説明

TNF−α産生抑制剤

【課題】安全性が高く、炎症性サイトカインであるTNF−αの産生を抑制する新規な薬剤を提供する。
【解決手段】特定の一般構造式で表されるフェルラ酸又はカフェイン酸の誘導体、バニリン酸又はプロトカテク酸の誘導体、カルコン誘導体、ジンゲロールもしくはその類縁体、例えばN−(β−フェネチル)フェルラミド、フェルロイルトリプタミン、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸3−フェニル−2−プロペニル、4’−ヒドロキシカルコン、[6]−ジンゲロールを活性成分として含有することを特徴とする動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品及び健康食品において有用な、炎症性サイトカインTNF-αの産生を抑制する薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
TNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインは、病原菌の侵入に対して免疫機能を賦活するなど本来は合目的な機能を有しているが、何らかの原因によって過剰に生産され続けるとリウマチ性関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、2型糖尿病などさまざまな疾病を引き起こす。そのため、このような病態においてTNF-αなど炎症性サイトカインの生産を抑制する薬剤が開発されており、イブプロフェンやインドメタシン等既存の抗炎症剤の他、サリドマイド誘導体(非特許文献1参照)、ピラゾロン誘導体(非特許文献2参照)、合成クロメン誘導体(非特許文献3参照)、スベリヒユ科植物のアルカロイド(特許文献1参照)、クロモン誘導体(特許文献2参照)、肝実質細胞増殖因子(特許文献3参照)などがあるが、これらの疾病は慢性的な経過をたどることが多く治療は長期化することから、経口摂取が可能で副作用がなく安全な化合物が特に求められている。このような観点から、乳蛋白の断片ペプチド(特許文献4参照)、甘草やショウガの抽出物(特許文献5)、ドコサヘキサエン酸等の高度不飽和脂肪酸(特許文献6,7参照)など食品成分が注目されているが、より活性の強い化合物や当該活性のさらなる増強が必要である。
【0003】
【特許文献1】特開2003-26586号公報
【特許文献2】特開2005-247762号公報
【特許文献3】特開2000-239182号公報
【特許文献4】特開2004-196707号公報
【特許文献5】WO2003/007974
【特許文献6】特表2006-511514号公報
【特許文献7】特開2000-159667号公報
【非特許文献1】S. Niwayama et al., J. Med. Chem., 39, 3044-3045, 1996
【非特許文献2】M.P. Clark et al., J. Med. Chem., 47, 2724-2727, 2004
【非特許文献3】J-F. Cheng et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 13, 3647-3650, 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上記現状に鑑み、安全性が高く、炎症性サイトカインであるTNF−αの産生抑制作用が十分に強く、抗炎症剤等として有用な新規な薬剤を開発する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討の結果、一般式(1)で示される化合物がマクロファージ様に分化した単球系培養細胞(急性単球性白血病細胞、THP-1)を大腸菌のリポ多糖(LPS)で刺激した時のTNF-α産生あるいは他の炎症性サイトカインの産生を抑制することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0006】
1)下記一般式(1)で示される化合物を活性成分として含有することを特徴とする、動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【化1】

(ただし、式1中、R1は水素原子、又はアルコキシ基、R2は水素原子、水酸基又はアルコキシ基、R3は水素原子、アルコキシ基又は分岐鎖を有する不飽和脂肪族炭化水素基、R4は水素又は水酸基をそれぞれ表し、Xは単結合、ビニレン基又はエチレン基を表し、Yはアミド基(-CO-NH-)、エステル基(−CO-O-)、又はカルボニル基(-CO-)を表し、Zは、水酸基により置換されているかあるいは非置換の炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基を表し、Qは水素原子、又は水酸基により置換されているかあるいは非置換の芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)

2) 一般式(1)で示される化合物が下記一般式(2)で示されるフェルラ酸又はカフェイン酸の誘導体であることを特徴とする、上記1)に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【化2】

(ただし、式2中、R1 とR2は水素原子、水酸基またはアルコキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基により置換されていてもよいフェニル基又インドリル基を表す。)

3) 一般式(1)で示される化合物が下記一般式(3)で示されるバニリン酸又はプロトカテク酸の誘導体であることを特徴とする、上記1)に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【化3】

(ただし、式3中、R1 とR2は水素原子、水酸基またはアルコキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基で置換されていてもよいフェニル基を表す。)

4)一般式(1)で示される化合物が下記一般式(4)で示されるカルコン誘導体であることを特徴とする上記1)に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【化4】

(ただし、式4中、R1は水素原子又はアルコキシ基、R2は水素原子又は分岐鎖を有する不飽和脂肪族炭化水素基、R3は水素又は水酸基を、それぞれ表し、R4は水素原子又は水酸基を表す。
5)一般式(1)で示される化合物が下記一般式(5)で示されるジンゲロールもしくはその類縁体であることを特徴とする、上記1)に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【化5】

(ただし、式5中、Zは炭素数4〜11の1価脂肪族炭化水素基を表す。)

6)一般式(2)で表される化合物が、N-(β-フェネチル)フェルラミド、フェルロイルトリプタミン、フェルロイルチラミン、β-フェネチルフェルレート、フェルラ酸3-フェニル-2-プロペニル、N-(β-フェネチル)カフェイン酸アミド、及びカフェイン酸フェネチルエステルから選ばれたものであることを特徴とする、上記2)に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。

7)一般式(3)で表される化合物が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル、プロトカテク酸3-フェニル-2-プロペニル及びシリンガ酸3-フェニル-2-プロペニルから選ばれたものであることを特徴とする、上記3)に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。

8)一般式(4)で表される化合物が、4’−ヒドロキシカルコン、イソリキリチゲニン、キサントフモール、及びキサントアンゲロールから選ばれたものであることを特徴とする、上記4)に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。

9)一般式(5)で表される化合物が、[6]-ジンゲロールであることを特徴とする、上記5)に記載のTNF−α産生抑制剤。

【発明の効果】
【0007】
本発明において使用する、一般式(1)で表される化合物は、動物の免疫細胞におけるTNF-α等の炎症性サイトカインの産生を抑制する。その結果、個体レベルでは関節リウマチや潰瘍性大腸炎等の慢性炎症疾患の症状を緩和させる効果を有する。
一方、炎症性サイトカインの産生抑制物質として知られている従来のピラゾール誘導体等の物質は、安全性、副作用の問題を抱えているのに対し、本発明のフェノール性化合物やカルコン誘導体は、従来から、園芸作物や漢方薬、プロポリス等健康増進剤の成分として、喫食あるいは服用されていたものが多く、本発明の薬剤は安全性が高いものといえる。
TNF-α等の炎症性サイトカインはリウマチや大腸炎ばかりでなく、肥満や誤嚥など色々な局面で過剰生産され、潜在的な疾病原因となっている。従って、このようなTNF−α等の炎症性サイトカインの恒常的なコントロールは健康維持にとり極めて重要な意義がある。本発明の薬剤は上述のように食品やそれに近縁する素材の成分で構成され安全性が高いため、日常的かつ長期の摂取が可能と考えられ、治療剤としてばかりでなく、健康維持機能性食品添加物としても有用な薬剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のTNF−α産生抑制剤は、以下の一般式(1)で表される化合物を有効成分として含有するものである。
【化1】

(ただし、式1中、R1は水素原子、又はアルコキシ基、R2は水素原子、水酸基又はアルコキシ基、R3は水素原子、アルコキシ基又は分岐鎖を有する不飽和脂肪族炭化水素基、R4は水素又は水酸基をそれぞれ表し、Xは単結合、ビニレン基又はエチレン基を表し、Yはアミド基(-CO-NH-)、エステル基(−CO-O-)、又はカルボニル基(-CO-)を表し、Zは、水酸基により置換されているかあるいは非置換の炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基を表し、Qは水素原子、又は水酸基により置換されているかあるいは非置換の芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。
【0009】
本発明の一般式(1)の化合物をさらに具体的に示すと以下のとおりである。
a)下記一般式(2)で示されるフェルラ酸又はカフェイン酸の誘導体。
【化2】

(ただし、式2中、R1 とR2は水素原子、水酸基またはアルコキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基により置換されていてもよいフェニル基又インドリル基を表す。)
【0010】
b)下記一般式(3)で示されるバニリン酸又はプロトカテク酸の誘導体。
【化3】

(ただし、式3中、R1 とR2は水素原子、水酸基またはアルコキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基で置換されていてもよいフェニル基を表す。)
【0011】
c)下記一般式(4)で示されるカルコン誘導体。
【化4】

(ただし、式4中、R1は水素原子又はアルコキシ基、R2は水素原子又は分岐鎖を有する不飽和脂肪族炭化水素基、R3は水素又は水酸基を、それぞれ表し、R4は水素原子又は水酸基を表す。
【0012】
d)下記一般式(5)で示されるジンゲロールもしくはその類縁体。
【化5】

(ただし、式5中、Zは炭素数4〜11の1価脂肪族炭化水素基を表す。)
【0013】
また、本発明に使用する一般式(1)で示される化合物のうち、好ましいものの化学構造を具体的に例示すると、以下の5〜20の化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【化6】

【0014】
これらの化合物の置換基を、一般式(1)中の置換基に対応させて以下に説明する。なお括弧内は、より具体的な一般式(2)〜(5)の中の該当する式の置換基と対応させたものである。
5の化合物(N-(β-フェネチル)フェルラミド);一般式(1)中、R2=- OMe, R1 = R= R= H, X =- CH=CH-, Y=-CO-NH-基、Z=-CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物(一般式(2)中、R1=-OMe, R2 = H, Y1 =-NH-, Z=-CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物)。
6の化合物(フェルロイルトリプタミン); 一般式(1)中、R2 =-OMe, R1 = R= R= H, X=-CH=CH-, Y=-CO-NH-基、Z=-CH2CH2-, Q = 3-インドリル基である化合物(一般式(2)中、R1 =-OMe,R2 = H, Y1 =-NH-, Z=-CH2CH2-, Q = 3-インドリル基である化合物)。
7の化合物(フェルロイルチラミン); 一般式(1)中、R2 =- OMe, R1 = R= R= H, X=-CH=CH-, Y=-CO-NH-基, Z =-CH2CH2-, Q = p-ヒドロキシフェニル基である化合物(一般式(2)中、R1=-OMe, R2 = H, Y1 =-NH-, Z =-CH2CH2-, Q = p-ヒドロキシフェニル基である化合物)。
8の化合物(β-フェネチルフェルレート); 一般式(1)中、R2 =-OMe, R1 = R= R= H, X=-CH=CH-, Y=-CO-O-基, Z=-CH2CH2-, Q =フェニル基である化合物(一般式(2)中、R1 =-OMe, R2 =H, Y1 =-O-, Z =-CH2CH2-, Q =フェニル基である化合物)。
9の化合物(フェルラ酸3-フェニル-2-プロペニル); 一般式(1)中、R2 =- OMe, R1 = R= R= H, X=-CH=CH-, Y=-CO-O-基, Z=-CH2CH=CH-, Q=フェニル基である化合物(一般式(2)中、R1 =-OMe,R2 = H,Y1 =-O-, Z=-CH2CH=CH-, Q =フェニル基である化合物)。
【0015】
10の化合物(N-(β-フェネチル)カフェイン酸アミド);一般式(1)中、R1 = R= R= H, R2 =- OH, X=-CH=CH-, Y =-CO-NH-基,Z=-CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物(一般式(2)中、R1 =-OH, R2 = H, Y1 =-NH-, Z=-CH2CH2-, Q =-C6H5である化合物)。
11の化合物(カフェイン酸フェネチルエステル); 一般式(1)中、R1 = R= R= H, R2 =- OH, X =-CH=CH-, Y =-CO-O-基, Z = -CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物(一般式(2)中、R1=-OH, R2 = H, Y1 =-O-, Z =-CH2CH2-, Q=-C6H5である化合物)。
12の化合物(カフェイン酸3-フェニル-2-プロペニル); 一般式(1)中、R1 = R= R= H,R2 = - OH, X =-CH=CH-, Y =-CO-O-基, Z =-CH2CH=CH-, Q=フェニル基である化合物(一般式(2)中、R1 =-OH, R2 = H,Y1 =-O-, Z=-CH2CH=CH-, Q =フェニル基である化合物)。
【0016】
13の化合物(4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル); 一般式(1)中、R2 =-OMe, R1 = R= R= H, X =単結合, Y=-CO-O-, Z =-CH2CH=CH-, Q =-C6H5である化合物(一般式(3)中、R1 =-OMe, R2 = H, Y1 =-O-, Z =-CH2CH=CH-, Q =-C6H5である化合物)。
14の化合物(プロトカテク酸3-フェニル-2-プロペニル);一般式(1)中、R1 =
R= R= H, R2 = - OH, X =単結合, Y=-CO-O-, Z =-CH2CH=CH-, Q =-C6H5である化合物(一般式(3)中、R1 =-OMe, R2 = H, Y1 =-O-, Z =-CH2CH=CH-, Q =-C6H5である化合物)。
15の化合物(シリンガ酸3-フェニル-2-プロペニル);一般式(1)中、R1 =R= H, R2 =R=- OMe, X=単結合, Y=-CO-O-, Z =-CH2CH=CH-, Q =-C6H5である化合物(一般式(3)中、R1 = R2 =-OMe, Y1 =-O-, Z =-CH2CH=CH-, Q =-C6H5である化合物)。
【0017】
16の化合物(4’-ヒドロキシカルコン);一般式(1)中、R1= R2 = R=R= H, X=単結合, Y=-CO-基, Z=-CH=CH-, Q=-C6H5である化合物(一般式(4)中、R1= R2 = R=R= H, である化合物)。
17の化合物(イソリキリチゲニン);一般式(1)中、R1 = R2 = R3 =H, R4 = -OH, X=単結合, Y=-CO-基, Z=-CH=CH-, Q=-p-OH-C6H5である化合物(一般式(4)中、R1 = =R2=H,R3 = R4= -OH である化合物)。
18の化合物(キサントフモール);一般式(1)中、R2 =H, R4 = -OH, R1 =-OMe,R3 = -CH2CH=C(CH3)2, X=単結合, Y=-CO-基, Z=-CH=CH-, Q=-p-OH-C6H5である化合物(一般式(4)中、R1 = -OMe, R3 = R4= -OH, R2= -CH2CH=C(CH3)2である化合物)。
19の化合物(キサントアンゲロール);一般式(1)中、R1 =R2=H,R4 = -OH, R3 = -CH2CH=C(CH3)CH2CH2CH=C(CH3)2, X=単結合, Y=-CO-基, Z=-CH=CH-, Q=-p-OH-C6H5である化合物(一般式(4)中、R1 =H, R3 = R4 =-OH, R2 = -CH2CH=C(CH3)CH2CH2CH=C(CH3)2,である化合物)。
20の化合物([6]-ジンゲロール); 一般式(1)中、R2 =- OMe, R1 = R3 = R4 = H, X=-CH2CH2-, Y=-CO-基, Z=-CH2CH(OH)(CH2)4CH2-, Q=Hである化合物(一般式(5)中、Z=-(CH2)3CH3である化合物)。
【0018】
本発明の上記フェルラ酸誘導体の代表例はフェルロイルトリプタミン(FATA)であり、この化合物の活性自体は既存の医薬品でありTNF-α抑制活性の知られているクロルプロマジン(M. Zinetti et al., Immunology, 86, 416-421, 1995)よりも弱いがイブプロフェンよりは強い。FATAはトウモロコシやベニバナの油糧種子に含まれており、FATAを有効成分とするTNF-α産生抑制剤の安全性は高い。FATAの他、N-(β−フェネチル)フェルラミド(FAPA)、フェルラ酸フェネチルエステル(FAPE)、フェルラ酸3-フェニル-2-プロペニル、カフェイン酸フェネチルエステル、カフェイン酸3-フェニル-2-プロペニル、カフェイン酸フェネチルアミド等、フェルラ酸あるいはカフェイン酸の誘導体はTNF-α産生抑制作用を示す。
【0019】
上記バニリン酸誘導体の代表例はバニリン酸3-フェニル-2-プロペニル、プロトカテク酸3-フェニル-2-プロペニル等であり、このようなバニリン酸エステルが、動物細胞におけるTNF-α産生を抑制することは本発明者により初めて見いだされたものである。
上記カルコン誘導体の代表例は、4’-ヒドロキシカルコン、イソリキリチゲニン、キサントフモール、キサントアンゲロール等であり、カルコン誘導体は、いずれも3〜10μM という低濃度で動物細胞におけるTNF-α産生を抑制する。
【0020】
上記したカルコン類のうち、キサントフモールはビールのホップに含まれ、キサントアンゲロールは明日葉に含まれ、イソリキリチゲニンは甘草に含まれ、いずれも従来から喫食されてきたものであり安全性は高い。キサントフモールについての動物における安全性試験のデータ(100mg/Kg・dayの投与でも安全;R. Hussong et al., Mol. Nutr. Food Res., 49, 861-867, 2005)やカルコン自体について急性毒性を示すLD50が500mg/Kgの高投与量とされていること(MSDSに収録)から、簡単な構造のモノヒドロキシカルコンも通常使用される濃度域では安全性は高いと考えられる。
【0021】
さらに、本発明で使用する、一般式(1)で示される化合物、すなわち、上記した、フェルラ酸又はカフェイン酸の誘導体、バニリン酸又はプロトカテク酸誘導体、カルコン誘導体、もしくはジンゲロール誘導体は、TNF-αの産生を抑制するほか、IL−6,IL−1β等の炎症性サイトカインの産生も抑制し、さらに動物細胞における一酸化窒素(NO)の産生も抑制する。一方、上記フェルラ酸誘導体やバニリン酸誘導体は、これらに加えて、インターロイキン8(IL-8)の産生も抑制する。
【0022】
これら化合物のTNF−α産生抑制作用を含め炎症性サイトカインの産生抑制作用は、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸あるいはそのグリセリドまたは低級アルキルエステルとの併用により全般的に顕著に増大され、さらに上記一酸化窒素(NO)の産生抑制作用も向上する。
【0023】
このような炭素数16〜22の不飽和脂肪酸は、2重結合の数が1〜6の天然に広く分布している脂肪酸であり、具体的には、
ドコサヘキサエン酸(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z-docosahexaenoic acid)、
(n-6)ドコサペンタエン酸(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z-docosapentaenoic acid)、
(n-3)ドコサペンタエン酸(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z-docosapentaenoic acid)、
エイコサペンタエン酸(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z-eicosapentaenoic acid)、
アラキドン酸(5Z,8Z,11Z,14Z-eicosatetraenoic acid)、
ステアリドン酸(6Z,9Z,12Z,15Z-octadecatetraenoic acid)、
ホモ-γ-リノレン酸(8Z,11Z,14Z-eicosatrienoic acid)、
α-リノレン酸(9Z, 12Z, 15Z-octadecatrienoic acid)、
γ-リノレン酸(6Z, 9Z, 12Z-octadecatrienoic acid)、
リノール酸(9Z,12Z-octadecadienoic acid)、
オレイン酸(9Z-octadecenoic acid)、
共役リノレン酸(10E, 12Z-octadecadienoic acid
又は9Z,11E-octadecadienoic acid)などが挙げられる。これらのうちでは、とりわけ魚油に含まれるドコサヘキサエン酸やエイコサペンタエン酸等の高度不飽和脂肪酸が、高いTNF―α等の炎症性サイトカイン産生抑制効果をもたらす。
【0024】
また、これらの不飽和脂肪酸はグリセリドであってもよく、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドのいずれでもよく、また、グリセロール中の不飽和脂肪酸の結合位置は1、2、3位のいずれでもよく、さらにジグリセリド、トリグリセリドの場合には当該不飽和脂肪酸以外の脂肪酸、例えばパルミチン酸やステアリン酸が結合していても良い、また、低級アルキルエステルとしてはエチルエステルの他に、メチル、プロピル、もしくはブチルエステルであってもても良い。
【0025】
一方、本発明に関わる一般式(1)で示される化合物のうち、フェルラ酸の誘導体は、天然から容易に抽出されるフェルラ酸やバニリン酸の適当な誘導体と、対応するアミンやアルコールを酸クロライド法やカルボジイミド法など公知の方法で縮合させることにより容易に製造できる。以下の実施例で用いたフェルロイルトリプタミン(FATA)等のフェノール性化合物の合成法は特開2005-225872、特願2005-61659、特願2005-218519に記載したところと同様である。カルコンやヒドロキシカルコン類も公知の方法で容易に合成できる。カルコン類のうち複雑な構造のキサントアンゲロール、[6]−ジンゲロール等、植物に豊富に含まれる化合物はそれらの植物から公知の方法で抽出製造される。例えばイソリキリチゲニンやリコカルコンAは甘草根から、ナリンゲニンカルコンはトマト果実から、キサントフモールはホップから、キサントアンゲロールやヒドロキシデリシンは明日葉の根、茎から、[6]−ジンゲロールはショウガ根茎から公知の方法で容易に抽出製造される。この場合、不都合な夾雑物がない限り、粗抽出物や部分精製品として用いることもできる。抽出は水やエタノールで容易に行なえる。本発明に用いる場合、一般式(1)の化合物の添加量は化合物の種類、精製の方法や程度、求められる効果の程度により、生理的に安全な範囲で加減する。例えば式2の化合物の添加量は飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり数mg以下とするが、総摂取量や摂取形態に応じて、生理的に安全な範囲内で適宜増減する。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
ヒトTHP-1急性単球性白血病細胞(大日本製薬株式会社より購入)を10%の牛胎仔血清(FBS)を含むRPMI-1640培地で前培養後、1 x 105 cells/mlの懸濁液とし、0.1μMのphorbol 12-myristate 13-acetate (PMA) を添加してから0.1mlづつ96-wellプレートに分注した。2日間培養後、細胞がマクロファージ様に分化し底面に張り付いたことを検鏡・確認してから、各ウェルの培地を10μM のドコサヘキサエン酸(DHA、Cayman社製)を加えたかもしくは加えていない10%FBS入り新鮮培地の0.2mlづつに交換した。次いで各ウェルの培地に所定濃度(1〜10mM)のサンプルのエタノール溶液またはエタノールのみを2μl添加し、さらに3時間培養した。次いで、大腸菌細胞膜のリポ多糖(0127:B8、Sigma社製)を32μg/mlの濃度で含むリン酸緩衝液の6μlづつを各ウェルに添加し、20時間培養した。培地を回収し、ELISAキット(Endogen社製)でTNF-α濃度を測定した。培地を回収後ウェルに残った細胞は0.2%クリスタルバイオレット−20%メタノール液で染色し、十分水洗後、1%SDS水溶液の0.1mlづつを各ウェルに加えて色素を溶出させプレートリーダー(595nm)で吸光度を測定して細胞数の指標とした。
【0027】
使用したサンプルのうち、Ibp(イブプロフェン、東京化成製)、Cpz,(クロルプロマジン、和光純薬製)、4’-OH-Chal(4’-ヒドロキシカルコン、和光純薬製)、Xhum(キサントフモール、Alexis社製)、Isoliq(イソリキリチゲニン、Extrasynthese社製)、Ging([6]-ジンゲロール、和光純薬製)、CAPE(カフェイン酸フェネチルエステル、和光純薬製)はそれぞれ記載したメーカーから購入した。Xang(キサントアンゲロール)は明日葉の茎、根から文献(小澤 貢ら、薬学雑誌、98、210-214、1978)の方法で抽出、精製、結晶化し、機器分析で構造を確認したものを使用した。フェルラ酸とバニリン酸の誘導体[N-(β-フェネチル)フェルラミド(FAPA)、フェルロイルトリプタミン(FATA)、フェルロイルチラミン(Fer-Tyr)、β-フェネチルフェルレート(FAPE)、フェルラ酸3-フェニル-2-プロペニル(Fer-oCinn)、N-(β-フェネチル)カフェイン酸アミド(CAPA)、カフェイン酸3-フェニル-2-プロペニル(Caff-oCinn)、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル(Va-oCinn)、プロトカテク酸3-フェニル-2-プロペニル(Prot-oCinn)、及びシリンガ酸3-フェニル-2-プロペニル(Syr-oCinn)]は特開2005-225872と特願2005-218519において記載した方法で合成した。
【0028】
結果を図1、図2、及び図3に示す。培養液中のサンプルの濃度(μM)は図中に示してある。これらの結果から、フェルラ酸誘導体のFATAやカルコン類等各種のフェノール性化合物が図中に表示された範囲で濃度依存的にTNF-αの産生を抑制し、さらに、培地にドコサヘキサエン酸が同時に添加されていると一層強く抑制することがわかる。なお、図1のBに示すように、細胞数の指標となる色素濃度は実験終了後にコントロールとサンプル間で通常10%以下しか違いがなかったことから、TNF-α産生の大きな低下は細胞の逸失によるものではないことが確認された。
【実施例2】
【0029】
ドコサヘキサエン酸の代わりにエイコサペンタエン酸(EPA、Cayman社製)とα−リノレン酸(和光純薬製)を用いて実施例1と同様の実験を行なった。結果を図4に示す。この結果から、カルコン類やフェルラ酸誘導体によるTNF-α産生抑制作用がエイコサペンタエン酸やリノレン酸でも増強されることが確認された。
【0030】
〔参考例1〕
フェルラ酸誘導体、カルコン類、及び各種のフェノール性化合物を用いて実施例1と同様の実験を行ない、回収した培地中のインターロイキン6(IL-6)及びインターロイキン1β(IL-1β)の濃度をELISAキット(Endogen社製)で測定した。結果を図5と図6に示すが、これらの炎症性サイトカインの産生もFATAやキサントフモールで抑制され、さらに、この場合もドコサヘキサエン酸を併用すると一層強く抑制されることがわかる。
【0031】
〔参考例2〕
炎症反応のシグナル分子として一酸化窒素(NO)も重要な役割を果たしており、NOの産生抑制も炎症の抑制につながる。マウスRAW264マクロファージ細胞株(理化学研究所から購入)を10%FBS入りのDMEM培地で前培養し、トリプシン処理で回収して2 x 105 cells/mlの懸濁液とし、0.2mlづつ96-ウェルプレートに植え込んだ。2日間培養後、各ウェルの培地を10μM のドコサヘキサエン酸を加えたかもしくは加えていない10%FBS入り新鮮培地の0.2mlづつに交換した。次いで各ウェルの培地に所定濃度(1〜10mM)のサンプルのエタノール溶液またはエタノールのみを2μl添加し、さらに3時間培養した。次いで、330μg/mlの大腸菌細胞膜リポ多糖(0127:B8、Sigma社製)、3.2μg/mlのアルギニン、及び0.32μg/mlのIFN-γを含む水溶液を6μlづつ各ウェルに添加し、20時間培養した。培地を回収し、培地中でNOから転換生成した亜硝酸イオンをグリース試薬(Sigma社製)で定量した。また、細胞は実施例1と同様にクリスタルバイオレットで染色し吸光度を測定して細胞数の指標とした。図7のAに示した結果から、フェルラ酸誘導体やカルコン類がLPSで刺激されたマクロファージ細胞におけるNO産生を抑制すること、さらに、ドコサヘキサエン酸が同時に添加されると一層強く抑制することがわかる。なお、図7のBに示すように、細胞数の指標となる色素濃度は実験終了後にコントロールとサンプル間で通常10%以下しか違いがなかったことから、NO産生の大きな低下は細胞の逸失によるものではないことが確認された。
【0032】
〔参考例3〕
実施例1と同様にしてTHP-1細胞を培養し、サンプルを添加後、リポ多糖(0127:B8)で刺激しさらに22時間培養した。回収した培地中のインターロイキン8(IL-8)の濃度をELISAキット(Endogen社製)で測定した。結果を図8に示すがフェルラ酸誘導体によりIL-8の産生が抑制されることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】Aはフェルラ酸誘導体とカルコン類及びそれらとドコサヘキサエン酸(DHA)の組合せによりTHP-1細胞におけるTNF-α産生が抑制されることを示すグラフである。縦軸の値は培地中のTNF-α濃度(2つのウェルの平均と標準偏差)であり、横軸に付した数字はサンプルの濃度(μM)である。Bは各ウェルの細胞をクリスタルバイオレットで染色し、洗浄後、色素を抽出して測定した吸光度(2つのウェルの平均と標準偏差)である。
【図2】フェルラ酸やカフェイン酸の誘導体とドコサヘキサエン酸の組合せによりTHP-1細胞におけるTNF-α産生が抑制されることを示すグラフである。縦軸の値はコントロールウェルにおけるTNF-α濃度を100としたときのサンプルウェルにおけるTNF-α濃度の相対値(2つのウェルの平均と標準偏差)であり、横軸に付した数字はサンプルの濃度(μM)である。
【図3】ジンゲロール(Ging)とカルコン類及びドコサヘキサエン酸の組合せによりTHP-1細胞におけるTNF-α産生が抑制されることを示すグラフである。縦軸の値はコントロールウェルにおけるTNF-α濃度を100としたときのサンプルウェルにおけるTNF-α濃度の相対値(2つのウェルの平均と標準偏差)であり、横軸に付した数字はサンプルの濃度(μM)である。
【図4】カルコン類とバニリン酸誘導体及びそれらとエイコサペンタエン酸(EPA)又はα-リノレン酸の組合せによりTHP-1細胞におけるTNF-α産生が抑制されることを示すグラフである。縦軸の値は培地中のTNF-α濃度(2つのウェルの平均と標準偏差)であり、横軸に付した数字はサンプルの濃度(μM)である。図中でPUFAなしとはエイコサペンタエン酸もα-リノレン酸も添加されていないことを示す。
【図5】フェルラ酸誘導体とカルコン類及びそれらとドコサヘキサエン酸の組合せによりTHP-1細胞におけるIL-6産生が抑制されることを示すグラフである。縦軸の値は培地中のIL-6濃度(2つのウェルの平均と標準偏差)であり、横軸に付した数字はサンプルの濃度(μM)である。
【図6】フェルラ酸誘導体とカルコン類及びそれらとドコサヘキサエン酸の組合せによりTHP-1細胞におけるIL-1β産生が抑制されることを示すグラフである。縦軸の値はコントロールウェルにおけるIL-1β濃度を100としたときの各ウェルにおけるIL-1β濃度の相対値(2つのウェルの平均と標準偏差)であり、横軸に付した数字はサンプルの濃度(μM)である。
【図7】Aはフェルラ酸誘導体とカルコン類及びそれらとドコサヘキサエン酸の組合せによりマウスマクロファージRAW264細胞におけるNO産生が抑制されることを示すグラフである。縦軸の値はグリース試薬による発色の吸光度から求めたNOの相対生産量(LPSを加えたコントロールウェルの値を100%とする。各サンプルの各濃度について4ウェルの平均と標準偏差)であり、横軸に付した数字はサンプルの濃度(μM)である。Bは各ウェルの細胞をクリスタルバイオレットで染色し、洗浄後、色素を抽出して測定した吸光度(4つのウェルの平均と標準偏差)である。
【図8】フェルラ酸誘導体によりTHP-1細胞におけるIL-8産生が抑制されることを示すグラフである。縦軸の値はコントロールウェルにおけるIL-8濃度を100としたときのサンプルウェルにおけるIL-8濃度の相対値(2つのウェルの平均と標準偏差)であり、横軸に付した数字はサンプルの濃度(μM)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物を活性成分として含有することを特徴とする、動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【化1】

(ただし、式1中、R1は水素原子、又はアルコキシ基、R2は水素原子、水酸基又はアルコキシ基、R3は水素原子、アルコキシ基又は分岐鎖を有する不飽和脂肪族炭化水素基、R4は水素又は水酸基をそれぞれ表し、Xは単結合、ビニレン基又はエチレン基を表し、Yはアミド基(-CO-NH-)、エステル基(−CO-O-)、又はカルボニル基(-CO-)を表し、Zは、水酸基により置換されているかあるいは非置換の炭素数1〜20の2価脂肪族炭化水素基を表し、Qは水素原子、又は水酸基により置換されているかあるいは非置換の芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。)
【請求項2】
一般式(1)で示される化合物が下記一般式(2)で示されるフェルラ酸又はカフェイン酸の誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【化2】

(ただし、式2中、R1 とR2は水素原子、水酸基またはアルコキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基により置換されていてもよいフェニル基又インドリル基を表す。)
【請求項3】
一般式(1)で示される化合物が下記一般式(3)で示されるバニリン酸又はプロトカテク酸の誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【化3】

(ただし、式3中、R1 とR2は水素原子、水酸基またはアルコキシ基であり、Y1はイミノ基(NH)または酸素原子(O)であり、Zは炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基であり、Qは水素原子(H)、若しくは水酸基で置換されていてもよいフェニル基を表す。)
【請求項4】
一般式(1)で示される化合物が下記一般式(4)で示されるカルコン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【化4】

(ただし、式4中、R1は水素原子又はアルコキシ基、R2は水素原子又は分岐鎖を有する不飽和脂肪族炭化水素基、R3は水素又は水酸基を、それぞれ表し、R4は水素原子又は水酸基を表す。
【請求項5】
一般式(1)で示される化合物が下記一般式(5)で示されるジンゲロールもしくはその類縁体であることを特徴とする、請求項1に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【化5】

(ただし、式5中、Zは炭素数4〜11の1価脂肪族炭化水素基を表す。)
【請求項6】
一般式(2)で表される化合物が、N-(β-フェネチル)フェルラミド、フェルロイルトリプタミン、フェルロイルチラミン、β-フェネチルフェルレート、フェルラ酸3-フェニル-2-プロペニル、N-(β-フェネチル)カフェイン酸アミド、及びカフェイン酸フェネチルエステルから選ばれたものであることを特徴とする、請求項2に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【請求項7】
一般式(3)で表される化合物が、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸3-フェニル-2-プロペニル、プロトカテク酸3-フェニル-2-プロペニル及びシリンガ酸3-フェニル-2-プロペニルから選ばれたものであることを特徴とする、請求項3に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【請求項8】
一般式(4)で表される化合物が、4’−ヒドロキシカルコン、イソリキリチゲニン、キサントフモール、及びキサントアンゲロールから選ばれたものであることを特徴とする、請求項4に記載の動物細胞におけるTNF−α産生抑制剤。
【請求項9】
一般式(5)で表される化合物が、[6]-ジンゲロールであることを特徴とする、請求項5に記載のTNF−α産生抑制剤。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−106013(P2008−106013A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291740(P2006−291740)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】