説明

Tie2インヒビターとしてのスルホンアミド−大環状体類及びそれらの塩、それらの化合物を含んで成る医薬組成物、それらの調製方法及び使用

本発明は、下記一般式I:


[式中、R1、R2、R4、A、X、Y、Z及びmは本明細書に記載されるような意味を有する]で表されるスルホンアミド−大環状体類及びそれらの塩、スルホンアミド−大環状体類を含んで成る医薬組成物、及びスルホンアミド−大環状体類の調製方法、並びに異常調節された血管増殖の疾病、又は異常調節された血管増殖に付随する疾病の処理のための医薬組成物(ここで、前記化合物類は、アンジオポイエチンを効果的に妨げ、そして従って、Tie2シグナル化に影響を及ぼす)の製造のためへのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホンアミド−大環状体類及びそれらの塩、スルホンアミド−大環状体類を含んで成る医薬組成物、スルホンアミド−大環状体類の調製方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
異常調節された血管増殖を有する疾病、例えば癌を打破するために、種々の方法が開発された。1つの可能な方法は、腫瘍脈管形成が固形腫瘍の増殖のための必要条件であるので、腫瘍組織への脈管形成の遮断である。
【0003】
脈管形成は、血管形成の他に、血管形成の間、2種の基本的工程の1つを表す。血管形成は、胚増殖の間、血管の新形成を示し、ここで脈管形成は存在する脈管構造の成長又は分裂による脈管構造の新形成を記載する。内皮細胞上に発現される2種の受容体、すなわちVEGF−(血管内皮増殖因子)及びTie−受容体(また、tekと呼ばれる)は、血管のような脈管組織の通常の成長のために必須であることが見出されている(Dumontなど., (1994))。内皮受容体チロシンキナーゼTie2における優性−陰性及び標的化されたヌル突然変異は、胚の脈管形成における決定的な役割を示す(Genes Dev, 8:1897-909; Sato など.: "Distinct roles of the receptor tyrosine kinases Tie-1 and Tie-2 in blood vessel formation" Nature. 1995, JuI 6; 376(6535):70-4.)。
【0004】
Tie2シグナル化の機構は、異なった研究者により特徴づけられており、ここで異なったアンジオポイエチンが関与することが見出されている。その結果、アンジオポイエチン−1は、Tie2−受容体の細胞外ドメインに結合される場合、自己リン酸化を刺激し、そして細胞内キナーゼドメインを活性化することが説明され得る。しかしながら、Tie2のアンジオポイエチン−1活性化は、有糸分裂を刺激しないが、しかしむしろ移動を刺激する。
【0005】
アンジオポイエチン−1は、アンジオポイエチン−1介在性Tie2活性化及びその得られる内皮移動を阻止する。これは、アンジオポイエチン−2がTie2活性化の天然に存在するインヒビターであることを示す(Maisonpierre など. : "Angiopoietin-2, a natural antagonist for Tie2 that disrupts in vivo angiogenesis". Science. 1997, JuI 4; 277(5322):55-60; Witzenbichler など.:Chemotactic properties of angiopoietin-1 and -2, ligands for the endothelial-specific receptor tyrosine kinase Tie2". J Biol Chem. 1998, JuI 17; 273(29): 18514-21)。全体的には、Peters など. (Peters など. : "Functional significance of Tie2 signalling in the adult vasculature". Recent Prog Horm Res. 2004; 59:51 -71. Review.)により改良された図1を参照のこと。
【0006】
受容体二量体化は、特定のチロシン残基上での交差−リン酸化をもたらす。受容体交差−リン酸化は次の2重効果を有する:1つは受容体のキナーゼ活性を増強し、そして他の1つはリンチロシン結合ドメイン(SH2及びPTBドメイン)を有する分子のシグナル化のための結合部位を提供する(Pawson T.: "Regulation and targets of receptor tyrosine kinases". Eur J Cancer. 2002, Sep, 38 Suppl 5:53-10. Review)。
【0007】
PI3−K経路とDok-R経路との間のシグナル化クロストークが、Tie2の下流の最適な走化性応答のために必要とされる。他の最近の研究は、PI3−K/Akt経路のTie2介在性活性化が内皮酸化窒素シンターゼ(eNOS)活性化、集中性付着キナーゼ活性化、及びプロテアーゼ分泌(それらのすべては、脈管形成の間、重要なことには、Tie2機能に寄与することができる)のために必要とされることを示している(Kim I. など.: "Angiopoietin-1 regulates endothelial cell survival through the phosphatidylinositol 3'-Kinase/Akt signal transduction pathway". Circ Res.2000, Jan 7-21 ; 86(1 ):24-9; Babaeiなど. : "Angiogenic actions of angiopoietin-1 require endothelium-derived nitric oxide". Am J Pathol. 2003,Jun; 162(6):1927-36)。
【0008】
通常の展開に関しては、受容体と、いわゆるリガンドとの間の平衡化された相互作用が必要である。特に、Tie2受容体を通してシグナルを送るアンジオポイエチンは、脈管形成において重要な役割を演じる(Babaeiなど., 2003)。成人脈管構造におけるTie2の広い発現が、Tie2プロモーター駆動のレポーターを用いて、トランスジェニックマウスにおいて確かめられている(Schlaeger など. : "Uniform vascular-endothelial-cell-specific gene expression in both embryonic and adult transgenic mice". Proc Natl Acad Sci U S A. 1997, Apr 1 ; 94(7):3058-63; Motoike など. : "Universal GFP reporter for the study of vascular development". Genesis. 2000, Oct; 28(2):75-81)。
【0009】
免疫組織化学分析は、脈管形成を受ける成熟ラット組織におけるTie2の発現を示した。卵巣卵胞形成の間、Tie2は、成長する黄体の新生脈管において発現された。アンジオポイエチン−1及びアンジオポイエチン−2はまた、黄体において発現され、そしてアンジオポイエチン−2は、増殖する血管の進行性端に局在化し、そしてアンジオポイエチン−1は前記進行性端の後部で拡散的に局在化した(Maisonpierreなど., 1997)。Tie2活性化のアンジオポイエチン−2−介在性阻害が血管を“不安定化する”よう作用し、それを他の脈管形成増殖因子、例えばVEGFに対して応答性にすることが示唆された。従って、Tie2のアンジオポイエチン−1介在性活性化が新生脈管構造の安定化を誘発する。
【0010】
Tie2機能の破壊は、血管異常性の結果として初期の胚の致死をもたらすトランスジェニックマウスにおける新生脈管形成についてのTie2の関連性を示す(Dumontなど., 1994; Satoなど., 1995)。Tie2-/-胚は、血管の枝分かれ及び分化の失敗を示す、正常血管段階に成長しなかった。Tie2-/1胚は、減少する内皮細胞、及びさらに、内皮細胞とその下層の周皮細胞/平滑筋細胞との間の低い接触性を有する。これは、新しく形成される脈管構造の成熟及び安定における役割を意味する。
【0011】
トランスジェニック又は切除されたTie2遺伝子を有するマウスにおける研究は、胚及び成熟脈管構造における血管成長の成熟におけるTie2についての決定的役割を示す。Tie2ヌル対立遺伝子に対してホモ接合性であるマウスの内皮におけるTie2の条件発現は、Tie2のヌル表現型の胚致死性を助けた(Jones N など. : "Tie receptors: new modulators of angiogenic and lymphangiogenic responses." Nat Rev MoI Cell Biol. 2001 Apr; 2(4):257-67. Review)。機能的アンジオポイエチン−1発現を欠いているマウス及びアンジオポイエチン−2を過剰発現するマウスは両者とも、Tie2-/-マウスに類似する表現型を示した(Suri など.: "Requisite role of angiopoietin-1 , a ligand for the Tie2 receptor, during embryonic angiogenesis." Cell. 1996 Dec 27; 87(7): 1171 -80; Maisonpierre PC など.: "Angiopoietin-2, a natural antagonist for Tie2 that disrupts in vivo angiogenesis. Science. 1997 JuI 4; 277(5322):55-60)。
【0012】
アンジオポイエチン-2-/-マウスは、リンパ管構造の増殖及びパターン化において十分な欠陥を有し、そして新生児レンズのヒアリン脈管構造を再造形せず、そして退行する(Gale など. : "Angiopoietin 2 is required for postnatal angiogenesis and lymphatic patterning, and only the latter role is rescued by Angiopoietin-1 ". Dev Cell. 2002, Sep; 3(3):411 -23)。アンジオポイエチン−1は、リンパ欠陥を助けるが、しかし血管再造形欠陥は助けなかった。従って、アンジオポイエチン−2は、血管においてはTie2アンタゴニストとして機能するが、しかし成長するリンパ管においてはTie2アゴニストとして機能する。
【0013】
Tie2はまた、病理学的脈管形成において役割を演じる。Tie2における突然変異は遺伝により受け継がれた静脈奇形を引き起こし、そしてリガンド依存性及びリガンド無関係Tie2キナーゼ活性の両者を増強することが示されている(Vikkula など. : "Dysmorphogenesis caused by an activating mutation in the receptor tyrosine kinase Tie2". Ce//. 1996, Dec 27; 87(7): 1181 -90)。Tie2発現は、ヒト乳癌腫瘍検体において調べられ、そしてTie2発現は、正常乳組織及び乳癌組織の両者において、血管内皮に見出された。Tie2−陽性腫瘍微小血管の割合は、正常な乳組織に比較して、腫瘍において高められた(Peters KG など. : "Expression of Tie2/Tek in breast tumour vasculature provides a new marker for evaluation of tumour angiogenesis. Br J Cancer. 1998, 77(1 ):51 -6)。
【0014】
腫瘍モデルにおけるアンジオポイエチン−1の過剰発現は、低められた腫瘍増殖をもたらした。その効果は、脈管形成刺激に対して血管を耐性にする、腫瘍脈管構造のアンジオピエチン−1介在性安定化にたぶん関連している(Hayes et [alpha]/. : "Expression and function of angiopoietin-1 in breast cancer". Br J Cancer. 2000, Nov; 83(9):1154-60; Shim など. : "Inhibition of angiopoietin-1 expression in tumour cells by an antisense RNA approach inhibited xenograft tumour growth in immunodeficient mice", lnt J Cancer. 2001 , Oct 1 ; 94(1 ):6-15; Shim など. : "Angiopoietin 1 promotes tumour angiogenesis and tumour vessel plasticity of human cervical cancer in mice". Exp Cell Res. 2002, Oct 1; 279(2):299-309; Hawighorst など. : "Activation of the Tie2 receptor by angiopoietin-1 enhances tumour vessel maturation and impairs squamous cell carcinoma growth". Am J Pathol. 2002, Apr;160(4):1381 -92.; Stoeltzing など.:"Angiopoietin-1 inhibits vascular permeability, angiogenesis, and growth of hepatic colon cancer tumours". Cancer Res. 2003, Jun 15; 63(12):3370-7)。
【0015】
腫瘍細胞ならし培地により誘発された角膜脈管形成が、VEGFの存在にもかかわらず、組換えsTieにより阻害された。乳癌増殖は、組換えsTie2により、皮膚チャンバー腫瘍モデルにおいて有意に阻害された(Lin など. : "Inhibition of tumour angiogenesis using a soluble receptor establishes a role for Tie2 in pathologic vascular growth". J Clin Invest. 1997,Oct 15;100(8):2072-8; Lin など. : "Antiangiogenic gene therapy targeting the endothelium-specific receptor tyrosine kinase Tie2". Proc Natl Acad Sci U S A. 1998, JuI 21 ; 95(15):8829-34)。
【0016】
類似するsTie構造体は、異なった腫瘍モデルにおいて比較できる効果を示した(Siemeisterなど. : "Two independent mechanisms essential for tumour angiogenesis: inhibition of human melanoma xenograft growth by interfering with either the vascular endothelial growth factor receptor pathway or the Tie-2pathway". Cancer Res. 1999, JuI 1 ; 59(13):3185-91 ; Stratmann など.: "Differential inhibition of tumour angiogenesis by Tie2 and vascular endothelial growth factor receptor-2 dominant-negative receptor mutants". lnt J Cancer. 2001 , Feb 1 ; 91 (3):273-82; Tanaka など. : "Tie2 vascular endothelial receptor expression and function in hepatocellular carcinoma". Hepatology. 2002, Apr; 35(4):861 -7)。
【0017】
アンジオポイエチン−2とその受容体との相互作用が中和化抗−アンジオポイエチン−2モノクローナル抗体の適用により阻止される場合、実験腫瘍の増殖が再び効果的に阻害され得、これは、腫瘍脈管形成及び増殖におけるTie2の重要な役割を示唆する(Olinerなど. : "Suppression of angiogenesis and tumour growth by selective inhibition of angiopoietin-2". Cancer Cell. 2004, Nov; 6(5):507-16)。従って、Tie2経路の阻害が、病理学的脈管形成を阻害するであろう。
【0018】
受容体とリガンドとの相互作用に影響を与えるために、脈管形成が、遮断薬、例えば内皮細胞へのVEGFシグナルトランスダクションを妨げるアバスチン(Avastin)により阻止され得ることが示されている。
【0019】
アバスチンは、VEGFR介在性脈管形成シグナル化の遮断により腫瘍増殖インヒビターとして機能する、臨床学的に効果的な抗体である。従って、VEGFシグナル化による阻止が証明された臨床学的原理である。VEGF-Cは、VEGFR3を通してリンパ脈管形成を誘発する分子である。このシグナル経路の遮断は、リンパ水腫及び関連する疾病のように、リンパ脈管形成に関連する疾病を阻害する(Saharinen など.: "Lymphatic vasculature: development, molecular regulation and role in tumour metastasis and inflammation." Trends Immunol. 2004, Jul:25(7): 387-95. Review)・
【0020】
ピリミジン類及びそれらの誘導体は、種々の疾病のための治療剤として、時折記載されて来た。一連の最近公開された特許出願、例えばWO 2003/032994 A号、 WO 2003/063794 A号 及び WO 2002/096888 A号は、種々のタンパク質キナーゼのインヒビターとしてのそれらの使用を記載している。より特定には、一定のピリミジン誘導体、例えばベンズイミダゾール置換された2,4−ジアミノピリミジン(WO2003/074515A号)又は(ビス)アニリノ−ピリミジン(WO2003/066601A号)が、脈管形成に関与するタンパク質キナーゼのインヒビター、例えばVEGF又はTie2として開示されている。つい最近、ピリミジンが大環状環系の一部を構成するピリミジン誘導体が、それぞれCDK及び/又はVEGF(WO2004/026881A号)、又はCDK2及び/又はCDK5(WO2004/078682A号)のインヒビターであることが報告されている。
【0021】
インヒビター又は遮断薬としてのそのような既知物質の使用における特定の問題は、同時でのそれらの使用がしばしば、正常な成長組織及び増殖組織に対する所望しない細胞毒性副作用が伴うことである。これは、低い選択性であり、そして同時に、用量耐性問題である物質に起因する。
【発明の開示】
【0022】
従って、本発明の目的は、異常調節された血管増殖の疾病、又は異常調節された血管増殖に付随する疾病の処理のために有用である化合物を供給することである。さらに、従来技術の問題を回避するであろう、特に正常な増殖組織に対する低い毒性副作用を示すと共に、低濃度で内皮細胞移動を効果的に阻害する化合物が供給されるであろう。これはさらに、所望しない副作用を低めるであろう。
上記問題に対する解決は、スルホンアミド−大環状体由来の化合物及びその塩、スルホンアミド−大環状体の調製方法、前記スルホンアミド−大環状体を含む医薬組成物、薬剤としての前記化合物の使用、及び前記化合物による疾病の処理方法を提供することにより達成される。
【0023】
本出願は、下記一般式I:
【化1】

【0024】
[式中、Aは、フェニレン又はC6-ヘテロアリーレンであり;
Zは、O, S, NR3及びCHR3を含んで成る、好ましくはそれらから成る群から選択され;
R1, R2及びR3は、同じであっても又は異なっていても良く、そして水素及び-C1-C10-アルキルを含んで成る、好ましくはそれらから成る群から、お互い独立して選択され、ここで-C1-C10-アルキルは、置換されていないか、又はヒドロキシにより一又は多置換され;
R4は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、-C1-C6-アルキル、 -C1-C6- アルコキシ、 -NH-C1-C6-アルキル、 -N(C1-C6-アルキル)2、-(CH2)P-COR5、 -(CH2)P- NHCOR5、 -(CH2)P-NH-CO-NR5R6、-(CH2)P-NHS(O)2R5、-(CH2)P-CO-NR5R6 及び -O-(CH2)P-COR5を含んで成る、好ましくはそれらから成る群から選択され;
Xは、結合又はメチレンであり;
【0025】
Yは、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、-フェニレン-D-NH- COR5、 -フェニレン-D-NH-CONR5R6、 -フェニレン-D-NH-S(O)2R5、 -フェニレン-D-O-(CH2)P-COR5、 -フェニレン-D-O-(CH2)P-R7、-N-(R5- G)-ピペラジン-N'-イルメチル、 -N-(R7-SO2-)-ピペラジン-N'-イル、-オキシ-C6- C18-アリール、-オキシ-C5-C18-ヘテロアリール、-オキシ-(CH2)n-NH-COR5、-オキシ-(CH2)n-NH-CONR5R6、-オキシ-(CH2)n-NH-S(O)2R5、 -NH-(CH2)n-NH-COR5、-NH-(CH2)n-NH-CONR5R6、-NH-(CH2)n-NH-S(O)2R5及び-フェニレン- NH-E-CONR5R6を含んで成る、好ましくはそれらから成る群から選択され、ここでフェニレンは、置換されていないか、又はヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミノ、-C1-C6-アルキル、-C1-C6-アルコキシ、-NH-C1-C6-アルキル、-N(C1-C6-アルキル)2、-C1-C6- ハロゲンアルキル、-C1-C6-ハロゲンアルコキシ、-C1-C6-アルキルチオ 及び/又は-C1-C6-アルキルカルボニルにより、お互い独立して、一又は多置換され、そして−オキシ-C6-C18-アリール及びオキシ-C5-C18-ヘテロアリールは、置換されていないか、又はヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミノ、-C1-C6-アルキル、 -C1-C6-アルコキシ、 NH-C1 -C6-アルキル、N(C1-C6- アルキル)2、-C1-C6-ハロアルキル、 C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオ、 C1-C6-アルキルカルボニル、 -NH-S(O)2-R5、-NH-COR5、-NHCONR5R6、 -O-(CH2)P- COR5 及び/又は-O-(CH2)P-R5により、お互い独立して、一又は多置換され;
【0026】
Dは、結合、メチレン又はエチレンであり;
Eは、-CR8R9-であり、ここでR8及びR9は、同じであっても又は異なっていても良く、そして水素及びメチルを含んで成り、好ましくはそれらから成る群から、お互い独立して選択され;又はR8及びR9は3−〜10−員のメチレン鎖を一緒に形成し、ここで2個までのメチレン基が任意には、O, S及び/又はNR1により置換され;
Gは、-SO2-, -CONH-, 又は-C=Oであり;
【0027】
R5は、水素、及び-C1- C6-アルキル、-C2-C6-アルケニル、-C2-C6-アルキニル、-C3-C8-シクロアルキル、-(CH2)P- C6-C11-アリール及び -(CH2)P-C5-C10-ヘテロアリールを含んで成る群から選択された残基を含んで成る、好ましくはそれらから成る群から選択され、ここで前記残基は、置換されていないか、又はヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミノ、-C1-C6-アルキル、 - C1-C6-アルケニル、- C1-C6-アルキニル、- C1-C6-アルコキシ、 -NH- C1-C6-アルキル、-N(C1-C6-アルキル)2、 - C1-C6-ハロゲンアルキル、- C1-C6-ハロゲンアルコキシ、 - C1-C6-アルキルチオ、-S(O)-C1 -C6-アルキル、 -S(O)2- C1-C6- アルキル、 - C1-C6-アルキルカルボニル、フェニル、フェノキシ及び/又はピリジルによりお互い独立して、一又は多置換され、そして-C3-C8-シクロアルキルのC-主鎖のC原子は、中断されていないか、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子及び/又は1又は複数のC=0成分により、一又は多中断され、そして/又は1又は複数の二重結合は、C-主鎖に含まれ得;又はR5及びR6は3−〜10−員のメチレン鎖を一緒に形成し、ここで2個までのメチレン基がO, S及び/又は-NR1により置換され得;
【0028】
R6は、水素又は-C1-C10-アルキルであり、又はR5及びR6は3−〜10−員のメチレン鎖を一緒に形成し、ここで2個までのメチレン基がO, S及び/又は-NR1により置換され得;
R7は、-C6-C11-アリール又は-C5-C10-ヘテロアリールであり、ここで-C6-C11-アリール又は-C5-C10-ヘテロアリールは、置換されていないか、又はヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミノ、-C1-C6-アルキル、 -C1-C6-アルコキシ、 -NH-C1-C6-アルキル、 -N(C1-C6-アルキル)2、-C1-C6-ハロアルキル、-C1-C6-ハロアルコキシ、-C1-C6-アルキルチオ、-S(O)-C1 -C6-アルキル、- S(O)2-C1-C6-アルキル、-C1-C6-アルキルカルボニル、フェニル、フェノキシ及び/又はピリジルにより、一又は多置換され;
mは、3〜6であり;
nは、2又は3であり;そして
pは、0〜2である]
で表される化合物;及びその溶媒化合物、水和物、N−酸化物、異性体、ジアステレオマー、鏡像異性体及び塩に関する。
【0029】
本明細書において使用される場合、下記に及び請求の範囲に言及されるような用語は好ましくは、次の意味を有する:
本明細書において使用される場合、用語“アルキル”とは、好ましくは枝分かれ鎖及び枝なしのアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシル、並びにそれらの異性体として理解されるべきである。
【0030】
本明細書において使用される場合、用語“アルコキシ”とは、好ましくは枝分かれ鎖及び枝なしのアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソ−プロピルオキシ、ブチルオキシ、イソ−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソ−ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ及びドデシルオキシ、並びにそれらの異性体として理解されるべきである。
【0031】
本明細書において使用される場合、用語“シクロアルキル”とは、好ましくはシクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルとして理解されるべきである。窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子により単独で又は複数回、中断されるシクロアルキル成分は、例えばオキシラニル、オキセタニル、アジリジニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、トリチアニル及びチヌクリジニルを言及する。C-主鎖がそのC−主鎖に1又は複数の二重結合を含むシクロアルキル成分は、例えばシクロアルケニル、例えばシクロプロペニル、シクロブチニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル及びシクロヘプテニル(ここで、結合は二重又は単結合に供給され得る)を意味する。
【0032】
本明細書において使用される場合、用語“ハロゲン”とは、好ましくは弗素、塩素、臭素又はヨウ素として理解されるべきである。
本明細書において使用される場合、用語“アルケニル”とは、好ましくは枝分かれ鎖及び枝なしのアルケニル、例えばビニル、プロペン−1−イル、プロペン−2−イル、ブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブト−1−エン−3−イル、2−メチル−プロプ−2−エン−1−イル及び2−メチル−プロプ−1−エン−イルとして理解されるべきである。
【0033】
本明細書において使用される場合、用語“アルキニル”とは、好ましくは枝かわれ鎖及び枝なしのアルキニル、例えばエチニル、プロプ−1−イル−1−イル、ブト−1−イル−1−イル、ブト−2−イル−1−イル及びブト−3−イル−1−イルとして理解されるべきである。
本明細書において使用される場合、用語“アリール”とは、個々の場合、3〜12個の炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する基、例えばシクロプロペニル、シクロペンタジエニル、フェニル、トロピル、シクロオクタジエニル、インデニル、ナフチル、アズレニル、ビフェニル、フルオレニル、アントラセニル、等として定義され、フェニルが好ましい。
【0034】
本明細書において使用される場合、用語“アリーレン”とは、環式又は多環式芳香族基、例えばフェニレン、ナフチレン及びビフェニレンとして理解される。より特定には、用語“フェニレン”とは、オルト−、メタ−又はパラ−フェニレンとして理解される。好ましくは、これはメタ−フェニレンである。
【0035】
本明細書において使用される場合、用語“ヘテロアリール”とは、3〜16個の環原子、好ましくは5又は6又は9又は10個の原子を含んで成り、同一であっても又は異なっていても良い、少なくとも1つの酸素、窒素又は硫黄を含み、そして単環式、二環式又は三環式であり得、そしてさらに、個々の場合、ベンゾ縮合され得る、芳香族環系として理解される。
【0036】
好ましくは、ヘテロアリールは次のものから選択される:チエニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チア−4H−ピラゾリル、等、及びそれらのベンゾ誘導体、例えばベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、等;又はピリジル、ピラダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、等、及びそれらのベンゾ誘導体、例えばキノリニル、イソキノリニル、等;又はアゾシニル、インドリジニル、プリニル、等、及びそれらのベンゾ誘導体;又はシンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチピリジニル、プテリジニル、カルバゾイル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、キサンテニル、又はオキセピニル、等。
【0037】
本明細書において使用される場合、用語“ヘテロアリーレン”とは、好ましくは環式又は多環式芳香族基、例えば5員の複素芳香族基、例えばチオフェニレン、フラニレン、オキサゾリレン、チアゾリレン、イミダゾリレン、ピラゾリレン、トリアゾリレン、チア−4H−ピラゾリレン及びそれらのベンゾ誘導体、又は6員の複素芳香族基、例えばピリジニレン、ピリミジニレン、トリアジニレン及びそれらのベンゾ誘導体、例えばキノリニレン及びイソキノサニレンとして理解される。
【0038】
本明細書において使用される場合、用語“ハロゲンアルキル”又は“ハロゲンアルコキシ”とは、1又は複数の水素原子がそれぞれの量のハロゲン原子(用語“ハロゲン”とは、上記に定義される)により置換される、上記に定義されるような“アルキル"又は”アルコキシ"基を意味するものとして理解されるべきである。
【0039】
本明細書において使用される場合、用語“C1-C10”とは、本明細書を通して使用される場合、例えば“C1-C10−アルキル”の定義においては、1〜10個の有限数の炭素原子、すなわち1 , 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 又は10個の炭素原子を有するアルキル基を意味するものとして理解されるべきである。前記用語“C1-C10”は、次のように、そこに包含されるいずれかのサブレンジとして解釈されるべきであることが、さらに理解されるべきである:C1-C10 , C2-C9 , C3-C8 , C4- C7 , C5-C6 C1-C2 , C1-C3 , C1-C4 , C1-C5 , C1-C6 , C1-C7 , C1-C8 , C1-C9; 好ましくは C1-C2 , C1-C3 , C1-C4 , C1-C5 , C1-C6; より好ましくはC1-C3
【0040】
同様に、本明細書において使用される場合、“C1-C6−アルキル”、“C1-C6−アルコキシ”、“C1-C6−アルキルチオ”、“C1-C6−ヒドロキシアルキル”、“C1-C6アルコキシ−C1-C6−アルキル”、“−NH−C1-C6−アルキル”、“−N(C1-C6−アルキル)2”、“−S(O)2(C1-C6−アルキル)”及び“−C1-C6−アルカノイル”の定義において、本明細書を通して使用される場合、用語“C1-C6”とは、1〜6個の有限数の炭素原子、すなわち1,2,3,4,5又は5個の炭素原子を有するアルキル基として理解されるべきである。前記用語“C1-C6”は、次のように、そこに包含されるいずれかのサブレンジとして解釈されるべきであることが、さらに理解されるべきである:C1-C6 、C2-C5 、C3-C4、C1- C2、C1-C3、C1-C4、C1-C5、C1-C6;好ましくはC1-C2 、C1-C3 、C1-C4、C1- C5、C1-C6;より好ましくは、C1-C3
【0041】
同様に、本明細書において使用される場合、用語“C2-C6”とは、本明細書を通して使用される場合、例えば“C2-C6−アルケニル”及び“C2-C6−アルキニル”の定義においては、2〜6個の有限数の炭素原子、すなわち2, 3, 4, 5又は6個の炭素原子を有するアルケニル基又はアルキニル基を意味するものとして理解されるべきである。前記用語“C2-C6”は、次のように、そこに包含されるいずれかのサブレンジとして解釈されるべきであることが、さらに理解されるべきである:C2-C6 , C3-C5 , C3-C4 , C2- C3 , C2-C4 , C2-C5、 好ましくは C2-C3
【0042】
さらに、本明細書において使用される場合、“C3−C8−シクロアルキル”の定義において、本明細書を通して使用される場合、用語“C3-C8”とは、3〜8個の有限数の炭素原子、すなわち3,4,5,6,7又は8個の炭素原子、好ましくは5又は6個の炭素原子を有するシクロアルキル基として理解されるべきである。前記用語“C3-C8”は、次のように、そこに包含されるいずれかのサブレンジとして解釈されるべきであることが、さらに理解されるべきである:C3-C8 , C4-C7 , C5-C6 , C3- C4 , C3-C5 , C3-C6、C3-C7;好ましくは C5-C6
【0043】
さらに、本明細書において使用される場合、“C6-C11-アリール”の定義において、本明細書を通して使用される場合、用語“C6-C11”とは、7〜11個の有限数の炭素原子、すなわち6,7,8,9,10又は11個の炭素原子、好ましくは5,6又は10個の炭素原子を有するアリール基として理解されるべきである。
【0044】
前記用語“C6-C11”は、次のように、そこに包含されるいずれかのサブレンジとして解釈されるべきであることが、さらに理解されるべきである:C6-C11 , C7-C10 , C8-C9 , C9- C10;好ましくは C5-C6又はC9- C10。同様に、本明細書において使用される場合、“C5-C10-ヘテロアリール”の定義において、本明細書を通して使用される場合、用語“C5-C10”とは、5〜10個の有限数の炭素原子、すなわち5,6,7,8,9,又は10個の炭素原子、好ましくは5,6又は10個の炭素原子を有するヘテロアリール基として理解されるべきであり、それらの少なくとも1つの炭素原子が上記で定義されるようなヘテロ原子により置換される。前記用語“C5-C10”は、次のように、そこに包含されるいずれかのサブレンジとして解釈されるべきであることが、さらに理解されるべきである:C5-C10 , C6-C9 , C7-C8;好ましくは C5-C6又はC9- C10
【0045】
式Iの化合物(スルホンアミド−大環状体)は、一般式Iの化合物中の少なくとも1つの窒素が酸化され得ることにおいて、定義されるN−酸化物として存在することができる。
式Iの化合物(スルホンアミド−大環状体)は、溶媒化合物、特に水和物として存在することができ、ここで式Iの化合物は、化合物の結合格子の構造要素として、極性触媒、特に水を含むことができる。前記極性溶媒、特に水の量は、理論又は非理論比で存在することができる。理論的溶媒、例えば水和物の場合、それぞれ半(hemi)、半(semi)、一、1/2、二、三、四、五、等の溶媒化合物又は水和物が可能である。
【0046】
本明細書において使用される場合、用語“異性体”とは、他の化合物種と同じ数及びタイプの原子を有する化合物を言及する。2種の主要種類の異性体、構造異性体及び立体異性体が存在する。
本明細書において使用される場合、用語“構造異性体”とは、同じ数及びタイプの原子を有するが、しかし異なった順応で結合される化合物を言及する。機能的異性体、構造異性体、互変異体、原子価変異体が存在する。
【0047】
立体異性体においては、2種の異性体分子についての縮合される式が同一であるよう、原子は同じ手段で連続的に結合される。しかしながら、異性体は、原子が空間的に配置される手段において異なる。次の2種の主要サブクラスの立体異性体が存在する:単結合の回りでの回転を通して相互転換する配座異性体、及び容易に相互転換できない形状異性体。
【0048】
形状異性体は、鏡像異性体及びジアステレオマーから成る。鏡像異性体は、鏡像としてお互い関連する立体異性体である。鏡像異性体は、個々の中心が他の分子におけるその対応する中心の正確な鏡像である限り、いずれの数の立体中心でも含むことができる。それらの中心の1又は複数の中心が形状において異なる場合、それらの2種の分子はもはや鏡像ではない。鏡像異性体でない立体異性体は、ジアステレオマーと呼ばれる。異なった構成をまだ有するジアステレオマーは、もう1つのサンプルクラスのジアステレオマーであり、それらの最良に知られているものは単純なシス−トランス異性体である。
お互い異なったタイプの異性体を制限するためには、IUPAC Rules Section E (Pure Appl Chem 45, 11-30, 1976)を参照のこと。
【0049】
本明細書において使用される場合、用語“インビボ加水分解可能エステル”とは、カルボキシ又はヒドロキシ基を含む式(I)の化合物のインビボ加水分解可能エステルが例えば親酸又はアルコールを生成するためにヒト又は動物身体において加水分解される医薬的に許容できるエステルであるものとして理解される。
【0050】
カルボキシについての適切な医薬的に許容できるエステルは例えば、アルキル、シクロアルキル及び任意に置換されたフェニルアルキル、特にベンジルエステル、C1-C6アルコキシメチルエステル、例えばメトキシメチル、C1-C6アルカノイルオキシメチルエステル、例えばピバロイルオキシメチル、フタリジルエステル、C3-C8シクロアルコキシ−カルボニルオキシ−C1-C6アルキルエステル、例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソレン−2−オニルメチルエステル、例えば5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オニルメチル;及びC1-C6アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、例えば1−メトキシカルボニルオキシエチルを包含し、そして本発明の化合物におけるいずれかのカルボキシ基で形成され得る。
【0051】
ヒドロキシ基を含む式(I)の化合物のインビボ加水分解エステルは、無機エステル、例えばホスフェートエステル及びα−アシルオキシアルキルエーテル、及びエステルのインビボ加水分解の結果として、親ヒドロキシ基を付与するために分解する関連化合物を包含する。α−アシルオキシアルキルエーテルの例は、アセトキシメトキシ及び2,2−ジメチルプロピオニルオキシメトキシを包含する。ヒドロキシのための基を形成するインビボ加水分解可能エステルの選択は、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチル及び置換されたベンゾイル及びフェニルアセチル、アルコキシカルボニル(アルキルカーボネートエステルを得るための)、ジアルキルカルバモイル及びN−(ジアルキルアミノエチル)−N−アルキルカルバモイル(カルバメートを得るための)、ジアルキルアミノアセチル及びカルボキシアセチルを包含する。
【0052】
式Iの化合物(スルホンアミド−大環状体)は、遊離形又は塩形で存在することができる。本発明のスルホンアミド−大環状体の適切な医薬的に許容できる塩は例えば、十分に塩基性である本発明のスルホンアミド−大環状体の酸付加塩、例えば無機又は有機酸、例えば塩酸、臭酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸又はレイン酸による酸付加塩を包含する。さらに、十分に酢酸である本発明のスルホンアミド−大環状体の適切な医薬的に許容できる塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム又はマグネシウム塩、アンモニウム塩、又は生理学的に許容できるカチオンを付与する有機塩基との塩、例えばN−メチル−グルカミン、ジメチル−グルカミン、エチル−グルカミン、リシン、1,6−ヘキサジアミン、エタノールアミン、グルコサミン、サルコシン、セリノール、トリス−ヒドロキシ−メチル−アミノメタン、アミノプロパンジオール、Sovak−塩基、1−アミノ−2,3,4−ブタントリオールとの塩である。
【0053】
好都合なことには、Aは、フェニレンであり;R1, R2及びR3は、同じであっても又は異なっていても良く、そして水素及び-C1-C10-アルキルを含んで成る、好ましくはそれらから成る群から、お互い独立して選択され、ここで-C1-C10-アルキルは、置換されていないか、又はヒドロキシにより一又は多置換され;Zは、-NR3であり;そしてmは、3である、化合物が好ましい。
好都合なことには、Aは、フェニレンであり、R1及びR2は、水素原子であり、Zは、NHであり、mは、3であり、R4は、水素原子である、化合物が好ましい。
【0054】
Aがピリジニレンである化合物もまた好ましい。
さらに、下記の通りである、化合物がより好ましい:
Xが、結合であり、そしてYが、メチレンジオキシフェニル又はエチレンジオキシフェニルであり;又は
Xが、結合であり、そしてYが、-フェニレン-D-NH-COR5であり;又は
Xが、結合であり、そしてYが、-フェニレン-D-NH-CONR5R6であり;又は
Xが、結合であり、そしてYが、-フェニレン-D-NH- S(O)2R5であり;又は
Xが、結合であり、そしてYが、-フェニレン-D- O-(CH2)P-COR5であり、ここでDは結合又はメチレンであり;又は
【0055】
Xが、結合であり、そしてYが、-フェニレン- NH-E-CONR5R6 であり;又は
Xが、結合であり、そしてYが、-オキシ-C6-C18-アリールであり、ここで−オキシ-C6-C18-アリールは、置換されていないか、又はヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミノ、-C1-C6-アルキル、- C1-C6-アルコキシ、-NH-C1 -C6-アルキル、 -N(C1-C6-アルキル)2、-C1-C6-ハロアルキル、 - C1-C6-ハロアルコキシ、- C1-C6-アルキルチオ、-C1-C6- アルキルカルボニル、-NH-S(O)2-R5、-NH-COR5、-NHCONR5R6、-O-(CH2)P-COR5 及び/又は-O-(CH2)P-R5により、お互い独立して、一又は多置換され、好ましくは、-C6-C18-アリールが、フェニルであり、それはNH-COR5又は-NH-CONHR5により置換され;又は
Xが、結合又はメチレンであり、そしてYが、-N-(R5-G)-ピペラジン-N’-イルメチルであり;又は
Xが、結合又はメチレンであり、そしてYが、-N-(R7-SO2)-ピペラジン-N’-イルメチルであり;又は
【0056】
Xが、結合であり、そしてYが、-オキシ-(CH2)n-NH-COR5であり;又は
Xが、結合であり、そしてYが、-オキシ-(CH2)n-NH-CONR5R6であり;又は
Xが、結合であり、そしてYが、-オキシ-(CH2)n-NH- S(O)2R5であり;又は
Xが、結合であり、そしてYが、-NH-(CH2)n-NH-COR5であり;又は
Xが、結合であり、そしてYが、-NH-(CH2)n-NH-CONR5R6であり;又は
Xが、結合であり、そしてYが、-NH-(CH2)n-NH- S(O)2R5であり;さらに、A=フェニレン;Z=-NR3;及びm=3である、それらの化合物が好ましい。
【0057】
本発明の化合物は、異常調節された血管増殖の疾病、又は異常調節された血管増殖に付随する疾病の処理に使用され得る。特に、前記化合物は、脈管形成を効果的に妨げ、そして従って、Tie2シグナル化に影響を及ぼす。驚くべきことには、前記化合物はTie2シグナル化を阻止し、ここでTie2キナーゼ活性が阻止され、そして従来技術の物質よりも重要な利点である、低温度で内皮細胞以外の細胞に対して、まったくか又は非常に低い細胞毒性を示す。従って、この効果は、良好な耐性及び高い抗−脈管形成効能を提供する化合物による患者の延長された処理を可能にし、ここで持続的脈管形成が病理学的役割を演じる。
【0058】
従って、本発明の化合物は、新生脈管形成により付随する疾病の処理のために適用され得る。これは、すべての固形腫瘍、例えば乳、結腸、腎臓、肺及び/又は脳腫瘍を主に抑制し、そして広範囲の疾病に拡張され得、ここで病理学的脈管形成が持続する。これは、炎症関連の疾病、種々の形の水腫に関連する疾病、及び間質増殖及び病理学的間質反応に広く関連する疾病に適用される。脈管形成性炎症及び病理学的特長を有する間質工程が阻害され得る、婦人科疾患についての処理が特に好都合である。同時に、正常な増殖組織に対する毒性副作用は低い。従って、この処理は、新生脈管形成に関連する疾病を処理するために存在する防護への付加である。
【0059】
本発明の化合物は、腫瘍増殖が持続した脈管形成を伴う場合、前処理を伴って又はそれを伴わないで、特にすべての指標及び段階の固形腫瘍における腫瘍増殖及び転移の治療及び予防に使用され得る。しかしながら、それは腫瘍治療だけには制限されず、それはまた、異常調節された血管増殖を有する他の疾病の処理のためにも非常に価値がある。これは、網膜症及び眼の他の脈管形成依存性疾患(例えば、角膜移植片拒絶、年齢関連の黄斑変性)、リウマチ様関節炎、及び脈管形成に関連する他の炎症性疾患、例えば乾癬、遅延型過敏症、接触皮膚炎、喘息、多発性硬化症、再狭窄、肺高血圧、卒中、及び腸の疾患、例えばクローン病を包含する。それは、冠状及び抹消動脈疾患を包含する。
【0060】
それは、疾病状態、例えば腹水、水腫、例えば脳腫瘍関連の水腫、高所トラウマ、低酸素誘発された脳水腫、肺水腫及び黄斑水腫、又は火傷及び外傷に続く水腫のために適用され得る。さらに、それは、慢性肺疾患、成人性呼吸困難症候群のために有用である。また、骨吸収及び良性増殖性疾患、例えば筋腫、良性前立腺過形成、及び瘢痕形成の低下のための創傷治癒のためにも有用である。それは、フィブリン又は細胞外マトリックスの沈着が打膿であり、そして間質増殖が促進される疾病(例えば、繊維症、線維称、硬変手根トンネル症候群、等)の処理のために治療的に価値がある。さらに、それは、軸索の再結合を可能にする、損傷を受けた神経の再生の間の瘢痕形の低下のために使用され得る。さらに、子宮内膜症、前子癇、閉経後出血及び卵巣過剰刺激のために使用される。
【0061】
本発明の第2の観点は、式Iの化合物、又は医薬的に許容できるその塩、異性体又は異性体の混合物、並びに1又は複数の適切な賦形剤を含む医薬組成物である。この組成物は、上記に説明されるように、異常調節された血管増殖の疾病又は異常調節された血管増殖に付随する疾病の処理のために特に適切である。
【0062】
本発明の化合物が医薬製品として使用されるためには、前記化合物又はその混合物が、腸内、経口、又は非経口投与のための本発明の化合物に関しては、適切な医薬的に許容できる有機又は無機不活性塩基材料、例えば精製された水、ゼラチン、アラビアガム、ラクテート、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレングリコール、等を含む医薬組成物に供給され得る。
【0063】
医薬組成物は、固体形で、例えば錠剤、糖剤、座剤、カプセルとして、又は液体形で、例えば溶液、懸濁液又はエマルジョンとして供給され得る。さらに、医薬組成物は、補助物質、例えば保存剤、安定剤、湿潤剤又は乳化剤、浸透圧を調節するための塩又は緩衝液を含むことができる。
非経口投与(静脈内、皮下、筋肉内、血管内又は注入を包含する)に関しては、無菌注射溶液又は懸濁液、特にポリヒドロキシエトキシ含有ヒマシ油中、前記化合物の水溶液が好ましい。
【0064】
本発明の医薬組成物はさらに、界面活性剤、例えば胆汁酸、動物又は植物起源のリン脂質、それらの混合物、及びリポソーム及びその一部を含むことができる。
経口投与に関しては、タルク及び/又は炭化水素含有キャリヤー及び結合剤、例えばラクトース、トウモロコシ及びジャガイモ澱粉を含む錠剤、糖剤又はカプセルが好ましい。溶液形でのさらなる投与は、例えば必要な場合、甘味剤を含むジュースとして可能である。
【0065】
投与量は、投与の経路、患者の年齢、体重、処理される疾病の種類及び重症度、及び類似する要因に依存して変更されるであろう。毎日の用量は、0.5〜1,500mgの範囲である。用量は、単位用量として、又はその一部により投与され得、そして一定期間、分配され得る。従って、最適な投与は、いずれかの特定の患者を処理する実施者により決定され得る。
本発明のもう1つの観点は、本発明の化合物を調製するために使用され得る方法である。
次の表は、この段落に及び例のセクションに使用される略語を列挙する。NMRピーク形は、それらがスペクトルにおいて出現するように言及され、それよりも高い可能な程度の効果は考慮されなかった。
【0066】
【表1】

【0067】
次のスキーム及び一般方法は、本発明の一般式Iの化合物への一般的な合成路を示し、そしてそれらは制限するものではない。特定の例が続く段落に記載されている。従って、本発明の化合物は、金属触媒されたカップリング反応、例えばSuzuki, Heck又はSonogashiraカップリング、特に遷移金属、例えばCu, Pdにより触媒されるカップリング反応により、又は当業者に良く知られているアミノ化方法により、ハロゲン化された大環状体(A)から出発して、調製され得る。
【0068】
第1の一般的反応スキームが、下記に概略される:
【化2】

【0069】
スキーム1:第環状体Aのカップリング、例えばSuzuki又はUllmannカップリング、ここで大環状体AにおけるAは好ましくは、フェニレンであり、Zは-NR3であり、そしてmは3であり、ここで式Iにおいて、Xは結合であり、そしてYは例えば−フェニレン−D−NH−COR5、−フェニレン−D−NH−CONR5R6、−フェニレン−D−NH−S(O)2R5、−フェニレン−D−O−(CH2)p−COR5、−オキシ−C6−C11 −アリール、又は−オキシ−C5−C10−ヘテロアリールである。
【0070】
第2の特定の反応スキームが、下記に概略される:
【化3】

【0071】
スキーム2:大環状体Aのアミノ化、ここで大環状体AにおけるAは好ましくは、フェニレンであり、Zは-NR3であり、そしてmは3であり、そしてX-Yに関しては、式Iにおいて、Xは結合であり、そしてYは例えば、-NH-(CH2)n-COR5-、-NH-(CH2)n-CONR5R6、又は-NH-(CH2)n-S(O)2R5である。
ハロゲン化された大環状体Aの合成は、WO2004/026881A号に記載されており、そして特に臭素化された大環状体Aに関して、調製例Aとして、及びヨウ素化された大環状体Aに関して、調製例Bとして、本明細書に例示される。
【実施例】
【0072】
調製例A15−ブロモ−4−チア−2,5,9−トリアザ−1(2,4)−ピリミジナ−3(1,3)−ベンゼンアシクロノナファン−4,4−ジオキシドの調製
【化4】

【0073】
方法A
アセトニトリル/水/2−ブタノール(9.0ml/1.0ml/0.3ml)中、200mg(0.48mモル)の3−アミノ−N−[3−(5−ブロモ−2−クロロピリミジン−4−イルアミノ)−プロピル]−ベンゼンスルホンアミドの溶液を、アセトニトリル/水/ジオキサン中、塩酸の4M溶液(45ml/5ml/0.6ml)の還流混合物に、注射器ポンプを通して2.5時間以内に添加する。還流下でのさらに3時間後、油浴のスイッチを切り、そして反応溶液を室温で一晩、撹拌する。形成される沈殿物を濾過し、水により洗浄し、そして次に、真空下で乾燥する。112mg(0.31mモル)の生成物を得る。濾液を、回転蒸発器における蒸発により濃縮する。形成される沈殿物を、水により洗浄し、そして濾過する。乾燥の後、もう1つの45mg(0.12mモル)の生成物を得る。従って、生成物の合計終了は157mg(0.41mモル、85%の理論値に相当する)である。
【0074】
方法B
9.5mlのエタノール中、450mg(1.00mモル)のN−[3−(5−ブロモ−2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−プロピル]−3−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドの溶液を、960mgの塩化錫(II)と共に混合し、そして70℃で30分間、撹拌する。冷却の後、反応混合物を氷水に注射して添加し、そして1NのNaOH溶液により塩基性にした。それを酢酸エチル(3×)により抽出した。組み合わされた有機相を乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、そして蒸発により濃縮する。
【0075】
残存する残渣を、クロマトグラフィーにより精製する(酢酸エチル/ヘキサン4:1)。72mgの粗生成物を得る。それを1NのHClと共に混合し、そして酢酸エチルにより抽出する。無色の固形物が水性相から沈殿する。固形物を濾過し、そして乾燥する。20mg(0.05mモル、5%の理論値に相当する)の生成物を得る。
1H-NMR (DMSO): 10.45 (s, 1 H), 9.07 (s, 1 H), 8.35 (br, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.78 (t, 1 H), 7.45 (m, 2H), 7.32 (m, 1 H), 3.44 (m, 2H), 3.28 (m, 2H), 1.82 (m, 2H). MS: 384 (ES)。
【0076】
中間体生成物の生成
3−アミノ−N−[3−(5−ブロモ−2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−プロピル]−ベンゼンスルホンアミドの生成:
【化5】

【0077】
100mlのテトラヒドロフラン中、1.35g(2.99mモル)のN−[3−(5−ブロモ−2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−プロピル]−3−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドの溶液を、約10%の塩酸中、Ti(III )Cl3の15%溶液15mlと共に、室温でアルゴン下で混合する。17時間後、反応溶液を、前記Ti(III )Cl3溶液1mlと共に再び混合し、そしてさらに3時間、撹拌する。そのバッチを、1NのNaOH溶液により塩基性にし、そして次に濾過する。フィルターケークを、個々の場合、100mlの酢酸エチル/メタノール(30ml/20ml)により2度、再洗浄する。
【0078】
濾液を、回転蒸発器における蒸発により濃縮し、そして次に、酢酸エチル(2×)により抽出する。組み合わされた有機相をNaCl溶液により洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、そして蒸発により濃縮する。残存する残渣をクロマトグラフィーにより精製する(ジクロロメタン/メタノール95:5、Flashmaster II)。624mg(1.48mモル、49%の理論値に相当する)の生成物を得る。
1H-NMR (DMSO): 8.21 (s, 1 H), 7.63 (t, 1 H), 7.38 (t, 1 H), 7.13 (t, 1 H), 6.97 (m, 1 H), 6.83 (m, 1H), 6.71 (m, 1H), 5.53 (s, 2H), 3.30 (m, 2H), 2.75 (m, 2H), 1.65 (m, 2H)。
【0079】
調製例B15−ヨード−4−チア−2,5,9−トリアザ−1(2,4)−ピリミジナ−3(1,3)−ベンゼンアシクロノナファン−4,4−ジオキシドの調製
【化6】

【0080】
アセトニトリル/水/2−ブタノール(94ml/10.4ml/3.1ml)中、2.34g(5.00mモル)の3−アミノ−N−[3−(5−ヨード−2−クロロピリミジン−4−イルアミノ)−プロピル]−ベンゼンスルホンアミドの溶液を、アセトニトリル/水/ジオキサン中、塩酸の4M溶液(470ml/52ml/6.2ml)の還流混合物に、注射器ポンプを通して3時間以内に添加する。還流下でのさらに3時間後、それぞれの油浴の加熱のスイッチを切り、そして反応溶液を室温で一晩、撹拌する。形成される沈殿物を濾過し、アセトニトリルにより洗浄し、そして次に、真空下で乾燥し、1.71g(79%の収率)の所望する生成物を得る。
1H-NMR (DMSO, 300 MHz): 10.81 (s, 1 H), 9.02 (s, 1 H), 8.30 - 8.38 (m, 1 H), 8.27 (s, 1H), 7.82 (t, 1 H), 7.43 - 7.56 (m, 2H), 7.29 - 7.40 (m, 1H), 3.38 - 3.52 (m, 2H), 3.21 - 3.36 (m, 2H), 1.72 - 1.90 (m, 2H). ESI-MS: [M+H+] = 432。
【0081】
中間体生成物の生成
3−アミノ−N−[3−(5−ヨード−2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−プロピル]−ベンゼンスルホンアミドの生成:
【化7】

【0082】
660mlのテトラヒドロフラン中、9.95g(20.0mモル)のN−[3−(5−ヨード−2−クロロ−ピリミジン−4−イルアミノ)−プロピル]−3−ニトロ−ベンゼンスルホンアミドの溶液を、約10%の塩酸中、Ti(III )Cl3の15%溶液100mlと共に、室温でアルゴン下で混合する。2時間後、反応溶液を、前記Ti(III )Cl3溶液7mlと共に再び混合し、そしてさらに1時間、撹拌する。その混合物を、1NのNaOH溶液により塩基性(pH14)にし、そして次にセライト上で濾過する。濾液を、酢酸エチル(3×400)により抽出し、組み合わされた有機層をブライン(200ml)により洗浄し、そして真空下で濃縮する。フィルターケークを、500mlの酢酸エチル/メタノール(3:2)により4度、再洗浄し、続いて得られる画分を蒸発する。得られる残渣を組合し、そしてシリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し(ジクロロメタン/酢酸エチル)、5.42g(58%の収率)の標的化合物を得る。
【0083】
1H-NMR (DMSO): 8.31 (s, 1 H), 7.39 (t, 1H), 7.27 (t, 1 H), 7.16 (t, 1 H), 6.95 - 7.01 (m, 1H), 6.82 - 6.88 (m, 1 H), 6.68 - 6.76 (m, 1 H), 5.53 (s, 2H), 3.27 - 3.39 (m, 2H), 2.68 - 2.82 (m, 2H), 1.64 (me, 2H). ESI-MS: [M+H<+>] = 468 (35Cl シグナル; 37Cl同位体かまた十分に検出される)。
適切なカップリングパートナーは、市販されているか、又は当業者によく知られているスキーム3に示されるように単純な標準官能化方法により調製され得る:
【0084】
【化8】

【0085】
スキーム3:Suzukiカップリングのための構成単位の合成:
例1〜32を、Suzukiカップリングについての次の一般方法を用いて調製した:
一般方法1(GP1):Suzukiカップリング(典型的な規模:0.25mモル):
DMF(mモルのハロゲン化物当たり8ml)中、それぞれの大環状ハロゲン化物の溶液を、それぞれの有機硼素化合物(1.25当量)、K2CO3(2.5当量、固形物として又は2Mの水溶液として)、及びPOPd(2.5〜5モル)におり室温で処理した。得られる撹拌された混合物を、100℃に予熱された油浴中に配置した。反応の進行をTLCによりモニターし、そして2時間後、大環状ハロゲン化物の不完全なターンオーバーの場合、追加のPOPd及び有機硼素化合物を添加し、続いて100℃でさらに撹拌した。室温に冷却した後、水を添加し、そしてその得られる懸濁液を30分間、撹拌した。
【0086】
粗生成物を、真空濾過により単離し、真空下で乾燥し、そしてカラムクロマトグラフィーにより精製し、続いて任意には、メタノールと共に粉砕し、そして/又は分離用HPLC(例えば、YMC Pro C18RS 5μ、150×20mm、水/アセトニトリル中、0.2%HN3)により処理し、分析的に純粋な生成物を得た。他方では、十分な転換の後、反応混合物を、酢酸エチルにより希釈し、水により急冷した。層を分離し、有機層を酢酸エチルにより2度、抽出し、そして組み合わされた有機層を乾燥し、そして真空下で濃縮し、続いて、さらなる精製段階を、上記のようにして行った。
Suzukiカップリングのための基質として使用される、市販されていない有機硼素化合物の調製が次のセクションに記載される。
【0087】
一般方法GP2:ヒドロキシフェニルホウ素酸ピナコラートエステルのアルキル化(典型的な規模:0.5〜1mモル):
DMF中、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フェノールの溶液(4ml/mモル)を、K2CO3(1.2当量)、続いてそれぞれω−ブロモアセトフェノン(1.1当量)により、窒素雰囲気下で処理した。得られる混合物を室温で3時間、撹拌し、そして次に、蒸発乾燥した。残渣を酢酸エチルと水との間に分け、そして有機層を乾燥し、そして濃縮した。粗残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにゆだね、分析的に純粋な生成物を得た。
【0088】
次のホウ素酸ピナコラートエステル(中間体1〜6)を、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フェノール及び適切に置換されたω−ブロモアセトフェノンから、一般方法GP2に従って調製した。
【0089】
【表2】

【0090】
【表3】

【0091】
一般方法GP3:ウレア形成(典型的な規模:0.5〜2mモル):
DCM中、それぞれのアミノ−置換されたフェニルホウ素酸ピナコレートエステル(ある場合、それぞれの塩酸塩が使用された)の溶液(5ml/mモルのホウ素酸エステル)を、それぞれのイソシアネート(1.05当量)、続いてTEA(1.1当量;ある場合、10当量のTEAが使用された;表を参照のこと)により、窒素の雰囲気下で処理した。得られる混合物を、一晩、撹拌し、そして次に、TLCにより分析した。反応が20時間後、完結に達しない場合、追加の試薬(イソシアネート、0.26当量:及びTEA、0.28当量)を、補充し、そして撹拌を、反応がTLCにより完結するまで続けた。混合物を蒸発し、そして次に、フラッシュカラムクロマトグラフィーにゆだねた。
【0092】
次のホウ素酸ピナコレートエステル(中間体7〜17)を、それぞれのアミノ化合物及び適切に置換されたイソシアネートから、一般方法GP3に従って調製した。
【0093】
【表4】

【0094】
【表5】

【0095】
【表6】

【0096】
【表7】

【0097】
一般方法GP4:スルホンアミド形成(典型的な規模:0.5〜2mモル):
DCM中、それぞれのアミノ−置換されたフェニルホウ素酸ピナコレートエステル(ある場合、それぞれの塩酸塩が使用された)の溶液(5ml/mモルのホウ素酸エステル)を、それぞれの塩化スルホニル(1.05当量)、続いてピリジン(1.1当量;ある場合、10当量のTEAが使用された;表を参照のこと)により、窒素の雰囲気下で処理した。得られる混合物を一晩、撹拌し、そして次に蒸発し、続いて粗残渣をカラムクロマトグラフィー処理し、純粋なスルホンアミドを得た。
【0098】
次のホウ素酸ピナコレートエステル(中間体18〜27)を、それぞれのアミノ化合物及び適切に置換されたイソシアネートから、一般方法GP4に従って調製した。
【0099】
【表8】

【0100】
【表9】

【0101】
【表10】

【0102】
【表11】

【0103】
一般方法GP5:アミド形成:
それぞれのアミノ置換されたフェニルホウ素酸ピナコレートエステル(1.0当量)及びそれぞれのカルボン酸塩化物(1.5当量;塩化チオニルによる処理、続く真空下で濃縮により、それぞれのカルボン酸調製された)を、ピリジン(0.2M)において室温で2日間、撹拌した。揮発物を真空下で除去し、残渣をジクロロメタンに取り、そして所望するアミドを、ヘキサンの添加により結晶化した。
【0104】
次のアミド(中間体28〜30)を、適切に置換された炭素環式酸塩化物との反応により、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(2−イル)−アニリン又は類似するベンジルアミンから、一般的GP5に従って調製した。
【0105】
【表12】

【0106】
中間体31
1−[2−フルオロ−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン−2−イル)フェニル]−3−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレアの調製:
【0107】
中間体31を、スキームAに示されるようにして調製した。
【化9】

【0108】
1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−3−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)−フェニル]ウレア(段階31.1)の調製:
950mgの4−ブロモ−2−フルオロ−フェニルアミン(5mモル)を、20mlのDCMに溶解し、そして0℃でアルゴン雰囲気下で0.8mlの1−フルオロ−2−イソシアネート−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(5.5mモル、1.1当量)により処理した。撹拌を、室温で16時間、続けた。その混合物を0℃に10分間、冷却し、そして沈殿物を濾過し、1.58gの1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−3−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)−フェニル]ウレアを白色固形物として得た。
1H-NMR (DMSO, 300 MHz): 9.28 (br. s, 2 H); 8.58 (dd, 1 H); 8.12 (t, 1 H); 7.56 (dd, 1 H); 7.47 (dd, 1 H); 7.31 - 7.40 (m, 2 H)。
【0109】
1−[2−フルオロ−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン−2−イル)フェニル]−3−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレアの調製(段階31.2):
853mgの1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−3−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)−フェニル]ウレア(2.16mモル)、820mgのビス(ピナコラート)二ホウ素(3.24mモル、1.5当量)、176.3mgのPdCl.(dppf)・CH2Cl2錯体(0.27mモル、0.1当量)及び650mgKOAc(6.48mモル、3.0当量)を、火炎乾燥されたSchlenkフラスコ中に計量添加し、そしてアルゴン雰囲気下で調整した。7.5mlのDMSOを添加し、そして得られる溶液を80℃で4時間、撹拌した。
【0110】
反応物を、酢酸エチルにより希釈し、水により急冷し、セライトを通して濾過し、そして水性層を酢酸エチルにより2度、抽出した。組み合わされた有機層を乾燥し、そして真空下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより、1−[2−フルオロ−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン−2−イル)フェニル]−3−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレアを、80%収率で得た。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): 8.60 (dd, 1 H); 8.20 (t, 1 H); 7.58 (d, 1 H); 7.48 (m, 2 H); 7.16 (t, 1 H); 1.34 (s, 12 H). MS (ESI): [M+H]+ = 443。
【0111】
中間体32
4−[4,4−ジオキソ−4λ6−チア−2,5,9−トリアザ−1(2,4)−ピリミジナ−3(1,3)−ベンゼンアシクロノナファン−15−イル]ベンゼンアミノの調製:
【化10】

【0112】
中間体32を、15−ヨード−4−チア−2,4,9−トリアザ−1(2,4)−ピリミジナ−3(1,3)−ベンゼンアシクロノナファン−4,4−ジオキシド及び4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−アニリンから、一般方法GP1に従って調製した。収率:12%。
1H-NMR (CDCl3, 300 MHz): 9.50 (s, 1 H); 9.47 (s, 1 H); 7.76 (t, 1 H); 7.70 (s, 1 H); 7.32 - 7.41 (m, 1 H); 7.21 - 7.31 (m, 2 H); 7.03 (d, 2 H); 6.73 (t br, 1 H); 6.65 (d, 2 H); 5.18 (s br, 2 H); 3.19 - 3.50 (m, 4 H); 1.73 - 1.93 (m, 2 H).
MS (ESI): [M-H]- = 397。
【0113】
次の例化合物を、15−ヨード−4−チア−2,5,9−トリアザ−1(2,4)−ピリミジナ−3(1,3)−ベンゼンアシクロノナファン−4,4−ジオキシド及びそれぞれの硼素酸ピナコラートエステルから、一般方法GP1に従って、Suzukiカップリングにより調製した(例2〜32)。例えば、例化合物1に関しては、市販のホウ素酸を、代わりに使用した。
【0114】
【表13】

【0115】
【表14】

【0116】
【表15】

【0117】
【表16】

【0118】
【表17】

【0119】
【表18】

【0120】
【表19】

【0121】
【表20】

【0122】
【表21】

【0123】
【表22】

【0124】
【表23】

【0125】
【表24】

【0126】
【表25】

【0127】
例331 -[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)- ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェニル]-3-(3-エチルフェニル)ウレアの調製
【化11】

【0128】
DMF中、4−[4,4−ジオキソ−4λ6−チア−2,5,9−トリアザ−1(2,4)−ピリミジナ−3(1,3)−ベンゼンアシクロノナファン−15−イル]ベンゼンアミノ(中間体32)の溶液(4ml/mモル)を、3−エチルフェニルイソシアネート(1.2当量)及びTEA(10当量)により処理し、そして還流下で120℃で7時間、撹拌した。試薬の添加を反復し、そして120℃での撹拌を、反応がTLCによれば、完結するまで、続けた。その混合物を真空下で濃縮し、水により希釈し、そして再び蒸発した。粗残渣を、カラムクロマトグラフィーにゆだね、続いてメタノール中で粉砕し、標的化合物を28%の収率で得た。
【0129】
1H-NMR (DMSO, 400 MHz): 9.57 (s, 1 H); 9.46 (s br, 1 H); 8.75 (s, 1 H); 8.61 (s, 1 H); 7.72 - 7.80 (m, 2 H); 7.53 (d, 2 H); 7.38 - 7.43 (m, 1 H); 7.24 - 7.35 (m, 6 H); 7.18 (t, 1 H); 6.92 (t br, 1 H); 6.83 (d, 1 H); 3.21 - 3.50 (m, 4 H);
1.76 - 1.92 (m, 2 H).MS (ESI): [M+H]+ = 544。
【0130】
次の例化合物を、前述の方法を用いて、又は当業者に知られている標準方法により得ることができる:
【0131】
【表26】

【0132】
【表27】

【0133】
【表28】

【0134】
生物学的実験1ELISA方法
Tie2キナーゼ及びTie2自己リン酸化のインヒビターとしての高い能力の活性を証明するために、次のELISA−方法が確立され、そして使用された。
選択マーカーとしてDHFR欠失を用いて、Tie2による既知技法により安定してトランスフェクトされるCHO細胞培養物を、アンジオポイエチン−2により刺激する。Tie2受容体の特異的自己リン酸化は、捕獲のための抗−Tie2抗体及び検出としてHRPに結合されるリン酸チロシン抗体を用いてのサンドイッチ−ELISAにより定量化する。
【0135】
材料
無菌の96ウェル組織培養プレート、Greiner;
96ウェルFluoroNuncプレート MaxiSorp Surface C, Nunc;
DMSOにおける化合物希釈のための96ウェルプレートポリプロピレン;
CHO Tie2/DHFR(トランスフェクトされた細胞);
PBS−;PBS++、DMSO;
リボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドを有さないGlutamax-Iを含むMEMα培地(Gibco #32561-029)(透析の後、10%FCS及び1%PenStrepを含む);
【0136】
溶解緩衝液:1錠剤“完全”プロテアーゼインヒビター
1カップバナデート(1ml>40mg/ml;作業溶液2mM)
Duschl-Pufferを添加し、50mlにする
pH7.6
被覆緩衝液(pH9.6)中、抗−TIE−II抗体(1:425)
原液:1.275mg/ml>作業:3μg/ml
PBST:2本のボトルPBS(10×)+10mlのTween, VE−水により満たす;
【0137】
VE−水中、RotiBlock(1:10)
3%TopBlackにおいて1:10000で接合された抗−ホスホチロシンHRP
PBST中、3%TopBlock
BM化学発光ELISA基質(POD)
溶液B:溶液A(1:100)
SF9細胞培養培地
SF9細胞培養培地中、Ang2-Fc
【0138】
細胞実験:
96ウェル組織培養プレートにおいて5×104個の細胞/ウェル/98μlで分散する、
37℃/5%CO2でインキュベートする、
24時間後、所望する濃度に従って化合物を添加する、
また、化合物を有さない対照及び刺激された値に、2μlのDMSOを添加し、
そして室温で数分間、混合し、
100μlのAng2-Fcをすべてのウェルに添加し、但し昆虫培地を受ける対照を除き、
37℃で20分間インキュベートし、
PBS++により3度、洗浄し、
ウェル当たり100μlの溶解緩衝液を添加し、そして室温で数分間、振盪し、
ELISAのために使用する前、溶解物を20℃で貯蔵する。
【0139】
サンドイッチ−ELISAの性能:
96ウェルFluoroNunc プレート MaxiSorp Surface C, Nuncを、被覆緩衝液(pH9.6)中、抗−Tie2 Mab (1:425)により、4℃で一晩、100μl/ウェルで被覆し、
PBSTにより2度、洗浄し、
VE−水中、RotiBlock(1:10)により、250μl/ウェルでプレートを阻止し、
振盪しながら、室温で2時間、又は4℃で一晩インキュベートし、
【0140】
PBSTにより2度、洗浄し、
融解された溶解物をウェルに添加し、そして4℃で一晩、振盪しながらインキュベートし、
PBSTにより2度、洗浄し、
3%TopBlock(PBST中、3% TopBlock)において1:10000で接合された抗−ホスホチロシンHRPを、100μl/ウェルで添加し、そして振盪下で一晩インキュベートし、
PBSTにより6度、洗浄し、
BM 化学発光 ELISA 基質(POD)溶液1及び2(1:100)を、100μl/ウェルで添加し、
LumiCountにより発光を決定する。
【0141】
生物学的実験2Tie−2−キナーゼHTRF−アッセイ
本発明の化合物の有効性を証明するために、Tie−2−キナーゼHTRF−アッセイを確立した。
Tie−2は、人工基質polyGAT(ビオキニル化されたpolyGluAlaTyr)のチロシン残基をリン酸化する。リン酸化された生成物の検出を、リン酸化された基質、ビオチンに結合するストレプタビジン−Xlent(SA−XLent)、及びリン酸化されたチロシンに結合する、ユーロピウムクリプテート−ラベル抗−ホスホチロシン抗体PT66から成るトリマー検出複合体により特異的に達成する。
【0142】
337nmでの光を有するユーロピウム蛍光の励起は、620nmを有する長期生存する光の発光をもたらす。トリマー検出複合体が形成した場合、エネルギーの一部が、665nmの長期生存する光をそれ自体発光するSA−XLent蛍光団に移行されるであろう(FRET:蛍光共鳴エネルギー移行)。リン酸化されていない基質は、FRET−コンピテントトリマー検出複合体が形成されないので、665nmで光を発光しない。測定を、Packard Discovery又はBMG Rubystar計測器において行う。A−係数(665nmでの発光)がB−係数(620nmでの発光)により割り算され、そして10000の因子により掛け算されるであろう。得られる数は、サンプルの“ウェル比率”と呼ばれる。
【0143】
材料:
酸素:実験室において−80℃で貯蔵されたTie−2−キナーゼのアリコート(12×10ml)。
基質:ビオチン(1000μg/ml)によりラベルされたPalyGAT;CIS Bio; #61GATBLB;-20℃で貯蔵されたアリコート。
ATP:Amersham Pharmacia Biotech Inc. # 27-2056-01; 100 mM;-20℃で貯蔵される。
抗体:PT66−Euクリプテート;CIS Bio; #61T66KLB;30μg/ml;-20℃で貯蔵されたアリコート。
SA−XLent:CIS Bio; #611SAXLB; 1000μg/ml;-80℃で貯蔵されたアリコート。
マイクロプレート:384ウエル black, SV, Greiner, # 784076。
【0144】
溶液:
アッセイ緩衝液:50 mM のHEPES (pH 7.0), 25 mMの MgCl2, 5 mMの MnCl2, 1 mMの DTT, 0.5 mMの Na3VO4, 0.01% (v/v)の NP40, 1x 完全EDTAフリー。
酵素作用溶液:Tie-2原液を、アッセイ緩衝液により1:250に希釈する。
基質作用溶液:PolyGAT(1000μg/ml;36.23μM)を1:90.6〜400nM又は77.3ng/ウェルに希釈し、ATP(100mM)を1:5000=20.0μMに希釈する。アッセイ緩衝液における両希釈溶液。最終アッセイ濃度:ポリ−GAT:200nM又は5.25μg/ml、ATP:10μM(それぞれ1×Km)。
【0145】
検出溶液:50nMのHEPES(pH7.0)、BSA 0.2%、0.6MのKF、200mMのEDTA、PT66−ユーロピウムクリプテート 2.5ng/ウェル、SA−XLent Cis Bio 90ng/ウェル。
アッセイ段階:すべての段階は20℃で存在する:
1.30%(v/v)DMSO中、0.75μlの化合物溶液。
2.7μlの基質作用溶液を添加する。
3.7μlの酵素作用溶液を添加する。
4.7分間インキュベートする(反応体積:14.75μl)。
5.8μlの検出溶液を添加する。
6.4℃で180分又は一晩以上インキュベートする(合計体積:22.75μl)。
7.Packard Discovery又はBMG Rubystar計測器においてHTRFを測定する(遅延50μs、統合時間400μs)。
【0146】
最終濃度(14.75μlの反応体積における):
酵素:未知
polyGAT(1×Km):200nM(77.3ng)
ATP(1×Km):10μM
DMSO:1.5%(v/v)
緩衝液条件:50 mM のHEPES (pH 7.0), 25 mM のMgCl2, 5 mM のMnCl2, 1 mMの DTT, 0.5 mMの NaVO4, 0.01 % (v/v) のNP40, 1 x 完全。
対照:
Co:阻害されていない反応(DMSOのみ)
C1:20μMのスタウロスポリンにより阻害された反応
【0147】
生物学的実験3増殖試験
細胞毒性を試験するために、細胞増殖試験を確立した。
細胞増殖試験により、異なった腫瘍細胞系(例えば、Du145)を試験することができる。細胞を、RPMI 1640培養培地に分散し、10%(v/v)牛胎児血清+1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシン溶液を、2,000個の細胞/100μlの培地/ウェル(96ウェルプレート)の細胞密度で供給した。3時間後、細胞を、PBS(カルシウム及びマグネシウムを含む)により洗浄した。0.1%(v/v)ウシ胎児血清を有する上記培養培地100μlを添加し、そして37℃及び5%CO2雰囲気下で培養した。
【0148】
次の日、適切な濃度のためにDMSOに希釈された本発明の化合物を添加し、そしてさらに、0.5%(v/v)ウシ胎児血清を含む培養培地100μlを添加した。5日後、37℃及び5%CO2雰囲気下で培養する細胞を、PBSにより洗浄した。20μlのグルタルアルデヒド溶液(11%(v/v))を添加し、そして細胞を室温で15分間、軽く振盪した。この後、細胞を3度、洗浄し、そして空気乾燥した。100μlのクリスタルバイオレット溶液(pH3.5で0.1%)を添加し、そして細胞を30分間、振盪した。細胞を水道水により洗浄し、そして空気乾燥した。色彩は、100μlの酢酸(10%(v/v))により、5分間の強い振盪下で分解された。吸光度を、595nmの波長で測定した。
【0149】
生物学的実験は、本出願の化合物がELISA方法により測定される場合、Tie2キナーゼ及びTie2自己リン酸化のインヒビターとして高い能力の活性を有することを示す。IC50値は1μM以下である。同時に、化合物の毒性は、この構造種類において他の化合物と異なる、十分に1μM以上であり、ここで腫瘍細胞系に対する毒性は、1μM以下のIC50値が観察される通りである。
【0150】
本発明の一定の化合物が、Tie2の有能なインヒビターとして見出された。より特定には、例えば合成された例化合物1, 2, 3, 8, 9, 10及び23は、Tie2キナーゼアッセイにおいて又はTie2自己リン酸化ELISA試験において、約1μM又はそれ以下のIC50を伴ってTie2を阻害する。Tie2キナーゼ活性に対する高い阻害能力を有すると共に、本発明の一定の化合物は、特に弱い細胞毒性又は非細胞毒性であることが見出された。
【0151】
生物学的実験4キナーゼの前活性化を伴わないでのTie−2キナーゼアッセイ
昆虫細胞(Hi-5)において発現され、そしてグルタチオン−セファロース親和性クロマトグラフィーにより精製される、GST、及びTie-2の細胞内ドメインの組換え融合タンパク質をキナーゼとして使用した。他方では、市販のGST−Tie2−融合タンパク質(Upstate Biotechnology, Dundee, Scotland)も使用され得る。キナーゼ反応のための基質として、Biosynthan GmbH (Berlin-Buch, Germany)から購入され得るビオチニルカされたペプチドビオチン−Ahx- EPKDDAYPLYSDFG(アミド形でのC−末端)を使用した。
【0152】
Tie-2(3.5ng/測定点)を、5μlのアッセイ緩衝液[50 mMの Hepes/NaOH pH 7, 1O mMの MgCl2, 0.5 mM のMnCl2, 1.0 mM のジチオトレイトール, 0.01% のNP40, プロテアーゼインヒビター混合物 (Roche からの"完全 w/o EDTA", 2.5 ml 当たり1 錠剤), 1 % (v/v)の ジメチルスルホキシド]において、10μMのアデノシン−三リン酸(ATP)及び1μMの基質ペプチド(ビオチン-Ahx-EPKDDAYPLYSDFG-NH2)の存在下で、異なった濃度の試験化合物(0μM、及び0.001〜20μMの範囲での濃度)と共に22℃で60分間インキュベートした。
【0153】
反応を、EDTA(90mM)及びHTRF(均質の時間決定された蛍光)検出試験ストレプタビジン−XLent(0.2μM、Cis Biointernational, Marcoule, Franceからの)を含む水性緩衝液(25mMのHepes/MaOH、pH7.5、0.28%(w/v)のウシ血清アルブミン)5μl及びPT66−Eu−キレート(0.3ng/μl;Perkin Elmerからのユーロピウム−キレートによりラベルされた抗−ホスホチロシン抗体)の添加により停止した。
【0154】
得られる混合物を、22℃で1時間インキュベートし、ストレプタビジン−XLent及びPT66−Eu−キレートへのビオチニル化されたリン酸化されたペプチドの結合を可能にした。続いて、リン酸化された基質ペプチドの量を、PT66−Eu−キレートからストレプタビジン−XLentへの共鳴エネルギー移行の測定により評価した。従って、350nmでの励起の後、620nm及び665nmでの蛍光の発光を、HTRFリーダー、例えばRubystar (BMG Labtechnologies, Offenburg, Germany)又はViewlux (Perkin-Elmer)により測定した。665nm及び622nmでの発光の比率を、リン酸化された基質ペプチドの量についての尺度として採用した。データを標準化し(インヒビターを含まない酵素反応=0%阻害、すべての他のアッセイ成分が、しかし酵素を含まない酵素反応=100%阻害)、そしてIC50値を、内部でのソフトウェアを用いて、4種のパラメーターの適合により計算した。
【0155】
生物学的実験5キナーゼの前活性化を伴ってのTie−2キナーゼアッセイ
昆虫細胞(Hi-5)において発現され、そしてグルタチオン−セファロース親和性クロマトグラフィーにより精製される、GST、及びTie-2の細胞内ドメインの組換え融合タンパク質をキナーゼとして使用した。キナーゼ反応のための基質として、Biosynthan GmbH (Berlin-Buch, Germany)から購入され得るビオチニルカされたペプチドビオチン−Ahx- EPKDDAYPLYSDFG(アミド形でのC−末端)を使用した。
【0156】
活性化に関しては、Tie-2を、アッセイ緩衝液[50 mMの Hepes/NaOH pH 7, 1O mMの MgCl2, 0.5 mM のMnCl2, 1.0 mM のジチオトレイトール, 0.01% のNP40, プロテアーゼインヒビター混合物 (Roche からの"完全 w/o EDTA", 2.5 ml 当たり1 錠剤)]において、250μMのアデノシン−三リン酸(ATP)の存在下で、濃度12.5ng/μlで22℃で20分間インキュベートした。
【0157】
続くキナーゼ反応に関しては、前活性化されたTie-2(3.5ng/測定点)を、5μlのアッセイ緩衝液[50 mMの Hepes/NaOH pH 7, 1O mMの MgCl2, 0.5 mM のMnCl2, 0.1mMのナトリウムオルト−バナデート、1.0 mM のジチオトレイトール, 0.01% のNP40, プロテアーゼインヒビター混合物 (Roche からの"完全 w/o EDTA", 2.5 ml 当たり1 錠剤), 1 % (v/v)の ジメチルスルホキシド]において、10μMのアデノシン−三リン酸(ATP)及び1μMの基質ペプチド(ビオチン-Ahx-EPKDDAYPLYSDFG-NH2)の存在下で、異なった濃度の試験化合物(0μM、及び0.001〜20μMの範囲での濃度)と共に22℃で60分間インキュベートした。
【0158】
反応を、EDTA(90mM)及びHTRF(均質の時間決定された蛍光)検出試験ストレプタビジン−XLent(0.2μM、Cis Biointernational, Marcoule, Franceからの)を含む水性緩衝液(25mMのHepes/MaOH、pH7.5、0.28%(w/v)のウシ血清アルブミン)5μl及びPT66−Eu−キレート(0.3ng/μl;Perkin Elmerからのユーロピウム−キレートによりラベルされた抗−ホスホチロシン抗体)の添加により停止した。得られる混合物を、22℃で1時間インキュベートし、ストレプタビジン−XLent及びPT66−Eu−キレートへのビオチニル化されたリン酸化されたペプチドの結合を可能にした。
【0159】
続いて、リン酸化された基質ペプチドの量を、PT66−Eu−キレートからストレプタビジン−XLentへの共鳴エネルギー移行の測定により評価した。従って、350nmでの励起の後、620nm及び665nmでの蛍光の発光を、HTRFリーダー、例えばRubystar (BMG Labtechnologies, Offenburg, Germany)又はViewlux (Perkin-Elmer)により測定した。665nm及び622nmでの発光の比率を、リン酸化された基質ペプチドの量についての尺度として採用した。データを標準化し(インヒビターを含まない酵素反応=0%阻害、すべての他のアッセイ成分が、しかし酵素を含まない酵素反応=100%阻害)、そしてIC50値を、内部でのソフトウェアを用いて、4種のパラメーターの適合により計算した。
【0160】
従って、本発明の化合物は、脈管形成インヒビターとして選択的に活性的であり、そして腫瘍細胞及び他の増殖性組織細胞に直接的に影響を及ぼす細胞増殖抑制又は細胞毒性剤としては活性的でない。
【図面の簡単な説明】
【0161】
(原文記載なし)
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式I:
【化1】

[式中、Aは、フェニレン又はC6-ヘテロアリーレンであり;
Zは、O, S, NR3及びCHR3を含んで成る、好ましくはそれらから成る群から選択され;
R1, R2及びR3は、同じであっても又は異なっていても良く、そして水素及び-C1-C10-アルキルを含んで成る、好ましくはそれらから成る群から、お互い独立して選択され、ここで-C1-C10-アルキルは、置換されていないか、又はヒドロキシにより一又は多置換され;
R4は、水素、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、-C1-C6-アルキル、 -C1-C6- アルコキシ、 -NH-C1-C6-アルキル、 -N(C1-C6-アルキル)2、-(CH2)P-COR5、 -(CH2)P- NHCOR5、 -(CH2)P-NH-CO-NR5R6、-(CH2)P-NHS(O)2R5、-(CH2)P-CO-NR5R6 及び -O-(CH2)P-COR5を含んで成る、好ましくはそれらから成る群から選択され;
Xは、結合又はメチレンであり;
Yは、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、-フェニレン-D-NH- COR5、 -フェニレン-D-NH-CONR5R6、 -フェニレン-D-NH-S(O)2R5、 -フェニレン-D-O-(CH2)P-COR5、 -フェニレン-D-O-(CH2)P-R7、-N-(R5- G)-ピペラジン-N'-イルメチル、 -N-(R7-SO2-)-ピペラジン-N'-イル、-オキシ-C6- C18-アリール、-オキシ-C5-C18-ヘテロアリール、-オキシ-(CH2)n-NH-COR5、-オキシ-(CH2)n-NH-CONR5R6、-オキシ-(CH2)n-NH-S(O)2R5、 -NH-(CH2)n-NH-COR5、-NH-(CH2)n-NH-CONR5R6、-NH-(CH2)n-NH-S(O)2R5及び-フェニレン- NH-E-CONR5R6を含んで成る、好ましくはそれらから成る群から選択され、ここでフェニレンは、置換されていないか、又はヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミノ、-C1-C6-アルキル、-C1-C6-アルコキシ、-NH-C1-C6-アルキル、-N(C1-C6-アルキル)2、-C1-C6- ハロゲンアルキル、-C1-C6-ハロゲンアルコキシ、-C1-C6-アルキルチオ 及び/又は-C1-C6-アルキルカルボニルにより、お互い独立して、一又は多置換され、そして−オキシ-C6-C18-アリール及び-オキシ-C5-C18-ヘテロアリールは、置換されていないか、又はヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミノ、-C1-C6-アルキル、 -C1-C6-アルコキシ、 NH-C1 -C6-アルキル、N(C1-C6- アルキル)2、-C1-C6-ハロアルキル、 C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルチオ、 C1-C6-アルキルカルボニル、 -NH-S(O)2-R5、-NH-COR5、-NHCONR5R6、 -O-(CH2)P- COR5 及び/又は-O-(CH2)P-R5により、お互い独立して、一又は多置換され;
Dは、結合、メチレン又はエチレンであり;
Eは、-CR8R9-であり、ここでR8及びR9は、同じであっても又は異なっていても良く、そして水素及びメチルを含んで成り、好ましくはそれらから成る群から、お互い独立して選択され;又はR8及びR9は3−〜10−員のメチレン鎖を一緒に形成し、ここで2個までのメチレン基が任意には、O, S及び/又はNR1により置換され;
Gは、-SO2-, -CONH-, 又は-C=Oであり;
R5は、水素、及び-C1- C6-アルキル、-C2-C6-アルケニル、-C2-C6-アルキニル、-C3-C8-シクロアルキル、-(CH2)P- C6-C11-アリール及び -(CH2)P-C5-C10-ヘテロアリールを含んで成る群から選択された残基を含んで成る、好ましくはそれらから成る群から選択され、ここで前記残基は、置換されていないか、又はヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミノ、-C1-C6-アルキル、 - C1-C6-アルケニル、- C1-C6-アルキニル、- C1-C6-アルコキシ、 -NH- C1-C6-アルキル、-N(C1-C6-アルキル)2、 - C1-C6-ハロゲンアルキル、- C1-C6-ハロゲンアルコキシ、 - C1-C6-アルキルチオ、-S(O)-C1 -C6-アルキル、 -S(O)2- C1-C6- アルキル、 - C1-C6-アルキルカルボニル、フェニル、フェノキシ及び/又はピリジルによりお互い独立して、一又は多置換され、そして-C3-C8-シクロアルキルのC-主鎖のC原子は、中断されていないか、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子及び/又は1又は複数のC=0成分により、一又は多中断され、そして/又は1又は複数の二重結合は、C-主鎖に含まれ得;又はR5及びR6は3−〜10−員のメチレン鎖を一緒に形成し、ここで2個までのメチレン基がO, S及び/又は-NR1により置換され得;
R6は、水素又は-C1-C10-アルキルであり、又はR5及びR6は3−〜10−員のメチレン鎖を一緒に形成し、ここで2個までのメチレン基がO, S及び/又は-NR1により置換され得;
R7は、-C6-C11-アリール又は-C5-C10-ヘテロアリールであり、ここで-C6-C11-アリール又は-C5-C10-ヘテロアリールは、置換されていないか、又はヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミノ、-C1-C6-アルキル、 -C1-C6-アルコキシ、 -NH-C1-C6-アルキル、 -N(C1-C6-アルキル)2、-C1-C6-ハロアルキル、-C1-C6-ハロアルコキシ、-C1-C6-アルキルチオ、-S(O)-C1 -C6-アルキル、- S(O)2-C1-C6-アルキル、-C1-C6-アルキルカルボニル、フェニル、フェノキシ及び/又はピリジルにより、一又は多置換され;
mは、3〜6であり;
nは、2又は3であり;そして
pは、0〜2である]
で表される化合物、その溶媒化合物、水和物、N−酸化物、異性体、ジアステレオマー、鏡像異性体及び塩。
【請求項2】
Aは、フェニレンであり;
R1, R2及びR3は、同じであっても又は異なっていても良く、そして水素及び-C1-C10-アルキルを含んで成る、好ましくはそれらから成る群から、お互い独立して選択され、ここで-C1-C10-アルキルは、置換されていないか、又はヒドロキシにより一又は多置換され;
Zは、-NR3であり;そして
mは、3である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Aは、フェニレンであり、
R1及びR2は、水素原子であり、
Zは、NHであり;そして
R4は、水素原子である請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
Xが、結合であり、そして
Yが、メチレンジオキシフェニル又はエチレンジオキシフェニルである請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項5】
Xが、結合であり、そして
Yが、-フェニレン-D-NH-COR5である請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項6】
Xが、結合であり、そして
Yが、-フェニレン-D-NH-CONR5R6である請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項7】
Xが、結合であり、そして
Yが、-フェニレン-D-NH- S(O)2R5である請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項8】
Xが、結合であり、そして
Yが、-フェニレン-D- O-(CH2)P-COR5である請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項9】
Dが結合又はメチレンである請求項7記載の化合物。
【請求項10】
Xが、結合であり、そして
Yが、-フェニレン- NH-E-CONR5R6 である請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項11】
Xが、結合であり、そして
Yが、-オキシ-C6-C18-アリールであり、ここで−オキシ-C6-C18-アリールは、置換されていないか、又はヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミノ、-C1-C6-アルキル、- C1-C6-アルコキシ、-NH-C1 -C6-アルキル、 -N(C1-C6-アルキル)2、-C1-C6-ハロアルキル、 - C1-C6-ハロアルコキシ、- C1-C6-アルキルチオ、-C1-C6- アルキルカルボニル、-NH-S(O)2-R5、-NH-COR5、-NHCONR5R6、-O-(CH2)P-COR5 及び/又は-O-(CH2)P-R5により、お互い独立して、一又は多置換される請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項12】
-C6-C18-アリールが、フェニルである請求項11記載の化合物。
【請求項13】
フェニルが、-NH-COR5又は-NH-CONHR5により置換される請求項11又は12記載の化合物。
【請求項14】
Xが、結合又はメチレンであり、そして
Yが、-N-(R5-G)-ピペラジン-N’-イルメチルである請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項15】
Xが、結合又はメチレンであり、そして
Yが、-N-(R7-SO2)-ピペラジン-N’-イルである請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項16】
Xが、結合であり、そして
Yが、-オキシ-(CH2)n-NH-COR5である請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項17】
Xが、結合であり、そして
Yが、-オキシ-(CH2)n-NH-CONR5R6である請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項18】
Xが、結合であり、そして
Yが、-オキシ-(CH2)n-NH- S(O)2R5である請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項19】
Xが、結合であり、そして
Yが、-NH-(CH2)n-NH-COR5である請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項20】
Xが、結合であり、そして
Yが、-NH-(CH2)n-NH-CONR5R6である請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項21】
Xが、結合であり、そして
Yが、-NH-(CH2)n-NH- S(O)2R5である請求項1,2又は3記載の化合物。
【請求項22】
15-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1,3)- ベンゼンアシクロナファン 4,4-ジオキシド ;
2-[4-[4,4-ジオキソ-4λ6-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル]フェノキシ]-1 -(4-フルオロフェニル)-エタノン ;
2-[4-[4,4-ジオキソ-4λ6-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル]フェノキシ]-1 -フェニルエタノン ;
2-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェノキシ]-1 -(4-メトキシフェニル)-エタン-1-オン ;
1 -(4-クロロフェニル)-2-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ- 3(1,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェノキシ]-エタン-1 -オン ;
2-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェノキシ]-1 -(4-メチルフェニル)-エタン-1 -オン ;
1 -(2,4-ジメチルフェニル)-2-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ- 3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェノキシ]-エタン-1 -オン ;
N-[4-[4,4-ジオキソ-4λ6-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル]フェニル]-N'-フェニルウレア ;
N-[4-[4,4-ジオキソ-4λ6-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル]フェニル]-N'-[3-(トリフルオロメチル)-フェニル]ウレア ;
N-[4-[4,4-ジオキソ-4λ6-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル]フェニル]-N'-[2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)-フェニル]ウレア ;
1 -[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェニル]-3-(4-メトキシフェニル)-ウレア ;
1 -[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)-2-フルオロフェニル]-3-[2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)- フェニル]ウレア ;
1 -[3-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェニル]-3-フェニルウレア ;
1 -[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]-3-フェニルウレア ;
1 -[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]-3-(4-メトキシフェニル)-ウレア ;
1 -[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]-3-[3-(トリフルオロメチル)-フェニル]ウレア ;
1 -[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]-3-[2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)-フェニル]ウレア ;
1 -[3-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)- ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]-3-[2-フルオロ-5- (トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ;
1 -[3-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]-3-フェニルウレア ;
N-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェニル]ベンゼン-スルホンアミド ;
2,3-ジクロロ-N-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1,3)- ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェニル]ベンゼン-スルホンアミド ;
2,3-ジクロロ-N-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)- ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)-2-フルオロフェニル]-ベンゼン-スルホンアミド ;
N-[4-[4,4-ジオキソ-4λ6-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル]フェニル]-4-メトキシベンゼン-スルホンアミド ;
N-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]ベンゼン-スルホンアミド ;
N-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]-4-メトキシベンゼン-スルホンアミド ;
2,3-ジクロロ-N-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1(2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)- ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]ベンゼン-スルホンアミド ;
N-[3-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]ベンゼン-スルホンアミド ;
N-[3-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]-4-メトキシベンゼン-スルホンアミド ;
2,3-ジクロロ-N-[3-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)- ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]ベンゼン-スルホンアミド ;
N-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェニル]-1-フェニルシクロプロパンカルボキサミド ;
N-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)ベンジル]-1 -フェニルシクロプロパンカルボキサミド ;
N-[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)-ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェニル]- 2-フェニル-イソブチルアミド; 及び
1 -[4-(4,4-ジオキソ-4-チア-2,5,9-トリアザ-1 (2,4)-ピリミジナ-3(1 ,3)- ベンゼンアシクロノナファン-15-イル)フェニル]-3-(3-エチルフェニル)ウレアから成る群から選択される請求項1又は2記載の化合物。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項記載の化合物の調製方法であって、
下記段階:
【化2】

[式中、大環状体AにおけるR1、R2、R4、A、Z及びmは、式Iにおけるのと同じ意味を有し、ここで式Iにおいて、Xは結合であり、そしてYは上記の意味を有する、-フェニレン-D-NH-COR5、- フェニレン-D-NH-CONR5R6、-フェニレン-D-NH-S(O)2R5、-フェニレン- D-O-(CH2)P-COR5、-オキシ-C6-C11-アリール、又は-オキシ-C5-C10-ヘテロアリールを含んで成る群から選択される]
を含んで成る方法。
【請求項24】
請求項1〜22のいずれか1項記載の化合物の調製方法であって、
下記段階:
【化3】

[式中、大環状体AにおけるR1、R2、R4、A、Z及びmは、式Iにおけるのと同じ意味を有し、ここで式Iにおいて、Xは結合であり、そしてYは上記の意味を有する、-NH-(CH2)n-COR5-、 -NH-(CH2)n-CONR5R6、 又は-NH-(CH2)n-S(O)2R5を含んで成る群から選択される]
を含んで成る方法。
【請求項25】
請求項1〜22にいずれか1項記載の式Iの化合物、又はその医薬的に許容できる塩又はインビボ加水分解可能エステル、及び医薬的に許容できる希釈剤又はキャリヤーを含んで成る医薬組成物。
【請求項26】
異常調節された血管増殖の疾病、又は異常調節された血管増殖に付随する疾病の処理のための医薬組成物の製造のためへの請求項1〜22のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項27】
前記疾病が、網膜症、眼の他の脈管形成依存性疾患、リウマチ様関節炎、及び脈管形成に関連する他の炎症性疾患である請求項26記載の使用。
【請求項28】
前記眼の脈管形成依存性疾患が、角膜移植片拒絶、年齢関連の黄斑変性である請求項27記載の使用。
【請求項29】
前記脈管形成に関連する炎症性疾患が、乾癬、遅延型過敏症、接触皮膚炎、喘息、多発性硬化症、再狭窄、肺高血圧、卒中、及び腸の疾患である請求項27記載の使用。
【請求項30】
前記疾病が冠状及び抹消動脈疾患である請求項26記載の使用。
【請求項31】
前記疾病が、腹水、水腫、例えば脳腫瘍関連の水腫、高所トラウマ、低酸素誘発された脳水腫、肺水腫及び黄斑水腫、又は火傷及び外傷に続く水腫、慢性肺疾患、成人性呼吸困難症候群、骨吸収及び良性増殖性疾患、例えば筋腫、良性前立腺過形成、及び瘢痕形成の低下のための創傷治癒、損傷を受けた神経の再生の間の瘢痕形の低下、子宮内膜症、前子癇、閉経後出血及び卵巣過剰刺激である請求項26記載の使用。
【請求項32】
前記疾病が、固形腫瘍及び/又はその転移である請求項26記載の使用。
【請求項33】
キナーゼTie-2のインヒビターとしての使用のための請求項1〜22のいずれか1項記載の式(I)の化合物。
【請求項34】
請求項1〜22のいずれか1項記載の化合物の使用による、異常調節された血管増殖の疾病、又は異常調節された血管増殖に付随する疾病の処理方法。
【請求項35】
前記疾病が、網膜症、眼の他の脈管形成依存性疾患、リウマチ様関節炎、及び脈管形成に関連する他の炎症性疾患である請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記眼の脈管形成依存性疾患が、角膜移植片拒絶、年齢関連の黄斑変性である請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記脈管形成に関連する炎症性疾患が、乾癬、遅延型過敏症、接触皮膚炎、喘息、多発性硬化症、再狭窄、肺高血圧、卒中、及び腸の疾患である請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記疾病が冠状及び抹消動脈疾患である請求項34記載の方法。
【請求項39】
前記疾病が、腹水、水腫、例えば脳腫瘍関連の水腫、高所トラウマ、低酸素誘発された脳水腫、肺水腫及び黄斑水腫、又は火傷及び外傷に続く水腫、慢性肺疾患、成人性呼吸困難症候群、骨吸収及び良性増殖性疾患、例えば筋腫、良性前立腺過形成、及び瘢痕形成の低下のための創傷治癒、損傷を受けた神経の再生の間の瘢痕形の低下、子宮内膜症、前子癇、閉経後出血及び卵巣過剰刺激である請求項34記載の方法。
【請求項40】
前記疾病が、固形腫瘍及び/又はその転移である請求項34記載の方法。

【公表番号】特表2008−524302(P2008−524302A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547385(P2007−547385)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013956
【国際公開番号】WO2006/066956
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】