画像を取得することも可能である。
【0094】
この場合には、TDIセンサ26として、図9(a)に示すように、遮光フィルタ43が形成されていない画素列41の間に、遮光フィルタ43が形成された二列の画素列41が並ぶものが適用される。図示の例では、受光部40Aは10列の画素列41を含み、同図左側を基準として、第1、第4、第7及び第10列の画素列41以外の画素列41に遮光フィルタ43が形成されている。
【0095】
そして、この場合には、図10に示すタイミングチャートに基づく主制御部61の制御により、前記撮像信号の入力毎に第1照明部22a、第2照明部22bおよび第3照明部22cが順番に切り替えられる。これにより、部品Cに対して撮像ユニット6が一度スキャンする間に、それぞれ部品Cの3ピッチp毎の撮像ラインからなる第1〜第3部品画像が取得される。以下、撮像ユニット6がX方向の(+)側から(−)側に移動しながら部品Cを撮像するものとして詳しく説明する。
【0096】
撮像ユニット6が移動を開始し、最初の撮像信号が出力されると、第1照明部22aが点灯し、図9(a)に示すように、遮光フィルタ43が形成されていない各画素列41の撮像素子42が露光される。これにより、当該画素列41によって第1照明部22aの照明によるライン画像が取り込まれ、当該ライン画像(電荷)が一定のタイミングで隣接する画素列41に転送される。なお、図9中の丸付き数字1は、第1照明部22aの照明によるライン画像を、丸付き数字2は、第2照明部22aの照明によるライン画像を、丸付き数字3は、第3照明部22cの照明によるライン画像をそれぞれ示す。また、図9(b)〜(d)については、便宜上、各部の符号を省略している。
【0097】
撮像ユニット6の移動に伴い、次の撮像信号が出力されると、第2照明部22bが点灯し、図9(b)に示すように、遮光フィルタ43が形成されていない画素列41の撮像素子42が露光されることで、当該画素列41によって第2照明部22bの照明によるライン画像が取り込まれる。この場合、第1照明部22aの照明により先に撮像されているライン画像は、遮光フィルタが形成された画素列41の撮像素子42に保持されているため、当該第2照明部22bの照明による影響を受けることなくそのまま保持される。当該露光が終了すると、一定のタイミングで、各画素列41の電荷が順次隣接する画素列41に転送される。
【0098】
さらに撮像ユニット6が移動して、次の撮像信号が出力されると、第3照明部22cが点灯し、図9(c)に示すように、遮光フィルタ43が形成されていない画素列41の撮像素子42が露光されることで、当該画素列41によって第3照明部22cの照明によるライン画像が取り込まれる。この場合、第1照明部22aおよび第2照明部22bの照明により先に撮像されているライン画像は、それぞれ遮光フィルタが形成された画素列41の撮像素子42に保持されているため、当該第3照明部22cの照明による影響を受けることなくそのまま保持される。当該露光が終了すると、一定のタイミングで、各画素列41の電荷が順次隣接する画素列41に転送される。
【0099】
そして、さらに撮像ユニット6が移動し、次の撮像信号が出力されると、第1照明部22aが点灯し、図9(d)に示すように、遮光フィルタ43が形成されていない画素列41の撮像素子42が露光されることで、第1照明部22aの照明により先に撮像されたライン画像の電荷に、新たに生成された電荷が加算、蓄積される。この場合も、第2照明部22bおよび第3照明部22cの照明により先に撮像されているライン画像は、それぞれ遮光フィルタが形成された画素列41の撮像素子42に保持されているため、当該第1照明部22aの照明による影響を受けることがない。
【0100】
このように、撮像ユニット6の移動に伴い、第1〜第3照明部22cが順番に点灯されながら、部品Cの一撮像ラインのライン画像であって第1照明部22aの照明により4回分の電荷が加算、蓄積されたライン画像(4回分多重露光されたライン画像)の画像データと、第2照明部22aの照明により4回分の電荷が加算、蓄積されたライン画像の画像データと、第3照明部22cの照明により4回分の電荷が加算、蓄積されたライン画像の画像データとが順番にTDIセンサ26から出力される。これにより、画像処理部65では、カメラ21から入力されるライン画像の画像データのうち、第1照明部22aの照明によるライン画像の画像データ群(部品Cの画素列41の3ピッチ(3p)毎の各部位のライン画像からなる画像データ群)から前記第1部品画像を生成し、第2照明部22bの照明によるライン画像の画像データ群(前記第1部品画像の撮像対象とした部品Cの各部位に対して、それぞれ画素列41の1ピッチp分だけずれた各部位のライン画像からなる画像データ群であって、部品Cの画素列41の3ピッチ(3p)毎の各部位のライン画像の画像データ群)から前記第2部品画像を生成し、第3照明部22bの照明によるライン画像の画像データ群(前記第1部品画像の撮像対象とした部品Cの各部位に対して、それぞれ画素列41の2ピッチ2p分だけずれた各部位のライン画像からなる画像データ群であって、部品Cの画素列41の3ピッチ(3p)毎の各部位のライン画像の画像データ群)から前記第3部品画像を生成する。
【0101】
なお、4つ以上の照明部を択一的に点灯させて互いに照明条件が異なる4つ以上の部品画像を取得する場合も基本的には上記実施形態に準じた構成とすればよい。要するに、カメラ21のTDIセンサ26として、遮光フィルタ43が形成されていない一つの画素列41と、前記遮光フィルタ43が形成された画素列41であって前記照明部の数から一を減算した数の画素列41とが交互に配列された受光部40Aを備えるTDIセンサ26を適用し、点灯する照明部を順番に切り替えながら部品Cを撮像するようにすればよい。
【0102】
また、上記実施形態では、照明条件が互いに異なる複数の部品画像を取得する例として、照明装置22の照明部22a、22bを切り替えた複数の部品画像、つまり照明方向を切り替えた複数の部品画像を取得する場合について説明したが、例えば、照明強度(光度)や照明光の色といった照明条件が互いに異なる複数の部品画像を取得するようにしてもよい。例えば、照明装置22として、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色の照明を選択的に照射可能なものを適用し、図10に示したタイミングチャートに基づき、赤色、緑色および青色の3つの部品画像を取得するようにしてもよい。この場合には、画像処理部65において、これらの部品画像を合成することで、部品Cのカラー画像を生成することが可能となる。つまり、部品Cに対して撮像ユニット6を一度スキャンさせるだけで部品Cのカラー画像を取得することが可能となる。
【0103】
< 第2実施形態 >
上記第1実施形態では、カメラ21のTDIセンサ26として、特定の画素列41の撮像素子42に遮光フィルタ43が形成されたものが適用されているが、図11に示すようなTDIセンサ26Aを適用することも可能である。
【0104】
同図に示すTDIセンサ26Aは、図4に示したTDIセンサ26の画素列41のうち、遮光フィルタ43が形成された画素列41に代えて、ラインメモリ41′が備えられた構成を有する。このラインメモリ41′は、第1実施形態において遮光フィルタ43が形成された画素列41の各撮像素子42にそれぞれ対応する複数のキャパシタ42′(本発明の電荷保持部に相当する)が受光のための隣接する当該画素列41と平行な方向に並んだものであり、隣接する画素列41の各撮像素子42から転送されてくる電荷を保持する機能のみを有する。このTDIセンサ26Aでは、各レジスタ列45は、対応する画素列41の撮像素子42又はラインメモリ41′のキャパシタ42′から電荷を読み出し、同図中に白抜き矢印で示すように、読み出した電荷を隣接する画素列41の撮像素子42又はラインメモリ41′のキャパシタ42′に転送する。
【0105】
このTDIセンサ26Aによれば、ラインメモリ41′については、画素列41のように受光面積を確保する必要がない分、形状の自由度が高い。そのため、同図に示すように、当該ラインメモリ41′を画素列41に比べてX方向(画素列41の並び方向)に狭幅に形成できる。このTDIセンサ26Aによれば、図4のTDIセンサ26と同等の大きで、当該TDIセンサ26よりも多くの画素列41(露光可能な有効な画素列41)を配列することが可能である。これにより、2種の照明条件による交互撮像において、部品Cの各部位のライン画像の幅の割合を非撮像ラインの幅の割合より大きくでき(なお、これにより2つの照明条件による部品Cの各部位のライン画像は一部重なり合うようになる)、図4のTDIセンサ26よりも、2種の照明条件による2つの部品画像のそれぞれについて高分解能(X方向に高分解能)を実現できる。従って、このTDIセンサ26Aを備えるカメラ21を適用する場合には、上記第1実施形態のものとほぼ同等の構成で、より高精度の2つの部品画像を取得することができるというメリットがある。また逆に、図4に示すTDIセンサ26と同等の分解能(X方向の分解能)であれば、当該TDIセンサ26よりX方向にコンパク化することが可能である。従って、この場合には、カメラ21を小型化することが可能であり、これにより撮像ユニット6の小型化、軽量化に寄与するというメリットがある。
【0106】
なお、上記のようにラインメモリ41′の幅寸法(X方向の寸法)が画素列41の幅寸法よりも狭幅の場合には、画素列41およびラインメモリ41′を含む各列のピッチが交互に異なる。そのため、このTDIセンサ26Aを備えたカメラ21が適用される場合には、照明装置22の切り替え、各画素列41の撮像素子42による露光(ライン画像の取込)および電荷(ライン画像)の転送が前記ピッチに基づき適切に行われるように、前記リニアエンコーダ36からの出力信号に応じて前記主制御部61からカメラ21に撮像信号を出力させるようにすればよい。
【0107】
当該TDIセンサ26Aに類似するTDIセンサとして、例えば図9に示したTDIセンサ26の画素列41のうち、遮光フィルタ43が形成された画素列41に代えて、ラインメモリ41′を備えTDIセンサを適用することもできる。このTDIセンサの構成によれば、図9に示したTDIセンサ26と同様に3種の照明条件による3つの部品画像を取得しながら、当該TDIセンサ26Aに比べて、高分解能(X方向に高分解能)の部品画像を取得することが可能となる。
【0108】
< 第3実施形態 >
撮像ユニット6のカメラ21として、図12に示すようなTDIセンサ26Bを備えるカメラ21を用いることも可能である。
【0109】
同図に示すTDIセンサ26Bは、所定の順序で連続して並びかつ受光可能な波長域が互いに異なる複数の画素列41からなる画素列群を一単位として、当該画素列群が複数配列された構成を有する。具体的には、赤色フィルタRを備えることにより赤色の光のみを受光する画素列41と、緑色フィルタGを備えることにより緑色の光のみを受光する画素列41と、青色フィルタRを備えることにより青色の光のみを受光する画素列41とを含み、これらが所定の順番で配列されたものを一つの画素列群として、この画素列群が複数(同図では3つ)配列された構成を有する。
【0110】
このTDIセンサ26Bを備えるカメラ21を適用する場合には、前記主制御部61は、部品Cに応じて第1照明部22aおよび第2照明部22bのうち予め定められた照明部のみを点灯させるべく照明制御部66を制御する。また、前記主制御部61は、撮像ユニット6を一定速度で移動させる(部品Cに対して相対移動させる)一方で、画素列41の配列ピッチの3倍分の距離だけ撮像ユニット6が移動するタイミングで撮像信号を出力する。すなわち、照明制御部66を制御して上記タイミングで照明部を点灯させる。さらに主制御部61は、カメラ制御部50を制御し、主制御部61からの撮像信号の入力に応じてTDIセンサ26の各画素列41の撮像素子42を露光させるとともに、この一回の露光につきライン画像(電荷)の転送が3回行われるように前記クロックドライ54を制御する。つまり、同図中の実線、破線および一点鎖線で示すように、各画素列群に属する各画素列41の電荷が隣接する画素列群の対応する画素列41、つまり同じフィルタが形成された画素列41にそれぞれ転送されるように電荷の転送タイミングを制御する。
【0111】
このようなTDIセンサ26Bを備えるカメラ21が適用された部品実装装置では、部品Cに対して撮像ユニット6が一度スキャンする間に、部品Cの画像として赤色、緑色、青色の各部品画像が取得される。すなわち、撮像ユニット6の移動が開始され、主制御部61から最初の撮像信号が出力されると、各画素列41の撮像素子42が露光されることで、画素列群の各画素列41により赤、緑、青のライン画像が取り込まれる。これらのライン画像は、隣接する画素列群の対応する画素列41にそれぞれ転送される。従って、各画素列41の露光が行われながらそのライン画像が隣接する画素列群の対応する画素列41に順次転送されることにより、同一撮像ラインのライン画像であってそれぞれ多重露光された赤色、緑色、青色の各ライン画像がTDIセンサ26Bから前記画像処理部65に出力される。
【0112】
画像処理部65は、TDIセンサ26Bから出力されるライン画像のうち受光波長が共通するライン画像、つまり同色のライン画像に基づき画像を生成することにより、3色のそれぞれについて、画素列41の3ピッチ毎の部品Cの部位のライン画像群からなる部品画像を生成し、さらにこれらの画像を合成することにより部品Cのカラー画像を生成する。従って、主制御部61は、この部品Cのカラー画像に基づき各実装ヘッド16による部品Cの保持状態を認識する。
【0113】
なお、ここでは、三原色それぞれの部品画像を取得して部品Cのカラー画像を生成する場合について説明したが、上記構成によれば、例えば、部品Cの画像として、赤外線画像と赤外線を遮断した画像とを取得することも可能である。この場合には、TDIセンサ26Bとして、赤外線透過フィルタを備えることにより赤外線のみを受光する画素列41と、赤外線遮光フィルタを備えることにより赤外線以外の光を受光する画素列41とを一つの画素列群として、当該画素列群が複数配列されたものを適用すればよい。
【0114】
< その他の実施形態 >
(1)上記各実施形態では、撮像ユニット6をヘッドユニット5に搭載し、各実装ヘッド16に吸着保持された部品Cに対して撮像ユニット6を移動させる構成について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、撮像ユニットを基台1に固定的に配置し、主制御部61の制御により、この撮像ユニットに対してヘッドユニット5を相対的に移動させることにより各実装ヘッド16に保持された部品Cを撮像する構成としてもよい。この場合には、カメラを上向けに配置し、反射ミラーを介することなく、照明装置22による照明下で部品Cからの反射光(部品像)を直接カメラ21で取り込むようにすればよい。
【0115】
この場合には、ヘッドユニット5をXY方向に移動させるヘッドユニット駆動機構および制御装置60が本発明における移動手段となる。
【0116】
(2)上記実施形態では、ヘッドユニット5は、複数の実装ヘッド16がX方向に一列に並ぶものであるが、複数の実装ヘッド16が前後二列(Y方向に二列)に並ぶものであってもよい。この場合には、TDIセンサ26により前後各実装ヘッド16に保持された部品Cを同時に撮像できるように、TDIセンサ26の各画素列41の画素数を設定すればよい。そして、例えば前後の実装ヘッド16に吸着される部品Cの照明条件が互いに異なる場合には、照明条件を交互に切り替えながら前後両部品Cを含む互いに照明条件の異なる部品画像を取得し、画像処理部65において、これらの部品画像から前後の部品Cのうち一方側の部品Cに対応する照明条件で撮像されている部品画像を抽出し、この抽出された部品画像により当該一方側の部品Cの部品画像を生成し、他方側の部品Cについても同様にして部品画像を生成するようにすればよい。
【0117】
(3)第1実施形態(図8の例)では、第1照明部22aと第2照明部22bとを交互に点灯させることによりTDIセンサ26により2種類の部品画像を取得する例について説明したが、例えば部品Cの種類に応じて、両照明部22a、22bを交互に切り替えて2種類の部品画像を取得する撮像形態と、第1照明部22a又は第2照明部22bの何れかを点灯させて1種類の部品画像を取得する撮像形態とを制御装置60が切り替えるようにしてもよい。図9の例についても同様である。なお、図9の例については、例えば連続する3回(第1〜第3タイミング)の露光のうち、最初の2回の露光を共通の照明部(例えば第1照明部22a)を点灯させて行い、最後の露光を異なる照明部(例えば第2照明部22b)を点灯させて行うことにより2種類の部品画像を取得することができる。従って、図9の例については、部品Cの種類に応じて、1種類の部品画像、2種類の部品画像及び3種類の部品画像を取得する撮像形態を制御装置60が切り替えるようにしてもよい。
【0118】
(4)上記実施形態では、本発明に係る撮像装置を表面実装機に搭載した構成について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、ICチップ等の電子部品を検査する部品試験装置に搭載することも可能である。
【0119】
図13は、本発明に係る撮像装置が搭載された部品試験装置70(本発明に係る部品試験装置に相当する)を示す平面図である。なお、図中には、方向関係を明確にするためにXY座標軸が示されている。
【0120】
同図に示すように、部品試験装置70の基台71には、ベアチップがダイシングされた状態のウェハWaを上下多段に収納したカセット72を装着可能なカセット設置部73が設けられている。このカセット設置部73に装着されたカセット72は、図略の搬送機構により基台71に形成された開口部74の下方位置に搬送され、この位置でベアチップが取出部材75によって取上げられる。取出部材75は、基台71上でY方向に延びるレール76に沿って、上記開口部74から部品待機部77までベアチップを搬送する。部品待機部77は、基台71上でX方向に延びる一対のレール78間に配置され、この部品待機部77に搬送されたベアチップは、各レール78に沿って駆動する一対のヘッドユニット79、80により基台71上の検査ソケット81まで搬送され、所定の検査が実行されることとなる。各ヘッドユニット79、80はチップ吸着用のヘッドを有し、このヘッドによりベアチップを吸着保持する。
【0121】
このような部品試験装置70において、上記基台71上には、部品待機部77と検査ソケット71(本発明の検査部に相当する)との間に撮像ユニット106、116が固定的に設けられている。なお、詳細図を省略しているが、撮像ユニット106、116は、ヘッドユニット79,80に保持されたベアチップを下側から撮像するカメラと、照明装置と、これらを一体に保持するケーシング等を含む。そして、このカメラとして、例えば図4に示したTDIセンサと同等のTDIセンサを備えたカメラを備えるとともに、図3に示した照明装置22と同様に、照明方向が互いに異なる複数の照明部を有する照明装置を備えている。
【0122】
上記撮像ユニット106、116は、部品待機部77から検査ソケット81まで搬送されるベアチップを撮像し、図外の制御装置がその画像データに基づき不良(例えば、バンプの高さ不良)を検知する。この際、図外の制御装置によりベアチップの搬送速度、カメラ(TDIセンサ)による撮像タイミング、照明部の切り替えタイミングおよびTDIセンサにおけるライン画像(電荷)の転送タイミング等が図外の制御装置により上述した部品実装装置と同様に制御される。これにより、各撮像ユニット106、116に対してその上方をベアチップが一方向に通過する間に、照明条件の異なる複数の画像が取得され、前記制御装置は、これら複数の画像に基づきベアチップの不良の有無を判断する。
【0123】
ここで不良品であると検知されたベアチップは、ヘッドユニット79、80により基台71上の不良品回収部82に載置された不良品用トレイ83に搬送される。これに加えて、上記制御装置は、上記複数の画像に基づき、ヘッドユニット79、80に対するベアチップの姿勢を検知する。ここでヘッドユニット79、80に対して位置ずれしていると検知されたベアチップは、当該ヘッドユニット79、80により位置補正が実行された後、検査ソケット81へ搬送される。
【0124】
そして、検査ソケット81における検査の結果、不良品であると判定されたベアチップは、各ヘッドユニット79、80により上記不良品用トレイ83に搬送される一方、良品であると判定されたベアチップは、各ヘッドユニット79、80により基台71上の部品収納部84まで搬送されるとともに、この部品収納部84において、テープフィーダ用のベーステープ85内に収容され、このベーステープ85に図略のカバーテープが張付けられることとなる。
【0125】
また、不良品回収部82の不良品用トレイ83が満載状態になると、そのトレイ83が図外のトレイ移動機構によりトレイ排出部86に移送されるとともに、不良品回収部82に隣接したトレイ待機部87にあるトレイ88がヘッドユニット79、80により不良品回収部82に移送され、かつ、図外のトレイ移動機構によりトレイ待機部87に空トレイ載置部89から空トレイが移送されるようになっている。
【0126】
なお、この実施形態では、撮像ユニット106、116、ヘッドユニット79,80、当該ヘッドユニットの駆動機構および制御装置等が本発明の撮像装置に相当し、そのうちヘッドユニット79、80およびヘッドユニットの駆動機構が撮像装置の移動手段に相当し、制御装置が本発明の撮像制御手段に相当する。また、ヘッドユニット駆動機構および制御装置が本発明の移載手段に相当する。
【0127】
ここでは、撮像ユニット106、116を部品試験装置70の基台71上に配置した構成について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、図2等に示した部品実装装置と同様に、ヘッドユニット79,80に対して撮像ユニット106、116が移動可能に取り付けた構成とすることも可能である。
【0128】
(5)本発明に係る撮像装置は、上記のように部品実装装置や部品試験装置以外に、スクリーン印刷装置において半田ペースト等のペースト類が印刷された基板を検査する印刷基板検査装置(本発明に係る基板検査装置の一つ)に搭載することも可能である。この印刷基板検査装置は、基板を略水平に保持する基板保持部と、この基板保持部に保持される印刷基板に対して相対的にその印刷面と平行な二次元方向(XY方向)に移動可能に支持される撮像ユニットと、この撮像ユニットと基板とを相対的に移動させる駆動機構(本発明の移動手段に相当する)と、これらを統括的に制御する制御装置とを含む。撮像ユニットは、基板を上側から撮像するカメラと、照明装置と、これらを一体に保持するケーシング等を含む。そして、このカメラとして、例えば図4に示したTDIセンサと同等のTDIセンサを備えたカメラを備えるとともに、図3に示した照明装置22と同様に、照明方向が互いに異なる複数の照明部を有する照明装置を備えている。
【0129】
すなわち、この印刷基板検査装置は、基板に対して撮像ユニットを移動させながら印刷箇所を撮像することにより、その画像データに基づき不良箇所を検知する。この際、図外の制御装置により撮像ユニットの搬送速度、カメラ(TDIセンサ)による撮像タイミング、照明部の切り替えタイミングおよびTDIセンサにおけるライン画像(電荷)の転送タイミング等が図外の制御装置により上述した部品実装装置と同様に制御される。これにより、撮像ユニットが印刷箇所上方を一方向に通過する間に、照明条件の異なる複数の画像が取得され、前記制御装置は、これら複数の画像に基づき印刷箇所の良否を判断する。
【0130】
(6)本発明に係る撮像装置は、実装基板検査装置(本発明に係る基板検査装置の一つ)に搭載することも可能である。実装基板検査装置は、基板上の部品実装箇所をカメラにより撮像することで、その画像データに基づき部品の実装状態を認識するものであるが、この実装基板検査装置について、上述した印刷基板検査装置と同等の構成を採用することができる。この実装基板検査装置によれば、上記印刷基板検査装置と同様に、照明条件の異なる複数の画像を取得し、これら複数の画像に基づき部品実装の良否を判断することが可能となる。
【0131】
なお、以上は本発明の実施形態の例示であって、TDIセンサ、撮像装置、部品実装装置、部品試験装置、印刷基板検査装置および実装基板検査装置の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、具体的に説明していないが、部品実装装置において説明した撮像ユニット等の構成は、部品試験装置、および印刷基板検査装置や実装基板検査装置などの基板検査装置についても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0132】
5 ヘッドユニット
6 撮像ユニット
21 カメラ
22 照明装置
22a 第1照明部
22b 第2照明部
26 TDIセンサ
50 カメラ制御部
60 制御装置
61 主制御部
62 記憶部
64 駆動制御部
65 画像処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、TDIセンサ、当該センサを備えた撮像装置、当該撮像装置を備えた部品実装装置、部品試験装置および基板検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、実装ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上の搭載点に実装する部品実装装置が知られている。部品実装装置は、部品撮像装置を備えている。これは、基板上への部品の実装に先立ち実装ヘッドに保持された部品を撮像することで、当該実装ヘッドによる部品の保持状態を認識して部品の搭載姿勢等の補正を行うためである。
【0003】
この種の部品実装装置に関して、例えば特許文献1が開示されている。この特許文献1に開示される部品実装装置は、ラインセンサが内蔵された部品認識用のカメラと、複数の照明部を備えた部品撮像装置とを含み、カメラに対して所定速度で部品を相対移動させながら当該部品を何れかの照明部で照射することで部品を撮像する。その際、特定の部品ついては、部品を移動させながら照明条件(照明方向)の異なる2つの照明部を交互に切り換えて画像を取り込むことで、照明条件が互いに異なるライン画像が交互に並ぶ2倍分のライン画像を取得する。そして、その画像から同一照明条件のライン画像を抽出して合成することにより、カメラに対して部品を一度通過させるだけで、互いに照明条件が異なる2つの部品画像を同時に取得することを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4381764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の部品認識装置では、カメラに対する部品の相対移動速度を速めることで、部品認識の高速化を図ることが考えられる。しかしながら、部品認識の高速化を図ると、撮像ライン毎の露光時間が短縮される結果、ラインセンサから出力されるライン画像毎の電荷量が少なくなり、画像が暗く不鮮明なものになる結果、部品の認識精度に支障が生じてしまうおそれがある。その場合、照明強度を高めて露光不足を補うことも考えられるが、これでは、大型かつ高価な高輝度照明装置が必要となり、装置の大型化およびコスト高をもたらすこととなり必ずしも得策とは言えない。
【0006】
なお、上記のように、カメラに対して部品を一度通過させる間に照明条件の異なる複数の画像を取得する以外に、例えば、一定の照明条件下で、波長が互いに異なる光を受光して複数種類の部品画像を取得したい場合もあるが、上記従来の部品認識装置では、このような部品画像を取得することは困難であった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、カメラに対して部品を相対的に一度移動させることで、複数種類の部品画像を良好にかつ高速で取得することを可能とする技術を提供することを目的とする。また、この技術を用いた撮像装置、およびこの撮像装置を備えた、部品実装基板生産のための関連装置、すなわち基板上に部品を実装する部品実装装置、部品を検査台上に載置して検査する部品試験装置、および基板にペースト状のハンダが塗布された基板や部品が実装された基板を検査する基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、出願人は、いわゆるTDIセンサに着目した。すなわち、TDIセンサは、所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光(積分露光)されたライン画像を出力するものである。従って、TDIセンサを備えた部品認識用カメラを用いることで、部品を高速で相対移動させながら部品画像を取得することを考えた。しかし、TDIセンサは、撮像ライン毎に積分露光されたライン画像を出力するため、単に部品の相対移動中に照明条件を切り替えるだけでは、撮像ライン毎に照明条件の異なるライン画像を得ることは困難である。
【0009】
そこで、出願人は、TDIセンサを改良し、さらにこのTDIセンサを用いた撮像装置を考えた。すなわち、本発明にかかるTDIセンサは、所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光されたライン画像を出力するTDIセンサであり、第1方向に並びかつそれぞれ露光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子を有する画素列と、前記電荷を保持する機能のみを有しかつ前記画素列の各撮像素子に対応するように前記第1方向に並ぶ複数の電荷保持部を有する電荷保持列とを含み、一つの前記画素列と一乃至複数の前記電荷保持列とが前記第1方向と直交する第2方向に交互に配列される受光部と、前記画素列の撮像素子および前記電荷保持列の電荷保持部が保持する電荷を列単位で隣接する列に順次転送するとともに、前記ライン画像の信号として、前記転送により最終的に蓄積された電荷に対応する信号を出力する転送部と、を備えるものである。
【0010】
そして、本発明にかかる撮像装置は、特定数かつ複数の照明条件で対象物を撮像するための撮像装置であって、上記のTDIセンサであって前記受光部として一つの前記画素列と前記特定数から一を減算した数の前記電荷保持列とが交互に配列された受光部を備えるTDIセンサと、前記TDIセンサに対して前記対象物を前記第2方向に相対移動させる移動手段と、前記移動手段により移動させられる対象物を照明するとともにその照明条件を前記複数の照明条件に変更することが可能な照明手段と、前記TDIセンサに対する前記対象物の相対移動中に、前記照明手段の照明条件が前記複数の照明条件に順番に切り換えられながら前記照明条件毎の対象物のライン画像が前記画素列の撮像素子により取り込まれるように前記TDIセンサの撮像タイミングおよび前記照明手段の照明条件の切り替えタイミングを制御するとともに、前記撮像タイミングに同期して前記電荷の転送が行われるように前記TDIセンサにおける前記電荷の転送タイミングを制御する撮像制御手段と、前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち照明条件が互いに共通するライン画像に基づいて対象物の画像を生成することにより前記特定数の対象物の画像を生成する画像処理手段と、を備えるものである。
【0011】
この撮像装置では、例えば2つの照明条件(第1照明条件、第2照明条件とする)の画像を取得する場合には、TDIセンサとして、画素列と電荷保持列とが交互に並んだものが備えられ、撮像手段として2つの照明条件に変更可能なものが備えられる。
【0012】
そして、対象物の相対移動中に照明条件が交互に切り替えられながら撮像動作が行われることにより、対象物がTDIセンサに対して相対移動する間に当該対象物の画像として照明条件の異なる2つの画像が取得される。具体的には、対象物の移動に伴い、ます第1照明条件の下で各画素列の撮像素子が露光されることにより、各画素列によりライン画像(第1照明画像という)が取り込まれる。これら画素列のライン画像(つまり電荷)は、次の露光前に隣接する電荷保持列に転送されて保持される。そして、第2照明条件の下、各画素列の撮像素子が露光されることにより、各画素列によりライン画像(第2照明画像という)が取り込まれる。この際、第1照明画像は電荷保持部に保持されているため照明光の影響を受けない。その後、各画素列の第2照明画像が隣接する電荷保持部に、各電荷保持部の第1照明画像が隣接する画素列にそれぞれ転送された後、第1照明条件の下、各画素列の撮像素子が露光されることにより、各画素列において第1照明画像が再露光される(電荷が加算される)。すなわち、TDIセンサからは、対象物の特定の一撮像ラインのライン画像であって第1照明条件で複数回露光されたライン画像と、後続の一撮像ラインのライン画像であって第2照明条件で複数回露光されたライン画像とが交互に出力される。そして、画像処理手段において、TDIセンサから出力されるライン画像のうち照明条件が共通するライン画像に基づいて対象物の画像が生成されることにより、第1照明条件での部品画像と第2照明条件での部品画像とが生成される。
【0013】
なお、上記TDIセンサにおいて、前記電荷保持列は、照明光の影響を受けることがない状態でライン画像(電荷)を保持することができればよい。従って、前記電荷保持列は、前記電荷保持部としてキャパシタが並んだものであってもよいし、また、前記画素列と同等の画素列であって各撮像素子の表面に光の入射を阻止する遮光部が形成されたものであってもよい。この場合、前者の構成によれば、既存の半導体プロセスに沿ってTDIセンサを比較的容易にかつ安価に製造することが可能である。加えて、電荷保持部の形状的な自由度が高いため、例えば、電荷保持列を、前記第2方向における前記画像列の幅寸法よりも小さい幅寸法のものにすれば、前記第2方向における分解能を保持しつつTDIセンサを同方向にコンパクト化することが可能となる。他方、後者の構成によれば、例えば既存のTDIセンサの特定の画素列に遮光部を追加工することで上記TDIセンサを容易に得ることができる。
【0014】
また、上記撮像装置において、前記照明手段は、前記照明条件として三原色それぞれの照明光を択一的に前記対象物に照射可能に構成されており、前記画像処理手段は、対象物の前記複数の画像として三原色それぞれの画像を生成するとともに、これら三原色の画像を合成することによりカラー画像を生成するものであってもよい。
【0015】
この構成によれば、TDRセンサに対して部品を相対的に一度移動させるだけで、対象物のカラー画像を取得することが可能となる。
【0016】
また、本発明にかかる他のTDIセンサは、所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光されたライン画像を出力するTDIセンサであって、第1方向に並びかつそれぞれ露光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子を有する画素列を含み、これら画素列が前記第1方向と直交する第2方向に配列された受光部と、前記画素列が保持する電荷を列単位で隣接する画素列に順次転送するとともに、前記ライン画像の信号として、前記転送により最終的に蓄積された電荷に対応する信号を出力する転送部と、を備え、前記受光部は、前記第2方向に所定の順序で連続して並びかつ受光可能な波長域が互いに異なる複数の前記画素列からなる画素列群を一単位として、当該画素列群が前記第2方向に複数配列された構成を有するものである。
【0017】
そして、本発明にかかる他の撮像装置は、対象物を撮像して複数種類の画像を取得するための撮像装置であって、上記TDIセンサと、前記TDIセンサに対して前記対象物を前記第2方向に相対移動させる移動手段と、前記移動手段により移動させられる対象物を照明する照明手段と、前記TDIセンサに対する前記対象物の相対移動中に、対象物のライン画像が前記画素列の撮像素子により取り込まれるように前記TDIセンサの撮像タイミングを制御するとともに、TDIセンサの撮像動作後、次の撮像動作前に、各画素列群に属する各画素列の電荷が隣接する画素列群の対応する画素列にそれぞれ転送されるように前記電荷の転送タイミングを制御する撮像制御手段と、前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち受光波長域が共通するライン画像に基づいて対象物の画像を生成することにより、前記画素列群が含む画素列の数に対応する数の対象物の画像を生成する画像処理手段と、を備えるものである。
【0018】
この撮像装置では、対象物がTDIセンサに対して相対移動する間に、当該対象物の画像として、受光した光の波長域が互いに異なる複数の画像が取得される。すなわち、対象物の移動に伴い、画素列群に含まれる各画素列の撮像素子が露光されることにより、各画像列により互いに波長域が異なるライン画像がそれぞれ取り込まれる。これら画素列のライン画像(電荷)は、次の露光前に隣接する画素列群の対応する画素列にそれぞれ転送されて保持される。つまり、TDIセンサからは、受光した光の波長域が互いに異なる複数のライン画像であってそれぞれ複数回露光されたライン画像が順次出力される。そして、画像処理手段において、前記TDIセンサから出力されるライン画像のうち受光した光の波長域が共通するライン画像に基づいて対象物の画像が生成されることにより、画素列群が含む画素列の数に対応する数の対象物の画像が生成される。
【0019】
なお、この撮像装置において、前記TDIセンサは、前記画素列群として三原色それぞれの光のみを受光可能な3つの画素列を含む画素列群を有し、前記画像処理手段は、前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち共通する色のライン画像に基づいて三原色それぞれの対象物の画像を生成するとともに、これら三原色の画像を合成することにより対象物のカラー画像を生成するものである。
【0020】
この構成によれば、TDRセンサに対して部品を相対的に一度移動させるだけで、対象物のカラー画像を取得することが可能となる。
【0021】
そして、本発明にかかる部品実装装置は、部品を保持可能なヘッドと、対象物として部品を撮像するための上記の撮像装置と、前記ヘッドに保持されかつ前記撮像装置により撮像された前記部品の画像データに基づき前記ヘッドによる部品の保持状態を認識した上で当該部品を前記ヘッドにより基板上に移載する移載手段と、を含み、前記撮像装置の前記移動手段は、前記ヘッドと前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものであり、前記移載手段は、前記ヘッドを前記基板に対して相対的に移動させることにより前記部品を前記基板上に搭載するものである。
【0022】
この部品実装装置によれば、ヘッドに保持された部品が、TDRセンサに対して一度だけ相対移動させられることにより、当該部品の部品画像として複数の部品画像が取得される。そして、当該部品画像に基づきヘッドによる部品の保持状態が認識された上で、当該部品が基板上に搭載される。
【0023】
また、本発明の部品試験装置は、対象物として部品を撮像するための上記の撮像装置と、前記ヘッドに保持されかつ前記撮像装置により撮像された前記部品の画像データに基づき前記ヘッドによる部品の保持状態を認識した上で当該部品を前記ヘッドにより所定の検査部上に移載する移載手段と、を含み、前記撮像装置の前記移動手段は、前記ヘッドと前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものであり、前記移載手段は、前記ヘッドを前記検査部に対して相対的に移動させることにより前記部品を前記検査部に載置するものである。
【0024】
この部品試験装置によれば、ヘッドに保持された部品が、TDRセンサに対して一度だけ相対移動させられることにより、当該部品の部品画像として複数の部品画像が取得される。そして、当該部品画像に基づきヘッドによる部品の保持状態が認識された上で、当該部品が基板上に搭載される。
【0025】
また、本発明の基板検査装置は、対象物として印刷処理又は部品実装された基板を撮像するための上記の撮像装置と、この撮像装置により撮像される検査対象箇所の画像に基づき印刷状態又は部品実装状態を認識する認識手段と、を含み、前記撮像装置の前記移動手段は、前記基板と前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものである。
【0026】
この基板検査装置によれば、基板がTDRセンサに対して一度だけ相対移動させられることにより、当該基板の検査対象箇所の部品画像として複数の画像が取得され、この複数の画像に基づき印刷状態又は部品実装状態が認識される。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明のTDIセンサおよび撮像装置によれば、TDIセンサに対して対象物を一度通過させるだけで複数の部品画像を良好にかつ高速で取得することができる。また、この撮像装置を備える本発明の部品実装装置および部品検査装置によれば、ヘッドに保持された部品を効率良く認識しながら当該部品を目標位置、すなわち基板上の部品搭載位置や検査部に移載することができる。また、この撮像装置を備える本発明の基板検査装置によれば、基板上の検査対象箇所を効率良く認識、検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかる部品実装装置(本発明にかかる撮像装置を備えた部品実装装置)を概略的に示す平面図である。
【図2】図1に示す部品実装装置を概略的に示す正面図である。
【図3】図1に示す部品実装装置に搭載される撮像ユニットを概略的に示すヘッドユニットの側面図である。
【図4】(a)は、TDIセンサの構成を模式的に示した図であり、(b)は、撮像時の各画素列における電荷の蓄積状態を説明する図である。
【図5】カメラの電気的構成図である。
【図6】図1に示す部品実装装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【図7】撮像ユニットによる照明、露光(撮像)および画像(電荷)転送の各タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】2つの部品画像が撮像されるプロセスを説明するためのTDIセンサの模式図である((a)は1回目の露光(撮像)時、(b)は2回目の露光時、(c)は3回目の露光時のTDIセンサの状態を示す)。
【図9】3つの部品画像が撮像されるプロセスを説明するためのTDIセンサの模式図である((a)は1回目の露光(撮像)時、(b)は2回目の露光時、(c)は3回目の露光時、(d)は4回目の露光時のTDIセンサの状態を示す)。
【図10】撮像ユニットによる照明、露光(撮像)および画像(電荷)転送の各タイミングを示すタイミングチャートである。
【図11】TDIセンサの他の構成を模式的に示す図である。
【図12】TDIセンサの他の構成を模式的に示す図である。
【図13】本発明にかかる部品試験装置(本発明にかかる撮像装置を備えた部品試験装置)を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0030】
< 第1実施形態 >
図1及び図2は、本発明に係る部品実装装置(本発明にかかる撮像装置が適用される部品実装装置)を概略的に示しており、図1は平面図で、図2は正面図で、それぞれ部品実装装置を概略的に示している。なお、図1、図2及び後に説明する図面には、各図の方向関係を明確にするためにXYZ直角座標が示されている。
【0031】
部品実装装置は、基台1と、この基台1上に配置されてプリント配線板(PWB;Printed wiring board)等の基板3をX方向に搬送する基板搬送機構2と、部品供給部4と、部品実装用のヘッドユニット5と、このヘッドユニット5を駆動するヘッドユニット駆動機構と、部品認識のための撮像ユニット6等とを備える。
【0032】
前記基板搬送機構2は、基台1上において基板3を搬送する一対のコンベア2a、2aを含む。これらコンベア2a、2aは、同図の右側から基板3を受け入れて所定の実装作業位置(同図に示す位置)に搬送し、図略の保持装置により当該基板3を保持する。そして、実装作業後、この基板3を同図の左側に搬出する。
【0033】
前記部品供給部4は、前記基板搬送機構2の両側(Y方向両側)に配置されている。これら部品供給部4には、基板搬送機構2に沿ってX方向に並ぶ複数のテープフィーダ4aが配置されている。これらテープフィーダ4aは、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を収納、保持したテープが巻回されたリールを備え、このリールから間欠的にテープを繰り出しながら基板搬送機構2近傍の所定の部品供給位置に部品を供給する。なお、これら部品供給部4のうち一方又は双方は、テープフィーダ4aの代わりに、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)等のパッケージ型の部品が整列して載置されたトレイがセットされるものでもよい。
【0034】
前記ヘッドユニット5は、部品供給部4から部品を取り出して基板3上に実装するものであり、基板搬送機構2および部品供給部4等の上方に配置されている。
【0035】
前記ヘッドユニット5は、前記ヘッドユニット駆動機構により一定の領域内でX方向およびY方向に移動可能とされている。このヘッドユニット駆動機構は、Y軸サーボモータ10と、基台1上に設けられる一対の高架フレーム7にそれぞれ固定され、Y方向に互いに平行に延びる一対の固定レール8と、これら固定レール8に支持されてX方向に延びるユニット支持部材11と、このユニット支持部材11に螺合挿入されてY軸サーボモータ10により駆動されるボールねじ軸9とを含む。また、X軸サーボモータ15と、ユニット支持部材11に固定され、ヘッドユニット5をX方向に移動可能に支持する固定レール13と、ヘッドユニット5に螺合挿入されてX軸サーボモータ15を駆動源として駆動されるボールねじ軸14とを含む。つまり、ヘッドユニット駆動機構は、X軸サーボモータ15の駆動によりボールねじ軸14を介してヘッドユニット5をX方向に移動させる共に、Y軸サーボモータ10の駆動によりボールねじ軸9を介してユニット支持部材11をY方向に移動させ、その結果、ヘッドユニット5を一定の領域内でX方向およびY方向に移動させる。
【0036】
前記ヘッドユニット5は、先端にそれぞれ部品吸着用のノズル16aを備える複数本の実装ヘッド16と、これら実装ヘッド16をヘッドユニット5に対して昇降(Z方向の移動)およびノズル中心軸回りに回転(図2、図3中のR方向の回転)させるためのサーボモータを駆動源とするヘッド駆動機構等とを備える。
【0037】
前記実装ヘッド16は合計6個であり、X方向に一列に配列された状態でヘッドユニット5に搭載されている。各実装ヘッド16のノズル16aは、それぞれ電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置および大気の何れかに連通可能とされている。つまり、前記ノズル16aに負圧が供給されることで当該ノズル16aによる部品の吸着保持が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。
【0038】
前記ヘッドユニット5には、各実装ヘッド16に吸着保持された部品Cを認識するための上記撮像ユニット6、この撮像ユニット6を駆動するユニット駆動機構および基板3を認識するための基板認識カメラ17等が搭載されている。
【0039】
前記基板認識カメラ17は、ヘッドユニット5のX方向一端(図1、図2の例では左端)に固定されている。この基板認識カメラ17は、実装作業位置に位置決めされた基板3の位置や実装作業内容を特定するために当該基板3上に記される各種マークを撮像するものである。この基板認識カメラ17は、エリアセンサおよび集光レンズを備えるカメラ本体と照明装置とを一体に備え、基板3に対してその上から照明光を照射してその反射光をエリアセンサで受光することにより前記マークを撮像する。
【0040】
前記撮像ユニット6は、図3に示すように、部品Cを撮像するカメラ21と、部品Cに対して撮像用照明を与える照明装置22(本発明の照明手段に相当する)と、前記カメラ21が撮像可能となるように部品Cの像を反射する反射ミラー29と、これらを一体に保持するケーシング20等を含む。
【0041】
前記カメラ21は、TDI(Time Delay Integration)センサ26と集光レンズ28とを備えており、ほぼ横向きに配置されている。このカメラ21は、前記撮像用照明による部品Cからの反射光を集光レンズ28でTDIセンサ26の受光部40Aに結像させることで部品Cを撮像する。なお、TDIセンサ26を含むカメラ21の詳細については後述する。
【0042】
前記照明装置22は、所定の部品認識高さ位置に配置された実装ヘッド16の下方に配置されることが可能となるように前記ケーシング20に組み付けされている。
【0043】
この照明装置22は、部品Cを下方から照明する第1照明部22aと、部品Cを側方から照明する第2照明部22bとを備えている。第1照明部22aは、上向きに並ぶ複数のLED23を備え、これらLED23を点灯させることで、実装ヘッド16に吸着保持された部品Cに対してその下側から照明光を照射する。一方、第2照明部22bは、第1照明部22aの上方に配置されている。この第2照明部22bは、Y方向に内向きに対向する複数のLED24を備えており、これらLED24を点灯させることで、部品Cに対してその側方かつやや斜め下側から照明光を照射する。
【0044】
なお、実装ヘッド16に対向する位置には前記反射ミラー29が配置されている。これにより、部品Cからの反射光の方向を当該反射ミラー29によって水平に近い方向に変更して前記カメラ21に入射させるようになっている。なお、第1照明部22aの前記LED23はこの反射ミラー29を囲むように配置されている。
【0045】
前記撮像ユニット6を駆動する前記ユニット駆動機構は、ヘッドユニット5のボトムフレーム5aに固定され、前記ケーシング20をX軸方向に移動可能に支持する固定レール32、32と、駆動源としてのリニアモータ34と、リニアエンコーダ36とを含む。
【0046】
リニアモータ34は、X方向に沿ってボトムフレーム5aに固定される固定子としての永久磁石35aと、当該永久磁石35aに所定隙間を隔てて対向するように前記ケーシング20に固定される可動子としてのコイル部35bとを含み、当該コイル部35bへの通電により前記ケーシング20にX方向の推進力を与える。この構成により、撮像ユニット6が固定レール32、32に沿ってX方向に移動する。
【0047】
前記リニアエンコーダ36は、X方向に沿ってボトムフレーム5aに固定される磁気スケール37aと、この磁気スケール37aに対向するようにケーシング20に固定されるMRセンサやホールセンサ等の磁気センサ37bとを含む。磁気スケール37aは、磁気的に目盛りが記録されたもので、前記磁気センサ37bは、前記目盛りを検出し当該目盛りに対応した信号を後記制御装置60に出力する。
【0048】
すなわち、撮像ユニット6は、上記リニアモータ34の駆動によりX方向に移動ながら、各実装ヘッド16に吸着保持されている部品Cを前記カメラ21により順次撮像することが可能に構成されており、この際、撮像ユニット6の位置や移動速度が前記リニアエンコーダ36からの出力信号に基づき後記制御装置60により制御される。
【0049】
図4(a)は、前記カメラ21に備えられるTDIセンサ26の構成を模式的に示している。同図に示すように、TDIセンサ26は、受光部40Aと転送部40Bとを含む。
【0050】
受光部40Aは、受光光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子42が第1方向に一列に並ぶ複数の画素列41を含み、これら画素列41が第1方向と直交する第2方向に配列されたものである。図示の例では画素列41の数は便宜上7列であるが、実際には、この画素列41の数や各画素列41の画素数(撮像素子42の数)は所望の分解能が得られるように定められ、例えば画素列の数は150列前後に設定される。
【0051】
前記転送部40Bは、前記各画素列41にそれぞれ対応する複数のレジスタ列45を含む。各レジスタ列45は、それぞれ対応する画素列41の各撮像素子42と対をなす複数のレジスタ44を含む。各レジスタ44は、対をなす撮像素子42の電荷を読み出し、読み出した電荷を隣接する画素列41の撮像素子42に順次転送する機能を有する。電荷の転送方向は切り替えが可能であり、同図は、読み出した電荷を第2方向(+)側に隣接する画素列41の撮像素子42に転送するイメージを白抜き矢印で示している。
【0052】
なお、前記受光部40Aにおける複数の画素列41のうち、その並び方向の一端側から数えて奇数番目(奇数列)のものは、各撮像素子42による受光が可能な画素列41であり、偶数番目(偶数列)のものは、撮像素子42の表面に遮光フィルタ43(本発明の遮光部に相当する)が形成されることにより各撮像素子42が受光不能とされた画素列41である。これにより、当該偶数列の画素列41に属する各撮像素子42では、受光による電荷の生成は行われず、隣接する画素列41の撮像素子42から転送されてくる電荷を保持する機能のみを有する。当例では、この偶数列に属する画素列41が本発明の電荷保持列であり、遮光フィルタ43が形成された撮像素子42が本発明の電荷保持部に相当する。一方、奇数列の画素列41に属する各撮像素子42は、隣接する画素列41の撮像素子42から転送されてくる電荷に、受光により生成される電荷を加えて保持する機能を有する。
【0053】
なお、前記受光部40Aに含まれる画素列41の数は奇数であり、その並び方向の一端側から数えて偶数列の画素列41に属する撮像素子42には、その表面に遮光フィルタ43(本発明の遮光部に相当する)が形成されている。これにより、当該偶数列の画素列41に属する各撮像素子42では、受光による電荷の生成は行われず、隣接する画素列41の撮像素子42から転送されてくる電荷を保持する機能のみを有する。当例では、この偶数列に属する画素列41が本発明の電荷保持列であり、遮光フィルタ43が形成された撮像素子42が本発明の電荷保持部に相当する。
【0054】
前記カメラ21は、TDIセンサ26の画素列41の並び方向(第2方向)がX方向と平行となるように撮像ユニット6に搭載されている。これにより、撮像ユニット6がX方向に移動すると、受光部40Aの画素列41のうち奇数列の画素列41の撮像素子42において部品Cからの反射光に応じた電荷が生成される。つまり、奇数列の画素列41の撮像素子42により部品Cの一撮像ライン毎のライン画像が順次取り込まれる。
【0055】
ここで、カメラ21による部品Cの撮像動作について撮像ユニット6がX方向の(+)側から(−)側に移動しながら部品Cを撮像する場合を例に説明する。
【0056】
部品Cの撮像は、制御装置60の制御により前記撮像ユニット6の移動速度が一定に保たれた状態で、照明装置22の照明の下、前記撮像ユニット6の移動に同期した一定の撮像タイミングで各画素列41の撮像素子42が露光されることにより行われる。この場合、第1照明部22aと第2照明部22bとが交互に点灯される。
【0057】
具体的には、撮像ユニット6が画素列41の配列ピッチp分だけ移動するタイミング(部品Cが撮像ユニット6に対して相対的に配列ピッチpだけ移動するタイミング)で露光が行われる。この露光により、画素列41のうち遮光フィルタ43が形成されていない奇数列の画素列41により部品Cの一撮像ライン分のライン画像が取り込まれる。すなわち、露光により、部品Cからの反射光が各画素列41の撮像素子42に入射することにより当該各撮像素子42において受光光量に応じた電荷が生成される。
【0058】
例えば最初に第1照明部22aが点灯するものとし、この際、撮像ユニット6に対して相対移動する部品Cの相対移動方向の先端部から距離L(L<=p)の部位(以下単に部品の距離Lの部位と言う)が、反射ミラー29を介して第1列の画素列41に相対する位置に到達して、最初に露光が行われるタイミングを第1タイミングとする。
【0059】
ここで、受光部40Aの画素列41のうち先頭(第1列目)の画素列41で生成された電荷(部品Cの距離Lの部位のライン画像)は、当該画素列41に対応するレジスタ列45のレジスタ44に読み出され、さらに隣接する第2列目の画素列41の各撮像素子42に転送される。そして、撮像ユニット6が前記配列ピッチp分だけ移動すると、部品の距離(L+p)の部位が反射ミラー29を介して第1列の画素列41に相対する位置に到達し、そのタイミング(第2タイミングとする)で各画素列41の撮像素子42が第2照明部22bの点灯により露光される。但し、第2列目の画素列41の各撮像素子42には、上記の通り遮光フィルタ43が形成されているため、当該画素列41では電荷は生成されない。そのため、第2列目の画素列41の各撮像素子42には、第1タイミングでの露光による電荷(部品Cの距離Lの部位の第1タイミングのライン画像)が転送保持され、第1列目の画素列41の各撮像素子42には、第2タイミングでの露光による電荷(部品Cの距離(L+p)の部位のライン画像)が保持されることになる。
【0060】
撮像ユニット6がさらに移動すると、これに同期して、当該第2列目の画素列41の電荷(ライン画像)が当該画素列41に対応するレジスタ列45のレジスタ44に読み出されて隣接する第3列目の画素列41の各撮像素子42に転送される。そして、撮像ユニット6が前記配列ピッチp分だけ移動すると、部品Cの距離(L+2p)の部位が反射ミラー29を介して第1列の画素列41に相対する位置に到達する一方、部品Cの距離Lの部位が反射ミラー29を介して第3列の画素列41に相対する位置に到達し、そのタイミング(第3タイミング)で第1照明部22aの点灯による撮像動作が実行され、これにより第3列目の画素列41の各撮像素子42において受光光量に応じた電荷(部品Cの距離Lの部位の第3タイミングのライン画像)が生成される。つまり、第2列目の画素列41から第3列目の画素列41に転送された電荷(部品Cの距離Lの部位の第1タイミングのライン画像)に、当該第3列目の画素列41の撮像素子42で新たに生成された電荷(部品Cの距離Lの部位の第3タイミングのライン画像)が加算されることとなる。すなわち、第3列目の画素列41には部品Cの距離Lの部位に対する第1タイミングでの露光(第1照明部22aによる露光)による電荷と第3タイミングでの露光(第1照明部22aによる露光)による電荷が加算された形で保持される。一方、第2列目の画素列41の撮像素子42には部品Cの距離(L+p)の部位に対する第2タイミングでの露光(第2照明部22aによる露光)による電荷が保持され、第1列目の画素列41の撮像素子42には部品Cの距離(L+2p)の部位に対する第3タイミングでの露光による電荷が保持される。
【0061】
以後、撮像ユニット6の移動に伴い、同様の動作が画素列41、41……において繰り返し行われることにより、図4(b)に示すように、部品Cの同一撮像ラインについて奇数列の画素列41で順次電荷が加算、蓄積される。換言すれば、部品Cの同一撮像ラインのライン画像が奇数列の画素列41で繰り返し露光される。そして、このようにして蓄積された、奇数番目の撮像のタイミングで第1照明部22aの点灯により露光された一撮像ライン分の電荷と、偶数番目の撮像のタイミングで第2照明部22aの点灯により露光された一撮像ライン分の電荷とが、交互にX方向(+)側端の画素列41から対応するレジスタ列45に読み出され、部品Cの各部位の一撮像ライン分の蓄積された電荷にそれぞれ応じた信号が、交互にTDIセンサ26から順次出力される。こうして、撮像ユニット6の移動に伴い、部品Cにおけるピッチp(画素列41の配列ピッチpと同じ距離)毎の一撮像ラインについて、奇数番目の一撮像ラインと偶数番目の一撮像ラインとで、異なるタイミングおよび異なる照明条件で撮像したことによる電荷が、順次蓄積されながらTDIセンサ26から交互に出力される。つまり、部品Cのピッチp毎の一撮像ライン分のライン画像であって隣接する一撮像ライン間で異なるタイミングおよび異なる照明条件で多重露光されたライン画像が、TDIセンサ26から部品Cの全長に渡って順次出力される。これにより、部品Cの2ピッチ(2p)毎の一撮像ラインのライン画像群からなる照明条件の異なる2種の部品画像が得られる。この点については、図8等を用いて後にさらに詳述することにする。
【0062】
なお、ここでは、撮像ユニット6がX方向の(+)側から(−)側に移動する場合について説明したが、撮像ユニット6がX方向の(−)側から(+)側に移動する場合も基本的には同様である。この場合には、X方向の(+)側端部の画素列41を先頭(第1列目)の画素列41として電荷の蓄積、転送が行われ、部品Cの一撮像ラインのライン画像に相当する電荷がX方向(−)側端部の画素列41に対応するレジスタ列45から出力される。従って、TDIセンサ26は、前記信号の出力部として電荷の転送方向に対応した2つの出力部26a、26b(図5参照)を備えている。
【0063】
図5は、カメラ21の主な電気的構成を示す図である。同図に示すように、カメラ21は、前記TDIセンサ26の他に、カメラ制御部50、アナログフロントエンド(AFE)52、データトランスミッタ53、クロックドライバ54等を含む。
【0064】
前記カメラ制御部50は、後記する制御装置60から画像取込装置68を介して受信する制御信号に基づいて当該カメラ21の動作を統括的に制御するものである。例えば、TDIセンサ26は、スキャニング方向(部品Cに対する撮像ユニット6の移動方向)に応じて画像データを出力するための2つの出力部26a、26bを備えているが、カメラ制御部50は、後述するようにクロックドライバ54からのクロック信号を変化させることにより、TDIセンサ26における電荷の転送方向を前記スキャニング方向に応じて切り替え、2つの出力部26a、26bのうち一方から画像データを出力させる。
【0065】
アナログフロントエンド52は、カメラ制御部50からの制御信号によりカメラゲインを設定し、そのカメラゲインに基づいて画像データの出力値を調整した上で、この画像データ(アナログデータ)をデジタルの画像データに変換するもので、相関2乗サンプラ(CDS;Correlated Double Sampler)、可変ゲインアンプ(VGA;Variable Gain Amp)及びADコンバータ(ADC;Analog to Digital Converter)等を含む。
【0066】
データトランスミッタ53は、外部機器との間で信号の送受信を行うものである。例えばデータトランスミッタ53は、アナログフロントエンド52から受信した画像データを、画像取込装置68を介して後記制御装置60に送信するとともに、当該制御装置60からの信号を、画像取込装置68を介して受信し前記カメラ制御部50に送信する。つまり、画像取込装置68は、カメラ21と制御装置60との間で送信される信号を相互に読み取り可能な信号に変換するインターフェースとしての機能を有する。
【0067】
クロックドライバ54は、カメラ制御部50から入力されるスキャニング方向に対応した制御信号に基づき、TDIセンサ26にクロック信号を出力し、TDIセンサ26による撮像(露光)タイミングおよび各画素列41の電荷(ライン画像)の転送タイミングおよび転送方向を制御するものである。なお、このクロック信号には、スキャニング方向に対応した情報が含まれており、TDIセンサ26は、この情報に基づき電荷の蓄積、転送方向を切り替える。
【0068】
この部品実装装置は、さらに、その動作を制御するための、図6に示すような制御装置60を備えている。この制御装置60は、部品実装装置の全体の動作を統括的にコントロールする主制御部61と、各種処理プログラムや各種データを記憶する記憶部62と、ヘッドユニット5や撮像ユニット6等の駆動を制御する駆動制御部64と、画像処理部65および照明制御部66とを備え、これらがバス63を介して互いに信号のやり取りが可能となるように接続された構成を有する。
【0069】
主制御部61は、記憶部62に記憶されている実装プログラムに従って駆動制御部64、画像処理部65、照明制御部66およびカメラ21などを制御するとともに、実装ヘッド16に吸着される部品Cの画像認識やそのための各種画像処理および演算処理等を行い、画像データを記憶部62に記憶させるものである。特に、部品認識の際には、実装ヘッド16に吸着されている部品Cに対して撮像ユニット6を一度だけスキャン(相対移動)させる間に、照明条件の異なる2種類の画像、具体的には、前記第1照明部22aだけを点灯させた第1部品画像および第2照明部22bだけを点灯させた第2部品画像を取得し、これら第1部品画像および第2部品画像に基づき実装ヘッド16による部品Cの保持状態を認識すべく、前記撮像ユニット6の移動速度を制御するとともに、前記記憶部62に記憶されているタイミングチャート(図7)に基づき部品Cの撮像タイミングや照明装置22の点灯タイミングなどを制御する。
【0070】
なお、この実施形態では、撮像ユニット6、ユニット駆動機構および制御装置60等が本発明の撮像装置に相当し、そのうちユニット駆動機構が撮像装置の移動手段に相当し、主制御部61、照明制御部66及びカメラ制御部50等が本発明の撮像制御手段に相当する。また、ヘッドユニット駆動機構および制御装置60等が本発明の移載手段に相当する。
【0071】
以下、前記制御装置60の制御に基づく部品実装装置の一連の実装動作について説明した上で、図7のタイミングチャートに基づく部品Cの撮像、認識処理の制御について説明する。
【0072】
この部品実装装置では、まず、ヘッドユニット5が部品供給部4上に移動し、各実装ヘッド16(ノズル16a)により部品が吸着保持される。この際、撮像ユニット6は、図2に示すように、実装ヘッド16の配列領域よりも外側の所定の待機位置に配置されおり、これにより実装ヘッド16による部品の吸着動作が支障なく行われる。なお、当実施形態では、X方向において実装ヘッド16の配列領域を挟んだ両外側の位置が待機位置(X方向の(+)側を第1待機位置、(−)側を第2待機位置とする)とされており、図2の例では、撮像ユニット6は、第1待機位置に配置されている。
【0073】
部品吸着が完了すると、ヘッドユニット5が基板3上への移動を開始する。そして、このヘッドユニット5の移動中、実装ヘッド16に吸着保持されている部品Cの真下の位置を撮像ユニット6が第1待機位置から第2待機位置に向かってX方向に一定速度で移動することにより各部品Cが撮像され、その画像データに基づき、各実装ヘッド16に保持されている部品Cの吸着状態が認識される。この際、各実装ヘッド16は、図2及び図3に示すように、撮像ユニット6が通過する領域上方の前記部品認識高さ位置に配置されることで、撮像ユニット6の移動および部品Cの撮像が支障なく行われる。
【0074】
そして、各実装ヘッド16に保持された部品Cのなかに不良部品や補正不可能な吸着状態のものがある場合には、当該部品Cが廃棄対象として登録された上で、ヘッドユニット5が基板3上に移動し、前記廃棄対象以外の部品Cが順次基板3上に実装される。このとき、部品Cの認識結果に応じてヘッドユニット5の位置および実装ヘッド16の回転角度等が制御されることで、基板3上の各搭載位置に部品が適切に実装される。
【0075】
こうして基板3上に部品Cが実装されると、ヘッドユニット5が図外の部品廃棄ボックス上へ移動し、上記廃棄対象の部品Cを廃棄する。これにより実装動作の一サイクルが終了し、必要に応じてこの動作が繰り返されることで所要部品Cが基板3上に実装される。
【0076】
図7は、カメラ21および照明装置22の制御を示すタイミングチャートである。
【0077】
撮像ユニット6が移動を開始すると、主制御部61は、前記リニアエンコーダ36からの出力信号に基づき、所定のタイミングでカメラ21(カメラ制御部50)および照明制御部66に撮像信号を出力する。具体的には、撮像ユニット6はTDIセンサ26の画素列41の配列ピッチpだけ移動するタイミングで繰り返し撮像信号を出力する。
【0078】
この撮像信号の入力により、前記照明装置22は、前記撮像信号の入力に基づき照明装置22を一定時間だけ点灯させる。他方、カメラ制御部50は、クロックドライバ54に制御信号を出力し、このクロックドライバ54からTDIセンサ26にクロック信号を出力させることで、前記TDIセンサ26に撮像動作を実行される。具体的には、各画素列41の撮像素子42を一定時間だけ露光させ、露光終了後、各画素列41で生成された電荷を隣接する画素列41に転送させる。
【0079】
ここで、前記照明装置22は、主制御部61から前記撮像信号が入力される毎に、第1照明部22aと第2照明部22bとを切り替える。このように前記撮像信号の入力毎に第1照明部22aと第2照明部22bとが切り替えられることで、部品Cに対して撮像ユニット6が一度スキャンする間に前記第1部品画像と第2部品画像とが取得される。
【0080】
詳しく説明すると、撮像ユニット6が移動を開始し、最初の撮像信号が出力されると、まず第1照明部22aが点灯し、これにより図8(a)に示すように、TDIセンサ26の受光部40Aの各画素列41のうち、遮光フィルタ43が形成されていない奇数列の各画素列41の撮像素子42が露光され、各撮像素子42において受光光量に応じた電荷が生成される。これら画素列41で生成された電荷は、一定タイミングで隣接する画素列41(偶数列の画素列41)に転送される。つまり、奇数列の各画素列41によって第1照明部22aの照明によるライン画像が取り込まれ、当該ライン画像が隣接する偶数列の画素列41に転送される。なお、図8中の丸付き数字は、撮像されるライン画像と照明の種類との関係を示しており、丸付き数字1は、第1照明部22aの照明によるライン画像を、丸付き数字2は、第2照明部22aの照明によるライン画像をそれぞれ示す(図8(b)、(c)については、便宜上、TDIセンサ26の各部の符号を省略している)。
【0081】
撮像ユニット6の移動に伴い、次の撮像信号が出力されると、第2照明部22bが点灯し、図8(b)に示すように、奇数列の画素列41の撮像素子42が露光されることで、各撮像素子42において受光光量に応じた電荷が生成される。つまり、第2照明部22bの照明によるライン画像が取り込まれる。この場合、偶数列の画素列41には遮光フィルタ43が形成されており、当該画素列41の撮像素子42では電荷が生成されないため、第1照明部22aの照明により先に撮像されているライン画像の電荷は、当該第2照明部22bの照明による影響を受けることなくそのまま保持される。当該露光が終了すると、一定のタイミングで、各画素列41の電荷が順次隣接する画素列41に転送される。
【0082】
そして、さらに撮像ユニット6が移動し、次の撮像信号が出力されると、第1照明部22aが点灯し、図8(c)に示すように、奇数列に位置する画素列41の撮像素子42が露光されることで、第1照明部22aの照明により先に撮像されたライン画像の電荷に、新たに生成された電荷が加算、蓄積される。この場合も、偶数列に位置する画素列41の撮像素子42については、上記の通り電荷が生成されないため、第2照明部22bの照明により先に撮像されているライン画像の電荷は、当該第1照明部22aの照明による影響を受けることなくそのまま保持される。
【0083】
このように、撮像ユニット6の移動に伴い、第1照明部22aと第2照明部22bとが交互に点灯されながら、部品Cの一撮像ライン分のライン画像であって第1照明部22aの照明により4回分の電荷が加算、蓄積されたライン画像(換言すれば4回分多重露光されたライン画像)の画像データと、第2照明部22aの照明により4回分の電荷が加算、蓄積されたライン画像の画像データとが、部品Cの相対移動方向の先端から後端への全長に亘って交互にTDIセンサ26から出力され、これら画像データがカメラ21から画像取込装置68を介して前記画像処理部65に順次出力される。
【0084】
前記画像処理部65では、カメラ21から入力されるライン画像の画像データ群のうち、第1照明部22aの照明によるライン画像の画像データ群から部品Cの前記第1部品画像を生成するとともに、第2照明部22bの照明によるライン画像の画像データ群から部品Cの前記第2部品画像を生成する。これにより、前記主制御部61は、画像処理部65で生成されたこれら第1部品画像および第2部品画像に基づき各実装ヘッド16による部品Cの保持状態を認識する。
【0085】
すなわち、上述したように、撮像ユニット6に対する相対移動方向における部品Cの先端部から距離Lの部位(部品の距離Lの部位)が、反射ミラー29を介してTDIセンサ26の第1列の画素列41に相対する位置に到達し、最初に照明装置22の点灯による露光が行われるタイミングを第1タイミング、以降の露光タイミングを第2タイミング、第3タイミング……とした場合、各タイミングでの露光により、反射ミラー29を介してTDIセンサ26の各奇数列の画素列41と対面する部品Cの各部位が同時に撮像される。この際、第1照明部22aと第1照明部22aとが切り替えられながら部品Cの相対移動(ピッチp)に同期した上記タイミングで露光が行われる。
【0086】
詳しくは、部品Cの距離(L+2ap)(a=0,1,2,3…)の部位に対しては、当該それぞれの部位が前記反射ミラー29を介して第1列の画素列41、第3列の画素列41、…奇数列の画素列41に対面する毎の奇数番目のタイミングで第1照明部22aが点灯されることにより、部品Cの相対移動に伴い、第1列、第3列…奇数列の各画素列41において電荷が順次加算蓄積される。
【0087】
一方、部品Cの距離(L+(2a+1)p)(a=0,1,2,3…)の部位に対しては、当該それぞれの部位が前記反射ミラー29を介して第1列の画素列41、第3列の画素列41、…奇数列の画素列41に対面する毎の偶数番目のタイミングで第2照明部22bが点灯されることにより、部品Cの相対移動に伴い、第1列、第3列…奇数列の各画素列41において電荷が順次加算蓄積される。
【0088】
このようにして蓄積された、奇数番目の撮像のタイミングと関係付けられた部品Cの距離(L+2ap)(a=0,1,2,3,…)の部位の一撮像ライン分の第1照明部22aが点灯しての電荷と、偶数番目の撮像のタイミングと関係付けられた部品Cの距離(L+(2a+1)p)(a=0,1,2,3,…)の部位の一撮像ライン分の第2照明部22bが点灯しての電荷とが、交互にTDIセンサ26のX方向一端側の画素列41から対応するレジスタ列45に読み出され、部品Cの各部位の一撮像ライン分の蓄積された電荷にそれぞれ応じた信号が、交互にTDIセンサ26から順次出力される。こうして、撮像ユニット6の移動に伴い、部品Cにおけるピッチp(画素列41の配列ピッチpと同じ距離)毎の一撮像ラインについて、奇数番目の一撮像ラインと偶数番目の一撮像ラインとで、異なるタイミングおよび異なる照明条件で撮像したことによる電荷が、順次蓄積されながらTDIセンサ26から交互に出力される。つまり、部品Cのピッチp毎の一撮像ライン分のライン画像であって隣接する一撮像ライン間で異なるタイミングおよび異なる照明条件で多重露光されたライン画像が、TDIセンサ26から部品Cの全長に渡って順次出力される。これにより、部品Cの2ピッチ(2p)毎の一撮像ラインのライン画像群からなる照明条件の異なる2種の部品画像が得られ、前記主制御部61は、これら2種の部品画像に基づき各実装ヘッド16による部品Cの保持状態を認識する。
【0089】
以上説明したように、この部品実装装置では、各実装ヘッド16に保持されている部品Cに対して撮像ユニット6を一度スキャンさせる間に、第1照明部22aの照明による第1部品画像と第2照明部22bの照明による第2部品画像とを取得することができる。
【0090】
しかも、この撮像ユニット6では、部品撮像用のカメラとして、上記のように偶数列の画素列41に遮光フィルタ43を形成したTDIセンサ26を備えたカメラ21を用い、部品Cの一撮像ライン分のライン画像であって第1照明部22aの照明により4回分多重露光されたライン画像と、第2照明部22aの照明により4回分多重露光されたライン画像とを交互に取得することで、部品Cの第1部品画像と第2部品画像とを取得する。そのため、撮像ユニット6を比較的早い速度でスキャンさせながらも、第1部品画像および第2部品画像の何れについて明度の良好な部品画像を取得することが可能となる。
【0091】
従って、上記の部品実装装置によれば、高輝度な照明装置を搭載することによる部品実装装置の大型化やコスト高を伴うことなく、互いに照明条件の異なる第1部品画像および第2部品画像を良好かつ効率良く取得して部品認識を行うことができる。
【0092】
特に、カメラ21に搭載されるTDIセンサ26は、上記のように偶数列の画素列41(撮像素子42)に遮光フィルタ43が形成されたものであり、このようなTDIセンサ26は、既存のTDIセンサの追加工、例えば偶数列の画素列41の撮像素子42に塗装を施して遮光フィルタ43とすることで比較的安価に製造することができる。従って、この部品実装装置によれば、比較的安価な構成で上記の作用効果を享受することができる。
【0093】
なお、上記実施形態では、撮像ユニット6に2種類の照明部22a、22bを有する照明装置22を搭載することで、第1部品画像および第2部品画像を取得する例について説明したが、照明装置22としてさらに第3照明部22c(図10に示す)を有するものを搭載し、これにより第1、第2部品画像に加えて、第3照明部22cだけを点灯させた第3部品画像を取得することも可能である。
【0094】
この場合には、TDIセンサ26として、図9(a)に示すように、遮光フィルタ43が形成されていない画素列41の間に、遮光フィルタ43が形成された二列の画素列41が並ぶものが適用される。図示の例では、受光部40Aは10列の画素列41を含み、同図左側を基準として、第1、第4、第7及び第10列の画素列41以外の画素列41に遮光フィルタ43が形成されている。
【0095】
そして、この場合には、図10に示すタイミングチャートに基づく主制御部61の制御により、前記撮像信号の入力毎に第1照明部22a、第2照明部22bおよび第3照明部22cが順番に切り替えられる。これにより、部品Cに対して撮像ユニット6が一度スキャンする間に、それぞれ部品Cの3ピッチp毎の撮像ラインからなる第1〜第3部品画像が取得される。以下、撮像ユニット6がX方向の(+)側から(−)側に移動しながら部品Cを撮像するものとして詳しく説明する。
【0096】
撮像ユニット6が移動を開始し、最初の撮像信号が出力されると、第1照明部22aが点灯し、図9(a)に示すように、遮光フィルタ43が形成されていない各画素列41の撮像素子42が露光される。これにより、当該画素列41によって第1照明部22aの照明によるライン画像が取り込まれ、当該ライン画像(電荷)が一定のタイミングで隣接する画素列41に転送される。なお、図9中の丸付き数字1は、第1照明部22aの照明によるライン画像を、丸付き数字2は、第2照明部22aの照明によるライン画像を、丸付き数字3は、第3照明部22cの照明によるライン画像をそれぞれ示す。また、図9(b)〜(d)については、便宜上、各部の符号を省略している。
【0097】
撮像ユニット6の移動に伴い、次の撮像信号が出力されると、第2照明部22bが点灯し、図9(b)に示すように、遮光フィルタ43が形成されていない画素列41の撮像素子42が露光されることで、当該画素列41によって第2照明部22bの照明によるライン画像が取り込まれる。この場合、第1照明部22aの照明により先に撮像されているライン画像は、遮光フィルタが形成された画素列41の撮像素子42に保持されているため、当該第2照明部22bの照明による影響を受けることなくそのまま保持される。当該露光が終了すると、一定のタイミングで、各画素列41の電荷が順次隣接する画素列41に転送される。
【0098】
さらに撮像ユニット6が移動して、次の撮像信号が出力されると、第3照明部22cが点灯し、図9(c)に示すように、遮光フィルタ43が形成されていない画素列41の撮像素子42が露光されることで、当該画素列41によって第3照明部22cの照明によるライン画像が取り込まれる。この場合、第1照明部22aおよび第2照明部22bの照明により先に撮像されているライン画像は、それぞれ遮光フィルタが形成された画素列41の撮像素子42に保持されているため、当該第3照明部22cの照明による影響を受けることなくそのまま保持される。当該露光が終了すると、一定のタイミングで、各画素列41の電荷が順次隣接する画素列41に転送される。
【0099】
そして、さらに撮像ユニット6が移動し、次の撮像信号が出力されると、第1照明部22aが点灯し、図9(d)に示すように、遮光フィルタ43が形成されていない画素列41の撮像素子42が露光されることで、第1照明部22aの照明により先に撮像されたライン画像の電荷に、新たに生成された電荷が加算、蓄積される。この場合も、第2照明部22bおよび第3照明部22cの照明により先に撮像されているライン画像は、それぞれ遮光フィルタが形成された画素列41の撮像素子42に保持されているため、当該第1照明部22aの照明による影響を受けることがない。
【0100】
このように、撮像ユニット6の移動に伴い、第1〜第3照明部22cが順番に点灯されながら、部品Cの一撮像ラインのライン画像であって第1照明部22aの照明により4回分の電荷が加算、蓄積されたライン画像(4回分多重露光されたライン画像)の画像データと、第2照明部22aの照明により4回分の電荷が加算、蓄積されたライン画像の画像データと、第3照明部22cの照明により4回分の電荷が加算、蓄積されたライン画像の画像データとが順番にTDIセンサ26から出力される。これにより、画像処理部65では、カメラ21から入力されるライン画像の画像データのうち、第1照明部22aの照明によるライン画像の画像データ群(部品Cの画素列41の3ピッチ(3p)毎の各部位のライン画像からなる画像データ群)から前記第1部品画像を生成し、第2照明部22bの照明によるライン画像の画像データ群(前記第1部品画像の撮像対象とした部品Cの各部位に対して、それぞれ画素列41の1ピッチp分だけずれた各部位のライン画像からなる画像データ群であって、部品Cの画素列41の3ピッチ(3p)毎の各部位のライン画像の画像データ群)から前記第2部品画像を生成し、第3照明部22bの照明によるライン画像の画像データ群(前記第1部品画像の撮像対象とした部品Cの各部位に対して、それぞれ画素列41の2ピッチ2p分だけずれた各部位のライン画像からなる画像データ群であって、部品Cの画素列41の3ピッチ(3p)毎の各部位のライン画像の画像データ群)から前記第3部品画像を生成する。
【0101】
なお、4つ以上の照明部を択一的に点灯させて互いに照明条件が異なる4つ以上の部品画像を取得する場合も基本的には上記実施形態に準じた構成とすればよい。要するに、カメラ21のTDIセンサ26として、遮光フィルタ43が形成されていない一つの画素列41と、前記遮光フィルタ43が形成された画素列41であって前記照明部の数から一を減算した数の画素列41とが交互に配列された受光部40Aを備えるTDIセンサ26を適用し、点灯する照明部を順番に切り替えながら部品Cを撮像するようにすればよい。
【0102】
また、上記実施形態では、照明条件が互いに異なる複数の部品画像を取得する例として、照明装置22の照明部22a、22bを切り替えた複数の部品画像、つまり照明方向を切り替えた複数の部品画像を取得する場合について説明したが、例えば、照明強度(光度)や照明光の色といった照明条件が互いに異なる複数の部品画像を取得するようにしてもよい。例えば、照明装置22として、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色の照明を選択的に照射可能なものを適用し、図10に示したタイミングチャートに基づき、赤色、緑色および青色の3つの部品画像を取得するようにしてもよい。この場合には、画像処理部65において、これらの部品画像を合成することで、部品Cのカラー画像を生成することが可能となる。つまり、部品Cに対して撮像ユニット6を一度スキャンさせるだけで部品Cのカラー画像を取得することが可能となる。
【0103】
< 第2実施形態 >
上記第1実施形態では、カメラ21のTDIセンサ26として、特定の画素列41の撮像素子42に遮光フィルタ43が形成されたものが適用されているが、図11に示すようなTDIセンサ26Aを適用することも可能である。
【0104】
同図に示すTDIセンサ26Aは、図4に示したTDIセンサ26の画素列41のうち、遮光フィルタ43が形成された画素列41に代えて、ラインメモリ41′が備えられた構成を有する。このラインメモリ41′は、第1実施形態において遮光フィルタ43が形成された画素列41の各撮像素子42にそれぞれ対応する複数のキャパシタ42′(本発明の電荷保持部に相当する)が受光のための隣接する当該画素列41と平行な方向に並んだものであり、隣接する画素列41の各撮像素子42から転送されてくる電荷を保持する機能のみを有する。このTDIセンサ26Aでは、各レジスタ列45は、対応する画素列41の撮像素子42又はラインメモリ41′のキャパシタ42′から電荷を読み出し、同図中に白抜き矢印で示すように、読み出した電荷を隣接する画素列41の撮像素子42又はラインメモリ41′のキャパシタ42′に転送する。
【0105】
このTDIセンサ26Aによれば、ラインメモリ41′については、画素列41のように受光面積を確保する必要がない分、形状の自由度が高い。そのため、同図に示すように、当該ラインメモリ41′を画素列41に比べてX方向(画素列41の並び方向)に狭幅に形成できる。このTDIセンサ26Aによれば、図4のTDIセンサ26と同等の大きで、当該TDIセンサ26よりも多くの画素列41(露光可能な有効な画素列41)を配列することが可能である。これにより、2種の照明条件による交互撮像において、部品Cの各部位のライン画像の幅の割合を非撮像ラインの幅の割合より大きくでき(なお、これにより2つの照明条件による部品Cの各部位のライン画像は一部重なり合うようになる)、図4のTDIセンサ26よりも、2種の照明条件による2つの部品画像のそれぞれについて高分解能(X方向に高分解能)を実現できる。従って、このTDIセンサ26Aを備えるカメラ21を適用する場合には、上記第1実施形態のものとほぼ同等の構成で、より高精度の2つの部品画像を取得することができるというメリットがある。また逆に、図4に示すTDIセンサ26と同等の分解能(X方向の分解能)であれば、当該TDIセンサ26よりX方向にコンパク化することが可能である。従って、この場合には、カメラ21を小型化することが可能であり、これにより撮像ユニット6の小型化、軽量化に寄与するというメリットがある。
【0106】
なお、上記のようにラインメモリ41′の幅寸法(X方向の寸法)が画素列41の幅寸法よりも狭幅の場合には、画素列41およびラインメモリ41′を含む各列のピッチが交互に異なる。そのため、このTDIセンサ26Aを備えたカメラ21が適用される場合には、照明装置22の切り替え、各画素列41の撮像素子42による露光(ライン画像の取込)および電荷(ライン画像)の転送が前記ピッチに基づき適切に行われるように、前記リニアエンコーダ36からの出力信号に応じて前記主制御部61からカメラ21に撮像信号を出力させるようにすればよい。
【0107】
当該TDIセンサ26Aに類似するTDIセンサとして、例えば図9に示したTDIセンサ26の画素列41のうち、遮光フィルタ43が形成された画素列41に代えて、ラインメモリ41′を備えTDIセンサを適用することもできる。このTDIセンサの構成によれば、図9に示したTDIセンサ26と同様に3種の照明条件による3つの部品画像を取得しながら、当該TDIセンサ26Aに比べて、高分解能(X方向に高分解能)の部品画像を取得することが可能となる。
【0108】
< 第3実施形態 >
撮像ユニット6のカメラ21として、図12に示すようなTDIセンサ26Bを備えるカメラ21を用いることも可能である。
【0109】
同図に示すTDIセンサ26Bは、所定の順序で連続して並びかつ受光可能な波長域が互いに異なる複数の画素列41からなる画素列群を一単位として、当該画素列群が複数配列された構成を有する。具体的には、赤色フィルタRを備えることにより赤色の光のみを受光する画素列41と、緑色フィルタGを備えることにより緑色の光のみを受光する画素列41と、青色フィルタRを備えることにより青色の光のみを受光する画素列41とを含み、これらが所定の順番で配列されたものを一つの画素列群として、この画素列群が複数(同図では3つ)配列された構成を有する。
【0110】
このTDIセンサ26Bを備えるカメラ21を適用する場合には、前記主制御部61は、部品Cに応じて第1照明部22aおよび第2照明部22bのうち予め定められた照明部のみを点灯させるべく照明制御部66を制御する。また、前記主制御部61は、撮像ユニット6を一定速度で移動させる(部品Cに対して相対移動させる)一方で、画素列41の配列ピッチの3倍分の距離だけ撮像ユニット6が移動するタイミングで撮像信号を出力する。すなわち、照明制御部66を制御して上記タイミングで照明部を点灯させる。さらに主制御部61は、カメラ制御部50を制御し、主制御部61からの撮像信号の入力に応じてTDIセンサ26の各画素列41の撮像素子42を露光させるとともに、この一回の露光につきライン画像(電荷)の転送が3回行われるように前記クロックドライ54を制御する。つまり、同図中の実線、破線および一点鎖線で示すように、各画素列群に属する各画素列41の電荷が隣接する画素列群の対応する画素列41、つまり同じフィルタが形成された画素列41にそれぞれ転送されるように電荷の転送タイミングを制御する。
【0111】
このようなTDIセンサ26Bを備えるカメラ21が適用された部品実装装置では、部品Cに対して撮像ユニット6が一度スキャンする間に、部品Cの画像として赤色、緑色、青色の各部品画像が取得される。すなわち、撮像ユニット6の移動が開始され、主制御部61から最初の撮像信号が出力されると、各画素列41の撮像素子42が露光されることで、画素列群の各画素列41により赤、緑、青のライン画像が取り込まれる。これらのライン画像は、隣接する画素列群の対応する画素列41にそれぞれ転送される。従って、各画素列41の露光が行われながらそのライン画像が隣接する画素列群の対応する画素列41に順次転送されることにより、同一撮像ラインのライン画像であってそれぞれ多重露光された赤色、緑色、青色の各ライン画像がTDIセンサ26Bから前記画像処理部65に出力される。
【0112】
画像処理部65は、TDIセンサ26Bから出力されるライン画像のうち受光波長が共通するライン画像、つまり同色のライン画像に基づき画像を生成することにより、3色のそれぞれについて、画素列41の3ピッチ毎の部品Cの部位のライン画像群からなる部品画像を生成し、さらにこれらの画像を合成することにより部品Cのカラー画像を生成する。従って、主制御部61は、この部品Cのカラー画像に基づき各実装ヘッド16による部品Cの保持状態を認識する。
【0113】
なお、ここでは、三原色それぞれの部品画像を取得して部品Cのカラー画像を生成する場合について説明したが、上記構成によれば、例えば、部品Cの画像として、赤外線画像と赤外線を遮断した画像とを取得することも可能である。この場合には、TDIセンサ26Bとして、赤外線透過フィルタを備えることにより赤外線のみを受光する画素列41と、赤外線遮光フィルタを備えることにより赤外線以外の光を受光する画素列41とを一つの画素列群として、当該画素列群が複数配列されたものを適用すればよい。
【0114】
< その他の実施形態 >
(1)上記各実施形態では、撮像ユニット6をヘッドユニット5に搭載し、各実装ヘッド16に吸着保持された部品Cに対して撮像ユニット6を移動させる構成について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、撮像ユニットを基台1に固定的に配置し、主制御部61の制御により、この撮像ユニットに対してヘッドユニット5を相対的に移動させることにより各実装ヘッド16に保持された部品Cを撮像する構成としてもよい。この場合には、カメラを上向けに配置し、反射ミラーを介することなく、照明装置22による照明下で部品Cからの反射光(部品像)を直接カメラ21で取り込むようにすればよい。
【0115】
この場合には、ヘッドユニット5をXY方向に移動させるヘッドユニット駆動機構および制御装置60が本発明における移動手段となる。
【0116】
(2)上記実施形態では、ヘッドユニット5は、複数の実装ヘッド16がX方向に一列に並ぶものであるが、複数の実装ヘッド16が前後二列(Y方向に二列)に並ぶものであってもよい。この場合には、TDIセンサ26により前後各実装ヘッド16に保持された部品Cを同時に撮像できるように、TDIセンサ26の各画素列41の画素数を設定すればよい。そして、例えば前後の実装ヘッド16に吸着される部品Cの照明条件が互いに異なる場合には、照明条件を交互に切り替えながら前後両部品Cを含む互いに照明条件の異なる部品画像を取得し、画像処理部65において、これらの部品画像から前後の部品Cのうち一方側の部品Cに対応する照明条件で撮像されている部品画像を抽出し、この抽出された部品画像により当該一方側の部品Cの部品画像を生成し、他方側の部品Cについても同様にして部品画像を生成するようにすればよい。
【0117】
(3)第1実施形態(図8の例)では、第1照明部22aと第2照明部22bとを交互に点灯させることによりTDIセンサ26により2種類の部品画像を取得する例について説明したが、例えば部品Cの種類に応じて、両照明部22a、22bを交互に切り替えて2種類の部品画像を取得する撮像形態と、第1照明部22a又は第2照明部22bの何れかを点灯させて1種類の部品画像を取得する撮像形態とを制御装置60が切り替えるようにしてもよい。図9の例についても同様である。なお、図9の例については、例えば連続する3回(第1〜第3タイミング)の露光のうち、最初の2回の露光を共通の照明部(例えば第1照明部22a)を点灯させて行い、最後の露光を異なる照明部(例えば第2照明部22b)を点灯させて行うことにより2種類の部品画像を取得することができる。従って、図9の例については、部品Cの種類に応じて、1種類の部品画像、2種類の部品画像及び3種類の部品画像を取得する撮像形態を制御装置60が切り替えるようにしてもよい。
【0118】
(4)上記実施形態では、本発明に係る撮像装置を表面実装機に搭載した構成について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、ICチップ等の電子部品を検査する部品試験装置に搭載することも可能である。
【0119】
図13は、本発明に係る撮像装置が搭載された部品試験装置70(本発明に係る部品試験装置に相当する)を示す平面図である。なお、図中には、方向関係を明確にするためにXY座標軸が示されている。
【0120】
同図に示すように、部品試験装置70の基台71には、ベアチップがダイシングされた状態のウェハWaを上下多段に収納したカセット72を装着可能なカセット設置部73が設けられている。このカセット設置部73に装着されたカセット72は、図略の搬送機構により基台71に形成された開口部74の下方位置に搬送され、この位置でベアチップが取出部材75によって取上げられる。取出部材75は、基台71上でY方向に延びるレール76に沿って、上記開口部74から部品待機部77までベアチップを搬送する。部品待機部77は、基台71上でX方向に延びる一対のレール78間に配置され、この部品待機部77に搬送されたベアチップは、各レール78に沿って駆動する一対のヘッドユニット79、80により基台71上の検査ソケット81まで搬送され、所定の検査が実行されることとなる。各ヘッドユニット79、80はチップ吸着用のヘッドを有し、このヘッドによりベアチップを吸着保持する。
【0121】
このような部品試験装置70において、上記基台71上には、部品待機部77と検査ソケット71(本発明の検査部に相当する)との間に撮像ユニット106、116が固定的に設けられている。なお、詳細図を省略しているが、撮像ユニット106、116は、ヘッドユニット79,80に保持されたベアチップを下側から撮像するカメラと、照明装置と、これらを一体に保持するケーシング等を含む。そして、このカメラとして、例えば図4に示したTDIセンサと同等のTDIセンサを備えたカメラを備えるとともに、図3に示した照明装置22と同様に、照明方向が互いに異なる複数の照明部を有する照明装置を備えている。
【0122】
上記撮像ユニット106、116は、部品待機部77から検査ソケット81まで搬送されるベアチップを撮像し、図外の制御装置がその画像データに基づき不良(例えば、バンプの高さ不良)を検知する。この際、図外の制御装置によりベアチップの搬送速度、カメラ(TDIセンサ)による撮像タイミング、照明部の切り替えタイミングおよびTDIセンサにおけるライン画像(電荷)の転送タイミング等が図外の制御装置により上述した部品実装装置と同様に制御される。これにより、各撮像ユニット106、116に対してその上方をベアチップが一方向に通過する間に、照明条件の異なる複数の画像が取得され、前記制御装置は、これら複数の画像に基づきベアチップの不良の有無を判断する。
【0123】
ここで不良品であると検知されたベアチップは、ヘッドユニット79、80により基台71上の不良品回収部82に載置された不良品用トレイ83に搬送される。これに加えて、上記制御装置は、上記複数の画像に基づき、ヘッドユニット79、80に対するベアチップの姿勢を検知する。ここでヘッドユニット79、80に対して位置ずれしていると検知されたベアチップは、当該ヘッドユニット79、80により位置補正が実行された後、検査ソケット81へ搬送される。
【0124】
そして、検査ソケット81における検査の結果、不良品であると判定されたベアチップは、各ヘッドユニット79、80により上記不良品用トレイ83に搬送される一方、良品であると判定されたベアチップは、各ヘッドユニット79、80により基台71上の部品収納部84まで搬送されるとともに、この部品収納部84において、テープフィーダ用のベーステープ85内に収容され、このベーステープ85に図略のカバーテープが張付けられることとなる。
【0125】
また、不良品回収部82の不良品用トレイ83が満載状態になると、そのトレイ83が図外のトレイ移動機構によりトレイ排出部86に移送されるとともに、不良品回収部82に隣接したトレイ待機部87にあるトレイ88がヘッドユニット79、80により不良品回収部82に移送され、かつ、図外のトレイ移動機構によりトレイ待機部87に空トレイ載置部89から空トレイが移送されるようになっている。
【0126】
なお、この実施形態では、撮像ユニット106、116、ヘッドユニット79,80、当該ヘッドユニットの駆動機構および制御装置等が本発明の撮像装置に相当し、そのうちヘッドユニット79、80およびヘッドユニットの駆動機構が撮像装置の移動手段に相当し、制御装置が本発明の撮像制御手段に相当する。また、ヘッドユニット駆動機構および制御装置が本発明の移載手段に相当する。
【0127】
ここでは、撮像ユニット106、116を部品試験装置70の基台71上に配置した構成について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、図2等に示した部品実装装置と同様に、ヘッドユニット79,80に対して撮像ユニット106、116が移動可能に取り付けた構成とすることも可能である。
【0128】
(5)本発明に係る撮像装置は、上記のように部品実装装置や部品試験装置以外に、スクリーン印刷装置において半田ペースト等のペースト類が印刷された基板を検査する印刷基板検査装置(本発明に係る基板検査装置の一つ)に搭載することも可能である。この印刷基板検査装置は、基板を略水平に保持する基板保持部と、この基板保持部に保持される印刷基板に対して相対的にその印刷面と平行な二次元方向(XY方向)に移動可能に支持される撮像ユニットと、この撮像ユニットと基板とを相対的に移動させる駆動機構(本発明の移動手段に相当する)と、これらを統括的に制御する制御装置とを含む。撮像ユニットは、基板を上側から撮像するカメラと、照明装置と、これらを一体に保持するケーシング等を含む。そして、このカメラとして、例えば図4に示したTDIセンサと同等のTDIセンサを備えたカメラを備えるとともに、図3に示した照明装置22と同様に、照明方向が互いに異なる複数の照明部を有する照明装置を備えている。
【0129】
すなわち、この印刷基板検査装置は、基板に対して撮像ユニットを移動させながら印刷箇所を撮像することにより、その画像データに基づき不良箇所を検知する。この際、図外の制御装置により撮像ユニットの搬送速度、カメラ(TDIセンサ)による撮像タイミング、照明部の切り替えタイミングおよびTDIセンサにおけるライン画像(電荷)の転送タイミング等が図外の制御装置により上述した部品実装装置と同様に制御される。これにより、撮像ユニットが印刷箇所上方を一方向に通過する間に、照明条件の異なる複数の画像が取得され、前記制御装置は、これら複数の画像に基づき印刷箇所の良否を判断する。
【0130】
(6)本発明に係る撮像装置は、実装基板検査装置(本発明に係る基板検査装置の一つ)に搭載することも可能である。実装基板検査装置は、基板上の部品実装箇所をカメラにより撮像することで、その画像データに基づき部品の実装状態を認識するものであるが、この実装基板検査装置について、上述した印刷基板検査装置と同等の構成を採用することができる。この実装基板検査装置によれば、上記印刷基板検査装置と同様に、照明条件の異なる複数の画像を取得し、これら複数の画像に基づき部品実装の良否を判断することが可能となる。
【0131】
なお、以上は本発明の実施形態の例示であって、TDIセンサ、撮像装置、部品実装装置、部品試験装置、印刷基板検査装置および実装基板検査装置の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、具体的に説明していないが、部品実装装置において説明した撮像ユニット等の構成は、部品試験装置、および印刷基板検査装置や実装基板検査装置などの基板検査装置についても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0132】
5 ヘッドユニット
6 撮像ユニット
21 カメラ
22 照明装置
22a 第1照明部
22b 第2照明部
26 TDIセンサ
50 カメラ制御部
60 制御装置
61 主制御部
62 記憶部
64 駆動制御部
65 画像処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光されたライン画像を出力するTDIセンサであって、
第1方向に並びかつそれぞれ露光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子を有する画素列と、前記電荷を保持する機能のみを有しかつ前記画素列の各撮像素子に対応するように前記第1方向に並ぶ複数の電荷保持部を有する電荷保持列とを含み、一つの前記画素列と一乃至複数の前記電荷保持列とが前記第1方向と直交する第2方向に交互に配列される受光部と、
前記画素列の撮像素子および前記電荷保持列の電荷保持部が保持する電荷を列単位で隣接する列に順次転送するとともに、前記ライン画像の信号として、前記転送により最終的に蓄積された電荷に対応する信号を出力する転送部と、を備えることを特徴とするTDIセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のTDIセンサにおいて、
前記電荷保持列は、前記電荷保持部としてキャパシタが並んだものであることを特徴とするTDIセンサ。
【請求項3】
請求項2に記載のTDIセンサにおいて、
前記電荷保持列は、前記第2方向における前記画像列の幅寸法よりも小さい幅寸法を有することを特徴とするTDIセンサ。
【請求項4】
請求項1に記載のTDIセンサにおいて、
前記電荷保持列は、前記画素列と同等の画素列であって各撮像素子の表面に光の入射を阻止する遮光部が形成されたものであることを特徴とするTDIセンサ。
【請求項5】
特定数かつ複数の照明条件で対象物を撮像するための撮像装置であって、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のTDIセンサであって前記受光部として一つの前記画素列と前記特定数から一を減算した数の前記電荷保持列とが交互に配列された受光部を備えるTDIセンサと、
前記TDIセンサに対して前記対象物を前記第2方向に相対移動させる移動手段と、
前記移動手段により移動させられる対象物を照明するとともにその照明条件を前記複数の照明条件に変更することが可能な照明手段と、
前記TDIセンサに対する前記対象物の相対移動中に、前記照明手段の照明条件が前記複数の照明条件に順番に切り換えられながら前記照明条件毎の対象物のライン画像が前記画素列の撮像素子により取り込まれるように前記TDIセンサの撮像タイミングおよび前記照明手段の照明条件の切り替えタイミングを制御するとともに、前記撮像タイミングに同期して前記電荷の転送が行われるように前記TDIセンサにおける前記電荷の転送タイミングを制御する撮像制御手段と、
前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち照明条件が互いに共通するライン画像に基づいて対象物の画像を生成することにより前記特定数の対象物の画像を生成する画像処理手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記照明手段は、前記照明条件として三原色それぞれの照明光を択一的に前記対象物に照射可能に構成されており、
前記画像処理手段は、対象物の前記複数の画像として三原色それぞれの画像を生成するとともに、これら三原色の画像を合成することによりカラー画像を生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光されたライン画像を出力するTDIセンサであって、
第1方向に並びかつそれぞれ露光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子を有する画素列を含み、これら画素列が前記第1方向と直交する第2方向に配列された受光部と、
前記画素列が保持する電荷を列単位で隣接する画素列に順次転送するとともに、前記ライン画像の信号として、前記転送により最終的に蓄積された電荷に対応する信号を出力する転送部と、を備え、
前記受光部は、前記第2方向に所定の順序で連続して並びかつ受光可能な波長域が互いに異なる複数の前記画素列からなる画素列群を一単位として、当該画素列群が前記第2方向に複数配列された構成を有することを特徴とするTDIセンサ。
【請求項8】
対象物を撮像して複数種類の画像を取得するための撮像装置であって、
請求項7に記載のTDIセンサと、
前記TDIセンサに対して前記対象物を前記第2方向に相対移動させる移動手段と、
前記移動手段により移動させられる対象物を照明する照明手段と、
前記TDIセンサに対する前記対象物の相対移動中に、対象物のライン画像が前記画素列の撮像素子により取り込まれるように前記TDIセンサの撮像タイミングを制御するとともに、TDIセンサの撮像動作後、次の撮像動作前に、各画素列群に属する各画素列の電荷が隣接する画素列群の対応する画素列にそれぞれ転送されるように前記電荷の転送タイミングを制御する撮像制御手段と、
前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち受光波長域が共通するライン画像に基づいて対象物の画像を生成することにより、前記画素列群が含む画素列の数に対応する数の対象物の画像を生成する画像処理手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像装置において
前記TDIセンサは、前記画素列群として三原色それぞれの光のみを受光可能な3つの画素列を含む画素列群を有し、
前記画像処理手段は、前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち共通する色のライン画像に基づいて三原色それぞれの対象物の画像を生成するとともに、これら三原色の画像を合成することにより対象物のカラー画像を生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
部品を保持可能なヘッドと、
対象物として部品を撮像するための請求項5、6、8及び9の何れかに記載の撮像装置と、
前記ヘッドに保持されかつ前記撮像装置により撮像された前記部品の画像データに基づき前記ヘッドによる部品の保持状態を認識した上で当該部品を前記ヘッドにより基板上に移載する移載手段と、を含み、
前記撮像装置の前記移動手段は、前記ヘッドと前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものであり、
前記移載手段は、前記ヘッドを前記基板に対して相対的に移動させることにより前記部品を前記基板上に搭載する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項11】
部品を保持可能なヘッドと、
対象物として部品を撮像するための請求項5、6、8及び9の何れかに記載の撮像装置と、
前記ヘッドに保持されかつ前記撮像装置により撮像された前記部品の画像データに基づき前記ヘッドによる部品の保持状態を認識した上で当該部品を前記ヘッドにより所定の検査部上に移載する移載手段と、を含み、
前記撮像装置の前記移動手段は、前記ヘッドと前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものであり、
前記移載手段は、前記ヘッドを前記検査部に対して相対的に移動させることにより前記部品を前記検査部に載置する、ことを特徴とする部品試験装置。
【請求項12】
対象物として印刷処理又は部品実装された基板を撮像するための請求項5、6、8及び9の何れかに記載の撮像装置と、
この撮像装置により撮像される検査対象箇所の画像に基づき印刷状態又は部品実装状態を認識する認識手段と、を含み、
前記撮像装置の前記移動手段は、前記基板と前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものである、ことを特徴とする基板検査装置。
【請求項1】
所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光されたライン画像を出力するTDIセンサであって、
第1方向に並びかつそれぞれ露光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子を有する画素列と、前記電荷を保持する機能のみを有しかつ前記画素列の各撮像素子に対応するように前記第1方向に並ぶ複数の電荷保持部を有する電荷保持列とを含み、一つの前記画素列と一乃至複数の前記電荷保持列とが前記第1方向と直交する第2方向に交互に配列される受光部と、
前記画素列の撮像素子および前記電荷保持列の電荷保持部が保持する電荷を列単位で隣接する列に順次転送するとともに、前記ライン画像の信号として、前記転送により最終的に蓄積された電荷に対応する信号を出力する転送部と、を備えることを特徴とするTDIセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のTDIセンサにおいて、
前記電荷保持列は、前記電荷保持部としてキャパシタが並んだものであることを特徴とするTDIセンサ。
【請求項3】
請求項2に記載のTDIセンサにおいて、
前記電荷保持列は、前記第2方向における前記画像列の幅寸法よりも小さい幅寸法を有することを特徴とするTDIセンサ。
【請求項4】
請求項1に記載のTDIセンサにおいて、
前記電荷保持列は、前記画素列と同等の画素列であって各撮像素子の表面に光の入射を阻止する遮光部が形成されたものであることを特徴とするTDIセンサ。
【請求項5】
特定数かつ複数の照明条件で対象物を撮像するための撮像装置であって、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のTDIセンサであって前記受光部として一つの前記画素列と前記特定数から一を減算した数の前記電荷保持列とが交互に配列された受光部を備えるTDIセンサと、
前記TDIセンサに対して前記対象物を前記第2方向に相対移動させる移動手段と、
前記移動手段により移動させられる対象物を照明するとともにその照明条件を前記複数の照明条件に変更することが可能な照明手段と、
前記TDIセンサに対する前記対象物の相対移動中に、前記照明手段の照明条件が前記複数の照明条件に順番に切り換えられながら前記照明条件毎の対象物のライン画像が前記画素列の撮像素子により取り込まれるように前記TDIセンサの撮像タイミングおよび前記照明手段の照明条件の切り替えタイミングを制御するとともに、前記撮像タイミングに同期して前記電荷の転送が行われるように前記TDIセンサにおける前記電荷の転送タイミングを制御する撮像制御手段と、
前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち照明条件が互いに共通するライン画像に基づいて対象物の画像を生成することにより前記特定数の対象物の画像を生成する画像処理手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記照明手段は、前記照明条件として三原色それぞれの照明光を択一的に前記対象物に照射可能に構成されており、
前記画像処理手段は、対象物の前記複数の画像として三原色それぞれの画像を生成するとともに、これら三原色の画像を合成することによりカラー画像を生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、撮像ライン毎の画像として複数回露光されたライン画像を出力するTDIセンサであって、
第1方向に並びかつそれぞれ露光量に応じた電荷を生成して保持する複数の撮像素子を有する画素列を含み、これら画素列が前記第1方向と直交する第2方向に配列された受光部と、
前記画素列が保持する電荷を列単位で隣接する画素列に順次転送するとともに、前記ライン画像の信号として、前記転送により最終的に蓄積された電荷に対応する信号を出力する転送部と、を備え、
前記受光部は、前記第2方向に所定の順序で連続して並びかつ受光可能な波長域が互いに異なる複数の前記画素列からなる画素列群を一単位として、当該画素列群が前記第2方向に複数配列された構成を有することを特徴とするTDIセンサ。
【請求項8】
対象物を撮像して複数種類の画像を取得するための撮像装置であって、
請求項7に記載のTDIセンサと、
前記TDIセンサに対して前記対象物を前記第2方向に相対移動させる移動手段と、
前記移動手段により移動させられる対象物を照明する照明手段と、
前記TDIセンサに対する前記対象物の相対移動中に、対象物のライン画像が前記画素列の撮像素子により取り込まれるように前記TDIセンサの撮像タイミングを制御するとともに、TDIセンサの撮像動作後、次の撮像動作前に、各画素列群に属する各画素列の電荷が隣接する画素列群の対応する画素列にそれぞれ転送されるように前記電荷の転送タイミングを制御する撮像制御手段と、
前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち受光波長域が共通するライン画像に基づいて対象物の画像を生成することにより、前記画素列群が含む画素列の数に対応する数の対象物の画像を生成する画像処理手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像装置において
前記TDIセンサは、前記画素列群として三原色それぞれの光のみを受光可能な3つの画素列を含む画素列群を有し、
前記画像処理手段は、前記TDIセンサから出力される前記ライン画像のうち共通する色のライン画像に基づいて三原色それぞれの対象物の画像を生成するとともに、これら三原色の画像を合成することにより対象物のカラー画像を生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
部品を保持可能なヘッドと、
対象物として部品を撮像するための請求項5、6、8及び9の何れかに記載の撮像装置と、
前記ヘッドに保持されかつ前記撮像装置により撮像された前記部品の画像データに基づき前記ヘッドによる部品の保持状態を認識した上で当該部品を前記ヘッドにより基板上に移載する移載手段と、を含み、
前記撮像装置の前記移動手段は、前記ヘッドと前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものであり、
前記移載手段は、前記ヘッドを前記基板に対して相対的に移動させることにより前記部品を前記基板上に搭載する、ことを特徴とする部品実装装置。
【請求項11】
部品を保持可能なヘッドと、
対象物として部品を撮像するための請求項5、6、8及び9の何れかに記載の撮像装置と、
前記ヘッドに保持されかつ前記撮像装置により撮像された前記部品の画像データに基づき前記ヘッドによる部品の保持状態を認識した上で当該部品を前記ヘッドにより所定の検査部上に移載する移載手段と、を含み、
前記撮像装置の前記移動手段は、前記ヘッドと前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものであり、
前記移載手段は、前記ヘッドを前記検査部に対して相対的に移動させることにより前記部品を前記検査部に載置する、ことを特徴とする部品試験装置。
【請求項12】
対象物として印刷処理又は部品実装された基板を撮像するための請求項5、6、8及び9の何れかに記載の撮像装置と、
この撮像装置により撮像される検査対象箇所の画像に基づき印刷状態又は部品実装状態を認識する認識手段と、を含み、
前記撮像装置の前記移動手段は、前記基板と前記TDIセンサとを前記第2方向に相対的に相対移動させるものである、ことを特徴とする基板検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−33419(P2013−33419A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169959(P2011−169959)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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