VX−950を含む用量形態およびそれらの投与レジメン
本発明は、患者においてC型肝炎感染を処置または予防するための抗ウイルス療法および組成物に関し、また本明細書に記載の他の方法に関する。本発明はまた、組成物および投与形を含むキットおよび医薬パックにも関する。本発明はまた、これらの組成物、投与量、キットおよびパックを製造するための方法にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本発明は、2007年5月21日出願の米国特許出願第60/931,108号、および2007年9月19日出願の米国特許出願第60/994,430号(その内容は、参照によりその全体を本明細書中に包含される)に優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、C型肝炎ウイルス感染の処置方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
C型肝炎ウイルス(“HCV”)による感染は、切実なヒトの医学的問題である。HCVは、非A非B型肝炎のほとんどの症例の原因因子として認識されており、全世界で、概算で3%のヒト血清陽性率である(例えば、A. Alberti et al., “Natural History of Hepatitis C,” J. Hepatology, 31 (Suppl. 1), pp. 17−24 (1999)参照)。米国だけでも400万名近くが、感染している可能性がある(例えば、M.J. Alter et al., “The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States”, Gastroenterol. Clin. North Am., 23, pp. 437−455 (1994); M. J. Alter “Hepatitis C Virus Infection in the United States,” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 88−91 (1999)参照)。
【0004】
HCVに感染したヒトのうち20−25%は、急性感染後にウイルスを排除し得るが、75−80%は、慢性C型肝炎感染を発症し得る(例えば、preface, Frontiers in Viral Hepatitis. Ed. RF Schinazi, J−P Sommadossi, and CM Rice. p. xi. Elsevier (2003)参照)。これは、通常、肝硬変および肝細胞癌のようなより重度の疾患状態をしばしばもたらす、肝炎の再発および漸進的悪化をもたらす(例えば、M.C. Kew, “Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma”, FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 211−220 (1994);I. Saito et. al., “Hepatitis C Virus Infection is Associated with the Development of Hepatocellular Carcinoma,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 6547−6549 (1990)参照)。残念なことに、慢性HCVの進行を遅らせるのに広く有効な処置は存在しない。
【0005】
HCVゲノムは、アミノ酸3010−3033のポリタンパク質をコードする(例えば、Q.L. Choo, et al., “Genetic Organization and Diversity of the Hepatitis C Virus.” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, pp. 2451−2455 (1991); N. Kato et al., “Molecular Cloning of the Human Hepatitis C Virus Genome From Japanese Patiants with Non−A, Non−B Hepatitis,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 9524−9528 (1990); A. Takamizawa et al., “Structure and Organization of the Hepatitis C Virus Genome Isolated From Human Carriers,” J. Virol., 65, pp. 1105−1113 (1991)参照)。HCV非構造(NS)タンパク質は、ウイルス複製に必須の触媒機構を提供すると考えられている。NSタンパク質は、ポリタンパク質のタンパク質分解的切断によって得られる(例えば、R. Bartenschlager et al., “Nonstructural Protein 3 of the Hepatitis C Virus Encodes a Serine−Type Proteinase Required for Cleavage at the NS3/4 and NS4/5 Junctions,” J. Virol., 67, pp. 3835−3844 (1993); A. Grakoui et al., “Characterization of the Hepatitis C Virus −Encoded Serine Proteinase: Determination of Proteinase−Dependent Polyprotein Cleavage Sites,” J. Virol., 67, pp. 2832−2843 (1993); A. Grakoui et al., “Expression and Identification of Hepatitis C Virus Polyprotein Cleavage Products,” J. Virol., 67, pp. 1385−1395 (1993); L. Tomei et al., “NS3 is a serine protease required for processing of Hepatitis C Virus polyprotein”, J. Virol., 67, pp. 4017−4026 (1993)参照)。
【0006】
HCV NSタンパク質3(NS3)には、大部分のウイルス酵素の合成を補助するセリンプロテアーゼ活性が含まれ、故に、ウイルス複製および感染力に必須であると見なされる。黄熱病ウイルスNS3プロテアーゼにおける変異は、ウイルス感染力を減少することが知られている(例えば、Chambers, T.J. et al., “Evidence that the N−terminal Domain of Nonstructural Protein NS3 From yellow Fever Virus is a Serine Protease Responsible for Site−Specific Cleavages in the Viral Polyprotein”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 8898−8902 (1990)参照)。NS3の最初の181アミノ酸(ウイルスポリタンパク質の残基1027−1207)は、HCVポリタンパク質の4つ全ての下流部位を処理するNS3のセリンプロテアーゼドメインを含むことが示されている(例えば、C. Lin et al., “Hepatitis C Virus NS3 Serine Proteinase: Trans−Cleavage Requirements and Processing Kinetics”, J. Virol., 68, pp. 8147−8157 (1994)を参照)。
【0007】
HCV NS3 セリンプロテアーゼおよびそれと関係する補因子NS4Aは、全てのウイルス酵素プロセシングを補助し、故に、ウイルス複製に必須であると見なされる。このプロセシングは、ウイルス酵素プロセシングにも関与する、ヒト免疫不全ウイルス アスパルチルプロテアーゼにより行われるのと同様のようである。ウイルスタンパク質プロセシングを阻害するHIVプロテアーゼ阻害剤は、ヒトにおける強力な抗ウイルス剤であり、ウイルス生活環のこの段階を中断することは、結果として治療的活性剤であることを示す。結果として、それは、創薬の魅力的な標的である。
【0008】
現在のところ、満足のいく抗HCV剤または処置法は存在しない。最近まで、HCV疾患の確立された治療は、インターフェロン処置のみであった。HCV感染のための最初に認可された治療は、標準(非ペグ化)インターフェロンαを用いる処置であった。しかしながら、インターフェロンは、重大な副作用を有し(例えば、M. A. Wlaker et al., “Hepatitis C Virus: An Overview of Current Approaches and Progress,” DDT, 4, pp. 518−29 (1999);D. Moradpour et al., “Current and Evolving Therapies for Hepatitis C,” Eur. J. Gastroenterol. Hepatol., 11, pp. 1199−1202 (1999);H. L. A. Janssen et al. “Suicide Associated with Alfa−Interferon Therapy for Chronic Viral Hepatitis,” J. Hepatol., 21, pp. 241−243 (1994);P.F. Renault et al., “Side Effects of Alpha Interferon,” Seminars in Liver Disease, 9, pp. 273−277. (1989)参照)、長期寛解は症例の一部のみ(〜25%)である(例えば、O. Weiland, “Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection”, FEMS Microbiol. Rev., 14, pp. 279−288 (1994)参照)。該処置レジメンへのリバビリンの追加は、応答率をわずかに増加させる。リバビリンと併用されている、最近のペグ化インターフェロン(PEG−イントロン(登録商標)およびPEGASYS(登録商標))の導入は、寛解率のごく限られた改善および副作用の一部分のみの減少という結果となっている。現在の標準的な治療は、HCV遺伝子型のような予後因子、および治療への初期応答の現れに依存して、24−48週間継続する処置レジメンである。さらに、有効な抗HCVワクチンの見込みは、不明確なままである。
【0009】
故に、抗HCV治療および抗HCV化合物に適当な用量レジメンが必要である。
【0010】
HCVならびに他の疾患および障害は、肝臓障害と関係がある。治療法および肝臓障害を処置するのに適当な用量レジメンも必要である。
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本発明は、C型肝炎ウイルス感染の処置法を提供する。故に、本発明は、C型肝炎ウイルス感染の臨床的続発症の予防法を提供する。
【0012】
本発明はまた、肝臓障害および肝炎の処置法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面の簡単な説明
【図1】図1Aおよび図1Bは、用量レベルによる平均濃度時間プロフィールを示す(実施例3)。
【図2】図2A−2Dは、誘導された薬物動態パラメーターを示す。棒グラフ内の線は中央値を示し、棒グラフは、データの中央半分の範囲を示す(実施例3)。
【図3】図3は、14日間の試験期間中のHCV RNAの血漿濃度(IU/mL)を示す(実施例5)。
【図4】図4は、14日間の試験期間中のベースラインと比べたHCV RNAの血漿濃度(IU/mL)の変化を示す(実施例5)。
【図5】図5は、750mg、8時間毎の投与群における、個々の対象についての14日間の試験期間中のベースラインと比べたHCV RNAの血漿濃度(IU/mL)の変化を示す(実施例5)。
【図6】図6は、全ての投与群におけるネオプテリン、ALT(アラニンアミノ転移酵素)、およびHCV RNAの平均値±SEMを示す。以下の記号を図6において用いる:平均ALTレベル±SEM(上、白抜き記号の4本線)、ネオプテリン平均血漿濃度±SEM(中、白抜き記号の4本線)、および平均血漿HCV RNA負荷±SEM(下、黒塗り記号の4本線)におけるベースラインからの変化を、3つ全ての投与群およびプラセボについて示す。患者を、VX−950で14日間処置した。*450mg、8時間毎の群における12日目の平均ALTレベルの一過性増加は、アーチファクトである(10症例中5症例には見られなかった、中央値38U/l、範囲25−125U/l)(実施例5)。
【図7】図7は、全ての群における平均ネオプテリン値±SEMを示す。3つ全ての投与群およびプラセボについての、処置前、7日目および14日目のネオプテリン平均血漿濃度±SEM。平均ネオプテリンの減少は、処置前に最高値であり、14日目に最低の平均値を示す、750mg、8時間毎の投与群で最大であることに留意すべきである。750mg、8時間毎の投与群において、ベースラインおよびプラセボと比較したネオプテリンの減少は、14日目に最大となった(*対応のない両側t検定、**Mann Whitney検定)。Y=7.7nmol/lの横破線は、ULNを示す(実施例5)。
【0014】
図8、9および10は、HCV NS3/4AプロテアーゼによるTRIF(TLR3アダプタータンパク質)のインビトロ切断が、VX−950により阻害されることを示す。
【図8】図8(IFN−β、TRIFまたはTICAM−1を誘導するアダプターを含むtoll−IL1受容体ドメイン)は、種々のタンパク質結合ドメインを示すTRIFの略図を示す。Cys372でのHCV NS3 プロテアーゼによるTRIF切断により、2つの断片:ΔC340およびΔN372が生じる(Li et al 2005, PNAS, 102, p2992−2997の改訂版)。
【図9】図9は、HCV NS3プロテアーゼによるTRIF切断の速度(kinetics)を示す。35Sメチオニン標識結合TRIFタンパク質インビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、0−240分の範囲の種々の時間、6μMのtNS3 プロテアーゼと共にインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行った。ゲルを、切断産物を定量するために、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、時間関数として図中に示す。
【図10】図10は、NS3 プロテアーゼ依存的TRIF切断およびVX−950によるTRIF切断の阻害を示す。35Sメチオニン標識結合TRIFタンパク質インビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、10μM VX−950の存在下(○)または不存在下(□)のどちらかで、0−4μMの範囲のtNS3 プロテアーゼ酵素の増加濃度下でインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行い、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、図に示す。
【図11】図11は、VX−950耐性変異体のインビトロでの表現型の特徴を示す。野生型プロテアーゼと比較してVX−950に対する増加した耐性が、インビトロ酵素反応(Ki)または2日間のレプリコンアッセイ(IC50)において、A156V/T変異により得られた。野生型酵素と比較した変異体のKcat/Km比を、表に示す(Lin et al 2005, JBC, 280, p36784−36791の改訂版)。
【図12】図12は、野生型(WT)NS3プロテアーゼと比較したA156V/T変異体によるHCV 4A/B基質の切断を示す:35Sメチオニン標識結合した、4A/B結合点を間に有するSEAPタンパク質と融合した不活性化HCV変異プロテアーゼのインビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、0.008μMないし6μMの範囲の野生型(WT)(□)またはA156V/T(△および○)tNS3 プロテアーゼのどちらかの変化量と共にインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行い、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、図に示す。
【図13】図13は、野生型(WT)NS3プロテアーゼと比較したA156V/T変異体によるTRIF基質の切断を示す。35Sメチオニン標識結合TRIFのインビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、0.008μMないし6μMの範囲の野生型(WT)(□)またはA156V/T(△および○)tNS3プロテアーゼのどちらかの変化量と共にインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行い、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、図に示す。
【0015】
【図14】図14は、ベースライン、7日目、および14日目における平均HCV RNA、ネオプテリンおよびALTを示す(実施例5)。
【図15】図15は、センダイウイルスで刺激したHuh7細胞におけるHCVプロテアーゼによるIFN−βプロモーター活性の抑制を示す。Huh7細胞を、野生型(WT)または不活性変異体(MT)プロテアーゼのどちらかと、IFN−βプロモーター制御下でルシフェラーゼ遺伝子を発現するプラスミドで共トランスフェクトし、次いでセンダイウイルス(SeV)で刺激した。センダイウイルス非誘導性対照と比較したルシフェラーゼ遺伝子の活性化倍数を、この図に示す。
【図16】図16は、VX−950を用いる処理が、センダイウイルス刺激IFN−βプロモーター活性に対するHCVプロテアーゼの抑制効果を克服し得ることを示す。Huh7細胞を、野生型(WT)または不活性化変異体(MT)プロテアーゼのどちらかと、IFN−βプロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子を発現するプラスミドで共トランスフェクトした。これらの細胞を、DMSO(対照)または10μM VX−950のどちらかで処理した。細胞をセンダイウイルス(SeV)で刺激し、ルシフェラーゼ活性を感染の16時間後に測定した。センダイウイルス非誘導性対照と比較したルシフェラーゼ遺伝子の活性化倍数を、この図に示す。
【図17】図17は、VX−950処置が、HCV治療に以前非応答性であった患者(図17A)および未処置患者(図17B)においてHCV RNAの減少をもたらすということを示す。各処置レジメンにおける患者の平均HCV RNAレベルを示す。血漿HCV RNA濃度を、Roche COBAS TaqMan HCV/HPS分析を用いて決定した。
【図18】図18は、本明細書に記載の種々の治療レジメンに対するVX−950耐性変異体の表現型の特徴を示す。
【図19】図19は、処置期間中の図90の野生型および耐性変異体の存在の概算を示す。
【図20】図20は、推定処置期間中の仮定したPeg−IFN/RBVの高い有効性プロットを示す。
【図21】図21は、推定処置期間中の仮定したPeg−IFN/RBVの低い有効性プロットを示す。
【図22】図22は、処置の8ないし12週間後のウイルス再発生を示す。
【図23】図23は、SVRの推定処置期間を示す。
【図24】図24は、プラセボおよびPeg−IFN;VX−950;または、VX−950およびPeg−IFNの14日間の投与期間;その後の、Peg−IFNおよびRBVが投与された期間と判断される48週間のフォローアップ期間を含む実験の時間軸を示す。
【図25】図25は、14日間の投与期間中、VX−950で処置した対象における迅速な抗ウイルス応答を示す。一般的に、用量レジメンの完了時、これらの処置した対象におけるHCV RNAレベルは、少なくとも2log10減少し、いくつかの場合には少なくとも4log10減少する。
【図26】図26は、14日間の投与期間中、HCV/Peg−IFN−2αで処置した対象における個々のHCV RNAレベルを示す。一般的に、用量レジメンの完了時、これらの処置した対象におけるHCV RNAレベルは、少なくとも3log10減少し、いくつかの場合には少なくとも4log10減少する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、VX−950を投与するための特定の用量および投与量レジメンに関する。VX−950(テラプレビルとしても公知)は、7nMの定常結合定数(ki*)を有する競合性、可逆性ペプチド模倣性NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤である。例えば、WO02/018369参照。
【化1】
【0017】
本発明の目的のために、本明細書に記載の化合物“VX−950”は、その薬学的に許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物を包含する。
【0018】
本明細書中で用いる語句、VX−950の“薬学的に許容される塩(塩類)”は、HCV感染の処置に安全かつ有効なVX−950の塩類を意味する。薬学的に許容される塩類には、VX−950中に存在する酸性基および塩基性基の塩類が含まれる。薬学的に許容される酸付加塩類には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチアニン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩(glucaronate)、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩が含まれるが、これらに限定されない。VX−950はまた、種々のアミノ酸と薬学的に許容される塩類を形成してもよく、これらのアミノ酸塩類の使用はまた、本発明の範囲内である。適当な塩基性塩類には、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、およびジエタノールアミン塩類が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩のレビューに関しては、Berge et al., J. Pharm. Sci., 66, 1−19 (1977)(その内容は、参照により本明細書中に包含される)を参照のこと。
【0019】
本明細書で用いる語句、VX−950の“薬学的に許容されるプロドラッグ”は、HCV感染の処置においてその薬理学的効果を示す前に、生理的条件下で、または加溶媒分解によりVX−950に、またはVX−950の薬学的に許容される塩に変換され得る化合物を意味する。典型的には、プロドラッグは、改善された化学安定性、改善された患者の許容性およびコンプライアンス、改善されたバイオアベイラビリティ、作用持続時間の延長、改善された臓器選択性、改善された製剤(例えば、増大した溶解性)、または減少した副作用(例えば、毒性)の目的で製剤される。薬学的に許容されるプロドラッグは、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Chemistry, Vol. 1, 172−178および949−982, John Wiley & Sons (1995)に記載の方法のような、当技術分野で公知の方法を用いてVX−950から容易に製造され得る。Bertolini et al., J. Med. Chem., 40, 2011−2016 (1997); Shan et al., J. Pharm. Sci., 86(7), 765−767 (1997); Bagshawe, Drug Dev. Res., 34, 220−230 (1995); Bodor, Advances in Drug Res., 13, 224−331 (1984); Bundgaard, Design of prodrugs, Elsevier Press (1985); および、Larsen, Design and Application of prodrugs, Drug Design and Development (Krogsgaard-Larsen et al., eds.), Harwood Academic Publishers (1991)も参照。
【0020】
本明細書で用いる語句、VX−950の“薬学的に許容される溶媒和物”は、溶媒分子(複数可)を含み、VX−950の生物学的有効性を保持する、VX−950の薬学的に許容される溶媒和物形態を意味する。溶媒和物例には、VX−950と、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸またはエタノールアミンの組み合わせが含まれる。
【0021】
固体であるVX−950の塩類、プロドラッグ類または溶媒和物類の場合、これらの塩類、プロドラッグ類および溶媒和物類は、異なる結晶形またはアモルファス形態で存在していてよいことは当業者に理解され、それら全ての使用もまた、本発明の範囲内である。
【0022】
VX−950は、1個以上の不斉炭素原子を含んでいてよく、故に、ラセミ体およびラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在し得る。これらの化合物の全てのそのような異性体形態は、本発明に明示的に包含される。各立体中心の炭素は、RまたはS配置であり得る。VX−950のN−プロピル側鎖におけるD−およびL−異性体は、本発明の範囲内に明示的に包含される。
【0023】
VX−950は、ヒトにおいて単回用量で試験され、良好な耐容性であることが見出された(実施例3)。有害事象の発生または程度は、VX−950用量と共に増加しなかった。重症(グレード3またはグレード4)であると見なされた有害事象はなかった。より一般的かつ重度の有害事象は、皮膚の有害事象(例えば、吹き出物、および掻痒)、その後の消化管事象および貧血であった。血液学または臨床化学パラメーターについては、ベースライン実験値から臨床的に顕著な変化はなかった。試験した対象は全て、身体検査、バイタルサイン、または心電図に臨床的に顕著な変化はなかった。
【0024】
本発明者らは、野生型HCVが、VX−950により10週間以内に根絶され得ることを発見した。HCVのVX−950耐性変異体(IC50の7−20倍の増大を有する)に関して、それらは、10−24週間のPeg−IFN/RBV用量レジメンのフォローアップにより根絶され得る。
【0025】
分析を、VX−950の薬物動態学的プロフィールを決定するために行った。データを図1および図2に示す。
【0026】
VX−950への肝臓暴露を、統合した前臨床および臨床データを基に、予測した。予測したヒト肝臓暴露を、良好な耐容性見込まれ、治療上有用性が生じる用量を決定するために、VX−950レプリコンアッセイおよび感染性ウイルスアッセイの結果と合わせた。予測した平均肝臓濃度値は、試験した用量範囲で、レプリコンアッセイIC90の57倍まで、レプリコンアッセイIC50の113倍までであった。
【0027】
これらの結果は、本発明の用量レジメンが、非臨床試験で決定したIC50およびIC90を大幅に超過してVX−950の肝臓濃度を達成し得ることを示す。
【0028】
従って、本発明の一態様は、VX−950および薬学的に許容される担体をそれぞれ含む医薬組成物を提供する。これらの医薬組成物中のVX−950の量は、約100mgないし約1500mg、約300mgないし約1500mg、約300mgないし約1250mg、約450mg、約750mg、または約1250mgであり得る。これらの医薬組成物はそれぞれ、例えば1日1回、2回または3回投与され得る。これらの組成物はそれぞれ、1種以上の投与形態(例えば、アンプル、カプセル、クリーム、エマルジョン、液体、粒子、液滴、注入液、懸濁液、錠剤、粉末)であり得る。これらの医薬組成物はそれぞれ、当業者に適当と見なされ、かつ投与形態によって変わる1種以上の経路(例えば、経口、注入、注射、局所的または非経腸的)により投与され得る。
【0029】
本発明の別の局面は、患者のHCV感染を処置または予防する方法であって、患者にVX−950を投与することを含む方法を提供する。
【0030】
いくつかの態様において、VX−950の量は、少なくとも約300mg(例えば、少なくとも約450mg、少なくとも約500mg、少なくとも約750mg、少なくとも約1250mg、または少なくとも約1500mg)である。いくつかの態様において、VX−950の量は、約1500mgを超えない(例えば、約1250mgを超えない、約750mgを超えない、約450mgを超えない、約500mgを超えない、または約300mgを超えない)。
【0031】
上記の下限量および上限量は、VX−950の投与のための用量範囲を提供するために組み合わせ得ると理解されるはずである。例えば、ある態様において、VX−950は、約300mgないし約1250mgまたは約300mgないし約1500mgの量で投与される。
【0032】
いくつかの態様において、VX−950は、約450mg、約500mg、約600mg、約750mg、約1000mg、または約1250mgの量で投与される。
【0033】
本発明の方法において、一定量のVX−950は、例えば1日1回、1日2回(例えば、BID;12時間毎)、または1日3回(例えば、TID;8時間毎)投与され得る。さらに、VX−950を食事と共にまたは別に投与し得る。
【0034】
VX−950は、ヒトにおいて試験され、HCV複製を阻害すること、HCV RNAレベルを十分減少すること、およびウイルスRNAが検出不可能になるようにウイルスを阻害することに有効であることを見出された。
【0035】
750mgのVX−950を8時間毎(q8h)に受容する8名の対象の内、4名は、定量限界未満(LLQ 30IU/mL)のHCV RNAレベルを有し、4名のうち2名の対象は、検出限度未満(LLD 10IU/mL)のHCV RNAレベルを有した。
【0036】
HCV RNA検出を、例えば、Roche molecular Diagnosticsにより市販されるRoche COBAS TaqMan HCV/HPS アッセイを用いることにより行い得る。750mgのVX−950を8時間毎に14日間受容する対象(または、患者)は、HCV−RNAの4log10より大きな平均減少(すなわち、10,000倍の低下)を処置後に達成した。HCV−RNAの2log10より大きな平均減少が、14日間の処置後に、他の2つのVX−950用量群のそれぞれで見られた。VX−950を受容する各対象は、HCV−RNAの2log10より大きな減少を処置の最初の3日以内に達成し、VX−950を受容する28名の対象のうち26名が、処置の最初の3日以内に、HCV−RNAを3log10減少した。実施例5および図3−5を参照のこと。
【0037】
血漿ウイルス量が、VX−950で処置された患者において迅速に減少すること、および、投与終了後、HCV RNAのベースラインレベルにゆっくりと戻ることが証明された。特に、処置終了後にHCV RNAベースラインレベルに戻る速度は、処置によるHCV RNAの減少速度よりゆっくりであった。検出不可能なHCV RNAレベルに達することと合わせてこれらの結果は、単剤療法としてのVX−950の有効性を示す。
【0038】
従って、本発明は、VX−950を、(a)約450mg、1日3回、8時間毎;(b)約750mg、1日3回、8時間毎;(c)約1250mg、1日2回、12時間毎;または、(d)約1250mg、1日3回、8時間毎の量で、患者に投与することを含む、HCVに感染した患者の処置方法を提供する。
【0039】
本発明の別の局面は、患者のHCV RNAレベルが、処置前より処置後のほうが、少なくとも約2log10(好ましくは、少なくとも約4log10)低くなるように、VX−950を投与することによりHCVに感染した患者を処置する方法を提供する。
【0040】
本発明のさらに別の局面は、患者のウイルスRNAレベルが検出不可能なレベルに減少し、“持続的ウイルス応答(SVR:ウイルス排除)”が達成されるまで検出不可能なレベルのままであるように、VX−950を投与することによりHCVに感染した患者を処置する方法を提供する。本明細書で用いる用語“持続的ウイルス応答”は、投与完了後(または、VX−950投与の終了後)24週間、ウイルスRNAレベルが検出不可能なままであることを意味する。
【0041】
750mgのVX−950を8時間毎に用いる本発明の方法は、より高いトラフ濃度を効果的にもたらす。本明細書で用いる用語“トラフ濃度”は、次回投与直前の血漿中の薬剤濃度、または2用量間の最低薬剤濃度を意味する。特にウイルス性疾患において、ウイルス複製を阻害するのに適する濃度に維持するために上記の任意の濃度に薬剤レベルを維持することは、重要である。有利には、本発明者らは、750mgのVX−950を、1日3回、8時間毎に投与する用量レジメンが、VX−950の最高トラフ濃度をもたらすことを発見した。
【0042】
従って、好ましい態様において、本発明は、VX−950を、それを必要とする患者に約750mgを1日3回、8時間毎に投与することを含む方法を提供する。
【0043】
フレキシブルな投与スケジュールが都合よいことは、認められるであろう。従って、本発明の別の態様において、該投与は1日3回であるが、8時間毎ではなく、要すれば食事と共に投与する。ある態様において、VX−950は、食事と共に投与される。
【0044】
本発明はまた、VX−950を、それを必要とする患者に提供する方法であって、VX−950を含む組成物の経口用量を該患者に投与することを含む(ここで、該用量は、該患者に対して、投与後に少なくとも約750ng/mLのVX−950の平均血漿濃度(Cavg)を供する。)、それを必要とするヒトにVX−950を供するための方法を提供する。ある態様において、VX−950のCavgは、約1000ng/mLまたは約1250ng/mLである。ある態様において、該用量は本質的に、750mgのVX−950を含む。ある態様において、該Cavgは、VX−950の投与後3時間以内(例えば、2時間または1時間以内)に得られるか、または達せられる。ある態様において、VX−950のCavgは、約24時間以上(例えば、5週間または12週以上)維持される。
【0045】
別の局面において、本発明は、24時間の間、血漿VX−950を約750ng/mLの最低トラフ濃度に維持するために、VX−950を含む少なくとも1個の投与形態を24時間かけて投与すること(ここで、該投与形態は、投与される。)により患者におけるHCV感染を処置する方法を提供する。
【0046】
ある態様において、該投与形態を、24時間の間、血漿VX−950を、約800ng/mL(例えば、約900ng/mLまたは約1000ng/mL)の最低トラフ濃度に維持するために投与する。
【0047】
ある好ましい態様において、治療的有効血漿濃度が得られ、あるトラフ濃度が維持される。これらの方法は、特に、VX−950製剤を投与することによりHCV感染を有するヒトを処置するのに有用であり、ここで、該VX−950の血漿中トラフ濃度は、24時間の間、約750ng/mL、800ng/mL、900ng/mLまたは1000ng/mLの最低レベルに維持される。理論はともかく、約1500ng/mLより大きいトラフ濃度は、本発明に必要とされないと考えられる。従って、約750、800、900、1000ng/mLないし約1500ng/mL(特に、1000ないし約1500)のトラフ濃度は、本発明の範囲内である。
【0048】
また、VX−950をヒトに送達するためのVX−950を含む投与形態であって、該投与形態が24時間の間に少なくとも1回投与されるとき、VX−950の血漿中トラフ濃度が、24時間の間、少なくとも約750ng/mL、800ng/mL、900ng/mL、または1000ng/mLないし、24時間の間、約1500ng/mL(特に、1000ng/mLないし約1500ng/mL)に維持される投与形態も提供する。
【0049】
理想的には、本発明の方法が、HCVに感染した患者を処置することを包含するとき、本方法は、VX−950の治療的に有効な血漿濃度を比較的迅速に達成し、その後、効果的な治療応答を達成するようにトラフ濃度を維持することを含む。効果的な治療応答とは、好ましくは、a)持続的ウイルス応答を達成すること;そして、b)少なくとも12週間(12週間またはそれ以上)、検出不可能な血漿中HCV RNAを達成すること、の一方または両方である。本明細書中で用いる、HCV RNAについての“検出不可能”とは、HCV RNAが、現在商業的に利用可能なアッセイにより決定される、好ましくは、Roche COBAS TaqMan(商標) HCV/HPSアッセイにより決定される、10IU/mL未満であることを意味する。
【0050】
血漿濃度の比較的迅速な低下は、患者に負荷用量を投与することにより得られ得る。一態様において、負荷用量は、約1250mgのVX−950である。
【0051】
本発明のある投与形態において、(負荷用量を投与するために用いられる投与形態以外の)投与形態には、約750mgのVX−950が含まれ、該投与形態は、8時間毎に1回(すなわち、q8h)投与される。
【0052】
ある態様において、VX−950投与形態は、8時間毎に1回投与される。
【0053】
ある態様において、VX−950を用いる処置期間は、現在の標準的な治療よりも短い。
【0054】
ある態様において、VX−950は、約12週間未満(または、12週間未満)の間投与される。
【0055】
ある態様において、VX−950は、約8−12週間(または、8−12週間)の間投与される。
【0056】
ある態様において、VX−950は、約10週間(または、10週間)の間投与される。
【0057】
図90−93に示す通り、データモデルは、VX−950の投与が、野生型ウイルスを10週間以内に根絶し得ることを示す。
【0058】
ある態様において、VX−950は、約10週間未満の間投与される。
ある態様において、VX−950は、約2週間投与される。
【0059】
本発明者らは、SVRが、2週間のVX−950処置を受容する患者において達成されることを証明した。
【0060】
他の態様において、VX−950は、約8週間未満(または、約8週間もしくは8週間)、約6週間未満(または、約6週間もしくは6週間)、または約4週間未満(または、約4週間もしくは4週間)の間投与される。
【0061】
ある態様において、本発明の方法は、遺伝子型1型のC型肝炎ウイルスに感染した患者の処置を含む。遺伝子型1型のHCV感染は、治療するHCVの最も困難な株および米国で最も蔓延している株である。
【0062】
本発明者らはまた、VX−950の投与が、ネオプテリンおよびALT(血清アラニンアミノ基転移酵素)レベルをインビボで減少させることを証明した(図6、図7および図14)。AST(アルパラギン酸アミノ基転移酵素)レベルもまた、VX−950の投与により減少した。ALTは、肝臓細胞に存在する酵素であり;肝臓細胞が、損傷を受けるかまたは炎症を起こすとき、ALTが細胞から血中へ流れ出す。血中ALTレベルは、肝炎または肝臓損傷のマーカーとして有用である。Tatyana Yashina & J. Sanders Sevall, “Hepatitis C Virus” in Use and Interpretation of Laboratory Tests in Gastroenterology, James B. Peter, ed., p. 127, (1998);および、Andres T. Blei, “Liver and Biliary Tract” in Laboratory Medicine, D. A. Noe and Robert C. Rock, eds., ch. 19, p. 363 (1994)を参照のこと。
【0063】
ネオプテリン(6−d−エリスロ−トリヒドロキシプロピルプテリジン)は、グアノシン三リン酸(GTP)の代謝中に産生されるプテリジン誘導体である。ネオプテリンは、インターフェロンγまたはインターフェロンαによる活性化により単球およびマクロファージによって最初に産生され、炎症のマーカーである。ネオプテリンレベルは、しばしば、慢性的HCV感染において上昇する(Quiroga, et al. Dig Dis Sci 1994;39(11): 2485−96)。健康な個体において予期されるネオプテリンの血漿レベルは、3.1ないし7.7nmol/lである。
【0064】
従って、本発明者らは、単球/マクロファージ活性のマーカーとして、(HCV)NS3・4Aプロテアーゼの阻害剤の投与期間中の血清ネオプテリン濃度の変化を決定した。本明細書で記載の通り、VX−950を、遺伝子型1型のHCVに感染した34名の患者における、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多数回投与試験において14日間投与した(表1)。患者は、VX−950を、450mg、8時間毎(n=10)、750mg、8時間毎(n=8)、1250mg、12時間毎(n=10)、またはプラセボ(n=6)を受容した。血清ネオプテリン濃度を、定量的競合ELISA(ELItest(登録商標) Neopterin, Brahms, Hennigsdorf, Germany)により、処置前、処置7日目、14日目、および処置後10日目に測定し得る。検出の下限値(LLD)は、2nmol/lであった。HCV RNAを、リアルタイムPCR (COBAS(登録商標) TaqMan HCV検定;3.0×101から2.0×108 HCV RNA IU/mlの線形ダイナミックレンジ;10 HCV RNA IU/mlのLLD;Roche Diagnostics, Branchburg, NJ)により、試験中頻繁に評価した。
【0065】
VX−950の投与期間中、各患者は、全ての用量群においてウイルス量が少なくとも2log10低下することを証明した。750mg、8時間毎の用量群において、平均HCV RNAは、3日目に3.6log10低下し、14日目に4.3log10低下した。450mg、8時間毎、および1250mg、12時間毎の用量群において、最大効果は、3日目から7日目に見られ、その後、7日目から14日目の間に平均ウイルス量が増加した。平均ウイルス量は、全ての用量群において、フォローアップ中に増加した。有利なことに、HCV未処置患者および以前処置した患者の両方において、本発明の方法が有効である。図17Aおよび図17Bに示す通り、以前処置した患者および未処置患者の両方が、VX−950に応答した。疑いを避けるために、本発明の方法で処置され得る患者には、HCV処置が、試されなかった患者か、または、非応答、リバウンド、再発および進行した患者を含む、処置に失敗した患者が含まれる。
【0066】
ネオプテリンベースラインは、23/34名の患者で上昇した(平均9.33nmol/l;正常上限(ULN)7.7nmol/l)。750mgの用量群において、ベースラインおよびプラセボと比較したネオプテリンの減少は、14日目に顕著となった(750mg、8時間毎の用量群のベースライン 対 14日目が、10.48±0.84nmol/L 対 7.32±0.48nmol/L、P=0.0104、マンホイットニー検定;750mg、8時間毎の用量群 v プラセボ、14日目 7.32±0.48nmol/l v 9.81±1.36nmol/l P=0.0036、対応のない両側t検定)。平均ネオプテリンレベルは、750mg、8時間毎の用量群においてのみ、14日目にて正常値内であった(図7および図14)。450mg、8時間毎の用量群、および1250mg、12時間毎の用量群において、平均ネオプテリンレベルの減少は、より小さかった(図6、7、および14)。平均ネオプテリンレベルは、プラセボ群で変化しなかった(図6および図7)。平均ネオプテリンレベルは、フォローアップ中に全ての用量群で増加した。
【0067】
血清アラニンアミノ基転移酵素(ALT)レベルは、市販されている方法を用いて測定可能である。平均ALTレベルは、ベースライン時に高く、全ての群にて投与中に減少した(図6)。平均ALTレベルは、フォローアップ中に全ての用量群で増加し、ベースラインに戻った。
【0068】
HCV RNAは、450mgの用量群、および1250mgの用量群で7日後に増加するが、ネオプテリンおよびとりわけALTは、減少し続ける。平均ネオプテリン濃度の変化は、VX−950の投与中のHCV RNAおよびALTレベルの減少と関係があった。平均ネオプテリン濃度は、750mg、8時間毎の用量群において14日目に最大に減少した。これはまた、14日目に、HCV RNAの最大の減少を有する用量群でもあった。450mg、8時間毎、および1250mg、12時間毎の用量群において7日目の後、ALTおよびネオプテリンレベルは減少したが、HCV RNAレベルは増加した。これらのデータは、VX−950によるHCV複製の阻害が、結果としてウイルス感染と関係のある全身性炎症性活性の著しい減少となることを示唆する。
【0069】
VX−950はまた、動物モデルにおいて高ALTレベルを改善する(WO2005/025517を参照)。特に、SCIDマウスにおけるWT−HCVプロテアーゼ−SEAPの発現は、VX−950で処置することにより改善される高ALTレベルをもたらす。SCIDマウスにおけるWT−HCVプロテアーゼのみの発現は、ALTレベルの時間および用量依存的上昇ももたらす。
【0070】
従って、本発明は、患者においてALTレベルを低下する(正常化することを含む)方法を提供する。該方法は、治療的有効量のVX−950 (例えば、1日当たり約1350mg、約2250mg、または約2500mg)を、それを必要とする患者に投与することを含む。患者は、HCVに感染していても、HCVに感染していなくてもよい。
【0071】
ある態様において、VX−950は、1日当たり、約450mgもしくは約750mgを8時間毎、または約1250mgを12時間毎投与される。
【0072】
本発明の別の局面は、HCV陽性またはHCV陰性のどちらかである患者において、肝臓障害、肝炎、脂肪症、脂肪肝、NAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、およびライ症候群の1種以上を処置または予防するための方法を提供する。
【0073】
本発明はまた、HCV陽性または陰性のどちらかである患者における、肝臓保護(hepatoprotection)のための方法も、本発明の範囲内である。
【0074】
本発明者らはまた、VX−950が、インビトロで免疫回避を阻止することを証明した。
【0075】
VX−950は、センダイウイルス感染Huh7細胞におけるIFNβ依存的遺伝子発現を元に戻す。IFNβプロモーター活性は、WT HCVproの存在下で、センダイウイルス刺激に応答して減少する。VX−950は、WT HCVproが仲介するIFNβプロモーター活性化の抑制を克服する。図15および図16参照。
【0076】
さらに、NS3/4Aは、例えば、TRIF依存的機序(ならびに、ウイルスポリタンパク質プロセシング)により、先天的防御の回避を伴うことが知られている。この免疫回避は、ウイルスの存続をもたらす。従って、ウイルスポリタンパク質プロセシングおよび先天的防御の回避の両方を阻害する化合物が望ましい。有利には、VX−950は、該その両方を行うことが示されている。特に、VX−950は、インビトロで、TLR3アダプタータンパク質であるTRIFの切断を阻害する。図8−10。
【0077】
理論はともかく、モデル化は、VX−950が、NS3プロテアーゼによるTRIF切断を阻害することを示唆する。TRIFは、NS3プロテアーゼ活性部位の非プライム(non−prime)側に結合する。VX−950は、TRIFと、同じ活性部位の非プライム側に結合し、TRIF切断を阻止する。
【0078】
2種のVX−950ウイルス変種、A156TおよびA156Vが、TRIFまたは4A/4Bのどちらかを切断する能力の低下を示すことが示されている(C. Lin et al. “In Vitro Studies of Cross−resistance Mutations Against two Hepatitis C Virus Serine Protease Inhibitors VX−950 and BILN 2061”, J. Biol. Chem., (August 8, 2005))。これらのウイルス変種は適合性が小さいため、それらはウイルスポリタンパク質プロセシングおよびウイルスの存続の両方に影響しない。理論は別にして、これは、4A/4BおよびTRIF基質に結合して影響を与えるA156Vの立体障害と関係する。図11−13参照。
【0079】
これは、VX−950が、直接的抗ウイルス剤および免疫回避の阻害剤の両方として作用することを示す。従って、本発明はまた、HCVプロテアーゼが仲介する宿主の防御の回避を阻害する方法を提供する。
【0080】
本明細書中で開示されるインビボデータと共にこれらの結果は、単剤療法としてのVX−950の有効性を示す。
【0081】
本発明のVX−950の量は、単一投与形態または2つ以上の投与形態で投与される。分割投与形態であるとき、各投与形態は、ほぼ同時に投与される。疑いを避けるために、1日2回以上の投与を求める投与レジメンについては、1個以上の丸剤または用量が、1日当たり各回で投与され得る(例えば、1個の丸剤を1日3回、または3個の丸剤を1日3回)。本発明の最も好ましい態様は、1回の投与につき少なくとも2個の丸剤を用い得る。
【0082】
当業者に実施可能なように、本発明の方法が患者の予防的処置に用いられ、その患者がC型肝炎ウイルスに感染するとき、該方法は、その後感染を処置し得る。故に、本発明の一態様は、患者におけるC型肝炎感染の処置または予防方法を提供する。
【0083】
C型肝炎に感染した患者の処置に加えて、本発明の方法は、C型肝炎の感染から患者を予防するために用いられ得る。従って、本発明の一態様は、本発明の組成物または投与形態を患者に投与することを含む、患者におけるC型肝炎ウイルス感染の予防方法を提供する。
【0084】
本発明の方法はまた、免疫調節剤;抗ウイルス剤;HCVプロテアーゼの阻害剤(VX−950以外);HCV生活環の別の標的の阻害剤(NS3/4Aプロテアーゼ以外);内部リボソーム侵入の阻害剤、広域的ウイルス阻害剤;または、シトクロムP−450阻害剤;または、それらの組み合わせ、から選択されるさらなる薬剤を含む別の成分の投与を含み得る。さらなる薬剤はまた、ウイルスの細胞侵入の阻害剤からも選択される。
【0085】
従って、別の態様において、本発明は、VX−950および別の抗ウイルス剤、好ましくは抗HCV剤を投与することを含む方法を提供する。そのような抗ウイルス剤には、α−、β−、およびγ−インターフェロンまたはチモシン、PEG化誘導体化インターフェロン−α化合物、およびチモシンのような免疫調節剤;リバビリン、アマンタジン、およびテルビブジンのような別の抗ウイルス剤;C型肝炎プロテアーゼの他の阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤);ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、およびメタロプロテアーゼ阻害剤を含む、HCV生活環における他の標的の阻害剤;内部リポソーム侵入の阻害剤;IMPDH阻害剤のような広域的ウイルス阻害剤(例えば、VX−497、VX−148、および/またはVX−944を含むが、それらに限定されない、米国特許第5,807,876号、同第6,498,178号、同第6,344,465号および同第6,054,472号ならびにPCT公報WO97/40028、WO98/40381およびWO00/56331に記載の化合物;ならびにミコフェノール酸およびその誘導体);または、上記のいずれかの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0086】
本発明の化合物と併用され得る他の薬剤(例えば、非免疫調節または免疫調節化合物)には、参照により本明細書中に包含されるWO02/18369(例えば、273頁、9−22行目、および274頁、4行目から276頁、11行目、本開示は、参照により明確に本明細書中に包含される)に記載されるものが含まれるが、それらに限定されない。
【0087】
種々の公開された米国特許出願に記載されるさらに他の薬剤が包含される。これらの刊行物は、本発明の方法、特に肝炎の処置方法においてVX−950と併用し得る化合物および方法のさらなる教示を提供する。そのような方法および組成物は全て、本発明の方法および組成物と併用し得ると考えられる。簡単には、それらの刊行物の開示内容は、公開番号を参照することにより参照されるが、化合物の開示が、特に、参照により本明細書中に明確に包含されることは、注意されるべきである。そのような刊行物の例には、米国特許公開番号:US20040058982、US20050192212、US20050080005、US20050062522、US20050020503、US20040229818、US20040229817、US20040224900、US20040186125、US20040171626、US20040110747、US20040072788、US20040067901、US20030191067、US20030187018、US20030186895、US20030181363、US20020147160、US20040082574、US20050192212、US20050187192、US20050187165、US20050049220、およびUS20050222236が含まれる。
【0088】
さらなる他の薬剤には、Human Genome Sciencesから市販されるアルブフェロン(商標)(アルブミン−インターフェロンα);PEG−イントロン(登録商標)(ペグ化インターフェロンα−2b、Schering Corporation, Kenilworth, NJから市販される);イントロン−A(登録商標)(VIRAFERON(登録商標)、インターフェロンα−2b、Schering Corporation, Kenilworth, NJから市販されている);リバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド、ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CAから市販される;the Merck Index, entry 8365, Twelfth Editionに記載される);REBETROL(登録商標)(Schering Corporation, Kenilworth, NJ);コーペガス(登録商標)(Hoffmann−La Roche, Nutley, NJ);ペガシス(登録商標)(ペグ化インターフェロンα−2a、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから市販される);ロフェロン(登録商標)(組換えインターフェロンα−2a、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから市販される);BEREFOR(登録商標)(インターフェロンα2、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc., Ridgefield, CTから市販される);スミフェロン(登録商標)(スミフェロンのような、精製物と天然のαインターフェロンの混合物、住友製薬、日本から市販される);ウェルフェロン(登録商標)(インターフェロン α n1、Glaxo Wellcome Ltd., Great Britainから市販される);アルフェロン(登録商標)(Interferon Sciencesにより製造される天然αインターフェロンの混合物、およびPurdue Frederick Co., CTから市販される);α−インターフェロン;天然αインターフェロン 2a;天然αインターフェロン 2b;ペグ化αインターフェロン 2aまたは2b;コンセンサスαインターフェロン(Amgen, Inc., Newbury Park, CA);レベトロン(登録商標)(Schering Plough、インターフェロン−α 2B+リバビリン);ペグ化インターフェロンα(Reddy, K.R. et al. “Efficacy and Safety of Pegylated (40−kd) Interferon alpha−2a Compared with Interferon alpha−2a in Noncirrhotic Patients with Chronic Hepatitis C”(Hepatology, 33, pp. 433−438 (2001);コンセンサスインターフェロン(インファゲン(登録商標))(Kao, J.H., et al., “Efficacy of Consensus Interferon in the Treatment of Chronic Hepatitis” J. Gastroenterol. Hepatol. 15, pp. 1418−1423 (2000);リンパ芽球様または“天然”インターフェロン;インターフェロン tau(Clayette, P. et al., “IFN−tau, A New Interferon Type I with Antiretroviral activity” Pathol. Biol. (Paris) 47, pp. 553−559 (1999);インターロイキン−2(Davis, G.L. et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999);インターロイキン−6(Davis et al. “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease 19, pp. 103−112 (1999);インターロイキン−12(Davis, G.L. et al., "Future Options for the Management of Hepatitis C." Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999);および、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物(Davis et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999))、が含まれるが、それらに限定されない。また、二本鎖RNA単独、またはトブラマイシンおよびイミキモドとの組み合わせを含むが、これらに限定されない(3M Pharmaceuticals;Sauder, D.N. “Immunomodulatory and Pharmacologic Properties of Imiquimod” J. Am. Acad. Dermatol., 43 pp. S6−11 (2000))、細胞におけるインターフェロンの合成を刺激する化合物(Tazulakhova, E.B. et al., “Russian Experience in Screening, analysis, and Clinical Application of Novel Interferon Inducers” J. Interferon Cytokine Res., 21 pp. 65−73)も含まれる。また、WO02/18369、特に272頁、15行目から273頁、8行目を参照のこと(この開示内容は、参照により本明細書中に明確に包含される)。
【0089】
当業者に認められる通り、VX−950は、好ましくは経口投与される。インターフェロンは、通常、経口投与されないが、経口投与剤形が開発されている。それにもかかわらず、本明細書中、本発明の方法または組み合わせを、何らかの特定の投与形態またはレジメンに限定すべきではない。よって、本発明の組み合わせの各構成成分は、個別に、共に、またはその何らかの組み合わせで投与され得る。当業者に認められる通り、インターフェロンの投与量は、一般的に、IUで測定される(例えば、約400万IUから約1200万IU)。インターフェロンはまた、マイクログラム単位で投与され得る。例えば、ペグ化イントロンの標準的用量は、1.0−1.5μg/kg/週であり、ペガシスのそれは、180μg/週である。
【0090】
ある局面において、該方法は、第一段階および第二段階の2つの期間の薬剤投与を含む。例えば、第一段階は、約12週間または24週間未満の期間であり、第二段階は、約12週間より長いか、または約12週間であってよく、例えば第二段階は、約12−36週間であり得る。ある態様において、第二段階は、12週間である。さらに他の態様において、第二段階は、36週間である。ある態様において、第一および第二段階の期間の和は、約24週間ないし48週間(例えば、24,36または48週間)である。いくつかの態様において、第一段階および第二段階は、同一期間であり得る。
【0091】
VX−950は、第一段階、第二段階、または両段階のいずれかで投与され得る。いくつかの態様において、VX−950は、第一段階でのみ投与される。VX−950が、第一段階でのみ投与されるとき、VX−950は、単独で、または他の薬剤と組み合わせて投与されてよく、1個以上の薬剤は、第二段階で投与される。他の薬剤は、1個以上の抗ウイルス剤、1個以上の本明細書に記載の他の薬剤、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの態様において、第一段階および第二段階で投与される特定の薬剤は、同一である。
【0092】
いくつかの態様において、該方法は、2週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の22週間のペグ化インターフェロンα−2a(Peg−IFN)およびリバビリン(RBV)の併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、2週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の46週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0093】
さらに他の態様において、該方法は、2週間の、VX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の22週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、2週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の46週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0094】
さらに他の態様において、該方法は、2週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の22週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、2週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の46週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0095】
いくつかの態様において、該方法は、4週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の20週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、4週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の44週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0096】
さらなる態様において、該方法は、4週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の20週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、4週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の44週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0097】
さらに他の態様において、該方法は、4週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の20週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、4週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の44週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0098】
いくつかの態様において、上記のいずれかの第一段階は約12週間行われ、第二段階は約12週間行われ得る。あるいは、第一段階は約12週間行われ、第二段階は約24週間行われ得る。さらに他の局面において、第一段階は約12週間行われ、第二段階は約36週間行われ得る。
【0099】
いくつかの態様において、上記のいずれかの第一段階は約8週間行われ、第二段階は約16週間行われ得る。あるいは、第一段階は約8週間行われ、第二段階早く28週間行われ得る。さらに他の局面において、第一段階早く8週間行われ、第二段階は約40週間行われ得る。
【0100】
いくつかの態様において、該方法は、48週間未満のVX−950とPeg−IFNの併用投与を含む。例えば、該方法は、24週間未満のVX−950とPeg−IFNの併用投与を含む。
【0101】
いくつかの態様において、該方法は、48週間未満のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与を含む。例えば、該方法は、24週間未満のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与を含む。
【0102】
一態様において、本発明の方法は、約2週間(または、2週間)のVX−950の投与、その後の、約22週間(もしくは、22週間)または約46週間(もしくは、46週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの投与を含む。
【0103】
モデル化データはまた、V36A/M、T54A、R155K/T、A156S A156V/T、V36A/M−R155K/T、およびV36A/M−A156V/TのようなVX−950耐性変異体は、主に、VX−950処置後の、約10−24週間(または、8−26週間)のPEG−IFNおよびリバビリンの投与により根絶し得ることを示す(図18−21参照)。任意のこれらのレジメンは、24−48週間続く現在の標準的ケア処置レジメンにおいて、処置期間の減少を意味する。
【0104】
いくつかの態様において、本発明の方法は、4週間のRVRおよび12週間の検出不可能な状態を達成し得る。
【0105】
図22に示す通り、VX−950の処置の8−12週間後のウイルス再発生は、VX−950耐性変異体と関係があり、処置の24−48週での再発生率は、特に処置に対して良好な初期応答を示す対象において、基本的に同じであった。
【0106】
図23に示す通り、VX−950、PEG−IFNおよびRBVでの12週間の処置、可能であればわずか8週間の処置は、野生型ウイルスを排除するのに十分であることが明らかである。
【0107】
従って、本発明はまた、VX−950とインターフェロンの併用投与法を提供する。ある態様において、インターフェロンを、約10週間(もしくは、10週間)、約12週間(もしくは、12週間)、約14週間(もしくは、14週間)投与する。リバビリンも、レジメン全体を含むが、それに限定されない該レジメンの全部または一部で所望により投与されてよい。
【0108】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0109】
一態様において、本発明は、約12±4週間(例えば、8、12または16週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0110】
一態様において、本発明の方法は、約24週間(または、24週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0111】
一態様において、本発明は、約24±4週間(例えば、20、24または28週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0112】
疑いを避けるために、本発明は、約8週間(または、8週間)のVX−950およびインターフェロンの投与、その後の、約16週間(または、16週間)のインターフェロンの投与を伴う合計約24週間(または、24週間)の処置レジメンを含むが、これに限定されないことが理解されるべきである。また、約12週間(または、12週間)のVX−950およびインターフェロンの投与、その後の、約12週間(または、12週間)のインターフェロンの投与を含む合計約24週間(または、24週間)の処置レジメンも提供する。かかるレジメンは、所望により、約24週間(または、24週間)のレジメン全体を含むが、これに限定されないレジメンの全部または一部でのリバビリンの投与を提供する。
【0113】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0114】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約12週間(または、12週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0115】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約36週間(または、36週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0116】
一態様において、本発明の方法は、約24週間(または、24週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約24週間(または、24週間)のPEGIFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0117】
いくつかの態様において、該方法は、VX−950(1250mg)の負荷用量、その後の750mg、8時間毎のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの組み合わせを提供することを含む。
【0118】
本発明に関連して用いられるシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(“CYP”)阻害剤は、VX−950の代謝を阻害すると予期される。それ故に、シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤は、VX−950の代謝を阻害するのに有効量であり得る。従って、CYP阻害剤は、VX−950のバイオアベイラビリティまたはVX−950への暴露が、CYP阻害剤の不存在下でのVX−950と比較して増加するような量で投与される。CYP阻害剤には、リトナビル(WO94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497が含まれるが、これらに限定されない。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが含まれる。
【0119】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ活性を阻害する化合物の能力を測定するための方法は、公知である(米国特許番号第6,037,157号、およびYun, et al. Drug Metabolism & Disposition, vol. 21, pp. 403−407 (1993)を参照)。VX−950およびCYP阻害剤の対象への併用投与の影響を評価するための方法もまた、公知である(US2004/0028755)。かかる方法は全て、組み合わせの薬物動態への影響を決定するために本発明に関連して用いられ得る。
【0120】
本発明の一態様は、CYP3A4およびVX−950の阻害剤の投与方法を提供する。
【0121】
本明細書に記載の方法は、a)VX−950および別の薬剤の組み合わせ;または、b)2個以上の投与形態のVX−950、を投与または併用投与することを含み得る。併用投与は、同一の投与形態または異なる投与形態で各阻害剤を投与することを包含する。異なる投与形態で投与されるとき、該阻害剤は、ほぼ同時または他の投与形態の投与中のいずれかの時間を含む、異なる時間に投与され得る。分割投与形態は、任意の順序で投与され得る。すなわち、全ての投与形態は、他の投与形態の前に、共に、またはその後に投与され得る。
【0122】
VX−950、および何れかのさらなる薬剤を、分割投与形態で製剤することができる。あるいは、患者に投与すべき投与形態の数を減らすために、VX−950、および何れかのさらなる薬剤を、何れかの組み合わせで製剤できる。全ての分割投与形態は、同時に、または異なる時間に投与され得る。投与形態は、その生物学的効果が有利になるように時間内に投与されるべきであることが理解されるべきである。
【0123】
本発明のレジメンおよび投与形態によれば、VX−950は、試料または患者のウイルス量(該ウイルスは、ウイルス生活環に必須のNS3/4Aセリンプロテアーゼをコードする)を減少するのに有効な量(または、本発明の方法を実行するのに有効な量)で、薬学的に許容される担体と共に存在する。あるいは、本発明の組成物には、本明細書中に記載のさらなる薬剤が包含される。各成分は、個々の組成物、組合せ組成物、または単一組成物中に存在し得る。
【0124】
化合物の薬学的に許容される塩を、これらの組成物に用いるとき、それらの塩類は、好ましくは、無機または有機の酸および塩基から誘導される。そのような酸性塩類には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩(camphor sulfonate)、シクロペンタン−プロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が含まれる。塩基性塩類には、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミンのような有機塩基との塩、ならびにアルギニン、リジンのようなアミノ酸との塩などが含まれる。
【0125】
また、塩基性窒素含有基は、塩化、臭化およびヨウ化、メチル、エチル、プロピルおよびブチルのような低級ハロゲン化アルキル;硫化ジメチル、硫化ジエチル、硫化ジブチルおよび硫化ジアミルのような硫化ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルのような長鎖ハロゲン化物;ベンジルおよびフェネチル臭化物のようなハロゲン化アラルキルなどのような物質によって四級化され得る。それにより、水または油に可溶性または分散性の生成物が得られる。
【0126】
本発明の組成物および方法に利用される化合物はまた、選択的な生物学的特性を高めるのに適当な機能性を付加することにより修飾され得る。そのような修飾は、当技術分野で公知であり、所定の生物系(例えば、血液系、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増加し、経口アベイラビリティーを増加し、注射による投与を可能にするための溶解性を増加し、代謝を変化させ、排泄速度を変化させることが含まれる。
【0127】
これらの組成物に用いられ得る薬学的に許容される担体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸のような部分的グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂のような塩または電解質が含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
好ましい態様によれば、本発明の組成物を、哺乳動物、特にヒトに薬剤投与するために製剤する。
【0129】
かかる本発明の医薬組成物(ならびに、本発明の方法において使用するための組成物、組み合わせ、キットおよびパッケージ)を、経口、非経腸、舌下、吸入スプレーにより、局所、経直腸、経鼻、口腔、経膣、または埋め込みリザーバー(implanted reservoir)により投与することができる。本明細書で用いる用語“非経腸”には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病変内および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。好ましくは、該組成物を、経口または静脈内投与する。より好ましくは、該組成物を経口投与する。
【0130】
本発明の組成物の滅菌注射剤は、水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当技術分野で公知の技術により製造され得る。該滅菌注射製剤はまた、非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中滅菌注射溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール溶液であり得る。用い得る許容されるビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル溶液および生理食塩水である。さらに、滅菌した不揮発性油が、溶媒または懸濁化媒体として都合よく用いられる。この目的に関して、合成モノまたはジグリセリドを含む、何れかの無菌性の不揮発性油を用い得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸が、注射剤の製造において、オリーブ油またはヒマシ油のような、とりわけそれらのポリオキシエチル化型の天然の薬学的に許容される油として有用である。これらの油溶液または油懸濁液にはまた、エマルジョンおよび懸濁液を含む薬学的に許容される投与形態の剤形において通常用いられる、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤のような、長鎖アルコール希釈剤または分散剤が含まれ得る。他の通常用いられる、トゥイーン系、スパン系(Span)および他の乳化剤のような界面活性剤、または薬学的に許容される固体、液体または他の投与形態の剤形に通常用いられるバイオアベイラビリティの増強剤はまた、製剤目的にも使用され得る。
【0131】
VX−950およびさらなる薬剤を含む本発明の組成物において、VX−950および該さらなる薬剤は、約10ないし100%の投与量レベルで存在すべきであり、より好ましくは、単剤療法レジメンにおいて通常投与される投与量の約10ないし80%で存在すべきである。
【0132】
本発明の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、粒剤、水性懸濁液または溶液を含むが、これらに限定されない何らかの経口的に許容される投与形態で経口投与され得る。経口用錠剤の場合において、通常用いられる担体には、ラクトースおよびコーンスターチが含まれる。ステアリン酸マグネシウムのような滑剤もまた、一般的に添加される。カプセル形態での経口投与に関して、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁液が経口使用に必要とされるとき、活性成分を、乳化剤および懸濁化剤と併用する。要すれば、任意の甘味剤、香味剤または着色剤を添加することもできる。許容される液体投与形態には、エマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が含まれる。
【0133】
あるいは、本発明の医薬組成物は、直腸投与用に坐剤の形態で投与され得る。これらは、該薬剤と、室温では固体であるが、直腸温では液体であり、故に直腸で薬剤を放出し得る、適当な無刺激性賦形剤を混合することにより製造できる。そのような物質には、カカオバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0134】
本発明の医薬組成物はまた、とりわけ処置の標的が、眼、皮膚、または下部消化管の疾患を含む、局所適用により到達しやすい領域または臓器を含むとき、局所投与され得る。適当な局所製剤は、これらの領域または臓器のそれぞれのために容易に製造される。
【0135】
当技術分野で認識される通り、医薬組成物はまた、リポソームの形態で投与され得る。
【0136】
本発明者らは、VX−950が、経口投与可能であることを証明した。従って、本発明の好ましい医薬組成物は、経口投与用に製剤される。
【0137】
CYP阻害剤に関して、1日当たり、体重1kg当たり約0.001ないし約200mgの投与量レベルが典型的であり得る。より典型的には、1日当たり約0.1ないし約50mg/kg、または約1.1ないし約25mg/kgの間の投与量レベルであり得る。
【0138】
リトナビルの好ましい投与形態に関しては、米国特許第6,037,157号、およびそこに引用される文献:米国特許第5,484,801号、米国特許出願第08/402,690号、および国際特許出願WO95/07696およびWO95/09614を参照のこと。
【0139】
本発明に関係する投与を、長期または短期療法として用い得る。単一投与形態を製造するために担体物質と併用され得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与方法によって変化し得る。典型的な製剤は、約5%ないし約95%の活性化合物(w/w)を含み得る。好ましくは、かかる製剤は、約20%ないし約80%の活性化合物を含む。
【0140】
患者の状態の改善により、必要ならば、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持量が投与され得る。次いで、投与の投与量あるいは頻度、または両方を、その症状の関数として、改善された状態が、症状が所望のレベルに軽減され、処置を終えるべきときに維持されるレベルに減らし得る。しかしながら、患者は、何らかの疾患症状の再発により長期的に断続的な処置を必要とし得る。
【0141】
何れかの特定の患者に対する特定の投与量および処置レジメンが、用いる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、混合薬、担当医の判断、および処置すべき特定の疾患の重症度、これまでの治療歴、共存疾患または併用薬、ベースラインのウイルス量、種、疾患の期間、肝機能の状態および肝線維症/肝硬変の程度、ならびに治療目標(移植によるウイルス循環の排除またはウイルスの根絶)を含む、様々な因子によって変わり得ることも理解されるべきである。活性成分の量は、特定の記載した化合物、ならびに組成物中のさらなる抗ウイルス剤の存在または不存在、および性質によっても変わり得る。
【0142】
他の態様によれば、本発明は、本発明の薬学的に許容される組成物を該患者に投与することにより、ウイルスの生活環に必要なNS3/4Aセリンプロテアーゼをコードするウイルスにより特徴付けられるウイルスに感染した患者の処置方法を提供する。好ましくは、本発明の方法は、HCV感染を有する患者の処置に用いられる。かかる処置は、ウイルス感染を完全に根絶するか、またはその重症度を低減し得る。好ましくは、該患者は哺乳動物である。より好ましくは、該患者はヒトである。
【0143】
本明細書に記載の投与量は、好ましくはインビボでの使用用である。それにもかかわらず、これは目的に応じてこれらの量のVX−950の使用に限定されるものと意図されない。さらに別の態様において、本発明は、生物学的物質と、本発明の化合物を含む薬学的に許容される組成物を合わせる工程を含む、患者に投与することを目的として該生物学的物質を前処理する方法を提供する。かかる生物学的物質には、血液および血漿、血小板、血液細胞の亜集団などのその成分;腎臓、肝臓、心臓、肺などの臓器;精子および卵子;骨髄およびその成分、ならびに食塩水、デキストロースなどの患者に注入される他の液体が含まれるが、それらに限定されない。
【0144】
本発明はまた、VX−950、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを組み合わせる工程を含む、VX−950、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を製造するための方法を提供する(ここで、組成物中のVX−950の投与量は、本発明のいずれかの態様に従う。)。本発明の別の態様は、該組成物が、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤を含む方法を提供する。
【0145】
本発明はまた、VX−950、またはその薬学的に許容される塩を、本明細書中に記載の投与量で含む治療レジメンを提供する。本発明の別の態様において、治療レジメンはさらに、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤を含む。
【0146】
医薬組成物はまた、単一パッケージ、通常ブリスターパッケージに一連の処置全体を含む“患者パック(patient pack)”で患者に処方され得る。患者パックは、患者が、従来の処方において通常紛失する患者パックに含まれる添付文書をいつでも利用できる点で、薬剤師が、大量供給物(bulk supply)から患者への薬剤分配を行なう従来の処方よりも有利である。添付文書の包含は、患者に医者の指示の順守を改善させることが明らかにされている。
【0147】
患者が本発明の正しい使用をするように指示する添付文書を包含する単一の患者パック、または各製剤の患者パックを用いる本発明の併用投与は、本発明の望ましいさらなる特徴であることが理解され得る。
【0148】
さらなる局面によれば、本発明は、VX−950(本発明の投与量)および本発明の併用使用の指示書を含む添付情報を含むパッケージである。全ての組成物、投与形態、治療レジメンまたは本発明の他の態様は、医薬パッケージ中に存在し得る。本発明の別の態様において、該医薬パッケージは、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤をさらに含む。さらなる薬剤または複数の薬剤は、同一のパッケージまたは異なるパッケージで提供され得る。
【0149】
本発明の他の局面は、各医薬成分の単一または複数の製剤;貯蔵中および投与前に製剤(複数可)を保存する容器;および、HCV感染の処置または予防のための有効な方法で薬剤投与を行うための指示書を含む、HCV感染の処置またはHCV感染の予防における使用のための(または、本発明の他の方法における使用のための)患者用のパッケージ化されたキットを含む。
【0150】
従って、本発明は、VX−950(および、所望によりさらなる薬剤)の用量の同時または連続投与のためのキットを提供する。典型的に、そのようなキットは、例えば、薬学的に許容される担体中(および、単一または複数の製剤中)、各化合物の組成物および任意のさらなる薬剤(複数可)、ならびに同時または連続投与のための指示書を含み得る。
【0151】
別の態様において、パッケージキットは、自己投与のための1個以上の投与形態;貯蔵中および使用前に該投与形態を保存するための、好ましくは密閉された容器;および、薬剤投与を行うための指示書を包含して提供される。該指示書は、一般的に、添付文書、ラベル、および/またはキットの他の成分の指示書であり、投与形態または複数の投与形態が、本明細書中に記載されている。各投与形態は、一枚の金属箔−プラスチック薄板で形成される個々の空間(cell)または半球形(bubble)中に、他から分離されたそれぞれの投与形態を包含させるか、または投与形態は、プラスチック容器のような単一の容器中に包含され得る。本発明のキットはまた、典型的には、個々のキット成分をパッケージングするための手段、すなわち、投与形態、容器手段、および使用のための指示書を含み得る。そのようなパッケージング手段は、段ボール箱または紙箱、プラスチック容器または金属箔容器などの形態であり得る。
【0152】
本発明のキットは、何れかの組成物、投与形態、治療レジメンまたは医薬パッケージのような、本発明のいずれかの局面を具現化し得る。
【0153】
本発明のパッケージおよびキットは、所望により、複数の組成物または投与形態を含む。従って、1個の組成物または2個以上の組成物を含むパッケージおよびキットは、本発明の範囲内に包含され得る。
【0154】
ある例示的態様は、以下に描写および記載されているが、本発明の化合物を、当業者に一般的に利用可能な適当な出発物質を用いて、概して上記の方法に従い製造することができることは、当然のことである。
【0155】
全ての引用文献は、参照により本明細書中に包含される。
【0156】
本発明をより十分に理解するために、以下の製造例および実験例を記載する。これらの実施例は、説明のみを目的とし、いかなる点でも本発明の範囲を制限するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0157】
実施例1:HCVレプリコン細胞アッセイプロトコール
C型肝炎ウイルス(HCV)レプリコンを含む細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、0.25mg/mLのG418、適当な添加剤を含むDMEM(媒体A)中で維持した。
【0158】
1日目に、レプリコン細胞単層を、トリプシン:EDTA混合物で処理し、除去し、その後、媒体Aを最終濃度100,000細胞/mLまで希釈した。10,000細胞/100μLを、96ウェル組織培養プレートの各ウェル中に播種し、37℃にて、組織培養インキュベーター中で一晩培養した。
【0159】
2日目、100%DMSO中、化合物VX−950を、2%FBS、0.5%DMSO、適当な添加剤を含むDMEM(媒体B)中に連続的に希釈し、異なる濃度でVX−950を含む溶液を得た。DMSOの最終濃度を、一連の希釈を通して0.5%に維持した。
【0160】
レプリコン細胞単層上の媒体Aを除去し、その後、様々な濃度の化合物を含む媒体Bを添加した。化合物を含まない媒体Bを、対照として他のウェルに添加した。
【0161】
細胞を、37℃の組織培養インキュベーター中、媒体B中VX−950溶液または対照を、48時間インキュベートした。48時間のインキュベーションの最後に、媒体Bを除去し、レプリコン細胞単層をPBSで一度洗浄し、RNA抽出前に−80℃で貯蔵した。
【0162】
処理したレプリコン細胞単層を含む培養プレートを解凍し、一定量のウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)のような別のRNAウイルスを、各ウェルにて細胞に添加した。RNA抽出試薬(RNeasyキットの試薬のような)を、RNA分解を避けるために細胞に直ちに添加した。全RNAを、抽出効率および一貫性を改善するための改良を伴う、製造業者の指示書に従って抽出した。最後に、HCVレプリコンRNAを含む全細胞RNAを溶出させ、さらなる処理まで−80℃で貯蔵した。
【0163】
TaqmanリアルタイムRT−PCR定量化アッセイを、特定のプライマーおよびプローブの2個のセットを用いて行った。1つは、HCVについて、もう1つは、BVDVについて行った。処理したHCVレプリコン細胞由来の全RNA抽出物を、同じPCRウェル中に、HCVおよびBVDV RNAの両方の定量のために、PCR反応に追加した。実験的失敗に印をつけ、各ウェル中のBVDV RNAレベルを基に却下した。各ウェル中のHCV RNAレベルを、同じPCRプレートで実行する標準曲線に従い計算した。VX−950処理によるHCV RNAレベルの阻害または減少の割合を、DMSOを用いて計算し、VX−950不含有対照を0%阻害とした。IC50(HCV RNAレベルの50%阻害が見られる濃度)を、いずれかのVX−950濃度の滴定曲線から計算した。
【0164】
VX−950は、240ng/mLのIC50および476ng/mLのIC90を有し、レプリコンアッセイにおいて顕著な活性を有することが示される。
【0165】
実施例2:HCV Kiアッセイプロトコール
5AB基質および産物の単離のためのHPLCマイクロボア法
この実験で使用した基質は、以下である:
NH2−Glu−Asp−Val−Val−(α)Abu−Cys−Ser−Met−Ser−Tyr−COOH(配列番号1)
【0166】
20mM 5ABの原液を、DMSOおよび0.2M DTTで作製し、−20℃にてアリコートで貯蔵した。pH7.8の緩衝液:50mM HEPES、100mM NaClおよび20%グリセロールを含んで製造した。
【0167】
100μlのアッセイ溶液を以下の表に従い製造した:
【表1】
【0168】
緩衝液、KK4A、DTT、およびtNS3を合わせ;96ウェルプレートの各ウェルに各78μLずつ分配した。これを、30℃で5分ないし10分間インキュベートした。
【0169】
2.5μLの適当な濃度のVX−950を、DMSO中に溶解し(DMSOのみを対照とする)、各ウェルに添加し、次いで、室温で15分間インキュベートした。
【0170】
20μLの250μM 5AB基質の添加により反応を開始させた(25μM濃度は、5ABのKm値と等しいかわずかに低い)。得られた混合物を30℃で20分間インキュベートし、その後、25μLの10%TFAを添加して反応を終了させ、そして分析のために混合物をHPLCバイアルに移した(120μLアリコート)。
【0171】
SMSY産物を、以下の方法により、基質およびKK4Aから単離した:
装置:
Agilent 1100
Degasser G1322A
Binary pump G1312A
Autosampler G1313A
Column thermostated chamber G1316A
Diode array detector G1315A
カラム:
Phenomenex Jupiter;5マイクロン C18;300オングストローム;150×2mm;P/O 00F−4053−B0
カラムサーモスタット:40℃
注入量:100μL
溶媒A=HPLC等級純水+0.1%TFA
溶媒B=HPLC等級アセトニトリル+0.1%TFA
【0172】
【表2】
停止時間:17分
実行後:10分。
【0173】
実施例3:耐容性および薬物動態学実験
VX−950を、無作為化、二重盲検、プラセボ−対照の単回用量漸増試験において試験した。25名の健康な男性ボランティアが登録され、各対象は、VX−950の複数の単回用量(少なくとも7日間、3種の用量のVX−950を増加用量レベルで)、および1種の用量のプラセボを個別に受容した。
【0174】
25mgないし1250mgの用量を評価した。2倍ずつ増量しながら、より低用量範囲で攻撃的であり、より高用量範囲で保守的になるようにフィボナッチ数を改変した、用量漸増スキームを用いた。
【0175】
VX−950は、全ての用量レベルで良好な耐容性であったという結果を示した。重大な有害事象は試験中には報告されなかった。そして、用量レベルの増加により有害事象が増大することはなかった。
【0176】
薬物動態分析を、統計学的モーメント手法を用いて行った。図1Aおよび図1Bは、平均濃度−時間プロフィールを説明する。選択した導き出された薬物動態パラメーターを、図2A−2Dに示す。薬物動態分析は、VX−950が、3時間の平均tmaxで吸収されたことを示した。2%未満のVX−950は尿中で変化なく除かれ、薬剤が、主に代謝経路から排泄されることを示した。
【0177】
実施例4:感染ウイルスアッセイ
VX−950は、感染ウイルスアッセイにおいて、196ng/mLのIC50を証明した。
【0178】
実施例5:VX−950処置の効果
VX−950を、24名の健康な対象および34名のC型肝炎陽性対象において、無作為化、プラセボ−対照、反復投与、盲検、用量漸増試験で試験した。
【0179】
24名の健康な対象を、3つのパネルにそれぞれ8名の対象に分けた。各パネルにおいて、6名の対象がVX−950を受容し、2名の対象がプラセボを受容した。健康な対象に、5日間連続して、450mg、750mg、または1250mgのVX−950を8時間毎に投与した。該健康な対象は、18歳から65歳までであり(18歳と65歳を含む)、B型肝炎、C型肝炎、およびHIV陰性であった。男性は、18.5−29.0kg/m2(18.5kg/m2と29.0kg/m2を含む)の肥満度指数を有していた。女性は、18.5−32.5kg/m2(18.5kg/m2と32.5kg/m2を含む)の肥満度指数を有していた。
【0180】
C型肝炎(遺伝子型1型)陽性の対象を、3つのパネルにそれぞれ12名の対象に分け、それぞれ14日間連続して、450mgまたは750mgのVX−950を8時間毎、または1250mgのVX−950を12時間毎に受容した。各パネルにおいて、10名の対象がVX−950を受容し、2名の対象がプラセボを受容した;750mgを8時間毎の群において、2名の対象が投与前に中止した。他の34名は全て、試験を完了した。
【0181】
VX−950は、全ての用量レベルで良好な耐容性を示し、重大な有害事象は、試験中には報告されなかった;軽度および中程度の有害事象が報告された。プラセボ、450mgを8時間毎、750mgを8時間毎、および1250mgを12時間毎受容した群のHCV陽性対象のうち、それぞれ33.2%、10%、12.5%、そして30%は、未処置患者であった。
【0182】
HCV陽性対象を、処置後、HCV RNAレベルがベースラインに戻るまで測定するために試験した。
【0183】
【表3】
【0184】
*4名の患者由来のサンプルを、それが、遺伝子型1a型または1b型であるかどうかを決定することができないアッセイのため、遺伝子型1型として分類した。
略語:BMI(肥満度指数);HCV(C型肝炎ウイルス);q8h(8時間毎);q12h(12時間毎);SD(標準偏差)。
ベースラインからのHCV RNAの変化を、VX04−950−101で試験した。
【0185】
【表4】
値は、n(%)であり、q8hは、8時間毎;q12hは、12時間毎である。
【0186】
実施例6:VX−950剤形
経口投与量剤形を、以下の通りに製造した。VX−950およびポビドンK29/32を塩化メチレン中に溶解し、その後、ラウリル硫酸ナトリウムを添加し、均一な懸濁液を形成するためにVX−950溶液を分散させた。この懸濁液を、90℃の入り口温度および56℃の出口温度を用いてスプレー乾燥させ、生成物をサイクロンから集めた。スプレー乾燥した分散物を、75℃で8時間、流動層乾燥させた。得られた粉末を、ガラスバイアル中で予め測定し、投与直前に、対象への投与のために水(30mL)に懸濁した。投与に関して、各バイアルを、全量が90mLである水の3分割量で洗浄した。
【0187】
【表5】
【0188】
実施例7:ヒト血漿中、VX−950の確認方法
ヒト血漿中のVX−950濃度を決定するためのアッセイは、当技術分野で公知の方法により行った。例えば, Wasley, A. et al., Semin. Liver Dis., 20:1−16, 2000;Alter, H.J. et al., Semin. Liver Dis., 20: 17−35, 2000;Brown, R.S. Jr. et al., Liver Transpl., 9:S10−S13, 2003;;DeFrancesco, R. et al., Nature, 436(7053):953−960, 2005;Bowen, D.G. et al., J. Hepatol., 42: 408−417, 2005;Hoofnagle, J.H., Hepatology, 36:S21−S29, 2002, Brown, R.S. Jr. et al., Nature, 436 (7053):973−978, 2005;および、Chisari, F.V., Nature, 436(7053):930−932, 2005を参照のこと。
【0189】
具体的には、以下のVX−950溶液を製造し、ふた付きホウケイ酸チューブ(11.5mL)中−20℃で貯蔵した:
原液:2−プロパノール中、961μg/mlのVX−950(10.0ml)
希釈した原液1:2−プロパノール中、96.1μg/mlのVX−950(5.00ml)
希釈した原液2:2−プロパノール中、9.61μg/mlのVX−950(10.0ml)
希釈した原液3:2−プロパノール中、0.961μg/mlのVX−950(10.0ml)。
【0190】
内部標準原液を、2−プロパノール5.00ml中、1.00mg/mlの化合物1(VX−950の閉環構造類似体)を含んで製造し、ふた付きホウケイ酸チューブ(11.5ml)中、−20℃で貯蔵した。同様の化合物1を含む希釈溶液を、アセトニトリル100mL中、300ng/mLの化合物を含んで製造し、ふた付きホウケイ酸ボトル(100ml)中、−20℃で貯蔵した。
【0191】
サンプル調整:血漿100μlおよび内部標準希釈溶液100μl(または、ブランク試料用のアセトニトリル)を、抽出チューブに添加した。30秒間ボルテックス混合後、500μlのトルエンを添加し、抽出を30秒間のボルテックス混合により行った。4℃で5分間、3000rpmでの遠心後、水層をアセトン混合物およびドライアイス中で凍結させ、有機層を別の抽出チューブに移した。50μlの2,2−ジメトキシプロパンを添加し、サンプルを、窒素下、約30℃で、乾燥するまで蒸発させた。残渣を、300μlのヘプタン:アセトン(90:10、v/v)[または、ヘプタン:THF(80:20、v/v)]中に、60秒間のボルテックス混合により再溶解した。サンプルを注入バイアルに移し、サンプルの60μLのアリコートを以下のクロマトグラフ条件の分析のためにクロマトグラフ系に注入した。
移動相:(定組成溶出)ヘプタン/アセトン/メタノール(80:19:1、v/v/v)
作製(Make−up)溶媒:アセトニトリル/アセトン/メタノール/ギ酸(40:60:1:1、v/v/v/v)
カラム温度:−1℃
流速:1.00ml/分(その内:0.750mL/分が移動相および0.250mL/分が、作製溶媒、検出器に完全に移す)
注入量:60μl
オートサンプラー温度:3℃。
【0192】
実施例8:VX−950を用いる併用療法
VX−950併用療法を、VX−950の安全性およびその抗ウイルス応答を決定するために行った。具体的には、この実験は、遺伝子型1型HCVに感染した未処置患者12名を含んだ。全ての患者は、VX−950(750mg、8時間毎)、Peg−IFNα−2a(“PEG−IFN”、180μg/週)、およびRBV(1000または1200mg/日)を28日間受容した。28日間の完了後、患者は、担当医の臨床ケア下で、試験外の、Peg−IFNα−2aおよびRBVでのフォローアップ処置を開始した。さらなるHCV RNA評価を、Peg−IFN−2a/RBV治療期間中、処置医の判断で行った。これらには、実験後の処置およびその後の時点の4、8、14週での評価が含まれた。
【0193】
結果は、VX−950/Peg−IFN/RBV併用が、28日間の実験中、重大な有害事象なしに、良好な耐容性であったことを示す。観察した有害事象プロフィールは、Peg−IFN/RBV併用療法で通常見られるプロフィールと一致した。全ての患者は、レジメン,VX−950の迅速かつ実質的な抗ウイルス効果を示す、薬剤レジメンの実験に対する応答性を証明された。具体的には、2名の患者は、投与開始から8日間以内に血漿HCV RNAの検出不可能(<10IU/mL、Roche Taqman(登録商標)アッセイ)レベルに達し、全ての患者は、28日間の実験投与期間の終了時に検出不可能なHCV RNAを有した。28日間の実験投与の完了後、12週間の(Peg−IFN/RBVでの)後続治療で、HCV RNAレベルは、11名の患者で検出不可能なままであった。全ての患者は、Peg−IFN/RBV治療を継続し、標準的方法に従い応答を調査した。7名の患者は、全48週間の処置を受け、持続的ウイルス応答(SVR)を達成した。1名の患者は、中断前に18週間のみ(全22週間の処置)Peg−IFN/RBVを受容し、SVRを達成した。2名の患者は、処置の12週および24週でウイルス突破現象(viral breakthrough)を有し、2名の患者は、フォローアップを行わなかった。合計で、10名の患者のうち8名の患者の結果が利用可能であり、SVRを達成した。実験後投与期間中に観察された副作用プロフィールは、Peg−IFN/RBV処置の予期プロフィールと一致した。
【0194】
SVRが、22週間の処置のみで完了した1名を含む8名の患者で達成されたという観察は、VX−950に基づくレジメンが、現在の治療法と比較してSVR率を増大し得ることを示す。
【0195】
現在の治療法との比較
遺伝子型1型の慢性HCVを有する患者の現在の治療は、通常、48週間の、ペグ化インターフェロン−α−2a/2b(Peg−IFN−2a)およびRBVのみの治療から構成され、遺伝子型1型HCVを有する患者の約50%のみがSVRを達成し、患者は一般的に、乏しい処置の耐容性を示す。
【0196】
実施例9:フェーズ1b試験
VX−950は、単剤またはPeg−IFN−2aとの併用で迅速かつ広範囲の抗ウイルス活性を有し、14日間の間良好な耐容性であった。この実験は、VX−950およびPeg−IFN−2aの14日間の投与処置後のHCVの動力学的情報を提供するように設計された。
【0197】
この実験は、慢性の遺伝子型1型C型肝炎感染を有する20名の未処置患者を3種の投与別に無作為化した(表1)。14日間の実験の完了時、20名の患者のうち19名は、14日間の投与期間の完了の5日以内からPeg−IFN−2a/RBVの投与開始を選択した;他のものは、Peg−IRN−2aおよびRBVの併用投与を拒否したため。診療所訪問が、1週間および12週間の実験によって義務づけられたフォローアップ訪問の完了後に、調査者の裁量で行われた。19名の患者が、実験投与の完了後の24週間を通して継続していた。処置医との検討後、10名(VX−950の4名およびVX−950/Peg−IFN−2aの6名)の患者は、24週でPeg−IFN−2a/RBV処置を中止した。現在の患者の病状を以下の表1に示す。
【0198】
【表6】
【0199】
実験外のフォローアップの最終日(実験中、フォローアップの最後の後、12週間)に、HCV RNAレベルは、初め、VX−950のみ、およびVX−950/Peg−IFN−2a群に無作為化された、Peg−IFN−2a/RBVを継続した患者全てで検出不可能であった。データを以下の表2に提供する。
【0200】
【表7】
a COBAS Taqman HCV RNA アッセイ。Roche Molecular Diagnostics。
b Taqman HCV RNA アッセイ (15IU/mL)および(5IU/mL):実験以外。
【0201】
以下の表3に示す通り、24週間の全処置後、実験後のPeg−IFN−2a/RBV処置を中止した10名の患者のうち、VX−950のみを元々受容した4名の患者のうちの2名が、検出不可能な血漿HCV RNAレベルを、Peg−IFN−2aを中止後12週間のフォローアップで実証され;VX−950/Peg−IFN−2aを元々受容した6名の患者のうち5名が、検出不可能な血漿HCV RNAレベルを、Peg−IFN−2aを中止後12週間のフォローアップで実証された。
【0202】
【表8】
* 1名の患者は、Peg−IFN−2a/RBVを拒否した。
【0203】
24週間の実験外のフォローアップにて、初め、VX−950のグループに無作為化され、Peg−IFN−2a/RBVを継続した患者の全てで、検出不可能なHCV RNAが維持された。初期(12週間)の処置後(Peg−IFN−2a/RBV)フォローアップのウイルス量データは、モデルと一致しており、SVRを達成するのに必要な期間が早期のウイルス排除の動力学に関連したことが示唆される。SVRは、VX−950の処置、要すればPeg−INFとの併用処置を14日間、その後のPeg−INF/RBVのさらに22または46週間の処置を受けた15名の患者のうち10名で達成された。
【0204】
12週において、初めにVX−950とPEG−IFNの併用処置を受けた8名の患者全て、ならびにVX−950のみを受容した7名の患者のうち5名が、検出不可能なHCV RNAを有した。24週において、VX−950を受容した15名の患者全てが、検出不可能なHCV RNAを有した。10名の患者(VX−950とPEG−IFNの8名のうち6名、およびVX−950のみの7名のうち4名)が、24週でPEG−IFN/RBVの停止を決定し、5名の患者が、全48週間のPEG−IFN/RBV処置を継続した。全てのグループは、さらに24週間実験した。PEG−IFNとRBVを開始する前に、少なくとも14日間の(単独で、またはPEG−IFNとの併用で)VX−950を受容した患者において、10名の患者のうち7名は、24週間処置し、5名の患者のうち3名は、48週間の処置でSVRを達成した。
【0205】
本明細書中に引用される全ての文献は、参照により本明細書中に包含される。
【0206】
本明細書中、本発明の多数の態様および実施例を記載しているが、これらの態様および実施例は、本発明の製剤および薬剤レジメンを利用するさらなる態様および実施例を提供するために改変されてもよいことは明白である。故に、本発明の範囲は、上記の実施例として示されている特定の態様というよりむしろ、添付の特許請求の範囲により定義されるべきであることは、理解され得る。
【技術分野】
【0001】
相互参照
本発明は、2007年5月21日出願の米国特許出願第60/931,108号、および2007年9月19日出願の米国特許出願第60/994,430号(その内容は、参照によりその全体を本明細書中に包含される)に優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、C型肝炎ウイルス感染の処置方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
C型肝炎ウイルス(“HCV”)による感染は、切実なヒトの医学的問題である。HCVは、非A非B型肝炎のほとんどの症例の原因因子として認識されており、全世界で、概算で3%のヒト血清陽性率である(例えば、A. Alberti et al., “Natural History of Hepatitis C,” J. Hepatology, 31 (Suppl. 1), pp. 17−24 (1999)参照)。米国だけでも400万名近くが、感染している可能性がある(例えば、M.J. Alter et al., “The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States”, Gastroenterol. Clin. North Am., 23, pp. 437−455 (1994); M. J. Alter “Hepatitis C Virus Infection in the United States,” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 88−91 (1999)参照)。
【0004】
HCVに感染したヒトのうち20−25%は、急性感染後にウイルスを排除し得るが、75−80%は、慢性C型肝炎感染を発症し得る(例えば、preface, Frontiers in Viral Hepatitis. Ed. RF Schinazi, J−P Sommadossi, and CM Rice. p. xi. Elsevier (2003)参照)。これは、通常、肝硬変および肝細胞癌のようなより重度の疾患状態をしばしばもたらす、肝炎の再発および漸進的悪化をもたらす(例えば、M.C. Kew, “Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma”, FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 211−220 (1994);I. Saito et. al., “Hepatitis C Virus Infection is Associated with the Development of Hepatocellular Carcinoma,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 6547−6549 (1990)参照)。残念なことに、慢性HCVの進行を遅らせるのに広く有効な処置は存在しない。
【0005】
HCVゲノムは、アミノ酸3010−3033のポリタンパク質をコードする(例えば、Q.L. Choo, et al., “Genetic Organization and Diversity of the Hepatitis C Virus.” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, pp. 2451−2455 (1991); N. Kato et al., “Molecular Cloning of the Human Hepatitis C Virus Genome From Japanese Patiants with Non−A, Non−B Hepatitis,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 9524−9528 (1990); A. Takamizawa et al., “Structure and Organization of the Hepatitis C Virus Genome Isolated From Human Carriers,” J. Virol., 65, pp. 1105−1113 (1991)参照)。HCV非構造(NS)タンパク質は、ウイルス複製に必須の触媒機構を提供すると考えられている。NSタンパク質は、ポリタンパク質のタンパク質分解的切断によって得られる(例えば、R. Bartenschlager et al., “Nonstructural Protein 3 of the Hepatitis C Virus Encodes a Serine−Type Proteinase Required for Cleavage at the NS3/4 and NS4/5 Junctions,” J. Virol., 67, pp. 3835−3844 (1993); A. Grakoui et al., “Characterization of the Hepatitis C Virus −Encoded Serine Proteinase: Determination of Proteinase−Dependent Polyprotein Cleavage Sites,” J. Virol., 67, pp. 2832−2843 (1993); A. Grakoui et al., “Expression and Identification of Hepatitis C Virus Polyprotein Cleavage Products,” J. Virol., 67, pp. 1385−1395 (1993); L. Tomei et al., “NS3 is a serine protease required for processing of Hepatitis C Virus polyprotein”, J. Virol., 67, pp. 4017−4026 (1993)参照)。
【0006】
HCV NSタンパク質3(NS3)には、大部分のウイルス酵素の合成を補助するセリンプロテアーゼ活性が含まれ、故に、ウイルス複製および感染力に必須であると見なされる。黄熱病ウイルスNS3プロテアーゼにおける変異は、ウイルス感染力を減少することが知られている(例えば、Chambers, T.J. et al., “Evidence that the N−terminal Domain of Nonstructural Protein NS3 From yellow Fever Virus is a Serine Protease Responsible for Site−Specific Cleavages in the Viral Polyprotein”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 8898−8902 (1990)参照)。NS3の最初の181アミノ酸(ウイルスポリタンパク質の残基1027−1207)は、HCVポリタンパク質の4つ全ての下流部位を処理するNS3のセリンプロテアーゼドメインを含むことが示されている(例えば、C. Lin et al., “Hepatitis C Virus NS3 Serine Proteinase: Trans−Cleavage Requirements and Processing Kinetics”, J. Virol., 68, pp. 8147−8157 (1994)を参照)。
【0007】
HCV NS3 セリンプロテアーゼおよびそれと関係する補因子NS4Aは、全てのウイルス酵素プロセシングを補助し、故に、ウイルス複製に必須であると見なされる。このプロセシングは、ウイルス酵素プロセシングにも関与する、ヒト免疫不全ウイルス アスパルチルプロテアーゼにより行われるのと同様のようである。ウイルスタンパク質プロセシングを阻害するHIVプロテアーゼ阻害剤は、ヒトにおける強力な抗ウイルス剤であり、ウイルス生活環のこの段階を中断することは、結果として治療的活性剤であることを示す。結果として、それは、創薬の魅力的な標的である。
【0008】
現在のところ、満足のいく抗HCV剤または処置法は存在しない。最近まで、HCV疾患の確立された治療は、インターフェロン処置のみであった。HCV感染のための最初に認可された治療は、標準(非ペグ化)インターフェロンαを用いる処置であった。しかしながら、インターフェロンは、重大な副作用を有し(例えば、M. A. Wlaker et al., “Hepatitis C Virus: An Overview of Current Approaches and Progress,” DDT, 4, pp. 518−29 (1999);D. Moradpour et al., “Current and Evolving Therapies for Hepatitis C,” Eur. J. Gastroenterol. Hepatol., 11, pp. 1199−1202 (1999);H. L. A. Janssen et al. “Suicide Associated with Alfa−Interferon Therapy for Chronic Viral Hepatitis,” J. Hepatol., 21, pp. 241−243 (1994);P.F. Renault et al., “Side Effects of Alpha Interferon,” Seminars in Liver Disease, 9, pp. 273−277. (1989)参照)、長期寛解は症例の一部のみ(〜25%)である(例えば、O. Weiland, “Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection”, FEMS Microbiol. Rev., 14, pp. 279−288 (1994)参照)。該処置レジメンへのリバビリンの追加は、応答率をわずかに増加させる。リバビリンと併用されている、最近のペグ化インターフェロン(PEG−イントロン(登録商標)およびPEGASYS(登録商標))の導入は、寛解率のごく限られた改善および副作用の一部分のみの減少という結果となっている。現在の標準的な治療は、HCV遺伝子型のような予後因子、および治療への初期応答の現れに依存して、24−48週間継続する処置レジメンである。さらに、有効な抗HCVワクチンの見込みは、不明確なままである。
【0009】
故に、抗HCV治療および抗HCV化合物に適当な用量レジメンが必要である。
【0010】
HCVならびに他の疾患および障害は、肝臓障害と関係がある。治療法および肝臓障害を処置するのに適当な用量レジメンも必要である。
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本発明は、C型肝炎ウイルス感染の処置法を提供する。故に、本発明は、C型肝炎ウイルス感染の臨床的続発症の予防法を提供する。
【0012】
本発明はまた、肝臓障害および肝炎の処置法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面の簡単な説明
【図1】図1Aおよび図1Bは、用量レベルによる平均濃度時間プロフィールを示す(実施例3)。
【図2】図2A−2Dは、誘導された薬物動態パラメーターを示す。棒グラフ内の線は中央値を示し、棒グラフは、データの中央半分の範囲を示す(実施例3)。
【図3】図3は、14日間の試験期間中のHCV RNAの血漿濃度(IU/mL)を示す(実施例5)。
【図4】図4は、14日間の試験期間中のベースラインと比べたHCV RNAの血漿濃度(IU/mL)の変化を示す(実施例5)。
【図5】図5は、750mg、8時間毎の投与群における、個々の対象についての14日間の試験期間中のベースラインと比べたHCV RNAの血漿濃度(IU/mL)の変化を示す(実施例5)。
【図6】図6は、全ての投与群におけるネオプテリン、ALT(アラニンアミノ転移酵素)、およびHCV RNAの平均値±SEMを示す。以下の記号を図6において用いる:平均ALTレベル±SEM(上、白抜き記号の4本線)、ネオプテリン平均血漿濃度±SEM(中、白抜き記号の4本線)、および平均血漿HCV RNA負荷±SEM(下、黒塗り記号の4本線)におけるベースラインからの変化を、3つ全ての投与群およびプラセボについて示す。患者を、VX−950で14日間処置した。*450mg、8時間毎の群における12日目の平均ALTレベルの一過性増加は、アーチファクトである(10症例中5症例には見られなかった、中央値38U/l、範囲25−125U/l)(実施例5)。
【図7】図7は、全ての群における平均ネオプテリン値±SEMを示す。3つ全ての投与群およびプラセボについての、処置前、7日目および14日目のネオプテリン平均血漿濃度±SEM。平均ネオプテリンの減少は、処置前に最高値であり、14日目に最低の平均値を示す、750mg、8時間毎の投与群で最大であることに留意すべきである。750mg、8時間毎の投与群において、ベースラインおよびプラセボと比較したネオプテリンの減少は、14日目に最大となった(*対応のない両側t検定、**Mann Whitney検定)。Y=7.7nmol/lの横破線は、ULNを示す(実施例5)。
【0014】
図8、9および10は、HCV NS3/4AプロテアーゼによるTRIF(TLR3アダプタータンパク質)のインビトロ切断が、VX−950により阻害されることを示す。
【図8】図8(IFN−β、TRIFまたはTICAM−1を誘導するアダプターを含むtoll−IL1受容体ドメイン)は、種々のタンパク質結合ドメインを示すTRIFの略図を示す。Cys372でのHCV NS3 プロテアーゼによるTRIF切断により、2つの断片:ΔC340およびΔN372が生じる(Li et al 2005, PNAS, 102, p2992−2997の改訂版)。
【図9】図9は、HCV NS3プロテアーゼによるTRIF切断の速度(kinetics)を示す。35Sメチオニン標識結合TRIFタンパク質インビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、0−240分の範囲の種々の時間、6μMのtNS3 プロテアーゼと共にインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行った。ゲルを、切断産物を定量するために、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、時間関数として図中に示す。
【図10】図10は、NS3 プロテアーゼ依存的TRIF切断およびVX−950によるTRIF切断の阻害を示す。35Sメチオニン標識結合TRIFタンパク質インビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、10μM VX−950の存在下(○)または不存在下(□)のどちらかで、0−4μMの範囲のtNS3 プロテアーゼ酵素の増加濃度下でインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行い、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、図に示す。
【図11】図11は、VX−950耐性変異体のインビトロでの表現型の特徴を示す。野生型プロテアーゼと比較してVX−950に対する増加した耐性が、インビトロ酵素反応(Ki)または2日間のレプリコンアッセイ(IC50)において、A156V/T変異により得られた。野生型酵素と比較した変異体のKcat/Km比を、表に示す(Lin et al 2005, JBC, 280, p36784−36791の改訂版)。
【図12】図12は、野生型(WT)NS3プロテアーゼと比較したA156V/T変異体によるHCV 4A/B基質の切断を示す:35Sメチオニン標識結合した、4A/B結合点を間に有するSEAPタンパク質と融合した不活性化HCV変異プロテアーゼのインビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、0.008μMないし6μMの範囲の野生型(WT)(□)またはA156V/T(△および○)tNS3 プロテアーゼのどちらかの変化量と共にインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行い、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、図に示す。
【図13】図13は、野生型(WT)NS3プロテアーゼと比較したA156V/T変異体によるTRIF基質の切断を示す。35Sメチオニン標識結合TRIFのインビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、0.008μMないし6μMの範囲の野生型(WT)(□)またはA156V/T(△および○)tNS3プロテアーゼのどちらかの変化量と共にインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行い、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、図に示す。
【0015】
【図14】図14は、ベースライン、7日目、および14日目における平均HCV RNA、ネオプテリンおよびALTを示す(実施例5)。
【図15】図15は、センダイウイルスで刺激したHuh7細胞におけるHCVプロテアーゼによるIFN−βプロモーター活性の抑制を示す。Huh7細胞を、野生型(WT)または不活性変異体(MT)プロテアーゼのどちらかと、IFN−βプロモーター制御下でルシフェラーゼ遺伝子を発現するプラスミドで共トランスフェクトし、次いでセンダイウイルス(SeV)で刺激した。センダイウイルス非誘導性対照と比較したルシフェラーゼ遺伝子の活性化倍数を、この図に示す。
【図16】図16は、VX−950を用いる処理が、センダイウイルス刺激IFN−βプロモーター活性に対するHCVプロテアーゼの抑制効果を克服し得ることを示す。Huh7細胞を、野生型(WT)または不活性化変異体(MT)プロテアーゼのどちらかと、IFN−βプロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子を発現するプラスミドで共トランスフェクトした。これらの細胞を、DMSO(対照)または10μM VX−950のどちらかで処理した。細胞をセンダイウイルス(SeV)で刺激し、ルシフェラーゼ活性を感染の16時間後に測定した。センダイウイルス非誘導性対照と比較したルシフェラーゼ遺伝子の活性化倍数を、この図に示す。
【図17】図17は、VX−950処置が、HCV治療に以前非応答性であった患者(図17A)および未処置患者(図17B)においてHCV RNAの減少をもたらすということを示す。各処置レジメンにおける患者の平均HCV RNAレベルを示す。血漿HCV RNA濃度を、Roche COBAS TaqMan HCV/HPS分析を用いて決定した。
【図18】図18は、本明細書に記載の種々の治療レジメンに対するVX−950耐性変異体の表現型の特徴を示す。
【図19】図19は、処置期間中の図90の野生型および耐性変異体の存在の概算を示す。
【図20】図20は、推定処置期間中の仮定したPeg−IFN/RBVの高い有効性プロットを示す。
【図21】図21は、推定処置期間中の仮定したPeg−IFN/RBVの低い有効性プロットを示す。
【図22】図22は、処置の8ないし12週間後のウイルス再発生を示す。
【図23】図23は、SVRの推定処置期間を示す。
【図24】図24は、プラセボおよびPeg−IFN;VX−950;または、VX−950およびPeg−IFNの14日間の投与期間;その後の、Peg−IFNおよびRBVが投与された期間と判断される48週間のフォローアップ期間を含む実験の時間軸を示す。
【図25】図25は、14日間の投与期間中、VX−950で処置した対象における迅速な抗ウイルス応答を示す。一般的に、用量レジメンの完了時、これらの処置した対象におけるHCV RNAレベルは、少なくとも2log10減少し、いくつかの場合には少なくとも4log10減少する。
【図26】図26は、14日間の投与期間中、HCV/Peg−IFN−2αで処置した対象における個々のHCV RNAレベルを示す。一般的に、用量レジメンの完了時、これらの処置した対象におけるHCV RNAレベルは、少なくとも3log10減少し、いくつかの場合には少なくとも4log10減少する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、VX−950を投与するための特定の用量および投与量レジメンに関する。VX−950(テラプレビルとしても公知)は、7nMの定常結合定数(ki*)を有する競合性、可逆性ペプチド模倣性NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤である。例えば、WO02/018369参照。
【化1】
【0017】
本発明の目的のために、本明細書に記載の化合物“VX−950”は、その薬学的に許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物を包含する。
【0018】
本明細書中で用いる語句、VX−950の“薬学的に許容される塩(塩類)”は、HCV感染の処置に安全かつ有効なVX−950の塩類を意味する。薬学的に許容される塩類には、VX−950中に存在する酸性基および塩基性基の塩類が含まれる。薬学的に許容される酸付加塩類には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチアニン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩(glucaronate)、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩が含まれるが、これらに限定されない。VX−950はまた、種々のアミノ酸と薬学的に許容される塩類を形成してもよく、これらのアミノ酸塩類の使用はまた、本発明の範囲内である。適当な塩基性塩類には、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、およびジエタノールアミン塩類が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩のレビューに関しては、Berge et al., J. Pharm. Sci., 66, 1−19 (1977)(その内容は、参照により本明細書中に包含される)を参照のこと。
【0019】
本明細書で用いる語句、VX−950の“薬学的に許容されるプロドラッグ”は、HCV感染の処置においてその薬理学的効果を示す前に、生理的条件下で、または加溶媒分解によりVX−950に、またはVX−950の薬学的に許容される塩に変換され得る化合物を意味する。典型的には、プロドラッグは、改善された化学安定性、改善された患者の許容性およびコンプライアンス、改善されたバイオアベイラビリティ、作用持続時間の延長、改善された臓器選択性、改善された製剤(例えば、増大した溶解性)、または減少した副作用(例えば、毒性)の目的で製剤される。薬学的に許容されるプロドラッグは、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Chemistry, Vol. 1, 172−178および949−982, John Wiley & Sons (1995)に記載の方法のような、当技術分野で公知の方法を用いてVX−950から容易に製造され得る。Bertolini et al., J. Med. Chem., 40, 2011−2016 (1997); Shan et al., J. Pharm. Sci., 86(7), 765−767 (1997); Bagshawe, Drug Dev. Res., 34, 220−230 (1995); Bodor, Advances in Drug Res., 13, 224−331 (1984); Bundgaard, Design of prodrugs, Elsevier Press (1985); および、Larsen, Design and Application of prodrugs, Drug Design and Development (Krogsgaard-Larsen et al., eds.), Harwood Academic Publishers (1991)も参照。
【0020】
本明細書で用いる語句、VX−950の“薬学的に許容される溶媒和物”は、溶媒分子(複数可)を含み、VX−950の生物学的有効性を保持する、VX−950の薬学的に許容される溶媒和物形態を意味する。溶媒和物例には、VX−950と、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸またはエタノールアミンの組み合わせが含まれる。
【0021】
固体であるVX−950の塩類、プロドラッグ類または溶媒和物類の場合、これらの塩類、プロドラッグ類および溶媒和物類は、異なる結晶形またはアモルファス形態で存在していてよいことは当業者に理解され、それら全ての使用もまた、本発明の範囲内である。
【0022】
VX−950は、1個以上の不斉炭素原子を含んでいてよく、故に、ラセミ体およびラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在し得る。これらの化合物の全てのそのような異性体形態は、本発明に明示的に包含される。各立体中心の炭素は、RまたはS配置であり得る。VX−950のN−プロピル側鎖におけるD−およびL−異性体は、本発明の範囲内に明示的に包含される。
【0023】
VX−950は、ヒトにおいて単回用量で試験され、良好な耐容性であることが見出された(実施例3)。有害事象の発生または程度は、VX−950用量と共に増加しなかった。重症(グレード3またはグレード4)であると見なされた有害事象はなかった。より一般的かつ重度の有害事象は、皮膚の有害事象(例えば、吹き出物、および掻痒)、その後の消化管事象および貧血であった。血液学または臨床化学パラメーターについては、ベースライン実験値から臨床的に顕著な変化はなかった。試験した対象は全て、身体検査、バイタルサイン、または心電図に臨床的に顕著な変化はなかった。
【0024】
本発明者らは、野生型HCVが、VX−950により10週間以内に根絶され得ることを発見した。HCVのVX−950耐性変異体(IC50の7−20倍の増大を有する)に関して、それらは、10−24週間のPeg−IFN/RBV用量レジメンのフォローアップにより根絶され得る。
【0025】
分析を、VX−950の薬物動態学的プロフィールを決定するために行った。データを図1および図2に示す。
【0026】
VX−950への肝臓暴露を、統合した前臨床および臨床データを基に、予測した。予測したヒト肝臓暴露を、良好な耐容性見込まれ、治療上有用性が生じる用量を決定するために、VX−950レプリコンアッセイおよび感染性ウイルスアッセイの結果と合わせた。予測した平均肝臓濃度値は、試験した用量範囲で、レプリコンアッセイIC90の57倍まで、レプリコンアッセイIC50の113倍までであった。
【0027】
これらの結果は、本発明の用量レジメンが、非臨床試験で決定したIC50およびIC90を大幅に超過してVX−950の肝臓濃度を達成し得ることを示す。
【0028】
従って、本発明の一態様は、VX−950および薬学的に許容される担体をそれぞれ含む医薬組成物を提供する。これらの医薬組成物中のVX−950の量は、約100mgないし約1500mg、約300mgないし約1500mg、約300mgないし約1250mg、約450mg、約750mg、または約1250mgであり得る。これらの医薬組成物はそれぞれ、例えば1日1回、2回または3回投与され得る。これらの組成物はそれぞれ、1種以上の投与形態(例えば、アンプル、カプセル、クリーム、エマルジョン、液体、粒子、液滴、注入液、懸濁液、錠剤、粉末)であり得る。これらの医薬組成物はそれぞれ、当業者に適当と見なされ、かつ投与形態によって変わる1種以上の経路(例えば、経口、注入、注射、局所的または非経腸的)により投与され得る。
【0029】
本発明の別の局面は、患者のHCV感染を処置または予防する方法であって、患者にVX−950を投与することを含む方法を提供する。
【0030】
いくつかの態様において、VX−950の量は、少なくとも約300mg(例えば、少なくとも約450mg、少なくとも約500mg、少なくとも約750mg、少なくとも約1250mg、または少なくとも約1500mg)である。いくつかの態様において、VX−950の量は、約1500mgを超えない(例えば、約1250mgを超えない、約750mgを超えない、約450mgを超えない、約500mgを超えない、または約300mgを超えない)。
【0031】
上記の下限量および上限量は、VX−950の投与のための用量範囲を提供するために組み合わせ得ると理解されるはずである。例えば、ある態様において、VX−950は、約300mgないし約1250mgまたは約300mgないし約1500mgの量で投与される。
【0032】
いくつかの態様において、VX−950は、約450mg、約500mg、約600mg、約750mg、約1000mg、または約1250mgの量で投与される。
【0033】
本発明の方法において、一定量のVX−950は、例えば1日1回、1日2回(例えば、BID;12時間毎)、または1日3回(例えば、TID;8時間毎)投与され得る。さらに、VX−950を食事と共にまたは別に投与し得る。
【0034】
VX−950は、ヒトにおいて試験され、HCV複製を阻害すること、HCV RNAレベルを十分減少すること、およびウイルスRNAが検出不可能になるようにウイルスを阻害することに有効であることを見出された。
【0035】
750mgのVX−950を8時間毎(q8h)に受容する8名の対象の内、4名は、定量限界未満(LLQ 30IU/mL)のHCV RNAレベルを有し、4名のうち2名の対象は、検出限度未満(LLD 10IU/mL)のHCV RNAレベルを有した。
【0036】
HCV RNA検出を、例えば、Roche molecular Diagnosticsにより市販されるRoche COBAS TaqMan HCV/HPS アッセイを用いることにより行い得る。750mgのVX−950を8時間毎に14日間受容する対象(または、患者)は、HCV−RNAの4log10より大きな平均減少(すなわち、10,000倍の低下)を処置後に達成した。HCV−RNAの2log10より大きな平均減少が、14日間の処置後に、他の2つのVX−950用量群のそれぞれで見られた。VX−950を受容する各対象は、HCV−RNAの2log10より大きな減少を処置の最初の3日以内に達成し、VX−950を受容する28名の対象のうち26名が、処置の最初の3日以内に、HCV−RNAを3log10減少した。実施例5および図3−5を参照のこと。
【0037】
血漿ウイルス量が、VX−950で処置された患者において迅速に減少すること、および、投与終了後、HCV RNAのベースラインレベルにゆっくりと戻ることが証明された。特に、処置終了後にHCV RNAベースラインレベルに戻る速度は、処置によるHCV RNAの減少速度よりゆっくりであった。検出不可能なHCV RNAレベルに達することと合わせてこれらの結果は、単剤療法としてのVX−950の有効性を示す。
【0038】
従って、本発明は、VX−950を、(a)約450mg、1日3回、8時間毎;(b)約750mg、1日3回、8時間毎;(c)約1250mg、1日2回、12時間毎;または、(d)約1250mg、1日3回、8時間毎の量で、患者に投与することを含む、HCVに感染した患者の処置方法を提供する。
【0039】
本発明の別の局面は、患者のHCV RNAレベルが、処置前より処置後のほうが、少なくとも約2log10(好ましくは、少なくとも約4log10)低くなるように、VX−950を投与することによりHCVに感染した患者を処置する方法を提供する。
【0040】
本発明のさらに別の局面は、患者のウイルスRNAレベルが検出不可能なレベルに減少し、“持続的ウイルス応答(SVR:ウイルス排除)”が達成されるまで検出不可能なレベルのままであるように、VX−950を投与することによりHCVに感染した患者を処置する方法を提供する。本明細書で用いる用語“持続的ウイルス応答”は、投与完了後(または、VX−950投与の終了後)24週間、ウイルスRNAレベルが検出不可能なままであることを意味する。
【0041】
750mgのVX−950を8時間毎に用いる本発明の方法は、より高いトラフ濃度を効果的にもたらす。本明細書で用いる用語“トラフ濃度”は、次回投与直前の血漿中の薬剤濃度、または2用量間の最低薬剤濃度を意味する。特にウイルス性疾患において、ウイルス複製を阻害するのに適する濃度に維持するために上記の任意の濃度に薬剤レベルを維持することは、重要である。有利には、本発明者らは、750mgのVX−950を、1日3回、8時間毎に投与する用量レジメンが、VX−950の最高トラフ濃度をもたらすことを発見した。
【0042】
従って、好ましい態様において、本発明は、VX−950を、それを必要とする患者に約750mgを1日3回、8時間毎に投与することを含む方法を提供する。
【0043】
フレキシブルな投与スケジュールが都合よいことは、認められるであろう。従って、本発明の別の態様において、該投与は1日3回であるが、8時間毎ではなく、要すれば食事と共に投与する。ある態様において、VX−950は、食事と共に投与される。
【0044】
本発明はまた、VX−950を、それを必要とする患者に提供する方法であって、VX−950を含む組成物の経口用量を該患者に投与することを含む(ここで、該用量は、該患者に対して、投与後に少なくとも約750ng/mLのVX−950の平均血漿濃度(Cavg)を供する。)、それを必要とするヒトにVX−950を供するための方法を提供する。ある態様において、VX−950のCavgは、約1000ng/mLまたは約1250ng/mLである。ある態様において、該用量は本質的に、750mgのVX−950を含む。ある態様において、該Cavgは、VX−950の投与後3時間以内(例えば、2時間または1時間以内)に得られるか、または達せられる。ある態様において、VX−950のCavgは、約24時間以上(例えば、5週間または12週以上)維持される。
【0045】
別の局面において、本発明は、24時間の間、血漿VX−950を約750ng/mLの最低トラフ濃度に維持するために、VX−950を含む少なくとも1個の投与形態を24時間かけて投与すること(ここで、該投与形態は、投与される。)により患者におけるHCV感染を処置する方法を提供する。
【0046】
ある態様において、該投与形態を、24時間の間、血漿VX−950を、約800ng/mL(例えば、約900ng/mLまたは約1000ng/mL)の最低トラフ濃度に維持するために投与する。
【0047】
ある好ましい態様において、治療的有効血漿濃度が得られ、あるトラフ濃度が維持される。これらの方法は、特に、VX−950製剤を投与することによりHCV感染を有するヒトを処置するのに有用であり、ここで、該VX−950の血漿中トラフ濃度は、24時間の間、約750ng/mL、800ng/mL、900ng/mLまたは1000ng/mLの最低レベルに維持される。理論はともかく、約1500ng/mLより大きいトラフ濃度は、本発明に必要とされないと考えられる。従って、約750、800、900、1000ng/mLないし約1500ng/mL(特に、1000ないし約1500)のトラフ濃度は、本発明の範囲内である。
【0048】
また、VX−950をヒトに送達するためのVX−950を含む投与形態であって、該投与形態が24時間の間に少なくとも1回投与されるとき、VX−950の血漿中トラフ濃度が、24時間の間、少なくとも約750ng/mL、800ng/mL、900ng/mL、または1000ng/mLないし、24時間の間、約1500ng/mL(特に、1000ng/mLないし約1500ng/mL)に維持される投与形態も提供する。
【0049】
理想的には、本発明の方法が、HCVに感染した患者を処置することを包含するとき、本方法は、VX−950の治療的に有効な血漿濃度を比較的迅速に達成し、その後、効果的な治療応答を達成するようにトラフ濃度を維持することを含む。効果的な治療応答とは、好ましくは、a)持続的ウイルス応答を達成すること;そして、b)少なくとも12週間(12週間またはそれ以上)、検出不可能な血漿中HCV RNAを達成すること、の一方または両方である。本明細書中で用いる、HCV RNAについての“検出不可能”とは、HCV RNAが、現在商業的に利用可能なアッセイにより決定される、好ましくは、Roche COBAS TaqMan(商標) HCV/HPSアッセイにより決定される、10IU/mL未満であることを意味する。
【0050】
血漿濃度の比較的迅速な低下は、患者に負荷用量を投与することにより得られ得る。一態様において、負荷用量は、約1250mgのVX−950である。
【0051】
本発明のある投与形態において、(負荷用量を投与するために用いられる投与形態以外の)投与形態には、約750mgのVX−950が含まれ、該投与形態は、8時間毎に1回(すなわち、q8h)投与される。
【0052】
ある態様において、VX−950投与形態は、8時間毎に1回投与される。
【0053】
ある態様において、VX−950を用いる処置期間は、現在の標準的な治療よりも短い。
【0054】
ある態様において、VX−950は、約12週間未満(または、12週間未満)の間投与される。
【0055】
ある態様において、VX−950は、約8−12週間(または、8−12週間)の間投与される。
【0056】
ある態様において、VX−950は、約10週間(または、10週間)の間投与される。
【0057】
図90−93に示す通り、データモデルは、VX−950の投与が、野生型ウイルスを10週間以内に根絶し得ることを示す。
【0058】
ある態様において、VX−950は、約10週間未満の間投与される。
ある態様において、VX−950は、約2週間投与される。
【0059】
本発明者らは、SVRが、2週間のVX−950処置を受容する患者において達成されることを証明した。
【0060】
他の態様において、VX−950は、約8週間未満(または、約8週間もしくは8週間)、約6週間未満(または、約6週間もしくは6週間)、または約4週間未満(または、約4週間もしくは4週間)の間投与される。
【0061】
ある態様において、本発明の方法は、遺伝子型1型のC型肝炎ウイルスに感染した患者の処置を含む。遺伝子型1型のHCV感染は、治療するHCVの最も困難な株および米国で最も蔓延している株である。
【0062】
本発明者らはまた、VX−950の投与が、ネオプテリンおよびALT(血清アラニンアミノ基転移酵素)レベルをインビボで減少させることを証明した(図6、図7および図14)。AST(アルパラギン酸アミノ基転移酵素)レベルもまた、VX−950の投与により減少した。ALTは、肝臓細胞に存在する酵素であり;肝臓細胞が、損傷を受けるかまたは炎症を起こすとき、ALTが細胞から血中へ流れ出す。血中ALTレベルは、肝炎または肝臓損傷のマーカーとして有用である。Tatyana Yashina & J. Sanders Sevall, “Hepatitis C Virus” in Use and Interpretation of Laboratory Tests in Gastroenterology, James B. Peter, ed., p. 127, (1998);および、Andres T. Blei, “Liver and Biliary Tract” in Laboratory Medicine, D. A. Noe and Robert C. Rock, eds., ch. 19, p. 363 (1994)を参照のこと。
【0063】
ネオプテリン(6−d−エリスロ−トリヒドロキシプロピルプテリジン)は、グアノシン三リン酸(GTP)の代謝中に産生されるプテリジン誘導体である。ネオプテリンは、インターフェロンγまたはインターフェロンαによる活性化により単球およびマクロファージによって最初に産生され、炎症のマーカーである。ネオプテリンレベルは、しばしば、慢性的HCV感染において上昇する(Quiroga, et al. Dig Dis Sci 1994;39(11): 2485−96)。健康な個体において予期されるネオプテリンの血漿レベルは、3.1ないし7.7nmol/lである。
【0064】
従って、本発明者らは、単球/マクロファージ活性のマーカーとして、(HCV)NS3・4Aプロテアーゼの阻害剤の投与期間中の血清ネオプテリン濃度の変化を決定した。本明細書で記載の通り、VX−950を、遺伝子型1型のHCVに感染した34名の患者における、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多数回投与試験において14日間投与した(表1)。患者は、VX−950を、450mg、8時間毎(n=10)、750mg、8時間毎(n=8)、1250mg、12時間毎(n=10)、またはプラセボ(n=6)を受容した。血清ネオプテリン濃度を、定量的競合ELISA(ELItest(登録商標) Neopterin, Brahms, Hennigsdorf, Germany)により、処置前、処置7日目、14日目、および処置後10日目に測定し得る。検出の下限値(LLD)は、2nmol/lであった。HCV RNAを、リアルタイムPCR (COBAS(登録商標) TaqMan HCV検定;3.0×101から2.0×108 HCV RNA IU/mlの線形ダイナミックレンジ;10 HCV RNA IU/mlのLLD;Roche Diagnostics, Branchburg, NJ)により、試験中頻繁に評価した。
【0065】
VX−950の投与期間中、各患者は、全ての用量群においてウイルス量が少なくとも2log10低下することを証明した。750mg、8時間毎の用量群において、平均HCV RNAは、3日目に3.6log10低下し、14日目に4.3log10低下した。450mg、8時間毎、および1250mg、12時間毎の用量群において、最大効果は、3日目から7日目に見られ、その後、7日目から14日目の間に平均ウイルス量が増加した。平均ウイルス量は、全ての用量群において、フォローアップ中に増加した。有利なことに、HCV未処置患者および以前処置した患者の両方において、本発明の方法が有効である。図17Aおよび図17Bに示す通り、以前処置した患者および未処置患者の両方が、VX−950に応答した。疑いを避けるために、本発明の方法で処置され得る患者には、HCV処置が、試されなかった患者か、または、非応答、リバウンド、再発および進行した患者を含む、処置に失敗した患者が含まれる。
【0066】
ネオプテリンベースラインは、23/34名の患者で上昇した(平均9.33nmol/l;正常上限(ULN)7.7nmol/l)。750mgの用量群において、ベースラインおよびプラセボと比較したネオプテリンの減少は、14日目に顕著となった(750mg、8時間毎の用量群のベースライン 対 14日目が、10.48±0.84nmol/L 対 7.32±0.48nmol/L、P=0.0104、マンホイットニー検定;750mg、8時間毎の用量群 v プラセボ、14日目 7.32±0.48nmol/l v 9.81±1.36nmol/l P=0.0036、対応のない両側t検定)。平均ネオプテリンレベルは、750mg、8時間毎の用量群においてのみ、14日目にて正常値内であった(図7および図14)。450mg、8時間毎の用量群、および1250mg、12時間毎の用量群において、平均ネオプテリンレベルの減少は、より小さかった(図6、7、および14)。平均ネオプテリンレベルは、プラセボ群で変化しなかった(図6および図7)。平均ネオプテリンレベルは、フォローアップ中に全ての用量群で増加した。
【0067】
血清アラニンアミノ基転移酵素(ALT)レベルは、市販されている方法を用いて測定可能である。平均ALTレベルは、ベースライン時に高く、全ての群にて投与中に減少した(図6)。平均ALTレベルは、フォローアップ中に全ての用量群で増加し、ベースラインに戻った。
【0068】
HCV RNAは、450mgの用量群、および1250mgの用量群で7日後に増加するが、ネオプテリンおよびとりわけALTは、減少し続ける。平均ネオプテリン濃度の変化は、VX−950の投与中のHCV RNAおよびALTレベルの減少と関係があった。平均ネオプテリン濃度は、750mg、8時間毎の用量群において14日目に最大に減少した。これはまた、14日目に、HCV RNAの最大の減少を有する用量群でもあった。450mg、8時間毎、および1250mg、12時間毎の用量群において7日目の後、ALTおよびネオプテリンレベルは減少したが、HCV RNAレベルは増加した。これらのデータは、VX−950によるHCV複製の阻害が、結果としてウイルス感染と関係のある全身性炎症性活性の著しい減少となることを示唆する。
【0069】
VX−950はまた、動物モデルにおいて高ALTレベルを改善する(WO2005/025517を参照)。特に、SCIDマウスにおけるWT−HCVプロテアーゼ−SEAPの発現は、VX−950で処置することにより改善される高ALTレベルをもたらす。SCIDマウスにおけるWT−HCVプロテアーゼのみの発現は、ALTレベルの時間および用量依存的上昇ももたらす。
【0070】
従って、本発明は、患者においてALTレベルを低下する(正常化することを含む)方法を提供する。該方法は、治療的有効量のVX−950 (例えば、1日当たり約1350mg、約2250mg、または約2500mg)を、それを必要とする患者に投与することを含む。患者は、HCVに感染していても、HCVに感染していなくてもよい。
【0071】
ある態様において、VX−950は、1日当たり、約450mgもしくは約750mgを8時間毎、または約1250mgを12時間毎投与される。
【0072】
本発明の別の局面は、HCV陽性またはHCV陰性のどちらかである患者において、肝臓障害、肝炎、脂肪症、脂肪肝、NAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、およびライ症候群の1種以上を処置または予防するための方法を提供する。
【0073】
本発明はまた、HCV陽性または陰性のどちらかである患者における、肝臓保護(hepatoprotection)のための方法も、本発明の範囲内である。
【0074】
本発明者らはまた、VX−950が、インビトロで免疫回避を阻止することを証明した。
【0075】
VX−950は、センダイウイルス感染Huh7細胞におけるIFNβ依存的遺伝子発現を元に戻す。IFNβプロモーター活性は、WT HCVproの存在下で、センダイウイルス刺激に応答して減少する。VX−950は、WT HCVproが仲介するIFNβプロモーター活性化の抑制を克服する。図15および図16参照。
【0076】
さらに、NS3/4Aは、例えば、TRIF依存的機序(ならびに、ウイルスポリタンパク質プロセシング)により、先天的防御の回避を伴うことが知られている。この免疫回避は、ウイルスの存続をもたらす。従って、ウイルスポリタンパク質プロセシングおよび先天的防御の回避の両方を阻害する化合物が望ましい。有利には、VX−950は、該その両方を行うことが示されている。特に、VX−950は、インビトロで、TLR3アダプタータンパク質であるTRIFの切断を阻害する。図8−10。
【0077】
理論はともかく、モデル化は、VX−950が、NS3プロテアーゼによるTRIF切断を阻害することを示唆する。TRIFは、NS3プロテアーゼ活性部位の非プライム(non−prime)側に結合する。VX−950は、TRIFと、同じ活性部位の非プライム側に結合し、TRIF切断を阻止する。
【0078】
2種のVX−950ウイルス変種、A156TおよびA156Vが、TRIFまたは4A/4Bのどちらかを切断する能力の低下を示すことが示されている(C. Lin et al. “In Vitro Studies of Cross−resistance Mutations Against two Hepatitis C Virus Serine Protease Inhibitors VX−950 and BILN 2061”, J. Biol. Chem., (August 8, 2005))。これらのウイルス変種は適合性が小さいため、それらはウイルスポリタンパク質プロセシングおよびウイルスの存続の両方に影響しない。理論は別にして、これは、4A/4BおよびTRIF基質に結合して影響を与えるA156Vの立体障害と関係する。図11−13参照。
【0079】
これは、VX−950が、直接的抗ウイルス剤および免疫回避の阻害剤の両方として作用することを示す。従って、本発明はまた、HCVプロテアーゼが仲介する宿主の防御の回避を阻害する方法を提供する。
【0080】
本明細書中で開示されるインビボデータと共にこれらの結果は、単剤療法としてのVX−950の有効性を示す。
【0081】
本発明のVX−950の量は、単一投与形態または2つ以上の投与形態で投与される。分割投与形態であるとき、各投与形態は、ほぼ同時に投与される。疑いを避けるために、1日2回以上の投与を求める投与レジメンについては、1個以上の丸剤または用量が、1日当たり各回で投与され得る(例えば、1個の丸剤を1日3回、または3個の丸剤を1日3回)。本発明の最も好ましい態様は、1回の投与につき少なくとも2個の丸剤を用い得る。
【0082】
当業者に実施可能なように、本発明の方法が患者の予防的処置に用いられ、その患者がC型肝炎ウイルスに感染するとき、該方法は、その後感染を処置し得る。故に、本発明の一態様は、患者におけるC型肝炎感染の処置または予防方法を提供する。
【0083】
C型肝炎に感染した患者の処置に加えて、本発明の方法は、C型肝炎の感染から患者を予防するために用いられ得る。従って、本発明の一態様は、本発明の組成物または投与形態を患者に投与することを含む、患者におけるC型肝炎ウイルス感染の予防方法を提供する。
【0084】
本発明の方法はまた、免疫調節剤;抗ウイルス剤;HCVプロテアーゼの阻害剤(VX−950以外);HCV生活環の別の標的の阻害剤(NS3/4Aプロテアーゼ以外);内部リボソーム侵入の阻害剤、広域的ウイルス阻害剤;または、シトクロムP−450阻害剤;または、それらの組み合わせ、から選択されるさらなる薬剤を含む別の成分の投与を含み得る。さらなる薬剤はまた、ウイルスの細胞侵入の阻害剤からも選択される。
【0085】
従って、別の態様において、本発明は、VX−950および別の抗ウイルス剤、好ましくは抗HCV剤を投与することを含む方法を提供する。そのような抗ウイルス剤には、α−、β−、およびγ−インターフェロンまたはチモシン、PEG化誘導体化インターフェロン−α化合物、およびチモシンのような免疫調節剤;リバビリン、アマンタジン、およびテルビブジンのような別の抗ウイルス剤;C型肝炎プロテアーゼの他の阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤);ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、およびメタロプロテアーゼ阻害剤を含む、HCV生活環における他の標的の阻害剤;内部リポソーム侵入の阻害剤;IMPDH阻害剤のような広域的ウイルス阻害剤(例えば、VX−497、VX−148、および/またはVX−944を含むが、それらに限定されない、米国特許第5,807,876号、同第6,498,178号、同第6,344,465号および同第6,054,472号ならびにPCT公報WO97/40028、WO98/40381およびWO00/56331に記載の化合物;ならびにミコフェノール酸およびその誘導体);または、上記のいずれかの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0086】
本発明の化合物と併用され得る他の薬剤(例えば、非免疫調節または免疫調節化合物)には、参照により本明細書中に包含されるWO02/18369(例えば、273頁、9−22行目、および274頁、4行目から276頁、11行目、本開示は、参照により明確に本明細書中に包含される)に記載されるものが含まれるが、それらに限定されない。
【0087】
種々の公開された米国特許出願に記載されるさらに他の薬剤が包含される。これらの刊行物は、本発明の方法、特に肝炎の処置方法においてVX−950と併用し得る化合物および方法のさらなる教示を提供する。そのような方法および組成物は全て、本発明の方法および組成物と併用し得ると考えられる。簡単には、それらの刊行物の開示内容は、公開番号を参照することにより参照されるが、化合物の開示が、特に、参照により本明細書中に明確に包含されることは、注意されるべきである。そのような刊行物の例には、米国特許公開番号:US20040058982、US20050192212、US20050080005、US20050062522、US20050020503、US20040229818、US20040229817、US20040224900、US20040186125、US20040171626、US20040110747、US20040072788、US20040067901、US20030191067、US20030187018、US20030186895、US20030181363、US20020147160、US20040082574、US20050192212、US20050187192、US20050187165、US20050049220、およびUS20050222236が含まれる。
【0088】
さらなる他の薬剤には、Human Genome Sciencesから市販されるアルブフェロン(商標)(アルブミン−インターフェロンα);PEG−イントロン(登録商標)(ペグ化インターフェロンα−2b、Schering Corporation, Kenilworth, NJから市販される);イントロン−A(登録商標)(VIRAFERON(登録商標)、インターフェロンα−2b、Schering Corporation, Kenilworth, NJから市販されている);リバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド、ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CAから市販される;the Merck Index, entry 8365, Twelfth Editionに記載される);REBETROL(登録商標)(Schering Corporation, Kenilworth, NJ);コーペガス(登録商標)(Hoffmann−La Roche, Nutley, NJ);ペガシス(登録商標)(ペグ化インターフェロンα−2a、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから市販される);ロフェロン(登録商標)(組換えインターフェロンα−2a、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから市販される);BEREFOR(登録商標)(インターフェロンα2、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc., Ridgefield, CTから市販される);スミフェロン(登録商標)(スミフェロンのような、精製物と天然のαインターフェロンの混合物、住友製薬、日本から市販される);ウェルフェロン(登録商標)(インターフェロン α n1、Glaxo Wellcome Ltd., Great Britainから市販される);アルフェロン(登録商標)(Interferon Sciencesにより製造される天然αインターフェロンの混合物、およびPurdue Frederick Co., CTから市販される);α−インターフェロン;天然αインターフェロン 2a;天然αインターフェロン 2b;ペグ化αインターフェロン 2aまたは2b;コンセンサスαインターフェロン(Amgen, Inc., Newbury Park, CA);レベトロン(登録商標)(Schering Plough、インターフェロン−α 2B+リバビリン);ペグ化インターフェロンα(Reddy, K.R. et al. “Efficacy and Safety of Pegylated (40−kd) Interferon alpha−2a Compared with Interferon alpha−2a in Noncirrhotic Patients with Chronic Hepatitis C”(Hepatology, 33, pp. 433−438 (2001);コンセンサスインターフェロン(インファゲン(登録商標))(Kao, J.H., et al., “Efficacy of Consensus Interferon in the Treatment of Chronic Hepatitis” J. Gastroenterol. Hepatol. 15, pp. 1418−1423 (2000);リンパ芽球様または“天然”インターフェロン;インターフェロン tau(Clayette, P. et al., “IFN−tau, A New Interferon Type I with Antiretroviral activity” Pathol. Biol. (Paris) 47, pp. 553−559 (1999);インターロイキン−2(Davis, G.L. et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999);インターロイキン−6(Davis et al. “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease 19, pp. 103−112 (1999);インターロイキン−12(Davis, G.L. et al., "Future Options for the Management of Hepatitis C." Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999);および、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物(Davis et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999))、が含まれるが、それらに限定されない。また、二本鎖RNA単独、またはトブラマイシンおよびイミキモドとの組み合わせを含むが、これらに限定されない(3M Pharmaceuticals;Sauder, D.N. “Immunomodulatory and Pharmacologic Properties of Imiquimod” J. Am. Acad. Dermatol., 43 pp. S6−11 (2000))、細胞におけるインターフェロンの合成を刺激する化合物(Tazulakhova, E.B. et al., “Russian Experience in Screening, analysis, and Clinical Application of Novel Interferon Inducers” J. Interferon Cytokine Res., 21 pp. 65−73)も含まれる。また、WO02/18369、特に272頁、15行目から273頁、8行目を参照のこと(この開示内容は、参照により本明細書中に明確に包含される)。
【0089】
当業者に認められる通り、VX−950は、好ましくは経口投与される。インターフェロンは、通常、経口投与されないが、経口投与剤形が開発されている。それにもかかわらず、本明細書中、本発明の方法または組み合わせを、何らかの特定の投与形態またはレジメンに限定すべきではない。よって、本発明の組み合わせの各構成成分は、個別に、共に、またはその何らかの組み合わせで投与され得る。当業者に認められる通り、インターフェロンの投与量は、一般的に、IUで測定される(例えば、約400万IUから約1200万IU)。インターフェロンはまた、マイクログラム単位で投与され得る。例えば、ペグ化イントロンの標準的用量は、1.0−1.5μg/kg/週であり、ペガシスのそれは、180μg/週である。
【0090】
ある局面において、該方法は、第一段階および第二段階の2つの期間の薬剤投与を含む。例えば、第一段階は、約12週間または24週間未満の期間であり、第二段階は、約12週間より長いか、または約12週間であってよく、例えば第二段階は、約12−36週間であり得る。ある態様において、第二段階は、12週間である。さらに他の態様において、第二段階は、36週間である。ある態様において、第一および第二段階の期間の和は、約24週間ないし48週間(例えば、24,36または48週間)である。いくつかの態様において、第一段階および第二段階は、同一期間であり得る。
【0091】
VX−950は、第一段階、第二段階、または両段階のいずれかで投与され得る。いくつかの態様において、VX−950は、第一段階でのみ投与される。VX−950が、第一段階でのみ投与されるとき、VX−950は、単独で、または他の薬剤と組み合わせて投与されてよく、1個以上の薬剤は、第二段階で投与される。他の薬剤は、1個以上の抗ウイルス剤、1個以上の本明細書に記載の他の薬剤、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの態様において、第一段階および第二段階で投与される特定の薬剤は、同一である。
【0092】
いくつかの態様において、該方法は、2週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の22週間のペグ化インターフェロンα−2a(Peg−IFN)およびリバビリン(RBV)の併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、2週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の46週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0093】
さらに他の態様において、該方法は、2週間の、VX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の22週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、2週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の46週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0094】
さらに他の態様において、該方法は、2週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の22週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、2週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の46週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0095】
いくつかの態様において、該方法は、4週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の20週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、4週間のVX−950の投与(第一段階)、その後の44週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0096】
さらなる態様において、該方法は、4週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の20週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、4週間のVX−950とPeg−IFNの併用投与(第一段階)、その後の44週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0097】
さらに他の態様において、該方法は、4週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の20週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。他の態様において、該方法は、4週間のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第一段階)、その後の44週間のPeg−IFNおよびRBVの併用投与(第二段階)を含む。
【0098】
いくつかの態様において、上記のいずれかの第一段階は約12週間行われ、第二段階は約12週間行われ得る。あるいは、第一段階は約12週間行われ、第二段階は約24週間行われ得る。さらに他の局面において、第一段階は約12週間行われ、第二段階は約36週間行われ得る。
【0099】
いくつかの態様において、上記のいずれかの第一段階は約8週間行われ、第二段階は約16週間行われ得る。あるいは、第一段階は約8週間行われ、第二段階早く28週間行われ得る。さらに他の局面において、第一段階早く8週間行われ、第二段階は約40週間行われ得る。
【0100】
いくつかの態様において、該方法は、48週間未満のVX−950とPeg−IFNの併用投与を含む。例えば、該方法は、24週間未満のVX−950とPeg−IFNの併用投与を含む。
【0101】
いくつかの態様において、該方法は、48週間未満のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与を含む。例えば、該方法は、24週間未満のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの併用投与を含む。
【0102】
一態様において、本発明の方法は、約2週間(または、2週間)のVX−950の投与、その後の、約22週間(もしくは、22週間)または約46週間(もしくは、46週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの投与を含む。
【0103】
モデル化データはまた、V36A/M、T54A、R155K/T、A156S A156V/T、V36A/M−R155K/T、およびV36A/M−A156V/TのようなVX−950耐性変異体は、主に、VX−950処置後の、約10−24週間(または、8−26週間)のPEG−IFNおよびリバビリンの投与により根絶し得ることを示す(図18−21参照)。任意のこれらのレジメンは、24−48週間続く現在の標準的ケア処置レジメンにおいて、処置期間の減少を意味する。
【0104】
いくつかの態様において、本発明の方法は、4週間のRVRおよび12週間の検出不可能な状態を達成し得る。
【0105】
図22に示す通り、VX−950の処置の8−12週間後のウイルス再発生は、VX−950耐性変異体と関係があり、処置の24−48週での再発生率は、特に処置に対して良好な初期応答を示す対象において、基本的に同じであった。
【0106】
図23に示す通り、VX−950、PEG−IFNおよびRBVでの12週間の処置、可能であればわずか8週間の処置は、野生型ウイルスを排除するのに十分であることが明らかである。
【0107】
従って、本発明はまた、VX−950とインターフェロンの併用投与法を提供する。ある態様において、インターフェロンを、約10週間(もしくは、10週間)、約12週間(もしくは、12週間)、約14週間(もしくは、14週間)投与する。リバビリンも、レジメン全体を含むが、それに限定されない該レジメンの全部または一部で所望により投与されてよい。
【0108】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0109】
一態様において、本発明は、約12±4週間(例えば、8、12または16週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0110】
一態様において、本発明の方法は、約24週間(または、24週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0111】
一態様において、本発明は、約24±4週間(例えば、20、24または28週間)のVX−950およびPeg−IFNの併用投与を含む。
【0112】
疑いを避けるために、本発明は、約8週間(または、8週間)のVX−950およびインターフェロンの投与、その後の、約16週間(または、16週間)のインターフェロンの投与を伴う合計約24週間(または、24週間)の処置レジメンを含むが、これに限定されないことが理解されるべきである。また、約12週間(または、12週間)のVX−950およびインターフェロンの投与、その後の、約12週間(または、12週間)のインターフェロンの投与を含む合計約24週間(または、24週間)の処置レジメンも提供する。かかるレジメンは、所望により、約24週間(または、24週間)のレジメン全体を含むが、これに限定されないレジメンの全部または一部でのリバビリンの投与を提供する。
【0113】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0114】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約12週間(または、12週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0115】
一態様において、本発明の方法は、約12週間(または、12週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約36週間(または、36週間)のPeg−IFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0116】
一態様において、本発明の方法は、約24週間(または、24週間)のVX−950、Peg−IFNおよびリバビリンの併用投与、その後の、約24週間(または、24週間)のPEGIFNおよびリバビリンの併用投与を含む。
【0117】
いくつかの態様において、該方法は、VX−950(1250mg)の負荷用量、その後の750mg、8時間毎のVX−950とPeg−IFNおよびRBVの組み合わせを提供することを含む。
【0118】
本発明に関連して用いられるシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(“CYP”)阻害剤は、VX−950の代謝を阻害すると予期される。それ故に、シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤は、VX−950の代謝を阻害するのに有効量であり得る。従って、CYP阻害剤は、VX−950のバイオアベイラビリティまたはVX−950への暴露が、CYP阻害剤の不存在下でのVX−950と比較して増加するような量で投与される。CYP阻害剤には、リトナビル(WO94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497が含まれるが、これらに限定されない。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが含まれる。
【0119】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ活性を阻害する化合物の能力を測定するための方法は、公知である(米国特許番号第6,037,157号、およびYun, et al. Drug Metabolism & Disposition, vol. 21, pp. 403−407 (1993)を参照)。VX−950およびCYP阻害剤の対象への併用投与の影響を評価するための方法もまた、公知である(US2004/0028755)。かかる方法は全て、組み合わせの薬物動態への影響を決定するために本発明に関連して用いられ得る。
【0120】
本発明の一態様は、CYP3A4およびVX−950の阻害剤の投与方法を提供する。
【0121】
本明細書に記載の方法は、a)VX−950および別の薬剤の組み合わせ;または、b)2個以上の投与形態のVX−950、を投与または併用投与することを含み得る。併用投与は、同一の投与形態または異なる投与形態で各阻害剤を投与することを包含する。異なる投与形態で投与されるとき、該阻害剤は、ほぼ同時または他の投与形態の投与中のいずれかの時間を含む、異なる時間に投与され得る。分割投与形態は、任意の順序で投与され得る。すなわち、全ての投与形態は、他の投与形態の前に、共に、またはその後に投与され得る。
【0122】
VX−950、および何れかのさらなる薬剤を、分割投与形態で製剤することができる。あるいは、患者に投与すべき投与形態の数を減らすために、VX−950、および何れかのさらなる薬剤を、何れかの組み合わせで製剤できる。全ての分割投与形態は、同時に、または異なる時間に投与され得る。投与形態は、その生物学的効果が有利になるように時間内に投与されるべきであることが理解されるべきである。
【0123】
本発明のレジメンおよび投与形態によれば、VX−950は、試料または患者のウイルス量(該ウイルスは、ウイルス生活環に必須のNS3/4Aセリンプロテアーゼをコードする)を減少するのに有効な量(または、本発明の方法を実行するのに有効な量)で、薬学的に許容される担体と共に存在する。あるいは、本発明の組成物には、本明細書中に記載のさらなる薬剤が包含される。各成分は、個々の組成物、組合せ組成物、または単一組成物中に存在し得る。
【0124】
化合物の薬学的に許容される塩を、これらの組成物に用いるとき、それらの塩類は、好ましくは、無機または有機の酸および塩基から誘導される。そのような酸性塩類には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩(camphor sulfonate)、シクロペンタン−プロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が含まれる。塩基性塩類には、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミンのような有機塩基との塩、ならびにアルギニン、リジンのようなアミノ酸との塩などが含まれる。
【0125】
また、塩基性窒素含有基は、塩化、臭化およびヨウ化、メチル、エチル、プロピルおよびブチルのような低級ハロゲン化アルキル;硫化ジメチル、硫化ジエチル、硫化ジブチルおよび硫化ジアミルのような硫化ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルのような長鎖ハロゲン化物;ベンジルおよびフェネチル臭化物のようなハロゲン化アラルキルなどのような物質によって四級化され得る。それにより、水または油に可溶性または分散性の生成物が得られる。
【0126】
本発明の組成物および方法に利用される化合物はまた、選択的な生物学的特性を高めるのに適当な機能性を付加することにより修飾され得る。そのような修飾は、当技術分野で公知であり、所定の生物系(例えば、血液系、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増加し、経口アベイラビリティーを増加し、注射による投与を可能にするための溶解性を増加し、代謝を変化させ、排泄速度を変化させることが含まれる。
【0127】
これらの組成物に用いられ得る薬学的に許容される担体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸のような部分的グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂のような塩または電解質が含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
好ましい態様によれば、本発明の組成物を、哺乳動物、特にヒトに薬剤投与するために製剤する。
【0129】
かかる本発明の医薬組成物(ならびに、本発明の方法において使用するための組成物、組み合わせ、キットおよびパッケージ)を、経口、非経腸、舌下、吸入スプレーにより、局所、経直腸、経鼻、口腔、経膣、または埋め込みリザーバー(implanted reservoir)により投与することができる。本明細書で用いる用語“非経腸”には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病変内および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。好ましくは、該組成物を、経口または静脈内投与する。より好ましくは、該組成物を経口投与する。
【0130】
本発明の組成物の滅菌注射剤は、水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当技術分野で公知の技術により製造され得る。該滅菌注射製剤はまた、非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中滅菌注射溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール溶液であり得る。用い得る許容されるビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル溶液および生理食塩水である。さらに、滅菌した不揮発性油が、溶媒または懸濁化媒体として都合よく用いられる。この目的に関して、合成モノまたはジグリセリドを含む、何れかの無菌性の不揮発性油を用い得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸が、注射剤の製造において、オリーブ油またはヒマシ油のような、とりわけそれらのポリオキシエチル化型の天然の薬学的に許容される油として有用である。これらの油溶液または油懸濁液にはまた、エマルジョンおよび懸濁液を含む薬学的に許容される投与形態の剤形において通常用いられる、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤のような、長鎖アルコール希釈剤または分散剤が含まれ得る。他の通常用いられる、トゥイーン系、スパン系(Span)および他の乳化剤のような界面活性剤、または薬学的に許容される固体、液体または他の投与形態の剤形に通常用いられるバイオアベイラビリティの増強剤はまた、製剤目的にも使用され得る。
【0131】
VX−950およびさらなる薬剤を含む本発明の組成物において、VX−950および該さらなる薬剤は、約10ないし100%の投与量レベルで存在すべきであり、より好ましくは、単剤療法レジメンにおいて通常投与される投与量の約10ないし80%で存在すべきである。
【0132】
本発明の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、粒剤、水性懸濁液または溶液を含むが、これらに限定されない何らかの経口的に許容される投与形態で経口投与され得る。経口用錠剤の場合において、通常用いられる担体には、ラクトースおよびコーンスターチが含まれる。ステアリン酸マグネシウムのような滑剤もまた、一般的に添加される。カプセル形態での経口投与に関して、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁液が経口使用に必要とされるとき、活性成分を、乳化剤および懸濁化剤と併用する。要すれば、任意の甘味剤、香味剤または着色剤を添加することもできる。許容される液体投与形態には、エマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が含まれる。
【0133】
あるいは、本発明の医薬組成物は、直腸投与用に坐剤の形態で投与され得る。これらは、該薬剤と、室温では固体であるが、直腸温では液体であり、故に直腸で薬剤を放出し得る、適当な無刺激性賦形剤を混合することにより製造できる。そのような物質には、カカオバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0134】
本発明の医薬組成物はまた、とりわけ処置の標的が、眼、皮膚、または下部消化管の疾患を含む、局所適用により到達しやすい領域または臓器を含むとき、局所投与され得る。適当な局所製剤は、これらの領域または臓器のそれぞれのために容易に製造される。
【0135】
当技術分野で認識される通り、医薬組成物はまた、リポソームの形態で投与され得る。
【0136】
本発明者らは、VX−950が、経口投与可能であることを証明した。従って、本発明の好ましい医薬組成物は、経口投与用に製剤される。
【0137】
CYP阻害剤に関して、1日当たり、体重1kg当たり約0.001ないし約200mgの投与量レベルが典型的であり得る。より典型的には、1日当たり約0.1ないし約50mg/kg、または約1.1ないし約25mg/kgの間の投与量レベルであり得る。
【0138】
リトナビルの好ましい投与形態に関しては、米国特許第6,037,157号、およびそこに引用される文献:米国特許第5,484,801号、米国特許出願第08/402,690号、および国際特許出願WO95/07696およびWO95/09614を参照のこと。
【0139】
本発明に関係する投与を、長期または短期療法として用い得る。単一投与形態を製造するために担体物質と併用され得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与方法によって変化し得る。典型的な製剤は、約5%ないし約95%の活性化合物(w/w)を含み得る。好ましくは、かかる製剤は、約20%ないし約80%の活性化合物を含む。
【0140】
患者の状態の改善により、必要ならば、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持量が投与され得る。次いで、投与の投与量あるいは頻度、または両方を、その症状の関数として、改善された状態が、症状が所望のレベルに軽減され、処置を終えるべきときに維持されるレベルに減らし得る。しかしながら、患者は、何らかの疾患症状の再発により長期的に断続的な処置を必要とし得る。
【0141】
何れかの特定の患者に対する特定の投与量および処置レジメンが、用いる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、混合薬、担当医の判断、および処置すべき特定の疾患の重症度、これまでの治療歴、共存疾患または併用薬、ベースラインのウイルス量、種、疾患の期間、肝機能の状態および肝線維症/肝硬変の程度、ならびに治療目標(移植によるウイルス循環の排除またはウイルスの根絶)を含む、様々な因子によって変わり得ることも理解されるべきである。活性成分の量は、特定の記載した化合物、ならびに組成物中のさらなる抗ウイルス剤の存在または不存在、および性質によっても変わり得る。
【0142】
他の態様によれば、本発明は、本発明の薬学的に許容される組成物を該患者に投与することにより、ウイルスの生活環に必要なNS3/4Aセリンプロテアーゼをコードするウイルスにより特徴付けられるウイルスに感染した患者の処置方法を提供する。好ましくは、本発明の方法は、HCV感染を有する患者の処置に用いられる。かかる処置は、ウイルス感染を完全に根絶するか、またはその重症度を低減し得る。好ましくは、該患者は哺乳動物である。より好ましくは、該患者はヒトである。
【0143】
本明細書に記載の投与量は、好ましくはインビボでの使用用である。それにもかかわらず、これは目的に応じてこれらの量のVX−950の使用に限定されるものと意図されない。さらに別の態様において、本発明は、生物学的物質と、本発明の化合物を含む薬学的に許容される組成物を合わせる工程を含む、患者に投与することを目的として該生物学的物質を前処理する方法を提供する。かかる生物学的物質には、血液および血漿、血小板、血液細胞の亜集団などのその成分;腎臓、肝臓、心臓、肺などの臓器;精子および卵子;骨髄およびその成分、ならびに食塩水、デキストロースなどの患者に注入される他の液体が含まれるが、それらに限定されない。
【0144】
本発明はまた、VX−950、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを組み合わせる工程を含む、VX−950、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を製造するための方法を提供する(ここで、組成物中のVX−950の投与量は、本発明のいずれかの態様に従う。)。本発明の別の態様は、該組成物が、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤を含む方法を提供する。
【0145】
本発明はまた、VX−950、またはその薬学的に許容される塩を、本明細書中に記載の投与量で含む治療レジメンを提供する。本発明の別の態様において、治療レジメンはさらに、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤を含む。
【0146】
医薬組成物はまた、単一パッケージ、通常ブリスターパッケージに一連の処置全体を含む“患者パック(patient pack)”で患者に処方され得る。患者パックは、患者が、従来の処方において通常紛失する患者パックに含まれる添付文書をいつでも利用できる点で、薬剤師が、大量供給物(bulk supply)から患者への薬剤分配を行なう従来の処方よりも有利である。添付文書の包含は、患者に医者の指示の順守を改善させることが明らかにされている。
【0147】
患者が本発明の正しい使用をするように指示する添付文書を包含する単一の患者パック、または各製剤の患者パックを用いる本発明の併用投与は、本発明の望ましいさらなる特徴であることが理解され得る。
【0148】
さらなる局面によれば、本発明は、VX−950(本発明の投与量)および本発明の併用使用の指示書を含む添付情報を含むパッケージである。全ての組成物、投与形態、治療レジメンまたは本発明の他の態様は、医薬パッケージ中に存在し得る。本発明の別の態様において、該医薬パッケージは、本明細書に記載の1個以上のさらなる薬剤をさらに含む。さらなる薬剤または複数の薬剤は、同一のパッケージまたは異なるパッケージで提供され得る。
【0149】
本発明の他の局面は、各医薬成分の単一または複数の製剤;貯蔵中および投与前に製剤(複数可)を保存する容器;および、HCV感染の処置または予防のための有効な方法で薬剤投与を行うための指示書を含む、HCV感染の処置またはHCV感染の予防における使用のための(または、本発明の他の方法における使用のための)患者用のパッケージ化されたキットを含む。
【0150】
従って、本発明は、VX−950(および、所望によりさらなる薬剤)の用量の同時または連続投与のためのキットを提供する。典型的に、そのようなキットは、例えば、薬学的に許容される担体中(および、単一または複数の製剤中)、各化合物の組成物および任意のさらなる薬剤(複数可)、ならびに同時または連続投与のための指示書を含み得る。
【0151】
別の態様において、パッケージキットは、自己投与のための1個以上の投与形態;貯蔵中および使用前に該投与形態を保存するための、好ましくは密閉された容器;および、薬剤投与を行うための指示書を包含して提供される。該指示書は、一般的に、添付文書、ラベル、および/またはキットの他の成分の指示書であり、投与形態または複数の投与形態が、本明細書中に記載されている。各投与形態は、一枚の金属箔−プラスチック薄板で形成される個々の空間(cell)または半球形(bubble)中に、他から分離されたそれぞれの投与形態を包含させるか、または投与形態は、プラスチック容器のような単一の容器中に包含され得る。本発明のキットはまた、典型的には、個々のキット成分をパッケージングするための手段、すなわち、投与形態、容器手段、および使用のための指示書を含み得る。そのようなパッケージング手段は、段ボール箱または紙箱、プラスチック容器または金属箔容器などの形態であり得る。
【0152】
本発明のキットは、何れかの組成物、投与形態、治療レジメンまたは医薬パッケージのような、本発明のいずれかの局面を具現化し得る。
【0153】
本発明のパッケージおよびキットは、所望により、複数の組成物または投与形態を含む。従って、1個の組成物または2個以上の組成物を含むパッケージおよびキットは、本発明の範囲内に包含され得る。
【0154】
ある例示的態様は、以下に描写および記載されているが、本発明の化合物を、当業者に一般的に利用可能な適当な出発物質を用いて、概して上記の方法に従い製造することができることは、当然のことである。
【0155】
全ての引用文献は、参照により本明細書中に包含される。
【0156】
本発明をより十分に理解するために、以下の製造例および実験例を記載する。これらの実施例は、説明のみを目的とし、いかなる点でも本発明の範囲を制限するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0157】
実施例1:HCVレプリコン細胞アッセイプロトコール
C型肝炎ウイルス(HCV)レプリコンを含む細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、0.25mg/mLのG418、適当な添加剤を含むDMEM(媒体A)中で維持した。
【0158】
1日目に、レプリコン細胞単層を、トリプシン:EDTA混合物で処理し、除去し、その後、媒体Aを最終濃度100,000細胞/mLまで希釈した。10,000細胞/100μLを、96ウェル組織培養プレートの各ウェル中に播種し、37℃にて、組織培養インキュベーター中で一晩培養した。
【0159】
2日目、100%DMSO中、化合物VX−950を、2%FBS、0.5%DMSO、適当な添加剤を含むDMEM(媒体B)中に連続的に希釈し、異なる濃度でVX−950を含む溶液を得た。DMSOの最終濃度を、一連の希釈を通して0.5%に維持した。
【0160】
レプリコン細胞単層上の媒体Aを除去し、その後、様々な濃度の化合物を含む媒体Bを添加した。化合物を含まない媒体Bを、対照として他のウェルに添加した。
【0161】
細胞を、37℃の組織培養インキュベーター中、媒体B中VX−950溶液または対照を、48時間インキュベートした。48時間のインキュベーションの最後に、媒体Bを除去し、レプリコン細胞単層をPBSで一度洗浄し、RNA抽出前に−80℃で貯蔵した。
【0162】
処理したレプリコン細胞単層を含む培養プレートを解凍し、一定量のウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)のような別のRNAウイルスを、各ウェルにて細胞に添加した。RNA抽出試薬(RNeasyキットの試薬のような)を、RNA分解を避けるために細胞に直ちに添加した。全RNAを、抽出効率および一貫性を改善するための改良を伴う、製造業者の指示書に従って抽出した。最後に、HCVレプリコンRNAを含む全細胞RNAを溶出させ、さらなる処理まで−80℃で貯蔵した。
【0163】
TaqmanリアルタイムRT−PCR定量化アッセイを、特定のプライマーおよびプローブの2個のセットを用いて行った。1つは、HCVについて、もう1つは、BVDVについて行った。処理したHCVレプリコン細胞由来の全RNA抽出物を、同じPCRウェル中に、HCVおよびBVDV RNAの両方の定量のために、PCR反応に追加した。実験的失敗に印をつけ、各ウェル中のBVDV RNAレベルを基に却下した。各ウェル中のHCV RNAレベルを、同じPCRプレートで実行する標準曲線に従い計算した。VX−950処理によるHCV RNAレベルの阻害または減少の割合を、DMSOを用いて計算し、VX−950不含有対照を0%阻害とした。IC50(HCV RNAレベルの50%阻害が見られる濃度)を、いずれかのVX−950濃度の滴定曲線から計算した。
【0164】
VX−950は、240ng/mLのIC50および476ng/mLのIC90を有し、レプリコンアッセイにおいて顕著な活性を有することが示される。
【0165】
実施例2:HCV Kiアッセイプロトコール
5AB基質および産物の単離のためのHPLCマイクロボア法
この実験で使用した基質は、以下である:
NH2−Glu−Asp−Val−Val−(α)Abu−Cys−Ser−Met−Ser−Tyr−COOH(配列番号1)
【0166】
20mM 5ABの原液を、DMSOおよび0.2M DTTで作製し、−20℃にてアリコートで貯蔵した。pH7.8の緩衝液:50mM HEPES、100mM NaClおよび20%グリセロールを含んで製造した。
【0167】
100μlのアッセイ溶液を以下の表に従い製造した:
【表1】
【0168】
緩衝液、KK4A、DTT、およびtNS3を合わせ;96ウェルプレートの各ウェルに各78μLずつ分配した。これを、30℃で5分ないし10分間インキュベートした。
【0169】
2.5μLの適当な濃度のVX−950を、DMSO中に溶解し(DMSOのみを対照とする)、各ウェルに添加し、次いで、室温で15分間インキュベートした。
【0170】
20μLの250μM 5AB基質の添加により反応を開始させた(25μM濃度は、5ABのKm値と等しいかわずかに低い)。得られた混合物を30℃で20分間インキュベートし、その後、25μLの10%TFAを添加して反応を終了させ、そして分析のために混合物をHPLCバイアルに移した(120μLアリコート)。
【0171】
SMSY産物を、以下の方法により、基質およびKK4Aから単離した:
装置:
Agilent 1100
Degasser G1322A
Binary pump G1312A
Autosampler G1313A
Column thermostated chamber G1316A
Diode array detector G1315A
カラム:
Phenomenex Jupiter;5マイクロン C18;300オングストローム;150×2mm;P/O 00F−4053−B0
カラムサーモスタット:40℃
注入量:100μL
溶媒A=HPLC等級純水+0.1%TFA
溶媒B=HPLC等級アセトニトリル+0.1%TFA
【0172】
【表2】
停止時間:17分
実行後:10分。
【0173】
実施例3:耐容性および薬物動態学実験
VX−950を、無作為化、二重盲検、プラセボ−対照の単回用量漸増試験において試験した。25名の健康な男性ボランティアが登録され、各対象は、VX−950の複数の単回用量(少なくとも7日間、3種の用量のVX−950を増加用量レベルで)、および1種の用量のプラセボを個別に受容した。
【0174】
25mgないし1250mgの用量を評価した。2倍ずつ増量しながら、より低用量範囲で攻撃的であり、より高用量範囲で保守的になるようにフィボナッチ数を改変した、用量漸増スキームを用いた。
【0175】
VX−950は、全ての用量レベルで良好な耐容性であったという結果を示した。重大な有害事象は試験中には報告されなかった。そして、用量レベルの増加により有害事象が増大することはなかった。
【0176】
薬物動態分析を、統計学的モーメント手法を用いて行った。図1Aおよび図1Bは、平均濃度−時間プロフィールを説明する。選択した導き出された薬物動態パラメーターを、図2A−2Dに示す。薬物動態分析は、VX−950が、3時間の平均tmaxで吸収されたことを示した。2%未満のVX−950は尿中で変化なく除かれ、薬剤が、主に代謝経路から排泄されることを示した。
【0177】
実施例4:感染ウイルスアッセイ
VX−950は、感染ウイルスアッセイにおいて、196ng/mLのIC50を証明した。
【0178】
実施例5:VX−950処置の効果
VX−950を、24名の健康な対象および34名のC型肝炎陽性対象において、無作為化、プラセボ−対照、反復投与、盲検、用量漸増試験で試験した。
【0179】
24名の健康な対象を、3つのパネルにそれぞれ8名の対象に分けた。各パネルにおいて、6名の対象がVX−950を受容し、2名の対象がプラセボを受容した。健康な対象に、5日間連続して、450mg、750mg、または1250mgのVX−950を8時間毎に投与した。該健康な対象は、18歳から65歳までであり(18歳と65歳を含む)、B型肝炎、C型肝炎、およびHIV陰性であった。男性は、18.5−29.0kg/m2(18.5kg/m2と29.0kg/m2を含む)の肥満度指数を有していた。女性は、18.5−32.5kg/m2(18.5kg/m2と32.5kg/m2を含む)の肥満度指数を有していた。
【0180】
C型肝炎(遺伝子型1型)陽性の対象を、3つのパネルにそれぞれ12名の対象に分け、それぞれ14日間連続して、450mgまたは750mgのVX−950を8時間毎、または1250mgのVX−950を12時間毎に受容した。各パネルにおいて、10名の対象がVX−950を受容し、2名の対象がプラセボを受容した;750mgを8時間毎の群において、2名の対象が投与前に中止した。他の34名は全て、試験を完了した。
【0181】
VX−950は、全ての用量レベルで良好な耐容性を示し、重大な有害事象は、試験中には報告されなかった;軽度および中程度の有害事象が報告された。プラセボ、450mgを8時間毎、750mgを8時間毎、および1250mgを12時間毎受容した群のHCV陽性対象のうち、それぞれ33.2%、10%、12.5%、そして30%は、未処置患者であった。
【0182】
HCV陽性対象を、処置後、HCV RNAレベルがベースラインに戻るまで測定するために試験した。
【0183】
【表3】
【0184】
*4名の患者由来のサンプルを、それが、遺伝子型1a型または1b型であるかどうかを決定することができないアッセイのため、遺伝子型1型として分類した。
略語:BMI(肥満度指数);HCV(C型肝炎ウイルス);q8h(8時間毎);q12h(12時間毎);SD(標準偏差)。
ベースラインからのHCV RNAの変化を、VX04−950−101で試験した。
【0185】
【表4】
値は、n(%)であり、q8hは、8時間毎;q12hは、12時間毎である。
【0186】
実施例6:VX−950剤形
経口投与量剤形を、以下の通りに製造した。VX−950およびポビドンK29/32を塩化メチレン中に溶解し、その後、ラウリル硫酸ナトリウムを添加し、均一な懸濁液を形成するためにVX−950溶液を分散させた。この懸濁液を、90℃の入り口温度および56℃の出口温度を用いてスプレー乾燥させ、生成物をサイクロンから集めた。スプレー乾燥した分散物を、75℃で8時間、流動層乾燥させた。得られた粉末を、ガラスバイアル中で予め測定し、投与直前に、対象への投与のために水(30mL)に懸濁した。投与に関して、各バイアルを、全量が90mLである水の3分割量で洗浄した。
【0187】
【表5】
【0188】
実施例7:ヒト血漿中、VX−950の確認方法
ヒト血漿中のVX−950濃度を決定するためのアッセイは、当技術分野で公知の方法により行った。例えば, Wasley, A. et al., Semin. Liver Dis., 20:1−16, 2000;Alter, H.J. et al., Semin. Liver Dis., 20: 17−35, 2000;Brown, R.S. Jr. et al., Liver Transpl., 9:S10−S13, 2003;;DeFrancesco, R. et al., Nature, 436(7053):953−960, 2005;Bowen, D.G. et al., J. Hepatol., 42: 408−417, 2005;Hoofnagle, J.H., Hepatology, 36:S21−S29, 2002, Brown, R.S. Jr. et al., Nature, 436 (7053):973−978, 2005;および、Chisari, F.V., Nature, 436(7053):930−932, 2005を参照のこと。
【0189】
具体的には、以下のVX−950溶液を製造し、ふた付きホウケイ酸チューブ(11.5mL)中−20℃で貯蔵した:
原液:2−プロパノール中、961μg/mlのVX−950(10.0ml)
希釈した原液1:2−プロパノール中、96.1μg/mlのVX−950(5.00ml)
希釈した原液2:2−プロパノール中、9.61μg/mlのVX−950(10.0ml)
希釈した原液3:2−プロパノール中、0.961μg/mlのVX−950(10.0ml)。
【0190】
内部標準原液を、2−プロパノール5.00ml中、1.00mg/mlの化合物1(VX−950の閉環構造類似体)を含んで製造し、ふた付きホウケイ酸チューブ(11.5ml)中、−20℃で貯蔵した。同様の化合物1を含む希釈溶液を、アセトニトリル100mL中、300ng/mLの化合物を含んで製造し、ふた付きホウケイ酸ボトル(100ml)中、−20℃で貯蔵した。
【0191】
サンプル調整:血漿100μlおよび内部標準希釈溶液100μl(または、ブランク試料用のアセトニトリル)を、抽出チューブに添加した。30秒間ボルテックス混合後、500μlのトルエンを添加し、抽出を30秒間のボルテックス混合により行った。4℃で5分間、3000rpmでの遠心後、水層をアセトン混合物およびドライアイス中で凍結させ、有機層を別の抽出チューブに移した。50μlの2,2−ジメトキシプロパンを添加し、サンプルを、窒素下、約30℃で、乾燥するまで蒸発させた。残渣を、300μlのヘプタン:アセトン(90:10、v/v)[または、ヘプタン:THF(80:20、v/v)]中に、60秒間のボルテックス混合により再溶解した。サンプルを注入バイアルに移し、サンプルの60μLのアリコートを以下のクロマトグラフ条件の分析のためにクロマトグラフ系に注入した。
移動相:(定組成溶出)ヘプタン/アセトン/メタノール(80:19:1、v/v/v)
作製(Make−up)溶媒:アセトニトリル/アセトン/メタノール/ギ酸(40:60:1:1、v/v/v/v)
カラム温度:−1℃
流速:1.00ml/分(その内:0.750mL/分が移動相および0.250mL/分が、作製溶媒、検出器に完全に移す)
注入量:60μl
オートサンプラー温度:3℃。
【0192】
実施例8:VX−950を用いる併用療法
VX−950併用療法を、VX−950の安全性およびその抗ウイルス応答を決定するために行った。具体的には、この実験は、遺伝子型1型HCVに感染した未処置患者12名を含んだ。全ての患者は、VX−950(750mg、8時間毎)、Peg−IFNα−2a(“PEG−IFN”、180μg/週)、およびRBV(1000または1200mg/日)を28日間受容した。28日間の完了後、患者は、担当医の臨床ケア下で、試験外の、Peg−IFNα−2aおよびRBVでのフォローアップ処置を開始した。さらなるHCV RNA評価を、Peg−IFN−2a/RBV治療期間中、処置医の判断で行った。これらには、実験後の処置およびその後の時点の4、8、14週での評価が含まれた。
【0193】
結果は、VX−950/Peg−IFN/RBV併用が、28日間の実験中、重大な有害事象なしに、良好な耐容性であったことを示す。観察した有害事象プロフィールは、Peg−IFN/RBV併用療法で通常見られるプロフィールと一致した。全ての患者は、レジメン,VX−950の迅速かつ実質的な抗ウイルス効果を示す、薬剤レジメンの実験に対する応答性を証明された。具体的には、2名の患者は、投与開始から8日間以内に血漿HCV RNAの検出不可能(<10IU/mL、Roche Taqman(登録商標)アッセイ)レベルに達し、全ての患者は、28日間の実験投与期間の終了時に検出不可能なHCV RNAを有した。28日間の実験投与の完了後、12週間の(Peg−IFN/RBVでの)後続治療で、HCV RNAレベルは、11名の患者で検出不可能なままであった。全ての患者は、Peg−IFN/RBV治療を継続し、標準的方法に従い応答を調査した。7名の患者は、全48週間の処置を受け、持続的ウイルス応答(SVR)を達成した。1名の患者は、中断前に18週間のみ(全22週間の処置)Peg−IFN/RBVを受容し、SVRを達成した。2名の患者は、処置の12週および24週でウイルス突破現象(viral breakthrough)を有し、2名の患者は、フォローアップを行わなかった。合計で、10名の患者のうち8名の患者の結果が利用可能であり、SVRを達成した。実験後投与期間中に観察された副作用プロフィールは、Peg−IFN/RBV処置の予期プロフィールと一致した。
【0194】
SVRが、22週間の処置のみで完了した1名を含む8名の患者で達成されたという観察は、VX−950に基づくレジメンが、現在の治療法と比較してSVR率を増大し得ることを示す。
【0195】
現在の治療法との比較
遺伝子型1型の慢性HCVを有する患者の現在の治療は、通常、48週間の、ペグ化インターフェロン−α−2a/2b(Peg−IFN−2a)およびRBVのみの治療から構成され、遺伝子型1型HCVを有する患者の約50%のみがSVRを達成し、患者は一般的に、乏しい処置の耐容性を示す。
【0196】
実施例9:フェーズ1b試験
VX−950は、単剤またはPeg−IFN−2aとの併用で迅速かつ広範囲の抗ウイルス活性を有し、14日間の間良好な耐容性であった。この実験は、VX−950およびPeg−IFN−2aの14日間の投与処置後のHCVの動力学的情報を提供するように設計された。
【0197】
この実験は、慢性の遺伝子型1型C型肝炎感染を有する20名の未処置患者を3種の投与別に無作為化した(表1)。14日間の実験の完了時、20名の患者のうち19名は、14日間の投与期間の完了の5日以内からPeg−IFN−2a/RBVの投与開始を選択した;他のものは、Peg−IRN−2aおよびRBVの併用投与を拒否したため。診療所訪問が、1週間および12週間の実験によって義務づけられたフォローアップ訪問の完了後に、調査者の裁量で行われた。19名の患者が、実験投与の完了後の24週間を通して継続していた。処置医との検討後、10名(VX−950の4名およびVX−950/Peg−IFN−2aの6名)の患者は、24週でPeg−IFN−2a/RBV処置を中止した。現在の患者の病状を以下の表1に示す。
【0198】
【表6】
【0199】
実験外のフォローアップの最終日(実験中、フォローアップの最後の後、12週間)に、HCV RNAレベルは、初め、VX−950のみ、およびVX−950/Peg−IFN−2a群に無作為化された、Peg−IFN−2a/RBVを継続した患者全てで検出不可能であった。データを以下の表2に提供する。
【0200】
【表7】
a COBAS Taqman HCV RNA アッセイ。Roche Molecular Diagnostics。
b Taqman HCV RNA アッセイ (15IU/mL)および(5IU/mL):実験以外。
【0201】
以下の表3に示す通り、24週間の全処置後、実験後のPeg−IFN−2a/RBV処置を中止した10名の患者のうち、VX−950のみを元々受容した4名の患者のうちの2名が、検出不可能な血漿HCV RNAレベルを、Peg−IFN−2aを中止後12週間のフォローアップで実証され;VX−950/Peg−IFN−2aを元々受容した6名の患者のうち5名が、検出不可能な血漿HCV RNAレベルを、Peg−IFN−2aを中止後12週間のフォローアップで実証された。
【0202】
【表8】
* 1名の患者は、Peg−IFN−2a/RBVを拒否した。
【0203】
24週間の実験外のフォローアップにて、初め、VX−950のグループに無作為化され、Peg−IFN−2a/RBVを継続した患者の全てで、検出不可能なHCV RNAが維持された。初期(12週間)の処置後(Peg−IFN−2a/RBV)フォローアップのウイルス量データは、モデルと一致しており、SVRを達成するのに必要な期間が早期のウイルス排除の動力学に関連したことが示唆される。SVRは、VX−950の処置、要すればPeg−INFとの併用処置を14日間、その後のPeg−INF/RBVのさらに22または46週間の処置を受けた15名の患者のうち10名で達成された。
【0204】
12週において、初めにVX−950とPEG−IFNの併用処置を受けた8名の患者全て、ならびにVX−950のみを受容した7名の患者のうち5名が、検出不可能なHCV RNAを有した。24週において、VX−950を受容した15名の患者全てが、検出不可能なHCV RNAを有した。10名の患者(VX−950とPEG−IFNの8名のうち6名、およびVX−950のみの7名のうち4名)が、24週でPEG−IFN/RBVの停止を決定し、5名の患者が、全48週間のPEG−IFN/RBV処置を継続した。全てのグループは、さらに24週間実験した。PEG−IFNとRBVを開始する前に、少なくとも14日間の(単独で、またはPEG−IFNとの併用で)VX−950を受容した患者において、10名の患者のうち7名は、24週間処置し、5名の患者のうち3名は、48週間の処置でSVRを達成した。
【0205】
本明細書中に引用される全ての文献は、参照により本明細書中に包含される。
【0206】
本明細書中、本発明の多数の態様および実施例を記載しているが、これらの態様および実施例は、本発明の製剤および薬剤レジメンを利用するさらなる態様および実施例を提供するために改変されてもよいことは明白である。故に、本発明の範囲は、上記の実施例として示されている特定の態様というよりむしろ、添付の特許請求の範囲により定義されるべきであることは、理解され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約100mgないし約1500mgのVX−950を、1日当たり1回、2回または3回投与することを含む、治療レジメン。
【請求項2】
VX−950が、約300mgないし約1500mgである、請求項1記載の治療レジメン。
【請求項3】
VX−950が、約300mgないし約1250mgである、請求項1記載の治療レジメン。
【請求項4】
VX−950が約450mgである、請求項1記載の治療レジメン。
【請求項5】
VX−950が約750mgである、請求項1記載の治療レジメン。
【請求項6】
VX−950が約1250mgである、請求項1記載の治療レジメン。
【請求項7】
患者におけるC型肝炎ウイルス感染の処置または予防方法であって、約100mgないし約1500mgの量のVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項8】
VX−950が、約300mgないし約1500mgである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
VX−950が、約300mgないし約1250mgである、請求項7記載の方法。
【請求項10】
VX−950が約450mgである、請求項7記載の方法。
【請求項11】
VX−950が約750mgである、請求項7記載の方法。
【請求項12】
VX−950が約1250mgである、請求項7記載の方法。
【請求項13】
VX−950の該量を1日1回投与する、請求項7−12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
VX−950の該量を1日2回投与する、請求項7−12のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
VX−950の該量を1日3回投与する、請求項7−12のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
該患者に、免疫調節剤、抗ウイルス剤、HCV NS3/4Aプロテアーゼの別の阻害剤、HCV NS3/4Aプロテアーゼ以外のHCV生活環における標的の阻害剤、内部リボソーム侵入の阻害剤、広域ウイルス阻害剤、別のシトクロムP−450阻害剤、ウイルスの細胞侵入の阻害剤またはそれらの組み合わせを投与することをさらに含む、請求項7−12のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
該免疫調節剤が、α−、β−、もしくはγ−インターフェロンまたはチモシンであり;該抗ウイルス剤が、リバビリン、アマンタジンまたはテルビブジンであり;そして、該HCV生活環における別の標的の阻害剤が、HCVヘリカーゼ、ポリメラーゼまたはメタロプロテアーゼの阻害剤である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
C型肝炎ウイルスに感染した患者の処置方法であって、約750mgのVX−950を1日3回、8時間毎に、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項19】
C型肝炎ウイルスに感染した患者の処置方法であって、血漿中のC型肝炎ウイルスRNAの少なくとも約2log10の減少が達成されるのに有効量のVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項20】
VX−950の該量が、血漿中のC型肝炎ウイルスRNAの少なくとも約4log10の減少が達成されるのに有効である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
VX−950の該量が、血漿中のC型肝炎ウイルスRNAを検出不可能なレベルまで減少するのに有効である、請求項19記載の方法。
【請求項22】
C型肝炎ウイルスに感染した患者の処置方法であって、持続的ウイルス応答を達成するのに有効量のVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項23】
患者が、遺伝子型1型のC型肝炎ウイルスに感染している、請求項22記載の方法。
【請求項24】
患者における肝臓障害、肝炎、脂肪症、脂肪肝、NAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、またはライ症候群の処置方法であって、1日約1350mg、1日約2250mg、または1日約2500mgのVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項25】
VX−950を、1日当たり、約450mgを8時間毎、約750mgを8時間毎、または約1250mgを12時間毎に投与する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
患者における肝保護方法であって、1日約1350mg、1日約2250mg、または1日約2500mgのVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項27】
VX−950を、1日当たり、約450mgを8時間毎、約750mgを8時間毎、または約1250mgを12時間毎に投与する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
患者のALTレベルを減少させる方法であって、治療的有効量のVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項29】
1日約1350mg、1日約2250mg、または1日約2500mgのVX−950を患者に投与する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
VX−950を、1日当たり、約450mgを8時間毎、約750mgを8時間毎、または約1250mgを12時間毎に投与する、請求項29記載の方法。
【請求項31】
患者がHCVに感染している、請求項28−30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
患者がHCVに感染していない、請求項28−30のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
VX−950を、それを必要とする患者に提供する方法であって、VX−950を含む投与形態を該患者に投与することを含み、ここで該投与形態が、投与後、少なくとも約750ng/mLのVX−950の平均血漿濃度を該患者に提供する、方法。
【請求項34】
VX−950の平均血漿濃度が、投与後、約750ng/mLから約1250ng/mLである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
VX−950の平均血漿濃度が、投与後、約1000ng/mLである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
VX−950の平均血漿濃度が、投与後3時間以内に得られるか、または達成される、請求項33−35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
VX−950の平均血漿濃度が、投与後2時間以内に得られるか、または達成される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
VX−950の平均血漿濃度が、投与後1時間以内に得られるか、または達成される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
VX−950の血漿中トラフ濃度を、24時間の間、約750ng/mLないし約1500ng/mLに維持することをさらに含む、請求項33−38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
24時間の間に、VX−950を含む少なくとも1個の投与形態を、それを必要とする患者に投与することを含む、HCV感染を有する患者の処置方法であって、ここで、該投与形態を、VX−950の血漿中トラフ濃度を24時間の間、約750ng/mLないし約1500ng/mLに維持するために投与する、方法。
【請求項41】
投与形態を、VX−950の血漿中トラフ濃度を24時間の間、約1000ng/mLないし約1500ng/mLに維持するために投与する、請求項40記載の方法。
【請求項42】
投与形態が、約750mgのVX−950を含む、請求項40−41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
投与形態を1日3回投与する、請求項40記載の方法。
【請求項44】
VX−950の平均血漿濃度またはトラフ濃度を、約12週間維持する、請求項33−43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
インターフェロンまたはリバビリンを投与する工程をさらに含む、請求項7−44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
インターフェロンが、ペグ化インターフェロンである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
インターフェロンを、約180μg/mlの量で投与する、請求項45または46記載の方法。
【請求項48】
VX−950、ポリビニルピロリドン、およびラウリル硫酸ナトリウムを含む、製剤。
【請求項49】
ポリビニルピロリドンがポビドン K29/32である、請求項48記載の製剤。
【請求項50】
VX−950を約12週間未満の第一段階中に投与することを含む、治療レジメン。
【請求項51】
第二段階中にペグ化インターフェロンを投与することをさらに含み、ここで、該第二段階が、第一段階後、36週未満の期間である、請求項50記載の治療レジメン。
【請求項52】
第一段階でペグ化インターフェロンをVX−950と共に投与することをさらに含む、請求項50記載の治療レジメン。
【請求項53】
第一段階でリバビリンをVX−950およびペグ化インターフェロンと共に投与することをさらに含む、請求項50記載の治療レジメン。
【請求項54】
第二段階でリバビリンをペグ化インターフェロンと共に投与することをさらに含む、請求項50記載の治療レジメン。
【請求項1】
約100mgないし約1500mgのVX−950を、1日当たり1回、2回または3回投与することを含む、治療レジメン。
【請求項2】
VX−950が、約300mgないし約1500mgである、請求項1記載の治療レジメン。
【請求項3】
VX−950が、約300mgないし約1250mgである、請求項1記載の治療レジメン。
【請求項4】
VX−950が約450mgである、請求項1記載の治療レジメン。
【請求項5】
VX−950が約750mgである、請求項1記載の治療レジメン。
【請求項6】
VX−950が約1250mgである、請求項1記載の治療レジメン。
【請求項7】
患者におけるC型肝炎ウイルス感染の処置または予防方法であって、約100mgないし約1500mgの量のVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項8】
VX−950が、約300mgないし約1500mgである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
VX−950が、約300mgないし約1250mgである、請求項7記載の方法。
【請求項10】
VX−950が約450mgである、請求項7記載の方法。
【請求項11】
VX−950が約750mgである、請求項7記載の方法。
【請求項12】
VX−950が約1250mgである、請求項7記載の方法。
【請求項13】
VX−950の該量を1日1回投与する、請求項7−12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
VX−950の該量を1日2回投与する、請求項7−12のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
VX−950の該量を1日3回投与する、請求項7−12のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
該患者に、免疫調節剤、抗ウイルス剤、HCV NS3/4Aプロテアーゼの別の阻害剤、HCV NS3/4Aプロテアーゼ以外のHCV生活環における標的の阻害剤、内部リボソーム侵入の阻害剤、広域ウイルス阻害剤、別のシトクロムP−450阻害剤、ウイルスの細胞侵入の阻害剤またはそれらの組み合わせを投与することをさらに含む、請求項7−12のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
該免疫調節剤が、α−、β−、もしくはγ−インターフェロンまたはチモシンであり;該抗ウイルス剤が、リバビリン、アマンタジンまたはテルビブジンであり;そして、該HCV生活環における別の標的の阻害剤が、HCVヘリカーゼ、ポリメラーゼまたはメタロプロテアーゼの阻害剤である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
C型肝炎ウイルスに感染した患者の処置方法であって、約750mgのVX−950を1日3回、8時間毎に、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項19】
C型肝炎ウイルスに感染した患者の処置方法であって、血漿中のC型肝炎ウイルスRNAの少なくとも約2log10の減少が達成されるのに有効量のVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項20】
VX−950の該量が、血漿中のC型肝炎ウイルスRNAの少なくとも約4log10の減少が達成されるのに有効である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
VX−950の該量が、血漿中のC型肝炎ウイルスRNAを検出不可能なレベルまで減少するのに有効である、請求項19記載の方法。
【請求項22】
C型肝炎ウイルスに感染した患者の処置方法であって、持続的ウイルス応答を達成するのに有効量のVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項23】
患者が、遺伝子型1型のC型肝炎ウイルスに感染している、請求項22記載の方法。
【請求項24】
患者における肝臓障害、肝炎、脂肪症、脂肪肝、NAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、またはライ症候群の処置方法であって、1日約1350mg、1日約2250mg、または1日約2500mgのVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項25】
VX−950を、1日当たり、約450mgを8時間毎、約750mgを8時間毎、または約1250mgを12時間毎に投与する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
患者における肝保護方法であって、1日約1350mg、1日約2250mg、または1日約2500mgのVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項27】
VX−950を、1日当たり、約450mgを8時間毎、約750mgを8時間毎、または約1250mgを12時間毎に投与する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
患者のALTレベルを減少させる方法であって、治療的有効量のVX−950を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項29】
1日約1350mg、1日約2250mg、または1日約2500mgのVX−950を患者に投与する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
VX−950を、1日当たり、約450mgを8時間毎、約750mgを8時間毎、または約1250mgを12時間毎に投与する、請求項29記載の方法。
【請求項31】
患者がHCVに感染している、請求項28−30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
患者がHCVに感染していない、請求項28−30のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
VX−950を、それを必要とする患者に提供する方法であって、VX−950を含む投与形態を該患者に投与することを含み、ここで該投与形態が、投与後、少なくとも約750ng/mLのVX−950の平均血漿濃度を該患者に提供する、方法。
【請求項34】
VX−950の平均血漿濃度が、投与後、約750ng/mLから約1250ng/mLである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
VX−950の平均血漿濃度が、投与後、約1000ng/mLである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
VX−950の平均血漿濃度が、投与後3時間以内に得られるか、または達成される、請求項33−35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
VX−950の平均血漿濃度が、投与後2時間以内に得られるか、または達成される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
VX−950の平均血漿濃度が、投与後1時間以内に得られるか、または達成される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
VX−950の血漿中トラフ濃度を、24時間の間、約750ng/mLないし約1500ng/mLに維持することをさらに含む、請求項33−38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
24時間の間に、VX−950を含む少なくとも1個の投与形態を、それを必要とする患者に投与することを含む、HCV感染を有する患者の処置方法であって、ここで、該投与形態を、VX−950の血漿中トラフ濃度を24時間の間、約750ng/mLないし約1500ng/mLに維持するために投与する、方法。
【請求項41】
投与形態を、VX−950の血漿中トラフ濃度を24時間の間、約1000ng/mLないし約1500ng/mLに維持するために投与する、請求項40記載の方法。
【請求項42】
投与形態が、約750mgのVX−950を含む、請求項40−41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
投与形態を1日3回投与する、請求項40記載の方法。
【請求項44】
VX−950の平均血漿濃度またはトラフ濃度を、約12週間維持する、請求項33−43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
インターフェロンまたはリバビリンを投与する工程をさらに含む、請求項7−44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
インターフェロンが、ペグ化インターフェロンである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
インターフェロンを、約180μg/mlの量で投与する、請求項45または46記載の方法。
【請求項48】
VX−950、ポリビニルピロリドン、およびラウリル硫酸ナトリウムを含む、製剤。
【請求項49】
ポリビニルピロリドンがポビドン K29/32である、請求項48記載の製剤。
【請求項50】
VX−950を約12週間未満の第一段階中に投与することを含む、治療レジメン。
【請求項51】
第二段階中にペグ化インターフェロンを投与することをさらに含み、ここで、該第二段階が、第一段階後、36週未満の期間である、請求項50記載の治療レジメン。
【請求項52】
第一段階でペグ化インターフェロンをVX−950と共に投与することをさらに含む、請求項50記載の治療レジメン。
【請求項53】
第一段階でリバビリンをVX−950およびペグ化インターフェロンと共に投与することをさらに含む、請求項50記載の治療レジメン。
【請求項54】
第二段階でリバビリンをペグ化インターフェロンと共に投与することをさらに含む、請求項50記載の治療レジメン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2010−528013(P2010−528013A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509385(P2010−509385)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/006572
【国際公開番号】WO2008/144072
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/006572
【国際公開番号】WO2008/144072
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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