X線画像診断装置及びX線画像処理方法
【課題】造影剤の流れに合わせて天板又は撮影部を次のステージにスライドさせてステッピングDSA撮影を行うことができるX線画像診断装置を提供する。
【解決手段】X線発生部とX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された被検体を撮影可能な撮影部と、被検体の体軸方向に撮影部又は天板の少なくとも一方をステップ移動させて、被検体を複数のステージで撮影するように制御する制御部と、複数のステージで撮影して得た画像データを処理する画像処理部とを具備し、制御部は、被検体に造影剤を注入して撮影を行う際に、被検体の体軸方向に複数の関心領域を設定し、関心領域内の画像レベルの変化を計測して造影剤の流れを検知し、検知結果をもとに撮影部又は天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させる。
【解決手段】X線発生部とX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された被検体を撮影可能な撮影部と、被検体の体軸方向に撮影部又は天板の少なくとも一方をステップ移動させて、被検体を複数のステージで撮影するように制御する制御部と、複数のステージで撮影して得た画像データを処理する画像処理部とを具備し、制御部は、被検体に造影剤を注入して撮影を行う際に、被検体の体軸方向に複数の関心領域を設定し、関心領域内の画像レベルの変化を計測して造影剤の流れを検知し、検知結果をもとに撮影部又は天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺画像データの生成に適したX線画像診断装置及びX線画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、循環器検査では、血管の微細な状態を観察するため、血管内に造影剤を注入して撮影する場合があり、例えば、血管内に造影剤を注入する前に撮影したマスク画像と、造影剤を注入した状態で撮影したコントラスト画像とを減算処理することで、造影部分を強調したサブトラクション画像を得て、このサブトラクション画像を診断画像として用いる方法が知られている。
【0003】
また下肢等を造影撮影する場合、寝台の天板を段階的にスライドさせて、ステッピングDSA(Digital Subtraction Angiography)撮影を行うことがある。しかしながら造影剤の流れに合わせて天板をスライドさせる場合、操作者の熟練度等により、スライドのタイミングにズレを生じることがある。特に血管の狭窄状態により、両足の造影剤の流れが異なる場合は、天板のスライドタイミングが難しく、適切なステッピングDSA撮影像が得られないことがある。
特許文献1には、造影剤の移動に従って寝台を移動させるようにしたX線診断装置が開示されている。この特許文献1の例では、画像上に多数のROIを設定し、ROIの平均濃度の変化から造影剤の流入を判断し、N個の領域を通過する造影剤の平均速度を算出し、この算出結果をもとに寝台を移動制御するようにしている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の例では、血管の狭窄状態により両足の血流速度に差がある場合などに、寝台の造影剤の流れと寝台のスライドタイミングが合わず、適切な画像を得るのに時間がかかることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−237924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、例えば下肢を造影撮影する場合、寝台の天板を段階的にスライドさせて撮影を行っているが、血管の狭窄状態により両足の造影剤の流れが異なる場合などは、天板のスライドタイミングが難しく、適切なステッピングDSA撮影像が得られないことがあった。また特許文献1のように造影剤の平均速度を算出して寝台を移動制御する例もあるが、両足の血流速度に差がある場合には、寝台のスライドタイミングが合わず、更なる改善が求められている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたもので、造影剤の流れに合わせて天板又は撮影部を次のステージにスライドさせ、操作者の熟練度等にかかわらずステッピングDSA撮影を行うことができるX線画像診断装置及びX線画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明のX線画像診断装置は、被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部と、前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御する制御部と、前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理する画像処理部と、を具備し、前記制御部は、前記被検体に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記被検体の体軸方向に複数の関心領域を設定し、前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項6記載の本発明のX線画像診断装置は、被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部と、前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御する制御部と、前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理する画像処理部と、を具備し、前記制御部は、前記被検体の下肢に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記下肢の体軸方向に両足撮影用又は片足撮影用の複数の関心領域を設定し、前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項記載の本発明のX線画像処理方法は、被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部を備え、前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御し、前記被検体に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記被検体の体軸方向に複数の関心領域を設定し、前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させ、前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、造影剤の流れに合わせて天板又は撮影部のスライドタイミングを決めて移動することにより、操作者の熟練度等に関わらず適切なステッピングDSA撮影を行うことができるX線画像診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るX線画像診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に係るX線画像診断装置の全体構造を示す斜視図。
【図3】マスク像及びコントラスト像の収集動作を示す説明図。
【図4】マスク像及びコントラスト像の収集動作を示すフローチャート。
【図5】第1ステージでの造影剤の流れを示す説明図。
【図6】第2ステージでの造影剤の流れを示す説明図。
【図7】ROIの画像レベルの変化と次ステージへの移行タイミングを示す説明図。
【図8】ROIの形状の変形例を示す説明図。
【図9】片足撮影時及び両足撮影時の画像とROIを示す説明図。
【図10】片足撮影時と両足撮影時のROI内のプロファイルを示す特性図。
【図11】片足撮影時のROIの形状の変形例を示す説明図。
【図12】片足撮影時のROIの画像レベルと次ステージへの移行タイミングを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係るX線画像診断装置(アンギオ装置)の構成を示すブロック図である。図1において、X線画像診断装置100は、被検体Pに対してX線を発生するX線発生部10と、被検体Pを透過したX線を2次元的に検出するとともに、検出結果に基づいてX線投影データを生成するX線検出部20を備えている。
【0015】
X線発生部10は、X線管11とX線絞り器12を有するX線照射部と、高電圧制御部13と高電圧発生器14を有する高電圧発生部を備えている。X線管11は、X線を発生する真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧により加速してタングステン陽極に衝突させX線を発生する。高電圧制御部13は、システム制御部33(後述)からの指示信号に従って高電圧発生器14を制御し、X線管11の管電流、管電圧、X線パルス幅、照射周期、撮影区間、照射時間等からなるX線照射条件の制御を行なう。
【0016】
X線検出部20は、平面検出器21と、平面検出器21から読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器22と、電荷・電圧変換器22の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器23を備え、A/D変換器23からX線投影データを出力する。電荷・電圧変換器22とA/D変換器23は投影データ生成部を構成する。
【0017】
X線発生部10と、X線検出部20はアーム(Cアーム)24に支持されている。Cアーム24は、寝台の天板25に載置した被検体Pの体軸方向に移動可能であり、また被検体Pの体軸周りに回転可能である。尚、X線発生部10とX線検出部20は撮影部26を構成し、Cアーム24を回転することで、撮影部26は被検体Pの周囲を回転し、異なる角度方向から被検体Pを撮影することができる。
【0018】
またX線画像診断装置100は、画像処理部30、システム制御部33、操作部34、及び表示部35を備えている。画像処理部30は、A/D変換器23からのX線投影データを処理して画像データの生成と保存を行なうもので、画像データ記憶部31と画像演算部32を有している。画像データ記憶部31には、X線投影データが順次保存されて画像データが生成される。また画像演算部32は、生成された画像データに対し、必要に応じて輪郭強調やS/N改善等を目的とした画像処理や演算を行なう。
【0019】
画像処理部30で生成された画像データは、表示部35に供給されて表示される。表示部35は、画像データ記憶部31からの画像データの表示を行うため、表示データ生成部36、変換部37、モニタ38を備えている。表示データ生成部36は、画像データに対して付帯情報を合成したり、所定の表示フォーマットへの変換を行って表示データを生成する。また変換部37は、表示データに対してD/A(デジタル/アナログ)変換とテレビフォーマット変換を行なって映像信号を生成し、この映像信号を液晶等のモニタ38に表示する。
【0020】
操作部34は医師等のユーザが各種コマンドの入力等を行なうもので、マウス、キーボード、トラックボール、ジョイスティック等の入力デバイスや、表示パネルあるいは各種スイッチ等を備えたインタラクティブなインターフェースを有する。また操作部34は、天板25の移動方向や移動速度の設定、撮像系の回動/移動方向及び回動/移動速度の設定、管電圧や管電流を含むX線照射条件の設定等を行なう。
【0021】
システム制御部33は、CPUと記憶回路(図示せず)を備え、操作部34から供給された入力情報、設定情報及び選択情報に基づいてバスライン39を介してX線画像診断装置100の各ユニットを統括的に制御する。
【0022】
またX線画像診断装置100は、移動機構部40を備えている。移動機構部40は、絞り移動制御部41と機構制御部42を有する。絞り移動制御部41は、X線絞り器12における絞り羽根等の移動制御を行ない、機構制御部42は、被検体Pを載置する天板25の移動機構43や、撮影系移動機構44の移動制御を行う。移動機構部40は、操作部34の操作に応答して動作し、システム制御部33の制御のもとに各部の移動制御を行う。
【0023】
図2は、X線画像診断装置100(アンギオ装置)の全体的な構成を示す斜視図である。図2において、X線発生部10とX線検出部20がCアーム24によって対向して支持されている。またCアーム24に対して寝台が配置されており、寝台の天板25には、被検体(図示せず)が載置され、天板25の位置及び高さは機構制御部42によって制御可能である。
【0024】
Cアーム42は、例えば天井部に設けられたレールに取り付けられ、被検体の頭部(Cranial)から脚部(Caudal)に向かう体軸方向に移動可能である。またCアーム42の回転により撮影部26(X線発生部10とX線検出部20)は、被検体の周囲を体軸回りに回転することができる。また撮影部26をCアーム24に沿ってスライド回転することができる。
【0025】
X線投影データは、画像処理部30によって処理され、画像データをモニタ38に表示する。モニタ38は、例えば天井部に取り付けられている。また、寝台には、操作部341を取り付けており、操作部341の操作に応答してシステム制御部33は、天板25の高さの制御、Cアーム24の移動/回転の制御、X線の照射範囲の調整、照射タイミングの制御等を行う。
【0026】
次に、本発明の画像処理部30による画像データの生成方法について説明する。 X線診断装置100を使った検査の一例として、下肢部の検査があり、腹部から足先までの広い範囲を撮影する場合がある。このような広範囲を一度に撮影できる視野のX線検出器は存在しないので、何度かに分けて全体を撮影することになる。
【0027】
下肢部の検査では、撮影部26(X線発生部10とX線検出部20)を最初の撮影位置から順次にステップ移動させ、複数のステージでそれぞれ撮影を行う。即ち、ステッピングDSA撮影では、天板25を被検体Pの体軸方向に移動させ、造影剤の到達より早く所定の撮影部位まで移動し、撮影位置に一旦静止させた状態で下肢血管内に注入された造影剤の到達を待ち、造影剤が到達した時点で撮影を行う。撮影した後は、天板25を次の撮影位置(ステージ)へ速やかに移動させる。このような方法を繰り返すことによって複数の撮影位置におけるDA画像データの収集を行なう。
【0028】
これにより、腹部から足先に至るまで複数枚の画像データを得ることができる。そして、生成された複数枚のDA画像データを体軸方向に貼り合わせて長尺画像データを生成することにより、広い下肢領域における血管を1枚のX線画像で観察することが可能となる。
【0029】
図3は、本実施形態のX線診断装置100を用いて被検体Pの下肢部を撮影する際の、撮影部26(X線発生部10とX線検出部20)と天板25の相対的な移動動作、及びその撮影画像の一例を概略的に示す説明図である。
【0030】
図3(a)に示すように、撮影部26のX線発生部10とX線検出部20は、Cアーム24で連結されており、X線検出部20がX線発生部10と向き合うように取り付けられ、それらの間に天板25に載置された被検体Pが配置される。天板25は、被検体Pを載せた状態で体軸方向に沿って移動できる。これにより天板25が撮影部26に対して相対的にステップ移動し、複数ステージでの画像データを取得することができる。
【0031】
なお、被検体PをX線で観察する場合、X線管11から線量の少ないX線を照射して画像データを取得する透視モードと、線量の多いX線を照射して画像データ(診断情報)を取得する撮影モードとがある。
【0032】
マスク像を収集する場合は、図3(a)の矢印X1で示す方向に天板25を段階的に移動させて撮影する。マスク像の収集は、造影剤を注入する前に行い、例えば、被検体Pの足先から腹部に向かって複数ステップで撮影を行う。
【0033】
図3(b)は、足先から腹部まで順次にステッピング撮影したときの複数枚のマスク像(A1,B1,C1,D1)を示している。複数のマスク像はそれぞれ移動方向の前後でオーバーラップするようにしておき、撮影の漏れ部分が無いようにする。尚、図3(b)では、各画像A1〜D1に対してROI(R1,R2)を設定している。ROI(R1,R2)は、例えば現ステップでの撮影エリアと次のステップでの撮影エリアがオーバーラップする位置、又はその近傍に設定するとよい。
【0034】
図3(c)は、造影剤を注入したあとのコントラスト像の収集動作を示している。コントラスト像を収集する場合は、例えば天板25を図3(a)の矢印X2方向に移動させ、被検体Pの腹部から足先に向かって複数ステップで撮影を行う。図3(c)は、腹部から足先まで順次にステッピング撮影した場合の複数枚のコントラスト像(A2,B2,C2,D2)を示している。図3(c)では造影剤画像(血管像)が太線で示されている。
【0035】
図3(d)は、サブトラクション像の一例を示している。サブトラクション像は、マスク像データとコントラスト像データを減算処理したものであり、造影部分を強調したサブトラクション像(A3,B3,C3,D3)を得ることができる。
【0036】
本発明の実施形態では、両足の各々について関心領域(ROI:region of interest)を設け、マスク像収集時にROIのピクセル値(画像レベル)を計測する。またコントラスト像の収集時にROIのピクセル値(画像レベル)を計測し、画像レベルの変化をもとに造影剤の流入を検知し、検知結果をもとに自動的に天板25を次のステージにスライドさせる。
【0037】
両足の各々についてROIを設定することにより、ピクセル値の変化が遅い方の足(造影剤の流れが遅い方の足)にタイミングに合わせて、自動的に天板25を次のステージにスライドさせることができる。また、ROIは画面下部に設定し、現ステップの撮影領域と次のステップの撮影領域がオーバーラップする部位に設定することで、より診断に適したステッピングDSA撮影像を得ることができる。
【0038】
図4は、本発明の実施形態におけるマスク像の収集とコントラスト像の収集動作を示すフローチャートであり、図5、図6は、第1,第2ステージでの造影剤の流れを説明する説明図である。
【0039】
図4においてステップS1はスタートステップである。次のステップS2では、ステッピングDASで撮影するポジションを決定し、下肢の撮影を複数のステージ(例えば4つのステージ)で行いマスク像を収集する。またマスク像の撮影時に各ステージで撮影した画像にROIを設定する。なおステッピンクDSA撮影におけるステップ数の決め方については特に問わない。
【0040】
マスク像の撮影後、ステップS3からステップS6を繰り返すことにより、自動的に各ステージ(第1ステージから第4ステージ)でのコントラスト像の収集が行われる。即ちステップS4では、コントラスト像の撮影をしながら、画面の下側(足先方向側)の2箇所に設定したROI(R1,R2)にて、画像の濃度(血流、造影剤の流れ)の変化を見る。
【0041】
図5(a)は第1ステージでのコントラスト像の撮影画像を示しており、画面の下側2箇所に(左右の脚にそれぞれ対応して)ROI(R1,R2)を設定した例を示している。図5(b)では、造影剤(太線で示す)が流れ始めた状態を示し、図5(c)では片方のROI(R1)に先に造影剤が到達し、図5(d)では両方のROI(R1,R2)に造影剤が到達した状態を示している。例えば左足の血管が詰まっている場合は、左足の造影剤の流れが遅くなり、ROI(R2)に造影剤が到達するのが遅れる。
【0042】
システム制御部33は、ROI(R1,R2)内の画像レベルを計測する。即ち、検査する足に対してそれぞれ片足ずつの画像レベル(ピクセル値)を観察する。ROI(R1,R2)に造影剤が流れ込むと画像の濃度が変わるため、画像レベルの変化をもとに造影剤が流れたことを検出できる。
【0043】
また2つあるROI(R1,R2)の内、画像の濃度が遅く変化したROI(R2)の変化タイミングをもとに、機構制御部42から天板移動機構43に対して、天板25のスライド指示を出し、次のステージに移動するように制御する。
【0044】
次のステージへの移動のタイミングは、例えば、ROI(R2)の画像レベルの平均値が変化してから、予め設定した時間後(Ts)にスライドさせる。時間Tsは、例えば画像濃度の変化があってからROI(R2)での変化具合が飽和するまでの時間などに設定する。或いは、画像濃度が変化し始めた直後から固定時間後に設定しても良い。
【0045】
図5(c),(d)に示すように、血管の狭窄状態により両足の血流速度に差がある場合は、血流速度の遅い方の血管の狭窄の程度を重篤と考えて、血流速度の遅い足の造影剤の流れに合わせて撮影を行い、自動的に次のステージに移行することでタイミングよくコントラスト像の撮影を行うことができる。
【0046】
以下、ステップS6からステップS3に戻って同様の処理を繰り返し、次のステージ(例えば第2ステージ)でのコントラスト像の収集が行われる。
【0047】
図6(a)は第2ステージでのコントラスト像の撮影画像を示しており、画面の下側2箇所(左右の脚に対応)にROI(R1,R2)を設定した例を示している。図6(b)では、第2ステージでの造影剤の流れを示し、図6(c)ではROI(R1)に先に造影剤が到達した状態を示している。左足の血管が詰まっている場合は、左足の造影剤の流れが遅くなり、ROI(R2)に造影剤が到達するのが遅れる。
【0048】
こうして、血流速度の遅い足の造影剤の流れに合わせて撮影を行い、かつ自動的に次のステージに移行することでタイミングよくコントラスト像を収集することができる。全てのステージでの撮影が終了すると、ステップS7に移行し処理を終了する。
【0049】
図7は、ROI(R1,R2)の画像レベル(濃度)の変化と、次のステージへの移行タイミングを示す説明図である。図7の縦軸はROI(R1,R2)の画像レベルを示し、横軸は時間を示している。またROI(R1)の画像レベルの変化特性を実線Aで表わし、ROI(R2)の画像レベルの変化特性を点線Bで表わしている。さらに時間T1〜T5のタイミングにおける第1ステージでの造影剤画像の変遷を横軸上に示している。
【0050】
例えば、ROI(R2)の画像レベルが変化したタイミングをT21とすると、タイミングT21から予め設定した時間(Ts)後に次のステージにステップする。時間Tsは、画像濃度の変化があってからROI(R2)での変化具合が飽和するまでの時間(T31)や、画像濃度が変化し始めた直後(T21)から固定時間後に設定するとよい。
【0051】
尚、時間T4においては、ROI(R1)側では既に造影剤が通過しており、画像レベルが上がっているが、ROI(R2)側では造影剤がまだ通過中であるため、画像レベルが低い。また時間T5においては、ROI(R2)側でも造影剤が通過した後となり画像レベルが上昇する。
【0052】
図8(a)〜(d)は、ROI(R1,R2)の形状の変形例を示す説明図である。ROI(R1,R2)は、図8(a)に示すように、画面の下側を半分ずつに区切った長方形でも良いし、図8(b)に示すように、画面の下側を半分ずつに区切り、中央部に間隔をおいた長方形でも良い。また図8(c)のよう左足と右足の中央部に位置させた長方形状や、図8(d)に示すように楕円形でも良い。尚、ROI(R1,R2)は、必ずしも画面の最下部に設定する必要はない。
【0053】
このように、本実施形態では、検査対象の血管をステップ間で途切れることなく撮影することができるため、再撮影を防ぐことができ、検査時間の短縮、被曝の低減、造影剤量の低減に役立つ。
【実施例2】
【0054】
以上の説明では下肢の両足を撮影する例を説明したが、第2の実施形態は、片足のみをステッピングDSA撮影する場合のROIの設定と、次ステップへの移行タイミングの設定に関するものである。片足撮影のときは、ROIを2個から1個に変更する。以下に具体的に説明する。
【0055】
ステッピングDSA撮影を実施する際に、両足撮影の時は画像の左右に足が映るように足の位置を調整するが、片足撮影する場合は画像の中央に片足が映るように足の位置を調整する。図9は、片足撮影と両足撮影における画像を示している。
【0056】
図9(a)は、片足の撮影時の画像とROI(R0)の一例を示し、図9(b)は、両足の撮影時の画像とROI(R0)を比較して示している。片足の撮影時は、画像の中央部に足の画像が生成されるため中央部分が暗いX線画像が得られる。一方、両足の撮影時は、両足の中間はそのままX線が透過するため中央部が明るく、その両側(左右の足の部分)が暗いX線画像が得られる。
【0057】
図10は、片足撮影時と両足撮影時のROI(R0)内のX線画像のプロファイルを示している。ROI(R0)は画面下側の全領域をカバーしている。実線Aは片足撮影時のプロファイルであり、点線Bは両足撮影時のプロファイルを示している。縦軸は画像レベルを表し、足が位置する部分は画像レベルが低くなっている。
【0058】
したがって、撮影開始時にX線画像のプロファイルの特性を判断することで、両足撮影か片足撮影かを認識し、片足撮影の場合はROIを1つに設定する。或いは、手動操作により片足撮影モードを入力し、ROIを1つに設定してもよい。
【0059】
またステッピングDSA撮影を実施する際に、片足用ステッピングDSA、及び両足用ステッピングDSAの撮影プログラムを設けておき、システム制御部33は、プロファイルの判断結果(又はユーザ操作による入力情報)を撮影プログラムにリンクさせ、撮影プログラムを選択するようにする。
【0060】
図11(a)〜(d)は、片足撮影のときのROI(R0)の形状の一例を示す説明図である。ROI(R0)は、図11(a)に示すように、画面の下側全体をカバーする長方形でも良いし、図11(b)に示すように、画面下の足の領域をカバーする長方形でも良い。また図11(c)のよう足の血管領域をカバーする長方形状や、図11(d)に示すように楕円形でも良い。尚、ROI(R0)は、必ずしも画面の最下部に設定する必要はない。
【0061】
図12は、片足撮影時のROI(R0)の画像レベル(濃度)の変化と、次のステージへの移行タイミングを示す説明図である。図12の縦軸はROI(R0)の画像レベルを示し、横軸は時間を示している。またROI(R0)の画像レベルの変化特性を実線Aで表わしている。さらに時間T1〜T4のタイミングにおける第1ステージでの造影剤画像の変遷を横軸上に示している。
【0062】
例えば、時間T1では片足(本例では右足)に造影剤が流れ始めた状態を示している。造影剤がROI(R0)に到達し、画像レベルの平均値が変化した時間をT2とし、またタイミングT2から予め設定した時間(Ts)後のタイミングT21において次のステージにステップする。時間Tsは、画像濃度の変化があってからROI(R0)での変化具合が飽和するまでの時間や、画像濃度が変化し始めた直後(T2)から固定時間後に設定するとよい。
【0063】
尚、時間T3においては、ROI(R0)に造影剤が通過しており、画像レベルは低いが、時間T4においては、ROI(R0)を造影剤が通過した後であるため画像レベルが上昇する。片足撮影の場合、ROIの形状や位置が両足撮影の場合とは異なり、1つのROI(R0)の変化に合わせて、自動的に次のステップに移動することができる。
【0064】
尚、先の実施形態においては、両足をステッピングDSA撮影する場合、ROIを2つ設けて造影剤の流れが遅い方のROIの画像レベルの変化を見て、次のステージに自動的に移動させる例を述べたが、ROIについては、ステッピングDSA撮影を実施する前に、ユーザ操作による手動入力情報に基づいてどちらかのROI(即ちどちらの足の血管像を見たいか、又は両足の血管像を見たいかによってROIの位置や個数)を決めて、ステッピングDSA撮影を実施するようにしてもよい。
【0065】
ユーザ操作によるROIの選択は、操作部34からの入力情報によって行う。システム制御部33は、片足を測定する場合は、片足用のステッピングDSAの撮影プログラムに従って、図12に示したようにステップ移動する。一般的には造影剤の流れが遅い方の足に狭窄が多いとしているが、実際に治療する側の足の方が、造影剤が速く流れる場合もあり、このような場合でも自動で次のステージにスライドさせていくことができ、意図した画像を得ることができる。
【0066】
以上述べたように、本発明では診断に適したステッピングDSA撮影像を取得することができ、操作者の熟練度等に関わらずステッピングDSA撮影をタイミングよく実施することができる。
また以上の実施形態では、X線検出部20に平面検出器21を用いる例を述べたが、平面検出器21に代えてX線I.I.(Image Intensifier)とX線TVカメラを含むX線検出部を用いることもできる。X線I.I.を用いた撮影方法では、被検体を透過して得られるX線の画像情報は、X線I.I.において光学画像に変換され、更に光学画像はX線TVカメラによって撮影されて電気信号に変換される。そして、電気信号に変換されたX線画像情報はA/D変換後、表示部のモニタに表示される。
【0067】
またステッピング撮影によるDA画像データの収集では、天板25を移動する例を説明したが、天板25を固定し撮影部26を被検体の体軸方向に移動させて造影剤を追跡し撮影を行うようにしてもよい。つまり天板25と撮影部26の少なくとも一方を移動させればよい。
【0068】
また以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0069】
100…X線画像診断装置(アンギオ装置)
10…X線発生部
11…X線管
20…X線検出部
21…平面検出器
24…Cアーム
25…天板
26…撮影部
30…画像データ処理部
33…システム制御部
34…操作部
35…表示部
39…バスライン
40…移動機構部
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺画像データの生成に適したX線画像診断装置及びX線画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、循環器検査では、血管の微細な状態を観察するため、血管内に造影剤を注入して撮影する場合があり、例えば、血管内に造影剤を注入する前に撮影したマスク画像と、造影剤を注入した状態で撮影したコントラスト画像とを減算処理することで、造影部分を強調したサブトラクション画像を得て、このサブトラクション画像を診断画像として用いる方法が知られている。
【0003】
また下肢等を造影撮影する場合、寝台の天板を段階的にスライドさせて、ステッピングDSA(Digital Subtraction Angiography)撮影を行うことがある。しかしながら造影剤の流れに合わせて天板をスライドさせる場合、操作者の熟練度等により、スライドのタイミングにズレを生じることがある。特に血管の狭窄状態により、両足の造影剤の流れが異なる場合は、天板のスライドタイミングが難しく、適切なステッピングDSA撮影像が得られないことがある。
特許文献1には、造影剤の移動に従って寝台を移動させるようにしたX線診断装置が開示されている。この特許文献1の例では、画像上に多数のROIを設定し、ROIの平均濃度の変化から造影剤の流入を判断し、N個の領域を通過する造影剤の平均速度を算出し、この算出結果をもとに寝台を移動制御するようにしている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の例では、血管の狭窄状態により両足の血流速度に差がある場合などに、寝台の造影剤の流れと寝台のスライドタイミングが合わず、適切な画像を得るのに時間がかかることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−237924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、例えば下肢を造影撮影する場合、寝台の天板を段階的にスライドさせて撮影を行っているが、血管の狭窄状態により両足の造影剤の流れが異なる場合などは、天板のスライドタイミングが難しく、適切なステッピングDSA撮影像が得られないことがあった。また特許文献1のように造影剤の平均速度を算出して寝台を移動制御する例もあるが、両足の血流速度に差がある場合には、寝台のスライドタイミングが合わず、更なる改善が求められている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたもので、造影剤の流れに合わせて天板又は撮影部を次のステージにスライドさせ、操作者の熟練度等にかかわらずステッピングDSA撮影を行うことができるX線画像診断装置及びX線画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明のX線画像診断装置は、被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部と、前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御する制御部と、前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理する画像処理部と、を具備し、前記制御部は、前記被検体に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記被検体の体軸方向に複数の関心領域を設定し、前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項6記載の本発明のX線画像診断装置は、被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部と、前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御する制御部と、前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理する画像処理部と、を具備し、前記制御部は、前記被検体の下肢に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記下肢の体軸方向に両足撮影用又は片足撮影用の複数の関心領域を設定し、前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項記載の本発明のX線画像処理方法は、被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部を備え、前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御し、前記被検体に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記被検体の体軸方向に複数の関心領域を設定し、前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させ、前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、造影剤の流れに合わせて天板又は撮影部のスライドタイミングを決めて移動することにより、操作者の熟練度等に関わらず適切なステッピングDSA撮影を行うことができるX線画像診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るX線画像診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に係るX線画像診断装置の全体構造を示す斜視図。
【図3】マスク像及びコントラスト像の収集動作を示す説明図。
【図4】マスク像及びコントラスト像の収集動作を示すフローチャート。
【図5】第1ステージでの造影剤の流れを示す説明図。
【図6】第2ステージでの造影剤の流れを示す説明図。
【図7】ROIの画像レベルの変化と次ステージへの移行タイミングを示す説明図。
【図8】ROIの形状の変形例を示す説明図。
【図9】片足撮影時及び両足撮影時の画像とROIを示す説明図。
【図10】片足撮影時と両足撮影時のROI内のプロファイルを示す特性図。
【図11】片足撮影時のROIの形状の変形例を示す説明図。
【図12】片足撮影時のROIの画像レベルと次ステージへの移行タイミングを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係るX線画像診断装置(アンギオ装置)の構成を示すブロック図である。図1において、X線画像診断装置100は、被検体Pに対してX線を発生するX線発生部10と、被検体Pを透過したX線を2次元的に検出するとともに、検出結果に基づいてX線投影データを生成するX線検出部20を備えている。
【0015】
X線発生部10は、X線管11とX線絞り器12を有するX線照射部と、高電圧制御部13と高電圧発生器14を有する高電圧発生部を備えている。X線管11は、X線を発生する真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧により加速してタングステン陽極に衝突させX線を発生する。高電圧制御部13は、システム制御部33(後述)からの指示信号に従って高電圧発生器14を制御し、X線管11の管電流、管電圧、X線パルス幅、照射周期、撮影区間、照射時間等からなるX線照射条件の制御を行なう。
【0016】
X線検出部20は、平面検出器21と、平面検出器21から読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器22と、電荷・電圧変換器22の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器23を備え、A/D変換器23からX線投影データを出力する。電荷・電圧変換器22とA/D変換器23は投影データ生成部を構成する。
【0017】
X線発生部10と、X線検出部20はアーム(Cアーム)24に支持されている。Cアーム24は、寝台の天板25に載置した被検体Pの体軸方向に移動可能であり、また被検体Pの体軸周りに回転可能である。尚、X線発生部10とX線検出部20は撮影部26を構成し、Cアーム24を回転することで、撮影部26は被検体Pの周囲を回転し、異なる角度方向から被検体Pを撮影することができる。
【0018】
またX線画像診断装置100は、画像処理部30、システム制御部33、操作部34、及び表示部35を備えている。画像処理部30は、A/D変換器23からのX線投影データを処理して画像データの生成と保存を行なうもので、画像データ記憶部31と画像演算部32を有している。画像データ記憶部31には、X線投影データが順次保存されて画像データが生成される。また画像演算部32は、生成された画像データに対し、必要に応じて輪郭強調やS/N改善等を目的とした画像処理や演算を行なう。
【0019】
画像処理部30で生成された画像データは、表示部35に供給されて表示される。表示部35は、画像データ記憶部31からの画像データの表示を行うため、表示データ生成部36、変換部37、モニタ38を備えている。表示データ生成部36は、画像データに対して付帯情報を合成したり、所定の表示フォーマットへの変換を行って表示データを生成する。また変換部37は、表示データに対してD/A(デジタル/アナログ)変換とテレビフォーマット変換を行なって映像信号を生成し、この映像信号を液晶等のモニタ38に表示する。
【0020】
操作部34は医師等のユーザが各種コマンドの入力等を行なうもので、マウス、キーボード、トラックボール、ジョイスティック等の入力デバイスや、表示パネルあるいは各種スイッチ等を備えたインタラクティブなインターフェースを有する。また操作部34は、天板25の移動方向や移動速度の設定、撮像系の回動/移動方向及び回動/移動速度の設定、管電圧や管電流を含むX線照射条件の設定等を行なう。
【0021】
システム制御部33は、CPUと記憶回路(図示せず)を備え、操作部34から供給された入力情報、設定情報及び選択情報に基づいてバスライン39を介してX線画像診断装置100の各ユニットを統括的に制御する。
【0022】
またX線画像診断装置100は、移動機構部40を備えている。移動機構部40は、絞り移動制御部41と機構制御部42を有する。絞り移動制御部41は、X線絞り器12における絞り羽根等の移動制御を行ない、機構制御部42は、被検体Pを載置する天板25の移動機構43や、撮影系移動機構44の移動制御を行う。移動機構部40は、操作部34の操作に応答して動作し、システム制御部33の制御のもとに各部の移動制御を行う。
【0023】
図2は、X線画像診断装置100(アンギオ装置)の全体的な構成を示す斜視図である。図2において、X線発生部10とX線検出部20がCアーム24によって対向して支持されている。またCアーム24に対して寝台が配置されており、寝台の天板25には、被検体(図示せず)が載置され、天板25の位置及び高さは機構制御部42によって制御可能である。
【0024】
Cアーム42は、例えば天井部に設けられたレールに取り付けられ、被検体の頭部(Cranial)から脚部(Caudal)に向かう体軸方向に移動可能である。またCアーム42の回転により撮影部26(X線発生部10とX線検出部20)は、被検体の周囲を体軸回りに回転することができる。また撮影部26をCアーム24に沿ってスライド回転することができる。
【0025】
X線投影データは、画像処理部30によって処理され、画像データをモニタ38に表示する。モニタ38は、例えば天井部に取り付けられている。また、寝台には、操作部341を取り付けており、操作部341の操作に応答してシステム制御部33は、天板25の高さの制御、Cアーム24の移動/回転の制御、X線の照射範囲の調整、照射タイミングの制御等を行う。
【0026】
次に、本発明の画像処理部30による画像データの生成方法について説明する。 X線診断装置100を使った検査の一例として、下肢部の検査があり、腹部から足先までの広い範囲を撮影する場合がある。このような広範囲を一度に撮影できる視野のX線検出器は存在しないので、何度かに分けて全体を撮影することになる。
【0027】
下肢部の検査では、撮影部26(X線発生部10とX線検出部20)を最初の撮影位置から順次にステップ移動させ、複数のステージでそれぞれ撮影を行う。即ち、ステッピングDSA撮影では、天板25を被検体Pの体軸方向に移動させ、造影剤の到達より早く所定の撮影部位まで移動し、撮影位置に一旦静止させた状態で下肢血管内に注入された造影剤の到達を待ち、造影剤が到達した時点で撮影を行う。撮影した後は、天板25を次の撮影位置(ステージ)へ速やかに移動させる。このような方法を繰り返すことによって複数の撮影位置におけるDA画像データの収集を行なう。
【0028】
これにより、腹部から足先に至るまで複数枚の画像データを得ることができる。そして、生成された複数枚のDA画像データを体軸方向に貼り合わせて長尺画像データを生成することにより、広い下肢領域における血管を1枚のX線画像で観察することが可能となる。
【0029】
図3は、本実施形態のX線診断装置100を用いて被検体Pの下肢部を撮影する際の、撮影部26(X線発生部10とX線検出部20)と天板25の相対的な移動動作、及びその撮影画像の一例を概略的に示す説明図である。
【0030】
図3(a)に示すように、撮影部26のX線発生部10とX線検出部20は、Cアーム24で連結されており、X線検出部20がX線発生部10と向き合うように取り付けられ、それらの間に天板25に載置された被検体Pが配置される。天板25は、被検体Pを載せた状態で体軸方向に沿って移動できる。これにより天板25が撮影部26に対して相対的にステップ移動し、複数ステージでの画像データを取得することができる。
【0031】
なお、被検体PをX線で観察する場合、X線管11から線量の少ないX線を照射して画像データを取得する透視モードと、線量の多いX線を照射して画像データ(診断情報)を取得する撮影モードとがある。
【0032】
マスク像を収集する場合は、図3(a)の矢印X1で示す方向に天板25を段階的に移動させて撮影する。マスク像の収集は、造影剤を注入する前に行い、例えば、被検体Pの足先から腹部に向かって複数ステップで撮影を行う。
【0033】
図3(b)は、足先から腹部まで順次にステッピング撮影したときの複数枚のマスク像(A1,B1,C1,D1)を示している。複数のマスク像はそれぞれ移動方向の前後でオーバーラップするようにしておき、撮影の漏れ部分が無いようにする。尚、図3(b)では、各画像A1〜D1に対してROI(R1,R2)を設定している。ROI(R1,R2)は、例えば現ステップでの撮影エリアと次のステップでの撮影エリアがオーバーラップする位置、又はその近傍に設定するとよい。
【0034】
図3(c)は、造影剤を注入したあとのコントラスト像の収集動作を示している。コントラスト像を収集する場合は、例えば天板25を図3(a)の矢印X2方向に移動させ、被検体Pの腹部から足先に向かって複数ステップで撮影を行う。図3(c)は、腹部から足先まで順次にステッピング撮影した場合の複数枚のコントラスト像(A2,B2,C2,D2)を示している。図3(c)では造影剤画像(血管像)が太線で示されている。
【0035】
図3(d)は、サブトラクション像の一例を示している。サブトラクション像は、マスク像データとコントラスト像データを減算処理したものであり、造影部分を強調したサブトラクション像(A3,B3,C3,D3)を得ることができる。
【0036】
本発明の実施形態では、両足の各々について関心領域(ROI:region of interest)を設け、マスク像収集時にROIのピクセル値(画像レベル)を計測する。またコントラスト像の収集時にROIのピクセル値(画像レベル)を計測し、画像レベルの変化をもとに造影剤の流入を検知し、検知結果をもとに自動的に天板25を次のステージにスライドさせる。
【0037】
両足の各々についてROIを設定することにより、ピクセル値の変化が遅い方の足(造影剤の流れが遅い方の足)にタイミングに合わせて、自動的に天板25を次のステージにスライドさせることができる。また、ROIは画面下部に設定し、現ステップの撮影領域と次のステップの撮影領域がオーバーラップする部位に設定することで、より診断に適したステッピングDSA撮影像を得ることができる。
【0038】
図4は、本発明の実施形態におけるマスク像の収集とコントラスト像の収集動作を示すフローチャートであり、図5、図6は、第1,第2ステージでの造影剤の流れを説明する説明図である。
【0039】
図4においてステップS1はスタートステップである。次のステップS2では、ステッピングDASで撮影するポジションを決定し、下肢の撮影を複数のステージ(例えば4つのステージ)で行いマスク像を収集する。またマスク像の撮影時に各ステージで撮影した画像にROIを設定する。なおステッピンクDSA撮影におけるステップ数の決め方については特に問わない。
【0040】
マスク像の撮影後、ステップS3からステップS6を繰り返すことにより、自動的に各ステージ(第1ステージから第4ステージ)でのコントラスト像の収集が行われる。即ちステップS4では、コントラスト像の撮影をしながら、画面の下側(足先方向側)の2箇所に設定したROI(R1,R2)にて、画像の濃度(血流、造影剤の流れ)の変化を見る。
【0041】
図5(a)は第1ステージでのコントラスト像の撮影画像を示しており、画面の下側2箇所に(左右の脚にそれぞれ対応して)ROI(R1,R2)を設定した例を示している。図5(b)では、造影剤(太線で示す)が流れ始めた状態を示し、図5(c)では片方のROI(R1)に先に造影剤が到達し、図5(d)では両方のROI(R1,R2)に造影剤が到達した状態を示している。例えば左足の血管が詰まっている場合は、左足の造影剤の流れが遅くなり、ROI(R2)に造影剤が到達するのが遅れる。
【0042】
システム制御部33は、ROI(R1,R2)内の画像レベルを計測する。即ち、検査する足に対してそれぞれ片足ずつの画像レベル(ピクセル値)を観察する。ROI(R1,R2)に造影剤が流れ込むと画像の濃度が変わるため、画像レベルの変化をもとに造影剤が流れたことを検出できる。
【0043】
また2つあるROI(R1,R2)の内、画像の濃度が遅く変化したROI(R2)の変化タイミングをもとに、機構制御部42から天板移動機構43に対して、天板25のスライド指示を出し、次のステージに移動するように制御する。
【0044】
次のステージへの移動のタイミングは、例えば、ROI(R2)の画像レベルの平均値が変化してから、予め設定した時間後(Ts)にスライドさせる。時間Tsは、例えば画像濃度の変化があってからROI(R2)での変化具合が飽和するまでの時間などに設定する。或いは、画像濃度が変化し始めた直後から固定時間後に設定しても良い。
【0045】
図5(c),(d)に示すように、血管の狭窄状態により両足の血流速度に差がある場合は、血流速度の遅い方の血管の狭窄の程度を重篤と考えて、血流速度の遅い足の造影剤の流れに合わせて撮影を行い、自動的に次のステージに移行することでタイミングよくコントラスト像の撮影を行うことができる。
【0046】
以下、ステップS6からステップS3に戻って同様の処理を繰り返し、次のステージ(例えば第2ステージ)でのコントラスト像の収集が行われる。
【0047】
図6(a)は第2ステージでのコントラスト像の撮影画像を示しており、画面の下側2箇所(左右の脚に対応)にROI(R1,R2)を設定した例を示している。図6(b)では、第2ステージでの造影剤の流れを示し、図6(c)ではROI(R1)に先に造影剤が到達した状態を示している。左足の血管が詰まっている場合は、左足の造影剤の流れが遅くなり、ROI(R2)に造影剤が到達するのが遅れる。
【0048】
こうして、血流速度の遅い足の造影剤の流れに合わせて撮影を行い、かつ自動的に次のステージに移行することでタイミングよくコントラスト像を収集することができる。全てのステージでの撮影が終了すると、ステップS7に移行し処理を終了する。
【0049】
図7は、ROI(R1,R2)の画像レベル(濃度)の変化と、次のステージへの移行タイミングを示す説明図である。図7の縦軸はROI(R1,R2)の画像レベルを示し、横軸は時間を示している。またROI(R1)の画像レベルの変化特性を実線Aで表わし、ROI(R2)の画像レベルの変化特性を点線Bで表わしている。さらに時間T1〜T5のタイミングにおける第1ステージでの造影剤画像の変遷を横軸上に示している。
【0050】
例えば、ROI(R2)の画像レベルが変化したタイミングをT21とすると、タイミングT21から予め設定した時間(Ts)後に次のステージにステップする。時間Tsは、画像濃度の変化があってからROI(R2)での変化具合が飽和するまでの時間(T31)や、画像濃度が変化し始めた直後(T21)から固定時間後に設定するとよい。
【0051】
尚、時間T4においては、ROI(R1)側では既に造影剤が通過しており、画像レベルが上がっているが、ROI(R2)側では造影剤がまだ通過中であるため、画像レベルが低い。また時間T5においては、ROI(R2)側でも造影剤が通過した後となり画像レベルが上昇する。
【0052】
図8(a)〜(d)は、ROI(R1,R2)の形状の変形例を示す説明図である。ROI(R1,R2)は、図8(a)に示すように、画面の下側を半分ずつに区切った長方形でも良いし、図8(b)に示すように、画面の下側を半分ずつに区切り、中央部に間隔をおいた長方形でも良い。また図8(c)のよう左足と右足の中央部に位置させた長方形状や、図8(d)に示すように楕円形でも良い。尚、ROI(R1,R2)は、必ずしも画面の最下部に設定する必要はない。
【0053】
このように、本実施形態では、検査対象の血管をステップ間で途切れることなく撮影することができるため、再撮影を防ぐことができ、検査時間の短縮、被曝の低減、造影剤量の低減に役立つ。
【実施例2】
【0054】
以上の説明では下肢の両足を撮影する例を説明したが、第2の実施形態は、片足のみをステッピングDSA撮影する場合のROIの設定と、次ステップへの移行タイミングの設定に関するものである。片足撮影のときは、ROIを2個から1個に変更する。以下に具体的に説明する。
【0055】
ステッピングDSA撮影を実施する際に、両足撮影の時は画像の左右に足が映るように足の位置を調整するが、片足撮影する場合は画像の中央に片足が映るように足の位置を調整する。図9は、片足撮影と両足撮影における画像を示している。
【0056】
図9(a)は、片足の撮影時の画像とROI(R0)の一例を示し、図9(b)は、両足の撮影時の画像とROI(R0)を比較して示している。片足の撮影時は、画像の中央部に足の画像が生成されるため中央部分が暗いX線画像が得られる。一方、両足の撮影時は、両足の中間はそのままX線が透過するため中央部が明るく、その両側(左右の足の部分)が暗いX線画像が得られる。
【0057】
図10は、片足撮影時と両足撮影時のROI(R0)内のX線画像のプロファイルを示している。ROI(R0)は画面下側の全領域をカバーしている。実線Aは片足撮影時のプロファイルであり、点線Bは両足撮影時のプロファイルを示している。縦軸は画像レベルを表し、足が位置する部分は画像レベルが低くなっている。
【0058】
したがって、撮影開始時にX線画像のプロファイルの特性を判断することで、両足撮影か片足撮影かを認識し、片足撮影の場合はROIを1つに設定する。或いは、手動操作により片足撮影モードを入力し、ROIを1つに設定してもよい。
【0059】
またステッピングDSA撮影を実施する際に、片足用ステッピングDSA、及び両足用ステッピングDSAの撮影プログラムを設けておき、システム制御部33は、プロファイルの判断結果(又はユーザ操作による入力情報)を撮影プログラムにリンクさせ、撮影プログラムを選択するようにする。
【0060】
図11(a)〜(d)は、片足撮影のときのROI(R0)の形状の一例を示す説明図である。ROI(R0)は、図11(a)に示すように、画面の下側全体をカバーする長方形でも良いし、図11(b)に示すように、画面下の足の領域をカバーする長方形でも良い。また図11(c)のよう足の血管領域をカバーする長方形状や、図11(d)に示すように楕円形でも良い。尚、ROI(R0)は、必ずしも画面の最下部に設定する必要はない。
【0061】
図12は、片足撮影時のROI(R0)の画像レベル(濃度)の変化と、次のステージへの移行タイミングを示す説明図である。図12の縦軸はROI(R0)の画像レベルを示し、横軸は時間を示している。またROI(R0)の画像レベルの変化特性を実線Aで表わしている。さらに時間T1〜T4のタイミングにおける第1ステージでの造影剤画像の変遷を横軸上に示している。
【0062】
例えば、時間T1では片足(本例では右足)に造影剤が流れ始めた状態を示している。造影剤がROI(R0)に到達し、画像レベルの平均値が変化した時間をT2とし、またタイミングT2から予め設定した時間(Ts)後のタイミングT21において次のステージにステップする。時間Tsは、画像濃度の変化があってからROI(R0)での変化具合が飽和するまでの時間や、画像濃度が変化し始めた直後(T2)から固定時間後に設定するとよい。
【0063】
尚、時間T3においては、ROI(R0)に造影剤が通過しており、画像レベルは低いが、時間T4においては、ROI(R0)を造影剤が通過した後であるため画像レベルが上昇する。片足撮影の場合、ROIの形状や位置が両足撮影の場合とは異なり、1つのROI(R0)の変化に合わせて、自動的に次のステップに移動することができる。
【0064】
尚、先の実施形態においては、両足をステッピングDSA撮影する場合、ROIを2つ設けて造影剤の流れが遅い方のROIの画像レベルの変化を見て、次のステージに自動的に移動させる例を述べたが、ROIについては、ステッピングDSA撮影を実施する前に、ユーザ操作による手動入力情報に基づいてどちらかのROI(即ちどちらの足の血管像を見たいか、又は両足の血管像を見たいかによってROIの位置や個数)を決めて、ステッピングDSA撮影を実施するようにしてもよい。
【0065】
ユーザ操作によるROIの選択は、操作部34からの入力情報によって行う。システム制御部33は、片足を測定する場合は、片足用のステッピングDSAの撮影プログラムに従って、図12に示したようにステップ移動する。一般的には造影剤の流れが遅い方の足に狭窄が多いとしているが、実際に治療する側の足の方が、造影剤が速く流れる場合もあり、このような場合でも自動で次のステージにスライドさせていくことができ、意図した画像を得ることができる。
【0066】
以上述べたように、本発明では診断に適したステッピングDSA撮影像を取得することができ、操作者の熟練度等に関わらずステッピングDSA撮影をタイミングよく実施することができる。
また以上の実施形態では、X線検出部20に平面検出器21を用いる例を述べたが、平面検出器21に代えてX線I.I.(Image Intensifier)とX線TVカメラを含むX線検出部を用いることもできる。X線I.I.を用いた撮影方法では、被検体を透過して得られるX線の画像情報は、X線I.I.において光学画像に変換され、更に光学画像はX線TVカメラによって撮影されて電気信号に変換される。そして、電気信号に変換されたX線画像情報はA/D変換後、表示部のモニタに表示される。
【0067】
またステッピング撮影によるDA画像データの収集では、天板25を移動する例を説明したが、天板25を固定し撮影部26を被検体の体軸方向に移動させて造影剤を追跡し撮影を行うようにしてもよい。つまり天板25と撮影部26の少なくとも一方を移動させればよい。
【0068】
また以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0069】
100…X線画像診断装置(アンギオ装置)
10…X線発生部
11…X線管
20…X線検出部
21…平面検出器
24…Cアーム
25…天板
26…撮影部
30…画像データ処理部
33…システム制御部
34…操作部
35…表示部
39…バスライン
40…移動機構部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部と、
前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御する制御部と、
前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理する画像処理部と、を具備し、
前記制御部は、前記被検体に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記被検体の体軸方向に複数の関心領域を設定し、前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とするX線画像診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記被検体の下肢を撮影する際に、前記関心領域を両足の複数個所にそれぞれ対応して設定し、前記造影剤の流れが遅い方の足の前記画像レベルの変化を基に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とする請求項1記載のX線画像診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記被検体の下肢を撮影する際に、前記被検体の両足を撮影するか片足を撮影するかをX線画像のプロファイルをもとに判断し、前記判断結果によって前記関心領域を両足撮影用又は片足撮影用に設定することを特徴とする請求項1記載のX線画像診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被検体の下肢を撮影する際に、ユーザ入力情報をもとに前記被検体の両足を撮影するか片足を撮影するかを判断し、前記関心領域を両足撮影用又は片足撮影用に設定することを特徴とする請求項1記載のX線画像診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記関心領域を現ステップと次ステップでの撮影領域がオーバーラップする位置に設定することを特徴とする請求項1記載のX線画像診断装置。
【請求項6】
被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部と、
前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御する制御部と、
前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理する画像処理部と、を具備し、
前記制御部は、前記被検体の下肢に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記下肢の体軸方向に両足撮影用又は片足撮影用の複数の関心領域を設定し、前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とするX線画像診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記被検体の両足を撮影するか片足を撮影するかをX線画像のプロファイル又はユーザ入力情報をもとに判断し、前記判断結果によって前記関心領域を両足撮影用又は片足撮影用に設定することを特徴とする請求項6記載のX線画像診断装置。
【請求項8】
被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部を備え、
前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御し、
前記被検体に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記被検体の体軸方向に複数の関心領域を設定し、
前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させ、
前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理することを特徴とするX線画像処理方法。
【請求項9】
前記被検体の下肢を撮影する際に、前記関心領域を両足の複数個所にそれぞれ対応して設定し、
前記造影剤の流れが遅い方の足の前記画像レベルの変化を基に、前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とする請求項8記載のX線画像処理方法。
【請求項10】
前記被検体の下肢に造影剤を注入して撮影を行う際に、両足を撮影するか片足を撮影するかをX線画像のプロファイル又はユーザ入力情報をもとに判断し、
前記判断結果に応答して前記下肢の体軸方向に両足撮影用又は片足撮影用の複数の関心領域を設定することを特徴とする請求項8記載のX線画像処理方法。
【請求項1】
被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部と、
前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御する制御部と、
前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理する画像処理部と、を具備し、
前記制御部は、前記被検体に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記被検体の体軸方向に複数の関心領域を設定し、前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とするX線画像診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記被検体の下肢を撮影する際に、前記関心領域を両足の複数個所にそれぞれ対応して設定し、前記造影剤の流れが遅い方の足の前記画像レベルの変化を基に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とする請求項1記載のX線画像診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記被検体の下肢を撮影する際に、前記被検体の両足を撮影するか片足を撮影するかをX線画像のプロファイルをもとに判断し、前記判断結果によって前記関心領域を両足撮影用又は片足撮影用に設定することを特徴とする請求項1記載のX線画像診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被検体の下肢を撮影する際に、ユーザ入力情報をもとに前記被検体の両足を撮影するか片足を撮影するかを判断し、前記関心領域を両足撮影用又は片足撮影用に設定することを特徴とする請求項1記載のX線画像診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記関心領域を現ステップと次ステップでの撮影領域がオーバーラップする位置に設定することを特徴とする請求項1記載のX線画像診断装置。
【請求項6】
被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部と、
前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御する制御部と、
前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理する画像処理部と、を具備し、
前記制御部は、前記被検体の下肢に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記下肢の体軸方向に両足撮影用又は片足撮影用の複数の関心領域を設定し、前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とするX線画像診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記被検体の両足を撮影するか片足を撮影するかをX線画像のプロファイル又はユーザ入力情報をもとに判断し、前記判断結果によって前記関心領域を両足撮影用又は片足撮影用に設定することを特徴とする請求項6記載のX線画像診断装置。
【請求項8】
被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを対向して支持し、寝台の天板上に載置された前記被検体を撮影可能な撮影部を備え、
前記被検体の体軸方向に前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方をステップ移動させて、前記被検体を複数のステージで撮影するように制御し、
前記被検体に造影剤を注入して撮影を行う際に、前記被検体の体軸方向に複数の関心領域を設定し、
前記関心領域内の画像レベルの変化を計測して前記造影剤の流れを検知し、前記検知結果をもとに前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させ、
前記複数のステージで撮影して得た画像データを処理することを特徴とするX線画像処理方法。
【請求項9】
前記被検体の下肢を撮影する際に、前記関心領域を両足の複数個所にそれぞれ対応して設定し、
前記造影剤の流れが遅い方の足の前記画像レベルの変化を基に、前記撮影部又は前記天板の少なくとも一方を次の撮影ステージに移動させることを特徴とする請求項8記載のX線画像処理方法。
【請求項10】
前記被検体の下肢に造影剤を注入して撮影を行う際に、両足を撮影するか片足を撮影するかをX線画像のプロファイル又はユーザ入力情報をもとに判断し、
前記判断結果に応答して前記下肢の体軸方向に両足撮影用又は片足撮影用の複数の関心領域を設定することを特徴とする請求項8記載のX線画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図10】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図10】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−172644(P2011−172644A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37300(P2010−37300)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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