説明

VoIPプローブ、ネットワーク監視プログラムおよびネットワーク監視方法

【課題】 VoIP音声品質監視システムの利用者やシステム管理者による維持運用が容易となるVoIPプローブ、ネットワーク監視プログラム、ネットワーク監視方法を提供する。
【解決手段】 IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データに関する所定の閾値を設定し、IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを取得し、前記所定の閾値と照合することにより品質を監視し、品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合にマネージャへ品質劣化情報を通知すると共に、IP電話端末機へ前記所定の閾値と共に品質劣化情報を通知し、さらにIP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VoIPにおけるRTPパケットのような音声データの品質をVoIPプローブでパッシブまたはアクティブに計測し、IP電話端末機の利用者の聴感によりVoIPプローブの劣化検出閾値の変更を容易に可能とすることによって、VoIP音声通話品質監視を行うシステムに関するものである
【背景技術】
【0002】
従来のVoIPシステムにおける品質監視技術としては、VoIPプローブから対向のVoIPプローブへ能動的に試験用RTPパケットを送信し、これを対向のVoIPプローブで受信し、受信したRTPパケットのロスやジッタあるいはこれらの数値データの演算によって求められるR値といった数値データとこれらに対応する予め管理者が設計した品質劣化検出閾値とを比較することによって音声通話の品質劣化を検出し、この情報をマネージャで収集することによりVoIPの品質を監視する方式が用いられている。
【0003】
また、音声データの着信側(端末利用者)の聴感によって品質劣化検出閾値を変更可能とすることによって品質劣化検出閾値を最適化する方式が知られている(例えば下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3172774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の従来の技術においては、予めシステム管理者が設計した品質劣化検出閾値の超過の有無によって通話品質の劣化を検出する。そのため、システム管理者の閾値設定が悪く、閾値が高すぎるとVoIPの利用者が聴感によって品質劣化を感じたとしても閾値を超過しないため品質劣化を検出できない。
【0005】
逆に閾値が低すぎると、VoIPの利用者が聴感によって品質劣化を感じなくても閾値を超過してしまうため品質劣化を誤検出してしまう。また、IP電話端末の更新等でIP電話端末のジッタ(ゆらぎ)吸収バッファによってジッタ要因による品質劣化の救済レベルが変化する可能性もあり、IPネットワークを構成する機器の変更などIP電話端末レベルの細部まで考慮して適切な閾値を設定する必要がある。
【0006】
また、上述の特許文献1では、音声データの着信側(利用者)の聴感によって品質劣化検出閾値を変更可能とすることにより品質劣化検出閾値を最適化する方式が考案されているが、利用者が品質劣化検出閾値の設定と聴感とのずれを感じたとしても、品質劣化検出閾値の見直しに必要な情報(閾値や計測値など)が利用者には開示されない為、結果的に利用者は品質劣化検出閾値の見直しを行うことが出来ない。
【0007】
仮に出来たとしても品質劣化検出閾値見直しのために利用者はシステム管理者レベルの知識が必要となるなど負担が生じることになる。更に、この場合は、品質劣化検出閾値設定を利用者に委ねることにより、現在の品質劣化検出閾値設定状況などシステム管理者によるシステム全体の把握が困難になるといった問題が生じる。
【0008】
このように従来の技術においては、VoIP音声品質監視システムの利用者やシステム管理者に維持運用面で多大な困難性が伴うという問題点がある。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、VoIP音声品質監視システムの利用者やシステム管理者による維持運用が容易となるVoIPプローブ、ネットワーク監視方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、マネージャとIP電話端末機に接続されることができ、IPネットワークに流れる音声パケットを監視し、前記マネージャに品質劣化情報を通知するVoIPプローブであって、IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データに関する所定の閾値を設定する閾値設定手段と、IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを取得し、前記所定の閾値と照合することにより品質を監視する品質監視手段と、前記品質監視手段により監視されている品質が前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を超過した場合に前記マネージャへ品質劣化情報を通知する対マネージャ品質劣化情報通知手段と、前記品質監視手段により監視されている品質が前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を超過した場合に前記IP電話端末機へ前記所定の閾値と共に品質劣化情報を通知する対端末品質劣化情報通知手段と、前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を変更する閾値変更手段とを備えてなる。
なお、品質が所定の閾値を超過した場合とは、実施の形態における表現で、品質の指標を表す数値データが閾値を上回る場合を意味している。
【0011】
また、本発明は、更に、前記閾値変更手段による閾値変更があった場合には、該閾値変更を前記マネージャへ通知する閾値変更通知手段を備えることを特徴とする。
【0012】
更に、本発明は、品質劣化検出時の音声パケットを記録するデータ記録手段を有し、該記録手段で記録した音声データを前記IP電話端末機からの指示に基づいて前記IP電話端末機に送信する記録音声送信手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、マネージャとIP電話端末機に接続されることができ、IPネットワークに流れる音声パケット(RTPパケット)を監視し、前記マネージャに品質劣化情報を通知するネットワーク監視方法であって、IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データに関する所定の閾値を設定する閾値設定ステップと、IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを取得し、前記所定の閾値と照合することにより品質を監視する品質監視ステップと、前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記マネージャへ品質劣化情報を通知する対マネージャ品質劣化情報通知ステップと、前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記IP電話端末機へ前記所定の閾値と共に品質劣化情報を通知する対端末品質劣化情報通知ステップと、前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を変更する閾値変更ステップとを備えてなる。
【0014】
また、本発明は、マネージャとIP電話端末機に接続されることができ、IPネットワークに流れる音声パケット(RTPパケット)を監視し、前記マネージャに品質劣化情報を通知するネットワーク監視方法をコンピュータに実行させるネットワーク監視プログラムであって、IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データに関する所定の閾値を設定する閾値設定ステップと、IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを取得し、前記所定の閾値と照合することにより品質を監視する品質監視ステップと、前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記マネージャへ品質劣化情報を通知する対マネージャ品質劣化情報通知ステップと、前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記IP電話端末機へ前記所定の閾値と共に品質劣化情報を通知する対端末品質劣化情報通知ステップと、前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を変更する閾値変更ステップと
をコンピュータに実行させる。
【0015】
また、本発明は、VoIPプローブとIP電話端末機とマネージャとを含むネットワークの統合監視を行うネットワーク監視方法であって、VoIPプローブにより、IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを予め設定された所定の閾値と照合することにより品質を監視し、品質劣化時には前記マネージャへ品質劣化情報を通知すると共に前記IP電話端末機へ前記品質劣化情報と前記所定の閾値を通知する品質劣化情報通知ステップと、IP電話端末機においてVoIPプローブから通知された品質劣化情報および閾値を表示するステップと、前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記所定の閾値を変更する閾値変更ステップとを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、VoIPの利用者へ品質劣化情報を通知することにより、利用者へ聴感と閾値設定の不一致を認識させることにより閾値設定の最適化を促すとともに、その閾値設定の変更値選定の為の情報提供が可能となり利用者の閾値設定の最適化操作を容易とし、もって、VoIP音声品質監視システムの利用者やシステム管理者による維持運用が容易となるVoIPプローブ、ネットワーク監視方法を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず、本発明の実施の形態にかかるネットワーク監視システムの概念を図1〜図4を用いて説明する。
【0018】
図1に示されるネットワーク監視システムは、IPネットワーク1に接続されたマネージャ2、VoIPプローブ3及びIP電話端末機4を備えて構成される。マネージャ2はスイッチ5を介してIPネットワーク1に接続され、VoIPプローブ3とIP電話端末機4はスイッチ6を介してIPネットワーク1に接続されている。
【0019】
VoIPプローブ3は、IPネットワーク1に流れる音声パケット(RTPパケット)のロスやジッタといった品質の指標を表す数値データを予め設定された閾値と照合することにより品質を監視し、品質劣化時にはマネージャ2及びIP電話端末機4へ品質劣化情報(時刻,閾値,計測値等)を通知する。マネージャ2は、VoIPプローブ3やIP電話端末機4を含むIPネットワーク1全般の統合監視を行う。
【0020】
VoIPプローブ3は、RTPパケットを受動的に品質監視するパッシブ計測機能および能動的に品質監視するアクティブ計測機能を有し、IP電話端末機4間の音声通話品質をIP電話端末機4の利用者の聴感によって前述の閾値が変更可能とされている。
【0021】
このため、VoIPプローブ3には、図中(3a)で示されるように、品質監視項目(例:ロス(監視項目1)とジッタ(監視項目2))毎に複数の閾値(例:警告と異常閾値)と、閾値超過時にIP電話端末機4へ品質劣化情報を通知する手段と、IP電話端末機4にVoIPプローブから通知された品質劣化情報および閾値を表示する手段を備えている。この構成によって、IP電話端末機4の利用者へ閾値設定の見直しを促すことが容易となる。
【0022】
また、図2は、図1に示されたシステムにおいて、IP電話端末機4にVoIPプローブ3から通知された品質劣化情報の最悪値(例:ロスの最大計測値)を記録・表示する手段(4a)を有することによって、IP電話端末機4の利用者へ品質劣化情報の最悪値に基づく閾値設定見直し(例:ロス異常検出閾値にロス最大計測値に設定)を促すことを示している。すなわち、本実施の形態において、前記IP電話端末機は、前記品質劣化情報の最悪値を記録する記録手段を有し、該記録手段に記録された最悪値を閾値設定するよう促し、前記閾値変更手段は、前記IP電話端末機からの指示に基づいて前記記録手段に記録された最悪値を閾値として変更設定するようにしている。そして、かかる構成によれば、品質劣化している旨の通知を受けたものの聴感上で劣化を感じなかった場合は、少なくとも新たな閾値より低い場合は品質劣化は問題ないことになり、また聴感上では、品質劣化しているが、実際には品質劣化が検出できなかった場合でも、閾値を上記のとおり、変更することにより、少なくともその値で、品質劣化が検出できることになるので、より適切な閾値の設定ができるという効果を奏する。なお、この品質劣化情報の最悪値を記録手段をVoIPプローブ側に有し、IP電話端末機4では、VoIPプローブに対して閾値変更の指示を送信できるようにしておき、VoIPプローブでは、該指示を受けた場合に、新たな閾値として記録手段に記録された最悪値に対応する値を設定するようにしても良い。
【0023】
更に、図3は、図2に示されたシステムにおいて、VoIPプローブ3に閾値変更をマネージャ2へ通知する機能を有し、マネージャ2でデータベース2aに品質劣化情報と閾値を蓄積し、マネージャでこれらの数値データをグラフ等の可視化データ(2b)としてIP電話端末機4の利用者のPC7へ提供することを示している。
【0024】
そして、図4は、図3に示されたシステムにおいて、VoIPプローブ3に品質劣化検出時のRTPパケットを記録するデータ記録部3aを有し、マネージャ2に上述の可視化したデータ(2b)とVoIPプローブ3のデータ記録部3aで蓄積した音声データの紐付け(対応付け)を行う機能を有することによって、数値データと音声データにより品質劣化状況をIP電話端末機4の利用者PC7へ提供することを示している。
【0025】
以下、各部について詳述する。
【0026】
図5は本発明の実施の形態におけるVoIPプローブ3の機能ブロック図を示す図である。VoIPプローブ3は、IPネットワーク(音声通信ネットワーク/監視制御(データ)通信ネットワーク)1に接続された音声通信処理部31及び監視制御通信処理部(対マネージャ品質劣化情報通知手段及び対端末品質劣化情報通知手段)32と、データ監視制御処理部(品質監視手段)33と、データ記憶部34と、閾値記憶部(閾値設定手段)35とを備える。
【0027】
音声通信処理部31は、IPネットワーク1上の音声データ(RTPパケット)の受信(キャプチャ)や記憶された音声データをIP電話端末機4に送信する処理を行う。
【0028】
監視制御通信処理部32は、IP電話端末機4への品質劣化情報通知の送信を行う。また、この監視制御(データ)通信処理部32は、マネージャ2への品質劣化情報通知やIP電話端末機4からの閾値変更時の閾値変更通知の送信、或いはマネージャ2からの要求に基づいて音声データ検索・再生要求/応答の送受信や閾値変更要求/応答の送受信を行う。
【0029】
データ監視制御処理部33は、音声通信処理部31で受信した音声データの品質を監視/計測し、閾値記憶部35に記録されている各種閾値データと照合し、該当監視/計測データが閾値を超過している場合(品質劣化検出時)には監視制御通信処理部32へマネージャ2への品質劣化情報「検出時刻,監視項目,計測値,閾値など」の送信を指示する。
【0030】
データ記憶部34は、音声データを記録するデータ記憶部(データ記録手段)である。本実施の形態では、図6に示すようなテーブルを用いて、品質劣化検出時の音声データと品質劣化情報(検出時刻,監視項目,計測値、閾値など)を記録する。
【0031】
閾値記憶部35は、品質劣化閾値を記録する閾値記憶部である。本実施の形態では、図7に示すようなテーブルを用いて、各種の閾値を記録する。
【0032】
警告閾値:該当閾値の超過を警告として利用者へ通知する。
異常閾値:該当閾値の超過を異常として利用者へ通知する。
警告閾値≦異常閾値とし、警告閾値=0も設定可能とする。
(閾値=0は計測値を常に通知する。)
【0033】
以下、VoIPプローブ3において行われる音声品質監視処理の動作について、図8を用いて説明する。
【0034】
まず、音声通信処理部31で音声データを受信し(ステップS1)、受信した音声データの品質を評価(監視/計測)し(ステップS2:品質監視ステップ)、閾値記憶部35に記録されている各種閾値データと照合し、監視/計測データが閾値を超過している場合(品質劣化検出時)には(ステップS3,Yes)、監視制御通信処理部32がIP電話端末機4及びマネージャ2への品質劣化情報「検出時刻,監視項目,計測値,閾値など」の送信を行なう(対端末/対マネージャ品質劣化情報通知ステップ)と共に、その音声データをデータ記憶部34に記録する(ステップS5)。
【0035】
次に、VoIPプローブ3において行われる閾値管理処理の動作について、図9を用いて説明する。
【0036】
監視制御通信処理部32で閾値設定要求を受信すると(ステップS11)、その内容を解析し、閾値記憶部35に記録されている該当閾値データを更新し(ステップS12:閾値変更手段/閾値設定及び閾値変更ステップ)、監視制御通信処理部32へマネージャ2への閾値変更応答送信の指示を行い(ステップS13)、監視制御通信処理部32は、マネージャ2へ当該閾値変更通知の送信を行う(ステップS14:閾値変更通知ステップ及び手段)。
【0037】
次に、VoIPプローブ3において行われる閾値管理処理の動作について、図10を用いて説明する。
【0038】
データ監視制御処理部33は、マネージャ2より音声データ検索要求を受信すると(ステップS21)、監視制御通信処理部32で受信した音声データ検索要求の内容を解析し、マネージャ2に要求された条件に該当するデータをデータ記憶部34から検索する(ステップS22)。データ監視制御処理部33は、その結果の応答を監視制御通信処理部32へ指示する(ステップS23)。次に、監視制御通信処理部32がマネージャ2より音声データ再生要求を受信すると(ステップS24)、データ監視制御処理部33はその音声データを再生し(ステップS25)、その再生された音声再生結果応答を監視制御通信処理部32に送信させる(ステップS26:記録音声送信手段)。
【0039】
図11は、本実施の形態におけるIP電話端末機4のディスプレイの一例を示す図である。図11においては、監視項目として、計測値、警告閾値、異常閾値と共に計測値の最も悪い最悪計測値が表示されている。なお、通話中に生じた最悪値を保存する場合はオンフック時に0クリアする。
【0040】
なお、本実施の形態におけるIP電話端末機4におけるボタン機能割付の例を図12に示す。
【0041】
VoIPの利用者は、聴感と図12の表示を各種閾値の設定変更値の見直し基準として参照することができる。例えば、「品質劣化している旨が表示されているが聴感では品質劣化を感じない場合、或いは、品質劣化している旨は表示されていないが聴感で品質劣化を感じる場合に、最悪計測値を異常検出閾値に設定する」など、閾値変更の基準を容易に得ることができる。
【0042】
図13は、本実施の形態においてマネージャ2がIP電話端末機4の利用者PCへ提供する画面の例を示す。
【0043】
図13においては、表示実行ボタン51を押下することにより、グラフ表示条件入力部52で指定された条件に一致するデータをマネージャ2自身が保持する品質劣化情報等から検索し、検索結果をグラフ表示部53へグラフ化して表示する。
【0044】
検索実行ボタン54を押下すると、VoIPプローブ3へ音声データ検索要求を送信し、VoIPプローブ3から音声データ検索結果応答により品質劣化情報等のデータを得る。これらのデータを音声データ表示部55へ表示する。再生実行ボタン56を押下すると、VoIPプローブ3へ該当音声データの音声データ再生要求を送信する。これらによって、システム管理者およびVoIP利用者等がシステム全体のVoIP品質状況を共有することができる。
【0045】
なお、以上の説明において、IP電話端末機4ではディスプレイ部を持つ場合におけるデータ表示について説明しているが、例えばディスプレイ部を持たない電話端末については、VoIPプローブ3で品質劣化時に音声データ(例:アラーム音など)を電話端末へ送信することによりVoIPの利用者へ品質劣化を通知するようにすることができる。
【0046】
本実施の形態によれば、VoIPの利用者へ品質劣化情報を通知することにより、利用者へ聴感と閾値設定の不一致を認識させることにより閾値設定の最適化を促すとともに、その閾値設定の変更値選定の為の情報提供が可能となり利用者の閾値設定の最適化操作を容易な物とすることができる。更に、マネージャが提供する可視化データ(グラフ等)によって、システム管理者およびVoIP利用者等がシステム全体のVoIP品質状況を共有することができる。これらによって、VoIP音声品質監視システムの維持運用コストの削減が可能となる。
【0047】
また、上述した本発明の実施の形態において、各フローチャートに示したステップを構造解析プログラムとして、コンピュータにより読取り可能な記録媒体に記憶させることによって、構造解析方法をコンピュータに実行させることが可能となる。なお、本発明において、上記コンピュータにより読取り可能な記録媒体は、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体や、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータ並びにそのデータベースや、更に回線上の伝送媒体をも含むものである。
【0048】
(付記1) マネージャとIP電話端末機に接続されることができ、IPネットワークに流れる音声パケットを監視し、前記マネージャに品質劣化情報を通知するVoIPプローブであって、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データに関する所定の閾値を設定する閾値設定手段と、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを取得し、前記所定の閾値と照合することにより品質を監視する品質監視手段と、
前記品質監視手段により監視されている品質が前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を超過した場合に前記マネージャへ品質劣化情報を通知する対マネージャ品質劣化情報通知手段と、
前記品質監視手段により監視されている品質が前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を超過した場合に前記IP電話端末機へ前記所定の閾値と共に品質劣化情報を通知する対端末品質劣化情報通知手段と、
前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を変更する閾値変更手段と
を備えてなるVoIPプローブ。
(付記2) 更に、前記閾値変更手段による閾値変更があった場合には、該閾値変更を前記マネージャへ通知する閾値変更通知手段を備えることを特徴とする付記1に記載のVoIPプローブ。
(付記3) 更に、品質劣化検出時の音声パケットを記録するデータ記録手段を有し、該記録手段で記録した音声データを前記IP電話端末機からの指示に基づいて前記IP電話端末機に送信する記録音声送信手段を備えることを特徴とする付記1又は付記2に記載のVoIPプローブ。
(付記4) 前記閾値設定手段は、品質監視項目毎に複数の閾値を設定することを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載のVoIPプローブ。
(付記5) 前記品質劣化情報には、時刻,閾値,計測値が含まれることを特徴とする付記1乃至付記4のいずれかに記載のVoIPプローブ。
(付記6) マネージャとIP電話端末機に接続されることができ、IPネットワークに流れる音声パケット(RTPパケット)を監視し、前記マネージャに品質劣化情報を通知するネットワーク監視方法であって、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データに関する所定の閾値を設定する閾値設定ステップと、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを取得し、前記所定の閾値と照合することにより品質を監視する品質監視ステップと、
前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記マネージャへ品質劣化情報を通知する対マネージャ品質劣化情報通知ステップと、
前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記IP電話端末機へ前記所定の閾値と共に品質劣化情報を通知する対端末品質劣化情報通知ステップと、
前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を変更する閾値変更ステップと
を備えてなるネットワーク監視方法。
(付記7) 更に、前記閾値変更ステップによる閾値変更があった場合には、該閾値変更を前記マネージャへ通知する閾値変更通知ステップを備えることを特徴とする付記6に記載のネットワーク監視方法。
(付記8) 更に、品質劣化検出時の音声パケットを記録するデータ記録ステップを有し、該記録ステップで記録した音声データを前記IP電話端末機からの指示に基づいて前記IP電話端末機に送信する記録音声送信ステップを備えることを特徴とする付記6又は付記7に記載のネットワーク監視方法。
(付記9) 前記閾値設定ステップは、品質監視項目毎に複数の閾値を設定することを特徴とする付記6乃至付記8のいずれかに記載のネットワーク監視方法。
(付記10) 前記品質劣化情報には、時刻,閾値,計測値が含まれることを特徴とする付記6乃至付記9のいずれかに記載のネットワーク監視方法。
(付記11) マネージャとIP電話端末機に接続されることができ、IPネットワークに流れる音声パケット(RTPパケット)を監視し、前記マネージャに品質劣化情報を通知するネットワーク監視方法をコンピュータに実行させるネットワーク監視プログラムであって、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データに関する所定の閾値を設定する閾値設定ステップと、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを取得し、前記所定の閾値と照合することにより品質を監視する品質監視ステップと、
前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記マネージャへ品質劣化情報を通知する対マネージャ品質劣化情報通知ステップと、
前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記IP電話端末機へ前記所定の閾値と共に品質劣化情報を通知する対端末品質劣化情報通知ステップと、
前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を変更する閾値変更ステップと
をコンピュータに実行させるネットワーク監視プログラム。
(付記12) 更に、前記閾値変更ステップによる閾値変更があった場合には、該閾値変更を前記マネージャへ通知する閾値変更通知ステップを実行することを特徴とする付記11に記載のネットワーク監視プログラム。
(付記13) 更に、品質劣化検出時の音声パケットを記録するデータ記録ステップを有し、該記録ステップで記録した音声データを前記IP電話端末機からの指示に基づいて前記IP電話端末機に送信する記録音声送信ステップを実行することを特徴とする付記11又は付記12に記載のネットワーク監視プログラム。
(付記14) 前記閾値設定ステップは、品質監視項目毎に複数の閾値を設定することを特徴とする付記11乃至付記13のいずれかに記載のネットワーク監視プログラム。
(付記15) 前記品質劣化情報には、時刻,閾値,計測値が含まれることを特徴とする付記11乃至付記14のいずれかに記載のネットワーク監視プログラム。
(付記16) VoIPプローブとIP電話端末機とマネージャとを含むネットワークの統合監視を行うネットワーク監視方法であって、
VoIPプローブにより、IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを予め設定された所定の閾値と照合することにより品質を監視し、品質劣化時には前記マネージャへ品質劣化情報を通知すると共に前記IP電話端末機へ前記品質劣化情報と前記所定の閾値を通知する品質劣化情報通知ステップと、
IP電話端末機においてVoIPプローブから通知された品質劣化情報および閾値を表示するステップと、
前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記所定の閾値を変更する閾値変更ステップと
を備えるネットワーク監視方法。
(付記17) 前記IP電話端末機に前記VoIPプローブから通知された品質劣化情報の最悪値を記録するステップを備えることを特徴とする付記16に記載のネットワーク監視方法。
(付記18) 前記マネージャにおいて、前記VoIPプローブから通知された閾値を品質劣化情報とともに蓄積し、マネージャでこれらの数値データをグラフ等の可視化データとしてIP電話端末機の利用者へ提供するステップを備えることを特徴とする付記16又は付記17に記載のネットワーク監視方法。
(付記19) VoIPプローブに品質劣化検出時の音声データを記録するデータ記録ステップと、
前記マネージャにおける可視化データと前記VoIPプローブで蓄積した音声データの対応付けを行う対応付けステップと、
前記対応付けステップにより対応付けられた可視化データと音声データを前記IP電話端末機に送信するステップと
を備える付記18に記載のネットワーク監視方法。
(付記20) 前記品質劣化情報の最悪値を記録する記録手段を有し、前記閾値変更手段は、前記IP電話端末機からの指示に基づいて前記記録手段に記録された最悪値を閾値として変更設定することを特徴とする付記1に記載のVoIPプローブ。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態にかかるネットワーク監視システムの概念を示す図(その1)である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるネットワーク監視システムの概念を示す図(その2)である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるネットワーク監視システムの概念を示す図(その3)である。
【図4】本発明の実施の形態にかかるネットワーク監視システムの概念を示す図(その4)である。
【図5】図5は本発明の実施の形態におけるVoIPプローブの機能ブロック図を示す図である。
【図6】データ記憶部のデータを示す図である。
【図7】閾値記憶部のデータを示す図である。
【図8】VoIPプローブの動作として音声品質監視処理の動作を示す図である。
【図9】VoIPプローブの動作として閾値管理処理の動作を示す図である。
【図10】VoIPプローブの動作として音声データ検索、再生処理の動作を示す図である。
【図11】IP電話端末機のディスプレイの一例を示す図である。
【図12】IP電話端末機のボタン機能割付の一例を示す図である。
【図13】マネージャがIP電話端末機へ提供する画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 IPネットワーク、2 マネージャ、3 VoIPプローブ、4 IP電話端末機、31 音声通信処理部、32 監視制御通信処理部、33 データ監視制御処理部、34 データ記憶部、35 閾値記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マネージャとIP電話端末機に接続されることができ、IPネットワークに流れる音声パケットを監視し、前記マネージャに品質劣化情報を通知するVoIPプローブであって、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データに関する所定の閾値を設定する閾値設定手段と、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを取得し、前記所定の閾値と照合することにより品質を監視する品質監視手段と、
前記品質監視手段により監視されている品質が前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を超過した場合に前記マネージャへ品質劣化情報を通知する対マネージャ品質劣化情報通知手段と、
前記品質監視手段により監視されている品質が前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を超過した場合に前記IP電話端末機へ前記所定の閾値と共に品質劣化情報を通知する対端末品質劣化情報通知手段と、
前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を変更する閾値変更手段と
を備えてなるVoIPプローブ。
【請求項2】
更に、前記閾値変更手段による閾値変更があった場合には、該閾値変更を前記マネージャへ通知する閾値変更通知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のVoIPプローブ。
【請求項3】
更に、品質劣化検出時の音声パケットを記録するデータ記録手段を有し、該記録手段で記録した音声データを前記IP電話端末機からの指示に基づいて前記IP電話端末機に送信する記録音声送信手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のVoIPプローブ。
【請求項4】
マネージャとIP電話端末機に接続されることができ、IPネットワークに流れる音声パケット(RTPパケット)を監視し、前記マネージャに品質劣化情報を通知するネットワーク監視方法であって、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データに関する所定の閾値を設定する閾値設定ステップと、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを取得し、前記所定の閾値と照合することにより品質を監視する品質監視ステップと、
前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記マネージャへ品質劣化情報を通知する対マネージャ品質劣化情報通知ステップと、
前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記IP電話端末機へ前記所定の閾値と共に品質劣化情報を通知する対端末品質劣化情報通知ステップと、
前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を変更する閾値変更ステップと
を備えてなるネットワーク監視方法。
【請求項5】
マネージャとIP電話端末機に接続されることができ、IPネットワークに流れる音声パケット(RTPパケット)を監視し、前記マネージャに品質劣化情報を通知するネットワーク監視方法をコンピュータに実行させるネットワーク監視プログラムであって、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データに関する所定の閾値を設定する閾値設定ステップと、
IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを取得し、前記所定の閾値と照合することにより品質を監視する品質監視ステップと、
前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記マネージャへ品質劣化情報を通知する対マネージャ品質劣化情報通知ステップと、
前記品質監視ステップにより監視されている品質が前記閾値設定ステップに設定されている所定の閾値を超過した場合に前記IP電話端末機へ前記所定の閾値と共に品質劣化情報を通知する対端末品質劣化情報通知ステップと、
前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記閾値設定手段に設定されている所定の閾値を変更する閾値変更ステップと
をコンピュータに実行させるネットワーク監視プログラム。
【請求項6】
VoIPプローブとIP電話端末機とマネージャとを含むネットワークの統合監視を行うネットワーク監視方法であって、
VoIPプローブにより、IPネットワークに流れる音声パケットの品質の指標を表す数値データを予め設定された所定の閾値と照合することにより品質を監視し、品質劣化時には前記マネージャへ品質劣化情報を通知すると共に前記IP電話端末機へ前記品質劣化情報と前記所定の閾値を通知する品質劣化情報通知ステップと、
IP電話端末機においてVoIPプローブから通知された品質劣化情報および閾値を表示するステップと、
前記IP電話端末機から閾値変更指示を受信し、前記所定の閾値を変更する閾値変更ステップと
を備えるネットワーク監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−252681(P2008−252681A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93388(P2007−93388)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(598057291)株式会社富士通エフサス (147)
【Fターム(参考)】